JP2021530519A - Brag2阻害剤とその適用 - Google Patents

Brag2阻害剤とその適用 Download PDF

Info

Publication number
JP2021530519A
JP2021530519A JP2021502501A JP2021502501A JP2021530519A JP 2021530519 A JP2021530519 A JP 2021530519A JP 2021502501 A JP2021502501 A JP 2021502501A JP 2021502501 A JP2021502501 A JP 2021502501A JP 2021530519 A JP2021530519 A JP 2021530519A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brag2
molecule
group
alkyl
membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021502501A
Other languages
English (en)
Inventor
ゼグーフ マエル
ロドリゲス ラファエル
シェフィス ジャクリーヌ
ナウロテック アガタ
ベナブディ サラ
ニヨムチョン スパポルン
Original Assignee
サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク filed Critical サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク
Publication of JP2021530519A publication Critical patent/JP2021530519A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/335Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin
    • A61K31/35Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin having six-membered rings with one oxygen as the only ring hetero atom
    • A61K31/352Heterocyclic compounds having oxygen as the only ring hetero atom, e.g. fungichromin having six-membered rings with one oxygen as the only ring hetero atom condensed with carbocyclic rings, e.g. methantheline 
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D311/00Heterocyclic compounds containing six-membered rings having one oxygen atom as the only hetero atom, condensed with other rings
    • C07D311/02Heterocyclic compounds containing six-membered rings having one oxygen atom as the only hetero atom, condensed with other rings ortho- or peri-condensed with carbocyclic rings or ring systems
    • C07D311/04Benzo[b]pyrans, not hydrogenated in the carbocyclic ring
    • C07D311/22Benzo[b]pyrans, not hydrogenated in the carbocyclic ring with oxygen or sulfur atoms directly attached in position 4
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K45/00Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • A61K45/06Mixtures of active ingredients without chemical characterisation, e.g. antiphlogistics and cardiaca

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

本発明は、以下の化学構造(I):を有する分子に関する。本発明は、特にBRAG2阻害剤として活性な分子とその適用に関する。特に、本発明は、癌又は血管新生の処置におけるBRAG2阻害剤に関する。

Description

本発明は、特にBRAG2阻害剤として活性な分子とその適用に関する。特に、本発明は、癌又は血管新生の治療におけるBRAG2阻害剤に関する。
従来技術
細胞は、シグナルを受け取り、そして情報を伝達する、膜の表面における動的なシグナル伝達複合体を組み立てることによって、それらの環境の変化に応答する。斯かるシグナル伝達プラットフォームは、それらの調整に影響する突然変異のためか、又はそれらが病理学的な経路によって使用されるためのいずれかにより、疾患によって機能不全になることが多い。これにより、それらの活性を調節する薬物は非常に需要が高いが、シグナル伝達ノードは、(通常、大きい立体構造の変化、それらの広範なタンパク質−タンパク質境界面及びそれらの多様なタンパク質−脂質相互作用に関与する)それらの構造的柔軟性のため、依然として従来の拮抗阻害剤による挑戦的な標的であった。その結果、現在の薬物開発の試みは、膜結合シグナル伝達複合体の構造的特徴を使用した新規戦略を開発することである。
低分子量GTPアーゼとそれらの調節因子は、病状に関与する表在性膜タンパク質のカテゴリに属する。低分子量GTPアーゼのラージファミリーのタンパク質は、シグナル伝達、細胞の運動性、膜通過及びこれらの経路間の協調における重要な機能を有する、膜の表面におけるシグナル伝達プラットフォームの主要な形成体である。正常細胞の恒常性におけるそれらの重要性のため、低分子量GTPアーゼ機能は、例えば、癌、心血管疾患及び細菌又はウイルス感染症などの様々な病状において歪められるか、又は乗っ取られる。そのため、病理学的な関係においてそれらの活性を阻害することは、薬物開発において必要不可欠な、未達成のニーズである。低分子量GTPアーゼの調整は、GTP結合GTPアーゼが膜に取り付けられる場合に、それがGDP/GTPスイッチとサイトゾル/膜サイクルとを結び付けるので、非常に複雑である。これに加えて、GTPアーゼシグナル伝達の出力は、複数の活性化因子((GDP/GTP交換を刺激する)グアニンヌクレオチド交換因子又はGEF)、阻害剤((GTP加水分解を加速する)GTPアーゼ活性化タンパク質又はGAP及び(それらを可溶化するようにそれらの脂質アンカーを包む)GDI)、並びに(シグナル伝達プラットフォームを総合的に組み立てる)エフェクターが関与する。GEF、GAP及びエフェクターは、構造再構成とタンパク質−膜相互作用によってそれら自身を高度に調整する。これまで、いくつかの戦略が、それらの脂質翻訳後修飾のアンカリングに関与する酵素又はGDIのいずれかを標的化することによって、膜/サイトゾルサイクルを阻害した。しかし、調節的タンパク質−膜相互作用を直接標的化する阻害剤は一度も記述されたことがない。
表在性膜タンパク質は、それらの環境から生じるシグナルに対して細胞応答を調整するので、それ故に、多数の疾患に関与する。それらの有意性にもかかわらず、それらは、依然として従来の拮抗阻害剤の分かりにくい標的のままであり、代替のアプローチが強く求められている。
本発明の目的
本発明は、BRAG2阻害剤とその適用の提供に関する技術的問題を解決することを目指す。
本発明は、癌又は血管新生の治療のための新規経路の提供に関する技術的問題を解決することを目指す。
より特に、本発明は、BRAG2阻害剤によって癌又は血管新生の治療のための新規経路の提供に関する技術的問題を解決することを目指す。
本発明はまた、タンパク質−膜境界面に結合する分子の提供に関する技術的問題を解決することを目指す。
本発明の詳細な説明
詳細な説明
本発明は、本発明に規定される少なくとも1つ、そして好ましくはすべて技術的な問題を解決する。
特に、本発明は、治療的処置の方法における使用のための以下の化学構造(I):
Figure 2021530519
{式中、
R1は、フッ化アルキル、好ましくはCF3であり;
R3は、少なくとも1つの酸素及び/又は窒素を含む化学基であり;
R2、R4、R5及びR6は独立に、原子又は原子団である}を有する分子、あるいはその薬学的に許容される塩又はそのプロドラッグに関する。
本発明はまた、以下の化学構造(I):
Figure 2021530519
{式中
R1は、フッ化アルキル、好ましくはCF3であり;
R3は、少なくとも1つの酸素及び/又は窒素を含む化学基であり;
R6は、水素と異なる原子又は原子団であり;
R2、R4及びR5は独立に、原子又は原子団である}
を有する分子に関する。
特に、本発明は、本発明で定義される分子の構造を有するBRAG2阻害剤に関する。
BRAG2とは、タンパク質Brefeldin抵抗性Arf−GEF2タンパク質(配列番号1)(IQモチーフ及びSEC7ドメイン含有タンパク質1、すなわち、UniProtKB−Q6DN90(IQEC1_HUMAN)−配列番号1を参照のこと)を意味する。このタンパク質はまた、ADPリボシル化因子グアニンヌクレオチド交換タンパク質100又はADPリボシル化因子グアニンヌクレオチド交換タンパク質2とも呼ばれる。UniProtKB−A0A087WWK8(配列番号10)と呼ばれる、BRAG2の別のアイソフォームが存在する。このアイソフォームは、高度な配列同一性(同じPHドメイン)を共有するが、より長いN末端が主に異なる。BRAG2(Q6DN90)を阻害する本発明のBRAG2阻害剤は、それらがPHドメインに結合するので、このアイソフォーム(A0A087WWK8)もまた阻害すると考えられる。
特に、本発明は、低分子量GTPアーゼの膜結合調節因子の強力且つ選択的阻害を有するタンパク質−膜相互作用の非拮抗阻害に関する。本発明による分子は、Bragsinと呼ばれ、Arf GTPアーゼの活性化を阻害する。斯かる阻害は、例えば、インビトロにおいてそれらのグアニンヌクレオチド交換因子BRAG2によっておこなわれ、この効果は、膜の存在下においてのみ特異的であり、且つ、現れる。有利なことには、細胞では、本発明による分子は、trans−Golgiネットワークに影響を及ぼし、この効果は、BRAG2の異所性発現又はArfの構成的活性によって救われ、BRAG2遺伝子のサイレンシングによって表現型模写される。
図面に関して:
Bragsin2は、細胞においてArf経路に影響を及ぼす。a.この試験に使用されるBragsin1、Bragsin2及び誘導体の化学構造。化合物の化学合成と構造特性評価が、実施例6に記載されている。b.Bragsin2は、TGN46及びGM130マーカーを分散させる。HeLa細胞は、DMSO(0.25%)又はBragsin2(50μM)のいずれかで30分間にわたり処理され、TGN46、GM130又はEEA1(緑色のチャンネル)について免疫染色され、そして共焦点顕微鏡によって分析された。Bragsin1処置の効果が、図11に示されている。c.Bragsin2によるGM130及びTGN46の分散は、可逆的である。HeLa細胞は、図1aのように処理され、新しい培地中で更に30分間インキュベートされ(洗浄パネル)、その後、免疫染色及び共焦顕微鏡解析がおこなわれた。Bragsin1の効果の可逆性が、図12に示されている。d.活性化突然変異を担持するArf−mCherry構築物の発現が、Bragsin2の効果を回復(rescue)する。HeLa細胞は、Arf−mCherryの構成的活性Q/L突然変異体でトランスフェクトされた。非トランスフェクト細胞(白色のアスタリスク)とトランスフェクト細胞との差に留意のこと。構成的活性Arf突然変異体によるBragsin1表現型の回復が、図13に示されている。スケールバー、10μm。 Bragsinは、ArfGEF BRAG2の特異的阻害剤である。a.Bragsin1は、溶液中においてヒトArfGEFのSec7ドメインに対して効果がない。ヌクレオチド交換動態は、精製Sec7ドメイン及び(溶液中で活性化され得る)短縮バージョンのArf1(D17Arf1)を使用した、Bragsin1(50μM)又はDMSOの存在下での蛍光動態によって計測された。代表的な動態プロファイルが、図14に示されている。b.Bragsin1は、リポソームの存在下でBRAG2を特異的に阻害する。ヌクレオチド交換動態は、膜結合ドメイン及びミリストイル化Arf1を担持するArfGEF構築物を用いて、Bragsin1(50μM)又はDMSOの存在下で測定された。Rac1は、(Peurois, F. et al. Biochem J 474, 1259-1272 (2017))に記載のC末端ヘキサヒスチジンタグによってリポソームに人工的に連結された。代表的な動態プロファイルが、図15に示されている。c.Bragsin1は、リポソーム上でのBRAG2によるミリストイル化Arf6の活性化を阻害する。実験は、図2bのように実施された。代表的な動態プロファイルは、図16に示されている。d.リポソーム上のミリストイル化Arf1及びBRAG2に向かったBragsin1及びBragsin2の用量−応答。実験は、図2bのように実施された。e.BRAG2表現型模写のサイレンシング、TGN46コンパートメントに対するBragsin2の効果。HeLa細胞は、DMSO又はBragsin2(50μM)で処理されたか、或いはBRAG2、ARNO若しくはGBF1を標的化するsiRNA又は対照siRNA(siCTRL)でトランスフェクトされた。TGN46の免疫蛍光染色は、緑色(白黒図面では灰色)である。細胞境界は、アクチン染色(マゼンタ色(白黒図面では灰色)によって強調表示された。SiRNAサイレンシング効率は、図17に示されている。スケールバー、10μm。TGN46染色の分散に関する統計解析は、図19に示されている。f.BRAG2の過剰発現は、Bragsinによって誘発されたTGN46コンパートメントの分散を回復する。HeLa細胞は、BRAG2−mCherry(マゼンタ色のチャンネル)でトランスフェクトされ、そしてBragsin2(50μM)で処理された。TGN46の免疫蛍光染色は、緑色(白黒図面では灰色)である。 Bragsinは、BRAG2のPHドメインに結合する。a.BRAG2のPHドメインに結合するBragsin1の結晶構造。差し込み図は、阻害剤の電子密度オミットマップを示す。Sec7ドメインがピンク色であり、リンカーが黄色であり、PHドメインが青色である。b.PHドメインの残基とBragsin1の相互作用。水素結合は、点線で示されている。c.Bragsin2によるBRAG2変異体の阻害に関する分析。GEF効率は、図2bのようにミリストイル化Arf1を使用した蛍光動態によって計測された。d.Bragsin類似体の構造−活性相関解析。すべての化合物が20mMにて使用された。GEF活性は、図2bのようにミリストイル化Arf1を使用した蛍光動態によって計測された。e.TGN46コンパートメントに対するBragsin類似体の効果。化合物(50mM)で処理したHeLa細胞は、図1bのように免疫染色され、そして共焦点顕微鏡によって分析された。 Bragsinは、タンパク質−膜相互作用の非拮抗阻害剤である。a.Bragsin1(スミレ色)は、BRAG2のPHドメインの標準ホスホイノシチド結合部位と重複する。IP3(赤色)は、GRP1−IP3複合体由来である(DiNitto, J.P. et al. Structural basis and mechanism of autoregulation in 3-phosphoinositide-dependent Grp1 family Arf GTPase exchange factors. Mol Cell 28, 569-83 (2007))。膜の位置は、矢印によって示されている。b.Bragsin2は、リポソームへのBRAG2の結合を害することはない。結合は、リポソーム浮遊によって計測された。U:非結合タンパク質を含有する最下層画分。B:リポソーム結合タンパク質を含有する最上部画分。タンパク質は、SDS−PAGE後のInstant Blue染色によって明らかにされる。定量化は、以下に示されている。c.Bragsin2によるBRAG2の阻害は、PIP2脂質を含有するリポソームの存在下でより強力である。動態は、図2bのように計測された。 Bragsinは、乳癌幹細胞に影響を及ぼす。a.Aldefluorアッセイを使用した、Bragsin2を用いた処理後のALDHbr細胞の割合の発展。結果は、平均±SDと表される。b.腫瘍様塊形成効率(SFE)は、極限希釈解析(ELDA)アルゴリズムを使用して計算された。結果は、平板培養した100個の細胞に関して得られた腫瘍様塊の推定数として表される。 Bragsinによるタンパク質−膜境界阻害のモデル。 図7〜9.Bragsin1及びBragsin2の安定性の分析。図7.DMSO中の原液の状態に保たれたBragsin1は、数カ月にわたり、BRAG2に向けた活性が失われる(未掲載)。1H−NMR分析は、それが含水化合物(13)に完全に分解したことを示した。 図8〜9.質量分析法は、Bragsin1がBragsin2ほど安定していないことを示している。Bragsin1及びBragsin2は、PBS中に溶解された。Bragsin2が安定した状態を保ったのに対して(図c)、Bragsin1は、72時間以内に加水分解化合物にゆっくり分解された(図8)。 図8〜9.質量分析法は、Bragsin1がBragsin2ほど安定していないことを示している。Bragsin1及びBragsin2は、PBS中に溶解された。Bragsin2が安定した状態を保ったのに対して(図c)、Bragsin1は、72時間以内に加水分解化合物にゆっくり分解された(図8)。 図10〜13.Bragsin1は、Bragsin2と同じ細胞効果を有する。図10:Bragsin2は、HeLa細胞のチューブリン及びアクチンネットワークに対して効果がない。HeLa細胞は、DMSO(0.25%)又はBragsin2(50μM)のいずれかを用いて30分間処理され、α−チューブリン(緑色のチャンネル)又はF−アクチン(マゼンタ色のチャンネル)について免疫染色され、そして共焦点顕微鏡によって分析された。 図11:Bragsin1は、TGN46及びGM130マーカーを分散させる。HeLa細胞は、50μMのBragsin1を用いて図10のように処理され、TGN46又はGM130(緑色のチャンネル)について免疫染色され、その後、共焦顕微鏡解析をおこなった。 図12:Bragsin1によるGM130及びTGN46の分散は、可逆的である。DMSO(0.25%)又はBragsin1(50μM)のいずれかを用いた30分間の処理後に、HeLa細胞は、洗浄され、新しい培地中で更に30分間インキュベートされ(洗浄)、その後、TGN46又はGM130(緑色のチャンネル)で免疫染色し、そして共焦顕微鏡解析をおこなった。 図13:構成的に活性なArf1、Arf5及びArf6構築物の発現は、Bragsin1の効果を回復する。HeLa細胞は、指示されたArf−mCherryアイソフォームのQ/L突然変異体をコードするプラスミドを用いて一過性にトランスフェクトされ;非トランスフェクト細胞は、白色のアスタリスクで印を付している。スケールバー、10μm。 図14〜19.Bragsinは、BRAG2の特異的阻害剤である。14:図2aに示される実験の代表的な蛍光動態の追跡。N−末端切断型Arf−GDPのGDP/GTPヌクレオチド交換は、触媒量の指示されたArfGEF Sec7ドメイン及び過剰量のGTPの添加後に、50μMのBragsin1(明灰色)又は0.25%のDMSO(暗灰色)の存在下、トリプトファン蛍光によって溶液中で追跡された(詳細に関しては、材料と方法を参照のこと)。自然曲線(黒色)は、GEF不存在下のArf活性化に相当する。 15:図2bに示される実験の代表的な蛍光動態の追跡。触媒量の指示されたGEFによるmyrArf1又はRac1活性化は、その実験が100μMリポソームを含有していることを除いて、図14のようにおこなわれた(詳細に関しては、材料と方法を参照のこと;実施例7)。 16:図2cに示される実験の代表的な蛍光動態の追跡。myrArf6の活性化は、図15に記載のとおり、リポソームの存在下でおこなわれた。 17〜18:ARNO、BRAG2及びGBF1 mRNAレベルのRT−qPCR分析。HeLa細胞は、siRNA標的化BRAG2(siBRAG2、明灰色の棒グラフ)、ARNO(siARNO、中間の灰色の棒グラフ)、GBF1(siGBF1、暗灰色の棒グラフ)又は対照(図17)としての非標的化siRNA(siCTRL、白色の棒グラフ)を用いてトランスフェクトされたか、或いはBragsin2(暗灰色の棒グラフ)又は対照としてのDMSO(白色の棒グラフ)で処理された(図18)。全RNAは、抽出され、逆転写され、そして(以下のグラフに示すように)ARNO、BRAG2又はGBF1をコードするmRNAに特異的なプライマー対を使用したリアルタイムPCRに供された。そのグラフは、100%に設定した対照値に対するmRNAの量を示している。 17〜18:ARNO、BRAG2及びGBF1 mRNAレベルのRT−qPCR分析。HeLa細胞は、siRNA標的化BRAG2(siBRAG2、明灰色の棒グラフ)、ARNO(siARNO、中間の灰色の棒グラフ)、GBF1(siGBF1、暗灰色の棒グラフ)又は対照(図17)としての非標的化siRNA(siCTRL、白色の棒グラフ)を用いてトランスフェクトされたか、或いはBragsin2(暗灰色の棒グラフ)又は対照としてのDMSO(白色の棒グラフ)で処理された(図18)。全RNAは、抽出され、逆転写され、そして(以下のグラフに示すように)ARNO、BRAG2又はGBF1をコードするmRNAに特異的なプライマー対を使用したリアルタイムPCRに供された。そのグラフは、100%に設定した対照値に対するmRNAの量を示している。 19:図2eに示される実験のTGN46染色の分散に関する統計解析。細胞(多角形)及びTGN(最小楕円)の面積は、堆積の合計Z投影後に手作業で決定し、そしてFiji/ImageJを使用して計測した。それらの比は、細胞におけるTGN46染色によって占有された相対面積(%)を表した。統計的分析は、Tukeysの事後検定を伴ったANOVAを使用しておこなった。カウントした細胞>200、*p<0.05、****p<0.0001。 20:Bragsin3(化合物14)がリポソームの存在下でBRAG2を強力に阻害することを示す。ヌクレオチド交換動態は、Bragsin3(50μM)又はBRAG2Sec7PH構築物及びミリストイル化Arf1を伴ったDMSOの存在下で測定された(詳細に関しては、材料と方法を参照のこと)。 21:Bragsin3は、TGN46マーカーを分散する。HeLa細胞は、50mMのBragsin3を用いて図1bのように処理され、そしてTGN46について免疫染色され、その後、共焦顕微鏡解析をおこなった。 22:細胞株MDA MB231に対するBragsine2、化合物14及び化合物3の生存率及び細胞毒性を示す。 23:細胞株MCF7に対するBragsine2、化合物14及び化合物3の生存率及び細胞毒性を示す。 24:細胞株SUM149に対するBragsine2、化合物14及び化合物3の生存率を示す。 25:細胞株SUM159に対するBragsine2、化合物14及び化合物3の生存率及び細胞毒性を示す。 26:細胞株A549に対するBragsine2、化合物14及び化合物3の生存率及び細胞毒性を示す。 27:細胞株U87−MGに対するBragsine2、化合物14及び化合物3の生存率及び細胞毒性を示す。 28:細胞株PANC−1に対するBragsine2、化合物14及び化合物3の生存率及び細胞毒性を示す。 29:細胞株に対するBragsine2、化合物14及び化合物3の生存率及び細胞毒性を示す。生存率試験(細胞溶解後のATP量の計測、CelltiterGlo, Promega)及び細胞毒性(細胞溶解後のLDHの計測、CytoTox−One, Promega)。図22〜29の結果は、一元配置ANOVAと、その後のTukeyの多重比較(対DMSO)によって分析された、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001。Bragsin2:6−メトキシ−5−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン。化合物14(2MetO):6,8−ジメトキシ−5−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン。化合物3(−NO2):6−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン(陰性対照)。
一実施形態において、前記分子は、以下の:
Figure 2021530519
{式中、R’は、原子の化学基、例えば任意選択で置換されたアルキルであるか、又はCOOR’は、エステル塩、例えばナトリウムエステルを形成する}
から成る群から選択される。
一実施形態において、R4は、水素、ヒドロキシ、アルキル、好ましくはメチル(Me)又はエチル(Et)、O−アルキル(又はアルコキシ)、好ましくはOMe又はOEt、アルケン、O−アルキレン、アルキン、好ましくは−CCH、或いはO−アルキン、好ましくは−OCH2−CCHから成る群から選択される。
一実施形態において、R6は、水素、ヒドロキシ、アルキル、好ましくはメチル(Me)又はエチル(Et)、O−アルキル、好ましくはOMe又はOEt、アルケン、O−アルキレン、アルキン、好ましくは−CCH、或いはO−アルキン、好ましくは−OCH2−CCHから成る群から選択される。
一実施形態において、R5は、水素、ヒドロキシ、アルキル、好ましくはメチル(Me)
又はエチル(Et)、O−アルキル、好ましくはOMe又はOEt、アルケン、O−アルキレン、アルキン、好ましくは−CCH、或いはO−アルキン、好ましくは−OCH2−CCHから成る群から選択される。
一実施形態において、R2は、Hである。
一実施形態において、R4は、Hである。
一実施形態において、R5は、Hである。
一実施形態において、R6は、Hである。
一実施形態において、R6は、ヒドロキシ、アルキル、好ましくはメチル(Me)又はエチル(Et)、O−アルキル(又はアルコキシ)、好ましくはOMe又はOEt、アルケン、O−アルキレン、アルキン、好ましくは−CCH、或いはO−アルキン、好ましくは−OCH2−CCHから成る群から選択される。
一実施形態において、R6は、OMeである。
一実施形態において、R2、R5及びR6は、水素原子である。
一実施形態において、前記分子は、以下の:
Figure 2021530519
から成る群から選択される。
一実施形態において、前記分子は、以下の:
Figure 2021530519
から成る群から選択される。
一実施形態において、R1は、CF3である。
一実施形態において、R3は、NO2である。
一実施形態において、R3は、NO2であり、及びR1は、CF3である。
本明細書中で使用される場合、「アルキル基」という用語は、1から10個の炭素原子を有する飽和直鎖状または分岐状非環状炭化水素を意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルおよびn−デシルが挙げられ;一方で飽和分岐状アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、2,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルヘキシル、2,4−ジメチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルヘキシル、4,4−ジメチルヘキシル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチル−2−エチルペンチル、2−メチル−3−エチルペンチル、2−メチル−4−エチルペンチル、2−メチル−2−エチルヘキシル、2−メチル−3−エチルヘキシル、2−メチル−4−エチルヘキシル、2,2−ジエチルペンチル、3,3−ジエチルヘキシル、2,2−ジエチルヘキシル、3,3−ジエチルヘキシルなどが挙げられる。本発明の化合物中に含まれるアルキル基は、任意選択で1もしくは複数のの置換基で置換され得る。
本明細書中で使用される場合、「アルコキシ」又は「O−アルキル」という用語は、酸素原子により別の部分に連結されるアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、イソプロポキシエトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。アルコキシ基は、任意選択で1もしくは複数のの置換基で置換され得る。
本明細書中で使用される場合、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、O、NまたはSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、2から11個の炭素原子を有し、飽和していてもよいしまたは不飽和であってもよいが、芳香族ではない、単環式または多環式基を意味する。ヘテロシクロアルキル基の例としては、(これだけに限定されるものではないが)ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピぺラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリンジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオピラニルスルホン、テトラヒドロチオピラニルスルホキシド、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル−2−オン、テトラヒドロチエニルおよびテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニルが挙げられる。一般的には、単環式ヘテロシクロアルキル基は3から7員を有する。好ましい3から7員単環式ヘテロシクロアルキル基は5または6環原子を有するものである。ヘテロ原子は、当業者にとって公知の保護基で置換され得、例えば窒素上の水素がtert−ブトキシカルボニル基で置換され得る。更に、ヘテロシクロアルキル基は、任意選択で1もしくは複数のの置換基で置換され得る。加えて、複素環の別の基への連結点は、複素環の炭素原子またはヘテロ原子の何れかであり得る。このような置換複素環基の安定な異性体のみがこの定義において企図される。
本明細書中で使用される場合、「置換基」または「置換される」という用語は、化合物または基上の水素基が、所望の原子又は原子団で置換されることを意味する。置換基の例は、その分子がそれでもBRAG2阻害剤活性を示しているときに、本明細書中で開示される代表的な化合物および実施形態において見出されるものである。置換基の例は、ハロゲン;アルキル;アルケニル;アルキニル;ヒドロキシ;アルコキシ;ニトロ;チオール;チオエーテル;イミン;シアノ;アミド;ホスホナート;ホスフィン;カルボキシル;チオカルボニル;スルホニル;スルホンアミド;ケトン;アルデヒド;エステル;酸素(−O);ハロアルキル(例えばトリフルオロメチル);単環式または縮合または非縮合多環式であり得るシクロアルキル、または単環式もしくは縮合もしくは非縮合多環式であり得るヘテロシクロアルキル、単環式もしくは縮合もしくは非縮合多環式アリールまたはヘテロアリール;アミノ(一級、二級または三級);CO2CH3;CONH2;OCH2CONH2;NH2;SO2NH2;OCHF2;CF3;OCF3;であり、このような部分はまた、任意選択で縮合環構造または架橋によって置換され得、例えば−OCH2O−である。これらの置換基は、任意選択で、このような基から選択される置換基で更に置換され得る。一実施形態において、「置換基」という用語または「置換される」という形容詞は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル(heteraralkyl)、ハロアルキル、−C(O)NR11R12、−NR13C(O)R14、ハロ、−OR13、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、−C(O)R13、−NR11R12、−SR13、−C(O)OR13、−OC(O)R13、−NR13C(O)NR11R12、−OC(O)NR11R12、−NR13C(O)OR14、−S(O)rR13、−NR13S(O)rR14、−OS(O)rR14、S(O)rNR11R12、−O、−Sおよび−N−R13{式中、rは、1または2であり;R11およびR12は、各出現に対して独立に、H、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているシクロアルキル、任意選択で置換されているシクロアルケニル、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、任意選択で置換されているアラルキルまたは任意選択で置換されているヘテロアラルキル(heteraralkyl)であるか;またはR11およびR12は、それらが連結される窒素と一緒になって、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキルまたは任意選択で置換されているヘテロアリールとなり;R13およびR14は、各出現に対して独立に、H、任意選択で置換されているアルキル、任意選択で置換されているアルケニル、任意選択で置換されているアルキニル、任意選択で置換されているシクロアルキル、任意選択で置換されているシクロアルケニル、任意選択で置換されているヘテロシクロアルキル、任意選択で置換されているアリール、任意選択で置換されているヘテロアリール、任意選択で置換されているアラルキルまたは任意選択で置換されているヘテロアラルキル(heteraralkyl)である}
から成る群から選択される置換基を意味する。
「ハロゲン」という用語は、−F、−Cl、−Br又は−Iを意味する。一実施形態において、ハロゲンは、Brである。一実施形態において、ハロゲンは、−Clである。
BRAG2と本発明による分子との間の複合体の結晶構造、及びBRAG2変異体と本発明による分子の類似体を使用した構造−活性分析では、それを明らかにした。
好ましくは、本発明による分子が、BRAG2が脂質修飾Arfを活性化することができない状態にする様式で、BRAG2のPHドメインと脂質二重層との間の境界面にて結合する。
好ましくは、本発明による分子は、乳癌細胞株の癌幹細胞集団を激減させる。
好ましくは、本発明による分子は、乳癌、特にBRAG2過剰発現を伴う乳癌の治療における使用のためのものである。
これにより、本発明による分子は、破壊することなくタンパク質−膜相互作用を弱める新しいクラスの細胞活性阻害剤を開拓する。本発明は、表在性膜タンパク質を標的化する新しいクラスの薬物である。
本発明はまた、1もしくは複数のタンパク質−膜相互作用を有し、且つ、癌の治療における使用のために、哺乳動物BRAG2、そして好ましくはヒトBRAG2を阻害する阻害剤にも関する。
本発明はまた、哺乳動物BRAG2、そして好ましくはヒトBRAG2の阻害剤にも関し、前記阻害剤は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造を有する。
本発明はまた、特にインビトロ又はインセルロにおいて、哺乳動物BRAG2、そして好ましくはヒトBRAG2を阻害するための方法にも関し、前記方法は、BRAG2を本発明で定義するBRAG2阻害剤と接触させることを含む。
本発明はまた、哺乳動物BRAG2、そして好ましくはヒトBRAG2の阻害剤にも関し、前記阻害剤は、本発明で定義する構造を有する。本発明はまた、特にインビトロ又はインセルロにおいて、哺乳動物BRAG2、そして好ましくはヒトBRAG2を阻害するための方法にも関し、前記方法は、BRAG2を本発明で定義するBRAG2阻害剤と接触させることを含む。
本発明は、特に(脂質及び膜輸送の様々な制御的機能を調整する)Arf GTPアーゼとそれらのGEF BRAG2に着目した。BRAG2はBRAGファミリーに属し、そのメンバーは、Arf GTPアーゼを活性化して、シグナル伝達及び/又はインテグリンや他の受容体のエンドサイトーシス、並びに細胞接着を制御する(D'Souza, R. S., & Casanova, J. E. (2016)−以下を参照のこと)。
一実施形態において、本発明による分子は、Arf経路の阻害剤である。
一実施形態において、本発明による分子は、BRAG2によるミリストイル化Arf1及びミリストイル化Arf6の活性化の阻害剤である。
一実施形態において、本発明による分子は、BIG1、Golgi ArfGEF、ARNO及びEFA6aのヌクレオチド交換活性を阻害しない。
一実施形態において、本発明による分子は、BRAG2のPHドメインに結合する。
一実施形態において、本発明による分子は、BRAG2のSec7ドメインの阻害剤である。
驚いたことに、ある好ましい実施形態において、本発明による分子は、BIG1、Golgi ArfGEF、及びARNO、EFA6a以上にBRAG2に対して特異的である。
驚いたことに、1つの好ましい実施形態において、本発明による分子は、人工膜の存在下、より一層驚いたことに、PIP2を含有する膜の存在下におけるBRAG2阻害剤である。一実施形態において、本発明による分子は、PHドメインと膜との境界面で結合する。
一実施形態において、本発明による分子は、細胞におけるTGN46免疫染色を分散させる。
本発明はまた、本発明による分子と、BRAG2、特にヒトBRAG2、そしてより特にBRAG2Sec7-PHとの複合体にも関する。
BRAG2は、乳癌(Morishige, M. et al. (2008))、ブドウ膜黒色腫(Yoo, J.H. et al. (2016))、糖尿病性網膜症(Zhu, W. et al. (2017))及び精神遅滞(Shoubridge, C. et al. (2010))を含めた重篤な病状に関与する。BRAGファミリーメンバーは、GDP/GTP交換の刺激と、それに続く(高い親和性でPIP2含有膜に結合する)プレクストリン相同性(PH)ドメインの刺激に関与する、Sec7ドメインを含んでいる。先行研究では、PIP2含有膜が、BRAG2のGEF活性を3桁超増強することを示した(Aizel, K. et al. Integrated conformational and lipid-sensing regulation of endosomal ArfGEF BRAG2. PLoS Biol 11, e1001652 (2013) and Jian, X., Gruschus, J.M., Sztul, E. & Randazzo, P.A.)。Arf交換因子Brag2のプレクストリン相同性(PH)ドメインは、アロステリック結合部位である(J Biol Chem 287, 24273-83 (2012))。この大きな活性の増大は、複数の脂質とBRAG2の相互作用によって測定され、膜に対するその厳密に指向された並置をもたらす(Karandur, D., Nawrotek, A., Kuriyan, J. & Cherfils, J.)。Arf/GEF複合体と荷電脂質との複数の相互作用が、膜上の活性化速度を決定する(Proc Natl Acad Sci U S A 114, 11416-11421 (2017))。
本発明はまた、本発明で定義する少なくとも1つの分子を含む医薬組成物にも関し、前記組成物は、1もしくは複数の賦形剤、及び任意選択で1つの他の医薬活性成分を含む。
当業者にとって公知であるように、投与方式に適合させて賦形剤の様々な形態を使用し得、それらの一部は、例えば所望の処置に対して全体的に活性分子をより有効であるようにする放出プロファイルを促進することによって、この活性分子の有効性を促進し得る。
従って、本発明の医薬組成物は、様々な形態で、より具体的には例えば注射用、微粉化または摂取可能な形態で、例えば筋肉内、静脈内、皮下、皮内、経口、局所、直腸、膣、眼、鼻腔、経皮または非経口経路を介して投与することができる。好ましい経路は経口投与である。本発明は、とりわけ、医薬組成物の製造のための、本発明による化合物の使用を包含する。
このような薬剤は、適切な投与量において当技術分野で周知の薬学的に許容される担体を用いて製剤化され得る、経口投与に適合した医薬組成物の形態をとり得る。このような担体によって、患者による摂取のための、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ剤、スラリー、縣濁液などとして医薬組成物を製剤化できるようになる。活性成分に加えて、これらの医薬組成物は、医薬的に使用され得る製剤への活性化合物の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む、適切な薬学的に許容される担体を含有し得る。製剤化および投与に対する技術におけるさらなる詳細は、Remington's Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co., Easton, Pa.)の最新版で見ることができる。
本発明はまた、BRAG2の脱調節発現(deregulated expression)、好ましくはBRAG2の過剰発現を示す疾患の治療的処置の方法に使用するための、本発明で定義する分子又は医薬組成物にも関する。
本発明はまた、タンパク質−膜相互作用を必要とする疾患の治療的処置の方法に使用するためのタンパク質−膜相互作用を有する薬物としての、本発明で定義される分子又は医薬組成物にも関する。
一実施形態において、前記疾患は、癌、特に浸潤癌、転移を有する癌、EGFR及び/又はErbB2モジュレーターに対する抵抗性を有する癌、血管新生、糖尿病性網膜症、非症候性知的障害などから成る群から選択される。
本発明はまた、癌、特に浸潤癌、転移を有する癌、EGFR及び/又はErbB2モジュレーターに対する抵抗性を有する癌、血管新生、糖尿病性網膜症、非症候性知的障害などから成る群から選択される疾患の治療的処置の方法に使用するための、本発明で定義される分子又は医薬組成物にも関する。
本発明はまた、治療的処置の方法にも関し、前記方法は、それを必要としている哺乳動物に、有効量の本発明で定義される少なくとも1つの分子を投与することを含む。
好ましくは、前記哺乳動物はヒト患者である。
一実施形態において、前記治療法は、乳癌、特にbCSC集団を標的化することが必要とされる乳癌を治療するためのものである。
例えば、本発明による癌又は血管新生の治療法は、以下によって裏付けられる:
Brag2と癌
D'Souza, R. S., & Casanova, J. E. (2016). The BRAG/IQSec family of Arf GEF. Small GTPases, 7(4), 257-264. http://doi.org/10.1080/21541248.2016.1219442
Matsumoto, Y., Sakurai, H., Kogashiwa, Y., Kimura, T., Matsumoto, Y., Shionome, T., et al. (2017). Inhibition of epithelial-mesenchymal transition by cetuximab via the EGFR-GEP100-Arf6-AMAP1 pathway in head and neck cancer. Head & Neck, 39(3), 476-485. http://doi.org/10.1002/hed.24626
Xie, C.-G., Wei, S.-M., Chen, J.-M., Xu, X.-F., Cai, J.-T., Chen, Q.-Y., & Jia, L.-T. (2012). Down-Regulation of GEP100 Causes Increase in E-Cadherin Levels and Inhibits Pancreatic Cancer Cell Invasion. PLoS ONE, 7(5), e37854. http://doi.org/ 10.1371/journal.pone.0037854
Hu, Z., Du, J., Yang, L., Zhu, Y., Yang, Y., Zheng, D., et al. (2012). GEP100/Arf6 is required for epidermal growth factor-induced ERK/Rac1 signaling and cell migration in human hepatoma HepG2 cells. PLoS ONE, 7(6), e38777. http://doi.org/10.1371/ journal.pone.0038777
Menju, T., Hashimoto, S., Hashimoto, A., Otsuka, Y., Handa, H., Ogawa, E., et al. (2011). Engagement of overexpressed Her2 with GEP100 induces autonomous invasive activities and provides a biomarker for metastases of lung adenocarcinoma. PLoS ONE, 6(9), e25301. http://doi.org/10.1371/journal.pone.0025301
Yoo, J.H. et al. ARF6 Is an Actionable Node that Orchestrates Oncogenic GNAQ Signaling in Uveal Melanoma. Cancer Cell 29, 889-904 (2016)
乳癌
Hu, Z., Xu, R., Liu, J., Zhang, Y., Du, J., Li, W., et al. (2013). GEP100 regulates epidermal growth factor-induced MDA-MB-231 breast cancer cell invasion through the activation of Arf6/ERK/uPAR signaling pathway. Experimental Cell Research, 319(13), 1932-1941. http://doi.org/10.1016/j.yexcr.2013.05.028
Sabe, H., Hashimoto, S., Morishige, M., Ogawa, E., Hashimoto, A., Nam, J.-M., et al. (2009). The EGFR-GEP100-Arf6-AMAP1 signaling pathway specific to breast cancer invasion and metastasis. Traffic (Copenhagen, Denmark), 10(8), 982-993. http://doi.org/10.1111/j.1600-0854.2009.00917.x
Sabe, H., Hashimoto, S., Morishige, M., Ogawa, E., Hashimoto, A., Nam, J.-M., et al. (2009). The EGFR-GEP100-Arf6-AMAP1 signaling pathway specific to breast cancer invasion and metastasis. Traffic (Copenhagen, Denmark), 10(8), 982-993. http://doi.org/10.1111/j.1600-0854.2009.00917.x
Morishige, M. et al. GEP100 links epidermal growth factor receptor signalling to Arf6 activation to induce breast cancer invasion. Nat Cell Biol 10, 85-92 (2008)
血管新生
Manavski, Y., Carmona, G., Bennewitz, K., Tang, Z., Zhang, F., Sakurai, A., et al. (2014). Brag2 differentially regulates β1- and β3-integrin-dependent adhesion in endothelial cells and is involved in developmental and pathological angiogenesis. Basic Research in Cardiology, 109(2), 404. http://doi.org/10.1007/s00395-014-0404-2
Hashimoto, A., Hashimoto, S., Ando, R., Noda, K., Ogawa, E., Kotani, H., et al. (2011). GEP100-Arf6-AMAP1-cortactin pathway frequently used in cancer invasion is activated by VEGFR2 to promote angiogenesis. PLoS ONE, 6(8), e23359. http://doi.org/10.1371/journal.pone.0023359
Zhu, W., Shi, D. S., Winter, J. M., Rich, B. E., Tong, Z., Sorensen, L. K., et al. (2017). Small GTPase ARF6 controls VEGFR2 trafficking and signaling in diabetic retinopathy. The Journal of Clinical Investigation, 127(12). http://doi.org/10.1172/ JCI91770
Sakurai, A., Jian, X., Lee, C. J., Manavski, Y., Chavakis, E., Donaldson, J., et al. (2011). Phosphatidylinositol-4-phosphate 5-kinase and GEP100/Brag2 protein mediate antiangiogenic signaling by semaphorin 3E-plexin-D1 through Arf6 protein. Journal of Biological Chemistry, 286(39), 34335-34345. http://doi.org/10.1074/jbc. M111.259499
そしてまた:
Zhu, W. et al. Small GTPase ARF6 controls VEGFR2 trafficking and signaling in diabetic retinopathy. J Clin Invest (2017)
Shoubridge, C. et al. Mutations in the guanine nucleotide exchange factor gene IQSEC2 cause nonsyndromic intellectual disability. Nat Genet 42, 486-8 (2010)
本発明は、以下の実施例によって更に例示される。
これらの実施例及び特許の記載の一部において提示されるデータは、最終的で、正当であると確認されたデータセットに非常に近いものに相当する予備解析からある程度得られる。しかしながら、これは、本発明を完全に支持する。
本発明のその他の目的、特徴、及び利点は、単に例示として与えられ、且つ本発明の範囲を限定するものではない実施例に言及する説明的な記載を読むことによって、当業者にとって明確になると思われる。
実施例は、本発明の必須部分を構成しており、実施例を含む記載全体からの、任意の先行技術と比較して新規と思われるいかなる特徴も、その機能性及びその一般性における本発明の必須部分を構成する。
従って、すべての例は、一般的範囲を有する。
更に、実施例において、すべてのパーセントは、別段の指示がない限り、質量基準であり、温度は、別段の指示がない限り、摂氏度で表され、圧力は、別段の指示がない限り、大気圧である。
実施例
小分子Bragsin1は、元々、酵母のケモゲノミクススクリーンで発見され;Bragsinは、酵母ArfGEF Sec7pの機能を混乱させ、そして関連する類似体、例えばBragsin2又は特に請求項に記載の構造のいずれかによって定義される、本発明による分子などは、まとめてBragsinと呼ばれる(図1a)。Bragsinは、インビトロ及び細胞内におけるArfGEF BRAG2の特異的阻害剤である。細胞ベースのアッセイや、純粋なタンパク質を使用した人工膜におけるGEF活性のインビトロ再構成を実施した。Bragsinは非拮抗阻害剤であって、そしてそれは、GEF/膜界面にて結合し、構造−活性相関(SAR)分析と結びつけた結晶分析に従って、BRAG2がヌクレオチド交換活性を無力化する様式で膜上にGEFを正しい位置に置くように作用する。乳癌におけるBRAG2の役割と一致して、Bragsinは、乳癌細胞株の癌幹細胞集団を激減させる。Bragsinは、乳癌治療において潜在力があるタンパク質−膜相互作用を標的化する新しいタイプの阻害剤として存在する。
実施例1−Bragsinは、細胞においてArf GTPアーゼの活性化を阻害する
Bragsin1が酵母ArfGEF Sec7pの機能を混乱させるので、Bragsin1は、細胞のArf経路に影響を及ぼす。Bragsin1は、水溶液中で数日後に化学的に不安定になり、そして生物学的に不活性な水和誘導体の原因となることがわかった。メチル基の代わりにメトキシ基を担持する関連類似体(Bragsin2)は、水和に対して抵抗性なので、安定していた(図7〜9)。初期実験では、Bragsin2は、cis−Golgi及びtrans−Golgiネットワーク(TGN)コンパートメントの構造に対して見込まれる影響を評価するのに使用されが、それは、Arf依存性経路によって調整される。HeLa細胞では、cis−GolgiマーカーGM130とTGNマーカーTGN46が、Bragsin2によって不均一なサイズの点状構造に分散され(図1b)、そしてこの効果は可逆的であった(図1c)。対照的に、Bragsin2は、初期エンドソームマーカーEEA1に対して効果がなく(図1b)、且つそれはチューブリン及びアクチンネットワークにも影響しなかった(図10)。この効果がArf GTPアーゼ経路との干渉によって媒介されるかどうか評価するために、Arfを構成的に活性にするQL突然変異を担持するArf−mCherry構築物を用いて、細胞をトランスフェクトした。Arf1、Arf5及びArf6発現は、TGN46コンパートメントのBragsin2誘発分散を回復させた。Arf経路に対する化合物の効果と一致していた(図1d)。新たに調製したBragsin1で処理した細胞の表現型は、Bragsin2(図11)で処理したものと同一であり、可逆的であり(図12)、且つ、構成的に活性なArf GTPアーゼの発現によって回復した(図13)。それと共に、これらのデータは、酵母ArfGEF Sec7pに向けたBragsin1のケモゲノミクススクリーンで観察された本来の活性に一致して、Bragsin1とBragsin2が細胞においてArf経路を阻害することを示唆している。
実施例2−Bragsinは、阻害のために膜の存在を必要とする、BRAG2の特異的阻害剤である
Arf GTPアーゼは、ヒト細胞において、いくつかのArf GEFサブファミリーによって活性化され、そのすべてが可変追加ドメインで装飾された保存Sec7ドメインを含有する(Nastou, K.C., Tsaousis, G.N., Kremizas, K.E., Litou, Z.I. & Hamodrakas, S.J. The human plasma membrane peripherome: visualization and analysis of interactions. Biomed Res Int 2014, 397145 (2014); DiNitto, J.P. et al. Mol Cell 28, 569-83 (2007))。
代表的なヒトArfGEFのGEF効率に対するBragsin1の効果を、高度精製組換体Arf GTPアーゼとArfGEFを使用した蛍光動態によって評価した。第一シリーズのアッセイでは、(原形質膜にて機能する)BIG1、Golgi ArfGEF及びARNOのSec7ドメイン、並びにEFA6a及びBRAG2を使用した。溶液中で試験したとき、Bragsin1は、これらのSec7ドメインのいずれによってもArf1の活性化に効果がなかった(図2a及び14)。これとは別に、我々は、膜結合ドメイン(BIG1向けにDCB−HUSドメイン、他のGEF向けにPHドメイン)を含有するArfGEF構築物を使用した、リポソーム上での同じArfGEFによるミリストイル化Arf1の活性化を再構成した。特に、Bragsin1はリポソーム上のBRAG2を強力に阻害した一方で、それは、他のArfGEF(図2b及び15)又はRac1/Trio、関連しない低分子量GTPアーゼ/GEF系(図2b及び15)に対して効果がなかった。BRAG2は、血漿膜に位置するArf6アイソフォームを含めたいくつかのArfアイソフォームを活性化する。Bragsin1はまた、ミリストイル化Arf6のBRAG2媒介性活性化も阻害し、そしてその阻害が使用されたArfアイソフォームと無関係であることが示された(図2c及び16)。Bragsin1及びBragsin2は、用量−応答分析によると、BRAG2(3mM)に対して同じIC50を有するので、Bragsin1とBragsin2が互換的に使用できることを確認した(図2d)。インビトロにおけるBragsinによるBRAG2の特異的阻害は、siRNAによるBRAG2サイレンシングが小分子による処理と同じ表現型をもたらすはずであると予測する。BRAG2のサイレンシングは、チューブ状又は点状構造へのTGN46の再分布を誘発し、そしてそれは、Bragsinによって誘発される効果を表現型模写した(図2e、17及び18)。対照的に、Golgi ArfGEF GBF1のサイレンシングは、(TGN46が点状構造に濃縮されるか又はサイトゾル中に拡散するようになるかのいずれかである)著しく異なる表現型をもたらした。原形質膜に位置しているARNOのサイレンシングは、TGN46分散に対して効果がなかった。BRAG2−mCherryの過剰発現は、Bragsinによって誘発されたTGN46構造の分散を回復し、そしてそれは、サイレンシング実験と一致した(図2f)。Bragsinは、これらの実験によると、インビトロ及び細胞において、ArfGEF BRAG2の特異的阻害剤である。これらの実験では、それ自体が現れるのに膜を必要とする阻害機構を同定する。
実施例3−Bragsinは、BRAG2のPHドメインに結合する
インビトロ及び細胞アッセイは、インビトロにおいて使用したBRAG2Sec7-PH構築物が、細胞において完全長のBRAG2を用いて見られた阻害作用を概括することを支持する。この構築物を、BRAG2Sec7-PH Bragsin1複合体の結晶構造を得るのに使用した(表1)。阻害剤をモデル化することができたPHドメインの近くで、はっきりとした電子密度を観察したが(図3a)、その位置は結晶接触に関与しなかった。Bragsin1は、鎖b1のLeu651、His652及びArg654、鎖b3のLys667及び鎖b4のArg681を含む有極接触及び疎水性接触の組み合わせによってPHドメインと相互作用する(図3b)。CF3及びBragsin2のカルボニル基は、PHドメインと相互作用するが、メチル基と相互作用せず、そしてそれは、この後者の基がメトキシ基によって置換される場合、Bragsin1と同じくらい強力であるか理由を説明する。その反面、sp3形状及びCF3置換基を担持する炭素の様々な方向性につながるBragsin1の水和は、経時的なBragsin1の活性の喪失に一致していた(上記を参照のこと)。R654E又はR681E突然変異をBRAG2のPHドメインで導入し、そして結合部位の位置を確認した。阻害は、両変異体に影響を受けた(図3c)。R681E突然変異体は、Bragsinに対して非感受性であるBRAG2を提供し、興味深いことに、R654E突然変異体は、野性型BRAG2よりBragsinによってより阻害された。次に、Bragsin類似体を合成し、式中、(結晶でBRAG2との相互作用を樹立する)NO2又はCF3官能基を除去したか、又は修飾した(化合物(3)〜(6)、図1a及び実施例6)。すべての類似体は、インビトロにおける低減されたBRAG2の阻害を示し(図3d)、そしてTGN46(化合物3、4及び6)を分散できなかったか、又は細胞におけるより少ない効果(化合物5)を有した(図3e)。それと共に、結晶写真、突然変異誘発及び構造−活性相関解析は、BRAG2のPHドメイン内のBragsinの特異的結合部位を一貫して正確に示した。
実施例4−Bragsinは、BRAG2/膜相互作用の非拮抗阻害剤である
Bragsinは、この位置にて結合する脂質と部分的に重複し得、標準脂質結合部位に結合したホスホイノシチド頭部基と、サイトヘシンArfGEFのPHドメインとの比較によって予測された(DiNitto, J.P. et al. Mol Cell 28, 569-83 (2007))(図4a)。Bragsin阻害は、膜とBRAG2の相互作用を妨げることによって作用することもあり得る。驚いたことに、Bragsin2は、PIP2含有リポソームからBRAG2を置き換えず、そしてそれは、膜とその関係を妨害することによってBRAG2を阻害しないことを示す(図4b)。あるいは、阻害が膜の脂質組成に影響を受けるのであれば、BragsinはPHドメインと膜との境界面で結合し得る。強力なBRAG2活性を補助するリポソームを使用して、発明者らは、Bragsin2が、たった一つの陰性荷電脂質としてPSを含有するリポソームと比較して、PIP2を含有するリポソームに対してより効率的にBRAG2を阻害することがわかった(図4c)。これらの実験は、Bragsinが、非競合様式でBRAG2と脂質二重層との境界面にて結合し、膜結合性ミリストイル化Arfに対してヌクレオチド交換を促進するために有能でないBRAG2の結合様式を引き起こすことによってBRAG2を阻害することを裏づけている。
実施例5−Bragsinは、乳癌幹細胞に影響を及ぼす
癌幹細胞は、腫瘍増殖、転移、化学療法及び放射線療法に対する抵抗性、並びに治療後の再発を維持する細胞集団を表す。幹細胞集団を標的化することは、腫瘍においてそれらの相対的量が患者の予後不良と相関するので、効果的な抗癌戦略の設計における主なステップになった。BRAG2が乳癌細胞侵襲に関与することが報告されていたので、Bragsinが乳癌幹細胞(bCSCs)に影響を及ぼすか否かを試験した(Morishige, M. et al. GEP100 links epidermal growth factor receptor signalling to Arf6 activation to induce breast cancer invasion. Nat Cell Biol 10, 85-92 (2008))。それは、最初に、悪性bCSC集団のマーカーとしてアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDHbr)活性を使用して、3つの異なる乳癌細胞株(SUM159、SUM149、S68)においてbCSC集団に対するBragsinの効果を評価した(Charafe-Jauffret, E. et al. ALDH1-positive cancer stem cells predict engraftment of primary breast tumors and are governed by a common stem cell program. Cancer Res 73, 7290-300 (2013); Ginestier, C. et al. ALDH1 is a marker of normal and malignant human mammary stem cells and a predictor of poor clinical outcome. Cell Stem Cell 1, 555-67 (2007))。Bragsin処置(50μM)は、試験した3つの細胞株のうちの2つ(SUM149及びS68)においてbCSC集団を激減させた(図5a)。単独細胞腫瘍様塊形成アッセイを、これらの観察の機能的正当性を確認するために実施した。顕著な減少を、Bragsinによる処理後のSUM149及びS68細胞株における腫瘍様塊形成効率(SFE)で観察し、bCSC ALDHbr集団の減少と一致していた(図5b)。対照的に、そのbCSC ALDHbr活性がBragsinによって減少しなかったSUM159細胞株は、それらがBragsinによって処理されたか否かに関係なく、類似のSFEを示した。それと共に、これらの結果は、Bragsinがいくつかの乳癌のbCSC集団を標的化し得ることを示す。
実施例6−この試験に使用したBragsin1、Bragsin2及び類似体の合成(図1a)
6.1 一般事項
別段の記述がない限り、すべてのガラス器具を、使用前に火力乾燥又はオーブン乾燥させ、且つ、すべての反応を、アルゴン雰囲気下で実施した。ジクロロメタン、アセトニトリル、トルエン、メタノール及びDMSOを、Sigma−Aldrichの無水グレードから購入し、そして受け取った状態のままで使用した;他の溶媒のすべてを、使用前に蒸留する。すべての試薬を、別段の記述がない限り、市販の供給業者から受け取った状態のままで使用した。反応進行を、シリカゲルF254で被覆したアルミ板上で実施した薄層クロマトグラフィー(TLC)によって観察した。視覚化を、254nmのUV光を用いた蛍光消失又は過マンガン酸カリウム、リンモリブデン酸溶液、p−アニスアルデヒド溶液又はバニリン溶液を使用し、そして加熱して染色することによって達成した。フラッシュカラムクロマトグラフィーを、シリカゲル60(230〜400メッシュ、Merck and co.)を使用して実施した。1H NMR及び13C NMRスペクトルを、300KにてBruker AV−300、AV−400及びAV−500スペクトロメーターを使用して記録した。化学シフトを、δ=7.26ppm(1H NMR)及びδ=77.16(13C NMR)にて定義される、CDCl3の溶媒ピークに関し、百万分率(ppm、δ)で示した。結合定数をHz(J)で提示した。1H NMR分裂パターンを、シングレット(s)、ダブレット(d)、ダブルダブレット(doublet of doublet)(dd)、トリプレット(t)、カルテット(q)、ペンテット(pentet)(p)と示す。解釈できなかった又は容易に見分けられなかった分裂パターンを、マルチプレット(m)又はブロード(br)と示す。
6.2. 実験手順
Bragsin1、Bragsin2及び化合物(3)の合成
Figure 2021530519
6.2.1. 一般的な手順
ステップ1及び2
乾燥THF(1.5ml)及び微細分散したLiH(3.4当量)を、アルゴン下で二首丸底フラスコ内に入れ、そしてその混合物を還流温度にした。乾燥THF中の所望のケトン(1.0当量)及びエチル2,2,2−トリフルオロアセタート(1.5当量)の溶液を、撹拌しながら、10〜15分かけて加えた。混合物を、2時間還流し、次に、1NのHClの水溶液でクエンチした。反応混合物を、EtOAcで3回抽出し、有機層を合わせ、塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、そして減圧真空下で濃縮した。生成物を、更なる精製なしで次のステップに使用した。
37%のHCl水溶液の液滴を、撹拌しながら、酢酸(5ml)中のステップ1後に得た反応生成物(1.0当量)を含有する溶液に加え、そしてその溶液を1時間還流した。この時間の後、水で反応物を希釈し、減圧下で溶媒を取り除いた。未精製の混合物を得、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン:酢酸エチル、0%から60%の酢酸エチルへのグラジエント)によって精製して、設計したクロメノン誘導体を得た。
ステップ3
濃H2SO4(0.6ml)と濃HNO3(0.6ml)の混合物を、濃H2SO4(2ml)中のステップ2由来の精製生成物の溶液(1当量)に追加した。反応混合物を、75℃にて35分間撹拌し、次に、氷冷水で希釈した。反応混合物を、酢酸エチルを使用することによって3回抽出し、塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。未精製の混合物をクロマトグラフィー(逆相/正相)によって精製して、設計したニトロ−クロメノン生成物を得た。
6−メチル−5−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン(Bragsin1、図1a):
Figure 2021530519
表題化合物を、一般的な手順に従って、市販の2’−ヒドロキシ−5’−メチルアセトフェノンから調製した。Bragsin1を(3ステップで)11%の収率で得た。データは文献と一致している。1H-NMR (500MHz, CDCl3): δ 7.71 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 6.74 (s, 1H), 2.39 (s, 3H)。
6−メトキシ−5−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン(Bragsin2、図1a):
Figure 2021530519
表題化合物を、一般的な手順に従って、市販の2’−ヒドロキシ−5’−メトキシアセトフェノンから調製した。Bragsin2を(3ステップで)78%の収率で得た。データは文献と一致している。1H-NMR (500MHz, CDCl3): δ 7.71 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 6.70 (s, 1H), 3.98 (s, 3H)。
6−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン(3)(化合物3、図1a):
Figure 2021530519
表題化合物を、一般的な手順(ステップ1及び2)に従って、市販の2’−ヒドロキシ−5’−メトキシアセトフェノンから調製した。化合物3を(2ステップで)90%の収率で得た。データは文献と一致している。1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ 7.54 (d, J = 3.1 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.34 (dd, J = 9.2, 3.1 Hz, 1H), 6.70 (s, 1H), 3.91 (s, 3H)。
化合物(4)(化合物4、図1a)6−メトキシ−5−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン(4)の品質分析:
Figure 2021530519
表題化合物は、市販の化合物(CAS:354128−13−5)である。1H-NMR (500MHz, CDCl3): δ 7.88 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.00 (s, 1H), 6.37 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.03 (s, 3H), 2.37 (s, 3H)。
化合物(5)(化合物5、図1a)の合成
Figure 2021530519
6−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン(7):
Figure 2021530519
クロメノン3(0.1g、0.41mmol、1.0当量)をDCM中に溶解した。反応混合物に、0℃にて1mLのBBr3(1M、0.82mmol、2.0当量)を滴下して加えた。反応物を室温にて2時間撹拌した。次に、それを、水でクエンチし、DCMで抽出し、NaHCO3で洗浄し、そしてMgSO4上で乾燥させた。揮発物を、減圧下で取り除いた。まとめた残渣を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:2)によって精製した。化合物7を69%の収率(65mg、0.28mmol)で得た。1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ 7.84 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 9.2, 3.0 Hz, 1H), 6.75 (s, 1H)。13C-NMR (75MHz, CDCl3): δ 178.2, 155.3, 152.9 (q, J = 39.2 Hz), 150.4, 125.2, 124.7, 120.1, 118.7 (q, J = 274.2 Hz), 109. 4 (q, J = 2.8 Hz), 109.2。HRMS(ESI):C10H6F3O3[M+H]+についての計算値:231.0259、実測値:231.0264。
6−ヒドロキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−5−カルバルデヒド(8):
Figure 2021530519
クロメノン7(100mg、0.44mmol、1.0当量)とヘキサメチレンテトラミン(121.9mg、0.87mmol、2.0当量)の混合物を、TFA(2ml)中に溶解した。混合物を、マイクロ波装置において120℃まで30分間加熱した。次に、反応物を、室温に冷まし、氷水でクエンチし、Et2Oで抽出し、そしてMgSO4上で乾燥させた。溶媒を取り除いた後に、まとめた残渣を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:2)によって精製した。化合物8を48%の収率(55mg、0.21mmol)で得た。1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ 13.09 (s, 1H), 11.43 (s, 1H), 7.75 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 6.78 (s, 1H)。13C-NMR (75MHz, CDCl3): δ 198.6, 178.1, 162.5, 151.3 (q, J = 39.7 Hz), 150.3, 128.0, 127.2, 122.4, 118.5 (q, J = 273.9 Hz), 115.3, 111.8 (q, J = 2.7 Hz)。HRMS(ESI):C11H6F3O4[M+H]+についての計算値:259.0218、実測値:259.0212。
6−メトキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−5−カルバルデヒド(5)(化合物5、図1a)
Figure 2021530519
アルゴン下、化合物8(50mg、0.19mmol、1.0当量)を、0℃にて、乾燥DMF中に溶解し、続いて、K2CO3(80mg、0.582mmol、3.0当量)を添加した。次に、ヨウ化メチル(15μL、0.23mmol、1.2当量)を、0℃にて混合物に滴下して加えた。反応物を室温にて12時間撹拌した。混合物を、NH4Clでクエンチし、酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄し、そしてMgSO4上で乾燥させた。有機層を合わせ、そして揮発物を減圧下で取り除いた。未精製の生成物を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、3:2)によって精製して、表題生成物を86%の収率(55mg、0.21mmol)で得た。1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ 10.57 (s, 1H), 7.67 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 6.67 (s, 1H), 3.91 (s, 3H)。13C-NMR (75MHz, CDCl3): δ 191.9, 177.5, 154.7, 152.5 (q, J = 39.4 Hz), 149.6, 126.0, 123.6, 121.9, 120.0, 118. 6 (q, J = 274.2 Hz), 110.0 (q, J = 2.8 Hz), 57.1。HRMS(ESI):C12H8F3O4[M+H]+についての計算値:273.0374、実測値:273.0369。
化合物(6)(化合物6、図1a)の合成
Figure 2021530519
メチル2−アセチル−3−ヒドロキシ−6−メトキシベンゾアート(11):
Figure 2021530519
0℃にてトルエン(1.5mL)中のフラン9(389mg、3.96mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、ケトエステル10(500mg、3.96mmol、1.0当量)を一度に加えた。添加完了時点で、琥珀色の溶液を90℃に温めた。1時間後に、反応混合物を、真空中で濃縮して、粘着性の赤紫色のオイルとして、(NMRによって観察される)1:3位置特異性の二環式混合物を得た。THF(4mL)中のこの二環式混合物(875mg、3.97mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、0℃にて5分間かけて、エーテル中の乾燥塩酸の溶液(1.0M、0.8mL、0.78mmol、0.2当量)をゆっくり加えた。添加完了時点で、琥珀色の溶液を室温に温めた。2時間後に、反応混合物を、真空中で濃縮して、琥珀色のオイルを得た。未精製の物質(412mg、2ステップにわたり43%)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc、10:1)によって精製して、透明な薄黄色のオイルとして生成物11(89mg)を得た。1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ 11.91 (s, 1H), 7.17 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 3.95 (s, 3H), 3.81 (s, 3H), 2.52 (s, 3H)。13C-NMR (75MHz, CDCl3): δ 203.8, 168.6, 156.5, 149.1, 124.0, 121.3, 121.0, 117.5, 57. 7 53.2, 29.3。HRMS(ESI):C11H12O5Na[M+Na]についての計算値:247.0582、実測値:247.0580。
メチル6−メトキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−5−カルボキシラート(12):
Figure 2021530519
表題化合物を、一般的な手順に従って、ベンゾキノン11から調製した。化合物12を85%の収率で得た。1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ 7.63 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 6.65 (s, 1H), 4.01 (s, 3H), 3.93 (s, 3H)。13C-NMR (75MHz, CDCl3): δ 176.0, 166.9, 154.2, 152.0 (q, J = 39.4 Hz), 149.6, 121.9, 120.7, 120.4, 119.0, 118. 6 (q, J = 274.5 Hz), 109.9 (q, J = 2.7 Hz), 57.0, 53.3。HRMS(ESI):C13H10F3O5[M+H]+についての計算値:303.0430、実測値:303.0475。
6−メトキシ−4−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−5−カルボン酸(6)(化合物6、図1a)
Figure 2021530519
クロメノン12(50mg、0.16mmol、1.0当量)をDCM中に溶解した。反応混合物に、0℃にて0.3mLのBBr3(1M、0.33mmol、2.0当量)を滴下して加えた。反応物を室温にて1時間撹拌した。次に、それを、水でクエンチし、DCMで抽出し、NaHCO3で洗浄し、そしてMgSO4上で乾燥させた。揮発物を減圧下で取り除いた。まとめた残渣を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=2:3)によって精製した。クロマトグラフィー分離後に、白色の固体として22mg(46%の収率)の化合物6を得た。1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ 7.56 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 6.69 (s, 1H), 3.96 (s, 3H)。13C-NMR (75MHz, CDCl3): δ 175.6, 168.8, 154.8, 151.7 (q, J = 39.3 Hz), 150.2, 125.3, 122.9, 122.8, 118. 6 (q, J = 274.3 Hz), 113.3, 110.7 (q, J = 2.7 Hz), 53.3。HRMS(ESI):C12H8F3O5[M+H]+についての計算値:289.0324、実測値:289.0317。
2−ヒドロキシ−6−メチル−5−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)クロマン−4−オン(13):
Figure 2021530519
データは文献と一致している。1H-NMR (300MHz, CDCl3): δ 7.49 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.71 (s (br), 1H, OH), 3.10 (q, J = 9.6 Hz, 2H), 2.24 (s, 3H)。
6,8−ジメトキシ−5−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン(14)
ステップ1
4mLのインチレーション(intillation)バイアル内にPd(OAc)2(4.4mg、0.02mmol)、K2S2O8(216mg、0.8mmol)を詰め、続いて、2mLのTFA及びケトン基質(0.4mmol)を詰めた。反応物を、テフロン(登録商標)で裏打ちしたキヤツプで密封する。反応物を、パイブロック上で50℃にて1.5時間加熱する。TLCによって反応を観察した。溶媒を、真空中で取り除いた。残渣を、Hex/DCMを使用したフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)に供して、ヒドロキシ−3E1、5E1−ジメトキシアセトフェノンを得た。
Figure 2021530519
1H-NMR (400MHz, CDCl3): δ 12.21 (s, 1H), 6.69 (d, J = 0.7 Hz, 2H), 3.86 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 2.61 (s, 3H)。
一般的な手順
ステップ2
乾燥THF(1.5ml)及び微細分散したLiH(3.4当量)を、アルゴン下で二首丸底フラスコ内に入れ、そしてその混合物を還流温度にした。乾燥THF中の対応するケトン、市販の出発物質(1.0当量)及びエチル2,2,2−トリフルオロアセタート(1.5当量)を含有する溶液を、撹拌しながら、10〜15分かけて加えた。混合物を、2時間還流し、次に、1NのHClの水溶液でクエンチした。反応混合物を、EtOAcで3回抽出し、有機層を合わせ、塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。生成物を、更なる精製なしで次のステップに使用した。
ステップ3
一滴の濃HClを、撹拌しながら、酢酸中のステップ1からの未精製の溶液に加え、そしてその溶液を1時間還流した。この時間の後、水で反応物を希釈し、減圧下で溶媒を取り除いた。未精製の混合物を得、クロマトグラフィーによって精製して、設計したクロメノン誘導体を得た。
Figure 2021530519
ステップ4(ニトロ化)
濃H2SO4(0.6ml)と濃HNO3(0.6ml)の混合物を、濃H2SO4(2.3ml)中のステップ2由来の精製生成物の溶液(1当量)に追加した。反応混合物を、75℃にて35分間撹拌し、次に、氷冷水で希釈した。沈殿物を、濾別し、水で洗浄し、乾燥させ、そしてBuOHから再結晶させた。化合物14(Bragsin3)を、白色の結晶固形物として得た。
Figure 2021530519
実施例7−材料と方法
7.1. 化学物質
ヌクレオチドをJena Bioscienceから購入した。BFAをSigmaから購入した。Bragsin1(6−メチル−5−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン)及びBragsin2(6−メトキシ−5−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)−4H−クロメン−4−オン)をVitas−M laboratoryから購入し、そして、実施例6に記載のとおり更に精製し、分析した。Bragsin1とBragsin2の安定性の分析を、図7〜9に示す。Bragsin1は、この試験の過程で商業的に入手できなくなったので、そのため、いくつかの実験では、Bragsin2だけで実施した(BRAG2変異体に対する効果−図3c、BRAG2膜結合に対する効果−図4b、及びBragsin効率に対する膜組成の効果−図4c)。Bragsin1とBragsin2は、差別せずに使用できる。図1aに示したBragsin類似体の合成を実施例6に記載する。
7.2. 抗体とcDNA
マウスモノクローナル抗GM130(130kDaのcis−Golgi基質タンパク質)及び抗EEA1(初期エンドソーム抗原1)は、Transduction Laboratories由来である。マウスモノクローナル抗−α−?チューブリンをSigmaから購入した。TGN46に対するヒツジ抗体(46kDaのtrans−Golgiネットワークタンパク質)をAbD Serotecから購入した。Alexa647標識ファロイジンをInvitrogen由来であった。二次抗体に関して、ヤギ抗マウスと結合したAlexa488又はロバ抗ヒツジIgGs(Invitrogen)を免疫蛍光法に使用し、及び西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ニワトリ抗マウスIgG(Santa Cruz Biotechnology)をウエスタンブロット法に使用した。完全長Arf1 Q71L、Arf5 Q71L及びArf6 Q67L変異体をコードするプラスミドは、Julie Menetrey(LEBS、CNRS、Gif−sur−Yvette、France)によって親切に提供され、そして哺乳動物細胞におけるmCherryのC末端融合突然変異タンパク質の発現のためのpmCherry−N1ベクター(Clontech)のサブクローニング用の鋳型として使用した。ヒトBRAG2b(1〜963)の完全長配列は、ProteoGenixによって合成され、そして哺乳動物細胞におけるBRAG2−mCherryの一過性発現のためにpmCherry−N1(Clontech)にサブクローニングされた。BRAG2Sec7PH変異体を、製造業者のプロトコールに従ってQuickchangeキット(Stratagene)を使用した部位特異的突然変異誘発によって作り出した。
7.3. 細胞培養、トランスフェクション、及び阻害剤を用いた処理
HeLa細胞を、Glutamax(商標)及び10%のウシ胎仔血清(Invitrogen)を補ったダルベッコ変法Eagle培地中で培養した。免疫蛍光研究のために、細胞を、Labtekガラススライド(Nunc)上で培養し、供給業者の取扱説明書に従ってLipofectamine2000(Invitrogen)を使用して18〜24時間トランスフェクトした。詳細に述べると、細胞を、培養培地中の指示した濃度の小分子又は対応する体積のビヒクル(DMSO)を用いて37℃にて30分間処理した。
7.4. 免疫蛍光法と共焦点顕微鏡
免疫染色法は、二次抗体インキュベーションをAlexa488結合ヤギ抗マウス(1:600)又はロバ抗ヒツジ(1:500)IgGとAlexa647結合ファロイジン(1:100)を使用して1時間実施したことを除いて、(Viaud, J. et al. Structure-based discovery of an inhibitor of Arf activation by Sec7 domains through targeting of protein-protein complexes. Proc Natl Acad Sci U S A 104, 10370-5 (2007))に記載のとおりであった。Anti−GM130を、希釈1:200にて使用した。画像を、100×(N.A. 1.40)油浸対物レンズ(HCX APO, Leica)を備えた倒立Leica TCS SP8レーザ走査共焦点顕微鏡を使用して双方向で記録した。蛍光色素を、488nm(Alexa488)、594nm(mCherry)及び633nm(Alexa647)にて励起レーザ線を使用して連続的に検出した。スタックを、0.5μmのz−ステップを使用して作り出し、Fiji/ImageJ(Schindelin、J. et al. Fiji: an open-source platform for biological-image analysis. Nat Methods 9, 676-82 (2012))を使用して処理した。画像は、少なくとも2つの独立した実験の代表である。
7.5. siRNAノックダウン
遺伝子サイレンシングを、それぞれのGEF遺伝子の既知の転写産物の変異体のすべてを標的化するsiRNAを使用して達成した:siBRAG2、Hs_IQSEC1_5(Qiagen、SI03019408);siARNO、Hs_PSCD2_3(Qiagen、SI00061299);siGBF1、Hs_GBF1_3(Qiagen、SI00425418)。非標的化対照siRNA:siCTRL、AllStars Negative Control siRNA(Qiagen、1027280)。HeLa細胞を、製造業者の取扱説明書に従って、Lipofectamine(登録商標)RNAiMAX(Invitrogen、12323563)を使用してダブルリバーストランスフェクションに供した。簡単に言えば、トリプシン処理細胞を、それぞれがトランスフェクションミックス:1mlの終量に関して10pmolのsiRNA及び200μlのOpti−MEMR中の3μlのLipofectamine(登録商標)RNAiMAXを含有する、12ウェルプレートのウェル内に15,000個の細胞/cm2にて播種した。48時間後に、細胞を、再び平板培養し、そしてRNA抽出のための6ウェルプレート(終量2.5ml/ウェル)及び免疫蛍光染色のための8ウェル−Lab−Tek(登録商標)ガラススライド(終量200μl/ウェル)内に、同じプロトコールに従って再びトランスフェクトした。分析を、2回目のトランスフェクションの48時間後に実施した。RT−qPCRによって決定されたとおり、BRAG2、ARNO及びGBF1 mRNAレベルは、具体的には、それらのそれぞれのsiRNAの存在下で約50%、83%及び88%減少し(図17)、そしてこれらのレベルは、Bragsinでの処理によって修飾されなかった(図18)。全RNAを、製造業者の取扱説明書に従って、RNeasy(登録商標)Mini Kit(Qiagen、74104)を用いて抽出した。それぞれのサンプルRNA(1μg)を、RT−qPCR用のiScript(商標)Reverse Transcription Supermix(Bio−Rad、170−8840)を使用して逆転写した。SsoAdvanced(商標)Universal SYBR(登録商標)Green Supermix(Bio−Rad、172−5270)を使用してCFX Connect器具(Bio−Rad)によりリアルタイムPCRによって、cDNA(100ng)を定量化した。増幅を、Bio−Radの標準的なPrime−PCRプロトコールに従って実施した。プライマーを、以下のように、NCBI Primer−BLASTアルゴリズムを用いて選択した:BRAG2、5’−CGTGGCATTTCTTTGGTGTC−3’(配列番号2)と5’−ACCCGAGAATTGATGAGTCG−3’(配列番号3);ARNO、5’−TTGTGTCAAGGATAGGGCTG−3’(配列番号4)と5’−ACTTCACCTTCATAGAGGCG−3’(配列番号5);GBF1、5’−TGTCACTCTCTACCTTTGCG−3’(配列番号6)と5’−AAATCTCCGCTGTGTCCATC−3’(配列番号7);GAPDH、5’−ACAAGAGGAAGAGAGAGACCC−3’(配列番号8)と5’−TACATGACAAGGTGCGGCTC−3’(配列番号9)。
7.6. タンパク質
ウシΔ17Arf1及びヒトΔ13Arf6、完全長ミリストイル化Arf1及びArf6、ヒトBRAG2Sec7(390〜594)及びBRAG2Sec7PH(390〜811)、ヒトEFA6Sec7(527〜727)及びEFA6Sec7PHCt(527〜1024)、ARNOSec7(50〜256)、BIG1Sec7(691〜889)、BIG1DcbHusSec7(2〜888)及びARNOSec7PH(50〜399)を発現させ、(Benabdi, S. et al. Family-wide Analysis of the Inhibition of Arf Guanine Nucleotide Exchange Factors with Small Molecules: Evidence of Unique Inhibitory Profiles. Biochemistry 56, 5125-5133 (2017))(本明細書に援用する)にあるとおり精製した。BRAG2Sec7PH変異体を、野生型タンパク質として精製した。C末端に6xHisタグを担持するヒト完全長Rac1及び
ヒトTRIODH1PH1(1232〜1550)の精製を、(Peurois, F. et al. Characterization of the activation of small GTPases by their GEFs on membranes using artificial membrane tethering. Biochem J 474, 1259-1272 (2017))に記載した。
7.7. リポソームと浮遊アッセイ
(自然起源の)脂質は、SigmaからのNBD−PEを除いて、Avanti Polar Lipidsからである。リポソームを(Aizel, K. et al. Integrated conformational and lipid-sensing regulation of endosomal ArfGEF BRAG2. PLoS Biol 11, e1001652 (2013))に記載のとおり調製し、0.2μmにて押出成形した。ArfGEFの特異性の研究のために、リポソームは、48%のホスファチジルコリン(PC)、20%のホスファチジルエタノールアミン(PE)、30%のホスファチジルセリン(PS)及び2%ホスファチジルイノシトール−4,5−ビスホスファート(PIP2)を含有した。Rac活性化アッセイのために、リポソームは、43%のPC、20%のPE、10%のPS、20%のコレステロール、2%のPIP2、5%のNiNTA脂質及び0.2%のNBD−PEを含有した。リポソームの凝集又は破損を排除するために、それらのサイズ分布を、(Benabdi, S. et al. Biochemistry 56, 5125-5133 (2017))に記載の動的光散乱によって実験前後に制御した。用量−応答及び浮遊アッセイを、37.9%のPC、20%のPE、20%のPS、2%のPIP2、20%のコレステロール及び0.1%のNBD−PEを含有するリポソームを用いて実施した。浮遊アッセイを18のように実施した。
7.8. ヌクレオチド交換アッセイ
ヌクレオチド交換動態を、50、51に記載のとおり37℃にて、且つ、連続した撹拌下でCary Eclipse fluorimeter(Varian)を使用した292/340nmの励起/発光波長を用いたトリプトファン蛍光によって観察した。特異性アッセイのために、50μMのBragsin1又は0.25%のDMSOを、(Benabdi, S. et al. Biochemistry 56, 5125-5133 (2017) and Peurois, F. et al. Biochem J 474, 1259-1272 (2017))に記載のとおり、100μMのリポソーム及び2〜100nMのArfGEFの存在下で、1μMのN末端短縮Arf−GDP及び100nMの指示したSec7ドメイン(溶液状態)又は0.4μMのmyrArf1のいずれかを含むHKM溶液(50mMのHEPES pH7.4、120mMの酢酸カリウム、1mMのMgCl2及び1mMのDTT)中で37℃にて2分間インキュベートした。ヌクレオチド交換率(Kobs)を単一指数適合から決定し、そして平均を、対照活性に対するパーセンテージ±SDとして示す。すべての実験を三連で実施した。
7.9. 結晶化と構造決定
BRAG2を、結晶化のために5mg/mlまで濃縮し、そして18%のPEG20000、0.1MのTris HCl pH8.5中の蒸気拡散によって293Kにて、結晶を得た。結晶を、10%のグリセロールを補ったリザーバ溶液に移し、100μlの終量中に20μMのBragsin1に浸し、そして室温にて24時間インキュベートした。回折データを、単結晶からPROXIMA2ビームライン(SOLEIL Synchrotron, Gif-sur-Yvette, France)にて回収し、そしてautoPROCを用いて加工した(Vonrhein, C. et al. Data processing and analysis with the autoPROC toolbox. Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 67, 293-302 (2011))。構造を、モデルとして非結合BRAG2(PDB5NLY)(Karandur, D. et al., J. Proc Natl Acad Sci U S A 114, 11416-11421 (2017))を使用して、Phaser(McCoy, A.J. et al. Phaser crystallographic software. J Appl Crystallogr 40, 658-674 (2007))を用いた分子置換によって解決した。リガンド適合を、RHOFIT(Global Phasing Ltd.)又はPhenixにおけるリガンド適合選択肢を使用しておこない、そしてその両方が同じリガンド配向を示した。構造を、Coot(Emsley, P. & Cowtan, K. Coot: model-building tools for molecular graphics. Acta crystallographica. Section D, Biological crystallography 60, 2126-32 (2004))によるモデル作成と入れ替えて、Phenix(Adams, P.D. et al. PHENIX: a comprehensive Python-based system for macromolecular structure solution. Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 66, 213-21 (2010))及びBuster(Blanc, E. et al. Refinement of severely incomplete structures with maximum likelihood in BUSTER-TNT. Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 60, 2210-21 (2004))を用いて精密化した。データ処理及び精密化のための統計を、表1に報告する。座標及び構造要素を、エントリコード6FNEでProtein Data Bankに寄託した。
7.10. 癌幹細胞アッセイ
3つの異なる分子サブタイプ(SUM149/基底、SUM159/間葉系、及びS68/管腔)由来の3つの乳癌細胞株(BCL)をこの試験に使用した。すべてのBCLを、以前に記載した(Charafe-Jauffret, E. et al. Cancer Res 73, 7290-300 (2013))標準培地中で培養した。ALDEFLUOR Kit(Stem Cell Technologies)を、以前に記載したとおり(Ginestier, C. et al. Cell Stem Cell 1, 555-67 (2007))LSR2血球計算器(Becton−Dickinson Biosciences)を使用した高アルデヒドデヒドロゲナーゼ酵素活性を用いて集団を単離するのに使用した。腫瘍様塊アッセイのために、BCLを、Bragsin2処置(50mM)又はビヒクル下の接着条件で72時間培養し、次に、限界希釈に従って、超低付着プレート(Corning)内に単独細胞として播種した。腫瘍様塊を、無血清乳房上皮基本培地中で培養した。細胞が腫瘍様塊を形成する能力を、顕微鏡下で定量化した。腫瘍様塊形成効率の統計解析をExtreme LDAソフトウェア(http://bioinf.wehi.edu.au/software/elda/)を用いておこなった。
実施例の結論
本発明では、Bragsinは、細胞ベースのアッセイと一緒に、人工膜上の脂質修飾Arf GTPアーゼとGEFの再構成の観点から乳癌幹細胞に影響を及ぼすBRAG2の強力且つ選択的な阻害剤と確認した。阻害機構は、結晶学、突然変異誘発、SAR及び膜結合アッセイによって裏づけられた。発明者らは、BRAG2の細胞生理に関するこれらの実験の意味合いと乳癌におけるその役割によって支持する。薬物開発における新概念としてのタンパク質−膜相互作用の境界阻害もまた確立した。
Bragsinの特性評価は、TGNコンパートメントの完全性を制御する際のBRAG2機能の以前に見落としていた態様を明らかにする。以前の試験は、例えばAMPA、EGF、VEGF及びGNAQ受容体などの原形質膜受容体のシグナル伝達を調整する、及びb1−インテグリン及びN−カドヘリンを含めた接着性タンパク質のトラフィッキングにおけるBRAG2の一般的な役割を報告したが、基本的な機能的経路は不明のままであった。興味深いことに、最近の試験では、TGNが有極様式で分泌されるように、b1−インテグリンが逆行性経路で使用され、そして細胞接着又は永続的な遊走につながること、並びにb1−インテグリンを再生することがTGN46陽性ポストGolgi担体への一過性で局在させることを示した。TGNの構造に対するBragsinの特徴的な効果は、TGNへの及びTGNからb1−インテグリン及び他の受容体のトラフィックの主な態様を調整する際のBRAG2の役割を示唆する。
Bragsinは、タンパク質−膜境界面における独特な作用機序に関与する。Bragsinは、リポソームとBRAG2との相互作用を妨げることなく、PHドメインの標準脂質結合部位の縁に結合する。これにより、Bragsinは、BRAG2と膜に同時に接触することができる。
PIP2含有膜は、以前の試験によって強調されるとおりBRAG2のGEF活性を増強する(Aizel, K. et al. Integrated conformational and lipid-sensing regulation of endosomal ArfGEF BRAG2. PLoS Biol 11, e1001652 (2013) ; Jian, X., Gruschus, J.M., Sztul, E. & Randazzo, P.A. The pleckstrin homology (PH) domain of the Arf exchange factor Brag2 is an allosteric binding site. J Biol Chem 287, 24273-83 (2012))。これは、膜上のArf−BRAG2複合体の明確な並置に通じる、複数の脂質との接触に関与する(Karandur, D., Nawrotek, A., Kuriyan, J. & Cherfils, J. Multiple interactions between an Arf/GEF complex and charged lipids determine activation kinetics on the membrane. Proc Natl Acad Sci U S A 114, 11416-11421 (2017))。膜上のBRAG2の位置の誤りが、その効率に影響を及ぼすはずであることが予測される。本発明で報告された生物物理学的データ及び構造データは、図6に示したモデルでまとめたように、これが、それによってBragsinがBRAG2を阻害する機構であることを強く示唆している。Bragsinが(シグナル伝達表在性膜タンパク質中に広く存在する)PHドメインを標的化するなら(Lemmon, M.A. Membrane recognition by phospholipid-binding domains. Nat Rev Mol Cell Biol 9, 99-111 (2008))、それが(そのすべてが原形質膜に結合したPHドメインもまた担持する)ArfGEF、ARNO及びEFA6、並びにRacGEF Trioの交換活性を阻害しなかったことは注目に値し、且つ、驚くべきことである。斯かる選択率は、脂質協同性及び/又はいくつかのタイプのホスホイノシチドの認識が、多くのPHドメイン及び他の表在性膜結合ドメインの特異的膜動員の一般原理であるという山のような証拠によって裏づけられている。結果として、脂質二重層の集団的な物理化学的性質は、個々の脂質との特定の相互作用に加えて、又はその代わりに表在性膜タンパク質によって認識され、そして独特なタンパク質−膜境界面につながる特異性決定部位をコードする。従って、Bragsinの特異性は、その境界機構から生じ得、それによって、脂質二重層とのその独特な境界面との関連でそれがBRAG2を認識する。
膜表在性タンパク質は、生命に関する細胞プロセスを制御する大きなクラスのシグナルタンパク質を構成するが、しかし、「ペリフェローム(peripherome)」は、従来技術によると創薬可能性が乏しいと今でもまだ考えられている。表在性膜タンパク質と膜の相互作用を標的化することは、医薬品開発における新興のパラダイムシフトを実証するが、この場合、主眼は、伝統的にむしろ、特に癌において、触媒能やタンパク質−タンパク質相互作用の阻害にあった。Bragsinは阻害剤の完全に新しいクラスを示し、そしてそれは、効果的な阻害のためにタンパク質−膜境界面を利用する。阻害に関するこの様式は、(低分子量GTPase Arf1を伴った非産生的複合体、及び同じ原理により動作するタンパク質−タンパク質安定化剤の増大するリストのArfGEFの別のサブファミリーを捕捉する)ある程度のタンパク質−タンパク質相互作用の境界阻害剤、例えば、天然化合物Brefeldin Aなどを連想させる。本発明は、阻害のために小分子によって利用できる特異性決定基及びエネルギー特性が原因で、タンパク質−膜境界面が表在性膜タンパク質の新しい急所であることを実証している。発明者の観察によって例示されるとおり、Bragsinは乳癌細胞の幹細胞性(stemness)に影響を及ぼす。
本発明は、タンパク質−膜相互作用を利用する新規阻害剤を特徴としている。本発明は、受容体のシグナル伝達に関与するBRAG2と癌による経路を分析する最高のツールを示す。本発明はまた、広範な表在性膜シグナル伝達タンパク質に適用でき、及びこの試験に記載した機構に基づく医薬品開発のための道を切り開く新しい概念を定義する。
Figure 2021530519
ヒトBRAG2(IQモチーフ及びSEC7ドメイン含有タンパク質1)は、以下の配列を有する:(https://www.uniprot.org/uniprot/Q6DN90.fasta)
>sp|Q6DN90|IQEC1_HUMAN IQモチーフ及びSEC7ドメイン含有タンパク質1 OS=ホモサピエンス OX=9606 GN=IQSEC1 PE=1 SV=1
Figure 2021530519
ヒトIQモチーフ及びSEC7ドメイン含有タンパク質1もまた、以下の配列で知られている:(https://www.uniprot.org/uniprot/A0A087WWK8.fasta):
>tr|A0A087WWK8|A0A087WWK8_HUMAN IQモチーフ及びSEC7ドメイン含有タンパク質1 OS=ホモサピエンス OX=9606 GN=IQSEC1 PE=1 SV=1
Figure 2021530519

Claims (20)

  1. 治療的処置方法における使用のための以下の化学構造(I):
    Figure 2021530519
    {式中、
    R1は、フッ化アルキル、好ましくはCF3であり;
    R3は、少なくとも1つの酸素及び/又は窒素を含む化学基であり;
    R2、R4、R5及びR6は独立に、原子又は原子団である}
    を有する分子、或いはその薬学的に許容される塩又はそのプロドラッグ。
  2. 前記分子が、以下の:
    Figure 2021530519
    {式中、R’は、原子の化学基、例えば任意選択で置換されたアルキルであるか、又はCOOR’は、エステル塩、例えばナトリウムエステルを形成する}
    から成る群から選択される、請求項1に記載の使用のための分子。
  3. 前記R4が、水素、ヒドロキシ、アルキル、好ましくはメチル(Me)又はエチル(Et)、O−アルキル(又はアルコキシ)、好ましくはOMe又はOEt、アルケン、O−アルキレン、アルキン、好ましくは−CCH、或いはO−アルキン、好ましくは−OCH2−CCHから成る群から選択される、請求項1又は2に記載の使用のための分子。
  4. 前記R6が、水素、ヒドロキシ、アルキル、好ましくはメチル(Me)又はエチル(Et)、O−アルキル、好ましくはOMe又はOEt、アルケン、O−アルキレン、アルキン、好ましくは−CCH、或いはO−アルキン、好ましくは−OCH2−CCHから成る群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用のための分子。
  5. 前記R2、R5及びR6が、水素原子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用のための分子。
  6. 前記分子が、以下の:
    Figure 2021530519
    Figure 2021530519
    から成る群から選択される、請求項1に記載の使用のための分子。
  7. 癌の治療における使用のための阻害する阻害剤であって、1もしくは複数のタンパク質−膜相互作用を有し、且つ、哺乳動物BRAG2、そして好ましくはヒトBRAG2を阻害する、阻害剤。
  8. 以下の化学構造(I):
    Figure 2021530519
    {式中
    R1は、フッ化アルキル、好ましくはCF3であり;
    R3は、少なくとも1つの酸素及び/又は窒素を含む化学基であり;
    R6は、水素と異なる原子又は原子団であり;
    R2、R4及びR5は独立に、原子又は原子団である}
    を有する分子。
  9. 前記分子が、以下の:
    Figure 2021530519
    {式中、R’は、原子の化学基、例えば任意選択で置換されたアルキルであるか、又はCOOR’は、エステル塩、例えばナトリウムエステルを形成する}
    から成る群から選択される、請求項8に記載の分子。
  10. 前記R4が、水素、ヒドロキシ、アルキル、好ましくはメチル(Me)又はエチル(Et)、O−アルキル(又はアルコキシ)、好ましくはOMe又はOEt、アルケン、O−アルキレン、アルキン、好ましくは−CCH、或いはO−アルキン、好ましくは−OCH2−CCHから成る群から選択される、請求項8又は9に記載の分子。
  11. 前記R6が、ヒドロキシ、アルキル、好ましくはメチル(Me)又はエチル(Et)、O−アルキル、好ましくはOMe又はOEt、アルケン、O−アルキレン、アルキン、好ましくは−CCH、或いはO−アルキン、好ましくは−OCH2−CCHから成る群から選択される、請求項8〜10のいずれか1項に記載の分子。
  12. 前記分子が、以下の:
    Figure 2021530519
    Figure 2021530519
    から成る群から選択される、請求項8に記載の分子。
  13. 哺乳動物BRAG2、そして好ましくはヒトBRAG2の阻害剤であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載の構造を有する、阻害剤。
  14. 特にインビトロ又はインセルロにおいて、哺乳動物BRAG2、そして好ましくはヒトBRAG2を阻害するための方法であって、BRAG2を請求項7又は13に記載のBRAG2阻害剤と接触させることを含む、方法。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも1つの分子を含む医薬組成物であって、1もしくは複数の賦形剤、及び任意選択で1つの他の医薬活性成分を含む、組成物。
  16. BRAG2の脱調節発現(deregulated expression)、好ましくはBRAG2の過剰発現を示す疾患の治療的処置の方法に使用するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の分子又は請求項15に記載の医薬組成物。
  17. タンパク質−膜相互作用を必要とする疾患の治療的処置の方法に使用するための、タンパク質−膜相互作用を有する薬物としての、請求項1〜13のいずれか1項に記載の分子又は請求項15に記載の医薬組成物。
  18. 前記疾患が、癌、特に浸潤癌、転移を有する癌、EGFR及び/又はErbB2モジュレーターに対する抵抗性を有する癌、血管新生、糖尿病性網膜症、非症候性知的障害から成る群から選択される、請求項16又は17に記載の使用のための分子又は医薬組成物。
  19. 癌、特に浸潤癌、転移を有する癌、EGFR及び/又はErbB2モジュレーターに対する抵抗性を有する癌、血管新生、糖尿病性網膜症、非症候性知的障害などから成る群から選択される疾患の治療的処置の方法に使用するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の分子又は請求項15に記載の医薬組成物。
  20. 治療的処置の方法であって、それを必要としている哺乳動物に、有効量の、請求項1〜13のいずれか1項に記載の少なくとも1つの分子を投与することを含む、方法。
JP2021502501A 2018-07-16 2019-07-16 Brag2阻害剤とその適用 Pending JP2021530519A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP18305962.5 2018-07-16
EP18305962.5A EP3597187A1 (en) 2018-07-16 2018-07-16 Brag2 inhibitors and applications thereof
PCT/EP2019/069142 WO2020016239A1 (en) 2018-07-16 2019-07-16 Brag2 inhibitors and applications thereof

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021530519A true JP2021530519A (ja) 2021-11-11

Family

ID=63035991

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021502501A Pending JP2021530519A (ja) 2018-07-16 2019-07-16 Brag2阻害剤とその適用

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20210284620A1 (ja)
EP (2) EP3597187A1 (ja)
JP (1) JP2021530519A (ja)
WO (1) WO2020016239A1 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002542187A (ja) * 1999-04-16 2002-12-10 アストラゼネカ・アクチエボラーグ エストロゲン−β受容体リガンド
JP2007097421A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Osaka Bioscience Institute ヒトがん細胞の浸潤活性を阻害するオリゴリボヌクレオチド
WO2009026657A1 (en) * 2007-08-29 2009-03-05 The University Of Sydney Flavonoid ppar agonists
WO2012170371A1 (en) * 2011-06-10 2012-12-13 N30 Pharmaceuticals, Llc Compounds as s-nitrosoglutathione reductase inhibitors
WO2015010032A1 (en) * 2013-07-18 2015-01-22 Board Of Regents, The University Of Texas System Anti-cancer compounds

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150322033A1 (en) * 2012-11-13 2015-11-12 Juntendo Educational Foundation Antibacterial agent

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002542187A (ja) * 1999-04-16 2002-12-10 アストラゼネカ・アクチエボラーグ エストロゲン−β受容体リガンド
JP2007097421A (ja) * 2005-09-30 2007-04-19 Osaka Bioscience Institute ヒトがん細胞の浸潤活性を阻害するオリゴリボヌクレオチド
WO2009026657A1 (en) * 2007-08-29 2009-03-05 The University Of Sydney Flavonoid ppar agonists
WO2012170371A1 (en) * 2011-06-10 2012-12-13 N30 Pharmaceuticals, Llc Compounds as s-nitrosoglutathione reductase inhibitors
WO2015010032A1 (en) * 2013-07-18 2015-01-22 Board Of Regents, The University Of Texas System Anti-cancer compounds

Non-Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BONDARENKO, S. P. ET AL.: "Synthesis of Analogs of Natural Isoflavonoids Containing Phloroglucinol", CHEMISTRY OF NATURAL COMPOUNDS (TRANSLATION OF KHIMIYA PRIRODNYKH SOEDINENII), vol. 39, no. 3, JPN6023017616, 2003, pages 271 - 275, XP055544860, ISSN: 0005052936, DOI: 10.1023/A:1025422502712 *
KHARRAT, S. E. ET AL.: "Synthesis of 3-Trifluoromethyl- and 3-Perfluoroalkyl-Substituted 3-Aryloxy- and 3-Heteroaryloxyprope", SYNTHESIS, vol. 22, JPN6023017609, 2007, pages 3542 - 3552, ISSN: 0005186185 *
KHILYA, V. P. ET AL.: "Synthesis and properties of heterocyclic analogs of isoflavones", KHIMIA GETEROCIKICHESKIH SOEDINENII, vol. 9, JPN6023017611, 1973, pages 1202 - 1208, XP009510591, ISSN: 0005186187, DOI: 10.1007/BF00474779 *
SCHEPETKIN, I. A. ET AL.: "Antagonism of human formyl peptide receptor 1 (FPR1) by chromones and related isoflavones", BIOCHEMICAL PHARMACOLOGY, vol. 92, JPN6023017606, 2014, pages 627 - 641, XP055544739, ISSN: 0005186183, DOI: 10.1016/j.bcp.2014.09.027 *
SOSNOVKIKH, V. Y. AND USACHEV, B.I: "2-(Polyfluoroalkyl )chromones. 13. Synthesis and nitration of 6,8-dibromo-2-(trifluoromethyl)chromon", RUSSIAN CHEMICAL BULLETIN, INTERNATIONAL EDITION, vol. 51, no. 10, JPN6023017621, 2002, pages 1954 - 1956, ISSN: 0005186182 *
SOSNOVSKIKH, V. AND USACHEV, B. I.: "2-Polyfluoroalkylchromones. 6. Synthesis of substituted 2-morpholino-2-trifluoromethylchroman-4-ones", RUSSIAN CHEMICAL BULLETIN, vol. 50, JPN6023017608, 2001, pages 453 - 455, ISSN: 0005186184 *
SOSNOVSKIKH, V. Y. ET AL.: "One-Pot Domino Synthesis of Polyfunctionalized Benzophenones,Dihydroxanthones, and m-Terphenyls from", EUR. J. ORG. CHEM., vol. 22, JPN6023017607, 2015, pages 1932 - 1944, ISSN: 0005186181 *
SOSNOVSKIKH, V. Y. ET AL.: "One-pot synthesis of functionalized benzo[c]coumarins and their precursors via the reaction of 2-(po", RSC ADV., vol. 6, JPN6023017614, 2016, pages 58188 - 58202, XP055544856, ISSN: 0005186188, DOI: 10.1039/C6RA12492E *
SOSNOVSKIKH, V. Y. ET AL.: "Regioselective Nucleophilic 1,4-Trifluoromethylation of 2- STN-1-L8-18 Polyfluoroalkylchromones with", JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY, vol. 68, no. 20, JPN6023017617, 2003, pages 7747 - 7754, ISSN: 0005052937 *
SZABO, V. ET AL.: "Synthesis of C3-substituted chromones, V. Synthesis of thiazolyl analogs of isoflavones", MAGYAR KEMIAI FOLYOIRAT, vol. Vo.83, No.6, JPN6023017619, 1977, pages 274 - 277, ISSN: 0005052939 *
TAMURA, K. ET AL.: "Synthesis of 2-polyfluoroalkylated thiochromones and chromones", JOURNAL OF FLUORINE CHEMISTRY, vol. 68, no. 1, JPN6023017618, 1994, pages 25 - 31, XP055544700, ISSN: 0005052938, DOI: 10.1016/0022-1139(93)02979-O *
WANG, LI ET AL.: "Synthesis, Crystal Structure, and Biological Evaluation of a Series of Phloretin Derivatives", MOLECULES, vol. 19, JPN6023017610, 2014, pages 16447 - 16457, XP055544744, ISSN: 0005186186, DOI: 10.3390/molecules191016447 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP3597187A1 (en) 2020-01-22
US20210284620A1 (en) 2021-09-16
EP3823612A1 (en) 2021-05-26
WO2020016239A1 (en) 2020-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Xie et al. Allosteric inhibitors of SHP2 with therapeutic potential for cancer treatment
JP6887996B2 (ja) Tead転写因子自己パルミトイル化阻害剤
Sánchez-Solana et al. The EGF-like proteins DLK1 and DLK2 function as inhibitory non-canonical ligands of NOTCH1 receptor that modulate each other's activities
Tokarski et al. Tyrosine kinase 2-mediated signal transduction in T lymphocytes is blocked by pharmacological stabilization of its pseudokinase domain
Lemos et al. A comprehensive overview of the complex world of the endo-and sarcoplasmic reticulum Ca2+-leak channels
Suthon et al. WNT5B in Physiology and Disease
WO2017181061A1 (en) Ras binding peptides and methods of use
TW201427963A (zh) 化合物及其使用方法
CA3061611A1 (en) Modulators of sestrin-gator2 interaction and uses thereof
Doan et al. RACK1 regulates Src activity and modulates paxillin dynamics during cell migration
Bai et al. CNNM proteins selectively bind to the TRPM7 channel to stimulate divalent cation entry into cells
CN107820518B (zh) 用于选择磷酸酶选择性抑制剂和非选择性磷酸酶抑制剂的方法
Lai et al. Ror2-Src signaling in metastasis of mouse melanoma cells is inhibited by NRAGE
JP2016535016A (ja) β−カテニン
Juillerat-Jeanneret et al. Targeted γ-secretase inhibition to control the Notch pathway in renal diseases
Bolshakova et al. Sigma-1 receptor as a potential pharmacological target for the treatment of neuropathology
Tobin et al. Regulation of Hspb7 by MEF2 and AP-1: implications for Hspb7 in muscle atrophy
EP3475271A1 (en) Wnt inhibitors for use in the treatment of fibrosis
Iannantuono et al. Rab11FIP1 maintains Rab35 at the intercellular bridge to promote actin removal and abscission
Wang et al. Discovery of an Orally Bioavailable Small-Molecule Inhibitor for the β-Catenin/B-Cell Lymphoma 9 Protein–Protein Interaction
Wang et al. Effect of the hairpin structure of peptide inhibitors on the blockade of PD-1/PD-L1 axis
JP2021530519A (ja) Brag2阻害剤とその適用
Kwak et al. Co-localization and interaction of organic anion transporter 1 with caveolin-2 in rat kidney
WO2002044378A2 (en) Wnt signalling assay, methods and uses thereof
TWI412374B (zh) Kidney disease treatment agent

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220414

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230509

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230809

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231031

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20231227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20231227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240228

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20240307

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20240419