JP2022021012A - 信号処理方法及び信号処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】包絡線処理を行わずに処理対象の信号に含まれる周期性を有する信号成分を検出することを可能とする信号処理方法を提供すること。【解決手段】対象物の定常状態において生じる物理量に応じた時系列信号である源信号に基づいて、時系列信号である処理対象信号を生成する処理対象信号生成工程と、前記源信号に基づいて生成された時系列信号であるテンプレート信号と前記処理対象信号との相関フィルター処理を行って、時系列信号である相関信号を生成する相関信号生成工程と、を含む、信号処理方法。【選択図】図1

Description

本発明は、信号処理方法及び信号処理装置に関する。
対象とする定常的な繰り返し波形とは非同期な成分を低減する手法として同期加算が知られている。しかしながら、この手法では、繰り返し波形と相関があるが同期加算タイミングと同期していない波形成分も低減してしまうという問題がある。この問題に対処する方法として、非特許文献1では、対象とする定常的な繰り返し時系列波形に対し包絡線処理を行い、得られた波形に対してスペクトル分析する方法が提案されている。
Pete Sopcik and Dara O'Sullivan, "How Sensor Performance Enables Condition-Based Monitoring Solutions", Analog Dialogue 53-06, June 2019.
しかしながら、包絡線処理では、時系列波形を整流した後に平滑化処理する必要があり、所望の信号成分が適切に抽出されるように平滑化フィルターのカットオフ周波数を適切に選択する必要があるため、非特許文献1に記載の方法では演算が複雑になってしまう。
本発明に係る信号処理方法の一態様は、
対象物の定常状態において生じる物理量に応じた時系列信号である源信号に基づいて、時系列信号である処理対象信号を生成する処理対象信号生成工程と、
前記源信号に基づいて生成された時系列信号であるテンプレート信号と前記処理対象信号との相関フィルター処理を行って、時系列信号である相関信号を生成する相関信号生成工程と、を含む。
本発明に係る信号処理装置の一態様は、
対象物の定常状態において生じる物理量に応じた時系列信号である源信号に基づいて、時系列信号である処理対象信号を生成する処理対象信号回路と、
前記源信号に基づいて生成された時系列信号であるテンプレート信号を記憶する記憶回路と、
前記テンプレート信号と前記処理対象信号との相関フィルター処理を行って、時系列信号である相関信号を生成する相関信号生成回路と、を含む。
第1実施形態の信号処理方法の手順を示すフローチャート図。 第1実施形態におけるテンプレート信号生成工程の手順の一例を示すフローチャート図。 第1実施形態における処理対象信号生成工程の手順の一例を示すフローチャート図。 第1実施形態における相関信号生成工程の手順の一例を示すフローチャート図。 対象物及び源信号の具体例を示す図。 源信号から切り出された第1期間の信号の一例を示す図。 テンプレート信号の一例を示す図。 処理対象信号の波形の一例を示す図。 相関信号の波形の一例を示す図。 図8に示した処理対象信号の波形を拡大した図。 図9に示した相関信号の波形を拡大した図。 第1実施形態の信号処理装置の構成例を示す図。 第2実施形態におけるテンプレート信号生成工程の手順の一例を示すフローチャート図。 第2実施形態における処理対象信号生成工程の手順の一例を示すフローチャート図。 第3実施形態におけるテンプレート信号生成工程の手順の一例を示すフローチャート図。 第3実施形態における相関信号生成工程の手順の一例を示すフローチャート図。 第4実施形態の信号処理方法の手順を示すフローチャート図。 第5実施形態の信号処理方法の手順を示すフローチャート図。 第5実施形態の信号処理方法の他の手順を示すフローチャート図。 第5実施形態における波形分析工程の手順の一例を示すフローチャート図。 相関信号に対してFFTを行って得られる周波数スペクトルの一例を示す図。 比較例の周波数スペクトルの一例を示す図。 相関信号に対してFFTを行って得られる周波数スペクトルの他の一例を示す図。 比較例の周波数スペクトルの他の一例を示す図。 第5実施形態の信号処理装置の構成例を示す図。 第6実施形態における波形分析工程の手順の一例を示すフローチャート図。 図11に示した相関信号の波形を拡大した図。 第7実施形態の信号処理方法の手順を示すフローチャート図。 第7実施形態の信号処理方法の他の手順を示すフローチャート図。 第7実施形態の信号処理装置の構成例を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.第1実施形態
1-1.信号処理方法
図1は、第1実施形態の信号処理方法の手順を示すフローチャート図である。
図1に示すように、第1実施形態の信号処理方法は、テンプレート信号生成工程S1と、処理対象信号生成工程S2と、相関信号生成工程S3と、を含む。本実施形態の信号処理方法は、例えば、信号処理装置1によって行われる。
まず、信号処理装置1は、テンプレート信号生成工程S1において、対象物の定常状態において生じる物理量に応じた時系列信号である源信号に基づいて、時系列信号であるテンプレート信号を生成する。対象物は、信号処理の対象となる物であり、その種類は特に
限定されず、例えば、回転機構や振動機構を有するモーター等の各種の装置であってもよいし、外力によって振動する橋梁やビル等の構造物であってもよいし、周期性を有する信号を発生させる電気回路であってもよい。対象物の定常状態とは、対象物が所定の動作を繰り返している状態であり、例えば、対象物である装置や構造物が回転又は振動をしている状態、対象物である電気回路が周期性を有する信号を発生させている状態等であってもよい。物理量の種類は特に限定されず、例えば、物理量は、加速度、角速度、圧力、電流、電圧等であってもよい。
次に、信号処理装置1は、処理対象信号生成工程S2において、源信号に基づいて、時系列信号である処理対象信号を生成する。
次に、信号処理装置1は、相関信号生成工程S3において、工程S1で生成されたテンプレート信号と工程S2で生成された処理対象信号との相関フィルター処理を行って、時系列信号である相関信号を生成する。
そして、信号処理が終了するまで(工程S4のN)、信号処理装置1は、工程S1,S2,S3を繰り返し行う。
このように、本実施形態では、信号処理が終了するまで、テンプレート信号及び処理対象信号は更新される。テンプレート信号が更新されることにより、対象物の経時変化によって処理対象信号に含まれる周期性を有する信号成分の周期が変化しても当該信号成分が含まれる相関信号を生成することができる。
図2は、図1のテンプレート信号生成工程S1の手順の一例を示すフローチャート図である。
図2に示すように、信号処理装置1は、テンプレート信号生成工程S1において、まず、源信号から長さt1の第1期間の信号を切り出す(工程S11)。
次に、信号処理装置1は、第1期間の信号に窓関数を掛けてテンプレート信号を生成し(工程S12)、テンプレート信号生成工程S1を終了する。
このように、本実施形態では、テンプレート信号は、源信号から切り出された第1期間の信号に基づく信号であり、その時間長は第1期間の長さt1と等しい。また、テンプレート信号は、源信号から切り出された信号に窓関数を掛けた信号である。これにより、テンプレート信号の最初のサンプル値と最後のサンプル値の不連続性に起因するノイズの相関信号への影響を低減することができる。窓関数の種類は特に限定されず、窓関数としては、例えば、ハニング窓関数、矩形窓関数、ガウス窓関数、ハミング窓関数、ブラックマン窓関数、カイザー窓関数等が挙げられる。
図3は、図1の処理対象信号生成工程S2の手順の一例を示すフローチャート図である。
図3に示すように、信号処理装置1は、処理対象信号生成工程S2において、まず、源信号から第1期間と重複しない長さt2の第2期間の信号を切り出す(工程S21)。
次に、信号処理装置1は、第2期間の信号に窓関数を掛けて処理対象信号を生成し(工程S22)、処理対象信号生成工程S2を終了する。
このように、本実施形態では、処理対象信号は、源信号から切り出された第1期間と重
複しない第2期間の信号に基づく信号であり、その時間長は第2期間の長さt2と等しい。したがって、テンプレート信号と処理対象信号がまったく同じ信号を含む期間が存在しないので、相関フィルター処理によってノイズ等のエルゴード性を持つ信号成分を効果的に低減される。
また、処理対象信号は、源信号から切り出された信号に窓関数を掛けた信号である。これにより、処理対象信号の最初のサンプル値と最後のサンプル値の不連続性に起因するノイズの相関信号への影響を低減することができる。窓関数の種類は特に限定されず、窓関数としては、例えば、ハニング窓関数、矩形窓関数、ガウス窓関数、ハミング窓関数、ブラックマン窓関数、カイザー窓関数等が挙げられる。
また、本実施形態では、源信号は、一定のサンプリングレートのデジタル信号であり、ともに源信号から切り出されたテンプレート信号と処理対象信号とは、サンプリング周期Δtが同じである。これにより、相関フィルター処理において、周波数の異なる信号成分のそれぞれの直交性が担保され、同一周波数の信号成分が正しく抽出される。ただし、テンプレート信号と処理対象信号とは、サンプリング周期が異なっていてもよく、この場合は、信号処理装置1は、相関信号生成工程S3の前に、テンプレート信号及び処理対象信号のサンプリング周期が同じになるように、テンプレート信号及び処理対象信号の少なくとも一方を時間軸に対して線形変換すればよい。
また、本実施形態では、テンプレート信号は、処理対象信号よりも短い。すなわち、t1<t2である。
図4は、図1の相関信号生成工程S3の手順の一例を示すフローチャート図である。
図4に示すように、信号処理装置1は、相関信号生成工程S3において、まず、t=0として(工程S31)、テンプレート信号と処理対象信号とを時間tだけずらして積和演算し、相関信号の時刻tのサンプル値とする(工程S32)。
次に、信号処理装置1は、t=t+Δtとして(工程S33)、t>t2-t1となるまで(工程S34のN)、工程S32,S33を繰り返し行う。そして、t>t2-t1となると(工程S34のY)、相関信号生成工程S3を終了する。
このように、本実施形態では、相関フィルター処理は、テンプレート信号と処理対象信号との積和演算処理であり、信号処理装置1は、処理対象信号の時間長t2とテンプレート信号の時間長t1との差と一致するまで時間tをずらしながらテンプレート信号と処理対象信号との積和演算処理を行って相関信号を生成する。そして、相関フィルター処理によって生成される相関信号の包絡線と、処理対象信号の包絡線とは非線形である。すなわち、本実施形態では、相関フィルター処理の前後における包絡線の線形性の保持に制約が設けられないので、処理対象信号に含まれるエルゴード性を持つ雑音が効率よく低減される。
積和演算処理は、処理対象信号に対するFIR(Finite Impulse Response)フィルター処理であってもよい。この場合、FIRフィルター処理の係数は、テンプレート信号に基づいて定義される。例えば、テンプレート信号に含まれるn1個のサンプル値をn1個の係数値とするn1タップのFIRフィルターに、処理対象信号に含まれるn2個のサンプル値を順番に入力することにより、FIRフィルターの出力信号として相関信号が得られる。なお、n1=t1/Δtであり、n2=t2/Δtである。このように、積和演算処理をFIRフィルター処理とすることで、相関フィルター処理を簡便に実現することができる。
また、本実施形態では、源信号は、周期性を有する複数の信号成分を含み、当該複数の信号成分は、互いに周期が異なる。これにより、対象物が動作周波数の異なる複数の機構を備えることができる。そして、テンプレート信号の時間長は、当該複数の信号成分のうちの第1の信号成分の周期よりも長く、処理対象信号の時間長とテンプレート信号の時間長との差t2-t1は、当該第1の信号成分の周期よりも長い。これにより、相関信号には第1の信号成分が1周期以上含まれることになるので、第1の信号成分を分析対象とすることができる。
図5は、対象物及び源信号の具体例を示す図である。図5の例では、対象物はドライポンプ200であり、ドライポンプ200は、ブースターポンプ210とメインポンプ220とを備えている。ブースターポンプ210は、第1ポンプ室211を備え、内蔵する不図示のモーター、ギア、ベアリング等の作用によって、第1ポンプ室211に収容された不図示のローターを高速回転させる。これにより、第1ポンプ室211は、ドライポンプ200の外部から空気を吸入して排出する。
メインポンプ220は、第2ポンプ室221を備え、内蔵する不図示のモーター、ギア、ベアリング等の作用によって、第2ポンプ室221に収容された不図示のローターを高速回転させる。これにより、第2ポンプ室221は、第1ポンプ室211から排出された空気を吸入し、ドライポンプ200の外部に排出する。
ドライポンプ200の定常状態において、ブースターポンプ210に内蔵されているモーター、ギア、ベアリング、ローター等や、メインポンプ220に内蔵されているモーター、ギア、ベアリング、ローター等が動作しているので、これらの動作によって様々な周波数の振動が発生する。この振動が伝わる位置にセンサー20が設置されている。センサー20は振動を検出可能なセンサーであればよく、例えば、加速度センサーや角速度センサーであってもよい。センサー20は、これらの振動をわずかでも検出できればよく、設置場所の制約が小さい。
センサー20の出力信号は、アナログフロントエンド30に入力される。アナログフロントエンド30は、センサー20の出力信号に対して増幅処理やA/D(Analog to Digital)変換処理を行ってデジタル時系列信号である源信号を出力する。
図6~図9は、図5に示した源信号から得られる各種の信号波形の一例を示す。図6~図9において、横軸は時間であり、縦軸はサンプル値である。なお、センサー20のサンプリングレートは1kHzである。
図6は、源信号から切り出された第1期間の信号の一例を示す図である。また、図7は、図6に示した第1期間の信号にハニング窓関数を掛けて生成されたテンプレート信号の一例を示す図である。図7の例では、テンプレート信号の時間長t1は8.192秒であり、テンプレート信号は8192個のサンプルを含む。なお、図6の信号をテンプレート信号として用いてもよい。
図8は、処理対象信号の波形の一例を示す図である。処理対象信号の時間長t2は24.576秒(=16.384秒+8.192秒)であり、処理対象信号は24576個のサンプルを含む。図8ではそのうち最初の16.384秒間の信号を切り出したものを示している。
図9は、図7に示したテンプレート信号と図8に示した処理対象信号との相関フィルター処理後の相関信号の波形の一例を示す図である。図9の例では、相関信号の時間長は、
処理対象信号の時間長t2とテンプレート信号の時間長t1との差に等しい16.384秒であり、相関信号は16384個のサンプルを含む。
図10は、図8に示した処理対象信号の0秒~0.5秒の波形を拡大した図である。また、図11は、図9に示した相関信号の0秒~0.5秒の波形を拡大した図である。ドライポンプ200が定常状態であるので、源信号には、ブースターポンプ210に内蔵されているモーター、ギア、ベアリング、ローター等や、メインポンプ220に内蔵されているモーター、ギア、ベアリング、ローター等の動作に起因する様々な周波数の信号成分が含まれる。図7に示したテンプレート信号及び図8に示した処理対象信号は、ともに源信号から切り出された信号に基づいて生成されるので、様々な周波数の信号成分を共通に含んでいる。相関フィルター処理により、テンプレート信号と処理対象信号に含まれる同じ周波数の信号成分は増幅される。一方、ドライポンプ200の動作と相関のない信号成分のうち、エルゴード性を持つ雑音は、相関フィルター処理によって減衰される。そのため、ドライポンプ200の動作と相関のある信号成分が、図10に示した処理対象信号では不明瞭であるのに対して、図11に示した相関信号では明瞭になっている。
1-2.信号処理装置
図12は、前述の信号処理方法を実現する信号処理装置1の構成例を示す図である。図12に示すように、信号処理装置1は、処理回路10、センサー20、アナログフロントエンド30、記憶回路40、操作部50、表示部60、音出力部70、通信部80を含む。なお、信号処理装置1は、図12の構成要素の処理回路10、センサー20以外の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
センサー20は、対象物の定常状態において生じる物理量を検出し、検出した物理量に応じた大きさの信号を出力する。センサー20の出力信号は、アナログフロントエンド30に入力される。
アナログフロントエンド30は、センサー20の出力信号に対して増幅処理やA/D変換処理等を行ってデジタル時系列信号を出力する。
処理回路10は、アナログフロントエンド30から出力されるデジタル時系列信号を源信号として、源信号に対する信号処理を行う。具体的には、処理回路10は、記憶回路40に記憶されている信号処理プログラム41を実行し、源信号に対する各種の計算処理を行う。その他、処理回路10は、操作部50からの操作信号に応じた各種の処理、表示部60に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理、音出力部70に各種の音を発生させるための音信号を送信する処理、外部装置とデータ通信を行うために通信部80を制御する処理等を行う。処理回路10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)によって実現される。
処理回路10は、信号処理プログラム41を実行することにより、テンプレート信号生成回路11、処理対象信号生成回路12及び相関信号生成回路13として機能する。すなわち、信号処理装置1は、テンプレート信号生成回路11と、処理対象信号生成回路12と、相関信号生成回路13とを含む。
テンプレート信号生成回路11は、対象物の定常状態において生じる物理量に応じた時系列信号である源信号に基づいて、時系列信号であるテンプレート信号42を生成する。すなわち、テンプレート信号生成回路11は、図1のテンプレート信号生成工程S1、具体的には図2の工程S11,S12を実行する。テンプレート信号生成回路11が生成したテンプレート信号42は記憶回路40に記憶される。
処理対象信号生成回路12は、源信号に基づいて、時系列信号である処理対象信号43を生成する。すなわち、処理対象信号生成回路12は、図1の処理対象信号生成工程S2、具体的には図3の工程S21,S22を実行する。処理対象信号生成回路12が生成した処理対象信号43は記憶回路40に記憶される。
相関信号生成回路13は、テンプレート信号生成回路11が生成したテンプレート信号42と処理対象信号生成回路12が生成した処理対象信号43との相関フィルター処理を行って、時系列信号である相関信号44を生成する。すなわち、相関信号生成回路13は、図1の相関信号生成工程S3、具体的には図4の工程S31~S36を実行する。相関信号生成回路13が生成した相関信号44は記憶回路40に記憶される。
記憶回路40は、不図示のROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有している。ROMは、信号処理プログラム41等の各種プログラムやあらかじめ決められたデータを記憶し、RAMは、テンプレート信号42、処理対象信号43及び相関信号44等の処理回路10が生成した信号やデータを記憶する。RAMは、処理回路10の作業領域としても用いられ、ROMから読み出されたプログラムやデータ、操作部50から入力されたデータ、処理回路10が一時的に生成した信号やデータを記憶する。
操作部50は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号を処理回路10に出力する。
表示部60は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、処理回路10から出力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。表示部60には操作部50として機能するタッチパネルが設けられていてもよい。例えば、表示部60は、処理回路10から出力される表示信号に基づいて、相関信号44の波形画像を表示してもよい。
音出力部70は、スピーカー等によって構成され、処理回路10から出力される音信号に基づいて各種の音を発生させる。例えば、音出力部70は、処理回路10から出力される音信号に基づいて、信号処理の開始や終了を示す音を発生させてもよい。
通信部80は、処理回路10と外部装置との間のデータ通信を成立させるための各種制御を行う。例えば、通信部80は、相関信号44を外部装置に送信してもよい。
なお、テンプレート信号生成回路11、処理対象信号生成回路12及び相関信号生成回路13の少なくとも一部が、専用のハードウエアで実現されてもよい。また、信号処理装置1は、単体の装置であってもよいし、複数の装置によって構成されてもよい。例えば、センサー20及びアナログフロントエンド30が第1の装置に含まれ、処理回路10、記憶回路40、操作部50、表示部60、音出力部70及び通信部80が第1の装置とは別体の第2の装置に含まれていてもよい。また、例えば、処理回路10及び記憶回路40がクラウドサーバー等の装置で実現され、当該装置が相関信号44を生成し、生成した相関信号44を、通信回線を介して操作部50、表示部60、音出力部70及び通信部80を含む端末に送信してもよい。
1-3.作用効果
以上に説明した第1実施形態によれば、源信号に基づいて生成されたテンプレート信号及び処理対象信号には、信号処理の対象となる対象物の定常状態において生じる物理量と相関のある周期性を有する信号成分が共通に含まれる。そのため、テンプレート信号と処理対象信号との相関フィルター処理によって、当該周期性を有する信号成分は強め合い、包絡線処理を行わずに処理対象信号に含まれる周期性を有する信号成分を検出することが
できる。
また、当該物理量とは相関のない信号成分のうち、エルゴード性を持つ雑音は弱め合う。そのため、テンプレート信号に含まれる周期性を有する信号成分をその周期の数だけ同期加算したのと同等の効果が得られ、処理対象信号に含まれる周期性を有する信号成分の振幅が小さい場合でも、高いS/N比を有する相関信号が得られる。したがって、第1実施形態によれば、対象物や物理量の取得部の設置場所に対する制約が緩和される。
さらに、第1実施形態によれば、対象物が定常状態にあるときに信号処理を行うことができるので、対象物の動作状態を変更することなく所望の相関信号を得ることができる。
2.第2実施形態
以下、第2実施形態について、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態と重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態と異なる内容について説明する。
第2実施形態の信号処理方法の手順は図1と同じであるので、その図示を省略する。第2実施形態の信号処理方法では、テンプレート信号生成工程S1の手順及び処理対象信号生成工程S2の手順が第1実施形態と異なり、相関信号生成工程S3の手順は第1実施形態と同じである。
図13は、第2実施形態におけるテンプレート信号生成工程S1の手順の一例を示すフローチャート図である。
図13に示すように、信号処理装置1は、テンプレート信号生成工程S1において、まず、源信号から長さt1の第1期間の信号を切り出す(工程S101)。
次に、信号処理装置1は、第1期間の信号に窓関数を掛け、直流成分を除去してテンプレート信号を生成(工程S102)、テンプレート信号生成工程S1を終了する。例えば、信号処理装置1は、第1期間の信号に窓関数を掛けた信号にハイパスフィルター処理を行って直流成分を除去してもよい。
図14は、第2実施形態における処理対象信号生成工程S2の手順の一例を示すフローチャート図である。
図14に示すように、信号処理装置1は、処理対象信号生成工程S2において、まず、源信号から第1期間と重複しない長さt2の第2期間の信号を切り出す(工程S201)。
次に、信号処理装置1は、第2期間の信号に窓関数を掛け、直流成分を除去して処理対象信号を生成し(工程S202)、処理対象信号生成工程S2を終了する。
第2実施形態における信号処理装置1の構成例は、図12と同様であるため、その図示を省略する。ただし、テンプレート信号生成回路11は、図13の工程S101,S102を実行する。また、処理対象信号生成回路12は、図14の工程S201,S202を実行する。第2実施形態における信号処理装置1のその他の構成及び機能は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
このように、図13の手順及び図14の手順によれば、テンプレート信号及び処理対象信号は、直流成分が除去された信号である。ただし、テンプレート信号及び処理対象信号
の一方のみが、直流成分が除去された信号であってもよい。すなわち、本実施形態では、テンプレート信号及び処理対象信号の少なくとも一方は、直流成分が除去された信号である。そのため、相関フィルター処理により得られる相関信号は、テンプレート信号や処理対象信号に含まれる直流成分の相関分だけバイアスされるが、当該バイアスが低減されるため、相関信号の最大値が小さくなり、相関信号のデータ量が小さくなる。したがって、第2実施形態によれば、信号処理装置1において、相関信号を記憶するための記憶回路40のサイズを低減することができる。
3.第3実施形態
以下、第3実施形態について、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態又は第2実施形態と重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態及び第2実施形態と異なる内容について説明する。
第3実施形態の信号処理方法の手順は図1と同じであるので、その図示を省略する。第3実施形態の信号処理方法では、テンプレート信号生成工程S1の手順及び相関信号生成工程S3の手順が第1実施形態及び第2実施形態と異なり、処理対象信号生成工程S2の手順は第1実施形態又は第2実施形態と同じである。
図15は、第3実施形態におけるテンプレート信号生成工程S1の手順の一例を示すフローチャート図である。
図15に示すように、信号処理装置1は、テンプレート信号生成工程S1において、まず、整数i=0として(工程S111)、源信号から長さt1の第1期間の信号を切り出す(工程S112)。
次に、信号処理装置1は、第1期間の信号に窓関数を掛け、直流成分を除去して第iのテンプレート信号を生成する(工程S113)。
次に、信号処理装置1は、i=Nとなるまで(工程S114のN)、i=i+1として(工程S115)、工程S112,S113を繰り返し行う。そして、i=Nとなると(工程S114のY)、信号処理装置1は、テンプレート信号生成工程S1を終了する。
このように、本実施形態では、信号処理装置1は、テンプレート信号生成工程S1において、源信号に基づいて第1~第Nのテンプレート信号を生成する。
図16は、第3実施形態における相関信号生成工程S3の手順の一例を示すフローチャート図である。
図16に示すように、信号処理装置1は、相関信号生成工程S3において、まず、整数i=1(工程S311)として、さらに、t=0として(工程S312)、第iのテンプレート信号と処理対象信号とを時間tだけずらして積和演算し、第iの相関信号の時刻tのサンプル値とする(工程S313)。
次に、信号処理装置1は、t=t+Δtとして(工程S314)、t>t2-t1となるまで(工程S315のN)、工程S313,S314を繰り返し行う。そして、t>t2-t1となると(工程S315のY)、信号処理装置1は、i=Nでなければ(工程S316のN)、i=i+1として(工程S317)、工程S312以降の処理を再び行う。なお、Nは、あらかじめ決められた2以上の整数である。
信号処理装置1は、i=Nとなるまで(工程S316のN)、i=i+1として(工程
S317)、工程S312~S315を繰り返し行う。そして、i=Nとなると(工程S316のY)、信号処理装置1は、第1~第Nの相関信号を加算、平均又は加重平均して相関信号を生成し(工程S318)、相関信号生成工程S3を終了する。
このように、本実施形態では、信号処理装置1は、相関信号生成工程S3において、それぞれ前記源信号に基づいて生成された時系列信号である第1~第Nのテンプレート信号の各々と処理対象信号との相関フィルター処理を行って第1~第Nの相関信号を生成し、第1~第Nの相関信号を加算、平均又は加重平均して相関信号を生成する。
第3実施形態における信号処理装置1の構成例は、図12と同様であるため、その図示を省略する。ただし、テンプレート信号生成回路11は、図15の工程S111~S115を実行する。また、相関信号生成回路13は、図16の工程S311~S319を実行する。第3実施形態における信号処理装置1のその他の構成及び機能は、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以上に説明した第3実施形態によれば、相関フィルター処理により、第1~第Nの相関信号に含まれるエルゴード性を持つ雑音が低減され、さらに、第1~第Nの相関信号を加算、平均又は加重平均することでエルゴード性を持つ雑音がさらに低減される。したがって、より高いS/N比を有する相関信号が得られる。
4.第4実施形態
以下、第4実施形態について、第1実施形態~第3実施形態のいずれかと同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態~第3実施形態のいずれかと重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態~第3実施形態のいずれとも異なる内容について説明する。
図17は、第4実施形態の信号処理方法の手順を示すフローチャート図である。
図17に示すように、信号処理装置1は、まず、第1実施形態~第3実施形態のいずれかと同様に、テンプレート信号生成工程S1、処理対象信号生成工程S2及び相関信号生成工程S3を行う。
そして、信号処理が終了するまで(工程S4のN)、信号処理装置1は、工程S2,S3を繰り返し行う。
このように、本実施形態では、信号処理が終了するまで、処理対象信号は更新されるが、テンプレート信号は更新されない。
第4実施形態の信号処理方法では、テンプレート信号生成工程S1の手順、相関信号生成工程S3の手順及び処理対象信号生成工程S2の手順は、第1実施形態~第3実施形態のいずれかと同じである。
なお、信号処理装置1は、あらかじめ生成されたテンプレート信号を用いて処理対象信号生成工程S2を行ってもよい。すなわち、本実施形態において、テンプレート信号生成工程S1はなくてもよい。
第4実施形態における信号処理装置1の構成例は、図12と同様であるため、その図示を省略する。ただし、処理回路10は、図17の工程S1~S4を実行する。第4実施形態における信号処理装置1のその他の構成及び機能は、第1実施形態~第3実施形態のいずれかと同様であるため、その説明を省略する。
以上に説明した第4実施形態によればでは、テンプレート信号が更新されないので、対象物の経時変化によって処理対象信号に含まれる周期性を有する信号成分の周期や強度が変化すると、相関信号に含まれる当該信号成分の強度が変化する。したがって、第4実施形態によれば、対象物の経時変化やその原因等を捉えやすくすることができる。
5.第5実施形態
以下、第5実施形態について、第1実施形態~第4実施形態のいずれかと同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態~第4実施形態のいずれかと重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態~第4実施形態のいずれとも異なる内容について説明する。
図18は、第5実施形態の信号処理方法の手順を示すフローチャート図である。
図18に示すように、信号処理装置1は、まず、第1実施形態~第3実施形態のいずれかと同様に、テンプレート信号生成工程S1、処理対象信号生成工程S2及び相関信号生成工程S3を行う。
次に、信号処理装置1は、相関信号の波形を分析する波形分析工程S5を行う。
そして、信号処理が終了するまで(工程S6のN)、信号処理装置1は、工程S1,S2,S3,S5を繰り返し行う。
図18の手順では、信号処理が終了するまで、テンプレート信号及び処理対象信号は更新される。
図19は、第5実施形態の信号処理方法の他の手順を示すフローチャート図である。
図19に示すように、信号処理装置1は、まず、第4実施形態と同様に、テンプレート信号生成工程S1、処理対象信号生成工程S2及び相関信号生成工程S3を行う。
次に、信号処理装置1は、相関信号の波形を分析する波形分析工程S5を行う。
そして、信号処理が終了するまで(工程S6のN)、信号処理装置1は、工程S2,S3,S5を繰り返し行う。
図19の手順では、信号処理が終了するまで、処理対象信号は更新されるが、テンプレート信号は更新されない。
図18及び図19に示すように、本実施形態では、信号処理装置1は、相関信号の波形を分析する波形分析工程S5を行う。信号処理装置1は、波形分析工程S5において、相関信号に含まれる周期性を有する信号の周波数又は周期に注目して分析してもよい。
図20は、図18又は図19の波形分析工程S5の手順の一例を示すフローチャート図である。
図20に示すように、まず、信号処理装置1は、相関信号を周波数解析する(工程S51)。周波数解析は、例えば、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)、ウェーブレット変換、自己相関解析等であってもよい。
次に、信号処理装置1は、工程S51の周波数解析結果に基づいて、相関信号に含まれる周期性を有する信号の周波数と強度を算出し(工程S52)、波形分析工程S5の処理を終了する。
このように、本実施形態では、信号処理装置1は、波形分析工程S5において、相関信号を周波数解析して、相関信号に含まれる周期性を有する信号の周波数を算出する。
図21は、稼働時間が数か月程度である比較的新しいドライポンプ200を対象物として、波形分析工程S5において相関信号に対してFFTを行って得られた周波数スペクトルの一例を示す図である。また、図22は、比較例として、仮に、処理対象信号に対して直接的にFFTを行った場合に得られる周波数スペクトルの一例を示す図である。図21及び図22において、横軸は周波数であり、縦軸は強度である。
図21と図22とを比較すると、図21の方が図22よりも各種の周波数の信号成分のピークが明瞭であり、処理対象信号に対して相関フィルター処理を行うことによってノイズが大きく低減されたS/N比(Signal to Noise Ratio)の高い相関信号が得られることがわかる。したがって、信号処理装置1は、図21の周波数スペクトルに基づいて、各種の信号成分の周波数と強度を算出することができる。
例えば、メインポンプ220においてベアリングの内輪が回転する周波数である内輪回転周波数frmの設計値は既知であり、図21において、この設計値に近くで強度がピークとなる信号成分が内輪回転周波数frmの基本波に相当する。同様に、ブースターポンプ210においてベアリングの内輪が回転する周波数である内輪回転周波数frbの設計値は既知であり、図21において、この設計値に近くで強度がピークとなる信号成分が内輪回転周波数frmの基本波に相当する。しったがって、信号処理装置1は、図21の周波数スペクトルにおいて、メインポンプ220の内輪回転周波数frmの基本波及びその2次~5次の高調波の各周波数や、ブースターポンプ210の内輪回転周波数frbの基本波及びその2次~5次の高調波の各周波数と対応する強度を算出することができる。
奇数の高調波が強いのか偶数の高調波が強いのかによってベアリングの回転や振動のバランスがわかる。奇数の高調波の強度が高い場合は回転や振動は対称的であり、偶数の高調波の強度が高い場合は回転や振動が非対称であることを表している。したがって、各高調波の強度や経時変化から、回転や振動の対称性の変化、すなわち、ベアリングの劣化等を判断することができるため、多くの高調波を検出できることが好ましい。例えば、メインポンプ220の内輪回転周波数frmの5次高調波やブースターポンプ210の内輪回転周波数frbの5次高調波は、図22では不明瞭であるのに対して図21では非常に明瞭である。したがって、信号処理装置1は、相関フィルター処理を行うことによってこれらの5次高調波も確実に検出することができる。
他の一例として、図23に、稼働時間が10年に近い比較的古いドライポンプ200を対象物として、波形分析工程S5において相関信号に対してFFTを行って得られた周波数スペクトルを示す。また、図24に、比較例として、仮に、処理対象信号に対して直接的にFFTを行った場合に得られる周波数スペクトルの一例を示す。図23及び図24において、横軸は周波数であり、縦軸は強度である。
図23と図24とを比較すると、例えば、メインポンプ220の内輪回転周波数frmの5次高調波やブースターポンプ210の内輪回転周波数frbの5次高調波は、図24では非常に不明瞭であるのに対して図23では非常に明瞭である。したがって、信号処理装置1は、相関フィルター処理を行うことによってこれらの5次高調波も確実に検出することができる。
また、図21と図23とを比較すると、メインポンプ220の内輪回転周波数frmの基本波及びその2次~5次の高調波の強度と、ブースターポンプ210の内輪回転周波数frbの基本波及びその2次~5次の高調波の強度とが、図21と図23では大きく異なっている。また、メインポンプ220の内輪回転周波数frmの基本波の周波数も図21と図23ではわずかに異なっている。これは、比較的古いドライポンプ200は、経時変化によってメインポンプ220やブースターポンプ210が劣化していることを示している。図21と図23とでは対象物であるドライポンプ200が異なるが、信号処理装置1は、1つのドライポンプ200に対して定期的に波形分析を行うことにより、当該ドライポンプ200の経時的な劣化を判断することができる。
図25は、第5実施形態の信号処理方法を実現する信号処理装置1の構成例である。図25に示すように、信号処理装置1は、処理回路10、センサー20、アナログフロントエンド30、記憶回路40、操作部50、表示部60、音出力部70、通信部80を含む。なお、信号処理装置1は、図25の構成要素の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
センサー20、アナログフロントエンド30、記憶回路40、操作部50、表示部60、音出力部70及び通信部80の構成及び機能は第1実施形態~第4実施形態のいずれかと同様であるため、その説明を省略する。
処理回路10は、信号処理プログラム41を実行することにより、テンプレート信号生成回路11、処理対象信号生成回路12、相関信号生成回路13及び波形分析回路14として機能する。すなわち、信号処理装置1は、テンプレート信号生成回路11と、処理対象信号生成回路12と、相関信号生成回路13と、波形分析回路14とを含む。
テンプレート信号生成回路11、処理対象信号生成回路12及び相関信号生成回路13の機能は第1実施形態~第4実施形態のいずれかと同様であるため、その説明を省略する。
波形分析回路14は、相関信号生成回路13が生成した相関信号44の波形を分析する。波形分析回路14は、相関信号44に含まれる周期性を有する信号の周波数又は周期に注目して分析してもよい。本実施形態では、波形分析回路14は、相関信号44を周波数解析して、相関信号44に含まれる周期性を有する信号の周波数と強度を算出する。すなわち、波形分析回路14は、図18又は図19の波形分析工程S5、具体的には図20の工程S41,S42を実行する。
表示部60は、処理回路10から出力される表示信号に基づいて、波形分析回路14による分析結果の情報を表示してもよい。また、音出力部70は、処理回路10から出力される音信号に基づいて、波形分析回路14による分析の開始や終了を示す音を発生させてもよい。また、通信部80は、波形分析回路14による分析結果の情報を外部装置に送信してもよい。波形分析回路14による分析結果の情報は、相関信号44に含まれる周期性を有する信号の周波数等の情報である。
以上に説明した第5実施形態によれば、相関フィルター処理によって高いS/N比を有する相関信号が得られるので、相関信号の波形分析を精度よく行うことができる。特に、第5実施形態によれば、相関フィルター処理によって周期性を有する信号が強調されるため、相関信号の周波数スペクトルによって周波数領域での波形分析を精度よく行うことができる。
6.第6実施形態
以下、第6実施形態について、第1実施形態~第5実施形態のいずれかと同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態~第5実施形態のいずれかと重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態~第5実施形態のいずれとも異なる内容について説明する。
第6実施形態の信号処理方法の手順は図18又は図19と同じであるので、その図示を省略する。第6実施形態の信号処理方法では、テンプレート信号生成工程S1の手順及び処理対象信号生成工程S2の手順及び相関信号生成工程S3の手順は第1実施形態~第5実施形態のいずれかと同じである。
第5実施形態と同様、第6実施形態でも、信号処理装置1は、相関信号の波形を分析する波形分析工程S5を行う。信号処理装置1は、波形分析工程S5において、相関信号に含まれる周期性を有する信号の周波数又は周期に注目して分析してもよい。ただし、第6実施形態では、波形分析工程S5の手順が第5実施形態と異なる。
図26は、第6実施形態における波形分析工程S5の手順の一例を示すフローチャート図である。
図26に示すように、まず、信号処理装置1は、相関信号に含まれる周期性を有する信号の複数の特徴点を抽出する(工程S501)。特徴点は、極大点、極小点、変曲点、ゼロクロス点等であってもよい。
次に、信号処理装置1は、工程S501で抽出した複数の特徴点の時間間隔に基づいて、相関信号に含まれる周期性を有する信号の周期を算出し(工程S502)、波形分析工程S5の処理を終了する。
このように、本実施形態では、信号処理装置1は、波形分析工程S5において、相関信号に含まれる周期性を有する信号の複数の特徴点の時間間隔に基づいて、当該周期性を有する信号の周期を算出する。
図27は、図11に示した相関信号の0秒~0.1秒の波形を拡大した図である。例えば、信号処理装置1は、波形分析工程S5において、相関信号に含まれる主信号成分の10周期分離れた2つの極大点P1,P2の時間間隔Tを算出し、主信号成分の周期T=T×1/10を計算してもよい。また、信号処理装置1は、相関信号に含まれる主信号成分の10周期分離れた2つのゼロクロス点P3,P4の時間間隔Tを算出し、主信号成分の周期T=T×1/10を計算してもよい。さらに、信号処理装置1は、主信号成分の周波数f=1/Tを計算してもよい。例えば、信号処理装置1は、当該主信号成分の周波数fを設計値と比較してドライポンプ200の劣化を判断してもよい。
第6実施形態における信号処理装置1の構成例は、図25と同様であるため、その図示を省略する。ただし、波形分析回路14は、図26の工程S501,S502を実行する。第6実施形態における信号処理装置1のその他の構成及び機能は、第1実施形態~第5実施形態のいずれかと同様であるため、その説明を省略する。
以上に説明した第6実施形態によれば、相関フィルター処理によって高いS/N比を有する相関信号が得られるので、相関信号の波形分析を精度よく行うことができる。特に、第6実施形態によれば、相関フィルター処理によって周期性を有する信号が強調されるため、時間領域での波形分析を精度よく行うことができる。
7.第7実施形態
以下、第7実施形態について、第1実施形態~第6実施形態のいずれかと同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態~第6実施形態のいずれかと重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態~第6実施形態のいずれとも異なる内容について説明する。
図28は、第7実施形態の信号処理方法の手順を示すフローチャート図である。
図28に示すように、信号処理装置1は、まず、第1実施形態~第6実施形態のいずれかと同様に、テンプレート信号生成工程S1、処理対象信号生成工程S2及び相関信号生成工程S3を行う。
次に、信号処理装置1は、第5実施形態又は第6実施形態と同様に、相関信号の波形を分析する波形分析工程S5を行う。
次に、信号処理装置1は、波形分析工程S5の分析結果に基づいて、対象物の異常の有無を判定する異常判定工程S7を行う。
そして、信号処理が終了するまで(工程S8のN)、信号処理装置1は、工程S1,S2,S3,S5,S7を繰り返し行う。
図28の手順では、信号処理が終了するまで、テンプレート信号及び処理対象信号は更新される。
図29は、第7実施形態の信号処理方法の他の手順を示すフローチャート図である。
図29に示すように、信号処理装置1は、まず、第1実施形態~第6実施形態のいずれかと同様に、テンプレート信号生成工程S1、処理対象信号生成工程S2及び相関信号生成工程S3を行う。
次に、信号処理装置1は、第5実施形態又は第6実施形態と同様に、相関信号の波形を分析する波形分析工程S5を行う。
次に、信号処理装置1は、波形分析工程S5の分析結果に基づいて、対象物の異常の有無を判定する異常判定工程S7を行う。
そして、信号処理が終了するまで(工程S8のN)、信号処理装置1は、工程S2,S3,S5,S7を繰り返し行う。
図29の手順では、信号処理が終了するまで、処理対象信号は更新されるが、テンプレート信号は更新されない。
図28及び図29に示すように、本実施形態では、信号処理装置1は、波形分析工程S5の分析結果に基づいて、対象物の異常の有無を判定する異常判定工程S7を行う。信号処理装置1は、異常判定工程S7において、例えば、波形分析工程S5において算出した、相関信号に含まれる周期性を有する信号の周期又は周波数が所定の範囲に含まれる場合は対象物が正常であると判定し、当該周期又は周波数が所定の範囲に含まれない場合は対象物が異常であると判定してもよい。また、信号処理装置1は、対象物の初期稼働時からの当該周期又は周波数の変化量が所定の範囲に含まれる場合は対象物が正常であると判定し、当該変化量が所定の範囲に含まれない場合は対象物が異常であると判定してもよい。
図30は、第7実施形態の信号処理方法を実現する信号処理装置1の構成例である。図30に示すように、信号処理装置1は、処理回路10、センサー20、アナログフロントエンド30、記憶回路40、操作部50、表示部60、音出力部70、通信部80を含む。なお、信号処理装置1は、図30の構成要素の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
センサー20、アナログフロントエンド30、記憶回路40、操作部50、表示部60、音出力部70及び通信部80の構成及び機能は第1実施形態~第6実施形態のいずれかと同様であるため、その説明を省略する。
処理回路10は、信号処理プログラム41を実行することにより、テンプレート信号生成回路11、処理対象信号生成回路12、相関信号生成回路13、波形分析回路14及び異常判定回路15として機能する。すなわち、信号処理装置1は、テンプレート信号生成回路11と、処理対象信号生成回路12と、相関信号生成回路13と、波形分析回路14と、異常判定回路15とを含む。
テンプレート信号生成回路11、処理対象信号生成回路12、相関信号生成回路13の機能は第1実施形態~第4実施形態のいずれかと同様であるため、その説明を省略する。また、波形分析回路14の機能は第5実施形態又は第6実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
異常判定回路15は、波形分析回路14による分析結果に基づいて、対処物の異常の有無を判定する。異常判定回路15は、例えば、波形分析回路14が算出した、相関信号44に含まれる周期性を有する信号の周期又は周波数が所定の範囲に含まれる場合は対象物が正常であると判定し、当該周期又は周波数が所定の範囲に含まれない場合は対象物が異常であると判定してもよい。また、異常判定回路15は、対象物の初期稼働時からの当該周期又は周波数の変化量が所定の範囲に含まれる場合は対象物が正常であると判定し、当該変化量が所定の範囲に含まれない場合は対象物が異常であると判定してもよい。すなわち、異常判定回路15は、図28又は図29の異常判定工程S7を実行する。
表示部60は、処理回路10から出力される表示信号に基づいて、異常判定回路15による判定結果の情報を表示してもよい。また、音出力部70は、処理回路10から出力される音信号に基づいて、異常判定回路15による判定結果を示す音を発生させてもよい。また、通信部80は、異常判定回路15による判定結果の情報を外部装置に送信してもよい。
以上に説明した第7実施形態によれば、相関フィルター処理によって高いS/N比を有する相関信号が得られるので相関信号の波形分析を精度よく行うことができ、精度よく行われた相関信号の波形分析の結果に基づき、対象物の異常の有無を精度よく判定することができる。
8.変形例
上記の各実施形態では、テンプレート信号は、源信号から切り出された信号に窓関数を掛けた信号であるが、源信号から切り出された信号そのものであってもよい。
また、上記の第1実施形態及び第3~第7実施形態では、テンプレート信号の更新頻度と処理対象信号の更新頻度が同じであるが、互いに異なっていてもよい。テンプレート信号の更新頻度が処理対象信号の更新頻度よりも少なくてもよく、例えば、Mを2以上の整数として、テンプレート信号の更新頻度が処理対象信号の更新頻度の1/Mであってもよ
い。
また、上記の第1実施形態及び第3~第7実施形態では、信号処理装置1がテンプレート信号を生成しているが、信号処理装置1とは異なる装置がテンプレート信号を生成し、信号処理装置1の記憶回路40に書き込んでもよい。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
信号処理方法の一態様は、
対象物の定常状態において生じる物理量に応じた時系列信号である源信号に基づいて、時系列信号である処理対象信号を生成する処理対象信号生成工程と、
前記源信号に基づいて生成された時系列信号であるテンプレート信号と前記処理対象信号との相関フィルター処理を行って、時系列信号である相関信号を生成する相関信号生成工程と、を含む。
この信号処理方法では、源信号に基づいて生成されたテンプレート信号及び処理対象信号には、信号処理の対象となる対象物の定常状態において生じる物理量と相関のある周期性を有する信号成分が共通に含まれる。そのため、テンプレート信号と処理対象信号との相関フィルター処理によって、当該周期性を有する信号成分は強め合い、包絡線処理を行わずに処理対象信号に含まれる周期性を有する信号成分を検出することができる。
また、当該物理量とは相関のない信号成分のうち、エルゴード性を持つ雑音は弱め合う。そのため、テンプレート信号に含まれる周期性を有する信号成分をその周期の数だけ同期加算したのと同等の効果が得られ、処理対象信号に含まれる周期性を有する信号成分の振幅が小さい場合でも、高いS/N比を有する相関信号が得られる。したがって、この信号処理方法によれば、対象物や物理量の取得部の設置場所に対する制約が緩和される。
さらに、この信号処理方法によれば、対象物が定常状態にあるときに信号処理を行うことができるので、対象物の動作状態を変更することなく所望の相関信号を得ることができる。
前記信号処理方法の一態様において、
前記源信号は、周期性を有する複数の信号成分を含み、
前記複数の信号成分は、互いに周期が異なってもよい。
この信号処理方法によれば、対象物が動作周波数の異なる複数の機構を備えることができる。
前記信号処理方法の一態様において、
前記テンプレート信号は、前記複数の信号成分のうちの第1の信号成分の周期よりも長
く、かつ、前記処理対象信号よりも短く、
前記処理対象信号と前記テンプレート信号との長さの差は、前記第1の信号成分の周期よりも長くてもよい。
この信号処理方法によれば、相関信号には第1の信号成分が1周期以上含まれることになるので、第1の信号成分を分析対象とすることができる。
前記信号処理方法の一態様において、
前記テンプレート信号は、前記源信号から切り出された信号に窓関数を掛けた信号であってもよい。
この信号処理方法によれば、テンプレート信号の最初のサンプル値と最後のサンプル値の不連続性に起因するノイズの相関信号への影響を低減することができる。
前記信号処理方法の一態様は、
前記源信号に基づいて、前記テンプレート信号を生成するテンプレート信号生成工程を含んでもよい。
前記信号処理方法の一態様において、
前記テンプレート信号は更新されてもよい。
この信号処理方法によれば、対象物の経時変化によって処理対象信号に含まれる周期性を有する信号成分の周期が変化しても当該信号成分が含まれる相関信号を生成することができる。また、テンプレート信号は更新間隔が短いほど、相関信号に含まれる当該信号成分の強度を大きくすることができる。
前記信号処理方法の一態様において、
前記テンプレート信号は更新されなくてもよい。
この信号処理方法によれば、対象物の経時変化によって処理対象信号に含まれる周期性を有する信号成分の周期や強度が変化すると、相関信号に含まれる当該信号成分の強度が変化するため、対象物の経時変化やその原因等を捉えやすくすることができる。
前記信号処理方法の一態様において、
前記テンプレート信号は、前記源信号から切り出された第1期間の信号に基づく信号であり、
前記処理対象信号は、前記源信号から切り出された前記第1期間と重複しない第2期間の信号に基づく信号であってもよい。
この信号処理方法によれば、テンプレート信号と処理対象信号がまったく同じ信号を含む期間が存在しないので、相関フィルター処理によってノイズ等のエルゴード性を持つ信号成分を効果的に低減される。
前記信号処理方法の一態様において、
前記テンプレート信号と前記処理対象信号とは、サンプリング周期が同じであってもよい。
この信号処理方法によれば、相関フィルター処理において、周波数の異なる信号成分のそれぞれの直交性が担保され、同一周波数の信号成分を正しく抽出することができる。
前記信号処理方法の一態様において、
前記テンプレート信号及び前記処理対象信号の少なくとも一方は、直流成分が除去された信号であってもよい。
この信号処理方法では、相関フィルター処理により得られる相関信号は、テンプレート信号や処理対象信号に含まれる直流成分の相関分だけバイアスされるが、当該バイアスが低減されるため、相関信号の最大値が小さくなり、相関信号のデータ量が小さくなる。したがって、この信号処理方法によれば、相関信号を保持するためのメモリーのサイズを低減することができる。
前記信号処理方法の一態様において、
前記相関フィルター処理は、前記テンプレート信号と前記処理対象信号との積和演算処理であり、
前記相関信号の包絡線と、前記処理対象信号の包絡線とは非線形であってもよい。
この信号処理方法によれば、相関フィルター処理の前後における包絡線の線形性の保持に制約が設けられないので、処理対象信号に含まれるエルゴード性を持つ雑音を効率よく低減することができる。
前記信号処理方法の一態様において、
前記積和演算処理は、前記処理対象信号に対するFIRフィルター処理であり、
前記FIRフィルター処理の係数は、前記テンプレート信号に基づいて定義されてもよい。
この信号処理方法によれば、相関フィルター処理を簡便に実現することができる。
前記信号処理方法の一態様において、
2以上の整数Nに対して、
前記相関信号生成工程では、
前記テンプレート信号を第1のテンプレート信号として、それぞれ前記源信号に基づいて生成された時系列信号である第1~第Nのテンプレート信号の各々と前記処理対象信号との相関フィルター処理を行って第1~第Nの相関信号を生成し、前記第1~第Nの相関信号を加算、平均又は加重平均して前記相関信号を生成してもよい。
この信号処理方法によれば、相関フィルター処理により、第1~第Nの相関信号に含まれるエルゴード性を持つ雑音を低減し、さらに、第1~第Nの相関信号を加算、平均又は加重平均することでエルゴード性を持つ雑音をさらに低減することができる。したがって、より高いS/N比を有する相関信号が得られる。
前記信号処理方法の一態様は、
前記相関信号の波形を分析する波形分析工程を含んでもよい。
この信号処理方法によれば、相関フィルター処理によって高いS/N比を有する相関信号が得られるので、相関信号の波形分析を精度よく行うことができる。
前記信号処理方法の一態様において、
前記波形分析工程では、前記相関信号に含まれる周期性を有する信号の周波数又は周期に注目して分析してもよい。
この信号処理方法によれば、相関フィルター処理によって周期性を有する信号が強調さ
れるため、周期性を有する信号の周期又は周波数に注目した波形分析を精度よく行うことができる。
前記信号処理方法の一態様において、
前記波形分析工程では、前記相関信号を周波数解析して前記周波数を算出してもよい。
この信号処理方法によれば、周波数領域での波形分析を精度よく行うことができる。
前記信号処理方法の一態様において、
前記波形分析工程では、前記周期性を有する信号の複数の特徴点の時間間隔に基づいて前記周期を算出してもよい。
この信号処理方法によれば、時間領域での波形分析を精度よく行うことができる。
前記信号処理方法の一態様は、
前記波形分析工程の分析結果に基づいて、前記対象物の異常の有無を判定する異常判定工程を含んでもよい。
この信号処理方法によれば、精度よく行われた相関信号の波形分析の結果に基づき、対象物の異常の有無を精度よく判定することができる。
信号処理装置の一態様は、
対象物の定常状態において生じる物理量に応じた時系列信号である源信号に基づいて、時系列信号である処理対象信号を生成する処理対象信号回路と、
前記源信号に基づいて生成された時系列信号であるテンプレート信号を記憶する記憶回路と、
前記テンプレート信号と前記処理対象信号との相関フィルター処理を行って、時系列信号である相関信号を生成する相関信号生成回路と、を含む。
この信号処理装置では、源信号に基づいて生成されたテンプレート信号及び処理対象信号には、信号処理の対象となる対象物の定常状態において生じる物理量と相関のある周期性を有する信号成分が共通に含まれる。そのため、テンプレート信号と処理対象信号との相関フィルター処理によって、当該周期性を有する信号成分は強め合い、包絡線処理を行わずに処理対象信号に含まれる周期性を有する信号成分を検出することができる。
また、当該物理量とは相関のない信号成分のうち、エルゴード性を持つ雑音は弱め合う。そのため、テンプレート信号に含まれる周期性を有する信号成分をその周期の数だけ同期加算したのと同等の効果が得られ、処理対象信号に含まれる周期性を有する信号成分の振幅が小さい場合でも、高いS/N比を有する相関信号が得られる。したがって、この信号処理装置によれば、対象物や物理量の取得部の設置場所に対する制約が緩和される。
さらに、この信号処理装置によれば、対象物が定常状態にあるときに信号処理を行うことができるので、対象物の動作状態を変更することなく所望の相関信号を得ることができる。
1…信号処理装置、10…処理回路、11…テンプレート信号生成回路、12…処理対象信号生成回路、13…相関信号生成回路、14…波形分析回路、15…異常判定回路、20…センサー、30…アナログフロントエンド、40…記憶回路、41…信号処理プログラム、42…テンプレート信号、43…処理対象信号、44…相関信号、50…操作部、
60…表示部、70…音出力部、80…通信部、200…ドライポンプ、210…ブースターポンプ、211…第1ポンプ室、220…メインポンプ、221…第2ポンプ室

Claims (19)

  1. 対象物の定常状態において生じる物理量に応じた時系列信号である源信号に基づいて、時系列信号である処理対象信号を生成する処理対象信号生成工程と、
    前記源信号に基づいて生成された時系列信号であるテンプレート信号と前記処理対象信号との相関フィルター処理を行って、時系列信号である相関信号を生成する相関信号生成工程と、を含む、信号処理方法。
  2. 請求項1において、
    前記源信号は、周期性を有する複数の信号成分を含み、
    前記複数の信号成分は、互いに周期が異なる、信号処理方法。
  3. 請求項2において、
    前記テンプレート信号は、前記複数の信号成分のうちの第1の信号成分の周期よりも長く、かつ、前記処理対象信号よりも短く、
    前記処理対象信号と前記テンプレート信号との長さの差は、前記第1の信号成分の周期よりも長い、信号処理方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記テンプレート信号は、前記源信号から切り出された信号に窓関数を掛けた信号である、信号処理方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項において、
    前記源信号に基づいて、前記テンプレート信号を生成するテンプレート信号生成工程を含む、信号処理方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項において、
    前記テンプレート信号は更新される、信号処理方法。
  7. 請求項1乃至5のいずれか一項において、
    前記テンプレート信号は更新されない、信号処理方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項において、
    前記テンプレート信号は、前記源信号から切り出された第1期間の信号に基づく信号であり、
    前記処理対象信号は、前記源信号から切り出された前記第1期間と重複しない第2期間の信号に基づく信号である、信号処理方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項において、
    前記テンプレート信号と前記処理対象信号とは、サンプリング周期が同じである、信号処理方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項において、
    前記テンプレート信号及び前記処理対象信号の少なくとも一方は、直流成分が除去された信号である、信号処理方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項において、
    前記相関フィルター処理は、前記テンプレート信号と前記処理対象信号との積和演算処理であり、
    前記相関信号の包絡線と、前記処理対象信号の包絡線とは非線形である、信号処理方法
  12. 請求項11において、
    前記積和演算処理は、前記処理対象信号に対するFIRフィルター処理であり、
    前記FIRフィルター処理の係数は、前記テンプレート信号に基づいて定義される、信号処理方法。
  13. 請求項1乃至12のいずれか一項において、
    2以上の整数Nに対して、
    前記相関信号生成工程では、
    前記テンプレート信号を第1のテンプレート信号として、それぞれ前記源信号に基づいて生成された時系列信号である第1~第Nのテンプレート信号の各々と前記処理対象信号との相関フィルター処理を行って第1~第Nの相関信号を生成し、前記第1~第Nの相関信号を加算、平均又は加重平均して前記相関信号を生成する、信号処理方法。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項において、
    前記相関信号の波形を分析する波形分析工程を含む、信号処理方法。
  15. 請求項14において、
    前記波形分析工程では、前記相関信号に含まれる周期性を有する信号の周波数又は周期に注目して分析する、信号処理方法。
  16. 請求項15において、
    前記波形分析工程では、前記相関信号を周波数解析して前記周波数を算出する、信号処理方法。
  17. 請求項15において、
    前記波形分析工程では、前記周期性を有する信号の複数の特徴点の時間間隔に基づいて前記周期を算出する、信号処理方法。
  18. 請求項14乃至17のいずれか一項において、
    前記波形分析工程の分析結果に基づいて、前記対象物の異常の有無を判定する異常判定工程を含む、信号処理方法。
  19. 対象物の定常状態において生じる物理量に応じた時系列信号である源信号に基づいて、時系列信号である処理対象信号を生成する処理対象信号回路と、
    前記源信号に基づいて生成された時系列信号であるテンプレート信号を記憶する記憶回路と、
    前記テンプレート信号と前記処理対象信号との相関フィルター処理を行って、時系列信号である相関信号を生成する相関信号生成回路と、を含む、信号処理装置。
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