JP2022028596A - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、およびクリーニング方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出装置、およびクリーニング方法 Download PDF

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Yoshinori Misumi
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Yuzuru Ishida
建 安田
Ken Yasuda
翼 船橋
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Abstract

【課題】液体吐出ヘッドの交換のタイミングを適切に検知可能な技術を提供する。【解決手段】液室に貯留された液体を吐出する吐出口と、発熱によって前記液体を前記吐出口から吐出させる電気熱変換素子と、前記電気熱変換素子を保護するとともに、前記液体との電気化学反応によって前記液体に溶出可能な第1電極と、前記液体を介して前記第1電極と電気的に接続可能に設けられた第2電極と、を備え、電圧を印加して前記第2電極により前記第1電極に電気化学反応を生じさせて、前記第1電極を前記液体に溶出させる液体吐出ヘッドであって、前記第1電極を配線の一部とする回路における配線抵抗を測定可能に構成されるようにした。【選択図】図8

Description

本発明は、例えば、インクジェット方式によりインクを吐出可能な記録ヘッドなどとして、広く適用可能な液体吐出ヘッド、当該液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置、および当該液体吐出ヘッドのクリーニング方法に関する。
発熱抵抗素子に電圧を印加して液体中に膜沸騰を生じさせ、泡の成長エネルギーによって液体を吐出する方式の液体吐出ヘッドでは、色材などを含有したインクなどの液体を吐出する場合に、コゲーションの発生が問題となる。コゲーションとは、発熱抵抗素子による熱によって、熱溶解性のインク成分が、分解、変性などして、発熱抵抗素子あるいは発熱抵抗素子の表面を覆う塗膜上にコゲとして付着する現象を表す。コゲーションの発生は、発熱抵抗素子から液体への熱伝導性を低下させ、発泡ひいては吐出動作を不安定にする要因となる。
特許文献1には、発熱抵抗素子の上部保護層の表面を、電気化学反応によって液体中に溶出可能な材料で構成し、当該材料に正の電位を印加して、液体中へ当該材料を溶出させることで、コゲを除去する技術が開示されている。こうしたコゲを除去する機能を維持するために、上記材料による材料層は、上記材料の液体への溶出に伴い当該材料層の残存量が規定値を下回ったときに液体吐出ヘッドを交換できるように、コゲの除去による上記材料の溶出量を管理する必要がある。
特許文献2には、クリーニング時の液体、特にインクの導電率にばらつきがあっても、クリーニング前に液体の導電率を測定してクリーニング条件を決定することで、上記材料層の溶出量を把握することができる技術が開示されている。
特開2008-105364号公報 特開2015-221498号公報
特許文献2に開示された技術では、材料層を構成する材料の溶出量を管理することはできるが、材料層の膜厚を測定するなど、材料層を直接的に管理することはできない。ところで、液体吐出ヘッドの製造工程では、ウエハ内やウエハ間における成膜時の膜厚分布や後工程による膜減り分布などのプロセスばらつきが生じる。このため、作製された液体吐出ヘッドは、上記材料層の初期膜厚にばらつきが生じる。従って、特許文献2に開示された技術では、液体吐出ヘッドの交換のタイミングの指標とするクリーニング回数を、プロセスばらつきによる材料層の最小膜厚を想定して決定することとなる。
具体的には、材料層の製造公差は、例えば、10nm以上であり、1回のクリーニング処理による膜減り量は、例えば、数nmである。この場合、平均的な膜厚で構成される液体吐出ヘッドでは、プロセスばらつきを考慮して決定したクリーニング回数に達すると、あと数回分のクリーニング処理が可能であるにも関わらず液体吐出ヘッドを交換しなければならなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、液体吐出ヘッドの交換のタイミングを適切に検知可能な技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、液室に貯留された液体を吐出する吐出口と、発熱によって前記液体を前記吐出口から吐出させる電気熱変換素子と、前記電気熱変換素子を保護するとともに、前記液体との電気化学反応によって前記液体に溶出可能な第1電極と、前記液体を介して前記第1電極と電気的に接続可能に設けられた第2電極と、を備え、電圧を印加して前記第2電極により前記第1電極に電気化学反応を生じさせて、前記第1電極を前記液体に溶出させる液体吐出ヘッドであって、前記第1電極を配線の一部とする回路における配線抵抗を測定可能に構成されることを特徴とする。
本発明によれば、液体吐出ヘッドの交換のタイミングを適切に検知することができるようになる。
液体吐出装置としての記録装置の概略構成図。 ヘッドユニットの斜視構成図。 記録装置の制御系のブロック構成図。 記録ヘッドの概略構成図。 記録ヘッドの詳細な構成を説明する図。 記録ヘッドにおける発熱抵抗素子近傍の断面構成図。 上部電極と対向電極とを接続する回路を説明する図。 上部電極および対向電極のそれぞれに形成された回路を説明する図。 各電極に対応する検知パターンの変形例を示す図。 各電極に対応する検知パターンの配線の変形例を示す図。 記録処理の詳細な処理内容を示すフローチャート。 上部電極検知パターンを積層構成とした一例を示す図。 上部電極検知パターンの消失を検知できなかった時の抵抗値の変化を示すグラフ。
以下、添付の図面を参照しながら、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、およびクリーニング方法の実施の形態の一例を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせのすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、実施形態に記載されている構成要素の相対位置、形状などは、特に限定していない限り、あくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(記録装置の構成)
まず、図1乃至図11を参照しながら、第1実施形態による液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置について説明する。なお、本願明細書では、液体吐出装置として、記録媒体に対してインクを吐出して記録するインクジェット記録装置(以下、「記録装置」と称する。)を例として説明する。従って、この記録装置において、インクを吐出して記録する記録ヘッドが、液体を吐出する液体吐出ヘッドに相当することとなる。図1は、実施形態による記録ヘッドを備えた記録装置の一部を破断して示す概略構成図である。図2は、ヘッドユニットの斜視構成図である。図3は、記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
記録装置10は、ヘッドユニット12が着脱可能なキャリッジ14を備えている。キャリッジ14は、駆動プーリ16と従動プーリ18とに無端状に張設されたベルト20に取り付けられている。また、キャリッジ14は、ベルト20の延在方向に平行に設けられたガイドシャフト22に摺動可能に設けられている。キャリッジモータ24を駆動源とする駆動プーリ16が回転するとベルト20が回動し、キャリッジ14は、ガイドシャフト22に支持されながら矢印X方向で移動する。従って、キャリッジ14は、駆動プーリ16の回転方向に応じて、矢印X方向を往復移動可能な構成となっている。
記録装置10は、エンコーダセンサ26を備えている。エンコーダセンサ26は、X方向に延在するリニアスケール28のスリットを検出する。記録装置10の制御部52(後述する)は、エンコーダセンサ26によるリニアスケール28の検出結果に基づいて、X方向におけるキャリッジ14の位置を検出する。
記録装置10は、搬送ローラ対30、32を備えている。搬送ローラ対30、32は、搬送モータ70(図3参照)によって回転し、記録媒体Pを矢印Y方向に搬送する。搬送ローラ対30は、記録媒体Pの搬送方向であるY方向の上流側に位置し、搬送ローラ対32は、Y方向の下流側に位置する。搬送ローラ対30、32は、Y方向において、ヘッドユニット12によりインクが吐出される領域を挟むように位置している。そして、搬送ローラ対30、32は、記録媒体Pをニップしながら搬送することで、ヘッドユニット12における記録ヘッド42(後述する)と対向する位置の平滑性を維持している。
そして、記録装置10では、制御部52によって、キャリッジモータ24を駆動させながら、エンコーダセンサ26の検出結果に基づいて、記録データに従ってヘッドユニット12の記録ヘッド42によって、記録媒体Pに対してインクを吐出する記録動作を行う。これにより、1バンド分の画像が記録媒体Pに記録される。その後、制御部52によって、搬送モータ70を駆動して、1バンド分に相当する距離だけ記録媒体Pを矢印Y方向に搬送する搬送動作を行う。記録装置10では、このようにして記録動作と搬送動作とを交互に繰り返し実行することによって、記録媒体Pに記録画像を形成することとなる。
また、記録装置10は、X方向の一方の端部に位置するホームポジションにおいて、ヘッドユニット12の記録ヘッド42に対するメンテナンスを行うための回復ユニット34を備えている。回復ユニット34には、記録ヘッド42を保護するためのキャップ部材36と、吸引してキャップ部材36内に負圧を生じさせるポンプ38などを備えている。
ヘッドユニット12は、キャリッジ14に4つ配されており、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックのインクを吐出可能な構成となっている。各ヘッドユニット12は、内部にインクを収容するタンク40と、タンクに収容されたインクを吐出するための記録ヘッド42とを備えている。また、ヘッドユニット12は、記録ヘッド42に記録データや電力などを供給するための配線テープ44を備えている。この配線テープ44には、ヘッドユニット12をキャリッジ14に装着したときに、記録装置10本体と電気的に接続するための接点46が形成されている。
なお、本実施形態では、記録装置10を、タンク40と記録ヘッド42とが一体型となったヘッドユニット12を用いる形態としたが、これに限定されるものではない。即ち、タンク40と記録ヘッド42とが分離された形態であってもよい。具体的には、キャリッジ14に記録ヘッドが設けられ、記録装置10内に着脱可能に設けられたタンクから、チューブなどを介して記録ヘッドにインクを供給する。この場合、色ごとにそれぞれ記録ヘッドを設けるようにしてもよいし、4つのインクを吐出可能な記録ヘッドを1つだけを設けるようにしてもよい。なお、記録装置10で用いるインクの数や吐出する液体の種類については、上記に限定されるものではない。即ち、インクの数は、1色のみであってもよいし、2、3、あるいは5色以上としてもよく、また、液体の種類としては、インク以外の、記録媒体Pなどに所定の処理を行う処理液であってもよい。
次に、図3を参照しながら、記録装置10の制御系の構成について説明する。記録装置10は、インターフェース(I/F)48を介して、別体で設けられたホスト装置50と接続されている。記録装置10は、このI/F48を介してホスト装置50との間で、各種の情報の送受信を行う。具体的には、記録装置10は、I/F48を介して、ホスト装置50より記録コマンドや画像データを受信したり、記録装置10のステータス情報をホスト装置50に送信したりする。ホスト装置50としては、汎用のパーソナルコンピュータのほか、デジタルカメラ、スキャナ、携帯端末などの公知の装置を用いることができる。ホスト装置50で記録コマンドが発生すると、当該記録コマンドが画像データとともに、I/F48を介して記録装置10に入力される。
記録装置10は、制御部52により全体の動作が制御される。制御部52は、MPU54、ROM56、DRAM58、EEPROM60、およびゲートアレイ(GA)62を備えている。EEPROM60は、電源がOFFにされた状態でも、次に電源がONになったときに記録装置10に必要な種々の情報を記録しておくためのメモリである。また、GA62は、MPU54の指示のもと、I/F48との間でデータ転送制御を行う。
MPU54は、ROM56に格納されたプログラムやパラメータに従って、DRAM58をワークエリアとしながら、種々の処理を行う。例えば、MPU54は、制御部52に接続されたCRモータドライバ64を介してキャリッジモータ24を駆動し、キャリッジ14をX方向に移動させる。記録動作では、この際に、制御部52に接続されたヘッドドライバ66を介してDRAM58より記録ヘッド42に記録データを転送し、記録ヘッド42に1バンド分の画像が記録される。
また、MPU54は、1バンド分の画像の記録が行われるたびに、制御部52に接続されたLFモータドライバ68を介して搬送モータ70を駆動し、搬送ローラ対30、32により記録媒体PをY方向に所定の距離だけ搬送する。こうしたMPU54の、キャリッジモータ24および記録ヘッド42の制御による記録動作と、搬送ローラ対30、32の制御による搬送動作とを交互に繰り返して、ホスト装置50から受信した画像データを、記録媒体Pに記録することとなる。
さらに、MPU54は、1ページ分の画像の記録が終了した後などのタイミングで、制御部52に接続された回復モータドライバ72を介して回復系モータ74を駆動し、記録ヘッド42に対する吸引回復処理を実行する。即ち、回復系モータ74は、ポンプ38を駆動するモータや、キャップ部材36を、例えば、昇降させるモータを含む。
また、MPU54は、制御部52に接続された電界調整器76を介して記録ヘッド42に設けられた上部電極506、対向電極508、検知パターン(後述の上部電極検知パターン510、対向電極検知パターン522)の電位調整を行う。また、測定部82(測定部82-1、82-2)は、記録ヘッド42において、電極または検知パターンを配線の一部とする回路における抵抗値を測定し、測定結果を制御部52に出力する。なお、上部電極506、対向電極508、検知パターンなどについては後述する。
ROM56には、種々の制御を行うためにMPU54が使用する様々なパラメータが記憶されている。こうしたパラメータとしては、例えば、記録ヘッド42の発熱抵抗素子に印加する電圧パルスの形状、上部電極506、対向電極508に印加する電流値や印加するタイミング、記録媒体Pの搬送速度、キャリッジ14の移動速度などがある。
(記録ヘッドの構成)
次に、記録ヘッドの構成について説明する。図4は、本実施形態による記録ヘッドの概略斜視構成図である。図5(a)は、基板の構成を模式的に示す平面図である。図5(b)は、図5(a)の枠Vbの拡大図である。
記録ヘッド42は、圧力室418(後述する)にインクを供給するインク供給路402と、圧力室418からインクを回収するインク回収路404が形成された記録ヘッド用基板(以下、単に「基板」とも称する。)406を備えている。この基板406の一方の面には、インクを吐出するための複数の吐出口412による吐出口列が形成された流路形成部材408が設けられている。また、一方の面と対向する基板406の他方の面には、カバープレート410が形成されている。
インク供給路402およびインク回収路404は、流路形成部材408における吐出口列の延在方向に沿って延在している。また、基板406の一方の面には、インク供給路402と連通する複数の供給口414が吐出口列の延在方向に沿って配列されている。さらに、基板406の一方の面は、インク回収路404と連通する複数の回収口416が吐出口列の延在方向に沿って配列されている。
基板406の一方の面には、吐出口412と対応する位置に、インクを熱エネルギーによって発泡させるための熱作用部415が形成されている。この熱作用部415は、インクを吐出させて記録を行うための記録素子(以下の説明では、「発熱抵抗素子」、「電気熱変換素子」とも称する。)610(図6参照)と、発熱抵抗素子610を保護する上部電極506(後述する)とを含む。熱作用部415は、流路形成部材408に形成された圧力室418内に位置することとなる。
また、基板406の一方の面には、基板406に設けられた電気配線(不図示)によって発熱抵抗素子610と電気的に接続される端子420が形成されている。従って、発熱抵抗素子610は、外部の配線基板(不図示)を介して入力されるパルス信号に基づいて発熱して、圧力室418内のインクを沸騰させる。この沸騰による発泡の力で、インクが吐出口412から吐出される。
カバープレート410には、インク供給路402に連通する開口422、インク回収路404に連通する開口(不図示)が設けられている。この開口422から記録ヘッド42にインクが供給され、インク回収路404に連通する開口を介して記録ヘッド42からインクが回収される。従って、記録ヘッド42において、インクは、開口422、インク供給路402、供給口414を通って圧力室418へ供給される。また、圧力室418に供給されたインクは、回収口416、インク回収路404、インク回収路404に連通する開口を通って回収される。
流路形成部材408には、基板406とともに、圧力室418を含み、かつ、インクが貯留される空間である液室502(図5(b)参照)が形成される。液室502内では、熱作用部415において、発熱抵抗素子610を被覆するように上部電極506が設けられている。上部電極506は、電気化学反応によってインク中に溶出可能な材料により形成されている。このように、上部電極506は、基板406においてインクと接する側において、発熱抵抗素子の上部に設けられることとなる。また、液室502では、上部電極506(第1電極)に対応して対向電極508(第2電極)が設けられている。なお、この対向電極508は、上部電極506とインクとの電気化学反応を生じさせ、上部電極506をインク中に溶出させるための電極となっている。なお、対向電極508は、例えば、上部電極506と同じ材料を用いて形成される。
詳細は後述するが、上部電極506は、上部電極用の共通配線514を介して端子516(図8参照)に接続されており、端子516を通して外部から電位が印加される。また、対向電極508は、対向電極用の共通配線526を介して端子528(図8参照)に接続されており、端子528を介して外部から電位が印加される。これにより、上部電極506と対向電極508とには、液室502内のインクを介して電圧が印加可能な構成となっている。
上部電極506および対向電極508は、導電性材料により構成される。なお、詳細は後述するが、発熱抵抗素子610を保護する保護層616(図6参照)のうち、インクに露出する層が上部電極506として機能する。上部電極506と対向電極508とは、インクと接触する面積が、同じであってもよいし、対向電極508のほうが小さくてもよい。また、上部電極506と対向電極508とは、設けられた個数が、同じであってもよいし、対向電極508のほうが少なくてもよい。なお、近年、記録の高画質化に伴い、液室502の面積が小さくなり、対向電極508を配置できるスペースも小さくなっている。このため、対向電極508の面積は小さくなる傾向がある。
また、液室502内には、上部電極506が配列された配列方向の端部に、上部電極検知パターン510が設けられている(図5(b)参照)。上部電極検知パターン510の2つの端部には、配線が接続され、それぞれ別の端子に接続されて、上部電極検知パターンを含む配線抵抗を測定可能な構成となっている。具体的には、上部電極検知パターン510の一方の端部には、上部電極用の個別配線512(図5(b)参照)を介して共通配線514が接続され、共通配線514は端子516に接続されている(図8参照)。なお、基板406上では、共通配線514は、例えば、図5(a)のように形成される。上部電極検知パターン510の他方の端部には、上部電極検知用の個別配線518(図5(b)参照)が接続され、個別配線518は端子520(図8参照)に接続されている。従って、端子516と端子520とは、上部電極検知パターン510を介して繋がっていることとなる。そして、こうして形成される回路内には、配線抵抗を測定可能な測定部82-1が設けられている(図8参照)。
また、液室502内には、対向電極508が配列された配列方向の端部に、対向電極検知パターン522が設けられている(図5(b)参照)。対向電極検知パターン522の2つの端部には、配線が接続され、それぞれ別の端子に接続されて、対向電極検知パターン522を含む配線抵抗を測定可能な構成となっている。具体的には、対向電極検知パターン522の一方の端部には、対向電極用の個別配線524を介して共通配線526が接続され、共通配線526は端子528に接続されている。なお、基板406上では、共通配線526は、例えば、図5(a)のように形成される。対向電極検知パターン522の他方の端部には、対向電極用の個別配線530が接続され、個別配線530は端子532(図8参照)と接続されている。従って、端子528と端子532とは、対向電極検知パターン522を介して繋がっていることとなる。そして、こうして形成される回路内には、配線抵抗を測定可能な測定部82-2が設けられている(図8参照)。
次に、基板における発熱抵抗素子、上部電極、対向電極の積層構成について説明する。図6は、流路形成部材が形成された記録ヘッドの、図5(a)のVI-VI線に対応する位置における断面図である。理解を容易にするために、配線類は省略されているが、基材に設けられた発熱抵抗素子、上部電極、対向電極はそれぞれ、発熱、コゲ抑制、コゲ除去のためのクリーニング処理に必要な電力を得るための配線に電気的に接続されている。
駆動素子(不図示)や駆動素子駆動用の配線(不図示)が形成された基板406は、シリコン基材(以下、単に「基材」とも称する。)602の上面にSiOからなる絶縁層604が設けられている。また、絶縁層604の上面に、アルミニウムと銅との合金からなる第1配線パターン606が設けられている。この第1配線パターン606は、発熱抵抗素子610に電圧を供給するための配線である。
第1配線パターン606はSiOなどからなる絶縁層608で被覆されている。この絶縁層608には、第1配線パターン606と発熱抵抗素子610とを接続するためのプラグ612が設けられている。プラグ612は、材料としてタングステンなどを用いることができる。また、絶縁層608の上面はCMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用いて平坦化された面となっている。
絶縁層608の上面には、発熱抵抗素子610が設けられている。発熱抵抗素子610は、TaSiNなどからなる発熱抵抗体層を備えている。この発熱抵抗体層には、プラグ612が接続されている。そして、発熱抵抗体層において、プラグ612を介して電流が流れる部分が発熱抵抗素子610として機能することとなる。また、絶縁層608の上面には、アルミニウムと銅の合金などからなる第2配線パターン617(図12参照)が設けられている。なお、図6では、第2配線パターン617の図示は省略しているが、図12を参照しながら後述するように、こうした第2配線パターン617を利用して、上部電極検知パターン510および対向電極検知パターン522を構成するようにしてもよい。第2配線パターン617は、上部電極506と対向電極508とに電圧を供給するために使用したり、個別配線518および個別配線530に使用したりすることができる。
発熱抵抗素子610と第2配線パターン617とは、例えば、SiNからなる厚さ200nmの絶縁層614で覆われている。絶縁層614の上面には、保護層616が設けられている。保護層616は、例えば、絶縁層614側から、30nmのイリジウム(Ir)層(図中粗いハッチング層)、60nmのタンタル(Ta)層(図中細かいハッチング層)の順で積層された2層構造となっている。なお、保護層616の発熱抵抗素子610が位置する領域を覆う部分では、上層のタンタル層を除去してイリジウム層が圧力室418内に露出した状態となっている。なお、この露出したイリジウム層が上部電極506として機能することとなる。発熱抵抗素子610と保護層616とは、絶縁層614によって電気的に絶縁されている。
また、絶縁層614の上面には、個別配線512、共通配線514が設けられている。個別配線512および共通配線514は、保護層616と同じ材料を用いて、同じ層として形成してもよい。本実施形態では、個別配線512と共通配線514との間に、ヒューズ部513を設けているが、こうした構成は必ずしも必要なものではない。本実施形態では、ヒューズ部513は、個別配線512および共通配線514と同じ材料により、同じ層で形成されている。
さらに、絶縁層614の上面には、上部電極506の配列方向と交差する方向において上部電極506と間隔を空けて、対向電極508が設けられている。対向電極508は、上部電極506と同様にして、30nmのイリジウム層と60nmのタンタル層とが積層されて構成され、上層のタンタル層の一部を除去してイリジウム層が圧力室418内に露出させて形成されている。本実施形態では、対向電極508は、上部電極506と同じ層で形成されている。また、図6では図示しないが、個別配線524、共通配線526も、上部電極506、個別配線512、共通配線514と同じ層で形成される。共通配線514と共通配線526とは、保護層616と同じ構成としたが、絶縁層614を開口して第2配線パターン617に接続することで、第2配線パターン617を用いた引き回しとすることもできる。
さらにまた、絶縁層614の上面には、図6では図示しないが、上部電極検知パターン510と、対向電極検知パターン522とが設けられている。上部電極検知パターン510は、上部電極506と同じ層により、同じ材料、かつ、同じ製造工程で形成される。また、対向電極検知パターン522は、対向電極508と同じ層により、同じ材料、かつ、同じ製造工程で形成される。上部電極検知パターン510に接続される個別配線518と、対向電極検知パターン522に接続される個別配線530とは、保護層616と同じ材料で形成してもよいが、第1配線パターン606や第2配線パターン617を用いて形成してもよい。
上部電極検知パターン510は、上部電極506の材料と、当該材料より卑な金属材料との積層構成としてもよい。同様に、対向電極検知パターン522についても、対向電極508と同じ材料と、当該材料より卑の金属材料との積層構成としてもよい。図12は、上部電極の材料と、当該材料より卑な金属材料との積層構成とした上部電極検知パターンを示す図である。例えば、第2配線パターン617を形成する材料が、上部電極506を形成する保護層616の材料よりも卑な金属材料であったとする。この場合、上部電極検知パターン510では、図12のように、第2配線パターン617と同じ層を上部電極検知パターン510の下層材料として採用することができる。
具体的には、まず、第2配線パターン617で上部電極検知パターン510の下層を形成し、その上に形成された絶縁層614を開口する。その後、保護層616を形成することで、第2配線パターン617の材料による層の上に保護層616の材料による層が積層されて、上部電極検知パターン510が形成される。なお、第2配線パターン617の層の下に、TaSiN層が位置していてもよい。
このように、上部電極検知パターン510および対向電極検知パターン522を積層構成とした場合には、各検知パターンの接続される個別配線518、530は、各検知パターンの下層側から接続してもよい。その場合、配線の一部としてプラグ612と第1配線パターン606を用いることができる。なお、上部電極検知パターン510および対向電極検知パターン522を積層構成とした場合には、上層は、対応する電極と同じまたは同程度の膜厚とする。また、下層は、上層に用いた材料よりも卑な金属を含む材料を用いることができる。
上部電極506は、絶縁層614を介して発熱抵抗素子610を被覆するように積層される電極となっている。上部電極506は、主にインク中の陰イオンを寄せ付けないために、記録中には負の電極として機能する。また、上部電極506は、発熱抵抗素子610を物理的および化学的衝撃から保護する機能を有するとともに、発熱抵抗素子610で発生する熱を瞬時にインクに伝達する熱伝導性を有する。そして、上部電極506は、700℃程度の過熱によって強固な酸化膜を、形成しない材料、または、形成し難い材料により形成される。
本実施形態では、対向電極508に対して上部電極506を相対的に電位が高い状態とすることで、上部電極506をインク中に溶出させるとともに、上部電極506に付着した、インクに由来するコゲを除去することとなる。電気化学反応による金属の溶出の有無は、一般に種々の金属の電位-pH図から把握することが可能である。
対向電極508は、インク中の陰イオンを上部電極506から遠ざけるために、記録中には正の電極として機能する。上部電極506に生じたコゲを除去するクリーニング処理を行う際には、インクを介して上部電極506から対向電極508へ向かう電流を流すことで、上部電極506をインク中へ溶出させる反応を継続させる。このため、対向電極508には、上部電極506との間の電流値を安定して維持するために、導電率の低い酸化膜が形成され難い材料を用いることが好ましい。なお、本願明細書では、特に断りのない限り、上部電極506に生じたコゲの除去を、「クリーニング」と称する。
また、上部電極506からのコゲの除去動作時、つまり、クリーニング処理時には、上部電極506および対向電極508の極性を反転させる。これにより、コゲの除去動作時に上部電極506に付着または引き寄せられた負の荷電粒子をインク中に再放出することが可能となり、効率的に上部電極506からコゲを除去することができるようになる。この際、対向電極508についても、上部電極506と同様に、陽極酸化反応により電極自体がインク中に溶出するという懸念が生じる。しかし、対向電極508の膜厚がクリーニング回数を重ねるにつれて徐々に減少したとしても、本来の機能が損なわれない限りにおいて、問題は生じない。
次に、上部電極506と対向電極508とを含む回路構成について説明する。図7は、上部電極と対向電極とを含む回路構成を示す図である。なお、図7では、理解を容易にするために、基板406における一部の構成を省略して示している。
上部電極506と対向電極508とは、定電圧電源702およびスイッチ704を経由する第1回路706によって電気的に接続可能となっている。なお、この第1回路706では、液室502内のインクによって電気的に接続された閉回路が形成される。この第1回路706によって、記録動作中の上部電極506のコゲの発生が抑制される。上部電極506、対向電極508および第1回路706の一部は記録ヘッド42に設けられ、残りの第1回路706、スイッチ704および定電圧電源702は、記録ヘッド42の外部に設けられている。なお、スイッチ704については、記録ヘッド42に設けるようにしてもよい。
第1回路706において、スイッチ704を閉じると、上部電極506は陰極となり、対向電極508は陽極となる。これにより、液室502におけるインク中の陰イオンや陰性のコロイド粒子は、上部電極506から離れて対向電極508に向かう。このような電界が形成されている状態では、発熱抵抗素子610が急激に発熱しても、あるいは、こうした発熱が繰り返されても、インク成分は上部電極506に付着し難いためコゲの発生が抑制される。
さらに、上部電極506と対向電極508とは、電源708およびスイッチ710を経由する第2回路712によって電気的に接続可能となっている。なお、この第2回路712では、液室502内のインクによって電気的に接続された閉回路が形成される。この第2回路712によって、上部電極506上に付着したコゲが除去される。上部電極506、対向電極508および第2回路712の一部は記録ヘッド42に設けられ、残りの第2回路712、スイッチ710および電源708は、記録ヘッド42の外部に設けられている。なお、スイッチ710については、記録ヘッド42に設けるようにしてもよい。
具体的には、第2回路712において、図7のようにスイッチ710をa側に閉じると、上部電極506から、液室502内のインクを介して対向電極508へと電流が流れる。これにより、上部電極506がインクへ溶出するとともに、上部電極506に付着したコゲが除去される。本実施形態では、記録ヘッド42が記録動作を行っているとき、制御部52は、コゲ抑制モードとして、スイッチ704を閉じてスイッチ710を開いた状態とする。これにより、インク成分は、発熱抵抗素子610で加熱されても上部電極506に付着せずに対向電極508に向かうため、コゲーションの発生は抑制される。
また、記録ヘッド42によるインクの吐出が所定回数行われ、対向電極508に陰イオンの膜が形成されると、制御部52は上部電極506のクリーニングが必要であると判定する。そして、制御部52は、記録動作が行われていない適切なタイミングにおいて、クリーニング処理として、スイッチ704を開き、スイッチ710をa側に閉じる。これにより、上部電極506から対向電極508へ電流が流れ、上部電極506に付着したコゲは除去される。
なお、制御部52は、コゲを除去するためのクリーニング処理の際に、スイッチ710を、適宜あるいは周期的にa側、b側で切り替えて、上部電極506および対向電極508の極性を反転させるあるいは反転を繰り返すようにしてもよい。これにより、上部電極506および対向電極508のどちらにおいても、負の荷電粒子の付着を抑制することができる。
上部電極506と対向電極508とについて、その面積や配置された個数が異なる場合、制御部52は、極性を反転させるときのパルス幅を調整する。具体的には、制御部52は、上部電極506と対向電極508との総面積比に応じて、上部電極506および対向電極508におけるイリジウム層の溶出量が同等となるように、上記パルス幅を調整する。例えば、図5(b)のように、対向電極508の総面積が、上部電極506の総面積に対して小さい場合には、制御部52は、対向電極508におけるイリジウム層の残膜量を、上部電極506におけるイリジウム層の残膜量に合わせるように、パルス幅を調整する。これにより、記録中にコゲ抑制用の電界ができずにコゲの抑制が不十分となったり、コゲの除去時に電流が流れずコゲが残存したりする事態を回避することができる。
次に、上部電極検知パターン510と対向電極検知パターン522とについて説明する。図8は、上部電極検知パターンと対向電極検知パターンとにおける回路構成を示す図である。なお、図8では、理解を容易にするために、基板406における一部の構成を省略して示している。
上部電極検知パターン510は、上部電極506と同じ材料であり、かつ、同じ膜厚である。また、対向電極検知パターン522は、対向電極508と同じ材料であり、かつ、同じ膜厚である。上部電極検知パターン510は、上部電極506の配列方向の端部に設けられており、対向電極508から上部電極506までの距離と、対向電極508から上部電極検知パターン510までの距離とは、概ね一致する。
また、上部電極検知パターン510は、各上部電極506が接続された共通配線514に接続されている。さらに、上部電極検知パターン510と上部電極506との間の抵抗は、インク抵抗に比べて十分に小さくなっている。このため、クリーニング処理時にかかる上部電極検知パターン510の電位と、上部電極506の電位とは概ね一致する。従って、クリーニング処理時には、上部電極検知パターン510の溶出量と上部電極506の溶出量とは概ね同量となる。即ち、クリーニング回数の増加に伴い、上部電極506の膜厚と上部電極検知パターン510の膜厚とは、同じように減少し、上部電極506と上部電極検知パターン510とは、概ね同じタイミングで消失するようになる。
上部電極検知パターン510には、共通配線514とは別に、個別配線518が接続されている。上部電極検知パターン510は、配線の一部として機能し、共通配線514、個別配線512および個別配線518とともに第3回路802を形成している。この第3回路802には、スイッチ804が設けられており、スイッチ804をd側に閉じることによって閉回路が形成される。また、第3回路802には、共通配線514用の端子516と、個別配線518用の端子520との間に、スイッチ804とともに、配線抵抗を測定可能な測定部82-1が設けられている。
クリーニング回数の増加に伴って上部電極検知パターン510の溶出量が増大し、上部電極検知パターン510が消失すると、制御部52では、測定部82-1の測定結果から、第3回路802の一部が途切れた状態、つまり、オープンとなったと判定される。即ち、制御部52では、測定部82-1の測定結果に応じて、上部電極検知パターン510と同程度でインク内に溶出する上部電極506が消失したタイミングを検知することができる。
一方、対向電極検知パターン522についても、クリーニングによる電圧の反転により溶出し、消失した時点で、コゲの抑制やクリーニングに必要な電界を安定して形成することができなくなるため、その消失のタイミングを検知する。
対向電極検知パターン522は、対向電極508の配列方向の端部に設けられており、上部電極506から対向電極508までの距離と、上部電極506から対向電極検知パターン522までの距離とは、概ね一致する。また、対向電極検知パターン522は、各対向電極508が接続された共通配線526に接続されている。さらに、対向電極検知パターン522と対向電極508との間の抵抗は、インク抵抗に比べて十分に小さくなっている。このため、クリーニング処理時にかかる対向電極検知パターン522の電位と、対向電極508の電位とは概ね一致する。
従って、クリーニング処理における電圧の反転時には、対向電極検知パターン522の溶出量と、対向電極508の溶出量とは概ね同量となる。即ち、上記反転を伴うクリーニング回数の増加に伴い、対向電極508の膜厚と対向電極検知パターン522の膜厚とは、同じように減少し、対向電極508と対向電極検知パターン522とは、概ね同じタイミングで消失するようになる。
対向電極検知パターン522には、共通配線526とは別に、個別配線530が接続されている。対向電極検知パターン522は、配線の一部として機能し、共通配線526、個別配線524および個別配線530とともに第4回路806を形成している。この第4回路806には、スイッチ808が設けられており、スイッチ808をf側に閉じることによって閉回路が形成される。また、第4回路806には、共通配線526用の端子528と、個別配線530用の端子532との間に、スイッチ808とともに、配線抵抗を測定可能な測定部82-2が設けられている。
クリーニング回数の増加に伴って対向電極検知パターン522の溶出量が増大し、対向電極検知パターン522が消失すると、制御部52では、測定部82-2の測定結果から、第4回路806がオープンとなったと判定される。即ち、制御部52では、測定部82-2の測定結果に応じて、対向電極検知パターン522と同程度でインク内に溶出する対向電極508が消失したタイミングを検知することができる。即ち、本実施形態では、制御部52が、測定部での測定の結果に基づいて、上部電極506および対向電極508のインクへの溶出の程度を検知可能な検知部として機能している。
なお、上述のクリーニング処理の際に用いる電源708やスイッチ710は、スイッチ804を介して上部電極506および上部電極検知パターン510に接続可能に設けられている。また、電源708やスイッチ710は、スイッチ808を介して対向電極508および対向電極検知パターン522に接続可能に設けられている。クリーニング処理の際には、スイッチ710をa側に閉じるとともにスイッチ804をc側、スイッチ808をe側に閉じる。上述の通り、スイッチ710は適宜あるいは周期的にa側、b側で切り替える。
なお、本実施形態では、測定手段としての測定部82(測定部82-1、82-2)やスイッチ804、808は、記録ヘッド42の外部に設けられた構成であるが、これらの少なくとも一部が記録ヘッド42の内部に設けられていてもよい。
なお、本実施形態では、上部電極506とは別に上部電極検知パターン510を設けるようにしたが、これに限定されるものではない。即ち、上部電極検知パターン510を配置するスペースがない場合などには、複数ある上部電極506のうちの1つを、上部電極検知パターンとして用いるようにしてもよい。この場合、上部電極検知パターンとして用いる上部電極506を配線の一部とする第3回路802を形成することとなる。同様に、対向電極検知パターン522についても、複数ある対向電極508のうちの1つを、対向電極検知パターンとして用いるようにしてもよい。この場合、対向電極検知パターンとして用いる対向電極508を配線の一部とする第4回路806を形成する。
また、上部電極506と対向電極508とは別に、上部電極検知パターン510と対向電極検知パターン522とを設ける場合には、上部電極検知パターン510および対向電極検知パターン522を高抵抗なパターンとしてもよい。即ち、上部電極検知パターン510は、上部電極506よりも高抵抗となる形状に形成され、対向電極検知パターン522は、対向電極508よりも高抵抗となる形状に形成される。図9は、図5(b)に対応する図であって、上部電極検知パターンおよび対向電極検知パターンの高抵抗なパターンの一例を示す図である。高抵抗なパターンとして、上部電極検知パターン510および対向電極検知パターン522は、例えば、図9のように、所定領域内で蛇行するように形成されたスネーク状に形成される。これにより、制御部52では、上部電極506および対向電極508について、測定部82で測定する抵抗値に応じて、残存する量(残膜量)を比較的正確に検知することができるようになる。
このため、制御部52では、クリーニング処理時に、想定通り溶出されているか否かを監視したり、上部電極506、対向電極508が消失するタイミングを予想したりすることができるようになる。また、この場合、上部電極検知パターン510の膜厚減少による抵抗変化を制度よく測定するため、共通配線514や個別配線518の抵抗を極力低くすることが好ましい。対向電極検知パターン522についても同様である。具体的には、例えば、第2配線パターンや第1配線パターン606を用いて抵抗を低くすることができる。
この場合、上部電極506および対向電極508の、インクへの溶出による消失、溶出により残存する量、溶出量など、その溶出の程度をより正確に検知することが可能となる。
また、本実施形態では、図5(b)のように、上部電極506および上部電極検知パターン510を共に、個別配線512を介して共通配線514に接続するようにした。なお、図5(b)では、上部電極506に接続された各個別配線512と共通配線514との間にヒューズ部513を配置している。このため、上部電極検知パターン510に接続された個別配線512に対しても、共通配線514との間にヒューズ部513を設けて、クリーニング時の電位を上部電極506と上部電極検知パターン510とでそろえるようにしている。
上部電極506と共通配線514との接続については、上述した形態に限定されるものではない。図10は、図5(b)に対応する図であって、上部電極506と共通配線514との接続方法の他の形態について示す図である。上部電極506と共通配線514との接続に関する他の形態としては、図10のように、上部電極506と共通配線514とを、上部電極検知パターン510を介して接続するようにしてもよい。即ち、各上部電極506は、その配列方向に延在する配線1002により接続する。そして、上部電極検知パターン510に対して、共通配線514に接続された個別配線512の端部を接続するとともに、配線1002の端部を接続する。これにより、クリーニング処理により上部電極検知パターン510が消失すると、上部電極506への電圧がかからなくなり、上部電極506への過剰な電圧印加を防止することができる。
対向電極508についても、同様に、共通配線526との接続は、上記した形態に限定されるものではない。即ち、図10のように、対向電極508と共通配線526とを、対向電極検知パターン522を介して接続するようにしてもよい。具体的には、各対向電極508は、その配列方向に延在する配線1004に個別配線1006を介して接続する。そして、対向電極検知パターン522に対して、共通配線526に接続された個別配線524の端部を接続するとともに、配線1004の端部を接続する。これにより、対向電極検知パターン522が消失しても、対向電極508への過剰な電圧印加を防止することができる。
本実施形態では、上部電極検知パターン510を配線の一部とする第3回路802と、対向電極検知パターン522を配線の一部とする第4回路806とを設けるようにしたが、これに限定されるものではない。即ち、上部電極506および対向電極508のうち一方が消失した時点でコゲの抑制効果がなくなるとともに、クリーニング処理による効果を得ることができなくなる。従って、上部電極506および対向電極508のうち、より早い段階で消失する一方の電極に対して、上記回路を形成する構成としてもよい。例えば、対向電極508の総面積が上部電極506の総面積よりも小さい場合、対向電極508は上部電極506よりも先に消失する。この場合、対向電極検知パターン522のみを設けるようにすればよい。
上部電極検知パターン510および対向電極検知パターン522にゴミが付着すると、クリーニング時における溶解が、ゴミが付着した部分において阻害されることがある。従って、クリーニングの繰り返しによって、そのほとんどが消失しているにも関わらず、検知パターン(上部電極検知パターン510、対向電極検知パターン522)上のゴミにより、導通が維持されるような状態で一部が溶解せずに残ってしまう場合がある。この場合、検知パターンが残っている、つまり、上部電極506および対向電極508が消失していないと判定され、記録ヘッド42を交換するタイミングを適切に判定することができなくなる。
そこで、上部電極検知パターン510および対向電極検知パターン522を、図12を参照しながら説明したような積層構成とすることで、上記のような誤判定を抑制することができる。即ち、上部電極検知パターン510および対向電極検知パターン522を、保護層616と、保護層616より卑な金属材料からなる下層との積層構成とする。こうした積層構成における材料としては、例えば、保護層616がIrやTaの場合、下層の材料としては、アルミニウム(Al)あるいはAlを含む合金などを用いることができる。
このように、各検知パターンを積層構成とした場合、クリーニング回数の増加に伴って、上層である保護層616がその一部でも消失して下層が露出すると、インクは下層の卑な金属材料に接触する。すると、下層ではインクが接触した部分において、卑な金属材料に急激な腐食反応が生じることとなる。つまり、保護層616の材料と、下層の金属材料と、インクとの間で電流が流れ、異種金属接触腐食により、イオン化傾向の高い下層の金属材料に激しい腐食が生じる。この状態においては、保護層616上にゴミが付着しているので、保護層616の溶け残った部分、側面、あるいは電気的につながった同じ液室502内にある他の上部電極506が、腐食電流が流れる際の貴な金属材料側の電極として作用する。
そして、各検知パターンにおいて、下層側が急激に腐食することにより、検知パターンを配線の一部とする回路の抵抗値が急激に増加する。この場合、検知パターンの両側に接続する配線のうち、個別配線518、530側の接続位置を検知パターンの下層側とすることで、抵抗値の増加が起こりやすくなり、より早期に上部電極506や対向電極508の消失を検知することができるようになる。
以下、図13を参照しながら、本願発明者が行った検証実験の結果を説明する。図13は、上部電極検知パターンが保護層だけの単層のときの、上部電極検知パターンを消失の検知できなかった場合と、上部電極検知パターンが積層構成としたときの、上部電極検知パターンの消失を検知した場合とを示したグラフである。図13では、横軸にクリーニング処理の実施回数を示し、縦軸に測定部82-1で測定した抵抗値の逆数を示す。
上部電極検知パターン510が単層のとき、多くの場合、n回目のクリーニング処理後に記録ヘッド42の交換タイミングの指標となる閾値よりも小さくなり、上部電極検知パターン510の消失を検知することができた。しかしながら、図13に示すように、n回目のクリーニング処理以降であっても、上記閾値よりも小さくならない場合があった。つまり、このときには、記録ヘッド42の交換タイミングを適切に検知できていないこととなる。
一方、上部電極検知パターン510が積層構成のとき、ほぼすべての場合で、図13に示すように、n回目のクリーニング処理後には上記閾値よりも小さくなっていた。つまり、上部電極検知パターン510を積層構成とすることで、高い確率で上部電極検知パターン510の消失を検知して、記録ヘッド42の交換タイミングを適正に検知することができていることとなる。なお、対向電極検知パターン522についても、上部電極検知パターン510と同様の結果が得られた。
(記録処理)
以上において説明した記録装置10では、ホスト装置50などから記録コマンドが入力されると、記録処理が実行される。図11は、記録処理の詳細な処理内容を示すフローチャートである。図11のフローチャートに示される一連の処理は、制御部52において、MPU54がROM56に記憶されているプログラムコードをDRAM58に展開して実行されることにより行われる。あるいはまた、図11におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電気回路などのハードウェアで実行してもよい。なお、各処理の説明における符号Sは、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。
記録処理が開始されると、まず、MPU54は、I/F48を介してホスト装置50などから入力された画像データを、GA62を介してDRAM58に展開し、記録ヘッド42におけるインクの吐出、非吐出を制御するための記録データを生成する(S1102)。次に、MPU54は、コゲ抑制のための電圧を印加する(S1104)。即ち、S1104では、電界調整器76を介してスイッチ704を閉じスイッチ710を開いて、上部電極506を陰極、対向電極508を陽極とした状態で、定電圧電源702により電圧を印加する。
その後、MPU54は、記録データに基づいて記録動作(および搬送動作)を実行するとともに、記録動作中の記録ヘッド42におけるインクの吐出回数Cのカウントを開始する(S1106)。所定量の記録動作が終了するなどのタイミングで、MPU54は、DRAM58に保存されている累積吐出回数Sを読み出す(S1108)。累積吐出回数Sとは、記録ヘッド42がインクを吐出した回数の総数である。累積吐出回数Sは、記録ヘッド42を交換するタイミングで初期化される。そして、累積吐出回数Sと、記録動作中にカウントした吐出回数Cとを加算し、総吐出回数Snを取得する(S1110)。なお、S1110ではさらに、MPU54は、DRAM58に保存されている累積吐出回数Sの値を、総吐出回数Snの値に更新する。
次に、MPU54は、S1110で総吐出回数Snが、予め記憶されている閾値T以上であるか否かを判定する(S1112)。この閾値Tは、例えば、上部電極506に付着したコゲに起因する、記録ヘッド42におけるインクの吐出の不安定化が生じない吐出回数の上限値、または、当該上限値よりも所定値だけ小さい値とする。こうした閾値Tについては、例えば、使用するインクの種類などに応じて実験的に求められる。
S1112において、総吐出回数Snが閾値T以上でないと判定されると、後述するS1122に進む。また、S1112において、総吐出回数Snが閾値T以上であると判定されると、MPU54は、吸引回復処理を実行する(S1114)。即ち、S1114では、MPU54は、CRモータドライバ64を介してキャリッジモータ24を駆動し、キャリッジ14をホームポジションに移動させる。そして、回復モータドライバ72を介して回復系モータ74を駆動して、記録ヘッド42にキャップ部材36を当接させるとともに、ポンプ38によりキャップ部材36内を減圧して、吐出口412からインクを強制的に排出する。
その後、MPU54は、吸引回復処理を実行した状態で、クリーニング処理を実行する(S1116)。即ち、S1116では、まず、MPU54が、電界調整器76を介してスイッチ704を開き、スイッチ710をa側で閉じ、この状態を所定時間だけ維持する。これにより、液室502におけるインクを介して上部電極506から対向電極508へ電流が流れる。このため、一定のスピードで上部電極506がインク中に溶出し、上部電極506上に生じたコゲが除去される。なお、S1116では、一定間隔で、スイッチ710をa側とb側との間で切り替えて、上部電極506および対向電極508の極性を反転させるようにしてもよい。
こうした吸引回復処理とクリーニング処理とによって、上部電極506に生じたコゲが除去される。そして、クリーニング処理中も実行されている吸引回復処理によって、上部電極506から除去されたコゲを含有するインクを排出することができ、液室502内に新たなインクを供給することができる。吸引回復処理は、クリーニング処理が終了するタイミングで終了することとなる。
クリーニング処理が終了すると、次に、第3回路802および第4回路806における配線抵抗を測定する(S1118)。即ち、S1118では、MPU54が電界調整器76を介して、第3回路802において、スイッチ804を閉じて測定部82-1により配線抵抗を測定する。また、第4回路806において、スイッチ808を閉じて測定部82-2により配線抵抗を測定する。
そして、S1118において得られた抵抗値Rが、閾値Rt以下か否かを判定する(S1120)。閾値Rtは、例えば、回路内において電極(上部電極506、対向電極508)が消失していないと判定可能な抵抗値の下限値、または、下限値よりも所定値だけ小さい値とする。こうした閾値Rtについては、例えば、使用するインクの種類などに応じて実験的に求められる。
S1120において、抵抗値Rが閾値Rt以下であると判定されると、再度記録を行うか否かを判定し(S1122)、記録を行うと判定されるとS1102に戻り、記録を行わないと判定されると、この記録処理を終了する。即ち、MPU54は、抵抗値Rが閾値Rt以下であると、上部電極506、対向電極508が、その機能を喪失することのない膜厚で残存していると判定し、後続する記録の実行が可能となる。
また、S1120において、抵抗値Rが閾値Rt以下でないと判定されると、MPU54は、記録ヘッド42の交換を促す通知を行い(S1124)、この記録処理を終了する。即ち、MPU54は、抵抗値Rが閾値Rt以下でない、つまり、閾値Rtを超えていると、上部電極506、対向電極508が、その機能を喪失する程度まで消失、つまり、コゲを除去する機能を喪失したと判定し、記録ヘッド42の交換を促す。このように、本実施形態では、制御部52が、例えば、測定部82による抵抗値に基づき検知された電極のインクへの溶出の程度(検知結果)に応じて、記録ヘッド42の交換のタイミングを判定し、記録ヘッド42の交換を促す通知を行う通知部として機能する。なお、制御部52は、測定部82で測定した抵抗値に基づいて、上記タイミングを判定して、記録ヘッド42の交換を促すようにしてもよい。
本実施形態では、記録ヘッド42が上部電極検知パターン510と対向電極検知パターン522とを備えている。このため、S1120では、測定部82-1で測定された抵抗値R1と、測定部82-2で測定された抵抗値R2とをそれぞれ、閾値Rtと比較する。そして、抵抗値R1、R2の少なくともどちらか一方が閾値Rt以下であると判定された際に、S1124に進むこととなる。なお、S1124における通知の方法としては、ホスト装置50や記録装置10の表示部(不図示)に表示するなど、公知の種々の技術を用いることができる。
なお、閾値Rtについては、上部電極506を含む第3回路802の抵抗値R1と比較する閾値Rt1と、対向電極508を含む第4回路806の抵抗値R2と比較する閾値Rt2と、の互いに異なる2つの閾値を備えるようにしてもよい。対向電極508が消失しても、記録ヘッド42は使用可能であるため、対向電極508側の閾値Rt2は、オープンとなる値を設定することができる。一方、上部電極506は、キャビテーションやインクから発熱抵抗素子610を保護するため、ある程度、残存する必要がある。このため、上部電極506側の閾値Rt1は、上記機能を保持するのみ最低限必要な残存量を検知可能な値に設定することができる。
以上において説明したように、本実施形態では、記録ヘッド42において、発熱抵抗素子610を保護するとともにインクによるコゲが付着する上部電極506を含む第3回路802を形成し、第3回路802における配線抵抗を測定可能なようにした。また、上部電極506へのコゲの付着を抑制するための対向電極508を含む第4回路806を形成し、第4回路806における配線抵抗を測定可能なようにした。
これにより、記録ヘッド42において、上部電極506、対向電極508が消失するなど、その機能を喪失するタイミングを検知することができるようになる。このため、記録ヘッドの交換のタイミングを適切に検知することができるようになり、より適切なタイミングで記録ヘッド42の交換を行うことができるようになる。従って、記録ヘッド42の交換に要するコストを抑制することができるようになる。
(検証実験)
次に、本実施形態の効果を確認するために本願発明者が行った検証実験について説明する。なお、検証実験で用いる記録装置10は、ヘッドユニット12においてタンク40が着脱可能であり、記録ヘッド42はキャリッジ14に固定的に設けられた構成となっている。また、インクとして、顔料シアンインクを用いた。
<検証例1>
・記録ヘッドの構成
検証例1では、基板406において、絶縁層614上に保護層616として、イリジウム層30nmを形成した後にパターニングし、当該イリジウム層上にタンタル層60nmを形成してパターニングした。こうして形成された保護層616によって、基板406に、上部電極506、対向電極508、および上部電極検知パターン510を形成した。なお、この際、複数の上部電極506の総面積と、複数の対向電極508の総面積とは、概ね一致するようにした。また、上部電極検知パターン510は、図5(b)のように、矩形のベタ形状とした。この検証例1では、対向電極検知パターン522は形成していない。
そして、基板406上に流路形成部材408を形成し、その他の必要な端子などを形成することにより、記録ヘッド42を作製した。なお、検証例1では、対向電極検知パターン522を設けていないため、記録ヘッド42では、上部電極検知パターン510を配線の一部とする第3回路802において、測定部82-1により配線抵抗を測定可能な構成となっている。
・クリーニング処理
まず、上部電極506上にコゲを付着させるために、第2回路712において上部電極506と対向電極508との間に、対向電極508が陽極となるように1Vの電圧を印加し、この状態で記録ヘッド42に(1×109)回の吐出動作を実行させた。吐出動作中、記録ヘッド42は50℃に温度調整されるようにした。吐出動作終了後、液室502内のインクをクリアインクに置換し、上部電極506の表面状態を観察した結果、上部電極506へのコゲの付着が確認された。
次に、液室502内のインクを顔料シアンインクで置換した後に、記録ヘッド42への吸引回復処理を行いながらクリーニング処理を行った。クリーニング処理としては、具体的には、第2回路712において上部電極506と対向電極508との間に、5Vの電圧を、1秒ずつ、極性を反転させながら60秒間印加した。
その後、スイッチ804を閉じて、測定部82-1により第3回路802の配線抵抗を測定した結果、得られた抵抗値Rが閾値Rt以下であることが確認された。また、クリーニング処理後、液室502内のインクをクリアインクに置換し、上部電極506の表面状態を観察した結果、上部電極506に付着していたコゲが除去されていることが確認された。
そして、タンク40を交換し新たなタンク40をセットし、上記吐出動作により上部電極506にコゲを付着させ、その後、吸引回復処理を伴う上記クリーニング処理を行う一連の処理を、合計14回行った。14回目の上記処理後には、観察の結果、クリーニング処理後の上部電極506の表面ではコゲが除去されていることが確認された。そして、14回目の上記処理後にタンク40を交換して記録を行うと、最初にタンク40をセットして記録したときとほぼ同等の記録品位であった。また、14回目の上記処理後の第3回路802の配線抵抗は、抵抗値Rが閾値Rt以下であることが確認され、配線が断線していないと判定された。
続いて、上記処理をさらに1回行い、合計15回目の上記処理を行った。15回目の上記処理後の第3回路802の配線抵抗は、抵抗値Rが閾値Rtを超えていることが確認され、配線が断線していると判定された。その後、液室502内のインクをクリアインクに置換し、上部電極506および上部電極検知パターン510を観察した結果、それぞれが消失していた。具体的には、上部電極506および上部電極検知パターン510におけるイリジウム層が消失して、下地の絶縁層614が露出した状態であった。
<検証例2>
・記録ヘッドの構成
検証例2では、基板406において、絶縁層614上に保護層616として、イリジウム層30nmを形成した後にパターニングし、当該イリジウム層上にタンタル層60nmを形成してパターニングした。こうして形成された保護層616によって、基板406に、上部電極506および対向電極508を形成した。この際、上部電極506が2個に対して、1個の対向電極508が対応するように形成されている。そして、上部電極506の総面積と対向電極508の総面積とは、2:1となるようにした。
そして、基板406上に流路形成部材408を形成し、その他の必要な端子などを形成することにより記録ヘッド42を作製した。なお、検証例2では、複数ある対向電極508のうちの1つを対向電極検知パターンとして用いるようにした。従って、対向電極検知パターンとする対向電極508には、個別配線530を接続するようにし、当該対向電極508を配線の一部とする第4回路806において、測定部82-2により配線抵抗を測定可能な構成となっている。この検証例2では、対向電極検知パターン522とともに上部電極検知パターン510も形成されていない。
・クリーニング処理
まず、上部電極506上にコゲを付着させるために、第2回路712において上部電極506と対向電極508との間に、対向電極508が陽極となるように1Vの電圧を印加し、この状態で記録ヘッド42に(1×109)回の吐出動作を実行させた。吐出動作中、記録ヘッド42は50℃に温度調整されるようにした。吐出動作終了後、液室502内のインクをクリアインクに置換し、上部電極506の表面状態を観察した結果、上部電極506へのコゲの付着が確認された。
次に、液室502内のインクを顔料シアンインクで置換した後に、記録ヘッド42への吸引回復処理を行いながらクリーニング処理を行った。クリーニング処理としては、具体的には、第2回路712において上部電極506と対向電極508との間に、5Vの電圧を、1秒ずつ、極性を反転させながら60秒間印加した。
その後、スイッチ808を閉じて、測定部82-2により第4回路806の配線抵抗を測定した結果、得られた抵抗値Rが閾値Rt以下であることが確認された。また、クリーニング処理後、液室502内のインクをクリアインクに置換し、上部電極506の表面状態を観察した結果、上部電極506に付着していたコゲが除去されていることが確認された。
そして、タンク40を交換して新たなタンク40をセットし、上記吐出動作により上部電極506にコゲを付着させ、その後、吸引回復処理を伴う上記クリーニング処理を行う一連の処理を、合計7回行った。7回目の上記処理後には、観察の結果、クリーニング処理後の上部電極506の表面ではコゲが除去されていることが確認された。そして、7回目の上記処理後にタンク40を交換して記録を行うと、最初にタンク40をセットして記録したときとほぼ同等の記録品位であった。また、7回目の上記処理後の第4回路806の配線抵抗は、抵抗値Rが閾値Rt以下であることが確認され、配線が断線していないと判定された。
続いて、上記処理をさらに1回行い、合計8回目の上記処理を行った。8回目の上記処理後の第4回路806の配線抵抗は、抵抗値Rが閾値Rtを超えていることが確認され、配線が断線していると判定された。その後、液室502内のインクをクリアインクに置換し、対向電極検知パターンとして用いられる対向電極508を含むすべての対向電極508を観察した結果、それらが消失していた。具体的には、対向電極508におけるイリジウム層が消失して、下地の絶縁層614が露出した状態であった。
このように、検証例1、2において、配線抵抗の抵抗値Rが閾値Rt以下となって、配線が断線していると判定されるタイミングと、監視対象とした電極が消失するタイミングとが同じであることが確認できた。
<検証例3>
・記録ヘッドの構成
検証例3では、基板406において、絶縁層614上に保護層616として、イリジウム層30nmを形成した後にパターニングし、当該イリジウム層上にタンタル層60nmを形成してパターニングした。こうして形成された保護層616によって、基板406に、上部電極506、対向電極508、および上部電極検知パターン510を形成した。この際、上部電極検知パターン510は、図9のように、スネーク形状とした。
そして、基板406上に流路形成部材408を形成し、その他の必要な端子などを形成することにより、記録ヘッド42を作製した。なお、検証例3では、対向電極検知パターン522を設けていないため、記録ヘッド42では、上部電極検知パターン510を配線の一部とする第3回路802において、測定部82-1により配線抵抗を測定可能な構成となっている。なお、この第3回路802では、共通配線514および個別配線512の抵抗と、スネーク形状とした上部電極検知パターン510の抵抗と、個別配線518の抵抗とは、1:10:1となるようにした。
・クリーニング処理
まず、測定部82-1による配線抵抗の測定により、初期の抵抗値が約240Ωであることを確認した。
そして、上部電極506上にコゲを付着させるために、第2回路712において上部電極506と対向電極508との間に、対向電極508が陽極となるように1Vの電圧を印加し、この状態で記録ヘッド42に(1×109)回の吐出動作を実行させた。吐出動作中、記録ヘッド42は50℃に温度調整されるようにした。吐出動作終了後、液室502内のインクをクリアインクに置換し、上部電極506の表面状態を観察した結果、上部電極506へのコゲの付着が確認された。
次に、液室502内のインクを顔料シアンインクで置換した後に、記録ヘッド42への吸引回復処理を行いながらクリーニング処理を行った。クリーニング処理としては、具体的には、第2回路712において上部電極506と対向電極508との間に、5Vの電圧を、1秒ずつ、極性を反転させながら60秒間印加した。
その後、スイッチ804を閉じて、測定部82-1により第3回路802の配線抵抗を測定した結果、得られた抵抗値Rが閾値Rt以下であることが確認された。また、クリーニング処理後、液室502内のインクをクリアインクに置換し、上部電極506の表面状態を観察した結果、上部電極506に付着していたコゲが除去されていることが確認された。
そして、タンク40を交換し新たなタンク40をセットし、上記吐出動作により上部電極506にコゲを付着させ、その後、吸引回復処理を伴う上記クリーニング処理を行う一連の処理を、合計7回行った。7回目の上記処理後には、観察の結果、クリーニング処理後の上部電極506の表面ではコゲが除去されていることが確認された。そして、7回目の上記処理後にタンク40を交換して記録を行うと、最初にタンク40をセットして記録したときとほぼ同等の記録品位であった。また、7回目の上記処理後の第3回路802の配線抵抗は、抵抗値が440Ω程度であった。なお、この抵抗値については、閾値Rt以下となっており、配線が断線していないと判定された。
続いて、上記処理をさらに7回行った。合計14回目の上記処理後には、観察の結果、クリーニング後の上部電極506の表面ではコゲが除去されていることが確認された。そして、14回目の上記処理後にタンク40を交換して記録を行うと、最初にタンク40をセットして記録したときとほぼ同等の記録品位であった。また、14回目の上記処理後の第3回路802の配線抵抗は、抵抗値が640Ω程度であった。なお、この抵抗値については、閾値Rt以下となっており、配線が断線していないと判定された。
その後、上記処理をさらに1回行った。合計15回目の処理後の第3回路802の配線抵抗は、抵抗値Rが閾値Rtを超えていることが確認され、配線が断線していると判定された。その後、液室502内のインクをクリアインクに置換し、上部電極506および上部電極検知パターン510を観察した結果、それぞれが消失していた。具体的には、上部電極506および上部電極検知パターン510におけるイリジウム層が消失して、下地の絶縁層614が露出した状態であった。
検証例3では、クリーニング回数に対する抵抗値の増加分の傾きと、配線が断線していると判定されるタイミングとから、1回のクリーニング処理で、おおよそ2nm程度の膜厚が減少することが確認できた。
<比較例>
・記録ヘッドの構成
比較例では、基板406において、絶縁層614上に保護層616として、イリジウム層70nmを形成した後にパターニングし、当該イリジウム層上にタンタル層60nmを形成してパターニングした。こうして形成された保護層616によって、上部電極506および対向電極508を形成した。そして、基板406上に流路形成部材408を形成し、その他の必要な端子などを形成して、記録ヘッド42を作製した。
なお、比較例では、上部電極検知パターン510、対向電極検知パターン522、第3回路802、第4回路806などは設けられていない。また、この記録ヘッド42では、形成されたイリジウム層の面内分布や後工程における膜厚分布を鑑み、記録ヘッド42の交換にタイミングの指標とするクリーニング回数を20回に設定した。
・クリーニング処理
検証例1と同様にして、新たなタンク40をセットし、上記吐出動作により上部電極506にコゲを付着させ、吸引回復処理を伴う上記クリーニング処理を行う一連の処理を、合計20回行った。20回目の上記処理後に、上部電極506の膜厚を測定したところ、残存した膜厚は約30nmであった。
このように、比較例では、記録ヘッド42の交換タイミングの指標として設定されたクリーニング回数の上限に達しても、上部電極506は、膜厚30nmで残存していることが確認された。この場合、まだクリーニング処理を実行することができ、記録品位を維持した記録が可能であるにもかかわらず、記録ヘッド42は交換されてしまうこととなる。
これに対して、本実施形態による検証例1、2、3については、電極を含む配線における抵抗の測定値に基づいて、記録ヘッド42の交換のタイミングを管理している。このため、記録ヘッド42の交換のタイミングを判定するための値に、記録ヘッド42の製造工程において生じる製造公差に応じたマージンを設ける必要がなくなる。これにより、適切なタイミングで記録ヘッド42を交換することができるようになる。
(他の実施形態)
なお、上記した実施形態は、以下の(1)乃至(4)に示すように変形してもよい。
(1)上記実施形態では、上部電極検知パターン510を、上部電極506の配列方向の端部に設けるようにしたが、これに限定されるものではない。即ち、上部電極検知パターン510は、対向電極508まで距離が上部電極506と同程度となること、上部電極506との間の抵抗がインク抵抗に比べて十分に小さいこと、を満たす位置であれば、任意の2つの上部電極506間に位置するようにしてもよい。対向電極検知パターン522についても同様である。即ち、上部電極506までの距離が対向電極508と同程度となること、対向電極508との間の抵抗がインク抵抗に比べて十分に小さいこと、を満たす位置であれば、任意の2つの対向電極508間に位置するようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、記録処理において、クリーニング処理後に配線抵抗を測定するようにしたが、これに限定されるものではない。即ち、記録動作を実行する前の所定のタイミングで配線抵抗を測定するようにしてもよい。この場合、記録動作開始時の上部電極506および対向電極508の膜厚を取得することがでるようになり、取得した膜厚からクリーニング処理を実行可能な回数を算出し、当該回数を記録ヘッド42の交換のタイミングを判断する際の指標とするようにしてもよい。なお、上記所定のタイミングとしては、例えば、記録ヘッド42を交換したタイミングである。
(3)上記実施形態は、インクを吐出して記録媒体に記録する記録装置のみに適用されるものではなく、液体吐出ヘッドから種々の液体を吐出する液体吐出装置として広く適用可能である。また、上記実施形態では、記録装置10を、Y方向に搬送される記録媒体に対して、X方向に移動する記録ヘッドからインクを吐出する、所謂、シリアルスキャンタイプの記録装置としたが、これに限定されるものではない。即ち、記録媒体における記録領域の幅方向全域に亘る長尺な記録ヘッドを用いる、所謂、フルラインタイプの記録装置としてもよい。
(4)上記実施形態および上記した(1)乃至(3)に示す各種の形態は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
42 記録ヘッド
52 制御部
82 測定部
802 第3回路
806 第4回路

Claims (22)

  1. 液室に貯留された液体を吐出する吐出口と、
    発熱によって前記液体を前記吐出口から吐出させる電気熱変換素子と、
    前記電気熱変換素子を保護するとともに、前記液体との電気化学反応によって前記液体に溶出可能な第1電極と、
    前記液体を介して前記第1電極と電気的に接続可能に設けられた第2電極と、
    を備え、電圧を印加して前記第2電極により前記第1電極に電気化学反応を生じさせて、前記第1電極を前記液体に溶出させる液体吐出ヘッドであって、
    前記第1電極を配線の一部とする回路における配線抵抗を測定可能に構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 液室に貯留された液体を吐出する吐出口と、
    発熱によって前記液体を前記吐出口から吐出させる電気熱変換素子と、
    前記電気熱変換素子を保護するとともに、前記液体との電気化学反応によって前記液体に溶出可能な第1電極と、
    前記液体を介して前記第1電極と電気的に接続可能に設けられた第2電極と、
    を備え、電圧を印加して前記第2電極により前記第1電極に電気化学反応を生じさせて、前記第1電極を前記液体に溶出させる液体吐出ヘッドであって、
    前記第1電極の液体への溶出とともに液体に溶出され、前記第1電極の液体への溶出の程度を検知するための検知パターンと、
    前記検知パターンを配線の一部とする回路における配線抵抗を測定可能に構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  3. 前記検知パターンは、前記第1電極と同じ材料であり、かつ、同じ膜厚で形成されることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記検知パターンは、前記第1電極と同じ材料、かつ、前記第1電極よりも高抵抗となる形状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記検知パターンは、所定領域内で蛇行するように形成されたスネーク形状であることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記第1電極は、個別に設けられた配線を介して前記回路に接続されることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記第1電極は、前記検知パターンを介して前記回路に接続されることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記検知パターンは、前記第1電極と同じ材料であり、かつ、同じ膜厚からなる上層と、前記第1電極よりも卑な金属を含む材料からなる下層との積層構成であることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記検知パターンは、前記回路を構成する前記検知パターン固有の第1配線と、前記第1電極が接続される第2配線とに接続され、前記第1配線は、前記下層に接続されることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 液室に貯留された液体を吐出するための吐出口と、
    発熱によって前記液体を前記吐出口から吐出させる電気熱変換素子と、
    前記電気熱変換素子を保護するとともに、前記液体との電気化学反応によって前記液体に溶出可能な第1電極と、
    前記液体との電気化学反応によって前記液体に溶出可能であって、前記液体を介して前記第1電極と電気的に接続可能に設けられた第2電極と、
    を備え、前記第1電極と前記第2電極との間で極性を反転させながら電圧を印加することで、前記第2電極により前記第1電極に電気化学反応を生じさせて、前記第1電極を前記液体に溶出させる液体吐出ヘッドであって、
    前記第2電極を配線の一部とする回路における配線抵抗を測定可能に構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  11. 液室に貯留された液体を吐出するための吐出口と、
    発熱によって前記液体を前記吐出口から吐出させる電気熱変換素子と、
    前記電気熱変換素子を保護するとともに、前記液体との電気化学反応によって前記液体に溶出可能な第1電極と、
    前記液体との電気化学反応によって前記液体に溶出可能であって、前記液体を介して前記第1電極と電気的に接続可能に設けられた第2電極と、
    を備え、前記第1電極と前記第2電極との間で極性を反転させながら電圧を印加することで、前記第2電極により前記第1電極に電気化学反応を生じさせて、前記第1電極を前記液体に溶出させる液体吐出ヘッドであって、
    前記第2電極の液体への溶出とともに液体に溶出される、前記第2電極の溶出の程度を検知するための検知パターンと、
    前記検知パターンを配線の一部とする回路における配線抵抗を測定可能に構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  12. 前記検知パターンは、前記第2電極と同じ材料であり、かつ、同じ膜厚で形成されることを特徴とする請求項11に記載の液体吐出ヘッド。
  13. 前記検知パターンは、前記第2電極と同じ材料であり、かつ、高抵抗となる形状に形成されることを特徴とする請求項11に記載の液体吐出ヘッド。
  14. 前記検知パターンは、所定領域内で蛇行するように形成されたスネーク形状であることを特徴とする請求項13に記載の液体吐出ヘッド。
  15. 前記第2電極は、個別に設けられた配線を介して前記回路に接続されることを特徴とする請求項11から14のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  16. 前記第2電極は、前記検知パターンを介して前記回路に接続されることを特徴とする請求項11から14のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  17. 前記検知パターンは、前記第2電極と同じ材料であり、かつ、同じ膜厚からなる上層と、前記第1電極よりも卑な金属を含む材料からなる下層との積層構成であることを特徴とする請求項11に記載の液体吐出ヘッド。
  18. 前記検知パターンは、前記回路を構成する前記検知パターン固有の第1配線と、前記第2電極が接続される第2配線とに接続され、前記第1配線は、前記下層に接続されることを特徴とする請求項17に記載の液体吐出ヘッド。
  19. 請求項1から9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
    前記回路における配線抵抗を測定可能な測定手段と、
    前記測定手段の測定結果に基づいて前記第1電極の溶出の程度を検知する検知手段と、
    を有することを特徴とする液体吐出装置。
  20. 請求項10から18のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
    前記回路における配線抵抗を測定可能な測定手段と、
    前記測定手段の測定結果に基づいて前記第2電極の溶出の程度を検知する検知手段と、
    を有することを特徴とする液体吐出装置。
  21. 前記検知手段の検知結果に基づいて、前記液体吐出ヘッドの交換のタイミングを判定して、前記液体吐出ヘッドの交換を促す通知を行う通知手段をさらに有することを特徴とする請求項19または20に記載の液体吐出装置。
  22. 発熱によって液室内の液体を吐出口から吐出させる電気熱変換素子を保護するとともに、前記液体との電気化学反応によって前記液体に溶出可能な第1電極と、
    前記液体との電気化学反応によって前記液体に溶出可能であって、前記液体を介して前記第1電極と電気的に接続可能に設けられた第2電極と、
    を備えた液体吐出ヘッドにおいて、電圧を印加して前記第2電極により前記第1電極に電気化学反応を生じさせて、前記第1電極を前記液体に溶出させることで、前記第1電極に付着した前記液体に由来するコゲを除去するクリーニング方法であって、
    前記第1電極、前記第2電極、または、前記第1電極あるいは前記第2電極の前記液体への溶出の程度を検知するための検知パターンを配線の一部とする回路における抵抗値を測定し、
    測定された前記抵抗値に基づいて、前記第1電極におけるコゲの除去が可能か否かを判定することを特徴とするクリーニング方法。
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