JP2022025363A - 時刻同期方法、時刻同期プログラム、および時刻同期装置、並びに、時刻同期システム - Google Patents
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Abstract
【課題】PTP情報の伝送用の回線としてマイクロ波回線を利用し、対向するマイクロ波無線装置間での高精度な時刻同期を可能とする。【解決手段】第2の無線装置が、第1の同期フレームを受信してから第2の同期フレームを送信するまでの時間に関するカウンタ数をオフセット値として取得するオフセット値取得工程[5]と、第1の無線装置が第1のカウンタをスタートさせてから第2の同期フレームを受信するまでの時間に関するカウンタ数を第1のカウンタにより計測してカウンタ値として取得するカウンタ値取得工程[7]と、取得したカウンタ値をT1とし、オフセット値をT2とした場合に、(T1-T2)/2を遅延値とし、第1のカウンタと第2のカウンタとの差分を遅延値とすることにより第1カウンタと第2のカウンタとを同期させる時刻同期工程と、を備える。【選択図】図1
Description
新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、時刻同期方法、時刻同期プログラム、および時刻同期装置、並びに、時刻同期システムに関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば、マイクロ波無線装置を両端ノードとするマイクロ波無線回線を含む通信ネットワークを利用して行われる時刻同期に用いて好適な技術に関する。
監視制御用通信ネットワークの伝送方式については、PDH(即ち、Plesiochronous Digital Hierarchy)やSDH(即ち、Synchronous Digital Hierarchy)などの同期伝送方式が用いられてきた一方で、インターネットの普及によってEthernetやIP(即ち、Internet Protocol)といったIP系技術を用いた伝送方式(「IP系伝送方式」と呼ぶ)の導入が進みつつある。IP系伝送方式では,複数のアプリケーションが帯域を共用するため,スイッチやルータといった伝送装置においてフレーム/パケットの処理が競合した場合,待ち合わせによる伝送遅延が発生する。この伝送遅延時間は、待ち合わせの対象となるフレーム/パケットのサイズや到着タイミングに依存し変動する。このため、遅延時間や遅延時間変動に厳しい制約を持つ基幹系送電線におけるPCM(Pulse Code Modulation)電流差動リレー方式などのアプリケーションの通信については、現在でもPDH(Plesiochronous Digital Hierarchy)方式による伝送が多く用いられている。
これに対し、IP系伝送方式を用いた高速通信ネットワークを活用した監視・保護制御装置(DMD:Decentralized Modular Device)とこれを用いたシステム(「DMDシステム」と呼ぶ)が開発されつつある。その結果、通信回線として高速の光回線を用い、PTP(Precision Time Protocol)と呼ばれる高精度時刻同期方式を用いて遅延時間変動の影響を抑制し、トラヒックを適切に設計することにより、他のアプリケーションと通信ネットワークを共用し、PCM電流差動リレーの遅延時間及び遅延時間変動制約を満足させることが可能であることが明らかになっている。この他、専用の光回線を利用し遅延時間及び遅延時間変動の影響を抑制するなどによるIP系伝送方式を用いた保護リレー情報(「IP保護リレー情報」と呼ぶ)の伝送の検討が活発に行われている。
一方で、光回線と共に主要な回線として利用されているマイクロ波回線を利用したIP 保護リレー情報の伝送については、これまで検討が進んでいなかったが、近年、伝送遅延時間や伝送遅延時間変動に厳しい制約を持つ保護リレー情報の伝送に対しても光通信網の有効活用と共にIP系伝送方式の適用が検討されつつある(特許文献1)。マイクロ波回線の利用が可能となれば、耐災害性の向上や光ファイバの敷設が困難な山間部等での伝送路としての利用が可能となるほか、光回線やマイクロ波回線のいずれについても汎用のIP系伝送装置の利用が可能となることから、コスト面でも大きなメリットが期待できる。このため、特許文献1に記載のIP系伝送方式では、マイクロ波無線装置へと高精度の同期機能を搭載することによって、高精度な時刻同期方法であるPTP方式を利用して保護リレー装置間を高精度に時刻同期させ、遅延時間変動に対応するようにしている。
ここで、有線回線で構成されるネットワークに対しては、伝送装置を情報が通過する時間(以下滞留時間)を高精度に計測する装置(TC:Transparent Clock)が存在するため、TCを利用することにより伝送装置における遅延時間変動の影響を補正し、高精度な時刻同期を行うことが可能である。しかしながら、特許文献1に記載のIP系伝送方式では、マイクロ波回線を利用しているため、有線回線で構成されるネットワークのようなTCは存在せず、時刻同期の精度は不十分である虞があった。
そこで、本発明は、PTP情報の伝送用の回線としてマイクロ波回線を利用し、対向するマイクロ波無線装置間での高精度な時刻同期を可能とする時刻同期方法、時刻同期プログラム、および時刻同期装置、並びに、時刻同期システムを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明の時刻同期方法は、同期フレームを送受信して時刻同期を行うノード同士の間で同期フレームが伝送される通信ネットワークに含まれる無線回線の両端に設置された一対の無線装置のうちの一方である第1の無線装置が、時刻同期のための第1の同期フレームを一対の無線装置のうちの他方である第2の無線装置へ無線送信し、時間に関する第1のカウンタを0からスタートする第1の送信工程と、第2の無線装置が、第1の同期フレームを受信する第1の受信工程と、第2の無線装置が、第1の同期フレームを受信した後に、第2の同期フレームを第1の無線装置へ無線送信し、時間に関する第2のカウンタを0からスタートする第2の送信工程と、第2の無線装置が、第1の同期フレームを受信してから第2の同期フレームを送信するまでの時間に関するカウンタ数を第2のカウンタにより計測してオフセット値として取得するオフセット値取得工程と、第1の無線装置が、第2の同期フレームを受信する第2の受信工程と、第1の無線装置が第1のカウンタをスタートさせてから第2の同期フレームを受信するまでの時間に関するカウンタ数を第1のカウンタにより計測してカウンタ値として取得するカウンタ値取得工程と、カウンタ値取得工程において取得したカウンタ値をT1とし、オフセット値をT2とした場合に、(T1-T2)/2を遅延値とし、第1のカウンタと第2のカウンタとの差分を遅延値とすることにより第1カウンタと第2のカウンタとを同期させる時刻同期工程と、を備えるようにしている。
また、本発明の時刻同期プログラムは、上記の時刻同期方法を一対の無線装置に実行させるようにしている。
さらに、本発明の時刻同期装置は、同期フレームを送受信して時刻同期を行うノード同士の間で同期フレームが伝送される通信ネットワークに含まれる無線回線の両端に設置された一対の無線装置のうちの一方である第1の無線装置の時間に関する第1のカウンタと、一対の無線装置のうちの他方である第2の無線装置の時間に関する第2のカウンタとを同期させる時刻同期装置であって、第1の無線装置から時刻同期のための第1の同期フレームを第2の無線装置へ無線送信させ、第1のカウンタを0からスタートする第1の送信手段と、第2の無線装置により第1の同期フレームを受信させる第1の受信手段と、第2の無線装置により第1の同期フレームを受信した後に、第2の無線装置から第2の同期フレームを第1の無線装置へ無線送信させ、第2のカウンタを0からスタートさせる第2の送信手段と、第2の無線装置により第1の同期フレームを受信してから第2の同期フレームを送信させるまでの時間に関するカウンタ数を第2のカウンタにより計測してオフセット値として取得するオフセット値取得手段と、第1の無線装置により第2の同期フレームを受信する第2の受信手段と、第1の無線装置により第1のカウンタをスタートさせてから第2の同期フレームを受信するまでの時間に関するカウンタ数を第1のカウンタにより計測してカウンタ値として取得するカウンタ値取得手段と、カウンタ値取得手段において取得したカウンタ値をT1とし、オフセット値をT2とした場合に、(T1-T2)/2を遅延値とし、第1のカウンタと第2のカウンタとの差分を遅延値とすることにより第1カウンタと第2のカウンタとを同期させる時刻同期手段と、を備えるようにしている。
またさらに、本発明の時刻同期システムは、同期フレームを送受信して時刻同期を行うノード同士の間で同期フレームが伝送される通信ネットワークに含まれる無線回線の両端に設置された一対の無線装置を有し、一対の無線装置のうちの一方である第1の無線装置が、時刻同期のための第1の同期フレームを一対の無線装置のうちの他方である第2の無線装置へ無線送信し、時間に関する第1のカウンタを0からスタートする第1の送信機能を備え、第2の無線装置が、第1の同期フレームを受信する第1の受信機能と、第1の同期フレームを受信した後に、第2の同期フレームを第1の無線装置へ無線送信し、時間に関する第2のカウンタを0からスタートする第2の送信機能と、第1の同期フレームを受信してから第2の同期フレームを送信するまでの時間に関するカウンタ数を第2のカウンタにより計測してオフセット値として取得するオフセット値取得機能とを備え、更に、第1の無線装置が、第2の同期フレームを受信する第2の受信機能と、第1のカウンタをスタートさせてから第2の同期フレームを受信するまでの時間に関するカウンタ数を第1のカウンタにより計測してカウンタ値として取得するカウンタ値取得機能と、カウンタ値取得機能において取得したカウンタ値をT1とし、オフセット値をT2とした場合に、(T1-T2)/2を遅延値とし、第1のカウンタと第2のカウンタとの差分を遅延値とすることにより第1カウンタと第2のカウンタとを同期させる時刻同期機能と、を備えるようにしている。
したがって、これらの時刻同期方法、時刻同期プログラム、および時刻同期装置、並びに、時刻同期システムによると、時刻同期を行うノードが利用する通信ネットワークが有線回線と無線回線とが混在するものとして構成される場合でも、一対の無線装置を構成する第1の無線装置と第2の無線装置との間で、例えば通常の通信を開始する前に時間に関するカウンタを同期させることができる。これにより、通常の通信が開始された後であっても、ノード同士の時刻同期が適切に行われるようになり、同期精度が向上する。
また、本発明の時刻同期方法、時刻同期プログラム、および時刻同期装置、並びに、時刻同期システムは、オフセット値は、第2の同期フレームに含まれるようにしても良い。この場合には、第2の無線装置から第1の無線装置に第2の同期フレームを無線送信することで、カウンタ値の計測用の無線送信とオフセット値の伝達との両方を1回の無線送信で実行することができる。
本発明の時刻同期方法、時刻同期プログラム、および時刻同期装置、並びに、時刻同期システムによれば、有線回線と無線回線とが混在する場合でも、例えば通常の通信を開始する前に時間に関するカウンタを同期させることができ、通常の通信が開始された後であっても、ノード同士の時刻同期を適切に行って同期精度を向上させることができるので、時刻同期手法の有用性及び信頼性を向上させることが可能になる。
本発明の時刻同期方法、時刻同期プログラム、および時刻同期装置、並びに、時刻同期システムは、カウンタ値の計測用の無線送信とオフセット値の伝達との両方を1回の無線送信で実行することができるので、これらを別個の無線送信により実行する場合に比べて時刻同期の短時間化を図ることができる。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図7に、本発明に係る時刻同期方法,時刻同期プログラム,及び時刻同期装置、並びに時刻同期システムの実施形態の一例を示す。本実施形態では、図2に示す通信ネットワーク構成に本発明が適用される場合を例に挙げて説明する。
図2に例として示す通信ネットワーク構成では、マスタノード2とスレーブノード3とが有線回線(具体的には例えば、光回線やEthernetケーブル等)及びマイクロ波無線回線によって接続されて通信が行われる。具体的には、マスタノード2が有線回線に接続されていると共にスレーブノード3が有線回線に接続されており、これらマスタノード2側の有線回線とスレーブノード3側の有線回線との間にネットワークブリッジ4A,4Bを経由した上でマイクロ波無線回線が介在している。そして、マイクロ波無線回線を挟むようにマイクロ波無線回線の両端のそれぞれにマイクロ波無線装置1A,1Bが設けられる。なお、図2に示す通信ネットワーク構成はあくまでも一例であり、本発明が適用される通信ネットワークの構成は図2に例として示すものに限定されるものではなく、例えばネットワークブリッジ4A,4Bは本発明が適用される通信ネットワーク構成において必須の要素ではない。
図2に示す通信ネットワークのうちの有線回線では、Ethernetフレームが伝送される。Ethernetフレームは、具体的には、IPヘッダを含むIPパケットにEthernetヘッダ(尚、プリアンブル/物理ヘッダを含む)が付与されている(言い換えると、Ethernetフレームのデータ部にIPパケットを含む)ものである。
マスタノード2と当該マスタノード2側の無線装置1Aとの間及びスレーブノード3と当該スレーブノード3側の無線装置1Bとの間のそれぞれに設けられるネットワークブリッジ4A,4Bとしては、具体的には例えば、ネットワークスイッチやルータなどが挙げられる。
有線回線及び無線回線によって接続されるマスタノード2とスレーブノード3との間では、通信ネットワーク(特に、Ethernetフレーム等を伝送するネットワーク)によって接続されている装置間で時刻同期を行う技術に関する規格であるIEEE1588に基づくPTP(即ち、Precision Time Protocol)に従って時刻同期が行われる。
PTPでは、Syncメッセージ,Follow_Upメッセージ,Delay_Reqメッセージ,及びDelay_Respメッセージといったパケット(これらは、IEEE1588において「同期パケット」として規定されている)をマスタノード2とスレーブノード3との間で送受信することによって時刻同期を行う。
マスタノード2とスレーブノード3との間におけるPTPに従う時刻同期では、TC(即ち、TransparentClock)方式に準じた(別言すると、TC方式と同様の)伝送遅延時間の補正が行われる。
TC方式は、パケットが経由するネットワーク中継装置での経由時間(別言すると、ネットワーク中継装置を滞留する時間)を計測し、計測された経由時間/滞留時間を伝送遅延時間の補正情報として、時刻同期処理の際に用いられる同期パケットへと書き込んで時刻同期の演算に用いることにより、パケットが経由するネットワーク中継装置での遅延時間変動の影響を低減させる方式である。
そして、IEEE1588のPTPで規定されている同期パケットには、伝送遅延時間の補正情報を書き込むための「correctionフィールド」が設けられている。そして、受信側の装置は、correctionフィールドに書き込まれた伝送遅延時間の補正情報を利用して送受信装置間の経由時間を推定し、自装置内部の時計の時刻を送信側の装置が備える時計の時刻と同期させる。
そして、本実施形態の時刻同期方法は、同期フレームを送受信して時刻同期を行うマスタノード2とスレーブノード3との間で同期フレームが伝送される通信ネットワークに含まれる無線回線の両端に設置された一対の無線装置1A,1Bのうちの一方である第1の無線装置1Aが、時刻同期のための第1の同期フレームを一対の無線装置1A,1Bのうちの他方である第2の無線装置1Bへ無線送信し、時間に関する第1のカウンタを0からスタートする第1の送信工程と、第2の無線装置1Bが、第1の同期フレームを受信する第1の受信工程と、第2の無線装置1Bが、第1の同期フレームを受信した後に、第2の同期フレームを第1の無線装置1Aへ無線送信し、時間に関する第2のカウンタを0からスタートする第2の送信工程と、第2の無線装置1Bが、第1の同期フレームを受信してから第2の同期フレームを送信するまでの時間に関するカウンタ数を第2のカウンタにより計測してオフセット値として取得するオフセット値取得工程と、第1の無線装置1Aが、第2の同期フレームを受信する第2の受信工程と、第1の無線装置1Aが第1のカウンタをスタートさせてから第2の同期フレームを受信するまでの時間に関するカウンタ数を第1のカウンタにより計測してカウンタ値として取得するカウンタ値取得工程と、カウンタ値取得工程において取得したカウンタ値をT1とし、オフセット値をT2とした場合に、(T1-T2)/2を遅延値とし、第1のカウンタと第2のカウンタとの差分を遅延値とすることにより第1カウンタと第2のカウンタとを同期させる時刻同期工程と、を備えるようにしている。
また、本実施形態の時刻同期方法は、オフセット値は、第2の同期フレームに含まれるようにしている。
また、本発明の時刻同期プログラムは、上記の時刻同期方法を一対の無線装置に実行させるようにしている。
さらに、本発明の時刻同期装置は、同期フレームを送受信して時刻同期を行うマスタノード2とスレーブノード3との間で同期フレームが伝送される通信ネットワークに含まれる無線回線の両端に設置された一対の無線装置1A,1Bのうちの一方である第1の無線装置1Aの時間に関する第1のカウンタと、一対の無線装置1A,1Bのうちの他方である第2の無線装置1Bの時間に関する第2のカウンタとを同期させる時刻同期装置であって、第1の無線装置1Aから時刻同期のための第1の同期フレームを第2の無線装置1Bへ無線送信させ、第1のカウンタを0からスタートする第1の送信手段と、第2の無線装置1Bにより第1の同期フレームを受信させる第1の受信手段と、第2の無線装置1Bにより第1の同期フレームを受信した後に、第2の無線装置1Bから第2の同期フレームを第1の無線装置1Aへ無線送信させ、第2のカウンタを0からスタートさせる第2の送信手段と、第2の無線装置1Bにより第1の同期フレームを受信してから第2の同期フレームを送信させるまでの時間に関するカウンタ数を第2のカウンタにより計測してオフセット値として取得するオフセット値取得手段と、第1の無線装置1Aにより第2の同期フレームを受信する第2の受信手段と、第1の無線装置1Aにより第1のカウンタをスタートさせてから第2の同期フレームを受信するまでの時間に関するカウンタ数を第1のカウンタにより計測してカウンタ値として取得するカウンタ値取得手段と、カウンタ値取得手段において取得したカウンタ値をT1とし、オフセット値をT2とした場合に、(T1-T2)/2を遅延値とし、第1のカウンタと第2のカウンタとの差分を遅延値とすることにより第1カウンタと第2のカウンタとを同期させる時刻同期手段と、を備えるようにしている。
また、本実施形態の時刻同期装置は、オフセット値は、第2の同期フレームに含まれるようにしている。
またさらに、本発明の時刻同期システムは、同期フレームを送受信して時刻同期を行うマスタノード2とスレーブノード3との間で同期フレームが伝送される通信ネットワークに含まれる無線回線の両端に設置された一対の無線装置1A,1Bを有し、一対の無線装置1A,1Bのうちの一方である第1の無線装置1Aが、時刻同期のための第1の同期フレームを一対の無線装置のうちの他方である第2の無線装置1Bへ無線送信し、時間に関する第1のカウンタを0からスタートする第1の送信機能を備え、第2の無線装置1Bが、第1の同期フレームを受信する第1の受信機能と、第1の同期フレームを受信した後に、第2の同期フレームを第1の無線装置1Aへ無線送信し、時間に関する第2のカウンタを0からスタートする第2の送信機能と、第1の同期フレームを受信してから第2の同期フレームを送信するまでの時間に関するカウンタ数を第2のカウンタにより計測してオフセット値として取得するオフセット値取得機能とを備え、更に、第1の無線装置1Aが、第2の同期フレームを受信する第2の受信機能と、第1のカウンタをスタートさせてから第2の同期フレームを受信するまでの時間に関するカウンタ数を第1のカウンタにより計測してカウンタ値として取得するカウンタ値取得機能と、カウンタ値取得機能において取得したカウンタ値をT1とし、オフセット値をT2とした場合に、(T1-T2)/2を遅延値とし、第1のカウンタと第2のカウンタとの差分を遅延値とすることにより第1カウンタと第2のカウンタとを同期させる時刻同期機能と、を備えるようにしている。
また、本実施形態の時刻同期システムは、オフセット値は、第2の同期フレームに含まれるようにしている。
<前提>
本実施形態では、入力がIPパケットもしくはEthernetフレームであること、無線区間でPDHやSDHなどのフレームで送受信する無線機であること、より一般的には対向する無線機間でビット同期がとれるような無線機であること、を前提とする。ここでは、その一例として、本実施形態では以下の1)乃至5)を前提とする。
1)Ethernetフレームと無線フレームとの形式変換
Ethernetフレームからマイクロ波無線回線によって伝送される無線フレームへの形式変換は、無線装置がPDHインタフェース若しくはSDHインタフェースを備えると共に無線装置外部において有線回線に接続されたEC(即ち、Ethernet Converter)が前記PDH/SDHインタフェースへと接続されて当該ECによってEthernetフレームがPDHフレーム若しくはSDHフレームへと変換された上で無線装置が備えるPDH/SDHインタフェースによって無線装置内部でPDH/SDHフレームが無線フレームへと変換されることによって行われたり、或いは、一般論としては、無線装置がEthernetインタフェースを備えて無線装置内部でEthernetフレームが無線フレームへと変換されることによって行われたりする。尚、EC機能については無線装置1A,1Bに含まれており、本実施形態ではEC機能を通過する部分の遅延時間も計測対象としている。
本実施形態では、無線装置1A,1BがEthernetインタフェース1c(即ち、Ethernetフレームが伝送される有線回線との通信機能、別言すると、Ethernetフレームの送受信機能を備えた送受信部/接続部)を備えて無線装置1A,1B内部でEthernetフレームから無線フレームへと変換されるようにしている。
2)無線装置の有線回線側のインタフェース
上記1)も踏まえ、無線装置1A,1Bの有線回線側のインタフェースは、Ethernet方式のインタフェース(符号1c)であるとし、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、IP系通信方式で標準的に利用されている1GbpsのEthernet方式のインタフェースである1000BASE-Xであるとする。
3)無線装置の有線回線側のインタフェースに収容される情報
無線装置1A,1Bの有線回線側のインタフェースであるEthernetインタフェース1cに収容される情報として、保護リレー情報と時刻同期情報(具体的には、例えばIEEE1588に基づくPTPにおいて利用される、通信フレームが経由するネットワーク経路に沿う伝送時間などの、時刻同期に必要とされる時間情報)とを取り上げる。
4)保護リレー情報と時刻同期情報との識別
保護リレー情報と時刻同期情報とは、例えば、無線装置1A,1Bが受信するEthernetフレームの中の、長さを示すフィールド(IEEE802.3フレーム(「IEEE仕様」とも呼ばれる)の場合)やタイプを示すフィールド(Ethernet2フレーム(「DIX仕様」とも呼ばれる)の場合)にそれぞれを識別するための情報が記載されることによって識別される。
以下では、保護リレー情報に関するEthernetフレーム(言い換えると、保護リレー情報を内容とするフレーム)のことを「保護情報フレーム」と呼び、時刻同期情報に関するEthernetフレーム(言い換えると、時刻同期に用いられるフレーム)のことを「同期フレーム」と呼ぶ。また、保護リレー情報(言い換えると、保護情報フレーム)と時刻同期情報(言い換えると、同期フレーム)とを識別するための情報(即ち、例えば長さを示すフィールドやタイプを示すフィールドに記載される情報)のことを「TYPEコード」と呼ぶ。
保護情報フレームは、例えば、IPパケットを含んだもの、あるいは含まないもののいずれでもよく、例えば、Ethernetフレームのデータ部に直接PTPデータがあるような形式のものでもよい。
5)対向する無線装置間の周波数同期
対向して送受信を行う無線装置1Aと無線装置1Bとの間において、一方をマスタ,他方をスレーブと予め定め、スレーブはマスタからの信号よりクロックを抽出することによって周波数同期を維持する。
<通常の通信開始前の時刻同期>
本実施形態では、所謂通常の通信、即ち、第1の無線装置1Aと第2の無線装置2Aとの間で実際の通信作業を実行するための前提として、各無線装置1A,1Bの時計部同士(即ち、図4のClock1とClock2)は、経由時間を測定するために時刻が同期しているようにしている。即ち、各無線装置1A,1Bそれぞれの時計部同士(即ち、図4のClock1とClock2)は、十分な精度でsyntonizeしていることを前提にする。「syntonize」は、或る時間の長さ(例えば1秒)を測定したとき、測定結果が同一になるように時間の進み方を揃えることを言う。一方、「Synchronize」は、時刻(即ち、年/月/日/分/秒)を揃えることを言う。
以下、本発明の特徴的構成である通常の通信開始前の時刻同期について、図1及び図3を用いて詳細に説明する。まず、各無線装置1A,1Bにディジタル2次群の基本速度であるG.704の6.312Mbpsの1ビット単位でインクリメントするカウンタを設け、これを同期のためのクロックとして利用する。カウンタ値は6.312Mbpsの1ビット毎にインクリメントされるため、時刻の分解能は1/6.312Mbps≒0.16μs/bitとなり、本実施形態の目的には十分な精度を有している。
また、対向する一対の無線装置1A,1Bそれぞれの時計部(即ち、図4のClock1とClock2)は、これら対向する無線装置1A,1Bからみて外部の実時刻(標準時)を刻むマスタクロック/グランドマスタクロックと同期している必要はない。つまり、対向する一対の無線装置1A,1Bそれぞれの時計部の時刻は、実時刻(標準時)である必要はない。
まず、同期フレーム(無線フレーム)として使用するG.704の仕様について、図3を用いて簡単に説明する。図3に示すように、この同期フレームは、TS(タイムスロット)1~98と、同期用フレームFとを有し、これらTS1~98と同期用フレームFとが連続して通信に利用される。ここでは、TS97,98は制御用スロットであり、TS98をコマンド書き込み用に使用している。また、TS1~96は、通常の通信開始後は必要なデータを書き込む領域であるが、通常の通信開始前の時刻同期処理においては、後述するようにTS1,2にオフセット値を書き込んで使用する。
図1に示すように、上記のカウンタを利用した時刻同期のシーケンスは、以下の通りである。尚、図1中のカギ括弧が以下の説明に対応する。また、ここでは、本システムの初期起動時の時刻同期の場合について説明している。
[1]第1の無線装置1Aから、TS98に例えば「05」を書き込んだ同期フレームを送信する。これは時刻同期を開始する通知を意味する。
[1]第1の無線装置1Aから、TS98に例えば「05」を書き込んだ同期フレームを送信する。これは時刻同期を開始する通知を意味する。
[2]第2の無線装置1Bは「05」を受信すると、TS98に例えば「0A」を書き込んだ同期フレームを第1の無線装置1Aに送信する。これは受信をしたことに対する応答を意味する。
[3]第1の無線装置1Aは「0A」を受信すると、第1のカウンタをリセットして0に設定する。
[3]第1の無線装置1Aは「0A」を受信すると、第1のカウンタをリセットして0に設定する。
[4]第1の無線装置1Aは、第1のカウンタをリセットした直後に、TS98に例えば「01」を書き込んだ第1の同期フレームを第2の無線装置1Bに送信する(第1の送信工程)。以後、ビット送信ごとに第1のカウンタを進める。
[5]第2の無線装置1Bは「01」を受信すると、それに対する応答をする。ここで、例えば、第2の無線装置1Bが「01」を受信した時に何らかの同期フレームを送信していたとすると、「01」を受信した直後にそれに応答する同期フレームを送信することができず、次の同期フレームで応答することになる。このため、そのずれたオフセット時間を計測するために、第2の無線装置1Bは「01」を受信すると、第2のカウンタをリセットして0に設定する。そして、次の同期フレームのTS2を送信するまでのカウンタ値を計測し、オフセット値としてTS1とTS2の16bit領域に書き込む(オフセット値取得工程)。尚、ここではオフセット値をTS1とTS2に書き込んでいるが、これには限られずTS1~TS96のいずれであってもよい。
[6]第2の無線装置1Bは、オフセット値の計測終了後、第2のカウンタをリセットした直後に、TS98に例えば「03」を書き込んだ第2の同期フレームを第1の無線装置1Aに送信する(第2の送信工程)。以後、ビット送信ごとに第2のカウンタを進める。
[7]第1の無線装置1Aは「03」を受信すると、TS2の受信時の第1のカウンタのカウンタ値を計測する。
[7]第1の無線装置1Aは「03」を受信すると、TS2の受信時の第1のカウンタのカウンタ値を計測する。
無線区間の遅延時間は上りと下りでほぼ同一であるため,[7]で把握した第1の無線装置1Aのカウンタ値の1/2が第1の無線装置1Aと第2の無線装置1Bとの間の伝送にかかる時間となる。このため、カウンタ値をT1とし、前記オフセット値をT2とした場合に、(T1-T2)/2を遅延値とし、第1のカウンタと第2のカウンタとの差分を遅延値とする。これにより、第1カウンタと第2のカウンタとは、遅延値の分だけ差分があることになり、第1のカウンタに基づいて第2のカウンタを高精度に算出することができ、時刻同期することができる。以上の処理により、第1の無線装置1Aは、自身の第1のカウンタのカウンタ値から伝送時間((T1-T2)/2)を差し引くことにより、第2の無線装置1Bの第2のカウンタの現在のカウンタ値(時刻)を算出することができる(時刻同期工程)。
尚、本実施形態では、オフセット値は、TS98に「03」を書き込んだ第2の同期フレームのTS1,TS2に書き込むようにしているが、これには限られず、オフセット値はTS98に「03」を書き込んだ第2の同期フレームとは別個に送信するようにしてもよい。
また、一旦同期が確立した後は、無線装置1A,1B間ではビット同期がとれているため、同期合わせの処理は、初期起動時、または何らかの原因で無線装置間の同期が取れなくなった場合に行えばよい。
<伝送遅延時間変動への対策の考え方>
上述した各無線装置1A,1Bの時刻同期を前提として、本実施形態では、対向する一対の無線装置1A,1B間における通信の所要時間をPTPに従う時刻同期に関するTC方式における経由時間/滞留時間として捉えることにより、有線区間と無線区間とが混在している通信ネットワークにおける伝送遅延時間の変動への対策を行うことを可能にする。
具体的には、対向して送受信を行う一対の無線装置1A,1B間で時刻を同期させ、これら無線装置1A,1Bそれぞれの有線回線側のインタフェース間(即ち、図4の丸1から丸4までの間)での経由時間/滞留時間を計測し、PTPに従う時刻同期に関するTC方式におけるネットワーク中継装置での経由時間/滞留時間として同期フレームの中のcorrectionフィールドに書き込む。
経由時間計測のため、有線回線によって伝送されてきたEthernetフレーム(同期フレーム)を送信側の無線装置1Aの有線回線側インタフェース部分(即ち、図4の丸1)にて受信した時刻(或いは、受信に関係する時刻や相当する時刻)を同期フレーム(尚、PTPで規定されている同期パケットを含む)に付与し、また、受信側の無線装置1Bの有線回線側インタフェース部分(即ち、図4の丸4)から有線回線へと前記同期フレームを送出(送信)する時刻(或いは、送信に関係する時刻や相当する時刻)を観測する。なお、Ethernetフレーム(同期フレーム)を無線フレーム(無線信号)として送信する無線装置を「送信側の無線装置」と呼び、前記無線フレーム(無線信号)を受信する無線装置を「受信側の無線装置」と呼ぶ。
そして、受信側の無線装置1Bにおける有線回線へのEthernetフレーム(同期フレーム)の送信時刻と送信側の無線装置1Aにおける有線回線からのEthernetフレーム(同期フレーム)の受信時刻との差(即ち、無線回線区間の経由時間/滞留時間であり、無線回線区間に纏わる通信遅延時間である)を計算して同期フレームの中のcorrectionフィールドに書き込む(具体的には、correctionフィールドに既に記載されている遅延時間に、計測・計算された遅延時間を加算し、書き込む/書き換える)。
<伝送遅延時間変動対策の機能ブロック構成>
本実施形態の機能ブロック構成の例を、保護情報フレーム及び同期フレームの処理を例に挙げて説明する。
本実施形態の機能ブロック構成の例を、保護情報フレーム及び同期フレームの処理を例に挙げて説明する。
以下の説明における、「(1)」乃至「(16)」は図5中の符号としての「丸数字の1」乃至「丸数字の16」にそれぞれ対応し、また、「a」乃至「g」は同図中の符号としての「a」乃至「g」にそれぞれ対応する。
また、略語はそれぞれ以下の機能や処理を表す。
「PHY」:Physical Layer(即ち、物理層)に纏わる処理を行う物理インタフェース部
「FCS」:Frame Check Sequence(Ethernetフレームのフィールドの一つ)
「PHY」:Physical Layer(即ち、物理層)に纏わる処理を行う物理インタフェース部
「FCS」:Frame Check Sequence(Ethernetフレームのフィールドの一つ)
「CRC」:Cyclic Redundancy Check(即ち、巡回冗長検査)「GFP」:Generic Framing Procedure(ジェネリックフレーミングプロシジャ)
「BB」:Base Band(即ち、ベースバンド/基底帯域)
「SEL」:Selector(セレクタ)
「HEC」:Header Error Check/Control(ヘッダ誤り検査/制御)
「RTC」:Real Time Clock(リアルタイムクロック)
「BB」:Base Band(即ち、ベースバンド/基底帯域)
「SEL」:Selector(セレクタ)
「HEC」:Header Error Check/Control(ヘッダ誤り検査/制御)
「RTC」:Real Time Clock(リアルタイムクロック)
《送信側処理》
(1)PHY(入力)
(1)PHY(入力)
PHY(入力)は、Ethernetフレームの受信機能を担う機能ブロックであり、有線回線を介して接続する他の装置/ノードから送信されたEthernetフレームを受信する。
PHY(入力)は、具体的には、Ethernetインタフェース(具体的には、1000BASE-X)のPHYブロックで光入力を電気信号へと変換し、Ethernetフレーム(具体的には、保護情報フレーム及び同期フレームである)を後段のBUF1の機能ブロック(符号(2))へと送って書き込む。
(2)BUF1
BUF1は、信号入力のバーストを吸収するバッファメモリとしての機能ブロックである。入力された情報はこのバッファに一旦蓄積される。この処理において、情報のサイズに応じた遅延時間が発生する。
(3)FCSチェック
FCSチェックは、BUF1から読み込んだEthernetフレームの中のFCSフィールドの情報とフレームの対象領域のCRCの結果とを照合し、不良フレームである場合には当該のフレームを廃棄し、不良フレームでない場合には当該のフレームをSEL1の機能ブロック(符号(4))に対して出力する機能ブロックである。
(4)SEL1
SEL1は、FCSチェックの機能ブロック(符号(3))から送られてきたEthernetフレームに含まれているTYPEコードに基づいて保護情報フレームと同期フレームとを識別して振り分ける機能ブロックである。
具体的には、保護情報フレームはBUF2の機能ブロック(符号(6))へと送られて書き込まれ、同期フレームは同期フレーム書換えの機能ブロック(符号(5))へと送られる。この処理において、フレームの種別をTYPEコードで判断するため、TYPEコードまでの待ち時間が発生する。
(5)同期フレーム書換え
同期フレーム書換えは、PHY(入力)の機能ブロック(符号(1))を介して受信してSEL1の機能ブロック(符号(4))から送出された同期フレームへと、当該同期フレームを受信した時刻(具体的には、当該同期フレームがPHY(入力)へと入力された時刻:TS1)を書き込む機能ブロックである。この処理は同期フレームのみへの操作であり、保護情報フレームへの遅延は発生しない。
なお、同期フレーム書換えの機能ブロック(符号(5))によって同期フレームへと書き込まれる時刻は、当該同期フレームがPHY(入力)へと入力された時刻に限られるものではなく、当該同期フレームが有線回線から無線装置へと入力された処理に関係する時刻や入力された時刻に相当する時刻(言い換えると、無線装置による同期フレームの受信に関する時刻)が適宜選択されて設定される。
(6)BUF2
BUF2は、無線フレームに変換する前に待機するためのバッファメモリとしての機能ブロックである。このバッファメモリから、無線速度のクロックで読み出しが行われる。
(7)GFPカプセル化
GFPカプセル化は、GFPに関するITU-T勧告であるG.7041/Y.1303に準拠し、GFPフレームを生成してカプセル転送する機能ブロックである。信号を一度終端し、HEC演算を行なった後で無線フレームのペイロードへと挿入する。この処理において、ペイロードへと挿入するタイミングによって遅延変動が発生する。
(8)BBフレーム1
BBフレーム1は、無線装置1A,1Bの変調部に接続するインタフェースとしての機能ブロックである。この処理において、電気信号の伝搬速度に応じた遅延時間が発生する。BBフレーム1の機能ブロック(符号(8))から出力された信号は、当該信号を無線信号として無線送信する側のMUX部(即ち、マルチプレクサ部)へと入力される。
《受信側処理》
(9)BBフレーム2
(9)BBフレーム2
BBフレーム2は、無線装置1A,1Bの変調部に接続するインタフェースとしての機能ブロックである。対向する他方の無線装置1A又は1Bから無線送信された無線信号を受信する側のDMUX部(即ち、デマルチプレクサ部)から出力された信号がBBフレーム2の機能ブロック(符号(9))へと入力される。
(10)BUF3
BUF3は、無線回線を介して受信した無線フレーム(別言すると、無線信号)を一旦蓄積するバッファメモリとしての機能ブロックである。この処理において、情報のサイズに応じた遅延時間が発生する。
(11)HEC判定
HEC判定は、BUF3から読み込んだ無線フレーム(GFPフレーム)のHEC判定を行い、不良フレームである場合には当該のフレームを廃棄し、不良フレームでない場合には当該のフレームをパケット分離の機能ブロック(符号(12))に対して出力する機能ブロックである。
(12)パケット分離
パケット分離は、GFPフレームからEthernetフレーム(具体的には、保護情報フレーム,同期フレーム)を分離する機能ブロックである。
パケット分離は、GFPフレームからEthernetフレーム(具体的には、保護情報フレーム,同期フレーム)を分離する機能ブロックである。
(13)SEL2
SEL2は、パケット分離の機能ブロック(符号(12))から送られてきたEthernetフレームに含まれているTYPEコードに基づいて保護情報フレームと同期フレームとを識別して振り分ける機能ブロックである。
具体的には、保護情報フレームはBUF4の機能ブロック(符号(15))へと送られて書き込まれ、同期フレームは同期フレーム処理の機能ブロック(符号(14))へと送られる。この処理において、フレームの種別をTYPEコードで判断するため、TYPEコードまでの待ち時間が発生する。
(14)同期フレーム処理
同期フレーム処理は、対向する他方の無線装置1A又は1Bの同期フレーム書換えの機能ブロック(符号(5))によって同期フレームへと書き込まれた、前記対向する他方の無線装置1A又は1Bが前記同期フレームを受信した際の受信に関する時刻(具体的には、「TS1」である)を補正演算処理の機能ブロック(符号d)へと出力し、また、correctionフィールド書込の機能ブロック(符号f)による処理が行われた後の同期フレームを後段のBUF4の機能ブロック(符号(15))へと送って書き込む機能ブロックである。この処理は同期フレームのみへの操作であり、保護情報フレームへの遅延は発生しない。
(15)BUF4
BUF4は、有線回線へと出力する前に待機するためのバッファメモリとしての機能ブロックである。
BUF4は、有線回線へと出力する前に待機するためのバッファメモリとしての機能ブロックである。
(16)PHY(出力)
PHY(出力)は、Ethernetフレームの送信機能を担う機能ブロックであり、有線回線を介して接続する他の装置/ノードへとEthernetフレームを送信する。
PHY(出力)は、具体的には、Ethernetインタフェース(具体的には、1000BASE-X)のPHYブロックで電気信号を光出力へと変換し、Ethernetフレーム(具体的には、保護情報フレーム及び同期フレームである)を、接続している有線回線へと出力する。
<時刻同期処理>
以下に、時刻同期の具体的な処理に特に関係する機能ブロックついて説明する。
以下に、時刻同期の具体的な処理に特に関係する機能ブロックついて説明する。
a)TimeStamp1
TimeStamp1は、EthernetフレームがPHY(入力)の機能ブロック(符号(1))へと入力されたタイミング(言い換えると、無線装置1A,1BがEthernetフレームを受信したタイミング)で、時計部の機能ブロック(符号b)によって提供される時刻情報(「TS1」とする)を同期フレーム書換えの機能ブロック(符号(5))へと与える機能ブロックである。
なお、TimeStamp1の機能ブロックが動作するタイミングは、EthernetフレームがPHY(入力)の機能ブロック(符号(1))へと入力されたタイミングに限定されるものではなく、Ethernetフレームが有線回線から無線装置へと入力された処理に関係するタイミングや入力された時刻に相当するタイミング(言い換えると、無線装置によるEthernetフレームの受信に関する時刻)が適宜選択されて設定される。
上述のことも踏まえ、同期フレーム書換えの機能ブロック(符号(5))へと与えられる時刻情報TS1として、TimeStamp1の機能ブロック(符号a)によって取得される時刻情報に基づく時刻であり、無線装置1A,1Bによる、有線回線によって伝送されてきたEthernetフレームの受信に関係する時刻や相当する時刻が設定されるようにしても良い。
b)時計部(図4中のClock1やClock2に相当する)
時計部は、時刻情報を提供する機能ブロックであり、対向する他方の無線装置1A又は1Bの時計部と同期して時刻を刻む。時計部の機能ブロック(符号b)は、具体的には例えば、RTCやオシレータが用いられて構成され得る。
時計部の機能ブロック(符号b)が刻む時刻は、対向する一対の無線装置1A,1B間における通信フレームの経由時間/滞留時間を計測することができれば良いので、少なくとも各無線装置1A,1Bの時計部同士が時刻同期していれば良く、これら無線装置1A,1Bからみて外部の、実時刻(標準時)を刻むマスタクロック/グランドマスタクロックと同期している必要はない。つまり、時計部の機能ブロック(符号b)が刻む時刻は、実時刻(標準時)である必要はなく、独自の時刻でも構わない。
d)補正演算処理
補正演算処理は、伝送遅延時間の補正情報に関する計算を行い、計算の結果得られた値をcorrectionフィールド書込の機能ブロック(符号f)に対して出力する機能ブロックである。
補正演算処理の機能ブロック(符号d)は、具体的には、BBフレーム2の機能ブロック(符号(9))を介して受信してSEL2の機能ブロック(符号(13))から送出された同期フレームの中のcorrectionフィールドに既に記載されている遅延時間(TD),前記同期フレームに付加されている受信に関する時刻(TS1),及びTimeStamp2の機能ブロック(符号e)から与えられた時刻情報に基づく送信に関する時刻(TS2)を用いて、以下の数式1によって伝送遅延時間の補正情報Tiの値を算出する。
(数1)Ti=TD+(TS2-TS1)
(数1)Ti=TD+(TS2-TS1)
そして、補正演算処理の機能ブロック(符号d)は、算出した伝送遅延時間の補正情報Tiの値をcorrectionフィールド書込の機能ブロック(符号f)に対して出力する。
なお、送信に関する時刻TS2から受信に関する時刻TS1を減算した値(即ち、「TS2-TS1」の値)は、対向する一対の無線装置1A,1Bを両端ノードとする無線回線区間の経由時間/滞留時間であり、無線回線区間に纏わる通信遅延時間である。
e)TimeStamp2
TimeStamp2は、同期フレーム処理の機能ブロック(符号(14))から受信に関する時刻TS1が補正演算処理の機能ブロック(符号d)へと出力されたタイミングで、時計部の機能ブロック(符号b)によって提供される時刻情報(「TS2」とする)を補正演算処理の機能ブロック(符号d)へと与える機能ブロックである。
ここで、補正演算処理の機能ブロック(符号d)は、例えば、TimeStamp2の機能ブロック(符号e)から時刻情報(即ち、TS2)を受け取った後の、補正演算処理の機能ブロック(符号d)における伝送遅延時間の補正情報Tiの計算処理,correctionフィールド書込の機能ブロック(符号f)におけるフレームへの書込み処理,BUF4の機能ブロック(符号(15))におけるフレームの書込み及び読出し処理,PHY(出力)の機能ブロック(符号(16))におけるフレームの送信処理のうちの一部若しくは全部に必要とされる時間として見込まれる時間(別言すると、予め設定された遅延時間)を時刻情報TS2に加算するようにしても良い。
上述のことも踏まえ、補正演算処理の機能ブロック(符号d)において用いられる時刻情報TS2として、TimeStamp2の機能ブロック(符号e)によって取得される時刻情報に基づく時刻であり、無線装置1A,1Bによる、有線回線へのEthernetフレームの送信に関係する時刻や相当する時刻が設定されるようにしても良い。
f)correctionフィールド書込
correctionフィールド書込は、補正演算処理の機能ブロック(符号d)によって算出されて出力された伝送遅延時間の補正情報Tiの値を、BBフレーム2の機能ブロック(符号(9))を介して受信してSEL2の機能ブロック(符号(13))から送出された同期フレームの中のcorrectionフィールドへと書き込む(別言すると、correctionフィールドを書き換える)機能ブロックである。
g)時計同期処理
時計同期処理は、当該の無線装置1A(又は1B)の時計部の機能ブロック(符号b)の時刻を対向する他方の無線装置1B(又は1A)の時計部の機能ブロックの時刻と同期させる処理を行う機能ブロックである。同期処理については、図1に示す処理として上述した通りである。
上述の各機能を実現したり各処理を実行したりするために必要な構成が各無線装置1A,1Bに実装される。具体的には例えば、CPU(中央演算処理装置)を含むものとしてカスタマイズされた演算部が構築されるようにしても良く、或いは、FPGA(即ち、Field-Programmable Gate Array)においてプログラムされた論理機能が構築されるようにしても良い。また、上述の各機能を連動・協働させて一連の処理として実行するための処理手順等が規定されたプログラムが、各無線装置1A,1Bに備えられる不揮発性の記憶媒体に格納される。
以下に、図2に例として示す通信ネットワーク構成におけるマスタノード2とスレーブノード3との間での時刻同期の手順の例を説明する。
マスタノード2とスレーブノード3との間で時刻同期が行われる際の前提として、これらノード2,3間の通信に利用される対向する一対の無線装置(即ち、マスタノード2側の無線装置1A及びスレーブノード3側の無線装置1B)それぞれの時計部同士では時刻同期が図られているものであり、本実施形態では、図1に示す処理によりそれぞれの時計部同士では時刻同期が図られている。ここでの説明では、マスタノード2側の無線装置1Aのことを「マスタ側無線装置1A」と呼び、スレーブノード3側の無線装置1Bのことを「スレーブ側無線装置1B」と呼ぶ。
図6は、図2に例として示す通信ネットワーク構成のマスタノード2とスレーブノード3との時刻同期における、伝送遅延時間の補正の概念を説明する図である。
図6に示す例では、IEEE1588において規定されている同期パケットのうちSyncメッセージ及びDelay_Reqメッセージを送受信することによって時刻同期を行う場合を説明する。
まず、マスタノード2からSyncメッセージ(尚、Ethernetフレーム形式である)が送信される。マスタノード2がSyncメッセージを送信した時刻をt1とする。マスタノード2が送信したSyncメッセージは有線回線を介してマスタ側無線装置1Aへと伝送される。
マスタ側無線装置1Aが、有線回線によって伝送されてきたSyncメッセージを受信し、また、当該Syncメッセージをスレーブ側無線装置1Bへと送信する。マスタ側無線装置1AにおけるSyncメッセージの受信に関する時刻をTS1とする。
具体的には、マスタ側無線装置1A内部において、TimeStamp1の機能ブロックにより、PHY(入力)の機能ブロックへとSyncメッセージが入力されたタイミングで時計部の機能ブロックによって提供される時刻情報(即ち、TS1)が取得されると共に、取得された時刻情報が同期フレーム書換えの機能ブロックへと与えられる。
そして、同期フレーム書換えの機能ブロックにより、SEL1の機能ブロックによって識別されて振り分けられた同期フレームとしてのSyncメッセージへと上記時刻情報TS1(別言すると、受信に関する時刻TS1)が書き込まれる。
受信に関する時刻TS1の同期フレーム(ここでは、Syncメッセージ,Delay_Reqメッセージ)への書き込みの態様は、特定の方式に限定されるものではなく、例えば同期フレームの種別や形式(データフォーマット)が考慮されるなどした上で適当な方式が適宜選択される。
受信に関する時刻TS1は、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、同期フレームの末尾に付加されることが考えられる。この場合には、例えばFCSチェックの機能ブロックやSEL1の機能ブロックによって同期フレームの全長サイズを含む全体構造が把握された上で、受信に関する時刻TS1が、当該の同期フレームの末尾に付加されることが考えられる。
受信に関する時刻TS1は、或いは、同期フレームの先頭に付加されたり、同期フレームの中のいずれかのフィールド(言い換えると、同期フレームの中の任意の位置)に含められたりするようにしても良い。
受信に関する時刻TS1の同期フレームへの書き込みの態様(言い換えると、フレーム中の位置)は、対向する一対の無線装置(即ち、マスタ側無線装置1Aとスレーブ側無線装置1B)で共有される。
次に、マスタ側無線装置1AからSyncメッセージ(尚、受信に関する時刻TS1が付加されている)が無線送信され、マスタ側無線装置1Aが無線送信したSyncメッセージは無線信号としてスレーブ側無線装置1Bへと伝送される。
スレーブ側無線装置1Bが、無線信号として伝送されてきたSyncメッセージを受信し、また、当該Syncメッセージをスレーブノード3へと送信する。スレーブ側無線装置1BにおけるSyncメッセージの送信に関する時刻をTS2とする。
具体的には、スレーブ側無線装置1B内部において、同期フレーム処理の機能ブロックにより、SEL2の機能ブロックによって識別されて振り分けられた同期フレームとしてのSyncメッセージの中のcorrectionフィールドに記載されている遅延時間(TD)が取り出されると共にマスタ側無線装置1Aの同期フレーム書換えの機能ブロックによって前記Syncメッセージへと付加された時刻情報TS1(別言すると、受信に関する時刻TS1)が取り出され、取り出された遅延時間TD及び受信に関する時刻TS1が補正演算処理の機能ブロックへと与えられる。
ここで、Syncメッセージの中のcorrectionフィールドに記載されている遅延時間TDは、IEEE1588に基づくPTPに従う時刻同期において利用される伝送遅延時間の補正情報であり、Syncメッセージのマスタ側無線装置1Aまでの伝送における遅延時間である。マスタノード2からマスタ側無線装置1Aまでの区間にネットワーク中継装置がない場合などには、遅延時間TDの値は0(ゼロ)である。
また、TimeStamp2の機能ブロックにより、同期フレーム処理の機能ブロックへと同期フレームとしてのSyncメッセージが入力されたタイミングで時計部の機能ブロックによって提供される時刻情報(即ち、TS2)が取得されると共に、取得された時刻情報が補正演算処理の機能ブロックへと与えられる。
そして、補正演算処理の機能ブロックにより、以下の数式2が用いられて伝送遅延時間の補正情報Tisの値が計算される。
(数2)Tis=TD+(TS2-TS1)
(数2)Tis=TD+(TS2-TS1)
ここで、補正演算処理の機能ブロックが時刻情報TS2を受け取ってからPHY(出力)の機能ブロックがSyncメッセージを送信するまでの時間Δt(言い換えると、スレーブ側無線装置1Bにおける、補正演算処理以降の遅延時間)が予め設定され、当該Δtが加算された値を時刻情報TS2’(別言すると、送信に関する時刻TS2’)とした上で(以下の数式3)、伝送遅延時間の補正情報Tisの値が以下の数式2’によって計算されるようにしても良い。
(数3)TS2’=TS2+Δt
(数2’)Tis=TD+(TS2’-TS1)
(数3)TS2’=TS2+Δt
(数2’)Tis=TD+(TS2’-TS1)
さらに、correctionフィールド書込の機能ブロックにより、同期フレーム処理の機能ブロックへと入力されたSyncメッセージに付加されている時刻情報(即ち、TS1)が削除されると共に、前記Syncメッセージのcorrectionフィールドへと伝送遅延時間の補正情報Tisの値が書き込まれる(言い換えると、correctionフィールドが書き換えられる)。
次に、スレーブ側無線装置1BからSyncメッセージ(尚、伝送遅延時間の補正情報Tiが含められている)が送信され、スレーブ側無線装置1Bが送信したSyncメッセージは有線回線を介してスレーブノード3へと伝送される。
スレーブノード3が、有線回線によって伝送されてきたSyncメッセージを受信する。スレーブノード3がSyncメッセージを受信した時刻をt2とする。
次に、スレーブノード3からDelay_Reqメッセージ(尚、Ethernetフレーム形式である)が送信される。スレーブノード3がDelay_Reqメッセージを送信した時刻をt3とする。スレーブノード3が送信したDelay_Reqメッセージは有線回線を介してスレーブ側無線装置1Bへと伝送される。
Delay_Reqメッセージの伝送に纏わる以降の処理は、上述のマスタノード2からスレーブノード3へとSyncメッセージが伝送される場合の説明における「マスタ側無線装置1A」が「スレーブ側無線装置1B」であると共に「Syncメッセージ」が「Delay_Reqメッセージ」であるとした場合と同様の手順である。
そして、Delay_Reqメッセージの伝送としては、最終的に、マスタノード2によってDelay_Reqメッセージが受信される。マスタ側無線装置1AによってDelay_Reqメッセージのcorrectionフィールドへと書き込まれる伝送遅延時間の補正情報の値をTimとし、また、マスタノード2がDelay_Reqメッセージを受信した時刻をt4とする。
その上で、スレーブノード3は、自装置内部の時計の時刻をマスタノード2内部の時計の時刻と同期させるための処理を行う。
具体的には、スレーブノード3は、無線回線区間に纏わる通信遅延時間分を除外した場合の、当該スレーブノード3によるSyncメッセージの受信時刻Tsrを数式4によって計算する。なお、数式4中のt2はスレーブノード3がSyncメッセージを受信した時刻であり、Tisはスレーブ側無線装置1BによってSyncメッセージのcorrectionフィールドへと書き込まれた伝送遅延時間の補正情報の値である。
(数4)Tsr=t2-Tis
(数4)Tsr=t2-Tis
スレーブノード3は、また、無線回線区間に纏わる通信遅延時間分を除外した場合の、マスタノード2によるDelay_Reqメッセージの受信時刻Tmrを数式5によって計算する。なお、数式5中のt4はマスタノード2がDelay_Reqメッセージを受信した時刻であり、Timはマスタ側無線装置1AによってDelay_Reqメッセージのcorrectionフィールドへと書き込まれた伝送遅延時間の補正情報の値である。
(数5)Tmr=t4-Tim
(数5)Tmr=t4-Tim
そして、スレーブノード3は、マスタ側無線装置1Aとスレーブ側無線装置1Bとの間の伝送路遅延Tdを数式6によって計算する。なお、数式6中のt1はマスタノード2がSyncメッセージを送信した時刻であり、t3はスレーブノード3がDelay_Reqメッセージを送信した時刻である。
(数6)Td=(Tsr-t1+Tmr-t3)/2
(数6)Td=(Tsr-t1+Tmr-t3)/2
なお、スレーブノード3は、あくまで一例としては、マスタノード2がSyncメッセージを送信した時刻t1の値をFollow_Upメッセージによってマスタノード2から取得し、また、マスタ側無線装置1AによってDelay_Reqメッセージのcorrectionフィールドへと書き込まれた伝送遅延時間の補正情報Timの値及びマスタノード2がDelay_Reqメッセージを受信した時刻t4の値をDelay_Respメッセージによってマスタノード2から取得する。
続いて、スレーブノード3は、マスタノード2内部の時計の時刻に対する自装置内部の時計の時刻のずれTofを数式7によって計算すると共に、自装置内部の時計の時刻Tsを数式8によって補正して自装置内部の時計の時刻をマスタノード2内部の時計の時刻と同期させる。
(数7)Tof=Tsr-t1-Td
(数8)Ts=Ts-Tof
(数7)Tof=Tsr-t1-Td
(数8)Ts=Ts-Tof
<遅延時間への対策の考え方>
マイクロ波無線回線では、送信時に100Mbpsや1Gbpsといった高速の有線回線(別言すると、Ethernet回線)から無線回線の基本単位である1.5Mbpsまたは6.3Mbpsといった低速の回線速度(言い換えると、低速の無線回線のフレーム)に変換する際と、受信時に低速の無線回線からフレームを取り込む際とに大きな遅延が発生する。
保護情報フレームに先行して他の情報のEthernetフレームが存在する場合は、そのフレームの変換が完了するまで保護情報フレームの伝送を行うことができず、先行フレームの変換時間が加算されることになる。このような現象はEthernetインタフェースにバースト的にフレームが到着した際に発生する。基本的にはこのようなバーストが発生しないようにトラヒックの設定が行われるものの、経路の途中で何らかの理由(具体的には例えば、各伝送装置での変動の積み重ねや経路切替え時のトラヒックの急激な変動など)で発生することも考えられる。
このため、保護情報フレームを他の情報のEthernetフレームに対して優先して伝送することができれば、遅延時間増加の抑制に有効である。
そこで、あらかじめ送信待ちとなっているフレームの中に保護情報フレーム以外のフレーム(ここでは、同期フレーム)がある場合にはその順序を変更し、保護情報フレームを優先して伝送するようにしても良い。
保護情報フレームを他のEthernetフレーム(ここでは、同期フレーム)に対して優先して伝送するためには保護情報フレームと同期フレームとを識別して分離することが必要とされるところ、これら保護情報フレームと同期フレームとの識別は上述した通りEthernetフレームの中の長さを示すフィールド/タイプを示すフィールドに記載されているTYPEコードに基づいて行う。識別・分離を1000Mbpsベースの速度で行うことにより、識別するフィールドまでの読み込みに必要な時間を短縮することができる。
識別した情報(即ち、TYPEコード)に基づき、保護情報フレームと同期フレームとをそれぞれ別のバッファに蓄積する。
図7に示す例では、図5に例として示す機能ブロック構成におけるSEL1の機能ブロック(符号(4))の後段に保護情報フレームを一旦蓄積するためのバッファメモリとしての機能ブロック(BUF(Ry))と同期フレームを一旦蓄積するためのバッファメモリとしての機能ブロック(BUF(PTP))とが設けられ、保護情報フレームと同期フレームとが分離される。
図7に示す例では、また、図5に例として示す機能ブロック構成におけるBUF2の機能ブロック(符号(6))の代わりに、バッファ機能を併せ持つセレクタとしての機能ブロック(SEL3)が設けられる。
そして、分離した情報を伝送する際、保護情報フレームと同期フレームとで帯域を共有して優先制御を行って伝送する。
具体的には、SEL1によって保護情報フレームと同期フレームとの識別が行われ、保護情報フレームは、BUF(Ry)へと送られて一旦蓄積され、SEL3によって読み込まれるまで待機する。
一方、同期フレームは、BUF(PTP)へと送られて書き込まれた上で同期フレーム書換えの機能ブロック(図5中の符号(5))によって読み込まれると共に受信に関する時刻TS1が書き込まれる(別言すると、付加される)。
そして、SEL3は、保護情報フレーム用のバッファであるBUF(Ry)が空(から)の場合のみ同期フレームを伝送する。これにより、保護情報フレームが優先して伝送されるようになる。
受信側においても送信側と同様の処理を行うことにより、保護情報フレームが優先して伝送される。
上述の構成により、処理待ちとなっているフレームの中に保護情報フレーム以外のフレームがある場合には、処理の順序が変更され、保護情報フレームが優先して伝送される。
以上のように構成された時刻同期方法、時刻同期プログラム、および時刻同期装置、並びに、時刻同期システムによれば、時刻同期を行うマスタノード2及びスレーブノード3が利用する通信ネットワークが有線回線と無線回線とが混在するものとして構成される場合でも、例えば通常の通信を開始する前に第1の無線装置1Aと第2の無線装置1Bとの各カウンタを同期させることができ、通常の通信が開始された後であっても、ノード同士の時刻同期を適切に行って同期精度を向上させることができるので、時刻同期手法の有用性及び信頼性を向上させることが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態ではIEEE1588のPTPやTCに準じた時刻同期の処理を例に挙げて説明したが、本発明の適用範囲はPTPやTCを全体の枠組みとした時刻同期の処理には限定されない。すなわち、本発明の要点は、時刻同期を図るべきノード間(即ち、上述の実施形態におけるマスタノード2とスレーブノード3との間)の通信で利用されるネットワークにマイクロ波無線回線が含まれている場合に、当該無線回線の両端に設置された(別言すると、接続されている)マイクロ波無線装置においてそれぞれのカウンタ値の遅延値を取得して同期を図ることである。したがって、例えば、時刻同期を図るべきノード間の通信ネットワークの構成即ち、本発明が適用される無線回線を挟む側としての両側の通信ネットワークの構成),マスタノード2とスレーブノード3との間で送受信されるデータや情報の内容,及びマスタノード2とスレーブノード3との時刻同期を図るために用いられる具体的な時刻同期プロトコルやプロシジャなどは上述の実施形態におけるものには限定されるものではなく、前記の本発明の要点が利用され得る態様であれば、他の通信ネットワーク構成,他のデータや情報の内容,他の時刻同期プロトコル等であっても本発明は適用可能である。
1A マイクロ波無線装置(第1の無線装置)
1B マイクロ波無線装置(第2の無線装置)
2 マスタノード
3 スレーブノード
1B マイクロ波無線装置(第2の無線装置)
2 マスタノード
3 スレーブノード
Claims (7)
- 同期フレームを送受信して時刻同期を行うノード同士の間で前記同期フレームが伝送される通信ネットワークに含まれる無線回線の両端に設置された一対の無線装置のうちの一方である第1の無線装置が、時刻同期のための第1の同期フレームを前記一対の無線装置のうちの他方である第2の無線装置へ無線送信し、時間に関する第1のカウンタを0からスタートする第1の送信工程と、
前記第2の無線装置が、前記第1の同期フレームを受信する第1の受信工程と、
前記第2の無線装置が、前記第1の同期フレームを受信した後に、第2の同期フレームを前記第1の無線装置へ無線送信し、時間に関する第2のカウンタを0からスタートする第2の送信工程と、
前記第2の無線装置が、前記第1の同期フレームを受信してから前記第2の同期フレームを送信するまでの時間に関するカウンタ数を前記第2のカウンタにより計測してオフセット値として取得するオフセット値取得工程と、
前記第1の無線装置が、前記第2の同期フレームを受信する第2の受信工程と、
前記第1の無線装置が前記第1のカウンタをスタートさせてから前記第2の同期フレームを受信するまでの時間に関するカウンタ数を前記第1のカウンタにより計測してカウンタ値として取得するカウンタ値取得工程と、
前記カウンタ値取得工程において取得した前記カウンタ値をT1とし、前記オフセット値をT2とした場合に、(T1-T2)/2を遅延値とし、前記第1のカウンタと前記第2のカウンタとの差分を前記遅延値とすることにより前記第1カウンタと前記第2のカウンタとを同期させる時刻同期工程と、を備えることを特徴とする時刻同期方法。 - 前記オフセット値は、前記第2の同期フレームに含まれることを特徴とする請求項1記載の時刻同期方法。
- 請求項1または請求項2に記載の時刻同期方法を前記一対の無線装置に実行させるための時刻同期プログラム。
- 同期フレームを送受信して時刻同期を行うノード同士の間で前記同期フレームが伝送される通信ネットワークに含まれる無線回線の両端に設置された一対の無線装置のうちの一方である第1の無線装置の時間に関する第1のカウンタと、前記一対の無線装置のうちの他方である第2の無線装置の時間に関する第2のカウンタとを同期させる時刻同期装置であって、
前記第1の無線装置から時刻同期のための第1の同期フレームを前記第2の無線装置へ無線送信させ、前記第1のカウンタを0からスタートする第1の送信手段と、
前記第2の無線装置により前記第1の同期フレームを受信させる第1の受信手段と、
前記第2の無線装置により前記第1の同期フレームを受信した後に、前記第2の無線装置から第2の同期フレームを前記第1の無線装置へ無線送信させ、前記第2のカウンタを0からスタートさせる第2の送信手段と、
前記第2の無線装置により前記第1の同期フレームを受信してから前記第2の同期フレームを送信させるまでの時間に関するカウンタ数を前記第2のカウンタにより計測してオフセット値として取得するオフセット値取得手段と、
前記第1の無線装置により前記第2の同期フレームを受信する第2の受信手段と、
前記第1の無線装置により前記第1のカウンタをスタートさせてから前記第2の同期フレームを受信するまでの時間に関するカウンタ数を前記第1のカウンタにより計測してカウンタ値として取得するカウンタ値取得手段と、
前記カウンタ値取得手段において取得した前記カウンタ値をT1とし、前記オフセット値をT2とした場合に、(T1-T2)/2を遅延値とし、前記第1のカウンタと前記第2のカウンタとの差分を前記遅延値とすることにより前記第1カウンタと前記第2のカウンタとを同期させる時刻同期手段と、を備えることを特徴とする時刻同期装置。 - 前記オフセット値は、前記第2の同期フレームに含まれることを特徴とする請求項4記載の時刻同期装置。
- 同期フレームを送受信して時刻同期を行うノード同士の間で前記同期フレームが伝送される通信ネットワークに含まれる無線回線の両端に設置された一対の無線装置を有し、
前記一対の無線装置のうちの一方である第1の無線装置が、時刻同期のための第1の同期フレームを前記一対の無線装置のうちの他方である第2の無線装置へ無線送信し、時間に関する第1のカウンタを0からスタートする第1の送信機能を備え、
前記第2の無線装置が、前記第1の同期フレームを受信する第1の受信機能と、前記第1の同期フレームを受信した後に、第2の同期フレームを前記第1の無線装置へ無線送信し、時間に関する第2のカウンタを0からスタートする第2の送信機能と、前記第1の同期フレームを受信してから前記第2の同期フレームを送信するまでの時間に関するカウンタ数を前記第2のカウンタにより計測してオフセット値として取得するオフセット値取得機能とを備え、
更に、前記第1の無線装置が、前記第2の同期フレームを受信する第2の受信機能と、前記第1のカウンタをスタートさせてから前記第2の同期フレームを受信するまでの時間に関するカウンタ数を前記第1のカウンタにより計測してカウンタ値として取得するカウンタ値取得機能と、前記カウンタ値取得機能において取得した前記カウンタ値をT1とし、前記オフセット値をT2とした場合に、(T1-T2)/2を遅延値とし、前記第1のカウンタと前記第2のカウンタとの差分を前記遅延値とすることにより前記第1カウンタと前記第2のカウンタとを同期させる時刻同期機能と、を備えることを特徴とする時刻同期システム。 - 前記オフセット値は、前記第2の同期フレームに含まれることを特徴とする請求項6記載の時刻同期システム。
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