JP2021533145A - ドーパミン系障害および運動障害の診断方法 - Google Patents

ドーパミン系障害および運動障害の診断方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、ドーパミン系障害のいかなる臨床症状も発現していない被験者がドーパミン系障害を有しているかどうかを、放射標識DaT2020またはその誘導体を使用して決定する方法に関する。

Description

優先権の主張
本出願は、2018年8月7日に出願された米国特許仮出願第62/715,338号、2018年8月17日に出願された米国特許仮出願第62/765,007号、および2018年10月4日に出願された米国特許仮出願第62/741,031号に基づき優先権を主張し、その内容全体が本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本発明は、ヒト医学および獣医学の分野に属する。より詳細には、本発明はドーパミン系障害および非ドーパミン系障害の診断方法に関する。
発明の背景
運動障害は、成人の間で一般的であり、著しい個人的、経済的、および社会的影響をもたらす。様々な程度の振戦が往々にして発現し、重度の振戦では日常的活動を行うのが困難または不能となる。これら障害の多くは進行性であり、急速に進行する可能性がある(Zesiewicz et al.(2005)Neurol.-64(12):2008-20(非特許文献1);Stone(1991)Pharmacol.Biochem.Behav.39(2):345-9(非特許文献2);Stone(1995)J.Neurol.Sci.132(2):129-32(非特許文献3)。
運動障害は、通常または当初は臨床的に診断され、質問票、レム睡眠障害などの非運動性症状、便秘、ならびに随意および不随意運動の観察に基づくことができる。例えば、最も一般的な運動障害である非パーキンソン病による振戦(本態性振戦、良性振戦、家族性振戦、または突発性振戦とも呼ばれる)の場合、通常、パーキンソン病で発現する安静時に示される振戦(安静時振戦)ではなく、動作時(action)振戦(すなわち、手、腕、および/または指の罹患筋肉を使用しようとする時に増大する振戦)または姿勢振戦(すなわち、持続的な筋緊張に伴って表出する)を観察することによって、診断が確定される。四肢が静止している時は振戦は観察されないが、四肢を動かすかまたは伸ばすと震えを引き起こす。これはパーキンソン病に発現する安静時振戦とは対照的である。
残念ながら、運動障害の臨床診断はせいぜい推測上のものであり、多くの障害が、他の振戦障害と混同される可能性もある類似した身体症状を呈する。
運動障害の確定診断は、脳の諸領域、例えば大脳基底核、特に黒質(SN)の組織学的検査が行われる検死解剖時のみ可能である。これは、SNから線条体へのドーパミン経路が運動機能において不可欠な役割を果たすと知られており、多くの運動障害(「ドーパミン系の」障害)に関与するためである。しかし全ての振戦がこの経路に関与するわけではない。例えば、初期段階では臨床的にパーキンソン病として発現するが、線条体でのドーパミン欠乏のエビデンスがなく、よってこの運動障害の病因は、異なる臨床的治療プロトコルを必要とする非パーキンソン病の症候群の一つ(本態性振戦、「非ドーパミン系」運動障害など)であることを示唆する運動障害が存在する。したがって、SNから線条体へのドーパミン経路の関与を除外する情報がなければ、運動障害の臨床診断はせいぜい推測上のものとなる。
より最近では、生きている患者のSNから線条体への経路は、様々な非侵襲的なイメージング技術によって取得される線条体の画像を見ることによって、評価できるようになってきた。このような非侵襲的方法では、線条体内のドーパミン輸送体(DAT)に結合する放射標識造影剤の取り込み/結合を測定する単一光子放射コンピューター断層撮影法(SPECT)評価が利用される。現在、米国、欧州連合、およびカナダ国内での使用のために認可された唯一のSPECT放射線医薬品は、123Iで放射標識したDaTscan(登録商標)(N-ω-フルオロプロピル-2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)ノルトロパン)である。患者は、DaTscanの注射後、これの体循環の中への取り込みおよび血液脳関門を通過しての脳組織の実質の中への移行を、DATとの安定結合に到達するまで3時間待機しなければならない。その時点で、放射活性(カウント)を収集し定量化することができ、SPECTを介して視覚的画像を取得することができる。この視覚的画像を専門家による読影のためにコンパイルし、次にこの専門家は線条体内にDAT密度低下のエビデンスがあるかどうか判定する。パーキンソン病を有する患者の場合、線条体内での非対称的パターンの結合が画像内で観察されるが、非パーキンソン病の振戦患者では、このパターンは両側性であり対称的(すなわち「正常」)に見える(Lewis et al.(2012)Practitioner 1748:21-24(非特許文献4))。この情報は、治療医師によって、診断決定およびそれに続く治療に利用される。
残念ながら、DaTscanは、肺および他の組織内のセロトニン(SERT)輸送体に対しても高い選択性を有する(DaTscanは2つから3つのDAT部位に対し1つのSERT部位の割合で結合する)(DaTscan(商標)Ioflupane123I 静注(添付文書),Arlington Heights,IL:GE Healthcare,Medi-Physics,Inc.;2015(非特許文献5))。DaTscanのSERTに対する選択性と、この化合物のSN内ニューロンへの緩慢な移動時間のために、DaTscanと線条体DATとの結合が安定化する注射後3時間から6時間までイメージングを開始することができない。次に患者は、150万カウントが取得されるまで(約45分間)SPECTカメラ内に留置される。DaTscanがDAT以外の輸送体と結合することにより、脳組織内には、DAT輸送体結合に利用可能なDaTscanは、約7%しか残らない(DaTscan(商標)Ioflupane 123I 静注(添付文書)(同上))。このように、この技術で使用される現在唯一認可されている造影剤の著しい欠点は、未確定だが顕著な量のDaTscanが身体全体にわたりセロトニン輸送体によって結合され捕られてゆき、よって線条体内のニューロンDATとの特異的な結合に利用できないことである。
したがって、非ドーパミン系障害とドーパミン系障害とを識別でき、その結果、障害に特化した効果的治療処置をより速やかに施すことができる、より正確でより迅速な運動障害の診断方法が必要である。
DATは、脳以外、すなわちネフロン、腎臓、すい臓、肺、およびCNS以外の多くの血管を含めた心肺系でも見られる。脳以外のDATの機能不全が公知である。したがって脳以外のDAT関連障害を診断する方法も必要である。
Zesiewicz et al.(2005)Neurol.-64(12):2008-20 Stone(1991)Pharmacol.Biochem.Behav.39(2):345-9 Stone(1995)J.Neurol.Sci.132(2):129-32 Lewis et al.(2012)Practitioner 1748:21-24 DaTscan(商標)Ioflupane123I 静注(添付文書),Arlington Heights,IL:GE Healthcare,Medi-Physics,Inc.;2015
造影剤[123I]-E-2β-カルボメトキシ-3β-(4-フルオロフェニル)-N-(3-ヨード-E-アリル)ノルトロパン(DaT2020)はDATに対してSERTより28倍の結合選択性があることが発見された。これにより、公知の他の放射標識トロパン造影剤より深く脳組織の中に浸透し、素早くDATに結合できるトレーサーの有用性を増大させることが可能になる。
これらの発見によって、運動障害を有している患者が、ドーパミン系の機能不全を有しているのか、非ドーパミン系運動障害または臨床所見のみでは診断が困難な他の障害を有しているのかを、迅速かつ正確に決定するのに有用な本方法を提供することが開拓された。
一局面では、本開示は、動作時の(active)振戦症状を発現している患者が非ドーパミン系運動障害を有しているのか、それともドーパミン系運動障害を有しているのかを決定する方法について記述する。本方法は、放射標識DaT2020または放射標識したその誘導体を患者に投与する工程;患者の線条体内のDATに結合した放射標識DaT2020またはその誘導体からカウントを、投与の約15分後にカウントの取得を開始した上で、取得する工程;取得したカウントの数、パターン、密度を測定する工程;ならびに患者の線条体から取得したカウントの数、密度、および/またはパターンを、運動障害を有していない同年齢の対照被験者から取得したカウントの数、密度、および/またはパターンと比較する工程を含む。患者が非ドーパミン系運動障害を有している場合、患者の線条体内で検出されたカウントの数や密度は、障害を有していない被験者から取得されたカウントと比較してほぼ同じか類似する。患者がドーパミン系運動障害を有している場合、患者から検出されたカウントは、障害を有していない(正常な)被験者から取得されたカウントと比較して減少している。
いくつかの態様では、DaT2020またはその誘導体は、123I、124I、125I、99mTc、18F、または117mSnで放射標識される。ある特定の態様では、DaT2020またはその誘導体は、123I、125I、99mTc、または117mSnで放射標識され、SPECTによってカウントを取得する。他の態様では、DaT2020またはその誘導体は、18F、124I、または11Cで放射標識され、PETによってカウントを取得する。
いくつかの態様では、約1mCiから約10mCiの、123Iで標識したDaT2020またはその誘導体を患者に投与する。他の態様では、約3mCiから約5mCiの、123Iで標識したDaT2020またはその誘導体を患者に投与する。
いくつかの態様では、DaT2020の誘導体は、2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)トロパンβ-CIT)、2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)-N-(3-フルオロプロピル)ノルトロパン(FP-CIT)、およびTRODAT-1を含む。
いくつかの態様では、患者が有する非ドーパミン系障害は本態性振戦である。他の態様では、患者が有するドーパミン系障害はパーキンソン病、レビー小体型認知症、または糖尿病である。
さらなる他の態様では、カウントを少なくとも30分間取得し、そして本方法は、患者の線条体内の、放射標識DaT2020またはその誘導体が結合したDATの画像をコンパイルする工程をさらに含み、患者が非ドーパミン系運動障害を有している場合、画像は対称的であり、患者がドーパミン系障害を有している場合、画像は非対称的である。いくつかの態様では、画像はPETによって取得されたカウントからコンパイルされ、他の態様では、画像はSPECTによって取得されたカウントからコンパイルされる。
他の局面では、本開示は、ドーパミン系障害の臨床症状を発現していない被験者が、ドーパミン系障害を有しているかどうかを診断する方法を提供する。本方法は、被験者に放射標識DaT2020または放射標識したその誘導体を投与する工程;被験者の身体の対象領域(ROI)内のDATに結合した放射標識DaT2020またはその誘導体からカウントを、投与の約15分後にカウントの取得を開始した上で、取得する工程;取得したカウントの数、密度、および/またはパターンを測定する工程;ならびに被験者のROIから取得されたカウントの数、密度、および/またはパターンを、障害を有していない同年齢の対照被験者から取得されたカウントの数、密度、および/またはパターンと比較する工程を含む。患者がドーパミン系運動障害を有している場合、ROI内で検出されたカウントの数、密度、および/またはパターンは、障害を有していない同年齢の対照被験者のROIから取得されたカウントのカウント数、密度、および/またはパターンと比較して減少している。
いくつかの態様では、本方法は、本方法が最初に実施された後に本方法を一定期間繰り返す工程をさらに含む。
特定の態様では、運動障害を有していない同年齢の対照被験者から取得されたカウントの数、密度、および/またはパターンは、運動障害を有していない同年齢の複数の対照被験者から取得されたカウントの数、密度、および/またはパターンの平均である。
いくつかの態様では、DaT2020またはその誘導体は、123I、124I、125I、99mTc、18F、または117mSnで放射標識される。ある特定の態様では、DaT2020またはその誘導体は、123I、125I、99mTc、または117mSnで放射標識され、SPECTによってカウントを取得する。他の態様では、DaT2020またはその誘導体は、18F、124I、または11Cで放射標識され、PETによってカウントを取得する。
いくつかの態様では、約1mCiから約10mCiの、123Iで標識したDaT2020またはその誘導体を患者に投与する。他の態様では、約3mCiから約5mCiの、123Iで標識したDaT2020またはその誘導体を患者に投与する。
いくつかの態様では、DaT2020の誘導体は、2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)トロパンβ-CIT)、2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)-N-(3-フルオロプロピル)ノルトロパン(FP-CIT)、およびTRODAT-1を含む。
いくつかの態様では、ドーパミン系障害は、パーキンソン病またはレビー小体型認知症である。
本開示の前記および他の目的、その多様な特徴、ならびに本開示自体は、添付図面と共に読む場合、下記の記述からより十分に理解することができる。
DaT2020の化学式である。 DaTsnap工程の概要を示す図である。 DaT2020(試験1)およびDaTScan(試験2)について、投与後60分間にわたる線条体結合率(ROI=線条体/線条体でない周辺組織)を表したグラフである。
説明
本明細書で参照されるいかなる特許、特許出願、および出版物の開示も、本明細書に記載され特許請求される本発明の日付の時点で当業者に公知である最先端の技術をより十分に記載するために、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。前記特許、前記特許出願、および前記出版物と本開示との間で矛盾が存在する場合は、本開示が優先する。
他に指定のない限り、本明細書において使用される全ての技術的、科学的用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書においてある群またはある用語に提供された最初の定義は、他に指定のない限り、本明細書全体を通じてその群またはその用語に、個々にまたは別の群の一部として適用される。
本明細書において使用される「DaT2020」は、E-2β-カルボメトキシ-3β-(4-フルオロフェニル)-N-(3-ヨード-E-アリル)ノルトロパンを指す。
用語「剤」および「トレーサー」は、放射標識DaT2020および放射標識したその誘導体を包含する。
本明細書において使用される用語「トロパン」は、DaT2020およびその誘導体を指す。
本明細書において使用される用語「放射標識トロパン」、「放射標識DaT2020」、「トレーサー」、および「剤」は、123I、124I、125I、18F、99mTc、11C、または117mSnで標識された放射標識DaT2020およびその誘導体を指す。「アルトロパン(Altropane)」は、具体的には、[123I E-2β-カルボメトキシ-3β-(4-フルオロフェニル)-N-(3-ヨード-E-アリル)ノルトロパンを指す。
本開示は、少なくとも部分的には、ドーパミン系障害を非ドーパミン系障害から迅速に識別するための、およびこのような障害に関与する脳および身体の異なる部位のドーパミン輸送体(DAT)を画像化するための、放射標識した造影剤DaT2020またはその誘導体を使用する診断法を提供する。この造影剤は、市販の他の造影剤よりもDATに対しより選択性があり、より素早く結合するため、極めて有利である。
A. 評価する病態
本診断および画像化法は、鑑別診断を補助するものであり、DATが機能状態または機能不全であることがバイオマーカーである病態を、適切な治療に導く。またこれらの診断法は、DAT機能不全に対する新規治療の効果を評価するためにデザインされた臨床治験において、被験者を病期に従って層別化するのに使用することができる。またこれらの診断法は、DAT機能不全の治療の有効性およびDAT機能不全の進行を、経時的にモニターするのに有用でもある。
ドーパミン系障害をもたらすDATの機能不全は、脳およびCNS、ならびにすい臓、腎臓、および心血管系を含めたCNS以外でも公知である。
本方法は、限定されることなく、非パーキンソンすなわち本態性の振戦および非アルツハイマー型認知症、ならびに多発性硬化症、慢性腎臓病、脳卒中、外傷性脳障害、薬物またはアルコール摂取、低血糖、睡眠不足、ビタミン不足、ストレス増加、マグネシウムおよび/またはチアミン欠乏症、肝不全、水銀中毒、および薬物またはアルコールの依存または離脱など非ドーパミン系の病態と、類似の臨床像を呈するドーパミン系障害とを識別することができる。このようなドーパミン系障害には、限定されることなく、パーキンソニズムの原因の中でも特に、突発性パーキンソン病、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、および血管性パーキンソニズム(VaP)を含めたパーキンソン症候群、レビー小体型認知症、ADHD、うつ病、不安症、睡眠障害、肥満症、性機能不全、統合失調症、褐色細胞腫、過食症、糖尿病、ならびにCNS以外のDAT不全に起因する他の障害が含まれる。
B. DaT2020および誘導体
本方法で使用される造影剤は、トロパン、DaT2020、およびその誘導体(総称して「DaT2020」)である。これらの造影剤は、DATに対してSERTより高い結合選択性を有し(28:1、すなわち28倍)、現在使用されている他の公知のDATトロパントレーサー(例えばDaTscan)よりも多くのDATに素早く結合し、より深く脳組織および他の対象領域に浸透する(DaTscan(商標)Ioflupane 123I 静注(添付文書)(2015)Arlington Heights,IL:GE Healthcare,Medi-Physics,Inc.)。
DaT2020誘導体の非限定的な例には、2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)トロパン(β-CIT)、2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)-N-(3-フルオロプロピル)ノルトロパン(FP-CIT)、およびTRODAT-1が含まれる。これらの誘導体は、米国特許第5,493,026号、第8,084,018号、第8,574,545号、第8,986,653号明細書、およびPCT国際出願第PCT/US2015/037340号に記載される。DaT2020は、(LikeMinds,Inc.から)市販されており、例えば米国特許第8,986,653号および第8,574,545号明細書に従って合成することもできる)。
放射標識DaT2020および放射標識したその誘導体は、使用者が放射標識手順を通じて作り出すことができる。例えば、DaT2020を作製するには、酸化条件下でハロアリルSn前駆体(プレDaT2020)と放射性核種とを反応させる。他の標準的な放射標識の方法も同様に利用することができる。放射標識には凍結乾燥型のDaT2020が有用であるが、水性型でもできる。
トロパンに結合した放射標識は、123I、124I、125I、99mTc、もしくは117mSnを含めた、SPECT(先に示した通り)を介して検出可能なもの、または18Fもしくは11Cを含めた、PET(先に示した通り)を介して検出可能なものである。剤における放射性同位体の位置は様々であってよい。例えば、同位体は、プレDaT2020またはその誘導体の任意の位置にあってよく、リンカーを介して直接または間接的に結合させることができる(米国特許第8,574,545号明細書参照)。適した位置の1つには、ハロアリル部分の遊離終端がある。
本開示に従ったSPECTで読影できる有用なDAT検出用トレーサーの非限定的な例には、[123I]-E-2β-カルボメトキシ-3β-(4-フルオロフェニル)-N-(3-ヨード-E-アリル)ノルトロパン(DaT2020)、[123I]-2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)トロパン([123I]-β-CIT)、[123I]-2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)-N-(3-フルオロフェニル)ノルトロパン([123I]-FP-CIT)、[123I]-アルトロパン、および[99mTc]-TRODAT-1が含まれる。これらの中では、[123I]-FP-CIT(DaTscan)が、注射後3時間で安定した結合を達成して3時間安定を保ち、13.2時間の半減期を有し、159keVのエネルギーでガンマ線を放出し、そしてFDAによって承認されている。これらは、米国特許第5,493,026号、第8,084,018号、第8,574,545号、特許第8,986,653号明細書、およびPCT国際出願第PCT/US2015/037340号にも記載されている。放射標識DaT2020のDATへの移動と結合は、使用する放射性化合物をモニターする別の方法、例えば、DATが存在しかつDaT2020結合がモニターされる患者の頭部または対象領域(ROI)に隣接する身体の他の領域に設置する例えば放射活性センサーなど、を利用しても、実施することができる。
C. 前処置
いくつかの例では、ヨウ素同位体の甲状腺摂取予防が必要である。これは被験者にルゴール液、ヨウ化カリウム溶液、または過塩素酸カリウム溶液を経口で投与することによって成し遂げることができる。いくつかの例では、放射標識DaT2020の投与前に、他の予備工程が実施される。例えば、DAT結合のSPECT検出およびイメージングのために、セロトニン再取り込み阻害薬、アンフェタミン、および交感神経作動薬に対抗する工程を採用することができる。DaT2020のDATとの結合を干渉する可能性のある任意の薬物療法の中断も必要な場合がある。このような潜在的な干渉分子には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬およびCNS刺激薬が含まれる。甲状腺遮断薬は、有効な遮断を確実にするために取扱い説明ラベルに従って、剤の予定投与前に投与する。
D. 剤の調製および投与
患者が非ドーパミン系障害を有しているのか、それともドーパミン系障害を有しているのかを決定するため、診断上有効な量の放射標識DaT2020を患者に注射する。
放射標識DaT2020は、DATとの結合を阻害しない担体または生理学的緩衝剤中で、全身的または直接局所的静脈内(IV)投与用に製剤化することができる。このような緩衝剤には、限定されることなく、エタノール(溶媒)、水酸化ナトリウムおよび酢酸(pH調整剤)、塩化ナトリウム注射剤(等張溶媒)が含まれる。ボーラス注入として投与する製剤は、スポンサー付き臨床治験で安全であると示されてきており、約8mCiから10mCiまでの線量の放射標識DaT2020を含み、総量約2.5mLから約5mLで送達される。
放射標識DaT2020または放射標識したその誘導体の線量の放射活性は、当業者、例えば核医学イメージング技術者によって決定することができる。加えて重要なのは、実際に投与される線量の総放射活性量であり、この線量を達成するために投与される容量ではない。投与されたトレーサーの正確な放射活性量は、注射前と後のシリンジ内と送達機器内の放射活性の差を算出することによって決定する。線量が送達された後、投与された線量の容量と同じ容量の生理食塩水でシリンジを満たす。このシリンジ内容物を、線量を決定するのに利用したのと同じ条件下で別に再カウントする。有用な線量は、約1mCiから約10mCiの範囲、約2mCiから約10mCiの範囲、約3mCiから約7mCiの範囲、約5mCiから約8mCiの範囲、または約2mCi、約3mCi、約4mCi、約5mCi、約6mCi、約7mCi、約8mCi、約9mCi、もしくは約10mCiである。代替的に、線量を、約4.3mSvという(放射標識DaT2020の5mCiに対する)実効線量で記載してもよい。上記範囲外の注射線量値、すなわち約1mCi未満または約10mCiより高い線量値は、潜在的な変動因子とみなされる。
IV送達のために上述の通り製剤化したDaT2020またはその誘導体を、シリンジ(例えば、放射性医薬品/トレーサー注入のために挿入される外縁18から22のゲージの静脈カテーテル)経由で単一(ボーラス)用量で投与する。注射後、トレーサーは血液脳関門を通過し、もしDATが利用可能な状態であれば、DATに素早く結合する。他の投与方法、例えば、神経放射線学で確立された手順に続いてのシリンジまたはカテーテル経由での脳動脈内への適量の直接注射、または線条体もしくは他のROIに近接する動脈への適量の直接注射も利用できる。
E. カウント取得
剤投与の前に、被験者をSPECTまたはPETカメラ内に配置する。代替方法としては、放射活性を収集できるセンサーであって、データをコンピューターに通信する読取り装置とインターフェースするセンサーを、身体のROIに隣接して設置する。
SPECTおよびPETは、ひとたびDaT2020またはその誘導体が投与され、ROI内で安定的な結合に到達すると、この剤に結合した同位体が測定されるという方法である。剤は、ひとたび血流内に入ると身体全体(例えば脳、肝臓、腎臓、心臓、肺、および末梢血管系)を巡り、線条体を含めた身体の様々な部位のDATと結合する。安定的な結合に到達するまでに(より鮮明な画像を形成するために暗雑音を除去するまでに)かかる時間は、ROIと、剤が浸透する組織の深さとに依存する。
カメラが、放射標識DaT2020またはその誘導体(「トレーサー」)の放射性崩壊によって生成されたエネルギーを捕える。SPECTイメージングに使用される放射標識は、個別の光子、つまりガンマ線の形態でエネルギーを放出するが、PETイメージングに使用される放射標識は、陽電子の形態でエネルギーを放出する。これらの陽電子は、瞬時に電子と衝突し、生成したエネルギーは、おおよそ180度で放射される2つの光子(反対方向に動く2つの光子)となる。
SPECTでは、放射された単一の光子がカメラの中を通過して、シンチレーション結晶に衝突し、次に多数の光電子増倍管がこのシンチレーション結晶を検出する。光電子増倍管によって発生した出力電圧は、位置演算回路に供給され、4つの出力信号を発生する。これらの信号は、どこで光子が結晶に衝突した(シンチレーション)のか、その位置と強度についての情報を含む。各光子に対するこれらの信号(例えば陰極線オシロスコープなどの受信機を「アンブランクする(unblank)」または「ライトアップする(light up)」信号)は、次にコンピューターのメモリ回路に供給され、記憶される。これら信号(各光子の位置および強度は1カウントになる)の記憶によって、スキャンされたROIを構成する要素からの個々の時点や時期、ならびに個別カウントからの、デジタル処理のための信号再呼び出しが可能になる。したがって一スキャンセッション中の任意の一時点、または様々な期間にわたる定量化のために、カウントを取得し処理することができる。画像を構成するために、読影者が評価するのに十分な細部を生成するために1回のスキャンセッションで数百万のカウントを経時的に収集しなければならない。
PETでは、収集器メカニズムおよびシンチレーション結晶によって、両方の光子から位置および強度の情報を取得し、記憶および後の検索と処理のためにこの情報をコンピューターのメモリ回路に供給することが可能である。
カウントの収集は、剤の投与の約10分から15分後に開始し、約1分から15分間続行する。
F. SPECT画像取得
画像を取得するためには、放射標識した剤の投与の15分後にカウント収集を開始し、30分間(すなわち投与後15〜45分の間)継続する。
SPECT取得は、コリメータ(製造者仕様の(またはNEMA規格に準拠した測定で)平面系分解能<8mm FWHMを(距離10cmの「空間」で)有するパラレルビームおよびファンビームコリメータ)を装着した、少なくとも2つのイメージングヘッド(imaging head)を有するSPECT/CTまたは独立型SPECTで実施する。生投影データ(すなわちカウント)を、Djang et al.(2013)Nuclear Med.Mol.Imaging 47(2):73-80に記載される通りに取得し、角度増分3°でのステップアンドシュート(step-and-shoot)方式を使用することができる。あるいは、持続回転方式を利用してもよい。ROIを包囲する領域(例えば、ROIが線条体である場合、「ROIを包囲する領域」とは頭部ということになる)の360°フルカバーが必要である(すなわちデュアルヘッドカメラ各ヘッドにつき180°)。ポジションごとの秒数は、システムの感度に依存し、例えば30秒から40秒である。
カメラの光電ピークを159keV±10%に設定し、128×128マトリックスを使用する。マトリックスサイズおよびズーム倍率をピクセルサイズ3.5mm〜4.5mmにすると最適な画像が取得される。スライス厚は約1ピクセルである。
G. SPECT画像処理
Djang et al.,2012(同上)に記載される通り、スキャンの質、患者の動き、およびアーティファクトの初回判定のためにシネモードおよびシノグラムでの投影データのレビューを実施する。微小な動きについては、再構成前に動き補正アルゴリズムを使用することができるが、相当な頭部の動きがある場合は、再スキャンが必要となる。
繰り返し式再構成法(サブセット化による期待値最大化法(ordered subset expectation maximization)(OSEM))を利用することができるが、フィルタ補正逆投影法を使用してもよい。再構成されたピクセルサイズは3.5mm〜4.5mm、スライス厚は1ピクセルである。
減弱補正は、同時もしくは順次に取得する、透過型スキャンもしくはCTスキャンで測定した減弱マップを利用して行うか、または補正マトリックスを用いて算出してもよい(Maebatake et al.(2015)J.Nucl.Med.Technol.43:41-46.doi:10.2967/jnmt.114.149401参照)。ブロードビーム減弱係数は約0.11cmである。適切な123Iファントムを用いて、精度を検証することができる(American College of Radiology(ACR).(2016).Site Scanning Instructions for the ACR Nuclear Medicine Phantom.In(pp.18).Reston,VA:American College of Radiology)。
ローパスフィルタ(例えばバターワース(Butterworth))が有用である(Akahoshi et al.(2017)Medicine 96(45),e8484.doi:10.1097/md.0000000000008484))。このフィルタは、計数率応答の直線性を維持する。フィルタリングには、投影データの二次元前処理フィルタリング、または再構成データの三次元後処理フィルタリングのいずれかが含まれる。
ROIに応じて少なくとも3つの面(横断、冠状断、矢状断)で、画像をスライスに再構成する。横断スライスは、脳MRIのために利用される前交連-後交連ラインなどの標準的で再現性のある解剖学的配向に並行する。これは、前頭葉の下面が後頭葉の下面と水平になるように脳を向けることによって、近づけることができる。CTに日常的に利用されるような、眼角外耳道面も許容される。線条体および耳下腺内の放射活性ならびに脳および頭部の輪郭は、通常、観察することができ、再アライメントを補助するために利用することができる。同時に取得されるCTスキャン画像によって、頭部の正確な再アライメントが可能になる。
観察者(熟練した画像読影者)間変動は、再アライメントを厳密に標準化することと、少なくとも2倍の半値全幅に事前定義したROIを使用することによって低減される。概して、これは結果的に5ピクセル〜7ピクセルという最小ROI寸法をもたらすことになる。加えて、標的領域内の3つの連続スライス、つまり最も高い放射活性を有するスライスを使用する。同じセンター内で、選択したスライスの数を維持する。
H. PET画像取得
トレーサー投与後(例えばF-18などPETによるスキャニングのために放射標識した状態で)、最小限の聴覚刺激の薄暗い部屋で、患者の目が開いた状態でPETスキャンを10分間取得する。画像取得は、高解析度PET-CTスキャナー(Gemini TF,Philips Medical Systems,Cleveland,OH)を使用し、頭蓋頂から頭蓋底まで実施する。半値全幅(FWHM)4.4mmの固有分解能、全方向、横断視野範囲18cmのPETスキャナーによって、90の近接横断スライスを作成する。次のパラメータを使用した低線量CTスキャン、16スライス多検出器ヘリカルCTユニットを使用して、減弱補正を実施する:120kVp;30mA;回転時間0.5s;スライスコリメーション1.5mm、スキャン再構成2mm、2mmの再構成インデックス付き;視野範囲60cm;512×512マトリックス。
I. PET画像処理
イメージングのために取得したデータを、三次元のrow action maximum-likelihood algorithm(RAMLA)を使用し、しばしば3Dモード減弱補正用低線量CTデータセットを用いて、繰り返し再構成する。
画像処理および算出は、統計的パラメトリックマッピング2ソフトウェア(Statistical Parametric Mapping 2 software)(SPM2、Wellcome Department of Imaging Neuroscience,University College of London,UK)を、MATLABバージョン7.0(MathWorks Inc.,Natick,MA)およびFIRE(Functional Image Registration,Seoul National University,Seoul,Korea)プログラム[24]と組み合わせて使用して実行することができる。CTIフォーマットの画像データセットは、MRIcroソフトウェア(www.mricro.com,Rorden and Brett,Columbia,SC)を使用して、ANALYZEフォーマットに変換することができる。
J. DAT密度に関する視覚的画像評価
カウントは、ROI内の結合が安定するまで取得することができ、本方法は、ROI内のDATに結合した放射標識DaT2020またはその誘導体の画像をコンパイルすることをさらに含む。運動障害の鑑別診断については、患者の線条体がROIとなる。患者が非ドーパミン系運動障害を有している場合、2つの半分の画像は対称的であり、患者がドーパミン系障害を有している場合、画像は非対称的である。PETによって取得されたカウントから画像をコンパイルする。あるいは、SPECTによって取得されたカウントから画像をコンパイルする。
代替方法としては、DATに結合する放射標識DaT2020のパターン、レベル、および/または強度を、センサーによって捕えたデータによって決定し、例えばコンピューターに付属するデータ読取り装置などに送付することができる。本方法は、脳や脳以外の他のROIに影響するドーパミン系障害をモニターするために使用することができる。
K. 定量化
図2は、ある態様における、ドーパミン系障害の検出のための放射性医薬トレーサー分析の例示的方法を示す。図2で示した方法は、分析前に完全な画像の作成を必要としないことから非常に早く実施されるため、事前分析法を改善する。
図2で示した方法において、カメラのソフトウェアおよびハードウェアを、ROIおよび放射性医薬トレーサーに対して適切に設定する。患者をカメラの中に位置付け、放射性医薬トレーサーを注射して、この患者のスキャニングを開始する。線条体のドーパミン系障害を画像化する場合、トレーサーに安定的な結合を達成させるため、患者のスキャニングを、トレーサー投与の約15分後に開始し、そして画像を構成するために30分間継続しなければならない。対照的に図2の方法は、スキャニングを同じ時点で開始するが、10分間から15分間スキャンするのみで、画像を構成する必要はない。
カメラが、患者をスキャンし、放射標識DaT2020またはその誘導体(「トレーサー」)の放射性崩壊からのエネルギーをカウントの形態で捕える(セクションE参照)。このスキャンは、ROIの鮮明な画像を構成するために必要なカウントの総数である「カウント数」を捕える必要はない。スキャンの間、対象の器官に焦点を合わせるよう事前設定した座標のカメラによって、カウントは継続的に収集され、次いでデジタル化され、記憶され、そしてほぼ同時に処理される。このスキャンを事前に定義した条件を満たすまで継続する。
条件の一つの例は、事前に決定した閾値に到達することである。閾値は、ドーパミン系障害のない人が、これら障害のない人達からのカウントのデータベースと(または線条体ファントムと)比較して、示された通りに有するであろうと予想されるカウントの数または密度(SCORE)により、決定することができる。この条件を満たす場合(正常なDAT密度があるというエビデンス)、この患者はドーパミン系障害を有していないことを示唆している。ひとたびこの条件を満たせば、カウントを分析する処理装置は、カメラを止める信号を出力する。
条件のもう一つの例は、捕えているエネルギーの量が安定したと判定されることである。処理装置によって定量化されたカウントの数が、事前に決定した期間(例えば30秒ごと)にわたり類似する場合、この条件を満たすとすることができる。放射標識DaT2020の場合、エネルギーは典型的に14分から18分の間安定する。エネルギーが安定化するが、上記の最初の条件(例えばカウント数、カウント閾値、カウント範囲)を満たさない場合、これは患者がドーパミン系障害を有している可能性があることを示唆する。そのような場合、処理装置は画像を作成するのに十分なデータを収集するため、患者のスキャンを継続する信号を出力する。捕獲されたデータは次に、コンピューターアルゴリズム(コンピューター断層撮影)によって処理され、暗い背景に対しトレーサーがDATに結合した場所を明るい白色で示す、ROIの視覚的表現映像を作成する。
処理装置が出力する信号(例えば、カメラを止める信号や、画像を作成するのに十分なデータを収集するため患者のスキャンを継続する信号)は、カメラの操作を自動的に制御する信号であってもよいし、カメラのオペレーターに対する信号(例えば、音声信号、視覚信号、または触覚信号)であってもよい。
L. 半定量化
半定量化を、基準領域内の活性度に対する対象構造(ROI)内の活性度と定義する(Djang et al.(2012)(同上))。
画像を視覚的に評価する際の人為的ミスを制限するために利用されるこれまでの方法は、ROIからのカウント 対 ROIより少ないドーパミン輸送体を当然有するROI近接領域からのカウントの比率を算出することである。使用するトレーサーやカメラに関係なく比較可能な基準を提供するのは、この比率[ROI-バックグラウンド/バックグラウンド]である。
例えば、運動障害がパーキンソン病であるか(DAT密度の低下)、それともパーキンソン病でないかを決定することが目的である場合、特異的結合比率(SBR、線条体結合比率とも呼ばれる)となる。SBRは、画像を作成した後、線条体内の放射活性を(手動または自動で)単離し、その放射活性を次の式を使用して低DAT密度バックグラウンド領域内の放射活性と比較することによって、算出される。
Figure 2021533145
手動半定量化と自動半定量化のいずれにおいても、左右の線条体のSBRを別々に定量化し、尾状核および被殻のSBRを別々に定量化する。既知の解剖学的損傷が、線条体のROIやバックグラウンドのROIの位置に影響することがある。
技術は大まかに4つのカテゴリーに分類される:古典的な手動によるROI法(classic manual ROI)、手動による対象容量法(manual volumes of interest)(VOI)、VOI法を使用してより進化させた自動化システム、およびボクセルをベースとした数理システム(voxel-based mathematic systems)(DatQUANT(Ge Healthcare,Little Chalfont,UK))。
古典的で最も広範囲に使用される方法では、最も高い線条体放射活性を有する1つまたは複数のスライスに、ROIテンプレートを手動で適用する。手動によるVOI方略は、正常な所見とパーキンソン症候群とを識別するのに最も敏感な領域としての被殻の、正確な特徴付けに重点を置く。被殻のサンプリングについては、全構成を包含しない小規模のVOI法を考慮してもよい。被殻中央部のVOI法により、正確な手動での結果が提供される。123Iで標識したトレーサーSPECTデータまたは融合解剖学的スキャンのいずれかに基づいた個別化VOI法を使用した、全線条体を取り込んだ自動化VOIシステムは、より客観的で観測者に依存しない結果をもたらし、広範囲ではないがより迅速である。
下記の方法は、分析前に完全な画像の作成を必要としないことから非常に迅速に実施されるため、事前分析法を改善する。この方法はまた、患者を自身の対照として利用する。ソフトウェア(DaTsnap)が生カウントを捕え、運動障害症状と反対側の脳の放射活性の尾状核対被殻比率(CPR)を算出する。この比率が正常な比率の値を超える時がスキャンを止める閾値である。
Figure 2021533145
全イメージング時間が経過する前にこの閾値を超えた場合、患者はドーパミン系運動障害を有しており、患者の尾状核対被殻の比率は、正常な比率の閾値と比較して高いであろう。患者が非ドーパミン系運動障害を有している場合、患者の尾状核対被殻から取得された平均カウントの比率は、障害を有していない被験者から得られた比率と同じか、類似するであろう。
例えば線条体内または他のROI内のDATのレベルまたは量の正確な決定を得るためには、放射標識DaT2020の注射は、その注射場所から循環系に入ったことを確認するために、注射時から開始してモニターすべきである。これは、限定されないが、LaraSystem(Lucerno Dynamics)など当技術分野で公知である任意の方法によって成し遂げることができる。
例えば、投与した放射標識DaT2020が注入部位で浸潤を起こしたり、静脈閉塞部位に限定された場合、この放射標識は、脳またはROIに到達しないかもしくは遅く到達し、またはそのうちの非常に少量のみがDAT部位に到達し、誤読、またはDATなし、もしくは低DAT量という結果となり、ドーパミン系障害という誤診をもたらす可能性がある。
M. DaT2020 対 DaTscan
DaT2020は、血流内から脳内へDaTscanより迅速に移動し、より特異的にDATに結合する。DaT2020の好ましい薬物動態学的プロファイルにより、投与の15分後に安定的な結合が生じてスキャニングを開始することができ、結果的に、画像のための十分なデータが30分にわたり収集される。対照的に、DaTscanを用いたスキャニング手順では、投与後少なくとも180分までは開始できず、スキャンは通常、約45分続く。
図3は、健常者ボランティアまたは軽度のパーキンソン病患者の、8mCiのDaT2020または5.3mCiのDaTscanのいずれかのIV注射後、DaTscanまたは放射標識DaT2020の線条体取り込み(線条体結合比(「SBR」))を、60分間にわたり間隔を置いて算出したSPECTデータの結果を示す(実施例2参照)。低線量の放射標識DAT2020(5.3mCi)の投与から得られた結果は、線量8mCi、3ヘッド型カメラを使用して得られたデータから具体化した。パーキンソン病患者群と健常者ボランティア群の特異的結合比率は、放射標識DaT2020の注射後6分以内に、安定結合比率平均1.32と1.64それぞれの90%と74%に到達し、投与後15分から45分という事前に決定されたイメージング時間の間、続いた。対照的にDaTscanは、安定結合比率に到達するのに最短で180分かかった。
したがって、DaTscanと違い放射標識DaT2020は、注射の10分から15分後に高選択性(28倍DAT:SERT)でDATと急速に結合して安定結合を達成し、血液脳関門を横断した後、拡散により迅速に深く脳実質の中に進入する。
ここで本開示を例示する具体的な実施例を参照する。実施例は例示的態様を例示するために提供されるのであって、それによって本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。
実施例1
運動障害の診断法
医師が臨床的に診断した運動障害を示す患者を、SPECTカメラ[改良型分解能性能有りまたはなし(例えばDiscovery NM-630,GE Healthcare,Inc.,Chicago,ILまたはinSPira HD(登録商標),Samsung Neurologica Corporation,Danvers,MA)内に位置付ける。大静脈(例えば肘正中静脈)内へのアクセスは、シリコーンを含有しない18ゲージから22ゲージのポリウレタン留置カテーテル(例えばBard(登録商標)Poly Midline,C.R.Bard,Inc.,Salt Lake City,UT)を使用して確立する。[123I]-DaT2020の血管外漏出を回避するため、[123I]-DaT2020注射の前に、生理食塩水の試験注射で正確なカテーテルの定位を確実にする。次に患者に、3.5±1.0mCi(296MBq)の[123I]-DaT2020(LikeMinds,Boston,MA)をゆっくり注射し、続いて10mLの生理食塩水で洗浄する。
投与した正確な放射線量を決定するため、注射前後のシリンジおよび送達システムの中の放射活性の差を算出する。線量が送達された後、投与した線量の容量と同じ容量の生理食塩水でシリンジを満たす。シリンジ内容物を、線量を決定するのに使用したのと同じ条件下で別に再カウントする。送達システムをプラスチック容器に置き、線量較正器(例えばCRC(登録商標)-25R Doe Calibrator,Capintec,Inc.,Florham Park,NJ)内で、この線量のために使用したのと同じパラメータを使用してカウントする。計測した放射活性値および計測時間を原資料文書に記述し、また患者記録に記録し、総注射量についても同様に行う。上記範囲外の注射放射活性値、すなわち約3mCi未満または約4mCiより高い放射活性値は、潜在的な変動因子とみなされる。
取得は、(たとえ1つのヘッドに欠陥があっても)存続可能な画像の再構成を可能にするため、断層撮影を作成するのに使用されるパラレルホールコリメータ(GE Healthcare,Inc.,Chicago,IL)を使用し、各ヘッドが360度回転する「ステップアンドシュート」方式にする。
コリメーションおよび取得方式を含めた、具体的なSPECTスキャンパラメータを以下に設定する。全スキャン時間約10分、各ヘッドを3度でステップさせて全120投影とし、159keVを中心とした20%幅対称性光電ピークウインドウ内、生投影データを128×128マトリックスの中に取得する。次に光子放出の強度を算出する。
トレーサー投与の15分後に起動させたスキャナーによって取得した信号を、カメラシステムおよびSPECTシステムに対応しないソフトウェアを稼働しているコンピューターシステムで処理する。患者の運動障害がドーパミン系障害でない場合、カウント取得を開始した後10分から15分以内で正常レベルのカウントが収集されることになる。カウントの数が正常より低い場合、その運動障害はドーパミン系障害である可能性が高い。その後、診断した障害の種類に対して効果的であることが公知である薬剤で、患者を治療することができる。
この後30分から45分の間に、このコンピューター/ソフトウェアアセンブリは、ROI内への漸進的なDaT2020取り込みの動的画像を、受け取ったカウントが示した通りに作り上げ、また根本的な病理に適切な時点の静的画像をも提供する。例えばHermes Medical Solutions社(Grenenvielle,NC)は、SPECTデータの再構成用、および標準化取り込み値の形態での定量的出力生成用にHybrid Recon(商標)(https://www.hermesmedical.com/products/suv-spect-reconstruction-absolute-quantification/)を提供している。ドーパミン系障害の場合、取得される線条体の画像は、非ドーパミン系運動障害を経験している患者から取得される対称的で明るい画像と比較して、非対称的で淡いであろう。
実施例2
造影剤としてのDaT2020とDaTscanとの比較
次の試験は、患者が発現する振戦障害が非ドーパミン系振戦障害(例えば本態性振戦)か、それともドーパミン系運動障害(例えばパーキンソン病)かを決定するのに、DaT2020がDaTscanより優れていることを示す。
A. DaT2020試験
本試験で扱った被験者は、健常者ボランティア(HV)と少なくとも軽度のパーキンソン病(PD)を有する被験者である(Seibyl at al.(2008)“ALTROPANE SPECT in Parkinson's disease patients and healthy controls”(poster).Abs.Movement Dis.Soc.12th Internat.Con.Parkinson’s Disease and Movement Disorders)。全ての被験者を、運動障害のエビデンスの有無を決定する有効な基準を使用して臨床医により評価した。抗パーキンソン薬物療法を利用するいかなる被験者も、運動障害の評価前少なくとも12時間はその利用を絶った。全ての被験者はDaT2020の静脈注射(IV)前に甲状腺遮断薬を受け、これが効果を表すまで所定の時間(使用する遮断薬に応じて1時間から12時間)待機した。甲状腺遮断が達成された後、被験者をSPECTカメラ内に位置付け、296MBq(8mCi)のDaT2020[範囲37MBqから296MBq]を単独ボーラス静脈内IV投与した。
使用したSPECTカメラは、1ヘッドにつき全120の生投影画像になるように各ヘッドが3度ごとにサンプリングしながら360度回転する、3つのヘッドを有した。投影データを128×128マトリックス、159kEv±10%を中心とした対称性エネルギーウインドウに収集した。この取得プロトコルを使用することによって、1つ、2つ、または3つ以上のヘッドからの情報を使用した、各時点での画像処理データの事後分析が可能になる。これにより、異なる線量:2.7mCi、5.3mCi、および8mCiそれぞれのDaT2020の影響のモデル化が可能になる。
SPECTスキャンをDaT2020の投与後直ちに開始し、全部で60分間取得した。最初の5スキャンは動的スキャンであり、それぞれにつき6分間、全部で30分間継続した。この動的スキャンに続いて直ちに、3つの静的スキャン(各10分間)を全部で30分間取得した。
各SPECTスキャン前に眼角外耳道線に沿って設置した(右側2つ、左側3つ)1μCiの123Iを含有する5つの外皮位置合わせマーカーを使用することにより、8つのスキャンセッションそれぞれにおける頭部の動きを確認した。
フィルタ補正逆投影法および単純ランプフィルタ、続いて事後分析(3-D)で標準化したローパスフィルタを使用してデータを再構成した。有効な自動アルゴリズムソフトウェアを使用してChang 0補正および0.11cm-1のmu値を適用することにより、減弱補正を実施した。
線量投与の約24分から30分後に取得した、各被験者の左右の尾状核と被殻、および後頭葉バックグラウンド領域のROIサンプリングを有するデータを使用して、ROIを決定した。次に、スキャニングセッション中に取得した全画像にこれらのROIを適用した(全24画像、推定では1ヘッド、2ヘッド、または全3ヘッドに対し、8時点×3カメラヘッド条件)。
線条体結合比率(SBR)を決定するために、各スキャンからROI内の全カウント、全容量、およびカウント密度(カウント/ボクセル)を抽出する。線条体領域のカウント密度(1分ごと、1ボクセルごとのカウント)から後頭葉皮質(バックグラウンド)のカウント密度を引き、後頭葉バックグラウンド領域のカウント密度で割ってSBRを算出する。左右の尾状核と被殻のSBRスコアの平均として、平均線条体SBRスコアを算出する。
Figure 2021533145
DaT2020の経時的SBRデータは、PD患者(Seibyl and Merck(同上)、Appendix 1)(2つのスキャンのうち最初のスキャン)とAppendix 2内の健常者ボランティア(Seibyl and Merck(同上)、Appendix 2)の経時的SBRを示す図表を読み取ることによって抽出した。取得プロトコルによって、1つまたは2つのヘッドからの情報を使用した各時点のイメージングデータの事後分析が可能となり、よって異なる注入線量2.7mCiおよび5.3mCiそれぞれの123I DaT2020の影響をモデル化することが可能となる。
B. DaTscan試験
本試験は、米国食品医薬品局(FDA)(2011)Clinical Pharmacology Reviewに記載の通りに実施した。
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/nda/2011/022454sOrig1s000ClinPharmR.pdf.
全ての成人被験者(40歳から70歳)を、運動障害のエビデンスの有無を決定する有効な基準を使用して臨床医により評価した。被験者が抗パーキンソン薬物療法を現在利用している場合、この被験者は、評価前の少なくとも12時間前にその薬物療法を絶つことに対し自発的であり、また医学的に可能でなければならない。全ての被験者は、DaTscanのIV前に甲状腺遮断薬を受け、これが効果を表すまで所定の時間(使用する遮断薬に応じて1時間から12時間)待機しなければならない。
最初のスキャンは静的スキャンであり、DaTscanの投与の10分後に取得を開始する。線条体の最も有用な描出を表現するスライスの位置を特定するため、このスキャンはマルチスライスSPECT(眼窩外耳孔線から並行して開始、1スライスにつき150秒、スライス間隔10mm)の取得を含む。残りの5スキャン(それぞれにつき約20分)は、静的スキャン中に決定した基準スライスレベルで実施される動的スキャンであり(1スライスにつき150秒で8連続取得)、DaTscanの投与の1時間、2時間、3時間、4.5時間、および6時間後に取得する。投影データを128×128マトリックス、135から190kEvで設定した対称性エネルギーウインドウに収集する。
スライドごとのカウントレベルに従って、画像を可変フィルタを用いて自動的に再構成する。線減弱補正は吸収長95mmに基づく。
静的スキャニング中に取得したデータについて線条体DaTscan結合を分析するために、最も高い放射活性を有するスライス上に位置した全線条体、尾状核、被殻、および後頭葉皮質(OCC)に対して対象領域がある、標準テンプレートを使用する。動的スキャニング中に取得した画像の線条体DaTscan結合を分析するのにも同じテンプレートを使用する。個々の脳に若干の差異があることから、最適なフィッティングのためにテンプレート範囲内で、サイズおよび形状は変更せずに、固定された対象領域の移動が必要となるだろう。特異的DaTscan結合対非特異的DaTscan結合は、
DaTscan結合=(ROI-OCC)/OCC
で算出する。ここで、ROIは対象領域(線条体、尾状核、または被殻)内の平均放射活性を表す。
C. 試験パラメータの比較
以下は両試験の関連因子の概略表である。
(表1)試験、被験者、ならびにSPECTスキャン回数およびタイミング
Figure 2021533145
(表2)SPECTカメラ、画像取得、および画像作成
Figure 2021533145
(表3)最大SBRの算出
Figure 2021533145
D. 結果
3mCiのDaTscan試験を受ける健常者およびパーキンソン病PD被験者と、健常者およびパーキンソン病患者の8mCi(3ヘッド)試験から具体化された5.3mCiのDaT2020試験を受ける健常者およびパーキンソン病患者とに関して、結果を図3に示す。
実施例3
ドーパミン系障害の診断および発症
臨床的にドーパミン系障害を発現していないが、この障害の家族歴を有する被験者を、この被験者が後にこの臨床症状を現わす傾向について決定するため、1つのROI内(例えば線条体、被殻、腎臓、すい臓)におけるDATに結合する放射標識DaT2020の有無についてスキャンする。
被験者に放射標識DaT2020をIV投与し、次いで約15分後に少なくとも30分間、ROI内の放射活性について被験者をスキャンする。放射標識DaT2020からのカウントを、SPECT、PET、または放射活性をモニターすることができる任意のセンサー読取り装置で収集する。
次に、被験者のROIでのDATと結合した放射標識DaT2020のカウントおよび/またはパターンおよび密度を、正常な(疾患の臨床像や家族歴なし)同年齢の被験者(対照)から取得した平均的結果と比較し、相違があるか、相違があるとすればこれらの相違は実質的かおよび/または確実かを検出する。例えばDAT結合の数、位置、および/またはパターンなどは、この障害の有無を示唆している可能性がある。
障害を発症し始めるのか、どのように障害を発症し始めるのか(発症しない場合、対照との相違はその後のスクリーニング前に検出されていたかどうか)、そしてそれが処置の後、時間と共に潜在的にどのように進行するのかを決定するため、同じ手順を例えば1年から5年の間隔で繰り返す。
等価物
当業者は、日常的な実験方法のみ、つまり本明細書において具体的に記載されている具体的な態様と同等の多数の方法のみを使用することを認識するであろうし、または確認することができる。そのような等価物は、添付の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。

Claims (14)

  1. ドーパミン系障害の臨床症状を発現していない被験者が、前記ドーパミン系障害を有しているかどうかを診断する方法であって、
    放射標識DaT2020または放射標識したその誘導体を前記被験者に投与する工程;
    前記被験者の身体の対象領域(ROI)内のDATに結合した前記放射標識DaT2020またはその誘導体からカウントを、投与の約15分後にカウントの取得を開始した上で、取得する工程;
    取得されたカウントの数、密度、および/またはパターンを測定する工程;ならびに
    前記被験者の前記ROIから取得されたカウントの数、密度、および/またはパターンを、障害を有していない同年齢の対照被験者から取得されたカウントの数、密度、および/またはパターンと比較する工程
    を含み、
    前記ROI内で検出されたカウントの数、密度、および/またはパターンが、障害を有していない同年齢の前記対照被験者のROIから取得されたカウントのカウント数、密度、および/またはパターンと比較して減少している場合、患者はドーパミン系運動障害を有している、
    方法。
  2. 前記方法が最初に実施された後に、該方法を一定期間繰り返す工程
    をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 障害を有していない同年齢の前記対照被験者から取得されたカウントが、障害を有していない同年齢の複数の対照被験者から取得されたカウント、密度、および/またはパターンの平均である、請求項1記載の方法。
  4. 前記ROIが、前記被験者の線条体、被殻、腎臓、すい臓、または、心血管系の一部分、である、請求項1記載の方法。
  5. DaT2020またはその誘導体が、123I、124I、125I、99mTc、18F、または117mSnで放射標識されている、請求項1記載の方法。
  6. DaT2020またはその誘導体が、123I、125I、99mTc、または117mSnで放射標識されており、かつカウントがSPECTによって取得される、請求項1記載の方法。
  7. DaT2020またはその誘導体が、18F、124I、または11Cで放射標識されており、かつカウントがPETによって取得される、請求項1記載の方法。
  8. 約1mCiから約10mCiの、123Iで標識したDaT2020またはその誘導体を前記被験者に投与する、請求項1記載の方法。
  9. 約3mCiから約5mCiの、123Iで標識されたDaT2020またはその誘導体を前記被験者に投与する、請求項8記載の方法。
  10. DaT2020の前記誘導体が、2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)トロパンβ-CIT)、2β-カルボメトキシ-3β-(4-ヨードフェニル)-N-(3-フルオロプロピル)ノルトロパン(FP-CIT)、およびTRODAT-1を含む、請求項1記載の方法。
  11. 前記ROIが線条体であり、かつ臨床症状を発現していない前記被験者がパーキンソン病、レビー小体型認知症、または糖尿病に罹患している、請求項4記載の方法。
  12. 動作時の(active)振戦症状を発現している患者が、非ドーパミン系運動障害を有しているのか、それともドーパミン系運動障害を有しているのかを決定する方法であって、
    放射標識DaT2020または放射標識したその誘導体を前記患者に投与する工程;
    前記患者の線条体内のDATに結合した前記放射標識DaT2020またはその誘導体からカウントを、投与の約15分後にカウントの取得を開始した上で、取得する工程;
    取得されたカウントの数、密度、および/またはパターンを測定する工程;ならびに
    前記患者の線条体から取得されたカウントの数、密度、および/またはパターンを、動作時の振戦症状を呈していない、障害を有していない同年齢の対照被験者から取得されたカウントの数、密度、および/またはパターンと比較する工程
    を含み、
    前記患者の線条体内で検出されたカウントの数、密度、および/またはパターンが、障害を有していない同年齢の前記対照被験者の線条体から取得されたカウントのカウント数、密度、および/またはパターンと比較して減少している場合、前記患者はドーパミン系運動障害を有しており、
    前記患者の線条体内で検出されたカウントの数、密度、および/またはパターンが、障害を有していない同年齢の前記対照被験者の線条体から取得されたカウントのカウント数、密度、および/またはパターンと比較して減少していない場合、前記患者は非ドーパミン系運動障害を有している、
    方法。
  13. 動作時の振戦症状を発現している前記患者が有する非ドーパミン系障害が、本態性振戦である、請求項12記載の方法。
  14. 動作時の振戦症状を発現している前記患者が有するドーパミン系障害が、パーキンソン病またはレビー小体型認知症である、請求項12記載の方法。
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