JP2021500387A - Mhc多量体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、温度媒介ペプチド交換を用いて、望ましいペプチドで満たしたMHC多量体を生成する速く、柔軟であり、効率的な方法に関する。該方法は、異なる望ましいペプチドについて同時に、並行して使用され得る。該方法では、低い温度で安定したペプチド−MHC複合体を形成するが、定義した上昇した温度に曝した際に解離する条件付きのペプチドが使用される。生じた条件付きのMHC I複合体および多量体は、最適なペプチドで満たされ得る。【選択図】なし

Description

免疫監視は、CD8Tリンパ球への提示のための細胞内ペプチドを結合する主要組織適合性クラスI(MHC I)複合体によって媒介される。自己と外来とを区別するこの能力は、適応免疫に必須であり、それを行えないと、自己免疫疾患が生じ得る。生涯の間、ヒトは、ウイルスなどの病原体による連続攻撃の下にある。ウイルスが症状を起こすことなく潜伏状態を持続するが、時に再活性化する場合、それらの一部は、終生感染を確立する。再発感染を引き起こすそのようなウイルスの1つのクラスがヘルペスウイルスである
通常、再活性化は、ウイルス抗原の認識時にT細胞によって感染が迅速に明らかにされることから、疾患をもたらさない。しかしながら、移植との関連で、患者が免疫不全である場合、サイトメガロウイルス(CMV)またはエプスタイン・バーウイルス(EBV)などのヘルペスウイルスの再活性化は、深刻な健康上の脅威を生じ得る2、3。したがって、移植レシピエントのT細胞数をモニターして、患者が感染を免れている可能性が高いかどうか、または介入が必要かどうかを予測することが重要である。
適応免疫システムは、利益をもたらし得る。細胞免疫応答を抑制するかまたは促進することに向けられた免疫療法は、この10年間にわたって大きく進んでいる。CTLA−4およびPD−1/PD−L1に対する抗体を含むいくつかの免疫チェックポイント阻害剤が、臨床用途に承認され、メラノーマ、非小細胞肺癌および腎臓細胞癌を含む種々の癌の治療において著しい応答を示している4−8
チェックポイント阻害の結果、新抗原に対して誘発されたT細胞応答が顕著に増加し、癌細胞の致死を向上させる9、10。免疫チェックポイントに向けられた治療と癌ミュータノームの情報との組み合わせは、個別化された癌治療において非常に有望である。したがって、免疫療法の成功に寄与する新抗原および他の提示した癌に特異的なエピトープを同定することは極めて重要である。
Altmanらによる1996年のそれらの最初の使用以来、蛍光色素で標識した抗原ペプチドで満たしたMHC単量体のMHC多量体−オリゴマーが、フロー・サイトメトリーによる抗原に特異的なT細胞の分析およびモニタリング用の最も広く使用される試薬であり続けている11
しかしながら、多量体生成は、例えば、MHC I重鎖およびβ2−ミクログロブリンの細菌中の発現、望ましいペプチドによるリフォールディング、精製、ビオチニル化および多量体化を含む多くの時間がかかるステップを伴う11。最初に、すべてのこれらのステップは、空のMHC I分子が不安定であることから、個別のペプチド−MHC I複合体ごとに行われる必要がある12
これは、MHC I分子を含むペプチド受容可能なMHC分子を自由自在に生成する方法の探索を促し、単一のインプットMHC I−ペプチド複合体からの多数のMHC多量体の並行生産を可能にする。例えば、過ヨウ素酸塩または亜ジチオン酸を化学的なトリガーとして用いて、条件付きのリガンドをインサイチュで切断する技術、あるいはジペプチドを触媒として用い、その後、ペプチド残留物を、最適なペプチドで置換するように解離させることができる技術など、MHC Iでのペプチド交換に向けられたいくつかの技術が開発されている13−16
代わりの方法としては、UV照射によって切断される光で開裂可能なペプチドでMHC単量体をリフォールディングし、その後、個別のペプチド残留物を解離させ、空のMHC I分子を最適なペプチドで満たし、その後、多量体化し得る17−19。このアプローチは、多種多様なエピトープの発見および対応するT細胞のモニタリングを促進する18、20−22。しかしながら、UV交換技術は、光で開裂可能なペプチドおよびUV光源の使用を要する。UV暴露およびリガンド交換は、蛍光標識多量体と相性がよくなく、ビオチニル化ペプチドで満たしたMHC I分子は、交換後にストレプトアビジンで多量体化することを要する。他の不利益としては、UV媒介の開裂による反応性ニトロソ種の生成およびMHC Iおよび/または関連したペプチドの光損傷が挙げられ、一方で生じた熱が試料蒸発を引き起こす。
これに照らして、望ましいペプチドで満たしたMHC分子を提供するための更なる方法、生成物、組成物、および使用が望ましい。特に、望ましいペプチドで満たしたMHC多量体を生成する速く、柔軟で、効率的な方法が高度に望ましいが、未だに直ちに利用可能ではない。特に、ペプチド交換を用いてそのようなMHC多量体を提供できるようにする確実で、効率的で、再生可能な生成物、組成物、方法および使用が当分野で明らかに必要とされている。好ましくは、方法がMHC多量体で直接実施でき、MHC分子のペプチド交換後の多量体化が必要でなくなることである。したがって、本発明の技術的課題は、上述した需要のいずれも満たすそのような生成物、組成物、方法および使用の提供にある。技術的課題は、特許請求の範囲および以下で特徴付けられる実施形態で解決される。
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して以下にさらに説明する。
温度誘導ペプチド交換が高親和性ペプチドおよび低親和性ペプチドを有するMHC I複合体の生成を可能にすることを示す図である。(a)MHC I分子での温度誘導ペプチド交換の概略図。熱不安定性MHC I−ペプチド複合体は4°Cで安定であるが、熱攻撃下でアンフォールディングされ、分解される(上のパネル)。より高親和性のペプチドの添加によってMHC Iが安定化し、その分解が妨げられる(下のパネル)。(b)室温でゲル濾過クロマトグラフィーによって分析した温度誘導ペプチド交換の一次データ。MHC I−不安定ペプチド複合体(H−2K−FAPGNAPAL)および交換ペプチド(それぞれ0.5μMおよび50μM)を、示した温度で時点の範囲にわたってインキュベートした。以下の交換ペプチドを使用した:最適なバインダー:SIINFEKL(OVA);準最適バインダー:FAPGNWPALまたはFAPGNYPAA.3つの代表的な実験のうちの1つを示す。(c)HPLCで測定した曲線の下の領域から交換効率を計算し、1時間の最適なペプチドSIINFEKLの結合に正規化した。3つの独立した実験からの平均値±SDを示す。 温度交換H−2K多量体効率的に染色する抗原に特異的なCD8T細胞を示す図である。(a)単量体(最初に交換、上のパネル)または多量体(最初に多量体化、下のパネル)でのMHC Iでのペプチド交換の概略図である。 温度交換H−2K多量体効率的に染色する抗原に特異的なCD8T細胞を示す図である。(b)OTIマウスから脾細胞のMHC I多量体染色のドットプロット。インプットペプチドを、関連したペプチド(SIINFEKL、OVA、上のパネル)または無関係のペプチド(FAPGNYPAL、センダイウイルス、下のパネル)に30分間、室温で交換する前、または交換した後に多量体を調製した。対照の多量体を、単量体でUV媒介交換技術を用いて調製した後、多量体化した。3つの独立した実験からの代表的なデータを示す。 温度交換H−2K多量体効率的に染色する抗原に特異的なCD8T細胞を示す図である。(c)H−2K−FAPGNAPALの熱不安定性多量体が、300mM NaClまたは10%グリセロールの存在下、−80°Cで保存した場合に、時間とともに安定している。H−2K−FAPGNAPAL多量体を解凍し、FAPGNAPALを、染色OTI脾細胞の染色前に、SIINFEKLに交換した。 温度交換H−2K多量体は、ウイルス感染マウスからの抗原特異的なT細胞の染色に適していることを示す図である。(a)H−2K単量体での温度誘導ペプチド交換の一次データを、室温でゲル濾過クロマトグラフィーによって分析した。以下のペプチドを5分間、20°Cで交換に使用した:SIINFEKL(OVA)、FAPGNAPAL(センダイウイルス)、SGYNFSLGAAV(LCMVNP238)、SSPPMFRV(MCMVM38)またはRALEYKNL(MCMVIE3)。2つの代表的な実験のうちの1つを示す。 温度交換H−2K多量体は、ウイルス感染マウスからの抗原特異的なT細胞の染色に適していることを示す図である。(b)最適なペプチド(SIINFEKL)の結合に正規化したHPLCクロマトグラムからの曲線の下の領域から交換効率を計算した。2つの独立した実験からの平均値±SDを示す。 温度交換H−2K多量体は、ウイルス感染マウスからの抗原特異的なT細胞の染色に適していることを示す図である。(c)ペプチド交換をH−2K−FAPGNAPAL多量体で5分間、20°Cで実施し、その後、多量体を使用して、LCMV感染マウスからのPBMCsまたはMCMV感染マウスからの脾細胞からの対応するCD8T細胞を染色した。CD8T細胞の検出されたパーセンテージは温度交換多量体と従来の多量体との間で同等であった。無関係のペプチド:FAPGNYPAL(センダイウイルス)。2つの代表的な実験のうちの1つを示す。 温度交換HLA−A*02:01多量体がウイルスに特異的なT細胞の染色に適していることを示す図である。HLA−A*02:01−IAKEPVHGV単量体(a−b)または多量体(c)をHCMV pp65−A2/NLVPMVATV、HCMV IE−1−A2/VLEETSVML、EBV BMLF−1−A2/GLCTLVAML、EBV LMP2−A2/CLGGLLTMV、EBV BRLF−1−A2/YVLDHLIVV または HAdV E1A−A2/LLDQLIEEVと3時間、32°Cで交換した。(a)単量体での交換を室温でゲル濾過クロマトグラフィーによって分析した。 温度交換HLA−A*02:01多量体がウイルスに特異的なT細胞の染色に適していることを示す図である。HLA−A*02:01−IAKEPVHGV単量体(a−b)または多量体(c)をHCMV pp65−A2/NLVPMVATV、HCMV IE−1−A2/VLEETSVML、EBV BMLF−1−A2/GLCTLVAML、EBV LMP2−A2/CLGGLLTMV、EBV BRLF−1−A2/YVLDHLIVV または HAdV E1A−A2/LLDQLIEEVと3時間、32°Cで交換した。(b)インプットペプチドに関する結合に正規化したHPLCクロマトグラムからの曲線の下の領域から交換の効率を計算した。2つの独立した実験からの平均値±SDを示す。 温度交換HLA−A*02:01多量体がウイルスに特異的なT細胞の染色に適していることを示す図である。HLA−A*02:01−IAKEPVHGV単量体(a−b)または多量体(c)をHCMV pp65−A2/NLVPMVATV、HCMV IE−1−A2/VLEETSVML、EBV BMLF−1−A2/GLCTLVAML、EBV LMP2−A2/CLGGLLTMV、EBV BRLF−1−A2/YVLDHLIVV または HAdV E1A−A2/LLDQLIEEVと3時間、32°Cで交換した。(c)その後、交換した多量体を特異的なT細胞クローンまたはT細胞株の染色に使用した。多量体陽性CD8T細胞の検出されたパーセンテージは、温度交換多量体と従来の多量体との間で同等であった。2つの代表的な実験のうちの1つを示す。 同種幹細胞移植受容者の末梢血液中のHCMVに特異的なT細胞およびEBVのモニタリングに使用した温度交換多量体使用した温度交換多量体を示す図である。同種幹細胞移植から採取した末梢血液試料を、ウイルスDNA負荷に関係するウイルスに特異的なCD8T細胞(灰色)について分析した。CD8T細胞集団内のHCMVに特異的なT細胞およびEBVに特異的なT細胞の頻度を、フロー・サイトメトリーによってを分析した、温度交換(暗色)および従来の(光の色)MHC I多量体染色を用いて決定した。同じ日に実施した2つの実験からの平均値±SDを示す。 温度誘導ペプチド交換の温度範囲の決定を示す図である。MHCクラスI−ペプチド複合体の熱変性を重心平均蛍光(bary−centric mean fluorescence,BCM,黒色)によって測定した。BCM(赤色)の一次導関数への適合は、最大値とし融点、Tmを示す:H−2K−FAPGNAPAL、HLA−A*02:01−ILKEPVHGV、HLA−A*02:01−ILKEPVHGA、およびHLA−A*02:01−IAKEPVHGV、HLA−A*02:01−IAKEPVHGA.4つの代表的な実験のうちの1つを示す。融点は4つの独立した実験からの平均値±SDである。 IAKEPVHGVペプチドとの複合体でのHLA−A*02:01が温度誘導交換に最も適していることを示す図である。HLA−A*02:01−ILKEPVHGV、HLA−A*02:01−ILKEPVHGA、HLA−A*02:01−IAKEPVHGVおよびHLA−A*02:01−IAKEPVHGA複合体を、示した温度および時間で、高親和性ペプチド(ワクシニアウイルスエピトープWLIGFDFDV)と交換した。HLA−A*02:01を0.5μMの濃度で使用し、交換ペプチドを、50μMの濃度で使用した。HLA−A*02:01−ILKEPVHGVおよびHLA−A*02:01−ILKEPVHGAは室温で安定したままであるが、HLA−A*02:01−IAKEPVHGVおよびHLA−A*02:01−IAKEPVHGA複合体は室温で不安定であり、したがって、交換に適している。
定義
本明細書におけるセクションの見出しは、構成のためのみであり、発明の主題を制限するものではない。
この開示の一部は、著作権保護をうけるもの(略図、デバイス写真、または著作権保護がいずれの管轄で利用可能であるか、利用可能であり得るこの提出のいずれの他の態様などがあるがこれらに限定されない)を含む。著作権所有者は、特許庁の特許書類または記録に表れる場合には、特許文献または特許開示の誰でも、複写に異議を持たなが、それ以外の場合はすべての著作権を留保する。
本発明の方法、組成物、使用および他の態様に関する様々な用語が明細書および特許請求の範囲全体で使用されている。そのような用語は、特段の指示がない限り、本発明が関係する分野でのそれらの通常の意味をもつ。他の具体的に定義した用語は、本明細書に記載の定義と一致するものと解釈すべきである。本明細書に記載のものと類似または等価ないずれの方法および材料も本発明の試験のための実施に使用できるが、好ましい材料および方法が本明細書に記載されている。
本発明において、以下の用語を下記で定義する。
単数形「A」、「an」、および「the」は、別段の明示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞」の参照は、2つ以上の細胞の組み合わせなどを含む。
本明細書で、「約」は、値または質量の量、重量、時間、容積、濃度またはパーセンテージを参照する場合、特定の量からの、一部の実施形態では±20%、一部の実施形態では±10%、一部の実施形態では±5%、一部の実施形態では±1%、一部の実施形態では±0.5%、および一部の実施形態では±0.1%の差を、そのような差が開示された方法を実施するのに適切である場合、含むものとする。
本明細書で、範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値まで表すことができる。本明細書に多くの値が開示され、それぞれの値が、それ自体の値に加えて「約」その特定の値としても開示されていることも理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。2つの特定の単位の間のそれぞれの単位も開示されていると理解される。例えば、10および15が開示されている場合、11、12、13、および14も開示されている。
「および/または」は、述べられているケースの1つ以上が、単独または述べられているケースの少なくとも1つとの組み合わせで、最大述べられているケースのすべてが生じ得る状況を指す。
本明細書で、「少なくとも」特定の値は、特定の値以上であることを意味する。例えば、「少なくとも2」は、「2以上」、すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15などと同じであると理解される。本明細書で、「最大」特定の値は、特定の値以下を意味する。例えば、「最大5」は、「5以下」、すなわち、5、4、3,−10、−11などと同じであると理解される。
「含む(comprising)」は、包括的およびオープンエンドであると解釈され、および排他的なものではない。具体的に、用語およびそのバリエーションは、特有の特徴、ステップまたは構成要素が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、ステップまたは構成要素の存在を除くものと解釈されるべきではない。それは、より限定する「からなる」も包含する。
「従来の技術」または「当業者に既知の方法」は、本発明の方法に使用されている従来の技術の実施方法が当業者に明らかである状況を指す。分子生物学、生物化学、細胞培養、ゲノミクス、配列決定、医療、薬理学、免疫学および関連分野における従来の技術の実務は当業者に周知である。
「典型的な」は、「例または例示としての機能を果たす」ことを意味し、明細書に開示されている他の構成を除くものと解されるべきではない。
全体で使用される一般的なアミノ酸略語は以下を示す。
Ala A アラニン
Arg R アルギニン
Asn N アスパラギン
Asp D アスパラギン酸(アスパラギン酸塩)
Cys C システイン
Gln Q グルタミン
Glu E グルタミン 酸(グルタミン酸塩)
Gly G グリシン
His H ヒスチジン
Ile I イソロイシン
Leu L ロイシン
Lys K リシン
Met M メチオニン
Phe F フェニルアラニン
Pro P プロリン
Ser S セリン
Thr T トレオニン
Trp W トリプトファン
Tyr Y チロシン
Val V バリン
Asx B アスパラギン酸またはアスパラギン
Glx Z グルタミンまたはグルタミン 酸
Xaa X いずれのアミノ酸(時に、いずれのアミノ酸も指すのに使用される)。
本明細書で「MHC分子」MHC単量体および/または多量体の両方、例えば1つ以上のMHC分子のいずれのオリゴマー形態を指す。本明細書に記載されている多量体は、非共有相互作用の領域を介して互いに結合する少なくとも2つのメンバーを含む多量体のタンパク性分子(多量体)であり、前記少なくとも2つのメンバーの少なくとも1つは、(ポリ)ペプチド鎖を含む。本明細書で単量体は、すべての非共有結合が壊れる際に、構成単位が依然として互いと共有結合している分子を指す。多量体における2つ以上の単量体は、互いに同じであっても、異なっていてもよい。したがって、MHC多量体は、MHC二量体、MHC三量体、MHC四量体、MHC五量体、MHC六量体、MHC十量体に加えて、有機分子、細胞、膜、ポリマーおよび2つ以上のMHC−ペプチド複合体を含む粒子を含む。
主要組織適合性複合体(MHC)の複合体は、抗原ペプチド受容体として機能し、MHC−ペプチド複合体がTリンパ球によって認識できる場合に、細胞内にペプチドを回収し、細胞表面へ輸送する。ヒトMHCは、HLA(ヒト白血球抗原)複合体(多くの場合、単にHLA)とも呼ばれる。マウスMHCは、H−2複合体またはH−2と呼ばれる。MHCは、ヒト免疫システムにおいて極めて重要な役割を果たし、この天然の防御システムを促進し、病原体または悪性腫瘍に対する免疫を高める多数の戦略が開発されている。MHCクラスI分子、特にHLA−A分子などのMHC分子が、特異的なT細胞集団を同定し、定量化し、疾患に関係する細胞免疫を評価するための有益なツールである。HLA−A分子は、MHCクラスI分子に属し、多くの場合、「HLA−AクラスI」または「HLA−AI」分子と称される。また、MHCクラスI分子は、HLA−A分子に加えて、HLA−BおよびHLA−C分子も含み、これらも免疫システムにおいて重要な役割を果たす。MHC複合体は、免疫モニタリングに用いられ、病原体または悪性腫瘍に対する細胞免疫療法に特異的なT細胞を単離するのに適用され得る。また、MHC複合体は、T細胞媒介疾患において望ましくない特定のT細胞集団を選択的に除くのにも使用され得る。
MHC分子の2つのサブタイプ、MHCクラスIおよびIl分子が存在する。これらのサブタイプは、Tリンパ球の2つのサブセット:1)MHCクラスI分子によって提示されたペプチド(すなわち、MHCのペプチド結合溝に結合したペプチド)を通常認識し、感染細胞または変異細胞を死滅させるCD8細胞障害性T細胞、および2)MHCクラスIl分子によって提示されたペプチド(すなわち、MHCのペプチド結合溝に結合したペプチド)を通常認識し、免疫システムの他の細胞の応答を制御するCD4ヘルパーT細胞に対応する。
様々な比較的不変のMHCクラスI分子様分子が同定されている。この群は、CD1d、HLA E、HLA G、HLA H、HLA F、MIC A、MIC B、ULBP−1、ULBP−2、およびULBP−3を含む。HLA−A、B、Cはヒトで発見されたMHCクラスI分子であり、マウスのMHCクラスI分子は、H−2K、H−2DおよびH−2Lと称されている。HLA−AクラスI分子は、免疫システムにおいて中心的な役割を果たし、ほぼすべての有核細胞の表面に発現されている。したがって、HLA−A分子は、特に、ヒト研究およびヒトに向けられた薬の開発にとって価値のあるツールである。より詳細には、HLA−Aは、免疫モニタリングで使用され、癌などの種々の疾患または状態に関係する病原体または悪性腫瘍に対する細胞免疫療法に特異的なT細胞を単離するのに適用され得ることから、HLA−A分子は、特異的なT細胞集団を同定し、定量化し、ヒトの疾患に関係する細胞免疫を評価するのに好都合に使用できる。また、HLA−A複合体などのMHC複合体は、T細胞媒介疾患の望ましくない特異的なT細胞集団を選択的に除くのにも使用され得る。
一般に、HLA(例えばHLA−A*02:01などのHLA−Aアレル)上での温度交換に適したペプチドの設計は、ささいな作業ではないと認められている。ヒトHLA アレル、特にHLA−Aアレル(例えばHLA−A*02:01)での温度交換に適したペプチドを発見することは、H−2KなどのマウスMHC Iアレルのものよりも困難であることが見出された。この1つの理由は、マウスMHCクラスI複合体と比較してヒトMHCクラスI複合体の安定性が本質的に高いからである。
別の理由は、ヒトHLA アレル((例えばHLA−A*02:01などのHLA−Aアレル)とマウスMHC Iアレル(H−2Kなど)との間の一次アンカーと二次アンカーの相対的な位置づけである。例えば、ヒトHLA−Aにおいて、一次アンカーは、ペプチドの2位に位置するが、マウスMHC Iアレルにおいては、マウスアレルに依存するが、ペプチドの中間に位置する(例えば、同じペプチドFAPGNYPALは、H−2KおよびH−2Dbに結合するが、第1のものには、Tyrで結合し、第2のものにはAsnで結合する)(Glitheroら(1999),Immunity,Vol.10,Page63−74)。二次アンカーの位置については、ヒトHLA−Aにおいてペプチドの中間に位置するが、マウスMHC Iにおいては、ペプチドの3位に通常位置している。さらに、二次アンカーはすべてのペプチドで見られるものではない。
MHC分子に応じて、ペプチドの結合を担うドメインは、異なる命名法を有する。典型的には、ペプチドの結合に関与するMHC分子の機能部分であるMHCクラスI分子のα1およびα2ドメインで例示されるように、2つのドメインがペプチドの特異的な結合に必要とされる。MHC分子は、典型的には、ペプチド結合に関与しない他のドメインを含有する。MHC分子の例は、Garboczi DNら(Proc Natl Acad Sci USA.1992 Apr 15; 89(8):3429−33.)によって記載されたものであり得る。好ましい実施形態では、MHC分子は、2つ以上のMHC単量体を含む多量体の形態である。
例えば、最も一般的に使用されるMHC多量体は四量体である。典型的には、これらは、例えば、典型的には真核または細菌性細胞において組み換え技術によって製造される可溶性MHC単量体のビオチニル化によって製造される。これらの単量体は、ストレプトアビジンまたはアビジンなどのバックボーンに結合し、四価構造を生じる。
同種の単量体および可溶な形態、並びに修飾したMHC分子、例えば、ペプチドを有する単鎖タンパク質、1つのコンストラクトに融合した重鎖および軽鎖は、細菌に加えて真核細胞で製造されている。そのような形態も「MHC分子」に含まれ、ペプチド結合ドメイン内にないか、またはMHC分子のペプチド結合ドメインの可変ドメイン内にある改変などの改変を含むMHC分子も同様に含まれる。これらの改変は、MHC分子の結合特異性(すなわちペプチドが結合している)を変え得る。
「生体内」は、対象の体内で行われる事象を指し、「生体外」は、対象の体外で行われる事象を指す。例えば、生体外アッセイは、対象の外で行ったいずれのアッセイも包含する。生体外アッセイは、生存または死滅の細胞を採用している細胞ベースのアッセイを含む。生体外アッセイは、無傷の細胞を採用しない無細胞アッセイも含む。
詳細な説明
本明細書に記載されているいずれの方法、使用または組成物も、本明細書に記載されているいずれの他の方法、使用または組成物について実行できることが考えられる。本発明の方法、使用および/または組成物に関連して記載された実施形態は、本明細書に記載されているいずれの他の方法、使用または組成物について採用され得る。したがって1つの方法、使用または組成物に関する実施形態は、本発明の他の方法、使用および組成物に同様に適用され得る。
本明細書において具体化され、広く記載されているように、本発明は、MHC分子、特にMHCクラスI分子、より詳細にはHLA−A分子、両方の単量体に加えて多量体に、当分野で既知の方法の様々な不利益がない、速く、確実で、再生可能な方法を用いて、望ましいペプチド(例えば抗原ペプチド)を提供し得るという驚くべき発見に向けられている。
該方法では、MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子などのMHC分子のペプチド結合溝に結合しているテンプレートペプチドが、テンプレートペプチドを提供されたMHC分子の温度を上昇させ、テンプレートペプチドをMHC分子から解離させ、MHC分子に望ましいペプチドを結合させることによって、望ましいペプチド(すなわち、MHC分子によって表示したいペプチド)で交換され得る。
該方法は、望ましいペプチドで満たしたMHCクラスI、好ましくはHLA−A分子などのMHC分子を高収量かつ高純度で得る高速プロトコールを提供する。
本発明の重要な態様は、MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子などのMHC分子が、テンプレートペプチドを用いて多量体の形態で提供され得、望ましいペプチドでの交換が多量体を用いて直接実施され得ることである。本発明の方法を用いれば、当分野の方法と対照的に、望ましいペプチドで満たした単量体の多量体化工程をなくし得る。
より詳細には、MHCクラスI分子、特にHLA−A分子などのMHC分子を提供する改善されたペプチド交換技術が、低下した温度、例えば10℃未満、例えば4°Cでの低い解離を有する低親和性ペプチドの設計によって提供され得、温度依存様式で、所定の外因性ペプチド(望ましいペプチド)に交換できることを見出した。
すなわち、本発明は、好都合に、MHCクラスI分子、好ましくはHLA−A分子などのMHC分子を低下した温度で安定化させるのにテンプレートペプチドを使用し、ここで、上昇した温度でテンプレートペプチドを解離させ、それを望ましいペプチドで置換することによって、テンプレートペプチドを有するそのようなMHC分子に、望ましいペプチドを効果的に提供し得る。特に、これは、確実で、安定している、再生可能な方法を可能にする。該方法では、並行して、MHC分子、好ましくはHLA−A分子を、例えば、96ウェルプレートシステムまたは同種のものを用いる一方で、テンプレートペプチドで満たした同じMHC分子を並行実験のそれぞれで用いて、異なる望ましいペプチドで満たし得る。
実際に、定義したペプチドを提供されたMHC分子の有効な応用の障害は、当分野での製造方法の困難性である。抗原が結合していない場合、MHC分子、特にMHCクラスI分子、より詳細にはHLA−A分子は不安定であることは周知である。したがって、これは、処理中に、望ましいペプチドが(既に)結合しているMHC分子を製造することを必要とする。先行技術の方法を用いて、このテンプレートペプチドの望ましいペプチドへの交換は、使用したテンプレートペプチドの解離が条件下ではゆっくりであるか、またはMHC分子を不安定化させることから、非常に非効率的である(BakkerAHらCurr OpinImmunol.2005 Aug;17(4):428−33も参照)。多量体生成によく使用される方法は、UV媒介ペプチド交換である。この方法では、MHC単量体がUV照射によって切断される光で開裂可能なペプチドでリフォールディングされ、その後、個別のペプチド残留物が解離し、空のMHC I分子(例えばHLA−A分子)が最適なペプチドで満たされ、その後、多量体化され得る。しかしながら、UV交換技術は、光で開裂可能なペプチドおよびUV源の使用を必要とする。UV暴露およびリガンド交換は、蛍光標識多量体と相性がよくなく、ビオチニル化ペプチドで満たしたMHC I分子は、交換後にストレプトアビジンで多量体化される必要がある。
本明細書に開示されている方法で、そのような技術困難を克服し得る。
したがって、本発明によれば、MHC分子の製造方法が提供される。該方法は、
a.上昇した温度で前記MHC分子から解離するテンプレートペプチドがMHC分子のペプチド結合溝においてそれに結合している、MHC分子、好ましくはMHCクラスI分子、より好ましくはHLA−A分子を低下した温度で提供するステップと;
b.温度を上昇した温度に変更して、前記MHC分子からテンプレートペプチドを解離させるステップと;
c.望ましいペプチドが前記MHC分子のペプチド結合溝に結合できる条件下で、前記MHC分子のペプチド結合溝に結合する望ましいペプチドとMHC分子を前記上昇した温度で接触させるステップと、を含む。
該方法では、ステップa)において、MHC分子のペプチド結合溝にテンプレートペプチドが提供されているMHCクラスI、好ましくはHLA−A分子などのMHC分子が提供される。充填したテンプレートペプチドは、ペプチド結合溝によってMHC分子と結合しているか、結びついている。ステップa)において、MHC分子のペプチド結合溝においてテンプレートペプチドがそれに結合しているMHC分子、好ましくはHLA−A分子は、MHC分子およびテンプレートペプチドが安定している、すなわち、テンプレートペプチドがMHC分子から解離していないか、またはMHC分子の不安定性から、適切に折り畳まれたMHC分子の実質的な喪失(例えば、全体の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%より多い喪失)がある程度でMHC分子から解離していない温度で提供される。そのような温度は、「低下した温度」と本明細書において称され得る。これに対して、本明細書において称されている「上昇した温度」は、テンプレートペプチドがMHC分子から解離する温度を示す。MHC分子と結合可能ないずれの望ましいペプチド(すなわちMHC分子にとって望ましいリガンド)がないと、上昇した温度では、このことによってMHC分子が不安定になり、MHC分子がもはや適切に折り畳まれなくなる。それは、MHC分子を折りたたまず、沈殿させる。
好ましい実施形態では、ステップa)のMHC分子がHLA−A分子(いずれの適したHLA−A分子)である。さらに好ましい実施形態では、HLA−A分子はHLA−A*02およびHLA−A*02:01から選択され得る。
テンプレートペプチドは、例えば望ましいペプチドに対して、典型的には、低下した温度で解離が低い(上昇した温度で解離が高い)低親和性ペプチドであり、温度に依存して所定の外因性ペプチド(望ましいペプチド)に交換され得る。
本発明の中で、上昇した温度でMHC分子から解離するテンプレートペプチドがMHC分子のペプチド結合溝においてそれに結合している、HLA−A分子などのMHC分子を、例えば、実施例に記載されているそのような方法を用いて、例えば、Toebesら(Current Protocols in Immunology 18.16.1−18.16.20,2009)に記載のそのような方法を用いて、単量体および多量体の両方について、どのように調製するのかを当業者であれば理解する。
次のステップにおいて、テンプレートペプチドが結合しているMHC分子、好ましくはHLA−A分子の温度を、上昇した温度に上昇させる。ことが見出された好ましくは、温度を、徐々に、段階的に、例えば、ステップごとに10秒〜60秒、好ましくは約30秒の温度安定化がある0.05〜5℃ステップ勾配、好ましくは約1°Cステップ勾配を用いて、上昇させ得る。
別の実施形態では、テンプレートペプチドを有するMHCクラスI分子、好ましくはHLA−A分子などのMHC分子を、上昇した温度に直接、温度勾配を用いずに、すなわち1つのステップで、例えば、テンプレートペプチドを有するHLA−A分子などのMHC分子を上昇した温度の条件下に置くことによって、曝しうることも見出された。
このステップが、単量体を用いても、多量体を用いても(例えば、少なくとも2つのMHC分子、好ましくはHLA−A分子を含む複合体を用いても)良好に実施し得ることを驚くべきことに見出した。
どちらにしても、テンプレートペプチドを有するMHC分子、好ましくはHLA−A分子の温度を低下した温度から上昇した温度にし、それによって、MHC分子からのテンプレートペプチドの解離を引き起こす。
本発明の方法の次の部分は、MHC分子、好ましくはHLA−A分子を、前記MHC分子のペプチド結合溝に結合する望ましいペプチドと上昇した温度で、望ましいペプチドが前記MHC分子のペプチド結合溝に結合できる条件下で接触させるステップを含む。
当業者であれば、望ましいペプチドが、MHC分子、好ましくはHLA−A分子と上昇した温度で結合することが期待されるペプチドである一方で、同時に、テンプレートペプチドが、MHC分子から解離し、テンプレートペプチドを望ましいペプチドで効果的に置き換えることを理解する。
望ましいペプチドは、MHC分子のペプチド結合溝に結合し得るか、MHC分子、好ましくはHLA−A分子と結合し得る限りいずれのペプチドでもあり得る。
実際に、例えば、MHC分子がMHCクラスI分子、好ましくはHLA−A分子である場合、テンプレートペプチドおよび/または望ましいペプチドは、約7〜約12個のアミノ酸、好ましくは8、9または10個のアミノ酸を含むか、あるいはMHC分子がMHCクラスII分子である場合、テンプレートペプチドおよび/または望ましいペプチドは、約15〜30個のアミノ酸を含む。
望ましいペプチドは、例えば、新抗原の抗原/エピトープを含む、既知であるか、予想されるか、または未知である抗原ペプチドであり得る。
テンプレートペプチドを有するMHC分子(MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子など)が、上昇した温度がMHC分子に加えられると望ましいペプチドと接触するかどうか、または上昇した温度を加える前に、例えばテンプレートペプチドを有するMHC分子を望ましいペプチドと低下した温度で、または温度勾配中に、例えば本明細書の他の箇所に記載されているように既に接触させることによって、テンプレートペプチドで満たしたMHC分子に既に提供されることに関して、本発明は特に限定されない。
好ましくは望ましいペプチドは最初にMHC分子(MHCクラスI分子、好ましくはHLA−A分子など)と接触し、テンプレートペプチドがMHC分子から解離しない条件下でテンプレートペプチドで満たされ、その後、温度を上昇した温度にする。そのような実施形態では、ステップb)およびc)は同時に実施される。
当業者であれば、望ましいペプチドは、特に上昇した温度で、使用したテンプレートペプチドよりもMHC分子、好ましくはHLA−A分子に対する親和性が高いことを理解する。上昇した温度で、テンプレートペプチドは高い解離を有する一方で、望ましいペプチドは(より)低い解離を有する。
MHC分子、好ましくはHLA−A分子と望ましいペプチドとを接触させる期間は、特に限定されず、当業者によって理解されるように、使用したMHC分子(例えばHLA−A分子の場合)、テンプレートペプチドおよび望ましいペプチドに依存し得る。当業者であれば、温度および接触期間の両方をどのように最適化するか理解する。しかしながら、一部の実施形態では、ステップb)またはステップb)およびc)を、1分〜6時間、2分〜3時間、5分〜180分、例えば約2分、5分、10分、20分、50分、60分、90分、180分、270分またはそれ以上実施するのがこの順で好ましい。
特許請求の範囲に記載されている一般原則を考慮して、本発明は「低下した温度」および「上昇した温度」について特に限定されないが、一部の実施形態によれば、低下した温度は、10℃以下の温度であるか、かつ/または上昇した温度は15℃以上の温度であり、好ましくは低下した温度は4℃以下であるか、かつ/または上昇した温度は20℃〜40℃である。
例えば、本発明の実施形態では、低下した温度は、11℃以下、9℃以下、8℃以下、6℃以下、または4℃以下の温度であることがこの順で好ましい。好ましくは低下した温度は、−10℃超、−5℃超、−1℃超、または0℃超である。例えば、テンプレートペプチドを有するMHC分子は、ステップa)において、氷上で提供され得る。
一部の好ましい実施形態では、低下した温度は、0℃〜10℃、0℃〜8℃、0℃〜6℃、または0℃〜4℃であることがこの順で好ましい。
例えば、本発明の実施形態では、上昇した温度は、17℃以上、20℃以上、22℃以上、25℃以上、28℃以上、30℃以上、32℃以上、35℃以上、37℃以上、40℃以上、45℃以上、50℃以上、55℃以上、または60℃以上である。例えば、テンプレートペプチドを有するMHC分子は室温(例えば18℃〜22℃)に置かれ得る。
好ましくは、上昇した温度は、65℃未満、60℃未満、55℃未満、50℃未満、45℃未満または40℃未満であることがこの順で好ましい。
一部の好ましい実施形態では上昇した温度は、15℃〜60℃、17℃〜50℃、20℃〜45℃、または22℃〜40℃であることがこの順で好ましい。
望ましいペプチドでのテンプレートペプチドの交換が、前記低下した温度と前記上昇した温度との差が少なくとも5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、または30℃、例えば5℃〜50℃、8℃〜40℃または10℃〜30℃である場合に好都合に実施できることが見出された。
上昇した温度が、望ましいペプチドがMHC分子と結合し得る速度で、テンプレートペプチドがMHC分子(MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子など)から解離する温度であることを当業者であれば理解する。説明を必要とはしないが、上昇した温度が、望ましいペプチドがMHC分子(好ましくはHLA−A分子)と効果的に結合できるようにするには高すぎて、MHC分子を不安定にする温度ではない。実際に、一部の実施形態では、特に、相対的に低い親和性を有する望ましいペプチドを使用する場合には、上昇した温度、すなわち、望ましいペプチドでのテンプレートペプチドの交換が実施される温度はできる限り低い(すなわちテンプレートペプチドが依然として解離しているべきであり、望ましいペプチドが依然として結合しているべきである)ことが好ましい。
例えば、テンプレートペプチドが結合しているMHC分子、好ましくはHLA−A分子は、望ましいペプチドの非存在下で増加して変性し、好ましくはテンプレートペプチドが結合しているMHC分子の少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、100%が望ましいペプチドの非存在下で変性する。
本発明の方法を用いて、望ましいペプチドが、上昇した温度で、テンプレートペプチドの少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%置換し得ることがこの順で好ましいことが見出された。
テンプレートペプチドが、上昇した温度で、MHC分子、好ましくはHLA−A分子から95%、96%、97%、98%、99%、または100%解離することがこの順で好ましいことが見出された。
同時に、本発明の方法を用いて、交換中に、適切に折り畳まれたまたは機能するMHC分子(MHCクラスI分子、特にHLA−A分子など)の喪失を低減し得るか、または防ぎ得ることが見出された。すなわち、望ましいペプチドで満たした、多量体を含む高収量のMHC分子(特にHLA−A分子)を得ることができる。例えば、(適切に折り畳まれた)MHC分子(例えば、テンプレートペプチドで満たしたHLA−A分子)の初期の量または数の約30%、25%、20%、15%、10%、8%、7%、6%、5%、4%、3%または2%未満の喪失を達成し得る。すなわち、(適切に折り畳まれた)MHC分子(例えば、テンプレートペプチドで満たしたHLA−A分子)の初期の量または数に対して約70%、75%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%の収率を達成し得る。
本発明の実施形態では、望ましいペプチドが、テンプレートペプチドが結合しているMHC分子、好ましくはHLA−A分子より過剰に、好ましくは、少なくとも約5倍、10倍20倍、30倍、50倍、100倍、200倍モル過剰に、ステップc)で提供される。そのようなモル過剰で提供することによって、高収量の適切に交換したMHC分子、好ましくはHLA−A分子、(多量体を含む)が得られることが見出された。
同時に、使用されるインプットペプチド(テンプレートペプチドに加えて導入される望ましいペプチド)が、好ましくは事前に実質的に純粋であり(例えば、別のペプチド、特に、意図されたインプットペプチドよりMHC分子(好ましくはHLA−A分子)に対する親和性が高い別のペプチドを、1%(w/w)、0.9%(w/w)、0.8%(w/w)、0.7%(w/w)、0.6%(w/w)、0.5%(w/w)、0.4%(w/w)、0.3%(w/w)未満含むことがこの順で好ましい)、例えば、純粋である(0.1〜0.0(w/w))ことが見出された。実際に、MHC分子(例えばMHC重鎖)と比較して大過剰のペプチドが使用されることから、少量の不純物が、MHC、例えばMHC Iの大部分の不適切なリフォールディングをもたらし得る。いくつかの実験では、意図されたインプットペプチドよりMHC(好ましくはHLA−A)に対する親和性が高いペプチドを有するそのような不純物は、もはや交換できないペプチド−MHC複合体の安定したバッチをもたらし得ることが見出された。
ここで説明したように、本発明の方法は、MHC単量体(MHCクラスI単量体、好ましくはHLA−A単量体など)を用いて適用され得るが、好ましくは、MHC多量体(MHCクラスI多量体、好ましくはHLA−A多量体など)を用いて適用され得る。後者の場合、テンプレートペプチドで満たしたMHC多量体がステップa)において提供され、ステップb)およびc)がそのような多量体を用いて直接実施され得、重要なことは、MHC単量体の多量体化の追加のステップを必要としないことである。実際に、ステップa)において、MHC単量体(好ましくはHLA−A単量体)が提供され、ステップb)およびc)がそのような単量体を用いて実施される場合に多量体が望ましい(好ましくはHLA−A多量体)場合、ステップc)の後に、単量体を、例えば当分野で既知の方法を用いて、多量体化処理することが必要である。
したがって、本発明の方法の非常に好ましい実施形態では、上昇した温度でMHC分子から解離するテンプレートペプチドがMHC分子のペプチド結合溝においてそれに結合しているステップa)のMHC分子(MHC I分子、好ましくはHLA−A分子など)は、多量体の形態(好ましくはHLA−A多量体)である。多量体では、好ましくは、少なくとも1つ、2つ、3つまたはすべてのMHCが、上昇した温度で解離するMHCテンプレートペプチドのペプチド結合溝に結合している。一部の実施形態では、MHC、好ましくはHLA−A分子は、少なくとも2つのMHC分子(好ましくは2つのHLA−A分子)を含む複合体の形態であり得る。
一部の実施形態では、MHC分子(MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子など)、は、MHC分子と、少なくとも1つの他の分子、好ましくは少なくとも1つの他のタンパク質、好ましくは少なくとも1つの他のMHC分子と、を含む複合体の一部である。MHC分子(好ましくはHLA−A分子)、テンプレートペプチドおよび/または望ましいペプチドは、例えば、蛍光の標識または発色団などの標識を含む化学的な部分の付加基を用いて、供給結合によって提供され得る。
一部の実施形態では、多量体は、MHC二量体、MHC三量体、MHC四量体、MHC五量体、MHC六量体またはMHC十量体であり、ここで、MHC分子は好ましくはHLA−A分子である。例として、Immudex(www.immudex.com//about−products/dextramer−descrip.aspx)によって提供される多量体がある。
本発明は、いずれのタイプのMHC分子を用いて適用され得るが、MHC分子が、哺乳類MHC分子、ヒトMHC分子またはヒト白血球抗原(HLA)、MHCクラスI分子、ヒトHLA−A、HLA−A*02、またはHLA−A*02:01(HLA−A*02はHLA−A血清型群内のヒト白血球抗原血清型)であることがこの順で好ましいと考えられる。
特定の実施形態では、MHC分子がマウス由来である場合、MHC分子は好ましくはH−2Kである。
ステップa)の、MHC分子、好ましくはHLA−A分子に提供されているテンプレートペプチドは、低下した温度ではMHC分子からの解離が低く、上昇した温度ではMHC分子から効果的に解離する特性を除いて、特に限定されないが、一部の好ましい実施形態では、テンプレートペプチドが、前記MHC分子に対する既知のリガンドまたは抗原ペプチド/エピトープのアンカー残基の少なくとも1つ、2つ以上、好ましくは、アンカー残基の1つまたは2つの置換によって得られることが見出された。抗原ペプチドは、ペプチド上のそのようなアンカーアミノ酸とMHC分子の関連したドメインとの間の相互作用によってMHC分子に結合する。アンカー残基は当業者に既知であり、例えばMHCクラスI(例えばHLA−A)およびクラスIIの両方の結合ペプチドにおいて見られる。実際に、MHC I(例えばHLA−A)およびクラスII分子は、T細胞エピトープを提示するために、ペプチド結合溝を特徴付ける非常に類似した構造に折り畳める。MHC I分子のペプチド結合溝は、1つの重鎖によって形成される2つのαヘリックスおよび8つのβ鎖から構成される一方で、MHC IIは、異なる鎖からの2つのドメインを使用して、ペプチド結合溝を構築する。ペプチドは、ペプチド結合溝内のポケットに突出する一次および二次アンカー残基を介してMHC分子に結合する(LiuらのMajor Histocompatibility Complex:Interaction with Peotides;DOI:10.1002/9780470015902.a0000922.pub2参照)。大部分のMHC分子についてのアンカー残基およびモチーフが既知である(Rammensee H ら (1999) SYFPEITHI: database for MHC ligands and peptide motifs.Immunogenetics50(3−4):213−219)。
既知のリガンドの1つ、2つ以上のアンカー残基を置き換えることによって、本発明の方法に用いるテンプレートペプチド適したペプチドが得られ得る。好ましくは、本発明に従う方法に用いるテンプレートペプチドは、より小さいアミノ酸に対する既知の親和性を有する既知のリガンドの1つまたは複数のアンカー残基の置換によって得られる。当業者であれば、本発明に関連するより小さいアミノ酸が何であるかを理解する。一般に、アンカーアミノ酸が大きいほど、そのMHCとの相互作用が大きくなる。本発明の中で、アミノ酸のサイズを小さくすると、MHC(好ましくはHLA−A分子)との相互作用の量が減少し、テンプレートペプチドとして適したペプチドを提供し得ることが見出された。一部の実施形態では、置換は、同じ機能のアミノ酸群(例えば疎水性、または帯電した)内である。
例えば、ILKEPVHGVでは、本明細書の実施例で使用されているように、2位のアンカー残基Lおよび9位のVは両方とも疎水性である。アミノ酸のサイズ(例えば、http://people.mbi.ucla.edu/sawaya/m230d/Modelbuilding/aadensity.png)を考慮すると、アラニン(A)が最も小さい疎水性アミノ酸であり、それ故に、ロイシン(L)およびバリン(V)の両方の良い代替であり、したがって、生じる良好なテンプレートペプチドがIAKEPVHGVまたはIAKEPVHGAである。代わりとしては、ロイシンをバリンと置換して、IAKEPVHGVまたはIAKEPVHGAより親和性が高いと予測されるが、テンプレートペプチドとして適し得るペプチドIVKEPVHGVまたはIVKEPVHGAを生じ得る。
一実施形態では、特にHLA−A*02:01について、2位および/または9位(例えば長さ9個の既知のリガンドペプチドの場合)、あるいは2位および/または10位(例えば長さ10個の既知のリガンドペプチド場合)のアミノ酸(HLA−A*02:01 のImmune Epitope Database and Analysis resorce(http://www.iedb.org/MHCalleleId/143)参照)がより小さいサイズのアミノ酸で置換される。公開日を基準として、類似の様式で、他のHLA−A*02またはHLA−A分子などの他のMHC分子のアンカー残基が、本発明に従う方法での使用に適したテンプレートペプチドを提供できるように同様に置換され得ることを当業者であれば理解する。本明細書の実施例で例示されているように、テンプレートペプチドと交換されるべき望ましいペプチドは(例えばペプチドのアミノ酸配列類似性に基づいて)テンプレートペプチドと関連している必要はなく、無関係の構造のものであり得る。
好ましい実施形態では、テンプレートペプチド(本明細書に開示の実施例で使用される)は、
a.配列番号1(IAKEPVHGV)、配列番号2(IAKEPVHGA)または配列番号3(FAPGNAPAL)に示されるポリペプチド配列;または
b.1、2、3、または4個のアミノ酸が置換されているか、欠失しているか、または挿入されている配列番号1または配列番号2または配列番号3に示されるポリペプチド配列
を含むポリペプチドである。
実施例に示すように、HLA−A*02:01−IAKEPVHGV複合体、HLA−A*02:01−IAKEPVHGA複合体またはH−2K−FAPGNAPAL複合体は、本発明の方法で適切に使用され得るテンプレートペプチドで満たしたMHC分子である。
当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく、配列番号1(IAKEPVHGV)、配列番号2(IAKEPVHGA)または配列番号3(FAPGNAPAL)に示されるポリペプチド配列において、1、2、3または4個のアミノ酸が更に置換され得ることを理解する。
本発明の方法の主な利点は、テンプレートペプチドを提供されたMHC分子(MHCクラスI分子、好ましくはHLA−A分子など)、特に多量体(好ましくはHLA−A多量体)が、低い温度で保存され得るか(本明細書の他の箇所に記載されているように)、または本発明の方法の実施を進めるバルクで調製され得る。さらに、本発明の方法は、本明細書で詳細に記載されているように、望ましいペプチドの存在下で、低下した温度から上昇した温度に変えることのみ必要とする。本発明に従う方法のこれらの要素は、多くの望ましいペプチドについてのアッセイを並行して行うのに、例えば、マルチウェルシステムを用いるのに特に適したものとし、ここで、例えば、望ましいペプチドでのテンプレートペプチドの交換に対するそのような化合物の調節効果を調べるために、テンプレートペプチドを有するMHC分子(好ましくはHLA−A分子)は、使用したウェルのそれぞれにおいて異なるペプチドと、種々のウェル中の異なる濃度の同じペプチドと、異なるペプチドの組み合わせと、ペプチドと更なる化合物との組み合わせと接触する。これは、テンプレートペプチドを有するMHC分子多量体である場合に特に好都合である。
ステップa)において提供されたMHC分子(MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子など)、好ましくは多量体が製造され、低下した温度でテンプレートペプチドで満たされる本発明に従う方法も提供される。当業者であれば、多量体を含むそのようなMHC分子(好ましくはHLA−A分子)を提供する方法をよく理解する。例えば、MHC分子のペプチド結合溝においてテンプレートペプチドがそれに結合しているMHC分子(好ましくはHLA−A分子)がテンプレートペプチドの存在下、10℃以下の温度でのMHC分子のリフォールディングによって提供される。
一部の実施形態では、方法は、いずれの細胞もない系で実施される。一部の実施形態では方法は生体外での方法である。
一部の実施形態では、方法は、前記望ましいペプチドの前記MHC分子(MHCクラスI分子、好ましくはHLA−A分子など)への結合を検出するステップをさらに含み、好ましくは、前記結合は、 前記望ましいペプチドと結合している標識を検出することによって検出され、好ましくは、前記望ましいペプチドは前記標識を含む。
そのような方法は、例えば診断目的に有用である。結合は、例えば、前記MHC分子(MHCクラスI分子、好ましくはHLA−A分子など)に関連して提示される前記ペプチドに特異的なT細胞受容体または抗体によって、様々な方法で検出され得る。結合は、好ましくは、望ましいペプチドと結合している標識を検出することによって検出される。これは、特異的な結合分子、例えば、標識したストレプトアビジンによって後に可視化し得るビオチンを用いてペプチドにタグを付けることによって実施し得る。
好ましい実施形態では、前記ペプチドは前記標識を含む。このように、前記MHC−分子(MHCクラスI分子、好ましくはHLA−A分子など)に結合したいずれのペプチドも直接検出され得る。結合の検出は、好ましくはスクリーニング目的で、好ましくはハイスループットで行われる。好ましいスクリーニング目的は、前記ペプチドの前記MHC分子への結合に影響を与える化合物のスクリーニングである。例えば、試験ペプチドまたは小分子が、前記ペプチドの前記MHC分子への結合と競合し得る。競合は、前記ペプチドの結合減少を検出することによって検出され得る。
同様に、類似の様式で、テンプレートペプチドの結合または解離は、前記テンプレートペプチドと結合している標識を検出することによって検出され得、好ましくは、前記テンプレートペプチドは前記標識を含む。
ここで説明したように、試験または参照化合物の存在下で前記望ましいペプチドの結合を決定する本発明の方法も提供される。
本発明の別の態様によれば、本明細書に開示されている方法で得られるMHC分子(MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子など)が提供される。本発明の方法を用いて得られるそのようなMHC分子と、T細胞、好ましくはCD8T細胞と、を含む組成物も提供される。
温度が15℃である場合に、好ましくは温度が15℃〜40℃である場合にMHC分子から解離するテンプレートペプチドがMHC分子のペプチド結合溝において10℃以下の温度で結合しているMHC分子(MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子など)も提供される。
好ましくは10℃以下の温度で、MHC分子のペプチド結合溝においてテンプレートペプチドがそれに結合しているMHC分子(MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子など)も提供され、ここで、テンプレートペプチドが、
a.配列番号1(IAKEPVHGV)、配列番号2(IAKEPVHGA)または配列番号3(FAPGNAPAL)に示されるポリペプチド配列;または
b.1、2、3、または4個のアミノ酸が置換されているか、欠失されているか、または挿入されている配列番号1または配列番号2または配列番号3に示されるポリペプチド配列
を含むポリペプチドである。
実施例に示すように、HLA−A*02:01−IAKEPVHGV複合体、HLA−A*02:01−IAKEPVHGA複合体またはH−2K−FAPGNAPAL複合体は、本発明の方法で適切に使用され得るテンプレートペプチドで満たしたMHC分子である。
当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく、配列番号1(IAKEPVHGV)、配列番号2(IAKEPVHGA)または配列番号3(FAPGNAPAL)に示されるポリペプチド配列において、1、2、3または4個のアミノ酸をさらに置換し得ることを理解する。
好ましくは10℃以下の温度で、MHC分子のペプチド結合溝においてテンプレートペプチドがそれに結合しているそのようなMHC分子(MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子など)を含む組成物も提供される。一部の実施形態では、組成物は更なるペプチドをさらに含み得、好ましくは、更なるペプチドは、MHC分子のペプチド結合溝に結合可能な抗原ペプチド、例えば本明細書における望ましいペプチドである。一部の実施形態では、組成物は、NaCl,好ましくは100〜600mM NaCl,より好ましくは250〜350mM NaClおよび/またはグリセロール、好ましくは1〜50%(vol/vol)グリセロール、好ましくは5〜15%(vol/vol)グリセロールをさらに含む。特にこれは、組成物が低い温度で(例えば0℃未満)で保存される組成物である場合に好都合である。したがって、10℃未満、0℃未満、−20℃未満の温度の順で好ましく保存される組成物も提供され、ここで、組成物は、15℃以上の温度で、好ましくは温度が15℃〜40℃である場合にMHC分子から解離するテンプレートペプチドがMHC分子のペプチド結合溝において結合しているMHC分子(好ましくはHLA−A分子)を含み、好ましくは、NaCl,好ましくは100〜600mM NaCl,より好ましくは250〜350mM NaClおよび/またはグリセロール、好ましくは1〜50%(vol/vol)グリセロール、好ましくは5〜15%(vol/vol)グリセロールをさらに含み;好ましくはMHC分子が多量体である。
低下した温度でMHC分子(MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子など)と結合するが上昇した温度では結合しないテンプレートペプチドも提供される。一部の実施形態では、テンプレートペプチドが、
a.配列番号1、配列番号2または配列番号3に示されるポリペプチド配列;または
b.1、2、3、または4個のアミノ酸が置換されているか、欠失しているか、または挿入されている配列番号1または配列番号2または配列番号3に示されるポリペプチド配列
を含むポリペプチドである
MHC分子(MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子など)を製造するための、および/またはMHC分子(好ましくはHLA−A分子)のペプチド交換における、上記のテンプレートペプチドの使用も提供される。
MHC分子を製造するための、および/またはMHC分子のペプチド交換における、上昇した温度でMHC分子から解離するテンプレートペプチドがMHC分子のペプチド結合溝においてそれに結合しているMHC分子(MHCクラスI、好ましくはHLA−A分子など)の使用も提供される。
望ましいペプチドを認識するT細胞の検出のための、本発明の方法を用いて得られる、MHC分子(MHCクラスI分子、好ましくはHLA−A分子など)を含む組成物の使用も提供される。
当然ながら、本発明の実施形態の一態様に関して議論したすべての詳細、実施形態および好ましいものは、本発明のいずれの他の態様または実施形態に同様に適用することができ、したがって、すべてのそのような詳細、実施形態および好ましいものをすべての態様について別々に説明することを必要としない。
概して本発明について説明したが、同じことが、以下の実施例を参照にすることによって、より容易に理解される。実施例は例示のためのものであって、本発明を限定することを意図したものではない。更なる態様および実施形態が当業者に明らかである。
本明細書において使用される配列:
IAKEPVHGV(配列番号1)
IAKEPVHGA(配列番号2)
FAPGNAPAL(配列番号3)
SIINFEKL(配列番号4)
FAPGNWPAL(配列番号5)
FAPGNYPAA(配列番号6)
FAPGNAPAL(配列番号7)
FAPGNYPAL(配列番号8)
ILKEPVHGV(配列番号9)
ILKEPVHGA(配列番号10)
WLIGFDFDV(配列番号11)
SGYNFSLGAAV(配列番号12)
SSPPMFRV(配列番号13)
RALEYKNL(配列番号14)
NLVPMVATV(配列番号15)
VLEETSVML(配列番号16)
CLGGLLTMV(配列番号17)
GLCTLVAML(配列番号18)
YVLDHLIVV(配列番号19)
LLDQLIEEV(配列番号20)
実施例1 − 抗原に特異的なT細胞検出のためのMHC多量体での温度誘導ペプチド交換。
一般導入
導入
我々は、多量体におけるペプチド交換のためのより速く、より簡便な技術の開発を設計した。我々は、そのような技術が、低下した温度で、例えば4°Cでの解離が低い低親和性ペプチドの設計によって提供され得、温度に依存して該ペプチドを所定の外因性ペプチドに交換し得ることを驚くべきことに見出した。我々は、H−2KおよびHLA−A*02:01多量体、優性マウスおよびヒトMHCアレルの代表それぞれについて概念実証を記載する。移植受容者の種々のウイルス再活性化に対するT細胞動態を測定する特別の目的のために使用し得る予め折り畳まれたMHC多量体でのペプチド交換を実施した。温度交換可能なMHC I多量体は、エピトープ発見および免疫モニタリング用の簡便なツールを提供する。
我々の技術は、免疫診断用MHC多量体の製造;免疫モニタリング、エピトープに特異的なT細胞の単離、抗ウイルスまたは癌治療、または一般に、免疫システムの挙動および進化を調べるエピトープの同定に使用できる。
材料および方法
ペプチド合成および精製
SyroIおよびSyroIIシンセサイザーを用いて、N−メチル−2−ピロリドン中の標準固相ペプチド合成によって、ペプチドを我々の研究室で合成した。アミノ酸および樹脂は、Nova Biochemから購入したものを使用した。ペプチドを、分取Waters X−bridge C18カラムを備えたWaters HPLCシステムを用いる逆相HPLCによって精製した。移動相は、0.1%TFAを含有する水とアセトニトリルとの混合物からなっていた。ペプチドの純度および組成は、2795分離モジュール(Alliance HT)および2996光ダイオードアレイ検出器(Waters Chromatography B.V.)を備えたWaters Micromass LCT Premier G2−XS QTof質量分光計を用いるLC−MSによって確認した。LC−MS試料を、水/アセトニトリルのグラジエントでKinetexC18カラム(Phenomenex,米国,CA)に流した。分析は、MassLynx4.1ソフトウェア(Waters Chromatography)を用いて実施した。必要であれば、ペプチドを2回精製した。
タンパク質発現および精製
以前に公開されたプロトコール25に従って、MHCクラスI(MHC I)複合体を発現させ、リフォールディングした。H−2Kのリフォールディングした複合体を、AKTA(GE Healthcare Life Sciences)またはNGCシステム(Bio−Rad)で、アニオン交換(20mM Tris−HCl pH8中0〜1M NaCl;リソースQカラム)およびサイズ排除クロマトグラフィー(150mM NaCl,20mM Tris−HCl pH8;Superdex7516/600カラム)を用いて、2回精製した。アニオン交換およびサイズ排除クロマトグラフィーを用いて精製した場合、サイズ排除のみを用いたのと比較して回収率が大幅に低いことが見られ、これは、ペプチドとイオン交換樹脂との間の強い相互作用によって生じた可能性がある。したがって、精製収率を最大化するために、HLA−A*02:01のリフォールディングした複合体を、サイズ排除クロマトグラフィー(300mM NaCl,20mM Tris−HCl pH8)のみを用いて精製した。精製した適切に折り畳まれた複合体を、Amicon Ultra−15 30kDa MWCO遠心分離機フィルターユニット(Merck Millipore)を用いて濃縮し、必要な場合にはBirAリガーゼを用いて直接ビオチニル化し、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて再び精製し、12.5%グリセロールを有する300mM NaCl,20mM Tris−HCl(pH8)中、−80°Cで更なる使用まで保存した。
タンパク質アンフォールディング
異なるH−2K−およびHLA−A*02:01−ペプチド複合体の熱アンフォールディングを、Optim1000(AvactaAnalytical社)機器を用いて決定した。MHC I−ペプチド複合体を、0.2mg/mlのタンパク質濃度で150mM NaCl,20mM Tris−HCl(pH7.5)緩衝液またはリン酸緩衝食塩水(PBS)中で測定した。1°Cのステップ勾配で、それぞれのステップごとに30秒、温度を安定化させて、試料を加熱した。アンフォールディングに続いて、266nmでの励起後、300〜400nmの範囲で、トリプトファン蛍光放射を測定した。重心蛍光を以下の等式に従って求めた:
式中、BCMλは重心平均蛍光(nm)であり、I(λ)は所与の波長での蛍光強度であり、λは波長(nm)である。
以下の等式に従って、温度の関数として、重心蛍光を用いて融点(T)を計算した:
式中、maxは極大であり、
は温度の関数としての重心蛍光の一次導関数
である。
分析を、Optim分析ソフトウェアv2.0(Avacta Analytical社)を用いて実施した。
MHC I単量体の多量体化
アロフィコシアニン(APC)またはフィコエリトリン(PE)標識ストレプトアビジンを用いてMHC I単量体を複合体化して、T細胞分析のための多量体を形成した。典型的には、温度易変性ペプチド−MHC複合体を、氷上で、蛍光色素標識ストレプトアビジンを1分間隔で段階的に添加することによって、多量体化した。十分なビオチニル化は、HPLCによって検証された。多量体のアリコートを15%グリセロールを含有する150mM NaCl,20mM Tris−HCl pH7.5中で即座に凍結した。T細胞染色のためにPBS中の望ましいペプチドを解凍しながら多量体溶液に添加して、0.5μM MHCおよび50μMペプチドの最終濃度を得た。
温度媒介ペプチド交換の分析
ペプチド交換を開始するために、0.5μM MHC I−ペプチド複合体を、定義した交換条件下で、110μl PBS中の50μM交換ペプチドとインキュベートした。インキュベーション交換後、14,000xgで1分間、室温で溶液を遠心し、その後、移動相としてPBSを用いる、300×7.8mM BioSep SEC−S3000カラム(Phenomenex)を備えたShimadzu Prominence HPLCシステムでのゲル濾過によって、上清を分析した。Shimadzu LabSolutionsソフトウェア(バージョン5.85)を用いてデータを処理し、分析した。
質量分光法によって求めた相対交換効率
H−2Kでのペプチド交換を定量化するために、0.5μMH−2K単量体(H−2K−FAPGNAPALを、PBS中50μMのペプチドSIINFEKL(配列番号4)、FAPGNWPAL(配列番号5)、FAPGNYPAA(配列番号6)、またはFAPGNAPAL(配列番号7)と45分間、室温でインキュベートした。HLA−A*02:01でのペプチド交換を定量化するために、0.5μM HLA−A*02:01単量体をPBS中50μMのペプチドと3時間、32°Cでインキュベートした。
分析前に、交換した単量体を14,000×gで1分間、室温で回転させて、凝集体を除去し、その後、UltraceL−30膜を備えたMicrocon−30kDa遠心分離機フィルターユニット(Merck Millipore,トリプシンによるBSA分解物と予めインキュベートして、膜へのペプチドの粘着を防いだ)を用いて精製して、未結合の過剰ペプチドを除去した。PBSで2回、重炭酸アンモニウムで2回、室温で洗浄した後、MHC−結合したペプチドを200μl 10%酢酸の添加によって溶出し、続いて600rpmで1分間、室温で混合した。溶出したペプチドを、UltraceL−30膜を備えたMicrocon−30kDa遠心分離機フィルターユニットを用いて分離した。溶出液を凍結乾燥し、質量分光法で分析した。
MS分析のために、ペプチドを95/3/0.1v/v/v水/アセトニトリル/ギ酸に溶解し、その後、先に記載した通り26、1100HPLCシステムを用いるオンラインnano HPLC MS/MS(Agilent Technologies)によって分析した。ペプチドを、10μl/minで、15−mMカラム(100−μM ID;ReproSil−Pur C18−AQ,3μM,Dr.Maisch社)上に封入し、200mMカラム(50−μM ID;ReproSil−Pur C18−AQ、3μM)へ150nl/minで溶出した。すべてのカラムは社内で詰めた。カラムを、0.1%ギ酸中のアセトニトリル0〜50%の30−minのグラジエントで展開した。nanoLCカラムの末端をチップ(5−μMID)に引き、溶出液を7−tesla LTQ−FT Ultra 質量分光計(Thermo Electron)内へ噴霧した。
質量分光計をデータ依存モードで操作し、MSとMS/MS取得との間で自動的に切り替えた。十分なスキャンMSスペクトルを、解像度25,000のFT−ICRで、3,000,000の目標値で取得した。その後、2つの最も強いイオンを、目標蓄積値50,000、解像度50,000のFT−ICRでの選択したイオン−モニタリングスキャンによって、正確な質量測定値に分離した。選択したイオンを、10,000の標的値での、衝突によって誘導された解離を用いて、直線のイオントラップにおいて断片化した。溶出したペプチドの量を定量化するために、それぞれの合成ペプチドで標準曲線を作成した。
マウス
野生型(WT)C57BL/6マウス(Charles River)を、Central Animal Facility of Leiden University Medical Center(LUMC)で、特定の病原体がない状態下で維持した。MCMV感染BALB/cマウスからの唾液腺ストックに由来する5×10PFUマウスサイトメガロウイルス(MCMV)−Smith(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)VR−194;Manassas、VA)、またはベビーハムスター腎臓(BHK)細胞で増殖させた2×10PFUリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)Armstrongにマウスを腹腔内感染させた。ウイルス力価を、公開されているプラークアッセイ27によって決定した。すべての動物実験は、LUMCの動物実験委員会の承認の下、欧州評議会による”Guidelines on the protection of experimental animals”の実施およびLUMCによる動物実験ガイドを果たすDutch Experiments on Animals Actに従って実施した。
主要ヒト材料の回収
末梢血液試料は、LUMCによる承認およびヘルシンキ宣言に従う文書のインフォームドコンセントの後に、T細胞除去同種幹細胞移植(allo−SCT)後のHLA−A*02:01陽性多発性骨髄腫患者から得た。ウイルス再活性化をモニターするために、新鮮な全血でのエプスタイン・バーウイルス(EBV)およびHCMVDNの負荷を定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)によって評価した。末梢血液単核細胞(PBMCs)を、フィコール・イソパーク分離(LUMC Pharmacy,Leiden,The Netherlands)を用いて回収し、液体窒素の気相中で凍結保存した。ウイルスに特異的なCD8T細胞再構成を、解凍したPBMCでフロー・サイトメトリーによって決定した。
抗体および試薬
フィコール・イソパークをLUMC Pharmacy(Leiden,The Netherlands)から入手した。蛍光色素結合抗体はいくつかの供給業者から購入した。V500抗マウスCD3、FITC抗マウスCD8、FITC抗ヒトCD4、パシフィックブルー抗ヒトCD8、APC抗ヒトCD14は、Becton Dickinson(BD)Biosciencesから購入した。BV605抗マウスCD8は、BioLegendから購入した。蛍光色素結合ストレプトアビジンおよび7−AADはInvitrogenから購入した。DAPIは、Sigmaから購入した。従来のHLA−A*02:01PE標識四量体を、すべての示したT細胞特異性について、先に記載した通り製造した11。ヒトインターロイキン−2(IL−2)は、Chiron(Amsterdam,The Netherlands)から購入した。ヒト血清アルブミン(HSA)は、Sanquin Reagents(Amsterdam,The Netherlands)から購入した。
マウスCD8+T細胞のフロー・サイトメトリー分析
H−2K−FAPGNAPAL多量体を5分間、室温で選択したペプチドと交換し、その後、以前に記載した、H−2K制限OVA257−264特異的TCR形質転換系統(OT−I)の染色に使用した28。概して、200,000個の細胞を、APC標識またはPE標識の、温度交換または従来の多量体で10分間、室温で染色し、その後、表面マーカー抗体(抗CD8−FITC)で、4°Cで20分間染色した。FACS緩衝液(PBS中0.5%BSおよび0.02%アジ化ナトリウム)で細胞を2回洗浄し、その後同緩衝液に再懸濁した。DAPIを0.1μg/mlの最終濃度で添加した。試料を、BD FACSAria Fusionを用いて測定し、データをBD FACSDivaソフトウェア(バージョン8.0.2)で分析した。
ウイルスに特異的なT細胞を、赤血球溶解後のLCMV感染マウスの血液試料またはMCMV感染8〜10週齢マウス(6〜8週に感染した)から得られた脾細胞において分析した。低張塩化アンモニウム緩衝液(150mMNHCl,10mMKHCO;pH7.2+/−0.2)を用いて赤血球を溶解した。適切な温度交換多量体および表面マーカー(7−AAD、抗CD3−V500、抗CD8−BV605)で30分間、4°Cで細胞を同時に染色した。多量体を滴定して、最適なT細胞染色を確立した。一般に、50μl FACS緩衝液中の10,000〜100,000個のT細胞を染色するのには、1:20〜1:40の希釈が十分であった。FACS緩衝液で細胞を2回洗浄し、再懸濁した。BD Fortessa flow cytometerを用いて試料データを取得し、BD FACSDivソフトウェアを用いて分析した(バージョン8.0.2)。
ヒトCD8T細胞のフロー・サイトメトリー分析
HLA−A*02:01−IAKEPVHGV(配列番号1)の多量体を32°Cで3時間、選択したペプチドと交換し、対応するCD8T細胞を染色するのに使用した。UV交換した多量体を製造し、公開プロトコールに従って交換した17、18
示したウイルスT細胞特異性(10%ヒト血清および100IU/ml IL−2を追加したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)で培養)のクローンまたは細胞株をHLA−A*02:01−陰性ドナーのPBMCsと混合して、多量体陽性細胞と多量体陰性細胞を識別できるようにした。PE標識温度交換多量体、従来の多量体またはUV交換した多量体と10分間、4°Cでインキュベーション後、表面マーカー抗体(抗CD8−パシフィックブルー、抗CD14−APC)で細胞を20分間、氷上で染色した。多量体を滴定して、バックグランドなしで最適なT細胞染色を確立した。FACS緩衝液(0.5%HSinPBS中)で細胞を2回洗浄し、再懸濁した。BD FACSCanto II flow cytometerを用いて試料を取得し、BDFACSDivaソフトウェア(バージョン8.0.2)を用いて分析を実施した。多量体陽性CD8T細胞の絶対数を、CD8T細胞集団および全血中のCD8T細胞の濃縮物内の多量体陽性細胞のパーセンテージに基づいて計算した。
結果
温度交換に適したMHC I−ペプチド対の同定
MHC、例えばMHC Iの温度交換に適したペプチドを設計する場合、特定した最も重要な基準は、条件付きのリガンド(テンプレートペプチド)で満たしたMHC I複合体が低い温度で安定であるべきであるが、より高い温度で不安定であるべきであり、例えば、4°Cで効率的にリフォールディングするべきであるが、温度上昇によってペプチドが解離し、入ってくるペプチドカーゴが結合できることである(図1a)。MHC I−ペプチド安定性にとって主要な決定基は、MHC Iからのペプチドの解離である23。我々は、解離速度が低いそれぞれのMHC I分子に結合することが知られているペプチドを同定し、それらのアンカー残基を置換して、解離速度を上昇させた。インプットペプチド(テンプレートペプチドに加えて導入すべき望ましいペプチド)が、それらをリフォールディング反応に添加する前に好ましくは純粋であることが見出された。MHC重鎖と比較して大過剰のペプチドを使用していることから、ほとんど検出できない不純物が、MHC Iをリフォールディングすることによって優先的に選択でき、予想外の定性を有する複合体が得られる(データ示さず)。
我々は、センダイウイルスエピトープFAPGNYPAL(配列番号8)(NP324−332)に由来する低親和性ペプチドとのマウスH−2Kの複合体を以前に製造し、それらの安定性およびペプチド結合の反応速度を分析した23。我々は、試験した7個のペプチドから、FAPGNAPALのみペプチド交換に必要とされる基準を満たしたことを見出した。熱変性の中間点として定義されるFAPGNAPALとH−2Kの複合体の融点は~33°Cである(図6)。これに照らせば、試験した2つの上昇した温度(26°Cおよび32°C)のいずれかで、FAPGNAPALはH−2Kから迅速に解離し、再結合しない23。これは、H−2K−FAPGNAPAL複合体が4°Cでリフォールディングするのに十分に安定であるが、上昇した温度では不安定であり、したがって、温度誘導ペプチド交換に適した複合体であり得ることを示す。
交換技術をヒトへの応用につなげるために、我々は、白色人種の集団において最も頻繁なヒトMHC IアレルであるHLA−A*02:01に適したペプチドを同定することを試みた。我々は、1つのアンカー(IAKEPVHGVまたはILKEPVHGA(配列番号10)または両方のアンカー(IAKEPVHGA)で修飾したHIV−1エピトープILKEPVHGV(配列番号9)(RT476−484)に基づいてペプチドを設計した。修飾したペプチドを有するHLA−A*02:01複合体を製造し、熱安定性実験を実施し、トリプトファン蛍光を温度範囲にわたってモニターして、HLA−A*02:01−ペプチド複合体のアンフォールディングを評価した。驚くべきことに、試験した4つの複合体の中からHLA−A*02:01−IAKEPVHGVが最も低い融点(~38°C)をshowed(図6)。我々は、融点が、HLA−A*02:01−IAKEPVHGVが温度に基づくペプチド交換に適し得る第1の指標であることを見出した。
温度易変性MHC I−ペプチド単量体はある範囲のペプチドを効率的に交換する。
次に、我々は、複合体におけるH−2KのFAPGNAPALとの温度範囲にわたる交換効率を、分析サイズ排除HPLCを用いて評価した。我々は、複合体は室温で(20℃)不安定であり、変性および沈殿を生じることを見出した。
これは、HPLCで分析した際にMHC Iのピークがないことで例証される(図1b)。of高親和性ペプチド(SIINFEKL、OVA257−264)の存在下でインキュベートした際に、明らかなピークを観察し、これは、H−2Kがアンフォールディングから「救出」され得る(図1b,上のパネル)ことを実証する。FAPGNAPAL(K>4μM23)のSIINFEKL(K=1.4nM29)への交換は、30分以内にほぼ完了した。24時間後に15%のみ効率が増加した(図1b,上のパネルおよび図1c)。
同様に、ILKEPVHGVに基づく4つのペプチドのいずれかを有する複合体におけるHLA−A*02:01を、異なる温度および時点での高親和性結合ペプチド(ワクシニアウイルス(VACV)B19R−A2/WLIGFDFDV,K=0.06nM30)(配列番号11)との交換について試験した。ILKEPVHGVまたはILKEPVHGを有する複合体におけるHLA−A*02:01は、室温で安定のままであり、上昇した温度でも無傷のHLA−A*02:01が依然として検出できた(37または42°C,図7a−b)。それらの高い融点(それぞれ~57および47°C,図6)、および解離定数(ILKEPVHGV−K=2.5nM31;ILKEPVHGA−K=1.1μM(NetMHCで予測)32、33)も考慮すると、ILKEPVHGVおよびILKEPVHGAは交換反応のインプットペプチドとして失格である。
我々は、効率的な温度誘導交換を可能にする、HLA−A*02:01に結合する最適なペプチドを探し続けた。IAKEPVHGV(K=7.3μM(NetMHCで予測)32、33)またはIAKEPVHGA(K=19.1μM(NetMHCで予測)32、33)ペプチドを有するHLA−A*02:01の複合体は、室温でもかなり安定しなかった(図7C−d)。より高い安定性の結果として、HLA−A*02:01−IAKEPVHGVのリフォールディング効率が、最大救出であったように、HLA−A*02:01−IAKEPVHGAのものより実質的に高かった(表1)(図7C−d)。
表1.ILKEPVHGV由来HLA−A*02:01−ペプチド複合体のリフォールディング効率.リフォールディング効率は、精製し、インプットがない重鎖(封入体から)に関連した適切に折り畳まれたHLA−A*02:01−ペプチド複合体のパーセンテージとして表わした。
HLA−A*02:01−IAKEPVHGVを、2つの温度、すなわち37°Cで1時間、または32°Cで3時間、効率的に交換した(図7c)。我々は、最適な交換に必要とされるより高い温度にもかかわらず、一般のペプチド交換の適用に最も良い候補複合体として、HLA−A*02:01−IAKEPVHGVを選択した。
結論として、我々は、効率的な温度誘導交換反応を可能にする2つのMHC I−ペプチド対を同定した。最適な交換複合体を定める我々の選択基準は、他のMHCアレルに拡張可能であるべきである。
幅広い技術として、MHC I多量体は、それらのペプチドを、多くの癌抗原由来ペプチドなどの比較的低い親和性ものを含む多くの異なるペプチドへ交換すべきである34。この技術の幅広い適用性を試験するために、我々は、FAPGNAPALを、FAPGNWPAL(26℃でK=33nM、32℃でK=33nM23)またはFAPGNYPAA(26℃でK=18nM、32℃でK=144nM23)に交換した。準最適ペプチドの両方について、交換効率が、SIINFEKLについて観察された水準の80〜90%に達した(図1b−c)。質量分光法分析は、交換複合体が、FAPGNWPALの94.2%、およびFAPGNYPAAの84.4%をそれぞれ含んでいたことを示した。交換後、テンプレートなしのペプチドFAPGNAPALが検出され、これは、すべてのMHC I−ペプチド複合体が交換したペプチドを含んでいたことを実証する(表2)。
表2.質量分光法による交換効率の相対的な定量化.MHC Iでのペプチド交換を、0.5μM単量体(H−2KまたはHLA−A*02:01)を用いて実施し、Online Methodsにて説明した通り、単量体を50μMのペプチドとインキュベートした。また、単量体をペプチドなしでインキュベートして、これらの条件下での複合体の安定性を決定した。溶出したペプチドの量を定量化するために、それぞれの合成ペプチドを用いて、標準曲線を作成した。H−2K−SIINFEKLを陽性対照として測定した。
すぐに使用できる温度交換MHC I多量体を用いる抗原に特異的なCD8+T細胞の検出
ペプチド交換の技術は、MHC I多量体に直接適用できればさらにより魅力的であり、現在の交換技術は厳しい制限がある。現在の交換技術では、単量体が最初に交換され、その後、多量体化されるが(図2a,上のパネル)、本明細書に記載の方法は、多量体にも直接適用できる(図2a,下のパネル)。交換した多量体の機能性を試験するために、我々は、ペプチド交換前または後に多量体を生成し、これらを使用して、SIINFEKLに特異的なOTIT細胞を染色した(図2b)。温度交換によって調製した多量体は、従来の多量体と区別がつかないほどに機能した(図2b)。多量体が交換されなかった場合、または無関係のペプチド(FAPGNYPAL、図2b)に交換した場合、陽性染色は見られなかった(データ示さず)。
凍結での多量体の安定性を評価した際、我々は、多量体単独では凍結−解凍サイクルに悩まされたが、凍結前に約300mM NaClおよび/または約10%グリセロールを添加すると、凍結−解凍サイクル中の安定性が確実になったことを見出した(図2c)。したがって、温度媒介ペプチド交換を使用して、温度交換可能な多量体のストックから直接様々なペプチドを充填する状態になっているMHC多量体を製造することができると結論付けた。これは、多量体染色実験前にいずれの時間がかかる調製も取り除くことで、重要な利点を示す。
C57BL/6マウスのLCMVおよびMCMV感染に対する免疫応答は、広く特徴付けられており、我々は、モデルとしてこれらの感染を使用して、抗原に特異的なCD8T細胞の検出における我々の温度交換多量体の品質を例証した35−38
我々は、以下の免疫優性エピトープ:LCMVエピトープNP238−K/SGYNFSLGAAV(配列番号12)およびMCMVエピトープM38−K/SSPPMFRV(配列番号13)およびIE3−K/RALEYKNL(配列番号14)に対するCD8T細胞応答を測定した(表3)。
表3.本調査に使用したペプチドおよびそれらの改変の記述.使用したペプチドのいくつかは、アンカー位置(太字で示される)で修飾したFAPGNYPALまたはILKEPVHGVの誘導体である。HAdV−ヒトアデノウイルス、LCMV−リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、CMV−サイトメガロウイルス、HIV−ヒト免疫不全ウイルス、EBV−エプスタイン・バーウイルス、VACV−ワクシニアウイルス、m−マウス、h−ヒト、それぞれのMHCに対する親和性は、公開されている証拠からであるか、またはNetMHCで予測されたもの(*で示される)である。
我々は、最初にH−2K単量体での交換をHPLCによって測定した。SIINFEKLについて、すべての3つのペプチドが5分以内に室温で高い効率で交換され、安定したH−2K複合体を製造し、これは、ペプチドなし、またはFAPGNAPALの過剰での交換反応では見られなかった(図3a、図3bにおいて定量)。その後、我々は、H−2K多量体で、これらの3つのウイルスエピトープへの温度媒介交換を実施し、これらの多量体を使用して、LCMV感染マウスからの血液試料またはMCMV感染マウスからの脾細胞を染色した。
温度感受性ペプチドを有する多量体をフリーザーから取り出した後5分以内に、多量体が用意でき、従来の多量体と同じくらい効率的に抗原特異的なCD8T細胞を染色し(図3c)、温度交換技術が応用可能であることを実証する。
同様に、32°Cで3時間、または37°Cで45分間、インキュベートした際に、選択したウイルスエピトープ(HCMVpp65−A2/NLVPMVATV(配列番号15)、HCMVIE−1−A2/VLEETSVML(配列番号16)、EBVLMP2−A2/CLGGLLTMV(配列番号17)、EBVBMLF−1−A2/GLCTLVAML(配列番号18)、EBVBRLF1−A2/YVLDHLIVV(配列番号19)およびヒトアデノウイルス(HAdV)E1A−A2/LLDQLIEEV(配列番号20)(表3に詳細あり))にHLA−A*02:01−IAKEPVHGV単量体を直ちに交換できた。
HPLC分析は、ペプチドなしで32°Cでインキュベーション後、MHCピークが検出されなかったことを示し、これは、MHC単量体の分解および沈殿を示す(図4a)。しかしながら、ペプチドとインキュベーション後、MHC I単量体のピーク領域が、すべてのペプチドについてインキュベートしていない複合体のものと少なくとも同程度に高かった(図4a,図4bで定量)。37°Cで45分間のインキュベーションは、同様に効率的な救助をもたらした。
幅広いスペクトルの親和性にわたってペプチドに交換できるように、我々は、HLA−A*02:01最適な交換条件として、3時間、32°Cを選択した。
これらのエピトープに交換した多量体は、3時間以内に用意でき、対応する特異性でCD8T細胞クローンを染色するのに直接使用された。検出された多量体陽性CD8T細胞のパーセンテージは、従来のまたはUV交換した多量体を用いて検出されたものに対応し、それらの適切な機能が確認された(図4c)。無関係のペプチドに交換した多量体とインキュベートした際、染色が見られなかった。
交換したMHC I−ペプチド多量体は免疫モニタリングに有効な試薬である。
臨床診療における我々の試薬の価値を実証するために、我々は、我々の温度交換多量体を従来の多量体と免疫モニタリング設定において比較した。T細胞除去後同種幹細胞移植(allo−SCT)患者が重い免疫不全であることから、T細胞再構成は、HCMVおよびEBV様の日和見ヘルペスウイルス感染によって引き起こされる病的状態および死亡を防ぐことは大きく重要である2、3。したがって、ドナー由来免疫システムが発達するまで、患者は集中的にモニターされる。
我々は、PE標識HLA−A*02:01−IAKEPVHGV多量体を、HCMVおよびEBVエピトープの選択のために並行して交換し、これらを使用して、allo−SCT後に1週間間隔で得られた末梢血液単核細胞(PBMCs)を染色し、T細胞頻度をモニターした。HCMV pp65−A2/NLVに特異的なCD8T細胞の反応速度が、HCMVウイルスDNAの拡張によって例証されるHCMV再活性化と一致している(図5,上のパネル)。陽性EBV DNAの負荷を1回のみ測定したが、EBV LMP2−A2/CLGに特異的なT細胞が時間とともに広がり、より小さい程度で、EBVBMLF−1−A2/GLCに特異的なT細胞が時間とともに広がった(図5,下のパネル)。HCMVIE−1−A2/VLE(図5、上のパネル)またはEBVBRLF1−A2/YVL(図5、下のパネル)に対する優位な応答は検出されなかった。実際に、これは患者に特異的である。従来の多量体を用いて検出されたこれらのエピトープに特異的なT細胞がないことから、このことは、本明細書に開示されている方法によって提供された多量体が特異的であることを裏付ける。特異的なT細胞の頻度は、従来の多量体と温度交換多量体との間で同程度であった。これは、原発性免疫モニタリング試料で典型的に見られる低い頻度でも、抗原に特異的なT細胞の検出のために迅速に多くの異なるMHCI多量体を即興で製造する我々の技術の効率および柔軟性をさらに強調する。
議論
我々は、多数の異なるMHC多量体の並行生成を可能にする驚くべき、信頼性のあるアプローチについて説明する。交換可能な多量体ストックの貯蔵用の−80°Cフリーザー、および交換のための最適な温度でのインキュベーションのためのサーモブロック、水浴またはPCR機械を必要とするのみであることから、我々のアプローチは、すべての研究室にて適用できる。このシステムはより速く、単一のMHC I−ペプチド組み合わせ、リフォールディングおよび精製によってそれぞれの複合体を製造することで作製されたものに加えて、化学的に引き起こされたまたはUV媒介ペプチド交換によって生成されたものからの多量体の生成より困難ではない14−17
該アプローチは、多量体における速く、ほとんど定量的なペプチド交換を可能にする一方で、UV媒介交換を用いる多量体の並行生成は、試料プレートにわたる、試料プレートとの間における一様でない蒸発のために変化しやすく、フルオロフォア漂白により、既製のMHC I多量体で実施できない。
我々は、既製の温度−感受性のMHC I多量体が−80°Cで保存でき、解凍しながら最適なペプチドとすぐにインキュベートでき、MHC Iアレルに応じて5〜180分以内のペプチド交換を可能にする方法を確立した。これは、免疫モニタリングおよび新しい(新)抗原の発見を促す、今までに開発された多量体製造の最も頑丈な技術である。我々は、MHC抗原特異的T細胞の迅速な、頑丈で、安価な検出が、感染に対する応答のみならず癌および感染症に対するワクチンに対する応答の免疫モニタリングに加えて、癌免疫療法に対しても強い衝撃を与えると予測する22、39−41
我々は、1匹のマウス、1人のヒトの2つのMHC Iアレルについて、温度交換多量体が、従来の多量体またはUV交換した多量体と同じ程度効率的に、低い頻度で存在するものを含む特異的なCD8T細胞を染色できたことを示した。HLA−A*02:01での温度交換に適したペプチドの設計は、マウスMHC Iと比較してヒトMHCクラスI複合体の安定性が本質的により高いという一部の理由から、H−2Kより困難であると証明した。我々は、H−2K−FAPGNAPALおよびHLA−A*02:01−IAKEPVHGVの両方について、温度易変性インプットペプチドを、高親和性ペプチドおよび低親和性ペプチドの両方に交換し得、T細胞特異性の幅広いアレイについての試験が可能となることを実証した。低親和性ペプチドへのMHC多量体温度交換は、従来のまたはUV交換した多量体と比較してバックグランド染色の差が見られなかったことから、非常に特異的である。allo−SCT受容者におけるウイルス再活性化のモニタリングでのそれらの使用は、温度交換可能なMHC I多量体の柔軟性および単純さを例証する。
我々は、上昇した温度で放出できる、低い温度でMHC Iと安定した複合体を形成するペプチドを設計した。低い温度の交換および外因性ペプチドによる十分な置換を可能にする最適なペプチドの選択は自明ではない。多くの最適な選択肢は、準最適な長さであり、より小さいアンカー残基を有し、N末端またはC末端を変更したペプチドを含む24。その後、我々は最もよく使用されるマウスおよびヒトMHC Iアレルについてここでは記述したように、多くのペプチド配列を試験して、最適なMHC I−ペプチド組み合わせを同定する必要がある。さらに、拡大するこの原理を多くの他のMHC Iアレルに拡大することで、ウイルスまたは腫瘍抗原を配列決定し、結合し得る断片を予測し、1日以内に合成し、すぐに使えるMHC I多量体(−80℃フリーザー中に保存されている)に充填する手順を提供できる。その後、MHC I多量体の製造がもはや時間制限要因ではないことから、2日以内に患者のT細胞応答をモニターできた。
結論として、我々は、望みのエピトープで満たしたMHC I多量体の速く、容易な生成方法を提示する。この方法は、MHC多量体技術をいずれの研究または臨床化学実験に利用できるようにし、これは最適な方法となり得る。
本発明について十分に説明したが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することない幅広い等価なパラメータ、濃度、および条件内で、過度な実験なしで、本発明を実施できることを理解する。
学術論文または要約、公開または対応特許出願、特許、またはいずれの他の参考文献も含む、本明細書において引用したすべての参考文献は、引用文献にて示されたすべてのデータ、表、図、および文章を含めて、参照により本明細書にすべて組み込まれるものとする。さらに、本明細書において引用した参考文献内で引用されている参考文献の内容全体も参照によりすべて組み込まれるものとする。
既知の方法ステップ、従来の方法ステップ、既知の方法または従来の方法への言及は、本発明のいずれの態様、説明または実施形態も関連分野に開示されるか、教示されるか、示唆されていると決して認めるものではない。
特定の実施形態の前述の説明は、当分野の知識(本明細書において引用されている参考文献の内容を含む)を適用することによって、過度な実験なしで、本発明の一般概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を容易に改変するか、かつ/または様々な用途に適合させることができるほど十分に本発明の全体の性質を十分に明らかにする。したがって、そのような適合および改変は、本明細書において示された教示およびガイダンスに基づいて、開示された実施形態の等価物の意味および範囲内である。
本明細書中の用語または専門用語は説明のためのものであり、制限するものではなく、本明細書の専門用語または用語は、当業者に照らして本明細書において示される教示およびガイダンスに照らして、当業者の知識と組み合わせて、当業者によって解釈されるものであることを理解すべきである。
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Claims (28)

  1. a.上昇した温度でMHC分子から解離するテンプレートペプチドが前記MHC分子のペプチド結合溝に結合しているMHC分子を低下した温度で提供するステップと;
    b.温度を上昇した温度に変更して、前記MHC分子から前記テンプレートペプチドを解離させるステップと;
    c.前記MHC分子のペプチド結合溝に結合する望ましいペプチドと前記MHC分子を、前記望ましいペプチドが前記MHC分子のペプチド結合溝に結合できる条件下で、上昇した温度で接触させるステップと、を含み、
    前記MHC分子は好ましくはヒト白血球抗原−(HLA−A)分子であることを特徴とするMHC分子の製造方法。
  2. 低下した温度が10℃以下の温度であるか、かつ/または上昇した温度が15℃以上の温度であり、好ましくは、低下した温度が4℃以下であるか、かつ/または上昇した温度が20℃〜40℃である請求項1に記載の方法。
  3. ステップb)およびc)を同時に実施する請求項1〜2のいずれかに記載の方法。
  4. テンプレートペプチドが結合しているMHC分子過剰において望ましいペプチドが提供され、好ましくは、過剰が少なくとも約5倍、10倍20倍、30倍、50倍、100倍、200倍モル過剰である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. ステップa)において、単量体として、少なくとも2つのMHC分子を含む複合体として、または多量体として、MHC分子が提供される請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. MHC分子が、MHC分子と、少なくとも1つの他の分子、好ましくは少なくとも1つの他のタンパク質、好ましくは少なくとも1つの他のMHC分子と、を含む複合体の一部である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. MHC分子がヒトHLA−A分子であり、前記HLA−A分子が、好ましくはHLA−A*02およびHLA−A*02:01から選択される請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. テンプレートペプチドが、少なくとも1つ、2つ以上のアンカー残基、好ましくは1つまたは2つのアンカー残基の置換によって得られる請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. テンプレートペプチドが、
    a.配列番号1(IAKEPVHGV)、配列番号2(IAKEPVHGA)または配列番号3(FAPGNAPAL)に示されるポリペプチド配列;または
    b.1、2、3、または4個のアミノ酸が置換されているか、欠失しているか、または挿入されている配列番号1または配列番号2または配列番号3に示されるポリペプチド配列
    を含むポリペプチドである請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記MHC分子のペプチド結合溝に結合する異なる望ましいペプチドについて並行して実施される請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. ステップa)において得られるMHC分子が、低下した温度でテンプレートペプチドを用いて製造され、満たされる請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記MHC分子のペプチド結合溝にテンプレートペプチドが結合しているMHC分子が、テンプレートペプチドの存在下、10℃以下の温度でのMHC分子のリフォールディングによって提供される請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 無細胞で行われる請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記望ましいペプチドの前記MHC分子への結合を検出するステップをさらに含み、好ましくは、前記結合は、前記望ましいペプチドと結合している標識を検出することによって検出され、好ましくは、前記望ましいペプチドは前記標識を含む請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 試験または参照化合物の存在下で前記望ましいペプチドの結合を決定するための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の方法で得られるMHC分子。
  17. 請求項16に記載のMHC分子と、T細胞、好ましくはCD8T細胞と、を含む組成物。
  18. 温度が15℃以上である場合に、好ましくは温度が15℃〜40℃である場合にMHC分子から解離するテンプレートペプチドがMHC分子のペプチド結合溝において結合している、10℃以下の温度におけるMHC分子であって、さらにより好ましくは低下した温度が4℃以下であるか、かつ/または上昇した温度が20℃〜40℃であり、前記MHC分子は好ましくはヒトHLA−A分子であり、好ましくはヒトHLA−A分子はHLA−A*02およびHLA−A*02:01から選択されるMHC分子。
  19. MHC分子のペプチド結合溝においてテンプレートペプチドが結合しているMHC分子であって、前記テンプレートペプチドが、
    a.配列番号1(IAKEPVHGV)、配列番号2(IAKEPVHGA)または配列番号3(FAPGNAPAL)に示されるポリペプチド配列;あるいは
    b.1、2、3、または4個のアミノ酸が置換されているか、欠失しているか、または挿入されている配列番号1または配列番号2または配列番号3に示されるポリペプチド配列を含むポリペプチドであり;
    前記MHC分子は好ましくはヒトHLA−A分子であり、好ましくは前記ヒトHLA−A分子はHLA−A*02およびHLA−A*02:01から選択されるMHC分子。
  20. 請求項18〜19のいずれかに記載のMHC分子を含む組成物。
  21. 更なるペプチドをさらに含み、好ましくは前記更なるペプチドが前記MHC分子のペプチド結合溝に結合可能な抗原ペプチドである請求項20に記載の組成物。
  22. NaCl,好ましくは100〜600mM NaCl,より好ましくは250〜350mM NaClおよび/またはグリセロール、好ましくは1〜50%(vol/vol)グリセロール、好ましくは5〜15%(vol/vol)グリセロールをさらに含む請求項17、20〜21のいずれかに記載の組成物。
  23. 低下した温度でMHC分子と結合するが、上昇した温度では結合しないテンプレートペプチドであって、前記MHC分子は好ましくはヒトHLA−A分子であり、好ましくは前記ヒトHLA−A分子はHLA−A*02およびHLA−A*02:01から選択されるテンプレートペプチド。
  24. a.配列番号1(IAKEPVHGV)、配列番号2(IAKEPVHGA)または配列番号3(FAPGNAPAL)に示されるポリペプチド配列;あるいは
    b.1、2、3、または4個のアミノ酸が置換されているか、欠失しているか、または挿入されている配列番号1または配列番号2または配列番号3に示されるポリペプチド配列
    を含むポリペプチドであるテンプレートペプチド。
  25. MHC分子を製造するための、および/またはMHC分子のペプチド交換における請求項23〜24のいずれかに記載のテンプレートペプチドの使用であって、前記MHC分子は好ましくはヒトHLA−A分子であり、好ましくはヒトHLA−A分子はHLA−A*02およびHLA−A*02:01から選択されるテンプレートペプチドの使用。
  26. MHC分子を製造するための、および/またはMHC分子のペプチド交換における、上昇した温度でMHC分子から解離するテンプレートペプチドが前記MHC分子のペプチド結合溝に結合しているMHC分子の使用であって、前記MHC分子は好ましくはヒトHLA−A分子であり、好ましくは前記ヒトHLA−A分子はHLA−A*02およびHLA−A*02:01から選択されるMHC分子の使用。
  27. 望ましいペプチド(または望ましいペプチド−MHC複合体)を認識するT細胞の検出のための、請求項16に記載のMHC分子、または請求項1〜15のいずれかに従って得られるMHC分子を含む組成物の使用。
  28. 10℃未満、0℃未満、−20℃未満の順で好ましい温度で保存される組成物であって、15℃以上の温度でMHC分子から解離するテンプレートペプチドが前記MHC分子のペプチド結合溝に結合しているMHC分子を含み、好ましくは、NaCl、好ましくは100〜600mM NaCl,より好ましくは250〜350mM NaClおよび/またはグリセロール、好ましくは1〜50%(vol/vol)グリセロール、好ましくは5〜15%(vol/vol)グリセロールをさらに含み;好ましくは前記MHC分子が多量体であり、前記MHC分子は好ましくはヒトHLA−A分子であり、好ましくは前記ヒトHLA−A分子はHLA−A*02およびHLA−A*02:01から選択される組成物。
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