JP2021520412A - タンパク質ミスフォールディング疾患のための療法 - Google Patents

タンパク質ミスフォールディング疾患のための療法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021520412A
JP2021520412A JP2021503218A JP2021503218A JP2021520412A JP 2021520412 A JP2021520412 A JP 2021520412A JP 2021503218 A JP2021503218 A JP 2021503218A JP 2021503218 A JP2021503218 A JP 2021503218A JP 2021520412 A JP2021520412 A JP 2021520412A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
disease
compound
use according
alzheimer
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021503218A
Other languages
English (en)
Inventor
ハブチ、ジョニー
ヤン、シャオティン
ジェンキンス、ケリー
ペルニ、ミケーレ
サワット、スネヘラ
メンジーズ、ジョセフ
ペレド、クリスティーナ カンペロ
ペレド、クリスティーナ カンペロ
ポッセンティ、アンドレア
リンゼ、サラ
ノウルズ、トゥオマス
ドブソン、クリストファー
コーエン、サムエル
ベンドルスコロ、ミケーレ
Original Assignee
レン セラピューティクス リミテッド
レン セラピューティクス リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by レン セラピューティクス リミテッド, レン セラピューティクス リミテッド filed Critical レン セラピューティクス リミテッド
Publication of JP2021520412A publication Critical patent/JP2021520412A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/41Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having five-membered rings with two or more ring hetero atoms, at least one of which being nitrogen, e.g. tetrazole
    • A61K31/425Thiazoles
    • A61K31/4261,3-Thiazoles
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • Psychiatry (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

タンパク質ミスフォールディング疾患の治療および/または予防における使用のための、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、バラグリタゾンまたはミトグリタゾンではないチアゾリジンジオンまたはローダニン化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、バラグリタゾンまたはミトグリタゾンではないチアゾリジンジオンまたはローダニン化合物を用いたタンパク質ミスフォールディング(折り畳み異常;misfolding)疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防のための新規療法に関する。特に、本発明は、アミロイド-βペプチドのミスフォールディングに関連し得るまたはアミロイド-βペプチドのミスフォールディングによって引き起こされ得るアルツハイマー病(AD)および他の疾患の治療および/または予防のための新規療法として式(I)の化合物に関する。
Figure 2021520412
発明の背景
タンパク質症とも呼ばれるタンパク質ミスフォールディング疾患において、特定のタンパク質の異常な折り畳みは、正常な細胞機能を妨害する。いくつかの場合では、異常なタンパク質は有毒であり、一方、他では、症候はタンパク質の機能の損失によって引き起こされる。タンパク質のミスフォールディングまたは凝集は、多くの神経変性疾患の特徴である。
神経変性疾患は、神経細胞死を含むニューロンの構造または機能の損失によって特徴付けられる。神経変性疾患は、ある範囲の原因を有し、そして分子から全身まで、神経回路の多くの異なるレベルにおいて見い出され得る。いくつかの神経変性疾患は、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、タウオパチー、およびポリグルタミン伸長疾患(ハンチントン病など)を含むタンパク質症である。現在、ヒトにおけるこれらの疾患に関連する神経変性を遅くする、予防するまたは治療する効果的な戦略は存在しない。
ADの発生は、世界的な人口が高齢化するにつれて急速に増加している。認識能力の特徴的な低下は、記憶、言語技能およびセルフケアに影響を及ぼし、そしてAdは、しばしば患者のライフスタイルおよび自活に深刻な崩壊を引き起こす。ADは、世界中で3500万人を超える人々に影響を及ぼし、数字は2050年までには11500万人まで上昇すると予想される。従って、状況は、医療制度にとって重大な負担を表し、概算費用は世界中で1兆ユーロに達する。
疾患を改善する薬物は市場において現在入手できず、そしてこの疾患に対する400を超える臨床試験は既に失敗しているので、ADは、依然として不治である。従って、成功する試験はAD患者に新たな治療を届ける必要がある。
アミロイド-β(Aβ)ペプチドは、ADにおいて中心的役割を果たすと広く考えられている。Aβペプチドは、異なるアイソフォームにおいて産生され、そして神経毒性凝集体へと自己組織化し、そしてAD患者の脳において死後に見い出されるアミロイド沈着物を形成する。主として、40および42残基アイソフォームは、AD患者の脳において見い出される。Aβ産生の低減、Aβ輸送の調節、Aβクリアランスの増加およびAβ凝集の低減を含むいくつかのアミロイドを標的にした戦略は、過去数十年追求されている。しかしながら、今までのところ、このような戦略は市場に効果的な薬物をもたらしていない。他の状態の治療に既に有効である薬物または薬学的に許容可能であると知られている他の化合物の使用に基づく阻害戦略を開発することが特に望ましい。
本発明者らは、有毒なオリゴマー凝集体の集団の減少を生じるAβ凝集プロセスにおける特定の微細プロセスを阻害する能力に基づいて、ハイスループット動態に基づくライブラリーのスクリーニングを用いてAβ凝集の阻害剤を同定した。スクリーニングしたライブラリーは、臨床試験に参加したがいずれの規制当局(FDA、EMA、PMDAおよびその他など)によっても認可されなかった実験薬物に加えて、規制当局によって認可された薬物からなった。
要旨
驚くべきことに、ネトグリタゾンを含む一連のチアゾリジンジオン化合物は、Aβ凝集体形成の優れた阻害剤であることが見い出された。従って、本発明は、タンパク質ミスフォールディング疾患の治療および/または予防における使用のための、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、バラグリタゾンまたはミトグリタゾンではないチアゾリジンジオンまたはローダニン化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体を提供する。
本発明はまた、タンパク質ミスフォールディング疾患の治療および/または予防における使用のための、分子の両端に、チアゾリジンジオンまたはローダニン基である第1末端基および(i)環中に1個以上の窒素ヘテロ原子を含む5-〜10-員の部分的に不飽和のヘテロシクリル基、または(ii)環中に1個以上の窒素ヘテロ原子を含む5-〜10-員のヘテロアリールではない第2末端基を含むチアゾリジンジオンまたはローダニン化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体を提供する。
本発明はさらに、上記の使用のための化合物を提供し、ここで、当該化合物は式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体であり、
Figure 2021520412
式中、XはOまたはSを表し、Wはベンゼン、ナフタレン、ベンゾジヒドロピランまたはベンゾピラン環を表し、これはさらに置換されていてもよく、Lは(i)1個以上のヘテロ原子および/またはカルボニル基;および/または(ii)置換されていてもよい5-〜10-員の飽和または不飽和複素環基を含んでいてもよいアルキレン基を含むリンカー基を表し、およびR3は置換されていてもよいC6〜C10アリール基、C5〜C9カルボシクリル基、5-〜9-員の飽和ヘテロシクリル基、環中に窒素ヘテロ原子を含まない5-〜9-員の部分的に不飽和のヘテロシクリル基、または環中に窒素ヘテロ原子を含まない5-〜10-員ヘテロアリール基を表す。
本発明の別の実施態様において、当該化合物は式(IA)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体であり、
Figure 2021520412
式中、XはOまたはSを表し、Wはベンゼンまたはナフタレン環を表し、これはさらに置換されていてもよく、YはOまたはカルボニルC(O)基を表し、R1およびR2は同一または異なり、そしてそれぞれ独立して水素または置換もしくは無置換C1〜C4アルキル基を表すか、または結合して5〜7員アリール、カルボシクリルまたはヘテロシクリル環を形成し、これはさらに置換されていてもよく、nは0〜2の整数であり、Zは結合または置換されていてもよい5-〜10-員の飽和もしくは不飽和複素環基を表し、およびR3は置換されていてもよいC6〜C10アリール基、置換されていてもよいC5〜C10カルボシクリル基、または置換されていてもよい、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾピラニル、フラニルおよびベンゾフラニルから選ばれるヘテロシクリル基を表す。
好ましくは、XはOを表し、Wはベンゼンまたはナフタレン環を表し、YはOを表し、R1およびR2はそれぞれ独立して水素を表すか、または結合して、Wと一緒に、ベンゾピランまたはベンゾジヒドロピラン環を形成し、およびnは0または1である。
本発明の別の実施態様において、当該化合物は式(II)または(III)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体であり、
Figure 2021520412
式中、nは1または2であり、およびその他の化学基は上記で定義した通りである。
好ましくは、Zは結合を表す。
好ましくは、Xは酸素を表す。
好ましくは、R3は置換されていてもよいC6〜C10アリール基または置換されていてもよいC5〜C10カルボシクリル基を表す。
本発明のさらなる実施態様において、当該化合物は、ネトグリタゾン、シグリタゾン、エングリタゾン、ダルグリタゾンまたはトログリタゾン、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体である。
好ましい実施態様において、当該化合物は、ネトグリタゾン、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体である。
1つの実施態様において、上記で定義した本発明の化合物は、タンパク質および/またはペプチドのオリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークの形成、沈着、蓄積、または持続の治療、予防または阻害における使用のためのものである。
好ましくは、本発明の化合物は、アミロイドβペプチドオリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークの形成、沈着、蓄積、または持続の治療、予防または阻害における使用のためのものである。
好ましくは、本発明の化合物は、アミロイドβペプチドのミスフォールディングに関連するタンパク質ミスフォールディング疾患の治療における使用のためのものである。
好ましくは、タンパク質ミスフォールディング疾患は、アミロイドーシス、タウトパチー、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病および海綿状脳症を含む)、神経変性疾患、ダウン症候群、および/または嚢胞性線維症から選ばれる。
より好ましくは、タンパク質ミスフォールディング疾患は、神経変性疾患である。
さらにより好ましくは、神経変性疾患は、認知症、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病、ポリグルタミン疾患(ハンチントン病など)および/または筋萎縮性側索硬化症(ALS)から選ばれる。
好ましくは、認知症は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、家族性認知症、および/または進行性核上まひ(PSP)から選ばれる。
別の実施態様において、タンパク質ミスフォールディング疾患は、アルツハイマー病、脳アミロイド-β血管症、封入体筋炎および/またはダウン症候群から選ばれる。
最も好ましくは、タンパク質ミスフォールディング疾患はアルツハイマー病である。
本発明の別の実施態様において、上記で定義した本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体は、神経変性疾患の治療または予防における使用のためのものである。
好ましくは、神経変性疾患は、認知症、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病、ポリグルタミン疾患(ハンチントン病など)および/または筋萎縮性側索硬化症(ALS)から選ばれる。
より好ましくは、認知症は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、家族性認知症、および/または進行性核上まひ(PSP)から選ばれる。
最も好ましくは、認知症はアルツハイマー病である。
上記で定義した本発明の化合物がアルツハイマー病の治療および/または予防における使用のためのものである場合、アルツハイマー病は、好ましくは、ライスバーグ尺度(Reisberg scale)に従ってステージ1、ステージ2またはステージ3のアルツハイマー病である。
本発明の実施態様において、本発明の化合物は、アルツハイマー病と診断されたかまたはアルツハイマー病を発症する危険がある患者の治療における使用のためのものである。
1つの実施態様において、患者は軽度認知障害(MCI)と診断されている。
1つの実施態様において、患者はアルツハイマー病の家族歴を有する。
本発明はまた、タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防における使用のための、上記で定義した本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体を含有する医薬組成物を提供する。
好ましくは、医薬組成物は、上記で定義したタンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防における使用のためのものである。
1つの実施態様において、医薬組成物は、1つ以上の追加の薬学的に活性な剤をさらに含有する。
別の実施態様において、追加の薬学的に活性な剤は、タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防に適している。
さらなる実施態様において、本発明の化合物および追加の薬学的に活性な剤は、別個の、並行の、同時のまたは連続の投与のために処方される。
好ましくは、本発明の医薬組成物は、上記化合物の脳への侵入を改善するために処方される。より好ましくは、医薬組成物は、ポリマー、脂質、タンパク質カプセルまたはそれらの組み合わせに基づくナノ粒子担体を含有する。
本発明はまた、タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防における使用のための、上記で定義した本発明の化合物もしくはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログもしくは同位体標識した誘導体、あるいは上記で定義した本発明の組成物を含むキットを提供する。必要に応じて、キットは、混合物においてまたは別個の容器において、上記で定義した追加の薬学的に活性な剤をさらに含む。
本発明はさらに、患者におけるタンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防方法を提供し、当該方法は、該患者に、有効量の上記で定義した本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体を投与することを含む。好ましくは、タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患は、上記で定義した通りである。最も好ましくは、タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患は、アルツハイマー病である。
本発明はさらに、タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防のための医薬の製造における、上記で定義した本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体の使用を提供する。好ましくは、タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患は、上記で定義した通りである。最も好ましくは、タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患は、アルツハイマー病である。
ネトグリタゾンはAβ凝集を阻害する。(a)異なる記号を用いて示される、ある範囲のネトグリタゾン濃度の不在下および存在下、Aβ42の2 μM溶液の凝集の正規化された動態プロファイル。(b)ネトグリタゾン濃度の関数として、(a)から得られる、DMSOに関する、凝集過程反応の相対半減期。(c)ドットブロットアッセイを用いた5倍過剰のネトグリタゾンの不在下および存在下、2 μM Aβ42原線維の形成の比較経時変化。(d-e)定量的化学動態を用いた、Aβ42凝集に対するネトグリタゾンの効果の特性評価。略号knは一次核生成の速度定数であり、k+は伸長の速度定数であり、そしてk2は二次核生成の速度定数である。一次および二次経路の両方が阻害される場合の予測のみ、実験データとよく適合する。一次経路(d, knk+)、および二次経路(e, k2k+)の見かけの反応速度定数(kapp)の依存は、ネトグリタゾンの不在下の値に対してネトグリタゾンの増加する濃度とともに示される。各場合において、kはknk+(一次経路)またはk2k+ (二次経路)のいずれかを表す。(f-i)Aβ42凝集の二次経路に対するネトグリタゾンの効果の特性評価。(f)2%および50%の予備形成された種の不在下および存在下、2 μM Aβ42溶液の正規化された動態凝集プロファイル。(g)ある範囲の濃度のネトグリタゾンの不在下および存在下、50%の予備形成された種の存在下、2 μM Aβ42溶液の正規化された動態凝集プロファイル。これらの条件下、原線維の伸長は支配的メカニズムである;これらの結果は、ネトグリタゾンが20-倍過剰の高さの濃度でAβ42凝集の伸長速度に影響を与えないことを示す。(h)ネトグリタゾン濃度の不在下および存在下、2%の予備形成された種の存在下、2 μM Aβ42溶液の正規化された動態凝集プロファイル。(i)表面触媒二次核生成(k2)の速度定数に対するネトグリタゾンの効果。速度定数は、2%の予備形成された種の存在下、2 μM Aβ42溶液の凝集動態から得、ここで、一次核生成は無視できる。観察された効果は、伸長がこれらの条件下で化合物により影響を受けないので、表面触媒二次核生成の速度定数の減少のみによるものであり得た。(j)66% CSF中のAβ42凝集に対するネトグリタゾンの効果。ある範囲のネトグリタゾン濃度の不在下および存在下、2 μM Aβ42溶液の凝集の正規化された動態プロファイル。(k)Aβ40凝集に対するネトグリタゾンの効果。1.25-倍過剰のネトグリタゾンの不在下および存在下、10 μM Aβ40溶液の凝集の正規化された動態プロファイル。(l-o)Aβ42オリゴマー産生および生じる毒性に対するネトグリタゾンの効果。(l)5-倍過剰のネトグリタゾンの不在下および存在下、2 μM Aβ42溶液の凝集の正規化された動態プロファイル。(m)(l)における反応に対応する核形成速度のシミュレーションした時間発展。(n)5-倍過剰のネトグリタゾンの不在下および存在下、(m)からのピーク時間およびピーク面積の定量化。(o)Aβ42オリゴマーによる脂質膜の破壊に対するネトグリタゾンの効果。5-倍過剰のネトグリタゾンは、Aβ42のみの凝集反応の半時間で測定した脂質小胞の破壊における2μM Aβ42溶液からの毒作用を実質的に低減した。バーは、オリゴマーの存在中のCa2+の流入の結果として、小胞の外側に存在するCa2+に対する、小胞中に含まれる蛍光染料の結合から生じる蛍光を表す。Aβモノマーと標識されたバーは、ネトグリタゾンの不在下、時間0hでの2μM Aβ42溶液からの測定である;DMSOと標識されたバーは、ネトグリタゾンの不在下、時間2hでの2μM Aβ42溶液からの測定である;5-倍過剰と標識されたバーは、5-倍過剰のネトグリタゾンを時間0hでAβ42溶液に添加した場合の、時間2hでの2μM Aβ42溶液からの測定である。(p)ネトグリタゾンの不在下および存在下、Aβ42オリゴマーの濃度の測定。5-倍過剰のネトグリタゾンの存在下、Aβ42のみの凝集反応の半時間での5 μM Aβ42のみまたは5 μM Aβ42のELISA。バープロットは、オリゴマー特異的抗体を用いて測定したオリゴマーの相対濃度を示す。 ネトグリタゾンはAD蠕虫(GMC101)をAβ-関連毒性から保護する。(a)ネトグリタゾンは幼生期L4でC. elegansに投与されて予防戦略を模倣し、また、後期(成虫期のD3)でも投与されて治療的介入を模倣する。(b)ネトグリタゾンの増加する濃度(0、0.05、0.1、0.5、5、10 μM)のADのC. elegansモデル(左)、コントロールの健康な動物(中央)、およびPDの蠕虫モデル(右)への投与は、高い特異性を有する機能不全表現型における用量依存的および統計的に有意な回復へと至る。効果は、0.5と5 μMとの間で最大である。(c)AD、コントロールおよびネトグリタゾン処置した動物の5sを超える移動を示す代表的な像。白矢印は麻痺した動物を示す。処置は、AD蠕虫の移動性を大きく改善する。(d-e)L4でのネトグリタゾンでの処置後の成虫期の6日目でのAD蠕虫におけるプラーク負荷の減少。処置したおよび処置していないAD蠕虫の蛍光強度の定量化(左)および代表的画像(右)。(f)L4でのネトグリタゾンの投与は、AD蠕虫におけるROS産生を成虫期のD5での正常レベルまで回復させる。(g)ネトグリタゾンについての最大許容用量は、ADおよびコントロール動物においてそれぞれ50 μM未満(左パネル)および500 μM未満(右パネル)であるように思われる。(h-j)ネトグリタゾンの後期の投与(D3)は、成虫期のD6でのプラーク負荷を減少させ(h)、そしてAD動物における成虫期のD5での運動性(i)および生存率(j)を改善する。 ネトグリタゾン、シグリタゾン、エングリタゾン、ダルグリタゾンおよびトログリタゾンの不在下および存在下、5x薬物:タンパク質濃度でのAβ42の2 μM溶液の凝集の正規化された動態プロファイル。 ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、バラグリタゾンおよびミトグリタゾンの不在下および存在下、5x薬物:タンパク質濃度でのAβ42の2 μM溶液の凝集の正規化された動態プロファイル。 図3および4から導かれる、DMSOに関する凝集過程反応の相対半減期。 追加のAD蠕虫モデルに対するネトグリタゾンの効果を示す走化性および運動性測定。(A-B)ネトグリタゾンは、コントロール野生型蠕虫と比較した場合、Aβ1-42Neur蠕虫の(A)走化性指標および(B)運動性を著しく改善する。(C)一般的走化性実験ダイアグラム(O. Margie, C. Palmer, I. Chin-Sang, C. elegans Chemotaxis Assay. J Vis Exp, e50069 (2013))。蠕虫はプレートの中央に配置し、一方、誘引物質は四分円の2つに配置する。8h後、CI指標を計算する。健康な蠕虫は誘引物質(AおよびB)を含む四分円に移動し、そして試験四分円(CおよびD)を避けると予想される。(D)ネトグリタゾンはAβ3-42::GFPMuscular蠕虫の運動性を著しく改善する。誤差は平均(SEM)に対する標準誤差を表す。上記実験について、約200の蠕虫が(A)において用いられ、および約600の蠕虫が(B,D)において用いられた。統計的有意性検定について、一元ANOVAがGraphPadPrismを用いて行われた。 マウスにおける薬物動態研究に関するデータ。(a)雄Swiss Albinoマウスにおけるネトグリタゾン(11.5mg/kg, p.o.)の薬物動態経時変化。マトリクス:血漿、実線/白丸;脳ホモジネート、点線/黒菱形;CSF、破線/黒四角。(b)プローブ回収(0.11)について補正されたng/mlとして表されるネトグリタゾン微小透析液レベルのヒストグラム。矢印はPO投与の時間を示す。 マウスにおけるAβプラーク検出研究に関するデータ。(A-B)マウス脳データ分析において使用したアルゴリズムによって実施されたAβプラーク検出の例、(A)それぞれマウス脳の左および右半球からの2つの平面のlog-スケールの可視化(より容易な視覚的比較のため)を示すパネル、および(B)各図の上部に報告されたプラークの総数とともに、パネル(A)に示す2つの平面上でアルゴリズムによって検出されたプラークを示すパネル。各パネルの左および底に沿って示す値は、ピクセルの数を示す。(C)プラセボまたはネトグリタゾン(75mg/kg/日)のいずれかでの1日1回処置の90日後のマウス脳におけるAβプラークの相対数および面積。動物は、60日齢から処置された。1群あたりN=4マウス;全て雄。プラセボ群に対するプラークの百分率数および面積は、平均+SEMとして表される。
発明の詳細な説明
定義
本明細書中で使用される用語「患者」は、典型的には、ヒト患者をいう。しかし、患者は、哺乳動物などの他の脊椎動物であり得る。用語「被検体」および「患者」は、本明細書中、互いに交換可能で用いられる。
本明細書中で使用される単語「治療」および「治療する」は、疾患または状態の症候の治療および/または改善および/または予防あるいは重症化/悪化の低減、ならびに疾患または状態の原因の治療を含むと理解されるべきであり、そして被検体の状態を改善または安定化するように状態の症候、臨床兆候、および原因となる病状の反転、低減、または阻止を含み得る。
「予防」および疾患または状態を「予防する」への言及は、疾患または状態の予防および/または阻害を含む。用語「予防する」は、当該分野において承認されており、そしてアルツハイマー病(AD)またはその関連する症候などの状態に関して用いられる場合、当該分野においてよく理解されており、そして薬物または組成物を受けない被検体に対して被検体の医学的状態の症候の頻度を減少させ、または被検体の医学的状態の症候の発病を遅らせる薬物および/または組成物の投与を含む。
本明細書中で使用される用語「薬学的に許容可能な」は、本発明の化合物の有効性を妨げず、そして細胞、細胞培養物、組織、または有機体などの生体系と適合可能である物質をいう。好ましくは、生体系は、脊椎動物などの生物である。
本明細書中で使用される語句「治療有効量」は、任意の医療に適用可能な合理的な利益/危険比で、タンパク質ミスフォールディング疾患の治療、予防または改善などのいくつかの所望の治療効果を生じ、または折り畳み異常の(misfolded)タンパク質の有病率を低減するのに有効である化合物、物質または組成物の量をいう。1つの実施態様において、治療有効量は、少なくとも1つの症候を低減または除去するのに十分である。治療有効量は、疾患または症候を完全に根絶することなく、疾患または症候を部分的に改善し得る。
化合物
本発明における使用のための化合物は、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、バラグリタゾンまたはミトグリタゾンではないチアソリジンジオンまたはローダニン化合物である。
特に、本発明の化合物は、分子の両端に、チアゾリジンジオンまたはローダニン基である第1末端基および(i)環中に1個以上の窒素ヘテロ原子を含む5-〜10-員の部分的に不飽和のヘテロシクリル基、または(ii)環中に1個以上の窒素ヘテロ原子を含む5-〜10-員のヘテロアリールではない第2末端基を含むチアゾリジンジオンまたはローダニン化合物であり得る。
1つの実施態様において、本発明の化合物は式(I)の化合物である。
Figure 2021520412
本発明の化合物において、XはOまたはSを表す。好ましくは、XはOである。
本発明の化合物において、Wはさらに置換されていてもよい、ベンゼン、ナフタレン、ベンゾジヒドロピランまたはベンゾピラン環を表し、好ましくは、さらに置換されていてもよい、ベンゼンまたはナフタレン環であり、より好ましくは、無置換のベンゼンまたはナフタレン環である。1つの実施態様において、Wは無置換のナフタレン環を表す。
本発明の化合物において、Lは、(i)1個以上のヘテロ原子および/またはカルボニル基;および/または(ii)置換されていてもよい5-〜10-員の飽和または不飽和複素環基を含んでいてもよいアルキレン基を含むリンカー基を表す。特に、Lは、(i)1個以上のヘテロ原子および/またはカルボニル基;および/または(ii)置換されていてもよい5-〜10-員の飽和または不飽和複素環基を含んでいてもよいアルキレン基を表し得る。好ましくは、ヘテロ原子は、例えばC1〜C4アルキレン基によってさらに置換されていてもよいオキシエーテル基または2級アミノ基である。1つの実施態様において、Lは、(i)オキシ、アミノおよび/またはカルボニル基;および/または(ii)5-〜10-員の飽和または不飽和複素環基を含むC1〜C4アルキレン基を表す。好ましくは、複素環基は、置換されていてもよい、オキサゾール、イソオキサゾール、フラン、ピロール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジンまたはピラジン環である。好ましい実施態様において、Lは:オキシ基、カルボニル基および/またはオキサゾール、イソオキサゾール、フランおよびピロール環から選ばれる5-〜10-員の飽和または不飽和複素環基を含むC1〜C4アルキレン基を表す。複素環基の任意の置換基は、例えば、ハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基であり得、好ましくは、ヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基である。好ましくは、Lは、オキシおよび/またはカルボニル基を含むC1〜C4アルキレン基を表す。
本発明の化合物において、R3は、置換されていてもよいC6〜C10アリール基、置換されていてもよいC5〜C10カルボシクリル基、置換されていてもよい5-〜10-員の飽和ヘテロシクリル基、置換されていてもよい、環中に窒素ヘテロ原子を含まない5-〜10-員の部分的に不飽和のヘテロシクリル基、または置換されていてもよい、環中に窒素ヘテロ原子を含まない5-〜10-員ヘテロアリール基を表す。好ましくは、R3は、置換されていてもよいC6〜C10アリール基、置換されていてもよいC5〜C10カルボシクリル基、または置換されていてもよい、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾピラニル、フラニルおよびベンゾフラニルから選ばれるヘテロシクリル基を表す。任意の置換基は、ハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基であり得る。好ましくは、R3は、1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基、1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC5〜C10カルボシクリル基、または1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾピラニル、フラニルおよびベンゾフラニルから選ばれるヘテロシクリル基を表す。好ましくは、R3は、1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、C6〜C10アリール基またはC5〜C10カルボシクリル基、特に1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基を表す。より好ましくは、R3は、1つ以上のハロゲン基で置換されていてもよいフェニル環、特にフェニルまたはフルオロフェニルを表す。
式(I)の化合物の1つの好ましい実施態様において:
XはOを表し;
Wは、1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、ベンゼンまたはナフタレン環を表し;
Lは、1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基、好ましくは、ヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、オキシ基、カルボニル基および/またはオキサゾール、イソオキサゾール、フランまたはピロール環を含むC1〜C4アルキレン基を表し;および
R3は、1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基、または1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC5〜C10カルボシクリル基を表す。
好ましくは、式(I)の化合物において:
XはOを表し;
Wは無置換のベンゼンまたはナフタレン環を表し;
Lはオキシおよび/またはカルボニル基を含むC1〜C4アルキレン基を表し;および
R3は1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基を表す。
1つの好ましい実施態様において、本発明の化合物は、X、WおよびR3が上記で定義した通りである式(IA)の化合物であり得る。
Figure 2021520412
特に、式(IA)の化合物において、Wは、さらに置換されていてもよいベンゼンまたはナフタレン環、より好ましくは、無置換のベンゼンまたはナフタレン環を表す。1つの実施態様において、Wは無置換のナフタレン環を表す。
特に、式(IA)の化合物において、R3は、置換されていてもよいC6〜C10アリール基、置換されていてもよいC5〜C10カルボシクリル基、または置換されていてもよい、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾピラニル、フラニルおよびベンゾフラニルから選ばれるヘテロシクリル基を表す。任意の置換基は、ハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基であり得る。好ましくは、R3は、1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基、1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC5〜C10カルボシクリル基、または1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾピラニル、フラニル、およびベンゾフラニルから選ばれるヘテロシクリル基を表す。好ましくは、R3は、1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、C6〜C10アリール基またはC5〜C10カルボシクリル基、特に1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基を表す。より好ましくは、R3は、1つ以上のハロゲン基で置換されていてもよいフェニル環、特にフェニルまたはフルオロフェニルを表す。
式(IA)の化合物において、YはOまたはカルボニルC(O)基を表す。好ましくは、YはOである。
式(IA)の化合物において、R1およびR2は同一または異なり、そしてそれぞれ独立して水素または置換もしくは無置換C1〜C4アルキル基を表すか、またはR1およびR2は結合して5〜7員アリール、カルボシクリルまたはヘテロシクリル環を形成し、これはさらに置換されていてもよい。好ましくは、R1およびR2はそれぞれ独立して水素を表すか、またはR1およびR2は結合して、Wと一緒に、ベンゾピランまたはベンゾジヒドロピラン環を形成する。好ましくは、R1およびR2は両方とも水素である。
式(IA)の化合物において、nは0〜2の整数である。好ましくは、nは0または1である。より好ましくは、nは0である。
式(IA)の化合物において、Zは、結合または置換されていてもよい5-〜10-員の飽和もしくは不飽和複素環基を表す。好ましくは、Zは、結合または置換されていてもよい、オキサゾール、イソオキサゾール、フラン、ピロール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジンまたはピラジン環を表し、ここで任意の置換基は、好ましくは、1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基、好ましくは、ヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基である。
式(IA)の化合物の1つの好ましい実施態様において:
XはOを表し;
Wは、1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、ベンゼンまたはナフタレン環を表し;
YはOを表し;
R1およびR2はそれぞれ独立して水素を表し;または
R1およびR2は結合して、Wと一緒に、ベンゾピランまたはベンゾジヒドロピラン環を形成し;および
nは0または1であり;
好ましくは、ここでZは結合または置換されていてもよい、オキサゾール、イソオキサゾール、フランまたはピロール環であり、ここで任意の置換基は、好ましくは、1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基、好ましくは、ヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基であり;および/またはR3は、1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基、1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC5〜C10カルボシクリル基、または1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾピラニル、フラニルおよびベンゾフラニルから選ばれるヘテロシクリル基を表す。
好ましくは、式(IA)の化合物において:
XはOを表し;
Wは無置換のベンゼンまたはナフタレン環を表し;
YはOを表し;
R1およびR2はそれぞれ独立して水素を表し;または
R1およびR2は結合して、Wと一緒に、ベンゾピランまたはベンゾジヒドロピラン環を形成し;および
nは0または1であり;
好ましくは、ここでZ結合であり、および/またはR3は1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基を表す。
さらなる実施態様において、本発明の化合物は、X、ZおよびR3が上記で定義した通りである式(II)または(III)の化合物であり得る。
Figure 2021520412
式(II)または(III)の化合物において、nは1または2の整数、好ましくは、1である。
好ましくは、式(II)または(III)の化合物において、R3は、1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raおよび/または以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基、または1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raまたは以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC5〜C10カルボシクリル基、あるいは1つ以上のハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raまたは以下でさらに記載されるC1〜C4アルキル基で置換されていてもよい、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾピラニル、フラニルおよびベンゾフラニルから選ばれるヘテロシクリル基を表す。
式(II)または(III)の化合物の1つの好ましい実施態様において:
XはOを表し;
nは1または2の整数であり;
Zは結合であり;および
R3は1つ以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基で置換されていてもよいC6〜C10アリール基を表す。
別の実施態様において、本発明の化合物は、ネトグリタゾン、シグリタゾン、エングリタゾン、ダルグリタゾンまたはトログリタゾンである。好ましくは、本発明の化合物は、ネトグリタゾン、シグリタゾンまたはエングリタゾンである。1つの実施態様において、ネトグリタゾンは、この化合物について利用可能な後期臨床データがあるという事実を鑑みて、好ましい。
本明細書中で使用されるC6〜C10アリール基または部分は6〜10個の炭素原子を有するアリール基または部分、例えば、フェニルまたはナフチル、好ましくは、フェニルである。アリール基または部分は、置換され得るかまたは無置換であり得る。適切な置換基は、塩素および/またはフッ素などのハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raならびにメチルおよび/またはエチルなどのC1〜C4アルキル基を含み、ここでC1〜C4アルキル置換基は、それ自体無置換であるかまたは1〜3個のハロゲン原子で置換されているかのいずれかである。RaおよびRbは本明細書中で定義した通りである。
本明細書中で使用されるC5〜C10カルボシクリル基または部分は、C5、C6、C7、C8、C9またはC10シクロアルキル基であり得、そして好ましくは、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。典型的には、シクロアルキル基は、3個までの置換基、例えば1個または2個の置換基で置換されているかまたは無置換である。適切な置換基は、塩素および/またはフッ素などのハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raならびにメチルおよび/またはエチルなどのC1〜C4アルキル基を含み、ここでC1〜C4アルキル置換基は、それ自体無置換であるかまたは1〜3個のハロゲン原子で置換されているかのいずれかである。RaおよびRbは本明細書中で定義した通りである。
本明細書中で使用される5-〜10-員の飽和ヘテロシクリル基または部分は、特に明記しない限り、環が少なくとも1個のヘテロ原子を含む飽和5-〜10-員環系である。典型的には、環はO、SおよびNから選ばれる3個または4個までのヘテロ原子、例えば、1個または2個のヘテロ原子を含む。従って、5-〜10-員の飽和ヘテロシクリル基または部分は、典型的には、O、SおよびNから選ばれる1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5-〜10-員環である。適切なこのようなヘテロシクリル基および部分は、例えば、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、オキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ジオキソラニル、ピペリドニル、アゼパニル、オキセパニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルおよび1,4-ジアゼパニルなど、より好ましくは、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、アゼパニルおよび1,4-ジアゼパニルなどの単環式飽和5-〜8-員環、より好ましくは、5-〜7-員環を含む。
本明細書中で使用される5-〜10-員の不飽和複素環基または部分は、特に明記しない限り、環が少なくとも1個の不飽和結合および少なくとも1個のヘテロ原子を含む5-〜10-員環系である。環は、部分的に不飽和であり得るか、または完全に不飽和で芳香族であり得る。典型的には、環はO、SおよびNから選ばれる3個または4個までのヘテロ原子、例えば、1個または2個のヘテロ原子を含む。従って、5-〜10-員の不飽和複素環基または部分は、典型的には、O、SおよびNから選ばれる1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5-〜10-員環である。好ましくは、ヘテロ原子はOおよびNから選ばれる。適切なこのようなヘテロシクリル基および部分は、例えば:
ジヒドロフラニル、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジオキシニル、ジヒドロオキセピニル、テトラヒドロオキセピニル、ピロリニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリダジニル、テトラヒドロピリダジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロピラジニル、テトラジヒドロピラジニル、オキサジニル、ジヒドロオキサジニル、チアジニル、ジヒドロチアジニル、ジヒドロアゼピニル、テトラヒドロアゼピニル、ジヒドロチオフェニル、チオピラニル、ジヒドロチオピラニル、ジヒドロチエピニル、およびテトラヒドロチエピニルなどの単環式部分不飽和5-〜7-員ヘテロシクリル環;
ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾピラニル、ベンゾジオキソリル、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロベンゾチオフェニルおよびベンゾジチオール;好ましくは、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾピラニル、ベンゾジオキソリル、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロキノリニルおよびテトラヒドロキノリニルなどの二環式部分不飽和8-〜10-員ヘテロシクリル環;
フラニル、オキセピニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピラダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、アゼピニル、チオフェニルオキセピニルおよびチエピニルなどの単環式5-〜7-員ヘテロアリール環;および
ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、アザインドリル、アザインダゾリル、プリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノリジニル、キノキサリニル、フタラジニル、キナゾリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、プテリジニルおよびベンゾチオフェニル、好ましくは、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、キノリニルおよびイソキノリニルなどの二環式8-〜10-員ヘテロアリール環を含む。
好ましくは、5-〜10-員不飽和複素環基は、ジヒドロフラニル、ピラニル、ピロリニルおよびオキサジニルから選ばれる単環式部分不飽和5-〜7-員環またはフラニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピラダジニル、ピリミジニルおよびピラジニルから選ばれる単環式5-〜7-員ヘテロアリール環である。
本明細書中で使用される環中に窒素ヘテロ原子を含まない5-〜10-員部分不飽和ヘテロシクリル基または部分は、特に明記しない限り、環が少なくとも1個の不飽和結合および少なくとも1個のヘテロ原子を含み、そして窒素ヘテロ原子を含まない5-〜10-員環系である。典型的には、環はO、SおよびNから選ばれる3個または4個までのヘテロ原子、例えば、1個または2個のヘテロ原子を含む。従って、5-〜10-員部分不飽和ヘテロシクリル基または部分は、典型的には、OおよびSから選ばれる1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5-〜10-員環である。好ましくは、ヘテロ原子はOである。適切なこのようなヘテロシクリル基および部分は、例えば、ピラニル、チオピラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチオピラニル、ジオキシニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロオキセピニル、ジヒドロチエピニル、テトラヒドロオキセピニル、テトラヒドロチエピニル、好ましくは、ピラニル、チオピラニル、ジヒドロピラニルおよびジヒドロフラニルなどの単環式部分不飽和5-〜7-員ヘテロシクリル環;およびジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾピラニル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロベンゾチオフェニル、およびベンゾジチオールなどの二環式部分不飽和8-〜10-員ヘテロシクリル環を含む。好ましくは、5-〜10-員部分不飽和ヘテロシクリル基は、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンゾピラニルおよびジヒドロベンゾピラニルから選ばれる。
本明細書中で使用される環中に窒素ヘテロ原子を含まない5-〜10-員ヘテロアリール基または部分は、特に明記しない限り、環が完全に不飽和で芳香族であり、少なくとも1個のヘテロ原子を含み、そして窒素ヘテロ原子を含まない5-〜10-員環系である。典型的には、環はOおよびSから選ばれる3個または4個までのヘテロ原子、例えば、1個または2個のヘテロ原子を含む。従って、5-〜10-員ヘテロアリール基または部分は、典型的には、OおよびSから選ばれる1個、2個または3個のヘテロ原子を含む5-〜10-員環である。好ましくは、ヘテロ原子はOである。適切なこのようなヘテロアリール基および部分は、例えば、フラニル、チオフェニル、オキセピニルおよびチエピニルなどの単環式5-〜7-員ヘテロアリール環;およびベンゾフラニルおよびベンゾチオフェニルなどの二環式8-〜10-員ヘテロアリール環を含む。好ましくは、5-〜10-員ヘテロアリール基は、フラニルおよびベンゾフラニルから選ばれる。
ヘテロシクリルおよび/またはヘテロアリール基または部分は、置換され得るかまたは無置換であり得る。各環原子は、無置換であり得るかまたは1個または2個の置換基を有し得る。所望であれば、窒素原子は二置換であり得、および硫黄原子は置換され得、荷電ヘテロ原子を提供する。典型的には、ヘテロシクリルまたはアリール基または部分は、3個までの置換基、例えば、1個または2個の置換基を有する。複素環は、その利用可能な環位置のいずれかへの結合によって分子の残部に結合され得る。
本明細書中で使用される置換されていてもよい基は、塩素および/またはフッ素などのハロゲン、-ORa、-SRa、-NRaRb、-C(O)ORa、-C(O)NRaRb、-C(O)Raならびにメチルおよび/またはエチルなどのC1〜C4アルキル基を含み、ここでC1〜C4アルキル置換基は、それ自体無置換であるかまたは1〜3個のハロゲン原子で置換されているかのいずれかである適切な置換基で置換され得る。RaおよびRbは以下で定義する通りである。任意の置換基は、好ましくは、ヒドロキシル、塩素またはフッ素などのハロゲン、あるいはメチルまたはエチルなどのC1〜C4アルキル基である。
本明細書中で使用されるハロゲンは、典型的には、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素であり、そして好ましくは、塩素、フッ素または臭素であり、より好ましくは、塩素またはフッ素である。
C1〜C4アルキル基または部分は、直線状、分岐状または環状であり得るが、好ましくは、直線状である。適切なこのようなアルキル基および部分は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルを含む。それは、好ましくは、C1〜C3アルキル基、より好ましくはエチルまたはメチルである。アルキル基または部分は、無置換であり得るかまたは1個、2個または3個のハロゲン原子で置換され得る。
本明細書中で使用される各Raおよび各Rbは、独立して水素または無置換C1〜C4アルキル基を表す。
本発明の化合物は、公知の方法を用いて製造され得る。特に、ネトグリタゾンは公知の化合物であり、そして例えば、JP2009/234930およびWO2000/31055に記載の方法またはそれらに適合する方法に従って製造され得る。
1つ以上のキラル中心を含む本発明の化合物は、エナンチオマー的またはジアステレオマー的に純粋な形態で、または異性体の混合物の形態で使用され得る。本発明の化合物は、任意の互変異性体形態で使用され得る。
化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で使用され得る。本明細書中で使用される薬学的に許容可能な塩は、薬学的に許容可能な酸または塩基との塩である。薬学的に許容可能な酸は、塩酸、硫酸、リン酸、二リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸または硝酸などの無機酸およびクエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、酒石酸、安息香酸、酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、サリチル酸、トリクロロ酢酸、ピクリン酸、トリフルオロ酢酸、桂皮酸、パモン酸、マロン酸、マンデル酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、p-アミノ安息香酸またはグルタミン酸などの有機酸の両方、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、グリセロリン酸塩またはケトグルタル酸塩を含む。薬学的に許容可能な無機または有機酸付加塩のさらなる例は、当業者に公知であるJournal of Pharmaceutical Science, 66, 2 (1977)に列挙された薬学的に許容可能な塩を含む。薬学的に許容可能な塩基は、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)およびアルカリ土類金属(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)水酸化物およびアルキルアミン、アラルキルアミンおよび複素環アミン、リジン、グアニジン、ジエタノールアミンおよびコリンなどの有機塩基を含む。
酸付加塩は、化合物合成の直接的生成物として得られ得る。あるいは、遊離塩基は、適切な酸を含む適切な溶媒中に溶解され得、そして塩は、溶媒をエバポレートすることによって、またはそうでなければ塩と溶媒とを分離することによって単離される。
本発明の化合物は、溶媒和物または水和物の形態で使用され得る。化合物は、当業者に公知の方法を用いて標準の低分子量溶媒との溶媒和物を形成し得る。
本発明はまた、本発明の化合物のプロドラッグを提供する。プロドラッグは、インビボで所望の活性化合物に変換される化合物のアナログである。適切なプロドラッグの例は、カルボン酸基で修飾されてエステルを形成する化合物、またはヒドロキシル基で修飾されてエステルまたはカルバメートを形成する化合物を含む。さらなる適切なプロドラッグは、化合物の窒素原子がエステルまたはアルキルエステル基の付加によって4級化されているものを含む。例えば、アミン基またはヘテロシクリル環の窒素原子は、-CH2-O-COR基の付加によって4級化され得、ここでRは典型的にはメチルまたはtert-ブチルである。他の適切な方法は、当業者に公知である。
本発明はさらに、本発明の化合物の前駆体を提供する。前駆体は、当業者が所望の活性化合物へと自明に変換し得る化合物である。適切な前駆体の例は、当該分野で公知のプロセスによる保護基の除去によって本発明の化合物へと変換され得る化合物を含む。
本発明はまた、本発明の化合物の同位体標識した誘導体(またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体またはアナログ)を提供する。同位体標識した誘導体は、構成元素の1つ以上が天然において最も一般的に見い出される原子質量または原子番号とは異なる原子質量または原子番号を有する原子である化合物である。本発明の化合物に含まれるのに適切な同位体の例は:2Hおよび3Hなどの水素;11C、13Cおよび14Cなどの炭素;13N、15Nおよび16Nなどの窒素;15O、17Oおよび18Oなどの酸素;18Fなどのフッ素;32Pなどのりん;35Sなどの硫黄;36Clなどの塩素;77Brなどの臭素;および123Iおよび125Iなどのヨウ素の同位体を含む。好ましい同位体は、2H、3H、13C、15N、18O、18F、36Clおよび77Brである。
重水素、2Hなどのより重い同位体での置換は、インビボ半減期の増加または必要用量の低減などのより大きな代謝安定性から生じるいくらかの治療上の利点を与え得る。従って、このような本発明の同位体標識した化合物は、いくつかの状況において好適であり得る。
本発明の同位体標識した化合物は、当業者に公知の従来の技術によって、例えば同位体置換反応を行うことによって、または非標識試薬の代わりに同位体標識した試薬を用いることによって調製され得る。
好ましくは、本発明に従う使用のための化合物は、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、立体異性体または同位体標識した誘導体である。より好ましくは、使用のための化合物は、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、立体異性体または同位体標識した誘導体である。
治療
タンパク質ミスフォールディング疾患において、折り畳み異常のタンパク質がそれ自体に結合し、そしてそれゆえタンパク質オリゴマー、凝集体および原線維を形成する傾向の増大を示すことは典型的である。これはしばしば、β-シート二次タンパク質構造の形成の増加に関連する。これらの凝集体は、タンパク質の正常な細胞クリアランスに耐性であり、従って蓄積し、大きな凝集体からなるプラークを潜在的に形成する。これは、細胞死および/または罹患した組織の異常機能を引き起こし得る。これらの凝集体の形成および増殖は、新たな凝集体の発生および現存する凝集体の伝播を含む。従って、タンパク質ミスフォールディング疾患は、タンパク質および/またはペプチドのこのようなオリゴマー、凝集体、原線維および/またはプラークの形成、蓄積、沈着および持続によって一般的に引き起こされ、兆候を示し、またはそうでなければそれらに関連する。従って、本発明によって提供されるようなタンパク質ミスフォールディング疾患のための治療は、このような凝集した種を標的とし得る。
従って、1つの実施態様において、本発明の化合物は、タンパク質および/またはペプチドのオリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークの形成、蓄積、沈着または持続の治療、予防または阻害における使用のためのものであり得る。
アミロイド生成性タンパク質は、凝集する傾向を有するタンパク質の例であり、そしてこれらのタンパク質は折り畳み異常を生じ(misfold)、そして凝集し、アミロイドーシス疾患に至り得る。アミロイド前駆体タンパク質は、たんぱく質分解を受け、その線維形態が種々のタンパク質ミスフォールディング疾患、特にADに関連するAβペプチドを発生し得る。
好ましい実施態様において、本発明の化合物は、アミロイドオリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークの形成、蓄積、沈着または持続の治療、予防または阻害における使用のためのものである。より好ましくは、アミロイドオリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークは、アミロイド-βオリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークである。
脳におけるタンパク質凝集は、非常に複雑かつ多要因のプロセスであり、そして毒性種の発生の根底にある分子メカニズムおよび小分子が凝集経路を妨害するプロセスに関する正確な知識を得ることは非常に困難であることが証明されている。幅広い証拠は、成熟したアミロイドプラークよりもむしろプレ線維(pre-fibrillar)オリゴマー種が最初の病原因子であることを示唆している。これらのオリゴマー種は、それらの一時的性質により特徴付けるのが困難であり、これは創薬を複雑にする。多くの他の証拠の中でもこれは、薬物を同定するために広く用いられ、そして系統的に失敗した臨床試験を有する治療戦略などの効果的な治療戦略が、原線維形成プロセスの非特異的抑制からなる可能性が低く、むしろ大いに複雑でかつ不均一な凝集プロセスの間の正確な微視的工程で制御された介入における特定の種の標的化を含むことを示唆する。
化学動態における速度則の確立における最近の進歩は、Aβ巨視的動態測定の詳細が微視的レベルで精密に記載されることを可能にした。速度則の確立は、少なくとも3つの異なるクラスの微視的プロセスが区別されることを可能にした。凝集体の発生は、新たな凝集体が可溶性モノマーから形成する一次経路、または二次経路のいずれかを通して起こり得る。二次経路において、新たな凝集体は、モノマー-非依存性である断片化、またはモノマー依存性である表面触媒二次核生成のいずれかを通して増殖する。
この進展の結果として、ADにおける有毒なAβ種の発生の原因となる支配的なメカニズムが凝集プロセスにおける特異的な工程、すなわち表面-触媒二次核生成であることを示す鍵となる発見がなされた。この発見は、凝集測定の以前の非特異的阻害とは異なり、有毒なプロセスが特異的に標的化されることを可能にするので、明らかに重要である。この進歩はまた、Aβ凝集自体の阻害が、潜在する微視的プロセスの正確な知識なしで、毒性に関する予想しない結果を有し得たという結論に至った。実際、それは、それを減少させ得ただけでなく、それを影響を受けないままにし、あるいは間違った微視的工程が標的化される場合に増加させさえする。さらに、化学動態の適用は、病原性種の構造の予備知識を要求せず、そして高いタンパク質-分子結合親和性の必要によって制限されない。従って、Aβ42凝集における特異的微視的工程を混乱させ得る効率的な阻害剤の同定は、病原性を抑制するための効率的な戦略を提供し得た。
1つの実施態様において、上記で議論したタンパク質および/またはペプチドオリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークの形成、沈着、蓄積、または持続を治療、予防または阻害することは、このようなオリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークの一次核生成および/または表面触媒二次核生成を阻害することによって達成され得る。好ましくは、これは、オリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークの一次核生成および二次核生成の両方を阻害することによって達成される。オリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークは、好ましくは、上記で議論したように、Aβオリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークである。
本発明の化合物は、抗-タンパク質症特性を有し得る。従って、それらはタンパク質ミスフォールディング疾患を患うかまたはタンパク質ミスフォールディング疾患にかかりやすい被検体を治療する方法において使用され得、該方法は、有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体を該患者に投与することを含む。化合物は、所望であれば、追加の治療剤と組み合わせて使用され得る。
複数のタンパク質症は、重複し得、そして複数のタンパク質はタンパク質ミスフォールディング疾患に関連し得る。例えば、パーキンソン病は主としてα-シヌクレインペプチドのミスフォールディングに関連するが、さらにAβペプチドのミスフォールディングに関連する。タンパク質凝集の一般的な現象を考慮すると、1つのペプチドのミスフォールディングの治療および/または予防に効果的であると知られている薬物は、他のペプチドのミスフォールディングの治療および/または予防に効果的であるよう修飾され得る。
本発明において、タンパク質ミスフォールディング疾患は、好ましくは、Aβペプチドのミスフォールディングに関連する。従って、例えば、Aβペプチドは、タンパク質ミスフォールディング疾患を引き起こし得、タンパク質ミスフォールディング疾患の兆候を示し得、および/またはそうでなければタンパク質ミスフォールディング疾患に関連し得る。いくつかの実施態様において、タンパク質ミスフォールディング疾患は:アミロイドーシス(アルツハイマー病、ALおよびAAアミロイドーシスを含む)、原発性および続発性タウオパチー(アルツハイマー病、進行性核上まひおよび原発性年齢関連タウオパチーを含む)、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病、海綿状脳症、クールーを含む)、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症を含む)、ダウン症候群および/または嚢胞性線維症から選ばれる1つ以上の疾患である。
1つの実施態様において、タンパク質ミスフォールディング疾患は、神経変性疾患であり得る。神経変性疾患は、例えば、認知症(アルツハイマー病を含む)、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病、ポリグルタミン疾患(ハンチントン病など)および/または筋萎縮性側索硬化症(ALS)であり得る。好ましくは、神経変性疾患は、認知症である。より好ましくは、認知症は、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、家族性認知症、および/または進行性核上まひ(PSP)から選ばれる。好ましくは、認知症はアルツハイマー病である。
上述の通り、疾患は、主に、アミロイド-βペプチドのミスフォールディングによって引き起され得、アミロイド-βペプチドのミスフォールディングの兆候を示し得、またはそうでなければアミロイド-βペプチドのミスフォールディングに関連し得る。従って、疾患は、アルツハイマー病、脳アミロイド-β血管症、封入体筋炎および/またはダウン症候群、好ましくは、アルツハイマー病であり得る。
1つの実施態様において、本明細書中で議論した本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体は、神経変性疾患、例えば認知症(アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、家族性認知症、および/または進行性核上まひ(PSP)など)、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病、ポリグルタミン疾患(ハンチントン病など)および/または筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療および/または予防における使用のためのものである。好ましくは、認知症はアルツハイマー病である。
好ましい実施態様において、化合物は、アルツハイマー病と診断された患者の治療における使用のためのものである。
認知症重症度評価(Global Deterioration Scale)としても知られるライスバーグ尺度は、アルツハイマー病などの神経変性認知症の発生の重篤度および変性の進行を分類するために、ヘルスケア専門家および介護人によって一般的に用いられるシステムである。尺度に対する7つのステージが、認知機能の典型的な症候の喪失によって定義される。ステージ1は発症前である。ステージ2および3は、軽度アルツハイマー病を分類し、そしてしばしば、認知低下は明らかであるが、患者の生活に著しく影響を与えていないので、「前認知症」であると考えられる。ステージ2および3のアルツハイマー病は、初期認知症としても知られる軽度認知障害(MCI)として分類され得る。ステージ4〜7は、認知症として分類される。ステージ5から進むと、患者は生活の援助を必要とすると考えられる。
本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体がアルツハイマー病の予防または治療における使用のためのものである本発明において、アルツハイマー病は、好ましくは、ステージ1〜ステージ4のアルツハイマー病である。より好ましくは、それはステージ1〜3のアルツハイマー病、例えばステージ2またはステージ3のアルツハイマー病である。
MCIは、認識機能障害の発症および進行によって兆候を示す神経障害であり、その上個人の年齢および教育に基づいて予想されるが、日常活動を著しく邪魔しない。主症状が記憶喪失である場合、障害は「健忘MCI」と称され、そしてアルツハイマー病の前駆ステージであると広く考えられている。健忘MCIを有する患者は、1年あたり約10〜15%の割合でアルツハイマー病を発症する。
本発明の1つの実施態様において、化合物は、アルツハイマー病を発症する危険がある患者の治療における使用のためのものである。好ましくは、患者は、MCIと診断されている。さらに、患者は、好ましくは、アルツハイマー病の家族歴を有する。患者が、アルツハイマー病を発症する危険がある、MCIと診断されている、および/またはアルツハイマー病の家族歴を有する場合、早期ステージ介入は可能であり、そしてプラークの形成は避けられ得るかまたは低減され得る。これは、症候の発症を防止するまたは遅延させるための効果的な戦略を開発する機会を提供する。特に、本発明の化合物は、Aβ凝集体の核生成を防止するのに非常に効果的であり、従って、早期ステージ介入として使用される場合、特に効果的であり得る。
アルツハイマー病におけるタンパク質ミスフォールディングの研究は、アルツハイマー病のより早期のステージが、主としてAβペプチドおよび細胞外アミロイドプラークの形成に関連し、一方後期ステージがタウペプチドの神経内神経原線維塊へのミスフォールディングによって兆候を示しことを示唆する。優勢な理論は、上流Aβミスフォールディングがタウの正常状態から毒性状態への変換を引き起こすことにおいて役割を果たすことである。毒性タウ種が折り畳み異常のAβ毒性を促進し、そして逆に毒性フィードバックループにおいて神経変性を促進するという証拠がある。Aβペプチドを標的化し、そしてAβミスフォールディングの重篤度を防止または低減することによってタウ毒性のこの引き起こしを防止したアルツハイマー病のための治療戦略は、従って、症候および後期ステージAD、特にADのより重篤な症候の発症の防止および/または遅延における強力な治療を提供する。
本発明はさらに、患者における上記のようなタンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患を治療および/または予防する方法を提供し、当該方法は、有効量の上記の本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体を該患者に投与することを含む。本明細書中で定義した使用のための化合物の好ましい特徴は、本発明の方法の好ましい特徴でもある。
本発明はさらに、上記のようなタンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防のための医薬の製造における、上記の本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体の使用を提供する。本明細書中で定義した使用のための化合物の好ましい特徴は、本発明の使用の好ましい特徴でもある。
1つの好ましい実施態様において、本発明は、上記で議論したアミロイドーシス、タウオパチー、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病および海綿状脳症を含む)、神経変性疾患、ダウン症候群、および/または嚢胞性線維症から選ばれるタンパク質ミスフォールディング疾患;上記で議論したアルツハイマー病、脳アミロイド-β血管症、封入体筋炎および/またはダウン症候群から選ばれるタンパク質ミスフォールディング疾患;および/または上記で議論した認知症、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病、ポリグルタミン疾患(ハンチントン病など)および/または筋萎縮性側索硬化症(ALS)から選ばれる神経変性疾患の治療および/または予防における使用のための、上記で議論した式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体に関する。好ましくは、化合物は、アルツハイマー病の治療における使用のためのものである。
別の好ましい実施態様において、本発明は、上記で議論したアミロイドーシス、タウオパチー、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病および海綿状脳症を含む)、神経変性疾患、ダウン症候群、および/または嚢胞性線維症から選ばれるタンパク質ミスフォールディング疾患;上記で議論したアルツハイマー病、脳アミロイド-β血管症、封入体筋炎および/またはダウン症候群から選ばれるタンパク質ミスフォールディング疾患;および/または上記で議論した認知症、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病、ポリグルタミン疾患(ハンチントン病など)および/または筋萎縮性側索硬化症(ALS)から選ばれる神経変性疾患の治療および/または予防における使用のための、上記で議論した式(IA)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体に関する。好ましくは、化合物は、アルツハイマー病の治療における使用のためのものである。
別の好ましい実施態様において、本発明は、上記で議論したアミロイドーシス、タウオパチー、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病および海綿状脳症を含む)、神経変性疾患、ダウン症候群、および/または嚢胞性線維症から選ばれるタンパク質ミスフォールディング疾患;上記で議論したアルツハイマー病、脳アミロイド-β血管症、封入体筋炎および/またはダウン症候群から選ばれるタンパク質ミスフォールディング疾患;および/または上記で議論した認知症、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病、ポリグルタミン疾患(ハンチントン病など)および/または筋萎縮性側索硬化症(ALS)から選ばれる神経変性疾患の治療および/または予防における使用のための、上記で議論した式(II)または(III)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体に関する。好ましくは、化合物は、アルツハイマー病の治療における使用のためのものである。
別の好ましい実施態様において、本発明は、上記で議論したアミロイドーシス、タウオパチー、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病および海綿状脳症を含む)、神経変性疾患、ダウン症候群、および/または嚢胞性線維症から選ばれるタンパク質ミスフォールディング疾患;上記で議論したアルツハイマー病、脳アミロイド-β血管症、封入体筋炎および/またはダウン症候群から選ばれるタンパク質ミスフォールディング疾患;および/または上記で議論した認知症、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病、ポリグルタミン疾患(ハンチントン病など)および/または筋萎縮性側索硬化症(ALS)から選ばれる神経変性疾患の治療および/または予防における使用のための、ネトグリタゾン、シグリタゾン、エングリタゾン、ダルグリタゾンまたはトログリタゾン、好ましくは、ネトグリタゾン、シグリタゾン、またはエングリタゾン、より好ましくは、ネトグリタゾン、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体に関する。好ましくは、化合物は、アルツハイマー病の治療における使用のためのものである。
医薬組成物および投与
本発明はまた、タンパク質ミスフォールディング疾患の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体を含有する医薬組成物を提供する。1つの実施態様において、この組成物はさらに、1つ以上の薬学的に許容可能な担体 希釈剤、賦形剤および/または添加剤を含有する。本明細書中で定義した使用のための化合物の好ましい特徴は、使用のための組成物の好ましい特徴でもある。
好ましくは、組成物は、本発明の化合物の液体担体中の溶液である。好ましい医薬組成物は滅菌である。
医薬組成物中の本発明の化合物の濃度は、投与される化合物の投薬量を含むいくつかの因子に依存して変化する。
1つの実施態様において、本発明の化合物は、単剤療法として投与される。別の実施態様において、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体と1つ以上の追加の治療剤との薬学的組み合わせを提供し、ここで、追加の治療剤はタンパク質ミスフォールディング疾患の治療および/または予防に適している。従って、本発明の化合物は、1つ以上の追加の治療剤との本発明の組み合わせ、組成物および製品で存在する。
1つの実施態様において、本発明は、(i)本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体、(ii)1つ以上の追加の治療剤、該追加の治療剤は本明細書中で定義した通りであり得る、および(iii)1つ以上の薬学的に許容可能な担体および/または賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。
典型的には、組み合わせは、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体、および追加の治療剤が、別個の、同時のまたは連続の投与のために処方されている組み合わせである。組み合わせはまた、薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含有していてもよい。
例えば、本発明の化合物が、別個の、同時のまたは連続の投与のために処方された、本明細書中で定義した組み合わせ(薬学的組み合わせなど)の一部である場合、(a)本発明の薬学的化合物、および(b)追加の治療剤は、同じ投与方法によって、または異なる投与方法によって投与され得る。
同時投与について、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体、および追加の治療剤は、例えば単一の組成物で提供され得る。従って、組成物は、例えば、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体、および追加の治療剤、ならびに必要に応じて薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含有し得る。別個のまたは連続の投与について、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体、および追加の治療剤は、例えばキットとして提供され得る。
本発明において用いられる追加の治療剤は、当業者が状況において有用であると判断する任意の適切な治療剤であり得る。特に適切なクラスの治療剤は、以下の経路またはメカニズムを標的化する薬物を含む:アセチルコリン(例えば、アセチルコリンアゴニスト、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、神経成長因子エンハンサー)、炎症(例えば、リポタンパク質-関連ホスホリパーゼA2阻害剤、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤)、セロトニン(例えば、5-HTRアンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤)、グルタメート(例えば、NMDAアゴニスト)、抗酸化剤(GABAモジュレーター、ドーパミン、カンナビノイド)、ヒスタミン、Aβ(例、凝集阻害剤、受動免疫療法、BACE阻害剤、γ-セクレターゼモジュレーター、PKCアクチベーター、他のAPP関連酵素)、タウ(例、凝集阻害剤、受動免疫療法、タウリン酸化の防止)、免疫療法(例えば、アジュバントを有するまたは有しないAβまたはタウの全長または断片に対するワクチン)、インスリン(PPARおよびGLP-1)、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1阻害剤、間充織幹細胞移植、MAPT、AAVを阻害してMAPT抗体を送達するアンチセンスオリゴヌクレオチド。好ましい実施態様において、追加の治療剤は、タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防に適切である。好ましくは、本発明の組成物は、本発明の化合物の患者の脳への侵入を完全するよう処方される。これは、例えば、薬物担体(例えば、脂質ベースのナノ粒子:固体脂質ナノ粒子、リポソーム、ミセル、ナノエマルジョン;ポリマーベースのナノ粒子:デンドリマーおよびポリマーナノ粒子;無機ナノ粒子)としての固体のコロイド状粒子(大きさ10-1000nm)の使用により達成され得る。さらなるアプローチは、嗅神経を介して血液-脳関門(BBB)を迂回する非侵襲性薬物送達技術である鼻内投与であり、ここで、薬物は、細胞間吸収またはエンドサイトーシスによって鼻粘膜から脳へと直接送達される。他のアプローチは、受容体ベースの送達システム(例えば、トランスフェリンTfR);化学BBBモジュレーター(例えば、ボルネオール);超音波BBB崩壊、およびタンパク質カプセルを含む。
本発明の化合物、組み合わせ、組成物および製品は、種々の剤型で投与され得る。従って、それらは、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒として経口投与され得る。本発明の化合物、組み合わせ、組成物および製品はまた、皮下、静脈内、筋肉内、肋骨内、経皮のいずれか、または注入技術によって、非経口投与され得る。使用されるビヒクルおよび濃度に依存して、薬物は、ビヒクル中に懸濁され得るかまたは溶解され得るかのいずれかである。有利には、局所麻酔薬、保存剤および緩衝剤などのアジュバントは、ビヒクル中に溶解され得る。化合物、組み合わせ、組成物および製品はまた、坐剤として投与され得る。化合物、組み合わせ、組成物および製品は、吸入器または噴霧器を介してエアロゾルの形態で吸入によって投与され得る。本発明の薬学的化合物、薬学的組み合わせおよび医薬組成物は、例えば、クリーム、フォーム、ゲル、ローション、または軟膏として局所投与され得る。
本発明の化合物、および必要に応じた追加の治療剤は、典型的には、薬学的に許容可能な担体または希釈剤との投与のために処方される。例えば、固体経口形態は、活性化合物とともに、可溶化剤、例えば、シクロデキストリンまたは修飾シクロデキストリン;希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、コーンスターチまたはジャガイモデンプン;潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコール;結合剤;例えば、スターチ、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば、スターチ、アルギン酸、アルギネートまたはスターチグリコール酸ナトリウム;発泡混合物;染料;甘味料;湿潤剤、例えば、レシチン、ポリソルベート、ラウリルサルフェート;および、一般的に、製剤処方で使用される非毒性で薬理学的に不活性の物質を含み得る。このような医薬製剤は、公知の方法、例えば、混合、顆粒化、錠剤化、糖衣、またはフィルムコーティングプロセスによって製造され得る。
経口投与のための液体分散液は、溶液、シロップ、エマルジョンおよび懸濁液であり得る。溶液は、可溶化剤、例えば、シクロデキストリンまたは修飾シクロデキストリンを含み得る。シロップは、担体として、例えば、サッカロースまたはグリセリンおよび/またはマンニトールおよび/またはソルビトールと一緒にサッカロースを含み得る。
懸濁液およびエマルジョンは、平均粒径が微粉化またはナノ化テクノロジーによって粒径減少を受けた薬学的に活性な化合物を含み得る。例えば、本発明の化合物の平均粒径は、微粉化またはナノ化テクノロジーによって粒径減少を受けたものであり得る。
懸濁液およびエマルジョンは、担体として、例えば、天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含み得る。筋肉内注入のための懸濁液または溶液は、活性化合物とともに、薬学的に許容可能な担体、例えば、滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えば、プロピレングリコール;可溶化剤、例えば、シクロデキストリンまたは修飾シクロデキストリン、および所望であれば、適切な量のリドカイン塩酸塩を含み得る。
静脈内または注入のための溶液は、担体として、例えば、滅菌水および可溶化剤、例えば、シクロデキストリンまたは修飾シクロデキストリンを含み得、あるいは好ましくは、それらは滅菌の水性の等張性の生理食塩水溶液の形態であり得る。皮膚への局所適用のために、化合物は、例えば、クリーム、ローションまたは軟膏にされ得る。薬物のために用いられ得るクリームまたは軟膏処方は、当該分野で周知の、例えば、英国薬局方などの薬剤学の標準的な教科書に記載の従来の処方である。
吸入による局所適用について、化合物は、例えば、圧力駆動のジェット噴霧器または超音波噴霧器による、あるいは、好ましくは、推進剤駆動の定量エアロゾルまたは推進剤なしの微粉化粉末の投与、例えば、吸入カプセルまたは他の「乾燥粉末」送達システムによるエアロゾル送達のために処方され得る。例えば、推進剤(例えば、定量エアロゾルの場合のフリゲン(Frigen))、表面活性物質、乳化剤、安定化剤、保存剤、香味料、および充填剤(例えば、粉末吸入器の場合のラクトース)などの賦形剤は、このような吸入処方において存在し得る。吸入の目的のために、多数のアパラータ(apparata)が利用可能であり、患者に適切な吸入技術を用いて最適粒径のエアロゾルが生成され、そして投与され得る。特に、粉末吸入器の場合の定量エアロゾルのためのアダプター(スペーサー、エキスパンダー)および梨型の容器(例えば、Nebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標)ならびにパファー(puffer)噴霧を発する自動デバイス(Autohaler(登録商標))の使用に加えて、多数の技術的解決法が利用可能である(例えば、Diskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)または他の吸入器、例えばEuropean Patent Application 欧州特許出願EP 0 505 321に記載のもの)。
治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体は、患者に投与される。典型的な1日用量は、例えば、用いられる化合物または特定の治療剤の組み合わせの活性、治療される被検体の年齢、重量および状態、疾患のタイプおよび重篤度ならびに投与の頻度および経路に従って、体重1kg当たり0.1〜25、0.2〜20または0.5〜15 mgである。1つの実施態様において、1日の投薬量レベルは、10〜1500 mg、好ましくは、15〜1000 mg、およびより好ましくは、20〜500 mgである。組み合わせが投与される場合、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体は、典型的には、少なくとも1 mg、好ましくは、少なくとも5 mg、10 mgまたは少なくとも20 mgの量で投与される。投与される本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体の量に対する好ましい上限は、典型的には、200mg、例えば、100 mg、50 mgまたは25 mgである。本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体は、典型的には、5〜50 mg、好ましくは、10〜40 mgおよびより好ましくは、15〜30 mgの1日2回の投薬量で投与される。任意の追加の治療剤は、典型的には、その薬物に用いられる標準用量でまたはそれ未満で投与される。本発明の化合物、組み合わせまたは組成物は、典型的には、非毒性量で患者に投与される。
本発明の実施態様において、本発明の化合物または組成物は、本発明の化合物が0.1 mg/kg〜25 mg/kgの1日用量で投与されるよう、投与される。好ましくは、本発明の化合物は、0.5 mg/kg〜15 mg/kgの1日用量で投与される。
別の実施態様において、化合物は、10 mg〜1500 mgの1日用量で投与される。好ましくは、化合物は、20 mg〜500 mgの1日用量で投与される。
さらなる実施態様において、化合物は、5 mg〜50 mgの1日2回の用量で、好ましくは、15 mg〜25 mgの1日2回の用量で投与され得る。
本発明の実施態様において、本発明の化合物または組成物は、哺乳動物にインビボで送達される。別の実施態様において、哺乳動物はヒトである。別の特定の実施態様において、ヒトはADと診断されており、ADを有すると知られており、ADを有すると疑われており、あるいはADを発症する危険がある。別の実施態様において、ヒトは、ADを有すると知られており、そしてADのための追加の療法を受けている。
本発明はまた、上記のようなタンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防における使用のための、本発明の化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログもしくは同位体標識した誘導体、または本発明の組成物を含むキットを提供する。キットは、必要に応じて、混合物においてまたは別個の容器において、上記の追加の薬学的に活性な剤をさらに含む。本明細書中で定義した使用のための化合物または組成物の好ましい特徴は、本発明のキットの好ましい特徴でもある。
実施例
方法 - インビトロ
Aβペプチドの調製
本明細書中Aβ42と呼ぶ組み換えAβ(M1-42)ペプチド(MDAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVG-SNKGAIIGLMVGGVVIA[配列番号1])をE. coli BL21 Gold (DE3)株(Stratagene, CA, U.S.A.)中で発現させ、そして若干の変更を加えて以前に記載したように精製した。簡潔には、精製手順は、E. coli細胞の超音波処理、8 M尿素への封入体の溶解、およびバッチモードでのジエチルアミノエチルセルロース上でのイオン交換ならびに凍結乾燥を含んだ。凍結乾燥した画分を、Superdex 75 HR 26/60カラム(GE Healthcare, Buckinghamshire, U.K.)を用いてさらに精製し、そして溶出物を、SDS-PAGEを用いて所望のタンパク質産物の存在について分析した。組み換えタンパク質を含む画分を合わせ、液体窒素を用いて凍結し、そして再度凍結乾燥した。
小分子の調製
GVK BIOによって特別合成したネトグリタゾンを除いて、全ての小分子を99%を超える純度で購入した。小分子を最初に100% DMSOに可溶化して5 mMの濃度にし、次いでペプチド溶液中に希釈して最大1-3%の最終DMSO濃度に達した。本発明者らは、反応混合物へのDMSOの添加がAβ42凝集に対して効果を有しないことを確認した。
動態実験のためのサンプルの調製
モノマーペプチドの溶液を、凍結乾燥したAβ42ペプチドを6 M GuHClに溶解することによって調製した。モノマー形態を、潜在的オリゴマー種および塩からSuperdex 75 10 / 300 GLカラム(GE Healthcare)を用いて0.5 mL/分の流量で精製し、そして200 μM EDTAおよび0.02% NaN3を添加した20 mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH 8中に溶出した。ピークの中央を集め、そしてペプチド濃度をε280 = 1490 L mol-1 cm-1を用いて積算ピーク面積の吸光度から決定した。得られたモノマーを緩衝液で希釈して所望の濃度にし、そして1 mMストックから20 μMチオフラビンT(ThT)を添加した。全てのサンプルを氷上で低結合エッペンドルフチューブ中で調製し、注意深いピペット操作を用いて気泡の導入を防いだ。次いで、各サンプルを96-ウェル半面積低結合透明底およびPEGコーティングプレート(Corning 3881)の複数のウェルに1ウェル当たり80 μLでピペットで入れた。Aβ42動態を、ネトグリタゾン、ミトグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、ピオグリタゾン、シグリタゾン、エングリタゾン、ダルグリタゾン、トログリタゾンおよびバラグリタゾンの不在下または存在下で行った。
播種実験について、行った原線維を実験直前に調製した。動態実験を、200 μM EDTA、0.02% NaN3および20 μM ThTを有する20 mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH 8中、5μM Aβ42サンプルについて上記の通り設定した。ThT蛍光を3時間モニターし、原線維の形成を確認した。次いで、サンプルをウェルから集めて低結合チューブに入れた。熟慮した条件(すなわち、5 μM Aβ42)下、モノマー濃度は平衡で無視できる。モノマー等価体における原線維の最終濃度を、モノマーの初期濃度に等しいと考えた。次いで、原線維を新たに調製したモノマーに加え、ネトグリタゾンの不在下または存在下、種の2%または50%のいずれかの最終濃度に達した。
ヒトCSFにおけるAβ42凝集動態の実験について、3 μM Aβ42のモノマー溶液を、緩衝液が150 mM NaClで1 mM CaCl2を加えた20 mM Hepes、pH 8であったことが唯一の例外で、上記と同様に調製した。得られたモノマーを緩衝液で希釈し、CSFの66%最終濃度に達し、ここでCSFの効果は最大に近い。Aβ42凝集動態を、1.25および5-倍過剰のネトグリタゾンの不在下または存在下で行った。
Aβ40凝集動態をモニターする実験について、10 μMのAβ40濃度で、1.25-倍過剰のネトグリタゾンの不在下または存在下、Aβ42について上記したのと同様にして実験を行った。
動態アッセイ
96-ウェルプレートを37℃、静止条件下、プレートリーダー(Fluostar Omega, Fluostar OptimaまたはFluostar Galaxy, BMGLabtech, Offenburg, Germany)中に配置することによってアッセイを開始した。ThT蛍光を、440 nm励起フィルターおよび480 nm発光フィルターを用いてプレートの底部を通して測定した。ThT蛍光は、各サンプルの3回の繰り返しに従った。
理論的分析
合計の原線維質量濃度の時間発展は、Cohen et al., J Chem Phys 135, 065106, 2011に式(54)によって与えられた積分速度則によって、初期条件および系の速度定数のみの関数として記載する。
興味深いことに、Aβ42について完全な集合プロセスを捕獲するために(Cohen et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 110(24), 9758-63, 2013)、速度定数の2つの特定の組み合わせのみが巨視的挙動の多くを定義する。これらは、一次経路
Figure 2021520412
を通した、および二次経路
Figure 2021520412
を通した新たな凝集体の形成速度に関係し、ここで、可溶性モノマーの初期濃度はm(0)で示され、ncおよびn2はモノマー濃度(Aβ42についてnc = n2 = 2)に対する一次および二次経路の依存性を記載し、そしてkn、k+およびk2はそれぞれ一次核生成、伸長および二次核生成の速度定数である(Cohen et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 110(24), 9758-63, 2013)。Aβ42について、ここで考慮された条件(すなわち、Aβ42のマイクロモル濃度)下、解重合の速度は、反応の時間的経過の間中ずっと(すなわち、モノマーペプチドがほとんど完全に枯渇するまで)、原線維の伸長速度よりも顕著に遅く、それゆえこのプロセスは動態分析において無視され得る。
阻害剤は、1つ以上の個々の微視的工程を阻害することによって、凝集プロセスを妨げ得る。本発明者らは、積分速度則(Cohen et al., J Chem Phys 135, 065106における式(54))を巨視的凝集プロファイルに適合させ、そしてネトグリタゾンの不在下および存在下、原線維形成の時間発展を記載するのに必要とされる微視的速度定数(予備形成した種の不在下のk+k2およびk+kn;予備形成した種の存在下のk+およびk2、ここで一次核生成は迂回される)の適合させたセットを比較することによって、化学化合物によって阻害される微視的事象を同定することができる。分析は、Aβ42凝集に対する他の小分子の効果を研究するためにHabchi et al., Proc Natl Acad Sci U S A;114(2):E200-E208, 2017において行われたのと類似している。
分子の存在下、速度定数(kn、k2またはk+)を用いて、本発明者らはまた:
Figure 2021520412
としてオリゴマーに対する反応フラックス(r(t))を概算することができる。
オリゴマーの発生がピークに達する時間、および経時で発生したオリゴマーの合計数r(t)の時間積分)は、続いて予測することができる。
ドットブロットアッセイ
Aβ42原線維-特異的抗体(OC, Millipore)を用いてブロッティングを行った。5-倍過剰のネトグリタゾンの不在下および存在下の2 μM Aβ42の凝集の時間的経過の間、4μL Aβ42アリコートをOCのブロッティングのために異なる時間点で混合物から取り出した。Aβ42アリコートをニトロセルロース膜(0.2 μm, Whatman)上にスポットし、次いで膜を乾燥し、次いで免疫検出前にBlocking One(Nacalai tesque)でブロックした。製造者の指示に従ってOCを用いた。Alexa Fluor(登録商標)488-結合二次抗体(Life technologies)を続いて加え、そして蛍光検出をTyphoon Trio Imager(GE Healthcare)を用いて行った。
オリゴマー-特異的抗体のELISA-ベースの結合
20μlのアリコートを、5-倍過剰のネトグリタゾンの不在下および存在下、5μM Aβ42の凝集反応からt50(すなわち、半時間)で取った。次いで、サンプルを、室温で1 h振盪することなく、96-ウェルMaxisorp ELISAプレート(Nunc, Roskilde, Denmark)上に固定化した。次いで、プレートを20 mM Tris pH 7.4、100 mM NaClで3回洗浄し、そして20 mM Tris pH 7.4、100 mM NaCl、5% BSA中、4℃で一晩の一定の振盪下、インキュベートした。その翌日、プレートを20 mM Tris pH 7.4、100 mM NaClで6回洗浄し、次いで5μMオリゴマー-特異的抗体の30 μl溶液とともに、室温で1時間または一晩のいずれかの一定の振盪下、インキュベートした。このインキュベーションの終わりに、プレートを20 mM Tris pH 7.4、100 mM NaClで6回洗浄し、そして20 mM Tris pH 7.4、100 mM NaCl、5% BSA中1:4000の希釈で6X His tag(登録商標)HRP結合(Abcam, Cambridge, UK)に対してポリクローナルウサギの30 μl溶液とともに、室温で1時間の一定の振盪下、インキュベートした。プレートを20 mM Tris pH 7.4、100 mM NaClで3回洗浄し、次いで20 mM Tris pH 7.4、100 mM NaCl、0.02% Tween-20で2回洗浄し、そして再度20 mM Tris pH 7.4、100 mM NaClで3回洗浄した。最後に、結合したオリゴマー-特異的抗体の量を、製造者の指示に従って、1-Step(登録商標)Ultra TMB-ELISA Substrate Solution(ThermoFisher Scientific, Waltham, MA, United States)を用いることによって定量し、そしてCLARIOstarプレートリーダー(BMG Labtech, Aylesbury, UK)によって450 nmで吸光度を測定した。
Ca2+流入アッセイ
PLL-PEGコーティングしたホウケイ酸塩ガラスカバースライド(VWR International, 22x22 mm, 製品番号63 1-0122)につないだ単一のベシクルを、倒立Olympus IX-71顕微鏡に取り付けた油浸対物レンズ上に配置した。各カバースライドをFrame-Sealインキュベーションチャンバーに取り付け、そして50 μLのpH 6.5のHEPES緩衝液とともにインキュベートした。画像化の直前に、HEPES緩衝液を50 μLのCa2+含有緩衝溶液L-15で置き換えた。カバースライドの16(4×4)画像を3つの異なる条件(それぞれバックグランド、Aβ42の存在下、およびイオノマイシン(Cambridge Bioscience Ltd, Cambridge, UK)の添加後)下で記録した。各視野間の距離を100 μmに設定し、そして自動化(ビーンシェル(bean-shell)スクリプト、マイクロマネージャー(Micromanager))していかなる使用者の偏見も回避した。各測定後、スクリプトはステージ(Prior H117, Rockland, MA, USA)が視野を開始位置に戻すことを可能とし、その結果、同一の視野は異なる3つの条件について獲得することができた。バックグランドの画像をL15緩衝液の存在下で獲得した。各視野について、50の画像を50 msの露光時間で取った。その後、目標値の2倍の濃度に希釈した50 μLの凝集反応物を添加し、そして10分間インキュベートした。次いで、1 mg/mLのイノマイシン(Cambridge Bioscience Ltd, Cambridge, UK)を含む溶液の10 μLを加え、そして5分間インキュベートし、そして続いて同じ視野中のCa2+飽和単一ベシクルの画像を獲得した。記録した画像をImageJを用いて分析し、ネトグリタゾンありおよびなしでインキュベートした凝集混合物の存在下、3つの異なる条件下で各スポットの蛍光強度を決定した。
方法-インビボ(C. elegans)
培地調製
C. elegans (S. Brenner, The genetics of Caenorhabditis elegans. Genetics. 77, 71-94 (1974))の増殖のために標準条件を用いた。簡潔には、動物を次亜塩素酸塩漂白によって同期させ、M9緩衝液(3 g/l KH2PO4、6 g/l Na2HPO4、5 g/l NaCl、1 μM MgSO4)中で一晩孵化させ、そして続いてE. coli株OP50を播種した線虫増殖培地(NGM)(CaCl2 1 mM、MgSO4 1 mM、コレステロール5 μg/mL、PBS緩衝液(250 μM KH2PO4、67.5 μM KCl、3.425 mMのNaCl、pH 6)、寒天17 g/L、NaCl 3 g/l、カゼイン7.5 g/l)プレート上、20 ℃で培養した。OP50の飽和培養物を、50 mlのLB培地(トリプトン10 g/l、NaCl 10 g/l、酵母抽出物5 g/l)をOP50で接種し、そして培養物を37 ℃で16 hインキュベートすることによって増殖させた。NGMプレートに、350 μlの飽和OP50を各プレートに添加し、そしてプレートを20 ℃で2-3日 放置することによって、細菌を接種した。同期後3日目、動物を5-フルオロ-2’デオキシ-ウリジン(FUDR)(特に明記しない限り75 μM)を含むNGMプレート上に配置し、子孫の増殖を阻害した。

以下の株を用いた:
GMC101 dvIs100[unc-54p::A-beta-1-42::unc-54 3’UTR + mtl-2p::GFP]。mtl-2p::GFPは、腸細胞中でGFPの構成的発現を生じる。unc-54p::A-beta-1-42は、インビボで凝集する体壁筋細胞中で全長ヒトAβ42ペプチドを発現する。20°〜24℃でのL4または若年成人動物の変化は、まひを引き起こす(G. McColl et al., Utility of an improved model of amyloid-beta (Aβ1-42) toxicity in Caenorhabditis elegans for drug screening for Alzheimer's disease. Mol Neurodegener. 7, 57 (2012));
NL5901 (pkIs2386 [α-シヌクレイン::YFP unc-119(+)])(PD蠕虫)、ここでYFPに融合したα-シヌクレインは封入体に移転し、これは、孵化後早くも2日目に可視であり、そして動物の老化の間、後期成虫期(17日目)まで数および大きさが増加する(T. J. Van Ham et al., C. elegans model identifies genetic modifiers of α-synuclein inclusion formation during aging. PLoS Genetics. 4(2008));
CL2331; dvIs37 [myo-3p::GFP::A-Beta (3-42) + rol-6(su1006)](Aβ3-42::GFPMuscular蠕虫)。16Cで維持する。ローラー。体壁筋中で拡散および凝集したGFP発現。低い腹子数。より高い温度でより病的。(C. D. Link et al., The β amyloid peptide can act as a modular aggregation domain. Neurobiol. Dis. 32, 420-425 (2008));および
CL2355 [pCL45 (snb-1::Abeta 1-42::3' UTR(long) + mtl-2::GFP](Aβ1-42Neur蠕虫)。16Cで維持する。ヒトAbetaペプチドの汎神経発現。マーカー導入遺伝子からのGFPの構成的腸発現。株は、脂質中で走化性、連想的学習およびスラッシング(thrashing)の欠損を示す。株はまた、生殖細胞系列増殖の欠陥および胚性致死性のために不完全な不妊を有する(Y. Wu et al., Amyloid-beta-induced pathological behaviors are suppressed by Ginkgo biloba extract EGb 761 and ginkgolides in transgenic Caenorhabditis elegans. J. Neurosci. 26, 13102-13113 (2006))。
N2 C. elegansvar. Bristolをコントロールとして用いた(また「健康」と標識した)。世代時間は、約3日である。腹子数は約350であり、野生型表現型、1973年に継代培養(S. Brenner, The genetics of Caenorhabditis elegans. Genetics. 77, 71-94 (1974))。
薬物投与
薬物を以前に示した通り投与した(M. Perni et al., Massively parallel C. elegans tracking provides multi-dimensional fingerprints for phenotypic discovery. J. Neurosci. Methods. 306, 57-67 (2018); J. Habchi et al., An anticancer drug suppresses the primary nucleation reaction that initiates the production of the toxic Aβ42 aggregates linked with Alzheimers disease. Science Advances. 2, e1501244-e1501244 (2016); J. Habchi et al., Systematic development of small molecules to inhibit specific microscopic steps of Aβ42 aggregation in Alzheimer's disease. Proc Natl Acad Sci U S A. 114, E200-E208 (2017); M. Perni et al., Multistep Inhibition of α-Synuclein Aggregation and Toxicity in Vitro and in Vivo by Trodusquemine. ACS Chem Biol, 17;13(8):2308-2319 (2018))。
簡潔には、ネトグリタゾンストック(100% DMSO中5 mM)を適切な濃度で用い、9-cm NGMプレートに播種した。次いで、プレートを室温(22℃)で4時間までラミナーフローフード(laminar flow hood)中に配置し、乾燥した。次いで、C. elegans培養物を、後の処置のためにL4ステージとしてまたは3日目に化合物を播種した培地上に移し、そして全体の実験のために24°でインキュベートした。実験を、1% DMSO中0.05〜500 μMの範囲の異なるネトグリタゾン濃度で行った。コントロールとして、1% DMSOのみを播種したプレートを用いた。
自動化運動性アッセイ
全てのC. elegans集団を20℃で培養し、そして4 h産卵から発生的に同期した。産卵後64-72 h(時間0)で、個々をFUDRプレートに移し、そして身体運動を示した時間にわたって評価した。異なる年齢で、動物をM9緩衝液を用いてプレートから洗い落とし、そしてOP-50未播種9 cmプレートに広げ、その後、それらの運動を20 fpsで近年開発された顕微鏡手順(M. Perni et al., Massively parallel C. elegans tracking provides multi-dimensional fingerprints for phenotypic discovery. J. Neurosci. Methods. 306, 57-67 (2018))を用いて1分記録した。600匹までの動物を、特に明記しない限り各実験において2回計数した。各一連の実験において測定した3つ以上の代表例である1つの実験を示し、そしてビデオを特注のトラッキングコード(M. Perni et al., Massively parallel C. elegans tracking provides multi-dimensional fingerprints for phenotypic discovery. J. Neurosci. Methods. 306, 57-67 (2018))を用いて分析した。
生存C. elegansにおける染色および顕微鏡検査
プラーク染色を以前に記載した通り行った(J. Habchi et al. (2016); M. Perni et al., A natural product inhibits the initiation of α-synuclein aggregation & suppresses its toxicity. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 114, E1009-E1017 (2017))。簡潔には、生存トランスジェニック動物を広範な濃度および時間にわたってNIAD-4とともにインキュベートし、1 μM NIAD-4 (M9緩衝液中0.1% DMSO)では室温で4時間。染色後、動物をNGMプレート上で約24時間回復させ、正常な代謝を介して脱染させた。染色した動物を、画像化のためのガラス顕微鏡スライド上、麻酔薬として40 mM NaN3を含む2%アガロースパッド上に置いた。画像を、20×対物および49004 ET-CY3/TRITCフィルター(Chroma Technology Corp)を有するZeiss Axio Observer D1蛍光顕微鏡(Carl Zeiss Microscopy GmbH)を用いてキャプチャーした。蛍光強度をImageJソフトウェア(米国国立衛生研究所)を用いて計算し、次いで補正合計細胞蛍光として正規化した。消化管における高いバックグランドシグナルのため、頭部のみを考慮した。全ての実験を3回行い、そして1つの代表的実験からのデータを示す。統計的有意性はt検定を用いて決定した。
走化性アッセイ
走化性測定を以前に記載した通り(O. Margie, C. Palmer, I. Chin-Sang, C. elegans Chemotaxis Assay. J Vis Exp, e50069 (2013))および図6Cに説明した通り行った。簡潔には、成虫の同期したトランスジェニックC. elegans CL2355蠕虫および野生型の健康な蠕虫を5 μMネトグリタゾンとともにまたはなしで24℃で5日間インキュベートした。成虫期の6日目、次いで蠕虫を集め、M9緩衝液で3回洗浄し、そしてそれぞれ誘引物質または試験条件として50 μlのOp50細菌の10X培養物または滅菌水を播種し、そして1 μlの1Mレバミゾールと組み合わせた9cmスクリーニングプレート(1.9%寒天、1 mM CaCl2、1 mM MgSO4、および25 mMリン酸緩衝液、pH 6.0)中でアッセイした。約200匹の蠕虫をプレートの中央の四分円に配置し、そして24℃で8 hインキュベートし、その後走化性指標(CI)を採点した。CIは以下のように定義した(O. Margie et al (2013)):
(誘引物質の位置での蠕虫の数−コントロールの位置での蠕虫の数)/プレート上の蠕虫の合計数
中央の四分円に残った蠕虫は排除した。
ROS産生および測定
ROS-Glo(登録商標)H2O2細胞キットアッセイを用い(Promega, Fitchburg, Wisconsin, USA)、そしてC. elegans研究に適合させた。The ROS-Glo(登録商標)H2O2アッセイは、反応性酸素種(ROS)であるH2O2のレベルを、細胞培養物または組織中あるいは定義した酵素反応中で直接測定する生物発光アッセイである。誘導体化ルシフェリン基質をサンプルとともにインキュベートし、そしてH2O2と直接反応してルシフェリン前駆体を発生する。1% DMSO中の5 μMネトグリタゾンまたは1% DMSOのみで処置した蠕虫を、M9緩衝液を用いてNGMプレートから洗い落とした。次いで、緩衝液を3回交換し、過剰の細菌を除去した。次いで、蠕虫ペレットを3つのウェルに分割し、そして80 μlの蠕虫ペレット(約200匹の蠕虫/ウェル)を20 μlのROS基質溶液(Promega, Fitchburg, Wisconsin, USA)とともにRTで6 hインキュベートし;300 rpmでの穏やかな振盪を用いて蠕虫の沈殿を避け;その後、蠕虫を100 μlの検出溶液とともに約20分インキュベートし;次いで、発光をClariostar(BMG Labtech, Aylesbury, UK)を用いて測定した。
方法−インビボ有効性(マウス)
APPPS1マウス
C57BL/6遺伝的背景に対するニューロン特異的Thy-1プロモーターの制御下、スウェーデン変異K670M/N671LおよびPS1変異L166Pを共発現するAPPPS1トランスジェニックマウスを研究に用いた。研究の前にAPPPS1マウスを慣らし、ピペットからコンデンスミルク処方物を自発的に飲ませた。研究に用いたコンデンスミルクは、市販入手可能(Migros)であり、そして乳、糖、安定化剤E339を含む。研究を開始する前に体重を測定し、各マウスについてネトグリタゾンの用量を計算し、そして合計の血液量を計算した。次いで、60日齢のマウスに90日間ピペットで1日1回投薬した。ピペットは、コンデンスミルク(2ml/kg/日)のみ(プラセボコホート)またはコンデンスミルク(2ml/kg/日)およびネトグリタゾン(75 mg/kg/日)のいずれかからなる40-80μLを含んだ。血液を眼窩後サンプリングを介して集め、7日後および28日後のネトグリタゾンの濃度をモニターした。マウスの視覚モニタリングおよび体重の測定を、それぞれ毎日および隔週で行った。実験の最後(すなわち、1日1回の処置の90日後で、マウスは150日齢であった)、マウスを安楽死させ、そしてそれらの脳を以下に概説するように分析した。
APPPS1マウスの灌流
用いたA4B4P4ヒドロゲル処方物(Chung, K. et al. 2013)は、4%アクリルアミド(wt/vol)、0.05%ビス-アクリルアミド(wt/vol)、4%パラホルムアルデヒド(wt/vol)、および0.25% VA-044開始剤(wt/vol)のPBS水溶液からなった。動物を深く麻酔し、そしてリン酸緩衝化生理食塩水溶液(PBS, Thermo-Fisher, pH 7.4)で経心的に灌流し、続いて等体積の冷A4B4P4の灌流を行った。結果として、組織は十分に架橋して構造的安定性を維持する。組織をヒドロゲルに埋め込むために、以前に記載した窒素フラッシュ(nitrogen-flush)または真空チャンバー脱気プロトコル(Chung, K. et al. 2013)の後に組織を重合した。全てのサンプルを37℃振盪インキュベーター中で2.5時間のインキュベーションによって重合し、続いて過剰のヒドロゲルを除去した。固体ゲルは、フームフード下でサンプルから剥がされ得、そして固体廃棄物として処分され得る。マウスをインビボでヒドロゲル溶液で灌流することにより、全ての核酸およびタンパク質は所定の位置に固定される。次いで、サンプルを37℃でホウ酸ナトリウム緩衝液(200 mM、pH 8.5)中の8%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の清浄溶液中に配置し、そして以下に記載の方法で積極的に清浄した。
清浄
組織清浄方法を用い、それによって組織ブロックまたは器官全体は透明にされ、そしてそれゆえ全脳画像化に適している。光透過性が達成されるまで、130mA、60Vおよび15Wの電気泳動場を37℃で数時間印加し、脂質の清浄を改善した。さらなる処理の前に、清浄溶液を1日かけてPBST(PBS中0.1% TritonX-100 (wt/vol))の2〜3回の洗浄でサンプルからすすいだ。
全脳の組織化学
清浄した全脳をPBS中で1hで3回および一晩で1回洗浄した。次いで、脳を1 X TTB(1M Tris、1Mトリシン、pH 8.5)中で1hインキュベートした。脳を発光結合ポリチオフェン(LCPs)で染色し、Aβ堆積物を室温で2h検出した。LCPsを1%低融点アガロース(LMA)中で1:100に希釈した。LMAを、それが固化相に達するまで脳に適用した。20V、20mAの電場を印加し、LCPsを陰極から陽極まで組織を通って移動させた。サンプルを、染色前にPBS中、室温で数回洗浄した。
サンプルの画像化
画像化のためのサンプルを調製するため、サンプルを屈折率適合溶液(Histodenz)中で2日間インキュベートした。サンプルをUQ-753 40x40キュベット(Portman Instruments)中に取り付けた。サンプルを、特注のmeso-SPIM顕微鏡を用い、2x対物レンズを用い、3 μm z-ステップ分解能で画像化した。TeraStitcherソフトウェアで32のz-スタックタイル画像(stacks tile images)を縫い合わせることによってサンプル全体を得、そしてImageJおよびImaris 8(Bitplane)において見た。
マウス脳データ分析
画像ファイルをカスタムコードしたソフトウェアを用いて分析した。各ファイルは、脳半球に対応し、そして複数の2Dスライス(半球あたり約2500スライス)からなり、スライスは焦点面であった。ファイルを一度に1平面読み込み、各平面を別個に分析した。プラークの検出をガウス法のラプラシアンを用いてコンピューター計算し:離散化したガウス核に適用したラプラシアン演算子と元の形式(16-ビット)における画像との間の畳み込み(コンボリューション)を行った。プラークの全体の球形を考えると、ガウスのパラメーターσは、分析の速度を促進するために、普遍性を喪失することなく、xおよびy方向の両方において一定に保たれた。アルゴリズムは、2つの値の間の2工程で、このパラメーターを最小の1σから最大の4σ(プラークの最大サイズを考慮すると)まで自由に変化させた。その面積が閾値よりもより大きな重複を示すプラークを融合するため、および過大な計数を避けるため、0.5の重複する閾値を設定した。プラークの中心に相当する極小値を同定すると、次いでプラークを計数した。合計面積はまた、平面の関数のゼロ交差点内に含まれる領域を積分することによってコンピューター計算され得る。半球あたりのプラークの合計数(面積)は、各平面上で検出されたプラーク(面積)の合計であった。
マウス脳データ分析コードの詳細
言語 - Python 3.6.8
ライブラリー - Numpy, Scipy, Opencv, Scikit-image, Matplotlib, Tifffile, Seaborn
カスタムモジュール: my_imaging (パッケージに含まれる)
マウス脳データ分析コードの実行
Figure 2021520412
Figure 2021520412
Figure 2021520412
Figure 2021520412
試験例
試験の抗糖尿病薬ネトグリタゾンは、チアゾリジンジオン群に属するペルオキシソーム増殖剤-活性化受容体(PPAR)アゴニストである。本発明者らは、ヒト脳脊髄液(CSF)における測定を含む広範な生化学、生物物理学ツールを用いて、およびAβ-媒介毒性メカニズムに基づくADのインビボモデルであるシノラブディス・エレガンス(C. elegans)を用いて、ネトグリタゾンおよび他のグリタゾンの効果を確認した。その単純な生体構造、短い寿命および確立された遺伝学によって特徴付けられた、線形動物の蠕虫シノラブディス・エレガンスは、生物医学研究における、特に遺伝子研究および薬物スクリーニングのための強力なモデル有機体になった。これらの蠕虫は、小さく(長さが約1 mm)、透明であり、操作しやすく、卵から成虫まで25℃で3日の短い成熟期ならびに2および3週間の寿命を有し、それらの生物学の複数の局面の迅速な研究を容易にする特徴を有する。それにもかかわらず、それらは、細胞の複雑性およびより高度な有機体のそれに匹敵する組織特異的タンパク質発現プロファイルを有する。結果として、C. elegansは、神経変性、特にタンパク質凝集の原因となる分子メカニズムの特性評価のためのモデル有機体として一般に用いられる。
C. elegansの健康および適応度は、1分あたりの身体の屈曲の数(BPM)を計数することによって、または蠕虫の運動の速度を測定することによって、液体培地中で通常定量化されている。このような研究における他の鍵となる読み出しは、寿命およびまひであり、これらは、例えば、最近、特定の遺伝子および寿命を調節する化合物の同定、酸化的ストレスとミトコンドリア機能との間の関連性、および神経変性疾患についての要因を含む老化の分野における主要な発見へと至った。
最も確固たる方法で治療法の効果をスクリーニングするために、広い視野線虫追跡プラットフォーム(WF-NTP)を用い、これは大きな蠕虫集団に対する複数の表現型読み出しの同時調査を可能とする。WF-NTPは、5000匹までの動物を並行してモニターし、そして表現型の読み出しは複数の平行パラメーターを含む。
特にネトグリタゾンを含むいくつかのグリタゾンが、適応度およびROS産生に関して健康なコントロール蠕虫の表現型を復元することができるが、同種のα-シヌクレイン-媒介毒性PDモデルを復元することができず、従ってAβペプチドの凝集に対するそれらの特異性を示唆していることが示されている。最後に、AD蠕虫の適応度において観察された改善が、それらのライフサイクルの間に蠕虫において形成される凝集体の量の減少に極めてよく相関することが示されている。
以下の非限定の実施例は、本発明を説明する。
実施例1 - ネトグリタゾンは濃度-依存様式でAβ凝集を阻害する。
Aβ42原線維形成を、ネトグリタゾンの不在下および存在下、2 μM Aβ42サンプルを用いてインビトロでモニターした。Aβ42のみについて、凝集の半時間は、用いた緩衝液条件下、おおよそ2 hであった。Aβ42凝集の実質的な遅延は、濃度-依存様式で観察した。これは、図1aおよび1bにおいて分かり得る。
これらの効果をさらに調査するため、および化合物のAβ42原線維に結合するThTおよび蛍光測定への可能な妨害を排除するために、Aβ42原線維の量を、5-倍過剰のネトグリタゾンの不在下および存在下、原線維-感受性OC一次抗体でのドットブロットアッセイを用いて、凝集反応の間の8つの時間点で精査した。これらの結果は、図1cにおいて分かり得る。ドットブロットアッセイにおいてネトグリタゾンによって誘起された遅延は、実験誤差内で、ThT-ベースのアッセイにおいて観察されたのと同一であることが見い出された。
実施例2 - ネトグリタゾンは一次および二次経路を阻害する。
試験の凝集プロファイルを、原線維形成の時間発展を異なる微視的事象の速度定数に関連付けるマスター方程式から導かれた速度則を用いて計算した速度曲線に適合させることによって、分子の効果について定量分析を行った。このアプローチにおいて、阻害剤の存在下での凝集プロファイルは、阻害剤の不在下で評価した各微視的速度定数に対する適切な摂動を速度則に導入することによって記載される。次いで、異なる濃度の阻害剤の存在下での凝集プロファイルを記載するために要求される速度定数の修正は、ネトグリタゾンの存在によって影響を受ける特定のプロセスを示す。
小分子の存在下、データは、一次(knk+)および二次(k2k+)経路の両方の速度定数が減少する場合、極めてよく記載され、ここで、knは一次核生成の速度定数であり、k2は表面触媒二次核生成の速度定数であり、およびk+は伸長の速度定数である。全ての速度曲線を、一次および二次経路の両方が同時に減少し、かつ両方の経路の速度定数が小分子の濃度に対してプロットされたシミュレーションと比較した。これらの結果は、図1dおよび1eにおいて分かり得る。この分析は、ネトグリタゾンがAβ42凝集における両方の核生成経路に異なる程度で影響を与え得ることを明らかにする。反応の終わりでのThT蛍光の増加を試験し、そして全ての場合において同様の値が見い出された。これらの結果は、ドットブロットアッセイに一致して、同様の原線維質量濃度が、小分子が存在するかしないかどうかに関わらず形成することを示唆する。ペプチドの濃度がインビボでずっと低いと仮定すると、ずっと低い濃度の薬物がAβ42凝集の速度定数に同程度影響を与えるために必要であることが予想される。
実施例3 - ネトグリタゾンはAβ凝集の触媒サイクルをブロックする。
凝集反応の異なる工程、特に表面触媒二次核生成および伸長工程に対するネトグリタゾンの効果をさらに探索するために、追加の一連の動態測定を、ネトグリタゾンおよび2%または50%のいずれかの予備形成した原線維種の存在下で行った。ネトグリタゾンの不在下、これらの条件下での正規化した動態プロファイルは、図1fにおいて分かり得る。50%の予備形成した原線維について、一次および二次核生成工程は、迂回され、そして成熟原線維の形成は、原線維種によって促進される伸長反応によって大きく加速される。これらの条件下、ネトグリタゾンは、ペプチドに対して20-倍過剰の濃度でさえ、2 μM Aβ42の凝集動態に影響を与えなかった。これは、図1gにおいて分かり得、そしてネトグリタゾンが伸長に対して効果を有しないことを強く示す。
Aβ42凝集の二次経路に対するネトグリタゾンの効果についてより完全な評価を得るために、2%原線維種の存在下、2 μM Aβ42サンプルの凝集動態を測定した。これらの結果は図1hにおいて分かり得る。実験速度曲線に基づくシミュレーションは、最小比(1%)の予備形成した種が溶液中に導入された場合でさえ、一次核生成が完全に迂回されることを示す。対照的に、表面触媒二次核生成および伸長は、異なる方法で全体の動態に寄与し、伸長の寄与は種濃度が増加するにつれてより重大になる。従って、異なる種濃度を用いたAβ42の凝集動態に従うことによって、反応経路の表面触媒二次核生成および伸長工程への分離が可能となる。これは、そうでなければ予備形成した種の不在下での凝集動態から直接検出できないかもしれない単一の微視的工程レベルでの小分子の効果を特徴付けるために極めて重要である。2%種でのデータは、ネトグリタゾンの存在下でのAβ42凝集の二次経路の濃度依存的阻害(すなわち、k2k+の減少)を示した。これは、図1hにおいて分かり得る。この場合において、減少は、20倍過剰で原線維の伸長、すなわちk+に対する効果が観察されなかったので、表面触媒二次核生成の速度定数、すなわちk2の減少にのみ起因し得た。これは、図1gにおいて分かり得る。速度定数は、速度曲線から定量的に導かれ得、そして図1iに示すように、20-倍過剰のネトグリタゾンの存在下で約80%減少したことが見い出された。
実施例4 - ネトグリタゾンは、Aβ42凝集を生体外で遅らせ、そしてAβ、Aβ40の40-残基アイソフォームの凝集を阻害する。
ネトグリタゾンがより生理学的に関連する条件下でAβ42凝集を遅らせるかどうかを探索した。従って、ヒト脳脊髄液(CSF)中のAβ42の凝集動態に対するネトグリタゾンの効果をモニターした。CSFはAβ42凝集の濃度依存的遅延を引き起こし、Aβ42凝集が、以前の結果と一致して、この液中でより遅いことを示唆する。次いで、本発明者らは、CSFの効果が最大、すなわち66%に近い条件下でネトグリタゾンの効果を調査した。図1jにおいて分かり得るように、これらの条件下、ネトグリタゾンは、緩衝液中で観察されたのと同様の濃度依存様式で凝集動態を顕著に遅らせた。Aβペプチドの凝集に対するネトグリタゾンの効果をさらに調査するために、同様の動態実験を40-残基アイソフォームであるAβ40に対して行った。興味深いことに、図1kに示すように、ネトグリタゾンが42-残基アイソフォームと同様にAβ40凝集を阻害することができることが見い出された。
実施例5 - ネトグリタゾンは、細胞毒性オリゴマーの形成を阻害し、そして脂質膜の破壊におけるそれらの効果を防ぐ。これらの知見をAβ42オリゴマーの毒性形態の発生に対する可能な効果に置き換えるために、シミュレーションおよび実験ツールの組み合わせを用いてAβ42オリゴマーの形成に対するネトグリタゾンの効果を評価した。実際、図1lに示すように、5-倍過剰のネトグリタゾンの不在下または存在下でのAβ42の2 μMサンプルの凝集速度曲線から、一次および二次プロセスの両方からのオリゴマーの形成の総速度をシミュレーションした。一次および二次核生成の両方の速度の減少は、凝集反応の間に発生する毒性オリゴマーの全負荷を著しく減少させると予想される。この予想に一致して、シミュレーションは、ネトグリタゾンによるAβ42凝集における一次および二次核生成工程の阻害が、オリゴマーの形成の著しい遅延およびそれらの数の減少を伴うことを示す。これらの結果は、図1mおよび1nにおいて分かり得る。これは、ネトグリタゾンの存在下での凝集反応の間に形成されるAβ種の低下した毒性に至ると予想される。しかし、Aβの凝集プロセスの間に形成される毒性中間種の特性評価および定量は、これらの種の一時的性質のために非常に難易度が高い。この問題に実験的に対処するために、タンパク質凝集体によって破壊される脂質ベシクル中へのCa2+流入の測定を可能とする最近開発された超高感度アッセイ(Flagmeier, P., De, S., Wirthensohn, D., Lee, S. F., Vincke, C., Muyldermans, S., Knowles, T. P., et al. (2017). Ultrasensitive Measurement of Ca(2+) Influx into Lipid Vesicles Induced by Protein Aggregates.. Angewandte Chemie - International Edition, 56 (27), 7750-7754. https://doi.org/10.1002/anie.201700966)を用いた。実際、広範囲の実験的証拠は、凝集体-誘起細胞傷害の鍵となるメカニズムが、ニューロン細胞において観察されるプロセスである非特異的細胞膜破壊であることを示唆する。興味深いことに、これらの実験に基づいて、速度曲線からのシミュレーションは、脂質破壊アッセイを用いた測定と一致することが見い出された。実際、図1lにおける動態から導かれた図1mおよび1nに示すシミュレーションは、5-モル当量でネトグリタゾンの存在によって誘起されるAβ42の凝集における遅延が、オリゴマーの数を減少させると予想されることを示唆する。興味深いことに、時間0hで5-倍過剰のネトグリタゾンを2 μM Aβ42溶液に加えた場合の脂質破壊アッセイから得られた実験データは、シミュレーションと一致して、ネトグリタゾンが細胞毒性種-誘起ベシクル破壊を防いだことを示した。実際、0hおよび2h(ネトグリタゾンの不在下で凝集完了に対する半時間)でのAβ42の凝集反応から取り出したサンプルは、図1oに示すように、脂質膜の破壊に対する形成した種の効果において著しい差異を示した。これは、オリゴマー種の大部分が凝集反応の半時間付近で形成され、これらの種の形成がネトグリタゾンの添加によって遅らされることを示した核形成速度のシミュレーションと一致する。
次に、オリゴマー-特異的抗体を用いてELISAを行い、ネトグリタゾンの不在下および存在下での凝集反応によって形成されるAβ42オリゴマーの濃度の直接測定を可能とした。図1pに示す結果は、ネトグリタゾンの存在下でのAβ42オリゴマー濃度の著しい減少を実証する。動態研究によって予測されるように、これはさらに、ネトグリタゾンがAβ42の凝集を効果的に抑制することができることを確認する。
実施例6 - ネトグリタゾンは、ADのC. elegansモデル(GMC101)において、Aβペプチドの凝集によって誘起される毒性を救援し、そしてプラーク負荷を減少させる。
インビトロで観察されるAβ凝集の阻害をさらに確認するために、ネトグリタゾンの効果をADの周知のモデル(GMC101)を用いて試験した。このモデルにおいて、ヒトAβペプチドの42-残基アイソフォームをC. elegans蠕虫の大きな筋肉細胞において過剰発現させ、そしてこれは年齢依存タンパク質凝集および結果として生じる筋まひに至る。
治療計画は、最初、図2aに示すように最終幼生期L4(すなわち、まひの発症前)でのネトグリタゾンの投与によって定義され、次いで、AD蠕虫の運動性をWF-NTPプラットフォームを用いて成虫期の異なる年齢でスクリーニングした。最良の保護効果は、図2bおよび2cに示すように0.5-5 μMの間の濃度範囲について成虫期のD3で観察されることが見い出された。インビボで観察された効果の特異性をさらに確認するために、同じ濃度範囲のネトグリタゾンをPDおよび健康な蠕虫に投与し、そして両方の場合において、効果は、AD蠕虫において観察された効果と比較して無視できることが見い出された。これは、図2bおよび2cにおいて分かり得る。
次の工程として、蠕虫におけるAβペプチドの凝集プロファイルに対するネトグリタゾンの効果を調査した。アミロイド特異的染料NIAD-4を用いることによって、生存AD蠕虫におけるプラーク負荷を染色することが可能であった。図2dおよび2eに示すように、0.5 μMのネトグリタゾンの投与がAD蠕虫におけるプラーク負荷を著しく減少させることができたことが観察された。
蠕虫代謝活性に対するネトグリタゾンの効果を調査した。具体的には、AD動物において上方制御されるROS産生のレベルを、健康なコントロールと比較して測定し、そして図2fに示すようにネトグリタゾンが酸化性種のレベルを著しく減少させたことが観察された。AD蠕虫におけるネトグリタゾンの最大許容用量は、図2gに示すように50 μM未満であると決定されたことに留意する。
L4でのネトグリタゾンの投与は、理論的には、幼生期ではタンパク質凝集体は形成されていないので、予防的治療に相当する。これは、ネトグリタゾンが一次経路を著しく阻害することができたインビトロ研究と極めてよく相関する。ネトグリタゾンがまた表面触媒二次核生成の速度を減少させ、そしてそれゆえ凝集体増殖の触媒サイクルをブロックすることができたと仮定して、インビボでのこの効果の評価を探求した。ネトグリタゾンを、タンパク質凝集体が既に形成され、かつAD動物における表現型の機能不全がすでに観察され得る状況である成虫期のD3で投与した。その結果として、薬物の任意の可能な効果は、蠕虫内部の凝集の触媒サイクルをブロックすることによる治療的介入に帰する。興味深いことに、インビトロ研究と一致して、この投与計画はまた、D6でのプラーク負荷の著しい減少ならびに蠕虫の運動性および生存率の増加をもたらし、従ってネトグリタゾンがインビボならびにインビトロでの二次核生成プロセスに影響を与えることを示唆することが見い出された。これらの結果を図2h、2iおよび2jに示す。
実施例7 - Aβ凝集の阻害における他のグリタゾン化合物。
Aβ42原線維形成を、実施例1と同じ方法で、それぞれシグリタゾン、エングリタゾン、ダルグリタゾン、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、バラグリタゾンおよびミトグリタゾンの存在下、2 μM Aβ42サンプルを用い、インビトロで蛍光強度をモニターした。
シグリタゾン、エングリタゾン、ダルグリタゾンおよびトログリタゾンを、Aβ42凝集を遅らせるために観察した。特に、シグリタゾンおよびエングリタゾンは凝集を著しく遅らせた。これは、図3および5において分かり得る。図4および5に示すように、5x薬物:タンパク質濃度でのピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、バラグリタゾンおよびミトグリタゾンの存在下、Aβ42凝集の遅延はほとんどまたは全く観察されなかった。
実施例8 - Aβ1-42Neur蠕虫の走化性指標および運動性ならびにAβ3-42::GFPMuscular蠕虫の運動性に対するネトグリタゾンの効果。
Aβペプチドの汎ニューロン発現を示すAβ1-42Neur蠕虫を用いて追加のC. elegansモデルでのさらなる実験を行った。ネトグリタゾンを1% DMSO中0.05〜500 μMの範囲の濃度で投与した。コントロールとして、1% DMSOのみを播種したプレートを用いた。
自動化運動性アッセイを行い、そして動物の運動を記録した。図6Bに示すように、結果は、ネトグリタゾンが未処置蠕虫と比較してAβ1-42Neur蠕虫の運動性を著しく改善することを実証する。
また、走化性アッセイを、図6Cに示すように、5 μMネトグリタゾンとともにまたはなしでインキュベートしたAβ1-42Neur蠕虫および野生型の健康な蠕虫を用いて行った。図6Aに示すように、走化性指標は、未処置蠕虫と比較してネトグリタゾンで処置したAβ1-42Neur蠕虫において著しく改善された。
また、運動性実験をAβ3-42::GFPMuscular蠕虫で行った。図6Dに示すように、結果は、ネトグリタゾンがまた、未処置蠕虫と比較してこの株の運動性を著しく改善することを実証する。
実施例9 - マウスモデルにおける薬物動態研究。
薬物動態プロファイルを、10% NMP/90% Solutol(PBS中20% v/v溶液として)中の溶液として処方された経口用量のネトグリタゾンあたり単回(11.5 mg/kg、30 μモル/kg)を用いて、雄Swiss Albinoマウスにおいて個別の研究において評価した。投薬濃度は、5.0 mL/kgの投薬容積を有する2.3 mg/mLであった。データを時間点あたり3匹の動物の平均から得た(ターミナルサンプリング(terminal sampling))。血漿サンプルを、アセトニトリルを用いたタンパク質沈殿法によって0.25、0.50、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0および24時間で集めた。脳サンプルを、脳均質化およびアセトニトリルを用いたタンパク質沈殿法によって6.0および24時間で集めた。脳脊髄液(CSF)サンプルを、アセトニトリルを用いたタンパク質沈殿法によって6.0および24時間で集めた。サンプルを、エレクトロスプレーイオン化を用いるTOF質量分析でUHPLCを用いて分析した。
この薬物動態研究は、図7aに示すように、約19時間の概算半減期を有する、(Tmax) 6時間でピークに達する良好な血漿レベル(Cmax 14,393 ng/mL)を示した。6時間での総脳レベルは、8542 ng/gであり、従ってネトグリタゾンが血液脳関門を越える良好な脳透過性を有することを確認した。薬物はまた、CSF中、6時間で50 ng/mLのレベルで検出された。CSFは、CNSのコンパートメントであり、低レベルの循環タンパク質および低い存在量の脂質脳組織のため、CNS遊離薬物レベルの代理としてしばしば用いられる。CSFに接近するために、薬物は、典型的には、血液脳関門を越える必要がある。CSFは、CNS間質液(ISF)と平衡にあり、上皮層によって分離されている。このデータは、ネトグリタゾンの経口投薬がCNSにおける薬理学的に関連する遊離薬物レベルを生じ得ることを示唆する。
ネトグリタゾンの投薬後のCNSにおける遊離薬物曝露をさらに評価するために、インビボ外科的微小透析時間的経過研究を行った。微小透析は、事実上任意の組織の細胞外液(例えば、脳におけるISF)における遊離の未結合の被分析物濃度の連続測定のために用いられる最小限の侵襲性のサンプリング技術である。微小透析技術は、小さい微小透析カテーテル(微小透析プローブともいう)の目的の組織への挿入を必要とする。微小透析プローブは、血液キャピラリーを模倣するよう設計されており、そしてその先端に半透過性中空繊維膜を有するシャフトからなり、入口管および出口管に接続されている。プローブは、約0.1-5μL/分の低流量で、周囲の組織液の(イオン性)組成物によく類似する水溶液(灌流液)で連続して灌流される。目的の組織または(体)液に挿入されると、小さな溶質は受動拡散によって半透過性膜を越え得る。被分析物流の方向は、それぞれの濃度勾配によって決定され、そしてサンプリングならびに送達ツールとして微小透析プローブの使用を可能とする。プローブを出る溶液(透析液)は、分析のためにある時間間隔で集められる。それは、CNSにおける遊離薬物レベルを測定するための「絶対的基準」技術として広く認識されている。
簡潔には、3匹のC57BL/6マウス(18週齢)を、線条体からの微小透析サンプリングを可能とする脳中の1本のカニューレを用いて外科的に調製した。動物を1日回復させ、次いで微小透析ケージに一晩慣れさせた。研究の日、移植したカニューレを通して微小透析プローブを挿入した。1時間の安定化後、投与前サンプルを集め、動物に10% NMP/90% Solutol(PBS中20% v/v溶液として)中の溶液として処方したネトグリタゾン(po、15 mg/kg)を投薬し、そしてサンプルを表1および図7bに詳述したように6時間集めた。実験の最後に、動物を麻酔し、そして末端血液および脳サンプルを集めた。
表1は、マウス線条体からの微小透析液におけるネトグリタゾンのレベルを、ng/mlおよび15 mg/kg投薬後の回収(0.11)について補正したng/mlとして示す。
Figure 2021520412
末端血漿および脳サンプルを集め、そしてネトグリタゾンのレベルについて分析し、6時間(おおよそTmax)直後の末梢曝露および総脳曝露を確認した。このデータは、以前のPKデータと同等であり、そして表2に要約する。表2は、研究後に集めた微小透析研究マウスからのネトグリタゾンの末端血漿および全脳レベルを示す。
Figure 2021520412
これらのデータは、ネトグリタゾンが経口投与(15 mg/kg)後に血液脳関門を容易に越え、そして投与後30-60分で画分からの微小透析液中で検出され得たことを示す。ISFのレベルは、投与後330-360分の画分で、32.7 ng/mlの概算濃度(化合物回収について補正された)まで着実に増加した。時間的プロファイルは、Tmaxが収集時間の間に達成され得ないこと、およびこのデータが遊離薬物の控えめな概算Cmaxを表すことを示唆する。脳および血漿レベルは、それぞれ10278 ng/gおよび13266 ng/mlであり、これらは以前の研究と一致する。
実施例10 - ネトグリタゾンはマウスモデルにおいて有効性を示す。
ネトグリタゾンのインビボでの有効性を、コンデンスミルクおよびネトグリタゾン、あるいはプラセボ群についてはコンデンスミルクのみのいずれかを1日1回投薬したAPPPS1トランスジェニックマウスを用いて調査した。150日齢では、投薬の90日後、マウスを安楽死させ、ヒドロゲル溶液で灌流し、そしてそれらの脳を上記で議論した清浄および画像化方法ならびにカスタムコードしたソフトウェアを用いて分析した。脳半球あたりおおよそ2500の二次元スライスの画像を作成し、そして各スライスを図8Aおよび8Bに示すようにデジタル分析し、脳全体にわたるAβプラークの総数および面積を定量した。結果を図8Cに示し、これは、プラセボマウスと比較した場合の、ネトグリタゾンを投薬したマウスにおけるAβプラークの相対数の減少を示す。

Claims (43)

  1. タンパク質ミスフォールディング疾患の治療および/または予防における使用のための、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、リボグリタゾン、バラグリタゾンまたはミトグリタゾンではないチアゾリジンジオンまたはローダニン化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体。
  2. タンパク質ミスフォールディング疾患の治療および/または予防における使用のための、分子の両端に、チアゾリジンジオンまたはローダニン基である第1末端基および(i)環中に1個以上の窒素ヘテロ原子を含む5-〜10-員の部分的に不飽和のヘテロシクリル基、または(ii)環中に1個以上の窒素ヘテロ原子を含む5-〜10-員のヘテロアリールではない第2末端基を含むチアゾリジンジオンまたはローダニン化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体。
  3. 式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体である、請求項1または2に記載の使用のための化合物:
    Figure 2021520412

    式中:
    XはOまたはSを表し;
    Wはベンゼン、ナフタレン、ベンゾジヒドロピランまたはベンゾピラン環を表し、これはさらに置換されていてもよく;
    Lは(i)1個以上のヘテロ原子および/またはカルボニル基;および/または(ii)置換されていてもよい5-〜10-員の飽和または不飽和複素環基を含んでいてもよいアルキレン基を含むリンカー基を表し;および
    R3は置換されていてもよいC6〜C10アリール基、置換されていてもよいC5〜C10カルボシクリル基、置換されていてもよい5-〜10-員の飽和ヘテロシクリル基、置換されていてもよい、環中に窒素ヘテロ原子を含まない5-〜10-員の部分的に不飽和のヘテロシクリル基、または置換されていてもよい、環中に窒素ヘテロ原子を含まない5-〜10-員ヘテロアリール基を表す。
  4. 式(IA)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体である、請求項3に記載の使用のための化合物:
    Figure 2021520412

    式中:
    XはOまたはSを表し;
    Wはベンゼンまたはナフタレン環を表し、これはさらに置換されていてもよく;
    YはOまたはカルボニルC(O)基を表し;
    R1およびR2は同一または異なり、そしてそれぞれ独立して水素または置換もしくは無置換C1〜C4アルキル基を表し;または
    R1およびR2は結合して5〜7員アリール、カルボシクリルまたはヘテロシクリル環を形成し、これはさらに置換されていてもよく;
    nは0〜2の整数であり;
    Zは結合または置換されていてもよい5-〜10-員の飽和もしくは不飽和複素環基を表し;および
    R3は置換されていてもよいC6〜C10アリール基、置換されていてもよいC5〜C10カルボシクリル基、または置換されていてもよい、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾピラニル、フラニルおよびベンゾフラニルから選ばれるヘテロシクリル基を表す。
  5. XがOを表し;
    Wがベンゼンまたはナフタレン環を表し;
    YがOを表し;
    R1およびR2がそれぞれ独立して水素を表し;または
    R1およびR2が結合して、Wと一緒に、ベンゾピランまたはベンゾジヒドロピラン環を形成し;および
    nが0または1である、
    請求項4に記載の使用のための化合物。
  6. 式(II)または(III)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の使用のための化合物:
    Figure 2021520412

    式中:
    nは1または2であり;および
    その他の化学基は請求項3〜5のいずれか1項で定義した通りである。
  7. Zが結合を表す、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  8. XがOを表す、請求項3〜7のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  9. R3が、1個以上のヒドロキシル、ハロゲンおよび/またはC1〜C4アルキル基によって置換されていてもよい、C6〜C10アリール基またはC5〜C10カルボシクリル基を表す、請求項3〜8のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  10. ネトグリタゾン、シグリタゾン、エングリタゾン、ダルグリタゾンもしくはトログリタゾン、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  11. ネトグリタゾン、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体である、請求項10に記載の使用のための化合物。
  12. タンパク質および/またはペプチドのオリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークの形成、沈着、蓄積、または持続の治療、予防または阻害における使用のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  13. アミロイドβオリゴマー、原線維、凝集体および/またはプラークの形成、沈着、蓄積、または持続の治療、予防または阻害における使用のための、請求項12に記載の使用のための化合物。
  14. タンパク質ミスフォールディング疾患がアミロイド-βペプチドのミスフォールディングに関連する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  15. タンパク質ミスフォールディング疾患が、アミロイドーシス、タウオパチー、プリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病および海綿状脳症を含む)、神経変性疾患、ダウン症候群、および/または嚢胞性線維症から選ばれる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  16. タンパク質ミスフォールディング疾患が神経変性疾患である、請求項15に記載の使用のための化合物。
  17. 神経変性疾患が、認知症、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病、ポリグルタミン疾患(ハンチントン病など)および/または筋萎縮性側索硬化症(ALS)から選ばれる、請求項16に記載の使用のための化合物。
  18. 認知症が、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、家族性認知症、および/または進行性核上まひ(PSP)から選ばれる、請求項17に記載の使用のための化合物。
  19. タンパク質ミスフォールディング疾患が、アルツハイマー病、脳アミロイド-β血管症、封入体筋炎および/またはダウン症候群から選ばれる、請求項13または14に記載の使用のための化合物。
  20. タンパク質ミスフォールディング疾患がアルツハイマー病である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  21. 神経変性疾患の治療および/または予防における使用のための、請求項1〜11のいずれか1項で定義した化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体。
  22. 神経変性疾患が、認知症、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病、ポリグルタミン疾患(ハンチントン病など)および/または筋萎縮性側索硬化症(ALS)から選ばれる、請求項21に記載の使用のための化合物。
  23. 認知症が、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、家族性認知症、および/または進行性核上まひ(PSP)から選ばれる、請求項22に記載の使用のための化合物。
  24. 認知症がアルツハイマー病である、請求項23に記載の使用のための化合物。
  25. アルツハイマー病が、ライスバーグ尺度(Reisberg scale)に従ってステージ1、ステージ2またはステージ3のアルツハイマー病である、請求項20または24に記載の使用のための化合物。
  26. アルツハイマー病と診断されたかまたはアルツハイマー病を発症する危険がある患者の治療における使用のための、請求項1〜25のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  27. 患者が軽度認知障害(MCI)と診断されている、請求項1〜26のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
  28. 患者がアルツハイマー病の家族歴を有する、請求項26または27に記載の使用のための化合物。
  29. タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防における使用のための、請求項1〜11のいずれか1項で定義した化合物またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体を含有する医薬組成物。
  30. 請求項12〜28のいずれか1項で定義したタンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防における使用のための、請求項29に記載の使用のための医薬組成物。
  31. 1つ以上の追加の薬学的に活性な剤をさらに含有する、請求項29または30に記載の使用のための医薬組成物。
  32. 追加の薬学的に活性な剤が、タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防に適している、請求項31に記載の使用のための医薬組成物。
  33. 請求項1〜11のいずれか1項で定義した化合物および追加の薬学的に活性な剤が、別個の、並行の、同時のまたは連続の投与のために処方される、請求項31または32に記載の使用のための医薬組成物。
  34. 請求項1〜11のいずれか1項で定義した化合物の脳への侵入を改善するために処方される、請求項29〜33のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
  35. ポリマー、脂質、タンパク質カプセルまたはそれらの組み合わせに基づくナノ粒子担体を含有する、請求項34に記載の使用のための組成物。
  36. タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防における使用のための、請求項1〜11のいずれか1項で定義した化合物、もしくはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログもしくは同位体標識した誘導体、または請求項29で定義した組成物を含むキット。
  37. 混合物においてまたは別個の容器において、請求項31または32で定義した追加の薬学的に活性な剤をさらに含む、請求項36に記載のキット。
  38. 患者に、有効量の請求項1〜11のいずれか1項で定義した化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体を投与することを含む、該患者におけるタンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防方法。
  39. タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患が、請求項12〜28のいずれか1項で定義した通りである、請求項38に記載の方法。
  40. タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項39に記載の方法。
  41. タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患の治療および/または予防のための医薬の製造における、請求項1〜11のいずれか1項で定義した化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、互変異性体、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、誘導体、立体異性体、アナログまたは同位体標識した誘導体の使用。
  42. タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患が、請求項12〜28のいずれか1項で定義した通りである、請求項41に記載の使用。
  43. タンパク質ミスフォールディング疾患および/または神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項42に記載の使用。
JP2021503218A 2018-04-04 2019-04-04 タンパク質ミスフォールディング疾患のための療法 Pending JP2021520412A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GB1805554.1 2018-04-04
GBGB1805554.1A GB201805554D0 (en) 2018-04-04 2018-04-04 Therapy for protein misfolding disease
PCT/GB2019/050982 WO2019193347A2 (en) 2018-04-04 2019-04-04 Therapy for protein misfolding disease

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021520412A true JP2021520412A (ja) 2021-08-19

Family

ID=62142291

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021503218A Pending JP2021520412A (ja) 2018-04-04 2019-04-04 タンパク質ミスフォールディング疾患のための療法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20210145801A1 (ja)
EP (1) EP3773567A2 (ja)
JP (1) JP2021520412A (ja)
GB (1) GB201805554D0 (ja)
WO (1) WO2019193347A2 (ja)

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1047423B1 (en) * 1997-11-19 2006-05-10 Takeda Pharmaceutical Company Limited Novel apoptosis inhibitors
US6191154B1 (en) * 1998-11-27 2001-02-20 Case Western Reserve University Compositions and methods for the treatment of Alzheimer's disease, central nervous system injury, and inflammatory diseases
WO2002013812A1 (en) * 2000-08-17 2002-02-21 Pershadsingh Harrihar A Methods for treating inflammatory diseases
GB0030845D0 (en) * 2000-12-18 2001-01-31 Smithkline Beecham Plc Novel treatment
US20030220374A1 (en) * 2002-01-14 2003-11-27 Pharmacia Corporation Compositions and methods of treatment involving peroxisome proliferator-activated receptor-gamma agonists and cyclooxygenase-2 selective inhibitors
WO2009043593A1 (en) * 2007-10-05 2009-04-09 Merz Pharma Gmbh & Co. Kgaa Combination therapy using memantine and glitazones
US7919262B2 (en) * 2007-11-07 2011-04-05 The Uab Research Foundation 14-3-3 proteins for diagnosis of Parkinson's disease
MX358594B (es) * 2011-01-10 2018-08-27 Zinfandel Pharmaceuticals Inc Factores de riesgo de enfermedad y métodos de uso.
KR20130015932A (ko) * 2011-08-05 2013-02-14 연세대학교 산학협력단 저용량의 치아졸리딘다이온을 포함하는 알츠하이머 병 치료용 약학조성물
WO2013071077A1 (en) * 2011-11-09 2013-05-16 Cornell University The use of pan-ppar agonists for prevention and treatment of huntington's disease and tauopathies

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019193347A3 (en) 2020-01-09
WO2019193347A2 (en) 2019-10-10
US20210145801A1 (en) 2021-05-20
GB201805554D0 (en) 2018-05-16
EP3773567A2 (en) 2021-02-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106163516B (zh) 异吲哚啉组合物和治疗神经变性疾病的方法
JP2008527002A (ja) 神経変性障害および血液凝固障害を予防および処置するための新規組成物
KR20070119742A (ko) Aβ 관련 질환의 치료제
CA2692775C (en) Methods of enhancing cognitive function using non-peptidic compounds
US10022357B2 (en) Amyloid precursor protein MRNA blockers for treating Down syndrome and Alzheimer's disease
Yanagisawa et al. Keto form of curcumin derivatives strongly binds to Aβ oligomers but not fibrils
Fei et al. Degradation of FA reduces Aβ neurotoxicity and Alzheimer-related phenotypes
US11364211B2 (en) Methods for selecting phosphatase selective and non-selective phosphatase inhibitors
JP2021520413A (ja) 眼科的状態のための療法
JP2022527329A (ja) 神経疾患を処置するために有用なレトロマー安定化剤としてのアミノグアニジンヒドラゾン
JP2022507812A (ja) 神経変性、筋変性及びリソソーム蓄積障害を治療するための組成物及び方法
JP2021520412A (ja) タンパク質ミスフォールディング疾患のための療法
EP3628315A1 (en) Combination of acetylcholinesterase inhibitor and 5-ht4 receptor agonist as neuroprotective agent in the treatment of neurodegenerative diseases
US11643428B2 (en) Therapeutic drug for neurodegenerative disease and application thereof
KR20220076375A (ko) 신규 퇴행성 신경질환 치료용 약학적 조성물
US20230058733A1 (en) Oga inhibitor compounds
RU2586772C2 (ru) Фармацевтическая композиция для ингибирования апоптоза нейронов или нейродегенерации
Yazdi et al. The role of ATP‐binding cassette transporter G1 (ABCG1) in Alzheimer's disease: A review of the mechanisms
RU2799454C2 (ru) Терапевтический препарат для лечения нейродегенеративных заболеваний и его применение
US20240189307A1 (en) Methods of stabilizing the neuronal proteome against collapse and protecting vascular cells
US20220047550A1 (en) Compounds and methods for the treatment of degenerative disorders
CN113072562B (zh) 一种GSK-3β抑制剂及其制备方法与应用
EP3476391B1 (en) Pharmaceutical composition comprising arginine for use in treating polyq disease
EP4140481A1 (en) Protein-oligomer binding agents and therapeutic uses thereof
US10391068B2 (en) Prion protein ligands as therapeutic agents for neurodegenerative disorders

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20210203

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20210203