JP2022026563A - 印刷装置および印刷方法 - Google Patents

Abstract

【課題】読取結果としての画像データに発生する突発的なひずみの検出を遂行するために好適なテストパターンを提供する。【解決手段】印刷装置は、搬送部と、インクを吐出するノズルを複数有する印刷ヘッドと、ノズルによるインク吐出の状態を検査するためのテストパターンを印刷媒体へ印刷する制御部と、を備え、テストパターンは、ノズルにより印刷されるパターン要素が搬送方向に複数並んだ第１パターン要素群と、ノズルにより印刷されるパターン要素が搬送方向に複数並んだ第２パターン要素群と、を有し、制御部は、複数のノズルにインクを吐出させることにより第１パターン要素群を印刷した印刷媒体を、ノズルピッチ以上の距離分、搬送部に搬送させた上で、第１パターン要素群の印刷に使用した複数のノズルにインクを吐出させることにより、第２パターン要素群を印刷媒体へ印刷する。【選択図】図４

Description

本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。

インクジェット方式の印刷装置であって、記録ヘッドにより印刷用紙へテストパターンを記録し、テストパターンをスキャナーにより読み取り、読取データを補間処理し、補間処理後の読取データに基づいてノズルの異常を判定する技術が開示されている（特許文献１参照）。

特開２００７‐５４９７０号公報

しかしながら、テストパターンを印刷した印刷媒体をスキャナーが読み取る際に、突発的な振動や外力が起きることにより、テストパターンの読取データの一部に伸縮等のひずみが生じることがあった。このような読取データにおけるひずみが発生した部分からは、各ノズルによる印刷が正常であったか否かを検査することが難しい。そのため、上述したような読取データのひずみを検出し易いテストパターンが必要とされている。

印刷装置は、印刷媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、インクを吐出するノズルを複数有する印刷ヘッドと、前記搬送部および前記印刷ヘッドを制御することにより、前記ノズルによるインク吐出の状態を検査するためのテストパターンを前記印刷媒体へ印刷する制御部と、を備え、前記テストパターンは、前記ノズルにより印刷されるパターン要素が前記搬送方向に複数並んだ第１パターン要素群と、前記ノズルにより印刷されるパターン要素が前記搬送方向に複数並んだ第２パターン要素群と、を有し、前記制御部は、複数の前記ノズルに前記インクを吐出させることにより前記第１パターン要素群を印刷した前記印刷媒体を、前記搬送方向における前記ノズルの間隔であるノズルピッチ以上の距離分、前記搬送部に搬送させた上で、前記第１パターン要素群の印刷に使用した複数の前記ノズルに前記インクを吐出させることにより、前記第２パターン要素群を前記印刷媒体へ印刷する。

印刷方法は、インクを吐出するノズルを複数有する印刷ヘッドを使用して、前記ノズルによるインク吐出の状態を検査するためのテストパターンを印刷媒体へ印刷する印刷工程を備え、前記テストパターンは、前記ノズルにより印刷されるパターン要素が前記印刷媒体の搬送方向に複数並んだ第１パターン要素群と、前記ノズルにより印刷されるパターン要素が前記搬送方向に複数並んだ第２パターン要素群と、を有し、前記印刷工程では、複数の前記ノズルに前記インクを吐出させることにより前記第１パターン要素群を印刷した前記印刷媒体を、前記搬送方向における前記ノズルの間隔であるノズルピッチ以上の距離分、搬送した上で、前記第１パターン要素群の印刷に使用した複数の前記ノズルに前記インクを吐出させることにより、前記第２パターン要素群を前記印刷媒体へ印刷する。

装置構成を簡易的に示すブロック図。 印刷ヘッドや搬送部を含む構成の具体例を示す図。 印刷媒体と印刷ヘッドとの関係性を上方からの視点により示す図。 ＴＰの印刷からノズルの検査までの流れを示すフローチャート。 ステップＳ１３０～Ｓ１５０により印刷媒体へＴＰが印刷される様子を示す図。 インク色毎のＴＰが印刷された印刷媒体等を示す図。 読取画像データの一部を示す図。 他の例にかかるＴＰを示す図。

以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。

１．装置構成：
図１は、本実施形態にかかる印刷装置１０の構成を簡易的に示している。
印刷装置１０は、制御部１１、表示部１３、操作受付部１４、通信ＩＦ１５、搬送部１６、キャリッジ１７、印刷ヘッド１８、読取部１９等を備える。ＩＦは、インターフェイスの略である。制御部１１は、プロセッサーとしてのＣＰＵ１１ａ、ＲＯＭ１１ｂ、ＲＡＭ１１ｃ等を有する一つ又は複数のＩＣや、その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。

制御部１１では、プロセッサーつまりＣＰＵ１１ａが、ＲＯＭ１１ｂや、その他のメモリー等に保存された一つ以上のプログラム１２に従った演算処理を、ＲＡＭ１１ｃ等をワークエリアとして用いて実行することにより、印刷制御部１２ａ、読取制御部１２ｂ、検査部１２ｃ等の各種機能を実現する。なお、プロセッサーは、一つのＣＰＵに限られることなく、複数のＣＰＵや、ＡＳＩＣ等のハードウェア回路により処理を行う構成であってもよいし、ＣＰＵとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成であってもよい。

表示部１３は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ＥＬディスプレイ等により構成される。表示部１３は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路とを含む構成であってもよい。操作受付部１４は、ユーザーによる操作を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、マウスや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部１３の一機能として実現されるとしてもよい。

表示部１３や操作受付部１４は、印刷装置１０の構成の一部であってもよいが、印刷装置１０に対して外付けされた周辺機器であってもよい。通信ＩＦ１５は、印刷装置１０が公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠して有線又は無線で外部と接続するための一つまたは複数のＩＦの総称である。

搬送部１６は、印刷媒体を搬送するための手段であり、ローラーや、ローラー等を回転させるモーターを含む。印刷ヘッド１８は、インクジェット方式によりノズルからインクを印刷媒体へ吐出して印刷を実行する。読取部１９は、印刷媒体における印刷結果を読み取る手段である。読取部１９をスキャナーとも呼ぶ。ただし、印刷装置１０は読取部１９を含まない構成であってもよい。

キャリッジ１７は、不図示のキャリッジモーターによる動力を受けて所定方向に沿って往復移動可能な機構である。キャリッジ１７が移動する所定方向を、主走査方向とも呼ぶ。キャリッジ１７は図２や図３に示すように印刷ヘッド１８を搭載している。

図１に示す印刷装置１０の構成は、一台のプリンターによって実現されてもよいし、通信可能に接続した複数の装置により実現されてもよい。
つまり、印刷装置１０は、実態として印刷システム１０であってもよい。印刷システム１０は、例えば、制御部１１として機能する情報処理装置と、搬送部１６やキャリッジ１７や印刷ヘッド１８や更には読取部１９を含んだプリンターと、を含む。このような印刷装置１０または印刷システム１０により、本実施形態の印刷方法が実現される。
また、制御部１１のうち印刷制御部１２ａとして機能する部分と、読取制御部１２ｂや検査部１２ｃとして機能する部分とは、別体の情報処理装置であってもよい。

図２は、印刷装置１０の一部であって主に印刷ヘッド１８や搬送部１６を含む構成の具体例を示している。図２内の上段では、印刷媒体３０の搬送方向Ｄ２に直交する視点により前記具体例を示し、図２内の下段では、上方からの視点により前記具体例の一部を示している。
搬送部１６は、搬送の上流に繰出軸２２を備え、かつ、搬送の下流に巻取軸２５を備える。搬送の上流、下流を、単に、上流、下流と表記する。繰出軸２２および巻取軸２５にロール状に巻き付けられた長尺な印刷媒体３０が、搬送方向Ｄ２に沿って張架されている。印刷媒体３０は搬送方向Ｄ２へ搬送される。印刷媒体３０は、用紙であってもよいし、紙以外の素材による媒体であってもよい。

図２の例では、繰出軸２２が時計回りに回転することで、繰出軸２２に巻き付けられた印刷媒体３０が下流へ繰り出される。繰出軸２２の下流位置には、前駆動ローラー２３が設けられ、巻取軸２５の上流位置には、後駆動ローラー２４が設けられている。前駆動ローラー２３は、前記時計回りに回転することで、繰出部２２から繰り出される印刷媒体３０を下流へ搬送する。前駆動ローラー２３に対してはニップローラー２３ｎが設けられている。ニップローラー２３ｎは、印刷媒体３０に当接することにより、前駆動ローラー２３との間で印刷媒体３０を挟み込んでいる。

後駆動ローラー２４は、前記時計回りに回転することで、前駆動ローラー２３により下流へ搬送される印刷媒体３０を更に下流へ搬送する。後駆動ローラー２４に対してはニップローラー２４ｎが設けられている。ニップローラー２４ｎは、印刷媒体３０に当接することにより、後駆動ローラー２４との間で印刷媒体３０を挟み込んでいる。

前駆動ローラー２３と後駆動ローラー２４との間には、印刷媒体３０に対して上方からインクを吐出する印刷ヘッド１８が配設されている。図２から解るように、印刷ヘッド１８は、キャリッジ１７に搭載されている。印刷ヘッド１８は、例えば、シアン（Ｃ）、マゼンタ（Ｍ）、イエロー（Ｙ）、ブラック（Ｋ）といった複数色のインクを吐出可能である。

印刷ヘッド１８が有する各ノズルは、印刷ヘッド１８の印刷媒体３０に対向するノズル面２０に開口しており、印刷ヘッド１８は、印刷データに基づいてインクをノズルから吐出したり吐出しなかったりする。ノズルが吐出するインクを、インク滴と呼んだりドットと呼んだりもする。印刷ヘッド１８を、印字ヘッド、インクジェットヘッド、液体吐出ヘッド、記録ヘッド等と呼んでもよい。

巻取軸２５が前記時計回りに回転することにより、後駆動ローラー２４により搬送される印刷後の印刷媒体３０が巻取軸２５に巻き取られる。
繰出軸２２や、巻取軸２５や、各ローラーや、これらを適宜回転させるための不図示のモーター等が、印刷媒体３０を搬送する搬送部１６の具体例である。印刷媒体３０を搬送するために搬送経路の途中に設けられるローラーの数や配置は、図２に示した態様に限定されない。また、印刷ヘッド１８が吐出するインクの色も上述した色に限定されない。言うまでもなく、前駆動ローラー２３と後駆動ローラー２４との間には、印刷ヘッド１８からのインク吐出を受ける印刷媒体３０を下方から支持する平坦なプラテン等が設けられていてもよい。また、印刷ヘッド１８による印刷が施された印刷媒体３０の部分は、巻取軸２５によってロール状に巻き取られるのではなく、不図示のカッターにより当該部分よりも上流の印刷媒体３０から切り離されて回収されるとしてもよい。

図２の例では、読取部１９は、キャリッジ１７および印刷ヘッド１８よりも下流かつ後駆動ローラー２４よりも上流の位置に設けられている。読取部１９は、印刷ヘッド１８により印刷がなされた印刷媒体３０をイメージセンサーにより光学的に読み取って、読取結果としての画像データを出力する。図２の例では、読取部１９は、搬送方向Ｄ２に交差する主走査方向Ｄ１に延在して印刷媒体３０の幅をカバー可能な長さを有しており、搬送部１６が搬送する印刷媒体３０を、静止した状態で読み取る。

図３は、印刷媒体３０と印刷ヘッド１８との関係性を上方からの視点により簡易的に示している。キャリッジ１７に搭載された印刷ヘッド１８は、キャリッジ１７とともに主走査方向Ｄ１の一端から他端への移動（往路移動）や他端から一端への移動（復路移動）をする。主走査方向Ｄ１と搬送方向Ｄ２とは交差している。この交差は直交と解してよい。従って、図２内の上段では、主走査方向Ｄ１と平行な向きの視点により印刷ヘッド１８等を図示している。ただし、例えば製品としてのプリンターにおける種々の誤差により、主走査方向Ｄ１と搬送方向Ｄ２とは厳密には直交していないこともある。搬送方向を、副走査方向とも呼ぶ。

図３では、ノズル面２０におけるノズル２１の配列の一例を示している。ノズル面２０内の一つ一つの小さな丸がノズル２１である。印刷ヘッド１８は、インクカートリッジやインクタンク等と呼ばれる不図示の液体保持手段から各色のインクの供給を受けてノズル２１から吐出する構成において、ノズル列２６を複数備える。Ｃインクを吐出するノズル２１からなるノズル列２６をノズル列２６Ｃとも記載する。同様に、Ｍインクを吐出するノズル２１からなるノズル列２６をノズル列２６Ｍ、Ｙインクを吐出するノズル２１からなるノズル列２６をノズル列２６Ｙ、Ｋインクを吐出するノズル２１からなるノズル列２６をノズル列２６Ｋと夫々記載することがある。ノズル列２６Ｃ，２６Ｍ，２６Ｙ，２６Ｋは、主走査方向Ｄ１に沿って並んでいる。

夫々のノズル列２６は、搬送方向Ｄ２におけるノズル２１同士の間隔であるノズルピッチが一定或いはほぼ一定とされた複数のノズル２１により構成される。ノズル列２６を構成する複数のノズル２１が並ぶ方向を、ノズル列方向Ｄ３と呼ぶ。図３の例では、ノズル列方向Ｄ３は、搬送方向Ｄ２と平行である。ノズル列方向Ｄ３が搬送方向Ｄ２と平行な構成においては、ノズル列方向Ｄ３と主走査方向Ｄ１とは直交する。ただし、ノズル列方向Ｄ３は、搬送方向Ｄ２と平行でなく、主走査方向Ｄ１に対して斜めに交差する構成であってもよい。

搬送方向Ｄ２におけるノズル列２６Ｃ，２６Ｍ，２６Ｙ，２６Ｋそれぞれの位置は、互いに一致している。印刷装置１０は、搬送方向Ｄ２への印刷媒体３０の搬送と、主走査方向Ｄ１に沿ったキャリッジ１７の移動に伴う印刷ヘッド１８によるインク吐出とを組み合わせて実行することで、印刷媒体３０へ画像を印刷する。キャリッジ１７の往路移動や復路移動に伴い印刷ヘッド１８がインク吐出する動作を「走査」や「パス」と呼ぶ。

２．テストパターン印刷：
図４は、制御部１１がプログラム１２に従って実行する、ＴＰの印刷からＴＰに基づくノズル２１の検査までの流れをフローチャートにより示している。ＴＰは、テストパターンの略である。フローチャートは、概略、ＴＰ印刷処理（ステップＳ１００）と、印刷されたＴＰの読取結果の取得（ステップＳ２００）と、ＴＰの読取結果に基づく突発的ずれの検出（ステップＳ３００）と、ＴＰの読取結果に基づくノズル２１の検査（ステップＳ４００）とからなる。ステップＳ１００は、ＴＰの印刷工程に該当する。図４では、ステップＳ１００を、ステップＳ１１０～Ｓ１５０に分けて詳しく示している。

ステップＳ１１０では、印刷制御部１２ａは、ＴＰを表現する画像データであるＴＰ画像データを、制御部１１が通信可能な所定のメモリーや記憶装置等の保存元から取得する。ＴＰ画像データは、例えば、所定の表色系で各画素の色を規定したビットマップ形式の画像データである。ここで言う表色系とは、例えば、ＲＧＢ（レッド、グリーン、ブルー）表色系、ＣＭＹＫ表色系等、様々である。

ステップＳ１２０では、印刷制御部１２ａは、ＴＰを印刷するための印刷データを、ＴＰ画像データから生成する。印刷制御部１２ａは、ＴＰ画像データに対して、色変換処理やハーフトーン処理といった所定の画像処理を必要に応じて実行することにより、画素毎かつインク色毎にインク吐出（ドットオン）またはインク非吐出（ドットオフ）を規定した印刷データを生成する。図３を参照して説明したように、印刷ヘッド１８がＣＭＹＫの４色のインクを使用することを前提とすると、ステップＳ１２０では、印刷制御部１２ａは、ＴＰ画像データに基づいて、画素毎かつＣＭＹＫ毎にドットオン・オフを規定した印刷データを生成する。

本実施形態のＴＰは、ノズル２１により印刷される「パターン要素」が搬送方向Ｄ２に複数並んだ「第１パターン要素群」と、このようなパターン要素が搬送方向Ｄ２に複数並んだ「第２パターン要素群」と、を有する。一つのパターン要素は一つのノズル２１により印刷される。また、第１パターン要素群と第２パターン要素群とは、搬送方向Ｄ２においてノズルピッチ以上の距離分ずれた位置関係で、印刷媒体３０へ印刷される。
ステップＳ１３０～Ｓ１５０について、図５を参照して具体的に説明する。

図５は、ステップＳ１３０～Ｓ１５０によって印刷媒体３０へＴＰが印刷される様子を示している。
ステップＳ１３０では、印刷制御部１２ａは、主走査方向Ｄ１に沿ったキャリッジ１７の移動および印刷ヘッド１８によるインク吐出を制御することにより、印刷データに基づいて印刷媒体３０へ第１パターン要素群を印刷する。図５内の左には、第１パターン要素群４１Ｃの印刷に使用するノズル列２６Ｃの一部と、印刷媒体３０の一部とを示し、さらに、ステップＳ１３０により第１パターン要素群４１Ｃが印刷媒体３０へ印刷された状態を示している。印刷ヘッド１８のパスにより、ノズル列２６Ｃの各ノズル２１からＣインクが吐出されて、複数のパターン要素５１Ｃが印刷される。第１パターン要素群４１Ｃは、複数のパターン要素５１Ｃが搬送方向Ｄ２に並んで構成されている。

一つのパターン要素５１Ｃは、ノズル列２６Ｃ内の一つのノズル２１が吐出するＣインクのドットで形成された、主走査方向Ｄ１に平行な罫線である。図５において、符号“Ｐ”は、ノズルピッチを示している。つまり、複数のパターン要素５１Ｃは、理想的には、搬送方向Ｄ２においてノズルピッチＰと同じ間隔で並んで印刷される。また図５では、ノズル列２６Ｃ内のノズル２１を区別するために、便宜上、各ノズル２１にノズル番号を付している。具体的には、下流から上流に向かってノズル番号＃１，＃２，＃３…というようにノズル２１毎に番号を順に付している。図５では、紙面の都合上、ノズル番号＃１～＃５までの５個のノズル２１を示しているが、当然、ノズル列２６Ｃはより多くのノズル２１で構成されており、ノズル列２６Ｃの各ノズル２１が夫々にパターン要素５１Ｃを印刷する。第１パターン要素群４１Ｃを構成するパターン要素５１Ｃを「第１パターン要素」と呼んでもよい。

ステップＳ１３０で第１パターン要素群を印刷した後、ステップＳ１４０において、印刷制御部１２ａは、搬送部１６を制御して、所定ずらし量分の印刷媒体３０の搬送を実行させる。ここでは、所定ずらし量を、ノズルピッチＰの２倍の距離とする。つまり、印刷媒体３０を、ノズルピッチＰ×２の距離だけ下流へ搬送する。このような搬送の結果、図５から解るように、ステップＳ１３０においてノズル番号＃３のノズル２１で印刷したパターン要素５１Ｃは、ノズル番号＃１のノズル２１と搬送方向Ｄ２の位置が一致あるいはほぼ一致するようになる。

ステップＳ１４０の後、ステップＳ１５０では、印刷制御部１２ａは、主走査方向Ｄ１に沿ったキャリッジ１７の移動および印刷ヘッド１８によるインク吐出を制御することにより、印刷データに基づいて印刷媒体３０へ第２パターン要素群を印刷する。図５内の右には、第２パターン要素群４２Ｃの印刷に使用するノズル列２６Ｃの一部と、印刷媒体３０の一部とを示し、さらに、ステップＳ１５０により第２パターン要素群４２Ｃが印刷媒体３０へ印刷された状態を示している。つまり、ノズル列２６Ｃにより、第１パターン要素群４１Ｃを印刷した後、所定ずらし量の搬送を経て、同じノズル列２６Ｃにより、第２パターン要素群４２Ｃを印刷する。印刷ヘッド１８のパスにより、ノズル列２６Ｃの各ノズル２１からＣインクが吐出されて、複数のパターン要素５２Ｃが印刷される。第２パターン要素群４２Ｃは、複数のパターン要素５２Ｃが搬送方向Ｄ２に並んで構成されている。

パターン要素５２Ｃも、パターン要素５１Ｃと同じく、ノズル列２６Ｃ内の一つのノズル２１が吐出するＣインクのドットで形成された、主走査方向Ｄ１に平行な罫線である。パターン要素５１Ｃ同士の関係と同じく、複数のパターン要素５２Ｃは、理想的には、搬送方向Ｄ２においてノズルピッチＰと同じ間隔で並んで印刷される。第２パターン要素群４２Ｃを構成するパターン要素５２Ｃを「第２パターン要素」と呼んでもよい。
ステップＳ１５０により第２パターン要素群４２Ｃが印刷された結果、図５から解るように、ノズル番号＃１のノズル２１で印刷したパターン要素５２Ｃは、ステップＳ１３０においてノズル番号＃３のノズル２１で印刷したパターン要素５１Ｃと搬送方向Ｄ２の位置が一致あるいはほぼ一致する。

以上のように、第１パターン要素群と第２パターン要素群とを有するＴＰが印刷媒体３０へ印刷される。当然、ノズル列２６Ｃ以外のノズル列２６Ｍ，２６Ｙ，２６Ｋも、ステップＳ１３０において夫々に第１パターン要素群を印刷し、ステップＳ１５０において夫々に第２パターン要素群を印刷する。

図６は、ステップＳ１００の結果、インク色毎のＴＰ４０Ｃ，４０Ｍ，４０Ｙ，４０Ｋが印刷された印刷媒体３０を示している。ＴＰ４０Ｃは、図５を用いて説明したようにノズル列２６Ｃの各ノズル２１がＣインクを吐出することにより印刷された第１パターン要素群４１Ｃおよび第２パターン要素群４２Ｃにより構成されている。同様に、ＴＰ４０Ｍは、ノズル列２６Ｍの各ノズル２１がＭインクを吐出することにより印刷された第１パターン要素群４１Ｍおよび第２パターン要素群４２Ｍにより構成されている。ＴＰ４０Ｙは、ノズル列２６Ｙの各ノズル２１がＹインクを吐出することにより印刷された第１パターン要素群４１Ｙおよび第２パターン要素群４２Ｙにより構成されている。ＴＰ４０Ｋは、ノズル列２６Ｋの各ノズル２１がＫインクを吐出することにより印刷された第１パターン要素群４１Ｋおよび第２パターン要素群４２Ｋにより構成されている。

つまり、ステップＳ１３０では、印刷ヘッド１８のパスにより、第１パターン要素群４１Ｃ、第１パターン要素群４１Ｍ、第１パターン要素群４１Ｙおよび第１パターン要素群４１Ｋを印刷する。そして、ステップＳ１４０の搬送を経て、ステップＳ１５０では、印刷ヘッド１８のパスにより、第２パターン要素群４２Ｃ、第２パターン要素群４２Ｍ、第２パターン要素群４２Ｙおよび第２パターン要素群４２Ｋを印刷する。

図５や図６から解るように、一つのＴＰ、つまり一つのインク色のＴＰを構成する第１パターン要素群と第２パターン要素群とは、主走査方向Ｄ１において隣り合う位置に配置される。例えば、主走査方向Ｄ１において、Ｃインクによる第１パターン要素群４１Ｃと第２パターン要素群４２Ｃとの間に、他のインクによるＴＰは印刷されていない。

３．テストパターン印刷後の処理：
ステップＳ２００では、読取制御部１２ｂは、読取部１９を制御することにより、ステップＳ１００でＴＰが印刷された後の印刷媒体３０の読み取りを実行させ、読取部１９から読取結果としての画像データである読取画像データを取得する。むろん、搬送部１６は、印刷後の印刷媒体３０を読取部１９に読み取りさせるために必要な分の搬送を実行する。

図６には、印刷媒体３０よりも下流に読取部１９を示している。搬送部１６が下流へ搬送する印刷媒体３０が読取部１９の下方を通過するときに、印刷媒体３０が読取部１９によって読み取られる。図６の例では、読取部１９は、複数のセンサーチップ１９１，１９２，１９３，１９４が主走査方向Ｄ１に連なって構成されている。複数のセンサーチップ１９１，１９２，１９３，１９４は、各々がイメージセンサーを有しており、搬送される印刷媒体３０の所定の範囲を読み取る。

ただし、ステップＳ２００においては、制御部１１は、ＴＰが印刷された印刷媒体３０の読取結果を取得できればよい。従って、ＴＰが印刷された印刷媒体３０をユーザーが外部のスキャナーに読み取らせ、印刷装置１０が、当該スキャナーから読取画像データを、通信ＩＦ１５を介して取得するとしてもよい。

ステップＳ３００では、検査部１２ｃは、ステップＳ２００で取得された読取画像データに基づいて「突発的ずれ」の検出を行う。突発的ずれとは、ＴＰが印刷された印刷媒体３０を読取部１９やスキャナーが読み取る際に、印刷媒体３０や読取部１９等に対して突発的な振動や外力が起きることにより読取画像データの一部に生じる、伸縮等のひずみである。突発的な振動や外力は、例えば、印刷媒体３０の読取期間に、ユーザーが印刷装置１０やスキャナーを触ったりこれらの近くをユーザーが歩いたり、印刷媒体３０の搬送経路の形状等に起因したりして、発生し得る。後のステップＳ４００による検査において、突発的ずれを、ノズル２１の異常に起因するパターン要素の位置ずれと混同しないために、ステップＳ３００を実行する。

図７は、ステップＳ２００で取得された読取画像データ６０の一部を示している。図７では、あるインク色のＴＰの読取結果の一部を表している。具体的には、符号５１ａや符号５２ａは、印刷媒体３０に印刷されたパターン要素の読取結果としての画像であり、これらをパターン要素画像５１ａ，５２ａと呼ぶ。例えば、複数のパターン要素画像５１ａは、図５に示した第１パターン要素群４１Ｃを構成する複数のパターン要素５１Ｃの読取結果であり、複数のパターン要素画像５２ａは、第２パターン要素群４２Ｃを構成する複数のパターン要素５２Ｃの読取結果である。

検査部１２ｃは、読取画像データ６０における、第１パターン要素群の画像である複数のパターン要素画像５１ａと、第２パターン要素群の画像である複数のパターン要素画像５２ａとの違いを評価することにより、突発的ずれを検出する。
突発的ずれの検出方法の具体例を以下に説明する。

検査部１２ｃは、ずれ量ΔＰ（ｎ）と、ずれ量ΔＰ（ｎ－Ｎ）とを、以下のように求める。
ΔＰ（ｎ）＝Ｐ（ｎ）－Ｐ（ｎ）´
ΔＰ（ｎ－Ｎ）＝Ｐ（ｎ－Ｎ）－Ｐ（ｎ－Ｎ）´
ずれ量ΔＰ（ｎ）や、ずれ量ΔＰ（ｎ－Ｎ）が、パターン要素画像５１ａとパターン要素画像５２ａとの違いに該当する。

各式において、ｎは１以上の整数である。Ｐ（ｎ）は、第１パターン要素群の読取結果における、下流側から数えてｎ番目の「パターン要素ピッチ」である。第１パターン要素群の読取結果におけるパターン要素ピッチとは、搬送方向Ｄ２におけるパターン要素画像５１ａの間隔である。図７では、パターン要素画像５１ａ，５２ａの夫々に括弧書きでノズル番号を付している。これは、パターン要素画像５１ａ，５２ａの夫々について、読み取ったパターン要素がどのノズル２１で印刷されたかを示している。本実施形態では、第１パターン要素群に関して、ノズル番号＃ｎのノズル２１で印刷したパターン要素のパターン要素画像５１ａと、ノズル番号＃ｎ＋１のノズル２１で印刷したパターン要素のパターン要素画像５１ａとの間隔を、Ｐ（ｎ）とする。従って、例えば、ノズル番号＃３のノズル２１で印刷したパターン要素５１Ｃのパターン要素画像５１ａと、ノズル番号＃４のノズル２１で印刷したパターン要素５１Ｃのパターン要素画像５１ａとの間隔が、パターン要素ピッチＰ３である。図７には、パターン要素ピッチＰ１，Ｐ２，Ｐ３，Ｐ４を例示している。

Ｐ（ｎ）´は、第２パターン要素群の読取結果における、下流側から数えてｎ番目のパターン要素ピッチである。第２パターン要素群の読取結果におけるパターン要素ピッチは、搬送方向Ｄ２におけるパターン要素画像５２ａの間隔である。本実施形態では、第２パターン要素群に関して、ノズル番号＃ｎのノズル２１で印刷したパターン要素のパターン要素画像５２ａと、ノズル番号＃ｎ＋１のノズル２１で印刷したパターン要素のパターン要素画像５２ａとの間隔を、Ｐ（ｎ）´とする。例えば、ノズル番号＃３のノズル２１で印刷したパターン要素５２Ｃのパターン要素画像５２ａと、ノズル番号＃４のノズル２１で印刷したパターン要素５２Ｃのパターン要素画像５２ａとの間隔が、パターン要素ピッチＰ３´である。図７には、パターン要素ピッチＰ１´，Ｐ２´，Ｐ３´，Ｐ４´を例示している。
ずれ量ΔＰ（ｎ）は、このようなパターン要素ピッチＰ（ｎ）とパターン要素ピッチＰ（ｎ）´との差分である。

同様に、Ｐ（ｎ－Ｎ）は、第１パターン要素群の読取結果における、下流側から数えてｎ－Ｎ番目のパターン要素ピッチである。また、Ｐ（ｎ－Ｎ）´は、第２パターン要素群の読取結果における、下流側から数えてｎ－Ｎ番目のパターン要素ピッチである。
Ｎは、ステップＳ１４０で採用した所定ずらし量に対応する数値である。所定ずらし量の単位はノズルピッチＰであり、上述したように所定ずらし量はノズルピッチＰ×２であるから、ここではＮ＝２である。
従って、パターン要素ピッチＰ（ｎ）およびパターン要素ピッチＰ（ｎ－Ｎ）´は、例えば、パターン要素ピッチＰ３およびパターン要素ピッチＰ１´のように、読取画像データ６０内で、搬送方向Ｄ２における位置が共通する関係性を有する。
ずれ量ΔＰ（ｎ－Ｎ）は、このようなパターン要素ピッチＰ（ｎ－Ｎ）とパターン要素ピッチＰ（ｎ－Ｎ）´との差分である。

パターン要素ピッチＰ（ｎ）とパターン要素ピッチＰ（ｎ）´とは、同じ組み合わせの２個のノズル２１で印刷されたパターン要素同士の距離であるため、理想的には、つまり突発的ずれが無ければ、ずれ量ΔＰ（ｎ）は０である。同様に、パターン要素ピッチＰ（ｎ－Ｎ）とパターン要素ピッチＰ（ｎ－Ｎ）´とは、同じ組み合わせの２個のノズル２１で印刷されたパターン要素同士の距離であるため、理想的には、ずれ量ΔＰ（ｎ－Ｎ）は０である。
また、パターン要素ピッチＰ（ｎ）およびパターン要素ピッチＰ（ｎ－Ｎ）´は、搬送方向Ｄ２における位置が共通する関係にあるため、同様の突発的ずれを含み得る関係にある。

そこで、検査部１２ｃは、以下の条件１～３の全てが成立するときに、パターン要素ピッチＰ（ｎ）およびパターン要素ピッチＰ（ｎ－Ｎ）´に、突発的ずれ有り、と判断する。
条件１：ΔＰ（ｎ）の正負と、ΔＰ（ｎ－Ｎ）の正負とが反対である。
条件２：ΔＰ（ｎ）＋ΔＰ（ｎ－Ｎ）の絶対値が、所定の第１しきい値より小さい。
条件３：ΔＰ（ｎ）の絶対値、ΔＰ（ｎ－Ｎ）の絶対値の夫々がいずれも所定の第２しきい値より大きい。なお、第１しきい値＜第２しきい値、とする。

例えば、ｎ＝３の場合に注目すると、ΔＰ３＝Ｐ３－Ｐ３´の符号は正であり、ΔＰ１＝Ｐ１－Ｐ１´の符号は負であるから、条件１を満たす。さらに、（Ｐ３－Ｐ３´）＋（Ｐ１－Ｐ１´）の絶対値が第１しきい値より小さく、かつ、（Ｐ３－Ｐ３´）の絶対値、（Ｐ１－Ｐ１´）の絶対値の夫々が第２しきい値より大きければ、条件２および条件３も満たすことになる。ｎ＝３として、このような条件１～３が成立するとき、検査部１２ｃは、パターン要素ピッチＰ３およびパターン要素ピッチＰ１´に突発的ずれ有り、と判断する。

図５，７を参照すると、ノズル番号＃３のノズル２１で印刷したパターン要素５１Ｃとノズル番号＃１のノズル２１で印刷したパターン要素５２Ｃとを同時に読み取った後、ノズル番号＃４のノズル２１で印刷したパターン要素５１Ｃとノズル番号＃２のノズル２１で印刷したパターン要素５２Ｃとを読み取るまでに必要以上に時間を要し、読取画像データ６０の一部であるパターン要素ピッチＰ３およびパターン要素ピッチＰ１´が搬送方向Ｄ２に間伸びしている。このような間伸びが、突発的ずれの一種である。

ステップＳ４００では、検査部１２ｃは、ステップＳ２００で取得された読取画像データと、ステップＳ３００による突発的ずれの検出結果とに基づいて、印刷ヘッド１８のノズル２１によるインク吐出の状態を検査する。インク吐出の状態は、正常と異常とに分けられる。異常とは、ドットの着弾位置が理想的な位置からずれている着弾位置ずれ等を指す。検査部１２ｃは、読取画像データにおける各パターン要素ピッチとパターン要素ピッチに関する所定の基準値と比較し、例えば、基準値よりも狭すぎたり広すぎたりするパターン要素ピッチの印刷に関わったノズル２１について、異常と判断すればよい。ただし、検査部１２ｃは、ステップＳ３００において突発的ずれ有りと判断したパターン要素ピッチについては、ステップＳ４００の検査から除外する。

例えば、上述したようにパターン要素ピッチＰ３およびパターン要素ピッチＰ１´において突発的ずれの検出に成功した場合、検査部１２ｃは、パターン要素ピッチＰ３およびパターン要素ピッチＰ１´と、これらに上流側で隣り合うパターン要素ピッチＰ４およびパターン要素ピッチＰ２´とについては、ステップＳ４００の検査対象としない。検査部１２ｃは、図７の例では、読取画像データ６０におけるパターン要素ピッチＰ１，Ｐ２，Ｐ３´，Ｐ４´を対象にして、ステップＳ４００の検査を実行する。これにより、突発的ずれに起因して不適切な間隔となっている可能性が高いパターン要素ピッチに基づいてノズル２１の正常か異常かの検査をして、一部のノズル２１について異常であると誤判断することを、回避できる。検査部１２ｃは、ステップＳ４００による検査結果を記憶する。
以上で、図４のフローチャートを終了する。

４．まとめ及び効果の説明：
このように本実施形態によれば、印刷装置１０は、印刷媒体３０を搬送方向Ｄ２へ搬送する搬送部１６と、インクを吐出するノズル２１を複数有する印刷ヘッド１８と、搬送部１６および印刷ヘッド１８を制御することにより、ノズル２１によるインク吐出の状態を検査するためのＴＰを印刷媒体３０へ印刷する制御部１１と、を備える。ＴＰは、ノズル２１により印刷されるパターン要素５１Ｃが搬送方向Ｄ２に複数並んだ第１パターン要素群４１Ｃと、ノズル２１により印刷されるパターン要素５２Ｃが搬送方向Ｄ２に複数並んだ第２パターン要素群４２Ｃと、を有する。そして、制御部１１は、複数のノズル２１にインクを吐出させることにより第１パターン要素群４１Ｃを印刷した印刷媒体３０を、搬送方向Ｄ２における所定ずらし量分、搬送部１６に搬送させた上で、第１パターン要素群４１Ｃの印刷に使用した複数のノズル２１にインクを吐出させることにより、第２パターン要素群４２Ｃを印刷媒体３０へ印刷する。

所定ずらし量は、少なくとも、ノズルピッチＰ以上の距離とする。このような構成によれば、印刷装置１０は、突発的ずれの検出に適したＴＰを印刷することができる。つまり、本実施形態では、共通の複数のノズルを用いて実質的に同じ画像である第１パターン要素群と第２パターン要素群とを、搬送方向Ｄ２にノズルピッチＰ以上ずらして印刷する。そのため、ＴＰの読取画像データにおける第１パターン要素群に対応するパターン要素ピッチと第２パターン要素群に対応するパターン要素ピッチとを比較することにより、読取画像データ内のどこに読取時の不具合に起因する突発的ずれが発生しているかを、適切に検出することが可能となる。そして、突発的ずれを適切に検出することにより、ＴＰの読取画像データに基づいて行うノズル２１についての正常か異常かの検査の精度を高めることができる。

上述したように、所定ずらし量をノズルピッチＰ以上の距離とすることにより、読取画像データ内において、本来同じ間隔であるべき第１パターン要素群における一つのパターン要素ピッチと第２パターン要素群における一つのパターン要素ピッチとに、突発的ずれによる違いが発生し得る。つまり、ずれ量ΔＰ（ｎ）や、ずれ量ΔＰ（ｎ－Ｎ）を評価することにより、突発的ずれの有無を判断することができる。
好適な一例として、制御部１１は、第１パターン要素群を印刷した印刷媒体３０を、ノズルピッチＰの２倍以上の距離分、搬送部１６に搬送させた上で、第２パターン要素群を印刷媒体３０へ印刷するとしてもよい。つまり、図５等に示したように、所定ずらし量はノズルピッチＰ×２であってもよい。

所定ずらし量をノズルピッチＰの２倍以上の距離とすれば、突発的ずれが検出されたパターン要素ピッチと、このパターン要素ピッチに上流側で隣り合うパターン要素ピッチとについてステップＳ４００の検査の対象外としても、読取画像データ全体から各ノズル２１についてステップＳ４００の検査を適切に行うことができる。つまり、図７の例によれば、パターン要素ピッチＰ３，Ｐ４を、ステップＳ４００の検査の対象外としても、これらの替わりにパターン要素ピッチＰ３´，Ｐ４´を参照して、ノズル番号＃３，＃４の各ノズル２１の検査を行うことができる。

ＴＰが印刷された印刷媒体３０は、搬送部１６により搬送される際、搬送方向Ｄ２に対して傾いた姿勢で搬送されることがある。印刷媒体３０が傾いている場合、第１パターン要素群と第２パターン要素群との主走査方向Ｄ１における距離が離れているほど、搬送方向Ｄ２における両者の位置関係が所定ずらし量を超えてずれてしまい、上述した突発的ずれの検出方法により突発的ずれを検出することが困難となる。そこで本実施形態では、図６等に示すように、ＴＰを構成する第１パターン要素群と第２パターン要素群とは、主走査方向Ｄ１において隣り合う位置に配置される、としてもよい。このような構成によれば、ＴＰが印刷された印刷媒体３０が傾いた状態で読み取られた場合であって、搬送方向Ｄ２における第１パターン要素群の読取画像と第２パターン要素群の読取画像との位置関係がほぼ正常に保たれて、突発的ずれを検出することが可能となる。

本実施形態によれば、印刷装置１０は、搬送方向Ｄ２において印刷ヘッド１８よりも下流の位置に、ＴＰが印刷された印刷媒体３０を読み取る読取部１９を有するとしてもよい。また、図６の例では、読取部１９は、読取用のイメージセンサーを有するセンサーチップを複数有する。
そして、ＴＰを構成する第１パターン要素群と第２パターン要素群とは、共通のセンサーチップにより読み取り可能な位置に配置される、としてもよい。

図６の例では、印刷媒体３０におけるセンサーチップ１９１によって読み取られる位置に、第１パターン要素群４１Ｃおよび第２パターン要素群４２ＣによるＴＰ４０Ｃが印刷されている。また、図６の例では、印刷媒体３０におけるセンサーチップ１９２によって読み取られる位置にＴＰ４０Ｍが、センサーチップ１９３によって読み取られる位置にＴＰ４０Ｙが、センサーチップ１９４によって読み取られる位置にＴＰ４０Ｋが、夫々に印刷されている。各センサーチップには固有の出力特性や互いの設置位置のずれ等があるため、各センサーチップが出力する読取値には色や位置にずれが有ることがある。図６の例のように、ＴＰを構成する第１パターン要素群および第２パターン要素群が共通のセンサーチップに読み取られる位置関係にあることで、第１パターン要素群の読取値と、第２パターン要素群の読取値とに、センサーチップの違いに起因する各種ずれが生じず、第１パターン要素群の読取値と第２パターン要素群の読取値とに基づく突発的ずれの検出の精度が向上する。

本実施形態は、印刷装置１０や印刷システム１０以外の方法やプログラム１２といった各カテゴリーの発明も開示する。
印刷方法は、インクを吐出するノズル２１を複数有する印刷ヘッド１８を使用して、ノズル２１によるインク吐出の状態を検査するためのＴＰを印刷媒体３０へ印刷する印刷工程を備え、ＴＰは、ノズル２１により印刷されるパターン要素が印刷媒体３０の搬送方向Ｄ２に複数並んだ第１パターン要素群と、ノズル２１により印刷されるパターン要素が搬送方向Ｄ２に複数並んだ第２パターン要素群と、を有し、印刷工程では、複数のノズル２１にインクを吐出させることにより第１パターン要素群を印刷した印刷媒体３０を、搬送方向Ｄ２におけるノズル２１の間隔であるノズルピッチＰ以上の距離分、搬送した上で、第１パターン要素群の印刷に使用した複数のノズル２１にインクを吐出させることにより、第２パターン要素群を印刷媒体３０へ印刷する。

５．他の実施形態：
本実施形態に含まれる他の態様について説明する。
ＴＰの第１パターン要素群を構成する各パターン要素は、主走査方向Ｄ１における位置が全て同じである必要はない。同様に、ＴＰの第２パターン要素群を構成する各パターン要素は、主走査方向Ｄ１における位置が全て同じである必要はない。第１パターン要素群を構成する各パターン要素は、主走査方向Ｄ１における位置が所定数個の周期で一致するように主走査方向Ｄ１においてずれて配置され、同様に、第２パターン要素群を構成する各パターン要素は、主走査方向Ｄ１における位置が前記所定数個の周期で一致するように主走査方向Ｄ１においてずれて配置される、としてもよい。

図８は、印刷媒体３０に印刷されたＴＰの一部を例示している。図８は、図５内の右の図と同様に、ステップＳ１５０による第２パターン要素群の印刷が終わった状態を示している。これまでの説明の通り、第１パターン要素群４１Ｃは、搬送方向Ｄ２における間隔がノズルピッチＰに対応する間隔である複数のパターン要素５１Ｃにより構成され、第１パターン要素群４１Ｃに対して搬送方向Ｄ２に沿って所定ずらし量分ずれている第２パターン要素群４２Ｃは、搬送方向Ｄ２における間隔がノズルピッチＰに対応する間隔である複数のパターン要素５２Ｃにより構成されている。また、図８によれば、各パターン要素５１Ｃは、主走査方向Ｄ１における位置が３個周期で一致するように、主走査方向Ｄ１に位置をずらして配置されている。同様に、各パターン要素５２Ｃも主走査方向Ｄ１における位置が３個周期で一致するように、主走査方向Ｄ１に位置をずらして配置されている。つまり、図８は、前記所定数＝３である場合を示している。前記所定数は、２であってもよいし、４以上であってもよい。パターン要素を主走査方向Ｄ１にずらして印刷することにより、読取画像データに基づく突発的ずれの検出やノズル２１の検査に際して、検査部１２ｃは、一つ一つのパターン要素を特定することが容易となり、また、ユーザーも一つ一つのパターン要素を容易に視認することができる。

いうまでもなく、印刷媒体３０は、図２に例示したようなロール状に巻かれた連続紙等でなくてもよい。印刷媒体３０は、ページ単位で切り分けられた単票紙等であってもよい。

ステップＳ３００において突発的ずれの検出に成功した場合に、制御部１１は、ステップＳ４００の検査を実行するのではなく、ステップＳ１００で印刷したＴＰを再度スキャンしてもよい。例えば、制御部１１は、ステップＳ３００において突発的ずれの検出に成功した場合に、搬送部１６に印刷媒体３０をバックフィードさせる。バックフィードとは、印刷媒体３０を下流から上流へ搬送する処理である。制御部１１は、印刷媒体３０のＴＰが印刷された部分がバックフィードにより、読取部１９よりも上流の位置へ戻ったら、再び下流への印刷媒体３０の搬送を開始し、読取部１９に、ＴＰが印刷された印刷媒体３０の読み取りを実行させる。これにより、制御部１１は、改めて読取画像データを取得し（ステップＳ２００）、この読取画像データに基づいてステップＳ３００を実行することができる。

ＴＰは、ノズル２１により印刷されるパターン要素が搬送方向Ｄ２に複数並んだ第３パターン要素群であって、第１パターン要素群に対して、第２パターン要素群とは逆方向に所定ずらし量分ずれた前記第３パターン要素群を更に有するとしてもよい。つまり、印刷制御部１２ａは、ステップＳ１００において、印刷ヘッド１８のパスによる第３パターン要素群の印刷、所定ずらし量分の印刷媒体３０の搬送、第１パターン要素群の印刷、所定ずらし量分の印刷媒体３０の搬送、第２パターン要素群の印刷、という順序で処理を行うことにより、ＴＰを印刷媒体３０に印刷する。第３パターン要素群も、第１パターン要素群や第２パターン要素群と実質的に同じ画像である。この場合、所定ずらし量をノズルピッチＰ×２とすると、印刷媒体３０において、第３パターン要素群のうちノズル番号＃５のノズル２１で印刷したパターン要素と、第１パターン要素群のうちノズル番号＃３のノズル２１で印刷したパターン要素と、第２パターン要素群のうちノズル番号＃１のノズル２１で印刷したパターン要素とが、搬送方向Ｄ２において位置が一致する。また、第３パターン要素群、第１パターン要素群、第２パターン要素群は、この順番で主走査方向Ｄ１に並ぶ。

このような構成によれば、ＴＰの読取画像データにおいては、第１パターン要素群に該当するパターン要素画像５１ａ間のパターン要素ピッチはいずれも、第２パターン要素群に該当するパターン要素画像５２ａ間のパターン要素ピッチ又は第３パターン要素群に該当するパターン要素画像間のパターン要素ピッチのいずれかと搬送方向Ｄ２における位置が一致する。そのため、検査部１２ｃは、ステップＳ３００において、第１パターン要素群に該当するパターン要素画像５１ａ間のパターン要素ピッチＰ１，Ｐ２，Ｐ３，Ｐ４の全てについて、突発的ずれの検出の対象とすることができる。

読取部１９の配置は、印刷媒体３０よりも下流である必要はなく、印刷媒体３０よりも上流であってもよい。
読取部１９としては、固定式のラインスキャンである必要はなく、例えば、読取部１９が主走査方向Ｄ１に移動しながら読み取りを行う、移動式のシリアルスキャンであってもよい。
一つのパターン要素５１Ｃは罫線である必要はなく、例えば点であってもよい。
すべてのインク色について第２パターン要素群を印刷する必要はなく、例えば、どれか１つのインク色で第２パターン要素群を印刷するだけでもよい。

１０…印刷装置、１１…制御部、１１ａ…ＣＰＵ、１１ｂ…ＲＯＭ、１１ｃ…ＲＡＭ、１２…プログラム、１２ａ…印刷制御部、１２ｂ…読取制御部、１２ｃ…検査部、１６…搬送部、１７…キャリッジ、１８…印刷ヘッド、１９…読取部、２１…ノズル、２６，２６Ｃ，２６Ｍ，２６Ｙ，２６Ｋ…ノズル列、３０…印刷媒体、４０Ｃ，４０Ｍ，４０Ｙ，４０Ｋ…ＴＰ、４１Ｃ，４１Ｍ，４１Ｙ，４１Ｋ…第１パターン要素群、４２Ｃ，４２Ｍ，４２Ｙ，４２Ｋ…第２パターン要素群、５１Ｃ，５２Ｃ…パターン要素、５１ａ，５２ａ…パターン要素画像、６０…読取画像データ

Claims (6)

1. 印刷媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、
   インクを吐出するノズルを複数有する印刷ヘッドと、
   前記搬送部および前記印刷ヘッドを制御することにより、前記ノズルによるインク吐出の状態を検査するためのテストパターンを前記印刷媒体へ印刷する制御部と、を備え、
   前記テストパターンは、前記ノズルにより印刷されるパターン要素が前記搬送方向に複数並んだ第１パターン要素群と、前記ノズルにより印刷されるパターン要素が前記搬送方向に複数並んだ第２パターン要素群と、を有し、
   前記制御部は、複数の前記ノズルに前記インクを吐出させることにより前記第１パターン要素群を印刷した前記印刷媒体を、前記搬送方向における前記ノズルの間隔であるノズルピッチ以上の距離分、前記搬送部に搬送させた上で、前記第１パターン要素群の印刷に使用した複数の前記ノズルに前記インクを吐出させることにより、前記第２パターン要素群を前記印刷媒体へ印刷する、ことを特徴とする印刷装置。
2. 前記制御部は、前記第１パターン要素群を印刷した前記印刷媒体を、前記ノズルピッチの２倍以上の距離分、前記搬送部に搬送させた上で、前記第２パターン要素群を前記印刷媒体へ印刷する、ことを特徴とする請求項１に記載の印刷装置。
3. 前記第１パターン要素群を構成する各パターン要素は、前記搬送方向に交差する主走査方向における位置が所定数個の周期で一致するように前記主走査方向においてずれて配置され、
   前記第２パターン要素群を構成する各パターン要素は、前記主走査方向における位置が前記所定数個の周期で一致するように前記主走査方向においてずれて配置される、ことを特徴とする請求項１または請求項２に記載の印刷装置。
4. 前記第１パターン要素群と前記第２パターン要素群とは、前記搬送方向に交差する主走査方向において隣り合う位置に配置される、ことを特徴とする請求項１～請求項３のいずれかに記載の印刷装置。
5. 前記搬送方向において前記印刷ヘッドよりも下流の位置に、前記テストパターンが印刷された前記印刷媒体を読み取る読取部を有し、
   前記読取部は、読取用のイメージセンサーを有するセンサーチップを複数有し、
   前記第１パターン要素群と前記第２パターン要素群とは、共通の前記センサーチップにより読み取り可能な位置に配置される、ことを特徴とする請求項１～請求項４のいずれかに記載の印刷装置。
6. インクを吐出するノズルを複数有する印刷ヘッドを使用して、前記ノズルによるインク吐出の状態を検査するためのテストパターンを印刷媒体へ印刷する印刷工程を備え、
   前記テストパターンは、前記ノズルにより印刷されるパターン要素が前記印刷媒体の搬送方向に複数並んだ第１パターン要素群と、前記ノズルにより印刷されるパターン要素が前記搬送方向に複数並んだ第２パターン要素群と、を有し、
   前記印刷工程では、複数の前記ノズルに前記インクを吐出させることにより前記第１パターン要素群を印刷した前記印刷媒体を、前記搬送方向における前記ノズルの間隔であるノズルピッチ以上の距離分、搬送した上で、前記第１パターン要素群の印刷に使用した複数の前記ノズルに前記インクを吐出させることにより、前記第２パターン要素群を前記印刷媒体へ印刷する、ことを特徴とする印刷方法。

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