JP2022041916A - レジスト組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な感度、良好なLWR性能及び良好な欠陥耐性をバランスよく有するレジスト組成物、並びに該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法の提供。【解決手段】基材成分(A)、酸発生剤成分(B)、及び前記酸発生剤成分(B)から露光により発生する酸の拡散を制御する、酸拡散制御剤(D)を含有し、前記酸発生剤成分(B)が、下記式(b1-1)で表される基をアニオン部に有する酸発生剤(B1)、及び(B1)とは異なる酸発生剤(B2)を含み、前記酸拡散制御剤(D)が、下記式(d0)で表される基をアニオン部に有する光崩壊性塩基(D0)を含み、含窒素有機化合物(D2)を含まないことを特徴とする、レジスト組成物。式中、Rb1は、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。ただし、Rb1は、ハロゲン原子を含まない。[化1]TIFF2022041916000065.tif35170【選択図】なし

Description

本発明は、レジスト組成物及びレジストパターン形成方法に関する。
本願は、2020年9月1日に大韓民国に出願された、韓国特許出願第10-2020-0111254号に基づき優先権主張し、その内容をここに援用する。
リソグラフィー技術においては、例えば、基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、上記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。レジスト膜の露光部が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、レジスト膜の露光部が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般的に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が行われている。また、これらのエキシマレーザーより短波長(高エネルギー)のEUV(極紫外線)や、EB(電子線)、X線等についても検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が要求される。
このような要求を満たすレジスト材料として、従来、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分と、を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
例えば、上記現像液がアルカリ現像液(アルカリ現像プロセス)の場合、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(ベース樹脂)と酸発生剤成分とを含有するものが一般的に用いられている。かかるレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において、酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用によりベース樹脂の極性が増大して、レジスト膜の露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。そのため、アルカリ現像することにより、レジスト膜の未露光部がパターンとして残るポジ型パターンが形成される。
一方で、このような化学増幅型レジスト組成物を、有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いた溶剤現像プロセスに適用した場合、ベース樹脂の極性が増大すると相対的に有機系現像液に対する溶解性が低下するため、レジスト膜の未露光部が有機系現像液により溶解、除去されて、レジスト膜の露光部がパターンとして残るネガ型のレジストパターンが形成される。このようにネガ型のレジストパターンを形成する溶剤現像プロセスをネガ型現像プロセスということがある。
化学増幅型レジスト組成物において使用されるベース樹脂は、一般的に、リソグラフィー特性等の向上のために、複数の構成単位を有している。
例えば、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分の場合、酸発生剤等から発生した酸の作用により分解して極性が増大する酸分解性基を含む構成単位が用いられ、その他、ラクトン含有環式基を含む構成単位、水酸基等の極性基を含む構成単位等が併用されている。
また、レジストパターンの形成においては、露光により酸発生剤成分から発生する酸の挙動がリソグラフィー特性に大きな影響を与える一要素とされる。
化学増幅型レジスト組成物において使用される酸発生剤としては、これまで多種多様なものが提案されている。例えば、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤等が知られている。
オニウム塩系酸発生剤としては、主に、カチオン部にトリフェニルスルホニウム等のオニウムイオンを有するものが用いられている。オニウム塩系酸発生剤のアニオン部には、一般的に、アルキルスルホン酸イオンやそのアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたフッ素化アルキルスルホン酸イオンが用いられている。
近年、レジストパターンの微細化はますます進められ、従来のレジスト組成物には、レジストパターンの形成において良好な形状のレジストパターンを形成できることがさらに要求されている。また、種々のリソグラフィ特性のさらなる向上が要求されている。
これにより、かかるレジスト組成物には、レジストパターンの解像性及び断面形状の矩形性に優れるだけでなく、LWR(Line Width Roughness、ラインウィズスラフネス)性能、CDU(Critical Dimension Uniformity、臨界寸法均一性)性能、EL(Exposure Latitude、露光余裕度)性能、現像欠陥抑制性、PEB(Post Exposure Bake、露光後ベーク)後の膜収縮抑制性等にも優れることが要求される。また、レジスト組成物は、良好な保存安定性を有することも要求される。これらの要求に対して、レジスト組成物に用いられる酸発生剤、酸拡散制御剤及びその他の成分についてその種類や分子構造等が詳細に検討されている。
しかし、レジストパターンの微細化が線幅45nm以下のレベルまで進展している現在にあっては、上記性能の要求レベルはさらに高まり、上記従来のレジスト組成物では、これらの要求を満たすことはできていない。
レジストパターンの形成において、種々のリソグラフィ特性の向上を図るために、酸解離性基を含む重合体と、特定の構造を有するスルホン酸塩と、溶媒とを含有する感放射線性樹脂組成物や、他の種類の酸発生剤を含有するレジスト組成物も提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかし、従来のレジスト組成物を用いてパターン形成したところ、良好なLWR性能及び良好な欠陥耐性の向上の両立が十分なものではなかったことから、さらに高いレベルでの両立が必要であった。
特開2009-244352号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、本発明は、良好な感度、良好なLWR性能及び良好な欠陥耐性をバランスよく有するレジスト組成物、並びに該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、特定の基をアニオン部に有する酸発生剤と、上記酸発生剤とは異なる酸発生剤と、特定の基をアニオン部に有する光崩壊性塩基を含み、含窒素有機化合物を酸拡散制御剤として含まないレジスト組成物を使用することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]
露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、
酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、
露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)、及び
前記酸発生剤成分(B)から露光により発生する酸の拡散を制御する、酸拡散制御剤(D)を含有し、
前記酸発生剤成分(B)が、下記式(b1-1)で表される基をアニオン部に有する酸発生剤(B1)、及び(B1)とは異なる酸発生剤(B2)を含み、
前記酸拡散制御剤(D)が、下記式(d0)で表される基をアニオン部に有する光崩壊性塩基(D0)を含み、含窒素有機化合物(D2)を含まないことを特徴とする、レジスト組成物。
Figure 2022041916000001
Figure 2022041916000002
[式中、Rbは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。ただし、Rbは、ハロゲン原子を含まない。]
[2]
前記酸発生剤(B2)が、下記式(b-1)で表される化合物、下記式(b-2)で表される化合物又は下記式(b-3)で表される化合物から選択され、ただし、式(b-2)で表される化合物が、アニオン部に式(b1-1)で表される基を有さないことを特徴とする、上記[1]に記載のレジスト組成物。
Figure 2022041916000003
[式中、R101、R104~R108は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。R104、R105は、互いに結合して環を形成していてもよい。R102は、フッ素原子又は炭素数1~5のフッ素化アルキル基である。Y101は、単結合又は酸素原子を含む2価の連結基である。V101~V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。L101~L102は、それぞれ独立に、単結合又は酸素原子である。L103~L105は、それぞれ独立に、単結合、-CO-又は-SO-である。mは、1以上の整数であって、M’m+は、m価のオニウムカチオンである。]
[3]
上記式(d0)で表される基が下記式(d0-1)~(d0-23)で表される基から選択されることを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載のレジスト組成物。
Figure 2022041916000004
[4]
添加剤(E)をさらに含有することを特徴とする、上記[1]~[3]のいずれかに記載のレジスト組成物。
[5]
フッ素添加剤(F)をさらに含有することを特徴とする、上記[1]~[4]のいずれかに記載のレジスト組成物。
[6]
上記[1]~[5]のいずれかに記載のレジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光されたレジスト膜に現像液を用いて現像する工程を含むことを特徴とする、レジストパターンの形成方法。
本発明によれば、良好な感度、良好なLWR性能及び良好な欠陥耐性をバランスよく有するレジスト組成物、並びに該レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法を提供することができる。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環式の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環式の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH-COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rα0)は、水素原子以外の原子又は基であり、例えば、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。また、置換基(Rα0)がエステル結合を含む置換基で置換されたイタコン酸ジエステルや、置換基(Rα0)がヒドロキシアルキル基やその水酸基を修飾した基で置換されたαヒドロキシアクリルエステルも包含するものとする。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「アクリルアミドから誘導される構成単位」とは、アクリルアミドのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
アクリルアミドは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、アクリルアミドのアミノ基の水素原子の一方又は両方が置換基で置換されていてもよい。なお、アクリルアミドのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリルアミドのカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
アクリルアミドのα位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基としては、上記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたもの(置換基(Rα0))と同様のものが挙げられる。
「ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基で置換されたもの、並びにそれらの誘導体を包含する概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基で置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基で置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、上記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基で置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基で置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基で置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基で置換されたものも包含する概念とする。
「スチレン誘導体」とは、スチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基で置換されたもの、並びにそれらの誘導体を包含する概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基で置換されていてもよいスチレンのベンゼン環に置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数1~5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部又は全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部又は全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1~5が好ましく、1が最も好ましい。
本明細書及び本特許請求の範囲において、化学式で表される構造によっては不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがあるが、その場合は一つの式でそれらの異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよく、混合物として用いてもよい。
(レジスト組成物)
本発明のレジスト組成物は、露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するものである。
かかるレジスト組成物の一実施形態としては、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下「(A)成分」ともいう)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」ともいう)と、酸拡散制御剤(D)(以下「(D)成分」ともいう)と、を含有するレジスト組成物が挙げられる。
本実施形態のレジスト組成物において、(B)成分は、式(b1-1)で表される基をアニオン部に有する酸発生剤(B1)、及び(B1)とは異なる酸発生剤(B2)を含み、(D)成分は、式(d0)で表される基をアニオン部に有する光崩壊性塩基(D0)を含み、含窒素有機化合物(D2)を含まない。
本実施形態のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、該レジスト膜の露光部では(B)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、該レジスト膜の未露光部では(A)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため、該レジスト膜を現像すると、該レジスト組成物がポジ型の場合はレジスト膜露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンが形成され、該レジスト組成物がネガ型の場合はレジスト膜未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
本明細書においては、レジスト膜露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンを形成するレジスト組成物をポジ型レジスト組成物といい、レジスト膜未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンを形成するレジスト組成物をネガ型レジスト組成物という。
本実施形態のレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよい。
また、本実施形態のレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
本実施形態のレジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生能を有するものであり、(B)成分に加えて、(A)成分が露光により酸を発生してもよい。
(A)成分が露光により酸を発生する場合、この(A)成分は、「露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分」となる。
(A)成分が露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分である場合、露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する高分子化合物であることが好ましい。このような高分子化合物としては、露光により酸を発生する構成単位を有する樹脂が挙げられる。露光により酸を発生する構成単位を誘導するモノマーには、公知のものを用いることができる。
<(A)成分>
(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分である。
本発明において「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、加えて、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすくなる。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下「樹脂」又は「高分子化合物」という場合は、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
本実施形態のレジスト組成物が、アルカリ現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する「アルカリ現像プロセス用ネガ型レジスト組成物」である場合、又は、溶剤現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する「溶剤現像プロセス用ポジ型レジスト組成物」である場合、(A)成分としては、好ましくは、アルカリ現像液に可溶性の基材成分が用いられ、さらに、架橋剤成分が配合される。かかるレジスト組成物は、例えば、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸が作用して基材成分と架橋剤成分との間で架橋が起こり、この結果、アルカリ現像液に対する溶解性が減少(有機系現像液に対する溶解性が増大)する。
そのため、レジストパターンの形成において、該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜を選択的に露光すると、レジスト膜露光部はアルカリ現像液に対して難溶性(有機系現像液に対して可溶性)へ転じる一方で、レジスト膜未露光部はアルカリ現像液に対して可溶性(有機系現像液に対して難溶性)のまま変化しないため、アルカリ現像液で現像することによりネガ型レジストパターンが形成される。また、このとき、有機系現像液で現像することによりポジ型レジストパターンが形成される。
ネガ型レジスト組成物において、基材成分の好ましいものとしては、アルカリ現像液に対して可溶性の樹脂(以下「アルカリ可溶性樹脂」という)が用いられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、日本国特開2000-206694号公報に開示されている、α-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸、又はα-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸のアルキルエステル(好ましくは炭素数1~5のアルキルエステル)から選択される少なくとも一つから誘導される構成単位を有する樹脂;米国特許6949325号公報に開示されている、スルホンアミド基を有するα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル樹脂又はポリシクロオレフィン樹脂;米国特許6949325号公報、日本国特開2005-336452号公報、日本国特開2006-317803号公報に開示されている、フッ素化アルコールを含有し、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル樹脂;日本国特開2006-259582号公報に開示されている、フッ素化アルコールを有するポリシクロオレフィン樹脂等が、膨潤の少ない良好なレジストパターンを形成できることから好ましい。
なお、上記α-(ヒドロキシアルキル)アクリル酸は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸のうち、カルボキシ基が結合するα位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸と、このα位の炭素原子にヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1~5のヒドロキシアルキル基)が結合しているα-ヒドロキシアルキルアクリル酸の一方又は両方を示す。
架橋剤成分としては、例えば、膨潤の少ない良好なレジストパターンが形成されやすいことから、メチロール基若しくはアルコキシメチル基を有するグリコールウリル等のアミノ系架橋剤、又はメラミン系架橋剤等を用いることが好ましい。架橋剤成分の配合量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して1~50質量部であることが好ましい。
本実施形態のレジスト組成物が、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する「アルカリ現像プロセス用ポジ型レジスト組成物」である場合、又は、溶剤現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する「溶剤現像プロセス用ネガ型レジスト組成物」である場合、(A)成分としては、好ましくは、酸の作用により極性が増大する基材成分(A’)(以下「(A’)成分」という)が用いられる。(A’)成分を用いることにより、露光前後で基材成分の極性が変化するため、アルカリ現像プロセスだけでなく、溶剤現像プロセスにおいても、良好な現像コントラストを得ることができる。
アルカリ現像プロセスを適用する場合、該(A’)成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、例えば、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、レジスト膜露光部はアルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、レジスト膜未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像することによりポジ型レジストパターンが形成される。
一方、溶剤現像プロセスを適用する場合、該(A’)成分は、露光前は有機系現像液に対して溶解性が高く、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により極性が高くなり、有機系現像液に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、レジスト膜露光部は有機系現像液に対して可溶性から難溶性に変化する一方で、レジスト膜未露光部は可溶性のまま変化しないため、有機系現像液で現像することにより、露光部と未露光部との間でコントラストをつけることができ、ネガ型レジストパターンが形成される。
本実施形態のレジスト組成物において、(A)成分は、上記(A’)成分であることが好ましい。すなわち、本実施形態のレジスト組成物は、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する「アルカリ現像プロセス用ポジ型レジスト組成物」、又は、溶剤現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する「溶剤現像プロセス用ネガ型レジスト組成物」であることが好ましい。
(A)成分には、高分子化合物及び/又は低分子化合物が用いられる。
(A)成分が(A’)成分である場合、(A’)成分としては、高分子化合物を含むものが好ましく、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有する高分子化合物(A1)(以下「(A1)成分」ともいう)を含むものがより好ましい。
(A1)成分としては、構成単位(a1)に加えて、ラクトン含有環式基、-SO-含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位(a2)を有する高分子化合物を用いることが好ましい。
また、(A1)成分としては、構成単位(a1)に加えて、又は、構成単位(a1)及び構成単位(a2)に加えて、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(a3)(ただし、構成単位(a1)又は構成単位(a2)に該当するものを除く)を有する高分子化合物を用いることも好ましい。
また、(A1)成分としては、構成単位(a1)~(a3)以外に、酸非解離性の脂肪族環式基を含む構成単位(a4)、露光により酸を発生する構成単位等を有してもよい。
≪構成単位(a1)≫
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、例えば、酸の作用により分解して極性基を生ずる基が挙げられる。
極性基としては、例えば、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(-SOH)等が挙げられる。これらの中でも、構造中に-OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある)が好ましく、カルボキシ基又は水酸基がより好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、上記極性基が酸解離性基で保護された基(例えば、OH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
ここで「酸解離性基」とは、(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
酸解離性基としては、これまで化学増幅型レジスト組成物用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものが挙げられる。
化学増幅型レジスト組成物用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものとして、具体的には、以下に説明する「アセタール型酸解離性基」、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」、「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」が挙げられる。
・アセタール型酸解離性基:
上記極性基のうちカルボキシ基又は水酸基を保護する酸解離性基としては、例えば、下記一般式(a1-r-1)で表される酸解離性基(以下「アセタール型酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
Figure 2022041916000005
[式中、RA’、RA’は、水素原子又はアルキル基であり、RA’は、炭化水素基であって、RA’は、RA’、RA’のいずれかと結合して環を形成してもよい。]
式(a1-r-1)中、RA’及びRA’のうち、少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、両方が水素原子であることがより好ましい。
RA’又はRA’がアルキル基である場合、該アルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、炭素数1~5のアルキル基が好ましい。具体的には、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(a1-r-1)中、RA’の炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、環式の炭化水素基が挙げられる。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1~5であることが好ましく、1~4がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基又はn-ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3~10であることが好ましく、3~5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、2,2-ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
RA’が環式の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3~6のものが好ましく、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7~12のものが好ましく、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
RA’の環式の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1個有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環式共役系であれば特に限定されず、単環式であってもよく、多環式であってもよい。芳香環の炭素数は5~30であることが好ましく、5~20がより好ましく、6~15がさらに好ましく、6~12が特に好ましい。
芳香環として、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;上記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として、具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
RA’における芳香族炭化水素基として、具体的には、上記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子を1個除いた基(アリール基又はヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えば、ビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1個除いた基;上記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環の水素原子の1個がアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等)等が挙げられる。上記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
RA’が、RA’、RA’のいずれかと結合して環を形成する場合、該環式基としては、4~7員環が好ましく、4~6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
・第3級アルキルエステル型酸解離性基:
上記極性基のうち、カルボキシ基を保護する酸解離性基としては、例えば、下記一般式(a1-r-2)で表される酸解離性基が挙げられる。
なお、下記式(a1-r-2)で表される酸解離性基のうち、アルキル基により構成されるものを、以下、便宜上「第3級アルキルエステル型酸解離性基」ということがある。
Figure 2022041916000006
[式中、RA’~RA’は、それぞれ炭化水素基であり、RA’、RA’は、互いに結合して環を形成してもよい。]
RA’~RA’の炭化水素基としては、上記RA’と同様のものが挙げられる。
RA’は、炭素数1~5のアルキル基であることが好ましい。RA’とRA’とが互いに結合して環を形成する場合、下記一般式(a1-r2-1)で表される基が挙げられる。一方、RA’~RA’が互いに結合せず、独立した炭化水素基である場合、下記一般式(a1-r2-2)で表される基が挙げられる。
Figure 2022041916000007
[式中、RA’10は、炭素数1~10のアルキル基、RA’11は、RA’10が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基、RA’12~RA’14は、それぞれ独立に、炭化水素基を示す。]
式(a1-r2-1)中、RA’10の炭素数1~10のアルキル基は、式(a1-r-1)におけるRA’の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基として挙げた基が好ましい。式(a1-r2-1)中、RA’11が、RA’10が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族環式基は、式(a1-r-1)におけるRA’の単環式基又は多環式基である脂肪族炭化水素基として挙げた基が好ましい。
式(a1-r2-2)中、RA’12及びRA’14は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基は、式(a1-r-1)におけるRA’の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基として挙げた基がより好ましく、炭素数1~5の直鎖状アルキル基であることがさらに好ましく、メチル基又はエチル基であることが特に好ましい。
式(a1-r2-2)中、RA’13は、式(a1-r-1)におけるRA’の炭化水素基として例示された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、単環式基又は多環式基である脂肪族炭化水素基であることが好ましい。これらの中でも、RA’の単環式基又は多環式基である脂肪族炭化水素基として挙げた基であることがより好ましい。
上記式(a1-r2-1)で表される基の具体例を以下に挙げる。*は結合手を示す(以下本明細書において同様)。
Figure 2022041916000008
Figure 2022041916000009
上記式(a1-r2-2)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2022041916000010
・第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基:
上記極性基のうち水酸基を保護する酸解離性基としては、例えば、下記一般式(a1-r-3)で表される酸解離性基(以下便宜上「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
Figure 2022041916000011
[式中、RA’~RA’は、それぞれアルキル基である。]
式(a1-r-3)中、RA’~RA’は、それぞれ炭素数1~5のアルキル基が好ましく、1~3がより好ましい。
また、各アルキル基の合計の炭素数は、3~7であることが好ましく、3~5であることがより好ましく、3~4であることが最も好ましい。
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位、アクリルアミドから誘導される構成単位、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が酸解離性基により保護された構成単位、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の-C(=O)-OHにおける水素原子の少なくとも一部が酸解離性基により保護された構成単位等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、上記の中でも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a1)の好ましい具体例としては、下記一般式(a1-1)又は一般式(a1-2)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2022041916000012
[式中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基である。Vaは、エーテル結合を有していてもよい2価の炭化水素基であり、na1は、0~2であり、Raは、上記式(a1-r-1)又は(a1-r-2)で表される酸解離性基である。Waは、na2+1価の炭化水素基であり、na2は、1~3であり、Raは、上記式(a1-r-1)又は(a1-r-3)で表される酸解離性基である。]
上記式(a1-1)中、Rの炭素数1~5のアルキル基は、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1~5のハロゲン化アルキル基は、上記炭素数1~5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
上記式(a1-1)中、Vaにおける2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
Vaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
上記直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1~10であることが好ましく、1~6がより好ましく、1~4がさらに好ましく、1~3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]、ペンタメチレン基[-(CH-]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基等のアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
上記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基等が挙げられる。上記直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、上記直鎖状の脂肪族炭化水素基又は上記分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
上記脂環式炭化水素基は、炭素数が3~20であることが好ましく、3~12であることがより好ましい。
上記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3~6のものが好ましく、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7~12のものが好ましく、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Vaにおける2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
かかる芳香族炭化水素基は、炭素数が3~30であることが好ましく、5~30であることがより好ましく、5~20がさらに好ましく、6~15が特に好ましく、6~10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として、具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;上記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として、具体的には、上記芳香族炭化水素環から水素原子を2個除いた基(アリーレン基);上記芳香族炭化水素環から水素原子を1個除いた基(アリール基)の水素原子の1個がアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1個除いた基)等が挙げられる。上記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
上記式(a1-2)中、Waにおけるna2+1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、飽和でも不飽和でもよく、通常は飽和であることが好ましい。上記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、或いは直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と構造中に環を含む脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基が挙げられる。
上記na2+1価は、2~4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
以下に上記式(a1-1)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2022041916000013
Figure 2022041916000014
Figure 2022041916000015
Figure 2022041916000016
Figure 2022041916000017
以下に上記式(a1-2)で表される構成単位の具体例を示す。
Figure 2022041916000018
(A1)成分が有する構成単位(a1)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
(A1)成分中の構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して5~60モル%が好ましく、10~55モル%がより好ましく、20~50モル%がさらに好ましい。
構成単位(a1)の割合を下限値以上とすることにより、容易にレジストパターンを得ることができ、感度、解像性、ラフネス改善若しくはELマージン等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
≪構成単位(a2)≫
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基、-SO-含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位(ただし、構成単位(a1)に該当するものを除く)である。
構成単位(a2)のラクトン含有環式基、-SO-含有環式基又はカーボネート含有環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高める上で有効なものである。また、構成単位(a2)を有することにより、アルカリ現像プロセスにおいては、現像時に、レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性が高まる。
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に-O-C(=O)-を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数えて、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
構成単位(a2)におけるラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2022041916000019
[式中、RA’21は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり;R”は、水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO-含有環式基であり;A”は、酸素原子(-O-)若しくは硫黄原子(-S-)を含んでいてもよい炭素数1~5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり、n’は、0~2の整数であり、m’は、0又は1である。]
上記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)中、RA’21におけるアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
RA’21におけるアルコキシ基としては、炭素数1~6のアルコキシ基が好ましい。
該アルコキシ基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、上記RA’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(-O-)とが連結した基が挙げられる。
RA’21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
RA’21におけるハロゲン化アルキル基としては、上記RA’21におけるアルキル基の水素原子の一部又は全部が上記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
RA’21における-COOR”、-OC(=O)R”において、R”はいずれも水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO-含有環式基である。
R”におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環式のいずれであってもよく、炭素数は1~15が好ましい。
R”が直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基である場合は、炭素数1~10であることが好ましく、炭素数1~5であることがさらに好ましく、メチル基又はエチル基であることが特に好ましい。
R”が環式のアルキル基である場合は、炭素数3~15であることが好ましく、炭素数4~12であることがさらに好ましく、炭素数5~10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子又はフッ素化アルキル基で置換されていてもよく、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。
R”におけるラクトン含有環式基としては、上記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基と同様のものが挙げられる。
R”におけるカーボネート含有環式基としては、後述するカーボネート含有環式基と同様であり、具体的には、一般式(ax3-r-1)~(ax3-r-3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
R”における-SO-含有環式基としては、後述する-SO-含有環式基と同様であり、具体的には、一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
RA’21におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1~6であることが好ましく、具体的には、上記RA’21におけるアルキル基の水素原子の少なくとも1個が水酸基で置換された基が挙げられる。
上記一般式(a2-r-2)、(a2-r-3)、(a2-r-5)中、A”における炭素数1~5のアルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子又は硫黄原子を含む場合、その具体例としては、上記アルキレン基の末端又は炭素原子間に-O-又は-S-が介在する基が挙げられ、例えば、-O-CH-、-CH-O-CH-、-S-CH-、-CH-S-CH-等が挙げられる。A”としては、炭素数1~5のアルキレン基又は-O-が好ましく、炭素数1~5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
下記に一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 2022041916000020
Figure 2022041916000021
「-SO-含有環式基」とは、その環骨格中に-SO-を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、-SO-における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に-SO-を含む環をひとつ目の環として数えて、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。-SO-含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
-SO-含有環式基は、特に、その環骨格中に-O-SO-を含む環式基、すなわち-O-SO-中の-O-S-が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。
-SO-含有環式基として、より具体的には、下記一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2022041916000022
[式中、RA’51は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり;R”は、水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO-含有環式基であり;A”は、酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1~5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり、n’は、0~2の整数である。]
上記一般式(a5-r-1)~(a5-r-2)中、A”は、上記一般式(a2-r-2)、(a2-r-3)、(a2-r-5)中のA”と同様である。
RA’51におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ上記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)中のRA’21についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
下記に一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。式中の「Ac」は、アセチル基を示す。
Figure 2022041916000023
Figure 2022041916000024
Figure 2022041916000025
「カーボネート含有環式基」とは、その環骨格中に-O-C(=O)-O-を含む環(カーボネート環)を含有する環式基を示す。カーボネート環をひとつ目の環として数えて、カーボネート環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。カーボネート含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
カーボネート環含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(ax3-r-1)~(ax3-r-3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2022041916000026
[式中、RA’x31は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり;R”は、水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO-含有環式基であり;A”は、酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1~5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり、p’は、0~3の整数であり、q’は、0又は1である。]
上記一般式(ax3-r-2)~(ax3-r-3)中、A”は、上記一般式(a2-r-2)、(a2-r-3)、(a2-r-5)中のA”と同様である。
RA’31におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、-COOR”、-OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ上記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)中のRA’21についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
下記に一般式(ax3-r-1)~(ax3-r-3)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 2022041916000027
構成単位(a2)としては、その中でも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a2)は、下記一般式(a2-1)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2022041916000028
[式中、Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基である。Ya21は、単結合又は2価の連結基である。La21は、-O-、-COO-、-CON(R’)-、-OCO-、-CONHCO-又は-CONHCS-であり、R’は、水素原子又はメチル基を示す。ただし、La21が-O-の場合、Ya21は、-CO-にはならない。Ra21は、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は-SO-含有環式基である。]
上記式(a2-1)中、Rは、上記と同様である。
Ya21の2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好ましいものとして挙げられる。
・置換基を有していてもよい2価の炭化水素基:
Ya21が置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
・・Ya21における脂肪族炭化水素基
該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和でもよく不飽和でもよく、通常は飽和であることが好ましい。
上記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
・・・直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基
該直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1~10であることが好ましく、1~6がより好ましく、1~4がさらに好ましく、1~3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]、ペンタメチレン基[-(CH-]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基等のアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
上記直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1~5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
・・・構造中に環を含む脂肪族炭化水素基
該構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環式の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、上記環式の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、上記環式の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基等が挙げられる。上記直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、上記と同様のものが挙げられる。
環式の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3~20であることが好ましく、3~12であることがより好ましい。
環式の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3~6のものが好ましく、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7~12のものが好ましく、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環式の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
上記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが最も好ましい。
上記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
上記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
上記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、上記アルキル基の水素原子の一部又は全部が上記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環式の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、-O-、-C(=O)-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-O-が好ましい。
・・Ya21における芳香族炭化水素基
該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1個有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環式共役系であれば特に限定されず、単環式であってもよく、多環式であってもよい。芳香環の炭素数は5~30であることが好ましく、5~20がより好ましく、6~15がさらに好ましく、6~12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;上記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
芳香族複素環として、具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として、具体的には、上記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子を2個除いた基(アリーレン基又はヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えば、ビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2個除いた基;上記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子を1個除いた基(アリール基又はヘテロアリール基)の水素原子の1個がアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1個除いた基)等が挙げられる。上記アリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
上記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。例えば、当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
上記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが最も好ましい。
上記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、上記環式の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
・ヘテロ原子を含む2価の連結基:
Ya21がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、-O-、-C(=O)-O-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-、-NH-C(=NH)-(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-O-、一般式-Y21-O-Y22-、-Y21-O-、-Y21-C(=O)-O-、-C(=O)-O-Y21-、-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-、-Y21-O-C(=O)-Y22-又は-Y21-S(=O)-O-Y22-で表される基[式中、Y21およびY22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは、酸素原子であり、m”は、0~3の整数である。]等が挙げられる。
上記へテロ原子を含む2価の連結基が-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-C(=O)-、-NH-、-NH-C(=NH)-である場合、該Hは、アルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1~10であることが好ましく、1~8であることがさらに好ましく、1~5であることが特に好ましい。
一般式-Y21-O-Y22-、-Y21-O-、-Y21-C(=O)-O-、-C(=O)-O-Y21-、-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-、-Y21-O-C(=O)-Y22-又は-Y21-S(=O)-O-Y22-中、Y21およびY22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、上記2価の連結基としての説明で挙げた(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基又はエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基又はアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1~3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-で表される基において、m”は、0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましく、0又は1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-で表される基としては、式-Y21-C(=O)-O-Y22-で表される基が特に好ましい。その中でも、式-(CHA’-C(=O)-O-(CHb’-で表される基が好ましい。該式中、A’は、1~10の整数であり、1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1~10の整数であり、1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
Ya21としては、単結合、エステル結合[-C(=O)-O-]、エーテル結合(-O-)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。
上記式(a2-1)中、Ra21は、ラクトン含有環式基、-SO-含有環式基又はカーボネート含有環式基である。
Ra21におけるラクトン含有環式基、-SO-含有環式基、カーボネート含有環式基としては、それぞれ、前述した一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表される基、一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される基、一般式(ax3-r-1)~(ax3-r-3)でそれぞれ表される基が好ましく挙げられる。
その中でも、ラクトン含有環式基又は-SO-含有環式基が好ましく、上記一般式(a2-r-1)、(a2-r-2)、(a2-r-6)又は(a5-r-1)でそれぞれ表される基がより好ましい。具体的には、上記一般式(r-lc-1-1)~(r-lc-1-7)、(r-lc-2-1)~(r-lc-2-18)、(r-lc-6-1)、(r-sl-1-1)、(r-sl-1-18)でそれぞれ表される、いずれかの基がより好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a2)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
(A1)成分が構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して1~80モル%であることが好ましく、10~70モル%であることがより好ましく、10~65モル%であることがさらに好ましく、10~60モル%が特に好ましい。
構成単位(a2)の割合を好ましい下限値以上とすることにより、構成単位(a2)を含有させることによる効果が十分に得られ、一方、好ましい上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができ、種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
≪構成単位(a3)≫
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(ただし、構成単位(a1)又は構成単位(a2)に該当するものを除く)である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A1)成分の親水性が高まり、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環式の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えば、ArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては、多環式基であることが好ましく、炭素数は7~30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、又はアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等から2個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a3)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であり、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基であるときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基であるときは、下記式(a3-1)で表される構成単位、式(a3-2)で表される構成単位、式(a3-3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2022041916000029
[式中、Rは、上記と同様であり、jは、1~3の整数であり、kは、1~3の整数であり、t’は、1~3の整数であり、lは、1~5の整数であり、sは、1~3の整数である。]
式(a3-1)中、jは、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2である場合、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合していることが好ましい。jが1である場合、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合していることが好ましい。
jは、1であることが好ましく、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合していることが特に好ましい。
式(a3-2)中、kは、1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位又は6位に結合していることが好ましい。
式(a3-3)中、t’は、1であることが好ましい。lは、1であることが好ましい。sは、1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2-ノルボルニル基又は3-ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a3)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
(A1)成分が構成単位(a3)を有する場合、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して5~50モル%であることが好ましく、5~40モル%がより好ましく、5~35モル%がさらに好ましい。
構成単位(a3)の割合を好ましい下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果が十分に得られ、一方、好ましい上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
≪構成単位(a4)≫
構成単位(a4)は、酸非解離性の脂肪族環式基を含む構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a4)を有することにより、形成されるレジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。また、(A1)成分の疎水性が高まる。疎水性の向上は、特に溶剤現像プロセスの場合に、解像性、レジストパターン形状等の向上に寄与すると考えられる。
構成単位(a4)における「酸非解離性環式基」は、露光により当該レジスト組成物中に酸が発生した際(例えば、後述する(B)成分から酸が発生した際)に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る環式基である。
構成単位(a4)としては、例えば、酸非解離性の脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該環式基は、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特に、トリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選択される少なくとも1種であると、工業上入手しやすい等の点から好ましい。これらの多環式基は、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4-1)~(a4-7)でそれぞれ表される構成単位を例示することができる。
Figure 2022041916000030
[式中、Rαは、上記と同様である。]
(A1)成分が有する構成単位(a4)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
(A1)成分が構成単位(a4)を有する場合、構成単位(a4)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して1~30モル%であることが好ましく、3~20モル%がより好ましい。
構成単位(a4)の割合を好ましい下限値以上とすることにより、構成単位(a4)を含有させることによる効果が十分に得られ、一方、好ましい上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
本実施形態のレジスト組成物において、(A)成分は、構成単位(a1)を有する高分子化合物(A1)を含むことが好ましい。
該(A1)成分として、具体的には、構成単位(a1)と構成単位(a2)との繰り返し構造からなる高分子化合物、構成単位(a1)と構成単位(a3)との繰り返し構造からなる高分子化合物、構成単位(a1)と構成単位(a2)と構成単位(a3)との繰り返し構造からなる高分子化合物等が例示できる。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000~50000程度が好ましく、10000~30000程度がより好ましく、18000~22000程度がさらに好ましい。
(A1)成分のMwがこの範囲の好ましい上限値以下であると、レジストとして用いるのに十分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の好ましい下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。特に、(A1)成分のMwが18000~22000程度であると、酸の拡散を抑制する作用を果たす。
(A1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0~4.0程度が好ましく、1.0~3.0程度がより好ましく、1.0~2.5程度が特に好ましい。なお、Mnは、数平均分子量を示す。
(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対して、25質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、ラフネス改善、寸法均一性等の種々のリソグラフィー特性に優れたレジストパターンが形成されやすくなる。
(A1)成分の製造方法:
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを重合溶媒に溶解し、ここに、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート(例えば、V-601等)等のラジカル重合開始剤を加えて重合することにより製造することができる。なお、重合の際に、例えば、HS-CH-CH-CH-C(CF-OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に-C(CF-OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
本実施形態のレジスト組成物において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
<(B)成分:酸発生剤成分>
本実施形態のレジスト組成物において、酸発生剤成分(B)は、露光により酸を発生させる成分であって、酸発生剤(B1)、及び(B1)とは異なる酸発生剤(B2)を含む。
≪(B1)成分≫
本実施形態のレジスト組成物は、下記式(b1-1)で表される基をアニオン部に有する酸発生剤(B1)(以下「(B1)成分」ともいう)を含む。
Figure 2022041916000031
上記(B1)成分は、アニオン部として、式(b1-1)で表される基を有し、カチオン部としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤のカチオン部として提案されているカチオン部を有することができる。
このようなカチオン部としては、()(Mm+1/mで表されるカチオンが挙げられる。
m+は、m価の有機カチオンを表す。
m+における有機カチオンとしては、オニウムカチオンが好ましく、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンがより好ましい。mは、1以上の整数である。
好ましいカチオン部(Mm+1/mとして、下記一般式(ca-1)~(ca-5)でそれぞれ表される有機カチオンが挙げられる。
Figure 2022041916000032
[式中、R201~R207、およびR211~R212は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表し、R201~R203、R206~R207、R211~R212は、互いに結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。R208~R209は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表し、R210は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい-SO-含有環式基であり、L201は、-C(=O)-又は-C(=O)-O-を表し、Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表し、xは、1又は2であり、W201は、(x+1)価の連結基を表す。]
201~R207、およびR211~R212におけるアリール基としては、炭素数6~20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
201~R207、およびR211~R212におけるアルキル基としては、鎖状又は環式のアルキル基であり、炭素数1~30のものが好ましい。
201~R207、およびR211~R212におけるアルケニル基としては、炭素数が2~10であることが好ましい。
201~R207、およびR210~R212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、下記式(ca-r-1)~(ca-r-7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2022041916000033
[式中、R’201は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。]
置換基を有していてもよい環式基:
該環式基は、環式の炭化水素基であることが好ましく、該環式の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和でもよく不飽和でもよく、通常は飽和であることが好ましい。
R’201における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3~30であることが好ましく、炭素数5~30がより好ましく、炭素数5~20がさらに好ましく、炭素数6~15が特に好ましく、炭素数6~10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
R’201における芳香族炭化水素基が有する芳香環として、具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。
芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
R’201における芳香族炭化水素基として、具体的には、上記芳香環から水素原子を1個除いた基(アリール基:例えば、フェニル基、ナフチル基等)、上記芳香環の水素原子の1個がアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等)等が挙げられる。上記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は1~4であることが好ましく、炭素数1~2がより好ましく、炭素数1が特に好ましい。
R’201における環式の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基等が挙げられる。
上記脂環式炭化水素基は、炭素数が3~20であることが好ましく、3~12であることがより好ましい。
上記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3~6のものが好ましく、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7~30のものが好ましい。その中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
その中でも、R’201における環式の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカン又はポリシクロアルカンから水素原子を1個以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1個除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1~10であることが好ましく、炭素数1~6がより好ましく、炭素数1~4がさらに好ましく、炭素数1~3が特に好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]、ペンタメチレン基[-(CH-]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基等のアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、R’201における環式の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。具体的には、上記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、上記一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基、その他下記一般式(r-hr-1)~(r-hr-16)でそれぞれ表される複素環式基が挙げられる。
Figure 2022041916000034
R’201の環式基における置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基が最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等の水素原子の一部又は全部が上記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基は、環式の炭化水素基を構成するメチレン基(-CH-)を置換する基である。
置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基:
R’201の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1~20であることが好ましく、炭素数1~15であることがより好ましく、炭素数1~10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3~20であることが好ましく、炭素数3~15であることがより好ましく、炭素数3~10が最も好ましい。具体的には、例えば、1-メチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基:
R’201の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、炭素数が2~10であることが好ましく、炭素数2~5がより好ましく、炭素数2~4がさらに好ましく、炭素数3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基等が挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1-メチルビニル基、2-メチルビニル基、1-メチルプロペニル基、2-メチルプロペニル基等が挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
R’201の鎖状のアルキル基又はアルケニル基における置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R’201における環式基等が挙げられる。
R’201の置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、上述したものの他、置換基を有していてもよい環式基又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基として、上述した式(a1-r-2)で表される酸解離性基と同様のものも挙げられる。
その中でも、R’201は、置換基を有していてもよい環式基が好ましく、置換基を有していてもよい環式の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;上記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;上記一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基等が好ましい。
201~R203、R206~R207、R211~R212は、互いに結合して式中の硫黄原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、-SO-、-SO-、-SO-、-COO-、-CONH-又は-N(R)-(該Rは、炭素数1~5のアルキル基である)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中の硫黄原子をその環骨格に含む1個の環が、硫黄原子を含めて、3~10員環であることが好ましく、5~7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、例えば、チオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H-チオキサンテン環、チオキサントン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
208~R209は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合、互いに結合して環を形成してもよい。
210は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい-SO-含有環式基である。
210におけるアリール基としては、炭素数6~20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
210におけるアルキル基としては、鎖状又は環式のアルキル基であり、炭素数1~30のものが好ましい。
210におけるアルケニル基としては、炭素数が2~10であることが好ましい。
210における、置換基を有していてもよい-SO-含有環式基としては、上記一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基と同様のものが挙げられ、この中でも「-SO-含有多環式基」が好ましく、一般式(a5-r-1)で表される基がより好ましい。
上記式(ca-4)、式(ca-5)中、Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。
201におけるアリーレン基は、前述したR’201における芳香族炭化水素基として例示したアリール基から水素原子を1個除いた基が挙げられる。
201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、前述したR’201における鎖状のアルキル基、鎖状のアルケニル基として例示した基から水素原子を1個除いた基が挙げられる。
上記式(ca-4)、式(ca-5)中、xは、1又は2である。
201は、(x+1)価、すなわち2価又は3価の連結基である。
201における2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、上述した一般式(a2-1)中のYa21と同様の、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、が例示できる。W201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環式のいずれであってもよく、環式であることが好ましい。その中でも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
201における3価の連結基としては、上記W201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、上記2価の連結基にさらに上記2価の連結基が結合した基等が挙げられる。W201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
上記式(ca-1)で表される好ましいカチオンとして、具体的には、下記式(ca-1-1)~(ca-1-129)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2022041916000035
Figure 2022041916000036
[式中、g1、g2、g3は、繰り返し数を示し、g1は、1~5の整数であり、g2は、0~20の整数であり、g3は、0~20の整数である。]
Figure 2022041916000037
Figure 2022041916000038
Figure 2022041916000039
Figure 2022041916000040
Figure 2022041916000041
[式中、R”201は、水素原子又は置換基であり、該置換基としては、上記R201~R207、およびR210~R212が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。]
Figure 2022041916000042
Figure 2022041916000043
上記式(ca-2)で表される好ましいカチオンとして、具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
上記式(ca-3)で表される好ましいカチオンとして、具体的には、下記式(ca-3-1)~(ca-3-6)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2022041916000044
上記式(ca-4)で表される好ましいカチオンとして、具体的には、下記式(ca-4-1)~(ca-4-2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2022041916000045
また、上記式(ca-5)で表されるカチオンとしては、下記一般式(ca-5-1)~(ca-5-3)でそれぞれ表されるカチオンも好ましい。
Figure 2022041916000046
上記の中でも、カチオン部[(Mm+1/m]は、一般式(ca-1)で表されるカチオンが好ましく、式(ca-1-1)~(ca-1-129)でそれぞれ表されるカチオンがより好ましい。
本実施形態のレジスト組成物において、(B1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のレジスト組成物中、(B1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1~30質量部であることが好ましく、2~20質量部であることがより好ましく、2~5質量部であることがさらに好ましい。
(B1)成分の含有量が上記好ましい範囲の下限値以上であると、レジストパターン形成において、感度、LWR性能、欠陥耐性等のリソグラフィ特性がより向上する。一方、好ましい範囲の上限値以下であると、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られやすく、レジスト組成物としての保存安定性がより高まる。
≪(B2)成分≫
本実施形態のレジスト組成物は、(B1)成分以外の酸発生剤成分(以下「(B2)成分」ともいう)を含有する。
(B2)成分は、上述した(B1)成分に該当する化合物と異なる化合物であって、式(b1-1)で表される基をアニオン部に有さない。
(B2)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤として提案されているものを用いることができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤;ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類等のジアゾメタン系酸発生剤;ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤等多種のものが挙げられる。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば、下記一般式(b-1)で表される化合物(以下「(b-1)成分」ともいう)、一般式(b-2)で表される化合物(以下「(b-2)成分」ともいう)又は一般式(b-3)で表される化合物(以下「(b-3)成分」ともいう)が挙げられる。ただし、一般式(b-2)で表される化合物は、アニオン部に式(b1-1)で表される基を有さない。
Figure 2022041916000047
[式中、R101、R104~R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。R104、R105は、互いに結合して環を形成していてもよい。
102は、フッ素原子又は炭素数1~5のフッ素化アルキル基である。Y101は、単結合又は酸素原子を含む2価の連結基である。V101~V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。L101~L102は、それぞれ独立に、単結合又は酸素原子である。L103~L105は、それぞれ独立に、単結合、-CO-又は-SO-である。mは、1以上の整数であり、M’m+は、m価のオニウムカチオンである。]
{アニオン部}
・(b-1)成分のアニオン部
式(b-1)中、R101は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。かかるR101についての説明は、上記式(ca-r-1)~(ca-r-7)中のR’201における、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基についての説明と同様である。
その中でも、R101は、置換基を有していてもよい環式基が好ましく、置換基を有していてもよい環式の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;上記一般式(a2-r-1)、(a2-r-3)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;上記一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基等が好ましい。
上記式(b-1)中、Y101は、単結合又は酸素原子を含む2価の連結基である。
101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、該Y101は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、例えば、炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
かかる酸素原子を含む2価の連結基としては、例えば、下記一般式(y-al-1)~(y-al-8)でそれぞれ表される連結基が挙げられる。
Figure 2022041916000048
[式中、V’101は、単結合又は炭素数1~5のアルキレン基であり、V’102は、炭素数1~30の2価の飽和炭化水素基である。]
上記式中、V’102における2価の飽和炭化水素基は、炭素数1~30のアルキレン基であることが好ましい。V’102におけるアルキレン基としては、炭素数1~30のアルキレン基が好ましく、炭素数1~10のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~5のアルキレン基がさらに好ましい。
101としては、エステル結合を含む2価の連結基、又はエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、上記一般式(y-al-1)~(y-al-6)でそれぞれ表される連結基がより好ましい。
上記式(b-1)中、V101は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。V101におけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基は、炭素数1~4であることが好ましい。V101におけるフッ素化アルキレン基としては、V101におけるアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。その中でも、V101は、単結合、又は炭素数1~4のフッ素化アルキレン基であることが好ましい。
上記式(b-1)中、R102は、フッ素原子又は炭素数1~5のフッ素化アルキル基である。R102は、フッ素原子又は炭素数1~5のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
(b-1)成分のアニオン部の具体例としては、例えば、Y101が単結合となる場合、トリフルオロメタンスルホネートアニオンやパーフルオロブタンスルホネートアニオン等のフッ素化アルキルスルホネートアニオンが挙げられ;Y101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、下記式(an-1)~(an-3)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
Figure 2022041916000049
[式中、R”101は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、上記式(r-hr-1)~(r-hr-6)でそれぞれ表される基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基であり;R”102は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、上記一般式(a2-r-1)、(a2-r-3)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、又は上記一般式(a5-r-1)~(a5-r-4)でそれぞれ表される-SO-含有環式基であり;R”103は、置換基を有していてもよい芳香族環式基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり;v”は、それぞれ独立に、0~3の整数であり、q”は、それぞれ独立に、1~20の整数であり、t”は、1~3の整数であり、n”は、0又は1である。]
R”101、R”102およびR”103の置換基を有していてもよい脂肪族環式基は、上記R’201における環式の脂肪族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。上記置換基としては、R’201における環式の脂肪族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”103における置換基を有していてもよい芳香族環式基は、上記R’201における環式の炭化水素基における芳香族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。
上記置換基としては、R’201における該芳香族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”101における置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基は、上記R’201における鎖状のアルキル基として例示した基であることが好ましい。R”103における置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、上記R’201における鎖状のアルケニル基として例示した基であることが好ましい。
・(b-2)成分のアニオン部
式(b-2)中、R104、R105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、上記R’201と同様のものが挙げられる。ただし、R104、R105は、互いに結合して環を形成していてもよい。
104、R105は、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
該鎖状のアルキル基の炭素数は、1~10であることが好ましく、より好ましくは炭素数1~7、さらに好ましくは炭素数1~3である。R104、R105の鎖状のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト用溶剤への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。また、R104、R105の鎖状のアルキル基においては、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また、200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するため好ましい。
上記鎖状のアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70~100%、さらに好ましくは90~100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
式(b-2)中、V102、V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、又はフッ素化アルキレン基であり、それぞれ、式(b-1)中のV101と同様のものが挙げられる。
式(b-2)中、L101、L102は、それぞれ独立に、単結合又は酸素原子である。
・(b-3)成分のアニオン部
式(b-3)中、R106~R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、上記R’201と同様のものが挙げられる。
103~L105は、それぞれ独立に、単結合、-CO-又は-SO-である。
{カチオン部}
式(b-1)、(b-2)及び(b-3)中、mは、1以上の整数であり、M’m+は、m価のオニウムカチオンであり、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが好ましく挙げられ、例えば、上記の一般式(ca-1)~(ca-5)でそれぞれ表される有機カチオンが挙げられる。
上記式(ca-1)で表される好ましいカチオンとして、具体的には、上記式(ca-1-1)~(ca-1-129)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
上記式(ca-2)で表される好ましいカチオンとして、具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
上記式(ca-3)で表される好ましいカチオンとして、具体的には、上記式(ca-3-1)~(ca-3-6)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
上記式(ca-4)で表される好ましいカチオンとして、具体的には、上記式(ca-4-1)~(ca-4-2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
上記式(ca-5)で表される好ましいカチオンとして、具体的には、上記式(ca-5-1)~(ca-5-3)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
上記の中でも、カチオン部[(M’m+1/m]は、一般式(ca-1)で表されるカチオンが好ましく、式(ca-1-1)~(ca-1-129)でそれぞれ表されるカチオンがより好ましい。
(B2)成分としては、強酸を発生することができるアニオン部を有することが好ましい。強酸を発生することができるアニオン部としては、強酸を発生することができるアニオンであれば特に限定されず、例えば、酸の酸解離定数(pKa)が好ましくは0以下であり、より好ましくは-1以下であり、下限は、特に設定されないが、-15程度である、酸を発生することができるアニオンが挙げられる。
本実施形態のレジスト組成物において、(B2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物中、(B2)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、5~20質量部がより好ましく、9~15質量部がさらに好ましい。
(B2)成分の含有量が上記好ましい範囲の下限値以上であると、レジストパターンの形成において、感度、LWR性能、欠陥耐性等のリソグラフィ特性がより向上する。一方、好ましい範囲の上限値以下であると、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られやすく、レジスト組成物としての保存安定性がより高まる。
<(D)成分:酸拡散制御剤成分>
本実施形態のレジスト組成物は、(A)成分及び(B)成分に加えて、酸拡散制御剤成分(D)(以下「(D)成分」ともいう)を含有する。(D)成分は、レジスト組成物において露光により発生する酸の拡散を制御する(すなわち、酸をトラップする)クエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものである。
(D)成分は、下記式(d0)で表される基をアニオン部に有する光崩壊性塩基(D0)(以下「(D0)成分」ともいう)を含み、本発明において、(D)成分には、含窒素有機化合物(D2)(以下「(D2)成分」ともいう)が含まれない。
Figure 2022041916000050
[式中、Rbは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。ただし、Rbは、ハロゲン原子を含まない。]
また、(D)成分は、(DO)成分及び(D2)成分以外の酸拡散制御剤(D’)(以下「(D’)成分」ともいう)をさらに含むことができる。
≪(D0)成分≫
(D0)成分を含有するレジスト組成物とすることで、レジストパターンを形成する際に、レジスト膜の露光部と未露光部とのコントラストをより向上させることができる。
(D0)成分としては、上記式(d0)で表される基をアニオン部に有し、露光により分解して酸拡散制御性を失うものであれば特に限定されない。
(D0)成分は、レジスト膜の露光部においては分解して酸拡散制御性(塩基性)を失うためクエンチャーとして作用せず、レジスト膜の未露光部においてクエンチャーとして作用する。
・アニオン部(一般式(d0)で表される基)
(D0)成分は、式(d0)で表される基をアニオン部に有する。式(d0)中、Rbは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
置換基を有していてもよい炭化水素基としては、置換基を有していてもよい環式炭化水素基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基が好ましく、上記R’201と同様のものが挙げられる。
Rbは、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい脂肪族環式炭化水素基であることがより好ましい。
Rbにおける鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1~20であることが好ましく、炭素数1~15であることがより好ましく、炭素数1~10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3~20であることが好ましく、炭素数3~15であることがより好ましく、炭素数3~10が最も好ましい。具体的には、例えば、1-メチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基等が挙げられる。
Rbにおける脂肪族環式炭化水素基としては、炭素数が3~20であることが好ましく、3~12であることがより好ましい。
上記脂肪族環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂肪族環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3~6のものが好ましく、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂肪族環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7~30のものが好ましい。その中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
その中でも、Rbにおける脂肪族環式炭化水素基としては、モノシクロアルカン又はポリシクロアルカンから水素原子を1個以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1個除いた基がより好ましく、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい)、カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基であることがさらに好ましい。
Rbの炭化水素基が有していてもよい置換基としては、水酸基、オキソ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、上記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、エーテル結合、エステル結合、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、ハロゲン原子は除かれる。
上記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが最も好ましい。
上記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
脂肪族環式炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、-O-、-C(=O)-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-O-が好ましい。
エーテル結合やエステル結合を置換基として含む場合、アルキレン基を介していてもよく、この場合の置換基としては、上記式(y-al-1)~(y-al-5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。
一般式(d0)で表される基としては、下記一般式(d0-1)~(d0-23)で表される基が好ましく挙げられる。
Figure 2022041916000051
式(d0)で表される基としては、弱酸を発生することができるアニオンであることが好ましい。弱酸を発生することができるアニオンであれば特に限定されず、例えば、酸の酸解離定数(pKa)が好ましくは0超過であり、より好ましくは0.2以上であり、上限は、特に設定されないが、10程度である、酸を発生することができるアニオンが挙げられる。
・カチオン部
(D0)成分のカチオン部としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト組成物用の酸拡散制御剤のカチオン部として提案されているカチオン部を有することができる。
このようなカチオン部としては、(M”m+1/mで表されるカチオンが挙げられる。
M”m+は、m価の有機カチオンである。
M”m+の有機カチオンとしては、上記一般式(ca-1)~(ca-5)でそれぞれ表されるカチオンと同様のものが好ましく挙げられ、上記一般式(ca-1)で表されるカチオンがより好ましく、上記式(ca-1-1)~(ca-1-41)、(ca-1-43)~(ca-1-103)、(ca-1-105)~(ca-1-123)、(ca-1-125)~(ca-1-129)でそれぞれ表されるカチオンがさらに好ましい。
(D0)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。レジスト組成物中の(D0)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5~20質量部が好ましく、1~15質量部がより好ましく、5~10質量部がさらに好ましい。
(D0)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、感度、LWR性能、欠陥耐性等のリソグラフィ特性が良好となる。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
(D0)成分の製造方法:
上記(D0)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
≪(D2)成分≫
本実施形態のレジスト組成物において、酸拡散制御剤成分(D)は、含窒素有機化合物(D2)(以下「(D2)成分」ともいう)を含まない。
(D2)成分としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等が挙げられる。
脂肪族アミンとは、1個以上の脂肪族基を有するアミンのことである。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1個を、炭素数12以下のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミン若しくはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、n-ノニルアミン、n-デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-n-ヘプチルアミン、ジ-n-オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、トリ-n-ヘキシルアミン、トリ-n-ヘプチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、トリ-n-ノニルアミン、トリ-n-デシルアミン、トリ-n-ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ-n-オクタノールアミン、トリ-n-オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。
環式アミンとしては、例えば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であってもよく、多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、具体的には、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2-メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2-(2-メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(2-メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2-(1-エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2-{2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、4-ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾール又はこれらの誘導体、トリベンジルアミン、2,6-ジイソプロピルアニリン、N-tert-ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
(D2)成分を酸拡散制御剤として含む場合、光源に対する感度が遅くなりすぎるか、線幅のラフネスが大きくなる。
≪(D’)成分≫
本実施形態のレジスト組成物において、酸拡散制御剤成分(D)は、(DO)成分及び(D2)成分以外の酸拡散制御剤(D’)(以下「(D’)成分」ともいう)をさらに含むことができる。(D’)成分としては、特に制限されるものではなく、従来、フォトレジスト組成物において酸拡散制御剤として公知となったものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。(D’)成分は、フォトレジスト組成物において、露光により発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものである。
(D’)成分は、露光により分解して酸拡散制御性を失う光崩壊性塩基(D1)(以下「(D1)成分」ともいう)であってもよい。
・(D1)成分について
(D1)成分は、(D0)及び(D2)成分に該当せず、露光により分解して酸拡散制御性を失うものであれば特に限定されず、下記式(d1-1)で表される化合物(以下「(d1-1)成分」という)から選択される1種以上の化合物が好ましい。
(d1-1)成分は、フォトレジスト膜の露光部においては分解して酸拡散制御性(塩基性)を失うためクエンチャーとして作用せず、未露光部においてクエンチャーとして作用する。
Figure 2022041916000052
[式中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。mは、1以上の整数であり、M”m+は、m価の有機カチオンである。]
・・アニオン部
式(d1-1)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ上記R’201と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、Rdとしては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましい。これらの基が有していてもよい置換基としては、水酸基、オキソ基、アルキル基、アリール基、フッ素原子、フッ素化アルキル基、上記一般式(a2-r-1)~(a2-r-7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、エーテル結合、エステル結合、又はこれらの組み合わせが挙げられる。エーテル結合やエステル結合を置換基として含む場合、アルキレン基を介していてもよく、この場合の置換基としては、上記式(y-al-1)~(y-al-5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビシクロオクタン骨格を含む多環構造(ビシクロオクタン骨格とこれ以外の環構造とからなる多環構造)が好ましく挙げられる。
上記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
上記鎖状のアルキル基としては、炭素数が1~10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基;1-メチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
上記鎖状のアルキル基が置換基としてフッ素原子又はフッ素化アルキル基を有するフッ素化アルキル基である場合、フッ素化アルキル基の炭素数は、1~11が好ましく、1~8がより好ましく、1~4がさらに好ましい。該フッ素化アルキル基は、フッ素原子以外の原子を含有してもよい。フッ素原子以外の原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
Rdとしては、直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換されたフッ素化アルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換されたフッ素化アルキル基(直鎖状のパーフルオロアルキル基)であることが特に好ましい。
以下に(d1-1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2022041916000053
・・カチオン部
式(d1-1)中、M”m+は、m価の有機カチオンであり、上記(D0)成分のカチオン部と同様である。
(d1-1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(D1)成分を含有する場合、(D1)成分の含有量は、(S)成分100重量部に対して、0.3~10重量部であることが好ましく、0.5~7重量部であることがより好ましく、1~6重量部であることがさらに好ましい。
(D1)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、特に良好なリソグラフィ特性及びレジストパターン形状が得られやすい。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持することができ、スループットにも優れる。
(D1)成分の製造方法:
上記の(d1-1)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
<その他の成分>
本実施形態において、レジスト組成物は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分に加えて、その他の成分をさらに含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、後述する(E)成分、(F)成分、(S)成分等が挙げられる。
≪(E)成分:有機カルボン酸並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物≫
本実施形態のレジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」ともいう)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が好ましい。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、例えば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、上記炭化水素基としては、炭素数1~5のアルキル基、炭素数6~15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ-n-ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステル等が挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸-ジ-n-ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステル等が挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、ホスフィン酸エステルやフェニルホスフィン酸等が挙げられる。
本実施形態のレジスト組成物において、(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(E)成分を含有する場合、(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01~5質量部の範囲で用いられる。
≪(F)成分:フッ素添加剤成分≫
本実施形態のレジスト組成物は、レジスト膜に撥水性を付与するために、フッ素添加剤成分(以下「(F)成分」ともいう)を含有してもよい。
(F)成分としては、例えば、日本国特開2010-002870号公報、日本国特開2010-032994号公報、日本国特開2010-277043号公報、日本国特開2011-13569号公報、日本国特開2011-128226号公報に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。(F)成分として、より具体的には、下記式(f1-1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。ただし、上述した(A)成分に該当する高分子化合物を除く。
上記の構成単位(f1)を有する重合体としては、構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);該構成単位(f1)と下記式(m-1)で表される構成単位の共重合体;該構成単位(f1)とアクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、下記式(m-1)で表される構成単位との共重合体が好ましい。
ここで、該式(m-1)で表される構成単位としては、1-エチル-1-シクロオクチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位、1-メチル-1-アダマンチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位が好ましい。
Figure 2022041916000054
[式中、Rは、上記と同様である。式(f1-1)中、Rf102およびRf103は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のハロゲン化アルキル基を表し、Rf102およびRf103は、同一であってもよく、異なっていてもよい。nfは、0~5の整数であり、Rf101は、フッ素原子を含む有機基である。式(m-1)中、R21は、アルキル基であり、R22は、当該R22が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基である。]
上記式(f1-1)中、Rとしては、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子、炭素数1~5のアルキル基がより好ましく、炭素数1~5のアルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(f1-1)中、Rf102およびRf103のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1~5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1~5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1~5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、炭素数1~5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。その中でもRf102およびRf103としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1~5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はエチル基が好ましい。
式(f1-1)中、nfは、0~5の整数であり、0~3の整数が好ましく、0又は1であることがより好ましい。
式(f1-1)中、Rf101は、フッ素原子を含む有機基であり、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環式のいずれであってもよく、炭素数は1~20であることが好ましく、炭素数1~15であることがより好ましく、炭素数1~10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから特に好ましい。
その中でも、Rf101としては、炭素数1~5のフッ素化炭化水素基がより好ましく、トリフルオロメチル基、-CH-CF、-CH-CF-CF、-CH(CF、-CH-CH-CF、-CH-CH-CF-CF-CF-CFが特に好ましい。
式(m-1)中、R21におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環式のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1~5であることが好ましく、1~4がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基又はn-ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3~10であることが好ましく、3~5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基が特に好ましい。
式(m-1)中、R22は、当該R22が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基である。R22が形成する脂肪族環式基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂肪族環式基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3~10のものが好ましく、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等が挙げられる。多環式の脂肪族環式基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7~12のものが好ましく、例えば、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
(F)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000~60000が好ましく、10000~55000がより好ましく、20000~50000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのにレジスト用溶剤への十分な溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0~5.0が好ましく、1.0~3.0がより好ましく、1.2~2.5が最も好ましい。
(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
レジスト組成物が(F)成分を含有する場合、(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.5~10質量部の割合で用いられる。
≪(S)成分:有機溶剤成分≫
本実施形態のレジスト組成物は、レジスト材料を有機溶剤成分(以下「(S)成分」ともいう)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジスト組成物の溶剤として公知となったものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
(S)成分としては、例えば、γ-ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、又はジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、上記多価アルコール類又は上記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテル又はモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
本実施形態のレジスト組成物において、(S)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
その中でも、PGMEA、PGME、γ-ブチロラクトン、EL、シクロヘキサノンが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶剤も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2、さらに好ましくは3:7~7:3である。なお、PGMEAとPGMEとシクロヘキサノンとの混合溶剤も好ましい。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選択される少なくとも1種とγ-ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が、好ましくは70:30~95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1~20質量%、好ましくは2~15質量%の範囲内となるように(S)成分は用いられる。
本発明のレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えば、レジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料等を適宜、添加含有させることができる。
上記本実施形態のレジスト組成物は、感度、LWR性能、CDU性能、EL性能、欠陥耐性及びPEB後の膜収縮抑制性等のリソグラフィ特性が良好であり、特に感度、LWR性能及び欠陥耐性がバランスよく良好である。
(レジストパターン形成方法)
本実施形態のレジストパターン形成方法は、支持体上に、上述した実施形態のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、上記レジスト膜を露光する工程、及び上記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
かかるレジストパターン形成方法の一実施形態としては、例えば、以下のようにして行うレジストパターン形成方法が挙げられる。
まず、支持体上に上述した実施形態のレジスト組成物を、スピンナー等で塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、例えば、80~150℃の温度条件にて40~120秒間、好ましくは60~90秒間施してレジスト膜を形成する。
次に、該レジスト膜に対し、例えば、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光又はマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、例えば、80~150℃の温度条件にて40~120秒間、好ましくは60~90秒間施す。
次に、上記レジスト膜を現像処理する。現像処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて施す。本実施形態のレジストパターン形成方法は、溶剤現像プロセスの場合に特に有用である。
現像処理後、好ましくはリンス処理を施す。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、上記現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を、超臨界流体により除去する処理を施してもよい。
現像処理後又はリンス処理後、乾燥を施す。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を施してもよい。
このようにして、レジストパターンを形成することができる。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが設けられたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述したような基板上に、無機系および/又は有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や、多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法のことであり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法としては、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との2層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)と、に分けられる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。上記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EB又はEUV用としての有用性が高く、ArFエキシマレーザー、EB又はEUV用としての有用性がより高い。
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、露光されるレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、上記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、上記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70~180℃のものが好ましく、80~160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行うことができることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物、パーフルオロアルキルアミン化合物が挙げられる。
さらに、具体的には、上記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2-ブチル-テトラヒドロフラン)(沸点102℃)が挙げられ、上記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)が挙げられる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
アルカリ現像プロセスで現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば、0.1~10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解できるものであればよく、公知の有機溶剤の中から適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
ケトン系溶剤は、構造中にC-C(=O)-Cを含む有機溶剤である。エステル系溶剤は、構造中にC-C(=O)-O-Cを含む有機溶剤である。アルコール系溶剤は、構造中にアルコール性水酸基を含む有機溶剤である。「アルコール性水酸基」は、脂肪族炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基を意味する。ニトリル系溶剤は、構造中にニトリル基を含む有機溶剤である。アミド系溶剤は、構造中にアミド基を含む有機溶剤である。エーテル系溶剤は、構造中にC-O-Cを含む有機溶剤である。
有機溶剤の中には、構造中に上記各溶剤を特徴づける官能基を複数種含む有機溶剤も存在するが、その場合は、当該有機溶剤が有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中のアルコール系溶剤、エーテル系溶剤のいずれにも該当するものとする。
炭化水素系溶剤は、ハロゲン化されていてもよい炭化水素からなり、ハロゲン原子以外の置換基を有さない炭化水素溶剤である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
有機系現像液が含有する有機溶剤としては、上記の中でも、極性溶剤が好ましく、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤等が好ましい。
ケトン系溶剤としては、例えば、1-オクタノン、2-オクタノン、1-ノナノン、2-ノナノン、アセトン、4-ヘプタノン、1-ヘキサノン、2-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、メチルアミルケトン(2-ヘプタノン)等が挙げられる。これらの中でも、ケトン系溶剤としては、メチルアミルケトン(2-ヘプタノン)が好ましい。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶剤としては、酢酸ブチルが好ましい。
ニトリル系溶剤としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、バレロニトリル、ブチロニトリル等が挙げられる。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合することができる。該添加剤としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
界面活性剤としては、非イオン性の界面活性剤が好ましく、非イオン性のフッ素系界面活性剤、又は非イオン性のシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001~5質量%であり、0.005~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
現像処理は、公知の現像方法により施すことが可能であり、例えば、現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力により盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理後のリンス処理に用いるリンス液が含有する有機溶剤としては、例えば、上記有機系現像液に用いる有機溶剤として挙げた有機溶剤のうち、レジストパターンを溶解しにくいものを適宜選択して用いることができる。通常、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤およびエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を用いる。これらの中でも、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びアミド系溶剤から選択される少なくとも1種類が好ましく、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種類がより好ましく、アルコール系溶剤が特に好ましい。
リンス液に用いるアルコール系溶剤は、炭素数6~8の1価アルコールが好ましく、該1価アルコールは、直鎖状、分岐状又は環式のいずれであってもよい。具体的には、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、1-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-ヘキサノールが好ましく、1-ヘキサノール、2-ヘキサノールがより好ましい。
これらの有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記以外の有機溶剤や水と混合して用いてもよい。ただし、現像特性を考慮すると、リンス液中の水の配合量は、リンス液の全量に対して、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下さらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
リンス液には、必要に応じて公知の添加剤を配合することができる。該添加剤としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、上記と同様のものが挙げられ、非イオン性の界面活性剤が好ましく、非イオン性のフッ素系界面活性剤、又は非イオン性のシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、リンス液の全量に対して、通常0.001~5質量%であり、0.005~2質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましい。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により施すことができる。該リンス処理の方法としては、例えば、一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<フォトレジスト組成物の調製>
下記表に示す各成分を混合して溶解することにより各例のフォトレジスト組成物を調製した。
Figure 2022041916000055
上記表において、各略号は、それぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
[(A)成分]
A-1:下記式(A-1)で表される樹脂(各構成単位のモル比x/y/z=50/40/10、質量平均分子量:20,000)
A-2:下記式(A-1)で表される樹脂(各構成単位のモル比x/y/z=50/40/10、質量平均分子量:10,000)
Figure 2022041916000056
[(B)成分]
B-1~B-4:それぞれ下記式(B-1)~式(B-4)で表される酸発生剤
Figure 2022041916000057
[(D)成分]
D-1~D-4:それぞれ下記式(D-1)~式(D-4)で表される酸拡散制御剤
Figure 2022041916000058
[(E)成分]
E-1:下記式(E-1)で表される添加剤
Figure 2022041916000059
[(F)成分]
F-1:下記式(F-1)で表されるフッ素添加剤(各構成単位のモル比x/y=80/20、質量平均分子量:45,000)
Figure 2022041916000060
[(S)成分]
S-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S-2:プロピレングリコールモノメチルエーテル
<レジストパターンの形成>
12インチ(300mm)のシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC95」(ブリューワサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚90nmの有機系反射防止膜を形成した。
反射防止膜上にスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、110℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。
液浸用ArF露光装置NSR-S610C[ニコン社製;NA(開口数)=1.30,Dipole(in/out=0.78/0.98)with Polano,液浸媒体:水]により、フォトマスク(6%ハーフトーン)を介して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。その後、90℃で60秒間のポストエクスポージャーベーク(PEB)処理を行った。次いで、23℃にて2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD-3、東京応化工業株式会社製)で10秒間のアルカリ現像を行い、その後、純水を用いて30秒間の水リンスを行い、振り切り乾燥を行った。その結果、いずれの例においてもライン幅38nm、ピッチ81nmのラインアンドスペースパターン(以下、LSパターンという)がそれぞれ形成された。
上記38nmのLSパターンが形成されるときの感度を最適露光量Eop(mJ/cm)とした。各レジスト組成物のEopを表2に示す。
<欠陥評価>
リソグラフィー評価で得られたLSパターンを、KLAテンコール社製の表面欠陥観察装置KLA2905(製品名)を用いて観察した。シリコンウェーハ1枚(300mm)あたりの未露光部の現像欠陥の個数を測定し、下記の評価基準に従って評価した。
○:現像欠陥の個数が1500個以下
×:現像欠陥の個数が1501個以上
<ラインウィズスラフネス(LWR)評価>
該LSパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm)に形成されたライン幅38nm、ピッチ81nmのLSパターンにおいて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、商品名:CG-5000、日立ハイテク製)により、ライン幅を、ラインの長手方向に400箇所測定し、その結果から標準偏差(s)の3倍値(3s)を、LWRを示す尺度として算出した。この3sの値が小さいほど線幅のラフネスが小さく、より均一幅のLSパターンが得られたことを意味する。結果を表2に示す。
Figure 2022041916000061
上記結果に示したように、本発明を適用した実施例1~5のレジスト組成物により形成されたレジストパターンは、感度、LWR性能及び欠陥耐性のいずれもが良好であった。一方、(B1)成分を含有しない比較例1の組成物、及び(D)成分として光崩壊性塩基(D0)を含有せず、含窒素有機化合物(D2)を含有する比較例4の組成物は、LWR性能が劣った。(B2)成分を含有しない比較例2、6の組成物、及び光崩壊性塩基(D0)を含有しない比較例3の組成物は、LWR性能及び欠陥耐性のいずれもが劣った。(B2)成分を含有せず、(D)成分として含窒素有機化合物(D2)を含有する比較例5の組成物、及び(B2)成分を含有しない比較例6の組成物は、感度及び欠陥耐性が劣った。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は、前述した説明により限定されることはなく、添付の請求の範囲により定められる。

Claims (6)

  1. 露光により酸を発生し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するレジスト組成物であって、
    酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、
    露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)、及び
    前記酸発生剤成分(B)から露光により発生する酸の拡散を制御する、酸拡散制御剤(D)を含有し、
    前記酸発生剤成分(B)が、下記式(b1-1)で表される基をアニオン部に有する酸発生剤(B1)、及び(B1)とは異なる酸発生剤(B2)を含み、
    前記酸拡散制御剤(D)が、下記式(d0)で表される基をアニオン部に有する光崩壊性塩基(D0)を含み、含窒素有機化合物(D2)を含まないことを特徴とする、レジスト組成物。
    Figure 2022041916000062
    [式中、Rbは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。ただし、Rbは、ハロゲン原子を含まない。]
  2. 前記酸発生剤(B2)が、下記式(b-1)で表される化合物、下記式(b-2)で表される化合物又は下記式(b-3)で表される化合物から選択され、ただし、式(b-2)で表される化合物が、アニオン部に式(b1-1)で表される基を有さないことを特徴とする、請求項1に記載のレジスト組成物。
    Figure 2022041916000063
    [式中、R101、R104~R108は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。R104、R105は、互いに結合して環を形成していてもよい。R102は、フッ素原子又は炭素数1~5のフッ素化アルキル基である。Y101は、単結合又は酸素原子を含む2価の連結基である。V101~V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。L101~L102は、それぞれ独立に、単結合又は酸素原子である。L103~L105は、それぞれ独立に、単結合、-CO-又は-SO-である。mは、1以上の整数であって、M’m+は、m価のオニウムカチオンである。]
  3. 上記式(d0)で表される基が下記式(d0-1)~(d0-23)で表される基から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
    Figure 2022041916000064
  4. 添加剤(E)をさらに含有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
  5. フッ素添加剤(F)をさらに含有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のレジスト組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のレジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記露光されたレジスト膜に現像液を用いて現像する工程を含むことを特徴とする、レジストパターンの形成方法。
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