JP2022054395A - 植物生育量検出方法及び植物センサ及び施肥装置 - Google Patents

植物生育量検出方法及び植物センサ及び施肥装置 Download PDF

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Figure 2022054395000001
【課題】正確な生育状況を検出可能な植物生育量検出方法、植物センサを提供し、更に生育状況に対応した施肥を行う施肥装置を提供する。
【解決手段】レーザスキャナ4により窒素の含有量に対して反射率の異なる2波長からなるパルス測距光をスキャンし、2波長を分離して受光し、各パルス測距光毎に及び2波長毎に、測距値、光量を検出し、測距値に基づき作物の丈を検出し、2波長の受光光量比を検出し、検出された丈、受光光量比に基づき作物の生育状態を検出する。
【選択図】図2

Description

本発明は植物の生育状況を検出する植物生育量検出方法及び植物の生育状況を検出する植物センサ及び植物の生育状況に適した施肥を行う施肥装置に関するものである。
植物、特に農作物の生育状況を検出することは、農作物の生産管理に於いて重要であり、従来、特許文献1に示される様に、一方向に拡散させた検出光を照射させ、植物の葉からの反射検出光に基づき生育状態を検出することが行われている。
一方、この反射光には植物の葉以外の土からの反射光が含まれ、葉以外の反射光はノイズ成分となっていた。
特開2016-208859号公報 特開2019-146562号公報 特開2019-175246号公報
本発明は、正確な生育状況を検出可能な植物生育量検出方法、植物センサを提供し、更に生育状況に対応し適切な施肥を可能とした施肥装置を提供するものである。
本発明は、レーザスキャナにより窒素の含有量に対して反射率の異なる2波長からなるパルス測距光をスキャンし、2波長を分離して受光し、各パルス測距光毎に及び2波長毎に、測距値、光量を検出し、測距値に基づき作物の丈を検出し、2波長の受光光量比を検出し、検出された丈、受光光量比に基づき作物の生育状態を検出する植物生育量検出方法に係るものである。
又本発明は、前記パルス測距光の2波長は、735nm及び809nmである植物生育量検出方法に係るものである。
又本発明は、前記測距値に基づき作物の丈を検出する場合、閾値を設け、各パルス測距光毎に閾値から外れる測距データをノイズデータとして削除し、受光光量比に基づき作物の生育状態を検出する場合、各パルス測距光毎に閾値を設け、閾値から外れる受光光量比データをノイズデータとして削除する植物生育量検出方法に係るものである。
又本発明は、2波長からなるパルス測距光を発光する発光部と、パルス測距光をスキャンするスキャンミラーと、測定対象からの反射パルス測距光を各パルス測距光毎に及び2波長毎に分離して受光する受光部と、各パルス測距光毎に、各波長毎に測距値を取得する測距部とを有するレーザスキャナと、前記受光部で受光した反射パルス測距光の受光光量を各パルス測距光毎に検出する光量検出部と生育量/施肥量計算部とを具備し、該生育量/施肥量計算部は、各パルス測距光毎に及び2波長毎に、測距値、光量を検出し、測距値に基づき作物の丈を演算し、2波長の受光光量比を検出し、検出された丈、受光光量比に基づき作物の生育状態を演算し、2つの演算結果に基づき植物生育量を検出する植物センサに係るものである。
又本発明は、前記パルス測距光の2波長は、735nm及び809nmである植物センサに係るものである。
又本発明は、前記生育量/施肥量計算部は、作物の丈を検出する測距データの正否判断の閾値を有し、受光光量比データの正否判断の閾値を有し、それぞれの閾値に基づき各パルス測距光毎に前記測距データの正否及び前記受光光量比データの正否を行い、閾値から外れる前記測距データ及び前記受光光量比データをノイズデータとして排除する植物センサに係るものである。
更に又本発明は、農業機械の前側に設けられた上記植物センサと、前記農業機械の後側に設けられた肥料散布機と、制御部とを有し、該制御部は前記植物センサから得られる植物生育量に基づき肥料散布量を求め、前記肥料散布機の制御をして施肥を行う様構成した施肥装置に係るものである。
本発明によれば、レーザスキャナにより窒素の含有量に対して反射率の異なる2波長からなるパルス測距光をスキャンし、2波長を分離して受光し、各パルス測距光毎に及び2波長毎に、測距値、光量を検出し、測距値に基づき作物の丈を検出し、2波長の受光光量比を検出し、検出された丈、受光光量比に基づき作物の生育状態を検出するので、2つの検出要素で作物の発育状態を検出するので精度が向上し、更に、各パルス毎に作物の発育状態を検出するので、多数のデータを瞬時に取得でき、測定精度が向上するという優れた効果を発揮する。
本発明の実施例に係る植物センサ、施肥装置を具備した農業機械の概略図である。 (A)は植物センサによる作物の生育量検出作動を示す説明図であり、(B)は作物の葉と測定点の関係を示す説明図である。 植物センサ及び農業機械の概略を示すブロック図である。 レーザスキャナの概略構成図である。 生育量検出及び肥料散布を示すフローチャートである。 生育量検出に於けるノイズ削除を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
図1は本実施例に係る植物センサを具備する農業機械の概略図である。
図1中、1は農業機械、2は植物センサ、3は肥料散布機、Aは前記植物センサ2による生育量検出範囲Aを示している。
前記農業機械1として、一例としてトラクタが示される。前記植物センサ2は前記農業機械1の前方に設けられ、前記肥料散布機3は前記農業機械1の後方に設けられている。
前記植物センサ2と前記肥料散布機3の施肥位置との位置関係は既知となっている。前記農業機械1の進行方向Tに関する前記植物センサ2と前記肥料散布機3間の水平距離も既知となっている。
前記植物センサ2は植物の生育状況を検出する。前記肥料散布機3は肥料を散布(施肥)するものであり、施肥量は前記植物センサ2によって検出された生育状況に応じて制御装置(後述)によって制御される様になっている。
本実施例に於いては、前記植物センサ2は2波長の測距光P1,P2が照射されるレーザスキャナ4(図4参照)を含んでいる。用いられる2波長は、作物が含有する窒素の含有量で反射率の異なるものが使用される。
図2(A)に示される様に、該レーザスキャナ4は前記農業機械1の前方を進行方向Tに対して直交する方向に測距光P1,P2をラインスキャンする構成を有している。尚、図2では、説明を容易にする為、進行方向に幅が有る様に示しているが、実際は幅はない又は殆どない。前記レーザスキャナ4はラインスキャンできればよく、1軸でスキャンを実行するラインスキャナでよい。
前記レーザスキャナ4は測定基準位置を有し、該測定基準位置と前記肥料散布機3の施肥位置間の水平距離が既知となっている。又、測定基準位置と地表との垂直距離(測定基準位置と前記農業機械1の走行面間の垂直距離)も既知となっている。
前記レーザスキャナ4は、所定時間間隔で1ラインスキャンを実行する。1ラインスキャンは、少なくとも1スキャン、若しくは複数回のスキャンが実行される。2波長の測距光P1,P2は同一光軸上の照射され、2波長の測距光毎にそれぞれ測距が行われる。測距は通常のレーザスキャナと同様、パルス測距光(以下、パルス光)が発せられ、測定対象で反射され、受光された反射パルス測距光(以下、反射パルス光)の往復の時間と光速によって距離が測定される。従って、スキャンラインに沿って各パルス光毎の測距データが得られる。
反射測距光には作物の葉によって反射された光(図2中、実線で示す)と、葉以外のもの、例えば土によって反射された光(図2中、破線で示す)とが含まれ、作物の生育状況を判断するデータとしては、土によって反射された光は不要なデータ、即ちノイズとなる。
又パルス光毎に測距されているので、測距結果により得られた測距データが葉で反射されたものか、土で反射されたものかを判断することができる。従って、測距結果に基づきノイズを除去することができる。
次に、測距光P1,P2として波長の異なる2波長が用いられるが、2波長の一例として735nm、809nmが有る。
測距光として735nmの波長のレーザ光線を使用すると、測定対象が窒素を含んでいると測定対象で反射されるが、反射光量に窒素の含有量の多少には影響されないことが分っている。
更に、測距光として809nmの波長のレーザ光線を使用すると、測定対象が窒素を含んでいると測定対象で反射され、更に窒素の含有量によって反射率が異なり、含有量が多くなると反射光量も多くなることが分っている。
又、作物の葉には窒素が含まれ、生育状態がよい場合は、窒素の含有量が多く、生育状態が悪い場合は、窒素の含有量が少ないと言うことも分っている。
尚、土も窒素を含む場合も有るが、土と葉では反射率が大きく異なる(土の反射率が大幅に小さい)ので、波長に限らず反射光量のみを比較すれば、土での反射か、葉での反射かを判断できる。尚、図2(B)は、葉に測距光が照射された状態を示している。
上記した様に、735nmの波長の測距光P1も、809nmの波長の測距光P2も同一光軸上に照射されるので、測距光P1、測距光P2は同一測定点に照射される。反射光量は、反射面の性状、汚れ等の反射面の状態の影響を受け、変化する。然し乍ら、測距光P1、測距光P2は反射面の同一点に照射されているので、測距光P1、測距光P2が反射面の状態から受ける影響は同一である。
従って、測距光P1、測距光P2の反射光量の大小、即ち受光光量の大小は、窒素の含有量の大小によるものと判断される。測距光P1の光量によって測距光P2の光量を除してやれば、測定点についての窒素の含有比率が分る。予め、生育状況に対応するの作物の葉の窒素の含有比率を取得しておけば、測定点での作物の生育状況を判断することができる。
次に、土の窒素含有量は、作物の葉に比べると著しく低いので、土からの反射光量は著しく小さい。反射光量を検出すると、測定点が葉以外の場所であることが分る。反射光量から測定データが葉で反射されたものか、土で反射されたものかを判断することができる。従って、光量結果に基づきノイズを除去することができる。
又、測距光がパルス光の為、測距していない時の反射光量を検出することができる。測距していない時の反射光量をダークノイズとして求めることができ、これを減算することにより、外光ノイズの除去もできる。
上述した様に、測距結果と光量検出結果により各パルス光毎にノイズかノイズでないかを判断でき、更にノイズと判断されたものを除去することができる。
ノイズが除去されたパルス光(測距光P1、測距光P2)について測距光P1と測距光P2の受光光量の比較を行い、受光光量比を求める。受光光量比は作物の葉の窒素含有比率に対応する。従って、受光光量比と窒素含有比率との関連を予め取得しておくことで、受光光量比から作物の葉の正確な窒素含有比率を求めることができる。
又、生育状況の判断のデータとしては、1スキャンライン毎の平均値を求め生育状況の判断のデータとする。或は、複数スキャンライン毎の平均値を求め、生育状況の判断のデータとしてもよい。
生育状況の判断のデータに対応する施肥量については予めデータが取得されている。生育状況の判断のデータに基づき施肥量が求められ、前記肥料散布機3による肥料散布の量が制御される。
図3は、本実施例に係る植物センサ、植物センサを具備した施肥装置10の概略ブロック図、図4は該植物センサ2の概略構成図を示している。
図3中、11は制御部を示しており、該制御部11はスキャナ制御演算部11a、生育量/施肥量計算部11bを含んでいる。又、図3中、12は記憶部、13は測距部、14は発光部、15は受光部、17は測角部、18は鉛直角検出器、19は水平角検出器、21は水平回転駆動部、22は鉛直回転駆動部、23は操作部、24は表示部、25は速度検出器、26はGNSS受信器を示している。
前記制御部11、前記スキャナ制御演算部11a、生育量/施肥量計算部11bとしては本実施例に特化されたCPU、或は汎用性CPU、埋込みCPU、マイクロプロセッサ等が用いられる。又、前記記憶部12としてはRAM、ROM、FlashROM、DRAM等の半導体メモリ、HDD等の磁気記録メモリ、CDROM等の光学記録メモリが用いられる。尚、前記スキャナ制御演算部11a、生育量/施肥量計算部11bは前記制御部11の一部を割当ててもよい。
前記スキャナ制御演算部11aは、後述するレーザスキャナの測距作動を制御し、前記生育量/施肥量計算部11bは後述する植物センサの検出結果より生育量、生育状態を演算、判定し、又前記肥料散布機3による施肥量を制御する。
前記記憶部12には、レーザスキャナを作動させる為のシーケンスプログラム、測距を実行する為の測距プログラム、受光データより生育状態を判定する為のプログラム、測距データ、受光データからノイズとなるデータを除去するためのノイズ除去プログラム、生育状態を判断するプログラム、又生育状態に応じた肥料の散布量を演算し、施肥する為の施肥制御のプログラム等が格納される。又、前記記憶部12には測定データ、生育状態の判定データが格納され、生育状態に対応する施肥量を設定したテーブルデータ等の各種データが格納される。又、前記ノイズ除去プログラムには、測距に関する閾値、光量に関する閾値等のノイズ判定に必要な閾値が設定されている。該閾値には上限、下限を定める閾値、範囲を設定する閾値が含まれる。
前記測距部13は、前記発光部14を発光させ、前記受光部15からの受光信号を受信し、前記発光部14からの発光タイミング、前記受光部15からの受光タイミング、光速に基づき測距距離を求め、光波距離計として機能する。前記測角部19は前記鉛直角検出器17、前記水平角検出器18の検出結果に基づき測定点の鉛直角、水平角を演算する。
前記水平回転駆動部21は後述する水平回転モータ42を駆動制御し、前記鉛直回転駆動部22は後述する鉛直モータ37を駆動制御する。
前記速度検出器25は農業機械1の移動速度を検出し、検出結果を前記制御部11に入力する。前記GNSS受信器26は、レーザスキャナのグローバル座標を取得する。
レーザスキャナ4は、主に、前記スキャナ制御演算部11a、前記記憶部12、前記測距部13、前記発光部14、前記受光部15、前記鉛直角検出器17、前記水平角検出器18、前記測角部19、前記水平回転駆動部21、前記鉛直回転駆動部22はレーザスキャナ4により構成される。
更に、前記植物センサ2は、主に、該レーザスキャナ4と光量検出部16、前記生育量/施肥量計算部11bによって構成される。
図4を参照して、先ず、レーザスキャナ4について説明する。
台34に水平な軸心を有する鉛直回転軸35を介して架台36が支持される。前記鉛直回転軸35には鉛直モータ37が連結され、該鉛直モータ37は鉛直回転軸35を中心に前記架台36を鉛直方向に回転する。
該架台36は凹部38を有し、該凹部38にスキャンミラー39が設けられ、該スキャンミラー39は水平回転軸41に支持されている。該水平回転軸41の軸心は前記鉛直回転軸35の軸心と直交し、前記水平回転軸41には水平回転モータ42が連結される。該水平回転モータ42により前記水平回転軸41を中心に前記スキャンミラー39は水平方向に回転される様になっている。
前記台34は、前記水平回転軸41の軸心が、前記農業機械1の進行方向Tと平行に且つ鉛直に対して所定角度に下向きに傾斜する様、前記農業機械1に取付けられる。
又、前記架台36内には測距光学系43が収納されている。
該測距光学系43は前記発光部14として、735nmの波長のパルス光の第1レーザ光線を発する第1光源45と809nmの波長のパルス光の第2レーザ光線を発する第2光源46及び第1波長選択ミラー47を有している。前記第1レーザ光線と前記第2レーザ光線は同一のタイミングで発せられる。
前記第1光源45の光軸上に第1波長選択ミラー47が設けられている。該第1波長選択ミラー47は735nmの波長を透過し、809nmの波長を反射する波長選択特性を有する。前記第1レーザ光線45aは前記第1波長選択ミラー47を透過し、前記第2レーザ光線46aは該第1波長選択ミラー47によって前記第1光源45の光軸上に反射される。
前記第1波長選択ミラー47を透過した第1レーザ光線、前記第1波長選択ミラー47を反射した第2レーザ光線は、第1偏向ミラー48によって前記スキャンミラー39に入射する様偏向され、更に該スキャンミラー39によって前記水平回転軸41の軸心と直交する方向に反射される。
前記スキャンミラー39で反射された第1レーザ光線、第2レーザ光線は、前記スキャンミラー39の回転によって回転照射(スキャン)される。尚、スキャンは前記水平回転軸41の1軸回転により実行されるので、一次元のスキャンであり、前記農業機械1の前方をスキャンする様になっている。
測定対象で反射された第1レーザ光線、第2レーザ光線は、前記スキャンミラー39に入射し、該スキャンミラー39で反射され、集光レンズ49を透過し、第2偏向ミラー51によって反射され前記受光部15に入射する。
該受光部15は第2波長選択ミラー52、第1受光器53、第2受光器54を有する。前記第2波長選択ミラー52は735nmの波長を透過し、809nmの波長を反射する波長選択特性を有している。
前記受光部15に入射した735nmの波長の第1レーザ光線は前記第2波長選択ミラー52を透過し、前記第1受光器53で受光される。前記受光部15に入射した809nmの波長の第2レーザ光線は前記第2波長選択ミラー52で反射され前記第2受光器54によって受光される。前記集光レンズ49はその光学作用により、第1レーザ光線、第2レーザ光線をそれぞれ前記第1受光器53、前記第2受光器54に結像する。
前記測距部13は、第1レーザ光線、第2レーザ光線の前記第1光源45、前記第2光源46の発光を制御し、前記第1光源45、前記第2光源46からの各発光タイミングと前記第1受光器53、第2受光器54からの各受光タイミングとの時間差と光速に基づき、第1レーザ光線、第2レーザ光線の各パルス光毎に測距を行う。従って、スキャンラインに沿って点群データが取得される。
尚、前記第1レーザ光線、第2レーザ光線は同一光軸で同一のタイミングで照射されるので、各パルス光は各パルス光毎に同一点に照射され、同一の測距結果が得られる。
次に、パルス光射出時の水平角、鉛直角は前記鉛直角検出器17、前記水平角検出器18によって検出され、測角結果と前記測距部13による測距結果と関連付けることで、各パルス光の照射点毎の3次元データ座標を有するデータ(以下3次元データ)が得られる。従って、前記点群データは3次元データを有する。
前記スキャナ制御演算部11aは測距プログラムに従い、前記水平回転モータ42の回転速度を制御し、又前記測距部13を介して前記各パルス光の発光間隔を制御する。更に、前記水平回転モータ42の回転速度の制御と、前記各パルス光の発光間隔の制御によって点群データ密度を制御する。
又、GNSS受信器26はパルス光射出時のグローバル座標を取得し、前記スキャナ制御演算部11aは、レーザスキャナで取得した測距データとグローバル座標とを関連付けることができる。
次に、前記植物センサ2についで説明する。
上記した様に、植物センサ2は生育状況を検出するものであり、本実施例に係る植物センサ2では、生育状況の検出のパラメータとして測距値と反射光量を用いている。
本実施例では、レーザスキャナにより第1レーザ光線、第2レーザ光線の各パルス光毎に測距データを取得している。従って、パルス光が作物の葉を照射し、測距した場合と、土を照射し測距した場合とでは測距値に明確な差が生じる(図2参照)。更に、測距の精度は数cm以下が得られる。この為、各パルス光毎に測距値を比較し、測距値が大きく、例えば測距値の差が、閾値以上の測距値は土を測距したと判定し、その測距データをノイズとして除去する。閾値としては、測距精度、測定対象が考慮され、例えば2cmと設定される。
ノイズを除去した後の測距データに基づき、作物の丈を測定し、生育状態を判定する。尚、作物の丈を判定する場合、前記測定基準位置を基準としてもよく、或はノイズとして除去した土の測距データを基準としてもよい。
本実施例では、2色のレーザ光線を用いてレーザスキャンしている。
又、前記第1受光器53、前記第2受光器54は、それぞれ受光したパルス光の光量に応じた受光信号を発する様になっている。前記第1受光器53、前記第2受光器54から出力される受光信号は前記光量検出部16に入力される。該光量検出部16では、受光信号から受光光量を演算し、更に演算結果を前記生育量/施肥量計算部11bに入力する。
前記受光部15に入射したパルス光は、前記第2波長選択ミラー52によって735nmの第1レーザ光線と809nmの波長の第2レーザ光線とに分離され、前記第2波長選択ミラー52を透過した第1レーザ光線は前記第1受光器53に受光され、前記第2波長選択ミラー52で反射された第2レーザ光線は前記第2受光器54で受光される。
上記した様に、735nmの波長の第1レーザ光線は測定対象が窒素を含んでいると測定対象で反射されるが、反射光量に窒素の含有量の多少には影響されない。更に、809nmの波長の第2レーザ光線は、測定対象が窒素を含んでいると測定対象で反射され、更に窒素の含有量によって反射率が異なり、含有量が多くなると反射光量も多くなる。
第1レーザ光線の照射点と第2レーザ光線の照射点は同一であるので、反射光量の差は作物の葉の窒素含有量に起因するものと判断できる。従って、第2レーザ光線の受光光量と第1レーザ光線の受光光量との比を求めることで、測定対象となった葉、即ち作物の窒素含有量の状態を検出でき、更に作物の生育状態を検出できる。
次に、土は窒素を殆ど含んでいないか、含んでいても作物よりは遙かに少ない。従って、第1レーザ光線、第2レーザ光線は土からの反射が殆どないか、或は有っても光量が非常に小さい。従って、受光光量が少ない受光信号については、ノイズと判断できる。
信号が不要なもの(ノイズ)で有るかどうかは、測距結果と光量検出結果の両方で判断することができる。
而して、生育状態の検出信号として、作物の丈、作物の窒素含有量が得られる。
又、レーザスキャンにより得られるパルス光毎の信号は、非常に多く、更に信号からノイズを除去でき、得られる信号の平均値を求めることで、精度、信頼性の高い植物生育量検出が得られる。
更に、前記生育量/施肥量計算部11bは、前記植物センサ2による検出結果、即ち作物の丈、作物の窒素含有量に基づき生育状態を判断し、検出時での作物の生育状態が、良好か不良かを判断する。
次に、本実施例では検出した生育状態に基づき、肥料の散布量を演算し、前記肥料散布機3を制御して施肥を行う。
前記生育量/施肥量計算部11bには、前記植物センサ2からの生育状況検出結果が入力され、更に前記速度検出器25から前記農業機械1の走行速度が入力される。
又、前記記憶部12には施肥制御のプログラム、及び生育状況に応じた施肥量についての施肥量対比データが入力されおり、前記生育量/施肥量計算部11bは検出した生育状況、施肥量対比データ、及び前記農業機械1の走行速度に基づき前記肥料散布機3による単位時間当りの散布量を演算し、この散布量で施肥できる様、前記肥料散布機3を制御する。
又、生育状況検出位置と前記肥料散布機3による施肥位置とは、水平方向の距離が有り、前記肥料散布機3の施肥位置が生育状況検出位置に到達する迄の遅れ時間を考慮して施肥が実行される。
前記した様に、生育状況検出位置、即ち、前記レーザスキャナ4のスキャン位置と該レーザスキャナ4の測定基準位置間の水平距離は、前記レーザスキャナ4による測距距離(斜距離)と測距光の鉛直角から求めることができる。該レーザスキャナ4の測定基準位置と前記肥料散布機3の施肥位置間の水平距離も既知であるので、生育状況検出位置と前記肥料散布機3による施肥位置間の水平距離を求めることができる。又、この水平距離と前記農業機械1の走行速度に基づき前記肥料散布機3の施肥位置が生育状況検出位置に到達する迄の遅れ時間を求めることができる。
而して、前記生育量/施肥量計算部11bにより適正位置に、適正量の肥料を散布することができる。
尚、前記GNSS受信器26により、生育状況検出位置を測定することができ、田畑全体の生育状況を把握でき、又地図化できる。生育状況の地図化により、田畑全体の生育傾向が分り、作付計画の改善、或は土壌改良等、営農計画に活用することができる。
上記実施例に於いて、植物センサ2に搭載されるレーザスキャナ4としてラインスキャナが示されたが、植物センサ2を前記農業機械1に搭載せず、例えば、該植物センサ2をUAVに搭載してもよい。この場合、2次元にスキャンするレーザスキャナ4を使用し、所定面積毎に生育状態検出してもよい。
図5により生育状態検出から施肥迄の流れについて説明する。
STEP:01 施肥の開始に当り、施肥に必要な条件に設定を行う。例えば、前記レーザスキャナ4によるスキャン範囲(スキャンラインの長さ:進行方向に対して直交するスキャン長さ)を設定する。尚、スキャン範囲の設定は前記スキャンミラー39の往復回転角の設定で行われる。
又設定事項として、農業機械1の走行速度、スキャン速度、パルス光発光間隔、一検出当りのスキャン回数等があり、作業状況、作業環境に応じて適宜設定される。
STEP:02 前記農業機械1を走行させると共に前記レーザスキャナ4によるスキャンを開始し、施肥を開始する。
STEP:03 設定された条件で、設定された範囲でのスキャンが実行され、1スキャン作動毎にスキャンデータが取得される。尚、スキャンは前記水平回転軸41の1軸でのスキャンとなるので、スキャンはラインスキャンとなる。又、1スキャン作動の設定で複数回のスキャンが設定されている場合は、1回毎のスキャンデータが取得される。
STEP:04 取得されたスキャンデータについて、1パルス光毎に測距値、光量値について所定の閾値に基づきデータの正否判断が行われ、否と判断されたデータはノイズデータが削除される。ノイズが削除されたスキャンデータに基づき生育量が演算され、更に生育量に基づき施肥量が演算される。
STEP:05 演算された施肥量が前記肥料散布機3に送信される。
STEP:06 前記肥料散布機3が肥料の散布を実行する。
STEP:07 該肥料散布機3は受信した施肥量に基づき肥料の散布を行う。
STEP:08 施肥量が前記肥料散布機3に送信されると、更に施肥作業の続行の有無が判断され、続行が判断されるとSTEP:03に戻り、スキャンが実行され、スキャンデータが取得され、作業が継続される。
次に、STEP:04に於けるノイズデータ除去について、図6を参照して更に説明する。
上記した様に、データの正否判断について、1パルス光毎に実行される。
STEP:11 反射光が受光されると、各波長(735nm、809nm)について、それぞれ反射光量、及び測距値が取得される。
STEP:12 反射光量と閾値とが比較され、閾値内かどうか、即ち反射光量が閾値に対し大きいか小さいかが判断される。下限の閾値より小さい場合は、土で反射された場合等であり、上限の閾値より大きい場合は、例えばガラス片等で反射された場合で有り、いずれもデータとしては不適であるので、否と判断され、ノイズデータとして削除される。
尚、反射光量の判断では、各波長個別の光量で判断しても、波長合計の光量で判断してもよい。
STEP:13 各波長(735nm、809nm)のそれぞれの測距値について、閾値と比較され、閾値内かどうかが判断される。
各パルス光の測距値は、葉毎に値が相違し、又土で反射された場合も測距値が異なる。測距値としては、土で反射された場合が一番大きくなるので、所定閾値より小さい測距値を葉で反射されて得られたと判断することができる。閾値内の測距データを適正データとして採用し、閾値外の測距データがノイズデータとして削除される。
STEP:14 生育量が計算され、計算された生育量が適正であるかどうかが判断される。例えば、測距値で生育量を判断する場合は、測距値から作物の丈を演算し、作物の丈が生育検査時期の平均値に対して、所定の閾値内に入っているかどうか、生育計画で想定した丈に対して閾値内かどうか等である。
又、作物の葉が有する窒素量に基づき測距値で生育量を判断する場合は、前記2つの波長735nm、809nmの光量比から窒素の含有量を演算し、生育検査時期の平均値に対して窒素の含有量が所定閾値内であるかどうか、生育計画で想定した窒素の含有量に対して閾値内かどうか等である。
尚、波長735nm、809nmの光量比に対する窒素の含有量については、予め求めておき、テーブルデータとして前記記憶部12に格納しておく。
又、測距データ、光量データによって得られた生育量が、閾値内から大きく外れた場合は、測定データに異常があるとしてデータを削除する。
更に、STEP:14によるノイズデータ削除については、STEP:12、STEP:13によるノイズデータ削除の状態により省略することも可能である。
STEP:15 パルス光のOFF時の光量を検出して、ダークノイズを検出する。該ダークノイズを外光ノイズとして測距時の光量から除去する。これによってS/Nを向上させることができる。
STEP:16 STEP:12、STEP:13、STEP:14によるノイズデータの削除により、残りのデータは適正なデータのみとなり、更にSTEP:15による外光ノイズの除去により植物センサ2に検出された品質の高い生育データとして、前記記憶部12保存される。
STEP:17 各パルス光毎に上記ノイズ除去が実行され、1スキャンライン全てのパルス光に対して実行されたかどうかが判断される。全てのパルス光に対してノイズ除去が実行されたと判断された場合は、1スキャンラインについてノイズ除去が完了し、施肥作業が終了する場合は、前記植物センサ2の検出作動は停止される。又、施肥作業が継続される場合は、次のスキャン動作について前記植物センサ2による生育量データの取得、ノイズ除去が継続される。
1 農業機械
2 植物センサ
3 肥料散布機
4 レーザスキャナ
11 制御部
11a スキャナ制御演算部
11b 生育量/施肥量計算部
12 記憶部
13 測距部
14 発光部
15 受光部
16 光量検出部
25 速度検出器
26 GNSS受信器
39 スキャンミラー
45 第1光源
46 第2光源
47 第1波長選択ミラー
52 第2波長選択ミラー
53 第1受光器
54 第2受光器

Claims (7)

  1. レーザスキャナにより窒素の含有量に対して反射率の異なる2波長からなるパルス測距光をスキャンし、2波長を分離して受光し、各パルス測距光毎に及び2波長毎に、測距値、光量を検出し、測距値に基づき作物の丈を検出し、2波長の受光光量比を検出し、検出された丈、受光光量比に基づき作物の生育状態を検出する植物生育量検出方法。
  2. 前記パルス測距光の2波長は、735nm及び809nmである請求項1に記載の植物生育量検出方法。
  3. 前記測距値に基づき作物の丈を検出する場合、閾値を設け、各パルス測距光毎に閾値から外れる測距データをノイズデータとして削除し、受光光量比に基づき作物の生育状態を検出する場合、各パルス測距光毎に閾値を設け、閾値から外れる受光光量比データをノイズデータとして削除する請求項1又は請求項2に記載の植物生育量検出方法。
  4. 2波長からなるパルス測距光を発光する発光部と、パルス測距光をスキャンするスキャンミラーと、測定対象からの反射パルス測距光を各パルス測距光毎に及び2波長毎に分離して受光する受光部と、各パルス測距光毎に、各波長毎に測距値を取得する測距部とを有するレーザスキャナと、前記受光部で受光した反射パルス測距光の受光光量を各パルス測距光毎に検出する光量検出部と生育量/施肥量計算部とを具備し、該生育量/施肥量計算部は、各パルス測距光毎に及び2波長毎に、測距値、光量を検出し、測距値に基づき作物の丈を演算し、2波長の受光光量比を検出し、検出された丈、受光光量比に基づき作物の生育状態を演算し、2つの演算結果に基づき植物生育量を検出する植物センサ。
  5. 前記パルス測距光の2波長は、735nm及び809nmである請求項4に記載の植物センサ。
  6. 前記生育量/施肥量計算部は、作物の丈を検出する測距データの正否判断の閾値を有し、受光光量比データの正否判断の閾値を有し、それぞれの閾値に基づき各パルス測距光毎に前記測距データの正否及び前記受光光量比データの正否を行い、閾値から外れる前記測距データ及び前記受光光量比データをノイズデータとして排除する請求項4又は請求項5に記載の植物センサ。
  7. 農業機械の前側に設けられた請求項4の植物センサと、前記農業機械の後側に設けられた肥料散布機と、制御部とを有し、該制御部は前記植物センサから得られる植物生育量に基づき肥料散布量を求め、前記肥料散布機の制御をして施肥を行う様構成した施肥装置。
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