JP2021535558A - 質量分析における単一電荷状態時の前駆体蓄積 - Google Patents

質量分析における単一電荷状態時の前駆体蓄積 Download PDF

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Abstract

イオン源が、化合物をイオン化し、異なるm/z値を伴う前駆イオンを生成する。試薬源が、電荷低減試薬を供給する。イオンガイドが、質量フィルタとイオン源および試薬源の両方との間に位置付けられる。イオンガイドは、擬ポテンシャルを生成し、閾値m/zを下回るイオンガイド内の前駆イオンを捕獲する、AC電圧およびDC電圧を、その電極に印加する。本AC電圧は、ひいては、捕獲された前駆イオンのm/z値が、閾値m/zを上回る単一のm/z値まで増加するように、捕獲された前駆イオンを試薬によって電荷低減させる。イオンガイドは、単一のm/z値を上回って増加されたm/z値を伴う前駆イオンを質量フィルタに連続的に伝送させる、質量フィルタの電極に印加されるDC電圧に対して、DC電圧をその電極に印加する。

Description

(関連出願)
本願は、その内容が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2018年8月29日に出願された米国仮特許出願第62/724,495号の利益を主張する。
(緒言)
本明細書の教示は、事前設定されたz電荷状態(z)を伴う単一の質量対電荷比(m/z)値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるための質量分析装置に関する。より具体的には、Q0イオンガイドが、Q1質量フィルタデバイスとイオン源デバイスおよび試薬源デバイスの両方との間に位置付けられる。イオン源デバイスおよび試薬源デバイスは、種々の実施形態では、同時に、または時間的に連続的に動作される。Q0イオンガイドは、Q0イオンガイドの出口における、またはQ0イオンガイド上のレンズ電極上に印加される交流(AC)電圧によって生成される擬ポテンシャルを使用して、電荷低減試薬および閾値m/z値を下回るm/z値を伴う2つ以上の前駆イオンを捕獲する。DC電圧はまた、レンズ電極上に印加され、レンズ電極上のDCバイアスは、正(負)電荷を持つ前駆イオンに関して、および電荷低減イオンに関して、Q0イオンガイド上のDCバイアスに対して負(正)である。本AC電圧は、ひいては、それらのm/z値が閾値m/zを上回る単一のm/z値まで増加するように、捕獲された2つ以上の前駆イオンを電荷低減させる。単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う2つ以上の前駆イオンは、Q1質量フィルタデバイスに印加される直流(DC)電圧に対して、DC電圧をQ0イオンガイドデバイスに印加することによって、Q1質量フィルタデバイスに連続的に伝送される。Q1は、単一のm/z値を伴う電荷低減種を選択(または単離)し、事前設定された電荷状態を伴う標的化合物を選択する。本方法を使用して、単離された前駆体の強度は、事前設定された閾値によって与えられる事前設定された値よりも高い最初に異なる電荷状態を伴う前駆イオンの総和である。
本明細書に開示される装置および方法はまた、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または図1のコンピュータシステム等のコンピュータシステムと併せて実施される。
(背景)
(異なる電荷状態を伴う前駆イオン)
質量分析では、エレクトスプレーイオン化(ESI)が、例えば、前駆イオンに多くの異なる電荷状態を持たせることができる。前駆イオンの質量対電荷比(m/z)が、電荷に依存するため、これは、ひいては、タンパク質等の大型生体分子の場合に、前駆イオンに広範囲の異なるm/z値を持たせる。
図2は、エレクトスプレーイオン化(ESI)が多くの異なるm/z値を伴う前駆イオンを生成し得る様子を示す、純ミオグロビンに関する前駆イオン質量スペクトルの例示的プロット200である。例えば、括弧210は、ミオグロビンのESIが、771〜2,000の異なるm/z値を伴う少なくとも17個の前駆イオンを生成し得ることを示す。
多くの従来の実験では、ミオグロビンの前駆イオンのうちの1つだけが、四重極イオンフィルタ(またはQ1)を使用して、分析のために選択される。例えば、1413.82のm/zを伴うミオグロビンの前駆イオンのみが、質量分析/質量分析(MS/MS)実験における断片化のために選択される。1つだけの前駆イオンを選択することは、異なるm/z値を伴う括弧210の下の残りの前駆イオンが検討されない、または失われることを意味する。
1つだけの前駆イオンを選択することは、測定の全体的感受性を低減させる。感受性は、例えば、着目分子あたりのイオン電流の観察された変化である。1413.82のm/zを伴うミオグロビンの前駆イオンのみを選定することによって、残りの16個の前駆イオンからのイオン電流が失われ、全体的感受性を低減させる。
感受性を再捕捉する1つの方法は、単一の前駆イオンの単離を断念し、MS/MSを全ての前駆イオンに適用することである。換言すると、括弧210の17個の前駆イオンが、括弧210内の前駆イオンを網羅するように広帯域伝送において設定されるQ1によって、括弧210の外の背景雑音イオンから選択される。残念ながら、本方法は、多くの場合、試料が1つを上回るタンパク質または付加的汚染物質を含有するときに適用されることができない。そのような場合において、着目タンパク質の前駆イオンを他のタンパク質または汚染物質の前駆イオンと区別することは可能ではない場合がある。
感受性を再捕捉する別の方法は、本質的に2つ以上の前駆イオンを同一のm/z値まで移動させることである。McLuckey et al., Anal. Chem. 2002, 74, 336−346(以降では「McLuckey論文」)は、「イオン駐留」と称される、前駆イオンを移動させる方法を提供する。McLuckey論文は、イオン駐留技法の開発の前に、高質量多価イオンと関連付けられるイオン電荷が操作され得ることが周知であったことを説明している。
例えば、イオン捕獲器具内に蓄積されたイオンは、強い中性塩基ガスと混合され、イオンの電荷状態を低減させるイオン/分子反応を生成し得ることが公知であった。同様に、蓄積されたイオンはまた、反対電荷のイオンと混合され、プロトン移動反応(PTR)を生成し、イオンの電荷状態も低減させ得ることが公知であった。
しかしながら、McLuckey論文は、特定のイオンのみがトラップ内に維持されるように、イオン/イオンPTR率が選択的様式で阻止される、新しい技法を導入した。McLuckey論文は、本イオン/イオンPTRの阻止を「イオン駐留」と称する。イオン/イオンPTRを阻止するために、McLuckey論文の技法は、双極共振励起電圧を3D四重極イオントラップのエンドキャップ電極に印加する。McLuckey論文に説明される例示的共振励起電圧は、約数万ヘルツの周波数を有する。
共振励起AC電圧は、種を励起させるように、事前設定された電荷状態における標的前駆体ピークの長期周波数において印加され、次いで、PTRが、多くの電荷状態を伴うイオン群に印加される。PTR反応率が、前駆イオンの高運動エネルギーによって減少されるため、PTRは、前駆体電荷状態またはm/zが励起標的に到達するときに停止される。
残念ながら、本アプローチは、必要とされる複雑なパラメータ設定により、市販の器具では実装されていない。本アプローチに関する別の問題は、前駆イオンの共振励起が、前駆イオンにグリコシル化等の脆弱な翻訳後修飾部分を失わせる可能性が非常に高いことである。換言すると、前駆イオンの共振励起は、前駆イオンを断片化させ得る。本アプローチに関するさらに別の問題は、それがPTRイオンのパルス放出を伴うことである。PTRイオンが、トラップ内に留まる。それらは、次いで、選択および分析のためにトラップから一度に全て放出される。本パルス放出は、多数のイオンが一度に放出され得ることを意味する。一度に多数のイオンの放出は、空間電荷による下流質量分析器の飽和につながり得る。
(質量分析背景)
質量分析(MS)は、それらの化合物から形成されるイオンのm/z値の分析に基づく、化学化合物の検出および定量化のための分析技法である。MSは、試料からの1つ以上の着目化合物のイオン化、前駆イオンの生成、および前駆イオンの質量分析を伴う。
タンデム質量分析または質量分析/質量分析(MS/MS)は、試料からの1つ以上の着目化合物のイオン化、1つ以上の化合物の1つ以上の前駆イオンの選択、生成イオンへの1つ以上の前駆イオンの断片化、および生成イオンの質量分析を伴う。
MSおよびMS/MSは両方とも、定性的および定量的情報を提供することができる。測定された前駆または生成イオンスペクトルは、着目分子を同定するために使用されることができる。前駆イオンおよび生成イオンの強度もまた、試料に存在する化合物の量を定量化するために使用されることができる。
(断片化技法背景)
電子ベースの解離(ExD)、衝突誘発解離(CID)、および紫外線(UV)または赤外線(IR)光解離が、多くの場合、タンデム質量分析(MS/MS)のための断片化技法として使用される。ExDは、限定ではないが、電子捕捉解離(ECD)、電子伝達解離(ETD)、および有機物からのイオンの電子衝撃励起(EIEIO)を含むことができる。CIDは、タンデム質量分析計における解離のための最も従来的技法である。
(要約)
装置、方法、およびコンピュータプログラム製品が、単一のm/z値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるために開示される。本装置は、イオン源デバイスと、試薬源デバイスと、質量フィルタデバイスと、イオンガイドデバイスとを含む。
イオン源デバイスは、試料の化合物をイオン化する。これは、異なるm/z値を伴う化合物の2つ以上の前駆イオンを生成する。試薬源デバイスは、電荷低減試薬を供給する。
イオンガイドデバイスは、質量フィルタデバイスとイオン源デバイスおよび試薬源デバイスの両方との間に位置付けられる。イオンガイドデバイスは、イオン源デバイスからの2つ以上の前駆イオンおよび試薬源デバイスからの電荷低減試薬を受容する。
イオンガイドデバイスは、擬ポテンシャルを生成し、イオンガイドデバイス内で閾値m/zを下回るm/z値を伴う受容された2つ以上の前駆イオンを捕獲する、AC電圧およびDC電圧を、イオンガイドデバイスの1つ以上の電極に印加する。本AC電圧は、ひいては、2つ以上の前駆イオンのm/z値が、閾値m/zを上回る単一のm/z値まで増加するように、捕獲された2つ以上の前駆イオンを受容された電荷低減試薬によって電荷低減させる。イオンガイドデバイスはまた、単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う2つ以上の前駆イオンを質量フィルタデバイスに連続的に伝送させる、質量フィルタデバイスの電極に印加されるDC電圧に対して、DC電圧をイオンガイドデバイスの1つ以上の電極に印加する。
出願人の教示のこれらおよび他の特徴が、本明細書に記載される。
当業者は、下記に説明される図面が、例証目的のためにすぎないことを理解するであろう。図面は、本教示の範囲をいかようにも限定することも意図していない。
図1は、本教示の実施形態が実装され得る、コンピュータシステムを図示する、ブロック図である。
図2は、エレクトスプレーイオン化(ESI)が多くの異なる質量対電荷比(m/z)値を伴う前駆イオンを生成し得る様子を示す、純ミオグロビンに関する前駆イオン質量スペクトルの例示的プロットである。
図3は、種々の実施形態による、試料イオンおよび試薬が、同時に異なるポートを通して受容される、イオンガイドを使用して、単一のm/z値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるための装置の概略図である。
図4は、種々の実施形態による、衝突セルとして構成されるキメラデバイスの概略図である。
図5は、種々の実施形態による、キメラデバイスの3次元斜視図である。
図6は、種々の実施形態による、図3の装置を使用して、これらの前駆イオンのm/z値が増加される様子を仮説的に示す、純ミオグロビンに関する前駆イオンの例示的プロットである。
図7は、種々の実施形態による、図3のQ0イオンガイドデバイスからQ1質量フィルタデバイスに仮説的に伝送される純ミオグロビンに関する前駆イオンの例示的な仮説的プロットである。
図8は、種々の実施形態による、図3のQ1質量フィルタデバイスによって仮説的に選択および伝送される純ミオグロビンに関する前駆イオンの例示的な仮説的プロットである。
図9は、種々の実施形態による、同時に異なるポートを通して試料イオンおよび試薬を受容するQ0イオンガイドデバイスが、同一のポートを通して試料イオンおよび試薬を別個かつ連続的に受容するQ0イオンガイドデバイスに置換される、図3の装置の概略図である。
図10は、種々の実施形態による、単一のm/z値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるための方法を示す、フローチャートである。
図11は、種々の実施形態による、単一のm/z値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるための方法を実施する、1つ以上の明確に異なるソフトウェアモジュールを含む、システムの概略図である。
本教示の1つ以上の実施形態が、詳細に説明される前に、当業者は、本教示が、それらの用途において、以下の詳細な説明に記載される、または図面に図示される、構造、構成要素の配列、およびステップの配列の詳細に限定されないことを理解するであろう。また、本明細書で使用される語句および専門用語は、説明の目的のためのものであって、限定的と見なされるべきではないことを理解されたい。
(様々な実施形態の説明)
(コンピュータ実装システム)
図1は、本教示の実施形態が実装され得る、コンピュータシステム100を図示する、ブロック図である。コンピュータシステム100は、情報を通信するためのバス102または他の通信機構と、情報を処理するためのバス102と結合されるプロセッサ104とを含む。コンピュータシステム100はまた、プロセッサ104によって実行されるべき命令を記憶するために、バス102に結合される、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスであり得る、メモリ106を含む。メモリ106はまた、プロセッサ104によって実行されるべき命令の実行の間に、一時的変数または他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。コンピュータシステム100はさらに、プロセッサ104のための静的情報および命令を記憶するために、バス102に結合される読取専用メモリ(ROM)108または他の静的記憶デバイスを含む。磁気ディスクまたは光ディスク等の記憶デバイス110は、情報および命令を記憶するために提供され、バス102に結合される。
コンピュータシステム100は、バス102を介して、コンピュータユーザに情報を表示するために、ブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ112に結合されてもよい。英数字および他のキーを含む、入力デバイス114が、情報およびコマンド選択をプロセッサ104に通信するために、バス102に結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ104に通信するため、かつディスプレイ112上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キー等のカーソル制御116である。本入力デバイスは、典型的には、デバイスが平面内で位置を規定することを可能にする、2つの軸、すなわち、第1の軸(すなわち、x)および第2の軸(すなわち、y)において2自由度を有する。
コンピュータシステム100は、本教示を実施することができる。本教示のある実装によると、結果は、プロセッサ104が、メモリ106内に含有される1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行することに応答して、コンピュータシステム100によって提供される。そのような命令は、記憶デバイス110等の別のコンピュータ可読媒体から、メモリ106に読み込まれてもよい。メモリ106内に含有される命令のシーケンスの実行は、プロセッサ104に、本明細書に説明されるプロセスを実施させる。代替として、有線回路が、本教示を実装するために、ソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて使用されてもよい。したがって、本教示の実装は、ハードウェア回路およびソフトウェアの任意の具体的組み合わせに限定されない。
種々の実施形態では、コンピュータシステム100は、ネットワーク化されたシステムを形成するように、ネットワークを横断して、コンピュータシステム100のような1つ以上の他のコンピュータシステムに接続されることができる。ネットワークは、私設ネットワークまたはインターネット等の公衆ネットワークを含むことができる。ネットワーク化されたシステムでは、1つ以上のコンピュータシステムは、データを記憶し、他のコンピュータシステムに供給することができる。データを記憶および供給する、1つ以上のコンピュータシステムは、サーバ、またはクラウドコンピューティングシナリオではクラウドと称されることができる。1つ以上のコンピュータシステムは、例えば、1つ以上のウェブサーバを含むことができる。データをサーバまたはクラウドに送信し、そこから受信する、他のコンピュータシステムは、例えば、クライアントまたはクラウドデバイスと称されることができる。
本明細書で使用されるような用語「コンピュータ可読媒体」は、実行のために、命令をプロセッサ104に提供することに関与する、任意の媒体を指す。そのような媒体は、限定ではないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含む、多くの形態をとってもよい。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス110等の光学または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メモリ106等の動的メモリを含む。伝送媒体は、バス102を備えるワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。
コンピュータ可読媒体またはコンピュータプログラム製品の一般的形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、CD−ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、Blu−ray(登録商標)ディスク、任意の他の光学媒体、サムドライブ、メモリカード、RAM、PROM、およびEPROM、フラッシュEPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、またはコンピュータが読み取り得る任意の他の有形媒体を含む。
種々の形態のコンピュータ可読媒体が、実行のために、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサ104に搬送することに関与し得る。例えば、命令は、最初に、遠隔コンピュータの磁気ディスク上で搬送されてもよい。遠隔コンピュータは、命令をその動的メモリの中にロードし、モデムを使用して、電話回線を経由して、命令を送信することができる。コンピュータシステム100にローカルなモデムは、電話回線上でデータを受信し、データを赤外線信号に変換するために、赤外線送信機を使用することができる。バス102に結合された赤外線検出器は、赤外線信号内で搬送されるデータを受信し、データをバス102上に置くことができる。バス102は、データをメモリ106に搬送し、そこから、プロセッサ104は、命令を読み出し、実行する。メモリ106によって受信された命令は、随意に、プロセッサ104による実行前または後のいずれかで、記憶デバイス110上に記憶されてもよい。
種々の実施形態によると、方法を実施するためにプロセッサによって実行されるように構成される命令は、コンピュータ可読媒体上に記憶される。コンピュータ可読媒体は、デジタル情報を記憶するデバイスであり得る。例えば、コンピュータ可読媒体は、ソフトウェアを記憶するための当技術分野で公知であるようなコンパクトディスク読取専用メモリ(CD−ROM)を含む。コンピュータ可読媒体は、実行されるように構成される命令を実行するために好適なプロセッサによってアクセスされる。
本教示の種々の実装の以下の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。これは、包括的ではなく、本教示を開示される精密な形態に限定しない。修正および変形例が、上記の教示に照らして可能である、または本教示の実践から入手され得る。加えて、説明される実装は、ソフトウェアを含むが、本教示は、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせとして、またはハードウェア単独で実装されてもよい。本教示は、オブジェクト指向および非オブジェクト指向両方のプログラミングシステムを用いて実装されてもよい。
(擬ポテンシャルイオン蓄積および電荷低減)
上記に説明されるように、かつ図2に示されるように、エレクトスプレーイオン化(ESI)は、例えば、タンパク質の前駆イオンに多くの異なる電荷状態を持たせることができる。前駆イオンの質量対電荷比(m/z)が、電荷に依存するため、これは、ひいては、単一のタンパク質の前駆イオンに多数の異なるm/z値を持たせることができる。
多くの実験では、着目化合物の前駆イオンのうちの1つだけが、分析のために選択される。しかしながら、これは、分析の全体的感受性を低減させる。感受性を再捕捉する1つの方法は、本質的に2つ以上の前駆イオンを同一のm/z値まで移動させることである。McLuckey論文は、イオン駐留と称される、前駆イオンを移動させる方法を提供する。本技法では、イオン/イオンプロトン移動反応(PTR)が、共振励起電圧を3D四重極イオントラップのエンドキャップ電極に印加することによって、選択された電荷状態またはm/z値において阻止される。残念ながら、本アプローチは、複雑なパラメータ設定を要求し、前駆イオンを断片化させ得、電荷低減前駆イオンのパルス放出に起因して飽和問題を引き起こし得る。
種々の実施形態では、前駆イオンが、共振励起を使用することなく、イオンガイド内で同一の電荷状態において蓄積される。代わりに、付加的交流(AC)電圧が、あるm/z値に到達した前駆イオンのみが伝送され得る、擬ポテンシャル電圧障壁を生成するように、イオンガイドの全てのロッドに、またはイオンガイドの出射開口またはレンズに印加される。
McLuckey論文では、イオントラップに印加される付加的AC共振励起は、電荷低減が阻止されるm/z値に対応する周波数を与えられる。本周波数は、より高い運動エネルギーで本m/z値におけるイオンを励起させ、それらが電荷低減試薬と反応することを防止する。残念ながら、このより高い運動エネルギーもまた、これらの前駆イオンを断片化させ得る。
対照的に、イオンガイドに印加される付加的AC電圧は、種々の実施形態では、閾値m/z値を下回るm/z値を伴う前駆イオンがQ0イオンガイドとQ1フィルタとの間で軸方向に移動することを防止する、擬ポテンシャル障壁を生成する。これは、それらが電荷低減試薬と反応し続けることを可能にする。付加的AC電圧の振幅は、閾値m/z値の平方根と比例する。結果として、AC電圧の振幅を低下させることは、閾値m/z値を低下させる。
Q0のような線形RFQに印加されるイオン駐留の場合、AC電圧は、電荷低減種の長期周波数を励起させるように半径方向に印加される。対照的に、種々の実施形態では、AC電圧は、軸方向に印加され、これは、半径方向に共振励起を誘発しない。代わりに、これは、Q0イオンガイドの出口におけるQ0イオンガイドロッドの間にポテンシャル障壁を生成する。AC電圧をQ0イオンガイドに印加するための少なくとも2つのオプションが存在する。1つは、AC電圧が、Q0ロッドセットとQ0(またはIQ1電極)イオンガイドの出口に設置されるレンズ電極との間にAC電場を印加するように、Q0ロッド上に印加されることである。別のオプションは、AC電圧がIQ1電極において印加されることである。
質量選択的閾値を生成するために、DCバイアスが、IQ1電極とQ0イオンガイドとの間に印加される。正電荷を持つ前駆イオンに関して、IQ1は、Q0イオンガイドに対して負に設定される。負電荷を持つ前駆イオンに関して、IQ1は、Q0イオンガイドに対して正に設定される。
四重極イオンガイドでは、例えば、適切な無線周波数(RF)電圧が、半径方向にイオンを閉じ込めるために、イオンガイド内の反対の電極対に印加される。種々の実施形態では、付加的AC電圧は、Q0の出口において軸方向に擬ポテンシャル障壁を生成するために、RF電圧にわたって重畳される。擬ポテンシャルについての背景情報が、“The Encyclopedia of Mass Spectrometry,” Vol 1, 182−194(2003)内のGerlich, RF Ion Guides(参照することによって本明細書に組み込まれる)で見出されることができる。
2008年11月25日に発行された米国特許第7,456,388号(以降では「第‘388号特許」)(参照することによって本明細書に組み込まれる)は、例えば、イオンパケットを濃縮するためのイオンガイドを説明する。第‘388号特許は、例えば、事実上、伝送損失を伴わずに、広いm/z範囲にわたってイオンの分析を可能にする、装置および方法を提供する。イオンガイドからのイオンの放出は、(m/zにかかわらず)全てのイオンが、所望のシーケンスで、または所望の時間に、ほぼ同一のエネルギーを用いて、例えば、飛行時間(TOF)質量分析器の抽出領域または加速器等の空間内の指定された点に到着させられ得る、条件を生成することによって、影響を受ける。そのような方法で束にされるイオンは、次いで、例えば、TOF抽出パルスを使用して抽出され、TOF検出器上の同一のスポットに到着するために所望の経路に沿って推進されることによって、群として操作されることができる。
全てのイオンが、所望の場所に、所望の時間において、ほぼ同一のエネルギーを用いて到着するように、イオンガイドからイオンを放出するために、第‘388号特許は、付加的AC電圧をイオンガイドに印加する。本付加的AC電圧は、擬ポテンシャル障壁を生成する。第‘388号特許では、AC電圧の振幅は、最初に、最大m/z値を伴うイオンの放出のみを可能にするように設定される。次いで、AC電圧の振幅は、擬ポテンシャルウェルの深度を変化させ、ますます小さくなるm/z値を伴うイオンがイオンガイドから放出されることを可能にするように、段階的に次第に低減される。換言すると、第‘388号特許では、AC電圧振幅は、スキャンされる。
種々の実施形態では、イオンガイドに印加されるAC電圧は、スキャンされない。1つのAC電圧振幅は、m/z閾値に対応するように設定される。加えて、AC電圧は、異なるm/z値のイオンを連続的に放出するために使用されない。代わりに、AC電圧は、PTRに起因して電荷低減後に閾値m/z値に到達するイオンが連続的に放出される、障壁を生成するために使用される。
図3は、種々の実施形態による、試料イオンおよび試薬が、同時に異なるポートを通して受容される、イオンガイドを使用して、単一のm/z値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるための装置の概略図300である。図3の装置は、イオン源デバイス311と、試薬源デバイス312と、Q1質量フィルタデバイス318と、Q0イオンガイドデバイス315とを含む。本装置は、例えば、質量分析計310の一部である。
イオン源デバイス311は、試料の化合物をイオン化し、異なるm/z値を伴う化合物の2つ以上の前駆イオンを生成する。2つ以上の前駆イオンは、例えば、オリフィスおよびスキマ313、およびQジェット314を通して、Q0イオンガイドデバイス315によって受容される。異なるm/z値を伴う化合物ミオグロビンの2つ以上の前駆イオンが、例えば、図2に示される。
図3に戻ると、試薬源デバイス312は、Q0イオンガイドデバイス315にPTR試薬を供給する。2つ以上の前駆イオンおよびPTR試薬は、同時かつ連続的にQ0イオンガイドデバイス315に供給される。これは、Q0イオンガイドデバイス315が少なくとも2つの別個の入口ポートを含むため、可能である。
Q0イオンガイドデバイス315は、例えば、図4および5にも示されるキメラデバイスである。キメラデバイスは、4つの分岐を提供する8つのL字形電極を含む。整合された一対の分岐は、イオン源デバイス311から2つ以上の前駆イオンを受容する。同時に、別の整合された一対の分岐は、試薬源デバイス312からPTR試薬を受容する。
図4は、種々の実施形態による、ExDセルとして構成されるキメラデバイスの概略図400である。ExDのためのキメラデバイスは、電子エミッタまたはフィラメント410と、電子ゲート420とを含む。電子が、イオン430の流動と垂直に、かつ磁場440の方向と平行に放射される。
図3に戻ると、Q0イオンガイドデバイス315は、断片化のためには使用されないため、キメラデバイスは、ExDを実施するために必要な電子源または任意の他のデバイスを含む必要がない。
図5は、種々の実施形態による、キメラデバイスの3次元斜視図500である。図5は、キメラデバイスを通した試料化合物イオン510の流動の方向を示す。図5はまた、PTR試薬が方向520へキメラデバイスに添加され得ることも示す。
図3に戻ると、2つ以上の前駆イオンおよびPTR試薬は、2つ以上の前駆イオンの電荷状態を低減させるために、キメラ構造から成るQ0イオンガイドデバイス315に供給される。しかしながら、ある程度の捕獲力がないと、2つ以上の前駆イオンは、単に、Q0イオンガイドデバイス315を通して通過するであろう。Q0イオンガイドデバイス315内で2つ以上の前駆イオンを捕獲するために、AC電圧が、例えば、AC電圧源322を使用して、Q0イオンガイドデバイス315の全てのロッドに印加される。種々の代替実施形態では、AC電圧は、出射開口またはIQ1レンズ316の電極に印加される。上記に説明されるように、AC電圧は、2つ以上の前駆イオンによって受けられる擬ポテンシャルを生成する。
プロット340は、質量分析計310内の異なる場所において異なる前駆イオンによって受けられるポテンシャルを描写する。例えば、線341は、全ての前駆イオンがQ0イオンガイドデバイス315と質量フィルタデバイス318との間で受けるDCポテンシャルを描写する。線342は、閾値m/z値を下回るm/z値を伴う前駆イオンが受ける、複合ACおよびDC(擬)ポテンシャルを描写する。線342は、これらのイオンがQ1質量フィルタデバイス318まで移動することを防止する障壁が存在することを示す。
線343は、閾値m/z値を上回るm/z値を伴う前駆イオンが受ける、複合ACおよびDC(擬)ポテンシャルを描写する。線343は、これらのイオンがQ1質量フィルタデバイス318まで移動することを防止する障壁が存在しないことを示す。反対電荷符号を伴う試薬イオンは、DCポテンシャルが捕獲障壁として稼働するため、それらのm/z値に依存することなく、常にQ0内で捕獲される。
プロット340は、AC電圧が、閾値m/z値を下回るm/z値を伴う前駆イオンを捕獲するが、また、閾値m/z値を上回るm/z値を伴う前駆イオンが質量フィルタデバイス318まで連続的に移動することも可能にすることを示す。AC電圧が、閾値m/z値を下回るm/z値を伴う前駆イオンを捕獲し、Q0イオンガイドデバイス315が、PTR試薬を供給されるため、これらの捕獲された前駆イオンは、それらのm/z値が閾値m/zを上回って増加するまで、PTR試薬によって電荷低減される。このように、AC電圧は、PTRを限定している。
PTR試薬は、例えば、負電荷を持つイオンを含むことができる。代替として、PTR試薬は、アンモニアまたはアセトン等の中性電荷スカベンジャイオンを含むことができる。この場合、相互捕獲は、要求されない。
プロット340内のDCポテンシャル341は、例えば、出射開口またはIQ1レンズ316のDC電圧をQ0イオンガイドデバイス315のロッドのDC電圧よりも低く設定することによって生成される。加えて、随意のST1イオンガイドデバイス317のDC電圧は、出射開口またはIQ1レンズ316よりも低く設定され、Q1質量フィルタデバイス318のDC電圧は、Q0イオンガイドデバイス315のロッドのDC電圧よりも低く設定される。DC電圧および出射開口またはIQ1レンズ316の近傍のAC電圧によって生成される擬ポテンシャルを結合することによって、Q0イオンガイドデバイス315は、高m/zフィルタ抽出を実施する。
PTRに起因して、Q0イオンガイドデバイス315内の前駆イオンの電荷状態が、連続的に減少しており、それらのm/z値が、増加している。前駆イオンのm/z値が、m/z抽出閾値よりも高いm/zに到達するとき、イオンは、Q0イオンガイドデバイス315から抽出される。Q0イオンガイドデバイス315の外側にPTR試薬がないため、さらなる電荷低減が、停止される。これは、前駆イオンの電荷状態が、高m/z抽出閾値によって決定される単一の値において蓄積されることを意味する。
図6は、種々の実施形態による、図3の装置を使用して、これらの前駆イオンのm/z値が増加される様子を仮説的に示す、純ミオグロビンに関する前駆イオンの例示的プロット600である。括弧210は、再度、例えば、771〜2,000の異なるm/z値を伴うミオグロビンの少なくとも17個の前駆イオンを区切る。しかしながら、AC電圧が、約1,413Daにおいてm/z閾値を生成するように図3の装置に印加される場合には、1413を下回るm/zを伴う括弧210の12個の前駆イオンが、電荷低減される。これは、例えば、図6の矢印によって示されるように、12個の前駆イオンのm/z値を1413.82の単一のm/zまで増加させる。結果として、合計13個の前駆イオンの強度が、ここで、1413.83において見出される。本m/z値が、ここで、選択され、質量分析または断片化のために使用される場合、感受性は、有意に改良される。
しかしながら、括弧620は、1413におけるm/z閾値が、1413.82Daにおいて前駆イオンの全てを統合しないという設定を示す。4つの前駆イオンが、本値を上回るm/z値を有し、電荷低減されることなく伝送される。これらの4つの前駆イオンからのイオン電流寄与は、1413.82の単一のm/zが質量フィルタデバイスによって選択される場合のみ、含まれない。換言すると、最高m/z値を伴う前駆イオンのm/z値に近くm/z閾値を設定しないことは、いくつかの前駆イオンを未使用のままにし得る。
これは、より低いm/z値を有する前駆イオンの多くからイオン電流を収集することが、合計の可能性として考えられるイオン電流の高い割合を生じるため、有意な問題ではない。加えて、閾値m/z値を過剰に高く設定することは、他の問題を引き起こし得る。例えば、質量フィルタデバイスは、前駆イオンの最高m/z値におけるイオンを選択することが可能ではない場合がある。また、ますます高いm/z値に到達することは、時間がより長いPTRを要求する。いくつかの実験では、PTRが最低m/z値を伴う前駆イオンを最高m/z値を伴う前駆イオンのm/z値まで移動するのを待機するために、十分な時間がない場合がある。別の問題は、前駆体電荷状態が過剰に高いときに、ExD実験における電子捕捉後のより低い解離効率であり得る。
図7は、種々の実施形態による、図3のQ0イオンガイドデバイスからQ1質量フィルタデバイスに仮説的に伝送される純ミオグロビンに関する前駆イオンの例示的な仮説的プロット700である。図7は、図3のQ0イオンガイドデバイス315が、高m/z抽出フィルタまたは高m/z通過フィルタとして作用することを示す。約1413におけるm/z閾値を上回るm/z値を伴う前駆イオンのみが、ここで、図7に示されている。1413.82のm/z値を伴う前駆イオンは、ここで、13個の前駆イオンからのイオン電流を含む(最初の前駆イオン、および電荷低減され、本m/z値まで移動された12個)。括弧620は、m/z閾値を上回るm/z値を有する4つの前駆イオンも、依然として、そこにあることを示す。加えて、タンパク質前駆イオン、他のタンパク質からの前駆イオン、または汚染物質前駆イオンであり得る、いくつかの他の高m/zイオンが、存在する。結果として、図3のQ1質量フィルタデバイス318が、1413.82のm/z値を伴う向上した前駆イオンを選択し、異なる電荷状態を伴う残りの前駆イオン、および図7に示される不純物から生成される高m/z汚染イオンを除去するために、使用される。
図8は、種々の実施形態による、図3のQ1質量フィルタデバイスによって仮説的に選択および伝送される純ミオグロビンに関する前駆イオンの例示的な仮説的プロット800である。図8は、図3のQ1質量フィルタデバイス318が、帯域通過m/z抽出フィルタとして作用することを示す。ここで、図8に示されている、1413.82のm/z値を伴う前駆イオンのみが、選択および伝送される。図3のQ1質量フィルタデバイス318は、閾値m/zを上回るm/z値を伴う全ての他の前駆イオンを効果的に除去する。
図3に戻ると、Q1質量フィルタデバイス318は、ここで、質量分析または断片化のために、質量分析計310の他の構成要素の下流に本選択された前駆イオンを伝送する。例えば、累積および単離された前駆イオンは、高感度ExD分析を可能にする。質量分析計310は、例えば、ExDをQ1質量フィルタデバイス318によって選択される前駆イオンに適用するために使用され得る、第2のQ2キメラデバイス319を含む。代替として、質量分析計310は、CIDをQ1質量フィルタデバイス318によって選択される前駆イオンに適用するために使用され得る、Q2CID衝突セル320を含む。生成イオンが、次いで、質量分析器デバイス321によって質量分析される。
なおもさらなる代替実施形態では、蓄積および単離された前駆イオンが、単に、質量分析されてもよい。この場合、Q1質量フィルタデバイス318によって選択される前駆イオンは、単に、Q2キメラデバイス319およびQ2CID衝突セル320によって質量分析器デバイス321に伝送される。
Q0イオンガイドデバイス315は、イオン源デバイス311からの前駆イオンの連続流をフィルタ処理し、電荷低減させるが、種々の実施形態では、Q0イオンガイドデバイス315のイオンは、Q0イオンガイドデバイス315を空にするように周期的にリフレッシュまたは廃棄される。Q0イオンガイドデバイス315を周期的に空にすることは、例えば、汚染物質イオンの蓄積を防止する。
図9は、種々の実施形態による、同時に異なるポートを通して試料イオンおよび試薬を受容するQ0イオンガイドデバイスが、同一のポートを通して試料イオンおよび試薬を別個かつ連続的に受容するQ0イオンガイドデバイスに置換される、図3の装置の概略図900である。具体的には、図3のキメラQ0イオンガイドデバイス315は、図9の多極Q0イオンガイドデバイス915に置換される。多極Q0イオンガイドデバイス915は、限定ではないが、四重極、六重極、または八重極であり得る。
イオン源デバイス311および試薬源デバイス312が、ここで、それぞれ、それらの2つ以上の前駆イオンおよび試薬を、Q0イオンガイドデバイス915の単一の入口ポートを通してQ0イオンガイドデバイス915に伝送する。2つ以上の前駆イオンおよび試薬は、例えば、オリフィスおよびスキマ313およびイオンガイド314を通して伝送される。2つ以上の前駆イオンおよび試薬が、同一のイオン経路を使用するため、それらは、別個かつ連続的に伝送される必要がある。例えば、最初に、2つ以上の前駆イオンは、Q0イオンガイドデバイス915に伝送される。次いで、イオン源デバイス311が、停止され、試薬源デバイス312が、電荷低減試薬をQ0イオンガイドデバイス915に伝送するように開放される。種々の実施形態では、電荷低減試薬は、負化学イオン化が大気圧において使用されるときに、試薬源デバイス312によってオリフィスおよびスキマ313およびイオンガイド314を通して導入される。
(擬ポテンシャル捕獲および電荷低減装置)
図3に戻ると、質量分析計310は、単一のm/z値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるための装置を含む。本装置は、イオン源デバイス311と、試薬源デバイス312と、Q1質量フィルタデバイス318と、Q0イオンガイドデバイス315とを含む。
イオン源デバイス311は、試料の化合物をイオン化する。これは、異なるm/z値を伴う化合物の2つ以上の前駆イオンを生成する。イオン源デバイス311は、限定ではないが、エレクトスプレーイオン源(ESI)デバイス、電子衝撃源および高速原子衝撃源デバイス、大気圧化学イオン化源(APCI)デバイス等の化学イオン化(CI)源デバイス、大気圧光イオン化(APPI)源デバイス、またはマトリクス支援レーザ脱離源(MALDI)デバイスであり得る。好ましい実施形態では、イオン源デバイス311は、ESIデバイスである。
試薬源デバイス312は、電荷低減試薬を供給する。電荷低減試薬は、中性分子または電荷イオンであり得る。
Q1質量フィルタデバイス318は、四重極として示される。しかしながら、Q1質量フィルタデバイス318は、磁場セクタ型質量分析器等の任意のタイプの質量フィルタであり得る。
Q0イオンガイドデバイス315が、Q1質量フィルタデバイス318とイオン源デバイス311および試薬源デバイス312の両方との間に位置付けられる。Q0イオンガイドデバイス315は、イオン源デバイス311からの2つ以上の前駆イオンおよび試薬源デバイス312からの電荷低減試薬を受容する。Q0イオンガイドデバイス315は、擬ポテンシャルを生成し、Q0イオンガイドデバイス315内で閾値m/zを下回るm/z値を伴う受容された2つ以上の前駆イオンを捕獲する、AC電圧を、Q0イオンガイドデバイス315の1つ以上の電極に印加する。本AC電圧は、ひいては、2つ以上の前駆イオンのm/z値が、閾値m/zを上回る単一のm/z値まで増加するように、捕獲された2つ以上の前駆イオンを受容された電荷低減試薬によって電荷低減させる。Q0イオンガイドデバイス315は、単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う2つ以上の前駆イオンを質量フィルタデバイス318に連続的に伝送させる、質量フィルタデバイス318の電極に印加されるDC電圧に対して、DC電圧をQ0イオンガイドデバイス315の1つ以上の電極に印加する。
種々の実施形態では、試薬源デバイス312によって供給される電荷低減試薬は、中性電荷スカベンジャ試薬であり得る。中性電荷スカベンジャ試薬は、限定ではないが、アンモニアまたはアセトンを含むことができる。
種々の代替実施形態では、試薬源デバイス312は、PTR試薬源デバイスである。電荷低減試薬は、PTR試薬イオンを含む。加えて、イオンガイドデバイス315は、AC電圧を印加し、閾値m/zを下回るm/z値を伴って受容された2つ以上の前駆イオンおよび受容されたPTR試薬イオンの両方を相互に捕獲する。
種々の実施形態では、Q0イオンガイドデバイス315の1つ以上の電極は、Q0イオンガイドデバイス315のロッドである。種々の代替実施形態では、Q0イオンガイドデバイス315の1つ以上の電極は、Q0イオンガイドデバイス315の出射開口またはIQ1レンズ316を含む。
図9に戻ると、種々の実施形態では、イオン源デバイス311からの2つ以上の前駆イオンおよび試薬源デバイス312からの電荷低減試薬は、Q0イオンガイドデバイス915の同一の入口によって別個かつ連続的に受容される。イオン源デバイス311からの2つ以上の前駆イオンおよび試薬源デバイス312からの電荷低減試薬は、オリフィスおよびスキマ313およびイオンガイド314を通して、Q0イオンガイドデバイス915の同一の入口に別個かつ連続的に導入される。Q0イオンガイドデバイス915は、例えば、多極イオンガイドである。Q0イオンガイドデバイス915は、限定ではないが、四重極、六重極、または八重極イオンガイドデバイスであり得る。
図3に戻ると、種々の実施形態では、イオン源デバイス311からの2つ以上の前駆イオンおよび試薬源デバイス312からの電荷低減試薬は、Q0イオンガイドデバイス315の異なる入口において連続的かつ同時に受容される。
種々の実施形態では、Q0イオンガイドデバイス315は、キメラデバイスである。本デバイスは、4つの分岐を提供する8つのL字形電極を含む。整合された一対の分岐は、イオン源デバイス311から2つ以上の前駆イオンを受容する。同時に、別の整合された一対の分岐は、試薬源デバイス312から電荷低減試薬を受容する。
種々の実施形態では、第2のST1イオンガイドデバイス317が、Q0イオンガイドデバイス315とQ1質量フィルタデバイス318との間に位置付けられる。Q0イオンガイドデバイス315は、第2のST1イオンガイドデバイス317の電極に印加されるDC電圧に対して、かつQ1質量フィルタデバイス318の電極に印加されるDC電圧に対して、DC電圧をQ0イオンガイドデバイス315の1つ以上の電極に印加する。Q0イオンガイドデバイス315の1つ以上の電極に印加されるDC電圧は、単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う2つ以上の前駆イオンを、第2のST1イオンガイドデバイス317を通してQ1質量フィルタデバイス318に連続的に伝送させる。
種々の実施形態では、ExDデバイスが、Q1質量フィルタデバイス318の後に位置付けられる。本ExDデバイスは、例えば、第2のQ2キメラデバイス319である。Q1質量フィルタデバイス318は、単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う2つ以上の前駆イオンを選択し、単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う2つ以上の前駆イオンをExDデバイスに伝送する。ExDデバイスは、単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う2つ以上の前駆イオンを断片化する。
種々の実施形態では、プロセッサ330が、命令を制御する、またはイオン源デバイス311、試薬源デバイス312、Q1質量フィルタデバイス318、およびQ0イオンガイドデバイス315に提供するために、かつ収集されるデータを分析するために使用される。プロセッサ330は、例えば、1つ以上の電圧、電流、または圧力源(図示せず)を制御することによって、命令を制御または提供する。プロセッサ330は、図3に示されるような別個のデバイスであり得る、または質量分析計310の1つ以上のデバイスのプロセッサまたはコントローラであり得る。プロセッサ330は、限定ではないが、コントローラ、コンピュータ、マイクロプロセッサ、図1のコンピュータシステム、または制御信号およびデータを送信および受信することが可能な任意のデバイスであり得る。
(擬ポテンシャル捕獲および電荷低減のための方法)
図10は、種々の実施形態による、単一のm/z値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるための方法1000を示す、フローチャートである。
方法1000のステップ1010では、イオン源デバイスが、プロセッサを使用して、試料の化合物をイオン化し、異なるm/z値を伴う化合物の2つ以上の前駆イオンを生成するように命令される。
ステップ1020では、試薬源デバイスが、プロセッサを使用して、電荷低減試薬を供給するように命令される。
ステップ1030では、質量フィルタデバイスとイオン源デバイスおよび試薬源デバイスの両方との間に位置付けられるイオンガイドデバイスが、プロセッサを使用して、イオン源デバイスからの2つ以上の前駆イオンおよび試薬源デバイスからの電荷低減試薬を受容するように命令される。
ステップ1040では、イオンガイドデバイスが、プロセッサを使用して、擬ポテンシャルを生成し、イオンガイドデバイス内で閾値m/zを下回るm/z値を伴う受容された2つ以上の前駆イオンを捕獲する、AC電圧およびDC電圧を、イオンガイドデバイスの1つ以上の電極に印加するように命令される。本AC電圧は、ひいては、2つ以上の前駆イオンのm/z値が、閾値m/zを上回る単一のm/z値まで増加するように、捕獲された2つ以上の前駆イオンを受容された電荷低減試薬によって電荷低減させる。
ステップ1050では、イオンガイドデバイスが、プロセッサを使用して、質量フィルタデバイスの電極に印加されるDC電圧に対して、DC電圧を1つ以上の電極に印加するように命令される。イオンガイドデバイスの1つ以上の電極に印加される本DC電圧は、単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う2つ以上の前駆イオンを、質量フィルタデバイスに連続的に伝送させる。
(擬ポテンシャル捕獲および電荷低減のためのコンピュータプログラム製品)
種々の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、そのコンテンツが、単一のm/z値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるための方法を実施するように、プロセッサ上で実行される命令を伴うプログラムを含む、有形コンピュータ可読記憶媒体を含む。本方法は、1つ以上の明確に異なるソフトウェアモジュールを含む、システムによって実施される。
図11は、種々の実施形態による、単一のm/z値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるための方法を実施する、1つ以上の明確に異なるソフトウェアモジュールを含む、システム1100の概略図である。システム1100は、制御モジュール1110を含む。
制御モジュール1110は、試料の化合物をイオン化し、異なるm/z値を伴う化合物の2つ以上の前駆イオンを生成するようにイオン源デバイスに命令する。制御モジュール1110は、電荷低減試薬を供給するように試薬源デバイスに命令する。制御モジュール1110は、イオン源デバイスからの2つ以上の前駆イオンおよび試薬源デバイスからの電荷低減試薬を受容するように、質量フィルタデバイスとイオン源デバイスおよび試薬源デバイスの両方との間に位置付けられるイオンガイドデバイスに命令する。
制御モジュール1110は、擬ポテンシャルを生成し、イオンガイドデバイス内で閾値m/zを下回るm/z値を伴う受容された2つ以上の前駆イオンを捕獲する、AC電圧およびDC電圧を、イオンガイドデバイスの1つ以上の電極に印加するようにイオンガイドデバイスに命令する。本AC電圧は、ひいては、2つ以上の前駆イオンのm/z値が、閾値m/zを上回る単一のm/z値まで増加するように、捕獲された2つ以上の前駆イオンを受容された電荷低減試薬によって電荷低減させる。
制御モジュール1110は、質量フィルタデバイスの電極に印加されるDC電圧に対して、DC電圧を1つ以上の電極に印加するようにイオンガイドデバイスに命令する。イオンガイドデバイスの1つ以上の電極に印加される本DC電圧は、単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う2つ以上の前駆イオンを、質量フィルタデバイスに連続的に伝送させる。
本教示は、種々の実施形態と併せて説明されるが、本教示が、そのような実施形態に限定されることを意図するものではない。対照的に、本教示は、当業者によって理解されるであろうように、種々の代替物、修正、および均等物を包含する。
さらに、種々の実施形態を説明する際、本明細書は、ステップの特定のシーケンスとして、方法および/またはプロセスを提示し得る。しかしながら、方法またはプロセスが、本明細書に記載されるステップの特定の順序に依拠しない限りにおいて、方法またはプロセスは、説明されるステップの特定のシーケンスに限定されるべきではない。当業者が理解するであろうように、ステップの他のシーケンスも可能であり得る。したがって、本明細書に記載されるステップの特定の順序は、請求項に関する限定として解釈されるべきではない。加えて、方法および/またはプロセスを対象とする請求項は、書かれた順序におけるそれらのステップの実施に限定されるべきではなく、当業者は、シーケンスが、変動され、依然として、種々の実施形態の精神および範囲内に留まり得ることを容易に理解することができる。

Claims (15)

  1. 単一の質量対電荷比(m/z)値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるための装置であって、
    試料の化合物をイオン化し、異なるm/z値を伴う前記化合物の2つ以上の前駆イオンを生成するためのイオン源デバイスと、
    電荷低減試薬を供給する試薬源デバイスと、
    質量フィルタデバイスと、
    前記質量フィルタデバイスと前記イオン源デバイスおよび前記試薬源デバイスの両方との間に位置付けられるイオンガイドデバイスであって、前記イオンガイドデバイスは、
    前記イオン源デバイスからの前記2つ以上の前駆イオンおよび前記試薬源デバイスからの前記電荷低減試薬を受容し、
    擬ポテンシャルを生成し、イオンガイドデバイス内で閾値m/zを下回るm/z値を伴う前記受容された2つ以上の前駆イオンを捕獲し、ひいては、前記2つ以上の前駆イオンのm/z値が、前記閾値m/zを上回る単一のm/z値まで増加するように、前記捕獲された2つ以上の前駆イオンを前記受容された電荷低減試薬によって電荷低減させる、交流(AC)電圧および直流(DC)電圧を、前記イオンガイドデバイスの1つ以上の電極に印加し、
    前記単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う前記2つ以上の前駆イオンを前記質量フィルタデバイスに連続的に伝送させる前記質量フィルタデバイスの電極に印加されるDC電圧に対して、前記DC電圧を前記1つ以上の電極に印加する、
    イオンガイドデバイスと
    を備える、装置。
  2. 前記電荷低減試薬は、中性電荷スカベンジャ試薬を含む、請求項1に記載の装置。
  3. 前記中性電荷スカベンジャ試薬は、アンモニアまたはアセトンを含む、請求項2に記載の装置。
  4. 前記電荷低減試薬源デバイスは、プロトン移動反応(PTR)試薬源デバイスを備え、前記電荷低減試薬は、PTR試薬イオンを含み、前記イオンガイドデバイスは、前記擬ポテンシャルを生成し、前記閾値m/zを下回るm/z値を伴って前記受容された2つ以上の前駆イオンおよび前記受容されたPTR試薬イオンの両方を相互に捕獲する、前記AC電圧を、前記イオンガイドデバイスの1つ以上の電極に印加する、請求項1に記載の装置。
  5. 前記イオンガイドデバイスの1つ以上の電極は、前記イオンガイドデバイスのロッドを備える、請求項1に記載の装置。
  6. 前記イオンガイドデバイスの1つ以上の電極は、前記イオンガイドデバイスの出射開口またはレンズの電極を備える、請求項1に記載の装置。
  7. 前記イオン源デバイスからの前記2つ以上の前駆イオンおよび前記試薬源デバイスからの前記電荷低減試薬は、前記イオンガイドデバイスの同一の入口によって別個かつ連続的に受容される、請求項1に記載の装置。
  8. 前記イオン源デバイスからの前記2つ以上の前駆イオンおよび前記試薬源デバイスからの前記電荷低減試薬は、オリフィスおよびイオンガイドを通して、前記イオンガイドデバイスの同一の入口に別個かつ連続的に導入される、請求項7に記載の装置。
  9. 前記イオンガイドデバイスは、四重極、六重極、または八重極イオンガイドデバイスを備える、請求項7に記載の装置。
  10. 前記イオン源デバイスからの前記2つ以上の前駆イオンおよび前記試薬源デバイスからの前記電荷低減試薬は、前記イオンガイドデバイスの異なる入口において連続的かつ同時に受容される、請求項1に記載の装置。
  11. 前記イオンガイドデバイスは、4つの分岐を提供する8つのL字形電極を含むキメラデバイスを備え、整合された一対の分岐は、前記イオン源デバイスから前記2つ以上の前駆イオンを受容し、同時に、別の整合された一対の分岐は、前記試薬源デバイスから前記電荷低減試薬を受容する、請求項10に記載の装置。
  12. 前記イオンガイドデバイスと前記質量フィルタデバイスとの間に位置付けられる第2のイオンガイドデバイスをさらに備え、前記イオンガイドデバイスは、前記第2のイオンガイドデバイスの電極に印加される直流(DC)電圧に対して、かつ前記単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う前記2つ以上の前駆イオンを、前記第2のイオンガイドデバイスを通して前記質量フィルタデバイスに連続的に伝送させる前記質量フィルタデバイスの電極に印加されるDC電圧に対して、DC電圧を前記イオンガイドデバイスの1つ以上の電極に印加する、請求項10に記載の装置。
  13. 前記質量フィルタデバイスの後に位置付けられるExDデバイスをさらに備え、前記質量フィルタデバイスは、前記単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う前記2つ以上の前駆イオンを選択し、前記単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う前記2つ以上の前駆イオンを前記ExDデバイスに伝送し、前記ExDデバイスは、前記単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う前記2つ以上の前駆イオンを断片化する、請求項10に記載の装置。
  14. 単一の質量対電荷比(m/z)値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるための方法であって、
    プロセッサを使用して、試料の化合物をイオン化し、異なるm/z値を伴う前記化合物の2つ以上の前駆イオンを生成するようにイオン源デバイスに命令することと、
    前記プロセッサを使用して、電荷低減試薬を供給するように試薬源デバイスに命令することと、
    前記プロセッサを使用して、前記イオン源デバイスからの前記2つ以上の前駆イオンおよび前記試薬源デバイスからの前記電荷低減試薬を受容するように、質量フィルタデバイスと前記イオン源デバイスおよび前記試薬源デバイスの両方との間に位置付けられるイオンガイドデバイスに命令することと、
    前記プロセッサを使用して、擬ポテンシャルを生成し、前記イオンガイドデバイス内で閾値m/zを下回るm/z値を伴う前記受容された2つ以上の前駆イオンを捕獲し、ひいては、前記2つ以上の前駆イオンのm/z値が、前記閾値m/zを上回る単一のm/z値まで増加するように、前記捕獲された2つ以上の前駆イオンを前記受容された電荷低減試薬によって電荷低減させる、交流(AC)電圧および直流(DC)電圧を、前記イオンガイドデバイスの1つ以上の電極に印加するように前記イオンガイドデバイスに命令することと、
    前記プロセッサを使用して、前記単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う前記2つ以上の前駆イオンを前記質量フィルタデバイスに連続的に伝送させる前記質量フィルタデバイスの電極に印加されるDC電圧に対して、前記DC電圧を前記1つ以上の電極に印加するように前記イオンガイドデバイスに命令することと
    を含む、方法。
  15. 非一過性の有形コンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記非一過性の有形コンピュータ可読記憶媒体のコンテンツは、単一の質量対電荷比(m/z)値において前駆イオンを連続的に蓄積および伝送するために、異なるm/z値を有する同一の化合物の前駆イオンの電荷を低減させるための方法を実施するように、プロセッサ上で実行される命令を伴うプログラムを含み、前記方法は、
    システムを提供することであって、前記システムは、1つ以上の明確に異なるソフトウェアモジュールを備え、前記明確に異なるソフトウェアモジュールは、制御モジュールを備える、ことと、
    前記制御モジュールを使用して、試料の化合物をイオン化し、異なるm/z値を伴う前記化合物の2つ以上の前駆イオンを生成するようにイオン源デバイスに命令することと、
    前記制御モジュールを使用して、電荷低減試薬を供給するように試薬源デバイスに命令することと、
    前記制御モジュールを使用して、前記イオン源デバイスからの前記2つ以上の前駆イオンおよび前記試薬源デバイスからの前記電荷低減試薬を受容するように、質量フィルタデバイスと前記イオン源デバイスおよび前記試薬源デバイスの両方との間に位置付けられるイオンガイドデバイスに命令することと、
    前記制御モジュールを使用して、擬ポテンシャルを生成し、前記イオンガイドデバイス内で閾値m/zを下回るm/z値を伴う前記受容された2つ以上の前駆イオンを捕獲し、ひいては、前記2つ以上の前駆イオンのm/z値が、前記閾値m/zを上回る単一のm/z値まで増加するように、前記捕獲された2つ以上の前駆イオンを前記受容された電荷低減試薬によって電荷低減させる、交流(AC)電圧および直流(DC)電圧を、前記イオンガイドデバイスの1つ以上の電極に印加するように前記イオンガイドデバイスに命令することと、
    前記制御モジュールを使用して、前記単一のm/z値まで増加されたm/z値を伴う前記2つ以上の前駆イオンを前記質量フィルタデバイスに連続的に伝送させる前記質量フィルタデバイスの電極に印加されるDC電圧に対して、前記DC電圧を前記1つ以上の電極に印加するように前記イオンガイドデバイスに命令することと
    を含む、コンピュータプログラム製品。
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