第1の態様から見ると、本発明は、超伝導構造体であって、第1の結晶シリコン層と第2の結晶シリコン層との間に第1の超伝導層を含むシリコン・オン・メタル(silicon-on-metal)基板であり、第1の超伝導層が第1の超伝導材料を含む、シリコン・オン・メタル基板と;第1の超伝導層の第1のセクションと第2の超伝導層の第1の部分との間にあり、第1の超伝導層の第1のセクションおよび第2の超伝導層の第1の部分と接触した第1のバイアであり、第1のバイアが第1のジョセフソン接合を含み、第2の超伝導層が第2の結晶シリコン層の上にあり、第2の超伝導層が第2の超伝導材料を含む、第1のバイアと;第1の超伝導層の第2のセクションと第2の超伝導層の第2の部分との間にあり、第1の超伝導層の第2のセクションおよび第2の超伝導層の第2の部分と接触した第2のバイアであり、第2のバイアが第2のジョセフソン接合を含み、ここで、第2の結晶シリコン層の規定されたエリアの周囲の電気ループが、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイア、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイア、第1の超伝導層および第2の超伝導層を含む、第2のバイアとを備える超伝導構造体を提供する。
別の態様から見ると、本発明は、第1の結晶シリコン層と第2の結晶シリコン層との間に第1の超伝導層を含むシリコン・オン・メタル基板であり、第1の超伝導層が第1の超伝導材料を含む、シリコン・オン・メタル基板を形成すること;第1の超伝導層の第1のセクションと第2の超伝導層の第1の部分との間にあり、第1の超伝導層の第1のセクションおよび第2の超伝導層の第1の部分と接触した第1のバイアであり、第1のバイアが第1のジョセフソン接合を含み、第2の超伝導層が第2の結晶シリコン層の上にあり、第2の超伝導層が第2の超伝導材料を含む、第1のバイアを形成すること;ならびに第1の超伝導層の第2のセクションと第2の超伝導層の第2の部分との間にあり、第1の超伝導層の第2のセクションおよび第2の超伝導層の第2の部分と接触した第2のバイアであり、第2のバイアが第2のジョセフソン接合を含み、ここで、第2の結晶シリコン層の規定されたエリアの周囲の電気ループが、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイア、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイア、第1の超伝導層および第2の超伝導層を含む、第2のバイアを形成することを含む方法を提供する。
本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的理解を提供するため、以下に概要を示す。この概要が、鍵となる要素もしくは決定的に重要な要素を識別すること、または特定の実施形態の範囲もしくは特許請求の範囲を示すことは意図されていない。この概要の唯一の目的は、後に示すより詳細な説明の序文として、発想を、簡略化された形で示すことである。本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態では、垂直シリコン・オン・メタル超伝導量子干渉デバイスを容易にするシステム、コンピュータ実施方法、方法、装置、デバイスもしくはコンピュータ・プログラム製品またはこれらの組合せが提供される。垂直シリコン・オン・メタル超伝導量子干渉デバイス用の関連する束制御(flux control)およびバイアス回路も提供される。
一実施形態によれば、超伝導構造体は、第1の結晶シリコン層と第2の結晶シリコン層との間に第1の超伝導層を含むことができるシリコン・オン・メタル基板を備えることができる。第1の超伝導層は第1の超伝導材料を含むことができる。超伝導構造体はさらに、第1の超伝導層の第1のセクションと第2の超伝導層の第1の部分との間にあり、第1の超伝導層の第1のセクションおよび第2の超伝導層の第1の部分と接触した第1のバイアを備えることができる。第1のバイアは第1のジョセフソン接合を含むことができる。第2の超伝導層は第2の結晶シリコン層の上にあることができ、第2の超伝導材料を含むことができる。超伝導構造体はさらに、第1の超伝導層の第2のセクションと第2の超伝導層の第2の部分との間にあり、第1の超伝導層の第2のセクションおよび第2の超伝導層の第2の部分と接触した第2のバイアを備えることができる。第2のバイアは第2のジョセフソン接合を含むことができる。第2の結晶シリコン層の規定されたエリアの周囲の電気ループは、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイア、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイア、第1の超伝導層および第2の超伝導層を含むことができる。
一例において、第2の超伝導層の第1の側面はシリコン・オン・メタル基板の第1の縁と同一平面をなすことができ、第2の超伝導層の第2の側面はシリコン・オン・メタル基板の第2の縁と同一平面をなすことができる。いくつかの実施態様によれば、第2の超伝導層の形状は、電気ループの規定された形状に基づいて選択することができる。
いくつかの実施態様によれば、超伝導構造体は、第2の結晶シリコン層を貫いて延びることができる第1のトレンチであり、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイアから第1の距離のところにあり、第1のバイアに隣接した第1のトレンチを備えることができる。超伝導構造体はさらに、第2の結晶シリコン層を貫いて延びる第2のトレンチであり、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイアから第2の距離のところにあり、第2のバイアに隣接した第2のトレンチを備えることができる。これらの実施態様に関して、第1のトレンチおよび第2のトレンチは、超伝導構造体を1つまたは複数の回路から電気的に分離することができる。
いくつかの実施態様によれば、超伝導構造体は、第1の超伝導層のところにある第1の外部電気接続端子と、第2の超伝導層のところにある第2の外部電気接続端子とを備えることができる。いくつかの実施態様において、超伝導構造体は、第2の結晶シリコン層の上の結合コンデンサ(coupling capacitor)であり、電気ループからの第1の距離のところにあり、外部電気接続のための相互接続の近くにある結合コンデンサを備えることができる。
他の実施態様において、超伝導構造体は、第2の超伝導層から垂直に延びることができる第1のループ・コンタクトを備えることができる。第1のループ・コンタクトは、電気接続のための第1の端子を提供することができる。超伝導構造体はさらに、第2の結晶シリコン層の上の、第1のループ・コンタクトの反対側にある第2のループ・コンタクトを備えることができる。第2のループ・コンタクトは、電気接続のための第2の端子を提供することができる。
いくつかの実施態様によれば、超伝導構造体は、第2の結晶シリコン層の少なくとも一部分の上のワイヤであり、電気ループに対して平行なワイヤを備えることができる。いくつかの実施態様によれば、超伝導構造体は、第1の結晶シリコン層の少なくとも一部分の上のワイヤであり、電気ループに対して平行なワイヤを備えることができる。他の実施態様において、超伝導構造体は、第1の超伝導層の上の平行な2本以上のワイヤを備えることができる。2本以上のワイヤは平行な電気ループを形成することができる。
別の実施形態は、方法に関係することができ、この方法は、第1の結晶シリコン層と第2の結晶シリコン層との間に第1の超伝導層を含むシリコン・オン・メタル基板を形成することを含むことができる。第1の超伝導層は第1の超伝導材料を含むことができる。この方法はさらに、第1の超伝導層の第1のセクションと第2の超伝導層の第1の部分との間にあり、第1の超伝導層の第1のセクションおよび第2の超伝導層の第1の部分と接触した第1のバイアを形成することを含むことができる。第1のバイアは第1のジョセフソン接合を含むことができる。第2の超伝導層は第2の結晶シリコン層の上にあることができ、第2の超伝導層は第2の超伝導材料を含むことができる。さらに、この方法は、第1の超伝導層の第2のセクションと第2の超伝導層の第2の部分との間にあり、第1の超伝導層の第2のセクションおよび第2の超伝導層の第2の部分と接触した第2のバイアを形成することを含むことができる。第2のバイアは第2のジョセフソン接合を含むことができる。第2の結晶シリコン層の規定されたエリアの周囲の電気ループは、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイア、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイア、第1の超伝導層および第2の超伝導層を含むことができる。
一例において、この方法は、シリコン・オン・メタル基板の第1の縁と同一平面をなす第2の超伝導層の第1の側面、およびシリコン・オン・メタル基板の第2の縁と同一平面をなす第2の超伝導層の第2の側面をエッチングすることを含むことができる。
別の例において、この方法は、第2の結晶シリコン層を貫く第1のトレンチであり、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイアから第1の距離のところにあり、第1のバイアに隣接した第1のトレンチを形成することを含むことができる。この例に関してさらに、この方法は、第2の結晶シリコン層を貫く第2のトレンチであり、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイアから第2の距離のところにあり、第2のバイアに隣接した第2のトレンチを形成することを含むことができる。
いくつかの実施態様において、この方法は、第1の超伝導層のところにある第1の外部電気接続および第2の超伝導層のところにある第2の外部電気接続のうちの少なくとも一方を提供することを含むことができる。いくつかの実施態様によれば、この方法は、電気ループに対して平行なワイヤを提供することを含むことができる。このワイヤは、電気ループを通り抜ける磁束の制御のために第2の結晶シリコン層の上に提供すること、または電気ループを通り抜ける磁束の制御のために第1の結晶シリコン層の上に提供することができる。それに加えて、またはその代わりに、この方法は、第1の超伝導層の上の平行な2本以上のワイヤであり、平行な電気ループを形成した2本以上のワイヤを提供することを含むことができる。
本明細書に提供された別の実施形態は超伝導デバイスであり、この超伝導デバイスは、第1の結晶シリコン層と第2の結晶シリコン層との間に第1の超伝導層を含むシリコン・オン・メタル基板を備えることができる。第1の超伝導層は第1の超伝導材料を含むことができる。超伝導デバイスはさらに、第1の超伝導層の第1のセクションと第2の超伝導層の第1の部分との間にあり、第1の超伝導層の第1のセクションおよび第2の超伝導層の第1の部分と接触した第1のバイアを備えることができる。第1のバイアは第1のジョセフソン接合を含むことができる。第2の超伝導層は第2の結晶シリコン層の上にあることができ、第2の超伝導材料を含むことができる。さらに、超伝導デバイスは、第1の超伝導層の第2のセクションと第2の超伝導層の第2の部分との間にあり、第1の超伝導層の第2のセクションおよび第2の超伝導層の第2の部分と接触した第2のバイアを備えることができる。第2のバイアは第2のジョセフソン接合を含むことができる。第2の結晶シリコン層の規定されたエリアの周囲の電気ループは、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイア、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイア、第1の超伝導層および第2の超伝導層を含むことができる。
一実施態様において、超伝導デバイスはさらに、第2の結晶シリコン層を貫いて延びる第1のトレンチであり、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイアから第1の距離のところにあり、第1のバイアに隣接した第1のトレンチを備えることができる。さらに、超伝導デバイスは、第2の結晶シリコン層を貫いて延びる第2のトレンチであり、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイアから第2の距離のところにあり、第2のバイアに隣接した第2のトレンチを備えることができる。
いくつかの実施態様によれば、超伝導デバイスは、第2の超伝導層から垂直に延びることができる第1のループ・コンタクトを備えることができる。第1のループ・コンタクトは、電気接続のための第1の端子を提供することができる。さらに、超伝導デバイスは、第2の結晶シリコン層の上の、第1のループ・コンタクトの反対側にある第2のループ・コンタクトを備えることができる。第2のループ・コンタクトは、電気接続のための第2の端子を提供することができる。
いくつかの実施態様によれば、超伝導デバイスは、第1の超伝導層の上の平行な2本以上のワイヤを備えることができる。2本以上のワイヤは平行な電気ループを形成することができる。
別の実施形態は、超伝導構造体に関し、この超伝導構造体は、第1の結晶シリコン層と第2の結晶シリコン層との間に第1の超伝導層を含むシリコン・オン・メタル基板を備えることができる。第1の超伝導層は第1の超伝導材料を含むことができる。超伝導構造体はさらに、第1の超伝導層の第1のセクションと第2の超伝導層の第1の部分との間にあり、第1の超伝導層の第1のセクションおよび第2の超伝導層の第1の部分と接触した第1のバイアを備えることができる。第1のバイアは第1のジョセフソン接合を含むことができる。第2の超伝導層は第2の結晶シリコン層の上にあることができ、第2の超伝導材料を含むことができる。さらに、超伝導構造体は、第1の超伝導層の第2のセクションと第2の超伝導層の第2の部分との間にあり、第1の超伝導層の第2のセクションおよび第2の超伝導層の第2の部分と接触した第2のバイアを備えることができる。第2のバイアは第2のジョセフソン接合を含むことができる。第2の結晶シリコン層の規定されたエリアの周囲の電気ループは、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイア、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイア、第1の超伝導層および第2の超伝導層を含むことができる。
本明細書に記載された別の実施形態は超伝導デバイスに関し、この超伝導デバイスは、第1の結晶シリコン層と第2の結晶シリコン層との間に第1の超伝導層を含むシリコン・オン・メタル基板を備えることができる。第1の超伝導層は第1の超伝導材料を含むことができる。超伝導デバイスはさらに第1のバイアおよび第2のバイアを備えることができる。第1のバイアは、第1の超伝導層の第1のセクションと第2の超伝導層の第1の部分との間にあることができ、第1の超伝導層の第1のセクションおよび第2の超伝導層の第1の部分と接触することができる。第1のバイアは第1のジョセフソン接合を含むことができる。第2の超伝導層は第2の結晶シリコン層の上にあることができ、第2の超伝導材料を含むことができる。第2のバイアは、第1の超伝導層の第2のセクションと第2の超伝導層の第2の部分との間にあることができ、第1の超伝導層の第2のセクションおよび第2の超伝導層の第2の部分と接触することができる。第2のバイアは第2のジョセフソン接合を含むことができる。第2の結晶シリコン層の規定されたエリアの周囲の電気ループは、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイア、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイア、第1の超伝導層および第2の超伝導層を含むことができる。超伝導デバイスはさらに、第2の結晶シリコン層を貫いて延びることができる第1のトレンチであり、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイアから第1の距離のところにあり、第1のバイアに隣接した第1のトレンチと、第2の結晶シリコン層を貫いて延びることができる第2のトレンチであり、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイアから第2の距離のところにあり、第2のバイアに隣接した第2のトレンチとを備えることができる。
一例において、超伝導デバイスは、第1の超伝導層のところにある第1の外部電気接続端子と、第2の超伝導層のところにある第2の外部電気接続端子とを備えることができる。別の例において、超伝導デバイスは、第1の超伝導層の上の平行な2本以上のワイヤを備えることができ、2本以上のワイヤは平行な電気ループを形成する。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を、単なる例として説明する。
以下の詳細な説明は例示だけが目的であり、以下の詳細な説明が、実施形態および実施形態の用途もしくは使用あるいはその両方を限定することは意図されていない。さらに、上記の「背景技術」もしくは「発明の概要」または「発明を実施するための形態」に示された明示または暗示の情報によって拘束されることも意図されていない。
次に、図面を参照して1つまたは複数の実施形態を説明する。全体を通じて、同じ要素を指すために同じ参照符号が使用されている。以下の説明では、説明の目的上、1つまたは複数の実施形態のより完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が示される。しかしながら、さまざまなケースにおいて、それらの特定の詳細なしで1つまたは複数の実施形態を実施することができることは明白である。
本明細書では、垂直シリコン・オン・メタル超伝導量子干渉デバイス(SQUIDと略記される)が提供される。本明細書ではさらに、垂直シリコン・オン・メタル超伝導量子干渉デバイスのための関連する束制御(磁束制御とも呼ばれる)およびバイアス回路が提供される。さまざまな態様は、1つまたは複数の垂直ジョセフソン接合デバイスを使用することにより、超伝導量子干渉デバイスのフットプリントを低減させることができる。さらに、本明細書で論じられているとおり、電気ループは、その大部分が、基板に対して直角の平面に存在しうる。電気ループがSQUIDを含む場合、電気ループをSQUIDループと呼ぶこともできる。
図1は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、第1のウェーハ102および第2のウェーハ104が形成された、製造プロセス中のシリコン・オン・メタル基板100の一実施形態の構造の例示的で非限定的な側断面図を示す。
第1のウェーハ102は第1のシリコン層を含むことができる。一実施態様によれば、第1のシリコン層を第1の結晶シリコン層106とすることができる。第1のウェーハ102はさらに、超伝導体(例えば第1の超伝導金属108)を含むことができ、この超伝導体は、第1の結晶シリコン層106に付着させることができる。この超伝導体層は、第1の結晶シリコン層106上に堆積させることができる(例えばスパッタリング、蒸着、原子層堆積、電気めっきまたは他の堆積技法)。
第2のウェーハ104は第2のシリコン層を含むことができる。第2のシリコン層は第2の超伝導層とすることができ、第2の超伝導層は、結晶シリコン層(例えば第2の結晶シリコン層110)とすることができる。
さらに、第2のウェーハ104も、超伝導体(例えば第2の超伝導金属112)を含むことができ、この超伝導体は、第2の結晶シリコン層110に付着させることができる。第1のウェーハ102と同様に、第2の超伝導体層も、第2の結晶シリコン層110上に堆積させることができる(例えばスパッタリング、蒸着、原子層堆積、電気めっきまたは他の堆積技法)。第1の超伝導金属108と第2の超伝導金属112とに対して利用する超伝導材料は、同じ超伝導材料、類似の超伝導材料または異なる超伝導材料とすることができる。
図2は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、第1のウェーハ102に接着するために第2のウェーハ104が配置された、製造プロセス中の図1のシリコン・オン・メタル基板100の構造の例示的で非限定的な側断面図を示す。さらに、図3は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態によって、第2のウェーハ104を第1のウェーハ102に付着させた、製造プロセス中の図2のシリコン・オン・メタル基板100の構造の例示的で非限定的な側断面図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
図2に示されているとおり、第2のウェーハ104を回転させて、第1の超伝導金属108と第2の超伝導金属112とが互いに向かい合わせ(例えばフェース・ツー・フェース)になるようにすることができる。例えば、第2のウェーハ104を裏返して第1のウェーハ102の上に置くことができる。このようにすると、第1の超伝導金属108と第2の超伝導金属112とを互いに整列させることができる。
図3に示されているように、基板(例えば第1のウェーハ102および第2のウェーハ104)を互いに対して押しつけることができる。いくつかの実施態様によれば、熱を加えて、2つの基板を1つに接着することができる。しかしながら、いくつかの実施態様によれば、熱が利用されない。第1のウェーハ102と第2のウェーハ104を接着したとき、または接着した後に、第1の超伝導金属108と第2の超伝導金属112は第1の超伝導層302を形成することができる。第1の超伝導層302は、第1のウェーハ102と第2のウェーハ104の接着に基づいて単一の超伝導層とすることができ、このようにしてシリコン・オン・メタル基板100が形成される。
図4は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、第2のウェーハ104の厚さが低減された、製造プロセス中の図3のシリコン・オン・メタル基板100の例示的で非限定的な側断面図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
第2の結晶シリコン層110(絶縁体または頂部絶縁体と呼ぶことができる)を、規定された高さまで薄くすることができる。したがって、第2の結晶シリコン層110を薄くしたとき、または薄くした後に、第1の結晶シリコン層106と第2の結晶シリコン層110とは異なる高さを有することができる。
この第2の結晶シリコン層110の薄層化を可視化するために、第2の結晶シリコン層110が第1の高さ304を有する図3を参照されたい。図4に示されているように、第2の結晶シリコン層110を第2の高さ402まで薄くすることまたは低減させることができる。
第2の結晶シリコン層110を薄くするため、露出したシリコン表面(例えば頂面404)を研削することができる。いくつかの実施態様によれば、第1のウェーハ102と第2のウェーハ104を接着する前に第2の結晶シリコン層110を薄くすることができる。しかしながら、いくつかの実施態様では、第1のウェーハ102と第2のウェーハ104を接着したときに、または接着した後に、第2の結晶シリコン層110を薄くすることができる。
いくつかの実施態様によれば、薄くした後に頂面404を研磨することができる。限定はされないが、化学機械研磨(CMP)を含むさまざまな研磨技法を利用することができる。CMPは、表面を平滑化する目的に利用することができる研磨プロセスである。例えば、CMPは、化学スラリ形成物および機械研磨プロセスを利用して平滑な表面を得ることができる。示されているように、CMPは、第2のウェーハ104の頂面404を横切る平坦な表面を生み出すことができる。頂面404の研磨は任意である。しかしながら、いくつかのケースでは、リソグラフィのために研磨した方がよいことがありうる。
一実施態様によれば、例示的で非限定的な約100nmから約100μmまでの間の厚さ範囲まで、第2の結晶シリコン層110を薄くすることができる。しかしながら、他の厚さ範囲を、開示された態様と一緒に利用することもできる。
図5は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、電気ループが形成された、製造プロセス中の超伝導量子干渉デバイス500の構造の例示的で非限定的な側断面図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
第2の結晶シリコン層110を薄くしたとき、または薄くした後に、第2の結晶シリコン層110に1つまたは複数のバイアをエッチングすることができる。例えば、超伝導量子干渉デバイス500の規定されたエリアに、第1のバイア502および第2のバイア504を形成することができる。
第1のバイア502および第2のバイア504はそれぞれジョセフソン接合を含むことができる。例えば、第1のバイア502は第1のジョセフソン接合506を含むことができ、第1のジョセフソン接合506は、第1の超伝導体層508、トンネル障壁層510および第2の超伝導層512を含むことができる。第1のジョセフソン接合506は楕円形のエリア514によって識別される。さらに、第2のバイア504は第2のジョセフソン接合516を含むことができ、第2のジョセフソン接合516は、第1の超伝導体層518、トンネル障壁層520および第2の超伝導層522を含むことができる。示されているように、第1のジョセフソン接合506および第2のジョセフソン接合516は垂直ジョセフソン接合とすることができる。
いくつかの実施態様によれば、第2の超伝導層512に対して利用される超伝導材料を利用して、第1のバイア502を頂面404まで埋めることができ、第2の超伝導層522に対して利用される超伝導材料を利用して、第2のバイア504を頂面404まで埋めることができる。
第2の結晶シリコン層110の頂面404に第2の超伝導層522を堆積させることができる。第2の超伝導層522は超伝導金属を含むことができ、この超伝導金属は、第1のバイア502、第2のバイア504、第1のジョセフソン接合506、第2のジョセフソン接合516もしくは第1の超伝導層302またはこれらの組合せに対して利用されている金属と同じ金属、類似の金属または異なる金属とすることができる。さらに、第2の超伝導層522をパターニングおよびエッチングすることもできる。第2の超伝導層522(頂部コンタクト)および第1の超伝導層302(例えば底部コンタクト)を利用して、例えば超伝導量子干渉デバイス500の特性を制御することができる。
第1のジョセフソン接合506を含む第1のバイア502、第2のジョセフソン接合516を含む第2のバイア504、第1の超伝導体層(例えば第1の超伝導層302)および第2の超伝導体層(例えば第2の超伝導層522)から、電気ループを形成することができる。したがって、このループは、超伝導材料によって形成することができる。この電気ループは、超伝導電流の循環を可能にすることができる。
電気ループ内に、第2の結晶シリコン層110の1つのエリア(例えば規定されたエリア524)を画定することができる。例えば、第1のジョセフソン接合506を含む第1のバイア502、第2のジョセフソン接合516を含む第2のバイア504、第1の超伝導体層(例えば第1の超伝導層302)および第2の超伝導体層(例えば第2の超伝導層522)によって取り囲まれた第2の結晶シリコン層110のエリアを、規定されたエリア524とすることができる。
図6は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態に従って、1つまたは複数のトレンチがエッチングされた、製造プロセス中の図5の超伝導量子干渉デバイス500の構造の例示的で非限定的な側断面図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
示されているように、第2の結晶シリコン層110を貫く第1のトレンチ602が、第1のジョセフソン接合506を含む第1のバイア502から第1の距離のところに、第1のバイア502に隣接して、エッチングされる(例えば形成される)ことができる。さらに、第2の結晶シリコン層110を貫く第2のトレンチ604が、第2のジョセフソン接合516を含む第2のバイア504から第2の距離のところに、第2のバイア504に隣接して、エッチングされる(例えば形成される)ことができる。第1のトレンチ602および第2のトレンチ604を利用して、周囲の領域もしくは他の回路またはその両方から超伝導量子干渉デバイス500を電気的に分離することができる。1つまたは複数のトレンチ(例えば第1のトレンチ602および第2のトレンチ604)がシリコン・オン・メタル基板100を貫通するように、第2の結晶シリコン層110をパターニングおよびエッチングすることができる。
図7は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、図5の超伝導量子干渉デバイス500の電気ループ700の例示的で非限定的な電気概略図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
説明の目的上、電気ループ700の左側は第1のバイア502を表し、「X」は第1のジョセフソン接合506の位置を示し、電気ループ700の右側は第2のバイア504を表し、「X」は第2のジョセフソン接合516の位置を示す。電気ループ700の底部は第1の超伝導層302(例えば底部コンタクト)を表し、電気ループ700の頂部は第2の超伝導層522(例えば頂部コンタクト)を表す。したがって、このループは、超伝導材料によって形成することができる。
超伝導量子干渉デバイス500は、2つ以上のジョセフソン接合および囲われたループを含むことができる。このループに、2つの電位間のバイアスをかけることができる。例えば、第1の端子(例えば第2の超伝導層522)に第1の電位(V1)を印加することができ、第2の端子(例えば第1の超伝導層302)に第2の電位(V2)を印加することができる。したがって、ループの前後の電位差はV1−V2であり、この電位差は静的に印加することができ、または高周波数で印加するなど、動的に印加することもできる。
ループを流れる全超伝導電流は、第1のジョセフソン接合506を流れる第1の電流と第2のジョセフソン接合516を流れる第2の電流の和(Ic1+Ic2)である。この電流は第1の端子(V1)から第2の端子(V2)に流れることができる。ループの平面に対して垂直に磁場を加えると、ループを通り抜ける磁束が生まれ、2つの電気端子間を流れる超伝導電流は変化しうる。紙面(およびループ)から出てくる向きの紙面(およびループ)に対して垂直な磁束がφ1である。
図8は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、図5の超伝導量子干渉デバイス500の電気ループの第1の実施形態800の構造の例示的で非限定的な上面図を示す。図9は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、図5の超伝導量子干渉デバイス500の電気ループの第2の実施形態900の構造の例示的で非限定的な上面図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
図8および図9は、構造体の頂部金属(例えば第2の超伝導層522)および底部金属(例えば第1の超伝導層302)に対する接触をどのように実施するのかについては示していないことに留意されたい。さらに、「X」によって印がつけられた2つのエリアは、バイア内の対応するそれぞれのジョセフソン接合の位置を示す。したがって、「X」によって印がつけられたエリアの下は、トンネル障壁(例えばトンネル障壁層510、トンネル障壁層520)が存在する場所である。「X」は、超伝導量子干渉デバイス500の構造の部分を形成しないが、本明細書に提供されたさまざまな態様を説明するために示されている。
示されているように、図7の第1の実施形態700では、第2の超伝導層522が、1つまたは複数のバイア(例えば第1のバイア502および第2のバイア504)の上の部分を含む頂部層が実質的に同じ形状、幅および長さである構成を含むことができる。しかしながら、第2の超伝導層522が「ダンベル」型の形状に形成された図9の第2の実施形態900など、他の構成を利用することもできる。この第2の実施形態では、第2の超伝導層522の1つまたは複数のバイア間の部分が、第2の超伝導層522の1つまたは複数のバイアの上の他の部分よりも細い(例えば他の部分ほど幅が広くない)。
したがって、図8および図9に示されているように、電気ループは異なる形状を有することができる。断面内にトンネル障壁を含む1つまたは複数のジョセフソン接合は、規定された寸法を有するように設計することができることに留意されたい。しかしながら、電気ループの他の要素は変更することができる。さらに、1つまたは複数のトンネル障壁を規定された寸法に維持したまま、さまざまな態様に基づく電気ループの形状の他の変更を使用することもできる。
再び図6を参照すると、第1のバイア502と第1のトレンチ602の間に第2の結晶シリコン層110の第1のエリア606および第2の超伝導層522の第1のセクション608があり、第2のバイア504と第2のトレンチ604の間に第2の結晶シリコン層110の第2のエリア610および第2の超伝導層522の第2のセクション612があるように示されているが、開示された態様はこの実施態様だけに限定されない。
図10は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、第2の超伝導層の1つまたは複数の部分が除去された、製造プロセス中の別の超伝導量子干渉デバイス1000の構造の例示的で非限定的な側断面図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
図10の実施形態では、第1のバイア502と第1のトレンチ602の間の第2の超伝導層522の第1のセクション608および第2のバイア504と第2のトレンチ604の間の第2の超伝導層522の第2のセクション612を除去することができる。したがって、第1のバイア502および第2のバイア504の両側に張り出た第2の超伝導層522のエリアを除去することができる。したがって、頂部超伝導金属(例えば第2の超伝導層522)は、バイア(例えば第1のバイア502および第2のバイア504)を超えて延びない。図10の例では、第1のバイア502(例えば第1のジョセフソン接合506)および第2のバイア504(例えば第2のジョセフソン接合516)の隣に、両側面のシリコン(例えば第2の結晶シリコン層110の第1のエリア606および第2のエリア610)が残っていることに留意されたい。
さらに、開示された態様は、図6および図10に示された例だけに限定されない。いくつかの実施態様では、第1のバイア502と第1のトレンチ602の間の第2の結晶シリコン層110の第1のエリア606および第2のバイア504と第2のトレンチ604の間の第2の結晶シリコン層110の第2のエリア610も除去することができる。例えば、実質的に同時に、第1のセクション608と第1のエリア606とを除去することができ、第2のセクション612と第2のエリア610とを除去することができる。したがって、1つまたは複数のバイア(例えば第1のバイア502および第2のバイア504)の対応するそれぞれの縁と同一平面をなすように、第2の超伝導層と、第2の結晶シリコン層110の対応するそれぞれの部分とをエッチングすることができる。
この実施態様によれば、1つまたは複数のジョセフソン接合の対応するそれぞれの側面(例えば1つの側面)を露出させることができる。例えば、第1のトレンチ602によって第1のジョセフソン接合506の1つの側面を露出させることができ、第2のトレンチ604によって第2のジョセフソン接合516の1つの側面を露出させることができる。
シリコン(例えば第2の結晶シリコン層110の第1のエリア606もしくは第2のエリア610またはその両方)を保持することの利点は、1つまたは複数のジョセフソン接合(例えば第1のジョセフソン接合506および第2のジョセフソン接合516)を含む構造体(例えば電気ループ)を空気にさらさないことを含む。シリコンを保持することの別の利点は、1つもしくは複数のジョセフソン接合または電気ループの他の要素あるいはその両方が、酸化されることもしくは化学的に修飾されることまたはその両方が実施されることが防止されることでありうる。
いくつかの実施態様によれば、チップ上に多数の超伝導量子干渉デバイスを配置することができる。したがって、それらの超伝導量子干渉デバイスの電位が同じでない場合に、超伝導量子干渉デバイスの周囲の対応するそれぞれのエリア(例えば第1のトレンチ602および第2のトレンチ604)をエッチングすることによって、1つまたは複数の超伝導量子干渉デバイスを互いに電気的に分離することができる。それに加えて、またはその代わりに、本明細書で論じたとおり、頂部端子(例えば第2の超伝導層522)と底部端子(例えば第1の超伝導層302)は異なる端子として論じられる。しかしながら、一方の端子を、他の回路との共通端子とすることができる。例えば、端子を、残りの回路の接地端子とすることができ、したがってその端子は残りの回路から電気的に分離されない。しかしながら、それらの回路を互いから分離するため、超伝導量子干渉デバイスの両側に、エッチングされたエリアが形成される。
図11は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、頂部および底部超伝導層を通して超伝導量子干渉デバイスを接続するためのバイアス回路1100の例示的で非限定的な上面図を示す。図12は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、図11のバイアス回路1100の例示的で非限定的な側断面図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
超伝導量子干渉デバイスが周囲の回路から分離された実施形態では、底部コンタクト(例えば第1の超伝導層302)を分離するために、底部コンタクトの周囲の材料をエッチングによって除くことができる。しかしながら、材料がエッチングされた(例えば除去された)後も、頂部コンタクト(例えば第2の超伝導層522)が存在する全ての場所の下には、対応する底部コンタクトが存在する。例えば、底部コンタクトにアクセスするためには、デバイスが、頂部コンタクト(例えば第2の超伝導層522)から底部コンタクトまで(例えば第2の結晶シリコン層110を貫いて)エッチングされていなければならない。
図11の破線1102は図12の側断面図のエリアを表し、このエリアは電気ループの中央を通っている。したがって、図12に示されているように、頂面404の第2の超伝導層522は、底面に、対応する第1の超伝導層302を有する。トレンチ(例えば第1のトレンチ602)がエッチングされた後、第1の超伝導層302は、第1の超伝導層部分1202(第1のトレンチ602の左に示されている)および第2の超伝導層部分1204(第1のトレンチ602の右に示されている)として示されている2つの部分を有する。
図13は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスを利用してトランスモン・キュービットを形成するための別のバイアス回路1300の例示的で非限定的な上面図を示す。図14は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、図13のバイアス回路1300の例示的で非限定的な側断面図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
図13の第1の矢印1302は、超伝導量子干渉デバイスの方(例えば破線1102の下方)を指しており、第2の矢印1304は、相互接続または読出し共振器(readout resonator)の方を指している。超伝導量子干渉デバイスを用いたトランスモンは、分路静電容量(shunting capacitance)を提供するため端部にワイヤリング(wiring)または平行板を使用することができ、また、異なる長さ(のワイヤまたは平行板)を使用した共振器との非対称容量結合を使用することができる。図13および14の例では、結合コンデンサ1306を介したキュービットの底部ワイヤと相互接続または読出し共振器との間の結合がより強い。この実施形態では、(例えば第2の超伝導層522と第2の結晶シリコン層110の下の第1の超伝導層302との間の)分路コンデンサ(shunting capacitor)をジョセフソン接合とともに備えるトランスモン・キュービットを形成することができる。いくつかの実施形態では、2つのジョセフソン接合とともにこの分路コンデンサを利用することができる。
分路コンデンサは、図11の破線1102の下部から始まり、ループから遠ざかる方向に延び、図13の破線1308の上部に入り、破線1102に沿って分路コンデンサを別の回路から切り離すエッチングがなされた場所で終わる。したがって、例示的な実施形態では、静電容量を異なるものにするために、第2の超伝導層の(1402に示された)部分を除去することができる。したがって、超伝導量子干渉デバイス側の近くには、その上方に対応する第2の超伝導層を持たない第1の超伝導層302のエリアが存在する。このようにすると、第1のトレンチ602の超伝導量子干渉デバイス側において、頂部コンタクト(例えば第2の超伝導層522)と第1の超伝導層302は異なる長さを有することができる。
図15は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスのための別のバイアス回路1500の例示的で非限定的な上面図を示す。図16は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、図15のバイアス回路1500の例示的で非限定的な側断面図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
バイアス回路1500は、終端の形状が変更された変形実施形態である。分路コンデンサを平行板コンデンサにすることができ、平行板コンデンサは、さまざまな形状(例えば長方形、円形、線状など)を有することができる。頂部層(例えば第2の超伝導層522)の形状を変更することにより、2つの異なる層を利用してコンデンサを形成することができる。形状をわずかに違えることによって、外部回路に対する異なる結合を可能にすることができる。
この例では、超伝導量子干渉デバイスを用いたトランスモンが、静電容量のために端部にワイヤリングまたは平行板を使用することができ、また、異なる長さ(のワイヤまたは平行板)を使用した共振器との非対称容量結合を使用することができる。図15および図16の例では、結合コンデンサ1306を介したキュービットの底部ワイヤと相互接続または読出し共振器との間の結合がより強い。全静電容量を増大させるため、分路コンデンサは、頂部と底部の両方が長方形として示されている。
図17は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスのための別のバイアス回路1700の例示的で非限定的な上面図を示す。図18は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、図17のバイアス回路1700の例示的で非限定的な側断面図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
バイアス回路1700は、超伝導量子干渉デバイス実施形態に対して利用することができ(例えばキュービットとしての使用に対しては必ずしも必要ではなく)、したがって超伝導量子干渉デバイス向けの実施形態である。このケースでは、ループをバイアスするためのワイヤへのコンタクトを形成するために、頂部ワイヤと底部ワイヤとを分離することができる。これは、ボンディング(例えばワイヤ・ボンド、バンプ・ボンド)またはプロービング(probing)によって達成することができる。
ボンディングもしくはプロービングまたはその両方のためのパッドを提供するために、ワイヤ(例えば金属片1702であって、これは超伝導金属とすることができる)を堆積させることができる。矢印1704は、ボンディングもしくはプロービングまたはその両方のためのパッドの方を指している。バイアスのためにその上にプローブを直接に置くことができるように1つまたは複数の場所の幅が広くなっているなど、金属片1702はさまざまな構成で形成することができる。
いくつかの実施態様によれば、(第2の結晶シリコン層110の)シリコン1706は、酸化に対する表面保護のため、示されたセクションの上に残留することができる。さらに、底部ループ・コンタクト1708および頂部ループ・コンタクト1710が提供される。したがって、頂部層(例えば第2の超伝導層522)へのアクセスおよび底部層(例えば第1の超伝導層302または第2の超伝導金属112)へのアクセスが存在することができる。このようにすると、底部ループ・コンタクト1708および頂部ループ・コンタクト1710に電気バイアス(例えば超伝導量子干渉デバイスの2つの端子間のバイアス)をかけることができる。
図19は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、単一のワイヤを用いた束制御の第1の実施形態1900の例示的で非限定的な電気概略図を示す。図20は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、単一のワイヤを用いた束制御の第2の実施形態2000の例示的で非限定的な電気概略図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
束制御を有効にするため、ワイヤに電流を流した場合、その電流は、ワイヤの周囲に磁場を発生させる。ワイヤからの距離が規定された場合、磁場は所与の大きさ(普通は所与の距離に対して一定の大きさ)を有する。磁場の大きさは、ループの周囲の円に沿って一定でありうる。ワイヤを横切る断面を見ると、ワイヤの中心の周りの円は、その円に沿って流れる磁場を有するであろう。その磁場の近くに平面がある場合には、磁場の一部が遮断されうる(例えば、磁場の一部がその平面に遮られる。平面に対して垂直な磁場の成分は、当業者にとって意味のある量である)。磁束制御を有効にするための1つの手法は、その平面の隣のワイヤに電流を流すことである。例えば、左側で垂直でありうる超伝導量子干渉デバイス・ループが存在し、座標X、YおよびZを有するワイヤ1902が存在する。超伝導量子干渉デバイス・ループはその大部分が、座標系のXZ平面に含まれる。ワイヤ1902はXY平面に完全に含まれうる。図19では、超伝導量子干渉デバイス・ループの近くに、Y方向にずれてワイヤ1902が描かれている。したがって、(例えば第2の超伝導層522の近くにある)超伝導量子干渉デバイス・ループの頂部に対して平行なワイヤ1902の部分は、SQUIDループのそのエリアを通り抜ける磁場を発生させる。これは、SQUIDループを通り抜ける磁束の源となり、このことは、ワイヤをそこに置く目的となるであろう。図20は、超伝導量子干渉デバイス・ループの底部の近くにワイヤ2002が描かれた同様の状況を示している。
示されているとおり、ワイヤ(例えばワイヤ1902、ワイヤ2002)を通る電流(I)は、ワイヤの周囲に円形の磁場を生み出す。ワイヤからの磁場は、超伝導量子干渉デバイス・ループを通り抜け、超伝導量子干渉デバイスを通り抜ける磁束φ1を生み出す。ワイヤの水平部分は、超伝導量子干渉デバイス・ループの頂部の水平な辺に対して平行だが、異なるY座標のところに位置する。図20ならびに後続の図23および図24に示されているように、ワイヤの水平部分を、超伝導量子干渉デバイス・ループの底部の水平な辺に対して平行とすることもできる。
図21は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスの頂部超伝導層による制御のための束制御回路2100の例示的で非限定的な上面図を示す。図22は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、図21の束制御回路2100の線2102における例示的で非限定的な側断面図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
示されているように、超伝導量子干渉デバイス・ループに対して平行とすることができる金属層(例えばワイヤ2104)を配置することができる。図22に示されているように、ワイヤ2104は、第2の超伝導層522の頂部に対して平行であり、第2の超伝導層522の頂部に最も近い。ワイヤ2104は、第2の超伝導層522内に作成することができる。したがって、超伝導量子干渉デバイスの制御は頂部超伝導体によってなされる。これは、SQUIDループを通り抜ける磁束を適用する1つの手法であろう。
図23は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスの底部超伝導層による束制御のための束制御回路2300の別の実施形態の例示的で非限定的な上面図を示す。図24は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、図23の束制御回路2300の線2302における例示的で非限定的な側断面図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
示されているように、ワイヤ2304は、第1の結晶シリコン層106の近くにおいて超伝導量子干渉デバイス・ループに対して平行とすることができる。ワイヤ2304を利用して、SQUIDループを通り抜ける磁束を発生させることができる。
本発明を説明するため、図23の上面図は、ワイヤ2304の上の第2の結晶シリコン層110を示していないが、側断面図は、ワイヤ2304の上の第2の結晶シリコン層110を示していることに留意されたい。しかしながら、いくつかの実施態様によれば、ワイヤ2304の上から第2の結晶シリコン層110を除去することができる。第2の結晶シリコン層110を保持することの利益は、酸化もしくは要素の露出またはその両方からからデバイスを保護することでありうる。第2の結晶シリコン層110を除去することの利益はデバイス製造の単純化を含む。これは、第2の結晶シリコン層110を下方へエッチングすることができ、ワイヤ2304を完全に露出させることができることによる。
図25は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、単一のワイヤを用いた束制御の第3の実施形態2500の例示的で非限定的な電気概略図を示す。図26は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、単一のワイヤを用いた束制御の第4の実施形態2600の例示的で非限定的な電気概略図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
図19および図20に示されているような曲がりを有するワイヤの代わりに、超伝導量子干渉デバイス・ループの水平辺に対して平行なポーティング(porting)を維持しながら、ワイヤ(例えば図25のワイヤ2502および図26のワイヤ2602)をまっすぐなワイヤにすることができる。水平ワイヤ(例えばワイヤ2502、ワイヤ2602)は、依然として、超伝導量子干渉デバイス・ループの水平辺と同じ高さ(Z座標)にあるが、Y方向にずらされている。
図27は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、単一のワイヤを用いた束制御の第5の実施形態2700の例示的で非限定的な電気概略図を示す。ワイヤ2702は電流Iを運び、磁場を生み出すことができる。この実施形態では、ループに対して平行なワイヤ2702の水平部分(X)と垂直部分(Z)の両方が、ループを通り抜ける磁束を発生させることができる。
ワイヤ2702からの磁場は、超伝導量子干渉デバイス・ループを通り抜け、超伝導量子干渉デバイスを通り抜ける磁束φ1を生み出す。ワイヤの垂直および水平辺はそれぞれ、超伝導量子干渉デバイス・ループの垂直辺および水平辺に対して平行であり、Y座標だけが(紙面の奥の方へ)ずらされている。
図28は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、多数の(平行)ワイヤを用いた束制御の実施形態2800の例示的で非限定的な電気概略図を示す。
3本のワイヤ、すなわち第1のワイヤ2802、第2のワイヤ2804および第3のワイヤ2806が示されている。それぞれのワイヤは電流を運び、対応するそれぞれの磁場を生み出す。したがって、第1のワイヤ2802は第1の電流を運び、第1の磁場を生み出し、第2のワイヤ2804は第2の電流を運び、第2の磁場を生み出し、第3のワイヤ2806は第3の電流を運び、第3の磁場を生み出す。
多数のワイヤからの全磁場は足し合わされる。ワイヤからの磁場は超伝導量子干渉デバイス・ループを通り抜け、超伝導量子干渉デバイスを通り抜ける磁束φ1を生み出す。多数のワイヤは、同じ電流を運ぶ単一のワイヤが生み出すことができる磁場よりも大きな磁場を発生させることができる。ワイヤ(例えば第1のワイヤ2802、第2のワイヤ2804および第3のワイヤ2806)はY方向にずらされていることに留意されたい。
図29は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスの束制御のための多数のワイヤを使用した束制御回路2900の実施形態の例示的で非限定的な上面図を示す。図30は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、図29の束制御回路2900の断面線2902における例示的で非限定的な側横断図を示す。図31は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、図29の束制御回路2900の第2の断面線2 2904における例示的で非限定的な側横断図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
超伝導量子干渉デバイスの制御は、追加の束を超伝導量子干渉デバイスに適用するための、平行なループを形成する平行な多数のワイヤ(例えば第1のワイヤ2802、第2のワイヤ2804および第3のワイヤ2806)によって実施することができる。さらに、超伝導量子干渉デバイスの周囲の領域のエッチング(例えば底部ワイヤの整形)を最後のステップとすることができる。
図32は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスを使用した同調可能なトランスモン・キュービットの実施形態3200の例示的で非限定的な電気概略図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
(同調可能な)トランスモン・キュービットを形成するため、(超伝導量子干渉デバイスと並列の)コンデンサ3202によって超伝導量子干渉デバイス・ループに分路を設けることができる。トランスモン・キュービットを形成するためには、ジョセフソン接合と並列の全静電容量が特定の値を有するべきである。コンデンサ3202は、図13および図14に示されているような実質的に平行な細長いワイヤを利用することによって、または図15および図16に示されているような(全静電容量を増大させるためにより大きな面積を有する)実質的に平行な板を利用することによって実施することができる。
超伝導量子干渉デバイス・ループの2つの接合(例えば第1のジョセフソン接合506、第2のジョセフソン接合516)は同じ臨界電流または異なる臨界電流を有することができ、このことは、デバイスを、対称なまたは非対称な超伝導量子干渉デバイスにする。上で論じたとおり、磁束を用いて、超伝導量子干渉デバイスに束バイアスをかけることができる。いくつかの実施態様によれば、このトランスモン・キュービットを、他のキュービットおよび外部回路(読出し/書込み)に結合することができる。
本明細書で論じたとおり、いくつかの実施態様によれば、従来の超伝導量子干渉デバイスとは異なる向きに配置された垂直超伝導量子干渉デバイスが提供され、この垂直超伝導量子干渉デバイスは、異なる結合およびバイアス幾何構造を可能にし、従来の超伝導量子干渉デバイスに比べて最小限のフットプリントを占有する。近くの/ローカルの超伝導ワイヤおよび相互接続によってデバイスを磁気的に制御する能力も提供される。さらに、従来の超伝導量子干渉デバイスとの比較では、基板に対して平行な場を使用または検出することができる。
さらに、表面に直交する超伝導量子干渉デバイス・ループが堆積された誘電体を利用することができ、したがってキュービットとして有用でない従来の技法との比較において、結晶誘電体は、キュービットに対する優れた損失特性および回路性能を可能にする。
図33は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスを製造するための例示的で非限定的な方法3300の流れ図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
方法3300は、3302で、第1の結晶シリコン層(例えば第1の結晶シリコン層106)と第2の結晶シリコン層(例えば第2の結晶シリコン層110)との間に第1の超伝導層(例えば第1の超伝導層302)を含むシリコン・オン・メタル基板を形成することを含む。第1の超伝導層は第1の超伝導材料を含むことができる。第2の超伝導層の形状は、電気ループの規定された形状に基づいて選択することができる。
さらに、方法3300は、3304で、第1のバイア(例えば第1のバイア502)および第2のバイア(例えば第2のバイア504)を形成することを含む。第1のバイアは、第1の超伝導層の第1のセクションと第2の超伝導層の第1の部分との間に、第1の超伝導層の第1のセクションおよび第2の超伝導層の第1の部分と接触した状態で形成することができる。第1のバイアは、第1のジョセフソン接合(例えば第1のジョセフソン接合506)を含むことができる。さらに、第2の超伝導層は、第2の結晶シリコン層の上にあることができ、第2の超伝導材料を含むことができる。
第2のバイアは、第1の超伝導層の第2のセクションと第2の超伝導層の第2の部分との間に、第1の超伝導層の第2のセクションおよび第2の超伝導層の第2の部分と接触した状態で形成することができる。第2のバイアは、第2のジョセフソン接合(例えば第2のジョセフソン接合516)を含むことができる。第2の結晶シリコン層の規定されたエリアの周囲の電気ループは、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイア、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイア、第1の超伝導層および第2の超伝導層を含むことができる。
図34は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスの第2の超伝導層を形成するための例示的で非限定的な方法3400の流れ図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
この方法の3402で、シリコン・オン・メタル基板の第1の縁と同一平面をなす第2の超伝導層の第1の側面をエッチングすることができ、第2の超伝導層の第2の側面は、シリコン・オン・メタル基板の第2の縁と同一平面をなすことができる。例えば、第2の超伝導層の第1の側面は、図6に示されている第1のバイアの左まで外方向に延びる第2の超伝導層の第1の部分とすることができる。さらに、第2の超伝導層の第2の側面は、図6に示されている第1のバイアの右まで外方向に延びる第2の超伝導層の第2の部分とすることができる。
一例によれば、第1の縁を、図6に示されている第1のトレンチ(例えば第1のトレンチ602)と同一平面をなす第2の超伝導層の第1の側面とすることができる。第2の超伝導層の第2の縁は、図6に示されている第2のトレンチ(例えば第2のトレンチ604)と同一平面をなす第2の超伝導層の第2の側面とすることができる。
別の例では、図10に示されているように、第1の縁を、第1のバイアと同一平面をなす第2の超伝導層の第1の側面および第2のバイアと同一平面をなす第2の超伝導層の第2の縁とすることができる。この例によれば、第1のバイアと第1のトレンチの間の第2の超伝導層の第1のセクション(例えば第1のセクション608)、および第2のバイアと第2のトレンチの間の第2の超伝導層の第2のセクション(例えば第2のセクション612)を除去することができる。
図35は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスを電気的に分離するための例示的で非限定的な方法3500の流れ図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
3502で、第2の結晶シリコン層を貫く第1のトレンチ(例えば第1のトレンチ602)であり、第1のジョセフソン接合を含む第1のバイアから第1の距離のところにあり、第1のバイアに隣接した第1のトレンチを形成することができる。いくつかの実施態様によれば、第1の距離は、第1のジョセフソン接合と第1のトレンチの間のシリコン(例えば第2の結晶シリコン層110)の少なくとも一部分を含むことができる。しかしながら、他の実施態様によれば、第1のジョセフソン接合と第1のトレンチの間にシリコンが存在しない(例えば第1のジョセフソン接合の側面が露出している)。
さらに、3504で、第2の結晶シリコン層を貫く第2のトレンチ(例えば第2のトレンチ604)であり、第2のジョセフソン接合を含む第2のバイアから第2の距離のところにあり、第2のバイアに隣接した第2のトレンチを形成することができる。いくつかの実施態様によれば、第2の距離は、第2のジョセフソン接合と第2のトレンチの間のシリコン(例えば第2の結晶シリコン層110)の少なくとも一部分を含むことができる。しかしながら、他の実施態様によれば、第2のジョセフソン接合と第2のトレンチの間にシリコンが存在しない(例えば第2のジョセフソン接合の側面が露出している)。
図36は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスのためのバイアス回路を提供するための例示的で非限定的な方法3600の流れ図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
方法3600の3602で、第1の超伝導層のところにある第1の外部電気接続および第2の超伝導層のところにある第2の外部電気接続のうちの少なくとも一方を提供することができる。例えば、第1の超伝導層と第2の超伝導層の両方を通る電気バイアスを提供することができる。別の例では、第2の結晶シリコン層の上の電気ループから第1の距離のところの外部電気接続のための相互接続の近くに、結合コンデンサ(例えば結合コンデンサ1306)を置くことができる。
図37は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスのための束制御回路を提供するための例示的で非限定的な方法3700の流れ図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
方法3700の3702で、電気ループに対して平行なワイヤを提供することができる。例えば、超伝導量子干渉デバイスの電気ループを通り抜ける磁束の制御のために、第2の結晶シリコン層の上にワイヤ(例えばワイヤ2104)を提供することができる。その代わりに、またはそれに加えて、超伝導量子干渉デバイスの電気ループを通り抜ける磁束の制御のために、第1の結晶シリコン層の上にワイヤ(例えばワイヤ2304)を提供することもできる。
図38は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態による、超伝導量子干渉デバイスのための束制御回路用の多数の平行ワイヤを提供するための例示的で非限定的な方法3800の流れ図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。
方法3800の3802で、第1の超伝導層の上の平行な2本以上のワイヤ(例えば第1のワイヤ2802、第2のワイヤ2804、第3のワイヤ2806)を提供することができる。この2本以上のワイヤは平行な電気ループを形成することができる。それぞれのワイヤはそれ自体の電流を運び、磁場を生み出す。したがって、第1のワイヤは第1の電流を運ぶことができ、第1の磁場を生み出し、第2のワイヤは第2の電流を運ぶことができ、第2の磁場を生み出し、第3のワイヤは第3の電流を運ぶことができ、第3の磁場を生み出す。
本開示の例示的な1つまたは複数の実施形態においては、文脈からそうでないことが明らかである場合を除いて、開示された実施形態もしくは態様またはその両方が、開示された他の実施形態もしくは態様またはその両方を排除すること、または、デバイスもしくは構造体またはその両方がその図示された要素に対して排他的であることを推定すべきではない。一般に、本開示の範囲は、適当な場合の示された他の実施形態からの追加による示された実施形態の変更、適当な場合の示された実施形態の間のもしくは示された2つの実施形態間のインターオペラビリティ(interoperability)、ならびに、適当な場合の1つの実施形態から別の実施形態への構成要素の追加もしくは示された実施形態からの構成要素の削除、適当な場合の集約機能を達成する単一のデバイスへの要素(または実施形態)の集約、または適当な場合の単一のデバイスの機能の多数のデバイスへの分散化を包含する。さらに、本明細書に明示的には示されていないが、当技術分野で知られている、または本明細書に開示された文脈を通じて当業者にとって明白になった、本明細書に示されたデバイスもしくは要素、またはデバイス、構造体もしくはそれらのサブセットによって上記のように変更されたデバイスもしくは要素、の組込み、結合または変更も本開示の範囲に含まれるとみなされる。
説明を単純にするため、コンピュータ実施方法は、一連の動作として示され、説明される。主題である革新は、示された動作によって、もしくは動作の順序によって、またはその両方によって限定されるものではなく、例えば、動作は、さまざまな順序でもしくは同時に、またはその両方で実施することができ、本明細書に示されていない他の動作および本明細書に記載されてない他の動作とともに実施することができることを理解または認識すべきである。さらに、開示された主題に従ってコンピュータ実施方法を実施するのに、示された全ての動作が必要であるというわけではない。さらに、代替として、状態図または事象によって、コンピュータ実施方法を、相互関係にある一連の状態として表すことができることを当業者は理解または認識するであろう。さらに、以下に開示されるコンピュータ実施方法および本明細書の全体を通して開示されるコンピュータ実施方法は、そのようなコンピュータ実施方法をコンピュータに移送および転送することを容易にするために、製品に格納することができることも認識すべきである。本明細書で使用されるとき、製品という用語は、コンピュータ可読デバイスまたはストレージ媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラムを包含することが意図されている。
開示された主題のさまざまな態様に対する背景を提供するため、図39および以下の議論は、開示された主題のさまざまな態様を実施することができる適当な環境の一般的な説明を提供することが意図されている。図39は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる例示的で非限定的な動作環境のブロック図を示す。簡潔にするため、本明細書に記載された他の実施形態で使用されている同じ要素の繰返しの説明は省く。図39を参照すると、本発明のさまざまな態様を実施するための適当な動作環境3900はさらに、コンピュータ3912を含むことができる。コンピュータ3912はさらに、処理ユニット3914、システム・メモリ3916およびシステム・バス3918を含むことができる。システム・バス3918は、限定はされないが、システム・メモリ3916を含むシステム構成要素を処理ユニット3914に結合する。処理ユニット3914は、使用可能なさまざまなプロセッサのうちの任意のプロセッサとすることができる。デュアル・マイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサ・アーキテクチャを処理ユニット3914として使用することもできる。システム・バス3918は、限定はされないが、インダストリアル・スタンダード・アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネル・アーキテクチャ(MCA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェント・ドライブ・エレクトロニクス(IDE)、VESAローカル・バス(VLB)、ペリフェラル・コンポーネント・インターコネクト(PCI)、カード・バス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、アドバンスト・グラフィクス・ポート(AGP)、Firewire(IEEE 1394)、およびスモール・コンピュータ・システムズ・インタフェース(SCSI)を含む使用可能なさまざまなバス・アーキテクチャのうちの任意のバス・アーキテクチャを使用した、メモリ・バスもしくはメモリ・コントローラ、周辺バスもしくは外部バス、またはローカル・バス、あるいはこれらの組合せを含む、いくつかのタイプのバス構造のうちの任意のバス構造とすることができる。システム・メモリ3916はさらに、揮発性メモリ3920および不揮発性メモリ3922を含むことができる。不揮発性メモリ3922には基本入出力システム(BIOS)が記憶されており、BIOSは、始動中などにコンピュータ3912内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む。例として、不揮発性メモリ3922は、限定はされないが、リード・オンリー・メモリ(ROM)、プログラム可能なROM(PROM)、電気的にプログラム可能なROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリまたは不揮発性のランダム・アクセス・メモリ(RAM)(例えば強誘電体RAM(FeRAM))を含むことができる。揮発性メモリ3920はさらに、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含むことができ、このRAMは外部キャッシュ・メモリとして機能する。例として、限定はされないが、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、ダイレクトRambus RAM(DRRAM)、ダイレクトRambusダイナミックRAM(DRDRAM)およびRambusダイナミックRAMなど、多くの形態のRAMが使用可能である。
コンピュータ3912はさらに、取外し可能/非取外し可能な揮発性/不揮発性コンピュータ・ストレージ媒体を含むことができる。図39は例えばディスク・ストレージ3924を示している。ディスク・ストレージ3924はさらに、限定はされないが、磁気ディスク・ドライブ、フロッピー・ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS−100ドライブ、フラッシュ・メモリ・カードまたはメモリ・スティックのようなデバイスを含むことができる。ディスク・ストレージ3924はさらに、他のストレージ媒体とは別個の、または他のストレージ媒体と組み合わされた、限定はされないが、コンパクト・ディスクROMデバイス(CD−ROM)、CDレコーダブル・ドライブ(CD−Rドライブ)、CDリライタブル・ドライブ(CD−RWドライブ)またはディジタル・バーサタイル・ディスクROMドライブ(DVD−ROM)などの光学ディスク・ドライブを含む、ストレージ媒体を含むことができる。システム・バス3918へのディスク・ストレージ3924の接続を容易にするため、通常は、インタフェース3926などの取外し可能なまたは非取外し可能なインタフェースが使用される。図39はさらに、適当な動作環境3900の中で説明した基本コンピュータ・リソースとユーザとの間の媒介物として機能するソフトウェアを示している。このようなソフトウェアはさらに、例えばオペレーティング・システム3928を含むことができる。ディスク・ストレージ3924に記憶することができるオペレーティング・システム3928は、コンピュータ3912のリソースの制御および割当てを実行するように機能する。システム・アプリケーション3930は、例えばシステム・メモリ3916またはディスク・ストレージ3924に記憶されたプログラム・モジュール3932およびプログラム・データ3934を介したオペレーティング・システム3928によるリソースの管理を利用する。本発明は、さまざまなオペレーティング・システムまたはオペレーティング・システムの組合せを用いて実施することができることを認識すべきである。ユーザは、入力デバイス3936を介してコンピュータ3912にコマンドまたは情報を入力する。入力デバイス3936は、限定はされないが、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチ・パッド、キーボード、マイクロホン、ジョイスティック、ゲーム・パッド、サテライト・ディッシュ、スキャナ、TVチューナ・カード、ディジタル・カメラ、ディジタル・ビデオ・カメラ、ウェブ・カメラなどのポインティング・デバイスを含む。これらの入力デバイスおよびその他の入力デバイスは、インタフェース・ポート3938を介し、システム・バス3918を通して処理ユニット3914に接続する。インタフェース・ポート3938は、例えばシリアル・ポート、パラレル・ポート、ゲーム・ポートおよびユニバーサル・シリアル・バス(USB)を含む。出力デバイス3940は、入力デバイス3936と同じタイプのポートのうちのいくつかのポートを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータ3912に入力を提供すること、およびコンピュータ3912からの情報を出力デバイス3940に出力することができる。とりわけモニタ、スピーカおよびプリンタのような、専用アダプタを必要とするいくつかの出力デバイス3940があることを示すために、出力アダプタ3942が提供されている。例として、出力アダプタ3942は、限定はされないが、出力デバイス3940とシステム・バス3918の間の接続方法を提供するビデオ・カードおよびサウンド・カードを含む。リモート・コンピュータ3944など、他のデバイスもしくはデバイス・システムまたはその両方は、入力機能および出力機能を提供することに留意すべきである。
コンピュータ3912は、ネットワーク化された環境内で、リモート・コンピュータ3944などの1つまたは複数のリモート・コンピュータへの論理接続を使用して動作することができる。リモート・コンピュータ3944は、コンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサ・ベースの機器、ピア・デバイスまたは他の一般的なネットワーク・ノードなどであることができ、通常はさらに、コンピュータ3912に関して説明した要素のうちの多くの要素または全ての要素を含むことができる。簡潔にするため、リモート・コンピュータ3944にはメモリ・ストレージ・デバイス3946だけが示されている。リモート・コンピュータ3944は、ネットワーク・インタフェース3948を介してコンピュータ3912に論理的に接続されており、次いで通信接続3950を介して物理的に接続されている。ネットワーク・インタフェース3948は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、セル方式ネットワークなどの有線もしくは無線通信ネットワークまたはその両方を包含する。LAN技術は、ファイバ・ディストリビューテッド・データ・インタフェース(FDDI)、カッパ・ディストリビューテッド・データ・インタフェース(CDDI)、Ethernet、トークン・リングなどを含む。WAN技術は、限定はされないが、ポイント・ツー・ポイント・リンク、回線交換ネットワーク、例えば統合サービス・ディジタル・ネットワーク(ISDN)およびその変形物、パケット交換ネットワーク、ならびにディジタル加入者線(DSL)を含む。通信接続3950は、ネットワーク・インタフェース3948をシステム・バス3918に接続するのに使用されるハードウェア/ソフトウェアを指す。図を分かりやすくするために、通信接続3950はコンピュータ3912の内側に示されているが、通信接続3950をコンピュータ3912の外側に置くこともできる。単なる例示目的だが、ネットワーク・インタフェース3948に接続するためのハードウェア/ソフトウェアはさらに、通常の電話機グレードのモデム、ケーブル・モデムおよびDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタならびにEthernetカードなどの内部および外部技術を含むことができる。
本発明は、インテグレーションの可能な技術的詳細レベルにおいて、システム、方法、装置もしくはコンピュータ・プログラム製品、またはこれらの組合せを含むことができる。コンピュータ・プログラム製品は、本発明の諸態様をプロセッサに実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有するコンピュータ可読ストレージ媒体を含むことができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、命令実行デバイスが使用するための命令を保持および記憶することができる有形のデバイスとすることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は例えば、限定はされないが、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光学ストレージ・デバイス、電磁気ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイスまたはこれらの適当な組合せとすることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体のより具体的な例の非網羅的なリストはさらに、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル・リード・オンリー・メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リード・オンリー・メモリ(CD−ROM)、ディジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー・ディスク、機械的にコード化されたデバイス、例えばパンチカードまたはその上に命令が記録された溝の中の一段高くなった構造体、およびこれらの適当な組合せを含みうる。本明細書で使用されるコンピュータ可読ストレージ媒体は、それ自体が一過性の信号、例えば電波もしくは他の自由に伝搬する電磁波、ウェーブガイドもしくは他の伝送体内を伝搬する電磁波(例えば光ファイバ・ケーブル内を通る光パルス)、または導線を通して伝送される電気信号であると解釈されるべきではない。
本明細書に記載されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体から対応するそれぞれのコンピューティング/処理デバイスにダウンロードすることができ、またはネットワーク、例えばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークもしくは無線ネットワークまたはそれらの組合せを介して外部コンピュータもしくは外部ストレージ・デバイスにダウンロードすることができる。このネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータもしくはエッジ・サーバ、またはこれらの組合せを含むことができる。それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インタフェースは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受け取り、それらのコンピュータ可読プログラム命令を、対応するそれぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読ストレージ媒体に記憶するために転送する。本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械語命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データもしくは集積回路用の構成データとすることができ、またはSmalltalk(R)、C++または他の同種のものなどのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同種のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれた、ソース・コードもしくはオブジェクト・コードとすることもできる。このコンピュータ可読プログラム命令は、その全体をユーザのコンピュータ上で実行することができ、一部をユーザのコンピュータ上で実行することができ、独立型ソフトウェア・パッケージとして実行することができ、一部をユーザのコンピュータ上で、一部をリモート・コンピュータ上で実行することができ、または全体をリモート・コンピュータもしくはサーバ上で実行することができる。上記の最後のシナリオでは、リモート・コンピュータを、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができ、またはこの接続を、外部コンピュータに対して(例えばインターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)実施することができる。いくつかの実施形態では、本発明の諸態様を実施するために、例えばプログラム可能論理回路、フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)またはプログラム可能論理アレイ(PLA)を含む電子回路が、このコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用してその電子回路をパーソナライズすることにより、このコンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
本明細書では、本発明の諸態様が、本発明の実施形態に基づく方法、装置(システム)およびコンピュータ・プログラム製品の流れ図もしくはブロック図またはその両方の図を参照して説明される。それらの流れ図もしくはブロック図またはその両方の図のそれぞれのブロック、およびそれらの流れ図もしくはブロック図またはその両方の図のブロックの組合せは、このコンピュータ可読プログラム命令によって実施することができることが理解される。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、機械を形成する汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに、それらのコンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行されるこれらの命令が、これらの流れ図もしくはブロック図またはその両方の図のブロックに指定された機能/動作を実施する手段を生成するような態様で提供することができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令はさらに、特定の方式で機能するようにコンピュータ、プログラム可能データ処理装置もしくは他のデバイスまたはこれらの組合せに指図することができるコンピュータ可読ストレージ媒体に、その中に命令が記憶されたコンピュータ可読ストレージ媒体が、これらの流れ図もしくはブロック図またはその両方の図のブロックに指定された機能/動作の態様を実施する命令を含む製造物品を含むような態様で記憶することができる。コンピュータ可読プログラム命令はさらに、コンピュータ、他のプログラム可能装置または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させて、コンピュータによって実施されるプロセスを生み出すために、このコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置または他のデバイス上に、このコンピュータ、他のプログラム可能装置または他のデバイス上で実施されるこれらの命令が、これらの流れ図もしくはブロック図またはその両方の図のブロックに指定された機能/動作を実施するような態様でロードすることができる。
添付図中の流れ図およびブロック図は、本発明のさまざまな実施形態に基づくシステム、方法およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能および動作を示す。この点に関して、それらの流れ図またはブロック図のそれぞれのブロックは、指定された論理機能を実施する1つまたは複数の実行可能命令を含む、命令のモジュール、セグメントまたは部分を表しうる。いくつかの代替実施態様では、これらのブロックに示された機能を、図に示された順序とは異なる順序で実施することができる。例えば、連続して示された2つのブロックを、実際には、実質的に同時に実行することができ、または、含まれる機能によってはそれらのブロックを逆の順序で実行することもできる。それらのブロック図もしくは流れ図またはその両方の図のそれぞれのブロック、ならびにそれらのブロック図もしくは流れ図またはその両方の図のブロックの組合せを、指定された機能もしくは動作を実行しまたは専用ハードウェアとコンピュータ命令の組合せを実施するハードウェアベースの専用システムによって実施することができることにも留意すべきである。
以上に、1台のコンピュータ上もしくは複数のコンピュータ上またはその両方でランするコンピュータ・プログラム製品のコンピュータ実行命令の一般的な文脈で主題を説明したが、他のプログラム・モジュールと組み合わせて本発明を実施することもできることを当業者は認識するであろう。一般に、プログラム・モジュールは、特定のタスクを実行し、もしくは特定の抽象データ型を実装し、またはその両方を実行する、ルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造などを含む。さらに、本発明のコンピュータ実施方法は、シングルプロセッサまたはマルチプロセッサ・コンピュータ・システム、ミニコンピューティング・デバイス、メインフレーム・コンピュータ、コンピュータ、ハンドヘルド・コンピューティング・デバイス(例えばPDA、電話機)、マイクロプロセッサ・ベースのまたはプログラム可能な家庭用または産業用電子機器などを含む、他のコンピュータ・システム構成を用いて実施することもできることを当業者は認識するであろう。示された態様は、通信ネットワークを通してリンクされた遠隔処理デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境で実施することもできる。しかしながら、全部ではないにせよ、本発明の一部の態様を、独立型コンピュータ上で実施することもできる。分散コンピューティング環境では、ローカル・メモリ・ストレージ・デバイスとリモート・メモリ・ストレージ・デバイスの両方にプログラム・モジュールを置くことができる。
本出願で使用されるとき、用語「構成要素」、「システム」、「プラットホーム」、「インタフェース」などは、1つもしくは複数の特定の機能を有するエンティティであって、コンピュータもしくはオペレーショナル・マシン(operational machine)に関係したエンティティを指すことができ、またはそのようはエンティティを含むことができ、またはその両方であることができる。本明細書に開示されたエンティティは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアであることができる。例えば、構成要素は、限定はされないが、プロセッサ上でランしているプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能物(executable)、実行スレッド、プログラムもしくはコンピュータ、またはこれらの組合せであることができる。例として、サーバ上でランしているアプリケーションとサーバの両方が構成要素であることがある。プロセスもしくは実行スレッドまたはその両方の中に、1つまたは複数の構成要素が存在することができ、構成要素は、1台のコンピュータ上に限局されていること、もしくは2つ以上のコンピュータ間に分散化されていること、またはその両方であることができる。別の例では、さまざまなデータ構造がその上に記憶されたさまざまなコンピュータ可読媒体から、対応するそれぞれの構成要素を実行することができる。構成要素は、ローカル・プロセスもしくはリモート・プロセスまたはその両方を介して、例えば1つまたは複数のデータ・パケット(例えば、ローカル・システム内で、分散システム内で、および/または、他のシステムとのインターネットなどのネットワークを介して、信号を介して別の構成要素と相互作用する、ある構成要素からのデータ)を有する信号に従って通信することができる。別の例として、構成要素は、電気または電子回路によって操作される機械部品によって提供される特定の機能を有する装置であることができ、この電気または電子回路は、プロセッサによって実行されるソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションによって操作される。このような場合、プロセッサは、装置内または装置外に置くことができ、ソフトウェア・アプリケーションまたはファームウェア・アプリケーションの少なくとも一部を実行することができる。別の例として、構成要素は、機械部品を含まない電子構成要素を介して特定の機能を提供する装置であることができ、それらの電子構成要素は、電子構成要素の機能を少なくとも部分的に与えるソフトウェアまたはファームウェアを実行するためのプロセッサまたは他の方法を含むことができる。一態様では、構成要素が、例えばクラウド・コンピューティング・システム内で、仮想機械を介して電子構成要素をエミュレートすることができる。
さらに、用語「または」は、排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意味することが意図されている。すなわち、特段の記載がある場合、または文脈から明白である場合を除き、「XがAまたはBを使用する」は、自然な包括的置換(natural inclusive permutation)のうちのいずれかを意味することが意図されている。すなわち、XがAを使用する場合、XがBを使用する場合、またはXがAとBの両方を使用する場合、「Xが、AまたはBを使用する」は、上記のいずれの事例の下でも満たされる。さらに、特段の記載がある場合、または単数形を指示していることが文脈から明白である場合を除き、本明細書および添付図面で使用される冠詞「a」および「an」は、一般に、「1つまたは複数」を意味すると解釈すべきである。本明細書で使用されるとき、用語「例」もしくは「例示的な」またはその両方は、例、事例または例示として役に立つものであることを意味するために利用される。誤解を避けるために言うと、本明細書に開示された主題はこのような例によって限定されない。さらに、「例」もしくは「例示的な」またはその両方として本明細書に記載された任意の態様または設計を、他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈する必要は必ずしもなく、あるいは、そのような態様または設計が、当業者に知られている等価の例示的な構造体および技法を排除することも意味しない。
本明細書で使用されるとき、「プロセッサ」という用語は、限定はされないが、シングルコア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行機能を有するシングルコア・プロセッサ、マルチコア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行機能を有するマルチコア・プロセッサ、ハードウェア・マルチスレッド技術を有するマルチコア・プロセッサ、パラレル・プラットホーム、および分散共用メモリを有するパラレル・プラットホームを含む、実質的に任意のコンピューティング処理ユニットまたはデバイスを指しうる。さらに、プロセッサは、本明細書に記載された機能を実行するように設計された集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、ディジタル信号処理プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)、ディスクリート・ゲートまたはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア構成要素、またはこれらの任意の組合せを指しうる。さらに、プロセッサは、空間使用を最適化し、またはユーザ機器の性能を強化するために、限定はされないが、分子ベースおよび量子ドット・ベースのトランジスタ、スイッチおよびゲートなどのナノスケール・アーキテクチャを利用することができる。プロセッサを、コンピューティング処理ユニットの組合せとして実施することもできる。本明細書では、「ストア」、「ストレージ」、「データ・ストア」、「データ・ストレージ」、「データベース」、などの用語、ならびに構成要素の動作および機能に関連する実質的に任意の他の情報ストレージ構成要素が、「メモリ」またはメモリを含む構成要素として具体化された「メモリ構成要素」(エンティティ)を指すために利用される。本明細書に記載されたメモリもしくはメモリ構成要素またはその両方は、揮発性メモリもしくは不揮発性メモリであることができ、または揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を含むことができることを認識すべきである。例として、不揮発性メモリは、限定はされないが、リード・オンリー・メモリ(ROM)、プログラム可能なROM(PROM)、電気的にプログラム可能なROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリまたは不揮発性のランダム・アクセス・メモリ(RAM)(例えば強誘電体RAM(FeRAM))を含むことができる。揮発性メモリはRAMを含むことができ、RAMは、例えば外部キャッシュ・メモリとして機能することができる。例として、限定はされないが、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、ダイレクトRambus RAM(DRRAM)、ダイレクトRambusダイナミックRAM(DRDRAM)およびRambusダイナミックRAM(RDRAM)など、多くの形態のRAMが使用可能である。さらに、本明細書のシステムまたはコンピュータ実施方法の開示されたメモリ構成要素は、限定はされないが、これらのタイプのメモリおよび他の適当なタイプのメモリを含むことが意図されている。
以上に説明したことは、システムおよびコンピュータ実施方法の単なる例を含む。当然ながら、本発明を説明するために、構成要素またはコンピュータ実施方法の考えうるあらゆる組合せを記載することは不可能だが、本発明の他の多くの組合せおよび置換が可能であることを当業者は理解することができる。さらに、詳細な説明、特許請求の範囲、付録および図面において用語「含む」、「有する」、「所有する」などが使用される範囲で、このような用語は、用語「備える」が、請求項中で転換語(transitional word)として使用されているときに解釈されるのと同様に、包括的であることが意図されている。さまざまな実施形態の以上の説明は例示のために示したものであり、以上の説明が網羅的であること、または、以上の説明が、開示された実施形態だけに限定されることは意図されていない。当業者には、記載された実施形態の範囲を逸脱しない多くの変更および変形が明らかとなろう。本明細書で使用した用語は、実施形態の原理、実用的用途、もしくは市販されている技術にはない技術的改良点を最もよく説明するように、または本明細書に開示された実施形態を当業者が理解できるように選択した。