JP2021533918A - 中枢神経系損傷のない対象において膀胱または腸を制御するための経皮的電気及び/または磁気脊髄刺激 - Google Patents

中枢神経系損傷のない対象において膀胱または腸を制御するための経皮的電気及び/または磁気脊髄刺激 Download PDF

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Abstract

様々な実施形態において、神経運動疾患を有する対象において運動機能、ならびに/または膀胱及び/もしくは腸の排泄を促進するための方法及び装置が提供される。あるある特定の実施形態では、方法は、運動機能、ならびに/または膀胱及び/もしくは腸の排泄を促進するのに充分な位置、周波数及び強度で脊髄の磁気刺激を与えることを含む。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月1日出願の米国第62/827,782号及び2018年8月21日出願の米国第62/720,835に対する優先権及びそれらの利益を主張し、それら両方は、それらの全体が本明細書に援用される。
政府支援の声明
本発明は、アメリカ陸軍医学研究開発部隊により支給された助成金番号W81XWH−14−2−0129の政府支援によりなされたものである。アメリカ合衆国政府は本発明に対して一定の権利を有する。
対象が脊髄または脳の損傷を有さずに、膀胱及び/または腸機能の低下を呈する場合が多くある。例えば、便秘は妊娠期間中に極めて一般的であり、すべての妊婦の約50%に生じる。通常、妊婦では、便秘は消化プロセスを遅らせるホルモンであるプロゲステロンの増加に関連し、便秘、ガス、及び胸やけをもたらす。更に、結腸がより水分を吸収し、これにより便がより硬くなる。悩み、不安、運動不足、及び繊維不足の食事も便秘を引き起こす。鉄剤が便秘の原因となる場合もある。
便秘は手術後にもよくみられる。多くの要因が手術後の便秘の原因となり得るが、そのような要因としては、これらに限定されるものではないが、オピオイドなどの麻薬性鎮痛薬の使用、全身麻酔、外傷または感染症などの炎症性刺激、電解質、体液またはグルコースのバランス不良、長期の活動量低下、及び食事内容の変化、特に繊維不足が挙げられる。
失禁も一般的である。失禁には以下の7つの主要なタイプがある。すなわち、1)腹圧性失禁、2)溢流性失禁、3)切迫性失禁または過活動膀胱、4)機能性失禁、5)混合性失禁、6)完全失禁、及び7)夜尿症である。
腹圧性失禁は、過体重、妊娠、くしゃみ、重い物を持ち上げること、運動、及びある種の医学的条件などの膀胱に作用する圧力に関係している。腹圧性失禁は、尿道からの尿の不随意の放出を引き起こす腹腔内圧力の増大(例えば、咳における)に伴う。ほとんどの場合は、骨盤弛緩または骨盤筋膜及び筋肉によるによる支持の不足によるものであり、過活動性膀胱頸部が膀胱と尿道との間に不均一な圧力を生じさせる。リスク因子としては、普通分娩、加齢、遺伝的素因、慢性的に上昇した腹圧を引き起こす状態、及び尿道の弱化を引き起こす状態が挙げられる。
溢流性失禁を有する患者は、通常、膀胱を空にするのが困難である。溢流性失禁は多くの場合、男性にみられる。溢流性失禁は、膀胱排尿筋の緊張が低下または消失することによるものであり、弱い収縮を生じ、尿閉をもたらす場合がある。これにより、次いで膀胱が過伸展し、膀胱が満たされると失禁を生じ得る。閉塞も同様の症状を引き起こし得る。
切迫性失禁(例えば、排尿筋不安定)は、非常に強い排尿切迫感のために患者がトイレに間に合わない問題を有することによって特徴付けられる。切迫性失禁は集団の約10〜15%に生じ、膀胱壁内の筋肉の不随意収縮による。原因はしばしば不明であるが、膀胱壁の受容体に対する何らかの刺激(感染、結石、異物、膀胱癌、尿道下憩室)または神経病学的疾患(卒中、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、糖尿病)によって引き起こされる場合がある。
機能性失禁に伴う尿漏れは、アルツハイマー病及び関節炎などの物理的及び/または精神的疾患を有する中高年に最も多くみられ、患者をトイレに間に合わなくさせる。
混合性失禁は、同時に生じる複数のタイプの失禁による尿漏れのことを指し、多くの場合、過活動膀胱及び腹圧性失禁による。混合性失禁は通常は女性にみられる。
完全失禁は、最も重症度の高いタイプの失禁であり、膀胱の制御が全くできず、常に尿が漏れ出ることを特徴とする。完全失禁は、膀胱と膣の間に尿瘻が形成される場合に引き起こされ、尿が常に継続的に漏れ出る。これはしばしば、以前の放射線及び手術によるものであり、出産の合併症による場合もある。
夜尿症は一般的に子供にみられるタイプの尿失禁であり、多くの場合、膀胱が未熟であることの結果である。小児(約5才まで)の夜尿症は正常であるが、年長の子供における時折の「おもらし」も通常は心配するには当たらない。しかしながら、夜尿症が長引く場合、稀なケースとして、基礎疾患の徴候の場合があることから診察を受ける必要がある。
特定の理論に束縛されるものではないが、本方法及び装置を用いてこれらの形態の失禁及び/または便秘のいずれかを治療することができるものと考えられる。
Harkema et al.(2011)Lancet,377:1938−1947 Angeli et al.(2014)Brain:J.Neurol.137:1394−1409 Lu et al.(2016)Neurorehabil.Neural Repair,30:951−962 Alam et al.(2017)Exp.Neurol.,291:141−150 Zhu & Marmura(2016)Curr.Neurol.Neurosci.Rep.16:11 Perera et al.(2016)Brain.9:336−346 Kim et al.(2016)J.Stroke,18:220−226
近年、硬膜外脊髄刺激(SCS)を用いて慢性脊髄損傷(SCI)を有する個人の運動機能を向上させることが行われている(例えば、Harkema et al.(2011)Lancet,377:1938−1947、Angeli et al.(2014)Brain:J.Neurol.137:1394−1409、Lu et al.(2016)Neurorehabil.Neural Repair,30:951−962を参照されたい)。本発明者らは、脊髄ネットワークは脳からの最小の入力でまたは入力がなくとも脊髄内の運動ニューロンプール間の細かな協調を必要とする広範な複雑な運動を遂行する能力を有し(Lu et al.(2016)Neurorehabil.Neural Repair,30:951−962)、また、脊髄の電気的及び磁気的刺激がこれらの脊髄回路の協調した活性化を回復または許容するものと考える。本発明者らは、到達運動及び把持運動機能の回復に対するSCSの同様の機構が膀胱の機能に関しても働く可能性があり、それにより、主動筋と拮抗筋の同時収縮が消失し、排尿の随意運動制御を回復できる可能性があるという仮説を立てた(Alam et al.(2017)Exp.Neurol.,291:141−150). これにより、SCSを用いて、主動筋/拮抗筋の同時収縮が生じる排尿筋括約筋協調不全(detrusor sphincter dyssynergia:DSD)に対処し、排尿筋の収縮を括約筋の弛緩と協調させる脊髄排尿回路の意志によるコントロールを脱抑制または可能とすることができる。
磁気刺激を用いて神経回路を調節することができ、8の字形コイルによってエネルギーをある程度、指向させることができる。更に、経皮的磁気刺激は非侵襲的であり、無痛である。経頭蓋磁気刺激(TMS)が、偏頭痛の治療(Zhu & Marmura(2016)Curr.Neurol.Neurosci.Rep.16:11)、うつ病 (Perera et al.(2016)Brain.9:336−346)から虚血性脳卒中後の運動機能の回復(Kim et al.(2016)J.Stroke,18:220−226)に至る広範な状況において神経機能を調節する目的で用いられている。本発明者らは、経皮的磁気脊髄刺激(TMSCS)を用いて腰部脊髄を刺激することで随意排尿が困難なSCIを有する5人の患者において膀胱機能を改善することを試みた。本発明者らは、TMSCSを用いた神経調節がこれらの患者に随意排尿を行わせ、膀胱への自己カテーテル導入を行う必要性を低減またはなくすであろうという仮説を立てた。
脊髄損傷を有する対象の膀胱及び/または腸機能の回復における成功を考慮すると、同じアプローチを脊髄損傷や脳損傷を有さない対象に用いることが可能であると考えられる。
したがって、様々な実施形態において、膀胱及び/または腸の随意制御が損なわれている場合に膀胱または腸の機能を回復させる方法及び装置が提供される。
本明細書において企図される様々な実施形態は、限定される必要はないが、以下のものの1つ以上を含み得る。
実施形態1:脊髄損傷または脳損傷のない、機能不全の膀胱及び/または腸機能を有する対象の膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進する方法であって、
膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進するのに充分な位置、周波数及び強度で脊髄の磁気刺激を与えることを含む、前記方法。
実施形態2:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、神経因性膀胱機能障害を含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態3:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、術後便秘を含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態4:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、麻薬誘発性便秘を含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態5:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、オピオイド性便秘を含む、実施形態4に記載の方法。
実施形態6:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、外傷または感染などの炎症性刺激によって誘発される機能不全を含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態7:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、妊娠関連膀胱及び/または腸機能障害を含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態8:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、髄膜脊髄瘤、糖尿病、AIDS、アルコール乱用、ビタミンB12欠乏性神経障害、椎間板ヘルニア、骨盤手術による障害、梅毒、及び腫瘍からなる群から選択される状態に関連している、実施形態1に記載の方法。
実施形態9:膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進するのに充分な位置、周波数及び強度で脊髄の磁気刺激を与えることにより、膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進することを含む、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の方法。
実施形態10:前記磁気刺激が、排尿を誘導するための約0.5Hzから最大約15Hzの範囲の周波数の刺激を含む、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11:前記磁気刺激が約1Hzの周波数である、実施形態10に記載の方法。
実施形態12:前記磁気刺激が、排尿を停止または防止するための約20Hzから最大約100Hzの周波数の刺激を含む、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態13:前記磁気刺激が約30Hzの周波数である、実施形態12に記載の方法。
実施形態14:前記磁気刺激が、約5μsから、または約10μsから、または約15μsから、または約20μsから最大約500μs、または最大約400μs、または最大約300μs、または最大約200μs、または最大約100μs、または最大約50μsの範囲の持続時間の磁気パルスを含む、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15:前記磁気パルスの持続時間が約25μsである、実施形態14に記載の方法。
実施形態16:前記磁気刺激が一相性である、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の方法。
実施形態17:前記磁気刺激の1回の治療が、1つ、または2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、または7つ、または8つ、または9つ、または10個、またはそれ以上の連続した刺激時間を含む、実施形態1〜16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態18:前記磁気刺激の1回の治療が、約3つの連続した刺激時間を含む、実施形態17に記載の方法。
実施形態19:前記連続した刺激時間の持続時間が、約10秒から、または約20秒から、または約3秒から、または約40秒から、または約50秒から、または約1分から、または約2分から最大約10分、または最大約8分、または最大約6分の範囲である、実施形態17〜18のいずれか1つに記載の方法。
実施形態20:前記連続した刺激時間の持続時間が約4分である、実施形態19に記載の方法。
実施形態21:連続した各刺激時間の間の遅延が、約5秒から、または約10秒から、または約15秒から、または約20秒から最大約5分、または最大約4分、または最大約3分、または最大約2分、または最大約1分、または最大約45秒、最大約30秒の範囲である、実施形態17〜20のいずれか1つに記載の方法。
実施形態22:連続した各刺激時間の間の遅延が、約30秒である、実施形態21に記載の方法。
実施形態23:前記治療が繰り返される、実施形態17〜22のいずれか1つに記載の方法。
実施形態24:前記治療が、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される、実施形態23に記載の方法。
実施形態25:前記治療が、少なくとも1週間、または少なくとも2週間、または少なくとも3週間、または少なくとも4週間、または少なくとも5週間、または少なくとも6週間、または少なくとも7週間、または少なくとも8週間、または少なくとも9週間、または少なくとも10週間、または少なくとも11週間、または少なくとも12週間、または少なくとも4か月、または少なくとも5か月、または少なくとも6か月、または少なくとも7か月、または少なくとも8か月、または少なくとも9か月、または少なくとも10か月、または少なくとも11か月、または少なくとも12か月の期間にわたって繰り返される、実施形態23〜24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態26:前記磁気刺激による前記対象の治療が、その後になって磁気刺激なしでの随意排尿を促進する、実施形態1〜25のいずれか1つに記載の方法。
実施形態27:前記治療が、前記対象が排尿の随意制御を得るまで、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される、実施形態23〜26のいずれか1つに記載の方法。
実施形態28:前記治療が、前記対象が排尿の最大の随意制御を得るまで、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される、実施形態27に記載の方法。
実施形態29:前記治療の頻度が、前記対象が排尿の随意制御を得た後に減少させられる、実施形態27に記載の方法。
実施形態30:前記治療の頻度が、前記対象が排尿の最大の随意制御を得た後に減少させられる、実施形態28に記載の方法。
実施形態31:前記治療の頻度が、前記対象が排尿の随意制御を維持するのに充分なレベルにまで減少させられる、実施形態29〜30のいずれか1つに記載の方法。
実施形態32:前記治療の頻度が、3日おきにまで、または週1回の治療にまで、または約10日おきにまで、または約2週間おきにまで減少させられる、実施形態31に記載の方法。
実施形態33:前記磁気刺激が、胸髄及び/または腰仙髄にわたって適用される、実施形態1〜32のいずれか1つに記載の方法。
実施形態34:前記磁気刺激が、T1〜T1、T1〜T2、T1〜T3、T1〜T4、T1〜T5、T1〜T6、T1〜T7、T1〜T8、T1〜T9、T1〜T10、T1〜T11、T1〜T12、T2〜T2、T2〜T3、T2〜T4、T2〜T5、T2〜T6、T2〜T7、T2〜T8、T2〜T9、T2〜T10、T2〜T11、T2〜T12、T3〜T3、T3〜T4、T3〜T5、T3〜T6、T3〜T7、T3〜T8、T3〜T9、T3〜T10、T3〜T11、T3〜T12、T4〜T4、T4〜T5、T4〜T6、T4〜T7、T4〜T8、T4〜T9、T4〜T10、T4〜T11、T4〜T12、T5〜T5、T5〜T6、T5〜T7、T5〜T8、T5〜T9、T5〜T10、T5〜T11、T5〜T12、T6〜T6、T6〜T7、T6〜T8、T6〜T9、T6〜T10、T6〜T11、T6〜T12、T7〜T7、T7〜T8、T7〜T9、T7〜T10、T7〜T11、T7〜T12、T8〜T8、T8〜T9、T8〜T10、T8〜T11、T8〜T12、T9〜T9、T9〜T10、T9〜T11、T9〜T12、T10〜T10、T10〜T11、T10〜T12、T11〜T11、T11〜T12、T12〜T12、L1〜L1、L1〜L2 、L1〜L3、L1〜L4、L1〜L5、L1〜S1、L1〜S2、L1〜S3、L1〜S4、L1〜S5、L2〜L2 、L2〜L3、L2〜L4、L2〜L5、L2〜S1、L2〜S2、L2〜S3、L2〜S4、L2〜S5、L3〜L3、L3〜L4、L3〜L5、L3〜S1、L3〜S2、L3〜S3、L3〜S4、L3〜S5、L4〜L4、L4〜L5、L4〜S1、L4〜S2、L4〜S3、L4〜S4、L4〜S5、L5〜L5 、L5〜S1、L5〜S2、L5〜S3、L5〜S4、L5〜S5、S1〜S1、S1〜S2、S1〜S3、S1〜S4、S1〜S5、S2〜S2、S2〜S3、S2〜S4、S2〜S5、S3〜S3、S3〜S4、S3〜S5、S4〜S4、S4〜S5、及びS5〜S6からなる群から選択される1つ以上の領域にわたって適用される、実施形態33に記載の方法。
実施形態35:前記磁気刺激が、T11〜L4の間の領域にわたって適用される、実施形態33に記載の方法。
実施形態36:前記磁気刺激が、T11〜T12、L1〜L2、及びL2〜L3からなる群から選択される1つ以上の領域にわたって適用される、実施形態35に記載の方法。
実施形態37:前記磁気刺激が、L1〜L2にわたって及び/またはT11〜T12にわたって適用される、実施形態35に記載の方法。
実施形態38:前記磁気刺激が、L1にわたって適用される、実施形態35に記載の方法。
実施形態39:前記磁気刺激が脊髄の正中線に適用される、実施形態1〜38のいずれか1つに記載の方法。
実施形態40:前記磁気刺激が、少なくとも約1テスラ、または少なくとも約2テスラ、または少なくとも約3テスラ、または少なくとも約4テスラ、または少なくとも約5テスラの磁場を発生する、実施形態1〜39のいずれか1つに記載の方法。
実施形態41:前記磁気刺激が、少なくとも約0.5Hz、1Hz、または少なくとも約2Hz、または少なくとも約3Hz、または少なくとも約4Hz、または少なくとも約5Hz、または少なくとも約10Hz、または少なくとも約20Hzまたは少なくとも約30Hzまたは少なくとも約40Hzまたは少なくとも約50Hzまたは少なくとも約60Hzまたは少なくとも約70Hzまたは少なくとも約80Hzまたは少なくとも約90Hzまたは少なくとも約100Hz、または少なくとも約200Hz、または少なくとも約300Hz、または少なくとも約400Hz、または少なくとも約500Hzの周波数である、実施形態1〜9、または17〜40のいずれか1つに記載の方法。
実施形態42:脊髄損傷または脳損傷のない、機能不全の膀胱及び/または腸機能を有する対象の膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進する方法であって、
膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進するのに充分な位置、周波数及び強度で脊髄の経皮的電気刺激を与えることを含む、前記方法。
実施形態43:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、神経因性膀胱機能障害を含む、実施形態42に記載の方法。
実施形態44:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、術後便秘を含む、実施形態42に記載の方法。
実施形態45:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、麻薬誘導性便秘を含む、実施形態42に記載の方法。
実施形態46:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、オピオイド性便秘を含む、実施形態45に記載の方法。
実施形態47:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、外傷または感染などの炎症性刺激によって誘発される機能不全を含む、実施形態42に記載の方法。
実施形態48:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、妊娠関連膀胱及び/または腸機能障害を含む、実施形態42に記載の方法。
実施形態49:前記機能不全の膀胱及び/または腸が、髄膜脊髄瘤、糖尿病、AIDS、アルコール乱用、ビタミンB12欠乏性神経障害、椎間板ヘルニア、骨盤手術による障害、梅毒、及び腫瘍からなる群から選択される状態に関連している、実施形態42に記載の方法。
実施形態50:膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進するのに充分な位置、周波数及び強度で脊髄の経皮的電気刺激を与えることにより、前記膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進することを含む、実施形態42〜49のいずれか1つに記載の方法。
実施形態51:前記経皮的電気刺激が、少なくとも約1Hz、または少なくとも約2Hz、または少なくとも約3Hz、または少なくとも約4Hz、または少なくとも約5Hz、または少なくとも約10Hz、または少なくとも約20Hzまたは少なくとも約30Hzまたは少なくとも約40Hzまたは少なくとも約50Hzまたは少なくとも約60Hzまたは少なくとも約70Hzまたは少なくとも約80Hzまたは少なくとも約90Hzまたは少なくとも約100Hz、または少なくとも約200Hz、または少なくとも約300Hz、または少なくとも約400Hz、または少なくとも約500Hzの周波数の、及び/あるいは約1Hzから、または約2Hzから、または約3Hzから、または約4Hzから、または約5Hzから、または約10Hzから、または約10Hzから、または約10Hzから最大約500Hz、または最大約400Hz、または最大約300Hz、または最大約200Hz、または最大約100Hz、または最大約90Hz、または最大約80Hz、または最大約60Hz、または最大約40Hz、あるいは約3Hzからまたは約5Hzから最大約80Hz、あるいは約5Hzから最大約60Hz、または最大約30Hzの範囲の周波数の刺激を含む、実施形態42〜50のいずれか1つに記載の方法。ある特定の実施形態では、経皮的刺激は、約20Hzまたは約30Hzから約90Hzまたは約100Hzまでの範囲の周波数である。
実施形態52:前記経皮的電気刺激が高周波数の搬送信号上で与えられる、実施形態42〜51のいずれか1つに記載の方法。
実施形態53:前記高周波数の搬送信号が、約3kHz、または約5kHz、または約8kHzから最大約30kHz、または最大約20kHz、または最大約15kHzの範囲である、実施形態52に記載の方法。
実施形態54:前記搬送周波数の振幅が、約30mA、または約40mA、または約50mA、または約60mA、または約70mA、または約80mAから最大約300mA、または最大約200mA、または最大約150mAの範囲である、実施形態52〜53のいずれか1つに記載の方法。
実施形態55:前記経皮的電気刺激が、約0.1から最大約2ms、または約0.1から最大約1ms、または約0.5msから最大約1ms、または約0.5msの持続時間の高周波数の刺激である、実施形態52〜54のいずれか1つに記載の方法。
実施形態56:前記経皮的電気刺激が、毎秒1〜40回繰り返される10kHzの刺激を含む、実施形態52〜55のいずれか1つに記載の方法。
実施形態57:前記経皮的電気刺激が、1〜30秒、または約5〜30秒、または約10〜約30秒にわたって適用される、実施形態42〜56のいずれか1つに記載の方法。
実施形態58:前記経皮的電気刺激が、約30〜約100mAである、実施形態42〜57のいずれか1つに記載の方法。
実施形態59:前記経皮的電気刺激が、1Hzで適用される10kHzの信号を含む、実施形態52〜58のいずれか1つに記載の方法。
実施形態60:前記経皮的電気刺激が、定常電流バイポーラ矩形波刺激を含む、実施形態42〜59のいずれか1つに記載の方法。
実施形態61:前記経皮的電気刺激が、約5μsから、または約10μsから、または約15μsから、または約20μから最大約2ms、または最大約1ms、または最大約2ms、または最大約500μs、または最大約400μs、または最大約300μs、または最大約200μs、または最大約100μs、または最大約50μsの範囲の持続時間のパルスを含む、実施形態42〜60のいずれか1つに記載の方法。
実施形態62:前記パルスの持続時間が約1msである、実施形態61に記載の方法。
実施形態63:前記経皮的電気刺激の1回の治療が、1つ、または2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、または7つ、または8つ、または9つ、または10個、またはそれ以上の連続した刺激時間を含む、実施形態42〜62のいずれか1つに記載の方法。
実施形態64:前記治療が繰り返される、実施形態63に記載の方法。
実施形態65:前記治療が、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される、実施形態64に記載の方法。
実施形態66:前記治療が、少なくとも1週間、または少なくとも2週間、または少なくとも3週間、または少なくとも4週間、または少なくとも5週間、または少なくとも6週間、または少なくとも7週間、または少なくとも8週間、または少なくとも9週間、または少なくとも10週間、または少なくとも11週間、または少なくとも12週間、または少なくとも4か月、または少なくとも5か月、または少なくとも6か月、または少なくとも7か月、または少なくとも8か月、または少なくとも9か月、または少なくとも10か月、または少なくとも11か月、または少なくとも12か月の期間にわたって繰り返される、実施形態64〜65のいずれか1つに記載の方法。
実施形態67:前記経皮的電気刺激による前記対象の治療が、その後になって経皮的電気刺激なしで随意排尿を促進する、実施形態42〜66のいずれか1つに記載の方法。
実施形態68:前記治療が、前記対象が排尿の随意制御を得るまで、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される、実施形態64〜67のいずれか1つに記載の方法。
実施形態69:前記治療が、前記対象が排尿の最大の随意制御を得るまで、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される、実施形態64〜67のいずれか1つに記載の方法。
実施形態70:前記治療の頻度が、前記対象が排尿の随意制御を得た後に減少させられる、実施形態64〜67のいずれか1つに記載の方法。
実施形態71:前記治療の頻度が、前記対象が排尿の最大の随意制御を得た後に減少させられる、実施形態64〜67のいずれか1つに記載の方法。
実施形態72:前記治療の頻度が、前記対象が排尿の随意制御を維持するのに充分なレベルにまで減少させられる、実施形態70〜71のいずれか1つに記載の方法。
実施形態73:前記経皮的電気刺激が、T1〜T1、T1〜T2、T1〜T3、T1〜T4、T1〜T5、T1〜T6、T1〜T7、T1〜T8、T1〜T9、T1〜T10、T1〜T11、T1〜T12、T2〜T2、T2〜T3、T2〜T4、T2〜T5、T2〜T6、T2〜T7、T2〜T8、T2〜T9、T2〜T10、T2〜T11、T2〜T12、T3〜T3、T3〜T4、T3〜T5、T3〜T6、T3〜T7、T3〜T8、T3〜T9、T3〜T10、T3〜T11、T3〜T12、T4〜T4、T4〜T5、T4〜T6、T4〜T7、T4〜T8、T4〜T9、T4〜T10、T4〜T11、T4〜T12、T5〜T5、T5〜T6、T5〜T7、T5〜T8、T5〜T9、T5〜T10、T5〜T11、T5〜T12、T6〜T6、T6〜T7、T6〜T8、T6〜T9、T6〜T10、T6〜T11、T6〜T12、T7〜T7、T7〜T8、T7〜T9、T7〜T10、T7〜T11、T7〜T12、T8〜T8、T8〜T9、T8〜T10、T8〜T11、T8〜T12、T9〜T9、T9〜T10、T9〜T11、T9〜T12、T10〜T10、T10〜T11、T10〜T12、T11〜T11、T11〜T12、T12〜T12、L1〜L1、L1〜L2 、L1〜L3、L1〜L4、L1〜L5、L1〜S1、L1〜S2、L1〜S3、L1〜S4、L1〜S5、L2〜L2 、L2〜L3、L2〜L4、L2〜L5、L2〜S1、L2〜S2、L2〜S3、L2〜S4、L2〜S5、L3〜L3、L3〜L4、L3〜L5、L3〜S1、L3〜S2、L3〜S3、L3〜S4、L3〜S5、L4〜L4、L4〜L5、L4〜S1、L4〜S2、L4〜S3、L4〜S4、L4〜S5、L5〜L5 、L5〜S1、L5〜S2、L5〜S3、L5〜S4、L5〜S5、S1〜S1、S1〜S2、S1〜S3、S1〜S4、S1〜S5、S2〜S2、S2〜S3、S2〜S4、S2〜S5、S3〜S3、S3〜S4、S3〜S5、S4〜S4、S4〜S5、及びS5〜S6からなる群から選択される1つ以上の領域にわたって適用される、実施形態42〜72のいずれか1つに記載の方法。
実施形態74:前記経皮的電気刺激が、T11〜L4の間の領域にわたって適用される、実施形態73に記載の方法。
実施形態75:前記経皮的電気刺激が、T11〜T12、L1〜L2、及びL2〜L3からなる群から選択される1つ以上の領域にわたって適用される、実施形態74に記載の方法。
実施形態76:前記経皮的電気刺激が、L1〜L2及び/またはT11〜T12にわたって適用される、実施形態74に記載の方法。
実施形態77:前記経皮的電気刺激が、L1にわたって適用される、実施形態74に記載の方法。
実施形態78:前記経皮的電気刺激が脊髄の正中線に適用される、実施形態42〜77のいずれか1つに記載の方法。
実施形態79:前記対象が、神経変性病変を有さない対象である、実施形態1〜78のいずれか1つに記載の方法。
実施形態80:前記対象が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性側索硬化症(PLS)、及び/または脳性麻痺を有さない、実施形態79に記載の方法。
実施形態81:脊髄損傷または脳損傷のない、機能不全の膀胱及び/または腸機能を有する対象の膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進する方法であって、膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進するのに充分な1つ以上の位置、周波数及び強度で磁気刺激を経皮的電気刺激と組み合わせて与えることを含む、前記方法。
実施形態82:実施形態1〜41のいずれか1つに記載の方法を用いる前記磁気刺激を実施形態42〜79のいずれか1つに記載の方法を用いる電気刺激と組み合わせて対象に与えることを含む、実施形態81に記載の方法。
定義
本明細書で使用するところの「電気刺激」または「刺激」とは、筋肉またはニューロンに対して、及び/またはニューロン群及び/または介在ニューロン群に対して興奮性または抑制性であり得る電気信号の適用を意味する。電気信号は1つ以上のリターン電極を伴って1つ以上の電極に適用することができる点は理解されよう。
本明細書で使用するところの「磁気刺激」とは、筋肉またはニューロンに対して、及び/またはニューロン群及び/または介在ニューロン群に対して興奮性または抑制性であり得る電気信号を例えばニューロンに誘導するための変化する磁場の使用を意味する。
本明細書で使用するところの「硬膜外」とは、硬膜上または硬膜に極めて近接して配置されていることを意味する。「硬膜外刺激」なる用語は、電気的硬膜外刺激のことを指す。ある特定の実施形態では、硬膜外刺激は、「電気的に可能化される運動制御」(electrical enabling motor control)(eEmc)と呼ばれる。
「経皮的刺激」または「経皮的電気刺激」または「皮膚電気刺激」なる用語は、皮膚に適用される電気刺激のことを指し、本明細書で一般的に使用される場合、脊髄またはその領域の刺激を行うために皮膚に適用される電気刺激のことを指す。「経皮的電気的脊髄刺激」なる用語は、「tSCS」とも呼ばれる場合がある。「pcEmc」なる用語は、無痛皮膚電気刺激のことを指す。
脊髄損傷に関して用いられる場合、「運動完了」なる用語は、損傷よりも下に運動機能がない(例えば、脊髄損傷よりも下の脊髄セグメントによって神経支配される筋肉に随意的に運動が誘発されない)ことを示す。
「モノポーラ刺激」なる用語は、局所電極と共通の遠隔のリターン電極との間の刺激のことを指す。
例えば、経皮的電気刺激、硬膜外電気刺激、及び/または医薬投与に関連して用いられる場合、「共投与する」、「同時投与」、「〜と共に投与する」、または「〜と組み合わせて投与する」なる用語は、様々なモダリティが対象に対する生理学的な作用を同時に得ることができるような経皮的電気刺激及び/または硬膜外電気刺激及び/または医薬の投与のことを指す。投与されるモダリティは、時間的にまたは同じ部位に一緒に投与される必要はない。いくつかの実施形態では、様々な「治療」モダリティは、異なる時間に投与される。いくつかの実施形態では、1つの投与は、他方の投与よりも前に行われる(例えば、電気刺激及び/または磁気刺激の前に薬剤、またはその逆)。同時の生理学的作用は、薬剤と電気及び/または磁気刺激との同時の存在も、両方の刺激モダリティの同時の存在も必ずしも必要としない。いくつかの実施形態では、すべてのモダリティは基本的に同時に投与される。
本明細書で使用するところの「脊髄刺激」なる表現は、脊髄に付随する脊髄ニューロン、アクセサリー神経細胞、神経、神経根、神経繊維、または組織を含む、任意の脊髄神経組織の刺激を含む。脊髄刺激は、頸椎セグメントに付随する1以上の領域の刺激を含み得ることが企図される。
本明細書で使用するところの「脊髄神経組織」とは、脊髄に付随する神経、ニューロン、神経グリア細胞、グリア細胞、神経アクセサリー細胞、神経根、神経線維、神経根糸、神経の部分、神経束、混合神経、知覚線維、運動線維、脊髄後根、脊髄前根、後根神経節、脊髄神経節、前運動根、一般体性求心性線維、一般内臓性求心性線維、一般体性遠心性線維、一般内臓性遠心性線維、灰白質、白質、後柱、側柱、及び/または前柱のことを指す。脊髄神経組織は、脊髄から出る31対の神経のうちのいずれか1つ以上を含む「脊髄神経根」を含む。脊髄神経根は、頸椎神経根、胸椎神経根、及び腰椎神経根であり得る。
磁気神経刺激装置の例示的な一実施形態の概略図を示す。 試験の概要である。試験には評価、治療、及びフォローアップの3つのフェーズを設けた。それぞれの時間フレームをフローチャートで示す。評価フェーズでは、各被験者に、1Hz及び30Hzの両方の刺激を与え、それぞれの刺激周波数を1週間与え、尿流動態検査(UDS)を行って評価フェーズの終了時にビデオ録画することでどちらかの刺激周波数による排尿試行の間の尿道圧及び排尿筋圧の変化に基づいて最適周波数を決定した。1Hzの刺激周波数は、すべての被験者で30Hzの刺激よりも効果的に尿道圧を下げ、排尿筋圧を上げた。したがって、各被験者に治療フェーズにおいて1Hzの刺激を与え、週1回の刺激治療を16週間にわたって与えた。フォローアップフェーズにおいて、各被験者を刺激治療の変化に対して盲検化するために被験者に5%よりも強度の低い「偽」刺激を与えた。フォローアップフェーズは6週間行うか、または各被験者の泌尿器学的改善が完全に消失するまで行った。 パネルA〜Eは、試験に参加した5人すべての被験者におけるSCIの程度を示すT2強調MRI画像を示す。各MRIは、脊髄の切断がないことを確認し、損傷の解剖学的レベル(頸椎/胸椎/腰椎)を評価するために取得した。著者らは、各被験者の試験への登録に先立ってすべてのMRIを検討した。正式な神経放射線学レポートの要約を検討し、参考として以下に示す。(A)上位〜中位胸髄の融合ハードウェアによる顕著な金属性アーチファクトがこれらのレベルでの評価を著しく分かりにくくしている。T4〜T5で脊髄が可視化されている小さなセグメントは、著しい脊髄軟化を示している。後方突進のないT5の安定した圧迫変形。散在性の椎間板変化が、顕著な椎間孔または脊柱管の狭窄を伴わずにT8〜T12の胸椎に認められる。脊髄はこのレベルでは目立たない。(B)上位胸椎の器具ハードウェアによる金属性アーチファクトが高位胸椎レベルでの脊髄の評価を困難としている。軸方向画像では、顕著な脊髄軟化がT3〜T4レベルに認められる。T5よりも下位では、脊髄は正常な内径を有しているようである。顕著な脊柱管または椎間孔の狭窄はみられない。(C)重篤な脊髄軟化がC5〜C6に認められる。脊髄浮腫のエビデンスはみられない。C4〜C6にかけて非常に安定した前方及び後方固定。おそらくは慢性外傷性解離に関連した左椎骨動脈閉塞。(D)C5〜C7にかけて前方固定術後状態及び後方固定。融合されたC5〜C7レベルにかけて金属性歪みアーチファクトが認められ、顕著な脊髄軟化または脊髄浮腫がこれらのレベルで認められる。可視化された上位胸髄は正常な内径で圧迫を認めない。(E)C7破裂骨折を修復するためのC6〜T1にかけてのACDF術後状態。脊髄浮腫及び腫脹をC4〜T1に認める。 試験の評価フェーズの終了時に被験者Cから得られた腰椎のベースラインならびに低周波数(1Hz)及び高周波数(30Hz)のTMSCSにおける会陰筋のEMG活動から測定されたBCRの振幅の例を示す。BCRを連続して100回超誘発し、平均(黒の実線)±SDの2倍(青の影付き)を各刺激条件について示す。 各患者のベースライン値の割合(%)として表した1Hz及び30HzのTMSCSに対するBCR反応の平均及び標準偏差が示され、BCRの振幅が30HzのTMSCSと比較して1HzのTMSCSでは有意に減少したことを示している。スチューデントt検定:p<0.0001、n.s=有意差なし、N=100回のBCRサイクル。BCR=球海綿体反射。 選択された筋肉における単一の患者からの誘導EMG活動の例を示す。1Hzでの腰部TMSCSは顕著なEMG活動を誘発したが、30HzのTMSCSはEMG活動を変化させなかった。EMG活動の集合平均(黒の実線)±SDの2倍(青の影付き)は、100サイクル超の刺激から導出した。30Hzの刺激のシーケンスでは、記録ウインドウ内で刺激が複数回生じたために刺激アーチファクトが示されている(大きな黒いスパイク)。左(L)会陰筋、左外側広筋、右(R)外側広筋、及び左大腿四頭筋を記録した。パネルAの矢印は、BCRのピーク及び底を示す。 パネルA〜Dは、患者Aからのビデオ尿流動態検査の例を示す(パネルA=16週間のTMSCS治療の前、及びパネルD=16週間のTMSCS治療の後)。各シーケンスの最初のビデオ画像は排尿前の膀胱容量を示し、膀胱容量はTMSCS後に増加している。第2の画像は随意排尿の開始及び膀胱頸部が開く様子(白抜き矢印)を示し、最後の画像は排尿後の残量を示す。パネルBでは、尿流(赤線)、尿道圧(黒線)、及び排尿筋圧(青線)の例が、16週間のTMSCS治療の前(上のグラフ)と後(下のグラフ)で示されている。TMSCSの前には排尿筋圧は尿道圧よりも低く維持され、尿流が発生しなかったのに対して、16週間のTMSCS後には排尿筋圧が尿道圧を上回り、尿流が発生している点に注目されたい。評価フェーズの終了時の排尿試行で得られた、ベースラインならびに1Hz及び30HzのTMSCSにおける平均の尿道圧及び排尿筋圧±SDをパネルCに示す。無刺激条件及び30Hzの条件と比べて、1HzのTMSCSにおいてのみ排尿筋圧は有意に上昇し、尿道圧は有意に低下したが(**p<0.0001)、ベースラインの無刺激状態と30Hzの条件とは、ANOVA及びテューキーのHSDを用いた特定の比較に基づけば互いに異ならなかった。 フォローアップフェーズにおける5人の患者すべてについて泌尿器学的機能の概要と、5人の患者すべてについて平均の一日随意排尿量を示す。すべての変化は対応のあるt検定で検定した場合に統計的に有意であった(p<0.05、詳細は「結果」を参照)。上のパネルは、排尿の随意制御の回復と喪失のタイミング、ならびに毎日に生成された尿量を時間の関数として示す。5人の患者のすべてが随意排尿する能力を回復し、TMSCSの終了の約2〜3週間後に随意排尿する能力はベースラインまで速やかに低下した(随意に排尿できない)。残りのパネルは、TMSCSの開始前と16週間のTMSCS後の各変量の初期の値を示す。尿流速度及び膀胱容量(いずれも尿流動態試験において測定した)は16週間のTMSCS後に有意に増加した(p<0.05)。残留量及び自己カテーテル導入の回数は有意に減少し(両方の変量についてp<0.05)、いずれもクオリティー・オブ・ライフの尺度であるSHIMスコア及びiQOLは、16週間のTMSCS後に有意に増加した(p<0.05)。 非侵襲性磁気脊髄刺激で治療した術後オピオイド誘導性尿閉患者の膀胱量を示す。 非侵襲性磁気脊髄刺激で治療したオピオイド誘導性尿閉を有する4人の患者の排尿効率を示す。 非侵襲性磁気脊髄刺激で治療した被験者における失禁の評価結果を示す。 偽治療を行った患者と比較した、脊髄円錐への磁気刺激により治療した術後患者における腸雑音及び排便までの時間を示す。 磁気刺激が術後入院期間の長さを減少させることを示す。
様々な実施形態では、脳または脊髄損傷のない、機能不全の膀胱または腸の制御を有する対象において膀胱及び/または腸の制御を促進するための方法及び装置が提供される。ある特定の実施形態では、機能不全の膀胱及び/または腸は、神経因性膀胱機能障害を含む。ある特定の実施形態では、機能不全の膀胱及び/または腸は、外傷または感染などの炎症性刺激によって誘発される機能不全を含む。ある特定の実施形態では、機能不全の膀胱及び/または腸は、妊娠関連膀胱及び/または腸機能障害を含む。ある特定の実施形態では、機能不全の膀胱及び/または腸は、髄膜脊髄瘤、糖尿病、AIDS、アルコール乱用、ビタミンB12欠乏性神経障害、椎間板ヘルニア、骨盤手術による障害、梅毒、腫瘍などからなる群から選択される状態に関連する。これらの例は例示的なものであって、本明細書に記載される方法及び装置を用いて、ほとんどすべての機能不全状態を伴う膀胱及び/または腸機能を促進することが可能である点は認識されよう。
ある特定の実施形態では、機能不全の腸は、1つ以上の医療手技、1つ以上の薬剤、1つ以上の疾患などによって誘発される便秘を含む。例えば、ある特定の実施形態では、機能不全の腸は術後便秘を含み得る。別の例として、ある特定の実施形態では、機能不全の腸は、1つ以上の薬剤(例えば、アヘン剤(例えば、モルヒネ)または他の麻薬剤、抗コリン性剤、三環系抗うつ薬(アミトリプチリン)、抗けいれん薬(ジシクロミン、メベベリン、ペパーミント油)、カルシウムチャネル拮抗薬(ベラパミル、ニフェジピン)、抗パーキンソン病薬、抗てんかん薬(カルバマゼピン)、交感神経様作用薬(エフェドリン)、抗精神病薬(クロルプロマジン、クロザピン、ハロペリドール、リスペリドン)、利尿薬(フロセミド)、血圧降下剤(クロニジン)、抗不整脈薬(アミオダロン)、βアドレナリン作動性受容体拮抗薬(アテノロール)、抗ヒスタミン薬、カルシウムまたはアルミニウム含有制酸薬、カルシウム補充剤、鉄補充剤、下痢止め薬(ロペラミド)、5−HT3−受容体拮抗薬(オンダンセトロン)、胆汁捕捉剤(コレスチラミン)、非ステロイド系抗炎症薬(イブプロフェン)など)によって誘発され得る。更なる別の例として、ある特定の実施形態では、機能不全の腸は、臓器狭窄(例えば、大腸直腸癌または他の腸管外もしくは腸管内腫瘤、炎症性狭窄、虚血性狭窄、外科的狭窄など)、内分泌もしくは代謝性疾患(例えば、甲状腺機能低下症、高カルシウム血症、副甲状腺亢進症、糖尿病、ポルフィリン症、慢性腎不全、汎下垂体低下症、妊娠など)、神経疾患(例えば、パーキンソン病、脳血管疾患、パラプレジア 、多発性硬化症、自律性ニューロパチー、二分脊髄など)、腸ニューロパチー(例えば、ヒルシュスプルング病、慢性偽性腸閉塞症など)、筋原性疾患(例えば、筋緊張性ジストロフィ、皮膚筋炎、強皮症、アミロイドーシス、慢性偽性腸閉塞症など)、肛門直腸疾患(例えば、痔裂、裂肛など)などの原疾患または障害に二次的な状態を含み得る。
ある特定の実施形態では、機能不全の腸は、1つ以上の下痢状態を含む。例えば、ある特定の実施形態では、機能不全の腸は、急性下痢状態または慢性下痢状態を含み得る。ある特定の実施形態では、下痢状態は、微生物(例えば、ロタウイルス、ノロウイルスなどによって引き起こされるウイルス性胃腸炎、または細菌)によって引き起こされ得る。ある特定の実施形態では、機能不全の腸は、慢性膵炎または膵臓の他の慢性障害(例えば、アルコール障害、嚢胞性線維症、遺伝性膵炎、膵臓癌、膵臓への他の外傷など)及び/または小腸疾患(例えば、セリアック病、クローン病、ホイップル病、熱帯性スプルー、好酸性胃腸炎など)によって引き起こされ得る脂肪性または吸収不良性下痢を含み得る。ある特定の実施形態では、機能不全の腸は、炭水化物吸収不良(例えば、ラクトース、ソルビトール、フルクトースなどに対する不耐性)によって引き起こされるものなどの水様下痢状態を含み得る。特定の実施形態では、機能不全の腸は、抗生物質、NSAID、制酸薬、血圧降下剤、抗不整脈薬などにより誘発されるものなどの薬剤誘導性下痢を含み得る。ある特定の実施形態では、機能不全の腸は、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、クローン病、腸の虚血、感染症、医療手技(例えば、放射線治療)、結腸癌、ポリープ、過敏性腸管症候群(IBS)、真性糖尿病、他の慢性医療状態、食事などによる下痢を含み得る。
磁場(例えば、約0.5Hzから最大約100Hzの範囲の周波数)を印可する装置による刺激は膀胱機能を調節できることが発見された。詳細には、低周波数の磁気刺激(例えば、0.5Hzから最大約20Hz)が排尿を誘発することができるのに対して、より高い周波数の磁気刺激(例えば、20Hzまたは30Hzから最大約10Hzまたは100Hz)は排尿を抑制することができる。より驚くべきことに、磁気刺激の繰り返しによる治療は、膀胱機能の随意制御を長期にわたって増大させ得ることが発見された。膀胱機能の随意制御が実現された後、繰り返しの周期的治療(例えば、毎週、10日おき、隔週など)はこの随意の膀胱制御を維持することができる。
頸部及び/または胸部及び/または腰部の脊髄、神経根、またはこれらの組み合わせの、電場または磁場(例えば、5〜100Hzの範囲の周波数)を印可する装置による刺激は、(例えば、部分的または完全な脊髄損傷を有する対象の)腕及び脚の運動を回復させることができることも発見された。訓練及び反復によって、刺激による利益は、刺激なしでも脳内にその習得回路を形成させ、存在させ得ることも発見された。更に、ブスピロンなどのセロトニン作動薬を用いることで脊髄ネットワークを更に活性化させて運動機能を改善できることが発見された。
頸部及び/または胸部及び/または腰部の脊髄、神経根、またはこれらの組み合わせの刺激は、硬膜外刺激電極、非侵襲性経皮的電気刺激または磁気刺激によって誘導することができる。
更に、本明細書に記載される刺激方法は、中枢神経系に損傷を有する、または限定されるものではないが、脳卒中、TBI、MS、ALS、パーキンソン病、アルツハイマー病などをはじめとする退行性神経運動状態を有する対象において運動機能を回復するために利用することができることが発見された。
特定の理論に束縛されるものではないが、脊髄回路を有効化させることで、個々の神経根または末梢神経の刺激よりも完全かつ生理的な協調した行動を生じることができるものと考えられる。更に、既存の装置は侵襲性であり、所望の運動または排尿行動の一部を生じるという短所を有し、患者が装置から独立することができるような回路への永続的な可塑的変化をもたらさない。
例として、Medtronic社が、過活動膀胱または便失禁を伴う仙骨神経調節のためのINTERSTIM(登録商標)装置を販売している点を特記しておく。この装置は有効であり得るが、本明細書に記載の方法と比較すると作用機序に根本的な相違がある。仙骨神経根の神経調節は、MedtronicのInterStimにおけるように、仙骨神経の活動を変化させることによって適切な行動を生じさせようとするものである。
これに対して、本明細書に記載の方法は、脊髄回路の活動を変化させる。脊髄回路を有効化させることは、末梢神経の刺激よりも完全で生理学的に標準的な協調した行動を生じるものと考えられる。更に、既存の装置は侵襲性であり、排尿行動の一部を生じるという短所を有し、患者が装置から独立することができるような回路への永続的な可塑的変化をもたらさない。
膀胱及び/または腸の排泄
上記で説明したように、感覚、運動、及び自立神経系による膀胱機能の協奏した神経筋制御は、多発性硬化症、脊髄損傷、脳卒中などの変性性または外傷性の変化によって妨げられ得る。脊髄及び場合により付随する神経根の刺激は、膀胱及び/または腸機能の随意制御を回復できることが発見された。
詳細には、頸部、胸部、腰部(椎体による指定)の脊髄、及び付随する神経根及びこれらの組み合わせの非侵襲性(例えば、磁気または経皮的電気)刺激は排尿及び/または腸機能の回復をもたらすことが発見された。詳細には、1Hz〜100Hzの範囲の電気刺激(10kHzの定常電流バイポーラ矩形波刺激)は、排尿及び膀胱機能の回復を可能とすることが観察された。1Hz〜100Hzの範囲内の磁場を発生する磁気刺激装置による刺激は、排尿及び腸機能の回復を可能とすることも観察された。
膀胱/腸機能を回復するための磁気刺激
膀胱/腸機能を回復するための磁気刺激
より一般的には、磁場(例えば、約0.5Hzから最大約100Hzの範囲の周波数の)を印可する装置による脊髄の刺激は膀胱機能を調節できることが発見された。詳細には、低周波数の磁気刺激(例えば、0.5Hzから最大約15Hz)が排尿を誘発することができるのに対して、より高い周波数の磁気刺激(例えば、20Hzまたは30Hzから最大100Hz)は排尿を抑制することができる。したがって、例えば、低周波数(例えば1Hz)では、排尿筋圧が尿道圧の最小のまたは小さな変化を伴って増大するため、排尿が促進されると考えられる(これを利用して低活動及び神経因性膀胱を治療することができる)。高周波数(例えば30Hz)では、尿道圧が排尿筋圧の変化を伴わずに増大するため、尿は保持され得る(これを利用して過活動膀胱及び腹圧性失禁を治療することができる)。
より驚くべきことに、磁気刺激の繰り返しによる治療は、膀胱機能の随意制御を長期にわたって増大させ得ることが発見された。膀胱機能の随意制御が実現された後、繰り返しの周期的治療(例えば、毎週、10日おき、隔週など)はこの随意の膀胱制御を維持することができる。
したがって、様々な実施形態では、神経運動障害を有する対象の膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進する方法が提供され、当該方法は、膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進するのに充分な位置、周波数及び強度で脊髄の磁気刺激を与えることを含む。ある特定の実施形態では、磁気刺激は、排尿を誘発するための約0.5Hzから最大約15Hzの範囲の周波数の刺激を含み、ある特定の実施形態では、磁気刺激は約1Hzの周波数である。ある特定の実施形態では、磁気刺激は、排尿を停止または防止するための約20Hzから最大約100Hzの周波数の刺激を含み、ある特定の実施形態では、磁気刺激は約30Hzの周波数である。
ある特定の実施形態では、磁気刺激は、持続時間が約5μsから、または約10μsから、または約15μsから、または約20μsから最大約1ms以下、または最大約750μs、または最大約500μs、または最大約400μs、または最大約300μs以下、または最大約200μs、または最大約100μs、または最大約50μsの範囲である磁気パルスを含む。ある特定の実施形態では、磁気パルスの持続時間は約25μsである。
ある特定の実施形態では、磁気刺激は一相性であり、他の実施形態では、磁気刺激は二相性である。
ある特定の実施形態では、磁気刺激の1回の治療は、1つ、または2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、または7つ、または8つ、または9つ、または10個、または以上の連続した刺激時間を含む。様々な実施形態では、連続した刺激時間の持続時間は、約10秒から、または約20秒から、または約3秒から、または約40秒から、またはから約50秒、またはから約1分、または約2分から最大約10分、または最大約8分、または最大約6分の範囲である。ある特定の実施形態では、連続した刺激時間の持続時間は約4分である。ある特定の実施形態では、連続した各刺激時間の間の遅延は、約2秒から、または約5秒から、または約10秒から、または約15秒から、または約20秒から最大約5分、または最大約4分、または最大約3分、または最大約2分、または最大約1分、または最大約45秒、または最大約30秒の範囲である。ある特定の実施形態では、連続した各刺激時間の間の遅延は約30秒である。
治療を繰り返すことで、膀胱機能のその後の随意制御を徐々に増加させることができる(例えば、磁気(または電気)刺激なしでその後の随意排尿を可能とする)ことが発見された。逆に、繰り返しの治療を止めることで随意制御が徐々に喪失され得る。したがって、ある特定の実施形態では、治療は繰り返される(例えば、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おき)。ある特定の実施形態では、治療は、少なくとも1週間、または少なくとも2週間、または少なくとも3週間、または少なくとも4週間、または少なくとも5週間、または少なくとも6週間、または少なくとも7週間、または少なくとも8週間、または少なくとも9週間、または少なくとも10週間、または少なくとも11週間、または少なくとも12週間、または少なくとも4か月、または少なくとも5か月、または少なくとも6か月、または少なくとも7か月、または少なくとも8か月、または少なくとも9か月、または少なくとも10か月、または少なくとも11か月、または少なくとも12か月の期間にわたって繰り返される。ある特定の実施形態では、治療は、対象が排尿の随意制御を得るまで、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される。ある特定の実施形態では、治療は、対象が排尿の最大の随意制御を得るまで、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される。
ある特定の実施形態では、随意制御が得られたら、治療の頻度を「維持」レベルにまで減少させることができる。一般的には、治療の頻度は、排尿の随意制御を維持するのに充分なレベル(例えば、所望の随意制御のレベル)にまで減少させられる。ある特定の実施形態では、治療の頻度は、3日おきにまで、または週1回の治療にまで、または約10日おきにまで、または約2週間おきにまで減少させられる。
ある特定の実施形態では、磁気刺激は胸部及び腰仙の脊髄にわたって適用される(例えば、T1〜T1、T1〜T2、T1〜T3、T1〜T4、T1〜T5、T1〜T6、T1〜T7、T1〜T8、T1〜T9、T1〜T10、T1〜T11、T1〜T12、T2〜T2、T2〜T3、T2〜T4、T2〜T5、T2〜T6、T2〜T7、T2〜T8、T2〜T9、T2〜T10、T2〜T11、T2〜T12、T3〜T3、T3〜T4、T3〜T5、T3〜T6、T3〜T7、T3〜T8、T3〜T9、T3〜T10、T3〜T11、T3〜T12、T4〜T4、T4〜T5、T4〜T6、T4〜T7、T4〜T8、T4〜T9、T4〜T10、T4〜T11、T4〜T12、T5〜T5、T5〜T6、T5〜T7、T5〜T8、T5〜T9、T5〜T10、T5〜T11、T5〜T12、T6〜T6、T6〜T7、T6〜T8、T6〜T9、T6〜T10、T6〜T11、T6〜T12、T7〜T7、T7〜T8、T7〜T9、T7〜T10、T7〜T11、T7〜T12、T8〜T8、T8〜T9、T8〜T10、T8〜T11、T8〜T12、T9〜T9、T9〜T10、T9〜T11、T9〜T12、T10〜T10、T10〜T11、T10〜T12、T11〜T11、T11〜T12、T12〜T12、L1〜L1、L1〜L2 、L1〜L3、L1〜L4、L1〜L5、L1〜S1、L1〜S2、L1〜S3、L1〜S4、L1〜S5、L2〜L2 、L2〜L3、L2〜L4、L2〜L5、L2〜S1、L2〜S2、L2〜S3、L2〜S4、L2〜S5、L3〜L3、L3〜L4、L3〜L5、L3〜S1、L3〜S2、L3〜S3、L3〜S4、L3〜S5、L4〜L4、L4〜L5、L4〜S1、L4〜S2、L4〜S3、L4〜S4、L4〜S5、L5〜L5 、L5〜S1、L5〜S2、L5〜S3、L5〜S4、L5〜S5、S1〜S1、S1〜S2、S1〜S3、S1〜S4、S1〜S5、S2〜S2、S2〜S3、S2〜S4、S2〜S5、S3〜S3、S3〜S4、S3〜S5、S4〜S4、S4〜S5、及びS5〜S6からなる群から選択される1つ以上の領域にわたる)。ある特定の実施形態では、磁気刺激は、T11〜L4の間の領域にわたって適用される。ある特定の実施形態では、磁気刺激は、T11〜T12、L1〜L2、及びL2〜L3からなる群から選択される1つ以上の領域にわたって適用される。ある特定の実施形態では、磁気刺激は、L1〜L2及び/またはT11〜T12にわたって適用される。ある特定の実施形態では、磁気刺激は、L1にわたって適用される。ある特定の実施形態では、磁気刺激は、脊髄の正中線に適用される。様々な実施形態では、磁気刺激は、少なくとも約0.5テスラ、または少なくとも約0.6テスラ、または少なくとも約0.7テスラ、または少なくとも約0.8テスラ、または少なくとも約0.9テスラ、または少なくとも約1テスラ、または少なくとも約2テスラ、または少なくとも約3テスラ、または少なくとも約4テスラ、または少なくとも約5テスラの磁場を発生させる。ある特定の実施形態では、磁気刺激は、少なくとも約0.5Hz、1Hz、または少なくとも約2Hz、または少なくとも約3Hz、または少なくとも約4Hz、または少なくとも約5Hz、または少なくとも約10Hz、または少なくとも約20Hzまたは少なくとも約30Hzまたは少なくとも約40Hzまたは少なくとも約50Hzまたは少なくとも約60Hzまたは少なくとも約70Hzまたは少なくとも約80Hzまたは少なくとも約90Hzまたは少なくとも約100Hz、または少なくとも約200Hz、または少なくとも約300Hz、または少なくとも約400Hz、または少なくとも約500Hzの周波数である。
したがって、ある特定の実施形態では、膀胱または腸の排泄を促進する方法であって、膀胱及び/または腸の排泄を促進するのに充分な位置、周波数及び強度で脊髄の磁気刺激を与えることを含む方法が提供される。ある特定の実施形態では、脊髄刺激は腸及び/または膀胱の排泄を促進する。ある特定の実施形態では、脊髄刺激は、膀胱及び/または腸の排泄の有効性を改善する。ある特定の実施形態では、脊髄刺激は排尿を抑制する。また、ある特定の実施形態では、、磁気刺激は、刺激なしで膀胱の随意制御を回復させるのに充分な頻度及び大きさのものである。
同様に、経皮的電気刺激が膀胱及び/または腸の制御を促進できることも観察された(例えば、実施例2を参照)。経皮的電気刺激は、対象の身体の表面に(例えば、本明細書に記載される脊髄の領域にわたって)適用された電極に接続された電気刺激装置を使用して容易に適用することができる。
電気刺激の適当なパラメータ及びかかる刺激の位置については以下で検討し、実施例2に例示する。
刺激の領域
上記に述べたように、様々な実施形態では、脊髄の1つ以上の領域を刺激して運動機能(例えば、立つ、足踏みする、姿勢変化、腕及び/または手の制御など)を促進するか、または腸及び/または膀胱の排泄を促進する。所望の機能に応じて、ある特定の実施形態では、刺激は、頸髄の1つ以上の領域に、もしくはこれにわたって、及び/または胸髄の1つ以上の領域に、もしくはこれにわたって、及び/または腰仙髄の1つ以上の領域に、もしくはこれにわたって適用される。
例えば、ある特定の実施形態では、立つ、足踏みする、姿勢制御などの自発運動を促進するため、本方法で胸髄及び/または腰仙髄の1つ以上の領域を刺激することができる。
ある特定の実施形態では、手及び/または腕の制御及び/または握るなどの自発運動を促進するため、本方法で頸髄及び/または胸髄の1つ以上の領域を刺激することができる。したがって、例えば、本明細書で示されるように、頸髄の刺激は握力及び手と腕の運動制御を改善する。
ある特定の実施形態では、腸及び/または膀胱の排泄を促進するため、本方法で胸髄及び/または腰仙髄の1つ以上の領域を刺激することができる。例えば、ある特定の実施形態では、刺激(例えば磁気刺激)を、T11〜T12、L1〜L2、及びL2〜L3からなる群から選択される1つ以上の領域に、またはこれにわたって適用することができる。ある特定の実施形態では、刺激(例えば磁気刺激)は、L1〜L2及び/またはT11〜T12に、またはこれらにわたって適用される。
頸髄への刺激の適用に関して、例示的な領域には、限定されるものではないが、C1〜C1、C1〜C2、C1〜C3、C1〜C4、C1〜C7、C1〜C6、C1〜C7、C1〜T1、C2〜C2、C2〜C3、C2〜C4、C2〜C5、C2〜C6、C2〜C7、C2〜T1、C3〜C3、C3〜C4、C3〜C5、C3〜C6、C3〜C7、C3〜T1、C4〜C4、C4〜C5、C4〜C6、C4〜C7、C4〜T1、C5〜C5、C5〜C6、C5〜C7、C5〜T1、C6〜C6、C6〜C7、C6〜T1、C7〜C7、及びC7〜T1からなる群から選択される領域にまたがる、またはわたる1つ以上の領域が含まれる。
胸髄への刺激の適用に関して、例示的な領域には、限定されるものではないが、T1〜T1、T1〜T2、T1〜T3、T1〜T4、T1〜T5、T1〜T6、T1〜T7、T1〜T8、T1〜T9、T1〜T10、T1〜T11、T1〜T12、T2〜T2、T2〜T3、T2〜T4、T2〜T5、T2〜T6、T2〜T7、T2〜T8、T2〜T9、T2〜T10、T2〜T11、T2〜T12、T3〜T3、T3〜T4、T3〜T5、T3〜T6、T3〜T7、T3〜T8、T3〜T9、T3〜T10、T3〜T11、T3〜T12、T4〜T4、T4〜T5、T4〜T6、T4〜T7、T4〜T8、T4〜T9、T4〜T10、T4〜T11、T4〜T12、T5〜T5、T5〜T6、T5〜T7、T5〜T8、T5〜T9、T5〜T10、T5〜T11、T5〜T12、T6〜T6、T6〜T7、T6〜T8、T6〜T9、T6〜T10、T6〜T11、T6〜T12、T7〜T7、T7〜T8、T7〜T9、T7〜T10、T7〜T11、T7〜T12、T8〜T8、T8〜T9、T8〜T10、T8〜T11、T8〜T12、T9〜T9、T9〜T10、T9〜T11、T9〜T12、T10〜T10、T10〜T11、T10〜T12、T11〜T11、T11〜T12、及びT12〜T12からなる群から選択される領域にまたがる、またはわたる1つ以上の領域が含まれる。
腰仙髄への刺激の適用に関して、例示的な領域には、限定されるものではないが、L1〜L1、L1〜L2 、L1〜L3、L1〜L4、L1〜L5、L1〜S1、L1〜S2、L1〜S3、L1〜S4、L1〜S5、L2〜L2 、L2〜L3、L2〜L4、L2〜L5、L2〜S1、L2〜S2、L2〜S3、L2〜S4、L2〜S5、L3〜L3、L3〜L4、L3〜L5、L3〜S1、L3〜S2、L3〜S3、L3〜S4、L3〜S5、L4〜L4、L4〜L5、L4〜S1、L4〜S2、L4〜S3、L4〜S4、L4〜S5、L5〜L5 、L5〜S1、L5〜S2、L5〜S3、L5〜S4、L5〜S5、S1〜S1、S1〜S2、S1〜S3、S1〜S4、S1〜S5、S2〜S2、S2〜S3、S2〜S4、S2〜S5、S3〜S3、S3〜S4、S3〜S5、S4〜S4、S4〜S5、及びS5〜S6からなる群から選択される領域にまたがる、またはわたる1つ以上の領域が含まれる。
刺激の方法
磁気刺激
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、自発運動(例えば、立つ、足踏みする、座る、横になる、座った姿勢を保つ、立ち姿勢を保つ、腕の動作、手の動作、掴む、握力など)を促し、かつ/または腸及び/または膀胱の排泄を誘発または改善するために脊髄(例えば、脊髄回路)を刺激するための磁気刺激装置を用いる。磁気脊髄刺激は、急速に変化する磁場を発生させて対象とする領域(複数可)に電流を誘導することによって得られる。ある特定の実施形態では、有効な脊髄刺激は通常、刺激コイルから放電される約10A/s以上の過渡電流を用いる。刺激コイルに流れる放電電流が磁力線を発生させる。磁力線が組織(例えば、脊髄または脳幹)を通過する際、その組織内に電流が発生する。この誘導電流が、細胞膜が脱分極されるような充分な振幅及び持続時間のものである場合、神経/神経筋組織が刺激される。
磁場の強さは刺激コイルからの距離の二乗とともに減衰するため、刺激の強さはコイル表面の近くで最も高くなる。貫通の深さ、強さ及び精度といった磁気パルスの刺激特性は、立ち上がり時間、コイルに伝達されるピーク電気エネルギー、及び磁場の空間的分布によって決まる。立ち上がり時間及びピークコイルエネルギーが、磁気刺激装置及び刺激コイルの電気的特性によって規定されるのに対して、誘導電場の空間的分布はコイル形状及び誘導電流の領域の解剖学的構造によって決まる。
様々な実施形態では、磁気神経刺激装置は、最大約10テスラ、または最大約8テスラ、または最大約6テスラ、または最大約5テスラ、または最大約4テスラ、または最大約3テスラ、または最大約2テスラ、または最大約1テスラ、または最大約0.8テスラ、または最大約0.6テスラ以下、または最大約0.5テスラの磁場強度を発生する。ある特定の実施形態では、神経刺激装置は、約5μsから、または約10μsから、または約15μsから、または約20μsから最大約10ms、または約25μsから最大約500μs、または約25μsから最大約100μs、または約100μsから最大約1mの持続時間のパルスを発生する。
ある特定の実施形態では、磁気刺激は、少なくとも約1Hz、または少なくとも約2Hz、または少なくとも約3Hz、または少なくとも約4Hz、または少なくとも約5Hz、または少なくとも約10Hz、または少なくとも約20Hzまたは少なくとも約30Hzまたは少なくとも約40Hzまたは少なくとも約50Hzまたは少なくとも約60Hzまたは少なくとも約70Hzまたは少なくとも約80Hzまたは少なくとも約90Hzまたは少なくとも約100Hz、または少なくとも約200Hz、または少なくとも約300Hz、または少なくとも約400Hz、または少なくとも約500Hzの周波数である。
ある特定の実施形態では、磁気刺激は、約0.5Hzから、約1Hzから、または約2Hzから、または約3Hzから、または約4Hzから、または約5Hzから、または約10Hzから、または約10Hzから、または約10Hzから最大約500Hz、または最大約400Hz、または最大約300Hz、または最大約200Hz、または最大約100Hz、または最大約90Hz、または最大約80Hz、または最大約60Hz、または最大約40Hz、または約3Hzからもしくは約5Hzから最大約80H、または約5Hzから最大約60Hz、または最大約30Hzの範囲の周波数である。
ある特定の実施形態では、磁気刺激は、約20Hzまたは約30Hz〜約90Hzまたは約100Hzまでの範囲の周波数である。
ある特定の実施形態では、磁気刺激は、立つこと、足踏みすること、座ること、横になること、座った姿勢を保つこと、立ち姿勢を保つこと、腕の動作、手の動作、掴むことの刺激、握力の改善などを開始及び/または改善し、かつ/または腸及び/または膀胱の排泄を誘発または改善するのに充分な周波数、パルス幅、及び振幅である。ある特定の実施形態では、刺激は、例えば本明細書に記載される電気刺激の適用時に膀胱及び/または腸の少なくとも30%の排泄、または少なくとも40%の排泄、または少なくとも50%の排泄、または少なくとも60%の排泄、または少なくとも70%の排泄、または少なくとも80%の排泄、または少なくとも90%の排泄、または少なくとも95%の排泄、または少なくとも98%の排泄を与えるのに充分な周波数、パルス幅、及び振幅である。
経皮的電気刺激
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、自発運動(例えば、立つ、足踏みする、座る、横になる、座った姿勢を保つ、立ち姿勢を保つ、腕の動作、手の動作、掴む、握力など)を促し、かつ/または腸及び/または膀胱の排泄を誘発または改善するために脊髄(例えば、脊髄回路)を刺激するための経皮的電気刺激を用いる。表面電極(複数可)の使用によって、特定の刺激部位の選択または変化、ならびに広範な刺激パラメータの適用を促進することができる。更に、表面刺激を用いて硬膜外刺激を行うための埋め込み式電極または電極アレイの位置を最適化することができる。
様々な実施形態では、本明細書に記載される方法は、自発運動及び/または腸及び/または膀胱の排泄(例えば、上記に述べたようなもの)を促進するために本明細書に記載されるような頸髄もしくは頸髄の領域、及び/または胸髄もしくは胸髄の領域、及び/または腰仙髄の領域の経皮的電気刺激を行う。
ある特定の実施形態では、経皮的刺激は、少なくとも約1Hz、または少なくとも約2Hz、または少なくとも約3Hz、または少なくとも約4Hz、または少なくとも約5Hz、または少なくとも約10Hz、または少なくとも約20Hzまたは少なくとも約30Hzまたは少なくとも約40Hzまたは少なくとも約50Hzまたは少なくとも約60Hzまたは少なくとも約70Hzまたは少なくとも約80Hzまたは少なくとも約90Hzまたは少なくとも約100Hz、または少なくとも約200Hz、または少なくとも約300Hz、または少なくとも約400Hz、または少なくとも約500Hzの周波数である。
ある特定の実施形態では、経皮的刺激は、約1Hzから、または約2Hzから、または約3Hzから、または約4Hzから、または約5Hzから、または約10Hzから、または約10Hzから、または約10Hzから最大約500Hz、または最大約400Hz、または最大約300Hz、または最大約200Hz、または最大約100Hz、または最大約90Hz、または最大約80Hz、または最大約60Hz、または最大約40Hz、または約3Hzからもしくは約5Hzから最大約80Hz、または約5Hzから約60Hz、または最大約30Hzの範囲の周波数である。ある特定の実施形態では、経皮的刺激は、約20Hzまたは約30Hzから約90Hzまたは約100Hzまでの範囲の周波数である。
ある特定の実施形態では、経皮的刺激は、約5mAからもしくは約10mAから最大約500mA、または約5mAからもしくは約10mAから最大約400mA、または約5mAからもしくは約10mAから最大約300mA、または約5mAからもしくは約10mAから最大約200mA、または約5mAからもしくは約10mAから最大約150mA、または約5mAからもしくは約10mAから最大約50mA、または約5mAからもしくは約10mAから最大約100mA、または約5mAからもしくは約10mAから最大約80mA、または約5mAからもしくは約10mAから最大約60mA、または約5mAからもしくは約10mAから最大約50mAの範囲の強度で適用される。
ある特定の実施形態では、経皮的刺激は、約100μsから最大約1msまたは最大約800μs、または最大約600μs、または最大約500μs、または最大約400μs、または最大約300μs、または最大約200μs、または最大約100μs、または約150μsから最大約600μs、または約200μsから最大約500μs、または約200μsから最大約400μsの範囲の幅を有するパルスを含む刺激として適用される。
ある特定の実施形態では、経皮的刺激は、立つこと、足踏みすること、座ること、横になること、座った姿勢を保つこと、立ち姿勢を保つこと、腕の動作、手の動作、掴むこと、握力などを開始及び/または改善し、かつ/または腸及び/または膀胱の排泄を誘発または改善するのに充分な周波数、パルス幅、及び振幅である。ある特定の実施形態では、刺激は、例えば本明細書に記載される電気刺激の適用時に膀胱及び/または腸の少なくとも30%の排泄、または少なくとも40%の排泄、または少なくとも50%の排泄、または少なくとも60%の排泄、または少なくとも70%の排泄、または少なくとも80%の排泄、または少なくとも90%の排泄、または少なくとも95%の排泄、または少なくとも98%の排泄を与えるのに充分な周波数、パルス幅、及び振幅である。
ある特定の実施形態では、経皮的刺激は、高周波数の搬送信号に重ね合わされる。ある特定の実施形態では、高周波数の搬送信号は、約3kHz、または約5kHz、または約8kHzから最大約30kHz、または最大約20kHz、または最大約15kHzの範囲である。ある特定の実施形態では、搬送信号は約10kHzである。ある特定の実施形態では、搬送周波数の振幅は、約30mA、または約40mA、または約50mA、または約60mA、または約70mA、または約80mAから最大約300mA、または最大約200mA、または最大約150mAの範囲である。
したがって、ある特定の実施形態では、経皮的刺激は、上記に記載されるように約1Hzから最大約100Hzの範囲の周波数でパルス化された高周波数の信号として適用される。例示的であるが非限定的な一実施形態では、刺激は、30〜100mAの0.5msの10kHz定常電流バイポーラ矩形波刺激が毎秒1〜40回、10〜30秒間にわたって繰り返されることによって誘発される1Hzの経皮的電気刺激である。これにより、充分許容される低い(2%以下)のデューティサイクルが得られる。ある特定の実施形態では、電圧は100mAで約30Vである。ある特定の実施形態では、各刺激エポックは、1回のセッション当たり1〜10回、または1〜5回で、週1回、例えば6〜12週間にわたって繰り返される。
硬膜外刺激
様々な実施形態では、本明細書に記載される方法は、自発運動(例えば、立つ、足踏みする、座る、横になる、座った姿勢を保つ、立ち姿勢を保つ、腕の動作、手の動作、掴む、握力など)を促し、かつ/または腸及び/または膀胱の排泄を誘発または改善するために脊髄(例えば、脊髄回路)を刺激するための硬膜外電気刺激を用いることができる。
ある特定の実施形態では、硬膜外刺激は、少なくとも約1Hz、または少なくとも約2Hz、または少なくとも約3Hz、または少なくとも約4Hz、または少なくとも約5Hz、または少なくとも約10Hz、または少なくとも約20Hzまたは少なくとも約30Hzまたは少なくとも約40Hzまたは少なくとも約50Hzまたは少なくとも約60Hzまたは少なくとも約70Hzまたは少なくとも約80Hzまたは少なくとも約90Hzまたは少なくとも約100Hz、または少なくとも約200Hz、または少なくとも約300Hz、または少なくとも約400Hz、または少なくとも約500Hzの周波数である。
ある特定の実施形態では、硬膜外刺激は、約1Hzから、または約2Hzから、または約3Hzから、または約4Hzから、または約5Hzから、または約10Hzから、または約10Hzから、または約10Hzから最大約500Hz、または最大約400Hz、または最大約300Hz、または最大約200Hz、または最大約100Hz、または最大約90Hz、または最大約80Hz、または最大約60Hz、または最大約40Hz、または約3Hzからもしくは約5Hzから最大約80Hz、または約5Hzから最大約60Hz、または最大約30Hzの範囲の周波数である。
ある特定の実施形態では、硬膜外刺激は、約20Hzまたは約30Hz〜約90Hzまたは約100Hzまでの範囲の周波数である。
ある特定の実施形態では、硬膜外刺激は、立つこと、足踏みすること、座ること、横になること、座った姿勢を保つこと、立ち姿勢を保つこと、腕の動作、手の動作、掴むことの刺激、握力の改善などを開始及び/または改善し、かつ/または腸及び/または膀胱の排泄を誘発または改善するのに充分な周波数、パルス幅、及び振幅である。ある特定の実施形態では、刺激は、例えば本明細書に記載される電気刺激の適用時に膀胱及び/または腸の少なくとも30%の排泄、または少なくとも40%の排泄、または少なくとも50%の排泄、または少なくとも60%の排泄、または少なくとも70%の排泄、または少なくとも80%の排泄、または少なくとも90%の排泄、または少なくとも95%の排泄、または少なくとも98%の排泄を与えるのに充分な周波数、パルス幅、及び振幅である。
ある特定の実施形態では、硬膜外刺激は、0.5mAから、または約1mAから、または約2mAから、または約3mAから、または約4mAから、または約5mAから最大約50mA、または最大約30mA、または最大約20mA、または最大約15mA、または約5mAから約20mA、または約5mAから最大約15mAの範囲の振幅である。
ある特定の実施形態では、硬膜外刺激は、約100μsから最大約1msまたは最大約800μs、または最大約600μs、または最大約500μs、または最大約400μs、または最大約300μs、または最大約200μs、または最大約100μs、または約150μsから最大約600μs、または約200μsから最大約500μs、または約200μsから最大約400μs以下の範囲のパルス幅である。
ある特定の実施形態では、硬膜外刺激は上記で特定された頸部領域にわたって(例えば、C0〜C8にわたる椎骨またはその領域にわたって、例えば、C3〜C4にわたる領域にわたって)傍脊椎に適用される。
ある特定の実施形態では、硬膜外刺激は、永久的に埋め込まれた電極アレイを介して適用される(例えば、一般的な密度電極アレイ、高密度電極アレイなど)。
ある特定の実施形態では、硬膜外刺激は、高密度硬膜外刺激アレイ(例えば、PCT公開第WO/2012/094346(PCT/US2012/020112)に記載されるもの)を介して与えられる。ある特定の実施形態では、高密度硬膜外刺激アレイは、多数の電極をフレキシブル基板上にアレイ配置で配置するためのマイクロファブリケーション技術を用いて作製される。いくつかの実施形態では、網膜刺激アレイ用の硬膜外アレイの製造方法を本明細書に記載の方法に用いることができる(例えば、Maynard(2001)Annu.Rev.Biomed.Eng.,3:145−168、Weiland and Humayun(2005)IEEE Eng.Med.Biol.Mag.,24(5):14−21、及び米国特許出願公開第2006/0003090号、及び同第2007/0142878号を参照)。様々な実施形態では、刺激アレイは、フレキシブル材料上に配置された1つ以上の生体適合性金属(例えば、菌、白金、クロム、チタン、イリジウム、タングステン、及び/またはそれらの酸化物及び/または合金)を含む。フレキシブル材料は、パリレンA、パリレンC、パリレンAM、パリレンF、パリレンN、パリレンD、シリコン、他のフレキシブル基板材料、またはこれらの組み合わせから選択することができる。パリレンは、入手可能な微細加工ポリマーの中で最も低い透水性を有し、独自にコンフォーマルかつ均一な形で堆積され、これまでにFDAによって米国薬局方(USP)クラスVIの生体適合性材料として分類されており(長期インプラントでの使用が可能)(Wolgemuth,Medical Device and Diagnostic Industry,22(8):42−49(2000))、PDMS(しばしば可撓性が高すぎるとみなされる)と多くのポリイミド(しばしば剛性が高すぎるとみなされる)の中間の可撓性特性を有する(弾性率:約4GPa(Rodger and Tai(2005)IEEE Eng.Med.Biology,24(5):52−57))。最後に、パリレンの耐引き裂き性と破断伸度はいずれも大きく、外科的操作下での電極アレイへの損傷は最小限に抑えられる。本明細書に記載される硬膜外刺激方法での使用に適した作製法及びパリレン微小電極アレイが、PCT公開第2012/100260号(PCT/US2012/022257)に記載されている。
電極アレイは、当業者には周知のいくつかの方法のいずれか(例えば、椎弓切除術)を用いて埋め込むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、脊髄を取り囲む硬膜層の外側に配置された電極を通じて電気エネルギーが供給される。脊髄表面の(硬膜下)刺激も企図され、例えば、刺激を後柱だけでなく後根進入部に適用することができる。ある特定の実施形態では、電極は、経皮リード及び椎弓切除リードの2つの主な支持体によって支持される。経皮リードは通常、例えばトーヒ様針を使用して硬膜層の上に配置された、間隔を空けた2つ以上の電極(例えば、等間隔で配置された電極)を備えることができる。挿入のために、トーヒ様針を所望の椎骨間の皮膚に貫通させて、硬膜層の上を開くことができる。8個の電極の経皮リードの1つの例として、Advanced Neuromodulation Systems,Inc製のOCTRODE(登録商標)リードがある。
椎弓切除リードは通常、パドル型の形態を有し、通常1列以上の列に配列された複数の電極(例えば、2個、4個、8個、16個、24個または32個)を有する。8個の電極の2列型椎弓切除術リードの1つの例として、Advanced Neuromodulation Systems,Inc.製のLAMITRODE(登録商標)44リードがある。ある特定の実施形態では、埋め込まれる椎弓切除術リードは、対象の生理学的正中線上に横方向に中心を合わせて配置される。このような位置では、複数列の電極は、この正中線の両側に電気エネルギーを印可して正中線を横切る電場を形成するのに適している。複数列型の椎弓切除術リードは複数の電極、詳細には最初の埋め込み位置から容易にずれないような電極の複数の横列の確実な配置を可能とする。
椎弓切除術リードは通常、外科手術で埋め込まれる。この外科手術、すなわち部分椎弓切除術では、硬膜へのアクセス及び椎弓切除術リードの適切な配置を可能とするため、ある特定の脊椎組織を切断及び除去することを通常、行う。椎弓切除術リードは、更に定位置に縫合することができる安定したプラットフォームを与える。
従来の脊髄刺激と関連して、この外科手術、すなわち部分椎弓切除術では、硬膜へのアクセス及び椎弓切除術リードの適切な配置を可能とするため、ある特定の脊椎組織を切断及び除去することを通常、行う。しかしながら、挿入位置に応じて、硬膜へのアクセスを得るのに挿入部位の黄色靭帯の部分的な除去のみを行うだけでよい場合もある。ある特定の実施形態では、2本以上の椎弓切除術リードを上記に述べたようなC1〜C7の硬膜外腔内に配置する。これらのリードは、互いに対して任意の相対位置を取ることができる。
様々な実施形態では、アレイは、活性化/刺激を行い、かつ/または刺激の周波数及び/またはパルス幅及び/または振幅を制御するための電極(複数可)の選択を可能とする制御回路に動作可能に接続される。様々な実施形態では、電極の選択、周波数、振幅、及びパルス幅は独立して選択可能であり、例えば、異なる時間に異なる電極を選択することができる。任意の時間において、異なる電極が異なる刺激周波数及び/または振幅を与えることができる。様々な実施形態では、異なる電極またはすべての電極を、刺激の一定の電流または一定の電圧供給を用いてモノポーラモード及び/またはバイポーラモードで動作させることができる。ある特定の実施形態では、時間によって変化する電流及び/または時間によって変化する電圧を用いることもできる。
ある特定の実施形態では、電極に埋め込み式制御回路及び/または埋め込み式電源を設けることもできる。様々な実施形態では、埋め込み式制御回路は、体外式装置の使用により(例えば、制御回路と皮膚を通じて通信するハンドヘルド型装置を用いて)プログラム/再プログラムできる。プログラミングは、必要なだけ何度も繰り返すことができる。
本明細書に記載される硬膜外電極刺激システムは、例示的かつ非限定的であることを意図している。本明細書に示される教示を用いることで、代替的な硬膜外刺激システム及び方法が当業者に利用可能となろう。
刺激装置及び刺激システム
磁気刺激装置
磁気神経刺激装置は当業者には周知のものである。刺激は、急速に変化する磁場を発生させて対象とする神経に電流を誘導することによって得られる。有効な神経刺激は通常、約10A/sの過渡電流を必要とする。ある特定の実施形態では、この電流は、電子スイッチング素子(例えば、サイリスタまたは絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT))により電流を切り換えることによって得られる。
図1は、磁気刺激装置の例示的であるが非限定的な一実施形態を概略的に示している。図1に示されるように、磁気神経刺激装置100は2つの部分、すなわち、例えば5,000アンペア以上の放電電流を発生する高電流パルス発生器、及び(4、6、8、または更には10テスラ以下の磁場強度を有し)かつ刺激装置の種類に応じて通常、約100μs〜1ms以上の範囲であるパルス持続時間を有する磁気パルスを発生する刺激コイル110を備える。図1に示されるように、電圧(電力)源102(例えば、電池)が、コンデンサ電圧、ユーザにより設定される出力などの情報を受け取る制御回路114(例えば、マイクロプロセッサ)の制御下の放電回路104及び適切な動作を確実に行うための装置内の様々な安全インターロック112を介してコンデンサ106を充電し、その後、刺激を与える際にコンデンサは電子スイッチング素子108を介してコイルに接続される。制御回路は、ユーザ入力及び場合によりインターネットモニター、医療関係者などの外部ソースから信号を受け取ることができるコントロールインタフェース116を介して動作される。
作動時には、放電電流はコイルに流れて磁束を誘導する。組織内の電流を発生させるのは磁場の変化率であり、したがって、速やかな放電時間が刺激装置の効率にとって重要である。
上記で述べたように、磁場は単に組織内で電流を発生させる手段であり、細胞膜の脱分極、したがって標的神経の刺激を引き起こすのは電場であって、磁場ではない。
磁場の強さは刺激コイルからの距離の二乗とともに減衰するため、刺激の強さはコイル表面の近くで最も高くなる。貫通の深さ、強さ及び精度といった磁気パルスの刺激特性は、立ち上がり時間、コイルに伝達されるピーク電気エネルギー、及び磁場の空間的分布によって決まる。立ち上がり時間及びピークコイルエネルギーが、磁気刺激装置及び刺激コイルの電気的特性によって規定されるのに対して、誘導電場の空間的分布はコイル形状及び誘導電流の領域の解剖学的構造によって決まる。
刺激コイルは一般的に、1つ以上の確実に絶縁された銅巻き線と、温度センサ及び安全スイッチとで構成される。
ある特定の実施形態では、単一コイルの使用が企図される。単一コイルは、ヒト運動皮質及び脊髄神経根を刺激するうえで効果的である。今までのところ、80〜100mmの平均直径を有する円形コイルが最も広く使用されている磁気刺激となっている。円形コイルの場合、誘導される組織電流はコイルの中心軸上でほぼz方向であり、コイルの平均直径以下のリング内で最大値に増大する。
コイルの設計における重要な改善点は二重コイル(蝶形または8の字コイルとも称される)のものである。二重コイルは通常、横並びに配置された2本の巻き線を用いる。一般的に、二重コイルは非常に小さな平坦コイルから大きな外形のものにわたる。円形コイルに対する二重コイルの主な利点は、誘導される組織電流が2個の巻き線が出合う中心の真下でその最大値となり、より正確に規定された刺激の領域を与える点である。ある特定の実施形態では、角度をなした蝶形コイルが改善された刺激の作用を与えることができる。
刺激パルスは、一相性、対称性二相性(相間ギャップを有するまたは有さない)、非対称性二相性(相間ギャップを有するまたは有さない)、または対称性もしくは非対称性多相性(例えば、特定のバースト時間及び搬送周波数を有するバースト刺激)であってよい。これらのそれぞれは独自の性質を有し、そのため特定の状況において有用であり得る。神経学においては単パルス、一相性のシステムが一般的に用いられており、高速刺激装置では、次のパルスへのエネルギー供給を助けるために各パルスからエネルギーを回収する必要があることから二相性システムが用いられる。多相性刺激装置は、多くの治療用途で一定の役割を有するものと考えられる。
磁気神経刺激装置についての記載は、特に、米国特許出願公開第2009/0108969A1号、同第2013/0131753A1号、同第2012/0101326A1号、米国特許第8,172,742号、同第6,086,525号、同第5,066,272号、同第6,500,110号、同第8,676,324号などにみることができる。例えばMAGVENTURE(登録商標)、MAGSTIM(登録商標)などの磁気刺激装置がいくつかの販売業者より市販もされている。
電気刺激装置
頸髄の1つ以上の領域に電気信号を与えることが可能ないずれの現在のまたは将来的に開発される刺激システムも、本明細書に示される教示に従って使用することができる。電気刺激システム(例えば、パルス発生器(複数可))は、経皮的刺激及び硬膜外刺激とともに使用することができる。
様々な実施形態では、システムは、経皮的刺激システムまたは硬膜外システムのいずれかとともに使用するための外部パルス発生器を含むことができる。他の実施形態では、システムは、硬膜外刺激を与えるために1つ以上の電極または電極アレイによって脊髄に接続された絶縁リードによって頸髄に近接した領域に送信されるいくつかの刺激パルスを発生する埋め込み式パルス発生器を含むことができる。ある特定の実施形態では、1つ以上の電極または電極アレイを構成する1つ以上の電極は、1本のリード内に含まれる別々の導体に取り付けることができる。対象の脊髄の近傍に電気刺激信号を適用するうえで有用ないずれの既知のまたは将来的に開発されるリードも使用することができる。例えば、リードは、Medtronic,Incより販売されるPISCES(登録商標)モデル3487Aのような従来の経皮的リードであってよい。いくつかの実施形態では、パドル型リードを用いることが望ましい場合もある。
いずれの既知のまたは将来的に開発される外部または埋め込み式パルス発生器も本明細書に示される教示に従って使用することができる。例えば、内部パルス発生器の1つは、Medtronic,Incより販売されるITREL(登録商標)IIまたはSynergyパルス発生器、Advanced Neuromodulation Systems,Inc.のGENESIS(商標)パルス発生器、またはAdvanced Bionics CorporationのPRECISION(商標)パルス発生器であってよい。当業者であれば、上記のパルス発生器は、本明細書に示される教示に従って運動機能及び/または膀胱及び/または腸制御を調節するために有利に改変することができる点は認識されよう。
ある特定の実施形態では、システムは、無線周波数アンテナに導体を介して接続されるプログラマを用いることができる。このシステムは、担当医が無線周波数通信を用いて埋め込み後の様々なパルス出力オプションを選択することを可能とする。ある特定の実施形態では、システムは完全に埋め込まれた要素を用いるが、部分的に埋め込まれた要素を用いるシステムも本明細書に示される教示に従って使用することができる。
例示的であるが非限定的な一システムでは、制御モジュールが信号発生モジュールに動作可能に接続され、信号発生モジュールに信号を発生するように指示する。例えば、任意の特定の時間または特定の長さの時間で、制御モジュールは、信号発生モジュールに、特定のパルス幅、周波数、強度(電流または電圧)を有する電気信号を発生するように指示することができる。制御モジュールは、埋め込みに先立って予めプログラムされてもよく、あるいはテレメトリのような任意の既知のまたは将来的に開発される機構によってプログラマ(または別のソース)からの指示を受信することができる。制御モジュールは、信号発生モジュールを制御するための指示を格納するためのメモリを含むかまたはこれに動作可能に接続することができ、どの指示を信号発生モジュールに送信するか、及び指示が信号発生モジュールに送信されるタイミングを制御するためのプロセッサを含むことができる。
ある特定の実施形態では、コントローラは運動機能を変化させるか、かつ/または要求に応じて膀胱及び/または腸の排泄を開始もしくは促進する。
様々な実施形態では、リードが信号発生モジュールに動作可能に接続されることにより、信号発生モジュールが発生した刺激パルスを、電極を介して供給することができる。
ある特定の実施形態では2本のリードが用いられるが、任意の数の1つ以上のリードを用いることができる点は理解されよう。更に、リード1本につき任意の数の1つ以上の電極を用いることができる点は理解されよう。刺激パルスは、リターン電極(通常は陽極)に対して電極(通常は陰極)に適用されて頸髄の領域内の電気的興奮性組織の所望の興奮領域を誘導する。接地または他の参照電極などのリターン電極を、刺激電極と同じリード上に配置することができる。しかしながら、リターン電極は、刺激電極の近傍であろうと、パルス発生器の金属ケースなど身体のより離れた部分であろうと、ほとんどすべての場所に配置することができる点は理解されよう。任意の数の1つ以上のリターン電極を用いることができる点が更に理解されよう。例えば、各陰極について個別の陰極/陽極のペアが形成されるように各陰極に対してそれぞれのリターン電極を設けることができる。
様々な実施形態では、独立した電極または電極アレイの電極が、活性化/刺激を行い、かつ/または刺激の周波数及び/またはパルス幅及び/または振幅を制御するための電極(複数可)の選択を可能とする制御回路に動作可能に接続される。様々な実施形態では、電極の選択、周波数、振幅、及びパルス幅は独立して選択可能であり、例えば、異なる時間に異なる電極を選択することができる。任意の時間において、異なる電極が異なる刺激周波数及び/または振幅を与えることができる。様々な実施形態では、異なる電極またはすべての電極を、例えば、刺激の一定の電流または一定の電圧供給を用いてモノポーラモード及び/またはバイポーラモードで動作させることができる。
例示的であるが非限定的な一システムでは、制御モジュールが信号発生モジュールに動作可能に接続され、信号発生モジュールに信号を発生するように指示する。例えば、任意の特定の時間または特定の長さの時間で、制御モジュールは、信号発生モジュールに、特定のパルス幅、周波数、強度(電流または電圧)を有する電気信号を発生するように指示することができる。制御モジュールは、使用に先立って予めプログラムされてもよく、あるいはプログラマ(または別のソース)からの指示を受信することができる。したがって、ある特定の実施形態では、パルス発生器/コントローラはソフトウェアにより構成可能であり、制御パラメータはプログラムするか/ローカル入力するか、またはリモートサイトから適宜/必要に応じてダウンロードすることができる。
ある特定の実施形態では、パルス発生器/コントローラは、刺激信号(複数可)を制御するための指示を格納するためのメモリを含むかまたはこれに動作可能に接続することができ、信号発生のためのどの指示を送信するか、及び指示が送信されるタイミングを制御するためのプロセッサを含むことができる。
ある特定の実施形態では経皮的または硬膜外刺激を供給するために2本のリードが用いられるが、任意の数の1つ以上のリードを用いることができる点は理解されよう。更に、リード1本につき任意の数の1つ以上の電極を用いることができる点は理解されよう。刺激パルスは、リターン電極(通常は陽極)に対して電極(通常は陰極)に適用されて脊椎の1つ以上の領域内の電気的興奮性組織の所望の興奮領域を誘導する。接地または他の参照電極などのリターン電極を、刺激電極と同じリード上に配置することができる。しかしながら、リターン電極は、刺激電極の近傍であろうと、パルス発生器の金属ケースなど身体のより離れた部分であろうと、ほとんどすべての場所に配置することができる点は理解されよう。任意の数の1つ以上のリターン電極を用いることができる点が更に理解されよう。例えば、各陰極について個別の陰極/陽極のペアが形成されるように各陰極に対してそれぞれのリターン電極を設けることができる。
神経調節剤の使用
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される経皮的及び/または硬膜外及び/または磁気刺激方法は、様々な薬剤、詳細には神経調節活性を有する(例えば、モノアミン作動性の)薬剤と併用される。ある特定の実施形態では、様々なセロトニン作動性、及び/またはドーパミン作動性、及び/またはノルアドレナリン作動性、及び/またはGABA作動性、及び/またはグリシン作動性薬物の使用が企図される。これらの薬剤は、上記に述べた硬膜外刺激及び/または経皮的刺激及び/または磁気刺激と併用することができる。この複合的アプローチは、本明細書に記載の方法を用いて脊髄を神経調節に最適な生理学的条件とするうえで役立つ。
ある特定の実施形態では薬物は全身性に投与されるのに対して、他の実施形態では薬剤は局所的に、例えば、脊髄の特定の領域に投与される。脊髄神経運動ネットワークの興奮性を調節する薬物としては、限定されるものではないが、ノルアドレナリン作動性、セロトニン作動性、GABA作動性、及びグリシン作動性受容体のアゴニストとアンタゴニストの組み合わせが挙げられる。
少なくとも1つの薬物または薬剤の用量は、約0.001mg/kg〜約10mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.01mg/kg〜約1mg/kg、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、約5mg/kg〜約10mg/kg、約0.01mg/kg〜約5mg/kg、約0.001mg/kg〜約5mg/kg、または約0.05mg/kg〜約10mg/kgとすることができる。
薬物または薬剤は、注射(例えば、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射)投与、経口投与、直腸内投与するか、または吸入することができる。
例示的な薬剤としては、限定されるものではないが、セロトニン作動性の5−HT1A、5−HT2A、5−HT3及び5HT7受容体、ノルアドレナリン作動性のα1及び2受容体、ならびにドーパミン作動性のD1及びD2受容体の1つ以上の組み合わせに対するアゴニスト及びアンタゴニストが挙げられる(例えば、表1を参照)。ある特定の実施形態では、適当な薬剤には、フロオキセチンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)が含まれる。
Figure 2021533918
上記の方法は、例示的なものであって限定的なものではない。本明細書に提供される教示を用いれば、機能不全の膀胱及び/または腸機能を有する対象の膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進するための経皮的電気刺激及び/または硬膜外電気刺激及び/または磁気刺激を用いた他の方法ならびに/あるいは神経調節薬の使用が当業者にとって利用可能となろう。
以下の実施例は、特許請求される発明を例示するために示されるものであるが、発明を限定するものではない。
実施例1
神経因性膀胱に対する経皮的磁気脊髄刺激の概念実証試験
慢性脊髄損傷(SCI)を有する患者は、自分の意志で排尿ができず、自己カテーテル導入によって膀胱を空にしなければならない。本発明者らは、非侵襲性の経皮的磁気脊髄刺激(TMSCS)がSCIを有する個人の膀胱機能を改善するという仮説を検証した。アメリカ脊髄損傷協会障害スケールがA/Bの慢性SCI及び排尿筋括約筋協調不全を有する5人の個人がこの前向き介入試験に参加した。
有効な刺激特性を調べるための2週間の評価期間後、各患者に16回のTMSCS治療を行い、その後、「偽治療」の毎週の刺激を6週間行ってその間の膀胱機能を監視した。膀胱機能は5人の被験者すべてで改善したが、1HzのTMSCSの毎週の繰り返しセッションの間及びその後のみであった。すべての被験者が随意排尿を行えるようになった。随意で排尿された尿量は0cc/日から1120cc/日にまで増加し(p=0.03)、自己カテーテル導入の頻度は6.6回/日から2.4回/日にまで減少し(p=0.04)、膀胱の容量は244mlから404mlにまで増加し(p=0.02)、クオリティー・オブ・ライフのランクが有意に高くなった(p=0.007)。間欠的非侵襲性TMSCS後にSCIを有する5人の個人で随意膀胱機能が回復した。本発明者らは、TMSCSによる脊髄排尿回路の神経調節を用いて膀胱機能を改善することができると結論するものである。
結果
被験者は図2に示されるような3つの試験フェーズを行った。5人すべての被験者の人口統計学情報及び膀胱機能の指標を表2に示す。各被験者についてSCIのレベル及び範囲を示す磁気共鳴イメージ(MRI)を図3に示す。SCIの平均期間は8.8±7.5年であった。各被験者における少なくとも3つの事前の尿流動態試験で示されるように被験者のいずれも損傷を受けた時から自発的に排尿することができなかった。
Figure 2021533918
最適周波数の決定:脊髄機能
SCI後、球海綿体反射(BCR)は脱抑制され、病的な過活動状態となる(図4)。BCRの振幅は、5人の被験者すべてで1HzのTMSCSの間に有意に減少した(p<0.001)。これに対して、高周波数の刺激はBCRの振幅を増大させるか、または有意な効果はなかった。平均のBCR遅延時間は、1Hz及び30HzのいずれのTMSCSにおいても35.2±5.3msであり、これは正常な個人におけるBCRの遅延時間と同様である(Granata et al.(2013)Func.Neurol.,28:293−295)。
1HzのTMSCSでは、選択された下肢筋肉群(会陰筋、外側広筋、及び大腿四頭筋)に脊髄誘導電位を誘発することができたのに対して、本発明者らは、30Hzの刺激では脊髄誘導電位を検出することはできなかった(図4)。
最適周波数の決定:膀胱機能
評価フェーズにおいて、随意排尿試行における尿流動態試験において得られた尿道圧(P尿道)及び排尿筋(P排尿筋)は、高い周波数と低い周波数のTMSCSで有意に異なった(図5)。尿道圧及び排尿筋圧をそれぞれ表3及び4に示す。平均尿道圧は1Hzの刺激の間ではベースラインの無刺激値よりも有意に低く(p<0.05)、また、平均尿道圧は、30Hzの刺激の間では無刺激ベースライン値よりも高かった(ただし、これは統計的に有意ではなかった。p<0.10)。これに対して、平均排尿筋圧は、1Hzの刺激の間で、ベースラインの非刺激条件及び30Hzの刺激の両方と比較して有意に上昇し(両方の比較でp<0.01)、また、排尿筋圧は30Hzの刺激の間ではベースライン条件と異ならなかった(p=0.5)。したがって、低周波数の刺激は各被験者の膀胱圧を上昇させるとともに尿道圧を低下させ(尿の流れを促す条件)、30Hzの刺激は逆の作用を有し、尿道圧が有意に増大したが排尿筋圧は30Hz刺激によって変化しなかった(表3及び4)。驚くことではないが、排尿筋収縮及び膀胱圧を上昇させ、同時に尿道圧を低下させることで随意排尿が可能となった(図5)。
Figure 2021533918
Figure 2021533918
BCR反応、誘導されたEMG活動ならびに尿道圧及び排尿筋圧の反応に基づき、1HzのTMSCSのみを治療期間中、週1回のTMSCSで使用した。
TMSCSの前、その間、及びその後の膀胱機能
5人の被験者のすべてが、TMSCSによる16週間の膀胱リハビリテーション後に少なくともいくらかの随意排尿を行うことができた(図6)。少なくとも4回の週1回のTMSCS治療が行われるまでは随意排尿を行えた被験者はおらず、随意に排尿する能力は、TMSCSの開始の平均で5.6±1.5週間後に5人の被験者すべてで回復した。随意に排尿する能力は、16週間の治療期間の全体を通じて維持された。
一日の自己カテーテル導入は、ベースラインの6.6回/日から16週間のリハビリテーションの終了時における2.4回/日まで減少した(p=0.04)。TMSCS治療の終了時に行われた尿流動態試験に基づくと、随意で排尿された尿の平均体積は0cc/日から1120cc/日に増加し(p=0.03)、各被験者は有意な尿流速度を得ることができ、平均で0cc/秒から9.3cc/秒に高くなった(p<0.001)。膀胱容量は244mlから404mlに増加した(p=0.02)。性的機能も男性性機能問診票(Sexual Health Inventory for Men;SHIM)により測定した場合に9〜20に改善した(p=0.0003)。各被験者は、大幅に高いクオリティー・オブ・ライフを享受し、i−QOLスコアが47から82に高くなった(p=0.007、図5)。5人の被験者すべてで膀胱機能が改善され、随意排尿を達成することができたが、TMSCSに対するそれぞれの反応は異なった(反応性の順序はA>D>B=C>Eであった)。この変動は、被験者のAISの差の結果ではないようであった。(表2)
随意排尿が偽刺激の開始後に維持された平均時間は、3.2±0.8週間であった。フォローアップの日誌の内容により、随意に排尿する能力は有効なTMSCSの停止後にすべての被験者で急速に低下したことが確認され、最後の有効な刺激の5週間後に随意排尿の能力を維持した被験者はいなかった。
考察
随意排尿は、感覚系、運動系、及び自律系による膀胱の複雑で協奏した神経筋肉制御を必要とする。随意排尿では、膀胱収縮の交感神経性抑制が減弱し、排尿筋収縮の副交感神経性活性化が台頭して膀胱内圧を増大させ、尿道括約筋の収縮が抑制されて尿を膀胱から流出させる。この制御は、腹部の副交感神経節に対する、また、尾椎骨内の交感神経性及び体性ニューロンに対する前頭橋路の脊髄投射によって行われる。SCIを有する個人では、副交感神経、交感神経、及び体性神経の活動間の協調が失われ、膀胱圧が上昇するが、外括約筋の収縮が抑制されないために膀胱を完全に空にすることができない。SCIを有する患者は、尿を排出し、高い圧力による腎臓損傷を防止するために毎日複数回の膀胱への自己カテーテル導入を行わなければならず、これにより尿道の感染及び外傷性損傷のリスク及び頻度が増大する。試験の被験者のすべてにおいて実現されたカテーテル導入の頻度のいかなる減少も、カテーテル導入に伴う合併症の潜在的な減少を意味する。
腰仙脊髄の隔離領域は複雑な運動活動を行うことが可能な回路を含んでいる(Lu et al.(2015)Front.Molecular Neurosci.8,25,(2015)、Sugaya & De Groat(1994)Am.J.Physiol.,266:R658−667)。更に、多くの運動完全麻痺のAIS等級A及びBのSCI患者の多くは、解剖学的に完全ではなく、多くの脊髄回路、特に脊髄損傷のレベルの下位のものは完全に維持されている(Heald et al.(2017)Neurorehabil.Neural Repair,31:583−591)。SCIによる慢性麻痺を有する動物被験体及びヒト被験者では、運動機能は、侵襲性の硬膜外電気刺激後に改善された(Harkema et al.(2011)Lancet,377:1938−1947、Angeli et al.(2014)Brain: J.Neurol.137:1394−1409、Lu et al.(2016)Neurorehabil.Neural Repair,30:951−962)。この試験では、本発明者らは、脊髄排尿回路はSCIの被験者で完全に維持されており、この回路は半自律的であることから、これらの回路によって制御されるパターン化された筋活動の活性化を高め、胸腰部脊髄上にTMSCSを用いてこれらを活性化または調節することが可能であるはずであると仮説を立てた。作用機序は、運動回路の活性化の閾値を低下させて随意の協調した主動筋拮抗筋活動を可能とする、上肢機能を改善するための刺激の使用と同様のものであるようである(Alam et al.(2017)Exp.Neurol.,291:141−150)。随意膀胱制御は、TMSCSによって慢性SCIを有する5人の個人すべてにおいてある程度回復した。5人の被験者のうちの4人(80%)が、自己カテーテル導入の頻度を少なくとも50%減らすことができた。1人の被験者は自己カテーテル導入を行わずに正常な排尿を行うことができ、別の1人の被験者は毎日1回のカテーテル導入しか必要としなかった(表2)。
複数の末梢神経、具体的には陰部、骨盤、下腹部、及び脛骨の神経を刺激することによりSCI患者の排尿を回復する他の試み(Schneider et al.(2015)Europ.Urol.68:859−867、Kennelly et al.(2011)J.Spinal Cord.Med.34:315−321、Spinelli et al.(2005)Neurology & Urodynam.24:305−309)では、膀胱機能の一貫した改善はみられなかった。更に、仙骨神経の調節は電極の埋め込みを必要とし、これは侵襲的かつ危険を伴う(Zeiton et al.(2016)Int.J.Colorect.Dis.31:1005−1010、Eldabe et al.(2015)Complications of Spinal Cord Stimulation and Peripheral Nerve Stimulation Techniques:A Review of the Literature.Pain medicine (Malden,Mass.))。TMSCSは、SCIを有する患者において非侵襲的かつ無痛である点で異なっている。更に、TMSCSは、選択された末梢神経の既存の硬膜外刺激よりも安定的かつ効果的な膀胱からの排尿を与える(Bartley et al.(2013)Nat.Rev.Urology 10.513−521;Brindley.(1974)J.Physiol..237:15p−16p、Van Kerrebroeck et al.(1996)J.Urol.155:1378−1381)。
本発明者らは、TMSCSは、尿流動態試験で実証されたように、副交感神経の減弱と交感神経の活性化と体性筋の抑制の協調したパターンの随意の活性化をもたらすものと考える。TMSCSの明確な機序は依然不明であるが、排尿筋と括約筋の協調した活動は、TMSCSは、腰仙脊髄内の中枢パターン生成回路を活性化またはその活動を亢進することで働き、運動ニューロンまたは末梢神経の活性化のみに依存しないことを示唆している。この仮説は、1Hz及び30HzのTMSCSに対する互いに異なる反応によって更に支持される。すなわち、尿道圧を増大させ、排尿筋圧を低下させ、膀胱内の尿貯留を亢進させた30HzのTMSCSに対して、1HzのTMSCSは尿道圧の低下、排尿筋圧の増大、及び排尿をもたらした。異なる刺激周波数は、恰も異なる中枢パターン生成器(CPG)または排尿CPGの異なる側面が活性化されたのと同様にして、異なる膀胱挙動を誘発した。これらの異なる反応は、TMSCSは、より高い周波数の刺激が効果を有し得る過活動膀胱など、より幅広い範囲の状態に適用可能であることを示唆するものである。
本発明者らは、特に治療に対して最も不応性のSCI患者群であることから排尿筋括約筋協調不全を有する患者を選択した。自己カテーテル導入の規則的なスケジュールは、尿管逆流症ならびに閉塞性尿路疾患及び慢性腎不全の発症を予防するが、頻繁なカテーテル導入は、感染症、偽尿路の形成、尿管狭窄(Prieto et al.(2015) Neurology & Urodynam.34:648−653、Bolinger et al.(2013)J. Wound,Ostomy,Continence,Nursing,40:83−89)、クオリティー・オブ・ライフの低下、及び自立性の喪失のようにそれ自体のリスクを有する。クオリティー・オブ・ライフの改善は、本発明者らのTMSCSを用いた最終目標であるが、尿管逆流症及び慢性腎不全のリスクが増大する場合にはこれは達成することができない。したがって、低い貯留圧及び膀胱容量の増加による、より生理学的な排尿シーケンス、ならびに排尿筋コンプライアンスの増大と低い圧力の系での閉塞のない排尿を可能とする外括約筋圧とのより良好な協調といったTMSCSのいずれの効果も、尿管逆流が増大しない場合にのみ長期的に有用となる。本発明者の試験の開始及び終了時に行ったビデオ尿流動態は、逆流のエビデンスは示さなかった。この試験は、患者を16週間にわたってフォローした概念実証のパイロット試験であったが、TMSCSを用いて随意排尿を増加させ、自己カテーテル導入の頻度を低減させる場合に安定した膀胱及び腎機能が確実に維持されるようにより大きなコホートでより長期のフォローアップを行う更なる試験を行う必要がある。
BCRは、多シナプス反射であり、本発明者らの被験者におけるBCRの振幅は正常な個人と比較してベースラインで10〜100倍大きかった。BCRの過活動は、SCI後の腱反射の過活動と類似していると考えられ、SCIを有する被験者はBCRの脊髄上位抑制が低下していることを示唆する。低周波のTMSCSの間には、BCRの振幅は小さくなり、本発明者らはこのことからTMSCSがBCRのより大きな抑制を誘導したものと推論する。磁気刺激は、硬膜外脊髄刺激の推測される作用機序である後根神経節または後柱の刺激による脊髄介在ニューロンの調節によってこれらの作用を実現している(Ramasubbu & Flagg(2013)Curr.Pain Headache Rep.17:315)か、またはTMSCSは交感神経鎖及び仙髄副交感神経の中枢内の反応を調節して排尿のプロセスを促すと考えられる。
尿機能の改善は即時ではなく、試験期間にわたって徐々に改善することが明らかとなった。初期には、随意排尿試行の間の尿道圧と膀胱圧の同時測定は、持続的な膀胱収縮はほとんど(あったにしても)示さず、尿道圧の持続的な上昇を示したが、少なくとも4週間の有効なTMSCSの完了後には、排尿筋括約筋協調不全(膀胱圧が上昇するが、尿道圧も上昇し、これにより膀胱を空にすることが妨げられる)は持続したものの被験者はよりよく膀胱収縮を持続することができた。16週間のリハビリテーション期間の終了時に各被験者は高い排尿筋圧及び低い尿道圧の随意の協調した膀胱収縮を生じることができた。膀胱圧が尿道圧を上回るため、尿流速度は増加し、有意に高い尿量が得られた(図3)。
本発明者らの被験者は、磁気刺激が存在しない、治療のセッションとセッションの間に随意に排尿することができた。本発明者らは、TMSCSが排尿回路の活性化状態(または抑制の低下)を持続的に上昇させることで、脊髄上位の排尿中枢と腰仙の排尿中枢パターン生成器との間の残存神経経路が再活性化されたものと考えるが、これは、運動機能の亢進させるために硬膜外刺激を用いた従来の知見(Lu et al.(2016)Neurorehabil.Neural Repair,30:951−962)と一致する。随意排尿の回復には、少なくとも4週間にわたるTMSCSの反復を必要とした。運動機能に対する硬膜外電気刺激の効果も、運動機能の改善がみられるまでに3〜5セッション/週を必要とした(同上)。脊髄上位から脊髄の通信がTMSCSによって回復または再開通されると、この通信は被験者が週1回の各治療セッションで一定の最小量のTMSCSを受けている限りは開通状態に維持されたが、TMSCSの効果は永続的ではなかった。すべての被験者は、有効なTMSCSの終了後間もなく、排尿を制御する能力を失った(図6)。TMSCSの効果の発現と消失の時間的動態は、有効なシナプスまたは脊髄上位通信を再確立するうえで一定の比較的遅い神経または回路のリモデリングを必要とする脊髄回路のリモデリングと一致しており(Boulis et al.(2013)Neurosurgery,72:653−661、Vallejo et al.(2016)Neuromodulation,19:576−586、Ryge et al.(2010)BMC Genomics,11:365)、脊髄上位排尿回路と腰部排尿回路との間の通信の完全性を維持するために随意の膀胱排尿の間でTMSCSの何らかの側面が必要であった。週1回の治療の間隔及び刺激プロトコールは、随意排尿を維持するうえで驚くほど小さい反復入力を示したが、このスケジュールは患者で実現可能であり、TMSCSは週1回の物理療法のセッションにて低コストで施術することができた。いずれの場合も、神経可塑性またはリモデリングは、特に低周波(1Hz)刺激を用いたTMSの研究においてよく認識されている(O’Shea et al.(2007)Neuron,54:479−490、Lee et al.(2003)J.Neurosci.23:5308−5318)。これらの結果及び本発明者らによる手の機能の研究(Lu et al.(2016)Neurorehabil.Neural Repair,30:951−962)は、SCIのレベルよりも下の運動機能の随意制御を可能とする脊髄回路の神経調節の能力の2つの例を与えるものである。
TMSCSに対する反応は本発明者らの5人の被験者の間で異なった。本発明者らはこれに対する正確な説明を有さないが、このばらつきはAIS間の差の結果ではないことは理解している(被験者A、B、EはいずれもカテゴリーAであったが、被験者Aは他の2人よりも大幅に改善した)。このばらつきの理由は、複数要因の可能性が高いが、最も重要な点としては本発明者らの被験者は異なる量の残存神経機能を有することがある。現在のAISは、被験者間の残存神経機能の機微に感度がない。
本発明者らの試験の主たる制限は、その小さいサイズと実際の作用機序の証拠がないことである。これはパイロット試験であるため、本発明者らは試験を拡大して更なる被験者に参加してもらう予定である。更なる試験は、磁気刺激の正確な作用機序を調べるために磁気刺激後の分子及び細胞プロセスに注目するものである。
方法
被験者の選択
本発明者らは、5人の被験者でパイロット前向き介入試験を行った。試験のすべての側面は、UCLA IRB(IRB番号14−000932)により承認され、ClinicalTrials.gov(登録番号NCT02331979、登録日06/01/2015)に登録されている。全ての方法を、UCLA IRBにより規定された関連するガイドライン及び規則に従って行った。被験者の参加に先立ってインフォームドコンセントを得た。試験の組み入れ基準は、年齢18〜75才の男性で、安定状態のアメリカ脊髄損傷協会障害スケール(AIS)がA/Bであり、脊髄レベルC2〜T8の間の運動完全麻痺脊髄損傷が1年以上あり、間欠的カテーテル導入を要する神経因性膀胱の文書化された既往歴があること、である。各被験者に、少なくとも3回の尿流動態試験を受けさせて排尿筋括約筋協調不全(DSD)を伴う神経因性膀胱の診断を確認した。排尿筋括約筋協調不全(DSD)は、排尿筋圧の上昇及びそれに伴う針EMG活動と尿道圧の上昇を示す尿流動態試験によって診断した(表3及び4)。自律神経過反射の既往歴を有する患者は試験から除外した。人工呼吸器に依存しているか、薬物乱用があるか、筋骨格機能不全(すなわち、不安定骨折)、心肺疾患、活性感染症または治療を要する進行中の鬱病を有するか、または脊髄刺激への以前の曝露もしく使用のあるすべての患者を試験から除外した。膀胱ボトックス注射歴または膀胱/括約筋手術歴を有する患者は除外した。5人の被験者が採用され、試験を完了した。被験者の離脱はなかった。
介入
各被験者に試験開始時に尿流動態検査(UDS)を行ってDSDを伴う神経因性膀胱の診断を確定し、ベースラインの膀胱機能を確立した。試験は、評価フェーズ(2週間)、治療フェーズ(16週間)、及びフォローアップフェーズ(6週間)の3つのフェーズに分けた。評価フェーズにおいては、各被験者に1回/週の経皮的磁気脊髄刺激(TMSCS)を1Hz(低)及び30Hz(高)の両方の周波数(強度40〜60%)で腰椎に行った(後述する)。この試験の前にはヒト被験者における最適刺激周波数は本発明者らにとって未知であったことから1Hz及び30Hzの両方を評価フェーズにおいて与えた。2つの周波数はランダムな順序で与えた。これらの周波数は、SCIを有する動物における排尿を低周波数刺激が促進し、高周波数刺激が抑制した、動物における以前の結果(Alam et al.(2017)Exp.Neurol.,291:141−150)に基づいて選択した。評価フェーズの終了時に、より良好な刺激周波数を決定するために各被験者に別のUDSを行った(最適刺激の特性は下記に定義される)。より良好な周波数が確立された後(5人すべての被験者で1Hzが30Hzの刺激よりも良好であることが分かった)、各被験者は試験の治療フェーズに入り、週1回の経皮的腰髄磁気刺激を合計16週間にわたって行った(後述する)。TMSCSのこの16週間の期間は、膀胱リハビリテーションを構成した。各被験者に非ビデオ尿流動態検査を治療フェーズの間の4週間毎に1回行い、進行を監視して、膀胱機能が更に損なわれないようにした。最初の4週間の刺激期間後、各被験者に膀胱カテーテル導入の前に5〜10分間にわたって随意排尿を試みてもらった。被験者には環境を静かで落ち着いた状態に保ち、排尿に集中してもらうように指示した。詳細には、被験者にいきみ/バルサルバ法、クレーデ法による外部からの圧迫、手で叩く、肛門伸展、または押し込みによる反射の誘発は行わないように指示した。各試行は10分間に制限した。各被験者に尿/大便検体採取パン((Medline DYND36600H,Mundelein,IL)をわたして随意排尿量をすべて採取してもらった。尿閉の可能性を防止するため、各被験者に随意排尿試行の後に自己カテーテル導尿してもらい、カテーテル導尿量を記録してもらった。排尿量及び膀胱内の残留尿量(各患者の所定の膀胱カテーテル導尿による排尿試行の後に採取されたもの)を、毎回の随意排尿試行の後で日誌に記録してもらった。各被験者に、試験期間の全体を通じて気付いた他のあらゆる変化も日誌に記録してもらった。フォローアップ期間では、実際の刺激の音声、部分的な感覚及び機械的キューを模倣した偽の経皮的磁気脊髄刺激(偽)を低い強度(5%)で用いた。各被験者に、治療フェーズで行ってもらったように引き続き随意排尿試行を行ってもらい、フォローアップフェーズの終わりまで各被験者に引き続き詳細な泌尿器学的生活様式の日誌をつけてもらった(図2)。
各被験者には失禁クオリティー・オブ・ライフ(iQOL)問診票もわたして、試験の開始前及び16週間の治療刺激の終了時に記入してもらった。SCIを有する患者における複数回の泌尿器学的クオリティー・オブ・ライフ試験でiQOLを検証した。(Patrick et al.(1999)Eur.Urol.36:427−435;Jo et al.(3026)Pain Physician,19:373−380)。性機能を、試験の開始時及び16週間の治療フェーズの終了時に男性性機能問診票(SHIM)(Barbonetti et al.(2012) J.Sex.Med.9:830−836)により評価した。
盲検化
本発明者らには排尿を生じさせる効果的な刺激のパラメータが分かっていなかったという、試験開始時の知識の状態のため、無作為化試験は行えなかった。したがって、本発明者らは、各被験者が自身の対照となるシングルアーム試験を行った。更に、最初の評価フェーズ(本発明者らは、最初のベースラインの非刺激採取期間を置かなかった)の間に刺激への曝露があったため、刺激の終了時に偽フェーズを行ったが、この試験のパイロット的な性質のためにこの曝露のウオッシュアウト期間は分からなかった。しかしながら、被験者及び実験者を評価、治療、フォローアップフェーズにおけるプロセスの全体を通じて盲検化した。これらの脊髄損傷患者は損傷のために感覚が弱い/ないことを考えると、各被験者は脊髄損傷によって感覚能力が弱くなっているために治療において用いた刺激レベルの1Hzまたは30Hzでは何も感覚がなかった。本発明者らは、痛みのある感覚を避けるため比較的低い強度の刺激を意図的に選択し、刺激レベルを感覚及び運動閾値よりも低くした。各被験者には、各刺激の間に「クリック」音が聞こえた(特にクリックが予測可能な1Hzで)。この聴覚キューを偽刺激においても同様に再現した。おおよそT11〜L3のレベル(高さ)。コイルの寸法は、172×92×51mmの8の字形であり、2個のリングがそれぞれ直径75mmである。標的(焦点)は8の字の中心であり、本発明者らのケースではヒトの脊髄円錐にわたるT12〜L1領域である。本発明者らは、実験用コイル(偽面と治療面が同じもの)を使用し、これにより実験者及び被験者の両方の盲検化が可能となることで試験のフォローアップフェーズは二重盲検化された。刺激装置及び刺激量の制御を行う要員は、試験の異なるフェーズで刺激パラメータを操作したことから盲検化しなかったが、この要員は被験者に影響しないようにし(カーテンの後ろに座らせた)、各要員には、使用される特定の刺激の値によらず、異なるタスクを行う際に同じスクリプトに従ってもらった。盲検化の完全性を評価するため、本発明者らは試験終了時に被験者に各試験フェーズが何から構成されていたかを訊ねたが、被験者の答えは偶然以上のものではなかった。
尿流動態検査
本発明者らは、市販の尿流動態検査装置(Laborie Aquarius(登録商標)XT、Laborie International,Mississauga,ON,Canada)を用いた。尿流動態検査に先立ち、各被験者に直接カテーテル導尿により膀胱を空にしてもらった。尿量を記録した。次いで、患者に仰臥位になってもらい、トリプルルーメンカテーテル(TLC−7M,Laborie International,Mississauga,ON,Canada)を挿入した。2本の記録用針電極(1512A−M, Laborie International,Mississauga,ON,Canada)を睾丸の付け根と肛門のほぼ中間の正中線の1cm外側において会陰筋に両側性に挿入した。EMG接地パッドを膝関節に配置した。腹圧を記録するための直腸カテーテル(RPC−9,Laborie International,Mississauga,ON,Canada)を挿入した。次に被験者に左側臥位になってもらった。コンドームカテーテルを使用してすべての排尿量を採取した。排尿は漏斗を通じて秤(UROCAP IV,Laborie International,Mississauga,ON,Canada)に載せたメスシリンダー(DIS173,Laborie International,Mississauga,ON,Canada)に案内して排出された尿量及び尿流速度を記録した。
経皮的磁気刺激
活性/プラセボ型8の字実験用コイル(Cool−B65 A/Pコイル)を備えたMagVenture磁気刺激装置(MagPro R30,Atlanta,GA)をすべての経皮的磁気刺激セッションで使用した。各被験者の下部脊椎の棘突起を触診し、第11胸椎〜第4腰椎をマークした。刺激の間には、コイルを中心が正中線に沿うように脊椎レベルL1に置き、発生した磁場が脊髄に平行になるような向き(体軸方向)とした。本発明者らは、二相性、単パルス(長さ250μ秒)の連続した磁気刺激のトレインを用いた。各刺激セッションは、3つの4分間の連続刺激時間で構成され、各刺激時間の間に30秒間の休みを置いて全体で13分間(合計12分間の刺激と1分間の休み)とした。最初の2週間では各被験者に周波数1Hz及び30Hzの刺激(第1週目:1Hz/30Hz/1Hz、第2週目:30Hz/1Hz/30Hz)を行い、2週間の刺激後の最初のフォローアップ尿流動態試験(UDS)でその患者にとってより良好な周波数を決定した。1Hz及び30Hzの周波数は、本発明者らによる動物及びヒトにおける以前の研究に基づいて選択した(Lu et al.(2016)Neurorehabil.Neural Repair,30:951−962;Gad et al.(2014)PloS one 9:e108184)。排尿試行の際の尿道圧(直接測定される)及び排尿筋圧(膀胱内圧−腹圧)の変化を、低周波数刺激(1Hz)及び高周波数刺激(30Hz)の両方の間に測定した。排尿試行の間に排尿筋圧の増大と尿道圧の減少の組み合わせをもたらした(したがって、膀胱の排出を促す)刺激周波数を最適として選択した。刺激の強度は、各被験者で局所的な傍脊椎筋の収縮を誘発した強度よりも20%低く設定した(筋収縮は二重盲検化を解除してしまう可能性があるため)。この刺激強度は、最大磁場強度である2テスラの通常、約40〜50%とした。最適周波数が決定された後、すべての被験者に最適刺激周波数のみを一定の強度で残り16回の週1回の膀胱リハビリテーションセッションにおいて与えた。
電気生理学
評価フェーズの終了時に、各被験者で低周波数(1Hz)及び高周波数(30Hz)の経皮的磁気刺激の前、その間、及びその後で以下の電気生理学的データ、すなわち、球海綿体反射(BCR)、ならびに骨盤底筋、腓腹筋、臀筋、及び大腿四頭筋の筋電位図(EMG)及び脊髄誘発電位(SEP)を取得した。
骨盤底筋のEMGは、針電極(Laborie 1512A−M,Laborie International,Mississauga,ON,Canada)を使用して取得した。他のすべての筋肉のEMGは、1インチ表面パッド電極(MultiBioSensors,El Paso,TX)により取得した。
BCRは、リング型刺激電極(Cadwell 302243−200,Cadwell Industries,Kennewick,WA)を使用し、パルス幅0.2msで強度が感覚閾値の3倍(または被験者に感覚がない場合には35mA)である1.5Hzの一相性電気パルスで刺激して取得した。少なくとも100個のパルスを各BCR試験セッションで与えた。すべてのデータの記録、増幅、及びデジタル化は、RZ2増幅器及びPZ5−32TDTディジタイザー(Tucker Davis Technologies,Alachua,FL)を使用して行い、60Hzのノッチフィルター及びバンドパス濾過を用いて3Hzよりも低い周波数と200Hzよりも高い周波数を除外した。
データ分析
主要評価項目は、1日当たりの随意排尿量とした。予め指定された副次評価項目には、尿流速、膀胱容量、1日当たりのカテーテル導入、男性性機能問診票(SHIM)、及び尿失禁クオリティー・オブ・ライフスケール(iQOL)を含めた。TDTシステム(Tucker Davis Technologies,Alachua,FL)からのすべての電気生理学的データをコンピュータにエクスポートし、MatLab(Matlab2015b,MathWorks,Natick,MA)を使用して分析した。
BCRの振幅及び潜在時間を各電気外陰部刺激すべてについて計算した。脊髄誘導電位(ある場合)を下肢EMGの連続的記録において特定した。
尿流動態データをLaborieシステムからエクスポートし、Microsoft Excel(Excel2010,Microsoft,Redmond,WA)を用いて分析した。尿道圧(P尿道)及び排尿筋(P排尿筋)の変化を測定し、ベースライン及び排尿試行の間で比較した。統計的有意性を、必要に応じてR3.25(www.r−project.org)及びGraphpad Prism(Graphpad Software,La Jolla,CA)をそれぞれ使用して分散分析(ANOVA)及びスチューデントの対応ありT検定及び事前計画された多重比較検定のためのボンフェローニ補正により評価した。
実施例2
神経因性膀胱に対する経皮的磁気脊髄刺激
図7は、非侵襲性磁気脊髄刺激で治療した術後オピオイド誘導性尿閉患者の残留膀胱量を示す。手術後の尿閉を有する68歳の男性患者は排尿ができないと訴えた。治療前膀胱超音波検査では、420cc強の残留膀胱量を示した。2時間にわたる不成功裏に終わった随意排尿試行の結果、膀胱量は500cc強にまで増加した。被験者のL1/2脊柱椎体領域(脊髄円錐)を経皮的磁気刺激で15分間治療した(2テスラの磁場強度の60%の強度、二相性、単パルス、250μ秒)。治療セッションの終了後、患者は随意に排尿することができ、残量膀胱量はおよそ100ccとなった。この後、退院前に、患者は自発的に排尿するための別の随意排尿試行を行った。
図8は、非侵襲性磁気脊髄刺激で治療したオピオイド誘導性尿閉を有する4人の患者の膀胱排尿効率を示す。手術後の尿閉を有する4人男性患者は排尿不能であった。膀胱超音波検査を用いて膀胱量を記録し、排尿効率を特徴付けした(排尿効率は、排尿量/(排尿量+残留量)として定義した)。治療は、L1/2脊柱椎体領域(脊髄円錐)の経皮的磁気刺激を15分間行うことを最大3回繰り返して行った(1Hz、2テスラの磁場強度の50〜70%の強度、二相性、単パルス、250μ秒)。膀胱排尿効率は、治療後にすべての患者で60%超まで改善し、1人の患者ではほぼ90%の膀胱排尿効率であった。対応のあるt検定でP = 0.006
図9は、非侵襲性磁気脊髄刺激で治療した、脳または脊髄損傷を有さない患者における失禁の評価結果を示す。腹圧性失禁を有する3人の女性患者を、L1/2への非侵襲性脊髄刺激により治療し(週1回15分間の治療、30Hz、2テスラの磁場強度の60〜75%強度、60〜70%強度、二相性、単パルス、250μ秒)、排尿機能の評価を4週間及び8週間後に行った。泌尿生殖器関連困窮度調査表(UDI−6)により評価を行った。**片側ANOVAによりP=0.004、**テューキー事後検定によりP<0.01)。図9に示されるように、非侵襲性磁気刺激は、治療患者に有意な改善(低いUDI−6スコア)をもたらした。
実施例3
術後腸閉塞に対する経皮的磁気脊髄刺激
図10は、脊髄変性を治療するために、術後腸閉塞(例えば便秘)を誘発する腹部後腹膜への外科的アプローチを必要とする手術である腰椎前方椎体間固定術(ALIF)を行った7人の患者の結果を示している。これらの患者のうち、3人の患者を磁気刺激で治療し(治療群)、4人の患者を偽刺激で治療し(偽群)、その後、術後腸雑音及び排便について評価した。詳細には、術後に腸雑音の評価を1時間おきに看護士により腹部聴診によって行った。刺激は、3人の治療患者には脊髄の脊髄円錐に2時間おきに適用し、各治療セッションは、1Hz、2テスラの磁場の60〜75%の強度で15分間の刺激の持続時間であり、二相性、単パルス、250μsで行った。脊髄円錐を各患者で術前MRIにより特定し、局在化を棘突起間空間の表面ランドマークに関連付けられたAP X線画像により特定し、このコホートの中でL1〜L3の椎体レベルに局在させた。図10に示されるように、磁気刺激は、偽刺激で治療した患者と比較して治療患者で腸雑音及び排便までの時間を有意に短縮し、これにより術後腸閉塞が解消された。**対応のあるt検定でP<0.05
術後腸閉塞は一般的に、排便がないために入院期間の長期化を伴う。図10の被験者を、入院期間の長さについて分析した。図10に示されるように、磁気刺激で治療した患者は、偽治療を受けた患者と比較して入院期間の長さが有意に減少した。**対応のあるt検定でP<0.05
本明細書に記載する実施例及び実施形態はあくまで例示的な目的のものに過ぎず、これらを考慮することでさまざまな改変または変更が当業者に示唆され、かかる改変及び変更は本出願の趣旨及び範囲、ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるものである点は理解されよう。本明細書に引用されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的においてそれらの全体をここに参照によって援用するものである。

Claims (82)

  1. 脊髄損傷または脳損傷のない、機能不全の膀胱及び/または腸機能を有する対象の膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進する方法であって、
    膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進するのに充分な位置、周波数及び強度で脊髄の磁気刺激を与えることを含む、前記方法。
  2. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、神経因性膀胱機能障害を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、術後便秘を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、麻薬誘発性便秘を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、オピオイド性便秘を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、外傷または感染などの炎症性刺激によって誘発される機能不全を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、妊娠関連膀胱及び/または腸機能障害を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、
    髄膜脊髄瘤、糖尿病、AIDS、アルコール乱用、ビタミンB12欠乏性神経障害、椎間板ヘルニア、骨盤手術による障害、梅毒、及び腫瘍
    からなる群から選択される状態に関連している、請求項1に記載の方法。
  9. 膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進するのに充分な位置、周波数及び強度で脊髄の磁気刺激を与えることにより、前記膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進することを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記磁気刺激が、排尿を誘導するための約0.5Hzから最大約15Hzの範囲の周波数の刺激を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記磁気刺激が約1Hzの周波数である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記磁気刺激が、排尿を停止または防止するための約20Hzから最大約100Hzの周波数の刺激を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記磁気刺激が約30Hzの周波数である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記磁気刺激が、約5μsから、または約10μsから、または約15μsから、または約20μsから最大約500μs、または最大約400μs、または最大約300μs、または最大約200μs、または最大約100μs、または最大約50μsの範囲の持続時間の磁気パルスを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記磁気パルスの持続時間が約25μsである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記磁気刺激が一相性である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記磁気刺激の1回の治療が、1つ、または2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、または7つ、または8つ、または9つ、または10個、またはそれ以上の連続した刺激時間を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記磁気刺激の1回の治療が、約3つの連続した刺激時間を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記連続した刺激時間の持続時間が、約10秒から、または約20秒から、または約3秒から、または約40秒から、または約50秒から、または約1分から、または約2分から最大約10分、または最大約8分、または最大約6分の範囲である、請求項17または18に記載の方法。
  20. 前記連続した刺激時間の持続時間が約4分である、請求項19に記載の方法。
  21. 連続した各刺激時間の間の遅延が、約5秒から、または約10秒から、または約15秒から、または約20秒から最大約5分、または最大約4分、または最大約3分、または最大約2分、または最大約1分、または最大約45秒、または最大約30秒の範囲である、請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 連続した各刺激時間の間の遅延が、約30秒である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記治療が繰り返される、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記治療が、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記治療が、少なくとも1週間、または少なくとも2週間、または少なくとも3週間、または少なくとも4週間、または少なくとも5週間、または少なくとも6週間、または少なくとも7週間、または少なくとも8週間、または少なくとも9週間、または少なくとも10週間、または少なくとも11週間、または少なくとも12週間、または少なくとも4か月、または少なくとも5か月、または少なくとも6か月、または少なくとも7か月、または少なくとも8か月、または少なくとも9か月、または少なくとも10か月、または少なくとも11か月、または少なくとも12か月の期間にわたって繰り返される、請求項23または24に記載の方法。
  26. 前記磁気刺激による前記対象の治療が、その後になって磁気刺激なしでの随意排尿を促進する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記治療が、前記対象が排尿の随意制御を得るまで、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記治療が、前記対象が排尿の最大の随意制御を得るまで、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記治療の頻度が、前記対象が排尿の随意制御を得た後に減少させられる、請求項27に記載の方法。
  30. 前記治療の頻度が、前記対象が排尿の最大の随意制御を得た後に減少させられる、請求項28に記載の方法。
  31. 前記治療の頻度が、前記対象が排尿の随意制御を維持するのに充分なレベルにまで減少させられる、請求項29または30に記載の方法。
  32. 前記治療の頻度が、3日おきにまで、または週1回の治療にまで、または約10日おきにまで、または約2週間おきにまで減少させられる、請求項31に記載の方法。
  33. 前記磁気刺激が、胸髄及び/または腰仙髄にわたって適用される、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記磁気刺激が、T1〜T1、T1〜T2、T1〜T3、T1〜T4、T1〜T5、T1〜T6、T1〜T7、T1〜T8、T1〜T9、T1〜T10、T1〜T11、T1〜T12、T2〜T2、T2〜T3、T2〜T4、T2〜T5、T2〜T6、T2〜T7、T2〜T8、T2〜T9、T2〜T10、T2〜T11、T2〜T12、T3〜T3、T3〜T4、T3〜T5、T3〜T6、T3〜T7、T3〜T8、T3〜T9、T3〜T10、T3〜T11、T3〜T12、T4〜T4、T4〜T5、T4〜T6、T4〜T7、T4〜T8、T4〜T9、T4〜T10、T4〜T11、T4〜T12、T5〜T5、T5〜T6、T5〜T7、T5〜T8、T5〜T9、T5〜T10、T5〜T11、T5〜T12、T6〜T6、T6〜T7、T6〜T8、T6〜T9、T6〜T10、T6〜T11、T6〜T12、T7〜T7、T7〜T8、T7〜T9、T7〜T10、T7〜T11、T7〜T12、T8〜T8、T8〜T9、T8〜T10、T8〜T11、T8〜T12、T9〜T9、T9〜T10、T9〜T11、T9〜T12、T10〜T10、T10〜T11、T10〜T12、T11〜T11、T11〜T12、T12〜T12、L1〜L1、L1〜L2 、L1〜L3、L1〜L4、L1〜L5、L1〜S1、L1〜S2、L1〜S3、L1〜S4、L1〜S5、L2〜L2 、L2〜L3、L2〜L4、L2〜L5、L2〜S1、L2〜S2、L2〜S3、L2〜S4、L2〜S5、L3〜L3、L3〜L4、L3〜L5、L3〜S1、L3〜S2、L3〜S3、L3〜S4、L3〜S5、L4〜L4、L4〜L5、L4〜S1、L4〜S2、L4〜S3、L4〜S4、L4〜S5、L5〜L5 、L5〜S1、L5〜S2、L5〜S3、L5〜S4、L5〜S5、S1〜S1、S1〜S2、S1〜S3、S1〜S4、S1〜S5、S2〜S2、S2〜S3、S2〜S4、S2〜S5、S3〜S3、S3〜S4、S3〜S5、S4〜S4、S4〜S5、及びS5〜S6からなる群から選択される1つ以上の領域にわたって適用される、請求項33に記載の方法。
  35. 前記磁気刺激が、T11〜L4の間の領域にわたって適用される、請求項33に記載の方法。
  36. 前記磁気刺激が、T11〜T12、L1〜L2、及びL2〜L3からなる群から選択される1つ以上の領域にわたって適用される、請求項35に記載の方法。
  37. 前記磁気刺激が、L1〜L2にわたって及び/またはT11〜T12にわたって適用される、請求項35に記載の方法。
  38. 前記磁気刺激が、L1にわたって適用される、請求項35に記載の方法。
  39. 前記磁気刺激が脊髄の正中線に適用される、請求項1〜38のいずれか1項に記載の記載の方法。
  40. 前記磁気刺激が、少なくとも約1テスラ、または少なくとも約2テスラ、または少なくとも約3テスラ、または少なくとも約4テスラ、または少なくとも約5テスラの磁場を発生する、請求項1〜39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記磁気刺激が、少なくとも約0.5Hz、1Hz、または少なくとも約2Hz、または少なくとも約3Hz、または少なくとも約4Hz、または少なくとも約5Hz、または少なくとも約10Hz、または少なくとも約20Hzまたは少なくとも約30Hzまたは少なくとも約40Hzまたは少なくとも約50Hzまたは少なくとも約60Hzまたは少なくとも約70Hzまたは少なくとも約80Hzまたは少なくとも約90Hzまたは少なくとも約100Hz、または少なくとも約200Hz、または少なくとも約300Hz、または少なくとも約400Hz、または少なくとも約500Hzの周波数である、請求項1〜9、または17〜40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 脊髄損傷または脳損傷のない、機能不全の膀胱及び/または腸機能を有する対象の膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進する方法であって、
    膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進するのに充分な位置、周波数及び強度で脊髄の経皮的電気刺激を与えることを含む、前記方法。
  43. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、神経因性膀胱機能障害を含む、請求項42に記載の方法。
  44. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、術後便秘を含む、請求項42に記載の方法。
  45. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、麻薬誘導性便秘を含む、請求項42に記載の方法。
  46. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、オピオイド性便秘を含む、請求項45に記載の方法。
  47. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、外傷または感染などの炎症性刺激によって誘発される機能不全を含む、請求項42に記載の方法。
  48. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、妊娠関連膀胱及び/または腸機能障害を含む、請求項42に記載の方法。
  49. 前記機能不全の膀胱及び/または腸が、
    髄膜脊髄瘤、糖尿病、AIDS、アルコール乱用、ビタミンB12欠乏性神経障害、椎間板ヘルニア、骨盤手術による障害、梅毒、及び腫瘍
    からなる群から選択される状態に関連している、請求項42に記載の方法。
  50. 膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進するのに充分な位置、周波数及び強度で脊髄の経皮的電気刺激を与えることにより、前記膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進することを含む、請求項42〜49のいずれか1項に記載の方法。
  51. 前記経皮的電気刺激が、少なくとも約1Hz、または少なくとも約2Hz、または少なくとも約3Hz、または少なくとも約4Hz、または少なくとも約5Hz、または少なくとも約10Hz、または少なくとも約20Hzまたは少なくとも約30Hzまたは少なくとも約40Hzまたは少なくとも約50Hzまたは少なくとも約60Hzまたは少なくとも約70Hzまたは少なくとも約80Hzまたは少なくとも約90Hzまたは少なくとも約100Hz、または少なくとも約200Hz、または少なくとも約300Hz、または少なくとも約400Hz、または少なくとも約500Hzの周波数の、及び/あるいは約1Hzから、または約2Hzから、または約3Hzから、または約4Hzから、または約5Hzから、または約10Hzから、または約10Hzから、または約10Hzから最大約500Hz、または最大約400Hz、または最大約300Hz、または最大約200Hz、または最大約100Hz、または最大約90Hz、または最大約80Hz、または最大約60Hz、または最大約40Hz、あるいは約3Hzからまたは約5Hzから最大約80Hz、あるいは約5Hzから最大約60Hz、または最大約30Hzの範囲の周波数の刺激を含む、請求項42〜50のいずれか1項に記載の方法。ある特定の実施形態では、経皮的刺激は、約20Hzまたは約30Hzから約90Hzまたは約100Hzまでの範囲の周波数である。
  52. 前記経皮的電気刺激が高周波数の搬送信号上で与えられる、請求項42〜51のいずれか1項に記載の方法。
  53. 前記高周波数の搬送信号が、約3kHz、または約5kHz、または約8kHzから最大約30kHz、または最大約20kHz、または最大約15kHzの範囲である、請求項52に記載の方法。
  54. 前記搬送周波数の振幅が、約30mA、または約40mA、または約50mA、または約60mA、または約70mA、または約80mAから最大約300mA、または最大約200mA、または最大約150mAの範囲である、請求項52または53に記載の方法。
  55. 前記経皮的電気刺激が、約0.1から最大約2ms、または約0.1から最大約1ms、または約0.5mから最大約1ms、または約0.5msの持続時間の高周波数の刺激である、請求項52〜54のいずれか1項に記載の方法。
  56. 前記経皮的電気刺激が、毎秒1〜40回繰り返される10kHzの刺激を含む、請求項52〜55のいずれか1項に記載の方法。
  57. 前記経皮的電気刺激が、1〜30秒、または約5〜30秒、または約10〜約30秒にわたって適用される、請求項42〜56のいずれか1項に記載の方法。
  58. 前記経皮的電気刺激が、約30〜約100mAである、請求項42〜57のいずれか1項に記載の方法。
  59. 前記経皮的電気刺激が、1Hzで適用される10kHzの信号を含む、請求項52〜58のいずれか1項に記載の方法。
  60. 前記経皮的電気刺激が、定常電流バイポーラ矩形波刺激を含む、請求項42〜59のいずれか1項に記載の方法。
  61. 前記経皮的電気刺激が、約5μsから、または約10μsから、または約15μsから、または約20μsから最大約2ms、または最大約1ms、または最大約2ms、または最大約500μs、または最大約400μs、または最大約300μs、または最大約200μs、または最大約100μs、または最大約50μsの範囲の持続時間のパルスを含む、請求項42〜60のいずれか1項に記載の方法。
  62. 前記パルスの持続時間が約1msである、請求項61に記載の方法。
  63. 前記経皮的電気刺激の1回の治療が、1つ、または2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、または7つ、または8つ、または9つ、または10個、またはそれ以上の連続した刺激時間を含む、請求項42〜62のいずれか1項に記載の方法。
  64. 前記治療が繰り返される、請求項63に記載の方法。
  65. 前記治療が、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される、請求項64に記載の方法。
  66. 前記治療が、少なくとも1週間、または少なくとも2週間、または少なくとも3週間、または少なくとも4週間、または少なくとも5週間、または少なくとも6週間、または少なくとも7週間、または少なくとも8週間、または少なくとも9週間、または少なくとも10週間、または少なくとも11週間、または少なくとも12週間、または少なくとも4か月、または少なくとも5か月、または少なくとも6か月、または少なくとも7か月、または少なくとも8か月、または少なくとも9か月、または少なくとも10か月、または少なくとも11か月、または少なくとも12か月の期間にわたって繰り返される、請求項64または65に記載の方法。
  67. 前記経皮的電気刺激による前記対象の治療が、その後になって経皮的電気刺激なしでの随意排尿を促進する、請求項42〜66のいずれか1項に記載の方法。
  68. 前記治療が、前記対象が排尿の随意制御を得るまで、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される、請求項64〜67のいずれか1項に記載の方法。
  69. 前記治療が、前記対象が排尿の最大の随意制御を得るまで、毎日、または2日おき、または3日おき、または4日おき、または5日おき、または6日おき、または7日おき、または8日おき、または9日おき、または10日おき、または11日おき、または12日おき、または13日おき、または14日おきに繰り返される、実施形態64〜67のいずれか1項に記載の方法。
  70. 前記治療の頻度が、前記対象が排尿の随意制御を得た後に減少させられる、実施形態64〜67のいずれか1項に記載の方法。
  71. 前記治療の頻度が、前記対象が排尿の最大の随意制御を得た後に減少させられる、実施形態64〜67のいずれか1項に記載の方法。
  72. 前記治療の頻度が、前記対象が排尿の随意制御を維持するのに充分なレベルにまで減少させられる、請求項70または71に記載の方法。
  73. 前記経皮的電気刺激が、T1〜T1、T1〜T2、T1〜T3、T1〜T4、T1〜T5、T1〜T6、T1〜T7、T1〜T8、T1〜T9、T1〜T10、T1〜T11、T1〜T12、T2〜T2、T2〜T3、T2〜T4、T2〜T5、T2〜T6、T2〜T7、T2〜T8、T2〜T9、T2〜T10、T2〜T11、T2〜T12、T3〜T3、T3〜T4、T3〜T5、T3〜T6、T3〜T7、T3〜T8、T3〜T9、T3〜T10、T3〜T11、T3〜T12、T4〜T4、T4〜T5、T4〜T6、T4〜T7、T4〜T8、T4〜T9、T4〜T10、T4〜T11、T4〜T12、T5〜T5、T5〜T6、T5〜T7、T5〜T8、T5〜T9、T5〜T10、T5〜T11、T5〜T12、T6〜T6、T6〜T7、T6〜T8、T6〜T9、T6〜T10、T6〜T11、T6〜T12、T7〜T7、T7〜T8、T7〜T9、T7〜T10、T7〜T11、T7〜T12、T8〜T8、T8〜T9、T8〜T10、T8〜T11、T8〜T12、T9〜T9、T9〜T10、T9〜T11、T9〜T12、T10〜T10、T10〜T11、T10〜T12、T11〜T11、T11〜T12、T12〜T12、L1〜L1、L1〜L2 、L1〜L3、L1〜L4、L1〜L5、L1〜S1、L1〜S2、L1〜S3、L1〜S4、L1〜S5、L2〜L2 、L2〜L3、L2〜L4、L2〜L5、L2〜S1、L2〜S2、L2〜S3、L2〜S4、L2〜S5、L3〜L3、L3〜L4、L3〜L5、L3〜S1、L3〜S2、L3〜S3、L3〜S4、L3〜S5、L4〜L4、L4〜L5、L4〜S1、L4〜S2、L4〜S3、L4〜S4、L4〜S5、L5〜L5 、L5〜S1、L5〜S2、L5〜S3、L5〜S4、L5〜S5、S1〜S1、S1〜S2、S1〜S3、S1〜S4、S1〜S5、S2〜S2、S2〜S3、S2〜S4、S2〜S5、S3〜S3、S3〜S4、S3〜S5、S4〜S4、S4〜S5、及びS5〜S6からなる群から選択される1つ以上の領域にわたって適用される、請求項42〜72のいずれか1項に記載の方法。
  74. 前記経皮的電気刺激が、T11〜L4の間の領域にわたって適用される、請求項73に記載の方法。
  75. 前記経皮的電気刺激が、T11〜T12、L1〜L2、及びL2〜L3からなる群から選択される1つ以上の領域にわたって適用される、請求項74に記載の方法。
  76. 前記経皮的電気刺激が、L1〜L2及び/またはT11〜T12にわたって適用される、請求項74に記載の方法。
  77. 前記経皮的電気刺激が、L1にわたって適用される、請求項74に記載の方法。
  78. 前記経皮的電気刺激が脊髄の正中線に適用される、請求項42〜77のいずれか1項に記載の方法。
  79. 前記対象が、神経変性病変を有さない対象である、請求項1〜78のいずれか1項に記載の方法。
  80. 前記対象が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性側索硬化症(PLS)、及び/または脳性麻痺を有さない、請求項79に記載の方法。
  81. 脊髄損傷または脳損傷のない、機能不全の膀胱及び/または腸機能を有する対象の膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進する方法であって、
    膀胱及び/または腸の排泄または制御を促進するのに充分な1つ以上の位置、周波数及び強度で磁気刺激を経皮的電気刺激と組み合わせて与えることを含む、前記方法。
  82. 請求項1〜41のいずれか1項に記載の方法を用いる前記磁気刺激を請求項42〜78のいずれか1項に記載の方法を用いる電気刺激と組み合わせて対象に与えることを含む、請求項81に記載の方法。
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