詳細な説明
実施形態は、概して、主として外照射治療(「EBRT」)に基づいたまたはこれに関連する用途のための、超高速透過(ultra-fast transmissive)(「UFT」)二次元(「2D」)高分解能電離粒子および光子ビームモニタを対象としており、ビームの位置および移動、後縁を含む強度プロファイル、ビームフルエンス/外部線量測定(external dosimetry)、角度の相違ならびに患者治療品質保証を、「リアルタイム」でモニタリングすることを含む。
本開示の実施形態において、「超高速」という用語は、電離放射線ビームのストリーミング画像の「リアルタイム」のオンラインモニタリングおよびデータ分析を、毎秒約100フレーム(「fps」(frames per second))以上のデータ分析レートに相当する、1画像あたり約10ms以内で行うことを意味する。いくつかの実施形態において、ストリーミング画像は1,000〜10,000fps(すなわち1ms〜0.1ms)というレートで入力されている可能性があり、データ分析は同時に行われる。さらに、「透過性」および「高透過性」という用語は、所定の材料またはシステムを通過する際に粒子または光子が失うエネルギーが相対的に少量であることを説明するために使用される形容詞であり、これは、入射ウィンドウと出射ウィンドウとシンチレータと入射ウィンドウおよび出射ウィンドウ間の空気のカラムとを含む統合ビームモニタシステムと比較されるシンチレータ材料自体と比較される入射または出射ウィンドウによって異なるであろう。どの所定のシステムでも、エネルギー損失の相対量は、何桁にもわたって変化し得る入射粒子または光子エネルギーが異なれば、また、中性子、陽子、炭素イオンなど、粒子の種類が異なれば、大きく変わるであろう。入射エネルギー210MeVの陽子ビームを用いる陽子線治療のようなEBRT用途の場合、「高透過性」という用語は、UFTビームモニタシステムを通過する際に失われる入射エネルギーが約0.1%以下であることを意味する(すなわち損失が0.2MeV以下)。しかしながら、全く同一のシステムにおいて80MeVの場合、「高透過性」は、損失が0.5%以下(すなわち損失が0.4MeV以下)であることを意味する。この例において、同一エネルギーの場合、「透過性」という用語は、210MeVで、UFTビームモニタシステムを通過する際に入射エネルギーの約0.2%以下(すなわち0.4MeV以下)が失われ、同一システムにおいて80MeVの場合、「透過性」という用語は、失われるのが1%以下(すなわち0.8MeV以下)であることを意味するであろう。
実施形態に係るビームモニタは、薄型および超薄型のシンチレータ材料(たとえばシンチレータシートまたはフィルム材料)を取り入れ、内部で頻繁に自己較正することにより、システムの不均一性を含むさまざまな要素を補償することができ、このシステムの不均一性は、カメラセンサ/画素レスポンス、光学系の歪み、放射線によるダメージを原因とするシンチレータ材料の低速劣化、モニタ筐体内での温度上昇を原因とする信号ドリフトなどを含む。実施形態において、「超薄型」という用語は、厚さ0.05mm以下のウィンドウ材料およびシンチレータ材料双方(すなわち入射ウィンドウおよび/または出射ウィンドウ)を意味し、「薄型」という用語は、厚さ0.5mm以下のシンチレータ材料を意味し、したがって超薄型シンチレータも含む。
実施形態に係る統合検出器/モニタは、用途仕様条件に応じて約0.03mm〜0.2mmの範囲の固有2D位置分解能を有し、入射する電離粒子または光子ビームに対する透過性が高く、そのため、ビーム散乱が最小になり、低エネルギーから超低エネルギーまでのエネルギーストラグリング(energy straggling)となり、二次放射の発生が最小になる。実施形態は、EBRTに加えて、科学実験、材料加工(たとえば高エネルギーイオン注入、食品および医療用滅菌、切削および溶接など)、材料分析、非破壊分析、放射性同位体生成などのための、リサーチ加速器が生成した、低光度のエキゾチック粒子ビームおよび/または高光度の粒子ビームのモニタリングに使用することができる。実施形態に係るビームモニタは、通常、適切な動作のために制御された大気または真空環境を必要としないが、いくつかの実施形態は、真空または制御された気体環境における動作用に設計されている。
EBRT用途のための実施形態は、通常、周囲空気雰囲気内において加速器出口ノズルの下流にビームモニタを配置する。しかしながら、その他の実施形態は、ビームラインパイプの真空環境内で動作することにより、ビームの形状、強度、位置およびビーム焦点を、ビーム出口/ノズルまたはターゲット領域に達する前に、最適化および/またはモニタリングするように構成されている。ノズルの下流のEBRT用途のための実施形態は、固有の折り畳まれた光学構成を取り入れることにより、薄型プロファイルを実現して、ビームノズル出口と患者との間の限られた狭い空間への侵入を最小にする。
ビームモニタの実施形態には超高速レスポンス機能があるので、サブミリ秒およびさらにはマイクロ秒のビーム分析と送達システムへのフィードバックを行うことができ、それにより、必要であれば修正動作を行うことができる。EBRTの場合、この機能は、場合によっては治療効果を改善することができるとともに、患者を、とりわけ最近の「FLASH」治療用途において保護することができる。核および高エネルギー物理学において、この機能は、50〜100μsまたはそれよりも大きい範囲の粒子飛行時間(time-of-flight)(TOF)情報を提供することができる。
電子光検出装置と結合された、プラスチックシンチレータを含むシンチレータを用いることにより、シンチレータから放出された光子を定量的に測定することができる。また、デジタルカメラを用いて、電子ビームのビーム形状および位置のモニタリングからシンチレータを照射するX線の使用にわたる範囲の用途において、照射されたシンチレータから放出された光を記録することにより、機械的溶接の品質を評価して、陽子ビーム治療に使用されるビーム送達システムを最適化することも、知られている。
周知の用途と異なり、実施形態は、極めて高い空間分解能等の重要な性能および省スペースという利点を提供する一方でEBRT出口ノズルと患者の体との間に存在する限られた空間への侵入を最小にする、高度なビームモニタリングシステムのための、2、3、4、6、8、10、12のカメラ等のマルチカメラの折り畳み式光学構成を実現する。実施形態はまた、リアルタイムのデータ処理および分析のためのフレームグラバ(frame grabber)を含むコンピュータシステムに生で画像をストリーミングできる撮像センサを備えた比較的小型のマシンビジョンカメラの構成を含み、実施形態はまた、マシンビジョンカメラの使用を含む。マシンビジョンカメラは、用途固有のパラメータの最適化、たとえば、露光時間、グレースケールレベル(すなわちビット深度)の選択、取得制御およびフレームレート、利得制御、ブラックレベル制御、画素強度のガンマ補正、画素ビニング(pixel binning)、画素シャープニング(pixel sharpening)、対象エリアまたは領域におけるウィンドウ生成により、より高速のビーム分析のためにより高いフレームレートを実現する。実施形態はさらに、交換が容易なホイル−ウィンドウ/シンチレータモジュールパッケージの一部として統合できるシングルシンチレータ構成およびダブルシンチレータ構成の双方の使用を含み、また、新規のポリマー薄膜シンチレータ材料を使用する自動シンチレータフィルム推進/交換のためのロールシンチレータフィルム電動スプールアセンブリの使用を含む。新規のポリマー薄膜シンチレータ材料は、たとえば、二軸延伸ポリエチレンナフタレート(「BoPEN」)、二軸延伸ポリエチレンテレフタラート(「BoPET」)、ポリエチレンスルホン(「PES」)などを含む。これらは、蛍光ドーパントの添加がない真性シンチレータである。実施形態は、放射線ダメージを受けたシンチレータフィルムまたはシートと、新たなシンチレータフィルムまたはシートとの交換を、シンチレータ交換プロセスに関連する大幅なサービスダウンタイムおよび再較正時間を伴うことなく迅速に行うための新規設計を含み、実施形態はまた、真空環境で動作するリアルタイムビームモニタリングシステムの構成、自然循環または制御されたフロースルー周囲空気または特殊気体環境たとえばエンリッチ酸素気体雰囲気のいずれかで動作することにより場合によっては酸素アシスト放射線ダメージ回復を高めることによって放射線ダメージを最小にする構成、カメラセンサ素子の性能の向上および放射線ダメージの低減のための能動冷却カメラセンサを取り入れた構成、内部UVセンサたとえばUV−LEDおよび内部UV検出器たとえばUV光ダイオードと、適切なフィルタたとえばバンドパスフィルタとの追加を取り入れることにより、システム不均一性の内部自己較正と、進行性シンチレータ放射線ダメージのほぼ連続的な自己修正、光学系歪み、射影歪み(たとえばキーストーニング(keystoning))、収差、および、カメラ画像センサ画素の欠陥および不均一性を含む不均一性の、リアルタイムのソフトウェア補正を実現する構成を含む。実施形態は、2つのカメラ、もしくは2つの光電子増倍管(「PMT」)、もしくは1つのカメラおよび1つのPMTの使用を可能にする、または、シリコン光電子増倍管(「SiPM」)、アバランシェフォトダイオード(「APD」)、単一光子アバランシェダイオード(「SPAD」)などを含む、ソリッドステート光電子増倍管(「SSPM」)等のPMT交換を可能にする、ビームライン真空動作のための3方向T字またはY字型、4方向クロス、5方向クロスおよび6方向クロス真空チャンバ構成を利用する構成を含む。実施形態は、二次電離粒子および光子の生成を最小にした、極めて低いビームエネルギストラグリングを有する最薄シンチレータフィルムを用いる高ダイナミックレンジ(「HDR」)計算撮像を含む。
実施形態の一部は、幅が約70cm以上で厚さが約1μm〜250μmの連続ロール(たとえば長さが1000ftよりも長い)の形で利用できるシンチレータフィルム材料を、その他の構成要素とともに用いて、薄膜および/または超薄膜シンチレータとして、耐放射線ダメージ、光子放出に関して予期せぬ効果を達成することにより、利点を獲得する。実施形態は、放射線ダメージに対する耐性が高い新たな薄型および超薄型シンチレータ材料を利用する一方で、シンチレータの不均一性ならびに時間のかかるシンチレータ材料交換およびシステム較正に関連するほとんどの問題を最小にし場合によっては排除することができる、設計を含む。
実施形態は、シンチレータおよびカメラのサイズならびにカメラの角度に応じて、製品プロファイル/厚さを約6〜14cm以内に最小化する革新的な折り畳み型光学設計を含む。実施形態は、UV−LED、UV−フォトダイオード、ならびにUVおよびVISバンドパスフィルタを使用し、システム較正の推定時間が約1分以下である、革新的な自動内部高速較正システムを含む。実施形態は、典型的には約100fps〜40,000fpsのフレームレートで画像をストリーミングするマシンビジョンカメラを含む。
以下で説明する実施形態は、効率的な光子収集システムと、少なくともおよそ200個の光電子を生成することができ、かつ、フライト時間(「TOF」)実験には極めて重要な約100psほどのタイミング分解能であって場合によっては50psよりも良いタイミング分解能を達成することができる、適切なシンチレータおよび放射線源(たとえば、Ne+10のような原子番号がおよそ10以上の高電離粒子)と結合された、高速で高利得の光電子増倍管(たとえば、1x107に近い)を有するインラインビームモニタ設計(たとえば図11〜図13)を含む。
実施形態は、たとえば、1つのPMT(またはSSPM)と1つのカメラではなく、6方向クロスの対向アームにおける2つのPMTまたはSSPMの使用を通じて光子収集を増すことにより、または、シンチレータの背面に反射コーティングを設けてシンチレータの前面からの光子収集を改善することにより、または、シンチレータの前収集面を粗くして全内部反射を防止することにより、TOF測定のタイミング分解能をさらに向上させる。
実施形態は、光画像射影/キーストーン歪み、レンズ歪み、ビネッティング(vignetting)、シンチレータ不均一性、カメラセンサ画素不均一性、欠陥画素および放射線ダメージ画素などを補正しつつ移動ビームのストリーミング画像をリアルタイムでコンパイル、統合、および分析することが可能なソフトウェアとFPGAフレームグラバとを備えたマルチカメラ構成(たとえば、2、3、4、6、8、10、12個等のカメラ)を含む。
実施形態は、必要に応じて新たなシンチレータフィルムを入射ビームアクティブエリア内に前進させるための手動またはモータ制御のプッシュプルリニアポジショナおよび/またはロータリードライブを含む。実施形態は、ビームライン真空を破壊することなくシンチレータフィルムを変更するロードロック真空チャンバ設計を含む。実施形態は、薄いフレームに接合された超薄型の遮光ビーム入射および出射ホイルおよび/またはポリマーウィンドウを含み、これは、シンチレータフィルムまたはシート材料に接合することによって単純なウィンドウ/シンチレータ交換可能モジュールパッケージを作ることもでき、このモジュールパッケージは、ビームモニタ前面および/または背面カバープレートのポケットに落下させ、システム筐体を開かずに1分以内で較正することができる。
実施形態は、2つの異なるインラインシンチレータに基づく設計を有し、そのうちの一方は、本質的に、すべての粒子と、中性子を除く高エネルギー光子/ガンマに敏感であり、他方は、中性子に敏感なものにするためにB10、Li6またはGd等の高中性子断面同位体でドープされる。第1のシンチレータの画像/信号を第2のシンチレータの画像/信号からデジタル的に減算することにより、結果として得られる第2のシンチレータの画像/信号は、主に中性子ビームの画像/信号となり、高ガンマ弁別中性子検出システムにおいて望まれる低コストで高性能を達成することができる。
ほとんどの周知のEBRT粒子加速器は、ペンシルビームスポットスキャンのために設計されているが、少数のシステムは、ペンシルビームラスタースキャンのために設計されている。以下で開示されるビームモニタの実施形態は、両方のタイプのペンシルビームスキャンシステムと互換性があり、ほとんどは出口ノズルの下流で動作するように構成されるが、いくつかの実施形態は、ビームライン送達システムの真空環境において、患者治療室内で、または、治療室およびスイッチハウスの前の加速器の近くにおいて、ノズルの上流で動作するように設計されている。ビームライン真空で動作するこのようなシステムの目的は、通常、EBRTのために、または核および高エネルギー物理学のために、送達システムにおける2Dビームプロファイルの測定および最適化を含むビーム調整を容易にするための診断である。すべての場合において、シンチレータ材料は、ビームを測定する過程でビームを劣化させないように、ほとんど透明で、非常に小さな低エネルギーストラグリングを伴うように、極めて薄いフィルムでなければならない。そのような用途において、いくつかの実施形態におけるシンチレータフィルムは、100μm未満の厚さ、場合によっては1μmという薄いものでなければならない。
実施形態において、シンチレータフィルムBoPENは、1μmまでの厚さで用いられ、いくつかの実施形態において、このフィルムは、以下で開示される6方向クロスの実施形態のうちのいくつかに示されるように、剛性フレームに物理的に装着される。
実験結果は、59kGyのフィルム線量をもたらす低エネルギー陽子ビームによる5分間の照射のほぼ直後に測定された、厚さ191μmのBoPENフィルムからのシンチレータ蛍光の33.0%の初期減少を示した。具体的には、図1は、実施形態に係る、59kGyの総線量に対応する0.20kGy/sの陽子線量率で5分間照射された厚さ191μmのBoPENフィルムの、時間(単位:時間(h))の関数としての放射線ダメージ回復プロットである。左のプロットにおいて、相対光損失は、空気中で、照射のほぼ直後に測定され、一方、右のプロットにおいて、サンプルは、真空中でおよそ21時間維持され、その後、取り出された後に、空気中で測定された。しかしながら、周囲空気雰囲気において19時間後に左のプロットの蛍光発光は部分的に回復し、減少は約19.7%と測定され、1日以内で約40%の放射線ダメージ反転/回復を示した。図1に示されるように、回復の大部分は最初の数時間以内に生じたが、空気中の放射線ダメージ回復は、かなり低いレートではあるが、数日間、さらには数週間にわたって継続することが可能であった。
上記BoPENフィルム(密度1.36g/cc)放射線ダメージ実験は、入射ビーム電流密度2.4nA/cm2で300秒間連続的に照射した5.4MeV陽子ビームを用いた。BoPENフィルムを通過すると、各5.4MeV陽子は約2.14MeVを失う。上記ビーム電流および積算照射時間で、BoPENシンチレータフィルムは、以下の計算の通り、59kGyの累積放射線量(1Gy=1J/kg)吸収となった。
シンチレータ発光に対するその効果を通してビームを観察および測定することに基づく透過性粒子ビームモニタの場合、放射線ダメージの影響は、相対光損失(すなわち蛍光信号減少)によって測定されるシンチレータ収率の低下と同一であるとみなすことで、定量化することができる。明白な視覚的放射線ダメージに関して、今日まで照射された30を超えるBoPENサンプルのいずれも、およそ60kGyまでの線量レベルでは、予想外の結果であるシンチレータ変色または表面劣化の視覚的徴候を示さなかった。しかしながら、BoPENフィルムは400kGyで変色している(以下の考察および表1参照)。
異なる用途のための実験的使用における加速係数を推定する際、特に陽子ビーム治療を対象とする場合、平均的な従来の1日の患者治療法は、セッション当たりおよそ2Gyを照射する。したがって、300秒でBoPENシンチレータフィルムに59,000Gyを照射した上記試験は、おそらく、およそ30,000人の患者を治療する際に生じる線量と等価である。言い換えると、5.4MeVの試験ビームにおける加速照射の1秒は、従来およそ100人の患者(FLASH治療のより少ない数の患者)を治療する際にシンチレータが受ける放射線をほぼシミュレートする。別の見方をすると、典型的な陽子ビーム治療室が1日当たり約30人の患者を治療できる場合、上記加速陽子ビーム試験の5分は、1室設備における従来の患者治療のおよそ1000日に相当する。既製の市販のポリエステルフィルムにおいて表面劣化または変色の明白な視覚的徴候を伴わないこの程度の放射線ダメージ耐性は、そのような積極的な高速加速試験レジームの下では予期せぬ結果である。
図2は、実施形態に係る、490kGyの総線量に対応する、53秒間プロトン線量率9.2kGy/sで照射された厚さ191μmのBoPENフィルムの、時間の関数としての平均画素信号減少のプロットである。時間スケールは、真空チャンバ内で照射されているBoPENフィルムの、2fpsで記録されたカメラ画像数で示される。この高い線量率でも、線形フィットと指数関数フィットとの間の差は比較的わずかであることがわかる。
今日までのBoPENシンチレータ試験の実験結果から、0.2kGy/sという上記線量率における放射線ダメージは10kGy/sに近づく線量率まで照射に対して線形であると思われる(図2に示される通り)。線形性を仮定することにより、サンプル裏面で起こる放射線ダメージの増加に対し、前面入口表面と背面出口表面との間の平均値がサンプル中央バルク層から来る蛍光の妥当な推定値を提供すると仮定することで、補正を行うことができる。この補正を行う際、サンプル中心からのバルク蛍光値は、裏面からのバルク蛍光値よりも22.2%大きくなる。したがって、測定された背面光損失値を、図1の測定された背面値に77.8%を乗じて補正することによって、より正確なバルク蛍光値を得ることができる。この補正により、初期蛍光の33.0%減少および19時間後の蛍光の19.7%減少を引き起こした59kGy線量照射は、それぞれ、初期蛍光の26%減少(すなわち、0.778*33%)および19時間後の15.6%減少となる。
したがって、先に述べた図1に現れる測定放射線ダメージの値は、191μm厚のBoPENフィルムについて22.2%の誇張である。しかしながら、25μm以下の厚さを有する超薄型BoPENフィルムの場合、補正係数は、1%未満であり無視できるであろう。同様に、70〜225MeVの範囲の入射陽子エネルギーを有する治療用粒子ビームでは、薄い191μm厚のBoPENフィルムについても、前面層および背面層で受ける線量の間に有意な差異はなく、したがって、280nmUV−LED光源(BoPENフィルムの背後に位置し、99%が最初の0.1μmの裏面層に吸収される)を使用して測定される表面蛍光信号は、バルク材料に対するこれらのエネルギーでの放射線ダメージを正確に表す。
図3は、実施形態に係る、5.4MeVの陽子ビームの照射後の、3.0μm〜191μmの範囲のさまざまな厚さのBoPENフィルムの、時間の関数としての空気中での蛍光損失および回復のプロットである。
図1および図3からわかるように、一般的にすべてのBoPENフィルムについて、空気中の放射線ダメージ回復の大部分は最初の数時間以内に生じる。厚いシンチレータフィルムと薄いシンチレータフィルムに関して、上述の異なる放射線ダメージの影響は、図3に示される相対光損失の明らかな相違を説明している。たとえば、40分後に測定した厚さ12μmのBoPENフィルムの最大7.3%の光損失を、40分後にプロットした厚さ191μmのBoPENフィルムの(背面からの)17.5%の光損失(すなわち、0.67時間での破線垂直線)と比較すると、2つの値は±10%の不確実性の中で一致する(すなわち、7.3%対7.9%)。厚さ191μmのBoPENフィルムについての計算は以下の通りである。
191μmのフィルムにおける前面光損失に対する初期調整=(1−0.444)*(17.5%)=9.7%
ビーム電流密度の差に対する追加調整=(1.10/1.35)*(9.7%)=7.9%
さらに、実験では、大幅に異なるビーム電流を使用し3週間以上開けて測定した2つの異なる191μm厚のBoPENサンプルから、すばらしい一致があった。特に、図3における最初の19.7%の光損失は、図1におけるより高いビーム電流密度(2.4/1.35)に対して調整された場合、図1における33.0%と比較して35.0%の調整されたビーム損失値をもたらす。
フィルムを通過する際に失われたビームエネルギー、ならびにその蛍光プロファイルを介したビーム形状および強度の推定のためには、BoPENフィルムの厚さおよび均一性を知る必要がある。フィルムの厚さおよび均一性を測定するための便利な非破壊方法は、スペクトル干渉によって生じる前面/背面反射率によるものである。この方法は、およそ1μm〜250μmの全範囲にわたり、約±0.1μm以内の精度まで、フィルムの厚さを正確に測定することができる。図3のフィルムの場合、測定された厚さは、3.0、5.8、12.2および191.0μmであり、これは、およそ1000〜1900nmの波長範囲にわたる近赤外線のスペクトル反射率で測定したものである。
上記データは、薄いBoPENシンチレータフィルムは、厚いフィルムと比較して、放射線ダメージ耐性が高いと思われることを示す(たとえば、図3における0.67時間および2.45時間双方における、3、6、12および191μmの厚さのBoPENフィルムの300秒のプロットを参照されたい)。この結果は完全に予想外であり、驚くべきものであり、以前に予測されたものに対し、反直観的である。この予期せぬ結果を説明するものは、2.45時間で厚さフィルムプロットと交差する細い破線の縦線によって示唆されるように空気中においてより薄いフィルムは放射線ダメージ回復が非常に早いことと、4〜5時間で線が切れており191μm厚のフィルムと比較して最も薄いフィルムでは放射線ダメージが実質的に完全に回復したように見えることとを含む。もう1つの説明は、放射線ダメージがフリーラジカル相互作用の確率にまたは多粒子フリーラジカルメカニズムに依存し、したがって、dE/dxにより出口表面においてフリーラジカル密度がより高い厚いフィルムは、単一または複数のフリーラジカル近接相互作用の確率も高いことを、含む。その他の説明は、薄いフィルムほど、フィルム空気面へのフリーラジカル移動および拡散の速度が速くかつその確率が高く、図3の測定はすべて空気中であったため、より薄いフィルムは酸素透過および拡散の速度がより速いことと、一重項酸素の脱出とを含む。予期せぬ良いニュースは、BoPENの場合、より薄いシンチレータフィルムはより厚いフィルムよりも放射線ダメージ耐性が高い(すなわち、放射線に強い)と思われることであるので、薄膜のより高い放射線ダメージ耐性を説明するための検証可能なメカニズムを提供できる必要はない。
実施形態において、より現実的な臨床陽子療法条件下でシンチレータ線量照射の上記推定値を精密にするために、追加の20%シンチレータ線量により、患者の計画および較正アクティビティならびに毎週のマシンメンテナンスに対処することができる。この調整は、1日当たり60Gyのシンチレータ線量に対応する、1日当たり30人の患者の一人当たり2Gyでの上記推定値が、1日当たり約20%から72Gy、慎重に増加し得ることを意味する。したがって、上記計算した試験施設での59kGyの加速照射は、従来の照射治療(すなわちFLASHではない)を仮定した、819日間の累積患者サービスと同等であろう。
陽子ビーム設備が1週当たり5日作動する場合、819日のサービスは164週に対応し、これは3.1年を超える連続サービスとなる。線形放射線ダメージモデル(たとえば図3に示される)を仮定すると、放射線ダメージ(すなわち19時間後の蛍光損失)を原因とするシンチレータ効率の15.6%の損失の、以前に修正された測定は、8.19日ごとの0.156%の効率損失に対応する。しかしながら、放射線ダメージ回復は19時間を超えても十分に継続するので、患者治療の8.19日間にわたって、累積ダメージは確実に0.15%未満となる。より具体的には、5日の患者治療週では、1患者あたりシンチレータに2Gyの線量を仮定した191μm厚のBoPENフィルムについて、蓄積された陽子放射線ダメージは1週当たり0.09%以下の可能性がある。
図4は、実施形態に係る、X線光子ビームと陽子ビームとの拡大ブラッグピーク(Spread-Out Bragg Peak)(「SOBP」)の一例を示す。図4は、SOBPにより、患者への2Gyはシンチレータへの2Gyと等しくはないので、上記推定値がシンチレータに対する放射線ダメージを誇張していることを示している。SOBPは、腫瘍が2Gyを受けた場合、陽子ビームエネルギーを決定する、腫瘍密度、厚さおよび位置等の要因に応じて、皮膚またはシンチレータに照射される放射線量は、典型的には、患者の腫瘍への線量の約50%〜75%の範囲内にあり、約1.0〜1.5Gyであることを、意味する。したがって、上記推定のように、1週当たり0.09%以下の累積BoPEN放射線ダメージの代わりに、SOBPの補正後において、191μm厚のBoPENシンチレータは、1週当たりわずか約0.04%〜0.07%の放射線ダメージ損失を受けるはずである。この結果は、最も驚くべきことであり、1週間およびおそらくは1ヶ月単位で、厚さ191μmのBoPENシンチレータに対する放射線ダメージは、事実上無視できるものになり、より薄いBoPENシンチレータを使用できる場合はなおさらである。
図5は、実施形態に係る、15,000kGyの総線量に対応する、460kGy/sのプロトン線量率で33秒間照射された、191μm厚のBoPENフィルムから測定された、平均カメラ画素信号で記録された指数関数的蛍光減少を示すプロットである。時間スケールは、真空チャンバ内で3.0MeVの陽子ビームが照射されているBoPENフィルムの、2fpsで記録されたカメラ画像数で示される。図5および以下の表1に示されるように、最大測定線量率において、放射線ダメージは照射に対して線形ではないが指数関数的である。このことは、これらの高い線量率(たとえば90kGy/s以上)での推定値が、より長い期間にわたって積分されたより低い線量率で実際に生じるものよりも大きなシンチレータ放射線ダメージを投影する際に、誤解を招く可能性があることを、意味する。言い換えると、加速試験データが有意な指数関数成分を有する場合、実際のシンチレータ放射線耐性は、先に述べたものよりも良好であろう。
しかしながら、治療用粒子ビームおよび核物理学的粒子ビームモニタの両方の性能をモデリングするために選択された加速放射線線量率の範囲内で(すなわち表1に示される9kGy/s以下の線量率)、線形モデルに基づく投影はシンチレータ性能の良好な推定値を提供するはずであり、指数関数的挙動のいかなる補正も図2に示されるようにわずかであろう。たとえば、測定された線量率9.2kGy/sにおいて、BoPENフィルムの線形関係は、予期せぬ結果である、ちょうど53秒で0.5MGyを照射する(表1に示される)ことに対応して、依然として妥当と思われる(図2参照)。しかしながら、90kGy/s以上の線量率では、線形性からの逸脱が大きく、線形性を仮定した計算は誤りであり、定性という目的のためにのみ使用されねばならない。これらの非常に高い線量率では、低速から中程度のシンチレータアブレーションが瞬時に始まる(図5および表1参照)。
図1および図3に示されるように、線量率0.20kGy/秒で59kGy(すなわち2.4nA/cm2の電流密度、5.4MeVの陽子ビームで300秒)までの線量を受けたBoPENフィルムのいずれも、放射線ダメージによる蛍光の顕著な減少にもかかわらず、表面劣化または変色の如何なる徴候も示さなかった。図1および図3の双方が、測定可能な放射線ダメージ回復は照射のほぼ直後に空気中で始まり、この回復が数日または数週間後でさえも継続し得ることを、示している。しかしながら、図1に示されるように、真空環境ではこのような回復は大幅に減少するかまたは遅延する。
放射線ダメージにより生じる暗色化(すなわち黄色から褐色への変色)は、厚さ191μmのBoPENフィルムにおいて、10nAの電流で5.4MeVの陽子ビームを使用し、固定された非ラスター化ビームを0.25cm2のエリア上に118秒間集束させて、観察された。結果として生じた40nA/cm2の電流密度は、3.3kGy/sの線量率をもたらし、390kGyの累積線量をもたらした。この線量率は、上で開示されている59kGy線量で照射されたサンプルが受ける線量率の16倍であった。しかしながら、390kGy線量フィルムを2ヶ月後に観察すると、暗色化/変色エリアは完全に消失し、見かけ上、視覚的にダメージを受けている少なくともいくつかのBoPENフィルムは視覚的に変色していない程度まで空気中で自己治癒/回復できることが発見された。
不可逆的な物理的ダメージ(たとえば陽子アブレーションによって膜が焼けて孔ができる)に関連する線量を評価するために、より安定した固定陽子ビーム加速器を、191μm厚のBoPENフィルムに対して使用し、3.0MeVの減少プロトン運動エネルギーとし、アブレーションを受けた孔のエリアに対するビーム焦点をより絞って0.020cm2とし(すなわち、孔表面での直径は以下で開示されるように1.6mmであった)、ビーム電流を1nAで53秒、10nAで66秒、50nAで33秒とした。各ビーム電流において、一連の画像を、3つのケースすべてについて、1msのシャッタ時間/露光、2fpsのフレームレートで記録した。
図6A〜図6Bは、実施形態に係る、真空チャンバの内部の191μm厚のBoPENフィルムを照射する、直径およそ2.68mmの上記10nA、3.0MeVの陽子ビームの2つの画像を示す。図6Aは1msの露光で記録されたデジタル画像であり、画素画像分解能は38.2pmである。図6Bは図6Aに対するガウスフィットであり、測定平均σ=0.61mmであり、ビームの97%が1.34mmの2.2σ半径内に入る。
上記実験のために記録された画像の数は、1nAで89画像(以下の開示を参照)、10nAで133画像、50nAで67画像であり、図6Aおよび6Bからわかるように、各写真について画素ごとに蛍光パターンおよび信号強度が記録され、1番目の画像はビーム電流10nAで撮影した。これら3つのビーム電流の完全な一組の写真は、真空を壊さずにまたはカメラを動かさずに、ビームの焦点を同じシンチレータスポットエリアに合わせたままで、各一組の画像の後にビーム電流を順次増加させる(すなわち1nAから10nA、50nA)ことによって撮影した。したがって、50nAの最後の画像の後にBoPENフィルムを最終的に取り出したとき、部分的なアブレーションによる孔/クレーターは、互いに重ねられた3つのビーム電流線量の合計を表す。1nAビームは、明白な物理的フィルムダメージを引き起こさなかったが、照射1秒当たり蛍光が0.6%減少した(すなわち傾き0.003、図2参照)。
先に開示されたように、蛍光の減少は、図2の実線からわかるように、線形フィットに近い(画像が撮影されなかったときの2つの休止期間があったがビーム露光は継続)。しかしながら、図2の点線は、線形フィットに非常に近い指数曲線に対するベストフィットを表す。図2の線形フィットは、50nA/cm2の電流密度、9.2kGy/秒の線量率、および490kGyの累積線量に対応する。5.4MeVおよび40nA/cm2の10nA陽子ビームは、390kGyの照射線量で黄色変色/暗色化を引き起こしたので、50nA/cm2ビーム(490kGy)もBoPENフィルムの変色を引き起こした可能性が高いが、これは、その後このエリアがアブレーションを受けたされたため、見られなかった。
3MeVの1nA固定ビームとは対照的に、続く10nA固定ビームは、その初期信号と比較して、最初の1秒の照射でその蛍光全体が1桁よりも大きい18%減少したが、これは、即時表面アブレーションが原因に違いない。同様に、50nAの固定ビームは、図5からわかるように、その初期信号と比較して、その最初の1秒の照射でその蛍光全体が43%減少した。ほんの33秒でその深い孔ができたことを考えると、これは「高速」アブレーションとみなすことができる。
図7は、実施形態に係る、作動距離326mmで撮影した図6Aのデジタル画像のカメラ視野の投影図である。カメラは、FL50mmでf/1.4レンズを備えたBasler acA720−520umであった。図6Aに示されるように、画像は、リアルタイムで厚さ191μmのBoPENシンチレータフィルムを照射する3.0MeVの陽子ビームのチャンバ窓を通して撮影され、カメラは真空チャンバの外部にあり、カメラレンズの前面からシンチレータフィルムまでの推定作動距離はおよそ326mmであった(図7に示される通り)。
上で開示されているように、10nAのビーム電流で最初の1秒以内の照射(すなわち、2fps、著しいアブレーションの前)で撮影されたまさに「第1の」デジタル画像(シャッター速度1ms)が図6Aにあり、孔の上面の0.020cm2の測定されたアブレーションエリアから、92kGy/秒の線量率に対応する500nA/cm2の電流密度が発生した。図6Aの画像についてフィットさせたビームプロファイルは図6Bにあり、計算されたσが0.61mm、FWHMがおよそ1.22mmであり、これは、面積5.6mm2、97%の全帯域幅半径1.34mm(すなわち、2.2σ)に対応する。平均蛍光信号の急速降下(すなわち照射1秒以内で18%減少)の以前の実験データから、この線量率でアブレーションがビーム照射の直後に始まることが明らかである。しかしながら、ビーム照射66秒にわたるリアルタイムのカメラ蛍光画像の経過から、アブレーションレートは50nAのビーム電流の場合と比較して比較的遅いと思われるであろう。
上で開示されているように、5.4MeVの入射陽子ビームは、厚さ191μmのBoPENフィルムを通過し3.26MeVの残留エネルギーで出射するのに十分なエネルギーを有する。しかしながら、3.0MeVの陽子ビームは、厚さ191μmのBoPENフィルム内部の約119μmまでしか到達しない。陽子ビーム電流密度が、アブレーションを引き起こしBoPENフィルムに「焼いて孔を開ける」ことを開始するのに十分である場合、アブレーションが進行するにつれてビームはさらにフィルム内に浸透し、最終的には、最初は減少したエネルギーで、次いで、孔が掘られまたは開けられるとほぼ全エネルギーで出射する。顕微鏡で調べると、50nAのビーム電流でも、アブレーションで生じた孔は、33秒のビーム照射では厚さ191μmのフィルム全体に及ばないことが、確認された。これは、先行する10nAでの66秒のはるかに遅いアブレーションに続くものであった。
推定された合計ビーム浸透深さは、約150〜160μmであり、およそ0.020cm2の最大表面アブレーションエリアを包含するが、孔の底における最も深い浸透深さのエリアにおける楕円の孔の短軸および長軸は、測定すると、約0.4×0.6mm(0.002cm2)ではるかに小さかった。アブレーションにより生じた孔のエリアの表面寸法に基づくと、関連するビーム電流密度は、50nAで2500nA/cm2であり、460kGy/秒の線量率での15MGyの累積線量に対応する(表1参照)。この線量率の場合、2fpsの各1ms写真/画像から導出された図5の「平均画素信号」から、ビーム照射の直後に(すなわち、0.5秒以内に)アブレーションが始まったことが明らかである。この結果は、2.4nA/cm2の電流密度で5.4MeVの陽子ビームの場合の以前の結果と比較することができ、この場合、バルク蛍光強度が26%減少するのに300秒を要したので、放射線ダメージはほぼ3桁遅く生じた。
50nAのビームによりアブレーションで生じた切除エリア/孔は、楕円形状であり、その測定された短軸および長軸はおよそ1.4mm×1.8mmであり、これは、半径0.80mm、面積2.0mm2の同等の円に対応する。しかしながら、図6Bに示されるように、図6Aに対するガウスフィット分布は、97%強度の全帯域幅に対応し、これは、ビーム半径が2.2σである。この、2.2σの半径に対応付けられる5.6mm2のより大きな蛍光発光エリアは、図6Aに示される蛍光信号エリアの約97%を包含し、アブレーションで切除された孔を超えて延在する。1.34mmの2.2σ半径に対応する、蛍光楕円の短軸および長軸の寸法は、2.34mm×3.02mmであり、図6Aの推定寸法に対応し、楕円エリアのカメラ画像はおよそ3800画素を含む。図7から、各画素は、およそ38.2μm×38.2μmの視野画像エリアに対応することがわかる。図6Aの画像に使用されたBasler acA720−520umカメラは、720×540画素のCMOSセンサを有する。また、50mmの焦点距離のレンズを使用した場合、レンズの前面からシンチレータまでの作動距離(working distance)(「WD」)は約326mmであり、図7に示されるようにセンサ視野は27mm×21mmである。
250MeV陽子加速器の真空ビームラインパイプ内の最大ビーム電流および最小ビーム半径は、典型的には、ビーム半径約1mmの超伝導サイクロトロンの場合、およそ800nAである。対応付けられるビーム電流密度はおよそ25,000nA/cm2である。このような条件下で厚さ25〜50μmのBoPENフィルムシンチレータを用いると、線量率は100〜200kGy/秒となる可能性があり、これは、BoPENフィルムに顕著なアブレーションを引き起こし、1分程度以内に焼けて孔が生じる。優れた実施は、任意の1スポットにおけるフィルム放射線照射を10秒以下に制限するよう指示するであろう。
上記線量率100〜200kGy/秒の場合に対し、実施形態は5方向または6方向クロス真空チャンバを含み、このクロス真空チャンバは、BoPENシンチレータが、必要なビーム画像を撮影するためにビームの中に移動後、数秒以内にビームから出ることを可能にするように設計されている。図6Aの線量率92kGy/sでの陽子ビーム画像は、そのような画像がどのように見えるかの一例を提供する。図6AにおけるBoPENの厚さは、5方向または6方向クロスにおけるわずか25〜50μmと比較して、191μmであるが、カメラレンズは、クロス内のシンチレータに、図6A、図6Bおよび図7の326mmという距離よりも、はるかに近くなるようにすることができる。したがって、立体収集角は、より薄いBoPENフィルムから放出された光子のより大きな割合を収集するためにかなり大きく、加えて、図6A、図6Bで使用されるものよりも、感光性が高いカメラを使用することができる。
上記表1に概要を示した厚さ191μmのBoPENフィルムシンチレータに対する3.0MeVおよび5.4MeVでの低エネルギー陽子ビーム試験は、ビーム電流密度、吸収線量および線量率の臨界パラメータについて、およそ3桁にわたるマトリクスをカバーした。記載されている加速試験プログラムの結果は、電離粒子および光子ビームのリアルタイムのモニタリングのための多種多様なUFT(超高速透過)高分解能検出システムの実施形態につながる、開示された実施形態の広範な群から並外れた性能が実現されることを実証している。以下で説明する実施形態の対象用途は、陽子線治療だけでなく、その他すべての種類の粒子および光子ビーム外照射療法(「EBRT」)、ならびに核および高エネルギー物理学などで使用されるものを含む、工業用および研究用加速器のためのビームモニタを含む。
陽子線治療に関して、実施形態は、5.4MeVのビーム粒子エネルギー、2.4nA/cm2のビーム電流密度、および200Gy/秒の照射線量率での5分間の試験が、BoPENシンチレータに視覚的ダメージを与えないという、予期せぬ結果を示す。しかしながら、これは、1患者当たり2Gyという従来の線量を想定しておよそ30,000人の患者を治療する、または、1患者当たり20GyというFLASH線量で3,000人の患者を治療する際に生じる線量とほぼ同等であろう。このように、BoPENフィルムシンチレータへの放射線ダメージは、深刻な問題ではなく、以下で開示されるように容易に対処することができる。
1日当たり30人の患者を見ている「典型的な」治療室施設において1週当たりの最大蓄積シンチレータ放射線ダメージが0.04%〜0.07%であるという先の推定を考慮すると、実施形態は、シンチレータフィルムの新しいエリアを、隔週ごと、1ヶ月ごと、または場合によっては3カ月ごとに、シンチレータの等角点まで進める必要がある。後者の期間は、およそ0.9%の最大推定蛍光損失に対応する。したがって、実際問題として、シンチレータの不均一性に対するの放射線ダメージの毎日のまたは週ごとの寄与を測定する必要性は、瑣末なこととして、無視される可能性が高いが、このことは重要なことを含意している。具体的には、実施形態における較正努力は、1患者当たり1日当たりの1%以上の統合システム精度を達成し維持するためにモニタリングされなければならない他のパラメータの測定および定量化にシフトすることができる。そうすると、1週間に発生する放射線ダメージの量がごく少量であることを考えると、シンチレータフィルムをスプールから繰り出す(たとえば、カメラ内で35mmフィルムをフレームごとに送ることと同様)か、またはフィルムが取り付けられたフレームを定期的に(たとえば毎週、隔週、毎月など)数センチメートル押すかのいずれかによって、シンチレータフィルムを送るという方策は、以下で開示されるさまざまな実施形態を通して実施することが可能である。
図8A〜図8Cは、実施形態に係る、ロールシンチレータスプール構成を使用する光を通さない筐体内に2つのカメラ840とシングルシンチレータビームモニタとを含むシステム800を示す。図8Aは上部カバープレートを取り外した状態の斜視図であり、図8Bは平面図であり、図8CはA−A断面図である。3つの図面すべてにおける点線の矢印は、供給ロールから巻取ロールへのフィルムの移動方向を示す。
システム800は、2つのミラー830と、折り畳まれた光学構成とを含み、これは、シンチレータフィルム860を送るための機構を組み込みつつ、光を通さない筐体の深さ/厚さを最小にすることにより、シンチレータ放射線ダメージを補正する必要を最小にするまたはなくす。厚さ125〜250μmのBoPENフィルム(すなわち5〜10ミル)等の比較的厚いシンチレータフィルムが、小径(たとえば2.5インチ)の供給スプール870上に、光を通さない筐体内部に適合する外径(outer diameter)(「OD」)(たとえば約4インチ)まで、巻かれる。このフィルムは、任意の幅(たとえば25〜45cm)とすることができ、全長約20〜25メートルの191μmBoPENシンチレータを含み得る。この実施形態において、フィルム860は、アクティブウィンドウエリア812を通って適切な巻取スプール872上まで引っ張られ、必要に応じて巻取スプールスピンドルを回転させるステッピングモータ880によって送られる。厚さ15〜25μmの黒色アルミニウム箔等の超薄型の暗色の出口ウィンドウ814が図8Cに示されており、UV−LED光源850およびUV−フォトダイオード852のうちの1つが図8Aに示されており、2つのUV−LED/UV−光電池の組み合わせ854が図8Bに示されている。
図9A〜図9Dは、実施形態に係る、6方向クロス真空チャンバ内に2つのカメラとシングルシンチレータロールフィルムモニタとを含みシンチレータスプールシステムが線形平行移動するシステム900を示す。図9Aは、正面から見た断面図であり、線形位置トランスレータ950によってビーム経路の中心にシンチレータフィルム940が配置され、ビーム画像分解能を高めるために上部アームおよび下部アームにカメラ902および904が置かれている。シンチレータフィルムは、小径の供給スプール930上に巻かれて保管され、ビーム軸通過エリア970(図9B)を通って適切な巻取スプール上まで引っ張られ、これは、必要に応じて巻取スプールスピンドルを回転させる内部(すなわち真空互換)ステッピングモータ920によって送られる。また、シンチレータ交換のためのシステム分離中にビームモニタ真空を破壊し次いで再確立するために使用される外部圧力ブリードおよび/または真空ライン(図示せず)に接続することができる径違いニップル990も示されている(以下の図9Cの説明参照)。図9Bは、同じ断面図であるが、シンチレータフィルム940が、その伸長位置952にある線形位置トランスレータによってビームライン経路領域970から出で鉛直方向上方に移動させられている。図9Cは、ビームモニタシステムを隔離するように閉じることができ、かつ、ビームライン真空を破壊することなくシンチレータロールのアクセスおよび交換を可能にするビーム入口および出口ゲートバルブ912および910を含む6つのアームすべてを示す、閉じられたシステムの斜視図である。図9Dは、図9Cの断面斜視図であり、両方のカメラシステム(図9Aでも見ることができる)について、ビーム入射角および視角の両方に対して約45°のシンチレータフィルム角度を示す。図9A〜図9Dにおける6方向クロスは、各アームがその最も近い隣接アームに対して90°の角度をなす、他の6方向クロスすべてと同様に示されていることに留意されたい。しかしながら、光子収集角度/効率を改善するために、一方または両方のカメラアームは、カメラレンズの光軸がシンチレータフィルム面に対して約90°の角度になるように、シンチレータフィルムを収容する6方向クロスハウジングの本体に対して約45°の角度で構成することができる。
図10A〜図10Cは、実施形態に係る、より小型の6方向クロス真空チャンバ内にロールフィルムシンチレータビームモニタを含み線形平行移動機能を持たないむシステム1000を示す。図10Aは、正面からの断面図であり、上部アームにおけるカメラ1004およびカメラレンズ1006と、底部アームにおけるPMT1060とを示す。後者は、一組の集光レンズを介して光収集機能を強化する高速タイミング用途のためのものであり、周囲空気環境においてシンチレータフィルム1040の真下の真空チャンバ内に上部レンズ1050が位置し、PMT1060の真上に下部レンズ1052が位置している。図9Aと同様に、図10Aのシンチレータフィルム1040は、ビーム、カメラおよびPMTに対して約45°の角度である。図10Aは、カメラレンズ1006の両側の2つのUV−LED/UV−フォトダイオード組み合わせアセンブリ1080を示す。シンチレータフィルムは、小径供給スプール1030上に巻き付けられて保管され、必要に応じて巻取スプールスピンドルを回転させる外部ステッピングモータアセンブリ1020によって送られる適切な巻取スプール1024上にビーム軸通過領域を通って引っ張られる。図10Bは、ビームライン真空を破壊することなくシンチレータロールを交換するために、システム真空を隔離しその後径違いニップル1090(図10A)を介して加圧することを可能にする、ビーム入口1001および出口ゲートバルブを含む6つのアームすべてを示す斜視図である。図10Cは、カメラレンズの両側の2つのUV−LED1086および1088ならびに2つのUV−フォトダイオード1082および1084を示す拡大断面図である。
図11A〜図11Dは、実施形態に係る、6方向クロス真空チャンバ内にシングルシンチレータ−フレームビームモニタを含むシステム1100を示す。図11Aは、左にプッシュ−プル線形ポジショナを、右に真空径違いニップルを有する6つのアームのうちの4つを前方から見た断面図である。図11Bは、ビーム出口フランジに取り付けられたゲートバルブを含む閉じられたシステムの6つのアームすべてを示す斜視図である。図11Cは、ビーム、カメラおよびPMTに対して約45°の角度で傾斜したシンチレータフレームを示す断面斜視図である。図11Dは、チャンバ真空領域における第1の集光レンズを示すビームクロス中心の拡大断面図であり、第2の集光レンズは、周囲空気環境におけるPMTの前のビューポートウィンドウの真下にある。また、カメラ用のビューポートUVウィンドウの真上の、レンズバレルの両側には、一対のUV−LEDおよび関連するUV−フォトダイオードがある。
図12A〜図12Cは、実施形態に係る、6方向クロス真空チャンバ内にダブルシンチレータ−フレームビームモニタを含むシステム1200を示す。図12Aは、6つのアームのうちの4つを前方から見た断面図であり、図11A〜図11Dの片側のみと比較して、各側部に加えられた全ニップルおよびプッシュ−プル線形ポジショナがある。図12Aは、左側にある1つのシンチレータフレームを示し、第2のシンチレータフレームは、大部分が左側にあるがビーム中心を覆っている。図12Bは、ビーム中心領域にシンチレータがない各ニップル内の1つのシンチレータフレームを示す断面図である。図12Cは、閉じられた6方向クロス真空チャンバの斜視図である。システム1200において、シンチレータフレームはビーム、カメラおよびPMTに対して約45°の角度である。
図13A〜図13Cは、実施形態に従う、図12A〜図12Cと同様の6方向クロス・ロードロック真空チャンバ内にダブルシンチレータ−フレームビームモニタを含むが2つのゲートバルブを追加したシステム1300を示し、各ゲートバルブは、6方向クロス本体と、図12の全ニップルと置き換えられた追加された径違いティーとの間に配置されている。追加されたゲートバルブは、この構造をロードロック真空チャンバに変換し、これは、システム真空を破壊することなくシンチレータ交換を可能にする。図13Aは、6つのアームのうちの4つを前方から見た断面図(図12Aと同様)である。図13Bは、ビーム、カメラおよびPMTに対して約45°のシンチレータフレーム角度を示す断面斜視図である。図13Cは、閉じられた6方向クロス・ロードロック真空チャンバの斜視図である。
図9〜図13は、「既製の」6方向クロス構成に基づいており、この構成は、図9〜図13に示されるような2つの鉛直管/アームに対応付けられる内側フランジが、各鉛直フランジをクロス本体に溶接するのに必要な最小長さまで縮小または短縮されるように、修正されたものである。この修正の目的は、カメラおよび/またはPMTを、ビームライン軸/クロス中心にできるだけ近く配置することにより、光子収集効率を向上させることである。しかしながら、いくつかの用途では、入口から出口までのフランジからのクロス全長が最小になることがより重要であり、そのような場合、ビーム軸に沿った2つの水平管/アームが、各フランジをクロス本体に溶接するのに必要な最小スタブサイズに短縮される。たとえば、直径6インチのCF−フランジを有するOD4インチのチューブシステムに基づくビームモニタの場合、端から端までのフランジを含むビームモニタの全長は、6インチ未満に減じることができる。図27A〜図27Bは、真空チャンバの実施形態に係るシステム2700を示し、上記縮小/短縮されたOD4インチの管の開かれた中央構造の側面図(図27A)と斜視図(図27B)の両方を含み、直径6インチのCFフランジは、入口から出口までの総ビーム長が5.9インチ以下になるように修正されている。ビューポートウィンドウに接続され、続いてカメラおよびPMTを収容する全ニップルに接続される、上部および下部の6インチCFフランジに接続される4インチの管も、実施形態に従って、これらの2つのフランジの端から端までの全長が7.9インチ以下となるように短縮される。実施形態に従うと、用途の要件に応じて、記載される優先事項は、図27A〜図27Bに示されるOD4インチの管の6方向クロスの実施形態が90度回転される場合、カメラおよびPMTビューポートウィンドウへの2つの6インチCFフランジの端から端までの長さが5.9インチ以下、入口から出口までの最小の総ビーム長が7.9インチ以下になるように、常に変更することができる。
図14A〜図14Dは、実施形態に係る、光を通さない薄型の筐体内に、2つのカメラと2つのミラーとフルサイズのシングルシンチレータ/ウィンドウモジュールビームモニタとを含む、システム1400を示す。一実施形態において、光を通さない「薄型」筐体は、5インチ以下の厚さである。しかしながら、患者サイズ要件、シンチレータ寸法、ならびに画像の空間および位置分解能仕様に応じて、厚さは、典型的には、約3インチ〜7インチの範囲にわたって変化し得る。図14Aは、「ドロップイン」ウィンドウ/シンチレータフレームモジュールの構成要素の斜視図である。図14Bは、ウィンドウ/シンチレータフレームモジュールが如何にしてカバープレートポケットのうちの1つに落とされるかを示す。図14Cは、上部カバープレートが取り外され主構造の上部に配置された、2つのカメラおよびシングルシンチレータビームモニタの筐体の斜視図である。図14Dは、ドロップイン超薄型ウィンドウ1422およびウィンドウ/シンチレータ1460モジュールを備えた、光を通さない筐体の断面図であり、カメラ、ミラーおよびシンチレータの折り畳まれた光学設計と、右側のカメラ−レンズシステムの、最小のシンチレータ視野(すなわち点線の円錐の内部)とを示す。また、内部較正のためのUV−LED光源およびUV−フォトダイオードも図14Cおよび図14Dに示されている。
図15A〜図15Cは、実施形態に係る、図14C〜図14Dに示される実施形態の光を通さない薄型筐体バージョンにおいて、1つのカメラと1つのミラーとハーフサイズの矩形シングルシンチレータビームモニタとを含むシステム1500を示す。図15Aは、内部フレーム構造に基づいた、カメラ1540と、ミラー1530と、超薄型ウィンドウ1522と、ウィンドウ/シンチレータモジュール1560と、UV−LED光源1550と、UV−フォトダイオード1552と、ウィンドウカバープレート1520およびウィンドウ/シンチレータカバープレート1570を有する箱型構造とを示す、組立斜視図である。実際の筐体の形状および構造は異なり得るものであり、矩形である必要はない(たとえば円筒形であってもよい)。図15Bは、記載された基本構成要素のすべてを示す、光を通さない筐体の断面図である。図15Cは、封入されたシステムの斜視図である。
図16A〜図16Cは、実施形態に係る、図15A〜図15Cに示される実施形態の3カメラバージョンを含むシステム1600を示す。追加の2つのサイドカメラは、単一の上部カメラと同一である必要はなく、感光度の改善、より速いフレームレート、および/またはより高い画素分解能のために選択することができる。図16Aは、内部フレーム構造に基づいた、3つのカメラ1640、1644および1646と、対応付けられたミラー1630、1634および1636と、超薄型ウィンドウ1622と、ウィンドウ/シンチレータモジュール1660とを示す、組立斜視図である。実際の筐体の形状および構造は異なり得るものであり、矩形である必要はない(たとえば円筒形であってもよい)。図16Bは、記載された基本構成要素のすべてを示す、光を通さない筐体の断面図である。図16Cは、封入されたシステムの斜視図である。
図17A〜図17Bは、実施形態に係る、折り畳まれた光学部品を有するフルサイズのシングルシンチレータ−フレームビームモニタのための、図14A〜図14Dに示される実施形態の4カメラバージョンを含むシステム1700を示す。2つの追加のカメラは、各カメラの視野が1シンチレータ象限に適切に縮小されることを可能にし、その結果、感光度の改善、より速いフレームレート、および/またはより高い画素分解能のために、図14とは異なるカメラまたは異なるレンズが選択される可能性が最も高い。図17Aは、内部フレーム構造に基づいた、4つのカメラ1740、1741、1742および1743と、対応付けられたミラー1730、1731、1732および1733と、超薄型ウィンドウ1722と、UV−LED光源1750および1751と、対応付けられたUVフォトダイオード1752および1753と、ウィンドウ/シンチレータモジュール1760とを示す、組立斜視図である。実際の筐体の形状および構造は異なり得るものであり、矩形である必要はない(たとえば円筒形であってもよい)。図17Bは、記載された基本構成要素のすべてを示す、光を通さない筐体の断面図である。
図18A〜図18Bは、実施形態に係る、光を通さない薄型筐体内に4つのカメラとフルサイズのダブルウィンドウ/シンチレータモジュールビームモニタとを含むシステム1800を示す。この実施形態は、図14A〜図14Dに示される形態のダブルシンチレータバージョンであり、2つの「ドロップイン」ウィンドウ/シンチレータフレームモジュールのための前面カバープレートポケット設計および背面カバープレートポケット設計の両方を組み込んでいる。図18Aは、4つのカメラ1840、1842、1844および1846を示す組立斜視図であり、それぞれに対応付けられたミラーは、カメラ1846に結合されたミラー1836を含み、2つのウィンドウ/シンチレータモジュール1860および1862に向けられている。カメラ1840および1842は、それぞれのミラーを通して、下部シンチレータ/ウィンドウモジュール1860に向けられており、カメラ1844および1846は、それぞれのミラーを通して、上部シンチレータ/ウィンドウモジュール1862に向けられている。図18Bは、光を通さない筐体の断面図であり、図18Aと同様に、各シンチレータに向けられたそれぞれの折り畳まれた光学ミラーとともに2つのカメラを示す。
図19A〜図19Bは、実施形態に係る、光を通さない薄型筐体内に8つのカメラとフルサイズのダブルウィンドウ/シンチレータモジュールビームモニタとを含むシステム1900を示す。図19Aは、図18Aと同様であるが、カメラの数が、図14A〜図14Dとの対比における図17A〜図17Bと同様に、2倍にされている。カメラ1940、1941、1942および1943は、それぞれの折り畳まれた光学ミラーを通して、各々が、シンチレータ/ウィンドウモジュール1960の1象限に向けられている。同様に、カメラ1944、1945、1946および1947は、それぞれの折り畳まれた光学ミラーを通して、各々が、シンチレータ/ウィンドウモジュール1962の1象限に向けられている。ミラー1930および1931は、たとえばカメラ1940および1941に結合される。図19Bは、光を通さない筐体の断面図であり、図19Aと同様に、4つのカメラを示し、それぞれの折り畳まれた光学ミラーが各シンチレータに向けられている。
図20A〜図20Cは、実施形態に係る、ロールシンチレータスプール構成を用いる4つのカメラとシングルシンチレータビームモニタとを含むシステム2000を示し、図8A〜図8Cに示される2カメラバージョンに類似している。図20Aは斜視図、図20Bは平面図、図20CはA−A断面図である。図20Aおよび図20Bは、カメラ2040、2014、2042および2043と、2030および2031等のそれらに対応付けられた折り畳まれたミラーとを示す。図20A〜図20Cの点線矢印は、供給ロール2070から巻取ロール2072へのフィルムの移動方向を示す。この実施形態において、フィルム2060は、アクティブウィンドウエリア2012を通って適切な巻取スプール2072上に引っ張られ、必要に応じて巻取スプールスピンドルを回転させるステッピングモータ2080によって送られる。厚さ15μm〜25μmの黒色アルミニウム箔等の超薄型の暗色または黒色出口ウィンドウ2014が図20Cに示され、2つのUV−LED光源2050および2051ならびにUV−フォトダイオード2052および2053が図20Aに示される。
図21A〜図21Bは、実施形態に係る、光を通さない箱型筐体の中の2つのカメラ2140とフルサイズのシングルシンチレータ−フレームビームモニタとのシステム2100の斜視図(図21A)および断面図(図21B)を示し、これは、図14C〜図14Dに示されるものと幾分似ているものの、より小型のカメラ(たとえば約1インチ×1インチ×1インチ)を使用し、カメラごとにミラーがある折り畳まれた光学システム構成は採用していない。よって、各カメラは、下部シンチレータプレート2130に直接向けられ、その結果、箱型筐体全体が、図14C〜図14Dに示されるものよりも約5cm厚くなる。上部カバープレートおよびウィンドウ2110を取り外し、場合によってはサイドパネルさえも取り外すことにより、2つのカメラを、出口ノズルもしくはコリメータのすぐ背後(すなわち上流側)に挿入することができ、または、これに代えてノズルもしくはコリメータの背後に跨ると説明することができ、したがって、ノズルまたはコリメータ筐体内に直接的に一体化され、シンチレータ/ウィンドウ2130モジュールが、ビームがノズルまたはコリメータから出る場所の前(すなわち下流)に位置する出口カバープレート2120のポケットに挿入される。図21A〜図21Bも、他のビームモニタの実施形態すべてに見られる1つまたは2つ以上のUV−LEDおよびUV−フォトダイオードを組み込んでいる。
図22A〜図22Cは、実施形態に係る、図21A〜図21Bの4カメラバージョンであるシステム2200を示す。図22A〜図22Bに示される、上部カバープレートおよびウィンドウを取り外し、場合によってはサイドパネルさえ取り外すことにより、4つのカメラ2240を、出口ノズルもしくはコリメータのすぐ背後(すなわち上流)に挿入することができ、または、これに代えてノズルもしくはコリメータの背後に跨ると説明することができ、したがって、ノズルまたはコリメータ筐体内に直接的に一体化され、シンチレータ/ウィンドウ2230モジュールが、ビームがノズルまたはコリメータから出る場所の前(すなわち下流)に位置する出口カバープレートのポケットに挿入される。図22A〜図22Cも、他のビームモニタの実施形態すべてに見られる1つまたは2つ以上のUV−LEDおよびUV−フォトダイオードを組み込んでいる。
いくつかの実施形態で使用されるフィルムロールに関して、上で開示されている厚さおよび幅を有する、はるかに長いロールが、数十年間にわたり空中写真用に使用されており、モータドライブによって高速で送られる。たとえば、そのカラーエマルションおよびゲル裏張を含めたKodak Aerial Ektacolorプリントフィルム(SO−149)は合計厚さが213μmである。標準的な35mm幅および70mm幅の映画用フィルムは、典型的に、「通常」モーションの場合24fpsで送られるが、スローモーションの場合はより高速で送られ、いくつかの70mmのIMAXフィルムは、48fps(すなわち、200メートル/分)送られていることに、留意されたい。たとえば、BoPENフィルムを隔週で5cm送ることにより、最も放射線ダメージを受け易いシンチレータ中心エリア(すなわち、等角点領域)を途中で側方にシフトさせた場合、先に述べた20〜25メートルのフィルム長さは、約16年間持続できる。同じBoPENフィルムを隔週で10cmまたは20cm送った場合、シングルロールは、交換が必要になるまで、8年または4年間持続する。
空中写真用フィルムは、かつて、35mm、70mm、126mmおよび240mmという4つの標準幅で作製された。これらの幅は、端から端までの寸法であり、両側のスプロケットを含み、したがって、たとえば、70mmフィルムの最大画像幅は、約58mmであり、240mmフィルムの最大画像幅は、228mmである。作製されたKodakの空中写真用フィルムEstar「超薄型」ベースは、30μm(すなわち0.0012インチ)であったが、それでもなおスプロケット孔を保持するのに十分な強度を有しており裂けなかった。しかしながら、標準的なKodak Estar超薄型ベースは38μm(すなわち0.0015インチ)であり、標準的なKodak Estar厚型ベースは178μm(すなわち0.0070インチ)であった。厚型のEstarベースの場合、フィルムロール長さは、100〜800フィートであったが、他のより薄いEstarベースフィルムの場合、最大2000フィートのフィルムロール長さが標準であった。標準的な長さ30メートルのフィルムロールにおける標準的な240mm幅のEstarベースに関するKodakによる詳細な厚さの研究によると、「実質的にロール全長にわたる厚さのばらつきは標準偏差が1.85μm未満であった」。しかしながら、23cm×23cmの空中写真フォーマットの写真エリア(すなわち9インチ×9インチ)内で、標準厚さ偏差は1.0μmであった。Kodakの70mm幅のフィルムの場合、スプールコア直径は、Estar薄型ベース(64μm)については最大200フィート、標準Estarベース(102μm)については150フィート、Estar厚型ベース(すなわち、エマルションなしで178μm、B/Wエマルションでは184μm厚、最も厚いカラーフィルムでは213μm)については100フィートのフィルムロール長さに対し、31/32インチであった。70mm幅のフィルムのより長いロール、ならびに126mm幅および240mm幅のフィルムロールのすべての長さについて、2.125インチのスプールコア直径を、すべてのEstarフィルムベース厚さに使用した。したがって、上で開示されている、提案された2.5インチというスプールコア直径、および20〜25メートルというフィルム長さは、空中写真用フィルムに使用される標準仕様を考慮すると、控え目であり、アクティブエリアにわたるフィルム厚さ均一性についても同様である。
マルチアームクロスのロールフィルムの実施形態の場合、特に、Kodakが使用するEstarベースフィルム(すなわちBoPET)よりもBoPENフィルムの方が強いことを考慮すると、25μm厚のBoPENは理想的であるはずであり、高速送りの写真フィルムシステムにおいて裂ける可能性があるスプロケットフィルム孔は、本明細書に記載の送りがはるかに遅いロール・ツー・ロール(roll-to-roll)の実施形態には不要である。加えて、12μm厚のBoPENも、図9および図10に示される高透過性ビームライン真空クロスモニタ等のロール・ツー・ロールシンチレータフィルム設計において、場合によっては実現可能な厚さである。そのような超薄型フィルムロールの機械的な実現可能性に関して、12μm厚のリニア低密度ポリエチレン(linear low-density polyethylene)(「LLDPE」)(すなわち47ゲージ厚のポリエチレンハイブリッドフィルムとして販売されている)が、長さ1500フィートの18インチ幅のロールの3インチのコア上で利用可能であり、さらに薄い7μmのLLDPEフィルムが、長さ1500フィートのロールの3インチのコア上でも28ゲージフィルムとして利用可能であることに、留意されたい。フィルム強度に関して、BoPENは、LLDPEよりもはるかに強く、引張強度が少なくとも3倍である。よって、BoPENロール/コイルは、厚さ1.3μmまでの超薄型フィルムで、12インチおよびより広いサイズのロールにおいて利用することができ、厚さ12μmのBoPENフィルムは、長さ9800フィートの40インチ幅のロールにおいて利用することができる。
ロール・ツー・ロールフィルム送りシステムを必要としない実施形態について、広範囲のフィルムおよびシート厚(たとえば約1μmから1mm以下)の、光子および中性子を含むさまざまな電離粒子およびエネルギーに対して最適化された、異なるシンチレータ材料の迅速な交換のために、より簡単でありながら用途がより広い多様な透過性ビームモニタの実施形態が設計されてきた。ビームライン用途のために設計されたモニタについて、シングルフレームおよびダブルフレームの両方のマルチアームクロス構造が開示され、シンチレータは、以下の図11A〜図11D、図12A〜図12C、および図13A〜図13Cの、3つの異なる6方向クロスの実施形態について示されるように、プッシュ−プル機構と接触する剛性フレームに取り付けられる。1つのカメラだけが必要とされPMTがない場合、より低コストの5方向クロスを採用することができ、フレームおよびアーム(またはニップル)の長さに応じて、シンチレータ全体をビーム経路から引き出すことができ、ビームモニタリングが必要なとき(たとえば図12Bに示される)だけ、ビーム経路内に押し込むことができる。ロール・ツー・ロールシステムと比較して、シンチレータフィルムを剛性フレームに取り付けるもう1つの利点は、厚いシンチレータ(たとえば0.5mm以上)を小径スプール上に巻くことができない点である。一方、わずか数ミクロンの最も薄いシンチレータフィルムは、図10Aのように、供給スプール1030から巻取スプール1024上に引っ張るときのダメージの危険を伴うことなくビーム軸通過領域を通して確実に送ることができない。開示されているように、厚さ3、6、12および191μmのBoPENフィルムは、放射線耐性および高速回復という予期せぬ特徴を有する(図3参照)。他の実施形態は、いくつかの異なる用途のために、1.3μmのBoPENフィルムまたは250μm厚のBoPENフィルムを使用することができる。
関連する図/図面とともに本明細書に開示されているすべての実施形態は、内部較正およびビーム画像分析に必要な上述のシステム/ハードウェアを取り入れている。較正システムおよびその動作は、手動でまたは自動で(たとえば予めプログラムされたスケジュールで)開始することができ、内部UV−LED光源(1つまたは複数)を起動してシンチレータフィルムを短時間(たとえば数秒)照明し蛍光強度パターンの画像を捕捉してそれらを適切なコンピュータシステムで以前の画像と比較することによりシステム応答の何らかの変化を検出することに、基づいており、この変化は、放射線ダメージなどによって引き起こされる可能性があるシンチレータ蛍光またはカメラセンサにおける変化を含む。UV光源の安定度をモニタリングするために、各UV−LED自体を、フォトダイオード等の専用の近接UV−フォトセンサでモニタリングし、時間の経過に伴う光源強度の変化またはドリフトを補正する。一実施形態におけるコンピュータシステムは、命令を実行するプロセッサを有する専用の低レイテンシ高速PC(パーソナルコンピュータ)またはワークステーションなどである。他の実施形態において、コンピュータシステムは、カスタマイズされたFPGAベースのPCB(プリント回路基板)またはフレームグラバであるが、コンピュータに接続されたフレームグラバである可能性が高い。いくつかのシステムの場合、FPGAは部分的にまたは完全にカメラに埋め込むことができる。コンピュータシステムはまた、内部較正チェックの実行に加えて、ビームがシンチレータを照射するときにビームの画像分析をリアルタイムで実行することにより、ビーム位置、ビーム形状、ビーム移動、後縁を含むビーム強度プロファイル、ビームフルエンスおよび外部線量測定、ならびにビーム経路内に適切な距離だけ離した2つ以上のシンチレータを組み込んだビームモニタ構成の場合のビーム角度の相違を、2次元(「2D」)でモニタリングおよび分析するように、プログラムされる。加えて、すべての実施形態はシンチレータ面に対してある角度で配向された1つ以上のマシンビジョンカメラを取り入れているので、すべてのカメラ画像は、透視/傾斜歪み(すなわちキーストーニング)を引き起こしており、カメラレンズは、特にその作動距離が近いために、ある程度の光学歪みおよびビネッティングを示すことになり、カメラセンサ自体は、全く同じ応答の各画素に関して完全に一様になることはない。これらのシステムハードウェアに関連する不均一性のすべては、統合システムの較正と、UV光源照射シンチレータに対するシステム応答の反復画像を撮影しコンピュータシステムが必要に応じて較正を自動的に調整することとにより、補正することができる。
メンテナンスおよびダウンタイムを最小にし、設計をさらに最適化するために、実施形態では高速シンチレータ交換が必要である。これは、図14〜図19および図21〜図22に示されるすべての実施形態において、図14Aの1460のような薄型(たとえば2mm〜3mmの厚さ)で交換可能な大型のウィンドウ/シンチレータフレームモジュールアセンブリの設計により、実現され、これは、前面および/または背面筐体カバープレート1414内の小さなポケット(約2〜3mmの深さ)内に外部から容易にアクセスして落とすことができ、図14Bに示されるように、薄い1〜2mmの厚さの保持フレーム1410で外側から固定することができる。ウィンドウ/シンチレータモジュールアセンブリ1460は、15μm〜25μm厚の黒色アルミニウム箔等の超薄型ウィンドウ1402と、シンチレータフィルムまたはシート1406とからなり、どちらの構成部品も薄いフレーム1404の両側に装着または接着される。図14A〜図14Dの設計を用いた超薄型ウィンドウ/シンチレータモジュールの交換に要する時間はわずか数分のはずである。使用するシンチレータ/ウィンドウモジュール1460が1つだけの場合、1402のような超薄型ウィンドウ自体を、底部シンチレータプレートを追加することなく、フレーム1404に接着する。シンチレータの構成部品なしのウィンドウモジュールそのものは、図14C〜図14Dに1422として示され、カバープレート1420のポケット内に嵌合され、図14Cに示されるように保持フレーム(たとえば、図14Bの1410)によって適所で保持される。図14C〜図14Dは、2カメラ、1シンチレータの構成に基づく1つのそのような実施形態を示し、両方のカメラ1440および1442が、それぞれの折り畳まれた光学ミラー1430および1432を介して、背面ウィンドウ/シンチレータモジュール1460内の背面シンチレータ1406に、間接的に向けられる。図14C〜図14Dには、UV−LED1450およびUV−フォトダイオード1452も示されている。
実施形態は、所望のビーム空間/位置分解能と、EBRT用途のために典型的には約40cm×40cmまで拡大可能な必要なシンチレータアクティブエリアサイズとに応じて、1つまたは2つのシンチレータと、1〜12以上のカメラとを組み込んだ、光を通さない複数の異なる筐体ビームモニタを含む。一般的に、20cm×20cmのシンチレータの場合、固有の2D位置分解能は、必要なUFTビームモニタ仕様に応じて、約0.03〜0.2mmのオーダでなければならない。しかしながら、1、2、3、4、6、8、10、12またはそれ以上といった(図8および図14〜図22参照)、用いられるカメラの数と関係なく、複数のカメラ画像を綴じ合わせるのに必要なソフトウェアは、科学、工業、医療、消費者用途などのために市販されている。たとえば、複数のスマートフォンが、現在、Samsung Galaxy S10およびS10+のような、最小の歪みで高品質の画像を綴じ合わせるために超広角から望遠までの全範囲をカバーできる3つのカメラを使用する、マルチカメラシステムを使用している。上で開示されているプラットフォームは、シンチレータ表面において水平方向および鉛直方向どちらにも移動している粒子ビームまたは光子ビームを追跡し分析するために、複数のマシンビジョンカメラからストリーミングされている複数の画像を綴じ合わせることと、同等のことを、実行することができる。そのようなストリーミング画像の場合、実施形態におけるソフトウェアは、大抵の場合、光学歪みおよび機器/システム不均一性に対する較正および補正を提供することができるマルチカメラフレームグラバベースのシステムに基づいたFPGAである。
画像/画素分解能、低感光度、画素ビット深さ(すなわちグレースケール)、露光時間(すなわちシャッタースピード)、フレームレート、およびシステムレイテンシを含む画像処理速度に関する、用途の要件に応じて、カメラ画像を、ライブでストリーミングし、カメラインターフェイスの選択を含むシステムハードウェア、ファームウェアおよびソフトウェアに応じて場合によっては1画像当たり25〜100ps(すなわち10,000〜40,000fps)という潜在的に速いレートで、リアルタイムで処理および分析することができる。たとえば、約33μsのタイミング分解能に対応する、30,000fps超で動作するマシンビジョンカメラは、上記マルチカメラの20cm×20cmまたはさらには40cm×40cmのシンチレータEBRTビームモニタのような実施形態に対し、1カメラ当たり$5Kから$8Kのコストでサブmm画像分解能を提供することができ、これは単一単位量である。実施形態に係る大型の40cm×40cmシンチレータビームモニタリングシステムは、4つ以上のカメラを使用し、所望であれば、2つの異なるタイプのカメラを用いて構成され、たとえば、シングルシンチレータで6カメラの構成においては、比較的安価な高画像分解能で低フレームレート(fps)の4つのカメラと、より高価な高fpsの2つのカメラとしてもよく、8カメラシステムでは、4つの低速カメラおよび4つの高速カメラ、または4つの低感度カメラおよび4つの高感度カメラなど、他の組み合わせも可能である。実際、低コストで高空間分解能で低感度で低fpsのカメラは、超高速で高感度で超コンパクトなPMT(たとえば、30mm×30mm×32mmの寸法を有するHamamatsu H11934シリーズ)と並べて対にすることができ、カメラレンズは各PMTに結合され、したがって、カメラと同じシンチレータエリアを見ることができる。PMTは、超高速nsおよびサブns応答能力(たとえば10nsは100,000,000fpsに相当)によって低感光度および線量率情報を提供する。1,000〜2,000fpsまたはそれよりも遅いフレームレートを必要とする用途では、より小さいサイズのマシンビジョンカメラを$1K以下で調達できる(下記参照)。
図23A〜図23Bは、実施形態に係る、80mm/msで移動して厚さ191μmのBoPENシンチレータに10psの露光で照射した直径約3.6mmの陽子ビームの、真空チャンバウィンドウを通したカメラ画像を示す。使用するカメラは、FL25mmでf/1.4レンズを備えたBasler daA1280−54umであり、作動距離は約350mm、画素視野は48μm×48μmである。図23Aは、カメラの全視野の画像を構成する。
図23A〜図23Bにおいて、陽子ビームエネルギーは、10nAのビーム電流で5.4MeVであった。図23Bは、図23Aのビームスポットエリアの背景をデジタルで取り除いた拡大切出画像であり、約60×100画素の不規則な形状の楕円エリアを覆う強度分布ならびにビーム形状および寸法を含む画素分解能の詳細を示す。80mm/msの移動を原因とする10μsの照射中のビームの水平「スミア(smear)」は、わずか約0.8mmまたは約22%の延びである。
図24は、実施形態に従う、図23と同じカメラ/レンズを用いて撮影した1ms露光の画像を示すが、陽子ビームは、40mm/msでラスター化ジグザグパターンで前後に移動しながら超薄型12.2μmBoPENフィルムを照射する直径約2mmの陽子ビームである。図23A〜図23Bと同様に、陽子ビームエネルギーは10nAのビーム電流で5.4MeVであるが、レンズ作動距離は約390mmであり、これは、やや大きい55μm×55μmの視野画素分解能に対応する。同様の画像が3.0μmという薄さのBoPENフィルムで撮影されたが、近い将来は1.3μm厚のBoPENフィルムを照射することを計画している。
一実施形態は、システムインターフェースとしてのユニバーサルシリアルバス(「USB」)、ハードウェアおよび処理ソフトウェアを使用し、これは、最大約1,000〜2,000fps(すなわち1.0ms〜0.5ms)のレートで画像を処理および分析することが可能である。より高い性能を求めて、実施形態は、高速FPGAベースのフレームグラバハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアに対するインターフェースのためにいくつかのより高速のカメラインターフェイスを使用してストリーミング画像を一層速い速度で処理および分析し、これは、CoaXPress2.0(CPX−12)、GigE(10ギガビットイーサネット(登録商標))、Camera Link HSなどを含む。
再び図11A〜図11Dを参照して、シングルシンチレータ−フレームビームモニタの断面図と斜視図の双方が示されている。図11Aは、改良CF−フランジ6方向クロス真空チャンバ構成の6つのアームのうちの4つを示すが、任意のタイプのフランジシステム(たとえばConFlat、KF/QF、ISO−K、ISO−F、ASA、Wire−Sealなど)を使用することができる。図11Aに示されていない2つのアームは、図面において、ビームが図11Bに示されるクロス中心に入射する(1101)平面に対して垂直である。これらの2つのアームのうちのいずれかまたは双方は、真空隔離のために一方または双方のフランジに取り付けられた任意のゲートバルブを組み入れることができる。図11Bは、出口アームフランジに取り付けられた1つのそのようなゲートバルブ1110を示す。電離ビームに対するシンチレータの積算照射が時間の経過とともに蓄積されると、放射線量も蓄積され、これは通常はビームパイプ中心またはその近くに集中する。したがって、シンチレータ放射線ダメージが顕著になった時点で、シンチレータ−フレームユニット1140を、図11Dのそのトラック1145上で反対側(すなわち図11A〜図11Dにおいて右側)に向かって適切な距離(たとえば約1cm以上)だけシャフト1172で突くまたは押すことにより、未露光または最小露光のシンチレータフィルムを中央ビーム経路領域に引き込む。この線形シフト/移動は、手動で、または空気圧で、または図11Aの左側に示される線形ポジショナ1170によって示されるようにステッピングモータによって達成することができる。
図11Aは、上部ニップル内のカメラ1104およびカメラレンズ1106を、UV−LED/UV−フォトダイオードアセンブリの組み合わせ1180および真空排気/空気脱気ライン(図示せず)への円錐状の径違いニップル1190とともに示す。図11Dは、カメラレンズの両側に配置された2つの小型UV−LED1186およびUV−フォトダイオード1182の拡大図を示す。下部ニップルにおけるPMT1160は、図11Cにおいて最も明瞭に示されており、下部ニップル内のビューポイントウィンドウ1156の両側の2つの集光レンズ1150および1152は図11Dにおいて最もよくわかる。図11Dは、6方向クロス中心エリアの拡大図を示し、2つのビューポイントウィンドウ1155および1156、UV−LED、UV−フォトダイオード、2つのシンチレータ−フレームトラック、および2つの集光レンズが最も見やすい。
本明細書に開示されるすべての実施形態は、少なくとも1つのUV照明光源を、各UV光源の安定性をモニタリングするための少なくとも1つのUVフォトセンサとともに、含む。BoPENシンチレータのために実施形態において使用されるUV光源は、約280nmにピーク発光があるUV−LEDであり、BoPENシンチレータフィルムは、実質的に、厚さ約0.1μmの層内のフィルム表面でソース光子の少なくとも99%を吸収する。実施形態においてUV−LEDをモニタリングするために使用されるUVフォトセンサはUVフォトダイオードである。必要であれば、UV光源および/またはUVフォトセンサを、適切なUVバンドパスフィルタまたはUVショートパスフィルタに結合できる。いずれか特定のエリアで放射線ダメージが顕著になり始めると、図11Aおよび図11Dに示されるように、シンチレータフレームが遠方側に完全に押されるまで、シンチレータフィルムを遠方側に向けてわずかに押す。シンチレータがその使用可能な長さに沿って完全に放射線でダメージを受けると、シンチレータフレームをその初期位置まで引き戻して交換する。交換するには6方向クロスチャンバ内の真空を破壊する必要があるが、BoPENは放射性に対する耐性が優れているので(上記表1参照)、総合的なメンテナンスに割り当てられた、予め計画されているダウンタイム期間中にそのような交換を予定することが可能であろう。
シンチレータ6方向クロスチャンバが入口ゲートバルブと出口ゲートバルブの両方を含む場合、真空の破壊は、小さなチャンバ容積に制限され、ビームラインの残りの部分に影響しないようにし、よって、シンチレータフレームの交換は、いつでも都合のよいときに行うことができ、周囲の加圧および再排気を含めて約1時間ほどしかかからないはずである。結果の他の特徴は、上部アームのマシンビジョンカメラ、下部アームのPMT、左側のプッシュプル線形ポジショナ、および右側の径違いニップルであり、これは、ブリードバルブで小型真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、これを用いてチャンバが加圧され続いて再排気される。また、図示されていないのは、記載されているビーム入口ゲートバルブである。しかしながら、出口ゲートバルブは図11Bおよび図11Cで簡単に見ることができ、よって、入口ゲートは、図11Bの入口フランジに取り付けられると同じように見える。それぞれのニップル内のカメラおよびPMTの双方は、雰囲気圧力の大気内で保持される。これは、カメラ側で、UV透過ビューポイントウィンドウ1155をクロスフランジとカメラニップルとの間に挿入することによって実現される。UVウィンドウである理由は、この実施形態のUV−LEDがカメラレンズの側に位置しているからである。カメラの消費電力が大きな加熱を引き起こすのに十分であれば、ニップル背面フランジを開いたまたは通気する状態のままにしておくことで、カメラまたはレンズバレルの前面がUV−LEDおよびUV−フォトダイオードの後ろにおいて適切に遮光されている限り、自然対流または強制対流により空気冷却を容易にすることができる。同じビューポイントウィンドウ構成がPMT側で使用されるが、BoPENシンチレータ、または、青紫−青−シアン領域に発光ピークを有する減衰時間がより短い他のシンチレータの場合(たとえばEljen TechnologyのEJ−200、EJ−204、EJ−212、EJ−228、EJ−262など)、ビューポートウィンドウ1156はガラスでもよい。
PMT集光効率を最大にするために、1.0未満であり得るfナンバー(たとえばf/0.6〜f/0.9)を有する、1組の高効率で高透過率のガラス(たとえばSchott B270)非球面集光レンズが採用される。最大効率のため、図11Dに示されるように、第1の集光レンズ1150はクロス真空チャンバ内においてシンチレータ/フレームの真下の位置し、第2のレンズ1152はガラスビューポートウィンドウ1156の真下および周囲圧力のPMTの前に位置する。両方のレンズは、最大光透過率のために反射防止コーティングすることができ、PMTの前に位置する第2のレンズは、マッチング屈折率プラスチックまたはガラス光ガイド(たとえば円筒形)に光学的に結合することによって反射損失をさらに低減することができ、それにより、エアギャップを完全になくす。PMTは、最小ジッタ(たとえば0.3ns以下)、最大量子効率(たとえば22%以上)、および、最も重要な最大利得(たとえば1x106よりも大きい)のために、選択されねばならない。シンチレータは、短い減衰時間を有することに加えて、高い光収率を有していなければならず、全内部反射(total internal reflection)(TIR)が可能な場合、非集光表面上にまたは集光表面上のTIRをなくすために粗くされた表面上に設けられた反射コーティングを有することができる、または、最適なTOF性能のために、6方向クロスにおいて2つのマッチングPMTを2組の集光レンズとともに用いることができる(すなわちカメラを第2のPMTに置き換える)。
図12A〜図12Cに示される実施形態は、図11A〜図11Dに示される実施形態と同様であるが、デュアルシンチレータ−フレーム構成を収容するために2つの水平完全ピンプル1290および1292が追加されている。同様に、図13A〜図13Cの実施形態は、図12A〜図12Cの実施形態と非常によく似ているが、重要なことは、図12の実施形態を図13のロードロック真空チャンバに効果的に変換する2つの垂直ゲートバルブ1310および1311が追加されている点である。図12A〜図12Bは、カスタマイズされた6方向クロス真空チャンバの6つのアームのうちの4つを示し、図示されていない2つのアームは、図面において、ビームがクロス中心に出入りする平面に対して垂直である。図12Cは、6つの側面/アームすべてを示す斜視図であり、これは、ビームが入射(1201)および出射(1202)する2つの垂直アームを含み、図13A〜図13Cに示され図11に関して先に述べた1310および1311のような1つまたは2つの任意のゲートバルブを組み込むことができる。デュアルシンチレータ−フレームの実施形態は、シンチレータフレームを押すまたは引っ張ることができる3つのチャンバセクションすべてを通る、それぞれ図12Aおよび13Aに示される真っ直ぐなトラック1245またはセグメント化されたトラック1345のいずれかを使用する。同一の2つのシンチレータを用いると、シンチレータ交換までの最長時間を実質的に2倍にすることができる。図12A〜図12Bに示されるようなフレーム内のデュアルシンチレータ1240および1241は、各々が異なる目的のために選択された2つの異なるシンチレータ材料を使用することも可能にする。たとえば、一方のシンチレータは、最小フィルム厚さおよび最大ビーム透過率のために選択されてもよく(たとえば、BoPEN)、他方のシンチレータは、図12A〜図12Bに示される集光レンズシステムのような効率的な集光システムに結合されたときに可能な最速のタイミングを提供するための最小減衰時間および立ち上がり時間のために選択されてもよい。これは、サブnsのTOF(飛行時間)測定のための、図11Dのレンズ要素1150および1152、ならびに図10A、11Cおよび12Bそれぞれの高速PMT1060、1160および1260においてより明らかに見出すことができる。実施形態では、0.1ns以下のタイミング分解能を、図10A、図11A〜図11Dおよび図12A〜図12Bに示される6方向クロスビームモニタを使用して、電離度が高い高Z(すなわち原子数)のビームについて、実現することができる。
上述のように、図12A〜図12Cに示される実施形態において、それぞれのフレームに搭載された2つのシンチレータは、同一でもよく、または、第1のシンチレータ−フレームの組み合わせ1240を、高速タイミングのために選択し(たとえばSaint−GobainのBC−400)、第2のものを、BoPENのような組成が異なるより薄いシンチレータ1241としてもよい。これはビーム散乱および(陽子、イオン、電子、中性子などの粒子ビームまたは入射光子からの)エネルギー損失を最小としてビーム透過性を最大にするように選択される。その最初のスタート位置にあるシンチレータフレーム1241が図12Aに示され、これは、図12Bに示されるように反対(すなわち右)側に向けて少しだけ突かれるまたは引っ張られることにより未露光のまたは最小露光のシンチレータフィルムを中央ビーム経路領域に入れる前のものである。このような直線運動は、図12Aの直線プッシュプルポジショナ1220および1230、ならびに図13Aの1320および1330を用いて手動で実現可能である、または、空気圧でもしくはステッピングモータによって制御することができる。
電離ビームに対するシンチレータの積算照射が時間とともに蓄積されると、放射線量も蓄積され、これは通常は図12Bに示されるビームラインクロス中心1250またはその近くに集中する。2つの水平長さニップル1290および1292は、図12Bの2つのシンチレータフレーム1240および1241を保持し、シンチレータフレームプッシュプル線形ポジショナ1220および1230は、それぞれのニップルおよびシンチレータフレームに取り付けられ、2つのシンチレータフレームをそのトラック上で左側からビーム中心領域1250を通るように押すまたは引っ張る。完全に「使い切られた」(すなわち放射線ダメージを受けた)とき、中央のシンチレータフレームは、取り出すために図12Aの右側ニップルチャンバ1292(または図13Aの1392)内に右から引っ張られ、一方、図13Aの左側ニップル1390の左側シンチレータフレーム1340は、ビームが図13Cのフランジ1301を通って入射する6方向クロスの中心に押し込むことができる。上部鉛直ニップルは、図10〜図13のそれぞれのカメラ1004、1104、1204、1304とカメラレンズ1006または1106とを含み、下部鉛直ニップルは、PMT1060、1160、1260または1360(またはSSPM)を含む。カメラおよびPMTを含む2つの鉛直ニップルは、周囲圧力であり、それらの密閉されたウィンドウ、たとえば、図11Dに示される1155および1156によって真空から隔離される。シンチレータは、それぞれが2つのゲートバルブ1310および1311を閉じることができる約2cmの2つの遮断または開放セグメントを有する、図13Aおよび図13Bの3つのセクションのチャネル/レールまたはトラック1345に沿って押し引きされる。シンチレータフレーム1340および1341の各々は、ゲートバルブを閉じることで、真空を破壊せずに取り外すことができる。ゲートバルブを閉じた状態で、シンチレータ交換のために、各シンチレータニップルセクションを個別に加圧し、その後小さなポンプを使用して2つのニップルティーセクション1391および1393を通して再排気することができる。
図12に示される実施形態は、シンチレータ交換中に各ニップルを隔離するためのいかなるゲートバルブもないので、「ニップル」1290が、実際のところ、シンチレータ交換中のダウンタイムを最短にするために、外部加圧ラインおよび任意の真空ラインに接続するための、径違いフランジ1291を有する径違いティーである。この構成は、外部加圧/真空排気ラインに取り付けるための、図10Aおよび図11Aに示される円錐型径違いニップル1090および1190と機能的に類似している。図12または図13では見えにくいが、内部較正の目的のために、記載されている実施形態は、図10Aおよび図10Cのカメラレンズ1006の各側に示されるUV−フォトダイオード1082および1084を含むことにより、各UV−LED1086および1088の出力をモニタリングして、UV−LED出力光度の変化を補正する。図11Aでは1180、図11Dでは1182および1186としても示される、図10Aの内部UV−LED/UVフォトダイオード較正システム1080は、カメラセンサ出力の、時間または温度に伴う変化を、モニタリングおよび補正するためにも使用される。
特定の用途およびビームラインモニタリング要件に応じて、上記および図9〜図13に記載される6方向クロス構造のいくつかの変形形態が利用可能である。たとえば、PMTが必要とされない場合、5方向クロスが使用できるが、空間分解能、感度および精度が必須である場合、6方向クロスは、2つのカメラ、すなわち、図9Aに示されるようにPMTを置換する第2のカメラで使用できる。あるいは、ビームラインモニタが、最高のタイミング分解能および要求される精度で飛行時間(「TOF」)測定のために最適化される場合、2組の集光レンズを有する2つの密接に整合したPMTを使用することができ、前述の通りカメラを排除することができる。他の用途では、3方向T字型または3方向T字型だけが必要とされる可能性がある、または4方向クロスが利用される可能性がある。
すべてのビームラインモニタリングシステムが、電子および中性子ビーム送達システムのセグメントを含む真空ビームパイプ環境に統合される必要はない。しかしながら、このようなシステムは、本明細書に開示されるさまざまなマルチアームクロスの実施形態を依然として利用することができる。空気中のビームをモニタリングするために、クロスは排気される必要はないが、入口および出口フランジに薄いホイルまたは暗/黒色ポリマーフィルムウィンドウ、またはそれらの何らかのポリマー−ホイルの組み合わせを追加することによって単に光を通さないようにすることができる。シンチレータの回収を強化するために、空気雰囲気は、酸素または酸素増強混合物、または純粋な窒素またはアルゴン、あるいは任意の他の種類の特定の雰囲気を含む任意の気体雰囲気と置き換えることができる。
カメラを用いるすべての実施形態は、さまざまな入射角または反射角でシンチレータを観察する1つまたは複数のカメラを含み、後者は折り畳まれた光学ミラーシステムを介して間接的に観察する。パラメータ最適化により、各用途について、シンチレータ面(すなわち表面)または鏡に対する法線に対する最も適切なカメラレンズ入射角を決定する。本明細書に開示されている実施形態のほとんどについて、シンチレータに対するカメラレンズ視角は、典型的には25〜65°の範囲、平均約45°である。図6、図23および図24における撮影されたカメラ画像の場合、シンチレータ法線に対するカメラ入射角は、典型的には、20〜30°以内である。図8〜図22の実施形態では、シンチレータ法線、または図8および図14〜図20の場合はミラー法線に対する平均カメラ角度は、典型的には40〜50°であったが、筐体の深さまたは厚さを最小にするために大きくすることができる。しかしながら、2、3度より大きなカメラ角度は、画像のいくらかの角度歪みを引き起こし、歪みの量に応じて、たとえば円形は歪んだ楕円のように見えるまたは歪んだ楕円として現れる。実際、カメラからシンチレータまでの角度がほんの5°の場合、歪みが目立ち始め、10°の角度では、歪みは明らかに目立つ。したがって、図6、図23および図24の画像に対する20〜30°の角度において、議論されている楕円体は実際に円形かもしれないが、この歪みのために楕円体であるようにしか見えない。移動しているビームまたはラスタービームの画像の場合、ビームの動きは、画像の形状を伝播方向にさらに歪ませる(図23および図24参照)。これらの画像歪みはソフトウェアで補正することができる。
図25は、実施形態に係る、光を通さない筐体内における自然対流による空気循環のための4プレート光バッフル2500を示す。強制対流による、より効率的な、光を通さない空気循環構成は、1つ以上の小型ファンを追加することで実現できる。
図26は、実施形態に係る、45°の傾斜角で撮影した2×2インチの直線画像の写真である。図26は、キーストーン効果(たとえばレンズ配向に対する傾斜角によって引き起こされる画像の遠近法短縮)としても知られる透視歪みを示す。
図26に示されるように、上で開示されている、傾斜角によって引き起こされる角度歪みは、斜視歪みとして知られるが、傾斜歪み、キーストーン効果、キーストーン歪み、または単にキーストーニングとも呼ばれる。よく知られた例は、地面から高層建築物の写真を撮影するときに起こり、建築物は、高いほど、またカメラの傾斜角が大きいほど、一層台形に見える。本明細書で提示される画像はいずれも、この歪みに対して補正されていないが、現代の画像編集ソフトウェアを用いてリアルタイムで容易に補正される。明らかに、カメラレンズの傾きの角度が大きいほど、歪みが大きくなり、画像上端における画像分解能の差は、下端と比較して大きくなる。たとえば、図8および図14〜図22において、シンチレータに対する平均カメラレンズ視角は、図26における45°の角度の代わりに約60°である。10cm×10cmシンチレータ象限(たとえば図17および図19〜図20)の中心に焦点を合わせたカメラの下縁と比較して、画像の上縁における画像分解能にほぼ2倍(すなわち2×)の差があり、カメラレンズから画像視野の最も近い点(すなわち象限の頂部)までの作動距離は10cmである。60°以上の角度は、以下で開示されるBNCTが要求するような可能な最も薄いビームモニタ構成を実現するのに必要である。
上記実施形態は主として陽子ビームおよび陽子ビーム治療への適用性に関して説明および試験されているが、これらの実施形態は、粒子ビーム治療(たとえば陽子、ヘリウムイオン、炭素イオン、電子など)ならびに中性子粒子ビームのためのものを含むすべての種類の粒子ビームに適用可能である。高速中性子は、BoPENシンチレータフィルムに関連する上述の利点からも利益を得ることができるが、低速〜熱中性子は、ホウ素中性子捕捉療法(「BNCT」)およびガドリニウム中性子捕捉療法(「GdNCT」)が着目するホウ素ドープEJ−254等のホウ素またはリチウムまたはガドリニウムドープシンチレータを必要とする。開示されている実施形態のほとんどはBoPENシンチレータに言及しているが、これらの実施形態のいずれもシンチレータに特有のものではなく、したがって、任意のシンチレータ材料を使用することができる。記載されている実施形態は、粒子研究加速器にも注目する。そのような研究に使用される粒子ビームは、電子ビームおよびミューオンビームから、希同位体およびエキソティック重イオンまでのすべてのビーム、ならびに大きく荷電されたウランイオンビーム(たとえば、+60より大きい正味電荷を有するU−238)等の放射性イオンビームを含む。加えて、産業界では数万の粒子ビームが使用されており、これらの実施形態のさまざまなバージョンがそこに用途を見出すことができる。
実施形態は、高エネルギーの光子ビーム(たとえばMeVガンマおよび/またはX線)に基づく外照射治療(「EBRT」)にも使用することができる。本明細書に開示されている実施形態、たとえば、図8および図14〜図22に開示されるものは、光子EBRTにおける広範な用途を見出す周知のイオン化チャンバビームモニタを超える利点を有し、FLASH療法には一層好都合である。イオン化チャンバにを超えるこれらの利点は、最大2桁速いビームプロファイル撮像時間(たとえば約10μs対1000μs)、1桁以上優れた良好な固有2D位置分解能(たとえば約0.03mm対1mm)、および1桁を超えて高い線量率能力(たとえば約5,000Gy/s対120Gy/s)を含む。図8および図14〜図22に示される光を通さない周囲圧力ビームモニタ筐体のすべては矩形の形状であるが、これは必要条件または限定ではなく、したがって円筒形のビームモニタ筐体等の他の形の筐体を使用することができる。加えて、上記イオン化チャンバおよびシンチレータベースのUFTビームモニタの厚さは、仕様に応じてほぼ同じの可能性がある。
最大のセンササイズ、最良の低感光度、最大のビット深さ(すなわち画素グレースケール範囲)、最高のフレームレート、最も高度な埋込みFPGA回路、したがってMB/sでの最高のデータ伝送出力の、最高性能のカメラは、消費電力が最も多い。そのようなカメラの最大消費電力は、1カメラ当たり約10ワットのオーダの可能性があるが、カメラが動作していないときの待機電力は、カメラによってははるかに少ない可能性が高い。また、図23および図24の画像に使用されるようなより小さいカメラの場合、平均消費電力量はわずか1ワットであった。しかしながら、密閉された筐体内で動作するより電力消費が大きいカメラの場合、発熱とそれに続く熱の蓄積は、適切に対処されなければ問題となり得る。
熱の蓄積という潜在的な問題にはいくつかの解決策があり、それは、たとえば、図25のように、自然の空気対流による冷却を可能にする、互い違いの孔を有する一連の内部バッフル付き通気孔を使用して光漏れを遮断することを含む。そのような通気孔の全体の厚さは、2〜3cmを超える必要はない。必要であれば、この概念は、強制空気冷却のために1つ以上の小型ファン(たとえば2インチ〜4インチのブレード径)に結合された場合、強制対流によって補うことができる。少なくとも2つのそのような通気光バッフルが必要とされ、好ましくはシンチレータ箱型筐体の両側に取り付けられる、すなわち、空気/酸素流入用の入口バッフルと、空気/酸素流出用の出口バッフルとが必要とされる。図25(側面図)は、入口2501から出口2502への光バッフル通気孔の互い違いの孔を通る空気流を示すために破線矢印を使用する。光バッフルの目的は、光漏れを防止または最小化しつつ、シンチレータ箱型筐体を通る冷たい周囲空気流、または極低温冷却窒素などの低温ガス、または酸素富化空気、またはシンチレータ箱型筐体を通る純粋な酸素循環の連続的な循環および交換を、容易にすることである。シンチレータ箱型筐体内の酸素循環の動機は、シンチレータ内への酸素拡散が、入射電離放射線ビームによってシンチレータ内に生成される放射線ダメージフリーラジカルの酸素捕捉によるシンチレータダメージの部分的回復または修復を容易にすることにより、シンチレータ放射線ダメージを潜在的に最小化できることである。
これに代えて、光を通さない筐体を、カメラレンズの周りで密封することができ、カメラ本体は、光を通さない筐体の外に突出し、それによってカメラ熱を外部の周囲開放空気環境に排出する。6方向クロスシステムの場合、特注の短いニップルは、カメラレンズに対する光を通さないシール(たとえば二重Oリング)を用いて作成することができ、したがって、カメラ本体は、外部に突出してニップルフランジを超えて外部大気まで延びる。一部のカメラは熱電冷却センサとともに販売されているので、カメラまたはシリコン画像センサの能動的冷却を使用するという選択肢があり、または極低温冷却を使用するという選択肢さえある。最後に、各カメラおよび/またはセンサは、温度の関数としてそれらの信号応答またはドリフトについて較正することができ、その後、その筐体内のカメラまたはセンサの温度がモニタリングされ、その信号応答がソフトウェアによって自動的に補正される。
EBRT用途における中性子の検出について、中性子ビームモニタリングシステムの最も明らかな2つの位置は、(1)Liターゲットのすぐ後ろであるがモデレータの前であり、主として低速中性子であるがおそらく一部の高速中性子(たとえば約0.8〜1MeV)が典型的には約2.6MeVの陽子ビームによって生成され、(2)中性子エネルギーが、多くのホウ素中性子捕捉療法(BNCT)治療計画に対し、エピサーマルエネルギー範囲まで、しかしより広くは熱中性子から低速または高速中性子までの範囲にわたり劣化する、モデレータの後ろである。1つの中性子ビームモニタのみが使用される場合、最も重要な位置は、モデレータのすぐ後ろ、患者の前である。フィンランドにおける最近の試験は、1〜30keVの「低速」中性子がBNCT治療の実用的なエネルギー範囲を構成することを示唆している。本明細書に開示されている実質的にすべてのビームモニタ実施形態は、上記位置(1)におけるLiターゲットのすぐ後ろで生成される中性子の検出およびモニタリングに対して十分に機能するはずであり、BNCTマシンの中性子強度は約1013n/sのオーダであると推定され、これは、0.2mm厚のBoPENフィルムからの約5×1013シンチレーション光子/秒に対応する。したがって、ビームとの相互作用を最小にしつつも大量のシンチレーション光を生成するために、はるかに薄いシンチレータフィルムを使用することができる。たとえば、厚さ12μmのBoPENフィルムシンチレータは、1秒当たり約3x1012のシンチレーション光子を生成するはずである。しかしながら、位置(2)におけるビームモニタリングの場合、追加されたモデレータに加えてエネルギーフィルタリングは、エピサーマル中性子の数を、少なくとも数桁大幅に低減し、これは、位置(1)におけるより強力な「低速」中性子よりもエネルギーが低いために、いずれにせよ検出することが顕著に困難である。このことは、モデレータの後の中性子ビームモニタリングのために、B10または別の高中性子断面同位体(たとえばLi6またはGd)ロードシンチレータが、シンチレーションホストにおける蓄積エネルギーを増加させるために必要とされることを意味する。そのようなシンチレータは、プラスチックシートで入手可能であり、上で開示され図11〜図22に示されるシンチレータフレームの実施形態に組み込むことができる。
BNCT頭部および頸部EBRT治療の場合、患者の頭部は、通常、中性子ビーム出口ノズルの非常に近くに配置され、したがって、シンチレータ法線に対する最大のカメラ−レンズ角度(たとえば60°〜70°)に対応して、最薄プロファイルビームモニタが必要である。カメラ角度が60°以上の図14〜図19の改良バージョンは、イオン化チャンバとほぼ同じ厚さである、約6cm〜8cmの全ビームモニタ厚さ(すなわち入口から出口ウィンドウまで)の、そのような用途のために設計されている。これらの実施形態(図示せず)は、図14〜図19と同様に見えるが、図14〜図19の約45°の角度と比較して、約60°〜70°というより厳しい平均カメラ−レンズ角度のため、単により薄い。
上で開示されている中性子ビームモニタの場合、どちらもB10ロードプラスチックPVTベースのシンチレータであるEljen EJ−254またはSaint−Gobain BC−454、またはSaint−Gobainのセリウム活性化Li6ドープケイ酸塩ガラスシンチレータ等の、いくつかの高中性子断面同位体ロードシンチレータが利用可能であるが、Li6ドーププラスチックも製造されている。BNCTおよびGdNCT(ガドリニウム−NCT)の両方を含むさまざまな中性子捕捉治療(「NCT」)用途では、使用される中性子ビームは、熱NCTから高速NCT(FNTとも呼ばれる)までのエネルギー範囲に及ぶが、ほとんどのNCTプログラムは、エピサーマルNCTに基づくと思われる。残念ながら、これらの中性子のすべては、陽子および/または光子よりも、シンチレータ材料にダメージを与え、したがって、シンチレータの交換ははるかに頻繁に行われる必要がある。この理由から、上記実施形態において採用されている内部較正スキームは、中性子ビームモニタの実装に成功するには重要であり、シンチレータ交換および内部較正を数分以内にできることは、より頻繁な交換のため、陽子または光子EBRTよりもNCTにとってさらに有益であろう。ホウ素ドープシンチレータの有用寿命を延長し、したがって、それを頻繁に交換する必要がない1つの方法は、電動XY平行移動段階をビームモニタ筐体構造に統合し、それによって必要に応じて比較的小さいステップでシステム全体をX−Y平面において平行移動させることである。よって、等角点の周りで動かしシンチレータ交換の間隔を長くするこのストラテジは、概念的には、前述のプッシュ−プル線形ポジショナを介してシンチレータフレームを6方向クロスの小さなステップで動かすことと同様である。
中性子検出のためのシンチレータに関連する一般的な複雑さは、大部分の中性子源もガンマを生成し、したがって中性子を検出するシンチレータもガンマを検出することにある。ほとんどの用途は、医療用イメージングまたは国土安全であり、ガンマと中性子とを効果的に区別することができる中性子検出システムを必要とする。図18および図19に開示されるビームモニタの実施形態は、BNCTおよびGdNCT等のNCT用途ならびに国土安全等の他の用途のために、そのような区別を効果的に提供することができる。これを達成することができる方法は、図18および図19において構成されている2つの異なるシンチレータを使用することであり、たとえば、1862および1962等の一方側(たとえば入口ウィンドウ)のシンチレータは、それぞれ、薄いBoPENフィルムまたは従来のポリビニルトルエン(「PVT」)もしくはポリスチレン(「PS」)ベースのガンマ/イオンシンチレータのいずれかで構成されていてもよい。1860および1960等の反対側(たとえば出口ウィンドウ)のシンチレータは、それぞれ、ホウ素ロードEJ−254ベースのPVT(約5%の天然ホウ素)またはBC−454ベースのPVT(約5%の天然ホウ素、10%の天然ホウ素も利用可能)等の中性子感応性シンチレータである。中性子で生成された画像/信号をガンマによって生成された画像/信号から分離する方法は、1860または1960シンチレータによって生成さた画像/信号から1862または1962シンチレータによって生成された画像/信号をデジタル的に減算することである。そのような設計は、高いガンマ−中性子弁別レベルを有するかのように模倣するまたは振る舞う。
中性子によるシンチレータのダメージを調べる際に、ビームモニタカメラへの放射線ダメージの問題も検討した。実験は、陽子療法治療室内の患者観察カメラに対する何年かの期間にわたる低速の放射線のダメージは、主に中性子が原因であることを示している。一部の中性子はコリメータ内で生成されるが、中性子の主な源は、陽子ビームシステムではなく、患者の相互作用および陽子ビーム自体の吸収から、すなわち主に陽子ビームが患者内部の腫瘍部位で停止する場所から生じる。デジタルカメラへの放射線ダメージは、空間天文学で使用されるイメージングセンサ(大部分はCCD)について、および、融合研究用などのカメラによって高中性子フラックスが生成されモニタリングされる他の状況について、広く研究されてきた。カメラのシールドは有用である可能性はあるが、それほど簡単ではないこともわかっている。1つの解決法は、カメラセンサを約−20℃以下まで直接冷却することであり、これはまた、熱源としてのカメラを排除し、それによって、カメラだけでなくUV−LED、UV−フォトダイオード、および場合によってはシンチレータ応答自体の較正ドリフトを引き起こす熱加熱を減じる。
カメラセンサ/電子機器は、通常はシリコンがホウ素でドープされてp型シリコンとなるので、中性子ダメージを受けやすい。しかしながら、p型シリコンは、ホウ素の代わりにガリウム(「Ga」)をドープすることによって製造することも可能であり、これにより、放射線硬化シリコンデバイスが製造される。CMOSイメージセンサおよびカメラを含む放射線硬化半導体および放射線耐性半導体の両方が、いくつかの供給源から入手可能であり、その理由は、そのようなセンサおよびカメラが、軍用、航空宇宙、科学、および核エネルギーを含むいくつかの用途に必要とされるからである。従来のホウ素ドープシリコンデバイスでは、中性子を原因とする主なカメラの視覚的ダメージは、大抵シリコン画像センサにおける「明」画素を生じさせる。放射線ダメージによって引き起こされる「明」画素は、高い暗電流画素または「ホット画素」である。いくつかの実施形態は、ビーム照射室内のカメラを数年ごとに交換する。生成された中性子の大部分は、陽子ビーム運動方向に散乱し、これは、患者が照射されている場所の反対側に向かうものであり、したがって照射室の後方に向かうものである。しかしながら、照射室全体は散乱中性子場によって有効にされ、一部の中性子はビームノズル出口および患者の前に位置するカメラに向かって後方散乱する。ビームモニタリングシステムの頻繁な内部較正は、放射線ダメージを受けた画素を識別するので、画像分析へのそれらの寄与は、ソフトウェアによって都合よく排除することができる。カメラの部分的中性子シールドはいくつかの手段によって達成することができ、それは、市販の5%ホウ素ドープPVTプラスチックシンチレータと同様に、カメラ本体およびレンズの前でホウ素ドープ透明プラスチックを使用することを含むが、フッ素ドーパントは添加しない。カメラ自体は直接ビーム経路から外れて配置されるので、入口ウィンドウ領域および出口ウィンドウ領域を除く光を通さないカメラ箱型筐体全体は、CeradyneのBorAluminum(約4.5重量%〜8重量%のB−10同位体)のようなホウ素−アルミニウム合金、S−DHのAluBor(10重量%の天然ホウ素)、またはBORALもしくはBORTEC等のホウ素被覆アルミニウムのような、中性子シールド金属シートから作ることができる。また、ホウ素繊維で作られたホウ素複合プレートを使用することもできる。これに代えて、多数の小さな遮蔽板を各カメラ本体の周囲に戦略的に配置することができる。カメラの前面を中性子から遮蔽するための別の解決策は、カメラレンズの前において、厚い、高いホウ素含有量の透明ホウケイ酸ガラス(たとえば3〜5%ホウ素)を使用することであり、これはカメラ本体全体の前であってもよい。多数のホウケイ酸光学ガラスがあるが、それぞれホウ素が4.7%、4.0%、および3.1%(重量%)の、Schott N−ZK7(15重量%B2O3)、N−BK10(13重量%B2O3)、およびN−BK7(Borkronとも呼ばれる、10重量%B2O3)、または、ホウ素4.0%のSchott BOROFLOAT−33(すなわち13%B2O3)はすべて、12.6%B2O3であるCorning7740ガラス(Pyrex(登録商標))のように、すべて容易に入手可能である。しかしながら、他のホウ酸塩ガラスよりもはるかに経済的であるBOROFLOAT−33は、中性子遮蔽用に、最大約25mmの厚さで販売されている。B2O3およびGd2C3が極端に高いガラスが、出願PCT/JP2013/069578等の特許文献に記載されており、場合によってはより効果的であることに、留意されたい。また、高濃度ドープホウ素およびリチウムポリエチレンシート、ブリックおよびロッド/シリンダの供給源は、Shieldwerx(Bladewerx LLCの事業部)であり、これは、SWX−210と呼ばれる30%天然ホウ素ドープポリエチレン製品(すなわち1.87×1022/cm3のホウ素原子を含有)、および、7.5%天然リチウムドープポリエチレン製品SWX−215を販売している。ホウ素ドープ中性子シールド材料の欠点は、ホウ素によって捕捉された各中性子が0.42MeVのガンマ線を発生させることである。しかしながら、リチウムドープシールド材料は、中性子捕捉ガンマを発生させない。しかしながら、B10と比較してLi6の低中性子捕捉断面は、同様にドープされたホウ化材料よりも厚いリチウムドープ材料が必要であることを意味する。
中性子ダメージに関して、カメラ、または場合によっては単にシリコンイメージセンサをどの時点で交換する必要があるかを実験的に判断する必要があるが、陽子または光子治療の場合は何年かで交換の可能性が最も高い。なぜなら、内部較正システムは、不良画素が発生するとリアルタイムで調整できるからである。また、画像センサ画素サイズが大きいほど、放射線ダメージを受けにくいことにも留意されたい。図9〜図13の6方向クロスのようなビームラインモニタの場合、光学系の長さを延ばすことにより、光子収集および空間分解能に対する有害な影響を最小化しながら、カメラをビームライン、したがって放射場からかなりの距離だけ遠ざけることができる。これは、リレー列アセンブリを含むリレーレンズシステムの導入を通して実現することができる。具体的な設計は、カメラシステムの光学管長を延長するために望ましい距離に応じて決まる。リレーレンズは、遠隔観察のために視距離を伸ばすように作られ、中間焦点面を生成することによって動作する。光学画像の収集および分配は、リレーレンズまたはリレーレンズ列を介して光パターンを伝達する集束レンズを用いて行われる。いくつかの例は、ペリスコープ、内視鏡、遠隔検査および監視を含む。多種多様なリレーレンズが市販されている。
実施形態は、粒子放射線および光子放射線の両方の場合の外照射療法(「EBRT」)関連用途を対象とする。両方のタイプのEBRTについて、実施形態は、2つの場所のいずれかで使用するように設計されたビームモニタリングシステムを対象とし、上記場所は、(1)加速器ビーム照射システムの内部に配置された内部ビームモニタであり、したがってビームがシステムノズルもしくはスナウト(snout)もしくはコリメータを出る前、または(2)加速器ビーム照射システムの外側に配置された外部ビームモニタであり、システムノズルもしくはスナウトもしくはコリメータを出た後であり、したがって、照射システム出口の後ろかつ患者の前に位置する。
実施形態はさらに、イオン注入加速器(たとえば、イオンに依存し、典型的には>0.3MeV)および核物理学粒子加速器等の、さまざまな工業および科学ビームモニタリング用途に使用することができる。イオン粒子エネルギーは1MeV未満であることが多く粒子自体は典型的には高イオン化され重い核であるので、典型的に、イオンビーム注入は、ビーム透明度に関して最も厳しい検出器/モニタ設計要件を有する。核物理学に使用される多くの加速器はまた、比較的低いイオンエネルギーから中程度のイオンエネルギーで動作し、したがって、実施形態に係る同じビームモニタ概念を両方の用途に使用することができる。記載されている実施形態のいくつかの追加の利点は、従来のシステムの時間を要する較正のコストと比較して、ビームモニタの必須ハードウェアの相対的に低いコスト、および、超高速内部較正システムに関連する最小オーバーヘッド費用を含む低コスト寿命の動作/保守費用を含む。この利点は、他の検出器/モニタの保守および放射線ダメージ交換費用が高い科学用途(たとえば核物理学)にとっても重要である。
本明細書に開示されているUFTビームモニタの実施形態の治療上の利点は、「FLASH」照射療法において特に有用であり、この療法では、40Gy/sを超える超高線量率(すなわち、FLASH)で、60秒以上の期間にわたって単線量で0.03Gy/s以下の従来の線量率と比較して短いパルス(約0.5秒)の放射線が照射される。FLASH放射線療法はがん治療の劇的な変化をもたらし得るものである。なぜなら、超高線量率は、正常組織と腫瘍組織との間で異なるレスポンスを増大させることによって悪性細胞の死亡率を高めるが健康な細胞へのダメージを大幅に増加させることはないと思われるからである。FLASHビームをリアルタイムでモニタリングするために、記載されているUFTビームモニタの、はるかに高速のビームプロファイルイメージング時間および読出機能、大幅に改善された固有2D位置分解能、ならびに一層高い線量率機能は、従来のイオン化チャンバと比較して、極めて大きな利点をもたらし、この意味において、予期せぬ可能化技術であると思われる。
実施形態は透過性電離放射線ビームモニタリングシステムを含み、このシステムは、入射電離放射線ビームに対する超薄型で暗色または黒色の出口ウィンドウを有する筐体構造と、直接的に入射電離放射線ビーム経路内にあり入射放射線ビームに対して透過性である、筐体構造内の少なくとも1つの薄型シンチレータと、シンチレータに面し内部システム較正のための、筐体構造内の少なくとも1つの紫外線(UV)光源と、UV光源をモニタリングし較正するように配置された、筐体構造内の少なくとも1つのUVフォトセンサと、入射電離放射線ビーム経路の外に位置し、カメラ本体とレンズとを含む、筐体構造内の少なくとも1つのマシンビジョンカメラとを備え、その光軸の投影は、シンチレータの表面に対する入射角度が50±30度となるように配向される。
実施形態はさらに、マシンビジョンカメラからの画像データストリーミングをリアルタイムで処理し分析するためのフレームグラバを含むコンピュータシステムと、マシンビジョンカメラとコンピュータシステムとの間の有線ケーブルまたは無線データインターフェイス接続とを備え、シンチレータエリアを取囲む複数のマシンビジョンカメラをさらに備え、複数のカメラの各々は、シンチレータエリアの1つの特定セクションに焦点を合わせた対応するレンズを有し、その視野は特定セクションを中心とし、各UV光源に極めて近接して光学的に結合されたUVバンドパスフィルタをさらに備え、UVバンドパスフィルタは、UV光源からの最大発光のスペクトル領域において最大スペクトル透過率を有し、UV光源は、UV発光ダイオード(LED)を含み、UV発光ダイオード(LED)は、シンチレータの強力な吸収領域に対応する発光ピークを含み、シンチレータ発光領域における光出力が最小であり、コンピュータシステムは、ビームの位置および動きを追跡することと、ビーム形状、ビーム強度プロファイル、ビームフルエンスおよび外部線量測定を、マシンビジョンカメラのストリーミングデジタル出力からリアルタイムで計算することとをさらに含み、薄型シンチレータは、二軸延伸ポリエチレンナフタレート(BoPEN)を含む。
実施形態は透過性電離放射線ビームモニタリングシステムを含み、このシステムは、入射電離放射線ビームに対する超薄型の入口ウィンドウと超薄型の出口ウィンドウとを含む、光を通さない筐体を備え、入口ウィンドウおよび出口ウィンドウは、入射電離放射線ビームに対して高透過性であり、暗色または黒色の、ポリマーフィルムまたは金属箔またはポリマーと箔とを組み合わせた複合物、のうちの1つを含み、直接的に入射電離放射線ビーム経路内にあり入射放射線ビームに対して透過性である、光を通さない筐体内の少なくとも1つの薄型シンチレータと、シンチレータに面し内部システム較正のための、光を通さない筐体内の少なくとも1つの紫外線(UV)光源と、UV光源をモニタリングし較正するように配置された、光を通さない筐体内の少なくとも1つのUVフォトセンサと、入射電離放射線ビーム経路の外に位置する、カメラ本体とレンズとを含む、光を通さない筐体内の少なくとも1つのマシンビジョンカメラと、各レンズに極めて近接し、入射電離放射線ビーム経路の外に位置し、レンズおよびシンチレータの両方に対して斜めにある角度をなして面する、ミラーとを備え、マシンビジョンカメラと、マシンビジョンカメラに対応付けられた極めて近接するミラーとは、光を通さない筐体の厚さまたは深さを減じるための、シンチレータの表面へのその視野に対して折り畳まれた光学系構成を含む。
実施形態はさらに、外照射療法によるがんの治療に対して最適化され電子、陽子、イオンもしくは中性子の粒子ビーム、または、X線もしくはガンマ線の光子ビームのうちの一方を含む電離放射線ビームを含み、薄型シンチレータは、厚さの範囲が1μm〜300μmである二軸延伸ポリエチレンナフタレート(BoPEN)のフィルムまたはシートを含み、シンチレータはロール・ツー・ロールシンチレータ供給構成を含み、シンチレータフィルムが、光を通さない筐体の内部に位置する小径の供給スプール上に巻かれて保管され、ビーム軸通過ウィンドウエリアを通って巻取スプール上まで引っ張られ、シンチレータフィルムは、巻取スプールスピンドルを回転させてシンチレータフィルムの新たな部分をビームウィンドウエリアを通して移動させることにより過去にダメージを受けた放射エリアと置き換えるステッピングモータによって送ることができ、入口ウィンドウおよび出口ウィンドウのうちの一方または双方は、ウィンドウ/シンチレータフレーム構造が光を通さない筐体の外部からアクセス可能な単一の交換可能なモジュールユニットを含むように、薄型フレームによって薄型シンチレータに個別に物理的に結合され、シンチレータエリアを取囲む複数のマシンビジョンカメラをさらに備え、各々のカメラは、シンチレータエリアの1つの特定セクションに焦点を合わせた、その折り畳まれた光学系のレンズを有し、その視野は特定セクションを中心とし、コンピュータシステムはフレームグラバを含み、フレームグラバは、複数のカメラからのデータを組み合わせてシンチレータエリア全体にわたるビームの位置および動きを追跡し、ビーム形状、ビーム強度プロファイル、ビームフルエンスおよび外部線量測定を、マシンビジョンカメラのストリーミングデジタル出力からリアルタイムで計算し、シンチレータエリアを取囲む複数のマシンビジョンカメラをさらに備え、各カメラは、小型ミラーに極めて近接しかつ光学的に結合されることにより、光を通さない筐体の厚さを最小にするためにマルチカメラ折り畳み光学系構成を形成し、複数のマシンビジョンカメラのうちのいくつかのマシンビジョンカメラは短露光時間で動作しその他のマシンビジョンカメラは長露光時間で動作し、デュアル入口−出口ウィンドウ/シンチレータモジュールシステムの場合、マシンビジョンカメラの近接するミラーの折り畳まれた光学系ユニットのうちのいくつかは、入口シンチレータエリアに焦点を合わせ、残りは、出口シンチレータエリアに焦点を合わせ、コンピュータシステムは、2つのシンチレータ間のビーム角度の相違を計算する一方で、ビームの位置、動き、強度プロファイル、フルエンスおよび外部線量測定の精度および分解能を改善することができる。
実施形態は透過性電離放射線ビームモニタリングシステムを含み、このシステムは、真空互換フランジを有する真空チャンバ構造を備え、それを通して入射電離放射線ビームがモニタリングシステムに入射しモニタリングシステムから出射し、入射電離放射線ビームに対して透過性であり、入射放射線ビームの法線に対して10度よりも大きな角度で配向された、真空チャンバ構造内の、少なくとも1つの薄型シンチレータと、真空気密ビューポイントウィンドウに装着されたフランジによって真空チャンバ構造に装着された大気/周囲圧のアームまたはニップルまたは小型筐体内のマシンビジョンカメラとを備え、カメラ光軸は、シンチレータの法線に対して80度未満の角度で配向され、シンチレータに面し内部較正のための少なくとも1つのUV光源と、UV光源をモニタリングおよび較正するように配置された少なくとも1つのUVフォトセンサとを備える。
実施形態はさらにマルチアームクロスを含み、クロスの1つのアーム上のビューポイントウィンドウのフランジに装着された周囲圧のニップルまたは小型筐体内に位置するカメラを備え、薄型シンチレータが、フレーム内に設けられプッシュプル線形ポジショナのシャフトに装着され、これは、ビームエリアを通してクロス一方側またはアームから反対側またはアーム内に押すまたは引くまたは突くことができ、シンチレータは、そのフレーム内で、入射放射線ビームの法線に対して45±25度の角度で配向され、カメラの光軸は、シンチレータの法線に対して45±25度の角度で配向され、真空チャンバ構造は6方向クロスであり、カメラは、クロスの1つのアーム上のビューポイントウィンドウのフランジに装着された小型筐体内に位置し、シリコン光電子増倍管(SiPM)等の光電子増倍管(PMT)またはソリッドステート光電子増倍管(SSPM)が第2の小型筐体内に位置し、第2の小型筐体も、大気/周囲圧であり、カメラの反対側のアーム上の第2のビューポイントウィンドウのフランジに装着され、第1の集光レンズが、PMTまたはSSPMを含む大気/周囲圧の小型筐体内においてビューポイントウィンドウに極めて近接して位置し、第2の集光レンズが、シンチレータフレームの真下において真空チャンバ構造内の同じビューポイントウィンドウの反対側に位置し、2つの集光レンズは、ビューポイントウィンドウによって分離されているが互いに正面で対向することにより、シンチレータからの比較的大きな立体角の光を捕捉してPMTまたはSSPMの感光エリア上に投射し、第1のシンチレータがそのフレーム内で6方向クロスの1つのアーム内に位置し、第2のシンチレータがそのフレーム内で6方向クロスの反対側のアーム内に位置し、各シンチレータは自身のプッシュプル線形ポジショナに装着され、第1および第2のシンチレータは、組成または厚さが同一である必要はなく、シンチレータは、ロール・ツー・ロールシンチレータ供給構成を含み、シンチレータフィルムが、真空チャンバ構造の内部に位置する小径の供給スプール上に巻かれて保管され、ビーム軸通過ウィンドウエリアを通って巻取スプール上まで引っ張られ、シンチレータフィルムは、巻取スプールスピンドルを回転させてシンチレータフィルムの新たな部分をビームウィンドウエリアを通して移動させることにより過去にダメージを受けた放射エリアと置き換えるステッピングモータによって送ることができる。
実施形態は電離放射線のビームをモニタリングする方法を含み、高速内部較正システムを用いて、ビームの位置、動き、強度プロファイル、ビームフルエンスおよび外部線量測定を追跡するステップを含み、この方法は、電離放射線のビームを透過性薄型シンチレータで受けるステップを含み、シンチレータは、光を通さない構造に封入され、光を通さない構造は、入射電離放射線ビームに対して高透過性である入口および出口と、少なくとも1つのミラーおよび1つのマシンビジョンカメラを含む折り畳まれた光学系と、薄型シンチレータに面する少なくとも1つのUV光源と、UV光源をモニタリングするように配置された少なくとも1つのUVフォトセンサとを有し、コンピュータシステムが、フレームグラバと、各マシンビジョンカメラとコンピュータシステムとの間の有線ケーブルまたは無線データインターフェイスとを含み、この方法は、多数の放出光子を生成するステップを含み、光子のうちの一部はマシンビジョンカメラの折り畳まれた光学系にリアルタイムで捕捉され、各マシンビジョンカメラからの一連のストリーミング画像をコンピュータシステムに与えるステップとを含み、コンピュータシステムは、マシンビジョンカメラからの画像データストリーミングをリアルタイムで処理および分析することにより、ビームの位置、動き、強度プロファイル、ビームフルエンスおよび外部線量測定を追跡し、高速内部較正システムが、UV光源を周期的に起動することにより、薄型シンチレータのアクティブエリア全体を照明する一方で、UVフォトセンサが、UV光源をモニタリングすることにより、経時的なUV光源信号ドリフトまたは不安定性を補正し、一方、マシンビジョンカメラの折り畳まれた光学系は、シンチレータの光子放出の画像をそのアクティブエリアにわたってストリーミングし、コンピュータシステムは、マシンビジョンカメラのデジタル画像出力を、同一条件で得られた、薄型シンチレータの、過去に保存されたデジタル画像出力と比較することで、経時的なシステム安定性をモニタリングし、パフォーマンスの小さな変化に対してシステムを内部較正し、予めプログラミングされたガイドラインに従いシンチレータの構成要素の変更が必要なときに信号で知らせる、または、その他のハードウェアもしくはソフトウェア問題が検出されたときにフラグを立てる。
いくつかの実施形態が、本明細書で具体的に例示および/または説明されている。しかしながら、開示されている実施形態の修正および変形は、上記教示によってカバーされ、本発明の精神および意図する範囲から逸脱することなく以下の請求項の範囲に包含されることが、理解されるであろう。