JP2022040796A - 細胞培養装置及び細胞培養方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞を容易に高密度で培養することができる細胞培養装置及び細胞培養方法を提供することを主目的とする。【解決手段】本発明の細胞培養装置は、細胞を培養する培養室と、上記培養室と外部を隔てるガス交換膜と、上記培養室に確保された培養足場設置用の空間と、上記培養室に上記培養足場設置用の空間を取り囲むように設けられた中空糸膜と、を備え、上記培養室は、外部と連通する2つ以上のポートを有し、上記中空糸膜は、細胞を透過せず所定の物質を選択的に透過する半透性を有し、上記中空糸膜は、上記培養室の外部に配置され互いに連通する2つ以上の開口端を有し、上記培養足場設置用の空間及び上記中空糸膜の間に所定の距離が確保されていることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、細胞培養装置及び細胞培養方法に関し、特に中空糸膜型バイオリアクターの一種である細胞培養装置及びそれを使用する細胞培養方法に関する。
組織培養は、何十年もの間に細胞の成長と維持に使用されてきた確立された技術である。生体外(ex vivo)で細胞を研究することの利便性は、遺伝子組み換え細胞株の生成やハイスループットスクリーニングアッセイでのレポーター細胞の使用等、不可能ではないが非常に困難な実験を可能にする顕著な利点をもたらす。近年には、組織培養は、試験管内(in vitro)のモデルの生成や再生医療のための生体組織工学の分野を起こした。これらの応用により、動的な三次元(3D)培養システムへの関心が大幅に高まった。病変組織や損傷組織の修復を目的として、細胞を抽出、成長、分化、移植する能力は、患者の利益と商業的機会に大きな可能性を秘めている研究分野である。
現在の組織培養の慣用的な技術は、培養フラスコの二次元(2D)表面での付着細胞の増殖である。二次元表面での付着細胞の増殖は、現在、研究環境の標準として確立されているが、組織工学の応用での最近の関心は、二次元組織培養環境が大規模細胞生産に必要な規模拡大には不十分であるという事実を強調する。例えば、1人の心筋梗塞患者、1人の糖尿病患者、1人の血液輸血患者、及び1人の血小板輸血患者の治療にそれぞれ109個の心筋細胞、109個のβ細胞、1012個の赤血球、及び1011個の血小板が、必要であると推定されている。しかしながら、特に臨床応用のための、高品質の幹細胞とその派生物の拡張性がありかつ費用対効果の高い培養は依然として課題である。中空糸膜型バイオリアクター(HFB)は、モジュール内に固定された中空糸膜からなる三次元培養システムであり、細胞は通常多孔性中空糸膜の外側に播種され、かつ培地は中空糸膜の内部を通して輸送される。中空糸膜型バイオリアクターは試験管内のような環境を提供し、中空糸膜が毛細血管を模倣し、動的な培地の輸送に伴うせん断力から細胞を保護する。その一方で、中空糸膜型バイオリアクターは、必要に応じ、サイドポートによる流体の流れにより一定のせん断力を細胞に加えることができる。これにより、高い細胞密度に到達できる優れた物質輸送を可能とする多目的に使用可能な培養システムを実現する。
組織培養に最も広く使用されている二次元細胞培養(例えば、細胞培養フラスコ等を使用)は、労力、スペース、及び試薬を浪費し、小規模での細胞の調製にのみ適していると考えられている。
細胞を培養培地に懸濁する三次元懸濁培養(例えば、撹拌槽バイオリアクター等を使用)は、生産を拡大するために広く研究されている。しかしながら、三次元懸濁培養の重大な問題は、細胞凝集の制御が困難なことである。また、廃棄代謝物への細胞の長時間の暴露が、特に高密度な培養で細胞に有毒作用をもたらす。
中空糸膜型バイオリアクターは、再生医療の分野における新しいアプローチを提供する。特に付着細胞の場合、各中空糸膜が毛細血管を再現し、かつ中空糸膜の壁を通過する物質移動速度が細胞にせん断力を与えないので、中空糸膜型バイオリアクターは、生体内に近い微小環境を提供する。
中空糸膜型バイオリアクターとしては、例えば、特許文献1に、細胞が中空糸膜の内部における繊維状で非常に多孔質なコラーゲン性ゲルマトリックス内に補足される中空糸膜型バイオリアクターシステムが記載されている。
また、特許文献2には、フィブロネクチンのような細胞付着を促進するタンパク質をコーティングした中空糸膜の外表面に細胞が播種される中空糸膜型バイオリアクターシステムが記載されている。このシステムでは、培養培地が、中空糸膜の内部を通して送り出され、栄養成分及び廃棄代謝物が中空糸膜を横断することで双方向に拡散する。
特許文献1に記載された中空糸膜型バイオリアクターシステムは、二次元培養よりも細胞増殖のためのより生理的な環境を提供するが、付着細胞を増殖する面積として、中空糸膜の内部の限られた表面積しか有していない。このため、細胞増殖が阻害されるおそれがある。さらに、細胞が中空糸膜の狭い内部に補足されるため、培養処理の最後に細胞を回収することが非常に困難である。
一方、特許文献2に記載された中空糸膜型バイオリアクターシステムは、中空糸膜の外表面での細胞増殖のための面積が限られているため、細胞が増殖して細胞密度が増加すると、細胞は他の細胞の表面で増殖し、徐々に中空糸膜の孔を塞ぎ始めるおそれがある。これによって、栄養成分の供給及び廃棄代謝物の抽出が妨げられる。さらに、フィブロネクチンコートも中空糸膜の細孔を塞ぐことがある。これらが原因となって、リアクターでは、廃棄代謝物が蓄積するとともに細胞の栄養不足が生じることになる。さらに、細胞が中空糸膜の細孔から離れているほど、細胞が受け取ることができる栄養成分が少なくなる。これらの全てが原因となって、最終的に細胞増殖が阻害されることになる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、細胞を容易に高密度で培養することができる細胞培養装置及び細胞培養方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の細胞培養装置は、細胞を培養する培養室と、上記培養室と外部を隔てるガス交換膜と、上記培養室に確保された培養足場設置用の空間と、上記培養室に上記培養足場設置用の空間を取り囲むように設けられた中空糸膜と、を備え、上記培養室は、外部と連通する2つ以上のポートを有し、上記中空糸膜は、細胞を透過せず所定の物質を選択的に透過する半透性を有し、上記中空糸膜は、上記培養室の外部に配置され互いに連通する2つ以上の開口端を有し、上記培養足場設置用の空間及び上記中空糸膜の間に所定の距離が確保されていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の細胞培養方法は、上記細胞培養装置を使用することにより、上記培養足場で細胞を培養することを特徴とする。
本発明によれば、細胞を容易に高密度で培養することができる。
以上に説明した内容以外の本発明の課題、構成、及び効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明の細胞培養容器及び細胞培養方法に係る実施形態について説明する。以下の説明は本発明に係る具体例を示すものであり、本発明はこれらの説明に示される具体例に限定されるものではなく、本明細書に開示された技術的思想の範囲内で当業者による様々な変更が可能である。
本発明に係る実施形態の細胞培養容器は、細胞を培養する培養室と、上記培養室と外部を隔てるガス交換膜と、上記培養室に確保された培養足場設置用の空間と、上記培養室に上記培養足場設置用の空間を取り囲むように設けられた中空糸膜と、を備え、上記培養室は、外部と連通する2つ以上のポートを有し、上記中空糸膜は、細胞を透過せず所定の物質を選択的に透過する半透性を有し、上記中空糸膜は、上記培養室の外部に配置され互いに連通する2つ以上の開口端を有し、上記培養足場設置用の空間及び上記中空糸膜の間に所定の距離が確保されていることを特徴とする。また、本発明に係る実施形態の細胞培養方法は、本発明に係る実施形態の細胞培養装置を使用することにより、上記培養足場で細胞を培養することを特徴とする。
中空糸膜を適用した技術は、接線流濾過から廃水処理での原核生物のバイオフィルムまでの多くの応用製品で一般的に使用されている。哺乳動物細胞の培養では、中空糸膜灌流バイオリアクター(HFPB)技術が採用されている。大部分の細胞培養システムにおいて、過剰な栄養成分を含み、廃棄代謝物を含まない培地に細胞を播種する。そして、細胞は、栄養成分が減少し、廃棄代謝物が増加する環境で数日間培養され、突然当初の組成の培地に再度晒されるか(複数の新鮮な培地で複数回の培養をそれぞれ行う場合)、又は当初の組成とわずかに異なる組成の培地にさらされる(新しい培地で培養を連続して行う場合)。代謝フラックス分析における最近の研究は、栄養成分及び代謝廃棄物の変動する不連続なサイクルへのそのような曝露の重要性を裏付けている。
しかしながら、中空糸膜灌流バイオリアクターシステムにおける培養マトリックス及び周囲の化学環境の相対的な不変性は、より一貫しかつ生理的な培養環境を提供すると期待される。従来の中空糸膜灌流バイオリアクターシステムでは、例えば、特許文献1及び2のように、細胞が中空糸膜の内部又は中空糸膜の外表面に播種される。細胞が中空糸膜の内部に播種される方法では、中空糸膜の内部が詰まるおそれがあり、細胞が中空糸膜の外表面に播種される方法では、中空糸膜の細孔が塞がるおそれがある。どちらの方法でも、栄養成分の供給及び廃棄代謝物の除去が抑制されるおそれがある。
これに対し、本発明に係る実施形態では、中空糸膜の内部の詰まり及び細孔の閉塞を抑制することで、栄養成分が容易に供給され、かつ廃棄代謝物が効率的に除去されるようにするために、培養足場との間に所定の距離が確保される中空糸膜とともに培養足場が培養室に設置される。これにより、培養足場が中空糸膜に触れないために、細胞が中空糸膜に付着せず、かつ培地の液体の動的な流れの中でも培養足場に留まる。これにより、中空糸膜の細孔は、閉塞が抑制され、栄養成分を供給しかつ目的生成物及び廃棄代謝物を抽出する機能を実現する。
また、本発明に係る実施形態では、培養室の環境をリアルタイムで連続的に制御可能である。本発明に係る実施形態は、そのような効率的な培地交換機構を有するので、必要なときにいつでも投入培地組成(従って、細胞の周囲環境)を変更することは容易であり、これは、例えば、既存の培地成分に特別な栄養成分や試薬を追加で加えることのみを可能にする流加培養法のような懸濁培養とは異なる。
さらに、本発明に係る実施形態の制御された流体力学的条件での高密度培養は、方向流(directional flow)の微小環境を提供し、自己分泌刺激、細胞整列、及び望ましい細胞間又は細胞表面相互作用のために細胞集団内部に緩やかな間質勾配を確立することができる。そうすることにより、より一貫し生理的な培養環境を提供することで、細胞をより長時間でより高密度に培養することができるようになる。
本発明の複数の区画室(chamber)の実施形態もまた、動的な流体の流れに関して、操作者に様々な選択肢を与える。
例えば、3つの区画室を有する中空糸膜灌流バイオリアクターを備える細胞培養装置の実施形態では、栄養成分を供給する流体が、上側区画室のポートから培養室を通って流れ、下側区画室のポートを通って装置を出るか、あるいは栄養成分を供給する流体が、反対方向に流れ、下側区画室のポートを介し培養室に流入し、培養室を流れて、上側区画室のポートを介して流出する。この流体の流れは、中空糸膜の内部を流れる流体とは無関係である。
例えば、2つの区画室を有する中空糸膜灌流バイオリアクターシステムを備えた別の実施形態では、栄養成分を供給する流体は、上側区画室のポートを介して培養室に流入して流れ、培養室の下部のポートを介して培養室から流出するか、又は反対方向に流れ、培養室の下部のポートを介し培養室に流入して流れ、上側区画室のポートを介して培養室から流出する。この流体の流れは、中空糸膜の内部を流れる流体の流れとは独立している。
中空糸膜には、分画分子量(MWCO)を規定する細孔があり、細孔により、栄養成分、目的生成物、及び廃棄代謝物を選択的に透過させることができるが、成長因子等のタンパク質成分などの高分子量の成分を透過させないようにすることができる。これにより、成長因子等のタンパク質成分などは、培養室に保持し、細胞により再利用される。
本発明に係る実施形態では、複数の区画室を有する装置、複数の独立した流体流路、及び液体培地の成分を選択的に透過させる中空糸細孔のような構成を組み合わせることで、操作者は、灌流培養において使用される成長因子等のタンパク質成分などを含む培養培地の量を低減することができる。従来から、成長因子等のタンパク質成分などを含む培養培地の大量の使用は、灌流培養の課題であった。
後述するように、本発明に係る実施形態は、培養開始時に培養室を成長因子に富む培養培地で満たすことを可能にする。この初期の培養培地は、上側区画室又は下側区画室のポートを介して供給された後に、流出することなく培養室に保持される。培養開始後に新たに供給される液体培地は、細胞に必須の栄養成分を含む安価な培地であり、成長因子等を含まず、中空糸膜の内部又は上側区画室若しくは下側区画室のポートを介して灌流される。この流れにより栄養成分を供給し、廃棄代謝物を除去する一方で、成長因子等は装置に保持され、細胞によって再利用される。このようにして、本発明は、長時間の培養のため培地の費用を低減するという効果を奏する。
以下、本発明に係る各実施形態の細胞培養装置及び細胞培養方法について、図を参照しながら説明する。なお、第1~第3実施形態の細胞培養装置は、本発明の細胞培養装置の基本構成である。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る培養室が単一の区画室から構成される細胞培養装置及びその中空糸膜の拡大図を示す概略図である。
図1は、第1実施形態に係る培養室が単一の区画室から構成される細胞培養装置及びその中空糸膜の拡大図を示す概略図である。
図1に示すように、第1実施形態の細胞培養装置1は、細胞Cを培養する培養室20を備え、培養室20の筐体2を備えている。細胞培養装置1は、培養室20の上側に設けられた培養室20と外部を隔てるガス交換膜51と、培養室20に確保された培養足場設置用の空間Sに設けられた培養足場40と、培養室20に培養足場40(培養足場設置用の空間S)を取り囲むように設けられた中空糸膜30とをさらに備えている。培養室20は、下側及び横側が筐体2により外気と隔てられ、上側がガス交換膜51により外気と隔てられている。ガス交換膜51は酸素を透過し、培地を透過しない膜である。細胞培養装置1は、培養室20に設けられたセンサー70をさらに備えている。
培養室20は、単一の区画室から構成され、外部と連通するポート21、22を有している。中空糸膜30は、培養室20の外部に配置され互いに連通する開口端31、32を有している。本実施形態においては、培養足場40(培養足場設置用の空間S)及び中空糸膜30の間に少なくとも1mmの距離Dが確保されている。
なお、培養足場40及び中空糸膜30は、固定部材(図示せず)により固定されている。これにより、細胞培養装置1を200rpmで揺れ動くオービタルシェーカー(図示せず)に置いた場合でも、培養足場40及び中空糸膜30の間に距離が確保されるように、培養足場40及び中空糸膜30の間の距離Dを少なくとも1mmとしている。
中空糸膜30は、図1の拡大図に示されるように、細孔33を有することにより、グルコース、アミノ酸等の栄養成分N、乳酸、アンモニア等の廃棄代謝物Wなどの低分子量の成分を透過する一方で、タンパク質安定剤、成長因子等のタンパク質成分Pなどの高分子量の成分及び細胞Cを透過しない半透性を有している。
中空糸膜30は、外表面が細胞Cに対する接着性が低い材料で構成されていることが好ましい。また、中空糸膜30は、外表面(毛細管外表面(extra capillary (EC) surface)とも言う。)が細胞cに対する親和性が低くなるように細胞付着阻害剤でコーティングされていても良い。細胞付着阻害剤でコーティングすることにより、中空糸膜30の外表面は疎水性になることもある。
続いて、第1実施形態に係る細胞培養方法として、図1に示す細胞培養装置1を使用することにより、培養足場で細胞を培養する細胞培養方法について説明する。
第1実施形態に係る細胞培養方法では、まず、細胞培養装置1の外部で培養足場40に細胞Cを播種し、播種後の培養足場40を培養室20の培養足場設置用の空間Sに導入する。なお、培養足場40を培養室20の培養足場設置用の空間に導入し、培養室20に導入した培養足場40に細胞Cを播種してもよい。
次に、培養室20のポート21に配管(図示せず)を接続し当該配管のポート21とは反対側を培地供給源(図示せず)に接続することで流路を構築し、培養室20のポート22に配管(図示せず)を接続し当該配管のポート22とは反対側を回収容器(図示せず)に接続することで流路を構築する。そして、中空糸膜30の開口端31に配管(図示せず)を接続し当該配管の開口端31とは反対側を培地供給源(図示せず)に接続することで流路を構築し、中空糸膜30の開口端32に配管(図示せず)を接続し当該配管の開口端32とは反対側を収集容器に接続することで流路を構築する。
次に、培養開始前に、細胞増殖及び細胞分化に関連するタンパク質成分などを含む培養培地を培地供給源からポート21を介して培養室20に供給し、培養室20を培養培地で満たす。
次に、細胞培養で消費される栄養成分Nなどを含む安価な栄養培地を培地供給源から開口端31を介して中空糸膜30に灌流する。これにより、細胞を連続培養する。
第1実施形態によれば、培養足場により高密度に細胞を増殖できる表面積が提供される。また、栄養培地を中空糸膜30に灌流することにより、栄養培地に含まれる栄養成分N及び細胞培養で生じる廃棄代謝物Wを、中空糸膜30の内部及び培養室20の間で交換することができる。これにより、培養足場40に播種した細胞Cに栄養成分を連続的に供給することができ、培養室20から中空糸膜30の内部に廃棄代謝物Wを連続的に抽出することで収集容器に収集することができる。この結果、培養室20の培地の劣化を抑制することができ、タンパク質成分を含む培養培地を培養室20に保持して再利用することができ、培養培地を細胞培養中に交換する必要がなくなる。よって、培養培地の使用量が低減される。そして、培養足場40及び中空糸膜30の間に距離Dが確保されている上に、中空糸膜30の外表面が細胞非付着性となっているために、細胞増殖時に細胞Cが中空糸膜30に付着することを抑制することができる。これにより、中空糸膜の細孔の詰まりを抑制することができる。このため、中空糸膜30からいかなる干渉も受けることなく、細胞Cに栄養成分を供給することができ、かつ廃棄代謝物又は目的生成物を抽出することができる。従って、細胞を容易に高密度で培養することができ、長時間の高密度な細胞培養を低い費用で行うことができる。
また、培養室20から中空糸膜30の内部に細胞Cにより生成される抗体や組換えタンパク質等の目的生成物を抽出することで収集容器に収集することができる。すなわち、細胞が生産する成分が中空糸膜を通過するケースでは中空糸膜を介して回収できる。また、幹細胞の分化を増加させることもできる。幹細胞をバイオリアクターで生存可能かつ機能した状態で維持できるため、再生医療を目的とした使用に有利である。細胞が生産する成分が中空糸膜を通過しないケースでは培養室側に成分が蓄積され続ける。
さらに、細胞の三次元培養では細胞密度が増加するため、細胞増殖に必要な酸素の不足が共通の課題となるが、ガス交換膜51により、外気から酸素を効率よく培養室20の細胞Cに供給することができる。また、センサー70を使用して、培養環境となる培地のpH、温度、及び溶存ガス濃度等の培養条件を監視することができる。
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係るメッシュが培養室のポートに設けられた細胞培養装置を示す概略図である。
図2は、第2実施形態に係るメッシュが培養室のポートに設けられた細胞培養装置を示す概略図である。
図2に示すように、第2実施形態の細胞培養装置1は、第1実施形態の細胞培養装置1の構成に加えて、培養室20にポート21、22をそれぞれ隔てるように設けられたメッシュ61、62をさらに備えている。メッシュ61、62は、ポート21、22の開口部を覆うように設けられている。メッシュ61、62の目開きは、100μm以上800μm以下の範囲内であるため、メッシュ61、62は、単一の細胞を透過させるが、スフェロイドや細胞及び細胞外マトリックスを含有する組織を濾過する。第2実施形態によれば、メッシュ61、62を使用することにより、細胞培養後に適切な洗浄剤及び精製剤を用いることでスフェロイドや細胞及び細胞外マトリックスを含有する組織を洗浄、精製、回収することができる。
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態に係る培養室の上側及び下側にガス交換膜を備える細胞培養装置を示す概略図である。
図3は、第3実施形態に係る培養室の上側及び下側にガス交換膜を備える細胞培養装置を示す概略図である。
図3に示すように、第3実施形態の細胞培養装置1は、第1実施形態の細胞培養装置1の構成に加えて、培養室20の下側に設けられた培養室20と外部を隔てるガス交換膜52をさらに備えている。第3実施形態によれば、2つのガス交換膜51、52により、培養室20の細胞Cへの酸素供給の効率を向上させることができる。
(第4実施形態)
図4は、第4実施形態に係る培養室が2つの区画室から構成される細胞培養装置を示す概略図である。
図4は、第4実施形態に係る培養室が2つの区画室から構成される細胞培養装置を示す概略図である。
図4に示すように、第4実施形態の細胞培養装置1は、第1実施形態の細胞培養装置1の構成に加えて、培養室20にポート21、22をそれぞれ隔てるように設けられたメッシュ61、62をさらに備えている。メッシュ61は、ポート21の開口部を覆うように設けられている。培養室20は、第1実施形態とは異なり、メッシュ62により隔てられる培養区画室20A及び下側区画室20Cから構成されている。なお、細胞培養装置1は、培養区画室20Aの筐体2Aと、下側区画室20Cの筐体2Cとを備えている。メッシュ62は、ガス交換膜51と平行に設けられている。メッシュ61、62の目開きは、100μm以上800μm以下の範囲内である。第4実施形態によれば、メッシュ61、62を使用することにより、細胞培養後に適切な洗浄剤及び精製剤でスフェロイドや細胞及び細胞外マトリックスを含有する組織を洗浄、精製、回収することができる。
第4実施形態の細胞培養装置1では、培養室20の培養区画室20Aがガス交換膜51を介して外気と接触している。培養室20のポート21が、培養区画室20Aの上部に設けられており、培養室20のポート22が、下側区画室20Cに設けられている。このため、培養区画室20Aの細胞Cへの酸素供給の効率を向上させることができる。さらに、ガス交換膜51として非付着性膜を使用することにより、細胞が培養足場から離れ、ガス交換膜51に付着することを抑制できる。これは、長時間の高密度な細胞培養において特に有益である。
(第5実施形態)
図5は、第5実施形態に係る培養室が3つの区画室から構成される細胞培養装置を示す概略図である。
図5は、第5実施形態に係る培養室が3つの区画室から構成される細胞培養装置を示す概略図である。
図5に示すように、第5実施形態の細胞培養装置1は、第1実施形態の細胞培養装置1の構成に加えて、培養室20にポート21、22をそれぞれ隔てるように設けられたメッシュ61、62をさらに備えている。培養室20は、第1実施形態とは異なり、メッシュ61、62により隔てられる培養区画室20A、上側区画室20B、及び下側区画室20Cから構成されている。なお、細胞培養装置1は、培養区画室20Aの筐体2Aと、上側区画室20Bの筐体2Bと、下側区画室20Cの筐体2Cとを備えている。メッシュ61、62は、それぞれガス交換膜51、52と平行に設けられている。メッシュ61、62の目開きは、100μm以上800μm以下の範囲内である。第5実施形態によれば、メッシュ61、62を使用することにより、細胞培養後に適切な洗浄剤及び精製剤でスフェロイドや細胞及び細胞外マトリックスを含有する組織を洗浄、精製、回収することができる。
第5実施形態の細胞培養装置1では、培養室20の上側区画室20B及び下側区画室20Cがそれぞれガス交換膜51、52を介して外気と接触している。培養室20のポート21、22が、それぞれ上側区画室20B及び下側区画室20Cに設けられている。このため、上側区画室20Bのポート21及び下側区画室20Cのポート22を使用して、培地供給源から培養室20に供給することができる。
(第6実施形態)
図6は、第6実施形態の細胞培養装置を備える灌流細胞培養システムを示す概略図である。
図6は、第6実施形態の細胞培養装置を備える灌流細胞培養システムを示す概略図である。
図6に示すように、灌流細胞培養システム100は、細胞培養装置1と、培養培地リザーバー3と、栄養培地リザーバー4と、収集容器5と、細胞培養装置1及び培養培地リザーバー3を接続する培養培地流路6と、細胞培養装置1及び栄養培地リザーバー4を接続する栄養培地流路7と、細胞培養装置1及び収集容器5を接続する廃棄代謝物流路8と、培養培地流路6に配置されたポンプ10及びバルブ11、12と、栄養培地流路7に配置されたポンプ13及びバルブ14と、廃棄代謝物流路8に配置されたポンプ16及びバルブ15とを備えている。
細胞培養装置1は、培養区画室20A、上側区画室20B、及び下側区画室20Cから構成される培養室20を備え、培養区画室20Aの筐体2Aと、上側区画室20Bの筐体2Bと、下側区画室20Cの筐体2Cとを備えている。細胞培養装置1は、培養区画室20A及び上側区画室20Bの間を隔てるメッシュ61と、培養区画室20A及び下側区画室20Cの間を隔てるメッシュ62と、上側区画室20Bと外部を隔てるガス交換膜51と、下側区画室20Cと外部を隔てるガス交換膜52とをさらに備えている。筐体2A、筐体2B、及び筐体2Cは、別個に作製されたものであり、細胞培養装置1は、筐体2A、筐体2B、及び筐体2Cを組み合わせることにより作製されるものである。
培養区画室20Aは、横側が筐体2Aにより外部と隔てられ、上側がメッシュ61により上側区画室20Bと隔てられ、下側がメッシュ62により下側区画室20Cと隔てられている。上側区画室20Bは、横側が筐体2Bにより外部と隔てられ、上側がガス交換膜51により外部と隔てられ、下側がメッシュ61により培養区画室20Aと隔てられている。下側区画室20Cは、横側が筐体2Cにより外部と隔てられ、上側がメッシュ62により培養区画室20Aと隔てられ、下側がガス交換膜52により外部と隔てられている。
細胞培養装置1は、培養区画室20Aに確保された培養足場設置用の空間Sに設けられた培養足場40と、培養区画室20Aにおいて筐体2Aの内壁面近くに培養足場40を取り囲むように螺旋状に設けられて固定された中空糸膜30とをさらに備えている。
培養室20の上側区画室20B及び下側区画室20Cは、外部と連通するポート21、22をそれぞれ有している。中空糸膜30は、培養室20の外部に配置され互いに連通する開口端31、32を有している。培養足場40(培養足場設置用の空間S)及び中空糸膜30の間に少なくとも1mmの距離D(図示せず)が確保されている。
中空糸膜30は、栄養成分、廃棄代謝物等の低分子量の成分を透過し、培養培地に含まれる目的とするタンパク質成分等の高分子量及び細胞Cを透過しない半透性を有している。
上側区画室20Bのポート21及び培養培地リザーバー3は配管(図示せず)により接続されており、下側区画室20Cのポート22及び培養培地リザーバー3は配管によりポンプ10を介して接続されている。ポート21、22と配管の接続箇所は、それぞれバルブ11、12で密閉されている。これにより、培地流路6が構築されている。中空糸膜30の開口端31及び栄養培地リザーバー4は配管によりポンプ13を介して接続されている。開口端31と配管の接続箇所はバルブ14で密閉されている。これにより、栄養培地流路7が構築されている。中空糸膜30の開口端32及び収集容器5は配管によりポンプ16を介して接続されている。開口端32と配管の接続箇所はバルブ15で密閉されている。これにより、廃棄代謝物流路8が構築されている。
続いて、図6に示す灌流細胞培養システムを使用することにより、培養足場で細胞を培養する細胞培養方法について説明する。図7は、図6に示す灌流細胞培養システムを使用する細胞培養方法の要部を概略的に示すフローチャートである。
本細胞培養方法では、細胞培養装置1の組み立てを行う前に細胞培養装置1の全ての部品を滅菌する。
次に、細胞培養装置1の組み立てを無菌環境で行う。この際には、まず、培養区画室20Aの筐体2Aの下側にメッシュ62、下側区画室20Cの筐体2C、及びガス交換膜52を取り付ける段階まで、細胞培養装置1の組み立てを行う。
次に、図7に示すように、無菌環境において、最小限の液体培地中で培養足場40に細胞Cを播種し、細胞付着の時間を確保する。続いて、細胞Cを播種した培養足場を上側の開口部から培養区画室20Aに導入する。
次に、培養区画室20Aの筐体2Aの上側にメッシュ61、上側区画室20Bの筐体2B、及びガス交換膜51を取り付けて固定することで、細胞培養装置1の組み立てを最後まで行う。
次に、図7に示すように、下側区画室20Cのポート22を開き、上側区画室20Bのポート21を閉じ、その状態を維持しながら、成長因子等のタンパク質成分などを含む培養培地を、培養培地リザーバー3から下側区画室20Cのポート22を介して培養区画室20A、上側区画室20B、及び下側区画室20Cにそれらが満たされるまで供給する。そして、それらが満たされたらポート22をバルブ12で閉じ、培養を開始する。
次に、図7に示すように、最小限の必須の栄養成分のみを含む安価な栄養培地を栄養培地リザーバー4から開口端31を介して中空糸膜30に供給する。これにより、栄養成分を中空糸膜30を介して培養区画室20Aに供給し、廃棄代謝物を中空糸膜30を介して培養区画室20Aから中空糸膜30の内部に抽出する。
次に、抽出した廃棄代謝物を、中空糸膜30の開口端32から流出させて、収集容器5まで流す。これにより、廃棄代謝物が収集容器5に収集される。このようにして、細胞Cの培養を行う。細胞Cの培養を行う段階では、培養室20をインキュベーター内に導入することで細胞を培養することができる。必要に応じて、中空糸膜30に栄養培地を灌流してもよい。細胞Cの培養を行う間、新鮮な栄養培地を、中空糸膜30を通して連続的に又は逐次的に培養室20に供給可能である。細胞培養で生じる廃棄代謝物は、拡散により培養区画室20Aから上側区画室20Bに収集し、上側区画室20Bを介して回収し、除去することもできる。
次に、図7に示すように、培養室20のポート21、22を開いて培養室20から培地を除去し、例えば、PBS-EDTA等の洗浄液をポート21から培養室20に供給することでスフェロイドや細胞及び細胞外マトリックスを含有する組織を洗浄し精製することにより、スフェロイドや組織を下側のメッシュ62に収集し、回収する。これに続いて、培養足場を細胞培養装置1から取り外し、外部で細胞剥離酵素を使用して培養足場から細胞を剥離し、回収することもできる。あるいは、収集培地をポート21から培養室20に供給することで、ポート22からの単一の細胞を含む流出物を収集することもできる。
次に、図7に示すように、培養室20から培地を流した後に、細胞培養装置1を洗浄し滅菌する。
以下、実施形態の細胞培養装置の構成及び実施形態の細胞培養方法について、詳細に説明する。
1.培養足場設置用の空間及び培養足場
培養足場設置用の空間は、上記培養室に確保されている。細胞培養装置は、上記培養室の上記培養足場設置用の空間に設けられた培養足場をさらに備え、上記中空糸膜が上記培養足場を取り囲むように設けられ、上記培養足場及び上記中空糸膜の間に所定の距離が確保されているものが好ましい。
培養足場設置用の空間は、上記培養室に確保されている。細胞培養装置は、上記培養室の上記培養足場設置用の空間に設けられた培養足場をさらに備え、上記中空糸膜が上記培養足場を取り囲むように設けられ、上記培養足場及び上記中空糸膜の間に所定の距離が確保されているものが好ましい。
培養足場は、生体適合性材料から構成され、細胞を付着又は包埋可能な構造体を有し、高密度な細胞の培養に必要な表面積を有するものである。
培養足場としては、上記のようなものであれば特に限定されず、二次元の培養足場でも三次元の培養足場でもよいが、上記構造体として、例えば、多孔質体の三次元構造体、ヒドロゲル等のゲル、フィルム、ディスク、又はビーズから構成された三次元構造体、並びに3Dプリンターで作製された細胞を収容可能な複雑形状の三次元構造体からなる群から選択される三次元構造体を有するものが好ましい。さらに、培養足場としては、上記構造体として、ポリスチレンから構成された三次元構造体を有するものでもよい。
培養足場は、上記細胞を付着又は包埋可能な上記構造体の表面を覆う細胞付着を促進する物質をさらに有するものが好ましい。上記細胞付着を促進する物質は、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、及びポリリジンからなる群から選択されるものが好ましい。
2.中空糸膜
中空糸膜は、上記培養室に上記培養足場設置用の空間を取り囲むように設けられている。栄養成分と廃棄代謝物又は目的生成物との交換を効率的に行うことができるからである。
中空糸膜は、上記培養室に上記培養足場設置用の空間を取り囲むように設けられている。栄養成分と廃棄代謝物又は目的生成物との交換を効率的に行うことができるからである。
中空糸膜は、細胞を透過せず所定の物質を選択的に透過する半透性を有している。中空糸膜は、細胞を透過せず所定の物質を選択的に透過する半透性を有するものであれば特に限定されないが、具体的には、例えば、栄養培地に含まれる栄養成分、細胞培養で生じる廃棄代謝物等の低分子量の成分を透過し、細胞だけではなく、培養培地に含まれる目的とするタンパク質成分等の高分子量の成分を透過しない半透性を有するものなどが挙げられる。このような栄養成分としては、例えば、グルコース(分子量:180.96Da)等が挙げられ、このような廃棄代謝物としては、乳酸(分子量:90.08Da)等が挙げられる。このようなタンパク質成分としては、例えば、ウシ血清アルブミン(分子量:66,000Da)等のタンパク質安定剤、FGF2(分子量:17,400Da)、インスリン(分子量:5,800Da)等の成長因子などが挙げられる。
中空糸膜の分画分子量(MWCO)は、細胞を透過せず所定の物質を選択的に透過するものであれば特に限定されないが、例えば、300Da以上50,000Da以下の範囲内が好ましく、中でも300Da以上15,000Da以下の範囲内が好ましく、特に300Da以上5,000Da以下の範囲内が好ましい。中空糸膜により、栄養成分、廃棄代謝物等の低分子量の成分を透過し、培養室に目的とするタンパク質成分等の高分子量の成分を保持することが容易となるからである。ここで、「分画分子量」とは、複数種類の低濃度の球状溶質を物質交換膜に透過させ、阻止率が90%以上となるときの球状溶質の分子量を指す。
例えば、成長因子であるインスリン(分子量:5,800Da)が目的のタンパク質成分である場合には、分画分子量(MWCO)が5000Daの中空糸膜を適用することができる。また、成長因子であるFGF2(分子量:17,400Da)が目的のタンパク質成分である場合には、分画分子量(MWCO)が5000Da又は15,000Daの中空糸膜を適用することができる。さらに、ウシ血清アルブミン(分子量:66,000Da)が目的のタンパク質成分である場合には、分画分子量(MWCO)が50,000Da以下の中空糸膜を適用することができる。なお、適切な分画分子量(MWCO)の中空糸膜を適用することにより、上記に挙げたもの以外のタンパク質安定剤、成長因子、ホルモン等の目的とするタンパク質成分を培養室に保持することができる。適切な分画分子量(MWCO)の中空糸膜を適用することで、目的とするタンパク質成分を培養室に保持することにより、培養培地の使用量を減らすことができ、細胞培養の費用を低減することができる。
中空糸膜としては、培養足場設置用の空間を取り囲むように設けられた1本の中空糸膜でもよいし、培養足場設置用の空間を取り囲むように設けられた複数本の中空糸膜でもよい。また、1本の中空糸膜としては、培養足場設置用の空間の周りを1回転するものでも、複数回転するものでよい。
上記中空糸膜は、上記培養室の外部に配置され互いに連通する2つ以上の開口端を有している。中空糸膜の開口端の数が1つであると、培地を供給する際に中空糸膜に空気を残さずに中空糸膜の内部を培地で満たすことが難しい。中空糸膜の内表面又は外表面に空気が残っていると物質交換の効率が低下する。これは、中空糸膜の細孔を介した中空糸膜及び培養室の間の物質交換が、液体と液体の界面で起こるためである。このため、中空糸膜に2つ以上の開口端を設けそれらを流入口及び流出口とすることにより、培地を中空糸膜の内部に空気を押し出すように供給できるので、中空糸膜の表面に空気を残さずに中空糸膜の内部を容易に培地で満たすことができる。
中空糸膜は、流入口又は流出口となる開口端を複数有するものでもよい。これに加え、中空糸膜では、各開口端にバルブのような流路開閉機構を設けてもよい。なお、中空糸膜が、流入口となる開口端を複数有し、流入口となる各開口端に流路開閉機構を設けた上で、複数の培地供給源を流入口となる複数の開口端にそれぞれ接続することにより、培養の進行に従って中空糸膜への培地の供給を連続的に切り替え又は調整することができる。
中空糸膜は、特に限定されるものではなく、様々な生分解性材料や非生分解性材料から構成することができるが、細胞に対する親和性が低い材料から構成されたもの、又は外表面が細胞に対する親和性が低くなるように処理されたものが好ましい。中空糸膜の外表面を細胞非付着性にすることができるからである。
中空糸膜としては、細胞に対する親和性が低い材料から構成されたものの中でも、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、酪酸セルロース、及びそれらの誘導体からなる群から選択される材料から構成されたものが好ましい。
中空糸膜としては、外表面が細胞に対する親和性が低くなるように処理されたものが好ましい。外表面が細胞に対する親和性が低くなるように処理されたものとしては、例えば、外表面がポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)及びヘパリンナトリウムを含有する細胞接着阻害剤を含むものが挙げられる。外表面が細胞に対する親和性が低くなるように細胞付着阻害剤のコーティングで効果的に処理されているからである。
なお、中空糸膜の外表面の細胞非付着性の条件は、後述する培養足場設置用の空間及び中空糸膜の間の距離の条件と組み合わせることにより、培養足場に播種した細胞が増殖する時に中空糸膜に付着することを効果的に抑制する。これにより、中空糸膜の細孔の詰まりを抑制することで、栄養成分及び廃棄代謝物の交換を行う中空糸膜の機能を効率的に発揮させることできるからである。
3.培養足場設置用の空間及び中空糸膜の間の距離
上記培養足場設置用の空間(培養足場)及び上記中空糸膜の間に所定の距離が確保されている。
上記培養足場設置用の空間(培養足場)及び上記中空糸膜の間に所定の距離が確保されている。
培養足場設置用の空間及び中空糸膜の間の距離は、培養足場に播種した細胞が増殖する時に中空糸膜に付着することを抑制することができれば特に限定されないが、例えば、1mm以上100mm以下の範囲内であることが好ましく、5mm以上40mm以下の範囲内であることがより好まく、10mm以上40mm以下の範囲内であることがさらに好ましい。培養足場及び中空糸膜の間の距離をこれらの範囲の下限以上にすることにより、細胞が中空糸膜に付着することを効果的に抑制することができるからである。培養足場及び中空糸膜の間の距離をこれらの範囲の上限以下にすることにより、中空糸膜の栄養成分及び廃棄代謝物の交換機能を効率的に発揮させることできるからである。
4.ガス交換膜
ガス交換膜は、上記培養室と外部を隔てる膜であり、酸素を透過する膜である。細胞の三次元培養では細胞密度が増加するため、細胞の増殖に必要な酸素が不足することが課題となる。そこで、細胞培養装置では、培養室と外部を隔てるガス交換膜を設けることにより、培養室に外気から効率良く酸素を供給することできる。
ガス交換膜は、上記培養室と外部を隔てる膜であり、酸素を透過する膜である。細胞の三次元培養では細胞密度が増加するため、細胞の増殖に必要な酸素が不足することが課題となる。そこで、細胞培養装置では、培養室と外部を隔てるガス交換膜を設けることにより、培養室に外気から効率良く酸素を供給することできる。
ガス交換膜は、細胞非付着性の膜が好ましい。細胞非付着性の膜を使用することで、培養足場から細胞が脱離し遊走することを抑制できるからである。
ガス交換膜は、酸素を透過する膜であれば特に限定されないが、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリトリメチルシリルプロピン(PTMS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含有するフッ素化アクリル樹脂、ポリメチルペンテン(PMP)、天然ゴム、及びそれらの誘導体からなる群から選択される材料から構成されているものが好ましい。
5.メッシュ
細胞培養装置は、上記培養室に上記2つ以上のポートをそれぞれ隔てるように設けられた2つ以上のメッシュをさらに備えるものが好ましい。メッシュをさらに備えることにより、培養中や培養後に、スフェロイドや組織を回収すること等を目的として培地等の流体を操作するための様々な選択肢が提供される。
細胞培養装置は、上記培養室に上記2つ以上のポートをそれぞれ隔てるように設けられた2つ以上のメッシュをさらに備えるものが好ましい。メッシュをさらに備えることにより、培養中や培養後に、スフェロイドや組織を回収すること等を目的として培地等の流体を操作するための様々な選択肢が提供される。
細胞培養装置としては、メッシュを備えるものの中でも、上記培養室が単一の区画室から構成され、上記2つ以上のメッシュがそれぞれ上記2つ以上のポートの開口部を覆うように設けられているものが好ましい。
また、細胞培養装置としては、メッシュを備えるものの中でも、上記培養室が、上記2つ以上のメッシュのうちの少なくとも1つのメッシュにより隔てられる2つ以上の区画室から構成され、上記2つ以上の区画室を隔てる上記メッシュが、上記ガス交換膜と略平行に設けられているものが好ましい。
上記メッシュの目開きは、細胞培養の目的に応じ適宜設定することができ、例えば、単一の細胞を透過させることで除去し、かつスフェロイドや細胞及び細胞外マトリックスを含有する組織を透過させずに保持することができるように設定することができる。上記メッシュの目開きとしては、例えば、100μm以上800μm以下の範囲内が好ましい。スフェロイドや組織のサイズは1cmを超えるサイズとなるため、単一の細胞を透過させることで除去し、かつスフェロイドや組織を透過させずに保持することができるからである。
6.培養室
培養室は、細胞を培養する区画室である。培養室としては、特に限定されないが、単一の区画室から構成されたものでもよいし、複数の区画室から構成されたものでもよい。
培養室は、細胞を培養する区画室である。培養室としては、特に限定されないが、単一の区画室から構成されたものでもよいし、複数の区画室から構成されたものでもよい。
培養室の筐体は、特に限定されないが、例えば、(a)生体適合性を有し、(b)滅菌可能であり、(c)耐食性を有し、(d)成形可能であるものが好ましく、中でも、MED610等の医療用樹脂、SUS316等のステンレスなどが好ましい。
上記培養室は、外部と連通する2つ以上のポートを有している。培養室のポートの数が1つであると、培地を供給する際に培養室に空気を残さずに培養室を培地で満たすことが難しい。上述したように中空糸膜の内表面又は外表面に空気が残っていると物質交換の効率が低下する。このため、培養室に2つ以上のポートを設けそれらを流入路及び流出路とすることにより、培地を培養室の内部に空気を押し出すように供給できるので、中空糸膜の表面に空気を残さずに培養室を容易に培地で満たすことができる。
培養室では、流入路又は流出路となるポートを複数設けてもよい。これに加え、各ポートにバルブのような流路開閉機構を設けてもよい。なお、流入路となるポートを複数設け、流入路となる各ポートに流路開閉機構を設けた上で、複数の培地供給源を流入路となる複数のポートにそれぞれ接続することにより、培養の進行に従って培養室への培地の供給を連続的に切り替え又は調整することができる。
7.細胞培養装置
細胞培養装置は、上述した培養室と、上述したガス交換膜と、上述した培養足場設置用の空間と、上述した中空糸膜とを備え、上述した距離が確保されている。細胞培養装置は、中空糸膜型バイオリアクターの一種である。
細胞培養装置は、上述した培養室と、上述したガス交換膜と、上述した培養足場設置用の空間と、上述した中空糸膜とを備え、上述した距離が確保されている。細胞培養装置は、中空糸膜型バイオリアクターの一種である。
細胞培養装置は、2つ以上のポートを流入路及び流出路とする培養室の流路と、2つ以上の開口端を流入口及び流出口とする中空糸膜の内部の流路とを含む。培養室の流路及び中空糸膜の内部の流路は互いに独立しており、培養室の流路及び中空糸膜の内部の流路への培地の供給は別々に操作することができる。
細胞培養装置では、培養室の2つ以上のポートに配管を接続し、培地を灌流することにより細胞を連続培養することができる。培養室のポート及び配管の接続箇所は、バルブ、ルアーロックコネクタ、又はクランプで密閉することができる。当該配管の当該ポートとは反対側は分岐していてもよい。中空糸膜の2つ以上の開口端に配管を接続し、培地を灌流することにより細胞を連続培養することができる。中空糸膜の開口端及び配管の接続箇所は、バルブ、ルアーロックコネクタ、又はクランプで密閉することができる。当該配管の当該開口端とは反対側は分岐していてもよい。
細胞培養装置では、培地のサンプリングポート、培地の温度計、培地のガス分析計、培地成分の分析センサー等を培地の流路に設けることができる。これにより、培地の状態を経時的に分析することにより、培養室の細胞の代謝を評価することができ、細胞増殖の状態を推定することができる。そして、この結果に基づきフィードバック制御を行うことにより、培地を最適に供給することができる。
8.細胞培養方法
細胞培養方法は、上述した細胞培養装置を使用することにより、上記培養足場で細胞を培養する細胞培養方法である。
細胞培養方法は、上述した細胞培養装置を使用することにより、上記培養足場で細胞を培養する細胞培養方法である。
培養する細胞は、付着細胞及び浮遊細胞のどちらでもよく、一種の細胞でもよいし、複数種の細胞でもよい。培養する細胞としては、付着細胞が好ましい。さらに、培養する細胞は、分散して存在する単一の細胞に限定されず、スフェロイドでもよいし、細胞及び細胞外マトリックスを含有する組織でもよい。なお、培養する細胞が、スフェロイド又は細胞及び細胞外マトリックスを含有する組織である場合には、細胞培養装置は、培養足場を備えている必要がなく、当該スフェロイド又は当該組織が培養足場設置用の空間に設けられ、中空糸膜が当該スフェロイド又は当該組織を取り囲むように設けられ、当該スフェロイド又は当該組織と中空糸膜との間に所定の距離が確保されているものでもよい。そして、当該スフェロイド又は当該組織と中空糸膜との間の距離は、当該スフェロイド又は当該組織が中空糸膜に付着することを抑制することができればよい。
細胞培養方法としては、培養足場を用いて細胞を播種する工程を備える方法が好ましい。当該工程としては、細胞培養装置の外部で培養足場に細胞を播種し、播種後の培養足場を培養室の培養足場設置用の空間に導入する工程でもよいし、播種前の培養足場を培養室の培養足場設置用の空間に導入し、培養室に導入した培養足場に細胞を播種する工程でもよい。培養足場は、培養室や培養区画室に収まり、中空糸膜との距離を確保できれば特に限定されるものではなく、形状や特性を適宜設定できる。
細胞培養方法としては、培養開始前に細胞増殖及び細胞分化に関連するタンパク質成分などを含む培養培地を培養室にポートを介して供給する工程を備える方法が好ましい。培養培地は、タンパク質安定剤、成長因子、ホルモン等のタンパク質成分などを含む液体培地である。培養培地は、例えば、ウシ胎児血清(FBS)により供給されるものが挙げられる。ウシ胎児血清は、血清アルブミン、ヘモグロビン、ビタミンd結合タンパク質、シスタチンc等のようなタンパク質、及びインスリン、トランスフェリン‐亜セレン酸ナトリウム(transferrin-sodium selenite)、上皮成長因子等の成長因子を含む。なお、細胞培養方法としては、栄養培地を培養室にポートを介して供給する工程を備える方法でもよい。
細胞培養方法としては、細胞培養で消費される栄養成分などを含む栄養培地を中空糸膜に開口端を介して供給することにより、栄養成分を培養室に供給し、かつ培養室から細胞培養で生じる廃棄代謝物を抽出し取り出す工程を備える方法が好ましい。栄養培地は、グルコース、アミノ酸、ビタミン、無機塩等の栄養成分を含む安価な液体培地である。栄養培地としては、例えば、グルコース、アミノ酸、及びビタミン等を含む基本培地などが挙げられる。廃棄代謝物は、例えば、乳酸、アンモニア等を含むものである。
細胞培養方法としては、培養足場設置用の空間及び中空糸膜の間の距離を使用することにより、細胞が中空糸膜に付着しないようにする工程を備える方法が好ましい。
細胞培養方法としては、2つ以上のポートを流入路及び流出路とする培養室の流路と、2つ以上の開口端を流入口及び流出口とする中空糸膜の内部の流路とを含み、培養室の流路及び中空糸膜の内部の流路が互いに独立した細胞培養装置を使用することにより、培養開始前に培養培地を培養室に供給した後に、培養中に栄養培地を中空糸膜に供給することで栄養成分を培養室に供給し、かつ培養室から細胞培養で生じる廃棄代謝物を除去する工程を備える方法が好ましい
細胞培養方法としては、中空糸膜又は培養室に栄養培地を灌流することにより、細胞を連続培養する連続培養方法が好ましい。
細胞培養方法としては、上記細胞の増殖及び分化を可能とする培養条件下で上記細胞をインキュベートし、上記細胞培養装置から上記細胞を回収する方法が好ましく、中でも、上記細胞培養装置が、上記培養室のサンプリングポート、上記培養室の温度計、並びに上記培養室の溶存O2ガス濃度及び溶存CO2濃度を測定するガス分析計をさらに備え、上記培養条件が、上記培養室のガス交換特性、上記培養室の温度、上記培養室の廃棄代謝物及び成長因子の濃度、並びにインキュベーション時間を含む方法が好ましい。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施形態は、本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも上記全ての構成に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 細胞培養装置
2 筐体
2A 筐体
2B 筐体
2C 筐体
20 培養室
20A 培養区画室
20B 上側区画室
20C 下側区画室
21 ポート
22 ポート
C 細胞
30 中空糸膜
31 開口端
32 開口端
33 細孔
S 培養足場設置用の空間
40 培養足場
D 培養足場設置用の空間(培養足場)及び中空糸膜の間の距離
51 ガス交換膜
52 ガス交換膜
61 メッシュ
62 メッシュ
70 センサー
100 灌流細胞培養システム
N 栄養成分
W 廃棄代謝物
P タンパク質成分
2 筐体
2A 筐体
2B 筐体
2C 筐体
20 培養室
20A 培養区画室
20B 上側区画室
20C 下側区画室
21 ポート
22 ポート
C 細胞
30 中空糸膜
31 開口端
32 開口端
33 細孔
S 培養足場設置用の空間
40 培養足場
D 培養足場設置用の空間(培養足場)及び中空糸膜の間の距離
51 ガス交換膜
52 ガス交換膜
61 メッシュ
62 メッシュ
70 センサー
100 灌流細胞培養システム
N 栄養成分
W 廃棄代謝物
P タンパク質成分
Claims (17)
- 細胞を培養する培養室と、
前記培養室と外部を隔てるガス交換膜と、
前記培養室に確保された培養足場設置用の空間と、
前記培養室に前記培養足場設置用の空間を取り囲むように設けられた中空糸膜と、を備え、
前記培養室は、外部と連通する2つ以上のポートを有し、
前記中空糸膜は、細胞を透過せず所定の物質を選択的に透過する半透性を有し、
前記中空糸膜は、前記培養室の外部に配置され互いに連通する2つ以上の開口端を有し、
前記培養足場設置用の空間及び前記中空糸膜の間に所定の距離が確保されていることを特徴とする細胞培養装置。 - 前記中空糸膜の分画分子量(MWCO)は、300Da以上50,000Da以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養装置。
- 前記中空糸膜の分画分子量(MWCO)は、300Da以上15,000Da以下の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の細胞培養装置。
- 前記中空糸膜の分画分子量(MWCO)は、300Da以上5,000Da以下の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の細胞培養装置。
- 前記中空糸膜は、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、酪酸セルロース、及びそれらの誘導体からなる群から選択される材料から構成されたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
- 前記培養室に前記2つ以上のポートをそれぞれ隔てるように設けられた2つ以上のメッシュをさらに備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
- 前記培養室は単一の区画室から構成され、前記2つ以上のメッシュはそれぞれ前記2つ以上のポートの開口部を覆うように設けられていることを特徴とする請求項6に記載の細胞培養装置。
- 前記培養室は、前記2つ以上のメッシュのうちの少なくとも1つのメッシュにより隔てられる2つ以上の区画室から構成され、前記2つ以上の区画室を隔てる前記メッシュは、前記ガス交換膜と略平行に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の細胞培養装置。
- 前記メッシュの目開きは、100μm以上800μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
- 前記培養室の前記培養足場設置用の空間に設けられた培養足場をさらに備え、前記中空糸膜が前記培養足場を取り囲むように設けられ、前記培養足場及び前記中空糸膜の間に所定の距離が確保されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
- 前記培養足場は、多孔質体の三次元構造体、ゲル、フィルム、ディスク、又はビーズから構成された三次元構造体、並びに3Dプリンターで作製された細胞を収容可能な複雑形状の三次元構造体からなる群から選択される三次元構造体であることを特徴とする請求項10に記載の細胞培養装置。
- 前記培養足場は、前記三次元構造体の表面を覆う細胞付着を促進する物質をさらに有することを特徴とする請求項11に記載の細胞培養装置。
- 前記細胞付着を促進する物質は、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、及びポリリジンからなる群から選択されることを特徴とする請求項12に記載の細胞培養装置。
- 前記ガス交換膜は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリトリメチルシリルプロピン(PTMS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含有するフッ素化アクリル樹脂、ポリメチルペンテン(PMP)、天然ゴム、及びそれらの誘導体からなる群から選択される材料から構成されていることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の細胞培養装置。
- 請求項10~13のいずれか1項に記載の細胞培養装置を使用することにより、前記培養足場で細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法。
- 前記細胞の増殖及び分化を可能とする培養条件下で前記細胞をインキュベートし、前記細胞培養装置から前記細胞を回収することを特徴とする請求項15に記載の細胞培養方法。
- 前記細胞培養装置は、前記培養室のサンプリングポート、前記培養室の温度計、並びに前記培養室の溶存O2ガス濃度及び溶存CO2濃度を測定するガス分析計をさらに備え、
前記培養条件は、前記培養室のガス交換特性、前記培養室の温度、前記培養室の廃棄代謝物及び成長因子の濃度、並びにインキュベーション時間を含むことを特徴とする請求項16に記載の細胞培養方法。
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