以下の説明は、様々な例示的な実施形態に関している。しかしながら、当業者であれば、本明細書に開示された実施例が広範な用途を有しており、任意の実施形態に関する説明は、その実施形態の例示であることのみを意図しており、特許請求の範囲を含む本開示の範囲がその実施形態に限定される旨を示唆することを意図していないことを理解するであろう。
幾つかの用語が、特定の特徴又は構成要素に言及するために、以下の説明及び特許請求の範囲を通して使用される。当業者であれば理解できるように、異なる人が、同じ特徴又は構成要素でも異なる名称で言及する場合がある。本明細書は、異なる構成要素又は特徴を機能ではなく名称で区別することを意図していない。図面は、必ずしも縮尺に従っていない。本明細書に記載されている特定の特徴及び構成要素は、縮尺が誇張されて示されているか、又はやや概要的に示されていることがあり、より明瞭且つ簡潔になるように、従来の要素の幾つかの詳細は示されていないことがある。
以下の記載及び特許請求の範囲において、「含む」及び「備える」という用語は、オープンエンド式に使用されており、従って、「含むが、これらに限定されない」という意味に解釈されるべきである。「結合する」という用語は、間接的又は直接的な接続を意味すると意図されている。従って、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的な接続であっても、又は、他のデバイス、構成要素や接続を介した間接的な接続であってよい。更に、本明細書では、「軸方向」及び「軸方向に」という用語は概して、中心軸(例えば、物体又はポートの中心軸)に沿って又は平行であることを意味し、「径方向」及び「径方向に」という用語は概して、中心軸に対して垂直であることを意味する。例えば、軸方向距離は、中心軸に沿って又は中心軸に平行に測定された距離を意味し、径方向距離は、中心軸に垂直に測定された距離を意味する。更に、以下の記載及び特許請求の範囲において、「流体」という用語は、血液と、血管又は器官から出血又は漏出する可能性のある他の種類の体液又は気体とを含むように定義される。行われるインピーダンス測定に関する全ての言及は、インピーダンス評価ユニットと外部装置との組合せによって実施されるものとして本明細書に記載された変形例の何れも含む。
前述したように、カテーテルを挿入している間の不注意による血管の穿孔は、直ちに気付くことは難しく、医療処置(例えば、RFアブレーション)の間に危険な症状を引き起こす可能性がある。その結果、症状の発症前に、心膜又は後腹膜の出血、動静脈瘻、或いは血腫の存在をより迅速に検出できる方法及びデバイスが強く望まれている。そのような出血又は体液の貯留を迅速に検出することで、よりタイムリーな管理、例えば、心臓手術の間に処置を中止すること又は患者の抗凝固反応を逆転させることができるようになる。故に、本明細書に開示される好ましい実施形態に従って、出血状態を検出するための体組織の抵抗又はインピーダンスのリアルタイム評価を含むシステム及び方法が開示される。カテーテル挿入部位の血管周囲の領域における十分な流体又は血液の貯留は、体組織の直流(DC)抵抗及び/又は複合インピーダンスの一方又は両方の変化をもたらす。抵抗又は複素インピーダンスの何れかの変化は、電流が通る血管の周囲の空間に流体が貯留していることを示す。本発明の実施形態はまた、分析され得る別の変数として、2つのベクトル間の伝導時間を使用する。流体の出血を検出するためのインピーダンスの測定の様々な実施形態が本明細書に記載される。インピーダンスは、既知の電流(DC又はAC)を流し、その結果生じる電圧を測定すること、又は電極にわたって既知の電圧を印加し、その結果生じる電流を測定することにより計算されてよい。電流に対する電圧の比がインピーダンスを決定する。その後、インピーダンスは、患者が出血しているか否かを検出するために使用できる。
そのような一実施形態に従って、図1は、血管(静脈又は動脈)にカテーテル(図示せず)を挿入するために使用できるイントロデューサ10を図示している。イントロデューサ10は、人の血管に挿入可能な遠位端部19を有する中空のシース12(「イントロデューサシース」とも呼ばれる)を備えている。血管は、動脈又は静脈であってよい。少なくとも1つの用途では、血管は大腿動脈であるが、他の血管も同様に使用されてよい。図1の例示的な実施形態では、1又は複数の電極20a、20b、20c、及び20dがシース12に設けられている。そのような電極は、シース12に沿った様々な場所の何れかに設けることができる。図1の例では、4つの電極がシース12に示されているが、他の実施形態では、任意の数(1又は複数)の電極が含まれてよい。以下に説明するように、電極20a、20b、20c、20dは、出血(例えば、後腹膜出血)を検出するために、人のインピーダンスを測定することに使用可能である。インピーダンスを測定するために使用される電極のうちの少なくとも1つは、シースから離れて配置されてもよい(例えば、患者の皮膚に貼り付けた電極パッチ)。
シース12内及び/又はシース12上の電極(例えば、電極20a、20b、20c、20d)の対の間のインピーダンスを測定して、血液の貯留のような現象がシース12の近くに存在するか否かを評価することも可能である。様々な実施形態では、システムは、流される電流及び検出される電圧が1対の電極からのものであるように、1対の電極のみを使用してよい。他の実施形態では、システムは、流される電流が1対の電極を使用し、検出される電圧が別の1対の電極からのものであるように、複数の電極対を使用してもよい。例えば、1対の電極が電流を流すために使用され、別の電極対が、結果として生じる電圧を測定してインピーダンスを評価するために使用され、その逆もある(既知の電圧が対の電極に印加され、電流が測定される)。2つの異なる電極対が使用されるが、1つの電極は両方の対に共通であってよい。複数の電極を利用する他の構成も可能である。
シース12はハブ21に結合されてよく、ハブ21は止血弁21を備えてよく、そこからサイドアーム又はフラッシュライン14が延びて、シース12が流体及び/又は薬物を投与するために使用されてよい。フラッシュライン14は、ハブ21に結合された第1の端部、即ち近位端部14aと、近位端部14aの反対側の第2の端部、即ち遠位端部14bと、端部14aと端部14bの間に延びる外面14cと、図2に最も良く示されているように、同じく端部14aと端部14bの間に延びる中央貫通孔13とを含む。バルブ16は、遠位端部14bに結合されており、貫通孔13を通った流体連通を手術中に可能にする、制限する、及び/又は調整するように構成されている。イントロデューサ10はまた、中空のシース12内に挿入可能な拡張器28を含む。拡張器28及びシース12は、カテーテル(図示せず)を血管内に挿入するように機能する。先に述べた特徴から独立して、シース12はまた、シース12の内腔に通されたカテーテルを邪魔することなく、簡単な「はぎ取り(peel-away)」除去を容易にする他の特徴を含んでもよい。
図1の参照を続けると、電気伝導体17(例えば、ワイヤ)は、シース12の少なくとも一部に沿って電極20a、20b、20c、20dからハブ21まで延びており、電気伝導体は、その後、フラッシュライン14の壁の内部(又は、内側若しくは外側)に通されて、端部14aと端部14bの間でフラッシュライン14に結合されたインピーダンス評価ユニット100へと導かれる。インピーダンス評価ユニット100の具体的な構造及び機能については、以下で更に詳細に説明される。図2を簡単に参照すると、貫通孔13と外面14cの間に、フラッシュライン14に沿って通された電気伝導体17が設けられている。電気伝導体17は、好ましくは、各電極(例えば、電極20a、20b、20c、20d)用の少なくとも1つの絶縁導体を含む。この実施形態では、電気伝導体17は、合計6本の電気伝導体17a、17b、17c、17d、17e、17fで構成されており、電気伝導体17a、17b、17c、17dは夫々、電極20a、20b、20c、20dに結合されており、電気伝導体17e、17fは、インピーダンス評価ユニット100を、例えば、ハブ21に含まれており、以下でより詳細に説明される自動スイッチアセンブリに結合する。電気伝導体17a、17b、17c、17dは夫々、シース12の電極20a、20b、20c、20dと、フラッシュライン14に配置されたインピーダンス評価ユニット100との間で信号を伝達するために使用される。個々の任意の対の電極間でインピーダンスが測定されてよい。また、他の実施形態では、電気伝導体17は、シース12の内部又は内側の何れかに(例えば、フラッシュライン14についての上述と同様の方法で)通されることは理解されるべきである。
図3乃至図6は、電極20aの様々な実施形態を図示しているが、他の電極20b、20c、20dの各々も、シース12に沿って同様に配置されてよいことは理解されるべきである。各図(即ち、図3乃至図6)は、遠位端部19に向いた、図1のセクションIII−IIIに沿ったシース12の断面図を示す。最初に図3を参照すると、シース12は、管状部材として形成されて、内面23及び外面25を有する材料24を含む。図3の実施形態では、電極20aは、外面25の周囲の一部に配置されたリングの一部の電極で構成されている。幾つかの実施形態では、電極20aは、外面25に(例えば、接着剤で)接着されている。他の実施形態では、電極20aは、外面25の外周の50%超を覆い、ブレスレットのように所定の位置に保持される(例えば、クランプされる)。図4は、電極20aの一実施形態を示しており、電極20aは完全なリング電極である(即ち、シース12の外面25を完全に取り囲む)。別の実施形態では、電極は、シースの壁の内部にあるフレキシブル回路を介してインピーダンス評価ユニット100に電気的に接続される。
図3及び図4では、電極20aは、シースの外面25に設けられている。対照的に、図5の実施形態では、電極20aはシース12の材料24中に埋め込まれており、この場合、シース材料(又は、少なくとも電極間のシース材料の部分)は、使用される範囲の電気信号を伝達可能でなければならない。更に、血塊を検出する目的で、(出血を検出するための)電極間のインピーダンス又は伝導が測定されてよい。図6では、電極20aは、シース12の内面23に設けられ、従って、シースの内側の中空部分内に設けられている。
幾つかの実施形態では、シース12が血管に挿入されると、電極20aが血管の内側にあるように、電極20aはシース12に設けられる。他の実施形態では、電極20a(又は、電極20a、20b、20c、20dのうちの少なくとも1つ)は、血管の外側(恐らくは人体の外側)で近位端部にてシース12に設けられてよい。そのような実施形態では、電極20a(又は、電極20a、20b、20c、20dの何れか)は、好ましくは、シースの内面に設けられている(図5に示されているものに類似している)。通常、シース12は、体液(例えば、血液)で満たされている。
図1、図7及び図8を参照すると、インピーダンス評価ユニット100は、電気伝導体17a、17b、17c、17dを介して電極20a、20b、20c、20dに夫々接続されて、インピーダンス測定動作中に使用される。この実施形態では、ユニット100は、内側キャビティ110を規定する外殻又は本体102を含む。図7及び図8に最も良く示されているように、キャビティ110は、電源114及び他の様々な電子部品(符号120でまとめて示される)を収容する。幾つかの実施形態では、電源114は電池(使い捨て又は充電式)である。しかしながら、本明細書に記載された原理に従う一方で、任意の適切な電力源を利用してよい。例えば、他の実施形態では、電源114は、充電されたコンデンサ、無線給電レシーバ、又はそれらの組合せで構成されてよい。
本体102は、各々がキャビティ110に延びる第1のポート103及び第2のポート105を含む。以下でより詳細に説明されるように、フラッシュライン14は、イントロデューサ10の組立て中に、ポート103及びポート105を介してユニット100のキャビティ110に通される。図7に概要が示されているように、電気伝導体17a、17b、17c、17dは、キャビティ110内のフラッシュライン14から出て来て、キャビティ内に配置された電子部品120に至ることよって、動作中の電極20a、20b、20c、20dとキャビティ110内の構成要素との接続(例えば、電気的接続)を確保する。図8に最も良く示されているように、本体102は、第1、即ち上側ハウジング部材104と、第2、即ち下側ハウジング部材106と、ハウジング部材104とハウジング部材106の間に配置されたガスケット又はシール部材108とを含む。ハウジング部材104、ハウジング部材106及びガスケット108は一緒になって、キャビティ110、ポート103及びポート105を規定する。外側カバー部材109は、ハウジング部材104及びハウジング部材106の各々の周りに配置され、ユニット100の様々な構成要素に適切なラベル付けと覆いをもたらす。本実施形態では、複数のインジケータライト112が、本体102の縁部に沿って配置されている。ライト112を利用し、ユーザ(例えば、医師、技術者など)にフィードバックを提供することによって、ユニット100及びイントロデューサ10の操作が容易になり、又は最適化される。この実施形態では、ライト112は発光ダイオード(LED)であるが、本明細書に開示されている原理に従う一方で、任意の適切な発光装置が使用されてよいことは理解されるべきである。
図7及び図8を参照すると、インピーダンス評価ユニット100がイントロデューサ10のフラッシュライン14にクランプ又は接続される場合、先述したように、フラッシュライン14が、ポート103及びポート105を介してキャビティ110に通される。具体的には、図7に最も良く示されているように、フラッシュライン14は、ポート103及びポート104の間のキャビティ110を通って延びて、電源114とキャビティ110内に配置された他の様々な電子部品120との間に通る。言い換えれば、図7の実施形態では、フラッシュライン14は、電源114とキャビティ110内の電子部品120との間に挟まれている。この実施形態では、電源はポート103及びポート105の間で揃えられているので、フラッシュライン13は、図示されているようにポート103及びポート105の間に延びると、電源114周りに湾曲させられ、又は曲げられる。この又はその他の原理に限定されることなく、フラッシュライン14のこの湾曲又は折れ曲がった部分14’は、運転中に、フラッシュライン14に沿ってインピーダンス評価ユニット100が自由に動くことに抵抗する。特に、ライン14に沿った本体102、特にポート103及びポート105の摺動係合は、フラッシュラインの外面14c(図2)と、ポート103及びポート105に隣接する本体102の内面との係合に起因した抵抗である。ここでも、この又は他の原理に限定されることなく、フラッシュライン14に沿ったユニット100の自由な動きへの抵抗によって、電気伝導体17a、17b、17c、17dの過度の緊張を防ぐことになり、これは、例えば、電気伝導体17a、17b、17c、17dの1又は複数が破損し、電気伝導体17a、17b、17c、17dと電極20a、20b、20c、20dとの夫々の間、及び/又は、ユニット100の電子部品120との間の接続が喪失してしまうことを防止する。
図9は、インピーダンス評価ユニット100のブロック図を示している。前述したように、インピーダンス評価ユニット100内のキャビティ110は、電源114と、図9の実施例に示すもののような種々の電子部品(例えば、図7に符号120でまとめて示した部品)を収容する。図9の実施例に示すように、電子部品は、コントローラ150、無線トランシーバ152、ストレージ154、ソースユニット156、アラーム157、インジケータライト112、及び測定ユニット158を含む。電源114は、コントローラ150、無線トランシーバ152、ストレージ154、ソースユニット156などの電子部品に電力を供給する。
コントローラ150は、ストレージ154に用意されたソフトウェア160を実行する。コントローラ150は、ソフトウェア160を実行すると、本明細書に記載された機能の一部又は全部をインピーダンス評価ユニット100にもたらす。ストレージ154は、揮発性ストレージ(例えば、ランダムアクセスメモリ)、不揮発性ストレージ(例えば、フラッシュストレージ、読み取り専用メモリなど)、又は揮発性ストレージと不揮発性ストレージの両方の組合せを備えてよい。ソフトウェアによって消費又は生成されるデータ162はまた、ストレージ154に格納することができる。例えば、測定された電流値又は電圧値、計算されたインピーダンス値、出血検出アラートなどは、無線トランシーバ152を介して外部装置(例えば、ベッドサイドモニタ、コンピュータなど)に無線送信中のストレージ154に格納することができる。
無線トランシーバ152は、近距離無線通信(NFC)、BLUETOOTH(登録商標)、WiFi(IEEE 802.11xファミリーのプロトコルの何れか)などの任意の適切な無線プロトコルに従って実装されてよい。トランシーバ152は、送信のみが可能であってよく、又は、送信及び受信が可能であってよい。コントローラ152は、無線トランシーバに、インピーダンス(電流、電圧)を示す値、又はインピーダンス値自体を送信させる。トランシーバ152は、データの送信を許可すると共に、外部装置からの着信コマンドを受信することができる双方向装置であってよい。例えば、外部装置は、無線トランシーバ152を介してコントローラ150にコマンドを送信してインピーダンス評価ユニット248に命令して、インピーダンスを決定するプロセスを開始してよく、又は、以前に収集されたデータ(例えば、電流、電圧、及び/又はインピーダンス)を送信してよい。
幾つかの実施形態では、無線トランシーバ152は、NFCユニットであって、無線トランシーバに比較的近い(3.9インチ又は10cm以下の範囲内)構成要素と無線で通信するように構成されている。故に、このような実施形態では、図1及び図9の双方に示されるように、インピーダンス評価ユニット100は、無線トランシーバ182及び無線アンテナ184を含む無線通信ユニット180と無線接続できる。無線通信ユニット180は、好ましくは、インピーダンス評価ユニット100の外部にあり、動作中にユニット100の本体102に着脱自在に接続され、ユニット100と、ユニット100から比較的離れて配置された他の構成要素及び/又は装置(例えば、ベッドサイドモニタ、コンピュータなど)との間の通信を確立してよい。具体的には、無線トランシーバ184は、無線通信ユニット180がNFC通信のために評価ユニット100に十分に近づけられると、トランシーバ152から送られるNFC通信を受信するように構成されている。トランシーバ184によって受信されたインピーダンス評価ユニット100からの信号及び/又は信号中の符号化データは、その後、アンテナ182によって別の外部装置(例えば、別個のコンピューティング装置及び/又はベッドサイドモニタ)に無線で転送できる。ベッドサイドモニタなどの外部装置と通信するために無線通信ユニット180によって使用される無線プロトコルは、NFCよりも範囲が長いプロトコルであってよい。例えば、無線通信ユニット180とベッドサイドモニタの間の通信プロトコルは、WiFi、BLUETOOTH(登録商標)などであってよい。
無線通信ユニット180は、本明細書に開示されている原則に従う一方で、任意の適切な接続方法を介してインピーダンス評価ユニット100の本体102の任意の部分に結合又は接続されてよい。例えば、通信ユニット180は、1又は複数のスナップ、磁石、ブラケット、機械式コネクタ(例えば、ピンのようなコネクタ)などでインピーダンス評価ユニット100の本体102に接続されてよい。少なくとも幾つかの実施形態では、動作中にユニット180をユニット100から迅速に取り外すことを可能にするために、通信ユニット180は、インピーダンス評価ユニット100の本体102に着脱自在に接続されている。具体的には、少なくとも幾つかの実施形態では、インピーダンス評価ユニット100は、最初の使用後に廃棄される使い捨ての装置として設計されている。このように、インピーダンス評価ユニット100と通信ユニット180との接続が容易に解除可能であることによって、ユーザは、単一のユニット180の動作寿命に亘って、複数の異なるインピーダンス評価ユニット100を用いて、より堅牢な及び/又は高価な電子部品を含み得る通信ユニット180を利用することができる。
ソースユニット156は、電源114から電力を受け取り、コントローラ150による制御下で電流又は電圧を生成する。ソースユニット156は、所定の電流又は電圧を生成してよく、何れか又は両方の可能性を示すために広くソースユニットと称される。ソースユニット156は、一対の電極(図9の実施例では電極20a及び電極20d)に接続される。電流源として、ソースユニット156は、電極20a及び電極20dの一方を介して所定の(即ち、固定の)電流を流し、電極20a及び電極20dの他方を介してリターン電流を受け入れる。流される電流は、一連のパルス又は持続電流で構成されてよい。電流の振幅は、1ミリアンペア以下のような亜生理学的(sub-physiological)範囲内であってよい。パルス列が使用される場合、パルス幅は0.2ミリ秒以下であってよく、周波数は5,000乃至500,000Hz以上であってよい。付加的又は代替的に、ソースユニット156は、複数の周波数で同時に電流を流してよい。複数の周波数は、例えば、5KHz、10KHz、50KHz、100KHz、及び500KHzの5つの周波数であってよい。
測定ユニット158は、結果として得られる電圧又は電流を測定する。即ち、ソースユニット156が所定の電流を患者に流す場合、測定ユニット158は、結果として生じる電圧を測定する。ソースユニット156が電極20a及び電極20dにわたって所定の電圧を印加する場合は、測定ユニット158は、結果として生じる電流を測定する。何れの場合も、測定ユニット158は、測定された電気的パラメータをコントローラ150に提供する。
故に、コントローラ150は、ソースユニット156によって生成された所定の電流又は電圧の大きさと、測定ユニット158からの測定された電圧又は電流の大きさとを知る。このように、コントローラ150は、電流に対する電圧の比としてのインピーダンスを計算し、計算されたインピーダンスを外部装置に送信することができる。しかしながら、上述したように、コントローラ150は、インピーダンスを計算せず、代わりに、測定された電気的パラメータ(電圧又は電流)を外部装置に送信して、外部装置がインピーダンスを計算してよい。外部装置は、ソースユニット156によって設定された所定の電流や電圧を知ってよく、知らなくてもよい。外部装置がソースユニットの電流/電圧の大きさを知っている場合は、その値が外部装置に送信される必要はない(もちろん送信されてもよい)。外部装置がソースユニットの電流/電圧の大きさを知らない場合、コントローラ150は、測定ユニット158からの測定された電圧/電流と、ソースユニットの所定の電流/電圧との両方を送信することが好ましい。
更に、以下でより詳細に説明するように、コントローラ150及び/又は外部装置は、インピーダンス測定値に基づいて出血を検出するために使用されてよい。従って、幾つかの実施形態では、コントローラ150は、インピーダンスを計算し、その結果として出血を検出してよい。他の実施形態では、コントローラ150は、インピーダンスを計算して、計算されたインピーダンス値を外部装置(例えば、ベッドサイドモニタ)に送信してよく、この外部装置は、その後、出血の検出動作を実行する。更に他の実施形態では、コントローラ150は、測定された電気的パラメータ(電圧又は電流)を外部装置に送信し、それにより、外部装置がその後インピーダンスを計算して、出血の検出動作を実行することができる。
図9の実施例は電源スイッチ115を更に含んでおり、この電源スイッチ115は、閉じられるとインピーダンス評価ユニット100をオンにする。幾つかの実施形態では、電源スイッチ115はハブ21に設けられてよい。カテーテル又は拡張器28をシース12へ挿入することで、電源スイッチ115が機械的に閉じ、それによって、インピーダンス評価ユニット100が作動される。他の実施形態では、電源スイッチ115は、外側カバー部材109に設けられ、動作中に(例えば、ボタンを押すことによって)ユーザによって作動される。図9に示されているように、スイッチ115は、電源114とインピーダンス評価ユニット100の他の構成要素(例えば、コントローラ150、トランシーバ152、ストレージ154、ソースユニット156、測定ユニット158など)とに電気伝導体17e及び電気伝導体17fを介して電気的に結合されている。
図10は、インピーダンス評価ユニット100の使用の適用例を示す。インピーダンス評価ユニット100に結合されたシース12は、図示されているように患者の血管28に挿入され、無線通信リンク157が(アンテナ182を介して)外部装置135とで確立される。無線通信リンク157は、外部装置135と、インピーダンス評価ユニット100に取り付けられた無線通信ユニット180との間であってよい。外部装置135は、対応する無線トランシーバ136とロジック138とを含んでよい。外部装置は、コンピュータ(デスクトップ、ラップトップ、ノートブックなど)、スマートフォン、又はシース12のインピーダンス評価ユニット100と無線で相互に通信できる任意の他の種類の機器であってよい。幾つかの実施形態では、外部装置135は、ベッドサイドモニタであるか、又はベッドサイドモニタに組み込まれている。
外部装置135はまた、ユーザ(図示せず)からの入力を受け入れる手段を備えてよく、それにより、以下でより詳細に説明するように、ユーザは、所定の時刻にイベントの監視を実行するように、又は、その代わりに、所望の時間フレーム(例えば、5秒ごと)を設定して、コントローラ150がインピーダンス評価及び出血検出を実行するようにインピーダンス評価ユニット100を構成してよい。例えば、入力は、複数の時間(例えば、1秒、5秒、10秒、1分など)のうちの1つを選択するために使用されるノブであってよく、入力デバイスは、同様の時間フレームを有するコンピュータのドロップダウンメニューであってよい。或いは、外部装置135は、手動トリガーを含んでおり、トリガーが作動するたびに分析が実行されてよい。更に、入力デバイスは、分析を実行する特定の時間(例えば、10分毎)をユーザに入力させてよい。
インピーダンス評価ユニット100が、インピーダンスを計算するか、又は、外部装置135がインピーダンスを計算するために必要なデータを送信するかに拘わらず、計算されたインピーダンスは、直流電流/電圧に基づく抵抗であってよい。他の実施形態では、交流電流/電圧が使用されて、複素インピーダンスが振幅及び位相として計算される。交流電流/電圧には関連する周波数があり、インピーダンス測定は、複数の異なる周波数のうちの1又は複数で行うことができる。インピーダンス測定への全ての言及は、インピーダンス評価装置と外部装置を組み合わせて行うことで実行されるような本明細書に記載されている任意の変形例を含む。
特定の周波数で行われるインピーダンス測定は、他の周波数で行われるよりも有用な情報を提供し得る。特定の周波数では、他の周波数では出血の検出が容易であるのに対して出血の検出が困難な場合がある。更に、出血を検出するのに有用な特定の周波数は、患者に応じて異なり得る。従って、較正が、以下でより詳細に説明するようにシースを使用した処置の最初に実行される。較正は、幾つかの周波数で複数のインピーダンス測定を伴うことがある。幾つかの実施形態では、許容される周波数の範囲は、1000Hz乃至200KHzであるが、異なる周波数の範囲も許容され得る。その周波数の範囲内で、連続しない複数の周波数が、インピーダンス測定を行うために選択される。例えば、1000Hz及び100KHzと共に10KHzが選択されてよい。
インピーダンス評価ユニット100内のソースユニット156は、コントローラ150に命令された幾つかの周波数で交流電流を流す(又は、交流電圧を発生させる)ことができる。コントローラ150は、較正プロセスの間に、幾つかの周波数で複数のインピーダンス測定を開始するように(例えば、ソフトウェア260によって)構成されることが好ましい。測定された各電気的パラメータ(例えば、電圧)は、ストレージ154にデータ162として格納され、測定された電圧が発生する原因となったソース信号(例えば、電流)の周波数にマッピングされてよい。従って、複数のAC電圧(又は電流)がストレージ154に格納されてよく、ある電圧(又は電流)は各AC電流(又は電圧)の周波数に対応している。測定されたパラメータは、ストレージ154に保持されてもよく、及び/又は外部装置135に無線で送信されてよい。
較正プロセスは、任意の適切な方法で開始されてよい。例えば、較正プロセスを開始するための無線コマンドが、外部装置135からインピーダンス評価ユニット100に送信されてよい。或いは、インピーダンス評価ユニット100は、較正プロセスを開始するためにユーザが作動させるユーザ入力コントローラ(例えば、ボタン、スイッチなど)を有してよい。更に、電源が電池である場合には、電気絶縁帯によって、電池の接点の少なくとも1つがインピーダンス評価ユニット100の回路の残りの部分に接続することを防止する。帯が取り除かれると、コントローラ150が初期化されて、較正プロセスが開始されてよい。
そして、較正後に所定の時間周期(例えば、1分に1回)で、コントローラ150は、行われるべき更なるインピーダンス測定を開始させる。各周期の終了時に、コントローラ150はまた、較正プロセス中に使用されたものと同じ周波数で複数のインピーダンス測定を開始させてよい。幾つかの周波数でインピーダンス値を計算した後(インピーダンス評価ユニット100又は外部装置135のどちらが、上述したように計算を行うかに拘わらず)、各インピーダンス値と以前に計算されたインピーダンス値との比較が行われる。以前に計算されたインピーダンス値は、較正時に計算されたインピーダンス値であってよく、以前に計算されたその他のインピーダンス値であってよい。インピーダンス値と以前に計算されたインピーダンス値(例えば、較正インピーダンス値)との間での絶対値の差が所定の閾値よりも大きいか否かについて、判定が行われる。インピーダンス値の差が閾値より大きい場合は、出血の指標となる。もう一つの比較の方法は、現在のインピーダンス値と以前に計算されたインピーダンス値の比を計算し、その比を所定の範囲と比較することである。比が範囲外であれば、出血の指針となる。特定の患者にとっては、特定の周波数の方が他の周波数よりも出血を検出しやすい場合があることから、複数の周波数を使用した方が実際の出血が検出される確率が高くなる。
インピーダンス測定値を得て、以前のインピーダンス値(例えば、較正インピーダンス値)と比較するプロセスは、後続の各周期の終了時に繰り返される。付加的及び/又は代替的に、インピーダンス評価ユニット100は、手動で始動されて、インピーダンス測定を開始してよい。そのようなユーザによるコントロールがなされる場合には、ユーザは、上述したユーザのコントロールを作動してよく、或いは、外部装置135は、新たなインピーダンス測定をコントローラ150に開始させるためのコマンドを無線で送信してよい。
図9を再度参照すると、インピーダンス評価ユニット100がインピーダンスを計算する実施形態において、コントローラ150は、出血の可能性が検出されると、アラーム157を作動させてよい。アラーム157は、圧電デバイスのような音響インジケータであってよい。更に、少なくとも幾つかの実施形態では、コントローラ150は、出血の可能性が検出されると、1又は複数のインジケータライト112を付加的又は代替的に作動させてよい。
図11は、患者の出血(例えば、内出血)を検出するためにインピーダンス測定装置(35又は150)を較正する方法200を例示している。幾つかの実施形態では、インピーダンス評価ユニット100及び/又は外部装置135は、インピーダンス測定装置のユーザによって(例えば、ボタンを押すことによって)開始できる較正モードを備えている。この実施形態では、インピーダンス評価ユニット100のコントローラ150は、ストレージ150に格納されている較正ソフトウェア(外部装置135も、プロセッサが実行する同様のソフトウェアを有してよい)を実行する。図11は、ストレージ150の較正ソフトウェアが実行されると、コントローラ150(又は外部装置35内に配置されたプロセッサ)によって実行される方法である。較正モードは、好ましくは、医療処置[例えば、冠動脈血管造影(ワイヤが閉塞部を通って配置された後であって、血管形成術の前)又は電気生理学的調査(カテーテルが冠動脈洞内に配置された後であって、ラジオ波焼灼治療の実施の前)]が始まる前に実行される。
較正モードは202で開始する。一対の電極(即ち、電極20a、20b、20c、20dにおける一対)がステップ204、206、及び208で選択されて、インピーダンス測定が行われ、計算されたインピーダンスが記録される(振幅値及び/又は位相値として、例えばストレージ158に記憶される)。選択された電極対についてのインピーダンス測定は、好ましくは、患者の数回の呼吸の経過に亘って行われる。選択されたインピーダンスベクトルについて計算されたインピーダンスは、呼吸サイクルの間に変化する。インピーダンス測定装置は、数回の呼吸の経過(例えば10秒)に亘ってインピーダンス測定を行うことで、インピーダンスの通常の変動を考慮することができる。閾値(振幅又は位相)は、記録期間の平均として計算されてよく、検出されたピーク値として(又は、ピーク値よりも僅かに高い値(例えば、5%高い値)として)設定されてよい。ステップ210にて、インピーダンス測定装置は、閾値が決定されるべき追加のインピーダンスベクトルがあるか否かを判定する。存在する場合、コントロールは、電極対が選択されるステップ204に戻る。ステップ210でそれ以上の電極対が選択されない場合、較正モードは212で止まる。この較正プロセスは、数分かかってよい。同じ較正変数が伝導速度について測定されてよい。
較正プロセスが完了すると、医療処置(出血又は血栓形成をもたらす虞がある)を開始できる。出血は、較正プロセス200を通して決定されるインピーダンス閾値から逸脱したインピーダンスの変化として検出される(例えば、閾値を超えた増加又は閾値未満の減少)。
出血を検出するための本明細書に記載されたインピーダンス測定技術は、血胸を検出するためにも使用可能である。この用途では、追加の非シース電極の位置には、前胸壁及び後胸壁、心臓に近い高さの食道、気管、並びに、血管内、心臓内及び冠状動脈内の多数の位置が含まれる。電極はカテーテル又はワイヤにあってよい。
伝導速度について、ロジック(例えば、本明細書に記載の測定デバイスに含まれている)は、第1の(送信)電極と第2の(受信)電極との間での電気的インパルスの発生間の伝導時間を算定する。これらの電極は、本発明の実施形態で説明された電極と同一である。電気的出力は、周波数及び振幅に関して同じ範囲にある。しかしながら、測定される変数は、送信電極における刺激(電気出力)の開始と、受信電極におけるそのインパルスの感知(電気感知)との間の時間(通常はミリ秒)の差(差分)である。伝導速度は、組織の特性のばらつきによって不均一となる。流体が現れると、送信電極と受信電極の間の伝導速度も変化する。これは、(本明細書に記載されたインピーダンス値/閾値と同様に)ベースライン値からのずれとして記録される。その後、警告が出される。上述した装置及び方法の様々な実施形態はまた、伝導速度を測定するために使用でき、伝導速度を使用して心臓の肥厚と流体の出血の存在とを決定できる。
図12は、出血障害を判定して、出血障害が検出されたか否かに基づいてアラームを生成する方法を示す。図12の方法は、本明細書に記載された装置の何れか(例えば、インピーダンス評価ユニット100、外部装置135など)によって実行されてよい。この方法は、最初の血管アクセス時(例えば、血管に誤った孔が不注意で開いてしまった場合でも、かなりの血液が血管の外側に貯留される前)と、その後のカテーテル処置中(その時点で、本明細書に記載の生体インピーダンス技術によって検出されるのに十分な血液が血管の外側に貯留されている時)とに実行されることが好ましい較正段階を含んでいる。図12の方法の較正段階は、図11の較正方法に加えて、又はその代わりに実行されてよい。
ステップ300において、方法は、較正段階中に複数の周波数の各々で生体インピーダンス値を測定することを含む。周波数は、任意の周波数を、そして任意の数の周波数を含んでよい。ある実施例では、生体インピーダンス測定に使用される周波数は、5KHz、10KHz、50KHz、100KHz、及び500KHzを含む。例示を目的として、5つの生体インピーダンス測定値を仮定し、Z1、Z2、Z3、Z4、及びZ5とする。較正中に測定された生体インピーダンス測定値Z1乃至Z5を、ここでは較正生体インピーダンス値と称する。較正中に測定された生体インピーダンス値は、それら自体に対して、即ち、Z1/Z1、Z2/Z2などに正規化されてよい。正規化された較正生体インピーダンス値を、「較正比」と称する。
較正後と、カテーテル挿入プロセス中とにおいて定期的に(例えば、ユーザ、コントローラ150、又は外部装置135内のプロセッサによって指定されるように)、本方法は、同じ周波数で再度生体インピーダンス測定を行うことを含む。例示を目的として、較正後に測定された5つのインピーダンス値を、ZA、ZB、ZC、ZD、及びZEとする。ステップ302において、方法は、各周波数における各生体インピーダンス値ZA乃至ZBを、その同じ周波数における較正生体インピーダンス値に正規化して、複数の周波数における正規化された生体インピーダンス値のセットを生成することを含む。ある実施例では、各生体インピーダンス値ZA乃至ZEを正規化するために使用される較正生体インピーダンス値は、較正中に測定された較正生体インピーダンス値Z1乃至Z5である。より具体的には、各生体インピーダンス値ZA乃至ZEをそれ自体(ZA/Z1、ZB/Z2、ZC/Z3、ZD/Z4、ZE/Z5)で除算する。出血障害状態がない場合には、これらの比は約1になるはずである。較正後に出血状態が発生した場合には、1又は複数の比が1からずれることになる。
方法は、幾つかの周波数に亘って新たに計算された生体インピーダンス値が、較正生体インピーダンス値と有意に同じであるか、又は異なるかを判定することを含む。新たに計算された生体インピーダンス値が較正生体インピーダンス値と有意に異なることは、出血障害状態の発生を示す。新たに計算された生体インピーダンス値が較正生体インピーダンス値と有意に異なっていない場合は、出血障害状態が発生していないことを示す。
ステップ304において、方法は、正規化された生体インピーダンス値のセットに基づいて出血指標値を計算することを含む。ある実施例では、出血指標値を計算することは、各周波数においてその周波数における較正比(正規化較正生体インピーダンス値)と、同じ周波数においてその後の正規化生体インピーダンス値との間の差の絶対値を計算することを含む。例えば、以下の式は、ある周波数についてこの計算を例示したものである。
|Z1/Z1−ZA/Z1| (1)
出血指標値は、更に、上記で計算された絶対値と較正比(正規化された較正生体インピーダンス値)との和に基づいて計算されて、その後、全ての周波数に亘ってこれらの値を平均化してよい。以下の式は、そのような周波数の1つについての前述の計算の例を示しており、生体インピーダンスレンド(rend)値と称される。
Z1/Z1+|Z1/Z1−ZA/Z1| (2)
この計算は全ての周波数について同様に行われ、その結果を平均化して出血指標値が計算される。
方法は、較正中に得られた正規化生体インピーダンス値のセットを、その後に取得された正規化生体インピーダンス値と比較して統計的検定を行うことを更に含んでよい。このような検定の一例として、p値(即ち信頼値)を生成するT検定がある。T検定アルゴリズムへの入力は、正規化された較正生体インピーダンス値の平均と、その後に得た正規化された生体インピーダンス値の平均(較正後)と、平均化される要素の数(上記の例では5)とを含んでよい。p値が0.05未満ならば、平均値の差が統計的に有意であることを示し、p値が0.05より大きければ、平均値の差が統計的に有意でないことを示す。
方法は、(ステップ306で)出血指標値と閾値の比較に基づいて、出血障害を示す警告を生成することを含む。ある実施例では、閾値は1.4であってよく、従って、非較正正規化生体インピーダンス値の平均が1.4より大きければ、出血障害状態の発生を示す。また、この動作は、p値の使用を含んでよい。例えば、以下の条件、非較正正規化生体インピーダンス値の平均が1.4より大きい、及びp値が0.05未満である、の両方が真である場合、出血障害状態が発生していると判定されてよい。
更に、装置は、カテーテル挿入処置中に測定された少なくとも2組の連続した生体インピーダンス値について、上記の2つの条件が真であることに基づいて警告を出してもよい。
カテーテル挿入処置中、医療スタッフは、イントロデューサシース12を交換することを望むか、その必要があることがある。例えば、医師は、既存のカテーテルを、直径が異なる別のカテーテルに交換することを望むことがある。このように、直径が異なるシース12が必要とされることがある。シース12は、フラッシュライン14及びインピーダンス評価ユニット100と一体であり得るので、イントロデューサ10全体を交換する必要があるかもしれない。しかしながら、現在用いられているイントロデューサ10と、そのインピーダンス評価ユニット100とは、その時点までの患者の幾つかのインピーダンス較正値とインピーダンス履歴とを(例えば、上述した較正モニタリング方法ごとに)記憶している。このようなデータは、現在の(古い)イントロデューサのインピーダンス評価ユニット100から、交換される(新しい)イントロデューサのインピーダンス評価ユニットに無線で転送されてよい。
例えば、図13を参照すると、第1のインピーダンス評価ユニット100A及び第2のインピーダンス評価ユニット100Bが互いに近接して示されている。この実施形態では、第1のユニット100Aは、上述したように医療処置中に最初に使用されるイントロデューサ(例えば、イントロデューサ10)に結合され、第2のユニット100Bは、処置中に第1のイントロデューサ(及び第1のユニット100A)に続いて使用される新しい又は交換用のイントロデューサ10に結合される。更に、両方のユニット100A及びユニット100Bは、2つの別個のイントロデューサ(例えば、図1に示されたイントロデューサ10のようなもの)における上述した他の構成要素に結合されていることは理解されるべきである。しかしながら、インピーダンス評価ユニット100A及びインピーダンス評価ユニット100Bのみが、明確さと簡潔さのために、図13に示されている。
動作中、第1のユニット100Aに関連したイントロデューサを交換することが望ましい場合、第2のユニット100Bは、ユニット100Aに十分に近づけられて、無線接続400が構成される。無線接続400は、例えば、NFC、BLUETOOTH(登録商標)、WiFi(IEEE802.11xファミリーのプロトコルの何れか)などを含む任意の適切な無線通信技術を介して行われてよい。この実施形態では、無線接続400は、各ユニット100A及びユニット100Bの無線トランシーバ(例えば、図9に示すトランシーバ152)の間でNFCを介して構成される。その結果、接続400は、ユニット100A及びユニット100Bが所定の距離内に配置される場合に、双方の間に構成される。図13では、ユニット100A及びユニット100Bの間(又はそれらの無線トランシーバ152の間)の距離は、D100として示されている。幾つかの実施形態では、距離D100は、十分な無線接続400が構成される閾値距離以下であるべきである。閾値距離は、幾つかの例では10cmである。無線接続400は、自動的に、或いは、ユーザによるユニット100A及び/又はユニット100Bの手動操作に応答して構成されてよい。例えば、幾つかの実施形態では、ユニット100A及び100Bを互いに近接して配置するだけで(例えば、距離D100内に)、双方の間で接続400が構成される。別の例では、他の実施形態では、ユニット100A及びユニット100Bが互いに閾値距離内に配置されると(又は、非NFC無線技術が接続400を構成するために利用される場合は、ユニット100A及びユニット100Bは閾値距離外にあるであろう)、ユーザは、手動で無線接続400を構成させる(例えば、ユニット100A及び/又はユニット100Bの何れかのボタンを押すことによる)。
無線接続400が確立されると、例えば、以前の較正値、電圧、電流、インピーダンスの値、及び/又は出血検出データを含むデータが、無線接続400を介して第1のユニット100Aから第2のユニット100Bに転送される。ユニット100A及びユニット100Bの何れか又は双方のインジケータライト112は、現在データ転送中であることを示すために点灯してよい。ユニット100Aとユニット100B間のデータ転送が完了すると、ユニット100A及びユニット100Bの一方又は双方におけるインジケータライト112のうちの1又は複数が点灯して、データ転送が完了したことをユーザに知らせる。データ転送の終了により、「古い」ユニット100Aは自動的に待機モード(ユニット100Aのインジケータライト112で表示される)へ移行する。新しいユニット100Bは動作モードに移行し、当該モードもユニット100B上のインジケータライト112で示される。このようにして、インジケータライト112は、古いユニット100A及びそのシース12を患者から取り外すことができ、新しいユニット100Bをその場所に挿入できることを医療従事者に示す。この時点で、医療従事者は、インピーダンス評価ユニット100Aに関連した第1のイントロデューサをインピーダンス評価ユニット100Bに関連したイントロデューサと交換してよく、医療処置は、ユニット100Bを利用して行われ、上述した方法で、ユニット100Bが単独で、又は外部装置(例えば、図10の装置135)と組み合わされて、インピーダンス値を測定し、出血障害の検出を進めてよい。
図14を参照すると、本明細書に記載されたインピーダンス評価ユニット(例えば、ユニット100、100A、100B)の動作ロジックの一例を示すフローチャートが示されている。明確にするために、図14のフローチャートの特徴は、図1に示されて説明されたような特定のインピーダンス評価ユニット100を踏まえて論じられている。しかしながら、図14のフローチャートの特徴は、本明細書に記載されたインピーダンス評価ユニット(例えば、インピーダンス評価ユニット100A及びインピーダンス評価ユニット100B)の何れかに適用され、共に利用されてよいことは理解されるべきである。図14のフローチャートに描かれている動作は、示された順序で実行されてよく、或いは、異なる順序で実行されてよい。更に、2つ以上の動作は、一連としてではなく逐次実行されてよい。
インピーダンス評価ユニット100に最初に電源を入れると、ステップ402にて、インピーダンス測定が、前述した電極20a、20b、20c、20dのうちの任意の2つの電極間で開始される。幾つかの実施形態では、インピーダンス測定は、ある電極(例えば、20d)と他の電極の各々(例えば、20a、20b、20c)との間で開始され、他の実施形態では、インピーダンス測定は、電極20a、20b、20c、20dのうちの1つと、イントロデューサ10から分離している外部電極との間で開始される。最初のインピーダンス測定を開始する目的は、新たに給電されたイントロデューサ10が患者に挿入されたか否かを判定することである。挿入された場合、出血検出プロセスの一部としてインピーダンス測定が開始される。イントロデューサが患者内にない場合、デバイスは、上述したように、現在患者内にある別のイントロデューサからの無線通信を受信して、そのデバイスの較正及び他のデータを受け取らねばならない。
このように、イントロデューサシースが血管内にあるか否かの判定がステップ404で行われる。この動作は、電極間のインピーダンス値を測定することを試みることによって実行できる。測定されたインピーダンス値が閾値を超える(開回路を示す)場合、閾値を超える測定されたインピーダンス値は、シースの電極(ひいてはシース12)が患者の体外にあることを示すであろう。測定インピーダンス値が閾値未満であることは、電極(ひいてはシース12)が患者の体内にあることを示す。結果として、イントロデューサシースが患者の体内にないと判定される場合(「N」分岐)、インピーダンス評価ユニット100は、待機モード又はデータ取得モードに入り、その間、ステップ406乃至410の動作が実行される。一方、イントロデューサシースが患者の内部(例えば、血管の内部)にあると判定される場合(ステップ404の「Y」分岐)、インピーダンス評価ユニット100は、ステップ412で出血検出モードに入り、そのモードの間、インピーダンスが測定されて、上記に記載された方法の何れかに基づいて患者の出血障害が検出される。
ステップ402で測定されたインピーダンスがステップ404で限界値を超えていると判定されると(ステップ404の「YES」分岐)、インピーダンス評価ユニットは、ステップ406にて、近くにある別のインピーダンス評価ユニットを検出することを試みる。ステップ406での検出は、無線接続(例えば、先述した接続400)を介して行われてよい。故に、少なくとも幾つかの実施形態では、ステップ406にて、インピーダンス評価ユニット100は、別のインピーダンス評価ユニット(例えば、ユニット100B)が上述した所定の距離内にあるか否かを判定する。ステップ406で別のインピーダンス評価ユニットが検出されない場合、制御ループは、ステップ402に戻り、更なるインピーダンス測定が行われて、ステップ404で評価され、インピーダンス評価ユニットが患者の体内又は体外にあるか再度判定される。一方、別のインピーダンス評価ユニットがステップ406で検出される場合、ステップ408にて他のインピーダンス評価ユニットからデータが受信される。ステップ408でのデータ転送は、上述し、図13に示した、インピーダンス評価ユニット100A及びインピーダンス評価ユニット100Bの間での転送と同じであってよい。その後、ステップ408でのデータ転送が完了すると、インピーダンス評価ユニット100は、ステップ410にて、転送が完了したことを何らかの方法でユーザに知らせるように指示される。幾つかの実施形態では、ステップ410での通知は、音響、振動、視覚的インジケータ、或いは、それらの任意の1又は複数の組合せであり、例えば、1又は複数のライト(例えば、インジケータライト112)の作動、音響ビープ又はトーン、及び/又はインピーダンス評価ユニット100の振動である。データ転送が完了し、ユーザがステップ408で通知されると、更なるインピーダンス測定がステップ402で行われて、ステップ404で評価され、電極20a、20b、20c、20dのうちの何れか1つの電極(ひいては、シース12)が患者の体内に配置されているか否かが判定される。
ここで、ステップ404での初期インピーダンス測定の評価に戻る。先述したように、ステップ402で行われたインピーダンス測定の値が限界値未満である(これは、シースが患者に挿入されていることを示す)と判定される場合、次に、本明細書に記載された方法の何れかに従った通常のインピーダンス測定及び出血検出動作がステップ412で行われる。ステップ412での監視中のある時点(例えば、30秒に1回などの周期)で、インピーダンス評価ユニット100は、別のインピーダンス評価ユニットと無線通信中であることをステップ414にて再び判定する。幾つかの実施形態では、ステップ414での判定は、上述した406での方法と同じ方法で行われる。別のインピーダンス評価ユニットが414で検出されない場合、出血検出が412で継続される。一方、別のインピーダンス評価ユニットがステップ414で検出される場合、インピーダンス評価ユニット100からのデータの一部又は全部は、ステップ416で検出されたインピーダンス評価ユニットに転送される。ステップ416でインピーダンス評価ユニット100からのデータ転送は、図13に示されたユニット100A及びユニット100Bについて上述したものと同様の方法で行われてもよい。
図15は、出血検出のための複数のインピーダンス「ゾーン」を実施する一例を示す。インピーダンス評価ユニット100のハブ21は、シース1500に結合されている。この実施例のシース1500は、5つの電極1501、1502、1503、1504、及び1505を含んでいる。電極1501及び電極1504は、電流を流すために使用でき、電極1502及び電極1503は、第1のゾーン(「ゾーン1」と付されている)について生じる電圧を測定するために使用される。電極1502及び電極1505は、電流を流すために使用でき、電極1503及び電極1504は、第2のゾーン(「ゾーン2」と付されている)について生じる電圧を測定するために使用される。第1ゾーン及び第2ゾーンは、この実施例では重なっているが、他の実施例では重なる必要はない。インピーダンス評価ユニット100(又は外部電子機器)は、第1ゾーンと第2ゾーンのインピーダンスを測定し、インピーダンスを比較して出血を検出し、出血が第1ゾーン又は第2ゾーンのどちらに多く広がっているかを判定する。シースに沿って出血の位置を確認することで、医療提供者が出血状態を改善することができる。
図15の実施例では、2つのゾーンが示されているが、他の実施例では、3つ以上のゾーン(例えば、3つ、4つ等のゾーン)が提供されてよい。図16は、インピーダンス評価ユニット100が、シース1600に設けられた電極1604と、ガイドワイヤ1620に設けられた電極1622とに結合されている実施例を示す。この実施例のガイドワイヤ1620は、シース1600の孔に挿入される。ガイドワイヤ1620の遠位端1625は、シース1600の遠位端1607よりも患者の血管系へと更に延びている。インピーダンス評価ユニット100は、シース及びガイドワイヤにある電極の任意の組合せでインピーダンスを測定することができる。ゾーン1、ゾーン2、...、及びゾーンnは、図16に示されている。ゾーンはまた、シース上の電極とガイドワイヤ上の別の電極とを含んでよい。シース1600よりも有意に長いガイドワイヤ1620を使用することで、シースの挿入部位からガイドワイヤ1620の遠位端(例えば、患者の心臓の近く又は内部)までのインピーダンスの測定、即ち出血検出が可能になる。
図17は、インピーダンス評価ユニット100のユーザ操作手段及び視覚的インジケータの実施例を示す。この実施例は、視覚的インジケータL1、L2、L3、L4を含み、これらは、例えば、コントローラ150(図9)によって点灯される発光ダイオード(LED)として実装されてよい。L1乃至L4は、図9に示すインジケータライト112であってよい。L1乃至L4は、(出血がある場合には)出血位置インジケータを実施する。ゾーン1は左側に示され、ゾーン2は右側に示される。L1の点灯は、出血が検出され、出血はゾーン1内であることを示す。L2の点灯は、出血が検出され、出血は2つのゾーン内であるが、ゾーン1に近いことを示す。同様に、L3の点灯は、出血が検出され、出血は2つのゾーン内あるが、ゾーン2に近いことを示す。L4の点灯は、出血が検出され、出血はゾーン2内であることを示す。
インピーダンス評価ユニット100はまた、ユーザ操作手段1702(例えば、ボタン)を備えており、これを作動させると、インピーダンス評価ユニット100がインピーダンス測定を行う。視覚的インジケータ1704は、後述するように、電極の位置のフィードバックをユーザに提供するディスプレイ、又は他のタイプのインジケータであってもよく、インピーダンス測定が患者の血管内の同じ位置にて電極を用いて行われることを確実にするのを助ける。インジケータ1706は、出血が検出されると、インピーダンス評価ユニットのコントローラによって点灯される。出血位置インジケータL1乃至L4は、出血の位置を表示する。出血が続き、出血位置の近傍でより多くの血液が溜まると、コントローラは、インジケータ1708を点灯させ、更に多くの血液が溜まるとインジケータ1710を点灯させる。
ある実施例では、特定のゾーン内のインピーダンスの変化率は、そのゾーン内に出血が存在するか否かを更に判定するために使用される。ある実施例では、出血状態の部位の周囲に血液が溜まり始めると、ゾーン内のインピーダンスは減少する。インピーダンス評価ユニットのコントローラ(又は、外部装置)は、インピーダンスの変化率(又は、その絶対値)が閾値より大きいか否かを判定する。閾値は、インピーダンス評価ユニットに予め設定されているか、又はプログラム可能である。特定のゾーンにおいてその閾値に達すると、コントローラ150は、インジケータ1706を点灯させて、何れか1つのゾーン内で出血があることを示す。コントローラは、特定のゾーンのインピーダンスを経時的に監視し、時間に対するインピーダンスの傾きを測定し、その傾きが閾値を超えた場合、そのゾーン内で出血が発生していると判定する。コントローラは、このようにして複数のゾーンでインピーダンスを監視する。
コントローラはまた、傾きが出血検出をトリガーする閾値を超えた時に測定されたインピーダンスの値を保存する。出血が続くと、インピーダンスは更に低下する。そのゾーン内のインピーダンスが、出血が最初に検出された時のインピーダンスレベルからX%(例えば5%)下がると、コントローラはインジケータ1708を点灯させる。そのゾーン内のインピーダンスが、出血が最初に検出された時のインピーダンスレベルよりもY%(例:10%)下がると、コントローラはインジケータ1710を点灯させる。このように、インジケータ1708及びインジケータ1710は、出血の程度について視覚的フィードバックをもたらす。
図18は、コントローラ150がL1乃至L4を点灯して出血位置を表示する方法の実施例を示す。この例では、2つのゾーンの実装を想定しているが、n個のゾーンまで拡張することができる。この例では、ゾーン1(Z1)についての連続したインピーダンス測定間の差分が、ゾーン2(Z2)についての連続したインピーダンス測定間の差分よりも大きく、Z1についてのインピーダンスの傾きがZ2についてのインピーダンスの傾きよりも大きい場合、出血がZ1にあると判定される。同様に、Z2についての連続したインピーダンス測定間の差分がZ1についての連続したインピーダンス測定間の差分よりも大きく、Z2についてのインピーダンスの傾きがZ1についてのインピーダンスの傾きよりも大きい場合、出血がZ2にあると判定される。
図18のロジックは、コントローラ150によって1秒間にm回(例えば、1秒間に4回)実行される。各繰り返しの間、変数DAは、ステップ1802で初期化される(例えば、0の値に初期化される)。ステップ1804にて、コントローラ150は、最小のZ1インピーダンスと現在のZ1インピーダンスとの間のインピーダンスの変化(Z1差分)が、最小のZ2インピーダンスと現在のZ2インピーダンスとの間のインピーダンスの変化(Z2差分)よりも大きいか否かを判定する。Z1差分がZ2差分よりも大きい場合、DAは、この実施例では0.5の値だけインクリメントされる(1806)。そうでない場合は、DAは0.5だけデクリメントされる(1808)。
次に、ステップ1810において、Z1及びZ2のインピーダンスの経時的な傾きを比較する。Z1の傾きがZ2の傾きよりも大きい場合、DAは0.5だけインクリメントされ(1812)、そうでない場合には、ステップ1814にてDAは0.5だけデクリメントされる(1814)。この時点で、コントローラ150は、出血位置インジケータL1乃至L4のどれを点灯させるかを決定する。この実施例では、(ステップ1816で判定されたように)DAが−0.5以下である場合、ステップ1818でL1が作動される。(ステップ1820で判定されたように)DAが−0.5と0の間にある場合、ステップ1822でL2が作動される。DAが(ステップ1824で判定されたように)0と0.5の間にある場合、ステップ1826でL3が作動される。そうでなければ、(DAが0.5以上であることに対応して)ステップ1828でL4が作動される。適切なインジケータL1乃至L4を作動させると、プロセスは停止する。図18のプロセスは、任意の所望の回数(例えば、1秒間に4回)で繰り返される。
各ゾーンにおけるインピーダンスの経時的な傾きは、任意の適切な技術に従ってコントローラ150によって決定される。例えば、64番目のサンプルが1番目のサンプルから減算されて、その差が64とサンプリングレートの積で除算される。
カテーテルを用いた幾つかの医療処置では、カテーテルの挿入部位からカテーテルの遠位端までの間における1又は複数の箇所で出血が発生しているか否かを検出することが望ましい場合がある。ある例示的な使用事例では、電極が取り付けられたガイドワイヤ(例えば、図16のガイドワイヤ1620)が、シース(例えば、シース1600)に挿入される。ガイドワイヤが所望の位置にあると、ユーザは、ユーザ操作手段(例えば、図17のユーザ操作手段1702)を作動して、インピーダンス評価ユニット100に、現在の位置にあるガイドワイヤの電極を使用したインピーダンス測定を行わせる。その後、ガイドワイヤが取り外され、医療従事者は医療処置を続ける。医療処置中に後になって、医療従事者は、以前と同じ位置でインピーダンスを再度測定する必要がある場合がある。ガイドワイヤは、シースを通して、前回の測定と同じ位置に再挿入される。ユーザは再びユーザ操作手段1702を作動して、新しいインピーダンス測定が記録される。このようにして、ユーザは、同じ位置にある電極を使用して、患者のインピーダンスを監視して、それらの何れかの部位で出血が発生しているか否かを判定することができる。
上述した使用事例では、しかしながら、出血判定を同じ血管位置で評価できるように患者の血管系に沿った同じ位置に毎回ガイドワイヤを再挿入することができる。図19は、シース1600のハブ21に取り付けられた光学センサA及び光学センサBを使用した実施例を示す。この実施例のガイドワイヤ1620は、距離D1で等間隔に配置された光学マーキング1910を含む。光学センサAと光学センサBの間の距離はD2である。D2はD1と等しくない。
光学センサA及び光学センサBは、赤外発光ダイオード及びフォトトランジスタを備えてよい。ある実施例では、各光学センサは、エバーライト社 オプトインタラプタ ITR20001/Tで構成される。光学センサは、電気信号を出力し、その振幅(例えば、電圧)は、そのセンサに光学マーキング1910が隣接しているか否かの関数である。従って、ガイドワイヤ1620がシース1600を通って、故に、光学センサA及び光学センサBに対して移動すると、光学センサからの出力信号は、光学マーキング1910が各センサを通過する際に変化する。図20aは、ガイドワイヤが患者に挿入される(方向X)際のセンサA及びセンサBの信号を示している。ある光学マーキング1910が最初に光学センサBを通ると、光学センサBからの出力信号は、エッジ2002でより高いレベルに移る。光学マーキング1910が次に光学センサAを通ると、光学センサAからの出力信号は、図示されるようにエッジ2004でより高いレベルに移る。光学マーキング1910が光学センサBの近傍を抜けると、光学センサBからの出力信号は、エッジ2006で再び低いレベルに移り、光学マーキング1910が光学センサAの近傍を抜けると、エッジ2006で同様のことが起こる。
光学センサA及び光学センサBは、インピーダンス評価ユニット100のコントローラ150に接続されている。インピーダンス評価ユニット100は、光学センサB(又は光学センサA)からの出力信号の立ち上がりエッジ(或いは、立ち下がりエッジ又はそれらの両方)の数をカウントするためのカウンタ(例えば、コントローラ150に実装されたハードウェアカウンタ又はソフトウェアカウンタ)を含む。D1が事前に知られているので、コントローラ150はまた、所定の点(例えば、ハブ)から、ガイドワイヤ1620の遠位端、ガイドワイヤ上の最遠位にある光学マーキング1910、又は他の幾つかの基準点までの距離を決定できる。ユーザがユーザ操作手段1702を作動させてインピーダンスの読み取りを開始すると、光学センサA及び光学センサBの1つを介してカウントされた光学マーキングの数が記録され、インピーダンス評価ユニット100内のメモリに保存される。前回の測定と同じ位置でガイドワイヤを用いてインピーダンス測定を再度行う場合、ユーザは、ガイドワイヤをシース1600へと挿入する。光学マーキング1910の数は、カウントが前回の測定と一致するまでカウントされる。ガイドワイヤ1620が正しい位置にあることは、視覚的インジケータ1704を介してユーザに視覚的に示すことができる。
2つの光学センサA及び光学センサBを使用することで、ガイドワイヤが光学センサに対して移動する方向を決定することができ、それに応じてカウンタが増加又は減少して、シースに対するガイドワイヤの正確な位置を維持することができる。図20aでは、ガイドワイヤは方向Xに沿って患者内に移動し、図20bでは、ガイドワイヤは逆方向Yに沿って患者から引き抜かれる。光学センサA及び光学センサBからの直交信号は移動方向を決定するために用いられる。例えば、センサBのエッジ2002がセンサAのエッジ2004に(時間的に)先行することは、ガイドワイヤが方向Xに移動していることを示しており、故に、コントローラ150は、光学センサのうちの1つの立ち上がり又は立ち下がりエッジごとにそのカウント値をインクリメントする。図20bでは、センサAのエッジ2008がセンサBのエッジ2010を先行することは、ガイドワイヤがY方向に移動していることを示しており、故に、コントローラ150は、光学センサの1つの立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジごとにカウント値をデクリメントする。このようにして、システムは、ガイドワイヤが患者の中に挿入されるか、又は患者から引き抜かれる際に、ガイドワイヤの位置を決定することができる。
好ましい実施形態が示されて説明されているが、当業者であれば、本明細書の範囲又は教示から逸脱することなくそれらへの変更を行うことができる。本明細書に記載された実施形態は、例示であって限定ではない。本明細書に記載されたシステム、装置、及びプロセスにおいて、多数の変形及び変更が可能であり、それらは本発明の範囲内である。従って、保護の範囲は、本明細書に記載された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲には、特許請求の範囲の全ての均等物が含まれる。明示的に記載がない限り、方法の請求項でのステップは、任意の順序で実行され得る。本明細書において、「接続」という用語は、間接的又は直接的な有線接続又は無線接続の何れかを意味する。従って、第1のデバイスが第2のデバイスに接続する場合、その接続は、直接接続であってよいし、他のデバイス及び接続を介した間接的な接続であってよい。「に基づいて」という記載は、「少なくとも部分的に基づいて」を意味する。従って、XがYに基づいている場合、Xは、Yと他の任意の数の要因のいかんによる。