JP2022055726A - 体圧分散衣服 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単に着脱できると共に、褥瘡好発部位が多く存在する下半身の褥瘡を効果的に予防できる新規な体圧分散衣服の提供。【解決手段】パジャマズボン10の仙骨部および一対の大転子部に位置する部分の近傍に、体圧分散シート13a、13b、14a、14b、15a、15bを備える。これによって、側臥位または仰臥位時に患者の仙骨部または一対の大転子部に集中する体圧をその近傍に設けられた体圧分散シートに分散できるため、患者の仙骨部および一対の大転子部に好発する褥瘡を効果的に予防できる。【選択図】図2

Description

本発明は、入院患者や寝たきりの高齢者などが罹りやすい褥瘡(床ずれ)の発生を予防するための体圧分散衣服に関する。
寝返りが困難な入院患者や寝たきりの高齢者などは、長時間同じ姿勢を強いられることから体圧が集中する腰まわりや背中、後頭部などに褥瘡(床ずれ)を起こすことが多い。この褥瘡を予防する方法としては、体圧分散効果のあるマットレスやクッションなどを使用したり、頻繁にスキンケアを行うといった方法の他に、患者が身につけるものを工夫する方法が提案されている。
例えば以下の特許文献1には、おむつカバー型あるいはブリーフ型のサポーターに、褥瘡好発部位である仙骨部および大転子部、腸骨部を保護できるようにクッションを取り付けたものが提案されている。また、以下の特許文献2には、ドーナツ型をした床ずれ防止用のパットを着脱可能にした介護用肌着が提案されている。
さらに、以下の特許文献3には、床ずれが起きやすい尾てい骨が当たる部分に断層を設けて空洞化様したコルセットが提案されている。また、以下の特許文献4には、パンツのポケットに不織布からなるクッションパットを内蔵することで、着座時の臀部坐骨への過度の体圧付加を抑制し、坐骨並びにその周辺の痛みや刺激を緩和できるという臀部サポートパンツが提案されている。
特開平10-57406号公報 特開平11-117102号公報 特開2003-111786号公報 特開2014-80710号公報
ところで、前記特許文献1乃至4のようなサポーターや肌着タイプもの、あるいはコルセットタイプのものは、対象者の下半身に直接あるいは下着を介して取り付けるようになっているため、オムツを着用している対象者などには適用が困難である。また、自力でトイレにいける対象者の場合では、その都度対象者自身でそれらを着脱しなくてはならないため、その取り扱いは容易でない。また、下半身には仙骨部や大転子部のような褥瘡好発部位がいくつか存在しており、それらすべての部位の褥瘡を効果的に予防するのは困難である。
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は簡単に着脱できると共に、特に褥瘡好発部位が多く存在する下半身の褥瘡を効果的に予防できる新規な体圧分散衣服を提供するものである。
前記課題を解決するために、第1の発明は、ズボンを有する体圧分散衣服であって、前記ズボンの仙骨部および一対の大転子部に位置する部分の近傍に、体圧分散シートを備えたことを特徴とする体圧分散衣服である。このような構成によれば、側臥位または仰臥位時に患者の仙骨部または一対の大転子部に集中する体圧を、その近傍に設けられた体圧分散シートに分散することができる。これによって、患者の仙骨部および一対の大転子部に好発する褥瘡を効果的に予防できる。
また、本発明の褥瘡予防寝衣は、ゴムひもなどを備えたズボンからなるため、患者自身でも簡単に脱いだり穿いたりすることができる。また、予め体圧分散シートが取り付けられているため、患者は普通にそのズボンを穿くだけで最適な位置に体圧分散シートをセットすることができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記仙骨部に位置する部分の近傍に備える仙骨部用体圧分散シートを、前記仙骨部に位置する部分を体幅方向左右から挟むように一対備えたことを特徴とする体圧分散衣服である。このように構成すれば、患者の仙骨部に好発する褥瘡を効果的に予防できる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記各大転子部に位置する部分の近傍に備える大転子部用体圧分散シートを、前記各大転子部を体長方向上下から挟むようにそれぞれ一対づつ備えたことを特徴とする体圧分散衣服である。このような構成によれば、患者の一対の大転子部に好発する褥瘡を効果的に予防できる。
第4の発明は、第2または第3の発明において、前記仙骨部用体圧分散シートまたは大転子部用体圧分散シートのいずれか一方または両方を、略短冊形状にしたことを特徴とする体圧分散衣服である。このような構成によれば、各体圧分散シートの作成およびズボンの仙骨部や大転子部近傍への縫い込みなどによる取り付けが簡単にできる。
第5の発明は、第1乃至4の発明において、シャツを備え、当該シャツの左右の肩甲骨の間に位置する部分に、肩甲骨用体圧分散シートを備えたことを特徴とする体圧分散衣服である。このような構成によれば、仰臥位時に患者の肩甲骨に集中する体圧を、その肩甲骨間に設けられた体圧分散シートに分散することができる。これによって、患者の肩甲骨に好発する褥瘡を効果的に予防できる。
第6の発明は、第1乃至第5の発明において、前記各体圧分散シートは、ポリエステル不織布からなることを特徴とする体圧分散衣服である。このようにポリエステル不織布から各体圧分散シートを構成することにより、後述するように仙骨部や大転子部に好発する褥瘡を効果的に予防できる。
第7の発明は、第6の発明において、前記仙骨部用体圧分散シートは、その厚さが1.5~4.5mmであることを特徴とする体圧分散衣服である。このように仙骨部用体圧分散シートをポリエステル不織布から構成した場合に、その厚さを1.5~4.5mmとすれば、後述するように仙骨部に好発する褥瘡を効果的に予防できる。また、後述するようにこの程度の厚さであれば、患者の発汗量や着心地などに殆ど影響を与えない。ここで、その厚さを1.5~4.5mmと規定したのは、ポリエステル不織布からなるシートの厚さが1.5mm未満では仙骨部における十分な体圧分散効果が得られないからであり、反対に4.5mmを超えるとそれ以上の体圧分散効果が得られないばかりでなく、ズボンとしての着心地や寝心地に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
第8の発明は、第6の発明において、前記大転子部用体圧分散シートは、その厚さが2.0±0.5mmであることを特徴とする体圧分散衣服である。このように大転子部用体圧分散シートをポリエステル不織布から構成した場合に、その厚さを2.0±0.5mmとすれば、後述するように大転子部に好発する褥瘡を効果的に予防できる。また、後述するようにこの程度の厚さであれば、患者の発汗量や着心地などに殆ど影響を与えない。ここで、その厚さを2.0±0.5mmと規定したのは、ポリエステル不織布からなるシートの厚さが1.5mm未満では大転子部における十分な体圧分散効果が得られないからであり、反対に2.5mmを超えるとそれ以上の体圧分散効果が得られないばかりでなく、ズボンとしての着心地や寝心地に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
第9の発明は、第6の発明において、前記各体圧分散シートは、ポリエステル不織布からなる圧縮フェルトシートを複数枚積層してなることを特徴とする体圧分散衣服である。このように薄い圧縮フェルトシートを複数枚積層して形成すれば、その厚さを簡単に調節できる。
第10の発明は、第9の発明において、前記各体圧分散シートの縁に階段状の勾配を形成したことを特徴とする体圧分散衣服である。このような構成によれば、前記各体圧分散シートの縁部に大きな段差がなくなるため、その部分に集中する体圧を分散して血流阻害などを回避できる。
第11の発明は、第1乃至第10の発明において、シルク生地の横シーツをさらに備えたことを特徴とする体圧分散衣服である。このような構成によれば、ギャッジアップ時に仙骨部にかかるずれを軽減してその部分の褥瘡を効果的に予防できる。
本発明によれば、側臥位または仰臥位時に患者の仙骨部または左右の大転子部に集中する体圧を、その近傍に設けられた体圧分散シートに分散できるため、それらの部位に好発する褥瘡を効果的に予防できる。また、ゴムひもなどを備えた従来タイプのズボンからなるため、患者自身でも簡単に脱いだり穿いたりすることができる。さらに、予め体圧分散シートが取り付けられているため、患者は普通にそのズボンを穿くだけで最適な位置に体圧分散シートをセットすることができる。また、シルク生地の横シーツを用いることにより、ギャッジアップ時のずれを軽減して仙骨部の褥瘡を効果的に予防できるなどといった優れた効果を発揮する。
本発明に係る体圧分散衣服100の実施の一形態を示す全体図である。 (A)は、パジャマズボン10を裏返しにしたまえ側を示す正面図、(B)はパジャマズボン10を裏返しにしたうしろ側を示す背面図である。 (A)は、パジャマズボン10の上側に配置される大転子部用体圧分散シート13a、14aの一例を示す斜視図、(B)は、パジャマズボン10の下側に配置される大転子部用体圧分散シート13b、14bの一例を示す斜視図、(C)は、仙骨部用体圧分散シート15a、15bの一例を示す斜視図である。 図3中、t1部およびt2部を示す部分拡大図である。 図3(A)中、P部を示す部分拡大図である。 人間の腰回りの骨格構造を示す説明図である。 (A)は図2(A)中、S1部を示す部分拡大図、(B)は図2(B)中、S2部を示す部分拡大図である。 2種類の体圧分散シートのあてかたによる圧力最大値を示す表図である。 被験者の基本属性を示す表図である。 2種類の体圧分布最大値の結果を示す表図である。 仰臥位時の体圧分布を示す圧力分布図である。 側臥位時の体圧分布を示す圧力分布図である。 発汗量の測定結果を示す表図である。 VAS(Visual Analogue Scale)の測定結果を示す表図である。 ギャッジアップ時に患者の仙骨部にかかるずれや摩擦力などを示す説明図である。 ギャッジアップの角度とずれとの比較結果を示す表図である。 体圧分散シートの圧力最大値と接地面積との関係を示す表図である。 体圧分散シートを構成するポリエステル不織布の枚数による圧力最大値と接地面積との比較を示す表図である。
次に、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る体圧分散衣服100の実施の一形態を示したものであり、患者などが着用するパジャマズボン10と、パジャマシャツ20と、患者のベットBに取り付ける横シーツ30とから主に構成されている。図2は、このパジャマズボン10を裏返しにした状態を示したものであり、同図(A)はそのまえ側(腹側)、同図(B)はそのうしろ側(背中側)から見た図である。
図示するように、このパジャマズボン10は患者の腰回りと両足を覆うズボン本体11にゴムひも12を備えたものであり、そのゴムひも12を手で広げるだけで患者自身で簡単に着脱できるようになっている。また、このズボン本体11の腰回り部分の両側面には、それぞれ上下一対づつ合計4枚の大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bが設けられている。さらに、同図(B)に示すようにズボン本体11のうしろ側には、縦方向に延びる一対(2枚)の仙骨部用体圧分散シート15a、15bが設けられている。
この大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bおよび仙骨部用体圧分散シート15a、15bは、いずれもポリエステル不織布からなっており、その形状は図3に示すように略短冊形状に形成されている。すなわち、4枚の大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bのうち、図2に示すようにゴムひも12の直下に位置する大転子部用体圧分散シート13a、14aは、例えば図3(A)に示すように幅約16cm、長さ約25cm、厚さ約2.0mmの大きさになっており、腰回りの周方向(横方向)に延びるように取り付けられている。なお、ここで「約」とは、例えば、各数値の±10%の誤差が許容される(以下、同じである)
また、他方の大転子部用体圧分散シート13b、14bは、この大転子部用体圧分散シート13a、14aよりも幅がやや小さく、例えば図3(B)に示すように、幅約10cm、長さ約25cm、厚さ約2.0mmの大きさとなっており、大転子部用体圧分散シート13a、14aとそれぞれ上下に対となるように同じく腰回りの周方向(横方向)に延びるように取り付けられている。そして、これら上側の大転子部用体圧分散シート13a、14aと、下側の大転子部用体圧分散シート13b、14bは、図2(B)に示すように、側臥位のときに大転子があたるところを中心に上下に約4~5cmずつの間隔、合計約8~10cmの間隔を隔てて取り付けられている。
一方、仙骨部用体圧分散シート15a、15bは、図3(C)に示すように、縦方向の長さ約27cm、幅約10cm、厚さ約4.0mmの大きさとなっており、図2(B)に示すようにズボン本体11の中心線Cからそれぞれ左右に約4cm、合計約8cmの距離を隔てて取り付けられている。そして、これら大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bおよび仙骨部用体圧分散シート15a、15bは、図4に示すようにポリエステル繊維をケミカルポンド法(含浸法)によって製造した0.4mm厚さの圧縮フェルトシート16を複数枚重ねることで約2.0~4.0mmの厚さに形成されている。
すなわち、大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bは、図4(A)に示すように、0.4mm厚さの圧縮フェルトシート16を5枚重ねることで約2.0mmの厚さに形成されている。一方、仙骨部用体圧分散シート15a、15bは、図4(B)に示すように、同じく0.4mm厚さの圧縮フェルトシート16を10枚重ねることで約4.0mmの厚さに形成されており、その厚さは大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bの約2倍となっている。
また、これら大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bおよび仙骨部用体圧分散シート15a、15bの周縁部は、それぞれ階段状に形成されている。すなわち、図5に示すように片面側(図中上面)に位置する圧縮フェルトシート16の大きさ(長さおよび幅)は、他面側(図中下面)になるに従って徐々に大きくなるように構成されており、これらを重ね合わせることで各体圧分散シートの周縁部に階段状の勾配(スロープまたはテーパー)が形成されている。
このような構造をしたパジャマズボン10を患者が穿いてそのゴムひも12をウエスト部に位置させると、図6に示すように褥瘡好発部位である患者の両側の大転子部が位置する部分にそれぞれこれを体長方向上下から挟むようにして大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bが位置することになる。
つまり、患者がそのパジャマズボン10を普通に穿くだけで上下の大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bの約8~10cm間隔に患者の両側の大転子部が正確に位置するようになる。これによって、側臥位時に患者の大転子部に集中する体圧を、その上下に位置する大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bに分散できるため、患者の大転子部に好発する褥瘡を効果的に予防できる。
また、同時に図6に示すように褥瘡好発部位である患者の仙骨部にも、これを体幅方向左右から挟むようにして仙骨部用体圧分散シート15a、15bが正確に位置することになる。これによって、仰臥位時に患者の仙骨部に集中する体圧を、その左右に設けられた仙骨部用体圧分散シート15a、15bに分散できるため、患者の仙骨部に好発する褥瘡も効果的に予防できる。
また、各体圧分散シート13a、13b、14a、14b、15a、15bの縁部に階段状の勾配を形成することで、それらの縁部の大きな段差をなくし、その部分に集中する体圧を分散してその部分の血流阻害などを回避することができる。特に、シート厚が大きい仙骨部用体圧分散シート15a、15bにあってはより効果的である。
なお、これら大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bおよび仙骨部用体圧分散シート15a、15bは、その縁部をミシンなどによってズボン本体11の裏面に縫い付けることで取り付けることになるが、それによって発生する縫い代の出っ張りが血流阻害の要因となることがある。従って、これらの大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bおよび仙骨部用体圧分散シート15a、15bをズボン本体11に縫い付けるに際しては、図7に示すように各シートの両端のみを縫い付けるようにして仙骨部および大転子部の近傍には縫い代は存在しないようにすることが望ましい。
また、図1に示すようにこのパジャマズボン10と共に使用されるパジャマシャツ20の左右の肩甲骨の間に位置する部分に、同じくポリエステル不織布からなる短冊状の肩甲骨用体圧分散シート21を取り付ければ、仰臥位時に患者の肩甲骨に集中する体圧をその体圧分散シート21に分散することができる。これによって、患者の肩甲骨に好発する褥瘡をも効果的に予防できる。
また、本実施の形態では、体圧分散衣服100として寝衣の一種であるパジャマズボン10を例に挙げたが、褥瘡は横たわっているときだけでなく、車いすなどに長時間座っているようなときにも発生することがある。そのため、寝衣としてのパジャマズボンだけでなく外出着としての通常のズボンに対しても同様に最適な部位に体圧分散シート13a、13b、14a、14b、15a、15bを備えれば、長時間座っているときに仙骨部付近に起き易い褥瘡も効果的に予防することができる。
また、大転子部用体圧分散シート13a、13b、14a、14bおよび仙骨部用体圧分散シート15a、15bの材料としては、前記のようにポリエステル不織布が適しているが、その他の材料、例えば綿、麻、毛、レーヨン、ナイロン、アクリル、ポリプロピレン、アラミドなどを用いることができる。また、各体圧分散シート13a、13b、14a、14b、15a、15bの形状としては、短冊状の他に正方形、円形、三角形、台形、扇形などであってもよい。
さらに、各体圧分散シート13a、13b、14a、14b、15a、15bを一体的に形成してもよい。すなわち、本実施の形態では各体圧分散シート13a、13b、14a、14b、15a、15bはそれぞれ独立した例で説明したが、例えば図2に示すように、隣接する一方の大転子部用体圧分散シート13a、13bと仙骨部用体圧分散シート15b、および他方の大転子部用体圧分散シート14a、14bと仙骨部用体圧分散シート15aとをそれぞれ予め一体化して全体としてそれぞれコ字形をした2つのパーツとしておけば、縫い付け作業などがより簡単かつ確実に行える。
次に、このような構成をした本発明に係る体圧分散衣服100を用いた体圧分散効果に関する実施例(実験例)を説明する。
(実施例1)
体圧分散シートを使用したパジャマズボンにおいて、その体圧分散シートのあてかたによる体圧分散効果を比較検討した。比較実験方法としては、体圧分散シートのあてかたを変えた2種類のパジャマズボンを用意し、そのうち一方は本発明のように部分的に体圧分散シートを配置し、他方は体圧分散シートをパジャマズボンの腰回り全面に亘って配置した。そして、これら2種類のパジャマズボンを5人の被験者に対して交互に着用してもらい、仰臥時の臀部と側臥時の大腿部の体圧を測定した。
その結果、図8の表1に示すように体圧分散シートを部分的に配置したパジャマズボンのほうが、体圧分散シートを全面的に配置したパジャマズボンよりも臀部と大腿部においていずれも体圧最大値が低く、それらにかかる体圧が効果的に分散されることが実証された。従って、本発明のように褥瘡好発部位である仙骨部と大転子部を避けてその周囲に体圧分散シートを配置すれば、これら各部位に集中する体圧をその周囲の体圧分散シートに効果的に分散できることが分かった。
(実施例2)
本発明に係るパジャマズボンと体圧分散シートを使用しない一般的なパジャマズボンを用いて褥瘡の発生要因となる体圧と、熟眠感などに影響する発汗量、着心地をそれぞれ比較した。
1.体圧に関する比較方法としては、図9の表2に示すように20歳以上の健康な男性7名、女性24名、合計31名を被験者とし、各被験者にこれら2種類のパジャマズボンを交互に着用した状態でベッドに臥床してもらい、仰臥位および側臥位(左)のそれぞれで体圧を測定した。被験者の平均身長、平均体重、BMI、温度、湿度などの環境条件は表2に示すとおりである。
2.発汗量に関する比較方法としては、同じ被験者に対し、左右の臀部で体圧分散シートの装着面と非装着面とに分け、それぞれに発汗量計を装着し、30分間伏臥位に臥床して測定した。
3.着心地については、VAS(Visual Analogue Scale)を用いて測定した(「着心地が悪い」を0、「着心地が良い」を100)。
1-1.体圧に関する比較結果(仰臥位)
図10の表3に示すように、仰臥位における体圧分散シートなし群の体圧最大値は、79.0±23.5mmHg、体圧分散シートあり群の体圧最大値は、77.8±18.8mmHgであり、有意差はみられなかった(p=0.758)。今回の被験者は20~30代の健康な成人であり、BMI18.5≦~<25、普通体重者が93.5%を占めていることから、褥瘡発生リスクのある痩せ型の高齢者に比べ仙骨部突出者が少ない。
よって、健常者では仙骨部一点を特定することが困難であったため、仙骨部を含む周囲の体圧の平均値を算出した。その結果、体圧平均値は、体圧分散シートなし群では、32.7±5.2mmHg、体圧分散シートあり群では、31.4±5.1mmHgであり、体圧分散シートを使用した場合の方が体圧が小さくなる傾向が見られた(p=0.072)。これは図11の体圧分布図からもわかる。
1-2.体圧に関する比較結果(側臥位)
表3に示すように、側臥位における体圧分散シートなし群の体圧最大値は、155.5±63.9mmHg、体圧分散シートあり群の体圧最大値は、145.0±61.6mmHgであった。従って、体圧分散シートを使用した場合の方が、側臥位における体圧が小さくなる傾向が見られた(p=0.088)。これは図12の体圧分布図からもわかる。側臥位の場合、普通体重の健常者でも、大転子部は突出しており、最大値の部位と一致していたため、側臥位は体圧最大値のみ比較した。
仰臥位および側臥位の体圧分散については、図11および図12に示すように体圧分散シートを使用した方が体圧が小さくなる傾向が見られた。これは仙骨部や大転子部のような骨突出部位を避けて体圧分散シートを使用することで体圧分散シートがクッションとなり、それらの部位の圧力が低減されたためであると考える。以上より、本発明に係るパジャマズボン10は、仰臥位および側臥位のいずれにおいても体圧分散効果が証明された。よって、本発明に係るパジャマズボン10を普段から使用することで、褥瘡好発部位への持続的な圧迫が低減されるため、褥瘡を効果的に予防することができる。
2.発汗量に関する比較結果
図13の表4に示すように、体圧分散シートなし群の発汗量は0.9±0.5mg/cm2/min、体圧分散シートあり群の発汗量は1.3±0.7mg/cm2/minであり、体圧分散シートあり群の方が発汗量は有意に多かった(p<0.001)。皮膚の湿潤は褥瘡発生の要因の一つではあるが、今回の実験中に褥瘡発生スケール(日本版ブレーデンスケール)の湿潤項目で褥瘡発生リスクとなる「常に湿っている」あるいは「たいてい湿っている」というほど発汗していた被験者はおらず、体圧分散シートを備えたパジャマズボンを着用することでハイリスクな状態になるとはいえない。
被験者からも体圧分散シートを備えたパジャマズボンと、体圧分散シートを使用していないパジャマズボンにおける発汗量の違いは感じられないという意見が多かった。さらに、パジャマズボンの生地であるシルクは、体圧分散シートを構成するポリエステル不織布の約1.3~1.5倍の吸水性・吸湿性があり、放湿性にも優れている。従って、体圧分散シートを使用したパジャマズボンを着用した場合でも褥瘡発生リスクとなるほど皮膚が湿潤するということはないと考えられ、日々の着用が可能である。
3.着心地に関する比較結果
図14の表5に示すように、体圧分散シートなし群は68.3±16.4、体圧分散シートあり群は55.1±18.5であり、体圧分散シートなし群の方が有意に高値であった(p=0.001)。この結果から、体圧分散シートを使用したパジャマズボンよりも体圧分散シートを使用していないパジャマズボンの方が着心地が良いことが示唆された。しかし、今回の実験において2種類のパジャマズボンで着心地の違いが感じられないという意見や、体圧分散シートを備えたパジャマズボンの方が着心地が良いという意見も多かった。
着心地の主観的評価には個人差があり、それは普段着用してパジャマズボンの影響が大きいとの報告もある。今回の実験においても、被験者が普段体圧分散シートなし一般的なパジャマズボンを着用しているなど、日常的に着用しているパジャマ素材などの影響が大きかった可能性がある。そのため、今回の結果のみならず、必ずしも体圧分散シートを備えたパジャマズボンの着心地が悪いとは言い切れない。
(実施例3)
褥瘡好発部位である仙骨部に「ずれ(せん断応力)」がかかるギャッジアップ(ベッドの背上げ)した状態で、その「ずれ」を軽減する褥瘡予防寝衣の構成を検討した。ギャッジアップ時に発生する「ずれ」は、褥瘡の発生要因であり、図15に示すように皮膚組織や筋肉・骨などに下方の力が加わり、皮膚表面には上方向の摩擦力が加わっているため、同じ組織に2つの力が加わるずれにより真皮や毛細血管網などが引き伸ばされて薄く変形して血管径が縮小し、虚血が生じて褥瘡発生につながる。褥瘡好発部位である仙骨部にずれがかかりやすいのは、ギャッジアップ時であり、褥瘡予防のためには、その際にかかるずれを軽減する必要がある。
そこで、5人の被験者に対して、それぞれ体圧分散シートを使用しない一般的なパジャマズボンを使用したパターンIと、本発明のように体圧分散シートを備えたパジャマズボンを使用したパターンIIと、この体圧分散シートを備えたパジャマズボンと図1に示すシルク生地の横シーツ30を使用したパターンIIIとの3パターンについて、ベッドに仰臥位となった場合のギャッジアップ時の仙骨部のずれを測定した。ギャッジアップの角度は30°、60°、80°の3パターンとした。なお、この横シーツ30とは、図1に示すように介護用マットレスの上や入院時の病院のベッド上に汚染されやすい部分または頻回に交換が必要な部分に敷くマット、シーツ、防水シートの総称である。
この結果、図16の表6に示すように、ずれは、体圧分散シートなしのパターンIで最大となり、体圧分散シートを備えたパターンIIと、さらにシルク生地の横シーツ30を使用したパターンIIIにおいて最少になることが多かった。特にギャッジアップの角度が高くなると、ずれはパターンIでは高値、パターンIIIでは低値になる傾向が見られた。ギャッジアップにより身体が端坐位、座位に近づくことでずれは大きくなるが、その際のずれはパターンIIと、パターンIIIとでは、パジャマズボンと身体が共に動くのでパターンIほどには上昇していない。
この結果から分かるように、ギャッジアップの角度が大きくなると、特に本発明のように体圧分散シートを部分的に使用したパジャマズボン10を着用し、シルク生地の横シーツ30を追加することで、ギャッジアップ時のずれが小さくなるため、ギャッジアップに伴う仙骨部の褥瘡を効果的に予防できることが分かった。
(実施例4)
本発明に用いる体圧分散シートとして用いる0.4mm厚のポリエステル不織布を5枚重ねたシート(ポリ不織布5枚)と、ポリエステル不織布の表裏をエラストマーシートで挟んだ3層構造のシート(エラストマー→ポリ不織布→エラストマー)の圧力最大値、接地面積を計測した。計測方法としては、ある被験者の臀部全体の荷重値が約30Kgであったため、約30Kgの不動物を準備し、「ポリエステル不織布5枚」と「エラストマー→ポリ不織布→エラストマー」について、接地面積を大きくした場合を仰臥位、接地面積を大きくした場合を側臥位と仮定し、圧力最大値および接地面積を計測した。
この結果、図17の表7に示すように、仰臥位時と側臥位時のいずれにおいてもポリエステル不織布を5枚重ねたシートの方が、他方よりも圧力の最大値は低かった。この結果により、体圧分散シートの素材としてゴムのような弾性素材のエラストマーを使用するよりも、ポリエステル不織布のみを使用した方が接地面積が広くなって圧力が分散されるため、減圧効果が高いことが分かった。
(実施例5)
ゴムのような弾性素材のエラストマーを使用するよりも、ポリエステル不織布のみを使用した方が減圧効果が高いことが分かったが、さらにその厚さ(枚数)について最適な数を検証した。検証方法としては、実施例4で使用した30Kgの不動物について、0.4mm厚さのポリエステル不織布を2枚重ねたシートと、5枚重ねたシートと、10枚重ねたシートのそれぞれの圧力最大値と接地面積を、仰臥位時と側臥位時のそれぞれについて計測した。
この結果、図18の表8に示すように、仰臥位時では、枚数が増えるほど接地面積が広くなり、圧力の最大値は低くなった。一方、側臥位時では、5枚>10枚>2枚の順に接地面積が広く、圧力の最大値は5枚重ねたシートが最も低かった。仰臥位時では枚数が増えることで接地面積は広がり、圧力は分散されて圧力最大値は下がる傾向にある。従って、シートの枚数が増えることで減圧効果があることが分かった。一方、側臥位時では、5枚重ねで最も接地面積が広く、圧力最大値も低かったことから、5枚重ねが最も減圧効果が高いことが分かった。
10…パジャマズボン(ズボン)
11…ズボン本体
13a、13b、14a、14b…大転子部用体圧分散シート
15a、15b…仙骨部用体圧分散シート
16…圧縮フェルトシート
20…パジャマシャツ(シャツ)
21…肩甲骨用体圧分散シート
30…横シーツ
100…体圧分散衣服
B…ベット

Claims (11)

  1. ズボンを有する体圧分散衣服であって、
    前記ズボンの仙骨部および一対の大転子部に位置する部分の近傍に、体圧分散シートを備えたことを特徴とする体圧分散衣服。
  2. 請求項1に記載の体圧分散衣服において、
    前記仙骨部に位置する部分の近傍に備える仙骨部用体圧分散シートを、前記仙骨部に位置する部分を体幅方向左右から挟むように一対備えたことを特徴とする体圧分散衣服。
  3. 請求項1または2に記載の体圧分散衣服において、
    前記各大転子部に位置する部分の近傍に備える大転子部用体圧分散シートを、前記各大転子部を体長方向上下から挟むようにそれぞれ一対づつ備えたことを特徴とする体圧分散衣服。
  4. 請求項2または3に記載の体圧分散衣服において、
    前記仙骨部用体圧分散シートまたは大転子部用体圧分散シートのいずれか一方または両方を、略短冊形状にしたことを特徴とする体圧分散衣服。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の体圧分散衣服において、
    シャツを備え、当該シャツの左右の肩甲骨の間に位置する部分に、肩甲骨用体圧分散シートを備えたことを特徴とする体圧分散衣服。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の体圧分散衣服において、
    前記各体圧分散シートは、ポリエステル不織布からなることを特徴とする体圧分散衣服。
  7. 請求項6に記載の体圧分散衣服において、
    前記仙骨部用体圧分散シートは、その厚さが1.5~4.5mmであることを特徴とする体圧分散衣服。
  8. 請求項6に記載の体圧分散衣服において、
    前記大転子部用体圧分散シートは、その厚さが2.0±0.5mmであることを特徴とする体圧分散衣服。
  9. 請求項6に記載の体圧分散衣服において、
    前記各体圧分散シートは、ポリエステル不織布からなる圧縮フェルトシートを複数枚積層してなることを特徴とする体圧分散衣服。
  10. 請求項9に記載の体圧分散衣服において、
    前記各体圧分散シートの縁に階段状の勾配を形成したことを特徴とする体圧分散衣服。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の体圧分散衣服において、
    シルク生地の横シーツをさらに備えたことを特徴とする体圧分散衣服。
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