JP2021527127A - 中枢神経系内のグルコースレベルを増強する方法 - Google Patents

中枢神経系内のグルコースレベルを増強する方法 Download PDF

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Abstract

(i)対象の中枢神経系内のグルコース濃度を増加させる若しくは制御する、(ii)対象における認知機能低下を阻害する若しくは遅延させる、(iii)対象における認知機能を強化する、及び/又は(iv)対象の中枢神経系内のグルコースレベルの減少と関連する疾患若しくは状態を処置するための組成物及びその使用が本明細書に提示される。いくつかの実施形態では、本明細書に提示される組成物は、L−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む。
【選択図】 図1

Description

関連出願
[0001]本出願は、2018年6月8日出願の「Method of Enhancing Glucose Levels in the Central Nervous System」と題する米国特許出願第62/682,594号(代理人整理番号042733−0459586)の優先権の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
[0002]グルコースは、ヒト脳の主要なエネルギー源である。したがって、脳を横断するグルコース輸送が、何らかの方法で障害され又は損なわれる場合には、深刻な神経学的結果が引き起こされるおそれがある。正常な状況下では、ヒト脳は、1日当たり約120グラムのグルコースを消費し、これは人体により使用される全グルコースの70%を占める。これにより、1分間当たり6mg/100gのグルコース代謝率でエネルギー源が供給される(Cunnaneら、2011年)。このグルコースの消費は、420キロカロリーのエネルギーインプットと等価である(Bergら、Biochemistry、2002年)。
[0003]記憶及び認知機能の改善は、多くの人々にとって、生活の質、経済的機会、及び前向きな社会的相互作用の向上における重要な要因であり得る。認知力強化薬、例えばアデラール及びリタリン等は、注意欠陥活動障害(ADDH)に対する処置として処方されるように設計されるが、それらの認知力強化薬は、大学キャンパスの学生によって、試験目的で学習力及び記憶力を高めようと努力する際に頻繁に流布されており、中毒及び神経精神障害を含む悲惨な結果を招いている。二重盲検試験は、アデラールに起因する認知力強化が、現実に基づいているというよりも主観的であることを示している(Ilievaら、2013年)。ナルコレプシー及び睡眠時無呼吸の処置のために処方されるモダフィニルも、認知力強化のために時に不正使用される(Greeleyら、2008年)。さらに、アルツハイマー病の認知症状を処置するのに使用されるいくつかの薬物、特にアセチルコリンエステラーゼ阻害剤が、認知力を強化しようとする際に、健常者により誤用されている(Sahakianら、2015年)。
[0004]認知機能低下には、エピソード記憶喪失を経験する高齢の集団の関心が増している。その結果、年齢関連性の認知機能低下に直面する閉経後の女性を対象として、エストロゲン置換療法を含む、エピソード記憶改善手段の探索に多大な努力が払われてきた(Jacobsら、1998年;Dukaら、2000年;Hogervorstら、2000年)。しかしながら、閉経後の女性が使用するエストロゲンについて実施された10件の異なる試験のメタ分析から、エストロゲン療法の公知のリスクを踏まえれば、エストロゲンは、AD又はその他の認知症の予防又は処置に対して推奨されないと結論付けられた(Yaffeら、1998年)。より最近では、非ステロイド系エストロゲンとして機能する、大豆イソフラボンサプリメントを含む大豆製品が、閉経後の女性を対象に、その消費を通じて認知機能が改善し得るか確認するためにテストされたが、学習測の逆転におけるいくつかの長所を除き、更年期障害、気分、又は眠気に対して観測可能な効果を有さなかった(Duffyら、2003年)。
[0005]本明細書で開示される本実施形態は、様々な状態及び疾患に対処するため、並びに認知機能を強化するために、脳を含む中枢神経系内のグルコースレベルを強化する方法を提供する。
[0006]いくつかの態様では、対象におけるグルコース濃度を増加させる又は制御する方法であって、治療有効量のL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物を対象に投与するステップを含む、方法が、本明細書に提示される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、対象の中枢神経系内のグルコースレベルを増加させる。いくつかの態様では、対象の中枢神経系内のグルコースのレベルの減少と関連する疾患又は状態を処置する方法であって、治療有効量のL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物を対象に投与するステップを含む、方法が、本明細書に提示される。いくつかの実施形態では、方法は、中枢神経系内のグルコースの量が減少することにより特徴付けられる疾患又は状態を有する対象を処置するステップを含み、該ステップは、L−セリンを、約10〜約60g/日、又はいくつかの実施形態では約10〜約30若しくは約10〜約15g/日の用量で対象に投与することを含む。
[0007]いくつかの態様では、対象における認知機能低下を阻害する又は遅延させる方法であって、治療有効量のL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物を対象に投与するステップを含む、方法が、本明細書に提示される。
[0008]いくつかの態様では、認知機能を強化する方法(すなわち、認知力強化法)であって、治療有効量のL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物を対象に投与するステップを含む、方法が、本明細書に提示される。
[0009]いくつかの態様では、対象の脳内へのグルコース輸送障害と関連する、又はそれにより引き起こされた疾患又は状態を処置する方法が本明細書に提示されるが、該方法は、治療有効量のL−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物を対象に投与するステップを含む。
[0010]いくつかの態様では、対象の学習能力を改善する方法が本明細書に提示されるが、該方法は、L−セリン又は、その塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを対象に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、ヒトにおける学習能力(Reyの聴覚性言語学習検査(Rey Auditory Verbal Learning Test)により測定される)を改善する方法は、L−セリンを約10〜約15g/日の用量でヒト対象に投与するステップを含む。
0mM(対照)、100mM、200mM、及び500mMのL−セリンで0、24、又は48時間(x軸)の期間で処置されたヒト神経芽細胞腫細胞(SH−SY5Y)の培養培地中のD−グルコースの濃度(y軸;mM)を表す棒グラフを示す図である。
[0012]本明細書に開示される実施形態は、対象内(例えば、対象の中枢神経系内(CNS)内)のグルコースの濃度を増加させる又は制御するための、本明細書で開示される特定の疾患、状態、及び/又は障害の1つ若しくは複数の症状を、予防し、処置し、その発現を遅延させ、及び/又はそれを阻害する若しくは低下させるための、並びに/或いは記憶、学習、及び/又は認知機能を改善するための、L−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートの使用に一般的に関する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法は、L−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物を対象に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法は、L−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを対象に投与するステップを含む。
疾患及び状態
[0013]特定の態様では、対象(例えば、対象の中枢神経系)内のグルコースのレベルが減少することと関連する又はそれにより引き起こされた疾患又は状態の1つ又は複数の症状を、予防、処置し、その発現を遅延させ、及び/又はそれを阻害若しくは低下させる方法が本明細書に提示され、疾患又は状態の非限定的な例として、GLUT1欠乏症候群、てんかん、術後認知機能障害、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(G6PD)欠損症、GLUT2欠損症、GLUT3欠損症、SGLT1欠損症、SGLT2欠損症、ファンコニ・ビッケル症候群、グルコース−ガラクトース吸収不全症候群、アルドラーゼA欠損症、ダウン症候群、低血糖症、アルコール中毒症、肝炎、無食欲症、インスリノーマ、軽度認知障害(MCI)、健忘型MCI(aMCI)、年齢関連の記憶障害(AAMI)、年齢関連性の認知機能低下(ARCD)、化学療法誘発性認知機能障害、及び注意欠陥多動障害(ADHD)、及びその他の年齢関連性の疾患又は神経変性疾患が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書における方法により処置可能である疾患又は状態は、低血糖症を含む。特定の実施形態では、本明細書における方法により処置可能である疾患又は状態は、糖尿病(例えば、I型糖尿病又はII型糖尿病)又はインスリン抵抗性を含む。
[0014]特定の実施形態では、方法は、軽度認知障害(MCI)の1つ又は複数の症状を予防するステップ、処置するステップ、その発現を遅延させるステップ、及び/又はそれを阻害するステップ、抑制するステップ、若しくは低下させるステップを含む。特定の実施形態では、方法は、軽度認知障害(MCI)を有する又は有することが疑われる対象における記憶を強化するステップを含む。軽度認知障害(MCI)とは、その他の認知異常、状態、疾患、又は欠陥を伴わない孤立した記憶障害により特徴付けられる状態を多くの場合指す。記憶障害を除いて、MCIを有する対象は、比較的正常な身体機能及び認知機能を多くの場合示す。いくつかの実施形態では、MCIを有する対象は、下記の特徴のうちの1つ又は複数を含む:(1)記憶愁訴の喪失(患者、情報提供者、又は医師により報告される)、(2)その他の点では正常な日常生活活動(ADL)、(3)その他の点では正常な全体的な認知機能、(4)年齢にしては異常な記憶力(所定の年齢における平均値から1.5標準偏差を超えて下回るスコアリングとして定義される)、及び(5)認知症の兆候の不存在(DSM−IVガイドラインの定義に従う)。いくつかの実施形態では、対象におけるMCIの判定又は診断は、Petersenら、Srch.Neurol.56:303〜308頁(1999年);Petersen、「Mild cognitive impairment:Aging to Alzheimer’s disease.」Oxford University Press,N.Y.(2003年)に記載の方法によりなし得る。したがって、いくつかの実施形態では、MCIを有する又は有すると疑われる対象は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症/パーキンソン認知症複合(ALS/PDC)、認知症、パーキンソン病(PD)、ハンチントン舞踏病(HD)、進行性核上性麻痺(PSP)、及び/又はレビー小体型認知症(LBD)と診断されない、及び/又はそれらを有さない対象である。
[0015]いくつかの実施形態では、方法は、年齢関連の記憶障害(AAMI)の1つ又は複数の症状を予防するステップ、処置するステップ、その発現を遅延させるステップ、及び/又はそれを阻害するステップ、抑制するステップ、若しくは低下させるステップを含む。特定の実施形態では、方法は、AAMIを有する又は有すると疑われる対象における記憶を強化するステップを含む。年齢関連の記憶障害(AAMI)とは、老化に起因する記憶の衰退を多くの場合指す。いくつかの実施形態では、AAMIとは、対象のより若い年齢と比較して客観的な記憶衰退を示しているが、しかしその同年代者と比較して正常な認知機能を有する対象を指す(例えば、Crookら、1986年を参照)。いくつかの実施形態では、AAMIを有する又はAAMIを有すると疑われる対象は、最低50歳であり、また下記の特徴のうちの1つ又は複数を含む;a)対象は記憶成績の低下を自覚している、b)記憶の標準テストにおける対象の成績は若年成人と比較して悪化している、c)正常な老化を除き、記憶衰退におけるすべてのその他の明らかな原因が排除されている(換言すれば、記憶衰退は、その他の原因、例えば最近の心臓発作又は頭部傷害、鬱病、薬物治療に対する有害反応、アルツハイマー病、ALS等に起因しない)。いくつかの実施形態では、AAMIを有する又は有すると疑われる対象は、ALS、AD、ALS/PDC、認知症、PD、HD、PSP、及び/又はLBDと診断されていない、及び/又はそれらを有さない対象である。
[0016]いくつかの実施形態では、方法は、年齢関連性の認知機能低下(ARCD)の1つ又は複数の症状を予防するステップ、処置するステップ、その発現を遅延させるステップ、及び/又はそれを阻害するステップ、抑制するステップ、若しくは低下させるステップを含む。特定の実施形態では、方法は、ARCDを有する又は有すると疑われる対象における記憶及び/又は学習力を強化するステップを含む。ARCDとは、ヒトにおける正常な老化の結果である、記憶の衰退及び認知能力の低下を多くの場合指す(例えば、Craik及びSalthouse、1992年)。いくつかの実施形態では、ARCDを有する又は有すると疑われる対象は、最低50歳、最低55歳、最低60歳、最低65歳、又は最低70歳の対象である。ARCDは、正常な発達上の変化であること(例えば、Crook、1993年;Larrabee、1996年を参照)、病態生理学的ではないこと(例えば、Smithら、1991年を参照)、及び明白な認知症まで進行するのは稀であること(例えば、Youngjohn及びCrook、1993年を参照)に重点が置かれている、より侮蔑的な呼称ではない、年齢相応の記憶衰退(Age−Consistent Memory Decline)と時に呼ばれる。いくつかの実施形態では、ARCDを有する又は有すると疑われる対象は、ALS、AD、ALS/PDC、認知症、PD、HD、PSP、及び/又はLBDと診断されていない、及び/又はそれを有さない対象である。
[0017]特定の態様では、対象における認知機能低下、認知機能障害、及び/又は記憶の喪失を予防し、阻害し、低下させ、抑制し、減速又は遅延させる方法が本明細書に提示され、該方法は、治療有効量のL−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物を対象に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、本明細書における方法は、認知機能低下、認知機能障害、及び/又は記憶の喪失を、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、35%、40%、45%、50%、例えば約1%〜100%、2%〜100%、5%〜100%、10%〜100%、20%〜100%、30%〜100%、又は約40%〜100%等の量、阻害し、低下させ、抑制し、又は遅延させる。いくつかの実施形態では、認知機能低下又は記憶の喪失の阻害は、認知能力の改善及び/又は記憶の増加である。いくつかの実施形態では、認知機能低下の阻害は、さらなる認知機能低下の不存在であり、又はいくつかの実施形態では、認知機能低下に変化を認めない。いくつかの実施形態では、記憶の喪失の阻害は、さらなる記憶の喪失の不存在であり、又はいくつかの実施形態では、記憶に変化を認めない。
[0018]いくつかの実施形態では、認知機能又は認知機能の変化(例えば、その改善又はその低下)には、しかるべき主観的又は客観的な対象の認知機能評価が含まれる。いくつかの実施形態では、認知機能(例えば、記憶及び学習力を含む)、及び/又は認知機能の変化(例えば、認知機能低下、認知障害、記憶の喪失、学習能力の強化)は、1つ又は複数のしかるべき認知テストにおける対象の成績により判定又は評価され、認知テストの非限定的な例として、注意の指標、処理スピード、実行機能、社会的相互作用、微細運動技能、言語能力、移動するための身体能力、記憶、計量的心理テスト、神経学的テスト、問題解決テスト、計測テスト、言語テスト、全体的な能力、その組合せ等が挙げられる。認知機能を評価するのに使用可能である認知テストの追加の非限定的な例として、ミニメンタルステート検査(MMSE(Mini−Mental State Examination))(例えば、Saczynskiら(2012年)、N.Engl.J.Med.367:30〜39頁を参照);信頼変化指標(Reliable Change Index)(例えば、Lewisら(2006年)、Acta Anaesthesiol Scand.50:50〜57頁;及びBergerら(2015年)、Anesthesiol Clin.33(3):517〜50頁を参照);Reyの聴覚性言語学習検査;トレイルメイキングテスト、パートA&B;溝付きペグボードテスト(Grooved Peg Board Test);ディジットスパンテスト;ストループテスト、4フィールドテスト、Erzigkeitの短期認知パフォーマンステスト;患者自己評価;並びに様々な臨床トライアルで開示される様々なテスト(例えば、ClinicalTrials.gov Identifier:NCT0361019、NCT03540433、NCT02265263、NCT02650687、NCT02848599、NCT03084393、NCT03029676、及びNCT03635229を参照)が挙げられる。特定の実施形態では、認知機能又はその変化は、本明細書で開示される組成物を投与する前及び/又は後に実施されるしかるべき医学的評価又は認知テストの結果を比較することにより測定される。医学的評価の非限定的な例として、脳コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)スキャン、単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、PETスキャン等が挙げられる。
[0019]いくつかの実施形態では、認知機能低下は、対象による自己申告性(例えば、記憶喪失の愁訴)、又は対象の挙動の観察を経由する。
[0020]特定の態様では、対象における認知機能を強化する方法(例えば、認知機能の向上;認知力強化)が本明細書に提示されるが、該方法は、治療有効量のL−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含有する組成物を対象に投与するステップを含む。認知機能を強化する非限定的な例として、記憶の向上及び/又は学習力の向上が挙げられる。いくつかの実施形態では、認知機能の強化は、認知機能の少なくとも1つの側面のレベルが、本明細書に記載される方法を実施する前のベースラインレベルよりも増加していることにより実証される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法を完了した後に、対象が1つ又は複数の認知機能のテストにおいて改善を示すとき、認知力強化が対象において実現される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物の投与前の記憶又は学習能力の量と比較して、対象の記憶又は学習能力が増強しているとき、認知力強化が対象において実現される。いくつかの実施形態では、認知力強化は、プラセボ処置との比較により評価される。
[0021]いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、L−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを投与することにより、健康な対象における認知機能を強化する。本明細書で開示される特定の実施例では、L−セリンを含む食品栄養補充は、健康な対象における認知機能(例えば、学習力及び/又は記憶)を改善可能であることが確認されたが、健康な対象の非限定的な例として、認知機能の低下、喪失、又は欠損と関連する疾患、障害、又は状態を有さない、又はそれと診断されていない対象が挙げられる。
[0022]いくつかの実施形態では、方法は、対象における(例えば、対象のCNS又は脳における)グルコースの量又はレベルを補充するステップ、増加させるステップ、又は上昇させるステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、グルコーストランスポーターの欠損により引き起こされた、又はそれと関連する疾患又は状態の1つ又は複数の症状を予防するステップ、阻害するステップ、その発現を遅延させるステップ、処置するステップ、又は低下させるステップを含む。特定の実施形態では、グルコーストランスポーターの欠損には、グルコーストランスポーターの発現若しくは機能の欠損、又はグルコーストランスポーターレベルの減少が含まれる。
[0023]飽和過程により、グルコースはトランスポータータンパク質により血液脳関門を横断して能動輸送される。グルコーストランスポーターは、原形質膜を横断するグルコースの輸送を促進する膜タンパク質である。グルコーストランスポーターの非限定的な例として、ナトリウム非依存性グルコーストランスポーター(GLUT)1〜14(例えば、GLUT1、GLUT2、GLUT2、GLUT4等)、ナトリウム依存性グルコーストランスポーター(SGLT)1及び2(例えば、Shahら、2012年を参照)(すなわち、SGLT1及びSGLT2)が挙げられる。中枢神経系に対するグルコースの利用能は、血液脳関門を横断してグルコースを往復輸送するトランスポーターの不存在又は欠損により制限される場合がある。血液脳関門を横断するグルコースの能動輸送は、正常な脳の機能に多くの場合必要とされる。しかしながら、グルコーストランスポーターをコードする遺伝子の突然変異、又は時に環境有害物質によるグルコーストランスポータータンパク質の分解により、グルコースの脳への適切な提供が妨害されるおそれがある。
[0024]グルコーストランスポーターGLUT1は、血液脳関門と関連する組織内に豊富に存在する。GLUT1と関連する突然変異は、最適とは言えないCNS内グルコースレベルを引き起こすおそれがある(De Vivoら、1991年)。GLUT3、GLUT4、SGLT1、及びSGLT2を含む、血液脳関門を横断するその他のグルコーストランスポーターは、中枢神経系の適切な発達、又は糖尿病若しくは虚血性脳卒中を含む重篤な疾病の後遺症が及んだ際のニューロンの健全性の維持及びニューロン修復に重要な役割を果たしている可能性がある。
[0025]血液脳関門を横断するグルコース輸送は、アルツハイマー病、その他の神経変性疾患、てんかん、及び虚血性脳卒中の場合に損なわれるおそれがある(Shahら、2012年)。2つのグルコーストランスポーター、GLUT1及びGLUT3は、アルツハイマー病患者に由来する脳組織において減少している(Liuら、2008年)。老化と関連するグルコース輸送の変化は、アルツハイマー病に重要な役割を果たしている可能性があり、またグルコーストランスポーターの減少は、アルツハイマー病におけるτの過剰リン酸化と関連していると考えられている(Liuら、2008年)。
[0026]血液脳関門を横断するグルコース輸送が不十分であるという神経学的結果は、高齢者に限らない。GLUT1欠損症は、小児において生ずるグルコーストランスポーター分子内の遺伝子の異常である。GLUT1欠損症は、ファンコニ・ビッケル症候群及びグルコース−ガラクトース吸収不全症候群を含むグルコーストランスポーター疾患のより広いクラスに該当する(Pascualら、2004年)。
[0027]De Vivoの疾患(GLUT1欠損症候群としても知られている)は、1991年に最初に記載された(De Vivoら、1991年)。GLUT1欠損症候群を有する小児15例の遺伝子解析から、GLUT1トランスポータータンパク質において様々な突然変異が示唆される(Wangら、2000年)。GLUT1欠損症候群を有する小児は、発作、発達遅滞、及び小頭症の臨床症状を有する。米国内の約4,000例の小児がこの疾患に罹患しており、世界的にはおそらく30,000〜40,000例の症例が生じている。
[0028]いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、L−セリンを対象に投与することにより、中枢神経系、脳、又はCSF内のグルコースレベルを増強する。理論に拘泥するものではないが、L−セリンの投与は、CNSにグルコースを生成する代替法を提供し得る。
[0029]いくつかの実施形態では、方法は、対象におけるグルコースの量又はレベルを補充するステップ、増加させるステップ、又は上昇させるステップを含む。いくつかの実施形態では、対象におけるグルコースの量又はレベルとは、対象の体液中のグルコースの量又はレベルを指し、体液の非限定的な例として、血液、血漿、リンパ液、及び脳脊髄液が挙げられる。いくつかの実施形態では、方法は、対象の中枢神経系内のグルコースの量又はレベルを補充するステップ、増加させるステップ、又は上昇させるステップを含む。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、対象の脳、頭蓋骨内領域、及び/又は脳脊髄液(CSF)内のグルコースの量又はレベルを補充するステップ、増加させるステップ、又は上昇させるステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書における方法を実施する前、例えばL−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物を対象に投与する前の、対象内のグルコースの量又はレベルと比較して、対象内のグルコースの量又はレベルを増加させるステップ又は上昇させるステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象内のグルコースの量又はレベルを、健康な対象において正常と考えられるグルコースの量又はレベルに等しい又はそれを上回る、対象内のグルコースの量又はレベルまで増加させるステップ又は上昇させるステップを含む。特定の実施形態では、治療有効量のL−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含有する、本明細書で開示される組成物の投与は、対象のCNS内のグルコースのレベルを増加させることができる。理論に拘泥するものではないが、いくつかの実施形態では、治療有効量のL−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含有する、本明細書で開示される組成物の投与は、アストロサイト及びその他のグリア細胞における正常なL−セリン生合成経路を逆転させること(例えば、逆方向に駆動すること)により、対象のCNS内のグルコースのレベルを増加させることができる。理論に拘泥するものではないが、いくつかの実施形態では、治療有効量のL−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含有する、本明細書で開示される組成物の投与は、CNSのアストロサイト内でL−セリンを生合成するための代表的なホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼ(PHGDH)経路を逆転させることにより、頭蓋骨内グルコースを増加させることができる。本明細書における実施例に開示されるように、L−セリンを口腔投与されたヒト以外の霊長類は、CNS内のグルコースレベルの有意な増加を示した。
[0030]いくつかの実施形態では、健康な対象における正常なグルコースの量又はレベルは、Mundt及びShanahanによるGraff’s Textbook of Routine Urinalysis and Body Fluids,second edition(2010年);RoosによるLippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA、及び/又はPrinciples of neurologic infectious diseases(2005年);McGraw−Hill、Medical Pub.Division,New Yorkに開示されており、及び/又はそこで開示されている方法により決定可能である。いくつかの実施形態では、健康なヒト対象におけるCSF内の正常なグルコースのレベルは、2.5〜4.4mmol/L(45〜80mg/dL)、又は約2〜4mmol/Lの範囲内にある。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、対象の中枢神経系内のグルコースの量又はレベルを、約1.5mmol/Lを下回る、約1.8mmol/Lを下回る、約2.0mmol/Lを下回る、約2.2mmol/Lを下回る、約2.5mmol/Lを下回るレベルから、約2mmol/L又はそれを上回る、2.2mmol/L又はそれを上回る、2.5mmol/L又はそれを上回る、3mmol/L又はそれを上回る、3.5mmol/L又はそれを上回る、4mmol/L又はそれを上回る、4.4mmol/L又はそれを上回る、或いは5.0mmol/L又はそれを上回る範囲のレベルまで補充するステップ、増加させるステップ、又は上昇させるステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、約1.5mmol/Lを下回る、約1.8mmol/Lを下回る、約2.0mmol/Lを下回る、約2.2mmol/Lを下回る、又は約2.5mmol/Lを下回るレベルから、約2mmol/L〜50mmol/L、2.2mmol/L〜50mmol/L、2.5mmol/L〜50mmol/L、3mmol/L〜50mmol/L、3.5mmol/L〜50mmol/L、4mmol/L〜50mmol/L、4.4mmol/L〜50mmol/L、又は5.0mmol/L〜50mmol/Lの範囲のレベルまで、対象の中枢神経系内のグルコースの量又はレベルを補充するステップ、増加させるステップ、又は上昇させるステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、約1.5mmol/Lを下回る、約1.8mmol/Lを下回る、約2.0mmol/Lを下回る、約2.2mmol/Lを下回る、又は約2.5mmol/Lを下回るレベルから、約2mmol/L〜10mmol/L、2.2mmol/L〜10mmol/L、2.5mmol/L〜10mmol/L、3mmol/L〜10mmol/L、3.5mmol/L〜10mmol/L、4mmol/L〜10mmol/L、4.4mmol/L〜10mmol/L、又は5.0mmol/L〜10mmol/Lの範囲のレベルまで、対象の中枢神経系内のグルコースの量又はレベルを補充するステップ、増加させるステップ、又は上昇させるステップを含む。
[0031]特定の実施形態では、本明細書で開示される組成物を対象に投与する前では、中枢神経系内(例えば、脳又はCSF内)のグルコースの濃度は、約70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、又は10mg/dL未満である。特定の実施形態では、本明細書で開示される組成物を対象に投与する前では、対象の中枢神経系内(例えば、脳又はCSF内)のグルコースの濃度は、5〜70mg/dL、5〜60mg/dL、5〜50mg/dL、5〜40mg/dL、5〜30mg/dL、5〜20mg/dL、5〜10mg/dL、10〜70mg/dL、10〜60mg/dL、10〜50mg/dL、10〜40mg/dL、10〜30mg/dL、10〜20mg/dL、20〜70mg/dL、20〜60mg/dL、20〜50mg/dL、20〜40mg/dL、20〜30mg/dL、30〜70mg/dL、30〜60mg/dL、30〜50mg/dL、又は30〜40mg/dLである。そのような対象における初期グルコースレベルは、対象の身体状態又は健康状態、年齢、身長、体重、性別、民族性、家族既往歴、並びに環境因子、例えば喫煙習慣及び生活条件等に依存して変化し得る。
[0032]特定の実施形態では、本明細書で開示される組成物を対象に投与した後、対象の中枢神経系内(例えば、脳又はCSF内)のグルコースのレベルは、投与前の対象の中枢神経系内のグルコースのレベルと比較して、少なくとも1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、又は300%増加する。特定の実施形態では、本明細書で開示される組成物を対象に投与した後、対象の中枢神経系内(例えば、脳又はCSF内)のグルコースのレベルは、投与する前の対象の中枢神経系内のグルコースのレベルと比較して、約1〜500%、約1〜200%、約1〜100%、約1〜50%、約2〜500%、約2〜200%、約2〜100%、約2〜50%、約5〜500%、約5〜200%、約5〜100%、約5〜50%、約10〜500%、約10〜200%、約10〜100%、又は約10〜50%増加する。増加の割合(%)は、対象毎に異なり、また対象の身体状態又は健康状態、年齢、身長、体重、性別、民族性、処置される状態の性質及び範囲、並びに処置担当医師の勧告に依存する。
[0033]いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、対象の中枢神経系内のグルコース濃度を増加させる手段として、本明細書で開示される組成物を栄養補助食品として投与するステップを含む。栄養補助食品又はサプリメントとは、いくつかの実施形態では、L−セリン投与の非食品形態を指す。サプリメントの非限定的な例は、医薬製剤(例えば、咀嚼可能な投与剤形、飲料製剤、錠剤、カプセル、ソフトゲル、粉末、ゲルキャップ、液体、若しくは非経口溶液、又はその他の形態等)である。
L−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲート
[0034]L−セリン、遊離L−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む、又はそれらから本質的になる組成物、及びその使用が本明細書に提示される。いくつかの実施形態では、L−セリン、遊離L−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートから本質的になる組成物は、L−セリン、遊離L−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを、組成物内の唯一の有効成分として含む。したがって、L−セリン、遊離L−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートから本質的になる組成物は、様々な薬学的添加物(excipient)、添加剤(additive)、担体、及び/又は賦形剤(diluent)を含み得る。いくつかの実施形態では、L−セリン、遊離L−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートから本質的になる組成物は、100%、99%、98%未満、95%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、又は50%(wt/wt)未満のL−セリンを含むタンパク質又はタンパク質分画を除外する。いくつかの実施形態では、L−セリン、遊離L−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートから本質的になる組成物は、20%を上回る、30%を上回る、40%を上回る、50%を上回る、又は60%(wt/wt)を上回るタンパク質を含むタンパク質又はタンパク質分画を除外する。いくつかの実施形態では、L−セリンから本質的になる組成物は、組成物内に、唯一の有効成分として、少なくとも100%、99%、98%、95%、90%、85%、又は少なくとも80%のL−セリンのアミノ酸含有量を有する遊離L−セリン、又はL−セリンのポリマーのみを含む。いくつかの実施形態では、L−セリンから本質的になる組成物は、クレアチン、クレアチンピルベート、グアニジノ酢酸(GA)、グリコシアミン、N−アミジノグリシン、及びその塩若しくはエステルを除外する。いくつかの実施形態では、L−セリンから本質的になる組成物は、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の純度で遊離L−セリンを含む組成物である。
[0035]いくつかの実施形態では、組成物は遊離のL−セリンを含む。遊離L−セリンとは、単一のアミノ酸モノマー又はその塩の形態のL−セリンを指す。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の純度で遊離L−セリンを含む。特定の実施形態では、遊離L−セリンは任意のその他のアミノ酸と共有結合していない。
[0036]いくつかの実施形態では、組成物はその他の有効成分を除外し得る。いくつかの実施形態では、組成物はL−セリンを含有するタンパク質を除外し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、10kDaを上回る、20kDaを上回る、30kDaを上回る、又は50kDaを上回る分子量を有すタンパク質を除外し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、99%、98%、95%、92%、90%、80%、70%、60%未満、又は50%未満のL−セリンを含有するタンパク質を除外し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、クレアチン、又はクレアチンの任意のエネルギー代謝前駆体、例えばグアニジノ酢酸(GA)等、その等価物、及びその混合物を除外し得る。
[0037]特定の実施形態では、組成物はL−セリンを含み、その非限定的な例として、重量%又はアミノ酸含有量として少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のL−セリンを含む遊離L−セリン、及びポリマー又はポリペプチドが挙げられる。いくつかの実施形態では、L−セリンのポリマー又はL−セリンを含むポリペプチドは、共有結合により連結した2〜50000個、2〜500個、2〜100個、2〜50個、2〜20個、2〜15個、2〜10個、2〜9個、2〜8個、2〜7個、2〜6個、2〜5個、又は2〜4個のL−セリンアミノ酸を含む。特定の実施形態では、組成物はL−セリンを含み、その非限定的な例として、20%〜100%、30%〜100%、35%〜100%、40%〜100%、45%〜100%、50%〜100%、55%〜100%、60%〜100%、65%〜100%、70%〜100%、75%〜100%、80%〜100%、85%〜100%、90%〜100%、95%〜100%、96%〜100%、97%〜100%、98%〜100%、又は99%〜100%のL−セリン含有率(wt/wt)又はアミノ酸含有率(すなわち、L−セリンモノマー/総アミノ酸モノマー)を含むポリマー又はポリペプチドが挙げられる。
[0038]いくつかの実施形態では、組成物はL−セリンのしかるべき誘導体を含む。特定の実施形態では、組成物はL−セリンの塩を含み、その非限定的な例として、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩;無機塩、例えば塩化水素、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、及び炭酸水素ナトリウム等;有機塩、例えばクエン酸ナトリウム、クエン酸塩、酢酸等が挙げられる。特定の実施形態では、組成物は、アルキル化されたL−セリンとして、例えばアルキル基、又は例えば1〜20個の炭素原子を含むアルキルを有するL−セリン等として、L−セリンを含む。特定の実施形態では、L−セリンの誘導体として、L−セリンエステル、L−セリンジエステル、L−セリンのリン酸エステル、又はL−セリンの硫酸エステル若しくはスルホン酸エステルが挙げられる。L−セリンのコンジュゲートの非限定的な例として、ペグ化されたL−セリン(例えば、1つ又は複数のポリエチレングリコール(PEG)部分を含むL−セリン)、及び脂質が付加したL−セリンが挙げられる。L−セリンの前駆体の非限定的な例として、L−ホスホセリンが挙げられる。
[0039]特定の実施形態では、組成物はL−セリンの前駆体を含み、その非限定的な例として、対象の消化器系によりL−セリンモノマーに分解されるプロ形態のL−セリンが挙げられる。いくつかの実施形態では、L−セリン又はそのコンジュゲートは、徐放性バージョンからなる。いくつかの実施形態では、L−セリンの誘導体は、プロドラッグを形成する異なる分子にコンジュゲートしており、血液脳関門を横断した後に、L−セリンがそこより放出される。
[0040]主要な酵素触媒としてPHGDHを用いてアストロサイト内でグルコースから合成されるので、L−セリンは非必須アミノ酸であると考えられるが、しかし脊椎動物は、必要とされる細胞の要求を満たすのに十分な量を常に合成できるわけではない。中枢神経系内L−セリン生合成は、グルコースから開始し、3−ホスホグリセリン酸に変換される。3−ホスホグリセリン酸は、次に酵素3−ホスホグリセリン酸デヒドロゲナーゼを通じてホスホヒドロキシピルビン酸に変換される。ホスホヒドロキシピルビン酸は、次に酵素ホスホヒドロキシピルビン酸アミノトランスフェラーゼを通じて3−ホスホセリンに変換される。3−ホスホセリンは、酵素ホスホセリンホスファターゼを通じてL−セリンに変換される(de Koningら、2003年)。この3酵素系を通じたグルコースのL−セリンへの変換は、グルコースが脳内で用いられる多くの方式のうちの1つである。
[0041]グルコースからL−セリンへの3酵素変換系は、自然界では一方向性と考えられるが、有意な用量のL−セリンを通じてこの生合成経路を逆方向に駆動することが可能であり得る。特に、経口により投与される高用量のL−セリンの投与を通じて、筋肉内若しくはIV注射を通じて、又は中枢神経系内直接輸液を通じて、L−セリンからグルコースへのPHGDH経路を通じた変換が可能となる。
[0042]アミノ酸は、D又はL立体異性形態(エナンチオマー)で存在することができる。任意のアミノ酸のD及びL形態は、同一の物理特性及び化学反応性を有するが、平面偏光の面を等しく、但し反対方向に回転させ、また非対称性の試薬とは異なる速度で反応する。L−エナンチオマーのみがヒトタンパク質において生ずる;しかしながら、D−エナンチオマーも、神経伝達のためのグルタミン酸レセプターにおいて、補助因子として、少量必要である(Woloskerら、1999年)。非分岐状の天然アミノ酸として、L−セリンは、タンパク質の構成ブロックとして使用される20種類のアミノ酸のうちの1つである。モル質量は105.09グラム/モルである。L−セリンは極性であるので、水に可溶性である。本明細書で開示される組成物は、L−セリンを含み得る、又はL−セリンから本質的になり得る。L−セリンから本質的になる組成物は、若干量のD−セリンを含み得る。例えば、本開示の組成物は、少量のD−セリン、例えば重量%(例えばwt/wt)又はアミノ酸含有率(例えば、L−セリン/総アミノ酸含有量)として、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、又は0.1%未満のD−セリンを含み得る。例えば、組成物は、0.001%〜30%、0.005%〜30%、0.1%〜30%、1%〜30%、2%〜30%、3%〜30%、4%〜30%、5%〜30%、6%〜30%、7%〜30%、8%〜30%、9%〜30%、10%〜30%、0.001%〜20%、0.005%〜0%、0.1%〜20%、1%〜20%、2%〜20%、3%〜20%、4%〜20%、5%〜20%、6%〜20%、7%〜20%、8%〜20%、9%〜20%、又は10%〜20%のD−セリンを含み得る。いくつかの実施形態では、L−セリンを含む又はそれから本質的になる組成物は、D−セリンを含まない。
[0043]神経タンパク質内のL−セリン残基はリン酸化のための重要な部位であり、タンパク質の適切なフォールディング及び機能を可能にする。年齢を重ねるに従い、血液及び脳脊髄液(CSF)中で測定されるL−セリンの濃度は減少する可能性がある。一部のL−セリンは、アストロサイト及びグリア細胞内で内因的に合成されるものの(de Koning及びKlomp、2004年)、そのような年齢関連性のL−セリン濃度の低下は、L−セリンの食物性のインプットが人生全体を通じて必要であり得ることを示唆する(van der Crabbenら、2013年)。食物性のL−セリンは、ナトリウム依存性トランスポーター及びアラニン−セリン−システイントランスポーター、asc−1及びasc−2を通じて血液脳関門を横断して輸送可能である(Kasaiら、2011年)。L−セリンの治療能力は、Metcalfらにより最近レビューされた(2017)。
[0044]L−セリンに富んだ食物供給源として、大豆製品、卵、肉、海藻、及びサツマイモが挙げられる。身体内では、その他のタンパク質がリソゾーム内で分解されることから、L−セリンをリサイクルすることができる(de Koningら、2003年、Kalhan及びHanson、2012年)。細胞培養では、細胞増殖にL−セリンが必要である(Yang及びVousden、2016年)。GRAS(generally regarded as safe:一般的に安全とされる)食品添加物(CFRタイトル21セクション17.320.18)としてFDAにより承認されているL−セリンは、健康食品サプリメントとして様々なベンダーより販売されている(Metcalfら、2017年)。
[0045]日本の沖縄県大宜味村で最近行われた、100歳以上を含む高齢者集団の民族植物学分析から、食物的配慮が、大宜味村の閉経後の女性においてアルツハイマー病又は顕著な認知障害が存在しないことに寄与している可能性が示唆された(Cox及びMetcalf、2017年)。大宜味村の高齢女性は、運動ニューロン障害及び認知症を含む認知障害が比較的にないだけでなく、ほぼ完全な自らの人生の記憶も、その小児期の最初期の部分まで遡って有すると思われる。これらの女性は、インタビューの場面においても極めててきぱき且つはきはきしている。
[0046]大宜味村の村民は、豆腐、枝豆、豚肉、及び様々な野生採取された海藻に主に基づく食事を消費し、そのすべてがL−セリンに富んでいる(Cox及びMetcalf、2017年)。脳におけるL−セリンの供給源として、ニューロン及びグリア細胞内での内因性の生合成、並びにナトリウム依存性及びナトリウム非依存性のアラニン−セリン−システイントランスポーターに基づき、血液脳関門を横断して輸送された食物性のL−セリンが挙げられる。米国科学アカデミーの調査から、平均的なアメリカ人は全食物供給源から3.5g/日を消費することが判明した。対照的に、大宜味村の村民は、従来の食料品から10〜12g/日を摂取する(Cox及びMetcalf、2017年)。
対象
[0047]用語「対象」とは、哺乳動物を指す。任意の適する哺乳動物が、本明細書に記載される方法により治療可能である。哺乳動物の非限定的な例として、ヒト、ヒト以外の霊長類(例えば、類人猿、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、サル、マカク等)、飼育動物(例えば、イヌ及びネコ)、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)、及び実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット)が挙げられる。特定の実施形態では、哺乳動物はヒトである。哺乳動物は任意の年齢であり得る、又は任意の発達段階(例えば、成人、10代、子供、又は幼児)にあり得る。特定の実施形態では、対象は、1歳〜55歳、1歳〜50歳、1歳〜45歳、1歳〜40歳、1歳〜21歳の範囲の、又は50歳を超える年齢のヒトである。特定の実施形態では、対象は50歳を超えた男性である。特定の実施形態では、対象は閉経後の女性である。特定の実施形態では、対象は50歳を超えた女性である。哺乳動物は、男性又は女性であり得る。特定の実施形態では、対象は本明細書で開示される処置法を必要とするヒトである。特定の実施形態では、対象は、本明細書で開示される疾患又は状態のうちの1つ又は複数を有する又は有すると疑われるヒトである。
[0048]特定の実施形態では、対象は糖尿病ではなく、及び/又は糖尿病を有することが未知である。特定の実施形態では、対象はI型又はII型糖尿病を有さない。特定の実施形態では、対象は、アルツハイマー病(AD)を有さず、及び/又はADを有することが未知である。特定の実施形態では、対象は、ALS、AD、ALS/PDC、認知症、PD、HD、PSP、若しくはLBDを有さず、及び/又はALS、AD、ALS/PDC、認知症、PD、HD、PSP、若しくはLBDを有することが未知である。特定の実施形態では、対象は、GLUT1及び/又はGLUT3レベルの減少と関連する1つ若しくは複数の疾患又は状態を発症するリスクを有する、又はリスクに晒されている。特定の実施形態では、対象は、認知障害を有する、又はそれを発症するリスクに晒されている者として特定され得る。
用量及び治療有効量
[0049]本開示の方法及び使用は、L−セリン、又はその塩、前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを、対象に、本明細書で開示される用量で、又は治療効果を実現するように意図された用量(例えば、治療有効量)で投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法で使用されるL−セリンの量は、治療有効量である。特定の実施形態では、組成物(例えば、医薬組成物)は、治療有効量のL−セリン、そのコンジュゲート、塩、誘導体、又は前駆体を含む。いくつかの実施形態では、治療有効量のL−セリン、そのコンジュゲート、塩、誘導体、又は前駆体は、対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法で使用される化合物の治療有効量は、有効な治療結果を取得するのに必要とされる量である。特定の実施形態では、本明細書に記載される方法で使用される化合物の治療有効量は、対象の中枢神経系内のグルコース濃度を増加させ若しくは制御し、対象における認知機能低下を阻害し若しくは遅延させ、対象における認知機能を強化し、対象における記憶若しくは学習能力を強化し、及び/又は対象の中枢神経系内のグルコースレベルの減少と関連する疾患若しくは状態を処置するのに十分な量である。有効量又は治療有効量の決定は、特に本明細書に提示される詳細な開示に照らし、当業者の能力範囲内に十分収まる。
[0050]特定の実施形態では、治療有効量は、有効な治療効果(例えば、有益な治療効果)を提供するのに十分高い量、及び望ましくない有害反応を最低限に抑えるのに十分低い量である。したがって、特定の実施形態では、本明細書に記載される方法で使用されるL−セリンの治療有効量は、対象の年齢、体重、全体的な健康状態に応じて、対象毎に多くの場合変化し得る。したがって、いくつかの実施形態では、治療有効量は実験的に決定される。したがって、本明細書に記載される方法で使用される化合物(対象に投与される)の治療有効量は、例えば、動物若しくは臨床試験において有効と判明した量、医師の経験、及び示唆された用量範囲、又は用量ガイドラインに基づき、当業者により決定可能である。特定の実施形態では、治療効果は、本明細書における方法による処置の望ましい及び/又は有益な結果の実現である。そのような望ましい及び/又は有益な結果として、(i)対象の中枢神経系内のグルコース濃度の増加、(ii)対象の中枢神経系内のグルコース濃度低下の予防、阻害、若しくは遅延、(iii)対象の認知機能低下の阻害、予防、抑制、減少、若しくは遅延、(iv)認知力強化、又は(vi)本明細書で開示される疾患若しくは状態の予防若しくは処置が挙げられるが、但しこれらに限定されない。
[0051]特定の実施形態では、治療有効量は、本明細書で開示される組成物の量であり、上記記載の、本明細書で開示される方法の望ましく、及び/又は有益な結果を実現するのに必要な投薬量及び/又は期間において投与される。特定の実施形態では、治療有効量は、対象における短期的な記憶(作業記憶)、長期記憶、処理スピード、精神的敏捷度、精神的集中度、注意持続時間、学習能力、反応時間、精神的清明さ、精神的エネルギー、又は一般的推理力を改善するのに十分な量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は実験的に決定される。
[0052]特定の実施形態では、本明細書で開示される組成物の治療有効量は、受入れ可能な治療結果を取得するように意図されたしかるべき用量において(例えば、対象の体重、年齢、及び/又は状態に多くの場合依存するしかるべき体積、頻度、及び/又は濃度において)投与される。特定の実施形態では、本明細書で開示される組成物の治療有効量は、少なくとも0.1mg/kg(例えば、対象の体重1kg当たりの本明細書における化合物のmg)、少なくとも5mg/kg、少なくとも10mg/kg、少なくとも15mg/kg、少なくとも20mg/kg、少なくとも25mg/kg、少なくとも50mg/kg、少なくとも100mg/kg、少なくとも250mg/kg、少なくとも500mg/kg、少なくとも1000mg/kg、少なくとも5000mg/kg、又は少なくとも7500mg/kgから選択される1つ又は複数の用量(対象に投与される)を含む。
[0053]特定の実施形態では、本明細書で開示される治療有効量の組成物は、約1mg/kg/日(例えば、1日当たり、対象の体重1kg当たりの本明細書で開示される組成物のmg)〜約7500mg/kg/日、例えば10〜7500mg/kg/日、50〜7500mg/kg/日、100〜7500mg/kg/日、250〜7500mg/kg/日、428〜7500mg/kg/日、500〜7500mg/kg/日、1000〜7500mg/kg/日、1001〜7500mg/kg/日、1500〜7500mg/kg/日、その中間の量、及び組合せのうちの1つ又は複数の用量(対象に投与される)を投与することを含む。
[0054]特定の実施形態では、本明細書で開示される組成物の治療有効量は、少なくとも100mg、500mg、1g、5g、10g、20g、30g、40g、50g、60g、70g、71g、又は少なくとも80gのうちの1つ又は複数の用量(対象に投与される)を含む。特定の実施形態では、本明細書で開示される組成物の治療有効量は、約0.5〜200g、1〜100g、1〜90g、1〜80g、1〜70g、1〜60g、1〜30g、1〜25g、10〜100g、20〜100g、又は71〜200gのうちの1つ又は複数の用量(対象に投与される)を含む。
[0055]いくつかの実施形態では、本明細書で開示される治療有効量の組成物を投与することは、しかるべき用量を、1時間毎、2時間毎、4時間毎、6時間毎、8時間毎、又は12時間毎に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書で開示される組成物は、1日当たり少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、若しくは少なくとも6回、例えば1日当たり1〜12回、1日当たり1〜8回、若しくは1日当たり1〜4回投与され得る、又は1日当たり1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、若しくは12回投与され得る。組成物は、単一の投与剤形又は1つ若しくは複数の投与剤形で投与され得る。日用量は、単回投与の形態又は複数の部分的投与の形態で実現可能である。
[0056]本明細書で開示される組成物は、毎日、又は投与が実施されない日を含むスケジュールに基づき投与され得る。例えば、投与は1日おきに実施され得る、又は投与は1週間のうち2、3、4、若しくは5日連続した日数実施され、次に1〜5日間の非投与日が後続し得る。
[0057]本明細書における組成物は、認知力をさらに改善させ、その改善を維持若しくは保持するために、少なくとも1日、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、若しくはそれ超、又は任意の延長期間投与され得る。特別な実施形態では、組成物を摂取する対象の認知能力のレベルは、使用期間を決定する際に役割を果たす可能性がある。特定の実施形態では、本明細書における組成物は1日〜36ヶ月の期間で投与され得るが、これには、2日間、3日間、4日間等、並びに1週、2週間、3週間、4週間等、並びに1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間等、及びその組合せが含まれ、2ヶ月間及び3週間及び4日間等の非限定的な例が挙げられる。特定の実施形態では、期間は、1週間〜24週間、2週間〜24週間、3週間〜24週間、4週間〜24週間、5週間〜24週間、1週〜12週間、2週間〜12週間、3週間〜12週間、4週間〜12週間、5週間〜12週間である。
投与経路
[0058]本明細書に記載される方法で使用される組成物、医薬組成物、又はL−セリンを対象に投与する任意の適する方法が使用可能である。任意の適する製剤及び/又は投与経路が、本明細書に記載される方法で使用される組成物、医薬組成物、又はL−セリンの投与に使用可能である(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Finglら、1975年、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」を参照)。適する製剤及び/又は投与経路は、例えば対象のリスク、年齢、及び/又は状態を考慮して、医療専門家(例えば、医師)により選択可能である。投与経路の非限定的な例として、局部的(topical)又は局所的(local)経路(例えば、経皮的又は皮膚性(例えば、皮膚又は表皮上)、眼内又は眼上、鼻腔内、経粘膜的、耳内、耳内部(例えば、鼓膜の背後))の経路、経腸経路(例えば胃腸管を通じて、例えば経口により送達される(例えば錠剤、カプセル、顆粒、液体、乳化、ロゼンジ、又はその組合せとして)、舌下経路、胃栄養チューブによる経路、経直腸経路等、非経口投与による経路(例えば非経口的、例えば静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、皮膚内、皮下、体腔内、頭蓋骨内、関節内、関節腔中、心臓内(心臓中)、陰茎海綿体内注射、病変内(皮膚病変中)、骨髄内輸液(骨髄中)、髄腔内(脊椎管中)、子宮内、膣内、膀胱内輸液、硝子体内)等、又はその組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組成物は、経口により投与される。
組成物
[0059]本明細書で開示される組成物は、様々な形態又は製剤で投与可能である。例えば、組成物が経口により投与される場合、粉末、咀嚼可能な投与剤形、飲料製剤、錠剤、カプセル、ソフトゲル、ゲルキャップ、若しくは液体として製剤化され得る;又は非経口投与では、注射剤として製剤化され得る(静脈内、筋肉内、又は皮下)。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組成物は、水性の摂取可能な溶媒(例えば水、コーヒー、ジュース、ワイン、ビール、スポーツドリンク、エネルギードリンク、栄養ドリンク等)に溶解させるのに適する粉末又は顆粒として製剤化される。
[0060]経口投与に適する組成物は、分離したユニット、例えばカプセル、カシェ剤、又は錠剤、ソフトゲル、ゲルキャップ、咀嚼可能な投与単位等(例えば、咀嚼可能な錠剤、クイックチュー、グミ、ロゼンジ、ヘルスバー、食物、穀類コーティング、食物サプリメント、栄養補助食品)として提供することができ、それぞれは治療有効量の組成物を、粉末若しくは顆粒として、又は水性の液体、非水性の液体、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョン中の溶液若しくは懸濁物として含有する。一般的に、組成物は、液体担体、又は細かく分割された固体担体、又はその両方を用いて有効成分を均質に混合することにより調製され、次に必要な場合には、所望の体裁に製品を形成する。いくつかの実施形態では、経口投与に適する組成物は、L−セリンの徐放性バージョンを含む。いくつかの実施形態では、L−セリンの徐放性バージョンは、L−セリンのコンジュゲートを含む。いくつかの実施形態では、L−セリンは、プロドラッグを形成する異なる分子にコンジュゲートしており、血液脳関門を横断した後、L−セリンがそれから放出される。
[0061]組成物は、不活性な成分、例えば結合剤(例えばアルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース等);バインダー又は充填剤(例えばラクトース、ペントサン、微結晶セルロース、又はリン酸水素カルシウム等);潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、又はシリカ等);崩壊剤(例えばジャガイモデンプン、又はデンプングリコール酸ナトリウム等);又は湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム等)等をさらに含むことができる。組成物はステアリン酸マグネシウムを含み得る。
[0062]組成物、例えば錠剤等は、薬学的に許容される成分、例えばラクトース、グルコース、スクロース、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、セルロースエステル、例えばセルロースアセテート、エチルセルロース等、ステアリン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、沈降シリカ、タルク、脂肪酸、例えばステアリン酸等、微結晶セルロース、カルナバワックス等を含み得る。錠剤又はカプセルは、当技術分野において周知の方法によりコーティング可能である。
[0063]特定の実施形態では、咀嚼可能な投与剤形は、咀嚼可能な構造を実現するのに必要とされる任意の必要な添加剤を含み得る。
[0064]経口投与用の液体調製物は、例えば溶液、シロップ、若しくは懸濁物の形態を採ることができ、又は使用する前に水若しくはその他の好適なビヒクルを用いて構成するための乾燥製品として提供することができる。そのような液体調製物は、不活性な薬剤、例えば懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、セルロース誘導体、又は水素化された食用脂肪等)、乳化剤(例えばレシチン又はアカシア等)、非水性ビヒクル(例えばアーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、又はフラクション化された植物油等)、及び防腐剤(例えばメチル又はプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、又はソルビン酸等)等である、薬学的に許容される添加剤を用いて従来手段により調製可能である。組成物は、心地よい食味を有するように作ることができ、したがってバッファー塩、着香料、着色料、及び甘味料を適宜含有し得る。
[0065]特定の実施形態では、組成物は、いくつかの実施形態では、適するコンテナ(例えば、カン、ボトル、又はカートン)及び/又はヒトの消費に適する濃縮製剤若しくはそのまま飲料できる製剤で提供される飲料中に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、飲料は、組成物(粉末の形態)が調合されている飲料製剤を提供するために、粉末形態の本明細書に開示される組成物を、非アルコール性飲料、例えば水、ミルク、任意の着香飲料、ソーダ等と混合することにより調製される。1つの実施形態では、飲料は、組成物(液状形態)が調合されている飲料製剤を提供するために、液状形態の本明細書で開示される組成物を、非アルコール性飲料と混合することにより調製される。
[0066]単位剤形は、非限定的に、複数のユニットとして、又は任意のサイズのボトル若しくはバイアル中に個別にラッピング、パッケージングされ得る。
[0067]非経口投与では、静脈内注射、皮下注射、筋肉注射、腹腔内注射、内皮的投与、局所的投与、鼻腔内投与等が実施され得る。L−セリンを含有する非経口溶液は、薬学的に許容されるビヒクル中に溶解した状態、又は微細に懸濁した状態で、滅菌された条件下、通常1〜30%の濃度で調製され得る。
[0068]いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組成物又は医薬組成物が対象に提供される。例えば、対象に提供される組成物は、自己投与用として、又は他者(例えば、非医療専門家)による対象への投与用として、対象に提供されることもある。別の事例として、組成物は、本明細書に記載される組成物又は処置が患者に提供されるのを承認する医師により記された指示書(例えば、処方箋)として提供可能である。なおも別の事例では、例えば対象が組成物を経口的又は経静脈的に自己投与する場合、組成物は対象に提供可能である。
[0069]本明細書に記載されるようなL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む医薬組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容される担体(その非限定的な例として、担体、溶媒、塩、賦形剤、添加剤、防腐剤、及び/又は助剤が挙げられる)を使用して、任意の適する方式で製剤化可能である。ふさわしい製剤は選択される投与経路に依存し得る。特に、医薬組成物は、「Remington:The Science And Practice Of Pharmacy」Mack Publishing Co.,Easton,PA,19th Edition、(1995年)、又は「Remington:The Science And Practice Of Pharmacy」、Pharmaceutical Press,Easton,PA,22nd Edition、(2013年)に列挙されているような任意の適する担体、製剤、若しくは成分等、又はその組合せを含み得る。本明細書に列挙されている様々な材料が、単独又は組合せで、Remingtonに記載されている材料に組込み可能、又はそれと共に使用可能である。任意の適する技術、担体、及び賦形剤が、当技術分野において、例えば、上記Remington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて理解されるものを含め、使用可能である。
[0070]いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるようなL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む、又はそれから本質的になる組成物は、徐放性又は持続放出型調製物として経口投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような、L−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む、又はそれから本質的になる組成物は、徐放性又は持続放出型組成物である。徐放性又は持続放出型組成物を調製する任意の適する方法が使用可能である。いくつかの実施形態では、持続放出型製剤は、ゲル化剤;単糖類、二糖類、多価アルコール、及びその混合物からなる群から選択される少なくとも1つの不活性な薬学的希釈剤;並びにゲル化剤と架橋する能力を有する薬学的に許容されるカチオン性架橋剤を含む。
[0071]特定の実施形態では、方法は、10〜100gの治療有効量のL−セリン、又はその前駆体若しくはコンジュゲートを含む組成物を対象に投与することを含む、対象の中枢神経系内のグルコース濃度を増加させる又は制御するステップを含む。特定の実施形態では、方法は、対象の中枢神経系内のグルコースレベルの減少と関連する疾患又は状態を処置するステップを含むが、その場合、前記疾患又は状態はGLUT1欠損症候群であり、10〜100gの治療有効量のL−セリン、又はその前駆体若しくはコンジュゲートを含む組成物を対象に投与するステップを含む。特定の実施形態では、方法は、10〜100gの治療有効量のL−セリン、又はその前駆体若しくはコンジュゲートを含む組成物を対象に投与することを含む、対象における認知機能低下を阻害する、又は遅延させるステップを含む。特定の実施形態では、方法は、10〜100gの治療有効量のL−セリン、又はその前駆体若しくはコンジュゲートを含む組成物を対象に投与することを含む、対象における認知機能、記憶、又は学習力を強化するステップを含む。さらなる実施形態では、対象は、GLUT1欠損症候群、MCI、AMCI、AAMI、ARCD、化学療法誘発性認知機能障害、又はADHDに罹患している。いくつかの実施形態では、対象は低血糖症である。いくつかの実施形態では、対象は糖尿病である。いくつかの実施形態では、対象は閉経後の女性である。
[0072]本開示のいくつかの実施形態について記載してきた。それにもかかわらず、当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱せずに、本開示について様々な変更及び修正を行って、様々な利用及び条件にそれを適合させることができる。したがって、下記の実施例は例証するように意図されており、いかなる場合においても、主張された本開示の範囲を限定するようには意図されない。下記の実施例は、本明細書で開示される実施形態の例証として役に立つ。本明細書の実施例で表わされるL−セリンの量とは、別途明記しない限り、遊離形態のL−セリンの量を指す。
実施例1
[0073]この実施例では、CNS内グルコース濃度増加におけるL−セリンの有用性の実験的確認について記載する。
[0074]L−セリン療法又はグルコース欠損症候群の処置の有用性を裏付ける1つの方法は、L−セリンを651mg/日の日用量で42日間給餌された非ヒト霊長類、この場合4匹のベルベットザル(クロロセバス・ピゲリスラス(Chlorocebus pygerythrus))から採取された脳脊髄液(CSF)サンプル中のグルコース及び乳酸の増加を観察することを通じて見出され得る。これらのベルベットザルを、米粉末を651mg/日の対照日用量で42日間給餌された4匹の対照ベルベットザルと比較した。
[0075]脳脊髄液サンプルを実験中に取得した。L−セリンが給餌されたベルベットザルから得た脳脊髄液サンプルを、対照ベルベットザルから得た脳脊髄液サンプルと、42日目に比較した。
[0076]凍結した脳脊髄液(CSF)を、同体積のCSFと20%w/vのTCAを使用して調製した。1つにまとめた体積を、氷上、2ワットで超音波処理し(10秒×3回)(Fisher Scientific Sonic Dismembrator、Model 100)、そして室温で30分間沈殿させた。サンプルを次に、14,000gで5分間遠心分離した(Labnet Spectrafuge 16M)。上清を、遠心フィルター(0.2μm、Millipore UltrafreeMC)を用い、14,000×gで5分間フィルター処理した。分析する前に、サンプルを、精製水(18MΩ Millipore)中50%のCHCNを用いて1:3稀釈した。
[0077]バイナリーソルベントマネージャー、サンプルマネージャー、及びAcquity UPLC BEHアミドカラム(#186004801、100×2.1mm、1.7μm)を備えた超高速液体クロマトグラフィー(Waters Acquity−UHPLC)システムを伴うTSQ Quantiva(Thermo Scientific社)三連四重極型質量分析装置上、50℃においてCSF抽出物を分析した。移動相Aは、18MΩ精製水(Millipore社):0.1%のNHOHを含むCHCNとして70:30であり、また移動相Bは、18MΩ精製水(Millipore社):0.1%のNHOHを含むCHCNとして20:80であった。シール洗浄液は、18MΩ精製水(Millipore社):メタノールとして90:10であり、また強ニードル洗浄液及び弱ニードル洗浄液は、いずれも18MΩ精製水(Milipore社):CHCNとして5:95であった。20%→50%A(5分間)のリニアグラジエントを使用しながら分離を実現し、その後にカラム洗浄及びカラムの平衡化が続いた。このグラジエントを使用して、フルクトース及びスクロースを、グルコースから6秒超分離した。
[0078]マススペクトロメーターは、加熱式エレクトロスプレーイオン化(H−ESI)プローブを用いて運用し、またシースガス圧を40(Arb)に設定し、auxガスを2(Arb)に設定し、そしてスウィープガスを1(Arb)に設定した。サンプルを、ベーパライザー温度350℃、キャピラリー温度130℃、及びスプレー電圧2800vを用いて陰イオンモードで分析した。走査幅を10Daに設定し、そしてドゥウェルタイムは40msであった。シングルイオンモニタリングを、2つのイオン(m/z179及び341)をモニターするのに使用した。グルコース濃度は、5μlを注入したとき、1:2希釈物の6濃度(0.0098〜0.039mg/ml)にわたり直線的であった(f(x)=9.7367e−11x−2.12e−4;R2=0.97)。
[0079]対照ベルベットザル脳内のメジアングルコースレベルは、24mg/100ml(CSF)であった。L−セリンが給餌されたベルベットザルでは、その脳内のメジアングルコースレベルは、58mg/100mlであった。カイ二乗統計量は23.125であり、2倍を超えるグルコースレベルのこの増加は、p<0.005レベルで有意であることを示している。
[0080]これは、L−セリンの口腔投与を通じて、中枢神経系内のグルコースの量を2倍超にすることが可能であることを実証し、そして有意な用量のL−セリンを通じて、アストロサイト及びグリア細胞内でのL−セリン生合成経路を逆転させることが可能であることを確認する。
[0081]したがって、GLUT1、GLUT3、SGLT1、SGLT2を含む代表的なグルコーストランスポータータンパク質を頼りとすることなく、CNS内のグルコース濃度を増加させることが可能である。したがって、グルコーストランスポーターに欠陥が生じた場合に、前駆体としてL−セリンを有するアミノ酸トランスポーターを利用することにより、血液脳関門を横断するグルコースの橋渡しを構築することが可能である。
実施例2
[0082]この実施例は、L−セリンを供給しても、ヒト神経芽細胞腫細胞(SH−SY5Y)はグルコースを合成しないことを実証する。
[0083]上記経路を逆転させることによって、アストロサイト、グリア、及びニューロンがL−セリンをグルコースに変換するその固有の能力は、ヒト神経芽細胞腫細胞(SH−SY5Y)(L−セリンをグルコースに変換できないことが最終的に明らかにされている)の試験により裏付けられている。
[0084]細胞培養:SH−SY5Yヒト神経芽細胞腫(PD19、ATCC(登録商標)CRL−2266(商標))を、150cmフラスコ中、37℃の10%のウシ胎仔血清(FBS)、4mMのL−グルタミン、100U/mLのペニシリン、及び100μg/mLのストレプトマイシンを含有するダルベッコ変法イーグル培地/Nutrient F−12 Ham(Sigma−Aldrich社、カタログ番号D8437)(完全培地)内で、5%のCO及び95%の空気からなる加湿雰囲気において培養した。70〜90%コンフルエンスにおいて、0.5%のトリプシン−EDTA(Thermo Fisher社、カタログ番号15400054)を用いて細胞をトリプシン処理し、次に細胞2.5×10個/ウェルを24ウェルプレートに播種し、そして一晩で接着させた(PD22)。
[0085]翌日、細胞培養培地を、アスピレーター吸引し、そして加温した(37℃)Hanks緩衝化塩溶液(HBSS)中で細胞を3回洗浄した。次に、飢餓培地(Starvation Medium)(グルコース、グリシン、L−セリン、ピルビン酸ナトリウム、及びフェノールレッドが欠損している、特注したDMEM/Ham’s F12の1:1混合物(Caisson Labs社、Utah、米国、ロット09181022)、但し100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンが補充されている)中で、細胞を6時間飢餓化した。飢餓培地を除去し、そして処置培地(100mMのL−セリン、200mMのL−セリン、又は500mMのL−セリンが補充された飢餓培地であった)500μLと置換し、これを3回繰り返した。完全培地中で増殖した細胞は陽性対照として機能し、並びにグルコース、グリシン、L−セリン、ピルビン酸ナトリウム、及びフェノールレッドが欠損している特注したDMEM/Ham’s F12 1:1混合物中で増殖した細胞は陰性対照として機能した。
[0086]培地及びライセート分画の調製:t=24及び48時間のとき、細胞をインキュベーターに戻した。t=0のとき、処置培地を直ちに除去し、そして1.5mLエッペンドルフチューブに一定量分取し、それを4℃、2000×gで5分間遠心した。付着した細胞に対して、0.1%の氷冷トリトンX−100、500μLを各ウェルに添加し、そしてプレートをプレートシェイカー上に10分間配置した。遠心分離後、上清を除去し、そして新しい1.5mLエッペンドルフチューブ中に一定量分取した。この分画を「培地(Medium)」とした。トリトンX−100で処理した細胞に由来するライセートを、培地(Medium)分画の遠心分離から残ったペレットと混ぜ合わせた。この分画を「ライセート(Lysates)」とした。t=24及び48時間のとき、この処理を繰り返した。培地(Medium)及びライセート(Lysates)を、グルコース分析に必要とされるまで−20℃で保管した。
[0087]グルコースの定量:細胞分画(培地(Medium)及びライセート(Lysates))を−20℃から取り出し、そして凍結−解凍を37℃の水浴及び−80℃のフリーザー中で3回繰り返し、その中間においてボルテックス処理を施した。アンプレックス(Amplex)(登録商標)レッド・グルコース/グルコースオキシダーゼアッセイキット(Invitrogen社)を使用して、グルコース濃度を測定した。要するに、グルコース標準曲線(200μMから7つの連続希釈物からなる)を、1×反応バッファー中で調製された4mMのD−グルコースから調製した。各標準50μLを、96ウェルプレート中に三連で一定量分取した。サンプルについては、陽性対照サンプル(完全培地)を、1×反応バッファー中に10倍稀釈した。その他のすべてのサンプルを、50μlを用いて二連で手際よくアッセイした。50μLのアンプレックス(登録商標)レッド試薬バッファーを各ウェルに添加し、プレートを暗所内で30分間インキュベートした。Molecular Devices Flexstation3上、SoftMax Proバージョン7.0.2において、540nmでの励起及び590nmでの発光により蛍光を読み取った。サンプル中のグルコース濃度を、標準曲線から計算した。培地(Medium)の結果を図1に示す。
[0088]図1に示す結果は、L−セリンが供給されても、ヒト神経芽細胞腫細胞はグルコースを合成しないことを実証する。ヒト神経芽細胞腫細胞を、グルコース及びL−セリンが欠損しているが、但し濃度を増加させたL−セリン(100、200、及び500mM)が補充された培地内で0、24、及び48時間インキュベートし、次にアンプレックス(登録商標)レッド・グルコースアッセイ(Invitrogen社)を使用して、培養培地内のグルコース濃度を測定した。L−セリン濃度を上昇させたいずれにおいても、対照(すなわち、0mMのL−セリン)と比較して、培養培地内でのグルコース濃度について、有意な増加は認められなかった。
[0089]このデータは、CNSは、L−セリンをグルコースに変換して本明細書で開示される利益を提供することができるかどうか定かでないことを実証する。
実施例3
[0090]この実施例は、閉経後の女性を対象に実施された栄養実験について記載する。L−セリンを含む食品栄養補充(15グラム/日)を、60日間にわたり投与したとき、それが健康な女性の認知能力を改善するか確認されるように、試験を設計した。年齢が55歳以上の女性48名(軽度認知障害、認知症の可能性、又はアルツハイマー病を有するとは診断されていない)が、このランダム化プラセボ対照二重盲検化試験に志願者として参加した。43名の女性が試験を完了した。Atkinson及びShiffrin(1968年)により開発された初期テスト手順に則り構築されたNIHツールボックス(Gershonら、2013年)をiPad上で使用することにより、各参加者の認知能力を、いくつかの異なる認知ドメインにおいて評価した。認知テストには、短期的な聴覚及び言語学習を広範に評価するReyの聴覚性言語学習検査が含まれた(Kingら、1998年)。例えば、1つのテストでは、参加者には、15個の無関連の単語が提示され、30分後に再度それらを繰り返すように求められた。60日試験期間の開始時及び最終日に、認知評価を参加者に実施した。評価手順は、各人45分間であった。
[0091]試験用に調製されたL−セリン・グミを製造するのに、2ロットのL−セリンを使用した。L−セリン粉末は、パッケージング期間中及びトライアル全体を通じて、三連四重極液体クロマトグラフィーマススペクトロメトリーを使用して独立的にスクリーニングした。分析対象ロットは、三連四重極マススペクトロメトリーにより確認されるように、ヒト臨床トライアルで使用するための必要基準を満たし、Sigma−Aldrich社(St.Louis、MO)より提供された認証済み標準と分光学的に一致した。
[0092]L−セリンは小型の(105.09MW)タンパク質構成アミノ酸であるので、室温(30℃未満)、75%未満の相対湿度において保持したとき、24ヶ月の保管期間にわたりテストした際に非常に安定であることが証明されている。この期間、旋光度又は純度に有意な変化は認められなかった。
[0093]総重量がそれぞれ2.2グラムであり、また1.0グラムのL−セリンをそれぞれ含有するL−セリン・グミを、cGMP FDA適合施設において、Knechtel社(Skokie、IL)により製造した。プラセボ・グミも同様に製造した。プラセボ・グミは、同一のサイズ、形状、色、味、及び重量を有したが、しかしL−セリンを含有しなかった。グミをシールされたフォイルパケット内に配置し、各パケットは15個のグミを収納する。微生物学的分析より、グミは細菌汚染を含まないことが示された。パッケージングで使用される材料は、ESP Packaging LLC社(Costa Mesa、CA)により製造された。
[0094]個々のフォイルパケットそれぞれを、ジュリアンコード日付を含むロット番号でラベル表示した。参加者が全体を通じて毎日1つのフォイルパック(グミ15個)を消費するための指示書と共に、60日試験用に指定された複数のパケットを収納するボックスを、各試験参加者に配布した。
[0095]23名の女性に、プラセボ・グミを収納する60個のフォイルパケットを与え、また25名の女性には、L−セリン・グミを収納する60個のフォイルパケットを与えた。したがって、L−セリン・グミを受けた女性には、15グラム/日のL−セリンが60日間投与された。トライアルの終了時に、各参加者について、最初の学習及び記憶スコアが最後の学習及び記憶スコアから差し引かれた。
[0096]2つの対立仮説についてテストした:
[0097]H:L−セリン処置群とプラセボ処置群との間で、Reyの聴覚性言語学習検査に基づく改善について差異は認められない、及び
[0098]H:L−セリン処置群は、Reyの聴覚性言語学習検査において、プラセボ処置群よりも多くの改善を示した。
[0099]L−セリン処置群及びプラセボ処置群における、各参加者の最初のスコアと最後のスコアとの間の差異を、Wilcoxon−Mann−Whitney検定を使用して評価し、p<0.05を有意水準とした。15g/日のL−セリンを摂取する参加者は、Reyの聴覚性言語学習検査において平均7.9の改善を有した一方、プラセボ群に割り振られた参加者は、平均4.0の改善を有した。したがって、L−セリン・グミを受けた女性は、有意により多くの(p<0.01)学習能力の改善を示し、Reyの聴覚性言語学習検査により測定したとき、プラセボ群と比較して、98%高いメジアンスコアを有した。さらに、L−セリンで処置した場合、単語再生遅延について改善傾向が認められたが、しかしこの傾向は統計的有意性を実現するに至らなかった。
[0100]処置群間の差異に対するWilcoxon−Mann−Whitney検定U統計量は124.16、分散38.34であり、2.24のz統計量に対応する。したがって、帰無仮説はp<0.01において棄却された。
[0101]L−セリンについて15g/日で食品栄養補充すると、その結果、Reyの聴覚性言語学習検査により測定したとき、参加者の学習能力において98%の改善を引き起こすことが判明した。この結果は、毎日摂取された15gのL−セリンは、認知能力を改善できること、並びに豆腐及び自ら採集した様々な海藻内のL−セリンを1日当たり10〜12g消費した大宜味村の高齢女性の傑出した記憶力を説明し得ることを示唆した。
[0102]L−セリンは、FDAにより一般的に安全とされている(GRAS)ので、栄養補助食品としてのその使用について重大な有害事象は報告されていない。したがって、認知力を強化するためにL−セリンを使用しても、アデラール、リタリン、モダフィニル、及びその他の処方薬の悪用と関連する問題と同じ問題を引き起こすとは考えられない。最近行われたALS患者20例の第I相試験では、6ヶ月間にわたり最大30g/日においてL−セリンは安全であることが判明し(Levineら、2017)、また現在、FDAの承認を経た第II相a試験が、初期段階のアルツハイマー病患者について、30g/日におけるL−セリンの安全性及び忍容性を評価している(ClinicalTrials.gov identifier NCT03062449)。したがって、最新の試験に基づけば、用量が10〜15g/日の範囲内にあるL−セリンは、健康な閉経後の女性を対象とする認知力強化(すなわち、認知機能の強化)において、安全性及び有効性のいずれも証明し得ると思われる。
実施例4
[0103]この実施例は、L−セリンを用いてグルコース欠損症候群を処置することの有効性について記載する。
[0104]グルコース欠損症候群に対してL−セリン療法が有効であるとする証拠は、自らのGLUT1欠損症の結果として運動失調、発達障害、社会的相互作用の低下、及び微細運動技能の欠陥を経験した30歳男性(「患者」)の症例試験により裏付けられる。グルコース欠損症候群に罹患した対象では、脳細胞のしかるべき機能を可能にする脳横断グルコース輸送が不十分である。L−セリンは、異なる機構を通じ、血液脳関門を横断して輸送されるので、高用量のL−セリンの投与を通じて、頭蓋骨内グルコース濃度を増加させることが可能である。患者には、1日当たり30グラムのL−セリンを経口投与により投与した。高用量L−セリンの最初の経口摂取から数週間以内に、GLUT1欠損症を有する患者は、自転車に乗る能力、及び自転車に乗りながら荷物を運搬する能力の復活を含む、自身の状態の迅速な改善を実証した。また、患者は、会話中に相手の眼を注視する能力を含む、社会的相互作用の改善;手で書くことを含む、微細運動技能の改善;並びに健康及び活力の一般的増加も実証した。
[0105]これらの結果は、L−セリンを用いる投与法を通じて脳内のグルコースを増加させれば、脳内のグルコース濃度が不適切であることにより特徴付けられる、それと関連する、又はそれにより引き起こされた、様々な発達上、神経学上、及び精神的な病気の改善を実現し得ることを示唆した。
[0106]また、結果は、健常者は、5〜30グラム/日の用量範囲で、L−セリンの日用量を摂取することにより、学習能力の有意な増加を経験し得ることをも示唆する。
[0107]この実施例で示すように、単一の患者が関わる臨床症例試験において、L−セリンを用いて口腔投与すれば、GLUT1欠損症候群により引き起こされた1つ若しくは複数の症状の低下、軽減、又は除去を実現することができる。
[0108]L−セリンの投与は、類似した機構を通じて、アルツハイマー病、認知症を伴うパーキンソン病、認知症を伴うALS患者、進行性核上性麻痺(PSP)、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、及びその他の形態の認知障害に罹患した患者における認知能力の測定可能な増加を引き起こす可能性があるものと合理的に推測される。グルコーストランスポーターの減少は、アルツハイマー病のτの過剰リン酸化と関連している(Liuら、2008年)。アルツハイマー病型の神経病理学が誘発された実験動物にL−セリンを投与すれば、高リン酸化型のτの有意な定量的減少を引き起こすはずである。
[0109]血液脳関門を横断するL−セリン輸送の利用を通じて頭蓋骨内グルコースを増加させるこの機構は、その他の有益な示唆を有し得る。例えば、認知能力が、グルコーストランスポーターを通じて脳が利用可能なグルコースの量により制限される場合には、L−セリンを投与することで、CNS内のグルコースを増加させることにより認知能力を改善させ得る。
参考資料
実施例5−特定の実施形態
A1.対象の中枢神経系内のグルコース濃度を増加させる又は制御するための、治療有効量のL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物の使用。
B1.対象に投与するステップを含む、対象における認知機能低下を阻害する又は遅延させるための、治療有効量のL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物の使用。
C1.対象における認知機能を強化するための、治療有効量のL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物の使用。
C2.組成物を対象に投与する前の記憶又は学習能力の量と比較して、記憶又は学習能力が対象において強化されている、実施形態C1に記載の使用。
D1.対象の中枢神経系におけるグルコースレベルの減少と関連する疾患又は状態を処置するための、治療有効量のL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物の使用。
D2.疾患又は状態が、GLUT1欠損症候群、てんかん、術後認知機能障害、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(G6PD)欠損症、GLUT2欠損症、GLUT3欠損症、SGLT1欠損症、SGLT2欠損症、ファンコニ・ビッケル症候群、グルコース−ガラクトース吸収不全症候群、アルドラーゼA欠損症、ダウン症候群、低血糖症、アルコール中毒症、肝炎、無食欲症、インスリノーマ、軽度認知障害(MCI)、化学療法誘発性認知機能障害、及び注意欠陥多動障害(ADHD)からなる群から選択される、実施形態D1の使用。
D3.疾患又は状態が低血糖症である、実施形態D1又はD2の使用。
D4.疾患又は状態が糖尿病又はインスリン抵抗性である、実施形態D1又はD2の使用。
D5.糖尿病がI型糖尿病である、実施形態D4の使用。
D6.糖尿病がII型糖尿病である、実施形態D4の使用。
E1.対象が、GLUT1欠損症候群、てんかん、術後認知機能障害、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(G6PD)欠損症、GLUT2欠損症、GLUT3欠損症、SGLT1欠損症、SGLT2欠損症、ファンコニ・ビッケル症候群、グルコース−ガラクトース吸収不全症候群、アルドラーゼA欠損症、ダウン症候群、低血糖症、アルコール中毒症、肝炎、無食欲症、インスリノーマ、軽度認知障害(MCI)、化学療法誘発性認知機能障害、及び注意欠陥多動障害(ADHD)からなる群から選択される疾患又は状態を有する又は有すると疑われる、実施形態A1〜D2のいずれか1つに記載の使用。
F1.組成物が対象に投与される、実施形態A1〜E1のいずれか1つに記載の使用。
F2.治療有効量が、5グラム〜100グラムのL−セリン又はその中間の範囲を含む、実施形態A1〜F1のいずれか1つに記載の使用。
F3.組成物が、L−セリンについて約5g/日〜約100g/日の用量で対象に投与される、実施形態A1〜F2のいずれか1つに記載の使用。
G1.対象が糖尿病ではない、実施形態A1〜D4及びE1〜F3のいずれか1つに記載の使用。
H1.対象の中枢神経系内のグルコースレベルを制御するステップ又は増加させるステップを含む、実施形態A1〜G1のいずれか1つに記載の使用。
H2.対象がヒトである、実施形態A1〜H1のいずれか1つに記載の使用。
H3.対象が閉経後の女性である、実施形態A1〜H2のいずれか1つに記載の使用。
H4.女性が60歳を超えている、実施形態H3に記載の使用。
H5.対象が1歳〜21歳である又は50未満である、実施形態A1〜H3のいずれか1つに記載の使用。
H6.組成物がL−セリン又は遊離L−セリンを含む、実施形態A1〜H5のいずれか1つに記載の使用。
H7.組成物が、L−セリンから本質的になる又は遊離L−セリンから本質的になる、実施形態A1〜H6のいずれか1つに記載の使用。
H8.組成物がエネルギー代謝前駆体を含まない、実施形態A1〜H7のいずれか1つに記載の使用。
I1.対象の中枢神経系又は脳脊髄液(CSF)が、45mg/dL未満であるグルコースの量を含む、実施形態A1〜H8のいずれか1つに記載の使用。
I2.組成物が、2〜24週の期間、毎日、対象に投与される、実施形態A1〜I1のいずれか1つに記載の使用。
I3.組成物が、1日当たり1〜8回、対象に投与される、実施形態A1〜I2のいずれか1つに記載の使用。
J1.組成物が、1日当たり、約25mg/kg〜1,000mg/kg(体重)の用量で対象に投与される、実施形態A1〜I3のいずれか1つに記載の使用。
J2.組成物が、経口により、又は注射により対象に投与される、実施形態A1〜J1のいずれか1つに記載の使用。
J3.組成物が、咀嚼可能な投与剤形、飲料製剤、錠剤、カプセル、ソフトゲル、ゲルキャップ、液体、又は非経口溶液からなる群から選択される投与剤形である、実施形態A1〜J2のいずれか1つに記載の使用。
J4.組成物が粉末を含む、実施形態A1〜J2のいずれか1つに記載の使用。
J5.粉末が消費可能な液体中での再構成に適する、実施形態J4に記載の使用。
K1.対象の中枢神経系が、脳、頭蓋骨内領域、及び脳脊髄液のうちの1つ又は複数から選択される、実施形態A1〜J5のいずれか1つに記載の使用。
L1.組成物が、少なくとも95%の純度を有する遊離L−セリンを含む又はそれから本質的になる、実施形態A1〜K1のいずれか1つに記載の使用。
L2.組成物が、1つ又は複数の治療的に許容される塩、賦形剤、溶媒、添加剤、担体、又は希釈剤をさらに含む、実施形態A1〜L1のいずれか1つに記載の使用。
[0110]本明細書において本明細書により引用された特許、特許出願、公開資料、又は任意のその他の参考資料、又は文書それぞれは、参照により組み込まれる。矛盾する場合、本明細書が、定義を含め優先される。
[0111]任意の特許、特許出願、公開資料、又は任意のその他の文書の引用は、上記のいずれかが関連する先行技術であることの承認でもなければ、またこれらの公開資料又は文書の内容又は日付に関して何らかの承認を構成するものでもない。
[0112]別途定義されなければ、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、当業者により一般的に理解される意味と同一の意味を有する。
[0113]本明細書で開示されるすべての特性は、任意の組合せで組合せ可能である。本明細書で開示される各特性は、同一の、等価な、又は類似した目的を担う代替特性に置き換わり得る。したがって、別途明記されなければ、開示される特性(例えば、抗体)は、等価な、又は類似した特性の属の例である。
[0114]本明細書で使用する場合、すべての数値又は数値範囲には、文脈が別途明示しない限り、そのような範囲内の整数、及び範囲内の数値又は整数の端数が含まれる。さらに、本明細書において数値の列挙が記載されるとき(例えば、約50%、60%、70%、80%、85%、又は86%)、列挙には、そのすべての中間の数値及び端数の数値が含まれる(例えば、54%、85.4%)。したがって、例証的には、80%又はそれを上回る同一性という場合、それには81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%等、並びに81.1%、81.2%、81.3%、81.4%、81.5%等、82.1%、82.2%、82.3%、82.4%、82.5%等が含まれる。
[0115]〜より大きい、又は〜より小さい整数という場合、それには、参照する数値より大きい又は小さい任意の数値がそれぞれ含まれる。したがって、例えば100より小さいという場合、それには99、98、97等最終的に1が含まれ;及び10より小さいという場合、それには9、8、7等最終的に1が含まれる。
[0116]本明細書で使用する場合、文脈が別途明示しない限り、すべての数値又は範囲には、そのような範囲内の数値の端数及び整数、並びにそのような範囲内の整数の端数が含まれる。したがって、例証的には、1〜10等の数値範囲を参照する場合、それには1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、並びに1.1、1.2、1.3、1.4、1.5等が含まれる。したがって、1〜50の範囲という場合、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20等〜50を含むそれまで、並びに1.1、1.2、1.3、1.4、1.5等、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5等が含まれる。
[0117]一連の範囲を参照する場合、それには、その一連内の異なる範囲の境界の数値が組み合わされた範囲が含まれる。したがって、例証的には、例えば1〜10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜60、60〜75、75〜100、100〜150、150〜200、200〜250、250〜300、300〜400、400〜500、500〜750、750〜1,000、1,000〜1,500、1,500〜2,000、2,000〜2,500、2,500〜3,000、3,000〜3,500、3,500〜4,000、4,000〜4,500、4,500〜5,000、5,500〜6,000、6,000〜7,000、7,000〜8,000、又は8,000〜9,000の一連の範囲、という場合、それには10〜50、50〜100、100〜1,000、1,000〜3,000、2,000〜4,000等の範囲が含まれる。
[0118]技術の基本的側面から逸脱せずに、上記に対して修正を加えることができる。1つ又は複数の特別な実施形態を参照しながら、技術が十分に詳細に記載されているが、当業者は、本出願に特に開示されている実施形態に対して変更をなし得ることを認識し、さらにこれらの修正及び改善は、技術の範囲及び精神の内にある。
[0119]本明細書に記載される技術のいくつかの実施形態は、本明細書において特に開示されていない要素が存在しなくても好適に実践可能である。したがって、いくつかの実施形態では、用語「〜含む(comprising)」又は「〜を含む(comprise)」は、「から本質的になる(consisting essentially of)」若しくは「からなる(consisting of)」、又はその文法的変形形態と置換可能である。用語「a」又は「an」は、それが修飾する要素のうちの1つ又は複数を指し得る(例えば、「試薬」は、1つ又は複数の試薬を意味し得る)が、但し要素のうちの1つの要素、又は要素のうちの1より多くの要素のいずれかが記載されていることが文脈的に明白である場合を除く。用語「約」とは、本明細書で使用する場合、基礎となるパラメーターの10%以内の数値(すなわち、プラス又はマイナス10%)を指し、一連の数値の冒頭で用語「約」を使用する場合、それは数値のそれぞれを修飾する(すなわち、「約1、2、及び3」とは、約1、約2、及び約3を指す)。例えば、「約100グラム」の重量は、90グラム〜110グラムの重量を含み得る。用語「実質的に」とは、本明細書で使用する場合、「少なくとも95%」、「少なくとも96%」、「少なくとも97%」、「少なくとも98%」、又は「少なくとも99%」を意味する数値修飾語を差し、また100%を含み得る。例えば、Xを実質的に含まない組成物は、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、若しくは1%未満のXを含み得、及び/又はXは、組成物内に存在しない若しくはその中で検出不能である場合もある。
[0120]詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲において記載されている例証的実施形態は、限定を意図しない。その他の実施形態が利用され得るが、またその他の変更も、ここで提示されている主題の精神又は範囲から逸脱せずになし得る。本開示の態様は、本明細書に一般的に記載されるように、また図において例証されるように、多種多様な異なる構成で配置され、置換され、組み合わされ、及び設計されることが可能であり、そのすべては明示的に企図されており、また本開示の一部分をなすものと容易に理解される。

Claims (30)

  1. 対象の中枢神経系内のグルコース濃度を増加させる又は制御する方法であって、治療有効量のL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物を、前記対象に投与するステップを含む、方法。
  2. 対象における認知機能低下を阻害する又は遅延させる方法であって、治療有効量のL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物を、前記対象に投与するステップを含む、方法。
  3. 対象における認知機能を強化する方法であって、治療有効量のL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物を、前記対象に投与するステップを含む、方法。
  4. 前記L−セリンを投与する前の記憶又は学習能力の量と比較して、前記対象において記憶又は学習能力が強化される、請求項3に記載の方法。
  5. 対象の中枢神経系内のグルコースレベルの減少と関連する疾患又は状態を処置する方法であって、治療有効量のL−セリン、又はその前駆体、誘導体、若しくはコンジュゲートを含む組成物を、前記対象に投与するステップを含む、方法。
  6. 前記疾患又は状態が、GLUT1欠損症候群、てんかん、術後認知機能障害、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(G6PD)欠損症、GLUT2欠損症、GLUT3欠損症、SGLT1欠損症、SGLT2欠損症、ファンコニ・ビッケル症候群、グルコース−ガラクトース吸収不全症候群、アルドラーゼA欠損症、ダウン症候群、低血糖症、アルコール中毒症、肝炎、無食欲症、インスリノーマ、軽度認知障害(MCI)、化学療法誘発性認知機能障害、及び注意欠陥多動障害(ADHD)からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記疾患又は状態が、低血糖症である、請求項5に記載の方法。
  8. 前記疾患又は状態が、糖尿病又はインスリン抵抗性である、請求項5に記載の方法。
  9. 前記対象の中枢神経系内のグルコースレベルを制御する又は増加させるステップを含む、請求項2〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記糖尿病が、I型糖尿病である、請求項8に記載の方法。
  11. 前記糖尿病が、II型糖尿病である、請求項8に記載の方法。
  12. 前記対象が、糖尿病ではない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記対象が、ヒトである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記対象が、閉経後の女性である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記女性が、60歳を超えている、請求項14に記載の方法。
  16. 前記対象が、1歳〜21歳、又は50歳未満である、請求項13に記載の方法。
  17. 前記組成物が、L−セリン又は遊離L−セリンから本質的になる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記治療有効量が、10グラム〜100グラムのL−セリンを含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記投与するステップが、約10g/日〜約100g/日の用量のL−セリンを投与することを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記組成物が、エネルギー代謝前駆体を含まない、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記投与するステップの前に、前記対象の中枢神経系又は脳脊髄液(CSF)内のグルコース濃度が、45mg/dL未満である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記投与後に、前記中枢神経系又はCSF内のグルコースの量が、少なくとも20%増加する、請求項21に記載の方法。
  23. 前記投与後に、前記中枢神経系又はCSF内のグルコースの量が、少なくとも55mg/dLである、請求項21に記載の方法。
  24. 2〜24週の期間、毎日、前記組成物を投与するステップを含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記組成物を、1日当たり1〜8回投与するステップを含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記治療有効量のL−セリンが、1日当たり、約25mg/kg〜1,000mg/kg(体重)の用量である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記組成物が、経口により又は注射により前記対象に投与される、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記組成物が、咀嚼可能な投与剤形、飲料製剤、錠剤、カプセル、ソフトゲル、ゲルキャップ、液体、又は非経口溶液からなる群から選択される投与剤形である、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記対象の中枢神経系が、脳、頭蓋骨内領域、及び脳脊髄液のうちの1つ又は複数から選択される、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記L−セリンが、少なくとも95%の純度を有する遊離L−セリンである、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
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