JP2022015289A - 運転条件導出方法、制御方法、演算装置および演算プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】固定床触媒反応器を用いた化学反応プロセスにおいて、プロセス全体での生産性を向上させる運転条件を導出する。【解決手段】メタヒューリスティックアルゴリズムを用いて、前記プロセスにおける制約条件を満たし、かつ前記プロセスにおける副反応による原料損失が最小となるように前記運転条件を求める。【選択図】なし
Description
本発明は固定床触媒反応器において進行する化学反応を制御するプロセスにおける運転条件を求める運転条件導出方法、およびプラント制御方法に関する。
固定床触媒反応は、化学産業において種々の用途に広く用いられている。固定床触媒反応は、アンモニア合成反応、アクロレイン合成反応、アクリル酸合成反応、メタクリル酸メチル合成反応、無水フタル酸合成反応、無水マレイン酸合成反応、塩化ビニルモノマー合成反応、酸化エチレン合成反応、酸化プロピレン合成反応、塩酸酸化プロセスなど、さまざまなプロセスで使用されている。一般に、固定床触媒反応において用いられる触媒は、使用するにつれて触媒活性が低下する。そのため、固定床触媒反応による化学反応を制御するプロセスでは、触媒活性の変化に応じて運転条件を変更することが必要となる。より具体的には、触媒活性が変化すると、所定の原料転化率となるように反応温度を制御する必要がある。一方、反応温度が高くなると一般的に触媒の寿命が短くなる。触媒寿命が短くなると、触媒の交換頻度、コストが増加する。
特許文献1の方法では、まず、断熱固定床反応器の入口原料濃度と、入口、出口及び内部温度を測定する。これらのデータを温度、原料濃度、触媒活性の3変数の方程式からなる物理モデルに与えて断熱固定床反応器の触媒活性と反応混合物の濃度との現在値を算出し、上記触媒活性の変化に基づいて触媒活性の未来値を予測する。次いで、目標値と上記触媒活性の未来値を上記物理モデルに与えて断熱固定床反応器の入口温度を算出し、この入口温度に応じた制御信号を断熱固定床反応器に出力して、断熱固定床反応器の制御を行っている。
特許文献1の方法では、触媒活性の未来値を予測し、予測した触媒活性に基づいて入口温度を制御しているが、固定床触媒反応プロセス全体での生産性を考慮した場合、当該方法のみではプロセス全体の生産性を鑑みた場合に十分ではない可能性がある。
本発明の一態様は、固定床触媒反応器を用いた化学反応プロセスにおいて、プロセス全体での生産性を向上させる運転条件を導出することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る運転条件導出方法は、固定床触媒反応器において進行する化学反応を制御するプロセスにおける運転条件を求める。前記化学反応は、主生成物を生成する主反応と、副生成物を生成する副反応とを含む。前記運転条件導出方法は、メタヒューリスティックアルゴリズムを用いて、前記プロセスにおける制約条件を満たし、かつ前記プロセスにおける前記副反応による原料損失が最小となるように前記運転条件を求める工程を含む。
本発明の一態様に係る運転条件導出方法は、固定床触媒反応器において進行する化学反応を制御するプロセスにおける運転条件を求める。前記化学反応は、主生成物を生成する主反応と、副生成物を生成する副反応とを含む。前記固定床触媒反応器の下流には、前記固定床触媒反応器から排出された生成物に含まれる前記主生成物と前記副生成物とを分離する蒸留塔と、スチームによって加熱され、前記蒸留塔に熱量を供給するリボイラーとが設けられている。前記運転条件導出方法は、メタヒューリスティックアルゴリズムを用いて、前記プロセスにおける制約条件を満たし、かつ前記副反応による原料損失のコストと、前記スチームの使用にかかるコストとの和が最小となるように前記運転条件を求める工程を含む。
本発明の一態様に係る演算装置は、固定床触媒反応器において進行する化学反応を制御するプロセスにおける運転条件を求める。前記化学反応は、主生成物を生成する主反応と、副生成物を生成する副反応とを含む。前記演算装置は、メタヒューリスティックアルゴリズムを用いて、前記プロセスにおける制約条件を満たし、かつ前記プロセスにおける前記副反応による原料損失が最小となるように前記運転条件を求める。
本発明の一態様によれば、固定床触媒反応器を用いた化学反応プロセスにおいて、プロセス全体での生産性を向上させる運転条件を導出することができる。
固定床触媒反応器において進行する化学反応(以下では単に化学反応と称する)は、目的生成物を生じる主反応だけではなく、様々な副反応を含んでいる。また、固定床触媒反応器に用いられる触媒には、一般的に寿命があり、様々な要因で触媒活性(触媒性能)が低下する。触媒活性が低下すると、反応速度は低下する。つまり、主反応の反応速度および副反応の反応速度は、触媒活性の変化により変化する。
上記化学反応を制御するプロセスにおいて、触媒活性を考慮し、かつ副反応による原料損失を最小にする運転条件を求めることで、プロセス全体での生産性を向上させることができる。
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
<プラントおよび制御装置の構成>
まず、図1および図2を用いて、本実施形態に係る運転条件導出方法を適用するプラント1および運転条件を導出し、導出した運転条件に基づいてプラント1を制御する制御装置400について説明する。
まず、図1および図2を用いて、本実施形態に係る運転条件導出方法を適用するプラント1および運転条件を導出し、導出した運転条件に基づいてプラント1を制御する制御装置400について説明する。
図1は、本実施形態に係る運転条件導出方法を適用するプラント1の一部を示す概略図である。図2は、プラント1および制御装置400の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、プラント1は、触媒層101を備える反応器100(固定床触媒反応器)と、蒸留塔200と、リボイラー300とを含む。触媒層101は、上記化学反応を触媒する触媒を含む層である。蒸留塔200は、反応器100の下流に配置され、沸点の差を利用して、反応器100から排出された生成物に含まれる主生成物と副生成物とを分離する装置である。リボイラー300は、缶出液を気化させ、蒸留塔200に送る装置である。リボイラー300には、スチームなどの加熱媒体によって熱量が投入され。これにより、缶出液は、リボイラー300内で加熱され、加熱蒸気として蒸留塔に送り込まれる。
図2に示すように、反応器100は、制御部110と測定部120とを備えている。なお、制御部110は、反応器100の外部に設けられた装置であってもよい。制御部110は、入口温度制御部111と、入口流量制御部112とを備える。測定部120は、入口温度測定部121と、入口原料濃度測定部122と、入口流量測定部123とを備える。測定部120はまた、出口温度測定部124と、出口原料濃度測定部125と、出口流量測定部126とを備える。
蒸留塔200は、蒸留塔入口温度測定部221を備える。
リボイラー300は、スチーム流量測定部323と、スチーム流量制御部312とを備える。なお、スチーム流量制御部312は、反応器100の外部に設けられた装置であってもよい。
制御装置400は、データ通信部410と、演算部420(演算装置)と、データベース430とを備える。演算部420は、活性係数導出部421と、予測活性係数導出部422と、運転条件決定部423と、判定部424とを備える。活性係数導出部421は、触媒活性の変化を表す係数である活性係数の導出を行う。予測活性係数導出部422は、予測式に基づいて、活性係数の導出を行う。運転条件決定部は、アルゴリズムに基づいて最適運転条件を決定する。データベース430は、演算部420における演算に必要なデータを格納する。
入力部510は、例えば、キーボードであり、各種ユーザ入力を受け付ける。表示部520は、例えば、液晶表示装置であり、ユーザが必要とするデータを表示する。
〔活性係数〕
まず、本明細書において用いる活性係数φについて説明する。活性係数φは、触媒活性の変化を表す係数である。活性係数φは、反応速度係数を以下の式(1)に示すようにアレニウスの式で表したときに含まれる係数である。
まず、本明細書において用いる活性係数φについて説明する。活性係数φは、触媒活性の変化を表す係数である。活性係数φは、反応速度係数を以下の式(1)に示すようにアレニウスの式で表したときに含まれる係数である。
k=φ×A×e-(Ea/RT) (1)
式(1)において、kは反応速度定数、Aは頻度因子、Eaは活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは系の温度である。
式(1)において、kは反応速度定数、Aは頻度因子、Eaは活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは系の温度である。
本実施形態において、例として、原料Hおよび原料Iを反応器100に供給して反応させ、目的生成物J及び副生成物Kを得る場合について説明する。つまり、本実施形態における主反応(反応1)は、「H+I→J+K」と表すことができる。また、本実施形態における上記化学反応は、反応1とは別に原料H、原料I、目的生成物J及び副生成物Kの、熱分解または逐次反応等様々な副反応(反応2など)を含む。上記主反応および上記副反応の反応速度は、ラボ実験により求めることができる。
本実施形態において、主反応の反応速度定数k(1)は、以下の式(2)で表される。式(2)中、φ(1)は、主反応の触媒活性の変化を表す係数であり、A(1)は、主反応における頻度因子であり、Ea(1)は、主反応における活性化エネルギーである。
k(1)=φ(1)×A(1)×e-(Ea(1)/RT) (2)
また、副反応の反応速度定数k(2)は、以下の式(3)で表される。式(3)中、φ(2)は、副反応の触媒活性の変化を表す係数であり、A(2)は、副反応における頻度因子であり、Ea(2)は、副反応における活性化エネルギーである。
また、副反応の反応速度定数k(2)は、以下の式(3)で表される。式(3)中、φ(2)は、副反応の触媒活性の変化を表す係数であり、A(2)は、副反応における頻度因子であり、Ea(2)は、副反応における活性化エネルギーである。
k(2)=φ(2)×A(2)×e-(Ea(2)/RT) (3)
本実施形態では、簡単のために副反応を1つのみ記載しているが、複数の副反応が生じていてもよく、各副反応の反応速度定数は、式(3)と同様に表すことができる。
本実施形態では、簡単のために副反応を1つのみ記載しているが、複数の副反応が生じていてもよく、各副反応の反応速度定数は、式(3)と同様に表すことができる。
ここで、主反応の活性係数φ(1)と副反応の活性係数φ(2)との関係を、ラボ実験により求める。ラボ実験によって求めた活性係数φ(1)と活性係数φ(2)との関係式は、データベース430に格納される。
<運転条件の導出および制御方法>
以下では、本実施形態の運転条件導出方法および制御方法について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態の運転条件導出方法の一例を示すフローチャートである。
以下では、本実施形態の運転条件導出方法および制御方法について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態の運転条件導出方法の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、演算部420は、ステップS1においてプラント1およびデータベース430から必要なデータを読み込み、活性係数導出部421に出力する。ステップS1において演算部420が読み込むデータは、例えば、反応器入口温度Tin、反応器入口原料濃度Cin、反応器出口原料濃度Cout、反応器入口流量Win、および触媒層体積Vを含む。
反応器入口温度Tinは、反応器100の入口温度測定部121において測定される温度である。入口温度測定部121は、例えば、反応器100の入口付近に設置される温度計である。
反応器入口原料濃度Cin(原料Hの反応器入口原料濃度C(H)inおよび原料Iの反応器入口原料濃度C(I)in)は、例えば、反応器100の入口原料濃度測定部122において測定されるモル濃度である。入口原料濃度測定部122は、例えば、反応器100の入口付近に設置されるインライン(オンライン)濃度分析計である。また、反応器入口原料濃度Cinは、反応器100に流入するプロセス流体をサンプリングし、実験室において濃度分析計を用いて測定してもよい。
反応器出口原料濃度Cout(原料Hの反応器出口原料濃度C(H)outおよび原料Iの反応器入口原料濃度C(I)out)は、例えば、反応器100の出口原料濃度測定部125において測定されるモル濃度である。出口原料濃度測定部125は、例えば、反応器100の出口付近に設置されるインライン(オンライン)濃度分析計である。また、反応器出口原料濃度Coutは、反応器100から流出するプロセス流体をサンプリングし、実験室において濃度分析計を用いて測定してもよい。
入口原料濃度測定部122および出口原料濃度測定部125で測定された濃度情報は、データベース430に格納される。実験室において測定された反応器入口原料濃度Cinおよび反応器出口原料濃度Coutは、入力部510によって入力され、濃度情報として、データベース430に格納される。
反応器入口流量Winは、例えば、入口流量測定部123において、質量流量として測定される流量である。入口流量測定部123は、例えば、反応器100の入口付近に設置される流量計である。
触媒層体積Vは、反応器100に依存して規定される値であり、触媒層体積情報としてデータベース430に格納されている。説明を容易にするために、反応器入口温度Tin、反応器入口原料濃度Cin、反応器出口原料濃度Cout、および反応器入口流量Winの測定を含む種々の測定を、工程分析と称する。
前記各データを取得すると、活性係数導出部421は、ステップS2において活性係数φnを導出する(S2:活性係数導出工程)。活性係数導出工程については、下記で詳細に説明する。活性係数導出部421は、活性係数φnの導出に用いた反応器入口温度Tin等のデータが、リアルタイムに取得されたデータであるか、過去のデータであるかを示す取得時情報を、活性係数φnとともに判定部424に出力する。
取得時情報および活性係数φnを受信すると、ステップS3において、活性係数φnの導出に用いられたデータがリアルタイムのデータであることを取得時情報が示す場合(S3:YES)、判定部424は、活性係数φnを用いて運転条件を決定する命令を、運転条件決定部423に出力する。
運転条件を決定する命令を受信すると、ステップS4において、運転条件決定部423は、最適運転条件を決定する(最適運転条件決定工程:S4)。最適運転条件決定工程については、下記で詳細に説明する。
最適運転条件が決定されると、演算部420は、ステップS5において、データ通信部410を介し、最適運転条件を規定する少なくとも1つの操作変数を、当該操作変数に対応する、プラント1の各部(例えば、制御部110)に出力する。操作変数とは、例えば、反応器入口温度および反応器入口流量である。
操作変数を受信すると、制御部110は、受信した操作変数に基づいてプラントを制御する。例えば、制御部110の入口温度制御部111は、操作変数としての反応器入口温度を受信すると、入口温度測定部121で測定される入口温度が、操作変数として受信した入口温度になるよう、例えば原料を加熱するヒータ(図示せず)に加熱指示を出力する。
このように操作変数に応じてプラント1の各部を制御することにより、最適運転条件でプラントを制御することができる。
一方、ステップS3において、活性係数φnの導出に用いられたデータが過去のデータであることを取得時情報が示す場合(S3:NO)、判定部424は、予測活性係数導出部422に予測活性係数を導出する命令を出力する。
予測活性係数を導出する命令を受信すると、ステップS6において、予測活性係数導出部422は、予測活性係数φpを導出する(予測活性係数導出工程:S6)。予測活性係数導出部422は、予測活性係数φpを用いて運転条件を決定する命令を、運転条件決定部423に出力する。
<活性係数導出工程>
以下では、図3のフローチャートにおける活性係数導出工程(S2)について、図4のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。図4は、図3のフローチャートにおける活性係数の導出工程の一例を示すフローチャートである。
以下では、図3のフローチャートにおける活性係数導出工程(S2)について、図4のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。図4は、図3のフローチャートにおける活性係数の導出工程の一例を示すフローチャートである。
活性係数導出工程では、例えば、以下に説明するように、反応器100がプラグフロー型リアクターであると仮定して演算を行う。具体的には、まず微小体積dVを設定し、dVにおける物質収支式を基に触媒層出口の原料モル濃度を求める。そして当該原料モル濃度から算出した原料転化率(算出原料転化率)と、工程分析によって得られた原料転化率とを比較することにより触媒活性係数φの値を決定する。
図4に示すように、活性係数導出工程が開始されると、活性係数導出部421は、ステップS201において、活性係数の初期値φ0を読み込む。φ0は任意の値でよい。例えば、活性係数導出部421は、φ0としてデータベース430に格納されている、活性係数初期値情報としての初期値φ0を読み込む。
次に、活性係数導出部421は、ステップS202において、仮の触媒層体積V’の初期値として、任意に設定される微小体積dVの値を読み込む(V’の初期値はdVである)。dVは、触媒層体積Vにおける任意の微小体積(例えば、dV=V/30)であり得る。微小体積dVの値は、入力部510によって入力され、微小体積初期値情報として、データベース430に格納される。
次に、活性係数導出部421は、ステップS203において、dVにおける物質収支式から、触媒層出口の原料モル濃度を導出する。dVにおける物質収支式は、以下の式(4)で表される。
Ci+1=Ci+(r×dV)/Qi (4)
式(4)において、CiはdV入口の原料モル濃度、Ci+1はdV出口の原料モル濃度、rは単位容積当たりの反応速度、Qiは体積流量である。
式(4)において、CiはdV入口の原料モル濃度、Ci+1はdV出口の原料モル濃度、rは単位容積当たりの反応速度、Qiは体積流量である。
ここで、触媒層入口の原料モル濃度C0は、反応器入口原料濃度Cinとする。また、活性係数を求める対象の反応が1次反応である場合、反応速度rは、以下の式(5)を用いて算出される。
r=-k×Ci (5)
式(5)において、kは当該反応の反応速度定数であり、CiはdV入口の原料モル濃度である。式(5)では、反応が1次反応である場合を例示しているが、式(5)は、活性係数を求める対象の反応の次数に応じて変更されるべきである。
式(5)において、kは当該反応の反応速度定数であり、CiはdV入口の原料モル濃度である。式(5)では、反応が1次反応である場合を例示しているが、式(5)は、活性係数を求める対象の反応の次数に応じて変更されるべきである。
活性係数導出部421は、ステップS204において、データベース430に格納されている触媒層体積データが示す実機の触媒層体積Vと、仮の触媒層体積V’とが等しいか否かを判定する。なお、等しいか否かの判定において、許容閾値を設定し、実機の触媒層体積Vと仮の触媒層体積V’との差の絶対値が当該許容閾値内であれば等しいと判定してもよい。
ステップS204において、活性係数導出部421が、実機の触媒層体積Vと、仮の触媒層体積V’が等しいと判定した場合(S204でYES)、活性係数導出部421は、ステップS205において、工程分析によって得られた原料転化率Rと、算出原料転化率R’とが等しいか否かを判定する。工程分析によって得られた原料転化率Rは、上記反応器入口原料濃度Cinおよび反応器出口原料濃度Coutを用いて以下の式(6-1)から算出される値であり、工程分析原料転化率情報として、データベース430に格納されている。
R=(Cin-Cout)/Cin (6-1)
算出原料転化率R’は、以下の式(6-2)を用いて算出される。
算出原料転化率R’は、以下の式(6-2)を用いて算出される。
R’=(C0-Cn)/C0 (6-2)
式(6-2)において、Cnは、触媒層出口のモル濃度である。なお、等しいか否かの判定においては、許容閾値を設定し、工程分析によって得られた原料転化率Rと算出原料転化率R’との差の絶対値が当該許容閾値内であれば等しいと判定してもよい。
式(6-2)において、Cnは、触媒層出口のモル濃度である。なお、等しいか否かの判定においては、許容閾値を設定し、工程分析によって得られた原料転化率Rと算出原料転化率R’との差の絶対値が当該許容閾値内であれば等しいと判定してもよい。
ステップS205において、活性係数導出部421が、工程分析によって得られた原料転化率Rと、算出原料転化率R’とが等しいと判定した場合(S205:YES)、活性係数導出部421は、ステップS206において、活性係数φnをデータベース430に出力する。データベース430は、活性係数情報としての活性係数φnを、触媒の使用が開始されてからその点までの触媒使用時間と紐づけて記憶する。触媒の使用が開始されてからその時点までの触媒使用時間は、演算部420によって計測され、触媒使用時間情報としてデータベースに格納されている。
なお、ステップS204において、活性係数導出部421が、実機の触媒層体積Vと、仮の触媒層体積V’とが等しくないと判定した場合(S204でNO)、活性係数導出部421は、ステップS204において仮の触媒層体積V’を更新する。つまり、新たな仮の触媒層体積V’を、V’+dVとし、ステップS203の処理に戻る。
また、ステップS205において、工程分析によって得られた原料転化率Rと、算出原料転化率R’とが等しくないと判定した場合(S205:NO)、活性係数導出部421は、ステップS208において活性係数の値を更新する。つまり、φnを、φn+1とする。このとき、活性係数導出部421は、以下の式(7)を用いて更新後の活性係数の値φn+1を算出する。
φn+1=φn+φn×a×(R-R’) (7)
上記式(7)において、aは、収束解を早く得るための調整パラメータであり、例えば、a=0.01である。aの値は限定されるものではなく、任意に設定することができる。また、R-R’は、転化率誤差(工程分析によって得られた原料転化率Rと算出原料転化率R’との差)であり、例えば転化率誤差の絶対値が0.01以下であれば、工程分析によって得られた原料転化率Rと算出原料転化率R’とが等しいと判定しても良い。
上記式(7)において、aは、収束解を早く得るための調整パラメータであり、例えば、a=0.01である。aの値は限定されるものではなく、任意に設定することができる。また、R-R’は、転化率誤差(工程分析によって得られた原料転化率Rと算出原料転化率R’との差)であり、例えば転化率誤差の絶対値が0.01以下であれば、工程分析によって得られた原料転化率Rと算出原料転化率R’とが等しいと判定しても良い。
活性係数導出部421は、ステップS208において活性係数の値を更新した後、ステップS202の処理に戻る。
上述のように、活性係数導出工程は、演算部420の活性係数導出部421において実行される。活性係数導出工程は、触媒性能を、以下のように求めることにより得る工程であるということができる。(i)主反応および副反応の反応速度式を基に理論的に算出される算出原料転化率の算出値(算出原料転化率)と、(ii)原料転化率の実測値(工程分析によって得られた原料転化率)とを比較して、前記算出値が、前記実測値と等しくなる活性係数(触媒性能の変化を表す係数)を求める。
活性係数導出工程を実行することにより、経時的に変化する活性係数を適切に導出することができる。つまり、経時的に変化する触媒性能を適切に導出することができる。
<予測活性係数導出工程>
以下では、図3のフローチャートにおける予測活性係数導出工程(S6)について、図5のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。図5は、図3のフローチャートにおける予測活性係数φpの導出工程の一例を示すフローチャートである。予測活性係数導出工程は、演算部420の予測活性係数導出部422が実行する。予測活性係数導出工程とは、複数の時点での触媒性能から触媒性能の経時的な変化を示す予測式を特定する工程と、当該予測式から運転条件を求める時点での触媒性能を予測する(予測活性係数φpを導出する)工程とを含む工程である。
以下では、図3のフローチャートにおける予測活性係数導出工程(S6)について、図5のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。図5は、図3のフローチャートにおける予測活性係数φpの導出工程の一例を示すフローチャートである。予測活性係数導出工程は、演算部420の予測活性係数導出部422が実行する。予測活性係数導出工程とは、複数の時点での触媒性能から触媒性能の経時的な変化を示す予測式を特定する工程と、当該予測式から運転条件を求める時点での触媒性能を予測する(予測活性係数φpを導出する)工程とを含む工程である。
図5に示すように、予測活性係数導出工程が開始されると、予測活性係数導出部422は、ステップS601において、複数の時点における活性係数情報(φn)および対応する触媒使用時間情報をデータベース430から読み込む。
続いて、予測活性係数導出部422は、ステップS602において、活性係数の予測式における係数を決定する。予測活性係数導出部422は、複数の時点における活性係数情報および対応する触媒使用時間情報と、以下の予測式(8)とを用いて、RLS(Recursive Least Square)法により予測式における係数a、bおよびcの値を導出する。
φp=1/(a+bt+ct2) (8)
φpの値は、通常、時間経過とともに減少する。しかしながら、φpの値は、用いる活性係数情報および対応する触媒使用時間情報によっては、単調減少せずに増加する場合がある。予測活性係数導出部422が、φpの値が単調減少しないと判断すると、予測活性係数導出部422は、予測式(8)の代わりに以下の予測式(9)を用いて、RLS法により係数aおよびbの値を導出する。
φpの値は、通常、時間経過とともに減少する。しかしながら、φpの値は、用いる活性係数情報および対応する触媒使用時間情報によっては、単調減少せずに増加する場合がある。予測活性係数導出部422が、φpの値が単調減少しないと判断すると、予測活性係数導出部422は、予測式(8)の代わりに以下の予測式(9)を用いて、RLS法により係数aおよびbの値を導出する。
φp=1/(a+bt) (9)
なお、係数a、b、およびcの初期値としては、触媒初期活性によって定められる定数を用いる。ステップS602の処理では、現在時刻に近い活性係数情報および対応する触媒使用時間情報に重み付けし、現在時刻における活性係数と予測式の誤差を小さくすることでより精度のよい予測式を得ることができる。
なお、係数a、b、およびcの初期値としては、触媒初期活性によって定められる定数を用いる。ステップS602の処理では、現在時刻に近い活性係数情報および対応する触媒使用時間情報に重み付けし、現在時刻における活性係数と予測式の誤差を小さくすることでより精度のよい予測式を得ることができる。
続いて、予測活性係数導出部422は、ステップS603において、予測式における係数a、b、およびcをデータベース430に出力する。データベース430は、予測式係数情報としての係数a、b、およびcの値を、その時点での触媒使用時間情報と紐づけて記憶する。
続いて、予測活性係数導出部422は、ステップS604において、現時点の触媒使用時間における予測活性係数φpを式(8)または式(9)を用いて算出し、データベース430に出力する。
上述のように、予測活性係数導出工程を実行することにより、工程分析時以外の活性係数を予測することができる。換言すると、触媒性能の経時的な変化を、予測式を用いて予測することができる。運転条件を導出する際に現時点における触媒性能として、予測活性係数φpを用いることにより、より適切な運転条件を導出することができる。
<最適運転条件決定工程>
以下では、図3のフローチャートにおける最適運転条件決定工程(S4)について、図6のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。図6は、図3のフローチャートにおける最適運転条件の決定工程の一例を示すフローチャートである。最適運転条件決定工程は、演算部420の運転条件決定部423が実行する。最適運転条件決定工程は、副反応による原料損失に関する目的関数の解が所定の範囲内となるように前記運転条件を求める工程である。
以下では、図3のフローチャートにおける最適運転条件決定工程(S4)について、図6のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。図6は、図3のフローチャートにおける最適運転条件の決定工程の一例を示すフローチャートである。最適運転条件決定工程は、演算部420の運転条件決定部423が実行する。最適運転条件決定工程は、副反応による原料損失に関する目的関数の解が所定の範囲内となるように前記運転条件を求める工程である。
図6に示すように、最適運転条件決定工程が開始されると、運転条件決定部423は、ステップS401において、例えば、反応器入口流量Win、触媒層体積V、および活性係数φを含むデータを読み込む。活性係数φの値は、活性係数導出工程において導出される活性係数φnであってもよいし、予測活性係数導出工程において導出される予測活性係数φpであってもよい。
続いて、運転条件決定部423は、ステップS402において、操作変数の初期値を読み込む。操作変数とは、例えば、反応器入口温度および反応器入口流量である。本実施形態では、図1に示すように固定床触媒反応器が1塔である場合について説明しているが、プロセスが複数の固定床触媒反応器を用いて構成される場合、各反応器の流量分配比を操作変数に含んでもよい。各反応器の流量分配比とは、各反応器入口に分配供給する原料流量の比である。運転条件決定部423は、操作変数の初期値として、ユーザによって入力部510から入力された値を読み込む。
続いて、運転条件決定部423は、ステップS403において、プロセスの制約条件をデータベース430から読み込む。プロセスの制約条件は、制約条件情報としてデータベース430に格納されており、例えば、反応器出口温度の許容最低温度を含む。
続いて、運転条件決定部423は、ステップS404において、目的関数導出処理(S404)を実行する。具体的には、運転条件決定部423は、ステップS404において、原料損失のコストに関する関数を導出する。運転条件決定部423は、図4の活性係数導出工程におけるステップS202~ステップS215において活性係数導出部421が行った処理と同様の処理をする。運転条件決定部423が、実機の触媒層体積Vと、仮の触媒層体積V’が等しいと判定した場合、運転条件決定部423は、副生成物の生成のために消費された原料量に関する関数を導出する。例えば、副反応の反応式が、「aH+bI→cK」(HおよびIは原料、Kは副生成物)で表される場合、副生成物Kの生成のために消費された原料Hの量は、以下の式(10)を用いて算出される。
Mass(H)=Mass(K)×a/c×MW(H)/MW(K) (10)
式(10)において、Mass(H)は、原料Hの消費量であり、Mass(K)は、副生成物Kの生成量であり、aおよびcは反応式の係数である。また、MW(H)は、原料Hの分子量であり、MW(K)は、副生成物Kの分子量である。
式(10)において、Mass(H)は、原料Hの消費量であり、Mass(K)は、副生成物Kの生成量であり、aおよびcは反応式の係数である。また、MW(H)は、原料Hの分子量であり、MW(K)は、副生成物Kの分子量である。
原料量に関する関数を導出後、運転条件決定部423は、以下の原料損失のコストに関する関数(11)を導出する。
(原料損失のコスト)=(副生成物の生成のために消費された原料量)×(原料単価) (11)
式中、原料単価は、原料単価情報として、データベース430に格納されている。
式中、原料単価は、原料単価情報として、データベース430に格納されている。
原料損失のコストに関する関数(11)を導出すると、運転条件決定部423は、関数(11)を、目的関数として決定する。
続いて、運転条件決定部423は、ステップS405において、アルゴリズムによる目的関数の最良解を決定する。例えば、目的関数として原料損失のコストに関する関数を採用する場合、運転条件決定部423は、原料損失のコストを最小にする操作変数を最良解として決定する。
運転条件決定部423は、上記プロセスの制約条件と、上記目的関数とを考慮し、メタヒューリスティックアルゴリズムを用いて操作変数の最良解を導出する。メタヒューリスティックアルゴリズムとしては、例えば、粒子群最適化法(PSO:Particle Swarm Optimization)が用いられる。運転条件決定部423は、PSOによる最良解の導出を、PythonのPYSWARMパッケージを用いて実行する。また、メタヒューリスティックアルゴリズムとして差分進化法(DE:Differential evolution)を用いてもよい。DEを用いる場合、運転条件決定部423は、最良解の導出を、PythonのSCIPYライブラリのOptimizeパッケージを用いて実行する。
続いて、運転条件決定部423は、ステップS406において、最良解の公差が規定値以下であるか否かを判定する。当該規定値は、操作変数ごとに任意に設定可能であり、規定値情報としてデータベース430に格納されている。
ステップS406において最良解の公差が規定値以下であると判定した場合(S406:YES)、運転条件決定部423は、ステップS407において導出された操作変数を最適操作変数として、当該操作変数に対応する、プラント1の各部(例えば、制御部110)に出力する。
ステップS406において運転条件決定部423が最良解の公差が規定値以下ではないと判定した場合(S406:NO)、運転条件決定部423は、ステップS408において反復計算回数が上限値を超えているか否かを判定する。反復計算回数の上限値は、任意に設定される値であり、反復計算回数上限値情報として、データベース430に格納されている。
ステップS408において、運転条件決定部423が、反復計算回数が上限値を超えていると判定した場合(S408:YES)、運転条件決定部423は、ステップS407の処理に進む。
ステップS408において、運転条件決定部423が、反復計算回数が上限値を超えていないと判定した場合(S408:NO)、運転条件決定部423は、ステップS409において、操作変数を更新する。運転条件決定部423は、PSOまたはDEを用いて、操作変数の更新処理を実行する。運転条件決定部423は、ステップS404の目的関数導出工程に戻る。
上述のように、最適運転条件決定工程を実行して運転条件を決定することにより、目的関数として原料損失のコストに関する関数を採用する場合、副反応による原料損失を抑制する運転条件を導出することができる。つまり、プロセス全体での生産性を向上させる運転条件を導出することができる。
〔目的関数導出工程の第2態様〕
以下では、図6のフローチャートにおける目的関数導出工程(S404)の別の態様について、図7のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。目的関数導出工程の第2態様では、目的関数として、原料損失のコストとエネルギーコストとを考慮した関数を用いる場合について説明する。図7は、図6のフローチャートにおける目的関数導出工程の別の態様の一例を示すフローチャートである。目的関数導出工程は、演算部420の運転条件決定部423において実行される。
以下では、図6のフローチャートにおける目的関数導出工程(S404)の別の態様について、図7のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。目的関数導出工程の第2態様では、目的関数として、原料損失のコストとエネルギーコストとを考慮した関数を用いる場合について説明する。図7は、図6のフローチャートにおける目的関数導出工程の別の態様の一例を示すフローチャートである。目的関数導出工程は、演算部420の運転条件決定部423において実行される。
図7に示すように、目的関数導出工程が開始されると、運転条件決定部423は、ステップS4021において、データベース430から、目的関数としてエネルギーコストに関する関数を採用するか否かを示す目的関数情報を取得する。当該目的関数情報は、ユーザによって入力される。
ステップS4021において運転条件決定部423が取得した目的関数情報が、目的関数としてエネルギーコストに関する関数を採用することを示している場合(S4021:YES)、運転条件決定部423は、ステップS4022において、エネルギーコストに関する関数を導出する。運転条件決定部423は、反応器出口流量を示す変数[Wout]および反応器出口温度を示す変数[Tout]を用いた、リボイラー300が蒸留塔200に供給する熱量Qに関する式(12)を導出する。
Q=[Wout]×CP(X)×(Tr-[Tout]) (12)
上記式中、CP(X)は、成分Xの比熱であり、Trは参照温度である。Trは、任意の温度であり、参照温度情報としてデータベース430に格納されている。
上記式中、CP(X)は、成分Xの比熱であり、Trは参照温度である。Trは、任意の温度であり、参照温度情報としてデータベース430に格納されている。
式(12)を導出後、運転条件決定部423は、熱量Qを供給するために必要なスチーム流量Msに関する以下の式(13)を導出する。
Ms=Q/ΔH (13)
上記式(13)において、ΔHは、スチーム潜熱である。ΔHの値は、スチーム潜熱情報として、データベース430に格納されている。スチーム流量Msは、例えば、リボイラー300のスチーム流量測定部323において測定される。スチーム流量測定部323は、例えばリボイラー300の入口付近に設置される流量計である。
上記式(13)において、ΔHは、スチーム潜熱である。ΔHの値は、スチーム潜熱情報として、データベース430に格納されている。スチーム流量Msは、例えば、リボイラー300のスチーム流量測定部323において測定される。スチーム流量測定部323は、例えばリボイラー300の入口付近に設置される流量計である。
式(13)の導出後、運転条件決定部423は、以下のエネルギーコストに関する関数(14)を導出する。
(エネルギーコスト)=Ms×(処理時間)×(スチーム単価) (14)
つまり、エネルギーコストに関する関数は、反応器出口流量を示す変数[Wout]および反応器出口温度を示す変数[Tout]を含む。なお、式中のスチーム単価は、スチーム単価情報として、データベース430に格納されている。
つまり、エネルギーコストに関する関数は、反応器出口流量を示す変数[Wout]および反応器出口温度を示す変数[Tout]を含む。なお、式中のスチーム単価は、スチーム単価情報として、データベース430に格納されている。
エネルギーコストに関する目的関数を導出後、運転条件決定部423は、ステップS4023において、原料損失のコストに関する関数を導出する。運転条件決定部423は、図4の活性係数導出工程におけるステップS202~ステップS204において活性係数導出部421が行った処理と同様の処理をする。運転条件決定部423が、実機の触媒層体積Vと、仮の触媒層体積V’が等しいと判定した場合、運転条件決定部423は、副生成物の生成のために消費された原料量に関する関数を導出する。
原料量に関する関数を導出後、運転条件決定部423は、以下の原料損失のコストに関する関数(15)を導出する。
(原料損失のコスト)=(副生成物の生成のために消費された原料量)×(原料単価) (15)
式中、原料単価は、原料単価情報として、データベース430に格納されている。
式中、原料単価は、原料単価情報として、データベース430に格納されている。
原料損失のコストに関する関数(15)を導出すると、運転条件決定部423は、ステップS4024において、目的関数を決定する。エネルギーコストに関する関数と、原料損失のコストに関する関数とが導出されている場合(S4022を経由している場合)、運転条件決定部423は、以下の式(16)を目的関数として決定する。
(目的関数)=(エネルギーコスト)+(原料損失のコスト) (16)
エネルギーコストに関する関数が導出されていない場合(S4022を経由していない場合)、運転条件決定部423は、以下の式(17)を目的関数として決定する。
エネルギーコストに関する関数が導出されていない場合(S4022を経由していない場合)、運転条件決定部423は、以下の式(17)を目的関数として決定する。
(目的関数)=(原料損失のコスト) (17)
ここで、副生成物の生成のために消費された原料量に関する関数は、上述のように活性係数φを考慮にいれて導出されている。換言すると、副反応による原料損失に関する目的関数は、前記副反応の反応速度式を含み、前記副反応の反応速度式に含まれる反応速度定数k2は、上記式(3)で表される。
ここで、副生成物の生成のために消費された原料量に関する関数は、上述のように活性係数φを考慮にいれて導出されている。換言すると、副反応による原料損失に関する目的関数は、前記副反応の反応速度式を含み、前記副反応の反応速度式に含まれる反応速度定数k2は、上記式(3)で表される。
つまり、最適運転条件決定工程において、目的関数導出工程において決定された目的関数を用いることにより、触媒性能の変化を考慮に入れたより適切な運転条件(操作変数)を導出することができる。
また、運転条件決定部423は、ステップS4024において、目的関数として上記式(16)を目的関数として決定すると、ステップS405において、原料損失のコストとエネルギーコストとの和を最小にする操作変数の最良解を決定する。
目的関数導出工程において、目的関数として、エネルギーコストと原料損失のコストとの和を用いることにより、副反応による原料損失のコストおよびエネルギーコストを抑制する運転条件を導出することができる。これにより、プロセス全体での生産性をより向上させることができる。
〔目的関数導出工程の第3態様〕
目的関数導出工程の第3態様として、目的関数として、原料損失のコストと、触媒交換にかかるコストとを考慮した関数を用いてもよい。触媒交換にかかるコストは、触媒の単価、触媒寿命(交換までの使用時間)などを用いて例えば、以下の式(18)を用いて表すことができる。
目的関数導出工程の第3態様として、目的関数として、原料損失のコストと、触媒交換にかかるコストとを考慮した関数を用いてもよい。触媒交換にかかるコストは、触媒の単価、触媒寿命(交換までの使用時間)などを用いて例えば、以下の式(18)を用いて表すことができる。
(触媒交換にかかるコスト)={(触媒交換時に反応器に投入する触媒量)×(触媒単価)+(触媒交換時の使用済み触媒の処理費用)+(1回の触媒交換作業にかかるコスト)}/(触媒寿命) (18)
すなわち、第3態様において、運転条件決定部423は、以下の式(19)を目的関数として決定する。
すなわち、第3態様において、運転条件決定部423は、以下の式(19)を目的関数として決定する。
(目的関数)=(原料損失のコスト)+(触媒交換にかかるコスト) (19)
目的関数として、原料損失のコストと、触媒交換にかかるコストとの和を用いることにより、副反応による原料損失のコストおよび触媒交換にかかるコストを抑制する運転条件を導出することができる。これにより、プロセス全体での生産性をより向上させることができる。
目的関数として、原料損失のコストと、触媒交換にかかるコストとの和を用いることにより、副反応による原料損失のコストおよび触媒交換にかかるコストを抑制する運転条件を導出することができる。これにより、プロセス全体での生産性をより向上させることができる。
〔目的関数導出工程の第4態様〕
目的関数導出工程の第4態様として、目的関数として、原料損失のコストと、エネルギーコストと、触媒交換にかかるコストとを考慮した関数を用いてもよい。
目的関数導出工程の第4態様として、目的関数として、原料損失のコストと、エネルギーコストと、触媒交換にかかるコストとを考慮した関数を用いてもよい。
すなわち、第4態様において、運転条件決定部423は、以下の式(20)を目的関数として決定する。
(目的関数)=(原料損失のコスト)+(エネルギーコスト)+(触媒交換にかかるコスト) (20)
目的関数として、原料損失のコストと、エネルギーコストと、触媒交換にかかるコストとの和を用いることにより、副反応による原料損失のコスト、エネルギーコスト、および触媒交換にかかるコストを抑制する運転条件を導出することができる。これにより、プロセス全体での生産性をより向上させることができる。
目的関数として、原料損失のコストと、エネルギーコストと、触媒交換にかかるコストとの和を用いることにより、副反応による原料損失のコスト、エネルギーコスト、および触媒交換にかかるコストを抑制する運転条件を導出することができる。これにより、プロセス全体での生産性をより向上させることができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置400の制御ブロックは、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
制御装置400の制御ブロックは、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、制御装置400は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1 プラント
100 反応器
200 蒸留塔
300 リボイラー
400 制御装置
421 活性係数導出部
422 予測活性係数導出部
423 運転条件決定部
φ 活性係数
100 反応器
200 蒸留塔
300 リボイラー
400 制御装置
421 活性係数導出部
422 予測活性係数導出部
423 運転条件決定部
φ 活性係数
Claims (8)
- 固定床触媒反応器において進行する化学反応を制御するプロセスにおける運転条件を求める、運転条件導出方法であって、
前記化学反応は、主生成物を生成する主反応と、副生成物を生成する副反応とを含んでおり、
メタヒューリスティックアルゴリズムを用いて、前記プロセスにおける制約条件を満たし、かつ前記プロセスにおける前記副反応による原料損失が最小となるように前記運転条件を求める工程を含むことを特徴とする運転条件導出方法。 - 前記運転条件を求める工程では、副反応による原料損失に関する目的関数の解が所定の範囲内となるように前記運転条件を求め、
前記目的関数は、前記副反応の反応速度式を含み、
前記副反応の反応速度式に含まれる反応速度定数k(2)は、下記式
k(2)=φ(2)×A(2)×e-(Ea(2)/RT)
で表わされ、前記式中、φ(2)は副反応の触媒性能の変化を表す係数、A(2)は副反応における頻度因子、Ea(2)は副反応における活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは温度であることを特徴とする請求項1に記載の運転条件導出方法。 - 複数の時点での前記主反応の触媒性能から前記主反応の触媒性能の経時的な変化を示す予測式を特定する工程と、当該予測式から前記運転条件を求める時点での前記主反応の触媒性能を予測する工程とを、前記運転条件を求める工程の前に含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の運転条件導出方法。
- 前記複数の時点での触媒性能のうちの少なくとも1つを、
(i)前記主反応および前記副反応の反応速度式を基に理論的に算出される原料転化率の算出値と、
(ii)前記複数の時点における、前記固定床触媒反応器の入口および出口で測定される原料濃度から得られる原料転化率の実測値とを比較して、
前記算出値が、前記実測値と等しくなる前記触媒性能の変化を表す係数の値を求めることにより得ることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の運転条件導出方法。 - 固定床触媒反応器において進行する化学反応を制御するプロセスにおける運転条件を求める、運転条件導出方法であって、
前記化学反応は、主生成物を生成する主反応と、副生成物を生成する副反応とを含んでおり、
前記固定床触媒反応器の下流には、前記固定床触媒反応器から排出された生成物に含まれる前記主生成物と前記副生成物とを分離する蒸留塔と、スチームによって加熱され、前記蒸留塔に熱量を供給するリボイラーとが設けられており、
メタヒューリスティックアルゴリズムを用いて、前記プロセスにおける制約条件を満たし、かつ前記副反応による原料損失のコストと、前記スチームの使用にかかるコストとの和が最小となるように前記運転条件を求める工程を含むことを特徴とする、運転条件導出方法。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載の運転条件導出方法によって導出された運転条件で、前記固定床触媒反応器を含むプラントを制御することを特徴とする制御方法。
- 固定床触媒反応器において進行する化学反応を制御するプロセスにおける運転条件を求める演算装置であって、
前記化学反応は、主生成物を生成する主反応と、副生成物を生成する副反応とを含んでおり、
メタヒューリスティックアルゴリズムを用いて、前記プロセスにおける制約条件を満たし、かつ前記プロセスにおける前記副反応による原料損失が最小となるように前記運転条件を求めることを特徴とする演算装置。 - 請求項7に記載の演算装置としてコンピュータを機能させるための演算プログラム。
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