JP2022021920A - 紫外線殺菌装置、及びフェイスシールド - Google Patents

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秀輝 中田
Hideki Nakada
高雄 伊藤
Takao Ito
アントン ジュラブリョフ
Zhuravlev Anton
玲子 平田
Reiko Hirata
孝年 梅原
Takatoshi Umehara
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Abstract

【課題】小さいパワーの紫外線光源であっても殺菌効果を得て小型化及び放熱特性に良好なものとする。【解決手段】紫外線殺菌装置は、内壁を反射面とした殺菌室を備える殺菌筒と、外部の空気を殺菌室に送出する吸気ファンと、空気が殺菌室に流入する空気流入部と、殺菌室の内部に向けて紫外線を照射する光源と、殺菌室の空気が外部に流出する空気流出部とを備え、反射面により紫外線光源からの紫外線を多重反射させて流入した空気に紫外線を多重照射する。フェイスシールドは、紫外線殺菌装置を配設するための殺菌装置固定部と、殺菌装置固定部に配設され紫外線殺菌装置の空気排出部からの空気をシールド部の顔面側に放出する排出空気供給部とを有して顔面とシールド部の間の空間となる呼吸空間に排出空気供給部より紫外線殺菌装置の空気排出部からの空気を排出させて呼吸空間を外気より陽圧とする。【選択図】図1

Description

本発明は紫外線除菌装置、及びフェイスシールドに関する。
近年、新型コロナをはじめとする新たなウイルスの発生により、会話や咳及びくしゃみ等による飛沫が空気中に飛び散ることによるインフルエンザや新型コロナなどのウイルスへの感染リスクが社会問題となっている。マスクやフェイスシールドの着用によりウイルス感染のリスクをある程度下げることができるが、ウイルスや雑菌を含んだ飛沫が空気中に浮遊し続けている限り、それらを直接吸い込んだり目や鼻などの粘膜に付着させたりする可能性があり、様々なウイルスへ感染する危険性は残存することとなる。
このような社会情勢の中、ウイルスなどの殺菌、不活性化及び除菌技術への関心は高く、紫外線の有用な作用である殺菌消毒が注目されている。紫外線の中でも波長が短い領域に属するUVC(波長200-280nm)又は深紫外線(波長200~350nm)は殺菌効果が高く、光源として人工的に作られ利用されてきた。
細菌はその細胞の中に核を持ち、遺伝情報をつかさどるDNA(デオキシリボ核酸)がその中に存在しており、このDNAやRNAの光の吸収スペクトルは波長260nm付近に吸収帯を持っている。UVC又は深紫外線は、細菌の原形質である核酸に作用して増殖能力を奪うだけでなく、原形質を破壊して細菌を死滅させる作用を有することが知られている。紫外線を吸収した細胞のDNA組織のらせん構造は破壊され、二量体(シクロブタンピリミジン)を形成し、生殖能力を失い死滅する。これが紫外線による殺菌、ウイルスの不活化のメカニズムである。
また、最近ではDNAの紫外線吸収スペクトルは、260nm付近と220nm付近が同レベルであり、殺菌及び不活化に必要なエネルギー量も同等と推測する報告もされている。紫外線による殺菌、不活化に必要なエネルギーは、積算光量で表され、菌やウイルスの種類によって異なる。UVC又は深紫外線の波長領域の光源としては、サイズはやや大きくなるが殺菌ランプが供給の安定性、コスト、光強度の観点より最も有効となる。更に近年では、小型で高効率、ウオームアップ時間ゼロとなる、水銀ランプよりも優れた特徴を備えた深紫外LEDが開発されている。
新型コロナ感染拡大の影響により、電車やバスなどの混雑した車内、飲食店、イベントなど様々な空間でのウイルス感染対策を実施することが急務となっている。また、ZOOM(登録商標)などの遠隔会議や在宅勤務も増加傾向にはあるが、数名で打ち合わせや日常の業務を行う機会は完全にはなくならないという課題も有しており、数人で話すときのウイルス感染対策、大人数で仕事を行う場合の居室のウイルス感染対策を実施することも急務となっている。
このような背景の中、深紫外線を照射することにより殺菌を行う紫外線殺菌装置が実用化されている。紫外線殺菌装置に用いられる光源としては、低圧(約0.1Pa)の水銀蒸気の放電によって発生する波長253.7nmの光(水銀の共鳴線)を放射する低圧水銀ランプ(いわゆる殺菌ランプ)が一般的であり、様々な分野で広く使用されている。空気清浄装置においても殺菌ランプを使用することにより殺菌機能を持たせたものが知られている。例えば、部屋などの居住空間内の空気を清浄するための据置型又は壁掛型空気清浄装置として、吸込口と吹出口とを備えた本体内に遠心ファンと該遠心ファンを軸止したファンモーターとからなる送風装置を配置して該本体内に空気通路を形成すると共に該空気通路の上流側からフィルター及び紫外線殺菌装置を順次配置したものが知られている(特許文献1及び特許文献2)。
また、通風路内とは別で設けられた殺菌室を有する殺菌ユニットを配置し、通風路内の風を殺菌室内に導き、殺菌室内を流通する空気に深紫外線を照射して殺菌を行う空気清浄装置が提案されている(特許文献3)。
特開平11-63592号公報 特開2005-6771号公報 特開2014-100206号公報
上述した従来の紫外線殺菌装置又は空気浄化装置において、殺菌ランプを搭載した紫外線殺菌装置では装置全体が大きくなりすぎるという問題がある。また、殺菌ランプは寿命が短いため比較的頻繁に交換を行う必要があるばかりでなく、破損して水銀が外部に放出されるという問題があるため、寿命を延ばすには光源の放熱を効率良く行う必要がある。
また、比較的単純な空気の流路(直線的な流路)の途中に殺菌室が設けられ、かつ通風路(空気の流路)が流路と同一面平面に構成されており、反射面(筐体の側面)、筐体の上面、筐体の底面が単純な平面で構成されていることに加えて光源が平行光束となっているため、空気は比較的単純な流路を抵抗なく直線的に進むと考えられる。更に渦が発生しにくい直線的な空気の流れとなるため、流入した空気が殺菌室の中に留まる時間が短くなり、ウイルスや菌を殺菌又は不活性化するために必要な積算光量を確保するためには大きな光量を有した紫外線LED(光源)が必須となるという課題を有している。
一方、光源の放熱構成を考慮すると小型化が困難で装置全体の構成が大きくなりすぎ、小型化、携帯用、ポータブル用又は首に固定するための小型軽量化は困難となる。また、光源が殺菌室の壁面の隅に固定されているため、殺菌室の中を通過する空気が当たりにくく放熱効果が著しく低く、光源の温度が上昇しすぎてしまう。更に、空気の流入部のための開口部と紫外線LEDが異なる面に設置されているため紫外線の反射領域が大きく減少するため小型化が困難となるという課題を有している。
また、深紫外線LEDは、放射される深紫外線の強度(光量子束密度あるいは放射照度)が殺菌ランプから放射される深紫外線の強度と比べて著しく低く、放射される光の指向性が強いため紫外線の照射領域が狭くなるが、単純な平面の反射面の構成であると十分な殺菌を行うためには非常に多数の深紫外線LEDを平面上に並べて配置して使用しなければならないため、小型化、低コスト化、放熱性能、殺菌性能の観点で大きな課題を有することとなる。
更に、平行光束と単なる反射面による深紫外線LEDの複数回反射で空気の層を複数回通過させる構成では、特定の領域の光量を効果的に上げることが困難で殺菌効果を有する光量まで上げるためには光源の数を増やすことが必須となってしまい、小型化及び低コスト化、高性能化が困難になるという課題を有している。
また、ウイルス感染対策として、空気清浄機や紫外線殺菌装置のみでなく、フェイスシールドと連動したシステム構成や屋外の使用を考慮したモバイル性への対応も大きな課題である。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものである。発明者は、空気の紫外線透過率が他の物質の紫外線透過率と比べて特異的に高いこと及び特定の波長となる紫外域の反射率を高めかつ多重反射性を高める構成とすることで光量を上げることが可能となること、深紫外線LEDから出射された深紫外線を反射させ、光路を変えて被殺菌体である空気の層を複数回通過するようして積算光量を増せば、深紫外線を有効利用できることを想到し本発明に至った。
この際、光源を発散光束とすることで、多重反射による光量増加の効果を更に上げることが可能となることに着目した。具体的には、発散光束となる光源と傾斜角を有した反射壁による多重反射を用いて光強度を増加させ殺菌効果を高めると共に、複数の反射壁から構成される殺菌筒の内部で空気の流れの方向を反射壁で変化させ殺菌筒の内部に流入した空気が殺菌筒の内部に留まる時間を長くする構成とすることで一層の殺菌効果の向上を可能であることに着目した。
更に、フェイスシールドについて、発明者は、シールド部と顔面との間の呼吸空間を外部より陽圧にすることにより、有効に感染防止ができることを着目し、本発明に至った。
本発明は、小型化可能であり、高い殺菌効果を備える紫外線殺菌装置を提供することを課題とする。また、本発明は、有効な感染防止が可能であるフェイスシールドを提供することを課題とする。
本発明に係る紫外線殺菌装置は、上記した課題を解決するために、外部空気を吸引するための吸気ファンと、内部を空洞状態の殺菌室とした殺菌筒と、前記殺菌筒に配設され吸気ファンからの空気を前記殺菌室に流入させるため空気流入部と、前記収斂壁の円錐又は角錐の頂点付近に配設され前記殺菌筒から空気を排出する空気排出部と、前記空気流入部に近傍に配設された光源と、前記吸気ファンと前記殺菌筒を保持する筐体よりなり、反射面で前記光源からの光束を多重反射させ、殺菌室内の空気に紫外線を多重照射するものである。
また、本発明に係るフェイスシールドは、頭部に装着するための固定部、及び顔面の前方に配設した透明樹脂からなるシールド部を備えたフェイスシールドに上述した紫外線殺菌装置を配置して、呼吸空間に紫外線殺菌装置からの空気を送り、呼吸空間を外部より陽圧にするものである。
更に、本発明に係るフェイスシールドは、頭部に装着するための固定部、及び顔面の前方に配設した透明樹脂からなるシールド部を備え、呼吸空間に呼吸空間用ファンで空気を送り、呼吸空間を外部より陽圧にするものである。
即ち、請求項1に記載の発明は、空洞内壁に紫外線の反射面を形成した殺菌室を備える殺菌筒と、外部の空気を前記殺菌室に送る吸気ファンと、前記殺菌筒に形成され前記吸気ファンからの空気が前記殺菌室に流入される空気流入部と、前記殺菌筒に配置され前記殺菌室の内部に向けて紫外線を照射する光源と、前記殺菌筒に形成され前記殺菌室の空気が外部に排出される空気排出部と、を備え、前記殺菌室において前記反射面により前記光源からの紫外線を多重反射させて、前記殺菌室内の空気に紫外線を多重照射することを特徴とする紫外線殺菌装置である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、前記殺菌筒は、円錐形、角錐形、円筒形、多角柱形、略球形、又は略立方形として構成されたことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、前記殺菌筒は、円錐形、角錐形、円筒形、多角柱形、略球形、又は略立方形として構成されたことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、前記空気流入部側から断面積が増す拡散壁と、前記空気排出部に向けて断面積が減ずる収斂壁となる2つの円錐体又は角錐体の互いの底面部を接合して内部を前記殺菌室とし、前記光源を前記空気流入部の近傍に配設したことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、前記光源は200nm~350nmの波長を有する深紫外線を射出する紫外線発光ダイオードであり、前記紫外線発光ダイオードの出射部にレンズを配設したことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、前記光源は200nm~350nmの波長の深紫外線を放射する殺菌灯であることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、前記殺菌筒は樹脂又は金属を素材とし、前記反射面はアルミニウム蒸着、アルミニウムスパッタリング、アルミニウム箔又はスクリーン印刷により紫外線反射膜又は紫外線反射面として形成されていることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、前記殺菌室内に、前記反射面で多重反射されて加算された前記光源からの紫外線の光強度が予め定めた値以上となる殺菌光量領域を設けたことを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、前記反射面が、前記殺菌室の内部に流入した空気の流れの方向を変化させ、又は空気に渦を発生させる形状を備えることを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、前記空気流入部から流入する空気の方向を前記殺菌室の中心軸に対して0°~90°の角度とし、又は前記空気流入部から流入する前記空気の方向を前記中心軸に対して流入する空気の流れをスパイラル状に旋回させる方向としたことを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、前記光源を前記殺菌筒に保持する光源保持部を備え、前記光源の出射面の背面に流入した空気を接触させて前記光源を冷却すると共に、前記光源保持部に前記光源の熱を前記殺菌筒に伝えると共に流入した空気で冷却される保持部伝熱部を備えることを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、前記殺菌筒を1個以上備え、前記殺菌筒と前記吸気ファンとを内部に保持する筐体と、前記殺菌筒の熱を前記筐体に伝えると共に前記殺菌筒を前記筐体に保持する筐体伝熱部と、前記筐体の一部に開設され、前記殺菌筒に向けて流入した空気の一部を前記筐体の内部に流通させる空気抜孔とを備えることを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、内部に前記殺菌室を備えた前記殺菌筒を1個以上備え、前記殺菌筒の側面には、前記吸気ファンから流入した空気を前記殺菌室に流入させるため空気流入部を開設し、前記殺菌室の略中心軸上に前記光源としての殺菌ランプを配置し、前記殺菌ランプを前記殺菌筒に保持する光源保持部を備え、更に、前記殺菌筒の底面又は側面に配設され前記殺菌室から流入した空気を排出する前記空気排出部と、前記吸気ファンと前記殺菌筒を保持する筐体と、前記殺菌筒の熱を前記筐体に伝えると共に前記殺菌筒を前記筐体に保持する筐体伝熱部と、前記筐体の一部に1カ所以上配設された空気抜孔とを備え、流入した空気の一部を前記筐体の内部に流通させることを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
また、請求項14に記載の発明は、請求項12又は請求項13に記載の紫外線殺菌装置において、前記吸気ファンを駆動するモーター部を備え、前記モーター部の発熱を前記吸気ファンの外径部を介して前記筐体へ伝えるモーター部伝熱部材を備え、前記筐体から空気中へ放熱すると共に、前記殺菌筒及び前記筐体で構成された空間を滞留する空気により前記殺菌筒、前記モーター部伝熱部材及び前記筐体から放熱することを特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、請求項1に記載の紫外線殺菌装置において、前記ファンへの空気を濾過するフィルターと前記フィルターを保持するフィルター保持部とを備えることを特徴とする。
また、請求項16に記載の発明は、頭部に装着するための固定部、及び顔面の前方に配設した透明樹脂からなるシールド部を備えたフェイスシールドであって、前記固定部、又はこのフェイスシールドの着用者上半身の近傍に請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の紫外線殺菌装置を配設する殺菌装置固定部と、前記殺菌装置固定部に配設され、前記紫外線殺菌装置の前記空気排出部からの空気を前記シールド部の顔面側である呼吸空間に放出する排出空気供給部と、を有し、前記呼吸空間に前記排出空気供給部からの空気を供給して前記呼吸空間を外気に対して陽圧とし、前記排出空気供給部から流入した空気以外の空気が前記呼吸空間に侵入するのを防止することを特徴とするフェイスシールドである。
また、請求項17に記載の発明は、請求項16に記載のフェイスシールドにおいて、前記紫外線殺菌装置から前記排出空気供給部を経て排出される空気の流量を毎分6.5L以上としたことを特徴とする。
また、請求項18に記載の発明は、請求項16に記載のフェイスシールドにおいて、前記呼吸空間に接する前記シールド部に前記呼吸空間の呼吸に起因する圧力変化を検出する圧力センサを備え、前記圧力変化に応じて前記呼吸空間が外気に対して陽圧となるように前記紫外線殺菌装置を制御して前記空気排出部から排出される空気の流量を調整する調整手段を備えることを特徴とする。
また、請求項19に記載の発明は、請求項16に記載のフェイスシールドにおいて、前記固定部に前記呼吸空間に外部からの空気を送る呼吸空間用ファンを配置し、前記呼吸空間用ファンの回転方向及び回転数を調整可能としたことを特徴とする。
また、請求項20に記載の発明は、請求項16に記載のフェイスシールドにおいて、前記シールド部は、透明樹脂で構成されると共に、所定のシールド空間を隔てて配置した顔面側の内側シールドと外気側の外側シールドとからなる2層構造とし、前記内側シールドの下端部の位置を前記外側シールドの下端部の位置より下側とし、前記固定部に前記シールド空間に下側からの上昇気流を生成して外部から口元近傍に拡散した空気を頭部の方向へ排出するシールド空間用ファンを備えることを特徴とする。
また、請求項21に記載の発明は、請求項16に記載のフェイスシールドにおいて、首部に装着する前記殺菌装置固定部に、前記シールド部と、前記呼吸空間に外部からの空気を送る呼吸空間用ファンと、前記紫外線殺菌装置と、前記排出空気供給部とを配置し、前記顔面と前記シールド部の間の空間となる前記呼吸空間に前記排出空気供給部からの空気を流入させ前記呼吸空間を外気より陽圧とすることで、前記排出空気供給部からの空気以外の空気が前記呼吸空間に侵入するのを防止することを特徴とする。
更に、請求項22に記載の発明は、頭部に装着するための固定部、及び顔面の前方に配設した透明樹脂からなるシールド部を備えたフェイスシールドであって、前記固定部に前記呼吸空間に外部からの空気を送る呼吸空間用ファンを1つ以上配置し、前記呼吸空間用ファンの回転方向及び回転数を調整可能とすることを特徴とするフェイスシールドである。
そして、請求項23に記載の発明は、請求項22に記載のフェイスシールドにおいて、前記シールド部は、透明樹脂で構成されると共に、所定のシールド空間を隔てて配置した顔面側の内側シールドと外気側の外側シールドとからなる2層構造とし、前記内側シールドの下端部の位置を前記外側シールドの下端部の位置より下側とし、前記固定部に前記シールド空間に下側からの上昇気流を生成することで外部から口元近傍に拡散した空気を頭部の方向へ排出するシールド空間用ファンを備え、更に、前記顔面と前記内側シールドとの間の前記呼吸空間に外気を送り、下降気流、上昇気流又は無風とする呼吸空間用ファンを備えることを特徴とする。
本発明に係る紫外線殺菌装置によれば、ウイルス、雑菌、結核菌、カビなどを有した空気を吸気ファンで吸引し流入した空気を生成する。ウイルス、雑菌、結核菌、カビなどを有した空気は空気流入部より殺菌筒の内に流入する。殺菌筒の内部は深紫外線LEDから出射された紫外線を拡散筒及び収斂筒の各反射面で多重反射することで殺菌筒内部の空気に紫外線を多重照射することとなる。深紫外線(波長200~350nm)は殺菌効果があり、細菌のDNAの光吸収スペクトルは260nm波長付近に吸収帯を持っているため、紫外線を吸収した細胞のDNA組織のらせん構造を破壊し、殺菌やウイルスの不活化を行うこととなる。
また、本発明に係る紫外線殺菌装置によれば、殺菌室における紫外線の反射面による多重反射により殺菌筒の内部において紫外線を空気に多重照射して光強度を大幅に上げることができると共に、拡散壁や収斂壁の反射面の角度により流入した空気の流れの向きを様々に変化させ、かつ空気流入部の形状により渦及び乱流性を加えることで殺菌筒の内部に滞在する空気の滞在時間を長くすることが可能となるため、ウイルスや雑菌などに照射する積算光量が増え、効率的な殺菌又は不活性化を実現すると共に大幅な小型化を行うことが可能となり、高性能で信頼性が高く携帯可能な小型紫外線除菌装置を提供できる。
また、本発明に係る紫外線殺菌装置によれば、光源として比較的小型化が可能な紫外線LEDを用い、光源を空気の流入部に配設し空気の流入部と光源の位置を同一とすることで光の反射面の面積を拡大することが可能となり大幅な小型化と高性能化を実現できると共に、この光源の直後にレンズを配設し光束を発散光束からやや平行光束側に広がり角を狭めることで多重反射による殺菌筒の内部の光強度を一層増強することが可能となる。
更に、本発明に係る紫外線殺菌装置によれば、光源を空気の流入部に配設し、光源の発光側の反対面を直接空気に当てることで光源の放熱性を大幅に向上させると共に、光源と熱伝導状態にある拡散壁の外面から筐体に伝熱部を設け筐体に放熱すると共に、光源と熱伝導状態にある拡散壁及び伝熱部に直接空気を当てる構成とすることで、大幅に放熱性を向上させることが可能となり小型化と放熱性を両立するという効果を奏する。本発明は、このように簡素な構成で、空気中のウイルス及び雑菌を効果的に効率良く除菌又は不活性化できる高性能な型紫外線除菌装置を提供できる。
また、本発明に係るフェイスシールドによれば、前記呼吸空間に流入する空気により常にウイルスが殺菌又は不活性化された状態に保つことができ、呼吸や目及び鼻などの粘膜への付着によりウイルス感染へのリスクを大幅に低減することが可能となり、一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
また、本発明に係るフェイスシールドによれば、呼吸に必要な空気量を安定して前記呼吸空間に供給することが可能となり、一層小型化、高性能で高信頼性の紫外線殺菌装置及びフェイスシールドを提供できる。
また、本発明に係るフェイスシールドによれば、圧力センサにより呼吸による前記呼吸空間の圧力変化を精度よく検出することが可能となり、呼吸時の空気吸引時に前記呼吸空間の圧力がやや下がった場合は空気の流量を増やし、呼吸時の空気吐出時に前記呼吸空間の圧力がやや上がった場合は空気の流量を減らすことで適切な流量の空気を前記呼吸空間に流入させることが可能となり、一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
また、本発明に係るフェイスシールドによれば、高温時には空気を前記小型ファンで下降気流を又は下降気流とすることで顔面は涼しく感じることができる。また前記フェイスシールドの内側が曇っている場合にも上昇気流又は下降気流とすることで前記フェイスシールドの曇りを除去できる。また、前記呼吸空間の圧力が不足している場合は上昇気流を用いる他、前記呼吸空間の圧力が高すぎる場合は下降気流を用いることで、外気の環境変化にも適応した一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
また、本発明に係るフェイスシールドによれば、会話、咳、くしゃみ等による飛沫は前記シールド空間用ファンにより上昇気流を生成し、前記シールド空間の上昇気流で頭部の後方に排出することでウイルスへの感染リスクを大幅に低減することが可能となる。また、前記シールド空間にウイルスが付着した場合においても、直接口か体内に侵入したり目や鼻の粘膜に付着したりすることはない。更に顔面に近い側の前記シールド部の下側の寸法が顔面に遠い側の前記シールド部の下側の寸法より長い構成とすることで一層前記呼吸空間への飛沫、ウイルス及び雑菌などの侵入を大幅に低減することが可能となり、一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
また、本発明に係るフェイスシールドによれば、首部に前記フェイスシールド、前記殺菌システム固定部、前記呼吸空間用ファン、前記紫外線殺菌装置及び前記排出空気供給部をすべて搭載することで、比較的質量による負荷を気にすることなく長時間の使用が可能となり、携帯性に優れたフェイスシールドを提供できる。
更に、本発明に係るフェイスシールドによれば、高温時には前記呼吸空間を前記呼吸空間用ファンで下降気流を又は下降気流とすることで顔面は涼しく感じることができる。また前記フェイスシールドの内側が曇っている場合にも上昇気流又は下降気流とすることで前記フェイスシールドの曇りを除去できる。また、前記呼吸空間の圧力が不足している場合は上昇気流を用いる他、前記呼吸空間の圧力が高すぎる場合は下降気流を用いることで、外気の環境変化にも適応した一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
そして、更に上述した構成によると、会話、咳、くしゃみ等による飛沫は前記シールド空間用ファンにより上昇気流を生成し、前記シールド空間の上昇気流で頭部の後方に排出することでウイルスへの感染リスクを大幅に低減することが可能となる。また、前記シールド空間にウイルスが付着した場合においても、直接口か体内に侵入したり目や鼻の粘膜に付着したりすることはない。更に顔面に近い側の前記シールド部の下側の寸法が顔面に遠い側の前記シールド部の下側の寸法より長い構成とすることで一層前記呼吸空間への飛沫、ウイルス及び雑菌などの侵入を大幅に低減することが可能となる。更に高温時には前記呼吸空間を前記呼吸空間用ファンで下降気流を又は下降気流とすることで顔面は涼しく感じることができる。また前記フェイスシールドの内側が曇っている場合にも上昇気流又は下降気流とすることで前記フェイスシールドの曇りを除去できる。また、前記呼吸空間の圧力が不足している場合は上昇気流を用いる他、前記呼吸空間の圧力が高すぎる場合は下降気流を用いることで、外気の環境変化にも適応した一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
これらの構成により、紫外線殺菌装置及びフェイスシールドを用いて咳やくしゃみ又は空気中に存在するウイルスや雑菌を効率的に殺菌又は不活性化することが可能となり、ウイルスに感染するリスクを大幅に低減することが可能となると共に、安心安全な打ち合わせ、会議、業務、接客等、医療現場、飲食店、電車やバスでの移動などを実現することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る紫外線殺菌装置の斜視断面図である。 本発明の第1実施形態に係る紫外線殺菌装置の断面図である。 本発明の第1実施形態に係る紫外線殺菌装置の分解斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る紫外線殺菌装置の殺菌筒を示すものであり、(a)乃至(d)は異なる例を示す斜視断面図である。 本発明の第3実施形態に係る紫外線殺菌装置を示すものであり、(a)は紫外線殺菌装置の断面図、(b)は(a)中のB―B線に相当する断面図である。 本発明の第4実施形態に係る紫外線殺菌装置を示すものであり、(a)は紫外線殺菌装置の一例を示す断面斜視図、(b)は紫外線殺菌装置の異なる例を示す断面斜視図である。 本発明の第5実施形態に係る紫外線殺菌装置を示す透視斜視図である。 本発明の第6実施形態に係るフェイスシールドを着用者と共に示すものであり、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は第1変形例を示す斜視図、(d)は第1変形例の他の方向からの斜視図である。 本発明の第6実施形態の変形例に係るフェイスシールドを着用者と共に示すものであり、(a)は第3変形例を示す斜視図、(b)は第4変形例を示す斜視図、(c)は第5変型例を示す斜視図、(d)は第5変型例を示す斜視図、(e)は呼吸空間用ファンの変形例を示す斜視図である。 本発明の第7実施形態に係るフェイスシールドを着用者と共に示すものであり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。 本発明の第8実施形態に係るフェイスシールドを着用者と共に示すものであり、(a)は斜視図、(b)は変形例を示す斜視図である。 本発明の第9実施形態に係るフェイスシールドを着用者と共に示す斜視図である。
<本発明の態様>
本発明では以下に示す各態様に係る紫外線殺菌装置、及びフェイスシールドを提供する。本発明の第1の態様に係る紫外線殺菌装置は、空洞内壁に紫外線の反射面を形成した殺菌室を備える殺菌筒と、外部の空気を前記殺菌室に送る吸気ファンと、前記殺菌筒に形成され前記吸気ファンからの空気が前記殺菌室に流入される空気流入部と、前記殺菌筒に配置され前記殺菌室の内部に向けて紫外線を照射する光源と、前記殺菌筒に形成され前記殺菌室の空気が外部に排出される空気排出部と、を備え、前記殺菌室において前記反射面により前記光源からの紫外線を多重反射させて、前記殺菌室内の空気に紫外線を多重照射する構成を備える。
第1の形態様に係る紫外線殺菌装置によれば、ウイルス及び雑菌の殺菌又は不活性化に必要な光強度と積算光量を確保するため、殺菌筒の内部に反射面を有し多重反射させ、空気に紫外線を多重照射して光の強度を増強できる。このため、流入した空気が殺菌筒の内部に滞留する間に小さいパワーの光源であってもウイルス及び雑菌の殺菌又は不活性化に必要な光強度と積算光量を確保できる。よって小型かつ高性能な紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第2の態様に係る紫外線殺菌装置は、殺菌筒は、円錐形、角錐形、円筒形、多角柱形、略球形、又は略立方形として構成される。
第2の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、ウイルス及び雑菌の殺菌又は不活性化に必要な光強度と積算光量を確保するため、前記殺菌筒の内部に反射面を有し多重反射させ光強度を増強する際に、前記殺菌筒の形状を円錐、角錐、円筒、多角柱、略球体又は略直方体から選択できる。このため、流入した空気が前記殺菌筒の内部に滞留する間にウイルス及び雑菌の殺菌又は不活性化に必要な光強度と積算光量を確保する際に、工法、コスト、性能に応じた最適な前記殺菌筒及び前記反射面の形状を選択できる。また、殺菌筒の内部の空気の流れを曲線状とし殺菌筒の内部で円周状に巡回する流路を形成できると共に、殺菌筒に留まる空気の滞在時間の一層の長期化を実現することが可能となり、小型、高い性能の紫外線殺菌装置を低コストで提供できる。
本発明の第3の態様に係る紫外線殺菌装置は、前記光源を保持する光源保持部を備え、前記光源及び前記光源保持部を前記空気流入部の近傍に配設、又は前記光源、前記光源保持部及び前記空気排出部を前記空気流入部の近傍に配設した構成を備える。
第3の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、前記殺菌筒に流入する空気の流入部に前記光源保持部を設け、空気が前記光源保持部に当たることにより前記殺菌筒の内部での空気を渦状又は乱流状態とできる。このため、前記殺菌筒及び前記殺菌光量領域に留まる前記空気の滞在時間の一層の長期化を実現することが可能となる。また、前記光源を空気流入部の近傍に配設し、空気の流路に前記光源を配置することで効率的に前記殺菌筒の反射面のスペースを構成することができ光の反射面の面積を拡大することが可能となると共に、光源の出射側の反対面を直接空気に当てることで光源の放熱性を大幅に向上させることが可能となり、小型、高性能で放熱性に優れた高信頼性の紫外線殺菌装置を提供できる。
また、前記空気流入部の近傍に前記光源、前記光源保持部及び空気排出部を配置することで効率的に前記殺菌筒の反射面のスペースを構成することができ光の反射面の面積を更に拡大することが可能となり、一層の小型、高性能で放熱性に優れた高信頼性の紫外線殺菌装置を提供できる。そして、空気が殺菌筒内部に滞留する時間を一層長くすることが可能となり、更に高性能化と小型化を実現することが可能となる。また、前記空気排出部からの光の漏洩を大幅に低減することができ、高信頼性の紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第4の態様に係る紫外線殺菌装置は、前記空気流入部側から断面積が増す拡散壁と、前記空気排出部に向けて断面積が減ずる収斂壁となる2つの円錐体又は角錐体の互いの底面部を接合して内部を前記殺菌室とし、前記光源を前記空気流入部の近傍に配設した構成を備える。
第4の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、前記殺菌筒を拡散壁と収斂壁の2つの円錐の内部を殺菌室とし、この殺菌室の内部の反射面による多重反射により一層殺菌室の内部の光強度を増強できる。また、前記拡散壁と前記収斂壁により前記殺菌筒の内部の空気の流れを曲線状とし前記殺菌筒の内部で円周状に巡回する流路を形成すると共に、前記殺菌筒に流入する空気の流入部に前記光源保持部を設け、空気が前記光源保持部に当たることにより空気を渦状又は乱流状態とすることができ、殺菌筒及び殺菌光量領域に留まる気の滞在時間の一層の長期化を実現することが可能となり、一層高性能な紫外線殺菌装置を提供できる。
更に、前記拡散壁の頂点付近に前記空気流入部と前記空気排出部を構成することで効率的に前記殺菌筒の反射面のスペースを構成することができ光の反射面の面積を更に拡大することが可能となり、一層の小型、高性能で放熱性に優れた高信頼性の紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第5の態様に係る紫外線殺菌装置は、前記光源は200nm~350nmの波長を有する深紫外線を射出する紫外線発光ダイオードであり、前記紫外線発光ダイオードの出射部にレンズを配設した構成を備える。
第5の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、前記光源の波長を200nm~350nmとすることで、ウイルス又は雑菌の殺菌又は不活性化の効果を大幅に向上させることができる。更に前記光源を、深紫外線を出射する紫外線発光LEDとすることで小型化及び寿命を延ばすことが可能となり、一層小型化、高性能で高信頼性の紫外線殺菌装置を提供できる。
更に出射部の近傍にレンズを配設することで深紫外線LEDの出射光の発散光束をやや平行光束側に光強度分布を調整することで殺菌筒内の光強度を強くすることが可能となり、一層小型化、高性能で高信頼性の紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第6の態様に係る紫外線殺菌装置は、前記光源は200nm~350nmの波長の深紫外線を放射する殺菌灯とした構成を備える。
第6の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、大光量の殺菌灯を使用して光量を増やすことが可能となると共に、光源のサイズが比較的大きくなることで放熱特性も安定し、更に殺菌灯は比較的供給量も安定しているため、安価かつ高性能で高信頼性な紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第7の態様に係る紫外線殺菌装置は、前記殺菌筒は樹脂又は金属を素材とし、前記反射面はアルミニウム蒸着、アルミニウムスパッタリング、アルミニウム箔又はスクリーン印刷により紫外線反射膜又は紫外線反射面として形成される構成を備える。
第7の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、前記殺菌筒の材料及び前記反射膜の工法の選択肢が多く、性能、コスト、サイズなどに応じた最適な材料や工法の選択が可能となり、高性能かつ低コストの紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第8の態様に係る紫外線殺菌装置は、前記殺菌室内に、前記反射面で多重反射されて加算された前記光源からの紫外線の光強度が予め定めた値以上となる殺菌光量領域を設けた構成を備える。
第8の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、特定のウイルスや雑菌を殺菌又は不活性化するために必要な光強度を設定し、前記殺菌光量領域の光強度がその設定値以上になるように光源の数や出力、前記殺菌筒の形状、前記光源と前記空気流入部及び前記空気排出部の位置、反射面の反射率を設定することとなり、一層小型化、高性能で高信頼性の紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第9の態様に係る紫外線殺菌装置は、前記反射面が、前記殺菌室の内部に流入した空気の流れの方向を変化させ、又は空気に渦を発生させる形状を備える構成を備える。
第9の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、殺菌筒及び殺菌光量領域に留まる空気の滞在時間の一層の長期化を実現することが可能となり、一層高性能な紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第10の態様に係る紫外線殺菌装置は、前記空気流入部から流入する空気の方向を前記殺菌室の中心軸に対して0°~90°の角度とし、又は前記空気流入部から流入する前記空気の方向を前記中心軸に対して流入する空気の流れをスパイラル状に旋回させる方向とした構成を備える。
第10の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、空気の流れの方向に対して角度を持っていることによりを渦状又は乱流状態とすることができ、殺菌筒及び殺菌光量領域に留まる空気の滞在時間の一層の長期化を実現することが可能となり、高性能な紫外線殺菌装置を提供できる。更に、空気の進行方向に対してスパイラル状に旋回する成分を付加することで殺菌筒及び殺菌光量領域に留まる空気の滞在時間の一層の長期化を実現することが可能となり、高性能な紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第11の態様に係る紫外線殺菌装置は、前記光源を前記殺菌筒に保持する光源保持部を備え、前記光源の出射面の背面に流入した空気を接触させて前記光源を冷却すると共に、前記光源保持部に前記光源の熱を前記殺菌筒に伝えると共に流入した空気で冷却される保持部伝熱部を備える。
第11の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、前記光源の出射側の反対面を直接空気に当てることで光源の発熱部の放熱性を大幅に向上させると共に、前記光源と熱伝導状態にある前記殺菌筒の外面から前記筐体に伝える伝熱部を設け、前記筐体に放熱すると共に、前記光源と熱伝導状態にある前記殺菌筒の反射面、前記壁面及び前記伝熱部に直接空気を当てる構成とすることで、大幅に放熱性を向上させることができ、一層小型化、高性能で高信頼性の紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第12の態様に係る紫外線殺菌装置は、前記殺菌筒を1個以上備え、前記殺菌筒と前記吸気ファンとを内部に保持する筐体と、前記殺菌筒の熱を前記筐体に伝えると共に前記殺菌筒を前記筐体に保持する筐体伝熱部と、前記筐体の一部に開設され、前記殺菌筒に向けて流入した空気の一部を前記筐体の内部に流通させる空気抜孔とを備える。
上述した構成によると、前記筐体の中に複数の殺菌筒を構成することが可能となり、空気排出部から排出する空気の量を大幅に増やすことができ、高性能で高信頼性の紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第13の態様に係る紫外線殺菌装置は、内部に前記殺菌室を備えた前記殺菌筒を1個以上備え、前記殺菌筒の側面には、前記吸気ファンから流入した空気を前記殺菌室に流入させるため空気流入部を開設し、前記殺菌室の略中心軸上に前記光源としての殺菌ランプを配置し、前記殺菌ランプを前記殺菌筒に保持する光源保持部を備え、更に、前記殺菌筒の底面又は側面に配設され前記殺菌室から流入した空気を排出する前記空気排出部と、前記吸気ファンと前記殺菌筒を保持する筐体と、前記殺菌筒の熱を前記筐体に伝えると共に前記殺菌筒を前記筐体に保持する筐体伝熱部と、前記筐体の一部に1カ所以上配設された空気抜孔とを備え、流入した空気の一部を前記筐体の内部に流通させる構成を備える。
第13の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、光源の光量を増やすことが可能となりウイルス及び雑菌の殺菌又は不活性化の性能が大幅に向上するため空気排出部から排出する空気の量を大幅に増やすことができると共に、光源のサイズが比較的大きくなることで放熱特性も安定し、更に比較的供給量も安定しているため、安価かつ高性能で高信頼性な紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第14の態様に係る紫外線殺菌装置は、前記吸気ファンを駆動するモーター部を備え、前記モーター部の発熱を前記吸気ファンの外径部を介して前記筐体へ伝えるモーター部伝熱部材を備え、前記筐体から空気中へ放熱すると共に、前記殺菌筒及び前記筐体で構成された空間を滞留する空気により前記殺菌筒、前記モーター部伝熱部材及び前記筐体から放熱する構成を備える。
第14の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、前記吸気ファンのモーター部の発熱を効果的に筐体から空気中へ放熱できると共に、前記殺菌筒及び筐体で構成された空間に滞留する空気による強制対流効果を用い前記伝熱部及び前記筐体から放熱することができ、一層小型化、高性能で高信頼性の紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第15の態様に係る紫外線殺菌装置は、前記ファンへの空気を濾過するフィルターと前記フィルターを保持するフィルター保持部とを備える構成を備える。
第15の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、前記フィルターでウイルス又は雑菌を捕集された空気が前記殺菌筒の内部に流入することとなるため、前記空気排出部から排出される空気の浄化度が増すことになり、より一層、高性能で高信頼性の紫外線殺菌装置を提供できる。
本発明の第16の態様に係るフェイスシールドは、頭部に装着するための固定部、及び顔面の前方に配設した透明樹脂からなるシールド部を備えたフェイスシールドであって、前記固定部、又はこのフェイスシールドの着用者の上半身の近傍に第1から第15の態様のいずれかに記載の紫外線殺菌装置を配設する殺菌装置固定部と、前記殺菌装置固定部に配設され、前記紫外線殺菌装置の前記空気排出部からの空気を前記シールド部の顔面側である呼吸空間に放出する排出空気供給部と、を有し、前記呼吸空間に前記排出空気供給部からの空気を供給して前記呼吸空間を外気に対して陽圧とし、前記排出空気供給部から流入した空気以外の空気が前記呼吸空間に侵入するのを防止する構成を備える。
第16の態様に係るフェイスシールドによれば、前記呼吸空間の空気に流入する空気により常にウイルスが殺菌又は不活性化された状態に保つことができ、呼吸や目及び鼻などの粘膜への付着によりウイルス感染へのリスクを大幅に低減することが可能となり、一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
本発明の第17の態様に係るフェイスシールドは、前記紫外線殺菌装置から前記排出空気供給部を経て排出される空気の流量を毎分6.5L以上とした構成を備える。
請求項17の態様に係るフェイスシールドによれば、呼吸に必要な空気量を安定して前記呼吸空間に供給することが可能となり、一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
本発明の第18の態様に係る紫外線殺菌装置及びフェイスシールドは、前記呼吸空間に接する前記シールド部に前記呼吸空間の呼吸に起因する圧力変化を検出する圧力センサを備え、前記圧力変化に応じて前記呼吸空間が外気に対して陽圧となるように前記紫外線殺菌装置を制御して前記空気排出部から排出される空気の流量を調整する調整手段を備える構成を備える。
第18の態様に係る紫外線殺菌装置によれば、前記圧力センサにより呼吸による前記呼吸空間の圧力変化を精度よく検出することが可能となり、呼吸時の空気吸引時に前記呼吸空間の圧力がやや下がった場合は空気の流量を増やし、呼吸時の空気吐出時に前記呼吸空間の圧力がやや上がった場合は前記空気の流量を減らすことで適切な流量の空気を前記呼吸空間に流入させることが可能となり、一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
本発明の第19の態様に係る紫外線殺菌装置及びフェイスシールドは、前記固定部に前記呼吸空間に外部からの空気を送る呼吸空間用ファンを配置し、前記呼吸空間用ファンの回転方向及び回転数を調整可能とした構成を備える。
第19の態様に係るフェイスシールドによれば、空気を前記小型ファンで下降気流を又は下降気流とすることで顔面は涼しく感じることができる。また前記フェイスシールドの内側が曇っている場合にも上昇気流又は下降気流とすることで前記フェイスシールドの曇りを除去できる。また、前記呼吸空間の圧力が不足している場合は上昇気流を用いる他、前記呼吸空間の圧力が高すぎる場合は下降気流を用いることで、外気の環境変化にも適応した一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
本発明の第20の態様に係る紫外線殺菌装置及びフェイスシールドは、前記シールド部は、透明樹脂で構成されると共に、所定のシールド空間を隔てて配置した顔面側の内側シールドと外気側の外側シールドとからなる2層構造とし、前記内側シールドの下端部の位置を前記外側シールドの下端部の位置より下側とし、前記固定部に前記シールド空間に下側からの上昇気流を生成して外部から口元近傍に拡散した空気を頭部の方向へ排出するシールド空間用ファンを備える。
第20の態様に係るフェイスシールドによれば、会話、咳、くしゃみ等による飛沫は前記シールド空間用ファンにより上昇気流を生成し、前記シールド空間の上昇気流で頭部の後方に排出することでウイルスへの感染リスクを大幅に低減することが可能となる。また、前記シールド空間にウイルスが付着した場合においても、直接口か体内に侵入したり目や鼻の粘膜に付着したりすることはない。更に顔面に近い側の前記シールド部の下側の寸法が顔面に遠い側の前記シールド部の下側の寸法より長い構成とすることで一層前記呼吸空間への飛沫、ウイルス及び雑菌などの侵入を大幅に低減することが可能となり、一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
本発明の第21の態様に係る紫外線殺菌装置及びフェイスシールドは、首部に装着する前記殺菌装置固定部に、前記シールド部と、前記呼吸空間に外部からの空気を送る呼吸空間用ファンと、前記紫外線殺菌装置と、前記排出空気供給部とを配置し、前記顔面と前記シールド部の間の空間となる前記呼吸空間に前記排出空気供給部からの空気を流入させ前記呼吸空間を外気より陽圧とすることで、前記排出空気供給部からの空気以外の空気が前記呼吸空間に侵入するのを防止する構成を備える。
第21の態様に係るフェイスシールドによれば、首部に前記フェイスシールド、前記殺菌システム固定部、前記呼吸空間用ファン、前記紫外線殺菌装置及び前記排出空気供給部をすべて搭載することで、比較的質量による負荷を気にすることなく長時間の使用が可能となり、携帯性に優れたフェイスシールドを提供できる。
本発明の第22の態様に係るフェイスシールドは、頭部に装着するための固定部、及び顔面の前方に配設した透明樹脂からなるシールド部を備えたフェイスシールドであって、前記固定部に前記呼吸空間に外部からの空気を送る呼吸空間用ファンを1つ以上配置し、前記呼吸空間用ファンの回転方向及び回転数を調整可能とする構成を備える。
第22の態様に係るフェイスシールドによれば、高温時には前記呼吸空間を前記呼吸空間用ファンで下降気流を又は下降気流とすることで顔面は涼しく感じることができる。また前記フェイスシールドの内側が曇っている場合にも上昇気流又は下降気流とすることで前記フェイスシールドの曇りを除去できる。また、前記呼吸空間の圧力が不足している場合は上昇気流を用いる他、前記呼吸空間の圧力が高すぎる場合は下降気流を用いることで、外気の環境変化にも適応した一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
本発明の第23の態様に係るフェイスシールドは、前記シールド部は、透明樹脂で構成されると共に、所定のシールド空間を隔てて配置した顔面側の内側シールドと外気側の外側シールドとからなる2層構造とし、前記内側シールドの下端部の位置を前記外側シールドの下端部の位置より下側とし、前記固定部に前記シールド空間に下側からの上昇気流を生成することで外部から口元近傍に拡散した空気を頭部の方向へ排出するシールド空間用ファンを備え、更に、前記顔面と前記内側シールドとの間の前記呼吸空間に外気を送り、下降気流、上昇気流又は無風とする呼吸空間用ファンを備える。
第23の態様に係るフェイスシールドによれば、会話、咳、くしゃみ等による飛沫は前記シールド空間用ファンにより上昇気流を生成し、前記シールド空間の上昇気流で頭部の後方に排出することでウイルスへの感染リスクを大幅に低減することが可能となる。また、前記シールド空間にウイルスが付着した場合においても、直接口か体内に侵入したり目や鼻の粘膜に付着したりすることはない。更に顔面に近い側の前記シールド部の下側の寸法が顔面に遠い側の前記シールド部の下側の寸法より長い構成とすることで一層前記呼吸空間への飛沫、ウイルス及び雑菌などの侵入を大幅に低減することが可能となる。更に高温時には前記呼吸空間を前記呼吸空間用ファンで下降気流を又は下降気流とすることで顔面は涼しく感じることができる。また前記フェイスシールドの内側が曇っている場合にも上昇気流又は下降気流とすることで前記フェイスシールドの曇りを除去できる。また、前記呼吸空間の圧力が不足している場合は上昇気流を用いる他、前記呼吸空間の圧力が高すぎる場合は下降気流を用いることで、外気の環境変化にも適応した一層小型化、高性能で高信頼性のフェイスシールドを提供できる。
これらの構成に係る紫外線殺菌装置、及びフェイスシールドによれば、ウイルスに感染するリスクを大幅に低減することが可能となると共に、安心安全な打ち合わせ、会議、業務、接客等、医療現場、飲食店、電車やバスでの移動などを実現することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。尚、以下ではすべての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の符号を付して、その説明については省略する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る紫外線殺菌装置について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る紫外線殺菌装置の斜視断面図、図2は本発明の第1実施形態に係る紫外線殺菌装置の断面図、図3は本発明の第1実施形態に係る紫外線殺菌装置の分解斜視図である。
図1乃至図3に示すように、紫外線殺菌装置1は、殺菌筒11内に殺菌室9を配置して構成されている。殺菌筒11は、樹脂又は金属から構成されている。殺菌室9は、拡散壁12と、収斂壁13で覆われて形成されており、拡散壁12は、上側に向けて直径が拡大する円錐形状の壁体であり、収斂壁13は上方に向けて直径が縮小する円錐形状の壁体である。拡散壁12及び収斂壁13の低部を接合部19で接合して殺菌室9を形成する。殺菌筒11は筐体16で覆われている。
本実施形態に係る紫外線殺菌装置1では、光源2は深紫外線LEDとして構成されている。光源2は光源保持部3にネジ又は接着剤等(詳細は図示せず)で固定することにより殺菌筒11に固定保持される。これにより、光源2は殺菌室9内に深紫外線を照射する。
光源2にはレンズ23が配置されている。レンズ23は凸レンズであり、光源2から発光される光量分布の広がり角をやや狭める。これにより、紫外線を殺菌室9内に効率良く照射する。光源2は伝熱部15により殺菌筒11に接続されている。伝熱部15は、光源2で発生した熱を殺菌筒11に伝え、光源2を冷却する。尚、光源2にはフレキシブル基板18から電力が供給される。
殺菌室9の内面の略全面に反射面17を形成している。反射面17は、アルミニウム蒸着、アルミニウムスパッタリング、アルミ箔又はスクリーン印刷により紫外線反射膜又は紫外線反射面として形成される。
殺菌室9を構成する拡散壁12の下端部には、内側(光源2の光軸と直交する方向)に向けて4箇所に空気流入部4が開設され、同じく収斂壁13の上端部には空気排出部14が開設されている。尚、空気排出部14の上側には、漏洩防止部24が配置されている。漏洩防止部24は、殺菌室9からの紫外線の漏れを防止する。
筐体16の内部であり、殺菌室9の空気流入部4側には、吸気ファン7が配置されている。吸気ファン7はブレード25がモーター部21で回転駆動され、外気を殺菌室9内に送出する。吸気ファン7は吸気ファン外形部22で筐体16に取り付けられている。
更に、筐体16には給気ファンへの空気を濾過するフィルター5が配置されている。フィルター5はフィルター保持部6で筐体16に保持されている。
光源2の光量、モーター部21は制御装置20(図1~3には図示していない:例えば図8参照)で駆動が制御される。制御装置20は筐体16の内部又は外部に配設され、光源2の発光制御として発光パワーの制御、発光及び停止の制御を行い、吸気ファン7の回転制御として回転数及び回転方向の制御を行う。
本実施形態に係る紫外線殺菌装置1において、光源2からの紫外線は殺菌室9の反射面17で多重反射され殺菌筒11の内部における積算光強度を増強する。これにより、殺菌室9内の空気に紫外線を多重照射する紫外線による殺菌力を強化する。
ここで、殺菌室9の形状について説明する。上述のように殺菌室9は、円錐又は角錐(本例では円錐)等から構成され底面部分を互いに合わせて接合部19により接合し、接着、融着又は溶接などにより略密閉された状態とする。吸気ファン7で吸引された外部から空気は空気流入部4を通過して殺菌室9に流入する。
空気流入部4は可能な限り光源2の近傍に配設されており、吸気ファン7からの空気が殺菌室9に流入する際に光源2の背面を通過するため、光源2を冷却できる。光源2は小型化及び高出力化により、単位体積当たりの発熱量が大きくなるため、寿命(信頼性)を確保するためには光源2の冷却及び放熱が必要となる。
また、光源2は光源保持部3に固定される。この際、光源2、光源保持部3及び殺菌筒11は伝熱状態となっており、光源2の熱を殺菌筒11に伝える。更に、殺菌筒11と筐体16とは伝熱部15で連結されており、殺菌筒11の熱は筐体16に伝えられ、外部の空気に放熱される。この際、殺菌筒11と筐体16と吸気ファン7で構成される空間に流入した空気の対流が発生するため、この対流が伝熱部15、殺菌筒11の外側面及び筐体16の内側面を冷却することとなり、結果的に光源の放熱を良好に行うことができる。
更に、吸気ファン7のモーター部21の熱は、吸気ファン外形部22を介して筐体16へ伝えられ筐体16から空気中へ放熱される。また、熱は殺菌筒11及び筐体16の間に形成された空間内に滞留する空気により、殺菌筒11、伝熱部15及び筐体16から放熱される。
図2に示すように、本実施形態に係る紫外線殺菌装置1では、殺菌筒11の内部の殺菌室9に殺菌光量領域10(図2参照)を設定している。殺菌光量領域10は、各種ウイルスや雑菌に対して殺菌又は不活性化が必要な光強度及び積算時間に対して、光源2から出射される光パワー及びレンズ23を通過後の光量分布、光源2の発光波長及び光入射角に応じた反射率、殺菌筒11の形状により反射面17の構成を考慮して設定される。殺菌光量領域10の領域は、必要な光強度と必要な照射時間とから算出して設定できる。
このとき、殺菌室9に流入した空気は、可能な限り殺菌室9の内部を滞留し殺菌室9及び殺菌光量領域10に留まる時間を長くしてウイルス及び雑菌に照射される積算光量が大きくなることが望ましい。更に、流入した空気の各領域成分が殺菌室9及び殺菌光量領域10の内部に留まる時間は、殺菌及び不活性化のばらつきを低減するために可能な限り均一なことが望ましい。また、レンズ23により広がり角の調整度合いは殺菌室9及び殺菌光量領域10の光強度によりレンズ23の集光度合いを調整する。
吸気ファン7に流入する外部空気はフィルター5により埃やゴミ、ウイルスや細菌の一部が取り除かれる。フィルター5は粗塵フィルターやHEPAフィルターが選択でき、仕様により埃、ゴミ、ウイルス、雑菌などの除去率を選択できる。
また、吸気ファン7により流入し空気排出部14より外部に排出される空気の量は、人が呼吸する6.5L/分以上であることが望ましい。フィルター5はフィルター保持部6により保持され筐体16に着脱可能また交換可能に取り付けられる。また、フィルター5は交換可能に設置され、掃除、水洗、交換などをフィルター5の仕様に基づいて行うことができる。
一方、空気排出部14の上部には板状の漏洩防止部24が配置されている。漏洩防止部24は、外部空気がフィルター5で浄化され、殺菌室9の内部の空気がウイルスや雑菌の殺菌又は不活性化を行われた状態で外部に流出可能とすると共に、殺菌室9の内部の紫外線が外部に漏れないようにしている。この際、殺菌筒11、収斂壁13、漏洩防止部24のそれぞれ表面の一部に紫外線反射防止膜を塗布する構成とすることで、一層紫外線の漏れを低減できる。
以上説明したように、本実施形態に係る紫外線殺菌装置1によれば、外部の空気を吸気ファン7で吸引すると、ウイルス、雑菌、結核菌、カビなどを有した外部の空気は空気流入部4から殺菌筒11の内部に流入する。そして、殺菌筒11の内部では、光源2から出射された紫外線を拡散壁12及び収斂壁13の各反射面17で多重反射することで積算光強度を増強し、紫外線で空気を多重照射する。光源2からの深紫外線(波長200~350nm)は殺菌効果があり、細菌のDNAの光吸収スペクトルは260nm波長付近に吸収帯を持っているため、紫外線を吸収した細胞のDNA組織のらせん構造を破壊し、殺菌やウイルスの不活化を行うことができる。
また、反射面17の多重反射により殺菌室9の積算光強度を大幅に上げると共に、拡散壁12や収斂壁13の反射面の角度により空気の流れの向きを様々に変化させ、かつ空気流入部4の形状により渦及び乱流性を加えることにより殺菌室9に滞在する空気の滞在時間を長くできる。このため、ウイルスや雑菌などに照射する積算光量が増える。特に殺菌光量領域10においては、殺菌効果が大きくなる。よって、効率的な殺菌又は不活性化を実現すると共に大幅な小型化を行うことが可能となる。
また、光源2には比較的小型化が可能な紫外線LEDを用いるため、光源2を空気の流入部の近傍に配設し、空気流入部4と光源2の位置を近傍に配置することで反射面17の面積を拡大できる。このため、紫外線殺菌装置1の大幅な小型化と高性能化を実現できると共に、光源2の直後にレンズ23を配設し光束を広げて多重反射による殺菌室9内における光分布を局在化するのを防止できる。
更に、光源2を空気流入部4の近傍に配設し、光源2の発光側の反対面を直接流入した空気に当てているので、光源2の放熱性を大幅に向上させると共に、光源2と熱伝導状態にある殺菌筒11の外面から筐体16に伝える伝熱部15を設け筐体16に放熱している。更に、光源2と熱伝導状態にある殺菌筒11及び伝熱部15に直接空気を当てる構成とすることで、大幅に放熱性を向上させている。これらにより、紫外線殺菌装置1の小型化と放熱性を両立させることができる。
以上のように、本実施形態に係る紫外線殺菌装置1は、簡素な構成で、空気中のウイルス及び雑菌を効果的に効率良く除菌又は不活性化でき、高性能なものとできる。また、光源2からの光束を反射面17による多重反射を用いて光強度を増加させ殺菌効果を高めると共に、複数の反射面17から構成される殺菌室9の内部で空気の流れの方向を反射面17で変化させ殺菌室9に流入した空気が殺菌室9に留まる時間を長くする構成とすることで一層の殺菌効果の向上を可能とする高性能で携帯可能な紫外線殺菌装置を提供できる。
更に、光源2及び殺菌筒11の熱を空気中に効率的に放熱することで、光源2の寿命を大幅に改善することが可能となり、大幅な小型化、高性能化及び高信頼性を両立させた携帯可能な紫外線殺菌装置1を提供できる。
尚、第1実施形態において、光源2は空気流入部4の近傍に1個を配設したが、殺菌光量領域10の光強度に応じて複数個を空気流入部4の近傍又は殺菌筒11の任意の場所に配設する構成でもよい。また、第1実施形態において空気流入部4は光源2の光軸に対して直交する方向に形成したが、光軸に対して平行としてもよい。また、第1実施形態において、空気流入部4は光源2の近傍に4カ所配設する構成としたが1カ所でもよいし、複数カ所でもよい。
更に、第1実施形態において光源2の光束は発散光束とし、レンズ23を用いてやや発散度合いを弱める構成(平行光束に近づく構成)としたが、レンズ23を搭載しない構成でもよいし、レンズ23により更に平行光束に近づける構成でもよいし、また収斂光束としてもよい。また、第1実施形態において、空気排出部14は光源2に対して中心軸上の最も離れた場所に配設したが、光源2又は空気流入部4の近傍に配設してもよい。一例としては4カ所の入出口のうち、2カ所を空気流入部4とし、2カ所を空気排出部とできる。このような構成とすることで、殺菌室9の内部での空気の滞在時間を一層長くすることが可能となる。
そして、第1実施形態において、筐体16の内部に殺菌筒11は1つを配設する構成としたが、複数個配設してもよい。また、第1実施形態において、フィルター5及びフィルター保持部6は、吸気ファン7及び吸気ファン外形部22の上流に位置する構成としたが、配置を入れ替え、フィルター5及びフィルター保持部6は、フィルター5及びフィルター保持部6は、吸気ファン7及び吸気ファン外形部22の下流に位置してもよい。更に、第1実施形態において反射面17は、アルミニウム蒸着、アルミニウムのスパッタ、アルミ箔又はスクリーン印刷による紫外線反射膜又は紫外線反射面としたが、乱反射する面としてもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る紫外線殺菌装置について説明する。図4は本発明の第2実施形態に係る紫外線殺菌装置の殺菌筒を示すものであり、(a)乃至(d)は異なる例を示す斜視断面図である。第2実施形態に係る紫外線殺菌装置1では、殺菌筒11の外形形状及び接合部19の内面形状を第1実施形態と異なるようにしている。
図4(a)に示した紫外線殺菌装置1は、殺菌筒11を円筒形として殺菌室9の形状も円筒形としている。また、図4(b)に示した紫外線殺菌装置1は、殺菌筒11を略球体として殺菌室9の形状も略球体としている。図4(c)に示した例は、殺菌筒11を楕円体として殺菌室9の形状も楕円体としている。図4(d)に示した例は、殺菌筒11を立方体形として殺菌室9の形状も立方体形としている。
第2実施形態に係る紫外線殺菌装置によれば、殺菌筒11の形状を変更することにより、殺菌室9内面の反射面17の形状に起因する殺菌光量領域10の光強度、殺菌室9の内部に滞留する空気の滞在時間、反射面17を形成するためのコストを変更できる。このため、用途に応じた紫外線殺菌装置1を提供できる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る紫外線殺菌装置について説明する。図5は本発明の第3実施形態に係る紫外線殺菌装置を示すものであり、(a)は紫外線殺菌装置の断面図、(b)は(a)中のB―B線に相当する断面図である。第2実施形態に係る紫外線殺菌装置1は図4(b)に示すように、空気流入部4を光源2の光軸から外れる方向(図5(b)中矢印a)に配置して、殺菌室9への空気が光源2の光軸に対してスパイラル方向(光軸に対して同心円状に回転する方法)に流入させる。その他の構成は第1実施形態に係る紫外線殺菌装置1と同じである。
第3実施形態に係る紫外線殺菌装置1によれば、空気流入部4から殺菌室9に流入した空気に光源2の光軸に対する旋回成分を与えることができる。このため、第4実施形態に係る紫外線殺菌装置1によれば、殺菌室9の内部で空気の渦が発生しやすくなり、殺菌室9の内部での空気の滞留時間を一層長くできる。このため紫外線による殺菌をより効率的に行うことができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る紫外線殺菌装置について説明する。図6は本発明の第4実施形態に係る紫外線殺菌装置を示すものであり、(a)は紫外線殺菌装置の一例を示す断面斜視図、(b)は紫外線殺菌装置の異なる例を示す断面斜視図である。
第4実施形態に係る紫外線殺菌装置1は、複数本(本例では4本)の円筒形の殺菌筒11を備える。各殺菌筒11には円筒形の殺菌室9が配置され、各殺菌室9には、光源2を備えている。また、4本の殺菌筒11は、円筒形の筐体16で周囲を覆われている。尚、殺菌筒11の本数は変更できる。
筐体16の底部には、吸気ファン7、フィルター5、モーター部21が配置され、吸気ファン7で吸入された空気は図6(a)、(b)に示すように、殺菌筒11の下側側面に配置された空気流入部4から殺菌室9内に吸入され、スパイラルを描いて上昇し、殺菌筒11の上面(図6(a))又は上部側面(図6(b))に形成された空気排出部14から排出される。
また、図6(a)に示した紫外線殺菌装置1において、光源2を各殺菌筒11の側壁に配設している。一方、図6(b)に示した紫外線殺菌装置1は、光源2を殺菌筒11の上面及び底面に配設している。
吸気ファン7からの空気は、それぞれの殺菌筒11の空気流入部4に流入し、空気排出部14から排出されるに際し、殺菌筒11の側壁に形成された空気流入部4から殺菌室9にスパイラルを描いて流入して上昇する。このため、空気の殺菌室9の内部の滞在時間を延ばすことができる。
各光源2は光源保持部3により深紫外線LEDとなる光源2を殺菌筒11の底面又は側面に伝熱状態で固定される。この際、光源2を側面に複数搭載する場合は互いに位相を180度ずらし、底面に複数搭載する場合は向かい合わせで配設する。これにより、殺菌室9の光強度の分布を均一化できる。
また、図6(a)、(b)の各例では、複数の殺菌筒11と吸気ファン7は伝熱部15により筐体16に伝熱状態で固定されている。このため、吸気ファン7から流入した空気により筐体16と殺菌筒11の間の空間の対流する空気により光源2、殺菌筒11及び吸気ファン7は冷却される。この際、筐体16と殺菌筒11の間の空間の対流する空気は、筐体16に配設された空気抜き孔26を通過して外部に放出される。
このため、第4実施形態に係る紫外線殺菌装置1は、殺菌室9の殺菌能力を向上させることができる。また、本紫外線殺菌装置1にあっては、大量の空気に紫外線を照射できる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る紫外線殺菌装置について説明する。図7は本発明の第5実施形態に係る紫外線殺菌装置を示す透視斜視図である。第5実施形態に係る紫外線殺菌装置1は、殺菌室9の内壁の形状を四角筒状としている。また、光源2として、殺菌室9内を上下に貫通して配置した直管状の殺菌ランプを使用している。
殺菌筒11の底面には、フィルター5、吸気ファン7、モーター部21等を備える。吸気ファン7から流入した空気は、殺菌筒11の下部側面に形成された空気流入部4から殺菌室9内に流入して渦を形成して上昇する。そして、殺菌室9内で紫外線を照射された空気は、殺菌室9の上部側面に形成された空気排出部14から排出され、更に筐体16の上面に形成された筐体空気排出部16aから外部に排出される。
また、本紫外線殺菌装置1では、殺菌筒11には、吸気ファン7と殺菌筒11を保持する筐体16と、殺菌筒11の熱を筐体16に伝えると共に殺菌筒11を筐体16に保持する伝熱部15を備える。更に、筐体16には空気抜き孔26が開設され、吸気ファン7により筐体16内に流入した空気の一部が筐体16と、殺菌筒11との間を流通するものとしている。この際、空気抜き孔26は殺菌筒11と筐体16の間の空間を通過し、伝熱部15を冷却しながら空気抜き孔26を通過して外部に流出する。
第5実施形態に係る紫外線殺菌装置1は、光源2として直管状の殺菌ランプを使用したので、光源2の単位面積あたりの光量を大幅に増やすことができ、ウイルス及び雑菌の殺菌又は不活性化の性能を大幅に向上させることができる。また、空気排出部14から排出する空気の量を大幅に増やすことができると共に、光源2のサイズが比較的大きくなることから放熱特性も安定している。更に光源2としての殺菌ランプは供給量が比較的安定しているため、一層安価なものとできる。
<第6実施形態>
次に、本発明に係る第6実施形態について説明する。本発明の第6実施形態は、第1実施形態乃至第5実施形態に係る紫外線殺菌装置1を備えるフェイスシールドである。図8は本発明の第6実施形態に係るフェイスシールドを着用者と共に示すものであり、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は第1変形例を示す斜視図、(d)は第1変形例の他の方向からの斜視図、図9は本発明の第6実施形態の変形例に係るフェイスシールドを着用者と共に示すものであり、(a)は第3変形例を示す斜視図、(b)は第4変形例を示す斜視図、(c)は第5変型例を示す斜視図、(d)は第5変型例を示す斜視図、(e)は呼吸空間用ファンの変形例を示す斜視図である。
図8(a)に示したフェイスシールド30は、着用者Wの頭部Hに保持され、前方に向けて鍔部31aを形成した固定部31と、この固定部31の鍔部31aから垂下されたシールド部32とを備える。シールド部32は透明な樹脂で構成され、シールド部32と着用者の顔面Fとの間には呼吸空間35を形成する。更に、シールド部32には、呼吸空間35内の圧力を検出する圧力センサ38が配置される。尚、着用者はマスク60を着用している。
また、フェイスシールド30は、着用者Wの首部Nに配置される首掛けフレーム33と、この首掛けフレーム33に殺菌装置固定部37を介して固定された紫外線殺菌装置1とを備える。紫外線殺菌装置1からの殺菌された空気は排出空気供給部34から呼吸空間35に排出される。ここで、紫外線殺菌装置1として第1実施形態乃至第5実施形態に記載のものを使用できる。
また、フェイスシールド30は、首掛けフレーム33に配置され紫外線殺菌装置1を制御する制御装置20と、シールド部32の鍔部31aに配置され呼吸空間35に外気を導入又は排出する呼吸空間用ファン36とを備える。制御装置20は紫外線殺菌装置1と呼吸空間用ファン36とを制御する。また、制御装置20にはスイッチ50が配置されている。
制御装置20は、圧力センサ38により検出された呼吸空間35の呼吸等に応じた圧力変化に応じて呼吸空間35が陽圧となるように空気排出部14から排出される空気の流量を制御すると共に、呼吸空間用ファン36の空気の導入、排出の選択及び流量を制御する。このとき、呼吸空間35へ流入させる紫外線殺菌装置1からの空気の供給量(流量)は、人間が呼吸に必要とする毎分6.5L以上とする。
本実施形態に係るフェイスシールド30は、紫外線殺菌装置1から排出される殺菌された空気により呼吸空間35の空気圧を周辺の外気圧に対して陽圧とし、周辺の空気が呼吸空間35に入り込まないようにする。
また、フェイスシールド30は、呼吸空間用ファン36の回転方向及び回転数を制御装置20で制御する。これにより、呼吸空間35内に外気を取り入れてフェイスシールド30の曇りを除去したり、呼吸空間35内の空気を排出して顔面の温度や呼吸空間35の温度を下げたりできる。
以上のように、本実施形態に係るフェイスシールド30によれば、紫外線殺菌装置1から排出空気供給部34を経て排出される空気で呼吸空間35を外気に対して陽圧にするため、紫外線殺菌装置1からの空気以外の外気が呼吸空間35内に侵入するのを防止できる。このため、フェイスシールド30の着用者の感染を防止できる。
ここで、紫外線殺菌装置1を保持するための殺菌装置固定部37は固定部31、首掛けフレーム33又は首、腰、肩又は頭部などの上半身の近傍の固定部材に配設できる。図8(c)、(d)に示したフェイスシールド30は、紫外線殺菌装置1を、殺菌装置固定部37により頭部Hへの固定部31に配置したものである。紫外線殺菌装置1からの空気は、流路51を経由して呼吸空間35に排出される。
また、図9(a)に示したフェイスシールド30は、首掛けフレーム33に配置した紫外線殺菌装置1からの空気をフレキシブルホース52で呼吸空間35に導入した他、圧力センサ38を省略したものである。本実施形態によれば、構成を簡易なものとして、安価に製造できる。
図9(b)に示したフェイスシールド30は、シールド部32を首掛けフレーム33から上方に向けて配置して呼吸空間35を形成したものである。また、このフェイスシールド30では、呼吸空間用ファン36を首掛けフレーム33に配置している。本実施形態によれば、構成を簡易なものとして、安価に製造できる。
図9(c)に示したフェイスシールド30は、紫外線殺菌装置1及び殺菌装置固定部37を腰部Waに配置したものである。紫外線殺菌装置1からの空気は、流路53、流路54を経て呼吸空間35に排出される。本実施形態によれば、着用者Wの頭部Hには、固定部31とシールド部32が装着されるだけであり、着用者Wの頭部Hにかかる荷重を減少させ、着用者Wの負担を軽減できる。
図9(d)に示したフェイスシールド30は、紫外線殺菌装置1及び殺菌装置固定部37及び電池55を上腕部Uに配置したものである。紫外線殺菌装置1からの空気は、流路53、流路54を経て呼吸空間35に排出される。本実施形態によれば、着用者Wの頭部Hには、固定部31とシールド部32が装着されるだけであり、着用者Wの頭部Hにかかる荷重を減少させ、着用者Wの負担を軽減できる。尚、紫外線殺菌装置1を着用者Wの腰、上腕の他、背中や肩部その他の箇所に配置できる。
また、呼吸空間用ファン36には、図9(e)に示すように、ペルチェ素子100とこのペルチェ素子100を挟むフィン101、101を配置し、ペルチェ素子100で冷却した空気を呼吸空間35に流入させたり、呼吸空間35からの空気を加熱して外部に放出したりできる。これにより、呼吸空間35内の温度を低下させることができる他、呼吸空間35からの排気を上昇させることができる。
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。図10は本発明の第7実施形態に係るフェイスシールドを着用者と共に示すものであり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
第7実施形態に係るフェイスシールド30は、フェイスシールド30のシールド部32を顔面Fに近い側に配置した内側シールド39と、この内側シールド39の外側に配置した外側シールド40の2層構造とした。また、内側シールド39と顔面Fとの間に形成される呼吸空間35に紫外線殺菌装置1からの空気を排出する他、内側シールド39と外側シールド40との間に形成されるシールド空間41に上昇気流を生成させる。これにより、ウイルスや雑菌を含んだ飛沫を頭部Hの上方に排出できる。
フェイスシールド30には、第6実施形態に係るフェイスシールド30と同様に、首掛けフレーム33、制御装置20、殺菌装置固定部37を備え、紫外線殺菌装置1からの空気は排出空気供給部34から呼吸空間35に排出され、呼吸空間35は外部より陽圧にされる。
第7実施形態に係るフェイスシールド30において、シールド部32を構成する内側シールド39及び外側シールド40は透明樹脂で構成され、内側シールド39の下端部39Dの位置を外側シールド40の下端部40Dの位置より下側とする。また、固定部31にシールド空間用ファン42を配置する。これにより、シールド空間41の空気を上方に排出し、シールド空間41の下側から上昇気流を生成する。
この構成により、外部から顔面Fの口元近傍に拡散した空気を頭部Hの上方へ排出する。本実施形態に係るフェイスシールド30によれば、空気中の飛沫に含まれるウイルスや雑菌を口元の周辺から除去できる。また、呼吸空間35内を紫外線殺菌装置1からの空気で陽圧に保つことができる。このため、着用者の感染を確実に防止できる。
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態に係るフェイスシールドについて説明する。図11は本発明の第8実施形態に係るフェイスシールドを着用者と共に示すものであり、(a)は斜視図、(b)は変形例を示す斜視図である。第8実施形態に係るフェイスシールド30は、第6実施形態(図8(a)(b))で示したフェイスシールド30において紫外線殺菌装置1を省略したものと同様の構成を備える。
即ち、図11(a)に示すフェイスシールド30において、フェイスシールド30は頭部Hに装着するための固定部31と顔面Fの前方に配設した透明樹脂からなるシールド部32とを備える。固定部31に呼吸空間用ファン36を搭載している。呼吸空間用ファン36は制御装置20により回転方向及び回転数を調整可能とする。
第8実施形態に係るフェイスシールド30によれば、顔面Fとシールド部32の間の呼吸空間35間に外部空気を流入させることができる。このため、呼吸空間用ファン36の回転方向及び回転数を制御装置20により調整可能としてフェイスシールド30の曇りを除去したり、顔面の温度や呼吸空間35の温度を低下させたりできる。
また、図11(b)に示すフェイスシールド30は、図8(f)に示したフェイスシールド30の紫外線殺菌装置1を省略した構成を備える。即ち、フェイスシールド30は首掛けフレーム33に固定部31を配置し、この固定部31にシールド部32、呼吸空間用ファン36を固定部31に固定する。
これにより、顔面Fとシールド部32の間の呼吸空間35間に外部空気を流入させることができる。制御装置20により呼吸空間用ファン36の回転方向及び回転数を調整可能とする。このため、呼吸空間用ファン36の回転方向及び回転数を調整装置により調整可能とすることにより、フェイスシールド30の曇りを除去したり、顔面の温度や呼吸空間35の温度を下げたりしたい場合は、呼吸空間用ファン36により呼吸空間35に空気を流すことで対策が可能となるため。
第8実施形態に係るフェイスシールド30において、呼吸空間用ファン36の回転方向及び回転数を調整装置により調整可能としたが、回転方向、回転数は固定としてもよい。
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態に係るフェイスシールドについて説明する。図12は本発明の第9実施形態に係るフェイスシールドを着用者と共に示す斜視図である。第9実施形態に係るフェイスシールド30は、第7実施形態(図9(a)、(b))で示したフェイスシールド30において紫外線殺菌装置1を省略した構成を備える。
即ち、第9実施形態に係るフェイスシールド30は、フェイスシールド30のシールド部32を顔面Fに近い側に配置した内側シールド39と、この内側シールド39の外側に配置した外側シールド40の2層構造とした。また、内側シールド39と顔面Fとの間に形成される呼吸空間35に呼吸空間用ファン36からの空気を流路51経由で送出する他、内側シールド39と外側シールド40との間に形成されるシールド空間41に上昇気流を生成させる。これにより、ウイルスや雑菌を含んだ飛沫を頭部Hの上方に排出できる。呼吸空間用ファン36及びシールド空間用ファン42の回転方向、及び回転数は制御装置(図示していない)で調整できる。
フェイスシールド30において、シールド部32を構成する内側シールド39及び外側シールド40は透明樹脂で構成され、内側シールド39の下端部39Dの位置を外側シールド40の下端部40Dの位置より下側とする。また、固定部31にシールド空間用ファン42を配置する。これにより、シールド空間41の空気を上方に排出し、シールド空間41の下側から上昇気流を生成する。
第9実施形態に係る紫外線殺菌装置1によれば、飛沫に含まれるウイルスや雑菌を口元の周辺から除去することが可能となり、一層高性能で高信頼性なフェイスシールド30を実現できる。
尚、上記説明から、当業者にとって本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明は、小型かつ軽量で持ち運び可能な空気清浄装置を実現することができ、屋外、飲食店、医療現場、学校などで信頼性に優れた空気清浄装置を実現する。またフェイスシールドとの組み合わせにより、一層感染予防を可能とする。よって、本発明は、屋外での打ち合わせ、飲食店での使用、医療現場や学校など移動の多い場所でかつウイルス感染のリスクの高い環境での日常的な利用ができる。よって、産業上の利用が可能である。
1:紫外線殺菌装置
2:光源
3:光源保持部
4:空気流入部
5:フィルター
6:フィルター保持部
7:吸気ファン
9:殺菌室
10:殺菌光量領域
11:殺菌筒
12:拡散壁
13:収斂壁
14:空気排出部
15:伝熱部
16:筐体
16a:筐体空気排出部
17:反射面
18:フレキシブル基板
19:接合部
20:制御装置
21:モーター部
22:吸気ファン外形部
23:レンズ
24:漏洩防止部
25:ブレード
26:空気抜き孔
30:フェイスシールド
31:固定部
31a:鍔部
32:シールド部
33:首掛けフレーム
34:排出空気供給部
35:呼吸空間
36:呼吸空間用ファン
37:殺菌装置固定部
38:圧力センサ
39:内側シールド
39D:下端部
40:外側シールド
40D:下端部
41:シールド空間
42:シールド空間用ファン
50:スイッチ
51:流路
52:フレキシブルホース
53:流路
54:流路
60:マスク
100:ペルチェ素子
101:フィン
F:顔面
H:頭部
N:首部
U:上腕部
W:着用者
Wa:腰部

Claims (23)

  1. 空洞内壁に紫外線の反射面を形成した殺菌室を備える殺菌筒と、
    外部の空気を前記殺菌室に送る吸気ファンと、
    前記殺菌筒に形成され前記吸気ファンからの空気が前記殺菌室に流入される空気流入部と、
    前記殺菌筒に配置され前記殺菌室の内部に向けて紫外線を照射する光源と、
    前記殺菌筒に形成され前記殺菌室の空気が外部に排出される空気排出部と、
    を備え、
    前記殺菌室において前記反射面により前記光源からの紫外線を多重反射させて、前記殺菌室内の空気に紫外線を多重照射することを特徴とする紫外線殺菌装置。
  2. 前記殺菌筒は、円錐形、角錐形、円筒形、多角柱形、略球形、又は略立方形として構成されたことを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  3. 前記光源を保持する光源保持部を備え、
    前記光源及び前記光源保持部を前記空気流入部の近傍に配設、又は前記光源、前記光源保持部及び前記空気排出部を前記空気流入部の近傍に配設したことを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  4. 前記空気流入部側から断面積が増す拡散壁と、前記空気排出部に向けて断面積が減ずる収斂壁となる2つの円錐体又は角錐体の互いの底面部を接合して内部を前記殺菌室とし、前記光源を前記空気流入部の近傍に配設したことを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  5. 前記光源は200nm~350nmの波長を有する深紫外線を射出する紫外線発光ダイオードであり、前記紫外線発光ダイオードの出射部にレンズを配設したことを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  6. 前記光源は200nm~350nmの波長の深紫外線を放射する殺菌灯であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  7. 前記殺菌筒は樹脂又は金属を素材とし、前記反射面はアルミニウム蒸着、アルミニウムスパッタリング、アルミニウム箔又はスクリーン印刷により紫外線反射膜又は紫外線反射面として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  8. 前記殺菌室内に、前記反射面で多重反射されて加算された前記光源からの紫外線の光強度が予め定めた値以上となる殺菌光量領域を設けたことを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  9. 前記反射面が、前記殺菌室の内部に流入した空気の流れの方向を変化させ、又は空気に渦を発生させる形状を備えることを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  10. 前記空気流入部から流入する空気の方向を前記殺菌室の中心軸に対して0°~90°の角度とし、又は前記空気流入部から流入する前記空気の方向を前記中心軸に対して流入する空気の流れをスパイラル状に旋回させる方向としたことを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  11. 前記光源を前記殺菌筒に保持する光源保持部を備え、
    前記光源の出射面の背面に流入した空気を接触させて前記光源を冷却すると共に、前記光源保持部に前記光源の熱を前記殺菌筒に伝えると共に流入した空気で冷却される保持部伝熱部を備えることを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  12. 前記殺菌筒を1個以上備え、
    前記殺菌筒と前記吸気ファンとを内部に保持する筐体と、
    前記殺菌筒の熱を前記筐体に伝えると共に前記殺菌筒を前記筐体に保持する筐体伝熱部と、
    前記筐体の一部に開設され、前記殺菌筒に向けて流入した空気の一部を前記筐体の内部に流通させる空気抜孔とを備えることを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  13. 内部に前記殺菌室を備えた前記殺菌筒を1個以上備え、
    前記殺菌筒の側面には、前記吸気ファンから流入した空気を前記殺菌室に流入させるため空気流入部を開設し、
    前記殺菌室の略中心軸上に前記光源としての殺菌ランプを配置し、
    前記殺菌ランプを前記殺菌筒に保持する光源保持部を備え、
    更に、
    前記殺菌筒の底面又は側面に配設され前記殺菌室から流入した空気を排出する前記空気排出部と、
    前記吸気ファンと前記殺菌筒を保持する筐体と、
    前記殺菌筒の熱を前記筐体に伝えると共に前記殺菌筒を前記筐体に保持する筐体伝熱部と、
    前記筐体の一部に1カ所以上配設された空気抜孔とを備え、
    流入した空気の一部を前記筐体の内部に流通させることを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  14. 前記吸気ファンを駆動するモーター部を備え、
    前記モーター部の発熱を前記吸気ファンの外径部を介して前記筐体へ伝えるモーター部伝熱部材を備え、
    前記筐体から空気中へ放熱すると共に、前記殺菌筒及び前記筐体で構成された空間を滞留する空気により前記殺菌筒、前記モーター部伝熱部材及び前記筐体から放熱することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の紫外線殺菌装置。
  15. 前記ファンへの空気を濾過するフィルターと前記フィルターを保持するフィルター保持部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の紫外線殺菌装置。
  16. 頭部に装着するための固定部、及び顔面の前方に配設した透明樹脂からなるシールド部を備えたフェイスシールドであって、
    前記固定部、又はこのフェイスシールドの着用者の上半身の近傍に請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の紫外線殺菌装置を配設する殺菌装置固定部と、
    前記殺菌装置固定部に配設され、前記紫外線殺菌装置の前記空気排出部からの空気を前記シールド部の顔面側である呼吸空間に放出する排出空気供給部と、を有し、
    前記呼吸空間に前記排出空気供給部からの空気を供給して前記呼吸空間を外気に対して陽圧とし、前記排出空気供給部から流入した空気以外の空気が前記呼吸空間に侵入するのを防止することを特徴とするフェイスシールド。
  17. 前記紫外線殺菌装置から前記排出空気供給部を経て排出される空気の流量を毎分6.5L以上としたことを特徴とする請求項16に記載のフェイスシールド。
  18. 前記呼吸空間に接する前記シールド部に前記呼吸空間の呼吸に起因する圧力変化を検出する圧力センサを備え、
    前記圧力変化に応じて前記呼吸空間が外気に対して陽圧となるように前記紫外線殺菌装置を制御して前記空気排出部から排出される空気の流量を調整する調整手段を備えることを特徴とする請求項16に記載のフェイスシールド。
  19. 前記固定部に前記呼吸空間に外部からの空気を送る呼吸空間用ファンを配置し、前記呼吸空間用ファンの回転方向及び回転数を調整可能としたことを特徴とする請求項16に記載のフェイスシールド。
  20. 前記シールド部は、透明樹脂で構成されると共に、所定のシールド空間を隔てて配置した顔面側の内側シールドと外気側の外側シールドとからなる2層構造とし、
    前記内側シールドの下端部の位置を前記外側シールドの下端部の位置より下側とし、前記固定部に前記シールド空間に下側からの上昇気流を生成して外部から口元近傍に拡散した空気を頭部の方向へ排出するシールド空間用ファンを備えることを特徴とする請求項16に記載のフェイスシールド。
  21. 首部に装着する前記殺菌装置固定部に、前記シールド部と、前記呼吸空間に外部からの空気を送る呼吸空間用ファンと、前記紫外線殺菌装置と、前記排出空気供給部とを配置し、
    前記顔面と前記シールド部の間の空間となる前記呼吸空間に前記排出空気供給部からの空気を流入させ前記呼吸空間を外気より陽圧とすることで、前記排出空気供給部からの空気以外の空気が前記呼吸空間に侵入するのを防止することを特徴とする請求項16に記載のフェイスシールド。
  22. 頭部に装着するための固定部、及び顔面の前方に配設した透明樹脂からなるシールド部を備えたフェイスシールドであって、
    前記固定部に前記呼吸空間に外部からの空気を送る呼吸空間用ファンを1つ以上配置し、前記呼吸空間用ファンの回転方向及び回転数を調整可能とすることを特徴とするフェイスシールド。
  23. 前記シールド部は、透明樹脂で構成されると共に、所定のシールド空間を隔てて配置した顔面側の内側シールドと外気側の外側シールドとからなる2層構造とし、
    前記内側シールドの下端部の位置を前記外側シールドの下端部の位置より下側とし、前記固定部に前記シールド空間に下側からの上昇気流を生成することで外部から口元近傍に拡散した空気を頭部の方向へ排出するシールド空間用ファンを備え、
    更に、前記顔面と前記内側シールドとの間の前記呼吸空間に外気を送り、下降気流、上昇気流又は無風とする呼吸空間用ファンを備えることを特徴とする請求項22に記載のフェイスシールド。
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