JP2021508045A - 併存症を有する患者におけるプロカルシトニンに基づく抗生物質療法のガイダンス - Google Patents

併存症を有する患者におけるプロカルシトニンに基づく抗生物質療法のガイダンス Download PDF

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Abstract

本発明は、自然免疫応答の不全を含む1つ以上の併存症を有し、かつ感染症を有する疑いのある患者における抗生物質療法のガイダンス、層別化および/または制御のための方法に関する。この方法はまた、自然免疫応答の不全を含む1つ以上の併存症を有する患者における抗生物質療法のガイダンス、層別化および/または制御のための方法に関し、併存症は、好ましくは、代謝障害(肥満)、糖尿病、高血圧症、腎疾患、血栓症、悪性腫瘍または癌、および感染症を有する疑いを含む群から選択される。特に、この方法は、該患者からの試料を提供することと、該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルを決定することと、を含み、該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルは、抗生物質治療の開始または変更が必要であるかどうかを指し示している。さらに、本発明はまた、本発明の方法を実行するためのキットにも関する。

Description

本発明は、自然免疫応答の不全を含み、かつ感染症を有する疑いのある1つ以上の併存症を有する患者における抗生物質療法のガイダンス、層別化および/または制御のための方法に関する。この方法はまた、自然免疫応答の不全を含む1つ以上の併存症を有する患者における抗生物質療法のガイダンス、層別化および/または制御のための方法に関し、併存症は、好ましくは、代謝障害(肥満)、糖尿病、高血圧症、腎疾患、血栓症、悪性腫瘍または癌、および感染症を有する疑いを含む群から選択される。具体的には、この方法は、該患者からの試料を提供することと、該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルを決定することと、を含み、該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルは、抗生物質治療の開始または変更が必要であるかどうかを指し示している。さらに、本発明はまた、本発明の方法を実行するためのキットにも関する。
感染性疾患の症状のある患者の早期診断および疾患重症度の正確な評価は、標的療法ガイダンスを通じて生存率および転帰を改善する上で重要であると考えられている。しかしながら、これは疾患の非特異的な徴候および症状によって複雑になり、高齢化人口、抗生物質に対する耐性の進行、および体内での免疫抑制剤ならびに異物の使用の増加によって悪化する1。さらに、抗生物質のタイムリーな使用は最も重要であり、治療介入の遅れに応じて死亡率が高くなることが示されている2、3。敗血症エピソードの大部分は、最初は市中で発生するため、その発生率は大幅に過小評価されている場合さえあり4、対象を絞った臨床的介入の最も早い機会は、例えば、入院の最初の時点−すなわち救急部門(ED)である。
感染症の症状がある救急部門に送られる患者は、とりわけ、代謝障害、呼吸器症候群、心血管疾患、または悪性腫瘍に関連する1つ以上の併存症を有している可能性がある。いくつかの併存症は自然免疫応答の変化に関連している可能性があり(Falagas M.E.et al.Lancet Infect Dis.2006 Jul;6(7):438−46;Geerlings S.E.et al.FEMS Immunology and Medical Microbiology 26(1999)259−265)、敗血症、臓器機能障害、ショック、または血液凝固障害の発症などのその後の合併症のリスクを増大させる病原体の侵入に対する適切な応答を欠如している。
将来の有害事象を回避するために、抗生物質治療の開始には時期に適している必要がある。バイオマーカーの使用は、抗生物質治療を必要とする患者の特定に役立ち得る。
プロカルシトニンは、細菌感染症の診断のためのよく知られたバイオマーカーである。いくつかの臨床研究は、気道の感染症または感染症が疑われる患者のPCTのカットオフ値に基づいて、ED設定における抗生物質適正使用支援に取り組んでいる。このような研究では、抗生物質治療の開始は、最大0.25ng/mlのPCTレベルまで阻止され、0.25ng/ml未満のPCTを有する患者は、臨床的に関連する細菌感染症を有さないことが確認された。
例えば、PCTは、市中感染肺炎を有する患者40、41または不特定の病状を訴える患者の治療における抗生物質療法のガイダンスのためのマーカーとして記載されている(WO2011/110565)。EP2320237は、PCTの決定を含む、急性虚血性または出血性脳卒中を患っている患者における細菌感染症の診断および治療ガイダンスのためのインビトロ法を教示している。しかしながら、これらの研究では、自然免疫応答の不全を含み、かつ感染症を有する疑いを含む1つ以上のより多くの併存症を有するものの関連患者群のバイオマーカーとしての使用を教示すること、または療法の開始もしくは変更または特定の投与モードなどの抗生物質治療の選択肢に関する具体的なガイダンスを提供することができていない。
特筆すべきは、併存症の存在が原因である可能性がある自然免疫応答の不全を有する患者は、抗生物質治療の開始もしくは変更、または抗生物質投与の特定のモードなどの異なる療法の推奨を示す、異なるPCTカットオフレベルなどの抗生物質療法ガイダンスの異なる基準を必要とする可能性があることである。臨床医は、特に対象が自然免疫の不全の1つ以上の状態を示す場合、どの時点で、または患者のどのその他の生物学的状態で抗生物質を投与するか、またはその使用を変更する(例えば、増大させる)かを決定する際に、追加の課題に直面しており、このことは、このような追加の複雑な障害のない患者に対して確立されたPCTカットオフレベルにおける変動につながり得る。
先行技術に照らして、感染症、特に敗血症の疑いを有する自然免疫応答が不全である患者を治療する分野では、抗生物質療法の選択、ガイダンス、層別化、および/または制御のための、追加および/または改善された手段が必要とされている。
先行技術における難しさに照らして、本発明の根底にある技術的問題は、感染症を有する、および/またはその症状を表すことが疑われる、自然免疫応答が不全である患者における抗生物質療法ガイダンス、層別化、および/または制御のための変更された、ならびに/または改善された手段の提供である。
したがって、本発明は、感染症を有することが疑われる患者における抗生物質療法のガイダンス、層別化、および/または制御のための方法、キットおよびさらなる手段、ならびに感染症を有することが疑われる患者の治療に使用するための1つ以上の抗生物質製剤を含む医薬組成物を提供しようとするものである。したがって、本発明の1つの目的は、抗生物質治療の開始または変更を必要とする患者を識別するための、バイオマーカーまたはバイオマーカーの組み合わせ、および可能性があれば1つ以上の臨床スコアの使用である。
本発明の技術的問題の解決策は、独立請求項に提供されている。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に提供されている。
したがって、本発明は、自然免疫応答が不全であり、かつ感染症を有することが疑われる患者における抗生物質療法のガイダンス、層別化、および/または制御のための方法に関し、この方法は、
−該患者からの試料を提供することと、
−該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルを決定することと、を含み、
−該試料中のPCTもしくはその一以上の断片は、抗生物質治療の開始または変更が必要かどうかを示す。
好ましい実施形態では、本発明は、自然免疫応答の不全を含む1つ以上の併存症を有し、かつ感染症を有する疑いのある患者における抗生物質療法のガイダンス、層別化、および/または制御のための方法に関し、この方法は、
−該患者からの試料を提供することと、
−該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルを決定することと、を含み、
−該試料中のPCTもしくはその一以上の断片は、抗生物質治療の開始または変更が必要かどうかを示す。
本発明の方法は、自然免疫応答が不全であり、かつ感染性疾患または敗血症の症状の存在が原因で感染症を有することが疑われる患者に遭遇している医療従事者に、(即時の)抗生物質治療が必要であるかどうかを決定するために、非常に有用な尺度を提供する。この方法は客観的かつ速やかであり、正しい治療法を決定するために、治療の担当者に高度な安全性を提供する。PCTは、診断方法、または感染性疾患の症状が現れている患者に最初に遭遇したときに実行される可能性がある治療ガイダンスおよび層別化の方法で用いられる唯一のバイオマーカーなどの情報を提供することができる。そのため、自然免疫反応が損なわれ、かつ感染症を有することが疑われる患者において、PCTが抗生物質治療の開始または変更が必要かどうかを確認するのに適したマーカーであるという驚くべきかつ有益な発見であった。
これは、例えば、自然免疫応答に影響を及ぼしている併存症のために、自然免疫が不全である患者に遭遇する医療従事者および医師にとって、抗生物質治療を開始または変更する必要があるかどうかは重要な問題であることを表している。特に、危険信号または病原体に対して効率的に作用しなくなる方法で自然免疫応答を変更する併存疾患の状況においての自然免疫応答の不全は、抗生物質治療の開始または変更についての決定基準を変更する可能性があり、これは、先行技術に記載されている既知の抗生物質治療ガイダンスが、この特定の患者群における抗生物質治療のガイダンスには十分でない場合があるためである。
本発明の好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全は、自然免疫系の免疫細胞の障害、例えば、自然免疫系の1つ以上の免疫細胞の応答不全および/または機能不全などであるか、またはこれらを指す。
しかしながら、自然免疫応答の不全は、これらの患者を感染症に対して非常に脆弱にするので、抗生物質治療の早期開始は、本発明の特定の患者群において特に重要であり得る。したがって、この特定の患者集団について定義された決定基準に基づいて抗生物質療法のガイダンスを可能にすることは、本発明の方法の大きな利点である。
さらに、自然免疫応答の不全を含む併存症の存在は、感染症が不在であっても、PCTの基礎レベルに影響を与える場合がある。したがって、これまでのところ、自然免疫の不全を含む併存症に起因し得る、自然免疫応答が不全である患者に直面している医療従事者または医師は、既知の自然免疫応答の不全がない患者と比較して、この患者群に異なる基準が適用される可能性があるために、ベースラインレベルを超えるPCTの上昇を、抗生物質治療の開始または変更の決定に関してどのように解釈するかについて不明確であった。ここで、この問題は、本発明の方法および好ましい実施形態によって今では解決される。
本発明は、(i)抗生物質治療の開始または変更についての初期要件、(ii)陽性の血液培養の予測、(iii)好ましくは、患者の提示および/または試料の単離から48時間以内の重篤な敗血症の発症、および/または(iv)28日目の死亡率によって評価される疾患の重症度を評価するために、潜在的に一連のバイオマーカー(proADM、PCT、乳酸、C反応性タンパク質(CRP))および臨床重症度スコア(SOFAおよびqSOFA)を用いる。
例えば、救急部門またはプライマリーケアユニットで、または救急車内もしくは救急現場で、感染症を有する疑いのある自然免疫応答が不全である患者に遭遇する医師または医療従事者は、いくつかの実施形態では、ポイントオブケア形式で、好ましくは救急部門またはプライマリーケアユニットで、本発明の方法を用いてもよい。これは、非常に多くの時間を要する実験室での試料分析を必要とする他のバイオマーカー試験と比べて、大きな利点であり、これは、バイオマーカーに基づく治療の決定が、数時間または数日後にしか行えないためである。対照的に、本発明の方法は、救急部門、プライマリーケアユニット、さらには救急車など、最初の治療措置をとる担当者が患者を初診する場所で、現場で実行することができる。
この方法は、感染症を有する疑いのある患者が抗生物質治療を受ける必要があるかどうか、または進行中の抗生物質治療を継続するか、もしくは変更するか、もしくは中止する必要があるかどうかを決定するために有用である。さらに、プロカルシトニンもしくはその断片トのレベルに基づいて、患者が、抗生物質治療を開始または変更すべき、深刻な医学的観察下にあるべき高リスク患者であるかどうか、あるいは患者が、抗生物質治療または抗生物質治療の変更を必要としない可能性がある安定した、またはさらには健康状態が改善している、低リスク患者であるかどうかを判断することができる。
したがって、本発明の方法は、医療従事者が患者に遭遇している際に行われるべき治療決定を改善するのを助けることができる。本発明の方法は、抗生物質療法の開始または変更を必要とする可能性がより高い高リスク患者を、抗生物質療法の開始または変更なしでも、その健康状態が安定しているか、またはさらには改善もしている低リスク患者から区別することができる。
本発明のさらなる実施形態では、試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルが、0.05ng/ml以上、好ましくは0.1ng/ml以上、より好ましくは0.12ng/ml以上であることが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。PCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示さない本発明の実施形態では、患者は退院してもよく、ICUまたはいずれかの病院もしくは臨床環境から退院してもよく、または入院しなくてもよい。
本明細書で開示するPCTもしくはその一以上の断片または他のバイオマーカーのタンパク質レベルのカットオフ値は、好ましくは、患者から得られた試料中でのThermo Scientific BRAHMS KRYPTOR検定による測定値を指す。したがって、本明細書で開示する値は、用いられる検出/測定方法に応じてある程度変動することがあるか、または異なる自動化システムによって変動することがあり、本明細書で開示する特定の値は、他の方法によって決定された対応する値を読み取ることも意図している。
PCTまたはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す他の実施形態では、患者は入院するか、またはICUに収容され得る。ICUへの収容は、特に患者がすでに入院している場合には考慮され得る。PCTまたは断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要ないことを示す別の代替実施形態では、非静脈内抗生物質(経口抗生物質)を必要とするか、または抗生物質を必要としない状態で、患者が病院または病院環境から退院してもよい。
本発明の方法の特定の利点は、感染症を有することが疑われる患者が、必要な治療に関して層別化され得ることである。層別化された患者群には、抗生物質治療の開始または変更を必要とする患者と、抗生物質治療または進行中の治療の変更を必要としない患者と、が含まれる。さらに、プロカルシトニンもしくはその断片のレベルに基づいて、例えば、投与される抗生物質製剤もしくは抗生物質製剤の組み合わせ、それぞれの抗生物質製剤の投与の経路(単数または複数)、および単回投与または反復もしくは複数回投与ならびに場合によっては投与の間隔などの治療レジメンに関して、どのような抗生物質治療が必要であるかを決定することが可能であり得る。
したがって、本発明の方法は、抗生物質の不必要な使用を回避するのを助けることができる。これは、抗生物質、好ましくは静脈内投与抗生物質のより効率的な使用をもたらすことができ、不必要な費用を回避するだけでなく、抗生物質製剤の不必要な使用によって促進される抗生物質耐性の進行も回避する。さらに、医療従事者との遭遇後の抗生物質治療中、例えば病院の救急部門で、どの患者を監視し、入院させる可能性があるか、および患者の厳密な監視が必要ないため、どの患者を退院させることができるかを確実に決定することができる。その結果、抗生物質療法を必要とする患者だけがさらなる治療のためにとどまらなければならない場合があるが、一方他の患者は退院する場合があるため、それぞれの病院または医療機関をより効率的に管理することができる。これはまた、そうでなければ抗生物質治療を必要としないリスクの低い患者に適用される不必要な措置に対して回避された費用から、大きな利益をもたらすであろう。
本発明の方法によれば、患者は自然免疫応答の不全を有する。自然免疫応答が過小または過大であるため、これらの患者は侵入する病原体に対する異常な防御の最前線を示し、感染症および関連する合併症、例えば、ショック、臓器機能障害または凝固障害(例えば、播種性血管内凝固症候群−DIC)に対するリスクの高い群を表す。
好ましい実施形態では、本発明の方法の患者は、感染症または感染性疾患を患っているとまだ診断されていない。しかしながら、患者は感染症の症状または徴候を示す可能性があるため、感染症を有する疑いがある。
さらに、患者は感染性疾患または敗血症を有するとまだ診断されていないが、患者はすでに経口抗生物質製剤などの抗生物質治療を受けている可能性がある。
したがって、本発明の方法は、感染症の症状または徴候を示す対象が抗生物質治療を受けるべきかどうかを決定するために使用することができる。感染症の症状は、感染症によって影響を受ける可能性のある臓器系に応じて非常に多様である。しかしながら、このような症状は明確に定義されており、救急部門、プライマリーケアユニット、病院または同様の施設で働く医療従事者などの当業者には既知である。感染性疾患およびまた敗血症の一般的な徴候には、熱、体温の上昇、38℃を超える体温、鼻水、咳、頭痛、疲労、体の痛み、吐き気、嘔吐、下痢、発熱、悪寒、腹痛、1分あたり90回を超える心拍数、1分あたり20回を超える呼吸数、尿量の大幅な減少、精神状態の急激な変化、血小板数の減少、呼吸困難、異常な心臓のポンプ機能または低血圧を含むが、これらに限定されない。
本発明の別の実施形態では、対象には、感染症または敗血症などの全身感染症の症状が現れている。
プロカルシトニンもしくはその断片の決定されたレベルは、抗生物質治療の開始または進行中の抗生物質治療の変更が必要かどうかを示す。本発明の方法に基づいて、治療を開始するか、変更するか、または継続すべきか、あるいは抗生物質治療が必要でないかどうかを決定することができる。
本発明の文脈において、患者の抗生物質治療の変更は、用量、投与経路もしくはレジメン、または抗生物質治療の他のパラメータの変更を伴い得るが、変更された治療は、当初使用されていた同じ1つ以上の抗生物質製剤を依然として包含してもよい。さらに、抗生物質治療の変更はまた、患者の治療に使用する1つ以上の抗生物質製剤の変更にも潜在的にさらに関し得る。したがって、変更は、さらなる抗生物質製剤の追加、または1つ以上の抗生物質製剤を1つ以上の他の薬剤と置き換えることに関し得る。
好ましい実施形態では、抗生物質治療の変更は、抗生物質治療を受けていない患者における抗生物質治療の開始を指す。さらに、抗生物質治療の変更は、抗生物質治療の段階的拡大に関連し得る。例えば、段階的拡大は、例えば、経口および/または局所抗生物質治療を受けている患者における静脈内抗生物質治療の開始などの投与経路に関するものであり得、静脈内抗生物質治療は、以前の抗生物質治療の代わりにまたはそれに加えて施されてもよい。抗生物質療法の段階的拡大は、PCTもしくはその断片のレベルが抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す場合に行うことが好ましい。
さらに、抗生物質治療の変更は、投与経路に関する抗生物質治療の段階的縮小に関連している場合もある。例えば、段階的縮小は、静脈内抗生物質治療を抗生物質治療の経口投与および/または局所投与で置き換えること、または抗生物質治療を停止することに関連し得る。さらに、抗生物質治療の変更は、抗生物質治療を行うことの環境の変更にも関連し得る。例えば、段階的拡大という意味での抗生物質治療の変更は、抗生物質治療の変更前に入院していない患者に病院環境で抗生物質治療を施すこと、または抗生物質の変更以前にはICU患者ではなかった患者に、ICU環境で抗生物質治療を施すことに関連してもよい。さらに、段階的拡大または段階的縮小の意味で、抗生物質治療の変更は、例えば、集中治療室またはその他の臨床環境にすでに収容されている患者などの入院している患者に、抗生物質治療を施すこと、または病院環境における抗生物質治療を変更もしくは中止することに関連してもよい。本明細書では、抗生物質治療および抗生物質療法という用語は、互換的に使用される。抗生物質治療の変更は、いくつかの実施形態では、PCT測定の結果に応じて、追加のまたはより少ない抗生物質製剤の投与を含んでもよい。抗生物質療法の段階的縮小は、PCTもしくはその断片のレベルが、対象が追加の抗生物質治療を必要とする感染のリスクの増加を示さない場合に行うことが好ましい。
いくつかの実施形態では、抗生物質療法のガイダンス、層別化、および/または制御は、好ましくは、将来の有害事象の可能性に関しても、継続中の抗生物質療法の成果または有効性の予測を伴う。
本発明によれば、「抗生物質治療の開始または変更が必要かどうかを示す」という文脈での「示す」という用語は、抗生物質治療の開始または進行中の抗生物質治療の変更が必要とされ得る傾向性の尺度として意図されている。好ましくは、必要とされる抗生物質治療の開始または変更の「指標」は、患者の健康状態の改善につながる好適な抗生物質製剤の投与により成功裏に治療できる感染症に患者が罹患している可能性の増加を指すことを意図している。他方では、プロカルシトニンもしくはその断片のレベルは、患者が感染症を有する疑いがあるが、抗生物質の投与が健康状態の改善につながり得ないために、抗生物質治療が患者の状態を改善するのに役立つとは限らないという事実を示している可能性がある。
本発明の文脈において、例えば、感染症を患っている患者の抗生物質療法で使用される1つ以上の抗生物質製剤の変更などの、抗生物質治療の開始または変更の必要性の指標は、患者の健康における将来の有害事象の発生の可能性の増加に関連し得る。抗生物質療法の開始または変更の指標は、意図された抗生物質治療の有効性の評価として意図される場合があり、通常、患者の健康状態の継続的な改善で表示される場合がある、抗生物質治療の絶対的な成功または失敗を明確に示すように限定的に解釈されるべきではない。
上記を念頭に置いて、本発明の方法は、特に本明細書に開示されるカットオフ値を使用する場合に、抗生物質治療の開始または変更が必要かどうかを決定することに関して非常に信頼できる手順を表す。
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、提供された試料は、医療従事者との最初の接触から12時間以内、好ましくは医療従事者との最初の接触から6時間、2時間、1時間以内、またはより好ましくは30分以内に患者から単離された。
本発明の方法の好ましい実施形態では、提供された試料は、感染症の症状および/または敗血症の症状の医療従事者への提示後、12時間以内、好ましくは該症状の医療従事者への提示から6時間、2時間、1時間以内、またはより好ましくは30分以内に患者から単離された。
患者と医療従事者との間の最初の接触の時点は、医療従事者と接触したか、または医療従事者に提示された患者を、医療従事者が最初に診察したときと定義される。これはまた、感染症または敗血症の症状が現れ得る時点であってもよい。診察は、身体的検査、健康診断、または臨床検査に関連する場合があり、これは、医療専門家が患者の身体に疾患の徴候がないかを調査するプロセスであってもよい。通常、これには病歴の記録、進行中の治療の評価、および患者が経験した症状の説明を伴う。病歴と共に、身体的検査は正しい診断を決定し、治療計画を考案するのに役立つ。
医療専門家が患者の症状に気づく時点は、患者が感染症を有する疑いがあるとして特定される時点でもあってもよい。この時点はまた、基準時点または時点0と称されてもよく、これには、本発明の方法の文脈で参照されるタイムスパンが関連する。理想的には、PCTもしくはその断片のレベルを決定する必要がある試料は、感染症を有する疑いがあると患者を識別した後、できるだけ早く単離して、試料分析の結果を非常に迅速に受け取ることができるようにする必要があり、したがって、PCTベースの治療決定を非常に迅速に行うことができる。感染症または敗血症を有する疑いのある患者の治療の成功した転帰のためには、患者の症状を認識した後、非常に迅速に正しい治療を開始することが重要であり得る。したがって、本発明の文脈において、試料は、最初の接触後および/または医療従事者への症状の提示後、12時間以内、好ましくは11、10、9、8、7、6、5、4、3、2.5、2、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1時間以内、またはその直後に単離される。好ましくは、試料は、自動化または半自動化されることができ、非常に短時間で治療の決定を行う担当の医療従事者に結果を提供するポイントオブケアアッセイを使用することにより、例えば、救急部門、ポイントオブケアユニット、または救急車などの試料を単離する現場所で直接分析することができる。このようにして、本発明に基づいて治療決定を行うために必要な情報を入手するための時間を大幅に短縮することができ、これは、開始される可能性がある抗生物質治療の成功にとって重要であり得る。
好ましい実施形態では、抗生物質治療は、試料中のPCTもしくはその断片のレベルを示す試料分析の結果が提供されるとすぐに開始または変更される。さらなる実施形態では、治療は、試料分析の結果を受け取った後、12時間以内、好ましくは11、10、9、8、7、6、5、4、3、2.5、2、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1時間以内、またはその直後に開始されてもよい。
好ましくは、患者は救急部門またはプライマリーケアにいる。
本発明の方法の大きな利点は、患者と遭遇する現場で実行することができ、搬送および結果の提供に時間を消費する可能性がある特定の実験室を必ずしも必要としないことである。さらに、本発明の方法に基づく治療決定は、EDまたはプライマリーケアユニットで患者に遭遇した後、非常に迅速に行うことができる。
好ましい実施形態では、患者は、心血管疾患、心房細動、粗動、うっ血性心不全、COPD、喘息、肺線維症、石綿症、肺疾患、免疫不全症、糖尿病、腎疾患、高血圧、脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、認知症、貧血、血栓症、リウマチ性疾患、神経筋疾患、悪性腫瘍または癌を含む群から選択することができる1つ以上の併存症を有する。
より好ましい実施形態では、患者は、自然免疫応答の不全に関連し、代謝障害(肥満)、糖尿病、免疫不全症、腎疾患、高血圧、貧血、血栓症、悪性腫瘍または癌を含む群から選択することができる1つ以上の併存症を有する。
好ましい実施形態では、患者は、自然免疫応答の不全を含む1つ以上の併存症を有し、自然免疫応答の不全を含む併存症は、好ましくは、代謝障害(肥満)、糖尿病、免疫不全症、高血圧、腎疾患、貧血 、血栓症、悪性腫瘍または癌を含む群から選択される。
最も好ましい実施形態では、患者は、高血圧、代謝障害(肥満)、糖尿病および貧血を含む1つ以上の併存症を有する。
一実施形態では、患者は、自然免疫応答の不全に関連し、代謝障害(肥満)、糖尿病、免疫不全症、腎疾患、貧血、血栓症、悪性腫瘍または癌を含む群から選択することができる1つ以上の併存症を有する。
一実施形態では、患者は、代謝障害(肥満)、糖尿病および貧血を含む1つ以上の併存症を有する。
一実施形態では、患者は併存症として高血圧を有するが、急性虚血性もしくは出血性脳卒中は経験していない。一実施形態では、患者は併存症として高血圧を有するが、過去96、72、48、または24時間以内に急性虚血性もしくは出血性脳卒中は経験していない。一実施形態では、患者は発作を起こしていない。一実施形態では、患者は高血圧を有していない。
急性虚血性もしくは出血性脳卒中などの脳卒中を経験した患者は、本発明の患者群には直接関連しない。本発明は、(感染症が疑われることに加えて)基礎的かつ潜在的に慢性の追加の病状を有する患者における関連するPCT値を評価し、それにより必要な治療の評価を改善し、したがって治療ガイダンスを改善することを目指している。本発明のいくつかの実施形態では、患者は、併存症のために急性の病気ではない。いくつかの実施形態では、併存症は慢性の病状、すなわち急性状態ではない病状である。本発明の好ましい実施形態では、該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルが、健康な個体の群などの1つ以上の対照試料におけるPCTもしくはその一以上の断片のレベルよりも高いことを決定することが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示している。
このような好ましい実施形態では、好ましくは、任意の所与の疾患に罹患している対象のコホートもしくは他の多数のこれらの対象または対照群などの対照試料を試験することによって生成された対照試料または対象値を使用することが可能である。このようなデータセットの分析および比較のために、適切な統計的手段が当業者に知られている。陽性対照(罹患者など)または陰性対照(健常な対象からの)の対照試料を、同時または非同時比較の参照値として使用してもよい。
プロカルシトニンもしくはその断片のタンパク質レベルのカットオフ値は、最も好ましくは、患者から得られた血漿試料または血清試料または血液試料(全血試料)における測定値を指す。したがって、本明細書に開示の値は、用いられる検出/測定方法に応じてある程度変動し得、本明細書に開示の特定の値は、他の方法によって決定される対応する値を読み取ることも意図している。
一実施形態では、本発明は、追加的に、本明細書に記載の方法の結果を患者に知らせることを含む。さらなる実施形態では、本発明は、抗生物質治療の開始をさらに含む。さらに、この方法は、特定の治療レジメンに関連する特定の治療群に患者を層別化するステップと、任意に、治療の層別化の結果について患者に通知するステップと、を含んでもよい。
本発明の方法の好ましい実施形態では、PCTもしくはその一以上の断片のレベルが、0.05ng/ml以上、好ましくは0.1ng/ml以上、より好ましくは0.12ng/ml以上であることが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
本発明の方法の好ましい実施形態では、PCTもしくはその一以上の断片のレベルが、0.05ng/ml以上、または0.1ng/ml以上、より好ましくは0.12ng/ml以上、または0.15ng/ml以上、または0.17ng/ml以上、または0.2ng/ml以上であることが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
好ましい実施形態では、PCTもしくはその断片のレベルが、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、または0.4ng/ml以上であることが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
本発明のさらなる実施形態では、0.05〜0.4、0.05〜0.35、0.05〜0.3、0.05〜0.29、0.05〜0.28、0.05〜0.27、0.05〜0.26、0.05〜0.25、0.05〜0.25、0.06〜0.24、0.07〜0.23、0.08〜0.22、0.09〜0.21、0.10〜0.20、0.11〜0.19、0.12〜0.18、0.13〜0.17、または0.14〜0.16ng/mlの範囲の濃度を有するPCTもしくはその断片のレベルは、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
さらなる実施形態において、0.17ng/ml以上のPCTもしくはその断片のレベルは、試料の提示および/または試料の単離の48時間以内の重篤な敗血症の発症を示す。
0.25ng/ml未満のPCTもしくはその断片のレベルに基づいて、開始される抗生物質治療の成功の可能性を自信を持って予測できる可能性があり得ることは驚くべきことであった。
本発明の方法の大きな利点は、プロカルシトニンもしくはその断片のレベルに基づいて、さらなる治療のステップおよび決定を行うことができることである。プロカルシトニンのレベルが0.05ng/ml以上、好ましくは0.1ng/ml以上、より好ましくは0.12ng/ml以上の場合、これは抗生物質治療を開始する必要があること、または進行中の抗生物質治療を修正もしくは変更する必要があることを示す。さらに、患者が、厳格な医学的監視および潜在的に追加の治療措置を必要とする高リスク患者であると決定することができる。一方、該試料中のプロカルシトニンもしくはその断片のレベルが0.05ng/ml未満、好ましくは0.1ng/ml未満、より好ましくは0.12ng/ml未満である場合、これは患者が抗生物質治療の厳密な監視を必要とする高リスクの感染性疾患患者ではないことを示すことができる。この患者は、医学的監視を必要とするさらなる措置なしに回復する可能性があり、かつ医療機関から退院する可能性がある。
好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は代謝障害(肥満)であり、
−0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、または0.4ng/ml以上のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示し、あるいは
0.05〜0.4、0.05〜0.35、0.05〜0.3、0.05〜0.29、0.05〜0.28、0.05〜0.27、0.05〜0.26、0.05〜0.25、0.05〜0.25、0.06〜0.24、0.07〜0.23、0.08〜0.22、0.09〜0.21、0.10〜0.20、0.11〜0.19、0.12〜0.18、0.13〜0.17、0.14〜0.16ng/mlの範囲のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は糖尿病であり、
−0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、または0.4ng/ml以上のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示し、あるいは
0.05〜0.4、0.05〜0.35、0.05〜0.3、0.05〜0.29、0.05〜0.28、0.05〜0.27、0.05〜0.26、0.05〜0.25、0.05〜0.25、0.06〜0.24、0.07〜0.23、0.08〜0.22、0.09〜0.21、0.10〜0.20、0.11〜0.19、0.12〜0.18、0.13〜0.17、0.14〜0.16ng/mlの範囲のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は高血圧であり、
−0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、または0.4ng/ml以上のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示し、あるいは
0.05〜0.4、0.05〜0.35、0.05〜0.3、0.05〜0.29、0.05〜0.28、0.05〜0.27、0.05〜0.26、0.05〜0.25、0.05〜0.25、0.06〜0.24、0.07〜0.23、0.08〜0.22、0.09〜0.21、0.10〜0.20、0.11〜0.19、0.12〜0.18、0.13〜0.17、0.14〜0.16ng/mlの範囲のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は腎疾患であり、
−0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、または0.4ng/ml以上のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示し、あるいは
0.05〜0.4、0.05〜0.35、0.05〜0.3、0.05〜0.29、0.05〜0.28、0.05〜0.27、0.05〜0.26、0.05〜0.25、0.05〜0.25、0.06〜0.24、0.07〜0.23、0.08〜0.22、0.09〜0.21、0.10〜0.20、0.11〜0.19、0.12〜0.18、0.13〜0.17、0.14〜0.16ng/mlの範囲のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は血栓症であり、
−0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、または0.4ng/ml以上のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示し、あるいは
0.05〜0.4、0.05〜0.35、0.05〜0.3、0.05〜0.29、0.05〜0.28、0.05〜0.27、0.05〜0.26、0.05〜0.25、0.05〜0.25、0.06〜0.24、0.07〜0.23、0.08〜0.22、0.09〜0.21、0.10〜0.20、0.11〜0.19、0.12〜0.18、0.13〜0.17、0.14〜0.16ng/mlの範囲のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は悪性腫瘍であり、
−0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、または0.4ng/ml以上のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示し、あるいは
0.05〜0.4、0.05〜0.35、0.05〜0.3、0.05〜0.29、0.05〜0.28、0.05〜0.27、0.05〜0.26、0.05〜0.25、0.05〜0.25、0.06〜0.24、0.07〜0.23、0.08〜0.22、0.09〜0.21、0.10〜0.20、0.11〜0.19、0.12〜0.18、0.13〜0.17、0.14〜0.16ng/mlの範囲のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は癌であり、
−0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、または0.24ng/ml以上のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示し、あるいは
0.05〜0.4、0.05〜0.35、0.05〜0.3、0.05〜0.29、0.05〜0.28、0.05〜0.27、0.05〜0.26、0.05〜0.25、0.05〜0.25、0.06〜0.24、0.07〜0.23、0.08〜0.22、0.09〜0.21、0.10〜0.20、0.11〜0.19、0.12〜0.18、0.13〜0.17、0.14〜0.16ng/mlの範囲のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は免疫不全症であり、
−0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、または0.4ng/ml以上のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示し、あるいは
0.05〜0.4、0.05〜0.35、0.05〜0.3、0.05〜0.29、0.05〜0.28、0.05〜0.27、0.05〜0.26、0.05〜0.25、0.05〜0.25、0.06〜0.24、0.07〜0.23、0.08〜0.22、0.09〜0.21、0.10〜0.20、0.11〜0.19、0.12〜0.18、0.13〜0.17、0.14〜0.16ng/mlの範囲のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は貧血であり、
−0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、または0.4ng/ml以上のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示し、あるいは
0.05〜0.4、0.05〜0.35、0.05〜0.3、0.05〜0.29、0.05〜0.28、0.05〜0.27、0.05〜0.26、0.05〜0.25、0.05〜0.25、0.06〜0.24、0.07〜0.23、0.08〜0.22、0.09〜0.21、0.10〜0.20、0.11〜0.19、0.12〜0.18、0.13〜0.17、0.14〜0.16ng/mlの範囲のPCTもしくはその断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す。
本発明は、追加のバイオマーカー(例えば、proADM、乳酸、C反応性タンパク質、インターロイキン−6、ヒストンH2A、ヒストンH2B、ヒストンH4、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン、プロエンドセリン−1、アルファ−1−アンチトリプシン、sICAM−1、IP−10)および(i)抗生物質治療の開始または変更の初期要件、(ii)陽性の血液培養の予測、(iii)重篤な敗血症の発症、および/または(iv)28日目の死亡率で評価される疾患の重症度の臨床スコア(例えば、SOFA、qSOFA、APACHE II、SAPS II)の有無でのさらなる評価も用いる。
好ましい実施形態では、該患者からの試料において少なくとも1つのさらなるバイオマーカーのレベルをさらに決定すること、少なくとも1つの臨床パラメータを決定すること、および/または少なくとも1つの臨床スコアを決定することを含む。
好ましい実施形態では、少なくとも1つのさらなるバイオマーカーは、proADM、乳酸、C反応性タンパク質、インターロイキン−6、ヒストンH2A、ヒストンH2B、ヒストンH4、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン、プロエンドセリン−1、アルファ−1−アンチトリプシン、sICAM−1、およびIP−10を含む群から選択される。
好ましい実施形態では、少なくとも1つのさらなるバイオマーカーは、proADM、ADM、CRP、および乳酸を含む群から選択される。
好ましい実施形態では、少なくとも1つの臨床パラメータは、血圧、体温、体重、肥満度指数、年齢、および性別を含む群から選択される。
好ましい実施形態では、少なくとも1つの臨床スコアは、SOFAスコア、qSOFAスコア、APACHE II、およびSAPS IIスコアを含む群から選択される。
本発明の文脈において使用され得るさらなるバイオマーカー、臨床パラメータおよび/または臨床スコアは、当業者に既知である。
さらに好ましい実施形態によれば、方法はさらに、
−該患者からの試料中の少なくとも1つの追加のバイオマーカーもしくはその一以上の断片のレベルを決定すること、および/または
−少なくとも1つの臨床スコアを決定すること、および/または
−少なくとも1つの臨床パラメータを決定すること、を含み、
−少なくとも1つの追加のバイオマーカーのレベル、および/または少なくとも1つの臨床スコア、および/または少なくとも1つの臨床パラメータのレベル、ならびにPCTもしくはその一以上の断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要かどうかを示す。
本発明のさらに好ましい実施形態では、PCTもしくはその一以上の断片を決定するための試料が、好ましくは、血液試料、血清試料、血漿試料および/または尿試料からなる群から選択される体液である。
PCTもしくはその一以上の断片を決定するための試料および少なくとも1つの追加のバイオマーカーもしくはその一以上の断片を決定するための試料は、同じ試料であっても、または異なる試料であってもよい。
本発明のさらなる実施形態では、該患者は、抗生物質治療をまだ受けていない。本発明の別の実施形態では、該患者は、疑われる感染症の抗生物質治療をまだ受けていない。本発明のさらなる実施形態では、該患者は、救急部門またはプライマリーケアユニットもしくは同様の臨床現場での最初の提示の前に、抗生物質治療をまだ受けていない。
さらに好ましい実施形態によれば、該患者は、抗生物質治療を受けており、抗生物質治療の変更が、抗生物質治療の投与経路の変更を含む。好ましくは、患者は経口抗生物質治療を受けている。さらに、抗生物質治療の変更後の投与経路は、静脈内が好ましい。
この実施形態は、本発明の驚くべきかつ有益な態様を表し、それにより、定義された患者集団、好ましくは単一の試料および/または単一の時点におけるPCT測定により、例えば、抗生物質を静脈内投与することにより、抗生物質療法を強化することができ、これにより、長期間の観察を必要とすることなく、またはリスクを発症させることなく、早期の時点で療法の効果的な強化を可能にする。単一のマーカー値に基づいてproADMレベルを評価し、例えば、静脈内療法を推進することの開業医にとっての実際的な利点は重要である。逆に、例えば、本明細書に記載されているように、より低いレベルのPCTを決定することにより、強化療法が必要でない場合を決定できることは、よりコストがかかり、かつ困難な手順を回避する効果的な手段を表す。
さらに好ましい実施形態では、抗生物質治療の変更は、進行中の抗生物質治療の投与経路の変更を含む。
さらに好ましい実施形態では、抗生物質治療の変更は、進行中の抗生物質治療の投与経路の変更からなる。
本発明の方法の好ましい実施形態では、抗生物質治療は、例えば、臓器療法、酸素補給、静脈内輸液、コルチコステロイド、血管収縮薬、人工呼吸、非侵襲的換気、腎代替療法、または持続的気道陽圧療法(CPAP)などの1つ以上の医療処置または治療措置と組み合わせて施される。
本発明の好ましい実施形態では、患者は、感染症を有する疑いがあるか、または感染症を有し、この感染症または疑われる感染症は、陽性の血液培養、肺感染症、上気道感染症、尿路感染症、骨格もしくは関節の感染症、皮膚感染症、軟部組織感染症、CNS感染症、腹部感染症、および/または原因不明の感染症、および/または異物感染症に関連し得る。
本発明の好ましい実施形態では、患者は、併存症を有し、かつ感染症を有する疑いがあり、この感染症または疑われる感染症は、肺感染症、上気道感染症、尿路感染症、骨格もしくは関節の感染症、皮膚感染症、軟部組織感染症、CNS感染症、腹部感染症、原因不明の感染症、および/または異物感染症を含む群から選択される1つ以上の局所感染症と関連し得る。
本発明の好ましい実施形態では、患者は、免疫応答の不全を含む併存症を有し、かつ感染症の疑いがあるか、または感染症を有し、この感染症は、肺感染症、上気道感染症、尿路感染症、骨格もしくは関節の感染症、皮膚感染症、軟部組織感染症、CNS感染症、腹部感染症、原因不明の感染症、および/または異物感染症を含む群から選択される1つ以上の局所感染症と関連し得る。
本発明の好ましい実施形態では、患者は、高血圧、貧血、代謝障害(肥満)、または糖尿病を含む群から選択される免疫応答の不全を含む併存症を有し、かつ感染症の疑いがあるか、または感染症を有し、この感染症は、肺感染症、上気道感染症、尿路感染症、骨格もしくは関節の感染症、皮膚感染症、軟部組織感染症、CNS感染症、腹部感染症、原因不明の感染症、および/または異物感染症を含む群から選択される1つ以上の局所感染症と関連し得る。
本発明は、自然免疫応答の不全を有し、かつ感染症を有する疑いのある患者の治療に使用するための1つ以上の抗生物質製剤を含む医薬組成物にさらに関し、本発明の方法により、該患者から得られた試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルに起因して、抗生物質治療の開始または変更を必要とすると識別された後に、患者に該組成物が投与される。
別の実施形態では、本発明は、自然免疫応答の不全を含む1つ以上の併存症を有し、かつ感染症を有する疑いがある患者の治療に使用するための1つ以上の抗生物質製剤を含む医薬組成物に関し、本発明の方法により、該患者から得られた試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルに起因して、抗生物質治療の開始または変更を必要とすると識別された後に、患者に該組成物が投与される。
好ましくは、本発明の医薬組成物の投与は、該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルの決定後、180分以内、好ましくは120分以内、より好ましくは60分以内またはその直後に開始される。
本発明の医薬組成物の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、患者に繰り返し、かつ特定の治療期間にわたって投与される。
さらに、PCTならびにその一以上の断片は、本発明の組成物による治療期間中に1回以上決定される。PCTならびにその一以上の断片は、治療の成功および/または疾患の進行をモニタリングするために、本発明の医薬組成物を用いた治療中に決定され得る。
好ましくは、本発明の医薬組成物は、例えば、併存症の治療または抗生物質治療とは異なる症状の治療などの他の治療と組み合わせて投与される。特に、本発明の医薬組成物は、皮膚感染症、尿路感染症などの対症療法と組み合わせて投与される。
好ましくは、患者は、本発明の組成物の静脈内投与を受ける。あるいは、患者は、1つ以上の組成物の静脈内および経口投与を受けてもよい。
本発明は、併存症を患っており、かつ感染症を有する疑いがある患者における抗生物質療法のガイダンス、層別化および/または制御のための方法を実行するためのキットにさらに関し、キットが、
−PCTもしくはその一以上の断片のレベルを決定するための検出試薬と、
−0.05ng/ml以上、好ましくは0.1ng/ml以上、より好ましくは0.12ng/ml以上の該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルに相当する参照レベルなどの参照データと、を含み、該参照データが、好ましくは、コンピュータ可読媒体に記憶され、かつ/またはPCTもしくはその一以上の断片の決定されたレベル、ならびに任意で追加的にADMもしくはその一以上の断片の決定されたレベルを、該参照データと比較するように構成されたコンピュータ実行可能コードの形態で用いられる。
本発明はまた、自然免疫応答の不全を有し、かつ感染症を有する疑いがある患者において、(i)抗生物質治療の開始または変更の初期要件を決定する、(ii)陽性の血液培養を予測する、(iii)重症敗血症の発症を予測する、および/または(iv)28日目の死亡率によって潜在的に評価される疾患の重症度を予測するための方法に関し、方法は、
−該患者から1つ以上の試料(複数可)提供することと、
−該1つ以上の試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルを決定することと、
−任意に、proADM、乳酸、C反応性タンパク質(CRP)などの1つ以上の追加のバイオマーカー(複数可)、および/またはSOFA、qSOFA、またはSAPS IIなどの1つ以上の臨床スコアのレベルを決定することと、を含み、
−PCTもしくはその一以上の断片のレベル、および任意に1つ以上の追加のバイオマーカー(複数可)のレベルおよび/または臨床スコアが、(i)抗生物質治療の開始または変更が必要かどうか、(ii)陽性の血液培養、(iii)重症敗血症の発症、および/または(iv)28日目の死亡率によって潜在的に評価される疾患の重症度を示す。
驚くべきことに、本発明は、感染症または感染性疾患の症状を有する、救急部門にいる自然免疫の不全を含む併存症を患う患者に、0.25ng/ml未満のPCTの以前に知られていないカットオフを使用して、本発明の方法を実施することにより、臨床的に関連する細菌感染症を有し、抗生物質治療を必要とする患者の識別を可能にする。
さらに、本発明は、救急部門に到着してから48時間以内に重症敗血症の発症を予測するのに有用である可能性がある。
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、該患者は、抗生物質治療を受けており、抗生物質治療の変更が、抗生物質治療の投与経路の変更を含むか、またはこれからなる。好ましくは、患者は局所または経口抗生物質治療を受けている。さらに、抗生物質治療の変更後の投与経路は、好ましくは、抗生物質の静脈内適用である。
本発明のさらに好ましい実施形態では、抗生物質治療の変更は、進行中の抗生物質治療の投与経路の変更を含む。
本発明のさらに好ましい実施形態では、抗生物質治療の変更は、進行中の抗生物質治療の投与経路の変更からなる。
本発明の方法の文脈において決定され得る好ましい臓器機能不全は、限定されないが、神経機能不全、心血管機能不全、呼吸機能不全、腎機能不全、肝機能不全、血液学的機能不全および/または代謝性アシドーシスのうちの1つ以上に関連する。
本明細書に記載の方法のさらなる実施形態では、加えて、方法は、感染を検出するための該患者からの試料の分子分析を含む。感染を検出するための分子分析に使用される試料は、好ましくは血液試料である。好ましい実施形態では、分子分析は、病原体に由来する1つ以上の生体分子を検出することを目的とする方法である。該1つ以上の生体分子は、核酸、タンパク質、糖、炭水化物、脂質、および/またはグリコシル化タンパク質などのそれらの組み合わせであってもよく、好ましくは核酸であってもよい。該生体分子は、好ましくは、1つ以上の病原体(複数可)に特異的である。好ましい実施形態によれば、そのような生体分子は、PCR、qPCR、RT−PCR、qRT−PCRなどの核酸増幅方法、または等温増幅、質量分析、酵素活性の検出、および免疫アッセイに基づく検出方法を含む群から選択される、生体分子の分析のための1つ以上の方法によって検出される。分子分析のさらなる方法は、当業者に既知であり、本発明の方法に含まれる。
本発明は、感染症を有する疑いがある患者の治療に使用するための1つ以上の抗生物質製剤を含む医薬組成物にさらに関し、本発明の方法により、該患者から得られた試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルに起因して、抗生物質治療の開始または変更を必要とすると識別された後に、患者に該組成物が投与される。
好ましくは、本発明の医薬組成物の投与は、該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルの決定後、180分以内、好ましくは120分以内、より好ましくは60分以内またはその直後に開始される。
本発明の医薬組成物の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、患者に繰り返し、かつ特定の治療期間にわたって投与される。例えば、抗生物質治療は、数時間、数日間、または数週間継続されてもよく、抗生物質は、例えば輸液によって継続的に、または例えば、経口投与または注射もしくは局所適用によって繰り返し投与されてもよく、投与の間隔は、患者の状態および/または投与される抗生物質製剤(複数可)および製剤に応じて、1時間以上、数日間または数週間の間で変動し得る。
好ましくは、本発明の医薬組成物は、例えば、併存症の治療または抗生物質治療とは異なる症状の治療などの他の治療と組み合わせて投与される。特に、本発明の医薬組成物は、皮膚感染症、尿路感染症などの対症療法と組み合わせて投与される。
好ましくは、患者は、本発明の組成物の静脈内投与を受ける。あるいは、患者は、1つ以上の組成物の静脈内および経口投与を受けてもよい。
本発明はさらに、本発明の方法を実行するためのキットに関し、キットは、
−プロカルシトニンもしくはその一以上の断片のレベルを決定するための検出試薬と、
−0.05ng/ml以上、好ましくは0.1ng/ml以上、より好ましくは0.12ng/ml以上の該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルに相当する参照レベルなどの参照データと、を含み、該参照データが、好ましくは、コンピュータ可読媒体に記憶され、かつ/またはプロカルシトニンもしくはその一以上の断片の決定されたレベル、ならびに任意で追加的にPCTもしくはその一以上の断片の決定されたレベルを、該参照データと比較するように構成されたコンピュータ実行可能コードの形態で用いられる。
プロカルシトニンもしくはその一以上の断片のレベルを決定するための検出試薬は、好ましくは、例えば、プロカルシトニンに対する抗体、蛍光標識などの好ましい標識、好ましくはKRYPTORアッセイでの用途に好適な2つの別個の蛍光標識、試料回収チューブから選択される。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、プロカルシトニンもしくはその一以上の断片および任意にPCTもしくはその一以上の断片のレベルは、質量分析法(MS)、発光イムノアッセイ(LIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光および蛍光イムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、発光ベースのビーズアレイ、磁気ビーズベースのアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、即時免疫クロマトグラフィーストリップ試験などの迅速試験フォーマット、希土類クリプテートアッセイ、ならびに自動化されたシステム/分析器からなる群から選択される方法を使用して決定される。
本発明による方法は、均質な方法としてさらに具体化され得、検出されるべき抗体/複数の抗体およびマーカー、例えば、プロカルシトニンもしくはその断片によって形成されるサンドイッチ錯体は、液相中で懸濁状態のままで検出される。この場合、2つの抗体が使用されると、両方の抗体が検出システムの一部で標識され、それが、両方の抗体が単一のサンドイッチに統合されている場合にシグナルの発生またはシグナルの誘発をもたらすことが好ましい。
そのような技術は、特に蛍光増強または蛍光消光検出方法として具体化されるべきである。特に好ましい態様は、例えば、US4 882 733 A、EP−B1 0 180 492、またはEP−B1 0 539 477、およびそれらで引用された従来技術に記載されているものなど、対で使用される検出試薬の使用に関する。このようにして、反応混合物中の単一の免疫複合体中に直接両方の標識成分を含む反応生成物のみが検出される測定が可能になる。
例えば、そのような技術は、上記で引用された出願の教示を実装する、商標名TRACE(登録商標)(Time Resolved Amplified Cryptate Emission)、またはKRYPTOR(登録商標)の下で提供されている。したがって、特に好ましい態様では、本明細書で提供される方法を実行するために診断デバイスが使用される。例えば、プロカルシトニンタンパク質もしくはその断片のレベル、および/または本明細書で提供される方法の任意のさらなるマーカーのレベルが決定される。特に好ましい態様では、診断デバイスは、KRYPTOR(登録商標)である。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、方法は、イムノアッセイであり、このアッセイは、均一相または不均一相で実施され、自動化システムで実行することができる。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、第1の抗体および第2の抗体は、液体反応混合物中に分散して存在し、蛍光または化学発光消光または増幅に基づく標識系の一部である第1の標識成分は、第1の抗体に結合され、該標識系の第2の標識成分は、第2の抗体に結合され、これにより、検出されるべき両方の抗体の該PCTもしくはその断片への結合後、測定溶液中の得られたサンドイッチ錯体の検出を可能にする測定可能なシグナルが発生する。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、標識系が、特にシアニンタイプの蛍光または化学発光染料と組み合わせた希土類クリプテートまたはキレートを含む。
本明細書に記載の方法の一実施形態では、方法は、さらに、プロカルシトニンもしくはその一以上の断片の決定されたレベルを、参照レベル、閾値、および/または感染症を有する疑いがあるか、または敗血症の症状が現れている患者におけるプロカルシトニンもしくはその断片に対応する集団平均と比較することを含み、該比較が、コンピュータで実行可能なコードを使用してコンピュータプロセッサで実行される。
本発明の方法は、部分的にコンピュータで実行され得る。例えば、検出されたマーカーのレベル、例えばプロカルシトニンもしくはその断片を、参照レベルと比較するステップは、コンピュータシステムにおいて実施され得る。コンピュータシステムでは、診断、予後診断、リスク評価、および/またはリスク層別化のために示されるスコアを計算するために、マーカー(複数可)の決定されたレベルを、対象の他のマーカーレベルおよび/またはパラメータと組み合わせることができる。例えば、決定された値は、コンピュータシステムに入力されてもよい(医療従事者によって手動で、またはそれぞれのマーカーレベル(複数可)が決定されたデバイス(複数可)から自動で、のいずれか)。コンピュータシステムは、ポイントオブケア(例えば、プライマリーケアユニットまたはEDなど)に直接配置されてもよく、またはコンピュータネットワークを介して(例えば、インターネット、または病院情報システム(HIS)などの他のITシステムまたはプラットフォームと任意選択的に組み合わせ可能な専門の医療クラウドシステムを介して)で接続された遠隔地に配置されてもよい。典型的には、コンピュータシステムは、値(例えば、マーカーレベル、もしくは年齢、血圧、体重、性別などのパラメータ、またはSOFA、qSOFA、BMIなどの臨床スコアシステム)をコンピュータ可読媒体に記憶し、事前に定義および/または事前に記憶された参照レベルまたは参照値に基づきスコアを計算するであろう。得られたスコアは、ユーザ(通常は医師などの医療従事者)のために表示および/または印刷される。あるいは、または加えて、関連する予後診断、診断、評価、治療ガイダンス、患者管理ガイダンスまたは層別化は、ユーザ(典型的には医師などの医療従事者)のために表示および/または印刷されるであろう。
本発明の一実施形態では、好ましくは電子健康記録(EHR)からのデータを使用して、機械学習アルゴリズムが敗血症、重症敗血症および敗血症性ショックのリスクがある入院患者を識別することが明らかであるソフトウェアシステムを用いることができる。機械学習アプローチは、患者からのEHRデータ(ラボ、バイオマーカーの発現、バイタル、人口統計など)を使用して、ランダムフォレスト分類器でトレーニングすることができる。機械学習は、単純なルールに基づくシステムとは異なり、明示的にプログラムされなくても、コンピュータにデータの複雑なパターンを学習する能力を提供する一種の人工知能である。以前の研究では、電子健康記録データを使用して警告を誘発して、一般的な臨床的悪化を検出していた。本発明の一実施形態では、プロカルシトニンレベルの処理は、既存のデータセットとの比較のために適切なソフトウェアに組み込むことができ、例えば、プロカルシトニンレベルは、有害事象の発生の診断または予後診断を支援する機械学習ソフトウェアで処理することができる。
CRPまたは乳酸などの別のバイオマーカーと組み合わせたプロカルシトニンもしくはその断片の組み合わせた使用は、単一の多重アッセイで、または患者からの試料で実施される2つの別個のアッセイのいずれかで実現され得る。試料は、同じ試料に関係しても、異なる試料に関係してもよい。
感染症を有する疑いがある患者におけるプロカルシトニンもしくはその断片のカットオフ値および他の参照レベルは、先述の方法によって決定されてもよい。例えば、参照値および/またはカットオフを確立するために、定量アッセイの変動性を評価する際に変動係数を使用するための方法は、当業者に既知である(George F.Reed et al.,Clin Diagn Lab Immunol.2002;9(6):1235−1239)。
加えて、確立された技法に従って参照レベルまたはカットオフとして使用するための統計的に有意な値を示すために、機能アッセイの感度を決定することができる。研究所は、臨床的に関連するプロトコルによって、アッセイの機能的感度を独立して確立することが可能である。「機能的感度」は、変動係数(CV)が20%(またはいくつかの他の所定の%CV)を生じる濃度と見なすことができ、したがって低分析物レベルでのアッセイの精度の尺度である。したがって、CVは、標準偏差(SD)の標準化であり、少なくともアッセイのほとんどの有効範囲で、分析物の濃度の大きさに関係なく変動性の概算値を比較することを可能にする。
さらに、ROC分析に基づく方法を使用して、2つの臨床患者グループ間の統計的に有意な差を決定することができる。受信者動作特性(ROC)曲線は、モデルの適合確率の並べ替え効率を測定して、応答レベルを並べ替える。ROC曲線はまた、診断試験の基準点の設定にも役立ち得る。対角線からの曲線が高いほど、適合度が高い。ロジスティック適合が3つ以上の応答レベルを有する場合、一般化されたROC曲線を生成する。そのようなプロットには、各応答レベルの曲線があり、これは、他の全てのレベルに対するそのレベルのROC曲線である。例えば、SASのJMP12、JMP13、Statistical Discoveryなど、好適な参照レベルおよびカットオフを確立するために、この種類の分析を可能にすることが可能なソフトウェアが利用可能である。
PCTについても同様にカットオフ値を決定することができる。文献は、適切なカットオフを決定するために当業者が利用可能であり、例えば、Philipp Schuetz et al.(BMC Medicine.2011;9:107)は、0.1ng/mLのカットオフでは、PCTが感染症を除外するのに、非常に高い感度を有したと述べている。Terence Chan et al.(Expert Rev.Mol.Diagn.2011;11(5),487.496)は、感度および特異性に基づいて計算される正および負の尤度比などの指標はまた、診断試験の強度の評価に有用であると記載している。一般的に、値は、複数のカットオフ値(CV)に対する受信者動作特性曲線としてグラフ化される。曲線下の面積の値を使用して、診断上最も妥当なCVを決定する。この文献は、CV(アッセイおよび研究デザインによるカットオフ値)の変動、およびカットオフ値を決定するための好適な方法について記載している。
プロカルシトニンもしくはその断片の集団平均レベルはまた、参照値、例えば平均プロカルシトニン集団値として使用することができ、それにより、感染症を有する疑いがあり、かつ敗血症の症状が現れている患者を、対照集団と比較することができ、この対照群は、好ましくは、10、20、30、40、50人を超える、またはそれ以上の対象を含む。
本発明の一実施形態では、PCTについてのカットオフレベルは、例えば、BRAHMS PCT−Kryptorアッセイまたは、例えばRocheによるCobasシステムまたはBioMerieuxによるVidasシステムもしくはAbbottによるArchitectシステムなどの自動化システムを使用する場合、血清試料中で0.01〜100.00ng/mLの範囲の値であり得る。好ましい実施形態では、PCTのカットオフレベルは、0.01〜100、0.05〜50、0.1〜20、または0.1〜2ng/mL、最も好ましくは>0.05〜0.5ng/mLの範囲であり得る。これらの範囲内の任意の値は、適切なカットオフ値と見なすことができる。例えば、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ng/mLが用いられ得る。いくつかの実施形態では、健康な対象のPCTレベルは、およそ0.05ng/mLである。
本発明はまた、併存症を患っており、かつ感染症を有すると疑われる患者の健康における、抗生物質療法のガイダンス、層別化、および/または制御、ならびにその後の有害事象の診断、予後、リスク評価および/またはリスク層別化のための方法に関し、方法は、
−該患者の試料を提供することと、
−該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルを決定することと、を含み、
−該試料中のPCTもしくはその一以上の断片は、抗生物質治療の開始または変更が必要かどうかを示す。
本発明はまた、自然免疫応答が不全であり、かつ感染症を有することが疑われる患者における、患者の抗生物質療法のガイダンス、層別化、および/または制御のための方法に関し、この方法は、
−該患者の試料を提供することと、
−該試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルを決定することと、を含み、
−該試料中のPCTもしくはその一以上の断片は、抗生物質治療の開始または変更が必要かどうかを示す。
本発明の別の実施形態では、対象には、敗血症の症状が現れている。
本明細書に開示される本発明の方法の全ての好ましい実施形態および利点は、本発明の医薬組成物およびキットにも適応する。これは、本発明の医薬組成物およびキットの好ましい実施形態および利点についても逆に適応する。
本発明は、自然免疫応答が不全であり、かつ感染症を有することが疑われる患者における抗生物質療法のガイダンス、層別化、および/または制御のための方法に関する。本明細書に提示されるデータから明らかなように、抗生物質治療の開始または変更は、抗生物質治療の開始または変更の可能性に関する情報を提供する、プロカルシトニンもしくはその一以上の断片のレベルによって示される。
本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」は、脊椎動物であり得る。本発明の文脈において、「対象」という用語は、ヒトおよび動物の両方、特に哺乳動物、および他の生物を含む。
本明細書で使用される場合、プライマリーケアユニットは、日々のプライマリーヘルスケアが医療供給者によって患者に供与され得る、医師の開業場所またはヘルスケアセンターである。典型的には、供給者は、ヘルスケアシステム内の患者の継続的なケアの第1の連絡先および主要なポイントとして機能し、患者が必要とする可能性がある他の専門的ケアを調整する。患者は通常、プライマリーケア医師(例えば、一般開業医またはかかりつけの医師)、ナースプラクティショナー(成人老年学のナースプラクティショナー、ファミリーナースプラクティショナー、小児ナースプラクティショナーなど)、または医師助手などの専門家からプライマリーケアを受ける。このような専門家は、登録看護師、薬剤師、臨床医であってもよい。
本発明の文脈において、事故・救急部、救急室(ER)、緊急室(EW)もしくは病棟部としても知られる救急部門(ED)は、救急医療に特化した医療施設であり、自分自身の手段または救急車の手段のいずれかを用いて事前の予約なしに来院した患者の救急処置に関与する。救急部門は通常、病院や他のプライマリーケアセンターに見られる。
本発明の文脈において、「自然免疫応答」という用語は、自然免疫系によって媒介される反応または応答を指す。自然免疫系は、感染の状況における病原体による刺激、または生物体で発生する他の危険信号に応答する。自然免疫系は、他の生物体による感染症から宿主を守る細胞および機序を含む全体的な免疫系の重要なサブシステムである。自然免疫系の細胞は、病原体および危険信号を認識して応答し、適応免疫系の活性化の前に能動的である感染症に対する即時防御を提供する可能性があるため、侵入する病原体に対する最前線の防御または有機組織体と呼ばれる。
自然免疫系の主な機能としては、サイトカインと呼ばれる特殊な化学メディエーターを含む化学因子の産生を通じて感染部位に免疫細胞を補充すること、細菌を同定し、細胞を活性化し、抗体複合体または死細胞のクリアランスを促進するための補体カスケードの活性化、臓器、組織、血液および/またはリンパに存在する異物の、特定の白血球による同定および除去、例えば抗原提示として知られるプロセスによる適応免疫系の活性化、感染因子に対する物理的、化学的および/または生物学的バリアとして機能すること、炎症の開始が挙げられる。
自然免疫系の重要な構成要素および機序は、身体の解剖学的バリア、炎症の開始、自然免疫細胞、および補体系を含む。
自然免疫系の免疫細胞は、ナチュラルキラー細胞、マスト細胞、好酸球、好塩基球、マクロファージ、好中球、および樹状細胞を含む。これらの細胞は、感染症を引き起こす可能性のある病原体を特定して排除することにより、免疫系内で機能することができる。さらに、自然免疫系の細胞は、適応免疫系の活性化に寄与することができる。
解剖学的障壁には、物理的、化学的、生物学的バリアが含まれる。上皮表面は、ほとんどの感染因子に対して不透過性の物理的バリアを形成し、侵入する生物体に対する防御の最前線として機能する。
炎症は、感染または刺激に対する自然免疫系の最初の応答の1つであり、損傷した細胞または病原体もしくは他の危険信号を認識する自然免疫細胞による化学因子の放出によって刺激される。炎症は、感染症の拡大を防ぎ、病原体のクリアランス後の損傷した組織の治癒を促進する。急性炎症のプロセスは、全ての組織にすでに存在する自然免疫系の細胞、主に常在マクロファージ、樹状細胞、組織球、クッパー細胞、および肥満細胞によって開始され得る。これらの細胞は、パターン認識受容体(PRR)と呼ばれる、表面または細胞内に含まれる受容体を提示し、これは、病原体によって広く共有されているが、宿主分子とは区別可能な分子を認識し、まとめて病原体関連分子パターン(PAMP)と呼ばれる。感染、熱傷、または他の損傷の発症時に、これらの細胞は活性化され(それらのPRRのうちの1つがPAMPを認識する)、炎症の臨床的徴候の原因となる炎症性メディエーターを放出する。
補体系は、一般に肝臓によって合成され、通常は不活性な前駆体(プロタンパク質)として循環する、血液中に見られるいくつかの小さなタンパク質で構成されている。トリガーによって刺激されると、補体系のプロテアーゼは特定のタンパク質を切断してサイトカインを放出し、さらなる切断の増幅カスケードを開始する。この補体活性化または補体結合カスケードの最終結果は、食細胞の刺激による異物および損傷した物質の除去、代理炎症による追加の食細胞の誘引、および細胞殺傷性膜傷害複合体の活性化である。血清タンパク質、漿膜タンパク質、細胞膜受容体を含む、30個を超えるタンパク質およびタンパク質断片が補体系を構成している。古典的補体経路、代替補体経路、およびレクチン経路を含む、少なくとも3つの生化学的経路が補体系を活性化する。
「自然免疫応答の不全」という用語は、自然免疫応答の変化に関連し、これは、自然免疫応答の不全をもたらす、自然免疫系の1つ以上の構成要素の過剰性能および/または性能低下であり得る。自然免疫応答の構成要素の性能低下または過剰性能は両方とも、免疫応答の不均衡につながる得、これは感染因子の効率的な根絶の低下につながり可能性があり、または圧倒的な自然免疫応答につながり得、これは患者の健康における病理学的プロセスおよび有害事象を引き起こす可能性がある。例えば、敗血症性ショックは、患者の健康状態を悪化させる、炎症誘発性サイトカインの圧倒的な放出と関連している可能性がある。
多くの疾患もしくは病理または併存症は、自然免疫系の構成要素の障害または変化を含み、これが自然免疫応答の不全につながるが、これは、自然免疫応答の過剰性能または性能低下に基づく場合がある。いくつかの臨床症状は、抗原曝露中に免疫細胞の緻密化を引き起こし、感染性刺激に対する効率の低い応答をそれぞれ引き起こす、自然免疫系の免疫細胞の一定の低度の炎症状態および一定の活性化を特徴とする。
当業者であれば、そのような病理を認識している本発明の文脈において、自然免疫応答の不全に関連する疾患または併存症には、代謝障害(肥満)、糖尿病、免疫不全症、腎疾患、高血圧、貧血、血栓症、悪性腫瘍または癌が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載されるような患者は、感染症を有するか、または感染症を有する疑いがある。感染しているかどうかにかかわらず、患者は感染症の症状を示すことがある。
さらに、患者は、自然免疫応答の不全を有する可能性がある。さらに、患者は、細胞の自然免疫に関連する免疫応答の不全を有する可能性がある。さらに、患者は、1つ以上の併存症を有する可能性がある。さらに、患者は、感染症の症状を示し、かつ自然免疫反応の不全に関連する併存症を有する可能性がある。本発明の文脈において、自然免疫応答の不全に関連する併存症は、自然免疫応答の不全を含む。
さらに、いくつかの実施形態では、患者は、感染症の症状を示し、かつ自然免疫応答の過剰性能に関連する併存症を有する。自然免疫応答の過剰性能は、圧倒的な自然免疫反応に関連しており、これは、自然免疫系の反応が、それぞれの併存症に罹患していない健康な個体よりも高いということを意味する。
さらに、いくつかの実施形態では、患者は、感染症の症状を示し、かつ自然免疫応答の性能低下に関連する併存症を有する。自然免疫応答の性能低下は、不全のまたは弱められた自然免疫反応に関連しており、これは、自然免疫系の反応が、それぞれの併存症に罹患していない健康な個体よりも弱いということを意味する。
好ましい実施形態では、患者は、心血管疾患、心房細動、粗動、うっ血性心不全、COPD、喘息、肺線維症、石綿症、肺疾患、免疫不全症、糖尿病、腎疾患、高血圧、脳卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、認知症、貧血、血栓症、リウマチ性疾患、神経筋疾患、悪性腫瘍または癌を含む群から選択することができる1つ以上の併存症を有する。
より好ましい実施形態では、患者は、自然免疫応答の不全を含むか(またはそれに関連する)1つ以上の併存症を有し、これらは、代謝障害(肥満)、糖尿病、免疫不全症、腎疾患、高血圧、貧血、血栓症、悪性腫瘍または癌を含む群から選択することができる。
本発明の最も好ましい実施形態では、患者は、自然免疫応答の不全を含む1つ以上の併存症を有し、併存症は、高血圧、代謝障害(肥満)、糖尿病および貧血を含む群から選択される。
本発明の好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は、代謝障害、好ましくは肥満を指す。肥満の対象または患者は、リスク群であり、感染症を起こしやすい。様々な研究は、好中球の走化性を刺激し、単球の増殖ならびにマクロファージの食作用を刺激する炎症誘発性サイトカインとレプチンとの作用に起因する、低度の炎症状態を示すことができた。一定の炎症誘発性刺激効果は、自然免疫細胞の緻密化につながる可能性があり、これは抗原性(例えば、細菌性病原体)曝露中に自然免疫防御の不全につながる(Falagas M.E.et al.Lancet Infect Dis.2006Jul;6(7):438−46;Bandaru et al.Endocrinol Metab Synd 2013,Volume 2,Issue 2)。
本発明の好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は、代謝障害、好ましくはI型糖尿病またはII型糖尿病を指す。高血糖は、免疫細胞の機能およびサイトカインの調節を含む宿主の応答に影響を与える。糖尿病を患っている対象は、細胞の自然免疫応答の不全を有し、かつ感染症にかかる高リスクを有する好中球およびマクロファージの一定の活性化が、自然免疫系のそれらの細胞成分が感染性病原体によって刺激されるとすぐに、走化性の低下、酸化バーストの減少による食作用の低下をもたらすことが示された(Dryden M.et al.Clin Microbiol Infect 2015;21:S27−S32;,Rajagopalan S.Clinical Infectious Diseases 2005;40:990−996;,Geerlings S.E.et al.FEMS Immunology and Medical Microbiology 26(1999)259−265;Schuetz P.et al.Diabetes Care 2011,Vol.34,771−778)。
本発明の好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は、高血圧を指す。高血圧を患っている対象は、内皮損傷をもたらす低度の炎症状態をサポートする、一定に活性化されたマクロファージ(活性酸素種の産生)を有することによって特徴付けられる。第2に、マクロファージの一定の活性化は、脱感作効果のために、感染性病原体に対してあまり活発ではない反応をもたらす(Singh et al.Immunol Res.2014 August;59(0):243−253;Li C.et al.Acta Biochim Biophys Sin(Shanghai).2017 Dec1;49(12):1047−1057;Rucker J.A.et al.Pflugers Arch.2017Apr;469(3−4):419−430.)。
本発明の好ましい実施形態では、自然免疫応答の不全を含む併存症は、貧血を指す。貧血を患っている対象は、鉄欠乏症につながる可能性のある血中の赤血球(RBC)の総量の減少によって特徴付けられる。鉄は、免疫細胞の成長促進および分化誘導特性の役割を果たすことが知られている。鉄欠乏性貧血の患者は、低下した貪食活動および好中球の酸化バーストを有することを示すことができた(Hassan T.H.et al.Medicine(2016)95:47)。
本明細書で使用される場合、本発明の文脈における「診断」は、感染症に関連する対象の臨床状態の認識および(早期)検出に関する。感染症の重症度の評価もまた、「診断」という用語によって包含され得る。
「予後診断」は、感染症に基づく対象の帰結または特定のリスクの予測に関する。これはまた、前述の対象についての回復の見込みまたは有害な帰結の見込みの推定を含み得る。
本発明の方法はまた、モニタリングに使用され得る。「モニタリング」とは、例えば、疾患の進行、または重篤患者の疾患の疾患進行または患者の感染症に対する特定の治療または療法の影響を分析するために、既に診断された感染症、障害、合併症、またはリスクを追跡し続けることに関する。
本発明の文脈における「療法モニタリング」または「療法制御」という用語は、例えば、療法の有効性に対するフィードバックを得ることによる、該対象の療法的処置のモニタリングおよび/または調節を指す。
本発明において、「リスク評価」および「リスク層別化」および「療法層別化」という用語は、さらなる予後に従って対象を異なるリスク群に分類することに関する。リスク評価はまた、予防的および/または治療的措置を適用するための層別化にも関する。「療法層別化」という用語は、特に、患者を、それらの分類に応じてある特定の異なる治療措置を受けるリスク群または治療群などの、異なる群にグループ分けまたは分類することに関する。「療法層別化」という用語はまた、感染症または感染性疾患の症状を有する患者を、特定の治療措置を受ける必要がない群にグループ分けまたは分類することにも関する。
本明細書で使用される場合、「治療ガイダンス」という用語は、1つ以上のバイオマーカーの値および/または臨床パラメータおよび/または臨床スコアに基づく特定の療法または医学的介入の適用を指す。
本発明の文脈では、「プロカルシトニンもしくはその一以上の断片のレベルの決定すること」などは、プロカルシトニンもしくその断片を決定することを指すことが理解される。プロカルシトニンのレベルの明確な決定を可能にする限り、断片は、任意の長さ、例えば、少なくとも約5、10、20、30、40、50、または100個のアミノ酸を有することができる。
本明細書で使用される場合、「プロカルシトニン」または「PCT」は、プロカルシトニンペプチドの、アミノ酸残基1〜116、2〜116、3〜116、またはそれらの断片におよぶペプチドに関する。PCTは、カルシトニンホルモンのペプチド前駆体である。したがって、プロカルシトニン断片の長さは、少なくとも12アミノ酸、好ましくは50アミノ酸超、より好ましくは110アミノ酸超である。PCTは、グリコシル化、脂質化、または誘導体化などの翻訳後修飾を含み得る。プロカルシトニンは、カルシトニンおよびカタカルシンの前駆体である。したがって、通常の条件下では、循環中のPCTレベルは、非常に低い(約0.05ng/mL未満)。
対象の試料中のPCTのレベルは、本明細書に記載されるようにイムノアッセイによって決定することができる。本明細書で使用される場合、「プロカルシトニン」または「PCT」をコードするリボ核酸またはデオキシリボ核酸のレベルも決定してもよい。PCTの決定のための方法は、例えば、Thermo Fisher Scientific/B・R・A・H・M・S GmbHから入手した製品を使用することにより、当業者に知られている。
プロカルシトニンおよびその断片の決定は、例えば、分子の特定の部分に対して向けられた抗体または他の親和性試薬を用いることによって、または、質量分析を使用してタンパク質の一部分を測定することによって分子の存在および/または量を決定することによって、これらの分子の特定のサブ領域を測定および/または検出することもまた包含する。
本発明の方法およびキットはまた、PCTに加えて、少なくとも1つのさらなるバイオマーカー、マーカー、臨床スコアおよび/またはパラメータを決定することを含むことができる。
本明細書で使用される場合、パラメータは、特定のシステムを定義するのを助けることができる特性、特徴、または測定可能な要因である。パラメータは、疾患/障害/臨床状態リスク、好ましくは臓器機能障害(複数可)などの健康および生理学に関する評価にとって重要な要素である。さらに、パラメータは、正常な生物学的プロセス、病原性プロセス、または治療的介入に対する薬理学的反応の指標として客観的に測定および評価される特性として定義される。例示的なパラメータは、急性生理学および慢性健康評価II(APACHEII)、簡易急性生理学スコア(SAPS IIスコア)、迅速な連続的臓器不全評価スコア(qSOFA)、連続的臓器不全評価スコア(SOFAスコア)、肥満度指数、体重、年齢、性別、IGSII、液体摂取量、白血球数、ナトリウム、カリウム、体温、血圧、ドーパミン、ビリルビン、呼吸数、酸素分圧、世界脳神経外科連盟(WFNS)評価、ならびにグラスゴー昏睡尺度(GCS)からなる群から選択することができる。
本明細書で使用される場合、「マーカー」、「代理」、「予後診断マーカー」、「因子」、または「バイオマーカー」もしくは「生物学的マーカー」などの用語は、互換的に使用され、疾患/障害/臨床状態リスク、好ましくは有害事象などの健康および生理学に関連する評価の指標として機能する測定可能かつ定量化可能な生物学的マーカー(例えば、特定のタンパク質もしくは酵素濃度、もしくはその断片、特定のホルモン濃度もしくはその断片、または生物学的物質もしくはその断片の存在)に関する。マーカーまたはバイオマーカーは、正常な生物学的プロセス、病原性プロセス、または療法的介入に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定および評価され得る特徴として定義される。バイオマーカーは、試料中で(血液、血漿、尿、または組織検査として)測定され得る。
該対象の少なくとも1つのさらなるマーカーおよび/またはパラメータは、該試料中の乳酸のレベル、該試料中のプロアドレノメデュリンもしくはその断片のレベル、該対象の連続的臓器不全評価スコア(SOFAスコア)、該対象の簡易急性生理学スコア(SAPSII)、該対象の急性生理学および慢性健康評価II(APACHE II)スコアおよび可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1)のレベル、ヒストンH2A、ヒストンH2B、ヒストンH3、ヒストンH4、カルシトニン、エンドセリン−1(ET−1)、アルギニンバソプレシン(AVP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、トロポニン、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C反応性タンパク質(CRP)、膵石タンパク質(PSP)、骨髄性細胞1に発現するトリガー受容体(TREM1)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−1、インターロイキン−24(IL−24)、インターロイキン−22(IL−22)、インターロイキン(IL−20)その他のIL、プレセプシン(sCD14−ST)、リポ多糖結合タンパク質(LBP)、アルファ−1−アンチトリプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)、メタロプロテイナーゼ2(MMP8)、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)、マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP7)、胎盤成長因子(PlGF)、クロモグラニンA、S100Aタンパク質、S100Bタンパク質および腫瘍壊死因子α(TNFα)、ネオプテリン、プロアルギニンバソプレシン(AVP、proAVPまたはコペプチン)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP、pro−ANP)、エンドセリン−1、E−セレクチン、ICAM−1、sICAM−1、VCAM−1、IP−10、CCL1/TCA3、CCL11、CCL12/MCP−5、CCL13/MCP−4、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17/TARC、CCL18、CCL19、CCL2/MCP−1、CCL20、CCL21、CCL22/MDC、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CCL3、CCL3L3、CCL4、CCL4L1/LAG−1、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CX3CL1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、CXCL2/MIP−2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7/Ppbp、CXCL9、IL8/CXCL8、XCL1、XCL2、FAM19A1、FAM19A2、FAM19A3、FAM19A4、FAM19A5、CLCF1、CNTF、IL11、IL31、IL6、レプチン、LIF、OSM、IFNA1、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA2、IFNA4、IFNA7、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNZ、IFNA8、IFNA5/IFNaG、IFNω/IFNW1、BAFF、4−1BBL、TNFSF8、CD40LG、CD70、CD95L/CD178、EDA−A1、TNFSF14、LTA/TNFB、LTB、TNFa、TNFSF10、TNFSF11、TNFSF12、TNFSF13、TNFSF15、TNFSF4、IL18、IL18BP、IL1A、IL1B、IL1F10、IL1F3/IL1RA、IL1F5、IL1F6、IL1F7、IL1F8、IL1RL2、IL1F9、IL33、もしくはその断片からなる群から選択することができる。
乳酸、または乳酸(lactic acid)は、血液を含む体液中に生じる、式CH3CH(OH)COOHを有する有機化合物である。乳酸の血液試験は、体内の酸塩基恒常性の状態を決定するために実施される。乳酸は、細胞が十分な酸素を欠いており(低酸素症)、エネルギー生成手段の効率を低下させる必要があると、または状態によって乳酸の過剰生成もしくはクリアランスの減少が生じると蓄積され得る細胞代謝生成物である。乳酸アシドーシスは、例えば、ショック、敗血症性ショック、またはうっ血性心不全など、細胞および組織に送達される酸素量の減少に至り得る状態を有する場合、細胞および組織の酸素量が不十分なこと(低酸素症)によって生じ得、乳酸試験を使用して、低酸素症および乳酸アシドーシスの重症度の検出および評価を助けることができる。
C反応性タンパク質(CRP)は、五量体タンパク質であり、血漿などの体液に見ることができる。CRPレベルは、炎症に応答して上昇し得る。CRP値の測定およびチャート化は、疾患の進行または治療の有効性の決定に有用であることを実証することができる。
本明細書で使用されるとき、「連続的臓器不全評価スコア」または「SOFAスコア」は、集中治療室(ICU)に滞在中の患者の状態を追跡するために使用される1つのスコアである。SOFAスコアは、人の臓器機能の程度または不全率を決定するためのスコアリングシステムである。スコアは、6つの異なるスコアに基づき、各1つが呼吸器系、心血管系、肝臓系、凝固系、腎臓系、および神経系に対する。平均および最高の両方のSOFAスコアが帰結の予測因子である。ICUにおける最初の24〜48時間のSOFAスコアの増加により、少なくとも50%〜最大95%の死亡率が予測される。9未満のスコアは33%で予測死亡率を与え、一方14を超えると95%に近いかまたは95%を超え得る。
本明細書で使用される場合、「クイックSOFAスコア」(qSOFAスコア」)は、患者の臓器機能障害または死亡リスクを示すスコアリングシステムである。スコアは、3つの基準に基づく:1)精神状態の変化、2)100mmHg未満の収縮期血圧の低下、3)毎分22回の呼吸を超える呼吸数。これらの状態のうちの2つ以上を有する患者は、臓器機能不全を有するか、死亡するリスクがより高い。
本明細書で使用される場合、「APACHE II」または「急性生理学および慢性健康評価II」は、重症度分類の採点システムである(Knausら、1985)。それは、集中治療室(ICU)への患者の入室から24時間以内に適用することができ、AaDO2またはPaO2(FiO2に依存)、体温(直腸)、平均動脈圧、動脈pH、心拍数、呼吸数、ナトリウム(血清)、カリウム(血清)、クレアチニン、ヘマトクリット、白血球数、グラスゴーコーマスケールの、12種の異なる生理学的パラメータに基づいて決定することができる。
本明細書で使用する場合、「SAPS II」または「簡易急性生理スコアII」は、疾患または障害の重症度を分類するためのシステムに関する(Le Gall JRら、ヨーロッパ/北米の多施設共同研究に基づく、A new Simplified Acute Physiology Score (SAPS II).JAMA.1993;270(24):2957−63.を参照されたい)。SAPS IIスコアは、12種の生理学的変数および3種の疾患関連変数で構成されている。ポイントスコアは、12種のありふれた生理学的測定値、以前の健康状態に関する情報、およびICUへの入室時に得られたいくつかの情報から計算される。SAPS IIスコアはいつでも、好ましくは2日目に決定することができる。「最悪の」測定値は、最高の点数に相関する尺度として定義される。SAPS IIスコアは、0〜163点の範囲である。分類システムは、以下のパラメータ、年齢、心拍数、収縮期血圧、体温、グラスゴーコーマスケール、機械的換気またはCPAP、PaO2、FiO2、尿量、血中尿素窒素、ナトリウム、カリウム、重炭酸塩、ビリルビン、白血球、慢性疾患、および入室の種類を含む。死亡率と合計SAPS IIスコアとの間にはS字形相関がある。対象の死亡率は、29点のSAPS IIスコアで10%であり、死亡率は、40点のSAPSIIスコアで25%であり、死亡率は、52点のSAPS IIスコアで50%であり、死亡率は、64点のSAPSIIスコアで75%であり、死亡率は、77点のSAPS IIスコアで90%である(Le Gall loc.cit.)。
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、患者または対象から得られるかあるいは単離される、生物学的試料である。「試料」は、本明細書で使用される場合、例えば、患者などの関心対象の診断、予後診断、または評価の目的で得られた体液または組織の試料を指し得る。好ましくは、試料は、本明細書では、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、痰、胸水、細胞、細胞抽出物、組織試料、組織生検、便試料などの体液の試料である。特に、試料は、血液、血漿、血清、または尿である。
本発明の文脈における「血漿」は、遠心分離後に得られる抗凝固剤を含有する血液の実質的に無細胞の上清である。抗凝血剤の例には、EDTAまたはクエン酸塩などのカルシウムイオン結合化合物、およびヘパリン酸塩またはヒルジンなどのトロンビン阻害剤が含まれる。無細胞血漿は、抗凝固処理された血液(例えば、クエン酸塩処理された、EDTAまたはヘパリン処理された血液)を、例えば、2000〜3000gで少なくとも15分間遠心分離することによって得ることができる。
本発明の文脈における「血清」は、血液を凝固させた後に収集される全血の液体画分である。凝固した血液(血餅)が遠心分離されると、血清が上清として得られ得る。
本明細書で使用される場合、「尿」は、排尿(または排尿)と呼ばれる過程を通して腎臓によって分泌され、尿道を通して排泄される体の液体生成物である。
本発明の文脈における「敗血症」は、感染に対する全身性反応を指す。あるいは、敗血症は、SIRSと確認された感染プロセスまたは感染との組み合わせとして見られ得る。敗血症は、感染および全身性炎症反応の両方の存在によって定義される臨床症候群として特徴付けられ得る(Levy MM et al.2001 SCCM/ESICM/ACCP/ATS/SIS International Sepsis Definitions Conference.Crit Care Med.2003 Apr;31(4):1250−6)。本明細書で使用される「敗血症」という用語は、これらに限定されないが、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショックを含む。
本明細書で使用する「敗血症」という用語は、敗血症、重度敗血症、および敗血症性ショックを含むが、これらに限定されない。重症敗血症は、臓器機能障害、低灌流異常、または敗血症誘発性低血圧に関連する敗血症を指す。低灌流異常には、乳酸アシドーシス、乏尿症、および精神状態の急激な変化が含まれる。敗血症誘発性低血圧は、低血圧の他の原因(例えば、心原性ショック)が存在しない場合の、約90mm Hg未満の収縮期血圧の存在またはベースラインから約40mm Hg以上のその低減によって定義される。敗血症性ショックは、低灌流異常または臓器機能不全の存在と共に、適切な輸液蘇生法にもかかわらず持続する敗血症誘発性低血圧を伴う重症敗血症として定義される(Bone et al.,CHEST 101(6):1644−55,1992)。
あるいは、敗血症という用語は、感染に対する調節機能障害の宿主の応答によって引き起こされる、生命を脅かす臓器の機能障害として定義することができる。臨床的操作主義では、臓器機能障害は、好ましくは連続的臓器不全評価(SOFA)スコアの2ポイント以上の増加によって表すことができ、10%超の院内死亡率に関連している。敗血症性ショックは、敗血症のサブセットとして定義され得、特に重度の循環器、細胞、および代謝の異常は、敗血症単独よりも高い死亡リスクに関連している。敗血症性ショックの患者は、血液量減少が存在しない場合の、65mm Hg以上の平均動脈圧および2mmol/L超(>18mg/dL)の血清乳酸レベルを維持するための昇圧剤の必要性によって臨床的に識別することができる。
本明細書で使用される「敗血症」という用語は、敗血症の発症における全ての可能な段階に関する。
「敗血症」という用語には、SEPSIS−2の定義に基づく重症敗血症または敗血症性ショックも含まれる(Bone et al.,2009)。「敗血症」という用語には、SEPSIS−3の定義内に入る対象も含まれる(Singer et al.,2016)。本明細書で使用される「敗血症」という用語は、敗血症の発症における全ての可能な段階に関する。
本明細書で使用される場合、本発明の範囲内の「感染」は、病原性または潜在的に病原性の薬剤/病原体、生命体および/または微生物による、通常は無菌の組織または体液への侵入によって引き起こされる病理学的プロセスを意味し、好ましくは細菌、ウイルス、真菌、および/または寄生虫による感染(複数可)に関する。したがって、感染症は、細菌感染症、ウイルス感染症、および/または真菌感染症であり得る。感染症は、局所感染症または全身感染症であり得る。本発明の目的では、ウイルス感染は、微生物による感染と見なしてもよい。
さらに、感染症を患っている対象は、同時に2つ以上の感染源(複数可)を患っている可能性がある。例えば、感染を患っている対象は、細菌感染およびウイルス感染、ウイルス感染および真菌感染、細菌感染および真菌感染、ならびに細菌感染、真菌感染、およびウイルス感染を患っているか、あるいは潜在的な重複感染、例えば1つ以上のウイルス感染および/または1つ以上の真菌感染に加えて1つ以上の細菌感染を含む、本明細書に列挙されている感染のうちの1つ以上を含む混合感染を患っている場合がある。
本明細書で使用される場合、「感染症」は、細菌および/またはウイルスおよび/または真菌感染に関連する全ての疾患または障害を含む。
本発明によれば、敗血症患者などの重篤患者は、生命機能および/または臓器保護のモニタリングに関して非常に厳しい制御を必要とし得、医療的治療下にあり得る。
本発明の文脈において、「医療的治療」または「治療」という用語は、限定されないが、抗炎症戦略、治療用抗体、si−RNAまたはDNAなどのADM拮抗薬の投与、体外血液浄化またはアフェレーシス、透析、サイトカインストームを防ぐための吸着剤を介した有害物質の除去、炎症性メディエーターの除去、血漿アフェレーシス、ビタミンCなどのビタミンの投与、抗生物質治療、輸液療法、アフェレーシス、ならびに臓器保護のため措置を含む、様々な治療および治療戦略を含む。
好ましい実施形態では、「医学的治療」または「治療」という用語は、静脈内抗生物質、経口抗生物質または局所抗生物質などの抗生物質治療を含む。
より好ましい実施形態では、「医学的治療」または「治療」という用語は、静脈内に適用される抗生物質治療を含む。
さらに、本発明の医学的治療は、血液凝固の安定化、iNOS阻害剤、ヒドロコルチゾンなどの抗炎症剤、鎮静剤および鎮痛剤、ならびにインスリンを含むが、これらに限定されない。
「輸液管理」とは、対象の輸液状態のモニタリングおよび制御、ならびに、例えば経口、経腸または静脈内輸液投与による循環または臓器活力を安定化させるための輸液の投与を指す。これは、流体および電解質のバランスの安定化、または血液量増加もしくは血液量減少の予防または修正、ならびに血液製剤の供給を含む。
敗血症または重症感染症などの重篤な病気の場合、最適な療法および管理を見出すために、早期診断、ならびに予後診断および患者の帰結のリスク評価を行うことが非常に重要である。療法的アプローチは非常に個人的であり、症例ごとに異なる必要がある。療法的モニタリングは、ベストプラクティス療法に必要であり、治療のタイミング、併用療法の使用、および薬物投与の最適化によって影響される。誤ったまたは省略された療法または管理は、死亡率を時間単位で増加させるであろう。
本発明の文脈における「併存症」という用語は、疑わしい感染症または敗血症に加えて存在し得る、本発明の方法の患者の任意のさらなる病理または疾患を指す。このような併存症は、限定されないが、心血管疾患、心房細動、粗動、うっ血性心不全、COPD、喘息、肺線維症、石綿肺、肺疾患、免疫不全症、代謝障害(肥満)、糖尿病、腎疾患、高血圧、脳卒中、一過性虚血発作(TIA)、認知症、貧血、血栓症、リウマチ性疾患、神経筋疾患、悪性腫瘍または癌を含み得る。
本発明の医療的治療は抗生物質治療であり得、感染が診断された場合、または感染症の症状が決定された場合に1つ以上の「抗生物質」または「抗生物質製剤」が投与され得る。
本発明による抗生物質または抗生物質製剤はまた、診断された感染または敗血症を治療するために使用される抗真菌または抗ウイルス化合物を潜在的に包含する。病原体を分類別に分けると、任意の所与の感染の治療に一般的に適用される抗生物質製剤は以下のとおりである。
グラム陽性菌適用範囲:ペニシリン、(アンピシリン、アモキシシリン)、ペニシリナーゼ耐性、(ジクロキサシリン、オキサシリン)、セファロスポリン(第1世代および第2世代)、マクロライド(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)、キノロン(ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、レボフロキサシン)、バンコマイシン、スルホンアミド/トリメトプリム、クリンダマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、リネゾリド、シネルシド。
グラム陰性適用範囲:広範囲ペニシリン(チカルシリン、クラブラン酸、ピペラシリン、タゾバクタム)、セファロスポリン(第2、第3、および第4世代)、アミノグリコシド、マクロライド、アジスロマイシン、キノロン(シプロフロキサシン)、モノバクタム(アゼトレオナム)、スルホンアミド/トリメトプリム、カルバペネム(イミペネム)、クロラムフェニコール。
Pseudomonas適用範囲:シプロフロキサシン、アミノグリコシド、一部の第3世代セファロスポリン、第4世代セファロスポリン、広範囲ペニシリン、カルバペネム。
さらなる抗生物質製剤には、例えば、ベンジルペニシリン、セフォタキシム、クラキサシリン、クリンダマイシン、アミノグリコシド、メトロニダゾール、ピペラシリン−タゾバクタム、メロペネム、イミピネム、エリトロマイシン、キノロン、トリメトプリムおよびバンコマイシンが含まれる。
真菌治療:アリルアミン、アムホテリシンB、フルコナゾールおよび他のアゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、エキノカンジン、フルシトシン、ソルダリン(sordarin)、キチンシンターゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、リポペプチド、プラジミシン、リポゾーム製剤ナイスタチン、ボリコナゾール、エキノカンジン、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ポリエン。
抗ウイルス治療:アバカビル、アシクロビル(Acyclovir)(アシクロビル(Aciclovir))、活性化カスパーゼオリゴマー化薬(oligomerizer)、アデホビル、アマンタジン、アンプレナビル(アゲネラーゼ(Agenerase))、アンプリゲン、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ、バラビル(Balavir)、シドフォビル、コンビビル、ドルテグラビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、二本鎖RNA、ドコサノール、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、エコリエベル(Ecoliever)、ファムシクロビル、固定用量の組み合わせ(抗レトロウイルス)、ホミビルセン、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、ホスホネット、融合阻害剤、ガンシクロビル、イバシタビン、イミノビル(Imunovir)、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、イノシン、インテグラーゼ阻害剤、インターフェロンIII型、インターフェロンII型、インターフェロンI型、インターフェロン、ラミブジン、ロピナビル、ロビリデ、マラビロク、モロキシジン、メチサゾン、モルフォリノ、ネルフィナビル、ネビラピン、ネキサビル(Nexavir)、ニタゾキサニド、ヌクレオシド類似体、ノビル、オセルタミビル(タミフル)、ペグインターフェロンアルファ−2a、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロテアーゼ阻害剤(薬理学)、ラルテグラビル、逆転写酵素阻害剤、リバビリン、リボザイム、リファンピシン、リマンタジン、リトナビル、RNase H、プロテアーゼ阻害剤、ピラミジン、サキナビル、ソホスブビル、スタブジン、相乗的エンハンサー(抗レトロウイルス)、テラプレビル、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、トルバダ(Truvada)、バラシクロビル(バルトレックス)、バルガンシクロビル、ビクリビロク、ビダラビン、ビラミジン(Viramidine)、ザルシタビン、ザナミビル(リレンザ)、ジドブジン。
さらに、抗生物質製剤は、細菌感染の治療のためのバクテリオファージを含み、合成抗微生物ペプチドまたは鉄拮抗薬/鉄キレート剤を使用することができる。また、抗VAP抗体、抗耐性クローンワクチン接種、インビトロ刺激もしくは改変Tエフェクター細胞などの免疫細胞の投与のような、病原性構造に対する療法的抗体または拮抗薬は、敗血症患者などの重篤患者の治療オプションを表す抗生物質製剤である。感染に対する、または新たな感染の予防のためのさらなる抗生物質製剤/治療または療法的戦略には、消毒薬、除染製品、リポソームのような抗ウイルス剤、衛生、創傷手当、手術の使用が含まれる。
先述の抗生物質製剤または治療戦略のうちのいくつかを組み合わせることも可能である。
本発明によれば、PCTもしくはその断片および任意に他のマーカーまたは臨床スコアは、感染症を有する疑いがある患者における抗生物質療法のガイダンス、層別化および/または制御のための治療用のマーカーとして用いられる。
当業者は、上記のPCT分子のうちのいずれか1つ、またはその断片もしくは変異体、ならびに標準的な分子生物学的実践による本発明の他のマーカーの識別、測定、決定および/または定量化のための手段を取得または開発することができる。
本発明のPCTもしくはその断片のレベルならびに他のマーカーのレベルは、マーカーの濃度を確実に決定する任意のアッセイにより決定され得る。特に、質量分析(MS)および/またはイムノアッセイを添付の実施例に例示されているように用いることができる。本明細書で使用される場合、イムノアッセイは、抗体もしくは抗体結合断片もしくは免疫グロブリンの使用を通して溶液中の巨大分子/ポリペプチドの存在または濃度を測定する生化学的試験である。
本発明の文脈において使用されるPCTを決定する方法は、本発明において意図されている。例として、質量分析法(MS)、発光イムノアッセイ(LIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光および蛍光イムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、発光ベースのビーズアレイ、磁気ビーズベースのアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、例えば、イムノクロマトグラフィーストリップテスト、希少暗号分析などの迅速試験フォーマット、ならびに自動化システム/アナライザーからなる群から選択される方法を用いることができる。
抗体認識に基づいたPCTもしくはその断片および任意に他のマーカーの決定は、本発明の好ましい実施形態である。本明細書で使用される場合、用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子を指す。本発明によると、抗体は、モノクローナル抗体ならびにポリクローナル抗体であってもよい。特に、少なくともPCTもしくはその断片に特異的に結合する抗体が使用される。
目的の分子、例えば、PCT、もしくはその断片に対するその親和性が、目的の分子を含有する試料に含まれる他の分子に対するよりも、少なくとも50倍高く、好ましくは100倍高く、最も好ましくは少なくとも1000倍高い場合、抗体は特異的であるとみなされる。所与の特異性を有する抗体をどのように開発しそして選択するかは、当該技術分野において周知である。本発明の文脈において、モノクローナル抗体が好ましい。抗体または抗体結合断片は、本明細書に定義されたマーカーまたはその断片に特異的に結合する。特に、抗体または抗体結合断片は、本明細書で定義されたペプチドのPCTに結合する。したがって、本明細書に定義されたペプチドはまた、抗体が特異的に結合するエピトープであり得る。さらに、本発明の方法およびキットにおいて、PCTもしくはその断片に特異的に結合する抗体または抗体結合断片が使用される。
さらに、本発明の方法およびキットにおいて、PCTもしくはその断片に特異的に結合し、および任意にPCTなどの本発明の他のマーカーに特異的に結合する抗体または抗体結合断片が使用される。例示的なイムノアッセイは、発光イムノアッセイ(LIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光および蛍光イムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、発光ベースのビーズアレイ、磁気ビーズベースのアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、迅速試験フォーマット、希土類クリプテートアッセイであってもよい。さらに、ポイントオブケア試験および例えば免疫クロマトグラフィーストリップ試験などの迅速試験形式に好適なアッセイを用いることができる。KRYPTORアッセイなどの自動化されたイムノアッセイも、意図される。
あるいは、抗体の代わりに、PCTもしくはその断片を特異的および/または選択的に認識する他の捕捉分子または分子足場が、本発明の範囲に包含され得る。本明細書では、「捕捉分子」または「分子足場」という用語は、試料からの標的分子または目的の分子、すなわち分析物に結合するために使用され得る分子を含む。したがって、捕捉分子は、空間的にも、表面電荷、疎水性、親水性、ルイス供与体および/または受容体の存在または非存在などの表面の特徴に関しても適切に成形され、標的分子または目的の分子に特異的に結合する必要がある。これにより、結合は、例えば、イオン、ファンデルワールス力、パイ−パイ、シグマ−パイ、疎水性もしくは水素結合相互作用、または捕捉分子もしくは分子足場と標的分子もしくは目的の分子との間の先述の相互作用または共有結合性相互作用のうちの2つ以上の組み合わせによって媒介され得る。本発明の文脈において、捕捉分子または分子足場は、例えば、核酸分子、炭水化物分子、PNA分子、タンパク質、ペプチド、および糖タンパク質からなる群から選択され得る。捕捉分子または分子足場は、例えば、アプタマー、DARピン(Designed Ankyrin Repeat Protein)を含む。アフィマーなどが含まれる。
本発明のある特定の態様では、方法は、
a)試料を、
i.該PCTもしくはその断片の第1のエピトープに特異的な第1の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体と、
ii.該PCTもしくはその断片の第2のエピトープに特異的な第2の抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体に接触させるステップと、
b)2つの抗体またはその抗原結合断片もしくは誘導体の、該PCTもしくはその断片への結合を検出するステップと、を含むイムノアッセイである。
好ましくは、一方の抗体を標識し、他方の抗体を固相に結合させるか、または固相に選択的に結合させることができる。アッセイの特に好ましい態様では、抗体のうちの一方が標識される一方で、他方の抗体は、固相に結合されるか、または固相に選択的に結合され得るかのいずれかである。第1の抗体および第2の抗体は、液体反応混合物中に分散して存在し得、蛍光または化学発光消光または増幅に基づく標識系の一部である第1の標識成分は、第1の抗体に結合され、その標識系の第2の標識成分は、第2の抗体に結合され、これにより、検出されるべき両方の抗体のそのproADMもしくはその断片への結合後、測定溶液中の得られたサンドイッチ錯体の検出を可能にする測定可能なシグナルが発生する。標識系は、希土類クリプテートまたはキレートを、特にシアニンタイプの蛍光または化学発光染料と組み合わせて含むことができる。
好ましい実施形態では、この方法は異種サンドイッチイムノアッセイとして実施され、ここで抗体の1つは任意に選択された固相、例えば被覆試験管(例えばポリスチロール試験管;被覆管;CT)またはマイクロタイター上に固定される。他の抗体は、検出可能な標識に似ているかまたは標識への選択的結合を可能にする基を有し、そして形成されたサンドイッチ構造の検出に役立つ。適切な固相を用いた一時的な遅延またはその後の固定化も可能である。
本発明による方法は、均質な方法としてさらに具体化され得、検出されるべき抗体/複数の抗体およびマーカー、PCTもしくはその断片によって形成されるサンドイッチ錯体は、液相中で懸濁状態のままである。この場合、2つの抗体が使用されるとき、両方の抗体が検出系の一部で標識され、それが、両方の抗体が単一のサンドイッチに統合される場合にシグナルの発生またはシグナルの誘発をもたらすことが好ましい。そのような技術は、特に蛍光増強または蛍光消光検出方法として具体化されるべきである。特に好ましい態様は、例えば、US4882733、EP0180492、またはEP0539477、およびそれらで引用された従来技術に記載のものなど、対で使用される検出試薬の使用に関する。このようにして、反応混合物中の単一の免疫複合体中に直接両方の標識成分を含む反応生成物のみが検出される測定が可能になる。例えば、そのような技術は、上記で引用された出願の教示を実装する、商標名TRACE(登録商標)(Time Resolved Amplified Cryptate Emission)、またはKRYPTOR(登録商標)の下で提供されている。したがって、特に好ましい態様では、本明細書で提供される方法を実行するために診断デバイスが使用される。例えば、PCTもしくはその断片のレベル、および/または本明細書で提供される方法の任意のさらなるマーカーのレベルが決定される。特に好ましい態様において、診断デバイスはKRYPTOR(登録商標)である。
本発明のマーカー、PCTもしくはその断片、または他のマーカーのレベルもまた、質量分析(MS)ベースの方法により決定され得る。このような方法は、該生物学的試料または該試料からのタンパク質消化物(例えば、トリプシン消化物)中のPCTの1つ以上の修飾または未修飾断片ペプチドの存在、量または濃度を検出することを含み得、任意にクロマトグラフィー法を用いて試料を分離し、そして調製され、かつ任意に分離された試料をMS分析にかける。例えば、特にADMもしくはその断片の量を決定するために、選択反応モニタリング(SRM)、多重反応モニタリング(MRM)または並列反応モニタリング(PRM)質量分析を、MS分析に使用することができる。
本明細書において、「質量分析」または「MS」という用語は、化合物をそれらの質量によって同定するための分析技術を指す。質量分析の質量分解および質量決定能力を向上するために、試料は、MS分析前に処理され得る。したがって、本発明は、免疫濃縮技術、試料調製に関する方法および/またはクロマトグラフィ法、好ましくは液体クロマトグラフィ(LC)、より好ましくは高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、もしくは超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)と組み合わせることができるMS検出法に関する。試料調製方法は、溶解、分画、ペプチドへの試料の消化、枯渇、濃縮、透析、脱塩、アルキル化、および/またはペプチド還元のための技術を含む。ただし、これらのステップは任意選択的である。分析物イオンの選択的検出は、タンデム質量分析(MS/MS)を用いて行うことができる。タンデム質量分析は、質量選択ステップ(本明細書で使用される場合、「質量選択」という用語は、特定のm/zまたは狭い範囲のm/zを有するイオンの単離を意味する)、続いて選択されたイオンの断片化、および得られた生成物(断片)イオンの質量分析によって特徴付けられる。
当業者は、質量分析法によって試料中のマーカーのレベルをどのように定量化するかを知っている。例えば、相対定量化「rSRM」または絶対定量化を上記のように用いることができる。
さらに、レベル(参照レベルを含む)は、相対的定量を決定する方法または目的のタンパク質もしくはその断片の絶対定量を決定する方法などの質量分析に基づく方法によって決定することができる。
相対定量化「rSRM」は、以下によって達成され得る。
1.試料中で検出された所与の標的断片ペプチドからのSRM(選択反応モニタリング)シグネチャーピーク面積を、少なくとも第2、第3、第4、またはそれ以上の生体試料中の標的断片ペプチドの同じSRMシグネチャーピーク面積と比較することによって、標的タンパク質の増加または減少した存在を決定する。
2.試料中に検出された所与の標的ペプチドからのSRMシグネチャーピーク面積と、異なる別々の生物学的供給源に由来する他の試料中の他のタンパク質からの断片ペプチドから生じたSRMシグネチャーピーク面積とを比較することによって標的タンパク質の存在の増減を決定する。ペプチド断片についての2つの試料間のSRMサインピーク面積比較は、例えば各試料中で分析されたタンパク質の量に対して正規化される。
3.ヒストンタンパク質のレベルの、様々な細胞条件下でそれらの発現レベルを変化させない他のタンパク質のレベルへの変化を正規化するために、所与の標的ペプチドについてのSRMシグネチャーピーク面積を、同じ生体試料内の異なるタンパク質に由来する他の断片ペプチドからのSRMシグネチャーピーク面積と比較することによって、標的タンパク質の増加または減少した存在を決定する。
4.これらのアッセイは、非修飾断片ペプチドおよび標的タンパク質の修飾断片ペプチドの両方に適用することができ、修飾には、リン酸化および/またはグリコシル化、アセチル化、メチル化(モノ、ジ、トリ)、シトルリン化、ユビキチン化が含まれる。修飾ペプチドの相対レベルは、未修飾ペプチドの相対量を決定するのと同じ方法で決定される。
所与のペプチドの絶対定量化は、以下によって達成され得る。
1.個々の生体試料中の標的タンパク質からの所与の断片ペプチドについてのSRM/MRMシグネチャーピーク面積を、生体試料からタンパク質溶解物中にスパイクされた内部断片ペプチド標準のSRM/MRMシグネチャーピーク面積と比較する。内部標準は、調べられている標的タンパク質からの断片ペプチドの標識合成バージョンまたは標識された組換えタンパク質であり得る。この標準は、消化前(組換えタンパク質にとって必須)または後に既知量で試料中にスパイクされ、生体試料中の内部断片ペプチド標準および天然断片ペプチドの両方について別個にSRM/MRMシグネチャーピーク面積が決定され得、両方のピーク面積の比較が後に続く。これは未修飾断片ペプチドおよび修飾断片ペプチドに適用することができ、ここで修飾はリン酸化および/またはグリコシル化、アセチル化、メチル化(例えばモノ、ジ、またはトリメチル化)、シトルリン化、ユビキチン化、ここで、修飾ペプチドの絶対レベルは、未修飾ペプチドの絶対レベルを決定するのと同じ方法で決定することができる。
2.ペプチドはまた、外部較正曲線を使用して定量化され得る。正規曲線アプローチは、内部標準として一定量の重いペプチド、および試料中にスパイクされた様々な量の軽い合成ペプチドを使用する。マトリックス効果を説明するための標準曲線を構築するために、試験試料のものと同様の代表的なマトリックスが使用される必要がある。その上、逆曲線法は、マトリックス中の内因性分析物の問題を回避し、一定量の軽いペプチドは、内因性分析物の上にスパイクされて内部標準を作り出し、様々な量の重いペプチドは、スパイクされて一組の濃度標準を作り出す。正規曲線または逆曲線のいずれかと比較される試験試料は、較正曲線を作り出すために使用されるマトリックス中にスパイクされた内部標準と同じ量の標準ペプチドでスパイクされる。
本発明はさらに、キット、キットの使用、およびそのようなキットが使用される方法に関する。本発明は、本明細書の上記および下記に提供される方法を実施するためのキットに関する。本明細書に提供される定義、例えば方法に関して提供される定義はまた、本発明のキットにも適用される。特に、本発明は、感染症を有すると疑われる患者を治療ガイダンス、層別化および/または制御するためのキットに関する。
本明細書で使用される場合、「参照データ」は、PCTの参照レベル(複数可)、および任意でさらなるマーカーの参照レベル(複数可)を含む。PCTおよび任意にさらなるマーカーのレベルは、キットの参照データに含まれる参照レベルと比較され得る。参照レベルは本明細書において上記に記載されており、添付の実施例においても例示されている。参照データはまた、PCT、および任意にさらなるマーカーのレベルが比較される参照試料を含み得る。参照データはまた、本発明のキットの使用方法の取扱説明書を含み得る。
キットは、血液試料などの試料を取得するのに有用なアイテムをさらに含むことができ、例えば、キットは、容器を含むことができ、ここで、該容器は、該容器を、例えば、あらかじめ決められた量の試料を該容器に引き込むのに適している、血液単離に適し、かつ気圧よりも低い内圧を示すシリンジであるカニューレもしくはシリンジに取り付けるためのデバイスを含み、ならびに/または界面活性剤、カオトロピック塩、リボヌクレアーゼ阻害剤、イソチオシアン酸グアニジニウム、塩酸グアニジニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、RNAse阻害タンパク質およびそれらの混合物などのキレート剤と、ニトロセルロース、シリカマトリックス、強磁性球体、カップ回収スピルオーバー、トレハロース、フルクトース、ラクトース、マンノース、ポリエチレングリコール、グリセロール、EDTA、TRIS、リモネン、キシレン、ベンゾイル、フェノール、鉱油、アニリン、ピロール、クエン酸塩、およびそれらの混合物を含むフィルターシステムと、を追加的に含む。
本明細書で使用される場合、「検出試薬」などは、本明細書中に記載されるマーカーのPCTおよび任意にさらなるマーカーを決定するために好適である試薬である。このような例示的な検出試薬は、例えば、本明細書に記載のマーカーのペプチドまたはエピトープに特異的に結合するリガンド、例えば抗体またはその断片である。そのようなリガンドは、上記のようにイムノアッセイに使用することができる。マーカー(複数可)のレベルを決定するためにイムノアッセイで用いられるさらなる試薬もキットに含まれ得、本明細書において検出試薬と見なされる。検出試薬はまた、MSに基づく方法によってマーカーまたはその断片を検出するために用いられる試薬にも関係し得る。したがって、そのような検出試薬はまた、MS分析のために試料を調製するために使用される試薬、例えば酵素、化学物質、緩衝剤などであり得る。質量分析計も検出試薬と見なすことができる。本発明による検出試薬はまた、例えば、マーカー(複数可)のレベルを決定および比較するために用いられ得る較正溶液(複数可)であり得る。
診断試験および/または予後試験の感度および特異性は、試験の分析の「品質」だけに依存するのではなく、それらはまた、異常な結果を構成するものの定義にも依存する。実際には、受信者動作特性曲線(ROC曲線)は、典型的には、「正常」集団(すなわち、感染を有さない明らかに健康な個人)、および「疾患」集団、例えば感染を有する対象における、その相対頻度に対する変数の値をプロットすることによって計算される。(PCTのような)任意の特定のマーカーについて、疾患/状態の有無にかかわらず対象についてのマーカーレベルの分布は重複する可能性があるであろう。そのような条件下では、試験は、正常と疾患を100%の正確性で完全に区別することはなく、重複の領域は、試験が正常と疾患を区別できない場所を示している可能性がある。それより下では試験が異常であると見なされ、それより上では試験が正常であると見なされ、またはそれを下回るかあるいは上回ると試験が特定の条件、例えば感染を示す、閾値が選択される。ROC曲線の下の面積は、知覚された測定値が状態の正しい識別を可能にするであろう確率の尺度である。試験結果が必ずしも正確な数を与えない場合でも、ROC曲線を使用することができる。結果をランク付けできる限り、ROC曲線を作成することができる。例えば、「疾患」試料に関する試験の結果は、程度に応じてランク付けされ得る(例えば、1=低い、2=正常、および3=高い)。このランク付けは、「正常な」集団の結果と相関し得、ROC曲線が作成され得る。これらの方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Hanley et al.1982.Radiology 143:29−36を参照されたい。好ましくは、閾値は、約0.5より大きい、より好ましくは約0.7より大きい、さらにより好ましくは約0.8より大きい、さらにより好ましくは約0.85より大きい、最も好ましくは約0.9より大きいROC曲線面積を提供するように選択される。この文脈における「約」という用語は、所与の測定値の+/−5%を指す。
ROC曲線の横軸は(1−特異性)を表し、これは偽陽性の割合と共に増加する。曲線の縦軸は、感度を表し、これは真陽性率と共に増加する。したがって、選択された特定のカットオフについて、(1−特異性)の値が決定され得、そして対応する感度が得られ得る。ROC曲線下面積は、測定されたマーカーレベルが疾患または状態の正確な識別を可能にするであろう確率の尺度である。したがって、ROC曲線下面積は試験の有効性を決定するために使用することができる。
したがって、本発明は、本明細書に記載の方法によって得られた情報に基づいた治療に好適な抗生物質の投与を含む。
本発明は、本発明の医薬組成物の対象への投与を包含する。本明細書で使用される場合、「投与」または「投与すること」は、経口投与によって組成物を導入することを含むが、これに限定されない。このような投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1つ以上の長期間にわたって行うことができる。単回投与が好ましいが、場合によっては、経時的に繰り返される投与(例えば、毎時、毎日、毎週、毎月、四半期、半年または毎年)が必要なことがある。このような投与はまた、好ましくは、混合物および薬学的に許容される担体を使用して実行される。薬学的に許容される担体は、当業者には周知である。
抗生物質治療を施すことは、静脈内単回投与または非経口初回投与抗菌療法に関連する可能性がある。i.v.投与される抗生物質治療のこのような単回の初回投与は、病院環境、救急部門、医師の開業場所、または医療従事者の監督下にある別の環境で行われてもよく、その後患者が退院する場合がある。例えば、本発明の文脈において、患者の抗生物質治療の開始または変更が必要であることを指摘することができ、その開始または変更は、医療従事者の監督下での静脈内単回投与または非経口初回投与に関連することができ、これには、例えば、患者の退院後に行われ得る経口抗生物質治療が続く場合がある。
投与はまた、例えば、内視鏡的または微小侵襲的手段により、例えば、抗生物質製剤(複数可)が活性であるべき部位への注射により、局所的に行われてもよい。
本明細書に記載の組成物は、それが固体、液体またはエアロゾル形態で投与されるかどうか、および注射などの投与経路のために無菌である必要があるかどうかに応じて、異なる種類の担体を含んでもよい。本発明の組成物は、静脈内、皮内、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸腔内、気管内、鼻腔内、硝子体内、膣内、直腸内、局所的(topically)、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、結膜下、膀胱内、粘膜的、心膜内、臍帯内、眼内、経口的、局所的、局部的(locally)、吸入(例えば、エアロゾル吸入)、注射、注入、持続注入、標的細胞を浸す直接的な局所灌流(localized perfusion bathing target cells directly)、カテーテルにより、洗浄により、クリーム内、脂質組成物(例えば、リポソーム)、または当業者に知られている他の方法もしくは前述の任意の組み合わせによって投与することができ、これは、当業者に既知であると考えられる(例えば、本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990を参照)。
さらに、このような組成物は、水溶液または非水溶液、懸濁液、および乳濁液であり得る薬学的に許容される担体、最も好ましくは、当該技術分野において既知の様々な種類の水溶液または固体配合物を含むことができる。水性担体には、生理食塩水および緩衝媒体を含む、水、アルコール/水溶液、乳濁液および懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンガーのデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液および凝固油が含まれる。静脈内ビヒクルには、液体および栄養補給剤、リンガーデキストロースなどの電解質補充剤、リンガーデキストロースに基づくものなどが含まれる。i.v.投与に一般的に使用される液体は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.,p.808,Lippincott Williams S−Wilkins(2000)で見られる。防腐剤および他の添加剤、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなども存在し得る。
本明細書で使用される場合、「備える」および「含む」という用語またはその文法的変化形は、述べられた特徴、整数、ステップ、または構成要素を特定するものとして解釈されるべきであるが、1つの以上の追加の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはその群の追加を除外するものではない。この用語に、「からなる」および「から本質的になる」という用語を包含する。
したがって、「含む」/「含む」/「有する」という用語は、任意のさらなる構成要素(または同様に特徴、整数、ステップなど)が存在し得ることを意味する。「からなる」という用語は、さらなる構成要素(または同様の特徴、整数、ステップなど)が存在しないことを意味する。
「から本質的になる」という用語またはその文法的変化形は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、または構成要素を特定するものと解釈されるべきであるが、1つ以上の追加の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはその群の追加を除外しないが、それらの追加の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはその群が、特許請求されている組成物、デバイス、または方法の基本的で新規な特徴を実質的に変化させない場合のみである。
したがって、「から本質的になる」という用語は、特定のさらなる成分(または同様に特徴、整数、ステップなど)が存在し得ること、すなわち組成物、デバイスまたは方法の本質的な特徴に実質的に影響を及ぼさないものを意味する。言い換えれば、「から本質的になる」という用語(本明細書では「実質的に含む」という用語と互換的に使用することができる)は、必須の構成要素(または同様の特徴)に加えて組成物、デバイスまたは方法における他の構成要素の存在を可能にする。ただし、デバイスまたは方法の本質的な特徴は他の構成要素の存在によって実質的に影響されない。
「方法」という用語は、所与のタスクを達成するための方法、手段、技術および手順を指し、これらに限定されないが、化学、生物学および生物物理学的分野の専門家に知られているこれらの方法、手段、技術および技法を含むか、または既知の方法、手段、化学、生物学および生物物理学的分野の専門家による技術および手順から容易に開発されたこれらの方法、手段、技法および手順を含む。
以下の非限定的な実施例を参照することにより本発明をさらに説明する。
以下の実施例により、本発明をさらに説明する。これらは、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本明細書に記載されている本発明をさらに詳しく説明するために提供される本発明の態様の好ましい実施形態を表す。
方法の実施例:
試験デザインおよび設定:
この試験は、スウェーデンのマルメにあるスコーネ大学病院の救急部門で行われた。臨床的に感染症が疑われる治療継続成人患者が、2013年12月から2015年2月の間に将来を見越して登録された。選択基準は、担当看護師が判断した感染症が疑われ、≧2のSIRS基準であった。SIRSは次のように定義された:>38℃または<36℃の体温または過去24時間以内の自己申告の発熱/悪寒、>20回の呼吸/分の呼吸数、および>90ビート/分の心拍数。白血球数(WBC数)は、到着時の測定がないため、選択基準として使用されなかった。この試験は、スウェーデンのルンド大学の地域倫理審査委員会によって承認され(2013/635)、ヘルシンキ宣言に従って実施された。インフォームドコンセントは、全ての患者または彼らの近親者から得られた。
データ収集およびバイオマーカー測定:
患者は、午前6時から午後6時までに担当看護師によって登録され、人口統計、併存症、および併用薬について医療記録により体系的にレビューされた。日常実験室検査を、スコーネ大学病院の臨床化学部の認定された実験室によって行われ、微生物学的検査および放射線検査も記録した。さらに、救急部門の診察から抗生物質の初回投与およびその他の治療までの時間が記録され、酸素補給、静脈内輸液などの補助臓器療法の要件、ならびに血管収縮薬、人工呼吸および腎代替療法の要件に関する情報も記録された。患者の在院日数、ICUへの入院、28日目ならびに全体的な病院死亡率の情報も記録された。EDTA血漿試料を、試料採取後2時間以内に凍結させ、−80℃で保存し、分析前には解凍されなかった。PCTおよびMR−proADMを、市販のKRYPTORプラットフォーム上のダブルサンドイッチイムノアッセイ(Thermo Fisher Scientific,Germany)を使用して、全213個の試料で測定した。
評価項目の定義
各患者についての臓器機能不全および感染状態の存在を、研究医師によって決定した。臓器機能不全または感染症の基準を明確に満たしていない患者については、2人の感染症専門医がデータを見直し、最終的な分類を決定した。主要評価項目は、抗生物質の静脈内投与、治療までの時間、登録から48時間以内の感染症に関連した臓器機能不全(重篤な敗血症)の発症、菌血症の存在、および28日目の総死亡率であった。
臓器機能不全についての基準は、コンセンサス基準および現在のSSCガイドラインから適合させた23、24。したがって、重篤な敗血症は、少なくとも2つのSIRS基準、および入院後48時間以内の低血圧、低灌流および/または臓器不全の存在または発症を伴う感染症として定義された。敗血症性ショックは、輸液組成または血管収縮薬の投与を必要とする、敗血症に加えて低血圧(<90mmHgの収縮期血圧、または<70mmHgの平均動脈圧)として定義された。
統計分析:
28日目の死亡率に関する臨床的特徴の差は、分布の正規性に応じて、カテゴリ変数についてはχ2検定を、連続変数についてはスチューデントt検定またはマン・ホイットニーU検定のいずれかを使用して評価した。正規分布変数および非正規分布変数を、それぞれ平均(標準偏差)および中央値[第1四分位−第3四分位]として表した。抗生物質要件、菌血症の予測、重症敗血症の発症、および各バイオマーカーおよび臨床スコアによる28日以内の死亡率の予測の関連性は、受信者動作特性曲線下面積(AUROC)、ロジスティック回帰およびCox回帰分析を使用して評価した。ロジスティック回帰モデルは、バイオマーカーまたはスコアのいずれかを単独で使用して作成され、または性別および年齢の変数で調整され、オッズ比(OR)および95%信頼区間[95%CI]として表された。両側p<0.05は、統計的に有意であると見なされた。全てのデータを、統計ソフトウェアR(バージョン3.1.2)を使用して分析した。
実施例1:患者の特徴
合計で213人の患者が試験に登録され、113人(53.1%)が症状提示後の最初の48時間以内に重篤な敗血症を発症し、7人(6.9%)が敗血症性ショックを発症した。全集団の平均年齢は67.8歳であり、性別間に有意差はなかった(50.2%の男性)。患者は高血圧(42.2%)、貧血(35.4%)、冠状動脈性心疾患(22.3%)、慢性閉塞性肺疾患(18.4%)および糖尿病(17.0%)の症例を含む高度の併存症を示した。感染源は190人(89.2%)の患者で確立され、肺(N=85;39.9%)、尿路(N=53;24.9%)、および軟部組織または皮膚(N=21;9.9%)の感染症が最も広く認められた。全集団における全体の28日目の死亡率は8.9%であって、203人(95.3%)の患者が、≦6ポイントのSOFAスコアを有した。全てのバイオマーカーおよび臨床スコアは、生存者と比較して非生存患者で有意に高かった。非生存者も重症敗血症を発症する可能性が高く(p<0.01)、臓器不全の数が多く(p<0.001)、または集中治療室に入院した(p<0.05)。
28日目の死亡率に関する患者背景を、表1にまとめている。
実施例2:抗生物質の要件を評価する際の補助としてのバイオマーカーの使用
試験集団内の合計187人(87.8%)の患者に抗生物質を投与した。これらの患者のうち、164人(77.0%)は、静脈内抗生物質のみで処置され、6人(2.8%)は、静脈内抗生物質と経口抗生物質との混合投与を受け、17人(8.0%)は経口抗生物質のみで処置された。静脈内抗生物質の使用に関する包括的な概要は、補足表2で見ることができる。最初の静脈内抗生物質治療までの時間の中央値は、93[28〜160]分であって、71人(43.8%)の患者が、60分以内に最初の抗生物質療法を受けていた。
ロジスティック回帰分析は、MR−proADMが両方の回帰モデルで静脈内抗生物質の要件と最も強く関連していることを示した(表3)。PCTでも同様の結果が見られ、両方のマーカーのオッズ比は、CRPまたは乳酸のオッズ比よりも大きかった。PCTまたはMR−proADMのいずれかを多変量モデルで互いに追加すると、抗生物質要件の予測が大幅に増加した(p<0.05)。
その後、AUROC分析に基づいて全てのバイオマーカーについて最適なカットオフを計算し、PCTおよびMR−proADMカットオフは、それぞれ0.12ng/mLおよび1.27nmol/Lになった(表4)。サブグループ分析では、これらのマーカーのカットオフの組み合わせに基づいて、静脈内抗生物質の必要量に有意差があることが示された(表5)。興味深いことに、<1.27nmol/LのMR−proADM値を有する患者の抗生物質投与までの時間の中央値は139[81〜209]分であって、≧1.27nmol/Lの値を有する患者よりも優位に長かった(43[26〜134]分;p<0.001)。対照的に、PCT値には有意差なかった。
最後に、26人(12.6%)の患者は、EDに入る前の48時間以内に抗生物質を処方されていたことが判明した。これはMR−proADMの性能にはほとんど影響しなかったが、抗生物質の必要量に対するPCTの予測値は、これらの患者が分析から除外されると、OR[955 CI]:4.22[2.21〜8.04]から5.45[2.49−11.93]まで増加することが判明した。
実施例3:抗生物質の静脈内投与の要件を予測するためのPCTとMR−proADMとの組み合わせの付加価値
個々のバイオマーカーのみ、および患者の年齢と性別とを含む多変量モデルについてのロジスティック回帰分析との比較では、PCTをMR−proADM多変量モデル(年齢+性別)への追加(表6)、およびMR−proADMをPCT多変量モデルへ追加(年齢+性別)(表7)することが、PCTがMR−proADMに対して行うよりも、MR−proADMが静脈内抗生物質の要件を予測するためのPCTにより多くの価値を付加することを示した(追加されたLR2の数値が高く、有意性についてのより低いp値によって証明されるように)。しかしながら、両方の組み合わせが有意であった。
以前に抗生物質治療を受けていた(したがって、EDに到着したときにPCT濃度を人為的に低下させた)患者が、個々のマーカーのみについて表8に、また年齢および性別を含む多変量モデルについての表9に示されるような分析から除外された場合も、類似性が見られた。MR−proADM多変量モデル(年齢+性別)へのPCTの追加(表10)およびPCT多変量モデル(年齢+性別)へのMR−proADMの追加(表11)は、両方の組み合わせが有意であることを示した。
実施例4:菌血症の予測および重度敗血症の発症
Escherichia coli(n=9)、Staphylococcus aureus(n=4)、およびKlebsiella pneumonie(n=4)の最も一般的な病原体で、34人(16.1%)の患者で陽性の血液培養を得ることができた。PCTの使用は、菌血症の最も強い予測値(OR[95%CI]:3.73[2.14〜6.51])を有したが、多変量モデル内では、最大予測値は、MR−proADMで見出すことができた(OR[95%CI]:4.24[2.31〜7.76]);表12)。興味深いことに、PCTがMR−proADMを含有する対応するモデルに追加しなかったのに対し、PCTを含有する多変量モデルにMR−proADMを追加すると、予測値が有意に増加する可能性がある(p<0.05)。追加のAUROC分析を、表13に報告する。
同様の結果は、ED入院から48時間以内に重篤な敗血症を発症した場合にも見られ、MR−proADMの予測値が最も高く(OR[95%CI]:5.79[3.30〜10.16])、PCTがそれに続いた(OR[95%CI]:4.33[2.58〜7.27];表14および表15)。乳酸およびCRPの使用は、重篤な敗血症発症の予測因子としては比較的不十分であった(それぞれ、OR[95%CI]:2.31[1.48〜3.61])および1.94[1.28〜2.95])。
実施例5:28日目の総死亡率の予測
AUROCおよびCox回帰分析は、全体的な28日目の死亡率の観点から測定した場合、MR−proADMが、疾患の重症度の評価において最高の性能を示したことを示した。MR−proADMとSOFAの性能の間に有意差はなかったが、値は、AUROCにおいて(AUROC[95%CI]:0.86[0.79〜0.92]対0.84[0.77〜0.91];表16)、一変量Cox回帰において(ハザード比[95%CI]:4.29[2.54〜7.26]対3.29[2.13〜5.08])および多変量Cox回帰において(ハザード比[95%CI]:3.73[2.12〜5.58]対2.77[1.76〜4.37])分析(表17)MR−proADMについて一貫して高くなった。
加えて、AUROC分析では、MR−proADMの最適な感度および1.73nmol/Lの特異性カットオフを示した。このカットオフを、全患者集団に適用した場合、143人(67.1%)の患者は、<1.73nmol/Lの値を有し、得られた1.4%の28日目の死亡率を伴うことが判明したが、一方、70人(32.9%)の患者は、≧1.73nmol/Lの値を有し、24.3%の対応する28日目の死亡率を伴った(カットオフを超えるハザード比[95%CI]対カットオフ未満:15.0[3.2〜68.0])。
最後に、qSOFAが28日目の死亡率の予測において非常に高いハザード比HR IQR[95%CI]:30.12[5.56〜163.24];表16)を示したが、2ポイントのカットオフでの感度は比較的低かった(0.58[0.36〜0.77])。実際、28日以内に死亡したこの試験での19人の患者のうち、8人の患者(42.1%)が、<2ポイントのqSOFAスコアを有していた。いずれの場合も、MR−proADM値は、1.73nmol/L超であった、。
実施例の考察
この試験では、初めて、救急部門における敗血症の重症度のマーカーとしてのMR−proADMの使用を取り入れ、その後の治療の決定および疾患の進行の可能性の観点から、疾患の重症度の早期かつ正確な評価の重要性を独自に強調している。
このような評価は、適切なレベルの治療を可及的速やかに提供するために不可欠である。実際に、抗生物質の投与が遅れると刻々と、死亡率は最も重篤な症例ではほぼ8%増加する可能性があることが示されている25。しかしながら、PCTおよびCRPなどの低レベルの診断バイオマーカーと組み合わせた、比較的安定した臨床徴候および症状は、患者の感染状態の重症度が評価されている間、治療の遅延につながる可能性がある。これらの状況では、病態生理学的プロセスのより早期に大幅に増加するバイオマーカーは、即時の静脈内抗生物質治療の必要性、および特定の敗血症治療の必要性を評価するための迅速なツールを提供する。
したがって、この試験は、中間領域プロアドレノメデュリンの使用が、この臨床的要件を満たすことができることを見出した。以前の研究は、アデレノメデュリンが、血管透過性、内皮および微小循環損傷に応じて増加し14、17、18、26、27、これらの全てが、臓器機能における任意の後続の合併症に先行する可能性がある28、29ことを示している。
本発明者らの結果は、臨床的接触の最も早い時点でのMR−proADMの性能が、疾患の重症度の評価における従来の全てのバイオマーカーの性能よりも高いことを示している。同様の結果は、既存の臓器機能不全に従って患者をグループ分けした以前の集中治療敗血症研究30で見出されており、低(≦6のSOFA)および中間(8〜13ポイントのSOFAト)重症度群で優れたMR−proADM性能を見出した。臓器重症度の低い群は、特に興味深く、なぜなら、これが「敗血症の臨床経過における最も早期の症状および/または疾患の重症度の低い形態を表す」30だけでなく、臨床ケアに入る最大の感染集団も表すためである。さらに、2つの試験集団間のカットオフの類似性(1.73対1.79nmol/L)、ならびに28日目の死亡率を予測するための高感度値(89%対83%)により、このバイオマーカーの、疾患の初期がより一般的であるED環境における潜在的な使用を強化する。さらに、この試験で判明した1.73nmol/Lのカットオフの使用は、潜在的な治療法を遅滞なく適用すべきである、高リスクの感染性患者集団を識別するのに役立つ。
以前の試験との類似点を、qSOFAを取り巻く問題において見出すことができた11。どちらの試験においても、感染症に関連する死亡率を予測する感度が非常に低く(58%および52%)、生存していない患者のかなりの割合が、0または1ポイントのqSOFAスコアを初期に有していた。興味深いことに、これらの各患者のMR−proADM値≧1.73nmol/L以上であり、したがって、疾患の重症度評価の初期ツールとしてのマーカーの使用が強調しており、この場合、確立された臨床徴候および症状よりも早期に有意に増加する。
MR−proADMを使用した限られた数の試験は、救急部門を受信している患者の全体的な死亡率に焦点を当てているが19~21、敗血症患者における抗生物質投与と抗生物質治療までの時間に関するMR−proADMの使用は、以前に研究されていない。PCTは一般に、ICUにおける抗生物質ガイダンスのための最適なバイオマーカーと見なされているが31~33、多くの試験で救急部門での使用に関して相反する結果が見られている34、35。本発明者らの結果は、PCTがCRPまたは乳酸よりも抗生物質要件および菌血症のより正確なバイオマーカーであることが判明したことを示しているが、MR−proADMの使用は、従来使用されている全てのバイオマーカーと比較して優れていた。これの理由は、部分的には、バイオマーカーの急速に誘発された動態に起因する可能性があり、これは、リポ多糖(LPS)刺激に応答してPCTまたはCRPのいずれよりも大幅に早く増加する36~38。これは、熱傷患者の敗血症の進行を調査する別の試験でも確認されており、MR−proADM濃度は、敗血症の診断の1日前に大幅に増加したが、PCTレベルは感染の当日に大幅に増加した39
この試験では、抗生物質の投与、治療までの時間、および疾患の進行に関する詳細な情報、ならびに現在の疾患の重症度識別のゴールドスタンダードと新規バイオマーカーであるMR−proADMとの間の比較が、各患者について記録された。全ての患者は、正確な診断を確実にするために、疾患の専門家によって徹底的に見直された。
結論として、MR−proADMは、疾患の重症度の評価において複雑な臨床スコアの代替となる迅速な診断を提供し、望ましくない結果を防止するために、抗生物質の即時要件、疾患の進行の可能性、および代替治療戦略の要件に関する有用な臨床情報を提供することができる。


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年齢(中間および標準偏差)とは別に、連続データは中央値(四分位範囲)として示される。二分変数は、カウント(%)として与えられる。* 28日目の生存者と非生存者間の差を指す。
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Claims (18)

  1. 自然免疫応答の不全を含む1つ以上の併存症を有し、かつ感染症を有する疑いのある患者における抗生物質療法のガイダンス、層別化、および/または制御のための方法であって、前記方法が、
    −前記患者からの試料を提供することと、
    −前記試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルを決定することと、を含み、
    −前記試料中の前記PCTもしくはその一以上の断片のレベルが、抗生物質治療の開始または変更が必要かどうかを示す、前記方法。
  2. 前記提供された試料が、医療従事者との最初の接触から12時間以内、好ましくは医療従事者との最初の接触から6時間、2時間、1時間以内、またはより好ましくは30分以内に前記患者から単離された、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者が、救急部門またはプライマリーケアユニットにいる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記自然免疫応答の不全を含む1つ以上の併存症が、代謝障害(肥満)、糖尿病、高血圧、腎疾患、血栓症、悪性腫瘍、または癌を含む群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記自然免疫応答の不全を含む1つ以上の併存症が、高血圧を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記自然免疫応答の不全を含む1つ以上の併存症が、貧血を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 健康な個体の群などの1つ以上の対照試料におけるPCTもしくはその一以上の断片のレベルよりも高い、前記試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルを決定することが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルが、0.05ng/ml以上、好ましくは0.1ng/ml以上、より好ましくは0.12ng/ml以上であることが、抗生物質治療の開始または変更が必要であることを示す、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記患者からの試料中の少なくとも1つのさらなるバイオマーカーのレベルをさらに決定すること、少なくとも1つの臨床パラメータを決定すること、および/または少なくとも1つの臨床スコアを決定することを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記少なくとも1つのさらなるバイオマーカーの前記レベルが、PCTもしくはその一以上の断片のレベルと同じ前記試料において決定される、請求項9に記載の方法。
  11. PCTもしくはその一以上の断片を決定するための前記試料が、好ましくは、血液試料、血清試料、血漿試料および/または尿試料からなる群から選択される体液である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記患者が、抗生物質治療をまだ受けていない、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記患者が、経口抗生物質治療を受けており、抗生物質治療の前記変更が、前記抗生物質治療の投与経路の変更を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 自然免疫応答の不全を含む1つ以上の併存症を有し、かつ感染症を有する疑いのある患者の治療に使用するための1つ以上の抗生物質製剤を含む医薬組成物であって、請求項1に記載の方法により、前記患者から得られた試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルに起因して、抗生物質治療の開始または変更を必要とすると識別された後に、前記患者に前記組成物が投与される、医薬組成物。
  15. 前記組成物の投与が、前記試料中のPCTもしくはその一以上の断片の前記レベルの決定後、180分以内、好ましくは120分以内、より好ましくは60分以内またはその直後に開始される、請求項14に記載の薬剤として使用するための医薬組成物。
  16. 前記患者が、前記組成物の静脈内投与を受ける、請求項14または15に記載の薬剤として使用するための医薬組成物。
  17. 前記患者が、1つ以上の組成物の静脈内および経口投与を受ける、請求項14または15に記載の薬剤として使用するための医薬組成物。
  18. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法を実行するためのキットであって、
    −対象からの試料中の、PCTもしくはその一以上の断片のレベルを決定するための検出試薬を含み、および任意で追加的に1つのさらなるマーカーもしくはその一以上の断片を決定するための検出試薬を含んでもよく、及び
    −0.05ng/ml以上、好ましくは0.1ng/ml以上、より好ましくは0.12ng/ml以上の前記試料中のPCTもしくはその一以上の断片のレベルに相当する参照レベルなどの参照データを含み、前記参照データが、コンピュータ可読媒体に記憶され、かつ/またはPCTもしくはその一以上の断片の前記決定されたレベル、ならびに任意で追加的に1つのさらなるマーカーもしくはその一以上の断片の前記決定されたレベルを、前記参照データと比較するように構成されたコンピュータ実行可能コードの形態で用いられる、前記キット。
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