本発明の目的は、マイクロLEDディスプレイ製造方法、マイクロLEDディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ製造装置のための商業的、工業的に有効な解決策を提供することである。
したがって、本発明は、ディスプレイパネルを作製する方法を提供する。このディスプレイパネル作製方法は、第1の複数の発光ダイオードチップを備え、前記第1の複数の発光ダイオードチップの各第1の発光ダイオードチップのために、前記各第1の発光ダイオードチップ上にオーミック電極対が形成され、前記各発光ダイオードが第1の波長の光を発光するようにした第1の基板を準備する工程と、前記ディスプレイパネル用の駆動回路および複数の接合パッド対を備えた第2の基板を準備する工程と、前記第1の基板を反転して、前記第1の複数の発光ダイオードチップを前記複数の接合パッド対上に接合する工程と、前記第1の複数の発光ダイオードチップを前記第1の基板から剥離する工程と、前記第2の基板を再加熱して、前記第2の基板上に前記第1の複数の発光ダイオードチップを固定する工程とを含む。
好適な一実施形態において、前記第1の基板は、サファイアまたはSiCとすることができ、前記第1の複数の発光ダイオードチップは、UV光、青色光または緑色光を発光するためのIII族窒化物を含む。前記第1の基板がサファイアまたはSiCである場合、前記剥離工程は、レーザ露光を用いて実施される。
好適な一実施形態において、前記第1の基板は、テープとすることもでき、前記第1の複数の発光ダイオードチップは、赤色光を発光するためのIII族砒化物またはIII族燐化物を含む。前記第1の基板がテープである場合、前記剥離工程は、前記複数の発光ダイオードチップが設けられていない前記第1の基板の表側面を加圧することによって実施される。
好適な一実施形態において、前記第2の基板は、PCB、珪素、炭化珪素またはセラミックとすることができる。前記セラミック基板は、AlNまたは酸化アルミニウム(Al2O3)を含んでいてもよい。
好適な一実施形態において、前記第2の基板は、GaAsとすることができ、第2の複数の発光ダイオードチップを備え、前記第2の複数の発光ダイオードチップの各第2の発光ダイオードチップは、前記第1の波長よりも長い第2の波長の光を発光する。
好適な一実施形態において、前記駆動回路は、能動回路アレイまたは受動回路アレイとすることができる。前記能動回路は、前記複数の発光ダイオードチップを駆動するための複数のトランジスタを備えている。
好適な一実施形態において、前記第1の基板上の前記第1の複数の発光ダイオードチップにおける第1のピッチは、前記第2の基板上の前記複数の接合パッド対における第2のピッチと等しい。前記反転工程は、前記第1の複数の発光ダイオードチップを前記複数のオーミック電極対と整合させるように実施される。前記剥離工程は、前記第1の基板上の前記各第1の発光ダイオードチップに対してブロック毎に実施される。
好適な一実施形態において、前記第1の基板上の前記第1の複数の発光ダイオードチップにおける第1のピッチは、前記第2の基板上の前記複数の接合パッド対における第2のピッチよりも小さい。前記反転工程は、前記第1の複数の発光ダイオードチップの1つを前記複数のオーミック電極対の1つと整合させるように実施され、その後、前記剥離工程が実施される。
好適な一実施形態において、前記LEDチップを前記接合基板に転写した後、第1の波長光よりも長い第3の波長を有する光を提供するために、燐光物質層が、前記第1の複数の発光ダイオードチップ上に形成される。
好適な一実施形態において、前記第3の波長の光と前記第1の波長の光により白色光を提供する。前記方法は、前記再加熱工程の後、カラーフィルタを備えた第3の透明基板を前記第2の基板上に設ける工程をさらに含む。
本発明は、さらにディスプレイパネルを提供する。このディスプレイパネルは、前記ディスプレイパネル用の駆動回路および複数の接合パッド対を備え、複数の赤色発光ダイオードチップを備えたGaAs基板と、前記複数の接合パッド対に電気的に固定された複数のGaN発光ダイオードチップとを含む。
本発明は、さらにディスプレイパネルを提供する。このディスプレイパネルは、駆動回路および複数の接合電極対を備えた接合基板と、前記複数の接合電極対にそれぞれ電気的に固定された複数のGaN発光ダイオードチップと、前記複数のGaN発光ダイオードチップをそれぞれ適切に被覆する複数の領域としてパターン形成された燐光物質層と、前記複数のGaN発光ダイオードチップとそれぞれ整合するカラーフィルタ層を備えた透明基板とを含む。
好適な一実施形態において、前記接合基板は、PCB、珪素、炭化珪素またはセラミックとすることができる。前記セラミック基板は、AlNまたは酸化アルミニウム(Al2O3)を含んでいてもよい。
好適な一実施形態において、前記駆動回路は、能動回路アレイまたは受動回路アレイとすることができる。前記能動回路は、前記複数の発光ダイオードチップを駆動するための複数のトランジスタを備えている。
本発明は、さらにディスプレイパネルを作製する方法を提供する。このディスプレイパネル作製方法は、それぞれ第1の電極および第2の電極を有する複数のGaN発光ダイオードチップを備えたサファイア基板を準備する工程と、駆動回路および複数の接合電極対を備えた接合基板を準備する工程と、前記複数のGaN発光ダイオードチップを前記複数の接合電極対に転写する工程と、燐光物質層を前記複数のGaN発光ダイオードチップ上にそれぞれ設ける工程と、カラーフィルタを備えた透明基板を、前記カラーフィルタが前記複数のGaN発光ダイオードチップと整合するように、前記接合基板に取り付ける工程とを含む。
好適な一実施形態において、前記接合基板は、PCB、珪素、炭化珪素またはセラミックとすることができる。前記セラミック基板は、AlNまたは酸化アルミニウム(Al2O3)を含んでいてもよい。
好適な一実施形態において、前記駆動回路は、能動回路アレイまたは受動回路アレイとすることができる。前記能動回路は、前記複数の発光ダイオードチップを駆動するための複数のトランジスタを備えている。
本発明は、さらにディスプレイパネルを提供する。このディスプレイパネルは、それぞれ第1の電極および第2の電極を有する複数のGaN発光ダイオードチップを備えたサファイア基板と、前記第1の電極および前記第2の電極を露出するように前記サファイア基板上に設けられた第1の誘電層と、前記複数のGaN発光ダイオードチップの前記第1の電極の行に電気的に接続するために、前記第1の誘電層上で第1の複数の信号ラインとしてパターン形成された第1の透明導電層と、前記第2の電極を露出するように前記第1の誘電層および前記第1の透明導電層上に設けられた第2の誘電層と、前記複数のGaN発光ダイオードの前記第2の電極の列に電気的に接続するために、前記第2の誘電層上で第2の複数の信号ラインとしてパターン形成された第2の透明導電層と、前記第2の誘電層および前記第2の透明導電層を被覆するパッシベーション層ブランケットと、前記パッシベーション層上で前記複数のGaN発光ダイオードチップを適切に被覆する複数の領域としてパターン形成された燐光物質層と、前記複数のGaN発光ダイオードチップと整合してそれらを被覆するカラーフィルタ層を備えた透明基板とを含む。
本発明は、さらにディスプレイパネルを作製する方法を提供する。このディスプレイパネル作製方法は、それぞれ第1の電極および第2の電極を有する複数のGaN発光ダイオードチップを備えたサファイア基板を準備する工程と、前記サファイア基板および前記複数のGaN発光ダイオードチップ上に第1の誘電層を形成する工程と、前記第1の電極および前記第2の電極を露出する工程と、前記第1の誘電層上に第1の透明導電層を形成する工程と、前記第1の透明導電層を第1の複数の信号ラインへとパターニングして、前記複数のGaN発光ダイオードチップの前記第1の電極の行に電気的に接続する工程と、前記第1の誘電層および前記第1のパターン形成透明導電層上に第2の誘電層を形成する工程と、前記第2の電極を露出する工程と、上記第2の誘電層上に第2の透明導電層を形成する工程と、前記第2の透明導電層を第2の複数の信号ラインへとパターニング、前記複数のGaN発光ダイオードチップの前記第2の電極の列に電気的に接続する工程と、パッシベーション層を形成して、前記第2のパターン形成透明導電層および前記第2の誘電層を被覆する工程と、前記パッシベーション層上に燐光物質層を設ける工程と、カラーフィルタ層を備えた透明基板を、前記カラーフィルタが前記複数のGaN発光ダイオードチップと整合するように、前記サファイア基板に取り付ける工程とを含む。
本発明は、さらに装置を提供する。この装置は、複数の発光ダイオードチップを備えた第1の基板を載置するためのプラットホームと、互いに直交する2つの水平方向を有する第1の動作を提供するための第1のステージと、駆動回路および複数の接合パッド対を備えた第2の基板を、前記複数の発光ダイオードチップが前記複数の接合パッド対に対向するように固定するために前記第1のステージ上に設けられた載置ステージと、前記複数の発光ダイオードチップを前記第1の基板から剥離するための手段と、ディスプレイパネルが作製されるように、前記プラットホーム、前記第1のステージ、前記載置ステージおよび剥離手段を制御するための制御装置とを含む。
好適な一実施形態において、前記装置は、前記第1のステージと前記載置ステージとの間に設けられた、垂直動作を提供するための第2のステージをさらに含んでいてもよい。
好適な一実施形態において、前記第1の基板がサファイアまたはSiCである場合、前記剥離手段は、エキシマレーザである。
好適な一実施形態において、前記第1の基板がテープである場合、前記剥離手段は、前記複数の発光ダイオードチップを前記複数の接合パッド対に押し付けるための押圧装置である。
本発明は、さらにディスプレイパネルを提供する。このディスプレイパネルは、駆動回路および複数の接合電極対を備えた接合基板と、前記複数の接合電極対にそれぞれ電気的に固定された複数のGaN発光ダイオードチップと、前記複数のGaN発光ダイオードチップをそれぞれ適切に被覆する複数の領域としてパターン形成された光変換層と、前記光変換層上に設けられ、それぞれ前記複数のGaN発光ダイオードチップと整合するパターン形成カラー規定層とを含む。
本発明は、さらにディスプレイパネルを提供する。このディスプレイパネルは、複数のGaN発光ダイオードチップを備えたサファイア基板と、前記複数のGaN発光ダイオードチップの第1の導電型に電気的に接続する第1のパターン形成オーミックコンタクト透明導電層と、前記第1のパターン形成オーミックコンタクト透明導電層および前記複数のGaN発光ダイオードチップを被覆し、前記複数のGaN発光ダイオードチップの第2の導電型を露出するパターン形成パッシベーション層と、前記複数のGaN発光ダイオードチップの前記第2の導電型に電気的に接続する第2のパターン形成オーミックコンタクト透明導電層とを含む。
好適な一実施形態において、前記パターン形成パッシベーション層は、光変換材料と混合されている。
好適な一実施形態において、前記ディスプレイパネルは、前記複数のGaN発光ダイオードチップの上方に設けられたカラー規定層をさらに含む。
好適な一実施形態において、前記カラー規定層は、ピクセル内のRGBを規定するためのカラーフィルタである。
好適な一実施形態において、前記ディスプレイパネルは、前記第1のオーミックコンタクト透明導電層上に設けられた第1の金属ラインと、前記第2のオーミックコンタクト透明導電層上に設けられた第2の金属ラインとをさらに含む。
本発明は、さらにディスプレイパネルを作製する方法を提供する。このディスプレイパネル作製方法は、それぞれ第1の電極および第2の電極を有する複数のGaN発光ダイオードチップを備えたサファイア基板を準備する工程と、駆動回路および複数の接合電極対を備えた接合基板を準備する工程と、前記複数のGaN発光ダイオードチップを前記複数の接合電極対に転写する工程と、前記複数のGaN発光ダイオードチップ上にそれぞれ光変換層を設ける工程と、前記光変換層上に、前記複数のGaN発光ダイオードチップと整合するパターン形成カラー規定層を形成する工程とを含む。
本発明は、さらにディスプレイパネルを作製する方法を提供する。このディスプレイパネル作製方法は、複数のGaN発光ダイオードチップを備えたサファイア基板を準備する工程と、前記複数のGaN発光ダイオードチップの第1の導電型上に第1のパターン形成オーミックコンタクト透明導電層を形成する工程と、前記第1のパターン形成オーミックコンタクト透明導電層および前記複数のGaN発光ダイオードチップ上に、前記複数のGaN発光ダイオードチップの第2の導電型を露出させて、パターン形成共形パッシベーション層を形成する工程と、前記複数のGaN発光ダイオードチップの前記第2の導電型に電気的に接続する第2のオーミックコンタクト透明導電層を形成する工程とを含む。
好適な一実施形態において、前記方法は、前記パターン形成共形パッシベーション層を形成する前記工程の前に、前記パッシベーション層に光変換材料を混合する工程をさらに含む。
好適な一実施形態において、前記方法は、第2のオーミックコンタクト透明導電層を形成する前記工程の後に、前記複数のGaN発光ダイオードチップの上方にカラー規定層を形成する工程をさらに含む。
好適な一実施形態において、前記カラー規定層は、ピクセルにおけるRGBを規定するためのカラーフィルタである。
好適な一実施形態において、前記方法は、前記第1のオーミックコンタクト透明導電層を形成する前記工程の後に、前記第1のオーミックコンタクト透明導電層上に第1のパターン形成金属ラインを形成する工程と、前記第2のオーミックコンタクト透明導電層を形成する前記工程の後に、前記第2のオーミックコンタクト透明導電層上に第2のパターン形成金属ラインを形成する工程とをさらに含む。
本発明の他の利点は、添付図面とともに以下の記述から明らかになるであろう。これらの図面に、本発明の実施形態が例示されている。
本発明は、様々な変更態様、代替態様で実施可能であるが、具体的な実施形態を図面に例示し、本明細書において詳細に説明する。図面は、縮尺どおりではない。ただし、図面および詳細な説明は、開示された特定の形態に本発明を限定する意図はなく、それとは逆に、添付の請求項により定義される本発明の趣旨および範囲内の変更態様、均等態様、代替態様を網羅する意図であると理解すべきである。
ここで使用されているように、「基板」という用語は、通常、半導体または非半導体材料で形成された板状体を指す。この様な半導体または非半導体材料としては、単結晶珪素、炭化珪素、砒化ガリウム、燐化インジウム、サファイア、セラミック、ガラスおよびPCBが例示される。この様な基板は、半導体製造設備において一般的に見出され、加工されている。エピ基板は、半導体製造設備においてエピタキシャル成長に供される板状体を指す。接合基板は、電子デバイスを受けるために回路や接合パッドを備えた板状体を指す。
基板に関して、1以上の層が、基板上に形成されていてもよい。多数の様々なタイプのこの様な層がこの技術において公知であり、ここで使用される基板という用語は、すべてのタイプのこの様な層が形成されるウェーハを含むことを意図している。基板上に形成される1以上の層は、パターン形成されていてもよい。例えば、基板は、それぞれ繰り返しパターン構造を有する複数のダイス/チップを備えていてもよい。この様な材料層を形成、加工することによって、最終的に完成された半導体装置を得ることができる。この様に、基板は、完全な半導体装置のすべての層が形成されているわけではない板状体や、完全な半導体装置のすべての層が形成されている基板を含んでいてもよい。
基板は、集積回路(IC)や、LEDチップなどの光電デバイスの少なくとも一部をさらに含むものであってもよい。
「LED」という用語は、一般的に、パッケージの有無にかかわらず、特定の直流電流を駆動することによって赤色光、緑色光、青色光またはUV光を発光可能な発光ダイオードを指す。
「LEDチップ」という用語は、一般的に、エピ基板からの剥離の有無にかかわらず、オーミックコンタクト電極対を備えた基板上でエピタキシャル成長を用いて形成されたLEDを指す。本発明におけるLEDチップは、エピ基板上に形成することもできるし、接合基板上に接合することもできる。
典型的なLEDチップの寸法は、14×14mil2(355.6×355.6μm2)であり、マイクロLEDチップの寸法は、一般的に、100×100μm2未満の範囲であり、好ましくは、50×50μm2未満の範囲である。
本発明における「回路」という用語は、レジスタ、ダイオードまたはトランジスタを含んでいてもよい。
本発明における「インデックス」という用語は、エピ基板または接合基板上の2つのLEDチップ間のピッチを指す。
「カラーフィルタ」という用語は、複数の波長帯域の光をフィルタリングするために使用する。本発明において、カラーフィルタは、赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ通過させるRGBフィルタを指す。
本発明におけるプロセスフローの各工程は、論理シーケンス要件がない限り、一般的に入れ替え可能とすべきである。
本発明における半導体の導電型、例えば、半導体層におけるn型またはp型導電性は、入れ替え可能とすべきである。
以下、本発明の幾つかの例示的な実施形態を示す添付図面を参照して、本発明の様々な例示的な実施形態をさらに詳細に説明する。本発明の保護範囲を限定することなく、実施形態の説明および図面は、すべて例示的にマイクロLEDディスプレイとその製造方法に適用される。ただし、本発明をマイクロLED転写方法に限定するために、これらの実施形態を使用すべきではない。
図面において、各部材の相対的な寸法および各部材間の相対的な寸法は、明確化のために誇張されている。以下の図面の説明において、同様の参照番号は、同様の構成部材または実体を示し、個々の実施形態の違いのみを説明する。
したがって、本発明の例示的な実施形態は、様々な変更態様や代替態様が可能であるが、図面において実施形態を例示し、詳細に説明する。ただし、開示されている特定の態様に本発明の例示的な実施形態を限定する意図はなく、それとは逆に、本発明の例示的な実施形態は、本発明の範囲内の変更態様、均等態様、代替態様を網羅するものであると理解すべきである。
本発明は、駆動回路を備え、ディスプレイに供される接合基板に、マイクロLEDチップを直接的に転写することができる方法を提供する。まず、III族窒化物系化合物として、緑色光、青色光またはUV光を提供するために、GaN系をエピタキシャル成長によりサファイア、SiC、Si、GaNまたはZnO基板上に形成する。III族砒化物またはIII族燐化物化合物として、赤色光を提供するために、GaAs系またはAlInGaPをエピタキシャル成長によりGaAs、GaSb、GaPまたはInP基板上に形成する。エピタキシャル成長プロセスの後、エピ層をチップパターンで加工し、オーミックコンタクト電極をそれぞれp/nエピ層上に形成する。マイクロLEDチップを受けるために、駆動回路および接合パッドが形成された接合基板を準備する。サファイア基板上のIII族窒化物マイクロLEDチップは、レーザリフトオフ技術を用いて転写することができ、SiC、Si、ZnO基板上のIII族砒化物、III族燐化物マイクロLEDチップまたはIII族窒化物マイクロLEDチップは、機械的加圧法を利用して転写することができる。大量転写手順は、等インデックスに対しては、ブロック毎に同時に実施され、不等インデックスに対しては、チップ毎に順次実施され、または基板全体を直接転写する。そして、マイクロLEDチップが転写された接合基板は、共融接合、半田接合または銀エポキシ焼成を用いることにより、接合パッドとマイクロLEDチップを接着可能に再加熱される。したがって、工業的、商業的な課題において、大量転写問題を解決することができる。
一実施形態において、ディスプレイの1つのピクセルは、青色マイクロLEDチップと、緑色マイクロLEDチップと、赤色マイクロLEDチップとを含むことができる。別の実施形態において、ディスプレイの1つのピクセルは、青色マイクロLEDチップと、緑色燐光物質で被覆された青色マイクロLEDチップと、赤色燐光物質で被覆された青色マイクロLEDチップとを含んでいてもよい。他の実施形態において、ディスプレイの1つのピクセルは、青色マイクロLEDチップと、緑色マイクロLEDチップと、赤色燐光物質で被覆された青色マイクロLEDチップとを含んでいてもよい。他の実施形態において、ディスプレイの1つのピクセルは、それぞれRGB燐光物質で被覆された3つのUVマイクロLEDチップを含んでいてもよい。他の実施形態において、ディスプレイの1つのピクセルは、単色ディスプレイのための1つの青色マイクロLEDチップを含んでいてもよい。一実施形態において、ディスプレイの1つのピクセルは、黄色燐光物質で被覆された3つのマイクロLEDチップを含んでいてもよく、その後、RGBカラーフィルタにより白色光をフィルタリングしてフルカラー画像を提供する。この実施形態においては、RGBフィルタの機能は、TFT-LCDにおける機能と同様である。この実施形態において、広色域を達成するために、赤色燐光物質または量子ドット技術をこの実施形態で採用することができる。赤色燐光物質は、窒化物燐光物質を含んでいてもよい。あるいは、強化赤色光を有する白色燐光物質、例えば、KSF(珪弗化カリウム)燐光物質やGEにより開発されたTriGain燐光物質などを含んでいてもよい。シャープもβ-SiAlON緑色燐光物質およびKSF燐光物質を含むWCG燐光物質を開発している。
一実施形態において、接合基板はGaAsとすることができ、赤色マイクロLEDチップおよび駆動回路をGaAs上に形成することができる。したがって、青色および緑色マイクロLEDチップのみを接合基板に転写する必要がある。あるいは、珪酸塩/エステル燐光物質またはβ-SiAlON緑色燐光物質などの緑色燐光物質を青色マイクロLEDチップ上に備えた青色マイクロLEDチップを接合基板に転写する。
次に、図面を参照して、本発明を図面と共にさらに明確に説明する。
図1Aにおいて、エピタキシャル成長のための基板10を準備する。基板10は、Si、SiC、ZnO、GaN、サファイア(Al2O3)、GaAs、GaSb、GaPまたはInPとしてもよい。ただし、本発明の一実施形態においては、GaAsおよびサファイアがエピ基板として好適である。III族窒化物化合物に対しては、エピ基板10をサファイア、SiC、Si、ZnOまたはGaNとし、III族砒化物化合物に対しては、基板10をGaAs、GaSb、GaPまたはInPとする。基板10の配向は、III族砒化物、III族燐化物またはIII族窒化物化合物のエピタキシャル成長に適合するように選択される。一実施形態において、輝度向上のために、サファイア基板をパターン形成サファイア基板とすることもできる。
図1Bにおいて、エピ層を形成するためにエピタキシャル成長プロセスを実施する。第1の導電性を有する第1のエピ層12をエピ基板10上に形成し、第2の導電性を有する第2のエピ層16を第1のエピ層12上に形成する。第2の導電性は、第1の導電性の反対である。好適な実施形態において、第1の導電性はn型であり、第2の導電性はp型である。第1のエピ層12と第2のエピ層16との間には、従来技術を用いて常に単一の量子ウェル層または複数の量子ウェル層(図1Bには図示せず)が形成されている。第1のエピ層12を形成する前に、2次元成長を促進するためにサファイア、SiCおよびSiエピ基板10に対して、低温緩衝層22を形成する。本発明においては、III族窒化物化合物により緑色光、青色光またはUV光を発光し、III族砒化物化合物またはIII族燐化物化合物により赤色光を発光することができる。一実施形態において、エピ層12および16をAlxGa(1-x)As、(AlxGa(1-x))yIn(1-y)P、y~0.5(GaAsに格子整合)またはAlxInyGa(1-x-y)Nとすることができる。一実施形態において、エピ層12および16は、青色光を発光する。
図1Cにおいて、2つの電極を第1のエピ層および第2のエピ層上にそれぞれ形成する。リソグラフィ工程およびエッチング工程を含む従来のパターニング法を用いて、第2のエピ層16の一部を取り除く。エッチング工程としては、異方性エッチング法が好適である。そして、リフトオフ法、または、第1のエピ層12上にオーミックコンタクト材料層を堆積し、従来のリソグラフィ工程およびエッチング工程を含む従来のパターニング法を用いてオーミックコンタクト層の不要部分を取り除くことにより、第1のエピ層12上に第1のオーミックコンタクト電極14を形成する。第1のオーミックコンタクト電極14の材料は、III族窒化物、III族燐化物またはIII族砒化物化合物に対して、それぞれ、Ge/Au、Pd/Ge、CrAu、CrAl、Ti、TiN、Ti/Al、Ti/Al/Ni/Au、Ta/Ti/Ni/Au、V/Al/V/Au、V/Ti/Au、V/Al/V/Ag、IZOまたはITOとすることができる。リフトオフ法、または、第2のエピ層16上にオーミックコンタクト材料層を堆積し、リソグラフィ法およびエッチング法を含む従来のパターニング/エッチング法を用いてオーミックコンタクト層の不要部分を取り除くことにより、第2のエピ層16上に第2のオーミックコンタクト電極18を形成する。第2の電極18の材料は、III族窒化物、III族燐化物またはIII族砒化物化合物に対して、それぞれ、Ni、Au、Ag、Pd、Pt、AuBe、AuZn、PdBe、NiBe、NiZn、PdZn、AuZn、Ru/Ni/ITO、Ni/Ag/Ru/Ni/Au、Ni/AuまたはITOなどの高仕事関数金属としてもよい。この実施形態のオーミックコンタクト電極形成プロセスにおけるリフトオフ法は、フォトレジスト層をまずエピ層12または16上に堆積する工程と、フォトレジスト層をパターンで露光および現像する工程と、フォトレジスト層と露出しているエピ層12または16上にオーミックコンタクト材料層を堆積する工程と、フォトレジスト層を直接的に除去する工程とを含む。フォトレジスト層上のオーミックコンタクト材料層も同時に除去される。リフトオフ法は、エッチング工程を1工程省略できるという利点がある。
図1Dにおいて、メサエッチングプロセスを実施し、従来のパターニング/エッチング方法を用いてスクライブライン20を同時に形成して、各LEDチップ40を分離する。オーミックコンタクト電極およびメサの形成は、いわゆるチッププロセスであり、図1Cにおけるオーミックコンタクト電極形成と図1Dにおけるメサ形成の一連の工程は、順序を入れ替えたり逆にしたりすることができる。本発明に焦点を当てるために図示しないが、すべてのマイクロLEDチップを保護するために、第1/第2のオーミックコンタクト電極用の開口部を有するパッシベーション層をマイクロLEDチップ上に形成することができる。
図2Aにおいて、駆動回路60および接合パッド対52を備えた接合基板50を準備する。接合基板50は、PCB、珪素、炭化珪素、AlNセラミックまたは酸化アルミニウム(Al2O3)セラミック、ガラスまたはGaAsとすることができる。駆動回路60および接合パッド対52の形成方法は、従来からのいずれの技術であってもよい。接合基板50の裏面は、平坦であることが好ましい。LLOを後で実施する場合は、接合基板50の裏面を研磨しなければならない。
マイクロLEDチップを接合基板に転写する。図2Bにおいて、エピ基板のインデックスが接合基板のインデックスと等しいので、図1Dの加工済みエピ基板10を反転し、各LEDチップ40を各接合パッド対52と整合させる。接合パッド30は、共融接合、半田接合および銀エポキシペーストを含んでいてもよい。
そして、図3Aにおいて、チップ毎のレーザ露光を導入する。この実施形態において、特定のLED色に関して、一度に1つのチップしか転写されない。しかし、他の用途または実施形態において、すべてのLEDが同色光を発光する場合は、1ブロックのLEDを同時に転写することもできる。GaNエピ層12がサファイアエピ基板10から剥離するように、低温緩衝層22へのレーザ露光32により第1のLEDチップに照射する。この様にして、第1のLEDチップをエピ基板10から剥離する。図3Aにおいて、オーミックコンタクト電極は接合パッド対に非常に近接しているが、厳密には接触していないことに留意されたい。第1のLEDチップをレーザ露光すると、第1のLEDチップがエピ基板10から剥離して接合基板50に直接転写されるように、エピ基板10は、接合基板50に充分近接していなければならない。従来の他のレーザリフトオフプロセスの場合、まず、マイクロLEDチップを接合パッド対に接合した後、レーザ露光照射する。本発明においては、レーザ露光は、まず、マイクロLEDチップを選択的に接合基板50に接合可能なように実施される。波長、レーザパワー、ビームサイズ、露光時間などの条件は、従来技術とすることができる。一実施形態において、KrFエキシマレーザを波長248nm、パルス約3~10ns、エネルギー密度約120~600mJ/cm2で適用することができる。他の実施形態において、Nd:YAGレーザを波長355nm、パルス約20~50ns、エネルギー密度約250~350mJ/cm2で適用することができる。この実施形態において、サファイアエピ基板を使用しているが、炭化珪素エピ基板をレーザリフトオフにおいて適用することができる。詳細は、Nakamuraらの特許文献2を参照することができる。
図3Bにおいて、低温緩衝層22へのレーザ露光32により第2のLEDチップに照射する。この様にして、第2のLEDチップをエピ基板10から剥離して、接合基板上に落下させる。図3Cにおいて、低温緩衝層22へのレーザ露光32により第3のLEDチップに照射する。この様にして、第3のLEDチップをエピ基板10から剥離して、接合基板上に転写する。図3においては、他のエピ基板からの、異なる光を発光可能な他のマイクロLEDチップをこの接合基板に接合することができるので、第1、第2および第3のマイクロLEDチップは、隣り合っているわけではないことに留意する。一実施形態において、第1、第2および第3のマイクロLEDチップは、青色光を発光可能であり、緑色光を発光可能な他のマイクロLEDチップは、他のエピ基板上のものをこの接合基板に接合しなければならない。接合基板がGaAsである場合は、赤色LEDチップが既に接合基板に形成されていてもよい。赤色マイクロLEDチップを接合基板に接合すべきであって、接合基板自体がGaAsではない場合、青色マイクロLEDチップ間の間隔は、図3における間隔の2倍にしなければならない。
すべての選択青色マイクロLEDチップにレーザ露光照射した後、選択青色マイクロLEDチップを接合基板に転写する。エピ基板上の残りの青色マイクロLEDチップは、次の接合基板で処理することができる。
図3において、各マイクロLEDチップを順次チップ毎に転写することもできるし、ブロック毎に転写することもできる。
図4Aにおいて、レーザ露光照射した幾つかのマイクロLEDチップを接合基板50上に載置し、レーザ露光照射していない他のLEDチップをエピ基板10上に留置しながら、34で示すようにエピ基板10を外に移動する。
図4Bにおいて、転写されたマイクロLEDチップを接合パッド対に接合するために、共融接合、半田接合または銀エポキシ焼成を用いて、接合基板50を再加熱する。すべてのマイクロLEDチップの転写を完了したときに、この工程を実施することが好ましい。
図5Aにおいて、緑色LEDチップなどの他のマイクロLEDチップ45を備えた第2のエピ基板10-1を反転し、すべてのマイクロLEDチップ45を残りの接合パッド対と整合させる。この実施形態において、エピ基板上の幾つかの緑色マイクロLEDチップ45は、他の接合基板上で加工したものであってもよい。そして、図5Bに示すように、エピ基板10-1は、接合基板50に充分に近接して配置されるが、チップクリアランスを配慮して、エピ基板10-1と接合基板50との距離をチップ厚よりも大きくしなければならない(例えば、数マイクロメートル離間しなければならない)。1つのLEDチップ45をレーザ露光32で照射する。図5Cにおいて、低温緩衝層へのレーザ露光32で他のLEDチップ45に照射する。この様にして、すべてのマイクロLEDチップをエピ基板10-1から剥離して、接合基板50にチップ毎に転写する。図5Dにおいて、エピ基板10-1を遠ざけ、34で示すように、すべてのLEDチップを転写する。そして、接合基板50を再加熱する。便宜上、すべてのマイクロLEDチップを接合基板に転写した後に、再加熱工程を実施すべきである。
接合基板のサイズが小さい場合または大きい場合は、ディスプレイパネルにおいて、接合基板50を結合、分割または単一化することができる。例えば、接合基板が2×2インチの板状体であり、ディスプレイ装置が6×2インチである場合、3つの接合基板を結合して単一のディスプレイパネルとする必要がある。接合基板が10×12インチの板状体であり、ディスプレイが6×3インチである場合、接合基板を分割または単一化して9つのディスプレイパネルとする必要がある。
すべてのLEDチップをUV光LEDとすることができる場合、図6Aに示すように、赤色燐光物質70、緑色燐光物質71および青色燐光物質72をマイクロLEDチップの裏面に形成することができる。図6Bにおいては、青色LEDチップのみを設ける一方、緑色燐光物質71および赤色燐光物質70をLEDチップ上に形成または塗工する。燐光物質70は、噴霧、リソグラフィ、テーピングまたは印刷により形成可能である。図6Cに示す他の実施形態においては、青色および緑色マイクロLEDチップを設ける場合、赤色燐光物質70のみを幾つかの青色LEDチップ上に形成または塗工する。この様にして、ディスプレイを製造する。
他の実施形態において、エピ基板上のマイクロLEDチップのインデックスが接合基板のインデックスと等しくない場合、エピ基板上のLEDチップを1つずつ転写しなければならない。まず、図7Aに示すように、エピ基板上の第1のマイクロLEDチップを特定の接合パッド対と整合させる。そして、図7Bにおいて、エピ基板を接合基板に充分に近接移動する。
そして、図7Cにおいて、第1のマイクロLEDチップをレーザ露光32で照射する。この様にして、図7Dおいて、第1のマイクロLEDチップをエピ基板10から剥離して接合基板50に取り付ける一方、他のマイクロLEDチップをエピ基板上に留置する。
そして、図7Eにおいて、第2のLEDチップを他の接合パッド対と整合させてレーザ露光32で照射するために、エピ基板10および接合基板を移動する。図7Fにおいて、第2のLEDチップを接合基板50に転写する。図7Gにおいて、第3のLEDチップを他の接合パッド対と整合させて再度レーザ露光32で照射するために、エピ基板10および接合基板を移動する。この様にして、すべての特定のマイクロLEDチップを接合基板に転写するまで、このプロセスを継続することができる。この実施形態において、エピ基板上のマイクロLEDチップのインデックスは、接合基板上の接合パッド対のインデックスよりも小さい。
本発明において、レーザリフトオフ法を用いて、サファイア基板を分離することができる。しかし、珪素、炭化珪素およびGaAsなどの他のエピ基板については、レーザリフトオフを用いてエピ基板をエピ層から分離するのは容易ではない。したがって、他の方法を提供する。一実施形態において、赤色マイクロLEDチップをGaAs基板上に形成することができ、その後、赤色マイクロLEDチップを一時基板に転写する。選択的エッチング法を用いることによってGaAs基板を取り除いた後、すべてのマイクロLEDチップを基板としてのテープに再度転写する。テープは柔軟であり、マイクロLEDチップとテープとの接着性はあまり強くないので、工具チップを用いて直接的にマイクロLEDチップを接合基板に対して加圧することができる。したがって、前出のレーザリフトオフ法を機械的加圧法に置換することができる。テープの接着性は、転写を最適化できるように調整可能である。
この実施形態を説明するために、さらなる明確化のため幾つかの図面を導入する。
一実施形態において、まず、GaAsエピ基板10を準備する。そして、図8Aに示すように、従来のエピタキシャル成長法を用いて、AlAsなどのエッチング選択層23をGaAs基板上に形成する。そして、第1のエピ層12および第2のエピ層16を順次エピタキシャル成長により形成し、個々のLEDチップパターンをその後に形成する。蒸着法を用いて、p型オーミックコンタクト層18を第2のエピ層16上に形成する。そして、図8Bに示すように、UVを照射したり特定温度に加熱したりすると接着性を失う特殊な接着剤を用いて、エピ基板10の上側を一時基板80に固定する。
次に、エッチング選択層23をエッチングすることによって、エピ基板10を取り除き(このプロセスの詳細な手順については、特許文献3を参照することができる)、図8Cに示すように、n型オーミックコンタクト電極14およびp型オーミックコンタクト電極18を有するLEDチップをエピ層上に形成し、一時基板80を反転する。そして、図8Dに示すように、n型オーミックコンタクト電極14の上面をテープ81に固定する。テープの接着性は、あまり強くなく、粘着性がないので、後で各マイクロLEDチップを単純な機械的な加圧により落下させることができる。そして、図8Eに示すように、一時基板80を加熱またはUV光照射により取り除き、LEDチップを備えたテープを反転する。GaAs基板を取り除く他の実施形態では、GaAs基板上に直接形成されたAlAsなどのエッチングストップ層を用いて直接的にGaAs基板をエッチングする。この実施形態のプロセスフローは、上記と同様である。
Si、SiC、GaN、ZnO、GaPおよびGaSbなどの他のエピ基板の場合は、エピ層を形成する前に各選択エッチング層を形成しなければならないが、前者の方法を適用することができる。炭化珪素エピ基板の場合は、遷移金属窒化物層が選択エッチング層として適切である。
駆動回路を備えた接合基板として、エピ基板を使用することができ、この実施形態を説明するために、GaAs基板上で成長させたAlGaInP赤色LED構造を提供する。この実施形態を説明するために、図9にプロセスフローを示す。まず、ステップS9-1に示すように、赤色マイクロLEDチップ構造をエピタキシャル成長させるために、青色/緑色マイクロLEDチップのための接合基板として、GaAsまたはInPなどの基板を準備する。そして、任意のステップS9-2として、赤色光を反射するために基板上にDBR層を形成し、ステップS9-3として、DBR層上に赤色LED構造をエピタキシャル成長させる。次に、ステップS9-4として、DBR層上に赤色マイクロLEDチップを形成する。その後、ステップS9-5として、従来のイオン注入および/または拡散を用いてp型ウェルをGaAs基板内に形成する。この実施形態において、基板はn型であるので、p型ウェルを形成する。p型MISFETが好ましい場合は、このステップにおいて、n型ウェルを形成しなければならない。そして、ステップS9-6として、次に形成されるトランジスタを接合パッド対から絶縁するために、複数の絶縁領域をp型ウェル内に形成する。絶縁領域は、例えば、窒化珪素、酸化珪素、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムとすることができる。この実施形態において、トランジスタは、MISFET(金属-絶縁体-半導体電界効果トランジスタ)であり、ステップS9-7として、トランジスタをp型ウェル内に形成する。GaAs基板をMISFETの半導体層として準備する。そして、ステップS9-8として、オーミックコンタクトマトリックスを形成してマイクロLEDチップにオーミックコンタクトを設け、ステップS9-9として、接合パッド対を絶縁デバイス上に形成する。その後、ステップS9-10として、青色および緑色マイクロLEDチップを接合パッド対に転写することができる。ステップS9-11として、酸化珪素または窒化珪素などのILD(層間誘電)層を基板上に形成し、ステップS9-12として、幾つかのコンタクトをILD層内に形成する。そして、ステップS9-13として、金属層をILD層上に形成して、コンタクトに電気的に接続する。ステップS9-14として、酸化珪素または窒化珪素などのパッシベーション層を形成して、トランジスタ、マイクロLEDチップおよび金属層のすべてを被覆し、ステップS9-15として、基板の裏面を任意にメタライズする。
図9に示すプロセスフローの詳細な工程は、図10A~図10Mを参照することができる。まず、図10Aに示すように、GaAsまたはInP基板51を準備する。赤色光抽出を強化するために、基板51上にDBR層53を形成することができ、その後、MOCVDによりn型エピ層12およびp型エピ層16をDBR層53上に形成する。図10Bに示すように、従来のパターニングプロセスおよびエッチングプロセスを用いて基板51上に個々の赤色マイクロLEDチップ47を形成するために、チッププロセスを採用する。駆動回路を形成するために、図10Cに示すように、従来のイオン注入および/または拡散工程を用いてp型ウェル55を形成する。このプロセスの一実施形態において、ドーパントをMgまたはZnとすることができる。そして、図10Dに示すように、マイクロLEDチップをトランジスタから電気的に絶縁するために、幾つかの絶縁領域56を基板51内に形成する。絶縁領域は、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムなどの誘電体とすることができる。この工程において、絶縁領域の形成は、エッチングプロセス、およびエッチング領域に誘電層を再充填するプロセスを含む。
図10Eにおいて、従来の方法を用いて、n型MISFET90をp型ウェル55内とp型ウェル55上に形成する。一実施形態において、その後、ゲート誘電層92およびゲート93を基板51上に堆積してエッチングし、そして、珪素のドーピング、注入または拡散によって、p型ウェル55にソース/ドレイン領域91を形成する。ゲート誘電層92は、酸化珪素または窒化珪素などの誘電材料とすることができ、ゲート93は、ポリシリコン、アルミニウムまたは適切な金属とすることができる。そして、図10Fに示すように、ゲートおよび赤色マイクロLEDチップ47を保護するために、スペーサ94(酸化珪素とすることができる)を任意にゲートおよび赤色マイクロLEDチップ47の側面に形成する。スペーサ94の形成は、基板51上に共形層(コンフォーマルレイヤ)を堆積することと、共形層を直接エッチングすることを含む。そして、透明オーミックコンタクト層18を基板51上に形成し、赤色マイクロLEDチップ47および後で転写する青色/緑色マイクロLEDチップをトランジスタ90に電気的に接触させる。透明オーミックコンタクト層18は、ITO(酸化インジウム錫)、IZO(酸化インジウム亜鉛)、IGO(酸化インジウムガリウム)、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)またはIGZO(酸化インジウムガリウム亜鉛)とすることができる。そして、図10Gに示すように、絶縁デバイス56上に接合パッド対52を形成して、透明オーミックコンタクト層18に電気的に接続する。そして、図10Hに示すように、青色マイクロLEDチップ40および緑色マイクロLEDチップ45を接合パッド対に転写する。
図10Iに示すように、従来のスピンオンコーティングを用いて、酸化珪素、TEOS(テトラエチルオルト珪酸エステル)、エポキシまたはシリコーンなどのILD層64を基板51上に堆積する。そして、図10Jに示すように、ILD層64内にコンタクト68を形成し、トランジスタ90のn型ウェル91と電気的に接続する。コンタクト68の形成は、まずILD層64をエッチングしてコンタクトホールを形成することと、その後にコンタクトホール内に金属を充填することを含む。図10Kに示すように、従来の方法を用いて、ILD層64上に金属層62を形成し、コンタクト68に電気的に接続する。金属層62は、トランジスタ90を介してマイクロLEDチップ40、45、47に輝度信号を供給し、対応するトランジスタをオンすると、マイクロLEDチップの1つが所定の輝度の光を発光する。そして、図10Lに示すように、エポキシ、シリコーンまたはMEMS材料などのパッシベーション層65を形成して、トランジスタ90、マイクロLEDチップおよび金属層62を被覆する。図10Mに示すように、基板51の裏面に金属層66を任意に形成して、金属層66を介してマイクロLEDチップのすべてのn型電極を接地できるようにする。赤色マイクロLEDチップ47に関しては、基板51を介してn型電極を接地でき、青色/緑色マイクロLEDチップ40/45に関しては、基板51のビアを介してn型電極を接地できる。ビアの形成は、基板51を貫通エッチングしてビアホールを形成することと、従来の方法を用いてビアホールの内部を金属で充填することとを含む。
マイクロLEDディスプレイのピクセル設計を理解するためには、本発明を図示する上面図があるとよい。図11Aにおいて、マイクロLEDディスプレイパネルにおける2つのピクセルの能動電気回路図を提供する。ピクセル100は、3つのマイクロLEDチップ106および3つのトランジスタ104を備えている。トランジスタ104のすべてのゲート電極を制御信号110に接続し、トランジスタ104のすべてのソース電極を輝度信号112に接続する。制御信号110は、トランジスタ104を介してオン/オフすべきマイクロLEDチップ106に信号を与える。輝度信号112は、特定の輝度を有すべきマイクロLEDチップ106に信号を与える。トランジスタ104の機能は、LCDパネルにおけるTFT(薄層トランジスタ)と同様である。各ピクセル100を取り囲む黒色マトリックス102により、コントラストを高めてもよいし、すべてのピクセル100間の干渉を低減してもよい。マイクロLEDチップ106のp型電極(陽極)をトランジスタ104のドレイン電極に接続し、マイクロLEDチップのn型電極(陰極)を接地する。
図11Bに、マイクロLEDディスプレイの2つのピクセルの受動電気回路図を示す。1つのピクセル100に単に3つのマイクロLEDチップ106を設け、マイクロLEDチップ106のすべてのp型電極(陽極)を画像走査信号120に接続し、マイクロLEDチップ106のすべてのn型電極(陰極)をスイッチ信号122に接続する。画像走査信号120は、マイクロLEDチップ106に直接的に画像情報を与え、スイッチ信号は、どのマイクロLEDチップ106をオン/オフするかを決定する。スイッチ信号が開回路である場合には、接続するマイクロLEDチップをオフする。スイッチ信号122は、画像信号120が各マイクロLEDチップ106に正確な信号情報を与えるような順序で、開回路となる。画像や動画を表示するために、インタレース方式または非インタレース方式でマイクロLEDアレイを駆動することができる。ただし、この実施形態においては、GaAs基板を採用することはできない。
接合基板上の図11Aの能動電気回路図の1ピクセル設計レイアウトに関して、図12Aおよび図12Bを参照することができる。図12Aにおいて、RGBレイアウトは連続配列であり、製造が容易である。領域108にマイクロLEDチップを受け入れることとし、2つの接合パッド52を設ける。保護回路としての駆動回路にツェナーダイオードを設けることもできる。トランジスタ104は、NMIS、PMIS、CMISトランジスタまたはBJTとすることができる。好適な実施形態においては、NMISトランジスタを使用する。この実施形態において、共通陰極は任意である。図12Bは、RGBマイクロLEDチップをコントラスト強調のために緻密設計としたい場合の、1ピクセルの他の設計レイアウトを示す。
図13Aにおいて、本発明の他の実施形態をマイクロLEDチップに供する。青色、緑色および赤色LEDチップに関して、駆動電圧や寿命は、これらのLEDの構造および材料により異なる場合がある。マイクロLEDディスプレイを製造するための単純かつ簡単な方式または方法は、燐光物質73で被覆した青色マイクロLEDチップのみを含むものであってもよい。燐光物質73は、黄色光を発光し、黄色光がマイクロLEDからの青色光と混合することにより、白色光を得ることができる。そして、カラーフィルタ130および黒色マトリックス102を備えた透明基板200を準備する。したがって、各マイクロLEDチップを画像信号により駆動すると、カラーフィルタ130を介して画像を表示することができる。燐光物質73は、高色再現インデックスまたは色域を生成可能である。そして、図13Cに示すように、カラーフィルタ130および黒色マトリックスを備えた基板200をLEDチップに取り付けまたは整合させて、LEDディスプレイを作製する。他の実施形態において、図13Bに示すように、まず、燐光物質73およびカラーフィルタ130を透明基板200に形成することができる。そして、この実施形態において、図13Cに示すように、カラーフィルタ130、燐光物質73および黒色マトリックス102を備えた基板200をLEDチップに取り付けまたは整合させる。他の実施形態において、燐光物質73は、緑色および赤色を共に発光するものであってもよい。他の実施形態において、マイクロLEDチップはUV光を発光するものであってもよく、燐光物質73はRGB光を発光する。この実施形態において、カラーフィルタ130の機能は、TFT-LCDディスプレイパネルにおけるカラーフィルタと同様であるが、液晶層ではない。TFT-LCDディスプレイパネルに関しては、完全暗画像を提供するとしても、液晶は完全にバックライトをオフにすることができないので、LCDパネルから白色光が漏れる。しかし、本発明のLEDディスプレイパネルについては、LEDを完全にオフすることができるので、暗画像は、従来の高品質のCRTモニタやプラズマディスプレイに匹敵する。図14Aは、透明基板100の上面図であり、4つのピクセル100を示している。図14Bに示すように、黒色マトリックス102をピクセルの周囲に形成することができる。
本発明において、受動モードLEDディスプレイパネルの接合基板にすべてのLEDチップを転写するわけではない他の実施形態を提供する。図15Aを参照して、LEDチップ40が、サファイア基板10上に既に形成されており、それぞれn型/p型オーミックコンタクト電極14/18を有する。この実施形態において、LEDチップ40は、青色光を発光する。LEDチップ構造の形成は、ディスプレイピクセルに応じて定義しなければならず、この実施形態においては、左側の3つのLEDチップを1つのピクセルとしてグループ化し、右側の3つのLEDチップをもう1つのピクセルとしてグループ化する。そして、図15Bに示すように、誘電層210を形成してLEDチップ40を被覆し、n型/p型オーミックコンタクト電極14/18を露出する。誘電層210は、酸化珪素、窒化珪素、TEOS、エポキシまたはシリコーンとすることができる。ITO、IGO、IZO、IGZOまたはAZOなどの透明導電層を形成し、画像走査信号ライン120としてパターン形成して、図15Cに示すように、各p型オーミックコンタクト電極を個々に電気的に接続する。画像走査信号ライン120については、図11Bも参照することができる。そして、酸化珪素、窒化珪素、エポキシまたはシリコーンなどの別の誘電層212を形成して、LEDチップおよび画像走査信号ライン120を被覆する。図15Dに示すように、誘電層212に幾つかの孔部を形成して各n型オーミックコンタクト電極14を露出し、ITO、IGO、IZO、IGZOまたはAZOなどの別の透明導電層を各孔部内に充填し、誘電層212上にスイッチ信号ライン122としてパターン形成する。スイッチ信号ライン122については、図11Bも参照する。パッシベーション層65を形成してスイッチ信号ライン122をブランケット被覆し、高色再現インデックスを有する黄色光発光燐光物質73を青色GaN系LEDチップ40と組み合わせて白色光を生成する。LEDチップ40がUVを発光する場合は、RGB混合燐光物質を適用することができる。図15Eに示すように、カラーフィルタ130および黒色マトリックス102で被覆された透明基板200をエピ基板10上のマイクロLEDチップ40に取り付ける。この様にして、GaN系LEDチップを有する受動LEDディスプレイ装置を作製する。
受動LEDディスプレイパネルに関する他の実施形態も提供する。図16を参照して、LEDチップを備えたサファイア基板10を形成して反転し、接合パッド対52を備えた接合基板50と接合する。前出の実施形態と同様に、LEDチップ構造は、ディスプレイピクセルに応じて定義しなければならない。そして、図16に示すように、マイクロレンズアレイ220をエピ基板10の裏面に形成する。マイクロレンズは、光を屈折させるための一球凸面と一平坦面とを有する単一の素子としてもよいし、焦点調整をレンズ全面にわたる屈折率変化により実現する、2つの平坦平行面を有する勾配屈折率レンズとしてもよい。マイクロレンズアレイ220は、金型成形またはマスターレンズアレイの型押しにより形成することができる。そして、燐光物質73、カラーフィルタ130および黒色マトリックス102が順次形成された透明基板200を各LEDチップに取り付ける。
図17において、マイクロLEDディスプレイを製造する装置を提供する。x-yステージ300は、互いに水平に直交する2方向を提供する。x-yステージ300を使用して、接合すべき接合パッドを特定の位置に移動できるように、接合基板のx-y方向に沿う移動を提供する。x-yステージ300上のzステージ302は、x-yステージに直交する垂直方向を提供する。zステージ302を設ける目的は、レーザの焦点をエピ基板の所望の位置に合わせることができるように、接合基板の高さを調整することである。接合基板を固定するための静電チャックや真空チャックなどのチャック304が、zステージ302上に設けられている。そして、接合基板50をチャック304上に保持する。x-yプラットホーム310は、互いに水平方向に直交する同様の2方向を提供し、接合基板50とレーザ320との間を移動する。エピ基板10をx-yプラットホーム310上に載置し、LEDチップをレーザ320で照射して、エピ基板10から剥離し、接合基板50に転写できるように、所望のLEDチップを特定の位置に移動可能とする。x-yプラットホーム310は、zステージに対して同じピッチを保持する。エキシマレーザ320を使用して、単一のLEDチップまたは複数のLEDチップをエピ基板10から剥離可能なようにエピ基板上に照射する。制御装置300は、x-yステージ300、zステージ302、チャック304、x-yプラットホーム310およびレーザ320と電気的に接続する。
図18において、レーザリフトオフを適用不可能な場合に、LED転写装置を設ける実施形態を示す。図17において、エキシマレーザ320を、工具チップ323を有する押圧装置322に置き換える。テープ上のマイクロLEDチップを接合基板へと転写しなければならない場合、押圧装置から工具チップが延長または伸張して、マイクロLEDチップを接合基板に打ち落とす。
さらに、本発明は、単純化されたディスプレイパネルを製造する実施形態を提供する。図19Aを参照して、接合パッド対52を接合基板50上に設ける。能動装置の有無にかかわらず、配線回路60を接合基板50上に形成する。接合基板50は、剛性であっても可撓性であっても、PCB、珪素、SiC、セラミック、ガラスまたはポリイミドとすることができ、回路をレイアウト可能な任意の基板とすることができる。
図19Bを参照して、上記のフリップチッププロセスを用いて、複数のGaN系LEDチップ40を対応する接合パッド対上に転写する。そして、図19Cに示すように、黒色マトリックス102を接合基板50上に形成する。必要であれば、黒色マトリックス102は、ピクセルを分離する代わりに、各GaN系LEDチップ40を分離するように形成することもできる。
図19Dに示すように、拡散装置の有無にかかわらず、白色光を提供するために、光変換層72のパターンを各GaN系LEDチップを被覆するように形成する。光変換層72は、燐光物質または量子ドット、黄色燐光物質(YAGまたはTAG)、赤色燐光物質、KSF(珪弗化カリウム)燐光物質およびTriGain燐光物質、β-SiAlON緑色燐光物質およびKSF燐光物質を含むWCG燐光物質を含んでいてもよい。一実施形態において、光変換層74は、3つのGaN系LEDチップを被覆したり、1つのピクセル内に形成したりすることができる。
図19Eを参照して、1つのピクセル内でRGBを規定するためのカラーフィルタなどのカラー規定層132を光変換層72または74上に直接的に形成し、各GaN系LEDチップ40と整合させる。ある従来の技術においては、各色に対して3回のパターニング工程を使用することによりカラー規定層132を形成する。
従来のLCDディスプレイ装置においては、バックライトモジュールから照射される光強度は、まず、液晶パネル、例えば、液晶、偏光子、アライメントフィルムなどにより変調されるが、本発明のこの実施形態においては、GaN系LEDチップからの光を変調するものはない。この実施形態においては、光強度は格段に高い。
この実施形態において、GaN系LEDチップは、エピ基板から接合基板に転写されるので、現在の大量転写問題を招く。したがって、大量転写問題を回避するために、他の実施形態を提供する。
図20Aを参照して、複数のLEDチップ40を形成したサファイアまたはSiCなどのエピ基板10を準備する。各LEDチップ40は、n型エピ層12、p型エピ層16、n型オーミックコンタクト電極14およびp型オーミックコンタクト電極18を備えている。n型オーミックコンタクト電極14およびp型オーミックコンタクト電極18は、両方とも透明である。
そして、図20Bに示すように、第1の絶縁層64をエピ基板10上に形成し、複数のコンタクトホールを形成して、前記複数のp型オーミックコンタクト電極18を露出する。絶縁層64は、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、BPSG(硼燐珪酸ガラス)、PSG(燐珪酸ガラス)などの透明誘電材料とすることができる。絶縁層64の形成は、絶縁層64の材料に応じて、化学気相蒸着またはスピンオンコーティングとすることができる。前記複数のコンタクトホールは、従来のパターニング/エッチング法により形成することができる。
図20Cを参照して、パターン形成された第1の透明導電層66を第1の絶縁層64上に形成し、各p型オーミックコンタクト電極18を第1の透明導電層66に電気的に接触可能なように、前記複数のコンタクトホール内部に充填する。パターン形成された第1の透明導電層66は、第1の絶縁層上に第1の複数の信号ラインとしてパターン形成され、複数のGaN発光ダイオードチップの第1の電極の行に電気的に接続される。この実施形態において、第1の電極は、p型オーミックコンタクト電極18である。第1の透明導電層66の材料は、ITO(酸化インジウム錫)、IGO(酸化インジウムゲルマニウム)、IZO(酸化インジウム亜鉛)、AZO(酸化アルミニウム亜鉛)とすることができ、第1の透明導電層66は、スパッタリングまたは蒸着法の後、パターニングすることにより形成することができる。第1の透明導電層66は、従来のパターニング/エッチング法よりも単純なリフトオフ法を用いてパターン形成することもできる。
図20Dを参照して、第2の絶縁層65を形成して、第1の絶縁層64および第1の透明導電層66を被覆する。第2の絶縁層65の材料および形成は、第1の絶縁層64と同様である。この実施形態においては、第2の絶縁層65を共形(コンフォーマル)コーティングにより形成する。単純化した一実施形態において、第2の絶縁層の形成は、第1の絶縁層64の形成と同一である。そして、複数のコンタクトホールを従来のパターニング/エッチング法を用いて形成することができる。その後、第2の透明導電層67を第2の絶縁層65上に形成して、複数のコンタクトホール68内に充填し、各n型オーミックコンタクト電極14を第2の透明導電層に電気的に接触可能とする。第2の透明導電層67を第2の絶縁層上に第2の複数の信号ラインとしてパターン形成し、複数のGaN発光ダイオードの第2の電極の列に電気的に接続する。この実施形態において、第2の電極は、n型オーミックコンタクト電極14である。第2の透明導電層67の材料および形成は、第1の透明導電層66と同様とすることができる。単純化された実施形態において、第2の透明導電層67の形成は、第1の透明導電層66と同一とすることができる。
そして、図20Eに示すように、化学気相蒸着法、蒸着またはスピンオンコーティングを用いて、パッシベーション層90を第2の絶縁層65および第2の透明導電層67上に形成する。パッシベーション層90の材料は、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素としてもよい。この実施形態において、パッシベーション層90の上面は平坦であり、これは以降の工程にとってより好適である。しかし、本発明において、共形(コンフォーマル)のパッシベーション層90も許容可能である。
図20Fを参照して、各ピクセルを規定し、ピクセル間の画像のにじみを防止するために、黒色マトリックス102をパッシベーション層90上に形成する。黒色マトリックス102の材料および形成は、LCD技術の従来のプロセスを参照することができる。この実施形態においては、ピクセルを分離するために黒色マトリックス層102を設ける。しかし、各GaN系LEDチップ40を分離するように、黒色マトリックス層102を形成することもできる。
そして、図20Gに示すように、各GaN系LEDチップ40と整合するパターン形成された光変換層70をパッシベーション層上に形成する。他の実施形態においては、各GaN系LEDチップ40と整合させることなく、光変換層72をパッシベーション層90上に形成する。各GaN系LEDチップ40と組み合わされた光変換層70または72は、拡散装置の有無にかかわらず、白色光を提供する。光変換層70または72は、燐光物質または量子ドット、黄色ガーネット燐光物質(YAGまたはTAG)、赤色燐光物質、KSF(珪弗化カリウム)燐光物質およびTriGain燐光物質、β-SiAlON緑色燐光物質およびKSF燐光物質を含むWCG燐光物質を含んでいてもよい。単純化した一実施形態において、黒色マトリックス102およびカラー規定層70または72が誘電性または絶縁性である場合、パッシベーション層90を形成する必要はない。代替の実施形態において、燐光物質をエポキシまたはシリコーンと混合し、パッシベーション層90として提供することもできる。この様にして、パッシベーション層90を形成した後に光変換層70または72を形成する必要がなくなる。
図20Hを参照して、例えばLCD技術における従来の方法を用いて、
カラーフィルタなどのパターニングされたカラー規定層130をカラー変換層70または72上に形成して、1ピクセルにRGBを1工程で規定する。この様にして、マイクロまたはミニLEDチップを有するディスプレイを提供する。
他の実施形態においては、各GaN系LEDチップを形成した後、黒色マトリックスをサファイア基板上に形成することができる。図21Aを参照して、複数のLEDチップ40を形成したサファイアまたはSiCなどのエピ基板10を準備する。各LEDチップ40は、n型エピ層12、p型エピ層16、n型オーミックコンタクト電極14およびp型オーミックコンタクト電極18を備えている。各ピクセルを規定するために、黒色マトリックス102を形成する。
図21Bを参照して、第1の絶縁層64をエピ基板10および各GaN系LEDチップ40上に形成し、研磨法を用いて、n型オーミックコンタクト電極14およびp型オーミックコンタクト電極18を露出させる。そして、図21Cに示すように、各p型オーミックコンタクト電極18が第1の透明導電層66と電気的に接触するように、第1の透明導電層66を各p型オーミックコンタクト電極18上に形成する。
図21Dを参照して、各n型オーミックコンタクト電極14を露出するための複数のコンタクトホール68を有する第2の絶縁層65を第1の絶縁層64および第1の透明導電層66上に形成する。第2の透明導電層67を第2の絶縁層65上に形成し、各コンタクトホール内に充填して、各n型オーミックコンタクト電極14を第2の透明導電層67と電気的に接触させる。
そして、図21Eに示すように、パッシベーション層90を第2の絶縁層65および第2の透明導電層67上に形成する。カラー変換層70をパッシベーション層90上に形成し、各GaN系LEDチップ40と整合させる。他の実施形態においては、各GaN系LEDチップ40と整合させずに、カラー変換層72をパッシベーション層90上に形成する。次に、図21Gに示すように、カラー規定層130をカラー変換層70または72上に形成する。
サファイア基板上のGaN系LEDチップを示すための単純化された実施形態について、様々な段階における横断面図を示す図22A~図22Cを参照することができる。他方、図23A~図23Cは、図22A~図22Cに示す実施形態に係る、様々な段階における上面図を示す。図22Aおよび図23Aに示すように、GaN系LEDチップは、順に形成されたn型エピ層12およびp型エピ層16を備えている。そして、図22Bおよび図23Bに示すように、パターニングされたn型オーミックコンタクト透明導電層14をn型エピ層12上に形成し、同じ列の他のGaN系LEDチップに電気的に接続する。次に、図22Cに示すように、p型エピ層16を露出するように、パターンニングされた共形(コンフォーマル)のパッシベーション層64をGaN系LEDチップおよびサファイア基板10上に形成する。単純化された実施形態において、パッシベーション層64は、燐光物質と混合した、または混合していないエポキシまたはシリコーンとすることができる。そして、図22Cおよび図23Cに示すように、パターニングされたp型オーミックコンタクト透明導電層18をp型エピ層16上に形成し、同じ行の他のGaN系LEDチップを電気的に接続する。p型オーミックコンタクト透明導電層18の形成は、リフトオフ法またはパターニング/エッチング法とすることができる。この実施形態において、n型オーミックコンタクト透明導電層14およびp型オーミックコンタクト透明導電層18は、両方ともITO、IZO、IGO、IGZO、AZOまたはこれらの組み合わせとすることができる。n型オーミックコンタクト透明導電層14およびp型オーミックコンタクト透明導電層18の関係を示すために、図23Cには共形(コンフォーマル)パッシベーション層64を図示していない。
サファイア基板上のGaN系LEDチップを示すための他の実施形態について、図24Aおよび図24Bを参照することができる。図24Aは横断面図を示し、図24Bは図24Aの上面図を示す。この実施形態においては、n型オーミックコンタクト透明層14およびp型オーミックコンタクト透明層18は、GaN系LEDチップ専用である。パターニングされた導電金属ライン68をn型オーミックコンタクト透明導電層14上に形成し、同じ列のGaN系LEDチップの他のn型エピ層に電気的に接続する。他方、パターニングされた導電金属ライン67をp型オーミックコンタクト透明導電層18上に形成し、同じ行のGaN系LEDチップの他のp型エピ層に電気的に接続する。この実施形態においては、2つの導電金属ライン67、68を形成することにより製造がより複雑になるが、導電性を改善することができる。
サファイア基板上のGaN系LEDチップを示すための他の実施形態について、図25Aおよび図25Bを参照することができる。図25Aは、横断面図を示し、図25Bは、図25Aの上面図を示す。p型オーミックコンタクト透明層18をp型エピ層16上に形成し、同じ列の他のGaN系LEDチップに電気的に接続する。次に、パターニングされた共形(コンフォーマル)のパッシベーション層64を形成して、n型エピ層12を露出するように、サファイア基板10、p型エピ層16およびp型オーミック透明導電層18を被覆する。単純化された実施形態において、パッシベーション層64は、燐光物質と混合した、または混合していないエポキシまたはシリコーンとすることができる。そして、n型オーミックコンタクト透明導電層14を形成して、n型エピ層12と電気的に接続し、共形(コンフォーマル)パッシベーション層64を被覆し、同じ行の他のGaN系LEDチップと電気的に接続する。n型オーミックコンタクト透明導電層の形成は、リフトオフ法またはパターニング/エッチング法とすることができる。この実施形態において、n型オーミックコンタクト透明導電層14およびp型オーミックコンタクト透明導電層18は、両方ともITO、IZO、IGO、IGZO、AZOまたはこれらの組み合わせとすることができる。この実施形態において、n型オーミックコンタクト透明導電層14およびp型オーミックコンタクト透明導電層18の形成順序は、逆にすることができ、ディスプレイの性能に影響はない。カラー規定層が非導電性であり、パッシベーション層64に燐光物質が混合されていない場合、カラー規定層130を直接的にn型オーミックコンタクト透明導電層14上に形成することができる。
上記の実施形態において、このディスプレイパネルは、着用可能な(ウェアラブル)ディスプレイ装置に非常に適している。
本発明は、第一に大量転写マイクロLEDを工業的、商業的に利用可能であるという利点を提供する。すべてのマイクロLEDチップをエピ基板から接合基板に直接的に転写するので、処理効率を高めることができる。さらに、マイクロLEDディスプレイの大量生産が可能となる。本発明においては、構造と製造を燐光物質に適合させることができる。さらに、接合基板がGaAsの場合は、4元赤色LEDチップを接合基板上に直接的に形成することができる。カラーフィルタおよび燐光物質をLEDディスプレイに適用可能な場合、LEDディスプレイはGaN系LEDチップのみの構成となる。ある特定の構成に関して、GaN系LEDチップおよびサファイア基板上に信号ラインを直接的に形成した受動LEDディスプレイは、大量転写を必要としない。本発明において、パッケージプロセスは存在しない。
さらに、本発明は、従来のLCDと比較して、このディスプレイの光強度を格段に向上する。これは、従来のLCDにおいては、液晶層、拡散装置、偏光装置およびその他の透明フィルムによりバックライトモジュールの光強度を変調するのに対し、本発明においては、GaN系LEDチップを変調しないからである。
本発明におけるすべての材料を接合基板またはサファイア基板上に集積できるので、別の透明基板上で別個のカラーフィルタプロセスを実施しなくてもよい。サファイア基板上にGaN系LEDチップを形成する実施形態に関しては、その他すべてのマイクロまたはミニLEDディスプレイと比較して、大量転写問題を招くことはない。したがって、ディスプレイ製造の歩留まりを非常に高めることができる。
ディスプレイ製造プロセスを単純化しているので、製造コストを削減し、歩留まりを向上する。
本発明は、製造プロセスの全工程が成熟しており、装置や設備も成熟しているという利点を生かしている。したがって、他のプロセス、装置や設備を開発する必要がない。
上記の実施形態に従って本発明を説明したが、当業者は、実施形態の変形態様も可能であり、この様な変形態様も本発明の趣旨および範囲内であることを容易に認識するであろう。したがって、当業者は、添付の請求項の趣旨および範囲から逸脱することなく数々の変更態様を実施し得る。
上記の実施形態に従って本発明を説明したが、当業者は、実施形態の変形態様も可能であり、この様な変形態様も本発明の趣旨および範囲内であることを容易に認識するであろう。したがって、当業者は、添付の請求項の趣旨および範囲から逸脱することなく数々の変更態様を実施し得る。
この明細書および添付図面から抽出し得る特徴を以下に例示する。
項1.駆動回路および複数の接合電極対を備えた接合基板と、
前記複数の接合電極対にそれぞれ電気的に固定された複数のGaN発光ダイオードチップと、
前記複数のGaN発光ダイオードチップをそれぞれ適切に被覆する複数の領域にパターン形成された光変換層と、
前記光変換層上に設けられ、それぞれ前記複数のGaN発光ダイオードチップと整合する、パターン形成されたカラー規定層と、を含むディスプレイパネル。
項2.複数のGaN発光ダイオードチップを備えたサファイア基板と、
前記複数のGaN発光ダイオードチップの第1の導電型に電気的に接続する、パターン形成された第1のオーミックコンタクト透明導電層と、
前記パターン形成された第1のオーミックコンタクト透明導電層および前記複数のGaN発光ダイオードチップを被覆し、前記複数のGaN発光ダイオードチップの第2の導電型を露出する、パターン形成されたパッシベーション層と、
前記複数のGaN発光ダイオードチップの前記第2の導電型に電気的に接続する、パターン形成された第2のオーミックコンタクト透明導電層と、を含むディスプレイパネル。
項3.前記パターン形成されたパッシベーション層は、光変換材料と混合されている、項2に記載のディスプレイパネル。
項4.前記複数のGaN発光ダイオードチップの上方に設けられたカラー規定層をさらに含む、項3に記載のディスプレイパネル。
項5.前記カラー規定層は、ピクセル内のRGBを規定するためのカラーフィルタである、項1または項4に記載のディスプレイパネル。
項6.前記第1のオーミックコンタクト透明導電層上に設けられた第1の金属ラインと、
前記第2のオーミックコンタクト透明導電層上に設けられた第2の金属ラインと、をさらに含む、項2に記載のディスプレイパネル。
項7.それぞれ第1の電極および第2の電極を有する複数のGaN発光ダイオードチップを備えたサファイア基板を準備する工程と、
駆動回路および複数の接合電極対を備えた接合基板を準備する工程と、
前記複数のGaN発光ダイオードチップを前記複数の接合電極対に転写する工程と、
前記複数のGaN発光ダイオードチップ上にそれぞれ光変換層を設ける工程と、
前記光変換層上に、前記複数のGaN発光ダイオードチップと整合する、パターン形成カラー規定層を形成する工程と、を含む、ディスプレイパネル作製方法。
項8.複数のGaN発光ダイオードチップを備えたサファイア基板を準備する工程と、
前記複数のGaN発光ダイオードチップの第1の導電型上に第1のパターン形成オーミックコンタクト透明導電層を形成する工程と、
前記第1のパターン形成オーミックコンタクト透明導電層および前記複数のGaN発光ダイオードチップ上に、前記複数のGaN発光ダイオードチップの第2の導電型を露出させて、パターン形成共形パッシベーション層を形成する工程と、
前記複数のGaN発光ダイオードチップの前記第2の導電型に電気的に接続する第2のオーミックコンタクト透明導電層を形成する工程と、を含む、ディスプレイパネル作製方法。
項9.前記パターン形成共形パッシベーション層を形成する前記工程の前に、前記パッシベーション層に光変換材料を混合する工程をさらに含む、項8に記載の方法。
項10.前記第2のオーミックコンタクト透明導電層を形成する前記工程の後に、前記複数のGaN発光ダイオードチップの上方にカラー規定層を形成する工程をさらに含む、項8に記載の方法。
項11.前記カラー規定層は、ピクセルにおけるRGBを規定するためのカラーフィルタである、項7または項10に記載の方法。
項12.前記第1のオーミックコンタクト透明導電層を形成する前記工程の後に、前記第1のオーミックコンタクト透明導電層上に第1のパターン形成金属ラインを形成する工程と、
前記第2のオーミックコンタクト透明導電層を形成する前記工程の後に、前記第2のオーミックコンタクト透明導電層上に第2のパターン形成金属ラインを形成する工程と、をさらに含む、項8に記載の方法。