JP2022056827A - 排水処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、セルロース繊維と無機粒子の複合繊維を含む原料から抄紙機でシートを製造する際に発生する排水から、複合繊維の無機粒子由来の重金属を低減する技術を提供することである。【解決手段】本発明に基づいて重金属捕集剤と凝集剤を併用することによって、セルロース繊維と無機粒子の複合繊維を含む原料から抄紙機でシートを製造する際に発生する排水から重金属を効率的に除去することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、重金属を含む排水の処理方法に関するものである。さらに詳細には、本発明は、セルロース繊維と無機粒子の複合体を含む原料から抄紙機でシートを製造する際に発生する排水について、排水に含まれる重金属を低減する方法に関するものである。
重金属を含むハイドロタルサイトとセルロース繊維の複合体は、高い消臭効果、抗菌効果、抗ウイルス効果を示すので種々の用途に使用される。例えば、特許文献1には、セルロース繊維と重金属を担持させた無機粒子の複合体を含む紙料を抄紙機で抄紙してシート化し、各種衛生紙を製造する方法が開示されている。
国際公開2018/030521
本発明の課題は、抄紙工程から排出される排水に含まれる重金属を除去する技術を提供することである。特に本発明の課題は、セルロース繊維と無機粒子の複合繊維を含む原料から抄紙機でシートを製造する際に発生する排水について、排水から重金属を低減する技術を開発することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、重金属捕集剤と凝集剤の両方を排水に添加して処理することにより、重金属を効果的に低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、これに制限されるものでないが、以下の発明を包含する。
[1] セルロース繊維と無機粒子の複合繊維を含む原料から抄紙機でシートを製造する際に発生する排水から、複合繊維の無機粒子由来の重金属を低減する方法であって、重金属捕集剤と凝集剤を排水に添加することを含む、上記方法。
[2] 前記重金属捕集剤が、ジチオカルバミン酸系重金属捕集剤を含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記重金属捕集剤が、ピペラジン構造を有するキレート剤である、[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記凝集剤が、硫酸ばん土を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 前記凝集剤が、無機系凝集剤および有機系凝集剤を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 前記重金属が、亜鉛、銅、鉛、マンガン、鉄、クロム、チタン、カドミウム、水銀、ヒ素から選択される少なくとも1種を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7] 前記無機粒子が、重金属を含むハイドロタルサイトを含む、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 重金属捕集剤を添加した後に凝集剤が添加される、[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 凝集沈殿、加圧浮上、ろ過、生物処理から選択される1以上の工程をさらに含む、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、セルロース繊維と無機粒子の複合繊維を含む原料から抄紙機でシートを製造する際に発生する排水について、排水中に含まれる複合繊維の無機粒子由来の重金属を効果的に低減することが可能となる。すなわち、重金属捕集剤と凝集剤を併用することにより、重金属捕集剤で金属イオンを不溶化するとともに凝集剤で重金属を凝集させて、無機粒子由来の重金属を効率的に除去することができる。
図1は、実施例における排水処理のフローを示す概略図である(P:ポンプ)。
本発明では、重金属を含有する排水に、重金属捕集剤および凝集剤を添加して、排水中の重金属を重金属捕集剤で不溶化するとともに凝集剤で重金属を凝集させ、固液分離などによって重金属を除去する。なお、重金属捕集剤と凝集剤は同時に添加してもよいが、重金属捕集剤を添加した後に凝集剤を添加することが好ましい。
重金属とは、比重が4以上の金属のことであり、鉄以上の比重を持つ金属が含まれる。この重金属含有排水中の重金属としては、亜鉛、銅、鉛、マンガン、鉄、クロム、チタン、カドミウム、水銀、ヒ素などが例示されるが、これらに限定されない。
本発明で使用する重金属捕集剤としてはジチオカルバミン酸系重金属捕集剤が好ましく、ジチオカルバミン酸系重金属捕集剤としては、ジチオカルバミン酸、ジアルキルジチオカルバミン酸、シクロアルキルジチオカルバミン酸、ピペラジンビスジチオカルバミン酸、テトラエチレンペンタミンジチオカルバミン酸、ポリアミンのジチオカルバミン酸、若しくはこれらの塩が例示され、ピペラジンビスジチオカルバミン酸を使用することが好ましい。なお、これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の処理対象である排水は、セルロース繊維と無機粒子の複合繊維を含む原料から抄紙機でシートを製造する際に発生する排水であり、重金属を含有する。排水に含まれる重金属は、複合繊維の無機粒子に由来するものであり、一つの態様において、処理対象である排水には、1~1000mg/Lの重金属が含まれることがある。本発明の処理対象である排水には、重金属の他にも、セルロース繊維や、シートを製造する際に添加した薬品などが含まれており、固形分濃度は、一つの態様において、10~10000mg/Lである。
本発明で使用する凝集剤は、無機系凝集剤、有機系凝集剤のいずれも使用できる。本発明においては、無機系凝集剤と有機系凝集剤を併用することが好ましい。
無機系凝集剤としては、例えば、硫酸バンド、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄などを用いることができるが、硫酸バンドが好ましい。なお、これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機系凝集剤の添加量としては1~500mg/Lの範囲が好ましく、5~200mg/Lがより好ましく、10~100mg/Lがさらに好ましい。
有機系凝集剤としては、高分子系の凝集剤を好適に使用することができ、高分子の分子量は50万~2000万が好ましい。アニオン性高分子、カチオン性高分子、両性高分子、ノニオン性高分子のいずれも使用でき、これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アニオン性高分子としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミドの共重合物、及びこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。アニオン性高分子の添加量としては、0.01~10mg/Lの範囲が好ましく、0.1~2mg/Lがより好ましい。
カチオン性高分子としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドもしくはその四級アンモニウム塩やジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドもしくはその四級アンモニウム塩等のカチオン性モノマーからなるホモポリマー、あるいはこれらカチオン性モノマーと共重合可能なノニオン性モノマーとの共重合体、ポリエチレンイミン、ポリアミンが挙げられる。カチオン性高分子の添加量としては、0.01~10mg/Lの範囲が好ましく、0.1~2mg/Lがより好ましい。
両性高分子としては、例えば、ポリメタクリル酸エステルやアクリル酸の共重合物、アニオン性高分子で使用するアニオン性モノマー、カチオン性高分子で使用されるカチオン性モノマーを適宜共重合させた、両性ポリアクリルアミド等が挙げられる。両性高分子の添加量としては、0.01~10mg/Lの範囲が好ましく、0.1~2mg/Lがより好ましい。
ノニオン性高分子としては、例えば、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。ノニオン性高分子の添加量としては、0.01~10mg/Lの範囲が好ましく、0.5~5mg/Lや0.1~2mg/Lであってもよい。
セルロース繊維と無機粒子の複合繊維
本発明の処理対象である排水は、セルロース繊維と無機粒子の複合繊維を含む原料から抄紙機でシートを製造する際に発生する排水であり、重金属を含有する。セルロース繊維と無機粒子の複合繊維は、セルロース繊維表面に無機粒子が自己定着しているものであり、セルロース繊維などの繊維を含む溶液中で無機粒子を合成することによって合成することができる。繊維表面が、無機粒子の析出における好適な場となり、複合繊維を合成しやすいためである。複合繊維の合成方法としては、例えば、繊維と無機粒子の前駆体を含む溶液を開放型の反応槽中で撹拌、混合して複合繊維を合成しても良いし、繊維と無機粒子の前駆体を含む水性懸濁液を反応容器内に噴射することによって合成してもよい。後述するが、無機物の前駆体の水性懸濁液を反応容器内に噴射する際に、キャビテーション気泡を発生させ、その存在下で無機粒子を合成してもよい。無機粒子は、それぞれ、公知の反応によってセルロース繊維上に合成することができる。
一般的に、無機粒子の生成は、クラスター状態(集まる原子・分子数が少ない段階で、集合と離散を繰り返す)から、核(クラスターから安定な集合状態に移行し、臨界サイズ以上になると捕まった原子・分子が離散しなくなる)、そして成長(核に新たな原子・分子が集まり粒子が大きくなる)の過程を経ることが知られており、原料濃度や反応温度が高いほど、核生成が起こりやすいと言われている。本願発明の複合繊維は、主に原料濃度、パルプの叩解度(比表面積)、繊維を含む溶液の粘性、添加薬品の濃度および添加スピード、反応温度、撹拌スピードを調整することで、繊維上に効率的に核を結着させ、かつ粒子成長を促すことにより、セルロース繊維表面が無機粒子で強く被覆された複合繊維を得ることができる。
本発明においては、反応容器内にキャビテーション気泡を生じさせるような条件で液体を噴射してもよいし、キャビテーション気泡を生じさせないような条件で噴射してもよい。また、反応容器はいずれの場合においても圧力容器であることが好ましい。なお、本発明における圧力容器とは0.005MPa以上の圧力をかけることのできる容器のことである。キャビテーション気泡を生じさせないような条件の場合、圧力容器内の圧力は、静圧で0.005MPa以上0.9MPa以下であることが好ましい。
本発明に係る複合繊維を合成する場合、キャビテーション気泡の存在下で無機粒子を析出させることができる。本発明においてキャビテーションとは、流体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象であり、空洞現象とも言われる。キャビテーションによって生じる気泡(キャビテーション気泡)は、流体の中で圧力がごく短時間だけ飽和蒸気圧より低くなったとき、液体中に存在する100ミクロン以下のごく微小な「気泡核」を核として生じる。
本発明においてキャビテーション気泡は、公知の方法によって反応容器内に発生させることができる。例えば、流体を高圧で噴射することによってキャビテーション気泡を発生させること、流体内で高速で攪拌することによってキャビテーションを発生させること、流体内で爆発を生じさせることによってキャビテーションを発生させること、超音波振動子によってキャビテーションを発生させること(バイブトラリー・キャビテーション)などが考えられる。
本発明においては、原料などの反応溶液をそのまま噴射液体として用いてキャビテーションを発生させることもできるし、反応容器内に何らかの流体を噴射してキャビテーション気泡を発生させることもできる。液体噴流が噴流をなす流体は、流動状態であれば液体、気体、粉体やパルプ等の固体の何れでもよく、またそれらの混合物であってもよい。更に必要であれば上記の流体に、新たな流体として、炭酸ガスなど、別の流体を加えることができる。上記流体と新たな流体は、均一に混合して噴射してもよいが、別個に噴射してもよい。
液体噴流とは、液体または液体の中に固体粒子や気体が分散あるいは混在する流体の噴流であり、パルプや無機粒子の原料スラリーや気泡を含む液体噴流のことをいう。ここで云う気体は、キャビテーションによる気泡を含んでいてもよい。
本発明において例えば炭酸カルシウムとセルロース繊維との複合繊維を合成する場合、反応液のpHは、反応開始時は塩基性側であるが炭酸化反応が進行するにしたがって中性に変化する。したがって、反応液のpHをモニターすることによって反応を制御することができる。
本発明では、液体の噴射圧力を高めることで、噴射液の流速が増大し、これに伴って圧力が低下し、より強力なキャビテーションが発生させることができる。また、反応容器内の圧力を加圧することで、キャビテーション気泡が崩壊する領域の圧力が高くなり、気泡と周囲の圧力差が大きくなるため気泡は激しく崩壊し衝撃力を大きくすることができる。更には導入する炭酸ガスの溶解と分散を促進することができる。反応温度は0℃以上90℃以下であることが好ましく、特に10℃以上60℃以下であることが好ましい。一般には、融点と沸点の中間点で衝撃力が最大となると考えられることから、水性溶液の場合、50℃前後が好適であるが、それ以下の温度であっても、蒸気圧の影響を受けないため、上記の範囲であれば高い効果が得られる。
本発明の複合繊維を製造する際には、さらに公知の各種助剤を添加することができる。例えば、キレート剤を添加することができ、具体的には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などのポリヒドロキシカルボン酸、シュウ酸などのジカルボン酸、グルコン酸などの糖酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれらのアルカリ金属塩、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸などのポリリン酸のアルカリ金属塩、グルタミン酸、アスパラギン酸などのアミノ酸およびこれらのアルカリ金属塩、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸アリルなどのケトン類、ショ糖などの糖類、ソルビトールなどのポリオールが挙げられる。また、表面処理剤としてパルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、アビエチン酸等の樹脂酸、それらの塩やエステルおよびエーテル、アルコール系活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル類、アミド系やアミン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、長鎖アルキルアミノ酸、アミンオキサイド、アルキルアミン、第四級アンモニウム塩、アミノカルボン酸、ホスホン酸、多価カルボン酸、縮合リン酸などを添加することができる。また、必要に応じ分散剤を用いることもできる。この分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アクリル酸-マレイン酸共重合体アンモニウム塩、メタクリル酸-ナフトキシポリエチレングリコールアクリレート共重合体、メタクリル酸-ポリエチレングリコールモノメタクリレート共重合体アンモニウム塩、ポリエチレングリコールモノアクリレートなどがある。これらを単独または複数組み合わせて使用することができる。また、添加のタイミングは合成反応の前でも後でも良い。このような添加剤は、無機粒子に対して、好ましくは0.001~20%、より好ましくは0.1~10%の量で添加することができる。
また、本発明において反応はバッチ反応とすることもでき、連続反応とすることもできる。一般に、反応後の残存物を排出する便利さから、バッチ反応工程を行うことが好ましい。反応のスケールは特に制限されないが、100L以下のスケールで反応させてもよいし、100L超のスケールで反応させてもよい。反応容器の大きさは、例えば、10L~100L程度とすることもできるし、100L~1000L程度としてもよい。
また、反応液の電導度や反応時間によって反応を制御することができ、具体的には、反応物が反応槽に滞留する時間を調整して制御することができる。その他、本発明においては、反応槽の反応液を攪拌したり、反応を多段反応としたりすることによって反応を制御することもできる。
本発明においては、反応生成物である複合繊維が懸濁液として得られるため、必要に応じて、貯蔵タンクに貯蔵したり、濃縮、脱水、粉砕、分級、熟成、分散などの処理を行ったりすることができる。これらは公知の工程によることができ、用途やエネルギー効率などを考慮して適宜決定すればよい。例えば濃縮・脱水処理は、遠心脱水機、沈降濃縮機などを用いて行われる。この遠心脱水機の例としては、デカンター、スクリューデカンターなどが挙げられる。濾過機や脱水機を用いる場合についてもその種類に特に制限はなく、一般的なものを使用することができるが、例えば、フィルタープレス、ドラムフィルター、ベルトプレス、チューブプレス等の加圧型脱水機、オリバーフィルター等の真空ドラム脱水機などを好適に用いて炭酸カルシウムケーキとすることができる。粉砕の方法としては、ボールミル、サンドグラインダーミル、インパクトミル、高圧ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、ダイノーミル、超音波ミル、カンダグラインダ、アトライタ、石臼型ミル、振動ミル、カッターミル、ジェットミル、離解機、叩解機、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。分級の方法としては、メッシュ等の篩、アウトワード型もしくはインワード型のスリットもしくは丸穴スクリーン、振動スクリーン、重量異物クリーナー、軽量異物クリーナー、リバースクリーナー、篩分け試験機等が挙げられる。分散の方法としては、高速ディスパーザー、低速ニーダーなどが挙げられる。
本発明における複合繊維は、完全に脱水せずに懸濁液の状態で填料や顔料に配合することもできるが、乾燥して粉体とすることもできる。この場合の乾燥機についても特に制限はないが、例えば、気流乾燥機、バンド乾燥機、噴霧乾燥機などを好適に使用することができる。
本発明の複合繊維は、公知の方法によって改質することが可能である。例えば、ある態様においては、その表面を疎水化し、樹脂などとの混和性を高めたりすることが可能である。
本発明においては、懸濁液の調製などに水を使用するが、この水としては、通常の水道水、工業用水、地下水、井戸水などを用いることができる他、イオン交換水や蒸留水、超純水、工業廃水、反応液を分離・脱水する際に得られる水を好適に用いることできる。
また本発明においては、反応槽の反応液を循環させて使用することができる。このように反応液を循環させて、溶液の撹拌を促すことにより、反応効率を上げ、所望の無機粒子と繊維の複合繊維を得ることが容易になる。
無機粒子
本発明において、繊維と複合化する無機粒子は特に制限されないが、水に不溶性または難溶性の無機粒子であることが好ましい。無機粒子の合成を水系で行う場合があり、また、繊維複合繊維を水系で使用することもあるため、無機粒子が水に不溶性または難溶性であると好ましい。
ここで言う無機粒子とは、金属元素もしくは非金属元素の化合物のことを言う。金属元素の化合物とは、金属の陽イオン(例えば、Na、Ca2+、Mg2+、Al3+、Ba2+など)と陰イオン(例えば、O2-、OH、CO 2-、PO 3-、SO 2-、NO 、Si 2-、SiO 2-、Cl、F、S2-など)がイオン結合によって結合してできた、一般に無機塩と呼ばれるものを言う。非金属元素の化合物とは、ケイ酸(SiO)などである。本発明において、無機粒子の少なくとも一部が、カルシウム、マグネシウムまたはバリウムの金属塩、または、無機粒子の少なくとも一部が、ケイ酸、またはアルミニウムの金属塩、あるいはチタン、銅、銀、鉄、マンガン、セリウムまたは亜鉛を含む金属粒子であることが好ましい。
これら無機粒子の合成法は公知の方法によることができ、気液法と液液法のいずれでも良い。気液法の一例としては炭酸ガス法があり、例えば水酸化マグネシウムと炭酸ガスを反応させることで、炭酸マグネシウムを合成することができる。液液法の例としては、酸(塩酸、硫酸など)と塩基(水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなど)を中和によって反応させたり、無機塩と酸もしくは塩基を反応させたり、無機塩同士を反応させたりする方法が挙げられる。例えば、水酸化バリウムと硫酸を反応させることで硫酸バリウムを得たり、硫酸アルミニウムと水酸化ナトリウムを反応させることで水酸化アルミニウムを得たり、炭酸カルシウムと硫酸アルミニウムを反応させることでカルシウムとアルミニウムが複合化した無機粒子を得ることができる。また、このようにして無機粒子を合成する際、反応液中に任意の金属や非金属化合物を共存させることもでき、この場合はそれらの金属もしくは非金属化合物が無機粒子中に効率よく取り込まれ、複合化できる。例えば、炭酸カルシウムにリン酸を添加してリン酸カルシウムを合成する際に、二酸化チタンを反応液中に共存させることで、リン酸カルシウムとチタンの複合粒子を得ることができる。
(硫酸バリウム)
硫酸バリウムを合成する場合、硫酸バリウム(BaSO)で表されるバリウムイオンと硫酸イオンからなるイオン結晶性の化合物であり、板状あるいは柱状の形態であることが多く、水には難溶性である。純粋な硫酸バリウムは無色の結晶であるが、鉄、マンガン、ストロンチウム、カルシウムなどの不純物を含むと黄褐色または黒灰色を呈し、半透明となる。天然の鉱物としても得られるが、化学反応によって合成することもできる。特に、化学反応による合成品は医薬用(X線造影剤)に用いられるほか、化学的に安定な性質を応用して塗料、プラスチック、蓄電池等に広く使用されている。
本発明においては、繊維の存在下で、溶液中で硫酸バリウムを合成することによって、硫酸バリウムと繊維の複合繊維を製造することができる。例えば、酸(硫酸など)と塩基を中和によって反応させたり、無機塩と酸もしくは塩基を反応させたり、無機塩同士を反応させたりする方法が挙げられる。例えば、水酸化バリウムと硫酸もしくは硫酸アルミニウムを反応させることで硫酸バリウムを得たり、硫酸塩の含まれる水溶液中に塩化バリウムを加えて硫酸バリウムを沈殿させたりすることができる。
硫酸バリウムの合成では、溶液中の原料(Baイオン、SOイオン)が高濃度であるほど、また、高温条件であるほど、核形成反応が進みやすいが、複合繊維を製造する場合、このような条件下では、セルロース繊維に核が定着されにくく、懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。従って、硫酸バリウムが強固に結着した複合繊維を製造するには、核形成反応を適切に制御することが必要となる。具体的には、Baイオンおよびパルプ濃度の適正化と、SOイオンの時間当たりの供給量を緩やかにすることで、これを達成できる。例えば、反応容器中のBaイオン濃度は、0.01mol/L以上0.20mol/L未満が好ましい。0.01mol/L未満だと反応が進行しにくく、0.20mol/L以上では懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。パルプ濃度は、0.5%以上4.0%未満が好ましい。0.5%未満では繊維に原料が衝突する頻度が減るため、反応が進行しにくく、4.0%以上では攪拌不良から均一な複合繊維を得ることができない。SOイオンの時間当たりの供給量は、反応溶液1Lあたり0.005mol/min以上0.080mol/min未満が望ましい。0.001mol/min未満であると反応が進行しにくく、0.080mol/min以上では懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。
(ハイドロタルサイト)
ハイドロタルサイトを合成する場合、ハイドロタルサイトの合成方法は公知の方法によることができる。例えば、反応容器内に中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液とアルカリ溶液(水酸化ナトリウムなど)に繊維を浸漬し、次いで、酸溶液(基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンとを含む金属塩水溶液)を添加し、温度、pHなどを制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成する。また、反応容器内において、酸溶液(基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンを含む金属塩水溶液)に繊維を浸漬し、次いで、中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液とアルカリ溶液(水酸化ナトリウム等)を滴下し、温度、pH等を制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成することもできる。常圧での反応が一般的ではるが、それ以外にも、オートクレーブなどを使用しての水熱反応により得る方法もある(特開昭60-6619号公報)。
本発明においては、基本層を構成する二価金属イオンの供給源として、マグネシウム、亜鉛、バリウム、カルシウム、鉄、銅、コバルト、ニッケル、マンガンの各種塩化物、硫化物、硝酸化物、硫酸化物を用いることができる。また、基本層を構成する三価金属イオンの供給源として、アルミニウム、鉄、クロム、ガリウムの各種塩化物、硫化物、硝酸化物、硫酸化物を用いることができる。
本発明においては、層間陰イオンとして炭酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオンなどを用いることができる。炭酸イオンを層間陰イオンとする場合、炭酸ナトリウムが供給源として使用される。ただし炭酸ナトリウムは、二酸化炭素(炭酸ガス)を含む気体で代替可能で、実質的に純粋な二酸化炭素ガスや、他のガスとの混合物であってもよい。例えば、製紙工場の焼却炉、石炭ボイラー、重油ボイラーなどから排出される排ガスを二酸化炭素含有気体として好適に用いることができる。その他にも、石灰焼成工程から発生する二酸化炭素を用いて炭酸化反応を行うこともできる。
ハイドロタルサイトの合成では、溶液中の原料(基本層を構成する金属イオン、COイオン等)が高濃度であるほど、また、高温条件であるほど、核形成反応が進みやすいが、このような条件下では、複合繊維を製造する場合、セルロース繊維に核が定着されにくく、懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。従って、ハイドロタルサイトが強固に結着した複合繊維を製造するには、核形成反応を適切に制御することが必要となる。具体的には、COイオンおよびパルプ濃度の適正化と、金属イオンの時間当たりの供給量を緩やかにすることで、これを達成できる。例えば、反応容器中のCOイオン濃度は、0.01mol/L以上0.80mol/L未満が好ましい。0.01mol/L未満だと反応が進行しにくく、0.80mol/L以上では懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。パルプ濃度は、0.5%以上4.0%未満が好ましい。0.5%未満では繊維に原料が衝突する頻度が減るため、反応が進行しにくく、4.0%以上では攪拌不良から均一な複合繊維を得ることができない。金属イオンの時間当たりの供給量は、金属の種類にもよるが、例えばMgイオンの場合、反応溶液1Lあたり0.001mol/min以上0.010mol/min未満が望ましく、0.001mol/min以上0.005mol/min未満がより望ましい。0.001mol/min未満であると反応が進行しにくく、0.010mol/min以上では懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。
セルロース繊維
本発明で使用する複合繊維は、セルロース繊維と無機粒子とを複合化したものである。複合繊維を構成するセルロース繊維としては例えば、天然のセルロース繊維はもちろん、レーヨンやリヨセルなどの再生繊維(半合成繊維)や合成繊維などを制限なく使用することができる。セルロース繊維の原料としては、パルプ繊維(木材パルプや非木材パルプ)、セルロースナノファイバー、バクテリアセルロース、ホヤなどの動物由来セルロース、藻類などが例示され、木材パルプは、木材原料をパルプ化して製造すればよい。木材原料としては、アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、ベニマツ、カラマツ、モミ、ツガ、スギ、ヒノキ、カラマツ、シラベ、トウヒ、ヒバ、ダグラスファー、ヘムロック、ホワイトファー、スプルース、バルサムファー、シーダ、パイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、及びこれらの混合材、ブナ、カバ、ハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバ、ハコヤナギ、ポプラ、タモ、ドロヤナギ、ユーカリ、マングローブ、ラワン、アカシア等の広葉樹及びこれらの混合材が例示される。
木材原料(木質原料)などの天然材料をパルプ化する方法は、特に限定されず、製紙業界で一般に用いられるパルプ化法が例示される。木材パルプはパルプ化法により分類でき、例えば、クラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイド法等の方法により蒸解した化学パルプ;リファイナー、グラインダー等の機械力によってパルプ化して得られる機械パルプ;薬品による前処理の後、機械力によるパルプ化を行って得られるセミケミカルパルプ;古紙パルプ;脱墨パルプ等が挙げられる。木材パルプは、未晒(漂白前)の状態であってもよいし、晒(漂白後)の状態であってもよい。
非木材由来のパルプとしては、綿、ヘンプ、サイザル麻、マニラ麻、亜麻、藁、竹、バガス、ケナフ、サトウキビ、トウモロコシ、稲わら、楮(こうぞ)、みつまた等が例示される。
パルプ繊維は、未叩解及び叩解のいずれでもよく、複合繊維シートの物性に応じて選択すればよいが、叩解を行う方が好ましい。これにより、シート強度の向上並びに無機粒子の定着促進が期待できる。
また、これらセルロース原料はさらに処理を施すことで粉末セルロース、酸化セルロースなどの化学変性セルロース、およびセルロースナノファイバー:CNF(ミクロフィブリル化セルロース:MFC、TEMPO酸化CNF、リン酸エステル化CNF、カルボキシメチル化CNF、機械粉砕CNFなど)として使用することもできる。本発明で用いる粉末セルロースとしては、例えば、精選パルプを酸加水分解した後に得られる未分解残渣を精製・乾燥し、粉砕・篩い分けするといった方法により製造される棒軸状である一定の粒径分布を有する結晶性セルロース粉末を用いてもよいし、KCフロック(日本製紙製)、セオラス(旭化成ケミカルズ製)、アビセル(FMC製)などの市販品を用いてもよい。粉末セルロースにおけるセルロースの重合度は好ましくは100~1500程度であり、X線回折法による粉末セルロースの結晶化度は好ましくは70~90%であり、レーザー回折式粒度分布測定装置による体積平均粒子径は好ましくは500nm以上100μm以下である。
本発明で用いる酸化セルロースは、例えばN-オキシル化合物、及び、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で酸化することで得ることができる。セルロースナノファイバーとしては、上記セルロース原料を解繊する方法が用いられる。解繊方法としては、例えばセルロースや酸化セルロース等の化学変性セルロースの水懸濁液等を、リファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸または多軸混練機、ビーズミル等による機械的な磨砕、ないし叩解することにより解繊する方法を使用することができる。上記方法を1種または複数種類組み合わせてセルロースナノファイバーを製造してもよい。製造したセルロースナノファイバーの繊維径は電子顕微鏡観察などで確認することができ、例えば好ましくは5nm~300nmの範囲にある。このセルロースナノファイバーを製造する際、セルロースを解繊及び/又は微細化する前及び/又は後に、任意の化合物をさらに添加してセルロースナノファイバーと反応させ、水酸基が修飾されたものにすることもできる。修飾する官能基としては、アセチル基、エステル基、エーテル基、ケトン基、ホルミル基、ベンゾイル基、アセタール、ヘミアセタール、オキシム、イソニトリル、アレン、チオール基、ウレア基、シアノ基、ニトロ基、アゾ基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、アミド基、イミド基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2-ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2-プロピル基、ブチル基、2-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、オキシル基、チイラン基、チエタン基等が挙げられる。これらの置換基の中の水素が水酸基、カルボキシ基等の官能基で置換されても構わない。また、アルキル基の一部が不飽和結合になっていても構わない。これらの官能基を導入するために使用する化合物としては特に限定されず、例えば、リン酸由来の基を有する化合物、カルボン酸由来の基を有する化合物、硫酸由来の基を有する化合物、スルホン酸由来の基を有する化合物、アルキル基を有する化合物、アミン由来の基を有する化合物等が挙げられる。リン酸基を有する化合物としては特に限定されないが、リン酸、リン酸のリチウム塩であるリン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、ポリリン酸リチウムが挙げられる。更にリン酸のナトリウム塩であるリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムが挙げられる。更にリン酸のカリウム塩であるリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウムが挙げられる。更にリン酸のアンモニウム塩であるリン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムがより好ましいが、特に限定されない。カルボキシル基を有する化合物としては特に限定されないが、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸等のジカルボン酸化合物やクエン酸、アコニット酸などトリカルボン酸化合物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物としては特に限定されないが、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の誘導体としては特に限定されないが、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物としては特に限定されないが、マレイミド、コハク酸イミド、フタル酸イミド等のジカルボン酸化合物のイミド化物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては特に限定されない。例えば、ジメチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等の、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が置換基(例えば、アルキル基、フェニル基等)で置換されたものが挙げられる。上記カルボン酸由来の基を有する化合物のうち、工業的に適用しやすく、ガス化しやすいことから、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸が好ましいが、特に限定されない。また、化学的に結合させなくても、修飾する化合物がセルロースナノファイバーに物理的に吸着する形でセルロースナノファイバーを修飾してもよい。物理的に吸着する化合物としては界面活性剤等が挙げられ、アニオン性、カチオン性、ノニオン性いずれを用いてもよい。セルロースを解繊及び/又は粉砕する前に上記の修飾を行った場合、解繊及び/又は粉砕後にこれらの官能基を脱離させ、元の水酸基に戻すこともできる。以上のような修飾を施すことで、セルロースナノファイバーの解繊を促進したり、セルロースナノファイバーを使用する際に種々の物質と混合しやすくしたりすることができる。
以上に示した繊維は単独で用いても良いし、複数を混合しても良い。例えば、製紙工場の排水から回収された繊維状物質を本発明の炭酸化反応に供給してもよい。このような物質を反応槽に供給することにより、種々の複合粒子を合成することができ、また、形状的にも繊維状粒子などを合成することができる。
本発明においては、繊維の他にも、生成物である無機粒子に取り込まれて複合粒子を生成するような物質を用いることができる。本発明にいては、パルプ繊維を始めとする繊維を使用するが、それ以外にも無機粒子、有機粒子、ポリマーなどを含む溶液中で無機粒子を合成することによって、さらにこれらの物質が取り込まれた複合粒子を製造することが可能である。
複合化する繊維の繊維長は特に制限されないが、例えば、平均繊維長が0.1μm~15mm程度とすることができ、1μm~12mm、100μm~10mm、400μm~8mmなどとしてもよい。このうち、本発明においては、平均繊維長を400μm以上(0.4mm以上)とすることが好ましい。
複合化する繊維の平均繊維径は特に制限されないが、例えば、平均繊維径が1nm~100μm程度とすることができ、500nm~100μm、1μm~90μm、3μm~50μm、5μm~30μmなどとしてもよい。このうち、本発明においては、平均繊維径が500nm以上であると後工程での生産効率を向上できるため好ましい。
繊維の平均繊維長と平均繊維径は、繊維長測定装置により測定できる。繊維長測定装置としては、例えば、Valmet Fractionator(Valmet社製)が挙げられる。
複合化する繊維は、繊維表面の15%以上が無機粒子で被覆されるような量で使用することが好ましいが、例えば、繊維と無機粒子の重量比を、5/95~95/5とすることができ、10/90~90/10、20/80~80/20、30/70~70/30、40/60~60/40としてもよい。
本発明に係る複合繊維は、好ましい態様において、繊維表面の15%以上が無機粒子で被覆されており、このような面積率でセルロース繊維表面が被覆されていると無機粒子に起因する特徴が大きく生じるようになる一方、繊維表面に起因する特徴が小さくなる。
複合繊維シート
本発明に係る排水は、上述の複合繊維をシート化する際に排出されるものである。例えば、抄紙機を用いて湿式でシート化すると、高灰分のシートを容易に得ることができる。また、得られたシートを貼り合せて多層シートとすることもできる。
シート製造に用いる抄紙機(抄造機)としては、例えば長網抄紙機、円網抄紙機、ギャップフォーマ、ハイブリッドフォーマ、ロトフォーマー、多層抄紙機、これらの機器の抄紙方式を組合せた公知の抄造機などが挙げられる。抄紙機におけるプレス線圧、後段でカレンダー処理を行う場合のカレンダー線圧は、いずれも操業性や複合繊維シートの性能に支障を来さない範囲内で定めることができる。また、形成されたシートに対して含浸や塗布により澱粉や各種ポリマー、顔料およびそれらの混合物を付与しても良い。
シート化の際には湿潤および/または乾燥紙力剤(紙力増強剤)を添加することができる。これにより、複合繊維シートの強度を向上させることができる。紙力剤としては例えば、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリアミン、エピクロロヒドリン樹脂、植物性ガム、ラテックス、ポリエチレンイミン、グリオキサール、ガム、マンノガラクタンポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルアミン、ポリビニルアルコール等の樹脂;上記樹脂から選ばれる2種以上からなる複合ポリマー又は共重合ポリマー;澱粉及び加工澱粉;カルボキシメチルセルロース、グアーガム、尿素樹脂等が挙げられる。紙力剤の添加量は特に限定されない。
また、填料の繊維への定着を促したり、填料や繊維の歩留を向上させたりするために、高分子ポリマーや無機物を添加することもできる。例えば凝結剤として、ポリエチレンイミンおよび第三級および/または四級アンモニウム基を含む改質ポリエチレンイミン、ポリアルキレンイミン、ジシアンジアミドポリマー、ポリアミン、ポリアミン/エピクロヒドリン重合体、並びにジアルキルジアリル第四級アンモニウムモノマー、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド及びジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドとアクリルアミドの重合体、モノアミン類とエピハロヒドリンからなる重合体、ポリビニルアミン及びビニルアミン部を持つ重合体やこれらの混合物などのカチオン性のポリマーに加え、前記ポリマーの分子内にカルボキシル基やスルホン基などのアニオン基を共重合したカチオンリッチな両イオン性ポリマー、カチオン性ポリマーとアニオン性または両イオン性ポリマーとの混合物などを用いることができる。また歩留剤として、カチオン性またはアニオン性、両性ポリアクリルアミド系物質を用いることができる。また、これらに加えて少なくとも一種以上のカチオンやアニオン性のポリマーを併用する、いわゆるデュアルポリマーと呼ばれる歩留りシステムを適用することもでき、少なくとも一種類以上のアニオン性のベントナイトやコロイダルシリカ、ポリ珪酸、ポリ珪酸もしくはポリ珪酸塩ミクロゲルおよびこれらのアルミニウム改質物などの無機微粒子や、アクリルアミドが架橋重合したいわゆるマイクロポリマーといわれる粒径100μm以下の有機系の微粒子を一種以上併用する多成分歩留りシステムであってもよい。特に単独または組合せで使用するポリアクリルアミド系物質が、極限粘度法による重量平均分子量が200万ダルトン以上である場合、良好な歩留りを得ることができ、好ましくは、500万ダルトン以上であり、更に好ましくは1000万ダルトン以上3000万ダルトン未満の上記アクリルアミド系物質である場合に非常に高い歩留りを得ることが出来る。このポリアクリルアミド系物質の形態はエマルジョン型でも溶液型であっても構わない。この具体的な組成としては、該物質中にアクリルアミドモノマーユニットを構造単位として含むものであれば特に限定はないが、例えば、アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合物、あるいはアクリルアミドとアクリル酸エステルを共重合させた後、4級化したアンモニウム塩が挙げられる。該カチオン性ポリアクリルアミド系物質のカチオン電荷密度は特には限定されない。
その他、目的に応じて、濾水性向上剤、内添サイズ剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、嵩高剤、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカなどの無機粒子(いわゆる填料)等が挙げられる。各添加剤の使用量は特に限定されない。
シートの基本重量(坪量:1平方mあたりの重量)は、目的に応じて適宜調整できるが、例えば建材として用いる場合には、60~1200g/mとすると強度が強く、また、製造時の乾燥負荷が低いため良好である。また、シートの坪量は、1200g/m以上とすることもでき、例えば2000~110000g/mとすることもできる。
シート化において、1種類の複合繊維のみを用いることもできるし、2種類以上の複合繊維を混合して用いることもできる。2種類以上の複合繊維を用いる場合は、予めそれらを混合したものを用いることもできるし、それぞれを配合・乾燥・成形したものを後から混合することもできる。また、複合繊維シートに対して、塗工などの方法によって後からポリマーなどの各種有機物や顔料などの各種無機物を付与しても良い。
本発明を具体例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は下記の具体例に限定されるものではない。なお、特に記載しない限り、本明細書において濃度などは質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
■セルロース繊維と無機粒子の複合繊維の調製
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、日本製紙製)をパルパー(IHI voite社製)に投入し、水を加え濃度5%で離解し、パルプ分散液を調製した。これをダブルディスクリファイナー(DDR、相川鉄工製)を用いてカナダ標準濾水度が610mlになるまで叩解した。得られたパルプ分散液をスクリーン(相川鉄工製)に通して異物を除去した後、10mを反応器(住友重機械プロセス機器製)に投じ、温度55℃で撹拌しながら水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムをパルプ重量当たり57.4%および13.7%添加し、pH13とした。その後、13.0%硫酸亜鉛と4.9%硫酸アルミニウムと11.0%硫酸銅の混合溶液を60分間かけて滴下し、pH7になるまで反応させ、セルロース繊維と無機粒子(CuZn系ハイドロタルサイト)の複合繊維を合成した。得られた濃度1.2%の複合繊維の懸濁液を、脱水機(富国工業製)で濃度25%まで脱水した。
得られた複合繊維は、CuZn系ハイドロタルサイト(CuZnAl(OH)16CO・4HO)が繊維表面に定着しており、繊維と無機粒子の重量比は約7:3、無機粒子の平均粒子径は約300nmであった。
■複合繊維シートの製造
カナダ標準濾水度600mlまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、離解処理をしたCuZn系HT複合体、バインダー繊維(繊維径:1.7デシテックス、繊維長:5mm)を下表に示した配合で混合し、湿式不織布の原料とした。いずれの配合においても、バインダー繊維(熱融着繊維)としては、芯鞘型ポリエステル系複合繊維(鞘部分の融点:100~160℃、芯部分:ポリエチレンテレフタレート)を使用し、歩留向上のためカチオン性ポリアクリルアミド系歩留剤0.015重量%を添加した。次いで、原料を水に分散させた紙料から、円網ヤンキードライヤー抄紙機を用いて湿式不織布をサーマルボンド法で製造した。
複合繊維シートを製造する際に発生した排水を回収して分析したところ、下表のように重金属が含まれていた(排水1~3)。
Figure 2022056827000002
■排水の処理
複合繊維シートを製造する際に発生した排水を、図1に示す排水処理系において処理した。排水に対して、チェストの上流で重金属捕集剤、チェストを通過後に凝集剤を添加し、その後、加圧浮上装置で排水を処理して固液分離を行った。本実験では、重金属捕集剤として、ジチオカルバミン酸系重金属捕集剤(ウェルクリンK800、栗田工業、ジカリウム=ピペラジン-1,4-ビス(カルボジチオアート)水酸化カリウム)420mg/Lを使用し、凝集剤としては、硫酸ばん土40mg/L、カチオン性ポリアクリル酸エステル(三菱ケミカル、ダイヤフロックKP-2083BM、分子量:約1300万)0.5mg/L、アニオン性ポリアクリルアミド(三菱ケミカル、ダイヤフロックAP-335C、分子量:約1600万)0.1mg/Lを添加した。
また、比較例として、重金属捕集剤または凝集剤を添加しなかった以外は上記のようにして排水を処理した(比較例1:凝集剤のみを添加、比較例2:重金属捕集剤のみを添加)。
Figure 2022056827000003
排水に含まれる亜鉛および銅の濃度を測定した結果を表に示す。本発明によれば、亜鉛や銅などの重金属の濃度を大きく低減することができた一方、比較例では、加圧浮上装置による固液分離後の段階(地点C)でも亜鉛濃度や銅濃度が高く、特に亜鉛濃度は2.0mg/L以上となっていた。
水質汚濁防止法の規定により全国すべての水域の特定事業場には、亜鉛濃度:2.0mg/L以下、銅濃度:3.0mg/L以下という排水基準が適用されるところ、本発明に基づいて重金属捕集剤と凝集剤を併用することによって、廃水中の重金属の濃度を大きく減らすことができた。

Claims (9)

  1. セルロース繊維と無機粒子の複合繊維を含む原料から抄紙機でシートを製造する際に発生する排水から、複合繊維の無機粒子由来の重金属を低減する方法であって、
    重金属捕集剤と凝集剤を排水に添加することを含む、上記方法。
  2. 前記重金属捕集剤が、ジチオカルバミン酸系重金属捕集剤を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記重金属捕集剤が、ピペラジン構造を有するキレート剤である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記凝集剤が、硫酸ばん土を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記凝集剤が、無機系凝集剤および有機系凝集剤を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記重金属が、亜鉛、銅、鉛、マンガン、鉄、クロム、チタン、カドミウム、水銀、ヒ素から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記無機粒子が、重金属を含むハイドロタルサイトを含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
  8. 重金属捕集剤を添加した後に凝集剤が添加される、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
  9. 凝集沈殿、加圧浮上、ろ過、生物処理から選択される1以上の工程をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
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