JP2022054694A - 撮像装置 - Google Patents

撮像装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022054694A
JP2022054694A JP2020161864A JP2020161864A JP2022054694A JP 2022054694 A JP2022054694 A JP 2022054694A JP 2020161864 A JP2020161864 A JP 2020161864A JP 2020161864 A JP2020161864 A JP 2020161864A JP 2022054694 A JP2022054694 A JP 2022054694A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
image pickup
unit
optical axis
subject
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020161864A
Other languages
English (en)
Inventor
康生 政木
Yasuo Masaki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Electronics Institute Ltd
Original Assignee
Asahi Electronics Institute Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Electronics Institute Ltd filed Critical Asahi Electronics Institute Ltd
Priority to JP2020161864A priority Critical patent/JP2022054694A/ja
Publication of JP2022054694A publication Critical patent/JP2022054694A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Microscoopes, Condenser (AREA)
  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Abstract

【課題】表面反射の影響および装置内部での反射の影響により画像中の撮像対象の視認性が低下するのを抑制することが可能な撮像装置を提供する。【解決手段】この撮像装置100は、半透明の被写体表面2下に存在する撮像部位3からの光を受光することにより画像信号を生成する撮像部20と、撮像部20の光軸21に対して斜め方向から、被写体表面2における撮像部位3の近傍点Kに光を照射し、近傍点Kに照射された光が被写体表面2下の内部を拡散伝搬して撮像部位3に至るように構成された照明部10と、撮像部位3の上方の被写体表面2に対して照明部10から直接照射され、被写体表面2で反射して撮像部20に入射する光を排除するように構成された遮光部30と、を備える。【選択図】図1

Description

この発明は、撮像装置に関し、特に、半透明の被写体の表面下の撮像部位を撮像する撮像装置に関する。
従来、被写体の表面下の撮像部位を撮像する撮像装置が開示されている(たとえば、特許文献1)。
上記特許文献1には、ヒトの皮下の毛細血管を撮像する直交偏光分光撮像を行う装置が開示されている。この装置は、LEDなどの光源、光源側の偏光子、偏光ビームスプリッター、対物、カメラ側の偏光子、レンズ、およびCCDカメラ、を備えている。光源側の偏光子の偏光方向がカメラ側の偏光子とは垂直とされる。光源から出射され、光源側の偏光子で偏光された光が、偏光ビームスプリッターおよび対物を通過して、皮膚に入射する。光の一部は、表面から直接反射する、別の部分は、皮膚の中へ浸透し、皮膚表面から再放出される前に散乱する。反射光や再放出された散乱光は、対物を通過し偏光ビームスプリッターで反射され、カメラ側の偏光子およびレンズを経てCCDカメラに受光される。カメラ側の偏光子に入射した光のうち、皮膚表面での反射光など、初期の(光源側の偏光子による)偏光を維持している光は透過しない。皮膚の中で散乱して偏光の向きがカメラ側の偏光子の向きに一致した光が、カメラ側の偏光子を通過してカメラに受光される。この結果、皮膚の表面に近い毛細血管が画像化される。
特表2007-517211号公報
このように、上記特許文献1には、被写体表面からの不要な反射光を排除する目的で直交する2つの偏光子を用いる(いわゆる直交ニコル撮影を行う)ことが開示されているが、偏光子は、実際には特定の向きの偏光成分の光のみを形成できる訳ではなく、光源側の偏光子を透過した光にも、特定の向きと直交する向きの偏光成分が僅かに含まれる。このため、当該直交する偏光成分の光が皮膚表面で反射すると、そのままカメラ側の偏光子を通過してCCDカメラに受光されてしまう。皮膚表面で反射した光は、画像において、撮像対象である毛細血管の上を覆う皮膚の像として現れ、毛細血管の像の視認性を低下させる。
また、上記特許文献1の装置は、ビームスプリッターを用いた同軸落射照明の方式を採用しているため、光源の光路とCCDカメラの光路とは、ビームスプリッターと皮膚表面との間で一致する。この場合、光源から出射された光が装置内部で反射されると、そのままカメラ側の偏光子に入射する。そのため、光源側の偏光子を透過した光に僅かに含まれる直交する偏光成分の光が装置内部で反射すると、カメラ側の偏光子を通過してCCDカメラに受光されてしまう。このような内部反射光は、画像において、輝点や輝線などのノイズとなって現れ、毛細血管の像の視認性を低下させる。
これらの結果、上記特許文献1の装置においても、表面反射の影響および装置内部での反射の影響により画像中の撮像対象の視認性が低下するという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、表面反射の影響および装置内部での反射の影響により画像中の撮像対象の視認性が低下するのを抑制することが可能な撮像装置を提供することである。
上記目的を達成するため、この発明の一の局面による撮像装置は、半透明の被写体表面下に存在する撮像部位からの光を受光することにより画像信号を生成する撮像部と、撮像部の光軸に対して斜め方向から、被写体表面における撮像部位の近傍点に光を照射し、近傍点に照射された光が被写体表面下の内部を拡散伝搬して撮像部位に至るように構成された照明部と、撮像部位の上方の被写体表面に対して照明部から直接照射され、被写体表面で反射して撮像部に入射する光を排除するように構成された遮光部と、を備える。
この発明の一の局面による撮像装置では、上記のように構成することによって、被写体表面における撮像部位の直上位置に光が直接照射されるのではなく、被写体表面における撮像部位の近傍点に向けて、斜め方向から光が照射される。これにより、撮像部位の直上表面において反射される光量を効果的に低減できる。また、照明部から出射された光の一部が撮像部位の直上表面に到達する場合でも、斜め方向から光が照射されるため、大部分の反射光は受光経路から外れて撮像部に受光されずに済む。さらに、照明部から出射された光のうち、被写体表面で反射して撮像部の受光経路に沿ってしまう一部の光については、これを排除するため遮光部が設けられる。すなわち、撮像部位の上方の被写体表面に対して照明部から直接照射され、被写体表面で反射して撮像部に入射する光を排除するように構成された遮光部を設けることにより、照明部から出射され、被写体表面で反射して撮像部の受光経路に沿って進む一部の光を、撮像部に受光させることなく排除できる。また、いわゆる同軸落射の構成とは異なり、照明部から撮像部位までの光路と撮像部位から撮像部までの光路とを異ならせることができるので、照明部から撮像部位までの光路上で内部反射が発生しても、その反射光が撮像部に受光されることも回避できる。以上のようにして表面反射や内部反射による不要光が撮像部に受光されることを抑制できる。その上で、撮像部位の近傍点に照射され、被写体表面下の内部を拡散伝搬して撮像部位に至る光が、散乱により被写体表面から放出され、放出された光が撮像部によって受光されることにより、撮像部位が撮像される。つまり、撮像部位の直上表面に直接照射した光ではなく、撮像部位の近傍点に照射した光を用いることにより、上記した不要光を排除しつつ撮像部位を撮像できる。これらの結果、表面反射の影響および装置内部での反射の影響により画像中の撮像対象の視認性が低下するのを抑制することができる。
上記一の局面による撮像装置において、好ましくは、撮像部の受光面に撮像部位に対する拡大像を結像するレンズ部をさらに備え、照明部は、撮像部位の近傍点に集光する集光レンズを含み、遮光部は、撮像部の光軸上に配置された第1偏光フィルタと、照明部の光軸上に配置され第1偏光フィルタの偏光角と直交する偏光角に設定された第2偏光フィルタとを含む。このように構成すれば、照明部から出射され第2偏光フィルタの偏光角に一致した光が撮像部位近傍の表面を透過して、内部を拡散伝搬して表面下の撮像部位によって散乱し、撮像部位の表面から放出される過程で偏光方向が第1偏光フィルタの偏光角に一致するように変化した(90度変化した)場合に、この偏光方向が一致した光が第1偏光フィルタを透過することで画像化される。この際、第2偏光フィルタを透過した光のうち、照明光の集光の不完全さによって撮像部位の撮影範囲に至る一部の光は、被写体表面の微細な凹凸構造で様々な方向へ反射し、一部が撮影部に向かう不要反射光となる。この不要反射光の偏光方向が、被写体表面で反射しただけで90度変化することはほぼないため、不要反射光を第1偏光フィルタによって大幅に低減できる。
この場合、好ましくは、照明部と撮像部とは、照明部の光軸と撮像部の光軸とが撮像部位の表面に対して単一の入射面を形成するように配置され、第1偏光フィルタは、入射面に対してP偏光となる偏光角に設定され、第2偏光フィルタは、入射面に対するS偏光となる偏光角に設定されている。このように構成すれば、S偏光の光を照射し、P偏光の光を受光する直交ニコル撮影が実現される。ここで、S偏光とP偏光とを比較すると、電磁波としての光の物理的な振る舞いに従って、垂直入射よりも浅い入射角においてP偏光の反射率の方がS偏光の反射率よりも小さくなる。そのため、S偏光とした照明光に僅かに含まれるP偏光成分が被写体表面で散乱反射する反射光の発生を、効果的に抑制できるので、P偏光の光についての表面反射の影響を効果的に抑制できる。なお、撮像部位の表面で散乱反射されたS偏光は、第1偏光フィルタによって除去されるが、たとえばリング照明のように、様々な方向から撮像部位に照明光を照射する場合、照射方向の相違により、光源が形成する個々の入射面に対して必ずしもS偏光とならないために第1偏光フィルタによっても設計通りには反射光を除去できない。これに対して、上記構成によれば、照明部と撮像部とが単一の入射面を形成することによって、照明光を確実にS偏光としつつ撮影を確実にP偏光に限定する直交ニコル撮影が可能となるので、表面反射の影響を確実に低減できる。
なお、「入射面」とは、光線が別の物質(被写体)に入射するとき、反射面(撮像部位の表面)に垂直で、かつ、入射光線と反射光線とを含む面のことである。「S偏光の光」とは、その光の偏光成分のうちS偏光成分が大部分であることを意味し、S偏光成分のみを含むことには限定されない。同様に、「P偏光の光」とは、その光の偏光成分のうちP偏光成分が大部分であることを意味し、P偏光成分のみを含むことには限定されない。
上記第1偏光フィルタが入射面に対してP偏光となる偏光角に設定され、第2偏光フィルタが入射面に対するS偏光となる偏光角に設定される構成において、好ましくは、照明部は、照明部の光軸と撮像部の光軸とのなす角が、60度以上90度未満の所定角度となるように設けられている。ここで、皮膚の屈折率を水と同等と仮定した時、空気と皮膚との界面(反射面)におけるP偏光の反射率は、入射角が30度以上の範囲において顕著に減少する。そのため、上記構成によれば、撮像部の光軸を撮像部位の表面に対して法線方向に向けて撮影するだけで、撮影対象の表面が平らな場合には反射光が大きく撮影光軸から外れ、撮影対象の表面の一部分が撮影光軸に対して傾斜している場合でも、反射光が撮影光軸付近に戻る際の微視的な入射角が30度以上となるために反射光の照明光に僅かに含まれるP偏光成分の反射率をゼロに近づけることができる。その結果、照明光の表面反射の影響をより一層効果的に抑制できる。
上記第1偏光フィルタが入射面に対してP偏光となる偏光角に設定され、第2偏光フィルタが入射面に対するS偏光となる偏光角に設定される構成において、好ましくは、照明部は、入射面内で、撮像部の光軸に対して一方側または他方側となる位置に1つ設けられるか、または、一方側と他方側との両方に1つずつ設けられる。このように構成すれば、単一の入射面内で、撮像部位に対して、照明光を一定の入射角で照射可能な構成を実現できる。このため、照明光の照射角度を、容易に、P偏光の反射率を効果的に低減可能な入射角に対応させることができる。また、照明部を、撮像部の光軸に対して一方側と他方側との両方に1つずつ設ける場合、照明光の表面反射の影響を効果的に抑制しつつ、撮像部位に照射する光量を容易に増大させることができる。
上記一の局面による撮像装置において、好ましくは、撮像部の受光面に撮像部位に対する拡大像を結像するレンズ部をさらに備え、遮光部は、照明部から出射され、被写体表面における撮像部による撮影範囲に向かう光を遮蔽する遮光壁を備える。このように構成すれば、照明部から出射され撮像部位の直上表面である撮影範囲に向かう光を、遮光壁によって排除できる。また、照明部から出射され、近傍点における被写体表面で反射されて撮像部に向かう光も、遮光壁によって遮り排除できる。これにより、表面反射によって撮像に影響しうる不要光を、被写体表面で反射される前または反射された後に排除できる。そして、撮像部位の近傍点に照射され、被写体表面下の内部を拡散伝搬して撮像部位に至り、散乱により被写体表面から放出される経路を進む光は、遮光壁に遮られることなく被写体表面から放出され、撮像部によって受光できる。この結果、撮像すべき光を減衰させることなく、不要反射光の影響を効果的に低減できる。
この場合、好ましくは、撮像部を保持し、被写体と接触して、撮像部の光軸が撮像部位の表面に対する法線方向に沿う向きとなるよう撮像部を撮像部位に対して位置決めする保持部をさらに備え、保持部が遮光壁を含む。このように構成すれば、保持部を被写体表面に接触させるだけで、容易に、撮像部および照明部の各光軸と、反射面(撮像部位の表面)とを所望の位置関係になるよう位置合わせでき、かつ不要光の遮光を行うことができる。
上記一の局面による撮像装置において、好ましくは、撮像部位は、ヒトの皮下組織である。このように構成すれば、ヒトの皮膚を透過した皮下組織画像が得られる。なお、ヒトの皮膚は、微小で不規則な凹凸を有しているため表面反射の影響が大きく、表面反射の影響を除去するには、屈折率を合わせたオイルなどを皮膚表面に塗布して凹凸をなくす手法がある。しかし、オイルは撮像部位に均一に塗布する必要があるため難度が高く、塗布作業および撮像後の除去作業には手間がかかるというデメリットが存在する。これに対して、本発明によれば、撮像部位の表面を照明するのではなく部位の近傍点から照明光を入射し、皮下の内部伝搬光によって撮像部位を照明するので、原理的に皮膚表面による表面反射の影響がなく、さらに撮像部位の表面に照明光が至った場合でも表面反射の影響が低減されるので、オイルの塗布を要することなく、高い視認性を有する皮下組織画像を提供できる。
上記一の局面による撮像装置において、好ましくは、撮像部位は、皮下の毛細血管である。このように構成すれば、皮膚表面による表面反射の影響を効果的に抑制して、高い視認性を有する毛細血管画像を提供できる。毛細血管は微小であるため、明瞭に撮影することが難しいが、上記構成によって、明瞭な毛細血管画像を容易に得られる。
本発明によれば、上記のように、表面反射の影響および装置内部での反射の影響により画像中の撮像対象の視認性が低下するのを抑制することが可能な撮像装置を提供することができる。
第1実施形態による撮像装置を模式的に示した正面図である。 第1実施形態による撮像装置を模式的に示した側面図である。 照明部および撮像部の各光軸と、撮像部位の表面と、入射面との関係を説明するための模式図である。 皮膚の微視的な凹凸による照明光の反射状況を説明する模式図である。 皮膚表面に入射する場合のS偏光およびP偏光の入射角と反射率との関係を示したグラフである。 被写体としてヒトの手指の先端部を撮像する場合の、撮影範囲の一例を説明するための模式図である。 撮像時に照明部から照射される光と、撮像部において受光される光とを説明するための模式図である。 撮像部位として皮下の毛細血管を撮像した場合の画像の一例を示した模式図である。 第2実施形態による撮像装置の構成を示した模式図である。 第3実施形態による撮像装置の構成を示した模式図である。 第3実施形態による撮像装置の模式的な側面図である。 第4実施形態による撮像装置を示した模式図である。 第4実施形態における撮像時に照明部から照射される光と、撮像部において受光される光とを説明するための模式図である。 第4実施形態における遮光壁の形状の一例を説明するための模式的な平面図である。 変形例による撮像装置を示した模式図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1~図8を参照して、第1実施形態による撮像装置100の構成について説明する。撮像装置100は、被写体1の表面2下(被写体1の内部)の撮像部位3を撮像することが可能な装置である。撮像装置100は、被写体1の表面2下の撮像部位3を、被写体1の外部から、非侵襲で、光学的に撮影し、撮像部位3の画像25を生成する。被写体1の物性にもよるが、撮像装置100は、被写体1の表面2下のごく浅い位置(表面付近)にある撮像部位3を撮像する。
被写体1の表面2は、外部との界面を構成する。通常の使用態様において、被写体1の外部は、空気で満たされている。被写体1の少なくとも表面2は、空気とは異なる屈折率を有している。そのため、被写体1の表面2に照射される光の一部は表面2を透過し、他の一部は表面2で散乱反射する。そのため、通常、被写体1を外部から観察する場合、主として被写体1の表面2が視認でき、表面2下の構造(撮像部位3)は略視認できない。第1実施形態による撮像装置100は、この被写体1の表面2における散乱反射の影響を抑制して、表面2下にある撮像部位3を外部から撮影可能とするように構成されている。
このように、第1実施形態の撮像装置100は、通常、表面2の散乱反射の影響により外部から視認(撮像)できない対象を撮像部位3とする場合に好適である。たとえば、撮像部位3は、ヒトの皮下組織である。一例として、撮像部位3は、皮下の毛細血管である。被写体1は、ヒトの指(特に手指)、頭部、口内、舌部などでありうる。
図1および図2に示すように、撮像装置100は、照明部10(図1参照)と、撮像部20と、遮光部30と、を備える。また、第1実施形態では、撮像装置100は、レンズ部40と、保持部50(図2参照)とを、さらに備えている。第1実施形態では、遮光部30は、第1偏光フィルタ31と、第2偏光フィルタ32とを含む。
撮像装置100の各部を機能に従って分類すると、撮像装置100は、撮像部位3に照明光を照射する照明系として、照明部10および第2偏光フィルタ32を含み、撮像部位3からの光を受光する受光系として、撮像部20、第1偏光フィルタ31およびレンズ部40を含む。第1実施形態の撮像装置100は、レンズ部40によって撮像部位3の拡大像(顕微鏡画像)を生成するマイクロスコープである。照明系および受光系を構成する各部は、筐体60内に設けられている。
(照明系)
図1に示すように、照明部10は、撮像部20の光軸21に対して斜め方向から、被写体表面2における撮像部位3の近傍点Kに光(照明光)を照射し、近傍点Kに照射された光が被写体表面2下の内部を拡散伝搬して撮像部位3に至るように構成されている。照明部10は、いわゆる側射照明を行う。なお、照明部10が近傍点Kに光を照射するとは、照明部10の光軸11と、被写体表面2との交点が、近傍点Kであることを意味する。
近傍点Kに入射した光は、一部が被写体表面2で反射し、一部が被写体表面2で様々な方向に屈折して入射し、被写体1の内部の構造に従って様々な方向に散乱しながら伝搬し、一部が吸収減衰し、さらに一部が撮像部位3に至る。
第1実施形態では、照明部10は、入射面70に垂直なS偏光の光90を出射するように構成されている。図3に示すように、入射面70は、撮像部位3の表面2である反射面に垂直で、かつ、入射光線(照明部10の光軸11)と反射光線(撮像部20の光軸21)とを含む面のことである。S偏光の光90は、直線偏光であって、電磁波としての光の電界成分が入射面70に垂直な光である。これに対して、光の電界成分が入射面70に平行な光が、P偏光である。
図1に戻り、照明部10は、光源12を含み、光軸11に沿って光を出射する。照明部10の光軸11上に、第2偏光フィルタ32が配置されている。光源12はS偏光成分およびP偏光成分の両方を含む光を出射する。S偏光成分およびP偏光成分の両方を含む光は、具体的には非偏光(偏光していない)である。光源12は、LED(発光ダイオード)である。光源12は、たとえば白色LEDであり、人間や撮像素子に白色として観察されるような可視波長領域の全体にわたる分光スペクトルの光を出射する。これにより撮像部20において撮像部位3のカラー画像が生成できる。なお、光が皮下を拡散伝搬する場合、短波長(青い)ほど吸収減衰が大きいため、減衰を考慮して画像中の青色成分を強調(カラーバランスを調整)するような画像補正処理が行われてもよいし、相対的に短波長の強度が高い分光スペクトル特性を有する光源12を用いてもよい。
第2偏光フィルタ32は、第1偏光フィルタ31と組み合わせて、第1実施形態の遮光部30を構成する。第2偏光フィルタ32は、光源12から出射される光の光路(光軸11)上に配置されている。第2偏光フィルタ32は、入射した光のうち、特定方向の直線偏光を透過し、その他の方向の偏光を遮断する。第2偏光フィルタ32は、第1偏光フィルタ31の偏光角と直交する偏光角に設定されている。具体的には、第2偏光フィルタ32は、透過する直線偏光の方向(偏光角)が、入射面70に垂直になるように、光軸11周りの回転方向が調整されている。これにより、第2偏光フィルタ32は、入射面70に垂直なS偏光の光90を透過するように構成されている。つまり、S偏光の光90は、偏光の向きが図1の紙面に垂直な方向となる。
このように、照明部10は、非偏光の光源12と、S偏光の光90を透過する第2偏光フィルタ32とにより、撮像部位3の表面上の近傍点Kに対して、入射面70に垂直なS偏光の光90を出射する。近傍点Kは撮像部20による撮影範囲A(図3参照)の外側であって、撮影範囲Aに隣接するポイントである。近傍点Kと撮影範囲Aとの距離は、近傍点Kに照射された光90が被写体表面2下の内部を拡散伝搬して撮像部位3に至ることが可能であればよく、近傍点Kが撮影範囲Aと接することなく離れていてもよい。
また、第1実施形態では、図1に示すように、照明部10は、撮像部位3の近傍点Kに集光する集光レンズ14を含む。集光レンズ14は、照明部10の光軸11上で、第2偏光フィルタ32と近傍点Kとの間に配置されている。集光レンズ14は、第2偏光フィルタ32を透過したS偏光の光を集光し、近傍点Kにおいて集光スポット(撮影範囲Aを覆う程度の広さを持つ狭い光照射領域)を形成するように構成されている。光源12が、発光指向性を制御するためのレンズを一体的に備えている場合には、集光レンズ14に代えて拡散する光束を制限する部材を代用しても良い。集光スポットは、撮影範囲Aとは重ならないように形成されうる。
照明部10(光源12および集光レンズ14)と、第2偏光フィルタ32とは、筐体60内に固定状態で設けられている。照明部10を、筐体60とは別の照明用筐体内に収容し、この照明用筐体を筐体60に取り付けてもよい。
図3に示したように、撮影時には、撮影範囲Aの近傍点Kに集光されたS偏光の光90の一部は、皮膚の表面2で散乱反射する。この散乱反射した光を、反射光91と呼ぶ。集光されたS偏光の光90の他の一部は、皮膚の表面2を透過して皮下の撮像部位3に到達する。皮下に進入した光93は、吸収されるか、または多重散乱を経て皮膚の表面2から放出される。この皮下に進入してから放出される光を、放出光92と呼ぶ。放出光92の一部は、多重散乱の過程で、偏光方向が変化する。したがって、放出光92には、S偏光成分と、P偏光成分とが含まれる。
(受光系)
撮像部20は、半透明の被写体表面2下に存在する撮像部位3からの光を受光することにより画像信号を生成するように構成されている。つまり、撮像部20は、上記の放出光92の一部を受光することにより、撮像部位3の画像25(図1参照)を生成する。
図1に示すように、撮像部20は、イメージセンサ22と、インターフェース部23とを含む。イメージセンサ22は、たとえば、CMOS(Complementrary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどの半導体イメージセンサである。イメージセンサ22は、受光面において縦横に配列された複数の画素を有し、画素毎に受光量に応じた電気信号を生成することにより、受光面に結像された像を画像化する。イメージセンサ22が生成する画像25は、単色(モノクロ)画像または複数色のカラー画像でありうる。第1実施形態では、イメージセンサ22は、カラー画像を生成する。インターフェース部23は、有線または無線により外部機器と通信可能に接続される。インターフェース部23は、イメージセンサ22により生成された画像25のデータを外部機器に出力する。外部機器は、表示装置、PC(パーソナルコンピュータ)などでありうる。撮像部20は、たとえば、所定のフレームレートで撮像(画像信号の読み出し)を行い、インターフェース部23を介して接続された外部表示装置500に画像25を逐次更新表示(動画像表示)させることが可能である。
遮光部30を構成する第1偏光フィルタ31は、撮像部20の光軸21上に配置されている。第1偏光フィルタ31は、レンズ部40の後述する対物レンズ41と結像レンズ42との間の位置に配置されている。上記の通り、第1偏光フィルタ31の偏光角は、第2偏光フィルタ32の偏光角と直交する。具体的には、第1偏光フィルタ31は、入射面70に平行なP偏光の光92pを透過するように構成されている。すなわち、第1偏光フィルタ31は、入射した光のうち、特定方向の直線偏光を透過し、その他の方向の偏光を遮断する。第1偏光フィルタ31は、透過する直線偏光の方向が、入射面70に平行になるように、光軸21周りの回転方向が調整されている。これにより、第1偏光フィルタ31は、入射面70に平行なP偏光の光92pを透過し、S偏光の光を遮断する。図1の例では、P偏光の光92pは、偏光の向きが図1の紙面に平行な方向となる。
なお、第1偏光フィルタ31の配置位置は、対物レンズ41と結像レンズ42との間に限らず、イメージセンサ22と結像レンズ42との間や、対物レンズ41の外側(被写体表面2側)であっても良い。
レンズ部40は、撮像部20の光軸21上に配置されている。レンズ部40は、撮像部20の受光面に拡大像を結像するように構成されている。第1実施形態では、レンズ部40は、被写体1側の対物レンズ41と、撮像部20側の結像レンズ42とを含む、いわゆる無限補正光学系を構成する。
対物レンズ41は、撮像部位3の表面2と対向し、表面2から放出された放出光92が対物レンズ41に入射する。対物レンズ41は、結像レンズ42(第1偏光フィルタ31)に向けて通過した光を平行光にする。このため、第1偏光フィルタ31には、平行光となった放出光92が入射する。結像レンズ42は、対物レンズ41および第1偏光フィルタ31を通過した光を集光し、撮像部20の受光面に結像させる。これにより、撮像部20は、図2に示すように、対物レンズ41の焦点距離f1と結像レンズ42の焦点距離f2との比(f2/f1)である所定倍率で撮像部位3を撮像する。結像レンズ42には、第1偏光フィルタ31に入射した光(放出光92)のうちのP偏光成分(光92p)が入射し、放出光92の内のS偏光成分は略入射しない。このため、撮像部20は、実質的に、放出光92のうちのP偏光成分(光92p)のみを画像化する。
イメージセンサ22、結像レンズ42および第1偏光フィルタ31は、筐体60内に固定状態で設けられている。対物レンズ41は、可動機構65を介して、光軸21に沿って移動可能な状態で、筐体60内に設けられている。可動機構65は、たとえば、ねじ送り機構などの精密直動機構である。可動機構65により対物レンズ41を光軸21に沿って移動させることにより、焦点位置(作動距離WD(ワーキングディスタンス))が調整できる。対物レンズ41の移動は、使用者が可動機構65を操作することによる手動でもよいし、可動機構65にモータなどを設けて電動化(自動化)してもよい。
(遮光部)
図1に示すように、遮光部30は、撮像部位3の上方の被写体表面2に対して照明部10から直接照射され、被写体表面2で反射して撮像部20に入射する光を排除するように構成されている。第1実施形態では、遮光部30は、上記の通り第1偏光フィルタ31および第2偏光フィルタ32を含む。これにより、遮光部30は、直交ニコル撮影を可能とする。すなわち、図3に示したように、照明部10から照射されて第2偏光フィルタ32を通過したS偏光の光90のうち、被写体表面2下における拡散伝搬の際の多重散乱により偏光方向が90度変化してP偏光となった放出光92が、第1偏光フィルタ31を通過できる。遮光部30は、第1偏光フィルタ31により、S偏光を維持したまま被写体表面2で反射して対物レンズ41に入射した光を排除する。
(保持部)
保持部50は、筐体60(撮像部20)を保持し、被写体1と接触する。これにより、保持部50は、撮像部位3の表面2に対する撮像部20の相対位置および向きを決める。保持部50は、撮像部20の光軸21が撮像部位3の表面2に対する法線方向に沿う向きとなるよう撮像部20を撮像部位3に対して位置決めするように構成されている。図1および図2の例では、被写体1として手指の先端部を撮像する場合を示しており、保持部50は、被写体1が載置される載置台51を含む。そして、保持部50は、載置台51に対して上方(法線方向)の所定位置に対物レンズ41が配置されるように、載置台51と筐体60とを接続する接続部52(図2参照)を含む。これにより、撮像部位3の表面2に対する光軸21の方向が、表面2の法線方向となるように略一定に保たれる。また、対物レンズ41と表面2との作動距離WDが、概ね対物レンズ41の焦点位置に表面2が配置されるように保たれる。被写体1(手指の先端部)の厚みには個人差があるので、可動機構65によって、対物レンズ41と表面2との作動距離WDが微調整される。
なお、各図において、レンズ部40の対物レンズ41および結像レンズ42や、照明部10の集光レンズ14を、模式的に単レンズ(単一レンズ)として図示しているが、これらの各レンズは、撮像性能改善を目的とする光学収差補正のために複数枚のレンズを組み合わせた複合レンズでありうる。
(撮像部と照明部との位置関係)
図3に示したように、第1実施形態では、照明部10と撮像部20とは、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21とが撮像部位3の表面に対して単一の入射面70を形成するように配置されている。言い換えると、照明部10と撮像部20とは、同一平面(入射面70)内に配置されており、入射面70の外部には配置されていない。また、照明部10はリング照明を含まない。リング照明の場合には多数の入射面が形成されるためである。なお、リング照明とは、複数の光源が撮像部20の光軸21を中心に周方向に(リング状に)配列される構造である。
上述の通り、入射面70は、反射面に垂直で、かつ、入射光線(照明部10の光軸11)と反射光線(撮像部20の光軸21)とを含む面のことである。反射面は、撮像部位3付近の被写体表面2である。S偏光の光90は、直線偏光であって、光の電界成分が入射面70に垂直な光である。P偏光の光92p(図1参照)は、直線偏光であって、光の電界成分が入射面70に平行な光である。なお、同軸落射照明のように、反射面(撮像部位3の表面2)に対して光が垂直に入射する時(入射角=0度のとき)、入射面が定義できないため、S偏光、P偏光の区別は存在しない。
第1実施形態では、照明部10および撮像部20は、光軸11および光軸21の位置および方向の関係が一定に維持されるように、筐体60に固定されている。
撮像時において、撮像部20の光軸21は、載置台51上に被写体1が配置されることによって、反射面(被写体表面2)の法線方向を向くように位置決めされる。照明部10は、照明部10の光軸11が撮像部20の光軸21に対して所定角度で交差するように、筐体60に設けられている。第1実施形態において、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21とのなす角θは、一定である。撮像部20の光軸21が反射面(被写体表面2)と直交するので、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21とのなす角θは、撮像部位3の表面2に対する照明部10の照明光(光90)の入射角である。なお、光軸同士の交差点は皮下の位置になるため、図3では、便宜的に、角θを、光軸21に平行な軸線Axと、光軸11とのなす角として図示している。
第1実施形態では、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21とのなす角θが、S偏光の第2偏光フィルタ32を透過した光90に僅かに含まれるP偏光成分の影響を抑制可能な角度に設定されている。具体的には、照明部10は、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21とのなす角θが、60度以上90度未満の所定角度となるように設けられている。図1および図3は、角θが60度に設定された例を示す。
工業製品とは異なり人体の皮膚のような自然の観察対象の場合、被写体表面2を微視的に拡大観察すると、全くの平面ではなく、凹凸があって、部分部分で異なる傾斜角度を持つ面の集合になっている。図4は、被写体表面2に微視的に含まれる傾斜0度の面2a、傾斜15度の面2b、傾斜30度の面2c、傾斜45度の面2dを模式的に示している。傾斜角度は、撮像部20の光軸21に対して垂直な反射面を0度としたものである。被写体表面2において、照明部10からの光90は、微視的な面2a~2dの各々に対して、光軸11に沿った一様な角度で入射する。
傾斜の無い面2aで反射する反射光91は、30度の方向に進むため、対物レンズ41に入射せず撮影に影響しない。傾斜15度の面2bで反射する反射光91は、60度の方向に進み、同じく対物レンズ41に入射しないため撮影に影響しない。一方、ちょうど入射角60度の半分の傾斜30度の面2cで反射する反射光91は、90度の方向に進み、撮像部20の光軸21と平行になるため、撮影に影響する。厳密には、反射点と光軸21の位置関係によって撮影に影響する角度は必ずしも光軸21と平行では無いが、ここでは基本概念の説明のために厳密性を追求しない。傾斜45度の面2dで反射する反射光91は、120度の方向に進み、対物レンズ41に入射しないため撮影に影響しない。このように被写体1の表面2の微視的な凹凸に依存する面の傾斜角に依存して、照明光90の入射角(角θ)の略半分の傾斜角を持つ面による反射光が撮影に影響する。
図5に、入射側(空気)の屈折率n=1.00、透過側(皮膚)の屈折率n=1.33の条件下で、S偏光およびP偏光の各々の入射角(度;横軸)に対する反射率(%;縦軸)のグラフを示す。なお、皮膚の屈折率nの値は、水の屈折率で近似できる。図5のグラフから、0度<θ<90度までの全ての入射角範囲において、P偏光の反射率が、S偏光の反射率よりも小さくなることが分かる。したがって、第1実施形態の側射照明では、P偏光の反射率がS偏光の反射率よりも小さい。そして、S偏光の反射率は、入射角の増大に従って単調増加するのに対して、P偏光の反射率は、ブリュースター角β(約53度)に近付くに従って減少する。図5のグラフから分かるように、30度付近から顕著にP偏光の反射率が下がり始め、40度以上60度以下の範囲で、反射率が0%に近付く。このため、撮影に影響を及ぼす反射光を生じる際の微視的な面の傾斜が30度以上、好ましくは40度以上であれば、反射光に含まれるP偏光成分を顕著に減少させることができる。すなわち、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21とのなす角θ(入射角)が、60度以上の所定角度においては、微視的に傾斜30度未満の斜面の影響は受けず、かつ傾斜30度付近の傾斜を伴う斜面からの反射の影響を受けるが、P偏光の反射率が顕著に少なくなっているために、撮影への影響が小さくなる。
なお、照明部10は、入射面70内で、撮像部20の光軸21に対して一方側または他方側となる位置に1つ設けられるか、または、一方側と他方側との両方に1つずつ設けられる。第1実施形態では、照明部10は、入射面70内で、撮像部20の光軸21に対して一方側(図1の左側)に1つ設けられている。照明部10は、入射面70内で、撮像部20の光軸21に対して他方側(図1の右側)に1つ設けられていてもよい。
(撮像部位)
次に、撮像装置100による撮像部位3について具体的に説明する。一例では、上記の通り、被写体1がヒトの手指の先端部である。そして、撮像部位3が皮下組織である毛細血管である。図6に示すように、手指の先端部の上面には、爪体4と、爪廓(そうかく)5と、がある。爪廓5には、爪体4の根元部分を覆う後爪廓5aと、爪体4の両側方の縁部に沿う一対の側爪廓5bと、が含まれる。後爪廓5aは、手指の表皮の先端エッジ部分であり、皮下のごく浅い範囲に多くの毛細血管が存在し、かつ、毛細血管がエッジで折り返すように延びることから、毛細血管の撮像部位3として好適である。
撮像装置100は、後爪廓5aの一部を含む撮影範囲Aの撮影を行う。撮影範囲Aは、たとえば1辺(または直径)が約1mmから数mmの領域である。一例として、撮影範囲Aは、たとえば1.00mm×0.75mmの矩形領域として設定される。このように、第1実施形態では、撮像装置100が微小な撮影範囲Aを撮影するマイクロスコープであるので、照明光の入射点が撮像部20の光軸21から離れた近傍点Kであっても、光が皮下内部を進まなければならない到達距離が十分に小さく、光の減衰が小さいために、十分に照明として機能する。
(撮像時の流れ)
撮像時は、図1に示したように、撮影範囲Aに後爪廓5a(図6参照)の部分が位置するように、載置台51に手指の先端が載置される。
撮像装置100は、照明部10により照明光を照射しつつ、撮像部20により画像25を生成して、外部表示装置500に出力する。使用者は、外部表示装置500に表示された画像25を確認しつつ、可動機構65により、対物レンズ41を光軸21に沿って移動させ、焦点位置の微調整を行う。
図7に示すように、照明部10は、S偏光の光90を近傍点Kに照射する。ただし、実際には、第2偏光フィルタ32によっても、完全なS偏光が形成できるわけではない。そのため、照明部10からのS偏光の光90は、S偏光が支配的であるものの、P偏光成分を僅かに含む。
撮像部位3の直上の被写体表面2に照射されたS偏光の光90のうち、一部は被写体表面2で反射して反射光91となる。反射光91のうち、大部分(正反射光91a)は被写体表面2で正反射して、受光系に入射しない。
被写体表面2で散乱反射した反射光の内、照明光の入射角(角θ)の略半分の角度の傾斜をもつ微視的な面(図4の面2c)による反射光は、反射の法則に従い、光軸21に近い方向に進み、受光系に入射する表面散乱光91bとなる。しかし、反射面である表面2に対する入射角が60度以上に設定されているため、表面散乱光91bの局所的な反射角が30度以上になり、図5に示されるように反射光に含まれるP偏光成分が顕著に小さくなる。そのため、表面散乱光91bの大半がS偏光成分となって、偏光方向が直交するP偏光の第1偏光フィルタ31によって遮断されるため、撮像部20に受光されない。つまり、正反射光91aおよび表面散乱光91bのいずれの反射光91も、実質的にS偏光成分のみとなり、撮像部20による撮像への影響が排除される。
このように第1偏光フィルタ31と第2偏光フィルタ32の組合せによって、近傍点Kに入射して内部拡散伝搬によって成立する撮像部位3への照明に対する、不要光(表面反射)の遮光機能が実現する。なお、照明光の集光の不完全さによって撮像部位3の撮影範囲Aに至る一部の光についても、正反射光94aと表面散乱光とを生じる。正反射光94aは正反射光91aと同様に受光系に入射しない。撮影範囲Aにおける表面散乱光のうち、光軸21に沿って進む表面散乱光94bは、表面散乱光91bと同様に実質的にS偏光成分のみとなり、第1偏光フィルタ31によって撮像への影響が排除される。
S偏光の光90のうち、反射光91以外の他の一部は被写体表面2の近傍点Kで屈折しつつ透過して皮下に進入する。皮下に進入した光93は、吸収されるか、または多重散乱を経て皮膚の表面2から放出される。多重散乱により、放出光92には、S偏光成分(光92s)と、P偏光成分(光92p)とが含まれる。この放出光92(光92p、光92s)が、対物レンズ41(図1参照)を通過して、第1偏光フィルタ31に入射する。
第1偏光フィルタ31は、入射した放出光92のうち、S偏光成分(光92s)を遮断し、P偏光成分(光92p)を透過させる。第1偏光フィルタ31を透過したP偏光成分(光92p)が、結像レンズ42により撮像部20(イメージセンサ22)の受光面に結像し、画像化される。図8は、撮像部位3である毛細血管の画像25の模式図を示す。第1実施形態の撮像装置100は、上記の構成により、皮膚の表面(被写体表面2)を透過して、皮下の毛細血管像25aを明瞭に画像化することができる。図8では、後爪廓5aにおいて毛細血管が折り返されてUターンする毛細血管像25aが写っている例を模式的に示している。このように、第1実施形態では、表面反射の影響を抑制するためのオイル塗布を行うことなく、毛細血管像25aが明瞭に写る画像25を撮像できる。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態による撮像装置100では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、撮像部20の光軸21に対して斜め方向から、被写体表面2における撮像部位3の近傍点Kに光90を照射し、近傍点Kに照射された光90が被写体表面2下の内部を拡散伝搬して撮像部位3に至るように構成された照明部10と、撮像部位3の上方の被写体表面2に対して照明部10から直接照射され、被写体表面2で反射して撮像部20に入射する光(反射光91)を排除するように構成された遮光部30と、を設ける。これにより、被写体表面2における撮像部位3の直上位置に光90が直接照射されるのではなく、被写体表面2における撮像部位3の近傍点Kに向けて、斜め方向から光90が照射される。その結果、撮像部位3の直上表面において反射される光量を効果的に低減できる。また、照明部10から出射された光90の一部が撮像部位3の直上表面(撮影範囲A)に到達する場合でも、斜め方向から光90が照射されるため、大部分の反射光(正反射光94a)は受光経路から外れて撮像部20に受光されずに済む。さらに、遮光部30を設けることにより、照明部10から出射され、被写体表面2で反射して撮像部20の受光経路に沿って進む一部の光(表面散乱光91b)を、撮像部20に受光させることなく排除できる。また、いわゆる同軸落射の構成とは異なり、照明部10から撮像部位3までの光路と撮像部位3から撮像部20までの光路とを異ならせることができるので、照明部10から撮像部位3までの光路上で内部反射が発生しても、その反射光が撮像部20に受光されることも回避できる。以上のようにして表面反射や内部反射による不要光が撮像部20に受光されることを抑制できる。その上で、撮像部位3の近傍点Kに照射され、被写体表面2下の内部を拡散伝搬して撮像部位3に至る光93が、散乱により被写体表面2から放出され、放出された光92(92p)が撮像部20によって受光されることにより、撮像部位3が撮像される。つまり、撮像部位3の直上表面に直接照射した光ではなく、撮像部位3の近傍点Kに照射した光90を用いることにより、上記した不要光(正反射光91a、94a、表面散乱光91b、94b、内部反射光)を排除しつつ撮像部位3を撮像できる。これらの結果、表面反射の影響および装置内部での反射の影響により画像中の撮像対象の視認性が低下するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、撮像部20の受光面に撮像部位3に対する拡大像を結像するレンズ部40をさらに備え、照明部10は、撮像部位3の近傍点Kに集光する集光レンズ14を含み、遮光部30は、撮像部20の光軸21上に配置された第1偏光フィルタ31と、照明部10の光軸11上に配置され第1偏光フィルタ31の偏光角と直交する偏光角に設定された第2偏光フィルタ32とを含む。これにより、照明部10から出射され第2偏光フィルタ32の偏光角に一致した光90が撮像部位3近傍の表面を透過して、内部を拡散伝搬して表面下の撮像部位3によって散乱し、撮像部位3の表面から放出される過程で偏光方向が第1偏光フィルタ31の偏光角に一致するように変化した(90度変化した)場合に、この偏光方向が一致した光92pが第1偏光フィルタ31を透過することで画像化される。この際、第2偏光フィルタ32を透過した光90のうち、照明光の集光の不完全さによって撮像部位3の撮影範囲Aに至る一部の光は、被写体表面2の微細な凹凸構造で様々な方向へ反射し、一部が撮像部20に至る不要反射光(表面散乱光94b)となる。この不要反射光の偏光方向が、被写体表面2で反射しただけで90度変化することはほぼないため、不要反射光を第1偏光フィルタ31によって大幅に低減できる。
また、第1実施形態では、上記のように、照明部10と撮像部20とは、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21とが撮像部位3の表面2に対して単一の入射面70を形成するように配置され、第1偏光フィルタ31は、入射面70に対してP偏光となる偏光角に設定され、第2偏光フィルタ32は、入射面70に対するS偏光となる偏光角に設定されている。図5に示した通り、S偏光とP偏光とを比較すると、電磁波としての光の物理的な振る舞いに従って、垂直入射よりも浅い入射角においてP偏光の反射率の方がS偏光の反射率よりも小さくなる。そのため、S偏光とした照明光(光90)に僅かに含まれるP偏光成分が被写体表面2で散乱反射する反射光の発生(表面散乱光91bに含まれるP偏光成分の発生)を、効果的に抑制できるので、P偏光の光についての表面反射の影響を効果的に抑制できる。なお、撮像部位3の表面で散乱反射されたS偏光は、第1偏光フィルタ31によって除去されるが、たとえばリング照明のように、様々な方向から撮像部位3に照明光を照射する場合、照射方向の相違により、光源が形成する個々の入射面70に対して必ずしもS偏光とならないために第1偏光フィルタ31によっても設計通りには反射光を除去できない。これに対して、第1実施形態によれば、照明部10と撮像部20とが単一の入射面70を形成することによって、照明光を確実にS偏光としつつ撮影を確実にP偏光に限定する直交ニコル撮影が可能となるので、表面反射の影響を確実に低減できる。
また、第1実施形態では、上記のように、照明部10は、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21とのなす角が、60度以上90度未満の所定角度となるように設けられている。図5に示したように、空気と皮膚との界面(反射面)におけるP偏光の反射率は、入射角が30度以上の範囲において顕著に減少する。そのため、撮像部20の光軸21を撮像部位3の被写体表面2に対して法線方向に向けて撮影するだけで、図4に示したように、被写体表面2が平らな場合には反射光が大きく撮像部20の光軸21から外れ、被写体表面2の一部分が光軸21に対して傾斜している場合でも、反射光91が光軸21付近に戻る際の微視的な入射角が30度以上となるために、照明光に僅かに含まれるP偏光成分の反射率をゼロに近づけることができる。その結果、照明光の表面反射の影響をより一層効果的に抑制できる。
また、第1実施形態では、上記のように、照明部10は、入射面70内で、撮像部20の光軸21に対して一方側または他方側となる位置に1つ設けられる。これにより、単一の入射面70内で、撮像部位3に対して、照明光を一定の入射角で照射可能な構成を実現できる。このため、照明光の照射角度を、容易に、P偏光の反射率を効果的に低減可能な入射角に対応させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、撮像部位3は、ヒトの皮下組織である。これにより、ヒトの皮膚を透過した皮下組織画像が得られる。そして、撮像部位3の表面を照明するのではなく撮像部位3の近傍点Kから照明光を入射し、皮下の内部伝搬光(光93)によって撮像部位3を照明するので、原理的に皮膚表面による表面反射の影響がなく、さらに撮像部位3の表面に照明光(光90)が至った場合でも表面反射の影響が低減されるので、オイルの塗布を要することなく、高い視認性を有する皮下組織画像を提供できる。
また、第1実施形態では、上記のように、撮像部位3は、皮下の毛細血管である。これにより、皮膚表面による表面反射の影響を効果的に抑制して、高い視認性を有する毛細血管画像を提供できる。毛細血管は微小であるため、明瞭に撮影することが難しいが、上記構成によって、明瞭な毛細血管画像を容易に得られる。
[第2実施形態]
図9を参照して、第2実施形態による撮像装置200の構成について説明する。第2実施形態では、照明部10を、入射面70内で、撮像部20の光軸21に対して一方側(または他方側)に1つ設けた上記第1実施形態とは異なり、入射面70内で、撮像部20の光軸21に対して一方側と他方側との両方に照明部10を設ける例を示す。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、上記第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図9に示すように、第2実施形態の撮像装置200は、複数の照明部10を備えている点で上記第1実施形態と異なる。具体的には、照明部10は、入射面70内で、撮像部20の光軸21に対して一方側(図9の左側)と他方側(図9の右側)との両方に1つずつ(合計2つ)設けられている。一方側の照明部を照明部10aとし、他方側の照明部を照明部10bとする。
第2実施形態では、複数の照明部10(照明部10a、照明部10b)および撮像部20は、照明部10aおよび照明部10bの各光軸11aおよび11bと撮像部20の光軸21とが撮像部位3の表面2に対して単一の入射面70を形成するように、配置されている。したがって、照明部10aおよび照明部10bは、同一平面(入射面70)上で互いに対向する位置から、それぞれ被写体表面2に配置される近傍点K1およびK2に向けて照明光を出射する。照明部10aおよび照明部10bは同一構成を有しており、いずれも入射面70に垂直なS偏光の光90を出射するように構成されている。照明部10aおよび照明部10bは、入射面70を共有するので、撮像部20の第1偏光フィルタ31が透過する偏光方向(P偏光)に対して、出射する光(S偏光)を確実に直交させることができる。
照明部10aの光軸11aと撮像部20の光軸21とのなす角θaは、照明部10bの光軸11bと撮像部20の光軸21とのなす角θbと、等しい。そのため、撮像部20の光軸21が撮像部位3の被写体表面2に対して法線方向に沿うように撮像装置100と被写体1とが位置合わせされた状態で、照明部10aが出射する照明光の被写体表面2に対する入射角(角θa)と、照明部10bが出射する照明光の被写体表面2に対する入射角(角θb)とが、等しくなる。したがって、複数の照明部10(照明部10a、照明部10b)の各々は、いずれも撮像部位3の表面2に対して60度以上の角度で入射する照明光を出射する。
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態による撮像装置200では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、撮像部20の光軸21に対して斜め方向から、被写体表面2における撮像部位3の近傍点Kに光90を照射し、近傍点Kに照射された光90が被写体表面2下の内部を拡散伝搬して撮像部位3に至るように構成された照明部10(照明部10a、照明部10b)と、撮像部位3の上方の被写体表面2に対して照明部10から直接照射され、被写体表面2で反射して撮像部20に入射する光(反射光91)を排除するように構成された遮光部30と、を設ける。これにより、表面反射の影響および装置内部での反射の影響により画像中の撮像対象の視認性が低下するのを抑制することができる。
また、第2実施形態では、上記のように、照明部10(照明部10a、照明部10b)は、入射面70内で、撮像部20の光軸21に対して、一方側と他方側との両方に1つずつ設けられている。これにより、単一の入射面70内で、撮像部位3に対して、照明光を一定の入射角で照射可能な構成を実現できる。このため、照明光の照射角度(角θa、角θb)を、容易に、P偏光の反射率を効果的に低減可能な入射角に対応させることができる。さらに、撮像部20の光軸21に対して、一方側と他方側との両方から照明光を照射するので、照明光の表面反射の影響を効果的に抑制しつつ、撮像部位3の画像化に寄与する光量を容易に増大させることができる。
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
図10および図11を参照して、第3実施形態による撮像装置300の構成について説明する。上記第1実施形態では、レンズ部40の結像方式として無限補正光学系を採用した例を示したが、この第3実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、レンズ部40の結像方式として有限補正光学系を採用した例を示す。なお、第3実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、上記第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、第3実施形態の撮像装置300は、上記第1実施形態のレンズ部40に代えて、有限補正光学系を構成するレンズ部240を備える。レンズ部240は、撮像部20の受光面に拡大像を結像する。
レンズ部240は、対物レンズ241を含む。上記第1実施形態と異なり、レンズ部240には、撮像部20側の結像レンズ42が設けられていない。また、第3実施形態では、第1偏光フィルタ31が、対物レンズ241の前方(対物レンズ241と撮像部位3の表面との間)に設けられている。被写体表面2から放出された放出光のうち、第1偏光フィルタ31を透過したP偏光の光92pが対物レンズ241に入射する。対物レンズ241は、第1偏光フィルタ31を通過した光92pを集光し、撮像部20(イメージセンサ22)の受光面に結像させる。これにより、撮像部20は、対物レンズ241から撮像部位3までの距離L1と、対物レンズ241から撮像部20の受光面までの距離L2との比(L2/L1)である所定倍率で撮像部位3を撮像する。対物レンズ241には、被写体表面2で反射したS偏光の反射光91(図7参照)や放出光92の内のS偏光成分(図7参照)は略入射しない。このため、撮像部20は、実質的に、放出光92のうちのP偏光成分(光92p)のみを画像化する。
第3実施形態では、対物レンズ241が、撮像部20および第1偏光フィルタ31とともに、筐体60に固定状態で設けられ、撮像部20に対して相対位置が変化しない。図11に示すように、撮像装置300は、保持部50が可動機構265を介して筐体60を保持しており、筐体60を撮像部20の光軸21に沿った方向に移動可能である。可動機構265により、撮像部20、対物レンズ241および第1偏光フィルタ31を光軸21に沿って一体的に移動させることにより、焦点位置が調整できる。なお、可動機構265を筐体60内に設けて、撮像部20および対物レンズ241を光軸21に沿って移動させる構成としてもよい。このとき第1偏光フィルタ31は移動してもよいし固定でもよい。
第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。なお、図10では、照明部10が撮像部20の光軸21に対して一方側(図10の左側)に1つ設けられている例を示しているが、照明部10が光軸21に対して他方側(図10の右側)に設けられていてもよい。さらに、第3実施形態においても、上記第2実施形態の構成(図9参照)を組み合わせて、照明部10を撮像部20の光軸21に対して一方側と他方側との両方に1つずつ設けてもよい。
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、撮像部20の光軸21に対して斜め方向から、被写体表面2における撮像部位3の近傍点Kに光90を照射し、近傍点Kに照射された光90が被写体表面2下の内部を拡散伝搬して撮像部位3に至るように構成された照明部10と、撮像部位3の上方の被写体表面2に対して照明部10から直接照射され、被写体表面2で反射して撮像部20に入射する光(反射光91)を排除するように構成された遮光部30と、を設ける。これにより、表面反射の影響および装置内部での反射の影響により画像中の撮像対象の視認性が低下するのを抑制することができる。
また、第3実施形態では、レンズ部240の結像方式として有限補正光学系を採用したことにより、上記第1実施形態のレンズ部40と比較して部品点数が削減でき、装置構成を簡素化できる。
第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第4実施形態]
図12~図14を参照して、第4実施形態による撮像装置400の構成について説明する。上記第1実施形態~第3実施形態では、遮光部30が第1偏光フィルタ31および第2偏光フィルタ32を含む例を示したが、この第4実施形態では、上記第1実施形態~第3実施形態とは異なり、遮光壁331を備えた遮光部330の例を示す。なお、第4実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成については、上記第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図12に示すように、第4実施形態の撮像装置400は、上記第1実施形態の遮光部30に代えて、遮光壁331を備えた遮光部330を備える。したがって、撮像装置400には、図1に示した第1偏光フィルタ31および第2偏光フィルタ32が設けられていない。遮光部330は、撮像部位3の上方の被写体表面2に対して照明部310から直接照射され、被写体表面2で反射して撮像部20に入射する光を排除するように構成されている。
遮光壁331は、光を透過しない不透明な材料により構成されている。遮光壁331は、光を吸収、または反射する。遮光壁331は、照明部310から出射され、被写体表面2における撮像部20による撮影範囲Aに向かう光を遮蔽するように構成されている。また、遮光壁331は、照明部310から出射され、被写体表面2において反射され、撮像部20に向かう光を遮蔽するように構成されている。具体的には、遮光壁331は、照明部310の光軸11と撮像部20の光軸21との間を区画するように設けられる。図12の例では、遮光壁331は、筐体60の下面(被写体表面2側の外表面)から被写体表面2に向けて延びる。遮光壁331は、近傍点Kと、撮影範囲Aとの間となる位置で被写体表面2と接触するように設けられる。
これにより、遮光壁331は、図13に示すように、照明部310から出射された光390のうち、近傍点Kにおいて反射され、撮像部20へ向かう光391を遮り排除する。また、遮光壁331は、照明部310から出射された光390のうち、撮影範囲Aに向かう一部の光394を遮り排除する。この結果、照明部310から出射された光390のうち、被写体表面2で反射された光が撮像部20に入射することが防止される。
一方、照明部310から出射された光390のうち、近傍点Kに照射された光390のうち、被写体表面2下の内部を拡散伝搬して撮像部位3に至る光393は、遮光壁331に遮られることなく、撮像部位3を経由して被写体表面2から放出される。この放出光392が、レンズ部40を通過して、撮像部20に入射する。なお、第4実施形態において、レンズ部40の構成は上記第1実施形態(図1参照)と同様であるので、図12ではレンズ部40のうち対物レンズ41のみを図示し、その他の構成の図示を省略している。
また、図12に示すように、第4実施形態における遮光部330は、保持部350に設けられている。上記した図1の例では、保持部50が載置台51を含む例を示したが、第4実施形態の保持部350は、載置台51に代えて、被写体表面2と接触するスペーサ351を含んでいる。スペーサ351は、対物レンズ41と被写体表面2との作動距離WDを所定値にするように、撮像部20の光軸21に沿った方向に所定の長さを有する。撮像時に、スペーサ351の先端部を被写体表面2に接触させることにより、撮像部位3の直上の被写体表面2に対する光軸21の方向、および、対物レンズ241と被写体表面2との作動距離WDが、略一定に保たれる。たとえば頭皮など、載置台51に載置し難い被写体1についても、これにより撮像部位3の直上の被写体表面2に対する撮像部20(光軸21)の向きおよび位置を一意に決められる。
そして、第4実施形態では、この保持部350が遮光壁331を含んでいる。つまり、保持部350のスペーサ351が、遮光壁331によって形成されている。遮光壁331の形状は、近傍点Kと、撮影範囲Aとの間を遮る形状であれば特に限定されない。遮光壁331は、たとえば、近傍点Kと、撮影範囲Aとの間を仕切るように形成された板状形状を有する。あるいは、遮光壁331は、図14に示すように、撮影範囲Aを取り囲むように形成されてもよい。図14の例では、遮光壁331は、撮像部20の光軸21を取り囲む筒状形状を有し、筒状の遮光壁331の内側に撮影範囲A(撮像部20の光軸21と被写体表面2との交点IS)が位置し、外側に近傍点Kおよび照明部310が位置するように形成されている。
第4実施形態では、照明部310による光の照射角度(照明部310の光軸11と撮像部20の光軸21とのなす角θ、図3参照)は、特に限定されない。照明部310の光軸11が近傍点Kを通過すればよい。第4実施形態では、図12および図13に示したように、照明部310に集光レンズ14が設けられておらず、砲弾型(光射出部分が半球状で凸レンズを形成し射出光束を集光させる機能を併せ持っている)の光源312が被写体表面2(近傍点K)に近接する位置に配置されている。光源312が被写体表面2(近傍点K)に接触する必要はなく、光源312は被写体表面2から僅かに離間するように配置されている。このように、照明部310(光源312)が筐体60の外部で、遮光壁331の側方に遮光壁331と隣り合うように設けられている。これにより、照明部310を被写体表面2に十分に接近させることができるので、集光レンズ14を設けなくても近傍点Kから皮下に入射する光量を増大させることができる。
第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。なお、図12では、照明部310が撮像部20の光軸21に対して一方側(図12の左側)に1つ設けられている例を示しているが、照明部310が光軸21に対して他方側(図12の右側)に設けられていてもよい。さらに、第4実施形態においても、上記第2実施形態の構成(図9参照)を組み合わせて、照明部310を撮像部20の光軸21に対して一方側と他方側との両方に1つずつ設けてもよい。第4実施形態では、第1偏光フィルタ31および第2偏光フィルタ32を用いた直交ニコル撮影を行わないので、照明部310(光源312)をリング照明として構成してもよい。第4実施形態において、遮光壁331に加えて、遮光部330に第1偏光フィルタ31および第2偏光フィルタ32を設けて、直交ニコル撮影を行うように構成してもよい。
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、上記第1実施形態と同様に、撮像部20の光軸21に対して斜め方向から、被写体表面2における撮像部位3の近傍点Kに光390を照射し、近傍点Kに照射された光390が被写体表面2下の内部を拡散伝搬して撮像部位3に至るように構成された照明部310と、撮像部位3の上方の被写体表面2に対して照明部310から直接照射され、被写体表面2で反射して撮像部20に入射する光(反射光391)を排除するように構成された遮光部330と、を設ける。これにより、表面反射の影響および装置内部での反射の影響により画像中の撮像対象の視認性が低下するのを抑制することができる。
また、第4実施形態では、上記のように、遮光部330は、照明部310から出射され、被写体表面2における撮像部20による撮影範囲Aに向かう光394を遮蔽する遮光壁331を備える。これにより、照明部310から出射され撮像部位3の直上表面である撮影範囲Aに向かう光394を、遮光壁331によって排除できる。また、照明部310から出射され、近傍点Kにおける被写体表面2で反射されて撮像部20に向かう反射光391も、遮光壁331によって遮り排除できる。これにより、表面反射によって撮像に影響しうる不要光(光394、反射光391)を、被写体表面2で反射される前または反射された後に排除できる。そして、撮像部位3の近傍点Kに照射され、被写体表面2下の内部を拡散伝搬して撮像部位3に至り、散乱により被写体表面2から放出される経路を進む光(光393、光392)は、遮光壁331に遮られることなく被写体表面2から放出され、撮像部20によって受光できる。この結果、撮像すべき光392を減衰させることなく、不要反射光の影響を効果的に低減できる。
また、第4実施形態では、上記のように、撮像部20を保持し、被写体1と接触して、撮像部20の光軸21が撮像部位3の表面2に対する法線方向に沿う向きとなるよう撮像部20を撮像部位3に対して位置決めする保持部350を設け、保持部350が遮光壁331を含む。これにより、保持部350を被写体表面2に接触させるだけで、容易に、撮像部20および照明部310の各光軸と、反射面(撮像部位3の表面)とを所望の位置関係になるよう位置合わせでき、かつ不要光の遮光を行うことができる。
第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1実施形態では、照明部10が、撮像部20に対する相対位置関係が一定となるように筐体60に固定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、照明部10が撮像部20の光軸21に沿って移動可能に設けられていてもよい。一例として、照明部10は、対物レンズ41とともに一体的に移動するように、可動機構65に取り付けられる。これにより、載置台51に配置された手指の厚みの個人差に起因して、被写体表面2の位置がばらついても、可動機構65を用いて対物レンズ41の焦点位置を調整すれば、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21との関係性も同時に調整される。その結果、集光スポットの大きさにより被写体表面2の位置のばらつきを吸収する必要がないので、集光スポットのサイズを小さくし、撮像部位3に照射する光量を増大させることができる。
また、上記第1~第3実施形態では、保持部50が、載置台51を含み、載置台51に載置された被写体1の撮像部位3の表面2に対する撮像部20の相対位置および向きを決める例を示したが、本発明はこれに限られない。上記第1~第3実施形態においても、図12に示した上記第4実施形態と同様に、保持部50にスペーサを設けてもよい。たとえば図15に示すように、保持部50は、載置台51に代えて、被写体の表面2と接触する脚部(スペーサ)53を含んでいてもよい。図15の変形例では、保持部50は、筐体60の下面(放出光が入射する面)から撮像部位3に向けて突出する複数の脚部53を含む。それぞれの脚部53の先端部を被写体の表面2に接触させることにより、撮像部位3の表面2に対する光軸21の方向と、対物レンズ241と表面2との作動距離WDとが略一定に保たれる。第1偏光フィルタ31および第2偏光フィルタ32により直交ニコル撮影を行う遮光部30を設ける場合、遮光壁331として機能するスペーサ351を設ける代わりに、遮光性のない脚部53を設けてもよい。
なお、図15は、有限補正光学系のレンズ部240を備えた第3実施形態の撮像装置300の変形例を例示しているが、上記第1実施形態の撮像装置100または上記第2実施形態の撮像装置200に脚部53を設けた構成を適用してもよい。
この他、本発明では、保持部50を設けなくてもよい。たとえば使用者が撮像装置100を把持して、撮像部20(撮像装置100)が撮像部位3に対して適切な位置に配置されるように位置合わせしてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、照明部10に集光レンズ14を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、照明部10に集光レンズ14を設けなくてもよい。また、上記第1~第3実施形態では、光源12と集光レンズ14とを別個に設けた例を示したが、光源12と集光レンズ14とが一体的に設けられてもよい。たとえば、出光面にレンズが形成されたタイプのLED素子を光源12として用いてもよい。この場合でも、さらに別個の集光レンズ14を設けてもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、照明部10が光源12と、S偏光の第2偏光フィルタ32と、を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、照明部10に第2偏光フィルタ32を設けなくてもよい。たとえば光源12として、直線偏光の光を出射するレーザ素子を用いて、光源12の偏光方向が単一の入射面70に対してS偏光になるように撮像装置100に組み付けてもよい。光源12の光色は、白色光でなくてもよく、光源12は特定波長の単色光を出射してもよい。
また、上記第1~第3実施形態では、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21とのなす角θが、60度以上90度未満の所定角度となる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、近傍点への入射による内部伝搬光照明を実現できればよく、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21とのなす角θが、0度<θ<60度の範囲に含まれてもよい。この場合でも、図5に示したように、P偏光の反射率がS偏光の反射率よりも小さくなる。
なお、上記第1~第4実施形態では、撮像装置100を、ヒトの皮下組織(毛細血管)を撮影する専用のマイクロスコープとして構成し、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21とのなす角θを所定角度に固定した例を示したが、照明部10の光軸11と撮像部20の光軸21とのなす角θを、撮像対象に応じて複数段階に、または自由に調節できるように構成してもよい。たとえば、撮像装置100が照明部10の光軸11の方向(角度)を調節する機構を備えていてもよい。
また、上記第1~第4実施形態では、撮像部位3がヒトの皮下組織であり、特に皮下の毛細血管である例を示したが、本発明はこれに限られない。撮像部位3が毛細血管以外の皮下組織でもよいし、ヒトの皮下組織以外でもよい。撮像の対象はヒト以外の動物、植物などでもよい。
1 被写体
2 被写体表面
3 撮像部位
10、19a,19b、310 照明部
11、11a、11b 光軸(照明部の光軸)
14 集光レンズ
20 撮像部
21 光軸(撮像部の光軸)
25 画像
30、330 遮光部
31 第1偏光フィルタ
32 第2偏光フィルタ
40、240 レンズ部
70 入射面
90 光(S偏光の光)
92p 光(P偏光の光)
100、200、300、400 撮像装置
331 遮光壁
350 保持部
A 撮影範囲
K、K1、K2 近傍点
θ、θa、θb 照明部の光軸と撮像部の光軸とのなす角

Claims (9)

  1. 半透明の被写体表面下に存在する撮像部位からの光を受光することにより画像信号を生成する撮像部と、
    前記撮像部の光軸に対して斜め方向から、前記被写体表面における前記撮像部位の近傍点に光を照射し、前記近傍点に照射された光が前記被写体表面下の内部を拡散伝搬して前記撮像部位に至るように構成された照明部と、
    前記撮像部位の上方の前記被写体表面に対して前記照明部から直接照射され、前記被写体表面で反射して前記撮像部に入射する光を排除するように構成された遮光部と、を備える、撮像装置。
  2. 前記撮像部の受光面に前記撮像部位に対する拡大像を結像するレンズ部をさらに備え、
    前記照明部は、前記撮像部位の前記近傍点に集光する集光レンズを含み、
    前記遮光部は、前記撮像部の光軸上に配置された第1偏光フィルタと、前記照明部の光軸上に配置され前記第1偏光フィルタの偏光角と直交する偏光角に設定された第2偏光フィルタとを含む、請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記照明部と前記撮像部とは、前記照明部の光軸と前記撮像部の光軸とが前記撮像部位の表面に対して単一の入射面を形成するように配置され、
    前記第1偏光フィルタは、前記入射面に対してP偏光となる偏光角に設定され、
    前記第2偏光フィルタは、前記入射面に対するS偏光となる偏光角に設定されている、請求項2に記載の撮像装置。
  4. 前記照明部は、前記照明部の光軸と前記撮像部の光軸とのなす角が、60度以上90度未満の所定角度となるように設けられている、請求項3に記載の撮像装置。
  5. 前記照明部は、前記入射面内で、前記撮像部の光軸に対して一方側または他方側となる位置に1つ設けられるか、または、前記一方側と前記他方側との両方に1つずつ設けられる、請求項3または4に記載の撮像装置。
  6. 前記撮像部の受光面に前記撮像部位に対する拡大像を結像するレンズ部をさらに備え、
    前記遮光部は、前記照明部から出射され、前記被写体表面における前記撮像部による撮影範囲に向かう光を遮蔽する遮光壁を備える、請求項1に記載の撮像装置。
  7. 前記撮像部を保持し、被写体と接触して、前記撮像部の光軸が前記撮像部位の表面に対する法線方向に沿う向きとなるよう前記撮像部を前記撮像部位に対して位置決めする保持部をさらに備え、
    前記保持部が前記遮光壁を含む、請求項6に記載の撮像装置。
  8. 前記撮像部位は、ヒトの皮下組織である、請求項1~7のいずれか1項に記載の撮像装置。
  9. 前記撮像部位は、皮下の毛細血管である、請求項1~8のいずれか1項に記載の撮像装置。
JP2020161864A 2020-09-28 2020-09-28 撮像装置 Pending JP2022054694A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020161864A JP2022054694A (ja) 2020-09-28 2020-09-28 撮像装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020161864A JP2022054694A (ja) 2020-09-28 2020-09-28 撮像装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022054694A true JP2022054694A (ja) 2022-04-07

Family

ID=80997957

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020161864A Pending JP2022054694A (ja) 2020-09-28 2020-09-28 撮像装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022054694A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7274724B2 (ja) 導光光学素子を介したレチナールイメージングに基づく目の追跡具
AU2006293071B2 (en) Optical measuring system
JP4258393B2 (ja) 個人識別装置および指紋画像撮像装置、指紋画像取得方法
US7764380B2 (en) Hair detection device
JPWO2018122859A5 (ja)
TWI497031B (zh) 產生一物體之一影像的光學裝置及方法
US6688744B2 (en) Back projection visual field tester
TW200912385A (en) Optical characteristic measuring apparatus using light reflected from object to be measured and focus adjusting method therefor
CN109791275A (zh) 观察装置
JP6385974B2 (ja) 全反射吸収スペクトル測定用光学器具、および、測定装置
KR20120066500A (ko) 조명 광학계와 결상 광학계가 통합된 광학계 및 이를 포함하는 3차원 영상 획득 장치
US6729728B2 (en) Back projection visual field tester
JP7038102B2 (ja) 全視野干渉撮像システム及び方法
JPH02152103A (ja) 照明装置
JP2022054694A (ja) 撮像装置
JP2013510694A (ja) 対象の照明
TWI602539B (zh) 裂隙照明裝置及其顯微鏡系統
WO2020202877A1 (ja) 画像検査装置
WO2017086033A1 (ja) 撮像装置、生体認証装置および半導体レーザ
CN117204810B (zh) 一种眼底成像装置
EP4279023A1 (en) Three-dimensional scanner
JP6937536B1 (ja) 眼底撮影装置
CA2388286C (en) Color analyzing apparatus with polarized light source
KR20220104634A (ko) 3차원 스캐너
JP2008027062A (ja) 認証装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20201005