JP2021524470A - 安定な融合タンパク質製剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、融合タンパク質の安定な薬学的製剤であって、ここで上記製剤は、緩衝剤、糖、アミノ酸および界面活性剤を含み、必要に応じて塩を含む製剤を開示する。さらに、上記製剤はまた、塩を欠いていてもよい。開示される融合タンパク質製剤は、凍結乾燥にも適した液体製剤である。本発明は、緩衝剤、糖、アミノ酸および界面活性剤を含む融合タンパク質分子の安定な薬学的製剤であって、ここで上記融合タンパク質は、CTLA4−Ig分子である製剤を開示する。

Description

発明の分野
本発明は、融合タンパク質分子の安定な製剤に関する。特に、本発明は、安定な細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4−免疫グロブリン(CTLA4−Ig)融合タンパク質製剤であって、緩衝剤系および安定化剤を含む製剤を開示する。
背景
過去20年間で、組換えDNA技術は、多くのタンパク質、特に、抗体治療薬および融合タンパク質分子の商業化をもたらしてきた。
融合タンパク質、特に、Fc融合タンパク質分子(ここでヒト免疫グロブリン(Ig)のFc部分は、レセプターの特定の部分にコンジュゲートされている)は、種々の腫瘍学的および免疫学的障害の処置におけるそれらの広い使用から、重要性を獲得しつつある。種々の障害を処置するために、米国食品医薬品局(FDA)が承認したそれらのFc融合タンパク質の中には、エタネルセプト(TNFR−IgFc)、アフリベルセプト(VEGFR−IgFc)ならびにアバタセプトおよびベラタセプト(CTLA4−IgFc)がある。融合タンパク質分子の有効性は、安定性、投与経路ならびにそれらの投与形態および濃度に大きく依存する。これは、次に、これらのタンパク質分子が安定性および活性を保持するように適切に製剤化されることを必要とする。
概してタンパク質、および特にFc融合タンパク質は、液剤中で代表的には不安定であり、pH、温度および酸化に感受性であり、よって、種々の共有結合および非共有結合反応、液剤中での改変または変性を受け得る。より一般的なタンパク質変性経路は、凝集、脱アミノ化および/または酸化を含み、これらの変性経路は、pH、温度および貯蔵条件(製剤化条件および賦形剤を含む)によって影響を及ぼされることが公知である。従って、これらの経路は、液剤中のタンパク質の物理的および化学的両方の不安定性をもたらす。
治療用タンパク質の凝集は、特に重要である。なぜならそれはしばしば、経時的に減少した生体活性/活性の喪失を生じ、患者に投与される際に免疫原性であり得るからである。融合タンパク質の場合、凝集は重要である。なぜならそれは、2またはこれより多くのタンパク質の融合を伴い、大きくかつ複雑な構造であり、単一のポリペプチドまたは抗体と比較して、急激な速度で凝集物を形成する傾向にあるからである。
凝集とは別に、2またはこれより多くのタンパク質が融合される領域において特に起こる、マルチマータンパク質の不安定性の別のタイプは、脱アミド化、酸化、異性化および/または加水分解の結果であり得るフラグメント化/切り取り(clipping)である。脱アミド化は、アスパラギンまたはグルタミン残基において起こり得、上記タンパク質の電荷改変体を生じる。融合タンパク質の酸化は、主にメチオニン残基が関わり、外部要因(例えば、光および遷移金属イオンへの曝露または賦形剤の変性生成物(例えば、ポリソルベート変性からの過酸化水素)によって概して影響を及ぼされる。治療用タンパク質分子中のこれらの酸化生成物および電荷改変体の存在は、不安定性を増大させ、従って、上記タンパク質の生体活性を減少させることが公知である。
よって、多くの物理的および化学的不安定性を誘導する要因に対して治療用(融合)タンパク質分子を安定化する製剤構成要素の適切な混合物を開発することは必須である。さらに、その開発された製剤は、貯蔵条件の間にコロイド安定性を維持するべきである。なぜならそれは、上記タンパク質分子が、平衡状態で水溶液中で懸濁されたままであると決定し、確実にするからである。
タンパク質および融合タンパク質分子を安定化するにあたって使用される、糖(糖または糖アルコール)、アミノ酸ならびに界面活性剤のような多くのクラスの賦形剤が存在する。しかし、タンパク質を製剤化する間の賦形剤の選択は、上記タンパク質および製剤中の他の構成要素とのそれらの適合性、上記治療用タンパク質の(意図した)投与様式および投与量などのような、種々の他の要因によって左右される。従って、製剤開発の背後にある難題は、安定な製剤を達成するための適切な緩衝剤条件および賦形剤(それらの濃度を含む)のスクリーニングおよび選択を含む。さらに、開発した製剤は室温において安定であり、凍結乾燥形態または液体形態のいずれかでの投与に適切であることも予測される。
要旨
本発明は、緩衝剤、糖、アミノ酸および界面活性剤を含む融合タンパク質分子の安定な薬学的製剤であって、ここで上記融合タンパク質は、CTLA4−Ig分子である製剤を開示する。
特に、本発明は、緩衝剤、糖、アミノ酸および界面活性剤を含むCTLA4−Ig融合タンパク質の安定な薬学的製剤であって、ここで上記製剤は、糖などの薬学的に受容可能な賦形剤を必要に応じて含む製剤を開示する。
さらに、本発明は、アミノ酸および糖を含む製剤に製剤化することによって、CTLA4−Ig融合タンパク質の凝集および/またはフラグメント化を低減する方法を開示する。より具体的には、本発明は、ヒスチジンおよび糖の組み合わせによって安定化されるCTLA4−Ig融合タンパク質製剤を包含する。糖およびヒスチジンのこの組み合わせは、上記製剤に存在する融合タンパク質分子にコロイド安定性を付与する。
同様におよび特に、本発明の製剤は、アルギニンもリジンもグリシンもメチオニンも欠くか;または治療用タンパク質製剤において安定化剤として一般に使用される、ヒスチジン以外のいかなる他のアミノ酸をも必要としない/含まない。
さらに、本発明はまた、ヒスチジンおよび糖を含むCTLA4−Ig融合タンパク質製剤の安定性を増大させる方法を開示し、ここで上記ヒスチジンおよび糖構成要素はまた、上記プロセス工程の間に、すなわち、特に、タンジェンシャルフロー濾過プロセス工程(製剤化工程の前の工程)において添加される。上記プロセスの間のこのような添加は、上記製剤に顕著な安定性を付与する。
上記製剤中のCTLA4−Ig融合タンパク質は、種々の温度において、低濃度および高濃度(10mg/ml〜200mg/ml)で安定である。上記製剤は、25℃で貯蔵した場合には少なくとも4週間、または30℃では少なくとも2週間、安定であり、10%未満の凝集物形態にあるタンパク質分子を含む。
発明の詳細な説明
定義
用語「融合タンパク質は、同じではない2種のポリペプチドの全てまたは一部を融合(すなわち、結合)することによって形成されるタンパク質を意味する。代表的には、融合タンパク質は、組換えDNA技術を使用して、上記2種のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの末端同士の結合によって、作製される。
用語「CTLA4−Ig」または「CTLA4−Ig分子」または「CTLA4Ig分子」は交換可能に使用され、CTLA4細胞外ドメインまたはその一部、および免疫グロブリン定常領域またはその一部を有するポリペプチドを含むタンパク質分子を指す。上記細胞外ドメインおよび上記免疫グロブリン定常領域は、野生型であってもよいし、または変異体であってもよいし、もしくは改変されていてもよく、哺乳動物(ヒトまたはマウスを含む)のものであり得る。上記ポリペプチドは、さらなるタンパク質ドメインをさらに含み得る。CTLA4−Ig分子はまた、上記ポリペプチドのマルチマー形態(例えば、ダイマー、テトラマー、およびヘキサマー)も指し得る。CTLA4−Ig分子はまた、CD80および/またはCD86に結合し得る。
用語「安定な」製剤とは、その中にある上記抗体が、貯蔵に際してその物理的安定性および/または化学的安定性および/または生物学的活性を保持する製剤を指す。
前製剤化工程は、上記タンパク質を治療用製品へと製剤化する前に行われる任意のまたは複数の工程を指す。このような工程の例としては、クロマトグラフィー、濾過(限外濾過、滅菌濾過、ナノ濾過、透析濾過(diafiltration)、深層濾過(depth filtration))、または上記タンパク質を濃縮するかもしくは緩衝剤を異なる/適切な緩衝剤へと交換するために行われる任意の他の工程が挙げられる。本明細書で言及される濾過工程は、タンジェンシャルフロー濾過モードにおいて行われ得る。
安定性試験は、時間経過の間の種々の環境要因の影響下での抗体の品質という証拠を提供する。ICHの「Q1A: Stability Testing of New Drug Substances and Products」は、加速安定性試験のデータが、抗体の輸送の間に起こり得る表示貯蔵条件より高いかまたは低い短時間の影響の効果を評価するために使用され得ることを述べる。
種々の分析方法が、薬学的製剤中の融合タンパク質の物理的および化学的分解を測定するために利用可能である。融合タンパク質は、色および/もしくは透明性の目視検査の際に、またはUV光散乱によってもしくはサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される場合に、凝集、沈殿および/または変性の徴候を実質的に示さなければ、薬学的製剤において「その物理的安定性を保持する」。融合タンパク質は、融合タンパク質の化学的改変(例えば、脱アミノ化、酸化など)の結果としての改変体を含み得る生成物改変体の形成を全くまたは最小限にしか示さない場合に、薬学的製剤において「その化学的安定性を保持する」といわれる。イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性イオンククロマトグラフィーのような分析法は、化学的生成物改変体を調べるために使用され得る。
CTLA4Ig分子のモノマー、ダイマーおよび高分子量(HMW)種は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分離され得る。SECは、分子サイズに基づいて分子を分離する。分離は、分子がカラムの長さに沿って移動するにつれて、分子の差次的な排除または包含によって達成される。従って、分離能は、カラムの長さの関数として増大する。融合タンパク質の適切な活性を維持するために、生成物の凝集物の形成またはフラグメント化(モノマー/低分子量種)を低減し、よって、ダイマー含有量を目標値に制御することは望ましい。ダイマーは、融合タンパク質に存在する主要な形態であり、サイズ排除クロマトグラフィーにおいて主要ピークとして溶離する。CTLA4Ig分子サンプルは、TSK Gel(登録商標) G3000SWXL(300mm×7.8mm)カラムおよびTSK Gel(登録商標) G3000SWXL(40mm×6.0mm)カラム(Tosoh Bioscience、Montgomery、Pa.)を備えた2695 Alliance HPLC(Waters、Milford、Mass.)を使用して分離され得る。
タンパク質のコロイド安定性は、水性の環境において、自己内部のおよび周辺分子間のタンパク質分子の相互作用に関する情報を与える。液剤中のタンパク質分子のコロイド安定性の共通する指標または予測因子は、拡散係数(k)値であり、動的光散乱(DLS)技術によって測定される。拡散係数値が高いほど、斥力はより高く、タンパク質分子における溶解度はより高く、凝集物形成はより少なく、従って、上記タンパク質は、コロイド安定性を示す。そしてコロイド安定性は、タンパク質溶解度、粘性、タンパク質凝集物のタイプなどの指標である。
薬学的に受容可能な賦形剤とは、添加剤またはキャリアを指し、これらは、製剤中の抗体の安定性に寄与し得る。上記賦形剤は、安定化剤および張度改変剤(tonicity modifier)を包含し得る。安定化剤および張度改変剤の例としては、糖、塩、界面活性剤、および誘導体ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
糖は、本明細書において、糖および糖アルコール(例えば、ポリオール)を含む。糖は、モノサッカリド、ジサッカリド、およびポリサッカリドを指し得る。糖の例としては、スクロース、トレハロース、グルコース、デキストロース、ラフィノースなどが挙げられるが、これらに限定されない。ポリオールの例としては、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
界面活性剤とは、撹拌、剪断、高温への曝露などのような種々のストレス条件からタンパク質製剤を保護するために使用される薬学的に受容可能な賦形剤を指す。適切な界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween(登録商標)20またはTween(登録商標)80)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー(例えば、Poloxamer、Pluronic)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などまたはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
塩の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛および/または酢酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のある種の具体的局面および実施形態は、以下の例を参照することによってより十分に記載される。しかし、これらの例は、いかなる様式においても本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
実施形態の詳細な説明
本発明は、緩衝剤、糖、アミノ酸および界面活性剤を含む融合タンパク質の安定な薬学的製剤を開示する。
一実施形態において、本発明は、緩衝剤、糖、アミノ酸および界面活性剤を含むCTLA4−Ig融合タンパク質の安定な薬学的製剤を開示する。
一実施形態において、本発明は、緩衝剤、糖、ヒスチジンおよび界面活性剤を含むCTLA4−Ig融合タンパク質の安定な薬学的製剤であって、アルギニンもリジンもグリシンもプロリンもメチオニンも欠く製剤を開示する。
一実施形態において、本発明は、緩衝剤、糖、ヒスチジンおよび界面活性剤を含むCTLA4−Ig融合タンパク質の安定な薬学的製剤であって、治療用タンパク質製剤を安定化するために一般にj使用される、いずれの他のアミノ酸をも必要としない製剤を開示する。
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記糖は、スクロースまたはマンニトールである。
上記で述べられた実施形態において、上記製剤に存在する糖の濃度は、約125mg/ml未満、好ましくは約100mg/ml未満、または約90mg/ml未満、または約80mg/ml未満であり、上記製剤に存在するアミノ酸の濃度は、約20mg/ml未満、好ましくは15mg/ml未満であり、より好ましくは10mg/mlである。
上記で述べられた実施形態のうちのいずれかにおいて、上記製剤中の融合タンパク質の濃度は、約10mg/ml〜200mg/ml、好ましくは20mg/ml〜150mg/ml、より好ましくは25mg/ml〜125mg/mlである。
上記で述べられた実施形態のうちのいずれかにおいて、上記CTLA4−Ig融合タンパク質製剤の粘性は、20cp未満、好ましくは10cp未満、より好ましくは5cp未満である。
本発明の上述の実施形態のうちのいずれかにおいて、CTLA4−Ig融合タンパク質製剤のpHは、6.0〜8.0、好ましくは6.5〜7.5である。
本発明の上述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記製剤中の糖は、スクロース、トレハロース、ソルビトールまたはマンニトールまたはこれらの組み合わせであり得る。
上記で述べられた実施形態において、上記製剤において言及される緩衝剤は、有機緩衝剤、無機緩衝剤および/またはこれらの組み合わせである。
本発明の上述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記有機緩衝剤は、クエン酸塩緩衝剤、コハク酸塩緩衝剤または酢酸塩緩衝剤である。
本発明のさらに別の実施形態において、上記製剤において言及される無機緩衝剤は、リン酸塩緩衝剤である。
上記で述べられた実施形態のうちのいずれかにおいて、上記製剤は、必要に応じて、薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、塩)を含む。
ある実施形態において、本発明は、リン酸塩緩衝剤、糖、ヒスチジンおよび界面活性剤を含むCTLA4−Ig融合タンパク質の安定な薬学的製剤であって、ここで上記融合タンパク質 対 糖の比は1:0.8またはこれより低い製剤を開示する。
上述の実施形態において、上記融合タンパク質 対 アミノ酸の比は、1:0.1またはこれより低い。
上述の実施形態において、上記CTLA4−Ig融合タンパク質 対 糖 対 アミノ酸の比(例えば、1:0.7:0.1)は、ストレス条件下ですら、融合タンパク質製剤においてより高い糖の比(すなわち、融合タンパク質 対 糖の比は、1:1.3またはこれより高い)を含むCTLA4−Ig製剤に匹敵する、上記融合タンパク質の安定性を生じる。
ある実施形態において、本発明は、リン酸塩緩衝剤、スクロース、ヒスチジンおよび界面活性剤を含むCTLA4−Ig融合タンパク質の安定な薬学的製剤を開示する。
別の実施形態において、本発明は、CTLA4−Ig融合タンパク質分子、リン酸塩緩衝剤、マンニトール、ヒスチジンおよび界面活性剤を含む安定な融合タンパク質製剤を開示する。
上述の実施形態において、上記安定な製剤は、30℃で4週間貯蔵される場合に、10%未満の凝集物形態のタンパク質を含む。
上記で述べられた実施形態のうちのいずれかにおいて、上記製剤は、アルギニンもリジンもグリシンもプロリンもメチオニンも必要としない。より具体的には、上記で述べられた実施形態のうちのいずれにおいても、上記製剤は、ヒスチジン以外のいかなる他のアミノ酸も必要としない。
ある実施形態において、本発明は、クエン酸塩−リン酸塩緩衝剤、マンニトール、ヒスチジンおよび界面活性剤を含むCTLA4−Ig融合タンパク質分子の安定な薬学的製剤を開示する。
ある実施形態において、本発明は、125mg/mlのCTLA4−Ig融合タンパク質、リン酸塩緩衝剤、75mg/mlのマンニトール、15mg/mlのヒスチジンおよび8mg/mlのポロキサマーを含むCTLA4−Ig融合タンパク質分子の安定な薬学的製剤を開示する。
ある実施形態において、本発明は、125mg/mlのCTLA4−Ig融合タンパク質、リン酸塩緩衝剤、85mg/mlのマンニトール、10mg/mlのヒスチジンおよび8mg/mlのポロキサマーを含むCTLA4−Ig融合タンパク質分子の安定な薬学的製剤を開示する。
ある実施形態において、本発明は、125mg/mlのCTLA4−Ig融合タンパク質、リン酸塩緩衝剤、100mg/mlのスクロース、10mg/mlのヒスチジンおよび8mg/mlのポロキサマーを含むCTLA4−Ig融合タンパク質分子の安定な薬学的製剤を開示する。
ある実施形態において、本発明は、CTLA4−Ig融合タンパク質の安定な製剤を得る方法であって、上記方法は、緩衝剤、糖、ヒスチジンおよび界面活性剤を添加する工程を包含し、ここでヒスチジンおよび糖はまた、限外濾過[UF]および透析濾過[DF]として行われるタンジェンシャルフロー濾過の前製剤化プロセス工程に添加され、限外濾過が共通して上記タンパク質の濃縮および緩衝剤交換のために行われる方法を開示する。
別の実施形態において、本発明は、CTLA4−Ig融合タンパク質組成物の安定性を増大させる方法であって、ここで上記方法は、上記プロセス工程の間に、特に、タンジェンシャルフロー濾過工程[生成物濃縮および緩衝剤交換のために限外濾過(UF)および透析濾過(DF)として行われる]において、ヒスチジンおよび糖を添加する工程を包含する方法を開示する。より詳細には、上記ヒスチジンおよび糖は、透析濾過工程において使用される緩衝剤に添加される。
さらに別の実施形態において、本発明は、CTLA4−Ig融合タンパク質の安定性を増大させる方法であって、上記方法は、CTLA4−Ig融合タンパク質を発現および精製する工程;続いて、UF−DF−UFによって上記タンパク質を濃縮および/または緩衝剤交換する工程であって、ここで上記UF−DF−UF工程のうちのいずれかにおいて使用される緩衝剤は、ヒスチジンおよび糖を含む工程;続いて、ヒスチジン、糖および界面活性剤を含む緩衝剤中で上記タンパク質を製剤化する工程を包含し;ここで上記タンパク質の安定性は、その緩衝剤のうちのいずれにおいてもヒスチジンおよび糖を含まないUF−DF−UF工程によって処理したタンパク質の製剤と比較して増大される方法を開示する。
ある実施形態において、本発明は、安定な高濃度CTLA4−Ig融合タンパク質製剤を調製する方法であって、上記方法は、
a)精製CTLA4−Ig融合タンパク質分子をクロマトグラフィー工程から得る工程、
b)工程a)から得たCTLA4−Ig融合タンパク質を、限外濾過[UF]に供して、上記タンパク質を濃縮する工程、
c)工程b)から得た濃縮CTLA4−Ig融合タンパク質を、糖およびヒスチジンを含む緩衝剤を使用する透析濾過に供する工程、ならびに
d)工程c)からのCTLA4−Ig融合タンパク質分子を、第2の限外濾過に供して、さらに高度に濃縮されたCTLA4−Ig融合タンパク質薬物物質を得る工程であって、ここで工程d)において得られる製剤の濃度は、200mg/mlまでであり、標準的安定性試験によって測定される場合に安定であることが見出される工程、
を包含する方法を開示する。
上記タンパク質分子の安定性は、ヒスチジンおよび糖構成要素がタンジェンシャルフロー濾過工程において添加される場合に、熱安定性およびコロイド安定性において顕著に増大されることが見出される。そして上記UFまたはDF工程におけるヒスチジンおよび糖の添加は、安定な生成物を生じ、% HMWは、加速安定性試験に供された後にすら、一貫して10未満である。
上述の実施形態において、上記プロセスから得られた薬物物質は安定であり、上記薬物物質から調製した薬物生成物は、加速安定性条件下で安定であり、ここで上記薬物生成物の濃度は、140mg/mlまで、好ましくは130mg/mlである。TFFプロセスのDF工程の間のヒスチジンおよび糖の添加は、安定で可溶性のより高濃度のCTLA4−Ig融合タンパク質分子(約200mg/mlまで)を達成する助けとなり、延いては、単純な希釈技術によって産業スケールでの所望の濃度の薬物生成物の調製の助けとなる。これはさらに、時間および資源を節約する。
上記で述べられた実施形態において、ヒスチジンおよび糖が、UFまたはDFの前製剤化プロセス工程に添加される場合、製剤化したタンパク質は、30℃で少なくとも2週間貯蔵した場合にすら、タンパク質の10%未満を凝集物形態で含む。
別の実施形態において、本発明は、CTLA4−Ig融合タンパク質分子、リン酸塩緩衝剤、スクロース、ヒスチジン、塩化ナトリウムおよび界面活性剤を含む、安定な融合タンパク質製剤を開示する。
上記で述べられた実施形態のうちのいずれかにおいて、上記製剤は、具体的には、アルギニンおよび/またはリジンを欠く。
ある実施形態において、本発明は、CTLA4−Ig融合タンパク質製剤中の凝集物を(貯蔵に際して)低減する方法であって、上記方法は、ヒスチジンおよび糖を上記融合タンパク質製剤に添加する工程を包含する方法を開示する。
さらなる実施形態において、本発明は、CTLA4−Ig融合タンパク質製剤中のフラグメント化を(貯蔵に際して)阻害する方法であって、上記方法は、ヒスチジンおよび糖を上記製剤に添加する工程を包含する方法を開示する。
別の実施形態において、本発明は、製剤中のCTLA4−Ig融合タンパク質のコロイド安定性を維持する方法であって、上記方法は、ヒスチジンおよび糖を、上記融合タンパク質を含む製剤に添加する工程を包含する方法を開示する。
別の実施形態において、本発明は、製剤中のCTLA4−Ig融合タンパク質の酸化を低減する方法であって、ここで上記方法は、アミノ酸および糖を添加する工程であって、ここで上記アミノ酸はヒスチジンである工程を包含する方法を開示する。ヒスチジンおよび糖の組み合わせは、CTLA4−Ig融合タンパク質分子に存在するメチオニン残基を酸化から保護する。
上記で述べられた実施形態において、上記安定な製剤は、必要に応じて、抗酸化剤を含む。
本発明の上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、安定な製剤は、安定な液体/水性製剤であり、凍結乾燥粉末のために適切であり、凍結乾燥粉末として凍結乾燥され得る。さらに、上記CTLA4−Ig融合タンパク質の凍結乾燥製剤は、投与に適した液体製剤を達成するために適切な希釈剤で再構成される。
上述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記CTLA4−Ig融合タンパク質は、アバタセプトまたはベラタセプトである。
上記で述べられた実施形態のうちのいずれかにおいて、上記製剤に添加されるアミノ酸ヒスチジンは、安定化剤として機能し、緩衝化剤の一部を形成しない。
上記で言及された実施形態のうちのいずれかにおいて、CTLA4−Ig融合タンパク質の製剤は、非経口投与のために使用され得る、安定な液体な(水性)製剤である。非経口投与としては、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内投与、または概して非経口投与の範囲内に入ると考えられかつ当業者に周知であるとおりの任意の他の送達経路が挙げられる。
本発明の開示される製剤は、治療用融合タンパク質分子を製剤化するためにより少ない量の糖または糖アルコールを使用する。そして緩衝剤、糖、アミノ酸および界面活性剤を含むCTLA4−Ig融合タンパク質製剤の開示される製剤は、安定であり、多数の凍結融解サイクルおよび撹拌誘導性ストレスにも耐え得る。
上記融合タンパク質、CTLA4−Igの開示される製剤は、ヒスチジンおよび糖の組み合わせによって主に安定化され、治療用製剤を安定化するために一般に使用される、アルギニン、リジン、プロリン、グリシンまたはメチオニンのようないかなる他のアミノ酸も必要としない。驚くべきことに、上記製剤への任意の他のアミノ酸またはアミノ酸の組み合わせの添加は、実際に、タンパク質を不安定化する。融合タンパク質であり、本質的にダイマーであるCTLA4−Ig(例えば、アバタセプト)は、複雑な分子であり、凝集しやすく、酸化しやすいが、予測外にも、アミノ酸ヒスチジン(およびポリオール)によってのみ安定化される。
本発明の薬学的組成物での貯蔵に適したCTLA4−Ig融合タンパク質分子、アバタセプトは、当該分野で公知の標準的方法によって生成される。例えば、アバタセプトは、チャイニーズハムスター卵巣細胞のような哺乳動物宿主細胞でのヒトIgGのCH2およびCH3タンパク質に融合されたCTLA4の組換え発現によって調製される。さらに、上記発現されたアバタセプトは採取され、その粗製採取物は、精製、濾過および必要に応じて、希釈工程または濃縮工程を含む標準的な下流のプロセス工程に供される。例えば、上記アバタセプトの粗製採取物は、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよびこれらの組み合わせのような標準的クロマトグラフィー技術を使用して精製され得る。その精製されたアバタセプト溶液はさらに、1またはこれより多くの濾過工程に供され得、その得られた溶液は、さらなる製剤化試験に供される。
実施例1: アバタセプトを製剤化するために適した緩衝剤のスクリーニングおよび選択
アバタセプトを安定化するために適した緩衝剤を選択するために、種々の緩衝剤を調製した。下流のクロマトグラフィープロセスから得られるリン酸塩緩衝剤バックグラウンド中の40mg/mlのアバタセプトを、緩衝剤交換し、それぞれの異なる緩衝剤バックグラウンドにおいて25mg/mlに希釈した。製剤の詳細を表1に示す。
全アバタセプト製剤を、25℃および40℃で4週間にわたる加速安定性試験に供した。その後、上記サンプルを、高分子量(HMW)種および低分子量(LMW)種[結果を表2および3に示す]についてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して分析し、また、pHの変化[表4]および目視検査[表5]に関してチェックした。
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実施例2: 糖およびアミノ酸の存在下での高濃度アバタセプト(約125mg/ml)製剤
下流のプロセスのタンジェンシャルフロー濾過(TFF)工程から得られるリン酸塩緩衝剤バックグラウンド中のおよそ120mg/mlのアバタセプトを、それぞれの緩衝剤バックグラウンドにおいて緩衝剤交換した。その後、種々の賦形剤(例えば、糖およびアミノ酸)を、異なる組み合わせおよび濃度において高濃度アバタセプト製剤に添加した。製剤の詳細を表6に示す。FDA承認のアバタセプトの皮下製剤は、リン酸塩緩衝剤、170mg/mlのスクロースおよびポロキサマーを含む。よって、参照標準を、リン酸塩緩衝剤バックグラウンドにおいて約120mg/mlのインハウスのアバタセプトに維持するために、170mg/ml スクロースおよび8mg/mlのポロキサマーを上記製剤に添加した。
全ての高濃度アバタセプト製剤を、30℃で4週間の加速安定性試験に供した。その後、上記サンプルを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して高分子量(HMW)種に関して分析し[結果を表7に示す]、pH[表8]および目視検査[表9]における変化についてもチェックした。
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実施例3: 高濃度アバタセプト(約125mg/ml)製剤
下流のプロセスのタンジェンシャルフロー濾過(TFF)工程から得られるリン酸塩緩衝剤バックグラウンド中のおよそ120mg/mlのアバタセプトを、それぞれの緩衝剤バックグラウンドにおいて緩衝剤交換した。その後、種々の賦形剤(例えば、糖、アミノ酸および塩化ナトリウム)を、異なる組み合わせおよび濃度において高濃度アバタセプト製剤に添加した。製剤の詳細を表10に示す。FDA承認のアバタセプトの皮下製剤は、リン酸塩緩衝剤、170mg/mlのスクロースおよびポロキサマーを含む。よって、参照標準を、リン酸塩緩衝剤バックグラウンドにおいて約120mg/mlのインハウスのアバタセプトに維持するために、170mg/ml スクロースおよび8mg/mlのポロキサマーを上記製剤に添加した。
全ての高濃度アバタセプト製剤を、30℃で2週間の加速安定性試験に供した。その後、上記サンプルを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して高分子量(HMW)種および活性ダイマー形態に関して分析し[結果を表11に示す]、pH[表12]および目視検査[表13]における変化についてもチェックした。
333nmでのタンパク質サンプルの光散乱をまた、ナノ液滴を使用してチェックした。結果を表14に示す。
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実施例4: 高濃度CTLA4−Ig融合タンパク質の安定性に関するタンジェンシャルフロー濾過(TFF)工程の間の賦形剤の添加
実施例2および3において、下流のクロマトグラフィー工程から得られる精製アバタセプトを、リン酸塩緩衝剤へとさらに緩衝剤交換し、一連の限外濾過、透析濾過および限外濾過工程として実施したタンジェンシャルフロー濾過(TFF)によって濃縮した。その後、賦形剤を、上記製剤に添加した。しかし、この従来のストラテジーとは異なり、種々の糖(例えば、スクロースおよびマンニトール)およびアミノ酸(例えば、ヒスチジンおよびグリシン)を、TFF自体の間(すなわち、上記製剤化工程の前または上記タンパク質を薬物生成物として製剤化する前)に組み込んだ。クロマトグラフィー工程から得られる酢酸塩緩衝剤中8〜15mg/ml 濃度のアバタセプト融合タンパク質を、限外濾過に供して、60mg/mlまで濃縮した。その後、上記サンプルを、透析濾過に供し、ここで透析濾過媒体は、賦形剤(例えば、糖およびアミノ酸)ありのリン酸塩緩衝剤(製剤緩衝剤)を含み、別の別個の実験では、リン酸塩緩衝剤中の糖およびアミノ酸なしの上記透析濾過媒体を実験した。透析濾過後、上記サンプルを、第2の限外濾過に供して、180mg/ml〜200mg/mlまで濃縮した。これらの高濃度サンプルは、いかなる目に見える粒子/凝集物なしに安定であることが見出された。上記高濃縮サンプルを、125mg/mlへとさらに希釈し、賦形剤(例えば、糖、界面活性剤および必要に応じてグリシンのようなアミノ酸)のうちのいくつかを添加して、最終製剤を調製した。8mg/mlのポロキサマーを、全ての最終製剤に添加した。製剤の詳細を表15に示す。全サンプルを、30℃で2週間の加速安定性試験に供した。上記サンプルを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して高分子量(HMW)種および活性ダイマー形態に関して分析し[結果を表16に示す]、pH[表17]および目視検査[表18]における変化についてもチェックした。
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実施例4に従って調製した上記アバタセプト製剤のうちのいくつかの粘性を、m−VROC(登録商標)粘度計を使用して測定した。結果を表19に示す。
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代替的に、上記アミノ酸メチオニンを、ヒスチジンおよび糖の組み合わせのアバタセプト製剤に添加し、安定性に対する効果に関して評価した。上記サンプル(上記製剤中にメチオニンありおよびなし)を、30℃で1週間の加速安定性試験に供した。上記サンプルを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して高分子量(HMW)種および活性ダイマー形態に関して分析した[結果を表20に示す]。
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実施例5: 高濃度アバタセプト製剤の長期間の安定性データ
上記の実験から、TFFの間の糖およびアミノ酸の添加がアバタセプトの安定化において顕著な役割を果たすことは明らかである。よって、上記の実験からの製剤のうちのさらにいくつかを、30℃で4週間までさらに観察した。上記サンプルを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して高分子量(HMW)種および活性ダイマー形態に関して分析した[結果を表21に示す]。
Figure 2021524470
アバタセプト製剤(A’(125mg/ml アバタセプト、100mg/ml スクロース、15mg/ml ヒスチジン、10mg/ml グリシンおよび8mg/ml ポロキサマー)およびB’(125mg/ml アバタセプト、75mg/ml マンニトール、15mg/ml ヒスチジン、10mg/ml グリシンおよび8mg/ml ポロキサマー))を、30℃で4週間の加速安定性試験に供し、その後、CD28レセプターリガンドベースのアッセイを行って、上記安定なアバタセプト製剤が機能的に活性であることを示しかつ証明した。上記製剤は、機能的に活性であることが見出され、90.7%の効力(A’)および93.6%の効力(B’)を示した。
実施例6: 高濃度アバタセプト製剤の酸化の評価
実施例4に従って調製したアバタセプト融合タンパク質製剤のうちのいくつかを、質量分析に供して、アバタセプトの酸化状態に対する賦形剤の効果を理解した。アバタセプト融合タンパク質は、7個のメチオニン残基を含む。実施例4からの糖およびアミノ酸を含むアバタセプト製剤のうちの数種を、30℃で4週間の加速安定性試験に4週間まで供し、「0」時点および「4週間」時点で集めた。30℃において「0」時点および「4」週間時点で集めたアバタセプト製剤を、緩衝剤(8.2M グアニジン塩酸塩、1mM EDTAおよび0.1M Tris、pH7.5)を使用した変性に供し、10mM ジチオスレイトールを使用して還元し、ヨードアセトアミドを使用してアルキル化した。上記アルキル化したサンプルを、PD−10カラムに供して、消化緩衝剤を除去した。PD−10カラムから得たタンパク質画分を、37℃で一晩、トリプシンおよびN−グリカナーゼ(Glycanse)で処理した。上記工程から得たペプチドフラグメントを質量分析に供して、アバタセプトの酸化部位に対する賦形剤の効果を理解した。上記試験の結果を表22に示し、酸化の%は、メチオニン残基が酸化から保護されることを示す。
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Claims (9)

  1. 緩衝剤、糖、ヒスチジンおよび界面活性剤を含む、CTLA4−Ig融合タンパク質の安定な製剤。
  2. 前記製剤は、安定化剤としていかなる他のアミノ酸も必要としない、請求項1に記載の製剤。
  3. CTLA4−Ig融合タンパク質の濃度は、約20mg/ml〜約200mg/mlである、請求項1に記載の製剤。
  4. CTLA4−Ig融合タンパク質 対 糖の比は、1:0.8またはこれより低く、前記CTLA4−Ig融合タンパク質 対 アミノ酸の比は、1:0.1またはこれより低い、請求項1に記載の製剤。
  5. 前記製剤は、25℃で貯蔵した場合に少なくとも4週間、または30℃で少なくとも2週間安定であり、10%未満の凝集物形態の前記タンパク質分子を含み、製剤はまた、CTLA4−Ig融合タンパク質を酸化から保護する、請求項1に記載の製剤。
  6. 前記製剤のpHは、6.0〜8.0、好ましくは6.5〜7.5である、請求項1に記載の製剤。
  7. CTLA4−Ig融合タンパク質の安定な製剤を得る方法であって、前記方法は、緩衝剤、糖、ヒスチジンおよび界面活性剤を添加する工程を包含し、ここでヒスチジンおよび糖はまた、限外濾過および/または透析濾過の前製剤化プロセス工程に添加される、方法。
  8. CTLA4−Ig融合タンパク質の安定性を増大させる方法であって、前記方法は、CTLA4−Ig融合タンパク質を発現および精製する工程;限外濾過および透析濾過(UF−DF)によって、前記タンパク質を濃縮および/または緩衝剤交換する工程であって、ここで前記UFおよび/またはDF工程において使用される緩衝剤は、ヒスチジンおよび糖を含む工程;続いて、ヒスチジン、糖および界面活性剤を含む緩衝剤中で前記タンパク質を製剤化する工程を包含し;ここで前記タンパク質の安定性は、その緩衝剤の中にヒスチジンおよび糖を含まないUF−DF工程によって処理された前記タンパク質の製剤と比較して増大される、方法。
  9. 前記製剤の粘性は、15cp未満、好ましくは10cp未満である、請求項1または7または8に記載の製剤。

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