JP2022018227A - ノンシアン系電解純銀めっき皮膜及びめっき液 - Google Patents

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誠市 宮永
Seiichi Miyanaga
高志 大坂
Takashi Osaka
桂太郎 加藤
Keitaro Kato
清 小宮山
Kiyoshi Komiyama
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Abstract

【課題】毒性の高いシアン化合物を含有せず、高温環境下における耐摩耗性に優れる高硬度なノンシアン系電解純銀めっき皮膜と、これを形成するためのノンシアン系電解純銀めっき液を提供すること。
【解決手段】銀イオン供給源、無機酸又は無機酸塩の少なくとも一方、及びチオール構造又はチオカルボニル構造を持つ五員環化合物を含有したノンシアン系電解純銀めっき液を用い、被めっき材に皮膜を形成する。得られたノンシアン系電解純銀めっき皮膜は、150℃で1000時間の熱処理後でも硬度がHV120以上に保たれるので、高温環境下に晒されても高い硬度を保ち耐摩耗性が劣化しない。
【選択図】なし

Description

本発明は、毒性の高いシアン化合物を含まないノンシアン系電解めっき液を用いて作成した純銀めっき皮膜に関し、特に耐摩耗性に優れる高硬度なノンシアン系電解純銀めっき皮膜と、この形成に用いるノンシアン系電解純銀めっき液に関する。
銀めっき皮膜は導電率が高いことから、電子機器のコネクタ、スイッチ、リレーなどの接点や端子部品に幅広く使用されている。自動車の電気配線用コネクタにも銀めっきは利用されており、近年はハイブリッドカーや電気自動車の普及に伴い、高圧ケーブルのコネクタ端子の皮膜にも利用されている。
ハイブリッドカーや電気自動車のような高出力モーター用コネクタでは、大電流が流れるためコネクタ部分での発熱量も大きくなる。接点や端子部品などの挿抜が繰り返される部品では、銀めっき皮膜が長時間高温環境下に曝されても硬度が低下せず耐摩耗性が維持されることが求められる。
一般に銀めっき皮膜は長時間高温環境下に置かれると、銀の結晶粒が成長するため硬度が低下し耐摩耗性は劣化する。そこで、銀めっき皮膜の硬度を高くして耐摩耗性を改善する方法として、特許文献1には結晶方位を制御した第1の銀めっき層の上に、シアン系電解銀めっきによりアンチモンを含む第2のめっき層を形成した高硬度銀めっき皮膜が提案されており、特許文献2にはシアン系電解銀めっきにより形成した、セレン化合物を含む高硬度めっき皮膜が提案されている。
特許文献1、2などに提案されためっき皮膜は、何れもシアン系電解銀めっき液を用いて形成される。しかし、近年シアン系銀めっき液は毒性の高いシアン化合物を含むことから、作業上の安全性や環境負荷などが問題となっている。また、アンチモンを含む銀めっき皮膜は純銀めっき皮膜とは異なり、長時間高温環境下に曝されることにより、酸化皮膜が形成され接触抵抗が上昇する問題がある。
特開2013-189680号公報 特開2016-204719号公報
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、毒性の高いシアン化合物を含有せず、高温環境下における耐摩耗性に優れる高硬度なノンシアン系電解純銀めっき皮膜と、これを形成するためのノンシアン系電解純銀めっき液を提供することを目的とする。
(1)本発明のノンシアン系電解純銀めっき皮膜は、150℃で1000時間の熱処理する前と後において、ビッカース硬度(HV)がそれぞれ120以上である。
(2)(1)において、150℃で1000時間の熱処理する前と後において、接触抵抗がそれぞれ2mΩ以下である。
(3)本発明のノンシアン系電解純銀めっき液は、(1)又は(2)に記載されたノンシアン系電解純銀めっき皮膜を成膜するためのノンシアン系電解純銀めっき液であって、銀イオン供給源、無機酸又は無機酸塩の少なくとも一方、及び五員環化合物を含有し、前記五員環化合物は、一般式(1)
Figure 2022018227000001
(一般式(1)中、Mは水素(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)のいずれか、A1~A3はそれぞれ炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)の何れかである。但し、五員環を構成する窒素(N)は3個以下である。また、チオール基(-SM)と結合しているCは五員環を構成するNと二重結合した構造を有し、NとA3は単結合、A1とA2、A2とA3間の結合は単結合又は二重結合である。)で表されるチオール構造を持つ五員環化合物、又は一般式(2)
Figure 2022018227000002
(一般式(2)中、A1~A3は炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)の何れかである。但し、5員環を構成する窒素(N)は3個以下である。また、チオカルボニル基のCは五員環を構成するNと単結合した構造を有し、NとA3、A1とA2及びA2とA3間の結合は単結合又は二重結合である。)で表されるチオカルボニル構造を持つ五員環化合物であるノンシアン系電解純銀めっき液。
(4)(3)において、前記チオール構造を持つ五員環化合物は、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、2-メルカプトチアゾール、2-メルカプト-1-メチルイミダゾール、4-メチル-2-メルカプトベンゾチアゾール、3-メルカプト-4-メチル-1,2,4-トリアゾール、2-メルカプトベンズオキサゾール、6-アミノ-8-メルカプトプリン、5,7-ジメチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-A]ピリミジン-2-イル水硫化から選択される少なくとも一つを含む。
(5)(3)において、前記チオカルボニル構造を持つ五員環化合物は、2-イミダゾリンチオン、2-メルカプト―2-チアゾリン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジンチオン、チアゾール-2-チオール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-アミノロダニン、2-オキサゾリジンチオン、3-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジン-2-チオンから選択される少なくとも一つを含む。
(6)(3)から(5)のいずれかにおいて、前記五員環化合物の含有量は0.05g/L以上、2g/L以下である。
(7)(3)から(6)のいずれかにおいて、前記銀イオン供給源は、少なくとも亜硫酸銀又は酸化銀を含み、銀イオンの含有量は、金属銀濃度として0.5g/L以上、50g/L以下である。
(8)(3)から(7)のいずれかにおいて、前記無機酸又は無機酸塩は、硫酸、亜硫酸、リン酸、チオ硫酸及びスルファミン酸、又はそれらの塩から選択される少なくとも一つを含み、前記無機酸又は無機酸塩の含有量は1g/L以上、500g/L以下である。
(9)(3)から(8)のいずれかにおいて、カルボニル基を含む有機酸又はカルボニル基を含む有機酸塩の少なくとも一方を含有する。
(10)(3)から(9)のいずれかにおいて、前記カルボニル基を含む有機酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、ピルビン酸、グルタミン酸、クエン酸、酒石酸、琥珀酸、フマル酸、L-リンゴ酸、又はそれらの塩から選択される少なくとも一つを含み、含有量は1g/L以上、200g/L以下である。
(11)(3)から(10)のいずれかにおいて、pHが4~7である。
本発明によれば、毒性の高いシアン化合物を含有せず、高温環境下における耐摩耗性に優れる高硬度なノンシアン系電解純銀めっき皮膜と、これを形成するためのノンシアン系電解純銀めっき液を提供することができる。
本発明者らは、ノンシアン系電解純銀めっき液に特定の構造を持つ複素環式化合物を加えることにより、銀以外の金属元素を添加しなくても硬度が高く、さらに長時間の高温環境に晒されても高い硬度を保つ銀めっき皮膜を形成できることを見出し、さらなる検討の結果本発明を完成させるに至った。以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本発明における純銀めっき皮膜とは、銀イオン供給源の他にはアンチモン、セレン、テルルなどの金属イオンの供給源を含有しないめっき液を用いて形成され、銀の純度が99.9質量%以上のめっき皮膜であることを意味するものである。
本発明のノンシアン系電解純銀めっき液は、銀イオン供給源と、無機酸又は無機酸塩の少なくとも一方と、以下のような五員環化合物とを含有する。本発明のノンシアン系電解純銀めっき液に含まれる五員環化合物は、N-C-Sの並びを持ちNとCが二重結合で表記されるチオール構造を持ち、下記の一般式(1)で表される構造を持つ五員環化合物(以下、「第1の五員環化合物」ということもある。)、又はCとSが二重結合で表記されるチオカルボニル構造を持ち、一般式(2)で表される構造を持つ五員環化合物(以下、「第2の五員環化合物」ということもある。)である。
Figure 2022018227000003
一般式(1)中、Mは水素(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)のいずれか、A1~A3はそれぞれ炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)の何れかである。但し、五員環を構成する窒素(N)は3個以下である。また、チオール基(-SM)と結合しているCは五員環を構成するNと二重結合した構造を有し、NとA3は単結合、A1とA2、A2とA3間の結合は単結合又は二重結合である。
Figure 2022018227000004
一般式(2)中、A1~A3は炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)の何れかである。但し、5員環を構成する窒素(N)は3個以下である。また、チオカルボニル基のCは五員環を構成するNと単結合した構造を有し、NとA3、A1とA2及びA2とA3間の結合は単結合又は二重結合である。
第1の五員環化合物及び第2の五員環化合物は、一般式(1)又は一般式(2)で示される構造を持つものであれば、多環式化合物であってもよい。
第1の五員環化合物としては、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、2-メルカプトチアゾール、2-メルカプト-1-メチルイミダゾール、4-メチル-2-メルカプトベンゾチアゾール、3-メルカプト-4-メチル-1,2,4-トリアゾール、2-メルカプトベンズオキサゾール、6-アミノ-8-メルカプトプリン、5,7-ジメチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-A]ピリミジン-2-イル水硫化が挙げられる。これらの化合物は、1種の使用に限定されず、2種以上を併用することもできる。
第2の五員環化合物としては、2-イミダゾリンチオン、2-メルカプト-2-チアゾリン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジンチオン、チアゾール-2-チオール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-アミノロダニン、2-オキサゾリジンチオン、3-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジン-2-チオンが挙げられる。これらの化合物は、1種の使用に限定されず、2種以上を併用することもできる。
ノンシアン系電解純銀めっき液中の第1又は第2の五員環化合物の含有量は、0.05g/L以上、2g/L以下であることが好ましい。0.05g/Lよりも濃度が低いと初期の皮膜硬度が低くなり、2g/Lを超えるとめっき析出皮膜に焼けや曇りを生じたり電流効率が低下したりする恐れがある。
銀イオン供給源は、シアン化合物を含まないものであれば特に限定されないが、亜硫酸銀、酸化銀などが挙げられる。ノンシアン系電解純銀めっき液中の含有量は、金属銀濃度として0.5g/L以上、50g/L以下が望ましい。0.5g/L以下だと銀の析出が起こりにくくなり、50g/L以上だと銀化合物が溶けきれなくなることがあり好ましくない。
ノンシアン系電解純銀めっき液に含まれる無機酸又は無機酸塩としては、硫酸、亜硫酸、リン酸、チオ硫酸及びスルファミン酸、又はそれらの塩が挙げられる。無機酸又は無機酸塩の含有量は1g/L以上、500g/L以下が好ましい。1g/Lより濃度が低いとめっき液の電導性が確保できず、500g/Lより濃度が高いと全てのめっき液成分が溶解できなくなる恐れがある。
ノンシアン系電解純銀めっき液は、カルボニル基を含む有機酸又はカルボニル基を含む有機酸塩の少なくとも一方を含む。このような有機酸又は有機酸塩としては、具体的にグルタミン酸、アスパラギン酸、ピルビン酸、グルタミン酸、クエン酸、酒石酸、琥珀酸、フマル酸、L-リンゴ酸又はその塩が挙げられる。有機酸又は有機酸塩の含有量は1g/L以上、200g/L以下が好ましく、より好ましくは10g/L以上、100g/L以下である。
ノンシアン系電解純銀めっき液はpHが4~7である。pHが4未満又はpHが7より大きいと、液安定性が低下し沈殿を生じる恐れがある。
ノンシアン系電解純銀めっき液には、めっき液中の不純物金属イオン対策としてキレート剤を添加してもよい。キレート剤としてはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム(NTA)、ジエチレントリアミンペンタミン酸(DTPA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)などがあげられる。キレート剤の含有量は0.5g/L~50g/Lが望ましい。
また、本発明のノンシアン系電解純銀めっき液は、必要に応じて他の成分を本発明の目的を損なわない範囲で添加することも可能である。例えば、界面活性剤、平滑化剤、酸化防止剤などを添加しても良い。
本発明の高温環境下に晒されても高い硬度を保ち耐摩耗性に優れるノンシアン系電解純銀めっき皮膜は、上記のようなノンシアン系電解純銀めっき液を用いた電解めっきによって形成することができる。より具体的には、熱処理前のビッカース硬度がHV120以上であり、150℃、1000時間の熱処理後もHV120以上を保つ。また、銀めっき皮膜の硬度を高めるために、アンチモンなどの銀以外の金属元素を添加する必要がない。電子機器のコネクタ、スイッチ、リレーなどの接点や端子部品では、めっき皮膜の接触抵抗は2mΩ以下であることが好ましい。本発明では皮膜表面にアンチモンなどの銀以外の金属元素の酸化皮膜が形成されて接触抵抗が上昇することがないので、初期接触抵抗は2mΩ以下で、150℃、1000時間の熱処理後も接触抵抗は2mΩ以下に保持される。
本発明の実施例として、実施例1~5のノンシアン系電解純銀めっき液を用いて被めっき材上に銀めっき皮膜を形成し、熱処理前後の硬さと接触抵抗を測定した。
[実施例1]
銀めっき皮膜を作成する被めっき材には、純銅材に無光沢スルファミン酸ニッケル1μmを施し(スルファミン酸Ni=450g/L、液温:55℃、電流密度:2ASD 、液量:2L)、銀ストライクめっきを0.01μm(Ag=2g/L、液温:30℃、電流密度:1ASD、液量:2L )施したものを用意した。
実施例1のノンシアン系電解純銀めっき液は、銀イオン供給源に亜硫酸銀、無機酸塩に亜硫酸ナトリウム及びチオ硫酸ナトリウム、五員環化合物に2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(第1の五員環化合物)を用い、さらにクエン酸ナトリウム加えて下記の組成となるように調整した。
・亜硫酸銀 10g/L (金属銀濃度として)
・亜硫酸ナトリウム 30g/L
・チオ硫酸ナトリウム 100g/L
・クエン酸ナトリウム 50g/L
・2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム 0.2g/L
実施例1のノンシアン系電解純銀めっき液(液量2L)内に、純銀板を陽極、被めっき材を陰極として配置した。めっき液のpH6、めっき液温度30℃に保ち、スターラーで攪拌しながら電流密度0.5A/dmの条件でめっき処理を行い、厚さ10μmのノンシアン系電解純銀めっき皮膜を形成した。
[実施例2]
実施例2のノンシアン系電解純銀めっき液は、五員環化合物に2-イミダゾリンチオン(第2の五員環化合物)を用い、下記の組成となるように調整した。
・亜硫酸銀 30g/L (金属銀濃度として)
・亜硫酸ナトリウム 75g/L
・チオ硫酸ナトリウム 200g/L
・クエン酸 60g/L
・2-イミダゾリンチオン 0.4g/L
実施例2のノンシアン系電解純銀めっき液(液量2L)内に、純銀板を陽極、実施例1と同じ被めっき材を陰極として配置した。めっき液のpH6、めっき液温度30℃に保ち、スターラーで攪拌しながら電流密度2.0A/dmの条件でめっき処理を行い、厚さ10μmのノンシアン系電解純銀めっき皮膜を形成した。
[実施例3]
実施例3のノンシアン系電解純銀めっき液は、五員環化合物に2-メルカプト-2-チアゾリン(第2の五員環化合物)を用い、下記の組成となるように調整した。
・亜硫酸銀 10g/L (金属銀濃度として)
・亜硫酸カリウム 20g/L
・チオ硫酸ナトリウム 100g/L
・フマル酸 10g/L
・2-メルカプト-2-チアゾリン 0.2g/L
実施例3のノンシアン系電解純銀めっき液(液量2L)内に、純銀板を陽極、実施例1と同じ被めっき材を陰極として配置した。めっき液のpH6、めっき液温度30℃に保ち、スターラーで攪拌しながら電流密度0.5A/dmの条件でめっき処理を行い、厚さ10μmのノンシアン系電解純銀めっき皮膜を形成した。
[実施例4]
実施例4のノンシアン系電解純銀めっき液は、五員環化合物に2-メルカプトチアゾール(第1の五員環化合物)を用い、下記の組成となるように調整した。
・亜硫酸銀 20g/L (金属銀濃度として)
・亜硫酸ナトリウム 60g/L
・チオ硫酸ナトリウム 150g/L
・グルタミン酸 40g/L
・2-メルカプトチアゾール 0.2g/L
実施例4のノンシアン系電解純銀めっき液(液量2L)内に、純銀板を陽極、実施例1と同じ被めっき材を陰極として配置した。めっき液のpH6、めっき液温度30℃に保ち、スターラーで攪拌しながら電流密度1.0A/dmの条件でめっき処理を行い、厚さ10μmのノンシアン系電解純銀めっき皮膜を形成した。
[実施例5]
実施例5のノンシアン系電解純銀めっき液は、五員環化合物に2-メルカプト-1-メチルイミダゾール(第1の五員環化合物)を用い、下記の組成となるように調整した。
・銀イオン供給源: 亜硫酸銀 10g/L (金属銀濃度として)
・亜硫酸ナトリウム 30g/L
・チオ硫酸ナトリウム 100g/L
・アスパラギン酸 20g/L
・2-メルカプト-1-メチルイミダゾール 0.1g/L
実施例5のノンシアン系電解純銀めっき液(液量2L)内に、純銀板を陽極、実施例1と同じ被めっき材を陰極として配置した。めっき液のpH6、めっき液温度30℃に保ち、スターラーで攪拌しながら電流密度0.5A/dmの条件でめっき処理を行い、厚さ10μmのノンシアン系電解純銀めっき皮膜を形成した。
比較のため、比較例1~6のめっき液を調整し、被めっき材の表面に厚さ10μmの銀めっき膜を形成した。
[比較例1]
比較例1のノンシアン系電解純銀めっき液は、下記の組成となるように調整した。
・亜硫酸銀 10g/L (金属銀濃度として)
・亜硫酸ナトリウム 30g/L
・チオ硫酸ナトリウム 100g/L
[比較例2]
比較例2のノンシアン系電解純銀めっき液は、下記の組成となるように調整した。
・亜硫酸銀 10g/L (金属銀濃度として)
・亜硫酸ナトリウム 30g/L
・チオ硫酸ナトリウム 100g/L
・トリメチルチオ尿素 0.1g/L
[比較例3]
比較例3のノンシアン系電解純銀めっき液は、下記の組成となるように調整した。
・亜硫酸銀 10g/L (金属銀濃度として)
・亜硫酸ナトリウム 30g/L
・チオ硫酸ナトリウム 100g/L
・2-メルカプトピリジン 0.1g/L
[比較例4]
比較例4のシアン系電解銀めっき液は、下記の組成となるように調整した。
・シアン化銀 50g/L (金属銀濃度として)
・シアン化カリウム 160g/L
・炭酸カリウム 20g/L
・2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム 0.2g/L
[比較例5]
比較例5のシアン系電解銀めっき液は、下記の組成となるように調整した。
・シアン化銀 50g/L (金属銀濃度として)
・シアン化カリウム 160g/L
・炭酸カリウム 20g/L
・酒石酸アンチモニルカリウム 4.0g/L
・セレノシアン酸カリウム 0.02g/L
[比較例6]
比較例6のシアン系電解銀めっき液は、下記の組成となるように調整した。
・シアン化銀 50g/L (金属銀濃度として)
・シアン化カリウム 160g/L
・炭酸カリウム 20g/L
・セレノシアン酸カリウム 0.02g/L
比較例1~3のノンシアン系電解純銀めっき液(液量2L)内に、純銀板を陽極、実施例1と同じ被めっき材を陰極として配置し、めっき液のpH6、めっき液温度30℃に保ち、スターラーで攪拌しながら電流密度0.5A/dmの条件でめっき処理を行い、それぞれ厚さ10μmのノンシアン系電解純銀めっき皮膜を形成した。
比較例4のシアン系電解銀めっき液(液量2L)内に、純銀板を陽極、実施例1と同じ被めっき材を陰極として配置し、めっき液のpH12、めっき液温度30℃に保ち、スターラーで攪拌しながら電流密度1.0A/dmの条件でめっき処理を行い、厚さ10μmのシアン系電解銀めっき皮膜を形成した。
銀の他にアンチモンとセレンを含有する比較例5と、銀の他にセレンを含有する比較例6のシアン系電解銀めっき液を、それぞれめっき液温度を15℃、20℃に保った他は、比較例4と同じめっき条件でめっき処理を行い、厚さ10μmのシアン系電解銀めっき皮膜を形成した。
得られた実施例1~5と比較例1~6のめっき皮膜について、大気雰囲気下で150℃、1000時間の熱処理を行い、熱処理前と後のビッカース硬度(HV)と接触抵抗の評価を行った。また、目視によりめっき皮膜の外観観察を行い、熱処理後の皮膜外観変化の有無を調べた。
ビッカース硬度の測定は株式会社島津製作所製マイクロビッカース硬度計(HMV-2)を使用し、測定加重0.098N、保持時間5秒で実施した。接触抵抗は株式会社山崎精機研究所製4端子接触抵抗試験機(CRS-113-Au)を使用し、開放端子電圧20mV以下、印加電流10mA、測定加重0.245Nの条件で測定した。
実施例と比較例のめっき条件と評価結果を表1、表2に示す。
Figure 2022018227000005
Figure 2022018227000006
実施例1~5では、何れも熱処理前の皮膜硬度がHV120以上と硬度が高く、接触抵抗は2mΩ以下である。また、150℃、1000時間の熱処理後も外観変化は見られず、皮膜硬度はHV120以上に保持され、接触抵抗も2mΩ以下に保たれている。
比較例1及び2では熱処理前の皮膜硬度がHV110、HV114と実施例1~5よりも低く、熱処理後はHV100、HV81まで低下する。比較例3~6では熱処理前の皮膜硬度は、それぞれHV130、HV162、HV150、HV141と高い硬度を示すが、熱処理後はいずれもHV100以下に低下する。比較例3~6では熱処理によりムラや変色などの外観変化も認められた。また、比較例5では熱処理後に皮膜接触抵抗値が2mΩを上回っている。
以上、本発明のノンシアン系電解純銀めっき液を用いれば、150℃の熱処理の前と後で硬度がHV120以上で、接触抵抗が2mΩ以下のノンシアン系電解純銀めっき皮膜を形成することができる。熱処理しても硬度はHV120以上に保たれるので、高温環境下に晒されても高い硬度を保ち耐摩耗性が劣化しない。また、毒性の高いシアン化合物を含有しないので、シアン系めっき液に比べて安全に作業ができ環境負荷も少ない。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。

Claims (11)

  1. 150℃で1000時間の熱処理する前と後において、ビッカース硬度(HV)がそれぞれ120以上であるノンシアン系電解純銀めっき皮膜。
  2. 150℃で1000時間の熱処理する前と後において、接触抵抗がそれぞれ2mΩ以下である請求項1に記載のノンシアン系電解純銀めっき皮膜。
  3. 請求項1又は2に記載されたノンシアン系電解純銀めっき皮膜を成膜するためのノンシアン系電解銀めっき液であって、
    銀イオン供給源、無機酸又は無機酸塩の少なくとも一方、及び五員環化合物を含有し、
    前記五員環化合物は、一般式(1)
    Figure 2022018227000007
    (一般式(1)中、Mは水素(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)のいずれか、A1~A3はそれぞれ炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)の何れかである。但し、五員環を構成する窒素(N)は3個以下である。また、チオール基(-SM)と結合しているCは五員環を構成するNと二重結合した構造を有し、NとA3は単結合、A1とA2、A2とA3間の結合は単結合又は二重結合である。)で表されるチオール構造を持つ五員環化合物、又は一般式(2)
    Figure 2022018227000008
    (一般式(2)中、A1~A3は炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)の何れかである。但し、5員環を構成する窒素(N)は3個以下である。また、チオカルボニル基のCは五員環を構成するNと単結合した構造を有し、NとA3、A1とA2及びA2とA3間の結合は単結合又は二重結合である。)で表されるチオカルボニル構造を持つ五員環化合物であるノンシアン系電解純銀めっき液。
  4. 前記チオール構造を持つ五員環化合物は、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、2-メルカプトチアゾール、2-メルカプト-1-メチルイミダゾール、4-メチル-2-メルカプトベンゾチアゾール、3-メルカプト-4-メチル-1,2,4-トリアゾール、2-メルカプトベンズオキサゾール、6-アミノ-8-メルカプトプリン、5,7-ジメチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-A]ピリミジン-2-イル水硫化から選択される少なくとも一つを含む請求項3に記載のノンシアン系電解純銀めっき液。
  5. 前記チオカルボニル構造を持つ五員環化合物は、2-イミダゾリンチオン、2-メルカプト―2-チアゾリン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジンチオン、チアゾール-2-チオール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-アミノロダニン、2-オキサゾリジンチオン、3-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジン-2-チオンから選択される少なくとも一つを含む請求項3に記載のノンシアン系電解純銀めっき液。
  6. 前記五員環化合物の含有量は0.05g/L以上、2g/L以下である請求項3から5のいずれか1項に記載のノンシアン系電解純銀めっき液。
  7. 前記銀イオン供給源は、少なくとも亜硫酸銀又は酸化銀を含み、
    銀イオンの含有量は、金属銀濃度として0.5g/L以上、50g/L以下である請求項3から6のいずれか1項に記載のノンシアン系電解純銀めっき液。
  8. 前記無機酸又は無機酸塩は、硫酸、亜硫酸、リン酸、チオ硫酸及びスルファミン酸、又はそれらの塩から選択される少なくとも一つを含み、
    前記無機酸又は無機酸塩の含有量は1g/L以上、500g/L以下である請求項3から7のいずれか1項に記載のノンシアン系電解純銀めっき液。
  9. カルボニル基を含む有機酸又はカルボニル基を含む有機酸塩の少なくとも一方を含有する請求項3から8のいずれか1項に記載のノンシアン系電解純銀めっき液。
  10. 前記カルボニル基を含む有機酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、ピルビン酸、グルタミン酸、クエン酸、酒石酸、琥珀酸、フマル酸、L-リンゴ酸、又はそれらの塩から選択される少なくとも一つを含み、含有量は1g/L以上、200g/L以下である請求項3から9のいずれか1項に記載のノンシアン系電解純銀めっき液。
  11. pHが4~7である請求項3から10のいずれか1項に記載のノンシアン系電解純銀めっき液。
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