JP2021526302A - 可動誘導ユニットによる浮揚熔解法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、鋳物を製造するための浮揚熔解プロセス及び可動誘導ユニットを備えた装置に関する。このプロセスでは、誘導コイルを有する対向したフェライト極が可動であり、反対方向に移動する誘導ユニットが使用される。このようにして、バッチを熔解するための誘導ユニットは誘導磁場の効率を高めるために、互いに近接して配置され得る。熔解バッチを流し込む際、誘導コイルと共にフェライト極間の距離を増加させることによって誘導磁場が減少し、従って、熔解物がフェライト極又は誘導コイルに接触するのを防止する。【選択図】図1

Description

本発明は、可動誘導ユニットを有する、鋳造体を製造するための浮揚熔解方法及び装置に関する。この方法では、誘導コイルを有する二つの対向するフェライト極が移動可能に配置され反対方向に移動する誘導ユニットが採用される。このようにして、バッチを熔解するための誘導ユニットが誘導磁場の効率を高めるために、互いに近接して配置することができる。熔解バッチを流し込む際、誘導磁場は、フェライト極と誘導コイルとの間の距離を増加させることによって減少され、それにより熔解物がフェライト極又は誘導コイルに接触することが防止される。
浮揚熔解プロセスは、従来技術から知られている。したがって、DE 422 004 Aは、既に、熔解される導電性材料が誘導電流によって加熱され、同時に電気力学的作用によって浮揚が維持される熔解方法を明らかにしている。そこでは、熔解した材料が型に押し込まれ、磁石で搬送される鋳造法(電気力学的な圧力鋳造法)についても述べられている。当該方法は真空中で実施され得る。
US 2,686,864 Aは、また、例えば真空中で、一つ又はそれ以上のコイルの影響下で、坩堝を使用することなく、導電性熔解物を浮揚状態にする方法を記載している。一実施形態では、浮揚状態で材料を安定させるために2つの同軸コイルが使用される。熔解後、材料は型に落下させられるか又は型に入れられる。そこに記載されている方法では、60gのアルミニウム分を浮揚状態に保持することができる。熔解金属は、熔解物が円錐状にテーパーされたコイルを通って下方に逃げるように、場強度を減少させることによって移動される。場強度が非常に急速に低下すると、金属は熔解状態で装置から落下する。そのようなコイル配置の「弱いスポット」はコイルの中心であって、熔解される材料の量が限られていることは、既に知られている。
US 4,578,552 Aは、また、浮揚熔解のための装置及び方法を開示している。熔解物の加熱と保持の両方のために同じコイルが使用され、ここで、印加される交番電流の周波数を変化させて、電流を一定に保ちながら加熱電力を制御する。
浮揚熔解の特別な利点は、他の方法の間に、坩堝材料による熔解物の汚染又は熔解物と接触する他の材料による熔解物の汚染を回避することである。反応性熔解物、例えばチタン合金と坩堝材料との反応も防止され、さもなければ、セラミック坩堝から低温坩堝方法で操作される銅坩堝への切り替えを強制する。浮揚する熔解物は、例えば真空又は不活性ガスであり得る周囲の雰囲気とのみ接触する。坩堝材料との化学反応をおそれる必要がないので、熔解物を非常に高い温度に加熱することもできる。低温坩堝熔解とは対照的に、その効率性が非常に低いという問題もない。なぜなら、熔解物に導入されるエネルギーのほとんどすべてが冷却された坩堝壁に分流されるからである。これは、高いパワー入力を伴う温度の非常に遅い上昇につながる。浮揚熔解では、唯一の損失は放射と蒸発によるもので、低温坩堝内の熱伝導に比べてかなり低い。したがって、より低いパワー入力では、熔解のより大きな過熱が更に短い時間で達成される。
さらに、浮揚熔解中の汚染物質のスクラップは、特に低温坩堝内の熔解物と比較して、低減される。それにもかかわらず、浮揚熔解は実用的には確立されていない。この理由は、浮揚熔解法では比較的少量の熔解材料しか浮揚状態に保持できないからである(DE 696 17 103 T2、第2ページ、第1パラグラフ参照)。
さらに、浮揚熔解法を行うためには、コイル磁場のローレンツ力がバッチを浮揚状態に保つためにバッチの重量力を補償しなければならない。それはバッチをコイル磁場から上方に押し出す。発生磁場の効率を高めるために、対向するフェライト極間の距離の低減を目指している。距離減少は、所定の熔解重量を保持するために必要とされるより低い電圧で同じ磁場を生成することを可能にする。このようにして、より大きなバッチを浮揚させるために、プラントの保持効率を改善することができる。さらに、誘導コイルの損失が減少することにつれて、加熱効率も増加する。
フェライト極間の距離が短いほど、誘導磁場は大きくなる。しかしながら、鋳造のための場強度を低減しなければならないので、フェライト極と誘導コイルの熔解物による汚染の危険性は距離の減少と共に増加する。これにより、上下方向の保持力のみならず水平方向の保持力も低減する。このことは、コイル場より僅かに上に浮揚熔解物の水平方向の膨張をもたらし、フェライト極間の短いギャップを通して、それに触れることなく下方に配置された鋳型内に浮揚熔解物を落下させることを極めて困難にする。従って、フェライト極の距離を短くしてコイル場の搬送能力を大きくすることは、接触確率で決まる実用上の限界である。
従来技術から知られている方法の欠点は、以下のように要約することができる。完全浮揚熔解法は、少量の材料でしか実施することができず、そのため、工業的応用はまだ行われていない。さらに、鋳型における鋳造は困難である。このことは、渦電流の発生におけるコイル場の効率がフェライト極間の距離を減少させることによって増加されることになれば、特に当てはまる。
したがって、本発明の目的は、浮揚熔解の経済的な使用を可能にする方法及び装置を提供することである。特に、その方法はコイル場の効率を改善することによってより大きなバッチの使用を可能にすべきであり、また、短縮されたサイクル時間によって高いスループットを可能にすべきである。一方、鋳造プロセスは、熔解物がコイル又はその極に接触することなく安全に行われることを保証すべきである。
その目的は、本発明による方法及び本発明による装置によって解決される。本発明によれば、浮揚熔解法によって導電性材料から鋳造体を製造する方法であって、バッチの浮揚状態を引き起こすために交番電磁場が用いられ、前記交番電磁場は、強磁性材料のコアを有する少なくとも一対の対向する誘導コイルによって生成され、前記誘導コイルは、それらのコアを有する前記誘導コイルが各対において相対的に移動可能に配置され、短い距離の熔解位置と長い距離の鋳造位置との間を移動する、前記方法であって、以下の工程を含む:
誘導コイルの前記対を短い距離で熔解位置に移動させ、
少なくとも1つの交番電磁場の影響を受ける領域内に出発材料のバッチを導入してバッチが浮揚状態に保たれるようにし、
バッチを熔解し、
鋳型を浮揚バッチの下の充填領域に位置決めし、
少なくとも一対の誘導コイルを短い距離の熔解位置から長い距離の鋳造位置まで移動させることにより、バッチ全体を鋳型に流し込み、
鋳型から固化した鋳造体を取り出す。
熔解したバッチの体積は、鋳造体の製造に十分なレベル(「充填体積」)まで鋳型を充填するのに十分であることが好ましい。鋳型への充填後、材料が型内で固化するように、鋳型を冷却するかまたは冷却剤で冷却する。次に、鋳造体を鋳型から取り出すことができる。
「導電性材料」は、誘導加熱され浮揚状態で保持されるのに適した導電性を有する材料であると理解される。
本発明による「浮揚状態」は、処理されたバッチが坩堝又はプラットフォームなどと全く接触しないような完全な浮揚状態として定義される。
「フェライト極」という用語は、本願では、「強磁性体のコア」という用語と同義に使用される。同様に、「コイル」という用語と「誘導コイル」という用語を並べて同義に採用している。
誘導コイル対を互いに近づけることによって、生成される交番電磁場の効率を増加させることができる。これは、より重いバッチを浮揚させることをも可能にする。しかし、バッチを流し込む際、熔解バッチがコイル又はフェライト極に接触する危険性が、コイル間の自由断面の減少と共に増加する。しかしながら、そのような不純物は除去するのが困難で時間がかかり、したがってプラントの長期の休止時間をもたらすので、厳密に回避しなければならない。鋳造中に不純物のリスクを受け入れる必要がなく、誘導コイル対の対のより短い距離の利点を可能な限り利用することができるようにするために、コアを有する誘導コイルは、本発明によれば、それぞれ少なくとも一対で移動可能に取り付けられている。好ましくは、一対のコイルが誘導コイル配置の中心の周りで中心対称に逆回転するように移動する。
バッチを熔解するために、コイルは一緒に熔解位置に押し出される。バッチが熔解し鋳型内に流し込まれるようになると、コイルは、従来技術において慣例的に単にスイッチオフされたり電流が減少されたりするわけではなく、本発明によれば鋳造位置に外側に移動される。これにより、コイル間の距離が長くなり、一方では、鋳型に向かう途中の熔解物の自由径が大きくなり、他方では、制御された方法で連続的に誘導された磁場の搬送能力が低減する。このようにして、熔解物はコイル面を通過するときに誘導コイル及びそのコアから安全に離れて保持され、落下にゆっくりと入るだけである。なぜなら、磁場は、すでに中心部で弱められているが、接触を防止するためにコイルではなお十分な強度であるからである。これは、コイルの汚染を防止するとともに、噴霧することなく鋳型内への清浄な流し込みを確実にする。
本発明の好ましい設計変形例では、バッチの鋳造中に、熔解位置から鋳造位置への誘導コイルの対における誘導コイルの移動と同時に、これらの誘導コイルにおける電流強度が低減される。これにより、誘導コイル間の距離が大きくなった分だけ誘導磁場が小さくなるということがなくなり、誘導コイルの必要な変位経路の縮小を実現することができる。しかしながら、熔解物をコイルから遠ざけるために、場強度が常に十分に高くなるように、電流強度の低下がコイルの変位と協調することを確実にしなければならない。
一実施形態では、誘導コイルの対における誘導コイルの距離が、熔解位置から鋳造位置まで、5〜100mm、好ましくは10〜50mm増加する。変位経路を決定する際には、システムが設計されるバッチ重み、コイル間の最小距離及びそれらによって生成され得る場強度が考慮されなければならない。
本発明に従ってバッチとして使用される導電性材料は、好ましい実施形態において、以下の群、すなわち、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、タングステン、ハフニウム、ニオブ、レニウム、モリブデンの群からの少なくとも1つの高融点金属を有する。あるいは、ニッケル、鉄又はアルミニウムなどのより低融点の金属を使用することもできる。また、上記金属の一又はそれ以上との混合物又は合金を導電性材料として用いることもできる。好ましくは、金属が導電性材料の少なくとも50重量%、特に少なくとも60重量%又は少なくとも70重量%の割合を有する。これらの金属は、本発明の利点から特に有益であることが示されている。特に好ましい実施形態では、導電性材料がチタン又はチタン合金、特にTiAl又はTiAlVである。
これらの金属又は合金は特に有利な方法で加工することができ、それらは、特に鋳型の材料に関して、温度に対する粘度の顕著な依存性を有し、また特に反応性であるからである。本発明による方法は、浮揚における非接触熔解を鋳型の極めて速い充填と組み合わせるので、このような金属に対して特別の利点を実現することができる。本発明による方法は、熔解物と鋳型の材料との反応から、特に薄い酸化物層であったり、又は全く酸化物層のない鋳造体を製造するために使用することができる。そして、特に高融点金属の場合、誘導渦電流の利用の改善と熱接触による熱損失の大幅な低減がサイクルタイムに関して顕著である。更に、より重いバッチも浮揚状態に保つことができるように、発生した磁場の運搬能力を増加させることができる。
本発明の有利な実施形態では、導電性材料が熔解中に、材料の融点よりも少なくとも10℃、少なくとも20℃又は少なくとも30℃高い温度まで過熱される。過熱は、熔解温度より低い温度の鋳型に接触すると材料が瞬時に固化するのを防ぐ。材料の粘度が高くなりすぎる前に、バッチが鋳型内に分散することができることが達成される。浮揚熔解の利点は、熔解物と接触する坩堝を使用する必要がないことである。このことは、坩堝壁上での低温坩堝プロセスの高い材料損失並びに坩堝構成要素による熔解物の汚染を回避する。さらなる利点は、真空中又は保護ガス下での操作が可能であり、反応性材料との接触がないので、熔解物を比較的高い温度に加熱することができることである。それにもかかわらず、鋳型との激しい反応が懸念されるので、ほとんどの材料を任意に過熱することはできない。したがって、過熱は好ましくは最大300℃、特に最大200℃、特に好ましくは導電性材料の融点を超える最大100℃に制限される。
この方法では、磁場を集中させ、バッチを安定化させるために、バッチが熔解される領域の周囲に、少なくとも一つの強磁性要素が水平に配置される。強磁性要素は、熔解領域の周囲に環状に配置されることができ、ここで、「環状」は、円形要素だけでなく、角形、特に正方形又は多角形の環状要素を意味する。本発明による誘導コイルの移動を可能にするために、環状要素はコイルの数に応じてサブセグメントに分割され、このサブセグメントの間で、極を有する各誘導コイルが、フォームフィッティング方式で移動する。また、強磁性要素は、熔解領域の方向に特に水平方向に突出する複数の棒状部を有していてもよい。強磁性要素は、好ましくはμa>10、より好ましくはμa>50、特に好ましくはμa>100の透磁率を有する強磁性材料からなる。振幅透磁率は、特に25℃から100℃までの温度範囲、及び、0〜500mTの磁束密度における透磁率を指す。振幅透磁率は、特に、軟磁性フェライト(例えば3C92)の振幅透磁率の少なくとも100分の1、特に少なくとも100分の10又は100分の25である。適切な材料は、当業者に知られている。
本発明によれば、交流電磁場によってバッチの浮揚状態を引き起こすための強磁性材料のコアを有する少なくとも一対の対向する誘導コイルを備え、コアを備えた誘導コイルが各対において移動可能に配置され、短い距離の熔解位置と長い距離の鋳造位置との間を移動する、導電性材料を浮揚熔解するための装置も存在する。
強磁性材料、コイル及び導電材料のバッチを有する熔解領域の下の鋳型の横断面図である。 2つのコイル対及び強磁性要素を有する配置の平面図である。
図面は、好ましい実施形態を示す。これらは、単に例示目的のためのものである。
図1は、コイル3によって生成される交番電磁場(熔解領域)の影響領域にある導電性材料のバッチ1を示す。バッチ1の下には空の鋳型2があり、ホルダー5によって充填領域に保持されている。鋳型2は、ロート状の充填部6を有している。ホルダー5は、描かれた矢印で示された鋳造位置に供給位置から鋳型2を持ち上げるのに適している。強磁性材料4がコイル3のコアに配置されている。一対のコイル3の軸は水平に整列され、ここで、各2つの対向するコイル3が一対を形成している。同図は、短距離におけるコイル配置の熔解位置を示している。
バッチ1は、本発明による方法において浮揚しながら熔解され、熔解が起こった後に鋳型2に流し込まれる。流し込みの際、コイル3は、描かれた矢印で示されているように、磁場のローレンツ力がバッチ1の重量力をもはや補償できなくなるまで互いに離れている。
図2は、二対のコイルと強磁性環状要素7とを有する配置の平面図を示す。環状要素7は八角形環状要素として設計されている。軸A、B上に横たわる強磁性材料4を有する2つのコイル3の各々は、一対のコイルを形成する。コイル軸A、Bは、互いに直角に配置されている。同図は、コイル3間の距離が短いコイル配置の熔解位置を示している。環状要素7にしっかりと着座した強磁性材料4は、次いで、二重矢印で示すように、それらのコイル3と一緒に外側へ移動し、浮揚熔解物を流し込む。
1 バッチ
2 鋳型
3 誘導コイル
4 強磁性材料
5 ホルダー
6 充填部
7 環状要素

Claims (5)

  1. 浮揚熔解法によって導電性材料から鋳造体を製造するための方法であって、バッチ(1)の浮揚状態を生じさせるために交番電磁場が用いられ、前記交番電磁場が強磁性材料(4)のコアを有する少なくとも一対の対向する誘導コイル(3)によって生成され、前記コアを有する前記誘導コイル(3)が各対において相対的に移動可能に配置され、短い距離の熔解位置と長い距離の鋳造位置との間を移動する、前記方法であって、以下の工程を含む:
    誘導コイルの前記対を短い距離で熔解位置に移動させ、
    少なくとも1つの交番電磁場の影響を受ける領域内に出発材料のバッチ(1)を導入して前記バッチ(1)が浮揚状態に保たれるようにし、
    前記バッチ(1)を熔解し、
    浮揚している前記バッチ(1)の下の充填領域に鋳型(2)を位置決めし、
    少なくとも一対の前記誘導コイルを短い距離の前記熔解位置から長い距離の前記鋳造位置まで移動させることにより、前記バッチ(1)全体を前記鋳型(2)に流し込み、
    前記鋳型(2)から固化した鋳造体を取り出す。
  2. 前記バッチ(1)の流し込みの際に、前記熔解位置から前記鋳造位置までの誘導コイルの前記対における前記誘導コイル(3)の移動と同時に、これらの誘導コイル(3)における電流強度が低減されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 誘導コイルの前記対における前記誘導コイル(3)の距離が、前記熔解位置から前記鋳造位置まで5〜100mm、好ましくは10〜50mm増加されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 交番電磁場によってバッチ(1)の浮揚状態を生じさせるための強磁性材料(4)のコアを有する少なくとも一対の対向する誘導コイル(3)を含み、前記コアを有する前記誘導コイル(3)は、各対において移動可能に配置され、短い距離の熔解位置と長い距離の鋳造位置との間で移動する、導電性材料を浮揚熔解するための装置。
  5. 誘導コイルの前記対における前記誘導コイル(3)の距離が、前記熔解位置から前記鋳造位置まで5〜100mm、好ましくは10〜50mm増加されることを特徴とする、請求項4に記載の装置。

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