JP2022050859A - 金属粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】分級残のような有機化合物を含む金属を利用したアトマイズ法による金属粉末の製造方法であって、湯ブレや出湯ノズルの詰まりが抑制され、長期の連続操業が可能な金属粉末の製造方法を提供すること。【解決手段】溶湯原料金属を加熱溶融して溶湯とし、この溶湯を落下させ、落下する溶湯の流れに流体を吹き付けて溶湯を粉砕及び凝固して金属粉末を得る金属粉末の製造方法であって、前記溶湯原料金属の炭素量が0.01質量%以下であり、前記溶湯原料金属は炭素低減原料金属を含み、前記炭素低減原料金属は、炭素量が0.01質量%より高い原料金属を、酸化性雰囲気下で加熱することでその炭素量を低減させたものである、金属粉末の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、金属粉末の製造方法に関する。
金属粉末は産業において重要な素材であり、その特性に応じて電子材料、触媒、電池の活物質、工具、医薬品、宝飾品など様々な用途に使用されている。
金属粉末の製造方法としては、湿式還元反応、アトマイズ法、プラズマ法など各種の方法があり、金属粉末の用途や許容されるコストなどの観点から、最適の製造方法が選択される。
金属粉末中に含まれる元素のうち、炭素は金属種の用途によっては低減する必要がある場合があり、溶鋼を脱炭してから粉末を製造したり、粉末にしてから脱炭するということが従来行われている(特許文献1・2)。
特開平7-157803号公報 特開平1-234505号公報
一般に金属粉末のアトマイズ法による製造では、炉中で原料金属を加熱溶融して金属溶湯とし、この溶湯を前記炉の底部に設けられた出湯ノズルから落下させながら、落下する溶湯の流れに水などの流体を吹き付けて溶湯を粉砕及び凝固することで粒子化し、得られた金属粉末を回収する。更に、所望の粒度分布とするために得られた金属粉末に対して分級プロセスを実施して、最終の金属粉末製品を得る。そして分級の副産物として、最終製品からは排除された金属粉末が生成される。本明細書では最終製品から排除された側の金属粉末を、「分級残」と呼ぶこととする。
なお、金属粉末の流動性を高めるために、有機化合物で粒子表面を被覆する表面処理が行われる場合がある。粉末の流動性が高まっていないと、上記分級プロセスでうまく分級できない場合があるので、前記の表面処理は分級プロセスの前に行うのが一般的である。
そして、分級プロセスで生じた(有機化合物で被覆された)分級残は廃棄処分することが考えられるが、これを溶湯の原料として再利用することができれば、金属粉末の製造コストの点でも環境負荷の点でも有利である。本発明者らは分級残を再利用して溶湯を調製し、アトマイズの連続操業を実施したところ、途中で湯ブレや出湯ノズルの詰まりが発生し、アトマイズの長期連続操業が実施できなかった。長期の連続操業ができないというのは、金属粉末の製造コストや製造効率の点で問題である。なお湯ブレとは、出湯ノズルから出る溶湯の少なくとも一部が鉛直方向に落下せず、横に飛び散る現象を指す。
本発明は、分級残のような有機化合物を含む金属を利用したアトマイズ法による金属粉末の製造方法であって、湯ブレや出湯ノズルの詰まりが抑制され、長期の連続操業が可能な金属粉末の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するため、まず上記の湯ブレや出湯ノズルの詰まりの原因について検討した。出湯ノズルに詰まった物質を分析したところ、これは炭素を多量に含んでいることがわかった。本発明者は、これが、分級残の粒子表面に付着した有機化合物の炭化物であると推測し、これが生じないようにするため、予め前記有機化合物を除去してから溶湯調製に供することを着想し、実際の検証を経て、本発明を完成するに至った。なお本発明では、分級残等における炭素量を、それが含む有機化合物の量の指標として利用する。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]溶湯原料金属を加熱溶融して溶湯とし、この溶湯を落下させ、落下する溶湯の流れに流体を吹き付けて溶湯を粉砕及び凝固して金属粉末を得る金属粉末の製造方法であって、前記溶湯原料金属の炭素量が0.01質量%以下であり、前記溶湯原料金属は炭素低減原料金属を含み、前記炭素低減原料金属は、炭素量が0.01質量%より高い原料金属を、酸化性雰囲気下で加熱することでその炭素量を低減させたものである、金属粉末の製造方法。
[2]前記炭素量が0.01質量%より高い原料金属が、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1~50μmであり、有機化合物を含む金属粉末、又は、表面に有機化合物が付着した金属片である、[1]に記載の金属粉末の製造方法。
[3]前記炭素量が0.01質量%より高い原料金属を100~400℃で加熱する、[2]に記載の金属粉末の製造方法。
[4]前記炭素低減原料金属が、前記炭素量が0.01質量%より高い原料金属を酸化性雰囲気下で加熱することにより、その炭素量を0.01質量%以下に低減させたものである、[1]~[3]のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。
[5]前記炭素量が0.01質量%より高い原料金属の炭素量が1質量%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。
[6]前記溶湯原料金属中の炭素低減原料金属の量が、5~100質量%である、[1]~[5]のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。
[7]前記炭素量が0.01質量%より高い原料金属が、アトマイズ法で製造された金属粉末を有機化合物で表面処理したものである、[1]~[6]のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。
[8]前記炭素量が0.01質量%より高い原料金属の構成金属が、前記加熱の際の温度における酸化物の生成自由エネルギーΔGと、当該温度における炭素の酸化物の生成自由エネルギーΔGとの差(ΔG-ΔG)が0kJ/molOより大きい金属Mである、[1]~[7]のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。
本発明によれば、分級残のような有機化合物を含む金属を利用したアトマイズ法による金属粉末の製造方法であって、湯ブレや出湯ノズルの詰まりが抑制され、長期の連続操業が可能な金属粉末の製造方法が提供される。
以下、本発明の金属粉末の製造方法の実施の形態の各構成について詳細に説明する。
[溶湯原料金属]
本発明では、溶湯の調製原料として、炭素量が0.01質量%以下の溶湯原料金属を使用する。このように炭素量が少ない、つまり有機化合物の含有量が少ない溶湯原料金属から溶湯を調製すると、アトマイズを実施した際に湯ブレやノズルの閉塞が生じにくい。湯ブレ等の防止の観点から、溶湯原料金属の炭素量は好ましくは0.008質量%以下(80ppm以下)である。現在の炭素量の測定装置の検出限界は10ppm程度であるが、炭素量が検出限界以下(つまり10ppm以下)の金属も存在する。溶湯原料金属における、後述する炭素低減原料金属の割合が少ない場合などは、溶湯原料金属全体として炭素量が検出限界以下の場合もある。
溶湯原料金属の金属種に特に限定はないが、具体例としては、元素周期表第2族から第15族の元素のうちの1種以上が挙げられる。電子材料等の幅広い分野での需要があることから、好ましくはAu(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)、Si(ケイ素)、P(リン)、B(ホウ素)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Fe(鉄)、Zn(亜鉛)、In(インジウム)、Sn(スズ)、Te(テルル)、Bi(ビスマス)、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン)のうちの1種以上である。これらの金属を単独で使用して単独の金属粉末としてもよいし、複数の金属を使用して合金粉末としてもよい。更に、1種又は複数の金属をメインとしてこれに他の金属を微量添加して、得られる金属(合金)粉末に所望の特性を付与してもよい。
<炭素低減原料金属>
以上説明した溶湯原料金属は、以下に説明する炭素低減原料金属を含む。溶湯原料金属の全てが炭素低減原料金属でもよいし、その一部が炭素低減原料金属でもよい。この炭素低減原料金属とは、炭素量が0.01質量%より高い原料金属を、酸化性雰囲気下で加熱することでその炭素量を低減させたものである。この炭素低減原料金属の炭素量に応じて、溶湯原料金属中の炭素低減原料金属の量(使用割合)を決定し、溶湯原料金属全体としての炭素量が0.01質量%以下(好ましくは上記で説明した好ましい範囲)となるようにする。
なお、炭素低減原料金属の基となる原料金属は、以下に説明する通り、典型的には分級残などの従来廃棄物とされるものやリサイクル原料であり、コスト的に有利である。このコスト面から、溶湯原料金属のうち好ましくは5~100質量%が炭素低減原料金属であり、より好ましくは15~100質量%が炭素低減原料金属であり、更に好ましくは30~100質量%が炭素低減原料金属であり、特に好ましくは40~100質量%が炭素低減原料金属である。炭素低減原料金属の割合が100質量%未満である場合、溶湯原料金属を構成する残りの金属としては、ショット銀及び銅リンショットなどの金属ショットや、電解金属が挙げられる。
前記のような割合で炭素低減原料金属を使用できるようにするため、特に溶湯原料金属を炭素低減原料金属だけで構成しても、湯ブレや出湯ノズルの詰まりを確実に抑制してアトマイズ連続操業を可能とする観点から、前記原料金属の炭素量を0.01質量%以下に低減することが好ましい。更に、アトマイズ連続操業の観点から、原料金属を加熱して得られた炭素低減原料金属における炭素量は、0.009質量%以下(90ppm以下)であることがより好ましい。なお、炭素量を検出限界以下にまで低減することはコスト等の点で現実的でないので、炭素低減原料金属の炭素量は好ましくは0.002質量%以上(20ppm以上)である。
(原料金属)
原料金属は前記の通り炭素量が0.01質量%より高い金属である。炭素量の上限値は特にないが、通常1質量%以下である。
原料金属の構成金属種は、基本的には上記した溶湯原料金属の金属種と同様である。なお炭素量を加熱により低減する際に金属の酸化が生じたとしても、得られた炭素低減原料金属を還元したり、当該炭素低減原料金属を含む溶湯原料金属から調製した溶湯を還元することができるが、溶湯の調製コストが増加することになる。このような金属の酸化が生じにくいことから、炭素量が0.01質量%より高い原料金属の構成金属種は、以下の条件(1)を満たす金属Mであることが好ましい。
条件(1):前記加熱の温度における原料金属の構成金属の酸化物の生成自由エネルギーΔGと、当該温度における炭素の酸化物の生成自由エネルギーΔGとの差(ΔG-ΔG)が0kJ/molOより大きい。
酸化物の生成自由エネルギーΔGは、その数値が小さいほど酸化物が安定であることを示し、酸化反応の起こりやすさの指標とすることができる。前記の金属Mは、前記加熱の温度において炭素よりも酸化しにくい。なお、前記差(ΔG-ΔG)の上限値は特にないが、上限値は例えば、700kJ/molO程度である。
上記条件(1)における炭素の酸化物の生成自由エネルギーΔGについて、炭素と酸素が反応して二酸化炭素が生成する反応の、二酸化炭素の生成自由エネルギーは、いずれの温度においてもおよそ-390kJ/molOで一定である。一方炭素と酸素が反応して一酸化炭素が生成する反応の、一酸化炭素の生成自由エネルギーは、温度の上昇とともに小さくなり、700℃程度で二酸化炭素の生成自由エネルギー(およそ-390kJ/molO)と同じになり、更に温度が上昇すると二酸化炭素の生成自由エネルギーより小さくなる。本発明において、炭素の酸化物の生成自由エネルギーΔGは、700℃以下の温度では-390kJ/molO、700℃より高い温度では一酸化炭素が生成する反応の、一酸化炭素の生成自由エネルギーであるものとする。
後述する比較的低温での加熱においても、酸化を抑制しつつ炭素量を低減できることから、原料金属の好ましい金属種は、Au,Ag,Cu,Pd及びPtである。
後述する比較的低温での加熱により原料金属の炭素量を低減できることから、原料金属としては、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1~50μmであり、かつ有機化合物を含む金属粉末、及び、表面に有機化合物が付着した金属片が好ましい。前記金属粉末について、低温での加熱により炭素量を十分に低減できることから、前記D50はより好ましくは0.3~40μmであり、更に好ましくは0.5~30μmであり、特に好ましくは0.5~20μmであり、最も好ましくは0.5~15μmである。また前記金属片について、そのサイズ等は特に限定されるものではないが、例えば寸法(金属片を写真にとったときの、各金属片の平面形状の長径の平均値)が5mm以下である(通常0.1mm以上である)。
以上説明した原料金属の例としては、湿式還元反応で製造された金属粉末や、粉末の流動性向上などのために有機化合物で表面処理された金属粉末や、樹脂で表面の少なくとも一部を被覆された金属片が挙げられる。
前記湿式還元反応で製造された金属粉末について、湿式還元では所望の効果を狙って有機化合物を反応系に添加する場合があるので、この場合には有機化合物が粉末粒子表面に付着していたり、粒子内部に巻き込まれたりしている場合がある。
前記有機化合物で表面処理された金属粉末は、代表的には[発明が解決しようとする課題]の項で説明した、ガスアトマイズ法や水アトマイズ法などのアトマイズ法で製造され、有機化合物で表面処理がされた金属粉末のうち分級で排除された分級残である。これにおける有機化合物は、例えば、炭素数が2~36のアルコール、アミン、脂肪酸又はチオールである。
上記樹脂で表面の少なくとも一部を被覆された金属片の例としては、廃棄された電気製品や電子部品をリサイクルして製造した金属片が挙げられる。これらは「ナゲット」などと呼称されているが、安価であることから溶湯の調製原料として好適である。樹脂は有機化合物であり、この金属片を溶湯の調製原料として使用した場合にも湯ブレや出湯ノズルの詰まりが発生し得るが、本発明の適用により、これらの発生を抑制して、アトマイズ法による金属粉末製造の長期の連続操業が可能である。
(原料金属の加熱)
以上説明した原料金属を酸化性雰囲気下で加熱することで、その炭素量を(好ましくは上記した範囲まで)低減させる。炭素は有機化合物の形態で前記原料金属中に存在すると考えられるが、酸化性雰囲気下で加熱することで、有機化合物の熱分解や酸化反応がおこって二酸化炭素などの低分子化合物となって、原料金属から離脱していくものと考えられる。
前記酸化性雰囲気は酸素を含む。酸化性雰囲気は酸素100体積%の雰囲気でもよいし、酸素と他の気体元素の混合雰囲気でもよい。他の気体元素は酸素の酸化作用を阻害せず、原料金属に対して不活性であれば特に制限されない。酸化性雰囲気は、原料金属の炭素量を効果的に低減する観点から、酸素を5~50体積%含むことが好ましく、8~40体積%含むことがより好ましい。大気はこの条件を満たし、また安価であることから非常に好ましい。
原料金属を加熱する際の加熱温度は、炭素量を低減することができれば特に限定されないが、原料金属が上記で説明した、D50が0.1~50μmで有機化合物を含む金属粉末又は表面に有機化合物が付着した金属片である場合には、100~400℃といった比較的低温での加熱で炭素量を低減することができ、熱コストの点で非常に好ましい。また加熱に特許文献1のような高熱処理に耐える転炉などのような装置も必要なく設備コストの点で非常に好ましい。
熱コストと前記金属粉末又は金属片の炭素量を十分に低減する観点から、加熱温度は好ましくは120~330℃であり、より好ましくは140~280℃である。
原料金属を加熱する際の圧力に特に限定はなく、大気圧下で実施してもよいし、炭素分を除去しやすくするため、減圧下で実施してもよい。
加熱を実施する時間は、原料金属の炭素量を十分に低減できる時間に適宜設定される。なお、加熱時間が過度に長いと炭素低減原料金属の製造効率の点から望ましくはないことから、加熱時間は好ましくは1~25時間、より好ましくは1~18時間である。
<溶湯の供給(溶湯調製工程)>
本発明においては、以上説明した、炭素低減原料金属を含む溶湯原料金属を加熱溶融して溶湯を調製する。溶湯原料金属が実質的に単一の金属で構成される場合は、前記加熱溶融はその金属の融点以上の温度で行う。溶湯原料金属が複数の異なる構成金属からなる場合は、その構成金属のうち融点が最大のものの融点以上の温度で加熱溶融を行う。構成金属が合金の場合は、構成金属の融点とは合金の融点である。
溶湯調製の際、溶湯への酸素の混入を抑制する観点から、非酸化性ガス(He、ArやNなどの不活性ガス、HやCOなどの還元性ガス)雰囲気下で溶湯を調製することが好ましい。溶湯原料金属が、炭素が溶け込まない金属又は合金であれば、酸化抑制や、炭素低減原料金属の製造において金属の酸化が生じていた場合に酸化した金属を還元するために、カーボンブラックや木炭を溶湯に添加してもよい。
<流体の吹き付け(アトマイズ工程)>
調製した溶湯を、例えば炉の出湯ノズルから落下させ、落下する溶湯の流れに流体を吹き付けることで、溶湯を粉砕及び凝固して金属粉末を得る。
落下する溶湯の流れに吹き付ける流体としては、水や、溶湯の融点未満の温度のガスが挙げられる。ガスは溶湯に対して不活性である必要がある。
流体を吹き付ける際の溶湯の温度は、粘度を低くして流体による粉砕力を高めて微細な金属粉末を得る観点と、炉にかかる負担や熱コストの観点から、溶湯の融点より50~800℃高いことが好ましく、100~700℃高いことがより好ましい。なお溶湯の融点について、溶湯が合金溶湯である場合は、溶湯の融点はその合金の融点であるものとする。
流体の吹き付けは、大気雰囲気で行ってもよいが、溶湯及び形成される金属粉末の酸化を抑制するために、非酸化性ガス雰囲気下で行ってもよい。非酸化性ガス雰囲気としては、例えば、He、ArやNなどの不活性ガス、HやCOなどの還元性ガスが挙げられる。
<その他の工程>
本発明の金属粉末の製造方法においては、以上説明した流体の吹き付けにより得られた金属粉末に対して、以下の任意工程を実施してもよい。
(固液分離工程)
流体が水などの液体である場合には、金属粉末が液体中に分散したスラリーが得られる。このスラリーを固液分離することにより、金属粉末を回収する。固液分離の手法としては従来公知のものを特に制限なく採用することができ、例えばフィルタープレスなどを用いて前記スラリーを加圧ろ過すればよい。なお回収した金属粉末は水洗などで洗浄してもよい。
(乾燥工程)
固液分離工程で得られた金属粉末を乾燥させてもよい。乾燥は室温(25℃)で実施してもよく、乾燥速度向上の観点から高温(40~120℃)で実施してもよい。また乾燥は大気圧下で実施してもよいが、乾燥速度向上の観点から、大気圧に対して-0.05MPa以下の減圧環境で乾燥を実施してもよい。真空環境(-0.095MPa以下)で乾燥を実施してもよい。
(解砕工程、表面処理工程、分級工程)
金属粉末を解砕したり分級したりして、その粒度分布を調整してもよい。解砕と同時に、又は解砕の前後に、金属粉末を有機化合物で表面処理してもよい。有機化合物の例としては、炭素数2~36のアルコール、アミン、脂肪酸及びチオールが挙げられる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
<分級残(有機化合物が付着した銀粗粉)の発生>
ショット銀を大気雰囲気中において1600℃に加熱して溶融した溶湯をカーボンるつぼ底部の出湯ノズルから落下させながら、水アトマイズ装置により大気雰囲気中において水圧103MPa、水量160L/分でアトマイズ水を吹き付けて溶湯を粉砕しつつ急冷凝固させた。得られたスラリーを固液分離し、固形物を水洗し、乾燥した。なお、溶湯の温度は、光ファイバー式温度計で実測した。以降も同様である。
乾燥した固形物に、表面処理剤としてオレイン酸(固形物100質量部に対して0.06質量部)を加えて、固形物を解砕しながら、固形物に表面処理剤を混合して、オレイン酸で表面処理された銀粉を得た。
そして表面処理された銀粉を分級して、微粉側の粉として平均粒子径が3μmの銀粉を得た。なお前記平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の分散モジュール)))を使用して、窒素ガスを用いて分散圧5bar(0.5MPa)で銀粉を分散させて測定した、体積基準の累積50%粒子径である。
一方分級の副産物として、粗粉側の粒径の大きな銀粗粉(分級残)も発生した。この分級残の炭素量は、0.086質量%だった。炭素量は、炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所製のEMIA-22V)により測定した。またこの分級残の平均粒子径は5.8μmだった。
[実施例1]
<分級残の加熱処理>
上記の分級残7kgをSUSトレーに分取した。このSUSトレーを棚式乾燥機(DN610I型 ヤマト科学株式会社)に入れ、乾燥機内温度を常温から150℃に5℃/minのペースで昇温し、150℃で10時間保持した。このとき、30L/minの流量で乾燥機内(乾燥機内容積:150L)にエア(大気)を流した(乾燥機内の圧力は大気圧と同じである)。その後、乾燥機内の温度を常温まで自然降温させ、乾燥機から上記分級残(「加熱後分級残」と呼ぶ。これが本発明における炭素低減原料金属である。)を取り出した。下記の通りこの乾燥を複数回行ったが、乾燥機には一度に最大で12個のSUSトレーを入れた。なお、150℃での銀の酸化物の生成自由エネルギーΔGは約0kJ/molOであり、当該温度での炭素の酸化物の生成自由エネルギーΔGは約-390kJ/molOであるから、これらの差(ΔG-ΔG)は約390kJ/molOである。
以上の分級残の乾燥機内での加熱を複数回行って、下記水アトマイズの繰り返し操業に必要な量の加熱後分級残を得た。得られた加熱後分級残の炭素量を上記と同様の方法で測定したところ、0.009質量%だった。
<加熱後分級残を利用したアトマイズ>
ショット銀(炭素量:検出限界以下(0.001質量%以下))19.02kgと、上記で得られた加熱後分級残21.00kgとをカーボンるつぼに仕込み(溶湯原料金属全体に占める加熱後分級残(炭素低減原料金属)の割合は52.4質量%、溶湯原料金属の炭素量は約0.005質量%)、窒素雰囲気中において1600℃に加熱して溶融した。なおここで使用したカーボンるつぼは、上記<分級残の発生>で使用したカーボンるつぼから取り換えた新品である。
溶湯(温度:1605℃)をカーボンるつぼ底部の出湯ノズルから落下させながら、水アトマイズ装置により大気雰囲気中において水圧92MPa、水量166L/分でアトマイズ水を吹き付けて溶湯を粉砕しつつ急冷凝固させた。得られたスラリーに対して、上記と同様に固液分離、水洗、乾燥、解砕しながらの表面処理、そして分級を実施した。
以上の一連の操業を、カーボンるつぼを取り換えずに同じもので繰り返し実施したところ、16回(16バッチ)実質的な問題なく実施することができた(わずかな湯ブレはあったものの、すべての溶湯をタンディッシュ底部の出湯ノズルから出し切ることができた)。
[比較例]
加熱後分級残のかわりに上記の加熱処理をしていない分級残(銀粗粉)を使用した(この銀粗粉の炭素量は0.086質量%である)以外は、実施例1と同様にカーボンるつぼを取り換えることなく水アトマイズ繰り返し操業を実施した。その結果2回目にして、溶湯を出湯ノズルから出し切る前に湯ブレ及び出湯ノズルの詰まりが発生した。これはノズルの掃除等により何とか対処できたが(ノズルの閉塞物を除去し、また湯ブレが起こらないようにできた)、4回目には湯ブレ及び出湯ノズルの詰まりが頻発し、操業不可となった。
[参考例]
湿式還元反応により製造された銀粉であるAG-4-8F(DOWAハイテック株式会社製造、DOWAエレクトロニクス株式会社販売、D50は1.9μm、炭素量は0.196質量%)について、実施例1と同様に、棚式乾燥機(DN610I型 ヤマト科学株式会社)を使用して200℃で10時間加熱した。加熱後の銀粉について炭素量を測定したところ、0.005質量%だった。

Claims (8)

  1. 溶湯原料金属を加熱溶融して溶湯とし、この溶湯を落下させ、落下する溶湯の流れに流体を吹き付けて溶湯を粉砕及び凝固して金属粉末を得る金属粉末の製造方法であって、
    前記溶湯原料金属の炭素量が0.01質量%以下であり、前記溶湯原料金属は炭素低減原料金属を含み、
    前記炭素低減原料金属は、炭素量が0.01質量%より高い原料金属を、酸化性雰囲気下で加熱することでその炭素量を低減させたものである、金属粉末の製造方法。
  2. 前記炭素量が0.01質量%より高い原料金属が、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.1~50μmであり、有機化合物を含む金属粉末、又は、表面に有機化合物が付着した金属片である、請求項1に記載の金属粉末の製造方法。
  3. 前記炭素量が0.01質量%より高い原料金属を100~400℃で加熱する、請求項2に記載の金属粉末の製造方法。
  4. 前記炭素低減原料金属が、前記炭素量が0.01質量%より高い原料金属を酸化性雰囲気下で加熱することにより、その炭素量を0.01質量%以下に低減させたものである、請求項1~3のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。
  5. 前記炭素量が0.01質量%より高い原料金属の炭素量が1質量%以下である、請求項1~4のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。
  6. 前記溶湯原料金属中の炭素低減原料金属の量が、5~100質量%である、請求項1~5のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。
  7. 前記炭素量が0.01質量%より高い原料金属が、アトマイズ法で製造された金属粉末を有機化合物で表面処理したものである、請求項1~6のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。
  8. 前記炭素量が0.01質量%より高い原料金属の構成金属が、前記加熱の際の温度における酸化物の生成自由エネルギーΔGと、当該温度における炭素の酸化物の生成自由エネルギーΔGとの差(ΔG-ΔG)が0kJ/molOより大きい金属Mである、請求項1~7のいずれかに記載の金属粉末の製造方法。
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