JP2022054279A - 運転支援制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許法第30条第2項適用申請有り 公益社団法人自動車技術会,自動車技術会2019年秋季大会学術講演予稿集,文献番号:20196072,令和1年10月4日発行 令和1年自動車技術会秋季大会,令和1年10月9日開催
本発明は、運転支援制御装置に関する。
近年、事故の未然防止や削減、運転負荷軽減を目的として、自動運転技術や運転支援技術に関する研究開発が進められている。自動運転技術あるいは運転支援技術においては、ドライバにとって安心できる運転結果を得られることが望ましい。このため、自車両の周囲の障害物を加味して最適な走行軌道を選択する手法等、種々の手法が提案されている。また、特許文献1には、死角からの飛び出し等の潜在的なリスクを考慮して走行軌道を設定する運転支援装置が提案されている。
ここで、ドライバが感じる不安は、個人の経験や感受性、さらには車両の周囲環境の認識の仕方に依存する主観的なものである。例えば、幅の狭い生活道路を走行する際に、道路に迫り出した電柱に強くリスクを感じる人もいれば、死角からの飛び出しに強くリスクを感じる人もいる。このため、物理的なリスクのみに基づいて運転条件を決定したとしても、得られる運転結果は、必ずしもすべてのドライバにとって安心できるものとはならないおそれがある。
これに対して、特許文献2には、ドライバごとに走行シーンに応じた運転操作を学習し、当該学習結果を参照して自動運転制御を実行する運転制御装置が開示されている。具体的に、特許文献2には、車両の走行シーンを特定する項目が複数設定され、手動運転制御時には環境項目について検出した環境項目値の組み合わせによって走行シーンを特定し、走行シーンに対応付けてドライバの運転操作を学習し、自動運転制御時には、環境項目値を検出して走行シーンを特定し、その走行シーンでの運転操作の学習結果を参照して自動運転制御を実行する運転制御装置が提案されている。
しかしながら、特許文献2に記載されたような走行シーンを学習する方法を用いた技術では、未学習の走行シーンに対応することができないおそれがある。例えば、幅が狭い道路を走行中に対面から迫ってくる自転車とすれ違う場面において、学習済みの走行シーンが「自車両と自転車」のみの状況であったとすると、「自車両と自転車」にさらに「歩行者」等の交通参加者が加わった場合、あるいは、「自車両と自転車」のみであっても両者の動作が異なる場合、さらには、「自車両と自転車」のみであっても周囲環境が異なる場合等においては、学習済みの走行シーンにそのような場面が存在しないため、どのような走行制御を実行するべきかを決定することができないこととなる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、様々な走行シーンに対応でき、かつ、個々のドライバが感じるリスクに応じて適切な制御を実行可能な運転支援制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車両の周囲の障害物に対してドライバが感じるリスクの度合を示すリスクレベル、及び、リスクを感じる要因であるリスク要因の学習データを記憶する記憶部と、自車両の周囲の障害物のデータを取得するとともに、障害物が検知された場合に、学習データに基づいて、障害物に対するリスク要因を低減させるための制御情報を車両の駆動を制御するシステムへ出力する制御部とを備える運転支援制御装置が提供される。
また、上記の運転支援制御装置において、制御部は、複数の障害物が検知された場合に、学習データに基づいて、リスクレベルが高順位の障害物に対するリスク要因を低減させるための動作を優先して制御情報を出力してもよい。
また、上記の運転支援制御装置において、自車両が自動運転制御を実行可能な車両であり、制御部は、複数の障害物が検知された場合に、学習データに基づいて、リスクレベルが高順位の障害物に対するリスク要因を低減させるための動作を優先して自動運転制御の条件を設定し、当該制御条件の情報を出力してもよい。
また、上記の運転支援制御装置において、制御部は、自車両の周囲の障害物に存在するリスクポテンシャルを示すリスクマップを用いて、自車両の車速に依存して設定される許容リスク以下のリスクとなる走行可能経路内に走行軌道を設定してもよい。
以上説明したように本発明によれば、様々な走行シーンに対応でき、かつ、個々のドライバが感じるリスクに応じて適切な走行制御を実行することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.車両制御システムの構成例>
まず、本発明の実施の形態に係る運転支援制御装置を含む車両制御システムの構成の一例を説明する。
まず、本発明の実施の形態に係る運転支援制御装置を含む車両制御システムの構成の一例を説明する。
図1は、本実施形態に係る運転支援制御装置50を含む車両制御システム1の構成例を示すブロック図である。
車両制御システム1は、車内撮影カメラ21、車外撮影カメラ23、周囲環境センサ25、車両操作/挙動センサ27、GPSアンテナ29、地図データ記憶部31、HMI(Human Machine Interface)43、車両駆動制御部45及び運転支援制御装置50を備えている。車内撮影カメラ21、車外撮影カメラ23、周囲環境センサ25、車両操作/挙動センサ27、GPSアンテナ29、地図データ記憶部31、HMI43及び車両駆動制御部45は、それぞれ直接的に、又は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Inter Net)等の通信手段を介して運転支援制御装置50に接続されている。
車両制御システム1は、車内撮影カメラ21、車外撮影カメラ23、周囲環境センサ25、車両操作/挙動センサ27、GPSアンテナ29、地図データ記憶部31、HMI(Human Machine Interface)43、車両駆動制御部45及び運転支援制御装置50を備えている。車内撮影カメラ21、車外撮影カメラ23、周囲環境センサ25、車両操作/挙動センサ27、GPSアンテナ29、地図データ記憶部31、HMI43及び車両駆動制御部45は、それぞれ直接的に、又は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Inter Net)等の通信手段を介して運転支援制御装置50に接続されている。
(1-1.車内撮影カメラ)
車内撮影カメラ21は、車室内を撮影した画像データを生成する。車内撮影カメラ21は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備え、生成した画像データを運転支援制御装置50へ送信する。車内撮影カメラ21は、少なくとも車両のドライバが撮影範囲内に入るように設置される。設置される車内撮影カメラ21は1つのみであってもよく、複数でもよい。
車内撮影カメラ21は、車室内を撮影した画像データを生成する。車内撮影カメラ21は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備え、生成した画像データを運転支援制御装置50へ送信する。車内撮影カメラ21は、少なくとも車両のドライバが撮影範囲内に入るように設置される。設置される車内撮影カメラ21は1つのみであってもよく、複数でもよい。
(1-2.車外撮影カメラ)
車外撮影カメラ23は、車両の周囲を撮影した画像データを生成する。車外撮影カメラ23は、車両の安全機能として搭載されたものであってもよい。車外撮影カメラ23は、車内撮影カメラ21と同様にCCDやCMOS等の撮像素子を備え、生成した画像データを運転支援制御装置50へ送信する。車外撮影カメラ23は、車両の前方、側方及び後方の少なくともいずれかの方向を撮影可能に車両に設けられた一つ又は複数のカメラからなる。
車外撮影カメラ23は、車両の周囲を撮影した画像データを生成する。車外撮影カメラ23は、車両の安全機能として搭載されたものであってもよい。車外撮影カメラ23は、車内撮影カメラ21と同様にCCDやCMOS等の撮像素子を備え、生成した画像データを運転支援制御装置50へ送信する。車外撮影カメラ23は、車両の前方、側方及び後方の少なくともいずれかの方向を撮影可能に車両に設けられた一つ又は複数のカメラからなる。
(1-3.周囲環境センサ)
周囲環境センサ25は、車両の周囲の人物や障害物を検出するセンサである。周囲環境センサ25は、例えば、高周波レーダセンサ、超音波センサ、LiDARのうちの一つ又は複数を含んで構成される。検出される障害物は、他車両や自転車、建造物、電柱、交通標識、交通信号機、自然物、その他、車両の周囲に存在するあらゆる物体を含む。周囲環境センサ25は、検出したデータを含むセンサ信号を運転支援制御装置50へ送信する。
周囲環境センサ25は、車両の周囲の人物や障害物を検出するセンサである。周囲環境センサ25は、例えば、高周波レーダセンサ、超音波センサ、LiDARのうちの一つ又は複数を含んで構成される。検出される障害物は、他車両や自転車、建造物、電柱、交通標識、交通信号機、自然物、その他、車両の周囲に存在するあらゆる物体を含む。周囲環境センサ25は、検出したデータを含むセンサ信号を運転支援制御装置50へ送信する。
(1-4.車両操作/挙動センサ)
車両操作/挙動センサ27は、車両の操作状態及び挙動を検出する少なくとも一つのセンサからなる。車両操作/挙動センサ27は、例えば車速センサ、加速度センサ、角速度センサのうちの少なくとも一つを含み、車速、前後加速度、横加速度、ヨーレート等の車両の挙動の情報を検出する。また、車両操作/挙動センサ27は、例えばアクセルポジションセンサ、ブレーキストロークセンサ、ブレーキ圧センサ、舵角センサ、エンジン回転数センサ、ブレーキランプスイッチ、ウィンカスイッチのうちの少なくとも一つを含み、ステアリングホイール又は操舵輪の操舵角、アクセル開度、ブレーキ操作量、ブレーキランプスイッチのオンオフ、ウィンカスイッチのオンオフ等の車両の操作状態の情報を検出する。また、車両操作/挙動センサ27は、運転モード切換スイッチを含み、自動運転モード又は手動運転モードの設定情報を検出する。車両操作/挙動センサ27は、検出した情報を含むセンサ信号を運転支援制御装置50へ送信する。
車両操作/挙動センサ27は、車両の操作状態及び挙動を検出する少なくとも一つのセンサからなる。車両操作/挙動センサ27は、例えば車速センサ、加速度センサ、角速度センサのうちの少なくとも一つを含み、車速、前後加速度、横加速度、ヨーレート等の車両の挙動の情報を検出する。また、車両操作/挙動センサ27は、例えばアクセルポジションセンサ、ブレーキストロークセンサ、ブレーキ圧センサ、舵角センサ、エンジン回転数センサ、ブレーキランプスイッチ、ウィンカスイッチのうちの少なくとも一つを含み、ステアリングホイール又は操舵輪の操舵角、アクセル開度、ブレーキ操作量、ブレーキランプスイッチのオンオフ、ウィンカスイッチのオンオフ等の車両の操作状態の情報を検出する。また、車両操作/挙動センサ27は、運転モード切換スイッチを含み、自動運転モード又は手動運転モードの設定情報を検出する。車両操作/挙動センサ27は、検出した情報を含むセンサ信号を運転支援制御装置50へ送信する。
(1-5.GPSアンテナ)
GPSアンテナ29は、GPS(Global Positioning System)衛星からの衛星信号を受信する。GPSアンテナ29は、受信した衛星信号に含まれる車両の地図データ上の位置情報を運転支援制御装置50へ送信する。なお、GPSアンテナ29の代わりに、車両の位置を特定する他の衛星システムからの衛星信号を受信するアンテナが備えられていてもよい。
GPSアンテナ29は、GPS(Global Positioning System)衛星からの衛星信号を受信する。GPSアンテナ29は、受信した衛星信号に含まれる車両の地図データ上の位置情報を運転支援制御装置50へ送信する。なお、GPSアンテナ29の代わりに、車両の位置を特定する他の衛星システムからの衛星信号を受信するアンテナが備えられていてもよい。
(1-6.地図データ記憶部)
地図データ記憶部31は、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶素子、あるいは、HDD(Hard Disk Drive)やCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、SSD(Solid State Drive)、USB(Universal Serial Bus)フラッシュ、ストレージ装置等の記憶媒体により構成され、地図データを記憶する。記憶されている地図データは、各道路を走行する際の基準となる軌道である参照パスのデータを含む。地図データ記憶部31としては、ナビゲーションシステムの地図データを記憶する記憶媒体を用いることができる。
地図データ記憶部31は、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶素子、あるいは、HDD(Hard Disk Drive)やCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、SSD(Solid State Drive)、USB(Universal Serial Bus)フラッシュ、ストレージ装置等の記憶媒体により構成され、地図データを記憶する。記憶されている地図データは、各道路を走行する際の基準となる軌道である参照パスのデータを含む。地図データ記憶部31としては、ナビゲーションシステムの地図データを記憶する記憶媒体を用いることができる。
(1-7.HMI)
HMI43は、運転支援制御装置50により駆動され、画像表示や音声出力等の手段により、ドライバに対して種々の情報を通知する。HMI43は、例えばインストルメントパネル内に設けられた表示装置及びスピーカを含む。表示装置は、ナビゲーションシステムの表示装置であってもよい。また、HMI43は、車両の周囲の風景に重畳させてフロントウィンドウ上へ表示を行うHUD(ヘッドアップディスプレイ)を含んでもよい。
HMI43は、運転支援制御装置50により駆動され、画像表示や音声出力等の手段により、ドライバに対して種々の情報を通知する。HMI43は、例えばインストルメントパネル内に設けられた表示装置及びスピーカを含む。表示装置は、ナビゲーションシステムの表示装置であってもよい。また、HMI43は、車両の周囲の風景に重畳させてフロントウィンドウ上へ表示を行うHUD(ヘッドアップディスプレイ)を含んでもよい。
(1-8.車両駆動制御部)
車両駆動制御部45は、車両の駆動を制御する少なくとも一つの制御システムを含む。本実施形態に係る運転支援制御装置50を適用可能な車両は、少なくとも自動運転制御を実行可能に構成されている。車両駆動制御部45は、車両の駆動力を制御するエンジン制御システムあるいはモータ制御システム、ステアリングホイール又は操舵輪の操舵角を制御する電動ステアリングシステム、車両の制動力を制御するブレーキシステムを含む。また、車両駆動制御部45は、エンジン又は駆動用モータから出力された出力を変速して駆動輪へ伝達するトランスミッションシステムを含んでもよい。
車両駆動制御部45は、車両の駆動を制御する少なくとも一つの制御システムを含む。本実施形態に係る運転支援制御装置50を適用可能な車両は、少なくとも自動運転制御を実行可能に構成されている。車両駆動制御部45は、車両の駆動力を制御するエンジン制御システムあるいはモータ制御システム、ステアリングホイール又は操舵輪の操舵角を制御する電動ステアリングシステム、車両の制動力を制御するブレーキシステムを含む。また、車両駆動制御部45は、エンジン又は駆動用モータから出力された出力を変速して駆動輪へ伝達するトランスミッションシステムを含んでもよい。
(1-9.運転支援制御装置)
運転支援制御装置50は、ドライバによる車両の運転を支援する制御を実行する。本実施形態において、運転支援制御装置50は、車外撮影カメラ23から送信される画像データ、周囲環境センサ25から送信される周囲環境の検出データ、車両操作/挙動センサ27から送信される車両の操作状態及び挙動のデータ及びGPSアンテナ29から送信される車両の地図データ上の位置の情報に基づいて、車両を自動運転により走行させる。具体的に、運転支援制御装置50は、地図データ記憶部31に記憶された参照パスのデータを取得するとともに、車両が通行人や障害物(以下、特に注記する場合を除き、通行人及び障害物をまとめて「障害物」と称する)に接触しないように車両の走行条件を設定し、車両駆動制御部45に対して制御指令を送信する。
運転支援制御装置50は、ドライバによる車両の運転を支援する制御を実行する。本実施形態において、運転支援制御装置50は、車外撮影カメラ23から送信される画像データ、周囲環境センサ25から送信される周囲環境の検出データ、車両操作/挙動センサ27から送信される車両の操作状態及び挙動のデータ及びGPSアンテナ29から送信される車両の地図データ上の位置の情報に基づいて、車両を自動運転により走行させる。具体的に、運転支援制御装置50は、地図データ記憶部31に記憶された参照パスのデータを取得するとともに、車両が通行人や障害物(以下、特に注記する場合を除き、通行人及び障害物をまとめて「障害物」と称する)に接触しないように車両の走行条件を設定し、車両駆動制御部45に対して制御指令を送信する。
本実施形態において、運転支援制御装置50は、車両の周囲の障害物に対してドライバが感じるリスクの度合を示すリスクレベル、及び、当該リスクを感じる要因であるリスク要因の学習データを用いて、ドライバが感じるリスクを低減しながら車両を自動運転で走行させる。その際に、運転支援制御装置50は、障害物が検知された場合に、学習データに基づいて、障害物に対してドライバが感じるリスクの要因を低減させるための制御情報を出力する。つまり、障害物を避けるだけでなく、当該障害物に対してドライバがリスクを感じる要因を低減させる動作が行われるように制御を実行する。これにより、ドライバにとって安心できる自動運転制御が実現され、自動運転に対する信頼性が高められる。
<2.運転支援制御装置>
以下、本実施形態に係る運転支援制御装置50の構成例を具体的に説明する。
本実施形態では、車両の運転中に制御部51により種々のデータ解析が行われて学習された学習データが自動運転制御に用いられる例を説明する。
なお、本実施形態では、ドライバがリスクを感じるか否かの判別が、ドライバが「恐怖」を感じるか否かによって行われる。
以下、本実施形態に係る運転支援制御装置50の構成例を具体的に説明する。
本実施形態では、車両の運転中に制御部51により種々のデータ解析が行われて学習された学習データが自動運転制御に用いられる例を説明する。
なお、本実施形態では、ドライバがリスクを感じるか否かの判別が、ドライバが「恐怖」を感じるか否かによって行われる。
運転支援制御装置50は、少なくともCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置を備えて構成される。なお、運転支援制御装置50の一部又は全部は、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。図1に示したように、運転支援制御装置50は、制御部51、記憶部53及び参照データ記憶部55を備える。
(2-1.記憶部)
記憶部53は、RAM又はROM等の記憶素子、あるいは、HDDやCD、DVD、SSD、USBフラッシュ、ストレージ装置等の記憶媒体により構成される。記憶部53は、演算処理装置又は画像処理装置により実行されるソフトウェアプログラムや、演算処理に用いられる種々のパラメタ、取得したデータ、演算結果等を記憶する。
記憶部53は、RAM又はROM等の記憶素子、あるいは、HDDやCD、DVD、SSD、USBフラッシュ、ストレージ装置等の記憶媒体により構成される。記憶部53は、演算処理装置又は画像処理装置により実行されるソフトウェアプログラムや、演算処理に用いられる種々のパラメタ、取得したデータ、演算結果等を記憶する。
(2-2.参照データ記憶部)
参照データ記憶部55は、RAMやHDD、CD、DVD、SSD、USBフラッシュ、ストレージ装置等の更新可能な記憶媒体により構成され、制御部51により学習された学習データを記憶する。学習データは、車両の周囲の障害物に対してドライバが感じるリスクの度合を示すリスクレベル、及び、リスクを感じる要因であるリスク要因の学習結果のデータである。
参照データ記憶部55は、RAMやHDD、CD、DVD、SSD、USBフラッシュ、ストレージ装置等の更新可能な記憶媒体により構成され、制御部51により学習された学習データを記憶する。学習データは、車両の周囲の障害物に対してドライバが感じるリスクの度合を示すリスクレベル、及び、リスクを感じる要因であるリスク要因の学習結果のデータである。
(2-3.制御部)
制御部51は、例えばCPU又はMPU等の演算処理装置及びGPU等の画像処理装置を備えて構成される。演算処理装置及び画像処理装置は、記憶部53に記憶されたプログラムを実行することにより種々の演算処理を実行する。本実施形態において、制御部51は、周囲環境検出部61、車両データ取得部63、ドライバ画像処理部65、学習部67、走行条件設定部69及び通知制御部71を備える。これらの各部の一部又は全部は、演算処理装置又は画像処理装置によるプログラムの実行により実現される機能である。
制御部51は、例えばCPU又はMPU等の演算処理装置及びGPU等の画像処理装置を備えて構成される。演算処理装置及び画像処理装置は、記憶部53に記憶されたプログラムを実行することにより種々の演算処理を実行する。本実施形態において、制御部51は、周囲環境検出部61、車両データ取得部63、ドライバ画像処理部65、学習部67、走行条件設定部69及び通知制御部71を備える。これらの各部の一部又は全部は、演算処理装置又は画像処理装置によるプログラムの実行により実現される機能である。
(2-3-1.周囲環境検出部)
周囲環境検出部61は、車外撮影カメラ23から送信される画像データ及び周囲環境センサ25から送信されるデータに基づいて、車両の周囲環境の情報を検出する。具体的に、周囲環境検出部61は、車外撮影カメラ23から送信される画像データを画像処理することにより、物体検知の技術を用いて、車両の周囲に存在する人物や他車両、自転車、建造物、自然物、その他の障害物等を特定するとともに、車両に対するこれらの物体の位置や、車両とこれらの物体との間の距離及び相対速度を算出する。周囲環境検出部61は、検出した車両の周囲の障害物のデータを、時系列のデータとして記憶部53に記憶する。
周囲環境検出部61は、車外撮影カメラ23から送信される画像データ及び周囲環境センサ25から送信されるデータに基づいて、車両の周囲環境の情報を検出する。具体的に、周囲環境検出部61は、車外撮影カメラ23から送信される画像データを画像処理することにより、物体検知の技術を用いて、車両の周囲に存在する人物や他車両、自転車、建造物、自然物、その他の障害物等を特定するとともに、車両に対するこれらの物体の位置や、車両とこれらの物体との間の距離及び相対速度を算出する。周囲環境検出部61は、検出した車両の周囲の障害物のデータを、時系列のデータとして記憶部53に記憶する。
なお、周囲環境検出部61は、車車間通信又は路車間通信、移動体通信網等の通信手段を介して車外の装置から送信される情報を取得し、上記の車両の周囲の障害物の情報の一部を特定してもよい。また、周囲環境検出部61は、GPSアンテナ29により取得される車両の位置情報を用いて地図データ上の車両の位置を特定し、上記の車両の周囲の障害物の情報の一部を特定してもよい。
(2-3-2.車両データ取得部)
車両データ取得部63は、車両操作/挙動センサ27から送信されるセンサ信号に基づいて、車両の操作状態及び挙動のデータを取得する。車両の操作状態及び挙動のデータは、例えば、車速、前後加速度、横加速度、ヨーレート、ステアリングホイール又は操舵輪の操舵角、アクセル開度、ブレーキ操作量、ブレーキランプスイッチのオンオフ、ウィンカスイッチのオンオフのデータを含む。また、車両の操作状態及び挙動のデータは、車両の自動運転モードのオンオフのデータを含む。車両データ取得部63は、取得した車両の操作状態及び挙動のデータを、時系列のデータとして記憶部53に記憶する。
車両データ取得部63は、車両操作/挙動センサ27から送信されるセンサ信号に基づいて、車両の操作状態及び挙動のデータを取得する。車両の操作状態及び挙動のデータは、例えば、車速、前後加速度、横加速度、ヨーレート、ステアリングホイール又は操舵輪の操舵角、アクセル開度、ブレーキ操作量、ブレーキランプスイッチのオンオフ、ウィンカスイッチのオンオフのデータを含む。また、車両の操作状態及び挙動のデータは、車両の自動運転モードのオンオフのデータを含む。車両データ取得部63は、取得した車両の操作状態及び挙動のデータを、時系列のデータとして記憶部53に記憶する。
(2-3-3.ドライバ画像処理部)
ドライバ画像処理部65は、車内撮影カメラ21から送信される画像データを画像処理することにより、ドライバに関する情報を抽出する。具体的に、ドライバ画像処理部65は、車内撮影カメラ21から送信される画像データを画像処理することにより、物体検知の技術を用いて、ドライバの顔を検出する。このとき、ドライバ画像処理部65は、例えば顔の特徴量を抽出することにより人物を識別する。ドライバ画像処理部65は、検出したドライバの顔を解析してドライバの視線の向きを検出する。ドライバ画像処理部65は、検出したドライバの視線の向きと、周囲環境検出部61により検出された車両の周囲の障害物のデータとに基づいて、ドライバの注視対象を推定する。
ドライバ画像処理部65は、車内撮影カメラ21から送信される画像データを画像処理することにより、ドライバに関する情報を抽出する。具体的に、ドライバ画像処理部65は、車内撮影カメラ21から送信される画像データを画像処理することにより、物体検知の技術を用いて、ドライバの顔を検出する。このとき、ドライバ画像処理部65は、例えば顔の特徴量を抽出することにより人物を識別する。ドライバ画像処理部65は、検出したドライバの顔を解析してドライバの視線の向きを検出する。ドライバ画像処理部65は、検出したドライバの視線の向きと、周囲環境検出部61により検出された車両の周囲の障害物のデータとに基づいて、ドライバの注視対象を推定する。
また、ドライバ画像処理部65は、検出したドライバの顔のデータに基づいて、ドライバの感情を推定する。例えば、ドライバ画像処理部65は、FACS理論に基づく表情解析の手法によりドライバの表情のデータを解析してドライバの感情を推定する。上記のとおり、本実施形態においてドライバ画像処理部65は、少なくともドライバの「恐怖」の感情を推定する。また、ドライバ画像処理部65は、ドライバの「恐怖」の感情が推定されている場合、併せて「恐怖」の度合を推定する。例えば、ドライバ画像処理部65は、ドライバの表情を解析し、「恐怖」の度合をあらかじめ設定された複数段階のいずれかに分類する。
ドライバ画像処理部65は、推定したドライバの注視対象及び感情のデータを、時系列のデータとして記憶部53に記憶する。本実施形態において、ドライバ画像処理部65は、車両の手動運転期間中におけるドライバの注視対象及び感情を推定する。これにより、個々のドライバの運転中のリスクの認識に影響する個人特性を把握するための情報を得ることができる。
なお、感情の推定方法は、特に限定されるものではなく、他の手法であってもよい。また、ドライバ画像処理部65は、車内撮影カメラ21以外に、脳波や脈拍、心拍等を検出する生体検出センサを用いて、あるいは、これらの複数の手段を併用して、ドライバの感情を推定してもよい。
(2-3-4.学習部)
学習部67は、個々の障害物に対してドライバが感じるリスクレベルとリスクを感じるリスク要因とを学習する。本実施形態において、学習部67は、周囲環境検出部61により検知された車両の周囲の障害物のデータと、ドライバ画像処理部65により推定されたドライバの注視対象及び感情のデータと、車両データ取得部63により取得された車両の操作状態及び挙動のデータとに基づいて、リスクレベル及びリスク要因を学習する。上述のとおり、学習部67は、ドライバが「恐怖」を感じる状態を、ドライバがリスクを感じる状態として学習を行う。
学習部67は、個々の障害物に対してドライバが感じるリスクレベルとリスクを感じるリスク要因とを学習する。本実施形態において、学習部67は、周囲環境検出部61により検知された車両の周囲の障害物のデータと、ドライバ画像処理部65により推定されたドライバの注視対象及び感情のデータと、車両データ取得部63により取得された車両の操作状態及び挙動のデータとに基づいて、リスクレベル及びリスク要因を学習する。上述のとおり、学習部67は、ドライバが「恐怖」を感じる状態を、ドライバがリスクを感じる状態として学習を行う。
リスクレベルはドライバが感じている「恐怖」の度合であり、ドライバ画像処理部65により推定された「恐怖」の度合のデータに相当する。学習部67は、車両の周囲の障害物のデータ、ドライバの注視対象及び感情のデータ、並びに車両の操作状態及び挙動のデータを解析し、ドライバがどの対象物に対してどのような要因でどの程度のリスクを感じたかを求める。
例えば、学習部67は、時系列のデータとして記憶部53に記憶された各種データのうち、「恐怖」の感情が推定された時刻を特定するとともに、当該時刻における車両の周囲の障害物のデータと車両の操作状態及び挙動のデータとを抽出する。車両の周囲の障害物のデータは、例えば、障害物の種類、それぞれの障害物の大きさ、障害物との距離及び障害物との相対速度のデータを含む。車両の操作状態及び挙動のデータは、例えば、車速、横加速度、前後加速度、エンジン回転数、操舵角、ヨーレート、ブレーキ操作量(ブレーキ圧)、アクセル開度、ブレーキランプスイッチのオンオフ及びウィンカスイッチのオンオフのデータを含む。
また、学習部67は、抽出した車両の周囲の障害物のデータと車両の操作状態及び挙動のデータとから、ドライバが「恐怖」を感じた対象物及び要因を特定する。ドライバが「恐怖」を感じた要因(リスク要因)は、例えば、障害物の種類、それぞれの障害物の大きさ、障害物との距離、障害物との相対速度、車速、横加速度、前後加速度、エンジン回転数、操舵角、ブレーキ操作量、アクセル開度、ブレーキランプスイッチのオンオフ、ウィンカスイッチのオンオフのうちのいずれか一つあるいは複数の組み合わせにより特定される。
例えば、学習部67は、公知の機械学習モデル、例えばランダムフォレストを用いることにより、目的変数を「恐怖」の度合のデータとし、説明変数を車両の周囲の障害物のデータ、ドライバの注視対象データ、並びに車両の操作状態及び挙動のデータとした場合、「恐怖」に対する各説明変数の重要度を算出することができる。この方法により得られた重要度の高い説明変数をドライバが「恐怖」を感じた要因と特定する。このとき、最も重要度の高い説明変数を要因としてもよく、上位の複数の説明変数を要因としてもよい。
学習部67は、識別されるドライバごとに、個々の障害物に対するリスクレベル及びリスク要因を学習する。これにより、それぞれのドライバの注視対象物ごとのリスク要因が反映された学習データを得ることができる。学習部67は、得られた学習データを参照データ記憶部55に記憶させる。
なお、学習部67は、公知の機械学習モデルを用いて、車両の周囲の障害物のデータ、ドライバの注視対象及び感情のデータ、並びに車両の操作状態及び挙動のデータを学習用の入力データとして、個々の障害物に対するリスクレベル及びリスク要因を学習してもよい。機械学習モデルは、例えば、サポートベクタマシン、近傍法、ディープラーニング等のニューラルネットワーク又はベイジアンネットワーク等を用いた計算モデルであってよい。
また、ドライバの注視対象物ごとのリスク要因以外の要素を反映させるために、学習部67は、個々の障害物に対するリスクレベル及びリスク要因のデータ以外のデータを求め、参照データ記憶部55へ記憶させてもよい。例えば、本実施形態において、学習部67は、ドライバによる障害物の注視頻度を求め、リスクを感じた障害物の注視頻度のデータを参照データ記憶部55へ記憶させてもよい。従来障害物の注視頻度とドライバによるリスクの認識の仕方とには相関があることが示唆されており、障害物の注視頻度のデータを用いることにより、ドライバの運転特性がより反映された制御条件を設定することができる。障害物の注視頻度のデータは、例えば所定の基準時間内に対象物を注視した回数であってもよく、所定の基準時間内に対象物を注視した時間の比率であってもよい。
また、リスクレベル及びリスク要因の学習は、車両が自動運転中に取得されたデータに基づいて行われてもよく、手動運転中に取得されたデータに基づいて行われてもよい。いずれのデータであっても、個々の障害物に対するドライバのリスクレベル及びリスク要因を学習することができる。
また、本実施形態において、学習部67は、車両の周囲の障害物のデータ、並びに、車両の操作状態及び挙動のデータを解析し、ドライバが手動運転中において障害物との距離を確保するように走行軌道を修正した際の走行軌道及び車速のデータに基づいて、個々の障害物との距離を踏まえた走行軌道を学習する。例えば、学習部67は、手動運転中に検出された車両の周囲の障害物のデータ、並びに、車両の操作状態及び挙動のデータに基づいて、ドライバが障害物との距離を確保するようにステアリングあるいはアクセルペダル又はブレーキペダルを操作した走行シーンを特定する。学習部67は、特定した走行シーンにおける障害物との距離及び車速のデータを入力データとして学習データを生成する。この場合の障害物との距離とは、車両が障害物を通過する際の、車両の進行方向に直交する方向での車両と障害物との距離である。かかる走行軌道の学習データは、データ記憶部55に記憶され、ドライバ特性を反映させる調整パラメタの設定に用いられる。
また、学習部67による学習結果ではないが、本実施形態においては、それぞれのドライバのリスク認識に影響する個人特性を示す内面的特性のデータがあらかじめ参照データ記憶部55に記憶される。このような内面的特性としては、例えば、運転態度、運転中の負荷の感受性及びリスク非回避性が挙げられる。具体的に、運転態度としては、例えば、運転スキルに対する自信度、運転に対する消極度が挙げられる。また、運転中の負荷の感受性としては、例えば、運転ペースを阻害されることを避ける傾向の度合が挙げられる。また、リスク非回避性としては、例えば、不安全な行動でも利益があれば敢行する傾向の度合が挙げられる。これらの内面的特性は、例えば5段階で定量化され、個々のドライバの回答に基づいて数値化された内面的特性指標として参照データ記憶部55へ格納される。
内面的特性を示す項目は上記の例に限られるものではなく、個々の人物のリスク認識に影響する個人特性を判別し得る情報であれば適宜用いられ得る。また、内面的特性のデータは、アンケート等を利用したドライバの回答に基づくものに限られるものではなく、他人からの評価であってもよく、内面的特性を評価するためのテストの結果を利用してもよい。
(2-3-5.走行条件設定部)
走行条件設定部69は、自動運転制御を実行する際の走行条件を設定し、設定した制御条件の情報を車両駆動制御部45へ送信する。走行条件設定部69は、設定された目的地までの走行ルートに沿って車両を自動運転で走行させる際に、車両が障害物に接触しないように少なくとも走行軌道及び車速を設定し、車両駆動制御部45に対して制御指令を送信する。本実施形態において、走行条件設定部69は、車両が障害物に衝突する可能性を示す指標であるリスクポテンシャルを用いて車両の走行軌道及び車速を設定する。走行条件設定部69による演算処理の詳細は、後で詳しく説明する。
走行条件設定部69は、自動運転制御を実行する際の走行条件を設定し、設定した制御条件の情報を車両駆動制御部45へ送信する。走行条件設定部69は、設定された目的地までの走行ルートに沿って車両を自動運転で走行させる際に、車両が障害物に接触しないように少なくとも走行軌道及び車速を設定し、車両駆動制御部45に対して制御指令を送信する。本実施形態において、走行条件設定部69は、車両が障害物に衝突する可能性を示す指標であるリスクポテンシャルを用いて車両の走行軌道及び車速を設定する。走行条件設定部69による演算処理の詳細は、後で詳しく説明する。
(2-3-6.通知制御部)
通知制御部71は、HMI43の駆動を制御することにより、ドライバに対する通知を制御する。本実施形態において、通知制御部71は、個々の障害物に対するリスクレベル及びリスク要因の学習データに基づいて設定された制御条件にしたがって車両の走行制御が行われた後に、設定された制御条件の内容をドライバへ通知する。例えば、検出された歩行者の脇を通過するために走行軌道を参照パスPr上からずらした場合に、「歩行者との距離を確保するために道路の左寄りを通過しました」と通知したり、車速を低下させた場合に、「歩行者の安全を確保するために減速しました」と通知したりする。通知は、例えば、音声又は表示のうちの少なくともいずれかの手段により行われる。
通知制御部71は、HMI43の駆動を制御することにより、ドライバに対する通知を制御する。本実施形態において、通知制御部71は、個々の障害物に対するリスクレベル及びリスク要因の学習データに基づいて設定された制御条件にしたがって車両の走行制御が行われた後に、設定された制御条件の内容をドライバへ通知する。例えば、検出された歩行者の脇を通過するために走行軌道を参照パスPr上からずらした場合に、「歩行者との距離を確保するために道路の左寄りを通過しました」と通知したり、車速を低下させた場合に、「歩行者の安全を確保するために減速しました」と通知したりする。通知は、例えば、音声又は表示のうちの少なくともいずれかの手段により行われる。
なお、運転支援制御装置50が自動運転制御の制御条件を設定する場合、通知制御部71による通知は行われなくてもよい。
<3.運転支援制御装置の動作例>
次に、本実施形態に係る運転支援制御装置50の動作例を説明する。
次に、本実施形態に係る運転支援制御装置50の動作例を説明する。
(3-1.自動運転制御条件の設定手法)
まず、走行条件設定部69による自動運転制御条件の設定手法を説明する。以下、自動運転制御条件の設定手法の基本的な考え方の一例を説明した後に、それぞれのドライバが個々の障害物に対して感じるリスクレベル及びリスク要因を制御条件に反映させる手法を説明する。
まず、走行条件設定部69による自動運転制御条件の設定手法を説明する。以下、自動運転制御条件の設定手法の基本的な考え方の一例を説明した後に、それぞれのドライバが個々の障害物に対して感じるリスクレベル及びリスク要因を制御条件に反映させる手法を説明する。
(基本概念)
図2は、対象物に対するリスクポテンシャルを示す説明図である。図2では、対象物として歩行者の例が示されている。リスクポテンシャルの値(リスク値)Riは、対象物(歩行者)に近づくほど高くなる。リスク値Riは、対象物からの距離xiに対する指数関数で表すことができ、例えば、下記式(1)により示される。
図2は、対象物に対するリスクポテンシャルを示す説明図である。図2では、対象物として歩行者の例が示されている。リスクポテンシャルの値(リスク値)Riは、対象物(歩行者)に近づくほど高くなる。リスク値Riは、対象物からの距離xiに対する指数関数で表すことができ、例えば、下記式(1)により示される。
Ri:リスク値
Ci:リスク絶対値(ゲイン)
xi:対象物からの距離
τi:勾配係数
ri:対象物半径
i:対象物を区別するための付番
Ci:リスク絶対値(ゲイン)
xi:対象物からの距離
τi:勾配係数
ri:対象物半径
i:対象物を区別するための付番
対象物との距離xiがゼロの時のリスク値であるリスク絶対値Ciは、対象物に依存する値として対象物ごとに設定される。例えば、対象物が「歩行者」又は「背の低い縁石」である場合、歩行者との衝突が背の低い縁石との衝突よりも高いリスクがあるものとして、「歩行者」に対するリスク絶対値Ciは「背の低い縁石」に対するリスク絶対値Ciよりも大きい値に設定される。勾配係数τiは、対象物にかかわらず設定される値である。
車両の走行中において、検出されるそれぞれの障害物に対してリスクを付与し、それぞれのリスクポテンシャルの空間的な重なりを加算することで、複数の障害物との衝突リスクを考慮したリスクマップが求められる。かかるリスクマップでは、リスクの高低が、二次元平面上に等高線として示され得る。ここで、リスクマップにおけるリスク値をRRMとする。ただし、上述のとおり、リスク値RRMは二次元的な分布を持つ。これにより、リスクが低くなる軌道を選択することが可能となる。このとき、顕在化している障害物と併せて、顕在化していないリスク(潜在リスク)を考慮してリスクマップを演算してもよい。例えば、曲がった先が遮蔽物により死角となっている領域を通過する場合に、当該死角領域から通行人が飛び出すことを想定して潜在リスクを付与し、リスクマップに反映させてもよい。
図3は、潜在リスクを反映させたリスクマップの例を示す。図3に示したリスクマップでは、道路に沿って付与されるリスクポテンシャルと、周囲環境検出部61により検出されて顕在化している遮蔽物Zのリスクポテンシャルと併せて、死角領域から自転車Yが飛び出してくる潜在リスクのリスクポテンシャルが反映されている。これにより、自転車Yが実際に存在するか否かにかかわらず、車両Xにおいては、潜在リスクを考慮して、死角から離れたリスクの低い走行軌道Tが選択される。これにより、生活道路等の複雑な交通環境に対しても、安全な走行軌道を選択することができる。
(ドライバ特性を反映する基本となる手法)
ここで、個々のドライバが感じるリスクは、必ずしも物理的なリスクと同じではない。例えば、狭い生活道路を走行する際に、道路にせり出した電柱に強くリスクを感じるドライバもいれば、死角からの飛び出しに強くリスクを感じるドライバもいる。このため、本実施形態においては、走行軌道を設定する基本となる手法として、公知文献「前方視野の危機感に基づくドライバモデルの自動運転制御への応用に関する研究」(自動車技術会論文集,Vol.48,No.3,pp.763-769)において提案されている、個々のドライバに許容可能なリスクレベルの指標(以下、「許容リスク」ともいう)の考え方を利用する。
ここで、個々のドライバが感じるリスクは、必ずしも物理的なリスクと同じではない。例えば、狭い生活道路を走行する際に、道路にせり出した電柱に強くリスクを感じるドライバもいれば、死角からの飛び出しに強くリスクを感じるドライバもいる。このため、本実施形態においては、走行軌道を設定する基本となる手法として、公知文献「前方視野の危機感に基づくドライバモデルの自動運転制御への応用に関する研究」(自動車技術会論文集,Vol.48,No.3,pp.763-769)において提案されている、個々のドライバに許容可能なリスクレベルの指標(以下、「許容リスク」ともいう)の考え方を利用する。
許容リスクを用いた基本となる手法について簡単に説明すると、ドライバの許容リスクUaは、自車両の車速Vと関係するものと想定され、下記式(2)で示すことができる。
Ua:許容リスク
wa:ゲイン
V:車速
wa:ゲイン
V:車速
本実施形態において、ゲインwaの値は、個々のドライバごとに設定される値である。あるいは、ゲインWaの値は、死角や他の交通参加者が周囲に存在しないリスクの無い状況で、法定速度に対応した値となるように設定されてもよい。
上記式(2)で示される許容リスクUaは、車速Vが大きいほど小さい値となり、リスクの許容範囲が狭くなる。換言すれば、車両の進行方向前方のリスク値RRMが許容リスクUaを上回る場合、車速Vを低下させることにより許容リスクUaが高くなり、リスク値RRMが許容リスクUaを下回る領域を作り出すことができる。
図4は、車速Vを低下させることにより許容リスクUaが拡大され、走行可能経路が確保される例を示す説明図である。図4は、車速Vが30km/hの場合と20km/hの場合それぞれについて側壁Z1のリスクポテンシャルと歩行者Y1のリスクポテンシャルとの空間的な重なりを加算したリスクマップを、車両の進行方向に垂直な断面で示した図である。
図4の左側に示すように、車速Vが30km/hの状態では、進行方向前方のリスク値RRMが許容リスクUaを上回っており、車両が安全に走行できる走行軌道を設定することができない。一方、図4の右側に示すように、車速Vが20km/hの状態では、許容リスクUaの値が増大し、リスク値RRMが許容リスクUa以下となる領域(走行可能経路)が進行方向前方に生じている。このように、車速Vを調節することにより走行可能経路内に走行軌道を設定することができるようになる。
図5~図7は、ドライバ特性を反映する基本となる手法を用いた走行軌道及び車速の設定方法の例を示す説明図である。
設定された目的地までの走行ルートを走行するにあたり、あらかじめ格納された地図データを参照することにより、走行中の道路の参照パスPrのデータを取得する。図5に示すように、左側に側壁Z1が存在する道路を走行する際に、取得した参照パスPr上で、現在の車速V(=30km/h)に対応する許容リスクUaが進行方向前方のリスク値RRMを上回っている限り、参照パスPrがそのまま選択パスPcとして設定される。
設定された目的地までの走行ルートを走行するにあたり、あらかじめ格納された地図データを参照することにより、走行中の道路の参照パスPrのデータを取得する。図5に示すように、左側に側壁Z1が存在する道路を走行する際に、取得した参照パスPr上で、現在の車速V(=30km/h)に対応する許容リスクUaが進行方向前方のリスク値RRMを上回っている限り、参照パスPrがそのまま選択パスPcとして設定される。
また、図6に示すように、同じ道路で車両が右側の電柱Z2の脇を通過する際に、取得した参照パスPr上で、現在の車速V(=30km/h)に対応する許容リスクUaが進行方向前方のリスク値RRMを下回る場合に、許容リスクUaがリスク値RRM以上となる走行可能経路のうち、参照パスPr側の経路が選択パスPcとして設定される。
また、図7に示すように、同じ道路で車両が右側の歩行者Y1の脇を通過する際、歩行者Y1のリスク値RRMは高く設定されていることから、図6に示した電柱Z2と図7に示した歩行者Y1とが車両から同じ距離に存在する場合であっても、現在の車速V(=30km/h)に対応する許容リスクUaがリスク値RRM以上となる走行可能経路が存在しないこととなる。このような場合、自車両の車速Vを低下させることにより(V=20km/h)許容リスクUaが上昇し、許容リスクUaがリスク値RRM以上となる走行可能経路が作り出されることで選択パスPcが設定される。
(ドライバ特性を反映する本実施形態の手法)
ここまで、走行条件設定部69による制御条件の設定方法の基本となる手法を説明した。本実施形態において、走行条件設定部69は、さらに学習部67により得られた学習データを反映させて制御条件を設定する。上述のとおり、学習部67により得られた学習データには、少なくとも個々のドライバの注視対象物ごとのリスク要因のデータが含まれる。また、本実施形態において、学習データは、さらにドライバの注視対象物の注視頻度のデータを含む。また、本実施形態においては、ドライバの内面的特性を反映して制御条件が設定される。
ここまで、走行条件設定部69による制御条件の設定方法の基本となる手法を説明した。本実施形態において、走行条件設定部69は、さらに学習部67により得られた学習データを反映させて制御条件を設定する。上述のとおり、学習部67により得られた学習データには、少なくとも個々のドライバの注視対象物ごとのリスク要因のデータが含まれる。また、本実施形態において、学習データは、さらにドライバの注視対象物の注視頻度のデータを含む。また、本実施形態においては、ドライバの内面的特性を反映して制御条件が設定される。
具体的に、走行条件設定部69は、個々の対象物のリスクポテンシャルへ、注視対象物の注視頻度及び注視対象物ごとのリスク要因を反映させる。また、走行条件設定部69は、上記式(2)で示される許容リスクUaへドライバの内面的特性を反映させる。
まず、個々の対象物のリスクポテンシャルへ注視対象物の注視頻度及び注視対象物ごとのリスク要因を反映させる方法について説明する。
本実施形態では、注視対象物の注視頻度及び注視対象物ごとのリスク要因を反映させたリスク値Riを下記式(3)で表す。以下の例では、注視対象物の注視頻度のデータとして注視比率のデータが用いられる。
本実施形態では、注視対象物の注視頻度及び注視対象物ごとのリスク要因を反映させたリスク値Riを下記式(3)で表す。以下の例では、注視対象物の注視頻度のデータとして注視比率のデータが用いられる。
Ri:リスク値
Ci:リスク絶対値(ゲイン)
xi:対象物からの距離
τi:勾配係数
ri:対象物半径
GAi:注視比率(0≦GAi≦1)
βi,γi:リスク要因パラメタ(1+リスク要因の重要度)
i:対象物を区別するための付番
Ci:リスク絶対値(ゲイン)
xi:対象物からの距離
τi:勾配係数
ri:対象物半径
GAi:注視比率(0≦GAi≦1)
βi,γi:リスク要因パラメタ(1+リスク要因の重要度)
i:対象物を区別するための付番
注視比率GAiは、所定の基準時間内に対象物を注視した時間の比率であり、0~1の間の値となる。注視比率GAiが高いほどリスクを感じやすい注視対象物と考えられ、リスク値Riは大きくなる。また、リスク要因パラメタβi,γiは、学習部67による学習の結果に基づき、対象物ごとのリスク要因の重要度に応じて設定される値であり、リスク要因パラメタβi,γiによりリスクポテンシャルの形状が調整される。リスク要因パラメタβi,γiは、リスク要因の重要度に応じた値(1~2の間の値)に設定される。
例えば、対象物との距離感にリスクを感じるドライバの場合、対象物半径riの係数であるリスク要因パラメタβiの値を大きくする(2に近づける)ことにより対象物のリスクポテンシャルのリスク絶対値Ciに相当する領域の半径を拡大させることができる。また、対象物との相対速度にリスクを感じるドライバの場合、勾配係数τiの係数であるリスク要因パラメタγiの値を小さくする(1に近づける)ことにより対象物のリスクポテンシャルの勾配を緩やかにするとともに半径を拡大させることができる。
図8は、注視対象物の注視比率GAi及びリスク要因をリスクポテンシャルに反映させた結果を示す説明図である。図8は、注視対象物の注視比率GAi及びリスク要因の反映前と反映後における、側壁Z1のリスクポテンシャルと歩行者Y1のリスクポテンシャルとの空間的な重なりを加算したリスクマップを、車両の進行方向に垂直な断面で示した図である。側壁Z1のリスク値R1が実線で示され、歩行者Y1のリスク値R2が破線で示され、加算後のリスク値RRMが一点鎖線で示されている。
歩行者の注視比率GAiが高く、歩行者との距離感にリスクを感じるドライバの場合、注視比率GAiの値及びリスク要因パラメタβiの値はともに大きくされる。これにより、図8に示したように、歩行者Y1のリスクポテンシャルの半径が元の設計値から拡大されるとともに、リスク値R2は大きくなる。これにより、歩行者Y1に近い側の加算後のリスク値RRMは大きくなり、設定される選択パスPcは歩行者Y1から遠ざけられる。このように、注視対象物の注視比率GAi及びリスク要因をリスクポテンシャルへ反映させることにより、主として走行軌道の設定へドライバ特性を反映させることができるようになる。
次に、許容リスクUaへドライバの内面的特性を反映させる方法について説明する。
本実施形態では、ドライバの内面的特性を反映させた許容リスクUaを下記式(4)で表す。
本実施形態では、ドライバの内面的特性を反映させた許容リスクUaを下記式(4)で表す。
Ua:許容リスク
wa:ゲイン
V:車速
IVj:内面的特性指標
IVj_max:内面的特性指標の最大値
M:内面的特性指標の数
αj:調整パラメタ(0<αj≦1)
j:考慮する内面的特性を区別するための付番
wa:ゲイン
V:車速
IVj:内面的特性指標
IVj_max:内面的特性指標の最大値
M:内面的特性指標の数
αj:調整パラメタ(0<αj≦1)
j:考慮する内面的特性を区別するための付番
内面的特性指標の数Mは、内面的特性を評価する項目の数である。内面的特性として、例えば、運転スキルに対する自信度、運転に対する消極度、運転ペースを阻害されることを避ける傾向の度合、及び不安全な行動でも利益があれば敢行する傾向の度合の情報を用いる場合、内面的特性指標の数Mは4である。また、それぞれの内面的特性を5段階で評価する場合、内面的特性指標の最大値IVj_maxは5であり、内面的特性指標IVjはドライバごとの評価値(1~5の値)である。例えば、「運転スキルへの自信度」の指標が4である場合、上記式(4)における(1-IVj/IVj_max)は0.2となる。これをすべての内面的特性について算出し、平均化する。調整パラメタαjは、学習部67により学習した個々の障害物との距離を踏まえた走行軌道の学習データに基づき設定される値である。
図9は、ドライバの内面的特性を許容リスクUaに反映させた結果を示す説明図である。図9は、ドライバの内面的特性の反映前と反映後における許容リスクUaを示した図である。図9の左側に示すように、内面的特性を反映していない上記式(1)に示す許容リスクUa(=wa/V2)を用いた場合であっても、参照パスPr上で、現在の車速V(=30km/h)に対応する許容リスクUaが進行方向前方のリスク値RRMを上回っている。ただし、運転スキルに自信がないドライバは、参照パスPrを通過する際に歩行者Y1との距離感にリスクを感じ得る。
これに対して、図9の右側に示すように、上記式(4)を用いて許容リスクUaにドライバの内面的特性を反映させることにより、許容リスクUaが下げられる。この場合、現在の車速V(=30km/h)に対応する許容リスクUaがリスク値RRM以上となる走行可能経路が存在しないこととなる。このため、自車両の車速Vを低下させることにより(V=20km/h)許容リスクUaを上昇させ、許容リスクUaがリスク値RRM以上となる走行可能経路を作り出すことで選択パスPcを設定する。これにより、設定される選択パスPcは歩行者Y1から遠ざけられる。このようにして許容リスクUaへドライバの内面的特性を反映させることにより、車速及び走行軌道の設定にドライバの内面的特性を反映させることができる。
なお、式(4)において、個々の障害物との距離を踏まえた走行軌道の学習データに基づき設定される調整パラメタαjを用いることは必須ではないが、かかる調整パラメタαjを用いることにより、ドライバの手動運転中の車両の挙動に現れる内面的特性を許容リスクUaへ反映させることができ、車速及び走行軌道をより適切に設定することができる。
このようにして、走行条件設定部69は、ドライバがリスクを感じる障害物の物理的なリスクレベルだけでなく、当該障害物にリスクを感じる要因についてもリスクポテンシャルに反映させて制御条件を設定する。したがって、様々な走行シーンにおいて、検出される障害物に対して個々のドライバが感じるリスクに応じて適切な走行制御を実行することができる。その際に、複数の障害物が検出されている場合には、リスクレベルが高順位の障害物ほど、リスクの絶対値Ciが基本となる設定値よりも大きくされるとともに、当該障害物のリスクポテンシャルの半径が基本となる設定値よりも拡大される。したがって、リスクレベルがより高順位の障害物に対して感じるリスクの要因を低減するための動作が優先されるように車両の制御条件が設定される。これにより、個々のドライバにとって安全な自動運転が実現され、自動運転制御に対する信頼性を高めることができる。
(3-2.フローチャート)
次に、運転支援制御装置50の動作例のフローチャートを、学習データ記憶処理と制御条件設定処理とに分けて説明する。なお、以下の説明において、これまでに説明した内容と重複する部分については詳細な説明を省略する。
次に、運転支援制御装置50の動作例のフローチャートを、学習データ記憶処理と制御条件設定処理とに分けて説明する。なお、以下の説明において、これまでに説明した内容と重複する部分については詳細な説明を省略する。
(3-2-1.学習データ記憶処理)
図10は、学習データ記憶処理を示すフローチャートである。なお、学習データ記憶処理は、適宜のタイミングで実行されてよい。例えば、車両の運転が終了したときや手動運転モードによる車両の運転が終了したときに実行されてもよく、所定の時間間隔であるいは常時実行されてもよい。
図10は、学習データ記憶処理を示すフローチャートである。なお、学習データ記憶処理は、適宜のタイミングで実行されてよい。例えば、車両の運転が終了したときや手動運転モードによる車両の運転が終了したときに実行されてもよく、所定の時間間隔であるいは常時実行されてもよい。
まず、ドライバ画像処理部65は、車内撮影カメラ21から送信される画像データに基づいてドライバの顔を検出するとともに、当該顔の特徴量分析等によりドライバの識別データを生成し、参照データ記憶部55に設定する(ステップS11)。これにより、これから学習されるデータがドライバ識別データに紐づけられ、当該ドライバの学習データとして特定することが可能になる。なお、ドライバを識別する情報は、ドライバにより入力されてもよい。
次いで、学習部67は、周囲環境検出部61により検出されて時系列のデータとして記憶部53に記憶された車両の周囲の障害物のデータを取得する(ステップS13)。車両の周囲の障害物のデータは、例えば、障害物の種類、それぞれの障害物の大きさ、障害物との距離及び障害物との相対速度のデータを含む。
また、学習部67は、車両状態/挙動センサ27により検出されて時系列のデータとして記憶部53に記憶された車両の操作状態及び挙動のデータを取得する(ステップS15)。車両の操作状態及び挙動のデータは、例えば、車速、横加速度、前後加速度、エンジン回転数、操舵角、ブレーキ操作量、アクセル開度、ブレーキランプスイッチのオンオフ、ウィンカスイッチのオンオフ及び車両の運転モードのデータを含む。
また、学習部67は、ドライバ画像処理部65により推定されて時系列のデータとして記憶部53に記憶されたドライバの注視対象のデータを取得する(ステップS17)。さらに、学習部67は、ドライバ画像処理部65により推定されて時系列のデータとして記憶部53に記憶されたドライバの感情のデータを取得する(ステップS19)。ドライバの感情のデータは、ドライバが感じた「恐怖」の度合(リスクレベル)のデータを含む。リスクレベルは、例えば5段階に分類され得る。
次いで、学習部67は、取得したデータに基づいて、ドライバがどの障害物に対してどのような要因でどの程度のリスクを感じたかを学習する演算を実行する(ステップS21)。本実施形態において、学習部67は、「恐怖」の感情が推定された時刻を特定するとともに、当該時刻における車両の周囲の障害物のデータと車両の操作状態及び挙動のデータとを抽出する。また、学習部67は、抽出した車両の周囲の障害物のデータと車両の操作状態及び挙動のデータとから、ドライバが「恐怖」を感じた対象物、「恐怖」の度合(リスクレベル)及び「恐怖」を感じた要因(リスク要因)を特定する。
具体的に、学習部67は、公知の機械学習モデル、例えばランダムフォレストを用いることにより、目的変数を「恐怖」の度合のデータとし、説明変数を車両の周囲の障害物のデータ、ドライバの注視対象データ、並びに車両の操作状態及び挙動のデータとして、「恐怖」に対する各説明変数の重要度を算出する。この方法により得られた重要度の高い説明変数をドライバが個々の障害物に対して「恐怖」を感じたリスク要因と特定する。リスク要因は、例えば、それぞれの障害物との距離、障害物との相対速度、車速、横加速度、前後加速度、エンジン回転数、操舵角、ブレーキ操作量、アクセル開度、ブレーキランプスイッチのオンオフ、ウィンカスイッチのオンオフのうちのいずれか一つあるいは複数の組み合わせにより特定される。このとき、最も重要度の高い説明変数をリスク要因としてもよく、上位の複数の説明変数を要因としてもよい。
さらに、学習部67は、特定した対象物ごとのリスクレベル及びリスク要因のデータに基づいて、対象物ごとのリスク要因の重要度に応じたリスク要因パラメタβi,γiを設定する。リスク要因パラメタβi,γiは、例えばリスク要因の重要度に応じた値(1~2の間の値)に設定される。
次いで、学習部67は、取得したデータに基づいて、ドライバが手動運転中に障害物との距離を確保するように走行軌道を修正した際の、個々の障害物との距離を踏まえた走行軌道(修正時走行軌道)を学習する演算を実行する(ステップS23)。例えば、学習部67は、手動運転中に検出された車両の周囲の障害物のデータ、並びに、車両の操作状態及び挙動のデータに基づいて、ドライバが障害物との距離を確保するようにステアリングあるいはアクセルペダル又はブレーキペダルを操作した走行シーンを特定する。学習部67は、特定した走行シーンにおける障害物の種類、障害物の大きさ、障害物との距離及び車速のデータを入力データとして学習データを生成する。この場合の障害物との距離とは、車両が障害物を通過する際の、車両の進行方向に直交する方向での車両と障害物との距離である。
さらに、学習部67は、学習した修正時走行軌道のデータに基づいて許容リスクUaを調整するための調整パラメタαjを設定する。調整パラメタαjは、例えば障害物との距離を大きくとる傾向にあるほど又は減速する傾向にあるほど許容リスクUaが小さくなるように0~1の間の値に設定される。
次いで、学習部67は、ドライバがリスクを感じた障害物の注視頻度を演算する(ステップS25)。障害物の注視頻度のデータは、例えば所定の基準時間内に対象物を注視した回数であってもよく、所定の基準時間内に対象物を注視した時間の比率であってもよい。本実施形態において、学習部67は、ドライバがリスクを感じた障害物を所定の基準時間内に注視した時間の比率である注視比率(0~1の間の値)を算出する。
次いで、学習部67は、ステップS21~ステップS25における学習処理の結果として得られた学習データを、ステップS11で設定されたドライバの識別データに関連付けて参照データ記憶部55へ記憶させる(ステップS27)。
図11は、本実施形態において、参照データ記憶部55へ記憶されるデータ構成例を示す説明図である。参照データ記憶部55へ記憶されるデータは、ドライバにかかわらず対象物ごとに設定される対象物基本データ、ドライバに依存するドライバデータ及びドライバが「恐怖」を感じた対象物ごとのリスクデータを含む。具体的に、対象物基本データは、あらかじめ設定された対象物ごとのリスク絶対値Ci及び対象物ごとの勾配係数τiのデータを含む。また、ドライバデータは、あらかじめ設定されたドライバ識別データ、ゲインwa及び内面的特性ごとの内面的特性指標IViのデータを含む。また、ドライバデータは、学習した修正時走行軌道(障害物の種類、障害物との距離、車速)及び調整パラメタαjのデータを含む。また、リスクデータは、「恐怖」を感じた対象物、「恐怖」の度合(リスクレベル)、「恐怖」を感じた要因(リスク要因)、リスク要因パラメタβi,γi及び注視比率GAiのデータを含む。
このようにして、運転支援制御装置50は、個々のドライバが車両を運転している期間に収集されたデータに基づいて、それぞれのドライバが個々の障害物に対して感じるリスクレベル及びリスク要因、さらには、個々の障害物との距離を踏まえた走行軌道、障害物の注視頻度を学習し、学習結果のデータを参照データ記憶部55へ記憶させる。
なお、学習処理に用いる種々のデータを取得するステップS13~ステップS19の順序は、上記の例に限られるものではなく、適宜の順序に変更されてもよい。同様に、それぞれの学習データを演算するステップS21~ステップS25の順序は、上記の例に限られるものではなく、適宜の順序に変更されてもよい。
(3-2-2.制御条件設定処理)
図12~図13は、制御条件設定処理を示すフローチャートである。
まず、走行条件設定部69は、車両が自動運転中であるか否かを判別する(ステップS31)。車両が自動運転中であるか否かは、自動運転モードの設定情報に基づいて判別することができる。車両が自動運転中でない場合(S31/No)、走行条件設定部69は、そのまま車両が自動運転モードに切り替えられるまで、車両が自動運転中であるか否かの判別を繰り返す。
図12~図13は、制御条件設定処理を示すフローチャートである。
まず、走行条件設定部69は、車両が自動運転中であるか否かを判別する(ステップS31)。車両が自動運転中であるか否かは、自動運転モードの設定情報に基づいて判別することができる。車両が自動運転中でない場合(S31/No)、走行条件設定部69は、そのまま車両が自動運転モードに切り替えられるまで、車両が自動運転中であるか否かの判別を繰り返す。
一方、車両が自動運転中である場合(S31/Yes)、走行条件設定部69は、ドライバ画像処理部65による現在運転操作中のドライバの識別データを取得し、参照データ記憶部55に設定された識別データに照らしてドライバを特定する(ステップS33)。これにより、参照する学習データを特定することができる。なお、現在運転操作中のドライバを識別する情報は、ドライバにより入力されてもよい。
次いで、走行条件設定部69は、周囲環境検出部61により検出された車両の周囲の障害物のデータを取得する(ステップS35)。車両の周囲の障害物のデータは、少なくとも障害物の種類、それぞれの障害物の大きさ、障害物との距離及び障害物との相対速度のデータを含む。次いで、走行条件設定部69は、車両状態/挙動センサ27により検出された車両の操作状態及び挙動のデータを取得する(ステップS37)。車両の操作状態及び挙動のデータは、少なくとも車速、横加速度及び前後加速度のデータを含む。なお、ステップS35及びステップS37の順序はこの順に限られるものではなく、置き換えられてもよい。
次いで、走行条件設定部69は、検出されている個々の障害物にリスクポテンシャルを付与するとともに、それぞれのリスクポテンシャルの空間的な重なりを加算して、リスクマップを演算する(ステップS39)。このとき、走行条件設定部69は、参照データ記憶部55に記憶されたリスクレベル、リスク要因及び注視比率の学習データを参照し、上記式(3)を用いて個々の障害物に付与するリスクポテンシャルを算出する。具体的に、走行条件設定部69は、参照データ記憶部55に記憶されたデータから、検出されている個々の障害物ごとに、障害物に設定されたリスク要因パラメタβi,γi、リスクの絶対値Ci及び勾配係数τiのデータを抽出する。走行条件設定部69は、抽出したデータを、現在検出されている障害物からの距離xi、障害物の半径ri及び障害物の注視比率GAiとともに上記式(3)に入力して個々の障害物のリスクポテンシャル(リスク値Ri)を算出する。求められるリスクポテンシャルには、ドライバによる個々の障害物の注視比率(注視頻度)とリスク要因が反映される。また、本実施形態では、求められるリスクポテンシャルに、個々の障害物との距離感、相対速度、加速度等に対するリスクレベルが反映される。これにより、個々の障害物に対してドライバが感じるリスクレベルの順位が高いほど、リスクポテンシャルの半径が元の設計値から拡大されるとともに、リスクの絶対値Ciが大きくなる。そして、走行条件設定部69は、それぞれの障害物のリスクポテンシャルの空間的な重なりを加算することによりリスクマップを算出する。
次いで、走行条件設定部69は、現在の車速Vに応じたドライバの許容リスクUaを演算する(ステップS41)。このとき、走行条件設定部69は、参照データ記憶部55に記憶されたリスクレベル及びリスク要因の学習データとドライバの内面的特性のデータを参照し、上記式(4)を用いて許容リスクUaを算出する。具体的に、走行条件設定部69は、現在の車速Vのデータを取得するとともに、参照データ記憶部55に記憶されたデータから、ドライバの内面的特性指標IVj、調整パラメタαj及びゲインwaのデータを抽出する。そして、走行条件設定部69は、抽出したデータを上記式(4)に入力して現在の車速Vに応じたドライバの許容リスクUaを算出する。求められる許容リスクUaには、ドライバのリスク認識に影響し得る内面的特性が反映される。また。本実施形態では、求められる許容リスクUaに個々の障害物との距離感、相対速度、加速度等に対するリスクレベルが反映される。これにより、ドライバのリスク認識のレベルが高いほど、許容リスクUaが低くなる。なお、ステップS39とステップS41の順序が置き換えられてもよい。
次いで、走行条件設定部69は、求められたリスクマップ(リスク値RRM)及び許容リスクUaに基づいて、走行軌道及び車速を設定する(ステップS43)。図13は、走行軌道及び車速を設定する処理を示すフローチャートである。
まず、走行条件設定部69は、GPSアンテナ29から送信される車両の現在位置の情報を取得するとともに地図データ記憶部31を参照して、現在走行中の道路を走行する際の基準となる軌道である参照パスPrのデータを取得する(ステップS51)。次いで、走行条件設定部69は、リスクマップ及び許容リスクUaに取得した参照パスPrを適用し、参照パスPr上で、進行方向前方のリスク値RRMが許容リスクUa以下となるか否かを判別する(ステップS53)。
参照パスPr上で、進行方向前方のリスク値RRMが許容リスクUa以下となる場合(S53/Yes)、走行条件設定部69は、現在の車速Vを維持したままで参照パスPrを選択パスPcに設定する(ステップS55)。一方、参照パスPr上で、進行方向前方のリスク値RRMが許容リスクUaを超える場合(S53/No)、走行条件設定部69は、進行方向前方のリスク値RRMが許容リスクUa以下となる走行可能経路が存在するか否かを判別する(ステップS57)。
進行方向前方のリスク値RRMが許容リスクUa以下となる走行可能経路が存在する場合(S57/Yes)、走行条件設定部69は、走行可能経路のうち、参照パスPr側の経路を選択パスPcとして設定する(ステップS59)。これにより、現在の車速Vを維持したまま、ドライバが感じるリスクの小さい走行軌道での走行が実現される。
一方、進行方向前方のリスク値RRMが許容リスクUa以下となる走行可能経路が存在しない場合(S57/No)、走行条件設定部69は、車両を減速させることにより上記式(4)により得られる許容リスクUaを上昇させ、進行方向前方のリスク値RRMが許容リスクUa以下となる走行可能経路を作り出す(ステップS61)。そして、走行条件設定部69は、作り出した走行可能経路内に選択パスPcを設定する(ステップS63)。これにより、ドライバが感じるリスクの小さい車速Vかつ走行軌道での走行が実現される
図12に戻り、走行条件設定部69は、ステップS43において設定した走行軌道及び車速Vの情報を車両駆動制御部45へ出力する。車両駆動制御部45は、取得した走行軌道及び車速Vに基づいて、エンジン制御システムあるいはモータ制御システム、電動ステアリングシステム、ブレーキシステム及びトランスミッションシステムのうちの少なくとも一つの制御目標値を設定し、車両を自動運転により走行させる。
<4.本実施形態に係る運転支援制御装置による効果>
以上説明したように、本実施形態に係る運転支援制御装置50によれば、車両の周囲の障害物に対してドライバが感じるリスクレベル及びリスク要因の学習データを用いて算出される個々の障害物のリスクポテンシャル(リスク値Ri)及びドライバの許容リスク(Ua)に基づいて、自動運転制御時に、障害物に対するリスク要因を低減させるための制御条件を設定して車両駆動制御部45へ出力する。これにより、車両の走行中のリスクの認識に影響するドライバの特性が、個々の障害物のリスクポテンシャルRiの重み付けに反映されるとともに許容リスクUaの調整に反映される。このため、障害物の種類に依らない物理的なリスクだけでなく、個々の障害物に対してそれぞれのドライバが感じるリスクレベル及びリスク要因を反映した走行制御が実行される。したがって、あらゆる走行シーンに対応可能であり、それぞれのドライバが安心感や信頼感を持つことができる運転支援システムを実現することができる。また、その結果、それぞれのドライバが継続的に運転支援システムを利用するようになる。
以上説明したように、本実施形態に係る運転支援制御装置50によれば、車両の周囲の障害物に対してドライバが感じるリスクレベル及びリスク要因の学習データを用いて算出される個々の障害物のリスクポテンシャル(リスク値Ri)及びドライバの許容リスク(Ua)に基づいて、自動運転制御時に、障害物に対するリスク要因を低減させるための制御条件を設定して車両駆動制御部45へ出力する。これにより、車両の走行中のリスクの認識に影響するドライバの特性が、個々の障害物のリスクポテンシャルRiの重み付けに反映されるとともに許容リスクUaの調整に反映される。このため、障害物の種類に依らない物理的なリスクだけでなく、個々の障害物に対してそれぞれのドライバが感じるリスクレベル及びリスク要因を反映した走行制御が実行される。したがって、あらゆる走行シーンに対応可能であり、それぞれのドライバが安心感や信頼感を持つことができる運転支援システムを実現することができる。また、その結果、それぞれのドライバが継続的に運転支援システムを利用するようになる。
また、本実施形態に係る運転支援制御装置50によれば、個々の障害物に対してドライバが感じるリスクレベルが高いほどリスクポテンシャルが大きくされ、当該障害物に対するリスクを低減する動作が優先される。また、その際に、当該障害物に対するリスク要因に応じて、リスク要因パラメタβi,γiが調整され、個々の障害物ごとのリスクポテンシャルが調節される。これにより、運転支援制御装置50によれば、複数の障害物が検知された場合、リスクレベルが高順位の障害物に対するリスク要因を低減させるための動作が優先される。したがって、それぞれのドライバの特性に対応して安心感や信頼感を与えることができる運転支援システムを実現することができる。
また、本実施形態に係る運転支援制御装置50によれば、ドライバのリスクの認識に影響を及ぼす内面的特性が、許容リスクUaの調整に反映される。これにより、障害物に対してドライバが感じるリスクだけでなく、ドライバの内面的特性によっても車両の制御条件が調整される。したがって、それぞれのドライバの特性に対応してより安心感や信頼感を与えることができる運転支援システムを実現することができる。
また、本実施形態に係る運転支援制御装置50によれば、学習部67は、車両の手動運転中に収集されたデータを用いて、ドライバが障害物に対して感じるリスクレベル及びリスク要因の学習データを生成し参照データ記憶部55へ記憶させる。このため、ドライバが車両を手動で運転している最中に自動で学習データが蓄積される。したがって、ドライバの通常運転時に現れる、リスクの認識に影響を及ぼす特性の学習データが精度よく蓄積され、設定される制御条件の精度を高めることができる。
<5.他の実施の形態>
ここまで、本実施形態に係る運転支援制御装置50について説明したが、運転支援制御装置50は、種々の変形が可能である。以下、運転支援制御装置の変形例の幾つかを説明する。
ここまで、本実施形態に係る運転支援制御装置50について説明したが、運転支援制御装置50は、種々の変形が可能である。以下、運転支援制御装置の変形例の幾つかを説明する。
(5-1.第1の変形例)
上述した運転支援制御装置50は、ドライバが車両を手動運転している間に車両の周囲の障害物のデータ、車両の走行状態及び挙動のデータ、ドライバの注視対象及び感情のデータ等を収集し、個々の障害物に対するリスクレベル及びリスク要因等を学習し、学習データを参照データ記憶部55へ記憶させていた。第1の変形例において、かかる参照データ記憶部55に記憶される学習データは、あらかじめ準備されて参照データ記憶部55に格納される。
上述した運転支援制御装置50は、ドライバが車両を手動運転している間に車両の周囲の障害物のデータ、車両の走行状態及び挙動のデータ、ドライバの注視対象及び感情のデータ等を収集し、個々の障害物に対するリスクレベル及びリスク要因等を学習し、学習データを参照データ記憶部55へ記憶させていた。第1の変形例において、かかる参照データ記憶部55に記憶される学習データは、あらかじめ準備されて参照データ記憶部55に格納される。
例えば、他の車両を利用して、あるいは、ドライブシミュレータを利用して、車両の周囲の障害物のデータ、車両の走行状態及び挙動のデータ、ドライバの注視対象及び感情のデータ等を収集し、これらのデータに基づいて得られた個々の障害物に対するリスクレベル及びリスク要因等の学習データを、あらかじめ参照データ記憶部55へ格納してもよい。この場合、上述した運転支援制御装置50に備えられていた学習部67は設けられていなくてもよい。あるいは、学習部67の機能をそのまま残し、あらかじめ格納された学習データを更新してもよい。
学習データがあらかじめ参照データ記憶部55へ記憶される第1の変形例によれば、例えば、それぞれのドライバに対して、様々な走行シーンで、あらゆる対象物に対して感じ得るリスクレベル及びリスク要因のデータを学習させた結果を反映させることができ、出力される制御条件の精度を高めることができる。また、運転支援制御装置50から学習部67が省略される場合、制御部51の演算負荷を軽減することができる。
(5-2.第2の変形例)
上述した運転支援制御装置50は、学習データを記憶する参照データ記憶部55が車両に搭載されていた。第2の変形例において、参照データ記憶部は、運転支援制御装置50と通信可能な外部機器に設けられる。
上述した運転支援制御装置50は、学習データを記憶する参照データ記憶部55が車両に搭載されていた。第2の変形例において、参照データ記憶部は、運転支援制御装置50と通信可能な外部機器に設けられる。
図14は、運転支援制御装置50が、学習データを記憶する参照データ記憶機器70と通信可能に構成された例を示すブロック図である。第2の変形例では、運転支援制御装置50は、通信部41を介して参照データ記憶機器70と通信可能に構成される。通信部41は、参照データ記憶機器70との通信規格に対応したインタフェースである。
参照データ記憶機器70は、例えば、クラウドコンピューティングの技術を利用して、移動体通信ネットワークを介して運転支援制御装置50と通信可能に構成されるサーバ装置であってもよい。また、参照データ記憶機器70は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の通信手段を介して運転支援制御装置50と通信可能に構成されるスマートホン又は携帯端末であってもよい。
運転支援制御装置50と通信可能な参照データ記憶機器70に学習データが格納される第2の変形例によれば、ドライバが車両を乗り換えた場合や複数の車両を利用する場合であっても、蓄積された学習データを利用して制御条件を設定することができる。
なお、図14に示した構成例は、あらかじめ準備した学習データが参照データ記憶機器70に格納される例であり、学習部67は省略されているが、運転支援制御装置50が学習部67を備え、学習部67による学習結果が都度参照データ記憶機器70へ記憶されるように構成されていてもよい。
(5-3.第3の変形例)
上述した運転支援制御装置50は、参照データ記憶部55に記憶された学習データを用いて自動運転の制御条件を設定し、車両駆動制御部45へ出力するよう構成されていた。第3の変形例において、運転支援制御装置50は、手動運転中においても、ドライバに対して運転操作のアドバイスを通知する。
上述した運転支援制御装置50は、参照データ記憶部55に記憶された学習データを用いて自動運転の制御条件を設定し、車両駆動制御部45へ出力するよう構成されていた。第3の変形例において、運転支援制御装置50は、手動運転中においても、ドライバに対して運転操作のアドバイスを通知する。
例えば、走行条件設定部69は、手動運転中において障害物が検知された場合に、学習データに基づいて障害物に対するリスク要因を低減させるための車速V及び走行軌道を設定した後、設定した車速V及び走行軌道を現在の車速及び走行軌道と比較して、必要なステアリング操作やアクセル操作あるいはブレーキ操作を演算する。また、通知制御部71は、算出されたステアリング操作やアクセル操作あるいはブレーキ操作にしたがって、HMI43を駆動することにより、ドライバに対して運転操作のアドバイスを通知する。
第3の変形例によれば、車両を手動で運転している期間においても、ドライバのリスクの認識に影響を及ぼす学習データに基づいて運転操作のアドバイスが通知され、ドライバにとってリスクの少ない運転操作を実現するための支援を行うことができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、運転支援制御装置50が、ドライバの「恐怖」の感情及び「恐怖」を感じた要因を演算により求めていたが、本発明はかかる例に限定されない。ドライバの「恐怖」の感情及び「恐怖」を感じた要因のうちのいずれか一方あるいは両方が、ドライバ自身の入力操作により登録されてもよい。具体的に、あらかじめ「恐怖」のレベルを複数段階に設定し、ドライバが「恐怖」を感じた際に、該当するレベルをドライバに選択させる。あるいは、あらかじめリスク要因として複数の項目を準備し、ドライバが「恐怖」を感じた際に、該当する項目をドライバに選択させる。この場合の入力操作は、例えば、タッチパネル等への入力操作であってもよく、あらかじめ項目を設定した切換えスイッチの切り替え操作であってもよく、音声入力であってもよい。
1…車両制御システム、21…車内撮影カメラ、23…車外撮影カメラ、25…周囲環境センサ、27…車両状態/挙動センサ、45…車両駆動制御部、50…運転支援制御装置、51…制御部、53…記憶部、55…参照データ記憶部、61…周囲環境検出部、63…ドライバ画像処理部、65…学習部、67…走行条件設定部、69…通知制御部
Claims (4)
- 車両の周囲の障害物に対してドライバが感じるリスクの度合を示すリスクレベル、及び、前記リスクを感じる要因であるリスク要因の学習データを記憶する記憶部と、
自車両の周囲の障害物のデータを取得するとともに、障害物が検知された場合に、前記学習データに基づいて、前記障害物に対する前記リスク要因を低減させるための制御情報を前記車両の駆動を制御するシステムへ出力する制御部と、
を備える運転支援制御装置。 - 前記制御部は、
前記複数の障害物が検知された場合に、前記学習データに基づいて、前記リスクレベルが高順位の障害物に対する前記リスク要因を低減させるための動作を優先して前記制御情報を出力する、請求項1に記載の運転支援制御装置。 - 前記自車両が自動運転制御を実行可能な車両であり、
前記制御部は、
前記複数の障害物が検知された場合に、前記学習データに基づいて、前記リスクレベルが高順位の障害物に対する前記リスク要因を低減させるための動作を優先して前記自動運転制御の条件を設定し、当該制御条件の情報を出力する、請求項2に記載の運転支援制御装置。 - 前記制御部は、前記自車両の周囲の障害物に存在するリスクポテンシャルを示すリスクマップを用いて、前記自車両の車速に依存して設定される許容リスク以下のリスクとなる走行可能経路内に走行軌道を設定する、請求項3に記載の運転支援制御装置。
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JP2022129400A (ja) | 運転支援装置 |
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