JP2021514829A - 微量汚染物質を含有する水性液状媒体又は微量汚染物質で汚染された表面を除染するための方法 - Google Patents

微量汚染物質を含有する水性液状媒体又は微量汚染物質で汚染された表面を除染するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、核脂質化合物を用いて分子状微量汚染物質を含有する水性液状媒体又は微量汚染物質で汚染された表面を除染するための方法に関する。

Description

本発明は、核脂質化合物を用いて、分子状微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は微量汚染物質で汚染された表面を除染するための方法に関する。
特に、本発明は、水性液状媒体又は表面の処理のための方法に関し、斯かる方法は、前記媒体又は前記表面から、そこに存在する分子状微量汚染物質、特に代謝された医薬に由来する分子状微量汚染物質を除去することを可能にする。
人間の活動は、家庭内、商業的又は工業的を問わず、有機物、殺虫剤、洗剤、炭化水素、医薬等の水質汚染物質を放出する。
これら化学廃棄物は、水質を変化及び劣化させる。
海水中の汚染物質の濃度は、化合物によるが、一般に、1リットル当たりナノグラム又はマイクログラムのオーダーである。したがって、これらは、微量汚染物質、すなわち例えば、特にng/L〜μg/Lのオーダーの濃度で水中に存在する異なる起源(医薬品、ヘルスケア製品、工業用化学製品等)を有する人間原理(anthropic)又は天然の物質として知られている(Y. Luoら、Science of the Total Environment、2014、473-474、619-641)。
例えば、人体での代謝後に、医薬は、その初期形態又は代謝産物の形態で下水道に廃棄され(B.Halling-Sorensen、Chemosphere、1998、36、357-393)、次に排水処理プラントで処理される。
しかしながら、微量汚染物質は、部分的にしか分解されず、元の医薬よりも高い毒性を有する可能性のある分解産物を生成する(M. Isidoriら、Sci Total Environ、2005、348、93-101)。したがって、異なる医薬、特に幅広く使用されている医薬であるジクロフェナク(登録商標)(非ステロイド抗炎症薬)及びプロプラノロール(登録商標)(β遮断薬)が、異なる環境水性媒体又は消費のために使用される媒体、特に飲料水に見られることが研究により示されている(R. Rosalら、 Water Res.,2010、44、578-588)。
さらに、水性媒体中の各微量汚染物質の濃度が毒性レベルに達していない場合でも、異なる微量汚染物質の類型的な組み合わせが、かなり高い毒性レベルに達して(R. Rennerら、Environ Sci Technol、2002、36、268A-269A)、全てのタイプの生物に影響を及ぼす可能性がある。
同様に、病院環境(薬局又はヘルスケアサービス)、特に獣医又は薬局では、特に医薬品に由来する微量汚染物質と定期的に接触する一定数の表面がある。これら表面は、これら微量汚染物質への潜在的な曝露源となる。
それゆえ、微量汚染物質を含有する液状媒体、特に水性液状媒体、又はそのような微量汚染物質によって汚染された表面の除染は、公衆衛生上の課題を表す。
後者は非常に水に溶けやすいので、この問題は、医薬に由来する微量汚染物質に関して重大に生じる。
既存の濾過による解決方法では、完全に満足のいく結果は得られていない(Y. Luoら、Science of the Total Environment、2014、473-474、619-641)。
微量汚染物質を含有する水性液状媒体、前記媒体の溶液中の分子の形態である前記微量汚染物質、又はそのような微量汚染物質によって汚染された表面を除染するために核脂質化合物を使用することが可能であると見出されている。
しかしながら、本発明は、水性液状媒体に限定されるものではなく、非水性液状媒体に適用することができる。
両親媒性ヌクレオチド化合物(核脂質又は核脂質化合物とも呼ばれる)は、ヌクレオチドに共有結合した脂質によって構成された生体適合性化合物である。それらは、非毒性で、生分解性であり、そして、生体適合性ゲル又は医療画像の分野において、あるいはまた薬物ベクターとして有用であるナノ粒子製剤において、有利な特性が実証されている。
本明細書において、用語「核脂質」及び「核脂質化合物」は互換的に使用されることになる。
例えば、特許出願の国際公開第2009/098404号公報及び国際公開第2010/136676号公報は、治療剤の輸送又はベクトル化(vectorization)のためのそのような化合物の調製及び使用に関する。
特許出願の国際公開第2016/170010号公報は、金属粒子及び治療剤が充填された、脂質に基づく非ポリマーナノ製剤であって、前記治療剤の輸送、ベクトル化、細胞内送達、細胞標的化又は細胞局在のための薬剤としての製剤に関する。
特許出願の国際公開第2013/110902号公報は、核脂質及び/又は生物(クラゲ)に由来する有機化合物から形成されたヒドロゲルによる、粒子を含有する液状媒体の除染のための方法を記載している。
本願のp.4、l.30からl.5〜16に示されているように、前記粒子は、有機分子及び/又は無機分子の会合から生じ、分子量を有さず、そして溶液中の分子を除く凝集体であるとして定義される。本願はまた、用語「ナノ粒子」を、ナノメートルサイズの粒子として定義し、前記ナノ粒子は、少なくとも1つの寸法がナノメートルスケールにある分子の集合であり、あるいはまた、その呼び径(nominal diameter)が100nm未満、好ましくは0.5nm〜100nmに含まれる粒子として定義される。
国際公開第2013/110902号公報は、特に粒子又はナノ粒子の例として、蛍光半導体ナノ結晶(又は「量子ドット(quantum dots)」(「QDs」))、又はナノメートルサイズの無機化合物である金ナノ粒子(AuNPs)を引用している。
国際公開第2013/110902号公報の実施例1は、両親媒性グリコシル−ヌクレオシル−フッ素化合物(GNFs)から形成されたヒドロゲルによる、QDsを含有するミセルの水性懸濁液の除染について記載している。実施例2は、GNFsによって形成されたヒドロゲルによる、金粒子(AuNPs)を含有する溶液の除染について記載している。したがって、国際公開第2013/110902号公報の実施例は、分子形態の微量汚染物質を含有する水性液状媒体の除染について記載していない。
それゆえ、本発明は、分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は微量汚染物質で汚染された表面を除染するための方法であって、以下、
●前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は前記微量汚染物質で汚染された表面と、少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とを接触させるステップ、
Figure 2021514829
(上式中、
- Xは、酸素原子、硫黄又はメチレン基であり、
- Bは、プリン又はピリミジン(pyramidic)塩基、あるいはまた非天然の複素環式単環又は二環式塩基を表し、これらの各環は、4〜7員を含み、任意により置換されている;
- L1及びL2は、同一又は異なっており、水素、−O−C(O)−オキシカルボニル基、−O−C(S)−NH−チオカルバメート基、−O−C(O)−O−カーボネート基、−O−C(O)−NH−カルバメート基、酸素原子、ホスフェート基、ホスホネート基、又は1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基を表し、前記ヘテロアリール基は、飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖によって置換されているか、又は非置換であり;
- ここで、L1は、ホスフェート又はホスホネート基を表し、かつL2は、水素を表すか;
- あるいはまた、L1及びL2は一緒になって、以下の式のケタール基を形成するか;
Figure 2021514829
- あるいはまた、L1又はL2の一方は、水素を表し、そして他方は、ヒドロキシ基又は1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基を表し、前記ヘテロアリール基は、非置換であるか、又は直鎖状若しくは分枝状C8〜C30アルキル鎖によって置換されており;
- R1及びR2は、同一又は異なっており、以下:
- 直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖であって、飽和であるか又は1つ若しくは複数の不飽和を含む、炭化水素鎖、
- C8〜C30アシル鎖、
- 各アシル鎖がC8〜C30であるジアシル鎖、
- 各アシル鎖がC8〜C30であるジアシルグリセロール鎖、
- スフィンゴシン又はセラミド基、
を表し、あるいは
- L1又はL2の一方が、水素を表し、そして他方が、ヒドロキシ基又は1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基を表す場合、R1及びR2は、存在せず;
- R3は、以下:
- ヒドロキシ、アミノ、ホスフェート、ホスホネート、ホスファチジルコリン、O−アルキルホスファチジルコリン、チオホスフェート、ホスホニウム、NH2−R4、NHR45又はNR456基、ここで、R4、R5及びR6は、同一又は異なっており、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C6アルキル鎖、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C6ヒドロキシアルキル鎖を表す、あるいは
- 直鎖状若しくは分枝状C2〜C30アルキル鎖、これは、任意によりヒドロキシ基で置換されていてもよい、あるいは
- 1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基、これは、非置換であるか、あるいは、C2〜C30アルキルによって、又は(CH2m−O−(CH2p−R9基(ここで、m=1〜6、かつp=0〜20であり、そしてR9は水素又は環状ケタール基を表し、前記環状ケタール基は、5〜7個の炭素原子を含み、非置換であるか、又は少なくとも1つの直鎖状若しくは分枝状C2〜C30アルキルによって置換されている)によって、又はステロール残基によって置換されている、
を表すか、あるいはまた
- R3は、同一又は異なる別の式(I)の化合物の同一又は異なる別のR3置換基に、共有結合によって連結されて、二量体形態の式(I)の化合物を形成する)
並びに
●前記分子形態の微量汚染物質と前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とによって形成された凝集体を分離するステップ、
を含む、方法に関する。
図1は、式(I)の核脂質化合物の存在下又は非存在下での、蒸留水におけるプロプラノロール(登録商標)又はジクロフェナク(登録商標)について得られた除染レベルを示す。 図2は、式(I)の核脂質化合物の存在下又は非存在下での、水道水におけるプロプラノロール(登録商標)又はジクロフェナク(登録商標)について得られた除染レベルを示す。 図3は、いずれかの式(I)の核脂質(DOTAU又はdiC16dT)を含むか、あるいは同時に又は連続して添加された両方の核脂質を含む、プロプラノロール(登録商標)及びジクロフェナク(登録商標)の溶液について得られた除染レベルを示す。 図4は、試験された13種の微量汚染物質それぞれについて得られた除染レベル(図4A)、並びに微量汚染物質のカクテル(13種の微量汚染物質を含有する溶液)の全体の除染レベルを表す(図4B)。 図4は、試験された13種の微量汚染物質それぞれについて得られた除染レベル(図4A)、並びに微量汚染物質のカクテル(13種の微量汚染物質を含有する溶液)の全体の除染レベルを表す(図4B)。
一態様では、本発明は、分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は微量汚染物質で汚染された表面を除染するための方法であって、
●前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は前記少なくとも1つの微量汚染物質で汚染された表面と、少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とを接触させるステップ、
Figure 2021514829
並びに
●前記水性液状媒体中の前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質と前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とによって形成された凝集体、又は、前記表面上の前記少なくとも1つの微量汚染物質と前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とによって形成された凝集体を分離するステップ、
を含む、方法に関する。
本発明はまた、分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又はそのような微量汚染物質で汚染された表面を除染するための、上記で定義された式(I)の化合物の使用に関する。
本発明は、特に、分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体を除染するための方法であって、以下、
●前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体と、少なくとも1つの上記で定義された式(I)の核脂質化合物とを接触させるステップ、
Figure 2021514829
並びに
●前記分子形態の微量汚染物質と、前記式(I)の核脂質化合物とによって形成された凝集体を分離するステップ、
を含む、方法に関する。
特に、本発明に係る除染方法は、前記水性液状媒体中又は前記表面上の分子状微量汚染物質の濃度を低下させることができ、好ましくは、前記媒体又は前記表面の特定された毒性を引き起こすことができる濃度よりも低い濃度に低下させることができる。
有利には、本発明に係る除染方法は、水性液状媒体を除染することができ、斯かる水性液状媒体には、前記微量汚染物質が非常に低濃度で、特に1リットル当たり1mg未満、特に1リットル当たりμgのオーダーで存在する。
本発明はまた、少なくとも1つの微量汚染物質で汚染された表面を除染するための方法であって、以下、
●前記少なくとも1つの微量汚染物質で汚染された表面と、少なくとも1つの上記で定義された式(I)の核脂質化合物とを接触させるステップ、
Figure 2021514829
並びに
●前記少なくとも1つの微量汚染物質と、前記表面上の前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とによって形成された凝集体を分離するステップ、
を含む、方法に関する。
特定の態様では、前記表面を汚染する前記微量汚染物質は、分子形態であり得る。
特に、前記分子形態の微量汚染物質は、医薬、医薬の誘導体又は医薬の代謝産物であり、ヒト又は獣医用である。
例えば、前記微量汚染物質は、CMR(発がん性、変異原性、生殖毒性)化合物又は物質、IARCによって発がん性として分類される細胞毒性医薬(1&2)、生殖に対する毒性作用が確認されている医薬、感作薬、例えば抗生物質(オフロキサシン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン)、非ステロイド性抗炎症薬(ジクロフェナク)、β遮断薬(プロプラノロール、メトプロロール)、向精神薬(カルバマゼピン、フルオキセチン)、発がん性物質(ジクロルボス)、アルカロイド(カフェイン)、及びエストロゲン(エチニルエストラジオール)から選択され得る。
微量汚染物質はまた、植物防疫製品又は植物防疫製品の誘導体であり得る。例えば、微量汚染物質は、除草剤(例えば、ジウロン、イソプロツロン、アラクロール又はアクロニフェン)、殺虫剤(例えばクロルフェンビンホス)又は殺菌剤(特にフェノキシキノレイン、例えばキノキシフェン)から選択され得る。
好ましい実施形態では、微量汚染物質は、オフロキサシン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、ジクロフェナク、プロプラノロール、メトプロロール、カルバマゼピン、フルオキセチン、ジクロルボス、カフェイン、エチニルエストラジオール、ジウロン、イソプロツロン、アラクロール、アクロニフェン、クロルフェンビンホス、及びキノキシフェンから選択される。
別の好ましい実施形態では、微量汚染物質は、CMR化合物又は物質、あるいはその誘導体又は代謝産物から選択される。CMR物質は、特にフランス国立労働災害予防研究所(INRS)によって列挙された、発がん性、変異原性及び/又は生殖毒性物質である。
別の好ましい実施形態では、微量汚染物質は、認識された発がん性の毒性、催奇形性型、生殖又は発達に対する毒性、遺伝毒性を有するか、あるいは非常に低濃度で臓器毒性を有するか、又は感作する医薬から選択される。
例えば、微量汚染物質は、がんの治療においてヒトの臨床医学で従来使用されている細胞毒性医薬、例えばシクロホスファミド、ドキソルビシン、タキサン、例えばパクリタキセル又はドセタキセル、白金誘導体又は5−フルオロウラシルから選択され得る。
本発明の一態様では、単一の式(I)の化合物が使用される。
あるいは、2以上の異なる式(I)の化合物が、同時に又は連続して使用される。有利には、別個の式(I)の化合物の同時又は連続使用は、異なる微量汚染物質の除染を可能にする。
「水性液状媒体(aqueous liquid medium)」とは、少なくとも1つの液体を含有する任意の混合物を意味し、その溶媒は水又はその試料である。
「少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体の除染」とは、完全に又は部分的に前記媒体から前記微量汚染物質を除去するという事実を意味する。
「分子形態の微量汚染物質を、それを含有する水性液状媒体から除去する」とは、前記媒体中に存在する微量汚染物質の分子を捕捉又は捕獲する、あるいは、前記媒体から完全に又は部分的にそれらを除去する目的でその濃度を低下させるという事実を意味する。
本発明を一つの理論に拘束することを望むことなく、本発明に係る方法において、前記微量汚染物質の分子が、それらと相互作用する式(I)の核脂質化合物によって、ゲルを形成することなく、捕捉又は捕獲されるということに従って、仮説が提唱され得る。これに基づいて、特に液状媒体中に、微量汚染物質が分子形態で見られる場合、微量汚染物質の各分子は、前記式(I)の化合物と個別に相互作用することができ、したがって除染の効果を有意に増大する。この相互作用は、凝集体の形成を可能にし、これは次に通常の分離方法によって前記液状媒体から除去することができる。
「微量汚染物質によって汚染された表面を除染する」とは、前記表面上に存在する微量汚染物質の分子を捕捉又は捕獲する、あるいはそれらを前記表面から完全に又は部分的に除去する目的で、その濃度を低下させるという事実を意味する。
「分子形態の微量汚染物質」、「分子状微量汚染物質」又は「微量汚染物質の分子」とは、ナノメートルサイズの粒子(ナノ粒子)よりも小さいサイズを有する前記微量汚染物質を意味する。
「ナノ粒子」とは、ナノメートルサイズの粒子(又は超微細粒子)を意味し、これは、寸法の少なくとも1つがナノメートルスケールにある分子の集合であるとする規格ISO TS/27687に従う。例えば、ナノ粒子は、その三次元がナノメートルスケールにあるナノ物質であるとして、すなわち、その呼び径(nominal diameter)が0.5nm〜100nmに含まれる粒子として、前述のISO規格に従って定義することができる。
本発明によれば、前記「分子形態の微量汚染物質」、「分子状微量汚染物質」又は前記「微量汚染物質分子」(これら用語は互換的に使用される)は、単一の分子によって構成され得る。
特に、前記分子形態の微量汚染物質は、その1つの寸法が0.5nm未満である微量汚染物質である。
本発明の一態様では、前記分子形態の微量汚染物質は、0.5nm未満の呼び径を有する。
本発明の一態様では、前記分子形態の微量汚染物質は、有機分子である。
本発明の一態様では、前記分子状微量汚染物質は、60g/mol〜5000g/mol、好ましくは100g/mol〜1000g/molに含まれるモル質量を有する。
有利には、前記分子形態の微量汚染物質は、特にそれが水性液状媒体中に存在する場合、以下の定義の少なくとも1つを満たす。
水性液状媒体又はその試料は、例えば、ヒト又は動物が消費するための水、特に飲料水;入浴水(貯水池又はスイミングプール);農産食品又は製薬業界で使用される水;貯水池又は湖を起源とする水;沿岸水、河川水;地表水;地下水、農業用水、特に灌漑用水;養殖用の淡水又は海水、工業用水、特に産業廃水又は鉱山に由来する排水、病院排水等;あるいは、微量汚染物質の存在が制御されなければならない任意の水性液状媒体、並びに、必要であれば、前記微量汚染物質に関して除染を受けなければならない任意の水性液状媒体であり得る。
汚染され得る表面の例として、平坦であるか又は平坦でない表面の形態での、公衆又は動物を受け入れる場所、例えば娯楽スペース、実験室、病院、工業用地、農業用地等に見られる通常の表面、被覆表面、製造物品の表面(例えば実験装置)等が挙げられ得る。例えば、ガラス(例えばナトリウムカルシウム(sodiocalcic)又はホウケイ酸ガラス、石英ガラス)に基づく表面、ポリマー、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリプロピレン又はポリビニルクロリド又はPVCに基づく表面、シリコーンに基づく表面、あるいは金属、例えばステンレススチールに基づく表面が挙げられる。
式(I)の化合物のプリン又はピリミジン塩基は、例えばアデニン、グアニン、シトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、尿酸、カフェイン、テオブロミン、ウラシル、チミン、ジヒドロウリジン、及びそれらの誘導体から選択され得る。
チミン及びウラシルが好ましい。
本明細書において、好ましい態様は、本発明の全ての実施形態に適用可能である。
上記式(I)において、プリン又はピリミジン塩基は、少なくとも1つの置換基によって置換されてもよく、斯かる置換基は、例えば、ハロゲン、アミノ基、カルボキシ基、カルボニル基、カルボニルアミノ基、ヒドロキシ、アジド、シアノ又はチオール基、C1〜C6直鎖状若しくは分枝状アルキル基、シクロアルキル、パーフルオロアルキル、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ)、オキシカルボニル、ビニル、エチニル、プロピニル、アシル等から選択される。
「プリン又はピリミジンに基づく誘導体」とは、例えば、非天然の単環式又は二環式複素環式塩基を意味し、ここで、各環は4〜7員を含み、任意により上記で示されたように置換されている。
「非天然の単環式又は二環式複素環式塩基」とは、例えば、ユニバーサル塩基(universal base)、例えば3−ニトロピロール、4−ニトロイミダゾール又は5−ニトロインドールを意味し、これは天然に存在しない。
「1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基」とは、芳香族又は部分不飽和で、合計5〜12個の原子を含み、1〜4個の窒素原子によって中断された単環式又は二環式の炭素環式基を意味し、これは、例えば、フラン、ピロール、オキサゾール、オキサジアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ベンゾフラン、インドール、キノリン、イソキノリン、クロマン、ナフチリジン及びベンゾジアジン基から選択することができ、トリアゾールが好ましい。
上記式(I)において、アシル鎖は、存在する場合、C8〜C30鎖、好ましくはC8〜C26、より好ましくはC16〜C20アシル鎖である。
直鎖状若しくは分枝状炭化水素鎖は、存在する場合、C8〜C30鎖、好ましくはC8〜C26、より好ましくはC16〜C20鎖であり、これは飽和であるか又は1つ若しくは複数の不飽和を含む。
直鎖状若しくは分枝状アルキル鎖は、存在する場合、C2〜C30鎖、好ましくはC2〜C20、より好ましくはC8〜C20である。
必要であれば、対イオンは、例えば一価のカチオン、例えばNa+、Li+、K+、NH4 +から選択することができる。
あるいは、上記で定義した式(I)において、R3が、カチオン性基、例えばホスホニウム又は上記で定義したNR456基を表す場合、対イオンは、例えばトシレート、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、及びチオ硫酸塩の陰イオンから選択することができる。
したがって、対イオンが存在しない場合、式(I)の化合物は、例えば化合物チミジン3’−(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート)(diC16dTとも呼ばれる)のように、負に帯電している可能性があり、あるいは例えば化合物(N−[5’−(2’,3’−ジオレオイル)ウリジン]−N’,N’,N’−トリメチルアンモニウムトシレート)(DOTAUとも呼ばれる)のように、正に帯電している可能性がある。
一実施形態によれば、少なくとも1つの式(I)の化合物が使用され、式中:
- Xは、酸素原子、硫黄原子又はメチレン基であり、
- Bは、プリン又はピリミジン塩基を表し;
- L1及びL2は、同一又は異なっており、水素、−O−C(O)−オキシカルボニル基、−O−C(S)−NH−チオカルバメート基、−O−C(O)−O−カーボネート基、−O−C(O)−NH−カルバメート基、酸素原子、ホスフェート基、ホスホネート基又は1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基を表し、前記ヘテロアリール基は、飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖によって置換されているか、又は非置換であり;
- R1及びR2は、同一又は異なっており、以下:
- 直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖であって、飽和であるか又は1つ若しくは複数の不飽和を含む、炭化水素鎖、
- C8〜C30アシル鎖、
- 各アシル鎖がC8〜C30であるジアシル鎖、
- 各アシル鎖がC8〜C30であるジアシルグリセロール基、
を表し、
- R3は、NH2−R4、NHR45又はNR456基を表し、ここで、R4、R5及びR6は、同一又は異なっており、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C6アルキル鎖、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C6ヒドロキシアルキル鎖、又は1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基を表し、これは、非置換であるか、あるいは、C2〜C30アルキルによって、又は(CH2m−O−(CH2p−R9基(ここで、m=1〜6、かつp=0〜20であり、そしてR9は水素を表す)によって置換されている。
本発明の目的のために好ましい式(I)の核脂質化合物は、式中:
- Xは、酸素原子であり;
- Bは、アデニン、グアニン、シトシン、チミン及びウラシルから選択され、チミン及びウラシルが好ましく;
- L1及びL2は、同一又は異なっており、−O−C(O)−オキシカルボニル基、−O−C(O)−O−カーボネート基、−O−C(O)−NH−カルバメート基、酸素原子又はホスフェート基を表し、及び/又は、L1及びL2の一方は、水素を表し;
- R1及びR2は、同一又は異なっており、直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖であって、飽和であるか又は1つ若しくは複数の不飽和を含む、炭化水素鎖、C8〜C30アシル鎖、各アシル鎖がC8〜C30であるジアシル鎖、あるいは各アシル鎖がC8〜C30であるジアシルグリセロール基を表し;
- R3は、ヒドロキシ、アミノ、ホスフェート、ホスホネート、チオホスフェート、ホスホニウム、NH2−R4、NHR45又はNR456基を表し、ここで、R4、R5及びR6は、同一又は異なっており、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C6アルキル鎖、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C6ヒドロキシアルキル鎖を表す。
本発明の目的のために好ましい式(I)の核脂質化合物は、式中:
- Xは、酸素原子であり;
- Bは、アデニン、グアニン、シトシン、チミン及びウラシルから選択され、チミン及びウラシルが好ましく;
- L1は、R1基によって置換されたホスフェート基であり、ここで、R1は、ジアシルグリセロール基であって、各アシル基がC8〜C30、好ましくはC8〜C26、又はより好ましくはC16〜C20であるジアシルグリセロール基であり2は水素であり、かつR2は存在しないか、あるいは
- L1及びL2はそれぞれ、R1基によって置換された−O−C(O)−オキシカルボニル基、及びR2基によって置換された−O−C(O)−オキシカルボニル基を表し、かつR1及びR2は、同一又は異なっており、各々が、直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖、好ましくはC16〜C20炭化水素鎖、1つ若しくは複数の不飽和を含む直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖を表し、
- R3は、ヒドロキシ基又はNR456基であり、ここで、R4、R5及びR6は、水素原子を表す。
特に、式(I)の化合物が使用されることになり、式中:
- Xは、酸素原子であり;
- Bは、チミンであり;
- L1は、R1基によって置換されたホスフェート基であり、ここで、R1は、ジアシルグリセロール基であって、各アシル基がC8〜C30、好ましくはC8〜C26、又はより好ましくはC16〜C20であるジアシルグリセロール基であり2は水素であり、かつR2は存在せず、並びに
- R3は、ヒドロキシ基である。
他の好ましい式(I)の化合物は、式中:
- Xは、酸素原子であり;
- Bは、ウラシルを表し;
- L1は、R1基によって置換された−O−C(O)−オキシカルボニル基を表し、
- L2は、R2基によって置換された−O−C(O)−オキシカルボニル基を表し、
- R1及びR2は、同一又は異なっており、各々が、1つ若しくは複数の不飽和を含む直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖、好ましくはC16〜C20炭化水素鎖を表し、
- R3は、NR456基であり、ここで、R4、R5及びR6は、水素原子を表す。
特に好ましい式(I)の化合物は、以下の化合物である:
- チミジン3’−(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート)、(diC16dTとも呼ばれる)(CAS Registry Number:1160002−70−9);
- (N−[5’−(2’,3’−ジオレオイル)ウリジン]−N’,N’,N’−トリメチルアンモニウムトシレート)、(DOTAUとも呼ばれる)、これは、P. Chabaudら、Bioconjugate Chem.、2006、17、466-472に記載されたように調製される。
式(I)の化合物の調製のために、このタイプの化合物への異なるアクセス経路を記載する特許出願の国際公開第2005/116043号公報(特にp.8〜17及び実施例)、並びに特許出願の国際公開第2009/098404号公報又は国際公開第2010/136676号公報及び出版物P. Chabaudら,、Bioconjugate Chem.、2006、17、466-472(DOTAUの調製)が参照される。
本発明の一実施形態によれば、式(I)の核脂質化合物は、二量体形態で使用され、ここで、R3基を有する第1の式(I)の分子は、第1の式(I)の分子のR3基と同一又は異なるR3基を有する第2の式(I)の分子に結合し、第1の式(I)の分子のR3基と第2の式(I)の分子のR3基との間の結合は共有結合である。
好ましい態様によれば、本発明は、分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は少なくとも1つのそのような微量汚染物質で汚染された表面を除染するための方法であって、以下、
- 前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は前記微量汚染物質で汚染された表面と、上記で定義した少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とを接触させるステップ、
- 前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は前記微量汚染物質で汚染された表面と、上記で定義した少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とをインキュベートするステップ、並びに
- 前記分子形態の微量汚染物質と前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とによって形成された凝集体を分離するステップ、
を含む、方法に関する。
一態様では、本発明は、分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は少なくとも1つの微量汚染物質で汚染された表面を除染するための方法であって、以下、
- 前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は前記微量汚染物質で汚染された表面と、上記で定義した少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とを接触させるステップ、
- 前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は前記少なくとも1つの微量汚染物質で汚染された表面と、上記で定義した少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とをインキュベートするステップ、並びに
- 前記水性液状媒体中の前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質と前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とによって形成された凝集体、又は、前記表面上の前記少なくとも1つの微量汚染物質と前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とによって形成された凝集体を分離するステップ、
を含む、方法に関する。
「インキュベーション」とは、式(I)の化合物(複数)と、水性液状媒体中又は表面上に存在する分子状微量汚染物質(複数)との相互作用を可能にするのに十分な期間行われる接触期間を意味する。単に指標として、例えば、1分〜4時間、特に5分〜2時間の期間、インキュベーションを行うことが可能である。
このインキュベーションは、例えば、周囲温度で行うことができる。
接触は、例えば、水性媒体中の式(I)の核脂質化合物の溶解又は分散によって、水又は有機溶媒などの好適な溶媒中の式(I)の核脂質化合物の溶液又は懸濁液の汚染表面への適用によって、あるいは、式(I)の核脂質化合物を含有する粉末、好ましくは式(I)の核脂質化合物で構成される粉末の前記汚染表面への適用によって、行われる。
有利には、水又は有機溶媒などの好適な溶媒中の溶液又は懸濁液中の式(I)の化合物(複数)の総濃度は、0.001mg/mL〜1mg/mLに含まれ、好ましくは1mg/mL未満、特に0.01mg/mL〜0.5mg/mL、特に0.1〜0.5mg/mLであり得る。
有利には、前記式(I)の化合物は、除染に使用される濃度でゲルを形成しない。
分離は、処理されるべき水性液状媒体及び体積の関数として、又は処理されるべき表面の関数として、当該技術分野で既知の技法に従って、例えばデカンテーション、遠心分離、濾過、機械的な拭き取り等によって行われ得る。
本発明は、以下の実施例によって説明される。
実施例1:式(I)の核脂質化合物による、プロプラノロール(登録商標)又はジクロフェナク(登録商標)を含有する水性液状媒体の除染
プロプラノロール(登録商標)及びジクロフェナク(登録商標)を使用した(Sigma-Aldrich)。
式(I)の核脂質diC16dT及びDOTAUを、Khiatiら(Bioconjug. Chem、2009、20、1765-1772、Bioconjug. Chem、2009、20、1765-1772)及びChabaudら(Bioconjug. Chem.,2006、17、466-472)によってそれぞれ記載された手順に従って調製した。比較として、市販の粉末形態の除染化合物、Trivorex(登録商標)(Prevor)も使用した。
1/ プロプラノロール(登録商標)、ジクロフェナク(登録商標)及びTrivorex(登録商標)の較正溶液の調製
7mgの製品(医薬又はTrivorex(登録商標))を7mlの脱イオン水に添加する(ストック溶液:1mg/mL)。
各化合物についての分光計測定によって、λmaxを決定した。様々な溶液をそのストック溶液に基づいて生成し、UV Jacso V-630分光計を用いて100μlの石英セルでアッセイした。各化合物のイプシロンは、258nm、266nm、276nm及び289nmで決定される(A=a×C+b、ここで、Aは吸光度、Cは濃度、aはイプシロンであり、bは原点におけるy軸の値である)。
Trivorex(登録商標)は、蒸留水溶液で吸収しない。同じプロトコルを水道水で使用した(イプシロンは水道水で変化しない)。
したがって、希釈標準溶液の濃度を、289nm及び276nmの吸収波長について、50μg/mLのプロプラノロール(登録商標)及び20μg/mLのジクロフェナク(登録商標)に対して決定した。
2/ diC16−3’−dTによるプロプラノロール(登録商標)の除染、及びDOTAUによるジクロフェナク(登録商標)の除染の研究
実験を三連で行った。10mgのDiC16dTを、50mLの除染されることになる溶液(蒸留水中又は水道水中の50μg/mLのプロプラノロール(登録商標)溶液)に添加した。
周囲温度で磁気攪拌下におけるインキュベーション(脱イオン水中で15分又は水道水中で2時間)後、この溶液の600μLを、Millex(登録商標)-GS 0.22μm膜、MF-ミリポア上で濾過した。
100μLの石英セルでUV分光測色計を用いて、試料のスペクトルを求めた。プロプラノロール(登録商標)の最終濃度及び除染パーセンテージを、多成分モード法(multicomponent mode method)によって計算した(Wagdarikarら、Pharm. Sci. Res.,2015、545、2013-2018)。
DOTAUを使用して、蒸留水中又は水道水中の20μg/mLのジクロフェナク(登録商標)溶液について、蒸留水中で10分又は水道水中で30分の磁気攪拌下でのインキュベーション時間で、同じプロトコルを使用した。
核脂質成分を、医薬のそれぞれについてTrivorex(登録商標)で置換して、同じプロトコルを続けた。
比較として、蒸留水中又は水道水中のプロプラノロール(登録商標)又はジクロフェナク(登録商標)のみを(それぞれ50μg/mL及び20μg/mLで)含有する溶液も、核脂質化合物の非存在下でMillex(登録商標)-GS 0.22μm MF-ミリポア膜上で単一濾過に供した。
プロプラノロール(登録商標)及びジクロフェナク(登録商標)の実際の濃度、並びに除染パーセンテージを決定するために、以下の式1及び2を適用した。
Figure 2021514829
Figure 2021514829
3/ データ分析
正規性(Shapiro-Wilk test)及び等分散性(Bartlett’s test)を試験することによってデータ分析を行い、次いで、除染方法間の有意差を検出するためにANOVAパラメトリック検定を使用した。
ANOVA検定が有意である場合(p <0.05)、post-hoc Tukey試験を使用し、以下のように記録した:p<0.05の場合、有意でない(ns)、p<0.05の場合、わずかに有意(*))、p<0.005の場合、非常に有意(**)、p<0.0005の場合、高度に有意(***)。
4/ 結果
結果を図1及び2に要約する。
a)図1は、以下の条件下で、蒸留水中のプロプラノロール(登録商標)又はジクロフェナク(登録商標)について得られた除染レベルを示す:
- 式(I)の化合物の非存在下での濾過のみ(白色のカラム);
- 式(I)の化合物、すなわちDOTAU又はdiC16dTの添加に続く濾過(黒色のカラム);
- 式(I)の化合物の非存在下でのTrivorex(登録商標)に続く濾過(灰色のカラム)。
diC16dT(93.69±2.04%)の存在下でのプロプラノロール(登録商標)含有溶液、及びDOTAU(98.03±0.51%)の存在下でのジクロフェナク(登録商標)含有溶液について、高レベルの除染が観察される。これらの除染レベルは、Trivorex(登録商標)で得られた除染レベル、それぞれ、55±5%(プロプラノロール(登録商標)について)及び5%未満(ジクロフェナク(登録商標)について)よりも有意に高い。
セルロース膜上での濾過のみでは、セルロース膜に親和性を有するプロプラノロール(登録商標)含有溶液について低レベルの除染(19.80±1.22%)がもたらされ、ジクロフェナク(登録商標)含有溶液についてはほぼゼロの除染レベル(1.86±0.17%)がもたらされることが観察される。
b)図2は、同一条件下での、水道水中のプロプラノロール(登録商標)又はジクロフェナク(登録商標)について得られた除染レベルを示す。
蒸留水において得られた結果と同様の結果が得られている:唯一の効果的な除染は、式(I)の核脂質DOTAU又はdiC16dTを用いることによって得られた除染である。
実施例2:いくつかの式(I)の核脂質の存在下でのプロプラノロール(登録商標)及びジクロフェナク(登録商標)の除染の研究
いずれかの式(I)の核脂質(DOTAU又はdiC16dT)を含むか、あるいは連続して又は同時に添加された両方の核脂質を含む、プロプラノロール(登録商標)及びジクロフェナク(登録商標)の溶液に対して測定を行った。比較として、式(I)の化合物の非存在下での濾過のみについても測定を行った。
以下の異なる混合物を三連で生成した。
各医薬について、50mLの医薬溶液に10mgの核脂質DOTAU又はdiC16dTを添加し、次いで最初の添加とは異なる10mgの核脂質DOTAU又はdiC16dTを添加することによって、あるいは50mLの医薬溶液に同時に10mgの各核脂質を溶解することによって、混合物を調製した。いずれの場合にも、続いて濾過を行った。
周囲温度での異なるインキュベーション時間後に測定を行った。結果を図3に要約する。
プロプラノロール(登録商標)(50μg/mL)の場合、以下の濃度を使用した:
- diC16dTの添加及びインキュベーション15分(薄い灰色のカラム);
- diC16dTの添加及びインキュベーション15分、次いでDOTAUの添加及びインキュベーション60分(濃い灰色のカラム);
- diC16dT及びDOTAUの同時添加、及びインキュベーション15分(黒色のカラム);
- diC16dT及びDOTAUの同時添加、及びインキュベーション120分(斜線カラム)。
ジクロフェナク(登録商標)(20μg/mL)の場合、以下の条件を使用した:
- DOTAUの添加及びインキュベーション10分(薄い灰色のカラム);
- DOTAUの添加及びインキュベーション10分、次いでdiC16dTの添加及びインキュベーション60分(濃い灰色のカラム);
- diC16dT及びDOTAUの同時添加、及びインキュベーション10分(黒色のカラム);
- diC16dT及びDOTAUの同時添加、及びインキュベーション120分(斜線のカラム)。
これらの異なる時間において、Millex(登録商標)-GS 0.22μm膜、MF-ミリポア上での600μLの希釈標準溶液を濾過した後に、UV分光測色計(100μLの石英セル)を用いて除染を測定する。
比較として、式(I)の核脂質化合物(DOTAU又はdiC16dT)の非存在下での濾過のみの後の医薬のそれぞれについても測定を行った(白色のカラム)。
5/ 結果
図3に要約された結果は、以下のことを示している:
- 全ての場合において、単独又は組み合わせでの式(I)の核脂質(複数)(DOTAU及び/又はdiC16dT)の添加は、満足な除染レベルが得られていない濾過と比較して、効果的かつ有意な除染が得られることを可能にする;
- ジクロフェナク(登録商標)の場合、DOTAU単独によって行われた除染(10分後に97.06±1.35%)、あるいはDOTAU及びdiC16dTの連続又は同時添加によって行われた除染の間に有意差は認められなかった。インキュベーション時間によっても有意差は生じない;
- プロプラノロール(登録商標)の場合、diC16dT単独によって行われた除染は、93.69±2.04%のレベルを示し、そして、DOTAU及びdiC16dTの同時添加が、わずか15分後に72.71±2.44%の除染レベルをもたらすことを可能にしていることが観察される。
これら結果により、異なる種類の微量汚染物質を含有する水性液状媒体を除染するための2つの異なる核脂質の使用を予想することが可能となる。
実施例3:diC16dTでの微量汚染物質の混合物を含有する水性媒体の除染の研究
本研究の目的は、13種の微量汚染物質で人工的に汚染された純水(「カクテル」)に対して、本発明に係る水を除染するためのシステムを試験することである。
これら13種の微量汚染物質は、以下の医薬及び殺虫剤である:エリスロマイシン、プロプラノロール、メトプロロール、カルバマゼピン、フルオキセチン、ジクロルボス、エチニルエストラジオール、ジウロン、イソプロツロン、アラクロール、アクロニフェン、クロルフェンビンホス、及びキノキシフェン。
13種の微量汚染物質を、500mLの水でその検出限界の少なくとも10倍を超える濃度に希釈した。
この溶液50mLの3つの複製を、実施例1と同じ操作方法に従ってdiC16dTで除染し、4つの試料(3つの除染された試料+50mLの非除染溶液)をLC−MSによって分析した。
材料及び方法
化学製品及び溶媒
分析標準は、Sigma-Aldrich(St Quentin Fallavier、フランス)から≧98%の純度を有する分析品質で購入した。
使用される全ての溶媒は、500mL溶液の生成に使用される水を含めて、高品質のOptimaTM LC-MS(Fisher Scientific、Illkirch、フランス)である。
ストック溶液及び希釈標準溶液の調製
ちょうど約1mgの各標準を対応する量の適切な溶媒中に希釈することによって、ストック溶液(1mg/mL)を調製した標準をQuintix 35-1S分析スケール(Sartorius、Aubagne、フランス)で秤量した。
標準の分解を抑えるため、全ての溶液を、調製直後及び使用まで−20℃で保存した。
LC−MS分析
液体クロマトグラフィー
2つのポンプ(充填及び溶出)と、バックフラッシュ(backflush)モードでSPEをオンラインで溶出することを可能にするVIM(Valve Interface Module)とを備えた、HPLC Dionex Ultimate 3000システム(ThermoFisher Scientific、Les Ullis、フランス)に接続されたHTC PAL自動サンプリングシステム(CTC Analytics AG、Zwingen、スイス)を用いて、クロマトグラフィーによる分離を行った。
質量分析
HESI(Heated Electrospray Ionisation)源(ThermoFisher Scientific、Les Ullis、フランス)を備えたQ-Exactive(ThermoFisher Scientific、Les Ullis、フランス)によるポジティブモードで、分析を行った。
結果の取得と活用
Xcaliburソフトウェア(ThermoFisher Scientific、Les Ullis、フランス)を用いて、結果の取得と活用を行った。汚染物質のそれぞれに対応するシグナルを、そのm/z(許容値を5ppmに設定)及び保持時間に従って検証し、必要に応じて手動で再統合(reintegrated)した。
試験溶液の初期濃度の2倍に達する濃度でLC−MS品質の水中の各分子について、検量線を得た。Excelソフトウェアを用いて、これら検量線のパラメータ(傾き、原点のy軸、及び線形回帰係数)を求め、これを次に、試料中の各分子を定量するために使用した。
得られた結果を以下の表1に示す。
各分子について、各試料における除染前及び除染後の濃度(μg/L)、除染パーセンテージ、並びに標準偏差が示されている。
Figure 2021514829
図4は、13種の微量汚染物質のそれぞれについて得られた除染レベル(図4A)、並びにカクテル(13種の微量汚染物質を含有する溶液)の全体の除染レベルを表す(図4B)。
この結果は、本発明に係る方法により、1μg/L以下のオーダーの非常に低濃度の微量汚染物質に対する有意な除染が得られることを示している。
微量汚染物質のカクテルについて、結果は、除染が数十μg/Lの総濃度に効果的であることを示している。
実施例4:汚染表面(スライドガラス)の除染
10μLのQuantum Dots(CdSeS/ZnS、トルエン中1g.L-1、6nm)を、スライドガラス(Marienfeld 76x26x1 mm、純粋白色ガラス、カット・エッジ(cut edges)、プレーン)上に堆積させた。これをフード(hood)下で1時間蒸発させた。次に、20μLの除染溶液を堆積させた。
1% m/Vの水中のDOTAU溶液、又はイオン性の液体、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)−イミド(BMIM TFSI)中の1% m/V(すなわち10mg/mL)のDOTAU溶液で試験を行った。
除染溶液を15分間汚染されたスライドガラスと接触させた後、ワイパー(Kimtech 05511)を垂直に1回、次に水平に1回通過させることによってスライドを拭いた。スライドをUV(366nm)下で観察し、写真を撮影する。
比較として、処理前の汚染スライド、除染溶液と接触させることなくワイパーで単純に拭き取った汚染スライド、並びに、水又はイオン性液体と接触させた後に拭き取った汚染スライドの観察も行った。
汚染スライドは、処理前及び処理後に写真を撮影し、次に写真をMesurim(登録商標)及びImage J(登録商標)画像処理ソフトウェアで処理する。
得られた結果を以下の表2に示し、除染パーセンテージとして表す。
Figure 2021514829
結果は、除染溶液中のDOTAUの存在が、スライドガラスの除染を有意に増大することを示している。

Claims (20)

  1. 分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体(aqueous liquid medium)、又は微量汚染物質で汚染された表面を除染するための方法であって、以下、
    ●前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は前記少なくとも1つの微量汚染物質で汚染された表面と、少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物(nucleolipid compound)とを接触させるステップ、
    Figure 2021514829
    (上式中、
    - Xは、酸素、硫黄の原子又はメチレン基であり;
    - Bは、プリン又はピリミジン塩基、あるいはまた非天然の複素環式単環又は二環式塩基を表し、これらの各環は、4〜7員を含み、任意により置換されている;
    - L1及びL2は、同一又は異なっており、水素、−O−C(O)−オキシカルボニル基、−O−C(S)−NH−チオカルバメート基、−O−C(O)−O−カーボネート基、−O−C(O)−NH−カルバメート基、酸素原子、ホスフェート基、ホスホネート基、又は1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基を表し、前記ヘテロアリール基は、飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖によって置換されているか、又は非置換であり;
    - ここで、L1は、ホスフェート又はホスホネート基を表し、かつL2は、水素を表すか;
    - あるいはまた、L1及びL2は一緒になって、以下の式のケタール基を形成するか;
    Figure 2021514829
    - あるいはまた、L1又はL2の一方は、水素を表し、そして他方は、ヒドロキシ基又は1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基を表し、前記ヘテロアリール基は、非置換であるか、又は直鎖状若しくは分枝状C8〜C30アルキル鎖によって置換されており;
    - R1及びR2は、同一又は異なっており、以下:
    - 直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖であって、飽和であるか又は1つ若しくは複数の不飽和を含む、炭化水素鎖、
    - C8〜C30アシル鎖、
    - 各アシル鎖がC8〜C30であるジアシル鎖、
    - 各アシル鎖がC8〜C30であるジアシルグリセロール鎖、
    - スフィンゴシン又はセラミド基
    を表し、あるいは、
    - L1又はL2の一方が、水素を表し、そして他方が、ヒドロキシ基又は1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基を表す場合、R1及びR2は、存在せず;
    - R3は、以下:
    - ヒドロキシ、アミノ、ホスフェート、ホスホネート、ホスファチジルコリン、O−アルキルホスファチジルコリン、チオホスフェート、ホスホニウム、NH2−R4、NHR45又はNR456基、ここで、R4、R5及びR6は、同一又は異なっており、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C6アルキル鎖、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C6ヒドロキシアルキル鎖を表す、あるいは
    - 直鎖状若しくは分枝状C2〜C30アルキル鎖、これは、任意によりヒドロキシ基で置換されていてもよい、あるいは
    - 1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基、これは、非置換であるか、あるいは、C2〜C30アルキルによって、又は(CH2m−O−(CH2p−R9基(ここで、m=1〜6、かつp=0〜20であり、そしてR9は水素又は環状ケタール基を表し、前記環状ケタール基は、5〜7個の炭素原子を含み、非置換であるか又は少なくとも1つの直鎖状若しくは分枝状C2〜C30アルキルによって置換されている)によって、又はステロール残基によって置換されている、
    を表すか、あるいはまた
    - R3は、同一又は異なる別の式(I)の化合物の同一又は異なる別のR3置換基に、共有結合によって連結されて、二量体形態の式(I)の化合物を形成する)
    並びに、
    ●前記水性液状媒体中の前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質と前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とによって形成された凝集体、又は、前記表面上の前記少なくとも1つの微量汚染物質と前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とによって形成された凝集体を分離するステップ、
    を含む、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    ●前記接触ステップが、分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体と、請求項1に定義された少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とを接触させるステップであり、
    並びに、
    ●前記分離ステップが、分子形態の前記微量汚染物質と前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とによって形成された凝集体を分離するステップである、方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、
    ●前記接触ステップが、前記少なくとも1つの微量汚染物質で汚染された表面と、請求項1に定義された少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とを接触させるステップであり、
    並びに
    ●前記分離ステップが、前記表面上の前記少なくとも1つの微量汚染物質と前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とによって形成された凝集体を分離するステップである、方法。
  4. 単一の式(I)の化合物が使用される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 2以上の異なる式(I)の化合物が、同時に又は連続して使用される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の方法であって、以下、
    −前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は前記少なくとも1つの微量汚染物質で汚染された表面と、少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とを接触させるステップ、
    −前記分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は前記微量汚染物質で汚染された表面と、少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とをインキュベートするステップ、並びに
    −前記水性液状媒体中の前記分子形態の微量汚染物質と前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とで形成された凝集体、又は、前記表面上の前記微量汚染物質と前記少なくとも1つの式(I)の核脂質化合物とで形成された凝集体を分離するステップ、
    を含む、方法。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の方法であって、水性媒体中の式(I)の核脂質化合物の溶解又は分散によって、水又は有機溶媒などの好適な溶媒中の式(I)の核脂質化合物の溶液又は懸濁液の汚染表面への適用によって、あるいは、式(I)の核脂質化合物を含有するか又は式(I)の核脂質化合物で構成される粉末の前記汚染表面への適用によって、接触が行われる、方法。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の方法であって、前記分子形態の微量汚染物質が、以下の条件:
    - それは単一分子で構成される;
    - その寸法の1つは0.5nm未満である;
    - それは0.5nm未満の呼び径(nominal diameter)を有する;
    - それは、60g/mol〜5000g/mol、好ましくは100g/mol〜1000g/molに含まれるモル質量を有する;
    - それは有機分子である、
    の少なくとも1つを満たす、方法。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、式(I)中、Bが、アデニン、グアニン、シトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、尿酸、カフェイン、テオブロミン、ウラシル、チミン、ジヒドロウリジン、及びそれらの誘導体から選択されるプリン又はピリミジン塩基を表し、好ましくはチミン又はウラシルを表す、方法。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の方法であって、少なくとも1つの式(I)の化合物が使用され、式中:
    - Xは、酸素、硫黄の原子又はメチレン基であり、
    - Bは、プリン又はピリミジン塩基を表し;
    - L1及びL2は、同一又は異なっており、水素、−O−C(O)−オキシカルボニル基、−O−C(S)−NH−チオカルバメート基、−O−C(O)−O−カーボネート基、−O−C(O)−NH−カルバメート基、酸素原子、ホスフェート基、ホスホネート基、又は1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基を表し、前記ヘテロアリール基は、飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖によって置換されているか、又は非置換であり;
    - R1及びR2は、同一又は異なっており、以下:
    - 直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖であって、飽和であるか又は1つ若しくは複数の不飽和を含む、炭化水素鎖、
    - C8〜C30アシル鎖、
    - 各アシル鎖がC8〜C30であるジアシル鎖、
    - 各アシル鎖がC8〜C30であるジアシルグリセロール基、
    を表し、
    - R3は、NH2−R4、NHR45又はNR456基を表し、ここで、R4、R5及びR6は、同一又は異なっており、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C6アルキル鎖、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C6ヒドロキシアルキル鎖、又は1〜4個の窒素原子を含むヘテロアリール基を表し、これは、非置換であるか、あるいは、C2〜C30アルキルによって、又は(CH2m−O−(CH2p−R9基(ここで、m=1〜6、かつp=0〜20であり、そしてR9は水素を表す)によって置換されている、方法。
  11. 請求項1から9のいずれか一項に記載の方法であって、式(I)の核脂質化合物が使用され、式中:
    - Xは、酸素原子であり;
    - Bは、アデニン、グアニン、シトシン、チミン及びウラシルから選択され;
    - L1及びL2は、同一又は異なっており、−O−C(O)−オキシカルボニル基、−O−C(O)−O−カーボネート基、−O−C(O)−NH−カルバメート基、酸素原子又はホスフェート基を表し、及び/又は、L1及びL2の一方は、水素を表し;
    - R1及びR2は、同一又は異なっており、直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖であって、飽和であるか又は1つ若しくは複数の不飽和を含む、炭化水素鎖、C8〜C30アシル鎖、各アシル鎖がC8〜C30であるジアシル鎖、あるいは各アシル鎖がC8〜C30であるジアシルグリセロール基を表し;
    - R3は、ヒドロキシ、アミノ、ホスフェート、ホスホネート、チオホスフェート、ホスホニウム、NH2−R4、NHR45又はNR456基を表し、ここで、R4、R5及びR6は、同一又は異なっており、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C6アルキル鎖、又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C6ヒドロキシアルキル鎖を表す、方法。
  12. 請求項1から9のいずれか一項に記載の方法であって、式(I)の核脂質化合物が使用され、式中:
    - Xは、酸素原子であり;
    - Bは、アデニン、グアニン、シトシン、チミン及びウラシル、好ましくはウラシル又はチミンから選択され;
    - L1は、R1基によって置換されたホスフェート基であり、ここで、R1は、各アシル基がC8〜C30であるジアシルグリセロール基であり、L2は水素であり、かつR2は存在しないか、あるいは
    - L1は、R1基によって置換された−O−C(O)−オキシカルボニル基を表し、かつL2は、R2基によって置換された−O−C(O)−オキシカルボニル基を表し、かつR1及びR2は、同一又は異なっており、各々が、1つ若しくは複数の不飽和を含む直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖を表し;
    - R3は、ヒドロキシ基又はNR456基であり、ここで、R4、R5及びR6は、水素原子を表す、方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、式(I)の核脂質化合物が使用され、式中:
    - Xは、酸素原子であり;
    - Bは、チミンであり;
    - L1は、R1基によって置換されたホスフェート基であり、ここで、R1は、ジアシルグリセロール基であって、各アシル基がC8〜C30、好ましくはC8〜C26、又はより好ましくはC16〜C20であるジアシルグリセロール基であり、L2は水素であり、かつR2は存在せず、並びに
    - R3は、ヒドロキシ基である、方法。
  14. 請求項12に記載の方法であって、式(I)の核脂質化合物が使用され、式中:
    - Xは、酸素原子であり;
    - Bは、ウラシルを表し;
    - L1は、R1基によって置換された−O−C(O)−オキシカルボニル基を表し、
    - L2は、R2基によって置換された−O−C(O)−オキシカルボニル基を表し、
    - R1及びR2は、同一又は異なっており、各々が、1つ若しくは複数の不飽和を含む直鎖状若しくは分枝状C8〜C30炭化水素鎖、好ましくはC16〜C20炭化水素鎖を表し、
    - R3は、NR456基であり、ここで、R4、R5及びR6は、水素原子を表す、方法。
  15. 請求項1から14のいずれか一項に記載の方法であって、式(I)の核脂質化合物が使用され、以下:
    −チミジン3’−(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスフェート;
    −(N−[5’−(2’,3’−ジオレオイル)ウリジン]−N’,N’,N’−トリメチルアンモニウムトシレート)、
    から選択される、方法。
  16. 請求項1から15のいずれか一項に記載の方法であって、前記分離ステップが、デカンテーション、遠心分離、濾過又は機械的な拭き取りによって行われる、方法。
  17. 請求項1から16のいずれか一項に記載の方法であって、前記微量汚染物質が、医薬、医薬の誘導体、医薬の代謝産物、あるいは、発がん性、変異原性及び/又は生殖毒性(CMR)である化合物若しくは物質、又はそれらの誘導体若しくは代謝産物である、方法。
  18. 請求項1から17のいずれか一項に記載の方法であって、前記微量汚染物質がオフロキサシン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、ジクロフェナク、プロプラノロール、メトプロロール、カルバマゼピン、フルオキセチン、ジクロルボス、カフェイン、エチニルエストラジオール、ジウロン、イソプロツロン、アラクロール、アクロニフェン、クロルフェンビンホス、キノキシフェン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、タキサン、例えばパクリタキセル又はドセタキセル、プラチナ誘導体又は5−フルオラシル、から選択される、方法。
  19. 請求項1及び3から18のいずれか一項に記載の方法であって、前記表面が、ガラス、ポリマー、シリコーン又は金属に基づく表面である、方法。
  20. 分子形態の少なくとも1つの微量汚染物質を含有する水性液状媒体、又は少なくとも1つの微量汚染物質で汚染された表面の除染のための、請求項1から15のいずれか一項に定義された少なくとも1つの式(I)の化合物の使用。
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