JP2022016762A - レーザドップラ速度計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】マルチモード動作の半導体レーザを使用し、高寿命・低価格なレーザドップラ速度計を提供する。【解決手段】移動する物体Oにレーザ光51,52を照射し、散乱光を受けて物体の速度をドップラ効果に基づいて計測する差動型レーザドップラ速度計に於いて、マルチモード動作のレーザ光源1と、レーザ光源1からのレーザビームを平行にするコリメータレンズ2と、平行ビームの周波数をシフトさせる周波数シフト素子3と、周波数シフト素子3から出てきたビームを二分するビームスプリッタ4と、二分されたビームを反射して物体に照射するミラー81,83と、双方又は一方のレーザビームの光路長を調整する光路長調整機能と、物体からの散乱光を集光するレンズ8を含む光学系を備え、前記光路長調整機能は前記ビームスプリッタ4から出て移動する物体に照射される双方のレーザビーム間の光路差長を、前記レーザ光源1のコヒーレンス長以下に調整する。【選択図】図2

Description

本発明は、レーザ光によるドップラ効果を用いた速度計に関する。
レーザ光線とドップラ効果を利用したレーザドップラ速度計は、測定対象物の速度が、非接触で正確に測れるため、今日、多くの分野で利用されている。その利用分野の一例としては、製鉄業や、鉄道の速度計測がある。製鉄業では、高温での作業工程で、接触しての測定が難しい圧延制御にレーザドップラ速度計が採用されている。一方、鉄道では、高速走行時には車輪の空転や滑りが発生するため車輪の回転からは正確な運航速度が測定できなかったが、非接触で正確に速度が図れるためレーザドップラ速度計が適用されている。
(従来例1)
レーザドップラ速度計は、動作検証が1964 年に行われている。その一例が、非特許文献1に開示されている。この報告では、レーザ光線のドップラシフト現象を利用して、液体の流速を観測している。報告例では、光源に波長633nmのヘリウムネオンレーザ(HeNeレーザ)を用い、そのコリメート光をビームスプリッタで2つに分け、一方の光を流れる液体に照射し、もう一方の光を光変調器に入れてSSB変調(Single Sideband Modulation)を行い、光源のレーザ光源に光周波数シフトを施して局部発振光として用いている。流れる流体に照射され散乱した光である散乱光と、前記局部発振光を再結合させ光検出器に入射させて、光検出器からの電気信号をスペクトルアナライザで観測する。この構成では、流体の流速に比例して、前記散乱光の光周波数がドップラシフトを起こし、前記光検出にて散乱光と局部発振光の光ヘテロダイン検波を行うと、その出力である前記電気信号のビート信号にて、流体の流速に対応した周波数シフトが起こることが観測された。結果、光のドップラシフトを用いて液体の流速が観測できることが報告されている。
(従来例2)
その後、光のドップラシフト現象をより有効に利用して、レーザドップラ速度計の感度向上と適用範囲の向上を図ったが例が、非特許文献2に示されている。この報告では、レーザドップラ速度計で測定する非測定物を流体から固体に拡張するために、速度計の感度向上策を示している。この感度向上策は、光変調器を用いた従来の光周波数シフト方式に、差動型レーザドップラ型の速度計を組み合わせたものである。
差動型レーザドップラ速度計は、レーザ光源から分離した2本の光束を、移動する非測定物に照射する構成である。非測定物に対し、2本の光束の内、一方の光束は移動する非測定物の前方向から照射するのでドップラ散乱光は光周波数が増加する方向となり、他の光束は移動する非測定物の後方向から照射するのでドップラ散乱光は光周波数が減少する方向となる。これら2つの散乱光を、光検出器で光ヘテロダイン検波すると、その出力電気信号は2つの散乱光成分の差分となる。出力電気信号のビート周波数の変位量は、一本のみの散乱光を用いていた非特許文献1の系の2倍となるので、速度検出感度が上がるという利点がある。また、光学系が差動型となっているので、非測定物の表面の凹凸から発生する雑音成分や、光源自体の強度雑音から発生する雑音成分の影響も除外できるので、レーザドップラ速度計の感度を向上させることができる。
図6に非特許文献2に示されたレーザドップラ速度計の構成を示した。この図6は、非特許関連文献2に示されたレーザドップラ速度計の光学部(Fig.3)の写しである。
図6にて、レーザ101には、横モードが基本モードのTEM00モードで、縦モードがマルチモード発振するヘリウムネオンレーザが使用されている。なお、本明細書では、横モードが基本モード(シングルモード)であり、縦モードがマルチモードである動作のことをマルチモードといい、横モードが基本モード(シングルモード)であり、縦モードがシングルモードである動作のことをシングルモードあるいは単一モードいう。
レーザ101からの出射光は、レンズ102で平行光とした後、周波数シフト変調器103に入力されている。この周波数変換器103は、内部に偏波分離器と音響スピーカを用いた光路差変調機構を備えており、入力した垂直偏波成分のみ20kHzの周波数シフトを起こし、入力した水平偏波成分には変調を行わない。周波数シフト変調器103への光信号入力を光偏波を45°傾けて入射することにより、その出力光の垂直偏波には20kHzの光周波数シフトが発生し、出力光の水平偏波は無変調となる。
ミラー104とミラー105で光路を折り返し、レンズ106とレンズ107で光ビーム径を変換し、ウォラストンプリズム(偏光ビームスプリッタ)108で20kHzの周波数シフトが起きた垂直偏波と無変調の水平偏波に分離する。2つの光ビームは、レンズ110とミラー111とレンズ112で整形と集光を行った後、前述の差動型ドップラ系を構成して、移動物体表面113に照射する。
この散乱光は、レンズ112とレンズ114で集光した後、光フィルタ115で外来からの雑音光を除去し、偏光プリズム116にて、偏光を分離して、垂直偏波成分を光検出器117で受信し、水平偏波を光検出器118で受信する。これらの光検出器117、118からの電気信号のビート周波数を読み取ることにより、移動物体表面の移動速度を求めることができる。
なお、図6のレーザドップラ速度計は、光周波数シフト方式を用いているため、移動物体表面113の移動方向も検出することができる。つまり、移動物体表面の移動方向が図6の上部方向の場合には、光検出器117、118からの電気信号でのビート信号の周波数シフトは20kHz以上に発生する。移動物体表面の移動方向が図6の下部方向の場合には、光検出器117、118からの電気信号でのビート信号の周波数シフトは20kHz以下に発生する。
(従来例3)
レーザドップラ速度計では、上述の高感度化の検討の他に、小型化の検討と開発も行われている。上述の例は、レーザ光源に大型のガスレーザであるヘリウムネオンレーザを用いていたが、装置を小型化するため、半導体レーザを用いた例が、非特許文献3に示されている。
図7に非特許文献3に示されたレーザドップラ速度計の構成を示した。図7は、非特許関連文献3に示されたレーザドップラ速度計の光学部(Figure.2)の写しである。
図7のレーザドップラ速度計は、ガラス管内の流体速度を観測するための差動型の光学構成であり、小型化を図るために、半導体レーザを用い、かつ、図6で用いられた周波数シフト変調器は未適用の構成としている。
図7の構成では、光源に波長810nmの半導体レーザ201を用い、レーザ光の集光には小型の屈折率分布型のレンズ202を用いている。半導体レーザ201の出射光のコヒーレンス長は、図6で使用したヘリウムネオンレーザより低下しているので、ブレーズド型の回折格子203を用いて、使用する光の周波数成分を制限して、コヒーレンス長を改善した狭いスペクトル幅のレーザ光源としている。また、差動型の光学系を上下とも同じ光路長となる対称形として、短いコヒーレンス長の光源に対応している。
ブレーズド型の回折格子203の出力は、0次光と1次光の2本を使用し、これらの光源は光路の対称性を保ってレンズ204に入射し、集光されてガラス管205の中の流体に焦点を結ぶ。流体からのそれぞれの散乱光は、光のドップラシフトを受けており、これらの散乱光をガラス管205上に設置された光検出器206で検出する。
この光検出器206からの電気信号出力であるビート周波数(ピーク周波数)から流体の移動速度が得られる。非特許関連文献3での評価結果では、直径0.9umのポリスチレン球体を混ぜた流体の速度を、0.05mm/sから7mm/sの範囲で計測しており、レーザドップラ速度計に半導体レーザを使用してもその動作が可能であることを報告している。
また、光源に半導体レーザを採用したため、レーザドップラ速度計の小型化もできたと報告されている。なお、図7のレーザドップラ速度計では、周波数シフト変調器を用いていないので、流体の移動方向が逆となった場合には、速度方向の判断はできない。
(従来例4)
レーザドップラ速度計の高性能化と小型化を図った例が、特許文献1に示されている。この例は、高感度化が可能な差動型レーザドップラ速度計を基本に、速度がゼロやマイナス(逆方向)も検出可能な周波数シフト変調を行い速度計の汎用性を向上させ、光源にシングルモードの半導体レーザを採用して、小型化を達成している。また、照射光ビームの幅を広く取る工夫を施し、レーザドップラ速度計の焦点深度を深くすることを特徴としている。
図8は、特許文献1に記載された鉄道車両速度計測装置である図1の写しである。図8では、レーザ光源1から出射されるレーザビームは、コリメータレンズ2で平行ビームになるように調整される。このレーザビームが周波数シフト素子(AOM)3に入射され、このAOMに40MHzの信号fmを加えて、入射されたレーザビームの周波数を40MHzシフトさせ、且つ、ある角度だけ回折した1次回折光と、そのまま通過する0次光を出射させる。この出射光が偏光ビームスプリッタ4に入射されてP偏光ビームとS偏光ビームに二分される。P偏光ビームは、透過側に直進し、λ/2波長板5でS偏光ビームに変換されて移動する物体0に照射される。偏光ビームスプリッタからのS偏光ビームは、無偏光ビームスプリッタ6で二分し、それから直角方向に出射されるS偏光ビームと、透過側に直進してミラー7で反射されるS偏光ビームとなり、それぞれ、移動する物体0に向かう。なお、本明細書では移動する物体自体を表す場合にも、レーザと移動する物体との照射点を表す場合にも、物体0という用語を用いる。
移動する物体0からの散乱光が受光レンズ8で集光されて受光素子9にて光電変換を受ける。その電気信号出力のビート信号周波数は、40MHzを中心にプラスやマイナス方向に変位し、その変位した周波数量は物体0の移動速度に比例する。上記電気信号出力は、ミキサ13で5MHz中心の信号にダウンコンバートされ、ADコンバータ15でデジタイズ処理した後、DSP16やCPU20により速度信号に変換される。
以上の構成では、周波数シフトしたビームは2本あるので、周波数シフトの無いビームとの干渉領域は2か所に増える。結果、移動物体0に対する焦点深度が深く取れることになるので、レーザドップラ速度計の適用領域を広げることができる。
また、本レーザドップラ速度計は、差動型レーザドップラ系を採用しているので高感度であり、周波数シフト変調を行っているので速度がゼロや逆方向の速度計測も可能となり、かつ半導体レーザを光源に使用しているので小型化が可能という特徴を有する。
特開2014-006161号公報
Y.Yeh et al., "Localized Fluid Flow Measurements with an He-Ne Laser Spectrometer", Applied Physics Letters, vol.4, no.10, pp.176-178, May, 1964. Bruce E.Truax et al.,"Laser Doppler velocimeter for velocity and length measurements of moving surfaces" , Applied Optics, vol.23, Issue 1, pp.67-73, 1984. H W Jentink et al.,"A compact differential laser Doppler velocimeter using a semiconductor laser" , Journal of Physics E: Scientific Instruments, Volume 20, Number 10, pp.1281-1283, 1987.
一般に、レーザドップラ速度計には波長600~800nm帯の単一モードの半導体レーザが用いられている。半導体レーザを用いる理由は、レーザドップラ速度計を安価で小型にするためである。波長600~800nm帯が多く用いられる理由は、高精度化や高寿命化のためである。つまり、低雑音のシリコン・アバランシェフォトダイオード(Si-APD)が600~800nm帯で効率よく低雑音で動作すること、短波の半導体レーザでは600~800nm付近の製品が優れた信頼性(寿命)を示したこと、光のドップラシフトの周波数偏移量が使用波長に逆比例(光の周波数に比例)するので高感度化には短い波長の使用が適すること、に起因する。
レーザドップラ速度計の小型化のために、光源に半導体レーザを使用しているが、単一モードとしての利用が知られているのみである。この半導体レーザを単一モードとして使用するためには複雑な調整が必要となる。
複雑な調整とは、半導体レーザを常に単一モードで動作させるための、動作電流、動作温度、光反射の調整である。また、レーザドップラ速度計を信頼性の高い製品とするために、半導体レーザの動作電流と動作温度と光反射の3者間の調整を行い、より安定した単一モード動作条件を探し出す必要がある。
半導体レーザでの単一モード動作が必要な理由は、レーザドップラ速度計では2つの照射光から生じた2つの散乱光間の可干渉性を利用するためである。半導体レーザのマルチモード動作では、半導体レーザから出力される光スペクトル幅が広く、その光の特性は一般の自然放出光に近く、光の位相や強度はランダムとなり、2つの光を合波しても干渉を起こすことは殆どない。半導体レーザを単一モード動作とすることにより、光スペクトル幅が狭くなり、光の位相と強度が揃うので干渉が発生し、レーザドップラ速度計で2つの散乱光を光ヘテロダイン検波(2つの可干渉光の周波数差に対応した信号成分を電気帯域にダウンコンバート)することにより、ドップラシフトしたビート信号成分を電気信号にて観測できる。
半導体レーザには、信頼性が高く廉価で小型のファブリペロー型半導体レーザが用いられる。その構造例を図9(a)に示す。ファブリペロー型レーザは、光の利得媒体である活性層を埋めこんだ構造にて、光出射の両端を反射面としたファブリぺロ―型共振器を用いてレーザ発振を起こす。ファブリペロー型共振器は、両反射面の間隔で決まる周期的な共振特性(約0.03nm間隔のピーク)を示す。一方、活性層の光利得特性は、電極から注入する電流と動作温度で、その発振波長の利得ピークが変化する。
ファブリペロー型レーザは、電流を流すと、高い確率でマルチモード発振(スペクトルに多くのピークを持つ)が起こる。この状態で、半導体レーザの電流と温度を調整すると、活性層の光利得特性の波長特性が変化し、光利得のピークがファブリペロー共振特性の一つのピーク値と一致する場合がある。この時の半導体レーザの光スペクトルは、光波長のピークが一本の単一モードの動作となる。しかし、この単一モード動作は、半導体レーザに反射光が戻ると不安定なマルチモード動作に戻る場合が多い。半導体レーザがマルチモード動作となると、2つビーム間で光の干渉現象が生じなくなるので、レーザドップラ速度計は動作不良状態となる。なお、上記の反射光は、レーザ出射側の光学部品類からの僅かな反射にて発生するもので、反射を完全に抑制することはできない。
そのため、レーザドップラ速度計に用いる半導体レーザでは、反射光があっても単一モード動作が可能な電流値と温度の状態を探す調整を行う必要がある。この半導体レーザの調整は、各種の温度条件で行い常に単一モード動作するよう目指すので、その調整は複雑で時間が掛かるものとなっている。
また、単一モード動作の調整が不十分であれば、半導体レーザの僅かな劣化によりマルチモード動作に戻るのでレーザドップラ速度計は動作不良や故障となり、結果、レーザドップラ速度計の信頼性の低下や寿命の低下をもたらすこととなる。
そこで上記課題を鑑み、本発明は、半導体レーザドップラ速度計おいて、調整が複雑で時間が掛かる単一モードに代え、マルチモードで動作する半導体レーザドップラ速度計を提供することを目的とする。
なお、単一モード動作の半導体レーザには、下記の例もあるが、コストや大きさの点でレーザドップラ速度計への適用が難しい。
・回折格子を用いた半導体レーザ光源:
前述した非特許文献3(図7)では、ブレーズド型の回折格子2を用いて、半導体レーザの一部の波長成分を切りだして、単一モード動作を実現している。このブレーズド型回折格子は、300LINE/mmの均一で微細なスリットが必要な光学部品であり、高額となる。安価を目指す汎用速度計には、回折格子の適用は難しい。
・分布帰還型レーザ光源:
単一モード動作の半導体レーザとしては、分布帰還型レーザ(DFB-LD:Distributed Feedback Laser Diode)、分布反射型レーザ(DBR-LD:Distributed Bragg Reflector Laser Diode)が知られている。これらのレーザは波長グレーティング構造を半導体内部に組み込んだもので、光ファイバ通信用に波長1550nm帯で開発されたものである。波長が半分以下となる600~800nm帯では波長グレーティング構造の微細化が難しく、安定動作の安価なDFB-LDやDBR-LDは開発されていない。
・外部共振器型レーザ光源
また、単一モード動作の半導体レーザとして、ゲインチップ(端面に無反射コーティングを施したファブリペロー型半導体レーザ)の外部に回折格子(もしくは回折格子とミラー)を設置した外部共振型レーザ(External Cavity Laser:ECL)がある。この外部共振器型レーザは、高精度の回折格子を共振ミラーに使用するため、狭線幅の光源が実現されているが、回折格子を使用するため高価で且つ大型であり、小型で安価を目指すレーザドップラ速度計用の光源には適さない。
上記課題を解決するための発明は、光源から移動する物体にレーザ光を照射し、移動する物体からの散乱光を受けて移動する物体の速度を計測する差動型レーザドップラ速度計に於いて、マルチモード動作の半導体レーザ光源と、該レーザ光源からのレーザビームを平行ビームにするコリメータレンズと、平行ビームを二分するビームスプリッタと、ビームスプリッタで二分されたレーザビームを反射して物体に照射する第1および第2のミラーと、光路長調整機構と、前記移動する物体からの散乱光を集光するレンズを含む光学系を備え、前記光路長調整機構は、前記ビームスプリッタから出て移動する物体に照射される双方のレーザビーム間の光路差長を前記レーザ光源のコヒーレンス長以下に調整すること、を特徴とする。
また、前記光路長調整機構は、前記第1のミラーおよび第2のミラーを同一方向かつ同時に摺動可能とすることを特徴とする。
また、前記光路長調整機構は、摺動支持部と、第1のミラーおよび第2のミラーが係止されるとともに、前記摺動支持部に沿って摺動可能な摺動部とからなることを特徴とする。
また、前記光路長調整機構は、前記ビームスプリッタを摺動可能とすることを特徴とする。
また、前記光路長調整機構は、摺動支持部と、前記ビームスプリッタが係止されるとともに、前記摺動支持部に沿って摺動可能な摺動部とからなることを特徴とする。
また、本発明のレーザドップラ速度計測装置の製造方法は、前記第1のミラーおよび第2のミラーの両者を精度良く位置合わせをして前記摺動部に係止した後、前記摺動部を装置に組み前記摺動支持部に沿って摺動させることで光路長調整することを特徴とする。
本発明によれば、半導体レーザがマルチモードの発振動作であっても、レーザドップラ速度計の動作が可能となる。また、ビームスプリッタから出て移動する物体に照射される2つのレーザビーム間の光路長差をレーザ光源のコヒーレンス長以下にするための調整を容易とすることができる。
第一の実施形態によるレーザドップラ速度計の構成図である。 第一の実施形態の一体化された2つのミラーと平行摺動構造の概略説明図である。 第二の実施形態によるレーザドップラ速度計の構成図である。 第三の実施形態によるレーザドップラ速度計の構成図である。 第四の実施形態によるレーザドップラ速度計の構成及び偏向ビームスプリッタの平行摺動構造の説明図である。 従来のレーザドップラ速度計の構成を示す図である。 従来のレーザドップラ速度計の構成を示す図である。 従来のレーザドップラ速度計の構成を示す図である。 ファブリペローレーザの構造と光スペクトルを示す図である。 従来のレーザドップラ速度計の動作を説明するための図である。 光源の周波数幅とコヒーレンス長の関係を示す図である。
レーザドップラ速度計では、レーザ光源のスペクトル幅と、レーザ光源から非測定物までの2本の光ビームの光路差の間に、光の干渉に係る相関関係があった。本発明では、その相関関係を把握し、レーザ光源がスペクトル幅の広いマルチモード動作となった場合でもレーザドップラ速度計が動作する構成方法を新たに見出した。
まず、レーザドップラ速度計の基本構成について、図10を用いて再度説明する。図10は、特許文献1に記載された鉄道車両速度計測装置である図1の差動型レーザドップラ速度計の光学系を簡略化して示している。
図10では、レーザ光源1から出射されるレーザビームが、コリメータレンズ2で平行ビームとなり、周波数シフト素子(AOM)3に入射されている。周波数シフト素子3は、入射されたレーザビームの周波数を40MHzシフトさせ、ある角度だけ回析した1次回折光52と、そのまま通過する0次回折光51を出射する。これらの出射光が偏光ビームスプリッタ4に入射されてP偏光である0次回析光51とS偏光である一次回析光52に二分される。0次回析光51は、透過側に直進し、λ/2波長板5にてS偏光に変換後、移動する物体0に照射される。
一次回析光52は、ミラー7で反射されて、移動する物体0に向かう。移動する物体0からの散乱光が受光レンズ8で集光されて受光素子9にて光電変換を行い、ドップラシフト周波数の検出を行う。
ここで、0次回析光51は、周波数シフト素子3から出射して、ビームスプリッタ4、λ/2波長板5を通過して、移動する物体0に至る光路である。一方、一次回析光52は、周波数シフト素子3から出射して、ビームスプリッタ4、ミラー7を介して、移動する物体0に至る光路である。0次回析光51は移動する物体の前方から入射し、一次回析光52は移動する物体の後方から入射しており、これらの光学系により差動型のレーザドップラ速度計を構成している。なお、この2つの光路(0次回折光51と一次回折光52の間)には、若干の光路差長が存在する(図10参照)。
この光路差長のため、レーザ光源1には、スペクトル幅の狭い単一モード動作が必要であった。レーザ光源1がマルチモード動作の時には、上記2つの光路(0次回折光51と一次回折光52)からの散乱光に光の干渉が起こらず、レーザドップラ速度計は動作しない。
一般に、レーザドップラ速度計で用いられるレーザ干渉計の光路差長と、光源のスペクトル幅と、光の干渉の間には、光源の可干渉距離(コヒーレンス長)が関わっている。
コヒーレンス長とは、光源のスペクトル幅により干渉の縞が見えなくなる限界の干渉距離であり、広いスペクトル幅(波長幅)を有する光は、ある干渉距離以上になると、波の位相差が大きくなり干渉が発生しにくくなる。
これは、異なる時間に光源を出発した光波同士の干渉に関する時間コヒーレンスに係る現象であり、時間コヒーレンスが大きいということはスペクトル幅が狭い、すなわち光源の単色性が高いことを意味する。
一方、コヒーレンス長は、光源のスペクトル幅が大きいほど短距離に、スペクトル幅が小さいほど長距離となる。
コヒーレンス長(Lc、単位:meter)は、下記で表わされる。
Lc=c*T=c/Δf=λ2/Δλ
ここで、 c:光速、T:時間コヒーレンス(単位:second)、
Δf:光源の周波数幅(単位:Hz)、λ:光源の中心波長(単位:meter)、
Δλ:光源のスペクトル幅(単位:meter)
光源の周波数幅(光源のスペクトル幅)とコヒーレンス長の関係を図11に示す。図11では、中心波長は632nmとし、一般的なHeNeレーザ、半導体レーザ、LEDの特性をプロットした。
HeNeレーザは、低出力の短共振器型(例えば、出力<1mw、共振器長<0.15meter)の単一モード型での場合、高いコヒーレンスを示し、その発振の周波数線幅はΔf=1MHzであり、コヒーレンス長は、Lc =300meter(T=1μs)となる。これは、レーザ出射光が300meter進んでも、レーザ出射端の光(1μs遅れた光)と干渉できること、つまり、300meterの光路差長があった状態でも光の干渉が可能であることを意味している。
高出力(>5mW程度)のHeNeレーザは、レーザ管の共振器長が長くなり(例えば、共振器長=約0.5meter)、モード間隔は約300MHzで5~6本の輝線を有するマルチモード動作となる。その帯域幅は、励起されたHeNeの利得帯域幅の約1GHzで決まり、Δf=1GHzとなる。この場合、そのコヒーレンス長は、Lc =0.3meter(T=1ns)となる。
このマルチモード動作のHeNeレーザは、非特許文献2に使用されたものと同等品となる。このマルチモード動作のHeNeレーザを用いれば、レーザドップラ速度計内の2本の光路の光路差長(図6での周波数シフトした光路と周波数シフトを起こさない光路)の許容量は0.3meterまで取れることととなり、レーザドップラ速度計は、光路設計に余裕が取れるとともに、その動作も十分な余裕をもって光の干渉を発生させて、ドップラシフトを観測することができる。
レーザドップラ速度計用の半導体レーザは、単一モード動作で使用される。前述したように、波長630~780nm帯の単一モード動作の半導体レーザは、ファブリペロー型半導体レーザの電流と温度を調整することにより、複数のファブリペローモードから一本の発振モードを選択することにより実現される。その選択された一本の発振モードの線幅は、ファブリペロー共振器の損失とレーザ媒質の利得特性により決まり、波長630nm帯品では、Δf=10MHz程度となる。コヒーレンス長は、Lc =30meter(T=10μs)と大きくとれるので、レーザドップラ速度計は、光路設計や調整に十分な余裕が取れる。特許文献1でのレーザドップラ速度計は、この単一モード動作のファブリペロー型半導体レーザを使用しているので、図10での2つの光路(0次回折光51と一次回折光52)の光路差長の設計や調整に関する制限は緩い。すなわち、一般のレーザドップラ速度計の大きさは、図10のレーザ光源1からλ/2波長板5およびミラー7までは50*50mm2以内に収まる程度のサイズ、λ/2波長板5およびミラー7から移動する物体0までの距離は100mm~700mm程度であるため、2本の光路の光路差長をコヒーレンス長(Lc =30meter)以内に抑えるための制限は発生しない。
しかし、単一モード動作のファブリペロー型半導体レーザの動作状態が崩れると、マルチモード動作となる。この動作状態の崩れは、半導体レーザの最適温度の設定ズレ、レーザ端面への反射戻り光の変化、半導体レーザの劣化に伴う特性変化等により発生する。
半導体レーザのマルチモード動作では、630nm帯品で、モード間隔約0.03nmで10本以上の輝線を有するスペクトルとなる。この輝線の一本の帯域幅は約10MHz程度であるが、10本以上の輝線スペクトルからなるマルチモード発振の半導体レーザの帯域幅は、Δλ=0.5nm程度にまで広がる(Δf=380GHz)。この0.5nmの帯域幅は、半導体レーザの活性層の利得と利得帯域幅、および半導体レーザ内の光損失との関係で決まる。そのコヒーレンス長は、Lc =0.8mm(T=2.7ps)にまで短くなる。
図10に示したレーザドップラ速度計の2つの光路(0次回折光51と一次回折光52)の光路差長は、1mmより遥かに大きいため、図10の構成のレーザドップラ速度計で半導体レーザがマルチモード動作した場合は、2つの光路からの散乱光より光の干渉を得ることができない。結果、マルチモード動作の半導体レーザでは、レーザドップラ速度計は動作しないこととなる。
従い、従来のレーザドップラ速度計では、帯域幅の狭いHeNeレーザを光源に使用したり、帯域幅が広くならないようファブリペロー型半導体レーザの単一モード動作の調整を行って光源に使用する等の対応を行ってきた。
図11には、参考にLEDの特性も示してある。波長632nmでのLED光源の帯域幅は、LEDの利得帯域幅の約20nmと広がり、そのコヒーレンス長はLc =20μm(T=0.067ps)となる。
さて、図10のレーザドップラ速度計の光路長であるが、レーザ光源1からλ/2波長板5まで約50mm、その先の移動する物体0までの長さが700mmであり、送信系の光路長の全長は750mm程度である。
一方、半導体レーザのマルチモード動作では、そのコヒーレンス長は、Lc=0.8mmであった。図10での2つの光路(0次回折光51と一次回折光52)の光路差長が、0.8mm以内とすることができれば、図10のレーザドップラ速度計は、レーザ光源1がマルチモード動作の半導体レーザとなっても、2つの光路からの散乱光に干渉が発生し、速度計として正常に動作する。
しかし、0次回折光51と一次回折光52間の光路差長を0.8mm以内に収めるには、多くの課題がある。図10の構成では、偏光ビームスプリッタ4からの0次回析光51は、物体0に向けて直進しているのに対し、1次回折光52は、偏光ビームスプリッタ4で折れ曲がりミラー7で反射されて物体0に向かう光路であるため、両者の光路長差は大きく異なる。
また、0次回折光51や一次回折光52の光路に存在する無偏光ビームスプリッタ4やλ/2波長板5、ミラー7の取り付け位置等により、0.8mm以上の光路差長が発生し、0次回折光51と一次回折光52の光路差長をゼロとするのは極めて困難である。
そこで、本発明では、0次回折光51の光路や一次回折光52の光路に、光路長を調整する機構を追加して、0次回折光51と一次回折光52の光路差長を光源のコヒーレンス長以下に抑える構造でレーサードップラ速度計を構成する。
630nm付近の半導体レーザのマルチモード動作では、スペクトル幅が0.5nm程度、そのコヒーレンス長がLc =0.8mmであるため、光路長を調整する機構により0次回折光51と一次回折光52の光路差長をコヒーレンス長以下とすることができる。結果、マルチモード動作の半導体レーザを用いても、レーザドップラ速度計は安定に動作することとなる。
以下で、図面を参照して本発明の実施例を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものでなく、本実施例と同じ技術的思想を成しえる構成を含むものである。
[実施例1]
図1、図2は、実施例1のレーザドップラ速度計の光学部分の構成図である。実施例1は、差動型レーザドップラ速度計光学部の小型化を図った構成例であり、0次回折光51と1次回折光52の光路の形は、差動型構成を生かした線対称の形に近づけ、0次回折光51と1次回折光52の光路長は、ほぼ同長となる構成としている。
図1において、レーザ光源1は、マルチモード動作した波長660nmの半導体レーザである。光の出力と波長を安定させるために、レーザに注入する電流制御とレーザ素子の温度制御を行っている。マルチモード動作でのスペクトル占有帯域は0.5nm、コヒーレンス長は0.8mmであった。レーザ光源1からから出射されるレーザビームは、コリメータレンズ2で平行ビームになるように調整した。このレーザビームを周波数シフト素子(AOM)3に入射し、このAOMに40MHzの信号fmを加えて、入射されたレーザビームの周波数を40MHzシフトさせ、且つ、ある角度だけ回折した1次回折光52と、そのまま通過する0次回折光51を出射させた。これらの出射光を偏光ビームスプリッタ4に入射させてP偏光ビームとS偏光ビームに二分した。0次回折光51は、ミラー82で90度曲げた後、ミラー83で折り返し、λ/4波長板86を介して、円偏光とした後、移動する物体0に照射する。ここで、ミラー83は、0次回折光51の入射方向に対し平行に摺動可能な構造とし、0次回折光51の光路長を調整する。一方、偏光ビームスプリッタ4で反射した1次回折光52は、ミラー81で折り返し、λ/4波長板85を介して、円偏光とした後、移動する物体0に照射する。ここで、ミラー81は、1次回折光52の入射方向に対し平行に摺動可能な構造とし、1次回折光52の光路長を調整する。移動する物体0で散乱された光は、レンズ8で集光後、ミラー84で90度曲げられて、受光素子9にて光電変換を受ける。
その電気信号出力のビート信号周波数は、40MHzを中心にプラスやマイナス方向に変位し、変位した周波数量は物体0の移動速度に比例する。この電気信号を処理することにより、物体0の移動速度を算出する。
レーザドップラ速度計の測定精度及び感度を良好にするためには、第1のミラーと第2のミラーの両者を精度良く位置合わせることが重要である。特に図1の紙面のXY面(水平面)内に形成される二等辺三角形(1点をミラー81と光路52との交点、1点を物体0と回折光51、52との交点、1点をミラー81と偏光ビームスプリッタ4を結ぶ延長線(光路)と、物体0とミラー83を結ぶ延長線との交点、とする3点からなる二等辺三角形(以下、単に「二等辺三角形」という。)の中心軸が、物体0とレンズ8を結ぶ線(以下、「散乱光線」という。)と重なることにより、レーザドップラ速度計の特性がより向上する。そして、この二等辺三角形の形状を維持した光路長を調整可能とすることで、精度を確保したまま効率的に調整を行うことが可能となる。
ここで、コヒーレント長内の光路差調整のために、個別のミラーの位置調整を行っていると、その反射角が3次元的にずれる可能性が高くなる。
そこで、図1の光路長調整機構による光路長調整は、ミラー81(第1のミラー)とミラー83(第2のミラー)を同一方向かつ同時に動かすことにより行う。0次回折光51側の光路長を長くしたい場合はミラー81とミラー83を右方向に摺動させ、1次回折光52側の光路を長くしたい場合はミラー81とミラー83を左方向に摺動させる。
実施例1(図1)の構成をより具体的に示す為に図2で説明する。
例えば光路長調整機構は、XY平面内に配設される平板状の摺動部S(ステージ)で構成され、摺動部Sの一部にレール穴Rを設けて、ベース(装置基板)に接続された複数(図2では二箇所)の支柱N(摺動支持部)がレール穴Rに位置するように摺動部Sを配置することで、摺動部Sはレール穴Rの長軸方向に支柱N(摺動支持部)に沿って摺動可能に構成される。
摺動には必要に応じ適宜設計されたギアを含む歯車等を用いることができる。レール穴Rの長軸方向は、ビームスプリッタ4を出てミラー81に至る光軸方向、およびミラー82とミラー83間の光軸方向とも一致させることが最も調整量を少なくする点から好ましい。
摺動部Sには、ミラー81およびミラー83が係止されている。このため、摺動部Sを支柱N(摺動支持部)に沿って摺動することにより、同時に2つのミラー81、83の位置も摺動するので、前述の二等辺三角形の形状を維持したまま、光路長差を調整することが可能となる。よって、ミラー81、83を個別に摺動させて位置を定める場合に比べ、大幅にミラーの位置調整の作業効率が向上する。また、ミラーごとに調整部を設ける場合に比べ、調整機構を簡略化できるので、装置の小型化に寄与する。
例えば図2において摺動部Sを右方向(ビームスプリッタ4からみてミラー83の方向)に摺動調整した場合、1次回折光52は対象物までの距離が短くなる。同時に、0次回折光51は対象物までの距離が長くなる。よって、1次回折光52の長さが0次回折光51よりも長い場合には、摺動部Sを右方向に摺動することにより、光路長差を短くすることが可能となる。
ここで、摺動部Sは、ミラー81とミラー83を係止できて摺動可能な形態であれば如何なる形態であってもよい。すなわち、必ずしも実施例1のように平板状でなくても良く、例えば、棒状であってもよい。
また、摺動支持部は、摺動する摺動部Sを支持できる形態であれば如何なる形態であってもよい。例えば、摺動支持部は歯車状の形態であってもよい。また、複数の支柱ではなく、レール穴部と嵌合する連続する長形体であってもよい。また、図2では摺動部Sの一部がレール穴Rであったが、レール穴Rは摺動部Sと別部材であってもよく、また、必ずしもレール形状のものでなくてもよい。摺動支持部に支持され、摺動部と共に摺動する形態であれば如何なる形態であってもよい。例えば、摺動支持部が歯車状の形態であれば、それとかみ合うような凹凸条に形成された部材であってもよい。また、摺動部と摺動支持部の関係を例えばモノレールとそのレールの関係とする構成であってもよい。
図2の光路長調整機構を変形したものとしては、例えば、両端にミラー(ミラー81、83)を係止した棒状部材で摺動部が形成され、棒状部材の側面は歯車(摺動支持部)がかみ合うように凹凸状に形成され、この歯車(摺動支持部)で棒状部材が支持され、また、歯車(摺動支持部)を回すことで光路長差を調整する形態がある。
光路長差の調整を行って、電気信号出力のビート信号周波数成分が最大となるような最適な摺動部S(ステージ)の位置が決定したら、ネジや接着剤等で摺動部Sの固定を行う。例えば、ネジの場合には、図2で示されるように摺動部Sの一部であるレール穴Rから支柱N(摺動支持部)を兼ねたネジが突き出ており、そのネジにワッシャとナットを使用して摺動部を固定する。また、例えば、接着材の場合にはレール穴Rから支柱N(摺動支持部)が突き出ており、その支柱N(摺動支持部)と摺動部Sとの接点に接着剤を流し込んで摺動部Sを固定する。
なお、何れの場合も支柱N(摺動支持部)はベース(装置基板)に接続され、また、複数箇所(図2では2箇所)に存在し、摺動部Sは移動方向と直角(Y方向)に遊びの無い構造であること、また、摺動部Sは支柱Nにより複数箇所で固定されることが望ましい。
この光路長調整機構を用いて、移動する物体0の移動速度を測定した。移動する物体0は、コンクリート片とし、円盤に付けて回転させた。また、受光素子9からの電気信号出力のビート信号成分が最大となるよう摺動部Sを支柱N(摺動支持部)に沿って摺動させることにより、ミラー81とミラー83の位置を調整した。結果、移動する物体0からの散乱光に、光の干渉を確認することができた。また、受光素子9からの電気信号には、十分な強度のビート信号成分も観測した。このビート信号の周波数から、移動する物体0の移動速度を求めることができた。本実施例では、差動型レーザドップラ速度計にて線対称の光路設定を行ったため、0次回折光51と1次回折光52の間の光路差長を小さく設定でき、ミラー81とミラー83を僅かに動かすことで、上記光路差長をマルチモード動作のコヒーレンス長(0.8mm)以内に調整することが可能であった。また、ミラー81とミラー83を同一方向かつ同時に動かした場合には、両ミラーは逆の作用となるので、両ミラーの摺動量をマルチモード動作のコヒーレンス長(0.8mm)の半分である0.4mm以内とすることができた。この実施例の光学構成は、差動型レーザドップラ速度計の小型化に有効である。
ここで、両ミラーの摺動方向は、ミラーに入射する光に対し、同じ向きか逆方向など、平行方向が望ましい。これは、光軸の調整をし易くするためである。そして、二等辺三角形の形状が維持されたまま調節されることが重要である。このことは表現を変えていうと、2つの三角形AとBが散乱光線を線対象軸とする相似形となっていることを意味する。
ここに、三角形Aとは、ミラー83から散乱光線の延長線へ下した垂線と、散乱光線と、物体0からミラー83に至る線(光路51)とが作る直角三角形を意味し、三角形Bとは、ミラー81から散乱光線の延長線へ下した垂線と、散乱光線と、物体0からミラー81に至る線(光路52)とが作る直角三角形を意味する。これら2つの直角三角形の相似形が崩れると、レーザドップラ速度計として速度の測定精度低下や受信感度の低下を引き起こしてしまう。ミラーの摺動方向が入射する光に対して平行方向の場合には、ミラーの設定位置によるミラーのアオリ角を調整しなくてもよくなり、さらに効率的に光学調整が可能となる。
また、二等辺三角形の形成は、図2の紙面上(水平面内)で形成されることが好ましい。ミラーの反射光が、紙面に対し垂直方向に反射光が傾きだすと、測定速度の精度低下や受信感度の低下に繋がってしまう。
また、例えばレーザドップラ速度計測装置の製造時に第1のミラーと第2のミラーの両者を精度良く位置合わせをして摺動部に固定した後、その摺動部を装置に組み支柱N(摺動支持部)に沿って摺動させることで光路長調整すると、水平面内に於ける相似な2つの直角三角形の形成が崩れにくくなり、レーザドップラ速度計測装置の特性がさらに向上する。
なお、一般に、半導体レーザの発振中に、その出射光が外部の反射物体にて反射し、半導体レーザに戻ってくると、半導体レーザ内で干渉を起こし、光の雑音を発生する。この戻り光による半導体レーザの光の雑音の発生は、半導体レーザがマルチモード動作の時でも起こる。レーザドップラ速度計の半導体レーザに光の戻り光が発生すると、そのレーザ出射光に雑音が発生し、散乱光を受信した受光素子からの電気信号のビート信号では信号雑音比が低下する。結果、信号雑音比の低下によりビート信号の周波数判別が不可能となり、レーザドップラ速度計が動作しなくなるという不具合が発生する場合がある。
そこで、この問題を軽減するために、半導体レーザ光源1の駆動回路に高周波電流重畳機構を取り付けても良い。この高周波電流重畳機構は、例えば発振周波数600MHzの発振器とその発振器出力を半導体レーザ光源1に供給する高周波電流重畳回路からなる。
この形態については後述する実施例2で詳細を説明する。
また、差動型レーザドップラ速度計のさらなる小型化を図るために、図2での周波数シフト素子4とλ/4波長板85、86を取り外した形態としても良い。この場合、周波数シフト素子4を取り外したため、レーザドップラ速度計は小型で安価となるが、移動する物体0の移動方向(移動の極性)は検出できなくなる。
この形態については後述する実施例3で詳細を説明する。
なお、摺動部に係止する部材はミラー81、83に限らない。レーザドップラ速度計測装置としての機能を阻害しなければ、レーザドップラ速度計測装置を構成する他の部材をこれらと共に係止しても良い。
また、ミラー83で反射されるのが0次回折光51であり、ミラー81で反射されるのが1次回折光52であったが、その形態でなくてもよい。例えば、ミラー83で反射されるのが1次回折光で、ミラー81で反射されるのが0次回折光である形態であってもよい。
[実施例2]
図3は、実施例2のレーザドップラ速度計の光学部分の構成図である。実施例2は、レーザドップラ速度計のレーザ光源1の反射戻り光耐力を向上させた形態であり、半導体レーザ光源1に反射戻り光対策のための高周波電流重畳機構を用いている。図3の構成は、実施例1(図1、2)の構成に半導体レーザ光源1の周辺に追加の電気回路を取り付けたもので、他の構成は実施例1と同様(特に光路長調整機構の構成は同様)であるため、ここでは、図3の半導体レーザ光源1の回りの構成とその効果について、説明する。
一般に、半導体レーザの発振中に、その出射光が外部の反射物体にて反射し、半導体レーザに戻ってくると、半導体レーザ内で干渉を起こし、光の雑音を発生する。この戻り光による半導体レーザの光の雑音の発生は、半導体レーザがマルチモード動作の時でも起こる。レーザドップラ速度計の半導体レーザに光の戻り光が発生すると、そのレーザ出射光に雑音が発生し、散乱光を受信した受光素子からの電気信号のビート信号では信号雑音比が低下する。結果、信号雑音比の低下によりビート信号の周波数判別が不可能となり、レーザドップラ速度計が動作しなくなるという不具合が発生する場合がある。
この問題を軽減すべく図3の半導体レーザ光源1の駆動回路に高周波電流重畳機構を取り付けた。この高周波電流重畳機構は、発振周波数600MHzの発振器91とその発振器出力を半導体レーザ光源1に供給する高周波電流重畳回路92からなる。
高周波電流重畳回路は、600MHzの電流信号を変調度140%で半導体レーザ光源1に注入している。変調度140%とは、半導体レーザの閾値電流より下方に600MHz強度信号の下部が設定されている状態となる。
レーザ光源1は、マルチモード動作した波長660nmの半導体レーザである。光の出力と波長を安定させるために、レーザに注入する電流制御とレーザ素子の温度制御を行っている。上記の高周波電流重畳機構により、半導体レーザ光源1のマルチモードのスペクトルは、帯域0.5nmで、帯域内で輝線スペクトルの包絡線プロファイルがガウス型をした左右対称の形状となった。半導体レーザ光源1の活性層の利得プロファイルに沿った強度で各輝線スペクトルが均等に発振した。
一方、高周波電流重畳を施さない場合は、半導体レーザ光源1のマルチモードのスペクトルは帯域0.5nmで、帯域内で特定の輝線スペクトルが強く発振し、左右非対称の形状となった。この高周波電流重畳を施さない場合に、半導体レーザ光源1にレーザ出力の5%の反射戻り光を入射させると、前記の特定の輝線スペクトルの強度は更に強くなり、半導体レーザ光源1からの光出力には強度がランダムに変化する雑音成分が発生した。この雑音成分の発生は、受光素子9からの電気信号のビート信号の信号雑音比の劣化を招き、レーザドップラ速度計に感度低下を引き起こす。
他方、高周波電流重畳を施した半導体レーザ光源1に5%の反射戻り光を入手させても、半導体レーザ光源1のスペクトラム形状はガウス型プロファイルのまま変わらず、その光出力には雑音成分の発生はなかった。その結果、光路差長調整機構による調整作業がし易くなった。また、高周波電流重畳により半導体レーザ光源1の反射耐力が向上し、より過酷な環境でもレーザドップラ速度計の動作が可能となった。
図3に示すように、高周波電流重畳を施したレーザドップラ速度計を構成し、動作を確認した。移動する物体0は、有機系フィルムとし、円盤に付けて回転させた。有機系フィルムは、高分子系の物質であり、光の反射が多くかつ散乱光の偏波面の乱れが大きいので、レーザドップラ速度計では速度検出が難しい。
結果、半導体レーザ光源1での反射戻り光による雑音発生もなく、受光素子9からの電気信号から十分な信号雑音比を有するビート信号成分も観測し、ビート信号の周波数から移動する物体0の移動速度を正確に求めることができた。
[実施例3]
図4は、実施例3のレーザドップラ速度計の光学部分の構成図である。実施例3は、差動型レーザドップラ速度計のさらなる小型化を図るために、実施例1(図1、2)での周波数シフト素子4とλ/4波長板85、86を取り外した形態である。周波数シフト素子4を取り外したため、図4のレーザドップラ速度計は、小型で安価となるが、移動する物体0の移動方向(移動の極性)は検出できなくなる。
図4において、レーザ光源1は、マルチモード動作した波長660nmの半導体レーザである。光の出力と波長を安定させるために、レーザに注入する電流制御とレーザ素子の温度制御を行っている。マルチモード動作でのスペクトル占有帯域は0.5nm、コヒーレンス長は0.8mmであった。レーザ光源1からから出射されるレーザビームは、コリメータレンズ2で平行ビームになるように調整した。この出射光を無偏光ビームスプリッタ121に入射して直進する第一のビーム122と90度反射す横方向に向かう第二のビーム123に分離する。図4での第一のビーム122と第二のビーム123は、周波数シフトが発生していない同じ光周波数のビームである。第一のビーム122は、ミラー83で反射させて移動する物体0に照射する。第二のビーム123は、ミラー81で反射させて移動する物体0に照射する。
ここで、ミラー83は、第一のビーム122の入射方向に対し平行に摺動可能な構成 であり、第一のビーム122の光路長を調整する。ミラー81は、第二のビーム123の入射方向に対し平行に摺動可能な構成であり、第二のビーム123光路長を調整する。移動する物体0で散乱された光は、レンズ8で集光後、ミラー84で90度曲げられて、受光素子9にて光電変換を受ける。
その電気信号出力のビート信号周波数は、移動する物体0の速度の絶対値に比例して0Hzから変位する。このビート信号の周波数を電気信号を処理することにより、物体0の移動速度を算出する。
図4の光路差長調整は、実施例1(図1、2)と同様である。すなわち、ミラー81とミラー83を同一方向に動かすことにより行う。第一のビーム122側の光路を大きくしたい場合はミラー81とミラー83を右方向に摺動させ、第二のビーム123側の光路を大きくしたい場合はミラー81とミラー83を左方向に摺動させる。この状態で、移動する物体0の移動速度を測定した。移動する物体0は、コンクリート片とし、円盤に付けて回転させた。また、受光素子9からの電気信号出力のビート信号成分が最大となるようミラー81とミラー83の位置を調整した。結果、移動する物体0からの散乱光に、光の干渉を確認することができた。また、受光素子9からの電気信号には、十分な強度のビート信号成分も観測した。このビート信号の周波数から、移動する物体0の移動速度を求めることができた。
また、本実施例では、小型化のために直線偏光によるレーザドップラ速度計を構成したが、λ/4波長板をそれぞれ、第一のビーム122、第二のビーム123内に挿入し、双方の偏波を円偏波として偏波依存のある物体0に対応することもできる。
[実施例4]
図5は、実施例4のレーザドップラ速度計の光学部分の構成図である。図5の摺動部はミラー81、83と係止されていたのに対し、図5の摺動部は、偏光ビームスプリッタ4と係止されている。すなわち、光路長調整時にミラ-81とミラー83は摺動せず、偏光ビームスプリッタ4が摺動する。その他の構成は実施例1(図1、2)と同じである。
偏光ビームスプリッタ4の形状は10mm(縦)×10mm(横)×10mm(高)の立方体であり、調整のための摺動距離は1mm以下である。偏光ビームスプリッタ4の摺動位置が変わった場合、0次回折光51の光路に変化はないが、1次回折光52はその反射点が変化するため、その光路長が変化する。この構成によっても2つの光路長差をコヒーレント長以下に抑えることが可能となる。また、実施例1(図1、2)と同様の効果を奏する。さらに実施例1の構成に比べ摺動部分が少ないので、製造工程が簡略化できるとともに、より短時間での調整が可能となる。したがって、低コスト化に繋がる。
なお、偏光ビームスプリッタ4の摺動方向は図5では紙面のXY面(水平面)内において、偏光ビームスプリッタ4とミラー81を結ぶ光路に対して平行方向であり、そのことによって実施例1と同様の効果を奏するが、実施例4においては必ずしもその方向に限定しなくてもよい。紙面のXY面(水平面)内であれば、他の方向でも同様の効果を奏する場合がある。例えば、偏光ビームスプリッタ4とミラー81を結ぶ光路に対して、垂直方向(物体0からの散乱光と同じ方向)に動かしても同様の効果を奏する。
なお、摺動部に係止する部材は偏光ビームスプリッタ4に限らない。レーザドップラ速度計測装置としての機能を阻害しなければ、レーザドップラ速度計測装置を構成する他の部材をこれと共に係止しても良い。
本発明での実施例では、波長660nmでの動作例を示したが、本発明での使用波長は660nm帯に限らない。波長は、405nmの青紫色、460nm帯の青色、530nm帯の緑色、高出力の1000nm帯、1300nm、1550nm帯の光通信用の波長帯でも、レーザや光検出器が動作可能である限り動作は可能である。この場合のコヒーレンス長は、概ね0.3mm~1.2mmである。
本発明は、測定対象物の速度や長さ及び距離を非接触で正確に測ることができる。そのため、本発明は、製鉄業の圧延工程における鋼片の寸法測定や圧延工程などの速度制御、鉄道での列車等移動物体の正確な速度や走行距離の計測及びレール等の正確な速度や長さ計測、道路インフラでの検測車等移動物体の正確な速度や移動距離の計測、自動車関連での車両の正確な速度や走行軌跡の計測、エンジン・ウインドウ・ドア等の可動物の正確な速度や距離の計測、電力業界・航空業界・船舶業界におけるエンジン・発電機等回転物の正確な速度の計測、化学工業・建設業・製造業・食品業・医療関係などの産業機器での開発機器・製造製品・製造装置における物質・材料の正確な速度や長さの計測に適用することができる。また、流体の流速や血流速の計測にも適用することができる。
1 レーザ光源
2 コリメータレンズ
3 周波数シフト素子
4 偏光ビームスプリッタ
5 λ/2波長板
6 無偏光ビームスプリッタ
7 ミラー
8 レンズ
9 受光素子
10 増幅器
11 水晶発振器
12 PLL発振器
13 ミキサ
14 ローパスフィルタ
15 A/Dコンバータ
16 デジタル演算器
17 デジタル信号発生器
18 D/Aコンバータ
19 カウンタ
20 CPU
51 0次回折光
52 1次回折光
71 光路差長調整器
72、73 ミラー
74 コーナーキューブ・リフレクタ
81、82、83、84 ミラー
85、86 λ/4波長板
91 発振器
92 高周波電流重畳回路
101 レーザ
102 レンズ
103 周波数シフト変調器
104 105 ミラー
106、107 レンズ
108 ウォラストンプリズム
109 ミラー
110 レンズ
111 ミラー
112 レンズ
113 移動物体表面
114 レンズ
116 偏光プリズム
117、118 光検出器
121 無偏光ビームスプリッタ
122 第一のビーム
123 第二のビーム
201 半導体レーザ
202 レンズ
203 回折格子
204 レンズ
205 ガラス管
206 光検出器
0 物体
R レール穴
S 摺動部
N 支柱(摺動支持部)

上記課題を解決するための発明は、光源から移動する物体にレーザ光を照射し、移動する物体からの散乱光を受けて移動する物体の速度を計測する差動型レーザドップラ速度計に於いて、マルチモード動作の半導体レーザ光源と、該レーザ光源からのレーザビームを平行ビームにするコリメータレンズと、平行ビームを二分するビームスプリッタと、ビームスプリッタで二分されたレーザビームを反射して物体に照射する第1および第2のミラーと、光路長調整機構と、前記移動する物体からの散乱光を集光するレンズを含む光学系を備え、前記光路長調整機構は、前記ビームスプリッタから出て移動する物体に照射される双方のレーザビーム間の光路差長を前記レーザ光源のコヒーレンス長以下に調整すること、及び、前記第1のミラーおよび第2のミラーを同一方向かつ同時に摺動可能とすること、を特徴とする。
上記課題を解決するための発明は、光源から移動する物体にレーザ光を照射し、移動する物体からの散乱光を受けて移動する物体の速度を計測する差動型レーザドップラ速度計に於いて、マルチモード動作の半導体レーザ光源と、該レーザ光源からのレーザビームを平行ビームにするコリメータレンズと、平行ビームを二分するビームスプリッタと、ビームスプリッタで二分されたレーザビームを反射して物体に照射する第1および第2のミラーと、光路長調整機構と、前記移動する物体からの散乱光を集光するレンズを含む光学系を備え、前記光路長調整機構は、前記ビームスプリッタから出て移動する物体に照射される双方のレーザビーム間の光路差長を前記レーザ光源のコヒーレンス長以下に調整すること、及び、摺動支持部と、第1のミラーおよび第2のミラーが係止されるとともに、前記摺動支持部に沿って摺動可能な摺動部とからなること、を特徴とする。
上記課題を解決するための発明は、光源から移動する物体にレーザ光を照射し、移動する物体からの散乱光を受けて移動する物体の速度を計測する差動型レーザドップラ速度計に於いて、マルチモード動作の半導体レーザ光源と、該レーザ光源からのレーザビームを平行ビームにするコリメータレンズと、平行ビームを二分するビームスプリッタと、ビームスプリッタで二分されたレーザビームを反射して物体に照射する第1および第2のミラーと、光路長調整機構と、前記移動する物体からの散乱光を集光するレンズを含む光学系を備え、前記光路長調整機構は、前記ビームスプリッタから出て移動する物体に照射される双方のレーザビーム間の光路差長を前記レーザ光源のコヒーレンス長以下に調整すること、及び、前記ビームスプリッタを摺動可能とすることを特徴とする。
また、前記光路長調整機構は、摺動支持部と、前記ビームスプリッタが係止されるとともに、前記摺動支持部に沿って摺動可能な摺動部とからなることを特徴とする。
上記課題を解決するための発明は、光源から移動する物体にレーザ光を照射し、移動する物体からの散乱光を受けて移動する物体の速度を計測する差動型レーザドップラ速度計に於いて、マルチモード動作の半導体レーザ光源と、該レーザ光源からのレーザビームを平行ビームにするコリメータレンズと、平行ビームを二分するビームスプリッタと、ビームスプリッタで二分されたレーザビームを反射して物体に照射する第1および第2のミラーと、光路長調整機構と、前記移動する物体からの散乱光を集光するレンズを含む光学系を備え、前記光路長調整機構は、前記ビームスプリッタから出て移動する物体に照射される双方のレーザビーム間の光路差長を前記レーザ光源のコヒーレンス長以下に調整すること、及び、摺動支持部と、前記ビームスプリッタが係止されるとともに、前記摺動支持部に沿って摺動可能な摺動部と、からなることを特徴とする。

Claims (6)

  1. 光源から移動する物体にレーザ光を照射し、移動する物体からの散乱光を受けて移動する物体の速度を計測する差動型レーザドップラ速度計に於いて、
    マルチモード動作の半導体レーザ光源と、該レーザ光源からのレーザビームを平行ビームにするコリメータレンズと、平行ビームを二分するビームスプリッタと、ビームスプリッタで二分されたレーザビームを反射して物体に照射する第1および第2のミラーと、光路長調整機構と、前記移動する物体からの散乱光を集光するレンズを含む光学系を備え、
    前記光路長調整機構は、前記ビームスプリッタから出て移動する物体に照射される双方のレーザビーム間の光路差長を前記レーザ光源のコヒーレンス長以下に調整すること、を特徴とするレーザドップラ速度計測装置。
  2. 前記光路長調整機構は、前記第1のミラーおよび第2のミラーを同一方向かつ同時に摺動可能とすることを特徴とする請求項1に記載のレーザドップラ速度計測装置。
  3. 前記光路長調整機構は、摺動支持部と、第1のミラーおよび第2のミラーが係止されるとともに、前記摺動支持部に沿って摺動可能な摺動部とからなることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザドップラ速度計測装置。
  4. 前記光路長調整機構は、前記ビームスプリッタを摺動可能とすることを特徴とする請求項1に記載のレーザドップラ速度計測装置。
  5. 前記光路長調整機構は、摺動支持部と、前記ビームスプリッタが係止されるとともに、前記摺動支持部に沿って摺動可能な摺動部とからなることを特徴とする請求項1または4に記載のレーザドップラ速度計測装置。
  6. 前記第1のミラーおよび第2のミラーの両者の位置合わせをして前記摺動部に係止した後、前記摺動部を装置に組み前記摺動支持部に沿って摺動させることで光路長調整することを特徴とする請求項3に記載のレーザドップラ速度計測装置の製造方法。
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