以下、図面を参照して、本発明の実施の形態による制振発電装置、制振発電システムおよび風力発電システムについて説明する。
(第1の実施の形態)
まず、図1~図5を用いて、本実施の形態による制振発電装置について説明する。ここでは、洋上風力発電設備に適用された制振発電装置の例について説明する。しかしながら、制振発電装置の適用例はこれに限られることはない。
本実施の形態による制振発電装置20を説明する前に、一般的な洋上風力発電設備1について、図2を用いて説明する。図2は、スパー型洋上風力発電設備の一例を示している。
図2に示す洋上風力発電設備1は、洋上に浮かぶ浮体2と、塔構造体3と、風力発電機本体4と、を備えている。
浮体2は、垂直方向に細長に延びている。浮体2の一部は、水面下に位置して、浸漬している。水面は、図2等において符号Wで示す。浮体2は、円筒状に形成されており、水圧に耐えるように構成されている。浮体2の下部には、コンクリート等の重量物またはバラスト水等が充填された重錘部2aが設けられている。このことにより、浮体2の重心を低くして、洋上に浮かぶ浮体2の安定性を高めている。そして、浮体2の浮力と洋上風力発電設備1全体の重力が平衡しており、洋上風力発電設備1全体としての安定性向上を図っている。
浮体2の上端には、支持架台2bが設けられている。支持架台2bは、水平方向に延びており、水面の上方に位置している。
塔構造体3は、浮体2の上方に位置しており、支持架台2bから上方に延びている。塔構造体3は、垂直方向に細長に延びるように柱状に形成されている。
風力発電機本体4は、塔構造体3の上端に設けられている。風力発電機本体4は、風向等に応じて塔構造体3に対して水平面内で回転可能になっている。風力発電機本体4は、塔構造体3に支持されたナセル4aと、ナセル4aに回転可能に設けられた発電用回転翼4bと、を含んでいる。ナセル4a内に、発電用回転翼4bの回転によって発電を行う風力発電機4cが内蔵されている。発電用回転翼4bは、複数のブレード4dを含んでいる。
このように洋上風力発電設備1の浮体2および塔構造体3は、波の加振力を受けて、垂直方向に振動する。この振動は、ヒーブとも称する。
浮体2は、上述したように洋上に浮かんでいるため、静止系に対して弾性的に支持されているとみなすことができる。このことを模式化するために、図2では、ばね定数k0を有する仮想弾性体5によって、浮体2が静止系に対して弾性的に支持されている。仮想弾性体5は、ばね部材が存在していることを示しているのではなく、周囲の水から受ける浮力によって浮体2が垂直方向に運動することを模式的に示すために用いている。
水面における浮体2の断面積は、洋上風力発電設備1全体の質量に対して小さい。このため、浮体2の固有振動数は、10-3Hzオーダーであり、極めて低い。洋上における波の周期は、一般に、2s~20s程度であり、波の振動数は、0.05Hz~0.5Hz程度である。このため、洋上風力発電設備1の固有振動数は、波の振動数に対して十分に離調されており、洋上風力発電設備1が、波と共振することが回避されている。このように、洋上風力発電設備1は、波で大きな振幅が発生しないように設計されている。このため、波の振動数の離調率から決定される応答倍率に比例して、洋上風力発電設備1の振幅は抑制される。しかしながら、浮力による仮想弾性体5のばね定数k0は極めて小さいことから、好天時においても浮体2には数十センチメートルを超える振幅の発生が予想される。このため、洋上風力発電設備1の振幅は、上述したように離調により抑制されたとしても、大きくなり得る。この振幅は、電動機等の回転電機の不釣合い振動の振幅がミクロンメートル単位であることと比較しても大きい。そして、悪天候時等のように波の高さが増大すると、波の高さに比例して浮体21の振幅は増大し得る。
洋上風力発電設備1は、風力発電機本体4を制御する補機6(図26参照)を含んでいる。補機6は、風向、風速等の風況に応じて、風力発電機本体4の方向、ブレード4dのピッチ(偏角)および浮体を、外部電力を用いて制御する。このため、風力発電機本体4の振動は極力低減されていることが好ましい。例えば、悪天候時に振動が増大すると、その振動がブレード4d等への機械的な荷重として作用する。このため、風力発電機本体4に伝達する振動は低減されていることが好ましい。
洋上風力発電設備1では、上述したように風力発電機本体4の方向等を制御するために、外部電源から補機6に外部電力が供給される。しかしながら、洋上風力発電設備1は孤立しているため、悪天候時等に電力供給系統が喪失されると制御を行うことが困難になる。場合によっては、風の力によってブレード4dが破損する場合も考えられる。このため、洋上風力発電設備1では、蓄電池または非常用ディーゼル発電機等の非常用電源が搭載されている。このことにより、外部電源が喪失された場合であっても、制御不能となる事態を回避している。しかしながら、外部電源喪失が長期間継続する場合には、非常用電源による電源供給が限界に達する可能性も考えられる。
このような状況を考慮すると、波による振動を抑制するとともに電力を得ることができる制振発電装置20は、洋上風力発電設備1の安定的な運転と非常時の電源維持の観点から有益である。
次に、図1を用いて、本実施の形態による制振発電装置20について説明する。本実施の形態では、制振発電装置20が、図1に示す洋上風力発電設備10に適用されている例について説明する。ここでは、洋上風力発電設備10として、スパー型洋上風力発電設備を例にとって説明するが、スパー型洋上風力発電設備に限られることはなく、任意の型の洋上風力発電設備であってもよい。
図1に示す制振発電装置20は、支持構造体30と、塔構造体40と、第1弾性体50と、変換機構70と、装置発電機80と、を備えている。洋上風力発電設備10は、この制振発電装置20と、上述した風力発電機本体4と、で構成されている。
支持構造体30は、第1構造体の一例である。支持構造体30は、浮体31を含んでいる。浮体31は、中心軸線L1に沿って延びるように形成されている。すなわち、浮体31は、中心軸線L1に沿って細長に延びており、円筒状に形成されている。浮体31が横揺れしていない状態では、中心軸線L1は、垂直方向に沿っている。浮体31の一部は、水面下に位置して、周囲の海水に浸漬している。浮体31は、水圧に耐えるように構成されている。
浮体31の下部には、コンクリート等の重量物またはバラスト水等が充填された重錘部32が設けられている。このことにより、浮体31の重心を低くして、洋上に浮かぶ浮体31の安定性を高めている。そして、浮体31の浮力と洋上風力発電設備10全体の重力が平衡しており、洋上風力発電設備10全体としての安定性向上を図っている。
浮体31は、塔構造体40の下側部分40a(一部分の一例)を収容する第1空洞部33を含んでいる。第1空洞部33は、中心軸線L1に沿う軸方向dに延びている。第1空洞部33の直径は、塔構造体40の外径よりも大きくなっている。
浮体31の内周面に、軸方向dに延びるガイドレール(図示せず)が設けられていてもよい。この場合、浮体31に対する塔構造体40の相対変位を軸方向dに案内することができる。また、浮体31の内周面には、複数のローラ34が設けられていてもよい。ローラ34は、塔構造体40の外周面に対して転動可能になっている。このことにより、浮体31に対する塔構造体40の相対変位を円滑に行うことができる。
浮体31は、図2に示す浮体2の仮想弾性体5と同様に、ばね定数k0を有する仮想弾性体60によって静止系に対して弾性的に支持されている。
浮体31の上端に、発電機支持架台35が設けられている。発電機支持架台35は、水平方向に延びており、水面の上方に位置している。発電機支持架台35は、浮体31に固定されており、装置発電機80を支持している。発電機支持架台35は、塔構造体40が通過する貫通孔36を含んでいる。
塔構造体40は、第2構造体の一例である。塔構造体40は、軸方向dに延びている。すなわち、塔構造体40は、軸方向dに細長に延びており、円筒状に形成されている。塔構造体40の下側部分40aは、浮体31の第1空洞部33に収容されており、第1空洞部33から発電機支持架台35を越えて上方に延びている。塔構造体40は、浮体31と同芯に位置づけられていてもよい。
塔構造体40は、支持構造体30に弾性的に接続されている。本実施の形態においては、塔構造体40は、浮体31に弾性的に支持されている。そして、塔構造体40は、浮体31に対して相対変位可能に構成されている。本実施の形態においては、浮体31と塔構造体40は、軸方向dに並進変位可能になっている。塔構造体40の上端には、上述した風力発電機本体4が設けられている。
本実施の形態による第1弾性体50は、塔構造体40を浮体31に弾性的に連結している。第1弾性体50は、ばね定数k1を有している。第1弾性体50は、例えば、コイルばねなどのばね部材によって構成されていてもよい。
変換機構70は、変換回転子71を含んでおり、浮体31と塔構造体40との間の相対変位を、変換回転子71の回転変位に変換する機構である。変換機構70は、ラックレール72と、ピニオン歯車73と、を含んでいる。
ラックレール72は、ラックの一例であって、塔構造体40の外周面に設けられている。ラックレール72は、軸方向dに延びている。ラックレール72は、浮体31の第1空洞部33内に挿入可能になっている。
ピニオン歯車73は、発電機支持架台35に回転可能に支持されている。ピニオン歯車73は、上述した変換回転子71を構成している。ピニオン歯車73は、ラックレール72の歯に噛み合っており、塔構造体40と浮体31との間の軸方向dの並進相対変位を、回転変位に変換する。本実施の形態においては、ピニオン歯車73は、発電機回転子81に同軸で連結されている。図1においては、ピニオン歯車73のピッチ円半径がrで示されている。
装置発電機80は、発電機支持架台35に固定的に支持されている。装置発電機80は、変換回転子71の双方向の回転変位で発電を行うように構成されている。装置発電機80は、発電機回転子81を含んでおり、回転電機として構成されている。本実施の形態においては、発電機回転子81は、水平方向に沿う回転軸線を有している。図1においては、発電機回転子81の回転軸線は、紙面に直交する方向に沿っている。また、図1においては、発電機支持架台35に1台の装置発電機80が設置されている。1台の変換機構70によって塔構造体40の相対変位から変換された回転変位が、この装置発電機80の発電機回転子81に伝達される。
このように構成された本実施の形態による制振発電装置20は、図3に示す力学モデルに模式化される。図3に示すMは浮体31の質量であり、mは塔構造体40の質量であり、k0は仮想弾性体60のばね定数であり、k1は第1弾性体50のばね定数である。mSは慣性質量であり、cSは減衰係数である。浮体31の変位をX、塔構造体40の変位をxで表している。
より具体的には、浮体31の質量Mは、浮体31の質量に、発電機支持架台35の質量と、装置発電機80の固定子の質量と、波による付随質量とが加えられた質量である。塔構造体40の質量mは、塔構造体40の質量に、風力発電機本体4の質量が加えられた質量である。減衰係数cSは、装置発電機80の仕様によって決定される。
慣性質量m
Sは、変換回転子71の慣性モーメントをI
1、発電機回転子81の慣性モーメントをI
2とすると、上述したピニオン歯車73のピッチ円半径rを用いると、以下の式(1)により求められる。
なお、慣性モーメントI
1、I
2は、ピニオン歯車73または発電機回転子81にフライホイールを取り付けて調整することができる。このように、変換回転子71および発電機回転子81は、浮体31と塔構造体40との間の相対変位による振動を低減する慣性質量要素として機能している。
質量Mは、浮体31の運動によって慣性力
を作用させる。慣性質量m
Sは、浮体31と塔構造体40との相対運動によって慣性力
を浮体31および塔構造体40に作用させる。図3においては、慣性質量m
Sによる慣性力の作用を、2つの“/”で“○”を挟んだ記号で表しており、一般の質量と区別した記号を用いている。
図3に示す力学モデルの運動方程式は、2自由度系の運動方程式となり、以下の式(2)に示すようになる。
ここで、Fは波の加振力である。一般的な構造物では、左辺の質量行列は、対角行列となる。本実施の形態においては、非対角項に、“-m
S”が入っている。
式(2)から、浮体31の変位Xに対する塔構造体40の変位xの振動伝達率関数を求めると、図4および図5が得られる。ここで、振動伝達率関数T(ν)は、
で表される。図4および図5に示すνは加振角振動数比であり、
で表される。このうちωは加振角振動数である。ωnは角固有振動数であり、
で表される。ξは質量比であり、
で表される。ζは減衰比であり、
で表される。なお、式(2)において、質量Mが十分に大きく、かつばね定数k
0が十分に小さいため、浮体31の固有振動数が、加振振動数である波の振動数よりも十分に低くなる。このため、簡易的に式(2)を1自由度系として取り扱い、図4および図5に示す振動伝達率関数T(ν)を得た。
図4は、減衰比ζを0.01として、質量比ξを変化させた場合の振動伝達率Tを示している。破線は、ξ=0である場合の振動伝達率Tを示しているが、この場合、慣性質量m
S=0となる。すなわち、破線は、装置発電機80および変換機構70が存在していない場合の振動伝達率Tを示している。ν=0ではT=1であり、振動数比νが増加するにつれて振動伝達率Tも増加し、ν=1において振動伝達率Tが最大になる。すなわち、ν=1は、加振角振動数ωと角固有振動数ω
nとが等しくなっており、このときに共振点が現れている。共振点から振動数比νが増加するにつれて振動伝達率Tは減少し、
のときに、T=1に達する。更に振動数比νが増加すると、振動伝達率Tは更に減少するが、減少は緩やかで、広い範囲でT=1よりも低い状態が維持される。
これに対して、図3に示すように、質量Mと質量mとの間に慣性質量mSを付加すると、共振点における振動数比νが小さくなるとともに、共振点よりも大きい振動数比νにおける振動伝達率Tが低下する傾向にある。
例えば、ξ=0.5である場合に、共振点における振動数比νは、
程度に低下する。そして、振動数比νが、
において、実質的にT=0となる。ここから振動数比νが増加すると、振動伝達率Tは緩やかに増加するが、増加は緩やかで、広い範囲でT=1よりも低い状態が維持される。
また、ξ=1.0である場合には、共振点における振動数比νは、
となる。そして、ν=1で、実質的にT=0となる。ここから振動数比νが増加すると、振動伝達率Tは増加するが、振動伝達率Tの増加は緩やかで、広い範囲でT=1よりも低い状態が維持される。
このように慣性質量mSを付加すると、振動伝達率Tが1よりも低い範囲を拡げることができる。この場合、塔構造体40の変位を小さくできる振動数比νの範囲を拡げることができ、より広い振動数比νの範囲において、塔構造体40の変位を小さくすることができる。
ここで、T=0となる振動数比は遮断振動数比ν
Sと呼ばれ、
で表される。例えば、遮断振動数は、
で表されるが、この遮断振動数を、加振振動数である波の振動数fwに一致させるまたは近づける場合には、振動伝達率Tは小さくなり、0(ゼロ)または0に近い値になる。このことにより、塔構造体40の振動を抑制し、塔構造体40を実質的に静止させることができる。
図5は、質量比をξ=1.0として、減衰比ζを変化させた場合の振動伝達率Tを示している。発電機回転子81に発生する電流は、発電機回転子81の回転速度に比例する。すなわち、装置発電機80の発電量が増加するにつれて減衰係数cSは増加し、減衰比ζも大きくなる。図5に示すように、減衰比ζを0.01から0.1に増加させると、共振点の最大振幅が小さくなっている。一方、遮断振動数比νSにおいては、減衰比ζを増加させるにつれて振動伝達率Tが増加する傾向が見られるが、その増加量はわずかである。すなわち、発電量を増加させることによって減衰比ζが10倍に増えたとしても、振動伝達率Tは1より十分に小さい。このため、塔構造体40の振動の抑制と、電気エネルギへの変換とを両立させることができることがわかる。
上述のようにして装置発電機80における発電により得られた電力は、風力発電機本体4の方向等を制御する補機6に用いられてもよい。この場合、外部電源が喪失された場合であっても、非常時の補機6用の電源を維持することができ、風力発電機本体4が制御不能となる事態を回避できる。
このように本実施の形態によれば、浮体31と塔構造体40との間の相対変位が、変換回転子71の回転変位に変換され、変換回転子71の回転変位で装置発電機80が発電を行う。変換回転子71は、浮体31と塔構造体40との間の相対変位による振動を低減する慣性質量要素として機能している。このことにより、浮体31と塔構造体40との間の相対変位は、変換回転子71および発電機回転子81によって機能する慣性質量要素を介して伝達される。このため、波を受けることにより浮体31に与えられる振動が、塔構造体40に伝達されることを抑制することができる。また、変換回転子71の回転変位で装置発電機80が発電を行うことができる。この結果、塔構造体40の振動を抑制することができるとともに、振動エネルギを電気エネルギに変換することができる。すなわち、塔構造体40の振動の抑制と、電気エネルギへの変換とを両立させることができる。
また、本実施の形態によれば、装置発電機80は発電機回転子81を含み、発電機回転子81が、変換回転子71とともに慣性質量要素として機能している。このことにより、慣性質量を増大させることができ、浮体31の振動がから塔構造体40に伝達されることをより一層抑制することができる。このため、塔構造体40の振動をより一層抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、浮体31は、塔構造体40の下側部分40aを収容する第1空洞部33を含んでいる。このことにより、塔構造体40の下側部分40aの外側に浮体31を配置することができる。このため、塔構造体40のせん断荷重(水平方向に作用する荷重)に対する制振発電装置20の強度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、浮体31と塔構造体40は、中心軸線L1に沿う軸方向dに相対変位可能になっており、変換機構70は、塔構造体40に設けられた、軸方向dに延びるラックレール72と、ラックレール72の歯に噛み合うピニオン歯車73と、を含んでいる。そして、ピニオン歯車73および装置発電機80は、浮体31に設けられた発電機支持架台35に支持されている。このことにより、浮体31と塔構造体40との間の軸方向dの相対変位を回転変位に変換して、装置発電機80で発電を行うことができる。このため、塔構造体40の振動を抑制することができるとともに振動エネルギを電気エネルギに変換することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、装置発電機80が発電機回転子81を含んでおり、回転電機として構成されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、装置発電機80はリニア発電機であってもよい。この場合、ピニオン歯車73の回転変位を並進変位に変換して、この並進変位で装置発電機80が発電を行うようにしてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、装置発電機80の発電機回転子81が、水平方向に沿う回転軸線を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、ピニオン歯車73の回転変位で発電を行うことができれば、発電機回転子81の回転軸線は、水平方向以外の方向(例えば、浮体31の軸方向d等)に沿っていてもよい。
(第2の実施の形態)
次に、図6を用いて、第2の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図6に示す第2の実施の形態においては、塔構造体が、浮体の空洞部に貯蔵された液体に浮かんでいる点が主に異なり、他の構成は、図1~図5に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図6において、図1~図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図6に示すように、本実施の形態においては、浮体31の第1空洞部33に液体37が貯蔵されて、この液体37に、塔構造体40の下部を浸漬させてもよい。この場合、塔構造体40は、液体37から浮力を受けることができ、浮体31に弾性的に支持される。このため、本実施の形態による塔構造体40は、図1に示す仮想弾性体60と同様に、ばね定数k1を有する仮想弾性体65によって浮体31に弾性的に支持されているとみなすことができる。この仮想弾性体65のばね定数k1は、浮体31の仮想弾性体60のばね定数k0と同程度に設定することができる。このため、仮想弾性体65のばね定数k1を小さくすることができる。
ここで、図4および図5に示す振動伝達率Tが最も抑制できる振動数比の範囲は、遮断振動数比νSの近傍である。上述のように、波の振動数fwは、0.05Hz~0.5Hzであり、比較的低い。この波の振動数fwに、上述した遮断振動数を近づけようとすると、角固有振動数ωnが低くなる。この場合、塔構造体40の質量の大きさによっては、ばね定数k1を小さくすることが要求される。
これに対して、図6に示す例では、上述したように、液体37の浮力により塔構造体40を浮体31に弾性的に支持している。このため、液体37の浮力による仮想弾性体65のばね定数k1を小さくすることができる。
なお、図6においては、ばね定数k1を有する仮想弾性体65によって、塔構造体40が浮体31に弾性的に支持されている。仮想弾性体65は、ばね部材が存在していることを示しているのではなく、第1空洞部33に貯蔵された液体37から塔構造体40が受ける浮力によって塔構造体40が軸方向dに運動することを模式的に示すために用いている。しかしながら、ばね定数k1を調整するために、塔構造体40は、第1空洞部33に貯蔵された液体37だけではなく、塔構造体40を浮体31に弾性的に連結したばね部材等の弾性体を追加的に用いてもよい。
このように本実施の形態によれば、塔構造体40が、浮体31の第1空洞部33に貯蔵された液体37に、浮かんでいる。このことにより、浮体31に塔構造体40を弾性的に支持する仮想弾性体65のばね定数k1を小さくすることができる。このため、塔構造体40の質量が小さい場合であっても、角固有振動数ωnを低くすることができ、遮断振動数を波の振動数に容易に近づけることができる。
(第3の実施の形態)
次に、図7を用いて、第3の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図7に示す第3の実施の形態においては、複数の変換機構と複数の装置発電機とを備えている点が主に異なり、他の構成は、図1~図5に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図7において、図1~図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図7に示すように、本実施の形態における制振発電装置20は、複数の変換機構70と、複数の装置発電機80と、を備えている。図7に示す制振発電装置20は、2台の変換機構70と、2台の装置発電機80と、を備えている。装置発電機80の各々は、変換機構70の各々に対応して設けられており、対応する変換機構70の回転変位で発電を行う。
図7に示すように、水平方向で見たときに(または上から見たときに)、塔構造体40に対して一方の側(例えば、図7の左側)に、一の変換機構70と当該変換機構70に対応する一の装置発電機80とが位置している。そして、塔構造体40に対して他方の側(例えば、図7の右側)に、他の一の変換機構70と当該変換機構70に対応する他の一の装置発電機80とが位置している。例えば、上から見たときに、浮体31の中心軸線L1を中心にして点対称となる位置に、変換機構70および装置発電機80がそれぞれ位置していてもよい。
両方の装置発電機80の発電機回転子81で発生する偶力は、大きさは同一で作用方向が反対になる。このことにより、浮体31に発生するローリング(発電機回転子81の回転軸線を中心とする回転振動)を抑制することができる。すなわち、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力の回転方向は、互いに反対方向になる。このため、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を相殺することができ、ローリングが励起されることを抑制できる。
このように本実施の形態によれば、塔構造体40に対して両側に、変換機構70と当該変換機構70に対応する装置発電機80とがそれぞれ位置している。各装置発電機80の発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を、互いに相殺することができる。このことにより、支持構造体30にローリングが励起されることを抑制できる。このため、浮体31にローリングが発生することを抑制でき、風力発電機本体4の制御に悪影響が及ぼされることを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、2台の変換機構70と2台の装置発電機80とが搭載されるため、塔構造体40の振動をより一層抑制することができるとともに、発電量を増大させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、制振発電装置20が、2台の変換機構70と2台の装置発電機80とを備えている例について説明した。この例では、1台の変換機構70と1台の装置発電機80との組み合わせを1組としたときに、制振発電装置20が、2組の変換機構70および装置発電機80を備えている。しかしながら、このことに限られることはなく、変換機構70と装置発電機80との組み合わせの組数は、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を相殺することができれば、任意の偶数であってもよい。
(第4の実施の形態)
次に、図8を用いて、第4の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図8に示す第4の実施の形態においては、変換機構が、ピニオン歯車の回転を変速可能な変速部を含む点が主に異なり、他の構成は、図7に示す第3の実施の形態と略同一である。なお、図8において、図7に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図8に示すように、本実施の形態においては、変換機構70が、ピニオン歯車73の回転を変速可能な変速部74を含んでいる。本実施の形態においても、上述した第3の実施の形態と同様にして、2台の装置発電機80が発電機支持架台35に支持されている例について説明する。各装置発電機80に対応して変換機構70が設けられているが、2台の変換機構70は同様に構成されている。
変速部74は、塔構造体40の軸方向dの相対変位を回転変位に変換して、この回転変位をピニオン歯車73に伝達可能な複数の変速歯車75を含んでいる。複数の変速歯車75の歯数は、互いに異なっている。複数の変速歯車75のうちの一の変速歯車75が選択されて、ラックレール72の歯およびピニオン歯車73の歯にそれぞれ噛み合う。この変速歯車75によって、塔構造体40の軸方向dの相対変位が、回転変位に変換されてピニオン歯車73に伝達される。このような変速歯車75は、ピニオン歯車73とともに変換回転子71を構成している。このことにより、変換回転子71の慣性モーメントI1は、ピニオン歯車73の慣性モーメントと変速歯車75の慣性モーメントとの合計値となる。
各変速歯車75の歯数は、ピニオン歯車73の歯数と異なっている。このことにより、各変速歯車75の回転速度とピニオン歯車73の回転速度が異なる。本実施の形態においては、各変速歯車75の歯数が、ピニオン歯車73の歯数よりも大きくなっており、各変速歯車75は、ピニオン歯車73の回転を増速する。
変速部74は、変速歯車75を切り替える切替部(図示せず)を含んでいる。この切替部によって、ラックレール72の歯およびピニオン歯車73の歯のそれぞれに噛み合う変速歯車75が切り替わるように構成されている。複数の変速歯車75は、発電機回転子81の回転軸線に沿う方向(図8の紙面に直交する方向)に並列配置されていてもよい。変速部74は、変速歯車75を覆うカバー76を含んでいてもよい。
ここでは、図8に示すように、一例として、複数の変速歯車75のうち一の変速歯車75が選択されている例について説明する。この変速歯車75のピッチ円半径r1が、ピニオン歯車73のピッチ円半径rよりも大きくなっている。図8に示すピニオン歯車73のピッチ円半径rは、図7に示すピニオン歯車73のピッチ円半径rよりも小さくなっている。
ピニオン歯車73の歯数に対する変速歯車75の歯数の比である増速率をεとすると、装置発電機80の1台当たりの慣性質量m
Sは、
で表される。I
1は、2つの変換回転子71の慣性モーメントの合計値であり、I
2は、2つの発電機回転子81の慣性モーメントの合計値である。εは1よりも大きくなるため、変速歯車75が設けられていない場合の式(1)と比較すると、慣性質量m
Sは、増速率の二乗倍になり、大幅に増大する。
他の変速歯車75の歯数も同様に、ピニオン歯車73の歯数よりも大きくなっているとともに、各変速歯車75の歯数が互いに異なっている。このことにより、変速歯車75を切替部で切り替えることにより、変速部74の増速率を変えることができる。
このようにして、変速部74の増速率を調整することによって、慣性質量m
Sを調整することができる。すなわち、遮断振動数比ν
Sは、
で表されるため、慣性質量m
Sを調整することにより、遮断振動数比ν
Sを調整することができる。このため、遮断振動数比ν
Sを所望の値に調整することができる。例えば、上述の遮断振動数を波の振動数fwに一致させるまたは近づけるように、遮断振動数比ν
Sを調整することができる。この場合、振動伝達率Tを低減させることができる。
なお、浮体31に加速度センサ(図示せず)を設けて波の振動数fwを測定し、振動数fwの測定値に基づいて、変速部74の増速率を調整するようにしてもよい。例えば、遮断振動数を、波の振動数fwの測定値に近づけることができる変速歯車75を選定して、切替部が、当該変速歯車75に切り替えるようにしてもよい。
このように本実施の形態によれば、変換機構70が、ピニオン歯車73の回転を変速可能な変速部74を含んでいる。このことにより、変速部74の増速率を調整することができ、遮断振動数比νSを、波の振動数fwに一致させるまたは近づけるように調整することができる。このため、波の振動数fwに応じて、振動伝達率Tを効果的に低減させることができ、塔構造体40の振動を効果的に抑制することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、変速部74がピニオン歯車73の回転を増速させる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、変速部74は、ピニオン歯車73の回転を減速させるようにしてもよい。この場合、各変速歯車75の歯数は、ピニオン歯車73の歯数よりも小さくしてもよい。また、変速部74は、ピニオン歯車73の回転を増速および減速の両方を可能に構成されていてもよい。この場合、一部の変速歯車75の歯数は、ピニオン歯車73の歯数よりも大きく、他の変速歯車75の歯数は、ピニオン歯車73の歯数よりも小さくてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、2台の装置発電機80が発電機支持架台35に支持され、各装置発電機80に対応して変速部74を含む変換機構70が設けられている例について説明した。この場合には、上述したように、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を相殺することができ、ローリングが励起されることを抑制できる。しかしながら、このことに限られることはなく、発電機支持架台35に支持される装置発電機80の台数は任意であり、例えば、図1等に示すように、装置発電機80の台数が1台であってもよい。この場合、変速部74を含む変換機構70は1台になる。
(第5の実施の形態)
次に、図9~図11を用いて、第5の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図9~図11に示す第5の実施の形態においては、支持構造体が、浮体と、浮体に弾性的に支持されるとともに塔構造体を弾性的に支持する連結構造体と、を含む点が主に異なり、他の構成は、図8に示す第4の実施の形態と略同一である。なお、図9~図11において、図8に示す第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図9に示すように、本実施の形態においては、支持構造体30は、洋上に浮かぶ浮体31と、連結構造体100と、を含んでいる。浮体31は、第1支持構造体の一例であり、連結構造体100は、第2支持構造体の一例である。連結構造体100は、浮体31に下方から弾性的に支持されるとともに、塔構造体40を下方から弾性的に支持している。このようにして、塔構造体40は、連結構造体100を介して浮体31に弾性的に支持されている。
連結構造体100は、軸方向dに延びており、円筒状に形成されている。連結構造体100は、第2空洞部101を含んでいる。第2空洞部101は、軸方向dに延びる円筒内周面によって画定されている。第2空洞部101には、浮体31の上側部分31a(一部分の一例)が通過可能になっている。第2空洞部101の直径は、浮体31の外径よりも大きくなっている。
連結構造体100の内周面に、軸方向dに延びるガイドレール(図示せず)が設けられていてもよい。この場合、浮体31に対する連結構造体100の相対変位を軸方向dに案内することができる。また、連結構造体100の内周面には、複数のローラ102が設けられていてもよい。ローラ102は、浮体31の外周面に対して転動可能になっている。このことにより、浮体31に対する連結構造体100の相対変位を円滑に行うことができる。連結構造体100は、浮体31および塔構造体40と同芯に位置づけられていてもよい。
本実施の形態による第1弾性体110は、連結構造体100を浮体31に弾性的に連結している。より具体的には、第1弾性体110は、浮体31に設けられた支持架台38と、連結構造体100の下端に設けられた支持架台103と、を連結している。第1弾性体110は、例えば、コイルばね等のばね部材によって構成されていてもよい。浮体31と連結構造体100とは、複数の第1弾性体110によって連結されていてもよい。この場合、上から見たときに、浮体31の中心軸線L1を中心にして周方向に均等に第1弾性体110が配置されていてもよい。図9においては、2つの第1弾性体110によって、浮体31と連結構造体100とが連結されている例を示している。2つの第1弾性体110のばね定数の合成値をk1としている。なお、支持架台38は、水平方向に延びており、水面の上方に位置している。また、支持架台103も、水平方向に延びている。
連結構造体100と塔構造体40は、第2弾性体120によって弾性的に連結されている。より具体的には、第2弾性体120は、連結構造体100の上端に設けられた発電機支持架台104と、塔構造体40に設けられた支持架台41と、を連結している。第2弾性体120は、例えば、コイルばね等のばね部材によって構成されていてもよい。第2弾性体120のばね定数をk2としている。なお、連結構造体100と塔構造体40とは、複数の第2弾性体120によって連結されていてもよい。この場合、上から見たときに、浮体31の中心軸線L1を中心にして周方向に均等に第2弾性体120が配置されていてもよい。なお、発電機支持架台104および支持架台41は、水平方向に延びている。
このようにして、浮体31と連結構造体100は、軸方向dに並進変位可能になっているとともに、連結構造体100と塔構造体40は、軸方向dに並進可能になっている。
本実施の形態では、上述した第4の実施の形態と同様な2台の装置発電機80が、発電機支持架台104に固定的に支持されている。各装置発電機80に対応して2台の変換機構70が設けられている。変換機構70および装置発電機80は、上から見たときに、浮体31の中心軸線L1を中心にして対称となる位置に、位置づけられていてもよい。図9では、便宜上、塔構造体40に右側に変換機構70および装置発電機80を示し、左側には、第2弾性体120を示している。
本実施の形態による変換機構70は、連結構造体100と塔構造体40との間の相対変位を、変換回転子71の回転変位に変換する。ラックレール72は、塔構造体40の外周面に設けられている。変速部74およびピニオン歯車73は、連結構造体100に設けられた発電機支持架台104に支持されている。装置発電機80も、発電機支持架台104に支持されている。本実施の形態による変換回転子71および発電機回転子81は、連結構造体100と塔構造体40との間の相対変位による振動を低減する慣性質量要素として機能している
このように構成された本実施の形態による制振発電装置20は、図10に示す力学モデルのように模式化される。図10に示すMは浮体31の質量であり、m’は連結構造体100の質量であり、mは塔構造体40の質量である。k0は仮想弾性体60のばね定数であり、k1は第1弾性体110のばね定数であり、k2は第2弾性体120のばね定数である。mSは慣性質量であり、cSは減衰係数である。浮体31の変位をX、連結構造体100の変位をy、塔構造体40の変位をxで表している。なお、図10に示す力学モデルは、図3に示す力学モデルに対して、連結構造体100が存在する点と、装置発電機80による発電が、連結構造体100と塔構造体40との間の相対変位によって行われる点で相違している。
より具体的には、支持構造体30の質量Mは、浮体31の質量に、支持架台38の質量と、波による付随質量とが加えられた質量である。連結構造体100の質量m’は、連結構造体100の質量に、2台の装置発電機80の固定子の質量が加えられた質量である。塔構造体40の質量mは、塔構造体40の質量に、風力発電機本体4の質量が加えられた質量である。減衰係数cSは、装置発電機80の仕様によって決定される。慣性質量mSは、上述した式(3)で求められる。
図10に示す力学モデルの運動方程式は、3自由度系の運動方程式となり、以下の式(4)に示すようになる。
式(4)から、浮体31の変位Xに対する塔構造体40の変位xの振動伝達率関数T(ν)と、浮体31の変位Xに対する連結構造体100の変位yの振動伝達率関数T’(ν)を求めると、図11が得られる。ここで、振動伝達率関数T(ν)は、
で表される。振動伝達率T’(ν)は、
で表される。図11では、T(ν)を実線で示し、T’(ν)を破線で示している。図11では、質量比ξを0.1とし、減衰比ζを0.01としている。
図11に示すように、連結構造体100が存在することにより、固有振動数が2つの振動数比νで存在している。一方の固有振動数は、振動伝達率T(ν)に関連した固有振動数として、ν=0.1の近傍に存在している。他方の固有振動数は、振動伝達率T’(ν)に関連した固有振動数として、ν=1.0の近傍に存在している。ν=1.0の近傍では、振動伝達率T(ν)は小さくなっている。このことにより、塔構造体40の振動が減衰しており、塔構造体40の振幅がほとんど生じていないことがわかる。これに対して、ν=1.0の近傍では、振動伝達率T’(ν)は大きくなっており、連結構造体100の振幅が大きくなっていることがわかる。すなわち、ν=1.0の近傍では、塔構造体40の変位xは抑制されるのに対して、連結構造体100の変位yは大きくなっている。このため、連結構造体100と塔構造体40との間の相対変位が大きくなっている。
このような振動特性が示されることから、振動数比νが、上述した遮断振動数比ν
Sである場合、すなわち、
である場合、またはこの近傍である場合、装置発電機80の発電には有利である。遮断振動数を波の振動数fwに一致させるまたは近づけるように高次固有振動数
を設定してもよい。この場合、装置発電機80の発電量を増加させることができるとともに、塔構造体40の振動を抑制できる。
このように本実施の形態によれば、連結構造体100が浮体31に下方から弾性的に支持され、塔構造体40が連結構造体100に下方から弾性的に支持されている。そして、連結構造体100と塔構造体40との間の相対変位が、変換回転子71の回転変位に変換され、変換回転子71の回転変位で装置発電機80が発電を行う。変換回転子71は、連結構造体100と塔構造体40との間の相対変位による振動を低減する慣性質量要素として機能している。このことにより、連結構造体100と塔構造体40との間の相対変位は、変換回転子71および発電機回転子81によって機能する慣性質量要素を介して伝達される。このため、波を受けることにより浮体31に与えられる振動が、塔構造体40に伝達されることを抑制することができる。また、変換回転子71の回転変位で装置発電機80が発電を行うことができる。この結果、塔構造体40の振動を抑制することができるとともに、振動エネルギを電気エネルギに変換することができる。すなわち、塔構造体40の振動の抑制と、電気エネルギへの変換とを両立させることができる。
また、本実施の形態によれば、支持構造体30の連結構造体100は、浮体31の上側部分31aが通過可能な第2空洞部101を含んでいる。このことにより、浮体31の上側部分31aの外側に、連結構造体100を配置することができる。このため、塔構造体40のせん断荷重(水平方向に作用する荷重)に対する制振発電装置20の強度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、連結構造体100と塔構造体40は、中心軸線L1に沿う軸方向dに相対変位可能になっており、変換機構70のラックレール72は、塔構造体40に設けられ、ピニオン歯車73および装置発電機80は、連結構造体100に設けられた発電機支持架台104に支持されている。このことにより、連結構造体100と塔構造体40との間の軸方向dの相対変位を回転変位に変換して、装置発電機80で発電を行うことができる。このため、塔構造体40の振動を抑制することができるとともに振動エネルギを電気エネルギに変換することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、2台の装置発電機80が発電機支持架台35に支持され、各装置発電機80に対応して変速部74を含む変換機構70が設けられている例について説明した。この場合には、上述したように、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を相殺することができ、ローリングが励起されることを抑制できる。しかしながら、このことに限られることはなく、発電機支持架台35に支持される装置発電機80の台数は任意であり、例えば、図1等に示すように、装置発電機80の台数が1台であってもよい。この場合、変速部74を含む変換機構70は1台になる。また、変換機構70は変速部74を含んでいてもよく、または含んでいなくてもよい。
(第6の実施の形態)
次に、図12を用いて、第6の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図12に示す第6の実施の形態においては、連結構造体が、塔構造体の下側部分が通過可能な空洞部を含み、浮体と連結構造体との間の相対変位の方向において、連結構造体は、浮体と異なる位置に位置している点が主に異なり、他の構成は、図9~図11に示す第5の実施の形態と略同一である。なお、図12において、図9~図11に示す第5の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図12に示すように、本実施の形態においては、連結構造体100が、塔構造体40が通過可能な第2空洞部101を含んでいる。第2空洞部101の直径は、塔構造体40の直径よりも大きくなっている。また、第2空洞部101の直径は、浮体31の第1空洞部33の直径と等しくてもよい。第2空洞部101には、ラックレール72が挿入可能になっている。
浮体31と連結構造体100との間の相対変位の方向において、連結構造体100は、浮体31と異なる位置に位置している。本実施の形態においては、浮体31と連結構造体100とは、軸方向dに並進可能になっている。このことにより、連結構造体100は、軸方向dにおいて浮体31と異なる位置に位置している。図12においては、連結構造体100の下端は、浮体31の上端よりも上方に位置している。浮体31の上端と連結構造体100の下端は、上下方向に離間している。第1弾性体110が連結されている支持架台38は、浮体31の上端に設けられている。
連結構造体100の内周面に、軸方向dに延びるガイドレール(図示せず)が設けられていてもよい。この場合、連結構造体100に対する塔構造体40の相対変位を軸方向dに案内することができる。また、連結構造体100の内周面に、複数のローラ102が設けられていてもよい。ローラ102は、塔構造体40の外周面に対して転動可能になっている。このことにより、連結構造体100に対する塔構造体40の相対変位を円滑に行うことができる。連結構造体100は、浮体31および塔構造体40と同芯に位置づけられていてもよい。
このように本実施の形態によれば、連結構造体100が、塔構造体40が通過可能な第2空洞部101を含み、浮体31と連結構造体100との間の相対変位の方向において、連結構造体100は、浮体31と異なる位置に位置している。このことにより、連結構造体100が、浮体31の外側に配置されることを回避することができる。この場合、制振発電装置20の構造を簡素化することができるとともに、組み立て性を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、2台の装置発電機80が発電機支持架台35に支持され、各装置発電機80に対応して変速部74を含む変換機構70が設けられている例について説明した。この場合には、上述したように、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を相殺することができ、ローリングが励起されることを抑制できる。しかしながら、このことに限られることはなく、発電機支持架台35に支持される装置発電機80の台数は任意であり、例えば、図1等に示すように、装置発電機80の台数が1台であってもよい。この場合、変速部74を含む変換機構70は1台になる。また、変換機構70は変速部74を含んでいなくてもよい。
(第7の実施の形態)
次に、図13を用いて、第7の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図13に示す第7の実施の形態においては、変換機構のラックレールが、連結構造体に設けられ、ピニオン歯車および装置発電機が、塔構造体に支持されている点が主に異なり、他の構成は、図12に示す第6の実施の形態と略同一である。なお、図13において、図12に示す第6の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図13に示すように、本実施の形態においては、変換機構70のラックレール72が、連結構造体100に設けられている。より具体的には、連結構造体100の上端から上方に延長部105が延びている。この延長部105に、ラックレール72が設けられている。連結構造体100の上端から、変換機構70および装置発電機80に対応して複数の延長部105が延びていてもよい。図13では、便宜上、塔構造体40の右側に示された変換機構70および装置発電機80に対応する延長部105を示している。
本実施の形態においては、第1弾性体110は、浮体31の上端に設けられた支持架台38と、連結構造体100の下端に設けられた支持架台103と、を連結している。第2弾性体120は、連結構造体100に設けられた支持架台106と、塔構造体40に設けられた発電機支持架台42と、を連結している。なお、支持架台106および発電機支持架台42は、水平方向に延びている。また、発電機支持架台42は、延長部105およびラックレール72が通過する貫通孔43を含んでいる。
本実施の形態では、上述した第6の実施の形態と同様な2台の装置発電機80が、発電機支持架台42に支持されている。
本実施の形態による変換機構70は、支持構造体30の連結構造体100と塔構造体40との間の相対変位を、変換回転子71の回転変位に変換する。ラックレール72は、連結構造体100および延長部105に設けられている。すなわち、ラックレール72は、連結構造体100から延長部105に延びている。変速部74およびピニオン歯車73は、塔構造体40に設けられた発電機支持架台42に支持されている。装置発電機80も、発電機支持架台42に支持されている。本実施の形態による変換回転子71および発電機回転子81は、連結構造体100と塔構造体40との間の相対変位による振動を低減する慣性質量要素として機能している。
このように本実施の形態によれば、変換機構70のラックレール72が、連結構造体100および延長部105に設けられ、ピニオン歯車73および装置発電機80は、塔構造体40の発電機支持架台42に支持されている。このことにより、装置発電機80を、振動が抑制された塔構造体40で支持することができる。このため、装置発電機80の信頼性を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、2台の装置発電機80が発電機支持架台42に支持され、各装置発電機80に対応して変速部74を含む変換機構70が設けられている例について説明した。この場合には、上述したように、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を相殺することができ、ローリングが励起されることを抑制できる。しかしながら、このことに限られることはなく、発電機支持架台42に支持される装置発電機80の台数は任意であり、例えば、図1等に示すように、装置発電機80の台数が1台であってもよい。この場合、変速部74を含む変換機構70は1台になる。また、変換機構70は変速部74を含んでいなくてもよい。
(第8の実施の形態)
次に、図14を用いて、第8の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図14に示す第8の実施の形態においては、支持構造体と変位構造体が相対回動変位可能である点が主に異なり、他の構成は、図1~図5に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図14において、図1~図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、船舶200に適用された制振発電装置20の例について説明する。
図14に示すように、本実施の形態による制振発電装置20は、船体構造体210と、客室構造体220と、第1弾性体230と、変換機構70と、装置発電機80と、を備えている。船体構造体210は、支持構造体の一例であり、客室構造体220は、変位構造体の一例である。船体構造体210と客室構造体220は、回動中心軸線L2を中心にして相対回動変位可能になっている。回動中心軸線L2は、船体211の船首から船尾に向かって(図14の紙面に直交する方向に向かって)水平方向に延びる回動中心軸線L2を有している。図14では、回動中心軸線L2は紙面に垂直に延びているため、点で表している。
船体構造体210は、洋上に浮かぶ船体211を含んでいる。船体211の一部は、水面下に位置して、浸漬している。船体211の下部には、コンクリート等の重量物またはバラスト水等が充填された重錘部213が設けられている。このことにより、船体211の重心を低くして、洋上に浮かぶ船体211の安定性を高めている。そして、船体211の浮力と船舶200全体の重力が平衡しており、船舶200全体としての安定性向上を図っている。
船体211は、客室構造体220の下側部分(一部分の一例)を収容する船体空洞部214を含んでいる。船体空洞部214には、回動中心軸線L2を中心にした船体構造体210の相対回動変位を案内するガイドレール(図示せず)が設けられていてもよい。また、船体空洞部214には、複数のローラ215が設けられていてもよい。ローラ215は、船体構造体210の回動支持台222の外周面223に転動可能になっている。このことにより、船体211に対する客室構造体220の相対回動変位を円滑に行うことができる。船体211は、図1等に示す浮体31と同様に、ばね定数k0を有する仮想弾性体60によって静止系に弾性的に支持されている。ここで、上述した第1の実施の形態~第7の実施の形態では、浮体31と塔構造体40が軸方向dに相対並進変位する例について説明したが、本実施の形態においては、船体211と客室構造体220とが相対回動変位する。このため、図14においては、2つの仮想弾性体60によって、船体211が静止系に支持されている例を示している。この2つの仮想弾性体60によって、船体211と客室構造体220とが相対回動変位可能になっている。2つの仮想弾性体60のばね定数の合成値をk0としている。発電機支持架台212は、船体211に固定されており、装置発電機80を支持している。
船体211の内部に、発電機支持架台212が設けられている。発電機支持架台212は、装置発電機80を支持している。
客室構造体220は、変位構造体の一例である。客室構造体220は、船体211に弾性的に支持されている。そして、客室構造体220は、船体211に対して相対回動変位可能に構成されている。上述した回動中心軸線L2を中心にして、客室構造体220は、船体211に対して相対回動可能になっている。
客室構造体220は、客室本体221と、客室本体221の下部に設けられた回動支持台222と、を含んでいる。回動支持台222は、回動中心軸線L2を中心として円弧状にそれぞれ形成された外周面223および内周面224を含んでいる。外周面223および内周面224はそれぞれ、円弧面の一例である。この外周面223に、上述したローラ215が転動する。
本実施の形態による第1弾性体230は、客室構造体220を船体211に弾性的に連結している。第1弾性体230は、例えば、コイルばねなどのばね部材によって構成されていてもよい。図14においては、回動中心軸線L2に沿って見たときに回動支持台222の左右両側に第1弾性体230が配置されている。すなわち、一の第1弾性体230は、回動中心軸線L2に沿って見たときに回動支持台222の一方の端部を、当該端部に対向する船体211の壁面に連結している。他の一の支持ばねは、回動支持台222の他方の端部を、当該端部に対向する船体211の壁面に連結している。図9においては、2つの第1弾性体230によって、船体211と客室構造体220とが連結されている例を示している。2つの第1弾性体230のばね定数の合成値をk1としている。
このようにして、船体211と客室構造体220は、相対回動変位可能になっている。
本実施の形態における変換機構70は、船体211と客室構造体220との間の相対回動変位を、変換回転子71の回転変位に変換する。より具体的には、本実施の形態における変換機構70は、ラックレール72と、変換回転子71を構成するピニオン歯車73と、を含んでいる。ラックレール72は、ラックの一例であって、回動支持台222の内周面224に設けられている。この場合、ラックレール72の歯は、内側に向けられる。ラックレール72は、この内周面224に沿って円弧状に延びるように形成されており、回動中心軸線L2を中心としたときの周方向に延びている。
ピニオン歯車73は、船体211の発電機支持架台212に支持されており、上述した変換回転子71を構成している。ピニオン歯車73は、ラックレール72の歯に噛み合っており、船体構造体210の回動変位を、変換回転子71の回転変位に変換する。
本実施の形態においては、変換機構70は、変速部74を含んでいてもよい。変速部74は、上述した第4の実施の形態と同様に構成することができる。
装置発電機80は、船体211の発電機支持架台212に固定的に支持されている。なお、図14においては、発電機支持架台212に1台の装置発電機80が設置されている例を示している。しかしながら、発電機支持架台212には、複数の装置発電機80が設置されていてもよい。
本実施の形態による変換回転子71および発電機回転子81は、船体211と客室構造体220との間の相対回動変位による横揺れ(ローリングとも称する)による振動を低減する慣性質量要素として機能している。すなわち、本実施の形態による制振発電装置20は、船舶200の横揺れに対する振動抑制を図るとともに発電を行うことができる。
このように本実施の形態によれば、船体211と客室構造体220との間の相対回動変位が、変換回転子71の回転変位に変換され、変換回転子71の回転変位で装置発電機80が発電を行う。変換回転子71は、船体211と客室構造体220との間の相対回動変位による振動を低減する慣性質量要素として機能している。このことにより、船体211と客室構造体220との間の相対回動変位は、変換回転子71および発電機回転子81によって機能する慣性質量要素を介して伝達される。このため、横波を受けることにより船体211に与えられる振動が、客室構造体220に伝達されることを抑制することができる。また、変換回転子71の回転変位で装置発電機80が発電を行うことができる。この結果、客室構造体220の振動を抑制することができるとともに振動エネルギを電気エネルギに変換することができる。すなわち、客室構造体220の振動の抑制と、電気エネルギへの変換とを両立させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、回動支持台222の内周面224にラックレール72が設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、ラックレール72は、回動支持台222の外周面223に設けられて、ラックレール72の歯が外側に向けられてもよい。この場合、変換機構70および装置発電機80は、外周面223に設けられたラックレール72に対応する位置に配置される。
また、上述した本実施の形態においては、移動体の一例としての船舶200に、制振発電装置20が適用される例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、船舶200以外の移動体に適用されていてもよい。例えば、移動体の他の例としての鉄道車両に、上述した制振発電装置20が適用されてもよい。この場合、鉄道車両のシャーシを支持構造体として、鉄道車両のボディを変位構造体としてしてもよい。このことにより、鉄道車両に作用する横揺れ(またはローリング)対する振動抑制を図るとともに発電を行うことができる。また、移動体の他の例としての自動車両に、上述した制振発電装置20が適用されてもよい。この場合、自動車両のシャーシを支持構造体として、自動車両のボディを変位構造体としてもよい。このことにより、自動車に作用する横揺れ(またはローリング)に対する振動抑制を図るとともに発電を行うことができる。
(第9の実施の形態)
次に、図15および図16を用いて、第9の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図15および図16に示す第9の実施の形態においては、第1構造体が、洋上に浮かぶ第1浮体を含み、第2構造体が、第1浮体とは異なる位置で洋上に浮かぶ第2浮体を含む点が主に異なり、他の構成は、図1~図5に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図15および図16において、図1~図5に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図15に示すように、本実施の形態においては、制振発電装置320は、第1構造体330と、第2構造体340と、変換機構70と、装置発電機80と、を備えている。図15に示す洋上風力発電設備10は、制振発電装置320と、上述した風力発電機本体4と、で構成されている。
第1構造体330は、主浮体331と、第1発電機支持架台332と、塔構造体333と、を含んでいる。第1構造体330は、概略的には、中心軸線L3に沿って延びるように形成されている。
主浮体331は、洋上に浮かぶように構成されている。主浮体331は、第1浮体の一例である。主浮体331は、中心軸線L3に沿って延びるように形成されている。主浮体331は、中心軸線L3を中心として円筒状に形成されている。主浮体331が横揺れしていない状態では、中心軸線L3は、垂直方向に沿っている。主浮体331の一部は、水面下に位置して、周囲の海水に浸漬している。主浮体331は、水圧に耐えるように構成されている。
主浮体331の下部には、コンクリート等の重量物またはバラスト水等が充填された重錘部32(図1等参照)が設けられている。このことにより、主浮体331の重心を低くして、洋上に浮かぶ主浮体331の安定性を高めている。
主浮体331は、図2に示す浮体2の仮想弾性体5と同様に、ばね定数k1を有する仮想弾性体361によって静止系に対して弾性的に支持されている。また、主浮体331の固有振動数は、波の振動数に対して十分に離調するように設計されていてもよい。
第1発電機支持架台332は、主浮体331の上端に設けられている。第1発電機支持架台332は、水平方向(中心軸線L3に沿う軸方向dに垂直な方向)に延びており、後述する発電用浮体341よりも上方に位置している。第1発電機支持架台332は、主浮体331に固定されている。第1発電機支持架台332は、中心軸線L3を中心とした円板状に形成されていてもよい。第1発電機支持架台332は、貫通孔332aを含んでいる。貫通孔332aは、軸方向dに延びており、第1発電機支持架台332を貫通している。貫通孔332aは、第2構造体340の中心軸線L4を中心とした円筒状の壁面を含んでいる。
塔構造体333は、主浮体331の上方に位置しており、第1発電機支持架台332から上方に延びている。塔構造体333は、垂直方向に細長に延びるように柱状に形成されている。塔構造体333の上端には、上述した風力発電機本体4が設けられている。
第2構造体340は、発電用浮体341と、第2ロッド342と、を含んでいる。第2構造体340は、概略的には、中心軸線L4に沿って延びるように形成されている。中心軸線L4は、軸方向dに沿っており、上述した中心軸線L3に平行であってもよい。
発電用浮体341は、上述した主浮体331とは異なる位置で洋上に浮かぶように構成されている。発電用浮体341は、第2浮体の一例である。発電用浮体341は、中心軸線L4に沿って延びるように形成されている。発電用浮体341は、中心軸線L4を中心として円筒状に形成されている。発電用浮体341が横揺れしていない状態では、中心軸線L4は、垂直方向に沿っている。発電用浮体341の一部は、水面下に位置して、周囲の海水に浸漬している。発電用浮体341は、水圧に耐えるように構成されている。
発電用浮体341の下部には、コンクリート等の重量物またはバラスト水等が充填された重錘部(図示せず)が設けられていてもよい。このことにより、発電用浮体341の重心を低くして、洋上に浮かぶ発電用浮体341の安定性を高めている。発電用浮体341の浮力と、上述した主浮体331の浮力と、洋上風力発電設備10全体の重力が平衡しており、洋上風力発電設備10全体としての安定性向上を図っている。
発電用浮体341は、図2に示す浮体2の仮想弾性体5と同様に、ばね定数k2を有する仮想弾性体362によって静止系に対して弾性的に支持されている。
第2ロッド342は、発電用浮体341から中心軸線L4に沿って上方に延びている。第2ロッド342は、第1発電機支持架台332の貫通孔332aを貫通して、第1発電機支持架台332を越えるように軸方向dに延びている。第2ロッド342は、中心軸線L4を中心として円筒状に形成されている。発電用浮体341および第2ロッド342は、貫通孔332aと同芯に位置づけられていてもよい。
第2ロッド342の外周面には、複数のローラ343が設けられていてもよい。ローラ343は、上述した貫通孔332aの壁面に対して転動可能になっている。このことにより、第1構造体330と第2構造体340の相対変位を円滑に行うことができる。貫通孔332aの壁面には、軸方向dに延びるガイドレール(図示せず)が設けられていてもよい。この場合、第1構造体330に対する第2構造体340の相対変位を軸方向dに案内することができる。
第2構造体340は、第1構造体330に弾性的に接続されている。第2構造体340は、第1構造体330に対して相対変位可能に構成されている。本実施の形態においては、第1構造体330と第2構造体340は、軸方向dに並進変位可能になっている。
本実施の形態による第1弾性体350は、第2構造体340を第1構造体330に弾性的に連結している。より具体的には、第1弾性体350は、第1発電機支持架台332と発電用浮体341に連結されている。図15においては、2つの第1弾性体350が、第1発電機支持架台332と発電用浮体341に連結されている例が示されているが、第1弾性体350の個数は任意である。第1弾性体350は、ばね定数k12を有している。第1弾性体350は、例えば、コイルばねなどのばね部材によって構成されていてもよい。
変換機構70は、変換回転子71を含んでおり、第1構造体330と第2構造体340との間の相対変位を、変換回転子71の回転変位に変換する機構である。変換機構70は、ラックレール72と、ピニオン歯車73と、を含んでいる。
ラックレール72は、第2ロッド342の外周面に設けられている。ラックレール72は、軸方向dに延びている。このことにより、第2構造体340が第1構造体330に対して回転運動を行うことを抑制している。ラックレール72は、第1発電機支持架台332の貫通孔332a内に挿入可能になっている。
ピニオン歯車73は、第1発電機支持架台332に回転可能に支持されている。ピニオン歯車は、上述した、変換回転子71を構成している。ピニオン歯車73は、ラックレール72の歯に噛み合っており、第1構造体330と第2構造体340との間の軸方向dの並進相対変位を、回転変位に変換する。本実施の形態においては、ピニオン歯車73は、発電機回転子81に同軸で連結されている。
装置発電機80は、第1発電機支持架台332に支持されている。本実施の形態においては、発電機回転子81は、水平方向に沿う回転軸線を有している。また、図15においては、第1発電機支持架台332に1台の装置発電機80が設置されている。1台の変換機構70によって第1構造体330と第2構造体340との相対変位から変換された回転変位が、この装置発電機80の発電機回転子81に伝達される。
このように構成された本実施の形態による制振発電装置320の力学モデルは、以下の式(5)に示す2自由度系の運動方程式で表すことができる。
ここで、m1は、主浮体331の質量であって、第1発電機支持架台332の質量と、装置発電機80の固定子の質量と、風力発電機本体4の質量と、波による付随質量と、を含む質量である。m2は、発電用浮体341の質量であって、第2ロッド342の質量と、波による付随質量と、を含む質量である。msは、慣性質量である。x1は、第1構造体330の変位であり、x2は、第2構造体340の変位である。c1は、波に対する主浮体331の減衰係数であり、c2は、波に対する発電用浮体341の減衰係数である。c12は、主浮体331と発電用浮体341との間の相対変位に対する減衰係数である。k1は、第1仮想弾性体361のばね定数であり、k2は、第2仮想弾性体362のばね定数である。k12は、第1弾性体350のばね定数である。f1は、主浮体331への波の加振力であり、f2は、発電用浮体341への波の加振力である。一般的な構造物では、左辺の質量行列は、対角行列となる。本実施の形態においては、装置発電機80の発電機回転子81が、慣性質量要素として機能することにより、非対角項に、“-mS”が入っている。
ここで、図15に示すような洋上風力発電設備10は、洋上の安定した風を用いて発電できる利点を有している。また、陸地から沖合に向かって水深が急に深くなる場合には、海底に基礎を設けて風力発電設備を設置することは困難である。この場合には、浮体式の洋上風力発電設備10が有効な設備となり得る。波から加えられる振動によって、洋上風力発電設備10の各機器は損傷を受け得る。このような損傷を受けることを防止するために、波の固有周期から離調するように洋上風力発電設備10の設計が行われる。台風が接近する場合、または波が高い場合であっても、振動を十分に抑制することが望ましい。
また、風力発電機4c(図2参照)は、風によってブレード4dが回転することにより発電を行うことができる。一方、洋上風力発電設備10は、風力発電機本体4を制御する補機6(図26参照)を含んでいる。補機6は、風向、風速等の風況に応じて、風力発電機本体4の方向、ブレード4dのピッチ(偏角)および浮体を、外部電力を用いて制御する。この外部電力を洋上風力発電設備1に供給するための系統は、台風などの災害時には遮断される恐れがある。遮断された場合には、例えば、浮体の制御が不能となり、場合によっては、浮体の倒壊を招く恐れもある。
これに対して、本実施の形態においては、第1構造体330が、洋上に浮かぶ主浮体331を含み、第2構造体340が、洋上に浮かぶ発電用浮体341を含んでいる。このことにより、第1構造体330と第2構造体340とが軸方向dに相対変位することができる。そして、この相対変位が、回転変位に変換され、装置発電機80において発電を行うことができる。このようにして、波の振動エネルギを、電気エネルギに変換して電力を得ることができる。装置発電機80の発電電力は、後述する図25等で示すように、洋上風力発電設備1の制御に用いることもできる。このため、非常時の電源を維持することができ、風力発電機本体4が制御不能となる事態を回避できる。
このように本実施の形態によれば、第1構造体330は、洋上に浮かぶ主浮体331を含み、第2構造体340は、主浮体331とは異なる位置で洋上に浮かぶ発電用浮体341を含んでいる。このことにより、波から受ける力によって、第1構造体330と第2構造体340を相対変位させることができる。このため、第1構造体330と第2構造体340との間の相対変位が、変換回転子71の回転変位に変換され、変換回転子71の回転変位で装置発電機80が発電を行うことができる。変換回転子71は、第1構造体330と第2構造体340との間の相対変位による振動を低減する慣性質量要素として機能している。このことにより、波を受けることにより第1構造体330に与えられる振動を、低減することができる。また、変換回転子71の回転変位で装置発電機80が発電を行うことができる。この結果、第1構造体330の振動を抑制することができるとともに、振動エネルギを電気エネルギに変換することができる。すなわち、第1構造体330の振動の抑制と、電気エネルギへの変換とを両立させることができる。
また、本実施の形態によれば、装置発電機80は発電機回転子81を含み、発電機回転子81が、変換回転子71とともに慣性質量要素として機能している。このことにより、慣性質量を増大させることができ、第1構造体330の振動をより一層低減することができる。このため、第1構造体330の振動をより一層抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、第1構造体330と第2構造体340は、中心軸線L3に沿う軸方向dに相対変位可能になっており、変換機構70は、第2構造体340に設けられた、軸方向dに延びるラックレール72と、ラックレール72の歯に噛み合うピニオン歯車73と、を含んでいる。そして、ピニオン歯車73および装置発電機80は、第1構造体330の第1発電機支持架台332に支持されている。このことにより、第1構造体330と第2構造体340との間の軸方向dの相対変位を回転変位に変換して、装置発電機80で発電を行うことができる。このため、第1構造体330の振動を抑制することができるとともに振動エネルギを電気エネルギに変換することができる。
また、本実施の形態によれば、第1構造体330が、発電用浮体341よりも上方に位置した第1発電機支持架台332を含み、第2構造体340が、発電用浮体341から第1発電機支持架台332を越えるように延びる第2ロッド342を含んでいる。この第2ロッド342に、ラックレール72が設けられている。このことにより、第1構造体330と第2構造体340との間の軸方向dの並進相対変位を回転変位に容易に変換することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、変換機構70が、第2構造体340の第2ロッド342の外周面に設けられたラックレール72を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図16に示すように、変換機構70は、第2ロッド342の外周面に設けられたギア溝77を含んでいてもよい。ギア溝77は、第2ロッド342の外周面において、全周にわたって形成されていてもよい。ギア溝77は、軸方向dにおいて異なる位置に複数形成されている。この場合においても、ピニオン歯車73が、ギア溝77と噛み合うことができ、第1構造体330と第2構造体340との間の軸方向dの並進相対変位を、回転変位に変換することができる。なお、図16は、図面を簡略化するために、貫通孔332aの壁面を平面状に図示している。
(第10の実施の形態)
次に、図17および図18を用いて、第10の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図17および図18に示す第10の実施の形態においては、複数の第2構造体と、複数の変換機構と複数の装置発電機とを備えている点が主に異なり、他の構成は、図15および図16に示す第9の実施の形態と略同一である。なお、図17および図18において、図15および図16に示す第9の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図17に示すように、本実施の形態における制振発電装置320は、複数の第2構造体340と、複数の変換機構70と、複数の装置発電機80と、を備えている。図17に示す制振発電装置320は、2台の第2構造体340を備えている。変換機構70の各々は、第2構造体340の各々に対応して設けられており、対応する第2構造体340の軸方向dの相対変位を回転変位に変換する。装置発電機80の各々は、変換機構70の各々に対応して設けられており、対応する変換機構70の回転変位で発電を行う。各第2構造体340は、一体化されていない。このため、各第2構造体340は、互いに独立して振動し、第1構造体330に対して、互いに独立して相対変位するように構成されている。
図17に示すように、水平方向で見たときに(または上から見たときに)、第1構造体330に対して一方の側(例えば、図17の左側)に、一の第2構造体340と当該第2構造体340に対応する変換機構70および装置発電機80とが位置している。そして、第1構造体330の他方の側(例えば、図17の右側)に、他の一の第2構造体340と当該第2構造体340に対応する変換機構70および装置発電機80とが位置している。例えば、上から見たときに、第1構造体330の中心軸線L3を中心にして点対称となる位置に、第2構造体340が位置していてもよい。
両方の第2構造体340に対応して装置発電機80が設けられ、各々の装置発電機80の発電機回転子81で発生する偶力は、大きさは同一で作用方向が反対になる。このことにより、第2構造体340に発生するローリング(発電機回転子81の回転軸線を中心とする回転振動)を抑制することができる。すなわち、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力の回転方向は、互いに反対方向になる。このため、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を相殺することができ、ローリングが励起されることを抑制できる。
また、本実施の形態においては、1台の第2構造体340に対して、2台の変換機構70および2台の装置発電機80が設けられている。装置発電機80の各々は、変換機構70の各々に対応して設けられており、対応する変換機構70の回転変位で発電を行う。
図17における左側に示した第2構造体340について説明する。
図17に示すように、水平方向で見たときに(または上から見たときに)、第2構造体340の第2ロッド342に対して一方の側(例えば、図17の左側)に、一の変換機構70と当該変換機構70に対応する一の装置発電機80とが位置している。そして、第2ロッド342に対して他方の側(例えば、図17の右側)に、他の一の変換機構70と当該変換機構70に対応する他の一の装置発電機80とが位置している。例えば、上から見たときに、第2ロッド342の中心軸線L1を中心にして点対称となる位置に、変換機構70および装置発電機80がそれぞれ位置していてもよい。
両方の装置発電機80の発電機回転子81で発生する偶力は、大きさは同一で作用方向が反対になる。このことにより、第2構造体340に発生するローリングを抑制することができる。すなわち、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力の回転方向は、互いに反対方向になる。このため、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を相殺することができ、ローリングが励起されることを抑制できる。
図17における右側に示した第2構造体340についても同様に構成することができ、当該第2構造体340にローリングが発生することを抑制できる。
このように本実施の形態によれば、第1構造体330に対して両側に、第2構造体340が設けられ、各々の第2構造体340に対応して変換機構70および装置発電機80が位置している。各装置発電機80の発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を、互いに相殺することができる。このことにより、第2構造体340にローリングが励起されることを抑制できる。このため、第2構造体340にローリングが発生することを抑制でき、風力発電機本体4の制御に悪影響が及ぼされることを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、2台の第2構造体340に対応させて、変換機構70および装置発電機80が搭載されるため、変換機構70の台数および装置発電機80の台数を増やすことができる。このため、第1構造体330の振動をより一層抑制することができるとともに、発電量を増大させることができる。
また、本実施の形態によれば、第2構造体340に対して両側に、変換機構70と当該変換機構70に対応する装置発電機80とがそれぞれ位置している。各装置発電機80の発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を、互いに相殺することができる。このことにより、第2構造体340にローリングが励起されることを抑制できる。このため、第2構造体340にローリングが発生することを抑制でき、風力発電機本体4の制御に悪影響が及ぼされることを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、1台の第2構造体340に対して2台の変換機構70と2台の装置発電機80とが搭載されるため、第1構造体330の振動をより一層抑制することができるとともに、発電量を増大させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、第2構造体340が一体化されていない例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図18に示すように、複数の第2構造体340は、互いに連結されていてもよい。この場合、各第2構造体340は、一体的に振動し、第1構造体330に対して、一体的に相対変位する。このため、第2構造体340が波から受ける振動を増大させることができ、第1構造体330と第2構造体340との間の相対変位を増大させることができる。例えば、図18に示すように、各第2構造体340が、第1構造体330を囲むようにリング状に形成された連結体334によって、直接的に連結されていてもよい。なお、図18にいては、図面を明瞭にするために、第1発電機支持架台332の図示は省略するとともに、変換機構70および装置発電機80は模式化している。
また、上述した本実施の形態においては、制振発電装置320が、2台の第2構造体340を備えている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第2構造体340の台数は、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を相殺することができれば、任意の偶数であってもよい。
また、上述した本実施の形態においては、制振発電装置320が、4台の変換機構70と4台の装置発電機80とを備えている例について説明した。この例では、1台の変換機構70と1台の装置発電機80との組み合わせを1組としたときに、制振発電装置320が、1台の第2構造体340に対して2組の変換機構70および装置発電機80を備えている。しかしながら、このことに限られることはなく、1台の第2構造体340に対する変換機構70と装置発電機80との組み合わせの組数は、各発電機回転子81で発生する偶力によって生じる回転力を相殺することができれば、任意の偶数であってもよい。
(第11の実施の形態)
次に、図19を用いて、第11の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図19に示す第11の実施の形態においては、変換機構が、ピニオン歯車の回転を変速可能な変速部を含んでいる点が主に異なり、他の構成は、図15および図16に示す第9の実施の形態と略同一である。なお、図19において、図15および図16に示す第9の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図19に示すように、本実施の形態においては、変換機構70が、ピニオン歯車73の回転を変速可能な変速部74を含んでいる。
変速部74は、第1構造体330の軸方向dの相対変位を回転変位に変換して、この回転変位をピニオン歯車73に伝達可能な複数の変速歯車75を含んでいる。複数の変速歯車75の歯数は、互いに異なっている。複数の変速歯車75のうちの一の変速歯車75が選択されて、ラックレール72の歯およびピニオン歯車73の歯にそれぞれ噛み合う。この変速歯車75によって、第1構造体330の軸方向dの相対変位が、回転変位に変換されてピニオン歯車73に伝達される。このような変速歯車75は、ピニオン歯車73とともに変換回転子71を構成している。このことにより、変換回転子71の慣性モーメントI1は、ピニオン歯車73の慣性モーメントと変速歯車75の慣性モーメントとの合計値となる。
各変速歯車75の歯数は、ピニオン歯車73の歯数と異なっている。このことにより、各変速歯車75の回転速度とピニオン歯車73の回転速度が異なる。本実施の形態においては、各変速歯車75の歯数が、ピニオン歯車73の歯数よりも大きくなっており、各変速歯車75は、ピニオン歯車73の回転を増速する。
変速部74は、変速歯車75を切り替える切替部(図示せず)を含んでいる。この切替部によって、ラックレール72の歯およびピニオン歯車73の歯のそれぞれに噛み合う変速歯車75が切り替わるように構成されている。複数の変速歯車75は、発電機回転子81の回転軸線に沿う方向(図19の紙面に直交する方向)に並列配置されていてもよい。変速部74は、変速歯車75を覆うカバー76を含んでいてもよい。
このように本実施の形態によれば、変換機構70が、ピニオン歯車73の回転を変速可能な変速部74を含んでいる。このことにより、変速部74の増速率を調整することができる。このため、波の振動数に応じて、変速部74の増速率を調整することができ、第1構造体330の振動を効果的に抑制することができる。
なお、上述した本実施の形態による変速部74は、例えば、図17に示すように、制振発電装置320が、複数の第2構造体340と、複数の変換機構70と、複数の装置発電機80と、を備える形態にも適用することができる。
(第12の実施の形態)
次に、図20を用いて、第12の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図20に示す第12の実施の形態においては、第2浮体が、第1浮体よりも上方に延び、ピニオン歯車および装置発電機が、第1浮体に支持されている点が主に異なり、他の構成は、図15および図16に示す第9の実施の形態と略同一である。なお、図20において、図15および図16に示す第9の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図20に示すように、本実施の形態においては、第1構造体330は、図15等に示すような第1発電機支持架台332を含んでいない。塔構造体333は、主浮体331から上方に延びている。
第2構造体340は、図15等に示すような第2ロッド342を含んでいない。発電用浮体341は、軸方向dに沿って、主浮体331よりも上方に延びている。
発電用浮体341のうち主浮体331よりも上方の位置に、ラックレール72が設けられていてもよい。ラックレール72の下部は、主浮体331の上面331aよりも下方に位置していてもよい。
本実施の形態においては、ピニオン歯車73および装置発電機80は、主浮体331に支持されている。ピニオン歯車73および装置発電機80は、主浮体331の上面331aに設置されている。
発電用浮体341に、軸方向dに延びるガイドレール345が設けられている。ガイドレール345は、上述したラックレール72よりも下方に位置している。主浮体331に、ガイドレールに摺動可能なガイド部335aが設けられている。このことにより、第1構造体330に対する第2構造体340の相対変位を軸方向dに案内することができる。
本実施の形態による第1弾性体350は、ガイド部335の上方に設けられた第1弾性体350aと、ガイド部335の下方に設けられた第1弾性体350bと、を含んでいる。第1弾性体350aは、取付部335bを介して、発電用浮体341に取り付けられている。第1弾性体350bは、取付部335cを介して、発電用浮体341に取り付けられている。第1弾性体350aおよび第1弾性体350bによって、第1構造体330と第2構造体340とが弾性的に連結されている。
このように本実施の形態によれば、発電用浮体341が、軸方向dに主浮体331よりも上方に延び、ピニオン歯車73および装置発電機80は、主浮体331に支持されている。このことにより、図15等に示す第1発電機支持架台332を不要にすることができ、発電用浮体341の上方に、第1構造体330を構成する部材が配置されることを回避することができる。このため、第1構造体330に対する第2構造体340の変位が大きくなった場合であっても、第1構造体330と第2構造体340とが干渉したり衝突したりすることを防止できる。
なお、上述した本実施の形態は、例えば、図17に示すように、制振発電装置320が、複数の第2構造体340と、複数の変換機構70と、複数の装置発電機80と、を備える形態にも適用することができる。
(第13の実施の形態)
次に、図21を用いて、第13の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図21に示す第13の実施の形態においては、変換機構のラックレールが、第1構造体に設けられ、ピニオン歯車および装置発電機が、第2構造体に支持されている点が主に異なり、他の構成は、図15および図16に示す第9の実施の形態と略同一である。なお、図21において、図15および図16に示す第9の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図21に示すように、本実施の形態においては、第1構造体330は、主浮体331と、第1ロッド336と、第1ロッド336を主浮体331に連結する連結体337と、を含んでいる。塔構造体333は、主浮体331から上方に延びている。
第1ロッド336は、第2構造体340の中心軸線L4に沿って延びるように形成されている。すなわち、第1ロッド336は、軸方向dに細長に延びており、円筒状に形成されている。第1ロッド336の下側部分336aは、発電用浮体341の後述する第2空洞部344に収容されており、第2空洞部344から第2発電機支持架台346を越えて上方に延びている。第1ロッド336は、発電用浮体341と同芯に位置づけられていてもよい。
本実施の形態による発電用浮体341は、中心軸線L4に沿って細長に延びており、円筒状に形成されている。発電用浮体341は、第1構造体330の第1ロッド336の下側部分336aを収容する第2空洞部344を含んでいる。第2空洞部344は、軸方向dに延びている。第2空洞部344の直径は、第1ロッド336の外径よりも大きくなっている。
発電用浮体341の内周面に、軸方向dに延びるガイドレール(図示せず)が設けられていてもよい。この場合、発電用浮体341に対する第1ロッド336の相対変位を軸方向dに案内することができる。また、発電用浮体341の内周面には、複数のローラ343が設けられていてもよい。ローラ343は、第1ロッド336の外周面に対して転動可能になっている。このことにより、発電用浮体341に対する第1ロッド336の相対変位を円滑に行うことができる。
発電用浮体341の上端に、第2発電機支持架台346が設けられている。第2発電機支持架台346は、水平方向に延びており、水面の上方に位置している。第2発電機支持架台346は、発電用浮体341に固定されている。第2発電機支持架台346は、第1ロッド336が通過する貫通孔347を含んでいる。
本実施の形態においては、変換機構70のラックレール72が、第1ロッド336に設けられている。ピニオン歯車73および装置発電機80は、第2発電機支持架台346に支持されている。第1弾性体350は、第1構造体330の第1ロッド336と、第2構造体340の発電用浮体341を連結している。
このように本実施の形態によれば、変換機構70のラックレール72が、第1ロッド336に設けられ、ピニオン歯車73および装置発電機80が、第2発電機支持架台346に支持されている。このことにより、第1構造体330と第2構造体340との間の軸方向dの並進相対変位を回転変位に容易に変換することができる。
なお、上述した本実施の形態は、例えば、図17に示すように、制振発電装置320が、複数の第2構造体340と、複数の変換機構70と、複数の装置発電機80と、を備える形態にも適用することができる。
(第14の実施の形態)
次に、図22を用いて、第14の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図22に示す第14の実施の形態においては、変換回転子が、発電機回転軸に設けられたスクリューベアリングを含み、第2浮体に、スクリューベアリングを保持する第2ホルダが設けられている点が主に異なり、他の構成は、図15および図16に示す第9の実施の形態と略同一である。なお、図22において、図15および図16に示す第9の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図22に示すように、本実施の形態においては、装置発電機80が、第1発電機支持架台332を越えるように軸方向dに延びる発電機回転軸82を含んでいる発電機回転軸82は、後述する第2ホルダ348の中心軸線L4に沿って延びるように形成されていてもよい。発電機回転軸82は、回転子83を貫通しており、回転子83の周囲には、固定子84が設けられている。発電機回転軸82および回転子83は、上述した発電機回転子81を構成しており、慣性質量要素として機能している。発電機回転軸82は、発電機ケーシング85に設けられた軸受86で回転可能に支持されている。発電機ケーシング85は、第1発電機支持架台332に固定されている。
第1発電機支持架台332は、発電機回転軸82が貫通する貫通孔332aを含んでいる。発電機回転軸82は、第1発電機支持架台332を越えて、第2構造体340の後述する第2ホルダ348内に延びている。貫通孔332aには、ボールベアリング338が設けられており、発電機回転軸82は、第1発電機支持架台332に対して回転可能に支持されている。
本実施の形態においては、発電用浮体341は、主浮体331を囲むようにリング状に形成されている。発電用浮体341上に第2ホルダ348が設けられている。第2ホルダ348は、装置発電機80の下方に位置づけられている。第2ホルダ348は、中心軸線L4に沿って円筒状に形成されていてもよい。
変換回転子71は、発電機回転軸82の下端部に設けられたスクリューベアリング78を含んでいる。変換回転子71の慣性モーメントI1は、スクリューベアリング78の慣性モーメントとなる。スクリューベアリング78は、スクリューボールベアリングであってもよい。例えば、発電機回転軸82の下側部分に、スクリュー状の溝が設けられ、第2ホルダ348の内周面に、スクリュー状の溝が設けられていてもよい。発電機回転軸82の溝と第2ホルダ348の溝に、複数のボールが挿入される。このようにしてスクリューベアリング78を構成することができる。
本実施の形態においては、第1弾性体350は、発電機回転軸82と第2ホルダ348とを連結している。このことにより、第1構造体330と第2構造体340は、装置発電機80を介して弾性的に連結されている。
このように本実施の形態によれば、装置発電機80は、第1発電機支持架台332上に支持されており、軸方向dに延びる発電機回転軸82を含んでいる。変換回転子71は、発電機回転軸82に設けられたスクリューベアリング78を含み、発電用浮体341に、スクリューベアリング78を保持する第2ホルダ348が設けられている。このことにより、変換回転子71のスクリューベアリング78が、第1構造体330と第2構造体340との間の相対変位による振動を低減する慣性質量要素として機能することができる。このため、第1構造体330と第2構造体340との間の相対変位による振動を低減することができる。また、発電用浮体341の軸方向dに沿う振動が、スクリューベアリング78によって、発電機回転軸82の回転変位に変換される。このため、第1構造体330と第2構造体340との間の軸方向dの相対変位を回転変位に変換することができ、装置発電機80で発電を行うことができる。この結果、第1構造体330の振動を抑制することができるとともに振動エネルギを電気エネルギに変換することができる。
また、本実施の形態によれば、スクリューベアリング78によって、第1構造体330と第2構造体340との間の軸方向dに沿う相対変位が、回転変位に変換される。このことにより、変換回転子71の機械的抵抗を低減することができ、軸方向dに沿う相対変位を、回転変位に効率良く変換することができる。このため、発電用浮体341が波から受ける力が小さい場合であっても、装置発電機80が発電を行うことができる。
なお、上述した本実施の形態における制振発電装置320は、複数の変換機構70と、複数の装置発電機80と、を備えていてもよい。この場合、各装置発電機80の下方位置に、第2ホルダ348が設けられていてもよい。
(第15の実施の形態)
次に、図23を用いて、第15の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図23に示す第15の実施の形態においては、変換機構が、発電機回転軸の回転を変速可能な変速部を含む点が主に異なり、他の構成は、図22に示す第14の実施の形態と略同一である。なお、図23において、図22に示す第14の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図23に示すように、本実施の形態においては、変換機構70が、発電機回転軸82の回転を変速可能な変速部370を含んでいる。変速部370は、第1発電機支持架台332を越えるように軸方向dに延びる変速軸371と、発電機回転軸82に設けられた第1変速歯車372と、変速軸371の上端部に設けられた第2変速歯車373と、を含んでいる。変速軸371は、第2ホルダ348の中心軸線L4に沿って延びるように形成されていてもよい。変速軸371は、発電機回転軸82に平行であってもよい。第1変速歯車372と第2変速歯車373は、互いに噛み合っている。
第1発電機支持架台332の貫通孔332aには、変速軸371が貫通している。変速軸371は第1発電機支持架台332を越えて、第2構造体340の第2ホルダ348内に延びている。変速軸371は、貫通孔332aに設けられたボールベアリング338によって、第1発電機支持架台332に対して回転可能に支持されている。スクリューベアリング78は、変速部370の変速軸371の下端部に設けられている。変速軸371は、第1発電機支持架台332に設けられた軸受374に回転可能に支持されている。
スクリューベアリング78の回転は、第2変速歯車373および第1変速歯車372により変速されて、発電機回転軸82に伝達される。このような変速軸371、第1変速歯車372および第2変速歯車373は、スクリューベアリング78とともに変換回転子71を構成している。このことにより、変換回転子71の慣性モーメントI1は、スクリューベアリング78の慣性モーメントと、第1変速歯車372の慣性モーメントと、第2変速歯車373の慣性モーメントとの合計値となる。
なお、第1変速歯車372と第2変速歯車373との間に、変速装置(図示せず)が介在されていてもよい。変速装置は、互いに歯数の異なる複数の歯車と、歯車を切り替える切替部と、を含み、第1変速歯車372と第2変速歯車373は、選択された一の歯車を介して噛み合うように構成されていてもよい。複数の歯車は、この切替部によって、第1変速歯車372および第2変速歯車373に噛み合う歯車が切り替わるように構成されていてもよい。この場合、発電機回転軸82の回転の変速率(増速率または減速率)を変更することができる。
本実施の形態においては、第1弾性体350は、変速軸371と第2ホルダ348とを連結している。このことにより、第1構造体330と第2構造体340は、装置発電機80を介して弾性的に連結されている。
このように本実施の形態によれば、変換機構70が、発電機回転軸82の回転を変速可能な変速部370を含んでいる。このことにより、発電機回転軸82の回転を変速することができる。この場合、遮断振動数比νSを、波の振動数fwに一致させるまたは近づけるように調整することができる。このため、波の振動数fwに応じて、振動伝達率Tを効果的に低減させることができ、第1構造体330の振動を効果的に抑制することができる。
なお、上述した本実施の形態における制振発電装置320は、複数の変換機構70と、複数の装置発電機80と、を備えていてもよい。この場合、各装置発電機80の下方位置に、第2ホルダ348が設けられていてもよい。
(第16の実施の形態)
次に、図24を用いて、第16の実施の形態による制振発電装置について説明する。
図24に示す第16の実施の形態においては、装置発電機が、発電用浮体に支持され、第1発電機支持架台に、スクリューベアリングを保持する第1ホルダが設けられている点が主に異なり、他の構成は、図22に示す第14の実施の形態と略同一である。なお、図24において、図22に示す第14の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図24に示すように、本実施の形態においては、装置発電機80は、発電用浮体341に支持されている。発電用浮体341は、主浮体331を囲むようにリング状に形成されている。本実施の形態による発電用浮体341は、凹状に形成された発電機収容部341aを含んでいる。発電機収容部341aの上端は開口していてもよい。装置発電機80は、発電機収容部341aに収容されている。発電機回転軸82は、回転子83から上方に軸方向dに延びている。発電機ケーシング85は、発電用浮体341に固定されている。
発電用浮体341の内周面には、複数のローラ343が設けられていてもよい。ローラ343は、アダプタ349を介して発電用浮体341の内周面に取り付けられていてもよい。ローラ343は、後述する第1ホルダ339の外周面に対して転動可能になっている。このことにより、第1構造体330と第2構造体340の相対変位を円滑に行うことができる。発電用浮体341の内周面には、軸方向dに延びるガイドレール(図示せず)が設けられていてもよい。この場合、第1構造体330に対する第2構造体340の相対変位を軸方向dに案内することができる。
スクリューベアリング78は、発電機回転軸82の上端部に設けられている。第1発電機支持架台332の下面に、第1ホルダ339が設けられている。第1ホルダ339の下側部分は、発電機収容部341aに入り込んでいる。スクリューベアリング78は、第1ホルダ339に保持されている。第1ホルダ339は、中心軸線L4に沿って円筒状に形成されていてもよい。
本実施の形態においては、第1弾性体350は、発電機回転軸82と第1ホルダ339とを連結している。このことにより、第1構造体330と第2構造体340は、装置発電機80を介して弾性的に連結されている。
このように本実施の形態によれば、装置発電機80は、第1発電機支持架台332上に支持されており、軸方向dに延びる発電機回転軸82を含んでいる。変換回転子71は、発電機回転軸82に設けられたスクリューベアリング78を含み、第1発電機支持架台332に、スクリューベアリング78を保持する第1ホルダ339が設けられている。このことにより、変換回転子71のスクリューベアリング78が、第1構造体330と第2構造体340との間の相対変位による振動を低減する慣性質量要素として機能することができる。このため、第1構造体330と第2構造体340との間の相対変位による振動を低減することができる。また、発電用浮体341の軸方向dに沿う振動が、スクリューベアリング78によって、発電機回転軸82の回転変位に変換される。このため、第1構造体330と第2構造体340との間の軸方向dの相対変位を回転変位に変換することができ、装置発電機80で発電を行うことができる。この結果、第1構造体330の振動を抑制することができるとともに振動エネルギを電気エネルギに変換することができる。
また、本実施の形態によれば、スクリューベアリング78によって、第1構造体330と第2構造体340との間の軸方向dに沿う相対変位が、回転変位に変換される。このことにより、変換回転子71の機械的抵抗を低減することができ、軸方向dに沿う相対変位を、回転変位に効率良く変換することができる。このため、発電用浮体341が波から受ける力が小さい場合であっても、装置発電機80が発電を行うことができる。
なお、上述した本実施の形態における制振発電装置320は、複数の変換機構70と、複数の装置発電機80と、を備えていてもよい。この場合、各装置発電機80の上方位置に、第1ホルダ339が設けられていてもよい。
また、上述した本実施の形態においては、変換機構70が、図23に示す変速部370を含んでいてもよい。
(第17の実施の形態)
次に、図25を用いて、第17の実施の形態による制振発電システムについて説明する。
図25に示すように、本実施の形態における制振発電システム400は、上述した制振発電装置20、320と、直流変換装置401と、蓄電装置402と、を備えている。図25に示す制振発電装置20、320には、上述した第1の実施の形態~第16の実施の形態における制振発電装置20、320が適用されてもよい。
直流変換装置401は、制振発電装置20、320の装置発電機80の発電電力を直流電力に変換して出力するように構成されている。制振発電装置20、320の発電電力は交流電力であり、直流変換装置401は、装置発電機80から供給される交流電力を直流電力に変換する。直流変換装置401の例としては、ダイオード整流装置等が挙げられる。
蓄電装置402は、直流変換装置401から出力された直流電力を蓄電するように構成されている。蓄電装置402の例としては、蓄電池または大容量キャパシタ等が挙げられる。直流変換装置401および蓄電装置402は、発電機支持架台35、第1発電機支持架台332または第2発電機支持架台346に設置されていてもよい。しかしながら、直流変換装置401および蓄電装置402は、地上に設置されていてもよい。
制振発電装置20、320の装置発電機80に、第1ライン403の一端が接続されている。この第1ライン403に直流変換装置401が設けられている。第1ライン403の他端は、交流変換装置404に接続されていてもよい。交流変換装置404の例としては、インバータが挙げられる。第1ライン403の他端には、交流変換装置の代わりに負荷が接続されていてもよい。第1ライン403から第2ライン405が分岐しており、第2ライン405に蓄電装置402が接続されている。
このように本実施の形態によれば、制振発電装置20、320の装置発電機80の発電により得られた発電電力が、直流変換装置401によって整流されて直流電力に変換される。このことにより、不規則な交流波形を有する発電電力を、一般の電気製品に利用可能な直流電力に変換することができる。また、発電電力から変換された直流電力は、蓄電装置402に蓄電することができる。このことにより、発電電力を、一般の電気製品に利用可能な直流電力として蓄電することができる。また、直流電力は、交流変換装置404によって交流電力に変換することができる。このことにより、発電電力を、一般の電気製品に利用可能な交流電力に変換することができる。このため、発電電力の利用可能性を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、制振発電装置20、320が、図2に示す洋上風力発電設備10に適用される装置である例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。制振発電装置20、320は、洋上風力発電設備10以外の設備に適用されていてもよい。例えば、第9の実施の形態~第16の実施の形態による制振発電装置20、320が、洋上ブイ(図示せず)に適用されてもよい。
(第18の実施の形態)
次に、図26を用いて、第18の実施の形態による風力発電システムについて説明する。
図26に示すように、本実施の形態における風力発電システム500は、上述した洋上風力発電設備10を制御する補機6に電力を供給するシステムである。風力発電システム500は、上述した制振発電装置20、320と、風力発電系統510と、補機電力系統520と、装置発電系統530と、を備えている。制振発電装置20、320は、風力発電機本体4に設置されている。図26に示す制振発電装置20、320には、上述した第1の実施の形態~第16の実施の形態における制振発電装置20、320が適用されてもよい。
風力発電系統510は、風力発電機本体4の風力発電機4cにより発電された風力発電電力を、外部電力系統540に供給する。風力発電系統510は、制御器511と、主変圧器512と、を含んでいる。制御器511は、風力発電機4cの風力発電電力を、直流電力に変換し、変換された直流電流を交流電力に変換して出力する。出力された交流電力が、主変圧器512を介して、外部電力系統540に供給される。風力発電機4cに、風力発電ライン513の一端が接続されている。風力発電ライン513の他端は、外部電力系統540に接続されている。風力発電ライン513に、制御器511および主変圧器512が設けられている。
補機電力系統520は、補機6に電力を供給する。補機電力系統520は、補助変圧器521を含んでいる。補機6には、補機ライン522の一端が接続されている。この補機ライン522に、補助変圧器521が設けられている。補機ライン522の他端は、風力発電系統510の風力発電ライン513に接続されている。補機ライン522は、風力発電ライン513のうち制御器511と主変圧器512との間の位置に接続されている。
装置発電系統530は、制振発電装置20、320の装置発電機80の装置発電電力を補機電力系統520に供給する。装置発電系統530は、直流変換装置531と、交流変換装置532と、を含んでいる。
直流変換装置531は、装置発電電力を直流電力に変換して出力するように構成されている。直流変換装置531は、装置発電機80から供給される交流電力を直流電力に変換する。直流変換装置531の例としては、ダイオード整流装置等が挙げられる。
交流変換装置532は、直流変換装置531から出力された直流電力を交流電力に変換して出力するように構成されている。交流変換装置532の例としては、インバータが挙げられる。制振発電装置20、320の装置発電機80には、装置発電ライン533の一端が接続されている。この装置発電ライン533に、直流変換装置531および交流変換装置532が設けられている。装置発電ライン533の他端は、補機ライン522に接続されている。装置発電ライン533は、補機ライン522のうち補助変圧器521と補機6との間の位置に接続されている。
このように本実施の形態によれば、制振発電装置20、320の装置発電機80の発電により得られた発電電力が、直流変換装置531によって直流電力に変換され、直流電力が、交流変換装置532によって交流電力に変換される。このことにより、発電電力を、補機電力系統520を介して、補機6に供給することができる。このため、外部電力系統540から補機6への電力供給が遮断された場合であっても、振動エネルギから得られた発電電力を補機6に供給することができ、風力発電機本体4を制御して運転継続することができる。なお、外部電力系統540から補機6に交流電力を供給可能な場合には、主変圧器512および補助変圧器521を介して、補機6に交流電力が供給されるようにしてもよい。
(第19の実施の形態)
次に、図27を用いて、第19の実施の形態による風力発電システムについて説明する。
図27に示す第19の実施の形態においては、装置発電系統は、補機のうち直流電力で駆動される直流補機に、直流変換装置から出力された直流電力を供給するラインを含む点が主に異なり、他の構成は、図26に示す第18の実施の形態と略同一である。なお、図27において、図26に示す第18の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図27に示すように、本実施の形態においては、補機6は、交流電力で駆動される交流補機6aと、直流電力で駆動される直流補機6bと、を含んでいる。装置発電系統530は、直流変換装置531から出力された直流電力を、直流補機6bに供給する直流ライン534を含んでいる。直流ライン534の一端は、装置発電ライン533のうち直流変換装置531と交流変換装置532との間の位置に接続され、直流ライン534の他端は、直流補機6bに接続されている。
このように本実施の形態によれば、直流変換装置531から出力された直流電力を、直流電力で駆動される直流補機6bに直接的に供給することができる。このことにより、装置発電機80の発電電力を有効利用することができる。
(第20の実施の形態)
次に、図28を用いて、第20の実施の形態による風力発電システムについて説明する。
図28に示す第20の実施の形態においては、装置発電系統は、直流変換装置から出力された直流電力を蓄電する蓄電装置を含む点が主に異なり、他の構成は、図26に示す第18の実施の形態と略同一である。なお、図28において、図26に示す第18の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図28に示すように、本実施の形態においては、装置発電系統530は、直流変換装置531から出力された直流電力を蓄電する蓄電装置535を含んでいる。蓄電装置535の例としては、蓄電池または大容量キャパシタ等が挙げられる。蓄電ライン536の一端は、装置発電ライン533のうち直流変換装置531と交流変換装置532との間の位置に接続され、蓄電ライン536の他端は、蓄電装置535に接続されている。
このように本実施の形態によれば、装置発電系統530は、直流変換装置531から出力された直流電力を、蓄電装置535に供給することができる。このことにより、蓄電装置535は、装置発電機80の発電電力で蓄電することができる。例えば、装置発電機80の発電電力が、補機6で必要な交流電力に対して余剰である場合には、その余剰分は、蓄電装置535で蓄電されるようにしてもよい。一方、装置発電機80の発電電力が、補機6で必要な交流電力に対して不足している場合には、蓄電装置535で蓄電された電力が、交流変換装置532を介して補機6に供給されるようにしてもよい。
(第21の実施の形態)
次に、図29および図30を用いて、第21の実施の形態による風力発電システムについて説明する。
図29および図30に示す第21の実施の形態においては、装置発電系統は、交流変換装置から出力された交流電力を風力発電系統に供給するように接続されている点が主に異なり、他の構成は、図28に示す第20の実施の形態と略同一である。なお、図29および図30において、図28に示す第20の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図29示すように、本実施の形態においては、装置発電系統530は、交流変換装置532から出力された交流電力を風力発電系統510に供給するように接続されている。図29においては、装置発電ライン533が、補機ライン522のうち風力発電ライン513と補助変圧器521との間の位置に接続されている。電気的には、風力発電ライン513と補機ライン522との接続点は、風力発電ライン513と装置発電ライン533との接続点と同一になっており、補機電力系統520の交流連系箇所と、装置発電系統530の交流連系箇所が同一になっている。
このように本実施の形態によれば、装置発電系統530は、交流変換装置532から出力された交流電力を風力発電系統510に供給することができる。このことにより、装置発電機80の発電電力を、外部電力系統540に供給することができる。また、交流変換装置532から出力された交流電力は、補機6に供給することもできる。
なお、上述した本実施の形態においては、装置発電系統530は、直流変換装置531と交流変換装置532とを含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図29に示すように、装置発電系統530は、電力変換制御装置537を含んでいてもよい。電力変換制御装置537は、図28に示す直流変換装置531と交流変換装置532を構成している。電力変換制御装置537は、スイッチング素子を含んでいてもよい。この場合、装置発電機80は、電動機としての機能を有していてもよい。スイッチング素子は、半導体素子で構成され、装置発電機80の発電電力を整流するだけでなく、外部電力系統540から供給される電力を装置発電機80に供給するように構成されていてもよい。外部電力系統540からスイッチング素子を介して供給される電力によって、装置発電機80が電動機として機能することができる。この場合、第1構造体330に対して第2構造体340を能動的に変位させることができ、第1構造体330と第2構造体340との間の相対変位を効果的に低減させることができる。なお、電力変換制御装置537には、蓄電ライン536が接続されており、直流電力が出力可能になっていてもよい。
以上述べた実施の形態によれば、振動を抑制するとともに振動エネルギを電気エネルギに変換することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、適宜組み合わせることも可能である。