JP2021501793A - 心疾患、心血管疾患及び関連する病状と症状を治療し保護する方法 - Google Patents

心疾患、心血管疾患及び関連する病状と症状を治療し保護する方法 Download PDF

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Abstract

提供されるのは、特に、例えば、MEDI6012のような組換えヒトLCAT(rhLCAT)酵素などの単離精製されたレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素を含んでなる、特定の治療的有効用量と投与レジメンを用いて、心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状を有し、又はそのリスクがある対象を治療する方法である。記載される用量のrhLCATの投与を伴う方法は、高密度リポタンパク質(HDL)及びアポリポタンパク質A1(apoA1)の血清レベルを増加させ、治療対象のアポリポタンパク質Bの血清レベルを低下させ、又は測定できる程に増加させず、したがって心疾患、心臓関連疾患及び冠動脈疾患の治療をもたらす。対象に投与されるrhLCAT又はMEDI6012の記載される投与レジメン及び用量を伴う方法は、虚血性脳卒中、心筋細胞アポトーシス、動脈硬化症の進行などに対する保護をはじめとする、対象の心臓、心筋、及び心血管系の保護をさらに提供する。

Description

世界保健機構(The World Health Organization)によると、心血管疾患は、世界的に罹患率及び死亡率の主要原因である。2015年には、世界中で心血管疾患による約1770万人の死者が発生しており、この年の全世界の死亡者数の31%に相当した。これらの死亡者数のうち、推定740万人は冠動脈心疾患(CHD)によって引き起こされ、670万人は脳卒中によって引き起こされた。米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)によると、心疾患は、依然として米国のほとんどの民族の男女双方の主要な死亡原因であり、毎年約63万人が死亡している。冠動脈心疾患は、米国における最も一般的なタイプの心疾患であり;2015年の死亡者数は36万人を超えている。心疾患及び関連する冠動脈疾患と症候群は、今後10年以上にわたり、世界的な死亡率の主要原因であり続けると予測されている。
心臓及び冠動脈疾患は、心血管疾患患者に影響を及ぼすだけでなく、増加中の肥満症及び/又は糖尿病などの代謝障害に苦しんでいる個人にとって深刻な健康問題となっており、これは心血管リスクの増加につながることが多い。罹患した個人の医療サービス、薬物療法、及び失われた生産性のコストは、米国で毎年合計で約2000億ドルになることから、心疾患及び関連健康状態は莫大な経済損失をもたらす。
ヒトにおける動脈硬化症は、動脈中のコレステロール蓄積によって特徴付けられる病的状態である。コレステロールは、動脈壁に存在する泡沫細胞中に蓄積し、それによってこれらの血管の内腔を狭小化して、血流の減少を引き起こす。動脈硬化症の発症は、血清中の高密度リポタンパク質(HDL)の濃度に反比例し、例えば、低いHDL濃度は心血管疾患のリスク増加に関連している。
肝臓によって分泌される血漿酵素であるレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)は、遊離コレステロールとホスファチジルコリン(レシチン)からのコレステリルエステル(CE)の生成を触媒する。LCATは、コレステロール逆輸送(RCT)の過程において役割を果たすことが提案されている。RCTの最初の段階では、アデノシン三リン酸(ATP)結合カセットA1(ABCA1)によって、遊離コレステロールが、プラーク中のマクロファージから、プレβ−HDL及びHDLのその他のより小さい粒子形態などの血漿受容体へ流出する。LCATは、HDLの遊離コレステロールをCEに変換し、HDLが組織から追加的なコレステロールを除去する能力を高め、細胞からのコレステロール流出の勾配を維持する。RCTプロセスにおけるLCATの役割は、心疾患を有する患者におけるLCAT活性低下とプレβ−HDL増加の所見に一致する一方で、患者におけるHDL、LCAT、及び心疾患の機能的相互関係に関しては、矛盾したデータと所見が存在している。
心臓及び冠動脈疾患に罹患した個人の増加し続ける人数、そしてその地球規模での影響を考えると、冠動脈疾患をはじめとする異なるタイプの心疾患及びこれらの病状のリスクを軽減又は緩和する治療方法が緊急に必要である。本明細書に記載される新たに開発された治療的及び保護的治療方法は、急性及び慢性心疾患、CHD、冠動脈疾患などを有する個人に、不可欠で本質的な治療法を提供する。
以下に記載されるように、本開示は、単離精製されたレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素、特に、単離精製されたヒトLCAT、又は本明細書中でMEDI6012と称される組換え的に生成された(組換え体)ヒトLCAT(rhLCAT)の有効用量と投与レジメンによって、対象、特に哺乳類対象、より具体的には、慢性又は急性の心疾患、心臓関連疾患、冠動脈心疾患、心血管疾患、脳血管疾患、動脈硬化性疾患及び/又はそれらの症状を有するヒト対象を治療する治療的及び予防的方法を特徴とする。記載される方法は、天然に存在する環境、又は組換え細胞材料から、単離精製されたLCAT酵素、特に、ヒトLCAT酵素の使用を包含する。単離精製されたヒトLCAT酵素は、rhLCAT酵素を包含する。特定の実施形態では、rhLCAT酵素は本明細書でMEDI6012と称される。「単離精製されたヒトLCAT」、「LCAT」、「rhLCAT」、及びMEDI6012という用語は、本明細書で同義的に使用されてもよいことが理解されるであろう。
体内では、LCAT酵素は血流中に見られ、体内からの過剰なコレステロールの排除に重要な役割を果たしていると考えられているコレステロール逆輸送(RCT)系の重要な因子として存在する。LCATはまた、高密度リポタンパク質(HDL)、又は「善玉」コレステロールの血清及び血漿中レベルを全身的に管理する上で、極めて重要であると考えられている。心血管動脈と末梢動脈の双方においてコレステロールが蓄積する過程は、動脈硬化症とその臨床的続発症(例えば、心臓麻痺(心筋梗塞(MI)としても知られる)、虚血性心疾患、脳卒中、虚血性脳卒中、末梢血管疾患及びそれらの症状など)をもたらし得ることから、体内の全身コレステロール蓄積のプロセスを低減、遅延、又は逆転させることは、心疾患及び動脈硬化症の治療又は予防に効果的である。
本明細書に記載される方法は、治療対象の血清(又は血漿)中のLCAT活性のレベルを全身的に増加させるように、対象に投与される単離精製されたLCAT酵素の用量と投与レジメンを提供し、次に治療を受けている対象の動脈中の遊離又は非エステル化コレステロールの蓄積を減少させる(例えば、遅くする、減少させる、又は逆転させる)ことによって、心疾患、心臓関連病状及び疾患及び心血管疾患、並びにそれらの症状に対する、治療法の利点並びに保護効果をもたらす。さらに、本方法は、本明細書に記載されるような対象における心筋線維症及び肥大化を予防することによって、その他の心臓病治療効果、心臓保護効果、及び抗アテローム発生(アテローム保護)効果、並びに心筋保護効果を提供する。
本開示に従って、本明細書に記載され本方法において実施される、単離精製されたLCAT酵素、すなわち、rhLCAT又はMEDI6012の有効用量と投与レジメンでの使用は、前述の心疾患及び/又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を有する対象のための第一選択治療と、これらの疾患及び症状の様々な形態を有する対象のための有効な維持療法及び治療との双方を提供する。本明細書に記載される方法は、心疾患、心臓関連及び心血管疾患及び病状のための標準治療(SoC)に利点を提供し、また、別の心臓又は心臓血管治療レジメンに続いて再発した対象に対して、治療法の利点を提供してもよい。
本明細書に記載される一態様で提供されるのは、対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療するために、20〜2000mgの量の1つ又は複数の用量の単離精製されたLCAT酵素を1分間〜3時間程度の時間をかけて、それを必要とする対象に投与することを含んでなる、対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療する方法である。方法の一実施形態では、単離精製されたLCAT酵素は、組換えヒトLCAT(rhLCAT)酵素、又はMEDI6012である。方法のいくつかの実施形態では、対象は、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI;又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状を有する。特定の実施形態では、対象は、安定型冠動脈疾患(CAD)を有する。方法の特定の実施形態では、対象に投与されるLCAT酵素の1つ又は複数の用量は、20mg、24mg、40mg、80mg、100mg、150mg、240mg、300mg、600mg、800mg又は1600mgから選択される量である。方法のその他の特定の実施形態では、LCAT酵素の1つ又は複数の用量は、300mg、150mg、及び100mgから選択される量で対象に投与される。方法の一実施形態では、LCATの1つ又は複数の用量は、300mgの量の第1の用量と、第1の用量の約48時間±8時間後に投与される150mgの量の第2の用量とを含んでなる。方法の別の実施形態では、LCATの1つ又は複数の用量は、300mgの量の第1の用量;第1の用量の約48時間±8時間後に投与される150mgの量の第2の用量;及び第2の用量の約1週間後に投与される100mgの量の第3の用量を含んでなる。方法のなおも別の実施形態では、LCATの1つ又は複数の用量は、300mgの量の第1の用量;第1の用量の約48時間±8時間後に投与される150mgの量の第2の用量;及び第2の用量の約1週間後に投与される1用量当たり100mgの量の少なくとも4回の後続用量を含んでなる。方法の一実施形態では、LCATの1つ又は複数の用量が、対象に静脈内投与される。一実施形態では、LCATの1つ又は複数の用量が、静注を介して対象に投与される。一実施形態では、LCATは、約30分間〜1時間の時間をかけて対象に静脈内投与される。一実施形態では、LCATは、約1〜3分間の時間をかけて静注によって対象に投与される。別の実施形態では、LCATは、300mgの量の1用量で対象に投与される。一実施形態では、LCATの1用量は、約1〜3分間の時間内に静注によって対象に投与される。別の実施形態では、LCATは、第1の用量が300mgの量であり、第2の用量が150mgの量である、2用量で対象に投与される。別の実施形態では、LCATは、第1の用量が300mgの量であり;第2の用量が150mgの量であり;第3の用量が100mgの量である、3用量で対象に投与される。別の実施形態では、LCATは、第1の用量が300mgの量であり;第2の用量が150mgの量であり;第3〜6の用量が100mgの量である、6用量で対象に投与される。方法の一実施形態では、LCATの第2の用量は、第1の用量後、約48時間±8時間以内に対象に投与される。方法の別の実施形態では、LCATの第3の用量は、第2の用量後、約1週間以内に対象に投与される。一実施形態では、LCATの第2の用量は第1の用量後、約48時間±8時間以内に対象に投与され、LCATの第3の用量は第2の用量後、約1週間以内に対象に投与され;それ以降LCATの第4〜6の用量が毎週投与される。前述の一実施形態では、LCATの少なくとも第1の用量は、静注によって対象に投与される。別の実施形態では、LCATは、例えば、80mg又は600mgの用量で皮下(SC)注射を介して対象に投与される。一実施形態では、600mgの用量でのSC注射によるLCATの投与は、対象におけるアポリポタンパク質A1(apoA1)の内因性レベルを増加させる。上述の方法の別の実施形態では、LCATの投与は、対象における高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)及び/又はアポリポタンパク質A1(apoA1)の内因性レベルを増加させる。方法の別の実施形態では、LCATの投与は、対象のアポリポタンパク質B(apoB)の内因性レベルを増加させない。前述のいずれかの実施形態では、単離精製されたLCATは、組換えヒトLCAT(rhLCAT)である。特定の実施形態では、rhLCATは、MEDI6012(配列番号2)である。
本明細書に記載される別の態様で提供されるのは、治療対象の受診時に、約1〜5分の時間をかけて静脈内(IV)注入によって対象に送達される250〜500mgの量の負荷用量の単離精製されたLCAT酵素をそれを必要とする対象に投与するステップを含んでなる、対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療する方法である。方法の一実施形態では、負荷用量のLCATは、300mgの量で対象に投与される。方法の別の実施形態では、LCATの負荷用量は、約1〜3分間の時間をかけて対象に投与される。方法の別の実施形態では、LCATの負荷用量は、約1分間かけて対象に投与される。方法の別の実施形態では、LCATの1つ又は複数の用量は、負荷用量後に対象に投与される。一実施形態では、100〜200mgの量のLCATの用量が、負荷用量後に対象に投与される。別の実施形態では、150mgの量のLCATの用量が、負荷用量後に対象に投与される。別の実施形態では、100〜150mgの量のLCATの用量が、100〜200mg又は150mgの用量後に対象に投与される。別の実施形態では、100mgの量のLCATの用量が、100〜200mg又は150mgの用量後に対象に投与される。方法の別の実施形態では、100〜200mgの用量又は150mgの用量の約1週間後に、1用量当たり80〜150mgの量のLCATの少なくとも4回の毎週用量が対象に投与される。方法の別の実施形態では、100〜200mgの用量又は150mgの用量の約1週間後に、1用量当たり100mgの量のLCATの少なくとも4回の毎週用量が対象に投与される。別の実施形態では、負荷用量後に、LCATの1つ又は複数の用量が対象に静脈内投与される。方法の一実施形態では、単離精製されたLCATは、組換えヒトLCAT(rhLCAT)である。特定の実施形態では、rhLCATはMEDI6012(配列番号2)である。
当業者によって理解されるように、rhLCAT又はMEDI6012などのLCAT酵素の負荷用量、特に、1〜3分間かけて静注として対象に投与される負荷用量を含む記載される方法は、時間が最重要な病気及び病状の治療を容易にする。本明細書に記載され例示されるように、負荷用量を含むrhLCAT又はMEDI6012の記載される用量及び用量レジメンの患者への投与は、数分以内に患者のHDL−Cレベルを増加させ得る。したがって、本方法は、HDL−C及び/又はapoA1などの内因性産物のレベルを急速に増加させる活性剤rhLCAT又はMEDI6012の用量を提供し、限定することなく、急性MI、脳卒中、又は腎臓損傷などの急性疾患を呈する患者の治療的及び保護的治療を達成する。したがって、rhLCAT又はMEDI6012投与は、急性疾患、病理又は負傷の即時治療を必要とする患者にとって、非常に有利且つ最適である。
本明細書に記載される別の態様で提供されるのは、2用量以上の単離精製されたLCAT酵素をそれ必要とする対象に非経口的に投与するステップを含んでなる、対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療する方法であり、各用量は、対象の心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療するための20〜500mgの量のLCATを含んでなる。方法の一実施形態では、LCATの2用量以上が、300mg、150mg、又は100mgから選択される量で対象に投与される。一実施形態では、LCATの3用量が対象に投与されて、1日目に投与される300mgの用量;3日目に投与される150mgの用量;10日目に投与される100mgの用量を含んでなり、任意選択的に、10日目の投与後、LCATの後続用量が、約30日までの時間間隔又はより長い所定の時間間隔で、対象に投与される。特定のその他の実施形態では、例えば、本明細書に記載されるような6用量などのLCATの後続用量が、例えば、10日目用量後、毎週などの所定の期間にわたり対象に投与される。一実施形態では、LCATは、静注及び/又は静脈内輸液によって対象に静脈内投与される。一実施形態では、対象は、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管疾患(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、家族性又は後天性心筋梗塞、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状を有する。一実施形態では、単離精製されたLCATは、組換えヒトLCAT(rhLCAT)である。特定の実施形態では、rhLCATは、MEDI6012(配列番号2)である。別の特定の実施形態では、治療対象は安定型CVDを有する。
本明細書に記載されるなおも別の態様で提供されるのは、200〜500mgの量の単離精製されたレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素の第1の用量をそれを必要とする対象に静脈内投与するステップと、第1の用量のおよそ48時間±8時間後に、100〜200の量のLCAT酵素の第2の用量を対象に静脈内投与して、対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療するステップとを含んでなる、対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療する方法である。方法の一実施形態では、LCATの第1の用量は300mgであり、LCATの第2の用量は100mg又は150mgである。特定の実施形態では、LCATの第1の用量は300mgであり、LCATの第2の用量は150mgである。方法の一実施形態では、LCATの少なくとも第1の用量は、静注によって対象に投与される。方法の特定の実施形態では、静注による投与は約1〜3分間の時間をかけて行われる。一実施形態では、方法は、第2の用量の約1週間後に、100〜150mgの量のLCATの用量を対象に静脈内投与するステップをさらに含んでなる。特定の実施形態では、第2の用量の約1週間後に対象に投与されるLCATの用量は、100mgの量である。一実施形態では、方法は、第2の用量後に、100〜200mgの量のLCATの少なくとも4回の毎週用量を対象に静脈内投与するステップをさらに含んでなる。特定の実施形態では、第2の用量後のLCATの少なくとも4回の毎週用量は、100mgの量である。一実施形態では、単離精製されたLCATは、組換えヒトLCAT(rhLCAT)である。特定の実施形態では、rhLCATは、MEDI6012(配列番号2)である。方法のいくつかの実施形態では、対象は、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管疾患(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、家族性又は後天性心筋梗塞、駆出率(EF)低下を伴う心不全心、EF温存型心不全、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状を有する。
本明細書に記載されるなおも別の態様で提供されるのは、200〜500mgの量の単離精製されたレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素MEDI6012の第1の用量をそれを必要とする対象に投与するステップと;第1の用量の約48時間±8時間後に、100〜200mgの量の第2の用量のLCAT酵素MEDI6012を対象に静脈内投与するステップと;第2の用量の約7〜10日後に、100〜150mgの量の第3の用量のLCAT酵素MEDI6012を対象に静脈内投与して、対象の心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療するステップとを含んでなる、対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療する方法である。方法の一実施形態では、LCAT酵素MEDI6012の第1の用量は300mgであり;MEDI6012の第2の用量は150mgであり;MEDI6012の第3の用量は100mgである。方法の一実施形態では、LCAT酵素MEDI6012の少なくとも第1の用量は、静注によって対象に投与される。
本明細書に記載されるなおも別の態様で提供されるのは、300mgの量の組換えヒトLCAT(rhLCAT)酵素MEDI6012の第1の負荷用量を約1〜5分間かけて静脈内(IV)注入によって対象に静脈内投与するステップと;第1の用量の約48時間±8時間後に、150mgの量の第2の用量のLCAT酵素MEDI6012を対象に静脈内投与するステップと;第2の用量の約7日後に、100mgの量のLCAT酵素MEDI6012の第3の用量を対象に静脈内投与するステップとを含んでなる、心疾患又は心血管疾患及び/又はその症状を有する対象において、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)及び/又はアポリポタンパク質(apoplipoprotein)A1(apoA1)の内因性レベルを増加させる方法であり、心疾患又は心血管疾患及び/又はその症状を治療し、対象における高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)及び/又はアポリポタンパク質(apoplipoprotein)A1(apoA1)内因性レベルを増加させ、それによって心疾患又は心血管疾患及び/又はその症状を治療する。方法の一実施形態では、MEDI6012の第1の用量及び後続用量は、約1〜3分間の時間をかけて静注によって対象に投与される。
上記の態様のいずれか、又は本明細書に記述される方法の態様のいずれかの実施形態において、対象は、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状を有する。特定の実施形態では、治療対象は安定型CVDを有する。
上記の態様のいずれか、又は本明細書に記述される方法の態様のいずれかの実施形態において、単離精製されたLCAT酵素又はMEDI6012の用量(又は第1の用量)は、対象の医療施設(病院、診療所、救急センター、開業医院など)の受診時に、例えば、1〜5分間程度の時間内、又は1〜3分間程度の時間内など、即座に対象に投与される。
上記の態様のいずれか、又は本明細書に記述される方法の態様のいずれかの実施形態において、単離精製されたLCAT酵素又はMEDI6012の投与は、投与に続いて、対象における高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)及び/又はアポリポタンパク質A1(apoA1)の内因性レベルを増加させる。方法のその他の実施形態では、LCATの投与は、投与に続いて、対象におけるアポリポタンパク質B(apoB)レベルを低下させ、又は変化させず、又は増加させる。前述の態様のいずれかの方法の別の実施形態では、単離精製されたLCAT酵素又はMEDI6012の投与は、内因性低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)を増加させず、巨大HDL(VL−HDL)粒子及び超巨大HDL(VVL−HDL)粒子の増加をほとんど又は全く生じない。
上記の態様のいずれか、又は本明細書に記述される方法の態様のいずれかの実施形態において、単離精製されたLCAT又はMEDI6012の投与は、心筋細胞死を予防し、対象の動脈硬化性プラークを減少させることによって、心筋保護効果を与える。上記の態様のいずれか、又は本明細書に記述される方法の態様のいずれかの実施形態において、単離精製されたLCAT又はMEDI6012の投与は、心筋線維症及び肥大化を予防することによって、心筋保護効果を与える。
上記の態様のいずれか、又は本明細書に記述される方法の態様のいずれかの実施形態において、治療を受けている対象は、スタチン薬を服用している。
上記の態様のいずれか、又は本明細書に記述される方法の態様のいずれかの実施形態において、単離精製されたLCAT酵素、rhLCAT、又はMEDI6012は、1つ又は複数の治療薬、医薬品、又は化合物との併用で対象に投与される。一実施形態では、1つ又は複数の治療薬、医薬品、又は化合物は、スタチン薬、プロタンパクコンバクターゼサブチリシン/ケキシンタイプ9(PCSK9)酵素阻害剤(PCSK9i)、又はその他のコレステロール低下剤である。方法の特定の実施形態では、スタチン薬、PCSK9阻害剤、又はその他のコレステロール低下剤は、アトルバスタチン(LIPITOR)、フルバスタチン(LESCOL)、ロバスタチン(MEVACOR、ALTOPREV)、ピタバスタチン(LIVALO)、プラバスタチン(PRAVACHOL)、ロスバスタチン(CRESTOR)、シムバスタチン(ZOCOR)、エボロクマブ(REPATHA(登録商標))、又はアリロクマブ(PRALUENT(登録商標))から選択される。方法のいくつかの実施形態では、LCAT又はMEDI6012は、1つ又は複数の治療薬、医薬品、又は化合物の投与前、投与と同時に、投与後、又は投与とは異なる時点で、対象に投与される。
本明細書に記載されるなおも別の態様で提供されるのは、単離精製されたLCAT酵素を心疾患、心血管疾患及び/又はその症状を有する対象に、80〜500mgの用量で非経口投与するステップを含んでなる、対象における心臓病治療効果、心筋保護効果、及び抗アテローム発生効果を提供する方法であり、内因性HDL−Cレベルは、対象へのLCATの投与後、約1分間〜少なくとも6時間以内に対象において増加し、及び/又は内因性apoA1レベルは、約12〜24時間以内に増加する。方法の一実施形態では、LCATの投与は、対象における心筋線維症及び肥大化を予防することによって、心臓病治療効果、心筋保護効果、及び抗アテローム発生効果を提供する。方法の特定の実施形態では、LCATは300mgの用量で投与される。別の実施形態では、方法は非経口用量の約48時間±8時間後に、125〜250mgの量のLCATの第2の用量を対象に投与するステップをさらに含んでなる。特定の実施形態では、LCATの第2の用量は、150mgの量で対象に投与される。方法の別の実施形態では、HDL−C及び/又はapoA1の内因性レベルは、LCATの投与後、少なくとも14日間上昇したままである。方法の一実施形態では、LCATは対象に静脈内投与される。方法の特定の実施形態では、非経口LCATの用量は、約1〜3分間の時間をかけて静注によって対象に投与される。方法のいくつかの実施形態では、対象は、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状を有する。いくつかの実施形態では、方法は、心筋線維症及び肥大化を予防することによって、心臓病治療効果、心臓保護効果、及び抗アテローム発生効果、及び心筋保護効果をさらに提供する。方法の一実施形態では、単離精製されたLCATは、組換えヒトLCAT(rhLCAT)である。特定の実施形態では、rhLCATは、MEDI6012(配列番号2)である。
上記の態様のいずれか、又は本明細書に記述される方法の態様のいずれかの実施形態において、内因性HDL−C及び/又はapoA1レベルは、LCAT又はMEDI6012の投与後、約90分間〜約6時間以内に、対象から得られたサンプル(例えば、血清又は血漿)において増加する。一実施形態では、LCAT又はMEDI6012の投与後に、対照レベルと比較して、対象の血清又は血漿中で内因性HDL−C及び/又はapoA1レベルが約90分以内に約50%増加し、及び/又は対象の血清又は血漿中で内因性HDL−Cレベルが約6時間目までに少なくとも90%増加する。なおも別の実施形態では、apoA1レベルは、LCAT又はMEDI6012の投与後、対象において少なくとも7日間上昇したままである(対象の血清又は血漿中で検出されるように)。
上記の態様のいずれか、又は本明細書に記述される方法の態様のいずれかの実施形態において、LCAT又はMEDI6012の投与は、脳卒中、虚血性脳卒中、心筋損傷、腎臓損傷、肝臓損傷、又は梗塞サイズの増大の1つ又は複数の発生又は悪化から対象を保護する。上記の態様のいずれか、又は本明細書に記述される方法の態様のいずれかの実施形態において、単離精製されたLCATは、組換えヒトLCAT(rhLCAT)酵素又はMEDI6012である。
本明細書に記載されるなおも別の態様で提供されるのは、対象の医療専門家又は医療施設の受診時に、40〜500mgの量の単離精製されたレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、組換えヒトレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(rhLCAT)、又はMEDI6012の第1の用量を対象に静脈内投与するステップと;第1の用量後、所定の間隔で、40〜300mgの量のLCAT、rhLCAT又はMEDI6012の第2の用量と、少なくとも1つの後続維持用量とを対象に静脈内投与するステップとを含んでなる、心疾患、心臓関連疾患、冠動脈疾患及び/又はそれらの症状を有する又はリスクがある対象において、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)及び/又はアポリポタンパク質A1(apoA1)の内因性濃度を増加させて、アポリポタンパク質B(apoB)の内因性濃度を増加させない(すなわち、減少させ又はほとんど増加させない)方法である。方法の一実施形態では、LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の第1の用量は、24mg、40mg、120mg、150mg、又は300mgから選択される量で対象に投与される。方法の特定の実施形態では、LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の第1の用量は、300mgの量で対象に投与される。方法の別の特定の実施形態では、LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の第1の用量は、約1〜3分間の時間をかけて静注によって対象に投与される。方法の一実施形態では、LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の第2の用量は、40mg、80mg、100mg、120mg、又は150mgから選択される量で対象に投与される。方法の特定の実施形態では、LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の第2の用量は、150mgの量で対象に投与される。方法の一実施形態では、LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の第2の用量は、第1の用量の約48時間±8時間後に対象に投与される。方法の一実施形態では、LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の少なくとも1つの後続維持用量は、第2の用量後、40mg、80mg、100mg、120mg、又は150mgから選択される量で対象に投与される。特定の実施形態では、LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の少なくとも1つの後続維持用量は、100mgの量で対象に投与される。方法の別の実施形態では、LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の少なくとも1つの後続維持用量は、第2の用量の約1週間後に対象に投与される。方法の別の実施形態では、LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の少なくとも1つの後続維持用量は、静注によって対象に投与される。特定の実施形態では、MEDI6012(配列番号2)が対象に投与される。方法のその他の実施形態では、対象は、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状を有し、又は有するリスクがある。方法の別の実施形態では、対象は、スタチン薬、PCSK9阻害剤、又は抗コレステロール薬物療法を併行して受けている。
本開示は、本明細書で開示される方法に従って、心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を有する対象の治療で使用するためのrhLCAT及びMEDI6012をはじめとするLCATもまた提供する。本開示は、本明細書で開示される方法に従って、心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を有する対象を治療するための薬剤の製造のためのrhLCAT及びMEDI6012をはじめとするLCATの使用もまた提供する。
本開示のその他の特徴及び利点は、詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
定義
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。以下の参考文献は、本開示で使用される用語の多くの一般的な定義を当業者に提供する:Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2nd ed.1994);The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.,1988);The Glossary of Genetics,5th Ed.,R.Rieger et al.(eds.),Springer Verlag(1991);及びHale & Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991)。本明細書の用法では、以下の用語は、特に指定されない限り、下でそれらに帰するとされる意味を有する。
「薬剤」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド(又はその断片)、核酸分子、小化合物、薬物、又は医薬品を指す。
「改善する」とは、疾患又は病状の発生又は進行を減少させ、低下させ、低減し、抑制し、減衰させ、停止させ、阻害し、遮断し、又は安定化させることを意味する。
「レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)」(ホスファチジルコリンステロールアシルトランスフェラーゼとしても知られる)は、血漿リポタンパク質の細胞外代謝において、並びに血液及び組織からのコレステロールの除去において、役割を果たす酵素である。肝臓で合成され、血漿中に分泌されるLCAT酵素は、遊離コレステロール及びホスファチジルコリン(レシチン)からのコレステリルエステル(CE)の生成を触媒し、コレステロールを血液及び組織から運び出すのを助ける。LCATは、HDL−Cの遊離コレステロール成分のエステル化を通じてHDL−CEを産生する役割を担っていることから、LCATのレベル、機能、及び/又は活性を増加させると、組織への送達に利用可能なHDL−CEの量もまた増加する。ヒトでは、血漿中のCEの約90%がLCATによって形成され、反応は、ほとんどが高密度リポタンパク質(HDL)上で生じてα−LCAT活性と称され、またより少ない程度に、アポリポタンパク質B(apoB)含有粒子上でも生じてβ−LCAT活性と称される。LCATによるコレステロールのエステル化は、HDLの小さな円盤状形態(プレβ−HDL及びα−HDL)から、より長い半減期を有するHDLのより大きな球状形態(α1−3−HDL)への成熟を促進することによって、HDLレベルを維持するのに役立つ。ヒトでは、ほとんどのHDL−CEは、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)によって、最終的にトリグリセリドと引き換えに移行して、超低密度リポタンパク質(VLDL)、中密度リポタンパク質(IDL)、及び低密度リポタンパク質(LDL)に移行する。このプロセスによって、コレステロールがそこで他の組織に再分配され又は体内から除去される肝臓に、コレステロールを送り戻すリポタンパク質が、より効率的に運べるコレステロールの形態がもたらされる。本明細書の用法では、「LCAT酵素」は、組換えヒトLCAT(rhLCAT)酵素又はMEDI6012などの単離精製されたLCAT酵素を指す。
「ヒトLCATポリペプチド」は、UniProtKB受入番号P04180−1又はNCBI参照配列:NP_000220.1と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%のアミノ酸配列同一性を有し、LCAT酵素活性及び/又は機能を有するポリペプチド又はその断片を意味する。(配列番号1:以下)。
「MEDI6012(組換えヒトLCAT(rhLCAT)ポリペプチド)」は、LCAT酵素活性及び/又は機能を有する、以下の配列番号2に示されるような416アミノ酸のポリペプチド又はその断片;又は配列番号2のアミノ酸配列と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%のアミノ酸配列同一性を有し、LCAT酵素活性及び/又は機能を有するポリペプチド又はその断片を意味する。
ヒトLCATポリペプチドのポリヌクレオチドコード配列は、以下に提示される(1323ヌクレオチド(nts))。NCBI CCDS受入番号10854.1(以下の配列番号3)のヒトLCATの核酸配列と、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%ヌクレオチド配列同一性を有するポリヌクレオチド又はその断片は、本開示に包含される。
ヒトLCAT cDNAのクローニング及び配列決定法は、J.McLean et al.,1986,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,83:2335−2339に報告され;ヒトLCATの完全な遺伝子配列は、J.McLean et al.,1986,Nucl.Acids Res.,14:9397−9406に報告される。
MEDI6012(旧称ACP501)は、分離精製された組換えヒトLCAT(rhLCAT)酵素である。MEDI6012(rhLCAT)は、416アミノ酸で構成されるおよそ60キロダルトンのグリコシル化単鎖タンパク質であり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞培養物中で生成され単離精製される。一実施形態では、MEDI6012は、急性冠動脈症候群(ACS)を有する患者における標準治療の補助として虚血性イベントのリスクを低減し、高リスク心筋梗塞を有する患者における心血管(CV)死亡及び心不全(HF)入院のリスクを低減するための治療方法で使用される。MEDI6012及びACP501は同一のアミノ酸配列を有しているため、同じ分子実体と考えられる。MEDI6012は、以前のACP501と比較して、タンパク質1mg当たりのより高い酵素活性、並びに製品関連及びプロセス関連のより高い純度を提供するように製造されている。
「バイオマーカー」又は「マーカー」は、本明細書の用法では、疾患に関連したタンパク質、核酸分子、臨床指標、又はその他の分析物を一般に指す。一実施形態では、マーカーは、例えば、心疾患、心血管疾患、又は冠動脈疾患などの疾患を有する対象から得られた生物学的サンプル中に、対照サンプル又は参照中に存在するレベルと比較して、示差的に存在する。一実施形態では、マーカーは、例えばMEDI6012などの薬剤で治療された対象において、例えば、プラセボで治療された対象からのサンプル中の同じPDマーカーのレベルなどの対照と比較して、対象から得られたサンプル(例えば、血液、血漿、又は血清)中のそのレベルを測定又は定量することによって評価される、薬力学的(PD)マーカーである。PDバイオマーカーは、所与の薬剤、例えば、薬剤、化合物、又は医薬品が、1つ又は複数の薬理学的又は生理学的効果を生じているかどうかを判定するために、定量的及び/又は定性的に評価され得るマーカー、標的、又は決定因子である。PDバイオマーカーは、生物中の標的に対する、薬物の直接的又は間接的効果(活性)の指標であり、薬剤用量及び/又は薬剤レジメン、標的効果、及び生物学的応答との関連性又はつながりを調べるのに有用であってもよい。
心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)は、心筋の組織及び細胞(心筋細胞と称される)を含む、心臓に影響を及ぼすあらゆる種類の疾患を指す。心臓病は、心筋梗塞(心臓発作又は冠動脈血栓症として知られている)をはじめとするいくつかの障害又は病状を包含し、血流が遮断されて酸素の欠乏がもたらされ、心筋の一部が損傷し又は破壊される。冠動脈疾患は、心臓に栄養、酸素、及び血液を供給する冠動脈の疾患又は損傷を伴い、通常は、動脈の開口部を狭めて心臓/心筋への血流を低下させるプラーク(コレステロールを含有する)の沈着及び蓄積から帰結する。
心血管疾患(CVD)は、冠動脈心疾患(心筋に供給する血管の疾患);脳血管疾患(脳に供給する血管の疾患);末梢動脈疾患(腕及び脚に供給する血管の疾患);リウマチ性心疾患(連鎖球菌によって引き起こされるリウマチ熱からの心筋及び心臓弁の損傷);先天性心疾患(出生時に存在する心臓構造の奇形);深部静脈血栓症及び肺塞栓症(剥がれて心臓及び肺に移動し得る脚静脈内の血栓)をはじめとする、一群の心臓及び血管の双方の障害である。心臓発作及び脳卒中は、慢性的な結果/後遺症を伴う急性のイベントであり、主に心臓又は脳への血液の流れを妨げる閉塞によって引き起こされる。この最も一般的な理由は、心臓又は脳に血液を供給する血管内壁上の脂肪性沈着物の蓄積である。脳卒中はまた、脳内血管からの出血又は血栓によっても引き起こされ得る。心臓発作及び脳卒中の原因は、通常は、タバコの使用、不健康な食生活及び肥満、身体的な運動不足及びアルコールの有害な使用、高血圧、糖尿病、高脂血症、及び遺伝的素因などのリスク因子の組み合わせの存在である。
「HDL」は、「高密度リポタンパク質」の頭字語である。再構成HDL(rHDL)は、アポリポタンパク質A1(apoA1)、リン脂質(例えば、レシチン)、及びコレステリルエステル(CE)の複合体;又はapoA1、リン脂質(例えば、レシチン)、コレステロール、及びコレステリルエステル(CE)の複合体を指す。apoA1、リン脂質、及びCEと複合体形成したHDLは、HDL粒子とも称される。rHDLを生成するのに使用されてもよいリン脂質としては、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、又はそれらの混合物が挙げられる。天然HDLは、血漿又は血清から単離され、HDL、タンパク質(apoA1など)、コレステロール、及びコレステリルエステルを含有する粒子を指す。「HDL−C」は、エステル化コレステロール及び非エステル化コレステロールの双方を含有してもよい、HDLを指す(「C」は、コレステロール(C)及びコレステリルエステル(CE)の双方からなる総コレステロールを表す)。「HDL−CE」は、HDLのコレステリルエステル成分を指す。ApoA1は、HDL粒子に関連した主要なタンパク質であり、コレステロール逆輸送において役割を果たす。HDL粒子1個当たりのapoA1タンパク質の数は可変であり、apoA1タンパク質の数及びHDL粒子に含まれるコレステロールの量もまた可変である。
本明細書の用法では、「判定する」、「評価する」、「アッセイする」、「測定する」及び「検出する」、及び「同定する」という用語は、定量的及び定性的判定の双方を指し、したがって、「判定する」という用語は、本明細書で「アッセイする」、「測定する」などと同義的に使用される。定量的判定が意図される場合、分析物、物質、タンパク質などの「量を判定する」という語句が使用される。定性的及び/又は定量的判定が意図される場合、分析物の「レベルを判定する」又は分析物を「検出する」という語句が使用される。
「疾患」とは、細胞、組織、又は臓器の正常な機能を損傷し、妨害し、又は調節不全にする、あらゆる病状又は障害を意味する。特に、心疾患(cardiac disease)は、心疾患(heart disease)とも称される。本明細書で言及される心臓及び冠動脈又は末梢動脈の疾患及びこれらに関連した疾患としては、例として、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状が挙げられる。このような疾患、病状及び/又はその症状は、対象において急性又は慢性であってもよく、限定は意図されない。
「単離された」、「精製された」又は「生物学的に純粋な」という用語は、天然状態で見られる通常はそれに付随する成分を様々な程度に含まない物質を指す。「単離する」は、元の供給源又は環境からのある程度の分離を示す。「精製する」は、単離よりも高い分離度を示す。「精製された」又は「生物学的に純粋な」タンパク質は、いかなる不純物もタンパク質の生物学的特性に実質的に影響を及ぼしたり、その他の有害な帰結を引き起こしたりしないように、その他の材料を十分に含まない。すなわち、核酸又はペプチドは、本明細書の用法では、組換えDNA技術によって生成されるときは、細胞材料、ウイルス材料又は培養培地を実質的に含まず、又は化学合成されるときは、化学物質前駆体又はその他の化学物質を実質的に含まない場合に、精製されている。純度及び均質性は、典型的には、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析法などの分析化学技術を使用して判定される。「精製された」という用語は、核酸又はタンパク質が、電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じさせることを意味し得る。例えば、リン酸化又はグリコシル化などの修飾を受け得るタンパク質については、異なる修飾は、別々に精製され得る、異なる単離されたタンパク質を生じさせてもよい。
「単離されたポリヌクレオチド」は、核酸分子が由来する生物の天然に存在するゲノム中で遺伝子に隣接する遺伝子を含まない、核酸(例えば、DNA)を意味する。したがって、この用語は、例えば、ベクターに組み込まれた組換えDNA、自律的に複製するプラスミド若しくはウイルスに組み込まれた組換えDNA、又は原核生物若しくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれた組換えDNA、又はその他の配列とは独立した別個の分子(例えば、PCR又は制限エンドヌクレアーゼ消化によって生成されたcDNA又はゲノム若しくはcDNAフラグメント)として存在する組換えDNAを含む。さらに、用語は、DNA分子から転写されたRNA分子、並びに1つ又は複数の追加的なポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAを含む。
「単離されたポリペプチド」は、それが天然に付随する成分から分離された、又は単離又は精製処理中に存在する成分から分離された、単離されたLCAT又は組換えヒトLCAT酵素などの本開示のポリペプチドを意味する。典型的には、ポリペプチドは、それが自然に結合している、タンパク質及び天然に存在する有機分子を少なくとも60重量%含まない場合に、単離されている。好ましくは、調製物の少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%は、本開示のポリペプチドである。本開示の単離されたポリペプチドは、例えば、天然源からの抽出によって、このようなポリペプチドをコードする組換え核酸の発現によって;又はタンパク質を化学的に合成することによって得られてもよい。純度は、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、又はHPLC分析などの任意の適切な方法によって測定され得る。
「用量」という用語は、例えば、治療又は治療法の利益などのために、薬剤に対する必要性を有する対象又は患者に(投与経路の限定することなく)投与される、小分子又は生物学的のような、薬剤、医薬品、化合物などの治療薬の測定された分量、量、又は濃度を指す。
「用量又は投与レジメン」は、本明細書の用法では、例えば、数日間、数週間、数ヶ月、数年間などの所定の治療期間(治療の長さ)にわたり、特定の投与頻度(薬剤が投与される回数)で対象に投与される、(rhLCAT又はMEDI6012などのLCATの)用量又は投与量を指す。
本明細書で使用される「負荷用量」は、例えば、体内の薬物の量又は濃度を適切な治療レベルに維持するより低用量又は維持用量の薬物を投与する前に、rhLCAT(MEDI6012)などの薬物の比較的大きな量又は濃度(ボーラス用量など)を治療過程の開始時に投与し、対象における薬物、特に体内からのクリアランスが遅い(全身半減期が長い)薬物の初期効果、曝露又は影響を提供することを指す。一般に、負荷用量を提供することは、体内で薬物の治療レベルに達するのに要する時間を加速させる。より具体的には、LCAT(例えば、rhLCAT又はMEDI6012)が記載される用量で投与される本明細書に記載される方法では、負荷用量は、例えば、HDL−C及び/又はapoA1のレベル又は量の増加などの所望のPD効果が達成されるまでの時間を加速させる。負荷用量の計算は、一般に4つの変数、すなわち、薬剤の所望のピーク濃度、C;体内での薬物の分布容積、V;薬物の生物学的利用能、F;及び体内で活性な薬物(又は薬物の塩の形態)の割合、Sを伴う。負荷用量は、次のように計算されてもよい:
静脈内投与される薬剤では、薬物が血流中に直接導入されるため、生物学的利用能Fは1に等しくなる。
「維持用量」は、体内の薬物の量又は濃度を適切な治療レベルに維持する、単離精製されたLCAT(例えば、本明細書に記載されるrhLCAT又はMEDI6012)などの薬物又は薬剤の用量を指す。薬物又は薬剤の維持用量は、薬物又は薬剤の初回用量(例えば、負荷用量)又は以前の用量の投与後に、所定時間で及び/又は反復所定時間間隔で(例えば、毎週、毎月など)、投与されることが多い。薬物又は薬剤の維持用量は、典型的には、負荷用量よりも低く又は著しくより低い。薬物又は薬剤の維持用量は、初回用量又は負荷用量、又は以前の用量に続いて、長期間にわたり対象に投与されてもよい。
コレステロール逆輸送(RCT)は、胆汁中の再利用又は排泄のために、コレステロールが血漿コンパートメントを介して末梢組織から肝臓に戻る、正味移動をもたらす多段階過程である。細胞コレステロール流出は、LCATと連携して作用する高密度リポタンパク質(HDL)によって媒介される。RCT経路の主要なステップは、細胞からの遊離コレステロールの排出とプレβHDLによる結合、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)によるHDL結合コレステロールのエステル化、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)が媒介するHDLとapoB含有粒子間のコレステリルエステルとトリグリセリドの交換、及び肝リパーゼ(HL)が媒介する肝臓によるコレステロールとトリグリセリドの取り込みである。したがって、HDLに蓄積するコレステリルエステルは、低密度リポタンパク質(LDL)受容体による、HDL含有アポリポタンパク質の肝臓への取り込み(粒子の取り込み);スカベンジャー受容体B1(SRB1)が関与する、肝臓又はその他の組織へのHDLコレステリルエステルの選択的取り込み;又はコレステリルエステル転移タンパク質の活性の結果としてのトリグリセリドに富むリポタンパク質への移行と、トリグリセリドに富むリポタンパク質残遺物の肝臓へのその後の取り込みなど、いくつかの異なる運命をたどり得る。
「参照」又は「対照」は、プラセボなどの比較基準を意味する。
治療の文脈における「応答性」は、治療を受け易いことを意味する。
「生物学的サンプル」又は「サンプル」は、対象から得られた任意の液体、細胞又は組織を意味する。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルは、血液、血清、血漿、脳脊髄液、気管支肺胞洗浄液、痰、涙、唾液、尿、精液、糞便などである。細胞又は組織のサンプルを適当な緩衝液中でさらに処理して、その中で細胞及び組織の細胞内成分が提供される、ホモジネート又は懸濁液が生成されてもよい。特定の実施形態では、血液、血漿、又は血清サンプルは、バイオマーカー及びマーカー(例えば、PDマーカー)の検出及び定量化のために利用される。
「対象」は、ヒト患者などのヒト、非ヒト霊長類、又はウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、又はネコ科動物などの非ヒト哺乳類をはじめとするが、これに限定されるものではない、哺乳類を意味する。一実施形態では、対象はヒトである。一実施形態では、対象は、心臓(heart)(心臓(cardiac))の病状又は疾患、又は心血管疾患又は症候群、及び/又はその症状を有する、又はそのリスクを有する、又はその治療を受けている、ヒト患者である。一実施形態では、心臓の病状を有する対象は、動脈硬化症又は冠動脈疾患を有してもよい。
本明細書で提供される範囲は、最初に記載される値と最後に記載される値を含む、範囲内の全ての値の省略表現であると理解される。例えば、1〜50までの範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50からなる群から任意の数、数の組み合わせ、又はサブ範囲を含むものと理解される。
「医薬組成物」又は「製剤」は、ヒトをはじめとする、動物又は哺乳類などの対象における医薬的使用に適した組成物(生理学的に許容される組成物)を指す。医薬組成物は、治療的又は予防的有効量のMEDI6012と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、ビヒクル、又は希釈剤とを含んでなる。一実施形態では、医薬組成物は、活性成分(MEDI6012又はrhLCAT);及び担体を構成する不活性成分;並びに任意の2つ以上の成分の組み合わせ、複合体又は凝集から、又は成分の1つ又は複数の解離から、又は成分の1つ又は複数のその他の各種反応又は相互作用から、直接的又は間接的に生じる任意の生成物を含んでなる、組成物を包含する。一実施形態では、医薬組成物は、任意選択的に、別の生物学的活性剤、化合物、薬剤、又は医薬を含む。したがって、本開示の医薬組成物は、rhLCAT又はMEDI6012と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、ビヒクル、又は希釈剤とを混合することによって製造される、任意の組成物を包含する。
「薬学的に許容可能な担体」は、リン酸塩緩衝食塩水、任意選択的に別の生物学的活性剤、デキストロースの水性(例えば、5%)溶液、及びエマルション(例えば、油/水又は水/油エマルション)などの標準的な薬学的担体、緩衝剤などのいずれかを指す。賦形剤の非限定的例としては、アジュバント、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑剤、滑剤、甘味剤、香味剤、及び着色剤が挙げられる。適切な薬学的担体、賦形剤、ビヒクル、及び希釈剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Ed.(Mack Publishing Co.,Easton,1995(又はこの参考文献の最新版))にあり得る。組成物又は製剤に含めるのに適した薬学的担体は、典型的には、例えばMEDI6012などの活性剤の意図された投与様式に依存する。例示的な投与様式としては、経腸(例えば、経口)又は非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内又は腹腔内注射;静脈内輸液、又は局所、経皮、又は経粘膜投与)が挙げられる。
「薬学的に許容可能な塩」は、金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)、及びアンモニア又は有機リン酸の塩をはじめとするが、これに限定されるものではない、医薬的使用のための化合物に製剤化され得る塩を指す。
「薬学的に許容可能」、「生理学的に許容可能」、又は「薬理学的に許容可能」は、生物学的、生理学的、又は別の様式で有害でない物質を指し、すなわち、物質は、いかなる望ましくない生物学的効果も引き起こすことなく、又は有害な様式で、それがその中に含まれる組成物の成分のいずれかと、又は個体の身体上若しくは体内に存在するいかなる成分と相互作用することなく、個体に投与されてもよい。
「生理学的状態」は、ヒトなどの動物又は哺乳類の体内の状態を指す。生理学的状態としては、体温と、生理学的イオン強度、pH、及び酵素などの水性環境とが挙げられるが、これらに限定されない。生理学的状態はまた、正常なヒト体温(約37℃)又は正常なヒト血液pH(約7.4)など、大部分の対象に存在する「正常」な状態と異なる、特定の対象の体内の状態も包含する。
本明細書の用法では、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、「治療」などの用語は、障害及び/又はそれに関連した症状を軽減、減少、軽減、緩和、抑止、又は改善することを指す。除外されるものではないが、障害又は病状を治療することは、障害、病状又はそれに関連した症状を完全に除去することを必要としないことが理解されるであろう。「治療」は、予防的治療又は治療的治療又は診断的治療を指してもよい。特定の実施形態では、「治療」は、治療目的、予防目的、又は診断目的のために、化合物又は組成物を対象に投与することを指す。
記載される方法に従って、治療すること又は治療は、本明細書に記載されるような活性成分(単離精製されたLCAT、rhLCAT又はMEDI6012)の投与を含む。一実施形態では、単離精製されたLCAT、rhLCAT又はMEDI6012は、それを必要とする対象に静脈内投与される。当該技術分野の当業者によって理解されるように、静脈内投与は、一般に、単離精製されたLCAT、rhLCAT又はMEDI6012などの活性成分、治療薬、物質、薬剤、又は薬物を対象の静脈又は血管に提供又は送達し、活性成分を対象の体循環に送達することを指す。静脈内投与は、例えば、シリンジ及び針又はカテーテルの手段による、静脈内注射又は静脈内輸液等を含んでなってもよい。静脈内注射又は輸液は、活性成分が、チューブを通じて輸液バッグ内に送達され、次にカテーテル及び/又は対象の体内に配置されたポートを通じて、医師によって慣例的及び実際的に決定される流速で、輸液バッグから対象内に送達されるような、プラスチックチューブ及び輸液バッグ(例えば、輸液セット)の使用を伴ってもよい。静脈内注射又は輸液は、ポンプの使用によって又は点滴を介して行われてもよい。例として、限定することなく、対象への静脈内輸液による、単離精製されたLCAT、rhLCAT又はMEDI6012などの活性成分又は薬物療法の投与は、例えば、約30分間〜約1時間以上、又は約1時間超などの時間にわたり行われてもよい。
一実施形態では、静脈内投与は、静注を含んでなってもよく、これは、単離精製されたLCAT、rhLCAT、又はMEDI6012などの活性成分又は薬物療法を対象の静脈又は血管へ送達すること(例えば、シリンジを通じた注射による)と理解される。静注は、静脈内ライン、針、又はカテーテルを通じて送達されてもよい。特定の実施形態では、静注は、典型的には、例えば、限定されるものではないが、30秒間〜3分間程度の期間、又は1〜10分間程度の時間、又は1〜5分間程度の時間、又は1〜3分間程度の時間、又は1〜2分間程度の時間、又は1分間程度の時間などの比較的短時間をかけてシリンジを介して手動で対象に送達される、単離精製されたLCAT、rhLCAT又はMEDI6012(薬物又は薬物療法)の静脈内注射又は輸液を指す。静注は、典型的には、シリンジを介して対象に投与される。静注は、シリンジを通じて、短い又は長いIVラインから、対象の静脈又は血管内に送達されてもよい。特定の実施形態では、単離精製されたLCAT、rhLCAT又はMEDI6012は、1〜3分間程度の時間をかけて静注によって対象に投与される。
「予防的治療」(予防的又は保護的治療など)は、疾患、病理、又は病状を発症するリスク、又は疾患、病理、又は病状のより深刻な又は重篤な形態を発症するリスクを低減し、減少させ、緩和し、又は除去する目的で、疾患の徴候を示さない、又は疾患の初期徴候のみを示す、又は疾患を有するリスクがある対象に施される治療である。本開示のrhLCAT又はMEDI6012化合物又はその組成物は、対象が疾患、病理又は状態を発症する可能性を低減させるために、又は対象に疾患、病理又は病状が発症した場合にその重症度を最小化するために、予防的又は保護的治療として投与されてもよい。
「治療的」治療は、徴候又は症状を低減し、減少させ、緩和し、又は除去する目的で、疾患又は病理の徴候又は症状を示す対象に施される治療である。疾患又は病理の徴候又は症状は、限定することなく、生化学的、行動的、細胞性、表現型、遺伝子型、組織学的、機能的、身体的、主観的、又は客観的であってもよい。本開示の組換えヒトLCAT(rhLCAT)又はMEDI6012はまた、治療的治療として又は診断のために投与されてもよい。
本明細書の用法では、障害又は病状を「予防する」治療薬は、統計的なサンプルにおいて、未治療の対照又は参照サンプルと比較して、治療済みサンプル中の障害又は病状の発生を低減させる;又は未処理参照又は対照サンプルと比較して、障害又は病状の1つ又は複数の症状の発症を遅延させ又は重症度を低減させる、化合物又は物質を指す。一実施形態では、MEDI6012は、本明細書に記載される方法における予防的治療薬である。
「有効量」という用語は、対象の健康状態、病理、又は疾患に関連した、又は診断目的のために、所望の結果(例えば、症状の減少、緩和、除去、又は改善)を生じるのに十分な投与量を指す。所望の結果は、用量又は投与量が投与される対象における、主観的又は客観的改善を含んでなってもよい。「治療的有効量」は、健康に対する有益な効果を生じるのに有効な薬剤の量を指す。任意の特定の患者に対する特定の投与レベルと頻度は、用いられる特定の化合物の活性;その化合物の生物学的利用能、代謝安定性、排泄速度及び作用の長さ;化合物の投与の様式及び時間;患者の年齢、体重、総体的な健康、性別、及び食生活;患者の特定の病状の重症度をはじめとする、様々な要因に任意に依存することが理解されるであろう。
「タンパク質」、「ペプチド」、及び「ポリペプチド」という用語は、長さ又は翻訳後修飾(例えば、グリコシル化又はリン酸化)に関係なく、アミノ酸鎖を指す。したがって、本明細書では、用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために同義的に使用され得る。用語はまた、1つ又は複数のアミノ酸残基が、対応する天然アミノ酸の人工的な化学模倣薬である、アミノ酸ポリマーにも適用される。したがって、「ポリペプチド」という用語は、完全長の天然に存在するタンパク質;並びに完全長の天然に存在するタンパク質に対応し、又は天然に存在するタンパク質の特定のドメイン若しくは部分に対応する、組換え又は合成によって製造されたポリペプチドを含む。用語はまた、原核細胞における発現を促進するために、アミノ末端メチオニンが付加された成熟タンパク質も包含する。ポリペプチドは化学合成され得て、又は組換えDNA法によって合成され得て;又はそれらは標準的な生化学的精製法に従って、それらがその中で天然に発現された組織から精製され得る。「機能的ポリペプチド」は、例えば、LCAT酵素タンパク質などの所与のタンパク質又はポリペプチドの1つ又は複数の生物学的機能又は活性を有する。機能的ポリペプチドは、ヒトLCATタンパク質の標準配列であると考えられるものから修飾された、一次アミノ酸配列を含有してもよい。好ましくは、このような修飾は、タンパク質の正常な機能又は活性を変化させず、又は実質的に変化させない、保存的アミノ酸置換である。ポリペプチド断片、部分、又はセグメントは、特定の配列からの少なくとも約6個の連続したアミノ酸、より典型的には少なくとも約10〜12個の連続したアミノ酸の一続きのアミノ酸残基を指す。
本開示のLCATなどのポリペプチドをコードする核酸分子(ポリヌクレオチド)は、例えば、ヒトLCATなどの開示されたポリペプチド、又はその断片をコードする、任意の核酸分子を含む。このような核酸分子は、内因性核酸配列と100%同一である必要はないが、典型的には実質的な同一性を示すであろう。内因性配列との「実質的同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的には、二本鎖核酸分子の少なくとも1本の鎖とハイブリダイズできる。内因性配列との「実質的同一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的には、二本鎖核酸分子の少なくとも1本の鎖とハイブリダイズできる。「ハイブリッド形成する」は、様々なストリンジェンシー条件下で、相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、遺伝子)又はその一部の間に、二本鎖分子を形成するための対形成を意味する。(例えば、Wahl,G.M.and S.L.Berger,1987,Methods Enzymol.,152:399;Kimmel,A.R.,1987,Methods Enzymol.,152:507を参照されたい)。
416アミノ酸のヒトLCATをコードする、ゲノムDNAが単離された。(例えば、米国特許第6,635,614号明細書を参照されたい)。マウスからのLCATのヌクレオチド及び推定アミノ酸配列は、CH.Warden et al.,1989,J.Biol Chem.,264:21573−81に記載される。哺乳類のLCAT(特に、ヒトLCAT)、又はその酵素的に活性な対立遺伝子変異は、記載される方法において有用であってもよく、LCATの酵素活性を保有する酵素の断片を含むその他の変異型についても同様である。ポリヌクレオチド又は遺伝子の文脈における「対立遺伝子変異」は、集団において2つ以上の形態で存在する遺伝子の代替形態(対立遺伝子)である。ポリペプチドレベルでは、「対立遺伝子変異」は、一般に、1つだけ、又は最大で数個のアミノ酸置換だけ互いに異なる。ポリヌクレオチド又はポリペプチドの「種変異」は、異なる生物種間で、多様性が天然に存在するものである。
非限定的な例として、ストリンジェントな塩濃度は、通常、約750mMのNaCl及び75mMのクエン酸三ナトリウム未満、好ましくは約500mMのNaCl及び50mMのクエン酸三ナトリウム未満、より好ましくは約250mMのNaCl及び25mMのクエン酸三ナトリウム未満である。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、例えば、ホルムアミドなどの有機溶媒の非存在下で得られ得る一方で、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、少なくとも約35%のホルムアミド、より好ましくは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で得られ得る。ストリンジェントな温度条件としては、通常、少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約37℃、最も好ましくは少なくとも約42℃の温度が挙げられる。ハイブリダイゼーション時間、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤の濃度、及びキャリアDNAの包含又は排除などの変動する追加のパラメータは、当業者に良く知られている。様々なレベルのストリンジェンシーは、必要に応じてこれらの様々な条件を組み合わせることで達成される。特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム、及び1%SDS中で30℃で行われる。別の特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1%SDS、35%ホルムアミド、及び100μg/mlの変性サケ精子DNA(ssDNA)中で、37℃で行われる。別の特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1%SDS、50%ホルムアミド、及び200μg/mlのssDNA中で、42℃で行われる。これらの条件の有用なバリエーションは、当業者には容易に明らかであろう。
ほとんどの用途では、ハイブリダイゼーションに続く洗浄ステップもまた、ストリンジェンシーによって変動する。洗浄ストリンジェンシー条件は、塩濃度及び温度によって定義され得る。上記のように、塩濃度を下げ又は温度を上げることによって、洗浄ストリンジェンシーを高め得る。例えば、洗浄ステップのためのストリンジェントな塩濃度は、約30mMのNaCl及び3mMのクエン酸三ナトリウム未満であり、特に、約15mMのNaCl及び1.5mMのクエン酸三ナトリウム未満であろう。洗浄ステップのためのストリンジェントな温度条件としては、通常、少なくとも約25℃、又は少なくとも約42℃、又は少なくとも約68℃の温度が挙げられる。特定の実施形態では、洗浄ステップは、30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%SDS中で、25℃で行われる。別の特定の実施形態では、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%SDS中で、42℃で行われる。別の特定の実施形態では、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、及び0.1%SDS中で、68℃で行われる。これらの条件の追加的なバリエーションは、当業者には容易に明らかであろう。ハイブリダイゼーション技術は、当業者に良く知られており、例えば、Benton and Davis(Science,196:180,1977);Grunstein and Hogness(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,72:3961,1975);Ausubel et al.(Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,New York,2001);Berger and Kimmel(Guide to Molecular Cloning Techniques,1987,Academic Press,New York);及びSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New Yorkに記載される。
「実質的に同一」は、参照アミノ酸配列又は核酸配列と、少なくとも50%の同一性を示すポリペプチド又は核酸分子を意味する。このような配列は、比較のために使用される配列と、アミノ酸レベル又は核酸で、少なくとも60%、又は少なくとも80%又は85%、又は少なくとも90%、95%、又は99%の同一性を有してもよい。
配列同一性は通常、配列解析ソフトウェアを使用して測定される(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,Wis.53705;BLAST、BESTFIT、GAP、又はPILEUP/PRETTYBOXプログラム)。このようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、及び/又はその他修飾について、相同性の程度を割り当てることによって、同一又は類似の配列を適合させる。保存的置換としては、典型的には、以下のアミノ酸グループ内の置換が挙げられる:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を決定するための例示的なアプローチでは、BLASTプログラムが使用されてもよく、e−3〜e−100の間の確率スコアは、密接に関連した配列を示唆する。
本開示において、「含んでなる(comprises)」、「含んでなる(comprising)」、「含有する」、及び「有する」などは、米国特許法においてそれらに帰するとされる意味を有し得て、「含む(includes)」、「含む(including)」などを意味し得て;「から本質的になる」又は「本質的になる」は、同様に米国特許法において帰するとされる意味を有し、用語は開放型であり、列挙されたものの基本的又は新規な特性が、列挙されたものを超える存在によって変更されない限り、列挙されたものを超える存在を許容するが、先行技術の実施形態は除外される。
具体的に記載されており又はその文脈から明らかでない限り、「又は」という用語は、本明細書の用法では包括的であると理解される。具体的に記載されており又は文脈から明らかでない限り、「a」、「an」、及び「the」という用語は、本明細書の用法では単数形又は複数形であると理解される。
具体的に記載されており又は文脈から明らかでない限り、「約」という用語は、本明細書の用法では、例えば、平均の2標準偏差内などの当該技術分野の通常の許容差の範囲内として理解される。「約」という用語は、記載値の5%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内を指すと理解される。文脈から明らかである場合を除き、本明細書で提供される全ての数値は、約という用語によって修正される。
本明細書で提供される任意の組成物又は方法は、本明細書で提供されるその他の組成物及び方法のいずれか1つ又は複数と組み合わされ得る。
本明細書の実施例1に記載される、第IIa相単回漸増用量(SAD)臨床試験(SAD臨床試験D5780C00002)のデザインの図式的概観を提示する。この試験に登録されたコホートは、安定型冠動脈疾患(CAD)を有し、スタチン治療を受けていた集団を代表した。この試験には、最近の不安定型狭心症又は心筋梗塞(MI)、脳卒中、一過性虚血発作(TIA)又はミニ脳卒中、又は血管介入がある対象は含まれていなかった。試験からは、60mg/dLを超えるHDL−Cレベル、75歳を超える男女、150mg/dLを超えるLDL−C値(標準的な臨床検査による直接測定)、500mg/dLを超えるトリグリセリド(TG)レベルを有した対象が、さらに除外された。図1では、「活性」という用語は、静脈内(IV)投与によって送達される24mg、80mg、240mg、及び800mg;及び皮下(SC)注射によって送達される80mg及び600mgの示された用量で、各コホートの対象に投与されたMEDI6012 rhLCAT酵素を指す。「pbo」という用語は、試験において対象に投与されたプラセボを指す。 本明細書の実施例1に記載される第IIa相SAD試験で判定されたような、プラセボと比較した、24、80、240、又は800mgの用量でMEDI6012を静脈内(IV)投与を介して投与された対象における、LDL−Cの経時的な血清濃度(レベル)(標準的な臨床検査による直接測定)のグラフを示す。図2Aは、MEDI6012の単回IV用量を投与された対象における、経時的なLDL−Cの血清濃度(標準的な臨床検査による直接測定)を示す。図2Bは、図2Aで記載されるような、MEDI6012の単回IV用量を投与された対象における、経時的なLDL−Cの血清濃度(標準的な臨床検査による直接測定)のベースラインからの変化を示す。 本明細書の実施例1に記載される第IIa相SAD試験で判定されたような、プラセボと比較した、24、80、240、又は800mgの用量でMEDI6012を静脈内(IV)投与を介して投与された対象における、血清中のアポリポタンパクB(apoB)の経時的な濃度を示すグラフである。図3Aは、MEDI6012の単回IV用量(24、80、240又は800mgのIV用量)を投与された対象における、経時的なapoBの血清濃度を示す。図3Bは、図3Aで記載されるような、MEDI6012の単回IV用量を投与された対象における、経時的なapoBの血清濃度のベースラインからの変化を示す。 本明細書の実施例1に記載される第IIa相SAD試験で判定されたような、プラセボと対比した、80mg又は600mgの用量でMEDI6012を皮下(SC)投与によって与えられた対象における、又はプラセボと対比した、24mg、80mg、240mg、又は800mgの用量でMEDI6012を静脈内(IV)投与によって与えられた対象における、経時的なHDL−Cの血清濃度のグラフを示す。図4Aは、プラセボ対照と比較した、MEDI6012のSC用量(80mg又は600mgの用量)を投与された対象における、経時的なHDL−Cの血清濃度を示す。図4Bは、プラセボ対照と比較した、MEDI6012のSC用量(80mg又は600mgの用量)を投与された対象における、経時的なHDL−Cの血清濃度のベースラインからの変化を示す。図4Cは、プラセボ対照と比較した、MEDI6012のIV用量(24mg、80mg、240mg、又は800mgの用量)を投与された対象における、経時的なHDL−Cの血清濃度を示す。図4Dは、プラセボ対照と比較した、MEDI6012のIV用量(24mg、80mg、240mg、又は800mgの用量)を投与された対象における、経時的なHDL−Cの血清濃度のベースラインからの変化を示す。 本明細書の実施例1に記載される第IIa相SAD試験で判定されたような、プラセボと比較した、80又は600mgの用量のMEDI6012を皮下(SC)投与を介して投与された対象における、LDL−Cの経時的な血清濃度(レベル)(標準的な臨床検査による直接測定)のグラフを示す。図5Aは、MEDI6012の単回SC用量(80又は600mgのSC用量)を投与された対象における、経時的なLDL−Cの血清濃度(標準的な臨床検査による直接測定)を示す。図5Bは、図5Aで記載されるような、MEDI6012の単回SC用量を投与された対象における、経時的なLDL−Cの血清濃度(標準的な臨床検査による直接測定)のベースラインからの変化を示す。 本明細書の実施例1に記載される第IIa相SAD試験で判定されたような、プラセボと比較した、80又は600mgの用量のMEDI6012を皮下(SC)投与を介して投与された対象における、血清中のapoBの経時的な濃度を示すグラフである。図6Aは、MEDI6012の単回SC用量(80mg又は600mgのSC用量)を投与された対象における、経時的なapoBの血清濃度を示す。図6Bは、図6Aで記載されるような、MEDI6012の単回SC用量を投与された対象における、経時的なapoBの血清濃度のベースラインからの変化を示す。 本明細書の実施例1に記載される第IIa相SAD試験で判定されたような、プラセボと対比した、80mg又は600mgの用量のMEDI6012を皮下(SC)投与によって与えられた対象における、又は24mg、80mg、240mg、又は800mgの用量のMEDI6012を静脈内(IV)投与によって与えられた対象における、経時的なapoA1の血清濃度のグラフを示す。図7Aは、MEDI6012のSC用量(80mg又は600mgの用量)を投与された対象における、経時的なapoA1の血清濃度を示す。図7Bは、MEDI6012のSC用量(80mg又は600mgの用量)を投与された対象における、経時的なapoA1の血清濃度のベースラインからの変化を示す。図7は、プラセボ対照と比較した、MEDI6012のIV用量(24mg、80mg、240mg、又は800mgの用量)を投与された対象における、経時的なapoA1の血清濃度を示す。図7Dは、プラセボ対照と比較した、MEDI6012のIV用量(24mg、80mg、240mg、又は800mgの用量)を投与された対象における、経時的なapoA1の血清濃度のベースラインからの変化を示す。 本明細書の実施例2の複数回漸増用量(MAD)臨床試験(MAD臨床試験D5780C00005)で記載されるような、プラセボと比較した、MEDI6012の投与後にコホート1〜3の対象から得られたサンプルで測定された、HDL−C(図8A)、HDL−CE(図8B)、apoA1(図8C)、及びCE(図8D)の経時的な血清濃度のベースラインからの変化を示すグラフを提示する。経時的なHDL−C、HDL−CE、apoA1、及びCEの用量依存的増加は、MAD試験において、プラセボと比較した、MEDI6012の複数回投与レジメン(すなわち、1、8、15日目に静脈内投与された40mg、120mg、又は300mgのMEDI6012)を受けたコホート1〜3の対象で見られた。対象からのサンプルで測定された前述の生成物(バイオマーカー)の用量依存的増加は、当業者によって理解されるように、LCATの作用機序と一致する。 本明細書の実施例2のMAD試験で記載されるような、MEDI6012の投与後のコホート1〜3の対象におけるLDL−Cレベルを示す、グラフ及び濃度曲線下面積(AUC)箱ひげ図を提示する。図9Aは、(上記の図8A〜8D及び実施例2に記載されるような)プラセボと比較した、コホート1〜3の対象から得られたサンプルのLDL−Cの経時的な血清濃度(標準的な臨床検査による直接測定)のベースラインからの変化を示す。図9Bは、実施例2のMAD試験における、コホート1及び2の対象のLDL−CのAUC0−96hを示す。LDL−Cの増加は、120mgのMEDI6012の第1の用量後、及び40mgと120mgの双方の第3の用量後に観察された。しかし、LDL−Cの増加は、対象で同時に測定されたapoBの静的な(又は減少した)レベルの観点から、有害と考えられなかった。(以下の図10A及び10Bを参照されたい)。 本明細書中の実施例2のMAD試験で記載されるような、MEDI6012の投与後のコホート1〜3の対象におけるapoBレベルを示す、グラフ及びAUC箱ひげ図を提示する。図10Aは、(上記の図8A〜8D及び実施例2に記載されるような)プラセボと比較した、コホート1〜3の対象から得られたサンプルの経時的なapoBの血清濃度のベースラインからの変化を示す。図10Bは、実施例2のMAD試験における、コホート1及び2の対象のapoBのAUC0−96hを示す。apoBの増加は観察されず、MEDI6012の用量と投与レジメンに関連したLDL粒子の有害な増加がなかったことが示唆された。 本明細書の実施例2のMAD試験で記載されるような、プラセボと比較した、MEDI6012の用量(80mg、120mg、又は300mg)の投与後にコホート1〜3の対象から得られたサンプルで測定された、総コレステロール(TC)(図11A)及び遊離コレステロール(FC)(図11B)の経時的な血清濃度のベースラインからの変化を示すグラフを提示する。 本明細書の実施例2及び3に記載されるような、160mg、200mg、240mg、280mg、及び320mgの示された量のMEDI6012の負荷用量を対象に1分間かけて静注を介して投与した後の対象のサンプル(血清)における、モデル化/シミュレーション解析によって予測され予期された、ベースライン補正済みHDLレベル(図12A)及びApoA1レベル(図12B)をmg/dL単位で示すグラフを提示する。上記及び下記の図の説明で言及されるモデル化/シミュレーション解析及び評価は、主に、本明細書の実施例1及び2に記載されるような単回漸増用量(SAD)及び複数回漸増用量(MAD)臨床試験から得られたデータ及び結果に基づいて実施された。 1日目に300mg(負荷用量);3日目に150mg;10日目に100mg(維持用量)のMEDI6012の投与レジメンを対象に1分間かけて静注を介して投与したモデル化/シミュレーション解析によって予測され予期された、経時的なベースライン補正済みHDL濃度(図13A)及びapoA1濃度(図13B)をmg/dL単位で示すグラフを提示する。 プラセボと比較した、MEDI6012の静脈内投与(IV)又は皮下投与(SC)後のLCAT酵素用量のモデル化/シミュレーション解析の選択基準としてのHDL2の増加を示すグラフを提示する。図に示されるのは、24mg、80mg、240mg、又は800mgのMEDI6012のIV投与後、又は80mg又は600mgのMEDI6012のSC投与後の経時的なHDL2(mg/dL)の血清レベルである。HDL2は、心保護因子であるスフィンゴシン−1−リン酸(S1P)をより容易に受け入れる、有益な心保護因子HDLのサブクラスである。観察されたように、240mgを超える量のMEDI6012の用量は、HDL2のさらなる増加をもたらさなかった。 Sattler,K.et al.(2015,J.Am.Coll.Cardiol.,66:1470−1485)によって報告されるように、HDL2がHDL−3と比較して、より多くのスフィンゴシン−1−リン酸(S1P)を保有し、受け入れるHDL亜種であることを示す。 60mg/dL(ベースライン=35)を超える血清HDL−C濃度を達成するMEDI6012の負荷用量と維持用量の選択基準を用いた、モデリング/シミュレーション解析結果に基づいて、予測されたベースライン補正済みHDL−C濃度(mg/dL)を経時的に示すグラフを提示する。図15Aは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、160mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なHDL−C濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図15Bは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、100mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なHDL−C濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図15Cは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、120mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なHDL−C濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図15Dは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、80mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なHDL−C濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。 定常状態apoA1レベルを維持するMEDI6012の負荷用量と維持用量の選択基準を用いた、モデリング/シミュレーション解析結果に基づいて、予測されたベースライン補正済みapoA1濃度(mg/dL)を経時的に示すグラフを提示する。図16Aは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、160mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なapoA1濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図16Bは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、100mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なapoA1濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図16Cは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、120mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なapoA1濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図16Dは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、80mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なapoA1濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。 小LDL−Pの量の減少を達成する異なる用量(静脈内投与又はSC投与)のMEDI6012について観察された、経時的な総小LDL粒子(LDL−P)(nmol/L)を示すグラフを提示する。MEDI6012用量群は、プラセボと比較した、24mg、80mg、240mg、及び800mgのIV投与と、80mgの量のSC投与とを含んだ。小LDL−Pの減少は、80mg(IV)の量のMEDI6012用量で約40〜41%、240mg(IV)の量のMEDI6012用量で80%と判定された。 最小又は皆無のCEの蓄積をもたらすMEDI6012の負荷用量と維持用量の選択基準を用いた、モデリング/シミュレーション解析結果に基づいて、予測されたベースライン補正済みコレステリルエステル(CE)(mg/dL)を経時的に示すグラフを提示する。図18Aは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、160mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なCE濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図18Bは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、100mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なCE濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図18Cは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、120mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なCE濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図18Dは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、80mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なCE濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。 適したCEの蓄積を達成するMEDI6012の負荷用量と維持用量の選択基準を用いた、モデリング/シミュレーション解析結果に基づいて、予測されたベースライン補正済みコレステリルエステル(CE)(mg/dL)を経時的に示すグラフを提示する。図19Aは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、160mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なHDL−CE濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図19Bは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、100mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なHDL−CE濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図19Cは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、120mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なHDL−CE濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図19Dは、異なる負荷用量(LD)(160mg、200mg、240mg、280mg、又は320mgのLD)のMEDI6012と、80mgの維持用量のMEDI6012を使用した、経時的なHDL−CE濃度(mg/dL)の予測され予期された結果を示す。図18A〜18D及び図19A〜19Dはどちらも、CE蓄積が起こる一方で、それはLDLで起こり、HDL−CEでは起こらないことを示す。記載される方法に従って、対象に投与されるLCAT(例えば、rhLCAT又はMEDI6012)の維持用量は、最小又は皆無のCE蓄積をもたらす用量である。 SAD試験の対象への投与後に、LCAT酵素(MEDI6012)の活性に起因する、わずか又は皆無のVVVL−HDL粒子と、わずかなVL−HDL粒子(mg/dL)を達成した、MEDI6012の観察された用量を示すグラフを提示する。解析結果から観察されるように、240mgのMEDI6012の用量は、VVL−HDLの2mg/dLの増加と、VL−HDLの17mg/dLの増加をもたらした。80mgの用量のMEDI6012は、VVL−HDLの皆無の増加と、VL−HDLの2mg/dLの増加をもたらした。 は、Bosch,R.et al.,Poster entitled“A mechanism−based model is able to simultaneously explain the effect of rhLCAT and HDL mimetics on biomarkers of reverse cholesterol transport,”presented at the 2015 Population Approach Group in Europe(PAGE)Meeting,Hersonissos,Crete,Greece(後述の実施例3)によって報告されるように、コレステロール輸逆送(RCT)に関連したrhLCAT ACP501投与のために実施されたモデル化に基づいて、MAD試験のコホート4に対するMEDI6012のIV投与のために実施されたモデル化/予測に用いられた、モデル化パラメータの概略図を提示する。図21Aは、モデル特性の図式的概観を示す。図21Bは、RCTのための統合モデルの概略図を示す。図21A及び21Bでは、1)血流中の小プレβ−HDL粒子が、末梢組織からコレステロールを獲得することを示す。2)LCATが、コレステロールのCEへの変換を触媒することを示す。3)CEがHDL粒子の中心に移動し、それを大α−HDLにすることを示す。4)αHDL中のCEが、肝臓上のCETP及びLDL受容体によって、4a)直接又は4b)LDLを介して、肝臓に戻されることを示す。概略図中、太字パラメータ:文献値に固定;黒色パラメータ:定常状態条件(k84は10h−1に固定)に基づいて導出;灰色パラメータ:CSL112データを含めた後にNonmemで再推定。図21Cは、HDL−C及びapoA1の、図21A及び21Bに示されるような1つのモデルへの統合の説明を提示する。 本明細書の実施例3に記載されるMAD試験で判定されたような、プラセボと比較した、300mgのMEDI6012の用量(1日目)と、それに続く150mgのMEDI6012の用量(3日目)と、それに続く100mgのMEDI6012の用量(10日目)を静注によって投与された対象における、経時的なHDL−Cの血清濃度を示すグラフである。図22Aは、プラセボ対照と比較した、MEDI6012の静注投与レジメンを投与された対象における、経時的なHDL−Cの血清濃度を示す。図22Bは、プラセボ対照と比較した、MEDI6012の静注投与レジメンを投与された対象における、経時的なHDL−Cの血清濃度のベースラインからの変化を示す。 本明細書の実施例3に記載されるMAD試験で判定されたような、プラセボと比較した、300mgのMEDI6012の用量(1日目)と、それに続く150mgのMEDI6012の用量(3日目)と、それに続く100mgのMEDI6012の用量(10日目)を静注によって投与された対象における、経時的なLDL−Cの血清濃度(レベル)(標準的な臨床検査による直接測定)を示すグラフである。図23Aは、MEDI6012の静注投与レジメン投与された対象における、経時的な血清濃度LDL−C(標準的な臨床検査による直接測定)を示す。図23Bは、MEDI6012の静注投与レジメンを投与された対象における、経時的なLDL−Cの血清濃度(標準的な臨床検査による直接測定)のベースラインからの変化を示す。 本明細書の実施例3に記載されるMAD試験で判定されたような、プラセボと比較した、300mgのMEDI6012の用量(1日目)と、それに続く150mgのMEDI6012の用量(3日目)と、それに続く100mgのMEDI6012の用量(10日目)を静注によって投与された対象における、血清中のアポリポタンパクB(apoB)の濃度を示すグラフである。図24Aは、は、MEDI6012の静注投与レジメンンを投与された対象における、経時的なapoBの血清濃度を示す。図24Bは、MEDI6012の静注投与レジメンを投与された対象における、経時的なapoBの血清濃度のベースラインからの変化を示す。 本明細書の実施例3に記載されるMAD試験で判定されたような、プラセボと比較した、300mgのMEDI6012の用量(1日目)と、それに続く150mgの用量のMEDI6012(3日目)、それに続く100mgの用量のMEDI6012(10日目)を静注によって投与された対象における、経時的なapoA1の血清濃度を示すグラフである。図25Aは、は、MEDI6012の静注投与レジメンンを投与された対象における、経時的なapoA1の血清濃度を示す。図25Bは、MEDI6012の静注投与レジメンを投与された対象における、経時的なapoA1の血清濃度のベースラインからの変化を示す。 MAD試験のコホート3及びコホート4(0日目〜70日目)におけるMEDI6012投与からの観察データ(個々のデータ点:丸及び四角)と比較した、モデル化/シミュレーション解析(実線及び破線)から得られたベースライン補正済みHDL−Cレベルを示す。上記及び下記の図の説明で言及されるモデル化/シミュレーション解析は、主に、本明細書の実施例1及び2に記載されるようなSAD及びMAD臨床試験から得られたデータ及び結果に基づいて実施された。 MAD試験単独(0日目〜70日目まで)のコホート4における、MEDI6012投与からの予測モデル(破線)及び観察データ(丸)を示す。 MAD試験のコホート3及びコホート4(0日目〜5日目)におけるMEDI6012投与からの観察データ(個々のデータ点:丸及び四角)と比較した、モデル化/シミュレーション解析(実線及び破線)から得られたベースライン補正済みHDL−Cレベルを示す。 本明細書の実施例2及び3で定義されるような、MAD試験の全コホート(コホート1〜4)からの観察結果を示す。MAD試験のコホート1の対象は、1、8、及び15日目に、40mgのMEDI6012をIV輸液を介して投与された。MAD試験のコホート2の対象は、1、8、及び15日目に、120mgのMEDI6012をIV輸液を介して投与された。MAD試験のコホート3の対象は、1、8、及び15日目に、300mgのMEDI6012をIV輸液を介して投与された。MAD試験のコホート4の対象は、1日目に300mgの用量のMEDI6012、それに続いて3日目に150mgの用量のMEDI6012、それに続いて10日目に100mgの用量のMEDI6012を静注を介して投与された。図27Aは、MAD試験のコホート1〜4からの観察された経時的なHDL−Cの血清濃度のベースラインからの変化を示す。図27Bは、MAD試験のコホート1〜4からの観察された経時的なApoA1の血清濃度のベースラインからの変化を示す。図27Cは、MAD試験のコホート1〜4からの観察された経時的なLDL−C(直接)の血清濃度のベースラインからの変化を示す。図27Dは、MAD試験のコホート1〜4からの観察された経時的なApoBの血清濃度のベースラインからの変化を示す。 本明細書の実施例2及び3のMAD試験で記載されるような、MEDI6012の投与後におけるコホート1〜4からの対象のHDL−C、ApoA1、LDL−C、及びApoBのレベルを示す、第1の用量及び第3の用量の0〜96時間後における、濃度曲線下面積(AUC)箱ひげ図を提示する。図28Aは、MAD試験のコホート1〜4の対象のHDL−CのAUC0−96hを示す。図28Bは、MAD試験のコホート1〜4の対象のApoA1のAUC0−96hを示す。図28Cは、MAD試験のコホート1〜4の対象のLDL−CのAUC0−96hを示す。図28Dは、MAD試験のコホート1〜4の対象のApoBのAUC0−96hを示す。
本開示は、本明細書に記載されるような新たに開発された、臨床的に有益な用量と投与レジメンで、精製単離されたヒトレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素、特に、本明細書でMEDI6012と称される(以前はACP501として知られていた)組換えヒトレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(rhLCAT)酵素をそれを必要とする対象(患者)に投与することによって、心疾患、冠動脈心疾患及び/又はその他の心臓関連疾患及び病状を治療しそれから保護する方法を特徴とする。
本方法は、いくつかの心臓関連疾患及び病状を治療するために、rhLCAT又はMEDI6012の対象(患者)への投与を介して、治療的及び/又は予防的有効用量のLCAT酵素を提供する。方法は、遊離コレステロールをコレステリルエステル(CE)にエステル化するのに積極的な役割を果たすLCAT酵素を対象に直接提供して、高密度リポタンパク質(HDL)粒子の成熟を促進し、例えば、心疾患及び動脈硬化症のリスク低下に関連したapoA1及び/又は機能的なHDL−Cなどの脂質代謝産物の治療的血漿及び血清濃度を高めて維持する。したがって、rhLCAT又はMEDI6012などのLCAT酵素の用量と投与レジメンを伴う現在記載されている方法は、例えば、即時及び長期的心機能と全身の健康状態を脅かす、慢性又は急性心臓イベントを経験している患者などのそれを必要とする対象(患者)に、脳卒中(虚血性脳卒中)、動脈硬化症、心筋梗塞、又は心筋細胞アポトーシスなどの心臓及び心臓関連の疾患及び病理学に対する、効果的な治療及び保護を提供する。
特に、本方法は、例えば、原因を限定することなく、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状などの心疾患、冠動脈心疾患及び/又はその他の心臓関連疾患又は病状を有する対象を治療するための、記載される用量のrhLCAT又はMEDI6012の使用、及びrhLCAT又はMEDI6012投与スケジュールを伴う治療レジメンに関する、効果的な治療法の利益を提供する。
本方法の実施は、rhLCAT又はMEDI6012で治療された対象におけるLCAT酵素の増加、ひいては酵素活性の増加をもたらし、これは次に、対象においてCEレベルを増加させるようなコレステリルエステル(CE)を生成する。したがって、LCAT活性レベルの増加及び/又はコレステリルエステルの産生は、治療的投与及び治療の有効性のマーカーの役割を果たしてもよい。本明細書に記載される方法は、心疾患又は冠動脈疾患を有する患者などのそれを必要とする対象において、LCAT活性を治療レベルまで増加させるために、LCATを活性化するか、又はLCAT活性化剤としての役割を果たすrhLCAT又はMEDI6012を投与することをさらに包含する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される用量と投与レジメンに従ったrhLCAT又はMEDI6012の投与は、小分子又は生物製剤(例えば、ペプチド、ポリペプチド又はモノクローナル抗体)などの別のタイプのLCAT活性化剤を含み得る。
本方法の実施はまた、例えば、CAD又はMIなどの心疾患又は心血管系疾患のリスクの減少に関連したapoA1及び/又はHDL−Cなどのバイオマーカーの血清及び血漿中濃度(レベル)の増加をもたらし、体内における心疾患又は心血管系疾患によって引き起こされる有害な影響の改善をもたらす。方法はまた、心疾患又は治療の有害な転帰のリスクの増加に関連した、LDL−C粒子及びapoBなどのバイオマーカーの濃度(レベル)の変化又は改変を(又は減少さえも)もたらさない。「投与又は用量レジメン」、「治療レジメン」、「投与スケジュール」、及び「治療スケジュール」という用語は、本明細書で同義的に使用されるものと理解される。「対象」及び「患者」という用語もまた、本明細書で同義的に使用される。
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素
肝臓によって産生され分泌される血漿酵素糖タンパク質であるレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)は、血漿リポタンパク質中に存在する遊離(非エステル化)コレステロール及びホスファチジルコリン(レシチン)からのコレステリルエステル(CE)生成を触媒する。ヒトでは、血漿中のCEの約90%がLCAT酵素によって形成され、この反応は主にHDL(α−LCAT活性)上で起こり、より少ない程度でアポリポタンパク質B(apoB)含有粒子(β−LCAT活性)上で起こる。LCATによるコレステロールのエステル化は、小型円盤形態のHDL(プレβ−HDL及びα4−HDL粒子と称される)から、半減期がより長いより大型の球状形態のHDL(α1−3−HDL粒子と称される)への成熟を促進することにより、HDL(HDL−CE)レベルを維持するのに役立つ。ヒトでは、ほとんどのHDL−コレステリルエステル(HDL−CE)は、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)によって、最終的に、トリグリセリド(TG)と引き換えに、超低密度リポタンパク質(VLDL)、中密度リポタンパク質、及び低密度リポタンパク質(LDL)に移行する。
血清中のLCAT又はLCAT活性の量又は濃度は、例えば、蛍光定量アッセイなどの当業者に知られているいくつかの方法を用いて判定され得る。LCATの質量は、例えば、競合二重抗体放射免疫アッセイによって判定され得る。血清又は血液サンプル中の絶対的なLCAT活性を測定し、コレステロールのエステル化率を測定するための、日常的方法もまた知られている。J.J.Albers et al.,1986,Methods in Enzymol.,129:763−783;及びM.P.T.Gillett and J.S.Owens,Chapter 7b,Eds.:C.A.Converse and E.R.Skinner,in Lipoprotein Analysis−A Practical Approach,pp.187−201を参照されたい。非限定的な例として、LCAT活性は、酵素と、アポリポタンパク質A1(apoA1)を含む放射性標識レシチンコレステロールリポソーム基質とのインキュベーション後に、放射性標識コレステロールのコレステリルエステルへの変換を測定することによって判定され得る。内因性コレステロールエステル化率は、微量の放射性コレステロールで標識された新鮮な血漿を、4℃で[14C]コレステロール・アルブミン混合物と平衡化してインキュベーションした後に、標識されたコレステロールからコレステリルエステルへの変換率を測定することによって判定され得る。(米国特許第6,635,614号明細書を参照されたい)。内因性コレステロールエステル化率は、血清中に存在するLCAT活性の量だけでなく、血漿中に存在する基質と補因子の性質と量も反映するので、治療用LCAT活性のより良い尺度である。このようにして、コレステロールのエステル化率は、必ずしも生体内のLCATの質量又は絶対的なLCAT活性のどちらかに比例するものではない。別の方法では、LCATによる遊離コレステロールのエステル化コレステロールへの変換は、LCAT基質として二重標識ホスファチジルコリン(レシチン)を使用して測定され得る。未切断では、二重標識基質中のフルオロフォアは消光状態にあり、ホスファチジルコリンのsn−2位でのLCATによる加水分解に際して、蛍光性モノマー鎖が生成し、蛍光マイクロプレートリーダーで定量化され得る定量する。(Cell Biolabs,Inc.,San Diego,CA)。
MEDI6012−組換えヒトLCAT
MEDI6012(旧称:ACP501)は、細胞培養中のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から製造され、単離精製された、416アミノ酸からなるおよそ60キロダルトンのグリコシル化一本鎖酵素タンパク質である、組換えヒト(rh)レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)(rhLCAT)である。MEDI6012及びACP501は同一のアミノ酸配列を有しているため、同じ分子実体と考えられる。CHO細胞培養から得られたMEDI6012生成物は、タンパク質1mg当たりの酵素活性が高く、生成物関連及びプロセス関連純度が高く、ヒトへの使用に有利である。
本開示は、急性又は慢性心(心臓)疾患、心血管疾患、冠動脈疾患、動脈硬化性心血管疾患(CVD)、急性冠症候群(ACS)及び/又はそれらの症状の重篤な悪影響を治療し、低減し、又は改善させるために、投与レジメンにおいて対象に投与される治療用量のrhLCAT、MEDI6012が提供される方法を包含する。一実施形態では、ACSを有する患者における標準治療の補助として、虚血性イベントのリスクを低減するために、rhLCAT又はMEDI6012の治療的投与を伴う方法が提供される。別の実施形態では、rhLCAT又はMEDI6012の有効投与量の投与は、対象における心筋線維症及び肥大化を予防することによって、心臓病治療効果、心臓保護効果、及び抗アテローム発生(アテローム保護)効果及び心筋保護効果を与える。その他の実施形態では、有効投与量のrhLCAT又はMEDI6012の投与は、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに伴う、疾病、病理、又は病状を治療し及び/又はそれらに対する保護効果を提供する。
特定の理論に拘束されることは望まないが、心疾患及び/又は急性冠動脈疾患を有する患者へのMEDI6012の投与は、冠動脈の動脈硬化性プラークからのコレステロールをはじめとする、組織からのコレステロールの動員を上方制御し、組織の安定化及び結果的な主要有害心臓血管イベントの再発リスクの減少がもたらされる。MEDI6012は、強化された、HDL成熟、HDL機能、及び除去のための組織から肝臓へのコレステロール逆輸送(RCT)を有益に提供する。さらに、本明細書に記載され例示されるように、患者へのMEDI6012の投与「MEDI6012投与」は、忍容性が良好であり、それが送達される患者に臨床病理又は有害な身体状態の変化を引き起こさない。
動脈硬化性心血管疾患(CVD)の基礎疾患である動脈硬化症は、罹患した患者の重大な併存疾患及び死亡率に関連した進行性の病状である。動脈内の過剰なコレステロールは、炎症、内皮依存性血管緊張低下、プラーク不安定性促進などの数多くの有害作用を誘発する。プラークが不安定になると、不安定型狭心症及び心臓発作をはじめとする生命を脅かす様々な臨床症状である、急性冠動脈症候群(ACS)、すなわち、非ST波及びST波上昇心筋梗塞(それぞれ、非STEMI(NSTEMI)及びSTEMI)の原因となり得る。
プラーク破裂は、線維性キャップの溶解によって引き起こされ;溶解自体は、活性化された炎症細胞からのメタロプロテアーゼ(コラゲナーゼ)の放出に起因し、血小板の活性化と凝集、凝固経路の活性化、及び血管収縮がそれに続く。ACSの典型的な又は標準的な治療法では、例えば、アスピリンをはじめとする抗血小板剤、及び経口投与され得るクロピドグレルやプラスグレルやチカグレロールなどのアデノシン二リン酸受容体拮抗剤、並びにIV投与されるIIb/IIIa受容体拮抗剤であるアブシキシマブ、エプチフィバタイド、及びチロフィバンなどの血小板凝集及び/又は血栓形成を迅速に阻害する薬物に焦点が置かれている。
一般に使用される抗凝固剤としては、低分子量ヘパリン、トロンビン阻害剤、及びXa因子阻害剤が挙げられる。これまでのところ、薬物療法並びに経皮的冠動脈介入(PCI);バルーン血管形成術及びステント留置術では、原因となる病変のみに焦点が置かれており、破裂に対するプラーク脆弱性の根本的な原因(すなわち、コレステロール沈着)に適切に対処したり、その他の部位での新たなプラーク破裂のリスクを低減したりはしない。スタチンによる長期脂質低下療法は、血漿低密度リポ蛋白コレステロール(LDL−C)を低下させることで、一次的及び二次的双方の心血管(CV)イベントリスクを低下させるものの、スタチンは動脈を詰まらせたプラークを急性的に安定化させない。
本明細書に記載される方法は、患者の心臓及び心血管疾患の治療、並びに心血管疾患の病状とその症状の改善のためのいくつかの肯定的な転帰を有する有利且つ有益な治療、すなわち、頸動脈及び末梢血管系の双方に有効であり得る、プラークコレステロールの迅速な除去、ACS患者における脆弱なプラークの安定化、心筋細胞のアポトーシスの予防、及び後続の虚血性イベントの可能性の低下を患者にもたらす、治療的(及び心臓保護的及び心筋保護的)用量及び用量レジメンで、rhLCAT又はMEDI6012を投与することを伴う。
本明細書に記載されるような対象へのrhLCAT又はMEDI6012の用量及び投与レジメンの投与を伴う方法は、急性心筋梗塞(MI)において心臓保護的である、HDL(HDL−C)及び/又はapoA1の増加を提供する。LCATの投与は、HDL及び/又はapoA1の双方のレベルを急速に増加させることから、治療法は急性期治療に特に有利である。本明細書に記載される方法の利点と利益は、より高レベルのHDL−CがMI後の患者において心臓保護的であり;HDL又はapoA1模倣薬の輸液が、急性MIの動物モデルにおいて、心筋梗塞サイズを減少させ左心室の収縮機能を改善することを確立した、疫学的及び前臨床試験の報告とよく一致している。例として、低いHDL−Cを有する患者では、ベースライン冠動脈心疾患(CHD)を除外した後でさえも、梗塞後駆出率(EF)がより低く(Wang TD,et al.,1998,Am J Cardiol,81:531−537;Kempen HJ,et al.,1987,J Lab Clin Med,109:19−26);急性MIの2つの異なるマウスモデルにおけるapoA1模倣CSL−111の輸液は、生存可能な心筋の54%〜61%の増加、梗塞サイズの21%〜26%の減少、梗塞領域での白血球と好中球の動員の減少を実証し(Heywood,S.E.et al,2017,Sci.Transl.Med.,9(411),DOI:10.1126/scitranslmed.aam6084);虚血再灌流のウサギモデルにおけるapoA1模倣薬ETC−216の輸液は、梗塞サイズの顕著な減少をもたらし(Marchesi et al.,2004,J Pharmacol Exp Ther.,311(3):1023−31);マウスモデルにおけるMIの2週間前のapoA1のアデノウイルス移入は、対照よりも1.5倍高いapoA1レベルを達成し、生存率の向上(約2倍)、梗塞拡大の減衰、左心室(LV)拡張の抑制、及び血行動態の改善を示し(Gordts et al,2013,Gene Therapy,20,1053−1061);虚血再灌流のマウスモデルにおけるHDLと比較した、HDLとその構成要素であるスフィンゴシン−1−リン酸(S1P)との輸液は、HDL単独での梗塞サイズの20%の減少、及びHDLとS1Pでの梗塞サイズの40%の減少を示し(Theilmeier et al,2006,Circulation,114:1403−1409);ApoA1の輸液は、RISK/SAFE生存促進キナーゼ経路(Akt、ERK1/2、STAT−3)を介して、ウィスター系ラットにおける梗塞サイズを減少させた(Kalakech et al,2014,PLoS ONE,9(9):e107950)。Gordt et al及びMarchesi et alによって報告されたapoA1の増加は、本明細書の用量でのMEDI6012(rhLCAT)の投与後に見いだされたapoA1の増加に類似する。したがって、本明細書に記載されるような方法は、HDL−C及び/又はapoA1のレベルを増加させることによって、急性期治療にとって、及び心筋梗塞サイズを減少させる可能性にとって、特に有益であるMEDI6012の用量を提供する。梗塞サイズが小さいほど、より良い臨床転帰、すなわち、より少ない心不全とより良い生存率が予測される(Stone,G.W.et al.,2016,J Am Coll Cardiol,67(14):1674−83)。
rhLCAT(MEDI6012)の投与を伴う治療方法
本明細書に記載される方法は、例えば、限定することなく、心疾患、冠動脈心疾患、又は冠動脈疾患(動脈硬化症)を有する対象などの治療を必要とする対象へのrhLCAT又はMEDI6012(又はその薬学的に許容可能な組成物又は製剤)の用量と投与スケジュール(本明細書では、投与レジメン又は治療レジメンとも称される)との投与に関連した、医学的及び臨床的な利益をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される治療方法は、ヒト対象における臨床試験の結果に基づいて開発された。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される治療方法は、前臨床試験結果、並びに臨床試験データ及びヒト対象における結果に基づく、生体外モデル化及びシミュレーション解析から開発された。全ての場合において、方法は、限定的及び/又は管理可能な望ましくない副作用又はオフターゲット効果で、治療された個体において好ましく有利な治療的及び保護的結果を達成するために、対象に投与されるrhLCAT又はMEDI6012の用量、及びrhLCAT又はMEDI6012を伴う投与レジメンの発見、並びに驚くほど有益な有効性をもたらした。
本明細書に記載されるような対象へのrhLCAT又はMEDI6012の用量及び投与レジメンの投与後における有益な治療効果は、治療(投与)レジメンの最中及びその後に、治療対象から得られた、例えば、血液、血漿又は血清などの生物学的サンプル中のコレステロール及び脂質代謝のいくつかの異なる成分の濃度(レベル)を測定し評価することによって、評価された。
rhLCAT(MEDI6012)を伴う単回用量治療方法
一般に単回漸増用量(SAD)試験は、通常は臨床試験ユニット又はCRUにおける臨床状況で、化合物又は薬剤の単回用量を与えられた小人数の対象が関与する試験である。試験中、対象は安全性について綿密にモニターされ、所定時間にわたり薬物動態(PK)評価が実施される。化合物の忍容性が良好であり、PKデータが概ね期待通りであると見なされた場合、承認されたプロトコルに従って、同一グループ内で又は健常対象の別のグループ内で、用量の漸増が行われる。用量の漸増は、通常、規定の最大曝露に達しない限り、又は耐容できない副作用が明らかにならない限り、プロトコルに従って最大用量に達するまで継続される。さらに、より高い用量レベルにおける曝露の予測を困難にするような、前出の用量と曝露の間の比例関係の証拠がある場合は、用量の漸増は中断されてもよい(又は計画よりも慎重に進められてもよい)。SAD試験は、通常、最大曝露のための並行設計の連続的な群を含み、又は用量直線性に関するより多くの情報を提供するためのクロスオーバーデザインであってもよい。バイアスの影響を最小化するために、対象は通常、コンピュータで生成された統計的無作為化コードを使用して、無作為に治療に割り当てられる。このような試験はまた、通常、プラセボ対照されて、観察された効果が試験薬物によるのか、又は環境条件によるのかが判定され、しばしば単一(対象)の盲検法で実施されて、用量漸増に関する情報に基づく決定を可能にし、安全性及びPKデータが治験責任医師のレビューに利用できる。
一態様では、本開示は、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管疾患(CVD)、安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、心筋梗塞などの心臓病又は心疾患に関連し又はそれに伴う疾患又は病状及び/又はそれらの症状を有する対象を治療するための活性薬物、すなわち、例えば、rhLCAT又はMEDI6012などの単離精製されたLCAT酵素の1つ又は複数の用量の投与を伴う、本明細書に記載されるような治療方法を提供する。特定の実施形態では、例えば、rhLCAT又はMEDI6012などの単離精製されたLCAT酵素の単回用量が、方法で投与される。別の特定の実施形態では、対象は安定型冠動脈疾患(CAD)を有する。このような投与方法は、部分的には、対象にMEDI6012の様々な用量が投与され、対象の応答、並びにコレステロール及び脂質代謝成分、生成物及び副生成物(例えば、薬力学的(PD)マーカー)のレベルが、MEDI6012の投与後に評価される、SAD臨床試験に基づいて開発された。(実施例1を参照されたい)。このようなPDマーカーは、対象へのMEDI6012の投与前、投与中及び/又は投与後に、対象から得られたサンプル中で評価されてもよい。評価されるPDマーカーとしては、限定することなく、そのレベルが評価され及び/又は測定されて、総コレステロール(TC)、非エステル化遊離コレステロール(FC)、コレステリルエステル(CE)、HDL−エステル化コレステロール(HDL−CE)、HDL−非エステル化コレステロール(HDL−UC)、非HDL−C、非HDL−CE、非HDL−UC、LDL−C(標準的な臨床検査による直接測定)、VLDL−C、TG、apoB、apoAI、apoAII、apoCIII、又はapoEをはじめとするが、これに限定されるものではない、コレステロール及び脂質経路に対するMEDI6012の効果が記述され定量化される、HDL−C、並びに追加的な脂質及びリポタンパク質が挙げられる。例として、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの免疫アッセイを使用して、プレβ1−HDLが特性決定され定量化されてもよい。HDL、LDL、及びVLDLのリポタンパク質のサイズ及び粒子数は、核磁気共鳴(NMR)(LipoScience,Inc.,Raleigh,NC)によって特性決定され得る。一実施形態では、対象から得られるサンプルは、血液、血清、又は血漿サンプルである。
一実施形態では、方法は、MEDI6012を20〜2000mgの量でそれを必要とする対象に投与することを伴う。一実施形態では、24〜1600mgの用量のMEDI6012が対象に投与される。一実施形態では、24〜800mgの用量のMEDI6012が対象に投与される。いくつかの実施形態では、それらの間の値を含めて、20、24、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、120、140、150、160、180、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380mg、400、420、440、460、480、500、520、540、560、580、600、620、640、660、680、700、720、740、760、780、800、8220、840、860、880、900、920、940、960、980、1000、1020、1040、1060、1080、1100、1200、1300、1400、1600、1700、1800、1900、又は2000ミリグラム(mg)の用量のMEDI6012がそれを必要とする対象に投与される。当該技術分野の当業者によって理解されるように、例えば、体重約80kgの冠動脈疾患(CAD)を有する患者などの典型的な患者では、24mgの用量はおよそ0.3mg/kgと同等であり;80mgの用量はおよそ1mg/kgと同等であり;240mgの用量はおよそ3mg/kgと同等であり;800mgの用量はおよそ10mg/kgと同等であり;1600mgの用量はおよそ20mg/kgと同等である。いくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状に苦しんでいる。特定の実施形態では、対象は安定型冠動脈疾患(CAD)を有する。
一実施形態では、方法は、MEDI6012の用量をそれを必要とする対象に非経口的に投与することを伴う。一実施形態では、方法は、MEDI6012の用量をそれを必要とする対象に静脈内投与することを伴う。一実施形態では、MEDI6012の用量は、静脈内(IV)輸液によって対象に投与される。一実施形態では、方法は、MEDI6012の用量をそれを必要とする対象に皮下投与することを伴う。一実施形態では、MEDI6012の用量は、数分間〜数時間の時間をかけて対象に静脈内投与される。一実施形態では、方法は、特に、心臓の病状、心血管疾患、又は動脈硬化の病状を有する対象が、医療施設(例えば、病院、診療所、救急センター、開業医院)を受診し、又は医療専門家又は臨床医が同席し、又は対象へのMEDI6012の用量の投与を補助できる場所を受診した後に、それらの間の時間を含めて、30秒間、1分間、3分間、5分間、10分間、15分間、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、又は5時間程度の時間をかけて、MEDI6012の用量をIV又はSC送達によって対象に投与することを伴う。
一実施形態では、方法は、心臓の病状又は動脈硬化の病状を有する対象が、医療施設又は場所を受診した時に、例えば、30秒間〜10分間程度の時間をかけて、又は1〜5分間程度の時間をかけて、又は1〜3分間程度の時間をかけて、又は1〜2分間程度の時間をかけて、及びそれらの間の時間をかけて、即座に又は数分間などの短時間内に、MEDI6012の用量を対象に投与することを伴う。一実施形態では、MEDI6012は、上に記載されるような短時間で、静注によって対象に静脈内投与される。一実施形態では、ボーラス用量又は負荷用量のMEDI6012が、静注によって対象に静脈内投与される。その他の実施形態では、方法は、対象が医療施設又は場所を受診した後のより長期間にわたり、又は対象が医療施設又は場所に滞在する間に、IV輸液によって又はSC投与(例えば、SC注射)によって、MEDI6012の用量を対象に投与することを伴う。一実施形態では、MEDI6012の用量は、30分〜3時間程度の時間をかけて、又は1分〜3時間程度の時間をかけて、IV輸液によって対象に投与される。一実施形態では、MEDI6012の用量は、30分間〜1時間程度の時間をかけて、IV輸液によって対象に投与される。特定の実施形態では、MEDI6012の用量は、1時間程度の時間をかけて、IV輸液によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、24、80、240、600、800mg、又は1600mgの用量のMEDI6012が、対象に静脈内投与される。一実施形態では、24mgの用量のMEDI6012が対象に静脈内投与される。一実施形態では、80mgの用量が対象に静脈内投与される。一実施形態では、240mgの用量のMEDI6012が対象に静脈内投与される。一実施形態では、600mgの用量のMEDI6012が対象に静脈内投与される。一実施形態では、800mgの用量のMEDI6012が対象に静脈内投与される。前述の実施形態のいずれかにおいて、上述のMEDI6012の用量の1つ又は複数が、対象に静脈内投与される。
一実施形態では、MEDI6012の用量は、例えば、皮下(SC)輸液又は注射によって、対象に皮下投与される。一実施形態では、80又は600mgの用量のMEDI6012が対象に皮下投与される。特定の実施形態では、80mgの用量のMEDI6012が、対象に皮下投与される。特定の実施形態では、600mgの用量のMEDI6012が、対象に皮下投与される。前述の実施形態のいずれかにおいて、上述のMEDI6012の用量の1つ又は複数が、対象に皮下投与される。
本明細書に記載される方法の任意の態様のいくつかの実施形態では、対象は、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状を有する。一実施形態では、対象は心筋梗塞を有していた。一実施形態では、対象は、例えば、急性又は慢性心疾患などの急性又は慢性疾患及び/又は例えば、安定型冠動脈疾患などの関連冠動脈疾患を有する。特定の実施形態では、対象は安定型冠動脈疾患(CAD)を有する。
本明細書に記載される方法の任意の態様のいくつかの実施形態では、例えば、心疾患及び/又は動脈硬化性疾患を有する対象などの対象にMEDI6012を投与した後に、PDマーカーHDL、(HDL−コレステロール(HDL−C)又はHDL−エステル化コレステロール(HDL−CE)とも称される)、エステル化コレステロール(CE)、又はアポリポタンパク質A1(apoA1)の1つ又は複数のレベル又は濃度が増加する(迅速に又は長期にわたり)。PDマーカーのレベルは、対象から得られた生物学的サンプル中で測定され又は定量化されてもよい。生物学的サンプルとしては、血液、血清、血漿、尿、唾液などの体液サンプルが挙げられてもよい。血清又は血漿サンプルは、MEDI6012を投与された対象におけるPDマーカー分析に特に適する。特定の例として、本明細書に記載される方法の実施は、本方法に従ってLCAT(MEDI6012)の用量を投与された対象において、約90分以内に血清中のHDL−C及び/又はapoA1レベルのおよそ50%の増加をもたらし、6時間までに血清中の少なくともHDL−Cの少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は少なくとも100%の増加をもたらす。さらに、apoA1レベルは、MEDI6012の静脈内輸液又は皮下投与後に、少なくとも7日間にわたり上昇したままである。
本明細書の実施例1は、スタチン療法を受けている安定型冠動脈疾患(CAD)患者へのMEDI6012 rhLCAT酵素の単回漸増非経口用量の投与を評価するために実施された、SAD試験を記載する。MEDI6012の単回用量は、静脈内輸液又は皮下注射によって対象に投与された。単回輸液は、HDLコレステロール(HDL−C)、HDLコレステリルエステル(HDL−CE)、及び総CEを用量依存的に増加させるが、これは対象におけるLCAT酵素の典型的な作用機序と一致する。試験に基づき、MEDI6012の単回用量は、80mg〜240mgの用量でピークに達する、アポリポタンパク質A1(apoA1)の用量依存的増加を引き起こしたと判定された。
別の実施形態では、例えば、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、又は800mgなどの240mg以上の用量で、それを必要とする対象に投与されるrhLCAT又はMEDI6012などのLCATは、例えば、当該技術分野で公知の方法を使用してコレステロール流出能力を評価することによって判定されるように、HDLコレステロール粒子の機能を改善する。別の実施形態では、より少ない量のLCAT(例えば、20〜200mg又は20〜150mg、又は20〜100mg)の複数回用量の投与もまた、記載される量のrhLCAT又はMEDI6012を投与された対象におけるHDLコレステロール粒子の機能を改善してもよい。
別の実施形態では、それを必要とする対象に100mg用量以下の用量で投与された、rhLCAT又はMEDI6012などのLCATは、LDL粒子中のCEの蓄積を引き起こさない。したがって、100mg以下の用量でのrhLCAT又はMEDI6012の投与を伴う本明細書に記載される方法は、LDL粒子中のCE蓄積なしに、種々の心臓、心臓関連、心血管系、及び冠動脈疾患の治療を提供する。したがって、本明細書に記載される投与方法は、LDL−CE蓄積が、LCAT治療を受けている対象における用量制限パラメータとして評価及び/又はモニターされるという条件で、様々な用量と投与レジメンを使用してLCAT(rhLCAT又はMEDI6012)を長期投与することを包含する。
なおも別の実施形態では、記載される用量と投与レジメンでのそれを必要とする対象へのLCAT(rhLCAT又はMEDI6012)の投与を伴う方法は、アテロームを発生させる小LDL粒子の減少をもたらす。本明細書で言及されるように、80mgの用量のrhLCAT又はMEDI6012を使用して、小LDL粒子の約40%の減少が観察され、240mg及び800mgの量のrhLCAT又はMEDI6012の用量を使用して、小LDL粒子の約80%の減少が観察された。
rhLCAT(MEDI6012)を伴う複数回用量治療方法
一般に、複数回用量の投与された化合物又は薬物のPK及び薬物動力学(PD)を解明するために、複数回漸増用量試験が、通常は臨床試験ユニット(CRU)内で実施される。用量レベル及び投与間隔(すなわち、連続投与の間の時間)は、単回用量試験で得られたデータに基づいて、安全であると予測されるものが選択される。対象から生物学的サンプルを採取して分析することで、PKプロファイルを決定し、化合物又は薬物が体内でどのようにプロセスされるかをより良く理解できるようになる。複数回投与では、投与された化合物又は薬物の蓄積があるかどうかを識別することが、PK解析の重要な部分である。SAD試験と同様に、MAD試験における用量漸増は、厳密な安全性とPK基準を満たしたプロトコルに従って進行させる。用量レベル及び投与頻度は、薬物レベルが数日間定常状態で最適に維持され、適切な安全性パラメータをモニターできるように、対象の体循環内で治療薬物レベルを達成するように選択される。予期された治療用量レベルで、及びそれを超えるレベルで、2〜3つの用量レベルを試験し、反復用量投与の「安全マージン」を決定することが普通である。
一態様では、本開示は、活性rhLCAT又はMEDI6012の複数回用量を投与して、心(心臓)疾患、心血管疾患及び/又は動脈硬化性疾患を有する対象、又は心筋梗塞と闘っている対象を治療することを伴う、本明細書に記載されるような治療方法を提供する。このような投与方法は、反復用量のMEDI6012が対象に投与され、MEDI6012の投与後に、対象の応答と、コレステロール及び脂質代謝成分、生成物及び副生成物(例えば、薬力学的(PD)マーカー)のレベルも評価された、臨床試験設定で実行される複数回漸増用量(MAD)試験に基づいて、開発され決定された。SAD試験に関して上述されるように、対象へのMEDI6012の投与前、投与中及び/又は投与後に、対象から得たサンプル中で評価されてもよい、このようなPDマーカーとしては、HDL−C;並びにコレステロール経路に対するMEDI6012の効果を完全に理解し説明するために、そのレベルが評価及び/又は測定される、追加的な脂質及びリポタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。評価されるPDマーカーとしては、総コレステロール(TC)、遊離コレステロール(FC)、コレステリルエステル(CE)、HDL−エステル化コレステロール(HDL−CE)、HDL−非エステル化コレステロール(HDL−UC)、非HDL−C、非HDL−CE、非HDL−UC、LDL−C(直接測定)、VLDL−C、TG、apoB、apoAI、apoAII、apoCIII、apoEが挙げられるが、これらに限定されない。例として、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの免疫アッセイを使用して、プレβ1−HDLが特性決定され定量化されてもよい。HDL、LDL、VLDLなどのリポタンパク質のサイズ及び粒子数は、核磁気共鳴(NMR)(LipoScience,Inc.,Raleigh,NC)によって特性決定され得る。
一態様では、本開示は、治療中に2回以上の(反復)用量のMEDI6012が、罹患した対象に投与される、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状に苦しんでいる対象を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、MEDI6012の各投与量が25mg〜2000mgであり、又はMEDI6012の各投与量が30mg〜800mgであり、又はMEDI6012の各投与量が30mg〜500mgであり、又はMEDI6012の各投与量が30mg〜300mgであり、又はMEDI6012の各投与量が40mg〜500mgであり、又はMEDI6012の各投与量が40mg〜300mgである、3用量のMEDI6012が、それを必要とする罹患した対象に投与される方法が提供される。いくつかの実施形態では、MEDI6012の各投与量は、それらの間の値を含めて、25mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、180mg、190mg、200mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、280mg、290mg、300mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、380mg、390mg、400mg、420mg、430mg、440mg、450mg、460mg、480mg、490mg、又は500mgである。一実施形態では、MEDI6012の用量は、例えば、静脈内(IV)輸液によって、又は静注によって、静脈内投与される。一実施形態では、対象は、3つの異なる時点で40mgのMEDI6012を静脈内投与される。特定の実施形態では、方法は、40mgのMEDI6012の第1の用量;第1の用量の約1週間後の40mgのMEDI6012の第2の用量;及び第2の用量の約1週間後の40mgのMEDI6012の第3の用量が、それを必要とする対象に静脈内投与される、MEDI6012投与レジメンを包含し、例えば、40mgのMEDI6012が、1、8、及び15日目に対象に投与される。別の特定の実施形態では、方法は、120mgのMEDI6012の第1の用量;第1の用量の約1週間後の120mgのMEDI6012の第2の用量;及び第2の用量の約1週間(week about one week)後の120mgのMEDI6012の第3の用量が、それを必要とする対象に静脈内投与される、MEDI6012投与レジメンを包含し、例えば、120mgのMEDI6012が、1、8、及び15日目に対象に投与される。別の特定の実施形態では、方法は、300mgのMEDI6012の第1の用量;第1の用量の約1週間後の300mgのMEDI6012の第2の用量;及び第2の用量の約1週間後の300mgのMEDI6012の第3の用量が、それを必要とする対象に静脈内投与される、MEDI6012投与レジメンを包含し、例えば、300mgのMEDI6012が、1、8、及び15日目に対象に投与される。前述の方法のいずれかの実施形態では、MEDI6012は、例えば、静脈内(IV)輸液によって、又は静注によって、対象に静脈内投与される。一実施形態では、MEDI6012は、1〜10分間程度、又は1〜5分間程度、又は1〜3分間程度、又は1〜2分間程度の時間をかけて、静注によって静脈内投与される。別の実施形態では、MEDI6012は、30分間〜1時間を超える程度の時間(例えば、1〜5時間)、又はより具体的には1時間程度の時間などのより長い時間をかけて、IV輸液によって静脈内投与される。特定の実施形態では、対象は安定型CVDを有する。
負荷用量を伴うrhLCAT(MEDI6012)の投与方法
本開示の別の態様によれば、統計的モデル化データ及び予測転帰、並びに本明細書に記載されるようなrhLCAT又はMEDI6012の投与及び投与レジメンを伴う臨床試験から得られた結果は、MEDI6012の負荷用量及びMEDI6012の後続用量(維持用量とも称される)を、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状を有する対象に投与することを伴う方法から得られた、予期された利益及び成功裏の治療を支持する。MEDI6012の投与のための負荷用量を含む複数回用量アプローチを伴うこのような方法は、対象の心臓(又は心臓関連)疾患、心血管疾患などを治療し、またHDL、HDL−CE、CE及び/又はapoA1の1つ又は複数などのPDバイオマーカーも増加させる一方で、apoBのレベルの増加を引き起こさず、これは、複数回用量治療方法を受けている対象において、観察されたLDL−Cレベルの増加に、重篤な影響、悪影響、又は有害な影響が関連していないことを示唆する。
例えば、rhLCAT又はMEDI6012などのLCATの負荷用量を含む記載される方法、より詳細には、約1〜3分間かけて静注として対象に投与される負荷用量を含む記載される方法は、時間が最重要な疾患及び病状の治療を可能にする。その他の薬物とは異なり、rhLCAT又はMEDI6012は、負荷用量をはじめとする、記載される用量及び用量レジメンに従って投与され、数分以内にHDL−Cレベルを増加させ得る。したがって、記載される方法におけるrhLCAT又はMEDI6012の迅速な作用は、急性MI、脳卒中、及び急性腎臓損傷を迅速且つ効果的に治療し得る。rhLCAT又はMEDI6012の投与のこの特徴は、特に、前述のいずれかなどの、急性疾患、病理又は負傷などの即時の緊急治療を必要とする患者に対して特に効果的であり得る、非常に好ましく決定的に重要な治療を提供する。
別の態様では、1日目を投与初日として、毎週、又は1、3、及び10日目などの所定の間隔で用量が投与される、3用量のMEDI6012をそれを必要とする対象に投与することを含むIV投与レジメンを伴う、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状について対象が治療される方法が提供される。特定の実施形態では、方法は、上述の心臓又は心血管疾患又は病状の1つ又は複数を有する対象(それを必要とする対象)に、200〜800mg程度の量、又は250〜600mg程度の量、又は200〜500mg程度の量、又は250〜500mg程度の量、又は300〜500mg程度の量、又は300mg程度の量の負荷又はボーラス用量のMEDI6012を投与することを伴う。
別の特定の実施形態では、方法は、上述の心臓又は心血管疾患又は病状の1つ又は複数を有する対象(それを必要とする対象)に、200〜800mg程度の量、又は250〜600mg程度の量、又は200〜500mg程度の量、又は250〜500mg程度の量、又は300〜500mg程度の量、又は300mg程度の量(1日目用量)のMEDI6012の第1の(負荷)用量;それに続いて、1日目用量の48時間程度の後に対象に投与される、50〜300mg程度の量、又は100〜250mg程度の量、又は100〜200mg程度の量、又は100〜150mg程度の量、又は150mg程度の量のMEDI6012の第2の(又は維持)用量(3日目用量);それに続いて、3日目用量の約7〜10日、又は7日、又は約1週間後に対象に投与される、50〜300mg程度の量、又は100〜200mg程度の量、又は100〜150mg程度の量、又は100mg程度の量のMEDI6012の第3の(維持)用量(10日目用量)を投与することを伴う。一実施形態では、MEDI6012の用量は、静脈内投与を介して対象に投与される。一実施形態では、前述の方法は、少なくともMEDI6012の第1の用量は、1〜5分間程度の時間をかけて、又は1〜3分間程度の時間をかけて、又は1〜2分間程度の時間をかけて、静注によって対象に静脈内投与される。前述の方法のいくつかの実施形態では、MEDI6012の全ての用量は、1〜5分程度の時間をかけて、又は1〜3分程度の時間をかけて、静注によって対象に投与される。前述の実施形態では、静注は、例えば、負荷又はボーラス用量投与のために、1分間程度の時間をかけて、対象に投与される。前述の方法のいずれかの実施形態では、rhLCAT又はMEDI6012の投与時間は、記載される投与時間、時間間隔、又は期間の±8時間程度の時間内であってもよい。
特定の態様では、300mgの量のMEDI6012の負荷(第1の)用量(1日目用量)をそれを必要とする対象に投与すること;それに続いて、1日目用量の48時間程度の後に150mgのMEDI6012の用量(第2の又は維持用量)を対象に投与すること(3日目用量);それに続いて、3日目用量の約7日間後に100mgのMEDI6012の用量(第3の又は第3の維持用量)を対象に投与すること(10日目用量)、を含む静脈内IV投与レジメンを伴う、心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管疾患(CVD)、安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、MIなどの心臓病又は心疾患に関連し又はそれに伴う疾患又は病状及び/又はそれらの症状について対象が治療される方法が提供される。一実施形態では、MEDI6012の用量は、対象に静脈内投与される。一実施形態では、MEDI6012の用量の1つ又は複数が、静脈内(IV)注入を介して対象に投与される。前述の方法の実施形態では、MEDI6012の用量の1つ又は複数は、1〜10分間程度、又は1〜5分間程度、又は1〜3分間程度、又は1〜2分間程度、又は1分間程度の時間をかけて、静注輸液によって対象に投与される。前述の方法の特定の実施形態では、MEDI6012の用量の1つ又は複数は、1〜3分間程度の時間をかけて、静注輸液によって対象に投与される。前述の方法の特定の実施形態では、対象は安定型動脈硬化性CVDを有する。前述の方法の実施形態では、MEDI6012投与間隔は、記載される投与時間又は期間の±8時間以内であってもよい。
別の特定の態様では、1日目に、200〜800mg程度の用量、又は250〜600mg程度の量、又は320〜500mg程度の量、又は300〜500mg程度の量、又は300mg程度の量で、MEDI6012を対象に静脈内投与すること、それに続いて、それ以降所定の時間間隔で、50〜300mg程度、又は100〜250mg程度の量、又は100〜150mg程度の量、又は150mg程度の量の第2の用量で、MEDI6012を静脈内投与することを含んでなる2用量レジメンを伴う、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状について対象が治療される方法が提供される。一実施形態では、MEDI6012の第2の用量は、1日目用量の1〜10日程度の後に投与される。一実施形態では、MEDI6012の第2の用量は、1日目用量の3日(例えば、48時間±8時間)後に投与される。一実施形態では、MEDI6012の用量の少なくとも1つは、静注によって対象に投与される。一実施形態では、MEDI6012の第1及び第2の用量は、どちらも静注によって対象に投与される。実施形態では、静注は、1〜10分間程度、又は1〜5分間程度又はそれを超える、又は1〜3分間程度、又は1〜2分間程度、又は1分間程度の時間をかけて投与される。前述の方法の特定の実施形態では、対象は安定型動脈硬化性CVDを有する。
なおも別の態様では、所定の間隔で6用量のMEDI6012を対象に静脈内投与することを伴う、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状について対象が治療される方法が提供される。
一実施形態では、方法は、1日目に、200〜800mg程度、又は250〜600mg程度の量、又は300〜500mg程度の量、又は300mg程度の量の第1の用量で、rhLCAT又はMEDI6012を対象に静脈内投与する、3用量レジメンを含んでなる。1日目用量に続いて、1日目用量の3日(例えば、48時間±8時間)後など、1日目用量の約1〜5日後に、50〜300mg程度、又は100〜250mg程度の量、又は100〜150mg程度の量、又は150mg程度の量の用量で、MEDI6012が対象に静脈内投与される(「3日目用量」と称される)。3日目用量に続いて、それ以降、毎週、又は3日目用量の10、17、24、及び31日後などの定期的間隔で、100〜250mg程度、又は100〜150mg程度の量、又は100mg程度の量の用量で、MEDI6012が対象に静脈内投与される。一実施形態では、投与レジメンは、第1の負荷用量を含む、3用量又は6用量のrhLCAT又はMEDI6012を包含する。一実施形態では、MEDI6012の用量の少なくとも1つは、静注によって対象に静脈内投与される。一実施形態では、MEDI6012の用量の少なくとも2つは、静注によって対象に投与される。一実施形態では、MEDI6012の1日目用量及び3日目用量は、静注によって対象に投与される。一実施形態では、静注は1〜10分間程度の時間をかけて、又は1〜5分間程度の時間をかけて、又は1〜3分間程度の時間をかけて、又は1〜2分間程度の時間をかけて投与される。特定の実施形態では、静注は、1〜3分間程度又は1〜2分間程度の時間をかけて投与される。
別の特定の実施形態では、方法は、1日目に300mgの用量のMEDI6012をそれを必要とする対象に静注によって静脈内投与すること、それに続いて、1日目用量の3日(48時間±8時間)後に、150mgの用量のMEDI6012を静注によって静脈内投与すること、それに続いて、3日目用量の10、17、24、及び31日後に、約100mgの毎週用量のMEDI6012を静脈内投与することを含んでなる6用量レジメンを伴う。いくつかの実施形態では、用量は、10、17、24、及び31日目に、静注によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象は心血管疾患、安定型CAD、安定型動脈硬化性CVD、又は急性ST上昇型(elevation)心筋梗塞(STEMI)を有する。
前述の方法のいずれかの態様において、記載されるような対象の治療は、マーカーHDL、HDL−C、HDL−CE、CE、及び/又はapoA1の1つ又は複数の血液、血漿、又は血清レベルの増加をもたらす。一実施形態では、マーカーレベルの増加は用量依存的である。前述の方法のいずれかの態様において、記載されるような対象の治療は、apoBの血液、血漿、又は血清中レベルの減少をもたらす。前述の方法のいずれかの態様において、記載されるような対象の治療は、apoBの血液、血漿、又は血清レベルの増加又は有意な変化をほとんど又は全く生じない。一実施形態では、LDL又はLDL−Cマーカーレベルの評価されたあらゆる増加は、apoBレベルの減少、又はわずか又は皆無の増加によって相殺される。一実施形態では、マーカーレベルの減少は用量依存的である。方法のその他の実施形態では、本明細書に記載される用量と投与レジメンに従ったMEDI6012の投与は、例えば、心筋細胞のアポトーシスを減少させ、血清中の非HDL関連コレステロールのレベルを減少させ、過剰なコレステロール又はLDL−Cを組織及び体内から排除又は除去することによって、治療対象における心臓及び/又はアテローム保護効果をもたらす。
本明細書の実施例2は、安定型動脈硬化性CVD患者へのMEDI6012 rhLCAT酵素の複数回漸増非経口用量の投与を評価するために実施された、MAD臨床試験を記載する。MEDI6012の用量は、対象に静脈内投与された。反復用量のMEDI6012が対象に投与されたMAD試験の結果は、HDL−C及び/又はapoA1の増加率が用量依存的であり、したがって、方法に関連した治療及び保護効果をもたらすことを実証した。
rhLCAT(MEDI6012)投与を伴うその他の治療方法
本開示は、患者が、病院、救急処置室、診療所、緊急医療施設、医院などを受診した直後に、心臓の病状、病理、又は疾患を有する患者に、rhLCAT又はMEDI6012の用量を有利に提供する方法を包含する。本方法の実施に従って、本明細書に記載されるようなMEDI6012の用量及びMEDI6012投与を伴う投与レジメンを患者に提供することは、有利には、患者のHDL−C及び/又はapoA1の血清レベルを上昇させ、患者の血清apoBのレベルに悪影響を及ぼさず、それによって、数週間などの期間にわたり維持される、迅速な心筋保護及びアテローム保護効果をもたらす。これは、MEDI6012の第1の用量の投与後における、例えば、維持用量などのMEDI6012の後続用量を伴う投与レジメンが患者に提供される場合;又は投与レジメンが、例えば、静注によるボーラス用量としてのMEDI6012の第1の負荷用量と、それに続き、対象にそれ以降投与される、例えば、本明細書に記載されるようなMEDI6012の維持用量などの後続用量を伴う場合に、特に効果的である。
別の態様では、本開示は、HDL−C、CE、HDL−CE及び/又はapoA1から選択される、1つ又は複数の薬力学的(PD)マーカーのレベル又は量を増加させる方法、及び/又はapoBのレベルを減少させ、又はわずか又は皆無の変化を引き起こす方法、及び/又は急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管病(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、心不全(HF)、うっ血性HF、入院性HF、駆出率(EF)低下を伴う心不全、EF温存型心不全、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、非STEMI、又は脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、虚血性心筋症、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状などの家族性又は後天性の心疾患又は心疾患(heart orcardiac disease)(heart orcardiac disease)に関連し又はそれに付随する、疾病、病理、又は病状に苦しんでいる対象におけるアテローム発生小LDL粒子の数を減少させる方法を提供する。方法は、上述のPDマーカーの増加、減少、又はわずか又は皆無の変化をもたらすのに有効な量で、MEDI6012(rhLCAT)の用量を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、24、80、240、300、600、又は800mgなどのMEDI6012の用量の1つ又は複数の、対象への静脈内又は皮下投与を伴う。一実施形態では、80、240、300、又は800mgのMEDI6012の少なくとも1用量が、30分間〜1時間の時間をかけて対象に静脈内投与される。特定の実施形態では、MEDI6012用量の静脈内投与の時間は1時間である。別の実施形態では、80又は600mgのMEDI6012の少なくとも1用量が、SC注射によって対象に投与される。その他の実施形態では、方法は、例えば、MEDI6012の2用量、3用量、又は6用量などのMEDI6012の複数用量又は反復用量の対象への静脈内投与を伴う。方法の特定の実施形態では、MEDI6012の第1の用量は、200〜500mgの量、より具体的には300mgの量で投与される負荷用量であり、その後、本明細書に記載されるような定期的間隔で投与されるMEDI6012の1又は2用量(維持用量)がそれに続く。一実施形態では、負荷用量は、1〜5分間程度、又は1〜3分間程度、又は1〜2分間程度の時をかけて静注投与される。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される用量と投与レジメンに従って対象に投与されるMEDI6012の用量が、HDL粒子及び/又はApoA1を全身に及び細胞内に注入するように、HDL−C及び/又はHDL−CEレベルを増加させ、それによって、例えば、心筋細胞におけるアポトーシスイベントの減少がもたらされる、急性ST上昇型(elevation)心筋梗塞(STEMI)を経験している対象に、心筋保護を付与する方法を提供する。
併用治療
別の実施形態では、rhLCAT酵素又はMEDI6012は、別の薬物、薬物療法、又は治療薬又は化合物と併用して投与されてもよい。いくつかの実施形態では、rhLCAT又はMEDI6012は、スタチン薬、プロタンパク質コンバターゼサブチリシン/ケキシンタイプ9(PCSK9)酵素阻害剤(PCSK9i)、その他のコレステロール低下剤及び薬物療法、心臓薬物療法などと併用して投与される。このような併用療法では、rhLCAT又はMEDI6012及び別の薬物、薬物療法などが、一緒に又は別々に、同時に、順次、又は異なる時点で、投与されてもよい。さらに、その他の薬物又は薬物療法が、rhLCAT又はMEDI6012の投与と同時に、又はそれとは異なる時点で、対象に投与されてもよい。投与されてもよいスタチンとしては、限定することなく、アトルバスタチン(LIPITOR)、フルバスタチン(LESCOL)、ロバスタチン(MEVACOR、ALTOPREV)、ピタバスタチン(LIVALO)、プラバスタチン(PRAVACHOL)、ロスバスタチン(CRESTOR)及びシムバスタチン(ZOCOR)、エボロクマブ(REPATHA(登録商標))、又はアリロクマブ(PRALUENT(登録商標))が挙げられる。その他のコレステロール低下剤及び薬物療法としては、フェノフィブラート(フェノフィブリン酸(コリン))、コレスチラミン(QUESTRAN)、アルトコール、コレスチラミンライト、コレスチポール、ナイアシン、スロ・ナイアシン、ナイアスパン、カデュエット、プレバリト、アンタラ、ビトリン10−80、コレスチド、ゲムフィブロジル、エゼチミブ(ZETIA)及びエゼチミブ・シンバスタチン、トリグライド、プラールエント、リポフェン、レパタ、フィブリコール、ウェルコール、アリロクマブ、及びエボロクマブなどのコレステロール吸収阻害剤が挙げられてもよい。
治療法の組み合わせ(例えば、rhLCAT又はMEDI6012と、その他の心臓治療薬及び/又はコレステロール低下剤との組み合わせ)の相乗効果は、心疾患、冠動脈心疾患及び/又は動脈疾患を有する対象への1つ又は複数の治療剤のより低い用量の使用、及び/又は治療剤のより低頻度の投与を可能にしてもよい。より低い用量の治療剤を利用する能力、及び/又はこのような治療剤をより低頻度で投与する能力は、心疾患又は冠動脈心疾患の治療における治療法の有効性を低下させることなく、対象への治療法の投与に関連した潜在的な毒性を低下させ得る。さらに、相乗効果は、心疾患又は冠動脈心疾患の管理、治療、又は改善における、治療剤の有効性の改善をもたらし得る。治療剤の組み合わせの相乗効果は、例えば、より高い用量で、単独で(単剤療法として)使用される各治療法の使用に関連した、有害な又は望ましくない副作用を回避又は軽減し得る。
併用療法では、LCAT又はMEDI6012は、その他の薬物又は薬物療法と同じ医薬組成物に、任意選択的に含まれてもよい。代案としては、LCAT又はMEDI6012は、別個の医薬組成物であってもよく、1つ又は複数のその他の薬物又は薬物療法と同時に又は異なる時点で投与されてもよい。LCAT又はMEDI6012は、又はLCAT又はMEDI6012を含んでなる医薬組成物は、その他の薬物又は薬物療法の投与の、又は薬物又は薬物療法を含んでなる医薬組成物の投与の前、同時、又は後に投与するのに適している。特定の場合では、対象へのMEDI6012の投与は、別個に又は別個の組成物中で提供される、別の又はコンパニオン薬物又は薬物療法の投与時間と重複する。
医薬組成物及び製剤
本開示は、LCAT酵素又はMEDI6012と、1つ又は複数の製薬学的に許容される賦形剤、担体及び/又は希釈剤とを含んでなる、医薬組成物及び製剤の使用を包含する。特定の実施形態では、組成物は、1つ又は複数のその他の生物学的に活性な薬剤(例えば、プロテアーゼ阻害剤)を含んでなってもよい。
賦形剤、担体、及び希釈剤の非限定的例としては、ビヒクル、液体、緩衝剤、等張化剤、添加剤、安定剤、保存料、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤、湿潤剤、アジュバントなどが挙げられる。組成物は、液体(例えば、水、エタノール);様々な緩衝液含有量(例えば、トリス−HCl、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝剤)、pH、及びイオン強度の希釈剤;洗剤及び可溶化剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80);抗酸化物質(例えば、メチオニン、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム);保存料(例えば、チメロサール(Thimerosol)、ベンジルアルコール、m−クレゾール);及び増量物質(例えば、乳糖、マンニトール、スクロース)を含有し得る。薬組成物の製剤における賦形剤、希釈剤、及び担体の使用は、当該技術分野で公知であり、例えば、その全体が参照により本明細書に援用される、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,pages 1435−1712,Mack Publishing Co.(Easton,Pennsylvania(1990))を参照されたい。
非限定的な例として、担体は、希釈剤、ビヒクル及びアジュバント、並びにインプラント担体、及び活性成分と反応しない不活性且つ無毒の固体又は液体充填剤及びカプセル化材料を含み得る。担体の非限定的例としては、リン酸緩衝食塩水、生理学的食塩水、水、及びエマルション(例えば、油/水エマルション)が挙げられる。担体は、例えば、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、及びそれらの混合物を含有する、溶媒又は分散媒体であり得る。
非経口投与のためのLCAT又はMEDI6012を含んでなる製剤は、例えば、液体溶液又は懸濁液として、注射前に液体媒体中で可溶化又は懸濁するのに適した固体形態として、又はエマルションとして調製され得る。滅菌注射液及び懸濁液は、適当な希釈剤、担体、溶媒(例えば、緩衝水溶液、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム溶液)、分散剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤などを使用して、当該技術分野で公知の技術に従って製剤化され得る。滅菌不揮発性油、脂肪エステル、ポリオール及び/又はその他の不活性成分もまた使用され得る。さらに、非経口投与のための製剤は、抗酸化剤と、緩衝剤と、静菌剤と、製剤を意図される対象の血液に対して等張性にする溶質と、懸濁剤及び増粘剤を含有し得る水性及び非水性滅菌懸濁液とを含有し得る、水性滅菌注射液を含み得る。
投与様式
本明細書に記載される投与レジメンに加えて、rhLCAT又はMEDI6012は、或いはrhLCAT又はMEDI6012を含んでなる医薬組成物又は製剤は、タンパク質などの生物学的薬物を対象に投与及び/又は送達するのに適した様式と経路で、対象に投与され得る。一般に、適切な生物学的送達又は投与方法は、非経口投与様式又は経路を包含する。このような送達方法としては、限定することなく、皮下(SC)送達、皮下注射又は輸液、例えば、静脈内輸液又は注射又は静注などの静脈内(IV)送達が挙げられる。その他の送達及び投与様式又はレジメンとしては、限定することなく、関節内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮内、直腸内、経皮又はクモ膜下腔内が挙げられてもよい。特定の実施形態では、MEDI6012又はrhLCATは、例えば、静注又はIV輸液などの静脈内投与によって、対象に提供される。別の特定の実施形態では、MEDI6012又はrhLCATは、単回皮下注射などの皮下注射によって、対象に提供される。
組換えヒトLCAT(rhLCAT)又はMEDI6012は、長期治療レジメンで投与され得る。組換えヒトLCAT(rhLCAT)又はMEDI6012は、本明細書に記載されるような期間にわたり投与され、治療されない期間がそれに続く。投与レジメン又は投与サイクルはまた、繰り返され得る。いくつかの実施形態では、治療(例えば、LCAT、MEDI6012又はrhLCATの投与)は、初回治療としての負荷用量の投与を伴い、例えば、第1の又は負荷用量後の例えば、1、3、及び10日目の複数の日を含んでなる期間にわたる、第2の用量及び/又は1つ又は複数の後続の維持用量がそれに続く。後続用量又は維持用量は、例えば、1週間、2週間、3週間、又は例えば4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間などのより長い期間などの週間間隔で、又は数ヶ月の間隔で、又は例えば、最初の用量、第2の用量、又はその後の用量後の数年間隔などのより長い間隔で、投与されてもよい。
また、MEDI6012又はrhLCATが、実行可能な限り、疾患部位又はその近傍で、例えば、輸液又は注射などの直接送達によって投与され得ることもまた、想定される。MEDI6012又はrhLCATが、例えば心臓カテーテル又はステントによる標的作用部位へのデポーの埋め込みによって、投与され得ることもまた、想定される。rhLCAT又はMEDI6012の投与又は送達の代替的様式としては、舌の下側での舌下送達(例えば、舌下錠)、吸入(例えば、吸入器又はエアゾールスプレー)、鼻腔内送達、又は経皮送達(例えば、皮膚上のパッチの手段による)が挙げられてもよい。MEDI6012又はrhLCATはまた、例えば、小球体、マイクロカプセル、リポソーム(非荷電又は荷電(例えば、カチオン性))、高分子微粒子(例えば、ポリアミド、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチドグリコリド))、マイクロエマルションなどの適切な形態で提供される場合には、経口投与されてもよい。さらに、投与は、浸透圧ポンプ(例えば、アルゼットポンプ)又はミニポンプ(例えば、アルゼットミニ浸透圧ポンプ)によって行われてもよく、これによって、予め定められた期間にわたり、MEDI6012又はrhLCAT、又はそれらの医薬組成物の制御された連続的及び/又は徐放性送達が可能になる。浸透圧ポンプ又はミニポンプは、標的部位又はその近傍に皮下移植され得る。
本開示は、別段の指示がない限り、分子生物学(任意の組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来技術を包含し、これらは十分に当業者の技量の範囲内である。このような技術は、“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”,second edition(Sambrook,1989);“Oligonucleotide Synthesis”(Gait,1984);“Animal Cell Culture”(Freshney,1987);“Methods in Enzymology”“Handbook of Experimental Immunology”(Weir,1996);“Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells”(Miller and Calos,1987);“Current Protocols in Molecular Biology”(Ausubel,1987);“PCR:The Polymerase Chain Reaction”,(Mullis,1994);“Current Protocols in Immunology”(Coligan,1991)などの文献で詳細に説明される。これらの技術は、本明細書に記載されるようなLCATポリヌクレオチド及びポリペプチドの製造に適用可能であり、したがってこのような技術は、本発明の製造及び実施において考慮されてもよい。
以下の実施例は、本発明の治療方法をどのように作成して使用するかという、完全な開示及び説明を当業者に提供するために提示され、本発明者らが自らの発明と見なすものの範囲を限定することは意図されない。
実施例1−安定型冠動脈疾患(CAD)を有する対象におけるMEDI6012の単回漸増用量(SAD)試験
試験デザイン概要
安定型冠動脈疾患(CAD)を有する成人対象において、第IIa相無作為化二重盲検(対象/治験責任医師盲検;スポンサー非盲検)プラセボ対照用量漸増試験を実施して、単回静脈内(IV/IV輸液)及び皮下(SC)用量のMEDI6012の安全性、PK/PD、及び免疫原性を評価した。試験では、米国の10の試験施設で合計48人の対象が登録され、MEDI6012の静脈内投与を介した24mg、80mg、240mg、及び800mg(コホート1〜4)の4つの用量レベル(コホート);図1でコホート6及び7として示される、SC注射を介して投与されるMEDI6012の80mg及び600mgの2つの用量レベル(コホート)を評価した。各コホートで、8人の対象を6:2の比率で無作為化し、MEDI6012又はプラセボを投与した。IV用量コホートの場合、本試験では、治験薬としてのMEDI6012を1時間のIV輸液として投与した。SC投与の場合、シリンジ当たり最大1mLの容積を含有する単回使用シリンジを使用して、治験薬としてのMEDI6012を投与した。対象は、最大28日間のスクリーニング期間を経た(併用薬物療法の休薬期間が必要な場合、このような対象には、最大42日間のスクリーニング期間が許された)。対象は、無作為化及び用量投与の前夜(1日目)に試験センターに入所し、治験薬用量の7日後(8日目)まで試験センターに滞在した。対象は、治験薬の用量を与られた28日後(29日目の受診)まで追跡された。対象には、試験期間中、食生活及び運動をはじめとする健康的な生活習慣の維持が奨励された。
統計解析
サンプルサイズ:SAD試験の標的対象集団は、安定型CADの既往の記録がある40〜75歳の成人男女であった。合計48人の対象を試験した。各コホートは6:2の割合で無作為化された8人の対象を含み、MEDI6012又はプラセボが投与された。この単回漸増用量試験のサンプルサイズは、十分な安全性、忍容性、及びPK/PDデータを提供し、試験目的を達成するように経験的に決定された。8人の対象にIV投与を介してプラセボを投与し、4人の対象にはSC投与を介してプラセボを投与した。共通標準偏差を280、両側αを0.05と仮定すると、現行のサンプルサイズは、ベースライン補正済みHDL−C AUC0−96hについて、同一投与経路のプラセボと比較した、MEDI6012を投与された対象の各群の間で、1300mg・時間/dLの差を検知する99%を超える検出力を提供した。
主な関心のあるPDパラメータは、0〜96時間(AUC0−96h)の濃度曲線下面積(AUC)のベースライン補正済みHDL−C面積であった。AUCは、台形ルールを用いて計算した。プラセボ群を組み合わせた治療群間の統計的比較は、ベースラインHDL−C及び治療群を補正することによって、共分散分析(ANCOVA)を用いて実施した。HDL−C、TC、FC、CE、HDL−CE、HDL−UC、非HDL−C、非HDL−CE、非HDL−UC、LDL−C(標準的な臨床検査による直接測定)のAUC0−168h並びにAUC0−96hをはじめとするその他のエンドポイント、及びこれらのそれぞれのapoBを一次PDエンドポイントについて同様に解析した。
上記の脂質、リポタンパク質、アポリポタンパク質、並びにVLDL−C、TG、プレβ1−HDL、apoAI、apoAII、apoCIII、及びapoEのそれぞれについて、ベースラインと、プラセボ群と組み合わせた治療群とを補正することによって、ANCOVAを用いて、各時点でのベースラインからの変化及びパーセント変化を解析し比較した。これらのそれぞれの最大応答及び最大応答時間について、記述統計値を治療群毎に提供した。ADA発生率及び力価を各治療群毎に作表した。ADAが陽性であることが確認されたサンプルは、中和抗体(nAb)力価を検査して解析し、同様に要約した。MEDI6012で治療された対象について、非コンパートメント解析を実施した。MEDI6012の質量及び活性の濃度時間プロファイルを用量コホート毎に要約した。報告されたPKパラメータには、Cmax、Tmax、AUC、SC生物学的利用能、及び終末半減期(t1/2)が含まれた。
一次及び二次試験目的
試験の一次安全性目的は、安定型CADを有する対象における、単回漸増用量後のMEDI6012の安全性を評価することであった。一次薬力学的(PD)目的は、MEDI6012の投与後における、HDL−Cの用量反応を測定することであった。一次PD目的のエンドポイントは、HDL−Cの用量後の0〜96時間における、ベースライン補正済み曲線下面積(AUC0−96h)を伴った。二次目的は、MEDI6012投与後におけるその他の主要なPDバイオマーカーの用量反応の測定;IV及びSC投与されたMEDI6012のPKプロファイルの確立;MEDI6012とプレβ1−HDL基質との関係性の判定;及びMEDI6012の免疫原性の可能性の評価を伴った。二次目的のエンドポイントは、その他の主要な脂質、リポタンパク質、及びアポリポタンパク質:総コレステロール(TC)、遊離コレステロール(FC)、コレステリルエステル(CE)、高密度リポタンパク質コレステリルエステル(HDL−CE)、高密度リポタンパク質非エステル化コレステロール(HDL−UC)、非HDL−C、非HDL−CE、非HDL−UC、LDL−C(直接測定)、超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL−C)、トリグリセリド(TG)、アポリポタンパク質(apoplipoprotein)B(apoB)、アポリポタンパク質A1(apoA1)、アポリポタンパク質AII(apoAII)、アポリポタンパク質CIII(apoCIII)、及びアポリポタンパク質E(apoE)の血清濃度の評価;MEDI6012質量の血清濃度の測定;プレβ1−HDL粒子の評価;ADA及びnAbの力価を伴った。
探索目的には、リポタンパク質のサイズ及び粒子数の調査;代替方法論を用いたLDL−Cレベルの検証;治療対象からのコレステロール流出をサポートする血漿の能力に対する、MEDI6012の効果の評価が含まれた。探索的目的エンドポイントには、MEDI6012活性の血清濃度の測定;HDL、LDL、及びVLDLの粒度並びに粒子数;超遠心分離(β−quant)及びFriedewald方程式によるLDL−Cの測定;及び例えば,Shamburek,R.D.et al.,2016,Circulation Research,118:73−82;doi:10.1161/CIRCRESAHA.115.306223,2015に記載されるような、既知のプロトコルを用いた、HDLのLCATエステル化活性アッセイによる全体的コレステロール流出の判定が含まれた。
研究対象集団
研究対象集団は、臨床的に安定している既往のCADの記録がある成人によって構成された。この集団は、今後の臨床開発の標的集団である動脈硬化が確立しているが、臨床的に安定しており(安全性リスクがより低い)、バイオマーカーレベルの変動が少なく、堅牢なPK/PD決定を可能にする患者を対象に、MEDI6012の安全性、PK、及びPDの評価を可能にするための最適なバランスをとっている。不安定型CAD並びに不安定型又は進行性アンギナを有する対象は除外された。この試験では、健常対象集団は選択されなかった。この試験における安定型CAD患者の使用は、健常対象集団よりもACS集団と一致する可能性が高い脂質プロファイルを有する患者における、脂質プロファイルデータの取得を可能にした。さらに、先行研究又はMEDI6012前臨床試験では、安定型CAD患者へのMEDI6012の単回用量投与を評価する際の安全上の懸念を示唆する安全シグナルはなかった。
遺伝的に低いLDL受容体濃度(したがって高い又は非常に高いベースラインLDL)を有する対象の登録を避けるために、関心のある脂質/リポタンパク質の変化がそれに対して評価されるより均一な集団を提供するために、対象は、スクリーニング時に、150mg/dL以下のLDL−Cレベルで、標準治療(SoC)としての安定したスタチンレジメンを服用していることが要求された。同様に、用量選択を容易にするHDL−Cレベルの上向きの移動について、試験対象間で一貫性を提供するために、ベースラインHDL−C値が高い対象(男性では60mg/dLを超え、女性では65mg/dLを超える)は除外された。
一次エンドポイント、重要なPDエンドポイント、PKエンドポイント、及び免疫原性エンドポイントの理論的根拠
一次PDエンドポイントは、ベースライン補正済みAUC0−96hとして解析された、HDL−Cであった。HDLはrhLCATの基質であることから、MEDI6012の有効性はHDL−Cレベルの変化と相関することが予期された。これは、MEDI6012輸液後にHDL−Cにおける堅牢で一過性の増加を示した、MEDI6012カニクイザル毒性学試験(無傷の内因性rhLCAT及び高レベルのHDL−Cを有する正常な動物)によって裏付けられる。HDL−Cは、CEよりも一貫性があり/変動が少ないアッセイエンドポイントであり;したがって試験ではCEがPDの二次エンドポイントとして選択された。
MEDI6012投与の結果としてのこれらのマーカーの移動が、RCTシステム上の活性増大を裏付ける証拠を提供したことから、リポタンパク質及び脂質パネル成分が選択された。TCは、全ての血漿リポタンパク質上の非エステル化及びエステル化コレステロールの合計を表す。HDL−Cは、HDL粒子に存在するコレステロールの量を表し、それはHDL−UC画分とHDL−CE画分にさらに分類され得る。MEDI6012はその酵素活性を通じて、一次PDバイオマーカーであるHDL−Cの増加をもたらすことが予期された。TC、CE、及びLDL−Cレベルは、RCTにおけるrhLCATの効果をさらに評価するマーカーであり、したがって二次PDエンドポイントとして同定された。
LCATの血清濃度(質量)を使用して、MEDI6012曝露を特性決定し毒性学的曝露に関連させた。PKはまた、将来の臨床治験のための用量選択の情報を与えるのに役立つ、用量−曝露−PD応答関係を開発するためにも使用され得る。血漿LCAT活性は、安定型CAD集団におけるMEDI6012のPKとPDの関係を確立する上で、LCAT質量の代替手段を提供した。
MEDI6012に対するADAの形成は、MEDI6012及び/又は内因性LCATの安全性、PK、及び/又はPDに影響を与える可能性があった。この化合物のADAの可能性を評価し、あらゆるnAbの形成もまた特性決定した。
探索的PDエンドポイントの理論的根拠
リポタンパク質の粒度及び粒子数:プレβ1−HDL(RCTに伴う第1のHDL粒子)は、ABCA1のapoAIへの結合を通じて、末梢細胞でコレステロールを受容する、脂質の乏しい小さな円盤状粒子である。その結果生じる複合体は、次に追加的なコレステロールの取り込みによって、より大きな粒子であるプレβ2−HDLに変換される。コレステロールは、LCATの作用を介してエステル化され、LCATは、粒子をより大きな球形α3−HDL粒子に変換し、次にそれはさらにα2−HDLに変換され、次にそれがより多くのコレステロールを取得するにつれてα1−HDLに変換される。エステル化反応は、コレステロールのHDLへの移動を駆動する濃度勾配の維持を助けると考えられており、したがってHDLがより多くのコレステロールを受け入れる能力を高める(Fielding et al,1995a,Journal of Lipid Research,36(2):211−28)。成熟HDLのCEは、肝臓(マイナー経路)による直接の選択的取り込み、又はCETPの作用を介したapoB含有リポタンパク質への移行のどちらかによって除去され;次にapoB含有リポタンパク質は、肝臓の低密度リポタンパク質受容体(LDLr)経路(主要経路)を通じて除去される。apoB含有リポタンパク質のCEへの移行と、より大きくよりコレステロールに富むLDL粒子の最終的な成熟は、LDLrを通じた取り込みを促進することが予期された。これが粒子数の増加なしに発生することが、重要である。細胞からのFCの流出、LCATによるFCのエステル化、及び肝臓によるCEの取り込みは、集合的にRCTの重要な最初のステップである(Fielding et al,1995b,Biochemistry,34(44):14288−92;Miller,1990,Baillieres Clin Endocrinol Metab.,4(4):807−32;Tall et al,2008,Cell Metab.,7(5):365−75)。プロトコルで指定されたエンドポイントを選択してHDL成熟に対するMEDI6012の生体内活性に関する情報を提供し、その作用機序への洞察を提供した。
超遠心法によるLDL−Cの検証:Turner et al.(2015.https://www.medpace.com/PDF/Posters/PosterD1_MRL−2015pdf)は、計算されたLDL−C(Friedewald方程式による)、直接/均一(homogenous)LDL−Cアッセイ(標準的な臨床検査による直接測定)、及び「判断基準」分離用超遠心(β−quant)アッセイを比較した。LDL−Cを計算するための式及び「直接」LDL−C測定は、真のLDL−Cが70mg/dL未満の場合に有意且つ臨床的に重要な差を示し、トリグリセリドの中程度の増加でさえ測定に大きな影響を有した。したがって、「判断基準」超遠心法(探索的)をこの治験に含めて、LDL−C直接(二次測定)と計算されたLDL−C(探索的)の比較を提供し、LCAT機序及び患者集団に最適なLDL−C測定値の選択を容易にした。
コレステロール流出及びLCATエステル化アッセイ:これらは、上方制御されたRCT及びHDLの機能性(HDL−C及び粒度の変化を超える)の新規バイオマーカーであり、末梢組織からのコレステロール流出を上方制御するMEDI6012の能力を測定する。
材料と方法
治験薬/医薬品:本明細書に記載される試験及び方法で投与された治験薬/医薬品であるMEDI6012は、MedImmune,LLC社によって製造され、10mMリン酸ナトリウム、300mMスクロース、0.06重量%(w/v)ポロキサマー188、pH7.2を含有する緩衝液中の凍結乾燥粉末(滅菌注射用水による再構成時に100mg/mL)として提供された。MEDI6012は、無菌の白色から灰白色の凍結乾燥粉末として提供された(50mg/バイアル、公称)。0.6mLの滅菌注射用水(sWFI)で再構成すると、MEDI6012は無色から黄色の溶液になる。
試験に使用されたプラセボは、MedImmune,LLC社によって製造され、10mMリン酸ナトリウム、300mMスクロース、0.06%(w/v)ポロキサマー188、pH7.2を含有する10mLの溶液として提供された。プラセボは、無色からわずかに黄色の無菌溶液として提供した。
治験薬に加えて、IV輸液システムへのMEDI6012製品の吸着を防止するために、輸液バッグ保護剤(IVBP)溶液を提供した。IVBPは、2〜8℃(36〜46°F)で保存した。IVBPは、10mMリン酸ナトリウム、300mMスクロース、及び0.06%(w/v)ポロキサマー188、pH7.2を含有する10mLの溶液として使用するために、提供された。IVBPは、無色からわずかに黄色、透明からわずかに乳白色の液体として、10Rバイアル内に提供された。凍結乾燥MEDI6012は、IVBP溶液では再構成されなかった。
IV投与:各IV用量は、0.9%の生理食塩水IVバッグ内の再構成されたMEDI6012とIVBP、又はプラセボとIVBPとの混合物として、対象に送達した。IVBPは、IV用量のみで使用した。全てのIVコホートで、MEDI6012薬物又はプラセボ用量の添加前に、IVBPを使用してIVバッグを事前調整した。各用量で、凍結乾燥MEDI6012医薬品バイアル、液状プラセボバイアル、液状IVBPバイアルを検査し、活性医薬品用量又はプラセボ用量を調製する前に、0.9%(重量/体積、w/v)の生理食塩水をIVバッグに添加した。活性医薬品治療群では、MEDI6012の1用量当たりの必要バイアル数のみを再構成した。
IVBPと共に使用した場合、MEDI6012とプラスチック(ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DEHP)非含有ポリオレフィンバッグ及びポリプロピレンシリンジ)との間に不適合性は観察されなかった。ポリエチレン/ポリ塩化ビニル(PE/PVC)及びPVC DEHP非含有IV延長ラインは、許容された。ラインは、0.22又は0.2μmのインラインフィルターを含んだ。インラインフィルターは典型的には、ポリエーテルスルホン(PES)からできていた。セルロースベースのフィルターを含むラインは試験されていなかったため、MEDI6012と共に使用しなかった。
MEDI6012製品、プラセボ、及びIVBPは、保存料を含有せず;そのため、あらゆる未使用部分は廃棄した。第1の治験薬バイアルを針で穿刺してから静脈内投与を開始するまでの使用中の合計保存時間は、室温で4時間、又は2℃〜8℃(36°F〜46°F)で24時間を超えてはならない。保管時間がこれらの制限を超えた場合、新規用量を新規治験薬バイアル及びIVBPバイアルから調製した。調製された用量を2℃〜8℃(36°F〜46°F)で保管した場合、バイアルを室温に平衡化させ、IV投与前に検査して、投与するMEDI6012の溶液が透明であることを確認した。
SC投与:各SC用量は、再構成されたMEDI6012又はプラセボとして送達した。MEDI6012と、SC投与に使用したポリカーボネート/ポリプロピレンシリンジとの間に、不適合性は観察されなかった。MEDI6012薬物及びプラセボは保存料を含有しなかったため、あらゆる未使用部分は廃棄した。第1の治験薬バイアルの針穿刺からSC投与開始までの使用中の合計保管時間は、室温で4時間を超えなかった。貯蔵時間がこれらの制限を超えた場合、新規SC用量を新規バイアルから調製した。
IV投与用MEDI6012又はプラセボの調製及び投与:24mg〜1600mgの用量の混合物は、IVBPを含有する、50mLのポリオレフィン0.9%生理食塩水IVバッグ内で、一段階希釈を用いて調製した。試験では1600mgの用量が試験のために提案されていたものの、低用量のrhLCAT又はMEDI6012を使用して有効性が判定されたため、この用量は対象で試験しなかった。調製された用量を0.22又は0.2μmのPESフィルター付きPVC(DEHP非含有)IV投与セットを使用して送達した。IV輸液によるIV投与では、フィルターを含めたIVバッグの投与構成要素を取り付けて、投与ラインを輸液の直前にプライミングした。MEDI6012の用量は、約60分間(±5分間)かけてIV輸液として投与した。IVバッグの完全輸液後、最大30mLの0.9%生理食塩水(又は延長セットの停滞容積の相当量)をIVバッグに添加して、IV投与セットのフラッシュを実施し、MEDI6012の用量の完全な送達を確認した。
SC注射用MEDI6012又はプラセボの調製及び投与:MEDI6012の各皮下(SC)用量は、注射によって、シリンジによって送達された。MEDI6012薬物又はプラセボは、適切なサイズのシリンジ(ポリカーボネート/ポリプロピレン)又は滅菌ガラスバイアル(例えば、10mL)内にプールされ、送達容積に基づいて投与され得た。用量は、27Gの0.5インチ注射針を使用して送達した。さらに、IVBPはSC用量の調整に使用されなかった。
治療及び用量投与モニタリング
試験では、MEDI6012投与の日を1日目と見なした。用量の当日、対象による最低6時間の一晩の絶食後、対象の起床後に可能な限りすぐに、MEDI6012治験薬を投与した。IV輸液では、MEDI6012製品をおよそ60分間(±5分間)かけて投与した。SC注射では、27Gの0.5インチ針を使用して、MEDI6012製品を下腹部に投与した。医薬品の用量を投与するために複数の注射が要求される場合は、別々の注射部位を使用した。個々の注射は、腹部に少なくとも3cm間隔で投与した。SC投与を介してインスリン又はその他の薬物療法もまた受けている対象では、これらの薬物療法の注射は、MEDI6012医薬品投与とは異なる場所で行った。腹部の皮膚表面をアルコールで拭いて準備し、風乾させた。
皮膚をつまんで、SC組織を筋肉から分離した。針は、SC組織のほぼ半分まで90度の角度で挿入した。MEDI6012治験薬は、穏やかな圧力を用いてSC組織内に緩慢に注入した(1mLシリンジ当たり少なくとも5秒間の持続時間が推奨された)。注射後、部位はマッサージしなかった。
用量投与の前後に、生命徴候、ECG評価、及び遠隔測定(IV投与用)を実施した。任意の外因性タンパク質と同様に、用量投与に対するアレルギー反応が起こりうる。そのため、急性アナフィラキシー反応を治療するための適切な薬剤と医療機器が即座に利用できるようにし、試験担当者は、アナフィラキシーを認識して治療するための訓練を受けた。
試験期間中、対象は、処方されたスタチン療法を通常の処方用量で、及びCADなどの疾病のために処方された、例えば、血圧又は心臓薬物療法などのあらゆるその他の薬物療法を服用し続けた。
治療群を割り当てる方法:対話型音声/ウェブ応答システム(IXRS)を使用して、対象を治療群に無作為化し、盲検化された治験薬キット番号を割り当てた。治験責任医師が、対象が適格性基準を満たしたことをIXRSに通知し、IXRSが、盲検化された治験薬キット番号の割り当てを対象に提供したときに、対象は試験に無作為化されたと見なされた。
各コホートで、8人の対象を6:2の比率で無作為化し、MEDI6012又はプラセボを投与した。各コホートに対して、センチネル投与アプローチを計画した。センチネル投与では、2人の対象を1:1の比率で無作為化し、MEDI6012又はプラセボを最初に投与した。コホートの残りの対象が投与される前に、24時間以上の時間差が発生した。
治験薬は、無作為化後24時間以内に投与した。治験薬の投与に遅延があり、規定の時間枠内に投与されなかった場合は、即座に医療モニターに通知された。
許可された併用薬物療法:試験に登録され、動脈硬化性CVDが確立していた対象は、現行の治療ガイドライン(例えば、AHA/ACCF Secondary Prevention and Risk Reduction Therapy for Patients with Coronary and Other Atherosclerotic Vascular Disease,2011、及びACC/AHA Blood Cholesterol Guideline,2013)に沿って管理され、一連の心臓保護薬物療法を受けていることが予期された対象には、スクリーニングから試験終了時まで、現行のレジメンを遵守することが要求された。治験担当医師は、以下に記載されるような「除外された」薬物療法を除いて、適切な支持療法を提供するために必要であると考えられる、併用薬物療法又は治療を処方した。具体的には、対象は、スタチン及び血圧薬物療法の通常の処方用量を服用し続け、輸血及び血液製剤;及び抗生物質、制吐剤、下痢止め、鎮痛剤による治療;及び適切と見なされる場合には施設のガイドラインに従ったその他のケアをはじめとする、完全な支持療法を試験期間中に受けた。
脂質の管理に影響を及ぼすこともある、店頭薬、ハーブサプリメント、ビタミン剤などの併用薬物療法(スタチンを除く)は、最後の治験受診まで、スクリーニングから禁止された。対象は、最初に治験責任医師に相談することなく、店頭薬をはじめとするいかなる薬物療法も服用しないように指示された。脂質に対する影響のために、全身性アレルギー反応、試験ガイドラインで定義されるようなアナフィラキシー、又はその他の重篤な病状の治療に必要な場合を除き、全身性コルチコステロイドもまた、スクリーニング前の28日以内及び試験期間中に禁止された。吸入、鼻腔内、局所、点眼、及び関節内コルチコステロイドは許可された。全身性コルチコステロイドの使用には、医療モニターと協議し許可を得ることが要求された。
統計的評価
一般的な考察事項:データは、コホート、治療群、及び対象番号でソートされたリストで提供した。表形式の要約は、適切な場合、プラセボ群を組み合わせて治療群毎に(及びIV経路とSC経路を個別に)提示した。カテゴリーデータは、各カテゴリーの対象の数及び百分率によって要約した。連続変数は、平均、標準偏差、中央値、最小値、及び最大値をはじめとする、記述統計値によって要約した。ベースライン値は、治験薬の初回投与前の最後の有効な評価として定義した。
解析集団の定義:As−treatedには、任意の治験薬(MEDI6012)を投与された全ての対象が含まれた。対象は、実際に受けた治療に従って解析された。PK集団には、少なくとも1つの検出可能なLCAT血清濃度測定値を有した、As−treated集団の全ての対象が含まれた。
サンプルサイズ及び検出力計算:試験は、合計48人の対象を登録するようにデザインされた。各コホートは6:2の割合で無作為化された8人の対象を含み、MEDI6012又はプラセボが投与された。(図1)。この単回漸増用量試験のサンプルサイズは経験的に決定され、適切な安全性、忍容性、及びPK/PDデータを提供して試験目的を達成する一方で、できるだけ少数の対象を治験薬及び試験手順に曝すようにデザインされた。
試験では、8人の対象にIV投与を介してプラセボを投与し、4人の対象にSC投与を介してプラセボを投与した。共通標準偏差を280、両側αを0.05と仮定すると、現行のサンプルサイズは、ベースライン補正済みHDL−CAUC0−96hについて、同一投与経路のプラセボと比較した、各MEDI6012群の間で、1300mg・時間/dLの差を検知する99%を超える検出力を提供した。
試験結果
SAD試験は、一次PDエンドポイントを満たし、予期された用量よりも低い用量でHDL−Cの用量依存的な増加を達成した。24〜800mgの量で単回IV用量のMEDI6012を対象に投与すると、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)、高密度リポタンパク質コレステリルエステル(HDL−CE)、及びCEの用量依存的な増加を実証し、LCAT酵素の作用機序と一致した。以下の表1に示されるように、HDL−Cのベースライン補正済みAUC(0〜96時間)に関して、統計的に有意な増加が、MEDI6012が24mgの用量で投与された群を除くIV治療群全て(すなわち、80mg、240mg、及び800mgの用量のMEDI6012)で観察された。HDL−CのAUC(0〜96時間)増加は、用量依存的であると判定された。
以下の表2に示されるように、HDL−Cのベースライン補正済みAUC(0〜168時間)に関して、統計的に有意な増加が、MEDI6012が24mgの用量で投与された群を除くIV治療群全て(すなわち、80mg、240mg、及び800mgの用量のMEDI6012)で観察された。HDL−CのAUC(0〜168時間)増加は、用量依存的であるようであった。
皮下(SC)MEDI6012治療集団では、600mgのMEDI6012をSC投与によって与えられた対象の治療群で、HDL−Cのベースライン補正済みAUC(0〜96h)に関して、統計的に有意な増加が観察された。これは、下の表3に示される:
さらに、以下の表4に示されるように、600mgのMEDI6012をSC投与によって与えられた対象の治療群で、HDLのベースライン補正済みAUC(0〜168h)に関して、統計的に有意な増加が観察された:
試験対象へのMEDI6012の静脈内投与は、対象の血清中のLDL−Cレベルの用量依存的増加(図2A及び2B)をもたらしたが、全てのIV用量、すなわち24、80、240、800mgのレベルにわたり、apoBの統計学的に有意な減少(図3A及び3B)もまたもたらした。ApoBは、男女の双方において、CHDのリスクの予測因子として、LDL−Cよりも優れていることが報告されており、例えば、apoBなどのアテローム発生粒子の数は、これらの粒子で輸送されるコレステロール(LDL−C)の量よりも、リスクのさらに重要な指標の役割を果たし得る。(Vaverkova,H.,2011,Clin Lipidology,6(1):35−48;Sniderman,AD et al.,2003,Lancet,361:777−780で概説される)。全ての潜在的なアテローム発生リポタンパク質粒子は、apoBの1つの分子のみと様々な量のコレステロールを含有することから、apoBは、LDL−Cよりも優れたアテローム発生リポタンパク質粒子数のマーカーとして機能する。したがって、本明細書に記載されるようなMEDI6012の様々な用量及び用量レジメンの投与後のapoBの有意な減少の所見は、LDL−Cの増加が観察されたにもかかわらず、MEDI6012が心血管疾患を有する対象の有益で保護的な治療に有意な利点を提供することを実証する。
80mg及び600mgの用量でMEDI6012の皮下(SC)投与を受けた対象では、経時的なHDL−Cの血清濃度(図4A)及び経時的なHDL−Cの血清濃度のベースラインからの変化(図4B)に基づいて、プラセボと比較して、双法の用量でHDL−Cの用量依存的増加が経時的に観察された。図5A及び5Bに示されるように、SC投与によるMEDI6012の全用量、すなわち80mg及び600mgの投与にわたって、LDL−Cレベルに有意な変化は観察されなかった。MEDI6012のIV投与で見られた結果と同様に、プラセボと比較して、MEDI6012の双方のSC用量について、apoBの減少が経時的に観察された。(図6A及び6B)。MEDI6012の投与は、MEDI6012をSC投与によって与えられた600mg用量群(図7A及び7B)で、並びに経時的に対象に投与されたMEDI6012の全てのIV用量(24mg、80mg、240mg、及び800mg)(図7C及び7D)で、経時的なapoA1の血清濃度に統計学的に有意な増加をもたらした。
24mg、80mg、240mg、800mgの用量でMEDI6012を静脈内(IV)投与された対象では、経時的なHDL−Cの血清濃度(図4C)、及び経時的なHDL−Cの血清濃度のベースラインからの変化(図4D)に基づいて、プラセボと比較して、特に、各用量のおよそ8〜12日の期間中に、経時的なHDL−Cの用量依存的増加が観察された。HDL−Cの増加は、MEDI6012の指示された用量のIV投与後、最初の2〜5日に、さらには8日後でさえ、特に顕著であった。
さらなる結果は、方法が、アテローム発生作用物質であり、それらの小さいサイズのために血管壁に浸潤して血管を損傷し得る、小LDL粒子(LDL−P)で観察された減少に基づいて、抗動脈硬化発生効果をもたらすことを示した。特に、方法の結果は、80mgのMEDI6012の用量では小LDL−Pの減少が約40〜41%であり、240mgのMEDI6012の用量では小LDL−Pの減少が約80%であり、800mgの用量では追加的な増加がないことを実証した。これは、図17に提示される結果によって示される。したがって、80mg〜240mgの量のMEDI6012の用量は、有害なLDL−Pレベルの実質的な減少をもたらし、したがって記載される方法によってもたらされる、追加的な治療的並びに心臓及び心血管系の保護的な利益を提供する。
要約すれば、SAD試験は、スタチン療法が背景にある冠動脈心疾患(CHD)患者におけるMEDI6012(LCAT酵素)の単回輸液が、HDLコレステロール(HDL−C)、HDLコレステリルエステル(HDL−CE)、及び総CEの用量依存的増加を引き起こしたことを実証し;これはLCATの作用機序と一致する。さらに、MEDI6012の単回投与は、アポリポタンパク質A1(ApoA1)の用量依存的増加を引き起こし、80mg〜240mgの用量でピークに達した。
実施例2−MEDI6012(rhLCAT)の反復用量による安定型動脈硬化性心血管疾患(CVD)を有する対象の治療を伴う臨床治験
全体的な治験デザイン
第IIa相無作為化盲検プラセボ対照試験をデザインし、安定型動脈硬化性心血管疾患を有する対象へのMEDI6012の毎週の反復投与を伴う複数(複数の漸増用量(MAD))の安全性、薬物動態、及び薬物動力学を評価した。この用量漸増試験は、安定型動脈硬化性CVDを有する成人対象におけるMEDI6012の反復用量の安全性、PK/PD、及び免疫原性を評価するために実行された。少なくとも32人の対象を米国内のおよそ10の試験施設にわたり無作為化して、(40、120、300mg)(コホート1〜3);及び300mgの負荷(1回目)用量、それに続く48時間後の150mgの維持(2回目)用量、及び約1週間後(7日後)の100mgのMEDI6012の維持(3回目)用量を含む、静注投与レジメン(コホート4、実施例3に記載されるとおり、後述)の4つのMEDI6012の用量レベルを評価した。MEDI6012治験薬は、コホート1〜3の対象に、静脈内(IV)輸液を介して毎週投与した。コホート1〜3の試験対象におけるMEDI6012投与の効果の評価は、本明細書に記載されるように、進行中の試験が進むにつれて行った。MAD試験のコホート4は、後述の実施例3に記載される。
各コホートで、8人の対象を6:2の比率で無作為化し、MEDI6012又はプラセボを投与した。コホート1〜3の対象では、MEDI6012治験薬を1時間のIV輸液として静脈内投与し、患者データの特定の中間解析を行った。
進行中のMAD試験では、コホート1〜3の対象は、最大28日間のスクリーニング期間を受けた。異脂肪血症薬物療法又はサプリメントの休薬期間を要する対象では、56日間のスクリーニング期間が許された。対象は、無作為化及び1回目の用量投与の前夜(−1日目)及び3回目の用量投与の前に試験センターに入所し、必要に応じて、試験センターに24〜36時間留まった。2回目の用量では、対象は投与後少なくとも8時間にわたり、入院患者として観察された。コホート4では、外来患者としての扱いが、4日目まで提供されてもよい。対象は、治験薬の最後の用量(コホート1〜3では71日目の受診、コホート4では66日目の受診)から56日目まで、外来患者として追跡した。対象には、試験期間中、食生活及び運動をはじめとする健康的な生活習慣の維持が奨励された。
標的対象の集団、治験薬、投与量、及び投与方法
この試験の標的対象集団には、安定型動脈硬化性CVDの既往の記録がある、60〜80歳の成人男性又は女性が含まれた。
コホート1〜3におけるMEDI6012治験薬の投与量及び投与様式は次のとおり:
コホート1:40mgのMEDI6012(n=6)又はプラセボ(n=2)を1、8、及び15日目に静脈内;
コホート2:120mgのMEDI6012(n=6)又はプラセボ(n=2)を1、8、及び15日目に静脈内;及び
コホート3:300mgのMEDI6012(n=6)又はプラセボ(n=2)を1、8、及び15日目に静脈内。
サンプルサイズ:上述されるように、進行中の試験に登録された少なくとも32人の対象がコホート中にあり、それぞれ8人の対象が6:2の割合でMEDI6012又はプラセボを与えられるように無作為化された。この複数回漸増用量試験のサンプルサイズは、試験目的を達成するために十分な安全性、忍容性、及びPK/PDデータを提供するように経験的に決定された。
統計解析:安全性解析は、As−treated集団に基づいた。有害事象(AE)及び重篤有害事象の収集は、対象がインフォームド・コンセント文書に署名した後に開始して、治験受診の終了まで継続した。TEAE及びTESAEは、Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)の最新バージョン(MedDRA)によってコード化し、タイプの発生率、重症度、及び治験薬との関係を要約した。特定のAEは、百分率を算出するために、各対象毎に1回ずつカウントした。さらに、特定の対象内で同一AEが複数回発生した場合は、最も高い重症度で最も高い関係性が認められたものを報告した。全てのTEAEとTESAEは全体的に要約し、MedDRAシステムの臓器クラスと優先使用語によって分類した。
主な関心のあるPDパラメータは、HDL−C、HDL−CE、及びCEの第3の用量後0〜96時間における、ベースライン補正済みAUC(AUC0−96hr用量3)である。AUCは、台形ルールを用いて計算した。プラセボ群を組み合わせた治療群間の統計的比較は、ベースラインHDL−C、HDL−CE、及びCE、並びに治療群を補正することによって、共分散分析(ANCOVA)を用いて実施した。AUC0−96hr用量1、AUC0−168hr用量1、AUC0−168hr用量3(1日目の時間0から用量3の168時間後までのAUC)、AUC1−22d、HDL−C、TC、FC、CE、HDL−CE、HDL−UC、非HDL−C、非HDL−CE、非HDL−UC、LDLC(標準的な臨床検査による直接測定による)、apoA1、及びapoBをはじめとする、その他のエンドポイントは、一次PDエンドポイントと同様に解析した。
上記の脂質、リポタンパク質、アポリポタンパク質、並びにVLDL−C、TG、プレβ1−HDL、apoA1、apoAII、apoCIII、及びapoEのそれぞれについて、ベースラインと、プラセボ群と組み合わせた治療群とを補正することによって、ANCOVAを用いて、各時点でのベースラインからの変化及びパーセント変化を解析し比較した。ANCOVAについては、データが正規分布していない場合、ランク変換したデータを用いて解析を実施した。
最大バイオマーカー応答(Rmax)と最大バイオマーカー応答到達時間([R]Tmax)についても、それぞれ治療群毎に記述統計値を提供した。
評価された各治療群毎に、ADA発症率及び力価を表にした。ADAが陽性であることが確認されたサンプルを検査し、nAbについて解析し、同様に要約した。
MEDI6012で治療された対象について、非コンパートメント解析を実施した。血清MEDI6012の質量及び活性の濃度時間プロファイルを用量コホート毎に要約した。報告すべきPKパラメータには、薬物の最大血漿濃度(Cmax)、最大濃度の時間(Tmax)、AUC、蓄積率、及び終末半減期(t1/2)が含まれた。PKパラメータの記述統計値を提供した。
適切な場合は、追加的なPK解析を実施した。データが許す場合は集団PK解析を実施したが、臨床試験報告書(CSR)では報告しなかった。
一次解析:安全性、免疫原性、PK、PDデータの一次解析は、最後に予定されていた受診(コホート1〜3の場合は71日目)に先だって、最後の対象が終了又は脱落した後に実施し、CSRに報告した。
試験の一次目的、二次目的、及び探索的目的
MAD試験の一次安全性目的は、安定型動脈硬化性CVDを有する対象における、コホート1〜3では71日目まで、コホート4では66日目までの反復投与後に、MEDI6012の安全性を評価することであった(実施例3)。一次PD目的は、MEDI6012を繰り返し投与することで、そのレベルが試験中に評価された、PD HDL−C、HDL−CE、及びCEの持続可能で可逆的な用量依存的応答が得られることを確立することであった。
試験の二次目的は、反復用量投与後のMEDI6012のPKプロファイルを確立すること;反復用量投与後の一連のPDバイオマーカーに対するMEDI6012の効果を評価すること;及びMEDI6012の免疫原性の可能性を評価することであった。この試験の探索的目的は、高密度リポタンパク質(HDL;及び低密度リポタンパク質(LDL)と超低密度リポタンパク質(VLDL))のバイオマーカーのサイズ、組成、及び機能を探索することであった。
試験エンドポイント
コホート1〜3に対する71日目までの、治療中に発生した有害事象(TEA)と治療中に発生した重篤有害事象(TESAE)の発生率、並びに12誘導心電図、生命徴候、及び臨床検査室評価における重要な変化によって測定される、MEDI6012の安全性及び忍容性:
一次PDエンドポイント:HDL−C、HDL−CE、及びCEの第3の用量後0〜96時間における、ベースライン補正済み濃度時間曲線下面積(AUC0−96hr)。
二次エンドポイント:MEDI6012質量及び活性のPK。その他の重要な脂質及びリポタンパク質の血清濃度:CE、HDL−CE、HDL非エステル化コレステロール、(HDL−UC)、非HDL−C、非HDL−CE、非HDL−UC、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)、総コレステロール(TC)、アポリポタンパク質B(apoB)、トリグリセリド(TG)、超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL−C)、遊離コレステロール(FC)、及びapoA1、apoAII、apoCIII、アポリポタンパク質E(apoE)、プレβ1−HDL;及びHDL−Cの減少を伴う、抗薬物抗体(ADA)とnAbの発生。
探索的エンドポイント:リポタンパク質の粒度、数、機能の測定、及び脂質代謝の変化の影響を評価するその他のアッセイ。
試験デザイン用量理論的根拠
特定の理論による拘束は望まないが、MEDI6012の臨床開発の前提は、動脈硬化性CVDを有する患者におけるMEDI6012(rhLCAT)の投与が、冠動脈、脳血管、及び末梢動脈中の動脈硬化性プラークからのコレステロールをはじめとする、組織からのコレステロールの動員を上方制御し、それらの安定化、及び再発性の主要有害CVイベントのリスクの低下をもたらすことである。さらに、HDL機能の予期された改善は、炎症の調節及び内皮機能の改善をもたらしてもよく、その影響は、主要有害CVイベントの減少にもまた寄与してもよい。
実施例1に示されるように、24、80、240、又は800mgのIV及び80又は600mgのSCの量で対象に投与されたMEDI6012の単回投与は、許容他可能な安全性プロファイルと、HDL−C、HDL−CE、及びCEの用量依存的増加とを示した。したがって、MEDI6012を複数回漸増用量デザインを用いるMAD試験で評価して、臨床PK及びPD、並びに反復用量設定におけるその安全性及び免疫原性を特性決定した。一次PDエンドポイントが、標的対象集団における評価のために統計的に駆動され、第IIa相単回漸増用量試験(実施例1)のデータに基づくことから、プロトコルは第IIa相試験として識別される。
第IIa相の複数回用量漸増試験は、安定型動脈硬化性CVD集団におけるMEDI6012の反復投与のPK/PD、安全性、及び免疫原性データを提供するようにデザインした。この試験に参加した対象は、少なくとも1つの血管床(冠動脈、頸動脈、又は末梢動脈)内に動脈硬化症が確立していた。コホート1〜3では、対象に3回のIV用量を毎週投与した。コホート4では、後述の実施例3に記載されるように、対象に、静注を介して1日目に負荷用量、及び3日目及び10日目に維持用量を投与した。対象は、3回用量薬物レジメン及び試験期間に基づいて、脂質/リポタンパク質パラメータの一過性の変化を見てもよいことが予期される。本明細書に記載されるような反復投与レジメンを用いた、MEDI6012のより長期間の投与について、持続する治療法の利益が想定される。対象リスクは、不安定な又は高リスクの対象の登録を回避するための厳格な適格性基準、並びに有害事象(AE)、検査室パラメータ、生命徴候、及び心電図(ECG)の綿密なモニターを通じて、最小化した。さらに、試験の過程で、PK、PD、及び免疫原性を継続的に評価した。
試験の一次仮説は、MEDI6012の反復投与が、安定型動脈硬化性心血管疾患(CVD)を有する対象において、許容可能な安全性プロファイルを示すこと;並びにMEDI6012の反復投与が、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)、コレステリルエステル(CE)、及び高密度リポタンパク質−コレステリルエステル(HDL−CE)に、毎週又はより低頻度の薬剤の投与を可能にする、持続的で可逆的な用量依存的応答をもたらすことである。この試験の二次仮説は、(i)MEDI6012の反復投与が、毎週又はより高頻度の薬剤の投与を可能にする、薬物動態(PK)プロファイル(レシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)質量及びLCAT活性)をもたらすこと;(ii)MEDI6012の初期負荷用量と、それに続く48時間後及び1週間後の用量からなるレジメンは、負荷用量なしと比較して、HDL−C及び/又はapoA1の急速な上昇、並びに7以上の薬力学的(PD)効果の維持をもたらすこと;(iii)MEDI6012の反復投与が、安定型動脈硬化性CVDを有する対象における、その他の重要な薬力学(PD)バイオマーカーの用量依存的応答をもたらすこと;及び(iv)MEDI6012の反復投与が、内因性LCATと交差反応してHDL−Cの減少をもたらす中和抗薬物抗体(nAb)の発生をもたらさないことである。
試験の一次目的、二次目的、及び探索目的及びエンドポイント。
試験の一次安全性目的は、安定型動脈硬化性CVDを有する対象における、コホート1〜3に対する71日目までの、反復投与後のMEDI6012の安全性の評価を伴う。一次PD目的は、MEDI6012の反復投与が、HDL−C、HDL−CE、及びCEに持続可能で可逆的な用量依存的応答をもたらすことを確立することである。
一次安全性エンドポイントは、コホート1〜3に対する71日目までの、TEAEとTESAEの発生率、及び12誘導ECG、生命徴候、及び臨床検査室評価における臨床的に重要な変化によって測定される、MEDI6012の安全性及び忍容性を考慮に入れる。一次PDエンドポイントは、HDL−C、HDL−CE、及びCEの第3の用量後の0〜96時間における、ベースライン補正済み濃度時間曲線下面積(AUC0−96hr)である。
一次エンドポイントの理論的根拠:評価された対象におけるMEDI6012の第3の用量後のベースライン補正済みAUC0−96hrとして、HDL−C、HDL−CE、及びCEの一次PDエンドポイントを解析した。rhLCATは、HDL中の遊離コレステロールをエステル化するであることから、MEDI6012の有効性は、HDL−C、HDL−CE、及びCEレベルの変化と相関することが予期される。この関係は、先行研究、及びMEDI6012を投与された安定型CAD対象のSAD試験(実施例1)に基づいても成り立った。これはまた、MEDI6012輸液後にHDL−Cにおける堅牢で一過性の増加を示した、MEDI6012カニクイザル毒性学試験(無傷の内因性rhLCAT及び高レベルのHDL−Cを有する正常な動物)によっても裏付けられる。
二次目的は、反復用量投与後のMEDI6012のPKプロファイルを確立すること;初期負荷用量と、それに続く48時間後及び1週間後の用量のMEDI6012のPD効果を確立すること(コホート4のみ、実施例3);毎週用量の反復投与後の一連のPDバイオマーカーに対するMEDI6012の効果を評価すること;及びMEDI6012の免疫原性の可能性を評価することである。
二次エンドポイントは、MEDI6012質量及び活性のPK;その他の重要な脂質及びリポタンパク質の血清濃度:CE、HDL−CE、HDL−UC、非HDL−C、非HDL−CE、非HDL−UC、LDL−C、TC、アポリポタンパク質B(apoB)、トリグリセリド(TG)、超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL−C)、FC、及びapoA1、apoAII、apoCIII、アポリポタンパク質E(apoE)、プレβ1高密度リポタンパク質(プレβ1−HDL;及びHDL−Cの減少を伴う、ADA及びnAbの発生の評価を伴う。
PD及びPKエンドポイントの理論的根拠:リポタンパク質及び脂質パネル成分を選択したのは、MEDI6012投与の結果としてのこれらのマーカーの移動が、単回漸増用量試験におけるコレステロール逆輸送(RCT)系の活性増加を裏付ける証拠を提供したためである。総コレステロール(TC)は、全ての血漿リポタンパク質上の非エステル化及びエステル化コレステロールの合計を表す。HDL−Cは、HDL粒子に存在するコレステロールの量を表し、それはHDL−UC画分とHDL−CE画分にさらに分類され得る。MEDI6012はその酵素活性を通じて、一次PDバイオマーカーであるHDL−Cの増加をもたらすことが予期される。TC及びLDL−Cは、RCTにおけるrhLCATの効果をさらに評価することから、PDの二次エンドポイントとして特定された。
MEDI6012(質量)の血清濃度を使用して、MEDI6012曝露を特性決定した。PKはまた、将来の臨床試験のための用量選択の情報を与えるのに役立つ、用量−曝露−PD応答関係を開発するためにも使用された。血清LCAT活動は、PKとPDの関係性を確立する上で、LCAT質量の代替尺度を提供する。
試験の探索的目的は、MEDI6012投与後に、HDL(及び低密度リポタンパク質(LDL)及び超低密度リポタンパク質(VLDL))のバイオマーカーのサイズ、組成、及び機能を探索することである。探索的エンドポイントは、リポタンパク質の粒、数、機能の測定、及び脂質代謝における変化の影響を評価するその他のアッセイを伴う。探索的PDエンドポイントの理論的根拠(リポタンパク質の粒度及び粒子数)は、実施例1に記載されるSAD試験と同じであった。
治療レジメン
MAD試験のコホート1〜3では、32人の対象が登録され、以下の表5に提示されるように、IV輸液を介したMEDI6012の3つの用量レベル(40、120、及び300mg)と反復用量投与を評価した。PD及びPKは、試験治療群が利用可能になったときに解析した。
治験薬(MEDI6012)及び治療投与
MAD試験のためのMEDI6012治験薬、プラセボ、及びIVBP溶液は、実施例1のSAD試験について記載されるとおりである。
MAD試験におけるコホート1〜3への輸液によるMEDI6012の投与は、実施例1に記載されるSAD試験で使用されたものと同じプロトコルに従った。
治療投与の場合、MEDI6012投与の初日を1日目と見なす。各投与日に、最低6時間の一晩の絶食後、起床後に可能な限りすぐに治験薬を対象に投与する。コホート1〜3では、MEDI6012治験薬をおよそ60分間(±5分間)の時間をかけて、IV輸液を介して対象に投与する。試験中、対象は、スタチン療法などの処方されたその他の薬物療法を通常の処方量で、及び動脈硬化性CVDのために処方されたその他の薬物療法を服用し続ける。
MAD試験コホート1〜3の試験デザイン及び用量の理論的根拠
MAD試験のコホート1〜3の用量は、MEDI6012の単回漸増用量試験のコホート1〜コホート3PK/PDデータを統合した予備PK/PD解析(実施例1)に基づいて選択した。MEDI6012では、単回漸増用量(コホート1〜コホート3、24〜240mgのIV)の投与後に、HDL−C、HDL−CE、及びCEをはじめとするLCAT活性のバイオマーカーの用量依存的増加が観察された。
統計的評価、解析集団(As−treatated集団)の定義とサンプルサイズ、及び検出力計算は、全て前出の実施例1のSAD試験について記載されるとおりである。
試験結果
進行中のMAD試験のコホート1〜3の結果の解析は、これらの反復投与レジメン、すなわち、1、8、及び15日目に、IV輸液によって対象に投与される40mgの用量のMEDI6012(コホート1);1、8、及び15日目に、IV輸液によって対象に投与される120mgの用量のMEDI6012(コホート2);及び1、8、及び15日目に、IV輸液によって対象に投与される300mgの用量のMEDI6012(コホート3)における試験対象へのMEDI6012の投与が、LCAT酵素の作用機序と一致するHDL−C、HDL−CE、apoA1、及びCEの用量依存的増加をもたらしたことを示した(図8A〜8D)。
LDLレベルの増加は、120mgの第1の投与後に、及び40mgと120mgの双方の第3の投与後に、観察された(図9A及び9B);しかし、apoBの増加は見られなかった(図10A及び10B)。apoBが男女の双方でLDL−Cよりも優れたCHDのリスク予測因子であり、これらの粒子に輸送されるコレステロール(LDL−C)の量よりも、apoBなどのアテローム発生粒子の数がさらに重要なリスク指標であることが、いくつかの報告で示されている。(Vaverkova,H.,2011,Clin Lipidology,6(1):35−48;Sniderman,AD et al.,2003,Lancet,361:777−780で概説される)。全ての潜在的なアテローム発生リポタンパク質粒子は、apoBの1つの分子のみと、様々な量のコレステロールとを含有することから、apoBは、LDL−Cよりも優れたアテローム発生リポタンパク質粒子数のマーカーとして機能する。したがって、本明細書で実証されるように、LCAT(MEDI6012)を投与された対象における極微量又は皆無のapoBの増加は、LDL−Cの増加が観察されたにもかかわらず、非常に有益で保護的な治療を反映する。
図11A及び11Bは、総コレステロール(TC)及び遊離コレステロール(FC)の血清濃度が、最高用量のMEDI6012(300mg)でのみプラセボと比較して上昇したことを示す。
実施例3
MAD試験のコホート4の用量選択基準
実施例1に記載されるようなMEDI6012の単回漸増用量試験からのPD観察、及び前述の実施例2に記載されるようなMAD試験で解析されたコホート(コホート1〜3)からのPD観察は、HDL−C及びapoA1の増加速度が用量依存的であることを実証した。ACS及び急性MIなどの心疾患及び/又は心血管疾患を有する対象における追加的な試験では、第1及び第2のMEDI6012の用量後にHDL−C及び/又はapoA1の増加率を最大化させることは、(本明細書に記載されるMEDI6012投与及びコホートにおける投与後にも見られるように)強化されたコレステロール逆輸送の抗動脈硬化作用と、HDL−C及び/又はapoA1の心臓保護効果とを組み合わることで、CHD患者に複数の利益をもたらすことが予期されるという理論的根拠の基礎の役割を果たした(Gordts et al,2013,Gene Ther.,20(11):1053−61;Kalakech et al,2014,PLoS One,9(9):e107950;Marchesi et al,2004,J.Pharmacol.Exp.Ther.,311(3):1023−31;Richart et al,2015,Circulation,132(Suppl 3):A17001−A;及びTheilmeier et al,2006,Circulation,114(13):1403−9の報告によっても裏付けられる)。したがって、静注による負荷用量のMEDI6012のIV投与と、それに続く48時間後の用量、次に毎週の維持用量のMEDI6012を検査するためのMAD臨床試験プロトコルに追加するために、コホート4をデザインした。
コホート4試験の一次目的及びエンドポイント目的は、実施例2のコホート1〜3について記載されたものである。コホート4試験の二次目的は、初期負荷用量と、それに続く48時間後及び1週間後の用量のMEDI6012のPD効果を確立することを伴う。
コホート4が関与する試験では、これまでにSAD試験から得られた結果を考慮して(実施例1)、実施例2に記載されるようなコホート1〜3の対象から得られた結果を考慮して、本明細書に記載されるような、コホート4の投与レジメンに続くPD/PK及び転帰を評価するために実施された解析的モデル化及びシミュレーション解析、及びデータを考慮して、心疾患及び/又は心血管疾患を効果的に治療することが予期される。
治療対象における脂質及びタンパク質バイオマーカーに対する、静脈内投与されたrhLCAT(MEDI6012)の用量の効果を予測するためのモデル化及びシミュレーション
コホート4の試験対象におけるMEDI6012のIV投与の有効用量と投与レジメンを決定するために、本明細書で実施されたモデル化及びシミュレーション解析ではPK/PDモデル構造を採用した。コホート4の用量選択を裏付けるモデル化及びシミュレーションのために、SAD及びMAD試験(コホート1〜3)のMEDI6012データを使用して、PK/PDモデル構造を適用した。
PK/PDモデルは、PK/PDデータを伴うコレステロール逆輸送(RCT)プロセスのために開発された数理モデルと、ACP501 rhLCATを伴う第IIa相試験の用量を選択するための公開データとに基づいた(Bosch,R.et al.,Poster entitled”A mechanism−based model is able to simultaneously explain the effect of rhLCAT and HDL mimetics on biomarkers of reverse cholesterol transport,”presented at the 2015 Population Approach Group in Europe(PAGE)Meeting,Hersonissos,Crete,Greece)。ヒトにおけるRCTのバイオマーカーに対するrhLCAT及びHDL模倣薬(HDLm)のIV投与の効果を記述するために、ACP501数理モデルを開発した。モデルは、異なる作用機序を有する2つの化合物からの文献及び試験データを統合することによって、HDL粒子内の脂質バイオマーカーの時間依存的動力学を記述した。RCTに対するHDL模倣薬及びrhLCAT製剤の効果をモデルに統合し、これは、プレβ−HDLからαHDLへのHDL粒子の立体構造変化と、コレステロールの流出に対する立体構造変化の効果との双方を記述した。
モデル化方法
モデル化では、MEDI6012、HDL−C、CE、及びapoA−Iデータが、臨床試験及び公開された研究から入手できた。R.Bosch et al.のモデル化と同様に、以下のように仮定された:
総HDL−C=HDL−FC+HDL−CE及び総CE=HDL−CE+apoB−CE
ACP501及びHDLの模倣薬と非常に類似したPKモデルを開発し、推定されたPKパラメータを統合モデルで修正した。LCAT酵素の活性と機能に関連する重要な経路と反応を同定し、システム固有のパラメータ値を取得するために、文献調査を実施した。PDモデルをMEDI6012のために開発し、モデルを更新して、LCAT活性に対するapoA1の効果を記述した。最後に、モデルをMEDI6012及びapoA1のIV投与後のPDデータに同時に適合させた。モデルは、HDL模倣薬の2つの独立した臨床試験を用いて評価し、外的に規格認定された。
上に記載されるBosch,R.et al.in the 2015 PAGE Meeting posterによって報告され、図21A〜21Cに示されるように、モデル化に関連していくつかの仮定がなされた。
apoA1の入力(プレβ形態での)はその合成を反映しており、一定であることが想定された。除去後のHDL粒子の組織修復(remodelling)によるapoA1リードのリサイクルは、考慮されなかった。モデルでは、高用量のrhLCAT輸液中のLCAT活性に伴う速度制限段階が考慮される。
組織中の遊離コレステロールは、血漿中の遊離コレステロールと比較して豊富であると想定され、したがって組織中の遊離コレステロール濃度は一定値に固定される。
遊離コレステロールの流出は、2つのプロセスで記述され得ると想定される。1つのプロセスは、HDLの成熟に依存し;もう1つのプロセスは、α−HDL中のapoA1の濃度、及び組織中の遊離コレステロールの(一定の)濃度と比較したHDL−FCの濃度に依存する。
HDL−CE、HDL−FC、及びapoB−CEの除去率は文献値に固定される。(例えば、Ouguerram K et al.,2002,A new labeling approach using stable isotopes to study in vivo plasma cholesterol metabolism in humans,Metabolism,51:5−11)。
HDL−C(HDL−CE及びHDL−FC)の除去は、ベースラインからの総apoA1の増加に伴って増加すると想定される。
HDLからapoB(LDL/VLDL)へのCEの輸送は、HDL−CE濃度に依存し、Emaxモデルによって記述され得ると想定される。
LDL/VLDLは個別に検討しなかったが、apoBと併せて検討した。
このモデル化結果は、HDL模倣薬とrhLCATによるRCTの刺激は異なる作用機序に関連したものの、8コンパートメントの機構モデルは、観察された血漿rhLCAT濃度と、HDL粒子内のコレステロールのエステル化及び非エステル化部分をはじめとする、関連性のあるバイオマーカーの経時変化との双方を適切に記述できたことを示した。VPCを用いた内部モデル及び外部モデルどちらの妥当性検証も、適切なモデル適合及び良好な予測性能を示した。HDLc AUCは、末梢組織からのコレステロールの移動量と高い相関を示し、RCTに対する効果をrhLCATとHDL模倣薬とで比較するのに役立たった。
MAD試験のコホート4に対する用量、予測転帰、及び結果
治療レジメン
MAD試験におけるコホート4の治験薬(rhLCAT又はMEDI6012)の投与量及び投与様式は、1日目に、300mgのrhLCAT又はMEDI6012を対象に投与する(負荷用量);48時間(±8時間)目に、150mgのrhLCAT又はMEDI6012の第2の用量を対象に投与する(3日目の維持用量);及び第2の用量の1週間後に、100mgの用量のrhLCAT又はMEDI6012を対象に投与する(10日目の維持用量)とおりであり、全て、以下の表6に提示されるように静注投与される。上述されるように、静注は、典型的には、例えば、限定されるものではないが、約1〜5分間の時間をかけて、又は約1〜3分間の時間をかけてなど、比較的短時間で手動で対象に送達される、rhLCAT又はMEDI6012(活性薬物又は薬物療法)の静脈内投与を指す。静注は、典型的には、シリンジを介して対象に投与される。静注は、シリンジを通じて、短い又は長いIVラインから、対象の静脈又は血管内に送達されてもよい。
MEDI6012治験薬は、コホート4で、フラッシュを含めて、およそ1〜3分間にわたる静注によって対象に投与される。より具体的には、MAD試験における静注によるコホート4の対象へのMEDI6012の投与又は送達では、各静注用量が、シリンジ及びIV投与セットによって、再構成MEDI6012又はプラセボとして投与又は送達される。IVBPは、コホート4の用量の調製には使用されない。MEDI6012と、シリンジ(ポリカーボネート/ポリプロピレン)とIV投与ライン(PE/PVC及びPVC DEHP非含有)との間に、不適合性は観察されていない。IV投与、ラインは、0.22又は0.2μmのインラインPESフィルターを含有しなくてはならない。セルロースベースのフィルターを含有するラインは検査されていないため、MEDI6012では使用すべきでない。用量1(300mg)は、3回の別々の注射として投与される。各注射は30秒かけて投与され、各注射に10mLの生理食塩水フラッシュが続く。用量2(150mg)は、2回の別々の注射として投与される。各注射は30秒かけて投与され、各注射に10mLの生理食塩水フラッシュが続く。用量3(100mg)は、30秒間かけて単回注射として投与され、10mLの生理食塩水フラッシュがそれに続く。MEDI6012及びプラセボは保存料を含有しないので、あらゆる未使用部分は廃棄しなくてはならない。第1の治験薬バイアルの針穿刺から静注投与開始までの使用中の合計保管時間は、室温で4時間を超えるべきでない。保管時間がこれらの制限を超える場合、新規用量を新規バイアルから調製しなくてはならない。
上述のように、コホート4の負荷用量及び維持用量は、MEDI6012のSAD試験(実施例1)のPK/PDデータと、MAD試験(実施例2)のPDデータとを統合した、PK/PD解析に基づいて選択した。推定PK/PDパラメータに基づいて、RCTPK/PDモデルを使用したシミュレーションを実施し、MEDI6012が負荷用量及び維持用量で静注を介して投与された場合における、MEDI6012 PK及びPD効果の範囲を特徴付ける、MAD試験におけるコホート4の用量を選択した。1分間にわたるIVボーラスによって投与されるMEDI6012(160、200、240、280、及び320mg)の増加する負荷用量と、それに続く80、100、120、及び160mgの毎週の維持用量によるPD効果をシミュレートした。これらのシミュレーションから、より高用量のMEDI6012を投与した場合、最初の90分間でHDL−Cが50%以上増加したことが認められた。
上記のR.Bosch et al.,のPK/PDモデル化及びシミュレーションに基づいて、MEDI6012及びコホート4投与のために実施されたPD/PKモデル化及びシミュレーションは、1日目の300mgの負荷用量;3日目の150mg維持用量;及び10日目の100mgの維持用量を含んだ。それぞれ3日目及び10日目の維持用量が負荷用量に続く投与レジメンは、HDL−Cの上昇を1週間にわたり持続させる最適投与レジメンと考えられた。急性MI患者のほとんどが48時間以上にわたり入院し、MEDI6012の半減期がおよそ48時間であることから、3日目を選択した。48時間用量の目的は、急性/亜急性MI設定におけるapoA1の上昇を最初の1〜2週間にわたり延長することであった。このレジメンは、1週間を超えて、30mg/dLを超えるベースライン補正済みHDL−Cレベルをもたらした。患者における急性MI後の最初の週は、治療の心臓保護及び血管保護の側面に関して重要である。さらに、このレジメンは、MEDI6012の単回漸増用量試験で使用された、より高用量(最大800mgのIV)で見られたピークに近い初期apoA1レベルをもたらし、したがって1週間を超えてapoA1レベルを維持する。10日目における100mgの維持用量は、コレステリルエステルの蓄積なしに系内のHDL−C、apoA1及び/又はコレステリルエステルの上昇を維持することから選択され、これが将来の研究のためのMEDI6012のより長期の投与に適切な維持用量であるかどうかを判定するための検証中である。LDLの上昇が、LDL粒子におけるCEの蓄積に続発することは明らかである。
特定の選択基準は、予期された成功裏の結果、及び心臓保護の転帰、抗アテローム発生効果、及び皆無から最小の望ましくない影響を有した、コホート4の対象に投与されるMEDI6012の投与レジメンに到達するための、モデル化とシミュレーション解析に関連していた。コホート4の対象に使用される用量を決定するためのモデル化及びシミュレーション解析及び評価では、いくつかの異なる心臓保護基準を検討した。モデル化解析のための1つの心保護基準には、第1の用量におけるHDL及びapoA1の急激な増加が含まれた(モデル化データは、それぞれ図12A及び12Bに示される)。HDL−Cでは、300mgのMEDI6012の負荷用量は、6時間で約39mg/dLを達成した(図12A)。apoA1では、300mgのMEDI6012の負荷用量は、24時間で15mg/dLを達成した(図12B)。モデル化解析のための第2の心臓保護基準には、HDL−C及びapoA1レベルを2週間にわたり維持することが含まれた(モデリングデータは、それぞれ図13Aと13Bに示される)。モデル化データに基づいて、300mgのMEDI6012の負荷用量と、それに続く負荷用量の48時間後の150mgのMEDI6012の用量と、それに続く10日目の100mgのMEDI6012の用量は、HDL−C及びapoA1レベルを2週間にわたり維持すると判定され、apoA1は2週間にわたり最大レベル近くに維持された。(図13A及び13B)。
さらに、MEDI6012投与後、2週間にわたりHDL−C及び/又はapoA1レベルを高く維持することは、MIを有する患者が、疾患の急性期から亜急性期に転換できるようにして、心臓組織の線維症の修復を可能にし、その結果、心筋細胞の増殖及び死滅心筋細胞の置換をもたらす。モデル化解析の第3の心臓保護基準には、(より低密度のHDL3−cholサブ画分のレベルと比較して)より高レベルで心臓保護及びアテローム発生保護効果に寄与する、HDLのHDL2(HDL2−chol)サブ画分の増加が含まれた。図14Aは、IV又はSC投与されたMEDI6012の異なる用量における、HDL2の増加を示す。240mgのMEDI6012の用量では、HDL2は、およそ55mg/dL増加すると予測された。図14Bは、Sattler,K.et al.(2015,J.Am.Coll.Cardiol.,66:1470−1485)によって報告されるように、HDL2が、HDL−3と比較してより多くのスフィンゴシン−1−リン酸(S1P)を保有して受け入れるHDLの亜種であることを示す。
コホート4の対象に使用される用量、特に維持用量を決定するためのモデル化及びシミュレーション解析及び評価では、いくつかの異なるアテローム保護(抗動アテローム発生)基準を検討した。モデル化解析のための1つの抗アテローム発生基準には、60mg/dL(ベースライン(BL)=35)を超える血清/血漿中のHDL−C濃度に達していることが含まれた。モデル化は、60mg/dLを超えるHDL−Cレベルを達成する上で、MEDI6012の負荷用量がHDL−Cの定常状態レベルにほとんど影響を及ぼさず、およそ100mgのMEDI6012の維持用量が必要であると予測した。これは、図15A〜15Dに提示される結果によって示される。この試験の結果は、65〜80mg/dLなどの約60mg/dLを超えるHDL−Cレベルは、60mg/dLのレベルよりも有意に高い心臓保護又はアテローム保護効果を対象に提供しないことを示している。モデル化解析の別の抗アテローム発生基準には、維持投与中のapoA1レベルを定常状態に維持することが含まれた。モデル化では、MEDI6012の全ての用量(80mg、100mg、120mg、及び160mg)が、apoA1の定常状態レベルを達成することが予測された。これは、図16A〜16Dに提示される結果によって示される。
モデル化解析では、MEDI6012の様々な維持用量でのLDLにおけるコレステリルエステル蓄積の望ましくない影響もまた検討された。モデル化及びシミュレーションは、80〜100mgのMEDI6012の用量がCEの過剰な蓄積を防ぐことを予測した。(図18A〜18D)。モデル化に基づいて、様々な維持用量でHDL−CEレベルにほとんど変化が見られなかったことは、コレステリルエステル蓄積がHDLになかったことを示唆する。(図19A〜19D)。LDLデータ自体はモデル化解析に含まれなかったものの、モデル化解析は、240mg以上のMEDI6012の用量でLDLレベルの増加を明らかにしたSAD試験から得られた結果の観察、並びに120mgのMEDI6012の単回用量によってLDLレベルが増加し、40mg又は120mgの複数回用量によってLDL−Cが増加したが、これらの用量がapoBの増加を引き起こさなかったことを明らかにしたMAD試験の結果の観察によって、情報を与えられた。≧120mgのMEDI6012の維持用量では、LDLレベルは上昇するようであり、CEは複数の投与で蓄積された;しかし、100mgでは蓄積が最小限であり、80mgではCEの損失が最小限であった。したがって、HDL−CE及び観測されたLDL−Cプロファイルに基づいて、例えば、限定することなく、120mg以下の用量で、LDLにCEが蓄積しないようにコホート4の対象で使用するための、特により長期の投与のための、許容可能な維持用量を提供する高い維持用量では、CEはHDLでなくLDLに蓄積すると判定された。
臨床試験で検討された別の望ましくない影響は、超超低密度(VVL)HDL粒子(17nMを超える)が皆無であり、超低密度(VL)−HDL粒子(12.2〜17nM)がわずかな状況であった。HDL粒子のサイズが大きくなると、その機能は低下する。LCAT酵素、すなわちMEDI6012は、より心臓保護的でアテローム保護的なHDLのHDL3粒子サブ画分のHDL2粒子への変換に役割を果たす。(図20)。モデル化解析は、240mgのMEDI6012の用量が、VVL−HDLの2mg/dLの増加、及びVL−HDLの17mg/dLの増加をもたらすことを示唆した。80mgのMEDI6012の用量は、VVL−HDLの増加をもたらさず、VL−HDLの2mg/dLの増加をもたらした。モデル化試験はまた、VL−HDL粒子のVVL−HDL粒子への有意な変換を回避するのに適したMEDI6012の用量の判定を可能にする情報もまた提供した(図20)。
要約すれば、厳密なモデル化及びシミュレーションデータ、及びこれらのデータから予期された精度に基づいて、また臨床試験(並びに前臨床試験)からの観察データに基づいて提案された、MEDI6012の3用量後の投与レジメンは、良好に忍容され、収集されたPK/PDデータは、試験の目的を達成するために適切であることが予期される。モデル化及びシミュレーション解析に使用される選択基準は、有害な副作用なしに、対象の心臓又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療するのに有効なHDL−C、apoA1、CE、及びその他のPDマーカーに、予期された増加を提供した。選択基準はさらに、LCAT酵素の作用機序に関連した治療有効性を提供することが予期される、治療レジメンの決定を可能にした。投与後4週間の追跡期間は、潜在的な安全性所見の可逆性を評価し、血清濃度(PK質量)が完全にクリアされて、PDバイオマーカーがベースライン値に戻ったときのMEDI6012の潜在的な免疫原性を特徴付けるのに適切であると見なされる。ADA/nAbの結果としてHDL−Cが低下しないことを確実にするために、ADA陽性の対象では、最初の4週間の追跡期間を超えるさらに4週間の期間が適切である。
特に、上記のモデル化及びシミュレーション結果に基づいて、MEDI6012の特定の負荷用量及び維持用量の有効性及び達成は、コホート4が関与する複数回用量試験の成功裏の予後の達成を予測し得て、ひいては、予期された治療転帰と、投与及び投与レジメンが予測され予期された結果を提供する可能性との相関関係を検証した。モデル化解析並びに観測データに基づいて、300mgのMEDI6012の負荷用量(LD)と、それに続く150mg及び/又は100mgの維持用量(MD)は、心臓保護基準として、以下を達成することが予測される:(i)負荷用量によるHDL及び/又はapoA1の急激な増加(300mgのMEDI6012のLDは、6時間で39mg/dLのHDL−Cレベルを達成し、24時間で15mg/dLのapoA1レベルを達成する);(ii)2週間にわたるHDL−C及びapoA1レベルの維持(300mgのMEDI6012の負荷用量と、それに続く48時間目の150mgの用量と、それに続く10日目の100mgの用量は、HDL−C及びapoA1の双方の保護レベルを2週間にわたり維持し、apoA1レベルは、2週間にわたり最大レベルに維持される);及び(iii)HDL2レベルの増加(100mgのMEDI6012の用量はHDL2レベルを約55mg/dL増加させる)。
300mgのMEDI6012の負荷用量(LD)と、それに続く150mg及び/又は100mgの維持用量(MD)は、抗アテローム発生基準として以下を達成することもまた予測される:(i)60mg/dLを超えるHDL−C値(BL=35)の達成(100mgの維持用量は、ベースライン(BL)レベルを35mg/dLと仮定して、60〜70mg/dLのHDL−Cレベルを維持する;(ii)定常状態apoA1レベルの維持);小LDL粒子の減少(300mgのMEDI6012の負荷用量は小LDL−Pを80%低下させ、維持用量はLDL−Pを40〜50%以上低下させる);(iii)コレステロール流出調節タンパク質(CERP)としても知られるATP結合カセットトランスポーター(ABCA1)を通じたコレステロールの全体的な流出は、300mgの量のMEDI6012の負荷用量によって増加することが予期される。
300mgのMEDI6012の負荷用量(LD)と、それに続く150mg及び/又は100mgの維持用量(MD)は、投与後の望ましくない影響から保護することがさらに予測された。モデル化は、apoBにおける予期される増加が皆無である;LDL(LDL−CE)におけるLDL−C又はコレステリルエステル蓄積の増加が皆無である、(MEDI6012の維持用量で予期されるLDL又はLDL−CEにおける増加が、最小又は皆無である);及びVVL−HDLの増加が皆無であり、VL−HDLの増加がほとんどない(負荷用量は、VL−HDLの増加及びVVL−HDLの最小限の増加を生じる;100mgのMEDI6012の維持用量は、VL−HDLにおけるおよそ2mg/dLの増加及びVVL−HDLにおける皆無の増加をもたらす)ことを予測した。上述のモデル化データと結果は、本明細書に詳述されるようなMEDI6012活性成分の用量と投与レジメンを採用するようにデザインされた実際の治療方法の転帰を正確性と信頼性をもって予測し並びに検証する、信頼性の高い予測因子として機能する。
治療レジメンの変更
上記のように、MAD試験のコホート4は、6人の対象がrhLCAT又はMEDI6012を与えられ、残りの2人の対象がプラセボ用量を与えられるようにデザインされた。しかし、無作為化に問題があり、2人の対象は手動で無作為化しなくてはならなかった。これにより、rhLCAT又はMEDI6012を与えられたランダム化された7人の対象と、プラセボを与えられたランダム化された1人の対象のみがもたらされた。したがって、実際の試験治療レジメンは、以下の表6aに提示されるとおりである。
さらに、プラセボ対象には、10日目にプラセボの代わりに100mgのMEDI6012の用量が投与され、10日目に100mgのMEDI6012を投与されるように無作為化された試験対象の1人には、実際にはMEDI6012の代わりにプラセボ用量が投与された。以下の表6bは、プラセボ対象(対象20030810018)、及びMEDI6012を与えられるように無作為化された試験対象(対象20030810020)からのPKデータを示す。このアッセイは、MEDI6012に固有である。したがって、MEDI6012を投与されていないプラセボ対象は、2500未満のBLQ(Below Limit of Quantification;定量限界未満)以外を有してはならない。
表6bが実証するように、10日目の静注後の引き続く2つのサンプリングポイントでは、プラセボ対象は血漿中にMEDI6012のレベルを示す。さらに、表6bは、10日目に、MEDI6012を与えられるように無作為化された試験対象が、血漿中にMEDI6012が検出されなかったため、代わりにプラセボ用量を投与されたことを実証する。さらに、プラセボ対象は、10日目からスタチン薬物療法の服用を中止したと考えられ、そのためLDL−C及びApoBのレベルは10日目以降に上昇し始めた。
試験結果
MAD試験のコホート4の結果の解析は、この投与レジメンにおける試験対象へのMEDI6012の投与、すなわち、全て静注投与される、1日目に対象に投与される300mgのMEDI6012の用量(負荷用量);48時間目に対象に投与される150mgのMEDI6012の第2の用量(3日目の維持用量);及び第2の用量の1週間後に対象に投与される100mgのMEDI6012の用量(10日目の維持用量)が、LCAT酵素の作用機序と一致するHDL−C及びApoA1の増加をもたらしたことを示した(図22A及び22B、及び図25A及び25B、及び表6c〜e)。ベースライン補正時に、各対象は自分自身の対照となることに留意することが重要である。
LDLレベルの増加(図23A及び23B、及び表6f)、並びに第3の用量後にベースラインに戻ったapoBの初期の減少(図24A及び24B、及び表6g)が観察された。全体として、LDLコレステロール含有量は増加したが、LDL粒子数は増加しなかった。
図28A〜28Dは、本明細書の実施例2及び3のMAD試験で記載されるようなMEDI6012の投与後における、コホート1〜4からの対象のHDL−C、ApoA1、LDL−C、及びApoBのレベルを示す、濃度曲線下面積(AUC)箱ひげ図を提示する。HDL−C及びApoA1における用量依存的増加が観察された(図28A及び28Bを参照されたい)。LDL−Cの増加は、120mgのMEDI6012の第1の用量後、及び40mgと120mgの双方の第3の用量後に観察された(図28Cを参照されたい)。LDL−Cの増加は、MAD試験の300mgのMEDI6012(コホート3)及びコホート4(静注)の双方の用量でもまた、観察された。しかし、LDL−Cの増加は、対象で同時に測定されたApoBの静的な(又は減少した)レベルの観点から、有害とは考えられなかった(図28Dを参照されたい)。ApoBの増加が観察されなかったことから、これはMEDI6012の用量と投与レジメンに関連したLDL粒子の有害な増加がなかったことを示唆した。
前述のとおり、apoBが男女の双方でLDL−Cよりも優れたCHDのリスク予測因子であり、これらの粒子に輸送されるコレステロール(LDL−C)の量よりも、apoBなどのアテローム発生粒子の数がさらに重要なリスク指標であることが、いくつかの報告で示されている。(Vaverkova,H.,2011,Clin Lipidology,6(1):35−48;Sniderman,AD et al.,2003,Lancet,361:777−780で概説される)。全ての潜在的なアテローム発生リポタンパク質粒子は、apoBの1つの分子のみと様々な量のコレステロールを含有することから、apoBは、LDL−Cよりも優れたアテローム発生リポタンパク質粒子数のマーカーとして機能する。したがって、本明細書で実証されるように、LCAT(MEDI6012)を投与された対象における極微量又は皆無のapoBの増加は、LDL−Cの増加が観察されたにもかかわらず、非常に有益で保護的な治療を反映する。
図26Aは、MAD試験のコホート3及びコホート4(0日目〜70日目)の投与レジメン後における、MEDI6012投与からの観察データ(個々のデータ点:丸及び四角)と比較した、モデル化/シミュレーション解析(実線及び破線)から得られたベースライン補正済みHDL−Cレベルの比較を示す。コホート4からの観察データが単独で示されると、MEDI6012の投与後にHDL−Cの3つの異なるピークが観察され得る(図26B)。図26Cは、図26Aからの0日目〜5日目のデータを示す。これらのデータの比較から、SAD試験及びMAD試験のコホート1〜2からのデータに対して実施された初期モデル化が、実際の観察データを非常に良く予測することが分かる。
図27A〜Dは、本明細書の実施例2及び3で定義されるような、MAD試験の全コホート(コホート1〜4)からの観察結果を示す。図27Aは、MAD試験のコホート1〜4からの観察された経時的なHDL−Cの血清濃度のベースラインからの変化を示す。図27Bは、MAD試験のコホート1〜4からの観察された経時的なApoA1の血清濃度のベースラインからの変化を示す。図27Cは、MAD試験のコホート1〜4からの観察された経時的なLDL−C(直接)の血清濃度のベースラインからの変化を示す。図27Dは、MAD試験のコホート1〜4からの観察された経時的なApoBの血清濃度のベースラインからの変化を示す。
実施例4
急性ST上昇型(elevation)心筋梗塞(STEMI)におけるMEDI6012の安全性と有効性を評価するための第IIb相無作為化単盲検プラセボ対照治験
試験デザイン
第IIb相無作為化単盲検プラセボ対照治験をデザインし、プラセボと比較して、及び標準的なケアに加えて、急性STEMIを有する対象の心筋梗塞(MI)サイズの減少に対する、MEDI6012の安全性及び有効性を評価した。この試験では、およそ40の施設で最大414人の対象が無作為化される。対象の最大60%が心筋梗塞(TIMI)フローグレード0〜1の血栓症を有し、MRイメージングを完了していることが予期される。したがって、目標は252人の対象が試験を完了し、一次予後の解析に含まれるようにすることである。
対象は、2つのレジメン(2用量レジメン又は6用量レジメン)の1つに1:1の比率で無作為化する。各用量レジメン内で、対象を2:1の比率で無作為化し、MEDI6012又はプラセボを与える。中間解析で用量レジメンが中止された場合、対象を1:1の比率で無作為化し、残りの用量レジメンについてMEDI6012又はプラセボを与える。治験には、3つの血管領域全てからの急性ST上昇型(elevation)心筋梗塞(STEMI)患者が登録されるが、非前壁STEMIは登録された対象の50%未満に制限される。原因血管が左主動脈又は左前下行動脈又はその分枝(異常起源性を含む)であれば、前壁STEMIが定義される。対象は、急性STEMIケアのために病院に到着した際に、適格性についてスクリーニングする。治験薬の最初の輸液に関する、インフォームド・コンセント/口頭での同意(地域の倫理委員会の要件に従う)に続いて、一次経皮的冠動脈介入(PCI;1日目)の前に、好ましくは原因血管内でバルーンを膨らませる10分前に、治験薬の負荷用量を静脈内(IV)注入を介して対象に与える。さらに、全ての対象において、高強度スタチン治療をできるだけ早期に、地域の基準に従って開始することが推奨される。1〜3日目に、対象は、CMR、治験薬の輸液、採血及び検査、場合によっては冠動脈CTAをはじめとする、残りの試験手順について、インフォームド・コンセントを書面で提供する。
試験では、2つの投与レジメンを検証する。2用量レジメン治療群では、全て、入院患者診察中に、第1のMEDI6012の用量を一次PCIの前に投与し、第2の用量を48時間(±8時間)後に投与する。6用量レジメン治療群では、どちらも入院患者診察中に、第1のMEDI6012の用量を一次PCIの前に投与し、第2の用量を48時間(±8時間)後に投与する。これらの用量に、外来患者としての4回の追加的な毎週用量(±1日)が続く。
評価された試験結果としては、試験用量でのMEDI6012の投与が、プラセボと比較して心筋梗塞を減少させ;収縮機能(左心室駆出率(EF))を改善し;プラセボと比較して非石灰化冠動脈プラークの退行を誘発し進行を低下させ;急性STEMIを有する対象における許容可能な安全性及び免疫原性プロファイルを示し;虚血/再灌流傷害を低減させ;左心室(LV)の有害な組織修復を予防するという仮説が挙げられる。
標的研究対象集団には、12誘導心電図(ECG)で急性STEMIと診断されて病院を受診し、直近の症状の発症から6時間以内に一次PCIが計画されている(すなわち、6時間未満の継続的な症状)、30歳〜80歳の成人男性又は女性が含まれる。妊娠の可能性がある女性は、除外される。
治療群及びレジメン
1)以下の治療法に2:1で無作為化された2用量レジメン:
1日目に300mgのMEDI6012の静注、及び3日目(48時間(±8時間)に150mgの静注)1日目及び3日目(48時間(±8時間)にプラセボの静注);
2)以下の治療法に2:1で無作為化された6用量レジメン:
1日目に300mgのMEDI6012の静注、及び3日目(48時間(±8時間))に150mgの静注、及び10、17、24、及び31日目に100mgの静注;
3)1日目、3日目(48時間(±8時間))、及び10、17、24、及び31日目にプラセボの静注。
試験では、MEDI6012治療群に138人の登録された対象を含めて、少なくとも82人の対象が、「プロトコル毎の一次解析集団」の定義を満たす、治療及び一次エンドポイント試験手順を完了することを確実にする。各プラセボ群は、投与レジメン当たり69人の対象を有し、プラセボで治療された138人の対象がもたらされる(82人の対象が治療及び一次エンドポイント試験手順を完了)。「治療の意図」(ITT)集団には、無作為化された全ての対象が含まれる。「as−treated集団」には、少なくとも1用量の治験薬を与られた全ての無作為化対象が含まれる。「一次有効性解析集団」には、TIMIフローグレード0又は1を有する、治験薬による完全な治療過程を受けた全ての無作為化対象が含まれる。「有効性解析集団TIMI2〜3」には、TIMIフローグレード2又は3を有する、治験薬の完全な治療過程を受けた全ての無作為化対象が含まれる。「有効性解析集団TIMI0〜3」には、TIMIフローグレード0〜3を有する、治験薬の完全な治療過程を受けた全ての無作為化対象が含まれる。「CTA解析集団」には、治験薬の完全な治療過程を受けた6用量レジメンの無作為化対象が含まれる。
統計的方法
サンプルサイズ
治療群当たり82人の対象は、MEDI6012の2用量群とプラセボ群、及びMEDI6012の6用量群とプラセボ群の間で、心筋梗塞サイズの25%の減少を検知する80%の検出力を提供し、変動係数(CV)を0.65と仮定した場合の両側αは0.05である。初期血管造影における梗塞関連動脈のTIMIフローグレード2又は3の理由から、及び引き続く除外又はドロップアウトのその他の理由から、一次有効性解析集団からの40%の除外率が予期され(Botker HE et al,2010,Lancet,375:727−734.Hausenloy DT,et al.,2013,Cardiovascular Research,98,7−27)、治療群当たり合計138人の対象が必要である。このサンプルサイズでは、MEDI6012群とプラセボ群間のEFの5%の絶対差を検知する検出力は、標準偏差を10%と仮定した場合、88%である。25%の標準偏差、20%の脱落率を仮定した場合、MEDI6012用量群の対象とプラセボ群の対象の間で、非石灰化冠動脈プラークの退行/進行の二次エンドポイントでは、指標CTAから10〜12週目のCTAまでの非石灰化プラーク容積の12mmの変化を検知する検出力は、80%を超えるであろう。
統計解析:
梗塞サイズの一次有効性エンドポイントは、一次有効性解析集団に基づくデータの対数変換を伴うT検定を用いて解析する。梗塞サイズのエンドポイントはまた、有効性解析集団TIMI2−3、有効性解析集団TIMI0−3、及びITT集団に基づいても解析する。駆出率、心筋質量、及び左心室容積は、データを対数変換することなく、梗塞サイズと同様の方法で解析する。非石灰化プラーク容積における指標CTAからの変化は、CTA解析集団に基づきT検定を使用して解析する。対数変換を伴う0〜48時間のクレアチンキナーゼ曲線下面積は、As−treated集団に基づきT検定を使用して解析する。
安全性解析は、As−treated集団に基づく。有害事象(AE)及び重篤有害事象(SAE)の収集は、対象がインフォームド・コンセント文書に署名した後に始まり、治験受診の終わりまで継続する。治療中に発生したAE(TEAE)及び治療中に発生したSAE(TESAE)は、MedicalDictionaryforRegulatoryActivities(MedDRA)の最新バージョンによってコード化し、タイプの発生率、重症度、及び治験薬との関係を要約する。特定のAEは、百分率を算出するために、各対象毎に1回ずつカウントする。さらに、特定の対象内で同一AEが複数回発生する場合は、最も高い重症度で最も高い関係性が認められたものを報告する。全てのTEAEとTESAEは全体的に要約し、MedDRAシステムの臓器クラスと優先使用語によって分類する。
生命徴候結果は、各時点で治療群毎に記述統計値を用いて要約する。心電図(ECG)パラメータもまた評価し、治療群毎に記述的に要約する。抗薬物抗体(ADA)の発生率と力価は、各治療グループ毎に一覧にする。ADAが陽性であることが確認されたサンプルを検査し、nAbについて解析し、同様に要約する。
中間解析:
2つの中間解析が計画される。第1の中間解析の目的は、無益であること、及び用量レジメンを中止することに関する。これは、一次解析集団の30%が、最後の治験受診を完了した後に実施される。第2の中間解析は、MEDI6012の将来の開発オプションに関する意思決定を加速するために計画され、ひとたび対象の60%が最後の治験受診を完了したら実施する。
治療群を割り当てる方法
対話型音声/ウェブ応答システム(IXRS)を使用して、対象を治療レジメンと群に無作為化し、盲検化された治験薬キット番号を割り当てる。治験責任医師が、対象が適格性基準を満たしたことをIXRSに通知して、IXRSが、盲検化された治験薬キット番号の割り当てを対象に提供したときに、対象は試験に無作為化されたと見なされる。
2つのレジメン(2用量レジメン又は6用量レジメン)の1つに対して、対象を1:1の比率で無作為化する。各用量レジメン内で、対象を2:1の比率で無作為化し、MEDI6012又はプラセボを与える。
MEDI6012、6用量レジメン(N=138)
プラセボ、6用量レジメン(N=69)
MEDI6012、2用量レジメン(N=138)
プラセボ、2用量レジメン(N=69)
中間解析で用量レジメンが中止された場合、対象を1:1の比率で無作為化し、残りの用量レジメンについてMEDI6012又はプラセボを与える。
治験薬の投与に遅延があり、規定の時間枠内に投与されない場合は、即座に医療モニターに通知しなくてはならない。
前側MI患者と非前壁MI患者との分布は、試験過程にわたってモニターする。目標は、最終無作為化集団の約50%が、前壁MIであることである。したがって、非前壁MIの数をIXRSを介してモニターする。
エンドポイントの理論的根拠
一次エンドポイント:MI後10〜12週間の遅延強調心臓血管磁気共鳴(CMR)イメージングで測定されたLV質量の百分率としての梗塞サイズ。
理論的根拠:CMRは梗塞サイズの評価の究極の判断基準と見なされており、心臓保護治験における最も関連性があるエンドポイントと見なされる(Hausenloy DT,et al.,2013,Cardiovascular Research,98:7−27)。10〜12週間で測定された梗塞サイズは、左心室(LV)の組織修復後の最終的な梗塞サイズを反映し、MEDI6012による治療の初期及び後期効果の双方を反映する(Mather AN,et al.,2011,Radiology,261(1):116−26)。梗塞サイズは、ガドリニウム遅延強調MR画像上で、グラム単位のLV質量で除したグラム単位の梗塞サイズとして測定する。梗塞サイズは、心不全による死亡及び入院をはじめとする、二次的主要有害心臓血管イベントの独立予測因子である(Stone GW,et al.,2016,J Am Coll Cardiol.,67(14):1674−83;Wu E,et al.,2008,Heart,94:730−736)。梗塞サイズが5%増加する毎に、全死因死亡のリスクが19%増加し、心不全入院のリスクが20%増加する(Stone GW,et al.,2016,J Am Coll Cardiol.,67(14):1674−83)。
二次エンドポイント:
プラセボと比較したMI後10〜12週間目にシネMRイメージングによって測定された駆出率(EF)。
理論的根拠:駆出率は、LVの収縮期機能として十分確立された尺度である。さらに、EFの薬理学的改善は、心不全による死亡及び入院の減少と関連がある(Kramer D,et al.,2010,J Am Coll Cardiol.,56:392−406;Breathett K,et al.,2016,Circ Heart Fail.,9:e002962)。EFは、一回拍出量を拡張終期容積で除した比率として計算する。
非石灰化プラーク容積(NCPV)の指標CTAからの変化は、プラセボと比較してMI後10〜12週目の冠動脈における試験終了時のCTAで測定する。
理論的根拠:急性冠症候群(ACS)、特に非STEMI ACSで試験した場合、非石灰化プラーク容積(NCPV)は、Agatstonカルシウムスコア及び総プラーク容積と比較して、主要有害心臓イベント(MACE)のより良い予測因子である。NCPVを2mm径以上の全ての血管で測定し、mmで表す。ステントを有する冠動脈セグメント、又はそうでなければ解釈不能と考えられるセグメントは、解析の対象から除外される。
0〜48時間のクレアチン(creatinee)キナーゼ(CK)曲線下面積
理論的根拠:この結果は、MEDI6012の効果が、主に第1の用量であるのか、6週間にわたり投与された複数回用量であるのかを判定するのを助ける。
収縮末期及び拡張末期における心筋質量及びLV容積
理論的根拠:LV容積及び心筋質量は臨床転帰の十分確立された予測因子であり、心臓血管磁気共鳴(CMR)イメージングによって測定されるであろう。心室容積及び心筋質量をそれぞれmL及びg単位で測定して、体表面積に索引付けする。
MEDI6012の安全性及び忍容性は、70〜84日目の最後の治験受診までの、治療中に発生した有害事象(TEAE)及び治療中に発生した重篤有害事象(TESAE)、抗薬物抗体(ADA)及び中和抗体の発生率によって測定する。
理論的根拠:さらなる安全性及び忍容性のデータは、さらなる薬物開発をサポートする。
LCAT質量及びADAによって測定されるPK及び免疫原性
理論的根拠:さらなるPK及び免疫原性のデータは、将来の研究及びさらなる薬物開発において、用量の理論的根拠を裏付ける。
探索的エンドポイント
大動脈における非石灰化動脈硬化性プラーク容積。理論的根拠:MEDI6012は、心臓外の血管のアテロームを退行を引き起こす可能性を有する。冠動脈CTA中に;大動脈基部、近位上行大動脈、及び下行胸部大動脈のほとんどを画像化する。冠動脈と同様に、非石灰化動脈硬化性プラーク容積を大動脈において測定し、MEDI6012が心臓外のアテロームを後退させ得るかどうかを判定する。
選択された用量の理論的根拠
前出の実施例1及び2に記載されるように、MEDI6012の単回漸増及び複数回漸増用量試験の結果は、HDL−C及びapoA1の増加率が用量依存的であることを実証した。前臨床試験は、ApoA1又はHDL粒子の輸液が、急性STEMI中に心筋保護を付与することを確立した。この試験は、急性期のSTEMI患者の治療を伴うことから、目的は、HDL及びapoA1を可能な限り迅速に増加させることである。したがって、1日目に、HDL−Cの急速な上昇を達成するために、300mgのMEDI6012又はプラセボの負荷用量を投与する。
MEDI6012の単回漸増用量(SAD)試験、及び複数回漸増用量(MAD)試験のコホート1及び2からのデータ及びモデル化に基づいて、300mgの用量は、HDL−Cを90分後に50%、6時間後に100%増加させることが予期される(STEMI患者の平均HDL−Cを35mg/dLと仮定した場合)。さらに、この用量は、単回漸増用量試験からのコレステロール流出容量データに基づいてHDL機能を改善し、巨大HDL(VVL−HDL)粒子(17nmを超える)の最小限の上昇を引き起こすことが予期される。心筋梗塞の急性期及び亜急性期におけるHDL−C及び/又はapoA1レベル/濃度を維持するために、MEDI6012又はプラセボ150mgの第2の用量を第1の用量の48時間後(およそ1半減期)に投与する。
2用量レジメン(以下の表7)では、投与を第2の用量後に停止し、投与は入院患者設定でのみ行う。このレジメンは、対象が外来患者としてさらなる輸液のために戻る必要がない、短期間の治療であるという利点を有する。6用量レジメン(以下の表8)では、対象は、ベースラインの300mgの用量及び48時間目の150mgの用量を与えられ、その後、外来患者として4回の100mgの毎週用量がそれに続く。100mgの維持用量は、疫学研究で利益を付与するレベルに、及びLDL粒子中にCEの適用可能な蓄積をもたらさないレベルに、HDL−Cを維持するために選択された。
統計解析
有効性解析:梗塞サイズの一次有効性エンドポイントは、一次有効性解析集団に基づくデータの対数変換を伴うT検定を用いて解析する。梗塞サイズの一次有効性エンドポイントはまた、有効性解析集団TIMI2−3、有効性解析集団TIMI0−3、及びITT集団に基づいても解析する。駆出率(EF)、心筋質量、及び左心室(LV)容積は、データを対数変換することなく、梗塞サイズと同様の方法で解析する。非石灰化プラーク容積における指標コンピュータ断層撮影血管造影(CTA)からの変化は、CTA解析集団に基づきT検定を使用して解析する。対数変換を伴う0〜48時間のクレアチンキナーゼ曲線下面積は、as−treated集団に基づきT検定を使用して解析する。
中間解析:
2つの中間解析を計画する。第1の中間解析の目的は、無益であること、及び用量レジメンを中止することに関する。これは、一次解析集団の30%が、最後の治験受診を完了した後に実施する。第2の中間解析は、将来のMEDI6012開発に関する意思決定を加速するために計画され、ひとたび対象の60%が最後の治験受診を完了したら実施する。中間解析の詳細は、盲検化解除前の中間解析計画に明記する。
その他の実施形態
前述の説明から、本明細書に記載される本発明を様々な用途及び条件に適合させるために、本発明にバリエーション及び修正を加えてもよいことが明らかであろう。このような実施形態もまた、以下の特許請求の範囲内にある。
本明細書の変数のあらゆる定義における要素のリストの詳述は、列挙された要素の任意の単一要素又は組み合わせ(又は下位組み合わせ)としての変数の定義を含む。本明細書における実施形態の詳述は、任意の単一実施形態としての、又は任意のその他の実施形態又はその部分と組み合わされた、その実施形態を含む。
本明細書で言及された全ての特許及び刊行物は、あたかもそれぞれの独立した特許及び刊行物が本明細書に参照により援用されることが、具体的且つ個別に示されるのと同程度に、参照により援用される。

Claims (109)

  1. 単離精製されたレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素の1つ又は複数の用量をそれを必要とする対象に20〜2000mgの投与量で投与するステップ
    を含んでなり、各用量が約1分間〜約3時間の時間をかけて投与され、前記対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状が治療される、対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療する方法。
  2. 前記対象が、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管疾患(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、家族性又は後天性心筋梗塞、駆出率(EF)低下を伴う心不全心、EF温存型心不全、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状を有する、請求項1に記載される方法。
  3. 前記対象が、安定型冠動脈疾患(CAD)を有する、請求項1又は請求項2に記載される方法。
  4. 前記対象に投与されるLCATの1つ又は複数の用量が、24mg、40mg、80mg、100mg、120mg、150mg、240mg、300mg、600mg、800mg、又は1600mgから選択される量である、請求項1〜3のいずれか一項に記載される方法。
  5. 前記対象に投与されるLCATの1つ又は複数の用量が、300mg、150mg、及び100mgから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載される方法。
  6. 前記LCATの1つ又は複数の用量が、300mgの量の第1の用量と、前記第1の用量の約48時間±8時間後に投与される150mgの量の第2の用量とを含んでなる、請求項5に記載される方法。
  7. 前記LCATの1つ又は複数の用量が、300mgの量の第1の用量;前記第1の用量の約48時間±8時間後に投与される150mgの量の第2の用量;及び前記第2の用量の約1週間後に投与される100mgの量の第3の用量を含んでなる、請求項5の方法。
  8. 前記LCATの1つ又は複数の用量が、300mgの量の第1の用量;前記第1の用量の約48時間±8時間後に投与される150mgの量の第2の用量;及び前記第2の用量の約1週間後に投与される1用量当たり100mgの量の少なくとも4回の後続用量を含んでなる、請求項5に記載される方法。
  9. 前記LCATの1つ又は複数の用量が、前記対象に静脈内投与される、請求項1〜8のいずれか一項に記載される方法。
  10. 前記LCATの1つ又は複数の用量が、静注を介して前記対象に投与される、請求項1〜9のいずれか一項に記載される方法。
  11. LCATが、約30分間〜1時間の時間をかけて前記対象に静脈内投与される、請求項9に記載される方法。
  12. LCATが、約1〜3分間の時間をかけて静注によって前記対象に投与される、請求項10に記載される方法。
  13. LCATが、300mgの量の1用量で前記対象に投与される、請求項5に記載される方法。
  14. LCATの1用量が、約1〜3分の時間内に静注によって前記対象に投与される、請求項13に記載される方法。
  15. LCATが、第1の用量が300mgの量であり、第2の用量が150mgの量である、2用量で前記対象に投与される、請求項5に記載される方法。
  16. LCATが、第1の用量が300mgの量であり;第2の用量が150mgの量であり;第3の用量が100mgの量である、3用量で前記対象に投与される、請求項5に記載される方法。
  17. LCATが、第1の用量が300mgの量であり;第2の用量が150mgの量であり;第3〜6の用量が100mgの量である、6用量で前記対象に投与される、請求項5に記載される方法。
  18. 第2の用量のLCATが、前記第1の用量後、約48時間±8時間以内に前記対象に投与される、請求項15〜17のいずれか一項に記載される方法。
  19. 第3の用量のLCATが、前記第2の用量後、約1週間以内に前記対象に投与される、請求項16〜18のいずれか一項に記載される方法。
  20. LCATの第2の用量が前記第1の用量後、約48時間±8時間以内に前記対象に投与され、LCATの第3の用量が前記第2の用量後、約1週間以内に前記対象に投与され;それ以降LCATの第4〜6の用量が毎週投与される、請求項17に記載される方法。
  21. 少なくとも第1の用量のLCATが、静注によって前記対象に投与される、請求項15〜20のいずれか一項に記載される方法。
  22. LCATが、皮下(SC)注射を介して前記対象に投与される、請求項1〜4のいずれか一項に記載される方法。
  23. LCATが、80mg又は600mgの用量でSC注射によって前記対象に投与される、請求項22に記載される方法。
  24. 前記LCATの投与が、前記対象における高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)及び/又はアポリポタンパク質A1(apoA1)の内因性レベルを増加させる、請求項1〜21のいずれか一項に記載される方法。
  25. 前記600mgの用量でのSC注射によるLCATの投与が、前記対象におけるアポリポタンパク質A1(apoA1)の内因性レベルを増加させる、請求項23に記載される方法。
  26. 前記LCATの投与が、前記対象におけるアポリポタンパク質B(apoB)の内因性レベルを増加させない、請求項1〜25のいずれか一項に記載される方法。
  27. 前記単離精製されたLCATが、組換えヒトLCAT(rhLCAT)である、請求項1〜26のいずれか一項に記載される方法。
  28. 前記rhLCATが、MEDI6012(配列番号2)である、請求項27に記載される方法。
  29. 前記治療対象の受診時に、約1〜5時間の時間をかけて静脈内(IV)注入によって前記対象に送達される250〜500mgの量の負荷用量の単離精製されたレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素をそれを必要とする対象に投与するステップ
    を含んでなる、前記対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療する方法。
  30. 前記LCATの負荷用量が、300mgの量で前記対象に投与される、請求項29に記載される方法。
  31. 前記LCATの負荷用量が、約1〜3分間の時間かけて前記対象に投与される、請求項30に記載される方法。
  32. 前記LCATの負荷用量が、約1分間の時間かけて前記対象に投与される、請求項31に記載される方法。
  33. 前記負荷用量後に、LCATの1つ又は複数の用量が前記対象に投与される、請求項29〜32のいずれか一項に記載される方法。
  34. 前記負荷用量後に、100〜200mgの量のLCATが前記対象に投与される、請求項33に記載される方法。
  35. 前記負荷用量後に、150mgの量のLCATが前記対象に投与される、請求項34に記載される方法。
  36. 前記100〜200mg用量又は前記150mg用量後に、100〜150mgの量のLCATが前記対象に投与される、請求項33〜35のいずれか一項に記載される方法。
  37. 前記100〜200mg用量又は前記150mg用量後に、100mgの量のLCATが前記対象に投与される、請求項36に記載される方法。
  38. 前記100〜200mg用量又は前記150mg用量の約1週間後に、1用量当たり80〜150mgの量のLCATの少なくとも4回の毎週用量が前記対象に投与される、請求項34又は請求項35に記載される方法。
  39. 前記100〜200mg用量又は前記150mg用量の約1週間後に、1用量当たり100mgの量のLCATの少なくとも4回の毎週用量が前記対象に投与される、請求項34又は請求項35に記載される方法。
  40. 前記負荷用量後に、前記LCATの1つ又は複数の用量が、静注及び/又はIV輸液によって前記対象に静脈内投与される、請求項33〜39のいずれか一項に記載される方法。
  41. 前記単離精製されたLCATが、組換えヒトLCAT(rhLCAT)である、請求項29〜40のいずれか一項に記載される方法。
  42. 前記rhLCATが、MEDI6012(配列番号2)である、請求項41に記載される方法。
  43. 各用量が20〜500mgの量のLCATを含んでなる、2用量以上の単離精製されたレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素をそれを必要とする対象に非経口的に投与して、前記対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療するステップを含んでなる、対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療する方法。
  44. 前記対象に投与される前記LCATの2用量以上が、300mg、150mg、又は100mgから選択される量である、請求項43に記載される方法。
  45. 1日目に投与される300mgの用量;3日目に投与される150mgの用量;10日目に投与される100mgの用量を含んでなる、LCATの3用量が前記対象に投与され;任意選択的に、LCATの後続用量が前記10日目の投与後に、約30日までの所定の時間間隔で、又はそれ以上の時間間隔で、前記対象に投与される、請求項43又は請求項44に記載される方法。
  46. LCATが、静注及び/又は静脈内輸液によって前記対象に静脈内投与される、請求項43〜45のいずれか一項に記載される方法。
  47. 前記対象が、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管疾患(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、家族性又は後天性心筋梗塞、駆出率(EF)低下を伴う心不全心、EF温存型心不全、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状を有する、請求項29〜46のいずれか一項に記載される方法。
  48. 前記単離精製されたLCATが、組換えヒトLCAT(rhLCAT)である、請求項43〜47のいずれか一項に記載される方法。
  49. 前記rhLCATが、MEDI6012(配列番号2)である、請求項48に記載される方法。
  50. 前記治療対象が安定型CVDを有する、請求項49に記載される方法。
  51. 200〜500mgの量の単離精製されたレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素の第1の用量をそれを必要とする対象に静脈内投与するステップと、
    前記第1の用量のおよそ48時間±8時間後に、100〜200の量の前記LCAT酵素の第2の用量を前記対象に静脈内投与して、前記対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療するステップと
    を含んでなる、対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療する方法。
  52. 前記LCATの第1の用量が300mgであり、前記LCATの第2の用量が100mg又は150mgである、請求項51に記載される方法。
  53. 前記LCATの第1の用量が300mgであり、前記LCATの第2の用量が150mgである、請求項52に記載される方法。
  54. 少なくとも第1の用量のLCATが、静注によって前記対象に投与される、請求項51〜53のいずれか一項に記載される方法。
  55. 前記静注による投与が約1〜3分間の時間にわたる、請求項54に記載される方法。
  56. 前記第2の用量の約1週間後に、100〜150mgの量のLCATを前記対象に静脈内投与するステップをさらに含んでなる、請求項51〜55のいずれか一項に記載される方法。
  57. 前記第2の用量の約1週間後に前記対象に投与されるLCATの用量が、約100mgの量である、請求項56に記載される方法。
  58. 前記第2の用量後に100〜200mgの量のLCATの少なくとも4回の毎週投与を前記対象に静脈内投与するステップをさらに含んでなる、請求項51〜55のいずれか一項に記載される方法。
  59. 前記第2の用量後の前記LCATの少なくとも4回の毎週用量が、100mgの量である、請求項58に記載される方法。
  60. 前記単離精製されたLCATが、組換えヒトLCAT(rhLCAT)である、請求項51〜59のいずれか一項に記載される方法。
  61. 前記rhLCATが、MEDI6012(配列番号2)である、請求項60に記載される方法。
  62. 前記対象が、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管疾患(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、家族性又は後天性心筋梗塞、駆出率(EF)低下を伴う心不全心、EF温存型心不全、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状を有する、請求項51〜61のいずれか一項に記載される方法。
  63. 200〜500mgの量の第1の用量の単離精製されたレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素MEDI6012を前記対象に静脈内投与するステップと;
    前記第1の用量の約48時間±8時間後に、100〜200mgの量の第2の用量のLCAT酵素MEDI6012を前記対象に静脈内投与するステップと;
    前記第2の用量の約7〜10日後に、100〜150mgの量の第3の用量のLCAT酵素MEDI6012を前記対象に静脈内投与して、前記対象の心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療するステップと
    を含んでなる、心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を有する対象を治療する方法。
  64. 前記LCAT酵素MEDI6012の第1の用量が300mgであり;前記MEDI6012の第2の用量が150mgであり;前記MEDI6012の第3の用量が100mgである、請求項63に記載される方法。
  65. 前記少なくとも第1の用量のLCAT酵素MEDI6012が、静注によって前記対象に投与される、請求項63又は請求項64に記載される方法。
  66. 前記対象が、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管疾患(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、家族性又は後天性心筋梗塞、駆出率(EF)低下を伴う心不全心、EF温存型心不全、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状を有する、請求項63〜65のいずれか一項に記載される方法。
  67. 300mgの量の組換えヒトLCAT(rhLCAT)酵素MEDI6012の第1の負荷用量を約1〜5分間の時間をかけて静注によって前記対象に投与するステップと;
    前記第1の用量の約48時間±8時間後に、150〜8mgの量の第2の用量のLCAT酵素MEDI6012を前記対象に静脈内投与するステップと;
    前記第2の用量の約7日後に、100mgの量のLCAT酵素MEDI6012の第3の用量を前記対象に静脈内投与して、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)及び/又はアポリポタンパク質(apoplipoprotein)A1(apoA1)の内因性レベルを増加させ、それによって前記対象における心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を治療するステップと
    を含んでなる、心疾患又は心血管疾患及び/又はそれらの症状を有する対象における高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)及び/又はアポリポタンパク質(apoplipoprotein)A1(apoA1)の内因性レベルを増加させる方法。
  68. 前記MEDI6012の第1の用量及び後続用量が、約1〜3分間の時間をかけて静注によって前記対象に投与される、請求項67に記載される方法。
  69. 急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管疾患(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、家族性又は後天性心筋梗塞、駆出率(EF)低下を伴う心不全心、EF温存型心不全、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状を有する、請求項67又は請求項68に記載される方法。
  70. 前記単離精製されたLCAT酵素又はMEDI6012の用量又は第1の用量が、前記対象が病院又は医療施設を受診してから約1〜3分以内に前記対象に投与される、請求項1〜69のいずれか一項に記載される方法。
  71. 前記単離精製されたLCAT酵素又はMEDI6012の投与が、前記対象における高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)及び/又はアポリポタンパク質A1(apoA1)の内因性レベルを増加させ、前記対象におけるアポリポタンパク質B(apoB)の内因性レベルを低下させ、又は変化させない、請求項1〜70のいずれか一項に記載される方法。
  72. 前記単離精製されたLCAT酵素又はMEDI6012の投与が、内因性低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)を増加させず、VL−HDL及びVVL−HDLの増加がわずか又は皆無であることをさらに特徴とする、請求項1〜71のいずれか一項に記載される方法。
  73. 前記単離精製されたLCAT又はMEDI6012の投与が、前記対象における心筋細胞死を防止して動脈硬化性プラークを減少させることによって、心筋保護効果を与える、請求項1〜72のいずれか一項に記載される方法。
  74. 前記対象がスタチン薬を服用している、請求項1〜73のいずれか一項に記載される方法。
  75. LCAT又はMEDI6012が、1つ又は複数の治療薬、医薬品、又は化合物と組み合わされて前記対象に投与される、請求項1〜74のいずれか一項に記載される方法。
  76. 前記1つ又は複数の治療薬、医薬品、又は化合物が、スタチン薬、PCSK9阻害剤、又はその他のコレステロール低下剤である、請求項75に記載される方法。
  77. 前記スタチン薬、PCSK9阻害剤、又はその他のコレステロール低下剤が、アトルバスタチン(LIPITOR)、フルバスタチン(LESCOL)、ロバスタチン(MEVACOR、ALTOPREV)、ピタバスタチン(LIVALO)、プラバスタチン(PRAVACHOL)、ロスバスタチン(CRESTOR)及びシムバスタチン(ZOCOR)、エボロクマブ(REPATHA(登録商標))又はアリロクマブ(PRALUENT(登録商標))から選択される、請求項76に記載される方法。
  78. LCAT又はMEDI6012が、前記1つ又は複数の治療薬、医薬品又は化合物の投与の前、投与と同時に、投与の後、又は投与とは異なる時点で、前記対象に投与される、請求項75〜77のいずれか一項に記載される方法。
  79. 単離精製されたレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)酵素を心疾患、心血管疾患及び/又はその症状を有する対象に、80〜500mgの用量で非経口投与するステップ
    を含んでなり、前記対象へのLCATの投与後、前記対象で内因性HDL−Cレベルが約1分間から少なくとも6時間以内に増加し、及び/又は内因性apoA1レベルが約12〜24時間以内に増加し、それによって前記対象における心臓病治療効果、心筋保護効果、及び抗アテローム発生効果を提供する、対象における心臓病治療効果、心筋保護効果、及び抗アテローム発生効果を提供する方法。
  80. 前記LCATの投与が、前記対象における心筋線維症及び肥大化を予防することによって、心臓病治療効果、心筋保護効果、及び抗アテローム発生効果を提供する、請求項79に記載される方法。
  81. LCATが300mgの用量で投与される、請求項79又は請求項80に記載される方法。
  82. 前記非経口用量の約48時間±8時間後に、125〜250mgの量のLCATの第2の用量を前記対象に投与するステップをさらに含んでなる、請求項79〜81のいずれか一項に記載される方法。
  83. 前記LCATの第2の用量が、150mgの量で前記対象に投与される、請求項82に記載される方法。
  84. 前記HDL−C及び/又はapoA1の内因性レベルが、LCATの投与後少なくとも14日間にわたり上昇したままである、請求項79〜83のいずれか一項に記載される方法。
  85. LCATが前記対象に静脈内投与される、請求項79〜84のいずれか一項に記載される方法。
  86. 前記LCATの非経口用量が、約1〜3分間の時間をかけて静注によって前記対象に投与される、請求項79〜85のいずれか一項に記載される方法。
  87. 前記対象が、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管疾患(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、家族性又は後天性心筋梗塞、駆出率(EF)低下を伴う心不全心、EF温存型心不全、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状を有する、請求項79〜86のいずれか一項に記載される方法。
  88. 前記単離精製されたLCATが、組換えヒトLCAT(rhLCAT)である、請求項79〜87のいずれか一項に記載される方法。
  89. 前記rhLCATが、MEDI6012(配列番号2)である、請求項88に記載される方法。
  90. 内因性HDL−C及び/又はapoA1レベルが、LCAT又はMEDI6012の投与後、約90分〜約6時間以内に前記対象の血清又は血漿中で増加する、請求項1〜88のいずれか一項に記載される方法。
  91. LCAT又はMEDI6012の投与後に、対照レベルと比較して、前記対象の血清又は血漿中で内因性HDL−C及び/又はapoA1レベルが約90分以内に約50%増加し、及び/又は前記対象の血清又は血漿中で内因性HDL−Cレベルが約6時間目までに少なくとも90%増加する、請求項90に記載される方法。
  92. apoA1レベルが、前記LCAT又はMEDI6012の投与後、前記対象において少なくとも7日間にわたり上昇したままである、請求項90又は請求項91に記載される方法。
  93. 前記LCAT又はMEDI6012の投与が、脳卒中、虚血性脳卒中、心筋損傷、腎臓損傷、肝臓損傷、又は梗塞サイズの増大の1つ又は複数の発生又は悪化から前記対象を保護する、請求項1〜92のいずれか一項に記載される方法。
  94. 前記対象の医療専門家又は医療施設の受診時に、40〜500mgの量の単離精製されたレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、組換えヒトレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(rhLCAT)、又はMEDI6012の第1の用量を前記対象に静脈内投与するステップと;
    前記第1の用量後、所定の間隔で、40〜300mgの量のLCAT、rhLCAT又はMEDI6012の第2の用量と、少なくとも1つの後続維持用量とを前記対象に静脈内投与するステップと
    を含んでなる、心疾患、心臓−関連疾患、冠動脈疾患及び/又はそれらの症状を有し、又はそのリスクを有する対象において、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)及び/又はアポリポタンパク質A1(apoA1)の内因性濃度を増加させ、アポリポタンパク質B(apoB)の内因性濃度は増加させない方法。
  95. 前記第1の用量のLCAT、rhLCAT、又はMEDI6012が、40mg、120mg、150mg、又は300mgから選択される量で前記対象に投与される、請求項94に記載される方法。
  96. 前記第1の用量のLCAT、rhLCAT、又はMEDI6012が、300mgの量で前記対象に投与される、請求項94又は請求項95に記載される方法。
  97. 前記LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の第1の用量が、約1〜3分間の時間をかけて静注によって前記対象に投与される、請求項94〜96のいずれか一項に記載される方法。
  98. 前記第2の用量のLCAT、rhLCAT、又はMEDI6012が、40mg、80mg、100mg、120mg、又は150mgから選択される量で前記対象に投与される、請求項94〜97のいずれか一項に記載される方法。
  99. 前記LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の第2の用量が、150mgの量で前記対象に投与される、請求項98に記載される方法。
  100. 前記第2の用量のLCAT、rhLCAT、又はMEDI6012が、前記第1の用量の約48時間±8時間後に、前記対象に投与される、請求項98又は請求項99に記載される方法。
  101. 前記LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の少なくとも1つの後続維持用量が、前記第2の用量後に、40mg、80mg、100mg、120mg、又は150mgから選択される量で前記対象に投与される、請求項94〜100のいずれか1項に記載される方法。
  102. 前記LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の少なくとも1つの後続維持用量が、100mgの量で前記対象に投与される、請求項101に記載される方法。
  103. 前記LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の少なくとも1つの後続維持用量が、前記第2の用量の約1週間後に前記対象に投与される、請求項101又は請求項102に記載される方法。
  104. 前記LCAT、rhLCAT、又はMEDI6012の少なくとも1つの後続維持用量が、静注によって前記対象に投与される、請求項101又は請求項102に記載される方法。
  105. MEDI6012(配列番号2)が前記対象に投与される、請求項94〜104のいずれか一項に記載される方法。
  106. 前記対象が、急性又は慢性心疾患、心血管疾患、冠動脈疾患(CAD)、安定型CAD、動脈硬化症、動脈硬化性心血管疾患(CVD)、安定型CVD、不安定型CVD、急性冠動脈症候群(ACS)、脳卒中、虚血性脳卒中、心筋疾患、家族性又は後天性心筋梗塞、駆出率(EF)低下を伴う心不全心、EF温存型心不全、非虚血性心筋症、化学療法誘発性心筋症、脳血管疾患、急性又は慢性腎疾患及び/又はそれらの症状を有し、又は有するリスクがある、請求項94〜105のいずれか一項に記載される方法。
  107. 前記対象が、スタチン薬、PCSK9阻害剤、又は抗コレステロール薬物療法を併行して受けている、請求項94〜106のいずれか一項に記載される方法。
  108. 前記方法が、心筋細胞のアポトーシスを減少させる、請求項1〜107のいずれか一項に記載される方法。
  109. 前記方法が、心筋細胞の増殖をもたらす、請求項1〜108のいずれか一項に記載される方法。
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