JP2022011476A - コップ状容器ならびにコップ状容器の胴体形成用積層体および底体形成用積層体 - Google Patents

コップ状容器ならびにコップ状容器の胴体形成用積層体および底体形成用積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】胴体や底体の材料に金属箔層と樹脂層とよりなる積層体が用いられているコップ状容器として、胴体や底体の表面に図柄等の印刷を施す場合に、印刷ズレを生じることがなく、優れた意匠性が得られるものを提供する。【解決手段】コップ状容器1は、胴体用ブランク20Aの両端縁部どうしを重ね合わせて接合することにより筒状に成形されている胴体2と、底体用ブランク30Aを底部31と垂下部32とが形成されるように成形してなる底体3とよりなる。胴体2の下端部2aの内面に垂下部32の外面が接合されている。胴体用ブランク20Aが、金属箔層201とその内外両面に積層された内側樹脂層202および外側樹脂層203とよりなる積層体20から形成されている。外側樹脂層203が、高弾性樹脂フィルム層204aを有する基材層204と、基材層2204の一方の面に印刷を施すことにより形成された印刷層205とを有している。【選択図】図4

Description

この発明は、例えばアイスクリームやヨーグルトのような食品や飲料等を内容物とするコップ状容器、ならびに同容器の胴体および底体を形成するための材料として用いられる積層体に関する。
例えばアイスクリームやヨーグルト等の半固形状乳製品を充填包装するための容器として、紙製のコップ状容器、すなわち紙コップが一般に用いられている。
紙コップは、通常、それぞれ所定形状にカットされた紙製ブランクよりなる胴体と底体とを接合一体化することにより形成されている。より詳細には、胴体は、略扇形の胴体用ブランクの両端縁部どうしをオーバーラップさせて接合することにより筒状に成形するとともに、下端開口縁部に内方に折り返された折り返し部を形成し、上端開口縁部に外方にカールされたフランジ部を形成してなる。底体は、略円形の底体用ブランクをその外周部に垂下部が形成されるようにスカート成形してなる断面略逆U形のものである。そして、底体の垂下部が胴体の折り返し部に包み込まれて接合されることにより、胴体および底体が一体化されている。
胴体用および底体用の各ブランクは、例えば、一般原紙、耐酸紙、コート紙等よりなる紙層と、紙層の片面または両面に積層されたポリエチレン(PE)層とを有する積層体よりなる(例えば下記の特許文献1参照)。
また、上記各ブランクの材料として、紙層およびポリエチレン(PE)層に加えてアルミニウム箔等よりなるバリア層を積層してなる積層体を使用した紙コップも知られている(例えば下記の特許文献2参照)。
その他、アイスクリーム、ヨーグルト等の容器として、ポリプロピレン(PP)等のプラスチック成形体よりなるものも知られている(例えば下記の特許文献3参照)。
しかしながら、紙コップは、生産性に優れ、安価に製造することが可能である反面、バリア性が低く、内容物の長期保存には適していなかった。
アルミニウム箔等のバリア層が付加された紙コップの場合、内容物の長期保存性は向上するが、紙層の端面から水が侵入しやすく、レトルト殺菌を行うことができなかった。
また、プラスチック製の容器の場合、製造設備のコストが高くつく上、内容物の長期保存には適していなかった。
上記の課題を解決するため、本発明者は、胴体用ブランクおよび底体用ブランクそれぞれの材料として、金属箔層とその両面のうち少なくとも一方の面に積層された熱融着性樹脂層とよりなる積層体を使用したコップ状容器を考案した(下記の特許文献4)。
このコップ状容器によれば、紙コップの製造設備を利用して安価に製造できる上、内容物の長期保存性に優れており、アセプティック殺菌やレトルト殺菌を行うこともできる。
特開昭58-30955号公報 特開2007-210639号公報 特開2007-176505号公報 特開2020-11774号公報
ここで、コップ状容器には、装飾による意匠性の向上や識別性の付与を目的として、胴体の外面側に印刷表示を設ける場合が少なくない。また、胴体の内面側や、底体の上面側および下面側にも同様に印刷表示を設けることがあり得る。
紙コップの場合、胴体や底体の材料である紙には印刷適性があるため、紙の表面に印刷を施すと、印刷ズレがなく発色性に優れた良好な印刷表示が得られる。しかしながら、紙コップの内容物が液体である場合、長時間充填したままの状態が保持されると胴体の内側端面から液体が紙に浸透するため、紙が吸湿して膨張変形したり、色滲みや内容物への印刷インキの溶出などが生じるおそれがある。
また、特許文献1のように紙層とポリエチレン層との積層体よりなる紙コップの胴体の表面に印刷を施した場合も、胴体の内側端面から液体が紙に浸透し、色滲み等の発生が懸念される。
これに対し、特許文献4のように金属箔層と樹脂層との積層体よりなるコップ状容器の胴体の外面側や内面側に印刷を施した場合、内容物が液体であるとしても、紙コップのように色滲みや内容物への印刷インキの溶出等の問題が生じる心配はない。この場合、胴体用ブランクの金属箔表面に印刷すると、発色性が悪く意匠性が劣ることから、胴体の外側樹脂層や内側樹脂層を構成する樹脂フィルムの片面に印刷層を形成して、良好な発色状態を確保することが考えられる。
しかしながら、樹脂フィルムの片面に印刷する際、同樹脂フィルムに張力が掛かった状態で印刷が行われるため、フィルムを構成する樹脂の種類等によっては、樹脂フィルムが伸ばされた状態で印刷されることが考えられる。そのため、特に図柄や文字等を印刷した樹脂フィルムを有する積層体を打ち抜いて胴体用ブランクや底体用ブランクを形成し、同胴体用ブランクおよび底体用ブランクから筒状の胴体および底体を成形すると、図柄等が本来の位置からずれてしまい、意匠性に問題が生じるおそれがあった。
この発明の目的は、胴体や底体の材料に金属箔層と樹脂層とよりなる積層体が用いられているコップ状容器として、胴体や底体の表面に図柄等の印刷を施した場合にも、印刷ズレを生じることがなく、意匠性に優れているものを提供することにある。
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
1)胴体用ブランクの両端縁部どうしを重ね合わせて接合することにより筒状に成形されている胴体と、底体用ブランクを底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりなり、胴体の下端部の内面に底体の垂下部の外面が接合されることにより胴体および底体が一体化されているコップ状容器であって、
胴体用ブランクが、金属箔層と金属箔層の両面のうち胴体の内側となる面に積層された内側樹脂層と金属箔層の両面のうち胴体の外側となる面に積層された外側樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、内側樹脂層および外側樹脂層のうち少なくとも内側樹脂層の表面が熱融着性樹脂よりなり、胴体用ブランクの両端縁部がこれらの互いに重なり合う面を構成している熱融着性樹脂どうしを熱融着することにより接合されており、
底体用ブランクが、金属箔層と金属箔層の両面のうち底体の上側となる面に積層された上側樹脂層と金属箔層の両面のうち底体の下側となる面に積層された下側樹脂層よりなる積層体から形成されたものであって、上側樹脂層および下側樹脂層のうち少なくとも上側樹脂層の表面が熱融着性樹脂よりなり、胴体の下端部の内面および底体の垂下部の外面がこれらの面を構成している熱融着性樹脂どうしを熱融着することにより接合されており、
外側樹脂層、内側樹脂層、上側樹脂層および下側樹脂層のうち少なくともいずれか1つが、高弾性樹脂フィルム層を有する基材層と、基材層の一方の面に印刷を施すことにより形成された印刷層とを有している、コップ状容器。
2)高弾性樹脂フィルム層が、流れ方向(MD)および垂直方向(TD)の引張弾性率がいずれも760MPa以上である樹脂フィルムよりなる、前記1)のコップ状容器。
3)印刷層が、高弾性樹脂フィルム層の一方の面に印刷を施すことにより形成されている、前記1)または2)のコップ状容器。
4)印刷層が、外側樹脂層の最内層または厚さ中間部、内側樹脂層の最外層または厚さ中間部、上側樹脂層の最下層または厚さ中間部、下側樹脂層の最上層または厚さ中間部のうち少なくともいずれか1つに形成されている、前記1)~3)のいずれか1つのコップ状容器。
5)外側樹脂層、内側樹脂層、上側樹脂層および下側樹脂層のうち少なくともいずれか1つが、基材層および印刷層に加えて、高弾性樹脂フィルム層を構成している合成樹脂と同一または同種の合成樹脂よりなる補強樹脂フィルム層をさらに有している、前記1)~4)のいずれか1つのコップ状容器。
6)胴体用ブランクの両端縁部どうしを重ね合わせて接合することにより筒状に成形されている胴体と、底体用ブランクを底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりなり、胴体の下端部の内面に底体の垂下部の外面が接合されることにより胴体および底体が一体化されているコップ状容器において、上記胴体を形成する材料として用いられる積層体であって、
金属箔層と、金属箔層の両面のうち胴体の内側となる面に積層された内側樹脂層と、金属箔層の両面のうち胴体の外側となる面に積層された外側樹脂層とよりなり、
内側樹脂層および外側樹脂層のうち少なくとも内側樹脂層の表面が熱融着性樹脂よりなり、
外側樹脂層および内側樹脂層のうち少なくともいずれか一方が、高弾性樹脂フィルム層を有する基材層と、基材層の一方の面に印刷を施すことにより形成された印刷層とを有している、コップ状容器の胴体形成用積層体。
7)胴体用ブランクの両端縁部どうしを重ね合わせて接合することにより筒状に成形されている胴体と、底体用ブランクを底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりなり、胴体の下端部の内面に底体の垂下部の外面が接合されることにより胴体および底体が一体化されているコップ状容器において、上記底体を形成する材料として用いられる積層体であって、
金属箔層と、金属箔層の両面のうち底体の上側となる面に積層された上側樹脂層と、金属箔層の両面のうち底体の下側となる面に積層された下側樹脂層とよりなり、
上側樹脂層および下側樹脂層のうち少なくとも上側樹脂層の表面が熱融着性樹脂よりなり、
上側樹脂層および下側樹脂層のうち少なくともいずれか一方が、高弾性樹脂フィルム層を有する基材層と、基材層の一方の面に印刷を施すことにより形成された印刷層とを有している、コップ状容器の底体形成用積層体。
前記1)のコップ状容器によれば、胴体および/または底体を形成する積層体の外側樹脂層、内側樹脂層、上側樹脂層および下側樹脂層のうち少なくともいずれか1つが、高弾性樹脂フィルム層を有する基材層と、基材層の一方の面に印刷を施すことにより形成された印刷層とを有しており、印刷時に基材層が伸びるのが抑制されるので、胴体や底体の表面に図柄等の印刷を施す場合にも、印刷ズレを生じることがなく、優れた意匠性が得られる。
前記2)のコップ状容器によれば、印刷時に基材層が伸びるのがより確実に抑制される。
なお、前記2)のコップ状容器に係る発明を特定するに当たり、「引張弾性率」は、JIS K7127:1999(ISO527-3:1995)に規定されたフィルムおよびシートの引張特性の試験方法に準拠して求めたものを指す。
前記3)のコップ状容器によれば、印刷時に基材層が伸びるのがより一層確実に抑制される。
前記4)のコップ状容器によれば、印刷層が胴体や底体の表面に露出しないため、印刷層の剥離や変色等が生じ難く、長期にわたって優れた意匠性を確保できる。
前記5)のコップ状容器によれば、胴体や底体を形成する積層体の剛性が補強樹脂フィルム層によって高められ、ひいては、コップ状容器全体の剛性が高められる。
前記6)のコップ状容器の胴体形成用積層体によれば、外側樹脂層および/または内側樹脂層が、高弾性樹脂フィルム層を有する基材層と、基材層の一方の面に印刷を施すことにより形成された印刷層とを有しており、印刷時に基材層が伸びるのが抑制されるので、胴体の外面側や内面側に図柄等の印刷を施す場合にも印刷ズレを生じることがなく意匠性に優れたコップ状容器を形成することが可能になる。
前記7)のコップ状容器の底体形成用積層体によれば、上側樹脂層および/または下側樹脂層が、高弾性樹脂フィルム層を有する基材層と、基材層の一方の面に印刷を施すことにより形成された印刷層とを有しており、印刷時に基材層が伸びるのが抑制されるので、胴体の上面側や下面側に図柄等の印刷を施す場合にも印刷ズレを生じることがなく意匠性に優れたコップ状容器を形成することが可能になる。
この発明の第1の実施形態に係るコップ状容器の斜視図である。 図1のII-II線に沿う垂直断面図であって、図中、一点鎖線Aで囲まれた部分は一点鎖線aで囲まれた部分を拡大して示したものであり、一点鎖線Bで囲まれた部分は一点鎖線bで囲まれた部分を拡大して示したものである。 上記コップ状容器における胴体のオーバーラップ部を拡大して示す水平断面図である。 胴体の材料とされる積層体の層構造の3つの態様を示す拡大断面図である。 底体の材料とされる積層体の層構造を示す拡大断面図である。 (a)は胴体用ブランクの平面図であり、(b)は胴体用ブランクから成形された胴体の斜視図である。 (a)は底体用ブランクの平面図であり、(b)は底体用ブランクから成形された底体の斜視図である。 上記コップ状容器の製造工程の一部を示す垂直断面図である。 上記コップ状容器の胴体の変形例を示す水平断面図であって、図中、一点鎖線Cで囲まれた部分は一点鎖線cで囲まれた部分を拡大して示したものである。 同変形例において、胴体用ブランクから胴体を成形する工程を順次示す水平断面図である。
この発明の実施形態を、図1~図10を参照して以下に説明する。
以下の説明において、「上下」は、コップ状容器、胴体、底体における上下(例えば図2,8それぞれの上下)をいうものとし、また、「内」は、コップ状容器、胴体、底体における中心に近い側(例えば図3の上、図8の右)をいい、「外」は、コップ状容器、胴体、底体における中心から遠い側(例えば図3の下、図8の左)をいうものとする。
図1~図3は、この発明の実施形態のコップ状容器(1)の構成を示すものであって、この容器(1)は、胴体用ブランク(20A)から成形された胴体(2)と、底体用ブランク(30A)から成形された底体(3)とを接合一体化してなる。
胴体(2)は、テーパ筒状のものであって、略扇形をした胴体用ブランク(20A)の両端縁部(204)(205)どうしをオーバーラップさせて接合することにより成形されている(図6参照)。したがって、胴部(2)には、その高さ方向に沿ってのびるオーバーラップ部(21)が存在する。
胴体(2)の下端開口縁部には、内方に折り返された折り返し部(22)が形成されている。
また、胴体(2)の上端開口縁部には、外方に折り曲げられたフランジ部(23)が設けられている。フランジ部(23)は、下方に折り返されてほぼ水平な偏平状に成形されている。なお、フランジ部は、図示以外の形態、例えば、下方にカールさせられて横断面略円弧状に成形されていてもよい。
底体(3)は、円形をした水平な底部(31)と、底部(31)の外周縁部から下方にのびた垂下部(32)とを有する断面略逆U形のものであって、円形の底体用ブランク(30A)を絞り成形してなる(図7参照)。
そして、底体(3)の垂下部(32)の外面が胴体(2)の下端部(2a)の内面に接合されるとともに、胴体(2)の折り返し部(22)が垂下部(32)の内面に接合されることにより、胴体(2)および底体(3)が一体化されている(図2および図8参照)。
なお、図示は省略したが、胴体(2)の下端開口縁部に折り返し部(22)を形成せず、胴体(2)の下端部(2a)内面に底体(3)の垂下部(32)外面が接合されるのみの連結構造によって、胴体(2)と底体(3)とを一体化した構成とすることもできる。この構成によれば、底体(3)の成形時に垂下部(32)に若干のシワが発生していた場合でも、空気等を混入することなく、胴体(2)の下端部(2a)と底体(3)の垂下部(32)とを確実にシールすることができる。
胴体用ブランク(20A)は、図4(a)ないし(c)に示すように、金属箔層(201)と、金属箔層(201)の両面のうち胴体(2)の内側となる面に積層された内側樹脂層(202)と、金属箔層(201)の両面のうち胴体(2)の外側となる面に積層された外側樹脂層(203)とよりなる積層体(20)から形成されており、紙層を有していない。内側樹脂層(202)の表面(最内面)および外側樹脂層(203)の表面(最外面)は、いずれも熱可塑性樹脂よりなる。
また、底体用ブランク(30A)も、図5に示すように、金属箔層(301)と、金属箔層(301)の両面のうち底体(3)の上側となる面に積層された上側樹脂層(302)と、金属箔層(301)の両面のうち底体(3)の下側となる面に積層された下側樹脂層(303)とよりなる積層体(30)から形成されており、紙層を有していない。上側樹脂層(302)の表面(上面)および下側樹脂層(303)の表面(下面)は、いずれも熱可塑性樹脂よりなる。なお、胴体(2)の下端開口縁部に折り返し部(22)を形成せず、胴体(2)の下端部(2a)内面に底体(3)の垂下部(32)外面が接合されるのみの連結構造とする場合には、底体用ブランク(30A)の下側樹脂層(303)を省略することも可能である。
各積層体(20)(30)の厚さは、250μm未満とするのが好ましく、200μm未満とするのがより好ましい。各積層体(20)(30)の厚さを上記範囲とすることによって、ブランクの材料として厚さ250~400μm程度の積層体を使用する紙コップのように、胴体(2)のフランジ部(23)のうちオーバーラップ部(21)によって構成されている部分の段差が大きくなりすぎたり、胴体(2)の下端部(2a)および折り返し部(22)と底体(3)の垂下部(31)との接合が安定しない、といった問題が確実に回避される。
金属箔層(201)(301)は、内容物をガス、水蒸気、光等から保護するためのバリア層として機能するものである。
金属箔層(201)(301)を構成する金属箔としては、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレス鋼箔、銅箔などを使用することができるが、好適にはアルミニウム箔が用いられる。アルミニウム箔の場合、純アルミニウム箔、アルミニウム合金箔のいずれでもよく、また、軟質、硬質のいずれでもよいが、例えば、JIS H4160で分類されるA8000系(特に、A8079HやA8021H)の焼鈍処理済の軟質材(O材)であれば、成形性に優れているので、好適に用いることができる。
金属箔層(201)(301)の両面には、必要に応じて、化成処理などの下地処理を行う。具体的には、例えば、脱脂処理を行った金属箔の表面に、
1)リン酸と、
クロム酸と、
フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
2)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
3)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
上記1)~3)のうちのいずれかの水溶液を塗工した後、乾燥することにより、化成処理を施して、皮膜を形成する。
なお、金属箔層(201)(301)として金属箔の軟質材(O材)を使用する場合、その表面に脱脂処理を行うことなく、直ちに化成処理を行っても構わない。
上記化成処理により金属箔層(201)(301)表面に形成される皮膜は、クロム付着量(片面当たり)を0.1mg/m~50mg/mとするのが好ましく、特に、2mg/m~20mg/mとするのが好ましい。
金属箔層(201)(301)の厚さは、40~200μmとするのが好ましく、80~160μmとするのがより好ましい。金属箔層(201)(301)の厚さを上記範囲とすることによって、充分なバリア性と成形加工性を得ることができる。
胴体用ブランク(20A)の内側樹脂層(202)および外側樹脂層(203)ならびに底体用ブランク(30A)の上側樹脂層(302)および下側樹脂層(303)は、容器(1)の内外面を構成するものであって、金属箔層(201)(202)を保護するとともに、積層体(20)(30)に成形性を付与する役割を担うものであり、また、胴体用ブランク(20A)の両端縁部(204)(205)どうしの接合や、胴体(2)の下端部(2a)および折り返し部(22)と底体(3)の垂下部(32)との接合の際に熱融着層として機能するものである。なお、外側樹脂層(203)の詳細については、後述する。
胴体用ブランク(20A)の内側樹脂層(202)、ならびに、底体用ブランク(30A)の上側樹脂層(302)および下側樹脂層(303)は、通常、例えば、熱融着性を有するポリプロピレンフィルム(PP)、ポリエチレンフィルム(PE)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)、ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)等の汎用性フィルム、または、これらを貼り合わせた複合フィルムによって構成されるが、とりわけ、耐熱性や絞り成形性に優れている無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)が好適である。
また、これらの樹脂層(202)(302)(303)は、変性ポリオレフィンよりなるフィルムまたはコート層によって構成することもできる。変性ポリオレフィンとしては、例えば、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アコニット酸、クロトン酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、チオマリン酸、酒石酸、アジピン酸、クエン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸等のカルボン酸や、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水コハク酸等の無水カルボン酸により変性されたポリオレフィン(ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、これらの共重合体等)が挙げられる。好ましくは、マレイン酸変性ポリオレフィンや無水マレイン酸変性ポリオレフィンが用いられる。
これらの樹脂層(202)(302)(303)の厚さは、5~80μmとするのが好ましく、10~60μmがより好ましい。各樹脂層(202)(203)(302)(303)の厚さを上記範囲とすることによって、胴体用ブランク(20A)の両端縁部どうしの接合部や、胴体(2)の下端部(2a)および折り返し部(22)と底体(3)の垂下部(32)との接合部において十分な接着強度を得ることができると共に、胴体(2)のフランジ部(23)上面のうちオーバーラップ部(21)によって構成されている部分の段差を緩やかにすることができて、蓋材で封緘した際の密封性が良好となる。
図4に示すように、この実施形態のコップ状容器(1)では、胴体用ブランク(20A)の外側樹脂層(203)が、高弾性樹脂フィルム層(204a)を有する基材層(204)と、基材層(204)の一方の面に印刷を施すことにより形成された印刷層(205)とを有するものとなされている。そして、この印刷層(205)により、胴体(2)の外面側に図柄や文字等の印刷表示(24)が形成されている(図1参照)。得られた印刷表示(24)には印刷ズレが見られず、それによってコップ状容器(1)の意匠性が高められる。
外側樹脂層(203)の厚さは5~80μmとするのが好ましく、10~60μmがより好ましい。
印刷層(205)は、高弾性樹脂フィルム層(204a)の一方の面に印刷を施すことにより形成されているのが好ましい。これにより、印刷時に掛かる張力によって基材層(204)が伸びるのがより一層確実に抑制される。とりわけ、高弾性樹脂フィルム層(204a)の内面(裏面)に印刷を施した場合に、印刷表示(24)の鮮明度が向上し、意匠性に優れたコップ状容器(1)が得られやすくなる。
また、印刷層(205)は、外側樹脂層(203)の最内層または厚さ中間部に形成されているのが好ましい。このようにすれば、印刷層(205)が胴体(2)の外面に露出しないため、印刷層(205)の剥離や変色等が生じ難く、長期にわたって優れた意匠性を確保できる。もっとも、外側樹脂層(203)の最外層に印刷層(205)を形成することも可能である。
より具体的に説明すると、まず図4(a)に示す態様の外側樹脂層(203)の場合、基材層(204)が高弾性樹脂フィルム層(204a)のみよりなる。そして、この高弾性樹脂フィルム層(204a)の裏面(内面)に印刷を施すことにより印刷層(205)が形成されている。
高弾性樹脂フィルム層(204a)は、好ましくは、流れ方向(MD)および垂直方向(TD)の引張弾性率がいずれも760MPa以上(より好ましくは1000MPa以上、上限は6000MPa)である樹脂フィルムよりなる。高弾性樹脂フィルム層(204a)として上記樹脂フィルムを使用することにより、印刷時に掛かる張力によって基材層(204)(高弾性樹脂フィルム層(204a)以外の層を有する複層構造の場合を含む。)が伸びるのが確実に抑制される。なお、「引張弾性率」は、前述した通り、JIS K7127:1999(ISO527-3:1995)に規定されたフィルムおよびシートの引張特性の試験方法に準拠して求めたものを指す。具体的には、初期長さL(m)、初期断面積A(mm)のフィルムを、初期引張力F(N)で引張ったときの伸び:ΔL(m)、伸び比:ΔL/Lとして、引張弾性率(MPa)=F/(A・ΔL/L)である。ここで、A=幅15mm・フィルム厚Tmm、L=0.15(m)とする。
高弾性樹脂フィルム層(204a)を構成する樹脂フィルムの種類としては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、ナイロンフィルム(ONy)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)、ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)、または、これらを貼り合わせた複合フィルムが挙げられる。とりわけ、印刷時に掛かる張力に対する引張耐性を考慮すると、プロピレンのホモポリマーよりなる無延伸ホモポリプロピレンフィルム(HPP)やポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)が好適である。
高弾性樹脂フィルム層(204a)の厚さは、取扱性、コスト(入手の容易性)等を考慮すると、5~80μmであるのが好ましく、より好ましくは10~60μmである。
印刷層(205)は、高弾性樹脂フィルム層(204a)の裏面(内面)に、例えば所定パターンの図柄や文字等をグラビア印刷またはフレキソ印刷することにより形成される。また、印刷は単色印刷、多色印刷のいずれでも構わない。印刷インキは、特に限定されないが、樹脂材料としてポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)、硝化綿、またはこれらの混合物が用いられているものが好適である。印刷層の厚さは、1色当たり0.5~2μmであるのが好ましく、より好ましくは1μm程度である。
次に、図4(b)に示す態様の外側樹脂層(203)は、基材層(204)が、高弾性樹脂フィルム層(204a)に加えて、高弾性樹脂フィルム層(204a)の外面(表面)に積層された補強樹脂フィルム層(206)を更に備えているものである。
また、図4(c)に示す態様の外側樹脂層(203)は、印刷層(205)の内面(裏面)に補強樹脂フィルム層(206)が積層されているものである。つまり、図示の外側樹脂層(203)は、その最内層が、基材層(204)および印刷層(205)とは別の補強樹脂フィルム層(206)によって構成されているものである。
補強樹脂フィルム層(206)は、高弾性樹脂フィルム層(204a)を構成している合成樹脂と同一または同種の合成樹脂よりなるのが好ましい。具体的には、補強樹脂フィルム層(206)は、例えばポリエチレンフィルム(PE)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、ナイロンフィルム(ONy)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)、ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)、または、これらを貼り合わせた複合フィルムが挙げられる。無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)は、ホモポリプロピレンフィルム(HPP)、ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体フィルム(rPP)、またはポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体フィルム(bPP)を使用することができる。
コップ状容器(1)の剛性を高めたい場合、胴体用ブランク(20A)を形成する積層体(20)における外側樹脂層(203)の高弾性樹脂フィルム層(204a)の厚さも厚くすることが考えられるが、それには一定の限界がある。そこで、積層体(20)の外側樹脂層(203)に上記のような補強樹脂フィルム層(206)を付加すれば、積層体(20)、すなわち胴体用ブランク(20A)の剛性が高められ、ひいては容器(1)全体の剛性が高められる。
補強樹脂フィルム層(206)の厚さは、取扱性、コスト(入手の容易性)等を考慮すると、5~80μmであるのが好ましく、より好ましくは10~60μmである。
金属箔層(201)(301)を構成する金属箔と、各樹脂層(202)(203)(302)(303)を構成する樹脂フィルムとの積層は、例えば、接着剤層(図示略)を介してドライラミネート法により行われる。接着剤層には、例えば、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン系接着剤やポリエーテル-ポリウレタン系接着剤が用いられる。
上記の接着剤層の存在により、例えば胴体(2)のオーバーラップ部(21)において、胴体用ブランク(20A)の内側樹脂層(202)および外側樹脂層(203)が熱融着により減肉した場合でも、金属箔層(201)どうしが接触するのが回避されるので、シール性が保持される。また、上記の接着剤層があれば、各樹脂層(202)(203)(302)(303)を透過する内容物が充填される場合であっても、金属箔層(201)(301)が腐食して内容物が漏れ出すのを回避することができる。
コップ状容器(1)の胴体(2)のオーバーラップ部(21)において、胴体用ブランク(20A)の両端縁部(204)(205)における互いに熱融着された内側樹脂層(202)および外側樹脂層(203)の合計厚さ(T1)が8~150μmであるのが好ましく、より好ましくは16~80μmとなされる(図3参照)。上記合計厚さ(T1)が8μm未満であると、オーバーラップ部(21)のシール性が不十分となるおそれがある。一方、上記合計厚さ(T1)が150μmを超えると、オーバーラップ部(21)のバリア性が損なわれるおそれがある。
また、胴体(2)のオーバーラップ部(21)において、胴体用ブランク(20A)の両端縁部(204)(205)における金属箔層(201)(201)どうしの厚さ方向から見た重なり幅(W1)が2~10mmであるのが好ましく、より好ましくは4~8mmとなされる。上記重なり幅(W1)が2mm未満であると、オーバーラップ部(21)のバリア性が損なわれるおそれがあり、また、シール幅が小さくなりすぎてシール性が不十分となるおそれがある。一方、上記重なり幅(W1)が10mmを超えると、必要以上にオーバーラップ部(21)の幅が大きくなってコストアップにつながり、さらに、オーバーラップ部(21)の内側部分(胴体用ブランク(20A)の内端縁部(204))と外側部分(胴体用ブランク(20A)の外端縁部(205))とにかかる応力の相違に起因して、オーバーラップ部(21)の内側部分にシワが入るなどの外観不良が発生するおそれがある。
次に、上記積層体(20)(30)を使用して、コップ状容器(1)を形成する方法の一例を説明する。
まず、積層体(20)を所定サイズの略扇形に打ち抜いて、胴体用ブランク(20A)を形成する(図6(a)参照)。胴体用ブランク(20A)の表面には、印刷層(205)によって形成された所定の印刷表示(24)が設けられている。
また、積層体(30)を所定サイズの円形に打ち抜いて、底体用ブランク(30A)を形成し(図7(a)参照)、このブランク(30A)を、金型(図示略)を用いて絞り成形加工することにより、底部(31)および垂下部(32)よりなる横断面略逆U形の底体(3)を成形する(図7(b)参照)。得られた底体(3)には、シワが生じていない。また、底体(3)の外面における底部(31)と垂下部(32)との間のコーナー部分は、角が出ている。
そして、略円錐台形の金型(図示略)の頂面に、底体(3)をその底部(31)上面が重なるようにセットしておいてから、上記金型の外周面に胴体用ブランク(20A)を巻き付けて、その両端縁部どうしをオーバーラップさせた後、オーバーラップ部(21)の互いに重なり合う面を構成している内側熱融着性樹脂層(202)および外側熱融着性樹脂層(203)を熱融着させることにより、テーパ筒状の胴体(2)を成形する(図6(b)参照)。オーバーラップ部(21)の熱融着の手段は、シールバーを用いたヒートシールの他、高周波シールや超音波シール等であってもよい。特に、超音波シールを用いれば、優れたシール性が得られる。
次に、図8に示すように、胴体(2)の下端開口縁部を内側に折り返して、その折り返し部(22)を円盤状の回転金型(図示略)によって底体(3)の垂下部(32)に押し付けた後、胴体(2)の下端部(2a)および折り返し部(22)と底体(3)の垂下部(32)との互いに重なり合う面を構成している内側熱融着性樹脂層(202)と上側熱融着性樹脂層(302)および下側熱融着性樹脂層(303)とを熱融着させることにより、胴体(2)と底体(3)とを接合一体化させる。
また、胴体(2)の上端開口縁部を、所定のカール成形金型(図示略)を用いて外方にカールさせるとともに上下方向に加圧して偏平状に成形することにより、フランジ部(23)を形成する(図8参照)。
こうして、図1ないし図3に示すコップ状容器(1)が得られる。
図9および図10は、コップ状容器の胴体の変形例を示すものである。
図示のコップ状容器(1X)の胴体(2)は、胴体用ブランク(20A)の両端縁部どうしを合掌状に重ねて接合することにより筒状に成形されている(図9参照)。より詳細には、胴体用ブランク(20A)の合掌状に重ねられた両端縁部がこれらの内側樹脂層(202)の表面を構成している熱可塑性樹脂どうしを熱融着することにより接合されている。
また、胴体(2)の合掌部(21X)は、胴体(2)の外面と重なるように一方の側に折り曲げられて同外面を構成している胴体用ブランク(20A)の外側樹脂層(203)の熱可塑性樹脂よりなる表面に熱融着されている。
上記態様の胴体(2)を有するコップ状容器(1X)によれば、胴体用ブランク(20A)の両端縁部(204)(205)の端面が、容器(1X)に収容された内容物と接触することがないので、同端面でのデラミネーションや腐食等の発生が確実に抑制される。
上記の実施形態では、コップ状容器(1)(1X)の胴体(2)の外面側に印刷表示(24)を形成する態様として、胴体(2)の外側樹脂層(203)に、高弾性樹脂フィルム層(204a)を有する基材層(204)、印刷層(205)(および補強樹脂フィルム層(206))を設けたものを例示した。
しかしながら、この発明は、胴体(2)の内面側や、底体(3)の上面側、下面側に印刷表示を形成する態様のコップ状容器にも適用可能であり、その場合、胴体(2)の内側樹脂層(202)や、底体(3)の上側樹脂層(302)、下側樹脂層(303)に、上記の実施形態と同様の基材層、印刷層(および補強樹脂フィルム層)を設けるようにすれば良い。
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、この発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
a)胴体形成用積層体の形成
厚さ60μmの無延伸ホモポリプロピレンフィルム(HPP)(=高弾性樹脂フィルム層)の一方の面に、所定パターンの図柄をグラビア印刷機によって印刷することにより4色刷りで総厚4μmの印刷層を形成した。
また、厚さ100μmのアルミニウム箔(A8021H-O)(=金属箔層)の両面に化成処理を施した。
次いで、上記アルミニウム箔の一方の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤を約3g/m塗布して、上記印刷層付き無延伸ホモポリプロピレンフィルム(HPP)(外側樹脂層)を印刷層が内側(積層側)となるようにドライラミネートした。
さらに、上記アルミニウム箔の他方の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤を約3g/m塗布して、厚さ60μmの無延伸ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体フィルム(rPP)(=内側樹脂層)をドライラミネートした。
そして、接着剤を硬化させるために所定のエージング処理を行うことにより、胴体形成用積層体を得た。
なお、上記無延伸ホモポリプロピレンフィルム(HPP)の引張弾性率を測定したところ、流れ方向(MD)=770MPa、垂直方向(MD)=760MPaであった。
b)底体形成用積層体の形成
厚さ100μmのアルミニウム箔(A8021H-O)(=金属箔層)の両面に化成処理を施した。
次いで、上記アルミニウム箔の両面に、それぞれ、2液硬化型ウレタン系接着剤を約3g/m塗布して、厚さ60μmの無延伸ホモポリプロピレンフィルム(HPP)(=上側樹脂層、下側樹脂層)をドライラミネートした。
そして、接着剤を硬化させるために所定のエージング処理を行うことにより、底体形成用積層体を得た。
c)胴体用ブランクおよび底体用ブランクの形成
得られた各積層体をダイカット法により所定形状に打ち抜いて、胴体用ブランクおよび底体用ブランクを形成した(図6および図7参照)。
d)コップ状容器の作製
そして、上記の胴体用ブランクおよび底体用ブランクを用いて、前述した実施形態と同一の工程により、図1ないし図3に示すコップ状容器を作製し、これを実施例1とした。
ここで、胴体用ブランクの両端縁部どうしの熱融着は、超音波シール機(超音波工業社製の大型ウェルダ(1500W・3000w)G6S卓上タイプ)により、500Nの荷重で両端縁部(重なり幅10mm)を挟圧しながら、21kHzの超音波を1秒間発信して超音波シールすることにより行った。また、胴体の下端部および折り返し部と底体の垂下部との熱融着も、上記と同様の超音波シールにより行った。
尚、コップ状容器の寸法は下記の通りとした。
・コップ状容器上部の開口部の内径:65mm
・コップ状容器下部の内径:50mm
・フランジ部の幅:4mm
・コップ状容器の高さ:95mm
・コップ状容器の脚部(折り返し部)の高さ:6mm
[実施例2]
実施例1の胴体用ブランクを、図9および図10に示す変形例と同様に、その両端縁部どうしを合掌状に重ねて超音波シールで熱融着することにより筒状に成形して胴体を形成するとともに、胴体の合掌部を胴体の外面と重なるように一方の側に折り曲げて超音波シールにより熱融着した。なお、超音波シールの条件は、実施例1のオーバーラップ部の熱融着と同一とした。
そして、上記以外は実施例1と同一の要領でコップ状容器を作製し、これを実施例2とした。
[実施例3]
実施例1の胴体形成用積層体において、厚さ60μmの無延伸ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体フィルム(rPP)(=内側樹脂層)に代えて、厚さ60μmの無延伸ランダムポリプロピレンフィルム(HPP)を使用し、それ以外は実施例1と同一の要領でコップ状容器を作製し、これを実施例3とした。
[実施例4]
実施例3の胴体用ブランクを、図9および図10に示す変形例と同様に、その両端縁部どうしを合掌状に重ねて超音波シールで熱融着することにより筒状に成形して胴体を形成するとともに、胴体の合掌部を胴体の外面と重なるように一方の側に折り曲げて超音波シールにより熱融着した。なお、超音波シールの条件は、実施例1のオーバーラップ部の熱融着と同一とした。
そして、上記以外は実施例1と同一の要領でコップ状容器を作製し、これを実施例4とした。
[実施例5]
実施例1の胴体形成用積層体において、厚さ60μmの無延伸ホモポリプロピレンフィルム(HPP)(=高弾性樹脂フィルム層)に代えて、厚さ60μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を使用し、それ以外は実施例1と同一の要領でコップ状容器を作製し、これを実施例5とした。
なお、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の引張弾性率を測定したところ、流れ方向(MD)=4.9GPa、垂直方向(MD)=4.9GPaであった。
[実施例6]
実施例5の胴体用ブランクを、図9および図10に示す変形例と同様に、その両端縁部どうしを合掌状に重ねて超音波シールで熱融着することにより筒状に成形して胴体を形成するとともに、胴体の合掌部を胴体の外面と重なるように一方の側に折り曲げて超音波シールにより熱融着した。なお、超音波シールの条件は、実施例1のオーバーラップ部の熱融着と同一とした。
そして、上記以外は実施例1と同一の要領でコップ状容器を作製し、これを実施例4とした。
[比較例1]
実施例1の胴体形成用積層体において、厚さ60μmの無延伸ホモポリプロピレンフィルム(rPP)(=高弾性樹脂フィルム層)に代えて、厚さ60μmの無延伸ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体フィルム(rPP)を使用し、それ以外は実施例1と同一の要領でコップ状容器を作製し、これを比較例1とした。
なお、上記無延伸ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体フィルム(rPP)の引張弾性率を測定したところ、流れ方向(MD)=580MPa、垂直方向(MD)=530MPaであった。
[比較例2]
比較例1の胴体用ブランクを、図9および図10に示す変形例と同様に、その両端縁部どうしを合掌状に重ねて超音波シールで熱融着することにより筒状に成形して胴体を形成するとともに、胴体の合掌部を胴体の外面と重なるように一方の側に折り曲げて超音波シールにより熱融着した。なお、超音波シールの条件は、実施例1のオーバーラップ部の熱融着と同一とした。
そして、上記以外は実施例1と同一の要領でコップ状容器を作製し、これを比較例2とした。
[成形性およびシール性の検証]
実施例1~6および比較例1,2のコップ状容器について、容器の胴体の上縁部をカール成形してフランジ部を形成する際のカール不良の発生率を計測し、以下の基準で成形性を評価した。
「〇」:カール不良発生率=10%未満
「△」:カール不良発生率=10~20%
また、実施例1~6および比較例1,2のコップ状容器について、胴体の継ぎ目部(オーバーラップ部・合掌部)のシール強度を測定し、以下の基準でシール性を評価した。
「〇」:シール強度=10N/15mm超
「△」:シール強度=2~10N/15mm
「×」:シール強度=2N/15mm未満
ここで、シール強度は以下のようにして測定した。すなわち、まず実施例1~6および比較例1,2の各胴体形成用積層体から、幅15mm×長さ150mmの試験体を2枚切り出し、これらの試験体の長さ方向の一端部5mm幅どうしを、高弾性樹脂フィルム層の面どうしが重なるように(実施例1,3,5、比較例1)または高弾性樹脂フィルム層の面と内側樹脂層の面とが重なるようにして(実施例2,4,6、比較例2)、前述した条件下での超音波シールにより熱融着させた。次いで、JIS K6854?3(1999年)に準拠し、島津製作所製ストログラフ(AGS?5kNX)を使用して、一方のチャックで一方の試験体の他端側を挟み付け固定し、他方のチャックでもう一方の試験体の他端側を挟み付け固定し、この状態で引張速度100mm/分でT型剥離させた時の剥離強度(N/15mm)を測定し、これをシール強度とした。
成形性およびシール性の評価結果を、以下の表1に示す。
[印刷ズレの検証]
実施例1~6および比較例1,2のコップ状容器について、胴体形成用積層体の印刷層に対するズレ量を計測し、以下の基準で評価した。ここで、ズレ量は、流れ方向に同一間隔で並んだ印刷部間を1ピッチとして、4ピッチ間が506mmの設定で印刷処理される状態、すなわち、デザインピッチ506mm(4ピッチ長さ)に対するズレ量を、ライン上で自動計測したものである。
「◎」:ズレ量=1mm以下
「〇」:ズレ量=2mm以下
「×」:ズレ量=5mm超
Figure 2022011476000002
表1から明らかなように、成形性については、胴体用ブランクの継ぎ目部がオーバーラップ部よりなる実施例1,3,5および比較例1でカール不良発生率が低く抑えられており、また、胴体用ブランクの継ぎ目部が合掌部よりなる実施例2,4,6および比較例2でカール不良発生率がやや高かったが、問題のない範囲であった。
シール性は、実施例1~6および比較例1,2のいずれでも良好な結果が得られた。
次に、印刷ズレは、実施例5,6でズレ量が著しく低く、実施例1~4でもズレ量が低く抑えられており、胴体外面の印刷表示は問題のない優れた外観を呈していた。一方、比較例1,2ではズレ量が大きく、胴体外面においても印刷された図柄のズレが目立っていた。
この発明は、例えば流動状食品や飲料等を内容物とするコップ状容器として好適に使用することができる。
(1)(1X):コップ状容器
(2):胴体
(2a):胴体の下端部
(21):オーバーラップ部
(21X):合掌部
(23):フランジ部
(24):印刷表示
(20A):胴体用ブランク
(20):積層体
(201):金属箔層
(202):内側樹脂層
(203):外側樹脂層
(204):基材層
(204a):高弾性樹脂フィルム層
(205):印刷層
(206):補強樹脂フィルム層
(3):底体
(31):底部
(32):垂下部
(30A):底体用ブランク
(30):積層体
(301):金属箔層
(302):上側樹脂層
(303):下側樹脂層

Claims (7)

  1. 胴体用ブランクの両端縁部どうしを重ね合わせて接合することにより筒状に成形されている胴体と、底体用ブランクを底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりなり、胴体の下端部の内面に底体の垂下部の外面が接合されることにより胴体および底体が一体化されているコップ状容器であって、
    胴体用ブランクが、金属箔層と金属箔層の両面のうち胴体の内側となる面に積層された内側樹脂層と金属箔層の両面のうち胴体の外側となる面に積層された外側樹脂層とよりなる積層体から形成されたものであって、内側樹脂層および外側樹脂層のうち少なくとも内側樹脂層の表面が熱融着性樹脂よりなり、胴体用ブランクの両端縁部がこれらの互いに重なり合う面を構成している熱融着性樹脂どうしを熱融着することにより接合されており、
    底体用ブランクが、金属箔層と金属箔層の両面のうち底体の上側となる面に積層された上側樹脂層と金属箔層の両面のうち底体の下側となる面に積層された下側樹脂層よりなる積層体から形成されたものであって、上側樹脂層および下側樹脂層のうち少なくとも上側樹脂層の表面が熱融着性樹脂よりなり、胴体の下端部の内面および底体の垂下部の外面がこれらの面を構成している熱融着性樹脂どうしを熱融着することにより接合されており、
    外側樹脂層、内側樹脂層、上側樹脂層および下側樹脂層のうち少なくともいずれか1つが、高弾性樹脂フィルム層を有する基材層と、基材層の一方の面に印刷を施すことにより形成された印刷層とを有している、コップ状容器。
  2. 高弾性樹脂フィルム層が、流れ方向(MD)および垂直方向(TD)の引張弾性率がいずれも760MPa以上である樹脂フィルムよりなる、請求項1のコップ状容器。
  3. 印刷層が、高弾性樹脂フィルム層の一方の面に印刷を施すことにより形成されている、請求項1または2のコップ状容器。
  4. 印刷層が、外側樹脂層の最内層または厚さ中間部、内側樹脂層の最外層または厚さ中間部、上側樹脂層の最下層または厚さ中間部、下側樹脂層の最上層または厚さ中間部のうち少なくともいずれか1つに形成されている、請求項1~3のいずれか1つのコップ状容器。
  5. 外側樹脂層、内側樹脂層、上側樹脂層および下側樹脂層のうち少なくともいずれか1つが、基材層および印刷層に加えて、高弾性樹脂フィルム層を構成している合成樹脂と同一または同種の合成樹脂よりなる補強樹脂フィルム層をさらに有している、請求項1~4のいずれか1つのコップ状容器。
  6. 胴体用ブランクの両端縁部どうしを重ね合わせて接合することにより筒状に成形されている胴体と、底体用ブランクを底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりなり、胴体の下端部の内面に底体の垂下部の外面が接合されることにより胴体および底体が一体化されているコップ状容器において、上記胴体を形成する材料として用いられる積層体であって、
    金属箔層と、金属箔層の両面のうち胴体の内側となる面に積層された内側樹脂層と、金属箔層の両面のうち胴体の外側となる面に積層された外側樹脂層とよりなり、
    内側樹脂層および外側樹脂層のうち少なくとも内側樹脂層の表面が熱融着性樹脂よりなり、
    外側樹脂層および内側樹脂層のうち少なくともいずれか一方が、高弾性樹脂フィルム層を有する基材層と、基材層の一方の面に印刷を施すことにより形成された印刷層とを有している、コップ状容器の胴体形成用積層体。
  7. 胴体用ブランクの両端縁部どうしを重ね合わせて接合することにより筒状に成形されている胴体と、底体用ブランクを底部と底部の外周縁部から下方にのびる垂下部とが形成されるように成形してなる断面略逆U形の底体とよりなり、胴体の下端部の内面に底体の垂下部の外面が接合されることにより胴体および底体が一体化されているコップ状容器において、上記底体を形成する材料として用いられる積層体であって、
    金属箔層と、金属箔層の両面のうち底体の上側となる面に積層された上側樹脂層と、金属箔層の両面のうち底体の下側となる面に積層された下側樹脂層とよりなり、
    上側樹脂層および下側樹脂層のうち少なくとも上側樹脂層の表面が熱融着性樹脂よりなり、
    上側樹脂層および下側樹脂層のうち少なくともいずれか一方が、高弾性樹脂フィルム層を有する基材層と、基材層の一方の面に印刷を施すことにより形成された印刷層とを有している、コップ状容器の底体形成用積層体。
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