JP2022010590A - インクジェット記録用水性インク及びインクカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】 着色剤濃度を高めずとも、水性インクによる記録物の光学濃度(OD値)を向上させることが可能なインクジェット記録用水性インクを提供する。
【解決手段】 本発明のインクジェット記録用水性インクは、染料と、水と、酸性防腐剤と、界面活性剤及び浸透剤のうち少なくとも一つと、を含むことを特徴とする。前記酸性防腐剤は、例えば、多価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸塩、デヒドロ酢酸、及びデヒドロ酢酸塩の少なくとも一方を含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録用水性インク及びインクカートリッジに関する。
水性インクによる記録物の光学濃度(OD値)を向上させる手法として、着色剤濃度を高くする手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004―231711号公報
しかしながら、着色剤濃度を高くすると、コストの増加及び水性インクの安定性低下の問題がある。
そこで、本発明は、着色剤濃度を高めずとも、水性インクによる記録物の光学濃度(OD値)を向上させることが可能なインクジェット記録用水性インクを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録用水性インクは、
染料と、水と、酸性防腐剤と、界面活性剤及び浸透剤のうち少なくとも一つと、を含むことを特徴とする。
本発明のインクジェット記録用水性インクは、前記酸性防腐剤を配合することで、着色剤濃度を高めずとも、水性インクによる記録物の光学濃度(OD値)を向上させることが可能であり、さらに、防腐性も付与できる。また、本発明のインクジェット記録用水性インクは、前記酸性防腐剤を配合することで、彩度も向上させることができる。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す概略斜視図である。
本発明において、彩度(C*)は、例えば、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化されたL*a*b*表色系(CIE1976(L*a*b*)表色系)に基づくa*及びb*から、下記式により算出されるものである(JIS Z 8729参照)。

C*={(a*2)+(b*2)}1/2
本発明のインクジェット記録用水性インク(以下、「水性インク」又は「インク」と言うことがある。)について説明する。本発明の水性インクは、染料と、水と、酸性防腐剤と、界面活性剤及び浸透剤のうち少なくとも一つと、を含む。
前記染料は、特に限定されず、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等があげられる。前記染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック、C.I.ダイレクトブルー、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトイエロー、C.I.ダイレクトオレンジ、C.I.ダイレクトバイオレット、C.I.ダイレクトブラウン、C.I.ダイレクトグリーン、C.I.アシッドブラック、C.I.アシッドブルー、C.I.アシッドレッド、C.I.アシッドイエロー、C.I.アシッドオレンジ、C.I.アシッドバイオレット、C.I.ベーシックブラック、C.I.ベーシックブルー、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックバイオレット及びC.I.フードブラック等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラックとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154及び168等があげられる。前記C.I.ダイレクトブルーとしては、例えば、C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106及び199等があげられる。前記C.I.ダイレクトレッドとしては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83及び227等があげられる。前記C.I.ダイレクトイエローとしては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142及び173等があげられる。前記C.I.ダイレクトオレンジとしては、例えば、C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46及び60等があげられる。前記C.I.ダイレクトバイオレットとしては、例えば、C.I.ダイレクトバイオレット47及び48等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラウンとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラウン109等があげられる。前記C.I.ダイレクトグリーンとしては、例えば、C.I.ダイレクトグリーン59等があげられる。前記C.I.アシッドブラックとしては、例えば、C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112及び118等があげられる。前記C.I.アシッドブルーとしては、例えば、C.I.アシッドブルー9、22、40、59、90、93、102、104、117、120、167、229及び234等があげられる。前記C.I.アシッドレッドとしては、例えば、C.I.アシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、180、256、289、315及び317等があげられる。前記C.I.アシッドイエローとしては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61及び71等があげられる。前記C.I.アシッドオレンジとしては、例えば、C.I.アシッドオレンジ7及び19等があげられる。前記C.I.アシッドバイオレットとしては、例えば、C.I.アシッドバイオレット49等があげられる。前記C.I.ベーシックブラックとしては、例えば、C.I.ベーシックブラック2等があげられる。前記C.I.ベーシックブルーとしては、例えば、C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28及び29等があげられる。前記C.I.ベーシックレッドとしては、例えば、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14及び37等があげられる。前記C.I.ベーシックバイオレットとしては、例えば、C.I.ベーシックバイオレット7、14及び27等があげられる。前記C.I.フードブラックとしては、例えば、C.I.フードブラック1及び2等があげられる。
前記水性インク全量に対する前記染料の配合量は、特に限定されず、例えば、0.1重量%~20重量%であり、好ましくは、0.3重量%~10重量%である。
前記染料は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。前記水性インク全量に対する前記水の配合量(水割合)は、所望のインク特性等に応じて適宜決定される。前記水割合は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
前述の通り、本発明の水性インクは、さらに、酸性防腐剤を含む。
前記酸性防腐剤は、多価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸塩、デヒドロ酢酸、及びデヒドロ酢酸塩の少なくとも一方を含むことが好ましい。前記多価不飽和脂肪酸は、ソルビン酸であり、前記多価不飽和脂肪酸塩は、ソルビン酸塩であることが好ましい。また、前記ソルビン酸塩は、ソルビン酸カリウム及びソルビン酸ナトリウムの少なくとも一方を含むことが好ましい。さらに、前記デヒドロ酢酸塩は、デヒドロ酢酸ナトリウムであることが好ましい。
前記酸性防腐剤は、多価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸塩、デヒドロ酢酸、及びデヒドロ酢酸塩の少なくとも一方に加え若しくは代えて、他の防腐剤(以下、「他の防腐剤」と言う。)を含んでもよい。前記他の防腐剤としては、例えば、サリチル酸、安息香酸、安息香酸塩等があげられる。
前記酸性防腐剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記水性インク全量に対する前記酸性防腐剤の配合量は、特に制限されず、例えば、0.1重量%~10重量%であり、好ましくは、0.1重量%~6重量%であり、より好ましくは、0.3重量%~6.0重量%である。また、前記酸性防腐剤が、デヒドロ酢酸、及びデヒドロ酢酸塩の少なくとも一つである場合、前記水性インク全量に対する前記酸性防腐剤の配合量は、例えば、0.1重量%~10重量%であり、好ましくは、0.3重量%~6重量%であり、より好ましくは、1.0重量%~5.0重量%である。
前述のとおり、本発明の水性インクは、前記酸性防腐剤を配合することで、着色剤濃度を高めずとも、水性インクによる記録物の光学濃度(OD値)及び彩度を向上させることが可能であり、さらに、防腐性も付与できる。前記酸性防腐剤を配合することで光学濃度(OD値)が向上するメカニズムは、例えば、つぎのように推定される。前記酸性防腐剤が多価不飽和脂肪酸及び/又はその塩である場合、多価不飽和脂肪酸及び/又はその塩は、染料よりも分子量が小さいため、染料より先に記録媒体の繊維に入り込むと考えられる。そして、多価不飽和脂肪酸及び/又はその塩は、炭素(C)の2重結合(不飽和結合)が多いため、記録媒体に含有される成分と結合し、染料が記録媒体の繊維の奥に入り込むのを阻害し、染料を記録媒体表面に残存しやすくする。その結果、光学濃度(OD値)及び彩度が向上すると推定される。また、界面活性剤は、染料が記録媒体の繊維に沿って広がることを促進させるため、その結果、ドット間が埋まり、光学濃度(OD値)及び彩度が向上すると推定される。一方で、前記酸性防腐剤がデヒドロ酢酸及び/又はその塩である場合、デヒドロ酢酸及び/又はその塩と染料とは、水により相溶する。しかし、記録媒体表面上においては、溶剤等が染み込み且つ蒸発するため、水分量が減少する。その結果、前記染料を凝集し、光学濃度(OD値)及び彩度が向上すると推定される。ただし、前記メカニズムは推定に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
本発明の水性インクは、工業用酸性防腐剤を用いずに、防腐性を付与できるため、例えば、環境や人体の健康に悪影響を及ぼすことなく、安全に使用できる。
前記水性インクは、さらに、界面活性剤を含む。前記界面活性剤としては、例えば、アセチレン系界面活性剤等があげられる。
前記アセチレン系界面活性剤としては、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、日信化学工業(株)製の「オルフィン(登録商標)E1004」、「オルフィン(登録商標)E1008」及び「オルフィン(登録商標)E1010」;エアープロダクツアンドケミカルズ社製の「サーフィノール(登録商標)440」、「サーフィノール(登録商標)465」及び「サーフィノール(登録商標)485」;川研ファインケミカル(株)製の「アセチレノール(登録商標)E40」及び「アセチレノール(登録商標)E100」;等があげられる。
前記水性インクは、前記アセチレン系界面活性剤に加え若しくは代えて、他の界面活性剤を含んでもよい。前記他の界面活性剤としては、例えば、花王(株)製のノニオン界面活性剤「EMULGEN(登録商標)」シリーズ、「RHEODOL(登録商標)」シリーズ、「EMASOL(登録商標)」シリーズ、「EXCEL(登録商標)」シリーズ、「EMANON(登録商標)」シリーズ、「AMIET(登録商標)」シリーズ及び「AMINON(登録商標)」シリーズ等;東邦化学工業(株)製のノニオン界面活性剤「ソルボン(登録商標)」シリーズ等;ライオン(株)製のノニオン界面活性剤「DOBANOX(登録商標)」シリーズ、「LEOCOL(登録商標)」シリーズ、「LEOX(登録商標)」シリーズ、「LAOL,LEOCOL(登録商標)」シリーズ、「LIONOL(登録商標)」シリーズ、「CADENAX(登録商標)」シリーズ、「LIONON(登録商標)」シリーズ及び「LEOFAT(登録商標)」シリーズ等;花王(株)製のアニオン界面活性剤「EMAL(登録商標)」シリーズ、「LATEMUL(登録商標)」シリーズ、「VENOL(登録商標)」シリーズ、「NEOPELEX(登録商標)」シリーズ、NS SOAP、KS SOAP、OS SOAP及び「PELEX(登録商標)」シリーズ等;ライオン(株)製のアニオン界面活性剤「LIPOLAN(登録商標)」シリーズ、「LIPON(登録商標)」シリーズ、「SUNNOL(登録商標)」シリーズ、「LIPOTAC(登録商標) TE,ENAGICOL」シリーズ、「LIPAL(登録商標)」シリーズ及び「LOTAT(登録商標)」シリーズ等;第一工業製薬(株)製のカチオン界面活性剤「カチオーゲン(登録商標)ES-OW」及び「カチオーゲン(登録商標)ES-L」等;があげられる。前記界面活性剤は、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
前記界面活性剤の配合量は、例えば、0.01重量%~5重量%であり、好ましくは、0.05重量%~5重量%であり、より好ましくは、0.05重量%~3.0重量%である。特に、前記水性インク全量に対するアセチレン系界面活性剤の配合量は、例えば、0.01重量%~5重量%であり、好ましくは、0.05重量%~3重量%である。
前記水性インク全量に対する前記酸性防腐剤及び前記界面活性剤の配合量は、例えば、前記酸性防腐剤が、多価不飽和脂肪酸、及び多価不飽和脂肪酸塩の少なくとも一つである場合、下記条件(X1)を満たすことが好ましい。下記条件(X1)は、OD値及び彩度向上の観点から、下限が1以上であることが好ましい。また、下記条件(X1)は、インクの吐出安定性の観点から、55以下であることが好ましい。

条件(X1):1≦A1/B≦55
A1:前記酸性防腐剤の配合量(重量%)
B:前記界面活性剤の配合量(重量%)
一方で、前記水性インク全量に対する前記酸性防腐剤及び前記界面活性剤の配合量は、例えば、前記酸性防腐剤が、デヒドロ酢酸、及びデヒドロ酢酸塩の少なくとも一つである場合、下記条件(X2)を満たすことが好ましい。下記条件(X2)は、OD値及び彩度向上の観点から、下限が1以上であることが好ましい。また、下記条件(X2)は、インクの吐出安定性の観点から、60以下であることが好ましい。

条件(X2):1≦A2/B≦60
A2:前記酸性防腐剤の配合量(重量%)
B:前記界面活性剤の配合量(重量%)
前記水性インクは、さらに、記録媒体上での乾燥速度を調整する浸透剤を含む。
前記浸透剤は、アルキレン系ジオール及びグリコールエーテル系化合物の少なくとも一つを含む。前記アルキレン系ジオールは、例えば、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール及び3-メチル-1,5-ペンタンジオール等があげられる。前記グリコールエーテル系化合物は、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコール-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコール-n-ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール-n-プロピルエーテル、トリエチレングリコール-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール-n-プロピルエーテル、プロピレングリコール-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール-n-プロピルエーテル及びトリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル等があげられる。前記浸透剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記水性インク全量に対する前記浸透剤の配合量は、例えば、1重量%~20重量%であり、好ましくは、1重量%~15重量%であり、より好ましくは、1重量%~10重量%である。特に、前記水性インク全量に対するアルキレン系ジオール及びグリコールエーテル系化合物の少なくとも一つの配合量は、例えば、1重量%~20重量%であり、好ましくは、1重量%~15重量%であり、より好ましくは、1重量%~10重量%である。
前記水性インク全量に対する前記酸性防腐剤及び前記浸透剤の配合量は、例えば、前記酸性防腐剤が、多価不飽和脂肪酸、及び多価不飽和脂肪酸塩の少なくとも一つである場合、下記条件(Y1)を満たすことが好ましい。下記条件(Y1)は、OD値及び彩度向上の観点から、下限が0.1以上であることが好ましい。また、下記条件(Y1)は、インクの吐出安定性の観点から、10以下であることが好ましい。

条件(Y1):0.1≦A1/C≦10
A1:前記酸性防腐剤の配合量(重量%)
C:前記浸透剤の配合量(重量%)
一方で、前記水性インク全量に対する前記酸性防腐剤及び前記浸透剤の配合量は、例えば、前記酸性防腐剤が、デヒドロ酢酸、及びデヒドロ酢酸塩の少なくとも一つである場合、下記条件(Y2)を満たすことが好ましい。下記条件(Y2)は、OD値及び彩度向上の観点から、下限が0.02以上であることが好ましい。また、下記条件(Y2)は、インクの吐出安定性の観点から、6以下であることが好ましい。

条件(Y2):0.02≦A2/C≦6
A2:前記酸性防腐剤の配合量(重量%)
C:前記浸透剤の配合量(重量%)
前記水性インクは、さらに、インクジェットヘッドのノズル先端部における水性インクの乾燥を防止する湿潤剤を含んでもよい。
前記湿潤剤は、特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン等のケトン;ジアセトンアルコール等のケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリアルキレングリコール等のポリエーテル;アルキレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;2-ピロリドン;N-メチル-2-ピロリドン;1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等があげられる。前記アルキレングリコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等があげられる。これらの湿潤剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの中で、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。
前記水性インク全量に対する前記湿潤剤の配合量は、例えば、0重量%~95重量%であり、好ましくは、5重量%~80重量%であり、より好ましくは、5重量%~50重量%である。
前記水性インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
つぎに、本発明のインクカートリッジは、インクジェット記録用水性インクを含むインクカートリッジであって、前記水性インクが、本発明のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とする。前記インクカートリッジの本体としては、例えば、従来公知のものを使用できる。
つぎに、本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部及びインク吐出手段を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって吐出するインクジェット記録装置であって、前記インク収容部に、本発明のインクジェット記録用水性インクが収容されていることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に水性インクをインクジェット方式により吐出して記録するインクジェット記録方法であって、前記水性インクとして、本発明のインクジェット記録用水性インクを用いることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、例えば、本発明のインクジェット記録装置を用いて実施可能である。前記記録は、印字、印画、印刷等を含む。
図1に、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す。図示のとおり、このインクジェット記録装置1は、4つのインクカートリッジ2と、インク吐出手段(インクジェットヘッド)3と、ヘッドユニット4と、キャリッジ5と、駆動ユニット6と、プラテンローラ7と、パージ装置8とを主要な構成要素として含む。
4つのインクカートリッジ2は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色の水性インクを、それぞれ1色ずつ含む。前記4色の水性インクのうちの少なくとも一つが、本発明のインクジェット記録用水性インクである。ヘッドユニット4に設置されたインクジェットヘッド3は、記録媒体(例えば、記録用紙)Pに記録を行う。キャリッジ5には、4つのインクカートリッジ2及びヘッドユニット4が搭載される。駆動ユニット6は、キャリッジ5を直線方向に往復移動させる。駆動ユニット6としては、例えば、従来公知のものを使用できる(例えば、特開2008-246821号公報参照)。プラテンローラ7は、キャリッジ5の往復方向に延び、インクジェットヘッド3と対向して配置されている。
パージ装置8は、インクジェットヘッド3の内部に溜まる気泡等を含んだ不良インクを吸引する。パージ装置8としては、例えば、従来公知のものを使用できる(例えば、特開2008-246821号公報参照)。
パージ装置8のプラテンローラ7側には、パージ装置8に隣接してワイパ部材20が配設されている。ワイパ部材20は、へら状に形成されており、キャリッジ5の移動に伴って、インクジェットヘッド3のノズル形成面を拭うものである。図1において、キャップ18は、水性インクの乾燥を防止するため、記録が終了するとリセット位置に戻されるインクジェットヘッド3の複数のノズルを覆うものである。
本例のインクジェット記録装置1においては、4つのインクカートリッジ2は、ヘッドユニット4と共に、1つのキャリッジ5に搭載されている。ただし、本発明は、これに限定されない。インクジェット記録装置1において、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジは、ヘッドユニット4とは別のキャリッジに搭載されていてもよい。また、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジは、キャリッジ5には搭載されず、インクジェット記録装置1内に配置、固定されていてもよい。これらの態様においては、例えば、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジと、キャリッジ5に搭載されたヘッドユニット4とが、チューブ等により連結され、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジからヘッドユニット4に前記水性インクが供給される。
このインクジェット記録装置1を用いたインクジェット記録は、例えば、つぎのようにして実施される。まず、記録用紙Pが、インクジェット記録装置1の側方又は下方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙される。記録用紙Pは、インクジェットヘッド3と、プラテンローラ7との間に導入される。導入された記録用紙Pに、インクジェットヘッド3から吐出される水性インクにより所定の記録がされる。記録後の記録用紙Pは、インクジェット記録装置1から排紙される。本発明の水性インクで記録された記録物は、光学濃度(OD値)が高い。図1においては、記録用紙Pの給紙機構及び排紙機構の図示を省略している。
図1に示す装置では、シリアル型インクジェットヘッドを採用するが、本発明は、これに限定されない。前記インクジェット記録装置は、ライン型インクジェットヘッドを採用する装置であってもよい。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例及び比較例により限定及び制限されない。
[実施例1-1~1-10及び比較例1-1~1-5]
水性インク組成(表1及び2)における各成分均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製の親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)タイプメンブレンフィルタ(孔径0.20μm)を用いてろ過することで、実施例1-1~1-10及び比較例1-1~1-5のインクジェット記録用水性インクを得た。なお、表1に示すように、実施例1-1~1-10は、前記酸性防腐剤として、ソルビン酸カリウム又はソルビン酸ナトリウムのいずれ一方を用いた。
実施例1-1~1-10及び比較例1-1~1-5の水性インクについて、(a)記録濃度評価、(b)彩度評価及び(c)防腐性評価を、下記方法により実施した。
(a)記録濃度評価
実施例1-1~1-10及び比較例1-1~1-5の水性インクを単位面積あたりの塗布量が、約0.90mg/cm2となるように、記録媒体(アスクル社製の「マルチペーパー スーパーホワイト+」)に塗布し、評価サンプルを作製した。前記評価サンプル中の5箇所の光学濃度(OD値)を、X-Rite社製の分光測色計SpectroEye(光源:D50、視野角:2°、ANSI-T)により測定し、平均値を求めた。次いで、実施例1-1~1-9、比較例1-2~1-4における光学濃度(OD値)から、酸性防腐剤を用いずに水性シアンインク(C.I.ダイレクトブルー199)のみで前記評価サンプルを作製した比較例1-1における光学濃度(OD値)を差し引くことで、光学濃度(OD値)差(ΔOD)を算出した。同様にして、実施例1-10における光学濃度(OD値)から、酸性防腐剤を用いずに水性マゼンダインク(C.I.アシッドレッド289)のみで前記評価サンプルを作製した比較例1-5における光学濃度(OD値)を差し引くことで、光学濃度(OD値)差(ΔOD)を算出した。そして、記録濃度を下記評価基準に従って評価した。
記録濃度評価 評価基準
A :光学濃度(OD値)の向上(ΔOD)が、0.03以上であった。
B :光学濃度(OD値)の向上(ΔOD)が、0.01以上0.02以下であった。
C :光学濃度(OD値)の向上(ΔOD)が、0以下であった。
(b)彩度評価
前述の(a)記録濃度評価における評価サンプル中の5箇所の彩度(C*)を、前記分光測色計SpectroEyeにより測定し、平均値を求め、シアン彩度及びマゼンダ彩度を、下記評価基準に従って評価した。
シアン彩度評価 評価基準
A:彩度(C*)が、51以上であった。
B:彩度(C*)が、50以上51未満であった。
C:彩度(C*)が、49以下であった。
マゼンタ彩度評価 評価基準
A:彩度(C*)が、72以上であった。
B:彩度(C*)が、71以上72未満であった。
C:彩度(C*)が、70以下であった。
(c)防腐性評価
実施例1-1~1-10及び比較例1-1~1-5の水性インクを標準寒天培地に塗布して、温度35℃の環境下で、3日間保存した。その後、前記標準寒天に黴のコロニーが発生しているかを目視で確認し、下記評価基準に従って防腐性を評価した。
防腐性評価 評価基準
A:コロニー発生が無かった
C:コロニー発生があった
実施例1-1~1-10及び比較例1-1~1-5の水性インクの水性インク組成及び評価結果を、表1及び表2に示す。
Figure 2022010590000001
Figure 2022010590000002
表1に示すとおり、実施例1-1~1-10では、記録濃度評価、彩度評価及び防腐性評価の結果が全て良好であった。
一方、表2に示す通り、前記酸性防腐剤を用いなかった比較例1-1及び1-5では、彩度評価及び防腐性評価の結果が悪かった。また、前記界面活性剤及び前記浸透剤の双方を用いなかった比較例1-2では、彩度評価が悪かった。さらに、前記酸性防腐剤に代えて1,2-ジベンジンチアゾリン-3-オン(LONZA社の商品名:PROXEL GXL)を用いた比較例1-3では、記録濃度評価の結果が悪かった。また、前記酸性防腐剤に代えてアスコルビン酸ナトリウムを用いた比較例1-4では、彩度評価及び防腐性評価の結果が悪かった。
[実施例2-1~2-14及び比較例2-1~2-6]
水性インク組成(表3及び4)における各成分均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製の親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)タイプメンブレンフィルタ(孔径0.20μm)を用いてろ過することで、実施例2-1~2-14及び比較例2-1~2-6のインクジェット記録用水性インクを得た。なお、表3に示すように、実施例2-1~2-14は、前記酸性防腐剤として、デヒドロ酢酸ナトリウムを用いた。
実施例2-1~2-14及び比較例2-1~2-6の水性インクについて、(a)記録濃度評価を下記のように実施した以外は、実施例1-1~1-10及び比較例1-1~1-5と同様にして、(b)彩度評価及び(c)防腐性評価を実施した。
(a)記録濃度評価
実施例2-1~2-14及び比較例2-1~2-6の水性インクを単位面積あたりの塗布量が、約0.90mg/cm2となるように、記録媒体(アスクル社製の「マルチペーパー スーパーホワイト+」)に塗布し、評価サンプルを作製した。前記評価サンプル中の5箇所の光学濃度(OD値)を、X-Rite社製の分光測色計SpectroEye(光源:D50、視野角:2°、ANSI-T)により測定し、平均値を求めた。次いで、実施例2-1~2-13及び比較例2-2~2-5における光学濃度(OD値)から、酸性防腐剤を用いずに水性シアンインク(C.I.ダイレクトブルー199)のみで前記評価サンプルを作製した比較例2-1における光学濃度(OD値)を差し引くことで、光学濃度(OD値)差(ΔOD)を算出した。同様にして、実施例2-14における光学濃度(OD値)から、酸性防腐剤を用いずに水性マゼンダインク(C.I.アシッドレッド289)のみで前記評価サンプルを作製した比較例2-6における光学濃度(OD値)を差し引くことで、光学濃度(OD値)差(ΔOD)を算出した。そして、記録濃度を下記評価基準に従って評価した。
記録濃度評価 評価基準
A :光学濃度(OD値)の向上(ΔOD)が、0.03以上であった。
B :光学濃度(OD値)の向上(ΔOD)が、0.01以上0.02以下であった。
C :光学濃度(OD値)の向上(ΔOD)が、0以下であった。
実施例2-1~2-14及び比較例2-1~2-6の水性インクのインク組成及び評価結果を、表3及び4に示す。
Figure 2022010590000003
Figure 2022010590000004
表3に示すとおり、実施例2-1~2-14では、記録濃度評価及び防腐性評価の結果が全て良好であった。
一方、表4に示す通り、前記酸性防腐剤を用いなかった比較例2-1及び2-6では、彩度評価及び防腐性評価の結果が悪かった。また、前記界面活性剤及び前記浸透剤の双方を用いなかった比較例2-2では、彩度評価が悪かった。さらに、前記酸性防腐剤に代えて1,2-ジベンジンチアゾリン-3-オン(LONZA社の商品名:PROXEL GXL)を用いた比較例2-3では、記録濃度評価の結果が悪かった。また、前記酸性防腐剤に代えてアスコルビン酸ナトリウムを用いた比較例2-4では、彩度評価及び防腐性評価の結果が悪かった。また、前記酸性防腐剤に代えてコウジ酸を用いた比較例2-5では、記録濃度評価、彩度評価及び防腐性評価の結果が悪かった。
以上のように、本発明の水性インクは、着色剤濃度を高めずとも、水性インクによる記録物の光学濃度(OD値)及び彩度を向上させることが可能であり、さらに、防腐性も付与されたものである。本発明の水性インクの用途は、特に限定されず、各種のインクジェット記録に広く適用可能である。
1 インクジェット記録装置
2 インクカートリッジ
3 インク吐出手段(インクジェットヘッド)
4 ヘッドユニット
5 キャリッジ
6 駆動ユニット
7 プラテンローラ
8 パージ装置

Claims (14)

  1. 染料と、水と、酸性防腐剤と、界面活性剤及び浸透剤のうち少なくとも一つと、を含むことを特徴とするインクジェット記録用水性インク。
  2. 前記酸性防腐剤が、多価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸塩、デヒドロ酢酸、及びデヒドロ酢酸塩の少なくとも一つである、請求項1記載のインクジェット記録用水性インク。
  3. 前記多価不飽和脂肪酸が、ソルビン酸であり、
    前記多価不飽和脂肪酸塩が、ソルビン酸塩である、請求項2記載のインクジェット記録用水性インク。
  4. 前記ソルビン酸塩が、ソルビン酸カリウム及びソルビン酸ナトリウムの少なくとも一方を含む、請求項3記載のインクジェット記録用水性インク。
  5. 前記デヒドロ酢酸塩が、デヒドロ酢酸ナトリウムである、請求項2~4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インク。
  6. 前記酸性防腐剤の含有量が0.3質量%以上、6.0質量%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インク。
  7. 前記酸性防腐剤が、デヒドロ酢酸、及びデヒドロ酢酸塩の少なくとも一つであり、
    前記デヒドロ酢酸、及びデヒドロ酢酸塩の少なくとも一つの含有量が1.0質量%以上、5.0質量%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インク。
  8. 前記界面活性剤が、アセチレン系界面活性剤である、請求項1~7のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インク。
  9. 前記界面活性剤の含有量が0.05質量%以上、3.0質量%以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インク。
  10. 前記浸透剤は、アルキレン系ジオール及びグリコールエーテル系化合物の少なくとも一つを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インク。
  11. 前記浸透剤の配合量が1.0質量%以上、10.0質量%以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インク。
  12. 前記アルキレン系ジオール及び前記グリコールエーテル系化合物の少なくとも一つは、1,2-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、及びトリエチレングリコール-n-ブチルエーテル(BTG)からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項10又は11記載のインクジェット記録用水性インク。
  13. 前記酸性防腐剤が、多価不飽和脂肪酸、及び多価不飽和脂肪酸塩の少なくとも一つである場合に、
    前記酸性防腐剤及び前記界面活性剤の配合量は、下記条件(X1)を満たし、
    前記酸性防腐剤が、デヒドロ酢酸、及びデヒドロ酢酸塩の少なくとも一つである場合に、
    前記酸性防腐剤及び前記界面活性剤の配合量は、下記条件(X2)を満たす、請求項1~12のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インク。

    条件(X1):1≦A1/B≦55
    A1:前記酸性防腐剤の配合量(重量%)
    B:前記界面活性剤の配合量(重量%)

    条件(X2):1≦A2/B≦60
    A2:前記酸性防腐剤の配合量(重量%)
    B:前記界面活性剤の配合量(重量%)
  14. 前記酸性防腐剤が、多価不飽和脂肪酸、及び多価不飽和脂肪酸塩の少なくとも一つである場合に、
    前記酸性防腐剤及び前記浸透剤の添加量は、下記条件(Y1)を満たし、
    前記酸性防腐剤が、デヒドロ酢酸、及びデヒドロ酢酸塩の少なくとも一つである場合に、
    前記酸性防腐剤及び前記浸透剤の添加量は、下記条件(Y2)を満たす、請求項1~13のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インク。

    条件(Y1):0.1≦A1/C≦10
    A1:前記酸性防腐剤の配合量(重量%)
    C:前記浸透剤の配合量(重量%)

    条件(Y2):0.02≦A2/C≦6
    A2:前記酸性防腐剤の配合量(重量%)
    C:前記浸透剤の配合量(重量%)
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