JP2022045530A - Pd-1標的化il-2変異体免疫サイトカインとヒトpd-l1に対する抗体との併用療法 - Google Patents

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Abstract

【課題】進行がん患者の生存率を高めるために既存の治療法に追加することができる新規治療法の提供。【解決手段】がんの治療の併用療法、転移の予防若しくは治療における併用療法、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激する併用療法、としての使用のための、特定の配列を有するヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせた、特定の配列を有するPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインの提供。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日:2020年3月11日(その後、2020年4月6日、4月30日、6月3日に投稿後更新) ウェブサイトのアドレス(URL):https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04303858 公開者:エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト 公開された発明の内容:エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフトが上記ウェブサイトにおいて、進行性および/または転移性固形腫瘍の参加者におけるRO7284755単独またはアテゾリズマブとの併用での安全性および抗腫瘍活性を評価する研究について公開した。
本発明は、特異的PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと、ヒトPD-L1に結合する特異的抗体との併用療法に関する。
発明の背景
がんは経済先進国における死因の第1位であり、発展途上国における死因の第2位である。化学療法の最近の進歩と、がん細胞の増殖シグナルの伝達及び制御を妨げる分子レベルを標的とした薬剤の開発にもかかわらず、進行がん患者の予後は一般的に不良なままである。その結果、許容できない毒性を引き起こすことなく生存率を高めるために既存の治療法に追加することができる新規治療法を開発するための持続的かつ緊急の医学的必要性がある。
IL-2及びPD-1を標的としたIL-2ベースの免疫サイトカイン
インターロイキン2(IL-2)は、リンパ球及びナチュラルキラー(NK)細胞を活性化するサイトカインである。IL-2は抗腫瘍活性を有することが示されている;しかしながら、高レベルのIL-2は肺毒性を導き、IL-2の抗腫瘍活性は、多くの抑制性フィードバックループにより制限される。
その抗腫瘍効果に基づき、高用量IL‐2(アルデスロイキン、プロロイキン(登録商標)として市販)治療は、米国で転移性腎細胞癌(RCC)及び悪性黒色腫の患者、欧州連合で転移性RCC患者での使用が承認されている。しかしながら、IL-2の作用機序の結果として、IL-2の全身的かつ非標的化された適用は、Treg細胞及びAICDの誘導を介して抗腫瘍免疫をかなり損なう可能性がある。全身性IL-2治療のさらなる懸念は、重度の心血管系、肺水腫、肝臓、消化管(GI)、神経系及び血液学的事象を含む、静脈内投与時の重度の副作用に関連している(プロロイキン(アルデスロイキン)製品概要[SmPC]:http://www.medicines.org.uk/emc/medicine/19322/SPC/(2013年5月27日にアクセス))。低用量IL-2レジメンは、最適以下の治療結果を犠牲にしながらも、患者において試験されている。まとめると、IL‐2を利用した治療アプローチは、その適用に伴う責任を克服できれば、がん治療に有用である可能性がある。PD-1標的化抗原結合部分及びIL-2ベースのエフェクター部分を含むイムノコンジュゲートは、例えば、国際公開第2018/184964号(A1)に記載されている。
PD-1及びPD-1抗体
プログラム細胞死タンパク質1(PD-1又はCD279)は、CD28、CTLA-4、ICOS及びBTLAをも含む、受容体のCD28ファミリーの阻害性メンバーである。PD-1は細胞表面受容体であり、活性化B細胞、T細胞、骨髄細胞に発現している(Okazaki et al (2002) Curr. Opin. Immunol. 14: 391779-82; Bennett et al. (2003) J Immunol 170:711-8)。PD‐1の構造は単量体1型膜貫通蛋白質であり、1つの免疫グロブリン可変様細胞外ドメインと、免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)及び免疫受容体チロシンベーススイッチモチーフ(ITSM)を含む細胞質ドメインとからなる。PD-1に対する2つのリガンド、PD-Ll及びPD-L2が同定されており、これらは、PD-1に結合するとT細胞活性化を下方制御することが示されている(Freeman et al (2000) J Exp Med 192: 1027-34; Latchman et al (2001) Nat Immunol 2:261-8; Carter et al (2002) Eur J Immunol 32:634-43))。PD-LlとPD-L2は両方ともPD-1に結合するB7ホモログであるが、他のCD28ファミリーメンバーには結合しない。PD-1の1つのリガンドであるPD-Llは、様々なヒトがんに豊富に存在する(Dong et al (2002) Nat. Med 8:787-9)。PD-1とPD-L1の間の相互作用は、腫瘍浸潤リンパ球の減少、T細胞受容体を介した増殖の減少、及びがん性細胞による免疫回避をもたらす(Dong et al. (2003) J. MoI. Med. 81:281-7; Blank et al. (2005) Cancer Immunol. Immunother. 54:307-314; Konishi et al. (2004) Clin. Cancer Res. 10:5094-100)。免疫抑制は、PD-1とPD-L1の局所的な相互作用を阻害することで逆転させることができ、PD-1とPD-L2の相互作用も同様に遮断されると、その効果は相加的である(Iwai et al. (2002) Proc. Nat 7. Acad. ScL USA 99: 12293-7; Brown et al. (2003) J. Immunol. 170:1257-66)。PD-1に結合する抗体は、例えば、国際公開第2017/055443号(A1)に記載されている。
PD-L1及びPD-L1抗体
T細胞に対する2つの異なるシグナルの共刺激又は提供は、抗原提示細胞(APC)による静止Tリンパ球のリンパ球活性化の広く受け入れられたモデルである。Lafferty et al., Aust. J. Exp. Biol. Med. Sci. 53: 27-42 (1975)。
このモデルはさらに、非自己からの自己の区別と免疫寛容とを提供する。Bretscher et al., Science 169: 1042-1049 (1970); Bretscher, P.A., P.N.A.S. USA 96: 185-190 (1999); Jenkins et al., J. Exp. Med. 165: 302-319 (1987)。一次シグナル、又は抗原特異的シグナルは、主要組織適合性複合体(MHC)との関連で提示される外来抗原ペプチドの認識に続いて、T細胞受容体(TCR)を介して伝達される。二次シグナル、又は共刺激シグナルは、抗原提示細胞(APC)上に発現される共刺激分子によりT細胞に送達され、T細胞を誘導してクローン増殖、サイトカイン分泌、及びエフェクター機能を促進する。Lenschow et al., Ann. Rev. Immunol. 14:233 (1996)。共刺激がない場合、T細胞は抗原刺激に対して不応性となり、効果的な免疫応答を開始せず、さらに外来抗原に対する枯渇又は寛容をもたらす可能性がある。
TCRシグナルの強度は実際にT細胞の活性化及び分化に対して定量的な影響を有するため、単純な2シグナルモデルは過度の単純化となり得る。Viola et al., Science 273: 104-106 (1996); Sloan-Lancaster, Nature363: 156-159 (1993)。さらに、T細胞の活性化は、TCRシグナル強度が高い場合、共刺激シグナルがない場合においても起こり得る。さらに重要なことに、T細胞は正及び負の両方の二次共刺激シグナルを受け取る。このような正及び負のシグナルの調節は、宿主の防御免疫応答を最大化し、一方で免疫寛容を維持し、自己免疫を防ぐために重要である。
負の二次シグナルはT細胞寛容の誘導に必要であると思われ、一方正のシグナルはT細胞の活性化を促進する。単純な2シグナルモデルは依然としてナイーブリンパ球の有効な説明を提供するが、宿主の免疫応答は動的な過程であり、共刺激シグナルが抗原曝露T細胞にも提供され得る。
共刺激の機構は、共刺激シグナルの操作が、細胞に基づく免疫応答を増強するか又は終了させる手段を提供することを示しているため、治療上興味深いものである。最近、T細胞の機能障害又はアネルギーが、抑制受容体、すなわちプログラム死1ポリペプチド(PD-1)発現の誘導及び維持と同時に起こることが発見された。結果として、治療標的のPD-1と、PD-1との相互作用を介してシグナル伝達する他の分子、例えばプログラム死リガンド1(PD-L1)及びプログラム死リガンド2(PD-L2)は、非常に興味深い分野である。PD-L1シグナル伝達の阻害は、がん並びに急性及び慢性(例えば持続性)感染を含む感染の治療のためのT細胞免疫(例えば,腫瘍免疫)を増強する手段として提案されてきた。しかしながら、この経路において標的に向けられた最適な治療は未だ商品化されておらず、重要な満たされていない医学的必要性が存在している。PD-L1に対する抗体は、例えば国際公開第2010/077634号に記載されている。
発明の概要
本発明は、がん若しくは腫瘍の治療における使用のため、転移の予防若しくは治療における使用のため、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することにおける使用のための、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと、ヒトPD-L1に結合する抗体との併用療法を含む。
本発明は、がん若しくは腫瘍の治療における使用のため、転移の予防若しくは治療における使用のため、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することにおける使用のための医薬の製造のための、PD-1又はT細胞標的化IL-2変異体免疫サイトカインの使用を含み、ここで、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせて投与される。
本発明は、がん若しくは腫瘍の治療における使用のため、転移の予防若しくは治療における使用のため、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することにおける使用のための、ヒトPD-L1に結合する抗体の使用を含み、ここで、ヒトPD-L1に結合する抗体は、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと組み合わせて投与される。
本発明は、がん若しくは腫瘍の治療方法、転移の予防若しくは治療方法、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激する方法を含み、この方法は、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと、ヒトPD-L1に結合する抗体との併用療法を投与することを含む。
併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、並びに配列番号2のポリペプチド配列、又はb)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又はc)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又はd)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列を含むことを特徴とし;併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体は、a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又はb)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする。
本発明の実施態様では、本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインとの併用療法は、がんの治療における使用のためのものである。PD-1は、腫瘍細胞環境において提示され得る。がんは、乳がん、肺がん、結腸がん、卵巣がん、メラノーマがん、膀胱がん、腎がん、腎臓がん、肝臓がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、黒色腫、膵臓がん、胃がん、食道がん、中皮腫、前立腺がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫からなる群から選択され得る。
本発明の実施態様では、本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインとの併用療法は、転移の予防又は治療における使用のためのものである。
本発明の実施態様では、本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインとの併用療法は、腫瘍免疫など、免疫関連疾患を治療すること又はその進行を遅延させることにおける使用のためのものである。
本発明の実施態様では、本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインとの併用療法は、T細胞活性などの免疫応答又は機能を刺激することにおける使用のためのものである。
本発明は、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインを含み、ここで、免疫サイトカインは、
i)腫瘍における腫瘍増殖の阻害;及び/又は
ii)腫瘍を有する対象の生存期間中央値及び/又は全生存期間を向上させること
における使用のために、本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせて投与され;
ここで、PD-1は、腫瘍細胞環境において、免疫細胞、特にT細胞上に提示され、ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、並びに配列番号2のポリペプチド配列、又はb)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又はc)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又はd)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列を含むことを特徴とし;
かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体は、a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又はb)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする。
本発明は、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインを含むことができ、ここで、免疫サイトカインは、本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせて投与され、ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体は、配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする。
本発明は、好ましくは、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインを含み、ここで、免疫サイトカインは、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせて投与され、ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし;かつ併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体はアテゾリズマブである。
免疫サイトカインの抗体成分及び抗体は、ヒトIgG1サブクラス又はヒトIgG4サブクラスのものであり得る。抗体は、低減した又は最小のエフェクター機能を有し得る。最小のエフェクター機能は、エフェクターのない(effectorless)Fc変異に起因する可能性がある。エフェクターのないFc変異は、L234A/L235A又はL234A/L235A/L235A/P329G又はN297A又はD265A/N297Aであり得る。
本発明のさらなる態様では、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせて患者に投与され、ここで、患者は免疫療法で治療されているか、又は前治療されていた。前記免疫療法は、養子細胞移入、モノクローナル抗体の投与、サイトカインの投与、がんワクチンの投与、T細胞関与療法、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。養子細胞移入は、キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR T細胞)、T細胞受容体(TCR)修飾T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、キメラ抗原受容体(CAR)修飾ナチュラルキラー細胞、T細胞受容体(TCR)形質導入細胞、若しくは樹状細胞、又はそれらの任意の組み合わせの投与を含み得る。
本発明はさらに
A)
i)腫瘍増殖の阻害;
ii)腫瘍を有する対象の生存期間中央値及び/又は全生存期間を向上させること
のための方法であって;
ここで、PD-1が免疫細胞、特にT細胞上に提示され、ここで、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせて投与される方法、
又は
B)腫瘍を有する患者の治療方法であって、ここで、PD-1が腫瘍細胞環境において発現され、ここで、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせて投与される方法
を含み、
ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、並びに配列番号2のポリペプチド配列、又はb)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又はc)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又はd)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、
かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体は、a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又はb)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする。
本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと抗体の併用療法は、腫瘍細胞上に、又は腫瘍細胞環境において提示された抗原を標的とする治療を必要とする患者に利益を示す。本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと抗体の併用療法は、PD-1標的化療法を必要とする患者に利益を示す。本発明によるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、標的発現腫瘍を有する対象の生存期間中央値及び/又は全生存期間を向上させることにおいて有効性を示し、とりわけ、本明細書に記載の抗PD-L1抗体と組み合わせた、がん及び転移の治療において特に有用である。本発明による特異的PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、腫瘍に対する腫瘍増殖阻害活性において有効性を示し、ここで、PD-1は、腫瘍細胞環境において発現され、とりわけ、本明細書に記載の特異的抗PD-L1抗体と組み合わせた、がん及び転移の治療において特に有用である。本発明による、ヒトPD-L1に結合する特異的抗体、特にアテゾリズマブは、腫瘍を有する対象の生存期間中央値及び/又は全生存期間を向上させることにおいて有効性を示し、ここで、PD-1は腫瘍細胞環境において発現され、とりわけ、本明細書に記載の特異的PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと組み合わせた、がん及び転移の治療において特に有用である。
本発明の実施態様では、転移の予防若しくは治療における併用療法としての使用のため、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することにおける併用療法としての使用のための、本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが提供され、ここで、患者は免疫療法で治療されているか、又は免疫療法で前治療されていた。前記免疫療法は、養子細胞移入、モノクローナル抗体の投与、サイトカインの投与、がんワクチンの投与、T細胞関与療法、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。養子細胞移入は、キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR T細胞)、T細胞受容体(TCR)修飾T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、キメラ抗原受容体(CAR)修飾ナチュラルキラー細胞、T細胞受容体(TCR)形質導入細胞、若しくは樹状細胞、又はそれらの任意の組み合わせの投与を含み得る。
muPD1-IL2v及びmuPD-L1 Mabを単剤として、並びに併用設定において用いた有効性実験の結果を示す。MC38結腸直腸癌細胞株をBlack 6マウスの皮下に注射し、皮下モデルにおける腫瘍増殖抑制を検討した。腫瘍サイズはキャリパーを使用して測定した。腫瘍が150mmに達した時点で治療を開始した。マウス1匹あたりに注射した抗体の量は、muPD1-IL2vについては0.5mg/kgを週1回(qw)、muPD-L1については初回投与で10mg/kg、その後5mg/kgを週1回(2qw)であった。治療は2週間続いた。併用群では、抗体が同時に投与された。muPD-IL2v+muPD-L1 Mabの組み合わせは、ビヒクル、muPD1-IL2v、及びmuPD-L1 Mab単剤群と比較して、腫瘍増殖阻害に関して優れた有効性を媒介した。 PD1-IL2v治療は、脾臓におけるTAG抗原特異的CD8+ T細胞の増殖をもたらし、RipTag5マウスの腫瘍におけるCD8+ T細胞の浸潤を増加させることを示している。腫瘍を有するRipTag5マウスを、示された薬物で14日間治療した。図2Aは、フローサイトメトリーによって測定された脾臓におけるCD8+ T細胞の頻度を示している。図2Bは、脾臓におけるTAG抗原特異的CD8+ T細胞の頻度を、総CD8+ T細胞のパーセンテージで示している。図2Cは、示された抗体で染色されたPanNET腫瘍のIHCを示している(n=3-5;スケールバー=200μm)。 PD1-IL2vと抗PD-L1の併用による治療効果の増加を示している。腫瘍を有するRipTag5マウスを薬物治療に供し、腫瘍の進行を超音波画像検査によってモニターした。図3Aは、未治療マウス(n=3)の腫瘍成長曲線を示す。図3Bは、PD1-IL2vで治療されたRipTag5マウスの腫瘍増殖曲線を示す。図3Cは、示された抗体で染色された未治療及びPD1-IL2v再発腫瘍のIHCを示す(n=3;スケールバー=50μm)。図3Dは、抗PDL1で治療されたマウスの腫瘍増殖曲線を示す(n=4)。図3Eは、PD1-IL2v及び抗PDL1で治療されたRipTag5マウスの腫瘍増殖曲線を示す(n=7)。 抗PD-L1との併用療法がPD1-IL2vの有効性を改善することを示す。図4Aは、生存率グラフとして表された奏効率を示す。PD-IL2vの2匹のマウスとPD1-IL2v+抗PD-L1治療群の1匹のマウスは、完全寛解のために重度の高血糖を発症し、安楽死させなければならなかった。これらのマウスは、グラフでは依然として完全なレスポンダーとみなされた。図4Bは、PD1-IL2v及びPD1-IL2v+抗PD-L1治療の0週間及び2週間後の腫瘍の超音波画像を示す。統計解析:ログランクMantel-Cox検定、p<0.02。マウスの数:抗PD-L1 n=4、PD1-IL2v n=10、PD1-IL2v+抗PD-L1 n=7。
発明の詳細な記載
IL-2経路
IL-2がin vitro及びin vivoの両方でリンパ球及びNK細胞集団を拡大及び活性化する能力は、IL-2の抗腫瘍効果を説明している。しかし、過剰な免疫応答や潜在的な自己免疫を防ぐための調節機構として、IL-2は活性化誘導細胞死(AICD)を引き起こし、活性化されたT細胞をFasを介したアポトーシスの影響を受けやすくする。
さらに、IL-2は末梢CD4 CD25reg細胞の維持と増殖に関与していいる(Fontenot JD, Rasmussen JP, Gavin MA, et al. A function for interleukin 2 in Foxp3 expressing regulatory T cells. Nat Immunol. 2005; 6:1142-1151; D’Cruz LM, Klein L. Development and function of agonist-induced CD25+Foxp3+ regulatory T cells in the absence of interleukin 2 signaling. Nat Immunol. 2005; 6:1152 1159; Maloy KJ, Powrie F. Fueling regulation: IL-2 keeps CD4+ Treg cells fit. Nat Immunol. 2005; 6:1071-1072)。これらの細胞は、細胞間接触、又はIL-10やトランスフォーミング増殖因子(TGF)-βなどの免疫抑制性サイトカインの放出を介して、エフェクターT細胞が自己又は標的を破壊するのを抑制する。Treg細胞の枯渇は、IL-2誘導抗腫瘍免疫を増強することが示された(Imai H, Saio M, Nonaka K, et al. Depletion of CD4+CD25+ regulatory T cells enhances interleukin-2-induced antitumor immunity in a mouse model of colon adenocarcinoma. Cancer Sci. 2007; 98:416-423)。
IL-2は、CD8+ T細胞の一次及び二次増殖中のメモリーCD8+ T細胞分化においても重要な役割を果たす。IL-2は、一次抗原曝露後のエフェクター機能の最適な拡大及び生成に関与していると思われる。ほとんどの抗原特異的CD8+ T細胞がアポトーシスによって消失する免疫応答の収縮期に、IL-2シグナルがCD8+ T細胞を細胞死から救済し、記憶CD8+ T細胞の持続的な増加をもたらすことができる。記憶段階では、外因性IL-2の投与によってCD8+ T細胞の頻度を増強することができる。さらに、最初のプライミングの間にIL-2シグナルを受け取ったCD8+ T細胞のみが、新たな抗原曝露後の効率的な二次拡大を媒介することができる。このように、免疫応答の異なる段階におけるIL-2シグナルは、CD8+ T細胞機能を最適化する上で重要であり、それによってこれらのT細胞の一次応答及び二次応答の両方に影響を及ぼす(Adv Exp Med Biol. 2010;684:28-41. The role of interleukin-2 in memory CD8 cell differentiation. Boyman O1, Cho JH, Sprent J)。
その抗腫瘍効果に基づき、高用量IL‐2(アルデスロイキン、プロロイキン(登録商標)として市販)治療は、米国で転移性腎細胞癌(RCC)及び悪性黒色腫患者、欧州連合で転移性RCC患者への使用が承認されている。しかしながら、IL-2の作用機序の結果として、IL-2の全身的かつ非標的化された適用は、Treg細胞及びAICDの誘導を介して抗腫瘍免疫をかなり損なう可能性がある。全身性IL-2治療のさらなる懸念は、重度の心血管系、肺水腫、肝臓、消化管(GI)、神経系及び血液学的事象を含む、静脈内投与時の重度の副作用に関連している(プロロイキン(アルデスロイキン)製剤特性概要[SmPC]:http://www.medicines.org.uk/emc/medicine/19322/SPC/(2013年5月27日にアクセス))。低用量IL-2レジメンは、最適以下の治療結果を犠牲にしながらも、患者において試験されている。まとめると、IL‐2を利用した治療アプローチは、その適用に伴う責任を克服できれば、がん治療に有用である可能性がある。
PD-1標的化抗原結合部分と、例えば変異体IL-2を含むIL-2ベースのエフェクター部分とを含むイムノコンジュゲートは、例えば、国際公開第2018/184964号(A1)に記載されている。
特に、変異体IL-2(例えば、IL-2 qmとして知られる4重変異体)は、IL-2Rαサブユニット(CD25)への結合を排除することによって、野生型IL-2(例えば、アルデスロイキン)又は第1世代のIL-2ベースの免疫サイトカインの制限を克服するように設計されている。この変異体IL-2 qmは、国際公開第2012/146628号及び国際公開第2012/107417号に記載されているCEAに対するヒト化抗体及びFAPに対する抗体などの様々な腫瘍標的抗体に結合されている。さらに、抗体のFc領域は、Fcγ受容体及びC1q複合体への結合を妨げるように修飾されている。得られた腫瘍標的化IL-2変異体免疫サイトカイン(例えば、CEA標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及びFAP標的化IL-2変異体免疫サイトカイン)は、非臨床のin vitro及びin vivo実験において、腫瘍細胞を排除できることが示されている。
したがって、得られた免疫サイトカインは、IL-2-Rαサブユニット(CD25)への結合を排除することによって、IL-2の不利益に対処する、標的化IL-2変異体免疫サイトカインのクラスを代表する。
Figure 2022045530000001
用語「IL-2」又は「ヒトIL-2」は、野生型及び野生型IL-2のアミノ酸配列に1つ又は複数の変異を含む変異体(例えば、ジスルフィド架橋IL-2二量体の形成を回避するためのC125A置換を有する配列番号2に示される変異体)を含むヒトIL-2タンパク質を指す。IL-2はまた、N-及び/又はO-グリコシル化部位を除去するように変異させてもよい。
PD-1/PD-L1/PD-L2経路
T細胞活性化を調節する重要な負の共刺激シグナルは、プログラム死-1受容体(PD-1)(CD279)、そのリガンド結合パートナーPD-L1(B7-H1、CD274;配列番号88)及びPD-L2(B7-DC、CD273)によって提供される。PD-1の負の調節の役割は、自己免疫を起こしやすいPD-1のノックアウト(Pdcd1-/-)によって明らかになった。Nishimura et al., Immunity 11: 141-51 (1999); Nishimura et al., Science 291: 319-22 (2001)。PD-1は、CD28及びCTLA-4に関連しているが、ホモ二量体化を可能にする、膜に近いシステインを欠いている。PD-1の細胞質ドメインは、免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM、V/IxYxxL/V)を含む。PD-1はPD-L1とPD-L2にのみ結合する。Freeman et al., J. Exp. Med. 192: 1-9 (2000); Dong et al., Nature Med. 5: 1365-1369 (1999); Latchman et al., Nature Immunol. 2: 261-268 (2001); Tseng et al., J. Exp. Med. 193: 839-846 (2001)。
PD-1は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラーT細胞、活性化された単球及び樹状細胞(DC)上に発現し得る。PD-1は、活性化されたヒトCD4+及びCD8+T細胞、B細胞、及び骨髄によって発現されるが、刺激されていないヒトCD4+及びCD8+T細胞、B細胞、及び骨髄によっては発現されない。これは、CD28及びCTLA-4のより制限された発現とは対照的である。Nishimura et al., Int. Immunol. 8: 773-80 (1996); Boettler et al., J. Virol. 80: 3532-40 (2006)。活性化されたヒトT細胞からクローニングされたPD-1の少なくとも4つの変異体があり、それには(i)エクソン2、(ii)エクソン3、(iii)エクソン2及び3、又は(iv)エクソン2~4を欠く転写物が含まれる。Nielsen et al., Cell. Immunol. 235: 109-16 (2005)。PD-1Δex3を例外として、すべての変異体は、静止末梢血単核細胞(PBMC)中において完全長PD-1と同様のレベルで発現される。すべての変異体の発現は、抗CD3及び抗CD28によるヒトT細胞の活性化により有意に誘導された。PD-1Δex3変異体は、膜貫通ドメインを欠いており、自己免疫において重要な役割を果たす可溶性CTLA-4に類似している。Ueda et al., Nature 423: 506-11 (2003)。この変異体は、関節リウマチ患者の滑液及び血清中に濃縮される。Wan et al., J. Immunol. 177: 8844-50 (2006)。
2つのPD-1リガンドは、発現パターンが異なる。PD-L1は、マウスT及びB細胞、CD、マクロファージ、間葉系幹細胞及び骨髄由来のマスト細胞上に恒常的に発現する。Yamazaki et al., J. Immunol. 169: 5538-45 (2002)。PD-L1は、広範囲の非造血細胞(例えば角膜細胞、肺細胞、血管上皮細胞、肝臓非実質細胞、間葉系幹細胞、膵島、胎盤の合胞体栄養細胞、ケラチノサイト等)上に発現し[Keir et al., Annu. Rev. Immunol. 26: 677-704 (2008)]、活性化後多くの細胞型で上方制御される。I型及びII型両方のインターフェロンIFNが、PD-L1を上方制御する。Eppihimer et al., Microcirculation 9: 133-45 (2002); Schreiner et al., J. Neuroimmunol. 155: 172-82 (2004)。MyD88、TRAF6及びMEKが阻害されると、細胞株におけるPD-L1の発現が低下する。Liu et al., Blood 110: 296-304 (2007)。JAK2はPD-L1誘導にも関与している。Lee et al., FEBS Lett. 580: 755-62 (2006); Liu et al., Blood 110: 296-304 (2007)。ホスファチジルイノシトール 3-キナーゼ(PI3K)及びAktシグナル伝達を修飾する細胞ホスファターゼであるホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)の欠失又は抑制は、がんにおける転写後のPD-L1発現を増加させた。Parsa et al., Nat. Med. 13: 84-88 (2007)。
PD-L2の発現は、PD-L1よりも制限されている。PD-L2は、DC、マクロファージ、及び骨髄由来のマスト細胞上に誘導的に発現される。PD-L2は、静止腹膜B1細胞の約半分から3分の2にも発現するが、従来のB2 B細胞上には発現しない。Zhong et al., Eur. J. Immunol. 37: 2405-10 (2007)。PD-L2+B1細胞は、ホスファチジルコリンに結合し、細菌抗原に対する自然免疫応答にとって重要であり得る。IFN-ガンマによるPD-L2の誘発は、部分的にNF-κBに依存する。Liang et al., Eur. J. Immunol. 33: 2706-16 (2003)。PD-L2は、GM-CF、IL-4及びIFN-ガンマにより単球及びマクロファージにも誘発され得る。Yamazaki et al., J. Immunol. 169: 5538-45 (2002); Loke et al., PNAS 100:5336-41 (2003)。
PD-1シグナル伝達は典型的には、細胞増殖よりサイトカイン産生に大きな影響を有し、IFN-ガンマ、TNF-アルファ及びIL-2産生に大きな影響を及ぼす。PD-1を介した抑制性シグナル伝達は、TCRシグナル伝達の強度にも依存しており、低レベルのTCR刺激でより大きな抑制性がもたらされる。このような低減は、CD28を介した共刺激により[Freeman et al., J. Exp. Med. 192: 1027-34 (2000)]又はIL-2の存在により[Carter et al., Eur. J. Immunol. 32: 634-43 (2002)]克服することができる。
PD-L1及びPD-L2によるシグナル伝達が二方向性であるという証拠が増えている。すなわち、TCR又はBCRシグナル伝達を改変することに加えて、シグナル伝達はまた、PD-L1及びPD-L2を発現する細胞に戻るように伝達され得る。ワルデンストレームマクログロブリン血症の患者から単離された天然のヒト抗PD-L2抗体による樹状細胞の処理は、MHC II又はB7共刺激分子を上方制御することが見出されなかったが、このような細胞は、より多量の炎症性サイトカイン、特にTNF-αとIL-6を産生し、T細胞の増殖を刺激した。Nguyen et al., J. Exp. Med. 196: 1393-98 (2002)。この抗体を用いたマウスの治療はまた、(1)移植されたb16黒色腫に対する抵抗性を高め、腫瘍特異的CTLを急速に誘導した。Radhakrishnan et al., J. Immunol. 170: 1830-38 (2003); Radhakrishnan et al., Cancer Res. 64: 4965-72 (2004); Heckman et al., Eur. J. Immunol. 37: 1827-35 (2007);(2)アレルギー性喘息のマウスモデルにおける気道炎症性疾患の発症を遮断した。Radhakrishnan et al., J. Immunol. 173: 1360-65 (2004); Radhakrishnan et al., J. Allergy Clin. Immunol. 116: 668-74 (2005)。
樹状細胞(「DC」)への逆シグナル伝達のさらなる証拠は、可溶性PD-1(Ig定常領域に融合させたPD-1 ECドメイン-「s-PD-1」)と共に培養された骨髄由来DCの研究から得られたものである。Kuipers et al., Eur. J. Immunol. 36: 2472-82 (2006)。このsPD-1は、抗PD-1の投与により可逆的に、DC活性化を阻害し、IL-10産生を増加させた。
さらに、複数の研究は、PD-1とは無関係である、PD-L1又はPD-L2の受容体を示している。B7.1は、PD-L1の結合パートナーとして既に同定されている。Butte et al., Immunity 27: 111-22 (2007)。化学的架橋研究は、PD-L1及びB7.1がそれらのIgV様ドメインを介して相互作用できることを示唆している。B7.1:PD-L1相互作用は、T細胞への阻害シグナルを誘導することができる。B7.1によるCD4+ T細胞上でのPD-L1のライゲーション、又はPD-L1によるCD4+ T細胞上でのB7.1のライゲーションは、阻害シグナルを伝達する。CD28及びCTLA-4を欠くT細胞は、抗CD3プラスB7.1コーティングビーズで刺激されると、増殖及びサイトカイン産生の低減を示す。B7.1のすべての受容体(すなわち、CD28、CTLA-4、及びPD-L1)を欠くT細胞では、T細胞の増殖とサイトカイン産生は、もはや抗CD3プラスB7.1コーティングビーズによって阻害されない。これは、B7.1がCD28及びCTLA-4の非存在下で、T細胞上のPD-L1を介して特異的に作用することを示している。同様に、PD-1を欠くT細胞は、抗CD3プラスPD-L1コーティングビーズの存在下で刺激されたとき、増殖とサイトカイン産生の低減を示し、これは、T細胞上のB7.1に対するPD-L1ライゲーションの抑制効果を実証している。T細胞がPD-L1のすべての既知の受容体を欠いている場合(すなわち、PD-1及びB7.1がない場合)、T細胞の増殖は抗CD3+PD-L1コーティングビーズによってもはや損なわれなかった。したがって、PD-L1は、B7.1又はPD-1により、T細胞に対し抑制効果を発揮することができる。
B7.1とPD-L1の間の直接的な相互作用は、共刺激に対する現在の理解が不十分であることを示唆しており、T細胞上でのこれらの分子の発現に対する重要性を強調している。PD-L1-/- T細胞の研究は、T細胞上のPD-L1がT細胞サイトカイン産生を下方制御できることを示している。Latchman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101: 10691-96 (2004)。PD-L1とB7.1の双方がT細胞、B細胞、DC及びマクロファージ上に発現することから、これらの細胞型上でB7.1とPD-L1との間の指向性相互作用が存在する可能性がある。加えて、非造血細胞上のPD-L1は、T細胞上のB7.1及びPD-1と相互作用することができ、それらの調節にPD-L1が関与しているのかどうかという疑問を提起している。B7.1:PD-L1相互作用の阻害効果の1つの可能な説明は、T細胞PD-L1が、CD28との相互作用からAPC B7.1を捕捉又は分離させ得るということである。
結果として、PD-1、B7.1又はこれらの双方とPD-L1との相互作用をブロックすることにより、PD-L1が負の共刺激シグナルをT細胞及び他の抗原提示細胞に送ることを防ぐことを含む、PD-L1によるシグナル伝達の拮抗作用は、感染症(例えば急性及び慢性)に反応する免疫及び腫瘍免疫を増強させる可能性が高い。さらに、本発明の抗PD-L1抗体は、PD-1:PD-L1シグナル伝達の他の成分のアンタゴニスト、例えば、アンタゴニスト抗PD-1及び抗PD-L2抗体と組み合わせることができる。
用語「ヒトPD-L1」は、ヒトタンパク質PD-L1(配列番号4、典型的にはPD-1シグナル伝達)を指す。本明細書で使用する場合、「ヒトPD-L1に結合」又は「ヒトPD-L1に特異的に結合」又は「ヒトPD-L1に結合する」又は「抗PD-L1抗体」は、KD値1.0x10-8mol/l以下、一実施態様ではKD値1.0x10-9mol/l以下の結合親和性でヒトPD-L1抗原に特異的に結合する抗体を指す。結合親和性は、表面プラズモン共鳴法(BIAcore(登録商標)、GE-Healthcare Uppsala,Sweden)などの標準的な結合アッセイで決定される。したがって、本明細書で使用される「ヒトPD-L1に結合する抗体」は、KD値1.0x10-8モル/l以下(一実施態様では、1.0x10-8モル/l~1.0x10-13モル/l)、一実施態様ではKD値1.0x10-9モル/l以下(一実施態様では、1.0x10-9モル/l~1.0x10-13モル/l)の結合親和性でヒトPD-L1抗原に特異的に結合する抗体を指す。
特に、本発明者らは、PD-1を標的とする変異体IL-2が、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせて使用される場合、in vivoで優れた治療効果を提供することを発見した。
リンパ球及びナチュラルキラー(NK)細胞を増殖及び活性化するIL-2の能力は、IL-2の抗腫瘍活性の根底にある。IL-2のIL-2αサブユニット(CD25)への結合を排除するように設計されたIL-2変異体は、IL-2の制限を克服し、また、CEA標的化IL-2変異体免疫サイトカイン又はFAP標的化IL-2変異体免疫サイトカインなど、腫瘍を標的としたIL-2変異体免疫サイトカインの一部として、腫瘍細胞を排除できることが示されている。
免疫サイトカイン及び抗体
本明細書に記載の併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、
PD-1発現免疫細胞、特にT細胞上に、又は腫瘍細胞環境においてPD-1に結合する抗体、又はその抗原結合断片、及び
IL-2受容体のαサブユニットへの結合親和性が(野生型IL-2、例えば配列番号2として示されるヒトIL-2と比較して)低減したIL-2変異体、特にヒトIL-2の変異体であって、以下:
i)配列番号2として示されるヒトIL-2の残基42、45及び72に対応する位置から選択される1、2又は3つの位置での1、2又は3つのアミノ酸置換、例えば、3つの位置での3つの置換、例えば、特定のアミノ酸置換F42A、Y45A及びL72G;又は
ii)i)に記載の特徴に加えて、配列番号2として示されるヒトIL-2の残基3に対応する位置でのアミノ酸置換、例えば、特定のアミノ酸置換T3A;又は
iii)配列番号2として示されるヒトIL-2の残基3、42、45及び72に対応する位置での4つのアミノ酸置換、例えば、特定のアミノ酸置換T3A、F42A、Y45A及びL72G
を含むIL-2など
を含む。
本明細書に記載の併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、
免疫細胞、特にT細胞上に、又は腫瘍細胞環境において提示されるPD-1に結合する抗体の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメイン、及び2つのサブユニットからなり、2つの非同一のポリペプチド鎖のヘテロ二量体化を促進する修飾を含むFcドメイン、及び
IL-2受容体のαサブユニットへの結合親和性が(野生型IL-2、例えば配列番号2として示されるヒトIL-2と比較して)低減したIL-2変異体、特にヒトIL-2の変異体であって、以下:
i)配列番号2として示されるヒトIL-2の残基42、45及び72に対応する位置から選択される1、2又は3つの位置での1、2又は3つのアミノ酸置換、例えば、3つの位置での3つの置換、例えば、特定のアミノ酸置換F42A、Y45A及びL72G;又は
ii)i)に記載の特徴に加えて、配列番号2として示されるヒトIL-2の残基3に対応する位置でのアミノ酸置換、例えば、特定のアミノ酸置換T3A;又は
iii)配列番号2として示されるヒトIL-2の残基3、42、45及び72に対応する位置での4つのアミノ酸置換、例えば、特定のアミノ酸置換T3A、F42A、Y45A及びL72G
を含むIL-2など
を含み得る。
併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、並びに配列番号2のポリペプチド配列、又はb)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又はc)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又はd)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列を含み得る。
いくつかの実施態様では、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含む。
これらのPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、抗原結合部分の構成部分、Fcドメイン、及びエフェクター部分とともに、国際公開第2018/184964号に記載されているイムノコンジュゲートの例として記載されている。例えば、抗CEA抗体CH1A1A 98/99 2F1及びIL-2四重変異体(qm)(配列番号3)に基づく特定の免疫サイトカイン「PD-1標的化IgG-IL-2 qm融合タンパク質」は、配列番号7及び8及び9として示される配列を有し、例えば、2018/184964の実施例1及び2に記載されている。
2018/184964に記載されている特定のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、本明細書に記載されている以下のポリペプチド配列を含むことを特徴とする:
Figure 2022045530000002
国際公開第2012/146628号に記載されているように、IL-2変異体は、IL-2受容体のαサブユニットへの結合親和性が低減している。βサブユニット及びγサブユニット(それぞれCD122とCD132としても知られている)と一緒に、αサブユニット(CD25としても知られている)はヘテロ三量体の高親和性IL-2受容体を形成し、一方、βサブユニットとγサブユニットのみからなる二量体受容体は、中間親和性IL-2受容体と呼ばれる。国際公開第2012/146628号に記載されているように、IL-2受容体のαサブユニットへの結合が低減したIL-2変異体ポリペプチドは、制御性T細胞においてIL-2シグナル伝達を誘導する能力が低減し、T細胞において、より少ない活性化誘導細胞死(AICD)を誘導し、野生型IL-2ポリペプチドと比較して、in vivoでの毒性プロファイルが低減している。毒性が低減されたこのようなIL-2変異体の使用は、Fcドメインの存在に起因する長い血清半減期を有する、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインにおいて特に有利である。IL-2変異体は、野生型IL-と比較して、IL-2受容体(CD25)のαサブユニットに対するIL-2変異体の親和性を低減されるか又は無効にするが、中間親和性IL-2受容体(IL-2受容体のβサブユニットとγサブユニットからなる)に対するIL-2変異体の親和性は保持する少なくとも1つのアミノ酸変異を含み得る。1つ又は複数のアミノ酸変異は、アミノ酸置換であり得る。IL-2変異体は、ヒトIL-2(配列番号2として示される)の残基42、45、及び72に対応する位置から選択される1、2又は3つの位置に1、2又は3つのアミノ酸置換を含み得る。IL-2変異体は、ヒトIL-2の残基42、45及び72に対応する位置に3つのアミノ酸置換を含み得る。IL-2変異体は、ヒトIL-2の変異体であり得る。IL-2変異体は、アミノ酸置換F42A、Y45A及びL72Gを含むヒトIL-2であり得る。IL-2変異体はさらに、IL-2のO-グリコシル化部位を排除する、ヒトIL-2の3位に対応する位置にアミノ酸変異を含み得る。特に、前記追加のアミノ酸変異は、スレオニン残基をアラニン残基で置換するアミノ酸置換である。本発明において有用な特定のIL-2変異体は、ヒトIL-2(配列番号2として示される)の残基3、42、45及び72に対応する位置に4つのアミノ酸置換を含む。特異的アミノ酸置換は、T3A、F42A、Y45A及びL72Gである。国際公開第2012/146628号の実施例に示されるように、前記四重変異体IL-2ポリペプチド(IL-2 qm)は、CD25への検出可能な結合を示さず、T細胞にアポトーシスを誘導する能力の低減、Treg細胞におけるIL-2シグナル伝達を誘導する能力の低減、及びin vivoでの毒性プロファイルの低減を示している。しかしながら、エフェクター細胞におけるIL-2シグナル伝達を活性化し、エフェクター細胞の増殖を誘導し、NK細胞により二次サイトカインとしてのIFN-γを生成させる能力を保持している。上記の記載のいずれかによるIL-2変異体は、発現又は安定性の増加などのさらなる利点を提供する追加の変異を含み得る。例えば、位置125のシステインは、ジスルフィド架橋IL-2二量体の形成を回避するために、アラニンなどの中性アミノ酸で置換されてもよい。したがって、IL-2変異体は、ヒトIL-2の残基125に対応する位置に追加のアミノ酸変異を含み得る。前記追加のアミノ酸変異は、アミノ酸置換C125Aであり得る。IL-2変異体は、配列番号3のポリペプチド配列を含み得る。
好ましい実施態様では、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインのPD-1標的化は、国際公開第2018/1848964号に記載されているように、PD-1を標的化することによって達成され得る。PD-1標的化は、抗PD-1抗体又はその抗原結合断片を用いて達成することができる。抗PD-1抗体は、配列番号5の配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である重鎖可変領域配列、又は機能性を保持するその変異体を含み得る。抗PD-1抗体は、配列番号6の配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である軽鎖可変領域配列、又は機能性を保持するその変異体を含み得る。抗PD-1抗体は、配列番号5の配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である重鎖可変領域配列、又は機能性を保持するその変異体、及び配列番号6の配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一である軽鎖可変領域配列、又は機能性を保持するその変異体を含み得る。抗PD-1抗体は、配列番号5の重鎖可変領域配列及び配列番号6の軽鎖可変領域配列を含み得る。
PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号7、配列番号8及び配列番号9からなる群から選択されるポリペプチド配列、又は機能性を保持するその変異体を含み得る。PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、CEAに特異的なFab重鎖が、ホール修飾を含むFcドメインサブユニットとカルボキシ末端ペプチド結合を共有するポリペプチド配列を含み得る。PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号7若しくは配列番号8のポリペプチド配列、又は機能性を保持するその変異体を含み得る。PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、PD-1に特異的なFab軽鎖を含み得る。CEA標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又は機能性を保持するその変異体を含み得る。ポリペプチドは、例えば、ジスルフィド結合によって共有結合され得る。Fcドメインポリペプチド鎖は、アミノ酸置換L234A、L235A、及びP329G(これは、LALA P329Gと呼ばれ得る)を含み得る。
国際公開第2018/184964号に記載されているように、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号7、8、及び9として示される配列を有するPD-1標的化IgG-IL-2 qm融合タンパク質であり得る(例えば、国際公開第2018/184964号の実施例1に記載されているように)。配列番号7、8及び9として示される配列を有するPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、本明細書において「PD1-IL2v」と呼ばれる。
本明細書に記載の併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、免疫細胞、特にT細胞上に、又は腫瘍細胞環境において提示される抗原に結合する抗体と、IL-2受容体のサブユニットへの結合親和性が低減したIL-2変異体とを含み得る。PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、免疫細胞、特にT細胞上に、又は腫瘍細胞環境において提示されるPD-1に結合する抗体と、IL-2受容体のサブユニットへの結合親和性が低下したIL-2変異体とで本質的に構成され得る。抗体は、IgG抗体、特にIgG1抗体であり得る。PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、IL-2受容体のサブユニットへの結合親和性が低減した単一のIL-2変異体を含み得る(すなわち、1つ以下のIL-2変異体部分が存在する)。
本明細書に記載されるように、本明細書に記載の併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、免疫細胞、特にT細胞に、又は腫瘍細胞環境において結合する抗体の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメイン、及び2つのサブユニットからなり、2つの非同一のポリペプチド鎖のヘテロ二量体化を促進する修飾を含むFcドメインを含み得る。本明細書に記載の併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、免疫細胞、特にT細胞に、又は腫瘍細胞環境において結合する抗体の重鎖可変ドメイン及びノブ変異を含むFcドメインサブユニット、免疫細胞、特にT細胞に、又は腫瘍細胞環境において結合する抗体の重鎖可変ドメイン及びホール変異を含むFcドメインサブユニット、免疫細胞、特にT細胞に、又は腫瘍細胞環境において結合する抗体の軽鎖可変ドメイン、及びIL-2受容体のサブユニットへの結合親和性が低減したIL-2変異体を含み得る。したがって、免疫サイトカインは、2つの同一でないポリペプチド鎖のヘテロ二量体化を促進する修飾を含むFcドメインを含み得る。「ヘテロ二量体化を促進する修飾」は、ポリペプチと同一のポリペプチドが会合してホモ二量体を形成することを低減する又は妨げる、ペプチド骨格の操作又はポリペプチドの翻訳後修飾である。本明細書で使用されるヘテロ二量体化を促進する修飾は、特に、二量体を形成することが望まれる2つのポリペプチドの各々に対して行われる別個の修飾を含み、ここで、修飾は、2つのポリペプチドの会合を促進するように互いに相補的である。例えば、ヘテロ二量体化を促進する修飾は、二量体を形成することが望まれるポリペプチドの一方又は両方の構造又は電荷を変化させて、それらの会合をそれぞれ立体的に又は静電的に有利にすることができる。ヘテロ二量体化は、Fcドメインの2つのサブユニットなど、2つの同一でないポリペプチド間で生じ、ここで、各サブユニット(例えば、抗原結合部分、エフェクター部分)に融合されたさらなるイムノコンジュゲート成分は同一ではない。本発明によるイムノコンジュゲートにおいて、ヘテロ二量体化を促進する修飾は、Fcドメインにある。いくつかの実施様態では、ヘテロ二量体化を促進する修飾は、アミノ酸変異、具体的にはアミノ酸置換を含む。特定の実施態様では、ヘテロ二量体化を促進する修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットの各々に、別個のアミノ酸変異、具体的にはアミノ酸置換を含む。ヒトIgG Fcドメインの2つのポリペプチド鎖間の最も広範なタンパク質間相互作用の部位は、FcドメインのCH3ドメインにある。したがって、一実施態様では、前記修飾は、FcドメインのCH3ドメインにある。特定の実施態様では、前記修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットのうちの一方にノブ修飾及びFcドメインの2つのサブユニットのうちの他方にホール修飾を含む、ノブ・イントゥー・ホール修飾である。
ノブ・イントゥー・ホール技術は、例えば米国特許第5731168号;同第7695936号;Ridgway et al., Prot Eng 9, 617-621(1996)、及びCarter, J Immunol Meth 248, 7-15(2001)に記載されている。一般に、この方法は、第1のポリペプチドの接触面において隆起(「ノブ」)及び第2のポリペプチドの接触面において対応する空洞(「ホール」)を導入することを含み、その結果、ヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨げるように、隆起が空洞内に配置することができる。隆起は、第1のポリペプチドの接触面から小さなアミノ酸側鎖をより大きな側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)と置換することによって構築される。隆起と同一か又は類似のサイズの相補的空洞が、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)で置換することによって、第2のポリペプチドの接触面に作り出される。隆起と空洞は、ポリペプチドをコードする核酸を、例えば部位特異的変異誘発により、又はペプチド合成により改変することにより作り出すことができる。特定の実施態様では、ノブ修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットの一方にアミノ酸置換T366Wを含み、ホール修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットのもう一方にアミノ酸置換T366S、L368A及びY407Vを含む。さらなる特定の実施態様では、ノブ修飾を含むFcドメインのサブユニットは、アミノ酸置換S354Cをさらに含み、ホール修飾を含むFcドメインのサブユニットは、アミノ酸置換Y349Cをさらに含む。これらの2つのシステイン残基の導入は、Fc領域の2つのサブユニット間のジスルフィド架橋の形成をもたらし、二量体をさらに安定化する(Carter, J Immunol Methods 248, 7-15 (2001))。Fc領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従っている。本明細書で使用されるFcドメインの「サブユニット」は、二量体Fcドメインを形成する2つのポリペプチドのうちの1つ、すなわち、安定した自己会合が可能な免疫グロブリン重鎖のC末端定常領域を含むポリペプチドを指す。例えば、IgG Fcドメインのサブユニットは、IgG CH2及びIgG CH3定常ドメインを含む。
別の実施態様では、2つの同一でないポリペプチド鎖のヘテロ二量体化を促進する修飾は、例えば、国際公開第2009/089004号に記載されているような静電ステアリング効果を媒介する修飾を含む。一般に、この方法は、ホモ二量体形成は静電的に不利になるが、ヘテロ二量体は静電的に有利になるように、2つのポリペプチド鎖の接触面において、荷電したアミノ酸残基による1つ又は複数のアミノ酸残基の置換を含む。
IL-2受容体のサブユニットへの結合親和性が低減したIL-2変異体は、ノブ修飾を含むFcドメインのサブユニットのカルボキシ末端アミノ酸に融合され得る。理論に縛られることを望まないが、IL-2変異体のFcドメインのノブ含有サブユニットへの融合は、2つのIL-2変異体ポリペプチドを含むホモ二量体免疫サイトカインの生成をさらに最小限に抑えるであろう(2つのノブ含有ポリペプチドの立体的衝突)。
免疫サイトカインのFcドメインは、国際公開第2012/146628号に記載されているように、操作されていないFcドメインと比較して、Fc受容体への結合親和性を変化させ、特にFcγ受容体への結合親和性を変化させるように操作することができる。Fcドメインの補体成分、特にC1qへの結合は、国際公開第2012/146628号に記載されているように、変化し得る。Fcドメインは、イムノコンジュゲートに、標的組織への良好な蓄積に寄与する長い血清半減期及び良好な組織-血液分布比を含む好ましい薬物動態特性を付与する。しかし同時に、それは、好適な抗原保有細胞よりもむしろ、Fc受容体を発現する細胞に対するイムノコンジュゲートの望ましくない標的化を導く可能性がある。さらに、Fc受容体シグナル伝達経路の同時活性化は、サイトカイン放出を引き起こす可能性があり、これは、エフェクター部分とイムノコンジュゲートの長い半減期との組み合わせで、サイトカイン受容体の過剰な活性化をもたらし、全身投与されると重篤な副作用を引き起こす。これと一致して、従来のIgG-IL-2免疫複合体は注入反応に関連していると説明されている(例えば、King et al., J Clin Oncol 22, 4463-4473 (2004)を参照)。
したがって、免疫サイトカインのFcドメインは、Fc受容体への結合親和性が低減するように操作され得る。そのような一実施態様では、Fcドメインは、FcドメインのFc受容体への結合親和性を低減させる1つ又は複数のアミノ酸変異を含む。典型的には、Fcドメインの2つのサブユニットのそれぞれに同一の1つ又は複数のアミノ酸変異が存在する。一実施態様では、前記アミノ酸変異は、FcドメインのFc受容体に対する結合親和性を、少なくとも2分の1、少なくとも5分の1、又は少なくとも10分の1に低減させる。FcドメインのFc受容体に対する結合親和性を低減させる1つ又は複数のアミノ酸変異が存在する実施態様では、これらのアミノ酸変異の組み合わせは、FcドメインのFc受容体に対する結合親和性を、少なくとも10分の1、少なくとも20分の1、又は少なくとも50分の1に低減させ得る。一実施態様では、操作されたFcドメインを含むイムノコンジュゲートは、操作されていないFcドメインを含むイムノコンジュゲートと比較して、Fc受容体への結合親和性の20%未満、特に10%未満、より具体的には5%未満を示す。一実施態様では、Fc受容体は活性化Fc受容体である。特定の実施態様では、Fc受容体は、Fcγ受容体、より具体的には、FcγRIIIa、FcγRI又はFcγRIIa受容体である。好ましくは、これらの受容体の各々への結合は低減する。いくつかの実施態様では、補体成分に対する結合親和性、特にC1qに対する結合親和性も低減する。一実施態様では、新生児Fc受容体(FcRn)に対する結合親和性は低減しない。FcRnに対する実質的に同様の結合、すなわち、前記受容体に対するFcドメインの結合親和性の保存は、Fcドメイン(又は前記Fcドメインを含むイムノコンジュゲート)が、Fcドメインの非操作形態(又は、Fcドメインの前記非操作形態を含むイムノコンジュゲート)の約70%を上回るFcRnに対する結合親和性を示すときに達成される。Fcドメイン、又は前記Fcドメインを含む本発明のイムノコンジュゲートは、そのような親和性の約80%超、さらには約90%超を示し得る。一実施態様では、アミノ酸変異はアミノ酸置換である。一実施態様では、Fcドメインは、位置P329でのアミノ酸置換を含む。より具体的な実施態様では、アミノ酸置換は、P329A又はP329G、特にP329Gである。一実施態様では、Fcドメインは、S228、E233、L234、L235、N297及びP331から選択される位置にさらなるアミノ酸置換を含む。より具体的な実施態様では、さらなるアミノ酸置換は、S228P、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D又はP331Sである。特定の実施態様では、Fcドメインは、位置P329、L234及びL235でのアミノ酸置換を含む。より特定の実施態様では、Fcドメインは、アミノ酸変異L234A、L235A及びP329G(LALA P329G)を含む。アミノ酸置換のこの組み合わせは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2012/130831号に記載されているように、ヒトIgG FcドメインのFcγ受容体結合をほぼ完全に消失させる。国際公開第2012/130831号はまた、そのような変異体Fcドメインを調製する方法、及びFc受容体結合又はエフェクター機能などのその特性を決定するための方法を記載している。Fc領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従っている。
変異体Fcドメインは、当技術分野で周知であり、国際公開第2012/146628号に記載されているように、遺伝学的又は化学的方法を使用して、アミノ酸の欠失、置換、挿入又は修飾によって調製することができる。遺伝学的方法は、コードするDNA配列の部位特異的突然変異誘発、PCR、遺伝子合成などを含み得る。正確なヌクレオチドの変化は、例えば配列決定により検証することができる。
一実施態様では、Fcドメインは、国際公開第2012/146628号に記載されているように、操作されていないFcドメインと比較して、エフェクター機能が低減するように操作されている。エフェクター機能の低減は、限定しないが、補体依存性細胞傷害(CDC)の低減、抗体依存性T細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の低減、抗体依存性細胞貪食(ADCP)の低減、サイトカイン分泌の低減、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込みの低減、NK細胞に対する結合の低減、マクロファージに対する結合の低減、単球に対する結合の低減、多形核細胞に対する結合の低減、アポトーシスを誘導する直接的シグナル伝達の低減、樹状細胞成熟の低減、又はT細胞プライミングの低減のうちの1つ又は複数を含むことができる。
IgG抗体は、IgG抗体と比較して、Fc受容体への結合親和性の低減及びエフェクター機能の低減を示す。よって、いくつかの実施態様では、本発明のT細胞活性化二重特異性抗原結合分子のFcドメインは、IgG Fcドメイン、特にヒトIgGFcドメインである。一実施態様では、IgG Fcドメインは、位置S228でのアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換S228Pを含む。Fc受容体への結合親和性及び/又はそのエフェクター機能をさらに低減させるために、一実施態様では、IgG Fcドメインは、位置L235でのアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換L235Eを含む。別の実施態様では、IgG Fcドメインは、位置P329でのアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換P329Gを含む。特定の実施態様では、IgG Fcドメインは、S228、L235、及びP329の位置にアミノ酸置換、具体的にはS228P、L235E、及びP329Gのアミノ酸置換を含む。そのようなIgG Fcドメイン変異体及びそれらのFcγ受容体結合特性は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる欧州特許出願番号国際公開第2012/130831号に記載されている。
本明細書に記載の併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体は、243.55.S70、243.55.H1、243.55.H12、243.55.H37、243.55.H70、243.55.H89、243.55.S1、243.55.5、243.55.8、243.55.30、243.55.34、243.55.S37、243.55.49、243.55.51、243.55.62、及び243.55.84からなる群より選択される。
これらの抗体は、国際公開第2010/77634号に記載される(配列は国際公開第2010/77634号の図11に示されている)。
本発明の一実施態様では、本明細書に記載の併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、並びに配列番号2のポリペプチド配列、又はb)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又はc)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又はd)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体は、a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又はb)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする。
一実施態様では、本明細書に記載の併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、並びに配列番号2のポリペプチド配列を含むことを特徴とする。
ある実施態様では、本明細書に記載の併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とする。
一実施態様では、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体は、配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする。
本発明の好ましい実施態様では、本明細書に記載の併用療法で使用されるPD1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体は、配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする。
本発明の好ましい実施態様では、本明細書に記載の併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体はアテゾリズマブである。
定義
用語「抗体」は最も広い意味で用いられ、様々な抗体構造を包含し、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、及び所望の抗原結合活性を示す限りにおいて抗体断片を含む。
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合し、インタクトな抗体の一部分を含むインタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)、ダイアボディ、直鎖状抗体、単鎖抗体分子(例えば、scFv)、及び単一ドメイン抗体が含まれる。特定の抗体断片の総説については、 Hudson et al., Nat Med 9, 129-134 (2003)を参照のこと。scFv断片の総説については、例えば、Pluckthuen, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York), pp. 269-315 (1994)を参照のこと;また、国際公開第93/16185号;及び米国特許第5571894号及び第5587458号も参照のこと。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivoでの半減期を増加させたFab及びF(ab’)2断片の議論については、米国特許第5869046号を参照のこと。ダイアボディは、二価又は二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404097;国際公開第1993/01161号;Hudson et al., Nat Med 9, 129-134 (2003);及びHollinger et al., Proc Natl Acad Sci USA 90, 6444-6448 (1993)を参照のこと。トリアボディ及びテトラボディもHudson et al., Nat Med 9, 129-134 (2003)に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部若しくは一部、又は軽鎖可変ドメインの全部若しくは一部を含む抗体断片である。特定の実施態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA;例えば、米国特許第6248516(B1)号を参照のこと)。抗体断片は、本明細書に記載されるように、インタクトな抗体のタンパク分解、並びに組換え宿主細胞(例えば、大腸菌又はファージ)による生産を含むがこれらに限定されない様々な技術により作製することができる。
本明細書で使用される場合の用語「抗原結合ドメイン」又は「抗体の抗原結合部分」は、抗原の一部又は全部に特異的に結合し、かつ抗原の一部又は全部に相補的である領域を含む抗体の部分を指す。したがって、この用語は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。抗原結合ドメインは、例えば、1つ又は複数の抗体可変ドメイン(抗体可変領域とも呼ばれる)により提供され得る。特に、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含む。抗体の抗原結合部分は、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」又は「FR」領域は、本明細書で定義されるような超可変領域残基以外のそれらの可変ドメイン領域である。したがって、抗体の軽鎖及び重鎖可変ドメインは、N末端からC末端までのドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4を含む。特に、重鎖のCDR3は、抗原結合に最も寄与し、抗体の特性を定義する領域である。CDR及びFR領域は、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)の標準的な定義及び/又は「超可変ループ」からの残基に従って決定される。
用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、一般的に類似の構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む。例えば、Kindt et al., Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照のこと。単一のVH又はVLドメインは、抗原結合特異性を与えるのに十分であり得る。
用語「エピトープ」は、抗体に特異的に結合することができる、CEA又はヒトPD-L1などの抗原のタンパク質決定基を意味する。エピトープは通常、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面グループからなり、通常、エピトープは特定の三次元構造特性及び特定の電荷特性を有する。コンフォメーションエピトープと非コンフォメーションエピトープは、変性溶媒の存在下では、前者への結合が失われるが後者への結合は失われないという点で区別される。
本明細書の用語「Fcドメイン」又は「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域と変異体Fc領域を含む。IgG重鎖のFc領域の境界はわずかに変化し得るが、通常、ヒトIgG重鎖のFc領域はCys226又はPro230から重鎖のカルボキシル末端にまで及ぶと定義される。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在しても、存在してなくともよい。本明細書に特に明記しない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従っている。抗体のFcドメインは、抗体の抗原への結合には直接関与していないが、様々なエフェクター機能を示す。「抗体のFcドメイン」は、当業者にはよく知られた用語であり、抗体のパパイン切断に基づいて定義される。抗体又は免疫グロブリンは、その重鎖定常領域のアミノ酸配列に応じてIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMのクラスに分類され、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4、IgA1及びIgA2にさらに分類され得る。重鎖定常領域に従って、免疫グロブリンの異なるクラスは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。抗体のFc部分は、補体活性化、C1q結合、及びFc受容体結合に基づいて、ADCC(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害)及びCDC(補体依存性細胞傷害)に直接関与する。補体活性化(CDC)は、補体因子C1qがほとんどのIgG抗体サブクラスのFcドメインに結合することによって開始される。補体系に対する抗体の影響は特定の条件に依存するが、C1qへの結合は、Fcドメインに定義された結合部位によって引き起こされる。そのような結合部位は当技術分野で知られており、例えば、Boackle, R.J., et al., Nature 282 (1979) 742-743; Lukas, T.J., et al., J. Immunol. 127 (1981) 2555-2560; Brunhouse, R., and Cebra, J.J., Mol. Immunol. 16 (1979) 907-917; Burton, D.R., et al., Nature 288 (1980) 338-344; Thommesen, J.E., et al., Mol. Immunol. 37 (2000) 995-1004; Idusogie, E.E., et al., J. Immunol.164 (2000) 4178-4184; Hezareh, M., et al., J. Virology 75 (2001) 12161-12168; Morgan, A., et al., Immunology 86 (1995) 319-324;EP0307434により記載されている。そのような結合部位は、例えばL234、L235、D270、N297、E318、K320、K322、P331、及びP329である(番号付けはKabat,E.A.のEUインデックスに従う。上記を参照)。サブクラスIgG1、IgG2及びIgG3の抗体は通常、補体活性化、並びにC1q及びC3結合を示すが、一方、IgG4は補体系を活性化せず、C1q及びC3に結合しない。
一実施態様では、本明細書に記載の免疫サイトカインの抗体成分又は抗体は、ヒト起源に由来するFcドメイン、及び好ましくはヒト定常領域の他のすべての部分を含む。本明細書で使用される場合、用語「ヒト起源由来のFcドメイン」は、サブクラスIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のヒト抗体のFcドメイン、好ましくは、ヒトIgG1サブクラスのFcドメイン、ヒトIgG1サブクラスの変異Fcドメイン(一実施態様ではL234A+L235Aに変異を有する)、ヒトIgG4サブクラスのFcドメイン又はヒトIgG4サブクラスの変異Fcドメイン(一実施態様ではS228Pに変異を有する)のいずれかであるFcドメインを指す。一実施態様では、前記抗体は、低減した又は最小のエフェクター機能を有する。一実施態様では、最小のエフェクター機能は、エフェクターのないFc変異に起因する。一実施態様では、エフェクターのないFc変異は、L234A/L235A又はL234A/L235A/P329G又はN297A又はD265A/N297Aである。一実施態様では、エフェクターのないFc変異は、L234A/L235A、L234A/L235A/P329G、N297A及びD265A/N297A(EU番号付け)を含む(からなる)群から、互いに独立して抗体のそれぞれについて選択される。
一実施態様では、本明細書に記載の免疫サイトカインの抗体成分又は抗体は、ヒトIgGクラス(すなわち、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4サブクラス)のものである。
好ましい実施態様では、本明細書に記載の免疫サイトカインの抗体成分又は抗体は、ヒトIgG1サブクラス又はヒトIgG4サブクラスのものである。一実施態様では、本明細書に記載の免疫サイトカインの抗体成分又は抗体は、ヒトIgG1サブクラスのものである。一実施態様では、本明細書に記載の免疫サイトカインの抗体成分又は抗体は、ヒトIgG4サブクラスのものである。
一実施態様では、本明細書に記載の免疫サイトカインの抗体成分又は抗体は、定常鎖がヒト起源であることを特徴とする。そのような定常鎖は、当技術分野でよく知られており、例えば、Kabat,E.A.により記載されている(例えば、Johnson, G. and Wu, T.T., Nucleic Acids Res. 28 (2000) 214-218を参照)。
本明細書で使用される用語「核酸」又は「核酸分子」は、DNA分子及びRNA分子を含むことを意図している。核酸分子は、一本鎖又は二本鎖であり得るが、好ましくは二本鎖DNAである。
本願内で使用される場合、用語「アミノ酸」は、アラニン(3文字コード:ala、1文字コード:A)、アルギニン(arg、R)、アスパラギン(asn、N)、アスパラギン酸(asp、D)、システイン(cys、C)、グルタミン(gln、Q)、グルタミン酸(glu、E)、グリシン(gly、G)、ヒスチジン(his、H)、イソロイシン(ile、I)、ロイシン(leu、L)、リジン(lys、K)、メチオニン(met、M)、フェニルアラニン(phe、F)、プロリン(pro、P)、セリン(ser、S)、スレオニン(thr、T)、トリプトファン(trp、W)、チロシン(tyr、Y)、及びバリン(val、V)を含む天然に存在するカルボキシアルファ-アミノ酸の群を意味する。
参照ポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした場合の、参照ポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当分野の技術の範囲内にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含めた、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作成されたもので、そのソースコードは、ユーザー文書と共に米国著作権庁(ワシントンD.C.,20559)に提出されており、ここで米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、ジェネンテック社(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)から公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルすることができる。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標)のV4.0Dを含むUNIX(登録商標)オペレーティングシステム上での使用のためにコンパイルされていなければならない。すべての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。アミノ酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bとの(又はこれに対する)%アミノ酸配列同一性(あるいは、所与のアミノ酸配列Aは、所与のアミノ酸配列Bと(又はこれに対して)特定の%アミノ酸配列同一性を有するか又は含む所与のアミノ酸配列A、ということもできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2により、AとBのそのプログラムのアラインメントにおいて同一の一致としてスコア化されるアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。特に断らない限り、本明細書で使用されるすべての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、前段落で説明したように得られる。本発明の参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば、95%「同一」であるヌクレオチド配列を有する核酸又はポリヌクレオチドとは、ポリヌクレオチド配列がその参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチドごとに5個までの点突然変異を含み得ることを除いて、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列がその参照配列と同一であることを意味する。換言すれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列中最大5%のヌクレオチドを欠失させるか又は別のヌクレオチドで置換しても良く、あるいは参照配列中の全ヌクレオチドの最大5%までの数のヌクレオチドが参照配列に挿入されてもよい。参照配列のこのような改変は、参照ヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端位置で、又はこれら末端位置の間のどの位置で起こってもよく、参照配列中の残基間に個々に散在してもよいし、又は参照配列内に1つ若しくは複数の連続した群として散在してもよい。実際問題として、特定のポリヌクレオチド配列が本発明のヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるかどうかは、ポリペプチドについて上述したもの(例えばALIGN-2)などの既知のコンピュータプログラムを用いて慣例的に判定することができる。
用語「発現カセット」とは、標的細胞内の特定の核酸の転写を可能にする一連の特定の核酸エレメントを用いて、組換え又は合成により生成されたポリヌクレオチドを指す。組換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルス、又は核酸断片中に組み込むことができる。典型的には、発現ベクターの組換え発現カセット部分には、他の配列の中でも、転写される核酸配列及びプロモーターが含まれる。特定の実施態様では、本発明の発現カセットは、本明細書に記載のポリペプチド又はその断片をコードするポリヌクレオチド配列を含む。
用語「ベクター」又は「発現ベクター」は、「発現コンストラクト」と同義であり、標的細胞内においてそれが作動可能に結合する特定の遺伝子を導入し、その発現を誘導するために使用されるDNA分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造体としてのベクター、及び導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。発現ベクターは、発現カセットを含む。発現ベクターは、大量の安定なmRNAの転写を可能にする。発現ベクターが標的細胞内部に入ると、遺伝子によってコードされるリボ核酸分子又はタンパク質が、細胞の転写及び/又は翻訳機構により産生される。一実施形態では、発現ベクターは、本明細書に記載のポリペプチド又はその断片をコードするポリヌクレオチド配列を含む発現カセットを含む。
用語「人工」とは、合成の、又は非宿主細胞由来の組成物、例えば化学的に合成されたオリゴヌクレオチドを指す。
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養物」は互換的に使用され、外因性の核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」を含み、それには初代形質転換細胞及び、継代の数に関係なく、それに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸含量が親細胞と完全に同じでなくてもよく、突然変異を含んでもよい。最初に形質転換された細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物活性を有する変異型子孫が本明細書において含まれる。宿主細胞は、本明細書に記載のポリペプチドを生成するために使用することができる任意の種類の細胞系である。一実施形態では、宿主細胞は、ポリペプチドのFc領域に修飾オリゴ糖を有するポリペプチドの産生を可能にするように操作される。特定の実施態様では、宿主細胞は、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)活性を有する1つ又は複数のポリペプチドの増加したレベルを発現するように操作されている。特定の実施態様では、宿主細胞は、α-マンノシダーゼII(ManII)活性を有する1つ又は複数のポリペプチドの増加したレベルを発現するようにさらに操作されている。宿主細胞には、培養細胞、例えばいくつか例を挙げると、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞等の哺乳動物の培養細胞、又はハイブリドーマ細胞、酵母細胞、昆虫細胞、及び植物細胞が含まれるだけでなく、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物、又は培養された植物若しくは動物組織内部に含まれる細胞も含まれる。
本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、例えば、固相ペプチド合成(例えば、メリフィールド固相合成)又は組換え産生によって得ることができる。組換え産生のために、例えば上述したように、免疫サイトカイン(断片)をコードする1つ又は複数のポリヌクレオチドが単離され、宿主細胞内でのさらなるクローニング及び/又は発現のために1つ又は複数のベクターに挿入される。このようなポリヌクレオチドは、一般的な手順を使用して容易に単離され配列決定され得る。一実施態様では、1つ又は複数のポリヌクレオチドを含むベクター、好ましくは発現ベクターが提供される。当業者に周知の方法を使用して、適切な転写/翻訳制御シグナルとともにイムノコンジュゲート(断片)のコード配列を含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法は、in vitroでの組換えDNA技術、合成技術、及びin vivoでの組換え/遺伝子組換えを含む。例えば、Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (1989);及びAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y (1989)に記載される技術を参照。発現ベクターは、プラスミド、ウイルスの一部であり得るか、又は核酸断片であり得る。発現ベクターは、免疫サイトカイン(断片)(すなわち、コード領域)をコードするポリヌクレオチドが、プロモーター及び/又は他の転写若しくは翻訳制御エレメントと作動可能に結合してクローニングされる発現カセットを含む。本発明で使用される場合、「コード領域」は、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸の一部である。「終止コドン」(TAG、TGA、又はTAA)はアミノ酸に翻訳されないが、存在する場合にはコード領域の一部と考えられ、しかし、任意の隣接配列、例えばプロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、5’及び3’非翻訳領域などはコード領域の一部ではない。2つ以上のコード領域が、単一のポリヌクレオチドコンストラクト中に、例えば単一のベクター上に、又は別々のポリヌクレオチドコンストラクト中に、例えば別の(異なる)ベクター上に存在することができる。さらに、任意のベクターは、単一のコード領域を含んでいてもよいし、2つ以上のコード領域を含んでいてもよく、例えばベクターは、タンパク質分解性切断によって翻訳後又は翻訳と同時に最終タンパク質に分離される1つ又は複数のポリペプチドをコードしてもよい。さらに、ベクター、ポリヌクレオチド、又は核酸は、免疫サイトカイン(断片)、又はその変異体若しくは誘導体をコードするポリヌクレオチドに融合しているか、又は融合していない異種コード領域をコードし得る。異種コード領域には、限定されないが、例えば分泌シグナルペプチド又は異種性機能ドメインなどの特殊なエレメント又はモチーフが含まれる。作動可能に結合とは、ポリペプチドなどの遺伝子産物のコード領域が、遺伝子産物の発現を制御配列の影響下又は制御下に置くように、1つ又は複数の制御配列と結合している場合である。2つのDNA断片(ポリペプチドコード領域とそれに結合しているプロモーターなど)は、プロモーター機能の誘導が所望の遺伝子産物をコードするmRNAの転写をもたらす場合、及び2つのDNA断片間の連結の性質が、遺伝子産物の発現を指示する発現調節配列の能力を妨げないか又は転写されるDNAテンプレートの能力を妨げない場合、「作動可能に結合している」。したがって、プロモーター領域は、プロモーターがその核酸の転写に影響を与えることができる場合には、ポリペプチドをコードする核酸と作動可能に結合しているであろう。プロモーターは、所定の細胞においてのみDNAの実質的な転写を指示する細胞特異的プロモーターであり得る。プロモーター以外に、他の転写制御エレメント、例えばエンハンサー、オペレーター、リプレッサー及び転写終結シグナルが、細胞特異的転写を指示するポリヌクレオチドと作動可能に結合することができる。適切なプロモーター及び他の転写制御領域は本明細書に開示されている。種々の転写制御領域が当業者に知られている。これらには、限定されないが、脊椎動物細胞において機能する転写制御領域、例えば、限定されないが、サイトメガロウイルス由来のプロモーター及びエンハンサーセグメント(例えばイントロン-Aと連結した最初期プロモーター)、シミアンウイルス40(例えば初期プロモーター)、及びレトロウイルス(例えばラウス肉腫ウイルスなど)が含まれる。他の転写制御領域は、脊椎動物の遺伝子由来のもの、例えばアクチン、熱ショックタンパク質、ウシ成長ホルモン及びウサギ-αグロビン、並びに、真核細胞における遺伝子発現を制御することができる他の配列を含む。さらなる適切な転写調節領域には、組織特異的プロモーター及びエンハンサー、並びに誘導性プロモーター(例えば、テトラサイクリンを誘導可能なプロモーター)が含まれる。同様に、種々の翻訳制御エレメントが当業者に知られている。これらには、限定されないが、リボソーム結合部位、翻訳開始及び終結コドン、並びにウイルス系由来のエレメント(特に、配列内リボソーム進入部位、又はCITE配列とも呼ばれるIRES)が含まれる。また、発現カセットは、例えば複製起点及び/又はレトロウイルスの長い末端反復配列(LTR)若しくはアデノ随伴ウイルス(AAV)の逆位末端配列(ITR)などの染色体組み込みエレメントといった他の特徴を含んでいてもよい。
本明細書に記載のポリヌクレオチド及び核酸コード領域は、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの分泌を指示する分泌ペプチド又はシグナルペプチドをコードするさらなるコード領域と結合させることができる。例えば、免疫サイトカインの分泌が望まれる場合、シグナル配列をコードするDNAは、免疫サイトカイン又はその断片をコードする核酸の上流に配置され得る。シグナル仮説によると、哺乳類細胞によって分泌されるタンパク質は、成長中のタンパク質鎖の粗面小胞体を横切る排出輸送が開始されると成熟タンパク質から切断されるシグナルペプチド又は分泌リーダー配列を有する。当業者は、脊椎動物細胞によって分泌されるポリペプチドが一般に、ポリペプチドのN末端に融合したシグナルペプチドを有し、それが翻訳されたポリペプチドから切断されて分泌又は「成熟」型のポリペプチドを産生することを知っている。特定の実施態様では、天然のシグナルペプチド、例えば免疫グロブリン重鎖又は軽鎖シグナルペプチドが使用されるか、又はそれに作動可能に結合している、ポリペプチドの分泌を指示する能力を保持するその配列の機能的誘導体が使用される。あるいは、異種哺乳動物シグナルペプチド又はその機能的誘導体が使用され得る。例えば、野生型リーダー配列は、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)又はマウスβ-グルクロニダーゼのリーダー配列で置換されてもよい。
後の精製を容易にするため(例えばヒスチジンタグ)又は免疫サイトカインの標識化における補助のために使用され得る短いタンパク質配列をコードするDNAが、免疫サイトカイン(断片)をコードするポリヌクレオチドの中又は末端に含まれ得る。
さらなる実施態様では、本明細書に記載の1つ又は複数のポリヌクレオチドを含む宿主細胞が提供される。特定の実施態様では、本明細書に記載の1つ又は複数のベクターを含む宿主細胞が提供される。ポリヌクレオチド及びベクターは、ポリヌクレオチド及びベクターそれぞれに関連して本明細書に記載される特徴のいずれかを単独で又は組み合わせて組み込むことができる。1つのそのような実施態様では、宿主細胞は、本明細書に記載の免疫サイトカイン(の一部)をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む(例えばそのようなベクターで形質転換又はトランスフェクトされている)。本明細書中で使用される場合、用語「宿主細胞」は、免疫サイトカイン又はその断片を生成するように操作され得る任意の種類の細胞系を指す。免疫サイトカインの複製及び発現の補助に適切な宿主細胞は当技術分野でよく知られている。このような細胞は特定の発現ベクターで適切にトランスフェクト又は形質導入することができ、大規模な発酵槽に播種するために大量のベクター含有細胞を増殖させて、臨床応用に十分な量の免疫サイトカインを得ることができる。適切な宿主細胞には、大腸菌などの原核微生物、又はチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、昆虫細胞などの様々な真核細胞が含まれる。例えば、ポリペプチドは、特にグリコシル化が必要でない場合、細菌中で産生され得る。発現の後、ポリペプチドは可溶性画分において細菌細胞のペーストから単離することができ、さらに精製することができる。原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌などの真核微生物は、そのグリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的又は完全なヒトグリコシル化パターンを有するポリペプチドの産生を結果として生じる菌類及び酵母菌株を含む、ポリペプチドコード化ベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。Gerngross, Nat Biotech 22, 1409-1414 (2004)、及びLi et al., Nat Biotech 24, 210-215 (2006)を参照。(グリコシル化)ポリペプチドの発現に適した宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物と脊椎動物)から派生している。無脊椎動物細胞の例は、植物細胞及び昆虫細胞を含む。多数のバキュロウイルス株が同定されており、これらは特にヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と併せて使用することができる。植物細胞培養物を宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5959177号、第6040498号、第6420548号、第7125978号及び第6417429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するPLANTIBODIESTM技術を記載)を参照。脊椎動物細胞も宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合されている哺乳動物細胞株は、有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)で形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚腎臓株(Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977)に記載された293細胞又は293T細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスのセルトリ細胞(例えば、Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)に記載されるTM4細胞)、サル腎細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76)、ヒト子宮頚癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝細胞(HepG2)、マウス乳腺腫瘍細胞(MMT060562)、(例えば、Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)に記載される)TRI細胞、MRC5細胞、及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株には、dhfr-CHO細胞(Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;及びYO、NS0、P3X63及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が含まれる。タンパク質産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞系の総説については、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp. 255-268 (2003)を参照のこと。宿主細胞には、培養細胞、例えばいくつか挙げると、哺乳動物の培養細胞、酵母細胞、昆虫細胞、細菌細胞及び植物細胞が含まれ、さらにはトランスジェニック動物、トランスジェニック植物又は培養植物若しくは動物組織内部に含まれる細胞も含まれる。一実施態様では、宿主細胞は、真核生物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。
これらの系において外来遺伝子を発現する標準的な技術は当技術分野で知られている。抗体の重鎖又は軽鎖を含むポリペプチドを発現する細胞は、発現された生成物が重鎖及び軽鎖の両方を有する抗体であるように、抗体鎖の他方を発現するように操作することができる。
本明細書に記載の免疫サイトカインを産生する方法が提供され、ここで、方法は、免疫サイトカインの発現に適した条件下で、本明細書で提供される免疫サイトカインをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養し、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から免疫サイトカインを回収することを含む。
免疫サイトカインの構成要素は、通常互いに融合している。免疫サイトカインは、その構成要素が互いに直接的に、又はリンカー配列を介して間接的に融合するように設計することができる。リンカーの組成及び長さは、当技術分野でよく知られた方法に従って決定することができ、有効性について試験することができる。必要に応じて、融合物の個々の成分を分離するための切断部位を組み込むために、例えばエンドペプチダーゼ認識配列などの追加の配列も含まれ得る。
免疫サイトカインは、少なくとも、抗原決定基に結合することができる抗体可変領域を含む。可変領域は、天然又は非天然の抗体及びその断片の一部を形成することができ、かつそのような抗体及び断片から誘導することができる。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を産生する方法は、当技術分野でよく知られている(例えば、Harlow and Lane, “Antibodies, a laboratory manual”, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988を参照)。天然に存在しない抗体は、固相ペプチド合成を使用して構築することができ、(例えば米国特許第4186567号に記載のように)組換え的に産生することができ、又は例えば可変重鎖及び可変軽鎖を含むコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる(例えばMcCaffertyへの米国特許第5969108号を参照)。抗原結合部分及びそれを生成するための方法はまた、PCT公開国際公開第2011/020783号に詳細に記載されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の免疫サイトカインには、任意の動物種の抗体、抗体断片、抗原結合ドメイン又は可変領域を使用することができる。本発明において有用な非限定的抗体、抗体断片、抗原結合ドメイン又は可変領域は、マウス、霊長類、又はヒト起源のものでありうる。免疫サイトカインがヒトでの使用を意図している場合、抗体の定常領域がヒト由来であるキメラ形態の抗体を使用することができる。ヒト化又は完全ヒト形態の抗体も、当技術分野でよく知られている方法に従って調製することができる(例えばWinterの米国特許第5565332号を参照)。ヒト化は、様々な方法によって達成することができ、それらの方法には、限定されないが、(a)非ヒト(例えば、ドナー抗体)のCDRを、重要なフレームワーク残基(例えば、良好な抗原結合親和性又は抗体機能を維持するために重要であるもの)の保持を伴うか又は伴わないヒト(例えば、レシピエント抗体)のフレームワーク領域及び定常領域の上に移植すること、(b)非ヒト特異性決定領域(SDR又はa-CDR;抗体-抗原相互作用に重要な残基)のみをヒトフレームワーク領域及び定常領域上に移植すること、又は(c)非ヒト可変ドメイン全体を移植するが、表面残基の置き換えによってヒト様部分で「覆い隠す(cloaking)」ことが含まれる。ヒト化抗体及びその製造方法は、例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)に総説され、さらに、例えば、Riechmann et al., Nature 332, 323-329 (1988); Queen et al., Proc Natl Acad Sci USA 86, 10029-10033 (1989);米国特許第5821337号、同第7527791号、同第6982321号、及び同第7087409号; Jones et al., Nature 321, 522-525 (1986); Morrison et al., Proc Natl Acad Sci 81, 6851-6855 (1984); Morrison and Oi, Adv Immunol 44, 65-92 (1988); Verhoeyen et al., Science 239, 1534-1536 (1988); Padlan, Molec Immun 31(3), 169-217 (1994); Kashmiri et al., Methods 36, 25-34 (2005) (SDR(a-CDR)移植について記載);Padlan, Mol Immunol 28, 489-498 (1991)(「リサーフェイシング」について記載);Dall’Acqua et al., Methods 36, 43-60 (2005)(「FRシャフリング」について記載);Osbourn et al., Methods 36, 61-68 (2005)及びKlimka et al., Br J Cancer 83, 252-260 (2000)(FRシャフリングへの「誘導選択(guided selection)」アプローチについて記載)に記載されている。ヒト抗体及びヒト可変領域は、当技術分野で知られた様々な技術を使用して生成することができる。ヒト抗体は、van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368-74 (2001)及びLonberg, Curr. Opin. Immunol. 20:450-459 (2008)に一般的に記載されている。ヒト可変領域は、ハイブリドーマ法によって作製されたヒトモノクローナル抗体の一部を形成することができ、そのような抗体から由来することができる(例えば、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987)を参照)。ヒト抗体及びヒト可変領域は、抗原曝露に応答して、インタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することによっても調製することができる(例えば、Lonberg, Nat Biotech 23, 1117-1125 (2005)を参照)。ヒト抗体及びヒト可変領域はまた、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローン可変領域配列を単離することによって生成することができる(例えば、Hoogenboom et al. Methods in Molecular Biology 178, 1-37 (O’Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, 2001);及びMcCafferty et al., Nature 348, 552-554; Clackson et al., Nature 352, 624-628 (1991)を参照)。ファージは通常、抗体断片を、一本鎖Fv(scFv)断片又はFab断片のいずれかとして提示する。ファージディスプレイによるイムノコンジュゲートのための抗原結合部分の調製の詳細な説明は、PCT公開国際公開第2011/020783号に添付された実施例に見出すことができる。
特定の実施態様では、抗体は、例えば、国際公開第2011/020783号(親和性成熟に関連する実施例を参照)又は米国特許出願公開第2004/0132066号(その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示された方法に従って、増強された結合親和性を有するように操作される。免疫サイトカインが特定の抗原決定基に結合する能力は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)又は当業者によく知られた他の技術、例えば表面プラズモン共鳴法(BIACORE T100システムで解析)(Liljeblad 、et al., Glyco J 17, 323-329 (2000))、及び古典的結合アッセイ(Heeley, Endocr Res 28, 217-229 (2002))により測定することができる。競合アッセイを、特定の抗原への結合について参照抗体と競合する抗体、抗体断片、抗原結合ドメイン又は可変ドメインを同定するため、例えばCEAへの結合についてCH1A1A 98/99 2F1抗体と競合する抗体を同定するために使用することができる。特定の実施態様では、このような競合抗体は、参照抗体によって結合される同じエピトープ(例えば直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的な方法が、Morris(1996)によるMethods in Molecular Biology 第66巻の「Epitope Mapping Protocols」(Humana Press,Totowa,NJ)に提供されている。例示的な競合アッセイにおいて、固定化された抗原(例えば、CEA)は、抗原に結合する第1の標識抗体(例えば、CH1A1A 98/99 2F1抗体)及び抗原への結合について第1の抗体と競合する能力について試験される第2の非標識抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してもよい。コントロールとして、固定化された抗原が、第1の標識抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。第1の抗体の抗原への結合を許容する条件下でのインキュベーション後、過剰な未結合抗体が除去され、固定化された抗原に結合した標識の量が測定される。固定化抗原に結合した標識の量が、コントロール試料と比較して試験試料中で実質的に減少している場合、それは、第2の抗体が、抗原への結合において第1の抗体と競合していることを示している。Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)を参照。
本明細書で記載のように調製される免疫サイトカインは、当技術分野で知られている技術、例えば高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーなどによって精製され得る。特定のタンパク質を精製するために使用される実際の条件は、一部には正味荷電、疎水性、親水性などの要因に依存し、当業者には明らかであろう。アフィニティークロマトグラフィー精製では、免疫サイトカインが結合する抗体、リガンド、受容体又は抗原が使用され得る。例えば、免疫サイトカインのアフィニティークロマトグラフィー精製では、プロテインA又はプロテインGを含むマトリックスが使用され得る。連続的なプロテインA又はGアフィニティークロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、本質的に国際公開第2012/146628号の実施例に記載されているように免疫サイトカインを単離することができる。免疫サイトカインの純度は、ゲル電気泳動、高圧液体クロマトグラフィーなどを含む様々な周知の分析方法のいずれかによって決定することができる。例えば、免疫サイトカインは、還元SDS-PAGEによって示されるように、インタクトで適切に組み立てられていることが示され得る。
本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、国際公開第2018/184964号の実施例に記載されているように調製することができる。
本明細書に記載の抗体は、好ましくは組換え手段によって産生される。そのような方法は、当技術分野において広く知られており、原核細胞及び真核細胞におけるタンパク質の発現、それに続く抗体ポリペプチドの単離、及び通常は薬学的に許容される純度への精製を含む。タンパク質発現のために、軽鎖及び重鎖又はその断片をコードする核酸は、標準的な方法により発現ベクターに挿入される。発現は、適切な原核又は真核宿主細胞、例えばCHO細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、HEK293細胞、COS細胞、酵母又は大腸菌細胞で行われ、抗体は、これらの細胞から(上清から又は細胞溶解後に)回収される。
抗体の組換え産生は、当技術分野でよく知られており、例えば、Makrides, S.C., Protein Expr. Purif. 17 (1999) 183-202; Geisse, S., et al., Protein Expr. Purif. 8 (1996) 271-282; Kaufman, R.J., Mol. Biotechnol. 16 (2000) 151-161; Werner, R.G., Drug Res. 48 (1998) 870-880の総説記事に記載されている。
抗体は、全細胞中に、細胞溶解物中に、又は部分的に精製されたか若しくは実質的に純粋な形態で存在してもよい。精製は、他の細胞成分又は他の夾雑物、例えば他の細胞核酸又はタンパク質を、アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、及び当技術分野で周知のその他の技術を含む標準的な技術により除去するために実施される。Ausubel, F., et al., ed. Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New York (1987)を参照。
NS0細胞における発現は、例えば、Barnes, L.M., et al., Cytotechnology 32 (2000) 109-123; Barnes, L.M., et al., Biotech. Bioeng. 73 (2001) 261-270に記載されている。一過性発現は、例えば、Durocher, Y., et al., Nucl. Acids. Res. 30 (2002) E9に記載されている。可変ドメインのクローニングは、Orlandi, R., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 3833-3837; Carter, P., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 4285-4289; Norderhaug, L., et al., J. Immunol. Methods 204 (1997) 77-87に記載されている。好ましい一過性発現系(HEK 293)は、Schlaeger,E.-J.及びChristensen,K.によるCytotechnology 30(1999)71-83、並びにSchlaeger,E.-J.によるJ.Immunol.Methods 194(1996)191-199に記載されている。
本発明による重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインは、プロモーター、翻訳開始、定常領域、3’非翻訳領域、ポリアデニル化、及び転写終結の配列と組み合わされて、発現ベクターコンストラクトを形成する。重鎖発現コンストラクト及び軽鎖発現コンストラクトは、単一のベクターに組み込まれ、宿主細胞にコトランスフェクト、連続トランスフェクト又は別々にトランスフェクトされ、その後融合されて、双方の鎖を発現する単一の宿主細胞を形成することができる。
原核生物に適切な制御配列は、例えばプロモーター、任意選択的にオペレーター配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、エンハンサー、及びポリアデニル化シグナルを利用することが知られている。
核酸は、別の核酸配列と機能的関係に置かれる場合、その核酸は「作動可能に連結」されている。例えば、プレ配列又は分泌リーダーのDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合は、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結されており、プロモーター又はエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼす場合は、コード配列に作動可能に連結されており、又は、リボソーム結合部位は、それが翻訳を容易にするように配置されている場合は、コード配列に作動可能に連結されている。通常、「作動可能に連結」とは、連結されるDNA配列が連続しており、分泌リーダーの場合には、連続していて、かつリーディングフレームにあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは必ずしも連続している必要はない。連結は、都合よい制限部位におけるライゲーションによって達成される。そのような部位が存在しない場合は、慣行に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが使用される。
モノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティークロマトグラフィーといった一般的な免疫グロブリン精製手順により、培地から適切に分離される。モノクローナル抗体をコードするDNA及びRNAは、一般的な手順を使用し、容易に単離及び配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNA及びRNAの供給源として機能し得る。単離されると、DNAは発現ベクター内に挿入され、その後、さもなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞、例えばHEK293細胞、CHO細胞又は骨髄腫細胞中にトランスフェトされ、宿主細胞において組換えモノクローナル抗体の合成が得られる。
本明細書で使用される場合、「細胞」、「細胞株」及び「細胞培養物」という表現は互換的に用いられ、すべてのそのような名称は子孫を含む。したがって、「形質転換体」及び「形質転換細胞」という語は、初代の対象細胞と、導入回数に関係なく、これに由来する培養物とを含む。また、意図的な又は偶然の突然変異に起因して、すべての子孫がDNA量において厳密に同一でなくてもよいことが理解される。元々の形質転換細胞においてスクリーニングしたものと同じ機能又は生物活性を有する変異体子孫が含まれる。
治療方法及び組成物
本発明は、本発明によるヒトPD-L1に結合する抗体との、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインの併用療法の治療的有効量を患者に投与することを特徴とする、治療を必要とする患者を治療するための方法を含む。
本発明は、記載された併用療法のための本発明によるヒトPD-L1に結合する抗体を伴うPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインの使用を含む。
本発明の1つの好ましい実施態様は、がん又は腫瘍の治療における使用のための、本発明のヒトPD-L1に結合する抗体とのPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインの併用療法である。
したがって、本発明の一実施態様は、本明細書に記載の抗PD-L1抗体と組み合わせたがん又は腫瘍の治療における使用のための、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインである。
本発明の別の実施態様は、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと組み合わせたがん又は腫瘍の治療における使用のための、本明細書に記載の抗PD-L1抗体である。
がん又は腫瘍は、腫瘍細胞環境において、例えばPD-1+ T細胞上に抗原を提示し得る。併用療法の標的としてのPD-1は、腫瘍細胞環境において、例えばPD-1+ T細胞において提示され得る。治療は固形腫瘍に対するものであり得る。治療は癌に対するものであり得る。がんは、結腸直腸がん、頭頸部がん、非小細胞肺がん、乳がん、膵臓がん、肝臓がん及び胃がんからなる群から選択され得る。がんは、肺がん、結腸がん、胃がん、乳がん、頭頸部がん、皮膚がん、肝臓がん、腎臓がん、前立腺がん、膵臓がん、脳がん、骨格筋がんからなる群から選択され得る。
本明細書で使用される用語「がん」は、例えば、肺がん、非小細胞肺(NSCL)がん、細気管支肺胞上皮細胞肺がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚黒色腫又は眼球内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん(stomach cancer)、胃がん(gastric cancer)、結腸がん、乳がん、子宮がん、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟組織の肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、膀胱がん、腎臓又は尿管のがん、腎細胞癌、腎盂癌、中皮腫、肝細胞がん、胆道がん、中枢神経系(CNS)の腫瘍、脊椎腫瘍、脳幹神経膠腫、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、シュワン腫、上衣腫、髄芽腫、髄膜腫、扁平上皮癌、下垂体腺腫、リンパ腫、リンパ性白血病(任意の、上記がんの難治性型、又は上記がんのうちの1つ又は複数の組み合わせを含む)であり得る。好ましい一実施態様では、そのようながんは、乳がん、結腸直腸がん、黒色腫、頭頚部がん、肺がん又は前立腺がんである。好ましい一実施態様では、そのようながんは、乳がん、卵巣がん、子宮頚がん、肺がん又は前立腺がんである。別の好ましい実施態様では、そのようながんは、乳がん、肺がん、結腸がん、卵巣がん、黒色腫がん、膀胱がん、腎がん、腎臓がん、肝臓がん、頭頚部がん、結腸直腸がん、膵臓がん、胃がん、食道がん、中皮腫、前立腺がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫である。
本発明の実施態様は、上記のがん又は腫瘍のいずれかの治療における使用のための、本明細書に記載の抗PD-L1抗体と組み合わせた、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインである。
本発明の別の実施態様は、上記のがん又は腫瘍のいずれかの治療における使用のための、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと組み合わせた、本明細書に記載の抗PD-L1抗体である。
本発明は、がんの治療のための、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと、本明細書に記載の抗PD-L1抗体との併用療法を含む。
本発明は、転移の予防又は治療のための、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと、本明細書に記載の抗PD-L1抗体との併用療法を含む。
本発明は、T細胞活性などの免疫応答又は機能を刺激することにおける使用のための、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと、本明細書に記載の抗PD-L1抗体との併用療法を含む。
本発明は、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及び本明細書に記載の抗PD-L1抗体を患者に投与することを特徴とする、それを必要とする患者におけるがんの治療のための方法を含む。
本発明は、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及び本明細書に記載の抗PD-L1抗体を患者に投与することを特徴とする、それを必要とする患者における転移の予防又は治療のための方法を含む。
本発明は、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及び本明細書に記載の抗PD-L1抗体を患者に投与することを特徴とする、それを必要とする患者において、T細胞活性などの免疫応答又は機能を刺激するための方法を含む。
本発明は、本明細書に記載の抗PD-L1抗体と組み合わせたがんの治療における使用のための、あるいは、本明細書に記載の抗PD-L1抗体と組み合わせたがんの治療のための医薬の製造のための、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインを含む。
本発明は、本明細書に記載の抗PD-L1抗体と組み合わせた転移の予防又は治療における使用のための、あるいは、本明細書に記載の抗PD-L1抗体と組み合わせた転移の予防又は治療のための医薬の製造のための、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインを含む。
本発明は、本明細書に記載の抗PD-L1抗体と組み合わせた、T細胞活性などの免疫応答又は機能を刺激することにおける使用のための、あるいは、本明細書に記載の抗PD-L1抗体と組み合わせた、T細胞活性などの免疫応答又は機能を刺激することにおける使用のための医薬の製造のための、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインを含む。
本発明は、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと組み合わせたがんの治療における使用のための、あるいは、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと組み合わせたがんの治療のための医薬の製造のための、本明細書に記載の抗PD-L1抗体を含む。
本発明は、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと組み合わせた転移の予防又は治療における使用のための、あるいは、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと組み合わせた転移の予防又は治療のための医薬の製造のための、本明細書に記載の抗PD-L1抗体を含む。
本発明は、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと組み合わせた、T細胞活性などの免疫応答又は機能の刺激における使用のための、あるいは、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと組み合わせた、T細胞活性などの免疫応答又は機能を刺激することにおける使用のための医薬の製造のための、本明細書に記載の抗PD-L1抗体を含む。
本発明の好ましい実施態様では、上記の併用治療及び異なる疾患の医学的使用において使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とするPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインであり、そのような併用治療で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体は、配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする。
本発明の好ましい実施態様では、上記の併用治療及び異なる疾患の医学的使用において使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とするPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインであり、そのような併用治療で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体は、アテゾリズマブである。
別の態様では、本発明は、組成物、例えば、薬学的に許容される担体と一緒に調製された、本明細書に記載のPD-1標的IL-2変異体免疫サイトカイン及び本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体又はその抗原結合部分を含む薬学的組成物を提供する。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」には、生理学的に適合する、任意及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤並びに吸収/再吸収遅延剤などが含まれる。好ましくは、担体は、注射又は注入に適している。
本発明の組成物は、当技術分野で知られている様々な方法によって投与することができる。当業者により認識されているように、投与経路及び/又は投与様式は、所望の結果に応じて変化するであろう。
薬学的に許容される担体には、滅菌水溶液又は分散液、及び滅菌注射溶液若しくは分散液の調製用の滅菌粉末が含まれる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野で知られている。水の他に、担体は、例えば等張緩衝生理食塩水とすることができる。
選択された投与経路に関わらず、適切な水和形態で使用され得る本発明の化合物及び/又は本発明の薬学的組成物は、当業者に知られている一般的な方法により薬学的に許容される剤形に製剤化される。
本発明の薬学的組成物中の有効成分の実際の用量レベルは、患者に対して毒性でなく(有効量)、特定の患者、組成物、及び投与様式に関して所望の治療的応答を達成するために効果的な有効成分の量を得るために変化させてもよい。選択された用量レベルは、使用される本発明の特定の組成物又はそのエステル、塩若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排泄速度、使用される特定の組成物と併用で用いられる他の薬物、化合物、及び/又は物質、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、全身健康状態、及び既往歴、並びに医学の技術分野において周知である同様の要因を含む多様な薬物動態因子に依存するであろう。
一態様では、本発明は、疾患の治療を目的とした、同じ容器中又は別個の容器中に、(a)本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン、(b)本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体を含み、任意で、(c)疾患を治療するための方法としての併用治療の使用を指示する印刷された説明書を含む添付文書をさらに含むキットを提供する。さらに、キットは、(a)組成物がその中に含まれる第1の容器であって、該組成物が本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体を含む、第1の容器;(b)組成物が含まれる第2の容器であって、該組成物が本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインを含む、第2の容器;及び任意で、(c)組成物がその中に含まれる第3の容器であって、該組成物がさらなる細胞傷害性剤又は他の治療剤を含む、第3の容器を含み得る。本発明のこの実施態様におけるキットは、組成物が特定の状態を治療するために使用できることを示す添付文書をさらに備えてもよい。代替的に又は追加的に、キットは、薬学的に許容される緩衝液、例えば注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液を含む第3の(又は第4の)容器をさらに備えてもよい。キットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針及びシリンジを含む、商業的及びユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに備えてもよい。
一態様では、本発明は、(a)本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインを含む容器、及び(b)疾患を治療するための方法としての、本明細書に記載の抗PD-L1抗体との併用療法におけるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインの使用を指示する説明書を含む添付文書を含む、疾患の治療を目的としたキットを提供する。
別の態様では、本発明は、(a)本明細書に記載の抗PD-L1抗体を含む容器、及び(b)疾患を治療するための方法としての、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインとの併用療法における抗PD-L1抗体の使用を指示する説明書を含む添付文書を含む、疾患の治療を目的としたキットを提供する。
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインを含む、疾患の治療を目的とした医薬であって、前記医薬が、本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体との併用療法における使用のためのものである医薬を提供し、かつ任意で、疾患を治療するための方法としての併用治療の使用を指示する印刷された説明書を含む添付文書を含む。
さらに別の態様では、本発明は、本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体を含む、疾患の治療を目的とした医薬であって、前記医薬が、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインとの併用療法における使用のためのものである医薬を提供し、かつ任意で、疾患を治療するための方法としての併用治療の使用を指示する印刷された説明書を含む添付文書を含む。
用語「治療方法」又はこれと同義の用語は、例えばがんに適用される場合、患者におけるがん細胞の数を減少若しくは消滅させるように、又はがんの症状を緩和するように設計された手順又は一連の行為を指す。がん又は他の増殖性疾患の「治療方法」は、がん細胞若しくは他の疾患が実際に取り除かれること、細胞の数若しくは疾患が実際に低減されること、又はがん若しくは他の疾患の症状が実際に緩和されることを必ずしも意味しない。がんの治療方法はしばしば、成功の可能性が低くても実施されるであろうが、それは、患者の病歴及び推定余命を考慮して、それでも全体的に有益な作用過程を誘導するとみなされている。
「と組み合わせて投与される」又は「共投与」、「共投与する」、「併用療法」又は「併用治療」という用語は、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及び本明細書に記載のヒトPD-L1に結合する抗体の、例えば、別々の製剤/適用としての(又は単一の製剤/適用としての)投与を指す。共投与は、同時であっても又は任意の順序で逐次的であってもよいが、両方(又はすべて)の活性剤がそれらの生物活性を同時に発揮する期間があることが好ましい。前記活性剤は、同時に又は逐次的に(例えば、持続注入を介して静脈内(i.v.)に)共投与される。両方の治療剤が逐次的に共投与される場合、用量は、同じ日に2回の別々の投与で投与されるか、又は一方の薬剤が1日目に投与され、第2の薬剤が2日目から7日目、好ましくは2日目から4日目に共投与される。このように、一実施態様では、用語「逐次的に」は、第1の成分の投与後7日以内、好ましくは第1の成分の投与後4日以内を意味し;用語「同時に」は、同じ時点でを意味する。PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及び/又は抗PD-L1抗体の維持用量に関する「共投与」という用語は、治療サイクル(例えば毎週)が両方の薬物にとって適切である場合、維持用量が同時に共投与され得ることを意味する。又は、維持用量は逐次的に共投与され、例えば、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと抗PD-L1抗体の用量が隔週で投与される。
それぞれの化合物の量又は併用量が、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医によって求められている組織、系、動物若しくはヒトの生物学的又は医学的奏功を引き出すであろう、「治療的有効量」(又は単に「有効量」)で、抗体が患者に投与されることは自明である。
共投与の量及び共投与のタイミングは、治療される患者のタイプ(人種、性別、年齢、体重など)及び状態、並びに治療される疾患又は状態の重症度に依存するであろう。前記PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及び/又は抗PD-L1抗体は、一度に、又は一連の治療にわたって、例えば、同日又は翌日に、又は1週間間隔で患者に適切に共投与される。
抗PD-L1抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインに加えて、化学療法剤も投与することができる。
一実施態様では、本明細書に記載のPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及び本明細書に記載の抗PD-L1抗体と共に投与することができるそのような追加の化学療法剤は、限定されないが、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン及びクロラムブシルなどのナイトロジェンマスタードを含むアルキル化剤を含む抗新生物剤;カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(メチル-CCNU)等のニトロソ尿素);テモダール(Temodal)(TM)(テモゾロミド(temozolamide))、トリエチレンメラミン(TEM)、トリエチレン、チオホスホラミド(チオテパ)、ヘキサメチルメラミン(HMM、アルテレタミン)等のエチレンイミン/メチルメラミン;ブスルファンなどのアルキルスルホネート;ダカルバジン(DTIC)などのトリアジン;葉酸アナログ、例えばメトトレキサート及びトリメトレキサート、ピリミジンアナログ、例えば5-フルオロウラシル(5FU)、フルオロデオキシウリジン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド(AraC、シタラビン)、5-アザシチジン、2,2’-ジフルオロデオキシシチジン、プリンアナログ、例えば6-メルカプトプリン、6-チオグアニン(thioguamne)、アザチオプリン、T-デオキシコホルマイシン(ペントスタチン)、エリトロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、リン酸フルダラビン、及び2-クロロデオキシアデノシン(クラドリビン、2-CdA)を含む代謝拮抗薬;抗有糸分裂薬、例えばパクリタキセル、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン、及びビノレルビンを含むビンカアルカロイド、タキソテール、エストラムスチン、及びリン酸エストラムスチンを含む天然物;ピポドフィロトキシン、例えばエトポシド及びテニポシド;抗生物質、例えばアクチノマイシンD、ダウノマイシン(ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシンC、及びアクチノマイシン;酵素、例えばL-アスパラギナーゼ;生体応答修飾物質、例えばインターフェロン-アルファ、IL-2、G-CSF、及びGM-CSF;白金配位錯体、例えばオキサリプラチン、シスプラチン、及びカルボプラチン、アントラセンジオン、例えばミトキサントロン、置換尿素、例えばヒドロキシウレア、N-メチルヒドラジン(MIH)及びプロカルバジンを含むメチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤、例えばミトタン(o、p-DDD)及びアミノグルテチミドを含む様々な薬剤;副腎皮質ステロイドアンタゴニスト、例えばプレドニゾンとその等価物、デキサメタゾン及びアミノグルテチミドを含むホルモン及びアンタゴニスト;ジェムザール(TM)(ゲムシタビン)、プロゲスチン、例えばカプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロンアセテート及び酢酸メゲストロール;エストロゲン、例えばジエチルスチルベストロール及びエチニルエストラジオール等価物;抗エストロゲン、例えばタモキシフェン;テストステロンプロピオナート及びフルオキシメステロン/等価物を含むアンドロゲン;抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ゴナドトロピン放出ホルモンアナログ及びロイプロリド;並びに非ステロイド性抗アンドロゲン、例えばフルタミドが挙げられる。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、脱メチル化剤(例えばVidaza)及び転写抑制解除(release of transcriptional repression)(ATRA)療法を含むがこれらに限定されないエピジェネティックなメカニズムを標的とする療法も、抗原結合タンパク質と組み合わせることができる。一実施態様では、化学療法剤は、タキサン類(例えばパクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテール)、改変された(modified)パクリタキセル(例えばアブラキサン及びオパキシオ))、ドキソルビシン、スニチニブ(スーテント)、ソラフェニブ(ネクサバール)及び他の多種キナーゼ阻害剤、オキサリプラチン、シスプラチン及びカルボプラチン、エトポシド、ゲムシタビン及びビンブラスチンから成る群より選択される。一実施態様では、化学療法剤は、タキサン類(例えばタキソール(パクリタキセル)、ドセタキセル(タキソテール)、改変されたパクリタキセル(例えばアブラキサン及びオパキシオ)から成る群より選択される。一実施態様では、追加的化学療法剤は、5-フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、イリノテカン又はオキサリプラチンから選択される。一実施態様では、化学療法剤は、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、及びイリノテカン(FOLFIRI)である。一実施態様では、化学療法剤は、5-フルオロウラシル及びオキサリプラチン(FOLFOX)である。
追加的化学療法剤との併用療法の特定の例は、例えば、乳がんの治療のためのタキサン(例えばドセタキセル又はパクリタキセル)又は修飾されたパクリタキセル(例えばアブラキサン又はオパキシオ)、ドキソルビシン)、カペシタビン及び/又はベバシズマブ(アバスチン)を用いる療法;卵巣がんのためのカルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ドキソルビシン(又は修飾されたドキソルビシン(Caelyx又はドキシル)),又はトポテカン(ハイカムチン)を用いる療法;腎臓がんの治療のための多種キナーゼ阻害剤、MKI、(スーテント、ネクサバール又は706)、及び/又はドキソルビシンを用いる療法;扁平上皮癌の治療のためのオキサリプラチン、シスプラチン、及び/又は放射線を用いる療法;肺がんの治療のためのタキソール及び/又はカルボプラチンを用いる療法を含む。
したがって、一実施態様では、追加的化学療法剤は、乳がんの治療のためのタキサン(ドセタキセル又はパクリタキセル又は修飾されたパクリタキセル(アブラキサン又はオパキシオ)、ドキソルビシン、カペシタビン及び/又はベバシズマブの群から選択される。
一実施態様では、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン/PD-L1抗体併用療法は、化学療法剤が投与されないものである。
本発明はまた、本明細書に記載されるような疾患に罹患した患者の治療のための方法を含む。
本発明はさらに、本明細書に記載の本発明によるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン、及び本明細書に記載の本発明による抗PD-L1抗体の有効量を薬学的に許容される担体と一緒に含む薬学的組成物の製造のための方法と、そのような方法のための、本明細書に記載の本発明によるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及び抗PD-L1抗体の使用とを提供する。
本発明は、がんに罹患している患者の治療のための、好ましくは薬学的に許容される担体と一緒の医薬品の製造のための、本明細書に記載の本発明によるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及び本明細書に記載の本発明による抗PD-L1抗体の有効量での使用をさらに提供する。
細胞療法
いくつかの実施態様では、免疫療法は、活性化免疫療法である。いくつかの実施態様では、免疫療法は、がん治療として提供される。いくつかの実施態様では、免疫療法は養子細胞移入を含む。
いくつかの実施態様では、養子細胞移入は、キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR T細胞)の投与を含む。当業者は、CARが、細胞外腫瘍結合部分、最も一般的にはモノクローナル抗体からの一本鎖可変フラグメント(scFv)に融合された細胞内T細胞シグナル伝達ドメインから構成される一種の抗原標的化受容体であることを理解するであろう。
CARは、MHCを介した提示とは無関係に、細胞表面抗原を直接認識し、すべての患者において任意の所定の抗原に特異的な単一の受容体構築物の使用を可能にする。初期のCARは、抗原認識ドメインをT細胞受容体(TCR)複合体のCD3活性化鎖に融合させた。これらの第1世代のCARは、in vitroではT細胞のエフェクター機能を誘導したが、in vivoでは抗腫瘍効果が乏しいため、大きく制限されていた。その後のCARの反復には、CD28、又は4-1BB(CD137)やOX40(CD134)などの様々なTNF受容体ファミリー分子からの細胞内ドメインを含む、CD3とタンデムでの二次共刺激シグナルが含まれている。さらに、第3世代の受容体は、CD3に加えて、最も一般的にはCD28及び4-1BBからの2つの共刺激シグナルを含む。第2世代及び第3世代のCARは、抗腫瘍効果を劇的に改善し、場合によっては進行がん患者の完全寛解を誘導する。一実施態様では、CAR T細胞は、CARを発現するように改変された免疫応答性細胞であり、これは、CARがその抗原に結合するときに活性化される。
一実施態様では、CAR T細胞は、抗原受容体を含む免疫応答性細胞であり、受容体がその抗原に結合すると活性化される。一実施態様では、本明細書に開示される組成物及び方法で使用されるCAR T細胞は、第1世代のCAR T細胞である。別の実施態様では、本明細書に開示される組成物及び方法で使用されるCAR T細胞は、第2世代のCAR T細胞である。別の実施態様では、本明細書に開示される組成物及び方法で使用されるCAR T細胞は、第3世代のCAR T細胞である。別の実施態様では、本明細書に開示される組成物及び方法で使用されるCAR T細胞は、第4世代のCAR T細胞である。
いくつかの実施態様では、養子細胞移入は、T細胞受容体(TCR)修飾T細胞を投与することを含む。当業者は、TCR修飾T細胞が、腫瘍組織からT細胞を単離し、それらのTCRa及びTCRβ鎖を単離することによって製造されることを理解するであろう。これらのTCRa及びTCRβは、後にクローン化され、末梢血から単離されたT細胞にトランスフェクトされ、その後、腫瘍を認識するT細胞からTCRa及びTCRβを発現する。
いくつかの実施態様では、養子細胞移入は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を投与することを含む。いくつかの実施態様では、養子細胞移入は、キメラ抗原受容体(CAR)修飾NK細胞を投与することを含む。当業者は、CAR修飾NK細胞が、患者から単離されたNK細胞、又は腫瘍特異的タンパク質を認識するCARを発現するように操作された市販のNKを含むことを理解するであろう。
いくつかの実施態様では、養子細胞移入は樹状細胞を投与することを含む。
いくつかの実施態様では、免疫療法は、がんワクチンの投与を含む。当業者は、がんワクチンが免疫系をがん特異的抗原及びアジュバントに曝露することを理解するであろう。いくつかの実施態様では、がんワクチンは、sipuleucel-T、GVAX、ADXS11-001、ADXS31-001、ADXS31-164、ALVAC-CEA vaccine、AC Vaccine、talimogene laherparepvec、BiovaxID、Prostvac、CDX110、CDX1307、CDX1401、CimaVax-EGF、CV9104、DNDN、NeuVax、Ae-37、GRNVAC、tarmogens、GI-4000、GI-6207、GI-6301、ImPACT Therapy、IMA901、hepcortespenlisimut-L、Stimuvax、DCVax-L、DCVax-Direct、DCVax Prostate,CBLI、Cvac、RGSH4K、SCIB1、NCT01758328、及びPVX-410を含む群から選択される。
以下の実施例、配列表及び図面は、本発明の理解を助けるために提供され、本発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の精神から逸脱することなく、記載された手順において修正を行うことができることが理解される。
以下の記述において、本発明の実施態様が説明される。
1. A)がんの治療、転移の予防若しくは治療、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することにおける使用のための、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン;
又は
B)がんの治療、転移の予防若しくは治療、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することにおける使用のための、医薬の製造のためのPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインの使用;
又は
C)がんの治療、転移の予防若しくは治療、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することにおける使用のための、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン
であって;
ここで、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせて投与され;
ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、
a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、及び配列番号2のポリペプチド配列、又は
b)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又は
c)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又は
d)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列
を含むことを特徴とし、
かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体は、
a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又は
b)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVL
を含むことを特徴とする。
2. 併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン、又は前述の実施態様のいずれか一項に従った使用。
3. 併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体がアテゾリズマブである、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン、又は前述の実施態様のいずれか一項に従った使用。
4. 免疫サイトカインの抗体成分及び抗体が、ヒトIgG1サブクラス又はヒトIgG4サブクラスのものであることを特徴とする、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン、又は前述の実施態様のいずれか一項に従った使用。
5. 前記抗体が、低減した又は最小のエフェクター機能を有することを特徴とする、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン、又は前述の実施態様のいずれか一項に従った使用。
6. 最小のエフェクター機能が、エフェクターのないFc変異に起因する、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン、又は前述の実施態様のいずれか一項に従った使用。
7. エフェクターのないFc変異が、L234A/L235A又はL234A/L235A/P329G又はN297A又はD265A/N297A(EU番号付け)である、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン、又は前述の実施態様のいずれか一項に従った使用。
8. A)がんの治療、転移の予防若しくは治療、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することのための方法であって、ここで、PD-1が腫瘍細胞環境において提示され;
ここで、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせて投与される、
方法、
又は
B)腫瘍を有する患者の治療方法であって、ここで、PD-1が腫瘍細胞環境において提示され、ここで、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせて投与される方法
であって;
ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、
a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、及び配列番号2のポリペプチド配列、又は
b)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又は
c)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又は
d)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列
を含むことを特徴とし、
かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体は、
a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又は
b)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVL
を含むことを特徴とする。
9. それを必要とする患者におけるがんの治療のため、それを必要とする患者における転移の予防若しくは治療のため、又はそれを必要とする患者において、T細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激するための方法であって、
PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと抗PD-L1抗体を患者に投与することを含み、
ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、
a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、及び配列番号2のポリペプチド配列、又は
b)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又は
c)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又は
d)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列
を含むことを特徴とし、
かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、
a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又は
b)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVL
を含むことを特徴とする、
方法。
10. がんの治療のための、実施態様9に記載の方法。
11. 乳がん、肺がん、結腸がん、卵巣がん、メラノーマがん、膀胱がん、腎がん、腎臓がん、肝臓がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、黒色腫、膵臓がん、胃がん、食道がん、中皮腫、前立腺がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫の治療のための、実施態様10に記載の方法。
12. 併用療法で使用されるPD1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする、実施態様8から11のいずれか一項に記載の方法。
13. 併用療法で使用されるPD1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体がアテゾリズマブである、実施態様8から12のいずれか一項に記載の方法。
14. 免疫サイトカインの抗体成分及び抗体が、ヒトIgG1サブクラス又はヒトIgG4サブクラスのものであることを特徴とする、実施態様8から13のいずれか一項に記載の方法。
15. 前記抗体が、低減した又は最小のエフェクター機能を有することを特徴とする、実施態様8から14のいずれか一項に記載の方法。
16. 最小のエフェクター機能が、エフェクターのないFc変異に起因する、実施態様8から15のいずれか一項に記載の方法。
17. エフェクターのないFc変異が、L234A/L235A又はL234A/L235A/P329G又はN297A又はD265A/N297A(EU番号付け)である、実施態様8から16のいずれか一項に記載の方法。
18. 前記PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及びヒトPD-L1に結合する抗体が、同時に又は逐次的に投与される、実施態様8から17のいずれか一項に記載の方法。
19. 前記患者に化学療法剤を投与することをさらに含む、実施態様8から18のいずれか一項に記載の方法。
20. それを必要とする患者におけるがんの治療、それを必要とする患者における転移の予防若しくは治療、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することを目的とし、同じ容器中又は別個の容器中に、(a)PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと、(b)ヒトPD-L1に結合する抗体と、任意で、(c)併用治療における、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及びヒトPD-L1に結合する抗体の使用を指示する印刷された説明書を含む添付文書とを含む
キットであって、
ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、
a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、及び配列番号2のポリペプチド配列、又は
b)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又は
c)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又は
d)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列
を含むことを特徴とし、
かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、
a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又は
b)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVL
を含むことを特徴とする
キット。
21. それを必要とする患者におけるがんの治療、それを必要とする患者における転移の予防若しくは治療、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することを目的とし、(a)PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインを含む容器と、(b)疾患を治療するための方法としての、ヒトPD-L1に結合する抗体との併用療法におけるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインの使用を指示する説明書を含む添付文書とを含む、キットであって、
ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、
a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、及び配列番号2のポリペプチド配列、又は
b)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又は
c)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又は
d)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列
を含むことを特徴とし、
かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、
a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又は
b)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVL
を含むことを特徴とする
キット。
22. それを必要とする患者におけるがんの治療、それを必要とする患者における転移の予防若しくは治療、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することを目的とし、(a)ヒトPD-L1に結合する抗体を含む容器、及び(b)疾患を治療するための方法としての、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインとの併用療法におけるヒトPD-L1に結合する抗体の使用を指示する説明書を含む添付文書を含む
キットであって、
ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、
a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、及び配列番号2のポリペプチド配列、又は
b)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又は
c)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又は
d)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列
を含むことを特徴とし、
かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、
a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又は
b)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVL
を含むことを特徴とする
キット。
23. がんの治療のための、実施態様21から22に記載のキット。
24. 乳がん、肺がん、結腸がん、卵巣がん、メラノーマがん、膀胱がん、腎がん、腎臓がん、肝臓がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、黒色腫、膵臓がん、胃がん、食道がん、中皮腫、前立腺がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫の治療のための、実施態様23に記載のキット。
25. 併用療法で使用されるPD1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする、実施態様21から24のいずれか一項に記載のキット。
26. 併用療法で使用されるPD1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体がアテゾリズマブである、実施態様21から24のいずれか一項に記載のキット。
27. 免疫サイトカインの抗体成分及び抗体が、ヒトIgG1サブクラス又はヒトIgG4サブクラスのものであることを特徴とする、実施態様21から26のいずれか一項に記載のキット。
28. 前記抗体が、低減した又は最小のエフェクター機能を有することを特徴とする、実施態様21から27のいずれか一項に記載のキット。
29. 最小のエフェクター機能が、エフェクターのないFc変異に起因する、実施態様21から28のいずれか一項に記載のキット。
30. エフェクターのないFc変異が、L234A/L235A又はL234A/L235A/P329G又はN297A又はD265A/N297A(EU番号付け)である、実施態様21から29のいずれか一項に記載のキット。
31. それを必要とする患者におけるがんの治療、それを必要とする患者における転移の予防若しくは治療、それを必要とする患者における炎症性疾患の治療、それを必要とする患者における腫瘍免疫などの免疫関連疾患を治療すること又はその進行を遅延させること、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することを目的とし、
PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインを含む
医薬であって、
ここで、前記医薬は、ヒトPD-L1に結合する抗体との併用療法における使用のためのものであり、任意で、併用治療における、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン及びヒトPD-L1に結合する抗体の使用を指示する印刷された説明書を含む添付文書を含み、
ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、
a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、及び配列番号2のポリペプチド配列、又は
b)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又は
c)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又は
d)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列
を含むことを特徴とし、
かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、
a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又は
b)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVL
を含むことを特徴とする
医薬。
32. がんの治療のための、実施態様31に記載の医薬。
33. 乳がん、肺がん、結腸がん、卵巣がん、メラノーマがん、膀胱がん、腎がん、腎臓がん、肝臓がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、黒色腫、膵臓がん、胃がん、食道がん、中皮腫、前立腺がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫の治療のための、実施態様32に記載の医薬。
34. 併用療法で使用されるPD1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする、実施態様31から33のいずれか一項に記載の医薬。
35. 併用療法で使用されるPD1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体がアテゾリズマブである、実施態様31から33のいずれか一項に記載の医薬。
36. 免疫サイトカインの抗体成分及び抗体が、ヒトIgG1サブクラス又はヒトIgG4サブクラスのものであることを特徴とする、実施態様31から35のいずれか一項に記載の医薬。
37. 前記抗体が、低減した又は最小のエフェクター機能を有することを特徴とする、実施態様31から36のいずれか一項に記載の医薬。
38. 最小のエフェクター機能が、エフェクターのないFc変異に起因する、実施態様31から37のいずれか一項に記載の医薬。
39. エフェクターのないFc変異が、L234A/L235A又はL234A/L235A/P329G又はN297A又はD265A/N297A(EU番号付け)である、実施態様31から38のいずれか一項に記載の医薬。
40. 免疫療法による治療又は前治療を含む、実施態様1から39のいずれかに記載の使用又は医薬の使用又は使用のための組み合わせ。
41. 前記免疫療法が、養子細胞移入、モノクローナル抗体の投与、サイトカインの投与、がんワクチンの投与、T細胞関与療法、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施態様40。
42. 養子細胞移入が、キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR T細胞)、T細胞受容体(TCR)修飾T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、キメラ抗原受容体(CAR)修飾ナチュラルキラー細胞、T細胞受容体(TCR)形質導入細胞、若しくは樹状細胞、又はそれらの任意の組み合わせの投与を含む、実施態様41。
実施例
マウスサロゲートPD-1-IL2vイムノコンジュゲートを単独で、及びマウスサロゲートPD-L1 Mabと組み合わせて、同系マウスモデル及びRT5トランスジェニックマウスモデルにおける抗腫瘍効果について試験した。
材料
PD1-Il2v及びmuPD1-IL2v
抗体重鎖のための発現カセット-インターロイキン-2(IL-2)融合タンパク質[抗ヒトPD-1抗体の重鎖可変領域、ヒトIgG1重鎖(エフェクター機能の除去のための変異L234A、L235A及びP329G(EU番号付け)、並びにヘテロ二量体化(「ノブ」)のための変異S354C及びT366W(EU番号付け)を有する)、(G4S)3リンカー、及びヒトIL-2v(T3A、F42A、Y45A、L72G、及びC125Aの変異を有する)]、抗体重鎖のための発現カセット[抗ヒトPD-1抗体の重鎖可変領域、及びヒトIgG1重鎖(エフェクター機能の除去のための変異L234A、L235A、及びP329G(EU番号付け)、ヘテロ二量体化(「ホール」)のための変異Y349C、T366S、L368A及びY410V(EU番号付け)、並びに任意選択的に変異H435R及びY436F(EU番号付け)を有する]及び抗体軽鎖のための発現カセット[抗ヒトPD-1抗体の軽鎖可変領域、及びヒトCkappa定常領域]。遺伝子合成によって生成された。
それらはそれぞれ、HindIII及びNheI消化を介して、CMVプロモーターとそれに続くIntronAの制御下で発現ベクターにクローン化され、BGH-ポリAシグナルによって終結した。ベクターはさらに、細菌のアンピシリン耐性遺伝子と大腸菌からの複製起点を含んでいた。
ヒトPD1-IL-2v融合タンパク質(配列番号7、8及び9)は、HEK293F細胞(Invitrogen)を上記のベクターと1:1:1の比率で振とうフラスコ中で同時導入することにより生成された。1週間後、上清を回収し、滅菌フィルターを介してろ過した。
融合タンパク質は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーとサイズ排除クロマトグラフィーの組み合わせによって上清から精製された。得られた生成物は、質量分析による同一性、及びキャピラリー電気泳動(CE-SDS)による純度、単量体含有量及び安定性などの分析特性について特徴づけられた。
マウスサロゲートPD1-IL2v融合タンパク質(配列番号12、13及び14)も同様に産生された。サロゲート分子は、マウスIgG1抗マウスPD-1抗体(エフェクター機能の除去のため及びヘテロ二量体化のためのFc変異を有する)及びヒト分子に類似した変異を有するマウスインターロイキン-2を含む。
両方の融合タンパク質は、良好な収率で産生することができ、安定している。
ヒト/マウス交差反応性抗PD-L1抗体を研究に使用した。例えば、国際公開第2010/077634号(配列は図11に示される)に記載されているYW243.55.S70PD-L1抗体に基づく抗マウスPD-L1サロゲート抗体であって、YW243.55.S70 PD-L1 muIgG1と呼ばれるものが、in vivo腫瘍モデルにおける使用のために生成された。この抗体は、FcγR相互作用を無効にするDAPG変異を含んでいた。YW243.55.S70の可変領域は、DAPG Fc変異を有するマウスIgG1定常ドメインに結合していた。
YW243.55.S70 PD-L1muIgG1のポリペプチド配列は以下の通りである。
YW243.55.S70 PD-L1 muIgG1 DAPG HC(配列番号21):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSAAKTTPPSVYPLAPGSAAQTNSMVTLGCLVKGYFPEPVTVTWNSGSLSSGVHTFPAVLQSDLYTLSSSVTVPSSTWPSETVTCNVAHPASSTKVDKKIVPRDCGCKPCICTVPEVSSVFIFPPKPKDVLTITLTPKVTCVVVDISKDAPEVQFSWFVDDVEVHTAQTQPREEQFNSTFRSVSELPIMHQDWLNGKEFKCRVNSAAFGAPIEKTISKTKGRPKAPQVYTIPPPKEQMAKDKVSLTCMITDFFPEDITVEWQWNGQPAENYKNTQPIMDTDGSYFVYSKLNVQKSNWEAGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSPGK
YW243.55.S70 PD-L1 muIgG1 LC(配列番号22):
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC
実施例1
MC38結腸直腸皮下同系モデル
マウスサロゲートPD1-IL2vイムノコンジュゲート(muPD1-IL2v:配列番号12、13、14)を、Black6マウスに皮下注射されたマウス結腸直腸MC38細胞株で試験した。抗PD-L1抗体PD-L1 6E11 muIgG1を、この研究において使用した(配列番号21、22)。
MC38結腸直腸癌腫瘍細胞株は、10%のFCS(Gibco)を含むDMEM中で、37℃、5%のCO2の水飽和雰囲気中で常套的に培養された。継代11は、91%の生存率で、移植のために使用された。1匹あたり5x10個の細胞を、1mlのツベルクリンシリンジ(BD Biosciences)を使用して、100μlのRPMI細胞培養培地(Gibco)中でマウスの脇腹に皮下注射した。
実験開始時に6~8週齢のメスのBlack 6(Charles Rivers,Lyon,France)は、特定の病原体がない条件下で、コミットされたガイドライン(GV-Solas;Felasa;TierschG)に従って、毎日12時間の明所/12時間の暗所のサイクルで維持された。動物は、到着後1週間、新しい環境への馴致及び観察のために維持された。継続的な健康モニタリングが定期的に実施された。
マウスは、試験日0日目に5x10個のMC38細胞を皮下注射し、無作為化し、体重を測定した。腫瘍細胞注射(腫瘍体積>150mm)の1週間後、マウスに、muPD1-IL2v、muPD-L1-Mab、又はmuPD1-IL2v+muPD-L1-Mabの組み合わせを2週間、静脈内注射した。すべてのマウスに200μlの適切な溶液を静脈内注射した。ビヒクル群のマウスにはヒスチジン緩衝液を注射し、治療群にはmuPD1-IL2v構築物0.5mg/kgを週1回(qw)、又はmuPD-L1 Mab10mg/kgを静注で(iv)1回、その後5mg/kgを週2回(2qw)注射し、あるいはmuPD1-IL-2v+muPD-L1 Mabの組み合わせを注射した。200μlあたり適切な量のイムノコンジュゲートを得るために、必要に応じてストック溶液をヒスチジン緩衝液で希釈した。
図1及び表1Aは、muPD-IL2vとmuPD-L1 Mabの組み合わせが、muPD1-IL2v及びmuPD-L1Mabの単独と比較して腫瘍増殖阻害に関して優れた有効性を媒介したことを示している。
Figure 2022045530000003
Figure 2022045530000004
実施例2
PanNETのRip-Tag5(RT5)トランスジェニックマウスモデル
方法
PanNETのRip-Tag5(RT5)トランスジェニックマウスモデル。Rip-Tag5マウスの生成は以前に記載されている(J Clin Invest. 1996;97(1):54-64。https://doi.org/10.1172/JCI118406)。この研究のRip-Tag5マウスは、C57B6/Nバックグラウンドであった。動物実験は、承認されたライセンスVD3133及びVD3475の下で実施された。
RT5マウスでの前臨床薬物試験。Rip-Tag5マウスを試験に登録するために、22週齢のマウスをMS550D 40MHzトランスデューサー(Visual Sonic)を備えたVevo2100システムを使用した超音波画像検査によってPanNETの存在についてスクリーニングした。Rip-Tag5は、累積腫瘍負荷に基づいて、異なる治療群に無作為に割り当てられた。長期研究のために、腫瘍は2週間ごとにモニターされた。
薬と投薬計画。実施例2で使用されたすべての薬物は、本明細書で明示的に述べられていないが、マウスサロゲート分子であった。マウス抗PD-L1抗体であって、6E11-muIgG2aと略される「6E11バインダーmuIgG2a(PGLALA)」、6E11-muIgG1と略される「6E11バインダーmuIgG1(DAPG)」及びS70-muIgG1と略される「YW243.55.S70バインダーmuIgG1(DAPG)」が使用された。
図3Dをもたらす4匹のRip-Tag5マウスの抗PD-L1治療において、マウス抗PD-L1抗体が表2に従って投与された。
Figure 2022045530000005
図3Eをもたらす7匹のRip-Tag5マウスのPD1-IL2v及び抗PD-L1の併用治療において、マウス抗PD-L1抗体が表3に従って投与された。
Figure 2022045530000006
薬物は、マウスあたり次の量の腹腔内注射によって投与した:抗PD1-低:22.75μg、週1回(q1wk)(PD1-IL2vに対して等モル)、抗PD1-高:250μg、週1回(q1wk)(治療用量)、DP47-IL2v:25μg、週1回(q1wk)、PD1-IL2v:25μg、週1回(q1wk)、抗PDL1:初回投与量は250μg、続いて125μgを8週間の期間、週2回。
フローサイトメトリー。脾臓の単細胞懸濁液は、40μmのセルストレーナーを通して脾臓をすりつぶすことによって生成された。PD PharmLyse緩衝液(BD Biosciences 555899)で赤血球を溶解した後、脾細胞を抗マウスCD16/32(BioLegend、カタログ番号101302)でブロックした。生/死染色は、固定可能な生存率染色780(BD 565388)を用いて実施された。TAG特異的CD8 T細胞をSV40TAGマルチマー(APC-MHC-H2Kb-VVYDFLKC、ローザンヌ大学)で染色した後、表面抗原に対する抗体を染色した。Foxp3染色キット(Invitrogen、カタログ番号00-5523-00)を製造元の指示に従って使用して、固定化及び透過処理後に細胞内タンパク質を染色した。パネルは以下の抗体で構成されていた:CD4-BV510(BioLegend、カタログ番号100553)、CD8-BB515(BD Biosciences、カタログ番号564422)、PD1-PE-Cy7(BioLegend、カタログ番号109110)、LAG3-BV421(BioLegend、カタログ番号125221)、TIGIT-PE-Dazzle 594(BioLegend、カタログ番号142109)、CD28-BB700(BD Biosciences、カタログ番号566513)、ICOS-BV785(BioLegend、カタログ番号313534)、KLRG1-BV711(BioLegend、カタログ番号138427)、CD25-APC-R700(BD Biosciences、カタログ番号565135)、CD127-BV650(BioLegend、カタログ番号135043)、CD27-BUV395(BD Biosciences、カタログ番号740247)、Foxp3-PE(Invitrogen、カタログ番号12-5773-82)。試料は、BDLSR Fortessaフローサイトメーターで分析され、データはFlowJoソフトウェアとGraphPadPrismで処理された。
免疫組織化学。腫瘍はOCTに埋め込まれ、ドライアイス上で凍結された。厚さ10μmのメタノール固定切片が、CD8-FITC(BioLegend、カタログ番号100705)、PD1-PE(BioLegend、カタログ番号12-9981-82)、CD31-FITC(PD Biosciences、カタログ番号553372)、PDL1-PE(Invitrogen、カタログ番号12-5982-82)、T抗原(TAG、自社生産)、抗ウサギAlexaFluor 647(TAGの二次抗体、Abcam、カタログ番号ab150075)による染色に供され、DAPI(Rocheカタログ番号10236276001)により対比染色された。切片は、ライカDM5500顕微鏡とオリンパスVS120スライドスキャナーで画像化された。画像は、AdobePhotoshopとQuPathソフトウェアで処理された。
Rip-Tag5マウスにおける前臨床薬物試験。Rip-Tag5マウスを試験に登録するために、7mmol/L未満の血糖値を示す22週齢のマウスを、MS550D 40MHzトランスデューサー(Visual Sonic)を備えたVevo2100システムを使用した超音波画像検査によってPanNET膵島腫瘍の存在についてスクリーニングした。Rip-Tag5マウスは、累積腫瘍負荷に基づいて、異なる治療群に無作為に割り当てられた。長期有効性試験において、平均開始時腫瘍負荷は28mm2、平均開始時年齢は25週、平均開始時血糖値は5.8mmol/Lであった。腫瘍は、最大16週間、完全なレスポンダーについて2週間ごと又は4週間ごとに、超音波画像検査によってモニターされた。Accu-Chek血糖計(Roche)を使用して、血糖値を毎週モニターした。エンドポイントの基準は、腫瘍負荷、低血糖(3mmol/L以下の血糖値)、一般的な健康状態、及び体重減少(15%以上)によって定義された。
結果
CD8 T細胞の標的化に対する二重特異性分子PD1-IL2vの影響を評価するために、腫瘍を有するRip-Tag5マウスをPD1-IL2vで14日間処理した。脾臓における総CD8T細胞及び腫瘍抗原TAGに対して反応性のCD8T細胞の増殖をフローサイトメトリーにより決定し、抗PD1、DP47-IL2v、抗PDL1の単剤治療及び抗PD1+DP47-IL2vの併用治療と比較した。抗PD1については、2つの濃度を使用した;抗PD1-lowは二重特異性分子のPD1と等モルであり、抗PD1-highはこの薬物に使用される治療用量である。DP47-IL2vを単独で、又は抗PD1と組み合わせた治療は、未治療のコントロールマウスと比較して、総CD8T細胞が3~4倍増加した(図2A)。同様に、PD1-IL2v治療は、Rip-Tag5マウスの脾臓における総CD8 T細胞の2.5倍の増殖をもたらした(図2A)。DP47-IL2vは総CD8 T細胞集団を強力に増加させた一方で、TAG特異的CD8 T細胞は、IL2v分子がPD1部分に連結されている場合、PD1-IL2vによる治療時にのみ増殖した。PD1-IL2v治療による腫瘍抗原特異的CD8 T細胞の生成の増加は、腫瘍部位でのCD8 T細胞の浸潤の増加につながったが、DP47-IL2vと組み合わせた抗PD1の治療では、腫瘍内CD8 T細胞をわずかに増加させた(図2C)。例えば、抗PD-L1又は抗PD1において使用されるような「抗PD」という用語は、図2A-C、図3D及び図4A-Bにおいて「aPD」と略される。
治療設定におけるPD1-IL2vの有効性を評価するために、Rip-Tag5マウスを、PD1-IL2vで8週間治療した。Rip-Tag5マウスは、超音波画像検査によって決定された腫瘍の大きさに基づいて試験に登録され、腫瘍の増殖は12週間にわたってモニターされた。累積開始時腫瘍負荷は、20~40mmの範囲であった。RipTag5マウスで発生する膵神経内分泌腫瘍(PanNET)は、未治療のマウスでは4週間の倍加時間で増殖した(図3A)。PD1-IL2vの治療は、すべてのマウスで腫瘍サイズの縮小をもたらした。最初の4週間における最初の減少の後、マウスの50%がPD1-IL2vに対する抵抗性を獲得し、腫瘍が進行した(図3B)。
PD1-IL2v療法に対する獲得耐性のメカニズムを調べるために、PD-IL2vに耐性のある腫瘍を分析した。これらの再発腫瘍の分析により、特にCD31陽性腫瘍血管系におけるPDL1の上方制御が明らかになった(図3C)。未治療のPanNET腫瘍はPDL1に対して陰性に染色され、PD1-IL2vで観察されたPDL1の上方制御が耐性のメカニズムである可能性があることを示している(図3C)。我々は、PD1-IL2vと抗PDL1の組み合わせは、腫瘍の再発を防ぐ相加的な治療効果をもたらす可能性があると仮説を立てた。腫瘍を有するRip-Tag5マウスにおける抗PDL1単剤療法は、腫瘍縮小をもたらさなかったが(図3D)、PD1-IL2vと組み合わせた抗PDL1は、PD1-IL2v単剤療法を実質的に改善した。観察された12週間の時間範囲にわたって、抗PDL1と組み合わせたPD1-IL2vで治療されたすべてのマウスは、併用療法に対する耐性の発達なしに腫瘍縮小を示した(図3E)。腫瘍増殖曲線の分析により、PD1-IL2vと比較して、併用療法は治療の最初の2週間以内に腫瘍縮小率の向上をもたらすことが明らかとなり、早期の時点でPDL1をブロックすることが、PD1-IL2v単剤療法を改善するために必要である可能性があることを示している。まとめると、データは、PD1-IL2vを抗PDL1と組み合わせると、PD1-IL2vの治療効果が高まり、PanNETのマウスモデルで腫瘍の再発を防ぐことが明らかになった。
担がんRip-Tag5マウスをPD1-IL2vと抗PD-L1の併用薬物治療に供し、腫瘍の進行を超音波画像検査によって16週間モニターした。図4Aは、生存率グラフとして表した奏効率を示す。PD-IL2vの2匹のマウスとPD1-IL2v+抗PD-L1治療群の1匹のマウスは、完全寛解のために重度の高血糖を発症し、安楽死させなければならなかった。これらのマウスは、グラフでは依然として完全なレスポンダーとみなされた。図4Bは、抗PD-L1及びPD1-IL2v+抗PD-L1治療の0週間及び2週間後の腫瘍の代表的な超音波画像を示しており、これには、抗PD-L1と組み合わせたPD1-IL2v治療時の完全なレスポンダーが含まれる。
Figure 2022045530000007
Figure 2022045530000008
Figure 2022045530000009
Figure 2022045530000010

Claims (16)

  1. がんの治療における併用療法としての使用のための、転移の予防若しくは治療における併用療法としての使用のための、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することにおける併用療法としての使用のための、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインであって、
    ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、
    a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、及び配列番号2のポリペプチド配列、又は
    b)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又は
    c)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又は
    d)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列
    を含むことを特徴とし、
    かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、
    a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又は
    b)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVL
    を含むことを特徴とする
    PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  2. がんの治療における使用のための、請求項1に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  3. 乳がん、肺がん、結腸がん、卵巣がん、メラノーマがん、膀胱がん、腎がん、腎臓がん、肝臓がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、黒色腫、膵臓がん、胃がん、食道がん、中皮腫、前立腺がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫の治療における使用のための、請求項2に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  4. 転移の予防又は治療における使用のための、請求項1に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  5. 腫瘍免疫など、免疫関連疾患を治療すること又はその進行を遅延させることにおける使用のための、請求項1に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  6. T細胞活性などの免疫応答又は機能を刺激することにおける使用のための、請求項1に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  7. i)腫瘍における腫瘍増殖の阻害;及び/又は
    ii)腫瘍を有する対象の生存期間中央値及び/又は全生存期間を向上させること
    における使用のための、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインであって;
    ここで、PD-1が、免疫細胞、特にT細胞上に、又は腫瘍細胞環境において提示され、
    ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、
    a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、及び配列番号2のポリペプチド配列、又は
    b)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又は
    c)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又は
    d)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列
    を含むことを特徴とし、
    かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、
    a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又は
    b)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVL
    を含むことを特徴とする
    PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  8. 併用療法で使用されるPD1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  9. 併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体がアテゾリズマブである、請求項1から8のいずれか一項に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  10. 免疫サイトカインの抗体成分及び抗体が、ヒトIgG1サブクラス又はヒトIgG4サブクラスのものであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  11. 前記抗体が、低減した又は最小のエフェクター機能を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  12. 最小のエフェクター機能が、エフェクターのないFc変異に起因する、請求項11に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  13. エフェクターのないFc変異が、L234A/L235A又はL234A/L235A/P329G又はN297A又はD265A/N297Aである、請求項1から12のいずれか一項に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  14. 患者が免疫療法で治療されているか、又は免疫療法で前治療されていた、請求項1から13のいずれか一項に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  15. 前記免疫療法が、養子細胞移入、モノクローナル抗体の投与、サイトカインの投与、がんワクチンの投与、T細胞関与療法、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項14に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
  16. 養子細胞移入が、キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR T細胞)、T細胞受容体(TCR)修飾T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、キメラ抗原受容体(CAR)修飾ナチュラルキラー細胞、T細胞受容体(TCR)形質導入細胞、若しくは樹状細胞、又はそれらの任意の組み合わせの投与を含む、請求項15に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
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