JP2021532629A - 表面弾性波とマイクロ波信号とを混合する超伝導デバイスの応用 - Google Patents

表面弾性波とマイクロ波信号とを混合する超伝導デバイスの応用 Download PDF

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Abstract

ジョセフソン・リング変調器に結合された表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器とによって実装された超伝導デバイスの応用が提供される。方法は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、超伝導デバイスの超伝導表面弾性波共振器から、第1の周波数で共振する1つまたは複数のフォノンを含む表面弾性波信号を受信することを含み得る。この方法は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、超伝導デバイスの超伝導マイクロ波共振器から、第2の周波数で共振可能な1つまたは複数の光子を含むマイクロ波信号を受信することも含み得る。また、この方法は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、マイクロ波ジョセフソン・ミキサに動作可能に結合されたマイクロ波源から受信したマイクロ波制御信号に基づいて表面弾性波信号とマイクロ波信号とを混合することも含み得る。

Description

本発明は、表面弾性波とマイクロ波信号とを混合する超伝導デバイスの応用に関する。
量子回路において、2つの超伝導マイクロ波共振器にジョセフソン・リング変調器が結合され、2つの超伝導マイクロ波共振器によってサポートされているディファレンシャル・モードとジョセフソン・リング変調器に供給される非共振共通ドライブとの間で3波混合が行われる。ジョセフソン・リング変調器を2つの超伝導マイクロ波共振器に結合することに起因して、このデバイスはディファレンシャル・モードの周波数の選択に限界があり、それによって1つまたは複数の問題が生じ得る。例えば、ジョセフソン・リング変調器を低周波伝送線共振器に接続することには、広い面積(例えば広い実装面積)を占有するなど、様々な問題があり得る。もう1つの問題は、ジョセフソン・リング変調器のインダクタンスと比較して、低共振周波数伝送線に付随する比較的大きな線形インダクタンスである。この結果として、関与率が著しく減少する可能性があり、それによって動作のために共振器のきわめて高い外部Q値(Q)を必要とする。しかし、共振器の高い外部Q値は、きわめて狭い動的帯域幅をもたらす可能性があり、それによってデバイスの可用性と実用性が大幅に制限されるため、望ましくない。
さらに、ジョセフソン・リング変調器を低周波集中素子共振器に結合するには、大きな集中キャパシタンスと大きな集中インダクタンスの使用を必要とすることがある。大きな集中キャパシタンスとインダクタンスは、実際に実現するのが困難である。大きなキャパシタンスにはかなりの損失がある可能性があり(デバイスの内部Qを低下させる)、その結果、量子信号の相当な部分を失わせる可能性がある。大きな幾何学的インダクタンスには、通常、有用性を制限する寄生容量という欠点がある。大きな力学インダクタンスは、通常、製造と集積が難しい非従来型の微細超伝導体に依拠する。
以下に、本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的理解のために発明の概要を示す。本概要は、重要または不可欠な要素を特定すること、または、特定の実施形態のいかなる範囲または特許請求のいかなる範囲も明示することを意図していない。その唯一の目的は、後で示すより詳細な説明の前置きとして概念を簡略化された形態で示すことである。本明細書では、1つまたは複数の実施形態において、表面弾性波とマイクロ波信号とを混合し、表面弾性波とマイクロ波信号との間の無損失周波数変換を容易にし、表面弾性波とマイクロ波信号のための非縮退パラメトリック・ジョセフソン増幅器であり、フォノン・モードと光子モードとのもつれ状態を生じさせるデバイス、システム、方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品あるいはこれらの組合せについて説明する。
一実施形態によると、方法は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、超伝導デバイスの超伝導表面弾性波共振器から、第1の周波数で共振する1つまたは複数のフォノンを含む表面弾性波信号を受信することを含み得る。この方法は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、超伝導デバイスの超伝導マイクロ波共振器から、第2の周波数で共振可能な1つまたは複数の光子を含むマイクロ波信号を受信することも含み得る。また、この方法は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、マイクロ波ジョセフソン・ミキサに動作可能に結合されたマイクロ波源から受信したマイクロ波制御信号に基づいて表面弾性波信号とマイクロ波信号とを混合することも含み得る。このような方法の利点は、超伝導表面弾性波共振器の低マイクロ波周波数と超伝導マイクロ波共振器の高マイクロ波周波数との間で無散逸3波混合および増幅を行うことができることである。もう1つの利点は、表面弾性波信号によって搬送された量子情報をマイクロ波信号に、またはその逆にユニタリに変換する(例えば、量子信号のエネルギーおよび位相コヒーレンスが保存される)ことができることである。また、この量子操作は、デバイスによって受信された別個のマイクロ波制御信号(ポンプまたはポンプ・デバイスと呼ぶ)によって制御され、可能にすることができる。
一部の実装形態では、この方法は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、マイクロ波信号と表面弾性波信号との周波数差で印加されるポンプ・ドライブの印加に基づいて、超伝導表面弾性波共振器から超伝導マイクロ波共振器(または超伝導マイクロ波共振器から表面弾性波共振器に、あるいはその両方の方向に)量子情報を転送することを含み得る。このような方法の利点は、情報が交換または変換されるモードを選択するためにマイクロ波制御信号を使用することができることである。
一部の実装形態では、この方法は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、表面弾性波信号とマイクロ波信号との混合を停止させるとの判断に基づいて超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との接続または相互作用を切断することを含み得るので有利である。また、この方法は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、表面弾性波信号とマイクロ波信号との混合を再開させるとの判断に基づいて超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との接続または相互作用を再有効化することを含み得る。このような方法の利点は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサが、表面弾性波信号とマイクロ波信号との間の情報の転送を制御することができることである。
一部の実装形態によると、この方法は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、マイクロ波制御信号の第1のパワーに基づいて超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との間で量子情報の第1の部分を転送することを含み得る。この方法は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、マイクロ波制御信号の第2のパワーに基づいて、超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との間で量子情報の第2の部分を転送することも含み得る。このような方法の利点は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサとマイクロ波制御信号のパワーとによって、転送される情報の量を制御することができることである。
別の実施形態は、周波数変換器において、超伝導表面弾性波共振器から、第1の周波数で共振する1つまたは複数のフォノンを含む表面弾性波信号を受信することを含み得る。この方法は、周波数変換器において、超伝導マイクロ波共振器から、第2の周波数で共振する1つまたは複数の光子を含むマイクロ波信号を受信することも含み得る。また、この方法は、周波数変換器によって、マイクロ波源から受信したポンプ信号に基づいて超伝導表面弾性波共振器の第1の情報と超伝導マイクロ波共振器の第2の情報との間で無損失周波数変換を実施することを含み得る。このような方法の利点は、表面弾性波とマイクロ波信号との間の変換が無損失周波数変換であることである。
一部の実装形態によると、この方法は、周波数変換器によって、伝播高周波信号を超伝導表面弾性波共振器におけるフォノン・モードにマッピングすることを含み得る。また、この方法は、周波数変換器によって、定義済み周波数のマイクロ波制御信号(例えばポンプ)の印加によりフォノン・モードを超伝導マイクロ波共振器における光子モードにアップコンバートすることを含み得る。フォノン・モードのアップコンバージョンは、無損失3波混合相互作用によって可能にすることができる。アップコンバートされたマイクロ波信号は、超伝導マイクロ波共振器を出ると伝播する。このような方法の利点は、無損失3波混合相互作用により伝播フォノン・モードまたは低周波数マイクロ波信号を伝播光子モード(例えば高周波数マイクロ波モード)にアップコンバートすることができることである。
あるいは、この方法は、周波数変換器によって、伝播マイクロ波信号を超伝導マイクロ波共振器における光子モードにマッピングすることを含み得る。また、この方法は、周波数変換器によって、定義済み周波数のマイクロ波制御信号(例えばポンプ)の印加により光子モードを超伝導表面弾性波共振器におけるフォノン・モードにダウンコンバートすることを含み得る。光子モードのダウンコンバージョンは、無損失3波混合相互作用によって可能にすることができる。また、ダウンコンバートされた表面弾性波信号は、超伝導表面弾性波共振器を出ると伝播することができる。このような方法の利点は、無損失3波混合相互作用により伝播光子モード(例えば高周波数マイクロ波モード)を伝播フォノン・モードまたは低周波数マイクロ波モードにダウンコンバートすることができることである。
別の実施形態によると、ジョセフソン・パラメトリック増幅器によって、デバイスの第1のポートに入る表面弾性波信号の第1の直交位相と、デバイスの第2のポートに入るマイクロ波信号の第2の直交位相とを増幅することを含み得る方法が提供される。また、この方法は、ジョセフソン・パラメトリック増幅器によって、出力ポートを介して、第1の反射信号と周波数変換が施された第1の送信信号とを含む第1の増幅信号と、第2の反射信号と周波数変換が施された第2の送信信号とを含む第2の増幅信号とを出力することを含み得る。このような方法の利点は、この方法が、低周波数マイクロ波信号と高周波数マイクロ波信号のための位相保存量子限界増幅器として機能することができることである。
別の実施形態では、エンタングルメント構成要素によって、第1の周波数を含む第1の入力信号を超伝導表面弾性波共振器に入力することを含み得る方法が提供される。エンタングルメント構成要素には、超伝導表面弾性波共振器を介して第1のキュービットが動作可能に結合される。この方法は、エンタングルメント構成要素によって、第2の周波数を含む第2の入力信号を超伝導マイクロ波共振器に入力することも含み得る。エンタングルメント構成要素には、超伝導マイクロ波共振器共振器を介して第2のキュービットが動作可能に結合される。この方法は、エンタングルメント構成要素によって、超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器とに入る入力場の増幅された重ね合わせを含む出力信号を出力することも含み得る。このような方法の利点は、フォノン・モードと光子モードとの間のもつれ状態が存在し得ることである。
さらに他の実施形態は、超伝導表面弾性波共振器に容量結合された第1の超伝導キュービットと、超伝導マイクロ波共振器に容量結合された第2の超伝導キュービットとを含み得る超伝導デバイスに関する。この超伝導デバイスは、超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器とに結合されたジョセフソン・リング変調器も含み得る。このような超伝導デバイスの利点は、デバイスが非縮退増幅器として動作することができ、超伝導表面弾性波共振器によってサポートされるフォノンと超伝導マイクロ波共振器によってサポートされる光子とのもつれにより、キュービット間にもつれを生じさせることができることである。
本発明の一実施形態によるジョセフソン・リング変調器を含む回路を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による、超伝導表面弾性波共振器を含む回路を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による、ジョセフソン・リング変調器に結合された表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器とを含む超伝導デバイスの回路を示す回路図である。 本発明の一実施形態による、表面弾性波(フォノン)とマイクロ波信号(光子)のためのユニタリ・ジョセフソン・ミキサを含むシステムを示す略図である。 本発明の一実施形態による、表面弾性波とマイクロ波信号との間の無損失周波数変換器を含むシステムを示す略図である。 本発明の一実施形態による、表面弾性波とマイクロ波信号のための非縮退パラメトリック・ジョセフソン増幅器を含むシステムを示す略図である。 本発明の一実施形態による、フォノン・モードと光子モードとのエンタングラを含むシステムを示す略図である。 本発明の一実施形態による、表面弾性波(フォノン)とマイクロ波信号(光子)とを混合する方法を示す流れ図である。 本発明の一実施形態による、マイクロ波制御信号の周波数に基づいて表面弾性波とマイクロ波信号とを混合する方法を示す流れ図である。 本発明の一実施形態による、マイクロ波制御信号の周波数と振幅とに基づいて表面弾性波とマイクロ波信号とを混合するために使用されるスイッチの動作方法を示す流れ図である。 本発明の一実施形態による、マイクロ波信号の振幅に基づいて表面弾性波とマイクロ波信号とを混合する方法を示す流れ図である。 本発明の一実施形態による、表面弾性波とマイクロ波信号との間の無損失周波数変換の方法を示す流れ図である。 本発明の一実施形態による、表面弾性波信号からマイクロ波信号へのアップコンバージョンを行う方法を示す流れ図である。 本発明の一実施形態による、マイクロ波信号から表面弾性波信号へのダウンコンバージョンを行う方法を示す流れ図である。 本発明の一実施形態による、表面弾性波とマイクロ波信号の非縮退パラメトリック増幅を行う方法を示す流れ図である。 本発明の実施形態による、量子回路のフォノン・モードと光子モードとのもつれ状態を生じさせる方法を示す流れ図である。
以下の詳細な説明は例示に過ぎず、本発明の実施形態、または本発明の適用または使用、あるいはその両方を限定することを意図していない。また、上記の「背景技術」の項または「発明の概要」の項、または「発明を実施するための形態」の項に示されているいかなる明示または暗黙の情報によっても制約されることを意図していない。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。全図面を通して、同様の要素を参照するために同様の参照番号が使用されている。以下の説明では、説明を目的として、本発明の実施形態をよりよく理解することができるようにするために多くの特定の詳細が記載されている。しかし、様々な場合において、本発明の実施形態はこれらの詳細がなくても実施可能であることは明らかである。
回路、より具体的には量子回路に関して、ジョセフソン・リング変調器(Josephson ring modulator:JRM)が2つの超伝導波共振器に結合されている場合、ディファレンシャル・モードの選択について限界がある。例えば、JRMを低周波伝送線共振器に結合することに付随する問題は、デバイスによって占有される面積が大きいことである。別の例として、JRMを低周波数集中素子共振器に結合することに伴う問題は、大きなキャパシタが比較的損失が大きいことである。本明細書に記載の超伝導デバイス、超伝導回路および方法によって提供される解決策は、コンパクトであり、したがって超伝導デバイスの大きさまたは損失あるいはその両方を縮小することができる超伝導表面弾性波共振器を使用することである。
従来技術の超伝導デバイス(例えば、2つの超伝導マイクロ波共振器を使用するデバイス)に付随するもう1つの問題は、従来技術の超伝導デバイスが5ギガヘルツ(GHz)と15GHzの間の周波数の混合に限定されていることである。本明細書に記載の様々な超伝導デバイス、回路および方法は、低マイクロ波周波数(例えば約0.1GHzから約4GHz)と高マイクロ波周波数(例えば約5GHzから約15GHz)との間の無散逸3波混合および増幅を可能にする、超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との使用により、この問題の解決策を提供する。
従来技術の超伝導デバイスの上記の問題に鑑み、超伝導デバイス、超伝導回路、およびこれらを製作する方法の形態で上記の問題のうちの1つまたは複数の問題の解決策を提供するために、本明細書で示す様々な態様を実装することができる。このようなシステム、デバイス、回路および方法は、従来の技術と比較して縮小されたサイズと低損失の共振器という利点を有し得る。
一部の実装形態によると、このデバイスは、表面弾性波(フォノン)とマイクロ波信号(光子)との間のジョセフソン・ミキサと、表面弾性波とマイクロ波信号との間の無損失周波数変換器と、表面弾性波とマイクロ波信号のための非縮退パラメトリック・ジョセフソン増幅器と、フォノン・モードと光子モードとのエンタングラとのうちの1つまたは複数として機能することができる。
図1を参照すると、回路100が、超伝導表面弾性波(SAW)共振器(超伝導SAW共振器102と呼ぶ)と、超伝導マイクロ波共振器104と、ジョセフソン・リング変調器(JRM106と呼ぶ)とを含む。
超伝導キュービット空間を含む1つの量子ハードウェアにおいて、量子ハードウェア上でゲート動作または測定を実施するための機構が、超伝導SAW共振器102によって、または超伝導マイクロ波共振器104を介して、あるいはその両方によって、マイクロ波信号を発生するかまたはマイクロ波信号を受信する。回路100は、表面弾性波(フォノン)とマイクロ波信号(光子)との間のジョセフソン・ミキサと、表面弾性波とマイクロ波信号との間の無損失周波数変換器と、表面弾性波とマイクロ波信号のための非縮退パラメトリック・ジョセフソン増幅器と、フォノン・モードと光子モードとのエンタングラとのうちの1つまたは複数として動作することができる。
SAW共振器(例えば超伝導SAW共振器102)は、フォノンのための電気機械共振器であり、約0.5GHzから5GHzのマイクロ波周波数で共振することができる。SAW共振器(またはSAWフィルタ)は、多くの遠隔通信用途(例えば携帯電話)で使用される。SAW共振器は、本明細書で説明するように、マイクロ波領域における量子コンピューティング用途および量子回路においても有用となり得る。また、SAW共振器は、10を超え得る高い内部クォリティ(Q)値を有することができる。したがって、SAW共振器は、きわめて低損失となり得る。さらに、SAW共振器はきわめてコンパクトである。例えば、表面弾性波共振波長はきわめて短い(例えば1マイクロ・メートル未満、すなわち<1μm)。
超伝導SAW共振器102は低周波数デバイスとすることができ、超伝導マイクロ波共振器104は高周波数デバイスとすることができる。また、超伝導SAW共振器102は、低損失圧電誘電体基板上に実装可能である。低損失圧電誘電体基板は、石英、ガリウム・ヒ素、ニオブ酸リチウム、または酸化亜鉛、あるいはこれらの組合せなどを含む材料のグループから選択された材料を含み得る。超伝導マイクロ波共振器104は、集中素子キャパシタンスと集中素子インダクタンスとを使用して実装することができる。超伝導SAW共振器102と超伝導マイクロ波共振器104に関するさらなる詳細は、図2および図3を基に以下で示す。
JRM106は、ジョセフソン・トンネル接合に基づくことができるデバイスである。例えば、JRM106は、ホイートストン・ブリッジ構成に配置された1つまたは複数のジョセフソン接合を含み得る。1つまたは複数のジョセフソン接合は、アルミニウムとニオブとを含む材料のグループから選択された材料を含み得る。また、JRM106は、損失なしにマイクロ波帯における非縮退混合を行うことができる。一部の実装形態によると、JRM106は、分散非線形3波混合素子とすることができる。
JRM106は、2つのディファレンシャル・モードと2つのコモン・モード(そのうちの1つはゼロ周波数におけるものであり、したがって本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態には適用されない)をサポートすることができる。JRM106を適合する(2つのディファレンシャル・マイクロ波モードをサポートする)電磁環境に結合することによって、回路100は、マイクロ波領域における無損失周波数変換、または量子限界におけるパラメトリック増幅(例えばマイクロ波領域の量子信号の増幅)、または2モード・スクイージングの生成、あるいはこれらの組合せなど、様々な量子処理動作を行うために使用することができる。
JRM106は、ホイートストン・ブリッジ構成に配置された1つまたは複数のジョセフソン接合を含み得る。ジョセフソン接合は、第1のジョセフソン接合108と、第2のジョセフソン接合110と、第3のジョセフソン接合112と、第4のジョセフソン接合114として図示されている。ジョセフソン接合は、ループ状に形成することができる。また、ジョセフソン接合は、本明細書に記載のように混合を行うために使用することができる。
JRM106は、(ループの内部に)4つの追加の接合も含むことができ、これらは一部の実装形態によるとシャント接合とすることができる。これらの4つの追加の接合を、第1の内部接合116、第2の内部接合118、第3の内部接合120、および第4の内部接合122としてラベル付けする。4つの内部接合は、回路100の周波数の同調を容易にすることができる。この同調性は、外部磁束の印加により得られる。この構成では、4つの内部接合は、外部ループ上の接合よりも大きく、外部ジョセフソン接合をシャントする線形インダクタとして機能することができる。内部ループに外部磁束を通すことによって、JRM106の総インダクタンスが変化することができ、これによりJRM106に結合された共振器の共振周波数の変化を引き起こすことができる。
さらに、JRM106の構成は、外部接合どうしが接続する点またはノードを規定する。したがって、JRM106の下部に第1のノード124、JRM106の右側に第2のノード126、JRM106の上部に第3のノード128、JRM106の左側に第4のノード130が存在し得る。なお、下部、右側、上部および左側という用語は、開示の態様について図面を基に説明することを目的としたものであり、開示の態様はJRM106または回路100あるいはその両方およびこれらに付随する回路のいかなる特定の面または向きにも限定されないことに留意されたい。
4つのノードは、回路100により対応可能なディファレンシャル・モードとコモン・モードとを規定するために使用することができる。モードは直交可能であり、互いに重なり合わない。また、図のように、ノードは物理的に直交することができる。例えば、第1のノード124と第3のノード128とが互いに対して垂直であり、第2のノード126と第4のノード130とが互いに対して水平である。
ノードは、JRM106を超伝導SAW共振器102と超伝導マイクロ波共振器104とに結合するために使用することができる。例えば、JRM106を超伝導SAW共振器102に動作可能に結合するために、向かい合ったノードの第1の組(例えば第1のノード124と第3のノード128)を選定することができる。第1のノード124を線132(または第1のリード線)を介して超伝導SAW共振器102に結合することができ、第3のノード128を第2の線134(または第2のリード線)を介して超伝導SAW共振器102に結合することができる。
JRM106を超伝導マイクロ波共振器104に動作可能に結合するために、向かい合ったノードの第2の組(例えば第2のノード126と第4のノード130)を選定することができる。例えば、第2のノード126を第3の線136(または第3のリード線)を介して超伝導マイクロ波共振器104に結合することができ、第4のノード130を第4の線138(または第4のリード線)を介して超伝導マイクロ波共振器104に結合することができる。
図のように、第1の線132と第2の線134を、超伝導SAW共振器102の異なる場所で超伝導SAW共振器102に結合することができる。また、第3の線136と第4の線138を、超伝導マイクロ波共振器104の異なる場所で超伝導マイクロ波共振器104に結合することができる。結合場所に関するさらなる詳細を、図3を基に以下に示す。
超伝導SAW共振器102と、超伝導マイクロ波共振器104と、JRM106とは、周波数変換器/ミキサ/増幅器/エンタングラ・デバイスの一部である。このデバイスは、デバイスのマイクロ波ポートまたはSAWポートあるいはその両方に接続された他の量子デバイスから外部マイクロ波光子またはフォノンを受信することができる。
回路100と、本明細書に記載の他の態様は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による量子情報の操作を容易にするデバイスで利用することができる。本開示で説明されているデバイス(例えば回路100など)、システム、装置またはプロセスの態様は、マシン内で具現化、例えば1つまたは複数のマシンに付随する1つまたは複数のコンピュータ可読媒体(または複数の媒体)で具現化されたマシン実行可能コンポーネントを構成することができる。このようなコンポーネントは、1つまたは複数のマシン、例えばコンピュータ、コンピューティング・デバイス、仮想マシンなどによって実行されると、記載されている動作をマシンに行わせることができる。
様々な実施形態において、デバイスは、プロセッサを含むかまたは有線または無線あるいはその両方のネットワークとの有効な通信または動作可能な通信が可能であり得るか、あるいはその両方である、任意の種類の構成要素、マシン、システム、デバイス、機構、装置、または機器あるいはこれらの組合せとすることができる。デバイスを含み得る構成要素、マシン、装置、システム、デバイス、機構または機器あるいはこれらの組合せには、タブレット・コンピューティング・デバイス、ハンドヘルド・デバイス、サーバ・クラス・コンピューティング・マシンまたはデータベースあるいはこれらの組合せ、ラップトップ・コンピュータ、ノートブック・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、携帯電話、スマートフォン、民生用機器または器具あるいはこれらの組合せ、産業用または商用あるいはその両方のデバイス、ハンドヘルド・デバイス、デジタル・アシスタント、マルチメディア・インターネット対応電話、マルチメディア・プレイヤなどが含まれ得る。
本発明の様々な実施形態において、デバイスは、量子回路技術、量子プロセッサ技術、量子コンピューティング技術、人工知能技術、薬剤および材料技術、サプライ・チェーンおよび物流技術、金融サービス技術、またはその他のデジタル技術あるいはこれらの組合せなどの技術であるがこれらには限定されない技術に関連する、量子コンピューティング・デバイスまたは量子コンピューティング・システムとすることができる。回路100は、抽象的ではなく、人間によって1組の精神的活動として行うことができない、高度に専門的な性質の問題を解決するために、ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方を利用することができる。また、ある種の実施形態では、実行されるプロセスの一部を、機械学習に関連する定義済みタスクを実施するための1つまたは複数の専用コンピュータ(例えば、1つまたは複数の専用処理ユニット、量子コンピューティング構成要素を備えた専用コンピュータなど)によって実行することができる。
このデバイスまたはデバイスの構成要素あるいはその両方は、上記の技術、またはコンピュータ・アーキテクチャあるいはその両方などの進歩によって生じる新たな問題を解決するために採用することができる。デバイスの1つまたは複数の実施形態は、量子コンピューティング・システム、量子回路システム、量子プロセッサ・システム、人工知能システムまたはその他のシステムあるいはこれらの組合せに技術的向上をもたらすことができ、量子プロセッサの処理パフォーマンス、量子プロセッサの処理効率、量子プロセッサの処理特性、量子プロセッサのタイミング特性を向上させることによって、または量子プロセッサの電力効率を向上させることによって、あるいはこれらの組合せによって、量子プロセッサ(例えば超伝導量子プロセッサ)に技術的向上をもたらすこともできる。
図2を参照すると、回路200が、第1の超伝導金属/誘電体反射鏡(例えばブラッグ・ミラー202)と第2の超伝導金属/誘電体反射鏡(例えば第2のブラッグ・ミラー204)とを含み得る超伝導SAW共振器102を含む。第1のブラッグ・ミラー202は、超伝導SAW共振器102によってサポートされている半波長の奇数整数倍の距離だけ第2のブラッグ・ミラー204から離隔され得る。ブラッグ・ミラーは、互いから規定距離に配置された金属フィンガと誘電体間隙とからなる周期的構造を含む。
一部の実装形態によると、超伝導SAW共振器102は、低損失圧電誘電体基板(図示せず)に取り付ける(例えば実装する)ことができる。低損失圧電誘電体基板は、石英、ガリウム・ヒ素、ニオブ酸リチウム、および酸化亜鉛または同様の材料のうちの1つまたは複数を含む材料のグループから選択された材料を含み得る。
また、第1の櫛形キャパシタンス・デバイスまたは第1のIDCデバイス206と、第2のIDCデバイス208とを含めることができる。第1のIDCデバイス206は、超伝導SAW共振器102とJRM106との間に結合することができる。第2のIDCデバイス208は、超伝導SAW共振器102と外部ポート(例えばシグナル・ポート212)との間に結合することができる。
例えば、第1のIDCデバイス206は、超伝導SAW共振器102の中心に配置することができる。JRM106の向かい合ったノードの第1の組を、第1のIDCデバイス206の向かい合ったノードに接続することができる。例えば、JRM106の第1のノード124を(例えば第1の線132を介して)第1のIDCデバイス206の第1の側に接続することができる。また、JRM106の第3のノード128を、(例えば第2の線134を介して)第1のIDCデバイス206の第2の側に接続することができる。
ジョセフソン・リング変調器の向かい合ったノードの第2の組を、超伝導マイクロ波共振器104に接続することができる。例えば、JRM106の第2のノード126を(例えば第3の線136を介して)超伝導マイクロ波共振器104の第1の側に接続することができる。また、JRM106の第4のノード130を(例えば第4の線138を介して)超伝導マイクロ波共振器の第2の側に接続することができる。
回路100は、第2のIDCデバイス208を介して超伝導SAW共振器102に結合された第1の外部供給線210も含み得る。第1の外部供給線210は、シグナル・ポート212(例えば高周波(rf)源)に接続することができる。第1の外部供給線210は、超伝導SAW共振器102の1つまたは複数の入力信号と1つまたは複数の出力信号を搬送することができる。
超伝導マイクロ波共振器104に第2の外部供給線214を結合することができる。第2の外部供給線214はアイドラ・ポート216(例えばマイクロ波源)に接続することができる。第2の外部供給線214は、超伝導マイクロ波共振器104の1つまたは複数の入力信号と1つまたは複数の出力信号を搬送することができる。
また、JRM106は、(例えば第2の線134、またはその他の配線により)ポンプ・ポート218に動作可能に接続することができる。ポンプ・ポート218は、マイクロ波源に接続することができる。ポンプ・ポート218は、回路100の動作のための必要エネルギーを供給することができる。例えば、ポンプ・ポート218からJRM106にポンプ・パワーが供給された時点でまたはその後で、超伝導SAW共振器102と超伝導マイクロ波共振器104とがJRM106を介して電気的に接続され得る。しかし、ポンプ・ポート218を介してパワーが供給されない(例えば電源がオフである)とき、超伝導SAW共振器102と超伝導マイクロ波共振器104は互いに電気的に分離され得る。
増幅のためには、アイドラ・ポート216に接続されたアイドラ伝送線(例えば第2の外部供給線214)上を伝播するマイクロ波信号があることが理想的となる。一実施例では、マイクロ波信号が弱く、マイクロ波信号は有用な何らかの量子情報を搬送するものとする。この情報は、回路100に入り、超伝導SAW共振器102によってサポートされているアイドラ・モードと信号モードとの間にパラメトリック増幅を生じさせることができるデバイスに(例えばポンプ・ポート218を介して)供給されるポンプ・トーンがある。この例では、シグナル・ポート212とアイドラ・ポート216の両方には入力信号は必要がない。そうではなく、一方のポート上でのみ信号が必要であり、他方のポートを介して量子雑音が入り得る。量子情報を搬送する決定論的信号と量子雑音とは、ポンプ・ドライブを介してデバイスによって混合されることができ、デバイスを出るときに増幅される。したがって、情報を搬送する信号は、シグナル・ポート212またはアイドラ・ポート216から入来し得るか、または、両方のポートに実質的に同時に入る情報を搬送する2つの信号を有し得る。説明を簡単にするために、信号は一方のポートを介して回路100に入り、他方のポートは量子雑音のみを受信しているものとする。この場合、ポンプ(例えばポンプ・ポート218)とJRM106との相互作用により、コモン・モード(ポンプ)と2つのディファレンシャル・モード(アイドラおよびシグナル)との間に3波混合が起こる。ポンプ周波数がシグナル共振周波数とアイドラ共振周波数との合計である場合、デバイスは、量子限界付近で動作する位相保存パラメトリック増幅器として機能する。シグナル・ポート212とアイドラ・ポート216を出るそれぞれの出力信号は、両方のポート(例えばシグナル・ポート212とアイドラ・ポート216)に入る入力信号の増幅された重ね合わせとすることができる。
一部の実装形態によると、JRM106を通る磁束を1つまたは複数の外部超伝導磁気コイルを介して誘起することができる。例えば、デバイス・パッケージに取り付けられた外部超伝導磁気コイルを使用して、またはオンチップ磁束線を使用して、JRM106を通る磁束を誘起することができる。
図3を参照すると、回路300が、ジョセフソン・リング変調器に結合された表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器とを含む。
図3では、図を簡単にするためにJRM106のジョセフソン接合と4つの内部接合には参照番号が付されていないことに留意されたい。しかし、説明のための接合の要素の番号付けは図1および図2のラベル付けと同じである。また、回路300とそれに付随する構成要素は、一部の実装形態によると単一チップ上に実装可能である。
上記のように、JRM106のノードは互いに垂直方向の向きとすることができる向かい合ったノードの第1の組を含み得る。例えば、向かい合ったノードの第1の組は、(例えば第1の線132と第2の線134を介して)JRM106を超伝導SAW共振器102に動作可能に結合することができる、第1のノード124と第3のノード128とを含むことができる。また、JRM106のノードは、水平な向きとすることができる向かい合ったノードの第2の組を含み得る。例えば、向かい合ったノードの第2の組は、JRM106を超伝導マイクロ波共振器104に動作可能に結合することができる、第2のノード126と第4のノード130を含むことができる。水平方向または垂直方向あるいはその両方に関して図示し、説明しているが、本開示の態様はこの向きには限定されず、他の向きも使用可能であることに留意されたい。
向かい合ったノードの第1の組(例えば第1のノード124と第3のノード128)を、超伝導SAW共振器102の第1の櫛形キャパシタまたは第1のIDC302(例えば第1のIDCデバイス206)の向かい合った電極に結合することができ、それによって第1の直交モードを形成することができる。例えば、JRM106の第1のノード124を、304に示す第1のIDC302の第1の電極に結合することができる。また、JRM106の第3のノード128を、306に示す第1のIDC302の第2の電極に結合することができる。第1のIDC302は、超伝導SAW共振器102の中心に配置することができる。
向かい合ったノードの第2の組(例えば第2のノード126と第4のノード130)を第2のキャパシタ310(例えばシャント・キャパシタ)に結合することができ、それによって超伝導マイクロ波共振器104を形成することができ、ここでJRMは共振器の誘導素子である。超伝導マイクロ波共振器は、JRM106の第2の直交ディファレンシャル・モードをサポートすることができる。キャパシタンス(例えば第1のキャパシタ308)は、(JRM106と第2のキャパシタ310によって形成された)マイクロ波共振器とデバイスの外部供給線/ポート(例えばアイドラ・ポート216)との間の結合キャパシタとして機能する。一部の実装形態によると、第1のキャパシタ308と第2のキャパシタ310は、ギャップ・キャパシタ、または櫛形キャパシタ、または平板キャパシタあるいはこれらの組合せを含むキャパシタのグループから選択されたそれぞれのキャパシタとすることができる。平板キャパシタンスの場合、誘電材料は単一マイクロ波光子のレベルのきわめて低損失である必要がある。
図のように、超伝導SAW共振器102は、第1のIDC302と、第2のIDC312(例えば第2のIDCデバイス208)と、1組の金属/誘電体反射鏡(例えば第1のブラッグ・ミラー202と第2のブラッグ・ミラー204)とを含み得る。超伝導SAW共振器102の構成要素(例えば第1のIDC302、第2のIDC312、第1のブラッグ・ミラー202、第2のブラッグ・ミラー204)は、圧電基板上に実装される。例えば、圧電基板は、石英、ガリウム・ヒ素、ニオブ酸リチウム、酸化亜鉛、または同様の材料あるいはこれらの組合せのうちの1つまたは複数を含み得る。
超伝導SAW共振器102および超伝導マイクロ波共振器104にアクセスするために、異なるポートを使用することができる。例えば、超伝導SAW共振器102にアクセスするためにシグナル・ポート212を使用することができ、超伝導マイクロ波共振器104にアクセスするためにアイドラ・ポート216を使用することができる。
シグナル・ポート212は、入力信号と出力信号を搬送するために使用することができる。したがって、超伝導SAW共振器102からの出力信号を測定するために、IDC(例えば第2のIDCデバイス208)を第1のブラッグ・ミラー202と第2のブラッグ・ミラー204の間に配置することができる。互いに接続された1組のIDCフィンガが、サポートされているフォノン・モードのrf電圧アンチノード(最大/最小)に配置されている。したがって、フィンガ間の間隔は、超伝導SAW共振器102によってサポートされている波長によって決まり得る。
IDC(例えば第1のIDC302および第2のIDC312)の2つの連続したフィンガの中心間の距離は、λ/2として一般的に表すことができる。一実装形態によると、IDCのそれぞれの2組のフィンガは相反する極性を有することができる。また、線314で示すように、第1のブラッグ・ミラー202と第2のブラッグ・ミラー204は、超伝導SAW共振器102によってサポートされている半波長の奇数整数倍の距離だけ互いに離隔することができる。規定されている距離はLと表すことができ、ここでLは、λ/2の奇数整数倍数である。ただし、λ<λである。
マイクロ波トーンは、最大振幅と最小振幅とを有する波によって特徴づけられる。最小振幅はIDCの1つのフィンガ(例えば304または306で示されている)に結合する必要があり、最大値は他方のフィンガ(例えば304または306で示されている)に結合する必要があり、この2つのフィンガはJRM106の向かい合ったノード(例えば第1のノード124と第3のノード128)に接続される。したがって、距離λ/2は、第1のフィンガにおける最大と他方のフィンガにおける最小とを促すように選択することができる
また、説明のために、最大振幅はプラス符号(または正の値)を有し、最小振幅はマイナス符号(または負の値)を有する。したがって、JRM106の2つの向かい合ったノードを(第1のフィンガにおける)正のrf電圧と(第2のフィンガにおける)負のrf電圧によって励振することができる。これらの信号は、時間とともに交代し得る。しかし、これらの信号は常に互いに逆でなければならない。極性が異なる場合、ディファレンシャル・モードと呼ぶことがある(ここでディファレンシャルとは異符号を意味する)。
これは、超伝導マイクロ波共振器104の場合にも当てはまり得る。前述のように、超伝導マイクロ波共振器は共振器を外部ポート(例えばアイドラ・ポート216)に結合する第1のキャパシタ308と、JRM106をシャントする第2のキャパシタ310とを含み得る。JRM106をシャントするキャパシタ(例えば第2のキャパシタ310)の2つの電極は、逆電圧を有することができ、第2のディファレンシャル・モードを励起することができる。したがって、超伝導SAW共振器102によってJRM106の第1のディファレンシャル・モードがサポートされ、超伝マイクロ波共振器104によってJRM106の第2のディファレンシャル・モードがサポートされる。
また、混合または増幅を行うために、デバイスの動作のためのマイクロ波エネルギーが供給される。混合または増幅あるいはその両方のためのエネルギー源は、ポンプ・ポート218を介して供給される。ポンプ・ポート218は、回路100が動作するためのエネルギーを供給することができる強いコヒーレントな非共振マイクロ波トーンとすることができるマイクロ波信号を供給することができる。一部の実装形態によると、ポンプ・ポート218によって供給されるマイクロ波信号は、回路100において行われる3波混合のエネルギー保存に基づいて決定される定義済みの式を満たす周波数を含み得る。
デバイスによって行われる増幅の一実施例では、第1の信号fが超伝導SAW共振器102の帯域幅内にあり、第2の信号fが超伝導マイクロ波共振器104の帯域幅内にある。また、第2の信号の周波数は第1の信号の周波数より大きくてよい(f>f)。両方の信号を増幅するために、ポンプ・ポート218を介して供給されるポンプ・トーンの周波数は、第1の信号と第2の信号の和(例えば、f+f)である必要がある。電磁信号のエネルギーは、その周波数に比例する。ポンプ(例えばポンプ・ポート218)周波数を和とすることによって、ポンプが分散性の非線形媒体(例えばJRM106)と相互作用する場合、ポンプのエネルギー光子がfにおける第1の組の光子とfにおける第2の組の光子とに分かれるダウンコンバージョン・プロセスが発生し得る。周波数が和である場合、光子はこのように分割し得る。例えば、光子は、低い方の周波数fにおける第1の半分(例えば光子の第1の組)と、高い方の周波数fにおける第2の半分(例えば光子の第2の組)に二分され得る。したがって、ポンプはシグナル・モードおよびアイドラ・モードとエネルギーを交換し、この交換によって両方のモードでもつれ光子が生成されるため、増幅が起こり得る。同様に、非フォノン−光子利得のある変換プロセスは、一方のモードを他方のモード(例えば、光子からフォノンまたはフォノンから光子)に変換することができる。この場合、ポンプ周波数はfとfとの差に等しくなければならない。ここではfの方が大きく、したがって式はf−fとなり得る。
一実装形態によると、混合プロセス(光子−フォノン利得のない変換)では、シグナル周波数のSAW共振器におけるフォノンをアイドラ周波数のマイクロ波共振器におけるマイクロ波光子にアップコンバートすることができる。別の実装形態によると、アイドラ周波数のマイクロ波共振器における光子をシグナル周波数のSAW共振器におけるフォノンにダウンコンバートすることができる。このエネルギー交換は、(例えばポンプ・ポート218を介して供給される)ポンプ・ドライブによって可能にすることができる。したがって、ポンプ光子が放出されるかまたはポンプ光子が吸収されて、このプロセスを促進する。
ポンプ・ポート218に印加されるポンプ信号がない場合、超伝導SAW共振器102と超伝導マイクロ波共振器104とは切り離され(互いに分離され)、超伝導SAW共振器102と超伝導マイクロ波共振器104との情報交換または情報伝達は行われない。ポンプ・ポート218にポンプ信号が印加されると同時にまたはその後で、ポンプ信号は図2に示すようにJRM106のコモン・モードを励起し、超伝導SAW共振器102と超伝導マイクロ波共振器104とが相互作用し、情報が交換される。
一部の実装形態によると、ポンプ・ドライブは、JRM106の向かい合ったノードに容量結合された180度ハイブリッド316のシグマ・ポートを介して供給され、これがJRM106のコモン・モードを励起する。一部の実装形態によると、180度ハイブリッド316はパワー・スプリッタとして動作する。
説明のためであって限定的ではなく、180度ハイブリッドは、4つのポートを含む受動マイクロ波構成要素である。第1のポートを総和ポート318(またはシグマ・ポート)と呼ぶ。総和ポート318に信号が入力された場合、信号は2つの他のポート(例えば、第2のポート320と第3のポート322)に等分される。第2のポート320と第3のポート322から出力される信号は同相を有し得る。したがって、分割された信号の相が等しいため第1のポートを総和ポート318と呼ぶ。ポンプ・ドライブ(例えばポンプ・ポート218)を180度ハイブリッド316の総和ポート318を介して供給することができる。
第4のポートをデルタ・ポート324(または差分ポート)と呼ぶことができる。(図3では50オームで終端されている)180度ハイブリッドのデルタ・ポート324を通して信号が注入された場合、ハイブリッドは信号を2つのポート(例えば第2のポート320と第3のポート322)から出る2つの信号に分割することになるが、分割された信号は180度の位相差を有する。例えば、第1の信号が一方のポート(例えば320)で最大値を有する場合、他方のポート(例えば322)の第2の信号は最小値を有する。ポンプ・ポート218には総和ポート318を介して供給可能である。
第2のポート320から出る第1のリード線326と第3のポート322から出る第2のリード線328も図示されている。第2のポート320および第3のポートで出力される信号は、上述のようにポンプ信号の半分であり、同相を有する。これらの信号は、JRM106の2つの向かい合ったノードに結合することができる小さい結合キャパシタ(例えば第1の結合キャパシタ330と第2の結合キャパシタ332)に至る。一部の実装形態によると、第1の結合キャパシタ330と第2の結合キャパシタ332は、ギャップ・キャパシタと、櫛形キャパシタと、平板キャパシタとを含むキャパシタのグループから選択されたそれぞれのキャパシタとすることができる。平板キャパシタに関しては、誘電材料は単一マイクロ波光子のレベルのきわめて低損失である必要がある。
第1の結合キャパシタ330は、(第1のIDC302を介して)JRM106の第1のノード124に結合することができ、第2の結合キャパシタ332はJRM106の第3のノード128に結合することができる。さらに詳細には、第1のリード線326と第2のリード線328は、JRM106の2つの向かい合ったノードに結合する第1のIDC302のフィンガの2つの異なる組(第1の接点306と第3の接点334に図示されている)に結合することができる。この接続は、JRM106の異なるrf符号ではなく等しい符号により2つの向かい合ったノードが励振されるJRM106のコモン・モードを励起することを可能にする。例えば、2つの向かい合ったノードを正−正信号または負−負信号で励振することができる。
第1のリード線326と第2のリード線328は、180度ハイブリッドのポート(例えば第2のポート320、第3のポート322)と結合キャパシタ(例えば、それぞれ第1の結合キャパシタ330、第2の結合キャパシタ332)との間の長さが等しい(例えば位相整合されている)必要がある接続超伝導線とすることができる。同様に、第1の線132と第2の線134は、JRM106の向かい合ったノードと第1のIDC302の電極との間の長さが等しい(例えば位相整合されている)必要がある接続超伝導線とすることができる。また、第3の線136と第4の線138は、JRM106の向かい合ったノードと第2のキャパシタ310の電極との間の長さが等しい(例えば位相整合されている)必要がある、接続超伝導線とすることができる。また、接続超伝導線は、可能な限り短く、幅広である(例えば直列インダクタンスが小さい)必要がある。
以下では、本明細書で開示されている様々な態様を理解することができるようにさらに技術的解説を示す。様々な圧電基板における音の速度は、光の速度よりも数桁(例えば約5桁、例えば10)遅い可能性がある。
超伝導SAW共振器102の有効長は、Lよりわずかに長くすることができる。これは、ブラッグ・ミラーの反射はミラーの縁端では起こらずブラッグ・ミラーの内部のある程度の侵入深度内で発生するためであり得る。
超伝導SAW共振器102の有効長(Leff)と、圧電基板における音の速度(v)は、以下のようにキャビティ自由スペクトル領域(FSR)を決定し得る。
Figure 2021532629

SAW共振器は、多モード(共振)をサポートする光子キャビティと類似し得る。キャビティ自由スペクトル領域パラメータは、超伝導SAW共振器102によってサポートされる多モード間の周波数間隔を決定し得る。
ブラッグ・ミラー間の間隔が大きいほど、Leffが大きくなり、その結果、SAW共振器モード間の周波数分離が小さくなる。ブラッグ・ミラーは、特定の帯域幅内で反射鏡として作用することができる。ブラッグ・ミラーの帯域幅外のモードは、フォノン・モードが限定されないためSAW共振器によってサポートされない。
FSRとブラッグ・ミラーの帯域幅とに応じて、回路100はSAW共振器の単一モード、数モードまたは多モードにわたって動作することができる。SAW共振器によってサポートされているすべてのモードがJRMに強く結合することになるわけではないことに留意されたい。回路100における3波混合動作は、JRMに強く結合するフォノン・モードにより起こり得る。モードはそのアンチノードがJRMに結合されたIDCフィンガと一致するときに、JRMに強く結合する。
回路100は、無損失であるジョセフソン接合の非線形インダクタンスに依拠するジョセフソン・ミキサなどの3波混合器とすることができる。ジョセフソン・ミキサを使用して、超伝導SAW共振器102によってサポートされているフォノンと光子によって搬送されるマイクロ波信号との混合を可能にすることができる。これは、フォノンをフォノンに、または光子を光子に結合する従来のデバイスとは異なる。したがって、本開示の態様は、結合の顕著な向上をもたらす。例えば、回路100はマイクロ波信号から、低マイクロ波周波数で共振する弾性波への変換を可能にし得る。また、回路100は、非縮退的に増幅することができる。ここで非縮退とは、(1)回路100が、高マイクロ波周波数(例えば12GHz)の1つの周波数と比較的低いもう1つのマイクロ波周波数(例えば1GHz)の、2つの異なる周波数を増幅しており、したがって非縮退は、周波数が異なっており、したがってスペクトル非縮退があることと、(2)マイクロ波信号が、表面弾性波をサポートする超伝導SAW共振器共振器102とは物理的に異なる超伝導マイクロ波共振器104によってサポートされているため、空間非縮退もあることを意味する。したがって、スペクトル非縮退と物理的非縮退がある。非縮退であるパラメトリック増幅のこのプロセスにより、回路100はフォノン・モードを光子モードともつれ状態にすることができ、ここで、もつれとは、2つのモードが互いに強い相関関係にあり、互いから分離不可能な量子特性である。したがって、一方の測定を行えば、他方の状態を判断することができる。したがって、両者はもつれ合い、1つの実体を形成するが、両者は空間において距離によって離隔され得る。
図4を参照すると、システム400が表面弾性波(フォノン)とマイクロ波信号(光子)のためのユニタリ・ジョセフソン・ミキサを含む。システム400は、回路100の構成要素または機能あるいはその両方のうちの1つまたは複数を含むことができ、逆も可能である。
システム400は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402(例えば図1の回路100)を含み得る。通信またはその他のマイクロ波用途で従来から使用されているミキサは、マイクロ波信号を混合することができる。しかし、従来のミキサは、本明細書で説明し、マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402によって容易にされるようにSAW波とマイクロ波信号とを無損失で混合することはない。
マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402は、(回路100の)超伝導SAW共振器102から表面弾性波信号(例えばSAW信号404)を受信することができる。SAW信号404は、第1の周波数で共振可能な1つまたは複数のフォノンを含み得る。また、マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402は、(回路100の)超伝導マイクロ波共振器104からマイクロ波信号406を受信することができる。マイクロ波信号406は、第2の周波数で共振可能な1つまたは複数の光子を含み得る。例えば、SAW信号404をサポートすることができる第1のポート(例えばシグナル・ポート212)と、マイクロ波信号406をサポートすることができる第2のポート(例えばアイドラ・ポート216)が存在し得る。また、第3のポート(例えばポンプ・ポート218)がマイクロ波制御信号408(マイクロ波ドライブ信号とも呼ぶ)をサポートすることができる。
マイクロ波制御信号408は、SAW信号404の第1の周波数fよりも大きい第2の周波数(f)を有し得る、マイクロ波信号406より大きい第3の周波数(f)を有し得る。一実施例では、マイクロ波制御信号408の周波数(f)は、マイクロ波信号406の周波数(f)からSAW信号404の周波数(f)を引いた差の絶対値に等しい値とすることができる。これをf=|f−f|と表すことができる。
マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402は、光子をサポートするSAW信号404と光子によって搬送されるマイクロ波制御信号408との間の無損失マイクロ波ジョセフソン・ミキサとして動作することができる。説明を目的とし、限定を目的とせず、標準マイクロ波ジョセフソン・ミキサ用語に照らすと、SAW信号404の周波数(f)は中間周波数(IF)に該当し、マイクロ波信号周波数(f)は高周波(RF)に該当し、マイクロ波制御信号408(またはドライブ信号)の周波数f=|f−f|は局部発振器(LO)に該当し得る。
超伝導SAW共振器102によって搬送または格納あるいはその両方が行われる量子情報は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402とマイクロ波制御信号408を使用して、超伝導マイクロ波共振器104に対して、または超伝導マイクロ波共振器104から転送することができる。したがって、マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402は、マイクロ波源から受信した(例えばポンプ・ポート218を介して供給される)マイクロ波制御信号408に基づいてSAW信号404とマイクロ波信号406とを混合することができる。
マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402は、マイクロ波制御信号408の第1の周波数に基づいて超伝導SAW共振器102から超伝導マイクロ波共振器104に情報を転送することができる。別の実施例では、マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402は、マイクロ波制御信号408の第2の周波数に基づいて超伝導マイクロ波共振器104から超伝導SAW共振器102に情報を転送することができる。例えば、超伝導SAW共振器102から超伝導マイクロ波共振器104への第1の情報の第1の転送のために、(例えばポンプ・ポート218における)マイクロ波源を第1の周波数で動作させることができる。また、超伝導マイクロ波共振器104から超伝導SAW共振器102への第2の情報の第2の転送のために、マイクロ波源を第2の周波数で動作させることができる。
なお、図4において、信号は超伝導SAW共振器102において入力され、超伝導マイクロ波共振器104から出力される。しかし、デバイスは双方向性とすることもでき、信号は超伝導マイクロ波共振器104において入力され、超伝導SAW共振器102において出力されてもよい。ポンプ周波数は両方の場合で同じである。
一部の実装形態によると、マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402を、超伝導SAW共振器102を超伝導マイクロ波共振器104に接続するか、または超伝導マイクロ波共振器104から切断するかあるいはその両方を行うスイッチとして使用することができる。接続または切断あるいはその両方は、マイクロ波制御信号408の有無に基づくことができる。例えば、マイクロ波制御信号408がない場合、超伝導SAW共振器102と超伝導マイクロ波共振器104とは接続されない(例えば、共振器間で情報の転送が行われない)。しかし、マイクロ波制御信号408がある場合、マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402が超伝導SAW共振器102と超伝導マイクロ波共振器104との間の情報の転送を促進することができる。
また、マイクロ波制御信号408の振幅を、マイクロ波制御信号408を発生するマイクロ波源によって変更することができる。マイクロ波制御信号408の振幅は、2つの共振器/モードの間で量子情報の全部または一部のいずれを転送する(変換する)のかを決定することができる。したがって、マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402によってマイクロ波制御信号408の周波数を使用して、情報を交換または変換するモードを選択することができる。また、マイクロ波ジョセフソン・ミキサ402は、転送される量子信号(情報)のエネルギーとコヒーレンスを保存することができる。
図5を参照すると、システム500が表面弾性波とマイクロ波信号との間の無損失周波数変換器を含む。システム500は、回路100、システム400の構成要素または機能あるいはその組合せのうちの1つまたは複数を含むことができ、その逆も可能である。
図のように、システム500は、超伝導SAW共振器102と、超伝導マイクロ波共振器104と、JRM106とを含み得る。この動作モードでは、(ポンプ・ポート218における)マイクロ波制御信号408の振幅が、超伝導SAW共振器102と超伝導マイクロ波共振器104との間の量子情報の完全変換を可能にし得る。この動作モードに加えて、信号搬送波のマイクロ波周波数を(デバイスの入力信号がSAW信号404であるかマイクロ波反射信号508であるかにそれぞれ応じて)アップコンバートまたはダウンコンバートすることができる。
さらに詳細には、約0.5GHzから約5GHzまでの範囲の伝播高周波(RF)信号を超伝導SAW共振器102におけるフォノン・モードにマッピングすることができる。マイクロ波制御信号408の印加によりフォノン・モードを超伝導マイクロ波共振器104にアップコンバートすることができ、それによって無損失3波混合相互作用を生じさせることができる。アップコンバートされたマイクロ波信号は、超伝導マイクロ波共振器を出ると伝播可能となる。システム500において周波数変換器502(例えば図1の回路100)で、SAW反射信号506で示すように逆のプロセスも行うことができる。したがって、信号の周波数をfからfに、またはfからfに変換することができる。
ポンプ信号(例えばマイクロ波制御信号408)を使用して変換を促進することができる。例えば、SAW信号404は、超伝導SAW共振器102におけるフォノン・モードに対応付け可能な伝送線504を伝播することができる。したがって、周波数変換器は、超伝導SAW共振器102から、第1の周波数で共振する1つまたは複数のフォノンを含み得るSAW信号404を受信することができる。
SAW信号404は、JRM106において3波混合されることができる。この3波混合を促進するために、周波数変換器502はマイクロ波制御信号408を受信することができる。
3波混合の時点で、またはその後で、JRM106はSAW信号404をマイクロ波信号406にアップコンバートすることができる。アップコンバートされた信号は、アイドラ・ポート216から出ることができ、伝送線504を伝播することができる。例えば、周波数変換器502は、マイクロ波源から受信したポンプ信号(例えばマイクロ波制御信号408)に基づいて、超伝導SAW共振器102の第1の情報と超伝導マイクロ波共振器104の第2の情報の間で無損失周波数変換を実施することができる。逆のプロセスも同様に動作する。
マイクロ波制御信号408周波数(f)は、マイクロ波信号406の周波数(f)からSAW信号404の周波数(f)を引いた差の絶対値に等しい値とすることができる。これをf=|f−f|と表すことができる。したがって、マイクロ波制御信号周波数の第1の値は、超伝導マイクロ波共振器104と超伝導SAW共振器102の共振周波数の周波数差の絶対値に等しい値とすることができる。
一部の態様によると、無損失周波数変換の実施は、伝播する高周波信号を超伝導SAW共振器102におけるフォノン・モードにマッピングすることを含み得る。これらの態様に加えて、周波数変換器502は、定義済み周波数のマイクロ波制御信号周波数(例えばマイクロ波制御信号408)の印加により、フォノン・モードを超伝導マイクロ波共振器104における光子モードにアップコンバートすることができる。フォノン・モードのアップコンバージョンは、無損失3波混合相互作用によって促進される。また、アップコンバートされたマイクロ波信号は超伝導マイクロ波共振器104を出ると伝播することができる。
一態様によると、無損失周波数変換の実装は、伝播高周波信号を超伝導マイクロ波共振器104における光子モードにマッピングすることを含み得る。これらの態様に加えて、周波数変換器502は、定義済み周波数のマイクロ波制御信号408の印加により、光子モードを超伝導SAW共振器102におけるフォノン・モードにダウンコンバートすることができる。光子信号のダウンコンバージョンは、無損失3波混合相互作用によって促進され得る。また、ダウンロードされた表面弾性波信号は、超伝導SAW共振器102を出ると伝播することができる。
一部の実装形態によると、周波数変換器502は、マイクロ波制御信号408の周波数に基づいて超伝導SAW共振器102から超伝導マイクロ波共振器104に情報を転送することができる。これに加えて、またはこれに代えて、周波数変換器502は、マイクロ波制御信号の周波数に基づいて超伝導マイクロ波共振器から超伝導表面弾性波共振器に情報(例えば量子情報)を転送することができる。
システム500(および本明細書に記載のその他のシステム)における変換プロセスは、部分的変換とすることができる。したがって、情報の第1の組を変換することができる一方、情報の第2の組を保持し、それぞれの入射ポートに反射し戻すことができる。また、情報の一部を、(例えばJRM106とマイクロ波制御信号408の有無とによって実装された)スイッチを使用して変換することができ、その際、いずれのSAWモードがセレクタまたはスイッチあるいはその両方としてのマイクロ波信号に結合されるかは周波数によって決まる。スイッチの場合、ポンプ信号がない場合には変換が行われない。
図6を参照すると、システム600が、表面弾性波とマイクロ波信号のための非縮退パラメトリック・ジョセフソン増幅器を含む。システム600は、回路100、システム400、システム500のうちの構成要素または機能あるいはその両方のうちの1つまたは複数を含むことができ、逆も可能である。
システム600は、低周波数マイクロ波信号と高周波数マイクロ波信号のための位相保存量子限界増幅器として機能することができるジョセフソン・パラメトリック増幅器602を含み得る。2つのポート(例えばシグナル・ポート212とアイドラ・ポート216)に入る入射マイクロ波信号の2つの直交成分を量子限界で増幅することができる。増幅された出射信号は、増幅SAW信号605と増幅マイクロ波信号606とを含み得る。増幅された出射信号は、同じポートで反射する同一周波数信号と、他方のポートに送信される周波数変換信号とを含み得る。入射信号は小さい矢印(例えば弱い信号)として表され、出射信号は、増幅を示すためにより大きい矢印として表されている。マイクロ波信号と他のパラメトリック信号は、2つの直交成分、すなわち信号の振幅と信号の位相によって規定され得る。
より詳細には、伝播高周波信号とマイクロ波信号とがそれぞれ、超伝導SAW共振器102のフォノン・モードのうちの少なくとも1つと超伝導マイクロ波共振器104のマイクロ波モードのうちの少なくとも1つにマッピングされ得る。一部の実装形態によると、フォノン・モードとマイクロ波モードは基本モードであり得るが、開示の態様は基本モードには限定されず、他のモードも使用可能である。フォノン・モードとマイクロ波モードは、無損失3波混合相互作用を生じさせるマイクロ波ドライブ信号の印加によって量子限界で増幅することができ、反射(例えば同一周波数)および送信(例えば異なる周波数)増幅高周波/マイクロ波信号にマッピングし戻すことができる。
システム600の増幅は非縮退である。したがって、2つのモードは2つの異なる周波数を有することができ、2つの異なるポートを有することができる。システム600によって生じさせた増幅は、マイクロ波信号の位相を保存することができる。したがって、システム600は、マイクロ波場の両方の直交成分を同一量または類似した量だけ増幅することができる。例えば、一方の直交成分が100倍に増幅される場合、他方の直交成分も100倍に増幅される。
一部の実装形態によると、ジョセフソン・パラメトリック増幅器602は第1のポート(例えばシグナル・ポート212)に入るSAW信号404の第1の直交成分と、第2のポート(例えばアイドラ・ポート216)に入るマイクロ波信号406の第2の直交成分を増幅することができる。第1の直交成分は、第1の振幅と第1の位相を含み、第2の直交成分は第2の振幅と第2の位相を含み得る。また、第1の増幅信号は出力ポートから出力することができる。第1の増幅信号は第1の反射信号と第1の送信信号とを含み、第2の増幅信号は第2の反射信号と第2の送信信号とを含む。増幅は、定義済み増幅利得での表面弾性波信号の第1の直交成分とマイクロ波信号の第2の直交成分の増幅を含み得る。
例えば、第1の反射信号は第1のポートで反射する第1の同一周波数信号を含むことができ、第1の送信信号は第2のポートに送信される第1の周波数変換信号を含むことができる。また、第2の反射信号は第2のポートで反射する第2の同一周波数信号を含むことができ、第2の送信信号は第1のポートに送信される第2の周波数変換信号を含むことができる。
図7を参照すると、システム700がフォノン・モードのエンタングラを含む。システム700は、回路100、システム400、システム500、システム600の構成要素または機能あるいはその両方のうちの1つまたは複数を含むことができ、逆も可能である。
システム700は、フォノン・モードと光子モードとのもつれを生じさせることができるエンタングルメント構成要素702を含み得る。システム700は、超伝導SAW共振器102に容量結合された第1の超伝導キュービット704と、超伝導マイクロ波共振器104に容量結合された第2の超伝導キュービット706も含み得る。また、JRM106を超伝導SAW共振器102と超伝導マイクロ波共振器104とに結合することができる。また、システム700には(例えば、ポンプ・ポート218を介して供給される)ポンプ・ドライブを、第1の結合キャパシタ330と第2の結合キャパシタ332とを介してJRM106の2つの隣接するノードに動作可能に結合することができる。
一実装形態によると、ポンプ・ポート218が、第1の周波数を含む入力信号をJRM106に入力することができる。第1の超伝導キュービット704は、超伝導SAW共振器102を介してエンタングルメント構成要素702に動作可能に結合することができ、第2の超伝導キュービット706は、超伝導マイクロ波共振器104を介してエンタングルメント構成要素702に動作可能に結合することができる。また、エンタングルメント構成要素702は、超伝導SAW共振器102の第2の周波数と超伝導マイクロ波共振器104の第3の周波数を含むもつれ信号を含む出力信号を出力することができる。一部の実装形態によると、エンタングルメント構成要素702は、超伝導SAW共振器102によって出力された表面弾性波(例えば増幅SAW信号604)の1つまたは複数のフォノンと、超伝導マイクロ波共振器104によって出力された1つまたは複数のマイクロ波光子(例えば増幅マイクロ波信号606)とのもつれ信号を生成することができる。
エンタングルメント構成要素702を非縮退増幅器として動作させる場合、超伝導SAW共振器102によってサポートされるSAW信号のフォノンと、超伝導マイクロ波共振器104によってサポートされるマイクロ波光子との間でもつれを生じさせることができる。例えば、このもつれは、エンタングルメント構成要素702に容量結合された超伝導キュービットのもつれ状態を生じさせるために使用することができる。なお、実際にはキュービットはエンタングルメント構成要素702に直接接続されないことに留意されたい。そうではなく、キュービットはマイクロ波読み出し共振器に結合され、マイクロ波読み出し共振器がエンタングルメント構成要素702に結合される。
一部の実装形態によると、パラメトリック増幅によってもつれを生じさせることができる。もつれは、反射信号が単に増幅された入射信号ではなく、入力信号のもつれ信号である場合に起こり得る。例えば、もつれ信号は、他方のポートから入来する何らかの情報を含み得る。なお、信号は単純に利得をもって反射されるかまたは増幅されて反射されるわけではないことに留意されたい。3波混合が行われるため、信号の一部が反射され、別の一部は周波数変換もされて他方のポートに送信される。例えば、出力マイクロ波信号は、単に増幅された入力マイクロ波信号ではなく、増幅され、周波数がアップコンバートされたSAW信号の部分も有する。したがって、出力マイクロ波信号は、アイドラ・ポート216を介した反射入射マイクロ波信号と、シグナル・ポート212を介して入射する周波数変換送信SAW信号との混合とすることができる。したがって、出力マイクロ波信号は、2つの入力信号の一部を含む情報を搬送することができる。
図のように、エンタングルメント構成要素702に結合された第1の超伝導キュービット704および第2の超伝導キュービット706として示されている1つまたは複数のキュービットが存在し得る。なお、簡単にするために、第1の超伝導キュービット704とエンタングルメント構成要素702との間、および、第2の超伝導キュービット706とエンタングルメント構成要素702との間の保護要素(例えばキュービットを増幅信号から保護する構成要素)は図示されていない(マイクロ波サーキュレータおよびアイソレータなど)ことに留意されたい。ポンプ周波数fは2つの周波数の和である。したがって、第1の超伝導キュービット704の情報を第2の超伝導キュービット706の情報ともつれ状態にすることができる。したがって、第1の超伝導キュービット704と第2の超伝導キュービット706を有効にもつれ合わせることができる。
例えば、第1の超伝導キュービット704で第1の測定を行うことができ、第2の超伝導キュービット706で第2の測定を行うことができる。第1の測定値と第2の測定値は、エンタングルメント構成要素702に入り、出力で増幅される。したがって、第1の測定と第2の測定の合同測定を行うことができる。合同測定は、第1の超伝導キュービット704と第2の超伝導キュービット706とのもつれを生じさせる。この構成では、第1の超伝導キュービット704を多モードと強く結合させることができ、一方、第2の超伝導キュービット706を単一モードに結合することができる。
図8は、表面弾性波(フォノン)とマイクロ波信号(光子)とを混合する例示の非限定的方法800を示す流れ図である。
方法800の802で、低周波数で共振可能な1つまたは複数のフォノンを含む表面弾性波信号(例えばSAW信号404)を(例えばマイクロ波ジョセフソン・ミキサ402により)受信することができる。表面弾性波信号は、デバイス(例えば回路100)の超伝導表面弾性波共振器(例えば超伝導SAW共振器102)から受信することができる。例えば、量子システムから入来する外部信号がデバイス・ポートに入り、マイクロ波共振器とSAW共振器においてフォノン・モードと光子モードとにマッピングされ得る。
また、方法800の804で、第2の周波数で共振可能な1つまたは複数の光子を含むマイクロ波信号(例えばマイクロ波信号406)を(例えばマイクロ波ジョセフソン・ミキサ402により)受信することができる。マイクロ波信号は、超伝導マイクロ波共振器(例えば超伝導マイクロ波共振器104)から受信することができる。
方法800の806で、表面弾性波信号とマイクロ波信号とを(例えばマイクロ波ジョセフソン・ミキサ402により)混合することができる。混合は、(例えばポンプ・ポート218から供給される)マイクロ波源から受信したマイクロ波制御信号(例えばマイクロ波制御信号408)に基づくことができる。一部の実装形態によると、表面弾性波信号とマイクロ波信号との混合は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサとマイクロ波制御信号によって、表面弾性波信号またはマイクロ波信号あるいはその両方によって搬送された量子情報を保存することを含み得る。したがって、量子システムから入来する外部信号は、デバイス・ポートに入り、マイクロ波共振器とSAW共振器においてフォノン・モードと光子モードにマッピングされる。
方法800は、超伝導表面弾性波共振器の低マイクロ波周波数と超伝導マイクロ波共振器の高マイクロ波周波数との間で無散逸3波混合および増幅を行うことができる。また、表面弾性波信号によって搬送された量子情報をマイクロ波信号に、またはその逆に、ユニタリに変換することができる(例えば量子信号のエネルギーおよび位相コヒーレンスが保存される)。また、この量子動作は、デバイスによって受信される別個のマイクロ波制御信号(ポンプと呼ぶ)によって制御され、可能にされ得る。
図9は、マイクロ波制御信号の周波数に基づく表面弾性波とマイクロ波信号との混合方法900を示す流れ図である。
方法900の902で、表面弾性波信号(例えばSAW信号404)とマイクロ波信号(例えばマイクロ波信号406)とを(例えばマイクロ波ジョセフソン・ミキサ402によって)混合することができる。例えば、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによる混合は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサに動作可能に結合された(例えばポンプ・ポート218を介して供給される)マイクロ源から受信したマイクロ波制御信号(例えばマイクロ波制御信号408)に基づくことができる。
ポンプ・ドライブは、マイクロ波信号とSAW信号との周波数差で印加することができる。例えば、方法900の904で、超伝導表面弾性波共振器(例えば超伝導SAW共振器102)から超伝導マイクロ波共振器(例えば超伝導マイクロ波共振器104)に第1の量子情報を転送することができ、超伝導マイクロ波共振器から超伝導表面弾性波共振器に第2の量子情報を転送することができる。第1の量子情報と第2の情報の転送は、マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって受信されたマイクロ波制御信号によって可能にすることができる。したがって、双方向(例えば超伝導表面弾性波から超伝導マイクロ波共振器と、超伝導マイクロ波共振器から超伝導表面弾性波)で同じ量の情報を変換するために、同一のポンプ周波数および振幅を印加することができる。
図10は、マイクロ波制御信号の周波数と振幅とに基づいて表面弾性波とマイクロ波信号とを混合するために使用されるスイッチの動作の方法1000を示す流れ図である。
方法1000の1002で、超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との接続を(例えばマイクロ波ジョセフソン・ミキサ402またはJRM106により)切断することができる。切断は、表面弾性波信号とマイクロ波信号との混合を停止させるとの第1の判断に基づくことができる。したがって、超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との通信が切断される。
また、方法1000の1004で、(例えばマイクロ波ジョセフソン・ミキサ402またはJRM106によって)超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との接続を再有効化することができる。接続の再有効化は、表面弾性波信号とマイクロ波信号との混合を再開させるとの第2の判断に基づくことができる。したがって、超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との通信が可能にされる(または接続される)。
図11は、マイクロ波信号の振幅に基づいて表面弾性波とマイクロ波信号とを混合する方法1100を示す流れ図である。
方法1100の1102で、表面弾性波信号(例えばSAW信号404)とマイクロ波信号(例えばマイクロ波信号406)とを(例えばマイクロ波ジョセフソン・ミキサ402により)受信することができる。方法1100の1104で、(例えばマイクロ波ジョセフソン・ミキサ402により)表面弾性波信号とマイクロ波信号とを混合することができる。混合は、(例えばポンプ・ポート218を介して供給される)マイクロ波源から受信したマイクロ波制御信号(例えばマイクロ波制御信号408)に基づくことができる。
また、方法1100の1106で、マイクロ波制御信号の第1の振幅に基づいて、(例えばマイクロ波ジョセフソン・ミキサ402により)超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との間で量子情報の第1の部分を転送することができる。方法1100の1108で、マイクロ波制御信号の第2の振幅に基づいて、(例えばマイクロ波ジョセフソン・ミキサ402により)超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との間で量子情報の第2の部分を転送することができる。例えば、超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との間で情報の第1の部分を転送するために第1の振幅を使用することができる。超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器との間で情報の第2の部分を転送するために第2の振幅を使用することができる。
図12は、表面弾性波とマイクロ波信号との間の無損失周波数変換の方法1200を示す流れ図である。
方法1200の1202で、表面弾性波信号(例えばSAW信号404)を(例えば周波数変換器502により)受信することができる。また、方法1200の1204でマイクロ波信号(例えばマイクロ波信号406)を(例えば周波数変換器502により)受信することができる。方法1200の1206で、(例えば周波数変換器502により)マイクロ波源から受信したポンプ信号に基づいて、超伝導表面弾性波共振器の第1の情報と超伝導マイクロ波共振器の第2の情報の間で無損失周波数変換を実施することができる。
一部の実装形態によると、周波数変換器が、マイクロ波制御信号の周波数と振幅とに基づいて超伝導表面弾性波共振器から超伝導マイクロ波共振器に、およびその逆に、量子情報を転送することができる。
図13は、表面弾性波信号とマイクロ波信号との間でアップコンバージョンを行う方法1300を示す流れ図である。
1302で、伝播高周波信号を(例えば周波数変換器502により)超伝導表面弾性波共振器におけるフォノン・モードにマッピングすることができる。また、1304で、(例えば周波数変換器502により)マイクロ波源のマイクロ波制御信号の印加により、フォノン・モードを超伝導マイクロ波共振器における光子モードにアップコンバートすることができる。光子モードのアップコンバージョンは、無損失3波混合相互作用によって可能にされる。アップコンバートされたマイクロ波信号は、超伝導マイクロ波共振器を出ると伝播することができる。一部の実装形態によると、マイクロ波制御信号の周波数は、超伝導マイクロ波共振器の共振周波数からSAW共振器の共振周波数を引いた差の絶対値に等しい値とすることができる。
図14は、表面弾性波信号とマイクロ波信号との間でダウンコンバージョンを行う方法1400を示す流れ図である。
方法1400の1402で、伝播マイクロ波周波数信号を(例えば周波数変換器502により)超伝導マイクロ波共振器における光子モードにマッピングすることができる。方法1400の1404で、(例えば周波数変換器502により)マイクロ波源のマイクロ波信号の印加によって光子モードを超伝導表面弾性波共振器におけるフォノン・モードにダウンコンバートすることができる。光子モードのダウンコンバージョンは、無損失3波混合相互作用によって可能にされる。また、ダウンコンバートされた表面弾性波信号は、超伝導SAW共振器を出ると伝播する。
図15は、表面弾性波とマイクロ波信号の非縮退パラメトリック増幅を行う方法1500を示す流れ図である。
方法1500の1502で、デバイスの第1のポートに入る表面弾性波信号の第1の直交成分と、デバイスの第2のポートに入るマイクロ波信号の第2の直交成分とを(例えばジョセフソン・パラメトリック増幅器602により)増幅することができる。一実施例では、増幅は、(例えば、超伝導デバイスにマイクロ波制御信号が印加されていないときに雑音またはある基準を基準として測定された)定義済み振幅利得値で表面弾性波信号の第1の直交成分とマイクロ波信号の第2の直交成分とを増幅することを含み得る。
また、1504で、方法1500は、(例えばジョセフソン・パラメトリック増幅器602により)第1の出力ポートを介して、第1の出力信号と周波数変換が施された第1の送信信号とを含む第1の増幅信号を出力し、第2の出力ポートを介して、第2の出力信号と周波数変換が施された第2の送信信号とを含む第2の増幅信号を出力することができる。一部の実装形態によると、第1の出力信号は、第1のポートで反射する第1の同一周波数信号を含むことができ、第1の送信信号は、第2のポートから第1のポートに送信される第1の周波数変換信号を含むことができる。また、第2の出力信号は、第2のポートで反射する第2の同一周波数信号を含むことができ、第2の送信信号は、第1のポートから第2のポートに送信される第2の周波数変換信号を含むことができる。
図16に、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、量子回路のフォノン・モードと光子モードとのもつれ状態を生じさせる例示の非限定的方法1600の流れ図を示す。簡潔にするために、本明細書に記載の他の実施形態で採用されている同様の要素の繰り返しの説明は省く。
1602で、第1の周波数を含む第1の入力信号を(例えばエンタングルメント構成要素702を介して)超伝導表面弾性波共振器に入力することができる。1604で、第2の周波数を含む第2の入力信号を超伝導マイクロ波共振器に入力することができる。
また、方法1600の1606で、超伝導マイクロ波およびSAW共振器に入る入力場(または入力信号)の増幅された重なり合いを含むもつれ信号を含む出力信号を(例えばエンタングルメント構成要素702により)出力することができる。例えば、入力場(または入力信号)は第1の入力信号および第2の入力信号とすることができる。この方法は、超伝導表面弾性波共振器によって出力された表面弾性波の1つまたは複数のフォノンと超伝導マイクロ波共振器によって出力された1つまたは複数のマイクロ波光子とのもつれ信号を生成することを含み得る。
超伝導表面弾性波共振器を介してエンタングルメント構成要素に第1のキュービットを動作可能に結合することができる。また、超伝導マイクロ波共振器を介してエンタングルメント構成要素に第2のキュービットを動作可能に結合することができる。一部の実装形態では、第1のキュービットを2つ以上のモードに動作可能に結合することができる。また、これらの実装形態に対して、第2のキュービットを単一モードに動作可能に結合することができる。もつれ信号は、フォノン・モードと光子モードとのもつれを含み得る。一部の実装形態によると、もつれ信号は、超伝導マイクロ波共振器と超伝導表面弾性波共振器とに入る入力信号の増幅された重なり合いを含み得る。
説明を簡単にするために、方法を一連の動作として図示し、説明している。主題の新技術は示されている動作によって、または動作の順序によって、あるいはその両方によって限定されず、例えば、動作は様々な順序で、または同時にあるいはその両方により、また、本明細書で提示および記載されていない他の動作とともに行われ得ることを理解し、認識されたい。また、開示されている主題により方法を実装するために、示されているすべての動作が必要ではない場合がある。さらに、これらの方法は、状態図またはイベントにより一連の相互に関係した状態として表すこともできることを当業者は理解でき、認識するであろう。さらに、以下および本明細書全体を通して開示されている方法は、そのような方法をコンピュータに移送し、転送することを容易にするために製造品に記憶することができることも理解されたい。本明細書で使用する製造品という用語は、任意のコンピュータ可読デバイスまたは記憶媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラムを包含することが意図されている。
本発明の好ましい実施形態は、ジョセフソン・パラメトリック増幅器によって、デバイスの第1のポートに入る表面弾性波信号の第1の直交成分と、デバイスの第2のポートに入るマイクロ波信号の第2の直交成分とを増幅することと、ジョセフソン・パラメトリック増幅器によって、第1の出力ポートを介して、第1の出力信号と周波数変換が施された第1の送信信号とを含む第1の増幅信号を出力し、第2の出力ポートを介して、第2の出力信号と周波数変換が施された第2の送信信号とを含む第2の増幅信号を出力することとを含む方法も含む。
好ましくは、第1の出力信号は、第1のポートで反射する第1の同一周波数信号を含み、第1の送信信号は、第2のポートから第1のポートに送信される第1の周波数変換信号を含み、第2の出力信号は、第2のポートで反射する第2の同一周波数信号を含み、第2の送信信号は、第1のポートから第2のポートに送信される第2の周波数変換信号を含む。
好ましくは、増幅は、ジョセフソン・パラメトリック増幅器によって、表面弾性波信号の第1の直交成分とマイクロ波信号の第2の直交成分とを定義済み振幅利得値で増幅することを含む。
本発明の好ましい実施形態は、超伝導表面弾性波共振器を介して第1のキュービットが動作可能に結合されたエンタングルメント構成要素によって、第1の周波数を含む第1の入力信号を超伝導表面弾性波共振器に入力することと、超伝導マイクロ波共振器を介して第2のキュービットが動作可能に結合されたエンタングルメント構成要素によって、第2の周波数を含む第2の入力信号を超伝導マイクロ波共振器に入力することと、エンタングルメント構成要素によって、超伝導表面弾性波共振器と超伝導マイクロ波共振器とに入る入力場の増幅された重なり合いを含むもつれ信号を含む出力信号を出力することとを含む方法を含む。
好ましくは、この方法は、エンタングルメント構成要素によって、超伝導表面弾性波共振器によって出力された表面弾性波の1つまたは複数のフォノンと超伝導マイクロ波共振器によって出力された1つまたは複数のマイクロ波光子とのもつれ信号を生成することも含む。
好ましくは、もつれ信号はフォノン・モードと光子モードとのもつれを含む。
好ましくは、もつれ信号は、超伝導マイクロ波共振器と超伝導表面弾性波共振器とに入る入力信号の増幅された重ね合わせを含む。
上記で説明した内容は単なる例を含むに過ぎない。当然ながら、本発明について説明する目的で構成要素または方法のあらゆる考えられる組合せを説明することは不可能であるが、当業者には、本発明の多くの他の組合せおよび置換が可能であることがわかる。また、「含んでいる(includes)」、「有している(has)」、「保有している(possesses)」などの用語が本明細書、特許請求の範囲、付属書、および図面において使用されている限りにおいて、それらの用語は、「含む(comprising)」という用語が特許請求の範囲における移行語として採用されるときの「含む(comprising)」と同様に包含的であることが意図されている。本発明の様々な実施形態の説明を例示を目的として示したが、網羅的であること、または開示されている本発明の実施形態に限定することは意図されていない。本発明の範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。本明細書で使用されている用語は、本発明の実施形態の原理を最もよく説明するため、または実際の適用または市場に見られる技術をしのぐ技術的改良を最もよく説明するため、または本明細書で開示されている本発明の実施形態を当業者が理解することができるようにするために選定されている。

Claims (14)

  1. 周波数変換器において、超伝導表面弾性波共振器から、第1の周波数で共振する1つまたは複数のフォノンを含む表面弾性波信号を受信することと、
    前記周波数変換器において、超伝導マイクロ波共振器から、第2の周波数で共振する1つまたは複数の光子を含むマイクロ波信号を受信することと、
    前記周波数変換器によって、マイクロ波源から受信したポンプ信号に基づいて前記超伝導表面弾性波共振器の第1の情報と前記超伝導マイクロ波共振器の第2の情報との間で無損失周波数変換を実施することとを含む、方法。
  2. 前記無損失周波数変換を前記実施することは、
    前記周波数変換器によって、伝播高周波信号を前記超伝導表面弾性波共振器におけるフォノン・モードにマッピングすることと、
    前記周波数変換器によって、定義済み周波数のマイクロ波制御信号の印加により前記フォノン・モードを前記超伝導マイクロ波共振器における光子モードにアップコンバートすることとを含み、前記フォノン・モードの前記アップコンバージョンは無損失3波混合相互作用によって可能にされ、アップコンバートされたマイクロ波信号は前記超伝導マイクロ波共振器を出ると伝播する、請求項1に記載の方法。
  3. マイクロ波制御信号周波数の第1の値が前記超伝導マイクロ波共振器と前記超伝導表面弾性波共振器の共振周波数の周波数差の絶対値に等しい、請求項3に記載の方法。
  4. 前記無損失周波数変換を前記実施することが、
    前記周波数変換器によって、伝播マイクロ波周波数信号を前記超伝導マイクロ波共振器における光子モードにマッピングすることと、
    前記周波数変調器によって、定義済み周波数のマイクロ波制御信号の印加により前記光子モードを前記超伝表面導弾性表面波共振器におけるフォノン・モードにダウンコンバートすることとを含み、前記光子モードの前記ダウンコンバージョンは無損失3波混合相互作用によって可能にされ、ダウンコンバートされた表面弾性波信号は前記超伝導表面弾性波共振器を出ると伝播する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記周波数変換器によって、マイクロ波制御信号の周波数と振幅とに基づいて、前記超伝導表面弾性表面波共振器と前記超伝導マイクロ波共振器との間で情報を転送することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記周波数変換器がマイクロ波ジョセフソン・ミキサであり、前記方法は、
    前記マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、前記マイクロ波ジョセフソン・ミキサに動作可能に結合された前記マイクロ波源から受信したマイクロ波制御信号に基づいて前記表面弾性波信号と前記マイクロ波信号とを混合することを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、前記マイクロ波信号と前記表面弾性波信号との周波数差で印加されたポンプ・ドライブの印加に基づいて、前記超伝導表面弾性波共振器と前記超伝導マイクロ波共振器との間で量子情報を転送することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記マイクロ波制御信号に基づいて、前記超伝導表面弾性波共振器から前記超伝導マイクロ波共振器に第1の量子情報を転送し、前記超伝導マイクロ波共振器から前記超伝導表面弾性波共振器に第2の量子情報を転送することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
  9. 前記マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、前記表面弾性波信号と前記マイクロ波信号との前記混合を停止させるとの判断に基づいて前記超伝導表面弾性波共振器と前記超伝導マイクロ波共振器との接続を切断することと、
    前記マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、前記表面弾性波信号と前記マイクロ波信号との前記混合を再開させるとの判断に基づいて前記超伝導表面弾性波共振器と前記超伝導マイクロ波共振器との前記接続を再有効化することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、前記マイクロ波制御信号の第1のパワーに基づいて前記超伝導表面弾性波共振器と前記超伝導マイクロ波共振器との間で量子情報の第1の部分を転送することと、
    前記マイクロ波ジョセフソン・ミキサによって、前記マイクロ波制御信号の第2のパワーに基づいて前記超伝導表面弾性波共振器と前記超伝導マイクロ波共振器との間で量子情報の第2の部分を転送することとをさらに含む、請求項8に記載の方法。
  11. 前記表面弾性波信号と前記マイクロ波信号との前記混合は、
    前記表面弾性波信号によって搬送された情報を前記マイクロ波信号にユニタリに変換することを含む、請求項8に記載の方法。
  12. 前記表面弾性波信号と前記マイクロ波信号との前記混合は、前記マイクロ波信号によって搬送された情報を前記表面弾性波信号にユニタリに変換することを含む、請求項8に記載の方法。
  13. 超伝導表面弾性波共振器に容量結合された第1の超伝導キュービットと、
    超伝導マイクロ波共振器に容量結合された第2の超伝導キュービットと、
    前記超伝導表面弾性波共振器と前記超伝導マイクロ波共振器とに結合されたジョセフソン・リング変調器とを含む、超伝導デバイス。
  14. 第1の結合キャパシタと第2の結合キャパシタとを介して前記ジョセフソン・リング変調器の2つの隣接したノードに動作可能に結合されたポンプ・ドライブをさらに含む、請求項13に記載の超伝導デバイス。
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