JP2021519762A - ワクチン組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、1つ以上のCD8+T細胞エピトープを含むフィロウイルスペプチドを含むワクチン組成物であって、ペプチドがナノ粒子と結合するワクチン組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、フラビウイルスペプチドを含むワクチン組成物、およびフラビウイルス感染の治療および予防を目的としたそのような組成物の使用に関する。
フラビウイルスは、ヒトに感染して公衆衛生に重大な脅威を及ぼすことのあるプラス鎖単鎖エンベロープRNAウイルスの科である。具体的には、フラビウイルスはジカ熱、デング熱、黄熱病および西ナイル熱の原因微生物である。これらの疾患は、発熱、嘔吐、頭痛、関節痛および筋肉痛を含む症状を共通の特徴とするが、各疾患はより重篤な症状と関連し得る。たとえば、妊娠中のジカウイルスの母子伝播によって脳奇形が引き起こされることがあり、またジカウイルス感染はギランバレー症候群とも関連付けられている。デング熱は生命を脅かすデング出血性症候群またはデングショック症候群に進行し得る。黄熱病は肝障害を誘発し、これによって出血および腎障害がもたらされる得る。西ナイル熱は神経系まで拡散して脳炎または髄膜炎を引き起こし得る。
フラビウイルスは、感染したカやマダニなどの媒介節足動物によって伝播することを意味するアルボウイルスである。フラビウイルスの地理的分布は、主としてその媒介節足動物の地理的分布によって決定される。媒介動物は、ほとんどが東南アジアや南米などの熱帯または亜熱帯地域に限定されている。しかし、気候変動によって一部の媒介動物の分布が拡大し、このためフラビウイルス感染に罹患するリスクの高い集団が増加しているとみられる。さらに、ジカウイルスおよび黄熱病ウイルスの蔓延の原因であるカは、人口密度の高い都市部で生存するよう適応できることが示されている。したがって、フラビウイルス感染を抑制するための方法を見つけることが重要である。
一部のフラビウイルス(西ナイルウイルスなど)がヒトには偶発的にのみ感染する一方で、他のフラビウイルス(黄熱病ウイルス、デングウイルス、およびジカウイルスなど)は主として節足動物−ヒト生活環に存在する。そのようなフラビウイルスはヒト宿主において盛んに増殖し、高いウイルス価によって再び媒介節足動物に感染し、また新たなヒト宿主に感染する。いずれにしても、媒介動物による伝播およびサルおよび鳥類などの他の種に感染する能力は、フラビウイルスが迅速に且つ容易に蔓延する傾向にあることを意味する。
したがって、フラビウイルス感染の蔓延を抑制することは困難である。
フラビウイルスゲノムの構造も、蔓延を抑制することの困難さに寄与する。単鎖RNAの複製には、プルーフリーディングおよび修正メカニズムがわずかにしか存在しない。したがって、複製の過程で発生する変異がしばしばゲノムに残存し、次世代に受け継がれる。したがってフラビウイルスの進化は迅速である。
黄熱病感染には安全且つ有効なワクチンが存在するが、これはジカウイルス、デングウイルス、または西ナイルウイルス感染には当てはまらない。デングウイルスに対するワクチンは存在するものの、過去に感染したことのない者では転帰が悪化する可能性があるので、過去にデングウイルスに感染した個体における使用のみが推奨される。デングウイルスの血清型(DENV−1、DENV−2、DENV−3またはDENV−4など)の1つに曝露することは、その後の他のデング血清型の感染を悪化させる可能性があるので、現在治験段階にあるデングワクチンはその製剤中に含まれる複数のデング血清型を含む。ジカウイルスはデングウイルスと密接に関連しているので、いずれのジカウイルスワクチンも、デングウイルス感染の抗体依存的促進の可能性を最小化する必要がある。したがって、ジカウイルス、デングウイルス、および西ナイルウイルス感染に対して有効なワクチンに対するニーズが存在する。
本発明は、ウイルスを含有するワクチンにしばしば随伴する有害な臨床作用を回避しながら、免疫応答を刺激するフラビウイルスワクチン組成物に関する。ワクチン組成物は、複数のフラビウイルス種(ジカウイルス、デングウイルスおよび/または西ナイルウイルスなど)および/または特定の種の複数の系統または血清型(アフリカジカウイルス、アジアジカウイルス、DENV−1、DENV−2、DENV−3および/またはDENV−4など)に対する防御を提供し得る。
本発明者らは、驚くべきことに、たとえば金ナノ粒子などのナノ粒子を用いて、フラビウイルスに対するT細胞応答を刺激するようデザインされたワクチン組成物に対し、効率の良い応答を誘導し得ることを確認している。ナノ粒子の使用によって、ワクチン組成物においてウイルスを用いる必要がなくなる。診療所における副作用と関連し得る従来のアジュバントの使用も回避される。したがって、ワクチン組成物の投与後に個体が副作用を経験する可能性は低下する。
また本発明者らは、異なるフラビウイルス間で維持され、且つそれらのウイルスに感染した細胞上のMHC分子によって提示されるペプチドを数多く同定している。そのような維持ペプチドをワクチン組成物に含めることで、複数種のフラビウイルスおよび/または特定の種の複数系統または血清型に対する防御能を付与し得る。異なるHLAスーパータイプと結合する複数の維持ペプチドをワクチン組成物に含めることにより、異なるHLAタイプを有する個体において有効なワクチンがもたらされる。
したがって、本発明は、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドを含むワクチン組成物を提供する。一部の態様においては、フラビウイルスペプチドはナノ粒子と結合し得る。
本発明はさらに:
−フラビウイルス感染を予防または治療する方法であって、フラビウイルスに感染しているか、またはこれに感染するリスクのある個体に前述の請求項のうちいずれか1つのワクチン組成物を投与することを含む方法;および
−個体におけるフラビウイルス感染を予防または治療する方法における使用を目的とした本発明のワクチン組成物を提供する。
活性化PBMCをCD8レベルについて分析し、この細胞集団の増殖を判定した。5つのペプチド(P1〜5)はいずれも細胞増殖を引き起こした。非装填T2細胞(T2)は対照として作用した。誤差棒は複製物の標準偏差を表す。 ペプチド装填T2による活性化後のPBMCのCD8+集団からのCD107a発現。5つのペプチド(P1〜5)エピトープのいずれも、フラビウイルスペプチド特異的にCD8+T細胞を活性化してペプチド装填T2細胞に応答した。誤差棒は複製物の標準偏差をペプチド特異的に表す。非装填T2細胞(T2)は対照として作用した。 ペプチド装填T2による活性化後のPBMCのCD8+集団からのIFNγ発現。5つのペプチド(P1〜5)エピトープのいずれも、フラビウイルスペプチド特異的にCD8+T細胞を活性化してペプチド装填T2細胞に応答した。非装填T2細胞(T2)は対照として作用した。誤差棒は複製物の標準偏差を表す。 プールされたジカウイルスペプチド(P1〜P5)で刺激されたPMBCがジカ感染細胞を死滅させる能力を検討した。PBMCはペプチド装填T2で刺激され活性化された。非感染HepG2細胞(HepG2;対照)またはジカウイルスに感染したHepG2細胞(ZIKV)に対する刺激されたPMBCの応答(CD8+細胞増殖、CD107a発現、IFNγ発現)を測定した。健常HepG2細胞に曝露したジカペプチド刺激PMBCは約3%のCD8+細胞増殖を示すのに対し、ジカ感染HepG2細胞に曝露したジカペプチド刺激PMBCは約16%のCD8+細胞増殖を示す。CD107発現およびIFNγ発現は、ジカ感染HepG2細胞に曝露したジカペプチド刺激PMBCの方が、非感染HepG2細胞に曝露したジカペプチド刺激PMBCよりも著しく高い。このことは、PMBCがジカ感染細胞を「認識する」ことを示唆する。 トランスジェニックA2マウスをNP−デングペプチド200ngで免疫した。脾細胞を分離した後、ジカまたはデング感染細胞のいずれかに曝露した。図5は、HepG2標的細胞が、トランスジェニックA2マウス由来の脾細胞を刺激することのできるペプチドクラスI標的を含むことを示す。ペプチドの酸ストリッピングにより細胞は無反応となる。 トランスジェニックA2マウスをNP−デングペプチド200ngで免疫した。脾細胞を分離した後、ジカまたはデング感染細胞のいずれかに曝露した。図6に示すように、HepG2細胞のフラビウイルス感染が自己ペプチドを置換し、細胞表面上のウイルス由来ペプチドの露出をもたらす。図6は、非免疫マウス由来の脾細胞がデングまたはジカ感染細胞に反応しないことを示す。対照的に、NP−デングまたはNP−ジカペプチドで免疫されたA2マウスは、デングまたはジカ感染HepG2細胞のいずれも死滅させることができる。
(ワクチン組成物)
本発明は、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドを含むワクチン組成物を提供する。このワクチン組成物は、以下の考察で明らかとなる数多くの長所を有する。しかし、重要な長所をここに要約する。
第1に、本発明のワクチン組成物は、配列番号1から10に記載され、且つ本発明者らによって新たに同定されたCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドを有利に含む。実施例で証明されるように、ワクチン組成物はそれゆえフラビウイルスに対する細胞性免疫応答(CD8+T細胞応答など)を刺激することが可能である。CD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)は、感染細胞に対するその細胞傷害性活性を介してウイルスクリアランスを媒介する。それゆえ、細胞性免疫を刺激することはフラビウイルス感染に対する有益な防御を提供する。
第2に、本発明者らによって同定された数多くのCD8+T細胞エピトープは、多くの異なるフラビウイルスの間で維持され、且つそれらのウイルスに感染した細胞上でMHC分子によって提示され得る。たとえば、本発明者らは、ジカウイルスに感染した細胞において発現される一部のCD8+T細胞エピトープが、デングウイルスおよび/または西ナイルウイルスなどの他のフラビウイルスによって発現されるペプチドと100%相同であることを特定した(表1および2参照)。そのような維持ペプチドをワクチン組成物に含めることで、複数種のフラビウイルスおよび/または特定の種の複数系統または血清型に対する防御能を付与し得る、すなわち交差防御を付与し得る。付与しようとする交差防御にとっては、フラビウイルス間の100%相同性は必要でない。むしろ、一定の残基が正しい位置で保持されている場合、ジカウイルスに感染した細胞に発現されるCD8+T細胞エピトープとたとえば約50%以上(60%、70%、75%、80%、90%、95%、98%または99%)相同な配列で免疫した後に交差防御が発生することがある。したがって、配列番号1から10に記載される1つ以上のCD8+T細胞エピトープを含むワクチン組成物は、表1および2に列挙するもの全体およびそれを上回る多様な既存のフラビウイルスに対する交差防御を提供することが可能であり得る。1つ以上の維持ペプチドをワクチン組成物に含めることで、フラビウイルスゲノムの迅速な進化に随伴する新興フラビウイルス株に対する防御能も付与し得る。このように、単一のフラビウイルスワクチン組成物を用いて、多様な異なるフラビウイルスに対する防御を付与することができる。これにより、フラビウイルス感染の蔓延を抑制する費用対効果の高い手段が提供される。
第3に、本発明者らによって同定された異なるCD8+T細胞エピトープは異なるHLAスーパータイプと結合することが可能である。異なるHLAスーパータイプと結合することの可能なCD8+T細胞エピトープをそれぞれ含む複数のペプチドを含めることにより、異なるHLA型を有する個体において有効なワクチン組成物がもたらされる。このように、単一のフラビウイルスワクチン組成物を用いて、ヒト集団の大部分に防御を付与することができる。これによってもまた、フラビウイルス感染の蔓延を抑制するための費用対効果の高い手段が提供される。
第4に、本発明のワクチン組成物に含まれるフラビウイルスペプチドは、たとえば金ナノ粒子などのナノ粒子と結合することができる。以下により詳細に記述するように、ナノ粒子への結合はワクチン組成物にアジュバントを含める必要性を低減または解消する。したがって、本発明のワクチン組成物を個体に接種する際に有害臨床効果を引き起こす可能性が低くなる。
(ペプチド)
本発明のワクチン組成物は、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドを含む。ワクチン組成物は約1から約50種類のそのようなペプチド、たとえば約2から40、3から30、4から25、5から20、6から15、7、8、9または10種類のそのようなペプチドを含み得る。配列番号1から10は表1に提示する。
Figure 2021519762
配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドは、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つのみを含み得る。またその代わりに、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドは、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち2つ以上、たとえば3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上を、任意の組み合わせで含み得る。配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドは、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープの全てを含み得る。
フラビウイルスペプチドは、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上と共に、1つ以上の他のCD8+T細胞エピトープ、1つ以上のCD4+T細胞エピトープおよび/または1つ以上のB細胞エピトープを含み得る。たとえば、フラビウイルスペプチドは、配列番号1から10に記載されるもの以外のCD8+T細胞エピトープを2つ以上、たとえば3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、15以上、または20以上含み得る。フラビウイルスペプチドは、2つ以上、たとえば3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、15以上、または20以上のCD4+T細胞エピトープを含み得る。フラビウイルスペプチドは、2つ以上、たとえば3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、15以上、または20以上のB細胞エピトープを含み得る。
ワクチン組成物は、配列番号1から10から選択される異なる配列を含むCD8+T細胞エピトープをそれぞれ含む、2つ以上のフラビウイルスペプチドを含み得る。フラビウイルスペプチドのそれぞれは、前述の段落に記載される特性のいずれかを有し得る。たとえば、各フラビウイルスペプチドは配列番号1から10に記載される複数のCD8+T細胞エピトープ、および任意に、1つ以上の他のCD8+T細胞エピトープ、1つ以上のCD4+T細胞エピトープおよび/または1つ以上のB細胞エピトープを含み得る。1つの態様においては、ワクチン組成物は、配列番号1から10から選択される異なる配列を含むCD8+T細胞エピトープをそれぞれ含む3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、または9つ以上のフラビウイルスペプチドを含み得る。ワクチン組成物は、たとえば、配列番号1から10から選択される異なる配列を含むCD8+T細胞エピトープをそれぞれ含む、10のフラビウイルスペプチドを含み得る。
ワクチン組成物は、1つ以上のエピトープをそれぞれ含む1つ以上の(約1から50、2から40、3から30、4から25、5から20、6から15、7、8、10または10など)追加的ペプチドをさらに含み得る。エピトープはCD8+T細胞エピトープ、CD4+T細胞エピトープおよび/またはB細胞エピトープであり得る。CD8+T細胞エピトープは、好ましくは配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープ以外のCD8+T細胞エピトープである。CD8+T細胞エピトープは、たとえば、フラビウイルスCD8+エピトープ、すなわち1つ以上のフラビウイルスによって発現され、且つ(i)クラスI MHC分子による提示および(ii)CD8+T細胞上に存在するT細胞受容体(TCR)による認識が可能であるペプチドであり得る。またその代わりに、CD8+T細胞エピトープは1つ以上のフラビウイルスによって発現されないCD8+T細胞エピトープであり得る。CD4+T細胞エピトープは、たとえば、フラビウイルスCD4+エピトープ、すなわち1つ以上のフラビウイルスによって発現され、且つ(i)クラスII MHC分子による提示および(ii)CD4+T細胞上に存在するT細胞受容体(TCR)による認識が可能であるペプチドであり得る。またその代わりに、CD4+T細胞エピトープは1つ以上のフラビウイルスによって発現されないCD4+T細胞エピトープであり得る。CD8+およびCD4+T細胞エピトープは以下により詳細に記載される。
フラビウイルスペプチドは、1つ以上のフラビウイルスによって発現されるペプチドである。ジカウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルスおよび黄熱病ウイルス、さらにはセントルイス脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、Kunjin脳炎ウイルス、ロシオ脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、Negeishiウイルス、キャサヌール森林ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ポワッサンウイルス、跳躍病ウイルス、リオブラボーウイルス、チュレーニーウイルス、ウンタヤウイルスおよびモドックウイルスを含む、フラビウイルスの数多くの種が存在する。デングウイルスの4つの血清型(DENV−1、DENV−2、DENV−3およびDENV−4)およびジカウイルスの2系統(アフリカジカウイルスおよびアジアジカウイルス)が存在する。
本発明のワクチン組成物に含まれるいずれのフラビウイルスペプチドも、ジカウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、Kunjin脳炎ウイルス、ロシオ脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、Negeishiウイルス、キャサヌール森林ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ポワッサンウイルス、跳躍病ウイルス、リオブラボーウイルス、チュレーニーウイルス、ウンタヤウイルスおよびモドックウイルスのうち1つ以上によって発現されるペプチドを含み得る。たとえば、本発明のワクチン組成物に含まれるフラビウイルスペプチドは、ジカウイルスおよびデングウイルス、またはジカウイルス、デングウイルスおよび西ナイルウイルスによって発現されるペプチドを含み得る。たとえば、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドは、(i)ジカウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、Kunjin脳炎ウイルス、ロシオ脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、Negeishiウイルス、キャサヌール森林ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ポワッサンウイルス、跳躍病ウイルス、リオブラボーウイルス、チュレーニーウイルス、ウンタヤウイルスおよびモドックウイルスのうち1つ以上;(ii)ジカウイルスおよびデングウイルス;または(iii)ジカウイルス、デングウイルスおよび西ナイルウイルスによって発現され得る。同様に、組成物がフラビウイルスペプチドである追加的ペプチドを含む場合、その追加的フィロウイルスペプチドは(i)ジカウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、Kunjin脳炎ウイルス、ロシオ脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、Negeishiウイルス、キャサヌール森林、オムスク出血熱ウイルス、ポワッサンウイルス、跳躍病ウイルス、リオブラボーウイルス、チュレーニーウイルス、ウンタヤウイルスおよびモドックウイルスのうち1つ以上;(ii)ジカウイルスおよびデングウイルス;または(iii)ジカウイルス、デングウイルスおよび西ナイルウイルスによって発現され得る。したがって、ワクチン組成物はフラビウイルスのうち1種以上、たとえば1から20、2から19、3から18、4から17、5から16、6から15、7から14、8から13、9から12、10または11種などのフラビウイルスに由来するフラビウイルスペプチドを含み得る。
本発明のワクチン組成物に含まれるフラビウイルスペプチドがジカウイルスによって発現されるペプチドを含む場合、当該ペプチドはアフリカジカウイルス、アジアジカウイルス、またはアフリカジカウイルスおよびアジアジカウイルスの双方によって発現され得る。本発明のワクチン組成物に含まれるフラビウイルスペプチドがデングウイルスによって発現されるペプチドを含む場合、当該ペプチドはDENV−1、DENV−2、DENV−3およびDENV−4のうち1つ以上の任意の組み合わせ、たとえば:1;2;3;4;1および2;1および3;1および4;2および3;2および4;3および4;1、2および3;1、2および4;1、3および4;2、3および4;または1、2、3および4などによって発現され得る。
フラビウイルスペプチドは1つ以上のフラビウイルスの表面上、または1つ以上のフラビウイルス内に細胞内発現されるペプチドでありえる。ペプチドは構造的ペプチド、またはフラビウイルスの代謝または複製に関与するペプチドなどの機能的ペプチドでありえる。好ましくは、ペプチドは内部ペプチドである。好ましくは、ペプチドは2つ以上の異なるフラビウイルスまたはフラビウイルス血清型間で維持される。2つ以上の異なるフラビウイルスまたはフラビウイルス血清型のそれぞれがあるペプチドと50%以上(60%、70%、75%、80%、90%、95%、98%または99%など)相同な配列をコードする場合、当該ペプチドはその2つ以上の異なるフラビウイルスまたはフラビウイルス血清型間で維持される。
フラビウイルスペプチドは任意の数のアミノ酸を含み、すなわち任意の長さであり得る。典型的には、フラビウイルスペプチドは約8から約30、35または40アミノ酸長,たとえば約9から約29、約10から約28、約11から約27、約12から約26、約13から約25、約13から約24、約14から約23、約15から約22、約16から約21、約17から約20、または約18から約29アミノ酸長などである。
フラビウイルスペプチドは、ポリペプチドフラビウイルス抗原からたとえばタンパク質分解開裂などによって化学的に誘導され得る。より典型的には、フラビウイルスペプチドは技術上周知の方法を用いて合成され得る。
用語「ペプチド」は、アミノ酸残基がペプチド結合(−CO−NH−)で連結された分子のみでなく、ペプチド結合が逆転した分子も含む。そのようなレトロインベルソペプチド模倣体は、たとえばMeziere他(1997)J.Immunol.159,3230−3237に記載されたものなどの、技術上既知である方法を用いて作製され得る。このアプローチは、骨格を包含するが側鎖の配向は包含しない変換を含むシュードペプチドを作製することを包含する。Meziere他(1997)は、これらのシュードペプチドが少なくともMHCクラスIIおよびTヘルパー細胞応答に対して有用であることを示す。CO−NH結合の代わりにNH−CO結合を含むレトロインバースペプチドの方がタンパク質分解に対する抵抗性がさらに強い。
同様に、アミノ酸残基の炭素原子間の間隔を保持する適切なリンカー部分が用いられるならば、ペプチド結合は全て省いてもよく;リンカー部分がペプチド結合とほぼ同じ電荷分布およびほぼ同じ平面性を有するならば特に好ましい。エキソタンパク質分解消化に対する感受性の低減を促すために、ペプチドをそのN末端またはC末端で簡便にブロッキングし得ることも評価される。たとえば、ペプチドのN末端アミノ基はカルボン酸と反応させることで保護し、かつペプチドのC末端カルボキシル基はアミンと反応させることで保護し得る。他の修飾の例はグリコシル化およびリン酸化を含む。他の修飾の候補は、RまたはKの側鎖アミン上にある水素をメチレン基で置換し得ることである(−NHを−NH(Me)または−N(Me)に修飾できる)。
用語「ペプチド」は、インビボでペプチドの半減期を延長または短縮するペプチド変異体も含む。本発明にしたがって使用されるペプチドの半減期を延長することの可能なアナログの例は、ペプチドのペプトイドアナログ、ペプチドのD−アミノ酸誘導体、およびペプチド−ペプトイドハイブリッドである。本発明にしたがって使用されるポリペプチド変異体のさらなる実施形態は、ポリペプチドのD−アミノ酸型を含む。L−アミノ酸ではなくD−アミノ酸を用いたポリペプチドの調製は、通常の代謝プロセスによるこうした物質のあらゆる望まれない分解を大きく低下させ、投与する必要のある物質の量をその投与頻度と共に低下させる。
(CD8+T細胞エピトープ)
本発明のワクチン組成物は、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープ(表1を参照)のうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドを含む。配列表1から10に記載のCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドは、1つ以上の(たとえば2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、15以上、または20以上など)他のCD8+T細胞エピトープをさらに含み得る。ワクチン組成物は、1つ以上のCD8+T細胞エピトープをそれぞれ含む1つ以上の(たとえば1から50、2から40、3から30、4から25、5から20、6から15、7、8、9または10など)追加的ペプチドをさらに含み得る。好ましくは、追加的ペプチドはフラビウイルスペプチドである。
CD8+T細胞エピトープは、(i)クラスI MHC分子による提示および(ii)CD8+T細胞上に存在するT細胞受容体(TCR)による認識が可能なペプチドである。好ましくは、TCRによる認識によってCD8+T細胞の活性化がもたらされる。CD8+T細胞活性化は、増殖、サイトカイン産生および/または細胞傷害性効果の亢進をもたらし得る。
典型的には、CD8+T細胞エピトープは約9アミノ酸長である。しかしCD8+T細胞エピトープはより短いか、長いことがあり得る。たとえば、CD8+T細胞エピトープは約8、9、10、11、12、13、14または15アミノ酸長であり得る。CD8+T細胞エピトープは約8から15、9から14または10から12アミノ酸長であり得る。
CD8+T細胞エピトープを含むフラビウイルスペプチドは技術上既知である。CD8+T細胞エピトープを同定する方法は技術上既知である。エピトープマッピング法は、X線共結晶構造解析、アレイベースオリゴペプチドスキャンニング(時にオーバーラッピングペプチドスキャンまたはペプスキャン分析と呼ばれる)、部位指向変異生成、高スループット変異生成マッピング、水素−重水素交換、架橋結合質量分析、ファージディスプレイおよび制限タンパク分解を含む。MCHモチーフ予測法を用いることもある。
ワクチン組成物に含めることを目的としてCD8+T細胞エピトープを直接同定するために、フラビウイルス感染細胞によって提示されるCD8+T細胞エピトープを同定することができる。これは単独でも、またはMCHモチーフ予測法によって同定されたCD8+T細胞エピトープ候補の有用性を確認する目的でも用いることができる、効率的且つ論理的方法である。この方法は、本発明者らによって、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープ(実施例1を参照)を同定するために用いられた。
当該方法を実施するために、細胞をフラビウイルスに感染させ、培養において約72時間の間約37℃の温度で維持する。培養後に細胞を回収して洗浄する。次に、たとえばホモジナイゼーションおよび凍結/解凍などによって、1%NP40を含有するバッファーに細胞を溶解する。2000rpmで30分間遠心分離して細胞デブリを除去することにより、ライセートを清澄化する。
次に、W6/32(汎MHCクラスI分子を認識するモノクローナル抗体)でコーティングしたプロテインA/Gビーズ(UltraLink Immobilized Protein A/G, pierce、イリノイ州ロックフォード)を用いたイムノアフィニティークロマトグラフィーにより、ライセートからMHC/ペプチド複合体を単離する。ビーズを抗体でコーティングするために、ビーズを低pHバッファーで洗浄した後、PBSですすぎ、抗体0.5mgと共に2時間室温でインキュベートし、3回洗浄して未結合抗体を除去する。イムノアフィニティークロマトグラフィー用に、コーティングしたビーズをライセートと共に持続的に振盪しながら室温で2時間インキュベートする。その後、1000rpmで5分間遠心分離することにより、ビーズをライセートから分離する。0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)、pH1.5を添加することにより、結合したMHC複合体をビーズから溶離する。
次に、溶離液を85℃で15分間加熱して結合したペプチドをMCH分子から解離させる。室温まで冷却した後、たとえば3kDa分子量カットオフメンブランフィルター(ミリポア)などを用いて、遠心分離によりペプチドを抗体から分離する。真空遠心分離を用いて濾液を濃縮し、再溶解して最終体積100μLとする。精製されたペプチド混合物を、たとえばオフラインHPLCを用いてC−18逆相(RP)カラム(直径4.6nm×長さ150mmなど)を用いて分画化する。このステップでは、移動相Aは2%アセトニトリル(CAN)および0.1%ギ酸水溶液である一方、移動相Bは0.1%FAおよび90%CAN水溶液であり得る。
次にペプチド含有分画をカラムから溶離させ、真空乾燥し、質量分析で分析して分画中の配列を同定する。その後、取得されたスペクトルデータを全てのデータベース化フラビウイルスタンパク質と照合して検索し、フラビウイルス関連ペプチド配列を同定することができる。次に、同定された配列にしたがって合成ペプチドを作製し、質量分析に付して、ペプチド含有分画中のペプチドとのその同一性を確認する。
この方法においては、任意の種類の細胞をフラビウイルスに感染させることができる。細胞は抗原提示細胞であり得る。細胞はHepG2細胞などの肝癌細胞、JY細胞などのEBV形質転換リンパ芽球様B細胞、またはT2細胞などのリンパ芽球であり得る。
同様に、任意の目標とするフラビウイルスを用いて細胞を感染させ得る。たとえば、フラビウイルスはジカウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、Kunjin脳炎ウイルス、ロシオ脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、Negeishiウイルス、キャサヌール森林、オムスク出血熱ウイルス、ポワッサンウイルス、跳躍病ウイルス、リオブラボーウイルス、チュレーニーウイルス、ウンタヤウイルスおよびモドックウイルスであり得る。ジカウイルスは、たとえば、アフリカジカウイルスまたはアジアジカウイルスであり得る。デングウイルスは、たとえば、DENV−1、DENV−2、DENV−3またはDENV−4であり得る。
フラビウイルス感染細胞によって提示されるCD8+T細胞エピトープの直接的な同定は、MHCモチーフ予測法と比較して有利である。免疫エピトープデータベース(IEDB;http://www.iedb.org)は、機能的な方法ではなくモチーフ予測法によって生成され、またMHC結合スコアが高く且つCTL特性が限定されたいくつかの共有エピトープを含む、数多くの予測HLA特異的フラビウイルスT細胞エピトープを含む。優位および準優位エピトープのいずれもがフラビウイルス感染細胞によって提示され得るので、データベースを用いて、自然に提示されるエピトープの優位性の順位を決定することは困難である。したがって、リストに挙げられたエピトープのうちいずれが、ワクチン組成物に含まれた場合にCD8+T細胞応答を効率よく誘導すると期待し得るかは、免疫エピトープデータベースのみからでは不明瞭である。上述の直接同定法は、エピトープの有用性を確認するためのメカニズムを提供する。
本発明のワクチン組成物などの、フラビウイルス感染細胞が提示するエピトープに基づくワクチン組成物は、ウイルスタンパク質サブユニットまたはモチーフ予測エピトープに基づくワクチンよりも優れている。免疫系によるタンパク質プロセシングは、天然ウイルスエピトープを変化させる可能性がある。ワクチン組成物が、感染細胞によって提示されると証明されたペプチドを基にすると、ペプチドがすでにタンパク質プロセシングを受けていることから、この不確実性の元が取り除かれる。
さらに、直接同定法を用いて、異なるフラビウイルスに感染した細胞が提示する維持CD8+T細胞エピトープが同定され得る。このようにして、交差防御ワクチンに含めるのに適したCD8+T細胞エピトープが同定され得る。実施例に記載されるように、本発明者らは、ペプチドSPRRLAAAV(配列番号3)およびPFGDSYIVIGVGE(配列番号6)が、デングウイルスにコードされる配列と100%の相同性を有するジカウイルスCD8+T細胞エピトープであり、且つWVTDHSGKTV(配列番号5)が、ジカウイルスおよび西ナイルウイルスによってコードされる配列と100%相同性を有するデングウイルスCD8+T細胞エピトープであることを確認した。
(交差防御ワクチン組成物)
本発明者らによって同定された配列番号1から10のそれぞれは、(i)ジカウイルス感染細胞に由来するか、または(ii)デングウイルス感染細胞に由来するがジカウイルスがコードする配列と100%相同である。したがって本発明のワクチン組成物は、ジカウイルス感染に対する防御免疫応答を誘発するようデザインされている。しかし、配列番号1から10はフラビウイルス間で高度に維持されているので、ワクチン組成物は広範な他のフラビウイルスに対する交差防御も誘導し得る。
表1に示すように、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープの多くは、エピトープが最初に同定されたフラビウイルス以外のフラビウイルスによってコードされる配列と100%相同性を有する。たとえば、SPRRLAAAV(配列番号3)およびPFGDSYIVIGVGE(配列番号6)はジカウイルス感染細胞において同定されたが、デングウイルスがコードする配列とそれぞれ100%相同である。WVTDHSGKTV(配列番号5)はデングウイルス感染細胞において同定されたが、ジカウイルスがコードする配列および西ナイルウイルスがコードする配列と100%相同性を有する。他のフラビウイルスに由来する配列と100%相同であるエピトープを含む組成物の接種によって生成される免疫応答は、後にそのフラビウイルスによる感染に対して防御し得る。
他のフラビウイルスによってコードされる配列と約50%以上(たとえば60%、70%、75%、80%、90%、95%、98%または99%)相同であるエピトープを含む組成物の接種によって生成する免疫応答は、後にそのフラビウイルスによる感染に対して防御し得る。一部の例においては、防御効果は、他のフラビウイルスによってコードされる配列とエピトープの間での一定の残基の維持と関連する。したがって、本発明のワクチン組成物による免疫は、表1または表2で言及されていない多様なフラビウイルスに対する防御免疫応答を誘導し得る。
このように、本発明のワクチン組成物は固有の種間および/または属間有効性を有する、すなわち交差防御的フラビウイルスワクチン組成物であり得る。このように、単一のフラビウイルスワクチン組成物を用いて、多様な異なるフラビウイルスに対する防御を付与することができる。これにより、フラビウイルス感染の蔓延を抑制する費用対効果の高い手段が提供される。
維持ペプチドをワクチン組成物に含めることで、フラビウイルスゲノムの迅速な進化に随伴する新興フラビウイルス株に対する防御能を付与し得る。これにより、フラビウイルス感染の長期的抑制を促進し得る。
維持されたCD8+T細胞エピトープを含むフラビウイルスペプチドを本発明のワクチン組成物に含めることで、ワクチン組成物投与後のデングウイルス感染の抗体依存的亢進の発生を有利に予防または最小化し得る。
(HLAサブタイプとの相互作用)
ワクチン組成物は、異なるHLAサブタイプとそれぞれ相互作用するCD8+T細胞エピトープを含む少なくとも2つのフラビウイルスペプチドを含み得る。ワクチン組成物にそのようなペプチドを複数含めることで、ワクチン組成物を投与した個体に対し、より高い割合でワクチン組成物がCD8+T細胞応答を誘発することが可能となる。これは、複数のフラビウイルスペプチドに含まれるCD8+T細胞エピトープのうち1つと相互作用するHLAスーパータイプの個体全てに対し、ワクチン組成物がCD8+T細胞応答を誘発することが可能であるはずであるからである。各CD8+T細胞エピトープはHLA−A1、HLA−A2、HLA−A3、HLA−A24、HLA−B7、HLA−B8、HLA−B27、HLA−B44、HLA−B58またはHLA−B62、または技術上既知である任意の他のHLAスーパータイプと相互作用し得る。そのようなCD8+T細胞エピトープを含むフラビウイルスペプチドのあらゆる組み合わせが可能である。
ワクチン組成物は、少なくとも2つの異なるHLAスーパータイプと相互作用するCD8+T細胞エピトープを含む少なくとも1つのフラビウイルスペプチドを含み得る。やはりこれにより、ワクチン組成物を投与した個体に対し、ワクチン組成物がより高い割合でCD8+T細胞応答を誘発することが可能となる。ワクチン組成物は、少なくとも2つの異なるHLAサブタイプとそれぞれ相互作用するCD8+T細胞エピトープを含む少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの、少なくとも2つの、少なくとも15の、または少なくとも20のフラビウイルスペプチドを含み得る。各フラビウイルスペプチドは、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの、少なくとも6つの、少なくとも7つの、少なくとも8つの、少なくとも9つのまたは少なくとも10の異なるHLAスーパータイプと相互作用し得る。各フラビウイルスペプチドは、HLA−A1、HLA−A2、HLA−A3、HLA−A24、HLA−B7、HLA−B8、HLA−B27、HLA−B44、HLA−B58またはHLA−B62、または技術上既知である任意の他のHLAスーパータイプのうち2つ以上と任意の組み合わせで相互作用し得る。好ましくは、ワクチン組成物はHLA−A2およびHLA−24と相互作用するCD8+T細胞エピトープを含むフラビウイルスペプチドを含む。この場合ワクチン組成物は、たとえば配列番号1または配列番号8に記載されるCD8+T細胞を含むフィロウイルスペプチドなどを含み得る。
(CD4+T細胞エピトープ)
本発明のワクチン組成物は、CD4+T細胞エピトープを含むペプチドを含み得る。ワクチン組成物は、CD4+T細胞エピトープを含むペプチドを2つ以上、たとえば3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、15以上、または20以上含み得る。CD4+T細胞エピトープは、(i)クラスII MHC分子による提示および(ii)CD4+T細胞上に存在するT細胞受容体(TCR)による認識が可能であるペプチドである。好ましくは、TCRによる認識によってCD4+T細胞の活性化がもたらされる。CD4+T細胞活性化は、増殖および/またはサイトカイン産生の亢進をもたらし得る。
CD4+T細胞エピトープはフラビウイルスCD4+T細胞エピトープであり得る。すなわち、CD4+T細胞エピトープは1つ以上のフラビウイルスによって発現され、且つ(i)クラスII MHC分子による提示および(ii)CD4+T細胞上に存在するT細胞受容体(TCR)による認識が可能であるペプチドであり得る。そのようなペプチドは技術上既知である。
CD4+T細胞エピトープは、フラビウイルスCD4+T細胞エピトープ以外のCD4+T細胞エピトープであり得る。たとえば、CD4+T細胞はフラビウイルス以外の生物によって発現され得る。CD4+T細胞エピトープは、たとえば、Clostriudium tetaniによって発現され得る。たとえば、CD4+T細胞エピトープは破傷風毒素に由来し得る。
CD4+T細胞エピトープは、全てのクラスII HLA型と反応するCD4+T細胞エピトープ、すなわちいわゆる「乱交雑」エピトープであり得る。ワクチン組成物に乱交雑エピトープを含めることは、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドに対する免疫応答を誘導するワクチン組成物の能力を改善し得る。CD4+T細胞エピトープは、たとえば配列FKLQTMVKLFNRIKNNVA(配列番号11)および/または配列LQTMVKLFNRIKNNVAGGC(配列番号12)などを含む。配列番号11および12は破傷風毒素に由来する乱交雑エピトープである。
CD4+T細胞エピトープを含むペプチドは、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドとは異なるペプチドであり得る。CD4+T細胞エピトープは、たとえばワクチン組成物中の追加的ペプチド、すなわち配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含まないペプチドに含まれ得る。上述のように、追加的ペプチドは1つ以上のCD8+T細胞エピトープおよび/または1つ以上のB細胞エピトープさらにはCD4+T細胞エピトープを含み得る。たとえば、追加的ペプチドは1つ以上のフラビウイルスCD8+T細胞エピトープを含み得る。
CD4+T細胞エピトープを含むペプチドは、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドと同じペプチドであり得る。すなわち、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドは、CD4+T細胞エピトープをさらに含み得る。
CD4+T細胞エピトープを含むペプチドがCD8+T細胞エピトープ(配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上など)も含む場合、CD8+T細胞エピトープはCD4+T細胞エピトープ内に入れ子状に配置され得る。CD4+T細胞エピトープは、典型的にはCD8+T細胞エピトープよりも長い。したがって、CD8+T細胞エピトープの一方または双方の末端を延長することにより、その配列がなおCD8+T細胞エピトープを含む、さらに長いCD4+T細胞エピトープをもたらし得る。したがって、CD4+T細胞エピトープは、配列番号1から10に記載され、そのN末端またはC末端が延長されたCD8+T細胞エピトープなどのCD8+T細胞エピトープを含み得る。CD8+T細胞エピトープはそのN末端で1、2、3、4、または5アミノ酸延長され得る。CD8+T細胞エピトープはそのC末端で1、2、3、4、または5アミノ酸延長され得る。好ましくは、CD8+T細胞エピトープはN末端で3アミノ酸、且つC末端で3アミノ酸延長される。しかし、CD8+T細胞エピトープの各末端の延長アミノ酸数が同じである必要はない。
CD4+T細胞エピトープ内に入れ子状に配置されたCD8+T細胞エピトープは、頑健なCTL応答を生成することが可能であり得る。延長ペプチド(CD4+T細胞エピトープ)は、Tヘルパー媒介サイトカイン応答を誘導することが可能であり得る。したがって、CD8+T細胞エピトープおよびCD4+T細胞エピトープを含むフラビウイルスペプチドをワクチン組成物に含めることで、ワクチン組成物が細胞傷害性応答およびヘルパーT細胞応答の双方を誘導することが可能となり得る。
CD4+T細胞エピトープを含むフラビウイルスペプチドはナノ粒子と結合し得る。CD4+T細胞エピトープを含むペプチドが、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドと異なるペプチドである場合、各ペプチドが同じナノ粒子、または異なるナノ粒子と結合し得る。ナノ粒子は金ナノ粒子であり得る。ナノ粒子およびこれとの結合は後述される。
(B細胞エピトープ)
本発明のワクチン組成物は、B細胞エピトープを含むペプチドを含み得る。ワクチン組成物は、B細胞エピトープを含むペプチドを2つ以上、たとえば3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、15以上、または20以上含み得る。B細胞エピトープは、B細胞上に存在するB細胞受容体(BCR)による認識が可能なペプチドである。好ましくは、BCRによる認識はB細胞の活性化および/または成熟をもたらす。B細胞活性化は増殖、および/または抗体産生の亢進をもたらし得る。
B細胞エピトープはフラビウイルスCD4+T細胞エピトープであり得る。すなわちB細胞エピトープは、1つ以上のフラビウイルスによって発現され、且つB細胞上に存在するB細胞受容体(BCR)による認識が可能なペプチドであり得る。そのようなペプチドは技術上既知である。
B細胞エピトープは線型エピトープ、すなわちフィロウイルスタンパク質の特定領域のアミノ酸一次配列によって定義されるエピトープであり得る。またその代わりに、エピトープは高次構造的エピトープ、すなわち天然フラビウイルスタンパク質の高次構造によって定義されるエピトープであり得る。この場合、エピトープは連続的(すなわち抗体と相互作用するコンポーネントがタンパク質上で互いに隣接して連続的に位置する)、または非連続的(すなわち抗体と相互作用するコンポーネントがタンパク質上の異なる部分に位置し、折りたたまれた天然タンパク質構造において互いに近づく)であり得る。
典型的には、B細胞エピトープは約5から20アミノ酸長、たとえば6から19、7から18、8から17、9から16、10から15、11から14または12から13アミノ酸長である。
B細胞エピトープを同定する方法も技術上既知である。たとえば、エピトープマッピング法を用いてB細胞エピトープを同定し得る。これらの方法は、既知のまたはモデル化したタンパク質の構造をアルゴリズムベースのアプローチに用いて表面エピトープを予測する構造的アプローチ、およびタンパク質全体、タンパク質フラグメントまたはペプチドと抗体との結合を、たとえば酵素結合免疫測定法(ELISA)などを用いて定量化することのできる機能的アプローチを含む。競合的マッピング、抗原修飾またはタンパク質フラグメント化法も用いることができる。
(ナノ粒子)
本発明のワクチン組成物においては、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドがナノ粒子と結合され得る。また、ワクチン組成物にさらに含まれる他の任意のペプチドも、ナノ粒子と結合され得る。たとえば金ナノ粒子などのナノ粒子との結合は有益である。
上記のように、および以下の実施例で証明されるように、ペプチドのナノ粒子(金ナノ粒子など)との結合は、ワクチン組成物にウイルスまたはアジュバントを含める必要性を低減または除外する。ナノ粒子は、ペプチドに対する免疫応答を効率的に誘導することを促進する免疫的「危険信号」を含み得る。ナノ粒子は、頑健な免疫応答に必要とされる樹状細胞(DC)の活性化および成熟を誘導し得る。ナノ粒子は、抗原提示細胞などの細胞によるナノ粒子の取り込みを改善しかつこれによりペプチドの取り込みを改善する非自己コンポーネントを含み得る。したがって、ペプチドのナノ粒子との結合は、抗原提示細胞がウイルス特異的Tおよび/またはB細胞を刺激する能力を促進し得る。またナノ粒子との結合は皮下、皮内、経皮および経口/バッカル経路からのワクチン組成物の送達も促進し、投与における融通性を提供する。
ナノ粒子は,リガンドを固定するための基質として用いることのできる1から100ナノメートル(nm)のサイズの粒子である。本発明のワクチン組成物においては、ナノ粒子は1から100、20から90、30から80、40から70または50から60nmの平均直径を有し得る。好ましくは、ナノ粒子は20から40nmの平均直径を有する。20から40nmの平均直径は、ナノ粒子のサイトゾルへの取り込みを促進する。平均直径は、透過電子顕微鏡などの技術上周知の技術を用いて測定することができる。
フラビウイルスペプチドなどの抗原の送達に適したナノ粒子は技術上既知である。そのようなナノ粒子を生成するための方法も既知である。
ナノ粒子は、たとえばポリマーナノ粒子、無機ナノ粒子、リポソーム、免疫刺激複合体(ISCOM)、ウイルス様粒子(VLP)、または自己集合タンパク質などであり得る。ナノ粒子は、好ましくはリン酸カルシウムナノ粒子、シリコンナノ粒子または金ナノ粒子である。
ナノ粒子はポリマーナノ粒子であり得る。ポリマーナノ粒子は、ポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)、ポリ(d,l−乳酸−コグリコール酸)(PLGA)、ポリ(g−グルタミン酸)(g−PGA)mポリ(エチレングリコール)(PEG)、またはポリスチレンなどの1つ以上の合成ポリマーを含み得る。ポリマーナノ粒子は、たとえばプルラン、アルギン酸、イヌリンまたはキトサンなどの多糖類などの1つ以上の天然ポリマーを含み得る。ポリマーナノ粒子の使用は、ナノ粒子に含まれ得るポリマーの特性から有利であり得る。たとえば、上に列挙した天然および合成ポリマーは、良好な生体適合性および生分解性、無毒性および/または操作されて所望の形状およびサイズとなる能力を有し得る。ポリマーナノ粒子はハイドロゲルナノ粒子を形成し得る。ハイドロゲルナノ粒子はナノサイズ親水性3次元ポリマーネットワークの一種である。ハイドロゲルナノ粒子は、融通性のあるメッシュサイズ、多価コンジュゲーションのための大きな表面積、高い水分含有量、および高い抗原装填能力を含む好ましい特性を有する。ポリ(L−乳酸)(PLA)、PLGA、PEGおよび多糖類などのポリマーは、ハイドロゲルナノ粒子を形成するのに特に適している。
ナノ粒子は無機ナノ粒子であり得る。典型的には、無機ナノ粒子は強固な構造を有し且つ非生分解性である。しかし、無機ナノ粒子は生分解性であり得る。無機ナノ粒子は、その中に抗原がカプセル化され得るシェルを含み得る。無機ナノ粒子は、そこに抗原が共有結合し得るコアを含み得る。コアは金属を含み得る。たとえば、コアは金(Au)、銀(Ag)または銅(Cu)原子を含み得る。コアは、2種類以上の原子から形成され得る。たとえば、コアはAu/Ag、Au/Cu、Au/Ag/Cu、Au/Pt、Au/PdまたはAu/Ag/Cu/Pdの合金などの合金を含み得る。コアはリン酸カルシウム(CaP)を含み得る。コアは、たとえばセレン化カドミウムなどの半導体材料を含み得る。
他の典型的な無機ナノ粒子は、カーボンナノ粒子およびシリカベースナノ粒子を含む。カーボンナノ粒子は良好な生体適合性を有し且つ合成してナノチューブおよびメソポーラス球とすることができる。シリカベースナノ粒子(SiNP)は生体適合性であり、且つ調整可能な構造パラメーターで調製してその治療的用途に適合させることができる。
ナノ粒子は、シリコン元素ナノ粒子などのシリコンナノ粒子であり得る。ナノ粒子はメソポーラスであり得るか、またはハニカム孔構造を有し得る。好ましくは、ナノ粒子はハニカム孔構造を有するシリコン元素粒子である。そのようなナノ粒子は技術上既知であり、ほぼ任意の装填、投与経路、標的または放出プロフィールに適合化可能な、調整および制御可能な薬剤装填、標的化および放出を提供する。たとえば、そのようなナノ粒子はその装填物のバイオアベイラビリティを高め、且つ/または経口投与した活性体の腸透過性および吸収を改善し得る。ナノ粒子は、その多孔性構造および大きな表面積によって、例外的に高い装填能力を有し得る。ナノ粒子は、その物理的特性に応じて、その装填物を数日間、数週間または数ヶ月間にわたって放出し得る。シリコンは人体の天然元素であるので、ナノ粒子は免疫系からの応答を誘発し得ない。これは、ナノ粒子のインビボ安全性にとって有利である。
上記のいずれかのSiNPは、生分解性または非生分解性であり得る。生分解性SiNPは、溶解してシリコンの生体利用可能な形態であるオルトシリック酸(orthosilic acid)となり得る。オルトシリック酸は骨、結合組織、毛髪および肌の健康にとって有益であることが示されている。
ナノ粒子はリポソームであり得る。典型的には、リポソームは生分解性、無毒性リン脂質から形成され、且つ水性コアを伴う自己集合型リン脂質二重層シェルを含む。リポソームは単一リン脂質二重層を含む単層小胞、または水の層で隔てられた数層の同心性リン脂質シェルを含む多重膜小胞であり得る。その結果、リポソームは親水性分子を水性コアに、または疎水性分子をリン脂質二重層に取り込むよう適合化することができる。リポソームは、送達を目的として抗原をコア内にカプセル化し得る。リポソームはウイルスエンベロープ糖タンパク質をシェルに取り込んでビロソームを形成し得る。当技術において数多くのリポソームベース製品が確立され、ヒトへの使用が承認される。
ナノ粒子は免疫刺激複合体(ISCOM)であり得る。ISCOMは、典型的にはコロイドサポニン含有ミセルから形成される籠様粒子である。ISCOMはコレステロール、リン脂質(ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンなど)およびサポニン(樹木Quillaia saponariaに由来するQuil Aなど)を含み得る。ISCOMは、従来、単純ヘルペスウイルス1型、B型肝炎ウイルスまたはインフルエンザウイルスに由来するエンベロープタンパク質などの、ウイルスエンベロープタンパク質を捕捉するために使用されてきた。
ナノ粒子はウイルス様粒子(VLP)であり得る。VLPは感染性核酸が欠如した自己集合型ナノ粒子であり、生体適合性カプシドタンパク質の自己集合によって形成される。VLPは、典型的には直径約20から約150nm、たとえば約20から約40nm、約30から約140nm、約40から約130nm、約50から約120nm、約60から約110nm、約70から約100nm、または約80から約90nmであり得る。VLPは、免疫系との相互作用に対して自然に最適化される、進化したウイルス構造の力を有益に利用する。自然に最適化されたナノ粒子のサイズおよび繰り返し構造の順序は、アジュバントが欠如していてもVLPが強力な免疫応答を誘導することを意味する。
ナノ粒子は自己集合型タンパク質であり得る。たとえば、ナノ粒子はフェリチンを含み得る。フェリチンは、自己集合してほぼ球形の10nm構造となることのできるタンパク質である。ナノ粒子は主要ヴォールトタンパク質(MVP)を含み得る。MVPの96ユニットが自己集合して、幅約40nm長さ約70nmサイズの樽型のヴォールトナノ粒子となることが可能である。
ナノ粒子はリン酸カルシウム(CaP)ナノ粒子であり得る。CaPナノ粒子は、1分子以上(2分子以上、10分子以上、20分子以上、50分子以上、100分子以上、200分子以上、または500分子以上など)のCaPを含むコアを含み得る。CaPナノ粒子およびその生成方法は技術上既知である。たとえば、CAPナノ粒子の安定したナノ懸濁液は、所定の比率のカルシウムとリン酸の無機塩溶液を一定して混合することによって生成され得る。
CaPナノ粒子は、約80から約100nm、たとえば約82から約98nm、約84から約96nm、約86から約94nm,または約88から約92nmの平均粒径を有し得る。この粒径は、免疫細胞取り込みおよび免疫応答の点で、他のより大きな粒径より優れた性能をもたらし得る。粒径は、たとえば1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、または48ヶ月にわたって測定する場合に安定であり得る(すなわち著しい変化を示さない)。
CaPナノ粒子は、ナノ粒子の表面に吸着されたか、または粒子の合成中にCaPと共沈殿した1つまたは複数の抗原と共製剤化することができる。たとえば、フラビウイルスペプチドなどのペプチドは、ペプチドを(たとえば約10mg/mLの濃度で)DMSOに溶解し、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)(たとえば0.093mol/Lおよび超純水と共にCaPナノ粒子の懸濁液に添加し、約4時間の間(たとえば1時間、2時間、3時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間または10時間)室温で混合することによってCaPナノ粒子と結合し得る。
ワクチン組成物は、約0.15から約0.8%、たとえば0.2から約0.75%、0.25から約0.7%、0.3から約0.6%、0.35から約0.65%、0.4から約0.6%、または0.45から約0.55%のCaPナノ粒子を含み得る。好ましくは、ワクチン組成物はCaPナノ粒子を約0.3%含む。
CaPナノ粒子は、骨や歯などのヒト硬組織とのその化学的類似性により高度な生体適合性を有する。したがって、有利なことに、CaPナノ粒子は治療用途に用いるとき無毒性である。CaPナノ粒子は、筋肉内、皮下、経口または吸入経路からの投与について安全である。CaPナノ粒子は商業的に合成する上で簡便でもある。さらに、CaPナノ粒子は抗原の緩徐な放出を伴い、これはナノ粒子と結合したペプチドに対する免疫応答の誘導を促進し得る。CaPナノ粒子は、アジュバント且つ薬剤送達担体として用いられ得る。
ナノ粒子は金ナノ粒子であり得る。金ナノ粒子は技術上既知であり、具体的には国際公開第2002/32404号、国際公開第2006/037979号、国際公開第2007/122388号、国際公開第2007/015105および国際公開第2013/034726号に記載される。各ペプチドと結合した金ナノ粒子は国際公開第2002/32404号、国際公開第2006/037979号、国際公開第2007/122388号、国際公開第2007/015105号、および国際公開第2013/034726のいずれかに記載された金ナノ粒子であり得る。
金ナノ粒子は金(Au)原子を含むコアを含む。コアは1つ以上のFe、CuまたはGd原子をさらに含み得る。コアは、Au/Fe、Au/Cu、Au/Gd、Au/Fe/Cu、Au/Fe/GdまたはAu/Fe/Cu/Gdなどの金合金から形成され得る。コア内の原子の総数は100から500原子、たとえば150から450、200から400または250から350原子などであり得る。金ナノ粒子は1から100、20から90、30から80、40から70または50から60nmの平均直径を有し得る。好ましくは、金ナノ粒子は平均直径20から40nmを有する。
ナノ粒子は、α−ガラクトースおよび/またはβ−GlcNHAcでコーティングされた表面を含み得る。たとえば、ナノ粒子はα−ガラクトースおよび/またはβ−GlcNHAcで不動態化された表面を含み得る。この場合ナノ粒子は、たとえば金属および/または半導体原子を含むコアを含むナノ粒子などであり得る。たとえば、ナノ粒子は金ナノ粒子であり得る。β−GlcNHAcは細菌病原体関連分子パターン(PAMP)であり、これは抗原提示細胞を活性化することができる。このようにして、β−GlcNHAcでコーティングまたは不動態化された表面を含むナノ粒子は、免疫応答を非特異的に刺激し得る。したがって、配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドとそのようなナノ粒子との結合は、本発明のワクチン組成物の個体への投与によって誘発される免疫応答を改善し得る。
当該ペプチド以外の1つ以上のリガンドが、上記のナノ粒子の任意の種類であり得るナノ粒子と結合し得る。リガンドは、コアの表面を部分的にまたは完全に被覆し得る層またはコーティングである「コロナ」を形成し得る。コロナは、ナノ粒子コアを取り囲むかまたは部分的に取り囲む有機層と考え得る。コロナは、ナノ粒子のコアの不動態化を提供するか、またはこれに関与し得る。したがって一定の例においては、コロナはコアを安定化させるのに十分に完全なコーティング層であり得る。コロナは、本発明のナノ粒子の水溶性などの溶解性を促進し得る。
ナノ粒子は少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、または少なくとも50個のリガンドを含み得る。リガンドは1つ以上のペプチド、タンパク質ドメイン、核酸分子、脂質基、炭水化物基、陰イオン基、または陽イオン基、糖脂質および/または糖タンパク質を含み得る。炭水化物基は多糖基、オリゴ糖基または単糖基(グルコースなど)でありえる。リガンドのうち1つ以上は非自己コンポーネントであり得、その病原性コンポーネントとの類似性によりナノ粒子が抗原提示細胞によって取り込まれる可能性を高める。たとえば、1つ以上のリガンドが炭水化物部分(細菌炭水化物部分など)、界面活性物質部分および/またはグルタチオン部分を含み得る。典型的なリガンドはグルコース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、グルタチオン、2’−チオエチル−β−D−グルコピラノシドおよび2’−チオエチル−D−グルコピラノシドを含む。好ましいリガンドは、糖ナノ粒子を形成する糖コンジュゲートを含む。
リガンドのコアとの結合はリンカーによって促進され得る。リンカーはチオール基、アルキル基、グリコール基またはペプチド基を含み得る。たとえば、リンカーはC2〜C15アルキルおよび/またはC2〜C15グリコールを含み得る。リンカーは、コアとの共有結合が可能であるイオウ含有基、アミノ含有基、リン酸含有基または酸素含有基を含み得る。リガンドは、代替的に、たとえばリガンドに含まれるイオウ含有基、アミノ含有基、リン酸含有基または酸素含有基を介してコアと直接結合し得る。
(ナノ粒子との結合)
ペプチドはそのN末端でナノ粒子と結合され得る。典型的には、ペプチドはナノ粒子のコアと結合するが、コロナまたはリガンドとの結合もまた可能であり得る。
ペプチドは、たとえばペプチド内のイオウ含有基、アミノ含有基、リン酸含有基または酸素含有基内の原子と、ナノ粒子またはそのコア内の原子との共有結合などにより、ナノ粒子と直接連結され得る。
リンカーを用いてペプチドをナノ粒子と結合させ得る。リンカーは、コア内の原子との共有結合が可能であるイオウ含有基、アミノ含有基、リン酸含有基または酸素含有基を含み得る。たとえば、リンカーはチオール基、アルキル基、グリコール基またはペプチド基を含み得る。
リンカーはペプチド部分と非ペプチド部分を含み得る。ペプチド部分は、XがAおよびGから選択されるアミノ酸;XがAおよびGから選択されるアミノ酸;且つZがYおよびFから選択されるアミノ酸である配列Xを含み得る。ペプチド部分は配列AAYまたはFLAAYを含み得る。リンカーのペプチド部分はペプチドのN末端と結合し得る。リンカーの非ペプチド部分はC2〜C15アルキルおよび/C2〜C15グリコール、たとえばチオエチル基またはチオプロピル基を含み得る。
リンカーは(i)HS−(CH−CONH−AAY;(ii)HS−(CH−CONH−LAAY;(iii)HS−(CH−CONH−AAY;(iv)HS−(CH−CONH−FLAAY;(v)HS−(CH10−(CHOCH−CONH−AAY;および(vi)HS−(CH10−(CHOCH−CONH−FLAAYであり得る。この場合、リンカーの非ペプチド部分のチオール基はリンカーをコアに結合させる。
ペプチドをナノ粒子と結合するのに適した他のリンカーは技術上既知であり、当業者によって容易に同定および実装されうる。
上記に説明されるように、ワクチン組成物は、配列番号1から9に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上をそれぞれ含む複数のフラビウイルスペプチドを含み得る。ワクチン組成物は、CD4+T細胞エピトープ、B細胞エピトープ、または配列番号1から9に記載されるCD8+T細胞エピトープ以外のCD8+T細胞エピトープなどのエピトープをそれぞれ含む1つ以上の追加的ペプチドを含み得る。したがって、ワクチン組成物は2つ以上のペプチドを含み得る。
ワクチン組成物が2つ以上のペプチドを含む場合、ペプチドのうち2つ以上(3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、または20以上など)は同じナノ粒子と結合されうる。ペプチドのうち2つ以上(3つ以上、4つ以上、5つ以上、10以上、または20以上など)は異なるナノとそれぞれ結合され得る。しかし、ペプチドが結合するナノ粒子は同じ種類のナノ粒子であり得る。たとえば、各ペプチドは金ナノ粒子と結合され得る。各ペプチドはCaPナノ粒子と結合され得る。ペプチドが結合するナノ粒子は、異なる種類のナノ粒子であり得る。たとえば、1つのペプチドが金ナノ粒子と結合され、且つ他のペプチドがCaPナノ粒子と結合され得る。
(医薬品、方法および治療的使用)
本発明は、フラビウイルス感染を予防または治療する方法であって、フラビウイルスに感染したか、またはこれに感染するリスクのある個体に本発明のワクチン組成物を投与することを含む方法を提供する。また本発明は、個体におけるフラビウイルス感染を予防または治療する方法における使用を目的とした本発明のワクチン組成物も提供する。
たとえば、フラビウイルス感染はジカウイルス感染、デングウイルス感染、西ナイルウイルス感染、黄熱病ウイルス感染、セントルイス脳炎ウイルス感染、日本脳炎ウイルス感染、マレー渓谷脳炎ウイルス感染、ダニ媒介性脳炎ウイルス感染、Kunjin脳炎ウイルス感染、ロシオ脳炎ウイルス感染、ロシア春夏脳炎ウイルス感染、Negeishiウイルス感染、キャサヌール森林感染、オムスク出血熱ウイルス感染、ポワッサンウイルス感染、跳躍病ウイルス感染、リオブラボーウイルス感染、チュレーニーウイルス感染、ウンタヤウイルス感染またはモドックウイルス感染などであり得る。ジカウイルス感染は、たとえば、アフリカジカウイルス感染またはアジアジカウイルス感染であり得る。デングウイルスは、たとえば、DENV−1感染、DENV−2感染、DENV−3感染またはDENV−4感染であり得る。
ワクチン組成物は医薬組成物として提供され得る。医薬組成物は、好ましくは医薬として許容できる担体または希釈液を含む。医薬組成物は任意の適切な方法を用いて製剤化され得る。標準的な医薬として許容できる担体および/または添加剤を用いた細胞の製剤化は、医薬技術において常用的な方法を用いて遂行され得る。製剤の厳密な性質は、投与しようとする細胞および所望の投与経路を含む数種類の因子に依存するであろう。適切な製剤の種類は、『レミントン薬剤学』第19版、マック出版、米国東ペンシルバニアに完全に記載されている。
ワクチン組成物または医薬組成物は任意の経路によって投与され得る。適切な経路は静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、皮内、経皮および経口/バッカル経路を含むが、これに限定されない。
組成物は、生理学的に許容できる担体または希釈液と共に調製され得る。典型的には、そのような組成物はペプチドおよびまたはペプチド結合ナノ粒子の液状懸濁液として調製される。ペプチドおよび/またはペプチド結合ナノ粒子は、医薬として許容でき且つ有効成分と適合する添加剤と混合され得る。適切な添加剤は、たとえば水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールなど、およびその組み合わせである。
さらに所望される場合、医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、および/またはpH緩衝化剤などの少量の補助物質を含み得る。
ペプチドまたはペプチド結合ナノ粒子は、投与製剤と適合する方法で投与され、且つそのような量で治療的に有効であろう。投与しようとする量は、治療しようとする対象、治療しようとする疾患、および対象の免疫系の能力に依存する。投与する必要のあるナノ粒子の正確な量は、臨床家の判断に依存し、且つ各対象に特有であり得る。
任意の適切な数のペプチドまたはペプチド結合ナノ粒子が対象に投与され得る。たとえば、少なくとも、または約0.2×10、0.25×10、0.5×10、1.5×10、4.0×10または5.0×10個/患者体重kgのペプチドまたはペプチド結合ナノ粒子を投与し得る。たとえば、少なくとも、または約10、10、10、10、10個のペプチドまたはペプチド結合ナノ粒子が投与され得る。目安として、投与しようとするペプチドまたはペプチド結合ナノ粒子の数は10から10、好ましくは10から10であり得る。
開示された生成物および方法の異なる用途は、技術上の特定のニーズに適合化され得ることを理解すべきである。本願で用いる用語は本発明の具体的な実施形態を記述することのみを目的とし、制限することを意図していないことも理解すべきである。
さらに、本明細書および付属の請求項に用いられるように、文脈より別段明示されない限り、単数形「a」、「an」および「the」は複数の指示対象を含む。したがって、たとえば、「1つのペプチド」への言及は「複数のペプチド」を含み、「1つのナノ粒子」への言及は2つ以上のそのようなナノ粒子を含むなどである。
本願に引用する全ての出版物、特許および特許明細書は、上記であれ下記であれ、その全文を参照文献として本願に援用する。
以下の実施例は本発明を例示する。
(CD8+T細胞エピトープの同定)
(細胞株)
ATCCよりHepG2肝癌細胞を入手し、DMEM:F12(メディアテック、バージニア州マナッサス)で維持した。培地に10%ウシ胎児血清、L−グルタミン(300mg/mL)、非必須アミノ酸(1×濃度)、0.5mMピルビン酸ナトリウム、ペニシリンおよびストレプトマイシン(1×濃度、添加物はメディアテックより購入)を添加した[完全培地]。加湿インキュベーターにおいて細胞を5%CO、37℃で維持した。
(MHCペプチド分析用サンプルの調製)
HepG2細胞を約1E9細胞まで増殖させた。次に、これらの細胞をジカウイルスまたはデングウイルスにそれぞれ5MOIで感染させた。1時間パルス後、ウイルスを洗い流し、細胞を37℃で72時間インキュベートした。この時点で細胞を回収し、MHCペプチド分析用に処理した。
(MHCクラスI結合ペプチドの単離、精製および分画化)
感染細胞を、1.0%NP40を含有するバッファー中でホモジナイゼーションおよび凍結/解凍により溶解した。2000rpmで30分間遠心分離して細胞デブリを除去することにより、ライセートを清澄化した。W6/32抗体(汎MHCクラスI分子を認識するモノクローナル抗体)でコーティングしたプロテインA/Gビーズ(UltraLink Immobilized Protein A/G,pierce、イリノイ州ロックフォード)を用いたイムノアフィニティークロマトグラフィーにより、MHC/ペプチド複合体を単離した。400μLプロテインA/Gビーズを低pHバッファーで洗浄した後、PBSですすいだ。次に、ビーズを抗体0.5mgと共に室温で2時間インキュベートした。標識したビーズを3回洗浄して未結合抗体を除去し、さらに調製した細胞ライセートに抗体コーティングビーズを添加した。連続的に振盪しながら室温で2時間インキュベートした後、1000rpmで5分間遠心分離することによりビーズをライセートから分離した。0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)、pH1.5を添加することにより、結合したMHC複合体をビーズから溶離した。次に、溶離液を85℃で15分間加熱して結合したペプチドをMCH分子から解離させた。溶液を室温まで冷却した後、アミコンウルトラ3kDa分子量カットオフメンブランフィルター(ミリポア)を用いた遠心分離によりペプチドを抗体から分離した。真空遠心分離を用いて濾液を濃縮した後、再溶解して最終体積100μLとした。精製されたペプチド混合物を、オフラインアルティメット3000HPLC(ダイオネクス、カリフォルニア州サニーベール)を用いたC−18逆相(RP)カラム(直径4.6nm×長さ150mm)を用いて分画化した。移動相Aは2%アセトニトリル(ACN)および0.1%ギ酸水溶液(FA)である一方、移動相Bは0.1%FAおよび90%ACN水溶液であった。その後、バッファーBの5から80%リニアグラジエント80分間、流量200μL/分でペプチドをカラムから溶離した。合計35分画を採取し、減圧下で乾燥させて6μLとしてLC/MS/MS分析した。
(質量分析)
質量分析実験は、LTQ(サーモ)およびナノアルティメットHPLC(ダイオネクス)と接続したオービトラップ機器を用いて遂行した。RP−HPLCで精製したペプチド分画をLC−MS/MS系に個別にインジェクトし、ペプチドの配列を同定した。オンラインサンプルクリーンアップステップの一環として、初めに300μm ID×5mm C18 RPトラップカラム(ダイオネクス、カリフォルニア州サニーベール)を用いてペプチドを濃縮した後、流量250nL/分の4%ACN/0.1%FAで平衡させた75μm ID×15cm C18 RP分析カラム(ダイオネクス、カリフォルニア州サニーベール)で分離した。移動相Aは2%ACNおよび0.1%FA水溶液である一方、移動相Bは0.1%FAおよび90%ACN水溶液であった。ペプチドはBの4から50%グラジエントで60分間および50%から80%グラジエントで90分間分離し、質量分析計に直接溶離した。質量範囲はMSモードで350Daから1500Daであり、MS/MSモードでは100Daから1500Daに設定された。ペプチドはデータ依存的方法を用いて分析した。取得されたスペクトルデータを、プロテオームディスカバラー(サーモ)を用いてデング(DV1〜4血清型)タンパク質データベースと比較して検索し、データを解釈してペプチド配列を導出した。
(合成ペプチドによるペプチドの検証)
本試験において同定されたペプチドの検証を目的とした合成ペプチドは、ジェンスクリプト社(ニュージャージー州ピスカタウェイ)から入手した。次に、合成ペプチドを上記と同一の実験条件下でLC−MS/MS分析に付し、そのMS/MSスペクトルに基づいてその配列を確認した。そのMS/MSスペクトルをその合成アナログのスペクトルと比較して、候補配列を確認した。
(結果)
上述の方法を用いて同定したフラビウイルスペプチドを表2に示す。
Figure 2021519762
(方法)
健常(ナイーブ)ヒトHLA−A2+ドナー由来の末梢血単核球を用いて、エピトープ特異的CTLを生成した。初めに、GM−CSFおよびIL−4含有培地で培養したPBMSの接着性集団からDCを生成した。この方法で得られたDC(未熟DS)にペプチド(個別にP1からP5)またはナノ粒子コンジュゲートペプチド(個別にP1からP5)をパルス投与した。両群にミクログロブリンを添加した。24ウェルプレート内の10%FBSおよび組換えヒトIL−7を添加した完全RPMIで、CD8+T細胞とDCの比率20:1でCD8+T細胞をDCと共培養した。再刺激を3から4ラウンド実施した後、CTL応答について培養を分析した。
以下の測定法において、この方法に従って生成された活性化T細胞を、フラビウイルスペプチド装填T2細胞、およびフラビウイルス感染HepG2細胞を標的とした細胞傷害性活性について試験した:ELSpotによるIFN−γおよびグランザイム−B産生;MAGPIX測定法によるサイトカイン分泌;フローサイトメトリーによるCD107a共発現。
(インビトロでのCTL応答の刺激)
健常(ナイーブ)ヒトHLA−A2ドナー由来の末梢血単核球(PBMC)を、サイトカインカクテル中でペプチドP1からP5(個別)で刺激し、抗原特異的CTL応答を誘導した。ペプチド装填量を変えながら、プール遊離ペプチド(FP)によりHLA−A2PBMCを計4回刺激した。
その後、未感染、感染またはペプチド装填標的と共培養することによって、これらの刺激されたPBMCを抗原特異的応答について測定した。ペプチド装填にはTAP−欠損細胞(T2)を用い、ブランクT2細胞を対照として用いた。活性化したPBMCを、インターフェロンγ(IFN−γ)マーカーおよびCD107a脱顆粒の双方についてフローサイトメトリーで測定した。
結果を図1から4に示す。
トランスジェニックA2マウスをNP−デングペプチド200ngで免疫した。脾細胞を単離した後、ジカまたはデング感染細胞のいずれかに曝露した。図5は、HepG2標的細胞が、トランスジェニックA2マウス由来の脾細胞を刺激することのできるペプチドクラスI標的を含むことを示す。ペプチドの酸ストリッピングにより細胞は無反応となる。同様に、図6に示すように、HepG2細胞のフラビウイルス感染により自己ペプチドが置換され、細胞表面上のウイルス由来ペプチドの露出がもたらされる。図6は、非免疫マウス由来の脾細胞がデングまたはジカ感染細胞に反応しないことを示す。対照的に、NP−デングまたはNP−ジカペプチドで免疫されたA2マウスは、デングまたはジカ感染HepG2細胞のいずれも死滅させることができる。
(インビトロでのCTL応答の刺激)
健常(ナイーブ)ヒトHLA−A24ドナー由来の末梢血単核球(PBMC)を、サイトカインカクテル中でペプチドP1からP5(個別)で刺激し、抗原特異的CTL応答を誘導する。ペプチド装填量を変えながら、プール遊離ペプチド(FP)によりHLA−A24PBMCを計4回刺激する。
その後、未感染、感染またはペプチド装填標的と共培養することによって、これらの刺激されたPBMCを抗原特異的応答について測定する。ペプチド装填にはTAP−欠損細胞(T2)を用い、ブランクT2細胞を対照として用いる。活性化したPBMCを、インターフェロンγ(IFN−γ)マーカーおよびCD107a脱顆粒の双方についてフローサイトメトリーで測定する。
(デキストラマー試験)
デキストラマー試薬を蛍光標識して用い、細胞懸濁液および固形組織サンプル中の抗原特異的T細胞を検出する。PBMCまたは脾細胞にMHCデキストラマーを添加する。その後、適切な蛍光色素でコンジュゲート化した抗CD8抗体の至適量を添加する。他の適切な蛍光色素でコンジュゲート化した追加的抗体(抗CD3または抗CD4抗体など)も、このステップで添加し得る。その後、フローサイトメーターで細胞を分析する。
(インビボCTL試験)
HLA A2/A24トランスジェニックマウス(各群5〜6匹)を、モンタニド−51アジュバントと混合しているか、またはしていない遊離合成ペプチドまたはナノ粒子−ペプチドコンジュゲートで、皮下および皮内投与経路で2週間おきに3回免疫する。最終追加免疫より7日後に脾臓および流入領域リンパ節をCTL分析用に採取した。リンパ器官より単一細胞懸濁液を調製し、培養中で細胞をペプチド抗原で7日間刺激した。以下の測定法において、フラビウイルスペプチド装填T2細胞およびフラビウイルス感染HepG2細胞を標的して用い、エピトープ特異的CTL応答について、再活性化T細胞を試験した:ELSpotによるIFN−γおよびグランザイム−Bの産生;MAGPIX測定法によるサイトカイン分泌;フローサイトメトリーによるCD107a共発現。
(養子移入実験)
SCID Beigeマウスにおいて養子移入実験を実施し、HLA−A2トランスジェニックマウスにおいて生成されたペプチド特異的CTLが、フラビウイルス感染細胞に対してインビボ細胞傷害性効果を有するか否か検討する。SCID Beigeマウスに感染肝腫瘍懸濁液を皮下または静脈内注射した後、トランスジェニックA2マウスにおいてペプチド−NP構築物に対して生成されたペプチド特異的CTLの単回または複数回養子移入を実施する。適切な対象を用いる。マウスの生存期間をモニタリングする。

Claims (21)

  1. 配列番号1から10に記載されるCD8+T細胞エピトープのうち1つ以上を含むフラビウイルスペプチドを含むワクチン組成物。
  2. 請求項1の前記ワクチン組成物であって、前記フラビウイルスペプチドがナノ粒子と結合する前記ワクチン組成物。
  3. 請求項2の前記ワクチン組成物であって、前記ナノ粒子が金ナノ粒子、リン酸カルシウムナノ粒子またはシリコンナノ粒子である前記ワクチン組成物。
  4. 請求項3の前記ワクチン組成物であって、前記金ナノ粒子がα−ガラクトースおよび/またはβ−GlcNHAcでコーティングされる前記ワクチン組成物。
  5. 請求項2から4のうちいずれか1つの前記ワクチン組成物であって、前記フラビウイルスペプチドがリンカーを介して前記ナノ粒子と結合する前記ワクチン組成物。
  6. 前述の請求項のうちいずれか1つの前記ワクチン組成物であって、異なるCD8+T細胞エピトープをそれぞれ含む2つ以上のフラビウイルスペプチドを含む前記ワクチン組成物。
  7. 請求項6の前記ワクチン組成物であって、前記の2つ以上のフラビウイルスペプチドが配列番号1から10に記載される前記ペプチドのうち2つ以上である前記ワクチン組成物。
  8. 請求項6または7の前記ワクチン組成物であって、前記2つ以上のフラビウイルスペプチドのそれぞれがナノ粒子と結合する前記ワクチン組成物。
  9. 前述の請求項のうちいずれか1つの前記ワクチン組成物であって、それぞれが異なるHLAスーパータイプと相互作用するCD8+T細胞エピトープを含む、少なくとも2つのフラビウイルスペプチドを含む前記ワクチン組成物。
  10. 前述の請求項のうちいずれか1つの前記ワクチン組成物であって、少なくとも2つの異なるHLAスーパータイプと相互作用するCD8+T細胞エピトープを含む少なくとも1つのフラビウイルスペプチドを含む前記ワクチン組成物。
  11. 請求項9または10の前記ワクチン組成物であって、前記の少なくとも2つの異なるHLAスーパータイプがHLA−A1、HLA−A2、HLA−A3、HLA−A24、HLA−B7、HLA−B8、HLA−B27、HLA−B44、HLA−B58およびHLA−B62から選択される前記ワクチン組成物。
  12. 請求項11の前記ワクチン組成物であって、前記の少なくとも2つの異なるHLAスーパータイプがHLA−A2およびHLA−A24である前記ワクチン組成物。
  13. 前述の請求項のうちいずれか1つの前記ワクチン組成物であって、前記CD8+T細胞エピトープがフラビウイルス間で維持される前記ワクチン組成物。
  14. 前述の請求項のうちいずれか1つの前記ワクチン組成物であって、前記CD8+T細胞エピトープがジカウイルス、西ナイルウイルス、および/またはデングウイルスの間で維持される前記ワクチン組成物。
  15. 前述の請求項のうちいずれか1つの前記ワクチン組成物であって、CD4+T細胞エピトープを含むペプチドを含む前記ワクチン組成物。
  16. 請求項15の前記ワクチン組成物であって、前記CD4+T細胞エピトープが全てのHLAクラスII型と相互作用する前記ワクチン組成物。
  17. 請求項15または16の前記ワクチン組成物であって、前記CD4+T細胞エピトープが配列番号10または11に記載される配列を含む前記ワクチン組成物。
  18. フラビウイルス感染を予防または治療する方法であって、フラビウイルスに感染しているか、またはこれに感染するリスクのある個体に前述の請求項のうちいずれか1つの前記ワクチン組成物を投与することを含む前記方法。
  19. 個体におけるフラビウイルス感染を予防または治療する方法における使用を目的とした請求項1から17のうちいずれか1つの前記ワクチン組成物。
  20. 前記の請求項18の方法または請求項19のワクチン組成物であって、前記フラビウイルス感染がジカウイルス感染、西ナイルウイルス感染、および/またはデングウイルス感染である前記方法またはワクチン組成物。
  21. 請求項20の前記方法またはワクチン組成物であって:
    (a) 前記ジカウイルス感染がアフリカジカウイルスまたはアジアジカウイルス感染であり;且つ/または
    (b) 前記デングウイルス感染がデングウイルス1、デングウイルス2、デングウイルス3、またはデングウイルス4感染である前記方法またはワクチン組成物。
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