JP2022053215A - 粘着剤組成物、粘着剤および粘着シート - Google Patents

粘着剤組成物、粘着剤および粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】粘着物性に優れ、かつ低誘電率および低誘電正接を示す粘着剤組成物を提供すること。【解決手段】炭素数10~36のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)、炭素数2~9のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)および極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)を含有する共重合成分(a)の共重合物であるアクリル系樹脂(A)を含む粘着剤組成物であって、上記共重合成分(a)において、炭素数10~24のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)と炭素数2~9のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)の含有割合(a1/a2)が50/50~95/5(重量比)であり、極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)の含有量が共重合成分(a)に対して0.01重量%以上3重量%未満である粘着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物、かかる粘着剤組成物からなる粘着剤および粘着シートに関するものであり、詳細には、粘着物性に優れ、かつ低誘電率および低誘電正接を示す粘着剤組成物、それを用いた粘着剤および粘着シートに関するものである。
近年、テレビやパソコン用モニター、ノートパソコンや携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等のモバイル機器において、ディスプレイと位置入力装置を組み合わせたタッチパネルが広く用いられるようになり、なかでも、静電容量式タッチパネルが増加している。
タッチパネルは、通常、有機ELまたは液晶からなるディスプレイ、透明電導膜基板(ITO基板)、保護フィルム(ガラス)から構成され、これらの部材の貼り合せには透明粘着シートが用いられている。
このような透明粘着シート用の粘着剤は、粘着力等の粘着物性のみならず、外的衝撃によるディスプレイの破損を防止するための衝撃吸収性や、優れた光学特性(透明性)、さらには、表示部材およびその他周辺部材から発生するノイズにより引き起こされるタッチパネルの誤作動を抑制するために低誘電率等が要求される。
低誘電率の粘着剤として、例えば、炭素数10~18の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレートを主成分として含むモノマー成分を重合することにより得られた(メタ)アクリル系ポリマーを用いた粘着剤(例えば、特許文献1参照。)や、アルキルエステル部位に炭素数10以上の長鎖のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体と、アルキルエステル部位に炭素数1~9のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単量体を、それぞれ特定量含有する単量体を含む単量体混合物(A)の共重合体を用いた粘着剤(例えば、特許文献2参照。)、また、側鎖にC10~C18のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルを40~99.5重量%含むモノマー成分を重合することにより得られ、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のメタクリル系ポリマーを含む粘着剤組成物(例えば、特許文献3参照。)が知られている。
特開2012-246477号公報 特開2015-40237号公報 特開2013-1761号公報
しかしながら、近年では、伝送信号の高周波化に伴い、粘着剤において今までよりも高周波帯における低誘電特性、特には低誘電正接が求められるようになってきている。このような状況において、上記特許文献1および2の開示技術では、誘電率の低い粘着剤は得られているものの低誘電正接の点でまだまだ充分なものではなく、更なる改良が求められている。
また、上記特許文献3の開示技術では、低誘電特性は良好であるものの、粘着剤としての粘着物性の点で満足のいくものではなく、低誘電特性と粘着物性の両立が充分ではなかった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、粘着物性に優れ、かつ低誘電率および低誘電正接を示す粘着剤組成物を提供することを目的とするものである。
しかるに本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、アクリル系樹脂を含む粘着剤組成物において、アクリル系樹脂を構成する共重合成分として、炭素数が多いアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分として含有し、さらに前記のメタクリル酸アルキルエステルモノマーのアクリル基の炭素数より少ないアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマーおよび極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有する共重合成分を所定の含有割合で共重合してなるアクリル系樹脂を用いることにより、粘着物性に優れ、かつ低誘電率および低誘電正接を示す粘着剤を得ることができるアクリル系粘着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、炭素数10~36のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)、炭素数2~9のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)および極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)を含有する共重合成分(a)の共重合物であるアクリル系樹脂(A)を含む粘着剤組成物であって、
上記共重合成分(a)において、炭素数10~36のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)と炭素数2~9のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)の含有割合(a1/a2)が50/50~95/5(重量比)であり、極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)の含有量が共重合成分(a)に対して0.01重量%以上3重量%未満である粘着剤組成物に関するものである。
さらには、本発明は、上記粘着剤組成物からなる粘着剤、ならびにかかる粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着シートも提供するものである。
本発明の粘着剤組成物は、炭素数10~36のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)、炭素数2~9のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)および極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)を含有する共重合成分(a)の共重合物であるアクリル系樹脂(A)を含む粘着剤組成物であって、上記共重合成分(a)において、炭素数10~36のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)と炭素数2~9のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)の含有割合(a1/a2)が50/50~95/5(重量比)であり、極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)の含有量が共重合成分(a)に対して0.01重量%以上3重量%未満である。そのため、かかる粘着剤組成物から得られる粘着剤は、粘着物性に優れ、かつ低誘電率および低誘電正接を示すものであり、特にタッチパネルや画像表示装置等を構成する光学部材の貼り合せに用いられる粘着剤として有用である。
一般的に、アクリル系樹脂を用いた粘着剤組成物において低誘電特性(低誘電率および低誘電正接)を付与するには、分子の双極子モーメントを下げるため、アルキル基の炭素数が10以上のアルキル(メタ)アクリル酸エステルモノマーを多めに共重合することが知られている。
しかしながら、アルキル基の炭素数が多い共重合成分を共重合したアクリル系樹脂は粘着力や保持力等の粘着物性、特に高温下での粘着物性が劣る傾向にあり、それを解決するために一般的に酸等の官能基を導入することになるが、極性の高い官能基を導入すると低誘電正接が得難くなる傾向があり、粘着物性と低誘電正接を両立させることが困難であった。これに対し本発明では、共重合成分として、所定長さのアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマーと所定長さのアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー、さらには極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合割合を調整することにより、粘着物性に優れ、かつ、低誘電特性、とりわけ低誘電正接を示すことを見出したものである。
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものであり、「アクリル系樹脂」とは(メタ)アクリル系モノマーを少なくとも1種含有するモノマー成分を重合して得られる樹脂である。また、「シート」とは、シート、フィルム、テープを概念的に包含するものである。
本発明の粘着剤組成物は、炭素数10~36のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)〔以下、単に「メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)」と称する場合がある〕、炭素数2~9のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)〔以下、単に「メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)」と称する場合がある〕、および極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)を含有する共重合成分(a)の共重合物であるアクリル系樹脂(A)を含むものである。以下、各成分について説明する。
〔メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)〕
上記メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)としては、例えば、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート等の直鎖脂肪族メタクリレート、イソデシルメタクリレート、イソトリデシルメタクリレート、イソミリスチルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、イソテトラコシルメタクリレート等の分岐鎖脂肪族メタクリレート等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも低誘電特性と粘着物性の両立の点からラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートが好ましい。
上記メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)の含有量は、共重合成分(a)に対して、通常50~95重量%であり、好ましくは55~90重量%、特に好ましくは60~85重量%である。
かかる含有量が少なすぎると、比誘電率が高くなったり、アクリル系樹脂(A)の熱安定性が低下する傾向があり、含有量が多すぎると、粘着物性が低下する傾向がある。
また、本発明で用いる上記炭素数10~36のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)は、炭素数10~15のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-1)〔以下、単に「メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-1)」と称する場合がある〕および炭素数16~36のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-2)〔以下、単に「「メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-2)」と称する場合がある〕を含有することが低誘電特性の点から好ましい。
上記メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-1)としては、例えば、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート等の直鎖脂肪族メタクリレート、イソデシルメタクリレート、イソトリデシルメタクリレート等の分岐鎖脂肪族メタクリレート等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、低誘電特性と粘着物性の両立の点から直鎖脂肪族メタクリレートが好ましく、より好ましくはラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレートである。
上記メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-1)の含有量は、共重合成分(a)に対して、通常30~85重量%であり、好ましくは40~80重量%、特に好ましくは45~75重量%である。
かかる含有量が少なすぎると、比誘電率が高くなったり、アクリル系樹脂(A)の熱安定性が低下する傾向があり、含有量が多すぎると、粘着物性が低下する傾向がある。
上記メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-2)としては、例えば、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート等の直鎖脂肪族メタクリレート、イソミリスチルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、イソテトラコシルメタクリレート等の分岐鎖脂肪族メタクリレートが挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、共重合した際のモノマーコンバージョンを上げやすいこと、更には低誘電特性と粘着物性の両立の点から、炭素数18~24のアルキル基を有するメタクリレートが好ましく、より好ましくはステアリルメタクリレートである。
上記メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-2)の含有量は、共重合成分(a)に対して、通常1~50重量%であり、好ましくは5~40重量%、特に好ましくは10~30重量%である。
かかる含有量が少なすぎると、比誘電率が高くなる傾向があり、含有量が多すぎると、粘着物性が低下する傾向がある。
また、共重合成分(a)において、上記メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-1)とメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-2)の含有割合(a1-1/a1-2)は、通常1/99~99/1、好ましくは30/70~95/5、より好ましくは55/45~90/10である。メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-1)とメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-2)の含有割合が上記範囲内であると、誘電特性に優れる傾向がある。
〔メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)〕
上記メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)としては、例えば、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート等の直鎖脂肪族メタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート等の分岐鎖脂肪族メタクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。なかでも、凝集力の点からはエチルメタクリレートが好ましく、凝集力と低誘電特性の点からは2-エチルへキシルメタクリレートが好ましい。
上記メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)の含有量は、共重合成分(a)に対して1~50重量%であり、好ましくは5~40重量%、特に好ましくは10~35重量%である。かかる含有量が少なすぎると、粘着力が不足する傾向があり、含有量が多すぎると、高温下での粘着物性やハンドリング性が低下する傾向がある。
また、本発明で用いる共重合成分(a)において、メタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)とメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)の含有割合(a1/a2)は重量比で50/50~95/5である。好ましくは55/45~93/7であり、特に好ましくは60/40~90/10である。(a1/a2)の含有割合が上記範囲内であると、粘着物性、低誘電特性に優れる。
〔極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)〕
上記極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー、カルボキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー、アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、粘着物性、および後述する架橋剤との反応性に優れる点で水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましい。
上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーが挙げられる。なかでも、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、特には4-ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。
上記カルボキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレート等が挙げられる。
上記アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物等が挙げられる。
上記極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)の含有量は、共重合成分(a)に対して0.01重量%以上3重量%未満である。好ましくは0.1重量%以上2.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以上2重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以上1.5重量%以下である。
かかる含有量が少なすぎると、粘着物性が低下し、多すぎると誘電正接が高くなる。
[活性エネルギー線硬化性構造部位含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a4)]
本発明で用いるアクリル系樹脂(A)は、活性エネルギー線架橋性構造部位を有することが、効率的にアクリル系樹脂(A)を硬化(架橋)し、凝集力を高めることができる点で好ましい。
上記活性エネルギー線架橋性構造部位とは、活性エネルギー線照射により、アクリル系樹脂(A)の一部分、または、粘着剤組成物中に含まれるその他硬化成分と反応し、架橋構造を形成し得る構造部位である。
本発明において活性エネルギー線架橋性構造部位としては、ベンゾフェノン系架橋構造であることが、反応性が高く、凝集力向上に優れる点で好ましい。
したがって、本発明においては、アクリル系樹脂(A)の共重合成分(a)として、さらに、活性エネルギー線架橋性構造部位含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a4)を用いることが好ましい。
活性エネルギー線架橋性構造部位含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a4)としては、ベンゾフェノン構造を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有することが、紫外線、電子線等の活性エネルギー線により効率的な架橋構造を形成することができる点で好ましく、例えば、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
活性エネルギー線架橋性構造部位含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a4)の含有量としては、共重合成分(a)に対して、0.01~5重量%であることが好ましく、なかでも、ベンゾフェノン構造を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量としては、共重合成分(a)に対して、0.01~5重量%であることが好ましく、特に好ましくは0.1~2重量%、さらに好ましくは0.2~1重量%である。かかる含有量が少なすぎると、活性エネルギー線により架橋構造を形成する際の保持力が低下する傾向があり、さらには、加工可能な粘着シートを作成するため、架橋構造を形成する際、活性エネルギー線量が多く必要となり、粘着シート作成時にエネルギーを多量に必要とし、効率の良い製造が困難となる傾向にある。また、含有量が多すぎると系全体の凝集力が上がりすぎ、粘着力が低下する傾向がある。
また、アクリル系樹脂に活性エネルギー線架橋性構造部位を導入するに際しては、アクリル系樹脂中に水酸基を含有させておき、かかる水酸基にエチレン性不飽和基含有イソシアネート化合物を反応させて、活性エネルギー線架橋性構造部位としてエチレン性不飽和基を導入することもできる。
[エチレン性不飽和モノマー(a5)]
本発明においては、必要に応じて共重合成分(a)として、さらにその他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a5)を含有してもよい。
その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a5)としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、オルトフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香環含有モノマー;シクロへキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシアルキル(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環含有モノマー;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエーテル鎖含有モノマー;(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレート等のアクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、N-グリコール酸、ケイ皮酸等のカルボキシ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブトキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;その他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
また、アクリル系樹脂(A)の高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物等を併用することもできる。
その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a5)の含有量は、共重合成分(a)に対して、通常20重量%以下であり、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
かかる含有量が多すぎると誘電特性が低下したり、粘着力が低下する傾向がある。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、前記の炭素数10~36のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)、炭素数2~9のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)および極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)を必須成分とし、さらに、上記の任意重合成分を適宜含む共重合成分(a)を共重合させることにより製造することができる。
上記共重合成分(a)においては、低誘電特性、特には低誘電正接の点からメタクリル酸アルキルエステルモノマーが、共重合成分(a)に対して80~99重量%含有することが好ましく、より好ましくは90~99重量%であり、特に好ましくは95~99重量%である。
また、上記共重合成分(a)に含まれるメタクリル酸アルキルエステルモノマーのアルキル基の平均炭素数は、低誘電特性、特には低誘電正接の点から10~15であることが好ましく、より好ましくは11~14である。
上記アクリル系樹脂(A)の重合方法としては、例えば、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の重合方法を用いることができるが、本発明においては、溶液重合で製造することが、安全に、安定的に、任意のモノマー組成でアクリル系樹脂(A)を製造できる点で好ましい。
以下、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)の好ましい製造方法の一例を示す。
まず、有機溶媒中に、共重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し、溶液重合を行う。
上記重合反応に用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類、塩化メチレン、塩化エチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。これらの溶媒の中でも、エステル類、ケトン類が好ましく、酢酸エチル、アセトンが特に好ましい。
上記重合反応に用いられる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であるアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤等を用いることができ、アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、(1-フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、過酸化物系重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-ヘキシルペルオキシピバレート、tert-ヘキシルペルオキシネオデカノエート、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、ジイソブチリルパーオキサイド等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでもアゾ系重合開始剤が好ましく、より好ましくは2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)である。
上記重合開始剤の使用量としては、共重合成分(a)100重量部に対して、通常0.001~10重量部であり、好ましくは0.1~8重量部、特に好ましくは0.5~6重量部、さらに好ましくは1~4重量部、殊に好ましくは1.5~3重量部、最も好ましくは2~2.5重量部である。上記重合開始剤の使用量が少なすぎると、アクリル系樹脂(A)の重合率が低下し、残存モノマーが増加したり、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が高くなる傾向があり、使用量が多すぎると、アクリル系樹脂(A)がゲル化する傾向がある。
溶液重合の重合条件については、従来公知の重合条件にしたがって重合すればよく、例えば、溶媒中に、(メタ)アクリル系モノマーを含有する共重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し所定の重合条件にて重合することができる。
上記重合反応における重合温度は、通常40~120℃であるが、本発明においては、安定的に反応できる点から50~90℃が好ましい。重合温度が高すぎるとアクリル系樹脂(A)がゲル化しやすくなる傾向があり、低すぎると重合開始剤の活性が低下するため、重合率が低下し、残存モノマーが増加する傾向がある。
また、重合反応における重合時間は特に制限はないが、最後の重合開始剤の添加から0.5時間以上、好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上、殊に好ましくは5時間以上である。
なお、重合反応は、除熱がしやすい点で溶媒を還流しながら行うことが好ましい。
かくして本発明に用いるアクリル系樹脂(A)を製造することができる。
<アクリル系樹脂(A)>
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、重量平均分子量が15万~150万であることが好ましく、より好ましくは20万~100万、特に好ましくは25万~80万、殊に好ましくは30万~60万である。かかる重量平均分子量が大きすぎると粘度が高くなりすぎて、塗工性やハンドリングが低下する傾向があり、小さすぎると凝集力が低下し、粘着物性が低下する傾向がある。
なお、上記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、製造完了時の重量平均分子量であり、製造後に加熱等がされていないアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量である。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、15以下であることが好ましく、さらには10以下、特には7以下、殊には5以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると粘着剤層の耐久性能が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向にあり、低すぎると取り扱い性が低下する傾向がある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF-806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100~2×107、理論段数:10000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本を直列にして用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法を用いて測定することができる。また、分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、ガラス転移温度(Tg)が-100~50℃であることが好ましく、特には-50~20℃、さらには-15~5℃であることが好ましい。かかるガラス転移温度が高すぎると、段差追従性や密着性低下に伴って粘着力が低下する傾向がある。ガラス転移温度が低すぎると、高温下での粘着物性が低下する傾向がある。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、下記の測定法により求められるものである。
後述する活性エネルギー線照射前の粘着シートから離型シートを剥離し、複数の粘着シートを積層して、未架橋状態で厚さ約650μmの粘着シートを作成する。作成したシートの動的粘弾性を以下の条件にて測定し、損失正接(損失弾性率G''/貯蔵弾性率G'=tanδ)が最大となった温度を読み取り、アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
〔測定条件〕
測定機器:DVA-225(アイティ-計測制御社製)
変形モード:せん断
歪み:0.1%
測定温度:-100~50℃
測定周波数:1Hz
本発明の粘着剤組成物は、上記アクリル系樹脂(A)を粘着剤組成物全体に対して90重量%以上含有することが好ましく、さらには95~99.9重量%、特には98~99.9重量%、殊には99~99.9重量%含有することが好ましい。
[架橋剤]
本発明の粘着剤組成物には、さらに単官能モノマーや多官能モノマー等の架橋剤を含有させることができる。これにより、粘着剤層全体の凝集力を調整し、安定した粘着物性を得ることができる。
上記架橋剤としては、1分子内に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有する多官能モノマーが好ましく、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、上記多官能性モノマーは単独で、または2種以上を併用することができる。なかでも、粘着物性と低誘電正接が両立可能な点で2つのエチレン性不飽和基を含有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、特には、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
上記架橋剤の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、通常10重量部以下であり、好ましくは0.01~8重量部、より好ましくは0.1~6重量部である。かかる架橋剤が多すぎると粘着力が低下したり、誘電特性が低下する傾向がある。なお、少なすぎると高温条件下の粘着物性が低下する傾向がある
[シランカップリング剤]
また、本発明の粘着剤組成物は、高温高湿条件下における耐久性向上の点からシランカップリング剤を含有することも好ましい。
上記シランカップリング剤としては、特に制限なく公知のものを使用でき、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン等のアミノ基含有シランカップリング剤、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
上記シランカップリング剤の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、通常5重量部以下であり、好ましくは0.01~3重量部、より好ましくは0.05~2重量部である。かかるシランカップリング剤の含有量が多すぎるとブリードアウトにより粘着物性や透明性が低下する傾向がある。なお、少なすぎると高温高湿条件下における耐久性が低下する傾向がある。
[光重合開始剤]
本発明の粘着剤組成物は、架橋(硬化)されて粘着剤とすることができるが、架橋を効率的に行うために、さらに光重合開始剤を配合してもよい。特に、アクリル系樹脂(A)が活性エネルギー線架橋性構造部位を有さない場合は、光重合開始剤を配合することが好ましい。
かかる光重合開始剤としては、光の作用によりラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、アシルフォスフィンオキサイド系等の光重合開始剤が挙げられるが、分子間または分子内で効率的に架橋できる点から水素引き抜き型のベンゾフェノン系の光重合開始剤を用いることが好ましい。
ベンゾフェノン系の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、これら光重合開始剤の助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4'-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4'-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-ジメチルアミノエチル安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。これらの助剤も単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
かかる光重合開始剤の配合量については、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01~10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1~5重量部、さらに好ましくは0.5~2重量部である。かかる配合量が少なすぎると硬化速度が低下したり、硬化が不充分となる傾向があり、多すぎても硬化性は向上せず経済性が低下する傾向がある。
また、本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、その他の粘着剤を配合したり、架橋促進剤、帯電防止剤、粘着付与剤、機能性色素等の従来公知の添加剤を配合してもよい。
かくしてアクリル系樹脂(A)、必要に応じて架橋剤、シランカップリング剤、光重合開始剤およびその他の任意成分を混合することにより本発明の粘着剤組成物を得ることができる。なお、混合方法については、特に限定されるものではなく、各成分を一括で混合する方法や、任意の成分を混合した後、残りの成分を一括または順次混合する方法等、種々の方法を採用することができる。
<粘着剤>
前述のとおり本発明の粘着剤組成物は、粘着剤組成物が架橋(硬化)することにより、または、アクリル系樹脂(A)が活性エネルギー線架橋性構造部位を有する場合は活性エネルギー線の照射により、含まれるアクリル系樹脂(A)が分子内および分子間の少なくとも一方で架橋構造を形成し、粘着剤となる。上記粘着剤は、粘着物性に優れ、かつ低誘電率および低誘電正接を示すものであり、タッチパネルや画像表示装置等を構成する光学部材の貼り合せに好適に用いられる。
上記粘着剤は、粘着剤からなる粘着剤層を基材シート上に設けることにより粘着シートとすることができ、また、上記粘着剤層を離型シート上に設けることにより両面粘着シートとすることができる。
<粘着シート>
上記粘着シートは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
まず、本発明の粘着剤組成物をそのまま、または適当な有機溶剤により濃度調整し、基材シート上に直接塗工する。その後、例えば80~105℃、0.5~10分間加熱処理等により乾燥させ、これを基材シートまたは離型シートに貼付する。そして、活性エネルギー線照射を行ない、粘着剤組成物を架橋(硬化)させ、さらに必要に応じてエージングすることで、上記粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着シートを作製することができる。
また、上記基材シートに替えて離型シートに粘着剤層を形成し、反対側の粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより、基材レスの両面粘着シートを作製することもできる。
得られた粘着シートや両面粘着シートは、使用時には、上記離型シートを粘着剤層から剥離して使用に供される。
基材シートとしては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド等の合成樹脂シート,アルミニウム、銅、鉄の金属箔,上質紙、グラシン紙等の紙,硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布が挙げられる。これらの基材シートは、単層体としてまたは2種以上が積層された複層体として用いることができる。これらのなかでも、軽量化等の点から、合成樹脂シートが好ましい。
さらに、上記離型シートとしては、例えば、上記基材シートで例示した各種合成樹脂シート、紙、織物、不織布等に離型処理したものを使用することができる。離型シートとしては、シリコン系の離型シートを用いることが好ましい。
また、上記粘着剤組成物の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スロットコーティング、スクリーン印刷等の方法が挙げられる。
上記活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線による硬化が好ましい。
上記粘着シートの粘着剤層のゲル分率については、耐久性能と粘着力の点から10~100重量%であることが好ましく、特には30~90重量%が好ましく、殊には50~80重量%であることが好ましい。ゲル分率が低すぎると凝集力が低下することにより耐久性が低下する傾向がある。なお、ゲル分率が高すぎると凝集力の上昇により粘着力が低下する傾向がある。
ゲル分率を上記範囲に調整することは、例えば、活性エネルギー線照射量やアクリル系樹脂(A)中の活性エネルギー線架橋性構造部位の含有量を調整したり、架橋剤や光重合開始剤の種類や量を調整することにより達成される。
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、基材となる高分子シート(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等)に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(離型シートを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、23℃に保持したトルエン中に24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。ただし、基材の重量は差し引いておく。
上記粘着シートの粘着剤層の厚みは、通常、50~3000μmであることが好ましく、さらには75~1000μmがあることが好ましく、殊には100~350μmであることが好ましい。上記粘着剤層の厚みが薄すぎると衝撃吸収性が低下する傾向があり、厚すぎると光学部材全体の厚みが増して実用性が低下する傾向がある。
なお、本発明における粘着剤層の厚みは、ミツトヨ社製「ID-C112B」を用いて、粘着剤層含有積層体全体の厚みの測定値から、粘着剤層以外の構成部材の厚みの測定値を差し引くことにより求めた値である。
上記粘着剤層は1MHzにおける比誘電率が3.0以下であることが好ましく、特には2.7以下であることがより好ましく、更には2.5以下であることが好ましい。なお、比誘電率の下限値は通常1.0である。
1MHzにおける比誘電率が高すぎるとタッチパネルに搭載される電極間の静電容量が大きくなり、誤作動の原因となる傾向があり、低すぎると静電容量が小さくなり、検出感度が低下する傾向がある。
上記粘着剤層は10GHzにおける比誘電率が3.0以下であることが好ましく、特には2.8以下であることがより好ましい。なお、比誘電率の下限値は通常1.0である。
10GHzにおける比誘電率が高すぎると粘着剤層と接するアンテナ、センサー、配線等において伝送損失が大きくなる傾向がある。
また、上記粘着剤層は10GHzにおける誘電正接が0.005以下であることが好ましく、特には0.004以下、更には0.003以下であることがより好ましい。
10GHzにおける誘電正接が高すぎると粘着剤層と接するアンテナ、センサー、配線等において伝送損失が大きくなる傾向がある。
本発明の粘着シートの粘着剤層は、粘着剤層の厚みが175μmの場合のヘイズ値が2%以下であることが好ましく、特には0~1.5%、さらには0~1%であることが好ましい。ヘイズ値が2%を超えると粘着剤層が白化して透明性が低下する傾向がある。
また、本発明においては、上記粘着剤層を光学部材上に積層形成することにより、粘着剤層付き光学部材を得ることができる。また、上記の両面粘着シートを用いて光学部材同士を貼合することもできる。
上記光学部材としては、タッチパネルや画像表示装置を構成する、ディスプレイ(有機EL、液晶)、透明電導膜基板(ITO基板)、保護フィルム(ガラス)、透明アンテナ(フィルム)、透明配線等が挙げられる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量、ガラス転移温度の測定に関しては、前述の方法に従って測定した。
〔製造例1:アクリル系樹脂[A-1]の製造〕
冷却器付きの2Lフラスコに、重合溶媒として酢酸エチル27部(沸点77℃)、アセトン3部(沸点56℃)、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、半減温度65℃)0.02部、あらかじめ混合したモノマー溶液(ステアリルメタクリレート(SMA:a1-2)20部、ラウリルメタクリレートとトリデシルメタクリレートの混合物(SLMA:a1-1)53.55部、2-エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA:a2)20部、エチルメタクリレート(EMA:a2)5部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA:a3)1部、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン(MBP:a4)0.45部の混合溶液)100部の40%を入れ、フラスコ内で加熱還流させた後、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(ADVN:10時間半減期温度52℃)0.05部、前述のモノマー溶液の残り60%を2時間かけて滴下した。滴下後、さらに1時間後、酢酸エチル10部とADVN0.2部の混合物を1時間かけ滴下して反応させ、アクリル系樹脂[A-1](重量平均分子量:42万、分散度:4.20、固形分濃度57%、粘度5100mPa・s(25℃)、ガラス転移温度-3℃)溶液を得た。また、メタクリル酸アルキルエステルモノマーのアルキル基の平均炭素数は12.1であった。
〔製造例2~4、比較製造例1~3〕
アクリル系樹脂の共重合成分を表1の通りとした以外は製造例1と同様にしてアクリル系樹脂[A-2]~[A-4]、[A’-1]~[A’-3]を製造した。
Figure 2022053215000001
<実施例1~4、比較例1~3>
上記で得られたアクリル系樹脂溶液からなる粘着剤組成物を酢酸エチルにて固形分濃度45%に調整し、かかる粘着剤組成物溶液をポリエステル系離型シートに、乾燥後の厚みが約75μmとなるように塗布し、100℃で5分間乾燥し、粘着剤組成物層を形成させた。得られた粘着剤組成物層を2枚積層した後、ポリエステル系離型シートではさみ、高圧水銀UV照射装置を用いて、ピーク照度:150mW/cm2、積算露光量:1000mJ/cm2(500mJ/cm2×2パス)で紫外線照射を行うことで粘着剤層を形成し、基材レス両面粘着シートを得た。
また、上記で得られた基材レス両面粘着フィルムの粘着剤層から一方の面の離型シートを剥がし、易接着処理ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(厚み125μm)に押圧し、粘着剤層の厚みが150μmの粘着剤層付きPETシートを得た。
なお、実施例4の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂100部に対して、架橋剤として1,9-ノナンジオールジアクリレート(1,9-NDA)5部、シランカップリング剤として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403)0.1部を配合したものである。
上記で得られた基材レス両面粘着シートまたは粘着剤層付きPETシートについて、以下の評価を行った。
〔ゲル分率〕
上記基材レス両面粘着シートを40mm×40mmに裁断した後、高圧水銀UV照射装置にてピーク照度:150mW/cm2,積算露光量:4000mJ/cm2(1000mJ/cm2×4パス)で紫外線照射を行い、23℃×50%RHの条件下で30分静置した後、一方の離型シートを剥がし、粘着剤層側を50mm×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)に貼合した後、もう一方の離型シートを剥離し、SUSメッシュシートの長手方向に対して中央部より折り返してサンプルを包み込んだ後、23℃に保持したトルエン250gの入った密封容器にて24時間浸漬した際の重量変化にてゲル分率(%)の測定を行った。
〔誘電特性(低周波:1MHz)[比誘電率(ε’)]〕
上記基材レス両面粘着シートについて、粘着剤層の厚みを600μmになるまで積層した後、一方の離型シートを剥がし、未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(厚み50μm)に押圧した後、さらにもう一方の離型シートを剥がし、上記と同じ未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに押圧し、「PETシート/粘着剤層/PETシート」の層構成を有する粘着剤層付きPETシートを得た。
上記粘着剤層付きPETシートを高圧水銀UV照射装置にてピーク照度:150mW/cm2,積算露光量:4000mJ/cm2(1000mJ/cm2×4パス)で紫外線照射を行い、その後70mm×70mmに裁断し、誘電率測定用試験片とした。
上記誘電率測定用試験片について、HP4284AプレシジョンLCRメータ(Agilent社製)を用いて、23℃×50%RHの雰囲気下で試験片を電極間に挟み周波数1MHzで電場を与えた際の、インピーダンス測定を行い、電極間の電気容量変化から、粘着剤層の誘電率を算出した。その後、得られた誘電率から比誘電率を算出し、下記の基準により評価した。
(評価基準)
○・・・粘着剤層の1MHzにおける比誘電率が3.0以下
×・・・粘着剤層の1MHzにおける比誘電率が3.0より大きい
〔誘電特性(高周波:10GHz)[比誘電率(ε’)、誘電正接(tanδ)]〕
上記基材レス両面粘着シートについて、粘着剤層の厚みを600μmになるまで積層した後、一方の離型シートを剥がし、未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(厚み50μm)に押圧した後、さらにもう一方の離型シートを剥がし、上記と同じ未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)シートに押圧し、「PETシート/粘着剤層/PETシート」の構成を有する粘着剤層付きPETシートを得た。
上記粘着剤層付きPETシートを高圧水銀UV照射装置にてピーク照度:150mW/cm2,積算露光量:4000mJ/cm2(1000mJ/cm2×4パス)で紫外線照射を行い、その後2mm×80mmに裁断し、誘電率測定用試験片とした。
上記誘電率測定用試験片について、E8361A PNAシリーズ ネットワークアナライザ(Agilent社製)を用いて、空洞共振器摂動法により、粘着剤層の10GHzにおける誘電率(比誘電率(ε’)、誘電正接(tanδ))を算出し、下記の基準にて評価した。
(比誘電率(ε’)の評価基準)
○・・・粘着剤層の10GHzにおける比誘電率が2.2以下
×・・・粘着剤層の10GHzにおける比誘電率が2.2より大きい
(誘電正接(tanδ)の評価基準)
○・・・粘着剤層の10GHzにおける誘電正接が0.005以下
×・・・粘着剤層の10GHzにおける誘電正接が0.005より大きい
〔23℃での180度剥離強度〕
上記粘着剤層付きPETシートについて、幅25mm×長さ100mmの大きさに裁断し、高圧水銀UV照射装置にて、ピーク照度:150mW/cm2、積算露光量:4000mJ/cm2(1000mJ/cm2×4パス)で紫外線照射を行った後、離型シートを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に23℃、50%RHの雰囲気下、2kgゴムローラー2往復で加圧貼付し、23℃×50%RHの条件下で30分間静置した後、常温(23℃)で剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
〔60℃での180度剥離強度〕
上記粘着剤層付きPETシートについて、幅25mm×長さ100mmの大きさに裁断し、高圧水銀UV照射装置にて、ピーク照度:150mW/cm2、積算露光量:4000mJ/cm2(1000mJ/cm2×4パス)で紫外線照射を行った後、離型シートを剥離して、粘着剤層側を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に23℃、50%RHの雰囲気下、2kgゴムローラー2往復で加圧貼付を行った後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、20分間)を行い、60℃の条件下で60分間静置した後、60℃で剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
〔80℃保持力〕
上記粘着剤層付きPETシートについて、25mm×50mmの大きさに裁断し、高圧水銀UV照射装置にて、ピーク照度:150mW/cm2、積算露光量:4000mJ/cm2(1000mJ/cm2×4パス)で紫外線照射を行った後、離型シートを剥離して、ステンレス鋼板(SUS304)に2kgローラーを往復させ加圧貼付(貼り付け面積25mm×25mm)し、クリープテスター(テスター産業社製、高温恒湿槽付保持力試験機BE-501)を用いて荷重1kgを80℃雰囲気下で24時間かけて保持力を測定した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎・・・ズレなし
〇・・・ズレが0.1mm未満
△・・・ズレが0.1mm以上、1.0mm未満
×・・・ズレが1.0mm以上、または落下
〔50℃定荷重保持力〕
上記粘着剤層付きPETシートについて、25mm×75mm(粘着剤層部25mm×50mm+非粘着層部25mm×25mm)の大きさに裁断し、高圧水銀UV照射装置にて、ピーク照度:150mW/cm2、積算露光量:4000mJ/cm2(1000mJ/cm2×4パス)で紫外線照射を行った後、離型シートを剥離して、ステンレス鋼板(SUS304)に2kgローラーを往復させ加圧貼付(貼り付け面積25mm×50mm)し、50℃雰囲気下で、20分間静置した。その後、非貼付部(面積25mm×25mm)の端部に50gのおもりを吊るし、ステンレス鋼板の平面に対して90° の方向に50gの荷重を加え、その状態で60分間静置し、PETシートが剥離した距離を測定した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
〇・・・剥離距離が20mm未満
△・・・剥離距離が20mm以上50mm未満
×・・・落下
〔粘着剤層の光学特性(透明性)〕
上記粘着剤層付きPETシートについて、25mm×25mmに裁断し、高圧水銀UV照射装置にてピーク照度:150mW/cm2、積算露光量:4000mJ/cm2(1000mJ/cm2×4パス)で紫外線照射を行った。その後、粘着剤層から一方の面の離型シートを剥がし、粘着剤層側を無アルカリガラス(コーニング社製「イーグルXG」、厚み1.1mm)に貼り合わせた後、オートクレーブ処理(50℃×0.5MPa×20分)を行い、「無アルカリガラス/粘着剤層/PET」の構成を有する試験片を作製した。
〔ヘイズ値〕
得られた試験片を用いてヘイズ値を測定した。
ヘイズ値は、拡散透過率および全光線透過率を、HAZE MATER NDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定し、得られた拡散透過率と全光線透過率の値を下記式に代入して、ヘイズを算出した。なお、本機はJIS K7361-1に準拠している。
ヘイズ値(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×100
Figure 2022053215000002
実施例1~4の粘着剤組成物を用いてなる粘着シートは、低周波域と高周波域において低誘電率かつ低誘電正接でありながら、粘着物性にバランスよく優れるものであった。
一方、アクリル系樹脂の共重合成分としてメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)、(a2)を含有しない比較例1の粘着剤組成物を用いてなる粘着シートは、実施例1~4と比べて粘着物性、誘電特性に劣るものであった。また、アクリル系樹脂の共重合成分としてメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)を含有しない比較例2、3の粘着剤組成物を用いてなる粘着シートは、実施例1~4と比べて粘着物性に劣るものであった。
本発明の粘着剤組成物を用いてなる粘着剤は、粘着物性に優れ、かつ低誘電率および低誘電正接を示すものであり、特にタッチパネルや画像表示装置等を構成する光学部材の貼り合せや有機ELディスプレイ封止用途等に用いられる粘着剤として有用である。

Claims (9)

  1. 炭素数10~36のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)、炭素数2~9のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)および極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)を含有する共重合成分(a)の共重合物であるアクリル系樹脂(A)を含む粘着剤組成物であって、
    上記共重合成分(a)において、炭素数10~36のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)と炭素数2~9のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a2)の含有割合(a1/a2)が50/50~95/5(重量比)であり、極性基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)の含有量が共重合成分(a)に対して0.01重量%以上3重量%未満であることを特徴とする粘着剤組成物。
  2. 前記炭素数10~36のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)が、炭素数10~15のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-1)および炭素数16~36のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルモノマー(a1-2)を含有することを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. 前記共重合成分(a)中のメタクリル酸アルキルエステルモノマーの含有量が、共重合成分(a)に対して80~99重量%であり、かつ、前記メタクリル酸アルキルエステルモノマーのアルキル基の平均炭素数が10~15であることを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物。
  4. 前記アクリル系樹脂(A)が、活性エネルギー線架橋性構造部位を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  5. 前記活性エネルギー線架橋性構造部位がベンゾフェノン系架橋構造であることを特徴とする請求項4記載の粘着剤組成物。
  6. 前記アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が15万~150万であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の粘着剤組成物が架橋されてなることを特徴とする粘着剤。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載の粘着剤組成物が活性エネルギー線により架橋されてなることを特徴とする粘着剤。
  9. 請求項7または8記載の粘着剤からなる粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
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