JP2022035071A - 接続相推定装置、接続相推定プログラム及び接続相推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より精度良く変圧器の接続相を推定すること。【解決手段】接続相推定装置は、変電所が出力する三相交流の第一相と第二相との間の線間電圧を示す第一線間電圧データ、変電所が出力する三相交流の第二相と第三相との間の線間電圧を示す第二線間電圧データ及び変電所が出力する三相交流の第三相と第一相との間の線間電圧を示す第三線間電圧データを取得し、単相変圧器の線間電圧を示す変圧器電圧データを取得し、第一線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関、第二線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関及び第三線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関の少なくとも一つに基づいて、変電所が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうち単相変圧器が接続されている接続相を推定する。【選択図】図2
Description
本発明は、接続相推定装置、接続相推定プログラム及び接続相推定方法に関する。
近年、太陽光パネル等の分散型電源の設置が増加している。三相三線式の配電線は、第一相の電流、第二相の電流及び第三相の電流が互いに平衡になるように各設備が接続されている。このような状態は、三相平衡と呼ばれる。
しかし、分散型電源がこれら三つの相のうちの特定の相に偏って連系され、分散型電源から配電線へ逆潮された場合、第一相の電流、第二相の電流及び第三相の電流が互いに平衡とならなくなってしまうことがある。このような状態は、三相不平衡と呼ばれる。三相不平衡により電圧不平衡が発生した場合、配電線から電力の供給を受けている需要家の機器に不具合を発生させてしまうことがある。
このため、電気事業者は、電圧不平衡が発生してしまう事態を回避するために、分散型電源が接続されている単相変圧器の接続相を管理する必要がある。一方、単相変圧器の数が膨大であり、配電線が捻架されていることがあるため、単相変圧器の接続相を一つずつ目視により確認することは、現場の作業員にとって非常に困難である。このような状況の中、急速に普及しつつあるスマートメータにより計測された各需要家の使用電力量と、センサ内蔵開閉器で計測された三相交流の第一相の電流、第二相の電流及び第三相の電流との相関を解析することにより、単相変圧器の接続相を判定する技術が開発されている。このような技術の一例としては、例えば、特許文献1に記載されている接続相推定装置が挙げられる。
この接続相推定装置は、算出部と、判定部とを含む。算出部は、3以上の第1配電線のうちの何れか2つに接続された第2配電線の配下の計測装置で計測された電力量、および、3以上の第1配電線の線電流の各々との相関評価値を、各周波数成分における電力量と線電流の各々との相関値に各周波数成分のスペクトルの大きさに応じた抑圧量を適用して算出する。判定部は、算出部によって算出された複数の相関評価値に基づいて第2配電線の接続相を判定する。
しかし、この接続相推定装置は、計測装置で計測された電力量と、線電流各々との関係が力率の影響を受けるため、相関評価値の精度が不十分になり、単相変圧器が接続されている単相変圧器の接続相の判定を誤ってしまうことがある。
そこで、本発明は、より精度良く変圧器の接続相を推定することができる接続相推定装置、接続相推定プログラム及び接続相推定方法を提供することを課題とする。
本発明の一態様は、変電所が出力する三相交流の第一相と第二相との間の線間電圧を示す第一線間電圧データ、前記変電所が出力する三相交流の第二相と第三相との間の線間電圧を示す第二線間電圧データ及び前記変電所が出力する三相交流の第三相と第一相との間の線間電圧を示す第三線間電圧データを取得し、単相変圧器の線間電圧を示す変圧器電圧データを取得するデータ取得部と、前記第一線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関、前記第二線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関及び前記第三線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関の少なくとも一つに基づいて、前記変電所が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうち前記単相変圧器が接続されている接続相を推定する接続相推定部と、を備える接続相推定装置である。
また、上述した接続相推定装置において、前記データ取得部は、前記第一相の潮流、前記第二相の潮流及び前記第三相の潮流を示す潮流データを更に取得し、前記潮流データが示す潮流が所定の閾値以下である場合における線間電圧を示す前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得してもよい。
また、上述した接続相推定装置において、前記データ取得部は、前記第一相、前記第二相又は前記第三相への逆潮流を示す逆潮流データを更に取得し、前記逆潮流データが示す逆潮流が所定の閾値以下である場合における線間電圧を示す前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得してもよい。
また、上述した接続相推定装置において、前記データ取得部は、前記第一相、前記第二相又は前記第三相に連系している負荷の合計が所定の閾値以下である場合における線間電圧を示す前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得してもよい。
また、上述した接続相推定装置において、前記データ取得部は、前記第一相、前記第二相又は前記第三相に連系しており、高圧需要家に管理されている負荷の合計を示す合計負荷データを更に取得し、前記合計負荷データにより示される負荷の合計が所定の閾値以上である場合における前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得してもよい。
また、上述した接続相推定装置において、前記データ取得部は、前記第一相、前記第二相又は前記第三相に連系している負荷の合計が所定の閾値以上である場合における線間電圧を示す前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得してもよい。
また、上述した接続相推定装置において、前記データ取得部は、前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得するよう指示する内容を示す指示データを更に取得し、前記指示データを取得した場合、前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得してもよい。
また、上述した接続相推定装置において、前記データ取得部は、事前に設定されたタイミングにおける線間電圧を示す前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得してもよい。
また、上述した接続相推定装置において、前記データ取得部は、前記第一相、前記第二相又は前記第三相に連系している設備が更新された事実、前記第一相、前記第二相又は前記第三相に新たに設備が連系した事実及び前記第一相、前記第二相又は前記第三相に連系している設備が撤去された事実の少なくとも一つを示す連系設備データを更に取得し、前記連系設備データを取得した場合、前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得してもよい。
また、上述した接続相推定装置において、前記接続相推定部は、前記第一線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との間の第一相関係数、前記第二線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との間の第二相関係数及び前記第三線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との間の第三相関係数の少なくとも一つを算出し、前記第一相関係数、前記第二相関係数及び前記第三相関係数のうち最大の相関係数を与える相に前記単相変圧器が接続されていると推定してもよい。
また、上述した接続相推定装置において、前記接続相推定部は、前記第一線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との間の第一相関係数、前記第二線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との間の第二相関係数及び前記第三線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との間の第三相関係数の少なくとも一つを算出し、前記第一相関係数を示す第一相関係数データ、前記第二相関係数を示す第二相関係数データ及び前記第三相関係数を示す第三相関係数データの少なくとも一つを出力してもよい。
本発明の一態様は、コンピュータに、変電所が出力する三相交流の第一相と第二相との間の線間電圧を示す第一線間電圧データ、前記変電所が出力する三相交流の第二相と第三相との間の線間電圧を示す第二線間電圧データ及び前記変電所が出力する三相交流の第三相と第一相との間の線間電圧を示す第三線間電圧データを取得し、単相変圧器の線間電圧を示す変圧器電圧データを取得するデータ取得機能と、前記第一線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関、前記第二線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関及び前記第三線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関の少なくとも一つに基づいて、前記変電所が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうち前記単相変圧器が接続されている接続相を推定する接続相推定機能と、を実行させる接続相推定プログラムである。
本発明の一態様は、データ取得部又はデータ取得機能が、変電所が出力する三相交流の第一相と第二相との間の線間電圧を示す第一線間電圧データ、前記変電所が出力する三相交流の第二相と第三相との間の線間電圧を示す第二線間電圧データ及び前記変電所が出力する三相交流の第三相と第一相との間の線間電圧を示す第三線間電圧データを取得し、単相変圧器の線間電圧を示す変圧器電圧データを取得し、接続相推定部又は接続相推定機能が、前記第一線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関、前記第二線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関及び前記第三線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関の少なくとも一つに基づいて、前記変電所が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうち前記単相変圧器が接続されている接続相を推定する、接続相推定方法である。
本発明によれば、より精度良く変圧器の接続相を推定することができる。
図1から図6を参照しながら、実施形態に係る接続相推定装置の一例について説明する。
まず、図1を参照しながら、実施形態に係る接続相推定装置が適用される配電網の一例について説明する。図1は、実施形態に係る配電網の一例を示す図である。図1に示すように、配電網1は、変電所2と、配電線3と、単相変圧器41、…、単相変圧器4kと、低圧需要家群5と、高圧需要家群6と、発電事業者群7と、開閉器8とを含む。
変電所2は、送電線を経由して発電所から送電されてきた三相交流の電圧を所定の電圧、例えば、6600Vに変換し、配電線3に三相交流を流す施設である。
配電線3は、第一配電線31と、第二配電線32と、第三配電線33とを備える。第一配電線31、第二配電線32及び第三配電線33は、例えば、電柱に架線されている架空配電線、地中に埋設されている地中配電線である。第一配電線31は、変電所2が流す三相交流の第一相の電流を流す。同様に、第二配電線32は、変電所2が流す三相交流の第二相の電流を流す。また、第三配電線33は、変電所2が流す三相交流の第三相の電流を流す。なお、第一相、第二相及び第三相は、それぞれ配電線3のU相、V相及びW相である。
単相変圧器41、…、単相変圧器4k(k:2以上の自然数)は、例えば、6600Vの三相電力を200Vの単相電力又は100Vの単相電力に変換する柱上変圧器である。また、単相変圧器41、…、単相変圧器4kは、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうちの二つに接続されている。
低圧需要家群5は、低圧需要家51、…、低圧需要家5kを含む。低圧需要家51は、単相変圧器41に接続された設備を有しており、6600Vの三相電力を柱上変圧器により200Vの単相電力又は100Vの単相電力に変換した電力を使用する需要家である。同様に、低圧需要家52、…、低圧需要家5kは、それぞれ単相変圧器42、…、単相変圧器4kに接続された設備を有しており、6600Vの三相電力を柱上変圧器により200Vの単相電力又は100Vの単相電力に変換した電力を使用する需要家である。低圧需要家51、…、低圧需要家5kとしては、例えば、一般家庭が挙げられる。
また、図1に示すように、低圧需要家51は、スマートメータ511と、分散型電源521とを備える。同様に、低圧需要家52、…、低圧需要家5kは、それぞれスマートメータ512、…、スマートメータ51kと、分散型電源522、…、分散型電源52kを備える。
スマートメータ511は、通信機能を有しており、例えば、低圧需要家51に電力を供給する単相変圧器41の二次側の線間電圧を測定し、当該線間電圧を示す変圧器電圧データを生成する。そして、スマートメータ511は、当該変圧器電圧データをスマートメータ51kの内部又は外部に設けられている記憶装置に格納する。また、例えば、スマートメータ51kは、通信機能を有しており、低圧需要家5kに電力を供給する単相変圧器4kの二次側の線間電圧を測定し、当該線間電圧を示す変圧器電圧データを生成する。そして、スマートメータ51kは、当該変圧器電圧データをスマートメータ51kの内部又は外部に設けられている記憶装置に格納する。また、例えば、これらの変圧器電圧データにより示される線間電圧は、いずれも所定の期間における線間電圧の平均である。また、ここで言う所定の期間は、例えば、1分、10分、30分である。
分散型電源521、…、分散型電源52kは、例えば、太陽光パネル等の分散型電源であり、自身が発電した電力を第一配電線31、第二配電線32及び第三配電線33のうちの二つに逆潮する。なお、低圧需要家51、…、低圧需要家5kの少なくとも一つは、それぞれ分散型電源521、…、分散型電源52kを有していなくてもよい。
高圧需要家群6は、高圧需要家61、…、高圧需要家6m(m:2以上の自然数)を含む。高圧需要家61、…、高圧需要家6mは、第一配電線31、第二配電線32及び第三配電線33に接続された設備を有しており、6600Vで受電した三相電力を所望の電圧に変換して使用する需要家である。高圧需要家61、…、高圧需要家6mとしては、例えば、工場、大規模なマンションが挙げられる。また、高圧需要家61、…、高圧需要家6m各々が三相電力を使用して稼働させる設備としては、例えば、モータが挙げられる。
発電事業者群7は、発電事業者71、…、発電事業者7n(n:2以上の自然数)を含む。発電事業者71、…、発電事業者7nは、再生可能エネルギーを利用して発電し、配電線3に逆潮する。再生可能エネルギーとしては、例えば、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスが挙げられる。
開閉器8は、第一配電線31、第二配電線32及び第三配電線33に三相交流を流す場合と、第一配電線31、第二配電線32及び第三配電線33に三相交流を流さない場合とを切り替えるスイッチである。
また、開閉器8は、変電所2が流す三相交流の第一相と第二相との間の線間電圧、第二相と第三相との間の線間電圧及び第三相と第一相との間の線間電圧各々を計測する電圧計を含んでいる。この電圧計は、例えば、第一相と第二相との間の線間電圧を計測し、当該線間電圧を示す第一線間電圧データを生成する。また、この電圧計は、第二相と第三相との間の線間電圧を計測し、当該線間電圧を示す第二線間電圧データを生成する。また、この電圧計は、第三相と第一相との間の線間電圧を計測し、当該線間電圧を示す第三線間電圧データを生成する。第一線間電圧データ、第二線間電圧データ及び第三線間電圧データは、例えば、開閉器8の内部又は外部に設けられている記憶装置に格納される。
また、これらの第一線間電圧データにより示される線間電圧、第二線間電圧データにより示される線間電圧及び第三線間電圧データにより示される線間電圧は、いずれも所定の期間における線間電圧の平均である。また、ここで言う所定の期間は、10分、30分である。さらに、この所定の期間は、上述した変圧器電圧データに関する所定の期間と同じ長さであり、始期及び終期が上述した変圧器電圧データに関する所定の期間の始期及び終期と一致していることが好ましい。
また、開閉器8は、計器用変流器(CT:Current Transformer)及び計器用変圧器(VT:Voltage Transformer)を含んでいる。計器用変流器は、開閉器8に含まれている電流計が測定可能な電流の範囲を拡大させるために使用される装置である。計器用変圧器は、高電圧を上述した電圧計等が使用可能な電圧まで降圧する装置である。また、計器用変流器及び計器用変圧器は、開閉器8のうち変電所2側の位置に取り付けられている。
次に、図2から図6を参照しながら、実施形態に係る接続相推定装置について説明する。図2は、実施形態に係る接続相推定装置の機能的な構成の一例を示す図である。図2に示すように、接続相推定装置9は、データ取得部91と、接続相推定部92とを備える。
データ取得部91は、上述した記憶装置から第一線間電圧データ、第二線間電圧データ及び第三線間電圧データを取得する。データ取得部91は、上述した記憶装置から変電所電圧データを取得する。また、データ取得部91により取得される第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変電所電圧データは、次に説明する第一条件、第二条件及び第三条件の少なくとも一つが課されてもよい。
図3は、実施形態に係る接続相推定装置により取得される第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変電所電圧データに課される第一条件の一例を説明するための図である。図3の横軸は、配電線3に沿っており、変電所2が建っている位置を基準とした距離を表している。図3の縦軸は、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうちの二つの間の線間電圧であり、高圧需要家群6に供給されている三相交流の電圧に換算されている線間電圧を表している。
図3は、領域R、領域R1及び領域R2を示している。領域Rは、配電線3を流れる潮流が順調流であるか逆潮流であるかに関わらず、潮流が所定の閾値以下である場合に線間電圧が変動する範囲を示している。領域R1は、配電線3を流れる順潮流が所定の閾値を超えている場合に線間電圧が変動する範囲を示している。領域R2は、配電線3を流れる逆潮流が所定の閾値を超えている場合に線間電圧が変動する範囲を示している。また、ここで言う所定の閾値は、開閉器8に含まれている電流計により所定の期間中に計測された潮流の絶対値の最大値の1/3程度が好ましく、配電線3が設計上流すことが可能な潮流の絶対値の最大値の1/3程度であってもよい。
また、図3は、破線SW及び破線SMを示している。破線SWは、基準となる変電所2が建っている位置から開閉器8に含まれる電圧計により線間電圧が計測される位置までの距離を示している。破線SMは、基準となる変電所2が建っている位置からスマートメータ511、…又はスマートメータ51kにより線間電圧が計測される位置までの距離を示している。
第一条件は、変電所2が出力する三相交流の第一相の潮流、第二相の潮流及び第三相の潮流が上述した所定の閾値以下であるという条件である。
第一条件が満たされておらず、配電線3を流れる潮流が順調流である場合、図3に領域R1、破線SW及び破線SMで示すように、開閉器8に含まれる電圧計により計測される線間電圧の変動が小さくても、スマートメータ511、…又はスマートメータ51kにより計測される線間電圧の変動は大きくなる。また、第一条件が満たされておらず、配電線3を流れる潮流が逆調流である場合、図3に領域R2、破線SW及び破線SMで示すように、開閉器8に含まれる電圧計により計測される線間電圧の変動が小さくても、スマートメータ511、…又はスマートメータ51kにより計測される線間電圧の変動は大きくなる。一方、第一条件が満たされており、開閉器8に含まれる電圧計により計測される線間電圧の変動が小さい場合、図3に領域R、破線SW及び破線SMで示すように、スマートメータ511、…又はスマートメータ51kにより計測される線間電圧の変動は小さくなる。
したがって、第一線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関は、第一条件が満たされていない場合よりも第一条件が満たされている場合の方が更に明確になる。同様に、第二線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関は、第一条件が満たされていない場合よりも第一条件が満たされている場合の方が更に明確になる。また、第三線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関は、第一条件が満たされていない場合よりも第一条件が満たされている場合の方が更に明確になる。
データ取得部91は、第一条件を考慮する場合、変電所2が出力する三相交流の第一相の潮流、第二相の潮流及び第三相の潮流を示す潮流データを取得する。潮流データは、開閉器8に含まれており、変電所2が出力する三相交流の第一相の潮流、第二相の潮流及び第三相の潮流を計測した計器用変流器により生成される。そして、データ取得部91は、潮流データが示す潮流が上述した所定の閾値以下である場合における線間電圧を示す第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変電所電圧データを取得する。
図4は、実施形態に係る接続相推定装置により取得される第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変電所電圧データに課される第二条件の一例を説明するための図である。図4の横軸は、配電線3に沿っており、変電所2が建っている位置を基準とした距離を表している。図4の縦軸は、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうちの二つの間の線間電圧であり、高圧需要家群6に供給されている三相交流の電圧に換算されている線間電圧を表している。
図4は、線D及び線Nを示している。線Dは、昼間における線間電圧の分布を示している。線Nは、夜間における線間電圧の分布を示している。また、図4は、破線SW及び破線SMを示している。破線SWは、基準となる変電所2が建っている位置から開閉器8に含まれる電圧計により線間電圧が計測される位置までの距離を示している。破線SMは、基準となる変電所2が建っている位置からスマートメータ511、…又はスマートメータ51kにより線間電圧が計測される位置までの距離を示している。
なお、図4は、昼間及び夜間のいずれにおいても、線間電圧の分布が直線的である場合を例示しているが、これに限定されない。例えば、昼間における線間電圧の分布及び夜間における線間電圧の分布の少なくとも一方は、曲線的な分布を示していてもよいし、更に複雑な分布を示していてもよい。
第二条件は、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相又は第三相への逆潮流が所定の閾値以下という条件である。
図4に線D、線N、破線SW及び破線SMで示すように、スマートメータ511、…又はスマートメータ51kにより計測される線間電圧は、昼間よりも夜間の方が開閉器8に含まれる電圧計により計測される線間電圧との相関が強い。この理由は、昼間では分散型電源521、…、分散型電源52k等からの逆潮流が比較的大きいことにより逆潮流が相関に与える影響が大きいのに対し、夜間では分散型電源521、…、分散型電源52k等からの逆潮流が比較的小さいことにより逆潮流が相関に与える影響が小さいことによる。
したがって、第一線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関は、第二条件が満たされていない場合よりも第二条件が満たされている場合の方が更に明確になる。同様に、第二線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関は、第二条件が満たされていない場合よりも第二条件が満たされている場合の方が更に明確になる。また、第三線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関は、第二条件が満たされていない場合よりも第二条件が満たされている場合の方が更に明確になる。
データ取得部91は、第二条件を考慮する場合、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相又は第三相への逆潮流を示す逆潮流データを取得する。逆潮流データは、開閉器8に含まれており、第一相の潮流、第二相の潮流及び第三相の潮流を計測した計器用変流器により生成される。また、逆潮流データは、計器用変流器により計測された潮流が変電所に向かって流れている場合における潮流を示している。そして、データ取得部91は、逆潮流データが示す逆潮流が上述した所定の閾値以下である場合における線間電圧を示す第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変電所電圧データを取得する。
また、データ取得部91は、第一条件及び第二条件の少なくとも一方を考慮する場合、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相又は第三相に連系している負荷の合計が所定の閾値以下であるという第一追加条件を更に満たす第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変電所電圧データを取得してもよい。ここで言う負荷は、高圧需要家61、…又は高圧需要家6mに管理されている負荷だけではなく、低圧需要家51、…又は低圧需要家5kに管理されている負荷、発電事業者71、…又は発電事業者7nに管理されている負荷等も含む。
第一追加条件は、上述した第一条件及び第二条件の少なくとも一方が満たされ易くなる条件である。第一追加条件が満たされる状況としては、例えば、季節が春、秋等であることにより負荷の合計が小さくなっている状況、開閉器8に含まれている計器用変流器により計測された電流が所定の閾値以下となっている状況が挙げられる。なお、第二追加条件に関する所定の閾値は、上述した第一追加条件に関する所定の閾値と同じ閾値であってもよいし、当該所定の閾値と異なる閾値であってもよい。
図5は、実施形態に係る接続相推定装置により取得される第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変電所電圧データに課される第三条件の一例を説明するための図である。図5の横軸は、配電線3に沿っており、変電所2が建っている位置を基準とした距離を表している。図5の縦軸は、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうちの二つの間の線間電圧であり、高圧需要家群6に供給されている三相交流の電圧に換算されている線間電圧を表している。
図5は、線L、線L1及び線L2を示している。線Lは、配電線3から三相電力の供給を受けて稼働し、高圧需要家61、…、高圧需要家6m各々に管理されている負荷の合計が所定の負荷である場合における線間電圧を示している。線L1及び線L2は、配電線3から三相電力の供給を受けて稼働し、高圧需要家61、…、高圧需要家6m各々に管理されている負荷の合計が線Lに関する所定の負荷から変化した場合における線間電圧を示している。
また、図5は、破線SW及び破線SMを示している。破線SWは、基準となる変電所2が建っている位置から開閉器8に含まれる電圧計により線間電圧が計測される位置までの距離を示している。破線SMは、基準となる変電所2が建っている位置からスマートメータ511、…又はスマートメータ51kにより線間電圧が計測される位置までの距離を示している。
図5に破線SWで示した位置における線間電圧が左側の実線の矢印で示すように変化した場合、配電線3全体のインピーダンスが一定であるため、図5に破線SMで示した位置における線間電圧は、当該インピーダンスを比例定数として右側の実線の矢印で示すように変化する。同様に、図5に破線SWで示した位置における線間電圧が左側の破線の矢印で示すように変化した場合、配電線3全体のインピーダンスが一定であるため、図5に破線SMで示した位置における線間電圧は、当該インピーダンスを比例定数として右側の破線の矢印で示すように変化する。
破線SWで示した位置における線間電圧と破線SMで示した位置における線間電圧との間の比例関係は、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相又は第三相に連系しており、高圧需要家61、…、高圧需要家6m各々に管理されている負荷の合計が所定の閾値以上である場合に成立する。ただし、この比例関係は、厳密な比例関係よりも一定以上の相関で規定される近似的な比例関係であることが多い。また、この比例関係が厳密な比例関係にならない理由としては、例えば、低圧需要家51、…、低圧需要家5k、高圧需要家61、…、高圧需要家6m、発電事業者71、…及び発電事業者7nの少なくとも一つの負荷電流の影響が挙げられる。
第三条件は、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相又は第三相に連系しており、高圧需要家61、…、高圧需要家6m各々に管理されている負荷の合計が所定の閾値以上であるという条件である。
第一線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関は、第三条件が満たされていない場合よりも第三条件が満たされている場合の方が更に明確になる。同様に、第二線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関は、第三条件が満たされていない場合よりも第三条件が満たされている場合の方が更に明確になる。また、第三線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関は、第三条件が満たされていない場合よりも第三条件が満たされている場合の方が更に明確になる。
データ取得部91は、第三条件を考慮する場合、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相又は第三相に連系しており、高圧需要家61、…、高圧需要家6m各々に管理されている負荷の合計を示す合計負荷データを取得する。合計負荷データは、高圧需要家61、…、高圧需要家6m各々に管理されている負荷を高圧需要家61、…、高圧需要家6m各々が使用した電力量を取引用計器により計測し、これらの電力量の合計を算出することにより生成される。そして、データ取得部91は、合計負荷データにより示される負荷の合計が所定の閾値以上である場合における第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する。
また、データ取得部91は、第一条件及び第二条件の少なくとも一方を考慮する場合、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相又は第三相に連系している負荷の合計が所定の閾値以上であるという第二追加条件を更に満たす第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変電所電圧データを取得してもよい。また、ここで言う負荷は、高圧需要家61、…又は高圧需要家6mに管理されている負荷だけではなく、低圧需要家51、…又は低圧需要家5kに管理されている負荷、発電事業者71、…又は発電事業者7nに管理されている負荷等も含む。第二追加条件は、上述した第三条件が満たされ易くなる条件である。第三追加条件が満たされる状況としては、例えば、季節が夏、冬等であることにより負荷の合計が大きくなっている状況、開閉器8に含まれている計器用変流器により計測された電流が所定の閾値以下となっている状況が挙げられる。
さらに、データ取得部91は、第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得するよう指示する内容を示す指示データを取得した場合に、これらのデータを取得してもよい。指示データは、例えば、データ取得部91にこれらのデータを取得させるためのボタンが押下された場合、データ取得部91にこれらのデータを取得させるためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI:Graphical User Interfaceが操作された場合に生成される。
接続相推定部92は、開閉器8に含まれる電圧計により計測された線間電圧と、変圧器電圧データにより示される線間電圧との相関に基づいて、単相変圧器41、…、単相変圧器4kのうちの少なくとも一つについて変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうち接続されている接続相を推定する。ここで言う相関は、第一線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関、第二線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関及び第三線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との相関の少なくとも一つである。
例えば、接続相推定部92は、単相変圧器41について第一相関係数、第二相関係数及び第三相関係数の少なくとも一つを算出する。第一相関係数は、第一線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との間の相関係数である。第二相関係数は、第二線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との間の相関係数である。第三相関係数は、第三線間電圧データが示す線間電圧と変圧器電圧データが示す線間電圧との間の相関係数である。なお、ここでは単相変圧器41を例に挙げて説明するが、単相変圧器42、…、単相変圧器4kについても同様である。
図6は、実施形態に係る配電網の第一相と第二相との間の線間電圧、第二相と第三相との間の線間電圧及び第三相と第一相との間の線間電圧各々と、単相変圧器の線間電圧との相関の一例を示す図である。図6は、第一相と第二相との間の線間電圧VUVと、単相変圧器41の線間電圧VLOWとの間の相関係数が比較的小さい場合の一例を図6(a)により示している。また、図6は、第二相と第三相との間の線間電圧VVWと、単相変圧器41の線間電圧VLOWとの間の相関係数が比較的大きい場合の一例を図6(b)により示している。また、図6は、第三相と第一相との間の線間電圧VWUと、単相変圧器41の線間電圧VLOWとの間の相関係数が比較的小さい場合の一例を図6(c)により示している。
接続相推定部92は、第一相関係数、第二相関係数及び第三相関係数のうち最大の相関係数を与える相に単相変圧器41が接続されていると推定する。例えば、図6に示した相関を与える第一相関係数、第二相関係数及び第三相関係数が算出されている場合、接続相推定部92は、単相変圧器41が第二相及び第三相に接続されていると推定する。
次に、図7を参照しながら実施形態に係る接続相推定装置が実行する処理の一例を説明する。図7は、実施形態に係る接続相推定装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、図7に関する説明では、単相変圧器41を例に挙げて説明するが、単相変圧器42、…、単相変圧器4kについても同様である。
ステップS10において、データ取得部91は、第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する。
ステップS20において、接続相推定部92は、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうち単相変圧器41が接続されている接続相を推定する。
以上、実施形態に係る接続相推定装置9について説明した。接続相推定装置9は、例えば、第一相と第二相との間の線間電圧、第二相と第三相との間の線間電圧及び第三相と第一相との間の線間電圧各々と、単相変圧器41等の線間電圧との相関に基づいて、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうち単相変圧器41等が接続されている配電線を推定する。これにより、接続相推定装置9は、開閉器8に含まれる電圧計により計測された線間電圧と、スマートメータ511により計測された線間電圧という相関が強い物理量同士の相関に基づいて単相変圧器41等の接続相をより精度良く推定することができる。
また、接続相推定装置9は、上述した第一条件を満たしている第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する。これらのデータは、配電線3を流れる潮流が所定の閾値以下であるため、スマートメータ511により計測される単相変圧器41等の線間電圧の変動が小さくなっている場合における線間電圧を示している。したがって、接続相推定装置9は、開閉器8に含まれる電圧計により計測された線間電圧と、スマートメータ511により計測される単相変圧器41等の線間電圧との相関が強くなる場合における相関に基づいて単相変圧器41等の接続相をより精度良く推定することができる。
また、接続相推定装置9は、上述した第二条件を満たしている第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する。これらのデータは、配電線3への逆潮流が所定の閾値以下であるため、スマートメータ511により計測される単相変圧器41等の線間電圧の変動が小さくなっている場合における線間電圧を示している。したがって、接続相推定装置9は、開閉器8に含まれる電圧計により計測された線間電圧と、スマートメータ511により計測される単相変圧器41等の線間電圧との相関が強くなっている場合における相関に基づいて単相変圧器41等の接続相をより精度良く推定することができる。
また、接続相推定装置9は、上述した第一条件及び第二条件の少なくとも一方を満たしているだけではなく、上述した第一追加条件を満たしている第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する。これにより、接続相推定装置9は、開閉器8に含まれる電圧計により計測された線間電圧と、スマートメータ511により計測される単相変圧器41等の線間電圧との相関が強くなっている場合における相関に基づいて単相変圧器41等の接続相を推定する処理を更に確実に実行することができる。
また、接続相推定装置9は、上述した第三条件を満たしている第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する。これらのデータは、高圧需要家61、…、高圧需要家6m各々に管理されている負荷の合計が所定の閾値以上であるため、開閉器8に含まれる電圧計により計測された線間電圧と、スマートメータ511により計測される単相変圧器41等の線間電圧との相関が強くなっている場合における線間電圧を示している。したがって、接続相推定装置9は、両者の相関が強くなっている場合における相関に基づいて単相変圧器41等の接続相をより精度良く推定することができる。
また、接続相推定装置9は、上述した第三条件を満たしているだけではなく、上述した第二追加条件を満たしている第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する。これにより、接続相推定装置9は、開閉器8に含まれる電圧計により計測された線間電圧と、スマートメータ511により計測される単相変圧器41等の線間電圧との相関が強くなっている場合における相関に基づいて単相変圧器41等の接続相を推定する処理を更に確実に実行することができる。
また、接続相推定装置9は、第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得するよう指示する内容を示す指示データを取得した場合、第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する。これにより、接続相推定装置9は、ユーザが希望するタイミングでこれらのデータを取得することができる。
次に、図8から図11を参照しながら、接続相推定装置9が奏する効果の具体例について説明する。図8は、実施形態に係る配電網において、図9から図11に係る十三台の単相変圧器が接続されている場所を示す図である。図9から図11に示した一番目から十三番目の単相変圧器は、それぞれ図8に丸囲みの数字で示されている位置に設置されている。また、図8に示した開閉器801及び開閉器802は、配電線3と隣接している他の配電線との境界に設置されている開閉器であり、通常、電気を流さない状態となっている。
図9は、潮流データが示す潮流と所定の閾値との大小関係、逆潮流データが示す逆潮流と所定の閾値との大小関係及び高圧需要家に管理されている負荷の合計と所定の閾値との大小関係を考慮せずに単相変圧器が接続されている配電線を推定した結果の一例を示す図である。この場合、図9に示すように、三番目、四番目、十一番目、十二番目及び十三番目の単相変圧器に関する接続相の推定結果が正解と異なっている。
図10は、潮流データが示す潮流と所定の閾値との大小関係のみを考慮して単相変圧器が接続されている配電線を推定した結果の一例を示す図である。この場合、接続相推定装置9による接続相の推定結果は、図10に示すように、三番目の単相変圧器を除き、正解である接続相と一致している。
図11は、潮流データが示す潮流と所定の閾値との大小関係、逆潮流データが示す逆潮流と所定の閾値との大小関係及び高圧需要家に管理されている負荷の合計と所定の閾値との大小関係を考慮して単相変圧器が接続されている配電線を推定した結果の一例を示す図である。この場合、接続相推定装置9による接続相の推定結果は、図11に示すように、十三台全ての単相変圧器について、正解である接続相と一致している。
なお、上述した実施形態では、スマートメータ511、…、スマートメータ51kがそれぞれ単相変圧器41、…、単相変圧器4kの二次側の線間電圧を測定する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。スマートメータ511、…、スマートメータ51kは、それぞれ単相変圧器41、…、単相変圧器4kの一次側の線間電圧を測定してもよい。
また、上述した実施形態では、変圧器電圧データにより示される線間電圧が所定の期間における線間電圧の平均である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、変圧器電圧データにより示される線間電圧は、所定の期間における線間電圧の平均以外の統計量であってもよいし、スマートメータ511、…又はスマートメータ51kにより計測された瞬間の線間電圧であってもよい。
また、上述した実施形態では、第一線間電圧データにより示される線間電圧、第二線間電圧データにより示される線間電圧及び第三線間電圧データにより示される線間電圧が所定の期間における線間電圧の平均である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、これらの線間電圧は、所定の期間における線間電圧の平均以外の統計量であってもよいし、スマートメータ511、…又はスマートメータ51kにより計測された瞬間の線間電圧であってもよい。
また、上述した実施形態では、データ取得部91が指示データを取得した場合に第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得することを例に挙げて説明したが、これに限定されない。
例えば、データ取得部91は、事前に設定されたタイミングにおける線間電圧を示す第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得してもよい。これにより、接続相推定装置9は、これらのデータを常に収集しておき、必要に応じて単相変圧器41等の接続相を推定することができる。
或いは、データ取得部91は、連系設備データを取得した場合に、第一線間電圧データ、第二線間電圧データ、第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得してもよい。連系設備データは、変電所2が出力する三相交流の第一相、第二相又は第三相に連系している設備が更新された事実、第一相、第二相又は第三相に新たに設備が連系した事実及び第一相、第二相又は第三相に連系している設備が撤去された事実の少なくとも一つを示すデータである。これにより、接続相推定装置9は、配電線3に連系している設備に更新等があった場合に速やかに単相変圧器41等の接続相を推定することができる。
また、上述した実施形態に係るデータ取得部91及び接続相推定部92の各機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させ、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行することにより、処理を行ってもよい。
ここで言うコンピュータシステムとは、オペレーティング・システム(OS:Operating System)又は周辺機器等のハードウエアを含むものであってもよい。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えば、フロッピーディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置、ネットワーク又は通信回線を介してプログラムが送信される場合におけるサーバ又はクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように一定時間プログラムを保持しているものも含む。
また、上述したプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、又は、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する伝送媒体とは、インターネット等のネットワーク又は電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上述したプログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、上述した機能の一部をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるプログラム、いわゆる差分プログラムであってもよい。上述したプログラムは、例えば、コンピュータが備えるCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより読み出されて実行される。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、置換又は設計変更を加えることができる。また、上述した実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
1…配電網、2…変電所、3…配電線、31…第一配電線、32…第二配電線、33…第三配電線、41,…,4k…単相変圧器、5…低圧需要家群、51,…,5k…低圧需要家、511,…,51k…スマートメータ、521,…,52k…分散型電源、6…高圧需要家群、61,…,6m…高圧需要家、71,…,7n…発電事業者、8,801,802…開閉器、9…接続相推定装置、91…データ取得部、92…接続相推定部
Claims (13)
- 変電所が出力する三相交流の第一相と第二相との間の線間電圧を示す第一線間電圧データ、前記変電所が出力する三相交流の第二相と第三相との間の線間電圧を示す第二線間電圧データ及び前記変電所が出力する三相交流の第三相と第一相との間の線間電圧を示す第三線間電圧データを取得し、単相変圧器の線間電圧を示す変圧器電圧データを取得するデータ取得部と、
前記第一線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関、前記第二線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関及び前記第三線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関の少なくとも一つに基づいて、前記変電所が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうち前記単相変圧器が接続されている接続相を推定する接続相推定部と、
を備える接続相推定装置。 - 前記データ取得部は、前記第一相の潮流、前記第二相の潮流及び前記第三相の潮流を示す潮流データを更に取得し、前記潮流データが示す潮流が所定の閾値以下である場合における線間電圧を示す前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する、
請求項1に記載の接続相推定装置。 - 前記データ取得部は、前記第一相、前記第二相又は前記第三相への逆潮流を示す逆潮流データを更に取得し、前記逆潮流データが示す逆潮流が所定の閾値以下である場合における線間電圧を示す前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する、
請求項1又は請求項2に記載の接続相推定装置。 - 前記データ取得部は、前記第一相、前記第二相又は前記第三相に連系している負荷の合計が所定の閾値以下である場合における線間電圧を示す前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する、
請求項2又は請求項3に記載の接続相推定装置。 - 前記データ取得部は、前記第一相、前記第二相又は前記第三相に連系しており、高圧需要家に管理されている負荷の合計を示す合計負荷データを更に取得し、前記合計負荷データにより示される負荷の合計が所定の閾値以上である場合における前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する、
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の接続相推定装置。 - 前記データ取得部は、前記第一相、前記第二相又は前記第三相に連系している負荷の合計が所定の閾値以上である場合における線間電圧を示す前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する、
請求項5に記載の接続相推定装置。 - 前記データ取得部は、前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得するよう指示する内容を示す指示データを更に取得し、前記指示データを取得した場合、前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する、
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の接続相推定装置。 - 前記データ取得部は、事前に設定されたタイミングにおける線間電圧を示す前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する、
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の接続相推定装置。 - 前記データ取得部は、前記第一相、前記第二相又は前記第三相に連系している設備が更新された事実、前記第一相、前記第二相又は前記第三相に新たに設備が連系した事実及び前記第一相、前記第二相又は前記第三相に連系している設備が撤去された事実の少なくとも一つを示す連系設備データを更に取得し、前記連系設備データを取得した場合、前記第一線間電圧データ、前記第二線間電圧データ、前記第三線間電圧データ及び変圧器電圧データを取得する、
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の接続相推定装置。 - 前記接続相推定部は、前記第一線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との間の第一相関係数、前記第二線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との間の第二相関係数及び前記第三線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との間の第三相関係数の少なくとも一つを算出し、前記第一相関係数、前記第二相関係数及び前記第三相関係数のうち最大の相関係数を与える相に前記単相変圧器が接続されていると推定する、
請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の接続相推定装置。 - 前記接続相推定部は、前記第一線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との間の第一相関係数、前記第二線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との間の第二相関係数及び前記第三線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との間の第三相関係数の少なくとも一つを算出し、前記第一相関係数を示す第一相関係数データ、前記第二相関係数を示す第二相関係数データ及び前記第三相関係数を示す第三相関係数データの少なくとも一つを出力する、
請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の接続相推定装置。 - コンピュータに、
変電所が出力する三相交流の第一相と第二相との間の線間電圧を示す第一線間電圧データ、前記変電所が出力する三相交流の第二相と第三相との間の線間電圧を示す第二線間電圧データ及び前記変電所が出力する三相交流の第三相と第一相との間の線間電圧を示す第三線間電圧データを取得し、単相変圧器の線間電圧を示す変圧器電圧データを取得するデータ取得機能と、
前記第一線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関、前記第二線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関及び前記第三線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関の少なくとも一つに基づいて、前記変電所が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうち前記単相変圧器が接続されている接続相を推定する接続相推定機能と、
を実行させる接続相推定プログラム。 - データ取得部又はデータ取得機能が、変電所が出力する三相交流の第一相と第二相との間の線間電圧を示す第一線間電圧データ、前記変電所が出力する三相交流の第二相と第三相との間の線間電圧を示す第二線間電圧データ及び前記変電所が出力する三相交流の第三相と第一相との間の線間電圧を示す第三線間電圧データを取得し、単相変圧器の線間電圧を示す変圧器電圧データを取得し、
接続相推定部又は接続相推定機能が、前記第一線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関、前記第二線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関及び前記第三線間電圧データが示す線間電圧と前記変圧器電圧データが示す線間電圧との相関の少なくとも一つに基づいて、前記変電所が出力する三相交流の第一相、第二相及び第三相のうち前記単相変圧器が接続されている接続相を推定する、
接続相推定方法。
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JP2020139139A JP2022035071A (ja) | 2020-08-20 | 2020-08-20 | 接続相推定装置、接続相推定プログラム及び接続相推定方法 |
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JP2020139139A JP2022035071A (ja) | 2020-08-20 | 2020-08-20 | 接続相推定装置、接続相推定プログラム及び接続相推定方法 |
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