次に、本発明の例示的な実施形態を、図面を参照して説明する。幾つかの実施形態は、特定の応用分野との関連で説明されるが、実施形態は、この応用分野に限定されない。さらに、様々な実施形態の特徴は、特に明記しない限り互いに組み合わせてもよい。
図面は概略図と見なされるべきであり、図面に示されている要素は必ずしも縮尺通りに示されているわけではない。むしろ、様々な要素は、それらの機能及び一般的な目的が当業者に明らかになるように表される。
図1は、アクセスノード20による無線通信ネットワーク内での電波送信を制御する方法10と、無線端末40A、40Bによる無線通信ネットワークにおける電波送信を再構成する相互作用方法30とを示す。
方法10のステップ11Aにおいて、無線通信ネットワークのアクセスノード20は、アクセスノード20と第1の無線端末40、40Aとの間の第1の多入力多出力MIMO送信を制御して、第1の組の時間周波数資源を使用し、第1のMIMO空間チャネルを使用し、第1の無線端末40、40Aの第1の受信偏波状態を使用する。
それに対応して、方法30のステップ31において、前記第1の無線端末40Aは、第1の組の時間周波数資源、第1のMIMO空間チャネル、及び第1の無線端末40Aの第1の受信偏波状態を使用する第1のMIMO送信に関与31する。
方法10のステップ11Bにおいて、アクセスノード20は、前記アクセスノード20と第2の無線端末40、40Bとの間の第2のMIMO送信を制御11Bして、第1の組の時間周波数資源と少なくとも部分的に重なる第2の組の時間周波数資源を使用し、第1のMIMO空間チャネルと少なくとも部分的に重なる第2のMIMO空間チャネルを使用し、第1の受信偏波状態とは異なる第2の無線端末40、40Bの第2の受信偏波状態を使用する。
それに対応して、方法30のステップ31において、第2の無線端末40Bは、第2の組の時間周波数資源、第2のMIMO空間チャネル、及び第2の無線端末40Bの第2の受信偏波状態を使用する第2のMIMO送信に関与31する。
MIMO送信に関連付けられた異なる受信偏波状態を保持することにより、2つのユーザ/装置は、特定の時間周波数/コード資源に関連付けられた特定の空間チャネルを介してサービスを受けてもよい。換言すれば、本方法は追加の時間周波数/コード資源を必要とせずに、異なった、理想的には相互に直交する偏波状態を有する波を使用することにより、偏波分割多重化を保持する。
本方法は、ダウンリンク送信とアップリンク送信の両方において適用することができる。
例えば、ダウンリンク通信において、従来は、サービスを提供するアクセスノードから見て同じ(又は同様の)方向に位置する複数のユーザ/装置にサービスを提供するために、異なる時間周波数/コード資源が使用される。しかしながら、偏波分割多重化に基づけば、このような追加の資源なしでも、複数のユーザ/装置に対して同時にサービスを提供できる。換言すれば、アクセスノードは、2つのユーザ/装置に対して同時にサービスを提供するために、異なる送信偏波状態を有する2つのMIMO送信を含んだ単一のビームを送信してもよい。空間チャネルにおける偏波効果により、サービスを受ける装置ではそれぞれの受信偏波状態がもたらされ、これらの状態はMIMO送信を分離するために異なるべきであり、理想的には相互に直交する必要がある。
本明細書で使用される「アクセスノード」とは、無線通信ネットワークのサービスを提供する電波ノードを指称し得るものである。特に、この用語は3G、4G、又は5G基地局(典型的には、NB、eNB、又はgNBと略される)を指称することがある。
本明細書で使用される「無線端末」とは、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、無線通信ネットワーク、特にセルラーネットワークへの接続を確立及び保持できる、電波インターフェースを備えたモバイル装置を指すことがある。このようなモバイル装置の例には、スマートフォン及びコンピューターが含まれる。
本明細書で使用される「無線通信ネットワーク」とは、無線通信ネットワークのインフラストラクチャにおける機能エンティティを相互接続する固定ネットワークリンクの他に、無線通信ネットワークのアクセスノードと前記無線通信ネットワークに接続された無線端末との間の無線/電波リンクを含む通信ネットワークを指称し得る。このようなネットワークの例には、ユニバーサルモバイルテレコミニケーションシステム(Universal Mobile Telecommunications System:UMTS)、第3世代パートナーシッププロジェクト(Third Generation Partnership:3GPP)、ロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)、セルラーネットワーク、ニューラジオ(New Radio:NR)、5Gネットワークなどがある。一般に、無線ネットワークの様々な技術が適用可能であり、WAN接続を付与し得る。
本明細書で使用される「時間周波数資源」とは、アクセスノードによって、前記アクセスノードに接続されている無線端末に割り当て可能な資源割り当ての最小要素を指称し得る。例えば、LTEダウンリンク通信における時間周波数資源は、物理資源ブロック(Physical Resource Block:PRB)として定義され、0.5ミリ秒の期間(時間ドメイン)について12個のスペクトル的に連続したOFDMサブキャリア(周波数ドメイン)で構成される。この概念は、例えば、CDMA送信で使用されるものなどのコード資源にも適用され得る。
本明細書で使用される「多入力多出力」又は「MIMO」とは、電波送信における複数の送信アンテナ及び受信アンテナの間のマルチパス伝搬を利用することを指称し得る。MIMO無線送信は、データを別々のストリームに分割して、同じエアインターフェイスを介して同時に送信することにより、送信容量を増やすために使用してもよい。個々のストリームが異なる無線端末に割り当てられている場合、これはマルチユーザMIMO、即ち、MU−MIMOと呼ばれる。個々のストリームが単一の無線端末に割り当てられる場合、これはシングルユーザMIMO、即ち、SU−MIMOと呼ばれ、また送信フェーズドアンテナアレイと受信フェーズドアンテナアレイとの間の単一リンクにおけるマルチパス送信を利用して、送信容量を増大させることを言う。
本明細書で使用される「アンテナアレイ」又は「フェーズドアンテナアレイ」とは、アンテナを動かすことなく、建設的及び破壊的な干渉のパターンが指向性波面、即ち、特定の伝搬方向を有するビームを形成するように、アンテナ要素が、相対的な振幅及び位相を有する複数の電波を送信又は受信する、アンテナアレイを指称し得る。
本明細書で使用される「空間チャネル」とは、ある角度の信号が建設的な干渉を受ける一方、他の信号は破壊的な干渉を受けるように、フェーズドアンテナアレイの各アンテナ素子における信号の位相及び相対振幅を制御(又は検出)する結果としての、指向性信号送信(又は受信)を指称し得る。
本明細書で使用される「偏波」とは、関連する電場が波の伝搬方向に対して横方向(又は垂直)の振動方向を有する、伝搬する電磁波の特性を指称し得る。
本明細書で使用される「偏波面」とは、アンテナ又はアンテナアレイのアンテナ素子の特性を指称し得る。より具体的には、「偏波面」という用語は、そのようなアンテナ素子によって放出される波の電界ベクトルの方向、又は均等的には、受信を最大化するそのようなアンテナ素子に入射する波の電界ベクトルの方向を記述し得る。例えば、交差偏波アンテナ又はアンテナアレイは、複数のアンテナ素子を含み、各アンテナ素子は、2つの相互に直交する偏波面のうちの1つに関連付けられる。「面」としての指定は、アンテナ又はアンテナアレイの偏波面が通常は変更を受けないことを反映している。
本明細書で使用される「偏波状態」とは、電磁波の特性を指称し得る。より具体的には、「偏波状態」という用語は、波の伝播方向に対して垂直な平面における波の電界ベクトルの方向を記述し得る。言い換えれば、「偏波状態」とは、伝搬波の電界の振動方向を表す。「状態」としての指定は、波の偏波状態が、例えばチャネル内の偏波効果のために変更される可能性があることを反映している。
本明細書で使用される「送信偏波状態」とは、波の送信側偏波状態を指称し得るものであり、これは送信機に関連付けられたアンテナアレイの2つの相互に直交する偏波面への、送信電力の制御された分割によって構成される。したがって、MIMO送信の送信偏波状態は、適切なプレコーディングによって実現されてもよい。
本明細書で使用される「受信偏波状態」とは、受信機に関連付けられたアンテナアレイの2つの相互に直交する偏波面への前記波の電力の分割によって構成される、波の受信側偏波状態を指称し得る。偏波分割多重MIMO送信の受信偏波状態は、送信の適切な分離及び動作を可能にするのに十分なほど「異なる」ものでなければならない。関連するMIMO送信が受信偏波状態おいて相互の直交性(つまり異なる程度)が低いほど、分離は不十分になり、MIMO送信が偏波クロストークとして相互にリークする。したがって、関連するMIMO送信が分離後もチャネルデコードに成功し得るならば、受信偏波状態は十分に「異なる」と見なすことができる。各無線端末は、対応するMIMO送信ごとに個別に評価できる。両方の受信偏波状態が1つの場所で利用できるならば、例えば、偏波分割がアップリンクMIMO送信を多重化する場合、受信偏波状態は、それらの中間角度が閾値角度を超えるときには十分に「異なる」と見なされる。
図2は、図1の方法10、30の可能な変形例を示す。
方法10は、アクセスノード20が、アクセスノード20と第1の無線端末40、40Aとの間の第1のチャネル状態、及びアクセスノード20と第2の無線端末40、40Bとの間の第2のチャネル状態を取得12するステップを含んでもよい。第1のチャネル状態及び第2のチャネル状態は、それぞれ、結合係数の行列(即ち、チャネル行列)をさらに含んでもよく、それぞれの行列の各結合係数は、アクセスノード20のアンテナアレイの2つの相互に直交する偏波面のうちの1つと、それぞれの無線端末のアンテナアレイの2つの相互に直交する偏波面のうちの1つとの間のそれぞれの電力結合を示す。
関連するMIMO送信のチャネル状態を取得することにより、同じ空間チャネル内の偏波多重送信が、受信偏波状態に関して互いにアラインしていることの検出が可能になる。
関連するMIMO送信のチャネル状態を個別に取得すると、同じ空間チャネルを使用していても、関連するMIMO送信が全く異なる電波環境に曝される可能性があるため、それぞれの無線端末の受信偏波状態を正確に推定することが可能になる。
本明細書で使用される「チャネル状態」とは、送信機及び受信機に関連するアンテナ素子の対の間の電力結合を説明する情報を指称し得る。チャネル状態は、例えば、散乱、フェージング、及び距離に伴った電力減衰の複合効果を、相対的な位相遅延及び相対的な減衰の観点から記述し得る。そのため、チャネル状態は、複素数値化されたチャネルインパルス応答と見なし得る。関与するアンテナアレイが、相互に直交した偏波面に関連付けられたアンテナ素子を含む場合、チャネル状態は、相互に直交する異なる偏波面に関連付けられたアンテナ素子の対の間での電力結合をさらに記述するように一般化してもよい。
取得12するステップは、以下の2つのオプションのうち少なくとも1つをさらに含んでもよい。
第1に、アクセスノード20は、第1のチャネル状態を示し、且つアクセスノード20によって第1の無線端末40、40Aに送信される第1のトレーニング信号に関連付けられ得る第1のフィードバック信号を受信121することによって、及び第2のチャネル状態を示し、且つアクセスノード20によって第2の無線端末40、40Bに送信される第2のトレーニング信号に関連付けられた第2のフィードバック信号を受信121することによって、第1及び第2のチャネル状態を取得12してもよい。言い換えれば、アクセスノード20は、それぞれのダウンリンクトレーニング信号を送信し、アップリンクを介して対応するダウンリンクチャネル状態に関するフィードバックを受信することによって、ダウンリンクチャネル状態を取得12してもよい。
関連するMIMO送信のダウンリンクチャネル状態を取得することは、ダウンリンクMIMO送信を制御するための最も正確なオプションであり、チャネルの相互関係が適用される場合は、アップリンクMIMO送信を制御するためにも使用されてよい。トレーニング信号は、それぞれ、偏波次元の直交ベクトルを含んでもよい。
第2に、アクセスノード20は、第1のチャネル状態を示し且つ第1の無線端末40、40Aによって送信される第1のトレーニング信号を受信122することによって、及び第2のチャネル状態を示し且つ第2の無線端末40、40Bによって送信される第2のトレーニング信号を受信122することによって、第1及び第2のチャネル状態を取得してもよい。この場合、アクセスノード20は、それぞれの無線端末40A、40Bによって送信されたアップリンクトレーニング信号を受信及び評価することにより、アップリンクチャネル状態を取得12してもよい。
関連するMIMO送信のアップリンクチャネル状態を取得することは、アップリンクMIMO送信を制御するための最も正確なオプションであり、チャネルの相互関係が適用される場合は、ダウンリンクMIMO送信を制御するためにも使用されてもよい。トレーニング信号は、それぞれ、偏波次元の直交ベクトルを含んでもよい。
本明細書で使用される「トレーニング信号」とは、無線送信、特にMIMO送信のための電波環境の評価に使用される既知のチャネルサウンディング又はパイロット信号を指称し得る。例えば、LTEにおいて、サウンディング基準信号SRSは、アップリンク方向のチャネル状態を推定するために、無線端末からLTE基地局へ送信されるトレーニング信号として使用される。
方法10は、アクセスノード20が第1の受信偏波状態及び第2の受信偏波状態の偏波アライメントの状態を検出13するステップをさらに含んでもよい。
同じ空間内の偏波分割多重化MIMO送信が受信偏波状態に関して互いにアラインしていることを検出することにより、このような条件がこれらMIMO送信に対して深刻な影響を与える前に対策を講じることを可能にする。例えば、異なる時間周波数資源及び/又は異なる偏波状態を、代わりに使用してもよい。2つの無線端末が同じ時点で全く同じ受信偏波状態を有する確率はゼロであるが、それぞれの受信偏波状態がアラインされるほど、一般には、偏波分割多重化MIMO送信を区別することは困難になる。
検出13のステップは、以下の2つのオプションのうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。
第1に、アクセスノード20は、それぞれのMIMO送信の結合係数のそれぞれの行列(チャネル行列)が、2未満のランクを有すると決定131してもよい。換言すれば、それぞれのチャネル行列はランクが低くなる。
チャネル行列が、相互に直交する異なる偏波面に関連付けられたアンテナ素子の対の間での電力結合をも表すとすれば、チャネル行列のランクの低下は、偏波分割多重の損失のような基本的な送信障害を示す可能性がある。関連する偏波分割多重化MIMO送信のそれぞれの受信偏波状態が実質的に同じであれば、チャネル行列はランク2となり、送信ビームフォーミングベクトルを選択する自由度はなくなる。2未満のランクは、関連するMIMO送信が、送信性能(又は品質)の点で深刻な影響を受けることを示す。
本明細書で使用される行列の「ランク」とは、行列内の線形に独立した行及び/又は列の最大数を指称し得る。より正確には、m×n行列のランクはmin(m,n)以下であってもよい。
第2に、アクセスノード20は、第1のMIMO送信及び第2の無線送信の性能閾値を下回る性能低下132を検出してもよい。興味の対象となる性能低下は、第1の制限時間内に発生し、次の第2の制限時間の間は持続する。
送信性能(又は品質)の急激かつ持続的な劣化は、偏波分割多重化の喪失のような基本的な影響による送信の停止を示している可能性がある。その疑いを確認するために、チャネルサウンディングがトリガーされる場合がある。
本明細書で使用される「性能低下」とは、送信性能(又は品質)の測定可能な障害、例えば、ビット誤り率BERのような送信品質のデジタル測定に関するものを指す場合がある。
方法30は、それぞれの無線端末40A、40Bが、アクセスノード20に対して、その受信偏波状態を調節する能力を示す32ことをさらに含んでもよい。
同様に、方法10は、アクセスノード20が、第1の無線端末40、40A及び第2の無線端末40、40Bの少なくとも一方から信号を受信14するステップをさらに含んでもよい。この信号は、対応の無線端末40A、40Bがその受信偏波状態を調節する能力を有することを示している。
それぞれの無線端末40A、40Bの関連能力を知ることは、アクセスノード20に対して、プレコーディングを適合させること、即ち、前記無線端末40A、40Bの受信偏波状態を調整することに加えて、偏波分割多重化の喪失に応答するための追加の自由度を提供する。他方、前記無線端末40A、40Bは、より少ない(又はより弱い)チャネルサウンディングの故にデータスループットが増加する可能性があり、時間周波数資源の消費が低減される場合がある。
方法10は、アクセスノード20が偏波アラインメントの状態を検出13することに応答して、アクセスノード20が、第1のチャネル状態及び第2のチャネル状態に応じて、第1のMIMO送信及び第2のMIMO送信のうちの少なくとも一方の偏波状態を設定15することをさらに含んでもよい。
関連するMIMO送信のそれぞれの偏波状態を選択的に設定することは干渉を低減し、時間周波数及びコード資源の観点から、追加コストをかけずに、それぞれの無線端末40A、40BへのMIMO送信を継続できる。
設定15するステップは、以下の2つのオプションのうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。
第1に、アクセスノード20は、第1のチャネル状態及び第2のチャネル状態に応じて、第1の受信偏波状態の少なくとも1つを第1の無線端末40、40Aへ、第2の受信偏波状態を第2の無線端末40、40Bへと信号伝達151してもよい。
アクセスノード20はまた、関与するMIMO送信に関連付けられた取得したチャネル状態を使用して、対応する無線端末40A、40Bに対して、それぞれの受信偏波状態の何れにおいてより良い送信性能(又は品質)が期待できるかを指示してもよい。対応する無線端末40A、40Bは、この情報を使用して、受信したMIMO送信をデジタル信号処理により「回転」させ、それらの偏波干渉を最小化してもよい。それぞれの受信偏波状態が相互に直交していれば、最適な伝送性能(又は品質)が期待できる。
第2に、アクセスノード20は、第1のチャネル状態及び第2のチャネル状態に応じて、第1のMIMO送信の第1の送信偏波状態及び第2のMIMO送信の第2の送信偏波状態のうちの少なくとも1つを設定152してもよい。第1の送信偏波状態及び第1の受信偏波状態は、第1のチャネル状態を介して互いに関連付けられ、また第2の送信偏波状態及び第2の受信偏波状態は、第2のチャネル状態を介して互いに関連付けられる。
アクセスノード20は、関与するMIMO送信に関連付けられた取得されたチャネル状態を使用して、単に、対応する送信偏波状態において関与するMIMO送信のプレコーディングを適合させて、対応する無線端末40A、40Bが新しいプレコーディングに適合すること、即ち、それぞれのチャネル状態によって記述される新しいプレコーディングから出現する新しい受信偏波状態に適合するのを待ってもよい。
以下でより詳細に議論するように、上記2つのオプションの何れかがそれぞれの無線端末40A、40Bをトリガーして、異なる受信偏波状態を使用してもよい。
加えて、設定15するステップは、アクセスノード20が第1のそれぞれのMIMO送信の結合係数の行列の固有ベクトルから、第1の受信偏波状態を選択するステップ153、及びアクセスノード20が、第2のMIMO送信における結合係数の行列の固有ベクトルから、第2の受信偏波状態を選択153するステップをさらに含んでもよい。特に、第1の受信偏波状態及び第2の受信偏波状態は、第1のMIMO送信及び第2のMIMO送信の総容量が最大化されるように選択されてもよい。
結合係数のそれぞれの行列(つまり、チャネル行列)の固有ベクトルからそれぞれの受信偏波状態を選択すると、MIMO送信の1つが、MIMO送信のもう1つのヌル空間を使用するという効果があり、その逆もまた同様である。これにより、偏波分割多重化MIMO送信の偏波干渉は最小限に抑制される。
特に、選択153するステップは、端末40A、40Bが実質的に相互偏波干渉のない対応するMIMO送信に関与してもよく、また対応するMIMO送信に関与31しながら、それらの偏波/ポートの1つを個別に非アクティブ化してもよいように、それぞれの無線端末40A、40Bのそれぞれの受信偏波状態を選択することを目的とする。
送信信号x1及びx2は、アクセスノード20のアンテナアレイ22に関連付けられた2つの相互に直交する偏波面において送信される。
チャネル行列Hは、送信信号x1及びx2の信号伝搬を記述する結合係数h11、h12、h21、及びh22を含む。
ノイズがない場合、受信信号y11及びy12は、第1の無線端末40Aで受信され、受信信号y21及びy22は、第2の無線端末40Bで受信される。
プレコーディングベクトルf1及びf2は、データストリームa1及びa2を偏波次元へとマッピングする。換言すれば、関与するMIMO送信の送信偏波状態は、プレコーディングによって定義される。
実質的に相互偏波干渉のない偏波分割多重化MIMO送信の場合、関連する受信偏波状態のダイバーシティ、又は理想的には直交性が必要とされる。直交性は、次の4つの場合の何れか1つにおいて達成される。
これらの場合の何れにおいても、無線端末40A、40Bの何れかは干渉のない受信信号を有する。例えば、上記1)の要件が満たされる場合、第1の無線端末40Aの受信信号y11は、第2の無線端末40Bを意図したデータストリームa2の寄与がなく、また第2の無線端末40Bの受信信号y21は、第1の無線端末40Aを意図したデータストリームa1の第1の無線端末40Bの寄与がない。他の場合2)〜4)にも同様の考慮事項が適用される。
偏波干渉を最小化するこれらの4つの方法を考えると、関与するMIMO送信の総容量を最大化する方法を選択するのが望ましい。高い信号対雑音比(Signal-to Noise Ratio:SNR)において、各場合1)〜4)からの後続の容量は、以下の量によって決定される。
G=HHHとする。
上記で与えられる4つの量の最大値を決定した後に、対応するプレコーディングベクトルf1及びf2を決定してもよい。両方の無線端末40A、40Bが干渉のない受信信号を有していれば、行列Gは2×2のサイズを有し、直交固有ベクトルに関連付けられた2つの固有値を有する。それらの固有ベクトル(又は実際には任意の直交ベクトル)に沿って、無線端末40A、40Bの一方へMIMO送信を実行することは、無線端末40A、40Bの他方へのMIMO送信のゼロ空間を使用することを意味する。
したがって、プレコーディングベクトルf1及びf2は、当技術分野で知られているゼロ空間を計算することによって決定され、送信側で構成/設定されてもよい。これは、対応する送信偏波状態を回転させて、それぞれのMIMO送信が相互に直交するようにすることと同じである。
結果として得られるプレコーディングベクトルは、2人のユーザ/装置が、実質的に干渉のない(即ち、他のMIMO送信による干渉のない)MIMO送信を享受することを可能にする。
アクセスノード20による異なる受信偏波状態を使用するトリガーに応答して、それぞれの無線端末40A、40Bは、異なる受信偏波状態を使用するそれぞれのMIMO送信に関与31し続けてもよい。
異なる受信偏波状態を使用するためのトリガーは、異なる受信偏波状態を示すアクセスノード20から受信される信号、又は異なる受信偏波状態を示すMIMO送信に関連付けられた、例えばチャネルサウンディングによる測定であってもよい。
方法10は、異なる受信偏波状態を使用することに応答して、それぞれの無線端末40A、40Bが、そのアンテナアレイ42の相互に直交する2つの偏波面のうちの1つを非アクティブ化33するステップをさらに含んでもよい。
異なる受信偏波状態を使用して偏波干渉を最小限に抑える無線端末は、アンテナアレイの相互に直交する2つの偏波面の1つを操作することだけを必要とし、これは無線端末の受信機の1つのポートをオフにして、エネルギー消費を最大で50%削減できることを意味する。代替的又は追加的に、アクセスノードは、何れの偏波/ポートを使用すべきかを無線端末に指示してもよい。
単一の偏波面のみを有するアンテナアレイ42を含む無線端末40、40A、40Bの場合、アクセスノード20は、無線端末の40の最適な受信偏波状態と一致するように、対応する送信偏波状態152を設定する(即ち、プレコーディングを定義する)と考えられる。
図3は、アクセスノード20を概略的に示す。
アクセスノード20は、アクセスノード20と第1の無線端末40、40Aとの間の第1の多入力他出力MIMO送信を制御11Aして、第1の組の時間周波数資源を使用し、第1のMIMO空間チャネルを使用し、第1の無線端末40、40Aの第1の受信偏波状態を使用するために構成されたプロセッサ21を具備している。プロセッサ21は、アクセスノード20と第2の無線端末40、40Bとの間の第2のMIMO送信を制御11Bして、第1の組の時間周波数資源と少なくとも部分的に重なる第2の組の時間周波数資源を使用し、第1のMIMO空間チャネルと少なくとも部分的に重なる第2のMIMO空間チャネルを使用し、第1の受信偏波状態とは異なる第2の無線端末40、40Bの第2の受信偏波状態を使用するためにさらに構成される。アクセスノード20は、2つの相互に直交する偏波面のそれぞれの1つに関連付けられたアンテナ素子を有するアンテナアレイ22をさらに含んでもよく、実施形態による方法10を実行するために構成されてもよい。
無線通信ネットワークにおける電波送信を制御する方法10に関連した上記の技術的効果及び利点は、対応する特徴を有するアクセスノード20に等しく適用される。
図4は、無線端末40を概略的に示す。
無線端末40、40A、40Bは、無線通信ネットワークのアクセスノード20と無線端末40、40A、40Bとの間の多入力多出力MIMO送信に関与するために構成されたプロセッサ41を備えており、前記MIMO送信は、一連の時間周波数資源を使用し、MIMO空間チャネルを使用し、無線端末40、40A、40Bの受信偏波状態を使用する。前記プロセッサは、異なる受信偏波状態を使用するトリガーに応答し、異なる受信偏波状態を使用してMIMO送信に関与31するように構成される。無線端末40、40A、40Bは、2つの相互に直交する偏波面のそれぞれの1つに関連付けられたアンテナ素子を有するアンテナアレイ42を含んでもよく、実施形態による方法を実行するためにさらに構成されてもよい。
無線通信ネットワークにおける電波送信を再構成する方法30に関連した上記の技術的効果及び利点は、対応する特徴を有する無線端末40に等しく適用される。
本発明は、当然、本発明の本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書に具体的に記載されている方法以外の方法で実施してもよい。例えば、先の実施形態では、ダウンリンク電波通信において本発明を説明した。しかしながら、当業者は、本発明がそのように限定されないことを理解するであろう。本発明はまた、アップリンク無線通信においても使用してもよい。したがって、本実施形態は、全ての点において例示的であり、また限定的ではないと見なされるべきであり、添付の特許請求の範囲の意味及び均等の範囲内に入る全ての変更は、その中に包含されることが意図されている。