JP2022053404A - ポジティブなオウム返し的応答文によって対話するプログラム、装置及び方法 - Google Patents

ポジティブなオウム返し的応答文によって対話するプログラム、装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ユーザへポジティブなオウム返し的応答文を返答するプログラム等を提供する。【解決手段】ユーザに対してシナリオ的応答文を返答する中で、オウム返し的応答文を返答する対話エージェントとして機能させるものであり、ユーザからの発話文を、複数の単文に分割する単文分割手段と、単文毎に、感情極性がポジティブか否かを判定する感情極性判定手段と、感情極性がポジティブとなる1つの単文を決定する単文決定手段として機能させ、対話エージェントは、決定された単文に対してオウム返し的応答文を返答する。また、対話エージェントがユーザへ返答した応答文がオウム返し的応答文であるか否かを記録する応答履歴記録手段として更に機能させ、対話エージェントは、ユーザへオウム返し的応答文を返答しようとする際に、応答履歴記録手段に記録された直前にオウム返し的応答文を返答している場合、相槌的応答文を返答する。【選択図】図2

Description

本発明は、ユーザと対話する対話エージェントの技術に関する。
スマートフォンやタブレット端末を用いて、ユーザに対して自然に対話する「対話エージェント」の技術が普及している。この技術によれば、ディスプレイにコンピュータグラフィックスのキャラクタが、ユーザに対して音声やテキストで対話する。対話エージェントとしてのキャラクタは、ユーザから見て対話可能な1人の人物として認識でき、ユーザの状況や趣味趣向、感情に応じた対話を成立させる。キャラクタも、人物と同様のプロファイル(年齢、性別、出身地等の属性)を有し、ユーザは、そのキャラクタに対して親近感を持って対話することができる。
対話エージェントは一般的に、予め登録された「対話シナリオ」に基づいてユーザとの対話を進行させる。このとき、ユーザの発話文が対話シナリオに沿っている場合には適切な応答文を返答できるが、そうでない場合には、ユーザの発話文に対してオウム返し的応答文を返答することも多い。
オウム返し的応答文とは、ユーザの発話文の一部の言葉をそのまま応答文としたものである。ユーザは、オウム返しの応答文によって、対話エージェントが話を理解してくれているような錯覚を持ちやすい。そのために、ユーザは更に、新たな発話文を発話しようとする。カウンセリングに参考となる発話文(例えばユーザ自らの悩みなど)を、ユーザから更に引き出しやすくなる。
従来、対話エージェントが、ユーザの発話文に含まれる焦点単語の有無に応じて応答文を生成する技術がある(例えば非特許文献1参照)。この技術によれば、品詞やその出現順序のような複数の特徴量に基づく学習モデルを用いて、ユーザの発話文から焦点単語を抽出する。焦点単語の有無に応じて、固定的な応答文、又は、焦点単語を含む応答文を、オウム返し的に生成する。
図1は、対話エージェントのオウム返し的応答文を表す説明図である。
図1によれば、例えばスマートフォンである端末2のディスプレイに、対話アプリが表示されている。入力フォームに発話文を入力すると、対話エージェントのキャラクタからの応答文が表示される。勿論、発話文は、入力フォームへのテキスト入力に限られず、マイクによる発話音声の収音と、スピーカから応答文の発声とであってもよい。
図1(a)によれば、対話エージェントが、以下のようにユーザと対話をしている。
ユーザ :「今日は餃子を食べたよ」
対話エージェント:「餃子ですか」
この場合、ユーザの発話文から焦点単語「餃子」が抽出されている。その焦点単語「餃子」を含む応答文「餃子ですか」を生成し、ユーザに対して返答することとなる。
石田真也ら、「傾聴対話システムのための発話を促す聞き手応答の生成」、SIG-SLUD, 5(01), 1-6.(2016)、[online]、[令和2年9月3日検索]、インターネット<URL:https://jsai.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_action_common_download&item_id=1147&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1>
AIと機械学習プロダクト、「感情分析」、[online]、[令和2年9月3日検索]、インターネット<https://cloud.google.com/natural-language/docs/analyzing-sentiment?hl=ja>
しかしながら、ユーザの発話文の中には、ネガティブな単語(例えば自己否定、自殺願望、差別問題等の単語)を含むことも多い。非特許文献1に記載の技術によれば、ユーザの発話文に含まれるネガティブな単語も焦点単語として抽出し、その焦点単語を含むオウム返し的応答文を返答することとなる。
図1(b)によれば、対話エージェントが、以下のようにユーザと対話をしている。
ユーザ :「僕はダメ人間だよ」
対話エージェント:「ダメ人間ですか」
このような対話をすると、ユーザは、対話エージェントとの対話に違和感を持つと共に、余計にネガティブな気分となる。また、例えばユーザから更なる発話文も引き出しにくくなり、結果的に、対話エージェントに対する信頼感や好感度も低下させることとなってしまう。
そこで、本発明は、ユーザに対するオウム返し的応答文の返答によって、ネガティブな対話とならないようにするプログラム、装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、ユーザに対して対話シナリオに沿ったシナリオ的応答文を返答する中で、オウム返し的応答文を返答する対話エージェントとしてコンピュータを機能させるプログラムであって、
ユーザからの発話文を、複数の単文に分割する単文分割手段と、
単文毎に、感情極性がポジティブか否かを判定する感情極性判定手段と、
感情極性がポジティブとなる1つの単文を決定する単文決定手段と
して機能させ、
対話エージェントは、決定された単文に対してオウム返し的応答文を返答する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
単文毎に、願望表現の有無を判定する願望表現判定手段と
して更に機能させ、
単文決定手段は、感情極性がポジティブであり、且つ、願望表現が有りとなる1つの単文を決定する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
単文毎に、行動表現の有無を判定する行動表現判定手段と
して更に機能させ、
単文決定手段は、感情極性がポジティブであり、願望表現が有りであり、且つ、行動表現が有りとなる1つの単文を決定する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
対話エージェントがユーザへ返答した応答文がオウム返し的応答文であるか否かを記録する応答履歴記録手段と
して更に機能させ、
対話エージェントは、ユーザへオウム返し的応答文を返答しようとする際に、応答履歴記録手段に記録された直前にオウム返し的応答文を返答している場合、相槌的応答文を返答する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
対話エージェントがユーザへ返答した応答文を記録する応答履歴記録手段と
して更に機能させ、
対話エージェントは、ユーザへ返答しようとするオウム返し的応答文に含まれる名詞及び述語と、応答履歴記録手段に記録された直前に返答した応答文に含まれる名詞及び述語とが同一である場合、相槌的応答文を返答する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
対話エージェントがユーザへ返答した応答文及び応答日時を記録する応答履歴記録手段と
して更に機能させ、
対話エージェントは、ユーザへ返答しようとするオウム返し的応答文に含まれる名詞及び述語と、応答履歴記録手段に記録された応答文に含まれる名詞及び述語とが同一である場合、当該オウム返し的応答文を返答すると共に、当該応答文の過去の応答日時に同じオウム返し的応答文を返答したことを想起させる応答文を返答する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
対話エージェントがユーザへ返答した応答文に含まれる名詞を、所定期間だけ記録する名詞履歴記録手段と
して更に機能させ、
対話エージェントは、ユーザへ返答しようとするオウム返し的応答文に含まれる名詞が、名詞履歴記録手段に記録されている場合、相槌的応答文を返答する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
単文決定手段によって感情極性がネガティブとなる単文のみである場合、
対話エージェントは、相槌的応答文を返答することなく、感情極性がポジティブとなるシナリオ的応答文を返答する
ように機能させることも好ましい。
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
単文決定手段によって感情極性がニュートラルとなる単文のみである場合、又は、ニュートラル及びネガティブの単文のみである場合、
対話エージェントは、ニュートラルとなる最後の単文についてオウム返し的応答文を返答する
ように機能させることも好ましい。
本発明のプログラムにおける他の実施形態によれば、
感情極性がネガティブとなる単文について、所定条件のネガティブ性を分析するネガティブ性分析手段と
して更にコンピュータを機能させることも好ましい。
本発明によれば、ユーザに対して対話シナリオに沿ったシナリオ的応答文を返答する中で、オウム返し的応答文を返答する対話エージェントを有する対話装置であって、
ユーザからの発話文を、複数の単文に分割する単文分割手段と、
単文毎に、感情極性がポジティブか否かを判定する感情極性判定手段と、
感情極性がポジティブとなる1つの単文を決定する単文決定手段と
を有し、
対話エージェントは、決定された単文に対してオウム返し的応答文を返答する
ことを特徴とする。
本発明によれば、ユーザに対して対話シナリオに沿ったシナリオ的応答文を返答する中で、オウム返し的応答文を返答する対話エージェントを有する装置の対話方法であって、
装置は、
ユーザからの発話文を、複数の単文に分割する第1のステップと、
単文毎に、感情極性がポジティブか否かを判定する第2のステップと、
感情極性がポジティブとなる1つの単文を決定する第3のステップと
を実行し、
対話エージェントは、決定された単文に対してオウム返し的応答文を返答する
ことを特徴とする。
本発明のプログラム、装置及び方法によれば、ユーザに対するオウム返し的応答文の返答によって、ネガティブな対話とならないようにすることができる。特に、ポジティブなオウム返し的応答文によって対話を促進することができる。
対話エージェントのオウム返し的応答文を表す説明図である。 本発明における対話装置の基本的な機能構成図である。 図2の機能構成における応答文の作成の流れを表す説明図である。 本発明の対話エージェントにおけるオウム返し的応答文を表す説明図である。 本発明における対話装置に対する機能追加的な機能構成図である。 単文決定部の処理を表す説明図である。 他の実施形態におけるオウム返し的応答文を表す説明図である。 名詞履歴記録部を用いたオウム返し的応答文を表す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図2は、本発明における対話装置の基本的な機能構成図である。
図2によれば、本発明の対話装置1は、ユーザに対して対話シナリオに沿った「シナリオ的応答文」を返答する中で、「オウム返し的応答文」を返答する対話エージェント10を有する。
また、対話装置1は更に、単文分割部11と、感情極性判定部120と、単文決定部13とを有する。これら機能構成部は、装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、対話方法としても理解できる。
図2によれば、対話装置1は、端末2と、ネットワークを介して発話文及び応答文をやりとりする。端末2には、例えば対話アプリがインストールされており、ユーザからの発話文を対話装置1へ送信すると共に、対話装置1から受信した応答文をユーザへ明示する。
勿論、対話装置1全体が対話アプリとして構成され、端末2にインストールされたものであってもよい。
[単文分割部11]
単文分割部11は、ユーザからの発話文を入力し、複数の「単文」に分割する。ユーザの発話文には、複数の文や複文、単文が混在しているために、それらを全て、単文に分割する。分割された複数の単文は、感情極性判定部120へ出力される。
単文分割部11は、以下の2つの処理を実行する。
(処理1)形態素解析器(例えばMeCab(登録商標))を用いて、ユーザの発話文を形態素に分割し、動詞や形容詞のような「述語」を抽出する。
(処理2)発話文に接続助詞が含まれている場合、その接続助詞の前後に抽出した述語を抽出する。そして、述語に係る句を「単文」として抽出する。
図3は、図2の機能構成における応答文の作成の流れを表す説明図である。
単文分割部11に、以下のユーザの発話文が入力されたとする。
「休日に大掃除をするので、映画館に行けません。家でビデオを観たいです。」
複数の文からなるこの発話文を、以下のステップによって、単文に分割する。
(s1)形態素解析によって句点「。」を検出し、複数の文に分割する。
第1の文:「休日に大掃除をするので、映画館に行けません。」(複文)
第2の文:「家でビデオを観たいです。」
(s2)第1の文(複文)について、形態素解析によって、接続助詞「ので」を検出する。接続助詞の前後に、自立動詞「する」と自立動詞「行く」が含まれている。
第1の文:「・・・するので・・・行け・・・」(複文)
そして、以下のように、自立動詞「する」に係る句と、自立動詞「行く」に係る句とに、単文として分割する。
単文 :「休日に大掃除をする」
単文 :「映画館に行けません」
(s3)第2の文については、形態素解析によって接続助詞が検出されない。また、助動詞「たい」が含まれている。
第2の文:「・・・たい・・・」
そして、以下のように、自立動詞「したい」に係る句を、単文として抽出する。
単文 :「家でビデオを観たいです」
[感情極性判定部120]
感情極性判定部120は、単文分割部11から出力された単文毎に、「感情極性」を判定する。そして、単文毎の感情極性を、単文決定部13へ出力する。
感情極性として、ポジティブ/ネガティブ/ニュートラルのいずれかを判定する。具体的には、Support Vector Machine等の判定器を使用する方法や、Google(登録商標)社が提供しているCloud Natural Language APIを使用する方法(例えば非特許文献2参照)がある。
図3によれば、単文毎の感情極性は、以下のように判定される。
「休日に大掃除をする」 -> ニュートラル
「映画館に行けません」 -> ネガティブ
「家でビデオを観たいです」 -> ポジティブ
[単文決定部13]
単文決定部13は、感情極性判定部120から単文毎の感情極性を入力し、感情極性がポジティブとなる1つの単文を決定する。決定した単文を、対話エージェント10へ出力する。
第1例の発話文(図3)によれば、以下のような単文が決定される。
第1例の発話文「休日に大掃除をするので、映画館に行けません。家でビデオを
観たいです。」
「休日に大掃除をする」 -> ニュートラル
「映画館に行けません」 -> ネガティブ
「家でビデオを観たいです」 -> ★ポジティブ
決定される単文は、「家でビデオを観たいです」となる。
第2例の発話文によれば、以下のような単文が決定される。
第2例の発話文「友達と会う予定があり、好きな店に行きます。映画も観たい
です。」
「友達と会う予定があります」-> ニュートラル
「好きな店に行きます」 -> ★ポジティブ
「映画も観たいです」 -> ★ポジティブ
ここでは、2つの単文がポジティブと判定されている。この場合、単文決定部13は、後方の単文「映画館にも行きたいです」を決定する。
[対話エージェント10]
対話エージェント10は一般的に、予め登録された「対話シナリオ」に基づいてユーザとの対話を進行させる。対話シナリオは、発話文と応答文とのシーケンスによって構成されている。発話文は、ユーザが発話するであろうと想定したテキストであり、応答文は、その発話文に対して対話エージェントが返答するテキストである。
対話エージェント10は、ユーザの発話文が対話シナリオに沿っている場合には適切な応答文を返答できるが、そうでない場合には、ユーザの発話文に対してオウム返し的応答文を返答して、ユーザからの次の発話文を待つ。
対話エージェント10は、単文決定部13によって決定された単文に対して、オウム返し的応答文を返答する。オウム返し的応答文は、基本的に、単文に含まれる「述語」と、述語に係る「名詞」とから構成される。更に、動詞の直後に「んだね」、「のですね」といった助動詞や助詞を付ける。
単文決定部13によって決定された単文は、感情表現がポジティブなものであるために、そのオウム返し的応答文もポジティブなものとなる。
図3によれば、単文決定部13によって単文「家でビデオを観たいですね」が決定されている。対話エージェント10は、その単文に含まれる動詞である「観たい」と、「観たい」に係る「ビデオ(を)」とを含むと共に、動詞の直後に「のですね」の助動詞や助詞を付加する。これによって、オウム返し的応答文として、「家でビデオを観たいんですね」を生成する。
そして、オウム返し的応答文は、ユーザの端末2へ送信される。
図4は、本発明の対話エージェントにおけるオウム返し的応答文を表す説明図である。
図4によれば、対話エージェントが、以下のようにユーザと対話をしている。
ユーザの発話文 :「休日に大掃除をするので、映画館に行けません。
家でビデオを観たいです。」
対話エージェントの応答文:「家でビデオを観たいんですね」
<対話エージェントの他の第1の実施形態>
単文決定部13によって感情極性が「ネガティブとなる単文のみ」である場合がある。
ユーザの発話文におけるネガティブな単文に対して相槌的に返答した場合、以下のように、ユーザの対話したい気分が低下する場合がある。
ユーザの発話文 :「私はダメ人間ですよ」
対話エージェントの応答文:「うんうん」
即ち、ユーザのネガティブな発話文(例えば自己否定、自殺願望、差別問題的な発話文)に対して、対話エージェント10が相槌的応答文を返答すると、ユーザの否定的発言を肯定してしまうことになる。
この場合、対話エージェント10は、感情極性がポジティブとなるシナリオ的応答文を予め登録しておく。そして、相槌的応答文を返答することなく、感情極性がポジティブとなるシナリオ的応答文を返答する。
ユーザの発話文 :「私はダメ人間ですよ」
対話エージェントの応答文:「そのようなことはありませんよ」
<対話エージェントの他の第2の実施形態>
単文決定部13によって感情極性が「ニュートラルとなる単文のみ」である場合、又は、「ニュートラル及びネガティブの単文のみ」である場合がある。
この場合、対話エージェント10は、ニュートラルとなる最後の単文について、オウム返し的応答文を返答する。
ユーザの発話文 :「休日に大掃除をして、家でビデオを観ます。」
単文の感情極性 :「休日に大掃除をします」-> ニュートラル
「家でビデオを観ます」 -> ニュートラル
対話エージェントの応答文:「家でビデオを観るんですね」
図5は、本発明における対話装置に対する機能追加的な機能構成図である。
図6は、単文決定部の処理を表す説明図である。
図5によれば、図2と比較して、願望表現判定部121と、行動表現判定部122と、応答履歴記録部14と、名詞履歴記録部15と、ネガティブ性分析部16とを有する。
[願望表現判定部121]
願望表現判定部121は、単文分割部11によって分割された単文毎に、願望表現の有無を判定する。
願望表現判定部121は、例えば単文を形態素解析し、助動詞「たい」や、形容詞「ほしい」、「欲しい」といった願望表現が含まれているかどうかを判定する。
第1例の発話文によれば、以下のような単文が決定される。
第1例の発話文「休日に大掃除をするので、映画館に行けません。家でビデオを
観たいです。」
<単文> -> <願望表現>
「休日に大掃除をする」 -> 無し
「映画館に行けません」 -> 無し
「家でビデオを観たいです」 -> 有り(助動詞「たい」)
第2例の発話文によれば、以下のような単文が決定される。
第2例の発話文「友達と会う予定があり、好きな店に行きます。映画も観たい
です。」
<単文> -> <願望表現>
「友達と会う予定があります」-> 無し
「好きな店に行きます」 -> 無し
「映画も観たいです」 -> 有り(助動詞「たい」)
このとき、単文決定部13は、感情極性がポジティブであり、且つ、願望表現が有りとなる1つの単文を決定する。
[行動表現判定部122]
行動表現判定部122は、単文分割部11によって分割された単文毎に、行動表現の有無を判定する。
第2例の発話文によれば、以下のような単文が決定される。
第2例の発話文「友達と会う予定があり、好きな店に行きます。映画も観たい
です。」
<単文> -> <行動表現>
「友達と会う予定があります」-> 無し
「好きな店に行きます」 -> 有り(動詞「行く」)
「映画も観たいです」 -> 有り(動詞「観る」)
このとき、単文決定部13は、感情極性がポジティブであり、願望表現が有りであり、且つ、行動表現が有りとなる1つの単文を決定する。
[応答履歴記録部14]
応答履歴記録部14について、以下の3つの実施形態がある。
<第1の実施形態:連続的なオウム返し応答文の返答防止>
<第2の実施形態:同一内容のオウム返し応答文の返答防止>
<第3の実施形態:過去のオウム返し応答文をほのめかした返答>
<第1の実施形態:連続的なオウム返し応答文の返答防止>
対話の中で、オウム返し的応答文を連続的に返答した場合、ユーザの発話文に含まれる言葉を繰り返しているだけで、主体性がなく、うるさいだけの印象を与える場合がある。結果的に、ユーザが不快な思いをする可能性が高まることが予想される。
図7は、他の実施形態におけるオウム返し的応答文を表す説明図である。
図7(a)によれば、対話エージェント10は、例えば以下のようにユーザと対話することとなる。
ユーザの発話文 :「友達と会う予定があり、好きな店に行きます。
映画も観たいです。」
対話エージェントの応答文:「映画も観たいんですね」
ユーザの発話文 :「新作の映画が観たいです。」
対話エージェントの応答文:「新作の映画が観たいんですね」
ユーザ :「・・・」
そのために、応答履歴記録部14は、対話エージェント10がユーザへ返答した応答文が「オウム返し的応答文であるか否か」を記録する。
そして、対話エージェント10は、ユーザへオウム返し的応答文を返答しようとする際に、応答履歴記録部14に記録された直前にオウム返し的応答文を返答している場合、相槌的応答文を返答する。即ち、オウム返し的応答文を返答した直後に、連続してオウム返し的応答を返答しないようにする。その上で、例えば「そうなんですね」「うんうん」のような相槌的応答文を返答する。逆に、応答履歴記録部14に記録された直前の応答文がオウム返し的応答文でない場合、オウム返し的応答文を返答してもよい。
図7(b)によれば、対話エージェント10は、例えば以下のようにユーザと対話する。
ユーザの発話文 :「友達と会う予定があり、好きな店に行きます。
映画も観たいです。」
対話エージェントの応答文:「映画も観たいんですね」
※応答履歴記録部14に「オウム返し的応答文有り」を記録
ユーザの発話文 :「新作の映画が観たいです。」
※直前に「オウム返し的応答文有り」が記録されていると判定
対話エージェントの応答文:「そうなんですね」
※応答履歴記録部14に「オウム返し的応答文無し」を記録
<第2の実施形態:同一内容のオウム返し応答文の返答防止>
対話の中で、ユーザが同じ言葉を含む発話文を、所定期間(例えば1時間)に何度も発話した場合、対話エージェント10も、何度も同じ言葉を引用してオウム返し的応答文を返答することとなる。その場合も、ユーザに、主体性がなく、うるさいだけの印象を与える場合がある。結果的に、ユーザが、対話エージェントとの対話に飽きてしまうことが予想させる。
そのために、応答履歴記録部14は、対話エージェントがユーザへ返答した応答文を記録する。
このとき、対話エージェント10は、ユーザへ返答しようとするオウム返し的応答文に含まれる名詞及び述語と、応答履歴記録部14に記録された直前に返答した応答文に含まれる名詞及び述語とが同一である場合、相槌的応答文を返答する
例えば対話エージェント10は、以下のようにユーザと対話する。
ユーザの発話文 :「友達と会う予定があり、好きな店に行きます。
映画も観たいです。」
対話エージェントの応答文:「映画も観たいんですね」
※応答履歴記録部14に応答文「映画も観たいんですね」を記録
ユーザの発話文 :「新作の映画が観たいです。」
※応答履歴記録部14に記録された応答文の名詞「映画」述語「観る」
と、オウム返し的応答文として返答しようとする応答文の名詞「映
画」述語「観る」と同一と判定
対話エージェントの応答文:「そうなんですね」
※応答履歴記録部14に応答文「そうなんですね」を記録
ここで、応答履歴記録部14は、所定期間(例えば1時間)のみ記録が維持されるものであることが好ましい。即ち、応答文が記録された後、例えば1時間経過後に、その記録が削除されるものであってもよい。この場合、対話エージェント10は、例えば1時間経過後には、オウム返し的応答文「映画を観たいんですね」を返答することができる。
<第3の実施形態:過去のオウム返し応答文をほのめかした返答>
対話の中で、ユーザにとって、自ら過去に発話した内容を、相手方が覚えておいてくれることは、対話の満足度を高めることができる。対話エージェント10が過去に返答したオウム返し的応答文と、現に返答しようとするオウム返し的応答文とが同一内容である場合、ユーザの過去の発言を覚えていることをユーザにほのめかす発言(想起ささせる応答文)を付加することも好ましい。例えば応答文「以前もそう言ってましたよね!」を返答することも好ましい。
応答履歴記録部14は、対話エージェントがユーザへ返答した応答文及び応答日時を記録する。
このとき、対話エージェント10は、ユーザへ返答しようとするオウム返し的応答文に含まれる名詞及び述語と、応答履歴記録部14に記録された応答文に含まれる名詞及び述語とが同一である場合、当該オウム返し的応答文を返答すると共に、「当該応答文の過去の応答日時に同じオウム返し的応答文を返答したことを想起させる応答文」を返答する。
応答履歴記録部14は、例えば以下のように記録しているとする。
2020年7月7日15:45:10:「映画を観たいんですね」
その上で、現在(2020年7月31日)、対話エージェント10は、オウム返し的応答文「映画を観たいんですね」を返答しようとしているとする。
ここで、ユーザへ返答しようとするオウム返し的応答文に含まれる名詞「映画」及び述語「観たい」と、応答履歴記録部14に記録された応答文に含まれる名詞「映画」及び述語「観たい」とが同一である。このとき、以下のように応答文を返答する。
対話エージェントの応答文:「映画を観たいんですね、以前もそう言ってました
よね」
「以前にもそう言ってましたよね」とは、過去に同じオウム返し的応答文を返答したことを想起させる応答文となる。このような付加的な応答文は、ユーザに、覚えていてくれたかのような錯覚を持たせることができる。
現在日時からみた、応答履歴記録部14に記録された応答日時に応じて、付加的な応答文に多様性を持たせることも好ましい。
返答しようとしているオウム返し的応答文と同一内容の応答文が、応答履歴記録部14に昨日に記録されていた場合、応答文「昨日もそう言ってましたよね」を返答することができる。
また、2日~1週間前に記録されていた場合、応答文「確かこの間もそう言ってた記憶があります」を返答することもできる。
更に、先の水曜日に記録されていた場合、応答文「確か水曜日もそのようにおっしゃっていましたよね」を返答することもできる。
[名詞履歴記録部15]
名詞履歴記録部15は、対話エージェント10がユーザへ返答した応答文に含まれる「名詞」を、所定期間だけ記録する。
名詞履歴記録部15は、名詞毎に、記録時から所定期間(例えば300秒)経過が経過した名詞を削除する。
対話エージェント10は、ユーザへ返答しようとするオウム返し的応答文に含まれる名詞が、名詞履歴記録部15に記録されている場合、相槌的応答文を返答する。即ち、所定期間内に引用した名詞を含むオウム返し的応答文を返答しないようにする。
図8は、名詞履歴記録部を用いたオウム返し的応答文を表す説明図である。
(時刻t)過去のオウム返し応答文によって、名詞履歴記録部15に名詞「映画」「公園」「レストラン」「ゲーム」が記録されている。また、名詞毎に、経過時間が記録されており、例えば1秒ずつ増分するようになっている。
この時点で、対話エージェント10は、例えば以下のようにユーザと対話しようとする。
ユーザの発話文 :「休日に大掃除をして、ゲームでもしたいです。」
単文の感情極性 :「休日に大掃除をします」-> ニュートラル
「ゲームでもしたいです」-> ポジティブ
対話エージェントの応答文:「ゲームをしたいんですね」
ここで、オウム返し的応答文「ゲームをしたいんですね」の名詞「ゲーム」は、名詞履歴記録部15に記録されている。そのために、以下のように、相槌的応答文のみを返答する。
対話エージェントの応答文:「そうなんですね。」
(時刻t+40秒)
時刻tから40秒後、名詞履歴記録部15における名詞毎の経過時間も40秒だけ増分されている。ここで、名詞「ゲーム」については、所定期間の300秒に達したために、削除される。
この時点では、対話エージェント10は、例えば以下のようにユーザと対話する。
ユーザの発話文 :「休日に大掃除をして、ゲームでもしたいです。」
単文の感情極性 :「休日に大掃除をします」-> ニュートラル
「ゲームでもしたいです」-> ポジティブ
対話エージェントの応答文:「ゲームをしたいんですね」
[ネガティブ性分析部16]
ネガティブ性分析部16は、感情極性がネガティブとなる単文について、所定条件のネガティブ性を分析する。ネガティブ性が所定条件を満たす場合、その旨が、アプリケーションへ通知される。
ここで、ユーザの発話文における「ネガティブ性」とは、例えば強い自己否定や、自殺願望、人種差別思考のように、非常に危険性の高い発話をしていることを判定する。これは、例えばサポートベクタマシンのような機械学習モデルによって、ネガティブ性の高い発話文とそうでない発話文とを教師データとして予め学習しておくことによって、判定することができる。
対話エージェント10としては、ネガティブ性が高い発話文と判定された場合、「私はそうは思いませんよ」などと、強く否定するようなシナリオ的応答文を返答する。
以上、詳細に説明したように、本発明のプログラム、装置及び方法によれば、ユーザに対するオウム返し的応答文の返答によって、ネガティブな対話とならないようにすることができる。特に、ポジティブなオウム返し的応答文によって対話を促進することができる。
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
1 対話装置
10 対話エージェント
11 単文分割部
120 感情極性判定部
121 願望表現判定部
122 行動表現判定部
13 単文決定部
14 応答履歴記録部
15 名詞履歴記録部
16 ネガティブ性分析部
2 端末

Claims (12)

  1. ユーザに対して対話シナリオに沿ったシナリオ的応答文を返答する中で、オウム返し的応答文を返答する対話エージェントとしてコンピュータを機能させるプログラムであって、
    ユーザからの発話文を、複数の単文に分割する単文分割手段と、
    単文毎に、感情極性がポジティブか否かを判定する感情極性判定手段と、
    感情極性がポジティブとなる1つの単文を決定する単文決定手段と
    して機能させ、
    対話エージェントは、決定された単文に対してオウム返し的応答文を返答する
    ようにコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
  2. 単文毎に、願望表現の有無を判定する願望表現判定手段と
    して更に機能させ、
    単文決定手段は、感情極性がポジティブであり、且つ、願望表現が有りとなる1つの単文を決定する
    ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
  3. 単文毎に、行動表現の有無を判定する行動表現判定手段と
    して更に機能させ、
    単文決定手段は、感情極性がポジティブであり、願望表現が有りであり、且つ、行動表現が有りとなる1つの単文を決定する
    ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
  4. 対話エージェントがユーザへ返答した応答文がオウム返し的応答文であるか否かを記録する応答履歴記録手段と
    して更に機能させ、
    対話エージェントは、ユーザへオウム返し的応答文を返答しようとする際に、応答履歴記録手段に記録された直前にオウム返し的応答文を返答している場合、相槌的応答文を返答する
    ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプログラム。
  5. 対話エージェントがユーザへ返答した応答文を記録する応答履歴記録手段と
    して更に機能させ、
    対話エージェントは、ユーザへ返答しようとするオウム返し的応答文に含まれる名詞及び述語と、応答履歴記録手段に記録された直前に返答した応答文に含まれる名詞及び述語とが同一である場合、相槌的応答文を返答する
    ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプログラム。
  6. 対話エージェントがユーザへ返答した応答文及び応答日時を記録する応答履歴記録手段と
    して更に機能させ、
    対話エージェントは、ユーザへ返答しようとするオウム返し的応答文に含まれる名詞及び述語と、応答履歴記録手段に記録された応答文に含まれる名詞及び述語とが同一である場合、当該オウム返し的応答文を返答すると共に、当該応答文の過去の応答日時に同じオウム返し的応答文を返答したことを想起させる応答文を返答する
    ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプログラム。
  7. 対話エージェントがユーザへ返答した応答文に含まれる名詞を、所定期間だけ記録する名詞履歴記録手段と
    して更に機能させ、
    対話エージェントは、ユーザへ返答しようとするオウム返し的応答文に含まれる名詞が、名詞履歴記録手段に記録されている場合、相槌的応答文を返答する
    ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプログラム。
  8. 単文決定手段によって感情極性がネガティブとなる単文のみである場合、
    対話エージェントは、相槌的応答文を返答することなく、感情極性がポジティブとなるシナリオ的応答文を返答する
    ように機能させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプログラム。
  9. 単文決定手段によって感情極性がニュートラルとなる単文のみである場合、又は、ニュートラル及びネガティブの単文のみである場合、
    対話エージェントは、ニュートラルとなる最後の単文についてオウム返し的応答文を返答する
    ように機能させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプログラム。
  10. 感情極性がネガティブとなる単文について、所定条件のネガティブ性を分析するネガティブ性分析手段と
    して更にコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のプログラム。
  11. ユーザに対して対話シナリオに沿ったシナリオ的応答文を返答する中で、オウム返し的応答文を返答する対話エージェントを有する対話装置であって、
    ユーザからの発話文を、複数の単文に分割する単文分割手段と、
    単文毎に、感情極性がポジティブか否かを判定する感情極性判定手段と、
    感情極性がポジティブとなる1つの単文を決定する単文決定手段と
    を有し、
    対話エージェントは、決定された単文に対してオウム返し的応答文を返答する
    ことを特徴とする対話装置。
  12. ユーザに対して対話シナリオに沿ったシナリオ的応答文を返答する中で、オウム返し的応答文を返答する対話エージェントを有する装置の対話方法であって、
    装置は、
    ユーザからの発話文を、複数の単文に分割する第1のステップと、
    単文毎に、感情極性がポジティブか否かを判定する第2のステップと、
    感情極性がポジティブとなる1つの単文を決定する第3のステップと
    を実行し、
    対話エージェントは、決定された単文に対してオウム返し的応答文を返答する
    ことを特徴とする装置の対話方法。
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