JP2021520783A - 多能性幹細胞培地成分の安定化のためのナノコーティング構造体 - Google Patents
多能性幹細胞培地成分の安定化のためのナノコーティング構造体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021520783A JP2021520783A JP2020554466A JP2020554466A JP2021520783A JP 2021520783 A JP2021520783 A JP 2021520783A JP 2020554466 A JP2020554466 A JP 2020554466A JP 2020554466 A JP2020554466 A JP 2020554466A JP 2021520783 A JP2021520783 A JP 2021520783A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mineral
- bfgf
- growth factor
- fibroblast growth
- mcm
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K9/00—Medicinal preparations characterised by special physical form
- A61K9/48—Preparations in capsules, e.g. of gelatin, of chocolate
- A61K9/50—Microcapsules having a gas, liquid or semi-solid filling; Solid microparticles or pellets surrounded by a distinct coating layer, e.g. coated microspheres, coated drug crystals
- A61K9/5005—Wall or coating material
- A61K9/501—Inorganic compounds
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N5/00—Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
- C12N5/06—Animal cells or tissues; Human cells or tissues
- C12N5/0602—Vertebrate cells
- C12N5/0603—Embryonic cells ; Embryoid bodies
- C12N5/0606—Pluripotent embryonic cells, e.g. embryonic stem cells [ES]
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N5/00—Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
- C12N5/06—Animal cells or tissues; Human cells or tissues
- C12N5/0602—Vertebrate cells
- C12N5/0696—Artificially induced pluripotent stem cells, e.g. iPS
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2501/00—Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
- C12N2501/10—Growth factors
- C12N2501/115—Basic fibroblast growth factor (bFGF, FGF-2)
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2501/00—Active agents used in cell culture processes, e.g. differentation
- C12N2501/10—Growth factors
- C12N2501/15—Transforming growth factor beta (TGF-β)
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2531/00—Microcarriers
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2533/00—Supports or coatings for cell culture, characterised by material
- C12N2533/10—Mineral substrates
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2533/00—Supports or coatings for cell culture, characterised by material
- C12N2533/10—Mineral substrates
- C12N2533/18—Calcium salts, e.g. apatite, Mineral components from bones, teeth, shells
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2533/00—Supports or coatings for cell culture, characterised by material
- C12N2533/90—Substrates of biological origin, e.g. extracellular matrix, decellularised tissue
Abstract
多能性幹細胞培養のための組成物および方法を開示する。組成物は、コアおよびミネラルコーティングを有するミネラルコーティングされたマイクロ粒子であって、ミネラルコーティングが線維芽細胞増殖因子を含むマイクロ粒子を含む。線維芽細胞増殖因子を含むミネラルコーティングされたマイクロ粒子を用いた多能性幹細胞の培養方法もまた開示する。
Description
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年4月6日出願の米国仮出願第62/653,847号に基づく優先権を主張し、該出願は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
本願は、2018年4月6日出願の米国仮出願第62/653,847号に基づく優先権を主張し、該出願は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
(連邦政府資金による研究開発の記載)
本発明は、米国国立衛生研究所の助成HL093282およびEB019558の支援で行われた。米国政府は、本発明における一定の権利を有する。
本発明は、米国国立衛生研究所の助成HL093282およびEB019558の支援で行われた。米国政府は、本発明における一定の権利を有する。
本開示は、細胞培養のための試薬を含む、組成物、細胞培養方法およびキットに関する。組成物は、コア、および線維芽細胞増殖因子を含むミネラルコーティングを有するミネラルコーティングされたマイクロ粒子(「MCM」)を含む。また、線維芽細胞増殖因子の持続送達のための細胞培養方法も開示する。記載される組成物および方法は、培養中の幹細胞の多能性を維持するために必要とされる増殖因子の投与量の低減を提供する。
ヒト多能性幹細胞(hPSC)などの幹細胞は、組織工学および再生医療の分野で大きな可能性を持つ。インビトロでの未分化および増殖状態でのhPSCの維持は、培養培地に提供される必須の可溶性因子に依存している。hPSC維持のための少なくとも1つの成分は、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)である。hPSCにおいて、bFGFは、細胞の生存、細胞周期の調節および多能性遺伝子ネットワークの調節に重要である。しかしながら、生理的温度では、bFGFは、熱的に不安定であり、平均半減期が短い(図1参照)。その結果、標準的なhPSC培養培地、例えばEssential 8(E8)は、十分なレベルの生物学的に活性な増殖因子を維持するために、高濃度のbFGFおよび毎日の培地交換を必要とする。幹細胞由来の治療費のほぼ50%が増殖因子含有培地に起因するため、bFGFの熱不安定性は、hPSCの大規模なバイオ製造の制限要因である。
以前の研究では、代替のより安定なFGFアイソフォームおよび増殖因子の熱安定性を改善する変異アイソフォームを用いることにより、熱不安定性を回避しようと試みていた。しかしながら、bFGFが多能性を促進する完全なメカニズムが不明であり、そのため、代替アイソフォームまたは変異タンパク質の使用に対する確立された培地培養方法の変更は、hPSCの使用において有害な影響および新しい潜在的不確定要素の発生をもたらし得る。
ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)のビーズからのbFGFの持続放出は、必要とされる培地交換の総数を減らし、それ故にhPSC培養で消費される培地の量を減らす代替戦略として用いることができている。このアプローチは、すでにhPSC培養のために広く使用されている野生型bFGFを変更する必要がないという利益を有する。また、bFGF培養方法の持続放出の結果は、極めて高い濃度(100 ng/mL)から24時間後には活性なままのbFGFが本質的にない濃度まで変動するのとは対照的に、bFGFのより一定な濃度からの利益があることを示唆している。しかしながら、当該方法は、水中のbFGFおよび有機溶媒のジクロロメタンとポリビニルアルコール中のPLGAを用いた水/油/水型エマルションによりPLGAビーズ内にbFGFを封入することを含む。このエマルション技術は、変性させる有機溶媒へのbFGFの曝露、PLGA中でのタンパク質凝集体の形成、およびバルク材料からの低い放出割合のため、活性なbFGFの負荷効率および放出効率が低くなることが示されている。結果として、培地交換の減少にもかかわらず、ビーズ負荷および放出で失われるbFGF活性の量は、合計増殖因子消費量の実質的減少をもたらさない可能性がある。
したがって、増殖因子の安定化(例えば、活性状態でのbFGFなどの増殖因子の維持)、および多能性を維持しながら必要とされる増殖因子濃度を低下させることができる代替培養方法が必要とされている。
一態様において、本開示は、コア;および線維芽細胞増殖因子を含むミネラルコーティングを含む、線維芽細胞増殖因子と結合し、安定化するためのミネラルコーティングされたマイクロ粒子に関する。
一態様において、本開示は、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子を含む容器を含む、線維芽細胞増殖因子を放出するためのキットであって、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子が、コア;および線維芽細胞増殖因子を含むミネラルコーティングを含む、キットに関する。
一態様において、本開示は、幹細胞の多能性を維持するための多能性幹細胞の培養方法であって、該方法が、多能性幹細胞をミネラルコーティングされたマイクロ粒子と接触させることを含み、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子が、コア、および線維芽細胞増殖因子を含むミネラルコーティングを含む、方法に関する。
以下の詳細な説明を考慮すると、開示はよく理解され、上記以外の特徴、態様および利点が明らかになる。このような詳細な説明は、下記図面を参照する:
本開示は、多能性幹細胞培養において線維芽細胞増殖因子を提供するための組成物および方法に関する。いくつかの実施態様において、組成物は、コア、および線維芽細胞増殖因子を含むミネラルコーティングを含む、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子を含む。ミネラルコーティングに含まれる線維芽細胞増殖因子は、ミネラルコーティングが分解するにつれて、線維芽細胞増殖因子の持続送達を提供する。また、多能性幹細胞の培養方法であって、幹細胞が、線維芽細胞増殖因子を含むミネラルコーティングされたマイクロ粒子の存在下で培養される方法も開示する。ミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、ミネラルコーティングが分解するにつれて、線維芽細胞増殖因子の持続送達を提供し、これは、培養中の幹細胞の多能性を維持する。ミネラルコーティングされたマイクロ粒子を用いた線維芽細胞増殖因子の送達は、有利には、細胞継代中に幹細胞の多能性を維持するのに必要とされる線維芽細胞増殖因子の量およびコストを低減する。
一態様において、本開示は、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子に関する。ミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、コア;およびミネラルコーティングを含む。
ミネラルコーティングは、線維芽細胞増殖因子を含む。
ミネラルコーティングは、線維芽細胞増殖因子を含む。
適切な線維芽細胞増殖因子は、精製増殖因子、組み換え増殖因子およびその組合せを含む。特に適切な線維芽細胞増殖因子は、塩基性線維芽細胞増殖因子である。ミネラルコーティングに含まれる線維芽細胞増殖因子の量は、1 mgのミネラルコーティングされたマイクロ粒子当たり約0.1 ng〜約10,000 ngの線維芽細胞増殖因子の範囲である。
別の一態様において、線維芽細胞増殖因子を有するミネラルコーティングされたマイクロ粒子を、幹細胞の培養における他の増殖因子を含むように製造し得る。他の増殖因子は、線維芽細胞増殖因子のために本明細書に記載されるミネラルコーティングに吸着されていてもよく、および/またはミネラルコーティング内であってもよい。企図される実施態様は、ミネラルコーティングに吸着されているおよび/またはミネラルコーティング内に組み込まれている、3個、4個、5個またはそれ以上の異なる他の増殖因子をさらに含む。
ミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、その後任意の所望の溶液で再懸濁され、培養培地に加えられる、乾燥(マイクロ粒子)形態で提供され得る。ミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、溶液で提供され得る。細胞培養に適切な任意の溶液は、乾燥したミネラルコーティングされたマイクロ粒子を再懸濁するおよび/または溶液形態でミネラルコーティングされたマイクロ粒子を提供するために用いられ得る。ミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、好ましくは、使用されていない間のミネラルコーティングの分解を低減するために乾燥形態で提供される。あまり望ましくないが、乾燥したミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、培養物に直接加えられ得る。
適切な溶液としては、水、生理食塩水、等張生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、乳酸リンゲル液、培養培地などが挙げられる。
界面活性剤、防腐剤および添加剤などの他の成分は、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子と共に用いられ得る。界面活性剤は、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子の表面誘発凝集を減少または防止し得る。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、およびポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの様々な従来の界面活性剤が用いられ得る。量は、一般的に、製剤の約0.001〜4重量%の範囲である。適切な防腐剤としては、例えばフェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、2-フェノキシエタノール、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、およびチメロサール、ブロノポール、安息香酸、イミド尿素、クロロヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、塩化ベンゼトニウム、クロルフェネシン(3p-クロルフェノキシプロパン-1,2-ジオール)およびそれらの混合物が挙げられる。防腐剤は、約0.1 mg/ml〜約20 mg/ml、例えば約0.1 mg/ml〜約10 mg/mlの範囲の濃度で存在し得る。便宜のため、The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995を参照されたい。製剤は、酢酸ナトリウム、グリシルグリシン、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)およびリン酸ナトリウムなどの適切な緩衝剤を含み得る。添加剤は、等張化剤、抗酸化剤および安定化剤のために一般的に用いられる成分を含む。他の不活性成分としては、例えばL-ヒスチジン、L-ヒスチジン一塩化塩一水和物、ソルビトール、ポリソルベート80、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、およびEDTA二ナトリウムが挙げられる。
ミネラルコーティングは、カルシウム、リン酸、炭酸、およびそれらの組合せを含む。ミネラルコーティングされたマイクロ粒子を製造するために、コア材料は、改変模擬体液中でインキュベートされる。改変模擬体液は、カルシウムおよびリン酸を含み、コア表面にミネラルコーティングを形成し、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子を生じる。異なるミネラルコーティング形態は、カルシウム、リン酸および炭酸の量および比率を変更することにより達成され得る。異なるミネラルコーティング形態は、例えば板状構造および/または球晶様構造を含む。高炭酸濃度は、板状構造を有するミネラルコーティングを生じる。低炭酸濃度は、球晶様構造を有するミネラルコーティングを生じる。ミネラルコーティング形態はまた、活性剤の吸着に影響を及ぼす。
任意の適切な材料を、ミネラルコーティングが形成されるコアとして用い得る。特に適切なコア材料は、ヒトおよび動物に無毒性であることが知られている材料である。特に適切なコア材料としてはまた、ヒトおよび動物で分解および/または溶解することが知られている材料が挙げられる。ミネラルコーティングが形成される適切なコア材料としては、粒子形態のポリマー、セラミック、金属、ガラスおよびそれらの組合せが挙げられる。適切な粒子は、例えばアガロースビーズ、ラテックスビーズ、磁性ビーズ、ポリマービーズ、セラミックビーズ、金属ビーズ(磁性金属ビーズを含む)、ガラスビーズおよびそれらの組合せであり得る。コア材料は、セラミック(例えば、ヒドロキシアパタイト、ベータ-リン酸三カルシウム(ベータ-TCP、β-TCP)、磁鉄鉱、ネオジム)、プラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリカプロラクトン、PLGA)、ヒドロゲル(例えば、ポリエチレングリコール;乳酸-グリコール酸共重合体など、およびそれらの組合せを含む。特に適切なコア材料は、ベータ-リン酸三カルシウム(ベータ-TCP、β-TCP)などの溶解するものである。他の実施態様において、コア材料は、ミネラルコーティング形成後に溶解し得る。他の実施態様において、コア材料は、非分解性である。
コア基材は、最初に例えばポリ(α-ヒドロキシエステル)フィルムでコーティングされ得る。特に適切なポリ(α-ヒドロキシエステル)は、例えばポリ(L-ラクチド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(ε-カプロラクトン)、およびそれらの組合せであり得る。上記フィルムの任意の組合せを作るときに、フィルムは、典型的には、当該技術分野で知られる適切な有機溶媒中で混合されることを理解されたい。また、当分野で理解されるとおり、分子量、結晶化速度、ガラス転移温度、粘度などの違いが、最終基材での相分離および均質性欠如を防止するために、同様に考慮されるべきである。相分離および均質性欠如はまた、基材中で用いられるフィルムの混合比を変更することにより回避し得る。
基材においてポリ(α-ヒドロキシエステル)フィルムを製造した後、フィルムコーティングの表面を、アルカリ性条件下で加水分解して、COOHおよびOH基を有する表面を作製する。表面の加水分解後、基材を、適切なミネラル形成材料を含有する模擬体液中でインキュベートして、ミネラルコーティングを形成する。適切なミネラル形成材料は、例えばカルシウム、リン酸、炭酸、およびそれらの組合せであり得る。
本開示の方法における使用のための模擬体液(SBF)は、典型的には、約5 mM〜約12.5 mMのカルシウムイオン、例えば約7 mM〜約10 mMのカルシウムイオン、例えば約8.75 mMのカルシウムイオン;約2 mM〜約12.5 mMのリン酸イオン、例えば約2.5 mM〜約7 mMのリン酸イオン、例えば約3.5 mM〜約5 mMのリン酸イオン;および約4 mM〜約100 mMの炭酸イオンを含む。
いくつかの実施態様において、SBFは、約145 mMのナトリウムイオン、約6 mM〜約9 mMのカリウムイオン、約1.5 mMのマグネシウムイオン、約150 mM〜約175 mMの塩化物イオン、約4 mMのHCO3 -、および約0.5 mMのSO4 2-イオンをさらに含み得る。
SBFのpHは、典型的には、約4〜約7.5、例えば約5.3〜約6.8、例えば約5.7〜約6.2、例えば約5.8〜約6.1の範囲であり得る。
適切なSBFは、例えば約145 mMのナトリウムイオン、約6 mM〜約9 mMのカリウムイオン、約5 mM〜約12.5 mMのカルシウムイオン、約1.5 mMのマグネシウムイオン、約150 mM〜約175 mMの塩化物イオン、約4.2 mMのHCO3 -、約2 mM〜約5 mMのHPO4 2-イオン、および約0.5 mMのSO4 2-イオンを含み得る。模擬体液のpHは、約5.3〜約7.5、例えば約6〜約6.8であり得る。
一実施態様において、SBFは、例えば約145 mMのナトリウムイオン、約6 mM〜約17 mMのカリウムイオン、約5 mM〜約12.5 mMのカルシウムイオン、約1.5 mMのマグネシウムイオン、約150 mM〜約175 mMの塩化物イオン、約4.2 mM〜約100 mMのHCO3 -、約2 mM〜約12.5 mMのリン酸イオン、および約0.5 mMのSO4 2-イオンを含み得る。模擬体液のpHは、約5.3〜約7.5、例えば約5.3〜約6.8であり得る。
別の一実施態様において、SBFは、約145 mMのナトリウムイオン、約6 mM〜約9 mMのカリウムイオン、約5 mM〜約12.5 mMのカルシウムイオン、約1.5 mMのマグネシウムイオン、約60 mM〜約175 mMの塩化物イオン、約4.2 mM〜約100 mMのHCO3 -、約2 mM〜約5 mMリン酸イオン、約0.5 mMのSO4 2-イオンを含み、pHは約5.8〜約6.8、例えば約6.2〜約6.8である。
さらに別の一実施態様において、SBFは、約145 mMのナトリウムイオン、約9 mMのカリウムイオン、約12.5 mMのカルシウムイオン、約1.5 mMのマグネシウムイオン、約172 mMの塩化物イオン、約4.2 mMのHCO3 -、約5 mM〜約12.5 mMのリン酸イオン、約0.5 mMのSO4 2-イオン、約4 mM〜約100 mMのCO3 2-を含み、pHは約5.3〜約6.0である。
層状ミネラルコーティングを含む実施態様において、コアを改変模擬体液の製剤中でインキュベートする。ミネラルコーティング層は、数分から数日のインキュベート中にコア上に形成される。最初のミネラルコーティング層がコア上に形成された後、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子を、改変模擬体液から除去し、洗浄し得る。複数のミネラルコーティング層を形成するために、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、所望の数のミネラルコーティング層が達成されるまで、第2、第3、第4などの改変模擬体液中でインキュベートされる。各インキュベート期間中に、新しいミネラルコーティング層が、前の層上に形成される。これらの工程は、所望の数のミネラルコーティング層が達成されるまで、繰り返される。
ミネラル形成中に、線維芽細胞増殖因子を改変模擬体液中に含ませて、ミネラル形成中にミネラルコーティング層内に線維芽細胞増殖因子を組み込ませ得る。ミネラルの各層の形成後、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子を、線維芽細胞増殖因子を含む担体中でインキュベートして、ミネラルコーティング層に線維芽細胞増殖因子を吸着させる。ミネラルコーティング層内に線維芽細胞増殖因子を組み込むおよび/またはミネラルコーティング層に線維芽細胞増殖因子を吸着させた後、別のミネラルコーティング層が、改変模擬体液の別の製剤中でマイクロ粒子をインキュベートすることにより形成し得る。必要に応じて、ミネラルコーティング層はミネラルに線維芽細胞増殖因子を組み込み得て(層は、ミネラル層に吸着されている線維芽細胞増殖因子を有し得る)、ミネラルコーティング層は、線維芽細胞増殖因子を組み込むことなく、または線維芽細胞増殖因子を吸着することなく形成でき、かつそれらの組合せである。異なるミネラルコーティング層を有するミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、改変模擬体液の1つの製剤を用いてミネラル層を形成し、その後改変模擬体液の異なる製剤中でミネラルコーティングされたマイクロ粒子をインキュベートすることにより調製され得る。したがって、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、各層が異なる複数のミネラルコーティング層を有するように調製され得る。異なる1つ以上のミネラルコーティング層と組み合わせた、同一の2つ以上のミネラルコーティング層を含む実施態様もまた企図される。
線維芽細胞増殖因子をミネラルコーティングされたマイクロ粒子内に組み込むために、線維芽細胞増殖因子は、ミネラルコーティング工程中に模擬体液に含まれる。
異なる層のミネラルコーティングされたマイクロ粒子の中および/または上に線維芽細胞増殖因子を吸着させるために、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、各層の形成後、線維芽細胞増殖因子含有溶液中でインキュベートされる。一部の層は、線維芽細胞増殖因子を有しなくてもよい。
線維芽細胞増殖因子をミネラルコーティングされたマイクロ粒子へ吸着させるために、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子を、線維芽細胞増殖因子含有溶液と接触させる。線維芽細胞増殖因子を、当該技術分野で公知の任意の方法を用いてミネラルコーティングされたマイクロ粒子と接触させ得る。例えば、線維芽細胞増殖因子の溶液を、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子上にピペットで移してもよく、注いでもよく、またはスプレーしてもよい。あるいは、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子を、線維芽細胞増殖因子含有溶液中に浸してもよい。線維芽細胞増殖因子は、線維芽細胞増殖因子とミネラルコーティングされたマイクロ粒子のミネラルコーティング間の静電相互作用によりミネラルコーティングに吸着する。
ミネラルコーティングされたマイクロ粒子への線維芽細胞増殖因子の吸着は、改変模擬体液中のミネラル成分(例えば、高炭酸および低炭酸マイクロスクフェア)を変えること、線維芽細胞増殖因子とインキュベートするミネラルコーティングされたマイクロ粒子の量を変えること、インキュベート溶液中の線維芽細胞増殖因子の濃度を変えること、およびそれらの組合せにより調整し得る。
異なる層におけるミネラルコーティングの組成を調整することにより、有利には、各ミネラルコーティング層からの線維芽細胞増殖因子の放出動態を調整できる。
さらに別の実施態様において、磁鉄鉱、磁鉄鉱ドーププラスチックおよびネオジムを含む磁性物質は、マイクロ粒子コア材料に用いられる。磁性物質を含むことで、磁力の適用によるMCMの位置および/または移動/位置決めを可能にするMCMが形成される。磁性マイクロ粒子コア材料を別に使用することで、例えば細胞に対する線維芽細胞増殖因子の影響を分析しながら、どこに線維芽細胞増殖因子送達が培養系で生じるかを空間的に制御できる。
他の実施態様において、磁性物質は、ミネラルコーティングに組み込まれ得る。例えば、ウシ血清アルブミンに結合した超磁性酸化鉄は、ミネラルコーティングに組み込まれ得る。結合タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)は、ミネラルコーティング上に吸着して、ミネラルコーティングに磁性物質を組み込み得る。
ミネラルコーティングは、約3日〜約10日の期間約37℃の温度にてSBFと基材をインキュベートすることにより形成され得る。
ミネラルコーティング製造が完了した後、ミネラルコーティングを分析して、ミネラルコーティングの形態および組成を決定し得る。ミネラルコーティングの組成は、エネルギー分散型X線分光法、フーリエ変換赤外分光法、X線回折法、およびそれらの組合せにより分析され得る。適切なX線回折ピークは、例えば26°および31°におけるものであり得て、これは、ヒドロキシアパタイト鉱物相についての(0 0 2)面、(2 1 1)面、(1 1 2)面および(2 0 2)面に対応する。特に適切なX線回折ピークは、例えば26°および31°におけるものであり得て、これは、炭酸置換ヒドロキシアパタイトについての(0 0 2)面、(1 1 2)面および(3 0 0)面に対応する。他の適切なX線回折ピークは、例えば16°、24°および33°におけるものであり得て、これは、リン酸八カルシウム鉱物相に対応する。フーリエ変換赤外分光法分析により得られる適切なスペクトルは、例えば、O-P-O結合に対応する450〜600 cm-1におけるピーク、およびヒドロキシアパタイトのPO4 3-基の非対称P-O伸縮に対応する900〜1200 cm-1におけるピークであり得る。フーリエ変換赤外分光法分析により得られる特に適切なスペクトルピークは、例えば炭酸(CO3 2-)基に対応する876 cm-1、1427 cm-1および1483 cm-1におけるピークであり得る。HPO4 2-のピークは、ミネラルコーティングを調製するのに用いられるSBFのカルシウムおよびリン酸イオン濃度を調節することにより影響を受け得る。例えば、HPO4 2-ピークは、SBFのカルシウムおよびリン酸濃度の増加により増加し得る。あるいは、HPO4 2-ピークは、SBFのカルシウムおよびリン酸濃度の減少により減少し得る。フーリエ変換赤外分光法分析により得られる別の適切なピークは、例えば1075 cm-1におけるリン酸八カルシウム鉱物相についてのピークであり得て、これは、ミネラルコーティングを調製するのに用いられる模擬体液中でのカルシウムおよびリン酸イオン濃度を調節することにより影響を受け得る。例えば、1075 cm-1ピークは、ミネラルコーティングを調製するのに用いられる模擬体液中でのカルシウムおよびリン酸イオン濃度を増加させることにより明瞭にさせ得る。あるいは、1075 cm-1ピークは、ミネラルコーティングを調製するのに用いられる模擬体液中でのカルシウムおよびリン酸イオン濃度を減少させることにより明瞭でなくさせ得る。
エネルギー分散型X線分光法分析はまた、ミネラルコーティングのカルシウム/リン酸比を決定するために用いられ得る。例えば、カルシウム/リン酸比は、SBF中でのカルシウムおよびリン酸イオン濃度を減少させることにより増加し得る。あるいは、カルシウム/リン酸比は、SBF中でのカルシウムおよびリン酸イオン濃度を増加させることにより減少し得る。エネルギー分散型X線分光法によるミネラルコーティングの分析により、PO4 3-の炭酸(CO3 2-)置換レベルおよびミネラルコーティングへのHPO4 2-の組込みを決定できる。典型的には、SBFは、約10:1〜約0.2:1、例えば約2.5:1〜約1:1の範囲の比でカルシウムおよびリン酸イオンを含む。
また、ミネラルコーティングの形態は、例えば走査型電子顕微鏡法により分析され得る。走査型電子顕微鏡法は、得られたミネラルコーティングの形態を視覚化するために用いられ得る。得られたミネラルコーティングの形態は、例えば球晶微細構造、板状微細構造、および/または網状微細構造であり得る。球晶微細構造の球晶の適切な平均直径は、例えば約2μm〜約42μmの範囲であり得る。球晶微細構造の球晶の特に適切な平均直径は、例えば約2μm〜約4μmの範囲であり得る。別の一実施態様において、球晶微細構造の球晶の特に適切な平均直径は、例えば約2.5μm〜約4.5μmの範囲であり得る。別の一実施態様において、球晶微細構造の球晶の特に適切な平均直径は、例えば約16μm〜約42μmの範囲であり得る。
ミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、後で使用するために保存されてもよく、後で使用するために洗浄および保存されてもよく、吸着工程のために洗浄されすぐに使用されてもよく、または洗浄することなく吸着工程のためにすぐに使用されてもよい。
適切なマイクロ粒子サイズは、直径約1μm〜約100μmの範囲であり得る。マイクロ粒子の直径は、顕微鏡画像から得られる測定(光学および電子顕微鏡画像を含む)、サイズ選択基材によるろ過などの当業者に公知な方法により測定され得る。
ミネラルコーティングされたマイクロ粒子の線維芽細胞増殖因子は、ミネラルコーティングが分解するにつれて放出される。ミネラル分解は、ミネラルコーティングが急速にまたはゆっくりと分解できるように制御され得る。ミネラルコーティング溶解速度は、ミネラルコーティング組成を変えることにより制御され得る。例えば、炭酸置換がより多いミネラルコーティングほど、より急速に分解する。炭酸置換がより少ないミネラルコーティングほど、よりゆっくりと分解する。ドーパント、例えばフッ化物イオンの組込みはまた、溶解動態を変え得る。ミネラルコーティング組成の変更は、コーティング形成中に改変模擬体液におけるイオン濃度を変えることにより達成し得る。より高濃度の炭酸、例えば100 mMの炭酸を有する改変模擬体液は、生理学的炭酸濃度(4.2 mMの炭酸)を有する改変模擬体液において形成されたコーティングより急速に分解するコーティングをもたらす。
別の一態様において、本開示は、線維芽細胞増殖因子を提供するためのキットに関する。キットは、線維芽細胞増殖因子を含有するミネラルコーティングされたマイクロ粒子を含む。本明細書に記載されるミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、コアおよびミネラルコーティングを含む。本明細書に記載されるミネラルコーティングは、線維芽細胞増殖因子を含む。ミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、エッペンドルフチューブ、スクリューキャップチューブ、包みなどを含む、任意の適切な包装、例えば容器に含まれる。ミネラルコーティングされたマイクロ粒子は、本明細書に記載されるように乾燥形態または溶液で提供され得る。乾燥形態で提供されるとき、キットは、乾燥したミネラルコーティングされたマイクロ粒子を再懸濁するための溶液をさらに含み得る。
キットは、他の成分、例えば、幹細胞の培養に適した培養培地、幹細胞の培養に適した培養試薬、幹細胞の培養のためのミネラルコーティングされたマイクロ粒子の使用を記載する説明書、およびその組合せを含み得る。一実施態様において、培養培地は、E8であり得て、キットは、成分:DMEM/F12(DF12)、NaHCO3、L-アスコルビン酸、セレン、トランスフェリン、インスリン、FGF2およびTGF-βを含み得る。
別の一態様において、本開示は、幹細胞の多能性を維持するための多能性幹細胞の培養方法であって、該方法が、多能性幹細胞をミネラルコーティングされたマイクロ粒子と接触させることを含み、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子が、コア、および線維芽細胞増殖因子を含むミネラルコーティングを含む、方法に関する。
線維芽細胞増殖因子は、本明細書に記載される精製線維芽細胞増殖因子、組み換え線維芽細胞増殖因子およびその組合せより選択される。
培養した多能性幹細胞を、細胞培養インサートおよび直接接触の少なくとも1つを用いて、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子と接触させる。適切な細胞培養インサートとしては、市販のトランスウェル(登録商標)細胞培養インサートが挙げられる。これに加えてまたはこれとは別に、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子を、多能性幹細胞培養物と直接接触させ得る。本明細書で用いる「直接接触」は、細胞培養培地へミネラルコーティングされたマイクロ粒子を加えることを指す。直接接触はまた、後に細胞へ加えられる培養培地へミネラルコーティングされたマイクロ粒子(乾燥形態または再懸濁形態のいずれか)を加えることを指す。直接接触はまた、培養培地を細胞へ加えた後に、培養培地へミネラルコーティングされたマイクロ粒子(乾燥形態または再懸濁形態のいずれか)を加えることを指す。
方法は、多能性を決定するために細胞を分析することをさらに含み得る。細胞は、多能性マーカー、例えばOct4(オクタマー結合転写因子4)、Nanogおよびその組合せを検出することにより分析される。他の適切なマーカーとしては、例えば、Sox2、SSEA-4、TRA-1-60、TRA-1-81およびその組合せが挙げられる。
培養方法は、幹細胞の多能性を維持するために確立されたレベルを模倣する放出値を得るために、線維芽細胞増殖因子の持続送達を提供する。ある期間にわたって所望の濃度の線維芽細胞増殖因子を送達するのに必要とされるミネラルコーティングされたマイクロ粒子(線維芽細胞増殖因子を含む)の質量を、予め計算し得る。例えば、多能性を維持するために持続的に送達されるべき線維芽細胞増殖因子を、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子から経時的に放出される線維芽細胞増殖因子の量の放出値から得ることができる。その後、多能性を所望の期間維持するために線維芽細胞増殖因子を送達するのに必要とされるミネラルコーティングされたマイクロ粒子の質量を、計算し得る。持続送達プラットフォームは、ミネラルコーティングが分解するにつれて、幹細胞の培養中に線維芽細胞増殖因子を持続的でかつ連続的に放出することの利益を提供する。ミネラルコーティングされたマイクロ粒子を用いた線維芽細胞増殖因子の送達はまた、幹細胞の培養中に線維芽細胞増殖因子の安定性を維持し、それ故にその活性を維持する。
実施例1〜4の材料および方法
MCMの製造:ヒドロキシアパタイト粉末(Plasma Biotal Limited)をマイクロ粒子のコア材料として用いた。コア材料を、図6に示す処方を有するmSBF中に、1 mg/mLの濃度にて懸濁させた。懸濁液を、37℃にて24時間回転させ、その時点でマイクロ粒子を2,000gにて2分間遠心分離し、上清をデカントし、新しく調製したmSBFと交換した。このプロセスを、5日間毎日繰り返し、この時点でMCMを50 mLの脱イオン水で3回洗浄し、40μm孔セルストレーナーを通してろ過し、15 mLの蒸留水に懸濁させ、液体窒素中で凍結し、48時間凍結乾燥した。その後、凍結乾燥したMCMを、ナノトポグラフィーおよびカルシウム放出について分析した。
hESCの一般的培養:hESCを、Matrigel(Corning)コーティングされた組織培養ポリスチレンにおいてEssential 8(E8)(Life Technologies)培地またはE7(Essential 6培地(LifeTechnologies)+1.76 ng/mLヒトトランスフォーミング増殖因子β1-担体なし(R&D Systems)中で、加湿インキュベーター内で37℃、5%CO2にて、毎日両培地を交換しながら、培養した。個々のコロニーが増殖して一緒になり始めたとき(約3〜4日ごと)、バーゼン(Life Technologies)中で解離させることにより、細胞を継代した。簡単には、存在している培地を吸引し、細胞をバーゼンで洗浄した。バーゼンを吸引し、新しいバーゼンと交換し、その後、コロニーの端が剥がれ始めるまで3〜4分間37℃にてインキュベートした。バーゼンを吸引し、細胞を、新しい培地で穏やかにピペッティングすることにより剥がした。
bFGF負荷MCMの生成:組み換えヒトbFGF(R&D)を、他に明記されない限り、滅菌PBS中に1μg/mLにて懸濁させた。MCMを平らな面上に広げ、UV照射により30分間滅菌した。その後、滅菌したMCMを、他に明記されない限り、1 mg/mLの濃度のbFGF溶液に加えた。MCM-bFGF溶液を37℃にて一定回転下インキュベートした。その後、懸濁液を2000gにて2分間遠心分離して、MCMをペレット化した。その後、MCMをE7培地に再懸濁させ、直接用いた。MCM+FGFを、各新しいトランスウェル試験および直接培養試験における各継代のために新しく製造した。
Oct4/Nanog集団の定量:簡単には、hPSCを回収し、PBSで洗浄し、0.25%トリプシン/EDTAと共に8〜10分間37℃にてインキュベートし、続いてピペッティングして解離させた。5μM Y-27632を添加したRPMI中の20%FBSを2倍量加えることにより、トリプシン活性をクエンチした。試料を200 gにて5分間遠心分離し、ペレット化試料を1%パラホルムアルデヒドで20分間室温にて固定し、氷冷90%メタノールで15分間4℃にて透過処理し、処理するまで-20℃にて保存した。試料をフローバッファー1(0.5%BSAを含有するPBS)で2回洗浄して、残留メタノールを取り除き、1時間室温にてフローバッファー2(0.5%BSAおよび0.1%Triton X-100を含有するPBS)中の一次抗体と共にインキュベートし、フローバッファー2で洗浄し、暗所で30分間室温にてフローバッファー2中の二次抗体と共にインキュベートした。試料をフローバッファー2で2回洗浄し、フローバッファー1に再懸濁させ、データ収集前に氷上で保存した。データをFACSCaliburフローサイトメーターで収集し、FlowJoソフトウェアを用いて分析した。陽性発現を1%未満の未染色hESCによってゲーティングする。用いた一次抗体および希釈液は、マウス抗ヒトOct3/4(Santa Cruz Biotechnology、sc-5279、1:400)、ウサギ抗ヒトNanog(Cell Signaling Technology、4903S、4903S、1:200)であった。二次抗体および希釈液は、ヤギ抗マウスAlexafluor 488およびヤギ抗ウサギAlexafluor 647(いずれもInvitrogen 1:1000)であった。
DOEデザインおよびモデリング:表面応答実験デザイン(Surface-response design of experiments)を、JMPソフトウェアを用いて実施した。デザインは、bFGF負荷MCM生成中のbFGFおよびMCM濃度という、2つの因子について軸方向の位置を持つ1つの中心点を中心に回転可能である。因子レベルを、log2ステップサイズで1μg/mL bFGFおよび1 mg/mL MCMの中心点濃度から、表面については±1、軸方向については±1.41離れて設定した。DOEを繰り返し3回実施し、Oct4+/Nanog+をすべての条件について応答として入力した。Oct4+/Nanog+応答の因子として、bFGFおよびMCM(bFGF、MCM、bFGF2およびMCM2)については線形および二乗依存性、bFGFおよびMCM(bFGF*MCM)については交差依存性の最小二乗法フィッティングを用いて、モデルを作成した。JMPの因子プロファイラーを用いて、bFGFを最小化しながら、望ましさのプロットを用いてDOE最適化MCM負荷条件を選択した。
統計:Oct4+/Nanog+集団のパーセンテージ間の統計を、統計学的有意性について各群をE8群と比較して、GraphPad Prismで一元配置分散分析とダネットのポストホック解析により実施した。各比較の有意性の程度を各図に示す。
実施例1
この実施例において、hPSCについての2つの培養戦略におけるbFGFの隔離および持続放出(図2A)を決定した。
この実施例において、hPSCについての2つの培養戦略におけるbFGFの隔離および持続放出(図2A)を決定した。
具体的には、hPSCを、トランスウェル培養(TC)システムまたは直接培養(DC)システム(図2B)のいずれかにMCM+bFGFと共に入れた。
TCシステムについて、MCM+bFGFを上記のように製造し、12ウェル培養プレート(Corning)のめにデザインされた0.4μm孔径ポリスチレントランスウェルのチャンバー上部に加えた。細胞を、12ウェル培養プレートにおいてMatrigel上で、各図に示すようにE8またはE7培地のいずれか中で培養した。細胞を位相差顕微鏡によりイメージングしながら、トランスウェルインサートを毎日取り除き、培地を交換した。イメージングおよび培地交換の後、トランスウェルインサートを培養皿に戻した。継代のために、トランスウェルインサートを取り除き、一般的なhPSC培養方法のセクションに記載のように細胞を継代する間、E7培地を取り除けておいた。トランスウェルインサートを培養ウェルへ戻す30前に、細胞を30分間接着させた。最初の継代および7日間培養の後、分化した細胞が、コロニー形成上皮様形態から単一細胞の間葉様形態までの移行として証明されるように、E7単独条件のみ(図1Aおよび1B)において位相差顕微鏡により観察された。7日目に、すべての濃度のMCM+bFGFを有するE7中での培養は、正常なhPSC細胞コロニーのように見えた。12日間培養後、広範な分化がE7単独条件において観察され、0.1および0.5 mgのMCM+bFGF条件において小さな面積のコロニー内で分化が観察された(図1A)。位相差顕微鏡により、12日後に1.0 mg条件において分化は観察されなかった。分化が位相差顕微鏡により観察されなかったにもかかわらず、フローサイトメトリーにより測定した1.0 mg条件におけるOct4+/Nanog+細胞集団は、E8コントロールより10%少なかった(図1B)。用量依存的に、0.1および0.5 mgのMCM+bFGF条件は、E8コントロールと比較してOct4+/Nanog+細胞集団をそれぞれ49%および23%減少させた(図1C)。E8単独と比較して、30日間E8+TC MCM中で培養したhESCについて、コロニー形態またはOct4+/Nanog+細胞集団において差異は観察されなかった(図6)。非最適化MCM+bFGFを有するE7培地中でのhESCのトランスウェル培養(TC)により、12日間培養後、88.8%Oct4+/Nanog+細胞集団が得られ(図1Aおよび1B)、標準的なE8培養より17%少ないbFGFを利用していた。
DCシステムについて、MCM+bFGFを上記のように製造し、培養中の細胞に直接加えた。細胞を、12ウェル培養プレートにおいてMatrigel上で、各図に示すようにE8またはE7培地のいずれか中で培養した。培地を毎日交換し、細胞を位相差顕微鏡によりイメージングした。継代のために、バーゼンインキュベートを5〜6分間の合計インキュベートまで延長したことを除き、一般的なhPSC培養方法のセクションに記載のように、細胞をバーゼンで処理した。再度、インキュベートの長さを、コロニーの端が剥がれ始めるときまで決定した。継代の前に、新しいMCM+bFGFを製造し、細胞播種の30分後に新しいウェルに直接入れた。最初の継代後、分化がMCM+bFGFを含まないE7培地において観察されたが、DC MCM+bFGFの条件いずれにおいても分化が観察されなかった(図2A)。分化が位相差顕微鏡により観察されなかったにもかかわらず、0.05および0.15 mgのMCM+bFGF DC条件は、E8コントロールと比較してOct4+/Nanog+細胞集団をそれぞれ7%および4%減少させた(図2Bおよび2C)。送達されたbFGFにおける実質的な差異にもかかわらず、MCM+bFGFとDC法におけるOct4/Nanog発現の維持との間に有意な用量依存関係は観察されなかった(1068 ng対804 ng)。非最適化MCM+bFGFを有するE7培地中でのhESCの直接培養(DC)により、9日間培養後、93.3%Oct4+/Nanog+細胞集団が得られた(図2Aおよび2B)。
実施例2
この実施例において、実験デザイン(DOE)を実施して、多次元実験空間の実験フレームワークを決定した。
この実施例において、実験デザイン(DOE)を実施して、多次元実験空間の実験フレームワークを決定した。
DOEは、MCM負荷方法についてMCMおよびbFGFの濃度レベルにおいてlog2ステップを用いた表面応答デザインを特徴とした。表面は、MCMおよびbFGFそれぞれについて1.0 mg/mLおよび1.0μg/mLを中心とした(図3Aおよび3B)。1継代後、E8コントロールと比較したOct4+/Nanog+細胞集団の減少が、DOEの5つの条件を除くすべてで観察された。3継代および12日間培養の後、--、-+、a0および0A(MCM/bFGFレベル)条件により、E8コントロールと同等のOct4+/Nanog+細胞集団が得られた(図3Bおよび3C)。E8と同等のOct4+/Nanog+細胞集団を有するこれらの条件については、--の条件のみが、17%低いbFGFにてE8コントロールより少ないbFGFを必要とした(図3B)。すべての条件において、12日間培養後に位相差顕微鏡により分化が観察されなかった。
実験デザイン(DOE)により、12日間TC培養にわたりE8と同等のOct4+/Nanog+細胞集団を生じる4条件が得られた。
実施例3
この実施例において、DOEデータのモデリングを実施した。
この実施例において、DOEデータのモデリングを実施した。
DOEデータのモデリングにより、E8コントロールと同等のOct4+/Nanog+細胞集団レベルを維持するMCM+bFGF負荷方法について確立された傾向が得られた(図4A)。モデルは、MCM濃度と反比例の関係および負荷溶液中のbFGF濃度と生の関係を示した。これら2つのパラメーター間の有意な非線形効果または相互作用が、このモデルで観察された(図4A)。負荷溶液中のMCMおよびbFGF濃度の両方の同時プロファイリングにより、非線形最適化曲線が得られ(図4B)、両方の解が鞍点であった。しかしながら、モデルは、この鞍点を決定する必須データを欠くため、両パラメーターの臨界点の正確な計算は決定できなかった(図6)。これらのプロファイルを使用し、最大望ましさを用いて、bFGFの使用を最小にしながら、95%Oct4+/Nanog+細胞集団を維持するためのMCM負荷条件を確立した。
多変量解析およびモデリングにより、必要とされるbFGFを最小化しながら、Oct4+/Nanog+細胞集団を最大にすることとして定義される、望ましさを最大にする最適な負荷条件が得られた。
実施例4
この実施例において、DOEデータのモデリングを実施した。
この実施例において、DOEデータのモデリングを実施した。
最適化(a-)および第2条件(-3)を、DOE最適化(図5A)により選択して、TCにおいて用い、一方a-条件のみをDCにおいて用いた。これらの条件を段階希釈して、95%Oct4+/Nanog+細胞集団の維持に必要とされるbFGFの量を最小限にした。2継代後に、0.25 mgのMCM+bFGFを有する-3 TCは、95%Oct4+/Nanog+細胞集団を維持できず、3継代後に、0.25および0.5 mg両方のMCM+bFGF条件で、Oct4+/Nanog+細胞集団は95%未満であった(図5B)。a- TCについては、すべての条件が、2継代後に95%Oct4+/Nanog+細胞集団維持したが、3継代では、1.0および0.75 mgのMCM+bFGF条件のみが維持した(図5C)。a- DCについては、すべての段階希釈が、3継代で95%Oct4+/Nanog+細胞集団維持した(図5D)。TCにおける条件およびDCにおける最適化条件の両方により、元のDOE条件の1.0 mgより低いMCM+bFGFの段階希釈にてE8と同等のOct4+/Nanog+細胞集団の維持が得られた。最適化条件のみにより、そうするのに必要とされるbFGFを減少させながら、この集団を維持する段階希釈が得られた。必要とされるbFGFは、a- TCについては25%減少し、a- DCについては75%減少した(図5E)。分化またはコロニー形態の差異は、95%以上のOct4+/Nanog+細胞集団を維持したTCまたはDC条件のいずれにおいても観察されなかった(図5F)。
DOE最適化MCM負荷条件により、必要とされるbFGFを減少させながら、12日間のTCおよびDCにおけるE8培養と同等のOct4+/Nanog+細胞集団の維持が得られた。
TCおよびDCの2つの培養方法は、必要とされるbFGFをそれぞれ25%および75%減少させながら、12日間にわたってE8培養と同等にhPSCのOct4/Nanog集団を維持し、これは、組み換え増殖因子が実質的なコスト負担であるときにhPSCのバイオ製造におけるそれらの使用の可能性を示している。DC法は、最終的にTC法よりも必要とされるbFGFの量を減少させ、高価なトランスウェルの必要性を排除したが、各継代にてMCMを1時間負荷する必要があり、それ故にhPSC培養に関連する労力を増加させた。
本明細書に示すように、hPSC培養においてbFGF消費を減少させるためのミネラルコーティングされたマイクロ粒子からのbFGFの持続放出システムを提供する。MCM+bFGFが、放出トランスウェルからhPSC培養培地へbFGFを放出するか、MCM+bFGFにhPSCを直接接触させてbFGFを局所放出する、2つの培養方法を開発した。DOEデザインを利用して、MDM負荷手順におけるMCMおよびbFGF両方の濃度は、この培養戦略におけるOct4+/Nanog+集団の結果に影響を与えた。多変量解析およびDOE実験空間のモデリングにより、必要とされるbFGFの量を減少させながら、標準的なE8培養の12日間と同等のOct4+/Nanog+集団をもたらすMCM負荷条件が得られた。このMCM+bFGF hPSC培養戦略は、増殖因子の低い熱不安定性により必要とされるbFGFの高消費を減少させることにより、hPSCのバイオ製造に極めて適している。
実施例5
この実施例において、hPSCの長期増殖に必要とされる増殖因子の量を減少させるために、bFGFを安定化し、その送達を維持するミネラルコーティングされたマイクロ粒子(MCM)の使用を分析した。
この実施例において、hPSCの長期増殖に必要とされる増殖因子の量を減少させるために、bFGFを安定化し、その送達を維持するミネラルコーティングされたマイクロ粒子(MCM)の使用を分析した。
MCMの製造および特性評価:ヒドロキシアパタイト粉末(Plasma Biotal Limited)をマイクロ粒子のコア材料として用いた。コア材料を、141 mM NaCl、4.0 mM KCl、0.5 mM MgSO4、1.0 mM MgCl2、100 mM NaHCO3、20.0 mM HEPES、5.0 mM CaCl2、および2.0 mM KH2PO4の処方を有し、pHを6.80に調節した改変模擬体液(mSBF)中に、1 mg/mLの濃度にて懸濁させた。懸濁液を、37℃にて24時間回転させ、その時点でマイクロ粒子を2,000gにて2分間遠心分離し、上清をデカントし、新しく調整したmSBFと交換した。このプロセスを、5日間毎日繰り返し、この時点でMCMを50 mLの脱イオン水で3回洗浄し、セルストレーナー(40μm孔径)を通してろ過し、15 mLの蒸留水に懸濁させ、液体窒素中で瞬間凍結し、48時間凍結乾燥した。その後、凍結乾燥したMCMを、SEMおよびカルシウム放出アッセイにより分析した。MCMを、金でスパッタコーティングし、LEO 1530走査型電子顕微鏡(Gemini)で3kvにてイメージングした。穏やかに回転させながら、MCMを0.02 M Tris塩基緩衝液(pH 7.4)中でインキュベートし、MCMを遠心分離し、上清を回収し、毎日新しい緩衝液と交換することにより、Ca2+放出を測定した。上清50μLを、0.4 mM Arsenazo III(MP Biomedicals、Solon、OH)を含有するアッセイワーキング溶液150μLを混合することにより、上清Ca2+濃度を測定した。この溶液の吸光度を650 nmにて測定して、検量線を用いてCa2+濃度を決定した。
bFGF負荷MCMの産生:MCMを平らな面上に広げ、UV照射により30分間滅菌し、その後、滅菌チューブへ分注し、使用するまで保存した。MCM負荷のために、滅菌したMCMを滅菌PBSに懸濁させ、1 mg/mLストック溶液を調製し、適切な量の組み換えヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF、担体なし;R&D Systems)とMCMストック溶液を合わせて、負荷溶液中で各々所望の最終濃度を得た(例えば、非最適化負荷については、1.0μg/mL bFGF、1.0 mg/mL MCM;最適化負荷については、0.456μg/mL bFGF、0.375 mg/mL MCM)。MCM-bFGF溶液を37℃にて一定回転下1時間インキュベートした。その後、懸濁液を2000gにて3分間遠心分離して、MCMをペレット化した。細胞培養実験について、MCMをE7培地に再懸濁させ、他に断らない限り、すぐに用いた。bFGF負荷MCMを、トランスウェル培養試験(他に明記されない限り)の3継代ごとに新しく製造し、直接培養試験における新しい各継代にて製造した。Quantikine bFGF ELISAを用いて、元の負荷溶液中のbFGFの量を測定し、MCM負荷後の上清中のbFGFの量を差し引くことにより、タンパク質結合効率を決定した。
hESCの一般的培養:H1ヒト胚性幹細胞(WA01-DL-12、WiCell)またはWTc11ヒト人工多能性幹細胞を、Essential 8培地中で、Matrigel(8.7μg/cm2)コーティングされた6ウェルプレートにおいて、加湿インキュベーター内で37℃、5%CO2にて維持した。培地を毎日交換し、細胞を、新しいMatrigelコーティングされたプレートに3〜4日ごとにバーゼン(Life Technologies)を用いて継代した。hPSC維持実験で用いた培地は、Essential 8(E8、Life Technologies)およびE7(1.76 ng/mLヒトトランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1、担体なし;R&D Systems)を添加したEssential 6培地(Life Technologies))であった。
トランスウェル培養方法:MCMまたはbFGF-MCMを上記のように製造し、12ウェル培養プレート(Corning)のポリカーボネートトランスウェル(0.4μm孔径)に加えた。hPSCを上記のようにMatrigel上で、各図に示すようにE8またはE7培地のいずれか中で培養した。細胞を位相差顕微鏡によりイメージングしながら、トランスウェルインサートを取り除き、基本培地(すなわち、bFGF-MCMなし)を毎日交換した。上記のように細胞をバーゼンで継代しながら、各継代にて、トランスウェルインサートを取り除いた。トランスウェルインサートを培養ウェルへ加える前に、細胞を新しいMatrigelコーティングされたプレートに30分間接着させた。他に断らない限り、同じトランスウェル(元のbFGF-MCMを含有する)を、実験全体を通して用い、各継代にて新しいウェルに移した。
直接培養方法:MCMまたはbFGF-MCMを上記のように製造し、12ウェル培養プレートにおいてMatrigel上で、各図に示すようにE8またはE7培地のいずれか中で培養したhPSCに直接加えた。基本培地を毎日交換し(他に断らない限り)、細胞を位相差顕微鏡によりイメージングした。各継代にて、一般的なhPSC培養方法のセクションに記載のように、細胞をバーゼンで継代した。新しいbFGF負荷MCMを新しいウェルに直接加える前に、細胞を新しいMatrigelコーティングされたプレートに30分間接着させた。
DOEデザインおよびモデリング:JMPソフトウェア(SAS)を、表面応答実験デザイン(DOE)をデザインするために用いた。デザインは、MCM負荷中のbFGF濃度およびMCM濃度という、2つの因子について軸方向の位置を持つ1つの中心点を中心に回転可能である。因子レベルを、log2ステップ(表面位置については±1、軸方向については±1.41のステップサイズ)で、JMPにより特定される1μg/mL bFGFおよび1 mg/mL MCMの中心濃度から離れて設定した。DOEを繰り返し3回実施し、継代3におけるOct4+/Nanog+の%を、すべての条件についての応答変数として用いた。Oct4+/Nanog+応答の因子として、bFGFおよびMCM(bFGF、MCM、bFGF2、およびMCM2)については線形および二乗依存性、bFGFおよびMCM(bFGF*MCM)については交差依存性の最小二乗法フィッティングを用いて、モデルを作成した。JMPの因子プロファイラーを用いて、総bFGFを最小化しながら、95%Oct4+/Nanog+を達成したbFGFおよびMCMの濃度を特定するために望ましさのプロットを用いてDOE最適化MCM負荷条件を選択した。
フローサイトメトリーによるOct4+/Nanog+集団の定量:簡単には、hPSCを回収し、PBSで洗浄し、0.25%トリプシン/EDTAと共に8〜10分間37℃にてインキュベートし、続いてピペッティングして解離させた。5μM Y-27632を添加したRPMI中の20%FBSを2倍量加えることにより、トリプシン活性をクエンチした。試料を200 gにて5分間遠心分離し、ペレット化試料を1%パラホルムアルデヒドで20分間室温にて固定し、氷冷90%メタノールで15分間4℃にて透過処理し、処理するまで-20℃にて保存した。試料をフローバッファー1(PBS中0.5%BSA)で2回洗浄して、残留メタノールを取り除き、1時間室温にてフローバッファー2(PBS中0.5%BSA+0.1%Triton X-100)中の一次抗体と共にインキュベートし、フローバッファー2で洗浄し、暗所で30分間室温にてフローバッファー2中の二次抗体と共にインキュベートした。試料をフローバッファー2で2回洗浄し、フローバッファー1に再懸濁させ、分析前に氷上で保存した。データをMACSQUANTフローサイトメーター(Miltenyi Biotec)で収集し、FlowJoフトウェアを用いて分析した。用いた一次抗体および希釈液は、マウス抗ヒトOct3/4(Santa Cruz Biotechnology、sc-5279、1:400)、ウサギ抗ヒトNanog(Cell Signaling Technology、4903S、4903S、1:200)であった。用いた二次抗体および希釈液は、ヤギ抗マウスAlexaFluor 488およびヤギ抗ウサギAlexaFluor 647(Thermo Fisher Scientific、各々1:1000)であった。
免疫細胞化学:試料を、10%中性緩衝化ホルマリンで15分間固定し、PBS中0.2%Triton X-100で5分間透過処理し、PBS中1%BSAで30分間ブロックし、一次抗体(PBS中1%BSAにおいて希釈)で室温にて1時間染色した。試料をPBS中0.05%Tween-20で3回洗浄し、二次抗体(PBSで希釈)で室温にて1時間または4℃にて一晩染色した。核をDAPIで対比染色した。用いた一次抗体および希釈液は、マウス抗ヒトOct3/4(Santa Cruz Biotechnology、sc-5279、1:100)、ウサギ抗ヒトNanog(Cell Signaling Technology、4903S、4903S、1:100)、マウスIgG2a抗βIIIチューブリン(R&D、MAB1195、1:200)、マウスIgG2b抗αフェトプロテイン(R&D、MAB1369、1:200)、ウサギ抗α平滑筋アクチン(Abcam、ab124964、1:200)、マウスIgG1抗PECAM-1(EMD Millipore、MAB2184、1:50)であった。用いた二次抗体および希釈液は、ヤギ抗マウスAlexaFluor 488、ヤギ抗マウスIgG2a AlexaFluor 488、ヤギ 抗ウサギまたは抗マウス AlexaFluor 568、およびヤギ抗マウスIgG2b AlexaFluor 647(Thermo Fisher Scientific、すべての二次抗体について1:1000)であった。
胚様体(EB)の自発的分化:自発的EBを形成するために、標準的なE8培養(6ウェル様式)におけるhPSCを、PBSで洗浄し、予熱したDispase(Gibco、1 U/mL)中で3分間37℃にてインキュベートした。Dispaseを吸引により取り除き、1ウェル当たり2 mLのPBSを加えた。細胞スクレーパーを用いて、細胞を培養表面から取り除き、細胞懸濁液をチューブに加えて、200g/5分間遠心分離した。個々のウェルからの細胞ペレットを、2.5 mLのE8に再懸濁させ、5μM Y-27632を添加し、細胞懸濁液を6ウェル超低接着培養プレート(Corning)に加えた。最初の播種時間を「-3日目」とした。EBを14日間自発的分化に供した。簡単には、EBを0日目から3日目までE8から分化培地(DM)に移し;EBを0日目に75:25 E8:DM、1日目に50:50 E8:DM、2日目に25:75 E8:DM、3日目に100%DMに入れ、その後DMで維持した。DMは、0.1 mMβ-メルカプトエタノール、1%非必須アミノ酸および1%L-グルタミンを含むKnockout-DMEM中の20%Knockout Serum Replacementからなる。4日目に、EBをMatrigelコーティングされたプレートに移し、接着性アウトグロースを形成させた。培地を接着性EB上で2日ごとに交換した。接着性EBを10%中性緩衝化ホルマリンで14日目に分析のために固定した。
外胚葉、中胚葉および内胚葉系統への有向分化(directed differentiation):H1 hESCおよびWTc11 hiPSCを、確立された手順に従って有向分化に供した。神経前駆細胞の分化(58から適応):60%コンフルエントから開始し、hPSCをAccutaseにより継代し、12ウェルのMatrigelコーティングされたプレート中において5×104細胞/ウェルの密度で、100 ng/mL塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)および10μM Y-27632を添加したSB培地(10μg/mLトランスフェリン、5μg/mLインスリンおよび10μM SB431542を含有するDF3S)に播種した。DF3S培地は、DMEM/F-12、L-アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム(64μg/mL)、セレンナトリウム(14 ng/mL)およびNaHCO3(543μg/mL)からなる。細胞を、翌日Y-27632を含まない培地に移した。その後、接着性細胞を、後脳特異化のためのSB培地、または前脳特異化のためのSBNog培地(100 ng/mL Nogginを含有するSB培地)のいずれかに移し、それぞれの培地中で維持し、毎日培地を交換した。9日目に、細胞をAccutaseで1:6の比率にて継代し、Matrigelコーティングされたプレート上にNeural Expansion 培地(N-2サプリメント、B-27サプリメントおよび5 ng/mL bFGFを含有するDF3S 地)中で播種した。Neural Expansion培地を2〜3日ごとに交換し、細胞をAccutaseで6〜8日ごとに1:6継代した。免疫細胞化学のために固定する前に、細胞をNeural Expansion培地中で合計24日間維持した。
内皮分化(59から適応):80%コンフルエントのhPSCをAccutase(Invitrogen)で解離させ、Matrigelコーティングされたプレート上において1:4継代した。細胞生存を向上させるために初日に10μM Y-27632を培地中に含ませた、E8BAC培地(5 ng/mL骨形成タンパク質(BMP)-4、25 ng/mLアクチビンAおよび1μM CHIR-99021を含むEssential 8)中で2日間培養することにより、hPSCを中胚葉に分化させた。その後、免疫細胞化学のために固定する前に、中胚葉をE7Vi培地(100 ng/mL bFGF、50 ng/mL血管内皮細胞増殖因子(VEGF)-A165および5μM SB431542を含むEssential 6)中で4日間培養した。
肝細胞分化(60から適応):分化を開始する1日前に、hPSCをAccutaseで解離させ、Matrigelコーティングされたプレート上に5×104細胞/cm2にて、10μM Y-27632を添加したE8中で播種した。分化を開始するために、培地を1X インスリン不含B-27および100 ng/mLアクチビンAを含有するRPMIへ播種の翌日に交換した。細胞をこの分化培地中で合計3日間維持した。その後、培地を、30 ng/mL FGF-4および20 ng/mL BMP-2を添加したRPMI+インスリン不含B-27へ5日間交換した。最後に、免疫細胞化学のために固定する前に、細胞を、20 ng/mL 肝細胞増殖因子(HGF)を添加したRPMI+インスリン不含B-27中でさらに5日間維持した。
核型分析およびテラトーマアッセイ:試料をテラトーマ形成アッセイおよびGバンド核型分析のためにWiCell(Madison、WI)に提供し、WiCellのCytogenetics Labにより分析および解析された。テラトーマアッセイからの組織像は、Comparative Pathology Laboratory of the University of Wisconsin-Madisonにより分析および解析された。
ELISA:bFGF(Quantikine basic FGF ELISA、R&D Systems、DFB50)、phosphoERKおよびtotal ERK(Abcam、ab176660)を測定するためのELISAを、メーカーの推奨手順に従って実施した。MCMは、ELISAの読み取りに干渉しないことが確認された(図7B)。phosphoERKおよびtotal ERKアッセイについては、10μgの総タンパク質を、microBCAにより定量した細胞溶解物のタンパク質濃度に基づいて、ELISAの1ウェル当たり負荷した。
bFGF生物活性:bFGF ELISAの読み取りをERKリン酸化と相関させる実験について、hPSCが、bFGF(E7中)を24時間不足する状態にし、続いて、溶液中種々の濃度の新しいbFGFを含有するE7(種々の比率でE8とE7培地を混合することにより製造)で2時間再刺激した。bFGF生物活性の喪失をERKリン酸化と相関させるための実験について、E8培地を37℃または65℃にて1、6または24時間インキュベートし、冷却してから、上記のようにbFGFを欠くhPSCを再刺激した。再刺激培地中のbFGF含有量をQuantikine bFGF ELISAにより測定した。再刺激hPSC中の相対的phosphoERK含有量を、細胞溶解物中のphosphoERKおよびtotal ERK ELISAにより決定した。簡単には、細胞をPBSで洗浄し、1X Halt プロテアーゼ/ホスファターゼ混合型阻害剤を含有する氷冷RIPA緩衝液に再懸濁させた。試料を15分間4℃にて撹拌し、12,000gで15分間4℃にて回転させた。試料からの上清を回収し、溶解物中の総タンパク質をmicroBCA アッセイ(Thermo Fisher Scientific)により定量した。遊離bFGF対MCM結合FGFの熱安定性を比較する実験について、E7中100 ng/mL bFGFまたはE7中62μg/mLの最適化bFGF-MCM(細胞培養実験での使用に合わせる)を含有する溶液を、Quantikine bFGF ELISAにより活性なbFGF含有量を評価する前に、4℃にて保存したか、または37℃にて様々な時間インキュベートした。
bFGF-MCMとPLGAマイクロスクフェアの比較:bFGF放出PLGAマイクロスクフェア(STEMBEADS(登録商標)FGF2)をStemCulturesから購入した。すべての比較試験について、bFGF-MCMおよびPLGAマイクロスクフェアを、細胞培養実験で用いたものと同じ濃度に再懸濁させた(メーカーの推奨に従って、最適化bFGF-MCMについては62μg/mL;PLGAマイクロスクフェアについては8μL/mL)。
活性および総bFGFの放出。E7中のTGF-β1が総タンパク質測定に実質的なバックグラウンドに寄与することが分かったため、bFGF-MCMおよびPLGAマイクロスクフェアを、DF3S培地(Thermo Fisher Scientific)に懸濁させた。得られた溶液を37℃にてインキュベートし、4日間毎日放出物を回収した。活性bFGFの放出を測定するために、均質なMCMおよびマイクロスクフェア懸濁液のフラクションを、最初に回収した。総bFGFの放出を測定するために、MCMまたはマイクロスクフェア懸濁液を、その後22,000g/2分にて遠心分離し、上清を回収し、新しいDF3S培地を交換した。放出された活性および総bFGFの量を、それぞれQuantikine bFGF ELISA(R&D Systems)およびNanoOrange Protein Quantitationキット(Thermo Fisher Scientific)により決定した。活性bFGF放出の毎日の累積値を、bFGF Quantikine ELISAの2時間試料インキュベート工程中の放出物中のbFGF含有量から外挿した(図7A)。NanoOrangeによる総タンパク質含有量の定量を、Amicon 3 kDa MWCO Centrifugal Filter Units(EMD Millipore)を用いた放出物の濃縮後に行った。
統計:DOEグラフおよびモデルをJMPで作成し、すべての他のグラフをGraphPad Prismで作成した。Oct4+/Nanog+集団のパーセンテージ間の統計をGraphPad Prismで実施した。各比較の有意性の程度を各図/キャプションに示す。
結果
MCMは、用量依存的にhPSCにおけるOct4およびNanogの発現を維持するために、bFGFと効率的に結合して放出した。改変模擬体液中でのヒドロキシアパタイト粉末のインキュベートは、hPSC培養中でbFGFの送達を持続することができる、無機ナノ構造の板状のコーティングを有するマイクロ粒子を生成した(図8A)。これらのコーティングは、室温にて1時間インキュベート後に80.1±6.5%(0.97μg bFGF/mg MCM)が結合する、高いbFGF結合能力を示す(図8Bおよび9A)。7日間にわたるpH 7.4 Tris緩衝化生理食塩水中での持続的カルシウム溶解により示されるように、MCMは、生理学的pHにて徐々に分解することにより持続的なbFGF放出をもたらした(図8Cおよび9B)。トランスウェル培養において、MCMは、細胞と直接接触することなくbFGFを放出し、bFGF-MCM含有トランスウェルは、培養の期間を通して持続放出のためにキャリーオーバーされた。直接培養様式において、bFGF-MCMを各継代のために新しく製造し、hPSCを含有するウェルに直接加えた(図9C)。MCMをhPSCと直接培養した後、SEMによって観察可能なままであった明確なナノ構造の特徴によって証明されるように、MCMは、細胞膜と密接に相互作用したが、内在化されなかった(図9D)。
MCMからの持続的なbFGF放出は、bFGFを含まない化学的に定義された培地(Essential 8培地からbFGFを差し引いたもの、以下「E7」と呼ぶ)において、多能性マーカーOct4およびNanogのhPSC発現を用量依存的に維持した。bFGF-MCMを用いた培養は、E8の細胞と同様の上皮様形態のhPSCコロニーを維持した。自発的に分化する間葉様細胞の出現は、bFGF-MCM用量と逆相関した(図12A)。E7単独で培養したhPSCは、間葉様形態の細胞の出現と、Oct4およびNanog発現の同時喪失によって証明されるように、継代2で自発的に分化した(継代2で21.2±10.5%Oct4+/Nanog+;継代3で14.0±1.7%)(図10Aおよび10B)。bFGF-MCMの量の増加により(1ウェル当たりのMCM量=0.1 mg/「低」、0.5 mg/「中」または1.0 mg/「高」)、継代3にて、それぞれ50.0±1.4%、76.1±5.6%および88.8±3.1%Oct4+/Nanog+ hPSCが得られた(図10Bおよび10C)。重要なことに、無負荷MCMの存在は、E8培地中で10継代(40日)にわたってトランスウェルまたは直接培養様式で培養したhPSCの多能性マーカー発現に有意な影響を与えなかった(図11Aおよび11B)。E8中でのhPSCの標準的な培養(1日当たり100 ng/mLのbFGFで約95%のOct4+/Nanog+細胞を一貫して維持)と比較して、高用量のbFGF-MCMはbFGFの消費を16.7%低下させた(図10B、表1)が、継代3を超えて未分化hPSCを維持できなかった(図12Aおよび12B)。
実験デザイン(DOE)に基づくbFGF-MCM製造の最適化により、必要とされるbFGFを最小化しながら、>95%Oct4+/Nanog+ hPSCの維持が得られた。回転可能な応答表面デザインを構築して、hPSCの多能性に対するMCM負荷溶液中のMCMおよびbFGF濃度の影響を決定した。2因子、5レベルのデザインは、3継代で多能性マーカーの発現を維持する能力についてトランスウェル培養でテストされる、9つの固有のMCM負荷条件を生成した(図13A)。これらの条件は、44.5±5.6%から98.1±0.4%の範囲のOct4+/Nanog+ hPSCを維持した。9つのMCM負荷条件のうち4つは、継代3で未分化コロニー形態を有する>95%Oct4+/Nanog+ hPSCを維持し、E8培地中で維持したコントロールhPSCに匹敵する(図13Bおよび13C)。これらの4つの条件のうち、(--)のみが、E8と比較して利用されるbFGFの量を16.7%減少させた(表1)。
実験データの多変量解析により、MCM負荷溶液中のMCMおよびbFGF濃度の両方に対する適合度F<0.0001および%Oct4+/Nanog+ hPSCの統計的に有意な依存性(P<0.0001)を持つモデルが得られた(図13Dおよび14A〜14C)。望ましさを「95%Oct4+/Nanog+集団を達成しながら利用されるbFGFの量を最小化する」と定義することにより、モデルを使用して、0.375 mg/mL MCMおよび0.456μg/mL bFGFの最適化MCM負荷溶液を決定した(図13D)。最適化負荷条件を用いて製造されたbFGF-MCMを非最適化bFGF-MCMと比較することにより、2つの条件間で総bFGF利用が一致する用量範囲でモデルを試験した(表2)。すべての最適化条件は、トランスウェル培養様式における3継代にわたって非最適化条件を上回った。具体的には、0.6、0.9および1.2μgのbFGFのMCM用量は、最適化MCMを用いて>90%Oct4+/Nanog+ hPSCを維持したが、非最適化製剤の対応する用量は、54〜64%Oct4+/Nanog+のみを維持した(図13E、表2)。直接培養様式において、最適化MCMの4つの試験した用量すべて(1ウェル当たり61〜246μgのbFGF-MCM)は、3継代にわたってE7培地中で>97%Oct4+/Nanog+ hPSCを維持できたが、非最適化製剤の対応する用量は、83〜93%Oct4+/Nanog+を維持した(図13E、表2)。また、最適化MCMは、>95%Oct4+/Nanog+ hPSCを維持しながら、毎日の供給(100 ng bFGF/mL/日)を含むE8培地中での標準なhPSC培養と比較して、総bFGF使用を25.0%(トランスウェル)および81.2%(直接)減少させた(表3)。
最適化bFGF-MCMを用いた長期直接培養は、bFGFを80%超減少させながら、hPSCの多能性を維持した。最適化bFGF-MCMを用いた直接培養は、E7中で2つのhPSC系統(H1 hESCおよびWTc11 hiPSC)の多能性を25継代(3か月超)維持し、必要とされるbFGFの量をE8中での標準的な培養と比較して81.2%減少させた(表3)。25継代を通して、直接培養bFGF-MCMは、両方のhPSC系統について典型的な未分化形態を有するコロニーを生じた(図15A)。また、直接培養におけるhPSCは、2継代後に明らかなMCMキャリーオーバーなしで、標準的な培養条件(E8培地/マトリゲル)に戻すことができ、これは、おそらくEDTAを介した継代によりMCMが溶解および除去されたためである(図16)。
免疫蛍光染色およびフローサイトメトリーによって決定されるように、bFGF-MCMによる長期増殖は、両方のhPSC系統において多能性マーカーの頑健な発現を維持し(図15C、表4)、両方の系統は正常な核型を示した(図15D)。bFGF-MCMを用いた直接培養における25継代後、両方の系統のhPSCは、インビトロおよびテラトーマアッセイで外胚葉、中胚葉および内胚葉の誘導体を生じさせる能力を保持していた。具体的には、分化した細胞は、インビトロで自発的に分化する胚様体においてβIII-チューブリン(外胚葉)、α平滑筋アクチン(中胚葉)およびαフェトプロテイン(内胚葉)を発現し(図15Eおよび17)、各hPSC系統は、ヌードマウスにおける神経外胚葉、軟骨および肝臓組織を含有するテラトーマを生じさせた(図15Fおよび18)。また、hPSCは、bFGF-MCM-E7中での25継代後、E8に戻り、神経、内皮および肝臓系統への有向分化を実施し、それぞれβIII-チューブリン+ニューロン、PECAM-1+内皮細胞およびAFP+肝細胞様細胞の生成が観察された(図19)。まとめると、これらの結果は、bFGF-MCMを用いた直接培養が、標準的なhPSC培地と比較して必要されるbFGFの量を80%超減少させながら、hPSCの多能性を維持することを示す。
局所的なbFGF送達は、培養表面でのより高い成長因子活性および生物学的応答の増加と相関していた。直接培養におけるbFGF-MCMは、必要とされる投与bFGFの量を少なくしながら、Oct4/Nanog発現を>95%に維持することにより、トランスウェル培養を著しく上回った(図13E、表3)。実際、直接培養における長期のhPSC維持に十分なbFGF-MCMの量は、継代ごとにbFGF-MCMを新たに添加した場合でも、トランスウェル培養様式においてOct4/Nanogの発現を維持できなかった(図20A)。これは、細胞に近接した増殖因子の局在化が生物学的応答を増強する可能性があることを示唆しているため、bFGF-MCMの局所送達が多能性維持を改善した理由を評価するために、活性bFGFのみを検出する酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)(図9A、9Bおよび21A-21D)を利用した。この無細胞アッセイでは、等量の投与bFGF-MCMを比較した場合、トランスウェル培養と比較して、直接培養で検出された活性bFGFの量の9倍の増加が観察された(図20B)。これは、bFGF-MCMを用いた直接培養が、トランスウェル培養と比較して、培養表面での活性bFGFのより高い局所バイオアベイラビリティをもたらしたことを示している。
MCMは、生理的温度における活性喪失に対したbFGFを安定化した。細胞継代時(すなわち、4日ごと)にのみ培地を交換した実験は、bFGF-MCMが、同量の溶解性bFGFをE7培地へスパイクした「ボーラス」条件と比較して、hPSCでのOct4/Nanog発現をより良好に維持することが示されました。これらの条件下で、直接培養におけるbFGF-MCMは、3継代の間hPSCにおいてOct4/Nanog発現を維持したが(P3で96.3±0.1%Oct4+/Nanog+)、溶解性bFGFのボーラス取り込みは、わずか1継代後にOct4/Nanogを維持できなかった(P2で78.0±0.9%Oct4+/Nanog+)(図22A)。8継代後、bFGF-MCMは、ボーラス溶解性bFGF(41.2±2.3%)より実質的に高いパーセンテージのOct4+/Nanog+ hPSC(75.9±0.5%)を生成した(図22A)。bFGF活性を定量するために、活性bFGF濃度(図21Aおよび21B)に対して線形応答をするbFGF ELISAアッセイを用いた。重要なことに、当該アッセイは、E8培地中で熱的に誘発されるbFGF活性の喪失を検出したことが示された。37℃および65℃で予めインキュベートした培地中でのbFGF活性の喪失は、予めインキュベートした培地で処理したhPSCにおけるERKリン酸化の減少と相関していた(図21Cおよび21D)。bFGF ELISAを用いると、37℃で1日および4日間のインキュベーション後、それぞれ溶解性bFGFの5.37±2.72%および1.16±0.31%のみが活性を維持したが、bFGF-MCMは、これらの同じ期間にわたって、15.84±3.33%および5.36±1.61%のbFGF活性を維持したことが観察された(図22B)。
MCMは、hPSC培養でbFGFを放出するように設計された、一般的に使用されている市販のポリマーマイクロスクフェアより効率的に37℃で4日間にわたって活性bFGFを放出した。具体的には、bFGFが封入されたPLGAマイクロスクフェアは、MCM(597±140 ng/mL)と比較して、4日間にわたって著しく多くの総タンパク質(累積1556±188 ng/mL)を放出した(図22C)。しかしながら、MCMは、1およびと2日目にのみ検出可能な活性bFGFを放出したPLGAマイクロスクフェア(10.8±4.8 ng/mL)と比較して、4日間にわたってほぼ10倍多くの活性bFGFを放出した(累積103.5±15.8 ng/mL)(図22D)。
上記を考慮して、本開示のいくつかの利点が達成され、他の有利な結果が得られることが分かるだろう。本開示の範囲から逸脱することなく上記方法において様々な変更がなされ得るため、上記説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されるべきであることを意図する。
本開示の要素またはその様々な変形物、実施態様または態様を導入するとき、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つ以上の要素があることを意味することが意図される。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」は、包括的であり、リストされる要素以外の更なる要素があり得ることを意味することが意図される。
Claims (21)
- コア;および
線維芽細胞増殖因子を含むミネラルコーティング
を含む、線維芽細胞増殖因子と結合し、安定化するためのミネラルコーティングされたマイクロ粒子。 - ミネラルコーティングが、1 mgのミネラルコーティングされたマイクロ粒子当たり約0.1 ng〜約10,000 ngの範囲の量の線維芽細胞増殖因子を含む、請求項1に記載のミネラルコーティングされたマイクロ粒子。
- 線維芽細胞増殖因子が、ミネラルコーティングに吸着されている、ミネラルコーティング内に組み込まれている、およびその組合せである、請求項1に記載のミネラルコーティングされたマイクロ粒子。
- 線維芽細胞増殖因子が、精製線維芽細胞増殖因子、組み換え線維芽細胞増殖因子およびその組合せより選択される、請求項1に記載のミネラルコーティングされたマイクロ粒子。
- 線維芽細胞増殖因子が、塩基性線維芽細胞増殖因子である、請求項1に記載のミネラルコーティングされたマイクロ粒子。
- ミネラルコーティングが、カルシウム、リン酸および炭酸の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のミネラルコーティングされたマイクロ粒子。
- コアが、ポリマー、セラミック、金属およびガラスの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のミネラルコーティングされたマイクロ粒子。
- ミネラルコーティングされたマイクロ粒子を含む容器を含む、線維芽細胞増殖因子を放出するためのキットであって、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子が、コア;および線維芽細胞増殖因子を含むミネラルコーティングを含む、キット。
- ミネラルコーティングが、1 mgのミネラルコーティングされたマイクロ粒子当たり約0.1 ng〜約10,000 ngの範囲の量の線維芽細胞増殖因子を含む、請求項8に記載のキット。
- 線維芽細胞増殖因子が、ミネラルコーティングに吸着されている、ミネラルコーティング内に組み込まれている、およびその組合せである、請求項8に記載のキット。
- 線維芽細胞増殖因子が、精製線維芽細胞増殖因子、組み換え線維芽細胞増殖因子およびその組合せより選択される、請求項8に記載のキット。
- 線維芽細胞増殖因子が、塩基性線維芽細胞増殖因子である、請求項8に記載のキット。
- ミネラルコーティングが、カルシウム、リン酸および炭酸の少なくとも1つを含む、請求項8に記載のキット。
- コアが、ポリマー、セラミック、金属およびガラスの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のキット。
- 幹細胞の多能性を維持するための多能性幹細胞の培養方法であって、該方法が、多能性幹細胞をミネラルコーティングされたマイクロ粒子と接触させることを含み、ミネラルコーティングされたマイクロ粒子が、コア、および線維芽細胞増殖因子を含むミネラルコーティングを含む、方法。
- 線維芽細胞増殖因子が、精製線維芽細胞増殖因子、組み換え線維芽細胞増殖因子およびその組合せより選択される、請求項15に記載の方法。
- 線維芽細胞増殖因子が、塩基性線維芽細胞増殖因子である、請求項20に記載の方法。
- 細胞培養インサートを用いて、多能性幹細胞をミネラルコーティングされたマイクロ粒子と接触させる、請求項15に記載の方法。
- 多能性幹細胞をミネラルコーティングされたマイクロ粒子と直接接触させる、請求項15に記載の方法。
- Oct4、Nanog、Sox2、SSEQ-4、TRA-1-60、TRA-1-81およびその組合せより選択されるマーカーについて細胞を分析することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
- 容器を含む、増殖因子のhPSCへの持続送達によりhPSCの多能性を維持するためのキットであって、容器が、
ミネラルコーティングされたマイクロ粒子であって、コア、ミネラルコーティング、増殖因子を含むマイクロ粒子;および
請求項15〜20に記載の方法を実施するための説明書
を含む、キット。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US201862653847P | 2018-04-06 | 2018-04-06 | |
US62/653,847 | 2018-04-06 | ||
PCT/US2019/026086 WO2019195748A1 (en) | 2018-04-06 | 2019-04-05 | Structured nanocoatings for the stabilization of pluripotent stem cell media components |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021520783A true JP2021520783A (ja) | 2021-08-26 |
Family
ID=68101387
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020554466A Pending JP2021520783A (ja) | 2018-04-06 | 2019-04-05 | 多能性幹細胞培地成分の安定化のためのナノコーティング構造体 |
Country Status (6)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20210145757A1 (ja) |
EP (1) | EP3773519A4 (ja) |
JP (1) | JP2021520783A (ja) |
CA (1) | CA3096396A1 (ja) |
IL (1) | IL277815A (ja) |
WO (1) | WO2019195748A1 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000071152A1 (en) * | 1999-05-21 | 2000-11-30 | Human Genome Sciences, Inc. | Fibroblast growth factor 10 |
US8968994B2 (en) * | 2006-07-06 | 2015-03-03 | Jeremy Micah Crook | Method for stem cell culture and cells derived therefrom |
EP2349212B1 (en) * | 2008-09-25 | 2022-01-19 | TRS Holdings LLC | Mineral-coated microspheres |
AU2013245406B2 (en) * | 2012-04-03 | 2017-07-20 | Reneuron Limited | Stem cell microparticles |
-
2019
- 2019-04-05 US US17/045,293 patent/US20210145757A1/en active Pending
- 2019-04-05 WO PCT/US2019/026086 patent/WO2019195748A1/en unknown
- 2019-04-05 EP EP19780859.5A patent/EP3773519A4/en not_active Withdrawn
- 2019-04-05 CA CA3096396A patent/CA3096396A1/en active Pending
- 2019-04-05 JP JP2020554466A patent/JP2021520783A/ja active Pending
-
2020
- 2020-10-05 IL IL277815A patent/IL277815A/en unknown
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2019195748A1 (en) | 2019-10-10 |
EP3773519A1 (en) | 2021-02-17 |
IL277815A (en) | 2020-11-30 |
US20210145757A1 (en) | 2021-05-20 |
EP3773519A4 (en) | 2021-12-29 |
CA3096396A1 (en) | 2019-10-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7116964B2 (ja) | 終脳又はその前駆組織の製造方法 | |
US20220033773A1 (en) | Derivation of human microglia from pluripotent stem cells | |
Huang et al. | The in vitro generation of lung and airway progenitor cells from human pluripotent stem cells | |
Hookway et al. | Aggregate formation and suspension culture of human pluripotent stem cells and differentiated progeny | |
JP5902092B2 (ja) | 心筋細胞の生成 | |
US8968994B2 (en) | Method for stem cell culture and cells derived therefrom | |
Tuleuova et al. | Using growth factor arrays and micropatterned co-cultures to induce hepatic differentiation of embryonic stem cells | |
US20220177836A1 (en) | Methods for differentiating cells | |
Sgodda et al. | A scalable approach for the generation of human pluripotent stem cell-derived hepatic organoids with sensitive hepatotoxicity features | |
Nath et al. | Size-and time-dependent growth properties of human induced pluripotent stem cells in the culture of single aggregate | |
TW201538726A (zh) | 產製視網膜色素上皮細胞之方法 | |
WO2007002210A2 (en) | Embryonic stem cell culture compositions and methods of use thereof | |
JP2012228263A (ja) | 胚性幹細胞のフィーダー非依存性長期培養 | |
Ai et al. | Dissecting peri-implantation development using cultured human embryos and embryo-like assembloids | |
Khalil et al. | Sustained release and protein stabilization reduce the growth factor dosage required for human pluripotent stem cell expansion | |
Diekmann et al. | Chemically defined and xenogeneic-free differentiation of human pluripotent stem cells into definitive endoderm in 3D culture | |
Sun et al. | One-stop assembly of adherent 3D retinal organoids from hiPSCs based on 3D-printed derived PDMS microwell platform | |
JP2021520783A (ja) | 多能性幹細胞培地成分の安定化のためのナノコーティング構造体 | |
WO2021066076A1 (ja) | 尿管芽先端部細胞の単離方法 | |
TW202200783A (zh) | 心肌細胞的精製方法 | |
JP2021516545A (ja) | 網膜始原細胞の効率的増幅のための組成物及び方法 | |
WO2022126473A1 (zh) | 一种通过物理途径促进干细胞分化的材料及方法 | |
Xie et al. | SUSTAINED RELEASE AND PROTEIN STABILIZATION REDUCE THE GROWTH FACTOR DOSAGE REQUIRED FOR HUMAN PLURIPOTENT STEM CELL EXPANSION | |
Xie | Engineered Synthetic Materials for Stem Cell Biomanufacturing | |
Vallverdú | Directed differentiation of human induced pluripotent stem cells to hepatic stellate cells Vallverdú, Julia; Martínez García de la Torre, Raquel A; Mannaerts, Inge; Verhulst, Stefaan; Smout, Ayla; Coll, Mar; Ariño, Silvia; Rubio-Tomás, Teresa; Aguilar-Bravo, Beatriz; Martínez-Sánchez, Celia; Blaya, Delia; Verfaillie, Catherine M; van Grunsven, Leo A; Sancho-Bru, Pau |