(第1実施形態)
以下、本発明に係る電源システムを車載の電源システム100として具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、電源システム100は、一般負荷30及び特定負荷32に電力を供給するシステムである。電源システム100は、高圧蓄電池10と、DCDCコンバータ(以下、コンバータ)12と、第1蓄電池14と、第1特定電池としての第2蓄電池16と、第2特定電池としての第3蓄電池18と、第1スイッチ部20と、リレースイッチSMR(システムメインリレースイッチ)と、制御装置40と、を備えている。
高圧蓄電池10は、第1~第3蓄電池14~18よりも高い定格電圧(例えば数百V)を有しており、例えばリチウムイオン蓄電池である。コンバータ12は、高圧蓄電池10から供給される電力を電源電圧VAの電力に変換して、一般負荷30及び特定負荷32に供給する電圧生成部である。本実施形態では、電源電圧VAは、一般負荷30及び特定負荷32の駆動を可能にする電圧である。
一般負荷30は、移動体としての車両において運転制御に用いられない電気負荷(以下、単に負荷)であり、例えばエアコン、オーディオ装置、パワーウィンドウ等である。
一方、特定負荷32は、車両の運転制御に用いられる少なくとも1つの機能を実施する負荷であり、例えば車両の操舵を制御する電動パワーステアリング装置50、車輪に制動力を付与する電動ブレーキ装置51、車両周囲の状況を監視する走行制御装置52等である。なお、本実施形態において、特定負荷32が「電気負荷」に相当する。
そのため、これらの特定負荷32に異常が発生し、その機能の全てが失われると、運転制御を行うことができない。そのため、特定負荷32では、異常が発生した場合でもその機能の全てが失われないようにするため、機能毎に冗長に設けられた第1負荷34と第2負荷36とを有している。具体的には、電動パワーステアリング装置50は、第1ステアリングモータ50Aと第2ステアリングモータ50Bとを有している。電動ブレーキ装置51は、第1ブレーキ装置51Aと第2ブレーキ装置51Bとを有している。走行制御装置52は、カメラ52Aとレーザレーダ52Bとを有している。第1ステアリングモータ50Aと第1ブレーキ装置51Aとカメラ52Aとが、第1負荷34に相当し、第2ステアリングモータ50Bと第2ブレーキ装置51Bとレーザレーダ52Bとが、第2負荷36に相当する。
第1負荷34と第2負荷36とは、併せて1つの機能を実現するものであるが、それぞれ単独でもその機能の一部を実現可能なものである。例えば電動パワーステアリング装置50では、第1ステアリングモータ50Aと第2ステアリングモータ50Bとにより車両の自由な操舵が可能であり、操舵速度や操舵範囲等に一定の制限がある中で、各ステアリングモータ50A,50Bにより車両の操舵が可能である。
各特定負荷32は、手動運転において、ドライバによる制御を支援する機能を実現する。また、各特定負荷32は、車両の走行や停止などの挙動を自動で制御する自動運転において、自動運転に必要な機能を実現する。そのため、特定負荷32は、車両の運転に必要な少なくとも1つの機能を実施する負荷ともいうことができる。
第1負荷34は、第1系統内経路LA1を介してコンバータ12に接続されており、この第1系統内経路LA1に第1蓄電池14及び一般負荷30が接続されている。第1蓄電池14は、例えば鉛蓄電池である。本実施形態では、第1系統内経路LA1により接続されたコンバータ12、第1蓄電池14、一般負荷30及び第1負荷34により、第1系統ES1が構成されている。なお、本実施形態において、高圧蓄電池10及びコンバータ12が「第1電源」に相当する。
また、第2負荷36は、第2系統内経路LA2を介して第2蓄電池16及び第3蓄電池18に接続されている。第2蓄電池16及び第3蓄電池18は、例えばリチウムイオン蓄電池である。本実施形態では、第2系統内経路LA2により接続された第2蓄電池16、第3蓄電池18、及び第2負荷36により、第2系統ES2が構成されている。なお、本実施形態において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が「第2電源、複数の蓄電池」に相当する。
第1スイッチ部20は、各系統を互いに接続する接続経路LBに設けられている。接続経路LBの一端は、接続点PAにおいて第1系統内経路LA1に接続されており、接続経路LBの他端は、接続点PBにおいて第2系統内経路LA2と接続されている。第1スイッチ部20は、第1スイッチング素子(以下、単に第1スイッチ)SW1を備えている。本実施形態では、第1スイッチSW1として、NチャネルMOSFET(以下、単にMOSFET)が用いられている。なお、本実施形態において、第1スイッチSW1が「系統間スイッチ」に相当する。
第1系統内経路LA1には、第1電流検出部27が設けられており、接続経路LBには、第2電流検出部28が設けられている。第1電流検出部27は、第1系統内経路LA1のうち接続点PAと第1負荷34との間の部分に設けられており、当該部分に流れる系統内電流IAの大きさ及び向きを検出する。第2電流検出部28は、接続経路LBのうち第1スイッチ部20よりも第1系統ES1側の部分に設けられており、当該部分に流れる系統間電流IBの大きさ及び向きを検出する。
リレースイッチSMRは、第2系統内経路LA2における接続点PBと、第2蓄電池16及び第3蓄電池18との間の部分に設けられており、当該部分を開放又は閉鎖する。リレースイッチSMRの開閉により、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の通電及び通電遮断が切り替え可能に構成されている。なお、本実施形態において、リレースイッチSMRが「放電規制部、電池用スイッチ」に相当する。
そして、第2蓄電池16及び第3蓄電池18は、コンバータ12からの電力供給により充電可能に構成されている。具体的には、第1スイッチング素子SW1及びリレースイッチSMRを閉鎖することで、第2蓄電池16及び第3蓄電池18は、電源電圧VAにより充電される。
制御装置40は、第1,第2電流検出部27,28の検出値に基づいて、第1スイッチSW1を切替操作すべく、第1切替信号SC1を生成し、第1切替信号SC1による指令を第1スイッチSW1に出力する。また、制御装置40は、リレースイッチSMRを切替操作すべく、リレー切替信号SRを生成し、リレー切替信号SRによる指令をリレースイッチSMRに出力する。さらに、制御装置40は、コンバータ12を動作制御すべく、制御信号SDを生成し、制御信号SDによる指令をコンバータ12に出力する。制御信号SDにより、コンバータ12の動作状態と動作停止状態とが切り替えられる。
また、制御装置40は、報知部44と、IGスイッチ45と、入力部46とに接続されており、これらを制御する。報知部44は、視覚または聴覚的にドライバに報知する装置であり、例えば車室内に設置されたディスプレイやスピーカである。IGスイッチ45は、車両の起動スイッチである。制御装置40は、IGスイッチ45の開放又は閉鎖を監視する。入力部46は、ドライバの操作を受け付ける装置であり、例えばハンドル、レバー、ボタン、ペダル、音声入力装置である。
制御装置40は、上述した特定負荷32を用いて車両を手動運転及び自動運転する。制御装置40は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等からなる周知のマイクロコンピュータを備えている。CPUは、ROM内の演算プログラムや制御データを参照して、手動運転及び自動運転するための種々の機能を実現する。
なお、手動運転とは、ドライバの操作によって車両を運転制御する状態を表す。また、自動運転とは、ドライバの操作によらず制御装置40による制御内容で車両を運転制御する状態を表す。具体的には、自動運転とは、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によって定められたレベル0からレベル5までの自動運転レベルのうち、レベル3以上の自動運転のことをいう。レベル3は、制御装置40が、走行環境を観測しつつ、ハンドル操作と加減速との両方を制御するレベルである。
また、制御装置40は、上述した特定負荷32を用いて、LKA(Lane Keeping Assist)、LCA(Lane Change Assist)、PCS(Pre-Crash Safety)等の運転支援機能を実施可能である。制御装置40は、車両の運転モードを、運転支援機能を用いる第1モードと、運転支援機能を用いない第2モードとに切り替え可能であり、車両は各運転モードによる走行が可能となっている。制御装置40は、入力部46を介したドライバの切替指示により、第1モードと第2モードとを切り替える。ここで、第1モードには、ドライバが運転支援機能を用いて車両を手動運転するモードとともに、車両を自動運転するモードが含まれる。第2モードは、ドライバが運転支援機能を用いずに車両を手動運転するモードである。
第1モードにおいて、制御装置40は、第1系統ES1及び第2系統ES2に異常が発生したか否かを判定し、いずれの系統ES1,ES2でも異常が発生していないと判定された場合、第1負荷34と第2負荷36とを用いて車両の自動運転及び運転支援が行われる。これにより、第1,第2負荷34,36は協働して自動運転及び運転支援に必要な1つの機能を実施する。本実施形態において、異常は、地絡や断線等の電源失陥異常である。
一方、いずれか一方の系統ES1,ES2で異常が発生したと判定された場合、第1スイッチSW1を開放し、第1系統ES1と第2系統ES2とを電気的に絶縁する。これにより、いずれか一方の系統ES1,ES2で異常が発生した場合でも、異常が発生していない他方の系統ES1,ES2の負荷34,36を駆動させることができる。
ところで、第1系統ES1での異常発生に伴い第1スイッチSW1が開放された場合には、第2系統ES2において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18から第2負荷36への電力供給が行われる。しかし、電源システム100が低温状態や高負荷状態で使用されている場合には、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の性能低下や第2系統内経路LA2における配線抵抗の増加により、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の蓄電池電圧VBを高くしておくことが望ましい。ただし反面、その蓄電池電圧VBを高い電圧に充電する場合には、コンバータ12からの電力供給負担やコスト負担が大きくなることが懸念される。
本実施形態では、第2系統ES2において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続された状態と、並列接続された状態とに切り替えられるようにした。具体的には、第2蓄電池16の正極端子は、第1正極側経路LC1によりリレースイッチSMRに接続されており、第2蓄電池16の負極端子は、第1負極側経路LD1によりグランドに接続されている。第3蓄電池18の正極端子は、第2正極側経路LC2により接続点PCにおいて第1正極側経路LC1に接続されており、第2蓄電池16の負極端子は、第2負極側経路LD2により接続点PDにおいて第1負極側経路LD1に接続されている。つまり、第1,第2正極側経路LC1,LC2及び第1,第2負極側経路LD1,LD2により、第2蓄電池16及び第3蓄電池18は接続点PCと接続点PDとの間に並列接続されている。なお、本実施形態において、接続点PCが「第1電位点」に相当し、接続点PDが「第2電位点」に相当する。
また、第2系統内経路LA2においてリレースイッチSMRよりも第2蓄電池16及び第3蓄電池18側に、第2スイッチ部22を設けるようにした。第2スイッチ部22は、第2~第4スイッチング素子(以下、単に第2~第4スイッチ)SW2~SW4を備えている。第2スイッチSW2は、第1負極側経路LD1に設けられており、第3スイッチSW3は、第2正極側経路LC2に設けられている。
第4スイッチSW4は、第2正極側経路LC2と第1負極側経路LD1とを接続する導通経路LEに設けられている。導通経路LEの一端は、接続点PEにおいて第1負極側経路LD1のうち第2蓄電池16と第2スイッチSW2との間に接続されており、導通経路LEの他端は、接続点PFにおいて第2正極側経路LC2のうち第3スイッチSW3と第3蓄電池18との間に接続されている。なお、本実施形態において、接続点PEが「第1接続点」に相当し、接続点PFが「第2接続点」に相当する。
本実施形態では、第2~第4スイッチSW2~SW4として、MOSFETが用いられている。制御装置40は、第2~第4スイッチSW2~SW4を切替操作すべく、第2~第4切替信号SC2~SC4を生成し、第2~第4切替信号SC2~SC4による指令を第2~第4スイッチSW2~SW4に出力する。なお、本実施形態において、第2スイッチSW2が「第1切替スイッチ」に相当し、第3スイッチSW3が「第2切替スイッチ」に相当し、第4スイッチSW4が「第3切替スイッチ」に相当する。
制御装置40は、第2~第4切替信号SC2~SC4により、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が並列接続された状態と、直列接続された状態とを切り替える。具体的には、第2,第3スイッチSW2,SW3が閉鎖され、第4スイッチSW4が開放されることにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18は並列接続される。一方、第2,第3スイッチSW2,SW3が開放され、第4スイッチSW4が開放されることにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18は直列接続される。
そして、本実施形態では、コンバータ12からの電力供給により第2蓄電池16及び第3蓄電池18が充電される場合に、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が並列接続されるようにした。また、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が放電される場合に、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続されるように第2~第4スイッチSW2~SW4の開放又は閉鎖を制御する制御処理を実施するようにした。
この場合、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の充電が行われる際において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を並列接続し、電源電圧VAを昇圧することなく第2蓄電池16及び第3蓄電池18を充電する。これにより、例えば充電におけるコンバータ12の電力供給負担や、第2系統ES2に昇圧コンバータを設けることによる電源システム100のコスト負担を軽減することができる。また、第1系統ES1での異常発生に伴い第2系統ES2で第2蓄電池16及び第3蓄電池18からの電力供給が行われる際において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を直列接続することで電源電圧VAよりも高い電圧で負荷34,36に電力供給を行う。これにより、仮に低温状態や高負荷状態であっても、第2負荷36を適正に作動させることができる。
図2に、本実施形態の制御処理のフローチャートを示す。制御装置40は、IGスイッチ45が閉鎖されると、所定の制御周期毎に制御処理を繰り返し実施する。なお、IGスイッチ45の閉鎖当初において、車両の運転モードは第2モードに設定されており、第1スイッチSW1は閉鎖されており、コンバータ12は動作状態とされている。
制御処理を開始すると、まずステップS10において、車両の運転モードが第2モードであるか否かを判定する。ステップS10で肯定判定すると、ステップS12において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の残存容量SAを算出する。残存容量SAは、例えば各蓄電池16,18の蓄電状態を示すSOC(State Of Charge)の合計値である。残存容量SAは、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が通電状態(充電状態又は放電状態)である場合には、各蓄電池16,18の充放電電流の時間積分値である電流積算値を用いて算出される。
ステップS14では、ステップS12で算出した残存容量SAが、所定の容量閾値Sthよりも大きいか否かを判定する。ここで容量閾値Sthは、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の合計電圧が電源電圧VAよりも所定値高い電圧となる容量である。残存容量SAが容量閾値Sthよりも小さい場合には、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の合計電圧が電源電圧VAよりも所定値以上高くなく、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が満充電状態となっていない。この場合、第1モード実施の前提条件が成立していないため、ステップS14で否定判定し、ステップS42,S44に進む。
一方、残存容量SAが容量閾値Sthよりも大きい場合には、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の合計電圧が電源電圧VAよりも所定値以上高く、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が満充電状態となっている。この場合、第1モード実施の前提条件が成立しているため、ステップS14で肯定判定する。この場合、ステップS16において、リレースイッチSMRを開放し、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の充電を停止する。なお、後述するように、ステップS14で肯定判定される際には、リレースイッチSMRは閉鎖されている。なお、本実施形態において、ステップS14の処理が「充電判定部」に相当する。
続くステップS17では、第2,第3スイッチSW2,SW3を開放するとともに第4スイッチSW4を閉鎖することで、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を直列接続に切り替える。直列接続への切り替えでは、第2,第3スイッチSW2,SW3を開放した後に第4スイッチSW4を閉鎖し、第2,第3スイッチSW2,SW3の少なくとも一方と第4スイッチSW4とが同時に閉鎖されないようにする。
第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続されることで、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の蓄電池電圧VBは略2倍に上昇する。本実施形態では、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続されるのに先立ってリレースイッチSMRが開放されていることで、直列接続における第2蓄電池16及び第3蓄電池18の放電が規制される。
続くステップS18では、車両の運転モードを第2モードから第1モードへの切り替えを許可し、制御処理を終了する。なお、第1モードへの切り替えは、例えば入力部46を介してドライバから運転支援機能を用いる指示、又は自動運転の指示等の切替指示が入力された場合に実施される。
一方、ステップS10で否定判定すると、ステップS20において、ドライバ報知中であるかを判定する。ここで、ドライバ報知は、第1系統ES1及び第2系統ES2のいずれか一方で異常が発生したことをドライバに知らせるとともに、ドライバに第1モードを中止する旨を知らせ、第2モードへの切り替えを促すものである。
ステップS20で否定判定すると、ステップS22,S24において、第1系統ES1及び第2系統ES2のいずれか一方で異常が発生したことを判定する。具体的には、ステップS22において、第1系統ES1に異常が発生したか否かを判定する。ステップS22で否定判定すると、ステップS24において、第2系統ES2に異常が発生したか否かを判定する。なお、本実施形態において、ステップS22の処理が「異常判定部」に相当する。
なお、異常の発生は、第1,第2電流検出部27,28で検出される各電流IA,IBの大きさにより判定することができる。例えば第1系統ES1で地絡が発生した場合、第1電流検出部27で検出される系統内電流IAの大きさは、地絡判定のための所定の電流閾値Ith以上となる。また例えば第2系統ES2で地絡が発生した場合、第2電流検出部28で検出される系統間電流IBの大きさは、電流閾値Ith以上となる。したがって、第1,第2電流検出部27,28で検出される各電流IA,IBの大きさにより、どちらの系統ES1,ES2で異常が発生したかを判定することができる。
いずれの系統ES1,ES2でも異常が発生していないと判定された場合、ステップS24で否定判定する。この場合、制御処理を終了する。これにより、コンバータ12から第1,第2負荷34,36への電力供給が継続されるとともに、リレースイッチSMRが開放された状態に維持される。つまり、いずれの系統ES1,ES2でも異常が発生していないと判定され、かつ第2蓄電池16及び第3蓄電池18が満充電状態であると判定された場合、第1スイッチSW1が閉鎖され、リレースイッチSMRが開放される。その結果、第2蓄電池16及び第3蓄電池18からの不要な放電が抑制される。
一方、いずれか一方の系統ES1,ES2で異常が発生したと判定された場合、異常が発生した系統側への電力供給を停止させるとともに、異常が発生していない系統の電気負荷への電力供給を継続させる処理を実施する。
具体的には、ステップS22で肯定判定すると、まずステップS26において、第1スイッチSW1を開放する。続くステップS28において、リレースイッチSMRを閉鎖し、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の放電抑制を解除する。なお、本実施形態において、ステップS26の処理が「状態制御部」に相当し、ステップS26,28の処理が「第2制御部」に相当する。
これにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続された状態で、第2蓄電池16及び第3蓄電池18から第2負荷36に電力供給が行われ、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が放電される第2状態となる。この場合、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続されているため、電源電圧VAよりも高い電圧で第2負荷36に電力供給が行われる。続くステップS30において、コンバータ12を動作停止状態とする指令を出力する。
また、ステップS24で肯定判定すると、ステップS32において、第1スイッチSW1を開放する。その結果、第1系統ES1におけるコンバータ12から第1負荷34への電力供給が継続される。
その後、ステップS36において、報知部44を介して、ドライバに第1モードを中止する旨を報知し、制御処理を終了する。
ステップS20で肯定判定すると、ステップS38において、入力部46を介してドライバから第2モードへの切替指示が入力されたか否かを判定する。つまり、報知に応じたドライバの応答があったか否かを判定する。ステップS38で否定判定すると、制御処理を終了し、異常が発生していない系統側の負荷34,36を用いて、第1モードでの車両の走行が行われる。
一方、ステップS38で肯定判定すると、ステップS40において、車両の運転モードを第1モードから第2モードに切り替え、制御処理を終了する。
ステップS42,S44では、つまり車両の運転モードが第2モードであると、第1系統ES1及び第2系統ES2のいずれか一方で異常が発生したことを判定する。具体的には、ステップS42において、第1系統ES1に異常が発生したか否かを判定する。ステップS42で否定判定すると、ステップS44において、第2系統ES2に異常が発生したか否かを判定する。
いずれの系統ES1,ES2でも異常が発生していないと判定された場合、ステップS44で否定判定する。この場合、ステップS45において、第2,第3スイッチSW2,SW3を閉鎖するとともに第4スイッチSW4を開放することで、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を並列接続に切り替える。並列接続への切り替えでは、第4スイッチSW4を開放した後に第2,第3スイッチSW2,SW3を閉鎖し、第2,第3スイッチSW2,SW3の少なくとも一方と第4スイッチSW4とが同時に閉鎖されないようにする。
続くステップS46において、リレースイッチSMRを閉鎖し、制御処理を終了する。なお、本実施形態において、ステップS45,S46の処理が「第1制御部」に相当する。
これにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が並列接続された状態で、コンバータ12から第2蓄電池16及び第3蓄電池18に電力供給が行われ、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が充電される第1状態となる。つまり、車両の運転モードが第2モードである場合に第1状態となり、前述のステップS14の処理も第1状態において実施される。
一方、いずれか一方の系統ES1,ES2で異常が発生したと判定された場合、異常が発生した系統側への電力供給を停止させるとともに、異常が発生していない系統の電気負荷への電力供給を継続させる処理を実施する。
具体的には、ステップS42で肯定判定すると、まずステップS47において、第1スイッチSW1を開放する。続くステップS48において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を直列接続する。これにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が並列接続されている場合に比べて高い電圧を放電することができる。続くステップS50において、コンバータ12を動作停止状態とする指令を出力する。
また、ステップS44で肯定判定すると、ステップS52において、第1スイッチSW1を開放する。続くステップS54において、リレースイッチSMRを開放する。
その後、ステップS56において、報知部44を介してドライバに第1系統ES1及び第2系統ES2のいずれか一方で異常が発生した旨を報知し、制御処理を終了する。
続いて、図3に、制御処理の一例を示す。図3は、第1モードでの車両の走行中に第1系統ES1で地絡異常(以下、単に地絡)が発生した場合における負荷電圧VDと蓄電池電圧VBとの推移を示す。ここで負荷電圧VDは、第2負荷36に印加される電圧を示し、具体的には第2系統ES2における接続点PBの電圧を示す。また、蓄電池電圧VBは、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の端子間電圧を示し、具体的には第2系統ES2における第1正極側経路LC1と第2正極側経路LC2との接続点PCの電圧を示す。そのため、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続されている場合の蓄電池電圧VBは、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が並列接続されている場合の蓄電池電圧VBの2倍の電圧となる。
図3において、(A)は、IGスイッチ45の状態の推移を示し、(B)は、車両の運転モードの推移を示し、(C)は、第1スイッチSW1の開閉状態の推移を示し、(D)は、リレースイッチSMRの開閉状態の推移を示し、(E)は、第2,第3スイッチSW2,SW3の開閉状態の推移を示し、(F)は、第4スイッチSW4の開閉状態の推移を示す。また、(G)は、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の接続状態の推移を示し、(H)は、負荷電圧VDの推移を示し、(I)は、蓄電池電圧VBの推移を示し、(J)は、第1系統ES1における系統内電流IAの推移を示す。
図3に示すように、時刻t1までのIGスイッチ45の開期間、つまり電源システム100の休止状態において、第1~第4スイッチSW1~SW4及びリレースイッチSMRが開放されており、コンバータ12が動作停止状態に切り替えられている。そのため、IGスイッチ45の開期間では、負荷電圧VD及び系統内電流IAがゼロとなる。
時刻t1にIGスイッチ45が閉鎖されると、第1スイッチSW1が閉鎖されるとともに、コンバータ12を動作状態に切り替える指令が出力される。これにより、コンバータ12が動作状態に切り替えられ、電源電圧VAの上昇に伴い負荷電圧VDが所定の動作電圧VMまで上昇し、第2モードでの車両の走行が可能となる。ここで動作電圧VMは、第1,第2負荷34,36の駆動電圧範囲内の電圧である。
また、第2,第3スイッチSW2,SW3が閉鎖されるとともに、リレースイッチSMRが閉鎖される。これにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が並列接続された状態で、コンバータ12の電源電圧VAにより充電される第1状態となる。そして、蓄電池電圧VBが所定の昇圧電圧VH(図3(I)参照)まで上昇する。ここで昇圧電圧VHは、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が満充電状態となる電圧であり、動作電圧VMよりも低く動作電圧VMの半分よりも高い電圧である。
時刻t2に蓄電池電圧VBが昇圧電圧VHまで上昇し、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が満充電状態となると、リレースイッチSMRが開放される。また、リレースイッチSMR開放後の時刻t3に第2,第3スイッチSW2,SW3が開放される。これにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18は、第2~第4スイッチSW2~SW4の全てが開放された切断状態となる。
そして、第2,第3スイッチSW2,SW3開放後の時刻t4に第4スイッチSW4が閉鎖される。第2,第3スイッチSW2,SW3開放後に第4スイッチSW4が閉鎖されることで、誤って第2,第3スイッチSW2,SW3の少なくとも一方と第4スイッチSW4とが同時に閉鎖された状態となり、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の少なくとも一方が短絡することを抑制することができる。
また、第4スイッチSW4が閉鎖されることで、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続され、この直列接続された状態でリレースイッチSMRにより放電が規制された状態となる。これにより、蓄電池電圧VBは、各蓄電池16,18の昇圧電圧VHを加算した加算電圧2VHとなる。
第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続され、リレースイッチSMRにより放電が規制されると、車両の運転モードが第2モードから第1モードへの切り替えが可能となる。図3では、時刻t4に車両の運転モードが第2モードから第1モードに切り替えられる。
第1モードでの車両の走行中に、第1系統ES1及び第2系統ES2のいずれか一方で地絡が発生したことが判定される。いずれの系統ES1,ES2でも地絡が発生していないと判定された場合、第1スイッチSW1が閉鎖された状態に維持される。これにより、コンバータ12及び第1蓄電池14のそれぞれから第1,第2負荷34,36に電力供給が可能となる。コンバータ12からの電力供給により、長時間の自動運転時にも継続的な電力供給が可能となり、第1蓄電池14からの電力供給により、電圧変動の少ない電力供給が可能となる。その結果、時刻t4から時刻t5までの期間では、第1負荷34と第2負荷36とを用いた自動運転及び運転支援が行われる。
いずれか一方の系統ES1,ES2で地絡が発生したと判定された場合、第1スイッチSW1が閉鎖される。図3では、時刻t5に第1系統ES1で地絡が発生する。これにより、電源電圧VA及び負荷電圧VDが低下する。
また、系統内電流IAが増加し、その後の時刻t6に、系統内電流IAが電流閾値Ith以上となる。これにより、第1系統ES1で地絡が発生したと判定される。この場合、時刻t6に、第1スイッチSW1が開放されるとともに、コンバータ12が動作停止状態に切り替えられる。これにより、系統内電流IAが減少する。
また、この時刻t6に、リレースイッチSMRが閉鎖される。これにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18から第2負荷36への電力供給により負荷電圧VDが上昇する。本実施形態では、第1系統ES1での地絡発生時において、蓄電池電圧VBが昇圧電圧VHよりも高い加算電圧2VHまで上昇しているため、負荷電圧VDが加算電圧2VHまで上昇する。そのため、負荷電圧VDと、第1,第2負荷34,36の駆動電圧の下限値である閾値電圧Vthとの間に、所定の電圧差ΔVを確保することができる。これにより、仮に低温状態や高負荷状態であっても、第2負荷36を適正に作動させることができる。
また、本実施形態では、第1系統ES1での地絡発生時において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続された状態とされている。そのため、第1系統ES1での地絡発生時に、第2負荷36に電力供給を早期に行うことができる。
その後、入力部46を介してドライバから第2モードへの切替指示が入力されると、時刻t7に車両の運転モードが第1モードから第2モードに切り替えられる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
・本実施形態では、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が充電される場合に、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が並列接続され、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が放電される場合に、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続されるようにした。この場合、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の充電が行われる際において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を並列接続する構成にしたため、充電のための電力供給負担や電源システム100のコスト負担を軽減することができる。また、第1系統ES1での異常発生に伴い第2系統ES2で第2蓄電池16及び第3蓄電池18からの電力供給が行われる際において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を直列接続し、電源電圧VAよりも高い電圧で負荷34,36に電力供給を行う構成にしたため、仮に低温状態や高負荷状態であっても、第2負荷36を適正に作動させることができる。これにより、複数の系統ES1,ES2を有する電源システム100において負荷34,36への電力供給を適正に実施することができる。
・第2蓄電池16と第2蓄電池18とが並列接続された第1状態と直列接続された第2状態とが切り替えられる場合に、第2蓄電池16と第2蓄電池18とを並列接続する第2,第3スイッチSW2,SW3の少なくとも一方と、第2蓄電池16と第2蓄電池18とを直列接続する第4スイッチSW4とが同時に閉鎖されると、第2蓄電池16及び第2蓄電池18の少なくとも一方が短絡してしまうことが懸念される。この点、本実施形態では、第1状態と第2状態との切り替え時において、第2,第3スイッチSW2,SW3の少なくとも一方と第4スイッチSW4とが同時に閉鎖されないように各スイッチSW2~SW4の開閉を制御するようにした。これにより、第2蓄電池16及び第2蓄電池18の短絡を抑制して、第1状態と第2状態とを適正に切り替えることができる。
・本実施形態では、第2系統ES2における接続点PBと、第2蓄電池16及び第3蓄電池18との間にリレースイッチSMRが設けられており、リレースイッチSMRにより直列状態における第2蓄電池16及び第3蓄電池18の放電を規制するようにした。これにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を直列状態にしても、第2蓄電池16及び第3蓄電池18に蓄えられた電荷を維持することができる。また、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を直列状態としておくことで、必要に応じて早期に第2蓄電池16及び第3蓄電池18から負荷34,36に電力供給を行うことができる。
・特に本実施形態では、リレースイッチSMRにより直列状態、かつ満充電状態における複数の蓄電池の放電を規制する構成にした。これにより、第1系統ES1での異常発生時において、電源電圧VAよりも高い加算電圧2VHの電力供給を早期に行うことができる。
・本実施形態では、第1系統ES1での異常の有無に基づいて、第1スイッチSW1とリレースイッチSMRとを連携させて各々開閉させるようにした。これにより、第1系統ES1の正常時、及び第1系統ES1での異常発生時のいずれにおいても、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の放電を適正に管理することができる。
・電源システム100は、運転に必要な機能であって、かつ運転支援機能を実施する特定負荷32として、第1負荷34及び第2負荷36を有する車両に適用され、運転支援機能を用いる第1モードによる走行と、運転支援機能を用いない第2モードによる走行とを切り替え可能となっている。本実施形態では、第2モードにおいて、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が並列接続され、並列接続された状態でコンバータ12の電源電圧VAにより充電される第1状態とするようにした。そして、第2モードにおいて第2蓄電池16及び第3蓄電池18が満充電状態となり、放電が規制された場合に、第1モードへの切り替えを許可するようにした。これにより、運転支援機能を用いる第1モードにおいて、第1系統ES1に異常が発生した場合でも、満充電状態とされた第2蓄電池16及び第3蓄電池18を用いて第2負荷36の駆動を継続することができ、運転支援機能を継続して用いることができる。
(第1実施形態の変形例)
第2系統ES2にリレースイッチSMRが設けられていなくてもよい。この場合、制御装置40は、リレースイッチSMRの代わりに第2~第4スイッチSW2~SW4を制御することで、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の充放電を制御することができる。具体的には、第1状態で第2蓄電池16及び第3蓄電池18を充電させる場合には、第2,第3スイッチSW2,SW3を開放し、第4スイッチSW4を閉鎖する。また、第2状態で第2蓄電池16及び第3蓄電池18を放電させる場合には、第2,第3スイッチSW2,SW3を閉鎖し、第4スイッチSW4を開放する。そして、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の充放電を停止させる場合には、第2~第4スイッチSW2~SW4を開放する。これにより、電源システム100の構成を簡略化することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図4,図5を参照しつつ説明する。
本実施形態では、リレースイッチSMRに代えて第3スイッチ部24が設けられる点で、第1実施形態と異なる。本実施形態では、第2系統ES2における接続点PBと、第2蓄電池16及び第3蓄電池18との間に、互いに並列に設けられた第1経路LF1及び第2経路LF2が設けられており、この第1経路LF1及び第2経路LF2に第3スイッチ部24が設けられている。
第1経路LF1には、第5スイッチング素子(以下、単に第5スイッチ)SW5が設けられている。第5スイッチSW5は、第1経路LF1を開放又は閉鎖する。なお、本実施形態において、第5スイッチSW5が「開閉スイッチ」に相当する。
第2経路LF2には、直列接続された第1~第3ダイオードDA1~DA3と第6スイッチング素子(以下、単に第6スイッチ)SW6とが設けられている。各ダイオードDA1~DA3は、カソードを接続点PB側、アノードを第2蓄電池16及び第3蓄電池18側となるように配置されており、第2経路LF2において接続点PBから第2蓄電池16及び第3蓄電池18への電流の流れを規制する。
また、各ダイオードDA1~DA3は、所定の順方向電圧降下量(例えば0.7V)を有している。そのため、第3スイッチ部24よりも第2蓄電池16及び第3蓄電池18側に位置する接続点PCの蓄電池電圧VBと、第3スイッチ部24の接続点PB側に印加されるコンバータ12の電源電圧VAとの間に、第1~第3ダイオードDA1~DA3の順方向電圧降下量の合計値による電圧差(以下、第1~第3ダイオードDA1~DA3による電圧差)を生じさせている。第6スイッチSW6は、第2経路LF2において、第1~第3ダイオードDA1~DA3よりも第2蓄電池16及び第3蓄電池18側に設けられている。なお、本実施形態において、第1~第3ダイオードDA1~DA3が「放電規制部、整流素子」に相当する。
本実施形態では、第5,第6スイッチSW5,SW6として、MOSFETが用いられている。第5スイッチSW5には、寄生ダイオードとして第5ダイオードDA5が並列接続されており、第6スイッチSW6には、寄生ダイオードとして第6ダイオードDA6が並列接続されている。本実施形態では、各ダイオードDA5,DA6は、各経路LF1,LF2においてカソードを第2蓄電池16及び第3蓄電池18側、アノードを接続経路LB側となるように配置されている。そのため、第2経路LF2において、第1~第3ダイオードDA1~DA3と第6ダイオードDA6の向きが反対となるように設けられている。また、第1経路LF1において、第5ダイオードDA5は、第2蓄電池16及び第3蓄電池18から接続点PBへの電流の流れを規制し、かつ接続点PBから第2蓄電池16及び第3蓄電池18への電流の流れを許容するように設けられている。そして、第1~第3ダイオードDA1~DA3及び第5,第6スイッチSW5,SW6により第3スイッチ部24が構成されている。
制御装置40は、制御処理において、第5,第6スイッチSW5,SW6を切替操作すべく、第5,第6切替信号SC5,SC6を生成し、第5,第6切替信号SC5,SC6による指令を第5,第6スイッチSW5,SW6に出力する。制御装置40は、制御処理において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が並列接続された状態で、コンバータ12の電源電圧VAにより充電される第1状態では、第5スイッチSW5を閉鎖し、第1経路LF1を介して第2蓄電池16及び第3蓄電池18を充電する。そして、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が満充電状態となると、第5スイッチSW5を開放し、第1~第3ダイオードDA1~DA3による電圧差で、直列接続された第2蓄電池16及び第3蓄電池18の放電を規制する。
その後、第1系統ES1で異常が発生すると、第1~第3ダイオードDA1~DA3を介して第2蓄電池16及び第3蓄電池18が放電される。しかし、第1~第3ダイオードDA1~DA3を介した第2蓄電池16及び第3蓄電池18の放電が継続されると、第1~第3ダイオードDA1~DA3による電圧差により第2負荷36に印加される電圧が低下する。また、この第1~第3ダイオードDA1~DA3による電圧差により、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の電力消費が増大することが懸念される。そこで、本実施形態では、制御処理において、第1系統ES1での異常発生後に第5スイッチSW5を閉鎖するようにした。
図5に本実施形態の制御処理のフローチャートを示す。図5において、先の図2に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
本実施形態の制御処理では、ステップS14で肯定判定すると、ステップS60において、第5スイッチSW5を開放し、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の充電を停止して、ステップS17に進む。なお、後述するように、ステップS14で肯定判定される際には、第5,第6スイッチSW5,SW6は閉鎖されている。
また、ステップS22で肯定判定すると、つまり第1系統ES1で異常が発生したと判定すると、ステップS62において、第1スイッチSW1が開放されているか否かを判定する。ステップS62で否定判定すると、ステップS64において、第1スイッチSW1を開放する。これにより、第1~第3ダイオードDA1~DA3を介した第2蓄電池16及び第3蓄電池18の放電が開始される。続くステップS66において、第5スイッチSW5を閉鎖する。これにより、第1経路LF1と第2経路LF2とにより第2蓄電池16及び第3蓄電池18が放電される。続くステップS68において、コンバータ12を動作停止状態とする指令を出力し、制御処理を終了する。
また、ステップS62で肯定判定すると、つまり既にステップS64~S68の処理が実施されている場合には、ステップS70において、第6スイッチSW6を開放し、ステップS36に進む。これにより、第1~第3ダイオードDA1~DA3を介した第2蓄電池16及び第3蓄電池18の放電が停止され、第2経路LF2により第2蓄電池16及び第3蓄電池18が放電される。
一方、ステップS24で肯定判定すると、つまり第2系統ES2で異常が発生したと判定すると、ステップS32において、第1スイッチSW1を開放する。続くステップS72において、第6スイッチSW6を開放し、ステップS36に進む。これにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の放電が停止される。
また、ステップS44で肯定判定すると、ステップS52において、第1スイッチSW1を開放する。続くステップS74において、第5,第6スイッチSW5,SW6を開放し、ステップS56に進む。一方、ステップS44で否定判定すると、ステップS45において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を並列接続する。続くステップS74において、第5,第6スイッチSW5,SW6を閉鎖し、制御処理を終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
・本実施形態では、第2系統ES2における接続点PBと第2蓄電池16及び第3蓄電池18との間に、第1経路LF1及び第2経路LF2が互いに並列に設けられている。第1経路LF1では、第5スイッチSW5が閉鎖されることにより第2蓄電池16及び第3蓄電池18が充電され、第5スイッチSW5が開放されることにより第2蓄電池16及び第3蓄電池18の充電が停止される。また、第2経路LF2には、第1~第3ダイオードDA1~DA3が設けられ、第1~第3ダイオードDA1~DA3により、第2経路LF2において接続点PBから第2蓄電池16及び第3蓄電池18への電流の流れが規制される。
そして、この第1~第3ダイオードDA1~DA3により、直列接続された第2蓄電池16及び第3蓄電池18の蓄電池電圧VBと電源電圧VAとに電圧差を生じさせるようにした。これにより、直列状態の第2蓄電池16及び第3蓄電池18では、電源電圧VAよりも高電圧となる状態が維持される。そして、第1系統ES1での異常発生時には、第2系統ES2において蓄電池電圧VBが低下することに伴い直列接続された第2蓄電池16及び第3蓄電池18からの放電が行われ、第2負荷36への早期の電力供給が可能となっている。
・本実施形態では、第1系統ES1における異常発生後に、第5スイッチSW5が開放されるようにした。これにより、第1~第3ダイオードDA1~DA3による第2負荷36への早期の電力供給を可能としつつ、第1~第3ダイオードDA1~DA3による電圧差により第2負荷36に印加される負荷電圧VDが低下することを抑制することができる。
・例えば負荷34,36の駆動量が一時的に減少した場合に、負荷電圧VDが過剰に上昇することがある。負荷電圧VDが過剰に上昇した場合、その過電圧を第2蓄電池16及び第3蓄電池18に吸収させることが望まれる。本実施形態では、第1経路LF1において第5スイッチSW5に並列接続された第5ダイオードDA5が設けられている。第5ダイオードDA5は、第1経路LF1において第2蓄電池16及び第3蓄電池18から接続点PBへの電流の流れを規制し、かつ接続点PBから第2蓄電池16及び第3蓄電池18への電流の流れを許容するように設けられている。そのため、第5スイッチSW5が閉鎖されている状態において負荷電圧VDが過剰に上昇した場合に、第5ダイオードDA5を介して過電圧を第2蓄電池16及び第3蓄電池18により吸収させることができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、第2実施形態との相違点を中心に図6,図7を参照しつつ説明する。
本実施形態では、第3スイッチ部24の構成、第2実施形態と異なる。本実施形態では、第1経路LF1には、コンバータ26が設けられている。以下では、区別のため、コンバータ12を第1コンバータ12と呼び、コンバータ26を第2コンバータ26と呼ぶ。第2コンバータ26は、第1コンバータ12からの電力供給により、電源電圧VAよりも低い電圧に電力変換して第2蓄電池16を充電する。なお、本実施形態において、第2コンバータ26が「充電部」に相当する。
第2経路LF2には、第7スイッチング素子(以下、単に第7スイッチ)SW7が設けられている。第7スイッチSW7は、第2経路LF2を開放又は閉鎖する。本実施形態では、第7スイッチSW7として、MOSFETが用いられている。第7スイッチSW7には、寄生ダイオードとして第7ダイオードDA7が並列接続されている。本実施形態では、第7ダイオードDA7は、第2経路LF2においてカソードを第2蓄電池16及び第3蓄電池18側、アノードを接続経路LB側となるように配置されている。そして、第2コンバータ26及び第7スイッチSW7により第3スイッチ部24が構成されている。なお、本実施形態において、第7スイッチSW7が「放電規制部,電池用スイッチ」に相当する。
制御装置40は、制御処理において、第7スイッチSW7を切替操作すべく、第7切替信号SC7を生成し、第7切替信号SC7による指令を第7スイッチSW7に出力する。また、制御装置40は、第2コンバータ26を動作制御すべく、制御信号SDを生成し、制御信号SDによる指令をコンバータ26に出力する。以下では、区別のため、第1コンバータ12への制御信号SDを第1制御信号SD1と呼び、第2コンバータ26への制御信号SDを第2制御信号SD2と呼ぶ。
制御装置40は、制御処理において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が並列接続された状態で、コンバータ12の電源電圧VAにより充電される第1状態では、第7スイッチSW7を開放し、第2コンバータ26により並列接続された第2蓄電池16及び第3蓄電池18を定電流充電又は定電圧充電する。そして、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が満充電状態となると、第2コンバータ26による充電を停止し、開放された第7スイッチSW7により直列接続された第2蓄電池16及び第3蓄電池18の放電を規制する。その後、第1系統ES1で異常が発生すると、第7スイッチSW7を閉鎖し、第2経路LF2を介して第2蓄電池16及び第3蓄電池18を放電する。
図7に本実施形態の制御処理のフローチャートを示す。図7において、先の図2に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
本実施形態の制御処理では、ステップS14で肯定判定すると、ステップS80において、第2コンバータ26を動作停止状態として、ステップS17に進む。なお、後述するように、ステップS14で肯定判定される際には、第2コンバータ26は動作状態とされており、第7スイッチSW7は開放されている。
また、ステップS22で肯定判定すると、つまり第1系統ES1で異常が発生したと判定すると、ステップS26において、第1スイッチSW1を開放する。続くステップS82において、第7スイッチSW7を閉鎖し、ステップS30に進む。これにより、第7スイッチSW7を介して第2蓄電池16及び第3蓄電池18が放電される。
また、ステップS42で肯定判定すると、ステップS46において、第1スイッチSW1を開放する。続くステップS48において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を直列接続する。続くステップS84において、第1コンバータ12及び第2コンバータ26を動作停止状態とし、ステップS56に進む。
また、ステップS44で肯定判定すると、ステップS52において、第1スイッチSW1を開放する。続くステップS86において、第7スイッチSW7を開放する。続くステップS88において、第2コンバータ26を動作停止状態とし、ステップS56に進む。一方、ステップS44で否定判定すると、ステップS45において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を並列接続する。続くステップS89において、第2コンバータ26を動作状態とし、制御処理を終了する。
・以上詳述した本実施形態によれば、第2系統ES2における接続点PBと第2蓄電池16及び第3蓄電池18との間に、第1経路LF1及び第2経路LF2が互いに並列に設けられており、第1経路LF1では、第2コンバータ26により、電源電圧VAよりも低い電圧で第2蓄電池16及び第3蓄電池18が充電される。また、第2経路LF2では、第7スイッチSW7により第2系統ES2での第2蓄電池16及び第3蓄電池18の放電が規制されるようになっている。第2コンバータ26が電源電圧VAよりも低い電圧で第2蓄電池16及び第3蓄電池18を充電することにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の充電に係る電源システム100の構成を簡略化することができ、電源システム100のコスト負担を軽減することができる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図8を参照しつつ説明する。
本実施形態では、制御処理において、第1モードにおける第1,第2系統ES1,ES2の正常時に第2蓄電池16及び第3蓄電池18を充放電する点で、第1実施形態と異なる。具体的には、制御装置40は、負荷34,36における駆動量情報を取得し、この駆動量情報が示す駆動量TRに基づいて第2蓄電池16及び第3蓄電池18を充放電する。
電源システム100では、第1系統ES1における地絡の発生に伴い、第2負荷36に電圧低下が生じる。また、それ以外に、負荷34,36の駆動量TRの変化に起因して、過剰な負荷34,36の電圧低下が生じることも考えられる。過剰な負荷34,36の電圧低下が生じた場合には、負荷電圧VDを高くすることが望まれる。
そこで、本実施形態では、制御処理において、第1モードにおける第1,第2系統ES1,ES2の正常時に駆動量TRが所定の第1駆動量閾値Tth1よりも小さい状態から大きい状態に切り替わった場合に、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続された状態で、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が放電される第2状態とするようにした。また、その後に駆動量TRが第1駆動量閾値Tth1よりも大きい状態から小さい状態に切り替わった場合に、第1,第2系統ES1,ES2の正常時に第2蓄電池16及び第3蓄電池18を放電した場合には、第2状態から第1状態に切り替え、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が並列接続された状態で、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が充電されるようにした。
図8に本実施形態の制御処理のフローチャートを示す。図8において、先の図2に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
本実施形態の制御処理では、ステップS20で否定判定すると、つまり第1モードにおける第1,第2系統ES1,ES2の正常時に、ステップS90において、リレースイッチSMRが閉鎖されているか否かを判定する。第2蓄電池16及び第3蓄電池18が充放電されていない場合には、リレースイッチSMRが閉鎖されている。この場合、ステップS90で否定判定し、ステップS22に進む。
一方、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が充放電されている場合には、リレースイッチSMRが開放されている。この場合、ステップS90で肯定判定し、ステップS92において、負荷34,36における駆動量情報を取得し、この駆動量情報が示す駆動量TRが第1駆動量閾値Tth1よりも小さいか否かを判定する。ここで第1駆動量閾値Tth1は、高圧蓄電池10から負荷34,36に安定して供給可能な電力の最大値に対応する駆動量である。なお、取得された駆動量情報は、制御装置40の記憶部(図示を省略)に記憶される。
第2蓄電池16及び第3蓄電池18が放電状態である場合には、駆動量TRが第1駆動量閾値Tth1よりも大きくなっている。この場合、ステップS92で否定判定し、ステップS22に進む。一方、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が充電状態である場合には、駆動量TRが第1駆動量閾値Tth1よりも小さくなっている。この場合、ステップS92で肯定判定し、ステップS94において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の残存容量SAを算出する。続くステップS96では、ステップS94で算出した残存容量SAが容量閾値Sthよりも大きいか否かを判定する。
第2蓄電池16及び第3蓄電池18が満充電状態となっている場合、ステップS96で肯定判定する。この場合、ステップS98において、リレースイッチSMRを開放し、ステップS22に進む。一方、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が満充電状態となっていない場合、ステップS96で否定判定する。この場合、ステップS100において、駆動量TRが第2駆動量閾値Tth2よりも小さいか否かを判定する。ここで第2駆動量閾値Tth2は、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の充電方式を切り替える閾値であり、第1駆動量閾値Tth1よりも小さい駆動量に設定されている。なお、本実施形態において、第2駆動量閾値Tth2が「所定の規定値」に相当する。
ステップS100で肯定判定すると、ステップS102において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を同時充電する充電方式を採用し、ステップS22に進む。同時充電する充電方式では、第4スイッチSW4を開放した状態で、第2,第3スイッチSW2,SW3を同時に閉鎖することにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を同時に充電する。
一方、ステップS100で否定判定すると、ステップS104において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を個別充電する充電方式を採用し、ステップS22に進む。個別充電する充電方式では、第4スイッチSW4を開放した状態で、第2,第3スイッチSW2,SW3を交互に閉鎖することにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を個別に充電する。
また、ステップS22で肯定判定すると、つまり第1系統ES1で異常が発生したと判定すると、ステップS26において、第1スイッチSW1を開放する。続くステップS116において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を直列接続に切り替え、ステップS28に進む。また、ステップS24で肯定判定すると、つまり第2系統ES2で異常が発生したと判定すると、ステップS32において、第1スイッチSW1を開放する。続くステップS118において、リレースイッチSMRを開放し、ステップS36に進む。
また、ステップS24で否定判定すると、ステップS110において、駆動量TRが第1駆動量閾値Tth1よりも大きくなったか否かを判定する。前回の制御処理において取得された駆動量TRが第1駆動量閾値Tth1よりも小さく、今回の制御処理において駆動量TRが第1駆動量閾値Tth1よりも小さい状態から第1駆動量閾値Tth1よりも大きい状態に切り替わった場合には、ステップS110で肯定判定する。この場合、ステップS112において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を直列接続に切り替える。続くステップS114では、リレースイッチSMRを閉鎖し、制御処理を終了する。これにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が直列接続された状態で、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が放電される第2状態となる。
一方、ステップS110で否定判定すると、ステップS116において、駆動量TRが第1駆動量閾値Tth1よりも小さくなったか否かを判定する。前回の制御処理において取得された駆動量TRが第1駆動量閾値Tth1よりも大きく、今回の制御処理において駆動量TRが第1駆動量閾値Tth1よりも大きい状態から第1駆動量閾値Tth1よりも小さい状態に切り替わった場合には、ステップS116で肯定判定する。この場合、ステップS118において、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を並列接続に切り替え、制御処理を終了する。これにより、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が並列接続された状態で、コンバータ12の電源電圧VAにより充電される第1状態となる。つまり、第2蓄電池16及び第3蓄電池18が、第2状態から第1状態に切り替えられる。
一方、前回及び今回の制御処理において取得された駆動量TRがともに第1駆動量閾値Tth1よりも大きく、又はともに第1駆動量閾値Tth1よりも小さい場合には、ステップS116で否定判定する。この場合、制御処理を終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
・本実施形態では、負荷34,36の駆動量TRが第1駆動量閾値Tth1よりも小さい状態から大きい状態に切り替わった場合に第2状態とするようにした。そのため、第1,第2系統ES1,ES2の正常時において、仮に負荷34,36の駆動量TRが一時的に増加した場合でも、直列接続された第2蓄電池16及び第3蓄電池18からの電力供給が行われる。これにより、電源電圧VAよりも高い電圧で負荷34,36に電力供給を行うことができ、負荷34,36を適正に作動させることができる。
・本実施形態では、第1,第2系統ES1,ES2の正常時において第2状態とされた場合において、負荷34,36の駆動量TRが第1駆動量閾値Tth1よりも大きい状態から小さい状態に切り替わった場合に、第2状態から第1状態に切り替え、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を充電するようにした。そのため、第1,第2系統ES1,ES2の正常時において第2蓄電池16及び第3蓄電池18を一時的に放電した場合でも、その後に第2蓄電池16及び第3蓄電池18を満充電状態とすることができる。したがって、第1系統ES1での異常発生時において満充電状態とされた第2蓄電池16及び第3蓄電池18を用いて第2負荷36の駆動を継続することが可能となる。
・第1状態では、負荷34,36への電力供給と第2蓄電池16及び第3蓄電池18への電力供給とが同時に行われるため、これらの電力供給を適正に実施する必要がある。この点、本実施形態では、負荷34,36の駆動量TRが第2駆動量閾値Tth2よりも小さい場合に、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を同時に充電し、駆動量TRが第2駆動量閾値Tth2よりも大きい場合に、第2蓄電池16及び第3蓄電池18を個別に充電するようにした。駆動量TRにより充電される蓄電池の数を調整することで、コンバータ12の電力供給に係る負担を調整し、負荷34,36への電力供給と第2蓄電池16及び第3蓄電池18への電力供給とを適正に実施することができる。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、次のように実施されてもよい。
・各負荷34,36は、例えば以下の装置であってもよい。
車両に走行用動力を付与する走行用モータとその駆動回路であってもよい。この場合、第1,第2負荷34,36のそれぞれは、例えば3相の永久磁石同期モータと3相インバータ装置である。
制動時の車輪のロックを防止するアンチロックブレーキ装置であってもよい。この場合、第1,第2負荷34,36のそれぞれは、例えば制動時のブレーキ油圧を独立に調整できるABSアクチュエータである。
自車両の前を走行する前走車を検出し、前走車が検知された場合には前走車との車間距離を一定に維持し、前走車が検知されなくなった場合には自車両を予め設定された車速で走行させるクルーズコントロール装置であってもよい。この場合、第1,第2負荷34,36のそれぞれは、例えばミリ波レーダである。
・各負荷34,36は、必ずしも同じ構成の組合せである必要がなく、同等の機能を異なる形式の機器で実現する組合せであってもよい。また、第1,第2負荷34,36は、それぞれが異なる負荷ではなく、同一の負荷であってもよい。つまり、第1,第2負荷34,36が、第1系統内経路LA1及び第2系統内経路LA2の両方から電力供給を受ける同一の負荷であってもよい。
・第1電源は、コンバータに限られず、オルタネータであってもよい。また、第1電源は、コンバータを有していなくてもよく、例えば第1蓄電池14のみを有していてもよい。
・第2電源に含まれる複数の蓄電池は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。この場合、第2状態において複数の蓄電池を直列接続する際に、電気負荷の駆動量に基づいて直列接続する蓄電池の数を切り替えるようにしてもよい。
・第2状態において、複数の蓄電池から電気負荷に印加される電圧は、第1電源の電源電圧よりも高い電圧に限られない。例えば電気負荷の駆動量に基づいて電気負荷の要求電圧が定められている場合には、この要求電圧よりも高い電圧に設定されていてもよい。
・第2経路LF2に設けられる整流素子は、ダイオードに限られず、サイリスタであってもよい。
・上記第1実施形態では、第1スイッチSW1の開放とリレースイッチSMRの閉鎖とが同時に実施される例を示したが、これに限られない。例えば第1スイッチSW1の開放後にリレースイッチSMRを閉鎖してもよい。これにより、第1系統ES1での異常発生時における第2蓄電池16及び第3蓄電池18の第1系統ES1への放電を抑制することができる。またリレースイッチSMRの閉鎖後に第1スイッチSW1を開放してもよい。これにより、第1系統ES1での異常発生に伴う負荷電圧VDの低下を抑制することができる。
・上記第1実施形態では、リレースイッチSMRにより第2蓄電池16及び第3蓄電池18の充電が制御されてもよい。具体的には、第1状態で第2蓄電池16及び第3蓄電池18を充電させる場合に、リレースイッチSMRのデューティ比を制御することで、第2蓄電池16及び第3蓄電池18の充電を制御してもよい。ここでデューティ比は、開閉制御されるリレースイッチSMRの規定周期に対するリレースイッチSMRの閉鎖時間の比率を意味する。また、第2系統内経路LA2におけるリレースイッチSMRと第2蓄電池16及び第3蓄電池18との間に抵抗素子が設けられており、この抵抗素子により第2蓄電池16及び第3蓄電池18の充放電が制御されてもよい。
・上記実施形態では、電源システム100が、手動運転及び自動運転による走行が可能な車両に適用される例を示したが、これに限られない。完全自動運転車など自動運転による走行のみが可能な車両に適用されてもよければ、手動運転による走行のみが可能な車両に適用されてもよい。
例えば自動運転による走行のみが可能な車両に適用された場合、いずれか一方の系統ES1,ES2での異常が発生したときには、異常が発生していない他方の系統ES1,ES2の負荷34,36を用いて、自動運転により車両の走行を停止させる、又は安全な場所に移動させた後に車両を停止させる処理が実施されてもよい。