JP2022014951A - コーティング組成物及びコーティング基材 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗膜としたときの基材に対する密着性、特に、塗装された基材に対する密着性に優れるコーティング組成物及び前記コーティング組成物を用いたコーティング基材を提供する。【解決手段】コーティング組成物は、含フッ素共重合体(A)と、水酸基を有するスルホン酸とポリイソシアネートとから誘導される、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート成分(B)と、を含有する。コーティング基材は、前記コーティング組成物によってコーティングされたものである。【選択図】なし

Description

本発明は、コーティング組成物及びコーティング基材に関する。
従来から、耐候性に優れる塗膜が得られるコーティング組成物として、主剤成分として含フッ素共重合体と、硬化剤成分としてポリイソシアネート成分と、を含有するフッ素コーティング組成物が知られている。このフッ素コーティング組成物は、例えば、重防食塗装、構造物外装、建築外装や、航空機、風車、床、プラスチック、自動車内装部材及び光学部材等のトップコートとして使用されている。
近年、地球環境保護の観点から、従来溶剤系塗料として利用されていたフッ素コーティング組成物の水系化も望まれている。
水系化にあたり、主剤成分としては、乳化重合により得られる含フッ素共重合体が知られており、硬化剤成分としてはポリエーテル変性イソシアネートが採用されている(例えば、特許文献1等参照)。また、主剤成分としては、有機溶剤中でカルボキシ基を導入した後、カルボキシ基の一部又は全部を塩基性化合物で中和した含フッ素共重合体が知られており、硬化剤成分としてはポリエーテル変性イソシアネートが採用されている(例えば、特許文献2等参照)。また、例えば、特許文献3には、硬化剤成分として、アミノスルホン酸変性イソシアネートを採用した場合に、含フッ素共重合体の水分散液又は水溶液への分散性が改善し、硬化剤成分を混合した後、塗装が可能な状態を維持する時間(すなわち、ポットライフ)にも改善が見られることが開示されている。
特開平7-324180号公報 国際公開第2004/072197号 特開2013-1756号公報
しかし、特許文献1~3で開示される水性フッ素コーティング組成物のいずれにおいても、基材に対する密着性、特に、塗装された基材に該水性フッ素コーティング組成物を更に塗装した場合の密着性は、不十分であり、改良の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、塗膜としたときの基材に対する密着性、特に、塗装された基材に対する密着性に優れるコーティング組成物、及び前記コーティング組成物を用いたコーティング基材を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) 含フッ素共重合体(A)と、
水酸基を有するスルホン酸とポリイソシアネートとから誘導される、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート成分(B)と、
を含有する、コーティング組成物。
(2) 前記水酸基を有するスルホン酸が下記一般式(I)で表される化合物である、(1)に記載のコーティング組成物。
Figure 2022014951000001
(一般式(I)中、R11は水酸基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、及び、イミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基である。R11は環構造を含んでもよい。前記環構造は、芳香族環、炭素数5若しくは6のシクロアルキル基、窒素原子を2つ含む5員環若しくは6員環、又は、窒素原子と酸素原子とを含む5員環若しくは6員環である。)
(3) 1種以上のアミン化合物の第三級アンモニウムカチオンを更に含有する、(1)又は(2)に記載のコーティング組成物。
(4) 前記アミン化合物が下記一般式(II)で表される化合物である、(3)に記載のコーティング組成物。
Figure 2022014951000002
(一般式(II)中、R21、R22及びR23は、互いに独立して、エーテル結合を含んでもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基である。R21、R22及びR23からなる群より選ばれる少なくとも1つが環構造を含んでいてもよく、R21、R22及びR23からなる群より選ばれる2つ以上は互いに結合して環構造を形成してもよい。前記環構造は、芳香族環、炭素数5若しくは6のシクロアルキル基、R21とR22とが互いに結合した5員環若しくは6員環、又は、R21とR22とR23とが互いに結合した多員の多重環である。)
(5) 前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び、芳香族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、(1)~(4)のいずれか一つに記載のコーティング組成物。
(6) 前記含フッ素共重合体(A)が、フルオロオレフィンに基づく重合単位と、水酸基を有する重合単位と、を含み、且つ、前記含フッ素共重合体(A)の水酸基価が20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である、(1)~(5)のいずれか一つに記載のコーティング組成物。
(7) (1)~(6)のいずれか一つに記載のコーティング組成物によってコーティングされたコーティング基材。
上記態様のコーティング組成物によれば、塗膜としたときの基材に対する密着性、特に、塗装された基材に対する密着性に優れるコーティング組成物を提供することができる。上記態様のコーティング基材は、前記コーティング組成物を硬化させてなる塗膜をコーティング層として備えるものであり、前記塗膜は基材に対する密着性、特に、塗装された基材に対する密着性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
≪コーティング組成物≫
本実施形態のコーティング組成物は、主剤成分として、含フッ素共重合体(A)と、硬化剤成分として、ポリイソシアネート成分(B)と、を含有する。ポリイソシアネート成分(B)は、水酸基を有するスルホン酸と、ポリイソシアネートとから誘導される、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートを含む。
本実施形態のコーティング組成物は、硬化剤成分として、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート成分(B)を含有することで、塗膜としたときの基材に対する密着性、特に、塗装された基材に対する密着性に優れるコーティング組成物を提供することができる。
次いで、本実施形態のコーティング組成物の各構成成分について詳細を説明する。
<含フッ素共重合体(A)>
含フッ素共重合体(A)は、フッ素原子を含有する単量体(モノマー)に基づく重合単位を含有する重合体である。含フッ素共重合体(A)は、フッ素原子を含有する単量体(モノマー)に基づく重合単位以外の重合単位を更に含んでもよい。硬化剤成分であるポリイソシアネート成分(B)中のイソシアネート基との反応により架橋構造を形成させるために、活性水素基を含有する重合単位を含むことが好ましい。活性水素基としては、例えば、水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、カルボキシ基等が挙げられる。中でも、活性水素基としては、水酸基が好ましい。
フッ素原子を含有するモノマーに基づく重合単位としては、フルオロオレフィンに基づく重合単位が挙げられる。好ましいフルオロオレフィンとしては、例えば、フルオロエチレン類、フルオロプロペン類、炭素数4以上のフルオロオレフィン系化合物等が挙げられる。中でも、塗膜の耐候性の観点から、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、又はヘキサフルオロプロピレンがより好ましい。
活性水素基を含有する重合単位としては、例えば、水酸基を含有する重合単位、酸基又は一部若しくは全部が中和された酸基を含有する重合単位、アミノ基を含有する重合単位等が挙げられる。中でも、活性水素基を含有する重合単位としては、水酸基を含有する重合単位が好ましい。これら活性水素基を含有する重合単位は、1種単独で含まれていてもよく、2種以上組み合わせて含まれていてもよい。
水酸基を含有する重合単位は、水酸基を含有する単量体(モノマー)に基づくものである。水酸基を含有するモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、4-ヒドロキシ-2-メチルブチルビニルエーテル、5-ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6-ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、4-ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、重合反応性及び硬化性が優れる点から、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、又は4-ヒドロキシブチルビニルエーテルが好ましい。
他の水酸基を含有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル等が挙げられる。
これら水酸基を含有するモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸基を有する重合単位としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基等の酸基を含有する重合単位が挙げられる。
含フッ素共重合体(A)に、カルボキシ基、スルホン酸基等の酸基を含有する重合単位を導入する方法としては、例えば、フッ素原子を含有するモノマー(好ましくは、フルオロオレフィン)と、カルボキシ基又はスルホン酸基を含有するモノマーとを共重合させる方法や、フッ素原子を含有するモノマー(好ましくは、フルオロオレフィン)と、水酸基を含有するモノマーとを共重合させた後に、ジカルボン酸又はその無水物でエステル化する方法等が挙げられる。
カルボキシ基を含有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、10-ウンデセン酸、9-オクタデセン酸(オレイン酸)、フマール酸、マレイン酸等が挙げられる。
スルホン酸基を含有するモノマーとしては、例えば、ビニルスルホン酸、アクリルアミドターシャルブチルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、フタル酸、1,8-ナフタル酸、マレイン酸等が挙げられる。ジカルボン酸は、後述するジカルボン酸の無水物と水との反応生成物を用いてもよい。
ジカルボン酸の無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水アジピン酸、無水1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、無水cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、無水フタル酸、無水1,8-ナフタル酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
カルボキシ基又はスルホン酸基を含有するモノマーにおけるカルボキシ基又はスルホン酸基は、その一部若しくは全部が中和されていてもよい。
カルボキシ基又はスルホン酸基の中和剤としては、特に限定されないが、例えば、アンモニア、水溶性アミノ化合物等が挙げられる。水溶性アミノ化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等が挙げられる。これら中和剤を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、中和剤としては、第三級アミンであることが好ましく、トリエチルアミン、又は、ジメチルエタノールアミンであることがより好ましい。
上述した酸基又は一部若しくは全部が中和された酸基を含有するモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基を含有する重合単位は、アミノ基を含有する単量体(モノマー)に基づくものである。アミノ基を含有するモノマーとしては、例えば、アリルアミン、2-メチルアリルアミン、N-アリル-N-tert-ブチルアミン、ジアリルアミン、アリルウレア、アクリルアミド、クロトンアミド、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド等が挙げられる。中でも、フルオロオレフィンとの共重合性の観点から、アリルアミン、2-メチルアリルアミン、又はN-アリル-N-tert-ブチルアミンが好ましい。
これらアミノ基を含有するモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
含フッ素共重合体(A)は、上述したフッ素原子を含有する単量体(モノマー)に基づく重合単位及び活性水素基を含有する重合単位に加えて、アルキルビニルエーテルに基づく重合単位、アルキルビニルエステルに基づく重合単位、アルキルアリルエーテルに基づく重合単位、及びアルキルアリルエステルに基づく重合単位からなる群より選ばれる1種以上の重合単位を更に含有してもよい。中でも、フルオロオレフィンとの共重合性の観点から、アルキルビニルエーテルに基づく重合単位、又はアルキルビニルエステルに基づく重合単位を更に含有することが好ましい。好ましいアルキルビニルエーテルとしては、例えば、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。好ましいアルキルビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられる。
含フッ素共重合体(A)は、後述する方法を用いて製造してもよく、市販品を用いてもよい。含フッ素共重合体(A)の市販品としては、例えば、「ルミフロン(登録商標)(商品名)」(旭硝子社製)、「ゼッフル(登録商標)(商品名)」(ダイキン社製)等が挙げられる。
含フッ素共重合体(A)の含有量は、塗膜物性の観点から、コーティング組成物の総質量に対して、3質量%以上60質量%以下が好ましく、15質量%以上50質量%以下がより好ましい。
[含フッ素共重合体(A)の製造方法]
含フッ素共重合体(A)は、所望の重合単位を形成する単量体を、公知の(共)重合方法により(共)重合させる方法により製造できる。(共)重合反応には、必要に応じて、重合触媒、重合開始剤、電離性放射線等の重合開始源を用いてもよい。中でも、(共)重合反応は、反応系をアルカリ側に保つために、塩基性化合物の存在下で行うことが好ましい。
塩基性化合物としては、有機塩基性化合物であってもよく、無機塩基性化合物であってもよい。好ましい有機塩基性化合物としては、例えば、トリエチルアミン等のアルキルアミン類;トリエチルホスフィン等のアルキルホスフィン類等が挙げられる。好ましい無機塩基性化合物としては、例えば、炭酸カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;酸化マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物等が挙げられる。
塩基性化合物の使用量は、単量体100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上10質量部以下が特に好ましい。
重合開始剤としては、例えば、tert-ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル型過酸化物;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のジアルキルパーオキシジカーボネート;ベンゾイルパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、単量体の種類や(共)重合反応条件に応じて適宜変更可能であり、通常は単量体100質量部に対して、0.05質量部以上0.5質量部以下程度が好ましい。
(共)重合反応は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等が採用でき、特に溶液重合を採用することが好ましい。溶液重合に用いる好ましい溶剤としては、例えば、アルコール類、エステル類、ケトン類、1個以上のフッ素原子を含む飽和ハロゲン化炭化水素類、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
(共)重合反応の反応温度は10℃以上90℃以下が好ましい。また、反応圧力は、0kg/cm・G以上100kg/cm・G以下が好ましく、1kg/cm・G以上50kg/cm・G以下がより好ましい。
[含フッ素共重合体(A)の特性]
含フッ素共重合体(A)の水酸基価の下限値は、20mgKOH/gが好ましく、30mgKOH/gがより好ましく、50mgKOH/gがさらに好ましい。一方、水酸基価の上限値は、200mgKOH/gが好ましく、150mgKOH/gがより好ましい。すなわち、含フッ素共重合体(A)の水酸基価は、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下が好ましく、30mgKOH/g以上200mgKOH/g以下がより好ましく、50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下がさらに好ましい。含フッ素共重合体(A)の水酸基価が上記下限値以上であることで、架橋密度がより高く、塗膜としたときの耐汚染性、耐候性、及び硬度により優れる。一方、含フッ素共重合体(A)の水酸基価が上記上限値以下であることで、塗膜としたときの可とう性により優れる。
含フッ素共重合体(A)の酸価の下限値は、0mgKOH/gであることが好ましく、5mgKOH/gであることがより好ましく、10mgKOH/gであることがさらに好ましい。一方、酸価の上限値は、100mgKOH/gであることが好ましく、50mgKOH/gであることがより好ましい。すなわち、含フッ素共重合体(A)の酸価は、0mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましく、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることがより好ましく、10mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。含フッ素共重合体(A)の酸価が上記下限値以上であることで、水分散性がより良好となる。一方、含フッ素共重合体(A)の酸価が上記上限値以下であることで、硬化剤成分との相溶性がより良好となる。
ここで、上記水酸基価は、含フッ素共重合体(A)の樹脂成分1g中の水酸基を無水酢酸でアセチル化して、アセチル化に伴って生成した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムをmg数で表したものである。また、酸価は、含フッ素共重合体(A)の樹脂成分1g中の遊離酸を中和するのに必要な水酸化カリウムをmg数で表したものである。これらの水酸基価、及び酸価は、含フッ素共重合体(A)を合成する際に使用する水酸基含有単量体、及び酸基含有単量体の使用量から計算で求めることも可能である。
含フッ素共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、3,000以上200,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であることで、コーティング組成物の塗装性がより向上し、塗膜としたときの耐候性及び塗膜外観もより良好になる。なお、含フッ素共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定でポリスチレンを標準として測定した値である。
<ポリイソシアネート成分(B)>
ポリイソシアネート成分(B)は、水酸基を有するスルホン酸と、ポリイソシアネートと、から誘導される、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートを含む。
なお、ポリイソシアネート成分(B)は、通常、未反応のポリイソシアネート、すなわちスルホン酸アニオン基を分子内に含有しないポリイソシアネートを含む。また、後述するポリイソシアネート成分(B)の各種特性は、特段言及の無い限り、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートと、未反応のポリイソシアネート(スルホン酸アニオン基を分子内に含有しないポリイソシアネート)とを含んだ状態での特性である。
また、ポリイソシアネート成分(B)において、未反応のポリイソシアネートとスルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートとの割合は、例えば、原料のポリイソイソシアネートのイソシアネート基100モル量に対し、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するイソシアネート基の割合から算出することができる。
[スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネート]
スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートは、水酸基を有するスルホン酸又はそのアミン塩とポリイソシアネートとを反応させて得られる反応物である。
(ポリイソシアネート)
スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートに用いられるポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及び芳香族ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートが挙げられる。スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートに用いられるポリイソシアネートは、工業的に入手しやすいという観点から、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
脂肪族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、エチル(2,6-ジイソシアナト)ヘキサノエート、1,6-ジイソシアナトヘキサン(以下、「HDI」と称する場合がある)、1,9-ジイソシアナトノナン、1,12-ジイソシアナトドデカン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1、6-ジイソシアナトヘキサン等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、1,3-又は1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「水添XDI」と称する場合がある)、1,3-又は1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、3,5,5-トリメチル1-イソシアナト-3-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「IPDI」と称する場合がある)、4-4’-ジイソシアナト-ジシクロヘキシルメタン(以下、「水添MDI」と称する場合がある)、2,5-又は2,6-ジイソシアナトメチルノルボルナン等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
中でも、ジイソシアネートとしては、HDI、IPDI、水添XDI又は水添MDIが好ましい。
上記ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、以下の(a)~(h)に示すポリイソシアネート等が挙げられる。
(a)2つのイソシアネート基を環化二量化して得られるウレトジオン構造を有するポリイソシアネート;
(b)3つのイソシアネート基を環化三量化して得られるイソシアヌレート構造又はイミノオキサジアジンジオン構造を有するポリイソシアネート;
(c)3つのイソシアネート基と1つの水分子とを反応させて得られるビウレット構造を有するポリイソシアネート;
(d)2つのイソシアネート基と1分子の二酸化炭素とを反応させて得られるオキサダイアジントリオン構造を有するポリイソシアネート;
(e)1つのイソシアネート基と1つの水酸基を反応させて得られるウレタン基を複数有するポリイソシアネート;
(f)2つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応させて得られるアロファネート構造を有するポリイソシアネート;
(g)1つのイソシアネート基と1つのカルボキシ基とを反応させて得られるアシル尿素基を有するポリイソシアネート;
(h)1つのイソシアネート基と1つの1級又は2級アミンとを反応させて得られる尿素構造を有するポリイソシアネート。
また、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートに用いられるポリイソシアネートは、脂肪族トリイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートを含んでもよい。脂肪族トリイソシアネートとしては、例えば、1,3,6-トリイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナートメチルオクタン、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナト-ヘキサノエート等が挙げられる。
また、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートに用いられるポリイソシアネートは、アルコキシポリアルキレングリコール等のノニオン性親水基や、水酸基及びノニオン性親水基を有するビニル重合体によって変性されていてもよい。
また、これらのポリイソシアネートは、1種単独で、又は、2種以上組み合わせてして使用することができる。
ポリイソシアネート成分(B)は、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートに加えて、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、界面活性剤、シランカップリング剤及びリン酸エステル等を更に含んでいてもよい。
また、ポリイソシアネート成分(B)は、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートに加えて、ポリイソシアネートの製造時に使用した触媒、ポリイソシアネートの製造時に使用した停止剤、ジイソシアネートモノマーを更に含んでいてもよい。
(水酸基を有するスルホン酸)
スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートに用いられる水酸基を有するスルホン酸としては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物(以下、「スルホン酸(I)」と略記する)等が挙げられる。
Figure 2022014951000003
(一般式(I)中、R11は水酸基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、及び、イミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基である。R11は環構造を含んでもよい。前記環構造は、芳香族環、炭素数5若しくは6のシクロアルキル基、窒素原子を2つ含む5員環若しくは6員環、又は、窒素原子と酸素原子とを含む5員環若しくは6員環である。)
・R11
一般式(I)において、R11は水酸基、エステル結合(-COO-)、エーテル結合(-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、イミノ基(-NR-)、及び、環構造からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基である。
炭素数1以上10以下の炭化水素基としては、2価の炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基であってもよく、2価の炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基であってもよい。2価の炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1以上6以下の鎖状アルキレン基であることが好ましい。炭素数1以上6以下の鎖状アルキレン基である場合、当該鎖状アルキレン基の一部に、環構造を含む基であってもよい。炭素数1以上6以下のアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
中でも、R11としては、炭素数1以上6以下の鎖状アルキレン基、2価の炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素基(アリーレン基)、芳香環を含む2価の炭素数1以上6以下のアルキレン基、窒素原子を2つ含む5員環若しくは6員環を含む2価の炭素数1以上6以下のアルキレン基、又は、窒素原子と酸素原子とを含む5員環若しくは6員環を含む2価の炭素数1以上6以下のアルキレン基であることが好ましい。
好ましいスルホン酸(I)としては、例えば、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、3-ヒドロキシプロパンスルホン酸、4-ヒドロキシブタンスルホン酸、5-ヒドロキシペンタンスルホン酸、6-ヒドロキシヘキサンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ヒドロキシ(メチル)ベンゼンスルホン酸、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸等が挙げられる。
なお、これら化合物は、好ましいスルホン酸(I)の一部に過ぎず、好ましいスルホン酸(I)はこれらに限定されない。
また、これらのスルホン酸(I)を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、水酸基を有するスルホン酸としては、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、3-ヒドロキシプロパンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、及び、ヒドロキシ(メチル)ベンゼンスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートに用いられる水酸基を有するスルホン酸は、後述するアミン化合物と塩を形成していてもよい。
<アミン化合物>
本実施形態のコーティング組成物は、1種以上のアミン化合物の第三級アンモニウムを更に含有することが好ましい。アミン化合物としては、例えば、下記一般式(II)で表される化合物(以下、「アミン化合物(II)」と略記する)等が挙げられる。
Figure 2022014951000004
(一般式(II)中、R21、R22及びR23は、互いに独立して、エーテル結合を含んでもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基である。R21、R22及びR23からなる群より選ばれる少なくとも1つが環構造を含んでいてもよく、R21、R22及びR23からなる群より選ばれる2つ以上は互いに結合して環構造を形成してもよい。前記環構造は、芳香族環、炭素数5若しくは6のシクロアルキル基、R21とR22とが互いに結合した5員環若しくは6員環、又は、R21とR22とR23とが互いに結合した多員の多重環である。)
なお、ここでいう、「アミン化合物(II)の第三級アンモニウムカチオン」とは、上記アミン化合物(II)中の「N」にプロトン(H)が配位することで、プロトン化したものを意味する。
また、ポリイソシアネート成分(B)において、アミン化合物(II)の第三級アンモニウムカチオンは、上記スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートのスルホン酸アニオン基と塩を形成していてもよい。すなわち、本実施形態のコーティング組成物において、アミン化合物(II)の第三級アンモニウムカチオンを含有する場合に、当該アミン化合物(II)の第三級アンモニウムカチオンは、ポリイソシアネート成分(B)に由来する成分ということもできる。
(R21、R22及びR23
一般式(II)において、R21、R22及びR23は、互いに独立して、エーテル結合を含んでもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基である。R21、R22及びR23は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
炭素数1以上10以下の炭化水素基としては、1価の炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基であってもよく、1価の炭素数6の芳香族炭化水素基であってもよい。1価の炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1以上10以下の鎖状アルキル基、又は、炭素数3以上10以下の環状アルキル基であることが好ましい。炭素数1以上10以下の鎖状アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
好ましいアミン化合物(II)で好ましいものとしては、例えば、以下の(a)~(d)に示すもの等が挙げられる。なお、これら化合物は、好ましいアミン化合物(II)の一部に過ぎず、好ましいアミン化合物(II)はこれらに限定されない。
(a)トリメチルアミン、N,N-ジメチルエチルアミン、N,N-ジメチルプロピルアミン、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、N,N-ジメチルイソブチルアミン、N,N-ジメチルペンチルアミン、N,N-ジメチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルヘプチルアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N,N-ジメチル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルノニルアミン、N,N-ジメチルデシルアミン、N,N-ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジエチルプロピルアミン、N,N-ジエチルイソプロピルアミン、N,N-ジエチルブチルアミン、N,N-ジエチルイソブチルアミン、N,N-ジエチルペンチルアミン、N,N-ジエチルヘキシルアミン、N,N-ジエチルヘプチルアミン、N,N-ジエチルオクチルアミン、N,N-ジエチル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジエチルノニルアミン、N,N-ジエチルデシルアミン、N,N-ジプロピルメチルアミン、N,N-ジプロピルエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、N,N-ジプロピルイソプロピルアミン、N,N-ジプロピルブチルアミン、N,N-ジプロピルイソブチルアミン、N,N-ジプロピルペンチルアミン、N,N-ジプロピルヘキシルアミン、N,N-ジプロピルヘプチルアミン、N,N-ジプロピルオクチルアミン、N,N-ジプロピル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジプロピルノニルアミン、N,N-ジプロピルデシルアミン、N,N-ジイソプロピルメチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリイソプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルブチルアミン、N,N-ジイソプロピルイソブチルアミン、N,N-ジイソプロピルペンチルアミン、N,N-ジイソプロピルヘキシルアミン、N,N-ジイソプロピルヘプチルアミン、N,N-ジイソプロピルオクチルアミン、N,N-ジイソプロピル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジイソプロピルノニルアミン、N,N-ジイソプロピルデシルアミン、N,N-ジブチルメチルアミン、N,N-ジブチルエチルアミン、N,N-ジブチルプロピルアミン、N,N-ジブチルイソプロピルアミン、N,N-ジブチルブチルアミン、N,N-ジブチルイソブチルアミン、N,N-ジブチルペンチルアミン、N,N-ジブチルヘキシルアミン、N,N-ジブチルヘプチルアミン、N,N-ジブチルオクチルアミン、N,N-ジブチル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジブチルノニルアミン、N,N-ジブチルデシルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリ-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルアリルアミン、N-メチルジアリルアミン等の鎖状脂肪族炭化水素基を有する三級アミン類。
(b)N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジプロピルシクロヘキシルアミン、N,N-ジブチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルエチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルプロピルアミン、トリシクロヘキシルアミン等の環状脂肪族炭化水素基を有する三級アミン類。
(c)N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、N,N-ジベンジルメチルアミン、トリベンジルアミン、N,N-ジメチル-4-メチルベンジルアミン、N,N-ジメチルフェニルアミン、N,N-ジエチルフェニルアミン、N,N-ジフェニルメチルアミン等の芳香族炭化水素基を有する三級アミン類。
(d)N-メチルピロリジン、N-エチルピロリジン、N-プロピルピロリジン、N-ブチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、N-プロピルピペリジン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-プロピルモルホリン、N-ブチルモルホリン、N-sec-ブチルモルホリン、N-tert-ブチルモルホリン、N-イソブチルモルホリン、キヌクリジン等の環状アミン類。
これらのアミン化合物(II)を1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、アミン化合物(II)としては、鎖状脂肪族炭化水素基を有するアミン化合物、及び環状脂肪族炭化水素基を含むアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、アミン化合物(II)としては、N,N-ジメチルブチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、N,N-ジメチル-2-エチルヘキシルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、及び、N,N-ジエチルシクロヘキシルアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。これらのアミン化合物を使用することにより、乳化力が向上する傾向にある。
[スルホン酸のアミン塩の製造方法]
上記水酸基を有するスルホン酸が上記アミン化合物と塩を形成している場合、すなわち、スルホン酸のアミン塩である場合、例えば、水酸基を有するスルホン酸と、アミン化合物とを混合し、中和反応させることで、スルホン酸のアミン塩を得られる。
該中和反応は、ポリイソシアネートと反応させる前に予め行ってもよい。又は、ポリイソシアネートと反応させる時に同時に行ってもよい。又は、ポリイソシアネートと水酸基を有するスルホン酸とを反応させた後にアミン化合物を添加して行ってもよい。
また、該中和反応において、水酸基を有するスルホン酸とアミン化合物とを混合する比率は、アミン化合物に対する水酸基を有するスルホン酸のモル比(水酸基を有するスルホン酸/アミン化合物のモル比)が0.5以上2以下であることが好ましく、0.8以上1.5以下であることがより好ましい。
該中和反応を予め行っておく場合は、温度や時間は、反応の進行に応じて適宜決められるが、温度は通常0℃以上100℃以下程度であることが好ましく、混合時間は10分以上24時間以下程度であることが好ましい。
上記水酸基を有するスルホン酸のアミン塩の調製の際に用いられる溶剤は、水又は親水性溶剤が好ましい。親水性溶剤としては、特に限定されないが、例えば、アルコール類、エーテルアルコール類、ケトン類、アミド系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤を単独又は混合して使用することができる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
エーテルアルコール類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
中和反応後は、水又は親水性溶剤を除去することが好ましい。
[ポリイソシアネート成分(B)の製造方法]
ポリイソシアネート成分(B)の製造方法は、例えば、(i)水酸基を有するスルホン酸のアミン塩と、ポリイソシアネートとを混合反応させる工程を含むことが好ましい。
或いは、ポリイソシアネート成分(B)の製造方法は、例えば、(ii)水酸基を有するスルホン酸と、ポリイソシアネートと、上記アミン化合物と、を混合反応させる工程を含むことが好ましい。
以下、工程(i)及び工程(ii)を総じて、「反応工程」と称する場合がある。
工程(i)では、スルホン酸のアミン塩は、予め調整しておいてからポリイソシアネートに添加することが好ましい。
また、工程(ii)では、ポリイソシアネートに、水酸基を有するスルホン酸と、アミン化合物とを同時に添加してもよく、順に添加してもよい。
中でも、工程(i)を含む製造方法であることが好ましく、スルホン酸のアミン塩は、予め調整しておいてからポリイソシアネートに添加することがより好ましい。
当該反応工程において、水酸基を有するスルホン酸又はそのアミン塩と、ポリイソシアネートとの混合比率は、乳化性と塗膜物性との観点から、水酸基に対するイソシアネート基のモル比(イソシアネート基/水酸基のモル比)が2以上400以下となる混合比率であることが好ましく、5以上200以下となる混合比率であることがより好ましく、10以上100以下となる混合比率であることがさらに好ましい。
当該反応工程において、反応温度や反応時間は、反応の進行に応じて適宜決められるが、反応温度は0℃以上150℃以下であることが好ましく、反応時間は30分以上48時間以下であることが好ましい。
また、当該反応工程において、場合により既知の通常の触媒を使用してもよい。当該触媒としては、特に限定されないが、例えば、以下の(a)~(f)に示すもの等が挙げられる。これらは単独又は混合して使用してもよい。
(a)オクタン酸スズ、2-エチル-1-ヘキサン酸スズ、エチルカプロン酸スズ、ラウリン酸スズ、パルミチン酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジマレート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート等の有機スズ化合物;
(b)塩化亜鉛、オクタン酸亜鉛、2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛、2-エチルカプロン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;
(c)有機チタン化合物;
(d)有機ジルコニウム化合物;
(e)トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン等の三級アミン類;
(f)トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のジアミン類。
ポリイソシアネート成分(B)の製造方法において、溶剤を使用してもよく、使用しなくてもよい。ポリイソシアネート成分(B)の製造方法に用いられる溶剤は、親水性溶剤でもよく、疎水性溶剤でもよい。親水性溶剤及び疎水性溶剤としては、後述する「溶剤」において例示されたものと同様ものものが挙げられる。
また、ポリイソシアネート成分(B)の製造方法において、水酸基を有するスルホン酸と、ポリイソシアネートと、アミン化合物とに加えて、更に酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、界面活性剤、シランカップリング剤及びリン酸エステル化合物等からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加してもよい。酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、界面活性剤、シランカップリング剤及びリン酸エステル化合物等としては、後述する「その他添加剤」において例示されたものと同様ものものが挙げられる。
[ポリイソシアネート成分(B)の特性]
ポリイソシアネート成分(B)は、乳化性と塗膜物性との観点から、原料のポリイソイソシアネートのイソシアネート基100モル%に対して、水酸基を有するスルホン酸によって0.25モル%以上50モル%以下の割合でイソシアネート基が変性されていることが好ましく、0.5モル%以上20モル%以下の割合でイソシアネート基が変性されていることがより好ましく、1モル%以上10モル%以下の割合でイソシアネート基が変性されていることがさらに好ましい。原料のポリイソイソシアネートのイソシアネート基100モル%に対して、水酸基を有するスルホン酸によって変性されているイソシアネート基の割合(以下、単に「変性率」と称する場合がある)は、例えば、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
ポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート基含有率は、不揮発分を100質量%とした場合に、塗膜の耐溶剤性の観点から、10質量%以上25質量%以下であることが好ましく、15質量%以上24質量%以下であることがより好ましい。該イソシアネート基含有率を上記範囲内に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、水酸基を有するスルホン酸とポリイソシアネートとの配合比を調整する方法が挙げられる。ポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート基含有率は、例えば、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物(B)に用いられるポリイソシアネート(スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネート及び未反応ポリイソシアネートを含む)の数平均分子量は、塗膜物性の観点から、450以上2,000以下であることが好ましく、460以上1800以下であることがより好ましく、480以上1500以下であることがさらに好ましく、500以上1000以下が特に好ましい。該数平均分子量を上記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、スルホン酸と、アミン化合物と、ポリイソシアネートとの配合比を調整する方法が挙げられる。数平均分子量は、例えば、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物(B)に用いられるポリイソシアネート(変性ポリイソシアネート及び未反応ポリイソシアネートを含む)の平均官能基数は、塗膜物性の観点からから、1.8以上6.2以下であることが好ましく、2.0以上5.6以下であることがより好ましく、2.3以上4.6以下であることがさらに好ましく、2.5以上3.5以下が特に好ましい。該平均官能基数を前記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、スルホン酸と、アミン化合物と、ポリイソシアネートとの配合比を調整する方法が挙げられる。平均官能基数は、例えば、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
ポリイソシアネート成分(B)において、硫黄原子含有率は、乳化性と塗膜物性との観点から、ポリイソシアネート成分(B)の総質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。硫黄原子含有率は、例えば、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
<NCO/活性水素基のモル比>
本実施形態の水性フッ素コーティング組成物において、含フッ素共重合体(A)と、ポリイソシアネート成分(B)との配合割合は、含フッ素共重合体(A)が有する活性水素基のモル数に対する、ポリイソシアネート成分(B)が有するイソシアネート基のモル数の比(NCO/活性水素基のモル比)が、0.5以上1.5以下となる量であることが好ましい。また、含フッ素共重合体(A)と、ポリイソシアネート成分(B)との配合割合は、ポリイソシアネート成分(B)のイソシアネート基の水との反応を考慮し、イソシアネート基が過剰となる条件で行うことがより好ましく、NCO/活性水素基のモル比が、1.1以上1.5以下となる量であることがさらに好ましい。
<その他樹脂>
本実施形態のコーティング組成物は、主剤成分として、上述した含フッ素共重合体(A)に加えて、その他の樹脂を含有してもよい。
その他の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリエーテル樹脂類、エポキシ樹脂類、ポリウレタン樹脂類、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、ポリブタジエン共重合体、スチレンブタジエン共重合体等が挙げられる。
主剤成分中の含フッ素共重合体(A)の含有量は、塗膜物性の観点から、主剤の総質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。90質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
<溶剤>
本実施形態のコーティング組成物は、上述した含フッ素共重合体(A)及びポリイソシアネート成分(B)に加えて、溶剤を更に含有してもよい。
溶剤としては、水、又は水と有機溶剤の混合物等が挙げられる。有機溶剤としては、疎水性溶剤でもよく、親水性溶剤でもよいが、親水性溶剤が好ましい。これら溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
疎水性溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、LAWS(Low Aromatic White Spirit)、HAWS(High Aromatic White Spirit)、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、エステル類、ケトン類、アミド類が挙げられる。
エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
アミド類としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
親水性溶剤としては、特に限定されないが、例えば、アルコール類、エーテル類、エーテルアルコール類のエステル類が挙げられる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、2-エチルヘキサノール等が挙げられる。
エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
エーテルアルコール類のエステル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
本実施形態のコーティング組成物において、溶剤の含有量は、貯蔵安定性の観点から、コーティング組成物の総質量に対して、20質量%以上70質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<その他添加剤>
本実施形態のコーティング組成物は、上述した含フッ素共重合体(A)及びポリイソシアネート成分(B)に加えて、一般的に塗料に加えられるその他添加剤を更に含有していてもよい。
その他添加剤としては、例えば、無機顔料、有機顔料、体質顔料、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機リン酸塩、有機亜リン酸塩、増粘剤、レベリング剤、チキソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒(硬化促進用の触媒)、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、静電防止剤又は帯電調整剤、沈降防止剤等が挙げられる。
硬化促進用の触媒としては、以下に限定されないが、例えば、以下の(a)又は(b)に示すもの等が挙げられる。
(a)ジブチルスズジラウレート、2-エチルヘキサン酸スズ、2-エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等の金属塩;
(b)トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’-エンドエチレンピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン等の3級アミン類。
シランカップリング剤としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、酸無水物等の官能基を有する公知のシランカップリング剤が挙げられる。
本実施形態のコーティング組成物は、塗料への分散性を良くするために、界面活性剤を更に含有していてもよい。
界面活性剤としては、例えば、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
本実施形態のコーティング組成物は、塗料の保存安定性を良くするために、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、リン酸エステル化合物を更に含有していてもよい。
酸化防止剤及び光安定剤としては、例えば、以下の(a)~(e)に示すもの等が挙げられる。これらを1種単独で含有してもよく、2種以上組み合わせて含有してもよい。
(a)燐酸若しくは亜燐酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや次亜燐酸誘導体;
(b)フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合物;
(c)フェノール系誘導体(特に、ヒンダードフェノール化合物);
(d)チオエーテル系化合物、ジチオ酸塩系化合物、メルカプトベンズイミダゾール系化合物、チオカルバニリド系化合物、チオジプロピオン酸エステル等のイオウを含む化合物;
(e)スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等のスズ系化合物。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン類、フェノール類、クレゾール類、カテコール類、ベンゾキノン類等が挙げられる。重合禁止剤として具体的には、例えば、ベンゾキノン、p-ベンゾキノン、p-トルキノン、p-キシロキノン、ナフトキノン、2,6-ジクロロキノン、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、カテコール、p-t-ブチルカテコール、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、モノメチルハイドロキノン、p-メトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。これらを1種単独で含有してもよく、2種以上組み合わせて含有してもよい。
リン酸エステル化合物としては、例えば、公知の酸性リン酸エステル類が挙げられる。
本実施形態のコーティング組成物において、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、界面活性剤、シランカップリング剤及びリン酸エステル化合物の合計含有量は、コーティング組成物の総質量に対して、0質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上2質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態のコーティング組成物は、ポリイソシアネート成分(B)の製造時に由来する未反応の原料を更に含有していてもよい。未反応の原料としては、ジイソシアネートモノマー、ポリイソシアネートの製造時に使用した触媒、ポリイソシアネートの製造時に使用した停止剤、未反応のスルホン酸等が挙げられる。
本実施形態のコーティング組成物において、未反応の原料の含有量は、コーティング組成物の総質量に対して、0質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
<コーティング組成物の製造方法>
本実施形態のコーティング組成物は、例えば、上述した含フッ素共重合体(A)及びポリイソシアネート成分(B)と、必要に応じて、溶剤、その他の樹脂、その他添加剤と、を混合することで製造することができる。混合方法は、作業現場にて手動で攪拌混合してもよく、ディスパーやホモジナイザー等の撹拌機を使用してもよい。混合に要する時間は、混合方法にもよるが、通常1分以上10分以下程度である。
含フッ素共重合体(A)は、水を主成分とする溶剤中に溶解又は分散させた状態で用いることが好ましい。
また、その他添加剤は、ポリイソシアネート成分(B)と予め混合しておいてもよく、含フッ素共重合体(A)と予め混合しておいてもよいが、ポリイソシアネート成分(B)と反応する虞があるので、含フッ素共重合体(A)と予め混合しておくことが好ましい。
<使用用途>
本実施形態のコーティング組成物は、水を主とする溶剤中に主剤成分(塗膜形成成分)である含フッ素共重合体を含む樹脂類及び硬化剤成分であるポリイソシアネート成分(B)が溶解又は分散している水系コーティング組成物として用いることが好ましい。特に、重防食用塗料、建築用塗料、自動車用塗料、プラスチック用塗料、光学部材のコーティング剤等に使用することができる。
本実施形態のコーティング組成物は、例えば、スプレー塗装、ローラー塗装、カーテンフロー塗装、エアーナイフ塗装、グラビア塗装、ハケ塗り等の一般的な方法を用いて塗装することができる。
≪コーティング基材≫
本実施形態のコーティング基材は、上述のコーティング組成物によってコーティングされたコーティング基材である。本実施形態のコーティング基材は、上述のコーティング組成物を硬化させてなるコーティング層を有するものであることが好ましい。
本実施形態のコーティング基材は、基材上に、上述のコーティング組成物を、例えば、スプレー塗装、ローラー塗装、カーテンフロー塗装、エアーナイフ塗装、グラビア塗装、ハケ塗り等の一般的な方法を用いて塗装することで製造することができる。
本実施形態のコーティング基材に用いられる基材としては、所望の基材や、プライマーやベースコートが塗装された基材でもよい。
基材としては、例えば、金属、木材、ガラス、石、セラミック材料、コンクリート、硬質及び可撓性プラスチック、繊維製品、皮革製品、紙等の材料を加工してなるものが挙げられる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。製造例で得られたポリイソシアネート、ポリイソシアネート成分(B)及び含フッ素共重合体(A)の物性の測定、並びに、実施例及び比較例で得られたコーティング組成物の評価は、以下のとおり実施した。なお、特に明記しない場合は、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を意味する。
<測定方法>
[物性1]
(不揮発分)
製造例で得られたポリイソシアネート成分(B)及び含フッ素共重合体(A)を試料として、溶剤希釈をした場合には、以下に示す方法を用いて、不揮発分を算出した。まず、アルミニウム製カップの質量を精秤し、試料約1gを入れて、加熱乾燥前のカップ質量を精秤した。次いで、試料を入れたカップを105℃の乾燥機中で1時間加熱した。次いで、加熱後のカップを室温まで冷却した後、再度カップの質量を精秤した。次いで、試料中の乾燥残分の質量%を不揮発分として、以下に示す式を用いて、不揮発分を計算した。
なお、溶剤希釈なしの場合には、不揮発分は実質的に100%であるとして扱った。
不揮発分[質量%]
={(加熱乾燥後のカップ質量)-(アルミニウム製カップ質量)}/{(加熱乾燥前のカップ質量)-(アルミニウム製カップ質量)}×100
[物性2]
(イソシアネート基含有率)
製造例で得られたポリイソシアネート及びポリイソシアネート成分(B)を試料として、イソシアネート基含有率の測定は、JIS K7301-1995(熱硬化性ウレタンエラストマー用トリレンジイソシアネート型プレポリマー試験方法)に記載の方法に従って実施した。以下に、より具体的なイソシアネート基含有率の測定方法を示す。
(1)試料1gを200mL三角フラスコに採取し、該フラスコにトルエン20mLを添加し、試料を溶解させた。
(2)その後、上記フラスコに2.0Nのジ-n-ブチルアミン・トルエン溶液20mLを添加し、15分間静置した。
(3)上記フラスコに2-プロパノール70mLを添加し、溶解させて溶液を得た。
(4)上記(3)で得られた溶液について、1mol/L塩酸を用いて滴定を行い、試料滴定量を求めた。
(5)試料を添加しない場合にも、上記(1)~(3)と同様の方法で測定を実施し、ブランク滴定量を求めた。
上記で求めた試料滴定量及びブランク滴定量から、イソシアネート基含有率を以下に示す式を用いて、算出した。
イソシアネート基含有率[質量%]
={(ブランク滴定量)-(試料滴定量)}×42/{(試料質量(1g))×1000}×100
[物性3]
(変性率)
変性率は、原料のポリイソイソシアネートのイソシアネート基100モル量に対して、スルホン酸又はそのアミン塩によって変性されたイソシアネート基の割合である。製造例で得られたポリイソシアネート成分(B)を試料として、液体クロマトグラフィー(LC)の220nmにおける、未変性イソシアヌレート3量体、1変性イソシアヌレート3量体、2変性イソシアヌレート3量体、及び、3変性イソシアヌレート3量体のピーク面積比から求めた。用いた装置及び条件は以下のとおりである。
LC装置:Waters社製、UPLC(商品名)
カラム:Waters社製、ACQUITY UPLC HSS T3 1.8μm C18 内径2.1mm×長さ50mm
流速:0.3mL/min
移動相:A=10mM酢酸アンモニウム水溶液、B=アセトニトリル
グラジェント条件:初期の移動相組成はA/B=98/2で、試料注入後Bの比率を直線的に上昇させ、10分後にA/B=0/100とした。
検出方法:フォトダイオードアレイ検出器、測定波長は220nm
[物性4]
(ポリイソシアネート成分(B)の100質量%当たりの硫黄原子含有率)
製造例で得られたポリイソシアネート成分(B)を試料として、ポリイソシアネート成分(B)中の、スルホン酸アニオン基に由来する硫黄原子含有率は、以下の装置及び条件を用いてイオンクロマトグラフィー(IC)により求めた。
IC装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、ICS-1500(商品名)
カラム:AS12A
移動相:2.7mmol/L NaCO、0.3mmol/L NaHCO
流量:1.5mL/min
試料注入量:1mL
サプレッサー:AERS-500
検出器:電気伝導度検出器
前処理方法:試料を炉内で燃焼させ、その燃焼ガスを吸収液に吸収させた。
[物性5]
(収率)
製造例で得られたポリイソシアネートの反応液の屈折率を測定することにより、ポリイソシアネートの収率を求めた。
[物性6]
(平均分子量)
製造例で得られた含フッ素共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)、及び製造例で得られたポリイソシアネート成分(B)の数平均分子量(Mn)は、下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、「GPC」という)測定によるポリスチレン基準の平均分子量で求めた。
(測定条件)
装置:東ソー社製「HLC-8120GPC」(商品名)
カラム:東ソー社製「TSKgel SuperH1000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH2000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH3000」(商品名)×1本
キャリア:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折計
試料濃度:5wt/vol%
流出量:0.6mL/min
カラム温度:30℃
[物性7]
(平均イソシアネート官能基数)
ポリイソシアネート成分(B)の平均イソシアネート官能基数(平均NCO官能基数)は、ポリイソシアネート1分子が統計的に有するイソシアネート官能基の数であり、「物性6」で測定したポリイソシアネート成分(B)の数平均分子量(Mn)と「物性2」で測定したイソシアネート基含有率(NCO%)とを用いて、以下の式により算出した。
平均NCO官能基数 = Mn×NCO%/42
[物性8]
(水酸基価)
製造例で得られた含フッ素共重合体(A)の水酸基価は、含フッ素共重合体(A)を合成する時に使用した水酸基を含有するモノマーの質量部から、計算で求めた。
[物性9]
(酸価)
製造例で得られた含フッ素共重合体(A)の酸価は、含フッ素共重合体(A)を合成する時に使用したカルボキシ基を含有するモノマーの質量部から、計算で求めた。
[評価1]
(コーティング組成物の均一性)
実施例及び比較例で得られたコーティング組成物の様子を目視で観察し、以下に示す評価基準に従い、均一性を評価した。
(評価基準)
○:溶け残りなし
×:溶け残り多くあり
[評価2]
(塗膜の基材に対する密着性)
実施例及び比較例で得られたコーティング組成物を用いて、ポリカーボネート板(タキロン株式会社製、PC-1600)上に、厚さ30μmの塗膜を塗装した。次いで、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間、乾燥させた。得られた塗膜において、JIS K5600-5-6に準じて25マスの密着性試験を行い、剥離したマスの数を計測した。以下に示す評価基準に従い、塗膜の基材に対する密着性を評価した。
(評価基準)
○:剥離したマスの数が0マス以上5マス未満
×:剥離したマスの数が5マス以上
[評価3]
(塗膜の白色塗装基材に対する密着性)
(1)白色塗装板の作製
2液型ウレタン塗料(商品名「マイティーラック(白)」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚50μmとなるようにアルミニウム板(150mm×75mm×1mm、型番:A1050P(JIS H4000)、テストピース社製)にスプレー塗装した。その後、23℃、50%RHの雰囲気下で2週間静置し、白色塗装板を作製した。
(2)コーティング組成物の塗装及び塗膜の作製
実施例及び比較例で得られたコーティング組成物を用いて、(1)で作製した白色塗装板の上に、厚さ30μmの塗膜を塗装した。次いで、23℃、50%RHの雰囲気下で7日間、乾燥させた。得られた塗膜において、JIS K5600-5-6に準じて25マスの密着性試験を行い、剥離したマスの数を計測した。以下に示す評価基準に従い、塗膜の白色塗装基材に対する密着性を評価した。
(評価基準)
○:剥離したマスの数が0マス以上5マス未満
×:剥離したマスの数が5マス以上
<ポリイソシアネートの製造>
[製造例1]
(ポリイソシアネートP-1の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI:1000g、及び、イソブタノール:3.5gを仕込み、撹拌下反応器内温度を70℃に保持した。これにテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が40%になった時点で燐酸を添加して反応を停止した。次いで、反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートP-1を得た。得られたポリイソシアネートP-1のイソシアネート基含有率は21.7質量%であった。
[製造例2]
(ポリイソシアネートP-2の製造)
製造例1と同様の装置に、HDI:1000g、及び、2-エチルヘキサノール:1.5gを仕込み、撹拌下反応器内温度を70℃に保持した。これにテトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が18%になった時点で燐酸を添加して反応を停止した後、160℃に昇温し、1時間保持した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去し、ポリイソシアネートP-2を得た。得られたポリイソシアネートP-2のイソシアネート基含有率は23.3質量%であった。
<スルホン酸のアミン塩の製造>
[製造例3]
(HES/DMCHAの製造)
70質量%の2-ヒドロキシエタンスルホン酸(HES)水溶液:20質量部に、1-プロパノール:10質量部を添加して撹拌して溶液を得た。更に、HESに対するモル比が1となるようにN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(以下、「DMCHA」と略記する場合がある)を量り取り、10質量部の1-プロパノールで希釈した。次いで、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンの希釈液を撹拌中のHES溶液に滴下した。滴下開始から1時間後に撹拌を止め、エバポレーターで脱水及び脱溶剤し、固形分99.8質量%の2-ヒドロキシエタンスルホン酸N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン塩(HES/DMCHA)を得た。
[製造例4]
(HES/DIPEAの製造)
N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンの代わりに、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(以下、「DIPEA」と略記する場合がある)を用いた以外は、製造例3と同様の方法を用いて、固形分99.8質量%の2-ヒドロキシエタンスルホン酸N,N-ジイソプロピルエチルアミン塩(HES/DIPEA)を得た。
[製造例5]
(HES/TPAの製造)
N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンの代わりに、トリ-n-プロピルアミン(以下、「TPA」と略記する場合がある)を用いた以外は、製造例3と同様の方法を用いて、固形分99.7質量%の2-ヒドロキシエタンスルホン酸トリ-n-プロピルアミン塩(HES/TPA)を得た。
<ポリイソシアネート成分(B)の製造>
[製造例6]
(ポリイソシアネート成分B-1の製造)
製造例1で得られたポリイソシアネートP-1:100質量部、及び、製造例2で得られたポリイソシアネートP-2:100質量部に、製造例3で得られた2-ヒドロキシエタンスルホン酸N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン塩(HES/DMCHA):10.9質量部を添加し、窒素下、120℃で4時間攪拌して、水酸基に対するイソシアネート基のモル比(イソシアネート基/水酸基)が25となるように反応を行った。反応終了後、ポリイソシアネート成分B-1を得た。得られたポリイソシアネート成分B-1は、不揮発分:100質量%、イソシアネート基含有率:20.4質量%、変性率:4.0モル%、硫黄原子含有率:0.6質量%、数平均分子量620、平均イソシアネート官能基数は3.0であった。
[製造例7]
(ポリイソシアネート成分B-2の製造)
製造例2で得られたポリイソシアネートP-2:200質量部に、製造例4で得られた2-ヒドロキシエタンスルホン酸N,N-ジイソプロピルエチルアミン塩(HES/DIPEA):8.5質量部を添加し、窒素下、100℃で4時間攪拌して、水酸基に対するイソシアネート基のモル比(イソシアネート基/水酸基)が33.3となるように反応を行った。反応終了後、ポリイソシアネート成分B-2を得た。得られたポリイソシアネート成分B-2は、不揮発分:100質量%、イソシアネート基含有率:21.6質量%、変性率:3.0モル%、硫黄原子含有率:0.5質量%、数平均分子量500、平均イソシアネート官能基数は2.7であった。
[製造例8]
(ポリイソシアネート成分B-3の製造)
製造例1で得られたポリイソシアネートP-1:100質量部に、製造例5で得られた2-ヒドロキシエタンスルホン酸トリ-n-プロピルアミン塩(HES/TPA):14.5質量部を添加し、窒素下、120℃で4時間攪拌して、水酸基に対するイソシアネート基のモル比(イソシアネート基/水酸基)が20となるように反応を行った。反応終了後、製造例2で得られたポリイソシアネートP-2:100質量部を添加し、攪拌混合し、ポリイソシアネート成分B-3を得た。得られたポリイソシアネート成分B-3は、不揮発分:100質量%、イソシアネート基含有率:19.9質量%、変性率:5.0モル%、硫黄原子含有率:0.8質量%、数平均分子量610、平均イソシアネート官能基数は2.9であった。
[製造例9]
(ポリイソシアネート成分B-4の製造)
製造例1で得られたポリイソシアネートP-1:100質量部、及び、製造例2で得られたポリイソシアネートP-2を100質量部に、3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸:9.5質量部、及び、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン:5.5質量部を添加した。次いで、窒素下、還流下、80℃で5時間攪拌して、アミノ基に対するイソシアネート基のモル比(イソシアネート基/アミノ基)が25となるように反応を行い、ポリイソシアネート成分B-4を得た。得られたポリイソシアネート成分B-4は、不揮発分:100質量%、イソシアネート基含有率:20.1質量%、変性率:4.0モル%、硫黄原子含有率:0.6質量%、数平均分子量630、平均イソシアネート官能基数は3.0であった。
各製造例で得られたポリイソシアネート成分(B)の物性を以下の表1に示す。
Figure 2022014951000005
<含フッ素共重合体(A)の製造>
[製造例10]
(含フッ素共重合体A-1及びその水分散体の製造)
2Lステンレス製オートクレーブに酢酸ブチル:850質量部、4-ビニル安息香酸:22.2質量部、ピバル酸ビニル:38.4質量部、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル:69.6質量部、及び、10-ウンデシレン酸:18.4質量部を加え、窒素置換し、イソブチレン:42質量部、及び、テトラフルオロエチレン:100質量部を加え、槽内を60℃まで昇温した。これに撹拌下、ラジカル重合開始剤(「パーブチルPV」(商品名)、日本油脂(株)製):3質量部を加え、反応を開始した。反応中は槽内が0.80MPaとなるようにテトラフルオロエチレンを連続供給した。反応開始から1時間後には槽内の温度を65℃に、反応開始から2時間後には槽内の温度を70℃に上昇させた。反応開始から3.5時間後にパーブチルPV:1.5質量部を追加し、反応を継続した。反応開始から6時間後にテトラフルオロエチレンが合計230質量部供給された時点で、テトラフルオロエチレンの供給を止め、槽内を80℃で1時間加熱した。その後槽内を常温常圧に戻して重合を停止し、含フッ素共重合体A-1の酢酸ブチル溶液:1200質量部(固形分濃度29質量%)を得た。含フッ素共重合体A-1は、重量平均分子量13000、水酸基価96mgKOH/g、酸価16mgKOH/gであった。
次いで、得られた含フッ素共重合体A-1の酢酸ブチル溶液をエバポレーターで濃縮し、固形分濃度55質量%の濃縮液を得た。これを500mLポリカップに100g取り、エタノール:100g、及び、トリエチルアミン:1.6gを入れ、ホモディスパーで撹拌し、カルボキシ基を中和した。その後、撹拌しながら120gの純水を徐々に加えた。得られた溶液を、エバポレーターを用いて有機溶剤を留去し、含フッ素共重合体A-1の水分散体F-1(以下、単に「水分散体F-1」と称する場合がある):160gを得た。得られた水分散体F-1の不揮発分は、35.0質量%であった。
<コーティング組成物の製造>
[実施例1]
(コーティング組成物C-a1の製造)
製造例10で得られた含フッ素共重合体A-1の水分散体F-1:70質量部を容器に計り取り、撹拌しながらレベリング剤(「BYK-348」(商品名)、BYK社製):0.11質量部、界面活性剤(「Tego(登録商標) Wet 270」(商品名)、Evonic Tego Chemie社製):0.11質量部、紫外線吸収剤(「Tinuvin(登録商標) 113」(商品名)、BASF社製):0.67質量部、及び、光安定剤(「Tinuvin(登録商標) 292」(商品名)、BASF社製):0.31質量部を添加し、スリーワンモーター1000回転で5分間撹拌した。次いで、製造例6で得られたポリイソシアネート成分B-1:12質量部を加え、さらにスリーワンモーター1000回転で5分間撹拌し、コーティング組成物C-a1を製造した。
[実施例2~3及び比較例1]
(コーティング組成物C-a2~C-a3及びC-b1の製造)
組成及び配合量を表2に示すとおりとした以外は、実施例1と同様の方法を用いて、各コーティング組成物を製造した。
実施例及び比較例で得られた各コーティング組成物の評価結果を以下の表2に示す。
Figure 2022014951000006
表2から、含フッ素共重合体(A)と、水酸基を有するスルホン酸とポリイソシアネートとから誘導される、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート成分(B)と、を含有する、コーティング組成物C-a1~C-a3(実施例1~3)では、コーティング組成物の均一性、並びに、塗膜の基材に対する密着性、及び白色塗装が施された基材に対する密着性が全て優れていた。
一方、含フッ素共重合体(A)と、アミノ基を有するスルホン酸とポリイソシアネートとから誘導される、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート成分(B)と、を含有する、コーティング組成物C-b1(比較例1)では、コーティング組成物の均一性は良好であったが、塗膜の基材に対する密着性、及び白色塗装が施された基材に対する密着性が不良であった。
本実施形態のコーティング組成物によれば、塗膜としたときの基材に対する密着性、特に、塗装された基材に対する密着性に優れるコーティング組成物を提供することができる。本実施形態のコーティング組成物は、重防食用塗料、建築用塗料、自動車用塗料、プラスチック用塗料、光学部材のコーティング剤等として好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 含フッ素共重合体(A)と、
    水酸基を有するスルホン酸とポリイソシアネートとから誘導される、スルホン酸アニオン基を分子内に含有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート成分(B)と、
    を含有する、コーティング組成物。
  2. 前記水酸基を有するスルホン酸が下記一般式(I)で表される化合物である、請求項1に記載のコーティング組成物。
    Figure 2022014951000007
    (一般式(I)中、R11は水酸基、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、及び、イミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基である。R11は環構造を含んでもよい。前記環構造は、芳香族環、炭素数5若しくは6のシクロアルキル基、窒素原子を2つ含む5員環若しくは6員環、又は、窒素原子と酸素原子とを含む5員環若しくは6員環である。)
  3. 1種以上のアミン化合物の第三級アンモニウムカチオンを更に含有する、請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
  4. 前記アミン化合物が下記一般式(II)で表される化合物である、請求項3に記載のコーティング組成物。
    Figure 2022014951000008
    (一般式(II)中、R21、R22及びR23は、互いに独立して、エーテル結合を含んでもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基である。R21、R22及びR23からなる群より選ばれる少なくとも1つが環構造を含んでいてもよく、R21、R22及びR23からなる群より選ばれる2つ以上は互いに結合して環構造を形成してもよい。前記環構造は、芳香族環、炭素数5若しくは6のシクロアルキル基、R21とR22とが互いに結合した5員環若しくは6員環、又は、R21とR22とR23とが互いに結合した多員の多重環である。)
  5. 前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び、芳香族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  6. 前記含フッ素共重合体(A)が、フルオロオレフィンに基づく重合単位と、水酸基を有する重合単位と、を含み、且つ、
    前記含フッ素共重合体(A)の水酸基価が20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のコーティング組成物によってコーティングされたコーティング基材。
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