JP2022024989A - 振動装置、および振動システム - Google Patents

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Abstract

【課題】聴覚以外の感覚により音を体感して、臨場感のある新たな音楽体験ができる振動装置および振動システムを提供する。【解決手段】振動システムにおいて、閉鎖空間を形成する筐体10を具備する振動装置2と、制御装置と、を具備する。筐体は、入力音に応じた振動制御信号を受信する受信部30と、閉鎖空間に配置された振動部(スピーカ40)を具備する。振動部は、筐体10の外部から入力される音声入力信号に基づいて制御部が生成する振動制御信号に基づいて振動する。【選択図】図2

Description

本発明は、振動装置、および振動システムに関する。
従来、コンサート会場等の音楽施設でユーザに音楽を提供するために、スピーカ装置が利用されている。特許文献1には、各音響ドライバから出力される音響信号の位相ずれを低減し、大きな音響エネルギの音響信号を出力できるスピーカ装置が開示されている。
特開2018-125818号公報
従来のスピーカ装置では、ユーザは聴覚によって音を体感するものとなっていた。このため、ユーザの聴覚に障碍がある場合に、ユーザが音楽を充分に体感することができなかった。また、聴覚に障碍がないユーザにおいても、聴覚以外の感覚により音を体感することによる、より臨場感のある新たな音楽体験が求められていた。
本開示の目的は、聴覚以外の感覚により音を体感して、臨場感のある新たな音楽体験ができる振動装置、および振動システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、振動装置である。振動装置は、閉鎖空間を形成する筐体を具備し、入力音に応じた振動制御信号を受信する受信部を具備し、閉鎖空間に配置された振動部を具備し、振動部は、振動制御信号に基づいて振動する。
本発明の振動装置によれば、聴覚に障碍があるユーザが音楽を体感することができる。
本発明の振動システムの構成を示すブロック図である。 本発明の振動装置における筐体を説明する図である。 筐体の内部の模式図である。 本発明の振動システムにおける制御部のブロック図である。 振動システムのシステム全体を説明する模式図である。 本発明の振動システムにおける使用状態を説明する図である。 本実施形態の制御フローチャートである。 本発明の振動システムにおける変形例1におけるシステム全体図である。 本発明の振動システムにおける変形例1の使用状態を説明する図である。 変形例1における制御フローチャートである。 変形例2における筐体の内部の模式図である。 変形例2の第1例における筐体内の状態を説明する図である。 変形例2の第2例における筐体内の状態を説明する図である。 変形例2の第3例における筐体内の状態を説明する図である。 変形例3の説明図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(1)振動システム1の構成
振動システム1の構成について説明する。図1は、本発明の振動システム1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、振動システム1は、振動装置2と、制御部20と、を具備している。
振動装置2は、筐体10(図2A参照)と、受信部30と、スピーカ40と、発光部50と、を具備している。
筐体10は、受信部30、スピーカ40、および発光部50を収容する構造物である。
制御部20は、振動制御信号を生成する情報処理装置である。制御部20は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
ここで、制御部20は、筐体10の外部から入力される音(以下「入力音」という)の音声入力信号に基づいて、振動制御信号を生成する。入力音とは、例えば以下を含む。
・聴衆に向けて提供される楽曲等の音楽
・聴衆に向けて提供される講演などの発話音
・外部から入力される環境音
受信部30は、制御部20が入力音に応じて生成された振動制御信号、および発光制御信号を受信するように構成される。本実施形態では、受信部30は、無線通信により振動制御信号、および発光制御信号を受信する。
スピーカ40は、振動部の一例である。
スピーカ40は、制御部20の制御に従って、振動制御信号に応じて振動することにより、可聴音を発生させるように構成される。
発光部50は、制御部20の制御に従って発光するように構成される。発光部50は、例えば、LEDライトである。
(1-1)筐体10の構造
振動装置2の構造について説明する。図2Aは、本発明の振動装置2における筐体10の外観図である。図2Bは、本発明の振動装置2における筐体10の分解図である。図3は、筐体10の内部の模式図である。
図2Aに示すように、筐体10は球体状を形成している。筐体10は、互いに着脱可能な第1の分割部材10Aおよび第2の分割部材10Bを含んでいる。
第1の分割部材10Aおよび第2の分割部材10Bそれぞれの外周面は、半球面を形成している。筐体10は、透過性を有する材料により構成されている。
筐体10を構成する材料としては、例えば半透明白色の硬質プラスティックが挙げられる。
なお、筐体10を構成する材料については、このような例に限られず、筐体10の内部に配置されたスピーカ40の振動が円滑に伝達される材料を任意に選択することができる。
また、発光部50が筐体10の内部に配置される場合には、筐体10を構成する材料としては、筐体10の内部に配置された発光部50から放射される光を透過させる材料を任意に選択することができる。
第1の分割部材10A、および第2の分割部材10Bが結合することにより、筐体10の外周面が閉鎖される。これにより、筐体10は、その内部に球状の閉鎖空間を形成する。ここで、外周面が閉鎖されるとは、筐体10の外周面に、スピーカ40の振動に起因する空気振動を外部に伝達するための開口部が形成されていないということを意味する。
図2Bに示すように、スピーカ40および受信部30は、筐体10の閉鎖空間に配置されている。図3に示すように、筐体10の閉鎖空間には、縦断面視で矩形状をなす収容ケース10Cが配置されている。
スピーカ40および受信部30は、収容ケース10Cの内部に並んで収容されている。収容ケース10Cは、閉鎖空間のうち、上下方向の中央部に配置されている。ここで、筐体10の上下方向とは、第1の分割部材10Aおよび第2の分割部材10Bが、互いに着脱される方向を指す。
このように、収容ケース10Cにスピーカ40および受信部30を収容した状態で、収容ケース10Cを閉鎖空間に配置することで、スピーカ40および受信部30の位置を安定させることができる。
また、スピーカ40が配置された収容ケース10Cが、閉鎖空間において上下方向の中央部に位置しているため、スピーカ40が振動した際、その振動を間接的に筐体10に伝える際に、筐体10の外周面の全体に均一、かつ適度に減衰された強すぎない心地よい振動に変化させることができる。
また、筐体10が、第1の分割部材10A、第2の分割部材10B、および収容ケース10Cという3つの部材により構成されているので、筐体10を3つの部品に分解し、小さく収納ができるため、輸送コストを抑えることができる。
受信部30は、筐体10の閉鎖空間に配置された収容ケース10C内に配置された電子基板上に設けられている。
受信部30は、受信した振動制御信号をスピーカ40に供給するように構成される。
受信部30は、受信した発光制御信号を発光部50に供給するように構成される。
スピーカ40は、筐体10の内部に形成された閉鎖空間に配置されている。本実施形態では、スピーカ40は、筐体10の閉鎖空間に配置された収容ケース10C内に配置されている。
発光部50は、受信部30と同じ電子基板上に設けられている。発光部50は、収容ケース10C内において、筐体10の横方向の中央部に位置する部分に配置されている。ここで、筐体10の横方向とは、上下方向と直交する方向を指す。
このように、筐体10の閉鎖空間において、上下方向および横方向の中央部に発光部50が設けられ、そのほかの部材も収容ケース10Cの内部に並んで配置されている。
このため、発光部50の光を遮る遮蔽物を少なくし、電子基板やスピーカ40とともに収容ケース10C内に発光部が収容されている場合でも、均一に発光部50からの発光を、外部に届けることができる。
(1-2)制御部20の構成
制御部20の構成について説明する。図4は、本発明の振動システム1における制御部20のブロック図である。
図4に示すように、制御部20は、プロセッサ21と、記憶装置22と、通信インタフェース23と、入出力インタフェース24とを備える。
プロセッサ21は、記憶装置22に記憶されたプログラムを起動することによって、制御部20の機能を実現するように構成される。プロセッサ21は、コンピュータの一例である。制御部20の機能は、例えば、以下を含む。
・振動制御信号に応じてスピーカ40を振動させる機能
・発光制御信号に応じて発光部50を発光させる機能
制御部20は、例えば、以下の少なくとも1つの信号から振動制御信号を生成する。
・マイク70(図5参照)により集音された音(一例として、筐体10の外部で集音された音楽)
・振動システム1に接続された音響再生装置から入力された音響信号
記憶装置22は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置22は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)のプログラム
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
入出力インタフェース24は、制御部20に接続される入力デバイスからユーザの指示を取得し、かつ、制御部20に接続される出力デバイスに情報を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、マイク70、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
通信インタフェース23は、制御部20と受信部30との間の通信を制御するように構成される。
(2)実施形態の概要
本実施形態の概要について説明する。
図5は、振動システム1のシステム全体を説明する模式図である。図6は、本発明の振動システム1における使用状態を説明する図である。
振動システム1は、例えばコンサート会場やイベント会場等の聴衆に対して音楽が提供される施設で用いられる装置である。
本実施形態では、図5に示すように、ユーザ(聴衆)に対して提供される音楽をマイク70で集音し、制御部20で振動制御信号が生成される態様について説明する。そしてこの実施形態では、図6に示すように、ユーザは筐体10を抱きかかえるように保持している。
マイク70から入力された音楽に基づいて、制御部20で生成された振動制御信号、および発光制御信号は、ユーザが保持する筐体10内の受信部30に送信される。
そして、受信部30が受信した振動制御信号に基づいて、筐体10の閉鎖空間に配置されたスピーカ40が振動する。スピーカ40が振動すると、この振動が空気振動および固体振動を介して筐体10に伝達される。
(3)制御処理
本実施形態の制御処理について説明する。
図7は、本実施形態の制御処理のフローチャートである。
図7に示すように、マイク70は、集音を実行する。(S100)。
具体的には、マイク70は、筐体10の外部の音楽(以下、外部音という)を集音する。
ステップ100の後に、制御部20は、外部音の入力(S110)を実行する。
具体的には、プロセッサ21は、ステップ100において集音された外部音を取得する。
ステップ110の後に、制御部20は、制御信号の生成(S111)を実行する。
具体的には、プロセッサ21は、ステップ110において入力された外部音に基づいて、スピーカ40を振動させるための振動制御信号、および発光部50を発光させるための発光制御信号を生成する。
ステップS111の後に、制御部20は、制御信号の送信(S112)を実行する。
具体的には、プロセッサ21は、振動制御信号および発光制御信号を、受信部30に向けて送信する。
ステップS112の後に、受信部30は、制御信号の受信(S121)を実行する。
具体的には、受信部30は、ステップS112において送信された振動制御信号および発光制御信号を受信する。
ステップS121の後に、受信部30は、制御信号の供給(S122)を実行する。
具体的には、受信部30は、スピーカ40に振動制御信号を供給する。
受信部30は、発光部50に発光制御信号を供給する。
ステップ122の後に、スピーカ40は、振動(S131)を実行する。
具体的には、スピーカ40は、ステップS122において供給された振動制御信号に基づいて振動する。
ステップS122の後に、発光部50は、発光(S141)を実行する。
具体的には、発光部50は、ステップS122において供給された発光制御信号に基づいて発光する。
発光部50の発光パターンとして、例えば音程や音色により発光色を変化させ、又は、音量により光量を変化させることができる。また、発光パターンは、所定回数におよぶ点滅や、所定時間におよぶ点灯色を組み合わせたものであってもよい。
本実施形態によれば、筐体10内のスピーカ40が振動することで、筐体10が振動し、筐体10の振動が、筐体10を保持しているユーザに伝達される。
これにより、ユーザ(例えば難聴者)に対して、振動で外部音を伝えることができる。
スピーカ40の振動は、提供される音楽の音量、音色、および音程の変化や抑揚に応じて変化する。このため、ユーザは振動の変化を感知することで、例えば、音楽の楽曲的な内容を、聴覚ではない触覚により体感して、臨場感のある新たな音楽体験ができる。これにより、聴覚に障碍があるユーザが音楽を体感することができる。
また、スピーカ40が配置されている筐体10の内部が閉鎖空間となっているので、スピーカ40の振動が空気振動を介して筐体10の外部に漏れるのを抑えることができる。
これにより、スピーカ40の振動が、筐体10の外部においてユーザに提供される音楽のノイズとなり、ユーザによる当該音楽の聴取を阻害するのを抑制することができる。
特に、本実施形態によれば、筐体10が球体状である。このため、例えば着座した姿勢のユーザが、膝の上に筐体10を抱きかかえるようにして保持しやすくなる。これにより、ユーザの利便性を確保することができる。
また、本実施形態によれば、筐体10が、第1の分割部材10Aおよび第2の分割部材10Bにより構成され、それぞれの分割部材の外周面が、半球面に形成されている。
このため、筐体10を2分割して互いに重ね合わせることで、収容、保管することができる。これにより、筐体10の可搬性、取扱性を確保することができる。
また、本実施形態によれば、受信部30が、無線通信により振動制御信号を受信する。このため、受信部30と制御部20とを有線により接続する必要がなく、例えばコンサート会場等において、一度に多数の筐体10を使用するような場合に、配線が不要となる。これにより、振動装置2の取扱性を向上することができる。
また、本実施形態によれば、発光部50が、発光制御信号に基づいて発光する。このため、発光部50が発光することで、触覚のみならず視覚も用いて音楽を体感することが可能になる。これにより、使用者がより臨場感の溢れる音楽体験をすることができる。
また、本実施形態によれば、発光部50が、閉鎖空間に配置され、筐体10が透過性を有する材料により構成されている。このため、発光部50の発光状態を筐体10の外部から、ユーザが確実に視認することができる。このため、発光部50を筐体10の外部に設けるような構成と比較して、筐体10の見栄えを良くしながら、発光部50による視覚効果をユーザに与えることができる。
(4)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
(4-1)変形例1
変形例1について説明する。変形例1は、筐体10の動きに応じて発光部50を発光させる例である。
図8は、本発明の振動システム1における変形例1におけるシステム全体図である。図9は、本発明の振動システム1における変形例1の使用状態を説明する図である。
図8に示すように、振動システム1は、筐体10と、受信部30と、スピーカ40と、発光部50と、動きセンサ60と、を具備している。
筐体10、受信部30、スピーカ40、および発光部50は、図1と同様である。
動きセンサ60は、筐体10に設けられている。動きセンサ60は、筐体10の動きを検出する。
動きセンサ60は、例えば無線通信により制御部20と通信を行い、検出した筐体10の動きを制御部20に伝達する。
動きセンサ60は、例えば、少なくとも以下の1つを含む。
・加速度センサ
・角速度センサ(一例として、ジャイロセンサ)
制御部20は、動きセンサ60が検出した筐体10の動きに基づいて、発光制御信号を生成する。
次に、変形例1における制御処理について説明する。図10は、振動システム1の変形例1における処理の流れを説明する図である。
図10に示すように、ステップS100からステップ121までの処理については、実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
そしてこの変形例では、受信部30は、ステップ122において、発光部50には外部音から生成した発光制御信号を供給しなくてよい。
そして、動きセンサ60は、筐体10の動きの検出(S101)を実行する。
ステップS101の後に、動きセンサ60は、制御部20に対する筐体10の動きに関する情報の提供(S113)を実行する。
ステップS113の後に、制御部20は、発光制御信号の生成(S114)を実行する。
具体的には、制御部20は、筐体10の動きの情報に基づいて、発光制御信号を生成する。
ステップS114の後に、制御部20は、発光制御信号の受信部30に向けた送信(S115)を実行する。
ステップS115の後に、受信部30は、発光制御信号の受信(S123)を実行する。
具体的には、受信部30は、ステップS115において送信された発光制御信号を受信する。
ステップS123の後に、受信部30は、発光制御信号の供給(S124)を実行する。
具体的には、受信部30は、発光部50に発光制御信号を供給する。
ステップ124の後に、発光部50は、発光制御信号に基づいて発光する(S141)。
なお、上記の説明では、発光部50が動きセンサ60が検出した筐体10の動きの情報から生成された発光制御信号のみに基づいて発光する処理を示したが、このような態様に限られない。発光部50は、外部の音から生成された発光制御信号、および筐体10の動きの情報から生成された発光制御信号の両方により発光するような処理を行ってもよい。
以上説明したように、本変形例に係る振動システム1は、筐体10の動きを検出する動きセンサ60を具備し、発光部50が、動きセンサ60により検出された筐体10の動きに基づいて生成された発光制御信号に応じて発光する。
このため、外部のみならず、例えば演出により、ユーザが筐体10を持ち上げるような動作をした場合に、ユーザが動かした際の筐体10の動きにより、発光部50を発光させることが可能になり、発光パターンのバリエーションを多くして、ユーザが受ける臨場感をより一層、向上することができる。
(4-2)変形例2
変形例2について説明する。変形例2は、振動部が複数設けられ、複数の振動部の振動状態を制御する例である。
図11は、変形例2における筐体10の内部の模式図である。
図11に示すように、変形例2に係る振動装置2は、振動部として、第1のスピーカ41(第1の振動部)、および、第1のスピーカ41とは異なる第2のスピーカ42(第2の振動部)を具備している。
第2のスピーカ42は、閉鎖空間のうち、第1のスピーカ41と相対する位置に配置されている。すなわち、第1のスピーカ41および第2のスピーカ42は、筐体10の中心を基準として、筐体10の直径に沿う径方向に対称となる位置(点対称の位置)にそれぞれ配置されている。
このように、第1のスピーカ41および第2のスピーカ42を、閉鎖空間において、互いに相対する位置に配置することで、第1のスピーカ41および第2のスピーカ42それぞれからの振動の出力のバランスをとることができる。
(4-2-1)変形例2の第1例
ここで、変形例2の第1例について説明する。変形例2の第1例は、複数の振動部で生じた振動を、互いに打ち消しあうように制御する例である。
図12は、変形例2の第1例における筐体10内の状態を説明する図である。
図12に示すように、変形例2の第1例における第1のスピーカ41および第2のスピーカ42は、互いに逆位相となる音を出力する。ここで、逆位相の音とは、音の振幅と波長が同じでありながら、基準時において位相が周期の半分遅れている音を指す。
そして、制御部20は、第1のスピーカ41および第2のスピーカ42それぞれに入力される振動制御信号として、互いに逆位相となる振動制御信号を生成する。
そして、第1のスピーカ41および第2のスピーカ42が、互い逆位相となるように振動をすると、第1のスピーカ41および第2のスピーカ42それぞれから筐体10の表面を伝わった振動が、筐体10の表面において互いに弱めあうことになる。
このように、第1のスピーカ41および第2のスピーカ42それぞれから発生した振動のうち、筐体10の表面を伝わる振動が互いに弱めあうことにより、振動部の振動によりノイズが生じるのを抑制することができる。
ここで、振動部の振動により生じるノイズとは、振動部が振動することにより、筐体10の外部に漏れる音のことを指している。
(4-2-2)変形例2の第2例
変形例2の第2例について説明する。変形例2の第2例は、複数の振動部で生じた振動を、互いに強め合うように制御する例である。
図13は、変形例2の第2例における筐体10内の状態を説明する図である。なお、変形例2と同一の構成については、その説明を省略する。
この変形例では、第1のスピーカ41および第2のスピーカ42は、互いに同位相となる音を出力する。ここで、同位相の音とは、音の振幅と波長が同じでありながら、基準時において位相が同じ音を指す。
そして、制御部20は、第1のスピーカ41および第2のスピーカ42それぞれに入力される振動制御信号として、互いに同位相となる振動制御信号を生成する。
そして、第1のスピーカ41および第2のスピーカ42が、互い同位相となるように振動をすると、筐体10の閉鎖空間のうち、第1のスピーカ41および第2のスピーカ42の中間に位置する干渉点において、2つの振動が干渉した際に、それぞれの振動が互いに強め合うこととなる。このため、筐体10の閉鎖空間内の空気を介して伝達される振動が互いに強め合うことになる。これにより、振動部の振動により生じる音を大きくし、外部音の音源が遠隔にある場合であっても、音を聴覚で体感することができる。
(4-2-2)変形例2の第3例
変形例2の第3例について説明する。変形例2の第3例は、複数の振動部による振動を任意に調整して制御する例である。
図14は、変形例2の第3例における筐体10内の状態を説明する図である。なお、変形例2と同一の構成については、その説明を省略する。
この変形例における制御部20は、第1のスピーカ41および第2のスピーカ42それぞれに入力される振動制御信号に応じた振動を個別に制御する。振動制御信号は、例えば、以下のモードを示す信号である。
・モード1:弱め合う(例えば、図12の制御を実行するためのモード)
・モード2:強め合う(例えば、図13の制御を実行するためのモード)
このため、筐体10の閉鎖空間内の空気を介して伝達される振動が、互いに弱め合う、又は、互いに強め合う。これにより、閉鎖空間におけるスピーカ40から生じる空気振動を制御して、筐体10の外部にノイズが漏れ出るのを抑制し、又は、あえて筐体10の外部にスピーカ40からの音を伝達することができる。
(4-3)変形例3
変形例3について説明する。変形例3は、外部音の音色の印象、リズム、及び、音楽の盛り上がりに応じて発光部50を発光させる例である。
図15は、変形例3の説明図である。
変形例3の制御部20は、制御信号の生成(S111)において、外部音のフレーム(t)(tは、引数)毎に図15の処理を実行する。
具体的には、プロセッサ21は、外部音から、周波数帯域(例えば、低域、中域、及び、高域)毎の実効値(以下「帯域成分」という)を抽出する。これにより、低域の実効値(以下「低域成分」という)、中域の実効値(以下「中域成分」という)、及び、高域の実効値(以下「高域成分」という)が得られる。
低域成分は、例えば、バスドラム及びベース等の音に対応する。
中域成分は、例えば、ボーカル、メロディー楽器(一例として、バイオリン)、及び、リード楽器(一例として、ギター)の少なくとも1つの音に対応する。
高域成分は、例えば、ハイハット、シンバル、スネアドラム、及び、トライアングル等の音に対応する。
各帯域成分の抽出は、例えば、以下の何れかの方法を用いて実行される。
・所定の周波数閾値(例えば、低域と中域を区別する低域周波数閾値、及び、中域と高域を区別する高域周波数閾値)を外部音に適用する。
・所定のフィルタ(例えば、一定の傾きを持つフィルタ、又は、特定の周波数帯域のみを抽出するフィルタ)を用いたフィルタリングを外部音に適用する。
・時間方向の平滑化処理(例えば、移動平均処理)を外部音に適用する。
・所定の信号を抽出するように構成された抽出モデルに外部音を入力することにより、各帯域成分を生成する。
・所定のアルゴリズム(例えば、楽器の特性(例えば、スペクトル形状)と帯域成分との相関関係が記述された学習済モデルに任意の楽器(例えば、ユーザによって指定された楽器))を与えることにより、当該楽器に対応する帯域成分を抽出する。
プロセッサ21は、各帯域成分に対して、スムージングを実行する。これにより、各帯域成分が平滑化される。
プロセッサ21は、スムージングが適された帯域成分のうち、低域成分及び高域成分について、フレーム比を計算する。フレーム比は、低域成分及び高域成分のそれぞれの時間変化を表す指標である。
フレーム(t)の低域成分L(t)のフレーム比FLR(t,t-1)は、当該低域成分L(t)と、当該フレーム(t)の前のフレームF(t-1)の低域成分L(t-1)との比である。つまり、FLR(t,t-1)=L(t)/L(t-1)である。
フレーム(t)の高域成分H(t)のフレーム比FHR(t,t-1)は、当該高域成分H(t)と、当該フレーム(t)の前のフレームF(t-1)の高域成分H(t-1)との比である。つまり、FHR(t,t-1)=H(t)/H(t-1)である。
記憶装置22には、減衰モデルが記憶されている。減衰モデルには、フレーム比と、減衰係数との相関関係が記述されている。
プロセッサ21は、減衰モデルを参照して、低域成分のフレーム比FLR(t,t-1)に応じた減衰係数を決定する。プロセッサ21は、当該減衰係数を用いて、低域成分L(t)に減衰処理を実行する。
プロセッサ21は、所定の減衰係数を用いて、中域成分M(t)に減衰処理を実行する。
プロセッサ21は、減衰モデルを参照して、高域成分のフレーム比FHR(t,t-1)に応じた減衰係数を決定する。プロセッサ21は、当該減衰係数を用いて、高域成分H(t)に減衰処理を実行する。
記憶装置22には、発光制御モデルが記憶されている。明度モデルには、各帯域成分と、発光部50の発光パターンとの相関関係が記述されている。
プロセッサ21は、発光制御モデルを参照して、減衰処理が適用された各帯域成分(低域成分L(t)、中域成分M(t)、及び、高域成分H(t))に応じた発光パターンを決定する。
発光パターンは、例えば、以下の少なくとも1つを含む。
・明度(例えば、白色及び青色毎の明度)
・彩度
・色相
・発光させる光源(例えば、LED(Light Emitting Diode))を識別する情報
・発光させる光源の数
プロセッサ21は、当該発光パターンに応じた発光制御信号を生成する。
変形例3によれば、低域成分の時間変化、及び、高域成分の時間変化からリズムが特定され、且つ、中域の実効値から音楽の盛り上がりが特定される。これにより、外部音の音色の印象、リズム、及び、音楽の盛り上がりに応じて発光部50を発光させるができる。
特に、変形例3によれば、各帯域成分を平滑化することにより、発光部50の発光のチラツキを抑制することができる。
特に、変形例3によれば、減衰処理を実行することにより、フレーム(t)の明度がフレームF(t-1)の明度より小さい場合、明度の減少幅を緩やかにすることができる。一方、フレーム(t)の明度がフレーム(t-1)の明度以上である場合、減衰処理の効果は発光部50の光に影響しない(つまり、明度の増加幅は抑制しない)。その結果、発光部50の光の明度が減少する場合には、発光部50の光を滑らかに変化させることができ、且つ、発光部50の光の明度が増加する場合には、外部音の音色の印象、リズム、及び、音楽の盛り上がりに応じて発光させることができる。
変形例3では、抽出される複数の帯域成分は、互いに重なっても良い(つまり、互いに共通の帯域成分を含んでも良い)。例えば、プロセッサ21は、ある帯域成分(例えば、低域成分)と、全帯域と、を抽出しても良い。
変形例3では、外部音が複数のトラック信号を含む場合、各トラック信号を各帯域成分として抽出しても良い。
変形例3では、一部の情報は,予め用意された情報(楽譜情報なども含む)で置き換えても良い(予め用意された情報とリアルタイム信号から得られた情報の両方を用いて色情報を決定する)。
変形例3では、フレーム比は、例えば、以下の少なくとも1つに置き換え可能である。
・フレーム(t-1)に対するフレーム(t)の振幅又はスペクトルの比
・フレーム(t)の振幅とフレーム(t-1)の振幅又はスペクトルの比
・あるいは時間的な変動変数の偏差やその変数のフーリエ変換などの周波数解析などでもよい。
変形例3では、周波数帯域毎の実効値を抽出する例を示したが、変形例3はこれに限られない。変形例3は、実効値に代えて、例えば、以下の何れかを抽出する例にも適用可能である。この場合、プロセッサ21は、以下の何れかに応じた発光制御信号を生成する。
・ピーク値
・エネルギ値(実効値の2乗)
・振幅
・スペクトル
変形例3では、周波数帯域毎の帯域成分を抽出する例を示したが、変形例3はこれに限られない。変形例3は、帯域成分に加えて、周波数成分の時間変化を抽出する例にも適用可能である。この場合、プロセッサ21は、帯域成分、及び、周波数成分の時間変化に応じた発光制御信号を生成する。
変形例3では、学習済モデルを用いて任意の楽器に対応する帯域成分を抽出する例を示したが、変形例3はこれに限られない。変形例3は、学習済モデルを用いて任意の楽器の音を抽出する例にも適用可能である。この場合、プロセッサ21は、任意の楽器の音に応じた発光制御信号を生成する。
(5)その他の変形例
筐体10は、球体状に限られず、任意の形状であってもよい。
発光部50は省略可能である。この場合には、筐体10の材質は透過性を備えていなくてもよい。
発光部50は、筐体10の外周面に設けられてもよい。
受信部30は無線通信ではなく、有線通信により振動制御信号を受信してもよい。この場合には、通信用ケーブルが挿通される挿通孔が、筐体10に設けられる。
上記の実施形態および変形例では、スピーカ40が1つ又は2つである構成を示したが、このような態様に限られない。すなわち、振動システム1は、3つ以上のスピーカ40を具備してもよい。
実施形態および各変形例では、振動装置2が1つである構成を示したが、このような構成に限られない。すなわち、振動システム1は、複数の振動装置2を備えていてもよい。
本実施形態では、外部音を解析することによって、外部音に応じた発光制御信号を生成する例を示したが、本実施形態はこれに限られない。本実施形態は、所定の情報(例えば、楽譜)を解析することによって、楽譜に応じた演奏される音に応じた発光制御信号を生成する例にも適用可能である。この場合、外部音の解析は省略可能である。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
1 振動システム
2 振動装置
10 筐体
10A 第1の分割部材
10B 第2の分割部材
20 制御部
30 受信部
40 スピーカ
41 第1のスピーカ
42 第2のスピーカ
50 発光部
60 動きセンサ

Claims (13)

  1. 閉鎖空間を形成する筐体を具備し、
    入力音に応じた振動制御信号を受信する受信部を具備し、
    前記閉鎖空間に配置された振動部を具備し、
    前記振動部は、前記振動制御信号に基づいて振動する、
    振動装置。
  2. 前記筐体は球体状を形成する、請求項1に記載の振動装置。
  3. 前記筐体は、互いに着脱可能な第1の分割部材および第2の分割部材を含み、
    前記第1の分割部材および第2の分割部材それぞれの外周面は、半球面を形成する
    請求項2に記載の振動装置。
  4. 前記受信部は、無線通信により前記振動制御信号を受信する、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の振動装置。
  5. 入力音に応じた発光制御信号に基づいて発光する発光部を具備する、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の振動装置。
  6. 前記発光部は、前記閉鎖空間に配置され、
    前記筐体は透過性を有する材料により構成されている、
    請求項5に記載の振動装置。
  7. 前記筐体の動きを検出する動きセンサを具備し、
    前記発光部は、前記振動制御信号、および、前記動きセンサにより検出された前記筐体の動きに基づいて生成された発光制御信号に応じて発光する、
    請求項5又は請求項6に記載の振動装置。
  8. 外部音を参照して、前記発光部の明度を決定する手段を備え、
    前記発光部は、前記明度に基づいて生成された発光制御信号に応じて発光する、
    請求項5から請求項7のいずれか1項の記載の振動装置。
  9. 前記明度を決定する手段は、外部音の各帯域成分に応じて前記明度を決定する、
    請求項8に記載の振動装置。
  10. 前記振動部は、第1の振動部、および、前記第1の振動部とは異なる第2の振動部を具備し、
    前記第1の振動部は、前記閉鎖空間に配置され、
    前記第2の振動部は、前記閉鎖空間のうち、前記第1の振動部と相対する位置に配置され、
    前記第1の振動部および前記第2の振動部は、互いに逆位相となる音を出力する、
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の振動装置。
  11. 前記振動部は、第1の振動部、および、前記第1の振動部とは異なる第2の振動部を具備し、
    前記第1の振動部は、前記閉鎖空間に配置され、
    前記第2の振動部は、前記閉鎖空間のうち、前記第1の振動部と相対する位置に配置され、
    前記第1の振動部および前記第2の振動部は、互いに同位相となる音を出力する、
    請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の振動装置。
  12. 前記第1の振動部および前記第2の振動部は、前記筐体の中心を基準として、前記筐体の直径に沿う径方向に対称となる位置にそれぞれ配置されている、
    請求項10又は請求項11に記載の振動装置。
  13. 前記振動部は、第1の振動部、および、前記第1の振動部とは異なる第2の振動部を具備し、
    前記第1の振動部は、前記閉鎖空間に配置され、
    前記第2の振動部は、前記閉鎖空間のうち、前記第1の振動部と相対する位置に配置された請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の振動装置、
    および、
    前記第1の振動部および前記第2の振動部それぞれに入力される前記振動制御信号に応じた振動を個別に制御する制御部を具備する、
    振動システム。

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