JP2022053388A - ガラス材、及び窓材 - Google Patents

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Yutaka Wada
武俊 佐藤
Taketoshi Sato
栄治 太田
Eiji Ota
大智 安藤
Hirotomo Ando
透 安孫子
Toru Abiko
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Abstract

【課題】Low-E膜や熱線反射膜等の金属膜を備えるガラス材において、高い眺望性が保持されつつ、夜間のミラー化が抑制されたガラス材の提供。【解決手段】複数枚のガラス基板が間隔を空けて対向配置されたガラス材であって、前記複数枚のガラス基板の少なくとも2つの表面上に、透明金属膜と微細凹凸層とをそれぞれ備え、前記微細凹凸層は、凹凸表面の最大高さRzが0.8μm以上であり、且つ、凸部の平均傾斜角θが5°以上20°以下である、ことを特徴とする、ガラス材。【選択図】図1A

Description

本発明は、ガラス材、及び窓材に関するものである。
Low-Eガラス、熱線反射ガラス等のガラス材や、遮熱フィルム、スモークフィルム等のフィルムは、金属薄膜、或いは屈折率の異なる金属酸化物の積層などにより、日射光を制御して、高い遮熱性及び/又は断熱性を実現するものである。
上述したガラス材は、通常のガラス材に比べて可視光線反射率が高いため、これらを窓材として用いた場合には、特に夜間における屋内照明の反射が目立つようになる。即ち、上述したガラス材は、夜間に照明を灯した屋内側から見たときに、ミラー状態となる傾向にある。このようなミラー化は、夜間に窓を介して屋外を見渡す必要がある場合(例えば、交番や警備室など)において、特に不都合である。また、ミラー化によって屋外が見えないと、屋外からも屋内が見えていないのではないかという感覚になり易いが、実際はそうではないため、防犯の観点からも問題となる。更に、夜間に屋内で写真や動画を撮影する際、ミラー化された窓を写すと、意図しない物が窓に映り込む虞があるので、画像認識によるセンサーや防犯カメラの誤作動の原因にもつながる。
このような夜間のミラー化(映り込み)の問題への対処として、マット調の窓用フィルム(マットフィルム)を用いる方法が挙げられる。しかし、従来のマットフィルムは、主に目隠し用途であるので、ミラー化を防ぐことはできるものの、屋外を眺望することができなくなり、窓としての機能が不十分なものとなる。
なお、例えば特許文献1は、複数枚のガラス板を有する複層ガラスについて、ガラス板の面に対し、Low-E膜を形成するとともに、フッ化水素でエッチング処理を施すことにより、可視光透過率を高め、断熱性能を高めることができることを開示している。
特開2016-000664号公報
しかし、上記特許文献1では、少なくとも夜間のミラー化の問題について何ら検討されていない上、上記特許文献1の複層ガラスは、その構造上、高い眺望性と夜間のミラー化防止との両立を図ることができない蓋然性が高い。更に、上記特許文献1に開示されたエッチング処理は、ガラス表面の凹凸加工の微調整にも限界がある。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、Low-E膜や熱線反射膜等の金属膜を備えるガラス材において、高い眺望性が保持されつつ、夜間のミラー化が抑制されたガラス材、及びそれを用いた窓材を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成すべく、鋭意検討を行った。その結果、凹凸表面の態様の適正化が図られた微細凹凸層を用いることで、夜間のミラー化抑制と高い眺望性とを両立できることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。
<1> 複数枚のガラス基板が間隔を空けて対向配置されたガラス材であって、
前記複数枚のガラス基板の少なくとも2つの表面上に、透明金属膜と微細凹凸層とをそれぞれ備え、
前記微細凹凸層は、凹凸表面の最大高さRzが0.8μm以上であり、且つ、凸部の平均傾斜角θが5°以上20°以下である、ことを特徴とする、ガラス材。
<2> 前記微細凹凸層は、凹凸表面の算術平均粗さRaが380nm以下である、前記<1>に記載のガラス材。
<3> 前記微細凹凸層は、凹凸表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが10μm以下である、前記<1>又は<2>に記載のガラス材。
<4> 前記微細凹凸層は、凹凸表面における正反射率が2.0%以下である、前記<1>~<3>のいずれかに記載のガラス材。
<5> 前記透明金属膜が配置されるガラス基板表面が、隣接するガラス基板と対向する表面である、前記<1>~<4>のいずれかに記載のガラス材。
<6> 前記透明金属膜が、Ag、Zn、Sn、Ti、Si、Cr、Fe及びNiのうち少なくとも1つを含有する、前記<1>~<5>のいずれかに記載のガラス材。
<7> 前記微細凹凸層は有機材料を含有する、前記<1>~<6>のいずれかに記載のガラス材。
<8> 前記<1>~<7>のいずれかに記載のガラス材を備える、ことを特徴とする、窓材。
本発明によれば、Low-E膜や熱線反射膜等の金属膜を備えるガラス材において、高い眺望性が保持されつつ、夜間のミラー化が抑制されたガラス材、及びそれを用いた窓材を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る窓材(ガラス材)を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る窓材(ガラス材)を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る窓材(ガラス材)を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る窓材(ガラス材)を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る窓材(ガラス材)を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る窓材(ガラス材)を示す模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る窓材(ガラス材)を示す模式断面図である。
以下、本発明を、実施形態に基づき詳細に説明する。
(ガラス材)
本発明の一実施形態に係るガラス材は、複数枚のガラス基板が間隔を空けて対向配置されたガラス材であり、即ち、複層ガラスである(以下、「本実施形態の複層ガラス」と称することがある。)。そして、本実施形態の複層ガラスは、上記複数枚のガラス基板の少なくとも2つの表面上に、透明金属膜と微細凹凸層とをそれぞれ備え、上記微細凹凸層は、凹凸表面の最大高さRzが0.8μm以上であり、且つ、凸部の平均傾斜角θが5°以上20°以下である、ことを特徴とする。
本実施形態の複層ガラスにおける微細凹凸層は、凹凸表面の態様の適正化が図られているため、可視光線の波長域(およそ380~780nm)又はそれ以上の高さを有する凹凸(凸部)が一定数存在することなる。そのため、屈折率の空間変化が緩やかとなり、一定量の光が散乱されずにガラスを真っ直ぐに通り抜けることができる結果、本実施形態の複層ガラスは、透過像鮮明性を維持しつつ、夜間のミラー化を抑制することができる。即ち、本実施形態の複層ガラスは、夜間のミラー化抑制と高い眺望性とを両立することができる。
なお、本明細書において、ガラス基板や金属膜等に対して用いられる「透明」又は「透明性を有する」の語は、透過像鮮明度が高く、上記ガラス基板や金属膜を通して像が明確に視認できることを意味するものとする。
<ガラス基板>
本実施形態の複層ガラスに用いるガラス基板としては、ガラス製で且つ透明性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、ソーダ石灰ガラス等のフロート板ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス、低膨張結晶化ガラス、ゼロ膨張結晶化ガラス等の各種ガラス基材を用いることができる。また、上記ガラス基板としては、クリアガラス等の無色ガラス、及び、熱線吸収ガラス等の緑等に着色された着色ガラスのいずれも用いることができるが、無色ガラスを用いることが好ましい。また、上記ガラス基板は、平板状であってもよく、曲げ板状であってもよく、また、網入りであってもよい。更に、上記ガラス基板は、風冷強化ガラス、化学強化ガラス等の各種強化ガラスであってもよい。
上記ガラス基板の厚みは、特に限定されず、例えば、3mm~12mmとすることができる。また、本実施形態においては、複数枚のガラス基板を用いるが、各ガラス基板の厚みは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
<透明金属膜>
本実施形態の複層ガラスに用いる透明金属膜は、透明であり、且つ、少なくとも金属を含有する膜である。本実施形態の複層ガラスは、透明金属膜を、複数枚のガラス基板から選択される1つの表面上にのみ備えていてもよく、複数枚のガラス基板から選択される2つ以上の表面上に備えていてもよい。また、透明金属膜における上記金属は、単体の形態であってもよく、酸化物や窒化物等の金属化合物の形態であってもよい。
上記透明金属膜は、Ag、Zn、Sn、Ti、Si、Cr、Fe及びNiのうち少なくとも1つを含有することが好ましい。この場合、複層ガラスに高い遮熱性及び/又は断熱性をもたらすことができる。同様の観点から、上記透明金属膜は、Agを主成分とする金属膜が、少なくともZn、Sn、Ti、Si、Cr、Fe及びNiのうち少なくとも1つを含有する金属酸化物膜で挟持された膜構成を有するものが好ましい。
上記透明金属膜は、多層膜であってもよく、その場合の膜構成としては、例えば、「(ガラス/)ZnO/Ag/ZnO」、「(ガラス/)SnO/Ag/SnO」、「(ガラス/)SiN/Ag/SiN」、「(ガラス/)TiO/Ag/SiN」、「(ガラス/)ZnO/Ag/ZnO/TiO」、「(ガラス/)ZnO/Ag/ZnO/SiN」、「(ガラス/)ZnO/Ag/ZnO/Ag/ZnO/SiN」、「(ガラス/)ZnSn/Ag/ZnSn/Ag/ZnSn」、「(ガラス/)SiOCy/SnO:F」、「(ガラス/)SnO/SiO/SnO:F」等が挙げられる。これらの構成を有する膜は、一般的にLow-E膜と呼ばれるものである。なお、上記において「Ag」は、Ag合金であってもよい。
また、透明金属膜が多層膜である場合の膜構成としては、例えば、「(ガラス/)SUS/TiN」、「(ガラス/)TiN」、「(ガラス/)TiO/TiN/TiO」、「(ガラス/)TiO」、「(ガラス/)SiO/SnO:Sb」等も挙げられる。これらの構成を有する膜は、いわゆる熱線反射膜と呼ばれるものである。
上記透明金属膜は、例えば、スパッタリング法又はCVD法により、ガラス基板の表面上に直接形成することができる。
<微細凹凸層>
本実施形態の複層ガラスに用いる微細凹凸層は、少なくとも一方の表面に微細な凹凸構造を有する層である。本実施形態の複層ガラスは、微細凹凸層を、複数枚のガラス基板から選択される1つの表面上にのみ備えていてもよく、複数枚のガラス基板から選択される2つ以上の表面上に備えていてもよい。
上記微細凹凸層における凹凸構造は、規則的なパターンを有していてもよく、或いは、ランダムに形成されていてもよい。
上記微細凹凸層は、凹凸表面の最大高さRzが0.8μm以上であることを要する。凹凸表面のRzが0.8μm未満であると、可視光線の波長域と同等の高さを有する凹凸(凸部)の割合が少ないため、少なくとも夜間のミラー化を抑制することができない虞がある。また、上記微細凹凸層の凹凸表面のRzは、夜間のミラー化をより効果的に抑制する観点から、1.2μm以上であることが好ましく、1.6μm以上であることがより好ましい。一方、上記微細凹凸層の凹凸表面のRzは、眺望性を十分良好に保つ観点から、3.0μm以下であることが好ましく、2.5μm以下であることがより好ましい。
なお、凹凸表面の最大高さRzは、例えば、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記微細凹凸層は、凹凸表面の凸部の平均傾斜角θが5°以上20°以下であることを要する。平均傾斜角θが5°未満であると、たとえ凹凸表面の最大高さRzが0.8μm以上であったとしても、凸部の裾が広い形状になるため反射が大きくなり、夜間のミラー化を抑制することができない。一方、平均傾斜角θが20°超であると、凸部と凸部との間に汚れが残存し易くなること等により、眺望性が悪化する虞がある。更に、平均傾斜角θが20°超である微細凹凸層は、作製がより困難となり、生産性が悪化する虞もある。また、上記微細凹凸層の凸部の平均傾斜角θは、夜間のミラー化をより効果的に抑制する観点から、10°以上であることが好ましく、13°以上であることがより好ましく、また、20°未満であることが好ましい。
なお、凸部の平均傾斜角θは、例えば、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記微細凹凸層は、凹凸表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが10μm以下であることが好ましい。このように、凹凸表面の最大高さRz0.8μm以上及び凸部の平均傾斜角θ5°以上20°以下を満たす上で、更に凹凸表面のRSmが10μm以下であれば、可視光線の波長域又はそれ以下の高さを有する凹凸(凸部)の影響により、屈折率の空間変化が十分に緩やかとなって、直進する光が増加することから、眺望性をより向上させることができる。同様の観点から、上記微細凹凸層の凹凸表面のRSmは、8μm以下であることがより好ましく、6.5μm以下であることが更に好ましい。一方、上記微細凹凸層の凹凸表面のRSmは、作製容易性の観点及びミラー化の更なる抑制の観点から、0.3μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが更に好ましい。
なお、凹凸表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmは、例えば、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記微細凹凸層は、凹凸表面の算術平均粗さRaが380nm以下であることが好ましい。このように、凹凸表面の最大高さRz0.8μm以上及び凸部の平均傾斜角θ5°以上20°以下を満たす上で、更に凹凸表面のRaが380nm以下であれば、可視光線の波長域又はそれ以下の高さを有する凹凸(凸部)の数及び割合がより多くなる結果、屈折率の空間変化が十分に緩やかとなって、直進する光が増加することから、眺望性をより向上させることができる。同様の観点から、上記微細凹凸層の凹凸表面の算術平均粗さRaは、300nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることが更に好ましく、200nm以下であることが一層好ましい。一方、上記微細凹凸層の凹凸表面のRaは、作製容易性の観点及び夜間のミラー化抑制効果を良好に発現させる観点から、50nm以上であることが好ましい。
なお、凹凸表面の算術平均粗さRaは、例えば、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記微細凹凸層は、凹凸表面における正反射率が2.0%以下であることが好ましい。この場合、夜間のミラー化をより効果的に抑制することができる。同様の観点から、上記微細凹凸層の凹凸表面における正反射率は、1.6%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることが更に好ましく、0.8%以下であることが一層好ましい。一方、上記微細凹凸層の凹凸表面における正反射率の下限は、特に限定されないが、0.1%以上とすることができる。
なお、凹凸表面における正反射率は、例えば、実施例に記載の方法により測定することができる。また、上記微細凹凸層の凹凸表面における正反射率を低減するための手段としては、一概にはいえないものの、例えば、凸部の平均傾斜角θを高める、凹凸表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmを低減する、凹凸表面の算術平均粗さRaを低減する等が挙げられ、これらを適宜組み合わせることができる。
上記微細凹凸層は、光学櫛幅2mmにおける透過像鮮明度が、70%以上であることが好ましい。この場合、眺望性を十分に高いものとすることができる。同様の観点から、上記微細凹凸層の光学櫛幅2mmにおける透過像鮮明度は、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましく、82%以上であることが一層好ましい。
また、上記微細凹凸層は、光学櫛幅0.125mm、0.25mm、0.5mm、1mm、2mmにおける透過像鮮明度の合計が、350%以上であることが好ましい。この場合、眺望性を十分に高いものとすることができる。同様の観点から、上記微細凹凸層の透過像鮮明度の合計は、400%以上であることがより好ましい。
なお、透過像鮮明度は、例えば、実施例に記載の方法により測定することができる。また、上記微細凹凸層の透過像鮮明度を高めるための手段としては、一概にはいえないものの、例えば、凸部の平均傾斜角θを調整する、凹凸表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmを低減する、凹凸表面の算術平均粗さRaを低減する等が挙げられ、これらを適宜組み合わせることができる。
上記微細凹凸層は、全ヘイズが13%以上であってもよい。一般に、全ヘイズは、視認性の指標として用いられ、値が大きいほど、視認性が悪いことを示すものである。しかし、上記微細凹凸層においては、上述した最大高さRz及び凸部の平均傾斜角θ等の要件を満たしていれば、全ヘイズが13%以上、20%以上、30%以上、又は40%以上であったとしても、高い眺望性を確保することができる。これは、本実施形態の複層ガラスでは、一定量の光が散乱されずにガラスを真っ直ぐに通り抜けることができることに起因しているものと考えられる。また、上記微細凹凸層の全ヘイズの上限は、特に限定されないが、50%以下、又は45%以下とすることができる。
なお、全ヘイズは、例えば、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記微細凹凸層は、測定角20°における光沢度(20°光沢度)が、10以下であることが好ましい。この場合、夜間のミラー化をより低減することができる。同様の観点から、上記微細凹凸層の20°光沢度は、5以下であることがより好ましく、3以下であることが更に好ましく、2以下であることが一層好ましい。
また、上記微細凹凸層は、測定角60°における光沢度(60°光沢度)が、50以下であることが好ましい。この場合、夜間のミラー化をより低減することができる。同様の観点から、上記微細凹凸層の60°光沢度は、40以下であることがより好ましく、30以下であることが更に好ましく、20以下であることが一層好ましい。
なお、光沢度は、例えば、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記微細凹凸層は、有機材料を含有することが好ましい。言い換えると、上記微細凹凸層は、有機材料を用いて作製されることが好ましい。有機材料を用いることで、所望の凹凸表面の態様を有する微細凹凸層を、容易に作製することができる。また、樹脂等の有機材料を用いることで、耐摩耗性を向上させることもできる。
上記微細凹凸層は、特に限定されず、例えば、フィラー分散法、形状転写法、相分離法などにより作製することができる。以下、一好適例として、フィラー分散法による微細凹凸層の作製方法を説明する。
上記フィラー分散法による微細凹凸層の作製方法は、エネルギー線硬化性樹脂にフィラーを配合してなる樹脂組成物を準備する準備工程と、基材上に当該樹脂組成物を塗布し、乾燥させる塗布工程と、塗布した樹脂組成物を硬化させる硬化工程と、を含むものである。
エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化性アクリル系樹脂、紫外線硬化性エポキシ系樹脂、紫外線硬化性フェノール樹脂や、熱硬化性樹脂等が挙げられる。また、樹脂組成物の準備に際しては、有機溶媒を用いて希釈してもよい。
フィラーとしては、樹脂ビーズ、ナノシリカ、ガラスビーズ、酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられる。フィラーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、フィラーの大きさは、最終的に得られる微細凹凸層の最大高さRz、平均傾斜角θ、算術平均粗さRa、平均長さRSm等に寄与し得るパラメータの1つである。また、フィラーの形状は、最終的に得られる微細凹凸層の最大高さRz、平均傾斜角θ、算術平均粗さRa、平均長さRSm等に寄与し得るパラメータの1つである。そのため、所望の凹凸表面の態様を有する微細凹凸層を得るためには、適切なフィラー種を選択して用いることが肝要である。
また、樹脂組成物中の樹脂に対するフィラー濃度は、最終的に得られる微細凹凸層の最大高さRz、平均傾斜角θ、算術平均粗さRa、平均長さRSm等に寄与し得るパラメータの1つである。そのため、所望の凹凸表面の態様を有する微細凹凸層を得るためには、適切なフィラー濃度を選択することが肝要である。
乾燥工程では、当該樹脂組成物を基材上に塗布し、乾燥させる。これにより、樹脂組成物中の有機溶媒を除去することができる。ここで、基材としては、特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)基材、TAC(トリアセチルセルロース)基材、ポリカーボネート基材等のプラスチック基材が挙げられる。基材の厚みとしては、特に限定されないが、例えば、25~200μmとすることができる。また、塗布装置としては、例えば、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター等を用いることができる。
なお、塗布条件(厚み)は、最終的に得られる微細凹凸層の最大高さRz、平均傾斜角θ、算術平均粗さRa、平均長さRSm等に寄与し得るパラメータの1つである。そのため、所望の凹凸表面の態様を有する微細凹凸層を得るためには、適切な塗布厚みを選択することが肝要である。
また、乾燥条件(温度、時間)は、最終的に得られる微細凹凸層の最大高さRz、平均傾斜角θ、算術平均粗さRa、平均長さRSm等に寄与し得るパラメータの1つである。そのため、所望の凹凸表面の態様を有する微細凹凸層を得るためには、適切な乾燥条件を選択することが肝要である。
硬化工程では、塗布工程で基材上に塗布した樹脂組成物を硬化させる。硬化の方法としては、使用するエネルギー線硬化性樹脂により、適切に選択することができる。例えば、紫外線硬化性樹脂を使用する場合には、紫外線を照射することにより硬化させることができる。また、熱硬化性樹脂を使用する場合には、加熱することにより硬化させることができる。
硬化条件(エネルギー線照射の量、時間)は、最終的に得られる微細凹凸層の最大高さRz、平均傾斜角θ、算術平均粗さRa、平均長さRSm等に寄与し得るパラメータの1つである。そのため、所望の凹凸表面の態様を有する微細凹凸層を得るためには、適切な硬化条件を選択することが肝要である。
そして、上述の硬化工程を経て、微細凹凸層が得られる。このような方法で作製される微細凹凸層は、有機材料を含有する。より具体的には、このような方法で作製される微細凹凸層は、少なくともエネルギー線硬化性樹脂とフィラーとを含有する。
なお、上述したフィラー分散法では、基材と所定の樹脂組成物とを準備し、当該樹脂組成物を用いて基材上に微細凹凸表層を形成している。即ち、上述したフィラー分散法により得られる微細凹凸層は、基材と微細凹凸表層とからなる。しかしながら、本実施形態の微細凹凸層は、これに限定されず、例えば、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の樹脂からなる基材の表面を加工して、所定態様の微細凹凸を直接形成したもの(即ち、基材のみからなるもの)であってもよい。
また、上記微細凹凸層は、例えば、粘着層を介してガラス基板の表面に接着(貼合)させることができる。上記粘着層の材料としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、各種ゴム等が挙げられる。また、上記粘着層の厚みとしては、例えば、5~100μmとすることができる。
上記粘着層は、可視光線を吸収する材料を含有してもよい。この場合、眺望性及び夜間のミラー化の抑制に大きな悪影響を及ぼすことなく、遮熱性及び/又は断熱性をより向上させることができる。また、この場合、可視光線反射率が低減することにより、夜間のミラー化の抑制を助長する効果も期待できる。かかる可視光線を吸収する材料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、酸化鉄等の無機材料、或いは、有機色素材料が挙げられ、これらの中でも、耐候性の観点から無機材料が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
<配置構成>
本実施形態の複層ガラスは、例えば、複数枚のガラス基板がスペーサーを周縁に介して対向配置され、各ガラス基板の間に空間が形成されている構造を有する。そして、本実施形態の複層ガラスは、透明金属膜と微細凹凸層とを、上記複数枚のガラス基板の少なくとも2つの表面上にそれぞれ備える。
本実施形態の複層ガラスにおいて、透明金属膜及び微細凹凸層が配置される箇所は、いずれも特に限定されず、複数枚のガラス基板における任意の表面とすることができる。特に、透明金属膜が配置されるガラス基板表面は、隣接するガラス基板と対向する表面であることが好ましい。換言すると、透明金属膜が配置されるガラス基板表面は、複層ガラスの外部側に露出したガラス基板表面ではないことが好ましい。透明金属膜は耐擦傷性や耐湿性が低いため、隣接するガラス基板と対向するガラス基板表面に配置することで保護でき、透明金属膜の汚破損や劣化を抑制することができる。
一方、本実施形態の複層ガラスにおいて、微細凹凸層が配置されるガラス基板表面は、複層ガラスの外部側に露出したガラス基板表面であることが好ましい。また、そのような複層ガラスを窓材として用いる場合には、微細凹凸層が屋内側を向くようにして当該窓材を設置することがより好ましい。
(窓材)
本発明の一実施形態に係る窓材は、上述したガラス材を備えることを特徴とする。かかる窓材は、上述したガラス材を用いているため、高い眺望性が保持されつつ、夜間のミラー化が抑制されている。そのため、上記の窓材は、建築用窓ガラス、車両用の窓ガラスなどとして、好適に用いることができる。
以下、本実施形態の複層ガラスを窓材として用いた場合における各部材の配置構成の一例について、図を用いて説明する。なお、以下では、複層ガラス1を窓材として用いた場合における当該複数枚のガラス基板11の各表面を、屋外側から順に第1面21、第2面22・・・と命名することとする。例えば、2枚のガラス基板を有する複層ガラス(2層ガラス)に関しては、屋外側のガラス基板11における屋外側を向く表面を第1面21と称し、屋外側のガラス基板11における屋内側を向く表面を第2面22と称し、屋内側のガラス基板11における屋外側を向く表面を第3面23と称し、屋内側のガラス基板11における屋内側を向く表面をそれぞれ第4面24と称することとする。
また、3枚のガラス基板を有する複層ガラス(3層ガラス)に関しても、同様にして、屋外側のガラス基板11における屋外側を向く表面を第1面21と称し、屋外側のガラス基板11における屋内側を向く表面を第2面22と称し、中間のガラス基板11における屋外側を向く表面を第3面23と称し、中間のガラス基板11における屋内側を向く表面を第4面24と称し、屋内側のガラス基板11における屋外側を向く表面を第5面25と称し、屋内側のガラス基板11における屋内側を向く表面をそれぞれ第6面26と称することとする。
第1態様の複層ガラス1は、図1Aに示す2層ガラスであって、透明金属膜12が第2面22に位置するとともに、微細凹凸層13が粘着層14を介して第4面24に位置する配置構成を有するものである。
第2態様の複層ガラス1は、図1Bに示す2層ガラスであって、透明金属膜12が第3面23に位置するとともに、微細凹凸層13が粘着層14を介して第4面24に位置する配置構成を有するものである。
第3態様の複層ガラス1は、図2Aに示す3層ガラスであって、透明金属膜12が第2面22に位置するとともに、微細凹凸層13が粘着層14を介して第6面26に位置する配置構成を有するものである。
第4態様の複層ガラス1は、図2Bに示す3層ガラスであって、透明金属膜12が第3面23に位置するとともに、微細凹凸層13が粘着層14を介して第6面26に位置する配置構成を有するものである。
第5態様の複層ガラス1は、図2Cに示す3層ガラスであって、透明金属膜12が第5面25に位置するとともに、微細凹凸層13が粘着層14を介して第6面26に位置する配置構成を有するものである。
第6態様の複層ガラス1は、図2Dに示す3層ガラスであって、透明金属膜12が第4面24に位置するとともに、微細凹凸層13が粘着層14を介して第6面26に位置する配置構成を有するものである。
第7態様の複層ガラス1は、図2Eに示す3層ガラスであって、2つの透明金属膜12が第2面22及び第5面25にそれぞれ位置するとともに、微細凹凸層13が粘着層14を介して第6面26に位置する配置構成を有するものである。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
まず、複層ガラスにおいて、透明金属膜(Low-E膜、熱線反射膜)が可視光線反射率に及ぼす影響について調べた。
<Low-E膜を備える複層ガラスの作製>
厚み6mmのガラス基板(JIS R 3202で規定されるフロート板ガラス)を2枚準備し、その一方のガラス基板における一方の表面に、ZnSnO、Ag合金、ZnSnO、Ag合金、及びZnSnOの透明膜(いわゆるLow-E膜)を、スパッタリングによりこの順に形成した。次いで、この透明膜付きフロートガラスと、もう一方のガラス基板(透明膜無し)とを、透明膜が内側となるように、スペーサーを介して12mmの間隔を空けて対向配置し、いわゆるLow-Eガラス(複層ガラス)を作製した。
この複層ガラスは、一般に、透明膜が第2面(屋外側のガラス基板における屋内側を向く表面)に位置するようにして用いる場合には、「遮熱タイプのLow-Eガラス」と称され、また、透明膜が第3面(屋内側のガラス基板における屋外側を向く表面)に位置するようにして用いる場合には、「断熱タイプのLow-Eガラス」と称される。
<熱線反射膜を備える複層ガラスの作製>
厚み6mmのガラス基板(JIS R 3202で規定されるフロート板ガラス)を2枚準備し、その一方のガラス基板における一方の表面に、SUT及びTiNの透明膜(いわゆる熱線反射膜)を、スパッタリングによりこの順に形成した。次いで、この透明膜付きフロートガラスと、もう一方のガラス基板(透明膜無し)とを、透明膜が内側となるように、スペーサーを介して12mmの間隔を空けて対向配置し、いわゆる熱線反射ガラス(複層ガラス)を作製した。
この複層ガラスは、一般に、透明膜が第2面に位置するようにして用いる。
<単純複層ガラスの作製>
厚み6mmのガラス基板(JIS R 3202で規定されるフロート板ガラス)を2枚準備し、これらをスペーサーを介して12mmの間隔を空けて対向配置し、複層ガラスを作製した。
上述した複層ガラスについて、第4面(屋内側)から入射される可視光線の反射率を、JIS R 3106に準拠して測定した。結果を表1に示す。
Figure 2022053388000002
表1より、Low-Eガラス(遮熱タイプ及び断熱タイプの両方)並びに熱線反射ガラスのいずれも、単純複層ガラスとの比較において、屋内側からの可視光線反射率が上昇している。即ち、複層ガラスに透明金属膜を設けることにより、夜間にミラー化し易くなっていることが分かる。
<本発明の複層ガラス(ガラス材)に用いる微細凹凸層の作製>
有機溶媒に、所定の紫外線硬化性アクリル系樹脂、樹脂ビーズ、及びナノシリカを加えて混合し、樹脂組成物を調製した。次いで、PET基材(三菱ケミカル株式会社製、「O321E100」、厚み100μm)の上に、この樹脂組成物を塗布し、乾燥させた。そして、この塗布物に紫外線を照射して硬化させ、このようにして、基材と微細凹凸表層とからなる微細凹凸層(層1~5、B~D)を作製した。なお、各々の微細凹凸層の作製においては、凹凸表面の粗さに関するパラメータ(算術平均粗さRa、粗さ曲線要素の平均長さRSm、最大高さRz、凸部の平均傾斜角θ)が表2に示す値となるように、樹脂組成物の配合組成、塗布条件(塗布厚み等)、乾燥条件(温度、時間等)、紫外線硬化条件(紫外線照射量、紫外線照射時間等)などを適宜調整した。また、比較対象の層(層A)として、PET基材(三菱ケミカル株式会社製、「O321E100」、厚み100μm)自体を準備し、上記と同様にして、凹凸表面の粗さに関するパラメータを測定した。結果を表2に示す。
また、各層について、全ヘイズ、内部ヘイズ、正反射率、20°光沢度、60°光沢度、透過像鮮明度を測定した。結果を表2に示す。
なお、各種特性の測定は、以下に示す装置又は要領により行った。
(1)Ra、RSm、Rz、θ
キヤノン株式会社製「Zygo NewView7300」を用い、表面から任意に選択される70.2μm×52.6μmの長方形領域を測定領域として、基本的にはISO25178、JIS B 0681に準拠して測定した。
なお、装置の具体的な条件は以下の通りとした。
ソフトウェア:MtroPro 8.3.5、
Acquisition Mode:Scan、
Scan Type:Bipolar、
ズームレンズ:1倍、
対物レンズ:100倍、
モード:High 2G、
面補正:Cylinder、
Camera Mode:640×480 21 Hz、
(2)全ヘイズ
日本電色工業株式会社製「NDH 7000SP」を用い、JIS K 7136に準拠して測定した。
(3)内部ヘイズ
微細凹凸層の作製に用いた樹脂、又はそれと同等の屈折率を有する樹脂により、表面の凹凸を埋め、これにより表面の拡散の影響を抑えた状態で、全ヘイズと同様にして測定した。なお、層Aについては、凹凸形成を行っていないので、内部ヘイズ=全ヘイズとした。
(4)正反射率
日本分光株式会社製「分光光度計 V-560」を用い、入射角5°で、JIS A 5759に準拠して測定した。なお、測定に際しては、微細凹凸層(又は基材層A)の裏面に黒色テープ(ニチバン株式会社製「VT-50 黒」)を貼合して、裏面からの反射の影響を抑えた。
(5)20°光沢度、60°光沢度
BYKガードナー社製「マイクログロス」を用い、JIS Z 8741に準拠して測定した。なお、測定に際しては、微細凹凸層(又は基材層A)の裏面に黒色テープ(ニチバン株式会社製「VT-50 黒」)を貼合して、裏面からの反射の影響を抑えた。
(6)透過像鮮明度
スガ試験機株式会社製「ICM-1T」を用い、光学櫛幅:0.125mm、0.25mm、0.5mm、1mm、2mmの5種類として、JIS K 7374に準拠して測定した。
Figure 2022053388000003
<遮熱タイプのLow-E膜及び微細凹凸層を備える複層ガラスの作製>
上述の通りに作製した遮熱タイプのLow-Eガラス(Low-E膜が第2面に位置する)の第4面(最も屋内側)に、上述した層1~5、層A~Dから選択される層を、アクリル系重合体(日栄化工株式会社製、「MHM-FW25」)からなる透明な粘着層(厚み25μm)を介して貼合した。これにより、図1Aに示すような配置構成を有する複層ガラスを得た。貼合後の各複層ガラスについて、以下の手順により、眺望性及び映り込み(夜間のミラー化)の評価を行った。結果を表3に示す。
(1)眺望性
日中に、複層ガラスの第4面の側(屋内側)から、当該複層ガラスを介して屋外の景色(対象物)を目視した。目視の結果から、以下の基準に従い、眺望性を評価した。
A:対象物がくっきり見える。
B:くっきりではないものの対象物が見える。
C:対象物が見え難い、又は見えない。
(2)映り込み(夜間のミラー化)
暗室にて、観察者の背後の斜め上に蛍光灯(NECライティング株式会社製、「ライフルックHGX 3波長形昼光色20形 FL20SSEX-D/18-X」)を設置し、複層ガラスの第4面の側と蛍光灯との間に観察者が位置し、観察者と複層ガラスとの距離が90cmであるような配置にて、観察者が複層ガラスに映る自分の顔を観察した。観察結果から、以下の基準に従い、映り込みを評価した。
A:観察者の顔がほとんど見えない。
B:観察者の顔が見え難い。
C:観察者の顔がくっきり見える。
Figure 2022053388000004
表3より、実施例1-1~実施例1-5では、凹凸表面の最大高さRzが0.8μm以上であり、且つ、凸部の平均傾斜角θが5°以上20°以下である微細凹凸層を用いているので、高い眺望性を保ちつつ、夜間のミラー化を有意に抑制できていることが分かる。
これに対し、比較例1-1~比較例1-4では、眺望性及び映り込みの少なくともいずれかの評価結果が不良となった。
<断熱タイプのLow-E膜及び微細凹凸層を備える複層ガラスの作製>
上述の通りに作製した断熱タイプのLow-Eガラス(Low-E膜が第3面に位置する)の第4面(最も屋内側)に、上述した層1~5、層A~Dから選択される層を、アクリル系重合体(日栄化工株式会社製、「MHM-FW25」)からなる透明な粘着層(厚み25μm)を介して貼合した。これにより、図1Bに示すような配置構成を有する複層ガラスを得た。貼合後の各複層ガラスについて、上述した手順により、眺望性及び映り込み(夜間のミラー化)の評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2022053388000005
表4より、実施例2-1~実施例2-5では、凹凸表面の最大高さRzが0.8μm以上であり、且つ、凸部の平均傾斜角θが5°以上20°以下である微細凹凸層を用いているので、高い眺望性を保ちつつ、夜間のミラー化を有意に抑制できていることが分かる。
これに対し、比較例2-1~比較例2-4では、眺望性及び映り込みの少なくともいずれかの評価結果が不良となった。
<熱線反射膜及び微細凹凸層を備える複層ガラスの作製(1)>
上述の通りに作製した熱線反射ガラス(熱線反射膜が第2面に位置する)の第4面(最も屋内側)に、上述した層1~5、層A~Dから選択される層を、アクリル系重合体(日栄化工株式会社製、「MHM-FW25」)からなる透明な粘着層(厚み25μm)を介して貼合した。これにより、図1Aに示すような配置構成を有する複層ガラスを得た。貼合後の各複層ガラスについて、上述した手順により、眺望性及び映り込み(夜間のミラー化)の評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2022053388000006
表5より、実施例3-1~実施例3-5では、凹凸表面の最大高さRzが0.8μm以上であり、且つ、凸部の平均傾斜角θが5°以上20°以下である微細凹凸層を用いているので、高い眺望性を保ちつつ、夜間のミラー化を有意に抑制できていることが分かる。
これに対し、比較例3-1~比較例3-4では、眺望性及び映り込みの少なくともいずれかの評価結果が不良となった。
<熱線反射膜及び微細凹凸層を備える複層ガラスの作製(2)>
上述の通りに作製した熱線反射ガラス(熱線反射膜が第2面に位置する)の第4面(最も屋内側)に、上述した層1~5、層A~Dから選択される層を、所定のアクリル系重合体に所定のカーボンブラックを配合してなる吸収性粘着層(厚み25μm)を介して貼合した。これにより、図1Aに示すような配置構成を有する複層ガラスを得た。なお、吸収性粘着層におけるカーボンブラックの配合量は、厚み3mmのフロート板ガラスに貼合したときの全光線透過率(JIS K 7361に準拠して測定)が70.4%になるように調整した。ちなみに、カーボンブラックを配合しない場合の粘着層を厚み3mmのフロート板ガラスに貼合したときの全光線透過率は、91.1%であった。貼合後の各複層ガラスについて、上述した手順により、眺望性及び映り込み(夜間のミラー化)の評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 2022053388000007
表6より、実施例4-1~実施例4-5では、凹凸表面の最大高さRzが0.8μm以上であり、且つ、凸部の平均傾斜角θが5°以上20°以下である微細凹凸層を用いているので、高い眺望性を保ちつつ、夜間のミラー化を有意に抑制できていることが分かる。
これに対し、比較例4-1~比較例4-4では、眺望性及び映り込みの少なくともいずれかの評価結果が不良となった。
特に、実施例4-1では、実施例3-1との比較において、夜間のミラー化を一層抑制することができた。これは、粘着層にカーボンブラックを配合したことで、第3面、第2面及び第1面に到達する光の量が減少し、更に、これらの面で反射して戻る光も粘着層を通過することで減少する結果、反射率が低下したためであると考えられる。
以上の実施例では、2枚のガラス基板を用いて複層ガラス(2層ガラス)を作製し、当該複層ガラスについての評価を行ったが、3枚以上のガラス基板を用いた場合(3層ガラスなど)であっても、眺望性及び映り込み(夜間のミラー化)について同様の結果が得られる。
本発明によれば、Low-E膜や熱線反射膜等の金属膜を備えるガラス材において、高い眺望性が保持されつつ、夜間のミラー化が抑制されたガラス材、及びそれを用いた窓材を提供することができる。
1 ガラス材(複層ガラス)
11 ガラス基板
12 透明金属膜
13 微細凹凸層
14 粘着層
15 スペーサー
21 第1面
22 第2面
23 第3面
24 第4面
25 第5面
26 第6面

Claims (8)

  1. 複数枚のガラス基板が間隔を空けて対向配置されたガラス材であって、
    前記複数枚のガラス基板の少なくとも2つの表面上に、透明金属膜と微細凹凸層とをそれぞれ備え、
    前記微細凹凸層は、凹凸表面の最大高さRzが0.8μm以上であり、且つ、凸部の平均傾斜角θが5°以上20°以下である、ことを特徴とする、ガラス材。
  2. 前記微細凹凸層は、凹凸表面の算術平均粗さRaが380nm以下である、請求項1に記載のガラス材。
  3. 前記微細凹凸層は、凹凸表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが10μm以下である、請求項1又は2に記載のガラス材。
  4. 前記微細凹凸層は、凹凸表面における正反射率が2.0%以下である、請求項1~3のいずれかに記載のガラス材。
  5. 前記透明金属膜が配置されるガラス基板表面が、隣接するガラス基板と対向する表面である、請求項1~4のいずれかに記載のガラス材。
  6. 前記透明金属膜が、Ag、Zn、Sn、Ti、Si、Cr、Fe及びNiのうち少なくとも1つを含有する、請求項1~5のいずれかに記載のガラス材。
  7. 前記微細凹凸層は有機材料を含有する、請求項1~6のいずれかに記載のガラス材。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載のガラス材を備える、ことを特徴とする、窓材。

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