JP2021519600A - 抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド - Google Patents

抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド Download PDF

Info

Publication number
JP2021519600A
JP2021519600A JP2020554536A JP2020554536A JP2021519600A JP 2021519600 A JP2021519600 A JP 2021519600A JP 2020554536 A JP2020554536 A JP 2020554536A JP 2020554536 A JP2020554536 A JP 2020554536A JP 2021519600 A JP2021519600 A JP 2021519600A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ferritin
influenza
polypeptide
antigenic
cysteine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020554536A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019195284A5 (ja
Inventor
ゲイリー・ジェイ・ナーベル
チィ−ジェン・ウェイ
レベッカ・ルディセル
ニコル・ダリカレレ
カート・スワンソン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanofi SA
Original Assignee
Sanofi SA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanofi SA filed Critical Sanofi SA
Publication of JP2021519600A publication Critical patent/JP2021519600A/ja
Publication of JPWO2019195284A5 publication Critical patent/JPWO2019195284A5/ja
Priority to JP2024006461A priority Critical patent/JP2024041980A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/12Viral antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • A61P31/16Antivirals for RNA viruses for influenza or rhinoviruses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/195Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/555Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by a specific combination antigen/adjuvant
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/555Medicinal preparations containing antigens or antibodies characterised by a specific combination antigen/adjuvant
    • A61K2039/55511Organic adjuvants
    • A61K2039/55555Liposomes; Vesicles, e.g. nanoparticles; Spheres, e.g. nanospheres; Polymers
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/60Medicinal preparations containing antigens or antibodies characteristics by the carrier linked to the antigen
    • A61K2039/6031Proteins
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2760/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses negative-sense
    • C12N2760/00011Details
    • C12N2760/16011Orthomyxoviridae
    • C12N2760/16111Influenzavirus A, i.e. influenza A virus
    • C12N2760/16134Use of virus or viral component as vaccine, e.g. live-attenuated or inactivated virus, VLP, viral protein

Abstract

本開示は、抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド、およびインフルエンザに対する抗体の誘発におけるそれらの使用に関する。

Description

本出願は、その全内容が参照によって本明細書に組み入れられる、2018年4月3日に提出された米国仮特許出願第62/652,204号の利益を主張する。
本出願は、配列表を含有し、それらはASCIIフォーマットで電子提出されており、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。前記ASCIIコピーは、2019年3月18日に作成され、名称は2019−03−18_01121−0034−00PCT_SL.txtであり、サイズは285,731バイトである。
ワクチン学の分野での多くの成功にも関わらず、生命を脅かす多くの感染疾患からヒトを保護するために、新規打開策が必要である。現在認可されている多くのワクチンは、何十年も前の技術に依存して生弱毒化または不活化死菌ワクチンを産生しているが、これらは固有の安全性の懸念を有し、多くの場合、ごく短命な弱い免疫応答を刺激するに過ぎず、複数回用量の投与を必要とする。遺伝子工学および生化学工学の進歩により、難題である疾患標的に対する治療薬を開発することが可能となっているが、ワクチン学の分野へのこれらの応用は、まだ十分に実現されていない。組換えタンパク質技術により、現在では最適な抗原の設計が可能となっている。加えて、ナノ粒子は、最適な抗原提示および標的化薬物送達の潜在性をますます証明している。複数の抗原を付着させたナノ粒子は、それらの分子カーゴの多価ディスプレイによってもたらされる結合アビディティの増加、およびその微視的サイズのために生物学的障壁をより効率的に通過する能力が示されている。インフルエンザウイルス血球凝集素(HA)タンパク質に融合したヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori(H.pylori))フェリチンナノ粒子は、マウスインフルエンザモデルにおいて抗原安定性を改善し、免疫原性を増加させた(非特許文献1を参照されたい)。この融合タンパク質は、8面体の対称性ナノ粒子へと自己集合して8個の3量体HAスパイク構造を提示し、アジュバントと共に使用する場合、様々な前臨床モデルにおいて強力な免疫応答を与える。
インフルエンザは、依然として世界的に深刻な健康上の脅威であり、成人の年間5〜10%が感染し、毎年25〜50万人が死亡している。製造時間が長期であるため、ワクチン株は流行シーズンの半年以上前に選択されなければならず、遺伝的シフトおよびドリフト、ならびに新株の出現により、しばしばミスマッチに悩まされることがある。適切にマッチさせた場合でさえ、現在のワクチンの有効性は50〜60%にすぎない。したがって、ワクチン接種の幅、効力および/または耐久性を増加させることによってワクチンの有効性を改善し、近代的な製造方法を導入することが実質的に必要である。
多くのシーズンで観察されたインフルエンザワクチンの低い有効性の根底にある重要な要因は、ウイルスが、エラーを起こしやすい複製を介して変異する傾向にあり、これにより、ウイルスはワクチン接種された個体における中和抗体の結合を回避することができる。インフルエンザウイルスにおいて保存されたエピトープが存在することは、ウイルスのドリフトに抵抗し得る、幅広く中和するインフルエンザワクチンへの道を示唆する。しかしながら、これらの保存されたエピトープに対する抗体を誘発するためには、これらのエピトープを免疫系に好ましい方法で提示するために組換えタンパク質工学が必要である。例えば、全長血球凝集素(HA)を免疫原として用いる場合、誘発される抗体は、主に、免疫優性であるといわれる非常に可変的な頭部ドメインに結合する抗体である。サブドミナントの高度に保存されたステム領域に対する抗体を誘導するために考案された戦略は、タンパク質工学(非特許文献2を参照されたい)を通じて、HAの頭部を「削り」、残りのタンパク質鎖を結びつけることを伴った。
ここでは、インフルエンザに対するワクチン治療における一連の新たな前進を提示する。操作されたシステインがフェリチン中の表面に露出したアミノ酸を置き換える抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドが開発された。アジュバントなどの免疫刺激性部分は、システインを介して抗原性ポリペプチドにコンジュゲートされた。抗原性ポリペプチドから集合した自己アジュバント性フェリチン粒子は非常に抗原性であった。免疫刺激性部分のフェリチン粒子への直接的なコンジュゲーション、およびインフルエンザポリペプチドへの融合により、単一の巨大分子実体における免疫刺激性部分およびインフルエンザポリペプチドの標的化された同時送達が可能となり、これは、個別の分子として抗原およびアジュバントを含む従来のワクチンに関して懸念される全身毒性の可能性を大幅に減少させることができる。さらに、高分子実体中のインフルエンザポリペプチドと共に免疫刺激性部分を同時送達すること、およびそれらが多価で提示されることもまた、必要なワクチンの全体的な用量を低減させ、製造負荷およびコストを低減させることができる。
Kanekiyoら、Nature 499:102〜106頁(2013) Yassine、Nature Medicine 21(9):1065〜1071頁(2015)
本開示の目的は、上記の利点の1つまたはそれ以上を提供することができる、または有用な選択を公共に少なくとも提供する組成物、キット、方法、および使用を提供することである。したがって、以下の実施形態が本明細書で開示される。
実施形態1は、(I)表面に露出したアミノ酸をシステインに置き換える変異を含むフェリチンタンパク質と、(II)インフルエンザポリペプチドとを含む抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態2は、(I)表面に露出したアミノ酸をシステインに置き換える変異およびシステインにコンジュゲートした免疫刺激性部分を含むフェリチンタンパク質と、(II)インフルエンザポリペプチドとを含む抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態3は、システインを介してフェリチンタンパク質にコンジュゲートした免疫刺激性部分をさらに含む、実施形態1に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態4は、インフルエンザポリペプチドが、血球凝集素(HA)またはノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを含む、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の実施形態の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態5は、HAポリペプチドが保存領域を含む、実施形態4に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態6は、保存領域が、HAのステム領域の全てまたは一部を含む、実施形態5に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態7は、インフルエンザ抗原がY98F変異を含むHA抗原を含む、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態8は、内部システインを非システインアミノ酸に置き換える変異をさらに含む、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態9は、内部システインが、H.ピロリフェリチンの31位、またはペアワイズアライメントまたは構造アライメントによって決定される、H.ピロリフェリチンの31位に対応する位置にあり、場合により、内部システインがセリンに変異している、実施形態8に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態10は、表面に露出したアスパラギンを非アスパラギンアミノ酸に置き換える変異をさらに含み、場合により非アスパラギンアミノ酸がグルタミンである、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態11は、表面に露出したアミノ酸が、H.ピロリフェリチンのE12、S26、S72、A75、K79、S100、もしくはS111の変異、または非H.ピロリフェリチンにおける類似のアミノ酸である、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態12は、表面に露出したアミノ酸の変異が、H.ピロリフェリチンのE12C、S26C、S72C、A75C、K79C、S100C、もしくはS111C、またはペアワイズもしくは構造アライメントによって決定される、非H.ピロリフェリチンにおける類似のアミノ酸である、実施形態11に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態13は、免疫刺激性部分が、TLR7またはTLR8のアゴニストである、実施形態1〜12のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態14は、免疫刺激性部分がTLR9のアゴニストである、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態15は、免疫刺激性部分とフェリチンタンパク質との間にリンカーをさらに含む、実施形態1または3〜14のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態16は、リンカーが、マレイミド部分、ポリエチレングリコール(PEG)部分、およびジベンゾシクロオクチン(DBCO)部分の1つ、2つ、または3つを含む、実施形態15に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態17は、フェリチンタンパク質とインフルエンザポリペプチドとの間にペプチドリンカーをさらに含む、実施形態1〜16のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドである。
実施形態18は、実施形態1〜17のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドを含むフェリチン粒子である。
実施形態19は、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドまたはフェリチン粒子、および薬学的に許容される担体を含む組成物である。
実施形態20は、フェリチンタンパク質および異なるインフルエンザポリペプチドを含む第2の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドをさらに含む、実施形態19の組成物である。
実施形態21は、インフルエンザポリペプチドが、インフルエンザA型に由来し、第2の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドのインフルエンザポリペプチドが、インフルエンザB型に由来するか、またはインフルエンザポリペプチドおよび第2のインフルエンザ−フェリチンポリペプチドのインフルエンザポリペプチドが、サブタイプH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18に由来するか、またはインフルエンザポリペプチドの1つもしくは両方がサブタイプH1、H3、H7、もしくはH10に由来する操作された安定化ステム抗原を含む、実施形態20に記載の組成物である。
実施形態22は、インフルエンザに対する免疫応答を誘発する方法において、またはインフルエンザに感染した対象の保護において使用するための、実施形態1〜21のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド、フェリチン粒子、または組成物である。
実施形態23は、インフルエンザに対する免疫応答を誘発する、またはインフルエンザ感染に対して対象を保護する方法であって、実施形態1〜22のいずれか1つに記載の1つまたはそれ以上の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド、フェリチン粒子、または組成物を対象に投与する工程を含む方法である。
実施形態24は、対象がヒトである、実施形態1〜23のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド、フェリチン粒子、組成物、または方法である。
実施形態25は、場合により核酸がmRNAである、実施形態1〜17のいずれか1つに記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドをコードする核酸である。
追加の目的および利点は、以下の説明に記載され、ならびに/または説明から明白であり、または実践により学ぶことができるであろう。目的および利点は、添付の特許請求の範囲に特に指摘された要素および組合せによって実現および達成される。
前述の一般的説明および以下の詳細な説明は、単なる例示および説明であり、特許請求の範囲を制限するものではない。
本明細書に組み入れられ、本明細書の一部を構成する以下の図面は、特定の実施形態を例証し、説明と共に本明細書に記載する原理を説明するために役立つ。
図1A−1Bは、代表的なH1N1インフルエンザウイルス株の配列比較および相同性を示す図である。(図1A)ベクターNTI AlignXソフトウェアを用いた、候補抗原性HAポリペプチドの配列アライメント。白地に黒:所定の位置で完全に保存された残基に由来するコンセンサス残基。黒地に白:所定の位置で1個の残基が50%を超えて出現することに由来するコンセンサス残基。白地に黒の下線および太字:所定の位置でコンセンサス残基に弱く類似した残基。二重下線およびイタリックの白地に黒:所定の位置で類似した残基のブロックに由来するコンセンサス残基。白地に黒の太字:類似しない残基。示された配列は、以下の配列のHA部分+C末端でのリンカーのセリンである:CA09 HA−Np=配列番号15の残基1〜519。COBRA P1 HA−Np=配列番号27の残基1〜519。COBRA X6 HA−Np=配列番号29の残基1〜518。NC99 HA−Np=配列番号1の残基1〜518。HK77 HA−Np=配列番号18の残基1〜519。FM47 HA−Np=配列番号17の残基1〜519。DV57 HA−Np=配列番号21の残基1〜518。MAL54 HA−Np=配列番号16の残基1〜519。(図1B)列挙されたインフルエンザ株由来のHAタンパク質配列について、近隣結合法(Vector NTI)を用いて作製された樹状図。矢印は、これらの配列からHA−フェリチンナノ粒子を生成し、マウスにおけるそれらの免疫原性を試験することによって評価のための候補として選択された株を示す。 図1−1の続き。 図1−2の続き。 フェリチン上の操作された表面露出システイン(Cys)を示す図である。表面露出アミノ酸を置き換える変異から生じるシステインの位置は、フェリチンナノ粒子との関連で示される。 Toll様受容体(TLR)アゴニストのフェリチンへのコンジュゲーションを示す図である。(図3A)マレイミド反応性基を有するPEG4リンカーを介してフェリチンの表面露出アミノ酸を置き換える変異から生じるシステインへのSM7/8a小分子のコンジュゲーションの結果は、フェリチンナノ粒子との関連において示される。 Toll様受容体(TLR)アゴニストのフェリチンへのコンジュゲーションを示す図である。(図3B)フェリチンの表面露出アミノ酸を置き換える変異から生じるシステインへのCpG(配列番号230)のコンジュゲーションの結果は、2ステップクリックケミストリーを用いたフェリチンナノ粒子との関連において、マレイミド−DBCO二官能性リンカーおよびアジド官能化CpG試薬で示される。 フェリチンに対するToll様受容体(TLR)アゴニストのコンジュゲーションを示す図である。(図4A)マレイミド−DBCO二官能性リンカーおよびアジド官能化3M−012試薬を介した2ステップクリックケミストリー反応を用いて、フェリチンの表面露出システインにコンジュゲートしたHAポリペプチドおよび3M−012を含むフェリチンナノ粒子のモデル。 フェリチンに対するToll様受容体(TLR)アゴニストのコンジュゲーションを示す図である。(図4B)マレイミド−DBCO二官能性リンカーおよびアジド官能化CpG試薬を用いた2ステップクリックケミストリー反応を用いて、フェリチンの表面露出システインにコンジュゲートしたHAポリペプチドおよびCpG(配列番号231)を含むフェリチンナノ粒子のモデル。 特定のフェリチンナノ粒子構築物のフェリチン部分内のトリプシン切断部位を示す図である。いくつかのフェリチンナノ粒子は、アジュバントのコンジュゲーションのための不対表面露出システインに加えてトリプシン切断部位を含む。図5に示されるアミノ酸配列は、複数の構築物に共通の配列を示す「一般化された」配列である。例えば、配列番号14の残基519〜694は、図5に示される「一般化された」配列を含む。「XXX」配列は、インフルエンザポリペプチドを表す。この配列に存在するフェリチンS111C変異の位置もまた示される。 図6A−6Bは、コンジュゲーション有りまたは無しでのゲルシフトおよび質量分析(MS)の結果を示す図である。(図6A)マレイミド−PEG4−SM7/8aへのコンジュゲーションの存在(+)または不存在(−)におけるH1/Stem−Np(配列番号43)のゲルシフトおよび質量分析の結果。(図6B)マレイミド−PEG4−SM7/8aへのコンジュゲーションの存在(+)または不存在(−)におけるH5/hCobra2−Np(配列番号32)のゲルシフトおよび質量分析の結果。 コンジュゲーション有りまたは無しでの、さらなるゲルシフトの結果を示す図である。(図7A)マレイミド−PEG4−SM7/8aへのコンジュゲーションを伴うまたは伴わないペプチドN−グリコシダーゼ(PNGase)処理後のH1/Stem−Npのゲルシフトの結果、またはマレイミド−PEG4−DBCOおよびアジド−CpGを用いる2ステップクリックケミストリーによる結果。 コンジュゲーション有りまたは無しでの、さらなるゲルシフトの結果を示す図である。(図7B)2ステップクリックケミストリーによる、マレイミド−PEG4−SM7/8aまたはマレイミド−PEG4−DBCOおよびアジド−CpGのいずれかへのコンジュゲーション有りまたは無しでの、トリプシン処理後のH1/Stem−Npについてのゲルシフト結果。 マレイミド−PEG4−SM7/8aのH1/Stem−Npへのコンジュゲーション有りまたは無しでの質量スペクトルを示す図である。(図8A)PNGase処理後のMSデータは、マレイミド−PEG4−SM7/8aへのコンジュゲーションの前後におけるH1/Stem−Npの質量を示す。 マレイミド−PEG4−SM7/8aのH1/Stem−Npへのコンジュゲーション有りまたは無しでの質量スペクトルを示す図である。(図8B)H1/Stem−Npをトリプシンで処理した後のMSデータは、マレイミド−PEG4−SM7/8aへのコンジュゲーションの前後における切断されたフェリチンの質量を示す。 マレイミド−PEG4−DBCOリンカーのH1/Stem−Npへのコンジュゲーション有りまたは無しでの質量スペクトルを示す図である。H1/Stem−Npへのマレイミド−PEG4−DBCOリンカー付加をリンカー添加後のMSにより測定した質量変化により確認した。 2ステップクリックケミストリーによるCpGのコンジュゲーションの前およびその種々の段階でのH1/Stem−NpのSDS−PAGEを示す図である。「アジド−CpGコンジュゲーション後」とは、2ステップクリック反応の最終生成物を指す。 3M−012を含むリンカーのNC99 HA−TEV−Np構築物へのコンジュゲーションの特徴付けを示す図である。WTレーンおよび+TEVレーンにおける構築物は、配列番号13の配列を有し、S26Cは、配列番号10を指し、S72Cは、配列番号11を指し、A75Cは、配列番号12を指し、S111Cは、配列番号9を指す。WTを除く全ての試料をタバコエッチ秒ウイルスプロテアーゼ(TEV)で処理した。 図12A−12Eは、還元またはコンジュゲーション有りまたは無しでの、種々の構築物の質量スペクトルを示す図である。(図12A)還元前のS111Cを含むH1/Stem−Np。(図12B)還元後のS111Cを含むH1/Stem−Np。還元後に観察された質量(115Da)の減少は、システインの反応性を阻害する翻訳後修飾の除去と一致する。(図12C)3M012とのコンジュゲーション有りまたは無しでの、NC99 HA−TEV−Np−S26Cナノ粒子(配列番号10)の質量スペクトル。(図12D)3M012へのコンジュゲーション有りまたは無しでの、NC99 HA−TEV−Np−A75Cナノ粒子(配列番号12)の質量スペクトル。(図12E)3M012へのコンジュゲーション有りまたは無しでの、NC99 HA−TEV−Np−S111Cナノ粒子(配列番号9)の質量スペクトル。 図12−1の続き。 図12−2の続き。 図12−3の続き。 図13A−13Fは、SM7/8a、3M012、またはCpGへのコンジュゲーション有りまたは無しでの、H1/Stem−NpまたはNC99 HA−Npのナノ粒子のネガティブ染色電子顕微鏡(EM)画像を示す図である。(図13A)コンジュゲートしていないH1/Stem−Np。(図13B)H1/Stem−Np−SM7/8aコンジュゲート。(図13C)H1/Stem−Np−CpGコンジュゲート。(図13D)NC99 HA−Np(配列番号9)。(図13E)NC99 HA−Np−3M012コンジュゲート。(図13F).NC99 HA−Np−CpGコンジュゲート。 図13−1の続き。 図14A−14Cは、H1/Stem−Np−SM7/8aコンジュゲート(図14A)、H1/Stem−Np−CpGコンジュゲート(図14B)、またはコンジュゲートしていないH1/Stem−Np(図14C)の動的光散乱(DLS)分析を示す図である。 図14−1の続き。 図14−2の続き。 示される混合アジュバントを用いて製剤化された、または図3A−Bに示されるように、PEG4リンカーを介してSM7/8aもしくはCpGなどのTLRアゴニストにコンジュゲートされたH1/Stem−Npに対する抗体応答を示す図である。血清を免疫後5週間(第0週および第3週)でマウス(n=5)から回収し、抗体力価を酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定した。このデータは、H1/Stem−Np−TLR−アゴニストコンジュゲートの自己アジュバント特性を実証する。図15Aは、H1/ニューカレドニア/20/1999 HA三量体に対するELISAを示す。PAA=ポリアクリル酸、混合された等モル=83.3ngのSM7/8a(SM7/8をコンジュゲートしたフェリチンナノ粒子を用いて投与される用量に同等である)、高用量=21.84μg(SM7/8をコンジュゲートしたフェリチンナノ粒子を用いて投与される用量よりも高い)。 示される混合アジュバントを用いて製剤化された、または図3A−Bに示されるように、PEG4リンカーを介してSM7/8aもしくはCpGなどのTLRアゴニストにコンジュゲートされたH1/Stem−Npに対する抗体応答を示す図である。血清を免疫後5週間(第0週および第3週)でマウス(n=5)から回収し、抗体力価を酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定した。このデータは、H1/Stem−Np−TLR−アゴニストコンジュゲートの自己アジュバント特性を実証する。図15Bは、H1/ステム三量体に対するELISAを示す。混合等モル=850ngのCpG(CpGをコンジュゲートしたフェリチンナノ粒子を用いて投与される用量に同等である)、高用量=20μgのCpG。 図16A−16Cは、コンジュゲートされたまたは分離した3M−012(配列番号9)有りまたは無しでの、NC99 HA−Npを用いて得られた力価の比較を示す図である。NC99 HA−Np−3M012をコンジュゲートしたナノ粒子(0.22μg/用量)に対する抗体応答をマウスにおいて試験した。混合対照には、HA−Np(0.22μg/用量)と10μgの3M012(典型的な文献用量)の混合物、およびHA−Np(0.22μg/用量)と1.7ngの3M012(コンジュゲートと等モルマッチ)の混合物が含まれた。追加の対照には、一致したHA含量(0.17μgのHA/用量)で投薬される、コンジュゲートされていないHA−NpおよびIIVが含まれた。ELISAエンドポイント力価(図16A)、偽ウイルス(PsV)中和IC50力価、および(図16B)血球凝集阻害(HAI)力価(図16C)に基づいて、HA−Np−3M012コンジュゲートは、等モル混合対照よりも有意に強い抗体応答を誘導した。コンジュゲートされたナノ粒子はまた、コンジュゲートされていないナノ粒子およびIIV標準治療よりも強い応答(ELISA)および強い中和抗体応答(PsV)を誘導したが、この結果は、HAIアッセイでは統計学的に有意ではなかった。アッセイは、ブーストの2週間後からの血清のものである。全試料を3重にして実験した。中央値±SEMをグラフにする。****p<0.0001、***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図16−1の続き。 図17A−17Cは、コンジュゲートされたまたは分離したCpG(配列番号9)有りまたは無しでの、NC99 HA−Npを用いて得られた力価の比較を示す図である。HA−Np−CpGをコンジュゲートしたナノ粒子(0.22μg/用量)に対する抗体応答をマウスにおいて試験した。混合対照には、HA−Np(0.22μg/用量)と20μgのCpG(典型的な治療用量)の混合物、およびHA−Np(0.22μg/用量)と21ngのCpG(コンジュゲートと等モルマッチ)の混合物が含まれた。追加の対照には、一致したHA含量(0.17μgのHA/用量)で投薬される、コンジュゲートされていないHA−NpおよびIIVが含まれた。ELISAエンドポイント力価(図17A)および偽ウイルス中和IC50力価(図17B)に基づいて、コンジュゲートは、マッチさせた混合物、コンジュゲートされていない粒子、またはIIVよりも強い結合および中和抗体応答を誘導した。また、HA−Np−CpGコンジュゲートは、等モル混合対照よりも有意に強いHAI力価(図17C)を誘導した。さらに、HAI力価は、コンジュゲートされていないHA−FerrおよびIIVよりも2.6倍および3.0倍高かったが、これらの結果は有意ではなかった。ELISAおよびPsVアッセイは、ブーストの2週間後の血清のものであり、HAIアッセイは、ブーストの5週間後の血清のものであった。全試料を3重にして実験し、中央値±SEMをグラフにした。****p<0.0001、***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図17−1の続き。 図18A−18Cは、6つの進化的に分岐したH1血球凝集素(HA)抗原および2つの計算的に生成した(COBRA)抗原に由来する自己集合HA−フェリチンナノ粒子の特徴付けを示す図である。(図18A)ナノ粒子サイズおよび多分散性(「分散性」)は、動的光散乱(DLS)によって測定された。(図18B)HA−ナノ粒子の純度は、SDS−PAGEクーマシー染色により評価された。(図18C)ナノ粒子の完全性は、80,000倍のネガティブ染色電子顕微鏡により可視化された。FM47=A/フォートモンマス/1−JY2/1947、MAL54=A/マレーシア/302/1954、DV57=A/デンバー/1957(DV57)、HK77=A/香港/117/1977、NC99=A/ニューカレドニア/20/99、CA09=A/カリフォルニア/4/2009。COBRA P1およびCOBRA X6は、Carter DMら、J Virol 90:4720〜4734頁(2016)によって最近記載された複数の配列から計算により生成されたコンセンサスである。配列番号については、図1A〜図1Bの凡例を参照されたい。 図18−1の続き。 図19A−19Hは、種々のHA−フェリチンナノ粒子によって誘発される免疫応答の効力および幅を示す図である(配列番号については図1A〜図1Bの凡例を参照されたい)。示されたHA−Npワクチンを用いた免疫から6週間後のマウス由来血清の血球凝集阻害(HAI)力価(log)を多様なH1N1インフルエンザウイルスのパネルに対してアッセイした。マウス(n=5)を第0週および第3週に血球凝集素ナノ粒子(HA−Nps)を用いて免疫した。破線は、アッセイの検出限界を示す。(図19A〜19E)Ribiアジュバントを用いたデータ。(図19F〜19H)AF03アジュバントを用いたデータ。x軸は、基準年(1934〜2013年)のH1N1インフルエンザ株のパネルを示す。表2は、各年に対応する株の完全な名称を示す。アスタリスクは、適合株を示す。 図19−1の続き。 図19−2の続き。 図19−3の続き。 図20A−20Fは、HA−フェリチンナノ粒子によって誘導されるHA抗体応答を示す図である。(図20A)マウス[n=5]を、Sigmaアジュバントシステム(カタログ番号 S6322)を使用して、特定のナノ粒子またはナノ粒子の組合せを用いて免疫した。IIVとは、インフルエンザ不活化ワクチンを指す。(図20B−F)抗体応答は、A/フォートモンマス/1/1947(図20B)、A/マレーシア/302/1954(図20C)、A/香港/117/1977(図20D)、A/ニューカレドニア/20/99(図20E)、またはA/カリフォルニア/4/2009(図20F)からHA三量体に対するELISA力価を決定することによって測定された。ELISA力価は、最初の免疫の5週間後に測定された。試験した血清希釈の最低値は、点線で示されるように検出のアッセイ限界を設定する。白丸は、マウスに投与されたナノ粒子の起源の株とELISAによりアッセイされた株との間の一致を示す。 図20−1の続き。 図20−2の続き。 図21A−21Hは、HAI力価のアッセイで測定した、マウスに投与された複数のフェリチンナノ粒子のHA混合物に対する抗体応答を示す図である。(図21A〜21B)二価の組合せ。(図21C〜21E)三価の組合せ。(図21F〜21H)四価の組合せ。一連の分岐型H1N1インフルエンザウイルスのHAI力価(log)をアッセイした。マウス(n=5)を第0週および第3週にアジュバントを用いて、示されたHA−ナノ粒子の組合せで免疫した。二価組合せCOBRA X6+COBRA P1 HA−Npsは、一価COBRA HA−Npの評価と一致させるために、AF03アジュバントを用いて試験された。同様に、個々の株HA−フェリチンナノ粒子の組合せは、一価の個々の株HA−Npsの評価と一致させるためにRibiアジュバントを使用された。アスタリスクは、マウスに投与されたナノ粒子の起源の株とELISAによりアッセイされた株との間の一致を示す。x軸は、基準年(1934〜2013年)のH1N1インフルエンザ株のパネルを示す。表2は、各年の株の完全な名称を示す。破線は、アッセイの検出限界を示す。 図21−1の続き。 図21−2の続き。 図21−3の続き。 図22A−22Fは、HAI力価のアッセイにより測定した、RibiまたはAF03アジュバントを含む組成物に対する抗体応答を示す図である。AF03アジュバントを用いて得られた結果(図22B、22D、および22F)と比較して、Ribiアジュバントを用いて得られた結果(図22A、22C、および22E)は、NC99とCA09 HA−Npsの二価組合せ(図22A〜22B)、NC99、CA09とHK77 HA−Npsの三価組合せ(図22C〜22D)、ならびにNC99、CA09とFM47 HA−Npsの三価組合せ(図22E〜22F)について類似する。HAI力価は、プライム投薬から6週間後にマウス血清で測定し、3週間後にブーストした。マウス[n=5]は、示されるように、RibiまたはAF03アジュバントのいずれかを用いて、HA−Npsの組合せを用いて免疫された。アスタリスクは、マウスに投与されたナノ粒子の起源の株とELISAによりアッセイされた株との間の一致を示す。x軸は、基準年(1934〜2013年)のH1N1インフルエンザ株のパネルを示す。表2は、各年の株の完全な名称を示す。破線は、アッセイの検出限界を示す。 図22−1の続き。 図22−2の続き。 図23A−23Cは、HAI力価のアッセイによって測定された、卵で産生されたNC99およびCA09不活化インフルエンザワクチン(IIV)によって誘発された比較抗体応答を示す図である。(図23A)NC99 IIIV。(図23B)CA09 IIV。(図23C)NC99+CA09 IIV。多様なH1N1インフルエンザウイルスのパネルに対して、単一成分または同時投与として、示されたIIVワクチンによる免疫から6週間後のマウス由来血清の血球凝集阻害(HAI)力価(log)。マウス(n=5)は、Ribiアジュバントを用いて、第0週および第3週に各ワクチンの170ng(HA含有量)で免疫した。x軸は、1934年から2013年までの基準年で試験したH1N1インフルエンザ株のパネルを示す(表2も参照されたい)。x軸は、基準年(1934〜2013年)に試験されたH1N1インフルエンザ株のパネルを示す。表2は、各年の株の完全な名称を示す。破線は、アッセイの検出限界を示す。 図23−1の続き。 図24A−24Dは、HAI力価のアッセイにより測定した、HA−フェリチンナノ粒子組成物またはIIVを用いたフェレットの免疫後の種々のインフルエンザウイルスに対する抗体応答を示す図である。AF03アジュバントと以下のものと混合した2回の免疫後のフェレット(n=12匹/群)由来の血清のHAI力価(log):図24A:PBS単独、図24B:A/カリフォルニア/2009 IIV、図24C:NC99+CA09+HK77 HA−Nps、および図24D:COBRA−X6+P1+HK77 HA−Nps。図24Eは、HA−フェリチンナノ粒子組成物、IIV、またはPBSで免疫したフェレットの異種負荷。フェレットを図24A−Eに記載されるように免疫し、50%組織培養感染量(TCID50)の104.65倍で1mLのA/フォートモンマス/1/1947ウイルスを鼻腔内接種することにより、最終免疫から4週間後に1947年フォートモンマスウイルスで負荷した。ウイルス力価は、負荷後の7日間にわたって鼻腔洗浄液で定量化された。破線は、アッセイの検出限界を示す。ウイルス力価は、HA−Nps組合せで免疫したフェレットでは、ワンテール非対t検定およびワンウェイANOVA[F(3,44)=5.18、p=0.00375]によって、ビヒクル(PBS)対照と比較して、負荷から5日後に有意に低下したが、CA09 IVでは低下しなかった。***=P≦0.001、スチューデントt検定による。 図24−1の続き。 図24−2の続き。 図25A−Cは、混合したAF03アジュバントとともに製剤化された50μgのH1/Stem−Np、または200μgのH1/Stem−Np(アジュバント対照なし)、または200μgのH1/Stem−Np−SM7/8aコンジュゲート(図3Aに示される)、または200μgのH1/Stem−Np−CpGコンジュゲート(図3Bに示される)で免疫した後のカニクイザル(Macaca fascicularis)の抗体応答を示す図である。図25Aは、0、4および10週目に免疫された、指示された時点でのH1/ニューカレドニア/20/1999 HA三量体で被覆されたプレート上の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定されたHA抗体力価を示す。図25Bは、H1/ニューカレドニア/20/1999 HAおよびNAを用いてシュードタイプ化されたレンチウイルスの中和IC50を示す。図25Cは、H5/ベトナム/1203/2004 HAおよびNAを用いてシュードタイプ化されたレンチウイルスの中和IC50を示す。このデータは、霊長類モデルにおけるH1/Stem−Np−TLR−アゴニストコンジュゲートの自己アジュバント特性を実証する。 図25−1の続き。 図26A−26Bは、コンジュゲートまたは分離された3M−012(配列番号9)有りまたは無しでの、NC99 HA−Npで得られた力価の比較を示す図である。NC99 HA−Np−3M012をコンジュゲートしたナノ粒子に対する抗体応答は、0.1μg、0.5μg、2.5μg、および12.5μgの4用量であった。比較のために、混合対照およびコンジュゲートされていないナノ粒子を含めた。「等モル」混合対照および「高用量」混合対照に使用したTLRアゴニストの量は、最初のコンジュゲーション試験で使用したアジュバントに対する抗原の比を維持するために計算された(「等モル」については1.7ngの3M012または「高用量」については10μgのいずれかを伴う0.22μgのHA−NP)。血清中和は、NC99レンチウイルスレポーターアッセイ(左、図26A)およびNC99 HAIアッセイ(右、図26B)において測定された。矢印は、2.5μg用量を強調し、HA−NP−3M012コンジュゲートは、5000倍より少ない3M012アジュバントを含むにも関わらず、HA−NP+3M012に対して同様の抗体力価を誘導した。平均値±標準誤差をグラフにする。 図26−1の続き。
本明細書には、インフルエンザに対する免疫のための抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドが提供される。抗原性ポリペプチドは、インフルエンザポリペプチドおよびフェリチンを含み、インフルエンザに対して対象にワクチン接種するために使用することができる。フェリチンは、別々に投与されるアジュバントの必要性を排除し、インフルエンザポリペプチドに対する免疫応答を誘発するのに必要な全アジュバントの量を潜在的に減少させるために、免疫刺激性分子、例えば、アジュバントへのコンジュゲーション(例えば、表面に露出したアミノ酸をシステインで置き換える変異を介して)を可能にする。抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドを含む粒子、組成物、およびキット、ならびにそれらの使用もまた提供され、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする核酸もまた提供される。
A.定義
「血球凝集素」または「HA」は、本明細書で使用される場合、宿主細胞膜上のシアル酸への結合に関与する任意のインフルエンザウイルスの糖タンパク質を指す(例示的な血球凝集素は、UniProt受託番号:P03451である)。HAは、以下に記載されるCOBRA P1、COBRA X6およびCOBRA X3などの抗HA抗体によって認識されるまたはそれを誘発することができる合成ポリペプチドを包含する。
「HAステム」は、本明細書で使用される場合、HAエクトドメイン内のHAの保存領域から設計され、無傷のHA頭部を欠損する、操作されたインフルエンザポリペプチドを指す。「保存」は、この領域が、異なるHAサブタイプを有する異なるインフルエンザ株由来のHA間で、全体としてのHAの配列同一性よりも有意に高い配列同一性を維持することを意味する。HAステム抗原は、例えば、Impagliazzoら、Science、2015年9月18日、349(6254):1301〜6頁;Valkenburgら、Sci Rep.、2016年3月7日、6:22666頁;Mallajosyulaら、Front Immunol.、2015、6:329頁において詳細に考察される。
「ノイラミニダーゼ」または「NA」は、本明細書で使用される場合、ウイルスおよび細胞グリココンジュゲート由来の末端シアル酸残基の除去を触媒することに関与する任意のインフルエンザウイルスの糖タンパク質を指す(例示的なノイラミニダーゼは、UniProt受託番号:P03472である)。
「Y98F変異」は、本明細書で使用される場合、シアル酸と直接接触する野生型HA配列中のチロシンのフェニルアラニンによる置き換えを指す。この変異によって生じるフェニルアラニンの位置を図1に示す。正確な位置は一部のHAサブタイプにおいて異なり得るが、配列アライメントまたは構造解析によって同定することができる。HA配列にY98F変異が存在することは、対応する野生型HAが、シアル酸と直接接触するチロシンを含むサブタイプであることを暗示している。
「フェリチン」または「フェリチンタンパク質」は、本明細書で使用される場合、H.ピロリフェリチン(配列番号208または209)、またはP.フリオスス(P.furiosus)フェリチン、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)フェリチン、もしくはヒトフェリチンのような本明細書で考察される別のフェリチンと検出可能な配列同一性を有し、鉄を例えば細胞内もしくは組織内で貯蔵する、または鉄を血流に運ぶ役目を果たすタンパク質を指す。重鎖および軽鎖(例えば、イラクサギンウワバおよびヒトフェリチン)として知られる2つのポリペプチド鎖として存在するフェリチンを含むそのような例示的なフェリチンを、以下で詳細に考察する。一部の実施形態では、フェリチンは、本明細書に、例えば表1(配列表)に開示されるフェリチン配列と少なくとも15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または99.5%の同一性を有する配列を含む。フェリチンは、完全長の天然に存在する配列の断片であり得る。
「野生型フェリチン」は、本明細書で使用される場合、その配列が天然に存在する配列からなるフェリチンを指す。フェリチンはまた、完全長のフェリチン、または野生型フェリチンとはそのアミノ酸配列において1つまたはそれ以上の差を有するフェリチンの断片も含む。
本明細書で使用される場合、「フェリチン単量体」は、他のフェリチン分子と集合していない単一のフェリチン分子(例えば、該当する場合、単一のフェリチン重鎖または軽鎖)を指す。「フェリチン多量体」は、複数の会合したフェリチン単量体を含む。「フェリチンタンパク質」は、単量体フェリチンおよび多量体フェリチンを含む。
本明細書で使用される場合、「フェリチン粒子」は、球状形態に自己集合したフェリチンを指す。フェリチン粒子は時に、「フェリチンナノ粒子」または単に「ナノ粒子」と呼ばれる。一部の実施形態では、フェリチン粒子は、24個のフェリチン単量体(または該当する場合、全体で24個の重鎖および軽鎖)を含む。
「ハイブリッドフェリチン」は、本明細書で使用される場合、ウシガエルフェリチンのアミノ末端伸長部を有するH.ピロリフェリチンを含むフェリチンを指す。ウシガエルフェリチンのアミノ末端伸長部として使用される例示的な配列を、配列番号217として示す。ハイブリッドフェリチンでは、免疫刺激性部分の結合部位がフェリチン粒子表面上に均一に分布するように、ウシガエルフェリチンのアミノ末端伸長部をH.ピロリフェリチンに融合することができる。「ウシガエルリンカー」は、本明細書で使用される場合、配列番号217の配列を含むリンカーである。ハイブリッドフェリチンはまた、時に「bfpFerr」または「bfpフェリチン」と呼ばれる。ウシガエル配列を含むいずれの構築物も、ウシガエル配列がなくとも、例えばリンカーまたは代替リンカーがなくとも提供することができる。例示的なウシガエルリンカー配列を、表1に提供する。表1はウシガエルリンカーを示すが、リンカーまたは代替リンカーを有しない同じ構築物を作製してもよい。
「N−グリカン」は、本明細書で使用される場合、タンパク質のN(アスパラギン)残基のアミド窒素でタンパク質に結合した糖質鎖を指す。そのため、N−グリカンは、Nグリコシル化のプロセスによって形成される。このグリカンは多糖類であり得る。
「グリコシル化」は、本明細書で使用される場合、タンパク質への糖質単位の付加を指す。
「免疫応答」は、本明細書で使用される場合、抗原またはワクチンのような刺激に対する、B細胞、T細胞、樹状細胞、マクロファージ、または多形核細胞のような免疫系の細胞の応答を指す。免疫応答は、例えばインターフェロンまたはサイトカインを分泌する上皮細胞を含む、宿主防御応答に関係する体の任意の細胞を含み得る。免疫応答は、生得のおよび/または適応免疫応答を含むがこれらに限定されない。本明細書で使用される場合、「保護的免疫応答」は、対象を感染から保護する(例えば、感染を防止する、または感染に関連する疾患の発生を防止する)免疫応答を指す。免疫応答を測定する方法は、当技術分野で周知であり、例えばリンパ球(例えば、BまたはT細胞)の増殖および/または活性、サイトカインまたはケモカインの分泌、炎症、抗体産生等を測定することを含む。「抗体応答」は、抗体が産生される免疫応答である。
本明細書で使用される場合、「抗原」は、生物に曝露または投与した場合に、免疫応答を誘発する作用物質、および/またはT細胞受容体(例えば、MHC分子によって提示される場合)が結合する、もしくは抗体(例えば、B細胞によって産生される場合)に結合する作用物質を指す。一部の実施形態では、抗原は、生物において液性応答(例えば、抗原特異的抗体の産生を含む)を誘発する。あるいはまたは加えて、一部の実施形態では、抗原は、生物において細胞性応答(例えば、その受容体が抗原と特異的に相互作用するT細胞を含む)を誘発する。特定の抗原は、標的生物(例えば、マウス、ウサギ、霊長類、ヒト)の1つまたはいくつかのメンバーにおいて免疫応答を誘発し得るが、標的生物種の全てのメンバーにおいて誘発するわけではない。一部の実施形態では、抗原は、標的生物種のメンバーの少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%において免疫応答を誘発する。一部の実施形態では、抗原は、抗体および/またはT細胞受容体に結合するが、生物において特定の生理的応答を誘導しても誘導しなくてもよい。一部の実施形態では、例えば、抗原は、in vivoでそのような相互作用が起こるか否かによらず、in vitroで抗体および/またはT細胞受容体に結合し得る。一部の実施形態では、抗原は、異種免疫原によって誘導される産物を含む、特異的液性免疫または細胞性免疫の産物と反応する。抗原は、本明細書に記載される抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド質を含む。
「免疫刺激性部分」は、本明細書で使用される場合、フェリチンまたは抗原性フェリチンポリペプチドに共有結合し、免疫系の構成要素を活性化することができる(単独で、またはフェリチンまたは抗原性フェリチンポリペプチドに結合した場合)部分を指す。例示的な免疫刺激性部分は、toll−like受容体(TLR)、例えば、TLR4、7、8、または9のアゴニストを含む。一部の実施形態では、免疫刺激性部分はアジュバントである。
「アジュバント」は、本明細書で使用される場合、抗原に対する免疫応答を非特異的に増強する物質またはビヒクルを指す。アジュバントには、抗原を吸着させた無機質(例えば、ミョウバン、水酸化アルミニウム、またはリン酸塩)の懸濁液、抗原溶液を鉱油または水中で乳化させた油中水型または水中油型乳剤(例えば、フロイント不完全アジュバント)を挙げることができるがこれらに限定されない。時に、抗原性をさらに増強するために死菌マイコバクテリア(例えば、フロイント完全アジュバント)を含める。免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えば、CpGモチーフ)もまた、アジュバントとして使用することができる(例えば、米国特許第6,194,388号;第6,207,646号;第6,214,806号;第6,218,371号;第6,239,116号;第6,339,068号;第6,406,705号;および第6,429,199号を参照されたい)。アジュバントはまた、Toll−Like受容体(TLR)アゴニストおよび共刺激分子のような生物学的分子も含み得る。アジュバントは、組成物中の個別の分子として、または抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドに共有結合(コンジュゲート)して投与してもよい。
「抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、分子がインフルエンザポリペプチドに関して抗原性であるフェリチンおよびインフルエンザポリペプチドを含む分子を指す。抗原性は、より大きい構築物の一部としてのインフルエンザポリペプチドの特色であり得る。すなわち、構築物は、フェリチンを有しないインフルエンザポリペプチドがそうすることができるか否かによらず、インフルエンザポリペプチドに対する抗体を生成する抗原としての役目を果たすことができれば十分である。一部の実施形態では、インフルエンザポリペプチドおよびフェリチンは、融合タンパク質として遺伝子融合されている。一部の実施形態では、インフルエンザポリペプチドおよびフェリチンは、例えば化学コンジュゲーションによって非遺伝的に連結されている。
「自己アジュバント性」は、本明細書で使用される場合、フェリチンおよび免疫刺激性部分が同じ分子実体中にあるように、フェリチンおよびフェリチンに直接コンジュゲートされた免疫刺激性部分を含む組成物またはポリペプチドを指す。抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドを、免疫刺激性部分にコンジュゲートして、自己アジュバント性ポリペプチドを生成してもよい。
「表面に露出した」アミノ酸は、本明細書で使用される場合、該当する場合に、多量体形成後、タンパク質がその本来の三次元コンフォメーションにある場合に溶媒分子が接触することができる側鎖を有するタンパク質(例えば、フェリチン)中のアミノ酸残基を指す。このように、例えば24量体を形成するフェリチンの場合、表面に露出したアミノ酸残基は、フェリチンが24量体として、例えばフェリチン多量体またはフェリチン粒子として集合する場合に、その側鎖に溶媒が接触することができる残基である。
本明細書で使用される場合、「対象」は、動物界の任意のメンバーを指す。一部の実施形態では、「対象」はヒトを指す。一部の実施形態では、「対象」は非ヒト動物を指す。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物、鳥類、は虫類、両生類、魚類、昆虫、および/または虫を含むがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、非ヒト対象は、哺乳動物(例えば、齧歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、および/またはブタ)である。一部の実施形態では、対象は、トランスジェニック動物、遺伝子操作された動物、および/またはクローンであり得る。本発明のある特定の実施形態では、対象は成体、青年期、または幼体である。一部の実施形態では、用語「個体」または「患者」は、「対象」と互換的に使用され、互換的であると意図される。
本明細書で使用される場合、用語「ワクチン接種」または「ワクチン接種する」は、例えば病原体に対して免疫応答を生成することが意図される組成物の投与を指す。ワクチン接種は、病原体に対する曝露および/または1つもしくはそれ以上の症状の発生の前、間、および/または後に投与することができ、一部の実施形態では、病原体に対する曝露の前、間、および/または直後に投与することができる。一部の実施形態では、ワクチン接種は、ワクチン接種組成物の適切な間隔を空けた複数回の投与を含む。
本開示は、所定の核酸配列またはアミノ酸配列(参照配列)に対してそれぞれ、ある特定の程度の同一性を有する核酸配列およびアミノ酸配列を記載する。
2つの核酸配列間の「配列同一性」は、配列間で同定されたヌクレオチドのパーセンテージを示す。2つのアミノ酸配列間の「配列同一性」は、配列間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを示す。
用語「同一%」、「同一性%」、または類似の用語は、特に比較される配列間の最適なアライメントにおいて同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸のパーセンテージを指すと意図される。前記パーセンテージは、純粋に統計学的であり、2つの配列間の差は、比較される配列の全長にわたって分布していてもよいが、必ずしもランダムに分布している必要はない。2つの配列の比較は通常、対応する配列の局所領域を同定するために、最適なアライメント後に前記配列を、セグメントまたは「比較ウィンドウ」に関して比較することによって実行される。比較のための最適なアライメントは、手動で、またはSmith and Waterman,1981,Ads App.Math.2,482頁によるローカルホモロジーアルゴリズムの助けを借りて、Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48,443頁のローカルホモロジーアルゴリズムの助けを借りて、Pearson and Lipman,1988,Proc.Natl Acad.Sci.USA 88,2444頁の類似性検索アルゴリズムの助けを借りて、または前記アルゴリズムを使用するコンピュータプログラムの助けを借りて(GAP、BESTFIT、FASTA、BLAST P、BLAST N、およびTFASTA、 in Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wis.)実行してもよい。
パーセンテージ同一性は、比較される配列が対応する同一の位置の数を決定する工程、この数を比較される位置の数(例えば、参照配列における位置の数)で除算する工程、およびこの結果に100を乗算する工程によって得られる。
一部の実施形態では、同一性の程度は、参照配列の全長の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%である領域に関して与えられる。例えば、参照核酸配列が200ヌクレオチドからなる場合、同一性の程度は、少なくとも約100、少なくとも約120、少なくとも約140、少なくとも約160、少なくとも約180、または約200ヌクレオチド、一部の実施形態では、連続ヌクレオチドに関して与えられる。一部の実施形態では、同一性の程度は、参照配列の全長にわたって与えられる。
所定の核酸配列またはアミノ酸配列に対してそれぞれ、特定の同一性の程度を有する核酸配列またはアミノ酸配列は、前記所定の配列の少なくとも1つの機能的特性を有することができ、例えば、一部の例では前記所定の配列と機能的に等価である。1つの重要な特性は、特に、対象に投与した場合にサイトカインとして作用する能力を含む。一部の実施形態では、所定の核酸配列またはアミノ酸配列に対して特定の同一性の程度を有する核酸配列またはアミノ酸配列は、前記所定の配列と機能的に等価である。
本明細書で使用される場合、用語「キット」は、1つまたはそれ以上の化合物または組成物のような関連する構成要素、および溶媒、溶液、緩衝液、説明書、または乾燥剤のような1つまたはそれ以上の関連する材料の包装された組を指す。
B.抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド
本明細書には、インフルエンザポリペプチド、および表面に露出したアミノ酸をシステインで置き換える変異を含むフェリチンを含む抗原性ポリペプチドが提供される。ポリペプチドは、別個の分子として、および/または自己アジュバント性であり得るナノ粒子(例えば、フェリチン粒子)の一部として、アジュバントとともに投与される場合、抗原性であり得る。
1.HAおよびNAポリペプチド
一部の実施形態では、インフルエンザポリペプチドは、全長または部分長のHAまたはNAを含むHAまたはNAポリペプチドである。任意のHAまたはNAポリペプチドを使用することができる。HAまたはNAポリペプチドは、天然に存在してもよく、または天然から変化してもよい。一部の実施形態では、HAは、H1〜H18のいずれ1つに由来する。一部の実施形態では、NAは、N1〜N11のいずれか1つに由来する。
一部の実施形態では、HAポリペプチドは、HAエクトドメインを含む。HAエクトドメインは、H1〜H18を含むインフルエンザの任意のサブタイプに由来し得る。
一部の実施形態では、HAポリペプチドは、HAのステム領域を含む。HAのステム領域は、H1〜H18を含む任意のサブタイプのインフルエンザに由来し得る。
一部の実施形態では、HAポリペプチドは、インフルエンザA型ウイルスに由来する。インフルエンザA型ウイルスは、A/プエルトリコ/1934、A/ワイス/1/1943、A/フォートモンマス/1/1947(FM47)、A/マレーシア/302/54(MAL54)、A/デンバー/1/1957(DV57)、A/ニュージャージー/8/1976、A/USSR/90/1977、A/香港/117/1977(HK77)、A/ブラジル/11/1978、A/チリ/1/1983、A/台湾/1/1986、A/テキサス/36/1991、A/北京/262/1995、A/ニューカレドニア/20/1999(NC99)、A/ソロモン諸島/6/2006、A/ブリスベン/59/2007、A/カリフォルニア/07/2009(CA09)、A/バングラデシュ/2021/2012、またはA/ベトナム/3050/2013であり得る。
一部の実施形態では、HAポリペプチドは、H1インフルエンザウイルスに由来する。一部の実施形態では、H1ウイルスは、A/サウスカロライナ/1/18である。
一部の実施形態では、HAポリペプチドは、H2インフルエンザウイルスに由来する。一部の実施形態では、H2ウイルスは、1957年に流行したH2N2インフルエンザAウイルスである。
一部の実施形態では、HAポリペプチドは、H3インフルエンザウイルスに由来する。一部の実施形態では、H3インフルエンザウイルスは、H3N8ウイルスである。一部の実施形態では、H3N8ウイルスはウマ−オハイオ2003である。一部の実施形態では、H3N8ウイルスは、ウマバリ2005である。一部の実施形態では、H3N8ウイルスは、ウマ−アボイン2003である。一部の実施形態では、H3インフルエンザウイルスは、H3N2ウイルスである。一部の実施形態では、H3N2ウイルスは、パース2009である。一部の実施形態では、H3N2ウイルスは、ビクトリア2011である。
一部の実施形態では、HAポリペプチドは、H5インフルエンザウイルスに由来する。一部の実施形態では、H5インフルエンザウイルスは、H5/N1ウイルスである。一部の実施形態では、H5/N1ウイルスは、インドネシア2005である。一部の実施形態では、H5/N1ウイルスは、インドガン2005である。一部の実施形態では、H5/N1ウイルスは、オオハクチョウ2005である。一部の実施形態では、H5/N1ウイルスは、マガモ/華東2003である。
一部の実施形態では、HAポリペプチドは、インフルエンザB型ウイルスに由来する。一部の実施形態では、B型ウイルスは、ウィスコンシン2010である。一部の実施形態では、B型ウイルスは、マサチューセッツ2012である。一部の実施形態では、B型ウイルスは、プーケット2013である。一部の実施形態では、B型ウイルスは、ブリスベン2008である。一部の実施形態では、ブリスベン2008配列は、D197N変異を含む。この変異は、このナノ粒子の発現を改善することが見出され、B/ブリスベン/2009およびB/プーケット/2013などの他の株において天然に存在する変異である。このアミノ酸は、シアル酸受容体との接触に関与している可能性がある。
一部の実施形態では、HAポリペプチドは、Giles BM andRoss TM、 Vaccine 29(16):3043〜54頁(2011)またはCarter DMら、J Virol、90:4720〜4734頁(2016)の例に続いて生成された計算上最適化された広範反応性抗原(COBRA)を含む。
一部の実施形態では、COBRA配列は、ヒトH1N1インフルエンザ配列から生成される。一部の実施形態では、COBRA配列は、1999〜2012年に及ぶヒトH1N1インフルエンザ配列から生成される。1999〜2012年に及ぶヒトH1N1インフルエンザ配列から生成された例示的なCOBRA配列は、配列番号29に含まれるCOBRA X6である。一部の実施形態では、COBRA配列は、1933〜1957年および2009〜2011年に及ぶヒトH1N1株+1931〜1998年のブタH1N1インフルエンザ株から生成される。1933〜1957年および2009〜2011年に及ぶヒトH1N1株+1931〜1998年のブタH1N1インフルエンザ株から生成された例示的なCOBRA配列は、配列番号27に含まれるCOBRA P1である。
一部の実施形態では、COBRA配列はX3である。一部の実施形態では、COBRA配列は、H5N1から生成されたhCOBRA−2である。
HA受容体結合部位(Y98F)を除去する変異は、WHITTLEら、Whittleら、Journal of Virology、11(8):4047〜4057頁(2014)に記載された。一部の実施形態では、HAポリペプチドは、Y98F変異を含むように改変することができる。上記のHAのいずれのも、Y98F変異を含むように改変することができる。一部の実施形態では、HAは、H1ニューカレドニア/1999(NC99)ウイルスに由来し、Y98F変異を含む。
2.フェリチン
フェリチンタンパク質は、複数の個々の単量体を含む球状のタンパク質複合体へと自己集合する。自己集合したフェリチン複合体は、フェリチン粒子またはナノ粒子と呼ぶことができる。
フェリチン遺伝子は、多くの種において見出され、配列の変動はあるものの一般的に保存された高度のアルファヘリックス構造を示す。そのため、任意の特に記載されたフェリチンとのその配列同一性にも関わらず、細菌、昆虫、およびヒトフェリチンを含む任意のフェリチンを本発明において使用することができる。
一部の実施形態では、フェリチンは、細菌、昆虫、真菌、鳥類、または哺乳動物である。一部の実施形態では、フェリチンはヒトである。一部の実施形態では、フェリチンは細菌である。一部の実施形態では、フェリチンは、H.ピロリフェリチンである。
一部の実施形態では、フェリチンは、軽鎖および/または重鎖フェリチンである。一部の実施形態では、フェリチンは、場合により本明細書に記載される1つまたはそれ以上の改変を有する、ヒト重鎖フェリチン(FTH1、GENE ID番号:2495)、またはヒト軽鎖フェリチン(FTL、GENE ID番号:2512)である。一部の実施形態では、フェリチンは、場合により本明細書に記載される1つまたはそれ以上の変異を有する、イラクサギンウワバ重鎖フェリチン(GenBank:AY970291.1)またはイラクサギンウワバ軽鎖フェリチン(AY970292.1)である。一部の実施形態では、フェリチンナノ粒子は、重鎖フェリチンおよび軽鎖フェリチンの全体で24個のサブユニット、例えば12個の重鎖サブユニットおよび12個の軽鎖サブユニットを含む。一部の実施形態では、フェリチンは、表面に露出したアミノ酸をシステインに置き換える変異を含む。
一部の実施形態では、分子がインフルエンザポリペプチドに対して抗原性であるのに十分な長さのインフルエンザポリペプチドを含む抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドが提供される。
一部の実施形態では、抗原性フェリチンポリペプチドは、軽鎖フェリチンおよびインフルエンザポリペプチドを含む。一部の実施形態では、抗原性フェリチンポリペプチドは、重鎖フェリチンおよびインフルエンザポリペプチドを含む。一部の実施形態では、軽鎖フェリチンおよびインフルエンザポリペプチドは、インフルエンザポリペプチドを含まない重鎖フェリチンと集合することができる。一部の実施形態では、重鎖フェリチンおよびインフルエンザポリペプチドは、インフルエンザポリペプチドを含まない軽鎖フェリチンと集合することができる。非フェリチンポリペプチド(例えば、インフルエンザポリペプチド)を含まないフェリチンは、「裸のフェリチン」と呼ばれる。
一部の実施形態では、抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドは、重鎖フェリチンおよびインフルエンザポリペプチド、または軽鎖フェリチンおよびインフルエンザポリペプチドを含む。このようなポリペプチドは、単一のフェリチン多量体または粒子上の同一もしくは異なるインフルエンザポリペプチドの2つの発現を可能にするために組み合わせることができる。一部の実施形態では、2つの異なるインフルエンザポリペプチドは、2つの異なる感染性因子、例えば、異なる株またはタイプのインフルエンザから得られ、ナノ粒子への集合のために重鎖および軽鎖フェリチンに結合される。
一部の実施形態では、抗原性フェリチンポリペプチドは、二価ワクチンを生成するために、軽鎖フェリチンおよび第2のインフルエンザポリペプチドと集合した重鎖フェリチンおよび第1のインフルエンザポリペプチドを含む。一部の実施形態では、フェリチンは、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の変異を有するH.ピロリフェリチン(例示的なH.ピロリフェリチン配列に関しては、配列番号208または209を参照されたい)である。一部の実施形態では、H.ピロリフェリチン(または他の細菌フェリチン)とヒトフェリチンとの間の配列相同性がより低いことにより、ワクチンプラットフォームとして使用した場合に自己免疫の可能性を減少させ得る(Kanekiyoら、Cell 162,1090〜1100頁(2015)を参照されたい)。
一部の実施形態では、フェリチンは、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の変異を有するピュロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)フェリチン(NCBI seq WP_011011871.1)である。
一部の実施形態では、フェリチンは、野生型フェリチンと70%より高い、75%より高い、80%より高い、85%より高い、90%より高い、95%より高い、97%より高い、98%より高い、または99%より高い同一性を有する配列を含む。
A)フェリチン変異
一部の実施形態では、フェリチンは、本明細書において開示される1つまたはそれ以上の変異を含む。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の変異は、例えば野生型フェリチンのアミノ酸配列の変化、および/またはNもしくはC末端での挿入を含む。一部の実施形態では、1、2、3、4、5、またはそれより多くの異なるアミノ酸が、野生型フェリチンと比較してフェリチンにおいて変異している(一部の実施形態では、任意のN末端挿入に加えて)。1つまたはそれ以上の変異は、例えば以下で詳細に考察するように、フェリチンの機能的特性を変化させることができる。一般的に、変異は単に、対応する野生型フェリチンと比較した配列の差(置換された、付加された、または欠失されたアミノ酸残基または複数の残基のような)を指す。
(1)コンジュゲーションのためのシステイン
一部の実施形態では、フェリチンを、免疫刺激性部分および/またはインフルエンザポリペプチドのコンジュゲーションのための化学ハンドルを提供するように変異させる。これは、表面に露出した非システインアミノ酸をシステインに置き換える変異によって達成することができる。誤解を避けるため、「表面に露出したアミノ酸をシステインに置き換える」のような表現は、野生型または変異前配列における表面に露出したアミノ酸がシステインではないことを必然的に暗示している。免疫刺激性部分またはインフルエンザポリペプチドのコンジュゲーションのための化学ハンドルを提供する別のアプローチは、リンカーのようなアミノ酸のセグメントをフェリチンのNまたはC末端に含めることであり、アミノ酸のセグメントはシステインを含む。一部の実施形態では、このシステイン(表面に露出したアミノ酸を置き換えるか、またはNもしくはC末端リンカーにある)は不対であり、このことは、これがジスルフィド結合を形成するために適切なパートナーシステインを有していないことを意味する。一部の実施形態では、このシステインは、フェリチンの二次構造を変化させない。一部の実施形態では、このシステインは、フェリチンの三次構造を変化させない。
一部の実施形態では、このシステインを使用して、免疫刺激性部分のような作用物質をフェリチンにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、このシステインは、反応性である遊離のチオール基を提供する。一部の実施形態では、フェリチン上のこのシステインにコンジュゲートされた作用物質は、集合したフェリチン粒子の表面上で露出する。一部の実施形態では、このシステインは、投与後にフェリチン粒子が集合する間、対象の分子および細胞と相互作用することができる。
一部の実施形態では、このシステインの存在により、1つまたはそれ以上の免疫刺激性部分、例えばアジュバントのコンジュゲーションが可能となる。一部の実施形態では、免疫刺激性部分のコンジュゲーションは、このシステインの非存在下では起こらない。
一部の実施形態では、システインに置き換えられる非システインアミノ酸は、H.ピロリフェリチンのE12、S72、A75、K79、S100、およびS111から選択される。このように、一部の実施形態では、システインのために置き換えられる表面に露出したアミノ酸は、H.ピロリフェリチンのE12、S26、S72、A75、K79、S100、またはS111に対応するアミノ酸残基である。類似のアミノ酸を、ペアワイズまたは構造アライメントによって、非H.ピロリフェリチンにおいて見出すことができる。一部の実施形態では、システインに置き換えられる非システインアミノ酸は、ヒト軽鎖フェリチンのS3、S19、S33、I82、A86、A102、およびA120に対応するアミノ酸から選択することができる。一部の実施形態では、システインに置き換えられる表面に露出したアミノ酸は、本来のアミノ酸がシステインに置き換えられた場合、これは集合したフェリチン多量体もしくは粒子において反応性である、および/またはこのシステインはフェリチン多量体もしくは粒子の安定性を妨害しない、および/またはこのシステインがフェリチンの発現レベルの低減をもたらさないという理解に基づいて選択される。
一部の実施形態では、フェリチンはE12C変異を含む。一部の実施形態では、E12C残基を使用して、作用物質(例えば、免疫刺激性部分および/またはインフルエンザポリペプチド)をフェリチンにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、E12C残基は、反応性である遊離のチオール基を提供する。一部の実施形態では、フェリチン単量体上のE12C残基にコンジュゲートされた作用物質は、集合したフェリチン多量体または粒子の表面上で発現される。一部の実施形態では、24個のE12C残基(各単量体から1つ)が、フェリチン多量体または粒子の表面上に存在する。
一部の実施形態では、フェリチンは、S26C変異を含む。一部の実施形態では、S26C残基を使用して、作用物質(例えば、免疫刺激性部分および/またはインフルエンザポリペプチド)をフェリチンにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、S26C残基は、反応性である遊離のチオール基を提供する。一部の実施形態では、フェリチン単量体上のS26C残基にコンジュゲートされた作用物質は、集合したフェリチン多量体または粒子の表面上で発現される。一部の実施形態では、24個のS26C残基(各単量体から1つ)が、フェリチン多量体または粒子の表面上に存在する。
一部の実施形態では、フェリチンは、S72C変異を含む。一部の実施形態では、S72C残基を使用して、作用物質(例えば、免疫刺激性部分および/またはインフルエンザポリペプチド)をフェリチンにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、S72C残基は、反応性である遊離のチオール基を提供する。一部の実施形態では、フェリチン単量体上のS72C残基にコンジュゲートされた作用物質は、集合したフェリチン多量体または粒子の表面上で発現される。一部の実施形態では、24個のS72C残基(各単量体から1つ)が、フェリチン多量体または粒子の表面上に存在する。
一部の実施形態では、フェリチンは、A75C変異を含む。一部の実施形態では、A75C残基を使用して、作用物質(例えば、免疫刺激性部分および/またはインフルエンザポリペプチド)をフェリチンにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、A75C残基は、反応性である遊離のチオール基を提供する。一部の実施形態では、フェリチン単量体上のA75C残基にコンジュゲートされた作用物質は、集合したフェリチン多量体または粒子の表面上で発現される。一部の実施形態では、24個のA75C残基(各単量体から1つ)が、フェリチン多量体または粒子の表面上に存在する。
一部の実施形態では、フェリチンは、K79C変異を含む。一部の実施形態では、K79C残基を使用して、作用物質(例えば、免疫刺激性部分および/またはインフルエンザポリペプチド)をフェリチンにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、K79C残基は、反応性である遊離のチオール基を提供する。一部の実施形態では、フェリチン単量体上のK79C残基にコンジュゲートされた作用物質は、集合したフェリチン多量体または粒子の表面上で発現される。一部の実施形態では、24個のK79C残基(各単量体から1つ)が、フェリチン多量体または粒子の表面上に存在する。
一部の実施形態では、フェリチンは、S100C変異を含む。一部の実施形態では、S100C残基を使用して、作用物質(例えば、免疫刺激性部分および/またはインフルエンザポリペプチド)をフェリチンにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、S100C残基は、反応性である遊離のチオール基を提供する。一部の実施形態では、フェリチン単量体上のS100C残基にコンジュゲートされた作用物質は、集合したフェリチン多量体または粒子の表面上で発現される。一部の実施形態では、24個のS100C残基(各単量体から1つ)が、フェリチン多量体または粒子の表面上に存在する。
一部の実施形態では、フェリチンは、S111C変異を含む。一部の実施形態では、S111C残基を使用して、作用物質(例えば、免疫刺激性部分および/またはインフルエンザポリペプチド)をフェリチンにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、S111C残基は、反応性である遊離のチオール基を提供する。一部の実施形態では、フェリチン単量体上のS111C残基にコンジュゲートされた作用物質は、集合したフェリチン多量体または粒子の表面上で発現される。一部の実施形態では、24個のS111C残基(各単量体から1つ)が、フェリチン多量体または粒子の表面上に存在する。
(2)内部システインの除去
一部の実施形態では、フェリチンは、内部システインを非システインアミノ酸に置き換える変異を含む。本来の内部システイン残基を除去することによって、フェリチン単量体あたり1つのみの不対システインが存在することを確実にし、ジスルフィド形成のような望ましくない反応を回避することができ、より安定かつ効率的な結果(例えば、アジュバントの提示)をもたらし得る。一部の実施形態では、H.ピロリフェリチンのC31が非システインアミノ酸に置き換えられる。一部の実施形態では、H.ピロリフェリチンのC31がセリンに置き換えられる(C31S)が、任意の非システイン残基、例えばアラニン、グリシン、トレオニン、またはアスパラギンを使用してもよい。類似のアミノ酸を、ペアワイズまたは構造アライメントによって、非H.ピロリフェリチンにおいて見出すことができる。このように、一部の実施形態では、非システインのために置き換えられる内部システインは、H.ピロリフェリチンのC31と整列するアミノ酸残基である。C31S変異を示す例示的なフェリチン配列を、配列番号201〜207に示す。一部の実施形態では、1つより多くの内部システインがフェリチンに存在する場合、2つまたはそれより多く(例えば、各々の)内部システインは、セリン、またはセリン、アラニン、グリシン、トレオニン、もしくはアスパラギンから選択されるアミノ酸のような非システインアミノ酸に置き換えられる。
(3)グリコシル化
ヒト適合性のグリコシル化は、組換え薬物製品における安全性および効能に関与し得る。規制当局の承認は、極めて重要な品質属性として適切なグリコシル化を証明することを条件とし得る(Zhangら、Drug Discovery Today 21(5):740〜765頁(2016)を参照されたい)。N−グリカンは、アスパラギン側鎖のグリコシル化に起因することができ、ヒトと、細菌および酵母のような他の生物との間で構造が異なり得る。このように、本開示に従うフェリチンにおいて、非ヒトグリコシル化および/またはNグリカン形成を低減または除去することが望ましいであろう。一部の実施形態では、フェリチンのグリコシル化を制御することにより、特にヒトワクチン接種に使用する場合、組成物の効能および/または安全性が改善される。
一部の実施形態では、フェリチンを、N−グリカンの形成を阻害するように変異させる。一部の実施形態では、変異したフェリチンは、その対応する野生型フェリチンと比較して低減されたグリコシル化を有する。
一部の実施形態では、フェリチンは、表面に露出したアスパラギンを非アスパラギンアミノ酸に置き換える変異を含む。一部の実施形態では、表面に露出したアスパラギンは、H.ピロリフェリチンのN19、またはペアワイズまたは構造アライメントによって決定される、H.ピロリフェリチンの31位に対応する位置である。一部の実施形態では、そのようなアスパラギン、例えばH.ピロリフェリチンのN19を変異させることは、フェリチンのグリコシル化を減少させる。一部の実施形態では、変異は、アスパラギンをグルタミンに置き換える。一部の実施形態では、フェリチンは、N19Q変異を含むH.ピロリフェリチンである。配列番号201〜207は、N19Q変異を含む例示的なフェリチン配列である。
細菌または酵母において産生されたグリコシル化タンパク質に曝露された哺乳動物は、細菌または酵母における所定のタンパク質のグリコシル化パターンが、哺乳動物における同じタンパク質のグリコシル化パターンとは異なり得ることから、グリコシル化タンパク質に対する免疫応答を生じ得る。このように、いくつかのグリコシル化治療タンパク質は、細菌または酵母における産生にとって適切ではないことがあり得る。
一部の実施形態では、アミノ酸変異によるフェリチンのグリコシル化の減少は、細菌または酵母におけるタンパク質の産生を促進する。一部の実施形態では、フェリチンのグリコシル化の減少は、細菌または酵母において発現された変異フェリチンの投与時の哺乳動物における副作用の可能性を低減させる。一部の実施形態では、細菌または酵母において産生された変異フェリチンのヒト対象における反応原性は、グリコシル化が減少していることから低い。一部の実施形態では、ヒト対象における過敏応答の発生率は、野生型フェリチンと比較して低減されたグリコシル化を有する変異フェリチンによる処置後では低い。
一部の実施形態では、低減されたグリコシル化を有する変異フェリチンを含む組成物の対象における分解は、野生型フェリチンを含む組成物、または野生型グリコシル化を有する対応するフェリチンを含む組成物と比較して遅い。一部の実施形態では、低減されたグリコシル化を有する変異フェリチンを含む組成物は、野生型フェリチン、または野生型グリコシル化を有する対応するフェリチンを含む組成物と比較して、対象において低減されたクリアランスを有する。一部の実施形態では、低減されたグリコシル化を有する変異フェリチンを含む組成物は、野生型フェリチン、または野生型グリコシル化を有する対応するフェリチンを含む組成物と比較してより長い血清中半減期を有する。
(4)変異の組合せ
一部の実施形態では、フェリチンは、本明細書に記載される変異の1つより多くのタイプを含む。一部の実施形態では、フェリチンは、グリコシル化を減少させる変異、内部システインを除去する変異、および表面に露出したシステインを生成する変異から独立して選択される1つまたはそれ以上の変異を含む。一部の実施形態では、フェリチンは、グリコシル化を減少させる変異、内部システインを除去する変異、および表面に露出したシステインを生成する変異を含む。
一部の実施形態では、フェリチンは、N19Q変異、C31S変異、および表面に露出したシステインを生成する変異を含む。一部の実施形態では、フェリチンは、N19Q変異、C31S変異、およびE12C変異を含む。一部の実施形態では、フェリチンは、N19Q変異、C31S変異、およびS72C変異を含む。一部の実施形態では、フェリチンは、N19Q変異、C31S変異、およびA75C変異を含む。一部の実施形態では、フェリチンは、N19Q変異、C31S変異、およびK79C変異を含む。一部の実施形態では、フェリチンは、N19Q変異、C31S変異、およびS100C変異を含む。一部の実施形態では、フェリチンは、N19Q変異、C31S変異、およびS111C変異を含む。一部の実施形態では、フェリチンは、前述の変異の組のいずれかに対応する変異を含み、対応する変異は、フェリチンアミノ酸配列とH.ピロリフェリチンアミノ酸配列(配列番号208または209)とのペアワイズアライメントによって決定した位置で、NをQに、CをSに、および非システインの表面に露出したアミノ酸をシステインに変化させる。
1つより多くのタイプの変異を含む例示的なフェリチンを、配列番号201〜207に提供する。
3.リンカー
インフルエンザポリペプチドおよびフェリチンをリンカーを介して連結して、抗原性インフルエンザフェリチンポリペプチドを提供することができる。一部の実施形態では、リンカーは、インフルエンザポリペプチドのアミノ酸配列をフェリチンのアミノ酸配列から分離する。任意のリンカーを使用することができる。一部の実施形態では、フェリチンは、ペプチドリンカーを介してHAポリペプチドに接続される。これは、融合タンパク質(例えば、単一のオープンリーディングフレームからの)としての抗原性フェリチンポリペプチドの発現を促進することができる。一部の実施形態では、リンカーは、グリシン−セリンリンカーである。一部の実施形態では、グリシン−セリンリンカーは、GS、GGGS(配列番号226)、2XGGGS(配列番号227)(すなわち、GGGSGGGGS(配列番号227))、または5XGGGGGS(配列番号228)である。リンカーは、フェリチンに対してN末端側またはC末端側であり得る。
一部の実施形態では、リンカーは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸長である。一部の実施形態では、リンカーは、約2〜4、2〜6、2〜8、2〜10、2〜12、または2〜14アミノ酸長である。一部の実施形態では、リンカーは、長さが少なくとも15アミノ酸長である。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも25アミノ酸長である。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも30アミノ酸長である。一部の実施形態では、リンカーは、長さが少なくとも35アミノ酸長である。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも40アミノ酸長である。一部の実施形態では、リンカーは、60アミノ酸長未満またはそれに等しい。一部の実施形態では、リンカーは、50アミノ酸長未満またはそれに等しい。一部の実施形態では、リンカーは、約16、28、40、46、または47アミノ酸長である。一部の実施形態では、リンカーは、可撓性である。一部の実施形態では、リンカーは、例えば、免疫刺激性部分(例えば、アジュバント)のコンジュゲーションのための部位として使用するためのシステインを含み;システインを含む例示的なリンカーは、配列番号225として提供される。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号225と少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%の同一性を有する配列を含み、さらに配列番号225におけるシステインに対応するシステインを含む。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも25アミノ酸(例えば、25〜60アミノ酸)を含み、システインは、N末端から8番目のアミノ酸からC末端から8番目までのアミノ酸までの範囲の位置、またはリンカーの中央残基の10アミノ酸以内の位置、またはリンカーの結合位置に位置する。
一部の実施形態では、リンカーは、グリシン(G)および/またはセリン(S)アミノ酸を含む。一部の実施形態では、リンカーは、グリシン(G)、セリン(S)、アスパラギン(N)、および/またはアラニン(A)アミノ酸、ならびに場合により本明細書に記載されるシステインを含むか、またはそれらからなる。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号222と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGSGGGGSGGGGSG(配列番号220)、GGSGSGSNSSASSGASSGGASGGSGGSG(配列番号221)、GGSGSASSGASASGSSNGSGSGSGSNSSASSGASSGGASGGSGGSG(配列番号222)、またはGSである。一部の実施形態では、リンカーは、FR1(配列番号223)またはFR2(配列番号224)である。
一部の実施形態では、フェリチンは、ウシガエルフェリチン(ハイブリッドフェリチンと称される)のアミノ末端伸長を伴うH.ピロリフェリチンを含む。一部の実施形態では、このハイブリッドフェリチンは、インフルエンザポリペプチド結合部位が表面に均等に分布する多量体を形成する(Kanekiyo、2015を参照されたい)。一部の実施形態では、ハイブリッドフェリチンを有するN末端融合タンパク質は、フェリチンナノ粒子表面上にインフルエンザポリペプチドの提示を可能にする。一部の実施形態では、フェリチンは、配列番号208の13位(このグルタミン酸を含むハイブリッドフェリチン)または配列番号209の6位(6位がイソロイシンである野生型H.ピロリフェリチン)に対応する位置にグルタミン酸を含む。ウシガエルリンカーと組み合わせて、このグルタミン酸は、ヒトおよびウシガエルフェリチン(ヒト軽鎖とウシガエル低サブユニットフェリチンの両方で6Rおよび14E)に見られる保存された塩橋を保存すると考えられている。Kanekiyoら、CEL、162、1090〜1100頁(2015)を参照されたい。
一部の実施形態では、インフルエンザポリペプチドは、システイン−トロンビン−ヒスチジンリンカーを介してフェリチンに連結される。一部の実施形態では、このリンカーは、クリックケミストリーを介して、部分(例えば、免疫刺激性部分またはインフルエンザポリペプチド)をフェリチンに直接コンジュゲートするために使用される。システイン−トロンビン−ヒスチジンリンカーを含む例示的な配列は、配列番号218である。システイン−トロンビン−ヒスチジンリンカーを伴うコンジュゲーション反応に適したクリックケミストリーは、本明細書において検討される。
一部の実施形態では、アジュバントなどの免疫刺激性部分のコンジュゲーション部位としてシステインを含むリンカーは、不対の表面に露出したシステインを欠損するフェリチン分子を含む構築物において、または不対の表面に露出したシステインを含むフェリチン分子を含む構築物において使用される。
一部の実施形態では、構築物は、リンカーを含まない。一部の実施形態では、構築物は、1つのリンカーを含む。一部の実施形態では、構築物は、2つまたは2つ以上のリンカーを含む。
4.構造アライメント
本明細書で考察したように、所与のポリペプチド(例えば、H.ピロリフェリチン)に関して記載した変異に対応する変異の位置は、ペアワイズまたは構造アライメントによって同定することができる。構造アライメントは、タンパク質がかなりの配列変動にも関わらず類似の構造を共有し、ファミリーの多くのメンバーが構造的に特徴付けされている、フェリチンのような大きいタンパク質ファミリーにとって適切であり、これもまた、インフルエンザポリペプチド(例えば、血球凝集素)のような、本明細書に記載される他のポリペプチドの異なる形態における対応する位置を同定するために使用することができる。タンパク質データバンク(PDB)は、その受託番号と共に以下に列挙するフェリチンを含む、多くのフェリチンに関する3D構造を含む。
2jd6,2jd7−PfFR−ピュロコックス・フリオスス。2jd8−PfFR+Zn。3a68−遺伝子SferH4由来のsoFR−ダイズ。3a9q−遺伝子SferH4(変異体)由来のsoFR。3egm,3bvf,3bvi,3bvk,3bvl−HpFR−ヘリコバクター・ピロリ。5c6f−HpFR(変異体)+Fe。1z4a,1vlg−FR−テルモトガ・マリティマ(Thermotoga maritime)。1s3q,1sq3,3kx9−FR−アルカエオグロブス・フルギダス(Archaeoglubus fulgidus),1krq−FR−カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)。1eum−EcFR−大腸菌(Escherichia coli)。4reu−EcFR+Fe。4xgs−EcFR(変異体)+Fe2O2。4ztt−EcFR(変異体)+Fe2O+Fe2+Fe+O2。1qgh−LiFR−リステリア・イノキュア(Listeria innocua)。3qz3−VcFR−ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)。3vnx−FR−アナアオサ(Ulva pertusa)。4ism,4isp,4itt,4itw,4iwj,4iwk,4ixk,3e6s−PnmFR−プセウドニッチア(Pseudo−nitschia multiseries)。4zkh,4zkw,4zkx,4zl5,4zl6,4zlw,4zmc−PnmFR(変異体)+Fe。1z6o−FR−イラクサギンウワバ。4cmy−FR+Fe−緑色硫黄細菌(Chlorobaculum tepidum)。フェリチン軽鎖(FTL)。1lb3,1h96−mFTL−マウス。1rcc,1rcd,1rci−bFTL+タルトレート+Mg。1rce,1rcg−bFTL+タルトレート+Mn。3noz,3np0,3np2,3o7r−hoFTL(変異体)−ウマ。3o7s,3u90−hoFTL。4v1w−hoFTL−cryo EM。3rav,3rd0−hoFTL+バルビツレート。フェリチン軽鎖+重鎖:5gn8−hFTH+Ca。
構造アライメントは、(i)第2の配列の公知の構造を使用して第1の配列の構造をモデリングする工程、または(ii)両方が公知である第1および第2の配列の構造を比較する工程、ならびに第2の配列における目的の残基に最も類似に位置する第1の配列中の残基を同定する工程によって、2つ(またはそれより多く)のポリペプチド配列を超えて対応する残基を同定する工程を伴う。対応する残基は、重ねた構造におけるアルファ炭素の距離の最小化(例えば、どの組のアルファ炭素対がアライメントに関する最小平均二乗偏差を提供するか)に基づいて一部のアルゴリズムにおいて同定される。H.ピロリフェリチンに関して記載された位置に対応する非H.ピロリフェリチンにおける位置を同定する場合、H.ピロリフェリチンは、「第2の」配列であり得る。目的の非H.ピロリフェリチンが利用可能な公知の構造を有しないが、公知の構造を有する別の非H.ピロリフェリチンに、H.ピロリフェリチンより密接に関連する場合、密接に関連する非H.ピロリフェリチンの公知の構造を使用して目的の非H.ピロリフェリチンをモデリングし、次にそのモデルをH.ピロリフェリチン構造と比較して、目的のフェリチンにおける所望の対応する残基を同定することが最も有効であり得る。構造モデリングおよびアライメントに関して広範囲の文献が存在し、代表的な開示には、米国特許第6859736号;米国特許第8738343号;およびAslamら、Electronic Journal of Biotechnology 20(2016)9〜13頁において引用される開示が挙げられる。公知の関連する構造または複数の構造に基づく構造のモデリングの考察に関して、例えば、Bordoliら、Nature Protocols 4(2009)1〜13頁、およびその中で引用されている参考文献を参照されたい。
5.免疫刺激性部分;アジュバント;コンジュゲートされたインフルエンザポリペプチド
一部の実施形態では、インフルエンザポリペプチド、および/またはアジュバントなどの免疫刺激性部分は、フェリチンまたはリンカーの表面に露出したアミノ酸に結合される。一部の実施形態では、表面に露出したアミノ酸は、例えば上記で考察した変異に起因するシステインである。一部の実施形態では、表面に露出したアミノ酸は、リシン、アスパルテート、またはグルタメートである。グルタルアルデヒド(リシンをアミノ担持リンカーまたは部分にコンジュゲートするため)またはカルボジイミド(例えば、アスパルテートもしくはグルタメートをアミノ担持リンカーもしくは部分にコンジュゲートするための、またはリシンをカルボキシル担持リンカーもしくは部分にコンジュゲートするための、1−シクロヘキシル−3−(2−モルフォリン−4−イル−エチル)カルボジイミド、または1−エチル−3−(3−ジメチル−アミノプロピル)カルボジイミド(EDC;EDAC))を使用するコンジュゲーション手順は、例えばspringer.com.でワールドワイドウェブから入手可能な、Chapter 4 of Holtzhauer,M.,Basic Methods for the Biochemical Lab,Springer 2006,ISBN 978−3−540−32785−1に記載されている。
一部の実施形態では、アジュバントのような免疫刺激性部分は、フェリチンの表面に露出したアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、アジュバントのような1つより多くの免疫刺激性部分が、フェリチンの表面に露出したアミノ酸に結合する。一部の実施形態では、24個の免疫刺激性部分が、フェリチン多量体または粒子(例えば、H.ピロリフェリチン粒子における各々の単量体の1つの部分)に結合する。複数の免疫刺激性部分がフェリチンナノ粒子に結合した一部の実施形態では、免疫刺激性部分は全て同一である。複数の免疫刺激性部分がフェリチンナノ粒子に結合した一部の実施形態では、免疫刺激性部分は全て同一ではない。
A)免疫刺激性部分の種類;アジュバント
表面に露出したアミノ酸(例えば、システイン)に結合することができる免疫刺激性部分を、本開示に従ってフェリチンにおいて使用することができる。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、B細胞アゴニストである。
一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、疎水性ではない。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は親水性である。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、極性である。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、水素結合またはイオン結合することが可能であり、例えば水素結合ドナー、水素結合アクセプター、カチオン性部分またはアニオン性部分を含む。部分が、pH 6、7、7.4、または8のような生理的に関連するpHで、水溶液中でイオン化される場合、部分はカチオン性またはアニオン性であると考えられる。
一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、アジュバントである。一部の実施形態では、アジュバントは、病原体関連分子パターン(PAMP)を含む。一部の実施形態では、アジュバントは、toll−like受容体(TLR)アゴニストまたはインターフェロン遺伝子(STING)アゴニストの刺激剤である。一部の実施形態では、アジュバントはBおよび/またはT細胞におけるTLRシグナル伝達を活性化する。一部の実施形態では、アジュバントは、適応免疫応答を調節する。
(1)TLR2アゴニスト
一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、TLR2アゴニストである。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、TLR2シグナル伝達を刺激する。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、TLR2の合成低分子リガンドである。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、TLR2シグナル伝達の合成低分子アゴニストである。
一部の実施形態では、TLR2アゴニストは、PAM2CSK4、FSL−1、またはPAM3CSK4である。
(2)TLR7/8アゴニスト
一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、TLR7および/またはTLR8アゴニスト(すなわち、TLR7およびTLR8の少なくとも1つのアゴニスト)である。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、TLR7および/またはTLR8シグナル伝達を刺激する。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、TLR7および/またはTLR8の合成低分子リガンドである。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、TLR7および/またはTLR8シグナル伝達の合成低分子アゴニストである。
一部の実施形態では、TLR7および/またはTLR8アゴニストは、一本鎖(ssRNA)である。一部の実施形態では、TLR7および/またはTLR8アゴニストは、イミダゾキノリンである。一部の実施形態では、TLR7および/またはTLR8アゴニストは、ヌクレオシドアナログである。
一部の実施形態では、TLR7および/またはTLR8アゴニストは、3M−012(3M Pharmaceuticals)のようなイミダゾキノリンアミンToll−like受容体(TLR)アゴニストである。遊離の3M−012の構造は:
Figure 2021519600
である。3M−012または本明細書で考察する任意の部分のような免疫刺激性部分は、この部分の適切な末端原子(例えば、水素)を、例えば表面に露出したシステインの硫黄での本明細書に記載されるフェリチンとの結合に置換することによって、またはそのような硫黄に結合するリンカーによってフェリチンにコンジュゲートすることができると理解される。このように、フェリチンにコンジュゲートする場合、免疫刺激性部分の構造は、遊離の分子の構造とはわずかに異なる。
一部の実施形態では、TLR7および/またはTLR8アゴニストは、SM7/8aである。遊離のSM7/8aの構造は:
Figure 2021519600
である。
例えば、Nat Biotechnol.2015 Nov;33(11):1201〜10頁.doi:10.1038/nbt.3371を参照されたい。
(3)TLR9アゴニスト
一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、TLR9アゴニストである。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、TLR9シグナル伝達を刺激する。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、TLR9の合成低分子リガンドである。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、TLR9シグナル伝達の合成低分子アゴニストである。
一部の実施形態では、TLR9アゴニストは、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)である。一部の実施形態では、TLR9アゴニストは、非メチル化CpG ODNである。一部の実施形態では、CpG ODNは、通常のDNAにおいて見出される天然のホスホジエステル(PO)骨格の代わりに、部分的または完全なホスホロチオエート(PS)骨格を含む。
一部の実施形態では、CpG ODNは、クラスB ODNであり、これは5’プリン(Pu)−ピリミジン(Py)−C−G−Py−Pu3’を含む1つまたはそれ以上の6量体CpGモチーフを含み;十分にホスホロチオエート化された(すなわち、PS改変された)骨格を有し;18〜28ヌクレオチド長を有する。一部の実施形態では、CpG ODNは、配列番号210の配列を含み、場合により、骨格にホスホロチオエート結合を含む。
一部の実施形態では、TLR9アゴニストは、免疫刺激性配列(ISS)を含む。一部の実施形態では、TLR9アゴニストは、ISS−1018(Dynavax)(配列番号210)である。
(4)STINGアゴニスト
一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、STING(インターフェロン遺伝子タンパク質刺激因子、小胞体IFN刺激因子とも呼ばれる)アゴニストである。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、STINGシグナル伝達を刺激する。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、STINGの合成低分子リガンドである。一部の実施形態では、免疫刺激性部分は、STINGシグナル伝達の合成低分子アゴニストである。
一部の実施形態では、STINGアゴニストは、環状ジヌクレオチド(CDN)である。例えば、Danilchankaら、Cell 154:962〜970頁(2013)を参照されたい。例示的なCDNは、cdA、cdG、cAMP−cGMP、および2’−5’,3’−5’cGAMPを含む(構造に関しては、Danilchankaらを参照されたい)。STINGアゴニストはまた、DMXAAのような合成アゴニストも含む。
Figure 2021519600
b)コンジュゲートされたインフルエンザポリペプチド
一部の実施形態では、インフルエンザポリペプチドは、フェリチンの表面に露出したアミノ酸にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、インフルエンザポリペプチドは、単独で抗原性であるが、一部の実施形態では、インフルエンザポリペプチドは、フェリチンとのその会合のために抗原性である。インフルエンザポリペプチドは、本明細書に記載されるインフルエンザポリペプチドのいずれか1つであり得る。
c)コンジュゲーション
一部の実施形態では、表面に露出したシステイン(例えば、本明細書に記載される変異に起因する)、またはフェリチン(例えば、フェリチンのN末端)に結合したペプチドリンカー中のシステインを使用して、アジュバントのような免疫刺激性部分またはインフルエンザポリペプチドを、フェリチンにコンジュゲートする。一部の実施形態では、リンカーは、そのようなシステインにコンジュゲートされ、リンカーを次に、アジュバントのような免疫刺激性部分、またはインフルエンザポリペプチドにコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、そのようなシステインは、アジュバント、リンカー、またはインフルエンザポリペプチドを結合させるコンジュゲーション反応のための化学ハンドルを作製する。一部の実施形態では、バイオコンジュゲートが産生され、アジュバントのような免疫刺激性部分またはインフルエンザポリペプチドは、そのようなシステインの還元後にフェリチンに連結される。一部の実施形態では、システインは、表面に露出した不対システイン、すなわちジスルフィド結合を形成するための適切な位置にパートナーシステインを欠如するシステインである。一部の実施形態では、システインは、遊離のチオール側鎖を含む不対システインである。
(1)コンジュゲーションケミストリーのタイプ
任意のタイプのケミストリーを使用して、例えばシステインまたはLys、Glu、もしくはAspのような別のアミノ酸のような表面に露出したアミノ酸の反応を介して、アジュバントのような免疫刺激性部分またはインフルエンザポリペプチドをフェリチンにコンジュゲートすることができる。
一部の実施形態では、コンジュゲーションは、クリックケミストリーを使用して実施される。本明細書で使用される場合、「クリックケミストリー」は、互いに急速かつ選択的に反応する(すなわち、「クリックする」)1対の官能基間での反応を指す。一部の実施形態では、クリックケミストリーは、緩和な水性条件下で実施することができる。一部の実施形態では、クリックケミストリー反応は、表面に露出したアミノ酸の変異に起因するシステインのようなフェリチンの表面上のシステインを利用し、システインと反応することができる官能基を使用してクリックケミストリーを実施する。
クリックケミストリーの基準を満たす多様な反応が、当技術分野で公知であり、当業者は、複数の公表された方法論のいずれかを使用することができる(例えば、Heinら、Pharm Res 25(10):2216〜2230頁(2008)を参照されたい)。クリックケミストリーに関してSigma Aldrich、Jena Bioscience、またはLumiprobeの試薬のような広範囲の市販の試薬を使用することができる。一部の実施形態では、コンジュゲーションは、以下の実施例に記載されるようにクリックケミストリーを使用して実施される。
一部の実施形態では、クリックケミストリーは、フェリチンの還元後に起こる。
一部の実施形態では、クリックケミストリーは、1ステップクリック反応であり得る。一部の実施形態では、クリックケミストリーは、2ステップクリック反応であり得る。
一部の実施形態では、反応は、金属フリーのクリックケミストリーを含む。一部の実施形態では、反応は、チオール−マレイミドおよび/またはジスルフィド交換を含む。
金属フリークリックケミストリー
金属フリークリックケミストリーは、タンパク質の起こり得る酸化を回避するためにコンジュゲーション反応に関して使用することができる。金属フリークリックケミストリーは、抗体コンジュゲートを形成するために使用されている(van Geelら、Bioconjugate Chem.2015,26,2233〜2242頁を参照されたい)。
一部の実施形態では、金属フリークリックケミストリーは、アジュバントをフェリチンに結合させる反応において使用される。一部の実施形態では、アジュバントをフェリチンに結合させる反応において銅フリーコンジュゲーションを使用する。一部の実施形態では、金属フリークリックケミストリーは、ビシクロ[6.1.0]ノニン(BCN)を使用する。一部の実施形態では、金属フリークリックケミストリーは、ジベンゾアザシクロオクチン(DBCO)を使用する。一部の実施形態では、BCNまたはDBCOは、アジド基と反応する。
DBCOは、触媒の非存在下での歪み促進型クリック反応を介してアジド基に対して高い特異性を有し、高収率の安定なトリアゾールをもたらす。一部の実施形態では、DBCOは、銅触媒の非存在下でアジドと反応する。
一部の実施形態では、金属フリークリックケミストリーは、1ステップクリック反応において使用される。一部の実施形態では、金属フリークリックケミストリーは、2ステップクリック反応において使用される。
チオール−マレイミドおよびジスルフィド交換
本明細書で使用されるフェリチンは、スルフヒドリルとしても知られるチオールを含むシステインを含むことができ、これはスルフヒドリル反応性化学基との反応に関して利用可能である(または還元を通して利用可能となり得る)。このように、システインは、アジュバントのような免疫刺激性部分をフェリチンに付加するための化学選択的改変を可能にする。塩基性条件下では、システインは、脱プロトン化されて、チオレート求核試薬を生成し、これはマレイミドおよびヨードアセトアミドのような弱い求電子試薬と反応することができる。システインとマレイミドまたはヨードアセトアミドとの反応は、炭素−硫黄結合をもたらす。
一部の実施形態では、スルフヒドリル反応性化学基は、表面に露出したシステインまたはフェリチンのリンカー中のシステインと反応する。一部の実施形態では、スルフヒドリル反応性化学基は、ハロアセチル、マレイミド、アジリジン、アクリロイル、アリール化剤、ビニルスルホン、ピリジルジスルフィド、またはTNB−チオールである。
一部の実施形態では、スルフヒドリル反応性化学基は、アルキル化によってシステインのスルフヒドリルにコンジュゲートする(すなわち、チオエーテル結合の形成)。一部の実施形態では、スルフヒドリル反応性化学基は、ジスルフィド交換によってシステインのスルフヒドリルにコンジュゲートする(すなわち、ジスルフィド結合の形成)。
一部の実施形態では、アジュバントのような免疫刺激性部分をフェリチンにコンジュゲートする反応は、チオール−マレイミド反応である。
一部の実施形態では、スルフヒドリル反応性化学基は、マレイミドである。一部の実施形態では、マレイミドとシステインとの反応は、例えば可逆的ではない安定なチオエステル結合の形成をもたらす。一部の実施形態では、マレイミドは、フェリチン中のチロシン、ヒスチジン、またはメチオニンとは反応しない。一部の実施形態では、非反応マレイミドは、遊離のチオールを例えば過剰に添加することによって、反応終了時にクエンチされる。
一部の実施形態では、アジュバントのような免疫刺激性部分をフェリチンにコンジュゲートする反応は、ジスルフィド相互交換としても知られるチオール−ジスルフィド交換である。一部の実施形態では、反応は、当初のジスルフィドの一部を含む混合ジスルフィドの形成を伴う。一部の実施形態では、当初のジスルフィドは、表面に露出したアミノ酸の変異またはN末端リンカーの付加によってフェリチンに導入されたシステインである。
一部の実施形態では、スルフヒドリル反応性化学基は、ピリジルジチオールである。一部の実施形態では、スルフヒドリル反応性化学基は、TNB−チオール基である。
(2)リンカー
一部の実施形態では、アジュバントのような免疫刺激性部分、またはインフルエンザポリペプチドは、システインのような表面に露出したアミノ酸に共有結合したリンカーを介してフェリチンに結合する。一部の実施形態では、リンカーは、ポリエチレングリコール、例えば、PEGリンカーを含む。一部の実施形態では、ポリエチレングリコール(例えば、PEG)リンカーは、アジュバントのような免疫刺激性部分に連結したフェリチンの水溶性およびライゲーション効率を増加させる。PEGリンカーは、2〜18PEG長の間、例えば、PEG4、PEG5、PEG6、PEG7、PEG8、PEG9、PEG10、PEG11、PEG12、PEG13、PEG14、PEG15、PEG16、PEG17、およびPEG18である。
一部の実施形態では、リンカーは、マレイミドを含む。一部の実施形態では、リンカーは、免疫刺激性部分(ISM)−リンカー−マレイミドの構成要素を含む。一部の実施形態では、ISM−リンカー−マレイミドは、マレイミドとフェリチンのシステインとの反応によって1ステップクリックケミストリーにおいてフェリチンにコンジュゲートされる。一部の実施形態では、アジュバント−リンカー−マレイミドのISMは、SM7/8aである。一部の実施形態では、ISM−リンカー−マレイミドのリンカーはPEG4である。一部の実施形態では、ISM−リンカー−マレイミドは、SM7/8a−PEG4−マレイミドである。
一部の実施形態では、2ステップクリックケミストリープロトコルを、1つの末端でスルフヒドリル反応性化学基および他方の末端でアミン反応基を含むリンカーと共に使用する。そのような2ステップクリックケミストリープロトコルでは、スルフヒドリル反応性化学基は、フェリチンのシステインと反応するが、アミン反応基はISMに結合した試薬と反応する。このようにして、ISMは、1組の2クリックケミストリー試薬の組を介してフェリチンにコンジュゲートされる。
2ステップクリックケミストリープロトコルの一部の実施形態では、スルフヒドリル反応性化学基はマレイミドである。2ステップクリックケミストリープロトコルの一部の実施形態では、マレイミドは、表面に露出したアミノ酸の変異またはN末端リンカーの付加によってフェリチンに導入されたシステインと反応する。
2ステップクリックケミストリープロトコルの一部の実施形態では、アミン反応基はDBCOである。2ステップクリックケミストリープロトコルの一部の実施形態では、DBCOは、ISMに結合したアジド基と反応する。
一部の実施形態では、マレイミド−リンカー−DBCOを使用する。一部の実施形態では、マレイミド−リンカー−DBCOは、フェリチンの還元後、フェリチンにコンジュゲートされる。一部の実施形態では、マレイミド−リンカー−試薬は、第1のステップでマレイミドとフェリチンのシステインとの反応によってフェリチンにコンジュゲートされる。一部の実施形態では、DBCOを使用してアジドに結合したISMに連結する。一部の実施形態では、アジドに連結したISMは、ISS−1018である。一部の実施形態では、アジドにカップリングしたアジュバントは、3M−012またはCpGである。
一部の実施形態では、反応基を有するリンカーをISMに付加する。一部の実施形態では、リンカーは、PEG4−アジドリンカー、またはPEG4−マレイミドリンカーである。
一部の実施形態では、PEG4−アジドリンカーは、3M−012にコンジュゲートされる。PEG4−アジドリンカーにコンジュゲートされた3M−012の例示的な構造は:
Figure 2021519600
である。
一部の実施形態では、PEG4−アジドリンカーは、SM7/8aにコンジュゲートされる。PEG4−アジドリンカーにコンジュゲートされたSM7/8aの例示的な構造は:
Figure 2021519600
である。
一部の実施形態では、PEG4−マレイミドリンカーは、SM7/8aにコンジュゲートされる。PEG4−マレイミドリンカーにコンジュゲートされたSM7/8aの例示的な構造は:
Figure 2021519600
である。
一部の実施形態では、アジド基は、ISS−1018にコンジュゲートされる。NHSエステル−アジドリンカーにコンジュゲートされたISS−1018の例示的な構造は:
Figure 2021519600
である。
C.例示的な組成物、キット、核酸、使用、および方法
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗原性ポリペプチドのいずれか1つまたはそれ以上を含む組成物、および薬学的に許容されるビヒクル、アジュバント、または賦形剤が提供される。
一部の実施形態では、本発明は、インフルエンザによる感染に対して対象を免疫する方法を提供する。本発明は、対象におけるインフルエンザに対する免疫応答を誘発する方法をさらに提供する。一部の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載される医薬組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載される抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドまたはナノ粒子の有効量を対象に投与する工程を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗原性ポリペプチドまたは組成物は、インフルエンザによる将来の感染に対する保護的免疫応答を生じさせるために、ヒトなどの対象に投与される。一部の実施形態では、配列番号1〜43のいずれか1つを含む抗原性ポリペプチドが投与される。
一部の実施形態では、保護的免疫応答は、入院の発生率を減少させる。一部の実施形態では、保護的免疫応答は、検査により確認されたインフルエンザ感染症の発生率を減少させる。
一部の実施形態では、1を超える抗原性ポリペプチドを個体に投与して、インフルエンザの複数の株に対して免疫化することができ、抗原性ポリペプチドのHAまたはNAポリペプチド部分は異なる。投与は、同時に行われるか、または連続して行われる。一部の実施形態では、異なるインフルエンザ株の2つのHAまたはNAポリペプチドが投与される。一部の実施形態では、異なるインフルエンザ株の3つのHAまたはNAポリペプチドが投与される。一部の実施形態では、異なるインフルエンザ株の4つのHAまたはNAポリペプチドが投与される。一部の実施形態では、異なるインフルエンザ株の5つのHAまたはNAポリペプチドが投与される。一部の実施形態では、異なるインフルエンザ株の5つを超えるHAまたはNAポリペプチドが投与される。
1.対象
一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。一部の実施形態では、対象はヒトである。
一部の実施形態では、対象は成人(年齢18歳より上または18歳に等しい)である。一部の実施形態では、対象は小児または青年(年齢18歳未満)である。一部の実施形態では、対象は高齢者(年齢60歳より上)である。一部の実施形態では、対象は、非高齢成人(年齢18歳より上またはそれに等しく、年齢60歳未満またはそれに等しい)である。
一部の実施形態では、組成物の1回より多くの投与を対象に投与する。一部の実施形態では、ブースター投与は免疫応答を改善する。
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗原性ポリペプチドまたは組成物の1つまたはそれ以上は、霊長類(例えば、サル(例えば、アカゲザルまたはカニクイザルのようなマカク)または類人猿のような非ヒト霊長類)、齧歯類(例えば、マウスまたはラット)、または家畜哺乳動物(例えば、イヌ、ウサギ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ラクダ、またはロバ)のような哺乳動物において使用するためである。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗原性ポリペプチドまたは組成物の1つまたはそれ以上は、家禽(例えば、ニワトリ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、または白鳥)のような鳥類において使用するためである。
2.アジュバント
本明細書で使用される場合、アジュバントは、表面に露出したアミノ酸,例えば、システインを介してフェリチンにコンジュゲートしてもよい。非コンジュゲートアジュバントもまた、本明細書に記載される抗原性フェリチンポリペプチドと共に対象に投与してもよい。一部の実施形態では、抗原性フェリチンポリペプチドと共にアジュバントを投与すると、アジュバントを投与しないインフルエンザポリペプチド単独、または抗原性フェリチンポリペプチド単独の投与と比較して、対象においてインフルエンザポリペプチドに対するより高力価の抗体を生じる。アジュバントは、抗原性ポリペプチドに対するより早期の、より強力な、またはより持続性の免疫応答を促進し得る。
一部の実施形態では、組成物は、1つのアジュバントを含む。一部の実施形態では、組成物は1つより多くのアジュバントを含む。一部の実施形態では、組成物は、アジュバントを含まない。
一部の実施形態では、アジュバントはアルミニウムを含む。一部の実施形態では、アジュバントは、リン酸アルミニウムである。一部の実施形態では、アジュバントはミョウバン(Alyhydrogel’85 2%;Brenntag−カタログ番号21645−51−2)である。
一部の実施形態では、アジュバントは有機アジュバントである。一部の実施形態では、アジュバントは油基剤のアジュバントである。一部の実施形態では、アジュバントは水中油型ナノ乳剤を含む。
一部の実施形態では、アジュバントはスクアレンを含む。一部の実施形態では、スクアレンを含むアジュバントは、Ribi(Sigma adjuvant systemカタログ番号S6322−1vl)、Addavax(商標)MF59、AS03、またはAF03(米国特許第9703095号を参照されたい)である。一部の実施形態では、スクアレンを含むアジュバントは、ナノ乳剤である。
一部の実施形態では、アジュバントは、ポリアクリル酸ポリマー(PAA)を含む。一部の実施形態では、PAAを含むアジュバントはSPA09である(WO2017218819を参照されたい)。
一部の実施形態では、アジュバントは非代謝性油を含む。一部の実施形態では、アジュバントは、フロイント不完全アジュバント(IFA)を含む。
一部の実施形態では、アジュバントは、非代謝性油および結核死菌(Mycobacterium tuberculosis)を含む。一部の実施形態では、アジュバントはフロイント完全アジュバント(CFA)である。
一部の実施形態では、アジュバントは、リポ多糖類である。一部の実施形態では、アジュバントは、モノホスホリルA(MPLまたはMPLA)である。
3.医薬組成物
様々な実施形態では、本明細書に記載される抗原性フェリチンポリペプチドおよび/または関連する実体を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、病原体に対して保護的免疫応答のような免疫応答を誘発することが可能な免疫原性組成物(例えば、ワクチン)である。
例えば、一部の実施形態では、医薬組成物は、以下の1つまたはそれ以上を含み得る:(1)(i)表面に露出したアミノ酸をシステインに置き換える変異、および(ii)インフルエンザポリペプチドを含む抗原性フェリチンタンパク質;(2)(i)表面に露出したアミノ酸をシステインに置き換える変異、およびシステインに連結した免疫刺激性部分;ならびに(ii)インフルエンザポリペプチドを含む抗原性フェリチンタンパク質;(3)(i)表面に露出したシステイン、(ii)フェリチンタンパク質に対してN末端側のペプチドリンカー;および(iii)ペプチドリンカーに対してN末端側のインフルエンザポリペプチドを含む抗原性フェリチンタンパク質;(4)(i)表面に露出したアミノ酸をシステインに置き換える変異、およびシステインに連結した免疫刺激性部分、(ii)H.ピロリフェリチンの31位の内部システイン、またはペアワイズまたは構造アライメントによって同定される、非H.ピロリフェリチンの31位と類似の位置の内部システインを非システインアミノ酸に置き換える変異;(iii)表面に露出したアスパラギンを非アスパラギンアミノ酸に置き換える変異、ならびに(iv)インフルエンザポリペプチドを含む抗原性フェリチンタンパク質;または(5)前述のフェリチンタンパク質を含むフェリチン粒子。
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗原性ポリペプチドに関連する抗体または他の作用物質を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される抗原性ポリペプチドに結合するおよび/またはそれと競合する抗体を含む。あるいは、抗体は、本明細書に記載される抗原性ポリペプチドのインフルエンザポリペプチド構成要素を含むウイルス粒子または細菌を認識し得る。
一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、単独で、または免疫応答を増強するための1つもしくはそれ以上の作用物質、例えば本明細書に記載されるアジュバントと組み合わせて投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は、上記のアジュバントをさらに含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む。本明細書で使用される場合、用語「担体」は、それと共に医薬組成物が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。例示的な実施形態では、担体は、滅菌液体、例えば水、および石油、動物、植物、または合成起源の油を含む油、例えば落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等を含み得る。一部の実施形態では、担体は、1つまたはそれ以上の固体構成要素であるか、またはそれらを含む。薬学的に許容される担体はまた、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、およびその組合せを含み得るがこれらに限定されない。本明細書で使用される場合、賦形剤は、例えば所望のコンシステンシーまたは安定化効果を提供するまたはそれに関与するように医薬組成物に含めることができる任意の非治療剤である。適した薬学的賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等を含むがこれらに限定されない。様々な実施形態では、医薬組成物は無菌的である。
一部の実施形態では、医薬組成物は、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、安定化剤、緩衝剤、または保存剤のような任意の多様な添加剤を含み得る。加えて、補助剤、安定化剤、濃化剤、潤滑剤、および着色剤を含めることができる。
様々な実施形態では、医薬組成物は、任意の所望の投与様式に適合するように製剤化することができる。例えば、医薬組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、滴剤、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル剤、液体を含有するカプセル、ゼラチンカプセル、散剤、徐放性製剤、坐剤、乳剤、エアロゾル、噴霧剤、懸濁剤、凍結乾燥粉末、凍結懸濁液、乾燥粉末の形態、または使用するために適した他の任意の形態をとることができる。薬剤の製剤化および製造における一般的検討は、例えば参照によって本明細書に組み入れられる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1995に見出すことができる。
医薬組成物は、任意の投与経路を介して投与することができる。投与経路は、例えば経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、粘膜、硬膜外、舌下、鼻腔内、脳内、膣内、経皮、直腸内、気管内点滴、気管支点滴、吸入、または局所投与経路を含む。投与は局所または全身であり得る。一部の実施形態では、投与は経口で実施される。別の実施形態では、投与は非経口注射による。一部の例では、投与は、本明細書に記載される抗原性フェリチンポリペプチドの血流への放出をもたらす。投与様式は、医師の裁量に委ねることができる。
一部の実施形態では、医薬組成物は、非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、および皮下)にとって適している。そのような組成物は、例えば、液剤、懸濁剤、分散剤、乳剤等として製剤化することができる。それらは、使用直前に滅菌注射可能媒体に溶解または懸濁することができる滅菌固体組成物(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で製造してもよい。例えば、非経口投与は注射によって達成することができる。そのような実施形態では、注射剤は、通常の形態、すなわち液体溶液または懸濁液、注射前に液体中の溶液または懸濁液にとって適した固体形態、または乳剤として調製される。一部の実施形態では、注射溶液および懸濁液は、滅菌粉末、凍結乾燥粉末、または顆粒から調製される。
さらなる実施形態では、医薬組成物は、吸入(例えば、肺および呼吸器への直接送達)による送達のために製剤化される。例えば、組成物は、点鼻用噴霧剤または他の任意の公知のエアロゾル製剤の形態をとり得る。一部の実施形態では、吸入用またはエアロゾル送達のための調製物は、複数の粒子を含む。一部の実施形態では、そのような調製物は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、または約13ミクロンの平均粒子サイズを有し得る。一部の実施形態では、吸入またはエアロゾル送達のための調製物は、乾燥粉末として製剤化される。一部の実施形態では、吸入またはエアロゾル送達のための調製物は、例えば湿潤剤を含めることを通して湿潤粉末として製剤化される。一部の実施形態では、湿潤剤は、水、食塩水、または生理的pHの他の液体からなる群から選択される。
一部の実施形態では、本発明に従う医薬組成物は、鼻または口腔への滴剤として投与される。一部の実施形態では、用量は、複数の液滴(例えば、1〜100、1〜50、1〜20、1〜10、1〜5滴等)を含み得る。
本発明の医薬組成物は、所望の転帰を達成するために適切な任意の用量で投与することができる。一部の実施形態では、所望の転帰は、組成物に存在する抗原性フェリチンポリペプチドに存在するインフルエンザポリペプチドの起源のような病原体に対する長期間持続する適応免疫応答の誘導である。一部の実施形態では、所望の転帰は、感染症の1つまたはそれ以上の症状の強度、重症度、頻度の低減、および/または発生の遅延である。一部の実施形態では、所望の転帰は、感染症の阻害または予防である。必要な用量は、対象の種、年齢、体重、および全身状態、予防または処置される感染の重症度、使用される特定の組成物、およびその投与様式に応じて対象毎に変化する。
一部の実施形態では、本発明に従う医薬組成物は、単回または複数回用量で投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は、異なる日に投与される複数回用量で投与される(例えば、プライム−ブースト免疫戦略)一部の実施形態では、医薬組成物は、ブースターレジメンの一部として投与される。
様々な実施形態では、医薬組成物は、1つまたはそれ以上の追加の治療剤と同時投与される。同時投与は、それらの投与時期が、追加の治療剤および医薬組成物中の活性成分の薬理活性が時間的に重複し、それによって組み合わせた治療効果を発揮する場合には、治療剤を同時に投与する必要はない。一般的に、各々の作用物質は、その作用物質に関して決定された用量および時間スケジュールで投与される。
4.核酸/mRNA
同様に、本明細書に記載される抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドをコードする核酸も提供される。一部の実施形態では、核酸はmRNAである。ポリペプチドをもたらす翻訳を受けることが可能な任意の核酸は、本開示の目的に関してmRNAであると考えられる。
5.キット
同様に本明細書において、本明細書に記載される1つまたはそれ以上の抗原性ポリペプチド、核酸、抗原性フェリチン粒子、組成物、または医薬組成物を含むキットも提供される。一部の実施形態では、キットは、溶媒、溶液、緩衝剤、説明書、または乾燥剤の1つまたはそれ以上をさらに含む。
本説明および例示的な実施形態は、制限すると解釈すべきではない。本明細書および添付の特許請求の目的に関して、特に示していない限り、量、パーセンテージ、または割合を表記する全ての数値、ならびに本明細書および特許請求の範囲で使用される他の数値は、全ての例において、既にそのように修飾されていない程度に、用語「約」によって修飾されると理解される。「約」は、記載される主題の特性に実質的に影響を及ぼさない変動の程度、例えば10%、5%、2%、または1%以内の変動を示す。したがって、逆を示していない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲で記載される数値パラメータは、得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、および特許請求の範囲と均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各々の数値パラメータは、報告された有効数字を検討する、および通常の四捨五入技術を適用することによると少なくとも解釈すべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その」、ならびに他の用語の任意の単数形での使用は、1つの指示対象に明白かつ明確に限定されていない限り、複数の指示対象を含むことに注意されたい。本明細書に使用される場合、用語「含む」およびその文法的変形形態は、非制限的であると意図され、リストにおける項目の引用は、列挙される項目に置換または追加することができる他の類似の項目の除外ではない。用語「または」は、包括的な意味で使用され、すなわち本文がそれ以外であることを示していない限り、「および/または」と等価である。
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
Figure 2021519600
以下の実施例は開示した特定の実施形態を説明するために提供され、本開示の範囲を限定するものとは決して解釈すべきでない。
1.HA−フェリチンナノ粒子の設計、精製、および特徴解析
HAのエクトドメイン配列(48個のC末端膜貫通残基を欠如する)をフェリチンのN末端に融合して哺乳動物細胞中で自己集合するナノ粒子を生成させることによって、HAナノ粒子(HA−Np)を産生した。フェリチンは表面に露出したアミノ酸をシステインに置き換える変異(配列番号208のフェリチン配列に対するS26C、A75C、またはS111Cの変異に起因する)を含み、HA−Npへのアジュバントのコンジュゲーションが可能になる。そのようなシステインの表現を図2に提示する。
上記の変異に起因するシステインは免疫刺激性部分をコンジュゲートするために用いることができる。図3Aに、マレイミド−PEG4−SM7/8aクリック試薬を用いてTLRアゴニストをフェリチンにコンジュゲートする例示的な1ステップクリックケミストリー反応の結果を図示する。この反応では、マレイミドは対になっていないシステインと反応し、表面に露出したシステインにおいて介在するリンカーを介してTLR7/8アゴニスト分子を共有結合でフェリチンにコンジュゲートさせ、共有結合によるTLR7/8アゴニスト−フェリチンコンジュゲートを生じる。本例では1つの単量体の表面上の1つのシステインを示している。フェリチンナノ粒子は多量体であり、例えば24個の単量体からなっている。したがって、フェリチンナノ粒子は単量体の数と等しい数の表面露出システインを含むことができ、表面露出システインのそれぞれがコンジュゲートすることができる。
図3Bおよび図4A〜図4Bに、アジュバントをフェリチンナノ粒子にコンジュゲートするために用いることができる例示的な2ステップクリックケミストリー、ならびにCpGおよび3M−012(3M012と称することもある)が中間二官能性リンカーを介する2ステップクリックケミストリー反応によってどのようにしてフェリチンにコンジュゲートさせることができるかを示す。例示的なリンカーは、マレイミドおよびDBCO反応基を含むSigma社のPEGリンカー(カタログ#760676)である。本例では、TLRアゴニストは反応性アジド基によって官能化される。
以下に記載した実験においてマススペクトロメトリー(MS)を用いて、コンジュゲートした免疫刺激性部分を含みおよび含まないインフルエンザ−フェリチンを特徴解析する。MSに供した分析物質は、いくつかの場合にはインフルエンザ−フェリチンのトリプシン消化物であった。トリプシンは一般に、プロリンが後に続く場合を除いて、リシンおよびアルギニン残基の後で切断する。しかし、構成したナノ粒子(指示したトリプシン部位のC末端)は、タンパク質分解に耐性がある。天然の条件下で配列番号14等のウシガエル−H.ピロリフェリチン構築物においてトリプシンによって切断される最遠位(C末端)のトリプシン部位を図5に示す。このように、トリプシン消化はMS解析に好適なタンパク質分解耐性のフェリチン粒子を放出する。
したがって、リンカー配列がトリプシンにより接近可能であるという前提で、切断されていないポリペプチドの中のN末端抗原の存在とは関係なしに、トリプシン消化およびそれに続く単純化されたMS解析を用いてナノ粒子へのコンジュゲーションを評価することができる。本方法は、糖タンパク質抗原がMS解析に提起する複雑さを克服するために考案された。例えば、H1/Stem−NpがMSによって解析できるのは、そうでなければPNGase処理の後のみである(図8A)。
以下のインフルエンザ株からのHA配列をヘリコバクター・ピロリ−ウシガエルハイブリッドフェリチンのN末端に遺伝子的に融合してHAナノ粒子を構築した。A/フォートマンモス/1−JY2/1947(GenBank CY147342、アミノ酸1〜518、Y108F);A/マレーシア/302/1954(GenBank CY009340.1、アミノ酸1〜518、Y108F);A/デンバー/1957(GenBank CY008988、アミノ酸1〜517、Y108F);A/香港/117/1977(GenBank CY009292、アミノ酸1〜518、Y108F);A/ニューカレドニア/20/99(GenBank AHJ09883.1、アミノ酸1〜518);A/カリフォルニア/4/2009(GenBank AHJ09884.1、アミノ酸1〜518);COBRA P1(米国特許出願公開第20150017196A1の配列番号2、アミノ酸1〜518、Y108F)、およびCOBRA X6(米国特許出願公開第20140127248A1、アミノ酸1〜517、Y108F)。COBRA P1およびCOBRA X6は、階層的配列平均化(Carter DMら、J Virol 90:4720〜4734頁(2016))のコンピュータ法によって産生した。COBRA X6は1999年〜2012年にわたるヒトH1N1インフルエンザ配列から、またCOBRA P1は1933年〜1957年および2009年〜2011年にわたるヒトH1N1株ならびに1931年〜1998年にわたるブタH1N1インフルエンザ株から産生した(Carter、2016)。HA−フェリチン遺伝子は哺乳動物での発現のために、ATG開始コドンの前のgccacc kozak配列とともにSIB002ベクターのXbaI/BamHI部位にクローニングした。全ての配列はヒト細胞株での発現のためにコドン最適化した。
HA−NpプラスミドをPowerprepキット(Origene社カタログ#NP100009)で精製して、Expi293細胞(ThermoFisher社カタログ#A14635)にトランスフェクトするために用いた。FectoPRO DNAトランスフェクション試薬(Polyplus社#116−100)を標準的条件(DNA0.5μg/mL、FectoPRO試薬0.75μl/mL、エンハンサー0.45μl/mL)で用いた。トランスフェクションの4〜6日後に4℃で15分、3,488gで遠心分離することによって、Expi293の上清からナノ粒子を回収し、0.45μmの真空駆動フィルターユニット(Thermo Scientific社カタログ#167−0045)を通して濾過した。HA−Npを重力流でQ−Sepharose Fastフローカラム(GE社カタログ#17051001)に通過させ、フロースルーを採取し、水で3倍に希釈し、Tris緩衝液pH8.5を加えて最終濃度50mMになるようpHを調節した。あるいは、最初のQ−Sepharoseカラムを用いる代わりに、上清を緩衝液A(50mM Tris、pH8.5、5mM NaCl)で5倍に希釈した。次いでサンプルをQ−Sepharoseカラム(HiTrap Q HP、GE社カタログ#17115401)に負荷し、カラム体積の30倍の緩衝液A(50mM Tris、pH8.5、5mM NaCl)と緩衝液B(50mM Tris、pH8.5、1M NaCl)の0〜60%の混合物のNaCl勾配でタンパク質を溶出させた。HA−ナノ粒子タンパク質分画を採取し、Amicon Ultra−15遠心フィルターユニット(Millipore社カタログ#UFC910024)で濃縮し、リン酸緩衝食塩液中のSuperose6カラムPG XK 16/70、60〜65cm(カタログ##90100042)を用いるサイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製した。最終分画を濃縮し、0.22μmのフィルター(Millipore社SLGV004SL)を通して濾過滅菌した。エンドトキシンフリーの溶液を用い、検出限界0.05EU/mlのLALカートリッジを備えたCharles Rivers Endosafe PTS装置を用いて最終タンパク質を試験した。
H1/Stem−Np(配列番号43、図6A)およびH5/COBRA−Np(配列番号32、図6B)のトリプシン消化を示す。両方の例では、トリプシン消化による分子量のシフト(「+」で示す)は、SM7/8aの分子量(711ダルトン)に相当する。したがって、これらのデータは、表面に露出したシステインを含むフェリチンナノ粒子へのSM7/8aのコンジュゲーションが成功したことを示している。
マレイミド−PEG4−SM7/8aのような低分子量の分子へのコンジュゲーションの後のフェリチンナノ粒子の質量変化の決定は、トリプシン処理なしにPNGaseを用いてH1/Stem−Npのグリコシル化を除去するゲルシフト実験(図7A)では明確でない。図7Bに示すように、トリプシン処理によって、SM7/8aのような小分子のH1/Stem−Npへのコンジュゲーションをゲルシフトアッセイで確認することが可能になる。CpGのような分子量がより高い分子のコンジュゲーションは、脱グリコシル化されたH1/Stem−Npのゲルシフトアッセイによって(図7A)、および天然の条件下でのトリプシン消化によってH1/Stem−Npから放出されたフェリチンナノ粒子のゲルシフトアッセイによって、観察することができる。したがって、天然の条件下でのフェリチンナノ粒子のトリプシン消化を用いることによって、これらの分析アッセイに干渉する可能性がある特性を有する所与の抗原について、さもなければゲルシフトまたはマススペクトロメトリー(MS)実験で解析することが困難なプラットフォーム技術としての、TLRアゴニストがコンジュゲートするコア断片の特徴解析の方法が提供される。
SM7/8a−PEG4−マレイミドをH1/Stem−Npにコンジュゲートし、分析目的のためのみにPNGase処理を行った後、MS上のコンジュゲーション生成物は42930Daの質量を有することが分かった。これはコンジュゲートしていないH1/Stem−Npよりほぼ715kDa重かった(図8A)。トリプシン消化の後、還元したフェリチンナノ粒子は19510Daの質量を有していた(ナノ粒子のH1/Stem部分の切断に基づく)(図8B)。コンジュゲーションの後、トリプシン消化したコンジュゲートしたナノ粒子の質量もほぼ715kDa重かった。したがって、図8Aおよび図8Bはいずれも、アジュバントを含むリンカーのフェリチンナノ粒子へのコンジュゲーションにおけるコンジュゲーション効率は約100%であることを支持している。
マレイミド−PEG4−DBCOリンカーを2ステップのクリックケミストリー反応でH1−stem−Npにコンジュゲートした。このとき、マレイミドはフェリチンナノ粒子の表面上に露出したシステインと反応し、トリプシン消化後のMS解析によって、リンカー付加の分子量であるほぼ675Daと符合する質量増加が見られた(図9)。
次に、アジド−CpGをH1/Stem−Np−PEG4−DBCO中間体(図10において「Mal−PEG4−DBCO後」とラベル)に添加した。これは、ゲルシフトアッセイによって確認した。アジド−CpGはIDT社に発注した(配列番号45)。SDS−PAGEの前に、コンジュゲートおよび対照をPNGaseで処理した。CpGのコンジュゲーションは、付加された質量(約7.5kDa)のために、リンカーのコンジュゲーションと比較して上方へのゲルシフトを生じた。「Stem−Np−CpG」および「Stem−Np」とラベルした2つのバンドのデンシトメトリーによって定量したコンジュゲーション効率50%の例を図10に示す。Stem−NpはH1/Stem−Np(配列番号43)である。未処理は還元前のH1/Stem−Npを意味する。TCEP−還元は3mMのTCEPと室温で1時間処理し、PBSに対して4℃で終夜透析したH1/Stem−Npを意味する。
コンジュゲーションを評価するためにタバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ切断部位(配列番号44)も用いた。2ステップクリックケミストリープロセスを用いて3M−012を種々のNC99 HA−TEV−Np構築物(配列番号9〜12)にコンジュゲートした。2mMまたは10mMのTCEPを用いてHA−TEV−Np構築物を還元した。TCEPはTRIS緩衝液(100mM TRIS、pH8.0、50mM NaCl)への透析(MWCO 10kDaの3mLの透析カセット、Thermo社#87730)によって除去した。DBCO−PEG4−マレイミドリンカー(Sigma社#760676)を加えた。緩衝液をPBS7.4に変更しつつ過剰なリンカーを超濾過(MWCO 100kDa、Millipore社Amicon#UFC810024または#UFC910096)によって除去した。最後に、アジド官能化TLRアゴニスト(CpGまたは3M−012)を分子にクリックした。超濾過(MWCO 100kDa、Millipore社Amicon#UFC810024または#UFC910096)またはゲル濾過によって過剰な薬物を除去した。HA−TEV−Npの中のTEV切断部位により、コンジュゲーションの解析のためのTEVによる選択的切断が可能になる。
3M−012(リンカー約500Da+約600Da)のHA−TEV−Np構築物へのコンジュゲーションの後、構築物をTEVで処理した。TEV切断の後、ゲルシフトSDS−PAGE上の得られたHAバンドは約57kDaとグリカンおよびFerrの約20kDaである(図11、「+TEV」とラベルしたレーン)。約20kDaおよび21kDaの二重のバンド(「S26C」、「S72C」、「A75C」、および「S111C」(それぞれ配列番号10、11、12、および9)は、コンジュゲーションの成功を示している。コンジュゲーションの有効性はバンドの強度に対応し、ここで低いバンドはコンジュゲートされていないフェリチン、高いバンドはコンジュゲートされたフェリチンである。
S111Cを含むH1/Stem−Npは293Expi細胞中に発現されると109ダルトン(システイン化に符合する)の翻訳後改変を有することが見出された(図12A)。これは、反応性チオールを遊離させるための3mM濃度のTCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン)との室温、1時間の還元によって除去した(図12B)。したがって、改変部位を還元して表面に露出したシステインを遊離のチオールとして露出することができ、これは市販のリンカーまたはカスタム化された小分子の上のマレイミド基との反応性が極めて高い。
MSデータによっても、3M−012のHA−Npへのコンジュゲーションが成功したことが確認された。HA−TEV−Np−S26C(配列番号10、図12C)、A75C(配列番号12、図12D)、またはS111C(配列番号9、図12E)。A75CおよびS111Cのフェリチン改変を含むナノ粒子(それぞれ配列番号12および9)は、3M−012への95%を超えるコンジュゲーションを示した。したがって、MSデータは、アジュバントをフェリチンの変異に起因する種々の表面露出システインに連結して、アジュバントに連結された抗原性フェリチンポリペプチドを成功裏に産生できることを示している。
陰性染色電子顕微鏡(EM)から、コンジュゲーションがナノ粒子の一体性に影響しないことが確認された。H1/Stem−Np(配列番号43)単独(図13A)、マレイミド−PEG4−SM7/8aにコンジュゲートされたH1/Stem−Np(図13B)、CpGにコンジュゲートされたH1/Stem−Np(図13C)、NC99 HA−Np(配列番号9)単独(図13D)、DBCO−マレイミドリンカーを介して3M−012にコンジュゲートされたNC99 HA−Np(図13E)、およびDBCO−マレイミドリンカーを介してCpGにコンジュゲートされたNC99 HA−Np(図13F)を示す。さらに、マレイミド−PEG4−DBCOリンカーを介するTLR7/8アゴニスト(マレイミド−PEG4−SM7/8a、図14A)またはTLR9アゴニスト(CpG、図14B)のH1/Stem−Npへのコンジュゲーションは、動的光散乱(DLS)による測定で、コンジュゲートしていないH1/Stem−Npと比較して、ナノ粒子の一体性に影響しない(図14C)。
これらのデータは、フェリチンおよびHAポリペプチドを含む抗原性ポリペプチドの調製が成功したことを実証している。さらに、アジュバントを含むリンカーをこれらのフェリチンナノ粒子に成功裏にコンジュゲートすることができる。
2.HA−フェリチンナノ粒子組成物の免疫原性の特徴解析
種々のアジュバントおよびH1/Stem−NpへのTLRアゴニストのコンジュゲーションのH1/Stem−Np組成物の免疫原性に対する影響を評価した。図15Aに、H1/Stem−Np TLR7/8アゴニストコンジュゲートによる免疫で誘起されたH1/ニューカレドニア/1999(NC99)HA三量体に対するIgG抗体力価を示す。H1/Stem−Np 10μgを、アジュバントなしに、等モル量の遊離SM7/8aアジュバント(83.3ng)と混合して、高用量の遊離SM7/8aアジュバント(21.84μg)と混合して、または体積比1:1のPAAもしくはAF03アジュバントと、0週および3週で投与した。H1/Stem−Np−SM7/8aコンジュゲートは、他のアジュバントなしに投与した。2回目の投与の2週後に血清をアッセイした。図15Bに、H1/Stem−Np TLR9アゴニストコンジュゲートによる免疫で誘起されたH1/Stem三量体に対するIgG抗体力価を示す。H1/Stem−Np 10μgを、アジュバントなしに、等モル量の遊離CpGアジュバント(850ng)と混合して、高用量の遊離CpGアジュバント(20μg)と混合して、または体積比1:1のAF03アジュバントと、0週および3週で投与した。H1/Stem−Np−CpGコンジュゲートは、他のアジュバントなしに投与した。2回目の投与の2週後に血清をアッセイした。
図15Aのデータは、SM7/8aとコンジュゲートしたH1/Stem−Npが、ポリアクリル酸(PAA)またはAF03アジュバントと混合したコンジュゲートしていないナノ粒子と同程度の免疫原性を示すことを示している。フェリチンナノ粒子に直接コンジュゲートしたSM7/8aは、フェリチンナノ粒子とは別の化合物として投与した等モル用量のSM7/8a(「等モル混合」)よりも効果的であった。さらに、フェリチンナノ粒子に直接コンジュゲートしたSM7/8は、フェリチンナノ粒子とは別の化合物として投与した高用量のSM7/8a(「高用量混合」)よりも効果的であった。したがって、HAポリペプチドおよびフェリチンを含む抗原ポリペプチドにSM7/8aをコンジュゲートすることによって、この化合物は免疫原性かつ自己アジュバント性になった。自己アジュバント性組成物を投与することによって、別個のアジュバントを低減しまたは排除することができた。同様に図15Bは、TLR9アゴニストCpGをH1/Stem−Npにコンジュゲートすることによって、コンジュゲートしていない等モル混合物の対照と比較して、混合したCpG分子を23倍高い用量で投与した場合に匹敵するレベルまで、その免疫原性が改善されることを示している。
血清は、H1/ニューカレドニア/1999(NC99)HA/NAシュードタイプ化レンチウイルスをin vitroで中和する能力についても評価した。シュードタイプ化中和アッセイは以前記載されたように実施した(Kanekiyoら、Nature 499:102〜106頁(2013))。簡単には、Profection Mammalian Transfectionキット(Promega社カタログ#E1200)を用い、5種のプラスミド、すなわちHA 400ng、NA 100ng、TMPRSS2 50ng、CMVΔR8.2 7μg、およびpHR’CMV−Luc 7μgのトランスフェクションによってレンチウイルスをHEK293T細胞にパッケージした。トランスフェクションの48時間後および72時間後にウイルス粒子を採取し、0.45μmのフィルターを通して濾過した。
マウス(n=5/群)を、3週の投与間隔で2回免疫した。3M−012にコンジュゲートしたNC99 HA−Np(配列番号9)(HA−Ferr−3M−012、0.22μg/用量)を、混合した対照と並行して投与した。対照は、NC99 HA−Np(0.22μg/用量)と3M−012 10μgの混合物(典型的な治療用量)、および別にNC99 HA−Np(0.22μg/用量)と3M−012 1.7ngの混合物(コンジュゲートと等モルで一致)とした。HA含量(HA 0.17μg/用量)を一致させて投与したコンジュゲートしていないNC99 HA−Npおよび不活化インフルエンザワクチン(IIV)を追加の対照とした。5週目に、これらのマウスからの血清を段階希釈して、指示された株からのHAおよびニューラミニダーゼ(NA)遺伝子でシュードタイプ化したレンチウイルスに対する中和活性についてアッセイした。希釈の範囲の抗血清を固定された量のレンチウイルスと前インキュベートし、標的の293A細胞に感染させるために用いた。感染はPromega Luciferase Assay System(カタログ#E1500)を用いて72時間後に定量した。これらの中和曲線からGraphpad Prismソフトウェアを用いてIC50値を計算し、PsVの50%中和を達成する血清希釈係数を決定した。エンドポイント力価(ELISA)および血球凝集阻害(HAI)力価も、それぞれ5週目と8週目に決定した。例示的なELISAおよびHAIの手順については以下の実施例を参照されたい。全てのサンプルは3重測定した。
ELISAのエンドポイント力価(図16A)またはシュードウイルス中和IC50力価(図16B)に基づいて、3M−012にコンジュゲートしたNC99 HA−Npは、一致させた混合物、コンジュゲートしていない粒子、またはIIVよりも強い結合および中和抗体応答を誘起した。HA−Np−3M−012コンジュゲートは、等モル混合の対照より有意に強いHAI力価(図16C)をも誘起した。さらに、HAI力価は、コンジュゲートされていないHA−FerrおよびIIVよりも3.7倍および1.6倍高かったが、これらの結果は有意ではなかった。
CpGにコンジュゲートしたNC99 HA−Np(配列番号9)(HA−Ferr−CpG、0.22μG/用量)の免疫原性はまた、混合対照(HA−Np(0.22μG/用量)と20ΜGのCpG(典型的な治療用量)との混合、およびHA−Ferr(0.22μG/用量)と21NGのCpG(コンジュゲートと等モルマッチ)との混合物)と比較して評価された。追加の対照は、HA含有量(0.17μGのHA/用量)に一致して投薬されたコンジュゲートされていないHA−NpおよびIIVであった。上記されるように、投薬は第0週および第3週に行われた。ELISAおよびPSVアッセイはブーストから2週間後の血清のものであり、HAIはブーストから5週間の血清のものであった。全試料を3重にして実験した。
ELISAエンドポイント力価(図17A)または偽ウイルス中和IC50力価(図17B)に基づいて、コンジュゲートは、マッチさせた混合物、コンジュゲートされていない粒子、またはIVよりも強い結合および中和抗体応答を誘導する。HA−Np−CpGコンジュゲートは、等モル混合対照よりも有意に強いHAI力価(図17C)を誘導する。さらに、HAI力価は、コンジュゲートされていないHA−FerrおよびIIVよりも2.6倍および3.0倍高かったが、これらの結果は有意ではなかった。
H1/Stem−Np−TLRアゴニストコンジュゲートの免疫原性も、非ヒト霊長類モデルで評価した。USDAの規制およびAnimal Welfare Actを含む全ての連邦規制を順守して、Bioqual Inc.社によって12匹のカニクイザル(Macaca fascicularis)を収容し、世話した。動物は事前スクリーニングし、ELISAによって2016〜2017年のFluzone Quadrivalent抗原(A/カリフォルニア/07/2009;A/香港/4801/2014 X−263B;B/プーケット/3073/2013;B/ブリスベン/60/2008)への反応性がないことで選択した。NHP対象(雌10匹、雄2匹)(5〜13年齢、体重3.5kg〜7.8kg)を各免疫群(n=3匹/群)にランダムに割り付けた。各群に、H1−SS−npとAF03 50μg、またはH1−SS−np(アジュバント対照なし) 200μg、またはH1−SS−np−SM7/8コンジュゲート 200μg、またはH1−SS−np−CpG 200μgのいずれかを0週、4週、および10週に3用量投与した。血清を単離するため、0週、2週、4週、6週、8週、10週、および12週に血液サンプル10mLを採取した。PBMCを単離するため、0週、2週、5週、6週、および12週に血液サンプル10〜16mLを採取した。血清およびPBMCを単離し、標準的な操作手順に従って凍結保存した。カニクイザルを、AF03アジュバントを混合して処方したH1/Stem−Np 50μg、またはH1/Stem−Np(アジュバント対照なし) 200μg、またはH1/Stem−Np−SM7/8aコンジュゲート(図3Aに示す) 200μg、またはH1/Stem−Np−CpGコンジュゲート(図3Bに示す) 200μgのいずれかで0週、4週、および10週に免疫するように割り付けた。種々の時点で単離した血清を、ELISAによる抗HA抗体力価について(図25A)、ならびにH1サブタイプHAおよびNA(図25B)またはH5サブタイプHAおよびNA(図25C)でシュードタイプ化したレンチウイルスの中和について、アッセイした。これらを合わせて、図25A〜図25Cに示す結果は、TLR−アゴニストのコンジュゲーションが非ヒト霊長類モデルにおけるH1/Stem−Npの免疫原性を改善することを実証している。このモデルでは、TLR7/8アゴニストコンジュゲートはCpGコンジュゲートよりも高い力価を生じるようであり、AF03混合アジュバントは試験した条件において最高の力価を誘発した。
次に、より高い用量で与えた場合に3M012コンジュゲートの免疫原性が改善されるか否かを決定した。これを行うため、コンジュゲート、等モル混合物、高用量混合物、コンジュゲートしていないナノ粒子を、HA−NPの用量を0.1μg、0.5μg、2.5μg、および12.5μgとして試験した(図26A〜図26B)。HA−NPの用量0.1μgおよび0.5μgでは、高い混合用量の場合を除いて中和およびHAIアッセイにおいて最小の応答が見られた。2.5μgの用量では、コンジュゲートしていないHA−NPおよびHA−NPと3M012の等モル混合物はいずれも最小限の抗体応答を誘起した。高用量の混合物群と比較すると、3M012をコンジュゲートしたHA−NPは3M012の含量が5000分の1以上少ないにも関わらず、同様の抗体応答を誘起し、直接のコンジュゲーションおよびTLRアゴニストの標的送達の有効性が立証された。
3.候補ポリペプチドを含むナノ粒子のEMおよびDLSによる特徴解析
上に概要を示したプロセスを用いて、図1Aに提示するインフルエンザポリペプチドを含むHA−Npを発現し、培地中に放出した(HA部分の配列アライメントを図1Aに示し、デンドグラムを図1Bに示す)。図1B中の矢印は候補ポリペプチドを示す。図18Aに列挙するHA−Npはアニオン交換およびサイズ排除クロマトグラフィーによって293Expi細胞培養上清から精製した。ナノ粒子の生成に成功したことを確認するクーマシー染色の結果を図18Bに示す。
電子顕微鏡(EM)および動的光散乱(DLS)解析は、下記のように実施した。
動的光散乱はWyatt社のDynaPro Plate Reader IIを用いて25℃で測定した。精製したHA−Npは動的光散乱で予想された16〜18nmの大きさを呈した(図18A、「サイズ」尺度で示す)。ナノ粒子の形成は陰性染色透過型電子顕微鏡(TEM)でも確認された(図18C)。EMのために、グロー放電に30秒曝露することによって親水化した炭素コートグリッドにHA−フェリチンナノ粒子サンプルを1分間吸着させた。過剰な液体を濾紙(Whatman社#1)で除去し、サンプルを0.75%のギ酸ウラニルで30秒染色した。過剰なギ酸ウラニルを濾紙で除去した後、グリッドをTecnaiG Spirit BioTWINで検査し、AMT 2k CCDカメラで画像を記録した。
4.分岐したH1N1インフルエンザウイルスの代表的なパネルに対する単一株HA−フェリチンナノ粒子の免疫原性
特定のウイルス株からのHA−Npの免疫原性を検討するため、目的の株からのナノ粒子でマウスを2回免疫し、第2の免疫の3週後に血球凝集阻害アッセイ(HAI)を用いて血清をアッセイした。全ての免疫は動物の取り扱いのための確立されたガイドラインに従った。Balb/cマウス(5匹/群)を0週および3週にHA−フェリチンナノ粒子220ng(HA含量170ng)で、および適用可能な場合には筋肉内注射(後ろ足あたり50μL)の直前に1:1でアジュバントと混合して、免疫した。Ribi(Sigma社アジュバントシステムカタログ#S6322−1vl)またはAF03(Sanofi Pasteur社)を図の凡例に指示するように用いた。二価、三価、および四価の組合せについては、注射の前に各ナノ粒子220ngを事前混合した。ブースト注射の2週および3週後に血清を採取した。
インフルエンザシードストックを用いるHA阻害アッセイ(HAI)は、Centers for Disease Control and Prevention(Atlanta,Georgia,USA)から入手した。免疫血清は血清1部を酵素3部で希釈することによる受容体破壊酵素(RDE)で前処理し、37℃の水浴中で終夜インキュベートした。酵素は56℃、30分のインキュベーションおよびそれに続いてPBS6部を添加して最終希釈10倍にすることによって不活化した。HAIアッセイは、V底96ウェルのマイクロ力価プレート中、0.5%のシチメンチョウ赤血球中の4HA単位(HAU)のウイルスを用いて実施した。HAI力価は、血球凝集の完全な阻害をもたらす血清の最大希釈度として決定した。
全てのデータについて、エラーバーは所与の処置群(マウスについてn=5、フェレットについてn=12)における各動物からのサンプルをアッセイして得られた平均値の標準誤差を表す。StudentのT検定は、Microsoft社のExcelを用いて計算した。ANOVAはVassarStats(ウェブからvassarstats.net/anova1u.htmlで入手可能)を用いて計算した。
ウイルスの進化の78年にわたる代表的な16種のインフルエンザ株のパネルを用いた。パネル中のウイルスを表2に列挙する。
Figure 2021519600
全ての例において、一致した株の強力な中和が観察された(CA09、NC99、FM47、およびHK77、図19A〜図19D)。
血清学的応答も、一致した抗原に対するELISAによって確認した(図20A〜図20F)。各群に投与した免疫原を図20Aに列挙する。図20B〜図20Fに示すように、ELISAには三量体を用いた。
ELISAアッセイのため、Nunc社のMaxiSorp 96ウェルプレート(カタログ#44−2404−21)を100ng/ウェルの三量体HAまたは安定化されたステムタンパク質で、4℃で終夜コートし、PBST中5%のスキムミルクでブロックした。指示した通りに抗血清を希釈し、室温で1時間インキュベートし、結合した抗体を、抗マウス−HRP抗体(カタログ#NA931、5,000倍)または抗サル−HRP抗体(Southern Biotech社、カタログ#4700−05、ロット#A3814−P907、5,000倍)と5%ミルク−PBST中でこれも室温で、1時間インキュベートすることによって検出した。PBSTで5回洗浄した後、SureBlue TMB基質(カタログ#52−00−02)でHRPを発色させ、0.5Nの硫酸で停止した。吸光度は450nm(Spectramax M5)で読み取った。エンドポイント力価は、閾値を0.2、典型的バックグラウンドレベルを0.05として、Graphpadプリズムで計算した。
HA/NAシュードタイプ化レンチウイルスの中和も上記のようにして評価した。結果を表3に示す。試験した全ての例において、一致した株については強い中和活性が観察され、これらの値を閾値として用いた。HA−Npと相補的中和活性との組合せにより、交差反応性への加成的な拡張が導かれた。
Figure 2021519600
CA09 HA−Npは強い免疫応答を誘発したが、これらは、これもブタ起源でCA09と近いホモロジーを有する現代(2009年以降)の株および1976年の単離株に限られていた(図19A)(Gaydosら、2006.Emerg Infect Dis 12:23〜28頁(1976)を参照)。NC99 HA−Npは1990年代後半および2000年代初期のインフルエンザウイルスに対して強力な中和を誘発した(図19B)。FM47 HA−Npに対する免疫応答は一次的には一致した株に拡張していたが、これも1977年の株への中等度の交差反応性を示した(図19C)。この交差反応性のレベルは、主として26歳以下の人が罹患した1977年の流行との臨床的関連性を有しており、1940年〜1950年の流行によるインフルエンザウイルスへの曝露によって1977年の株に対する保護が付与されたことを示唆している(Kilbourne、2006)。興味深いことに、HA配列の中でHK77 HA−Npは、その交差反応性が1947年、1978年、および1983年の株に拡張しており、目を引く(図19D)。一方、MAL54 HA−NpおよびDV57 HA−Npへの免疫応答は一致した株に制限されている(図19E、図19F、および表3)。
COBRA P1およびCOBRA X6のナノ粒子で観察された交差反応性は、それらのウイルス様粒子(VLP)の同等物と符合した(Carter DMら、J Virol 90:4720〜4734頁(2016)参照)。COBRA P1 HA−Npによって誘発された免疫応答はCA09 HA−Npと同様であり(図19Aおよび図19G)、COBRA X6 HA−NpはNC99 HA−Npと同様の免疫プロファイルを示した(図19Bおよび図19H)。
5.HA−フェリチンナノ粒子の一価、二価、三価、および四価の処方
選定したHA−Npの組合せによって誘発されたHAI交差反応性を評価した。個別のナノ粒子を組み合わせることによって作成した二価、三価、または四価の処方で、上述のようにマウスを免疫し、試験した。NC99およびCA09のHA−Npの二価の組合せは、いずれかの一価の組成物と比較して拡張した交差反応性を示した(図21A)。しかし、この二価の組合せは1934年〜1957年および1977年〜1991年の古い分岐した株に対しては検出可能な抗体力価を誘発しなかった。COBRA X6およびCOBRA P1の二価の組合せの免疫原性は同じ傾向に従った(図21B)。この組合せはNC99/CA09の二価組成物と比較して増大した幅を示したが、いくつかの株に対するHAI力価は中程度であった。三価の組合せについては、NC99およびCA09のHA−Npへの第3成分の含有によって、第3成分がFM47 HA−Np(図21C)またはHK77 HA−Np(図21E)の場合には交差反応性が増大したが、MAL54 HA−Np(図21D)は幅を増強しなかった。四価処方における第4成分の添加は、NC99、CA09、およびHK77のHA−Npの三価の組合せと比較して観察可能な交差反応性の付加を生じなかった(図21F〜図21H)。
様々なアジュバントを用いた場合に、類似の結果が観察された(すなわち、Ribi対AF03、図22A〜図22F)。重要なことに、様々なHA−Npの共投与による抗原の競合の証拠はなかった。これらのデータは、個別のHAIプロファイルに高度の相補性がある場合には、交差反応性プロファイルに加成性があることを示唆している。正規化したHAの用量を用いて卵から製造した不活化インフルエンザワクチン(IIV)として送達したNC99およびCA09の免疫原によって得られたHAIプロファイルも測定した(図23A〜図23C)。
6.フェレットにおけるナノ粒子組成物によるチャレンジに対する保護
ある種のHA−Np組合せの有効性を、ヒト疾患に関連する動物モデルであるフェレットで試験した。フェレット(n=12匹/群)を、リン酸緩衝食塩液(図24A)、CA09不活化インフルエンザワクチン(IIV、図24B)、野生型HA−Npの三価の組合せ(NC99+CA09+HK77、図24C)、またはCOBRA P1+COBRA X6+HK77 HA−Npの組合せ(図24D)のいずれかで免疫した。筋肉内注射の前に、これらの組成物をAF03アジュバントと1:1で混合して最終注射量を1mlとした。
2回の免疫の後、一致した株に対する顕著なHAI力価が観察された(図24B〜図24D)。ナノ粒子の組合せで免疫した両方の群のフェレットは、FM47、HK77、およびNC99に対して顕著なHAI力価を示した。CA09 IIVはマウスで観察されたFM47およびHK77株に対する交差中和力価をフェレットでは誘発しなかった(図24B)。
免疫の後、一致しない分岐株であるH1/フォートマンモス/1947ウイルスをフェレットにチャレンジした。インフルエンザチャレンジは2回目の免疫の4週後に50%組織培養感染用量(TCID50)の104.65倍のA/フォートマンモス/1/1947ウイルス1mlの鼻内接種で実施した。臨床兆候を2週間、毎日追跡し、チャレンジ後7日の間、鼻の洗浄液を毎日採取し、標準的なTCID50アッセイによってウイルス負荷を試験した。チャレンジに続いて鼻の洗浄液からウイルス力価を定量した。三価のNC99+CA09+HK77またはCOBRA−P1+X6+HK77のナノ粒子の組合せのいずれかを受けたフェレットのコホートでは対照群より早くウイルスが消滅し、感染後5日目のウイルス力価が顕著に低減したことを示した(図24E、p≦0.001)。対照的に、CA09 IIVで免疫した群はPBSで免疫した対照群より顕著に早くウイルスが消滅しなかった。全ての群では、FM47株の複製に成功し、感染後1週以内に消滅した。したがって、ヒト疾患に関連する感染の動物モデルにおいて、三価の組合せは効果的なHAI応答を刺激し、これは分岐したウイルスチャレンジに対しても保護する。

Claims (25)

  1. 抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドであって、(i)表面に露出したアミノ酸をシステインで置き換える変異を含むフェリチンタンパク質と、(ii)インフルエンザポリペプチドとを含む前記抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  2. 抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドであって、(i)表面に露出したアミノ酸をシステインで置き換える変異およびシステインにコンジュゲートした免疫刺激性部分を含むフェリチンタンパク質と、(ii)インフルエンザポリペプチドとを含む前記抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  3. システインを介してフェリチンタンパク質にコンジュゲートした免疫刺激性部分をさらに含む、請求項1に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  4. インフルエンザポリペプチドは、血球凝集素(HA)またはノイラミニダーゼ(NA)ポリペプチドを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  5. HAポリペプチドは保存領域を含む、請求項4に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  6. 保存領域はHAのステム領域の全てまたは一部を含む、請求項5に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  7. インフルエンザ抗原はY98F変異を含むHA抗原を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  8. 内部システインを非システインアミノ酸で置き換える変異をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  9. 内部システインが、H.ピロリフェリチンの31位、またはペアワイズアライメントもしくは構造アライメントによって決定される、H.ピロリフェリチンの31位に対応する位置にあり、場合により内部システインがセリンに変異している、請求項8に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  10. 表面に露出したアスパラギンを非アスパラギンアミノ酸で置き換える変異をさらに含み、場合により該非アスパラギンアミノ酸はグルタミンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  11. 表面に露出したアミノ酸は、H.ピロリフェリチンのE12、S26、S72、A75、K79、S100、もしくはS111の変異、またはペアワイズアライメントもしくは構造アライメントによって決定される、非H.ピロリフェリチンにおける類似のアミノ酸である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  12. 表面に露出したアミノ酸の変異は、H.ピロリフェリチンのE12C、S26C、S72C、A75C、K79C、S100C、もしくはS111C、またはペアワイズアライメントもしくは構造アライメントによって決定される、非H.ピロリフェリチンにおける類似のアミノ酸である、請求項11に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  13. 免疫刺激性部分は、TLR7またはTLR8のアゴニストである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  14. 免疫刺激性部分はTLR9のアゴニストである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  15. 免疫刺激性部分とフェリチンタンパク質との間にリンカーをさらに含む、請求項1または3〜14のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  16. リンカーは、マレイミド部分、ポリエチレングリコール(PEG)部分、およびジベンゾシクロオクチン(DBCO)部分のうちの1つ、2つ、または3つを含む、請求項15に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  17. フェリチンタンパク質とインフルエンザポリペプチドとの間にペプチドリンカーをさらに含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドを含むフェリチン粒子。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドまたはフェリチン粒子、および薬学的に許容される担体を含む組成物。
  20. フェリチンタンパク質および異なるインフルエンザポリペプチドを含む第2の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドをさらに含む、請求項19に記載の組成物。
  21. インフルエンザポリペプチドは、インフルエンザA型に由来し、第2の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドのインフルエンザポリペプチドが、インフルエンザB型に由来するか、またはインフルエンザポリペプチドおよび第2のインフルエンザ−フェリチンポリペプチドのインフルエンザポリペプチドが、サブタイプH1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、もしくはH18に由来するか、またはインフルエンザポリペプチドの1つもしくは両方がサブタイプH1、H3、H7、もしくはH10に由来する操作された安定化ステム抗原を含む、請求項20に記載の組成物。
  22. インフルエンザに対する免疫応答を誘発する方法において、またはインフルエンザによる感染に対する対象の保護に使用するための、請求項1〜21のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド、フェリチン粒子、または組成物。
  23. インフルエンザに対する免疫応答を誘発するか、またはインフルエンザによる感染に対して対象を保護する方法であって、請求項1〜22のいずれか1項に記載のいずれか1つまたはそれ以上の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド、フェリチン粒子、または組成物を対象に投与することを含む前記方法。
  24. 対象はヒトである、請求項1〜23のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド、フェリチン粒子、組成物、または方法。
  25. 場合により、核酸はMRNAである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチドをコードする核酸。
JP2020554536A 2018-04-03 2019-04-02 抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド Pending JP2021519600A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2024006461A JP2024041980A (ja) 2018-04-03 2024-01-19 抗原性インフルエンザ-フェリチンポリペプチド

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201862652204P 2018-04-03 2018-04-03
US62/652,204 2018-04-03
PCT/US2019/025377 WO2019195284A1 (en) 2018-04-03 2019-04-02 Antigenic influenza-ferritin polypeptides

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2024006461A Division JP2024041980A (ja) 2018-04-03 2024-01-19 抗原性インフルエンザ-フェリチンポリペプチド

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021519600A true JP2021519600A (ja) 2021-08-12
JPWO2019195284A5 JPWO2019195284A5 (ja) 2022-04-07

Family

ID=66175544

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020554536A Pending JP2021519600A (ja) 2018-04-03 2019-04-02 抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド
JP2024006461A Pending JP2024041980A (ja) 2018-04-03 2024-01-19 抗原性インフルエンザ-フェリチンポリペプチド

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2024006461A Pending JP2024041980A (ja) 2018-04-03 2024-01-19 抗原性インフルエンザ-フェリチンポリペプチド

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP3773703A1 (ja)
JP (2) JP2021519600A (ja)
CN (1) CN112512565A (ja)
WO (1) WO2019195284A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3773698A1 (en) 2018-04-03 2021-02-17 Sanofi Ferritin proteins
EP3773708A2 (en) 2018-04-03 2021-02-17 Sanofi Antigenic epstein barr virus polypeptides
KR20230021649A (ko) * 2020-04-22 2023-02-14 메디카고 인코포레이티드 시알산과의 상호작용이 감소된 변형된 인플루엔자 헤마글루티닌을 포함하는 상부구조
WO2021231729A1 (en) * 2020-05-13 2021-11-18 Sanofi Adjuvanted stabilized stem hemagglutinin nanoparticles and methods of using the same to induce broadly neutralizing antibodies against influenza
EP4313137A1 (en) * 2021-03-26 2024-02-07 GlaxoSmithKline Biologicals SA Immunogenic compositions

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012225885A (ja) * 2011-04-22 2012-11-15 Nara Institute Of Science & Technology 被検物質の電気化学的検出方法
WO2013044203A2 (en) * 2011-09-23 2013-03-28 THE UNITED STATES OF AMERICA, as represented by THE SECRETARY, DEPTARTMENT OF HEALTH & HUMAN SERVICES Novel influenza hemagglutinin protein-based vaccines
WO2015183969A1 (en) * 2014-05-27 2015-12-03 The Usa, As Represented By The Secretary, Dept. Of Health And Human Services Stabilized influenza hemagglutinin stem region trimers and uses thereof
JP2016519658A (ja) * 2013-03-13 2016-07-07 アメリカ合衆国 融合前rsvfタンパク質およびそれらの使用

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PT772619E (pt) 1994-07-15 2006-10-31 Univ Iowa Res Found Oligonucleotidos imunomoduladores
US6207646B1 (en) 1994-07-15 2001-03-27 University Of Iowa Research Foundation Immunostimulatory nucleic acid molecules
US6429199B1 (en) 1994-07-15 2002-08-06 University Of Iowa Research Foundation Immunostimulatory nucleic acid molecules for activating dendritic cells
US6239116B1 (en) 1994-07-15 2001-05-29 University Of Iowa Research Foundation Immunostimulatory nucleic acid molecules
JP2001513776A (ja) 1997-02-28 2001-09-04 ユニバーシティ オブ アイオワ リサーチ ファウンデーション LPS関連障害の処置における非メチル化CpGジヌクレオチドを含む核酸の使用
US6406705B1 (en) 1997-03-10 2002-06-18 University Of Iowa Research Foundation Use of nucleic acids containing unmethylated CpG dinucleotide as an adjuvant
AU7690898A (en) 1997-05-20 1998-12-11 Ottawa Civic Hospital Loeb Research Institute Vectors and methods for immunization or therapeutic protocols
ATE356630T1 (de) 1998-04-03 2007-04-15 Univ Iowa Res Found Verfahren und produkte zur stimulierung des immunsystems mittels immunotherapeutischer oligonukleotide und zytokine
US6859736B2 (en) 2000-04-03 2005-02-22 The Board Of Trustees Of The Lealand Stanford Junior University Method for protein structure alignment
US7774185B2 (en) 2004-09-14 2010-08-10 International Business Machines Corporation Protein structure alignment using cellular automata
WO2012177760A1 (en) 2011-06-20 2012-12-27 University Of Pittsburgh-Of The Commonwealth System Of Higher Education Computationally optimized broadly reactive antigens for h1n1 influenza
RU2017141447A (ru) 2012-03-30 2019-02-13 Юниверсити Оф Питтсбург - Оф Зе Коммонвэлс Систем Оф Хайе Эдьюкейшн Рекомбинантные полипептиды гемагглютинина (ha) вируса гриппа, композиции, содержащие их, и способы вызова иммунного ответа в отношении вируса гриппа h1n1
US9703095B2 (en) 2015-01-05 2017-07-11 Edward Pakhchyan Light modulator for MEMS display
KR20190044052A (ko) 2016-06-17 2019-04-29 메리얼 인코포레이티드 선형 또는 분지형 폴리아크릴산 폴리머 아쥬반트를 포함하는 신규한 면역원성 제형

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012225885A (ja) * 2011-04-22 2012-11-15 Nara Institute Of Science & Technology 被検物質の電気化学的検出方法
WO2013044203A2 (en) * 2011-09-23 2013-03-28 THE UNITED STATES OF AMERICA, as represented by THE SECRETARY, DEPTARTMENT OF HEALTH & HUMAN SERVICES Novel influenza hemagglutinin protein-based vaccines
JP2016519658A (ja) * 2013-03-13 2016-07-07 アメリカ合衆国 融合前rsvfタンパク質およびそれらの使用
WO2015183969A1 (en) * 2014-05-27 2015-12-03 The Usa, As Represented By The Secretary, Dept. Of Health And Human Services Stabilized influenza hemagglutinin stem region trimers and uses thereof

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
CHEM. SOC. REV., vol. 45, JPN6023008985, 2016, pages 1691 - 1719, ISSN: 0005006603 *
J. MED. CHEM., vol. 42, JPN6023008988, 1999, pages 4640 - 4649, ISSN: 0005006601 *
SCIENTIFIC REPORTS, vol. 6:36298, JPN6023008989, 2016, pages 1 - 11, ISSN: 0005006600 *
化学と生物, vol. 52, no. 4, JPN6023008986, 2014, pages 233 - 240, ISSN: 0005006602 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP2024041980A (ja) 2024-03-27
EP3773703A1 (en) 2021-02-17
CN112512565A (zh) 2021-03-16
WO2019195284A1 (en) 2019-10-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11904009B2 (en) Ferritin proteins
US10137190B2 (en) Nucleic acid molecules encoding ferritin-hemagglutinin fusion proteins
JP2021519600A (ja) 抗原性インフルエンザ−フェリチンポリペプチド
US20210017238A1 (en) Antigenic OspA Polypeptides
JP5942296B2 (ja) 少なくとも1つのcxxcモチーフを含むポリペプチドと異種抗原とを含む医薬組成物、及びその使用
KR102252163B1 (ko) 인플루엔자 바이러스 백신 및 그의 용도
US20210017237A1 (en) Antigenic respiratory syncytial virus polypeptides
US11617780B2 (en) Antigenic Epstein Barr virus polypeptides
KR20170027846A (ko) 인플루엔자 바이러스 백신 및 이의 용도
RU2807992C2 (ru) Антигенные полипептиды на основе последовательности респираторно-синцитиального вируса
RU2816208C2 (ru) АНТИГЕННЫЕ ПОЛИПЕПТИДЫ НА ОСНОВЕ ПОСЛЕДОВАТЕЛЬНОСТИ OspA
JP2024054277A (ja) フェリチンタンパク質
US20240092840A1 (en) Vaccine formulation comprising recombinant overlapping peptides and native proteins
Zhang Development of Novel Subunit Vaccine against H5N1 Influenza

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210525

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220330

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220330

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230307

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230607

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230705

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230919

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240119

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20240124

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20240308