JP2022015439A - セラミックハニカム構造体 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022015439000001
【課題】PM捕集初期(1g/L)の圧力損失を従来よりも低下させることで、排ガス中のPM粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集するPM捕集率を有し、PM捕集後の圧力損失が低下するとともに、耐熱衝撃性がさらに改善されたセラミックハニカム構造体の提供。
【解決手段】全細孔容積が0.54~0.62cm3/g、1μm以上の細孔容積が0.53~0.61cm3/g、2μm以上が0.51~0.59cm3/g、5μm以上が0.48~0.55cm3/g、10μm以上が0.41~0.49cm3/g、15μm以上が0.21~0.40cm3/g、20μm以上が0.08~0.25cm3/g、30μm以上が0.025~0.075cm3/g、50μm以上が0.015~0.037cm3/g、100μm以上が0.005~0.025cm3/g、200μm以上が0.015cm3/g以下であるセラミックハニカム構造体。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中の粒子状物質(パティキュレートマター(以下、「PM」という場合がある。))等を除去し、排ガスを浄化するためのセラミックハニカムフィルタ、特に粒径50nm以下の微粒子(いわゆるナノ粒子)を除去するためのセラミックハニカムフィルタに用いられるセラミックハニカム構造体に関する。
ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれるNOxやPMが大気中に放出されると人体や環境に悪影響を与えるおそれがあるため、排気装置としてディーゼルエンジンの排気管の途中に、NOx触媒を担持したハニカム構造体と、PMを捕集するためのセラミックハニカムフィルタを装着することが従来から行われている。排気ガス中のPMを捕集し排気ガスを浄化するためのセラミックハニカムフィルタの一例を図1及び図2に示す。セラミックハニカムフィルタ10は、多数の流路3、4を形成する多孔質の隔壁2と外周壁1とからなるセラミックハニカム構造体と、流路3、4の排気ガス流入側端面8及び流出側端面9を市松模様に交互に封止する流入側封止部6a、流出側封止部6cとからなる。
セラミックハニカムフィルタ10において、排気ガスは、図2に点線矢印で示すように、排気ガス流入側端面8に開口している流出側封止流路3から流入し、隔壁2の表面及び内部に存在する連通孔を通過する際に、排気ガス中のPMが捕集され排気ガスの浄化が行われる。浄化された排気ガスは、排気ガス流出側端面9に開口している流入側封止流路4から流出し、大気中に放出される。
隔壁2にPMが捕集され続けると、隔壁の表面及び内部の連通孔がPMにより目詰まりしてしまい、排気ガスがセラミックハニカムフィルタを通過する際の圧力損失が上昇する。このため、圧力損失が規定値に達する前にPMを燃焼除去してセラミックハニカムフィルタを再生する必要がある。セラミックハニカムフィルタは、微粒子の高い捕集率、及び低圧力損失を満足する必要があるが、両者は相反する関係にあるため、気孔率、細孔容積、隔壁表面に存在する細孔の大きさ等を制御して両者を満足させる技術が従来から検討されている。
特許文献1には、多孔質セラミックハニカム構造体において、(ERT)が25℃での室温弾性率であり、(EH)が1000℃での高温弾性率であり、E=EH/ERTである比(E)≦1.05、および(MORRT)が室温での破壊係数強度であり、(CTEH)が500~900℃の間の高温熱膨張係数であり、(TSP)がTSP=MORRT/[ERT][CTEH]として定義される熱衝撃パラメータであるTSP≧525℃、を示すコージエライトセラミック主相を有してなる多孔質セラミックハニカム構造体が開示されている。そして、コージエライトセラミックハニカム体は、高い耐熱衝撃性および低い熱膨張係数を示すことが記載されている。
特許文献2には、多孔質の隔壁で仕切られた多数の流路を有するセラミックハニカム構造体であって、前記隔壁は、(a)気孔率が55~80%、(b)水銀圧入法により測定されたメジアン細孔径D50が5~27μm、(c)表面に開口した細孔の開口面積率が20%以上、(d)表面に開口した細孔を円相当径で表した場合の面積基準でのメジアン開口径d50が10~45μm、(e)表面に開口した細孔の円相当径が10μm以上40μm未満の細孔密度が350個/mm2以上、(f)細孔分布を水銀圧入法により測定した時の細孔径に対する累積細孔容積を示す曲線の傾きの最大値が1.6以上、及び(g)前記メジアン細孔径D50とメジアン開口径d50との比D50/d50が0.65以下であることを特徴とするセラミックハニカム構造体が開示されている。そして、PMが堆積する前の状態であっても、排出される粒子数量に大きく影響するナノ粒子を有効に捕集し、PM粒子数基準での捕集率を改善するとともに、PMが捕集され蓄積した際の圧力損失特性の悪化程度を低減することが記載されている。
また、PM中には、粒径50nm以下の、いわゆるナノ粒子が多数存在する。これらのナノ粒子は、それより大きな同質量の粒子を吸入した場合に比べて、体内に吸入した場合の呼吸器系への沈着率が高い。また、ナノ粒子は体積当たりの表面積が相対的に大きいため、粒子表面に毒性を有する化学物質が吸着した場合、より強い毒性を有するPM粒子となるおそれがある。そして、PM中に含まれるナノ粒子は質量的には少ないため、現行のPM質量基準の規制では不十分であり、今後の排出ガス規制として、排出される粒子数量に大きく影響するナノ粒子の排出を抑制するための基準(PM粒子数基準)の導入が進められている。この基準が設けられると、ハニカムフィルタには優れた圧力損失特性に加えて、現行のPM質量基準での捕集率ではなく、PM粒子数、とりわけナノ粒子数基準での捕集率を向上させることが必要となる。
特許文献3には、多孔質の隔壁で仕切られた多数の流路を有するセラミックハニカム構造体であって、前記隔壁は、(a)気孔率が55~65%、(b)水銀圧入法により測定された細孔分布において、(i)累積細孔容積が全細孔容積の2%となる細孔径d2が100~180μm、5%となる細孔径d5が55~150μm、10%となる細孔径d10が20μm以上及び50μm未満、50%となる細孔径(メジアン細孔径)d50が12~23μm、85%となる細孔径d85が6μm以上10μm未満、90%となる細孔径d90が4~8μm、98%となる細孔径d98が3.5μm以下、(d10-d90)/d50が1.3~2、(d50-d90)/d50が0.45~0.7、及び (d10-d50)/d50が0.75~1.4であり、(ii)累積細孔容積が全細孔容積の20%となる細孔径d20の対数と80%となる細孔径d80の対数との差σ=log(d20)-log(d80)が0.39以下であり、(iii)100μm超の細孔容積が0.05 cm3/g以下であることを特徴とするセラミックハニカム構造体が開示されている。そして、使用開始初期のPMが堆積する前の状態(セラミックハニカムフィルタを未使用の状態から使用する時、又は再生処理した後再び使用する時)であっても、排ガス中の粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集することができ、PM粒子数基準での捕集率が改善され、かつPMが捕集され蓄積した際の圧力損失特性が低下しないことが記載されている。
特許文献4には、多孔質の隔壁で仕切られた多数の流路を有するセラミックハニカム構造体であって、前記隔壁は、(a)気孔率が50~60%、(b)水銀圧入法により測定された細孔分布において、(i)累積細孔容積が全細孔容積の5%となる細孔径d5が22μm以上55μm未満、10%となる細孔径d10が15~35μm、50%となる細孔径(メジアン細孔径)d50が10~20μm、85%となる細孔径d85が5~9μm、90%となる細孔径d90が3~8μm、98%となる細孔径d98が2.5μm以下、(d10-d90)/d50が1.3~1.8、(d50-d90)/d50が0.45~0.75、及び(d10-d50)/d50が0.75~1.1であり、(ii)累積細孔容積が全細孔容積の20%となる細孔径d20の対数と80%となる細孔径d80の対数との差σ=log(d20)-log(d80)が0.39以下であるセラミックハニカム構造体が開示されている。そして、使用開始初期のPMが堆積する前の状態(セラミックハニカムフィルタを未使用の状態から使用する時、又は再生処理した後再び使用する時)であっても、排ガス中の粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集することができ、PM粒子数基準での捕集率が改善され、PMが捕集された際の圧力損失特性が低下しないことが記載されている。
特許文献5には、多孔質の隔壁で仕切られた多数の流路を有するセラミックハニカム構造体であって、前記隔壁は、(a)気孔率が50~63%、(b)水銀圧入法により測定された細孔分布において、(i)累積細孔容積が全細孔容積の2%となる細孔径d2が180μm超250μm以下、5%となる細孔径d5が55~150μm、10%となる細孔径d10が17~40μm、50%となる細孔径(メジアン細孔径)d50が10~20μm、85%となる細孔径d85が5.5~10μm、90%となる細孔径d90が3.5~9μm、98%となる細孔径d98が2.5μm以下、(d10-d90)/d50が1.3~2、(d50-d90)/d50が0.45~0.75、及び(d10-d50)/d50が0.75~1.4であり、(ii)累積細孔容積が全細孔容積の20%となる細孔径d20の対数と80%となる細孔径d80の対数との差σ=log(d20)-log(d80)が0.39以下であり、(iii)100μm超の細孔容積が0.03 cm3/g以下であるセラミックハニカム構造体が開示されている。そして、使用開始初期のPMが堆積する前の状態(セラミックハニカムフィルタを未使用の状態から使用する時、又は再生処理した後再び使用する時)であっても、排ガス中の粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集することができ、PM粒子数基準での捕集率が改善され、PMが捕集された際の圧力損失特性が低下しないことが記載されている。
特表2009-542569号 国際公開第2011/102487号 国際公開第2015/046012号 国際公開第2016/152709号 国際公開第2016/152727号
近年の排出ガス規制のさらなる強化により、NOxの排出量規制が強化されており、NOxの浄化性能を向上させる触媒を適用する検討が進められている。排気装置は、酸化触媒、PMを捕集するフィルタ、NOxを浄化するNOx触媒等が配置されるが、NOxの浄化性能を向上させようとすると、NOx触媒の圧力損失が従来と比べて高くなる場合がある。しかし、排気装置としての圧力損失は従来と同等を保ちつつ、耐熱衝撃性を維持する必要があるため、フィルタの圧力損失を低下させるとともにフィルタの耐熱衝撃性を維持する必要がある。セラミックハニカムフィルタの圧力損失の評価は、例えば特許文献4に記載されるように、PM捕集後の圧力損失は、平均粒径0.11μmの燃焼煤を1.3g/hの速度で投入し、フィルタ体積1リットルあたりの煤付着量が2gとなった時の流入側と流出側との差圧(圧力損失)で評価している。しかしながら、排ガス中のPM粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集して、セラミックハニカムフィルタの圧力損失を低下するためには、ナノサイズのPMの捕集に最も影響し、ディーゼルエンジンの常用域であって、PM捕集の初期であるフィルタ体積1リットルあたりの煤付着量が1g(以下、1g/L)の場合の圧力損失をこれまでよりもさらに低下させる必要がある。
特許文献1、特許文献2に記載されたセラミックハニカム構造体においては、PM捕集初期の圧力損失特性は良好であるものの、排ガス中の粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集することができない場合がある。
また、特許文献3、特許文献4、特許文献5に記載されたセラミックハニカム構造体においては、使用開始初期のPMが堆積する前の状態であっても、排ガス中の粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集することができる効果は認められるものの、PM捕集初期(1g/L)の圧力損失が高く、耐熱衝撃性のさらなる改善が望まれている。
従って、本発明の目的は、排ガス中のナノサイズのPMの捕集に最も影響するPM捕集初期(1g/L)の圧力損失を従来よりも低下させることで、PM粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集するPM捕集率を有し、PM捕集後の圧力損失が低下するとともに、耐熱衝撃性がさらに改善されたセラミックハニカム構造体を提供することにある。
上記目的を達成すべく、本発明者は、本発明のセラミックハニカム構造体の細孔分布に着目して、鋭意検討した結果本発明に想到した。すなわち、本発明のセラミックハニカム構造体は、多孔質の隔壁で仕切られ軸方向に形成された多数の流路を有するセラミックハニカム構造体であって、水銀圧入法により測定された前記隔壁の細孔分布曲線において、全細孔容積が0.54cm3/g~0.62cm3/g、1μm以上の細孔容積:0.53~0.61cm3/g、2μm以上の細孔容積:0.51~0.59cm3/g、5μm以上の細孔容積:0.48~0.55cm3/g、10μm以上の細孔容積:0.41~0.49cm3/g、15μm以上の細孔容積:0.21~0.40cm3/g、20μm以上の細孔容積:0.08~0.25cm3/g、30μm以上の細孔容積:0.025~0.075cm3/g、50μm以上の細孔容積:0.015~0.037cm3/g、100μm以上の細孔容積:0.005~0.025cm3/g、200μm以上の細孔容積:0.015cm3/g以下であることを特徴とする。
本発明のセラミックハニカム構造体において、累積細孔容積が全細孔容積の20%となる細孔径d20の対数と80%となる細孔径d80の対数との差σ=log(d20)-log(d80)が0.30~0.45であることが好ましい。
本発明のセラミックハニカム構造体において、40~800℃間の前記流路方向の熱膨張係数が5×10-7/℃~11×10-7/℃であることが好ましい。
本発明によれば、排ガス中のナノサイズのPMの捕集に最も影響するPM捕集初期(1g/L)の圧力損失を従来よりも低下させることで、PM粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集するPM捕集率を有し、PM捕集後の圧力損失が低下するとともに、耐熱衝撃性がさらに改善されたセラミックハニカム構造体を提供することができる。
セラミックハニカムフィルタの一例を模式的に示す正面図である。 セラミックハニカムフィルタの一例を模式的に示す軸方向に平行な断面図である。 水銀圧入法によって測定した実施例1のセラミックハニカム構造体の隔壁の細孔径と累積細孔容積との関係を示す累積細孔容積曲線である。 図3に示す累積細孔容積曲線での全細孔容積に対する割合を示した細孔容積曲線で、d20を求める方法を説明するためのグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
[1]セラミックハニカム構造体
本発明のセラミックハニカム構造体は、多孔質の隔壁で仕切られ軸方向に形成された多数の流路を有するセラミックハニカム構造体であって、水銀圧入法により測定された前記隔壁の細孔分布曲線において、全細孔容積が0.54cm3/g~0.62cm3/g、1μm以上の細孔容積:0.53~0.61cm3/g、2μm以上の細孔容積:0.51~0.59cm3/g、5μm以上の細孔容積:0.48~0.55cm3/g、10μm以上の細孔容積:0.41~0.49cm3/g、15μm以上の細孔容積:0.21~0.40cm3/g、20μm以上の細孔容積:0.08~0.25cm3/g、30μm以上の細孔容積:0.025~0.075cm3/g、50μm以上の細孔容積:0.015~0.037cm3/g、100μm以上の細孔容積:0.005~0.025cm3/g、200μm以上の細孔容積:0.015cm3/g以下である。
セラミックハニカム構造体がこのような構成を有することにより、排ガス中のナノサイズのPMの捕集に最も影響するPM捕集初期(1g/L)の圧力損失を従来よりも低下させることができ、PM粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集するPM捕集率を有することができ、PM捕集後の圧力損失が低下するとともに、耐熱衝撃性がさらに改善されたセラミックハニカム構造体を有することができる。
(a)隔壁の細孔分布
(i)全細孔容積
隔壁の全細孔容積は0.54cm3/g~0.62cm3/gである。前記全細孔容積が0.54cm3/g未満の場合、PMが捕集され蓄積した際の低い圧力損失を維持し難くなり、一方、前記全細孔容積が0.62cm3/g を超えると、ナノサイズのPM捕集率が低下するとともに、熱容量が小さくなって耐熱衝撃が改善され難くなる。前記全細孔容積の下限は、好ましくは0.55cm3/g以上、さらに好ましくは0.56cm3/g以上であり、上限は、好ましくは0.61cm3/g以下、さらに好ましくは0.60cm3/g以下である。なお隔壁の全細孔容積は後述の水銀圧入法で測定する。
(ii)1μm以上、2μm以上、5μm以上、10μm以上の細孔容積
1μm以上の細孔容積は0.53~0.61cm3/g、2μm以上の細孔容積は0.51~0.59cm3/g、5μm以上の細孔容積は0.48~0.55cm3/g、10μm以上の細孔容積は0.41~0.49cm3/gである。1μm以上、2μm以上、5μm以上、10μm以上の細孔容積がこのような範囲を有することで、排ガス中のナノサイズのPMの捕集に最も影響するPM捕集初期(1g/L)の圧力損失を従来よりも低下させることができ、PM粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集するPM捕集率を有することができ、PM捕集後の圧力損失を低下することができるとともに、耐熱衝撃性がさらに改善されることができる。そして、NOxの排出量規制が強化されてNOx触媒が担持されたハニカム構造体の圧力損失が従来と比べて悪化する場合であっても、排気装置としての圧力損失を従来と同等に保つことができる。
ここで、1μm以上の細孔容積が0.53cm3/g未満の場合、2μm以上の細孔容積が0.51cm3/g未満の場合、5μm以上の細孔容積が0.48cm3/g未満の場合、10μm以上の細孔容積が0.41cm3/g未満の場合、PM捕集初期(1g/L)の圧力損失を低減することが難しくなる。
一方、1μm以上の細孔容積が0.61cm3/gを超える場合、2μm以上の細孔容積が0.59cm3/gを超える場合、5μm以上の細孔容積が0.55cm3/gを超える場合、10μm以上の細孔容積が0.49cm3/gを超える場合、ナノサイズのPM捕集率が低下するとともに、熱容量が小さくなって耐熱衝撃性が改善され難くなる。
1μm以上の細孔容積の下限は好ましくは0.54cm3/g以上、さらに好ましくは0.55cm3/g以上であり、上限は、好ましくは0.60cm3/g以下、さらに好ましくは0.59cm3/g以下である。
2μm以上の細孔容積の下限は好ましくは0.52cm3/g以上、さらに好ましくは0.53cm3/g以上であり、上限は、好ましくは0.58cm3/g以下、さらに好ましくは0.57cm3/g以下である。
5μm以上の細孔容積の下限は好ましくは0.49cm3/g以上、さらに好ましくは0.50cm3/g以上であり、上限は、好ましくは0.54cm3/g以下、さらに好ましくは0.53cm3/g以下である。
10μm以上の細孔容積の下限は好ましくは0.42cm3/g以上、さらに好ましくは0.43cm3/g以上であり、上限は、好ましくは0.48cm3/g以下、さらに好ましくは0.47cm3/g以下である。
(iii)15μm以上、20μm以上、30μm以上、50μm以上の細孔容積
15μm以上の細孔容積は0.21~0.40cm3/g、20μm以上の細孔容積は0.08~0.25cm3/g、30μm以上の細孔容積は0.025~0.075cm3/g、50μm以上の細孔容積は0.015~0.037cm3/gである。15μm以上、20μm以上、30μm以上、50μm以上の細孔容積がこのような範囲を有することで、PM捕集初期(1g/L)の圧力損失を従来よりも低下させることができ、排ガス中のPM粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMを有効に捕集するPM捕集率を有することができ、PM捕集後の圧力損失を低下することができるとともに、耐熱衝撃性がさらに改善されることができる。そして、NOxの排出量規制が強化されてNOx触媒が担持されたハニカム構造体の圧力損失が従来と比べて悪化する場合であっても、排気装置としての圧力損失を従来と同等に保つことができる。
15μm以上の細孔容積が0.21cm3/g未満の場合、20μm以上の細孔容積が0.08cm3/g未満の場合、30μm以上の細孔容積が0.025cm3/g未満の場合、50μm以上の細孔容積が0.015cm3/g未満の場合、PM捕集初期(1g/L)の圧力損失を低減することが難しくなる。
一方、15μm以上の細孔容積が0.40cm3/gを超える場合、20μm以上の細孔容積が0.25cm3/gを超える場合、30μm以上の細孔容積が0.075cm3/gを超える場合、50μm以上の細孔容積が0.037cm3/gを超える場合、ナノサイズのPM捕集率が低下する場合がある。
15μm以上の細孔容積の下限は好ましくは0.22cm3/g以上、さらに好ましくは0.23cm3/g以上であり、上限は、好ましくは0.39cm3/g以下、さらに好ましくは0.38cm3/g以下である。
20μm以上の細孔容積の下限は好ましくは0.09cm3/g以上、さらに好ましくは0.10cm3/g以上であり、上限は、好ましくは0.24cm3/g以下、さらに好ましくは0.23cm3/g以下である。
30μm以上の細孔容積の下限は好ましくは0.030cm3/g以上であり、上限は、好ましくは0.070cm3/g以下である。
50μm以上の細孔容積の下限は好ましくは0.020cm3/g以上であり、上限は、好ましくは0.035cm3/g以下である。
(iv)100μm以上の細孔容積
100μm以上の細孔容積は0.005~0.025cm3/gである。100μm以上の細孔容積が0.005cm3/g未満の場合、PM捕集後の圧力損失を低減することが難しくなる。一方、100μm以上の細孔容積が0.025cm3/gを超える場合、ナノサイズのPM捕集率が低下する場合がある。100μm以上の細孔容積の下限は好ましくは0.010cm3/g以上であり、上限は、好ましくは0.020cm3/g以下である。
(v)200μm以上の細孔容積
200μm以上の細孔容積は0.015cm3/g以下である。200μm以上の細孔容積が0.015cm3/gを超える場合、ナノサイズのPM捕集率が低下する場合がある。200μm以上の細孔容積の上限は、好ましくは0.010cm3/g以下である。
(vii)d20の対数とd80の対数との差σ
水銀圧入法により測定された隔壁の細孔分布曲線において、累積細孔容積が全細孔容積の20%となる細孔径d20(μm)の対数と80%となる細孔径d80(μm)の対数との差σ=log(d20)-log(d80)は0.30~0.45であるのが好ましい。σは、細孔分布曲線においてd20とd80での傾きを表し、傾きが大きいつまりσが大きいほど細孔分布がシャープとなり、特定の大きさの細孔が多く存在することになる一方、傾きが小さい、つまりσが小さくなると、細孔分布はブロードとなり、様々な大きさの細孔が存在することになる。σが0.30未満の場合、ナノサイズの捕集に有効な細孔の存在が少なくなり、ナノサイズのPM捕集率が低下する。一方、σが0.45超の場合、圧力損失の低減に有効な細孔の存在量が少なくなるため、使用開始時の初期圧力損失を低く維持することが難しくなる。σの下限は好ましくは0.32以上であり、上限は、好ましくは0.43以下である。なお、本発明において対数とは、10を底とする常用対数をいう。ここで、水銀圧入法により測定された隔壁の細孔分布曲線とは、例えば図3に示すように、細孔径に対して累積細孔容積をプロットした曲線(累積細孔容積曲線)であり、細孔径の大きい側から小さい側に向かって積算して表したものである。
(viii)水銀圧入法
水銀圧入法による累積細孔容積の測定は、Micromeritics社製のオートポアIII 9410を使用して測定することができる。この測定は、セラミックハニカム構造体から切り出した試験片(10 mm×10 mm×10 mm)を測定セル内に収納し、セル内を減圧した後、水銀を導入して加圧したときに、試験片内に存在する細孔中に押し込まれた水銀の体積を求めることによって行う。この時加圧力が大きくなればなるほど、より微細な細孔にまで水銀が浸入するので、加圧力と細孔中に押し込まれた水銀の体積との関係から、細孔径と累積細孔容積(最大の細孔径から特定の細孔径までの細孔容積を累積した値)の関係を求めることができる。水銀の浸入は細孔径の大きいものから小さいものへと順次行われ、前記圧力を細孔径に換算し、細孔径の大きい側から小さい側に向かって積算した累積細孔容積(水銀の体積に相当)を細孔径に対してプロットし、例えば、図3に示すように、細孔径と累積細孔容積との関係を示すグラフを得る。本願において、水銀を導入する圧力は0.5 psi(0.35×10-3 kg/mm2、細孔径約362μmに相当)とし、水銀の加圧力が1800 psi(1.26 kg/mm2、細孔径約0.1μmに相当)での累積細孔容積を全細孔容積とする。
得られた水銀圧入法の測定結果から、全細孔容積、1μm以上の細孔容積、2μm以上の細孔容積、5μm以上の細孔容積、10μm以上の細孔容積、15μm以上の細孔容積、20μm以上の細孔容積、30μm以上の細孔容積、50μm以上の細孔容積、100μm以上の細孔容積、200μm以上の細孔容積を求め、さらに累積細孔容積が全細孔容積の20%となる細孔径d20の対数と80%となる細孔径d80の対数との差σ=log(d20)-log(d80)を算出する。本発明のセラミックハニカム構造体の隔壁の細孔分布は、横軸に対数で表した細孔径、縦軸にリニアで表した累積細孔容積のグラフにおいて、前記した各細孔容積での下限値を直線で結んだ範囲と、上限値を直線で結んだ範囲との間の領域にあることを特徴としている。
(b)熱膨張係数
セラミックハニカム構造体は、40~800℃間の流路方向の熱膨張係数が5×10-7/℃~11×10-7/℃であるのが好ましい。このような熱膨張係数を有するセラミックハニカム構造体は、高い耐熱衝撃性を有するので、ディーゼル機関の排出ガス中に含まれる微粒子を除去するためのセラミックハニカムフィルタとして、十分に実用に耐えることができる。前記熱膨張係数の下限は、好ましくは6×10-7/℃以上、さらに好ましくは7×10-7/℃以上、上限は好ましくは10×10-7/℃以下、さらに好ましくは9×10-7/℃以下である。
(c)隔壁構造
セラミックハニカム構造体は、平均隔壁厚さが6~14mil(0.152~0.356mm)、平均セル密度が150~300cpsi(23.3~46.5セル/cm2)であるのが好ましい。このような隔壁構造を有することで、使用開始時において圧力損失を低く維持でき、粒子数基準でのPM捕集率を改善することができるとともに、PM捕集初期(1g/L)の圧力損失が低減され、PMが捕集され蓄積した際の圧力損失特性が改良される。平均隔壁厚さが6mil未満の場合、隔壁の強度が低下し、一方14milを超える場合、低い圧力損失を維持することが難しくなる。好ましくは7~13mil(0.178~0.330mm)、さらに好ましくは8~12mil(0.203~0.305mm)である。平均セル密度が150c psi未満の場合、隔壁の強度が低下し、一方、300 cpsiを超える場合、低い圧力損失を維持することが難しくなる。セラミックハニカム構造体の流路方向に直交する断面での流路形状は、四角形、六角形、八角形等の多角形、円、楕円等のいずれでもよく、流入側端面と流出側端面とで大きさや形状が異なる(例えば流入側八角形、流出側四角形)非対称形状であっても良い。
(d)隔壁の材質
隔壁の材質としては、セラミックハニカム構造体の用途がディーゼルエンジンから排出される排気ガスを浄化するためのフィルタであることから、耐熱性を有するセラミックス、すなわちアルミナ、ムライト、コーディエライト、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、チタン酸アルミニウム、リチウムアルミニウムシリケート等を主結晶とするセラミックスであるのが好ましい。中でも耐熱衝撃性に優れる低熱膨張のコーディエライトを主結晶とするものが好ましい。主結晶相がコーディエライトである場合、スピネル、ムライト、サフィリン等の他の結晶相を含有しても良く、さらにガラス成分を含有しても良い。
[2]セラミックハニカムフィルタ
セラミックハニカムフィルタは、本発明のセラミックハニカム構造体の流路の排気ガス流入側又は排気ガス流出側を交互に目封止してなる。本発明のセラミックハニカム構造体を使用することで、使用開始時においては、低い圧力損失を維持できるとともに粒子数基準でのPM捕集率を改善することができ、さらにPMが捕集され蓄積した際の圧力損失特性が改良されたセラミックハニカムフィルタとすることができる。ここで、流路に形成される目封止は、流路の排気ガス流入側又は排気ガス流出側の端面部に形成しても良く、流入側端面又は流出側端面から流路内部に入った位置に形成してもよい。
[3]セラミックハニカム構造体の製造方法
本発明のセラミックハニカム構造体の製造方法を記載するが、以下に記載する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
セラミック原料粉末及び造孔材を含む坏土を所定の成形体に押出成形し、前記成形体を乾燥及び焼成する工程を有するセラミックハニカム構造体の製造方法であって、前記坏土に含まれる前記造孔材の割合が、前記セラミック原料粉末100質量部に対して外配で2~7質量部であり、前記セラミック原料粉末が、15~22質量%のシリカ、27~43質量%のタルク、15~30質量%のアルミナ、及び、1~13質量%のカオリンを含有し、前記シリカは、メジアン径D50が15~30μm、D10が5~20μm、D90が35~55μm、100μm以上の粒子径を有する粒子の割合が1質量%以下、粒度分布偏差SD1[ただし、SD1=log(D80)-log(D20)であり、D20は全体積の20%に相当する累積体積での粒子径、D80は全体積の80%に相当する累積体積での粒子径でありD20<D80である。]が0.25~0.45であり、前記タルクは、メジアン径D50が5~15μmであり、前記アルミナは、メジアン径D50が2~7μmであり、前記造孔材は、表面に無機粉体を有する中空の樹脂粒子であり、メジアン径D50が20~30μm、粒子径と累積体積との関係を示す曲線において、全体積の5%に相当する累積体積での粒子径D5が1~10μm、10%に相当する累積体積での粒子径D10が2~13μμm、90%に相当する累積体積での粒子径D90が35~45μm、粒度分布偏差SD2[ただし、SD2=log(D80)-log(D20)であり、D20は全体積の20%に相当する累積体積での粒子径、D80は全体積の80%に相当する累積体積での粒子径でありD20<D80である。]が0.40~0.55である。
このような方法により、水銀圧入法により測定された隔壁の細孔分布が、全細孔容積が0.54cm3/g~0.62cm3/g、1μm以上の細孔容積:0.53~0.61cm3/g、2μm以上の細孔容積:0.51~0.59cm3/g、5μm以上の細孔容積:0.48~0.55cm3/g、10μm以上の細孔容積:0.41~0.49cm3/g、15μm以上の細孔容積:0.21~0.40cm3/g、20μm以上の細孔容積:0.08~0.25cm3/g、30μm以上の細孔容積:0.025~0.075cm3/g、50μm以上の細孔容積:0.015~0.037cm3/g、100μm以上の細孔容積:0.005~0.025cm3/g、200μm以上の細孔容積:0.015cm3/g以下であるセラミックハニカム構造体を得ることができる。
セラミックスに形成される細孔は、焼成過程においてセラミック原料粉末と造孔材の表面に有する無機粉体の溶融によって生じる細孔と、造孔材が焼失して生じる細孔とからなる。従って、セラミック原料粉末及び造孔材のメジアン径及び粒度分布を上述した範囲とすることにより、セラミックスが焼成された際に生じる細孔を制御することができる。
本発明の製造方法においては、前記造孔材として表面に無機粉体を有する中空の樹脂粒子を使用することにより、セラミック原料粉末及び造孔材を含む成形体を焼成した時に、樹脂粒子が燃焼して空隙となるとともに、セラミック原料粉末と造孔材の表面に有する無機粉体が焼成して細孔が形成される。本発明においては、中実樹脂粒子に比べて燃焼による発熱量が少ない中空樹脂粒子を使用することにより成形体を焼成する過程での焼成割れが発生し難くなる。このとき、セラミック原料粉末が焼成して生じる細孔と樹脂粒子によって形成される細孔とが連通するため、隔壁表面から内部にかけての細孔の連通性が改良されるとともに、水銀圧入法で測定された隔壁の細孔分布を上記の範囲とすることができる。
このように、セラミック原料粉末が焼成して生じる細孔と造孔材から形成される細孔とを連通性良く所定の細孔分布に形成することにより、ナノサイズのPM捕集率と、PM捕集初期の圧力損失をより低減でき、結果、PM捕集後の圧力損失が向上されたセラミックハニカム構造体を得ることができる。
(a)セラミック原料粉末
セラミック原料粉末は、15~22質量%のシリカ、27~43質量%のタルク、15~30質量%のアルミナ、及び、1~13質量%のカオリンを含有する。前記セラミック原料粉末はコーディエライト化原料であるのが好ましい。コーディエライト化原料は、主結晶がコーディエライト(主成分の化学組成が42~56質量%のSiO2、30~45質量%のAl2O3及び12~16質量%のMgO)となるように、シリカ源成分、アルミナ源成分及びマグネシア源成分を有する各原料粉末を配合したものであり、例えば、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、水酸化アルミニウム等からなる。コーディエライトを主結晶とするセラミックスに形成される細孔は、セラミック原料のシリカ及びタルクが焼成されて生じる細孔と、造孔材の表面に有する無機粉体の溶融によって生じる細孔と、造孔材が燃焼されて生じる細孔によるものである。従って、前述の造孔材とともに、シリカ、タルク等のセラミック原料粉末の粒径及び粒度分布を調節することにより、コーディエライト質セラミックスが焼成された際に生じる細孔を制御することができる。中でもシリカと造孔材は、形成される細孔の大部分を占めることから、細孔構造に対する寄与が大きい。
(i)シリカ
シリカは、高温まで安定に存在し、1300℃以上で他の原料との反応により融点が下がり液相となって拡散し、細孔を形成することが知られている。このため、15~22質量%のシリカを含有すると、所望の量の細孔が得られる。15質量%未満の場合、隔壁に形成される細孔の数が少なくなるので、PMが捕集され蓄積した際の低い圧力損失が得られなくなる場合がある。一方、22質量%を超えてシリカを含有させると、主結晶をコーディエライトに維持するために、他のシリカ源成分であるカオリン及び/又はタルクを低減させなければならず、その結果、カオリンによって得られる低熱膨張化の効果(押出し成形時にカオリンが配向されることで得られる効果)が低減し耐熱衝撃性が低下する。シリカの含有量は、好ましくは17~21質量%である。
シリカは、メジアン径D50が15~30μm、粒子径と累積体積との関係を示す曲線において、全体積の10%に相当する累積体積での粒子径D10が5~20μm、同じく全体積の90%に相当する累積体積での粒子径D90が35~55μm、100μm以上の粒子径を有する粒子の割合が1質量%以下、粒度分布偏差SD1[ただし、SD1=log(D80)-log(D20)であり、D20は全体積の20%に相当する累積体積での粒子径、D80は全体積の80%に相当する累積体積での粒子径でありD20<D80である。]が0.25~0.45の粒子分布のものを使用する。シリカは、コーディエライト質セラミックスが焼成された際に形成される細孔構造に大きく寄与するため、このような粒子分布を有するシリカや後述するタルクを前記造孔材と組合せて使用することにより、特定の細孔分布、特に、5μm以上の細孔容積が0.48~0.55cm3/g、10μm以上の細孔容積が0.41~0.49cm3/g、30μm以上の細孔容積が0.025~0.075cm3/g、50μm以上の細孔容積が0.015~0.037cm3/gの範囲を有し、ナノサイズのPMが有効に捕集されてPM捕集率が維持されつつ、PM捕集初期(1g/L)の圧力損失特性が従来よりもより一層向上する本発明のセラミックハニカム構造体が得られる。
シリカのメジアン径D50が15μm未満の場合、隔壁に形成される細孔のうち微小細孔の割合が多くなり、PMが捕集され蓄積した際に圧力損失を上昇させる原因となる。一方、30μmを超える場合、粗大細孔が多くなり、ナノサイズのPM捕集率を低下させる。シリカのメジアン径D50は、下限は好ましくは16μm以上、さらに好ましくは17μm以上であり、上限は好ましくは28μm以下、さらに好ましくは26μm以下である。
シリカのD10が5μm未満の場合、隔壁に形成される細孔のうち圧力損失特性を悪化させる微小細孔の割合が多くなるので好ましくない。一方、20μmを超える場合、ナノサイズのPMが有効に捕集され難くなる場合がある。シリカのD10は、下限は好ましくは6μm以上、さらに好ましくは7μm以上であり、上限は好ましくは18μm以下、さらに好ましくは16μm以下である。
シリカのD90が35μm未満の場合、隔壁に形成される細孔のうち圧力損失特性を悪化させる微小細孔の割合が多くなるので好ましくない。一方、55μmを超える場合、ナノサイズのPM捕集率を低下させる粗大細孔の割合が多くなるので好ましくない。シリカのD90は、下限は好ましくは36μm以上、さらに好ましくは37μm以上であり、上限は好ましくは53μm以下、好ましくは51μm以下である。
100μm以上の粒子径を有するシリカの割合が1質量%を超える場合、粗大細孔が多くなりナノサイズのPM捕集率を低下させる。粒子径100μm以上のシリカの割合は、好ましくは0.5%以下である。
粒度分布偏差SD1が0.45を超える場合、ナノサイズのPM捕集率を低下させる粗大細孔の割合が多くなるので好ましくない。一方0.25未満の場合、隔壁に形成される細孔のうち微小細孔の割合が多くなり、PMが捕集され蓄積した際に圧力損失を上昇させる原因となる。上限は、好ましくは0.43以下、さらに好ましくは0.41以下であり、下限は、好ましくは0.27以上、さらに好ましくは0.29以上である。
前記シリカの真球度は、0.5以上であるのが好ましい。シリカの真球度が、0.5未満である場合、破壊の起点となり易い鋭角部を有する細孔が多くなりハニカム構造体の強度が低下する場合があるので好ましくない。シリカの真球度は、好ましくは0.6以上であり、さらに好ましくは0.7以上である。シリカ粒子の真球度は、シリカ粒子の投影面積を、シリカ粒子の重心を通り粒子外周の2点を結ぶ直線の最大値を直径とする円の面積で割った値であり、電子顕微鏡写真から画像解析装置で求めることができる。
前記シリカは結晶質のもの、又は非晶質のものを用いることができるが、粒度分布を調整する観点から非晶質のものが好ましい。非晶質シリカは高純度の天然珪石を高温溶融して製造したインゴットを粉砕して得ることができる。シリカは不純物としてNa2O、K2O、CaOを含有しても良いが、熱膨張係数が大きくなるのを防止するため、前記不純物の含有量は合計で0.1%以下であるのが好ましい。
真球度の高いシリカは、高純度の天然珪石を微粉砕し高温火炎の中に溶射することにより得られる。高温火炎の中への溶射によりシリカ粒子の溶融と球状化とを同時に行い、真球度の高い非晶質シリカを得ることができる。さらに、この球状シリカの粒度を分級等の方法により調整するのが好ましい。
(ii)カオリン
カオリンは1~13質量%含有する。カオリンの含有量が1質量%未満の場合は、押出し成形時にカオリンが配向されることで得られる低熱膨張化の効果が低減し、セラミックハニカム構造体の熱膨張係数が大きくなる。一方、カオリンを13質量%を超えて含有すると、主結晶をコーディエライトに維持するために、他のシリカ源成分であるシリカ及び/又はタルクを低減させなければならず、その結果、セラミックハニカム構造体の隔壁の細孔分布を本発明の範囲に調整することが困難になる場合がある。カオリンの含有量は、好ましくは4~8質量%である。
カオリンの板状結晶は、押出成形時に金型を通過する際に整流作用を受け、結晶のc軸がハニカム構造体の隔壁面に垂直に配向する。コーディエライトが生成する焼成過程でコーディエライト結晶はカオリン結晶のc軸の垂直方向に熱膨張が負であるc軸が成長し、ハニカム構造体の熱膨張係数を小さくすることができる。従って、カオリンの配向には、その形状が大きく影響する。カオリンの形状を定量的に示す指数である、カオリンのへき開指数は0.80以上であるのが好ましく、0.85以上であるのがさらに好ましい。カオリンのへき開指数は、特開2006-265034号に記載されているように、一定量のカオリンを容器内にプレス充填し、プレスした面のX線回折測定を行い、得られた(200)面、(020)面及び(002)面の各ピーク強度I(200)、I(020)及びI(002)から、次式:
へき開指数 = I(002)/[I(200)+I(020)+I(002)]
により求めることができる。へき開係数が大きいほどカオリン粒子の配向が良好であると言える。
(iii)タルク
タルクは27~43質量%含有する。タルクとしては、メジアン径D50が5~15μm、粒子径と累積体積(特定の粒子径以下の粒子体積を累積した値)との関係を示す曲線において、全体積の10%に相当する累積体積での粒子径D10が1~8μm、及び、同様に全体積の90%に相当する累積体積での粒子径D90が20~40μmであるタルクを用いる。タルクはMgOとSiO2を主成分とする化合物であり、焼成過程において周囲に存在するAl2O3成分と反応して溶融し、細孔を形成することが知られている。従って、Al2O3源原料と共に、粒子径の小さいタルクを配合することで、多数の小径細孔を隔壁中に分散させ、隔壁内の細孔の連通性を向上させることができる。タルクのメジアン径D50が5μm未満の場合、細孔の連通性が低くなり、PMが捕集され蓄積した際の圧力損失特性が低下する。一方、タルクのメジアン径D50が15μmを超える場合、粗大細孔が多くなり、ナノサイズのPM捕集率を低下させる。タルクのメジアン径D50は、好ましくは6~14μmであり、さらに好ましくは8~13μmである。
ここで、造孔材の樹脂粒子の表面に有する無機粉体としてタルクを用いた場合、コーディエライト化原料に配合するタルクの含有量は、造孔材に有するタルク分を勘案してコーディエライト化原料に添加するタルクの配合量を調整する。
タルクのD10の上限は、好ましくは7μm以下であり、さらに好ましくは6μm以下である。またタルクのD90は、好ましくは22~38μmであり、さらに好ましくは24~36μmである。
タルクは結晶相の主成分がコーディエライトであるセラミックハニカム構造体の熱膨張係数を低減する観点から、板状粒子であるのが好ましい。タルクの平板度を示す形態係数は、0.5以上であるのが好ましく、0.6以上であるのがより好ましく、0.7以上であるのが最も好ましい。前記形態係数は、米国特許第5,141,686号に記載されているように、板状粒子のタルクをX線回折測定し、得られた(004)面の回折強度Ix、及び(020)面の回折強度Iyから次式:
形態係数 = Ix/(Ix+2Iy)
により求めることができる。形態係数が大きいほどタルクの平板度が高い。
タルクは、不純物としてFe2O3、CaO、Na2O、K2O等を含有しても良い。Fe2O3の含有率は、所望の粒度分布を得るために、マグネシア源原料中、0.5~2.5質量%であるのが好ましく、Na2O、K2O及びCaOの含有率は、熱膨張係数を低くするという観点から、合計で0.5質量%以下であるのが好ましい。
(iv)アルミナ
アルミナは15~30質量%含有する。前記アルミナとして、メジアン径D50が2~7μmであり、粒子径と累積体積との関係を示す曲線において、全体積の90%に相当する累積体積での粒子径D90が5~20μmであり、25μm以上の粒子径を有する粒子の割合が0.5質量%以下であるアルミナを用いる。このようなメジアン径及び粒径分布を有するアルミナを配合することで、多数の小径細孔を隔壁中に分散させることができるため、隔壁内の細孔の連通性を向上させることができ、本発明のセラミックハニカム構造体が有する細孔分布の形成に貢献する。アルミナのメジアン径D50の下限は、好ましくは2.5μm以上、さらに好ましくは3.0μm以上であり、上限は、好ましくは6.5μm以下、さらに好ましくは6μm以下である。また、D90の下限は、好ましくは6μm以上、さらに好ましくは7μm以上であり、上限は、好ましくは19μm以下、さらに好ましくは18μm以下である。また、25μm以上の粒子径を有する粒子の割合は、好ましくは0.3質量%以下ある。
アルミナ源成分を有する原料としては、アルミナに加えて水酸化アルミニウムを使用するのが好ましい。アルミナ及び水酸化アルミニウム中の不純物であるNa2O、K2O及びCaOの含有量の合計は、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、最も好ましくは0.1質量%以下である。
(b)造孔材
(i)構造
本発明で使用する造孔材は、表面に無機粉体を有する中空の樹脂粒子からなり、その添加量は、セラミック原料粉末100質量部に対して外配で2~7質量部である。前記造孔材の添加量がこの範囲を外れると、前記細孔構造を有する隔壁が得られ難くなる。前記造孔材の添加量が2質量%未満である場合、全細孔容積が0.70cm3/g以上の隔壁が得られ難くなるので、PMが捕集され蓄積した際の圧力損失特性が悪化する。造孔材の添加量が15質量%を超えると、隔壁の全細孔容積が0.80cm3/gを超える場合があり、ナノサイズのPM捕集率が低下するとともに、セラミックハニカム構造体の強度が低下する場合がある。前記造孔材の添加量の下限は、好ましくは2.5質量部以上、さらに好ましくは3.0質量部以上であり、上限は、好ましくは6.5質量部以下、さらに好ましくは6.0質量部以下である。
前記造孔材のメジアン径D50は20~30μmである。前記メジアン径D50が20μm未満の場合、PMが捕集され蓄積した際の低い圧力損失を維持できない。前記メジアン径D50が30μmを超えると、形成される細孔が粗大になるので、ナノサイズのPM捕集率が低下するとともに、セラミックハニカム構造体の強度が低下する場合がある。前記造孔材のメジアン径D50の下限は、好ましくは21μm以上、さらに好ましくは22μm以上であり、上限は、好ましくは29μm以下、さらに好ましくは28μm以下である。
前記造孔材は、その粒子径と累積体積(特定の粒子径以下の粒子体積を累積した値)との関係を示す曲線において、全体積の5%に相当する累積体積での粒子径D5が1~10μm、全体積の10%に相当する累積体積での粒子径D10が2~13μm、全体積の90%に相当する累積体積での粒子径D90が35~45μm、粒度分布偏差SD2[ただし、SD2=log(D80)-log(D20)であり、D20は全体積の20%に相当する累積体積での粒子径、D80は全体積の80%に相当する累積体積での粒子径でありD20<D80である。]が0.40~0.55である。造孔材は、コーディエライト質セラミックスが焼成された際に形成される細孔構造に大きく寄与するため、前記造孔材がこのような粒径分布を有するとともに、後述するセラミック原料粉末の粒径及び粒度分布を調節することにより、前記細孔構造を有する隔壁が得られ易くなる。前記D5の下限は、好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上であり、上限は、好ましくは9μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。前記D10の下限は、3μm以上、さらに好ましくは4μm以上であり、上限は、好ましくは12μm以下、さらに好ましくは11μm以下である。前記D90の下限は、好ましくは36μm以上、さらに好ましくは37μm以上であり、上限は、好ましくは44μm以下、さらに好ましくは43μm以下である。前記粒度分布偏差SD2の下限は、好ましくは0.41以上、さらに好ましくは0.42以上であり、上限は、好ましくは0.54以下、さらに好ましくは0.53以下である。なお、D5<D10<D20<D50<D80<D90である。造孔材の粒子径は、日機装(株)製マイクロトラック粒度分布測定装置(MT3000)を用いて測定することができる。
前記造孔材の真球度は、0.5以上であるのが好ましい。前記造孔材の真球度が0.5未満である場合、破壊の起点となり易い鋭角部を有する細孔が多くなりハニカム構造体の強度が低下する場合があるので好ましくない。前記造孔材の真球度は、好ましくは0.7以上であり、さらに好ましくは0.8以上である。なお、造孔材の真球度は、造孔材の投影面積を、造孔材の重心を通り粒子外周の2点を結ぶ直線の最大値を直径とする円の面積で割った値であり、電子顕微鏡写真から画像解析装置で求めることができる。
(ii)樹脂粒子
中空の樹脂粒子としては発泡させた樹脂粒子が好ましい。造孔材として用いる樹脂としては、(ポリ)メタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアクリルエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、メチルメタクリレート・アクリロニトリル共重合体等が好適である。中空の樹脂粒子は、外殻厚さが0.1~3μm、炭化水素等のガスを内包させているもの、前記樹脂粒子の表面に70~95%の水分を含有し、真比重が0.01~0.05であるものを用いるのが好ましい。
(iii)無機粉体
中空樹脂の表面に有する無機粉体は、タルク、シリカ、カオリン、コーディエライト、アルミナ、水酸化アルミ、炭酸カルシウム、酸化チタンからなる群から選ばれた少なくとも1種類であるのが好ましい。中でも、セラミックハニカム構造体が耐熱衝撃性に優れる低熱膨張のコーディエライトを主結晶相とする場合、無機粉体としては、コーディエライト化原料であるタルク、シリカ、カオリン、アルミナ、水酸化アルミ、もしくはコーディエライトが好ましく、中でもタルクが最も好ましい。したがって、前記造孔材は、無機粉体がタルクであるタルクコート中空樹脂を用いることが好ましい。
中空樹脂の表面に有する無機粉体は、セラミック原料及び前記無機粉体が焼成された際に連通性良く細孔が形成されるために、前記無機粉体のメジアン径D50は0.2~16μmであるのが好ましく、0.4~14μmであるのがより好ましく、0.6~12μmであるのがさらに好ましい。
前記無機粉体のメジアン径D50(d)は前記樹脂粒子のメジアン径D50(D)に対して、d/Dが0.5以下となるように選択するのが好ましい。前記d/Dをこのような範囲とすることにより、前記無機粉体が前記樹脂粒子の表面に良好に付着させることができる。
(c)製造方法
セラミックハニカム構造体は、セラミック原料粉末及び造孔材に、バインダーを加えて乾式で混合した後、水、及び、必要に応じて分散剤、界面活性剤等の添加剤を加えて混練し、得られた可塑性の坏土を、公知の押出成形法、例えば、プランジャー式、スクリュー式等の押出成形法により、ハニカム構造体成形用の公知の押出成形用金型から押出してハニカム構造の成形体を形成し、この成形体を乾燥した後、必要に応じて端面及び外周等の加工を施し、焼成することによって製造する。
焼成は、連続炉又はバッチ炉を用いて、昇温及び冷却の速度を調整しながら行う。セラミック原料がコーディエライト化原料である場合、1350~1450℃で1~50時間保持し、コーディエライト主結晶が十分生成した後、室温まで冷却する。前記昇温速度は、特に外径150 mm以上、及び全長150 mm以上の大型のセラミックハニカム構造体を製造する場合、焼成過程で成形体に亀裂が発生しないよう、バインダーが分解する温度範囲(例えば150~350℃)では0.2~10℃/hr、コーディエライト化反応が進行する温度域(例えば1150~1400℃)では5~20℃/hrであるのが好ましい。冷却は、特に1400~1300℃の範囲では20~40℃/hの速度で行うのが好ましい。
得られたハニカム構造体は、公知の方法で所望の流路の端部を目封止することによりセラミックハニカムフィルタとすることができる。なお、この目封止部は、焼成前に形成してもよい。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1~2、比較例1~3)
セラミック原料粉末として表1~表5に示す粒子形状(粒径、粒度分布等)を有する、コーディエライト化原料粉末であるシリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム及びカオリンを、表8に示す添加量となるよう準備した。尚、実施例1~2と比較例1でのセラミック原料粉末であるタルクの添加量と、表6、7に示す表面に無機粉体(タルク)を有する造孔材(タルクコート中空樹脂)のタルク分の合計量が、コーディエライト組成に必要なタルクの配合比となる添加量とした。
このコーディエライト化原料粉末に、表6、7に示す粒度分布及び真比重の造孔材を表8に示す量で添加し、さらに、バインダーとしてメチルセルロースを添加して乾式で混合した後、水を加えて混練し、可塑性のセラミック坏土を作製した。造孔材粒子の真球度は、電子顕微鏡により撮影した粒子の画像から画像解析装置で求めた、投影面積A1、及び重心を通り粒子外周の2点を結ぶ直線の最大値を直径とする円の面積A2から、式:A1/A2で算出した値であり、20個の粒子についての平均値で示した。
Figure 2022015439000002
Figure 2022015439000003
Figure 2022015439000004
Figure 2022015439000005
Figure 2022015439000006
Figure 2022015439000007
Figure 2022015439000008
Figure 2022015439000009
シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン及び造孔材の粒径及び粒度分布は日機装(株)製マイクロトラック粒度分布測定装置(MT3000)を用いて測定し、粒度分布からメジアン径D50、粒子径25μm以上の割合、100μm以上の割合、D90、D80、D20、D10等を求めた。
得られた坏土を金型で押出してハニカム構造の成形体を作製した。
成形体を乾燥後、周縁部を除去加工し、焼成炉にて210時間のスケジュール(室温~150℃は10℃/h、150~350℃は2℃/hr、350~1150℃は20℃/h及び1150~1410℃は15℃/hrの平均速度で昇温、最高温度1410℃で25 hr保持、並びに1400~1300℃は30℃/hr、及び1300~100℃は80℃/hrの平均速度で冷却)で焼成した。焼成したセラミックハニカム体の外周に、非晶質シリカとコロイダルシリカとからなる外皮材をコーティングして乾燥させ、外径266.7mm、全長304.8mm、隔壁厚さ12mil(0.30mm)及びセル密度260cpsi(40.3セル/cm2)を有する実施例1~2及び比較例1~3のセラミックハニカム構造体を得た。
これらのセラミックハニカム構造体の流路端部に、交互に目封止されるように、コーディエライト化原料からなる目封止材スラリーを充填した後、目封止材スラリーの乾燥及び1400℃で焼成を行い、実施例及び比較例の各コーディエライト質セラミックハニカムフィルタを作製した。焼成後の目封止材の長さは7~10mmの範囲であった。各セラミックハニカムフィルタは、それぞれ同じものを2個ずつ作製した。
得られた実施例1~2及び比較例1~3のセラミックハニカムフィルタの1個を用いて、下記の方法で水銀圧入法による細孔分布の測定、熱膨張係数の測定を行った。
(a)細孔分布の測定
水銀圧入法による細孔分布の測定は、セラミックハニカムフィルタから切り出した試験片(10mm×10mm×10mm)を、Micromeritics社製オートポアIIIの測定セル内に収納し、セル内を減圧した後、水銀を導入して加圧し、加圧時の圧力と試験片内に存在する細孔中に押し込まれた水銀の体積との関係を求めることにより行った。前記圧力を細孔径に換算し、細孔径の大きい側から小さい側に向かって積算した累積細孔容積(水銀の体積に相当)を細孔径に対してプロットし、図3に示すように、細孔径と累積細孔容積との関係を示すグラフを得た。水銀を導入する圧力は0.5psi(0.35×10-3kg/mm2)とし、圧力から細孔径を算出する際の常数は、接触角=130°及び表面張力=484dyne/cmの値を使用した。そして、水銀の加圧力が1800psi(1.26kg/mm2、細孔径約0.1μmに相当)での累積細孔容積を全細孔容積とした。
得られた水銀圧入法の測定結果から、全細孔容積、1μm以上の細孔容積、2μm以上の細孔容積、5μm以上の細孔容積、10μm以上の細孔容積、15μm以上の細孔容積、20μm以上の細孔容積、30μm以上の細孔容積、50μm以上の細孔容積、100μm以上の細孔容積、200μm以上の細孔容積を求め、さらに累積細孔容積が全細孔容積の20%となる細孔径d20の対数と80%となる細孔径d80の対数との差σ=log(d20)-log(d80)を算出した。ここで細孔径d20、d80の値は、水銀圧入法の測定で得られた測定点のうち、各細孔径に最も近い前後の2つの測定点を内挿して求めた。例えば、d20の場合、図4に示すように、水銀圧入法の測定で得られた測定点のうち、累積細孔容積が全細孔容積の20%となる細孔径の値に最も近い前後の2つの測定点A及びBを直線で結び、その直線上で累積細孔容積が全細孔容積の20%となる点における細孔径をd20とした。これらの結果を表9、10に示す。
(b)熱膨張係数の測定
熱膨張係数は、4.5mm×4.5mmの断面形状及び50mmの長さの試験片を、長手方向が流路方向にほぼ一致するように切り出し、熱機械分析装置(TMA、リガク社製ThermoPlus、圧縮荷重方式/示差膨張方式)を用いて、一定荷重20gをかけながら、昇温速度10℃/minで室温から800℃まで加熱した時の全長方向の長さの増加量を測定して、40~800℃間の平均熱膨張係数として求めた。結果を表10に示す。
(c)PM捕集初期(1g/L)圧力損失
PM捕集初期(1g/L)圧力損失は、圧力損失テストスタンドに固定したセラミックハニカムフィルタに、空気流量10Nm3/minで、平均粒径0.11μmの燃焼煤を1.3g/hの速度で投入し、フィルタ体積1リットルあたりの煤付着量が1gとなった時の流入側と流出側との差圧(圧力損失)で表した。圧力損失が、
1.5kPaを越える場合を(×)、
1.3kPaを超え1.5 kPa以下の場合を(○)、及び
1.3kPa以下の場合を(◎)
として煤捕集圧力損失を評価した。
(d)PM捕集後圧力損失
PM捕集後圧力損失は、圧力損失テストスタンドに固定したセラミックハニカムフィルタに、空気流量10Nm3/minで、平均粒径0.11μmの燃焼煤を1.3g/hの速度で投入し、フィルタ体積1リットルあたりの煤付着量が2gとなった時の流入側と流出側との差圧(圧力損失)で表した。圧力損失が、
2.0kPaを越える場合を(×)、
1.8kPaを超え2.0kPa以下の場合を(△)、
1.6kPaを超え1.8kPa以下の場合を(○)、及び
1.6kPa以下の場合を(◎)
として煤捕集圧力損失を評価した。
(e)捕集開始後の粒子数基準でのPM捕集率
捕集開始後の粒子数基準でのPM捕集率は、圧力損失テストスタンドに固定したセラミックハニカムフィルタに、空気流量10Nm3/minで、平均粒径0.11μmの燃焼煤を1.3g/hの速度で投入しながら、1分毎にハニカムフィルタに流入する燃焼煤の粒子数とハニカムフィルタから流出する燃焼煤の粒子数とをSMPS(Scanning Mobility Particle Sizer)(TIS社製モデル3936)を用いて計測し、投入開始40分後から41分後までの1分間にハニカムフィルタに流入する燃焼煤の粒子数Nin、及びハニカムフィルタから流出する燃焼煤の粒子数Noutから、式:(Nin-Nout)/Nin により求めた。PM捕集率が、
98%以上の場合を(◎)、
96%以上98%未満の場合を(○)、
95%以上96%未満の場合を(△)、及び
95%未満の場合を(×)
としてPM捕集率を評価した。
(f)耐熱衝撃性
耐熱衝撃性の評価試験は、セラミックハニカムフィルタを電気炉で500℃に30分間加熱し、その後室温に急冷した後、両端面を目視で観察して目封止部近傍の隔壁交点部に生じるクラックの有無を確認した。クラックが発見されない場合は、電気炉の温度を25℃上昇させて同様の試験を行い、この操作をクラックが発生するまで繰り返した。各試料につき試験数を3個で行い、少なくとも1個のハニカム構造にクラックが発生した温度と室温の差(加熱温度-室温)を耐熱衝撃温度とし、以下の基準で評価した。
耐熱衝撃温度が575℃以上であったものを(◎)、
耐熱衝撃温度が550℃以上575℃未満であったものを(○)、
耐熱衝撃温度が525℃以上550℃未満であったものを(△)、及び
耐熱衝撃温度が525℃未満であったものを(×)とした。
Figure 2022015439000010
Figure 2022015439000011
Figure 2022015439000012
表11より、実施例1、2の本発明のセラミックハニカムフィルタは、隔壁の全細孔容積、1μm以上、2μm以上、5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、30μm以上、50μm以上、100μm以上、200μm以上の細孔容積が本発明の範囲内であることから、PM捕集初期(1g/L)の圧力損失を従来よりも低下させることができ、排ガス中のPM粒子数量に大きく影響するナノサイズのPMが有効に捕集されるPM捕集率を有することができ、PM捕集後の圧力損失が低下され、耐熱衝撃性がさらに改善されることがわかる。一方、比較例1のセラミックハニカムフィルタは、隔壁の全細孔容積、1μm以上、2μm以上、5μm以上、10μm以上の細孔容積が本発明の範囲の上限を超えたため、ナノサイズのPM捕集率が低下するとともに、熱容量が小さくなって耐熱衝撃が改善されなかった。比較例2のセラミックハニカムフィルタは、隔壁の全細孔容積、1μm以上、2μm以上、5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上の細孔容積が本発明の範囲の下限を外れたため、PM捕集初期(1g/L)の圧力損失を低減することができず、PM捕集後の圧力損失が低下されなかった。比較例3のセラミックハニカムフィルタは、隔壁の50μm以上、100μm以上、200μm以上の細孔容積が本発明の範囲の上限を超えたため、PM捕集初期(1g/L)の圧力損失を低減することができず、ナノサイズのPM捕集率が低下した。
1:外周壁
2:隔壁
3:流出側封止流路
4:流入側封止流路
6a:流入側封止部
6c:流出側封止部
8:排気ガス流入側端面
9:流出側端面
10:セラミックハニカムフィルタ

Claims (3)

  1. 多孔質の隔壁で仕切られ軸方向に形成された多数の流路を有するセラミックハニカム構造体であって、水銀圧入法により測定された前記隔壁の細孔分布曲線において、
    全細孔容積が0.54cm3/g~0.62cm3/g、
    1μm以上の細孔容積:0.53~0.61cm3/g、
    2μm以上の細孔容積:0.51~0.59cm3/g、
    5μm以上の細孔容積:0.48~0.55cm3/g、
    10μm以上の細孔容積:0.41~0.49cm3/g、
    15μm以上の細孔容積:0.21~0.40cm3/g、
    20μm以上の細孔容積:0.08~0.25cm3/g、
    30μm以上の細孔容積:0.025~0.075cm3/g、
    50μm以上の細孔容積:0.015~0.037cm3/g、
    100μm以上の細孔容積:0.005~0.025cm3/g、
    200μm以上の細孔容積:0.015cm3/g以下、
    であることを特徴とするセラミックハニカム構造体。
  2. 請求項1に記載のセラミックハニカム構造体において、
    累積細孔容積が全細孔容積の20%となる細孔径d20の対数と80%となる細孔径d80の対数との差σ=log(d20)-log(d80)が0.30~0.45であることを特徴とするセラミックハニカム構造体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のセラミックハニカム構造体において、
    40~800℃間の前記流路方向の熱膨張係数が5×10-7/℃~11×10-7/℃であることを特徴とするセラミックハニカム構造体。


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