JP2022053680A - ねじ締め用ボス - Google Patents

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【課題】野外に設置されたとしても熱による変形が原因でねじ部材が緩むことが極力防止され、しかも、成形用の金型に強度が低い部分が形成されることがないねじ締め用ボスを提供する。【解決手段】合成樹脂からなる本体(第1の部材)に突設され、固定用ねじ(ねじ部材)がねじ込まれる穴13を有する筒部14と、筒部14を囲む複数の位置にそれぞれ設けられた複数の腕部15とを有する。腕部15は、筒部14から筒部14の外に向けて延びる連接部21と、連接部21の先端から複数の腕部15が並ぶ方向に延びる突部22とを有する。筒部14が延びる方向において腕部15の先端には、ねじ部材によって第1の部材に組付けられる第2の部材を受ける支承面11が形成されている。【選択図】 図3

Description

本発明は、ねじ部材がねじ込まれる穴を有するねじ締め用ボスに関する。
2つのケースをねじ部材によって互いに結合するためには、一方のケースにねじ部材が通るように形成された貫通穴と、他方のケースに設けられた円筒状のねじ締め用ボスとを用いる固定構造が知られている。ねじ締め用ボスには、ねじ部材がねじ込まれる穴が形成されており、一方のケースを貫通したねじ部材がねじ込まれることにより他方のケースが押し付けられる。
このような固定構造においては、ねじ締め用ボスの上方からのねじ部材の締め付け力に対してねじ締め用ボスが反発し、ねじ締め用ボスに反力が生じることによって、ねじ部材が緩むことが防止されている。
また、従来のねじ締め用ボスとしては、上述した円筒状のボスの他に、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示されたねじ締め用ボスは、ねじ部材がねじ込まれる筒状部と、この筒状部を外側から囲む枠体と、筒状部から放射状に延びて筒状部と枠体とを接続する複数のリブとを備えている。
従来の円筒状のねじ締め用ボスを野外に設置される機器に使用すると、昼夜に温度差があることが原因でねじ部材が緩むおそれがあった。すなわち、ねじ締め用ボスは、昼間に日光の熱による温度上昇によって上述した反力が小さくなる方向に弾性変形し、その状態のまま夜になって冷やされ、反力が小さくなった状態で固くなる。このため、ねじ部材が緩み易くなってしまう。
このような不具合を解消するためには、ねじ締め用ボスを太く形成して被固定部品との接触面積を増大させることが考えられる。この構成を採ることにより、ねじ締め時にねじ締め用ボスに生じる応力を分散させることができ、ねじ締め用ボスに生じる反力を小さく抑えることができる。この結果、温度上昇の影響を受け難くなり、ねじ締め用ボスの変形を防ぐことができる。
しかし、このようにねじ締め用ボスを太く形成すると、成型時にひけが発生し易くなってしまう。
成型時のひけを防ぐためには、特許文献1に開示された構造を採ることが考えられる。特許文献1に示すねじ締め用ボスは、全体が太く形成されているものの、薄肉の材料を接続して形成されているために、ひけは発生し難いものである。
特開2008-164168号公報
しかしながら、特許文献1に示すねじ締め用ボスにおいては、筒状部と枠体との間に複数のリブで仕切られた複数の空間が形成されていることが問題であった。この空間、すなわち互いに隣り合う二つのリブで挟まれた空間は、ねじ締め用ボスを成型する金型に突設された複数の柱状突起によって成型される。これらの柱状突起は、先端が自由端となるように形成されているために、成型時にプラスチック材料から受ける荷重で曲がり易い。このため、特許文献1に示すねじ締め用ボスを採用すると、成型用の金型に強度が低い部分が形成されるという問題があった。
本発明の目的は、野外に設置されたとしても熱による変形が原因でねじ部材が緩むことが極力防止され、しかも、成型用の金型に強度が低い部分が形成されることがないねじ締め用ボスを提供することである。
この目的を達成するために本発明に係るねじ締め用ボスは、合成樹脂によって形成された第1の部材に突設され、ねじ部材がねじ込まれる穴を有する筒部と、前記筒部とともに前記第1の部材に一体に形成され、前記筒部を囲む複数の位置にそれぞれ設けられた複数の腕部とを有し、前記腕部は、前記筒部から前記筒部の外に向けて延びる連接部と、前記連接部の先端から前記複数の腕部が並ぶ方向に延びる突部とを有し、前記筒部が延びる方向において前記腕部の先端には、前記ねじ部材によって前記第1の部材に取付けられる第2の部材を受ける支承面が形成されているものである。
本発明は、前記ねじ締め用ボスにおいて、前記複数の腕部は、互いに隣り合う二つの前記腕部において一方の前記腕部の前記突部と他方の前記腕部の前記連接部とが予め定めた第1の間隔をおいて離れるように並び、前記第1の間隔は、前記筒部の外面と前記突部との間の第2の間隔と等しくてもよい。
本発明は、前記ねじ締め用ボスにおいて、前記筒部は、円筒状に形成され、前記複数の腕部のそれぞれの前記連接部は、前記筒部から放射状に延び、前記複数の腕部のそれぞれの前記突部は、前記連接部から前記筒部の軸心を中心とする円弧に沿うように延びていてもよい。
本発明に係るねじ締め用ボスにおいては、第2の部材との接触部分の面積が腕部によって増大されるから、ねじ締め用ボスを太く形成する場合と同様に、省スペースにもかかわらず、ねじ締め時の変形が抑えられる。一方、ねじ締め用ボスを成型する金型においては、互いに隣り合う二つの腕部の間を埋めるために柱状の金型片が形成される。この金型片は、腕部の突部の先端と、隣の腕部の連接部との間の空間を成型する板状部を有し、全ての腕部を囲む金型本体に接続される。このため、この金型片に十分な強度をもたせることができる。
したがって、本発明によれば、野外に設置されたとしても熱による変形が原因でねじ部材が緩むことが極力防止され、しかも、成型用の金型に強度が低い部分が形成されることがないねじ締め用ボスを提供することができる。
図1は、本発明に係るねじ締め用ボスを使用して組み立てられた筐体の斜視図である。 図2は、筐体の分解斜視図である。 図3は、ねじ締め用ボスの斜視図である。 図4は、ねじ締め用ボスの平面図である。 図5は、筐体の断面図である。 図6は、ねじ締め用ボスの斜め上方から見た断面図である。 図7は、ねじ締め用ボスを成型する金型の一部を示す斜視図である。
以下、本発明に係るねじ締め用ボスの一実施の形態を図1~図7を参照して詳細に説明する。
図1に示す筐体1は、図1において下側に位置する本体2と、この本体2に重ねられた蓋体3とを備えている。蓋体3は、固定用ねじ4によって本体2に固定されている。
本体2は、合成樹脂によって箱状(図2参照)に形成されている。本体2の内部には、図2に示すように、ねじ締め用ボス5が設けられている。
このねじ締め用ボス5は、蓋体3を貫通した固定用ねじ4がねじ込まれるもので、本体2の底壁2aに一体成型により一体に形成されて底壁2aに突設されている。このねじ締め用ボス5の詳細は後述する。この実施の形態においては、本体2が本発明でいう「第1の部材」に相当し、蓋体3が本発明でいう「第2の部材」に相当する。また、固定用ねじ4が本発明でいう「ねじ部材」に相当する。
蓋体3は、本体2の開口部6に重なるように形成されている。この蓋体3の中央部には、他の部分に対して本体2側に偏って位置するねじ座7が設けられている。このねじ座7は、蓋体3が本体2の開口部6に重ねられた状態で上述したねじ締め用ボス5に当接するように形成されているとともに、固定用ねじ4を通すための貫通孔8が形成されている。ねじ座7は、図5に示すように、ねじ締め用ボス5の先端面である支承面11に当接し、固定用ねじ4がねじ締め用ボス5にねじ込まれることによって支承面11に押し付けられる。固定用ねじ4の非ねじ部4aには、この固定用ねじ4がねじ座7の貫通孔8に通された状態で図示していない抜け止め用ワッシャが装着される。抜け止め用ワッシャは、蓋体3が本体2に取付けられるときにはねじ締め用ボス5の先端部に形成された円形凹部12に収容される。なお、抜け止め用ワッシャは、必ずしも必要ではなく、その場合には円形凹部12も設ける必要がなく、ねじ締め用ボス5の先端部も支承面11を形成する。
ねじ締め用ボス5は、図3に示すように、穴13を有する筒部14と、この筒部14を囲む複数の位置にそれぞれ設けられた複数の腕部15とを有している。穴13は、固定用ねじ4がねじ込まれる非貫通穴で、固定用ねじ4のねじ部4b(図5参照)が食い込む締結部13aを有している。締結部13aに固定用ねじ4がねじ込まれることにより、締結部13aがねじ山に倣う形状に変形する。
筒部14は、穴13が中心部に位置する円筒状に形成されており、本体2の底壁2aから本体2の開口側に向けて延びている。
複数の腕部15は、筒部14とともに本体2の底壁2aに一体に形成されており、図4に示すように、筒部14から筒部14の外(径方向の外側)に向けて延びる連接部21と、連接部21の先端から複数の腕部15が並ぶ方向(筒部14と同心の円の周方向)に延びる突部22とを有している。図4においては、図5の破断位置をV-V線によって示している。
複数の腕部15のそれぞれの連接部21は、筒部14から放射状に延びている。また、複数の腕部15のそれぞれの突部22は、連接部21から筒部14の軸心を中心とする円弧に沿うように延びている。このため、腕部15は、断面形状が略L字状となるように形成されている。
腕部15の先端、すなわち筒部14が底壁2aから突出する方向における腕部15の先端には、蓋体3のねじ座7を受ける平坦な支承面11が形成されている。
この実施の形態による複数の腕部15は、予め定めた第1の間隔D1(図4参照)をおいて互いに離間するように筒部14の周囲に配置されている。第1の間隔D1は、互いに隣り合う二つの腕部15において一方の腕部15の突部22と、他方の腕部15の連接部21との間の間隔である。この第1の間隔D1は、筒部14の外面と突部22との間の第2の間隔D2と等しい。
ねじ締め用ボス5を成型する金型は、図7に示すように形成されている。図7に示す金型31には、本体2の底壁2a(内側底面)を成型する主成型面32を含む金型本体33と、ねじ締め用ボス5の穴13を成型するための円柱34と、円柱34から筒部14の厚み分だけ離れて円柱34の周囲に並べられた複数の金型片35とを有している。
金型本体33には、ねじ締め用ボス5の支承面11を成型するための平坦面36が形成されている。
金型片35は、第1の間隔D1に相当する厚みの板状部35aと、第2の間隔D2に相当する厚みの突部35bとを有し、金型本体33から円柱34に向けて延びている。
この実施の形態による筐体1の本体2に蓋体3を取付けるためには、先ず、蓋体3の貫通孔8に固定用ねじ4を通し、この蓋体3を本体2の開口部6に接近させる。そして、固定用ねじ4の先端をねじ締め用ボス5の穴13に挿入し、固定用ねじ4を穴13にねじ込む。固定用ねじ4が穴13にねじ込まれることにより、蓋体3のねじ座7がねじ締め用ボス5に接近する。そして、さらに固定用ねじ4をねじ込むことによって、図5に示すように、ねじ締め用ボス5の支承面11に蓋体3のねじ座7が押し付けられ、蓋体3が本体2に固定される。
このねじ締め用ボス5においては、筒部14の周囲に位置する腕部15で蓋体3を受けているから、筒部のみで蓋体を受けるような構造の従来のねじ締め用ボスと較べて蓋体3との接触面積が大きくなる。このねじ締め用ボス5においては、複数の腕部15を用いて接触面積の増大を図っているから、接触面積が同等となるように筒部を太く形成する場合とは異なり、成型時にひけは発生することがない。
このため、このねじ締め用ボス5によれば、ひけが生じることを防ぎながら、ねじ締め用ボスを太く形成する場合と同様にねじ締め時の変形を抑えることができる。
一方、ねじ締め用ボス5を成型する金型においては、互いに隣り合う二つの腕部15の間に空間を形成するために、柱状の金型片35が突設される。この金型片35は、腕部15の突部22の先端と連接部21との間の第1の間隔D1となる空間を成型する板状部35aを有し、全ての腕部15を囲む金型本体33に接続される。このため、この金型片35に十分な強度をもたせることができる。
したがって、この実施の形態によれば、野外に設置されたとしても熱による変形が原因でねじ部材が緩むことが極力防止され、しかも、成型用の金型に強度が低い部分が形成されることがないねじ締め用ボスを提供することができる。
この実施の形態による複数の腕部15は、互いに隣り合う二つの腕部15において一方の腕部15の突部22と他方の腕部15の連接部21とが予め定めた第1の間隔D1をおいて離れるように並んでいる。第1の間隔D1は、筒部14の外面と突部22との間の第2の間隔D2と等しい。
このため、腕部15を成型する金型片35の全体を一定の厚みとなるように形成することができるから、金型片35をより一層強固に形成することができる。
この実施の形態によるねじ締め用ボス5の筒部14は、円筒状に形成されている。複数の腕部15のそれぞれの連接部21は、筒部14から放射状に延びている。複数の腕部15のそれぞれの突部22は、連接部21から筒部14の軸心を中心とする円弧に沿うように延びている。
このため、固定用ねじ4が筒部14にねじ込まれたときの荷重が全ての腕部15に略均等に分散されるようになるから、ねじ締め時の反力が全ての腕部15から筒部14に作用するようになる。この結果、固定用ねじ4がより一層緩み難いねじ締め用ボスを提供することができる。
1…筐体、2…本体(第1の部材)、3…蓋体(第2の部材)、4…固定用ねじ(ねじ部材)、5…ねじ締め用ボス、11…支承面、13…穴、14…筒部、15…腕部、21…連接部、22…突部、D1…第1の間隔、D2…第2の間隔。

Claims (3)

  1. 合成樹脂によって形成された第1の部材に突設され、ねじ部材がねじ込まれる穴を有する筒部と、
    前記筒部とともに前記第1の部材に一体に形成され、前記筒部を囲む複数の位置にそれぞれ設けられた複数の腕部とを有し、
    前記腕部は、
    前記筒部から前記筒部の外に向けて延びる連接部と、
    前記連接部の先端から前記複数の腕部が並ぶ方向に延びる突部とを有し、
    前記筒部が延びる方向において前記腕部の先端には、前記ねじ部材によって前記第1の部材に取付けられる第2の部材を受ける支承面が形成されていることを特徴とするねじ締め用ボス。
  2. 請求項1記載のねじ締め用ボスにおいて、
    前記複数の腕部は、互いに隣り合う二つの前記腕部において一方の前記腕部の前記突部と他方の前記腕部の前記連接部とが予め定めた第1の間隔をおいて離れるように並び、
    前記第1の間隔は、前記筒部の外面と前記突部との間の第2の間隔と等しいことを特徴とするねじ締め用ボス。
  3. 請求項1または請求項2記載のねじ締め用ボスにおいて、
    前記筒部は、円筒状に形成され、
    前記複数の腕部のそれぞれの前記連接部は、前記筒部から放射状に延び、
    前記複数の腕部のそれぞれの前記突部は、前記連接部から前記筒部の軸心を中心とする円弧に沿うように延びていることを特徴とするねじ締め用ボス。
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